説明

異種材料キャビネット

【課題】耐久性を確保しつつ製造コストの上昇を抑制し、さらに美観を確保することができる異種材料キャビネットを提供すること。
【解決手段】キャビネット1に、内面側が収容部32として形成される本体部30と、本体部30の外面に設けられる接合部38と、本体部30とは異なる素材により形成され、且つ、本体部30の外面側に配設されると共に、接合部38に接合され、接合部38への接合木口58が接合部38によって隠蔽される外装プレート50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異種材料キャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の用品を収容することにより、各用品の使い勝手や所定の空間の使い勝手を向上させるために、多くのトイレ等には、各種の用品を収容可能なキャビネットが設置されている。このキャビネットは、用品を収容することによって使い勝手を向上させるのみでなく、これらの用品を整然と収容することにより、美観を向上させることができる。キャビネットは、このように美観を向上させる作用を有しており、このため、従来のキャビネットでは、キャビネット自体の美観の向上を図っているものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された合成樹脂製収納ケースでは、合成樹脂製の収納ケース本体の第1の前板に折返突起を設け、第2の前板を折返突起にはめ込んだ状態で前板同士をねじによって螺着することにより、第2の前板を収納ケース本体に取り付けている。この第2の前板は、意匠性の向上を主目的として設けられており、木製や金属製など任意の素材によって形成されている。特許文献1に記載された合成樹脂製収納ケースでは、このように収納ケース本体とは異なる材料からなる第2の前板を収納ケース本体に取り付けることにより、製造コストの上昇とデザイン性の確保との両立を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−313436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、各種の用品を収容するキャビネットの内側部分と外側部分とでは、求められる特性が異なっており、具体的には、内側部分は、清掃の容易性や耐水性が求められ、外側部分は、美観が求められるが、特許文献1のように、本体部の外側に別の部材を取り付ける場合、これらの双方の要件を満たすことが可能になる。例えば、キャビネットの内側部分、即ち、本体部分に樹脂材料を使用することにより、耐久性を確保することができ、樹脂材料からなり本体部の外側に、合板等を取り付けることにより、木製品のような外観にすることができ、外観を向上させることができる。このように、合板を、外観の向上を目的として使用する場合には、木目等が印刷された化粧シートを合板の平面部分に貼り付けて使用する。また、合板の側面である木口にも、木目等が印刷された木口テープを貼り付け、外観の向上を図る。
【0006】
しかし、本体部の外側に合板を取り付ける場合において、合板が多数使用される場合、全ての合板の木口に木口テープを貼るのは、組み立て時における作業工程が多くなり、製造コストの増加にもつながる。このため、特許文献1の収納ケース本体に設けられる折返突起のように、合板を覆う部分が本体部に設けられている場合には、その部分に貼り付ける木口テープを省略することにより、作業工程を減らすことができ、組み立て作業の簡略化を図ることができる。しかし、このように本体部に突起部分を設け、突起部分で木口を覆うことができるように本体部に合板を取り付けた場合、寸法誤差等により木口が突起部分からはみ出したり、突起部分と木口との間に隙間が生じたりする場合がある。この場合、木口テープを貼っていない状態の木口を視認することができる状態になるので、美観の低下の要因にもなる。これらのように、耐久性の確保と製造コストの上昇を抑えることを両立しつつ、美観を確保するのは、大変困難なものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、耐久性を確保しつつ製造コストの上昇を抑制し、さらに美観を確保することができる異種材料キャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係る異種材料キャビネットは、内面側が収容部として形成される本体部と、前記本体部の外面から突出して設けられる接合部と、前記本体部とは異なる素材により形成され、且つ、前記本体部の外面側に配設されると共に、前記接合部に接合され、前記接合部に接合される接合側面が前記接合部によって隠蔽される外装部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明では、本体部と外装部とを異なる素材で形成するため、耐久性の確保と美観の確保とを両立することができる。つまり、外部から視認できる外装部は、美観を確保できる素材によって形成し、収容部を有すると共に、外面側に外装部が配設されることにより外部からは視認できない本体部は耐久性を確保できる素材によって形成することにより、耐久性と美観との双方を両立することができる。また、接合側面が接合部によって隠蔽されるように、外装部を接合部に接合することにより、外装部における外部から視認可能な部分を減少させることができ、製造工程の簡略化を図ることができる。つまり、接合側面を接合部によって隠蔽しない場合には、接合側面に対して美観を確保できる処理を施す必要があるが、接合側面が隠蔽されるように接合部に接合することにより、このような処理を省くことができる。また、このように、接合側面を隠蔽することにより、美観を確保できる処理を施していない接合側面が外部から視認可能な状態になることを抑制することができる。これらの結果、耐久性を確保しつつ製造コストの上昇を抑制し、さらに美観を確保することができる。
【0010】
また、上記異種材料キャビネットにおいて、前記接合部には、前記外装部の前記接合側面が接合される面に突起部が形成されており、前記外装部には、前記接合側面に前記突起部が入り込む接合穴が形成されており、前記接合部と前記外装部とは、前記突起部が前記接合穴に入り込むことにより接合されることが好ましい。
【0011】
この発明では、突起部と接合穴とを用いて接合部と接合側面とを接合するため、外装部と本体部とを、より確実に接合することができる。これにより、美観を確保する外装部と収容部を有する本体部とを、個別に設置する必要がなく、一体にした状態で容易に設置することができる。これらの結果、美観を確保しつつ、より確実に製造コストの上昇を抑制することができる。
【0012】
また、上記異種材料キャビネットにおいて、前記本体部には、前記収容部の開口部分を閉じることができる開閉扉が取り付けられており、前記開閉扉は、前記本体部に取り付けられる開閉部材を介して前記本体部に取り付けられることにより、前記収容部を開閉可能になっており、前記開閉部材は、前記本体部に対してはビスとナットとにより前記本体部の前記内面に取り付けられており、前記ナットは、前記本体部の前記外面に形成されたナット保持部に保持された状態で前記外装部に覆われることにより、前記本体部に回転不可の状態で保持されることが好ましい。
【0013】
この発明では、開閉部材の取り付けに使用するナットを、ナット保持部に保持された状態で外装部によって覆うことによりナットを回転不可の状態で保持するため、開閉部材や開閉扉の組み付けを行った後に、開閉部材の取り外しや調節を容易に行うことができる。これにより、開閉扉を、より適切な状態で開閉可能に設けることができる。この結果、開閉扉の開閉動作を適切なものにすることができ、より確実に美観を確保しつつ、開閉扉の開閉時における使い勝手を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る異種材料キャビネットは、耐久性を確保しつつ製造コストの上昇を抑制し、さらに美観を確保することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施形態に係るキャビネットの正面図である。
【図2】図2は、図1のA−A矢視図である。
【図3】図3は、図1に示すキャビネットの斜視図である。
【図4】図4は、図1に示すキャビネットが有する収納本体部の分解斜視図である。
【図5】図5は、蝶番の詳細図である。
【図6】図6は、図4のE部詳細図である。
【図7】図7は、図1のB−B断面図である。
【図8】図8は、図1のC−C断面図である。
【図9】図9は、図1のD−D断面図である。
【図10】図10は、蝶番を覆う保護カバーの斜視図である。
【図11】図11は、図10に示す保護カバーを本体部に取り付けた状態を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る異種材料キャビネットの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0017】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係るキャビネットの正面図である。図2は、図1のA−A矢視図である。図3は、図1に示すキャビネットの斜視図である。なお、以下の説明では、キャビネット1を通常の使用態様で所望の位置に設置した場合における上下方向を、本実施形態に係るキャビネット1の上下方向とし、このように設置した場合における左右方向を、本実施形態に係るキャビネット1の左右方向として説明する。さらに、キャビネット1の通常の使用態様で、使用者に対向する側を前側とし、使用者から離れる側を後ろ側として説明する。
【0018】
実施形態に係るキャビネット1は、複数の異なる素材からなる部材が組み合わされて形成される異種材料キャビネットとして設けられており、トイレの室内に設置されて使用される。このキャビネット1は、内部にトイレで使用される用品や備品を収納できる収納本体部20を有しており、収納本体部20の上方には、トイレットペーパーを保持するペーパーホルダー部4が設けられている。
【0019】
このうち、収納本体部20は、前面側に開閉扉22が設けられており、開閉扉22を開けることにより、収納本体部20に収納する用品等の出し入れが可能になっている。また、ペーパーホルダー部4には、トイレットペーパーを保持するペーパーホルダー6が2つ設けられており、これによりペーパーホルダー部4は、同時に2つのトイレットペーパーを保持することができる。
【0020】
これらのように設けられる収納本体部20とペーパーホルダー部4とは、板状の形状で形成され、双方を接続する部材である接続プレート8によって接続されている。この接続プレート8は、閉じた状態の開閉扉22と略平行な向きで、開閉扉22の位置よりも後方側に位置して収納本体部20とペーパーホルダー部4との間に配設されており、収納本体部20とペーパーホルダー部4とを接続している。即ち、接続プレート8は、上端側がペーパーホルダー部4に接続され、下端側が収納本体部20に接続されることにより、双方を接続している。
【0021】
また、このキャビネット1は、設置する室内の壁に埋め込んで設置する埋込型のキャビネットになっている。このため、キャビネット1は、壁に埋め込む部分である埋込部10を有している。この埋込部10は、収納本体部20における後ろ側、即ち、開閉扉22が位置する側の面の反対側の面に設けられており、接続プレート8よりも後方側に突出している。さらに、埋込部10には、キャビネット1を設置する際に使用する設置用ボルト12が設けられている。設置用ボルト12は、埋込部10に複数設けられており、複数の設置用ボルト12は、埋込部10からキャビネット1の左右方向に突出して設けられている。
【0022】
図4は、図1に示すキャビネットが有する収納本体部の分解斜視図である。収納本体部20は、複数の異なる素材からなる部材が組み合わされて形成されている。即ち、収納本体部20は、合成樹脂によって形成される本体部30と、木製の合板によって形成される外装部である外装プレート50とが組み合わされることによって形成されている。
【0023】
このうち、本体部30は、内側が空洞になっている直方体の一面が開口した形状で形成されている。このように形成される本体部30の内面側は、収納本体部20で各種の用品等を収納する際に用品等を収容する収容部32として形成されており、この収容部32には、当該収容部32で収容する用品等を載置する棚部34が設けられている。
【0024】
また、本体部30における開口している部分は開口部36となっており、当該開口部36は、収容部32の開口部分にもなっている。本体部30は、直方体の形状で形成されており、開口部36は、この直方体の一面が開口して形成されているため、開口部36は、矩形状の形状で開口している。
【0025】
また、開口部36の周囲には、外装プレート50が接続される接合部38が設けられている。この接合部38は、開口部36の周囲における本体部30の外面に設けられており、キャビネット1の前後方向が厚さ方向になる向きの板状の形状で外面から突出して、開口部36の全周に渡って設けられている。つまり、接合部38は、ロの字状の平板状の形状で形成されて本体部30の外面における本体部30の前端側に設けられており、ロの字の内側部分が開口部36に接続されて、または開口部36となって形成されている。
【0026】
このように設けられる接合部38には、後方側の面に、ピン状の形状で後方側に向けて突出した突起部40が複数形成されている。この複数の突起部40は、ロの字状に形成される接合部38の4つの辺に該当する部分の全ての辺の部分に設けられており、それぞれの辺の部分に複数の突起部40が設けられている。
【0027】
外装プレート50は、このように設けられる本体部30の外面側に配設される。詳しくは、外装プレート50は、直方体の形状で形成される外面のうち、矩形状の開口部36を形成する4つの外面側に配設される。即ち、外装プレート50は、本体部30の上方の外面に配設される上面外装プレート52と、本体部30の左右方向の両側面の外面に配設される2つの側面外装プレート54と、本体部30の下方の外面に配設される底面外装プレート56と、を有している。
【0028】
各外装プレート50は、全て矩形状の板状の形状で形成されており、それぞれの各外装プレート50が配設される本体部30の外面と平行な向きで、本体部30の外面に配設される。また、このように本体部30の4箇所の外面に平行な向きで配設される各外装プレート50は、本体部30の接合部38に接合可能になっている。
【0029】
詳しくは、外装プレート50は、本体部30の開口部36を形成する外面に平行な向きで配設されるため、本体部30における開口部36が位置する側、即ち、キャビネット1における前側の方向には、板状で形成される外装プレート50の側面が面することになる。このため、この外装プレート50の側面は、本体部30の外面から突出して形成される接合部38に対向する状態になる。外装プレート50が本体部30の外面側に配設する際に、このように接合部38に対向する外装プレート50の側面は、外装プレート50の配設時に接合部38に接合される。つまり、この場合、外装プレート50の側面のうち、接合部38に対向して接合部38に接合する接合側面である接合木口58を、接合部38に接合する。
【0030】
この外装プレート50の接合木口58には、接合部38に形成される突起部40が入り込む接合穴60が形成されている。突起部40は、接合部38に複数形成されているが、接合木口58に形成される接合穴60は、接合木口58を接合部38に接合した際に接合部38に形成される突起部40が設けられている位置と数に対応する位置と数で、接合木口58に形成されている。
【0031】
つまり、接合部38はロの字状に形成されており、複数の外装プレート50は、ロの字状に形成される各辺にそれぞれ対応して設けられている。このため、各外装プレート50は、接合部38における対応する部分に接合可能になっている。従って、接合部38の形状であるロの字の4つの辺に該当する全ての部分にそれぞれ複数設けられる突起部40に対応して、各外装プレート50の接合木口58には、複数の接合穴60が形成されている。
【0032】
また、外装プレート50は、本体部30の外面と平行な向きで本体部30の外面に配設され、接合部38は、本体部30の外面から突出しているため、接合部38の突出方向は、外装プレート50の厚さ方向になる。このように、外装プレート50の厚さ方向に突出する接合部38は、突出方向の大きさが、外装プレート50の厚さと同程度になっており、外装プレート50の厚さよりも若干大きな寸法で本体部30の外面から突出している。
【0033】
また、これらのように本体部30の外面側に配設される外装プレート50は、本体部30の周囲を覆うことができるように設けられている。このため、外装プレート50同士の接続部分は、一方の外装プレート50が、他方の外装プレート50の端面62を覆うように組み合わされる。具体的には、上面外装プレート52と側面外装プレート54との接続部分は、上面外装プレート52が側面外装プレート54の端面62を覆うように組み合わされる。
【0034】
つまり、側面外装プレート54は、本体部30の外面に配設された場合における上面外装プレート52側の端部の位置が、側面外装プレート54が配設される本体部30の外面における上端の位置とほぼ同じ位置になるように形成されている。これに対し、上面外装プレート52は、本体部30の外面に配設された場合における左右方向における端部の位置が、上面外装プレート52が配設される本体部30の外面における左右方向の端部の位置よりも、側面外装プレート54の厚さ分、左右方向外方に位置するように形成されている。
【0035】
側面外装プレート54は、キャビネット1の左右方向における両側に設けられており、上面外装プレート52と側面外装プレート54との関係は、左右方向における両側の接続部分で同様の関係になっているため、上面外装プレート52は、本体部30の外面の左右方向の長さよりも、側面外装プレート54の厚さの2枚分、長くなっている。上面外装プレート52と側面外装プレート54とは、これらのように形成されることにより、上面外装プレート52が側面外装プレート54の端面62を覆うように組み合わされる。
【0036】
また、側面外装プレート54と底面外装プレート56との接続部分は、側面外装プレート54が底面外装プレート56の端面62を覆うように組み合わされる。つまり、底面外装プレート56は、本体部30の外面に配設された場合における左右方向における端部の位置が、底面外装プレート56が配設される本体部30の外面の左右方向における端部の位置とほぼ同じ位置になるように形成されている。即ち、底面外装プレート56は、当該底面外装プレート56が配設される外面の左右方向の長さと同程度の長さになっている。
【0037】
これに対し、側面外装プレート54は、本体部30の外面に配設された場合における底面外装プレート56側の端部の位置が、側面外装プレート54が配設される本体部30の外面における下端の位置よりも、底面外装プレート56の厚さ分、下方に位置するように形成されている。側面外装プレート54と底面外装プレート56とは、これらのように形成されることにより、側面外装プレート54が底面外装プレート56の端面62を覆うように組み合わされる。
【0038】
また、これらのように組み合わされる外装プレート50同士の接続部分には、外装プレート50同士の接続に用いる外装突起部64と外装接合穴66とが設けられている。これらの外装突起部64と外装接合穴66とは、本体部30の接合部38に形成される突起部40と外装プレート50の接合木口58に形成される接合穴60と同様に、外装突起部64が外装接合穴66に入り込むことにより、外装プレート50同士を接続することができる。
【0039】
これらの外装突起部64と外装接合穴66とは、上面外装プレート52と側面外装プレート54との接続部分では、側面外装プレート54の端面62に外装突起部64が形成され、上面外装プレート52における側面外装プレート54の端面62を覆う部分に外装接合穴66が形成されている。また、側面外装プレート54と底面外装プレート56との接続部分では、側面外装プレート54における底面外装プレート56の端面62を覆う部分に外装突起部64が形成され、底面外装プレート56の端面62に外装接合穴66が形成されている。上面外装プレート52と側面外装プレート54、及び側面外装プレート54と底面外装プレート56とは、これらのように設けられる外装突起部64が外装接合穴66に入り込むことにより、外装プレート50同士を接続することができる。
【0040】
また、収納本体部20に設けられる開閉扉22は、本体部30に取り付けられており、この開閉扉22は、左右方向の2枚に分かれて設けられている。この2枚の開閉扉22は、当該開閉扉22を開閉させることにより、本体部30の収容部32を開閉可能になっている。このように設けられる開閉扉22は、共に本体部30の左右方向における端部付近に接続され、2枚の開閉扉22の開閉は、このように本体部30に接続されている部分を支点として開閉可能に設けられている。つまり、2枚の開閉扉22のうち、左側に位置する開閉扉22は、本体部30の左側の端部付近に接続され、右側に位置する開閉扉22は、本体部30の右側の端部付近に接続される。
【0041】
これらのように本体部30に接続されている開閉扉22は、本体部30に取り付けられる開閉部材を介して本体部30に取り付けられる。この開閉部材としては、本体部30に対して開閉扉22を開閉可能にしつつ開閉扉22を本体部30に接続する開閉接続手段である蝶番70と、開閉可能な開閉扉22を閉じた状態に維持する閉状態維持手段であるマグネットラッチ80と、が用いられている。これらの蝶番70とマグネットラッチ80とは、本体部30に対してはビス86とナット88とにより、本体部30の内面に取り付けられ、その位置は、蝶番70は、本体部30の左右両側の内面に取り付けられ、マグネットラッチ80は、本体部30の上側の内面に取り付けられる。
【0042】
詳しくは、蝶番70は、本体部30の左右両側のそれぞれの内面に2つずつが取り付けられ、2ずつ取り付けられる蝶番70は、各内面の上端寄りと下端寄りの位置における開口部36寄りの位置に取り付けられる。
【0043】
図5は、蝶番の詳細図である。蝶番70は、このように本体部30の内面に取り付けられるが、開閉扉22は、蝶番70を介して本体部30に接続されることにより、本体部30に対して開閉可能に設けられている。このため、蝶番70は、本体部30と開閉扉22との双方に取り付け可能に形成されており、蝶番70おける本体部30に取り付けられる部分は本体部側取付部72として設けられ、開閉扉22に取り付けられる部分は扉側取付部74として設けられている。これらの本体部側取付部72と扉側取付部74とは、共に本体部30や開閉扉22に取り付けられる際にビス86が通る穴である蝶番側取付穴76が形成されている。本体部30の内面には、このように形成される蝶番70の本体部側取付部72が取り付けられる。
【0044】
本体部30における蝶番70が取り付けられる部分、即ち、本体部30の内面における左右方向の両側部分には、上下方向における両端付近に、本体部30に蝶番70を取り付ける際にビス86を通す穴である本体側取付穴42が形成されている。この本体側取付穴42は、本体部30に蝶番70を取り付ける際における蝶番70の蝶番側取付穴76の位置に対応して形成されている。つまり、本実施形態に係るキャビネット1で用いられる蝶番70では、本体部側取付部72には蝶番側取付穴76が2つ設けられているため、本体部30に形成される本体側取付穴42は、この蝶番側取付穴76に合わせて、蝶番70が取り付けられる部分ごとに2つずつ形成されている。
【0045】
図6は、図4のE部詳細図である。また、本体部30には、外装プレート50が配設される面における本体側取付穴42が形成されている部分に、ナット88を保持するナット保持部44が形成されている。このナット保持部44は、ナット88の形状と同様に正六角形の形状をした有底の穴部として形成されており、ナット保持部44は、本体部30の左右方向における外側方向に対して開口している。一方、本体側取付穴42は、本体部30における収容部32側の面からナット保持部44の底部にかけてあけられた穴として形成されている。本体部30に形成される本体側取付穴42は、蝶番70が取り付けられる位置ごとに2つずつ形成されるため、ナット保持部44も本体側取付穴42と同様に、蝶番70が取り付けられる位置ごとに2つずつ形成される。
【0046】
また、本体部30における蝶番70が取り付けられる部分の外面側には、リブ46が設けられている。つまり、リブ46は、本体部30に蝶番70を取り付ける際に用いるナット88を保持するナット保持部44の近傍に設けられている。具体的には、1つの蝶番70を本体部30に取り付ける際に使用する2つの本体側取付穴42とナット保持部44とは、上下方向に並んで形成されているが、リブ46は、このように設けられる2つのナット保持部44の上下方向における両側に形成される。つまり、2つのリブ46の間に2つのナット保持部44が位置するように形成される。このように形成されるリブ46の形状は、本体部30の外面から所定の高さで突出し、所定の幅で接合部38から後方に向けて、即ち、接合部38から離れる方向に、所定の長さで形成される。リブ46は、このように本体部30の外面から所定の高さで突出しているが、ナット保持部44の周囲もリブ46の高さと同じ高さで本体部30の外面から突出しており、リブ46に接続されている。
【0047】
また、マグネットラッチ80には、蝶番70と同様に、本体部30に取り付ける際にビス86が通る穴であるラッチ側取付穴84が形成されている。これによりマグネットラッチ80は、ビス86とナット88とによって、本体部30の上側の内面における左右方向中央付近の開口部36寄りの位置に取り付け可能になっている。このマグネットラッチ80は、磁力を有するマグネット部82を有しており、このマグネット部82が前方側になる向き、即ち、開閉扉22に対向する向きで、本体部30に取り付けられる。
【0048】
また、本体部30におけるマグネットラッチ80が取り付けられる部分、即ち、本体部30の上側部分における左右方向中央付近には、本体部30にマグネットラッチ80を取り付ける際にビス86を通す穴である本体側取付穴42が形成されている。この本体側取付穴42は、本体部30にマグネットラッチ80を取り付ける際におけるマグネットラッチ80のラッチ側取付穴84の位置に対応して形成されている。
【0049】
マグネットラッチ80が取り付けられる部分には、このように本体側取付穴42が形成されるが、この本体側取付穴42も、ナット保持部44に接続されている。つまり、このナット保持部44は、蝶番70を取り付ける部分に形成されるナット保持部44と同様に、外装プレート50が配設される面における本体側取付穴42が形成されている部分に形成されており、外装プレート50が配設される方向、即ち、上方に対して開口している。
【0050】
また、マグネットラッチ80には、ラッチ側取付穴84が2つ形成されているため、マグネットラッチ80を取り付ける部分に形成される本体側取付穴42及びナット保持部44も、ラッチ側取付穴84と同様に2つずつ形成されている。さらに、このナット保持部44の周囲は、蝶番70を取り付ける部分のナット保持部44の周囲と同様に本体部30の外面から突出しており、マグネットラッチ80が取り付けられる部分の2つのナット保持部44の周囲の部分は、本体部30の外面から突出した状態で接続されている。
【0051】
これらのように、本体部30における蝶番70やマグネットラッチ80が取り付けられる部分の外面には、ナット保持部44の周囲の部分やリブ46が本体部30の外面から突出しているため、外装プレート50には、これらのナット保持部44の周囲の部分やリブ46を避ける逃げ部68が形成されている。この逃げ部68は、外装プレート50における本体部30側の面が、厚さ方向に切り欠かれることにより形成されている。
【0052】
これらにように形成されるキャビネット1の収納本体部20を組み立てる場合には、外装プレート50同士を接続する部分に設けられる外装突起部64と外装接合穴66とを接続することにより、外装プレート50同士を接続する。つまり、外装プレート50同士の接続部分のうち、一方の外装プレート50に設けられる外装接合穴66に、他方の外装プレート50に設けられる外装突起部64を差し込む。これにより、外装プレート50同士を接続する。具体的には、上面外装プレート52と左右両側の側面外装プレート54とを接続し、また、左右両側の側面外装プレート54と底面外装プレート56とを接続する。これにより、側面外装プレート54の上方側の端面62を上面外装プレート52で覆った状態になり、底面外装プレート56の左右両側の端面62を側面外装プレート54で覆った状態になる。これらにより、他方の外装プレート50により覆われる端面62は、この覆っている外装プレート50によって隠蔽される。
【0053】
図7は、図1のB−B断面図である。このように接続する外装プレート50は、さらに本体部30の接合部38に対して接合する。外装プレート50を本体部30の接合部38に接合する場合には、接合部38に形成される突起部40を、外装プレート50の接合木口58に形成される接合穴60に差し込むことにより接合する。また、本体部30の接合部38は、外装プレート50の厚さよりも若干大きな寸法で本体部30の外面から突出している。このため、外装プレート50を接合部38に接合した場合には、外装プレート50の接合木口58は、接合部38によって隠蔽される。
【0054】
また、外装プレート50は、キャビネット1の視認時の美観を確保する外装部材として設けられているため、表面に化粧シート(図示省略)を貼ったり、外装プレート50の側面である、いわゆる木口に木口テープ(図示省略)を貼ったりして美観を確保するが、本体部30の外面側に外装プレート50を配設した場合、外部からは視認できない部分が発生する。このため、これらのように外部から視認できない部分は、美観を確保する必要がないため、化粧シートや木口テープが省略される。具体的には、本体部30の接合部38によって隠蔽される接合木口58や、外装プレート50同士が接続される部分の端面62のうち、他方の外装プレート50に覆われる端面62は、木口テープが省略される。また、本体部30の外面側に外装プレート50を配設した場合に、本体部30に対向する側の面、即ち、外装プレート50における内側の面は、化粧シートが省略される。
【0055】
また、外装プレート50は、本体部30の外面側に配設されるが、外装プレート50の前後方向の幅は、本体部30の前後方向の長さよりも狭くなっている。このため、外装プレート50の接合木口58を本体部30の接合部38に接合した場合には、本体部30の後方側の部分、即ち、接合部38が位置する側の反対側の部分は、外装プレート50からはみ出る。収納本体部20が有する埋込部10は、本体部30における、外装プレート50から後方にはみ出した部分となっている。
【0056】
図8は、図1のC−C断面図である。また、蝶番70は、本体部側取付部72をビス86とナット88とによって本体部30に取り付けられる。詳しくは、本体部側取付部72は、本体部30の内側、即ち、収容部32側から本体側取付穴42が形成されている位置に配置し、ビス86を本体部側取付部72の蝶番側取付穴76と本体部30の本体側取付穴42とを通した状態で、ビス86とナット88とを螺合する。この場合、ナット88は、ナット88と同様に六角形の形状で形成されるナット保持部44に保持されることにより、回転しない状態で保持されるので、ビス86をねじ込むことにより、ビス86とナット88とは螺合する。これにより、蝶番70の本体部側取付部72は、本体部30の収容部32側の面に取り付けられる。
【0057】
また、ナット保持部44の周囲や、ナット保持部44の近傍に形成されるリブ46は、本体部30の外面から突出しており、本体部30の外面には外装プレート50が配設されるが、外装プレート50におけるナット保持部44やリブ46に対向する部分には、逃げ部68が形成されている。このため、外装プレート50を本体部30の外面に配設した場合には、ナット保持部44やリブ46は、逃げ部68が形成されている部分に位置する。これにより、外装プレート50は、ナット保持部44やリブ46に当接することなく、接合木口58を接合部38に接合させて、本体部30の外面側に配設することができる。
【0058】
また、外装プレート50を本体部30の外面に配設する場合には、ナット保持部44が位置する部分に外装プレート50の逃げ部68が位置し、ナット保持部44は、この逃げ部68の部分で覆われることになるが、逃げ部68の部分でナット保持部44を覆う場合には、ナット保持部44にナット88が入り込んだ状態で覆う。つまり、ナット保持部44は、蝶番70を本体部30に取り付ける際に使用するナット88を、当該ナット保持部44内に入り込ませることにより保持するが、外装プレート50の逃げ部68でナット保持部44を覆う場合には、この蝶番70の取り付けに使用するナット88を入り込ませた状態で覆う。これにより、ナット88は、ナット保持部44から抜け出る方向への移動が外装プレート50によって規制されるため、ナット保持部44によって保持された状態が維持され、本体部30に回転不可の状態で保持される。
【0059】
蝶番70は、これらのように本体部側取付部72が本体部30に取り付けられる一方、扉側取付部74は、開閉扉22に取り付けられる。これにより、開閉扉22は、蝶番70を介して本体部30に接続され、本体部30の収容部32、或いは開口部36に対して、開閉可能に本体部30に取り付けられる。
【0060】
図9は、図1のD−D断面図である。蝶番70は、このようにビス86とナット88とによって本体部30に取り付けられるが、マグネットラッチ80も蝶番70と同様に、ビス86とナット88とによって本体部30に取り付けられる。つまり、マグネットラッチ80は、本体部30の収容部32側から本体側取付穴42が形成されている位置に配置し、ナット88をナット保持部44で保持した状態で、ビス86をマグネットラッチ80のラッチ側取付穴84と本体側取付穴42とを通し、ビス86とナット88とを螺合する。これにより、マグネットラッチ80は、本体部30の収容部32側の面に取り付けられる。
【0061】
また、このようにマグネットラッチ80を取り付けるナット88を保持するナット保持部44の周囲の部分も、本体部30の外面から突出しており、この部分に配設される外装プレート50には、逃げ部68が形成されている。このため、この部分に外装プレート50を本体部30の外面に配設した場合には、ナット保持部44は、逃げ部68が形成されている部分に位置し、外装プレート50は、ナット保持部44に当接することなく配設される。また、この場合、ナット88が入り込んだ状態のナット保持部44を外装プレート50で覆うため、ナット保持部44から抜け出る方向へのナット88の移動が外装プレート50によって規制され、ナット保持部44によって保持された状態が維持される。これにより、ナット88は、本体部30に回転不可の状態で保持される。
【0062】
なお、これらのように、ナット保持部44を外装プレート50で覆う場合には、蝶番70やマグネットラッチ80をビス86とナット88とで本体部30に取り付けた後、本体部30に外装プレート50を接合してもよく、または、ナット保持部44でナット88を保持させた状態で本体部30に外装プレート50を接合した後、蝶番70やマグネットラッチ80を取り付けてもよい。
【0063】
また、開閉扉22において、当該開閉扉22を閉じた際に、本体部30に取り付けられるマグネットラッチ80のマグネット部82が位置する部分には、金属プレート(図示省略)が取り付けられる。これにより、開閉扉22を閉じる状態に近くなり、金属プレートがマグネットラッチ80のマグネット部82に近付いた場合には、マグネット部82の磁力によって金属プレートはマグネット部82に引き寄せられ、金属プレートはマグネット部82に当接する。つまり、開閉扉22は閉じた状態になる。この場合、開閉扉22の金属プレートは、マグネット部82に引き寄せられ続けるため、外部から開閉扉22を開く力が入力されるまで、開閉扉22は閉じた状態を維持し続ける。
【0064】
これらのように組み立てられるキャビネット1を、所望の位置に設置する場合には、設置する部分の壁に埋込部10を埋め込み、設置用ボルト12によって固定する。これにより、壁面からの突出寸法を大きくし過ぎることなく、収容部32の奥行きを確保できる。また、このように、埋込部10を壁に埋め込むことにより、外装プレート50の埋込部10側の側面への木口テープの貼り付けを省略できる。つまり、埋込部10を壁に埋め込むことにより、外装プレート50の埋込部10側の側面は、壁面に当接するため、壁面によって隠蔽される状態になる。このため、この側面への木口テープの貼り付けを省略することができる。
【0065】
以上のキャビネット1は、本体部30と外装プレート50とを異なる素材で形成し、本体部30は合成樹脂によって形成し、外装プレート50は木製の合板によって形成するため、耐久性の確保と美観の確保とを両立することができる。つまり、外部から視認できる外装プレート50は、美観を確保できる合板によって形成し、収容部32を有すると共に、外面側に外装プレート50が配設されることにより外部からは視認できない本体部30は、耐久性を確保できる合成樹脂によって形成することにより、耐久性と美観との双方を両立することができる。また、外装プレート50の接合木口58が、本体部30の接合部38によって隠蔽されるように、外装プレート50を接合部38に接合することにより、外装プレート50における外部から視認可能な部分を減少させることができ、製造工程の簡略化を図ることができる。つまり、接合木口58を接合部38によって隠蔽しない場合には、接合木口58に木口テープを貼ることによって、接合木口58に対して美観を確保できる処理を施す必要があるが、接合木口58が隠蔽されるように接合部38に接合することにより、このような処理を省くことができる。また、このように、接合木口58を隠蔽することにより、美観を確保できる処理を施していない接合木口58が外部から視認可能な状態になることを抑制することができる。これらの結果、耐久性を確保しつつ製造コストの上昇を抑制し、さらに美観を確保することができる。
【0066】
また、本体部30は、合成樹脂で形成されているが、合成樹脂で成形をする場合、合成樹脂を所望の形状にすることができる型から抜き取ることにより、合成樹脂で所望の形状を形成する。合成樹脂で成形をする場合には、このように型から抜き取る作業が必要になるため、型には抜き勾配が形成されており、このため、本体部30にも抜き勾配が形成されることになる。具体的には、本体部30は、外側の面が、開口部36側から収容部32の奥の方、即ち、前方側から後方側に向かうに従って、上下方向や左右方向の幅が小さくなる方向に傾斜している。これにより、外装プレート50を本体部30の外面に直接取り付けた場合、外装プレート50の接合木口58が本体部30の接合部38に対して傾斜し、接合木口58と接合部38との間に隙間が発生する場合がある。この場合、接合木口58を視認することが可能になるので、接合木口58に木口テープを貼っていない場合には美観が低下したり、この美観の低下を抑えるために木口テープを貼ったりする必要がある。これに対し、上述したキャビネット1では、外装プレート50は、接合木口58を直接本体部30の接合部38に接合するので、本体部30を形成する材料に関わらず、外装プレート50の接合木口58が外部から視認可能な状態になることを、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に製造コストの上昇を抑制しつつ、美観を確保することができる。
【0067】
また、外装プレート50の接合木口58を本体部30の接合部38に接合する場合には、接合部38に形成される突起部40と、接合木口58に形成される接合穴60とを使用し、突起部40を接合穴60に差し込むことにより接合するため、外装プレート50と本体部30とを、より確実に接合することができる。これにより、美観を確保する外装プレート50と収容部32を有する本体部30とを、個別に設置する必要がなく、これらを一体にした状態でキャビネット1を容易に設置することができる。この結果、美観を確保しつつ、より確実に製造コストの上昇を抑制することができる。
【0068】
また、蝶番70やマグネットラッチ80を本体部30に取り付ける際に使用するナット88を、本体部30のナット保持部44に保持された状態で外装プレート50によって覆うことにより、ナット88を回転不可の状態で保持している。これにより、蝶番70やマグネットラッチ80、開閉扉22の組み付けを行った後に、蝶番70やマグネットラッチ80の取り外しや調節を行う場合に、外装プレート50を外す必要がなく、これらの調節を容易に行うことができる。また、ナット88は、外装プレート50に覆われることにより、ナット保持部44から脱落することなく保持することができるため、ビス86を着脱したり緩めたりすることによって蝶番70等の調節を行う場合に、調節を繰り返し行うことができ、開閉扉22を、より適切な状態で開閉可能に設けることができる。この結果、開閉扉22の開閉動作を適切なものにすることができ、より確実に美観を確保しつつ、開閉扉22の開閉時における使い勝手を確保することができる。
【0069】
また、上面外装プレート52と側面外装プレート54との接続部分は、側面外装プレート54の端面62を上面外装プレート52で覆うように接続し、側面外装プレート54と底面外装プレート56との接続部分は、底面外装プレート56の端面62を側面外装プレート54で覆うように接続している。このため、キャビネット1を上方から見た場合に、外装プレート50同士の接続部分付近における各外装プレート50の内側の面、即ち、本体部30側の面を視認することができないようにすることができる。従って、外装プレート50の内側の面に対して化粧シートを貼り付けることを省略した場合でも、化粧シートを貼り付けていない面が外部から視認可能な状態になることを、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に製造コストの上昇を抑制しつつ、美観を確保することができる。
【0070】
また、キャビネット1に埋込部10を設け、埋込部10を壁に埋め込んで設置することにより、外装プレート50の埋込部10側の側面への木口テープの貼り付けを省略することができる。この結果、より確実に製造コストの上昇を抑制しつつ、美観を確保することができる。
【0071】
図10は、蝶番を覆う保護カバーの斜視図である。なお、上述したキャビネット1では、本体部30に取り付けられる蝶番70は、本体部30の内部に露出した状態で固定されているが、本体部30の内部には、蝶番70を覆うカバーを取り付けてもよい。本体部30の内部には、例えば、図10に示すような保護カバー100を取り付けてもよい。この図10に示す保護カバー100は、略碗状の形状で合成樹脂によって形成されると共に、略碗状の開口側の部分において、開口部分の周上における互いに反対側に位置する2箇所の部分に、開口している方向に突出して係合部102が形成されている。この係合部102は、係合部102が形成される開口部分に概ね沿った板状の形状で形成されており、この板状の厚さ方向にと突出した引っ掛かり部分が形成されている。また、この保護カバー100は、開口部分の周上における2箇所の係合部102の中間部分付近が切り欠かれており、この部分は、カバー開口部104して形成されている。
【0072】
図11は、図10に示す保護カバーを本体部に取り付けた状態を示す要部断面図である。保護カバー100を取り付ける場合には、本体部30には、蝶番70の本体部側取付部72が取り付けられる部分の近傍に、保護カバー100の係合部102と係合する係合穴110を形成する。この係合穴110は、上下方向における本体部側取付部72の両側に形成する。また、外装プレート50における、本体部30への本体部側取付部72の取り付け部分の近傍には、係合部102が係合穴110に係合した場合における係合部102に対する逃げである係合部逃げ部112が形成されている。
【0073】
この係合部逃げ部112は、本体部30における本体部側取付部72が取り付けられる部分の外面側に配設される側面外装プレート54に形成されており、本体部30の係合穴110に対して重なる位置に、係合穴110よりも大きい開口面積で開口すると共に、係合部102を逃がすことのできる深さの溝状の形状で形成されている。
【0074】
保護カバー100を、このように形成されている本体部30に取り付ける場合には、保護カバー100のカバー開口部104が、開閉扉22側に位置する向きにして、保護カバー100の係合部102を係合穴110に通す。これにより、開閉扉22と本体部30とを接続する蝶番70は、カバー開口部104の部分に位置する状態になる。
【0075】
この状態で、保護カバー100の係合部102を係合穴110に通すが、係合部102には、突出した引っ掛かり部分が形成されている。また、保護カバー100は合成樹脂によって形成されているため、可撓性を有している。このため、保護カバー100を撓ませて、係合部102の引っ掛かり部分を係合穴110に通し、この部分が係合穴110を通った後、保護カバー100を撓ませる力を除去することにより、引っ掛かり部分を、係合穴110における外装プレート50側から係合穴110の縁に引っ掛ける。これにより、開閉扉22と本体部30とを蝶番70で接続しつつ、蝶番70において本体部30側に位置する部分を保護カバー100で覆う。
【0076】
このように、蝶番70を保護カバー100で覆うことにより、開閉扉22を開けた際に、蝶番70が露出する部分が減少するため、収容部32内の統一感を図ることができ、美観を向上させることができる。また、収容部32を清掃する際に、保護カバー100は蝶番70に対して単純な形状をしているため、清掃を容易に行うことができる。また、清掃時に洗浄剤を使用した場合に、洗浄剤が蝶番70に付着することを抑制でき、洗浄剤によって蝶番70に錆が発生することを抑制できる。
【0077】
また、このように本体部30に取り付けた保護カバー100を取り外す場合には、保護カバー100を撓ませることにより、係合部102の引っ掛かり部分が、本体部30の係合穴110に引っ掛からない状態にする。これにより、係合部102は係合穴110から引き抜くことができるので、係合部102を引き抜くことにより、保護カバー100を本体部30から取り外す。このように、保護カバー100を本体部30から取り外すことにより、蝶番70を固定しているビス86を回すことができ、蝶番70の調節を行うことができる。これらのように、保護カバー100を設けることにより、蝶番70の調節性を確保しつつ、美観の向上を図ることができ、清掃性を向上させることができる。
【0078】
また、保護カバー100は、本体部30に形成した係合穴110に係合させ、係合穴110は、係合部逃げ部112を有する外装プレート50によって覆うので、保護カバー100を取り付けるために係合する部分が外部から視認可能な状態になることを抑制できる。従って、美観を確保しつつ、蝶番70の保護カバー100を設けることができる。
【0079】
また、上述したキャビネット1では、外装プレート50同士の接続部分の組み合わせは、側面外装プレート54の上方側の端面62を上面外装プレート52で覆い、底面外装プレート56の両端面62を側面外装プレート54で覆っているが、外装プレート50同士の接続部分の組み合わせは、これ以外でもよい。キャビネット1の大きさや使用態様、設置位置等によって、キャビネット1を視認する方向が異なるため、外装プレート50同士の接続部分の組み合わせは、この視認方向に応じた組み合わせになるのが好ましい。つまり、外装プレート50同士の接続部分の組み合わせは、キャビネット1を見た場合に、外装プレート50同士の接続部分付近における各外装プレート50の内側の面を視認することができないようにすることができることができる組み合わせであれば、上述した組み合わせ以外でもよい。各外装プレート50の内側の面を視認することができない組み合わせで、外装プレート50同士を接続することにより、より確実に製造コストの上昇を抑制しつつ、美観を確保することができる。
【0080】
また、上述したキャビネット1は、ペーパーホルダー部4と収納本体部20とを有するキャビネット1となっているが、キャビネット1は、これ以外の構成でもよい。少なくとも収容部32を有する本体部30の外面側に、本体部30とは異なる素材によって形成される外装プレート50等の外装部が配設されるキャビネット1であれば、その構成は上述したもの以外のものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上のように、本発明に係る異種材料キャビネットは、異なる複数の材料からなる部材が組み合わされるキャビネットに有用であり、特に、美観を確保する場合に適している。
【符号の説明】
【0082】
1 キャビネット
4 ペーパーホルダー部
20 収納本体部
22 開閉扉
30 本体部
32 収容部
36 開口部
38 接合部
40 突起部
42 本体側取付穴
44 ナット保持部
50 外装プレート
58 接合木口
60 接合穴
62 端面
70 蝶番
80 マグネットラッチ
86 ビス
88 ナット
100 保護カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面側が収容部として形成される本体部と、
前記本体部の外面から突出して設けられる接合部と、
前記本体部とは異なる素材により形成され、且つ、前記本体部の外面側に配設されると共に、前記接合部に接合され、前記接合部に接合される接合側面が前記接合部によって隠蔽される外装部と、
を備えることを特徴とする異種材料キャビネット。
【請求項2】
前記接合部には、前記外装部の前記接合側面が接合される面に突起部が形成されており、
前記外装部には、前記接合側面に前記突起部が入り込む接合穴が形成されており、
前記接合部と前記外装部とは、前記突起部が前記接合穴に入り込むことにより接合されることを特徴とする請求項1に記載の異種材料キャビネット。
【請求項3】
前記本体部には、前記収容部の開口部分を閉じることができる開閉扉が取り付けられており、
前記開閉扉は、前記本体部に取り付けられる開閉部材を介して前記本体部に取り付けられることにより、前記収容部を開閉可能になっており、
前記開閉部材は、前記本体部に対してはビスとナットとにより前記本体部の前記内面に取り付けられており、
前記ナットは、前記本体部の前記外面に形成されたナット保持部に保持された状態で前記外装部に覆われることにより、前記本体部に回転不可の状態で保持されること特徴とする請求項1または2に記載の異種材料キャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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