説明

異物検査機の動作確認の機能及び異物検査機

【課題】動作確認の必要な異物検査機を使用している検査工程において、動作確認を必ず実行する機能を提供する。
【解決手段】動作確認が必要なときに当該機能を有効にし、機能が一旦有効になってから、最初に通過する被検査体を異物を含有するテストピースであるとみなし、異物検出部より不良信号が出たときは、動作確認が行われたとして通常状態に戻り、異物検出部より不良信号が出ないときは動作確認を忘れたか怠った場合か異物検出部が異常である場合とし、異常警報を出す機能を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体に人為的に異物を混入させたテストピースを用いて動作確認をする異物検査機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品製造工場や被服類製造工場や寝具類製造工場において、原材料中に混入した異物や製造装置の破損による異物や縫い針の破片等の異物等が、製造された製品内に混入することがある。この異物が混入した不良製品(以下不良品という。)を出荷しないようにする為に、原材料受入工程や製品出荷工程において、異物を検出し分別する異物検査機が用いられている。異物検査機で不良品と判断されると不良品排出装置が動作したりして良品と分別されて不良品が出荷されるのを防止している。
【0003】
異物検査機に搭載されている異物検出部には、X線を使用して金属、ガラス、石、骨などを検出するX線異物検出器、電磁波を使用して金属類を検出する金属検出器、光の透過や反射で異物を検出する光学式異物検出器が用いられる。
【0004】
上記異物検査機を用いた検査は、異物検査機が正常に動作しているか否かを確認するために、被検査体に人為的に異物を混入させたテストピース(以下テストピースという。)を異物検査機の入口側より通過させ、不良判定が正常に行われ不良品として分別されるか否かの動作確認作業が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−315286号公報
【特許文献2】特開2007−10349号公報
【特許文献3】特開2007−312651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、異物検査機を用いた検査を実施している作業工程においては、異物検査機が正常に動作しているか否かを確認するために、テストピースを異物検査機の入口側より通過させ不良判定が正常に行われ不良品として分別されることを確認する動作確認作業が行われている。この動作確認作業は、始業時や休憩後の作業開始時や製造品種の切替時や定時間毎に実施される。しかしながら、この動作確認作業が義務付けされていても、作業者がこの作業を忘れたり怠ったりすることも考えられる。
【0007】
異物検査機の異物検出部が故障や検出感度設定不良等で正常に動作していないときに、動作確認作業を忘れたり怠るという条件が重なった時に製造作業が続けられた場合、不良品が異物検出部を通過しても不良信号が出ないので、不良品として分別されず良品として出荷されてしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明による異物検査機の制御装置は、機能が有効になってから最初に異物検出部を通過した被検査体に混入した異物を検出した不良信号が制御部に入力されたときは不良分別信号を出し且つ異常警報信号を出さない、またこのとき、異物を検出した信号が制御部に入力されないときは不良分別信号を出し且つ異常警報信号を出す機能を備えている。また、前記機能を電源起動時に実行する機能も備えている。
【0009】
このようにすると、当該機能が有効なときに最初にテストピースを通過させると、異物検出部が正常な場合は、異物検出部から異物を検出した不良信号が制御部に入力されるので、不良分別信号を出し且つ異常警報信号を出さない処理が実行される。そのために、テストピースは不良品として分別され異常警報が出ないのでテストピース通過後は継続して製造作業を行える。また、異物検出部が異常な場合は、不良信号が制御部に入力されないので不良分別信号を出し且つ異常警報信号が出る。そのためにテストピースは不良品として分別され異常警報が出る。
【0010】
また、テストピースによる動作確認作業を忘れたり怠ったりした場合には、本機能は有効に成っているので、最初に被検査体として正常な製品が通過した場合は異物検出部の正常、異常に関わらず不良信号が制御部に入力されないので不良分別信号を出して正常品であっても不良品として分別され且つ異常警報信号が出る。また、最初に通過した製品が不良品であった場合は前記テストピースを通過させた場合と同様になる。
【0011】
このように、当該機能が有効に成っているとき、異常警報が出た場合、テストピースによる動作確認作業を忘れたか怠っているか、または異物検査部に異常があることが判明する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の機能を装備した異物検査機を用いて、動作確認が必要なときに当該機能を有効になるようにすれば、動作確認時に最初にテストピースや不良品を流さないと異常警報が出る。異常警報が出た場合、テストピースによる異物検出部の動作確認を忘れたり怠ったりした場合はテストピースを異物検査機に通過させることにより解除され、異物検出部に異常がある場合は異常警報が解除されないので、異常警報の出た原因が判明する。このことにより、動作確認が必要なときは必ずテストピースまたは不良品による動作確認が行われるという効果が生じる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明に係る実施の形態を図面と共に説明する。
【0014】
図2は、本発明の実施の形態による異物検査機の一実施の概念図を示している。異物検出部1、搬送コンベア2、操作及び表示部3、通過センサー4、不良品分別部5、制御部7、コンベア駆動部8、異常警報部9により構成される。また、図3は本発明の実施の形態による異物検査機の一実施の概略ブロック構成図を示す。
【0015】
図1は本発明の当該機能を含んだ異物検査機の基本動作を示すフローチャートである。
ステップS1で当該機能が有効になっているか確認する。有効なときはステップS2で被検査体6の通過を待つ。一旦通過センサー4がオンになり被検査体6の通過を検知したらステップS4からS6をループする。通過センサー4の信号オフで通過完了となり、ステップS7で被検査体6が通過中に異物検出器1からの信号入力がありステップS5が実行されたか否か確認する。もしステップS5が実行されていたら、テストピースが流されて動作確認が実行されたとみなし、ステップS8不良品排出処理が実行され、良品と分別され不良品として排出される。その後、ステップS9でステップS5で保持された異物検出保持を解除し、ステップS10で当該機能を解除しステップS1へ戻りステップS13以降の通常処理を実行する。
【0016】
前記ステップS7で被検査体6が通過中に異物検出器1からの信号入力がなく、ステップS5が実行されていないときは、テストピースを流すのを忘れたり怠ったりしたか、または、異物検出器1に異常があるとみなし、ステップS11不良品排出処理が実行され、良品であっても不良品として分別され排出される。その後、ステップS12で異常警報を出す。このとき当該機能は解除されていないので、ステップS1、S2を実行し再度被検査体の通過を待つ。
【0017】
ここで、次の被検査体が通過すると警報はステップS3で解除される。このときにテストピースか不良品が通過してステップS5を実行すれば、ステップS8よりステップS10が実行され当該機能は解除され、その後、ステップS13以降の通常処理が実行される。
しかし、テストピースを通過させたにも関わらず異物検出部1の不良信号が出ずステップS5を実行せずに通過完了した場合、何らかの原因で、異物検出部1に異常があることが判明する。
【0018】
ステップS13よりステップS19は当該機能が有効でない通常時の処理で、被検査体6の通過時に異物検出器1から異物検出信号が出ればステップS18不良排出処理を行い不良品として分別する。
【0019】
図1のフローチャートは基本概念を示したものであり、プログラムを制作上は図2で示すように、通過センサー4と異物検出部1の間、異物検出部1と不良品分別部5の間にはそれぞれ距離が有り通過検出センサー4から異物検出部1までに被検査体6の進む時間、異物検出部1から不良分別部5までに被検査体6の進む時間がそれぞれ必要であり考慮する必要がある。この時間は、コンベア速度とそれぞれの距離が既知であることにより算出
可能である。
【0020】
不良品分別部5は、不良品を正常品と分別するための部分で、被検査体6の重量や形状を考慮し、空気を噴出し正常品の通過するコンベアから分別するものやシリンダー等で押し出して正常品の通過するコンベアから分別するもの等を用いる必要がある。
【0021】
制御部7は、マイクロコンピューターやシーケンサーで構成され、入出力の制御等のプログラムを実行する。操作表示部3は、制御部7と連携し異物検査機に必要な操作や各定数の設定や各種表示を行う。警報出力部9は、作業者に異物検査機の異常や注意を報知するために必要で、ブザーによる警報、音声による警報、パトライトによる警報が用いられる。コンベア駆動部8は、コンベアの運転停止や速度制御を行う。
【0022】
このように、本機能が内蔵された異物検査機を用いれば、異物検査機の動作確認を忘れたり怠ったりした場合でも、異物探知部に異常があるときは、当該機能有効時に判明する。
また、当該機能は、請求項2のように電源起動時に有効になるようにすれば、電源起動時毎に動作確認が必ず実行されることになる。さらに、当該機能は、プログラム上で有効にできるので、休憩後の始業時や製造品種の切替時や定時間毎に有効にできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の当該機能を含んだ異物検査機の基本動作を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施の形態による異物検査機の一実施の概念図である。
【図3】本発明の実施の形態による異物検査機の一実施の概略ブロック構成図である。
【符号の説明】
【0024】
1 異物検出部
2 コンベア
3 操作、表示部
4 通過センサー
5 不良品排出部
6 被検査品
7 制御部
8 コンベア駆動部
9 異常警報部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体に人為的に異物を混入させたテストピースを用いて動作確認する異物検査機において、
制御部の指令により起動される一機能であって、当該機能が開始されてから最初に異物検出部を通過した被検査体に混入した異物を検出した不良信号が制御部に入力されたときは不良分別信号を出し且つ異常警報信号を出さない、またこのとき、異物を検出した信号が制御部に入力されないときは不良分別信号を出し且つ異常警報信号を出す機能を持つ異物検査機。
【請求項2】
請求項1に記載の機能を電源起動時に有効にすることを特徴とする異物検査機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−242215(P2011−242215A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113419(P2010−113419)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(595007415)
【Fターム(参考)】