説明

疎水性および疎油性のコーティングならびにその調製方法

接着促進組成物から形成された接着促進層と、疎水性層形成組成物から形成された疎水性層とを備える疎水性および疎油性のコーティングが開示される。接着促進組成物は、官能性結合基と、シラン官能基および/またはゲルマニウム官能基のうちの少なくとも一つとを有した接着促進化合物を含有してもよい。疎水性層形成組成物は、疎水性脂肪族基と、シラン官能基および/またはゲルマニウム官能基のうちの少なくとも一つとを有した疎水性層形成化合物を含有してもよい。コーティングを形成する方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
疎水性および疎油性のコーティングならびにその調製方法に関する。
関連出願の相互参照
本出願は、本願明細書に援用する2006年10月3日に出願した米国仮出願第60/849,233号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
多くのポリマー/プラスチック材料は低密度、低コスト、優れた強度、加工のしやすさなどの望ましいバルク特性を有しており、こうした特性により、これらの材料は、無数の消費財および家庭用機器の不可欠な構成要素になることができた。しかし、特定の用途に対して理想的なバルク特性を有する多くのプラスチックは、例えば、耐摩耗性および湿潤性などの表面特性の点で不足がある。その結果、コーティングによりポリマー/プラスチックの表面を修飾して、その有益なバルク特性をさまざまな用途に利用できるようにすることが望ましいと考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
種々のデバイスは、多くの場合、適切な機能性を維持するためにデバイスの内部に水が入り込むのを防ぐように設計されている。水または他の液体材料がデバイスおよびデバイスの構成要素と接触する可能性のある環境で使用されるデバイスがメーカーによりしばしば設計される。デバイスおよびデバイス構成要素は、デバイスおよび構成要素の内部を保護するための保護カバーを備えうる。多くの場合、保護カバーは複数の部分から形成され、その結果、液体によるダメージに内部を曝すおそれのある種々の継ぎ目及び開口が生じる。多くのデバイスでは、さらに、液体がカバーを貫通するのを防ぎつつ空気または他の気体がデバイスの内部と外部の間を自由に流れるようにするために、保護カバーに小さな開口または隙間を必要とされる。例えば、電子デバイスに電力を供給するのに使用される電池は、湿気によるダメージの影響を受けやすいが、外部酸素源を動作に必要とする場合がある。加えてデバイスは、液体材料を収容することがあり、その液体は供給に供されるまでの長い期間にわたりデバイス内に収容されることが意図されている。例えば、インクジェットカートリッジは、長期間にわたりカートリッジ内に収容されるインク溶液を収容することが多い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
少なくとも一つの実施形態によれば、方法は、官能性結合基およびシラン基を有する第1のシランを表面上に堆積する工程と、疎水性脂肪族基およびシラン基を有する第2のシランを第1のシラン上に堆積する工程とを備えうる。
【0005】
特定の実施形態では、組成物は、ヒドロキシル基を有する基材と、官能性結合基およびシラン基を有する第1のシランと、疎水性脂肪族基およびシラン基を有する第2のシランとの反応生成物を備えうる。
【0006】
さまざまな実施形態において、コーティング組成物は、表面に結合した第1のシランと、シロキサン結合により第1のシランに結合した第2のシランとを備えうる。第1のシランはシラン基を有し、第2のシランは疎水性脂肪族基を有する。
【0007】
特定の実施形態において、物品は、表面を有する第1の部分と、第1の部分の表面に結合した第1のシランと、シロキサン結合により第1のシランに結合した第2のシランとを備えうる。第1のシランはシラン基を有し、第2のシランは疎水性脂肪族基を有する。
【0008】
その他の実施形態では、補聴器デバイスは、表面部分を有する第1の構成要素と、第1の構成要素の表面部分に結合したコーティング組成物とを備えうる。コーティング組成物は、第1の構成要素の表面部分に結合した接着層と、接着層に結合した疎水性層とを備える。
【0009】
少なくとも一つの実施形態では、方法は、接着促進化合物を表面に堆積する工程を備えうる。接着促進化合物は、官能性結合基と、シラン官能基およびゲルマニウム官能基のうちの少なくとも一つとを有する。この方法はまた、疎水性層形成化合物を接着促進化合物上に堆積する工程も備えうる。疎水性層形成化合物は、疎水性脂肪族基と、シラン官能基およびゲルマニウム官能基のうちの少なくとも一つとを有する。
【0010】
さまざまな実施形態において、組成物は、ヒドロキシル基を有する基材と、接着促進化合物を含有する接着促進組成物と、疎水性層形成化合物を含有する疎水性層形成組成物との反応生成物を備えうる。接着促進化合物は、官能性結合基と、シラン官能基およびゲルマニウム官能基のうちの少なくとも一つとを有し、疎水性層形成化合物は、疎水性脂肪族基と、シラン官能基およびゲルマニウム官能基のうちの少なくとも一つとを有する。
【0011】
上記したいずれの実施形態の特徴も、本明細書で説明されている一般的原理に従って互いに組み合わせて使用することができる。これらおよび他の実施形態、特徴ならびに利点は、添付の図面および請求項とともに以下の詳細な説明を読むことにより十分に理解されるであろう。
【0012】
添付の図面は、多数の例示的な実施形態を示し、また本明細書の一部である。これらの図面は、以下の説明と併せて、本開示のさまざまな原理を明らかにし、説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】少なくとも一つの実施形態に係るコーティングを有する例示的な物品の一部の断面図である。
【図2】その他の実施形態に係るコーティングを表面上に形成する例示的な方法を示す流れ図である。
【図3】その他の実施形態に係るコーティングを表面上に形成する例示的な方法を示す流れ図である。
【図4】その他の実施形態に係るコーティングを表面上に形成する例示的な方法を示す流れ図である。
【図5】その他の実施形態に係るコーティングを表面上に形成する例示的な方法を示す流れ図である。
【図6】その他の実施形態に係るコーティングを表面上に形成する例示的な方法を示す流れ図である。
【図7】その他の実施形態に係るコーティングを表面上に形成する例示的な方法を示す流れ図である。
【図8】その他の実施形態に係るコーティングを表面上に形成する例示的な方法を示す流れ図である。
【図9】その他の実施形態に係るコーティングを表面上に形成する例示的な方法を示す流れ図である。
【図10A】その他の実施形態に係るコーティングが一部に形成された例示的な補聴器デバイスである。
【図10B】その他の実施形態に係るコーティングが一部に形成された例示的な補聴器デバイスである。
【図10C】その他の実施形態に係るコーティングが一部に形成された例示的な補聴器デバイスである。
【図10D】その他の実施形態に係るコーティングが一部に形成された例示的な補聴器デバイスである。
【図11】その他の実施形態に係るコーティングが一部に形成された例示的なシリコン系物品である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面全体を通して、同一の参照文字および説明は、似ているが必ずしも同一ではない要素を示す。本明細書で説明されている例示的な実施形態は、さまざまな修正および代替の形態の影響を受けるが、図面中の例として特定の実施形態をここで詳細に説明する。ただし、明細書で説明されている例示的な実施形態が、開示されている特定の形態に限定されることを意図してはいない。むしろ、本開示は、添付の請求項の範囲内にあるすべての修正の形態、等価の形態、および代替の形態を包含する。
【0015】
本開示において提示されるシラン組成物は、物品に種々の特性を付与するために当該物品上に堆積されうる。種々の物品に組成物を施す方法もまた、本開示において提示される。ここで説明される組成物および方法はまた、さまざまな他の特徴および利点をもたらしうる。
【0016】
図1は、基材22およびコーティング26を備える例示的な物品20である。この図に例示されているように、基材22は、表面24を有しうる。また、コーティング26は、接着促進層28および疎水性層30を備えうる。物品20は、表面部分を有する適当な物品またはデバイスを含みうる。物品20の例としては、限定はしないが、電子デバイス、シリコンウェハ、シリコンチップ、インクジェットカートリッジ、プラスチックフィルム、電池、電池接点、充電式電池、メッシュカバー(mesh coverings)、耳栓、およびそれらの構成要素が挙げられる。物品20はまた、例えば、平面、曲面、粗面、滑面、および/または不規則面を含んだ任意の形状、サイズ、組織(texture)または構成で形成された表面を有しうる。また、物品20は、例えば、シェル構成要素、カバー、挿耳ドーム(例えば、開放型耳製品(open ear products)用の)、マイクカバー(例えば、布製メッシュカバー)、ボリューム制御部、スイッチ、ボタン、マイク入力ポート、受信機ポート、管類、耳掛け、音響減衰要素、電池扉、電池、電池接点、ノズル、DAIコネクタ、湿気および/またはろう状物質(wax)ガード、面板要素(face plate elements)、耳型(ear mold)(例えば、標準耳型およびカスタム耳型)、および他の補聴器デバイスまたは構成要素を含んだ種々の補聴器デバイス、構成要素、および/または付属品からなりうる。
【0017】
基材22は、後述するようにシラン化合物の堆積に適した材料または材料の組み合わせからなりうる。基材22を形成するのに適した材料の例としては、限定はしないが、ポリマー材料、金属材料、複合材料、シリコン系材料、半導体材料、絶縁体材料、またはそれらの組み合わせが挙げられる。基材22の表面24は、基材22および/または物品20の外側部分および/または内側部分からなりうる。
【0018】
コーティング26は、完成した物品アセンブリ、物品サブアセンブリ、個々の物品、デバイス構成要素、および/またはシェル構成要素の一部分に形成されうる。コーティング26は、表面24に対してほぼ一定の厚さを有してもよい。あるいは、コーティング26は、間欠的におよび/または特定のパターンで表面24に施してもよい。また、コーティング26は、例えば、継ぎ目、孔、隙間、または表面24に形成された開口、または表面24に隣接して形成された他の開口と接触または近接する表面24の一部分などの、表面24の所望の部分にのみ施してもよい。コーティング26は、例えば、疎水性の増大、疎油性の増大、耐摩耗性の増大、防汚性の増大、および/または変色防止性の増大を含む種々の特性を表面24に付与しうる。コーティング26はまた、表面24および/または基材22の一部分に気体透過性を持たせる一方で、表面24に液体不透過性を持たせてもよい。加えて、コーティング26は、物品20の機能性または美観にほとんどまたは全く影響を及ぼすことなく表面24上にコーティング26を形成することを可能にする極薄の透明層を備えてもよい。
【0019】
接着促進層28が表面24上に形成されてもよい。特定の実施形態では、接着促進層28は表面24に結合されうる。接着促進層28は、基材24に他の化合物を結合及び固定する接着促進剤として作用しうる。接着促進層28は、少なくとも2つの反応基を有する第1のシランからなりうる。また、第1のシランおよび/または接着促進層28は、種々のシラン化合物の混合物からなってもよい。接着促進層28はまた、第1のシランに加えて他の化合物を含むこともできる。接着促進層28の他の化合物は、接着促進層28および/または第1のシランが接着促進剤として作用するのを妨げることなく、例えば、微生物抵抗性などの種々の望ましい特性を接着促進層28に付与しうる。
【0020】
特定の実施形態では、接着促進層28は、シラン化合物(例えば、第1のシラン)に加えてまたはその代わりに、ゲルマニウム系化合物を含みうる。ゲルマニウム系化合物は、類似のシリコン化合物と同様に接着促進剤として機能しうる。したがって、第1のシランの例として以下に挙げられるシリコン化合物は、類似のゲルマニウム化合物で代用または置換されうる。
【0021】
第1のシランは、シロキサン(Si−O−Si)結合を含むポリマーを形成する能力を有してもよい。少なくとも一つの実施形態では、第1のシランは、限定はしないが、イソシアネート基、塩化アシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミノ基、メチルエステル基、イソチオシアナト基、カルボキシル基、活性化カルボキシル基、塩化アルキル基、臭化アルキル基、ヨウ化アルキル基、塩化ベンジル基、臭化ベンジル基、クロロシラン基(例えば、−SiCl)、メトキシシラン基(例えば、−Si(OCH)、エトキシシラン基(例えば、−Si(OCHCH)、および/また他の好適な反応性官能基のうちの少なくとも一つを含みうる。
【0022】
第1のシランはまた、少なくとも一つのシラン基を有しうる。例示的な実施形態では、第1のシランのシラン基は、式(I):
【0023】
【化1】

により表すことができる。R、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基であってよい。
【0024】
少なくとも一つの実施形態では、第1のシランは、式(II):
【0025】
【化2】

により表すことができる。Xは、限定はしないが、イソシアネート基、塩化アシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミノ基、メチルエステル基、イソチオシアナト基、カルボキシル基、活性化カルボキシル基、塩化アルキル基、臭化アルキル基、ヨウ化アルキル基、塩化ベンジル基、臭化ベンジル基、クロロシラン基(例えば、−SiCl)、メトキシシラン基(例えば、−Si(OCH)、エトキシシラン基(例えば、−Si(OCHCH)、および/または他の好適な反応性官能基であってよい。式(II)において、nは0〜32の範囲の整数とすることができる。別の実施形態では、nは1〜18の範囲の整数とすることができる。少なくとも一つの実施形態では、nは3〜4の範囲の整数とすることができる。また、式(II)のR、RおよびRは、式(I)について上で定義されるとおりとすることができる。
【0026】
第1のシランの代表例は、限定はしないが、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、4−イソシアナトブチルトリエトキシシラン、4−イソシアナトブチルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルジメチルクロロシラン、(イソシアナトメチル)メチルジメトキシシラン、3−チオシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチル−トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチル−メチルジメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−エチルアミノイソブイルトリメトキシシラン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、n−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルジメチルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルジメチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、(3−グリシドキシブチル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシブチル)トリエトキシシラン、SiCl、Si(CH)Cl、Si(CHCl、Si(OCH、Si(CH)(OCH、Si(CH(OCH、Si(OCHCH、Si(CH)(OCHCH、Si(CH(OCHCH、Si(N(CH、SiH(N(CH、Si(CH)(N(CH、SiCl(N(CH、Si(CH)H(N(CHを含む。
【0027】
例えばシロキサンまたは他の末端基結合を通じて、表面24に結合する能力を持ちうる第1のシランの追加の例は、限定はしないが、ビス(ジメチルアミノジメチルシリル)エタン、ビス(ジメチルアミノ)ビニルメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アセトキシエチルトリメトキシシラン、ビス(クロロメチル)ジクロロシラン、ビス(クロロメチル)メチルクロロシラン、ビス(ジクロロシリル)メタン、ビス(メチルジクロロシリル)エタン、ビス(トリクロロシリル)ヘキサン、ビス(トリクロロシリル)メタン、ビス(トリクロロシリル)オクタン、1,3−ビス(トリクロロシリル)プロパン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、2−ブロモエチルトリクロロシラン、1−クロロエチルトリクロロシラン、ヘキサクロロジシラン、メチルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、テトラブロモシラン、トリクロロメチルトリクロロシラン、トリス(トリクロロシリルエチル)メチルシラン、トリス(p−トリクロロシリルプロピルフェニル)アミン、ビス(メチルジクロロシリル)ブタンを含む。
【0028】
疎水性層30が接着促進層28上に形成されてもよい。特定の実施形態では、疎水性層30は接着促進層28に結合されうる。疎水性層30は、疎水性および/または疎油性の層として作用しうる。また、第2のシランは、疎水性および/または疎油性の化合物として作用しうる。疎水性層30は、少なくとも一つのペルフルオロ脂肪族基および少なくとも1つのシラン基を有する第2のシランからなってもよい。疎水性層30はまた、第2のシランに加えて他の化合物を含むこともできる。疎水性層30の他の化合物は、疎水性層30および/または第2のシランが疎水性および/または疎油性の層または化合物として作用するのを妨げることなく、例えば、微生物抵抗性などの種々の望ましい特性を疎水性層30に付与しうる。
【0029】
コーティング26に疎水性を付与するために、第2のシランは、アルキル長鎖、部分フッ素化アルキル鎖、および/または過フッ素化された部位を有するアルキル鎖を含んでもよく、それらはいずれも直鎖または分岐鎖であってよい。例えば、第2のシランは、一般式CF(CF(CHSiRおよび/またはCFH(CF(CHSiRを有するアルキル鎖を含んでもよい。nおよびmは、整数(n≧0およびm≧0)である。また、第2のシランおよび/または疎水性層30は、アルキル鎖、ペルフルオロアルキル鎖、または部分フッ素化アルキル鎖の混合物を含んでもよい。
【0030】
第2のシランは、例えばシロキサン(Si−O−Si)結合を通じて、第1のシランに結合可能であってもよい。また、第2のシランは、シロキサン結合を含むポリマーを形成可能であってもよい。例示的な実施形態では、第2のシランのシラン基は、式(III):
【0031】
【化3】

により表すことができる。R、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基であってよい。
【0032】
少なくとも一つの実施形態では、第2のシランは、式(IV):
【0033】
【化4】

により表すことができる。nは0〜32の範囲の整数とすることができ、R、RおよびRは、式(III)について上で定義されるとおりとすることができる。別の実施形態では、nは1〜16の範囲の整数とすることができる。少なくとも一つの実施形態では、nは5〜9の範囲の整数とすることができる。
【0034】
第2のシランの代表例は、限定はしないが、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)メチルジクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリメトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(トリス(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)ジメチルシロキシ)クロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン、トリエトキシ(1H,1H,2H,2H−ペルフルオロオクチル)シラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)メチルジクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)ジメチルクロロシラン、ペルフルオロドデシル−1H,1H,2H,2H−トリエトキシシラン−ペルフルオロテトラデシル−1H,1H,2H,2H−トリエトキシシラン混合物、1,8−ビス(トリクロロシリルエチル)ヘキサデシルフルオロオクタン、n−オクタデシルジメチルクロロシラン、n−オクタデシルジメチルメトキシシラン、n−オクタデシルメトキシジクロロシラン、n−オクタデシルメチルジクロロシラン、n−オクタデシルメトキシジクロロシラン、n−オクタデシルメチルジエトキシシラン、n−オクタデシルトリクロロシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、n−トリアコンチルジメチルクロロシラン、n−トリアコンチルトリクロロシラン、n−ヘキサデシルトリクロロシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリクロロシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリエトキシシラン、n−ドデシルメチルジクロロシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルメチルジクロロシラン、およびn−オクチルジメチルクロロシランを含む。第2のシランはまた、一般式CH(CHCHRCHSiClの化合物からなってもよい。ただし、R=CH(CHであり、nおよびmは整数(n≧0およびm≧0)である。第2のシランはまた、一般式CH(CHCHRSiClの化合物からなってもよい。ただし、R=CH(CHであり、nおよびmは整数(n≧0およびm≧0)である。第2のシランはまた、一般式CH(CHCHRSi(OCHの化合物からなってもよい。ただし、R=CH(CHであり、nおよびmは整数(n≧0およびm≧0)である。
【0035】
特定の実施形態では、接着促進層28は、シラン化合物に加えてまたはその代わりに、ゲルマニウム化合物を含みうる。ゲルマニウム化合物は、類似のシリコン化合物と同様に疎水性および/または疎油性の組成物として機能しうる。したがって、第1のシランの例として先に挙げたシリコン化合物は、Si原子がGe原子で置き換えられる形で、類似のゲルマニウム化合物で置換されうる。
【0036】
少なくとも一つの実施形態では、接着促進層28は、接着促進剤として作用するゲルマニウム化合物を含んでもよい。接着促進層28のゲルマニウム化合物は、限定はしないが、イソシアネート基、塩化アシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミノ基、メチルエステル基、イソチオシアナト基、カルボキシル基、活性化カルボキシル基、塩化アルキル基、臭化アルキル基、ヨウ化アルキル基、塩化ベンジル基、臭化ベンジル基、クロロシラン基(例えば、−SiCl)、メトキシシラン基(例えば、−Si(OCH)、エトキシシラン基(例えば、−Si(OCHCH)、および/また他の好適な反応性官能基のうちの少なくとも一つを含んでもよい。接着促進層28のゲルマニウム化合物はまた、少なくとも一つのゲルマニウム基を有してもよい。例示的な実施形態では、接着促進層28のゲルマニウム化合物のゲルマニウム基は、式(V):
【0037】
【化5】

により表すことができる。R、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基であってよい。
【0038】
少なくとも一つの実施形態では、接着促進層28のゲルマニウム化合物は、式(VI):
【0039】
【化6】

により表すことができる。Xは、限定はしないが、イソシアネート基、塩化アシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミノ基、メチルエステル基、イソチオシアナト基、カルボキシル基、活性化カルボキシル基、塩化アルキル基、臭化アルキル基、ヨウ化アルキル基、塩化ベンジル基、臭化ベンジル基、クロロシラン基(例えば、−SiCl)、メトキシシラン基(例えば、−Si(OCH)、エトキシシラン基(例えば、−Si(OCHCH)、および/また他の好適な反応性官能基とすることができる。式(VI)において、nは0〜32の範囲の整数とすることができる。別の実施形態では、nは1〜18の範囲の整数とすることができる。少なくとも一つの実施形態では、nは3〜4の範囲の整数とすることができる。また、式(VI)のR、RおよびRは、式(V)について上で定義されるとおりとすることができる。
【0040】
特定の実施形態では、疎水性層30は、シラン化合物に加えてまたはその代わりに、ゲルマニウム化合物を含みうる。ゲルマニウム化合物は、類似のシリコン化合物と同様に疎水性および/または疎油性の組成物として機能しうる。したがって、第2のシランの例として先に挙げたシリコン化合物は、Si原子がGe原子で置き換えられる形で、類似のゲルマニウム化合物で置換されうる。
【0041】
疎水性層30内のゲルマニウム化合物は、例えば、シロキサン(Si−O−Si)結合、Ge−O−Si結合、および/またはGe−O−Ge結合を通じて、シラン(例えば、第1のシラン)またはゲルマニウム化合物に結合可能であってもよい。接着促進層28のゲルマニウム化合物は、例えば、シロキサン結合、Ge−O−Si結合、および/またはGe−O−Ge結合を通じて、シラン(例えば、第1のシラン)またはゲルマニウム化合物に結合可能であってもよい。また、疎水性層30のゲルマニウム化合物は、シロキサン結合、Ge−O−Si結合、および/またはGe−O−Ge結合を含むポリマーを形成可能であってもよい。例示的な実施形態では、第2のシランのシラン基は、式(VII):
【0042】
【化7】

により表すことができる。R10、R11およびR12はそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基であってよい。
【0043】
少なくとも一つの実施形態では、第2のシランは、式(VIII):
【0044】
【化8】

により表すことができる。nは0〜32の範囲の整数とすることができ、R10、R11およびR12は、式(VII)について上で定義されるとおりとすることができる。別の実施形態では、nは1〜16の範囲の整数とすることができる。少なくとも一つの実施形態では、nは5〜9の範囲の整数とすることができる。
【0045】
図2〜図9は、種々の実施形態に係るコーティングを表面上に形成する例示的な方法を示す。シラン化合物(例えば、第1のシランおよび第2のシラン)を使用する方法が図面および説明において引用されているが、限定はしないが、シラン化合物とともにまたはその代わりに、シラン化合物に類似するゲルマニウム化合物を使用してもよい。また、シラン化合物およびゲルマニウム化合物の組み合わせは、限定はしないが、以下の方法で使用されてもよい。種々の実施形態では、図2〜図9に例示されている方法は、約0℃から約350℃までの温度範囲で実行されうる。
【0046】
図2は、少なくとも一つの実施形態に係るコーティング26を形成する例示的な方法100を示す流れ図である。この図に例示されているように、106において第1のシランが表面24上に堆積されうる。接着促進層28は、第1のシランを表面24上に堆積させることで形成されうる。114において第2のシランが第1のシランおよび/または接着促進層28上に堆積されうる。第2のシランを第1のシランおよび/または接着促進層28上に堆積することで、疎水性層30は形成されうる。第1のシランが表面24上に堆積されうる106において、第1のシランは、固体、液体、または気体状態であってもよい。表面24上への第1のシランの堆積は、例えば、第1のシランを含む液体中に表面24を浸すこと、および/または第1のシランを含む蒸気に表面24を曝すこと、および/または第1のシランを含む溶液中に表面24を浸すことを含む適当な方法を使用して行われうる。第1のシランを表面24上に堆積させるとき、一以上の不活性ガスについてある程度の分圧が存在することがある。種々の実施形態において、第1のシランは、数トル(torr)から大気圧を超える大きさの圧力下で堆積されうる。
【0047】
第1のシランが表面24上に堆積されうる106において、または106の後に、第1のシランが表面24に結合されてもよい。少なくとも一つの実施形態では、第1のシランは、例えば、カルバメート(つまり、ウレタン)結合、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、および/またはC−O−Si結合を通じて、表面24に共有結合されうる。例えば、ポリマー基材の表面などの表面は、ヒドロキシル基を含んでもよい。
【0048】
少なくとも一つの例では、表面24上のヒドロキシル基と第1のシラン上のイソシアネート基との間の反応により、第1のシランと表面24の間にカルバメート結合を形成することができる。別の実施形態では、表面24上のヒドロキシル基と第1のシラン上の塩化アシル基との間の反応により、第1のシランと表面24の間にエステル結合を形成することができる。特定の実施形態では、表面24上のヒドロキシル基と第1のシラン上の塩化アルキルまたはベンジル基との間の反応により、第1のシランと表面24の間にエステル結合を形成することができる。別の実施形態では、表面24上のヒドロキシル基と第1のシラン上のエポキシまたはグリシジル基との間の反応により、第1のシランと表面24の間にエーテル結合を形成することができる。別の実施形態では、表面24上のヒドロキシル基と第1のシラン上のメチルエステル基との間の反応により、第1のシランと表面24との間にエステル結合を形成することができる。別の実施形態では、表面24上のヒドロキシル基と第1のシラン上のSi−Cl基、Si−OCH基、Si−OCHCH基、Si−N(CH基、または類似の反応基との間の反応により、第1のシランと表面24の間にSi−O−C結合を形成することができる。別の実施形態では、表面24上のカルボキシル基と第1のシラン上のアミン基との間の反応により、第1のシランと表面24の間にアミド結合を形成することができる。別の実施形態では、表面24上のカルボキシル基と第1のシラン上の第1級アミン基とを反応させて−COOおよび−NH基のイオン対を形成することにより、第1のシランと表面24の間にイオン結合を形成することができる。別の実施形態では、表面24上のカルボニル基と第1のシラン上のアミン基との間の反応により、第1のシランと表面24の間にイミン結合を形成することができる。
【0049】
あるいは、例えば、第1のシラン上のシラン基と表面24上のシラノール(Si−OH)基との間の反応により、第1のシランと酸化ケイ素系基材の表面の間にシロキサン結合および/またはSi−O−C結合を形成することができる。また、例えば、第1のシラン上のシラン基と表面24上のAlOH基との間の反応により、第1のシランと酸化アルミニウム系基材の表面の間にAl−O−Si結合を形成することもできる。
【0050】
第2のシランが第1のシラン上に堆積されうる114において、第2のシランは、固体、液体、または気体状態であってもよい。表面24上への第2のシランの堆積は、例えば、第2のシランを含む液体中に表面24を浸すこと、および/または第2のシランを含む蒸気に表面24を曝すことを含む適当な方法を使用して行われうる。特定の実施形態では、第2のシランは、溶媒を含んだ溶液中に含有させられてもよい。種々の実施形態において、第2のシラン膜は、数トルから大気圧を超える大きさの圧力下で堆積されうる。
【0051】
第2のシランが第1のシラン上に堆積されうる114において、または114の後に、第2のシランが第1のシランに結合されてもよい。少なくとも一つの実施形態では、第2のシランは、例えば、シロキサン(Si−O−Si)結合を通じて、第1のシランに結合可能であってもよい。シロキサン結合は、第2のシラン上のシラン基と第1のシラン上のシラン基との間の反応により形成されうる。114に先立って、第1のシラン上のシラン基を加水分解してシロキシル(Si−OH)基を形成してもよい。その後、第1のシラン上のシロキシル基は、第2のシラン上のシラン基と反応してシロキサン結合を形成することが可能である。
【0052】
特定の実施形態では、第1のシランを表面24上に堆積するのに先立って表面24が酸化されてもよい。例えば、図3に例示されているように、方法100はさらに、106に先立つ102を含んでもよい。102において表面24の一部が酸化されうる。表面24は、例えば、表面24をプラズマに曝すことにより酸化されてもよい。少なくとも一つの実施形態では、表面24は、空気プラズマに表面24を曝すことにより酸化されうる。表面24の酸化により、別のヒドロキシルおよび/またはシロキシル基を表面24に導入することができる。また、表面24をプラズマに曝すことで、表面24から有機物を取り除くことができる。
【0053】
少なくとも一つの実施形態では、表面24は、酸素プラズマに表面24を曝すことにより酸化されうる。表面24はまた、表面24を水プラズマに曝すことにより酸化されてもよい。別の実施形態では、表面24は、酸素および水を含むプラズマに表面24を曝すことにより酸化されてもよい。別の実施形態では、表面24は、アルゴンプラズマに表面24を曝し、その後、空気、または気体状組成物を含む酸素に表面を曝すことにより酸化されてもよい。別の実施形態では、表面24は、ヘリウムプラズマに表面24を曝し、その後、表面を空気に曝すことにより酸化されてもよい。別の実施形態では、表面24は、紫外線光(UV)に表面24を曝すことにより酸化されてもよい。別の実施形態では、表面24は、酸化剤を含む溶液に表面24を曝すことにより酸化されてもよい。
【0054】
種々の実施形態において、第1のシランは、表面24上に堆積されるのに先立って気化させられてもよい。例えば、図4に例示されるように、方法100はさらに、106に先立つ104を含んでもよい。104において、第1のシランを気化させて気化した第1のシランが形成されうる。次いで、106において、表面24上への蒸着により第1のシランが堆積させられうる。
【0055】
第1のシランは、例えば、温度を上げること、および/または第1のシランの圧力を下げることを含む適当な方法を用いて気化させることができる。特定の実施形態では、加熱した真空槽に担体溶媒を使用して第1のシランを運び、そこで第1のシランを気化させてもよい。基材22は、第1のシランを気化させうる加熱した真空槽内に存在してもよい。
【0056】
第1のシランを蒸着させることにより、表面24の所望の部分に第1のシランを運ぶのに使用される溶媒を減らすまたは省きながら、表面24への第1のシランの効果的な堆積および/または表面24との第1のシランの効果的な反応が可能になる。したがって、第1のシランの蒸着は、溶液を用いた供給系に比べて溶媒および/または他の廃棄物を効果的に最小限に抑えることができる。また、第1のシランを蒸着させることにより、第2のシランが第1のシラン上に堆積されうる114に先立って表面24および堆積した第1のシランを清浄化する必要を減らすまたは省くことができる。
【0057】
少なくとも一つの実施形態では、第1のシランは、表面24上に第1のシランを堆積させているとき、または堆積させた後に加水分解されてもよい。例えば、図5に例示されるように、方法100はさらに、106の後で114に先立つ108を含んでもよい。108において、第1のシランが加水分解されうる。第1のシランの加水分解は、例えば、表面24上に第1のシランを堆積させているとき、または堆積させた後に第1のシランを液体または水蒸気に曝すことを含んでもよい。特定の実施形態では、第1のシランの加水分解は、水温を上昇させるおよび/または水圧を減少させることで水を気化させること、および表面24に堆積した第1のシランを水蒸気に曝すことを含んでもよい。種々の実施形態において、加水分解は、数トルから大気圧を超える大きさの圧力下で行われうる。
【0058】
あるいは、加水分解は、基材材料および/または反応副産物の一部または全部に由来する水により促進されてもよい。例えば、表面24がポリマー基材の表面からなる場合、方法100においてポリマー基材の分解または反応から水蒸気が発生しうる。また、水は、基材それ自体に存在することがあり、方法100において放出されることもある。水蒸気は順次に第1のシランを加水分解しうる。
【0059】
第1のシランの加水分解の最中に、少なくとも1つのシラノール基(つまり、Si−O−H基)がシラン基の位置において第1のシラン上に形成されうる。シラノール基は、第2のシランの接着促進剤として作用し、第2のシランが第1のシランに結合しうる反応性の高い部位をもたらすことができる。
【0060】
第1のシランの加水分解により、第1のシランの分子成分(molecular component)の間に縮合が生じ、隣接する分子成分同士の間にシロキサン結合が形成されうる。隣接する分子成分同士の間にシロキサン結合が形成される結果、表面24上に堆積した第1のシランの架橋結合が生じうる。第1のシランの隣接する分子成分同士の間のシロキサン結合は、表面上に堆積した第1のシランに構造的な頑強性を付加することが可能であり、これにより比較的安定で耐摩耗性のある極薄の接着促進層28を表面24上に形成することができる。
【0061】
種々の実施形態において、第1のシランが水蒸気に曝されることにより、第1のシランの少なくとも1つの未反応イソシアネート基が加水分解し、アミン基(つまり、−NH)を生成しうる。第1のシランのアミン基は、ブレンステッド・ロウリー(Bronsted-Lowry)塩基として作用し、プロトンを受容して表面24上に存在しうるカルボキシル基とイオン結合を形成することができる。高温では、表面のカルボキシル基からプロトンを受容したアミン基は、アミド結合を形成し、それに伴い水を失う。アミン基はまた、第1のシラン上に堆積している第2のシラン上のシラノール基とのイオン結合を形成しうる。アミン基はまた、接着促進層28のシラノール基とのイオン結合も形成しうる。
【0062】
別の実施形態では、第2のシランは、第1のシランおよび/または接着促進層28上に堆積されるのに先立って気化させられてもよい。例えば、図6に例示されるように、方法100はさらに、106に引き続きかつ114に先立つ110を含んでもよい。110において、第2のシランを気化させて気化した第2のシランが形成されうる。次いで、114において、第1のシランおよび/または接着促進層28上への蒸着により第2のシランが堆積させられうる。
【0063】
第2のシランは、例えば、温度を上昇させること、および/または第2のシランの圧力を低下させることを含む適当な方法を用いて気化させることができる。特定の実施形態では、加熱した真空槽に担体溶媒を使用して第2のシランを運び、そこで第2のシランを気化させてもよい。基材22は、第2のシランを気化させうる加熱した真空槽内に存在してもよい。
【0064】
第2のシランを蒸着させることにより、接着促進層28の所望の部分に第2のシランを運ぶのに使用される溶媒を減らすまたは省きながら、第1のシランへの第2のシランの効果的な堆積および/または第1のシランとの第2のシランの効果的な反応が可能になる。したがって、第2のシランの蒸着は、溶液を用いた供給系に比べて溶媒および/または他の廃棄物を効果的に最小限に抑えることができる。また、第2のシランを蒸着させることにより、第2のシランの堆積の後、表面24および堆積した第2のシランを清浄化する必要を減らすまたは省くことができる。
【0065】
種々の実施形態では、第1のシランを表面24上に堆積した後、第1のシランを架橋結合してもよい。例えば、図7に例示されるように、方法100はさらに、106の後に112を含んでもよい。112において、第1のシランは架橋結合されうる。
【0066】
第1のシランの架橋結合は、例えば、第1のシラン上への第2のシランの堆積の前または後を含む基材上に第1のシランを堆積した後の適当な時期に行われうる。第1のシランの架橋結合は、例えば、第1のシランの加水分解を含む適当な方法を用いて行われうる。上述したように、108において第1のシランが加水分解されうる。第1のシランの加水分解により、第1のシランの分子成分の間に縮合が生じ、隣接する分子成分同士の間にシロキサン結合が形成されうる。隣接する分子成分同士の間にシロキサン結合が形成される結果、表面24上に堆積した第1のシランの架橋結合が生じうる。第1のシランの隣接する分子成分同士の間のシロキサン結合は、表面上に堆積した第1のシランに構造的な頑強性を付加することが可能であり、これにより比較的安定で耐摩耗性のある極薄の接着促進層28を表面24上形成することができる。
【0067】
別の実施形態では、架橋化合物を使用して第1のシランの分子成分同士の間の架橋結合を促進および/または向上することができる。第1のシランの架橋結合に使用するのに好適な架橋化合物の例としては、限定はしないが、ビス(トリクロロシリル)ヘキサンおよびテトラキス(トリクロロシリルエチル)シランがある。架橋化合物は、例えば加水分解を含む適当な手段により第1のシランの分子成分に結合されうる。架橋化合物は、第1のシランの分子成分同士の間の分岐の増大を促進し、接着促進層28の安定性および耐摩耗性を向上しうる。特定の実施形態では、例えばビニル基などの重合可能な基が第1のシラン上に導入され、その重合可能な基の重合がその後に引き起こされうる。
【0068】
種々の実施形態において、第2のシランを表面24上に堆積した後、第2のシランを架橋結合してもよい。例えば、図8に例示されるように、方法100はさらに、114の後に116を含んでもよい。116において、第2のシランは架橋結合されうる。
【0069】
第2のシランの架橋結合は、例えば、第2のシランの加水分解を含む適当な方法を用いて行われうる。特定の実施形態では、第2のシランは、第1のシラン上に第2のシランを堆積させているとき、または第1のシラン上に第2のシランを堆積させた後に、第2のシランを水蒸気に曝すことにより加水分解されうる。あるいは、加水分解は、基材材料および/または反応副産物の一部または全部に由来する水により促進されてもよい。例えば、表面24がポリマー基材の表面からなる場合、方法100においてポリマー基材の分解または反応から水蒸気が発生しうる。また、水は、基材それ自体に存在することがあり、方法100において放出されることもある。
【0070】
第2のシランの加水分解により、第2のシランと第1のシランの分子成分同士の間だけでなく、第2のシランの分子成分同士の間でも縮合が生じうる。この縮合により、隣接する分子成分同士の間にシロキサン結合が形成されうる。隣接する分子成分同士の間にシロキサン結合が形成される結果、表面24上に堆積した第2のシランの架橋結合が生じうる。また、隣接する分子成分同士の間のシロキサン結合の結果、第2のシランと第1のシランの間に架橋結合が生じうる。第2のシランおよび/または第1のシランの隣接する分子成分同士の間のシロキサン結合は、コーティング組成物に構造的な頑強性を付加することが可能であり、これにより比較的安定で耐摩耗性のある極薄のコーティングを表面24上堆積することができる。
【0071】
別の実施形態では、架橋化合物を使用して第2のシランの分子成分同士の間の架橋結合を促進および/または向上することができる。第2のシランの架橋結合に使用するのに好適な架橋化合物の例としては、限定はしないが、ビス(トリクロロシリル)ヘキサンおよびテトラキス(トリクロロシリルエチル)シランがある。架橋化合物は、例えば加水分解を含む適当な手段により第2のシランの分子成分に結合されうる。架橋化合物は、第2のシランの分子成分同士の間の分岐の増大を促進し、第2のシランのコーティングの安定性および耐摩耗性を向上しうる。特定の実施形態では、例えばビニル基などの重合可能な基が第2のシラン上に導入され、その重合可能な基の重合がその後に引き起こされうる。
【0072】
特定の実施形態では、第1のシランを表面24上に堆積した後および/または第2のシランを第1のシラン上に堆積した後に、第1のシランおよび/または第2のシランを硬化させてもよい。例えば、図9に例示されるように、方法100はさらに、114の後に118を含んでもよい。118は、第2のシランおよび/または第1のシランを硬化させて、表面24上に硬化コーティング26を形成することを含んでもよい。ここで使用される「硬化する」、「硬化される」または「硬化」という用語は、材料の状態、条件および/または構造の変化をいい、完全な硬化だけでなく部分的な硬化も含みうる。
【0073】
第1のシランおよび/または第2のシランの硬化は、例えば、第1のシランおよび/または第2のシランを熱または放射線に曝すことを含む適当な方法を使用して行われうる。例示的な実施形態では、第1のシランおよび第2のシランを含むコーティングは、適当な期間にわたってコーティングを降温に曝すことにより硬化されうる。
【0074】
図10A〜図10Dは、種々の実施形態に係る例示的な補聴器デバイスを示す。これらの図に例示されているように、補聴器デバイス200は、デバイスカバー202、マイクカバー204、および電池扉208を備えうる。少なくとも一つの実施形態では、図10Aに例示されているように、補聴器デバイス200は、開放型の補聴器であってもよい。図10Aに示されているように、補聴器デバイス200は、デバイスカバー202、少なくとも2つのマイクカバー204(例えば、前マイクおよび後マイクを覆う)、プログラムボタン214、管類210、挿耳ドーム216、およびサウンドポート220を備えうる。マイクカバー204は、メッシュ材料からなってもよい。図10Dは、開放型の補聴器などの補聴器デバイス200の一部に設けられる例示的な電池室222を示す。電池室222は、電池扉208および電池224を備えてもよい。図10Dの電池室222は、開放された形態で示されている。
【0075】
別の実施形態では、図10Bに例示されているように、補聴器デバイス200は、耳掛け型(BTE)補聴器であってもよい。図10Bに示されるように、補聴器デバイス200は、デバイスカバー202、電池扉208、プログラムボタン214、ボリューム制御部206、管類210、耳掛け212、および耳型218を備えうる。
【0076】
別の実施形態では、図10Cに例示されているように、補聴器デバイス200は、カスタム補聴器であってもよい。図10Bに示されるように、補聴器デバイス200は、デバイスカバー202、マイクカバー204、電池扉208、およびサウンドポート220を備えうる。カスタム補聴器は、耳または外耳道の一部に嵌まるように設計されてもよい。カスタム補聴器の例としては、限定はしないが、CIC(完全外耳道挿入型)補聴器、MC(ミニカナル)補聴器、ITC(外耳道挿入型)補聴器、ITE(挿耳型)補聴器、およびHS(ハーフシェル型)補聴器がある。マイクカバー204はメッシュ材料からなってもよい。
【0077】
補聴器デバイス200は、補聴器デバイス200の外側部分および内側部分を含んだ適当な部分に、あるいは同部分の近くに位置する、あるいは同部分に隣接するコーティング26を備えてもよい。また、適当な構成要素またはその一部がコーティング26を含んでもよい。コーティング26は、補聴器デバイス200の外側部分と内側部分の間に開口を有しうる補聴器デバイス200の任意の部分に、あるいは同部分の近くに、あるい同部分に隣接して形成されうる。コーティング26が接する、あるいは近接する、あるいは隣接して形成されうる補聴器デバイス200の部分の例は、限定はしないが、デバイスカバー202、マイクカバー204、ボリューム制御部206、電池扉208、管類210、耳掛け212、プログラムボタン214、挿耳ドーム216、耳型218、サウンドポート220、電池室222、および/または電池224を含む。
【0078】
図11は、別の実施形態に係るコーティングが一部に形成された例示的なシリコン系物品である。この図に例示されているように、シリコン系物品300は、基材322および基材表面324を備えうる。コーティング26は、例えば基材表面324を含む基材322の表面部分に形成されうる。シリコン系物品300の例としては、限定はしないが、シリコンウェハ、半導体デバイス、および集積回路がある。シリコン系物品300は、例えば、シリコンおよび/または酸化ケイ素を含む適当な材料からなりうる。
実施例
以下の実施例は、例示することのみを目的としており、添付の請求項の範囲を制限することを意図しない。
(試薬)
以下の実施例で使用される試薬としては、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン(≧97%、アルドリッチ社(Aldrich))、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン(95%、ゲレスト社(Gelest)、米国ペンシルバニア州モリスビル)、トリエトキシ(1H,1H,2H,2H−ペルフルオロオクチル)シラン(98%、アルドリッチ社)、m−クレゾール(97%、アルドリッチ社)、およびナイロン6/6ペレット(アルドリッチ社、カタログ番号181129)がある。ここで使用される“含水塩/酸”溶液は、人工汗のための調合物であり、その成分は、0.34MのNaCl、0.08Mの尿素、0.33MのNHCl、0.04MのCHCOOH、および0.12Mの乳酸である。この溶液を2MのNaOHでpH4.7に調整した。
(基材)
以下の実施例で使用される基材は、シリコン基材、強化ナイロン基材、およびスピンコーティングしたナイロン基材を含む。実施例で使用されるシリコン基材は、米国カリフォルニア州のユニシル(UniSil)コーポレーション社のシリコンウェハ(テストグレード、n型、面方位<1−0−0>、2〜6Ωcm)を含む。シリコンウェハは切断して約1.5×1.5cmの小片に分けた。シリコン基材上に界面化学作用を施すのに先立ち、超音波処理なしで2%ドデシル硫酸ナトリウム(“SDS”)水溶液および水でシリコン基材を洗浄した。
【0079】
以下の実施例で使用される強化ナイロン基材は、35重量パーセントの微細ガラス繊維を含有したFDAグレード強化ナイロン6/6面(長さ1/8〜3/16インチ(4.92〜7.38m))を含む。FDAグレード強化ナイロン面は、FDAに準拠した添加剤(例えば、着色剤)を含有し、UVまたは高流動添加剤を含有しない。アルドリッチ社は、販売しているナイロン6/6の融点が263℃であり、ガラス転移温度が45℃であることを示している。強化ナイロン基材に界面化学作用を施すのに先立ち、SDS溶液中で強化ナイロン基材に5分間の超音波処理を行った。その後、脱イオン水中で10分間の超音波処理を行った。超音波処理中に水を3回交換した。
【0080】
以下の実施例で使用されるスピンコーティングしたナイロン基材は、1000rpm(10秒)の後に5000rpm(90秒)というプログラム条件(ローレルテクノロジーズ(Laurell Technologies)コーポレーション社の計測器であるモデルWS−400B−6NPP/LITEによる)を使用して、自然酸化物コーティングしたシリコンウェハの表面上にナイロン6/6ペレットとm−クレゾールとからなる溶液をスピンコーティングすることにより調製した基材を含む。ナイロン6/6溶液の初期濃度は3%(w/w)未満であったが、スピンコーティング処理により約170Åの膜厚が得られるまで、ナイロン6/6溶液をm−クレゾールで希釈した。スピンコーティングしたナイロン基材はその後、m−クレゾールを除去するために、100℃の真空オーブン内で減圧下、2時間かけて焼成した。
(表面分析計測)
2レンズモノアイソトピック69Gaガンを一次イオン源として備えるION−TOF(TOF−SIMS IV)計測器を使って飛行時間型二次イオン質量分析法(“TOF−SIMS”)を行った。Al Kα源および半球型分析器を使用するサーフェスサイエンス社のSSX−100計測器により、X線光電子分光法(“XPS”)を行った。強化ナイロン試料の電荷補償のために電子フラッド(flood)ガンを使用し、さらにガラス強化ポリマーの表面より約0.5〜1.0mm上に微細Niメッシュを配置することにより、この電荷補償をさらに向上させた。シリコン試料上のシリコンまたはスピンコーティングナイロンには電荷補償は不要であった。ラーメ−ハート(Rame−Hart)(モデル100−00)接触角ゴニオメーターを使用して、水接触角を測定した。ジェイエイウォーラム(J.A.Woollam)コーポレイティッド社のM−2000計測器を使用して、分光偏光解析法を行った。波長範囲は190.5〜989.4nmであり、入射角は75度で固定であった。計測ソフトウェアにより求められた酸化ケイ素の同じ光学定数を使用して、酸化ケイ素、炭化水素、堆積したシラン膜、およびスピンコーティングしたナイロンをモデル化した。
(実施例1: シリコン基材のプラズマ洗浄/処理)
シリコン基材のプラズマ洗浄/処理は、中程度のパワー(RFコイルに10.5Wを印加)で30秒間、プラズマクリーナー(米国ニューヨーク州イサカのハリック(Harrick)プラズマ社のモデルPDC−32G)でシリコン基材を空気プラズマに曝すことにより行った。プラズマ洗浄/処理を行う前にシリコン基材面について前進水接触角(θ(HO))を測定したところ40°であった。プラズマ洗浄/処理の後、この実施例により調製されたシリコン基材の表面について平均前進水接触角を測定したところ15°未満であった。
【0081】
前進水接触角は、表面疎水性の尺度として使用することができる。表面の前進水接触角が高くなるほど、その表面がより高い疎水度を持つことを示しうる。プラズマ洗浄/処理後の表面の水接触角の減少は、表面の酸素含有量(例えば、−OH含有量)が増大していることを示しうる。プラズマ洗浄/処理後の表面の水接触角の減少はまた、プラズマ洗浄/処理の結果として表面から炭化水素汚染物質が除去されたことを示しうる。
(実施例2: 強化ナイロン基材のプラズマ洗浄/処理)
強化ナイロン基材のプラズマ洗浄/処理は、中程度のパワー(RFコイルに10.5Wを印加)で30秒間、プラズマクリーナー(米国ニューヨーク州イサカのハリックプラズマ社のモデルPDC−32G)で強化ナイロン基材を空気プラズマに曝すことにより行った。
【0082】
プラズマ洗浄/処理を行う前に3つの強化ナイロン基材の表面について平均前進水接触角を測定したところ69°であった。プラズマ洗浄/処理の後、この実施例により調製された5つの強化ナイロン基材の表面について平均前進水接触角を測定したところ32°であった。
【0083】
この実施例により調製された強化ナイロン基材のプラズマ洗浄/処理の前に、XPSを使用して得られた強化ナイロン基材面についてのX線光電子スペクトル(“XPスペクトル”)は、酸素(O1s)、窒素(N1s)、および炭素(C1s)からのシグナルにより支配された。強化ナイロン基材のプラズマ洗浄/処理の後、O1s、N1s、およびC1sシグナルは、依然として強化ナイロン基材面についてのXPスペクトルを支配していた。しかし、強化ナイロン基材面に対するO1s対C1sのピーク比は、プラズマ洗浄/処理前の0.14の比からプラズマ洗浄/処理後に0.28の比まで著しく増大した。これは、プラズマ洗浄/処理の後の強化ナイロン基材面の酸素(例えば、−OH)含有量の増大を示している。また、強化ナイロン基材面に対するXPスペクトルのC1sの狭いスキャンは、酸化された(つまり化学シフトされた)炭素を表すピークの顕著な増大を示し、さらにプラズマ洗浄/処理の後の強化ナイロン基材の酸素含有量の増大を示した。
【0084】
この実施例により調製された強化ナイロン基材面の陰イオンTOF−SIMSスペクトルのO/C比は、プラズマ洗浄/処理前には0.09であり、プラズマ洗浄/処理後には0.21であり、これは、プラズマ洗浄/処理の結果として強化ナイロン基材面の酸素含有量が増大していることを示す。
(実施例3: スピンコーティングしたナイロン基材のプラズマ洗浄/処理)
スピンコーティングしたナイロン基材のプラズマ洗浄/処理は、中程度のパワー(RFコイルに10.5Wを印加)で30秒間、プラズマクリーナー(米国ニューヨーク州イサカのハリックプラズマ社のモデルPDC−32G)でスピンコーティングしたナイロン基材を空気プラズマに曝すことにより行った。
【0085】
プラズマ洗浄/処理を行う前に5つのスピンコーティングしたナイロン基材の表面について平均前進水接触角を測定したところ60°であった。プラズマ洗浄/処理の後、この実施例により調製された6つのスピンコーティングしたナイロン基材の表面について平均前進水接触角を測定したところ34°であった。
(実施例4: NCO−シラン/シリコン基材の調製)
実施例1によるプラズマ洗浄/処理の後、100℃の真空オーブン内で減圧下、シリコン基材を脱水した。真空オーブンの真空状態は、ロータリーベーンポンプにより作り出した。真空オーブンは、ロータリーベーンポンプからのオイルの逆流を防止し、また溶媒と試薬の両方がロータリーベーンポンプ内に入り込むのを阻止すために、ドライアイス/アセトン冷却ガラストラップに収納した。シリコン基材をオーブン内に導入した後、3分間ロータリーベーンポンプを回転させて圧力を15トルにし、その後にロータリーベーンポンプの弁を閉じた。これらの条件の下で30分間、表面の脱水を行った。次いで、再びロータリーベーンポンプを3分間回転させて水蒸気を汲み出し、その後にロータリーベーンポンプの弁を再び閉じた。
【0086】
次いで、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン(“NCO−シラン”)の250μLのアリコート(aliquot)を隔壁を通して真空オーブン内に注入した。NCO−シランは、真空オーブン内に注入された後、すぐに気化した。30分間ほぼ静止状態においてこれらの表面をNCO−シランの蒸気と反応させ、堆積したNCO−シランを有するシリコン基材を形成した(“NCO−シラン/シリコン基材”)。次いで、ロータリーベーンポンプの弁を開いて未反応NCO−シランを汲み出した。プラズマ洗浄/処理の後、この実施例により調製された3つのNCO−シラン/シリコン基材について平均前進水接触角を測定したところ82°であった。
【0087】
NCO−シランをシリコン基材上に堆積する前に、シリコン基材表面のXPスペクトル中に、N1sシグナルは観察できなかった。この実施例に従って、NCO−シランをシリコン基材上に堆積してNCO−シラン/シリコン基材面を形成した後、NCO−シラン/シリコン基材面のXPスペクトル中に小さなN1sシグナルが観察できた。NCO−シラン/シリコン基材面の分光偏光解析法から、シリコン基材面上に厚さ9.5Åの層が存在することがわかった。
(実施例5: NCO−シラン/強化ナイロン基材の調製)
堆積したNCO−シランを有する強化ナイロン基材(“NCO−シラン/強化ナイロン基材”)を形成するために、実施例2により調製された強化ナイロン基材がシリコン基材の代わりに使用されることを除き、基本的に実施例4について説明されている手順に従った。NCO−シランの堆積の後、この実施例により調製された5つのNCO−シラン/強化ナイロン基材について平均前進水接触角を測定したところ87°であった。
(実施例6: NCO−シラン/スピン・コーティングされたナイロン基材の調製)
堆積したNCO−シランを有するスピンコーティングしたナイロン基材(“NCO−シラン/スピンコーティングしたナイロン基材”)を形成するために、実施例3により調製されたスピン・コーティングしたナイロン基材がシリコン基材の代わりに使用されることを除き、基本的に実施例4について説明されている手順に従った。NCO−シランの堆積およびプラズマ洗浄/処理の後、この実施例により調製された6つのNCO−シラン/スピン・コーティングされたナイロン基材について平均前進水接触角を測定したところ82°であった。
(実施例7: NCO−シラン/シリコン基材の加水分解)
実施例4により調製されたNCO−シラン/シリコン基材を真空オーブン内に残し、5mlの水を入れたペトリ皿を真空オーブン内に導入した。オーブンのドアを閉じ、NCO−シラン/シリコン基材を大気圧下で30分間、100℃の温度で加水分解し、加水分解した表面を有するNCO−シラン/シリコン基材(“加水分解したNCO−シラン/シリコン基材”)を形成した。
(実施例8: NCO−シラン/強化ナイロン基材の加水分解)
実施例5により調製されたNCO−シラン/強化ナイロン基材を真空オーブン内に残し、5mlの水を入れたペトリ皿を真空オーブン内に導入した。オーブンのドアを閉じ、NCO−シラン/強化ナイロン基材を大気圧下で30分間、100℃の温度で加水分解し、加水分解した表面を有するNCO−シラン/強化ナイロン基材(“加水分解したNCO−シラン/強化ナイロン基材”)を形成した。
(実施例9: NCO−シラン/スピン・コーティングされたナイロン基材の加水分解)
実施例6により調製されたNCO−シラン/スピンコーティングしたナイロン基材を真空オーブン内に残し、5mlの水を入れたペトリ皿を真空オーブン内に導入した。オーブンのドアを閉じ、NCO−シラン/スピンコーティングしたナイロン基材を大気圧下で30分間、100℃の温度で加水分解し、加水分解した表面を有するNCO−シラン/スピンコーティングしたナイロン基材(“加水分解したNCO−シラン/スピン・コーティングされたナイロン基材”)を形成した。
(実施例10: R−NCO−シラン/シリコン基材の調製)
実施例7により調製された加水分解したNCO−シラン/シリコン基材を、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン(「R−シラン」)の開封したバイアルとともにデシケーター内に16時間置いた。その後、加水分解したNCO−シラン/シリコン基材をデシケーターから取り出し、80℃の温度で1時間かけてオーブン内で硬化させ、R−シランが表面上に堆積したNCO−シラン/シリコン基材(“R−NCO−シラン/シリコン基材”)を形成した。この実施例によりR−NCO−シラン/シリコン基材が形成されるために、加水分解したNCO−シラン/シリコン基材の平均表面厚さは、分光偏光解析法を行ったところ、R−シランに曝される前には29.1Åであり、R−シランに曝された後では78.2Åであることがわかった。R−シランに曝された後の表面の厚さの顕著な増大は、基材表面のポリマー薄膜内にR−シラン分子が架橋されたことを示しうる。
(実施例11: R−NCO−シラン/強化ナイロン基材の調製)
実施例8により調製された加水分解したNCO−シラン/強化ナイロン基材を、R−シランの開封したバイアルとともにデシケーター内に16時間置いた。その後、加水分解したNCO−シラン/強化ナイロン基材をデシケーターから取り出し、80℃の温度で1時間かけてオーブン内で硬化させ、R−シランが表面上に堆積したNCO−シラン/強化ナイロン基材(“R−NCO−シラン/強化ナイロン基材”)を形成した。
【0088】
この実施例により調製されたR−NCO−シラン/強化ナイロン基材のXPS分析から、Fオージェピークが伴うF1sシグナルは、XPスペクトル中で支配的シグナルであることが示された。分割された炭素シグナルが観察され、i)低い結合エネルギーで炭素および/または水素および/または弱い酸化を受けた炭素に結合した炭素の存在、およびii)C原子に結合しているそれぞれのF原子が約2.9eVだけC1sシグナルをシフトし、かつ約0.7eVだけ炭素原子を二次的にシフトすることが知られているより高い結合エネルギーのCF基中の炭素の存在を示した。XPスペクトル中にはN1sシグナルは観察できなかったが、これはR−シランにピンホール欠陥がないことおよび/またはR−シランがすべての場所で比較的厚い膜を形成している可能性のあることを示している。小さな酸素シグナルもXPスペクトル中には存在したが、これはSi−O結合から予測されるものである。
(実施例12: R−NCO−シラン/スピン・コーティングされたナイロン基材の調製)
実施例9により調製された加水分解したNCO−シラン/スピンコーティングしたナイロン基材を、R−シランの開封したバイアルとともにデシケーター内に16時間置いた。その後、加水分解したNCO−シラン/スピンコーティングしたナイロン基材をデシケーターから取り出し、80℃の温度で1時間かけてオーブン内で硬化させ、R−シランが表面上に堆積したNCO−シラン/スピンコーティングしたナイロン基材(“R−NCO−シラン/スピンコーティングしたナイロン基材”)を形成した。この実施例によりR−NCO−シラン/スピンコーティングしたナイロン基材が形成されるために、加水分解したNCO−シラン/スピンコーティングしたナイロン基材の表面厚さは、分光偏光解析法を行ったところ、R−シランに曝される前には125.9Åであり、R−シランに曝された後では272.3Åであることがわかった。R−シランに曝された後の表面の厚さの顕著な増大は、基材表面のポリマー薄膜内にR−シラン分子が架橋されたことを示しうる。
(実施例13: R−NCO−シラン/強化ナイロン基材の磨耗試験)
耐摩耗性を試験するための磨耗装置は、卓上に垂直に締め付けられた電気ドリル(クラフツマン社(Craftsman)、モデル番号315.101160)を備える。電気ドリルとともに使用するように設計されている市販の研磨ディスク(クラフツマン社)をドリルのチャックに装着し、研磨フェルト片(15cm×14.7cm)を研磨ディスク上に貼り付けた。ドリルが回転すると、フェルトディスクは卓上に平行に回転した。鋼鉄製のヒンジで2つの長方形の細長いベニヤ板片の端部同士をつなぐことにより、試料ホルダーを製作した。一方の長方形のベニヤ板片の端をスタンドに固定し、試料を両面テープで他方の長方形のベニヤ板片の端に取り付けた。次いで、試料をフェルトホイール上で中心から4.5cmのところに配置し、フェルトホイールが回転したときもフェルトホイールと接触したままになるようにした。重さ164gの真鍮製シリンダーをその木片上の試料の真上に置いた。ドリルの回転速度はパワースタットで制御され、またフェルトについては磨耗試験中にサイクル数をカウントするためエッジにマークを付けた。
【0089】
また、実施例2に従って強化ナイロン基材をプラズマ洗浄/処理した。プラズマ洗浄/処理の後、強化ナイロン基材を、NCOシランで処理されている類似の表面で加水分解し、次いで、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシランの開封したバイアルとともにデシケーター内に16時間配置した。その後、強化ナイロン基材をデシケーターから取り出し、80℃の温度で1時間かけてオーブン内で硬化させ、R−シランが表面上に堆積した強化ナイロン基材を形成した。ただし、R−シランと強化ナイロン基材の表面の間にはNCO−シランはなかった。
【0090】
実施例11により調製されたR−NCO−シラン/強化ナイロン基材、およびR−シランを含んでNCO−シランを含まない強化ナイロン基材をそれぞれ、磨耗装置を使って試験した。磨耗試験装置で430回を超える試験を行った後、実施例11により調製されたR−NCO−シラン/強化ナイロン基材の表面の前進水接触角は、R−シランを含んでNCO−シランを含まない強化ナイロン基材の表面の前進水接触角よりも10°だけ大きかった。
【0091】
磨耗試験の後の基材表面のXPスペクトルから、実施例11により調製されたR−NCO−シラン/強化ナイロン基材のC:Fの比は43:57であり、R−シランを含んでNCO−シランを含まない強化ナイロン基材のC:Fの比は49:51であることがわかった。これは、実施例11により調製されたR−NCOシラン/強化ナイロン基材の表面のR−シランの濃度が高いことを示している。XPスペクトルの狭いスキャンは、F原子に結合したCに対するピークが、実施例11により調製されたR−NCO−シラン/強化ナイロン基材の強度については比較的大きいことを示しており、表面上のR−シランの濃度が高いこともまた示している。
(実施例14: 基材表面のTOF−SIMS分析)
NCO−シランで処理した後、またR−シランで再び処理した後に、陰イオンモードと陽イオンモードの両方のTOF−SIMS分析を、酸化ケイ素、強化ナイロン、およびスピンコーティングしたナイロン基材に対し行った。約2nmの情報深さ(Information depth)しか有さないTOF−SIM分析は、典型的には、材料内を少なくとも10nmまで探るXPS分析よりも高い表面感度を有する。実施例10により調製されたR−NCO−シラン/シリコン基材の陽イオンTOF−SIMSスペクトル、実施例11により調製されたR−NCO−シラン/強化ナイロン基材、および実施例10により調製されたR−NCO−シラン/スピンコーティングしたナイロン基材はそれぞれ、過フッ素化炭化水素の特性である一連のピークを示した。TOF−SIMSスペクトル中の2つの最大のピークがCFおよびCFピークとして識別された。R−NCO−シラン/シリコン基材、R−NCO−シラン/強化ナイロン基材、およびR−NCO−シラン/スピンコーティングしたナイロン基材からの陰イオンスペクトルは、単一のFピークが支配的であり、また典型的には、Fシグナルとして5%強度が低いFピークを示した。
(実施例15: 表面層厚さの分析)
それぞれ表面にNCO−シランが堆積していないプラズマ処理したシリコン基材およびスピンコーティングしたナイロン基材を加水分解した。表面にNCO−シランが堆積しているシリコン基材およびスピンコーティングしたナイロン基材も加水分解した。次いで、この実施例の基材をそれぞれ、R−シランの開封したバイアルとともにデシケーター内に16時間置き、その後、80℃のオーブン内で1時間かけて硬化させた。
【0092】
分光偏光解析法により、NCO−シランが堆積していないシリコン基材の表面の平均コーティング厚さは116.7Åであり、NCO−シランが堆積していないスピンコーティングした基材表面の平均コーティング厚さは232.7Åであることがわかった。分光偏光解析法により、NCO−シランが堆積しているシリコン基材の表面の平均コーティング厚さは48.0Åであり、NCO−シランが堆積しているスピンコーティングされている基材の平均コーティング厚さは67.0Åであることがわかった。したがって、分光偏光解析法により、NCO−シランでコーティングした表面は、NCOで処理していない表面に比べてかなり薄いことがわかった。
(実施例16: YESシステムを使用した強化ナイロン基材のプラズマ洗浄/処理)
米国カリフォルニア州のイールドエンジニアリングシステムズインコーポレイティッド社によって製造されているYES 1224 P Chemical Vapor Deposition System(“YESシステム”)を使用して、強化ナイロン基材をOプラズマ中で洗浄/処理した。種々の時間を使用した。表1は、この実施例により種々の時間の間、Oプラズマに曝した強化ナイロン基材の前進水接触角を示している。
【0093】
【表1】

(実施例17: YESシステムを使用したNCO−シラン/シリコン基材の調製)
YESシステムを使用して、Oプラズマ中でシリコン基材を6分間、洗浄/処理した。その後、100℃の温度で10分間、シリコン基材をNCO−シラン蒸気に曝し、NCO−シラン/シリコン基材を形成した。この実施例により調製されたNCO−シラン/シリコン基材の前進水接触角を測定したところ55°であった。この実施例により調製されたシリコン基材表面およびNCO−シラン/シリコン基材表面の分光偏光解析から、NCO−シラン堆積の結果、シリコン基材表面の厚さが11.8Åだけ増大したことがわかった。
(実施例18: YESシステムを使用したNCO−シラン/強化ナイロン基材の調製)
YESシステムを使用して、Oプラズマ中で強化ナイロン基材を6分間、洗浄/処理した。その後、100℃の温度で10分間、強化ナイロン基材をNCO−シラン蒸気に曝し、NCO−シラン/強化ナイロン基材を形成した。この実施例により調製されたNCO−シラン/強化ナイロン基材の前進水接触角を測定したところ76°であった。
(実施例19: YESシステムを使用したR−NCO−シラン/シリコン基材の調製)
実施例17によりNCO−シラン/シリコン基材を調製した後、水3mLをYESシステム内の槽に導入し、槽内に水蒸気を発生させた。NCO−シラン/シリコン基材を100℃の温度で30分間、槽内の水蒸気に曝し、加水分解を行った。その後、100℃の温度で15分間、NCO−シラン/シリコン基材をR−NCO−シラン蒸気に曝し、R−NCO−シラン/シリコン基材を形成した。この実施例により調製されたR−NCO−シラン/シリコン基材の前進水接触角を測定したところ125°であった。
実施例20: YESシステムを使用したR−NCO−シラン/強化ナイロン基材の調製)
実施例18によりNCO−シラン/強化ナイロン基材を調製した後、NCO−シラン/強化ナイロン基材を入れたYESシステム内の槽に水3mLを導入し、槽内に水蒸気を発生させた。NCO−シラン/強化ナイロン基材を100℃の温度で30分間、槽内の水蒸気に曝し、加水分解を行った。その後、100℃の温度で15分間、NCO−シラン/強化ナイロン基材をR−シラン蒸気に曝し、R−NCO−シラン/強化ナイロン基材を形成した。この実施例により調製されたR−NCO−シラン/強化ナイロン基材の平均前進水接触角を測定したところ155°であった。
【0094】
これまでの説明は、当業者が本明細書で説明されている例示的な実施形態のさまざまな態様を最大限活用できるようになされている。この例示的な説明は、網羅的であることも、開示されている正確な形態に制限されることも意図していない。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、多くの修正形態および変更形態が可能である。本明細書で説明されている実施形態は、すべての点で例示的であり、限定的ではない。
【0095】
特に断りのない限り、本明細書および請求項で使用される「一つ」は、「少なくとも一つ」を意味するものと解釈すべきである。それに加えて、便宜上、本明細書および請求項で使用されている「含む」および「有する」との語は、「からなる」との語と互換的に使用することができ、また同じ意味を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)官能性結合基およびシラン基を有する第1のシランを表面上に堆積する工程と、
(b)疎水性脂肪族基およびシラン基を有する第2のシランを前記第1のシラン上に堆積する工程と
を備える方法。
【請求項2】
前記第1のシランの官能性結合基は、
イソシアネート基、
ハロゲン化アシル基、
エポキシ基、
グリシジル基、
アミノ基、
メチルエステル基、
イソチオシアナト基、
カルボキシル基、
活性化カルボキシル基、
ハロゲン化アルキル基、
ハロゲン化ベンジル基、
クロロシラン基、
メトキシシラン基、
エトキシシラン基のうちの少なくとも一つからなる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のシランのシラン基は、
【化1】

により表される基を有し、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のシランは、
【化2】

により表される構造を有し、
n=0〜32であり、
Xは、イソシアネート基、塩化アシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミノ基、メチルエステル基、イソチオシアナト基、カルボキシル基、活性化カルボキシル基、塩化アルキル基、臭化アルキル基、ヨウ化アルキル基、塩化ベンジル基、臭化ベンジル基、クロロシラン基、メトキシシラン基、エトキシシラン基であり、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のシランの疎水性脂肪族基は、
アルキル鎖、
部分フッ素化アルキル鎖、
過フッ素化アルキル鎖のうちの少なくとも一つからなる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のシランのシラン基は、
【化3】

により表される基を有し、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のシランは、
【化4】

により表される構造を有し、
n=0〜32であり、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記表面はポリマー基材の表面からなる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記表面はシリコン系基材の表面からなる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記表面はヒドロキシル基を有する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
(a)は、前記第1のシランを前記表面のヒドロキシル基と反応させることにより前記第1のシランを前記表面に結合することを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記表面は、シラノール基を有するシリコン系基材の表面からなる請求項1に記載の方法。
【請求項13】
(a)は、前記第1のシランのシラン基を前記シリコン系基材のシラノール基と反応させてシロキサン結合を形成することにより前記第1のシランを前記表面に結合することを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(a)に先立って、(c)前記表面の一部を酸化する工程をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項15】
(c)は、
プラズマ、
酸化剤、
紫外線光のうちの少なくとも一つに前記表面を曝すことを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(b)に先立って、(d)前記第1のシランを加水分解する工程をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項17】
(d)は、前記第1のシラン上のシラン基を加水分解してシラノール基を形成することを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
(b)は、前記第2のシランのシラン基を前記第1のシランのシラノール基と反応させてシロキサン結合を形成することにより前記第2のシランを前記第1のシランに結合することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
(d)は、前記第1のシランを水分に曝すことを含む請求項16に記載の方法。
【請求項20】
(a)に先立って、(e)前記第1のシランを気化させて気化した第1のシランを形成する工程をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項21】
(a)は、気化した第1のシランに基材を曝すことを含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
(b)に先立って、(f)前記第2のシランを気化させて気化した第2のシランを形成する工程をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項23】
(b)は、気化した第2のシランに前記第1のシランを曝すことを含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
(g)前記第1のシランと前記第2のシランのうちの少なくとも一つを架橋結合する工程をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項25】
(h)前記第1のシランと前記第2のシランのうちの少なくとも一つを硬化させる工程をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項26】
ヒドロキシル基を有する基材と、
官能性結合基およびシラン基を有する第1のシランと、
疎水性脂肪族基およびシラン基を有する第2のシランとの反応生成物を備える組成物。
【請求項27】
前記官能性結合基は、
イソシアネート基、
ハロゲン化アシル基、
エポキシ基、
グリシジル基、
アミノ基、
メチルエステル基、
イソチオシアナト基、
カルボキシル基、
活性化カルボキシル基、
ハロゲン化アルキル基、
ハロゲン化ベンジル基、
クロロシラン基、
メトキシシラン基、
エトキシシラン基のうちの少なくとも一つからなる請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記第1のシランは、
カルバメート結合、
エステル結合、
エーテル結合、
Si−O−C結合、
アミド結合、
イミン結合、
イオン結合、
シロキサン結合のうちの少なくとも一つにより前記基材に結合される請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
前記第1のシランのシラン基は、
【化5】

により表される基を有し、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項26に記載の組成物。
【請求項30】
前記第1のシランは、
【化6】

により表される構造を有し、
n=0〜32であり、
Xは、イソシアネート基、塩化アシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミノ基、メチルエステル基、イソチオシアナト基、カルボキシル基、活性化カルボキシル基、塩化アルキル基、臭化アルキル基、ヨウ化アルキル基、塩化ベンジル基、臭化ベンジル基、クロロシラン基、メトキシシラン基、エトキシシラン基であり、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項26に記載の組成物。
【請求項31】
前記第2のシランの疎水性脂肪族基は、
アルキル鎖、
部分フッ素化アルキル鎖、
過フッ素化アルキル鎖のうちの少なくとも一つからなる請求項26に記載の組成物。
【請求項32】
前記第2のシランのシラン基は、
【化7】

により表される基を有し、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項26に記載の組成物。
【請求項33】
前記第2のシランは、
【化8】

により表される構造を有し、
n=0〜32であり、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項26に記載の組成物。
【請求項34】
前記基材はポリマー基材からなる請求項26に記載の組成物。
【請求項35】
前記基材はシリコン系基材からなる請求項26に記載の組成物。
【請求項36】
前記第1のシランは、シロキサン結合を含む架橋結合部を備える請求項26に記載の組成物。
【請求項37】
前記第2のシランは、シロキサン結合を含む架橋結合部を備える請求項26に記載の組成物。
【請求項38】
表面を有する第1の部分と、
前記第1の部分の表面に結合したコーティング組成物とを備える物品であって、前記コーティング組成物は、
前記第1の部分の表面に結合した第1のシランと、
シロキサン結合により前記第1のシランに結合した第2のシランとを備え、前記第1のシランはシラン基を有し、前記第2のシランは疎水性脂肪族基を有する物品。
【請求項39】
前記第1のシランは、
カルバメート結合、
エステル結合、
エーテル結合、
Si−O−C結合、
アミド結合、
イミン結合、
イオン結合、
シロキサン結合のうちの少なくとも一つにより前記第1の部分の表面に結合される請求項38に記載の物品。
【請求項40】
前記第1のシランは、
【化9】

により表されるシラン基を有し、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、メトキシエトキシエトキシ基、またはシロキサン結合である請求項38に記載の物品。
【請求項41】
前記第1のシランは、
【化10】

により表される構造を有し、
n=0〜32であり、
Xは、イソシアネート基、塩化アシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミノ基、メチルエステル基、イソチオシアナト基、カルボキシル基、活性化カルボキシル基、塩化アルキル基、臭化アルキル基、ヨウ化アルキル基、塩化ベンジル基、臭化ベンジル基、クロロシラン基、メトキシシラン基、エトキシシラン基、カルバメート結合、エステル結合、エーテル結合、Si−O−C結合、アミド結合、イミン結合、イオン結合、またはシロキサン結合であり、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、メトキシエトキシエトキシ基、またはシロキサン結合である請求項38に記載の物品。
【請求項42】
前記第2のシランの疎水性脂肪族基は、
アルキル鎖、
部分フッ素化アルキル鎖、
過フッ素化アルキル鎖のうちの少なくとも一つからなる請求項38に記載の物品。
【請求項43】
前記第2のシランは、
【化11】

により表されるシラン基を有し、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、メトキシエトキシエトキシ基、またはシロキサン結合である請求項38に記載の物品。
【請求項44】
前記第2のシランは、
【化12】

により表される構造を有し、
n=0〜32であり、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、メトキシエトキシエトキシ基、またはシロキサン結合である請求項38に記載の物品。
【請求項45】
前記第1の部分の表面に形成された開口をさらに備える請求項38に記載の物品。
【請求項46】
前記コーティング組成物は、前記第1の部分の表面に形成された開口に隣接する部位で前記第1の部分の表面に結合されている請求項45に記載の物品。
【請求項47】
前記開口は、物品の一部を貫通する当該開口の一部を画定する開口面を有し、前記コーティング組成物は、前記開口面に結合されている請求項45に記載の物品。
【請求項48】
前記コーティング組成物は、前記開口を液体が通過するのを防ぐことが可能である請求項45に記載の物品。
【請求項49】
前記第1の部分の表面はメッシュ表面からなり、前記メッシュ表面は、当該メッシュ表面に形成された開口を備える請求項38に記載の物品。
【請求項50】
表面を有する第2の部分をさらに備え、前記第1の部分の表面と前記第2の部分の表面の間には開口が形成されている請求項38に記載の物品。
【請求項51】
補聴器デバイスを備える装置であって、前記補聴器デバイスは、
表面部分を有する第1の構成要素と、
前記第1の構成要素の表面部分に結合したコーティング組成物とを備え、前記コーティング組成物は、
該第1の構成要素の表面部分に結合した接着層と、
前記接着層に結合した疎水性層とを備える装置。
【請求項52】
前記疎水性層は、
アルキル鎖、
部分フッ素化アルキル鎖、
過フッ素化アルキル鎖のうちの少なくとも一つからなる疎水性脂肪族基を有する請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記接着層は、
カルバメート結合、
エステル結合、
エーテル結合、
Si−O−C結合、
アミド結合、
イミン結合、
イオン結合、
シロキサン結合のうちの少なくとも一つにより前記第1の構成要素の表面部分に結合されている請求項51に記載の装置。
【請求項54】
前記疎水性層は、
シロキサン結合、
Si−O−Ge結合、
Ge−O−Ge結合のうちの少なくとも一つにより前記接着層に結合されている請求項51に記載の装置。
【請求項55】
前記コーティング組成物の一部は架橋結合されている請求項51に記載の装置。
【請求項56】
前記第1の構成要素は、前記第1の構成要素の表面部分に形成された開口を備える請求項51に記載の装置。
【請求項57】
前記コーティング組成物は、前記第1の構成要素の表面部分に形成された開口に隣接する部位で前記第1の構成要素の表面部分に結合されている請求項56に記載の装置。
【請求項58】
前記開口は、前記第1の構成要素の一部を貫通する当該開口の一部を画定する開口面を有し、前記コーティング組成物は、前記開口面に結合されている請求項56に記載の物品。
【請求項59】
表面部分を有する第2の構成要素をさらに備える請求項51に記載の装置。
【請求項60】
前記第2の構成要素の表面部分に結合したコーティング組成物をさらに備え、そのコーティング組成物は、
前記第2の構成要素の表面部分に結合した接着層と、
前記接着層に結合した疎水性層と
を備える請求項59に記載の装置。
【請求項61】
前記第1の構成要素の表面部分は、前記第2の構成要素の表面部分に隣接して位置し、
前記第1の構成要素の表面部分と前記第2の構成要素の表面部分の間には開口が形成されている請求項59に記載の装置。
【請求項62】
前記コーティング組成物は、前記開口を液体が通過するのを防ぐのに十分な量で第1の部分の表面に結合されている請求項61に記載の装置。
【請求項63】
前記コーティング組成物は、前記開口を気体が通過するのを許容するのに十分な量で第1の部分の表面に結合されている請求項62に記載の装置。
【請求項64】
前記補聴器デバイスは、
シェル構成要素、
ボリューム制御部、
電池扉、
マイクカバーのうちの少なくとも一つを備える請求項51に記載の装置。
【請求項65】
前記補聴器デバイスは補聴器付属品を備え、前記補聴器付属品は、
電池、
電池接点のうちの少なくとも一つを備える請求項51に記載の装置。
【請求項66】
(a)官能性結合基およびシラン基を有する第1のシランを補聴器デバイスの表面部分上に堆積する工程と、
(b)疎水性脂肪族基およびシラン基を有する第2のシランを前記第1のシラン上に堆積する工程と
を備える方法。
【請求項67】
前記第1のシランの官能性結合基は、
イソシアネート基、
ハロゲン化アシル基、
エポキシ基、
グリシジル基、
アミノ基、
メチルエステル基、
イソチオシアナト基、
カルボキシル基、
活性化カルボキシル基、
ハロゲン化アルキル基、
ハロゲン化ベンジル基、
クロロシラン基、
メトキシシラン基、
エトキシシラン基のうちの少なくとも一つからなる請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記第1のシランのシラン基は、
【化13】

により表される基を有し、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記第1のシランは、
【化14】

により表される構造を有し、
n=0〜32であり、
Xは、イソシアネート基、塩化アシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミノ基、メチルエステル基、イソチオシアナト基、カルボキシル基、活性化カルボキシル基、塩化アルキル基、臭化アルキル基、ヨウ化アルキル基、塩化ベンジル基、臭化ベンジル基、クロロシラン基、メトキシシラン基、エトキシシラン基であり、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項66に記載の方法。
【請求項70】
前記第2のシランの疎水性脂肪族基は、
アルキル鎖、
部分フッ素化アルキル鎖、
過フッ素化アルキル鎖のうちの少なくとも一つからなる請求項66に記載の方法。
【請求項71】
前記第2のシランのシラン基は、
【化15】

により表される基を有し、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項66に記載の方法。
【請求項72】
前記第2のシランは、
【化16】

により表される構造を有し、
n=0〜32であり、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項66に記載の方法。
【請求項73】
(a)に先立って、(c)前記表面の一部を酸化する工程をさらに備える請求項66に記載の方法。
【請求項74】
前記補聴器デバイスは、
シェル構成要素、
ボリューム制御部、
電池扉、
マイクカバーのうちの少なくとも一つを備える請求項66に記載の方法。
【請求項75】
前記補聴器デバイスは補聴器付属品を備え、前記補聴器付属品は、
電池、
電池接点のうちの少なくとも一つを備える請求項66に記載の方法。
【請求項76】
(a)接着促進化合物を表面上に堆積する工程であって、前記接着促進化合物は、
シラン官能基、
ゲルマニウム官能基のうちの少なくとも一つと、官能性結合基とを有することと、
(b)疎水性層形成化合物を前記接着促進化合物上に堆積する工程であって、前記疎水性層形成化合物は、
シラン官能基、
ゲルマニウム官能基のうちの少なくとも一つと、疎水性脂肪族基とを有することと
を備える方法。
【請求項77】
前記接着促進化合物の官能性結合基は、
イソシアネート基、
ハロゲン化アシル基、
エポキシ基、
グリシジル基、
アミノ基、
メチルエステル基、
イソチオシアナト基、
カルボキシル基、
活性化カルボキシル基、
ハロゲン化アルキル基、
ハロゲン化ベンジル基、
クロロシラン基、
メトキシシラン基、
エトキシシラン基のうちの少なくとも一つからなる請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記表面はヒドロキシル基を有する請求項76に記載の方法。
【請求項79】
(a)は、前記接着促進化合物の官能性結合基を前記表面のヒドロキシル基と反応させることにより前記接着促進化合物を前記表面に結合することを含む請求項78に記載の方法。
【請求項80】
(a)に先立って、(c)前記表面の一部を酸化する工程をさらに備える請求項76に記載の方法。
【請求項81】
(b)に先立って、(d)前記接着促進化合物を加水分解する工程をさらに備える請求項76に記載の方法。
【請求項82】
(a)に先立って、(e)前記接着促進化合物を気化させて気化した接着促進化合物を形成する工程をさらに備える請求項76に記載の方法。
【請求項83】
(b)に先立って、(f)前記疎水性層形成化合物を気化させて気化した疎水性層形成化合物を形成する工程をさらに備える請求項76に記載の方法。
【請求項84】
(g)前記接着促進化合物と前記疎水性層形成化合物のうちの少なくとも一つを架橋結合する工程をさらに備える請求項76に記載の方法。
【請求項85】
ヒドロキシル基を有する基材と、
接着促進化合物を含有する接着促進組成物と、
疎水性層形成化合物を含有する疎水性層形成組成物との反応生成物を備える組成物であって、
前記接着促進化合物は、
シラン官能基、
ゲルマニウム官能基のうちの少なくとも一つと、官能性結合基とを有し、
前記疎水性層形成化合物は、
シラン官能基、
ゲルマニウム官能基のうちの少なくとも一つと、疎水性脂肪族基とを有する組成物。
【請求項86】
前記接着促進組成物と前記疎水性層形成組成物のうちの少なくとも一方は、シラン官能基を有する化合物を含み、
前記接着促進組成物と前記疎水性層形成組成物のうちの少なくとも一方は、ゲルマニウム官能基を有する化合物を含む請求項85に記載の組成物。
【請求項87】
前記接着促進化合物の官能性結合基は、
イソシアネート基、
ハロゲン化アシル基、
エポキシ基、
グリシジル基、
アミノ基、
メチルエステル基、
イソチオシアナト基、
カルボキシル基、
活性化カルボキシル基、
ハロゲン化アルキル基、
ハロゲン化ベンジル基、
クロロシラン基、
メトキシシラン基、
エトキシシラン基のうちの少なくとも一つからなる請求項85に記載の組成物。
【請求項88】
前記接着促進化合物は、
カルバメート結合、
エステル結合、
エーテル結合、
Si−O−C結合、
アミド結合、
イミン結合、
イオン結合、
シロキサン結合のうちの少なくとも一つにより前記基材に結合されている請求項85に記載の組成物。
【請求項89】
前記接着促進化合物は、
【化17】

により表される基を有し、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項85に記載の組成物。
【請求項90】
前記接着促進化合物は、
【化18】

により表される構造を有し、
n=0〜32であり、
Xは、イソシアネート基、塩化アシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミノ基、メチルエステル基、イソチオシアナト基、カルボキシル基、活性化カルボキシル基、塩化アルキル基、臭化アルキル基、ヨウ化アルキル基、塩化ベンジル基、臭化ベンジル基、クロロシラン基、メトキシシラン基、エトキシシラン基であり、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項85に記載の組成物。
【請求項91】
前記疎水性層形成化合物の疎水性脂肪族基は、
アルキル鎖、
部分フッ素化アルキル鎖、
過フッ素化アルキル鎖のうちの少なくとも一つからなる請求項85に記載の組成物。
【請求項92】
前記疎水性層形成化合物は、
【化19】

により表される基を有し
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項85に記載の組成物。
【請求項93】
前記疎水性層形成化合物は、
【化20】

により表される構造を有し、
n=0〜32であり、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項85に記載の組成物。
【請求項94】
前記接着促進化合物は、
【化21】

により表される基を有し、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項85に記載の組成物。
【請求項95】
前記接着促進化合物は、
【化22】

により表される構造を有し、
n=0〜32であり、
Xは、イソシアネート基、塩化アシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミノ基、メチルエステル基、イソチオシアナト基、カルボキシル基、活性化カルボキシル基、塩化アルキル基、臭化アルキル基、ヨウ化アルキル基、塩化ベンジル基、臭化ベンジル基、クロロシラン基、メトキシシラン基、エトキシシラン基であり、
、RおよびRはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項85に記載の組成物。
【請求項96】
前記疎水性層形成化合物は、
【化23】

により表される基を有し、
10、R11およびR12はそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項85に記載の組成物。
【請求項97】
前記疎水性層形成化合物は、
【化24】

により表される構造を有し、
n=0〜32であり、
10、R11およびR12はそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、H、OH、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、メチル基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ジメチルアミノ基、ジアルキルアミノ基、エチルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、フェニル基、またはメトキシエトキシエトキシ基である請求項85に記載の組成物。
【請求項98】
前記基材はポリマー基材からなる請求項85に記載の組成物。
【請求項99】
前記基材はシリコン系基材からなる請求項85に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−505615(P2010−505615A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531591(P2009−531591)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/080347
【国際公開番号】WO2008/042986
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(509091192)ソニック イノベーションズ インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SONIC INNOVATIONS,INC.
【Fターム(参考)】