説明

異種配列の発現

本発明により、異種配列の発現のための組成物および方法が提供される。これらの組成物および方法は、治療用途、診断用途、および産業用途の、大量の異種タンパク質および核酸を発現するのに特に有用である。一局面において、本発明は、宿主細胞中で異種配列を発現させる方法を提供し、この方法は、この異種配列が発現される培地中および条件下でこの宿主細胞を培養する工程を含み、この異種配列が、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結され、そしてこの異種配列の発現が、この培地にガラクトースを直接補充することなく誘導される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
この出願は、2008年4月8日に出願された、米国仮出願第61/123,562号(この出願は、その全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
多数のヒト用の治療薬、ワクチン、診断薬、ならびに多くの産業用物質、および商業的に有用な産物は、多様な発現系を利用して組み換えによって生産することができる。遺伝子発現系は、2つのクラス:誘導性発現系と非誘導性(恒常的)発現系に大きく分類される。誘導性の遺伝子発現系では、典型的には、最小限のタンパク質生産(例えば、無視できる程度のタンパク質の生産)しかないか、または誘導物質が提供されるまではタンパク質はほとんど生産されない。一方、非誘導性の(恒常的)遺伝子発現系には、典型的にはそのような誘導は必要なく、タンパク質の生産は、一般的には、恒常的な遺伝子発現系から連続して起こる。
【0003】
特定の研究の設定のような一部の状況においては、誘導性の遺伝子発現系は、これにより生理学的に最適なタイミングとレベル(例えば、細胞の生理学的状態に対して毒性ではないレベル)でのタンパク質生産の制御が可能であるので、より望ましい。
【0004】
頻繁に使用される誘導性の遺伝子発現系は、酵母におけるGAL調節をベースとする。酵母は炭素源としてガラクトースを利用することができ、GAL遺伝子を使用して、ガラクトースを輸送し、細胞内でこれを代謝する。GAL遺伝子としては、構造遺伝子であるGAL1、GAL2、GAL7、およびGAL10遺伝子(これらはそれぞれ、ガラクトキナーゼ、ガラクトースペルメアーゼ、α−D−ガラクトース−1−リン酸ウリジルトランスフエラーゼ、およびウリジンジホスホガラクトース−4−エピメラーゼをコードする)、ならびに調節遺伝子GAL4、GAL80、およびGAL3が挙げられる。GAL4とGAL80の遺伝子産物およびタンパク質はそれぞれ、GAL1、GAL2、GAL7、およびGAL10遺伝子の発現のポジティブならびにネガティブな調節因子である。
【0005】
ガラクトースが存在しなければ、これらの構造タンパク質(Gal1p、Gal2p、Gal7p、およびGal10p)の発現は通常はほとんど検出されない。Gal4pは、上流の活性化配列(UAS)(例えば、GAL構造遺伝子の活性化配列)に結合することによって転写を活性化させる。しかし、Gal4pの転写活性はGal80pによって阻害される。ガラクトースが存在しなければ、Gal80pはGal4pと相互作用して、Gal4pの転写活性を妨げる。しかし、ガラクトースが存在すれば、Gal3pはGal80pと相互作用して、Gal80pによるGal4pの発現を緩和する。これにより、Gal4p結合配列(例えば、GAL1、GAL2、GAL7、およびGAL10)の下流の遺伝子を発現させることができる。
【0006】
従来のガラクトース誘導性の発現系には、多数の深刻な欠点があるが、それにも関らず、厳密な調節が提供され、そして異種タンパク質の高レベルの生産がサポートされる。最も厳しい制限は、異種タンパク質の発現を活性化させるためにはガラクトースの直接の補充が必要であることである。実際、宿主細胞が所望される密度に達した後に、所定の配列の発現を誘導するために培養培地に多量のガラクトースが直接添加される。しかし、ガラクトースは高価な商品である。多くの場合には、大規模生産(特に、利鞘の少ない製品の大規模生産)にガラクトースを利用することには桁外れの費用がかかる。したがって、同等の堅牢性があり、従来の系よりコスト効果の高い、代替発現系の設計が相当に求められている。本発明はこの要求を満たし、そしてさらに関連する利点を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、ガラクトース誘導性発現系を使用する細胞培養物中での産物の異種生産のための方法が提供される。
【0008】
1つの態様においては、本発明には、宿主細胞中で異種配列を発現させる方法が含まれる。この方法には、培地中で、そして異種配列が発現される条件下で宿主細胞を培養する工程が含まれる。ここでは、異種配列は、ガラクトース誘導性の調節エレメントに作動可能であるように連結されており、異種配列の発現は、上記培地にガラクトースを直接補充しなくても誘導される。いくつかの実施形態においては、培地には、ガラクトースではない糖(例えば、ラクトース)が含まれ、上記異種配列の発現は、このガラクトースではない糖によって、ガラクトースが補充された培地中で上記宿主細胞を培養することによって得られるレベルと同等のレベルにまで誘導される。ここでは、補充されたガラクトースの量とガラクトースではない糖の量は、モルで測定した場合には同程度である。発現を誘導することができる異種配列としては、任意の核酸配列(例えば、アンチセンス分子、siRNA、miRNA、EGS、アプタマー、およびリボザイム)が挙げられる。核酸配列はまた、タンパク質様産物をコードすることもできる。設計される場合には、異種配列は単一の発現ベクター上にまたは、複数の発現ベクター上に存在させることができる。
【0009】
本発明によってはまた、宿主細胞中でイソプレノイドを生産させる方法も提供される。この方法には、メバロン酸非依存性デオキシキシルロース5−リン酸(DXP)経路またはメバロン酸(MEV)経路の1種類またはそれ以上の酵素をコードする1種類またはそれ以上の異種配列を発現する宿主細胞を培養する工程が含まれる。ここでは、上記1種類またはそれ以上の異種配列は、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結されており、そして、上記1種類またはそれ以上の異種配列の発現は、上記培地にガラクトースを直接補充しなくても誘導される。いくつかの実施形態においては、1種類またはそれ以上の異種配列の発現は、ラクトースの存在下で誘導される。異種配列は単一の発現ベクター上に、または、複数の発現ベクター上に存在させることができる。生産されるイソプレノイドは可燃性であり得る。いくつかの実施形態においては、宿主細胞にはさらに、プレニルトランスフェラーゼまたはイソプレノイドシンターゼをコードする外因性配列が含まれる。いくつかの実施形態においては、これらの方法には、ラクトースおよび/またはラクターゼを含む培地が含まれる。
【0010】
本発明のなお別の態様においては、宿主細胞が本発明の方法において使用される。宿主細胞には、ガラクトーストランスポーター(例えば、GAL2ガラクトーストランスポーター)が含まれ得る。他の実施形態においては、宿主細胞にラクトーストランスポーターが含まれ得る。宿主細胞にはまた、ラクターゼ酵素をコードする外因性配列も含まれ得る。いくつかの実施形態においては、この外因性配列は分泌可能なラクターゼをコードする。
【0011】
いくつかの実施形態においては、宿主細胞は、デオキシキシルロース5−リン酸(DXP)経路を介してイソプレノイドを生産することができる。ここでは、この異種配列は、メバロン酸非依存性デオキシキシルロース5−リン酸(DXP)経路またはメバロン酸(MEV)経路の1種類またはそれ以上の酵素をコードする。ここでは、上記異種配列は、これらの経路の1種類またはそれ以上の酵素をコードする。いくつかの実施形態においては、生産されるイソプレノイドは可燃性である。
【0012】
いくつかの実施形態においては、ガラクトース誘導性調節エレメントはエピソーム性である。他の実施形態においては、ガラクトース誘導性調節エレメントは上記宿主細胞のゲノムに組み込まれる。ガラクトース誘導性調節エレメントには、GAL7プロモーター、GAL2プロモーター、GAL1プロモーター、GAL10プロモーター、GAL3プロモーター、GCY1プロモーター、GAL80プロモーターからなる群より選択されるガラクトース誘導性プロモーターが含まれ得る。宿主細胞にはまた、ラクターゼまたはその生物学的に活性な断片も含まれ得る。宿主細胞は、ガラクトースを異化する低減された能力を示し得る。いくつかの実施形態においては、宿主細胞は、機能性GAL1タンパク質、GAL7タンパク質、および/またはGAL10タンパク質を欠いている。いくつかの実施形態においては、宿主細胞はGal4タンパク質を発現する。いくつかの実施形態においては、宿主細胞は、GAL4を構成的なプロモーターの制御下で発現する。
【0013】
なお別の態様においては、宿主細胞は原核生物細胞である。他の実施形態においては、宿主細胞は真核生物細胞、例えば、Saccharomyces cerevisiae細胞である。宿主細胞は、培地中で培養すると、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結された異種配列を発現するように修飾することができる。ここでは、上記異種配列の発現は、上記培地にガラクトースを直接補充しなくても誘導される。培地には、ガラクトースではない化合物、例えば、ラクトースが含まれ得、そして異種配列の発現は、ガラクトースではない化合物と同等のガラクトースのモル量が補充された培地中で宿主細胞を培養することによって得られるレベルと同等のレベルにまで誘導される。さらに、目的の宿主細胞を含む細胞培養物が、本発明において提供される。
【0014】
本発明によってはまた、発現ベクターも提供される。本発明の発現ベクターには、通常は、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結された第1の異種配列と、ラクターゼまたはその生物学的に活性な断片をコードする第2の異種配列とが含まれる。この場合、宿主細胞に導入されると、上記発現ベクターは、上記細胞が上記第1の異種配列の発現の誘導に十分な量のラクトースが補充されている培地中で培養される場合には、上記宿主細胞中での上記第1の異種配列の発現を生じる。第2の異種配列は、ラクトースをグルコースとガラクトースとに加水分解するラクターゼまたは生物学的に活性な断片をコードし得る。発現ベクターにはさらに、DXP経路またはMEV経路の酵素またはそれらの生物学的に活性な断片をコードする異種配列が含まれ得る。ベクターにはまた、ラクトーストランスポーターまたはガラクトーストランスポーターをコードする異種配列も含まれ得る。
【0015】
少なくとも1つの第1の発現ベクターと少なくとも1つの第2の発現ベクターとを含む発現ベクターのセットもまた、本明細書中で提供される。ここでは、第1の発現ベクターには、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結された第1の異種配列が含まれ、そして第2の発現ベクターには、ラクターゼまたはその生物学的に活性な断片をコードする第2の異種配列が含まれる。この場合、宿主細胞に導入されると、この発現ベクターのセットは、上記細胞が培地中で培養される場合に上記宿主細胞中での上記第1の異種配列の発現を生じる。この場合、培地には、第1の異種配列の発現を誘導するために十分な量のラクトースが補充される。ラクターゼまたはその生物学的に活性な断片をコードする第2の異種配列を発現し、ラクトースをグルコースとガラクトースとに加水分解することができる。この発現ベクターのセットにはさらに、DXP経路またはMEV経路の酵素またはそれらの生物学的に活性な断片をコードする異種配列が含まれ得る。このセットにはまた、さらに、ラクトーストランスポーターまたはガラクトーストランスポーターをコードする異種配列も含まれ得る。本発明の発現ベクターまたは発現ベクターのセットと、キットの使用説明書とを含むキットもまた提供される。
【0016】
(参考文献による引用)
本明細書中で言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許、または特許出願が引用により組み入れられることが具体的かつ個別に示されているのと、同じ程度で、引用により本明細書中に組み入れられる。
【0017】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲において具体的に示される。本発明の特徴および利点についてのより良い理解は、例示的な実施形態を示す以下の詳細な説明と添付の図面を参照することによって得られるであろう。以下の詳細な説明では、本発明の原理が利用される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、ラクターゼによって触媒されるような、ラクトースのβ−D−ガラクトースとD−グルコースへの変換の模式図である。
【図2−1】図2は、DNA断片ERG20−PGAL−tHMGR(A)、ERG13−PGAL−tHMGR(B)、IDI1−PGAL−tHMGR(C)、ERG10−PGAL−ERG12(D)、およびERG8−PGAL−ERG19(E)のマップを示す。
【図2−2】図2は、DNA断片ERG20−PGAL−tHMGR(A)、ERG13−PGAL−tHMGR(B)、IDI1−PGAL−tHMGR(C)、ERG10−PGAL−ERG12(D)、およびERG8−PGAL−ERG19(E)のマップを示す。
【図3】図3は、プラスミドpAM404のマップを示す。
【図4】図4は、DNA断片GAL74〜1021−HPH−GAL11637〜2587(A)、GAL7125〜598−HPH−/GAL4〜−549−GAL4−GAL11585〜2088(B)、およびGAL7126〜598HPH−QGAL4OC−GAL4−GAL11585〜2088(C)のマップを示す。
【図5】図5は、DNA断片5’遺伝子座−NatR−LAC12−PTDH1−PPGK1−LAC4−3’遺伝子座のマップを示す。
【図6−1】図6は、ガラクトースまたはラクトースを含む培養培地中での宿主株Y435およびY596によるβ−ファルネセンの生産を示す。
【図6−2】図6は、ガラクトースまたはラクトースを含む培養培地中での宿主株Y435およびY596によるβ−ファルネセンの生産を示す。
【図6−3】図6は、ガラクトースまたはラクトースを含む培養培地中での宿主株Y435およびY596によるβ−ファルネセンの生産を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
本発明の好ましい実施形態が本明細書中に示され、記載されているが、そのような実施形態が例として提供されるにすぎないことは当業者に明らかであろう。ここでは、多数のバリエーション、変更、および代用が、本発明から逸脱することなく当業者によって行われるであろう。本明細書中に記載される本発明の実施形態についての様々な代替えが本発明の実施の際に使用され得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義すること、そしてこれらの特許請求の範囲内にある方法と構造、ならびにそれらの等価物がそれによって満たされることが意図される。
【0020】
(一般的技術)
本発明の実施では、他に明記されない限りは、免疫学、生化学、化学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、遺伝学、および組み換えDNAの従来技術が使用される。これらは、当業者の知識の範囲内である。Sambrook,Fritsch and Maniatis,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,第2版(1989);CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(F.M.Ausubelら編(1987));シリーズMETHODS IN ENZYMOLOGY(Academic Press,Inc.):PCR 2:A PRACTICAL APPROACH(MJ.MacPherson,B.D.Hames and G.R.Taylor編(1995)),Harlow and Lane編(1988)ANTIBODIES,A LABORATORY MANUAL,and ANIMAL CELL CULTURE(R.I.Freshney編(1987))を参照のこと。
【0021】
(定義)
他に定義されない限りは、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を持つ。以下の意味を持つと定義されるべきである多数の用語が言及される。
【0022】
用語「構築物」または「ベクター」は、特定のヌクレオチド配列(単数または複数)の発現および/または増幅の目的のために作製されているか、あるいは、他の組み換え体ヌクレオチド配列の構築に使用される組み換え体核酸、一般的には、組み換え体DNAをいう。
【0023】
用語「外因性」は、自然界においては通常は所定の細胞中では見られないおよび/または所定の細胞によっては生産されないことをいう。
【0024】
用語「内因性」は、自然界においては通常は所定の細胞中で見られるおよび/または所定の細胞によって生産されることをいう。
【0025】
用語「ガラクトース誘導性発現系」は、ガラクトース誘導機構とガラクトース誘導性調節エレメントとの組み合わせをいう。
【0026】
用語「ガラクトース誘導機構」は、ガラクトースの存在下で、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結された異種配列の転写を誘導するタンパク質の集まりをいう。ガラクトース誘導機構の一例は、酵母タンパク質Gal3p、Gal4p、およびGal80p、またはそれらの機能性ホモログの集まりである。
【0027】
用語「ガラクトース誘導性発現カセット」は、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結された異種配列を含むヌクレオチド配列をいう。ガラクトース誘導性発現カセットは、ガラクトースが存在する場合に誘導される(すなわち、その異種配列がmRNAに転写される)。
【0028】
用語「ガラクトース誘導性プロモーター」は、ガラクトースによって調節される転写活性化因子が結合し、それによって調節されるプロモーター配列をいう。例えば、ガラクトース誘導性プロモーターは、Gal4pまたはその機能性ホモログによって調節される。
【0029】
用語「異種」は、自然界においては通常見られないことをいう。用語「タンパク質の異種生産」は、そのタンパク質を通常は生産しない細胞によるタンパク質の生産、または細胞によって通常生産されないレベルでのタンパク質の生産をいう。用語「異種配列」は、自然界においては、所定の細胞中では通常見られないヌクレオチド配列をいう。この用語には、以下の少なくとも1つが当てはまる核酸が含まれる:(a)所定の細胞に外部から導入される核酸(したがって、この配列がそのレシピエント細胞にとって外来のものであるかまたは自身のものであるかにはかかわらず、「外因性配列」);(b)核酸に、所定の細胞中で自然界において見られるヌクレオチド配列が含まれる(例えば、核酸に、その細胞にとって内因性であるヌクレオチド配列が含まれる)が、この核酸が、その細胞中で異常な(例えば、予想されるよりも多い、または自然界で見られるよりも多い)量で生産されるか、あるいはそのヌクレオチド配列が内因性ヌクレオチド配列とは異なり、その結果、内部で見られるその同じコードされるタンパク質(同じアミノ酸配列を持つかまたは実質的に同じアミノ酸配列を持つ)が、その細胞中で異常な(例えば、予想されるよりも多い、または自然界で見られるよりも多い)量で生産されるかのいずれかである;(c)核酸に、自然界においては互いに同じ関係では見られない2種類またはそれ以上のヌクレオチド配列あるいはセグメントが含まれる(例えば、核酸が組み換え体である)。
【0030】
用語「宿主細胞」は、ガラクトース誘導機構を含む任意の細胞をいい、そしてこれには、任意の適切な古細菌細胞、細菌細胞、または真核生物細胞が含まれる。
【0031】
用語「誘導する」、「誘導」、および「誘導性」は、ヌクレオチド配列の転写の活性化、またはヌクレオチド配列の転写の抑制の緩和をいう。用語「ガラクトース誘導性」は、ガラクトースの存在下でのヌクレオチド配列の転写の活性化、またはガラクトースの存在下でのヌクレオチド配列の転写の抑制の緩和をいう。
【0032】
用語「発現」は、それによってポリヌクレオチドがmRNAに転写されるプロセス、および/またはそれによって転写されたmRNA(「転写物」とも呼ばれる)が、続いてペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質に翻訳されるプロセスをいう。転写物およびコードされるポリペプチドは、まとめて「遺伝子産物」と呼ばれる。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合は、発現には、真核生物細胞中のmRNAのスプライシングが含まれ得る。
【0033】
「作動可能であるように連結される(operably linked)」または「作動可能であるように連結される(operatively linked)」は、そのように記載された要素が、それらについて意図される様式でそれらが機能できる関係にある並置をいう。例えば、プロモーター配列は、プロモーター配列がコード配列の転写を促進する場合には、コード配列に作動可能であるように連結される。
【0034】
用語「イソプレノイド」は、イソペンテニル二リン酸(「IPP」)によって誘導することができる分子をいい、そしてこれには1つまたは複数のIPP結合部(unites)が含まれ得る。
【0035】
用語「ラクターゼ」は、ラクトース中のβ−グリコシド結合をガラクトース(例えば、β−D−ガラクトース)とグルコース(例えば、D−グルコース)を生じるように加水分解することができる酵素をいう。「ラクターゼ」に触媒されるラクトースの加水分解は図1に模式的に示される。
【0036】
用語「ラクトース」は、分子式C122211で、βl−4グリコシド結合によって結合したβ−D−ガラクトース分子とD−グルコース分子からなる二糖をいう。「ラクトース」の構造と、β−D−ガラクトースとD−グルコースとへの加水分解を図1に示す。
【0037】
用語「MEV経路」は、アセチル−CoAのイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(「IPP」)への変換のための生合成経路をいう。MEV経路の酵素としては、アセチル−コエンザイムAの2つの分子をアセトアセチル−CoAに変換することができる酵素、アセトアセチル−CoAとアセチル−コエンザイムAとを3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA(HMG−CoA)に変換することができる酵素、HMG−CoAをメバロン酸塩に変換することができる酵素、メバロン酸塩をメバロン酸5−リン酸に変換することができる酵素、メバロン酸5−リン酸をメバロン酸5−ピロリン酸に変換することができる酵素、およびメバロン酸5−ピロリン酸をIPPに変換することができる酵素が挙げられる。
【0038】
用語「ヌクレオチド配列」は、DNA鎖またはRNA鎖中の核酸塩基の順序をいう。
【0039】
用語「作動可能であるように連結される」は、そのように記載された要素が、それらについて意図される様式でそれらが機能できる関係にある並置をいう。例えば、プロモーターは、プロモーターがタンパク質コード配列のmRNAへの転写に影響を与える場合には、そのタンパク質コード配列に作動可能であるように連結される。
【0040】
用語「プレニル二リン酸シンターゼ」は、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(「IPP」)および/またはジメチルアリルピロリン酸(「DMAPP」)をプレニル二リン酸に変換することができる酵素をいう。プレニル二リン酸の例は、ファルネシル二リン酸(「FPP」)、ゲラニル二リン酸(「GPP」)、およびゲラニルゲラニル二リン酸(「GGPP」)である。
【0041】
用語「タンパク質コード配列」は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列をいう。
【0042】
用語「実質的に純粋」は、1種類またはそれ以上の化合物を実質的に含まないこと、すなわち、組成物に、その組成物の全容量に対して、80容量%を上回る、90容量%を上回る、95容量%を上回る、96容量%を上回る、97容量%を上回る、98容量%を上回る、99容量%を上回る、99.5容量%を上回る、99.6容量%を上回る、99.7容量%を上回る、99.8容量%、または99.9容量%を上回る化合物が含まれるか、あるいは、20容量%未満、10容量%未満、5容量%未満、3容量%未満、1容量%未満、0.5容量%未満、0.1容量%、または0.01容量%未満の1種類またはそれ以上の他の化合物が含まれることをいう。
【0043】
用語「組み換え体」は、特定の核酸(DNAまたはRNA)が、天然の系において見られる内因性核酸とは区別することができる構造的コード配列または非コード配列を有している構築物を生じる、クローニング、制限酵素消化、および/または連結工程の様々な組み合わせの産物であることをいう。
【0044】
用語「調節エレメント」は、転写制御配列および翻訳制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター、タンパク質分解シグナルなど)をいう。これらは、転写物、コード配列の発現をもたらし、そして/またはその発現を調節する、ならびに/あるいは細胞中でのコードされるポリペプチドの生産をもたらす。
【0045】
用語「シグナルペプチド」は、細胞からのタンパク質の分泌を媒介するタンパク質のアミノ酸配列のセグメントをいう。
【0046】
用語「テルペンシンターゼ」は、1種類またはそれ以上のプレニルピロリン酸をイソプレノイドに変換することができる酵素をいう。
【0047】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、別のポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対して特定の割合の「配列同一性」を有する。このことは、アラインメントされた際に、2つの配列を比較して、塩基またはアミノ酸のうちのその割合が同じであり、そして同じ相対位置にあることを意味している。配列同一性を決定するためには、配列は、公に広く利用することができる方法およびコンピュータープログラム(これには、BLAST(www.ncbi.nlm.nih.gov/BLASTで利用することができる)、FASTA(Genetics Computing Group(GCG)package,Madison,WIで利用することができる)、Smith−Watermanアルゴリズム、Needleman and Wunschアラインメントが含まれる)、ならびに他の技術を使用してアラインメントされ得る。
【0048】
用語「トランスポーター」は、細胞膜または細胞小器官の膜を横断する化合物の移動を媒介するタンパク質をいう。
【0049】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、「アミノ酸配列」、および「タンパク質」は、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいうために、本明細書中では互換的に使用される。ポリマーは、直鎖である場合もまた分岐鎖でもある場合もあり、ポリマーには、修飾されたアミノ酸が含まれる場合があり、そしてポリマーには非アミノ酸が間に介在する場合がある。この用語にはまた、例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作(例えば、標識成分との結合)によって修飾されているアミノ酸ポリマーも含まれる。本明細書中で使用される場合は、用語「アミノ酸」は、天然のアミノ酸または異常なアミノ酸または合成のアミノ酸のいずれかをいい、これには、グリシンと、D光学異性体またはL光学異性体の両方、ならびにアミノ酸アナログおよびペプチド模倣物が含まれるがこれらに限定されない。
【0050】
(異種配列の誘導性発現)
本発明により異種配列を発現させるための組成物と方法が提供される。これにより、宿主細胞中での異種生産が生じる。1つの態様においては、異種配列はガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結されるが、その発現は、培養培地にガラクトースを直接補充しなくても誘導される。誘導は、1種類またはそれ以上の化合物、典型的には、ラクトース(ガラクトースに分解することができる)の添加によって起こり、それによって生じるガラクトースが、異種配列の発現を誘導する。他の実施形態においては、異種配列の発現は、ラクターゼが発現されると誘導される。ラクターゼは、培地中に存在するラクトースを加水分解してガラクトースを生じる。次いで、ガラクトースが目的の異種配列の発現を活性化させる。異種配列の発現は、適合量(モル量として測定した)のガラクトースが補充された培地中で宿主細胞を培養することによって得られるレベルと同等のレベルまで誘導され得る。特に、ラクトースが補充された培地中での宿主細胞の培養によって生産された異種産物の量は、同じモル量または同等のモル量のガラクトースが補充された培地中で生産される量と同等である。
【0051】
別の実施形態では、培養培地には、ラクトースをガラクトースに加水分解する酵素(例えば、ラクターゼ)またはその生物学的に活性な断片がさらに含まれる。酵素は、発現される異種配列を持つ宿主細胞によって生産され得る。例えば、宿主細胞は、内因性ラクターゼを生産する場合があり、また、異種核酸配列からラクターゼを生産する場合もある。所望される場合には、生産されたラクターゼは、細胞培養培地に分泌される。なお別の実施形態においては、ラクターゼは、目的の異種配列を持たないが、ガラクトースを生成させるためのラクターゼまたはその生物学的に活性な断片を供給するために使用される別の細胞によって生産させることができ、これが次いで異種配列の発現を活性化させる。
【0052】
なお他の実施形態においては、異種配列の発現は、宿主細胞とラクトースとを含む培地に外因性ラクターゼが添加されると誘導される。
【0053】
ラクトースが異種配列を含む宿主細胞の外側(例えば、培地中)でガラクトースに変換される場合は、ラクトースによって生成されたガラクトースは、ガラクトーストランスポーターによって宿主細胞内に運ばれ得る。これは、内因性のガラクトーストランスポーターまたは異種ラクトーストランスポーターによって行われ得る。運ばれたガラクトースは、その後、細胞中で、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結された1種類またはそれ以上の異種配列を誘導することができる。
【0054】
さらに他の実施形態においては、培地に補充されたラクトースが宿主細胞内に運ばれ得る。この場合、ラクトースは、内因性のラクターゼまたは異種配列によって発現されたラクターゼにより、細胞内で加水分解される。細胞内でのラクトースの加水分解によっては、グルコースとガラクトースとが生じる。後者は、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結された目的の異種配列の発現を活性化させるために利用される。適切なラクトーストランスポーターは、この場合もやはり、内因性でも、また外因性でもあり得、例えば、異種配列によって発現される外因性ラクターゼであり得る。
【0055】
(ガラクトース誘導機構)
本発明の宿主細胞にはガラクトース−誘導機構が含まれる。ガラクトース誘導機構は、宿主細胞にとって内因性(例えば、Saccharomyces cerevisiaeなどで)である場合も、また異種である場合もある。ガラクトース誘導機構は、ガラクトースの存在下で、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結された異種配列の転写を誘導するタンパク質の集まりをいう。ガラクトース誘導機構の一例は、酵母タンパク質Gal3p、Gal4p、およびGal80p、またはそれらの生物学的に活性な断片を含むそれらの機能性ホモログの集まりである。異種ガラクトース誘導機構を含む宿主細胞の作製において、本発明での使用に適しているヌクレオチド配列としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:Saccharomyces cerevisiaeのGal4遺伝子のヌクレオチド配列(GenBank locus tag YPL248C)、Saccharomyces cerevisiaeのGal80遺伝子のヌクレオチド配列(GenBank locus tag YML051W)、およびSaccharomyces cerevisiaeのGal3遺伝子のヌクレオチド配列(GenBank locus tag YDR009W)、ならびにそれらの機能性ホモログ。
【0056】
本発明の宿主細胞にはさらに、ガラクトース誘導性調節エレメントが含まれる。この調節エレメントは、転写制御配列または翻訳制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター、タンパク質分解シグナルなど)であり得る。これらは、転写物、コード配列の発現をもたらし、そして/またはその発現を調節する、ならびに/あるいは細胞中でのコードされるポリペプチドの生産をもたらし、そして/またはその発現を調節する。ガラクトース誘導性調節エレメントは、内因性であっても、また異種であってもよい。例えば、宿主細胞には、1種類の異種ガラクトース誘導性発現カセットが含まれ得る。この場合、ガラクトース誘導性発現カセットにはガラクトース誘導性調節エレメントが含まれる。1種類の異種ガラクトース誘導性発現カセットは、同じまたは異なる配列同一性の1種類またはそれ以上の異種配列を発現することができる。いくつかの実施形態においては、発現カセットは、多コピーの同じ異種配列または異なる異種配列の発現を駆動し得る。いくつかの実施形態においては、1種類の異種ガラクトース誘導性発現カセットが、2個、3個、4個、5個、または複数のコピー数の同じ異種配列あるいは異なる異種配列を発現することができる。1つの実施形態においては、発現ベクターには、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結された第1の異種配列と、ラクターゼまたはその生物学的に活性な断片をコードする第2の異種配列とが含まれ得る。所望される場合には、1種類の発現カセットが、生化学経路(例えば、MEV経路またはDXP経路)の2種類、3種類、4種類、5種類、またはそれ以上の異なるタンパク質をコードする異種配列の発現を駆動することができる。例えば、1種類の発現カセットは、HMGCoAレダクターゼと別の酵素(例えば、ファルネシル二リン酸シンターゼ、イソポペンチルδイソメラーゼ(ispopentyl δ isomerase))の両方をコードすることができる。他の実施形態においては、1種類の発現カセットが、メバロン酸キナーゼおよびアセトアセチルCoAチオラーゼまたはジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ(diphosphoemevalonate decarboxylase)およびホスホメバロン酸キナーゼの発現を制御する。所定の経路の酵素のうちの任意の組み合わせの発現のための発現カセットは、日常的に行われている組み換え手順にしたがって構築することができる。
【0057】
宿主細胞にはまた、複数の異種ガラクトース誘導性発現カセットも含まれ得る。例えば、宿主細胞は、同じ異種配列または異なる異種配列の発現を制御する複数の発現カセットを有し得る。所望される場合には、複数の発現カセットのそれぞれを、同じタンパク質、異なるタンパク質の発現を制御するように設計することができる。あるいは、複数の異種ガラクトース誘導性発現カセットのサブセットを、同じタンパク質の発現を駆動するために利用することができ、そして別のサブセットが異なるタンパク質を発現する。さらに、宿主細胞には、目的の異種配列の発現を調節する他の外因性配列が含まれ得る。生産されるように選択される異種産物に応じて、他の外因性配列には、ラクターゼ、特に、細胞培養培地に補充されたラクトースの加水分解を促進するための分泌可能なラクターゼを含めることができる。他の限定ではない例としては、ラクトーストランスポーター、ガラクトーストランスポーター、および機能性ホモログをコードする外因性配列が挙げられる。これらの外因性配列および他の適している外因性配列は恒常的に発現させることができ、また、ガラクトースではない誘導性調節エレメントの制御下に配置することもできる。
【0058】
本発明のガラクトース誘導性調節エレメントにはガラクトース誘導性プロモーターが含まれる。誘導性プロモーターは、通常は、タンパク質の異種生産において構成的なプロモーターの代わりに使用される。なぜなら、この誘導性プロモーターによって生理学的に最適なタイミングおよび/またはレベル(例えば、細胞の生理学的状態に対して毒性ではないレベル)でのタンパク質の生産の制御ができるからである。ガラクトース誘導性プロモーターは、タンパク質の異種生産において頻繁に使用される。なぜなら、これらは標的とされる厳密な調節がしやすく、高レベルの発現をもたらすからである。本発明での使用に適しているガラクトース誘導性プロモーターとしては以下が挙げられるが、これらに限定されない:Saccharomyces ceverisiae(cerevisiae)の遺伝子GAL7のプロモーター(GenBank登録番号NC_001134 REGION:274427..275527)、遺伝子GAL2のプロモーター(GenBank登録番号NC_001144 REGION:290213..291937)、遺伝子GAL1のプロモーター(GenBank登録番号NC_001134 REGION:279021..280607)、遺伝子GAL10のプロモーター(GenBank登録番号NC_001134 REGION:276253..278352)、遺伝子GAL3のプロモーター(GenBank登録番号NC_001136 REGION:463431..464993)、遺伝子GCY1のプロモーター(GenBank登録番号NC_001147 REGION:551115..552053)、および遺伝子GAL80のプロモーター(GenBank登録番号NC_001145 REGION:171594..172901)、またはそれらの機能性ホモログ。特定の実施形態においては、ガラクトース誘導性プロモーターに、ヌクレオチド配列CG(GまたはC)(N11)(GまたはC)CGが含まれる。式中、Nは任意のヌクレオチドである。ハイブリッドプロモーター(例えば、US5739007、US5310660、またはUS5013652に開示されているハイブリッドプロモーター)もまた使用され得る。特定の実施形態においては、ガラクトース誘導性プロモーターは合成のプロモーターである(すなわち、プロモーターが化学合成される)。
【0059】
特定の実施形態においては、ガラクトース誘導性プロモーターにより、所定の異種配列の高レベルの転写が提供される。他の実施形態においては、ガラクトース誘導性プロモーターにより、異種配列の低レベルの転写が提供される。多数の遺伝子がガラクトースの存在下で誘導される(Renら、Genome−wide location and function of DNA binding proteins.Science 290:2306−2309(2000))。これらの遺伝子のプロモーター(例えば、UASGAL)もまた、異なる活性化レベルを有し得る。例えば、理論には束縛されないが、
多数のUASGALが酵母において同定されており、これらはGal4pに対して様々な相対的親和性、ひいては異なる活性を有している(例えば、Lohrら、Transcriptional regulation in the yesat GAL gene family:a complex genetic network.FASEB J 9:777−787(1995)を参照のこと)。本発明の方法が実施される場合には、これらのプロモーターおよび任意の他の変異体プロモーターが、所望される発現レベルを細かく変化させるためのガラクトース誘導性調節エレメントとして含められる。
【0060】
(培養培地)
異種配列の発現には、通常は、培養培地中で、そのような異種配列を含む宿主細胞を培養することが含まれる。適している培養培地には、宿主細胞培養物の増殖または維持を提供する任意の培地が含まれる。原核生物細胞および真核生物細胞の生存を支配する一般的なパラメーターは、当該分野で十分に確立されている。インビトロで制御することができる物理化学的パラメーターは、例えば、pH、CO、温度、および浸透圧である。細胞の栄養要求は、通常は、最適環境を提供するように開発された標準的な培地処方物の中に提供される。栄養素は、いくつかのカテゴリーに分けることができる:アミノ酸およびそれらの誘導体、炭水化物、糖類、脂肪酸、複合脂質、核酸誘導体、ならびにビタミン。細胞の代謝を維持するための栄養素とは別に、一部の細胞には、生存または増殖のために、以下のグループの少なくとも1つから1種類またはそれ以上のホルモンが必要な場合がある:ステロイド、プロスタグランジン、増殖因子、下垂体ホルモン、およびペプチドホルモン(Sato,G.H.ら、「Growth of Cells in Hormonally Defined Media」,Cold Spring Harbor Press,N.Y.,1982;Ham and Wallace(1979)Meth.Enz.,58:44,Barnes and Sato(1980)Anal.Biochem.,102:255、またはMather,J.P.and Roberts,P.E.(1998)「Introduction to Cell and Tissue Culture」,Plenum Press,New York.)。
【0061】
適している培養培地には、通常は、容易に利用できるエネルギー源(例えば、単純な糖、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、リボース、またはそれらの組み合わせ)、窒素源、およびリン酸供給源が含まれる。特定の実施形態においては、培養培地は液体培地である。適切な液体培地としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:YPD(YEPD)培地、YPAD培地、Hartwellの完全(HC)培地、および合成完全(SC)培地。特定の実施形態においては、培養培地には、1種類またはそれ以上のさらなる物質(例えば、細胞内でのガラクトーストランスポーター、ラクトーストランスポーター、またはラクターゼの生産が誘導性プロモーターの制御下にある場合には、ガラクトース以外の誘導因子)が補充される。他の実施形態においては、培養培地には、所望される誘導レベルを得るために様々な割合でラクトースとガラクトースの両方が補充される。
【0062】
所望される場合には、「規定培地(defined medium)」を、宿主細胞を培養するために使用することができる。規定培地には、典型的には、培養物中の細胞の生存および/または増殖に不可欠な栄養素と他の必要なものが含まれており、その結果、培地の成分は公知である。従来から、規定培地は、増殖および/または生存に不可欠な栄養素および/または増殖因子の添加によって処方されている。典型的には、規定培地により、以下のカテゴリーの1つまたは複数による少なくとも1種類の成分が提供される:a)全ての必須アミノ酸、通常は20種類のアミノ酸とシスチンとの基本的なセット;b)エネルギー源(通常は、グルコースのような炭水化物の形態);c)低濃度で必要なビタミン類および/または他の有機化合物;d)遊離の脂肪酸;ならびに、e)微量元素(この場合、微量元素は、通常は極めて低濃度で(通常は、マイクロモル濃度で)必要とされる、無機化合物または自然界に存在している元素と定義される)。規定培地にはまた、状況に応じて、以下のカテゴリーのいずれかによる1種類またはそれ以上の成分が補充され得る:a)1種類またはそれ以上の分裂促進剤;b)塩および緩衝液(例えば、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩);c)ヌクレオシドおよび塩基(例えば、アデノシン、およびチミジン、ヒポキサンチン);ならびに、d)タンパク質および組織加水分解物。
【0063】
培地中での宿主細胞の培養は、細胞の生存性および/または増殖を維持する任意の容器あるいは基体の中で行われ得る。適している容器としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:反応器もしくは発酵槽用のタンク、または遠心分離機の部品(これは、その後の処理工程においてより軽い物質からより重い物質を分離させることができる)。特定の実施形態においては、容器は、少なくとも1リットルの容量を有する。いくつかのそのような実施形態においては、容器は、少なくとも10リットルの容量を有する。いくつかのそのような実施形態においては、容器は、少なくとも100リットルの容量を有する。いくつかの実施形態においては、容器は、100リットル〜3,000,000リットル、例えば、少なくとも1000リットル、少なくとも5,000リットル、少なくとも10,000リットルの容量を有し、容器は、少なくとも25,000リットル、少なくとも50,000リットル、少なくとも75,000リットル、少なくとも100,000リットル、少なくとも250,000リットル、少なくとも500,000リットル、または少なくとも1,000,000リットルの容量を有する。
【0064】
本発明の培養培地には、ガラクトースに分解することができる1種類またはそれ以上の化合物が含まれる。本発明の方法においては、培地には、通常は、ラクトースが含まれる。ラクトースは、ガラクトースとグルコースとに加水分解され得、ガラクトースは比較的安価な化合物であり、典型的にはガラクトースよりも有意にコストが低い。なぜなら、ラクトースは、多くの市販されている乳製品の製造プロセスの廃棄物である乳清の主要な構成成分であるからである。ラクトースの低いコストと、ラクトースを加水分解できる酸素の安定供給を考えると、酵素によるラクトースの加水分解が、タンパク質の大規模生産のためのガラクトース誘導性発現系の誘導のためのガラクトースを生成させる、コスト効果の高い手段であることを示す。
【0065】
特定の実施形態においては、培養培地中でのラクトース濃度は、10g/L未満、5g/L未満、または2g/L未満である。特定の実施形態においては、ラクトースは、実質的に純粋な化合物として培地に添加される。他の実施形態においては、ラクトースは、複数の化合物の混合物の一成分として培地に添加される。いくつかの実施形態においては、ラクトースは、乳清の一成分として培地に添加される。他の実施形態においては、ラクトースは、乳汁または乳製品の一成分として培地に添加される。さらに他の実施形態においては、ラクトースは、宿主細胞によって培養培地に分泌される。他の実施形態においては、ラクトースは、宿主細胞以外の細胞によって培養培地に分泌される。特定の実施形態においては、ラクトースは、培養培地中に存在する特定の酵素の作用を通じて培養培地中で生成される。特定のそのような実施形態においては、酵素は、実質的に純粋な形態で培養培地に添加される。他のそのような実施形態においては、酵素は、酵素の混合物の成分として培養培地に添加される。他のそのような実施形態においては、酵素は、宿主細胞によって分泌される。なお他のそのような実施形態においては、酵素は、宿主細胞以外の細胞によって分泌される。上記方法の組み合わせによる複数の酵素が、培地中に存在する場合があり(例えば、実質的に純粋な形態で添加され得)、そしてまた、宿主細胞および/または宿主細胞ではない細胞によって分泌され得る。
【0066】
いくつかの実施形態においては、本発明の培養培地にはまた、ラクトースをガラクトースとグルコースとに加水分解する酵素も含まれる。この酵素はラクターゼであり得る。本発明での使用に適しているラクターゼとしては以下が挙げられるが、これらに限定されない(GenBank登録番号;生物):LAC4(M84410 REGION:43..3120;Kluyveromyces lactis)、lacZ(X91197、Escherichia coli)、LacA(S37150;Aspergillus niger)、およびEnzyme Commission class 3.1.1.23の他のメンバー。機能性変異体もまた使用され得る。特定の実施形態においては、ラクターゼは、実質的に純粋な酵素として培地に添加される。本発明で使用される実質的に純粋なラクターゼは、例えば、市販されているラクトースの錠剤を粉々に砕くことによって得ることができる(例えば、Long’s Drugstoreから入手することができるDairy Digestive supplement)。他の実施形態においては、ラクターゼは、複数の種類の酵素および/または複数の種類の化合物の混合物の一成分として培地に添加される。
【0067】
特定の実施形態においては、ラクターゼは、宿主細胞によって、または宿主細胞以外の細胞によって培養培地に分泌される。特定の実施形態においては、ラクターゼは、酵素の細胞外輸送を媒介する天然のシグナルペプチドが含まれることにより、培養培地に放出される。天然のシグナルペプチドを含む適している分泌型ラクターゼとしては、LacA(S37150;Aspergillus niger)が挙げられるが、これに限定されない。他の実施形態においては、ラクターゼは、酵素の細胞外輸送を媒介する異種シグナルペプチドに融合されることによって、培養培地に放出される。適切なシグナルペプチドとしては、Saccharomyces cerevisiaeのα−接合因子のシグナルペプチドおよびKluyveromyces lactisのキラー毒素のシグナルペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態においては、ラクターゼは、細胞溶解の結果として培養培地に放出される。細胞溶解は、例えば、高密度細胞培養において、または本発明の細胞中での異種タンパク質の発現の結果としても起こり得る(Compagnoら(1995)Appl.Microbiol.Biotechnol.43(5):822−825)。
【0068】
宿主細胞中または宿主細胞以外の細胞中で生産された分泌されるラクターゼは、内因的に生産される場合も、また異種生産される場合もある。宿主細胞中または宿主細胞以外の細胞中でのラクターゼの生産は、プロモーターによって制御され得る。プロモーターは恒常的である場合も、また誘導性である場合もある。適している誘導性プロモーターとしては以下が挙げられるが、これらに限定されない:Saccharomyces cerevisiaeの遺伝子ADH2、PHO5、CUP1、MET25、MET3、CYC1、HIS3、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、TP1、およびAOX1のプロモーター。他の実施形態においては、プロモーターは恒常的である。適している構成的なプロモーターとしては、Saccharomyces cerevisiaeの遺伝子PGK1、TDH1、TDH3、FBA1、ADH1、LEU2、ENO、TPI1、およびPYK1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
(ラクターゼ、ラクトーストランスポーター、およびガラクターゼトランスポーター)
特定の実施形態においては、本発明の宿主細胞には、ラクトースをガラクトースとグルコースとに加水分解することができる、ラクターゼまたはその生物学的活性断片が含まれる(図1)。ラクターゼは、宿主細胞にとって内因性である場合も、また異種である(例えば、異種核酸配列によって生産される)場合もある。いくつかの実施形態においては、ラクターゼは、宿主細胞から培地に分泌される。分泌可能なラクターゼには、典型的には、翻訳後に切断されるシグナルペプチドが含まれる。あるいは、内因性のラクターゼまたは異種ラクターゼが細胞内に存在し得、そして(例えば、ラクトーストランスポーター)を介して細胞内に運ばれたラクトースを加水分解し得る。
【0070】
適しているラクターゼとしては以下が挙げられるが、これらに限定されない(GenBank登録番号;生物):LAC4(M84410 REGION:43..3120;Kluyveromyces lactis)、lacZ(X91197;Escherichia coli)、LacA(S37150;Aspergillus niger)、およびEnzyme Commission number 3.1.1.23の他のメンバー。特定の実施形態においては、ラクターゼのアミノ酸配列には、配列番号3またはその変異体が含まれる。特定の実施形態においては、ラクターゼをコードするヌクレオチド配列には、配列番号4またはそのホモログが含まれる。
【0071】
宿主細胞中でのラクターゼの生産は、プロモーターによって制御され得る。特定の実施形態においては、プロモーターは誘導性である。適している誘導性プロモーターとしては、Saccharomyces cerevisiaeの遺伝子ADH2、PHO5、CUP1、MET25、MET3、CYC1、HIS3、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、TPl、およびAOX1のプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態においては、プロモーターは恒常的である。適している構成的なプロモーターとしては、Saccharomyces cerevisiaeの遺伝子PGK1、TDH1、TDH3、FBA1、ADH1、LEU2、ENO、TPI1、およびPYK1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
特定の実施形態においては、本発明の宿主細胞には、培養培地から細胞の細胞質ゾルにラクトースを運ぶことができるラクトーストランスポーターが含まれる。例えば、ラクトースが培地中に存在し、そしてラクターゼが宿主細胞中に存在する場合は、宿主細胞には、ラクトーストランスポーターが含まれる。ラクトーストランスポーターは、内因性である場合も、また異種である場合もある。いくつかの実施形態においては、宿主細胞には、内因性のラクトーストランスポーターと異種ラクトーストランスポーターの両方が含まれ得る。適しているラクトーストランスポーターとしては以下が挙げられるが、これらに限定されない:LAC12(GenBank登録番号X06997 REGION:1616..3379;Kluyveromyces lactis)およびLacY(GenBank Locus Tag B0343;Escherichia coli)。特定の実施形態においては、ラクトーストランスポーターのアミノ酸配列には、配列番号1またはその変異体が含まれる。特定の実施形態においては、ラクトーストランスポーターをコードするヌクレオチド配列には、配列番号2またはそのホモログが含まれる。
【0073】
特定の実施形態においては、本発明の宿主細胞には、培養培地から細胞の細胞質ゾルにガラクトースを運ぶことができるガラクトーストランスポーターが含まれる。例えば、ガラクトーストランスポーターを発現する宿主細胞が、ガラクトースが宿主細胞内に運ばれることを可能にするラクトースとラクターゼとを含む培地中で培養される。ガラクトーストランスポーターは、内因性である場合も、また異種である場合もあり、例えば、異種ヌクレオチド配列から発現され得る。宿主細胞には、内因性のガラクトーストランスポーターと異種ガラクトーストランスポーターの両方が含まれ得る。適しているガラクトーストランスポーターとしては以下が挙げられるが、これらに限定されない:GAL2(GenBank Locus Tag YLR081W;Saccharomyces cerevisiae)、MST4(AY342321;Oryza sativa Japonica Group)、MST4(DQ087177;Olea europaea)、LACl2(X06997;Kluyveromyces lactis)、GAL2(AAU43755;Saccharomyces mikatae)、およびHGT1(KLU22525;Kluyveromyces lactis)。
【0074】
宿主細胞中でのラクトーストランスポーターまたはガラクトーストランスポーターの生産は、プロモーターによって制御され得る。特定の実施形態においては、プロモーターは誘導性である。適している誘導性プロモーターとしては、Saccharomyces cerevisiaeの遺伝子ADH2、PHO5、CUP1、MET25、MET3、CYC1、HIS3、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、TPl、およびAOX1のプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態においては、プロモーターは恒常的である。適している構成的なプロモーターとしては、Saccharomyces cerevisiaeの遺伝子PGK1、TDH1、TDH3、FBA1、ADH1、LEU2、ENO、TPI1、およびPYK1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
(異種産物)
本発明の組成物(ベクター、宿主細胞、培養培地、およびガラクトース誘導性調節エレメントを含むがこれらに限定されない)は、誘導性の様式での任意の異種配列の発現に適している。任意の異種産物の生産を誘導するためには、誘導物質(通常は、ガラクトースではない糖)が使用される。ラクトースが補充された培地中で培養された宿主細胞によって生産された産物の量は、同等の量のガラクトースが補充された培養培地によって生産された産物の量と同等であり得る。いくつかの実施形態においては、生産される異種産物の量は、培地に直接同量のガラクトースが添加された場合に同じ宿主細胞によって生産される産物の量とほぼ同等であるか、またはそれより多い。いくつかの実施形態においては、生産される産物の量は、培地に同量のガラクトースを添加することによって生産される産物の量の少なくとも約1.2倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、またはそれ以上である。
【0076】
発現した異種配列は、タンパク質またはペプチド(例えば、生体活性のあるタンパク質またはペプチド)をコードし得る。タンパク質の性質に応じて、これらは、脂質、炭水化物、およびそれらの組み合わせの合成または分解のために、宿主細胞によって利用され得る。異種配列の発現によって核酸産物が生じ得る。核酸産物には、オリゴヌクレオチド、例えば、リボヌクレオチド、アンチセンス分子、RNAi分子、リボザイム、外部ガイド配列(external−guided sequences)(EGS)、アプタマー、およびmiRNAが含まれるが、これらに限定されない。
【0077】
例えば、本発明の組成物によって、または本発明の方法によって発現した異種配列には、いくつかのクラスの触媒性RNA(リボザイム)が含まれ、これには、イントロン由来リボザイム(WO88/04300;Cech,T.,Annu.Rev.Biochem.,59:543−568,(1990)もまた参照のこと)、ハンマーヘッド型リボザイム(WO89/05852およびEP321021)、アックスヘッド型リボザイム(WO91/04319およびWO91/04324)、ならびに本明細書中で例示される任意の他の異種配列が含まれる。EGS分子は、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結される場合には、本発明の異種配列によってコードされる場合もある。EGSは、典型的には、標的基質に結合して、真核生物のRNAse Pの前駆体tRNAの天然の切断部位と似ている二次構造および三次構造を形成する。EGS分子を設計する方法は、例えば、米国特許第US5624824号、同US5683873号、同US5728521号、同US5869248号、同US5877162号、および同US6057153号(これらは全て、これらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。)に記載されている。
【0078】
異種配列はまた、アンチセンス分子、siRNA、miRNA、およびアプタマーを生産し得る。siRNA、アンチセンス分子、EGS、またはmiRNAを生産する異種配列の設計には、通常は、細胞標的のmRNA一次配列についての知見が必要である。全マウスゲノムおよび全ヒトゲノムの一次mRNA配列情報、ならびに、多数の他の生物(トリ、イヌ、ネコ、クマネズミ、および他の生物を含む)に由来する遺伝子配列は、NCBIサーバー上で公に容易に入手することができる(www.ncbi.nlm.nih.gov.)。siRNAを設計する標準的な方法は当該分野で公知であり(Elbashirら、Methods 26:199−213(2002))、そしてパブリックデザインツール(public design tools)(例えば、MITのWhitehead Institute of Biomedical Researchにより、http://jura.wi.mit.edu/pubint/http://iona.wi.mit.edu/siRNAext/およびwww.RNAinterference.orgで、ならびにPromega and Ambionによって商用サイトから)もまた容易に利用することができる。miRNA配列のデータベースもまた、公に利用することができ、例えば、http://www.microrna.org/およびhttp://microrna.sanger.ac.uk/で利用することができる。アプタマーは、当該分野で公知の方法によって作製することができ、また、http://aptamer.icmb.utexas.edu.のような公のデータベースから得ることができる配列でもあり得る。
【0079】
異種配列は、タンパク質様産物(例えば、タンパク質またはペプチド)をコードする場合もある。タンパク質は、細胞にとって内因性である場合も、また外因性である場合もある。タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、細胞質ゾルタンパク質)、膜貫通タンパク質、また分泌型タンパク質であり得る。タンパク質の異種生産は、研究環境または産業の状況で、例えば、治療薬、ワクチン、診断薬、バイオ燃料の生産のために、および多くの他の目的の用途に、広く使用されている。本発明の組成物および方法を使用することによって生産することができる例示的な治療用タンパク質としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:特定の天然および組み換え体ヒトホルモン(例えば、インスリン、成長ホルモン、インスリン様成長因子1、卵胞刺激ホルモン、および絨毛性ゴナドトロピン)、造血性タンパク質(例えば、エリスロポエチン、C−CSF、GM−CSF、およびIL−11)、血栓性およびうっ血性タンパク質(例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子および活性化されたタンパク質C)、免疫学的タンパク質(例えば、インターロイキン)、ならびに他の酵素(例えば、デオキシリボヌクレアーゼI)。本発明の組成物および方法によって生産することができる例示的なワクチンとしては、様々なインフルエンザウイルス(例えば、A型、B型、およびC型)、およびそれぞれの型についての様々な血清型(例えば、A型インフルエンザウイルスについてはH5N2、H1N1、H3N2)、HIV、肝炎ウイルス(例えば、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、またはD型肝炎)、ライム病、ならびにヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンが挙げられるが、これらに限定されない。異種生産されるタンパク質診断薬の例としては、セクレチン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、HIV抗原、およびC型肝炎抗原が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
異種配列によって生産されるタンパク質またはペプチドとしては、サイトカイン、ケモカイン、リンホカイン、リガンド、受容体、ホルモン、酵素、抗体および抗体断片、ならびに成長因子を挙げることができるが、これらに限定されない。受容体の限定ではない例としては、I型TNF受容体、II型IL−I受容体、IL−I受容体アンタゴニスト、IL−4受容体、および任意の化学修飾されたかまたは遺伝子修飾された可溶性受容体が挙げられる。酵素の例としては、以下が挙げられる:ラクターゼ、活性化されたタンパク質C、第VII因子、コラゲナーゼ(例えば、Advance Biofactures CorporationからSantylの名称で販売されている);アガルシダーゼ−β(例えば、GenzymeからFabrazymeの名称で販売されている);ドルナーゼ−α(例えば、GenentechからPulmozymeの名称で販売されている);アルテプラーゼ(例えば、GenentechからActivaseの名称で販売されている);ペグ化アスパラギナーゼ(例えば、EnzonからOncasparの名称で販売されている);アスパラギナーゼ(例えば、MerckからElsparの名称で販売されている);およびイミグルセラーゼ(例えば、GenzymeからCeredaseの名称で販売されている)。特異的なポリペプチドまたはタンパク質の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロンベータ(IFN−β)、インターフェロガンマ(IFNγ)、インターフェロンガンマ誘導因子I(IGIF)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF−β)、RANTES(活性化されると調節される、正常なT細胞によって発現され、そしておそらく分泌された)、マクロファージ炎症性タンパク質(例えば、MIP−1−αおよびMIP−1−β)、リーシュマニア伸長開始因子(Leishmania elongation initiating factor)(LEIF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、腫瘍壊死因子(TNF)、増殖因子、例えば、上皮細胞増殖因子(EGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−2(NT−2)、ニューロトロフィン−3(NT−3)、ニューロトロフィン−4(NT−4)、ニューロトロフィン−5(NT−5)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、II型TNFα受容体、エリスロポエチン(EPO)、インスリン、および可溶性糖タンパク質(例えば、gp120およびgp160糖タンパク質。gp120糖タンパク質は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)エンベロープタンパク質であり、そしてgp160糖タンパク質は、gp120糖タンパク質の公知の前駆体である。他の例としては、セクレチン、ネシリチド(ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP))、GLP−1が挙げられる。
【0081】
他の異種産物としては、GPCRを挙げることができる。これには、以下が含まれるが、これらに限定されない:クラスAロドプシン様受容体、例えば、ムスカリン性(Muscatinic)(Muse.)アセチルコリン脊椎動物1型、ムスカリン性アセチルコリン脊椎動物2型、ムスカリン性アセチルコリン脊椎動物3型、ムスカリン性アセチルコリン脊椎動物4型;アドレナリン受容体(アルファアドレナリン受容体1型、アルファアドレナリン受容体2型、ベータアドレナリン受容体1型、ベータアドレナリン受容体2型、ベータアドレナリン受容体3型、ドーパミン脊椎動物1型、ドーパミン脊椎動物2型、ドーパミン脊椎動物3型、ドーパミン脊椎動物4型、ヒスタミン1型、ヒスタミン2型、ヒスタミン3型、ヒスタミン4型、セロトニン1型、セロトニン2型、セロトニン3型、セロトニン4型、セロトニン5型、セロトニン6型、セロトニン7型、セロトニン8型、セロトニンの他のタイプ、微量アミン、アンジオテンシン1型、アンジオテンシン2型、ボンベシン、ブラジキニン、C5aアナフィラトキシン、Fmet−leu−phe、APJ様、インターロイキン−8 A型、インターロイキン−8 B型、インターロイキン−8の他のタイプ、C−Cケモカイン1型〜11型および他の型のC−Cケモカイン、C−X−Cケモカイン(2型〜6型および他の型)、C−X3−Cケモカイン、コレシストキニンCCK、CCK A型、CCK B型、他のCCK、エンドセリン、メラノコルチン(メラニン細胞刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、メラノコルチンホルモン)、ダフィー抗原、プロラクチン放出ペプチド(GPR10)、ニューロペプチドY(1型〜7型)、ニューロペプチドY、他のニューロペプチドY、ニューロテンシン、オピオイド(D型、K型、M型、X型)、ソマトスタチン(1型〜5型)、タキキニン、(サブスタンスP(NKl)、サブスタンスK(NK2)、ニューロメジンK(NK3)、タヒキニン様1およびタヒキニン様2)、バソプレシン/バソトシン(1型〜2型)、バソトシン、オキシトシン、メソトシン、コノプレシン)、ガラニン様、プロテイナーゼ活性化様、オレキシンおよび神経ペプチドFF、QRFP、ケモカイン受容体様、ニューロメジンU様(ニューロメジンU、PRXアミド)、ホルモンタンパク質(卵胞刺激ホルモン、ルトロピン−絨毛膜性腺刺激性ホルモン、チロトロピン、ゴナドトロピンI型、ゴナドトロピンII型)、ロドプシン((Rhod)opsin)、ロドプシン脊椎動物(1型〜5型)、ロドプシン脊椎動物5型、ロドプシン節足動物、ロドプシン節足動物1型、ロドプシン脊椎動物2型、ロドプシン脊椎動物3型、ロドプシン軟体動物、ロドプシン、嗅覚(嗅覚II fam 1〜13)、プロスタグランジン(プロスタグランジンE2サブタイプEP1受容体、プロスタグランジンE2/D2サブタイプEP2受容体、プロスタグランジンE2サブタイプEP3受容体、プロスタグランジンE2サブタイプEP4受容体、プロスタグランジンF2−アルファ)、プロスタサイクリン、スロンボキサン、アデノシン1型〜3型、プリノセプター、プリノセプターP2RY1−4,6,11 GPR91、プリノセプターP2RY5,8,9,10 GPR35,92,174、プリノセプターP2RY12−14 GPR87(UDP−グルコース)、カンナビノイド、血小板活性化因子、ゴナドトロピン放出ホルモンI型、ゴナドトロピン放出ホルモンII型、脂質動員ホルモン様、コラゾニン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンおよび分泌促進物質、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン分泌促進物質、成長ホルモン分泌促進物質様;脱皮誘因ホルモン(ETHR)、メラトニン、リゾスフィンゴ脂質およびLPA(EDG)、スフィンゴシン1−リン酸Edg−1、リゾフォスファチジン酸Edg−2、スフィンゴシン1−リン酸Edg−3、リゾフォスファチジン酸Edg−4、スフィンゴシン1−リン酸Edg−5、スフィンゴシン1−リン酸Edg−6、リゾフォスファチジン酸Edg−7、スフィンゴシン1−リン酸Edg−8、他のロイコトリエンB4受容体、ロイコトリエンB4受容体BLTl、ロイコトリエンB4受容体BLT2、クラスAオーファン/その他、推定される神経伝達物質、SREB、MasプロトオンコジーンおよびMas関連のもの(MRG)、GPR45様、システイニルロイコトリエン受容体、G−タンパク質共役胆汁酸受容体、遊離の脂肪酸受容体(GP40、GP41、GP43)、クラスBセクレチン様、カルシトニン、コルチコトロピン放出因子、胃抑制ペプチド、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン、副甲状腺ホルモン、PACAP、セクレチン、血管作動性腸管ポリペプチド、ラトロフィリン、ラトロフィリン1型、ラトロフィリン2型、ラトロフィリン3型、ETL受容体、脳特異的血管新生阻害物質(BAI)、メトセラ様タンパク質(MTH)、カドヘリンEGF LAG(CELSR)、極めて大きなG−タンパク質共役受容体、クラスC代謝調節型グルタミン酸塩/フェロモン、代謝調節型グルタミン酸塩グループI〜グループIII、カルシウム感知様、細胞外カルシウム感知性、フェロモン、カルシウム感知様の他のもの、推定されるフェロモン受容体、GABA−B、GABA−Bサブタイプ1、GABA−Bサブタイプ2、GABA−B様、オーファンGPRC5、オーファンGPCR6、セブンレスタンパク質(BOSS)のブライド(Bride)、Taste受容体(TlR)、クラスD真菌フェロモン、真菌フェロモンA因子様(STE2、STE3)、真菌フェロモンB様(BAR、BBR、RCB、PRA)、クラスE cAMP受容体、眼白子症タンパク質、Frizzled/Smoothenedファミリー、frizzledグループA(Fz 1および2および4および5および7〜9)、frizzledグループB(Fz 3および6)、frizzledグループC(それ以外)、性フェロモン感知受容体、線虫の化学受容体、昆虫の嗅覚受容体、およびクラスZ古細菌/細菌/真菌オプシン。
【0082】
生体活性ペプチドは、本発明の異種配列によって生産させることもできる。例として以下が挙げられる:BOTOX、Myobloc、Neurobloc、Dysport(またはボツリヌス菌の神経毒の他の血清型)、アルグルコシダーゼアルファ、ダプトマイシン、YH−16、絨毛性ゴナドトロピンアルファ、フィルグラスチム、セトロレリクス、インターロイキン−2、アルデスロイキン、テセロイキン、デニロイキン・ディフティトックス、インターフェロンアルファ−n3(注射剤)、インターフェロンアルファ−n1、DL−8234、インターフェロン、Suntory(ガンマ−1a)、インターフェロンガンマ、サイモシンアルファ1、タソネルミン、DigiFab、ViperaTAb、EchiTAb、CroFab、ネシリチド、アバタセプト、アレファセプト、Rebif、エプトテルミンアルファ、テリパラチド(骨粗鬆症)、カルシトニン注射剤(骨疾患)、カルシトニン(経鼻型、骨粗鬆症)、エタネルセプト、ヘモグロビングルタマー250(ウシ)、ドロトレコギンアルファ、コラゲナーゼ、カルペリチド、組み換え体ヒト上皮成長因子(局所用ゲル、創傷治癒)、DWP−401、ダルベポエチンアルファ、エポエチンオメガ、エポエチンベータ、エポエチンアルファ、デシルジン、レピルジン、ビバリルジン、ノナコグアルファ、Mononine、エプタコグアルファ(活性型)、組み換え体第VIII因子+VWF、Recombinate、組み換え体第VIII因子、第VIII因子(組み換え体)、アルファネート、オクトコグアルファ、第VIII因子、パリフェルミン、Indikinase、テネクテプラーゼ、アルテプラーゼ、パミテプラーゼ、レテプラーゼ、ナテプラーゼ、モンテプラーゼ、フォリトロピンアルファ、rFSH、hpFSH、ミカファンギン、ペグフィルグラスチム、レノグラスチム、ナルトグラスチム、セルモレリン、グルカゴン、エクセナチド、プラミンチド、イミグルセラーゼ、ガルスルファーゼ、Leucotropin、モルグラモスチム、トリプロレリンアセテート、ヒストレリン(皮下埋め込み、Hydron)、デスロレリン、ヒストレリン、ナファレリン、ロイプロリド徐放型デポー剤(ATRIGEL)、ロイプロリド埋め混み型(DUROS)、ゴセレリン、ソマトロピン、Eutropin、KP−102プログラム、ソマトロピン、ソマトロピン、メセカルミン(成長不全)、エンフュービルタイド、Org−33408、インスリングラルギン、インスリングルリジン、インスリン(吸入薬)、インスリンリスプロ、インスリンデテミール、インスリン(口腔、RapidMist)、メカセルミンリンファバート、アナキンラ、セルモロイキン、99mTc−アプシタイド注射剤、ミエロイド、ベタセロン、酢酸グラチラマー、Gepon、サラグラモスティム、オプレルベキン、ヒト白血球由来アルファインターフェロン、Bilive、インスリン(組み換え体)、組み換え体ヒトインスリン、インスリンアスパルト、メカセルミン、Roferon−A、インターフェロン−アルファ2、アルファフェロン、インターフェロンアルファコン−1、インターフェロンアルファ、Avonexの組み換え体ヒト黄体形成ホルモン、ドルナーゼアルファ、トラフェルミン、ジコノタイド、タルチレリン、ジボテルミンアルファ、アトシバン、ベカプレルミン、エプチフィバチド、Zemaira、CTC−111、Shanvac−B、HPVワクチン(四価)、NOV−002、オクトレオチド、ランレオチド、アンセスチム、アガルシダーゼベータ、アガルシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、プレザチッド銅酢酸(局所用ゲル)、ラスブリカーゼ、ラニビズマブ、アクティミューン、PEG−イントロン、トリコミン、組み換え体ハウスダストダニアレルギー脱感作注射剤、組み換え体ヒト副甲状腺ホルモン(PTH)1〜84(sc、骨粗鬆症)、エポエチンデルタ、トランスジェニックアンチトロンビンIII、グランジトロピン、ビトレース、組み換え体インスリン、インターフェロン−アルファ(経口用トローチ剤)、GEM−21S、バブレオチド、イズルスルファーゼ、オマパトリラト、組み換え体血清アルブミン、セルトリズマブペゴール、グルカルピダーゼ、ヒト組み換え体C1エステラーゼ阻害剤(血管浮腫)、ラノテプラーゼ、組み換え体ヒト成長ホルモン、エンフュービルタイド(針を用いない注射剤、Biojector 2000)、VGV−I、インターフェロン(α)、ルシナクタント、アビプタディール(吸入薬、胚疾患)、イカチバント、エカランチド、オミガナン、Aurograb、酢酸ペキシガナン、ADI−PEG−20、LDI−200、デガレリクス、シントレデキンベスドトクス、FavId、MDX−1379、ISAtx−247、リラグルチド、テリパラチド(骨粗鬆症)、チファコギン、AA−4500、T4N5リポソームローション、カツマキソマブ、DWP−413、ART−123、Chrysalin、デスモテプラ−ゼ、アメジプラーゼ、コリフォリトロピンアルファ、TH−9507、テズグルチド、Diamyd、DWP−412、成長ホルモン(徐放型注射剤)、組み換え体G−CSF、インスリン(吸入薬、AIR)、インスリン(吸入薬、テクノスフィア)、インスリン(吸入薬、AERx)、RGN−303、DiaPep277、インターフェロンベータ(C型肝炎ウイルス感染(HCV))、インターフェロンアルファ−n3(経口薬)、ベラタセプト、経皮インスリンパッチ、AMG−531、MBP−8298、Xerecept、オペバカン、AIDSVAX、GV−1001、LymphoScan、ランピルナーゼ、リポキサン、ラスプルチド、MP52(ベータ型リン酸三カルシウムキャリア、骨再生)、メラノーマワクチン、シプリューセル−T、CTP−37、インセジア、ビテスペン、ヒトトロンビン(凍結型、手術による出血)、トロンビン、TransMID、アルフィメプラーゼ、プリカーゼ、テルリプレシン(静脈内、肝腎症候群)、EUR−1008M、組み換え体FGF−I(注入型、血管疾患)、BDM−E、ロチガプチド、ETC−216、P−113、MBI−594AN、デュラマイシン(吸入型、嚢胞性線維症)、SCV−07、OPI−45、エンドスタチン、アンジオスタチン、ABT−510、ボーマン−バーク型阻害物質濃縮剤、XMP−629、99mTc−Hynic−アネキシンV、カハラリドF、CTCE−9908、テベレリクス(徐放型)、オザレリクス、ロミデプシン、BAY−50−4798、インターロイキン−4、PRX−321、ペプスキャン、イボクタデキン、rhラクトフェリン、TRU−015、IL−21、ATN−161、シレンジタイド、アルブフェロン、Biphasix、IRX−2、オメガインターフェロン、PCK−3145、CAP−232、パシレオチド、huN901−DM1、卵巣がんの免疫治療用ワクチン、SB−249553、Oncovax−CL、OncoVax−P、BLP−25、CerVax−16、マルチエピトープペプチドメラノーマワクチン(MART−1、gp100、チロシナーゼ)、ネミフィチド、rAAT(吸入型)、rAAT(皮膚科薬)、CGRP(吸入型、喘息)、ペグスネルセプト、サイモシンベータ−4、プリチデプシン、GTP−200、ラモプラニン、GRASPA、OBI−1、AC−100、サケのカルシトイニン(経口薬、エリゲン)、カルシトニン(経口薬、骨粗鬆症)、エキサモレリン、カプロモレリン、カルデバ、ベラフェルミン、131I−TM−601、KK−220、TP−10、ウラリチド、デペレスタット、ヘマタイド、クリサリン(局所用)、rNAPc2、組み換え体第VIII因子(PEG化リポソーム)、bFGF、PEG化組み換え体スタフィロキナーゼ変異体、V−10153、SonoLysis Prolyse、NeuroVax、CZEN−002、膵島新生治療、rGLP−1、BIM−51077、LY−548806、エクセナチド(徐放型、メディソルブ)、AVE−0010、GA−GCB、アボレリン、AOD−9604、酢酸リナクロチド、CETi−1、ヘモスパン、VAL(注射剤)、速効型インスリン(注射剤、ヴィアデル)、経鼻インルリン、インスリン(吸入型)、インスリン(経口薬、エリゲン)、組み換え体メチオニルヒトレプチン、ピトラキンラ(皮下注射剤、湿疹)、ピトラキンラ(吸入型乾燥粉末、喘息)、マルチカイン、RG−1068、MM−093、NBI−6024、AT−001、PI−0824、Org−39141、Cpn1O(自己免疫疾患(autoimmune iseases)/炎症)、ヒト型ラクトフェリン(talactoferrin)(局所型)、rEV−131(眼科用)、rEV−131(呼吸器疾患)、経口型組み換え体ヒトインスリン(糖尿病)、RPI−78M、オプレルベキン(経口薬)、CYT−99007 CTLA4−Ig、DTY−001、バラテグラスト、インターフェロンアルファ−n3(局所型)、IRX−3、RDP−58、タウフェロン、胆汁酸塩刺激リパーゼ、メリスパーゼ、アルカリホスファターゼ、EP−2104R、メラノタン−II、ブレメラノチド、ATL−104、組み換え体ヒトマイクロプラスミン、AX−200、SEMAX、ACV−1、Xen−2174、CJC−1008、ダイノルフィンA、SI−6603、LAB GHRH、AER−002、BGC−728、マラリアワクチン(ビロソーム、PeviPRO)、ALTU−135、パルボウイルスB19ワクチン、インフルエンザワクチン(組み換え体ノイラミインダーゼ)、マラリア/HBVワクチン、アンスラックスワクチン、Vacc−5q、Vacc−4x、HIVワクチン(経口薬)、HPVワクチン、Tat Toxoid、YSPSL、CHS−13340、PTH(1−34)リポソームクリーム(Novasome)、オスタボリン−C、PTHアナログ(局所型、乾癬)、MBRI−93.02、MTB72Fワクチン(結核)、MVA−Ag85Aワクチン(結核)、FAR−404、BA−210、組み換え体疫病F1Vワクチン、AG−702、OxSODrol、rBetV1、Der−p1/Der−p2/Der−p7アレルギー誘発物質標的化ワクチン(イエダニアレルギー)、PR1ペプチド抗原(白血病)、突然変異体rasワクチン、HPV−16 E7リポペプチドワクチン、ラビリチンワクチン(腺癌)、CMLワクチン、WT1ペプチドワクチン(ガン)、IDD−5、CDX−110、ペントライズ、ノレリン、CytoFab、P−9808、VT−111、イクロカプチド、テルベルミン(皮膚科用、糖尿病性足部潰瘍)、ルピントリビル、レティキュロースrGRF、P1A、アルファ−ガラクトシダーゼA、ACE−011、ALTU−140、CGX−1160、アンジオテンシン治療用ワクチン、D−4F、ETC−642、APP−018、rhMBL、SCV−07(経口薬、結核)、DRF−7295、ABT−828、ErbB2特異的免疫毒素(抗ガン剤)、DT388IL−3、TST−10088、PRO−1762、コンボトックス(Combotox)、コレシストキニン−B/ガストリン受容体結合ペプチド、111In−hEGF、AE−37、トラスツズマブ−DM1、アンタゴニストG、IL−12(組み換え体)、PM−02734、IMP−321、rhIGF−BP3、BLX−883、CUV−1647(局所型)、L−19をベースとする放射線免疫治療薬(ガン)、Re−188−P−2045、AMG−386、DC/I540/KLHワクチン(ガン)、VX−001、AVE−9633、AC−9301、NY−ESO−1ワクチン(ペプチド)、NA17.A2ペプチド、メラノーマワクチン(パルス抗原治療薬)、前立腺ガンワクチン、CBP−501、組み換え体ヒトラクトフェリン(ドライアイ)、FX−06、AP−214、WAP−8294A2(注射剤)、ACP−HIP、SUN−11031、ペプチドYY[3−36](肥満


、経鼻型)、FGLL、アタシセプト、BR3−Fc、BN−003、BA−058、ヒト副甲状腺ホルモン1−34(経鼻型、骨粗鬆症)、F−18−CCR1、AT−1001(シリアック病/糖尿病)、JPD−003、PTH(7−34)リポソームクリーム(ノバゾーム)、デュラマイシン(眼科用、ドライアイ)、CAB−2、CTCE−0214、グリコペグ化(GlycoPEGylated)エリスロポエチン、EPO−Fc、CNTO−528、AMG−114、JR−013、第XIII因子、アミノカンディン、PN−951、716155、SUN−E7001、TH−0318、BAY−73−7977、テベレリクス(即放型)、EP−51216、hGH(徐放型、バイオスフィア)、OGP−I、シフュービルタイド、TV−4710、ALG−889、Org−41259、rhCC10、F−991、チモペンチン(肺疾患)、r(m)CRP、肝臓選択性インスリン、スバリン、L19−IL−2融合タンパク質、elafin、NMK−150、ALTU−139、EN−122004、rhTPO、トロンボポエチン受容体アゴニスト(血小板減少症)、AL−108、AL−208、神経成長因子アンタゴニスト(疼痛)、SLV−317、CGX−1007、INNO−105、経口型テリパラチド(エリゲン)、GEM−OS1、AC−162352、PRX−302、LFn−p24融合ワクチン(テラポア(Therapore))、EP−1043、肺炎連鎖球菌小児ワクチン、マラリアワクチン、B群髄膜炎菌ワクチン、新生児B群連鎖球菌ワクチン、炭疽病ワクチン、HCVワクチン(gpE1+gpE2+MF−59)、中耳炎治療薬、HCVワクチン(コア抗原+ISCOMATRIX)、hPTH(1−34)(経皮型、ViaDerm)、768974、SYN−101、PGN−0052、アビスクミン、BIM−23190、結核ワクチン、マルチエピトープチロシナーゼペプチド、ガンワクチン、エンカスチム、APC−8024、GI−5005、ACC−001、TTS−CD3、血管標的化TNF(固形腫瘍)、デスモプレシン(口腔徐放型)、オネルセプト、およびTP−9201。
【0083】
特定の実施形態においては、異種生産されるタンパク質は、酵素またはその生物学的に活性な断片である。適している酵素としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、およびリガーゼ。特定の実施形態においては、異種生産されるタンパク質は、Enzyme Commission(EC)のクラス1の酵素、例えば、EC1.1〜1.21、または1.97のいずれかによる酵素である。酵素はまた、ECのクラス2、3、4、5、または6による酵素でもあり得る。例えば、酵素は、EC2.1〜2.9、EC3.1〜3.13、EC4.1〜4.6、EC4.99、EC5.1〜5.11、EC5.99、またはEC6.1〜6.6のいずれかから選択することができる。
【0084】
特定の実施形態においては、異種生産されるタンパク質は以下である:アセチラーゼ、アシラーゼ、アルドラーゼ、アミダーゼ、アミラーゼ、ATPase、カルボキシラーゼ、シクラーゼ、シクロイソメラーゼ、デアセチラーゼ、デアシラーゼ、デカルボキシラーゼ、デシクラーゼ、デハロゲナーゼ、デヒドラターゼ、デヒドロゲナーゼ、デヒドロキシラーゼ、デメチラーゼ、デポリメラーゼ、デサチュラーゼ、ジオキシゲナーゼ、ジスムターゼ、エンドヌクレアーゼ、エピメラーゼ、エポキシダーゼ、エステラーゼ、エキソヌクレアーゼ、ガラクトシダーゼ、グルコシダーゼ、グリコシダーゼ、グリコシラーゼ、ハロゲナーゼ、ヒドラターゼ、ヒドロゲナーゼ、ヒドロラーゼ、ヒドロキシラーゼ、ヒドロキシトランスフェラーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、リパーゼ、リポキシゲナーゼ、リアーゼ、メチルエステラーゼ、モノオキシゲナーゼ、ムターゼ、ヌクレアーゼ、ヌクレオシダーゼ、ヌクレオチダーゼ、オキシダーゼ、オキシドレダクターゼ、オキシゲナーゼ、ペプチダーゼ、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホジエステラーゼ、ホスホリパーゼ、ポリメラーゼ、ポリメラーゼ、プロテアーゼ、プロテイナーゼ、ラセマーゼ、レダクターゼ、レダクトイソメラーゼ、リオヌクレアーゼ(rionuclease)、リボヌクレアーゼ、シンターゼ、シンセターゼ、タウロメラーゼ、チオエステアーゼ、チオグルコシダーゼ、チオエステラーゼ、トポイソメラーゼ、またはトランスヒドロゲナーゼ。適しているキナーゼとしては、チロシンキナーゼ、セリンキナーゼ、スレオニンキナーゼ、アスパルチンキナーゼ、およびヒスチジンキナーゼが挙げられるが、これらに限定されない。適しているホスホリラーゼとしては、チロシンホスホリラーゼ、セリンホスホリラーゼ、およびスレオニンホスホリラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
特定の実施形態においては、異種生産されるタンパク質は、イソメラーゼまたはその生物学的に活性な断片である。適しているイソメラーゼとしては、イソペンテニル二リン酸(「IPP」)イソメラーゼまたはその生物学的に活性な断片が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態においては、異種生産されるタンパク質は、シンターゼまたはその生物学的に活性な断片である。適しているシンターゼとしては、プレニル二リン酸シンターゼおよびテルペンシンターゼが挙げられるが、これらに限定されない。適しているプレニル二リン酸シンターゼまたはプレニルトランスフェラーゼ(例えば、プレニルトランスフェラーゼ)は、E−イソプレニル二リン酸シンターゼであり得、これには、以下が含まれるがこれらに限定されない:ゲラニル二リン酸(GPP)シンターゼ、ファルネシルI二リン酸(FPP)シンターゼ、ゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)シンターゼ、ヘキサプレニル二リン酸(HexPP)シンターゼ、ヘプタプレニル二リン酸(HepPP)シンターゼ、オクタプレニル(OPP)二リン酸シンターゼ、ソラネシル二リン酸(SPP)シンターゼ、デカプレニル二リン酸(DPP)シンターゼ、チクルシンターゼ、およびガッタパーチャシンターゼ;およびジソプレニル二リン酸シンターゼ(Zisoprenyl diphosphate synthase)(ノナプレニル二リン酸(NPP)シンターゼ、ウンデカプレニル二リン酸(UPP)シンターゼ、デヒドロドリチル二リン酸シンターゼ、エイコサプレニル二リン酸シンターゼ、天然ゴムシンターゼ、および他のジソプレニル二リン酸シンターゼが含まれるがこれらに限定されない)。いくつかの実施形態においては、プレニルトランスフェラーゼは、外因性配列によってコードされる。
【0086】
様々な種に由来する多数のプレニルトランスフェラーゼのヌクレオチド配列は公知であり、上記異種タンパク質を生産させるための異種配列の作製に使用するために使用され得るか、または修飾され得る。例えば、以下のものについての配列を公に利用することができる:ヒトファルネシルピロリン酸シンテターゼmRNA(GenBank登録番号J05262;(Homo sapiens);ファルネシル二リン酸シンテターゼ(FPP)遺伝子(GenBank登録番号J05091;Saccharomyces cerevisiae);イソペンテニル二リン酸:ジメチルアリル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(J05090;Saccharomyces cerevisiae);Wang and Ohnuma(2000)Biochim.Biophys.Acta 1529:33−48;米国特許第6,645,747号;Arabidopsis thalianaファルネシルピロリン酸シンテターゼ2(FPS2)/FPPシンテターゼ2/ファルネシル二リン酸シンターゼ2(At4gl7190)mRNA(GenBank登録番号NM_202836);Ginkgo bilobaゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(ggpps)mRNA(GenBank登録番号AY371321);Arabidopsis thalianaゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ(GGPS1)/GGPPシンテターゼ/ファルネシルトランストランスフェラーゼ(At4g36810)mRNA(GenBank登録番号NM_119845);ファルネシル、ゲラニルゲラニル、ゲラニルファルネシル、ヘキサプレニル、ヘプタプレニル二リン酸シンターゼ(SelF−HepPS)についてのSynechococcus elongatus遺伝子(GenBank登録番号AB016095)。
【0087】
他の実施形態においては、生産されるタンパク質はテルペンシンターゼであり、これには以下が含まれるがこれらに限定されない:アモルファ−4,11−ジエンシンターゼ、β−カリオフィレンシンターゼ、ゲルマクレンAシンターゼ、8−エピセドロールシンターゼ、バレンセンシンターゼ、(+)−δ−カジネンシンターゼ、ゲルマクレンCシンターゼ、(E)−β−ファルネセンシンターゼ、カスベンシンターゼ、ベチスピラジエンシンターゼ、5−エピ−アリストロケンシンターゼ、アリストルケンシンターゼ、α−フムレンシンターゼ、(E,E)−α−ファルネセンシンターゼ、(−)−β−ピネンシンターゼ、γ−テルピネンシンターゼ、リモネンシクラーゼ、リナロールシンターゼ、1,8−シネオールシンターゼ、(+)−サビネンシンターゼ、E−α−ビサボレンシンターゼ、(+)−ボルニル二リン酸シンターゼ、レボピマラジエンシンターゼ、アビエタジエンシンターゼ、イソピマラジエンシンターゼ、(E)−γ−ビサボレンシンターゼ、タキサジエンシンターゼ、コパリルピロリン酸シンターゼ、カウランシンターゼ、ロンギホレンシンターゼ、γ−フムレンシンターゼ、δ−セリネンシンターゼ、β−フェランドレンシンターゼ、リモネンシンターゼ、ミルセンシンターゼ、テルピノレンシンターゼ、(−)−カンフェンシンターゼ、(+)−3−カレンシンターゼ、syn−コパリル二リン酸シンターゼ、α−テルピネオールシンターゼ、syn−ピマラ−7,15−ジエンシンターゼ、ent−サンダアラコピマラジエンシンターゼ(ent−sandaaracopimaradiene synthase)、ステマル−13−エンシンターゼ(stemer−13−ene synthase)、E−β−オシメン、S−リナロールシンターゼ、ゲラニオールシンターゼ、γ−テルピネンシンターゼ、リナロールシンターゼ1、E−β−オシメンシンターゼ、エピ−セドロールシンターゼ、α−ジンギベレンシンターゼ、グアイアジエンシンターゼ、カスカリラジエンシンターゼ、シス−ムウロラジエンシンターゼ、アフィジコラン−16b−オールシンターゼ(aphidicolan−16b−ol synthase)、エリザベサトリエンシンターゼ(elizabethatriene synthase)、サンダロールシンターゼ(sandalol synthase)、パチョロールシンターゼ、ジンザノールシンターゼ(zinzanol synthase)、セドロールシンターゼ、スカレオールシンターゼ(scareol synthase)、コパロールシンターゼ、およびマノールシンターゼ(manool synthase)。
【0088】
いくつかの実施形態においては、異種生産されるタンパク質は、代謝経路において機能する酵素またはその生物学的に活性な断片である。異種生産されるタンパク質は、異化経路において機能する酵素であり得る。適している異化経路の例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:好気呼吸の経路(これには、解糖、ピルビン酸の酸化的脱炭酸、クエン酸回路、および酸化的リン酸化が含まれる);および嫌気呼吸(発酵)の経路。他の実施形態においては、異種生産されるタンパク質は、同化経路において機能する酵素である。適している同化経路の例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(「IPP」)の生産のためのメバロン酸依存性(「MEV」)経路およびメバロン酸非依存性(「DXP」)経路。IPPはさらに、イソプレノイド(例えば、その経路の代謝流量を制御することにおいて役割を担っているMEV経路の酵素をコードする異種配列(例えば、律速工程に関与しているもの、または本発明において使用され得る代謝中間体の合成に関与しているもの))に変換され得る。このカテゴリーの例示的なMEV経路の酵素としては、HMG−CoAレダクターゼ、HMG−CoAシンターゼ、およびメバロン酸キナーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
DXP経路に関与している酵素またはそれらの生物学的に活性な断片は同定されており、単離されており、そして使用することができる。これらの酵素としては、以下が挙げられる:1−デオキシキシルロース−5−リン酸シンターゼ(「dxs」遺伝子によってコードされる)、1−デオキシキシルロース−5−リン酸レダクトイソメラーゼ(「ispC」遺伝子としても知られている「dxr」遺伝子によってコードされる)、2C−メチル−D−エリスリトールシチジルトランスフェラーゼ酵素(「ygbP」遺伝子としても知られている「ispD」遺伝子によってコードされる)、4−ジホスホシチジル−2−C−メチルエリスリトールキナーゼ(「ychB」遺伝子としても知られている「ispE」遺伝子によってコードされる)、2C−メチル−D−エリスリトール2,4−シクロ二リン酸シンターゼ(「ygbB」遺伝子としても知られている「ispF」遺伝子によってコードされる)、CTPシンターゼ(「ispF」遺伝子としても知られている「pyrG」遺伝子によってコードされる)、ジメチルアリル二リン酸の形成に関与している酵素(「ispH」遺伝子としても知られている「lytB」遺伝子によってコードされる)、1−ヒドロキシ−2−メチル−2−(E)−ブテニル4−二リン酸シンターゼの合成に関与している酵素(「ispG」遺伝子としても知られている「gcpE」遺伝子によってコードされる)。
【0090】
DXP経路の例示的なポリペプチド/ヌクレオチド配列としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:D−1−デオキシキシルロース5−リン酸シンターゼ(Escherichia coli、ACCESSION# AF035440)、1−デオキシ−D−キシルロース−5−リン酸シンターゼ(Pseudomonas putida KT2440、ACCESSION# NC_002947 locus_tag PP0527)、1−デオキシキシルロース−5−リン酸シンターゼ(Salmonella enterica sub.sp enterica serovar Paratyphi A str.ATCC9150、ACCESSION# CP000026、Locus_tag SPA2301)、1−デオキシ−D−キシルロース−5−リン酸シンターゼ(Rhodobacter sphaeroides 2.4.1、ACCESSION# NC_007493 locus_tag RSP_0254)、1−デオキシ−D−キシルロース−5−リン酸シンターゼ(Rhodopseudomonas palustris CGA009、ACCESSION# NC_005296 locus_tag RPA0952)、1−デオキシ−D−キシルロース−5−リン酸シンターゼ(Xylella fastidiosa Temeculal、ACCESSION# NC_004556 locus_tag PD1293)、1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸シンターゼ(Arabidopsis thaliana、ACCESSION# NC_003076 locus_tag AT5G11380)、1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸レダクトイソメラーゼ(Escherichia coli、ACCESSION# AB013300)、1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸レダクトイソメラーゼ(Arabidopsis thaliana、ACCESSION# AF148852)、1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸レダクトイソメラーゼ(Pseudomonas putida KT2440、ACCESSION# NC_002947 locus_tag PP1597)、1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸レダクトイソメラーゼ(Streptomyces coelicolor A3(2)、ACCESSION# AL939124 locus_tag CO5694)、1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸レダクトイソメラーゼ(Rhodobacter sphaeroides 2.4.1、ACCESSION# NC_007493 locus_tag RSP_2709)、1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸レダクトイソメラーゼ(Pseudomonas fluorescens PfO−1、ACCESSION# NC_007492 locus_tag Pf1_1107)、4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリスリトールシンターゼ(Escherichia coli、ACCESSION# AF230736)、4−ジホスホシチジル−2−メチル−D−エリスリトールシンターゼ(Rhodobacter sphaeroides 2.4.1,ACCESSION#,NC_007493 locus_tag、RSP_2835)、4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリスリトールシンターゼ(Arabidopsis thaliana、ACCESSION# NC_003071 locus_tag AT2G02500)、2−C−メチル−D−エリスリトール4−リン酸シチジリルトランスフェラーゼ(Pseudomonas putida KT2440、ACCESSION# NC_002947 locus_tag PP1614)、4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリスリトールキナーゼ(ispE)遺伝子(Escherichia coli、ACCESSION# AF216300)、4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリスリトールキナーゼ(ispE)(Rhodobacter sphaeroides 2.4.1、ACCESSION# NC_007493 locus_tag RSP_1779)、2C−メチル−D−エリスリトール2,4−シクロ二リン酸シンターゼ(Escherichia coli、ACCESSION# AF230738)、2C−メチル−D−エリスリトール2,4−シクロ二リン酸シンターゼ(Rhodobacter sphaeroides 2.4.1、ACCESSION# NC_007493 locus_tag RSP_6071)、2−C−メチル−D−エリスリトール2,4−シクロ二リン酸シンターゼ(Pseudomonas putida KT2440、ACCESSION# NC_002947 locus_tag PP1618)、1−ヒドロキシ−2−メチル−2−(E)−ブテニル4−二リン酸シンターゼ(Escherichia coli、ACCESSION# AY033515)、4−ヒドロキシ−3−メチルブト−2−エン−1−イル二リン酸シンターゼ(Pseudomonas putida KT2440、ACCESSION# NC_002947 locus_tag PP0853)、4−ヒドロキシ−3−メチルブト−2−エン−1−イル二リン酸シンターゼ(Rhodobacter sphaeroides 2.4.1、ACCESSION# NC_007493 locus_tag RSP_2982)、IspH(LytB)(Escherichia coli、ACCESSION# AY062212)、4−ヒドロキシ−3−メチルブト−2−エニル二リン酸レダクターゼ(Pseudomonas putida KT2440、ACCESSION# NC_002947 locus_tag PP0606)、および米国特許出願番号20060121558(これは引用により本明細書中に組み入れられる。)に開示されている任意の他のDXP経路の遺伝子。
【0091】
逆TCA回路に関与している酵素をコードするヌクレオチド配列もまた当該分野で公知であり、これは、逆TAC回路の酵素である異種産物を生産させるための異種配列として使用され得る。TCA回路の例示的なポリペプチド/ヌクレオチド配列としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:2−オキソグルタレートフェレドキシンオキシドレダクターゼ(Hydrogenobacter thermophilus、ACCESSION# AB046568、Bordetella bronchiseptica、ACCESSION# Y10540)、(Escherichia coli、ACCESSION# U09868)、フマル酸レダクターゼ(Mannheimia haemolytica、ACCESSION# DQ680277、Escherichia coli、ACCESSION# AY692474)、ピルビン酸:フェレドキシンオキシドレダクターゼ(Hydrogenobacter thermophilus、ACCESSION# AB042412)、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(Chlorobium limicola、ACCESSION# AB076021,Rattus norvegicus、ACCESSION# NM_031551)、ATP−クエン酸シンターゼ(Chlorobium limicola、ACCESSION# AB054670,Saccharomyces cerevisiae、ACCESSION# X00782)、ホスホエノールピルビン酸シンターゼ(Escherichia coli、ACCESSION# X59381,M69116)、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(Streptococcus thermophilus、ACCESSION# AM167938,Lupinus luteus、ACCESSION# AM235211)、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(Chlorobaculum tepidum、ACCESSION# X80838,Mus musculus、ACCESSION# X07297,Klebsiella pneumoniae、ACCESSION# AM051137)、および/またはフマラーゼ(Rhizopus oryzae、ACCESSION# X78576,Solanum tuberosum、ACCESSION# X91615)。これらの逆TCA回路の核酸のうちの任意のものを、本発明の方法にしたがってイソプレノイドを生産する組み換え体宿主細胞を作製するために使用することができる。
【0092】
MEV経路の酵素をコードするヌクレオチド配列の幅広い選択肢が当該分野で利用され、そしてこれらの酵素またはそれらの生物学的に活性な断片を、本発明の異種配列の構築に容易に使用することができる。以下は、MEV経路の遺伝子産物をコードする既知のヌクレオチド配列の限定ではない例であり、括弧内はそれぞれのMEV経路の酵素のGenBank登録番号と起源生物である:アセトアセチル−CoAチオラーゼ:(NC_000913 REGION:2324131..2325315;E.coli)、(D49362;Paracoccus denitrificans)、および(L20428;Saccharomyces cerevisiae);HMGS:(NC_001145.complement 19061..20536;Saccharomyces cerevisiae)、(X96617;Saccharomyces cerevisiae)、(X83882;Arabidopsis thaliana)、(AB037907;Kitasatospora griseola)、および(BT007302;Homo sapiens)(NC_002758、Locus tag SAV2546,GeneID 1122571;Staphylococcus aureus);HMGR:(NM_206548;Drosophila melanogaster)、(NC_002758、Locus tag SAV2545,GeneID 1122570;Staphylococcus aureus)、(NM_204485;Gallus gallus)、(AB015627;Streptomyces sp.KO−3988)、(AF542543;Nicotiana attenuata)、(AB037907;Kitasatospora griseola)、(AX128213、短縮型HMGRをコードする配列を提供する;Saccharomyces cerevisiae)、および(NC_001145:complement(115734..118898;Saccharomyces cerevisiae));MK:(L77688;Arabidopsis thaliana)、および(X55875;Saccharomyces cerevisiae);PMK:(AF429385;Hevea brasiliensis)、(NM_006556;Homo sapiens)、(NC_001145.complement 712315..713670;Saccharomyces cerevisiae);MPD:(X97557;Saccharomyces cerevisiae)、(AF290095;Enterococcus faecium)、および(U49260;Homo sapiens);ならびにIDI:(NC_000913、3031087..3031635;E.coli)、および(AF082326;Haematococcus pluvialis)。
【0093】
代謝経路の産物としては、炭化水素およびそれらの誘導体を挙げることができる。例えば、飽和炭化水素、不飽和炭化水素、シクロアルカン炭化水素、および芳香族炭化水素を、本発明の方法によって生産することができる。例えば、テルペンおよびテルペノイド(例えば、イソプレノイド)は、本発明の異種配列によってコードされるMEV経路の酵素のような異種タンパク質の生産の結果として生産され得る。
【0094】
イソプレノイド(任意のC〜C20またはさらに大きな炭素数のイソプレノイドを含むがこれらに限定されない)は、本明細書中に記載される方法によって生産される異種産物であり得る。以下は、任意のC〜C20またはさらに大きな炭素数のイソプレノイドのような例示的なイソプレノイドを記載するが、これらに限定されない。本発明のC化合物の例は、IPPまたはDMAPPに由来し得る。これらの化合物はまた、ヘミテルペンとしても知られている。なぜなら、これらは、単一のイソプレン単位(IPPまたはDMAPP)に由来するからである。その構造が
【0095】
【化1】

【0096】
であるイソプレンが、多くの植物において見られる。イソプレンは、通常は、イソプレンシンターゼによってIPPから生成される。適しているヌクレオチド配列の説明的な例としては、(AB198190;Populus alba)および(AJ294819;Polulus alba x Polulus tremula)が挙げられるが、これらに限定されない。これらは、本発明で使用される異種配列であり得る。
【0097】
2つのイソプレン単位から導かれることからモノテルペンとしても知られている本発明のC10化合物は、DMAPPとのIPPの縮合によって生成されるゲラニルピロリン酸(GPP)に由来し得る。特定の実施形態においては、本発明の宿主細胞には、IPPとDMAPPとをGPPに変換する酵素をコードする異種配列が含まれる。この工程を触媒することが明らかになっている酵素は、例えば、ゲラニルピロリン酸シンターゼである。ゲラニルピロリン酸シンターゼのヌクレオチド配列の説明的な例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:(AF513111;Abies grandis)、(AF513112;Abies grandis)、(AF513113;Abies grandis)、(AY534686;Antirrhinum majus)、(AY534687;Antirrhinum majus)、(Y17376;Arabidopsis thaliana)、(AE016877、Locus AP11092;Bacillus cereus;ATCC14579)、(AJ243739;Citrus sinensis)、(AY534745;Clarkia breweri)、(AY953508;Ips pini)、(DQ286930;Lycopersicon esculentum)、(AF182828;Mentha x piperita)、(AF182827;Mentha x piperita)、(MPI249453;Mentha x piperita)、(PZE431697、Locus CAD24425;Paracoccus zeaxanthinifaciens)、(AY866498;Picrorhiza kurrooa)、(AY351862;Vitis vinifera)、および(AF203881、Locus AAF12843;Zymomonas mobilis)。次いで、その後、GPPは、様々なC10化合物に変換することができる。C10化合物の説明的な例としては、以下のモノテルペンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
例えば、モノテルペンは、その構造が
【0099】
【化2】

【0100】
であるカレンであり得る。
【0101】
カレンは、通常は、GPPからカレンシンターゼによって生成される。カレンシンターゼをコードする異種配列として使用される、適しているヌクレオチド配列の説明的な例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:(AF461460、REGION 43..1926;Picea abies)および(AF527416、REGION:78..1871;Salvia stenophylla)。
【0102】
別のモノテルペン(例えば、その構造が
【0103】
【化3】

【0104】
であるゲラニオール(ロドノールとしても知られている))が、本発明によって生産される産物であり得る。ゲラニオールは、通常は、GPPからゲラニオールシンターゼによって生成される。本発明の異種配列として使用され得るゲラニオールシンターゼをコードする、適しているヌクレオチド配列の説明的な例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:(AJ457070;Cinnamomum tenuipilum)、(AY362553;Ocimum basilicum)、(DQ234300;Perilla frutescens株1864)、(DQ234299;Perilla citriodora株1861)、(DQ234298;Perilla citriodora株4935)、および(DQ088667;Perilla citriodora)。
【0105】
その構造が
【0106】
【化4】

【0107】
であるモノテルペン、リナロールは、通常は、GPPからリナロールシンターゼによって生成され、そして本発明によって生産され得る。適しているヌクレオチド配列の説明的な例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:(AF497485;Arabidopsis thaliana)、(AC002294、Locus AAB71482;Arabidopsis thaliana)、(AY059757;Arabidopsis thaliana)、(NM_104793;Arabidopsis thaliana)、(AF 154124;Artemisia annua)、(AF067603;Clarkia breweri)、(AF067602;Clarkia concinna)、(AF067601;Clarkia breweri)、(U58314;Clarkia breweri)、(AY840091;Lycopersicon esculentum)、(DQ263741;Lavandula angustifolia)、(AY083653;Mentha citrate)、(AY693647;Ocimum basilicum)、(XM_463918;Oryza sativa)、(AP004078、Locus BAD07605;Oryza sativa)、(XM_463918、Locus XP_463918;Oryza sativa)、(AY917193;Perilla citriodora)、(AF271259;Perilla frutescens)、(AY473623;Picea abies)、(DQ195274;Picea sitchensis)、および(AF444798;Perilla frutescens var.crispa cultivar No.79)。これらの配列は、本発明の異種配列として使用され得る。
【0108】
その構造が
【0109】
【化5】

【0110】
である別のモノテルペン、リモネンは、通常は、GPPからリモネンシンターゼによって生成される。本発明の異種配列として使用され得る適しているヌクレオチド配列の説明的な例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:(+)−リモネンシンターゼ(AF514287、REGION:47..1867;Citrus limon)および(AY055214、REGION:48..1889;Agastache rugosa)、ならびに(−)−リモネンシンターゼ(DQ195275、REGION:1..1905;Picea sitchensis)、(AF006193、REGION:73..1986;Abies grandis)、および(MHC4SLSP、REGION:29..1828;Mentha spicata)。
【0111】
その構造が
【0112】
【化6】

【0113】
であるモノテルペン、ミルセンは、通常は、GPPからミルセンシンターゼによって生成され、そして、本発明によって生産され得る別の産物である。本発明の異種配列として使用され得る適しているヌクレオチド配列の説明的な例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:(U87908;Abies grandis)、(AY195609;Antirrhinum majus)、(AY195608;Antirrhinum majus)、(NM_127982;Arabidopsis thaliana TPS10)、(NM_113485;Arabidopsis thaliana ATTPS−CIN)、(NM_113483;Arabidopsis thaliana ATTPS−CIN)、(AF271259;Perilla frutescens)、(AY473626;Picea abies)、(AF369919;Picea abies)、および(AJ304839;Quercus ilex)。
【0114】
その構造がそれぞれ、
【0115】
【化7】

【0116】
である別のモノテルペン、オシメン(α−オシメンおよびβ−オシメン)は、通常は、GPPからオシメンシンターゼ(本発明の異種配列によってコードされ得るシンターゼ)によって生成される。異種配列として使用され得る適しているヌクレオチド配列の説明的な例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:(AY195607;Antirrhinum majus)、(AY195609;Antirrhinum majus)、(AY195608;Antirrhinum majus)、(AK221024;Arabidopsis thaliana)、(NM_113485;Arabidopsis thaliana ATTPS−CIN)、(NM_113483;Arabidopsis thaliana ATTPS−CIN)、(NM_117775;Arabidopsis thaliana ATTPS03)、(NM_001036574;Arabidopsis thaliana ATTPS03)、(NM_127982;Arabidopsis thaliana TPSlO)、(AB110642;Citrus unshiu CitMTSL4)、および(AY575970;Lotus corniculatus var.japonicus)。
【0117】
その構造が
【0118】
【化8】

【0119】
である別のモノテルペン、α−ピネンは、通常は、GPPからα−ピネンシンターゼ(本発明の異種配列によってコードされ得るシンターゼ)によって生成される。シンターゼをコードする異種配列として使用され得る適しているヌクレオチド配列の説明的な例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:(+)α−ピネンシンターゼ(AF543530、REGION:1..1887;Pinus taeda)、(−)α−ピネンシンターゼ(AF543527、REGION:32..1921;Pinus taeda)、および(+)/(−)α−ピネンシンターゼ(AGU87909、REGION:6111892;Abies grandis)。
【0120】
その構造が
【0121】
【化9】

【0122】
である別のモノテルペン、β−ピネンは、通常は、GPPからβ−ピネンシンターゼ(本発明の異種配列によってコードされ得るシンターゼ)によって生成される。シンターゼをコードする異種配列として使用され得る適しているヌクレオチド配列の説明的な例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:(−)β−ピネンシンターゼ(AF276072、REGION:1..1749;Artemisia annua)および(AF514288、REGION:26..1834;Citrus limon)。
【0123】
その構造が
【0124】
【化10】

【0125】
である別のモノテルペン、サビネンは、通常は、GPPからサビネンシンターゼ(本発明の異種配列によってコードされ得るシンターゼ)によって生成される。異種配列として使用され得る適しているヌクレオチド配列の説明的な例としては、Salvia officinalis 由来のAF051901、REGION:26..1798が挙げられるがこれに限定されない。
【0126】
その構造が
【0127】
【化11】

【0128】
である別のモノテルペン、γ−テルピネンは、通常は、GPPからγ−テルピネンシンターゼ(本発明の異種配列によってコードされ得るシンターゼ)によって生成される。異種配列として使用され得る適しているヌクレオチド配列の説明的な例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:(Citrus limon由来のAF514286、REGION:30..1832)および(Citrus unshiu由来のAB110640、REGION 1..1803)。
【0129】
その構造が
【0130】
【化12】

【0131】
である別のモノテルペン、テルピノレンは、通常は、GPPからテルピノレンシンターゼ(本発明の異種配列によってコードされ得るシンターゼ)によって生成される。異種配列として使用され得る適しているヌクレオチド配列の説明的な例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:(Oscimum basilicum由来のAY693650)および(Pseudotsuga menziesii由来のAY906866、REGION:10..1887)。
【0132】
本発明の異種産物はまた、C15化合物でもあり得る。C15化合物は、一般的には、ファルネシルピロリン酸(FPP)(これは、2つのIPP分子の1つのDMAPP分子との縮合によって生成される)に由来する。この工程を触媒することが知られている酵素は、例えば、ファルネシルピロリン酸シンターゼである。これらのC15化合物はまた、セスキテルペンとしても知られている。なぜなら、これらは、3個のイソプレン単位に由来するからである。特定の実施形態においては、本発明の宿主細胞には、IPPとDMAPPとをFPPに変換する酵素をコードする異種配列が含まれる。
【0133】
本発明の異種配列であり得るファルネシルピロリン酸をコードするヌクレオチド配列の説明的な例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:(AF461050;Bos taurus)、(AB003187,Micrococcus luteus)、(AE009951、Locus AAL95523;Fusobacterium nucleatum sub.sp nucleatum ATCC25586)、(GFFPPSGEN;Gibberellafujikuroi)、(AB016094,Synechococcus elongatus)、(CP000009、Locus AAW60034;Gluconobacter oxydans 621H)、(AF019892;Helianthus annuus)、(HUMFAPS;Homo sapiens)、(KLPFPSQCR;Kluyveromyces lactis)、(LAU15777;Lupinus albus)、(LAU20771;Lupinus albus)、(AF309508;Mus musculus)、(NCFPPSGEN;Neurospora crassa)、(PAFPS1;Parthenium argentatum)、(PAFPS2;Parthenium argentatum)、(RATFAPS;Rattus norvegicus)、(YSCFPP;Saccharomyces cerevisiae)、(D89104;Schizosaccharomyces pombe)、(CP000003、Locus AAT87386;Streptococcus pyogenes)、(CP000017、Locus AAZ51849;Streptococcus pyogenes)、(NC_008022、Locus YP_598856;Streptococcus pyogenes MGAS10270)、(NC_008023、Locus YP_600845;Streptococcus pyogenes MGAS2096)、(NC_008024、Locus YP_602832;Streptococcus pyogenes MGAS10750)、および(MZEFPS;Zea mays,(AB021747、ファルネシル二リン酸シンターゼのOryza sativa FPPS1遺伝子)、(AB028044、Rhodobacter sphaeroides)、(AB028046、Rhodobacter capsulatus)、(AB028047、Rhodovulum sulfidophilum)、(AAU36376;Artemisia annua)、(AF112881およびAF136602,Artemisia annua)、(AF384040,Mentha x piperita)、(D00694、Escherichia coli K−12)、(D13293,B.stearothermophilus)、(D85317,Oryza sativa)、(ATU80605;Arabidopsis thaliana)、(ATHFPS2R;Arabidopsis thaliana)、(X75789,A.thaliana)、(Y12072,G.arboreum)、(Z49786,H.brasiliensis)、(U80605、Arabidopsis thalianaファルネシル二リン酸シンターゼ前駆体(FPS1)mRNA、complete cds)、(X76026、ファルネシル二リン酸シンテターゼのK.lactis FPS遺伝子、bc1複合体、サブユニットVIIIのQCR8遺伝子)、(X82542、ファルネシル二リン酸シンターゼ(FPS1)のP.argentatum mRNA)、(X82543、ファルネシル二リン酸シンターゼ(FPS2)のP.argentatum mRNA)、(BC010004、Homo sapiens、ファルネシル二リン酸シンターゼ(ファルネシルピロリン酸シンテターゼ、ジメチルアリルトランストランスフェラーゼ、ゲラニルトランストランスフェラーゼ)、クローンMGC 15352 IMAGE、4132071、mRNA、complete cds)、(AF234168,Dictyostelium discoideumファルネシル二リン酸シンターゼ(Dfps))、(L46349,Arabidopsis thalianaファルネシル二リン酸シンターゼ(FPS2)mRNA、complete cds)、(L46350、Arabidopsis thalianaファルネシル二リン酸シンターゼ(FPS2)遺伝子、complete cds)、(L46367、Arabidopsis thalianaファルネシル二リン酸シンターゼ(FPSl)遺伝子、別の産物、complete cds)、(M89945、ラットファルネシル二リン酸シンターゼ遺伝子、エキソン1〜8)、(NM_002004、Homo sapiensファルネシル二リン酸シンターゼ(ファルネシルピロリン酸シンテターゼ、ジメチルアリルトランストランスフェラーゼ、ゲラニルトランストランスフェラーゼ)(FDPS)、mRNA)、(U36376、Artemisia annuaファルネシル二リン酸シンターゼ(fps1)mRNA、complete cds)、(XM_001352、Homo sapiensファルネシル二リン酸シンターゼ(ファルネシルピロリン酸シンテターゼ、ジメチルアリルトランストランスフェラーゼ、ゲラニルトランストランスフェラーゼ)(FDPS)、mRNA)、(XM_034497、Homo sapiensファルネシル二リン酸シンターゼ(ファルネシルピロリン酸シンテターゼ、ジメチルアリルトランストランスフェラーゼ、ゲラニルトランストランスフェラーゼ)(FDPS)、mRNA)、(XM_034498、Homo sapiensファルネシル二リン酸シンターゼ(ファルネシルピロリン酸シンテターゼ、ジメチルアリルトランストランスフェラーゼ、ゲラニルトランストランスフェラーゼ)(FDPS)、mRNA)、(XM_034499、Homo sapiensファルネシル二リン酸シンターゼ(ファルネシルピロリン酸シンテターゼ、ジメチルアリルトランストランスフェラーゼ、ゲラニルトランストランスフェラーゼ)(FDPS)、mRNA)、および(XM_0345002、Homo sapiensファルネシル二リン酸シンターゼ(ファルネシルピロリン酸シンテターゼ、ジメチルアリルトランストランスフェラーゼ、ゲラニルトランストランスフェラーゼ)(FDPS)、mRNA)。
【0134】
あるいは、FPPは、IPPをGPPに付加することによっても生成され得る。この反応を行うことができる酵素をコードするヌクレオチド配列の説明的な例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:(AE000657、Locus AAC06913;Aquifex aeolicus VF5)、(NM_202836;Arabidopsis thaliana)、(D84432、Locus BAA12575;Bacillus subtilis)、(U12678、Locus AAC28894;Bradyrhizobium japonicum USDA 110)、(BACFDPS;Geobacillus stearothermophilus)、(NC_002940、Locus NP_873754;Haemophilus ducreyi 35000HP)、(L42023、Locus AAC23087;Haemophilus influenzae Rd KW20)、(J05262;Homo sapiens)、(YP_395294;Lactobacillus sakei sub.sp sakei 23K)、(NC_005823、Locus YP_000273;Leptospira interrogans serovar Copenhageni str.Fiocruz L1−130)、(AB003187;Micrococcus luteus)、(NC_002946、Locus YP_208768;Neisseria gonorrhoeae FA 1090)、(U00090、Locus AAB91752;Rhizobium sp.NGR234)、(J05091;Saccharomyces cerevisae)、(CP000031、Locus AAV93568;Silicibacter pomeroyi DSS−3)、(AE008481、Locus AAK99890;Streptococcus pneumoniae R6)、および(NC_004556、Locus NP 779706;Xylella fastidiosa Temecula1)。
【0135】
次いで、FPPは、様々なC15化合物に変換させることができる。C15化合物の1つの説明的な例としては、その構造が
【0136】
【化13】

【0137】
あるアモルファジエンが挙げられるがこれに限定されない。これは、Artemisia annaによって生成されるアルテミシニンの前駆体である。アモルファジエンは、通常は、FPPからアモルファジエンシンターゼ(本発明の異種配列によってコードされ得るシンターゼ)によって生成される。適しているヌクレオチド配列の説明的な例は、米国特許公開番号2004/0005678の配列番号37である。
【0138】
その構造が
【0139】
【化14】

【0140】
であるα−ファルネセンは、通常は、FPPからα−ファルネセンシンターゼによって生成され、そして本明細書中に記載される方法によって生産され得る。異種配列によってコードされ得るシンターゼとしては、例えば、以下が挙げられるがこれらに限定されない:Pyrus communis cultivar d’Anjou由来のDQ309034(西洋ナシ;遺伝子名AFS1)およびMalus domestica由来のAY182241(リンゴ;遺伝子AFS1)。Pechouusら、Planta 219(1):84−94(2004)。
【0141】
その構造が
【0142】
【化15】

【0143】
であるβ−ファルネセンは、通常は、FPPからβ−ファルネセンシンターゼによって生成され、そして本明細書中に記載される方法によって生産され得る。シンターゼは、異種配列(例えば、Mentha x piperita由来のGenBank登録番号AF024615(ペパーミント;遺伝子Tspal1)、およびArtemisia annua由来のAY835398(Picaudら、Phytochemistry 66(9):961−967(2005))であるがこれらに限定されない)によってコードされ得、そしてこれらは、本発明の異種配列として使用され得る。
【0144】
その構造が
【0145】
【化16】

【0146】
であるファルネソールは、通常は、FPPからヒドロキシラーゼ(例えば、ファルネソールシンターゼ)によって生成される。ファルネソールは、異種配列(Zea mays由来のGenBank登録番号AF529266、およびSaccharomyces cerevisiae由来のYDR481C(遺伝子Pho8)を含むが、これらに限定されない異種配列の使用によって生産され得る(Song,L.,Applied Biochemistry and Biotechnology 128:149−158(2006)))。
【0147】
その構造が
【0148】
【化17】

【0149】
であるネロリドールはペルビオールとしても知られており、通常は、FPPからヒドロキシラーゼ(例えば、ネロリドールシンターゼ、これは、本発明の異種配列によってコードされ得る)によって生成される。異種配列として使用され得る適しているヌクレオチド配列の説明的な例としては、Zea mays由来のAF529266(トウモロコシ;遺伝子tps1)が挙げられるが、これに限定されない。
【0150】
その構造が
【0151】
【化18】

【0152】
であるパチョロールは、通常は、FPPからパチョロールシンターゼ(patchouliol synthase)によって生成される。パチョロールは、異種配列(例えば、Pogostemon cablin由来のAY508730 REGION:1..1659であるが、これに限定されない)を使用して本発明において生産され得る。
【0153】
その構造が
【0154】
【化19】

【0155】
であるバレンセンは、通常は、FPPからヌートカトンシンターゼによって生成される。シンターゼをコードするために使用され得る適しているヌクレオチド配列の説明的な例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:Citrus sinensis由来のAF441124 REGION:1..1647、およびPerilla frutescens由来のAY917195 REGION:1..1653。
【0156】
異種産物には、C20化合物(例えば、3つのIPP分子の1つのDMAPP分子との縮合によって生成される、ゲラニルゲラニオールピロリン酸(GGPP)に由来するC20化合物)も含まれ得る。これらのC20化合物はジテルペンとしても知られている。なぜなら、これらは、4つのイソプレン単位に由来するからである。特定の実施形態においては、本発明の宿主細胞には、IPPとDMAPPとをGGPPに変換する酵素をコードする異種配列が含まれる。この工程を触媒することが知られている酵素は、例えば、ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼである。
【0157】
ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼのヌクレオチド配列の説明的な例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:(ATHGERPYRS;Arabidopsis thaliana)、(BT005328;Arabidopsis thaliana)、(NM_119845;Arabidopsis thaliana)、(NZ_AAJM01000380、Locus ZP_00743052;Bacillus thuringiensis serovar israelensis、ATCC35646 sql563)、(CRGGPPS;Catharanthus roseus)、(NZ_AABF02000074、Locus ZP_00144509;Fusobacterium nucleatum sub.sp vincentii、ATCC49256)、(GFGGPPSGN;Gibberella fujikuroi)、(AY371321;Ginkgo biloba)、(AB055496;Hevea brasiliensis)、(AB017971;Homo sapiens)、(MCI276129;Mucor circinelloides f.lusitanicus)、(AB016044;Mus musculus)、(AABX01000298、Locus NCU01427;Neurospora crassa)、(NCU20940;Neurospora crassa)、(NZ_AAKL01000008、Locus ZP_00943566;Ralstonia solanacearum UW551)、(AB118238;Rattus norvegicus)、(SCU31632;Saccharomyces cerevisiae)、(AB016095;Synechococcus elongates)、(SAGGPS;Sinapis alba)、(SSOGDS;Sulfolobus acidocaldarius)、(NC_007759、Locus YP_461832;Syntrophus aciditrophicus SB)、および(NC_006840、Locus YP_204095;Vibrio fischeri ES114)。
【0158】
あるいは、GGPPは、IPPをFPPに付加することによっても生成され得る。この反応を行うことができる酵素をコードするヌクレオチド配列の説明的な例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:(NM_112315;Arabidopsis thaliana)、(ERWCRTE;Pantoea agglomerans)、(D90087、Locus BAA14124;Pantoea ananatis)、(X52291、Locus CAA36538;Rhodobacter capsulatus)、(AF195122、Locus AAF24294;Rhodobacter sphaeroides)、および(NC_004350、Locus NP_721015;Streptococcus mutans UA159)。次いでその後、GGPPを、様々なC20イソプレノイドに変換することができる。C20化合物の説明的な例としては、例えば、ゲラニルゲラニオールが挙げられる。その構造が
【0159】
【化20】

【0160】
であるゲラニルゲラニオールは、例えば、発現構築物にホスファターゼ遺伝子を、GGPPシンターゼの遺伝子の後ろに付加することによっても生成され得る。
【0161】
アビエタジエンは、本明細書中に記載される方法によって生産され得る別のジテルペンである。アビエタジエンには以下の異性体:
【0162】
【化21】

【0163】
が含まれ、そして通常は、アビエタジエンシンターゼによって生成される。アビエタジエンシンターゼは、以下を含むがこれらに限定されない適している異種ヌクレオチド配列によってコードされ得る:(U50768;Abies grandis)および(AY473621;Picea abies)。
【0164】
20+化合物もまた本発明の範囲に含まれる。そのような化合物の説明的な例としては、セスターテルペン(5個のイソプレン単位から生成されるC25化合物)、トリテルペン(6個のイソプレン単位から生成されるC30化合物)、およびテトラテルペン(8個のイソプレン単位から生成されるC40化合物)が挙げられる。これらの化合物は、本明細書中に記載される方法と同様の方法を使用し、そして適切なシンターゼ(単数または複数)のヌクレオチド配列に置き換えるまたは適切なシンターゼ(単数または複数)のヌクレオチド配列を付加することによって生成される。
【0165】
いくつかの実施形態においては、異種生産される産物の量は、10mg/Lより多い。例えば、いくつかの実施形態においては、本発明の細胞によって生産される産物の量は、約10mg/L〜約100mg/L、約100mg/L〜約1,000mg/L、約1,000mg/L〜約1,500mg/L、約1,500mg/L〜約2,000mg/L、約2,000mg/L〜約3,000mg/L、約3,000mg/L〜約4,000mg/L、約4,000mg/L〜約5,000mg/L、約5,000mg/L〜約6,000mg/L、約6,000mg/L〜約7,000mg/L、約7,000mg/L〜約8,000mg/L、または約8,000mg/L〜約10,000mg/Lである。特定の実施形態においては、異種生産される産物の量は10,000mg/Lより多い。特定のそのような実施形態においては、異種生産される産物の量は、約10,000mg/L〜約20,000mg/L、約20,000mg/L〜約30,000mg/L、約30,000mg/L〜約40,000mg/L、または約40,000mg/L〜約50,000mg/Lである。特定の実施形態においては、異種生産される産物の量は50,000mg/Lより多い。生産レベルは、細胞培養物を基準として単位容量あたり(例えば1リットルあたり)で表わされる。生産されるタンパク質または化合物のレベルは、以下のような周知の方法を使用して容易に決定される:例えば、ガスクロマトグラフィー−質量分析法、液体クロマトグラフィー−質量分析法、イオンクロマトグラフィー−質量分析法、薄層クロマトグラフィー、アンペロメトリック電気化学検出法、およびUV−vis分光測定法。
【0166】
異種生産されるタンパク質、またはそのようなタンパク質によって生成される化合物は、宿主細胞から、または宿主細胞が増殖した培養培地から、当該分野で周知の標準的な精製方法(例えば、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、および他の標準的なクロマトグラフィー法を含む)を使用して回収することができる。いくつかの実施形態においては、精製されたタンパク質または化合物は純粋であり、例えば、少なくとも約40%純粋、少なくとも約50%純粋、少なくとも約60%純粋、少なくとも約70%純粋、少なくとも約80%純粋、少なくとも約90%純粋、少なくとも約95%純粋、少なくとも約98%純粋、あるいは98%を上回って純粋である。ここでは、用語「純粋」は、副産物、マクロ分子、混入物質などを含まないタンパク質または化合物をいう。
【0167】
本発明の異種産物は、商業的に有用である場合も、そして産業上有用である場合もある。例えば、生産されるイソプレノイドは、医薬品、化粧品、香料、色素および着色剤、抗生物質、殺菌剤、防腐剤、栄養補助食品(例えば、ビタミン類)、ファインケミカル中間体、ポリマー、フェロモン、工業用化合物、ならびに燃料として使用され得る。
【0168】
1つの実施形態においては、生産されるイソプレノイドは、ビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンE、またはビタミンK)および他のイソプレノイド系の栄養素である。血液凝固システムに関与している重要なビタミンであるビタミンKは、止血剤として利用されている。ビタミンKはまた骨の代謝にも関与しており、これは骨粗鬆症の処置に適用することができる。加えて、ユビキノンとビタミンKとは、フジツボの目的物への付着を阻止することに有効であり、したがって、フジツボの付着を防ぐために塗料製品に適している添加剤である。
【0169】
本発明によってはまた、ユビキノン(これは、電子伝達系の必須の構成要素としての役割をインビボで担っている)のようなイソプレノイドの生産方法が提供される。ユビキノンは、心臓病に有効な医薬品として有用であるだけではなく、有用な食品添加物でもある。フィロキノンおよびメナキノンは、医薬品として承認されている。
【0170】
本発明にはまた、カロテノイド類(例えば、β−カロテン、アスタキサンチン、およびクリプトキサンチン)の生産にも関する。これらのカロテノイド類には、ガンを予防する効果と免疫増強効果とがあると期待される。これらの方法によって生産されるカロテノイド類はまた、顔料としても使用され得る。カロテノイド類は、天然の顔料のうちで最も広く分布しており、そして構造的に多様なクラスの1つを示し、明るい黄色〜オレンジ色〜深い赤色の色素色を生じる。カロテノイド生産性(carotenogenic)組織の例としては、ニンジン、トマト、赤トウガラシ、ならびにラッパスイセンおよびマリーゴールドの花弁が挙げられる。カロテノイド類は、あらゆる光合成生物、ならびに一部の細菌および真菌によって合成される。これらの顔料は、光合成、栄養摂取、および光酸化傷害に対する防御において重要な機能を有している。例えば、動物は、カロテノイド類を合成する能力を持っていないが、その代わりに、それらの食事供給源を通じてこれらの栄養上重要な化合物を摂取しなければならない。1つの特異的なイソプレノイド(例えば、β−カロテン(黄色〜オレンジ色)またはアスタキサンチン(赤色〜オレンジ色)は、花の色を強くするまたは栄養補助食品の組成を強化するように作用し得る。例えば、修飾されたシアニジンおよびデルフィニジンアントシアニン(delphinidin anthocyanin)顔料が生産され得、そして赤色〜青色のグループの色調を得るために使用され得る。ルテインおよびゼアキサンチンを生産させることができ、無色のフラボノイドと組み合わせて使用することができる(Nielsen and Bloor,Scienia Hort.71:257−266,1997)。
【0171】
本発明には、テルペノイド以外の脂質の異種産物も含まれる。例えば、脂質(例えば、脂肪アシル類(脂肪酸を含む)、糖脂質類、グリセロリン脂質類、スフィンゴ脂質類、ステロール脂質類、プレノール脂質類(prenol lipids)、サッカロ脂質類(saccharolipids)、およびポリケタイド類(polyktides)である。炭水化物(例えば、単糖類、二糖類、および多糖類)の生産。
【0172】
(宿主細胞)
任意の宿主細胞が本発明の実施において使用され得る。宿主細胞にはガラクトース誘導機構が含まれる。適している宿主細胞の説明的な例としては、原核生物細胞および真核生物細胞、例えば、古細菌細胞、細菌細胞、および真菌細胞が挙げられる。多くの実施形態においては、宿主細胞は、液体の増殖培地中で増殖させることができる。
【0173】
古細菌細胞についてのいくつかの限定ではない例としては、以下の属に属している古細菌が挙げられる:Aeropyrum属、Archaeglobus属、Halobacterium属、Methanococcus属、Methanobacterium属、Pyrococcus属、Sulfolobus属、およびThermoplasma属。古細菌株についてのいくつかの限定ではない例としては以下が挙げられる:Aeropyrum pernix、Archaeoglobus fulgidus、Methanococcus jannaschii、Methanobacterium thermoautotrophicum、Pyrococcus abyssi、Pyrococcus horikoshii、Thermoplasma acidophilum、およびThermoplasma volcanium。
【0174】
細菌細胞についてのいくつかの限定ではない例としては、以下の属に属している細菌が挙げられる:Agrobacterium属、Alicyclobacillus属、Anabaena属、Anacystis属、Arthrobacter属、Azobacter属、Bacillus属、Brevibacterium属、Chromatium属、Clostridium属、Corynebacterium属、Enterobacter属、Erwinia属、Escherichia属、Lactobacillus属、Lactococcus属、Mesorhizobium属、Methylobacterium属、Microbacterium属、Phormidium属、Pseudomonas属、Rhodobacter属、Rhodopseudomonas属、Rhodospirillum属、Rhodococcus属、Salmonella属、Scenedesmun属、Serratia属、Shigella属、Staphlococcus属、Strepromyces属、Synnecoccus属、およびZymomonas属。
【0175】
細菌株についてのいくつかの限定ではない例としては、以下が挙げられる:Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefacines、Brevibacterium ammoniagenes、Brevibacterium immariophilum、Clostridium beigerinckii、Enterobacter sakazakii、Escherichia coli、Lactococcus lactis、Mesorhizobium loti、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas mevalonii、Pseudomonas pudica、Rhodobacter capsulatus、Rhodobacter sphaeroides、Rhodospirillum rubrum、Salmonella enterica、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Shigella dysenteriae、Shigella flexneri、Shigella sonnei、およびStaphylococcus aureus。
【0176】
細菌宿主細胞が使用される場合は、例えば、限定ではないが以下のような非病原性株が使用され得る:Bacillus subtilis、Escherichia coli、Lactibacillus acidophilus、Lactobacillus helveticus、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas mevalonii、Pseudomonas pudita、Rhodobacter sphaeroides、Rodobacter capsulatus、およびRhodospirillum rubrum。
【0177】
真核生物細胞についてのいくつかの限定ではない例としては真菌細胞が挙げられる。真菌細胞についてのいくつかの限定ではない例としては、以下の属に属している細菌細胞が挙げられる:Aspergillus属、Candida属、Chrysosporium属、Cryotococcus属、Fusarium属、Kluyveromyces属、Neotyphodium属、Neurospora属、Penicillium属、Pichia属、Saccharomyces属、およびTrichoderma属。
【0178】
真核生物株についてのいくつかの限定ではない例としては、以下が挙げられる:Aspergillus nidulans、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Candida albicans、Chrysosporium lucknowense、Fusarium graminearum、Fusarium venenatum、Fusarium sp.、Hansenula polymorpha、Kluyveromyces sp.、Kluyveromyces lactis、Neurospora crassa、Pichia angusta、Pichia finlandica、Pichia kodamae、Pichia membranaefaciens、Pichia methanolica、Pichia opuntiae、Pichia pastoris、Pichia pijperi、Pichia quercuum、Pichia salictaria、Pichia thermotolerans、Pichia trehalophila、Pichia stipitis、Pichia sp.、Streptomyces ambofaciens、Streptomyces aureofaciens、Streptomyces aureus、Saccaromyces bayanus、Saccaromyces boulardi、Saccharomyces cerevisiae、Streptomyces fungicidicus、Streptomyces griseochromogenes、Streptomyces griseus、Streptomyces lividans、Streptomyces olivogriseus、Streptomyces rameus、Streptomyces tanashiensis、Streptomyces vinaceus、Saccharomyces sp.、およびTrichoderma reesei。
【0179】
真核生物宿主細胞が使用される場合は、限定ではないが以下のような非病原性株が使用され得る:Fusarium graminearum、Fusarium venenatum、Pichia pastoris、Saccaromyces boulardi、およびSaccaromyces cerevisiae。
【0180】
加えて、複数の特定の株が、GRASまたはGenerally Regarded As SafeとしてFood and Drug Administrationによって設計されており、そして本発明において使用され得る。これらの株についてのいくつかの限定ではない例としては、Bacillus subtilis、Lactibacillus acidophilus、Lactobacillus helveticus、およびSaccharomyces cerevisiaeが挙げられる。
【0181】
特定の実施形態においては、宿主細胞は、不完全なガラクトース代謝経路を持つ場合がある。例えば、ガラクトースの代謝を媒介する1種類またはそれ以上の内因性の酵素が機能しない。理論には束縛されないが、ガラクトース代謝機能の不全により、さらに多くのガラクトースに、ガラクトース誘導性プロモーターの誘導を利用させることが可能となる。この機能不全は、1つの遺伝子全体またはその一部を欠失させること(その結果、遺伝子産物は生成されないかまたは短縮型となり、そして酵素的に非機能性である);1つの遺伝子を突然変異させること(その結果、遺伝子産物は生成されないかまたは短縮型となり、そして酵素的に非機能性である);1つの遺伝子の中に可動性の遺伝子エレメントを挿入すること(その結果、遺伝子産物は生成されないかまたは短縮型となり、そして酵素的に非機能性である);ならびに、1つの遺伝子の発現を制御する1つまたは複数の調節エレメントを欠失させるかまたは突然変異させること(その結果、遺伝子産物は生成されない)を含む、当該分野で公知の任意の様々な方法で行うことができる。ガラクトースを異化するSaccharomyces cerevisiae細胞の能力が機能しないかまたは低下している場合に適している酵素としては、GAL1p(GenBank Locus YBR020W)、GAL7p(GenBank Locus YBR018C)、およびGAL10p(GenBank Locus YBR019C)、ならびに他の機能的ホモログが挙げられる。
【0182】
(核酸)
多くの実施形態においては、宿主細胞は、その中に異種核酸分子が挿入されている、欠失させられている、または修飾されている(すなわち、例えば、ヌクレオチドの挿入、欠失、置換、および/または反転によって突然変異させられている)、遺伝子修飾された細胞である。
【0183】
特定の実施形態においては、異種核酸が発現ベクターに挿入される。発現ベクターの選択は、選択される宿主細胞に応じて様々であろう。酵母細胞、トリ細胞、および哺乳動物細胞を含む真核生物細胞中での発現に適している多数の発現ベクターが当該分野で公知であり、これらの多くは商業的に入手することができる。一般的なベクターについてのいくつかの例としては、YEp13、およびSikorskiシリーズpRS303〜306、313〜316、423〜426が挙げられるが、これらに限定されない。
【0184】
特定の実施形態においては、ガラクトース誘導性発現カセットを含むヌクレオチド配列と、ガラクトーストランスポーターをコードするヌクレオチド配列とが、1つの発現ベクター上に存在する。他の実施形態においては、ガラクトース誘導性発現カセットを含むヌクレオチド配列と、ガラクトーストランスポーターをコードするヌクレオチド配列とが、2つの発現ベクター上に存在する。特定の実施形態においては、ガラクトース誘導性発現カセットを含むヌクレオチド配列と、ラクトーストランスポーターをコードするヌクレオチド配列とが、1つの発現ベクター上に存在する。他の実施形態においては、ガラクトース誘導性発現カセットを含むヌクレオチド配列と、ラクトーストランスポーターをコードするヌクレオチド配列とが、2つの発現ベクター上に存在する。特定の実施形態においては、ガラクトース誘導性発現カセットを含むヌクレオチド配列と、ラクターゼをコードするヌクレオチド配列とが、1つの発現ベクター上に存在する。他の実施形態においては、ガラクトース誘導性発現カセットを含むヌクレオチド配列と、ラクターゼをコードするヌクレオチド配列とが、2つの発現ベクター上に存在する。
【0185】
特定の実施形態においては、ガラクトース誘導性発現カセットを含むヌクレオチド配列、ガラクトーストランスポーターをコードするヌクレオチド配列、およびラクターゼをコードするヌクレオチド配列が、1つの発現ベクター上に存在する。他の実施形態においては、ガラクトース誘導性発現カセットを含むヌクレオチド配列、ガラクトーストランスポーターをコードするヌクレオチド配列、およびラクターゼをコードするヌクレオチド配列が、2つまたはそれ以上の発現ベクター上に存在する。特定の実施形態においては、ガラクトース誘導性発現カセット、ラクターゼをコードするヌクレオチド配列、およびラクトーストランスポーターをコードするヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列が、1つの発現ベクター上に存在する。他の実施形態においては、ガラクトース誘導性発現カセットを含むヌクレオチド配列、ラクターゼをコードするヌクレオチド配列、およびラクトーストランスポーターをコードするヌクレオチド配列が、2つまたはそれ以上の発現ベクター上に存在する。
【0186】
特定の実施形態においては、宿主細胞には、1つの異種ガラクトース誘導性発現カセットが含まれる。他の実施形態においては、宿主細胞には、複数の異種ガラクトース誘導性発現カセットが含まれる。特定の実施形態においては、細胞には、ガラクトーストランスポーターをコードする1つのヌクレオチド配列が含まれる。他の実施形態においては、宿主細胞には、1つまたは複数のガラクトーストランスポーターをコードする複数のヌクレオチド配列が含まれる。特定の実施形態においては、宿主細胞には、ラクトーストランスポーターをコードする1つのヌクレオチド配列が含まれる。他の実施形態においては、宿主細胞には、1つまたは複数のラクトーストランスポーターをコードする複数のヌクレオチド配列が含まれる。特定の実施形態においては、宿主細胞には、ラクターゼをコードする1つのヌクレオチド配列が含まれる。他の実施形態においては、宿主細胞には、1つまたは複数のラクターゼをコードする複数のヌクレオチド配列が含まれる。1つまたは複数のタンパク質をコードする複数のヌクレオチド配列は、1つまたは複数の発現ベクター上に存在し得る。これらのタンパク質は同じである場合も、異なる場合もあり、そしてさらに、1つまたは複数の異種ガラクトース誘導性発現カセットとして同じ発現ベクター上に提供される場合も、また異なる発現ベクター上に提供される場合もある。
【0187】
いくつかの実施形態においては、発現ベクターは、染色体外発現ベクターである。いくつかの実施形態においては、発現ベクターはエピソーム性である。例えば、宿主細胞には、染色体外発現ベクター上にあるか、またはエピソームベクター上にある、1つまたは複数の異種ガラクトース誘導性発現カセットが含まれ得る。特定の実施形態においては、宿主細胞は、ガラクトーストランスポーターをコードするヌクレオチド配列の1つのコピーまたは複数のコピーを、染色体外発現ベクターまたはエピソームベクター上に含む。いくつかの実施形態においては、宿主細胞は、ラクトーストランスポーターをコードするヌクレオチド配列の1つのコピーまたは複数のコピーを、染色体外発現ベクター上に含む。いくつかの実施形態においては、宿主細胞は、ラクターゼをコードするヌクレオチド配列の1つのコピーまたは複数のコピーを、染色体外発現ベクターまたはエピソームベクター上に含む。いくつかの実施形態においては、染色体外発現ベクターは、単一の発現ベクターによってコードされる複数のタンパク質を有し得る。例えば、単一の染色体外発現ベクターまたはエピソームベクターに、ラクトーストランスポーターをコードするヌクレオチド配列とラクターゼをコードするヌクレオチド配列が含まれ得る。いくつかの実施形態においては、単一の染色体外発現ベクターに、同じタンパク質をコードするヌクレオチド配列の複数のコピーが含まれ得、例えば、単一の染色体外発現ベクターが、単一のラクターゼをコードする2つのヌクレオチド配列を有し得る。他の実施形態においては、単一の染色体外発現ベクターに、1つまたは複数のガラクトース誘導性発現カセットが、ラクターゼ、ラクトーストランスポーター、またはガラクトーストランスポーターをコードする1つまたは複数の他のヌクレオチド配列とともに、含まれ得る。
【0188】
他の実施形態においては、発現ベクターは、染色体組み込み型(chromosomal integration)ベクターである。この場合、染色体組み込み型ベクターの異種ヌクレオチド配列が、宿主細胞の染色体に、または宿主細胞のゲノムに導入される。いくつかの実施形態においては、宿主細胞には、染色体に組み込まれた1つまたは複数の異種ガラクトース誘導性発現カセットが含まれる。いくつかの実施形態においては、宿主細胞には、染色体に組み込まれたガラクトーストランスポーターをコードするヌクレオチド配列の1つのコピーまたは複数のコピーが含まれる。いくつかの実施形態においては、宿主細胞には、染色体に組み込まれたラクトーストランスポーターをコードするヌクレオチド配列の1つのコピーまたは複数のコピーが含まれる。いくつかの実施形態においては、宿主細胞には、染色体に組み込まれたラクターゼをコードするヌクレオチド配列の1つのコピーまたは複数のコピーが含まれる。いくつかの実施形態においては、染色体組み込み型ベクターには、1つまたは複数の異種ガラクトース誘導性発現ベクターの配列と、染色体に組み込まれた1つまたは複数のラクターゼ、ラクトーストランスポーター、またはガラクトーストランスポーターをコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列とが含まれる。
【0189】
特定の実施形態においては、ガラクトースまたはラクトーストランスポーターをコードするヌクレオチド配列と、ラクターゼをコードするヌクレオチド配列とが、同じ調節エレメントに作動可能であるように連結される。他の実施形態においては、ガラクトースまたはラクトーストランスポーターをコードするヌクレオチド配列は、第1の調節エレメントの制御下にあり、そしてラクターゼをコードするヌクレオチド配列は第2の調節エレメントの制御下にある。調節エレメントはプロモーターであり得る。例えば、プロモーターは誘導性でも、また恒常的でもあり得る。適している誘導性プロモーターとしては、Saccharomyces cerevisiaeの遺伝子ADH2、PHO5、CUP1、MET25、MET3、CYC1、HIS3、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、TP1、およびAOX1のプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態においては、プロモーターは恒常的である。適している構成的なプロモーターとしては、Saccharomyces cerevisiaeの遺伝子PGK1、TDH1、TDH3、FBA1、ADH1、LEU2、ENO、TPI1、およびPYK1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0190】
遺伝子修飾された宿主細胞を作製するために、1つまたは複数の異種核酸が、以下を含むがこれらに限定されない確立されている技術を使用して、細胞に安定に、または一時的に導入される:エレクトロポレーション、リン酸カルシウム共沈法、DEAE−できストラン媒介性トランスフェクション、およびリポソーム媒介性トランスフェクション。安定な形質転換のために、核酸には一般的には、選択マーカー(例えば、ネオマイシン耐性マーカー、アンピシリン耐性マーカー、テトラサイクリン耐性マーカー、クロラムフェニコール耐性マーカー、またはカナマイシン耐性マーカー)がさらに含まれるであろう。安定な形質転換はまた、必須のアミノ酸についての原栄養性(prototrophy)を付与する栄養マーカー遺伝子を使用するためにも選択され得る。(例えば、Saccharomyces cerevisiaeの栄養マーカー遺伝子URA3、HIS3、LEU2、MET2、およびLYS2、他のものとしては、HISMまたはKANMXを挙げることができる)。
【0191】
(変異体酵素およびヌクレオチド配列ホモログ)
本発明の任意の公知のタンパク質のコード配列は、アミノ酸配列中に標的化された変化を含むが、そのタンパク質の機能は実質的には変化していない変異体タンパク質を作製するために、当該分野で公知の様々な方法で変化させることができる。上記配列変化は、置換、挿入、または欠失であり得る。本発明のヌクレオチド配列に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のヌクレオチド配列同一性を有しているヌクレオチド配列を含む核酸ホモログもまた、使用に適している。
【0192】
野生型ポリペプチドまたはタンパク質の等価物あるいは変異体もまた、本発明の範囲に含まれることが理解される。用語「等価物」、「機能的ホモログ」、および「その生物学的に活性な断片」は互換的に使用され、そして使用される状況に関係がある断片の少なくとも1つの機能的特性を保ちつつ、付加、欠失、または置換の任意の組み合わせによる、選択された配列からの変異体をいう。例えば、タンパク質様酵素の等価物(例えば、ラクターゼ)は、野生型のタンパク質様酵素と比較して、所定の化学反応を触媒する同じまたは同等の能力を有し得る。当業者に明らかであるように、等価物はまた、その機能を促進する、増強する、または調節する他の物質あるいは薬剤と組み合わせられる場合があり、またそれらと結合させられる場合もある。本発明には、ペプチドの酵素活性またはそれらの三次構造のようなそれらの特性に有意に影響を及ぼすことのない、保存的置換あるいは非保存的置換を含む修飾されたポリペプチドが含まれる。ポリペプチドの修飾は、当該分野で日常的に行われている。別のアミノ酸残基で保存的に置換することができるアミノ酸残基としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:グリシン/アラニン;バリン/イソロイシン/ロイシン;アスパラギン/グルタミン;アスパラギン酸/グルタミン酸;セリン/スレオニン;リジン/アルギニン;およびフェニルアラニン/チロシン。これらのポリペプチドにはまた、グリコシル化ポリペプチドおよび非グリコシル化ポリペプチド、ならびに他の翻訳後修飾(例えば、様々な糖でのグリコシル化、アセチル化、およびリン酸化)を持つポリペプチドもまた含まれる。
【0193】
(コドン使用法)
いくつかの実施形態においては、本発明の宿主細胞を作製するために使用されるヌクレオチド配列は、そのヌクレオチド配列が細胞のコドン優先性を反映するように修飾される。特定の実施形態においては、ヌクレオチド配列は、酵母のコドン優先性のために修飾されるであろう(例えば、Bennetzen and Hall.1982.J.Biol.Chem.257(6):3026−3031を参照のこと)。
【0194】
(キット)
本発明にはまた、細胞培養培地にガラクトースを直接補充することなく、異種配列のガラクトース誘導性生産により異種産物を生産させるための試薬を提供するキットも含まれる。このキットにより、得られる産物の量が、同等のモル量のガラクトースが補充された培地中で宿主細胞を培養することによって得られる産物の量と同等となるように試薬が提供される。例えば、ラクトースが補充された培地によって生産される産物の量は、同等の量のガラクトースが補充された培地から生産される産物の量と同等である。いくつかの実施形態においては、生産される産物の量は、同等のモル量のガラクトースが直接補充された培地によって得られる産物の量とほぼ等しいかまたはそれより多い。いくつかの実施形態においては、生産される産物の量は、同等のモル量のガラクトースが補充された培地から得られる産物の量よりも、少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍(すなわち、倍)、2.5倍、3倍、4倍、5倍、またはそれ以上である。
【0195】
それぞれのキットには、通常は、細胞培養培地にガラクトースを直接補充しなくても、ガラクトース誘導性調節カセットを通じて異種産物を生産させる試薬が含まれる。1つの実施形態においては、キットには、ガラクトース誘導性発現系の構成要素が含まれ得る。例えば、キットには、選択される異種配列に作動可能であるように連結させることができるガラクトース誘導性調節エレメントが含まれ得る。このキットにはさらに、選択される異種配列を調節エレメントに連結させるためのクローニング試薬のような複数の試薬が含まれ得る。他の実施形態においては、キットにはさらに、ガラクトース誘導性発現ベクターが含まれ得る。この場合、選択される異種配列を挿入することができる。ベクターは、エピソーム性ベクターであり得、染色体外ベクターであり得、また、染色体組み込み型ベクターでもあり得る。他の実施形態においては、キットには、ラクターゼ、ラクターゼトランスポーター、および/またはガラクトーストランスポーターの発現用のベクターが含まれ得る。他の実施形態においては、キット(kid)には、ガラクトース誘導機構の発現のための構成要素が含まれ得る。様々な宿主細胞のタイプのための様々なキットを設計することができる。例えば、いくつかのキットには、内因性のラクターゼを持つ宿主細胞用の試薬が含まれ得、したがってこのキットには、ラクターゼを発現するベクターは含まれない場合がある。
【0196】
いくつかの実施形態においては、キットには、少なくとも1つの第1の発現ベクターと少なくとも1つの第2の発現ベクターとを含む発現ベクターの1つのセットが含まれる。この場合、第1の発現ベクターには、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結された第1の異種配列が含まれ、そして、第2の発現ベクターには、ラクターゼまたはその生物学的に活性な断片をコードする第2の異種配列が含まれる。
【0197】
他の実施形態においては、キットにはさらに、宿主細胞が含まれ得る。他の実施形態においては、キットにはさらに、培養培地、異種産物の生産を誘導するための化合物、および細胞培養物への他の補充物が含まれる。
【0198】
キットのそれぞれの試薬は、固体の形態で、または保存(inventory storage)に適している液体緩衝液に溶解/懸濁させられて供給され得、後で交換されるか、試験が行われる際に反応培地に添加される。適している個々のパッケージが、通常は提供される。キットによっては、状況に応じて、この手順において有用であるさらに別の成分が提供され得る。これらの随意成分としては、緩衝液、精製試薬、回収試薬、検出手段、対照試料、対照化合物(例えば、ガラクトース)、説明書、および説明的情報が挙げられるが、これらに限定されない。
【0199】
本発明のキットには、通常は、本明細書中に含まれる試薬の使用のための説明書が含まれる。この説明書は、電子媒体を含む任意の読み取り可能媒体に記録された製品の挿入物、マニュアルの形態で提供され得る。
【実施例】
【0200】
本発明の実施では、他に明記されない限りは、当業者の知識の範囲内である生合成の業界での従来技術などを使用することができる。そのような技術が本明細書中で完全には記載されていない範囲について、当業者は、化学文献においてそれらについての有り余る言及を見つけることができる。
【0201】
以下の実施例においては、使用される数値(例えば、量、温度など)の精度を確保する努力が行われているが、変動や偏差が許容され得、そして本明細書中で報告される数値の誤記が存在する場合には、本発明が属する分野の当業者は本明細書中に残されている開示を参照して正確な量を推定することができる。他に明記されない限りは、温度は、摂氏温度で報告され、そして圧力は海面での大気圧またはそれに近い。全ての試薬は、他に明記されない限りは商業的に入手した。以下の実施例は説明の目的ために意図されるものにすぎず、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0202】
(実施例1)
本実施例では、Saccharomyces cerevisiaeの特異的な染色体位置にタンパク質をコードする配列が作動可能であるように連結されているガラクトース誘導性プロモーターを含む異種核酸の標的化された組み込みのためのプラスミドを作製する方法を記載する。
【0203】
ゲノムDNAを、Saccharomyces cerevisiae株Y002(CEN.PK2 background MATA ura3−52 trp1−289 leu2−3,112 his3Δ1 MAL2−8C SUC2)、Y007(S288C background MAT A trp1Δ63)、Y051(S288C background MATα his3Δ1 leu2Δ0 lys2Δ0 ura3Δ0 PGAL1−HMG11586−3323GAL1−upc2−1 erg9::PMET3−ERG9::HIS3 PGAL1−ERG20 PGAL1−HMG11586−3323)、およびEG123(MATA ura3 trp1 leu2 his4 can1)から単離した。これらの株を、1%の酵母抽出物、2%のBacto−peptone、および2%のデキストロースを含む液体培地(YPD培地)中で一晩増殖させた。細胞を、10mLの液体培養物から、3,100rpmで遠心分離し、細胞ペレットを10mLの超純水で洗浄し、そして再度遠心分離することによって単離した。ゲノムDNAを、Y−DER酵母DNA抽出キット(Pierce Biotechnologies,Rockford,IL)を、製造業者によって示唆されているプロトコールにしたがって使用して抽出した。抽出したゲノムDNAを、100uLの10mM Tris−Cl、pH8.5に再懸濁し、そしてOD260/280の読み取り値を、ND−1000分光光度計(NanoDrop Technologies,Wilmington,DE)で読み取って、ゲノムDNAの濃度と純度を決定した。
【0204】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるDNA増幅を、Applied Biosystems 2720 Thermocycler(Applied Biosystems Inc,Foster City,CA)において、Phusion High Fidelity DNA Polymerase system(Finnzymes OY,Espoo,Finland)を製造業者によって示唆されているプロトコールにしたがって使用して行った。TOPO TA pCR2.1クローニングベクター(Invitrogen,Carlsbad,CA)に挿入されたDNA断片のPCR増幅が完了したら、ヌクレオチド突出を、1uLのQiagen Taq Polymerase(Qiagen,Valencia,CA)を反応混合物に加え、さらに10分間、72℃でPCR伸長工程を行い、続いて4℃に冷却することによって作製した。PCR増幅が完了したら、8uLの50%のグリセロール溶液を反応混合物に添加し、そして混合物全てを、0.5ug/mLのエチジウムブロマイドを含む1%のTBE(0.89MのTris、0.89Mのホウ酸、0.02MのEDTAナトリウム塩)アガロースゲル上にロードした。
【0205】
アガロースゲル電気泳動を、120V、400mAで30分間行い、DNAのバンドを紫外線を使用して視覚化させた。DNAのバンドを、滅菌したカミソリの刃を用いてゲルから切り出し、切り出したDNAを、Zymoclean Gel DNA Recovery Kit(Zymo Research,Orange,CA)を製造業者によって示唆されているプロトコールにしたがって使用してゲル精製した。精製したDNAを、10uLの超純水に溶出させ、OD260280の読み取り値をND−1000分光光度計で読み取って、DNAの濃度と純度を決定した。
【0206】
連結は、100ug〜500ugの精製したPCR産物と、高濃度T4 DNAリガーゼ(New England Biolabs,Ipswich,MA)とを、製造業者によって示唆されているプロトコールにしたがって使用して行った。プラスミドの増幅のために、連結させた構築物をEscherichia coli DH5α化学的コンピテント細胞(chemically competent cells)(Invitrogen,Carlsbad,CA)に、製造業者によって示唆されているプロトコールにしたがって形質転換した。ポジティブな形質転換体を、1.5%のBacto Agar、1%のTryptone、0.5%の酵母抽出物、1%のNaCl、および50ug/mLの適切な抗生物質を含む固体培地上で選択した。単離した形質転換体を、50ug/mLのカルベニシリンまたはカナマイシン抗生物質を含む液体LB培地中で、37℃で16時間増殖させ、そしてプラスミドを、QIAprep Spin Miniprepキット(Qiagen,Valencia,CA)を製造業者によって示唆されているプロトコールにしたがって使用して、単離し、そして精製した。複数の構築物を、診断用の制限酵素消化、アガロースゲル上でのDNA断片の分解、および紫外線を使用したバンドの視覚化を行うことによって確認した。選択した構築物もまたDNA配列決定によって確認した。これはElim Biopharmaceuticals Inc.(Hayward,CA)によって行った。
【0207】
プラスミドpAM489を、ベクターpAM471のERG20−PGAL−tHMGR挿入断片をベクターpAM466に挿入することによって作製した。ベクターpAM471は、DNA断片ERG20−PGAL−tHMGR(これには、Saccharomyces cerevisiaeのERG20遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)(ERG20のヌクレオチド位置1〜1208が含まれる;ATG開始コドンのAがヌクレオチド1位である)(ERG20)、Saccharomyces cerevisiaeの異なるGAL1およびGAL10プロモーターを含むゲノム遺伝子座(GAL1のヌクレオチド位置−1〜−668)(PGAL)、およびSaccharomyces cerevisiaeのHMG1遺伝子の短縮型ORF(HMG1のヌクレオチド位置1586〜3323)(tHMGR)が含まれている)を、TOPO ZERO Blunt IIクローニングベクター(Invitrogen,Carlsbad,CA)に挿入することによって作製した。ベクターpAM466は、DNA断片TRP1−856〜+548(これには、ヌクレオチド位置−856〜位置548に伸びるSaccharomyces cerevisiaeの野生型TRP1遺伝子座の1つのセグメントが含まれており、そして塩基−226と−225との間に天然のものではない内部XmaI制限酵素部位を持つ)を、TOPO TA pCR2.1クローニングベクター(Invitrogen,Carlsbad,CA)に挿入することによって作製した。DNA断片ERG20−PGAL−tHMGRおよびTRP1−856〜+548は、表1に概説したように、PCR増幅によって作製した。図2Aは、ERG20−PGAL−tHMGR挿入断片のマップを示し、そして配列番号5は、このDNA断片のヌクレオチド配列を示す。pAM489の構築のために、400ngのpAM471と100ngのpAM466とを、XmaI制限酵素(New England Biolabs,Ipswich,MA)を使用して完全に消化させ、ERG20−PGAL−tHMGR挿入断片に対応するDNA断片と、直鎖状にしたpAM466ベクターとをゲル精製し、そして4モル等量の精製した挿入断片を、1モル等量の精製した直鎖状のベクターと連結させて、pAM489を得た。
【0208】
【表1】

【0209】
プラスミドpAM491を、ベクターpAM472のERG13−PGAL−tHMGR挿入断片をベクターpAM467に挿入することによって作製した。ベクターpAM472は、DNA断片ERG13−PGAL−tHMGR(これには、Saccharomyces cerevisiaeのERG13遺伝子のORF(ERG13のヌクレオチド位置1〜1626)(ERG13)、Saccharomyces cerevisiaeの異なるGAL1およびGAL10プロモーターを含むゲノム遺伝子座(GAL1のヌクレオチド位置−1〜−668)(PGAL)、およびSaccharomyces cerevisiaeのHMG1遺伝子の短縮型ORF(HMG1のヌクレオチド位置1586〜3323)(tHMGR)が含まれている)を、TOPO ZERO Blunt IIクローニングベクターに挿入することによって作製した。ベクターpAM467は、DNA断片URA3−723〜701(これには、ヌクレオチド位置−723〜位置−224に伸び、そして塩基−224と塩基−223との間に天然のものではない内部XmaI制限酵素部位を持つSaccharomyces cerevisiaeの野生型URA3遺伝子座の1つのセグメントが含まれる)を、TOPO TA pCR2.1クローニングベクターに挿入することによって作製した。DNA断片ERG13−PGAL−tHMGRおよびURA3−723〜701を、表2に概説したように、PCR増幅によって作製した。図2Bは、ERG13−PGAL−tHMGR挿入断片のマップを示し、そして配列番号6は、このDNA断片のヌクレオチド配列を示す。pAM491の構築のために、400ngのpAM472と100ngのpAM467を、XmaI制限酵素を使用して完全に消化させ、そしてERG13−PGAL−tHMGR挿入断片に対応するDNA断片と、直鎖状にしたpAM467ベクターとをゲル精製し、そして4モル等量の精製した挿入断片を、1モル等量の精製した直鎖状ベクターと連結させてpAM491を得た。
【0210】
【表2】

【0211】
プラスミドpAM493を、ベクターpAM473のIDI1−PGAL−tHMGR挿入断片をベクターpAM468に挿入することによって作製した。ベクターpAM473は、DNA断片IDI1−PGAL−tHMGR(これには、Saccharomyces cerevisiaeのIDI1遺伝子のORF(IDI1のヌクレオチド位置1〜1017)(IDI1)、Saccharomyces cerevisiaeの異なるGAL1およびGAL10プロモーターを含むゲノム遺伝子座(GAL1のヌクレオチド位置−1〜−668)(PGAL)、およびSaccharomyces cerevisiaeのHMG1遺伝子の短縮型ORF(HMG1のヌクレオチド位置1586〜3323)(tHMGR)が含まれる)を、TOPO Zero Blunt IIクローニングベクターに挿入することによって作製した。ベクターpAM468は、DNA断片ADE−825〜653(これには、ヌクレオチド位置−225〜位置653に伸び、そして天然のものではない内部XmaI制限酵素部位を塩基−226と塩基−225との間に持つ、Saccharomyces cerevisiaeの野生型ADE1遺伝子座の1つのセグメントが含まれる)を、TOPO TA pCR2.1クローニングベクターに挿入することによって作製した。DNA断片IDI1−PGAL−tHMGRおよびADE1−825〜653は、表3に概説したように、PCR増幅によって作製した。図2Cは、IDI1−PGAL−tHMGR挿入断片のマップを示し、そして配列番号7はDNA断片のヌクレオチド配列を示す。pAM493の構築のために、400ngのpAM473と100ngのpAM468を、XmaI制限酵素を使用して完全に消化させ、そしてIDI1−PGAL−tHMGR挿入断片に対応するDNA断片と、直鎖状にしたpAM468ベクターとをゲル精製し、そして4モル等量の精製した挿入断片を1モル等量の精製した直鎖状ベクターと連結させて、ベクターpAM493を得た。
【0212】
【表3】

【0213】
プラスミドpAM495は、pAM474のERG10−PGAL−ERG12挿入断片をベクターpAM469に挿入することによって作製した。ベクターpAM474は、DNA断片ERG10−PGAL−ERG12(これには、Saccharomyces cerevisiaeのERG10遺伝子のORF(ERG10のヌクレオチド位置1〜1347)(ERG10)、Saccharomyces cerevisiaeの異なるGAL1およびGAL10プロモーター(GAL1のヌクレオチド位置−1〜−668)(PGAL)を含むゲノム遺伝子座、およびSaccharomyces cerevisiaeのERG12遺伝子のORF(ERG12のヌクレオチド位置1〜1482)(ERG12)が含まれる)を、TOPO Zero Blunt IIクローニングベクターに挿入することによって作製した。ベクターpAM469は、DNA断片HIS3−32〜−1000HISMX−HIS3504〜−1103(これには、ヌクレオチド位置−32〜位置−1000、およびヌクレオチド位置504〜位置1103に伸びるSaccharomyces cerevisiaeのHIS遺伝子座の2つのセグメント、HISMXマーカー、およびHIS3504〜−1103配列とHISMXマーカーとの間にある天然のものではないXmaI制限酵素部位が含まれる)を、TOPO TA pCR2.1クローニングベクターに挿入することによって作製した。DNA断片ERG10−PGAL−ERG12とHIS3−32〜−1000−HISMX−HIS3504〜−1103は、表4に概説するように、PCR増幅によって作製した。図2Dは、ERG10−PGAL−ERG12挿入断片のマップを示し、そして配列番号8はこのDNA断片のヌクレオチド配列を示す。pAM495の構築のために、400ngのpAM474と100ngのpAM469とを、XmaI制限酵素を使用して完全に消化させ、そしてERG10−PGAL−ERG12挿入断片に対応するDNA断片と、直鎖状にしたpAM469ベクターとをゲル精製し、4モル等量の精製した挿入断片を1モル等量の精製した直鎖状ベクターと連結させて、ベクターpAM495を得た。
【0214】
【表4】

【0215】
プラスミドpAM497は、pAM475のERG8−PGAL−ERG19挿入断片をベクターpAM470に挿入することによって作製した。ベクターpAM475は、DNA断片ERG8−PGAL−ERG19(これには、Saccharomyces cerevisiaeのERG8遺伝子のORF(ERG8のヌクレオチド位置1〜1512)(ERG8)、Saccharomyces cerevisiaeの異なるGAL1およびGAL10プロモーターを含むゲノム遺伝子座(GAL1のヌクレオチド位置−1〜−668)(PGAL)、およびSaccharomyces cerevisiaeのERG19遺伝子のORF(ERG19のヌクレオチド位置1〜1341)(ERG19)が含まれる)を、TOPO Zero Blunt IIクローニングベクターに挿入することによって作製した。ベクターpAM470は、DNA断片LEU2−100〜450−HISMX−LEU21096〜1770(これには、ヌクレオチド位置−100〜位置450、およびヌクレオチド位置1096〜位置1770に伸びるSaccharomyces cerevisiaeのLEU2遺伝子座の2つのセグメント、HISMXマーカー、およびLEU21096〜1770配列とHISMXマーカーとの間にある天然のものではないXmaI制限酵素部位が含まれる)を、TOPO TA pCR2.1クローニングベクターに挿入することによって作製した。DNA断片ERG8−PGAL−ERG19およびLEU2−100〜450−HISMX−LEU21096〜1770は、表5に概説するように、PCR増幅によって作製した。図2Eは、ERG8−PGAL−ERG19挿入断片のマップであり、配列番号9はこのDNA断片のヌクレオチド配列を示す。pAM497の構築のために、400ngのpAM475と100ngのpAM470とを、XmaI制限酵素を使用して完全に消化させ、そしてERG8−PGAL−ERG19挿入断片に対応するDNA断片と、直鎖状にしたpAM470ベクターとを精製し、そして4モル等量の精製した挿入断片を1モル等量の精製した直鎖状ベクターと連結させて、ベクターpAM497を得た。
【0216】
【表5】

【0217】
(実施例2)
本実施例は、タンパク質コード配列に対して作動可能であるように連結されたガラクトース誘導性プロモーターを含む染色体外異種核酸の、Saccharomyces cerevisiaeへの導入のための発現プラスミドを生成する方法を記載する。
【0218】
発現プラスミドpAM353は、β−ファルネセンシンターゼをコードするヌクレオチド配列を、pRS425−Gal1ベクター(Mumbergら(1994)Nucl Acids.Res.22(25):5767−5768)に挿入することによって作製した。このヌクレオチド配列挿入断片は、Saccharomyces cerevisiaeの中での発現のためにコドン最適化されたArtemisia annuaのβ−ファルネセンシンターゼ遺伝子(GenBank登録番号AY835398)のコード配列(配列番号10)を鋳型として使用して、合成によって作製した。合成によって作製したヌクレオチド配列には、5’BamHI制限酵素部位を、そして3’XhoI制限酵素部位を隣接させ、そしてそれによって、これを、クローニングベクター(例えば、標準的なpUCまたはpACYCを起源とするベクター)の適合する制限酵素部位にクローニングできるようにした。合成によって作製したヌクレオチド配列は、BamHI制限酵素とXhoI制限酵素とを使用して、DNA合成構築物を完全に消化させることによって単離した。反応混合物をゲル電気泳動によって分解した。β−ファルネセンシンターゼコード配列を含むおよそ1.7kbのDNA断片をゲル抽出し、そして単離したDNA断片を、pRS425−Gal1ベクターのBamHI XhoI制限酵素部位中に連結させて、発現プラスミドpAM353を得た。
【0219】
発現プラスミドpAM404は、Saccharomyces cerevisiaeにおける発現のためにコドン最適化されたArtemisia annuaのβ−ファルネセンシンターゼをコードするヌクレオチド配列(GenBank登録番号AY835398)を、ベクターpAM178(配列番号11)に挿入することによって作製した。β−ファルネセンシンターゼをコードするヌクレオチド配列は、プライマー52−84 pAM326 BamHI(配列番号108)と52−84 pAM326 NheI(配列番号109)とを使用して、pAM353からPCR増幅させた。得られたPCR産物を、BamHI制限酵素とNheI制限酵素とを使用して完全に消化させ、反応混合物をゲル電気泳動によって分解した。β−ファルネセンシンターゼのコード配列を含むおよそ1.7kbのDNA断片をゲル抽出し、そして単離したDNA断片をベクターpAM178のBamHI NheI制限酵素部位に連結させて、発現プラスミドpAM404を得た(プラスミドマップについての図3を参照のこと)。
【0220】
(実施例3)
本実施例は、Saccharomyces cerevisiaeのgal7/10/1染色体遺伝子座の標的化した破壊のためのベクターおよびDNA断片を生成するための方法を記載する。
【0221】
プラスミドpAM584を、DNA断片GAL74〜1021−HPH−GAL11637〜2587を、TOPO Zero Blunt IIクローニングベクター(Invitrogen,Carlsbad,CA)に挿入することによって作製した。DNA断片GAL74〜1021−HPH−GAL11637〜2587には、Saccharomyces cerevisiaeのGAL7遺伝子のORFの1つのセグメント(GAL7のヌクレオチド位置4〜1021)(GAL74〜1021)、ハイグロマイシン耐性カセット(HPH)、およびSaccharomyces cerevisiaeのGAL1遺伝子の3’非翻訳領域(UTR)のセグメント(GAL1のヌクレオチド位置1637〜2587)が含まれる。DNA断片を、表6に概説するように、PCR増幅によって作製した。図4Aは、DNA断片GAL74〜1021−HPH−GAL11637〜2587のマップを示し、そして配列番号12は、このDNA断片のヌクレオチド配列を示す。
【0222】
【表6】

【0223】
プラスミドpAM610は、DNA断片GAL7125〜598−HPH−GAL14〜549−GAL4−GAL11585〜2088を、TOPO Zero Blunt IIクローニングベクター(Invitrogen,Carlsbad,CA)に挿入することによって作製した。DNA断片GAL7125〜598−HPH−GAL14〜−549−GAL4−GAL11585〜2088には、Saccharomyces cerevisiaeのGAL7遺伝子のORFの1つのセグメント(GAL7のヌクレオチド位置125〜598)(GAL7125〜598)、ハイグロマイシン耐性カセット(HPH)、Saccharomyces cerevisiaeのGAL1遺伝子の5’UTRの1つのセグメント(GAL1のヌクレオチド位置4〜−549)(GAL14〜−549)、Saccharomyces cerevisiaeのGAL4遺伝子のORF(GAL4)、およびSaccharomyces cerevisiae のGAL1遺伝子の3’UTRの1つのセグメント(GAL11585〜2088)が含まれる。このDNA断片は、表7に概説するように、PCR増幅によって作製した。図4Bは、DNA断片GAL7125〜598−HPH−GAL14〜−549−GAL4−GAL11585〜2088のマップを示し、そして配列番号13は、このDNA断片のヌクレオチド配列を示す。
【0224】
【表7】

【0225】
DNA断片GAL7126〜598−HPH−PGAL4OC−GAL4−GAL11585〜2088(これには、Saccharomyces cerevisiae のGAL7遺伝子のORFの1つのセグメント(GAL7のヌクレオチド位置126〜598)(GAL7126〜598)、ハイグロマイシン耐性カセット(HPH)、その天然のプロモーターの「作動可能な恒常性」のバージョンの制御下にあるSaccharomyces cerevisiaeのGAL4遺伝子のORF(Griggs & Johnston(1991)PNAS 88(19):8597−8601)(PGal4OC−GAL4)、およびSaccharomyces cerevisiaeのGal1遺伝子の3’UTRの1つのセグメント(GAL1のヌクレオチド位置1585〜2088)(GAL11585〜2088)が含まれる)は、表8に概説するように、PCR増幅によって作製した。図4Cは、DNA断片GAL7126〜598−HPH−PGAL4OC−GAL4−GAL11585〜2088のマップを示し、そして配列番号14は、このDNA断片のヌクレオチド配列を示す。
【0226】
【表8】

【0227】
(実施例4)
本実施例は、ラクターゼおよびラクトーストランスポーターをコードする核酸の、Saccharomyces cerevisiaeの特定の染色体位置への標的化された組み込みのためのDNA断片を作製する方法を記載する。
【0228】
DNA断片5’遺伝子座−NatR−LAC12−PTDH1−PPGK1−LAC4−3’遺伝子座(これには、ERG9遺伝子の5’UTRの1つのセグメント(3’遺伝子座)、Streptomyces nourseiのノーセオスリシン(nourseothricin)耐性選択マーカー遺伝子(NatR)、Saccharomyces cerevisiaeのTDH1遺伝子のプロモーター(PTDH1)に作動可能であるように連結されたKluyveromyces lactisのLAC12遺伝子のORF(X06997 REGION:1616..3379)(LAC12)、Saccharomyces cerevisiaeのPGK1プロモーターのプロモーター(PPGK1)に作動可能であるように連結されたKluyveromyces lactisのLAC4遺伝子のORF(M84410 REGION:43..3382)(LAC4)、およびプラスミドpAM625のMET3プロモーター領域(5’遺伝子座)が含まれる)を、表9に概説するようにPCR増幅によって作製した。図5は、DNA断片5’遺伝子座−NatR−LAC12−PTDH1−PPGK1−LAC4−3’遺伝子座のマップを示し、そして配列番号15は、このDNA断片のヌクレオチド配列を示す。
【0229】
【表9】

【0230】
(実施例5)
本実施例は、本発明に有用なSaccharomyces cerevisiae株の作製を記載する。
【0231】
Saccharomyces cerevisiae株CEN.PK2−1C(Y002)(MATA;ura3−52;trp1−289;leu2−3,112;his3Δ1;MAL2−8C;SUC2)およびCEN.PK2−1D(Y003)(MATアルファ;ura3−52;trp1−289;Leu2−3,112;his3Δ1;MAL2−8C;SUC2)(van Dijkenら(2000)Enzyme Microb.Technol.26(9−10):706−714)は、ERG9プロモーターをSaccharomyces cerevisiaeのMET3プロモーターに置き換え、そしてADE1 ORFをCandida glabrataのLEU2遺伝子(CgLEUT)に置き換えることによって、誘導性MEV経路の遺伝子の導入のために調製した。これは、ベクターpAM328(配列番号16)のKanMX−PMET3領域を、プライマー50−56−pw100−G(配列番号28)と50−56−pw101−G(配列番号29)(これには、天然のERG9プロモーターと相同である45塩基対が含まれる)とを使用してPCR増幅させること、10ugの得られるPCR産物を、指数増殖期にあるY002細胞およびY003細胞に、40%w/wのポリエチレングリコール3350(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)、100mMの酢酸リチウム(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)、および10ugのサケの精子DNA(Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)を使用して形質転換すること、そしてこれらの細胞を30℃で30分間インキュベートし、それに続いて、42℃で30分間これらに熱ショックをかけること(Schiestl and Gietz.(1989)Curr.Genet.16,339−346)によって行った。ポジティブな組み換え体を、0.5ug/mlのジェネティシン(Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)を含む富化培地上で増殖するそれらの能力によって同定し、そして選択したコロニーを診断用PCRによって確認した。得られたクローンをY93(MAT A)およびY94(MATアルファ)と命名した。次いで、3.5kbのCgLEU2ゲノム遺伝子座を、Candida glabrataのゲノムDNA(ATCC,Manassas,VA)から、プライマー61−67−CPK066−G(配列番号78)と61−67−CPK067−G(配列番号79)(これには、ADE1 ORFと相同である隣接している50塩基対が含まれる)とを使用して増幅させ、10ugの得られたPCR産物を、指数増殖期にあるY93細胞およびY94細胞に形質転換し、ポジティブな組み換え体を、ロイシンが補充されていない条件下での増殖について選択し、そして選択したクローンを診断用PCRによって確認した。得られたクローンをY176(MAT A)およびY177(MATアルファ)と命名した。
【0232】
次いで、株Y188を、2ugのpAM491プラスミドDNAおよびpAM495プラスミドDNAを、PmeI制限酵素(New England Biolabs,Beverly,MA)を使用して完全に消化させ、そして精製したDNA挿入断片を指数増殖期にあるY176細胞に導入することによって作製した。ポジティブな組み換え体を、ウラシルとヒスチジンを含まない培地上での増殖によって選択し、そして正確なゲノム遺伝子座への組み込みを診断用PCRによって確認した。
【0233】
株Y189を、次に、2ugのpAM489プラスミドDNAおよびpAM497プラスミドDNAを、PmeI制限酵素を使用して完全に消化させ、そして精製したDNA挿入断片を指数増殖期にあるY177細胞に導入することによって作製した。ポジティブな組み換え体を、トリプトファンとヒスチジンを含まない培地上での増殖について選択し、そして正確なゲノム遺伝子座への組み込みを診断用PCRによって確認した。
【0234】
株Y188および株Y189に由来するおよそ1×10個の細胞を、YPD培地プレート上で室温で6時間混合して、接合させた。混合した細胞培養物を、ヒスチジン、ウラシル、およびトリプトファンを含まない培地にプレートして、二倍体細胞の増殖について選択した。株Y238は、2ugのpAM493プラスミドDNA(PmeI制限酵素を使用して完全に消化させた)を使用して二倍体細胞を形質転換し、そして精製したDNA挿入断片を指数増殖期にある二倍体細胞に導入することによって作製した。ポジティブな組み換え体を、アデニンを含まない培地上での増殖について選択し、そして正確なゲノム遺伝子座への組み込みを診断用PCRによって確認した。
【0235】
一倍体株Y211(MATアルファ)は、株Y238を2%の酢酸カリウムおよび0.02%のラフィノース液体培地中で胞子形成させること、Singer Instruments MSM300シリーズのマイクロマニピュレーター(Singer Instrument LTD,Somerset,UK)を使用して、およそ200の遺伝子のテトラッド(genetic tetrad)を単離すること、アデニン、ヒスチジン、ウラシル、およびトリプトファンを含まない条件下で増殖するそれらの能力によって導入された遺伝子材料の適切な相補鎖を含む個々の遺伝的単離物を同定すること、そして診断用PCRによって全ての導入されたDNAの組み込みを確認することによって作製した。
【0236】
株Y381は、株Y211から、遺伝子操作されたMET3プロモーターとERG9コード配列の開始位置との間にある天然のERG9遺伝子座の69ヌクレオチドを除去し、それによってERG9の発現をさらにメチオニンで抑制できるようにすること、そしてこの部位にあるKanMXマーカーを別の選択マーカーに置き換えることによって作製した。この目的のために、指数増殖期にあるY211細胞を、100ugのDNA断片ERG9−1〜−800−DsdA−PMET3−ERG91〜811で形質転換した。DNA断片ERG9−1〜−800−DsdA−PMET3−ERG91〜811(配列番号17)には、Saccharomyces cerevisiaeのERG9遺伝子の5’UTRの1つのセグメント(ERG9のヌクレオチド位置−1〜−800)(ERG9−1〜−800)、DsdA選択マーカー(DsdA)、Saccharomyces cerevisiaeのMET3遺伝子のプロモーター領域(MET3のヌクレオチド位置−2〜−687)(PMET3)、およびERG9遺伝子のORFの1つのセグメント(ERG9のヌクレオチド位置1〜811)(ERG91〜811)が含まれる。DNA断片は、表10に概説するように、PCR増幅によって作製した。宿主細胞の形質転換体を、2%のグルコースとD−セリンとを含む合成規定培地上で選択し、そして正確なゲノム遺伝子座への組み込みを診断用PCRによって確認した。
【0237】
【表10】

【0238】
株Y435は、株Y381から、この株をガラクトースを異化できないように、グルコースの存在下で高レベルのGAL4pを発現できるように(すなわち、グルコースの存在下でガラクトース誘導性プロモーターの発現オフをさらに効率よく駆動できるように、さらには、細胞中の全てのガラクトース誘導性プロモーターからの発現を駆動するために十分なGal4p転写因子が確実に存在するように)、そしてガラクトースの存在下でβ−ファルネセンシンターゼを生産できるようにすることによって作製した。この目的のために、指数増殖期にあるY381細胞を、最初に、850ngのゲル精製したDNA断片GAL7126〜598−HPH−PGAL4OC−GAL4−GAL11585〜2088で形質転換した。宿主細胞の形質転換体を、200ug/mLのハイグロマイシンBを含むYPD寒天上で選択し、単一コロニーを採取し、正確なゲノム遺伝子座への組み込みを診断用PCRによって確認した。ポジティブコロニーを、200ug/uLのハイグロマイシンBを含むYPD寒天上に再び画線して、ストック調製物用の単一コロニーを得た。1つのそのようなポジティブな形質転換体株を、その後、発現プラスミドpAM404で形質転換して、株Y435を得た。宿主細胞の形質転換体を、2%のグルコースと、ロイシンおよびメチオニンを除く全てのアミノ酸を含む合成規定培地(SM−leu−met)上で選択した。単一コロニーを、5mLの液体SM−leu−metを含む培養バイアルに移し、そして培養物を、増殖が静止期に達するまで30℃で振盪させることによってインキュベートした。細胞を−80℃で、凍結用バイアルの中で、400uLの50%の滅菌グリセロールおよび600uLの液体培地で1mLにした凍結アリコートで保存した。
【0239】
株Y596は、株Y435から、ラクターゼおよびラクトーストランスポーターを生産できる株にすることによって作製した。この目的のために、指数増殖期にあるY435細胞を、4ugのゲル精製したDNA断片5’遺伝子座−NatR−LAC12−PTDH1−PPGK1−LAC4−3’遺伝子座で形質転換した。ポジティブな組み換え体を、200ugのノーセオスリシンを含むYPD培地上での増殖について選択し、そして正確なゲノム遺伝子座への組み込みを診断用PCRによって確認した。単一コロニーを5mLの液体YPDを含む培養バイアルに移し、そして培養物を、増殖が静止期に達するまで30℃で振盪させることによってインキュベートした。細胞を、400uLの50%の滅菌グリセロールと600uLの液体培養物で1mLにした凍結アリコートで、凍結用バイアルの中で−80℃で保存した。
【0240】
(実施例6)
本実施例は、ラクトースの存在下で増殖させたSaccharomyces cerevisiae宿主株におけるβ−ファルネセンの生産を記載する。
【0241】
宿主株Y435およびY596の種培養物は、25mLのBird’s Production培地を含む125mLのフラスコにストックアリコートを添加し、そして培養物を一晩増殖させることによって確立させた。それぞれの種培養物を使用して、2%のグルコースと、5.0g/Lのガラクトース、または9.6g/L、6.0g/L、もしくは2.4g/Lのラクトースのいずれかを含む40mLのBird’s Production培地を含む2つの20mLのバッフル付き三角フラスコ(baffled flasks)のそれぞれに、およそ0.05の最初のOD600で接種した。これらの培養物に8mLのオレイン酸メチルを重層し(overlain)、そして回転式振盪装置上で200rpm、30℃でインキュベートした。2uL〜10uLの有機物の重層(organic overlay)を、内部標準物としてのベータ−カリオフィレンまたはトランス−カリオフィレンをスパイクした(spiked)500uLの酢酸エチルを含む清潔な硝子製のバイアルに移すことによって、3連の試料を24時間ごとに72時間まで採取した。
【0242】
酢酸エチル試料を、水素炎イオン化型検出器が備えられているAgilent 6890Nガスクロマトグラフ(Agilent Technologies Inc.,Palo Alto,CA)上で分析した。それぞれの試料の1μLのアリコート中の化合物を、DB−IMSカラム(Agilent Technologies,Inc.,Palo Alto,CA)、ヘリウムキャリアガス、および以下の温度プログラムを使用して分離させた:200℃で1分間保つ、10℃/分で230℃の温度まで温度を上昇させる、40℃/分で300℃の温度まで温度を上昇させる、そして300℃で1分間保つ。このプロトコールを使用して、β−ファルネセンが、およそ2分間の保持時間があることがこれまでに示されている。ファルネセンの力価を、トランス−カリオフィレンをスパイクした酢酸エチル中での精製されたβ−ファルネセン(Sigma−Aldrich Chemical Company,St.Louis,MO)の定量的検量線に対して、生じたピーク面積を比較することによって計算した。
【0243】
ラクトースを、屈折率検出器(Agilent Technologies Inc.,Palo Alto,CA)を使用してAgilent 1200高速液体クロマトグラフィーで分析した。試料は、明澄化させた発酵培養液の500μLのアリコートを取り出し、そしてこれを等しい容量の30mMの硫酸で希釈することによって調製した。それぞれの試料中の10μLのアリコート中の化合物を、15mMの硫酸を0.6mL/分の流速で移動相として用いて、Waters IC−Pakを使用して分離させた。ラクトースのレベルは、真の化合物の定量的検量線に対して生じたピーク面積を比較することによって測定した。
【0244】
図6Aに示すように、培養物の増殖は、培養培地にガラクトースが含まれているか、またはラクトースが含まれているかとは関係なく、2つの株のそれぞれについて類似していた。図6Bに示すように、株Y596はガラクトースの存在下でも、またラクトースの存在下でも、0.6g/Lより多くのβ−ファルネセンを生産し、一方、対照である株Y435は誘導物質であるガラクトースの存在下でのみβ−ファルネセンを生産したが、ラクトースの存在下ではβ−ファルネセンを生産しなかった。図6Cに示すように、株Y596によるβ−ファルネセンの生産を誘導するためには、2.4g/Lより多くのラクトースは必要なかった。
【0245】
本発明は、限られた数の実施形態について記載されているが、1つの実施形態の特別な特徴は、本発明の他の実施形態に帰属させられるべきではない。1つの実施形態は、請求される本発明の事項の全ての態様の代表例ではない。いくつかの実施形態においては、複数の組成物または複数の方法には、本明細書中で言及される多数の化合物または工程が含まれ得る。他の実施形態においては、これらの組成物またはこれらの方法には、本明細書中には列挙されていない任意の化合物もしくは工程は含まれないか、または実質的に含まれない。記載される実施形態からの変更および改変も存在する。本明細書中に開示されるジェット燃料組成物の用途がジェットエンジンに限定されないことに留意されなければならず、これらは、ジェット燃料を必要とする任意の機器において使用され得る。大部分のジェット燃料についての詳細が記載されているが、本明細書中で開示された全てのジェット燃料の組成が、明細書中の全ての要件を満たすために必要であるというわけではない。本明細書中に開示されるジェット燃料組成物を生成し、そして使用するための方法が、多数の工程に関して記載されることに留意されたい。これらの工程は、任意の順序で行うことができる。1つまたは複数の工程は省略されるか、または組み合わせられる場合があるが、それでもなお、実質的に同じ結果に達する。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような変更や改変が本発明の範囲に含まれるように意図される。
【0246】
本明細書中に記載された全ての刊行物および特許出願は、それぞれの個々の刊行物または特許出願が、引用によって組み入れられることが具体的かつ個別に示されている場合と同じ程度で、引用により本明細書中に組み入れられる。上記本発明は、理解の明確化のために説明および実施例によって幾分詳細に記載されいるが、特定の変更および改変を添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく本発明に対して行うことができることは、本発明の教示を参照すれば当業者に容易に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿主細胞中で異種配列を発現させる方法であって、該異種配列が発現される培地中および条件下で該宿主細胞を培養する工程を含み、該異種配列が、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結され、そして該異種配列の発現が、該培地にガラクトースを直接補充することなく誘導される、方法。
【請求項2】
前記異種配列の発現が、ガラクトースではない糖によって、ガラクトースが補充された培地中で前記宿主細胞を培養することによって得られるレベルと同等のレベルにまで誘導され、補充されたガラクトースの量とガラクトースではない糖の量は、モル数として測定すると同等である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
宿主細胞中で異種配列を発現させる方法であって、該異種配列が発現される培地中および条件下で該宿主細胞を培養する工程を含み、該異種配列が、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結され、そして該異種配列の発現が、該培地にラクトースが添加されると誘導される、方法。
【請求項4】
前記異種配列の発現が、ラクトースが補充されると、ガラクトースが補充された培地中で前記宿主細胞を培養することによって得られるレベルと同等のレベルにまで誘導され、補充されたガラクトースの量とラクトースの量は、モル数として測定すると同等である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記異種配列がタンパク質性産物をコードする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記異種配列が、アンチセンス分子、siRNA、miRNA、EGS、アプタマー、およびリボザイムからなる群より選択される産物を生産する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
宿主細胞中でイソプレノイドを生産させる方法であって、メバロン酸非依存性デオキシキシルロース5−リン酸(DXP)経路またはメバロン酸(MEV)経路の1種類またはそれ以上の酵素をコードする1種類またはそれ以上の異種配列を発現する宿主細胞を培養する工程を含み、該1種類またはそれ以上の異種配列は、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結され、そして該1種類またはそれ以上の異種配列の発現が、該培地にガラクトースを直接補充することなく誘導される、方法。
【請求項8】
前記1種類またはそれ以上の異種配列の発現が、ラクトースの存在下で誘導される、請求項1または7に記載の方法。
【請求項9】
前記イソプレノイドが、C〜C20イソプレノイドである、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項10】
前記イソプレノイドがC20イソプレノイドである、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項11】
前記宿主細胞に、プレニルトランスフェラーゼおよびイソプレノイドシンターゼをコードする外因性配列がさらに含まれる、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項12】
前記培地にラクトースとラクターゼとが含まれる、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記宿主細胞に、ガラクトーストランスポーターまたはその生物学的に活性な断片が含まれる、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項14】
前記宿主細胞に、GAL2ガラクトーストランスポーターまたはその生物学的に活性な断片が含まれる、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項15】
前記宿主細胞に、ラクトーストランスポーターまたはその生物学的に活性な断片が含まれる、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項16】
前記宿主細胞に、GAL2であるガラクトーストランスポーターが含まれる、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項17】
前記ガラクトース誘導性調節エレメントがエピソーム性である、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項18】
前記ガラクトース誘導性調節エレメントが、前記宿主細胞のゲノムに組み込まれる、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項19】
前記ガラクトース誘導性調節エレメントに、GAL7プロモーター、GAL2プロモーター、GAL1プロモーター、GAL10プロモーター、GAL3プロモーター、GCY1プロモーター、GAL80プロモーターからなる群より選択されるガラクトース誘導性プロモーターが含まれる、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項20】
前記宿主細胞に、ラクターゼまたはその生物学的に活性な断片が含まれる、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項21】
前記宿主細胞に、ラクターゼ酵素をコードする外因性配列が含まれる、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項22】
前記宿主細胞に、分泌可能なラクターゼをコードする外因性配列が含まれる、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項23】
前記宿主細胞がガラクトースを異化する低減された能力を示す、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項24】
前記宿主細胞が、機能性のGAL1タンパク質、GAL7タンパク質、および/またはGAL10タンパク質を欠いている、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項25】
前記宿主細胞がGAL4タンパク質を発現する、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項26】
前記宿主細胞が、構成的なプロモーターの制御下でGAL4タンパク質を発現する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記宿主細胞が原核生物細胞である、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項28】
前記宿主細胞が真核生物細胞である、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項29】
前記宿主細胞がSaccharomyces cerevisiaeである、請求項1、3、または7に記載の方法。
【請求項30】
培地中で培養すると、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結された異種配列を発現するように修飾された宿主細胞であって、該異種配列の発現が、該培地にガラクトースを直接補充することなく誘導される、宿主細胞。
【請求項31】
前記異種配列の発現が、ガラクトースではない糖によって、ガラクトースが補充された培地中で前記宿主細胞を培養することによって得られるレベルと同等のレベルにまで誘導され、補充されたガラクトースの量とガラクトースではない糖の量は、モル数として測定すると同等である、請求項30に記載の宿主細胞。
【請求項32】
培地中で培養すると、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結された異種配列を発現するように修飾された宿主細胞であって、該異種配列の発現が、ラクトースの存在下で誘導される、宿主細胞。
【請求項33】
前記異種配列の発現が、ラクトースが補充されると、ガラクトースが補充された培地中で前記宿主細胞を培養することによって得られるレベルと同等のレベルにまで誘導され、補充されたガラクトースの量とラクトースの量は、モル数として測定すると同等である、請求項31に記載の宿主細胞。
【請求項34】
前記宿主細胞に、ガラクトーストランスポーターまたはその生物学的に活性な断片が含まれる、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項35】
前記宿主細胞に、GAL2ガラクトーストランスポーターまたはその生物学的に活性な断片が含まれる、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項36】
前記宿主細胞に、ラクトーストランスポーターまたはその生物学的に活性な断片が含まれる、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項37】
前記ガラクトース誘導性調節エレメントが、1つまたは複数の染色体外プラスミドに含まれる、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項38】
前記ガラクトース誘導性調節エレメントが前記宿主細胞のゲノムに組み込まれる、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項39】
前記ガラクトース誘導性調節エレメントに、GAL7プロモーター、GAL2プロモーター、GAL1プロモーター、GAL10プロモーター、GAL3プロモーター、GCY1プロモーター、およびGAL80プロモーターからなる群より選択されるガラクトース誘導性プロモーターが含まれる、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項40】
前記宿主細胞にラクターゼ酵素が含まれる、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項41】
前記宿主細胞に、ラクターゼ酵素またはその生物学的に活性な断片をコードする外因性配列が含まれる、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項42】
前記宿主細胞に、分泌可能なラクターゼをコードする外因性配列が含まれる、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項43】
前記宿主細胞が、ガラクトースを異化する低減された能力を示す、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項44】
前記宿主細胞が、機能的なGAL1タンパク質、GAL7タンパク質、および/またはGAL10タンパク質を欠いている、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項45】
前記宿主細胞がGAL4タンパク質を発現する、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項46】
前記宿主細胞が、構成的なプロモーターの制御下でGAL4タンパク質を発現する、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項47】
前記宿主細胞が原核生物細胞である、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項48】
前記宿主細胞が真核生物細胞である、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項49】
前記宿主細胞がSaccharomyces cerevisiaeである、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項50】
前記異種配列がタンパク質様産物をコードする、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項51】
前記異種配列が、アンチセンス分子、siRNA、miRNA、アプタマー、およびリボザイムからなる群より選択される産物を生産する、請求項30または32に記載の宿主細胞。
【請求項52】
デオキシキシルロース5−リン酸(DXP)経路を通じてイソプレノイドを生産する、請求項30または32に記載の宿主細胞であって、前記異種配列が、メバロン酸非依存性デオキシキシルロース5−リン酸(DXP)経路の1種類またはそれ以上の酵素をコードする、宿主細胞。
【請求項53】
メバロン酸(MEV)経路を通じてイソプレノイドを生産する、請求項30または32に記載の宿主細胞であって、前記異種配列が、該MEV経路の1種類またはそれ以上の酵素をコードする、宿主細胞。
【請求項54】
前記イソプレノイドが、C〜C20イソプレノイドである、請求項53または54に記載の宿主細胞。
【請求項55】
前記イソプレノイドがC20+イソプレノイドである、請求項52または53に記載の宿主細胞。
【請求項56】
前記イソプレノイドがカロテノイドである、請求項52または53に記載の宿主細胞。
【請求項57】
ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結された第1の異種配列と、ラクターゼまたはその生物学的に活性な断片をコードする第2の異種配列とを含む発現ベクターであって、宿主細胞に導入されると、該宿主細胞が該第1の異種配列の発現を誘導するのに十分な量のラクトースが補充された培地中で培養されたときに、該発現ベクターが、該宿主細胞中で該第1の異種配列の発現を生じる、発現ベクター。
【請求項58】
ラクターゼまたはその生物学的に活性な断片をコードする前記第2の異種配列が発現され、ラクトースをグルコースとガラクトースとに加水分解する、請求項57に記載の発現ベクター。
【請求項59】
DXP経路の酵素またはその生物学的に活性な断片をコードする異種配列をさらに含む、請求項57に記載の発現ベクター。
【請求項60】
MEV経路の酵素またはその生物学的に活性な断片をコードする異種配列をさらに含む、請求項57に記載の発現ベクター。
【請求項61】
ラクトーストランスポーターをコードする異種配列をさらに含む、請求項57に記載の発現ベクター。
【請求項62】
ガラクトーストランスポーターまたはその生物学的に活性な断片をコードする異種配列をさらに含む、請求項57に記載の発現ベクター。
【請求項63】
少なくとも1つの第1の発現ベクターと少なくとも1つの第2の発現ベクターとを含む発現ベクターのセットであって、該第1の発現ベクターには、ガラクトース誘導性調節エレメントに作動可能であるように連結された第1の異種配列が含まれ、そして第2の発現ベクターには、ラクターゼまたはその生物学的に活性な断片をコードする第2の異種配列が含まれ、宿主細胞に導入されると、該発現ベクターのカセットは、該宿主細胞を該第1の異種配列の発現を誘導するのに十分な量のラクトースが補充されている培地中で培養するとき、該宿主細胞中で該第1の異種配列の発現を生じる、発現ベクターのセット。
【請求項64】
ラクターゼまたはその生物学的に活性な断片をコードする前記第2の異種配列が発現され、ラクトースをグルコースとガラクトースとに加水分解する、請求項63に記載の発現ベクターのセット。
【請求項65】
DXP経路の酵素またはその生物学的に活性な断片をコードする異種配列をさらに含む、請求項63に記載の発現ベクターのセット。
【請求項66】
MEV経路の酵素またはその生物学的に活性な断片をコードする異種配列がさらに含まれる、請求項63に記載の発現ベクターのセット。
【請求項67】
ラクトーストランスポーターまたはその生物学的に活性な断片をコードする異種配列をさらに含む、請求項63に記載の発現ベクターのセット。
【請求項68】
ガラクトーストランスポーターまたはその生物学的に活性な断片をコードする異種配列をさらに含む、請求項63に記載の発現ベクターのセット。
【請求項69】
請求項57に記載の発現ベクターと、キットの使用説明書とを含む、キット。
【請求項70】
請求項63に記載の発現ベクターのカセットと、キットの使用説明書とを含む、キット。
【請求項71】
請求項30または32に記載の宿主細胞を含む、細胞培養物。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【公表番号】特表2011−517410(P2011−517410A)
【公表日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504126(P2011−504126)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/039769
【国際公開番号】WO2009/126623
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(508348646)アミリス バイオテクノロジーズ, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】