説明

疎水性に改質されたアクリル系レオロジー調整剤を製造する方法

【課題】疎水性に改質されたレオロジー調整剤を製造する方法を提供する。
【解決手段】第1の成分は、HC=C(R)C(O)X(CHCHO)(CH(R’)CHO)R’’またはHC=C(R)CC(CHNHCO(CHCHO)(CH(R’)CHO)R’’(式中、XはOもしくはNHであり、RはHもしくはCHであり、R’はC−Cアルキルであり;R’’はC−C22アルキルまたはC−C16アルキルフェニルであり;nは平均数6〜100であり、mは平均数0〜50であり、ただしn≧mおよびm+nは6〜100である)であり、第2の成分はC−Cカルボン酸モノマーであり、重合を酸化剤、還元剤および金属触媒の存在下で、かつ5個以上の炭素原子を有するアルキル基を含むペルオキシド、ヒドロペルオキシドまたはペルエステルの実質的に非存在下で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、疎水性に改質されたアクリル系レオロジー調整剤を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水性配合物は典型的には、所望のレオロジープロファイルを得るために増粘剤を使用する。例えば、水性紙コーティング組成物は、紙基体上へのそのコーティング組成物の適用およびピックアップを可能にするのに充分低い剪断粘度、並びに所望のコーティング重量を得るように過剰に適用されたコーティング組成物の計測を可能にする好適な高剪断粘度を提供するためにレオロジー調整剤を必要とする。水性配合物を増粘させるのに好適な増粘剤の1つの種類はアルカリ可溶性増粘剤である。アルカリ膨潤性増粘剤とも称されるこれらの増粘剤は、エチレン性不飽和モノマーの重合により形成されるコポリマーであり、そのコポリマーの骨格からペンダントしている酸基を含む。ペンダント非イオン性界面活性剤基もしくは疎水性部分を含むアルカリ可溶性増粘剤も製造されてきた。当該技術分野において疎水性に改質されたアルカリ可溶性(膨潤性)増粘剤と称されるこれら増粘剤は、同様の組成および分子量のアルカリ可溶性増粘剤と比較して増大した増粘効率によって特徴づけられる。米国特許第4,384,096号は疎水性物質を含むレオロジー調整剤(rheology modifier)を製造する方法を開示する。しかし、この開示されたプロセスは熱により開始される重合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,384,096号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明によって解決される課題は、改良された粘度プロファイルを有するレオロジー調整剤を得るために、疎水性に改質された(メタ)アクリラートレオロジー調整剤を製造する方法を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は疎水性に改質されたレオロジー調整剤を製造する方法に関し、当該方法は(i)
(a)HC=C(R)C(O)X(CHCHO)(CH(R’)CHO)R’’;
(b)HC=C(R)CC(CHNHCO(CHCHO)(CH(R’)CHO)R’’;およびこれらの組み合わせ(式中、XはOもしくはNHであり、RはHもしくはCHであり、R’はC−Cアルキルであり;R’’はC−C22アルキル、C−C16アルキルフェニルもしくはC13−C36アラルキルフェニルであり;nは平均数6〜100であり、mは平均数0〜50であり、ただしn≧mおよびm+nは6〜100である):からなる群から選択されるモノマー;並びに
(ii)C−Cカルボン酸モノマー:を含むモノマー混合物を重合することを含み、重合の少なくとも30%は酸化剤、還元剤および金属触媒の存在下で、かつ5個以上の炭素原子を有するアルキル基を含むペルオキシド、ヒドロペルオキシドまたはペルエステルの実質的に非存在下で起こる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
他に示されない限りは、全てのパーセンテージは重量パーセンテージ(重量%)であり、他に示されない限りは全ての温度は℃単位である。重量平均分子量(M)は、当該技術分野において知られているように、ポリアクリル酸標準を用いてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。GPCの技術は、Modern Size Exclusion Chromatography(最新のサイズ排除クロマトグラフィー)、W.W.Yau,J.J.Kirkland,D.D.Bly;Wiley−Interscience,1979およびA Guide to Materials Characterization and Chemical Analysis(物質の特徴付けおよび化学分析の指針)、J.P.Sibilia;VCH,1988,81〜84ページに詳細に論じられている。本明細書において報告される分子量はダルトン単位である。本明細書において使用される場合、用語「(メタ)アクリル」はアクリルまたはメタクリルをいう。「C−Cカルボン酸モノマー」は1または2つのカルボン酸基を有するモノエチレン性不飽和化合物、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、クロトン酸などである。アルキル基は、直鎖もしくは分岐でありうる飽和ヒドロカルビル基である。アラルキル基はアリール基で置換されたアルキル基である。アラルキル基の例には、例えば、ベンジル、2−フェニルエチルおよび1−フェニルエチルが挙げられる。アラルキルフェニル基は1以上のアラルキル置換基を有するフェニル基、例えば、2,4,6−トリス(1−フェニルエチル)フェニルである。
【0007】
本発明の方法に使用されるレドックスシステムは1種以上の酸化剤を好適な還元剤および金属触媒と組み合わせて使用する。好ましくは、全モノマーの少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%はレドックスシステムの存在下で重合される。モノマーの全重量はレドックスシステムが添加される時点ですでに重合された何らかのモノマーを含む。好適な酸化剤には、例えば、t−アルキルヒドロペルオキシド、t−アルキルペルオキシドおよびt−アルキルペルエステル(それぞれの場合において、t−アルキル基は5個より少ない炭素原子を有する);過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過硫酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩、過リン酸およびその塩、過マンガン酸カリウム、並びにペルオキソ二硫酸のアンモニウムもしくはアルカリ金属塩が挙げられる。好ましい酸化剤には、過硫酸塩、過炭酸塩および過ホウ酸塩が挙げられ;好ましくは過硫酸塩が挙げられる。本発明の方法においては、重合は少なくとも5個の炭素原子を有するアルキル基を含むペルオキシド、ヒドロペルオキシドまたはペルエステルの実質的に非存在下で起こる。本明細書において、語句「実質的に非存在下で」とは、酸化剤が、Cまたはそれより大きいアルキル基を有するペルオキシド、ヒドロペルオキシドまたはペルエステルを5重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、好ましくは0重量%しか含まないことを意味する。ある好ましい実施形態においては、重合はペルオキシド、ヒドロペルオキシドまたはペルエステルの実質的に非存在下で行われる。好ましくは、酸化剤はモノマーの全重量を基準にして、全量で0.01〜1重量%、好ましくは0.03〜0.5重量%、好ましくは0.05〜0.25重量%で存在する。好適な還元剤には、ナトリウムスルホキシラートホルムアルデヒド、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、硫黄含有酸のアルカリ金属およびアンモニウム塩、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、ヒドロ亜硫酸塩、硫化物、水硫化物、亜ジチオン酸塩、ホルマジンスルフィン酸(formadinesulfinic acid)、ヒドロキシメタンスルホン酸、ナトリウム2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸、アセトンビサルファイト(acetone bisulfite)、アミン、例えば、エタノールアミン、酸、例えば、グリコール酸、グリオキシル酸水和物、乳酸、グリセリン酸、マレイン酸、酒石酸、ならびに前記の酸の塩が挙げられる。好ましい還元剤はイソアルコルビン酸である。好ましくは、還元剤は、モノマーの全重量を基準にして、全量で0.01〜1重量%、好ましくは0.03〜0.4重量%、好ましくは0.05〜0.2重量%で存在する。好適な金属触媒はレドックス反応触媒金属塩であり、例えば、鉄、銅、マンガン、銀、白金、バナジウム、ニッケル、クロム、パラジウムおよびコバルトが挙げられる。好ましい金属触媒は鉄、銅およびこれらの組み合わせから選択され;好ましくは鉄である。好ましくは、金属触媒は、モノマーの全重量中の金属イオン含量を基準にして、全量で少なくとも0.1ppm、好ましくは少なくとも0.5ppm、好ましくは少なくとも1ppm、好ましくは少なくとも2ppm、好ましくは少なくとも3ppm、好ましくは少なくとも4ppmで存在し;好ましくは金属触媒は、全量で、100ppm以下、好ましくは50ppm以下、好ましくは25ppm以下、好ましくは20ppm以下で存在する。モノマーの全重量は、酸化剤、還元剤および金属イオンが添加される時点ですでに重合されたモノマーを含む。酸化剤、還元剤および金属イオンで触媒された重合反応の部分が触媒金属を含む装置、例えば、スチール反応器と接触して行われる場合には、追加の金属イオンを他の反応物質に添加する必要がない場合がある。本発明のある好ましい実施形態においては、モノマー混合物の一部分は、酸化剤を開始剤として使用して部分的に重合され、次いで、残りのモノマーを添加して、酸化剤、還元剤および金属触媒の存在下で重合される。好ましくは熱酸化剤を用いて、全モノマーの50重量%未満、好ましくは25重量%未満、好ましくは15重量%未満、好ましくは10重量%未満が重合される。この熱重合される物質は重合の開始時にその場で形成されることができるか、またはあらかじめ製造されたポリマーシードから、または「チェイサー(chaser)」添加の結果として形成されうる。さらに、重合はレドックスプロセス(酸化剤/還元剤/および金属触媒)を使用して開始されることができ、第二段階は熱プロセスを使用することができた。このプロセスのレドックス部分は漸次フィード、ショット、フィードとその後のショット、もしくはショットとその後のフォート、または他の可能な組み合わせであることができる。ショット添加は、比較的短い時間、例えば、20分未満、好ましくは15分未満、好ましくは10分未満にわたってモノマーが添加される添加であり、その結果、その添加の後で反応混合物はかなりの未反応のモノマーを含むであろう。典型的には、ショット添加はモノマーのみを含み、触媒は別に、好ましくはこのショット添加の後で、反応混合物に添加される。重合のほとんど、すなわち、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%が完了した後で、残留するモノマーのほとんどを重合させるように追加の開始剤が「チェイサー」として添加されることができる。チェイサーは熱開始剤またはレドックスシステムであることができる。
【0008】
レドックスフィードは35℃〜85℃、好ましくは40℃〜75℃、好ましくは40℃〜70℃のモノマー添加プロセス温度で進行する。任意のレドックスショットプロセスについては、重合を開始させるのに好ましい温度範囲は35℃〜85℃、好ましくは40℃〜75℃、好ましくは40℃〜70℃である。モノマーショットのポリマーへの変換後の好ましいピーク温度(発熱)は、35℃〜95℃、好ましくは45℃〜80℃、好ましくは50℃〜75℃である。
【0009】
好ましくはレオロジー調整剤はアクリル系ポリマー、すなわち、アクリル系モノマーの重合残基を少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも98重量%有するポリマーである。アクリル系モノマーには、(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸のC−C22アルキルもしくはヒドロキシアルキルエステル、例えば、構造:HC=C(R)CO(CHCHO)(CH(R’)CHO)R’’のモノマー;クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、並びにクロトン酸のアルキルもしくはヒドロキシアルキルエステル、イタコン酸のアルキルもしくはヒドロキシアルキルエステル、フマル酸のアルキルもしくはヒドロキシアルキルエステル、またはマレイン酸のアルキルもしくはヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。好ましくは、アクリル系ポリマーは他の重合されたモノマー残基、例えば、非イオン性(メタ)アクリラートエステル、カチオン性モノマー、HC=C(R)CC(CHNHCO(CHCHO)(CH(R’)CHO)R’’、モノ不飽和ジカルボン酸、ビニルエステル、ビニルアミド(例えば、N−ビニルピロリドンなど)、スルホン化アクリル系モノマー、ビニルスルホン酸、ハロゲン化ビニル、リン含有モノマー、複素環式モノマー、スチレンおよび置換スチレンなども含む。好ましくは、レオロジー調整剤はC−Cカルボン酸モノマーの重合残基を15〜60重量%、好ましくは22〜55重量%、好ましくは30〜50重量%、好ましくは23〜30重量%含む。好ましくはC−Cカルボン酸モノマーはC−Cカルボン酸モノマーであり;好ましくはC−Cカルボン酸モノマーは、(メタ)アクリル酸およびマレイン酸の中から選択され、好ましくは(メタ)アクリル酸から選択され、好ましくはメタクリル酸である。好ましくは、レオロジー調整剤は構造:HC=C(R)C(O)X(CHCHO)(CH(R’)CHO)R’’を有するモノマーの重合残基を含む。好ましくは、XはOである。好ましくは、レオロジー調整剤は構造:HC=C(R)C(O)X(CHCHO)(CH(R’)CHO)R’’のモノマーの重合残基を1〜25重量%、好ましくは1〜15重量%、好ましくは1〜6重量%、好ましくは5〜25重量%、好ましくは6〜15重量%含む。好ましくはR’’はC−C22アルキル、好ましくはC10−C22アルキル、好ましくはC12−C20アルキルである。好ましくは、nは15〜30であり、mは0〜5であり;好ましくはnは18〜25であり、mは0〜3であり;好ましくはnは18〜25であり、mは0〜2であり;好ましくはR’はメチルである。好ましくはRはメチルである。好ましくはR’’はC10−C22アルキルであり、nは15〜30であり、mは0〜5であり;好ましくはR’’はC12−C22アルキルであり、nは18〜25であり、mは0〜3であり、並びにRはメチルである。好ましくは、レオロジー調整剤は(メタ)アクリル酸C−Cアルキルの重合残基を25〜65重量%、好ましくは30〜60重量%、好ましくは40〜60重量%さらに含む。好ましくは、(メタ)アクリル酸C−Cアルキル残基は(メタ)アクリル酸C−Cアルキル残基、好ましくはアクリル酸C−Cアルキル、好ましくはアクリル酸エチルである。
【0010】
本発明のある好ましい実施形態においては、レオロジー調整剤は架橋したポリマーであり、すなわち、2以上の非共役エチレン性不飽和基を有するモノマーのような架橋剤が重合中にコポリマー成分と共に含まれる。このようなモノマーの好ましい例には、例えば、ジアリルエーテル、トリアリルエーテル、およびジオールもしくはポリオールのジ(メタ)アクリリルエステルもしくはトリ(メタ)アクリリルエステル(例えば、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、エチレングリコールジメタクリラート)、ジ酸もしくはトリ酸のジアリルエステルもしくはトリアリルエステル、(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルスルホン、リン酸トリアリル、ジビニル芳香族(例えば、ジビニルベンゼン)が挙げられる。ある好ましい実施形態においては、レオロジー調整剤における架橋剤残基の量はポリマーの重量を基準にして少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%である。好ましくは、架橋剤残基の量は2重量%以下、好ましくは1.5重量%以下、好ましくは1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、好ましくは0.3重量%以下、好ましくは0.2重量%以下である。
【0011】
本発明のある好ましい実施形態においては、重合混合物中に連鎖移動剤が含まれる。乳化重合に使用される典型的な連鎖移動剤には、メルカプトアルカン、およびメルカプトアルキルエステル、例えば、n−デシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、tert−ブチルメルカプタン、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸ブチル、3−メルカプトプロピオン酸i−オクチル、3−メルカプトプロピオン酸デシル、3−メルカプトプロピオン酸ドデシル、3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル、および3−メルカプトプロピオン酸オクタデシルが挙げられる。好ましくは、レオロジー調整剤中の連鎖移動剤の量は、ポリマーの重量を基準にして、少なくとも0.05重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.2重量%である。好ましくは、連鎖移動剤残基の量は、ポリマーの重量を基準にして0.5重量%以下、好ましくは0.3重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下である。
【0012】
典型的には、本ポリマーが増粘剤もしくはレオロジー調整剤として使用される場合には、典型的な重量平均分子量は100,000〜10,000,000、好ましくは200,000〜5,000,000の範囲である。
【0013】
好ましくはレオロジー調整剤は、水性媒体中に分散された離散した粒子として本ポリマーを含む水性組成物として提供される。この水性分散物においては、ポリマー粒子の平均粒子直径は典型的には20〜1,000nmの範囲、好ましくは50〜500nmの範囲、より好ましくは75〜350nmの範囲である。本明細書において粒子サイズは、「有効直径」として報告される、ニューヨーク州ホルツビルのブルックハーベンインスツルメンツコーポレーション(Brookhaven Instruments Corporation)によって製造されたブルックハーベンモデルBI−90パーティクルサイザーを用いて決定されるサイズである。水性分散物中のポリマー粒子の量は典型的には、水性分散物の重量を基準にして15〜60重量%の範囲である。
【0014】
好ましくは、レオロジー調整剤は、水性媒体中に部分的にもしくは完全に可溶化されたポリマーとして重合されたモノマーを含む水性組成物として提供される。部分的に可溶性のポリマーとは、水性媒体中に完全に可溶性ではないポリマー、例えば、水性媒体を吸収することにより大きくなるが粒子形状のいくつかの特徴を依然として維持している膨潤性ポリマーをいう。部分的にもしくは完全に可溶化されたポリマーを含む溶液は、半透明または透明な外観を有するとして特徴づけられる。この実施形態の水溶液に好適なpH範囲はポリマーに結合したペンダントイオン性基の量に関連する。ポリマーの全重量を基準にして70重量%未満の酸モノマーを重合単位として含むポリマーは典型的には、ペンダント酸基のpK以上であるpHを有する水性媒体中に部分的にもしくは完全に可溶性である。例えば、ポリマーの全重量を基準にして25〜65重量%の重合された酸モノマーを含むポリマーは典型的には、5〜14の範囲のpHで部分的にもしくは完全に可溶性である。
【0015】
ポリマー分散物のpHを調節するのに好適な塩基には、無機塩基、例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム;水酸化アンモニウム;および有機塩基、例えば、トリエチルアミンが挙げられる。塩基の混合物が使用されても良い。水性媒体のpHを調節するのに好適な酸には、鉱酸、例えば、塩酸、リン酸および硫酸;並びに有機酸、例えば、酢酸が挙げられる。酸の混合物が使用されても良い。
【0016】
本発明の方法に使用するのに好適な重合技術には、乳化重合および溶液重合が挙げられる。水性乳化重合プロセスは典型的には水性反応混合物中で行われ、この水性反応混合物は少なくとも1種のモノマーおよび様々な合成アジュバント、例えば、フリーラジカル源、緩衝剤および還元剤を水性反応媒体中に含む。水性反応媒体は水性反応混合物の連続流体相であり、水性反応媒体の重量を基準にして50重量%より多い水および場合によっては1種以上の水混和性溶媒を含む。好適な水混和性溶媒には、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、エチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテルおよびジアセトンアルコールが挙げられる。好ましくは水性反応媒体は、水性反応媒体の重量を基準にして90重量%より多い水、より好ましくは95重量%より多い水を含む。最も好ましいのは、水性反応媒体の重量を基準にして98〜100重量%の水を含む水性反応媒体である。
【0017】
疎水性に改質されたレオロジー調整剤は塗料および他のコーティング組成物の増粘剤として、セメント製品の添加剤として、紙コーティング増粘剤として、パーソナルケア製品(例えば、シャンプー、ボディーウォッシュ)のレオロジー調整剤として、洗濯洗剤配合物、凍結防止流体および接着剤のための増粘剤として、並びに油田用途、例えば、油−水浄化および油中水分離のための添加剤として有用である。
【0018】
レオロジー調整剤は、欧州特許出願公開第1,272,159号に記載されるような、配合されるポリマーが高pHで部分的に中和され、次いで再び低pHに酸性にされる「バックアシッド」配合で使用されうる。レオロジー調整剤は補助増粘剤、例えば、ラポナイトクレイのような合成クレイを含む配合物に使用されることもできる。
【実施例】
【0019】
ポリマー合成
MA−20=セチル−ステアリルアルコールの20エトキシラートのメタクリラートエステル(70%)、メタクリル酸20%、水10%。
MA−23=ラウリルアルコールの23エトキシラートのメタクリラートエステル(70%)、メタクリル酸30%。
【0020】
実施例1(レドックス)
機械式攪拌装置、加熱マントル、熱電対、凝縮器、並びにモノマー、開始剤および窒素の添加のための入口を備えた3リットル丸底フラスコに、18.7グラムの28%ラウリル硫酸ナトリウムおよび731グラムの脱イオン水を入れた。この混合物は20ml/分の窒素フローと共に攪拌し、89℃に加熱されるようにセットされた。プラスチック裏打ち容器に、12.6グラムの28%ラウリル硫酸ナトリウムおよび630グラムの脱イオン水を入れてオーバーヘッド攪拌で混合した。99グラムのMA−20をこの容器に入れて、次いで、343グラムのアクリル酸エチル(EA)、次いで、261グラムのメタクリル酸(MAA)をゆっくりと添加し、滑らかで安定なモノマーエマルションを形成した。68.6グラムの安定なモノマーエマルションシードがとっておかれた。0.75グラムの過硫酸ナトリウムおよび21.4グラムの脱イオン水を添加することによりケトル開始剤チャージが調製され、とっておかれた。0.77グラムのイソアスコルビン酸および75グラムの脱イオン水のコフィード活性化剤溶液が製造され、ケトルへの添加のためのシリンジに入れられた。0.38グラムの過硫酸ナトリウムおよび75グラムの脱イオン水のコフィード触媒溶液が製造され、ケトルへの添加のためのシリンジに入れられた。
【0021】
反応が所定の温度になったときに、モノマーエマルションシードがケトルに添加され、28グラムの脱イオン水ですすがれ、すぐ後にケトル開始剤チャージが入れられた。ケトル内容物は反応して、85℃に発熱し、次いで10分間保持された。この保持の完了時に、次いで、この反応物は51℃に冷却された。冷却中に、0.15%硫酸鉄七水和物の溶液28.6グラムがこのケトルに添加された。
【0022】
反応温度が51℃で、48℃の底部目標温度に到達すると、0.815ml/分の速度で、92分間にわたる開始剤活性化剤および触媒コフィードが開始された。開始剤コフィード溶液の開始2分後に、14.18ml/分の速度で合計90分間にわたるモノマーエマルションコフィードが始まった。この反応の完了時に、フィードラインは51グラムの脱イオン水ですすがれ、48℃で10分間保持された。この保持中に、チェイサー溶液が調製された。0.28グラムのイソアスコルビン酸を25グラムの脱イオン水に溶解し、シリンジに入れた。70%tert−ブチルヒドロペルオキシド0.5グラムが25グラムの脱イオン水と混合され、シリンジに入れられた。この保持の終了時に、チェイサー溶液が線形的に10分間にわたって添加され、48℃で20分間保持された。次いで、この反応物は室温まで冷却され、100メッシュの袋を通してろ過された。最終のエマルションポリマーは28.11%の固形分量およびpH=2.5を有していた。GCによると、全ポリマーの残留モノマー含量は5ppm未満であった。
【0023】
例2(比較)
機械式攪拌装置、加熱マントル、熱電対、凝縮器、並びにモノマー、開始剤および窒素の添加のための入口を備えた3リットル丸底フラスコに、17.55グラムの28%ラウリル硫酸ナトリウムおよび792.5グラムの脱イオン水を入れた。この混合物は窒素フローと共に攪拌し、89℃に加熱されるようにセットされた。プラスチック裏打ち容器に、11.75グラムの28%ラウリル硫酸ナトリウムおよび815グラムの脱イオン水を入れてオーバーヘッド攪拌で混合した。93.55グラムのMA−20をこの容器に入れて、次いで、327.5グラムのアクリル酸エチル、次いで、243.3グラムのメタクリル酸をゆっくりと添加し、滑らかで安定なモノマーエマルションを形成した。54.9グラムの安定なモノマーエマルションシードがとっておかれた。0.70グラムの過硫酸アンモニウムおよび20グラムの脱イオン水を添加することによりケトル開始剤チャージが調製され、とっておかれた。60グラムの脱イオン水に溶解された0.3グラムの過硫酸アンモニウムのコフィード触媒溶液がシリンジに入れられた。
【0024】
反応が所定の温度になったときに、モノマーエマルションシードがケトルに添加され、27.5グラムの脱イオン水ですすがれ、すぐ後にケトル開始剤チャージ溶液が入れられた。ケトル内容物は反応して、発熱ピークが観察され、温度は85〜89℃になったすぐ後で、全部で180分間にわたり0.67ml/分の速度での開始剤触媒溶液および7.97ml/分の速度でのモノマーエマルションを開始する。このコフィードの完了時に、ラインすすぎの20グラムの脱イオン水を添加し、反応物は85℃で5分間保持された。この保持中に、0.25グラムの過硫酸アンモニウムを75グラムの脱イオン水に溶解した熱チェイサー溶液をシリンジに入れた。この保持の完了時に、この熱チェイサーを15分間にわたって添加した。このチェイサーの終了時に、次いで、反応物は75℃に冷却された。70%tert−ブチルヒドロペルオキシド0.4グラムを12.5グラムの脱イオン水に溶解し、および0.55グラムのイソアスコルビン酸を12.5グラムの脱イオン水に溶解することにより、2組のチェイサー活性化剤および触媒溶液が準備された。反応温度が75℃に到達したときに、1グラムの脱イオン水に溶解された0.006グラムの硫酸鉄七水和物の促進剤溶液をケトルに添加した。直ちに、1組目のチェイサー活性化剤および触媒溶液がケトルに15分間にわたって冷却しつつ添加された。この反応は15分間保持され、次いで2組目のチェイサー活性化剤および触媒溶液が15分間にわたって添加され、次いで、室温に冷却しつつ20分間攪拌された。ケトル内容物は、次いで、100メッシュの袋を通してろ過された。最終のエマルションポリマーは30%の固形分量およびpH=2.5を有していた。GCによると、全ポリマーの残留モノマー含量は5ppm未満であった。
【0025】
例3(熱wレドックスチェイサー)(比較)
機械式攪拌装置、加熱マントル、熱電対、凝縮器、並びにモノマー、開始剤および窒素の添加のための入口を備えた3リットル丸底フラスコに、12.29グラムの28%ラウリル硫酸ナトリウムおよび588グラムの脱イオン水を入れた。この混合物は窒素フローと共に攪拌し、84℃に加熱されるようにセットされた。プラスチック裏打ち容器に、24.29グラムの28%ラウリル硫酸ナトリウムおよび792グラムの脱イオン水を入れてオーバーヘッド攪拌で混合した。175.7グラムのMA−20をこの容器に入れて、次いで、355.2グラムのアクリル酸エチル、0.99グラムのトリメチロールプロパンジアリルエーテル(TMPDE)、0.55グラムの1−ドデシルメルカプタン、33.19グラムのメタクリル酸、および136.62グラムのアクリル酸をゆっくりと添加し、滑らかで安定なモノマーエマルションを形成した。0.47グラムの過硫酸アンモニウムおよび22グラムの脱イオン水を添加することによりケトル開始剤チャージが調製され、とっておかれた。112.75グラムの脱イオン水に溶解された0.76グラムの過硫酸アンモニウムのコフィード触媒溶液がシリンジに入れられた。
【0026】
ケトル内容物が84℃の反応温度に到達したときに、ケトル開始剤が入れられた。モノマーエマルションコフィードは107分間にわたって、次の速度で添加された:8.92ml/分で20分間、17.85ml/分で40分間、および13.32ml/分で47分間。開始剤コフィードは線形的に112分間にわたって添加された。すすぎの16.5グラムの脱イオン水がモノマーコフィードに加えられた。開始剤オーバーフィードの終了時に、反応物は84℃で10分間保持された。この保持の完了時に、次いで、反応物は55℃に冷却された。
【0027】
70%tert−ブチルヒドロペルオキシド0.5グラムを15グラムの脱イオン水に溶解し、および0.28グラムのイソアスコルビン酸を15グラムの脱イオン水に溶解することにより、2組のチェイサー活性化剤および触媒溶液が準備された。反応温度が55℃に到達したときに、0.15%の硫酸鉄七水和物溶液6.82グラムの促進剤溶液をケトルに添加した。直ちに、1組目のチェイサー活性化剤および触媒溶液がケトルに10分間にわたって添加され、次いで20分間保持された。次いで、2組目のチェイサー活性化剤および触媒溶液が10分間にわたって添加され、次いで、20分間保持された。保持の完了時に、反応物は室温まで冷却され、100メッシュの袋を通してろ過された。最終のエマルションポリマーは28.9%の固形分量およびpH=2.4を有していた。GCによると、全ポリマーの残留モノマー含量は200ppm未満であった。
【0028】
実施例4
機械式攪拌装置、加熱マントル、熱電対、凝縮器、並びにモノマー、開始剤および窒素の添加のための入口を備えた3リットル丸底フラスコに、18.7グラムの28%ラウリル硫酸ナトリウムおよび731グラムの脱イオン水を入れた。この混合物は20ml/分の窒素フローと共に攪拌し、89℃に加熱されるようにセットされた。プラスチック裏打ち容器に、24.29グラムの28%ラウリル硫酸ナトリウムおよび792グラムの脱イオン水を入れてオーバーヘッド攪拌で混合した。175.7グラムのMA−20をこの容器に入れて、次いで、355.2グラムのアクリル酸エチル、0.99グラムのトリメチロールプロパンジアリルエーテル(TMPDE)、0.55グラムの1−ドデシルメルカプタン、33.19グラムのメタクリル酸、および136.62グラムのアクリル酸をゆっくりと添加し、安定なモノマーエマルションを形成した。68.5グラムの安定なモノマーエマルションシードがとっておかれた。0.64グラムの過硫酸ナトリウムおよび21.4グラムの脱イオン水を添加することによりケトル開始剤チャージが調製され、とっておかれた。0.44グラムのイソアスコルビン酸および75グラムの脱イオン水のコフィード活性化剤溶液が調製され、ケトルに添加するためのシリンジに入れられた。75グラムの脱イオン水および0.64グラムの過硫酸ナトリウムのコフィード触媒溶液が調製され、ケトルに添加するためのシリンジに入れられた。
【0029】
反応が所定の温度になったときに、モノマーエマルションシードがケトルに添加され、16グラムの脱イオン水ですすがれ、すぐ後にケトル開始剤チャージが入れられた。ケトル内容物は反応し、85℃に発熱し、次いで10分間保持された。この保持の完了時に、次いで、この反応物は60℃に冷却された。冷却中に、0.15%硫酸鉄七水和物の溶液21.45グラムおよび0.15%硫酸銅五水和物の溶液0.54グラムがこのケトルに添加された。
【0030】
反応温度が60℃で、55℃の底部目標温度に到達すると、0.797ml/分の速度で、94分間にわたる開始剤活性化剤および触媒コフィードが開始された。開始剤コフィード溶液の開始4分後に、14.18ml/分で合計90分間にわたるモノマーエマルションコフィードが始まった。この反応の完了時に、フィードラインは20グラムの脱イオン水ですすがれ、55℃で20分間保持された。この保持中に、2組のチェイサー溶液が準備された。0.28グラムのイソアスコルビン酸を15グラムの脱イオン水に溶解し、シリンジに入れた。70%tert−ブチルヒドロペルオキシド0.5グラムが15グラムの脱イオン水と混合され、シリンジに入れられた。この保持の終了時に、1組目のチェイサー溶液が線形的に10分間にわたって添加され、55℃で20分間保持された。2組目のチェイサー溶液が線形的に10分間にわたって添加され、55℃で20分間保持された。次いで、この反応物は室温まで冷却され、100メッシュの袋を通してろ過された。最終のエマルションポリマーは27.93%の固形分量およびpH=2.4を有していた。GCによると、全ポリマーの残留モノマー含量は300ppm未満であった。
【0031】
実施例5(レドックス/ショット)
機械式攪拌装置、加熱マントル、熱電対、凝縮器、並びにモノマー、開始剤および窒素の添加のための入口を備えた3リットル丸底フラスコに、18.7グラムの28%ラウリル硫酸ナトリウムおよび731グラムの脱イオン水を入れた。この混合物は20ml/分の窒素フローと共に攪拌し、89℃に加熱されるようにセットされた。プラスチック裏打ち容器に、12.6グラムの28%ラウリル硫酸ナトリウムおよび630グラムの脱イオン水を入れてオーバーヘッド攪拌で混合した。99グラムのMA−23をこの容器に入れて、次いで、302グラムのアクリル酸エチル、および、次いで302グラムのメタクリル酸をゆっくりと添加し、滑らかで安定なモノマーエマルションを形成した。68.6グラムの安定なモノマーエマルションシードがとっておかれた。0.5グラムの過硫酸ナトリウムおよび21.4グラムの脱イオン水を添加することによりケトル開始剤チャージが調製され、とっておかれた。0.385グラムのイソアスコルビン酸および75グラムの脱イオン水のコフィード活性化剤溶液が調製され、ケトルに添加するためのシリンジに入れられた。75グラムの脱イオン水および0.19グラムの過硫酸ナトリウムのコフィード触媒溶液が調製され、ケトルに添加するためのシリンジに入れられた。
【0032】
反応が所定の温度になったときに、モノマーエマルションシードがケトルに添加され、16グラムの脱イオン水ですすがれ、すぐ後にケトル開始剤チャージが入れられた。ケトル内容物は反応し、85℃に発熱し、次いで10分間保持された。この保持の完了時に、次いで、この反応物は53℃に冷却された。冷却中に、0.15%硫酸鉄七水和物の溶液14.3グラムおよび0.15%硫酸銅五水和物の溶液0.54グラムがこのケトルに添加された。
【0033】
反応温度が53℃で、50℃の底部目標温度に到達すると、0.81ml/分の速度で、69.5分間にわたる開始剤活性化剤および触媒コフィードが開始された。開始剤コフィード溶液の開始2分後に、14.18ml/分で合計67.5分間にわたるモノマーエマルションコフィードが始まった。次いで、コフィードが停止させられ、この反応物は15分間保持された。次いで、モノマーエマルションコフィードは再度開始され、31ml/分の速度で10分間添加された。すすぎとしてモノマー容器に25グラムの脱イオン水が添加された。4℃の温度低下が観察された。5分間の保持後、残りの開始剤コフィードが素早く30秒間で添加された。4分間で、ケトルは53℃の反応温度に戻り、56℃の最大温度に到達した。10分間保持した後で、反応物は53℃に戻った。この保持中にチェイサー溶液が準備された。0.28グラムのイソアスコルビン酸を25グラムの脱イオン水に溶解し、シリンジに入れた。70%tert−ブチルヒドロペルオキシド0.5グラムが25グラムの脱イオン水と混合され、シリンジに入れられた。この保持の終了時に、これらチェイサー溶液が線形的に10分間にわたって添加され、53℃で20分間保持された。次いで、この反応物は室温まで冷却され、100メッシュの袋を通してろ過された。最終のエマルションポリマーは29.3%の固形分量およびpH=2.98を有していた。GCによると、全ポリマーの残留モノマー含量は5ppm未満であった。
【0034】
実施例6(レドックスペーパーコーティング例)
機械式攪拌装置、加熱マントル、熱電対、凝縮器、並びにモノマー、開始剤および窒素の添加のための入口を備えた3リットル丸底フラスコに、18.7グラムの28%ラウリル硫酸ナトリウムおよび731グラムの脱イオン水を入れた。この混合物は20ml/分の窒素フローと共に攪拌し、89℃に加熱されるようにセットされた。プラスチック裏打ち容器に、12.6グラムの28%ラウリル硫酸ナトリウムおよび630グラムの脱イオン水を入れてオーバーヘッド攪拌で混合した。19.8グラムのMA−20をこの容器に入れて、次いで、401.9グラムのアクリル酸エチル、および273グラムのメタクリル酸をゆっくりと添加し、安定なモノマーエマルションを形成した。68.2グラムの安定なモノマーエマルションシードがとっておかれた。0.48グラムの過硫酸ナトリウムおよび21.4グラムの脱イオン水を添加することによりケトル開始剤チャージが調製され、とっておかれた。0.35グラムのイソアスコルビン酸および75グラムの脱イオン水のコフィード活性化剤溶液が調製され、ケトルに添加するためのシリンジに入れられた。75グラムの脱イオン水および0.55グラムの過硫酸ナトリウムのコフィード触媒溶液が調製され、ケトルに添加するためのシリンジに入れられた。
【0035】
反応が所定の温度になったときに、モノマーエマルションシードがケトルに添加され、16グラムの脱イオン水ですすがれ、すぐ後にケトル開始剤チャージが入れられた。ケトル内容物は反応し、85℃に発熱し、次いで10分間保持された。この保持の完了時に、次いで、この反応物は60℃に冷却された。冷却中に、硫酸鉄七水和物の0.15%溶液21.45グラムおよび硫酸銅五水和物の0.15%溶液0.54グラムがこのケトルに添加された。
【0036】
反応温度が60℃で、55℃の底部目標温度に到達すると、0.797ml/分の速度で、94分間にわたる開始剤活性化剤および触媒コフィードが開始された。開始剤コフィード溶液の開始4分後に、14.18ml/分の速度で合計90分間にわたるモノマーエマルションコフィードが始まった。この反応の完了時に、フィードラインは30グラムの脱イオン水ですすがれ、55℃で20分間保持された。この保持中に、2組のチェイサー溶液が準備された。0.582グラムのイソアスコルビン酸を25グラムの脱イオン水に溶解し、シリンジに入れた。70%tert−ブチルヒドロペルオキシド0.423グラムが25グラムの脱イオン水と混合され、シリンジに入れられた。この保持の終了時に、1組目のこれらチェイサー溶液が線形的に10分間にわたって添加され、55℃で20分間保持された。2組目のこれらチェイサー溶液が線形的に10分間にわたって添加され、55℃で20分間保持された。次いで、この反応物は室温まで冷却され、100メッシュの袋を通してろ過された。最終のエマルションポリマーは28.3%の固形分量およびpH=2.6を有していた。GCによると、全ポリマーの残留モノマー含量は50ppm未満であった。
【0037】
本発明の実施例1、4、5および6のモノマー含量のまとめが下記の表に示される。
【表1】

【0038】
例7(比較)(86℃での熱)
モノマーエマルションは977gの水、37gのラウリル硫酸ナトリウム(28%)、182.9gのMA−23、556gのアクリル酸エチル、および554.1gのメタクリル酸を示された順に一緒にすることにより調製された。15gの脱イオン水中の1.43gの過硫酸アンモニウムからなる、チャージされる反応器開始剤が調製された。120gの脱イオン水中の0.57gの過硫酸アンモニウムからなる別のコフィードされる開始剤溶液が調製された。
【0039】
攪拌装置、還流凝縮器、熱電対、窒素入口およびフィード入口ポートを備えた5Lの4つ口フラスコに、1084gの水および37gのラウリル硫酸ナトリウムを入れた。この反応器内容物は窒素下で86℃に加熱され、反応器開始剤がチャージされた。この開始剤チャージのすぐ後に、モノマーエマルションおよびコフィード開始剤溶液がそれぞれ別々に反応器に、110分間にわたって均一な速度で添加され、その間温度は86℃に維持された。モノマーエマルションおよびコフィード開始剤フィードの完了時に、これらフィードラインは、それぞれ、65gの水および12グラムの水で反応器にすすがれた。この反応混合物は、次いで、60℃に冷却され、26gの硫酸第一鉄溶液(0.15%)、16gのtert−ブチルヒドロペルオキシド溶液(4.94%)および15gのイソアスコルビン酸溶液(3.8%)が反応器にショットで1分間隔で添加された。15分後、16gのtert−ブチルヒドロペルオキシド溶液(4.94%)および15gのイソアスコルビン酸溶液(3.8%)の別のショットが反応器に添加された。この反応混合物は40℃に冷却され、360gの酢酸ナトリウム溶液(0.9%)が添加された。次いで、190gのイソチアゾロン殺生物剤溶液(0.076%)が10分間にわたって反応器に供給された。この反応混合物は室温まで冷却され、100メッシュのスクリーンを通してろ過された。最終のエマルションポリマーは30.2%の固形分量であり、pH=4.2を有していた。残留モノマー含量は5ppm未満であった。
【0040】
例8(比較)(86℃での熱)
モノマーエマルションは977gの水、37gのラウリル硫酸ナトリウム(28%)、37gのMA−20、751.57gのアクリル酸エチル、および507.86gのメタクリル酸を示された順に一緒にすることにより調製された。15gの脱イオン水中の1.43gの過硫酸アンモニウムからなる、チャージされる反応器開始剤が調製された。120gの脱イオン水中の0.57gの過硫酸アンモニウムからなる別のコフィードされる開始剤溶液が調製された。
【0041】
攪拌装置、還流凝縮器、熱電対、窒素入口およびフィード入口ポートを備えた5Lの4つ口フラスコに、1084gの水および37gのラウリル硫酸ナトリウムを入れた。この反応器内容物は窒素下で86℃に加熱され、反応器開始剤がチャージされた。この開始剤チャージのすぐ後に、モノマーエマルションおよびコフィード開始剤溶液がそれぞれ別々に反応器に、110分間にわたって均一な速度で添加され、その間温度は86℃に維持された。モノマーエマルションおよびコフィード開始剤フィードの完了時に、これらフィードラインは、それぞれ、65gの水および12グラムの水で反応器にすすぎ入れられた。この反応混合物は、次いで、60℃に冷却され、26gの硫酸第一鉄溶液(0.15%)、16gのtert−ブチルヒドロペルオキシド溶液(4.94%)および15gのイソアスコルビン酸溶液(3.8%)が反応器にショットで1分間隔で添加された。15分後、16gのtert−ブチルヒドロペルオキシド溶液(4.94%)および15gのイソアスコルビン酸溶液(3.8%)の別のショットが反応器に添加された。この反応混合物は40℃に冷却され、360gの酢酸ナトリウム溶液(0.9%)が添加された。次いで、190gのイソチアゾロン殺生物剤溶液(0.076%)が10分間にわたって反応器に供給された。この反応混合物は室温まで冷却され、100メッシュのスクリーンを通してろ過された。最終のエマルションポリマーは29.45%の固形分量であり、pH=4.1を有していた。残留モノマー含量は5ppm未満であった。
【0042】
実施例9
強力液体洗濯配合物;実施例1(レドックスプロセス)と例2(熱プロセス)との比較
ベース配合物:
【表2】

【0043】
注:1.LABS=線状アルキルベンゼンスルホナート;
2.AEOS=アルキルエーテルスルファート(C1225(OCHCH2−4SONa);
3.NEODOL(ネオドール)25−7はC1327(CHCHO)Hである。
配合物は以下の順にオーバーヘッド機械混合を用いて調製された:1.水;2.NANSA SS;3.ESB70;4.ポリプロピレングリコール400;5.クエン酸ナトリウム;6.アルコールエトキシラート(ネオドール(Neodol)25−7)。
【0044】
【表3】

【0045】
ポリマーは、配合物中0.5%活性の濃度を達成するように混合しつつ前記ベースに添加された。最終pHがチェックされ、10%NaOH(水中)を用いて、最終配合物についてpH8.2〜8.5に調節された。
【0046】
レオロジー:TAインスツルメントアドバンストレオメーター(TA Instrument Advanced Rheometer)AR2000。サンプルはこのレオメーターを用いて測定され、低剪断で開始し高剪断まで20℃で、剪断速度に対する粘度(流動曲線;Flow Curve)を得た。
さらなる測定:配合物サンプルは20℃、1日で、標準ブルックフィールド(Brookfield)粘度計LV DVIIIウルトラを用いて測定された。(このレオロジー検討については)測定はスピンドル3を用いてなされた。
【0047】
【表4】

粘度はmPa・sで報告される。
【0048】
実施例10 ボディーウォッシュ配合物
【表5】

注:STEOL CS−230はステパンケミカル(Stepan Chemical)からの26%ナトリウムラウレススルファートである。
AMPHOSOL CAはステパンからの30%コカミドプロピルベタインである。
透明性はAFサイエンティフィック、マイクロ100濁度計を用いて測定された。
サンプル:例3−熱プロセス;実施例4−レドックス55℃プロセス
【0049】
工程:
1.DI水をRMポリマーと混合した。
2.STEOL CS−230を攪拌下で添加した。
3.10%KOH溶液でpHを6.1〜6.2に調節した。
4.AMPHOSOL CA添加剤を添加した。
5.脱イオン水で100グラムにして、pHをチェックした。
【0050】
【表6】

【0051】
実施例11 塗料データ
ラテックス塗料組成物における、会合性増粘剤の使用によって得られる性能が示される。増粘されていないラテックス塗料組成物であるプレ塗料1は以下の成分を合わせることによって調製された:
【0052】
【表7】

KRONOS(クロノス)4311はマサチューセッツ州ケルムスホールドのクロノス(KRONOS)インコーポレーティドの製品である。
TRITON(トライトン)X−405、ROPAQUE(ローパック)ウルトラおよびRHOPLEX(ロープレックス)SG−30はミシガン州ミッドランドのザダウケミカルカンパニーの製品である。
DREWPLUS(ドリュープラス)L−475はオハイオ州ダブリンのアッシュランド(Ashland)スペシャリティーケミカルカンパニーの製品である。
AMP−95はイリノイ州バッファローグローブのアンガスケミカルズ(Angus Chemicals)の製品である。
【0053】
配合された塗料は、935.5gのプレ塗料1に増粘剤および水を添加することにより得られた。最終的に配合された塗料の一定の固形分を維持するために、添加された増粘剤、AMP−95および水の合計重量は79.9gに等しい。最終的に配合された塗料の密度は1015.4ポンド/100ガロン(1.2kg/リットル)であった。増粘剤は15%固形分重量で水性分散物として添加された。
【0054】
配合された塗料は以下の方法で製造された。935.5gのプレ塗料1に、一定量の水性増粘剤分散物および一定量の水および一定量のAMP−95をゆっくりと添加し、10分間ラボミキサーで攪拌した。水性増粘剤分散物、AMP−95および水の合計量は79.9グラムであった。最終の塗料pHは8.9である。103KUの初期ストーマー(Stormer)粘度を有する塗料を提供するのに充分な増粘剤が添加された。以下のデータ提示において、増粘された塗料中の増粘剤濃度は添加された増粘剤の乾燥グラムで記載される。
【0055】
【表8】

【0056】
「ストーマー粘度」は、ストーマー粘度計で測定される中剪断粘度の指標である。ストーマー粘度計は、ASTM−D562に適合する回転パドル粘度計である。ストーマー粘度は、マサチューセッツ州ミドルボロのブルックフィールドエンジニアリングラボから入手可能なブルックフィールドクレブスユニット粘度計KU−1+で測定された。「KU」はクレブス単位を示す。
「ICI粘度」は、ICI粘度計として知られる、高剪断速度、コーンアンドプレート粘度計で測定され、ポイズの単位で表される粘度である。ICI粘度計はASTM D4287に記載されている。これは約10,000秒−1で塗料の粘度を測定する。塗料のICI粘度はリサーチイクイプメントロンドン(Research Equipment London)リミテッドによって製造された粘度計で測定された。同等のICI粘度計はミシガン州ロチェスターヒルズのエルコメーター(ELCOMETER)インコーポレーティドによって製造されたエルコメーター2205である。塗料のICIは、典型的には、塗料のブラシ塗りの際に受ける牽引力の量と相関する。
【0057】
実施例12 紙コーティング剤データ
172.5gのOMYACARB H−90炭酸カルシウム(オムヤ(Omya)からの76.09%固形分のスラリー)、61.48gのKAOGLOSS#1クレイ(71.16%固形分のスラリー)、39.16gのGENCRYL9780バインダー(ロムノバソリューションズ(Rohmnova Solutions)インコーポレーティドからの49.15%固形分)をベンチトップミキサーでブレンドすることによって、4つの同じ紙コーティングマスターバッチが製造された。1.17gの例8、15.13gの水および1.28gの15重量%水酸化ナトリウム水溶液を4つのマスターバッチのうちの1つに添加することにより、0.12%の例8で増粘されたコーティング剤が製造された。1.22gの実施例6、14.86gの水および1.58gの15重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、0.12%の実施例6で増粘されたコーティング剤が製造された。1.76gの例8、14.44gの水および1.75gの15重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、0.18%の例8で増粘されたコーティング剤が製造された。1.83gの実施例6、14.19gの水および1.98gの15重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、0.18%の実施例6で増粘されたコーティング剤が製造された。全ての紙コーティング剤の最終的なpHの値は8.6であった。測定値が記録される前に、これら紙コーティング剤は恒温室で25℃で1時間平衡化された。各コーティングについて、ÅÅ−GWR装置上でコーティングから水が失われる速度が3回測定された。より低い水喪失速度はより良好な水保持を示す。良好な水保持は紙コーティング剤に望まれる特性である。
【0058】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性に改質されたレオロジー調整剤を製造する方法であって、当該方法は
(i)(a)HC=C(R)C(O)X(CHCHO)(CH(R’)CHO)R’’;
(b)HC=C(R)CC(CHNHCO(CHCHO)(CH(R’)CHO)R’’;および、
これらの組み合わせ(式中、XはOもしくはNHであり、RはHもしくはCHであり、R’はC−Cアルキルであり;R’’はC−C22アルキル、C−C16アルキルフェニルもしくはC13−C36アラルキルフェニルであり;nは平均数6〜100であり、mは平均数0〜50であり、ただしn≧mおよびm+nは6〜100である):
からなる群から選択されるモノマー;並びに
(ii)C−Cカルボン酸モノマー:
を含むモノマー混合物を重合することを含み、
重合の少なくとも30%は酸化剤、還元剤および金属触媒の存在下で、かつ5個以上の炭素原子を有するアルキル基を含むペルオキシド、ヒドロペルオキシドまたはペルエステルの実質的に非存在下で起こる;
疎水性に改質されたレオロジー調整剤を製造する方法。
【請求項2】
酸化剤が過硫酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩およびこれらの組み合わせからなる群から選択され;重合がペルオキシド、ヒドロペルオキシド、またはペルエステルの実質的に非存在下で行われ;並びに、重合が水性乳化重合である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
還元剤がイソアスコルビン酸であり;並びに、金属触媒が鉄、銅およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
モノマー混合物が15〜60重量%のC−Cカルボン酸モノマー、1〜25重量%のHC=C(R)CO(CHCHO)(CH(R’)CHO)R’’、および25〜65重量%の(メタ)アクリル酸C−Cアルキルを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
R’’がC10−C22アルキルであり、nが15〜30であり、およびmが0〜5である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
モノマー混合物が15〜60重量%のC−Cカルボン酸モノマー、1〜25重量%のHC=C(R)CO(CHCHO)(CH(R’)CHO)R’’、および25〜65重量%の(メタ)アクリル酸C−Cアルキルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
R’’がC10−C22アルキルであり、nが15〜30であり、およびmが0〜5である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
−Cカルボン酸モノマーが(メタ)アクリル酸である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(メタ)アクリル酸C−Cアルキルがアクリル酸C−Cアルキルであり、R’’がC12−C20アルキルであり、nが18〜25であり、mが0〜3であり、およびRがメチルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
モノマー混合物が25〜55重量%の(メタ)アクリル酸、5〜25重量%のHC=C(R)CO(CHCHO)(CH(R’)CHO)R’’、および40〜60重量%のアクリル酸C−Cアルキルを含む、請求項9に記載の方法。

【公開番号】特開2011−236406(P2011−236406A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−28059(P2011−28059)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】