説明

異相重合技術によって作製された光開始剤の水ベースの濃縮されたプロダクト形態

本発明は、1000nm未満の平均粒度を有する濃縮された水性ポリマーディスパージョンであって、a)以下の存在下で少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーの異相ラジカル重合によって製造されたポリマー担体、b)光開始剤及び/又は光潜在性触媒、ならびにc)必要に応じて非イオン性、カチオン性又はアニオン性界面活性剤を含み、ここで、ポリマー担体に対する光開始剤及び/又は光潜在性触媒の重量比が、ポリマー担体100部当たり光開始剤及び/又は光潜在性触媒20部を超え、好ましくは、ポリマー担体100部当たり光開始剤及び/又は光潜在性触媒35部以上である、濃縮された水性ポリマーディスパージョンに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光開始剤及び/又は光潜在性触媒(photolatent catalyst)の存在下でのエチレン性不飽和モノマーの異相ラジカル重合によって製造される、光開始剤及び/又は光潜在性触媒を含有する1000nm未満の粒度を有する濃縮された水性ポリマーディスパージョンに関するものである。本発明の別の局面は、このような水性ディスパージョンの製造方法及びそれらの使用である。
【0002】
有機α−ヒドロキシケトン、α−アミノケトン及びBAPO等の光開始剤(PI)は、所定の波長のUV光の照射下でUV反応性コーティング及びインク配合物を硬化するための最先端の添加剤である。
【0003】
水ベース系において、確立された光開始剤の多くは、不溶性及び/又は水性配合物との非相溶性に起因して、混合し難い。塗料配合物のタイプ及び光開始剤のタイプ次第では、安定な均一混合物を作製することは不可能であり得る。他の場合において、初期の均質な配合物は、貯蔵時に不安定性を示すことがあり得、光開始剤及び/又は他の成分の分離、及び/又は、完全な硬化前の、浮遊、沈降、上澄み(serum)形成、ゲル化などの現象を示す。光開始剤に非相溶性に起因するこのような現象は、塗膜の不十分かつ不均質な硬化のために、コーティング性能について有害である。
【0004】
米国特許US4,965,294(Merck)は、10〜50wt%の光開始剤及び5〜50wt%の非イオン性界面活性剤を含む、放射線硬化性結合剤系の水性ディスパージョンへの混合に有用な水性光開始剤ディスパージョンを開示している。
【0005】
国際公開WO97/004361は、同一又は異なる光開始剤が共有結合されている微粉化された基体材料からなる、マイクロ粒子形態の不均質な光開始剤を記載している。従って、光開始剤の溶解が回避され得る。
【0006】
国際公開WO2005/023878(Ciba)は、異相ラジカル重合によって有機光安定剤の存在下で少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを重合する工程を含む、1000nm未満の粒度を有する濃縮された水性ポリマーディスパージョンの製造方法を開示している。重合開始剤は、フリーラジカル開始剤又は光開始剤であり得る。重合後、光開始剤は、使い果たされている。
【0007】
GB1478987(Bayer)は、水溶性であるか又は水溶性塩を形成し得るα−β−モノ−オレフィン性不飽和モノマーを開示している。モノマーは、油中水型エマルジョンの水相中において溶液の状態へ変換される。それらの重合は、水相又は油相中に可溶性である光開始剤の助けを借りて、及びUV光の助けを借りて、W/Oエマルジョン中において行われる。重合後、光開始剤は、使い果たされている。
【0008】
水性配合物に光開始剤を混合するための溶液を提供する要求は依然としてある。
【0009】
今回、1000nm未満の粒度を有する濃縮された水性ポリマーディスパージョンが、光開始剤及び/又は光潜在性触媒の存在下でエチレン性不飽和モノマーを異相ラジカル重合することによって製造され得ることがわかり、ここで、得られるポリマー担体と光開始剤(及び/又は光潜在性触媒)との重量比は、ポリマー担体100部に対して光開始剤20部を超える。
【0010】
用語「光開始剤」は、光潜在性触媒を含む。
【0011】
本発明の1局面は、
1000nm未満の平均粒度を有する濃縮された水性ポリマーディスパージョンであって、
a)以下の存在下で少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーの異相ラジカル重合によって製造されたポリマー担体、
b)光開始剤及び/又は光潜在性触媒、ならびに
c)必要に応じて非イオン性、カチオン性又はアニオン性界面活性剤
を含み、
ここで、ポリマー担体に対する光開始剤及び/又は光潜在性触媒の重量比が、ポリマー担体100部当たり光開始剤及び/又は光潜在性触媒20部を超える、
濃縮された水性ポリマーディスパージョンである。
【0012】
好ましいのは、ポリマー担体に対する光開始剤及び/又は光潜在性触媒の重量比が、ポリマー担体100部当たり光開始剤及び/又は光潜在性触媒35部以上であり、より好ましくは100部当たり50部を超える、濃縮された水性ポリマーディスパージョンである。
【0013】
このましくは、2以上のエチレン性不飽和モノマーが使用される。重合が2以上のモノマーで行われる場合、少なくとも1つは、ある程度の架橋を提供するために、2つの不飽和官能性を有し得る。例えば、二官能性モノマーの量は、モノマー混合物の総重量に基づいて0.5から20重量%まで変化し得る。
【0014】
好ましくは、平均粒度は、500nm未満、より好ましくは250nm未満である。
【0015】
液滴(油/水エマルジョン)ならびに粒子(ポリマーディスパージョン)サイズは、動的光散乱(DLS)技術(光子相関分光法(PSC)又は準弾性光散乱(QELS)としても公知)を使用することによって測定され得る。この種の測定のために、90°の固定された散乱角でのNICOMP粒子寸法測定器(NICOMP Model 380,Particle Sizing System,Santa Barbara,CA, USA)が、例えば、使用され得る。測定によって、平均直径DINT(加重強度(intensity weighted))が得られる。
【0016】
濃縮された水性ポリマーディスパージョンの総固形分は、水性ディスパージョンの総重量に基づいて、例えば、20重量%を超え、例えば30重量%を超え、そして好ましくは40重量%を超える。
【0017】
光開始剤又は光潜在性触媒は、好ましくは、モノマー又はモノマー混合物中に可溶性であり、そして水に不溶性又は難溶性である。用語「水に難溶性」は、水に実質的に不溶性であると理解されるか、又は、例えば<10重量%、好ましくは<5重量%、最も好ましくは<2重量%の限定された溶解性を示す。
【0018】
光開始剤又は光潜在性触媒は限定されない。以下より選択される光開始剤が好ましい:
1.α−ヒドロキシケトン(AHK)、α−アルコキシケトン(ベンジルジメチルケタール DBK)、及びα−アミノケトン(AAK)、
2.ベンゾフェノン、
3.モノ−及びビスアシルホスフィンオキシド(BAPO)、
4.フェニル−グリオキシレート、
5.イソプロピルチオキサントン(ITX)、
6.オキシム−エステル、
7.アミノベンゾエート、
8.潜在性(latent)酸及び塩基;
ならびに、それらのブレンド。
【0019】
上記に列挙された光開始剤の各々が、好適である。
【0020】
光開始剤は、好ましくは、α−ヒドロキシケトン、ビスアシルホスフィンオキシド、又はフェニルグリオキシレートより選択され得る。
【0021】
別の好ましい態様において、光開始剤は、オキシムエステルであり得る。
【0022】
本発明の1局面において、光開始剤のブレンドが使用される。好ましくは、α−ヒドロキシケトンとベンゾフェノンのブレンド、α−ヒドロキシケトンとビスアシルホスフィンオキシドのブレンド、α−ヒドロキシケトンとベンゾフェノンとビスアシルホスフィンオキシドのブレンド、ならびにモノ−とビスアシルホスフィンオキシドのブレンドが使用される。
【0023】
好適な光開始剤は、以下である:
【0024】
1.α−ヒドロキシケトン、α−アルコキシケトン、又はα−アミノケトン
α−ヒドロキシケトン又はα−アルコキシケトンは、式Iのものであり得る:
【化1】


式中、
は、ヒドロキシ、C−C16−アルコキシ、モルホリノ、ジメチルアミノ、又は−O(CHCHO)1−20−C−C16−アルキルであり;
及びRは、互いに独立して、水素、C−C−アルキル、C−C16−アルコキシ、もしくは−O(CHCHO)1−20−C−C16−アルキル;又は、非置換フェニルもしくはベンジル;又は、C−C12−アルキルで置換されたフェニルもしくはベンジルであり;又は、R及びRは、それらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロヘキシル環を形成し;
但し、R、R及びRは、同時に、C−C16−アルコキシ又は−O(CHCHO)1−20−C−C16−アルキルであることはなく、
は、水素、C−C18−アルキル、C−C18−アルコキシ、−OCHCH−OH、−OCHCH−O−CO−CH=CH、−OCHCH−O−CO−C(CH)=CH、モルホリノ、SCH、基
【化2】


[ nは、2〜10であり;
及びGは、互いに独立して、水素又はメチルである]
であり;
は、水素又はC−C18−アルコキシである。
【0025】
α−ヒドロキシケトン(AHK)の例は、以下である:
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE(登録商標)184)、及び欧州特許出願EP−003002に開示される同様の化合物
【化3】


又は、IRGACURE(登録商標)184を含有するブレンド、例えば:
IRGACURE(登録商標)184とベンゾフェノンとのブレンド、もしくは
IRGACURE(登録商標)184とベンゾフェノンとLucirin TPO(BASF)
【化4】


とのブレンド、
もしくは、IRGACURE(登録商標)184と(DAROCUR(登録商標)1173)
【化5】


とのブレンド、
もしくは、IRGACURE(登録商標)184とビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド
【化6】


とのブレンド。
【0026】
1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン;(IRGACURE(登録商標)2959)、及び欧州特許出願EP−216884に開示される同様の化合物。
【化7】


4[(2−アクリルオキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、及び欧州特許出願EP 217205に開示される同様の化合物。
【化8】


ポリ−[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン、及び欧州特許出願EP0258719に開示される同様の化合物。
【化9】


2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(DAROCUR(登録商標)1173)
【化10】


2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−ドデシル−フェニル)−プロパノン(DAROCUR(登録商標)953)
【化11】


2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロピル−フェニル)−プロパノン(DAROCUR(登録商標)1116)
【化12】


又は、DAROCUR(登録商標)1173を含有するブレンド、例えば、
DAROCUR(登録商標)1664:2−イソプロピルチオキサントン(DAROCUR(登録商標)ITX)
【化13】


とのブレンド
DAROCUR(登録商標)3724:ベンゾフェノン
【化14】


とのブレンド
DAROCUR(登録商標)4043:ITX及び
【化15】


とのブレンド、
DAROCUR(登録商標)4265:ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド(Lucirin TPO)
【化16】


とのブレンド
DAROCUR(登録商標)4265:以下とのブレンド:ベンゾフェノン及び
Esacure TZT
【化17】


又は、DAROCUR(登録商標)1173とビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド
【化18】


とのブレンド
又は、DAROCUR(登録商標)1173とビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE(登録商標)819)
【化19】


とのブレンド
又は、(DAROCUR(登録商標)1173)とIRGACURE(登録商標)819と2,4,6−トリメチルベンゾイル−フェニルホスフィン酸エチルエステル
【化20】


とのブレンド。
【0027】
α−ヒドロキシケトンの別の例は、2−ヒドロキシ−1−{1−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−1,3,3−トリメチル−インダン−5−イル}−2−メチル−プロパン−1−オン(ESACURE KIP 150)(Lamberti)、及び米国特許第4 987 159号に開示される類似の化合物である。
【化21】


又は、Esacure KIP 100Fとして市販されるDAROCUR(登録商標)1173とのブレンド。
【0028】
2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1オン、及びWO03/040076に開示される同様の化合物。
【化22】


2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、及びWO04/009651に開示される同様の化合物。
【化23】

【0029】
下記の式の化合物である、WO04/099262に開示される三官能性α−ヒドロキシケトン:
【化24】


式中、
nは、1又は2であり、そして
は、直鎖又は分岐鎖C−C16アルキルのn価の基であり、この炭素鎖は、シクロヘキサンジイル、フェニレン、−CH(OH)−、−C(CH−CH−OH)−、−C(CH)(CH−CH−OH)−、−C(C)(CH−CH−OH)−、−N(CH)−、−N(CH−CH−OH)−、−CO−O−、−O−CO−、−Si(CH−、−Si(CH−O−Si(CH−、−O−Si(CH−O−、−O−Si(CH)(O−CH)−O−、5−(2−ヒドロキシエチル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン−1,3−ジイルによって、及び/又は1〜6個の酸素原子によって、割り込まれていてもよく、又は、
は、1つ又は2つのフェニレン、メチルフェニレン、フェニレン−O−フェニレン、シクロヘキサンジイル、メチルシクロヘキサンジイル、トリメチルシクロヘキサンジイル、ノルボルナンジイル、[1−3]ジアゼチジン−2,4−ジオン−1,3−ジイル、5−(6−イソシアナトヘキシル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン−1,3−ジイル、又は3−(6−イソシアナトヘキシル)−ビウレット−1,5−ジイル基によって中断されていてもよい、直鎖又は分岐鎖の−CO−NH−(C−Cアルキレン)−(NH−CO)n−1−、又は、直鎖又は分岐鎖の−CO−NH−(C−C16アルキレン)−(NH−CO)n−1−のn価の基である。
【0030】
例えば、以下である:
2−ヒドロキシ−1−(4−{ヒドロキシ−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メチル}−フェニル)−2−メチル−プロパン−1−オン
【化25】


ビス[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メトキシメタン
【化26】


2−ヒドロキシ−1−(4−{[(2−ヒドロキシ−エチル)−メチル−アミノ]−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メチル}−フェニル)−2−メチル−プロパン−1−オン
【化27】


2−ヒドロキシ−1−(4−{{2−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メチル}−フェニル)−2−メチル−プロパン−1−オン
【化28】


(6−{ビス[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メトキシカルボニルアミノ}−ヘキシル)−カルバミン酸ビス[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メチルエステル
【化29】


(8−{ビス−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メトキシカルボニルアミノ}−オクチル)−カルバミン酸ビス−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メチルエステル
【化30】


(12−{ビス−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メトキシカルボニルアミノ}−ドデシル)−カルバミン酸ビス−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メチルエステル
【化31】


1−(4−{[2−(2−{ビス[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メチル}−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、ジエチレングリコールジエーテル
【化32】


{1−[3−(1−{ビス−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メトキシカルボニルアミノ}−1−メチル−エチル)−フェニル]−1−メチル−エチル}−カルバミン酸ビス−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メチルエステル
【化33】

【0031】
α−アルコキシケトンの例は、以下である:
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE(登録商標)651)、及びドイツ特許出願DE2232365に開示される同様の化合物
【化34】


ベンジルジメチルケタールDBKとしても公知、
又は、DBKとIRGACURE(登録商標)379
【化35】


とのブレンド。
【0032】
α−アミノケトンは、欧州特許出願EP−0284561に開示される化合物、例えば以下の式の化合物であり得る:
【化36】


式中、
及びRは、互いに独立して、水素、C−C−アルキル、C−C16−アルコキシ、もしくは−O(CHCHO)1−20−C−C16−アルキル;又は、非置換のフェニルもしくはベンジル;又は、C−C12−アルキルによって置換されたフェニルもしくはベンジルであるか;又は、R及びRは、それらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロヘキシル環を形成し;
は、水素、C−C18−アルキル、C−C18−アルコキシ、−OCHCH−OH、−OCHCH−O−CO−CH=CH、−OCHCH−O−CO−C(CH)=CH、モルホリノ、SCH、基
【化37】


[ nは、2〜10であり;
及びGは、互いに独立して、水素又はメチルである]
であり;
は、水素又はC−C18−アルコキシであり、
10及びR11は、互いに独立して、以下である:C−C12−アルキル、以下によって置換されているC−Cアルキル:C−Cアルコキシ、−−CNもしくは−−COO(C−Cアルキル)、アリル、シクロヘキシル、もしくはベンジル、又は、R10及びR11は、一緒になって、C−Cアルキレンであり、これは、以下によって割り込まれ得る:−−O−−もしくは−−N(H)−−、−−N(C−Cアルキル)−− −N−ベンジル−。
【0033】
α−アミノケトン(AAK)の例は、以下である:
欧州特許出願EP−0284561に開示される2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン
【化38】


2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、及び欧州特許出願EP−0284561に開示される同様の化合物
【化39】


2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、及び欧州特許出願第EP−0284561号に開示される同様の化合物
【化40】


欧州特許出願EP−0284561に開示される2−ベンジル−1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−ジメチルアミノ−ブタン−1−オン
【化41】


2−ベンジル−1−[4−(2−ヒドロキシエチルアミノ)フェニル]−2−ジメチルアミノ−1−ブタノン、及びWO05/076074に開示される同様の化合物
【化42】


2−エチル−1−[4−(2−ヒドロキシエチアミノ)フェニル]−2−ジメチルアミノ−1−ペンタ−4−エン−1−オン
【化43】


Irgacure−及びDarocur−製品は、Ciba Specialty Chemicalsより市販されている。
【0034】
2.ベンゾフェノン
ベンゾフェノンは、以下の式のものであり得る:
【化44】


式中、
、R及びRは、互いに独立して、水素、C−C−アルキル、C−C−ハロゲンアルキル、C−C−アルコキシ、塩素、又はN(C−C−アルキル)であり;
は、水素、C−C−アルキル、C−C−ハロゲンアルキル、フェニル、N(C−C−アルキル)、COOCH
【化45】


[nは、2〜10である]
である。
【0035】
例えば、以下である:
Darocure BP
【化46】


Lambertiより市販されるESACURE TZT(登録商標)、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンとの共融混合物。
【化47】


Michlersケトン
【化48】


Speedcure MBB Lambson
【化49】


4−フェニルベンゾフェノン、及びWO04/074328に開示される同様の化合物、例えば、
【化50】

【0036】
3.アシルホスフィンオキシド
モノ−及びビスアシル
ホスフィンは、以下の式の化合物である:
【化51】


式中、
及びRは、互いに独立して、非置換のC−C20−アルキル、シクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル、もしくはビフェニルイル;又は、ハロゲン、C−C12−アルキル、C−C12−アルコキシ、C−C12アルキルチオ、もしくはNHもしくはN(C−Cアルキル)によって置換されたC−C20−アルキル、シクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチルもしくはビフェニルイルであるか、又は、Rは、−(CO)Rであり、
は、非置換のシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル、もしくはビフェニルイルであるか、又は、ハロゲン、C−C−アルキル、及び/又はC−C−アルコキシによって置換されたシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル、もしくはビフェニルイルであり;又は、Rは、S原子もしくはN原子を有する5もしくは6員のヘテロ環式環である。
【0037】
例えば、以下である:
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドIRGACURE(登録商標)819、及びEP0184095に開示される同様の化合物
【化52】


ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド
【化53】


2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド;Darocur(登録商標)TPO
【化54】


Lucirin LR 8893xBASF
【化55】

【0038】
WO06/056541に開示されるビスアシルホスフィンオキシド、例えば、以下の式の化合物
【化56】


式中、
は、非置換のシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル、もしくはビフェニルイル、又は、ハロゲン、C−C−アルキル及び/もしくはC−C−アルコキシによって置換されたシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル、もしくはビフェニルイルであるか;又は、Rは、S原子もしくはN原子を有する5もしくは6員のヘテロ環式環であり;
は、フェニル、直鎖もしくは分岐鎖のC−CアルキルもしくはC−C18アルケニルであるか、又は、以下によって置換された直鎖もしくは分岐鎖のC−CアルキルもしくはC−C18アルケニルである:CN、トリフルオロメチル、オキシラニル、イソインドール−1,3−ジオン、−O−C−C18アルキル、−O−ベンジル、−CO−フェニル、−CO−C−C18アルキル、−OCO−C−C18アルキル;−OCO−C−C18アルケニル;−COO−C−C18アルキル;−COO−C−C18アルキレン−フェニル、−COO−C−C18アルキレン−シクロアルキル、−COO−C−C18アルキレン−テトラヒドロフラニル、−COO−C−C18アルキレン−フラニル、−COO−シクロアルキル、−COO−C−C18アルケニル;−COO−C−C18アルケニレン−フェニル;−COO−(CH2−3−Cl、−COO−[(CH2−3−O]1−10−C−Cアルキル;−COO−[(CH2−3−O]1−10−C−C−OH、−CO−CH−CO−C−C18アルキル;−CO−CH−COO−C−C18アルキル、−O−テトラヒドロピラニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン−5−イル)−メチル、PO(OC−Cアルキル)、及び
【0039】
例えば、以下である:
[メチル−(2,4,6−トリメチル−ベンゾイル)−ホスファニル]−(2,4,6−トリメチル−フェニル)−メタノン
【化57】


酢酸3−[ビス−(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−ホスフィノイル]−プロピルエステル、
【化58】


[ビス−(2,4,6−トリメチル−ベンゾイル)−ホスファニル]−酢酸エチルエステル
【化59】


残基Rは、さらに、例えば、以下であり得る:
【化60】

【0040】
4.フェニルグリオキシレート
フェニルグリオキシレートは、以下の式の化合物であり得る:
【化61】


は、水素、C−C12−アルキル、又は基
【化62】


であり、
、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、非置換のC−C12−アルキル、又は、OH、C−C−アルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲンもしくはCNによって置換されたC−C12−アルキルであり;そしてここで、アルキル鎖は、1又は複数の酸素原子によって割り込まれていてもよく;又は、R、R、R、R及びRは、互いに独立して、C−C−アルコキシ、C−C−アルキチオ、もしくはNR5253であり;
52及びR53は、互いに独立して、水素、非置換のC−C12−アルキル、又は、OHもしくはSHによって置換されたC−C12−アルキルであり、ここで、アルキル鎖は、1〜4個の酸素原子によって割り込まれていてもよく;又は、R52及びR53は、互いに独立して、C−C12−アルケニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、もしくはフェニルであり、
は、1又は複数の酸素によって必要に応じて割り込まれているC−C12−アルキレンである。
【0041】
例えば、オキソ−フェニル−酢酸2−[2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ)−エトキシ]−エチルエステル、及びWO03091287に開示される同様の化合物である。
【化63】


Vicure(Stauffer),Nuvopol 3000,Genocure MBF
【化64】


又は、オキソ−フェニル−酢酸1−メチル−2−[2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ)−プロポキシ]−エチルエステル
【化65】

【0042】
5.イソプロピルチオキサントン
例えば、以下である:
Lucirin LR 8771(BASF)=Quantacure ITX
【化66】


Kayacure DETX
【化67】


Quantacure CPTX
【化68】

【0043】
6.O−アシルオキシム
US6596445に開示されるO−アシルオキシム、これらは、例えば、以下の式I、IIの化合物である
【化69】


は、フェニル、C−C12−アルキルであり;
は、非置換であるか又は1又は複数のC−Cアルキル又はハロゲンによって置換されている、C−Cアルカノイル、もしくはベンゾイルであり;
及びRは、互いに独立して、水素、又は基OR、SR、もしくはNR1011であり;
及びRは、C−Cアルキル、フェニル、又は基
【化70】


であり、
10及びR11は、メチルもしくはエチルであるか、又はR10及びR11は、一緒になって、−O−によって割り込まれているC−Cアルキレンである。
【0044】
例えば、以下である:
1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)
【化71】

【0045】
WO02/100903に開示されるオキシムエステル、例えば、以下の式Iの化合物
【化72】


は、C−C12アルキル又はフェニルであり;
は、水素、C−C12アルキル、フェニル、又はC−C12アルコキシカルボニルであり;
Arは、以下である:
【化73】

【0046】
例えば、
エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)
【化74】

【0047】
7.アミノベンゾエート
アミノベンゾエートの例は、以下である:
エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート(Darocure EDB)
【化75】


2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート(DarocureEHA)
【化76】

【0048】
特に好適であるのは、α−ヒドロキシケトン、ビスアシルホスフィンオキシド、及びフェニルグリオキシレートである。
【0049】
8.他の光開始剤
このアプローチについて使用され得る他の光開始剤は、K. Dietliker、シリーズ Chemistry and Technology of UV and EB Formulation for Coating, Inks and Paints, 2nd ed.; John Wiley and Sons/SITA Technology Limited, New York/London 1998の、Photoinitiators for Free Radical, Cationic and Anionic Photopolymerization, Vol IIIに記載されている。
【0050】
9.潜在性酸及び塩基
一般的に、熱的条件及び化学線下でのコーティングについての硬化剤として好適な潜在性酸は、スルホン酸エステル誘導体である。EP84515及びEP89922は、例として、α−スルホニルオキシカルボニル及びβ−スルホニルオキシカルボニル化合物を示している。EP84515及びEP89922は、例えば以下のβ−スルホニルオキシカルボニル化合物を開示している:
2−[(p−トリルスルホニル)−オキシ]−1−フェニル−1−プロパノン、
【化77】


2−[(p−トリルスルホニル)−オキシ]−1−p−トリル−1−プロパノン、2−[(p−トリルスルホニル)−オキシ]−1−p−メチルチオフェニル−1−プロパノン、2−[(p−トリルスルホニル)−オキシ]−1,3−ビス−フェニル−1プロパノン、2−[(p−トリルスルホニル)−オキシ]−3−フェニル−1−p−トリル−1−プロパノン、2−[(p−トリルスルホニル)−オキシ]−3−メチル−1−フェニル−1−ブタノン、2−[(p−トリルスルホニル)−オキシ]−3−メチル−1−p−トリル−1−ブタノン、2−[(p−トリルスルホニル)−オキシ]−1−フェニル−1−ドデカノン、2−[(p−トリルスルホニル)−オキシ]−1−p−トリル−1−ドデカノン、2−[(p−ラウリルフェニルスルホニル)−オキシ]−3−メチル−1−p−メチルチオフェニル−1−ブタノン、及び2−[(p−トリルスルホニル)−オキシ]−テトラ−1−オン。
【0051】
多量の短波光下での硬化について(US4736055)及び長波放射線について(US6017675)の反応性基を有するオキシムスルホネート、ならびに、i線レジストについてのアルキルスルホニルオキシム(WO98/10335)、環状オキシムスルホネート(WO99/1429)、及び他の環状酸誘導体(WO00/26219)が報告された。
【0052】
例えば、以下である:WO98/10335に開示されるα−(オクチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド
【化78】


以下の式のWO99/01429に開示される化合物
【化79】


式中、Rは、メチル、又はC−Cアルキル、カンフォリル(camphoryl)、又は4−メチルフェニル、又は以下の式の基である:
【化80】

【0053】
さらなる材料としては、WO00/10972に記載されるスチレンベースの不飽和オキシム誘導体及びCF−オキシムスルホネート(GB 2348644、WO02/25376)が挙げられる。
【0054】
特別なクラスの材料が、フェニル環のo位にカルボニル基を有するオキシム酸(WO02/98870)、例えば、
【化81】


及び、スルホニル基にCHCH−X又はCH=CH部分を有するオキシム酸(WO03/067332)、例えば、
【化82】


として記載されている。
【0055】
WO04/074242に開示される酸部分にハロアルキル基を有するハロアルキルオキシムスルホネート、例えば、エタノン、1,1’−[1,3−プロパンジイルビス(オキシ−4,1−フェニレン)]ビス−[2,2,2−トリフルオロ−ビス[O−(トリフルオロメチルスルホニル)オキシム]
【化83】


2−[2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)−ヘプチル]−フルオレン
【化84】


又は、WO04/074242に開示されている化合物
【化85】

【0056】
光開始剤としての光潜在性アミンの例は、アミジン(WO98/32756)、α−アミノアルケン由来のアミジン(WO98/41524)、及びそれらに対応するベンジル誘導体(WO03/33500)である。
【化86】

【0057】
例えば、WO98/41524に開示される以下の式の化合物
【化87】


又は、WO03/33500に開示される以下の式の化合物である:
【化88】

【0058】
上記の潜在性塩基のヨードニウム塩及びアンモニウム塩は、水ベース系において使用されるが、それらの高い水溶性に起因して、カプセル化についてあまり好ましくない。
【0059】
エチレン性不飽和モノマー
例えば、エチレン性不飽和モノマーは、スチレン、置換スチレン、共役ジエン、アクロレイン、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、無水マレイン酸、(アルキル)アクリル酸無水物、(アルキル)アクリル酸塩、(アルキル)アクリル酸エステル、(アルキル)アクリロニトリル、(アルキル)アクリルアミド、ハロゲン化ビニル、又はハロゲン化ビニリデンからなる群より選択される。
【0060】
例えば、エチレン性不飽和モノマーは、式CH=C(R)−(C=Z)−Rの化合物であり、ここで、ZはO又はSであり;Rは水素又はC−Cアルキルであり、Rは、NH、O(Me)、グリシジル、非置換C−C18アルコキシ、少なくとも1つのN及び/又はO原子によって割り込まれたC−C100アルコキシ、又はヒドロキシ置換C−C18アルコキシ、非置換C−C18アルキルアミノ、ジ(C−C18アルキル)アミノ、ヒドロキシ置換C−C18アルキルアミノ、又はヒドロキシ置換ジ(C−C18アルキル)アミノ、−O−CH−CH−N(CH、又は−O−CH−CH−NH(CHAnであり;Anは、一価の有機又は無機酸のアニオンであり;Meは、一価の金属原子又はアンモニウムイオンである。
【0061】
好ましくは、Rは水素又はメチルであり、Rは、NH、グリシジル、非置換もしくはヒドロキシ置換C−Cアルコキシ、非置換C−Cアルキルアミノ、ジ(C−Cアルキル)アミノ、ヒドロキシ置換C−Cアルキルアミノ、又はヒドロキシ置換ジ(C−Cアルキル)アミノであり;そして、Zは酸素である。
【0062】
アニオンAnが誘導される酸の例は、C−C12カルボン酸、有機スルホン酸、例えば、CFSOHもしくはCHSOH、鉱酸、例えば、HCl、HBrもしくはHI、オキソ酸、例えば、HClO、又は錯酸(complex acid)、例えば、HPFもしくはHBFである。
【0063】
少なくともO原子によって割り込まれたC−C100アルコキシとしてのRについての例は、以下の式のものである:
【化89】


式中、Rは、C−C25アルキル、フェニル、又はC−C18アルキルによって置換されたフェニルであり、Rは、水素又はメチルであり、そしてvは、1〜50の数である。これらのモノマーは、例えば、対応のアルコキシル化アルコール又はフェノールのアクリル化によって非イオン性界面活性剤から誘導される。繰り返し単位は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又は両方の混合物から誘導され得る。
【0064】
具体的なエチレン性不飽和モノマーの例は、スチレン、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ビニルトルエン、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ヘキシルアクリレート、もしくはヒドロキシエチルアクリレート、又はそれらの混合物である。
【0065】
特に好適なモノマー混合物は、ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ビニルトルエン、メチルメタクリレート、イソブチルメタクリレートの混合物である。
【0066】
好適なアクリレート又はメタクリレートモノマーのさらなる例を以下に挙げる。
【化90】


式中、An及びRは、上記で定義される意味を有し、そしてRは、メチル又はベンジルである。Anは、好ましくは、Cl、Br又はS−CHである。
【0067】
さらなるアクリレートモノマーは、以下である:
【化91】

【0068】
アクリレート以外の好適なモノマーの例は、以下である:
【化92】

【0069】
アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルは、典型的に、C−C18アルキルエステルである。
【0070】
好ましいのは、エチレン性不飽和モノマーが、C−C18アクリレート、C−C18メタクリレート、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、スチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシ官能性アクリレートもしくは(メタ)アクリレート、アルコキシル化アルコールから誘導されたアクリレートもしくは(メタ)アクリレート、及び多官能性アクリレートもしくは(メタ)アクリレート、又はそれらの混合物からなる群より選択される、濃縮された水性ポリマーディスパージョンである。
【0071】
最も好ましい:C−C18−(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート、(メタ)アクリル酸、スチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アルコキシル化アルコールから誘導された(メタ)アクリレート、多官能性(メタ)アクリレート、例えば、ブタンジオール−ジ(メタ)アクリレート、又はエチレングリコール−ジ(メタ)アクリレート。
【0072】
特定の態様において、濃縮された水性ポリマーディスパージョンは、架橋ポリマーが得られるように、上記モノマーの少なくとも2つと二官能性であるモノマーとの混合物から調製される。二官能性モノマーの量は、例えば、モノマーの合計の重量に基づいて、例えば、0.5〜20重量%である。
【0073】
二官能性モノマーの典型的な例は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、又はジエチレングリコールジアクリレートである。
【0074】
モノマー又はモノマー混合物は、好ましくは、低水溶性を有し、これは、5重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、そして最も好ましくは0.1重量%未満である。
【0075】
本発明のさらなる局面は、1000nm未満の平均粒度を有する濃縮された水性ポリマーディスパージョンの製造方法であって、異相ラジカル重合によって光開始剤及び/又は光潜在性触媒の存在下で少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを重合する工程を含み;ここで、エチレン性不飽和モノマーから形成されるポリマー担体に対する光開始剤及び/又は光潜在性触媒の重量比が、ポリマー担体100部当たり光開始剤及び/又は光潜在性触媒20部を超える、方法である。好ましくは、ポリマー担体に対する光開始剤及び/又は光潜在性触媒の重量比は、ポリマー担体100部当たり光開始剤及び/又は光潜在性触媒35部以上、より好ましくは、100部当たり50部を超える。
【0076】
本発明の特定の態様において、濃縮された水性ポリマーディスパージョンの製造方法は、
a)少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーに光開始剤及び/又は光潜在性触媒を溶解、乳化又は分散する工程;
b)少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーに溶解、乳化又は分散された該光開始剤及び/又は光潜在性触媒の従来の水中油型エマルジョンを調製する工程;
c)該従来のエマルジョンを、有機相の液滴が1000nm未満の平均直径を有するミニエマルジョンへ均質化する工程;
d)重合開始剤を添加することによって該ミニエマルジョンを重合する工程;
を含み、
ここで、ポリマー担体に対する光開始剤及び/又は光潜在性触媒の重量比は、ポリマー担体100部当たり光開始剤及び/又は光潜在性触媒20部を超える。
【0077】
好ましくは、ポリマー担体に対する光開始剤及び/又は光潜在性触媒の重量比は、ポリマー担体100部当たり光開始剤及び/又は光潜在性触媒35部以上であり;より好ましくは100部当たり50部を超える。
【0078】
工程b)において、好ましくは、非イオン性、カチオン性又はアニオン性界面活性剤が、さらに存在する。
【0079】
一般的に、アニオン性及び非イオン性界面活性剤が好ましい。
【0080】
このプロセスの別の特定の態様において、有機溶媒が、安定なプレエマルジョン又はプレディスパージョンの形成を支援するために、光開始剤及び/又は光潜在性触媒、モノマー及び水の混合物へ添加され得る。このような溶媒は、好ましくは、モノマーに溶解し得、そして又は光開始剤を溶解するに役立ち得る。このような溶媒は、一般的な有機溶媒、例えば、脂肪族又は芳香族炭化水素、エーテル、エステル、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、グリコールエーテルエステル、例えば、メトキシプロピルアセテート、アルコキシレート、例えば、ブチルジグリコール、又はポリもしくはオリゴエチレンオキシド、又はポリもしくはオリゴプロピレンオキシド、アミド溶媒、例えば、NMP又はDMFより選択され得る。溶媒は、好ましくは、コーティング産業において一般的な用途を有する溶媒より選択される。溶媒は、典型的に、光開始剤に対して200重量%まで、好ましくは光開始剤に対して100重量%まで、最も好ましくは50重量%までのレベルで使用され得る。
【0081】
必要に応じて、他の水混和性溶媒が、含水量に基づいて、通常、10重量%未満存在し得る。本発明において有用な例示的な共溶媒は、脂肪族アルコール、グリコール、エーテル、グリコールエーテル、グリコールエステル、ピロリジン、N−アルキルピロリジノン、N−アルキルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アミド、カルボン酸及びその塩、エステル、有機スルフィド、スルホキシド、スルホン、アルコール誘導体、ヒドロキシエーテル誘導体、例えば、ブチルカルビトールもしくはセロソルブ、アミノアルコール、ケトンなど、ならびにそれらの誘導体及びそれらの混合物からなる群より選択され得る。具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ジオキサン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、ジプロピレングリコール、テトラヒドロフラン、及び他の水溶性又は水混和性物質、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0082】
好ましいのは、水、水−アルコール混合物、水エチレングリコールもしくはプロピレングリコール混合物、水アセトン、水テトラヒドロフラン、又は水ジメチルホルムアミド混合物である。目標とされた適用に依存して、溶媒は、最終製品中に残ってもよく、又は、例えば蒸留によって、水性ポリマーディスパージョンから除去されてもよい。
【0083】
添加され得る好適な界面活性剤又は界面活性化合物は、当該分野において公知である。典型的に使用される量は、モノマーに基づいて0.01重量%〜10重量%の範囲である。
【0084】
本発明に有用な典型的な界面活性剤は、非イオン性、カチオン性、又はアニオン性タイプのものである。
【0085】
アニオン性界面活性剤の例は、C12−C18アルキルスルホン酸のアルカリ及びアンモニウム塩、コハク酸のジアルキルエステル、又はエトキシル化アルカノールの硫酸半エステルである。これらの化合物は、例えば、US4269749から公知であり、そして大部分は、例えば商品名Dowfax(登録商標)2A1(Dow Chemical Company)下での、商業のアイテムである。
【0086】
非イオン性界面活性剤は、例えば、脂肪族又はアルアリファチック(araliphatic)化合物、例えば、3〜50のエトキシル化度及びC−Cの範囲のアルキル基を有するエトキシル化フェノール(モノ、ジ、トリ)、エトキシル化長鎖アルコール、又はポリエチレンオキサイド/ポリプロピレンオキサイドブロックコポリマーである。
【0087】
Disponil FES 32は、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルフェートNa塩である。
【0088】
さらに、保護コロイド、例えば、ポリビニルアルコール、デンプン、セルロース誘導体、又はビニルピロリドンを含有するコポリマーが、工程b)に従って、従来の水中油型エマルジョンを形成するために添加され得る。さらなる例は、"Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie, Band XIV/1, Makromolekulare Stoffe, G. Thieme Verlag Stuttgart 1961, 411-420"において与えられている。
【0089】
工程c)の均質化は、通常、機械的撹拌(ローター/ステーターディスペンサー)を適用し、続いて例えば超音波装置(J. Dispersion Sci. Technology 2002, 23(1-3), 333-349)又は高圧ホモジナイザー(APV Gaulinホモジナイザー;Microfluidizer)などの高力分散装置を使用して、行われる。乳化/均質化は、連続的に又はバッチ式に行われ得る。この目的のための装置は、当該分野において公知である。これは、例えば、US5,108,654に記載されている。
【0090】
工程d)の重合は、フリーラジカル重合開始剤を添加することによって行われる。
【0091】
好ましくは、フリーラジカル開始剤は、モノマー又はモノマー混合物に基づいて、0.01重量%〜20重量%、より好ましくは、0.1重量%〜10重量%、そして最も好ましくは0.2重量%〜5重量%の量で存在する。
【0092】
重合開始剤は、反応混合物へ、バッチ式で又は連続的に添加され得る。
【0093】
好ましくは、成分d)のフリーラジカル開始剤は、ビス−アゾ化合物、過酸化物、又はヒドロペルオキシドである。
【0094】
特定の好ましいラジカル供給源は、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、2−フェニル−アゾ−2,4−ジメチル4−メトキシバレロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、遊離塩基もしくは塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)、遊離塩基もしくは塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}もしくは2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド;アセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−アミルペルネオデカノエート、t−ブチルペルネオデカノエート、t−ブチルペルピバレート、t−アミルペルピバレート、ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジイソノナノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ビス(2−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジコハク酸ペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペル2−エチルヘキサノエート、ビス−(4−クロロベンゾイル)−ペルオキシド、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチルペルマレイネート(permaleinate)、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルイソノナオエート(perisononaoate)、2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジベンゾエート、t−ブチルペルアセテート、t−アミルペルベンゾエート、t−ブチルペルベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2ビス(t−ブチルペルオキシ)プロパン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシド、3−t−ブチルペルオキシ3−フェニルフタリド、ジ−t−アミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、3,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,5−ジメチル1,2−ジオキソラン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキシン−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシド、3,3,6,6,9,9−ヘキサメチル1,2,4,5−テトラオキサシクロノナン、p−メタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンモノ−α−ヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、又はt−ブチルヒドロペルオキシドである。
【0095】
Fe化合物又はCo化合物とビスルファイトもしくはヒドロスルファイトのペルオキソ塩もしくは塩との組み合わせ、又は無機もしくは有機ペルオキソ化合物と還元剤もしくはアミノ化合物との組み合わせを使用することも可能である。これらの組み合わせは、酸化還元系として公知である。
【0096】
重合温度は、使用される開始剤に依存する。通常、重合温度は、5℃〜95℃、そして好ましくは30℃〜90℃の範囲、より好ましくは室温である。圧力が適用される場合、温度は、120℃まで挙げられ得るが、しかし、通常の圧力下での重合が、通常の方法である。
【0097】
別の態様において、予め形成されたポリマーを、工程a)及び/又は工程b)のモノマー/光開始剤溶液へ添加することも可能である。このポリマーは、優先的にモノマーに可溶性であり得、そしてプロセス工程a)、及び/又はb)を支援し得、即ち、水中におけるPI及びモノマーのナノ分散エマルジョンの形成を支持し得る。
【0098】
驚くべきことに、重合が完了した後、揮発性成分、主に水が、粒子の凝集なしに除去され得ることがわかった。従って、ポリマー粒子は、必要に応じて、容易に再分散され得る。
【0099】
揮発性成分の蒸発は、例えば、噴霧乾燥などの、標準的な方法を使用して行われ得る。
【0100】
従って、本発明の別の局面は、上記に記載の濃縮された水性ポリマーディスパージョンを製造し、続いて該濃縮された水性ポリマーディスパージョンの揮発性成分を蒸発させることによる、ポリマー粉末の製造方法、及び該方法によって得られ得るポリマー粉末である。
【0101】
高濃度の光開始剤及び/又は光潜在性触媒を含有する水性ポリマーディスパージョン、ならびに高度に濃縮された光開始剤及び/又は光潜在性触媒を含有する対応のポリマー粉末は、例えば、水性又は非水性配合物、コーティング(coatings)、インク、接着剤において使用され得る。
【0102】
従って、水が塗膜(例えば、ポリウレタン)の性能に有害である場合、ポリマー粉末はまた、溶媒ベースのコーティング及びインク系中へ混合され得る。
【0103】
高濃度の光開始剤及び/又は光潜在性触媒を含有する水性ポリマーディスパージョン、ならびに高度に濃縮された光開始剤及び/又は光潜在性触媒を含有する対応のポリマー粉末はまた、電気材料用、例えば、レジスト製造におけるマイクロリソグラフィー用、又はフラットパネルディスプレイのためのカラーフィルターレジスト用の配合物において使用され得る。
【0104】
色結合コーティングは、さらなる添加剤、例えば、抗酸化剤、光安定剤、増粘剤、増白剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、殺生物剤及び/又は帯電防止剤を含有し得る。
【0105】
コーティングは、通常、以下のように調製される:
水溶性成分、例えば、結合剤が水に溶解され、そして混合される。固体成分、例えば、充填剤及び既に記載の他の添加剤が、この水性媒体に分散される。分散は、有利には、超音波装置、タービンアジテーター、ホモジナイザー、コロイドミル、ビースミル、サンドミル、高速スターラーなどの装置の助けを借りて行われる。本発明のポリマーディスパージョンが、コーティング中へ、低い又は中程度のせん断力下で、撹拌される/後で添加される(post add)。本発明のポリマーディスパージョンの特別な利点は、コーティング中へのそれらの混合の容易さ及びそれらの貯蔵安定性である。
【0106】
実施例
ミニエマルジョン重合による光開始剤の濃縮された水性プロダクト形態の合成
下記の疎水性光開始剤の水溶性プロダクト形態を合成した:
【化93】


Irgacure 2100(9% IRGACURE 819+91% TPO−L)
【化94】


IRGACURE 500
【化95】


【化96】


メチル−α−オキソベンゼンアセテート(DAROCUR MBF)
【化97】


2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパノン(DAROCUR 1173)
【0107】
実施例1
安定な油/水エマルジョンの調製のために、19.2gのIrgacure 184を、17.7gのメタクリル酸メチル(MMA)、1.5gのメタクリル酸ステアリル(SMA)及び0.035gのAIBNに溶解した。油相を、54gの脱イオン水中の1.6gのドデシル硫酸ナトリウムの撹拌溶液へ滴下した。30分間の撹拌及び超音波処理後、250nm未満の平均液滴サイズの動的に安定なエマルジョンが得られた。
【0108】
2.5gの水中0.035gの過硫酸カリウムを、前記エマルジョンへ添加した。エマルジョンを80℃へ加熱した。反応混合物をメカニカルスターラーによって連続的に撹拌し、そして80℃で4時間維持し、次いでRTへ冷却し、そして20μmフィルターで濾過した。得られた粒子は、120nmの粒度DINTを有する。ディスパージョンの最終活性含有量は19重量%であり、固形分は40重量%である。
【0109】
動的光散乱(DLS、90°散乱角、Nicomp Model 380、Particle Sizing System,Santa Barbara,CA,USA)を、平均強度直径(mean intensity diameter)(DINT)を測定するために使用した。
【0110】
実施例2
安定な油/水エマルジョンの調製のために、20g Irgacure 184を、4.95gのメタクリル酸メチル(MMA)、1.5gのメタクリル酸ステアリル(SMA)、5.3gのメタクリル酸イソブチル(iBMA)、2.7gのビニルトルエン、2.7gのメタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)、1.9gのヒドロキシエチルメタクリレート、0.057gのブタンジオールジアクリレート(BDDA)及び0.27gのtert−ブチルペルオキシベンゾエートに溶解した。油相を、55.56gの脱イオン水中の5.0gのDisponil FES 32(31重量%活性、Cognis Deutschland GmbH&Co.KG)の撹拌溶液へ滴下した。30分間の撹拌及び超音波処理後、250nm未満の平均液滴サイズの動的に安定なエマルジョンが得られた。
【0111】
前記エマルジョンを85°まで加熱し、メカニカルスターラーによって連続的に撹拌し、そして85〜90℃で6時間維持し、次いでRTへ冷却し、そして20μmフィルターで濾過した。得られた粒子は、90nmの粒度DINTを有する。ディスパージョンの最終活性含有量は20重量%であり、固形分は40重量%である。
【0112】
実施例3
安定な油/水エマルジョンの調製のために、19.2gのIrgacure 2100を、17.7gのメタクリル酸メチル(MMA)及び1.5gのメタクリル酸ステアリル(SMA)に溶解した。油相を、54gの脱イオン水中の5.2gのDisponil FES 32(31重量%活性、Cognis Deutschland GmbH&Co.KG)の撹拌溶液へ滴下した。30分間の撹拌及び超音波処理後、250nm未満の平均液滴サイズの動的に安定なエマルジョンが得られた。
【0113】
前記エマルジョンを55℃まで加熱し、そして開始剤H(0.83ml,35%)を添加した。エマルジョンをメカニカルスターラーによって連続的に撹拌し、そして40℃へ加熱し、続いて2.5gの水に溶解に溶解した0.19gのRongalitを1時間にわたって添加した。反応混合物を引き続いて60℃で1時間撹拌し、次いでRTへ冷却し、そして20μmフィルターで濾過した。得られた粒子は、98nmの粒度DINTを有する。ディスパージョンの最終活性含有量は19重量%であり、固形分は40重量%である。
【0114】
実施例4
安定な油/水エマルジョンの調製のために、76.8gのIrgacure 2100を、70.7gのメタクリル酸メチル(MMA)及び6.1gのメタクリル酸ステアリル(SMA)に溶解した。次いで、AIBN(0.15g)を油相に溶解した。油相を、215.5gの脱イオン水中の20.6gのDisponil FES 32(31重量%活性、Cognis Deutschland GmbH&Co.KG)の撹拌溶液へ滴下した。30分間の撹拌及び3分間の超音波処理後、200nm未満の平均液滴サイズの動的に安定なエマルジョンが得られた。
【0115】
前記エマルジョンを80℃まで加熱し、そして10mlの水に溶解した過硫酸カリウム(0.15g)を80℃で添加した。エマルジョンをメカニカルスターラーによって連続的に撹拌し、そして80〜85℃に4時間にわたって維持し、次いでRTへ冷却し、そして20μmフィルターで濾過した。得られた粒子は、114nmの粒度DINTを有する。ディスパージョンの最終活性含有量は19.2重量%であり、固形分は39.6重量%である。
【0116】
実施例5
安定な油/水エマルジョンの調製のために、30.0gのIrgacure 754を、78.3gのメタクリル酸メチル(MMA)、6.96gのメタクリル酸ステアリル(SMA)、1.74gのメタクリル酸(MAA)及び0.26gのブタンジオールジアクリレートに溶解した。油相を、145.9gの脱イオン水中の15.10gのドデシル硫酸ナトリウムの撹拌溶液へ滴下した。30分間の撹拌及び超音波処理後、250nm未満の平均液滴サイズの動的に安定なエマルジョンが得られた。
【0117】
10gの水中の0.035gのt−ブチルヒドロペルオキシドを、前記エマルジョンへ添加した。エマルジョンを40℃へ加熱した。この混合物へ、1時間40℃で、10gの水中の0.87gのRongalitを添加した。反応混合物をメカニカルスターラーによって連続的に撹拌し、そして60℃で1時間維持し、次いでRTへ冷却し、そして20μmフィルターで濾過した。得られた粒子は、71nmの粒度DINTを有する。ディスパージョンの最終活性含有量は19重量%であり、固形分は40重量%である。
【0118】
実施例6
安定な油/水エマルジョンの調製のために、60.0gの以下の式のα−ヒドロキシケトン
【化98】


を、51.3gのメタクリル酸メチル(MMA)、4.56gのメタクリル酸ステアリル(SMA)、1.41gのメタクリル酸(MAA)及び0.17gのブタンジオールジアクリレートに溶解した。油相を、146.49gの脱イオン水中の15.10gのドデシル硫酸ナトリウムの撹拌溶液へ滴下した。30分の間撹拌及び超音波処理後、222nm未満の平均液滴サイズの動的に安定なエマルジョンが得られた。
【0119】
10gの水中の0.41gのt−ブチルヒドロペルオキシドを、前記エマルジョンに添加した。エマルジョンを40℃へ加熱した。この混合物へ、1時間40℃で、10gの水中の0.57gのRongalitを添加した。反応混合物をメカニカルスターラーによって連続的に撹拌し、そして60℃で1時間維持し、次いでRTへ冷却し、そして20μmフィルターで濾過した。得られた粒子は、95.4nmの粒度DINTを有する。ディスパージョンの最終活性含有量は20重量%であり、固形分は39重量%である。
【0120】
実施例7
安定な油/水エマルジョンの調製のために、Irgacure 500とIrgacure 819との60gの混合物を、30.0gのメタクリル酸メチル(MMA)、22.5gのスチレン、22.5gのビニルトルエン及び0.23gのブタンジオールジアクリレートに溶解した。油相を、125.8gの脱イオン水中の17.42gのDisponil FES 32(31重量%活性、Cognis Deutschland GmbH&Co.KG)の撹拌溶液に滴下した。30分間の撹拌及び超音波処理後、295.6nm未満の平均液滴サイズの動的に安定なエマルジョンが得られた。
【0121】
10gの水中の0.54gのt−ブチルヒドロペルオキシドを、前記エマルジョンに添加した。エマルジョンを40℃へ加熱した。この混合物へ、1時間40℃で、10gの水中の0.75gのRongalitを添加した。反応混合物をメカニカルスターラーによって連続的に撹拌し、そして60℃で1時間維持し、次いでRTへ冷却し、そして20μmフィルターで濾過した。得られた粒子は、102.6nmの粒度DINTを有する。ディスパージョンの最終活性含有量は20.0重量%であり、固形分は45.0重量%である。
【0122】
実施例8
安定な油/水エマルジョンの調製のために、Irgacure 819とDarocure 1173との60gの混合物を、30.0gのメタクリル酸メチル(MMA)、22.5gのスチレン、22.5gのビニルトルエン及び2.25gのブタンジオールジアクリレートに溶解した。油相を、123.8gの脱イオン水中の17.42gのDisponil FES 32(31重量%活性、Cognis Deutschland GmbH&Co.KG)の撹拌溶液へ滴下した。30分間の撹拌及び超音波処理後、279.1nm未満の平均液滴サイズの動的に安定なエマルジョンが得られた。
【0123】
10gの水中の0.54gのt−ブチルヒドロペルオキシドを、前記エマルジョンに添加した。エマルジョンを40℃へ加熱した。この混合物へ、1時間40℃で、10gの水中の0.75gのRongalitを添加した。反応混合物をメカニカルスターラーによって連続的に撹拌し、そして60℃で1時間維持し、次いでRTへ冷却し、そして20μmフィルターで濾過した。得られた粒子は、105.1nmの粒度DINTを有する。ディスパージョンの最終活性含有量は20.0重量%であり、固形分は45.0重量%である。
【0124】
実施例9
安定な油/水エマルジョンの調製のために、Irgacure 2100とIrgacure 819との80gの混合物を、38.4gのメタクリル酸メチル(MMA)、28.8gのスチレン、28.8gのビニルトルエン及び0.29gのブタンジオールジアクリレートに溶解した。油相を、179gの脱イオン水中の22.71gのDisponil FES 32(31重量%活性、Cognis Deutschland GmbH&Co.KG)の撹拌溶液へ滴下した。30分間の撹拌及び超音波処理後、341.0nm未満の平均液滴サイズの動的に安定なエマルジョンが得られた。
【0125】
10gの水中の0.69gのt−ブチルヒドロペルオキシドを、前記エマルジョンに添加した。エマルジョンを40℃へ加熱した。この混合物へ、1時間40℃で、10gの水中の0.96gのRongalitを添加した。反応混合物をメカニカルスターラーによって連続的に撹拌し、そして60℃で1時間維持し、次いでRTへ冷却し、そして20μmフィルターで濾過した。得られた粒子は、84.5nmの粒度DINTを有する。ディスパージョンの最終活性含有量は20.0重量%であり、固形分は44.0重量%である。
【0126】
実施例10
安定な油/水エマルジョンの調製のために、80gのDarocure MBFを、20.8gのメタクリル酸メチル(MMA)、6.32gのメタクリル酸ステアリル(SMA)、22.3gのメタクリル酸イソブチル(iBMA)、11.3gのビニルトルエン、11.3gのメタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)、8.0gのメタクリル酸ヒドロキシエチル、0.4gのブタンジオールジアクリレート(BDDA)及び0.8gのtert−ブチルペルオキシベンゾエートに溶解した。油相を、205.51gの脱イオン水中の20.65gのDisponil FES 32(31重量%活性、Cognis Deutschland GmbH&Co.KG)の撹拌溶液へ滴下した。10分間の撹拌 高圧均質化処理後、168.7nm未満の平均液滴サイズの動的に安定なエマルジョンが得られた。
【0127】
前記エマルジョンを40℃へ加熱した。この混合物へ、1時間40℃で、10gの水中の0.80gのRongalitを添加した。反応混合物をメカニカルスターラーによって連続的に撹拌し、そして60℃で1時間維持し、次いでRTへ冷却し、そして20μmフィルターで濾過した。得られた粒子は、88.0nmの粒度DINTを有する。ディスパージョンの最終活性含有量は20.0重量%であり、固形分は40.0重量%である。
【0128】
適用結果
実施例A1:
撹拌しながら成分を混合することによって、透明なUV硬化性水溶性コーティングを配合した(下記表を参照のこと)。
【0129】
【表1】

【0130】
調製した配合物を、実施例1に従うディスパージョン(総配合物において1%活性)へ添加し、そして室温で60分間、低せん断速度で撹拌した。
コーティングを、ホワイトチップボードへ100μmスリットコーターで適用し、60℃で10分間乾燥し、そして5m/分で2つの中圧水銀蒸気ランプ(2×80W/cm)を用いて硬化し、ペンデュラム硬度及び黄変(DIN 6174に従うLの測定)を測定しそしてKMnO試験を行った。それについて、過マンガン酸カリウムの1%水溶液を、コーティング表面に置く。1分後、溶液を捨て、そして水で洗浄する。乾燥後、照射前及び後の色差を測定する。低DE値は、コーティング表面において二重結合変換がほぼ完了していることを示す。
【0131】
【表2】

【0132】
実施例A2:
白色着色UV硬化性水溶性コーティングを配合した。白色ペーストを、ガラスビースで分散することによって調製した。撹拌しながら成分及び白色ペーストを混合した(下記表を参照のこと)。
【0133】
白色ペースト:
【表3】

【0134】
白色着色コーティング:
【表4】

【0135】
調製した配合物へ、実施例4に従うディスパージョン(総配合物において1%活性)を添加し、そして室温において30分間低せん断速度で撹拌した。
コーティングを、ホワイトチップボードへ100μmスリットコーターで適用し、60℃で10分間乾燥し、そして5m/分で2つの中圧水銀蒸気ランプ(2×80W/cm)を用いて硬化し、ペンデュラム硬度を測定した。
【0136】
【表5】

【0137】
実施例A3:
白色着色UV硬化性水溶性コーティングを配合した。白色ペーストを、ガラスビースで分散することによって調製した。撹拌しながら成分及び白色ペーストを混合した(下記表を参照のこと)。
【0138】
白色着色コーティング:
【表6】

【0139】
調製した配合物へ、実施例4に従うディスパージョン(総配合物において1%活性)を添加し、そして室温において30分間低せん断速度で撹拌した。
コーティングを、ホワイトチップボードへ100μmスリットコーターで適用し、60℃で10分間乾燥し、そして5m/分で2つの中圧水銀蒸気ランプ(2×80W/cm)を用いて硬化し、ペンデュラム硬度を測定した。
【0140】
【表7】

【0141】
実施例A4:
透明UV硬化性水溶性コーティングを、撹拌しながら成分を混合することによって配合した(下記表を参照のこと)。
【0142】
【表8】

【0143】
調製した配合物へ、光開始剤ディスパージョン(総配合物において1%活性)を添加し、そして室温において60分間低せん断速度で撹拌した。
コーティングを、ホワイトチップボードへ100μmスリットコーターで適用し、60℃で10分間乾燥し、そして5m/分で2つの中圧水銀蒸気ランプ(2×80W/cm)を用いて硬化し、ペンデュラム硬度及び黄変(DIN 6174に従うLの測定)を測定した。
【0144】
【表9】

【0145】
実施例A5:
実施例A2の白色着色UV硬化性水溶性コーティングを使用した。
調製した配合物へ、光開始剤ディスパージョン(総配合物において0.5%活性)及び1%IRGACURE 500(配合物において%活性)を添加し、そして室温において30分間低せん断速度で撹拌した。
コーティングを、ホワイトチップボードへ100μmスリットコーターで適用し、60℃で10分間乾燥し、そして5m/分で2つの中圧水銀蒸気ランプ(2×80W/cm)を用いて硬化し、ペンデュラム硬度を測定した。
【0146】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1000nm未満の平均粒度を有する濃縮された水性ポリマーディスパージョンであって、
a)以下の存在下で少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーの異相ラジカル重合によって製造されたポリマー担体、
b)光開始剤及び/又は光潜在性触媒、ならびに
c)必要に応じて非イオン性、カチオン性又はアニオン性界面活性剤
を含み、
ここで、ポリマー担体に対する光開始剤及び/又は光潜在性触媒の重量比が、ポリマー担体100部当たり光開始剤及び/又は光潜在性触媒20部を超える、
濃縮された水性ポリマーディスパージョン。
【請求項2】
ポリマー担体に対する光開始剤及び/又は光潜在性触媒の重量比が、ポリマー担体100部当たり光開始剤及び/又は光潜在性触媒35部以上である、請求項1記載の濃縮された水性ポリマーディスパージョン。
【請求項3】
光開始剤が、α−ヒドロキシケトン、ビスアシルホスフィンオキシド、又はフェニルグリオキシレートより選択される、請求項1記載の濃縮された水性ポリマーディスパージョン。
【請求項4】
光開始剤が、α−ヒドロキシケトンとベンゾフェノン、α−ヒドロキシケトンとビスアシルホスフィンオキシド、α−ヒドロキシケトンとベンゾフェノンとビスアシルホスフィンオキシド、ならびにモノ−とビスアシルホスフィンオキシドのブレンドより選択されるブレンドである、請求項1記載の濃縮された水性ポリマーディスパージョン。
【請求項5】
エチレン性不飽和モノマーが、C−C18アクリレート、C−C18メタクリレート、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、スチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシ官能性アクリレートもしくは(メタ)アクリレート、アルコキシル化アルコールから誘導されたアクリレートもしくは(メタ)アクリレート、及び多官能性アクリレートもしくは(メタ)アクリレート、又はそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1記載の濃縮された水性ポリマーディスパージョン。
【請求項6】
少なくとも2つのエチレン性不飽和モノマーと、二官能性でありかつジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、又はジエチレングリコールジアクリレートより選択される少なくとも1つの架橋性モノマーとの混合物を含む、請求項1記載の濃縮された水性ポリマーディスパージョン。
【請求項7】
1000nm未満の平均粒度を有する濃縮された水性ポリマーディスパージョンの製造方法であって、
異相ラジカル重合によって光開始剤及び/又は光潜在性触媒の存在下で少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを重合する工程を含み;
ここで、エチレン性不飽和モノマーから形成されるポリマー担体に対する光開始剤及び/又は光潜在性触媒の重量比が、ポリマー担体100部当たり光開始剤及び/又は光潜在性触媒20部を超え、好ましくは、ポリマー担体100部当たり光開始剤及び/又は光潜在性触媒35部以上である、方法。
【請求項8】
a)少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーに光開始剤及び/又は光潜在性触媒を溶解、乳化又は分散する工程;
b)少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーに溶解、乳化又は分散された該光開始剤及び/又は光潜在性触媒の従来の水中油型エマルジョンを調製する工程;
c)該従来のエマルジョンを、有機相の液滴が1000nm未満の平均直径を有するミニエマルジョンへ均質化する工程;
d)重合開始剤を添加することによって該ミニエマルジョンを重合する工程;
を含み、
ここで、エチレン性不飽和モノマーから形成されるポリマー担体に対する光開始剤及び/又は光潜在性触媒の重量比が、ポリマー担体100部当たり光開始剤及び/又は光潜在性触媒20部を超え、好ましくは、ポリマー担体100部当たり光開始剤及び/又は光潜在性触媒35部以上である、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載されるように濃縮された水性ポリマーディスパージョンを製造し、続いて該濃縮された水性ポリマーディスパージョンの揮発性成分を蒸発させることによる、ポリマー粉末の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法によって得られ得るポリマー粉末。
【請求項11】
水性もしくは非水性配合物、コーティング、インク、接着剤における、又は電気材料用の配合物における、請求項1記載の水性ポリマーディスパージョン又は請求項10記載のポリマー粉末の使用。

【公表番号】特表2009−541554(P2009−541554A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517145(P2009−517145)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056290
【国際公開番号】WO2008/003601
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】