説明

疎水性ケイ酸の水分散体

疎水性ケイ酸を、pH0〜6で水相に分散し、次の工程において、塩基を添加することにより、ケイ酸分散体のpHを7〜12に調整する、疎水性ケイ酸の水分散体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性シリカの水分散体、それを調製する方法、エマルションを安定化させるためのその使用、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
シリカの水分散体は、半導体分野における金属表面の化学機械的平坦化において;例えば、インクジェット紙等の紙をコーティングするために;例えば、水系インク、塗料、接着剤、及びシール剤におけるレオロジー添加剤及び沈殿防止剤として;手袋等のラテックス製品の製造において;ゲル電池の製造において;並びに乳化剤を含まないピッカリングエマルションの安定化において利用されている。
【0003】
シリカの水分散体の流動性及びコロイド安定性は、pHに大きく影響を受ける。
したがって、シリカの水分散体は、特に中性範囲のpHレベルにおいて、高粘度及び本来備わっているコロイド不安定性を示す。
【0004】
シリカの水分散体は、一般的に、シリカ粒子の表面電荷を変化させることにより、静電的に安定化される。
【0005】
したがって、pHを塩基性の範囲に設定することによって、コロイド安定性且つ低粘度の親水性シリカの分散体が得られ得ることが、特許文献1から知られている。
この技術の問題点は、多くの用途で必要とされている中性点領域のpHレベル、即ちpH約7において、前記分散体の制御不能な粘度上昇が生じ、更にはゲル化する場合さえもあるという点であり、これは、例えば非特許文献1に示されている。pHが中性点を超えて更に低下すると、粘度も更に低下する。親水性シリカの水分散体の一部に見られるこの挙動は、例えば、複雑な混合物の配合中に生じ得るようなpHの小さな変化でさえも、配合物の流動性を制御不能に変動させる恐れがあるという問題点を有する。
【0006】
更に、シリカの水分散体は、アルミニウム塩を用いて安定化させ得ることが特許文献2〜4から、またアルミン酸塩を用いて安定化させ得ることが特許文献5から知られている。
この技術の問題点は、中性点の領域、即ちpH7において、これら分散体が不安定になる傾向があり、それによって制御不能な粘度上昇が生じ、更にはゲル化する場合さえあるという点である。更に、アルミニウム塩の添加は、例えば、インクジェット紙のコーティング、及び例えば、水系エポキシ樹脂のレオロジー制御等の特定の用途において、悪影響を及ぼす場合もある。
【0007】
更に、例えば、水系コーティング、シール剤、及び接着剤で典型的に用いられている結合剤等のオリゴマー又はポリマーを、親水性シリカが不可逆的に吸着する傾向が顕著であるため、水性系のレオロジー制御のために親水性シリカを使用することは問題である。したがって、ポリマー架橋又は立体安定化の結果として、シリカ物品の湿潤性の制御困難な変化、及び不適切な保存安定性が生じる。
【0008】
特許文献6は、部分的に疎水性であるシリカの水分散体、即ち、0.9シラノール基/nm〜1.7シラノール基/nmのシラノール基密度を有し、炭素含量が0.1%〜2%であり、且つメタノール数が30未満であるシリカの水分散体の調製について開示している。これら分散体は、不適切に分散した粒子の割合が高いという問題点が明らかになっている。例えば、コーティング又はシール剤等の用途では、これら粒子が表面を破壊するため、光学的外観が悪化する恐れがある。
【0009】
特許文献7は、疎水性シリカの水分散体について開示している。工業関連で用いられる水分散体のシリカ充填度は10%超であるが、しかしながら、前記分散体は、高粘度且つペーストの形成を示し、工業用途には不適である。
【0010】
有機溶媒、乳化剤、湿潤剤、又は保護コロイドを添加した、疎水性シリカの水分散体の調製も、例えば、特許文献8から同様に知られている。この場合の問題点は、これら添加剤が、固体基材の湿潤性、及び配合物の安定性の少なくともいずれかを低下させることが多い点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許第4006392号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1124693A1号明細書
【特許文献3】欧州特許第736489号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10238463A1号明細書
【特許文献5】米国特許第2,892,797号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第102005012409号明細書
【特許文献7】欧州特許第0367934B1号明細書
【特許文献8】独国特許第10316661号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】D.Heath,T.F.Tadros,J.Colloid Interface Sci.1983,93,320
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、先行技術の問題点を克服することであり、具体的には、固体含量の高い、安定な疎水性シリカの水相分散体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、pH0〜6において水相に疎水性シリカを分散させ、更なる工程において、塩基を添加することにより、シリカ分散体のpHを7〜12に調整することを含む、疎水性シリカの水分散体を調製する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
驚くべきことに、また当業者が全く予測不可能であったように、分散の結果として、pH0〜6において疎水性シリカを水相に分散させ、更なる工程において、塩基を添加することにより、シリカ分散体のpHを7〜12に調整したところ、固体含量が高く、且つシリカ凝集体の等価水力直径の分布幅が狭い疎水性シリカの分散体が得られ、これら分散体は、7〜12のpH範囲において、長期間保存した後でさえも優れたコロイド安定性を示し、5〜8のpH範囲において、局所粘度の最大値又は絶対粘度の最大値を示さない、即ち、粘度が連続的に増加することを見出した。
【0016】
コロイドが安定であるとは、4週間の保存期間中、分散体の粘度の著しい増加が全く見られず、且つ動的光散乱を用いて測定した平均粒径が一定に保たれることを意味する。コロイド安定性は、適切な保存性にとって必須である。保存過程において、粘度の増加が制御不能であり、更にはゲル化する場合さえもある水分散体は、高い粘度がポンプ輸送又は撹拌等の加工操作に悪影響を及ぼすため、更なる加工には適していないことが多い。
【0017】
pHの低下に伴って粘度が連続的に増加することは、先行技術から知られているpH依存性の粘度変動に対して有利である。その理由は、既定のpHに設定した場合、不所望の、部分的に制御不能な高粘度領域、即ち、管理がより困難である領域が生じないためである。
【0018】
この文脈において、疎水性シリカとは、例えば、欧州特許第686676B1号明細書又は欧州特許出願公開第1433749A1号明細書に記載されているような、表面が修飾されている、好ましくはシリル化されている、無極性ヒュームドシリカを意味する。
【0019】
本発明に従って使用されるシリカでは、疎水性シリカは、シリカ表面が疎水化、即ち、シリル化されていることを意味する。
【0020】
本発明に従って使用される疎水性シリカのシラノール基密度は、1.8シラノール基/nm未満が好ましく、1.0シラノール基/nm未満がより好ましく、0.9シラノール基/nm未満が非常に好ましい。
【0021】
本発明に従って使用される疎水性シリカの炭素含量は、0.4重量%以上が好ましく、0.5重量%〜10重量%がより好ましく、0.75重量%〜5重量%が非常に好ましいが、但し上記重量は疎水性シリカに基づくものである。
【0022】
本発明に従って使用される疎水性シリカのメタノール数は、0超が好ましく、20超がより好ましく、40超が非常に好ましい。
【0023】
本発明に従って使用される疎水性シリカのDBP数(ジブチルフタレート数)は、250未満が好ましく、250〜150がより好ましい。
【0024】
シラノール基密度は、G.W.Sears,Anal.Chem.1956,28,1981に記載されているように、酸−塩基滴定を用いて得ることができ、炭素含量は、元素分析を用いて測定することができ、メタノール数は、シリカを完全に湿潤させるために、即ち、シリカを試験液体に完全に沈めて混和させるために、水相に添加しなければならないメタノールの百分率である。
【0025】
本発明の分散体を調製するための好ましい方法では、好ましくはpH0〜7で、好ましくはpH0.5〜5で、より好ましくはpH1〜3で、疎水性シリカを水相に添加し、好ましくは自発的湿潤によって混和させるか、例えば、混転混合機等を用いて振盪することにより、又は例えば、剪断スロット内で強制的に湿潤している状態で、クロスアーム攪拌機、溶解機、ロータステータシステム、若しくは誘導機を用いて撹拌することにより、強制湿潤によって混和させる。この状況では、好ましくは疎水性シリカの添加中、混和中、及びその後の分散中、一定間隔で、pHをモニタし、少しでも逸脱した場合は、酸又は塩基を添加することにより、pHを所望の標的レベルに修正することが有利であると証明されている。pHレベルの調整又は修正は、市販の有機酸及び無機酸、即ち、好ましくは、塩酸若しくは気体HCl、HNO水溶液若しくは無水HNO、HSO、HPO、p−トルエンスルホン酸、クエン酸等のブレンステッド酸、好ましくは塩酸若しくは気体HCl、HNO水溶液若しくは無水HNO、HSO、HPO等の無機酸、より好ましくはHPO;又は好ましくは、アンモニア水溶液若しくは気体アンモニア、NaOH水溶液若しくは無水NaOH、KOH、CaCO、CaO、Naメトキシド、若しくは有機アミン等のブレンステッド塩基、好ましくは、アンモニア水溶液若しくは気体アンモニア、NaOH水溶液若しくは無水NaOH、KOHを用いて行うことができる。
【0026】
所望のシリカ濃度に達した後、及びその後分散させた後、必要な場合は、塩基を添加することにより、シリカ分散体のpHを本発明の範囲である5〜12に調整することが好ましい。pH調整は、好ましくは低剪断条件下で、即ち、2.5m/s以下、好ましくは2m/s以下、より好ましくは1m/s以下の周速の、低速溶解機、クロスアーム攪拌機、パドル攪拌機、静電混合機、及び他の機器等の、剪断効果の低い混合装置を用いて行うことが好ましい。酸性条件下におけるシリカ濃度は、分散体の総重量に基づいて、10重量%超が好ましく、10重量%〜60重量%がより好ましく、15重量%〜55重量%が非常に好ましく、20重量%〜50重量%が特に好ましく、特別な実施形態では、20重量%〜30重量%である。
【0027】
pHレベルの調整又は修正は、市販の有機酸及び無機酸、即ち、好ましくは、塩酸若しくは気体HCl、HNO水溶液若しくは無水HNO、HSO、HPO、p−トルエンスルホン酸、クエン酸等のブレンステッド酸、好ましくは塩酸若しくは気体HCl、HNO水溶液若しくは無水HNO、HSO、HPO等の無機酸、より好ましくはHPO;又は好ましくは、アンモニア水溶液若しくは気体アンモニア、NaOH水溶液若しくは無水NaOH、KOH、CaCO、CaO、Naメトキシド、若しくは有機アミン等のブレンステッド塩基、好ましくは、アンモニア水溶液若しくは気体アンモニア、NaOH水溶液若しくは無水NaOH、KOHを用いて行うことができる。
【0028】
例えば10重量%未満等、粒子濃度が低い場合、一般に、液体に粒子を混和させるには、単に撹拌するだけで十分である。高剪断速度で粒子を液体に混和させることが好ましい。
【0029】
混和前、疎水性シリカは、例えば、袋等に包装された形態であってもよく、又は例えば、サイロ若しくは大型コンテナ等に包装していない状態で保存されていてもよい。疎水性シリカは、袋を振盪させるか、重量を測定しながら又は測定せずに計量供給サイロを用いるか、圧縮空気膜ポンプ又はファン等の好適な輸送設備を用いて保存サイロ又は大型コンテナから直接輸送することにより、計量供給することができる。
【0030】
混和後、又は混和と並行して、粒子を分散させる。並行分散が好ましい。並行分散とは、シリカの水相への計量供給添加及び混和が、分散操作と同時に開始されることを意味する。分散は、容器内の分散系を用いることにより、又は分散部材を含む外部パイプライン中に容器からポンプで循環させることにより(好ましくは、容器に戻る閉ループ再循環を伴う)行うことができる。部分的再循環及び部分的連続回収を用いて、この操作を連続的に行い得ることが好ましい。これらの目的に好適な装置としては、好ましくは、周速1m/s〜50m/sの高速攪拌機、高速溶解機、例えば、高速ロータステータシステム、ソノレータ、剪断ギャップ、ノズル、又はボールミルが挙げられる。
【0031】
シリカの混和及び分散は、好ましくは、例えば、Ystral製Conti TDS4等の誘導機を用いて行い得る。この場合、粉末疎水性シリカは、吸引、真空、又は例えばポンプを用いる強制運搬により、剪断ギャップに直接計量供給される。
【0032】
疎水性シリカを分散させるために、好ましくは、5Hz〜500kHz、好ましいくは、10kHz〜100kHz、特に好ましくは、15kHz〜50kHzの超音波を使用することが特に適しており、超音波分散は、連続的に行ってもよく、不連続的に行ってもよい。超音波分散は、超音波チップ等の個々の超音波変換器によるか、又は1以上の超音波変換器を含み、必要に応じてパイプライン若しくはパイプ壁により隔てられている、連続流システム内で行われ得る。
【0033】
分散は、適切な場合、例えば、溶解機又は誘導機を用いて予備的に分散させた後、超音波処理を用いて細かく分散させる等、異なる方法を組み合わせて行うこともできる。
【0034】
分散は、30℃〜90℃が好ましく、35℃〜80℃がより好ましく、40℃〜75℃が非常に好ましく、ある特別な実施形態では、40℃〜60℃である温度範囲において、高温で行われることが好ましい。
【0035】
熱処理は、分散操作中に生じる熱、及び加熱ジャケットを用いる電気加熱、加熱コイルを介した蒸気加熱等の外部熱源の少なくともいずれかを用いて行われることが好ましい。適切な場合、例えば、冷却媒体の充填された冷却ジャケット又は冷却コイル等を用いて、温度を制御するために、更に冷却を行ってもよい。
【0036】
本発明の調製は、バッチプロセス及び連続プロセスで行うことができる。連続プロセスが好ましい。
【0037】
微細分散は、高濃度マスターバッチ分散体に実施し、その後所望の最終濃度に希釈することが好ましい。マスターバッチ分散体は、分散体の総重量に基づいて、好ましくは20重量%超、より好ましくは20重量%〜60重量%、非常に好ましくは25重量%〜55重量%、特に好ましくは25重量%〜50重量%の疎水性シリカを含有する。
【0038】
1つの特に好ましい手順では、マスターバッチをDI水(完全に脱イオンされた水=DI水)で予備希釈し、次いでpHを酸性から塩基性に逆転させ、この予備希釈後、pHを調整し、最終工程で、DI水の添加により所望の固体含量に設定する。
【0039】
本発明の分散体を調製するために、純水を使用することが好ましく、100μS/cm未満の導電率を有する完全に脱イオンされた(DI)水が好ましい。
【0040】
本発明の分散体の導電率は、20mS/cm未満が好ましく、15mS/cm未満がより好ましく、10mS/cm未満が非常に好ましい。
【0041】
本発明の方法は、実施が非常に容易であり、且つ疎水性シリカの固体含量が非常に高い水分散体を調製できるという利点を有する。
【0042】
本発明の分散体の疎水性シリカ含量は、分散体の総重量に基づいて、10重量%超が好ましく、10重量%〜60重量%がより好ましく、15重量%〜55重量%が特に好ましく、20重量%〜50重量%が非常に特に好ましく、1つの特別な実施形態では、20重量%〜30重量%である。
【0043】
疎水性シリカ含量の高い本発明の水分散体は、具体的には、pH7〜12であることが好ましく、pH7.5〜11であることが好ましく、pH8〜10.5であることが特に好ましいことを特徴とする。
【0044】
本発明の疎水性シリカの水分散体は、具体的には、等価水力直径のサイズ分布が狭いことを特徴とする。これは、光子相関分光法を用いた粒径測定値の多分散指数(PDI)は、0.5未満が好ましく、0.4未満がより好ましく、0.3未満が非常に好ましく、1つの特別な実施形態では、0.25未満であることを意味する。
【0045】
本発明の疎水性シリカの水分散体は、具体的には、等価水力直径のサイズ分布が最大で二峰性を有する、即ち、サイズ分布が、2つの離れた単峰性分布の最大値を有することを特徴とする。第1の単峰性分布の最大値又は最頻値は、0nm〜500nmに存在することが好ましく、第2の単峰性分布の最大値又は最頻値は、500nm〜5,000nmに存在することが好ましい。500nm〜5,000nmにおける第2の単峰性分布の強度は、両方の分布の合計強度の50%以下が好ましく、両方の分布の合計強度の25%以下がより好ましく、両方の分布の合計強度の10%以下が特に好ましく、1つの特別な実施形態では、500nm〜5,000nmの範囲に検出可能な第2の単峰性分布は存在しない、即ち、分布全体が単峰性である。
【0046】
疎水性シリカ含量の高い本発明の水分散体は、具体的には、pH7〜12、好ましくはpH7.5〜11、特に好ましくはpH8〜10.5で低粘度分散体を得られ得ることを特徴とする。これは、好ましくは、pHが8〜10.5であり、且つシリカ含量が20重量%〜30重量%である分散体が、1,000mPas未満、好ましくは800mPas未満、特に好ましくは700mPas未満、非常に好ましくは500mPas未満の粘度を有することを意味し、前記粘度は、測定間隔105μm、25℃、及び剪断速度100s−1にて、コーンプレートセンサシステムを用いて測定される。
【0047】
疎水性シリカ含量の高い本発明の水分散体は、分散体のpHが9から4へと段階的又は連続的に低下するのと同時に、粘度も段階的連続的に増加するが、いかなる局所粘度の最大値、即ち、典型的な実験によるばらつきを超える値も生じないことを更に特徴とする。これは、具体的には、好ましくは、pH9における剪断粘度(η)及びpH7における剪断粘度(η)から得られる比η7/9=η/ηと、pH7における剪断粘度(η)及びpH4における剪断粘度(η)から得られる比η4/7=η/ηが、各々1以上、好ましくは1〜1,000、より好ましくは1〜500、非常に好ましくは1〜100の値を有することを意味し、前記粘度は、測定ギャップ105μm、25℃、及び剪断速度100s−1にて、コーンプレートセンサシステムを用いて測定される。
【0048】
疎水性シリカ含量の高い本発明の水分散体は、優れた保存安定性を示すことを更に特徴とする。これは、好ましくは8〜10.5の範囲のpHを有する分散体の粘度が、40℃で4週間保存した後、分散体の調製直後の粘度と比較して、5倍以下、好ましくは2.5倍以下、より好ましくは2.0以下、非常に好ましくは1.5倍以下しか上昇しないことを意味する。前記粘度は、測定間隔105μm、25℃、及び剪断速度100s−1にて、コーンプレートセンサシステムを用いて測定される。
【0049】
疎水性シリカ含量の高い本発明の水分散体は、優れた保存安定性を示すことを更に特徴とする。これは、好ましくは8〜10.5の範囲のpHを有する分散体が、40℃で4週間保存した後、100Pa未満、好ましくは10Pa未満、より好ましくは1Pa未満、非常に好ましくは0.1Paの降伏点を有することを意味し、前記降伏点は、いずれの場合も、Q.D.Nguyen,D.Boger,J.Rheol.1985,29,335に従って、25℃でベーン法を用いて測定される。
【0050】
本発明の分散体は、好ましくはpH7〜12において、負のゼータ電位を示すことを更に特徴とする。pH9におけるゼータ電位は、−5mV未満が好ましく、−10mV未満がより好ましく、−15mV未満が非常に好ましい。ゼータ電位は、例えば、Dispersion Technologies製ゼータ電位プローブDT300を用いて、コロイド振動電位を測定することにより、又はMalvern Instruments製Zetasizer ZSを用いてレーザドップラー速度計測により電気泳動移動度を測定することにより、測定することができる。
【0051】
本発明の分散体は、好ましくは、4超のpHにおいて等電点(iep)を有することを更に特徴とし、前記等電点は、ゼータ電位の値がゼロであるときの分散体のpHとして定義される。
【0052】
本発明の分散体は、分散した粒子が、好ましくは、微粉焼結凝集体の形態であることを更に特徴とする。
【0053】
前記焼結凝集体は、準弾性光散乱を用いて粒径を測定する場合、測定された等価水力直径が、式a=6/ABET×d(式中、ABETは、DIN66131に従って窒素吸着を用いて測定したときの、初期疎水性シリカのBET比表面積であり、dは、一次粒子の密度である)に従って算術的に得ることができる一次粒子の直径よりも、いずれの場合も100m/gの比表面積に基づいて、好ましくは少なくとも2倍、好ましくは2.5倍〜50倍、より好ましくは2.8倍〜30倍大きく、比表面積がより小さい又は大きい場合、倍数は上記式に従って直線的に減少又は増加することを特徴とする。
【0054】
本発明の分散体は、必要に応じて、メチルイソチアゾロン又はベンゾイソチアゾロン等の殺真菌剤又は殺細菌剤を含むことを更に特徴とする。
【0055】
本発明の水分散体における、殺真菌剤又は殺細菌剤以外の更なる有機アジュバント、例えば、好ましくは有機溶媒等の量は、分散体の総重量に基づいて、5重量%未満が好ましく、1重量%未満がより好ましく、0.5重量%未満が非常に好ましく、特に0.1重量%未満であり、1つの特別な実施形態では、殺真菌剤又は殺細菌剤以外の更なる有機アジュバント、例えば、有機溶媒等を更に添加しない。
【0056】
具体的には、有機分散助剤又は無機分散助剤、例えば、好ましくは、界面活性剤、保護コロイド、又は疎水性シリカ等の同一若しくは異なる表面添着(surface loading)を有する他の微粉金属酸化物、即ち、本発明の水分散体中の疎水性シリカ等の、同一若しくは異なるゼータ電位を有する他の微粉金属酸化物等の量は、分散体の総重量に基づいて、5重量%未満が好ましく、1重量%未満が好ましく、0.5重量%未満がより好ましく、特に、本発明の水分散体は、有機分散助剤又は無機分散助剤を含有しない。
【0057】
疎水性シリカ粒子の平均一次粒径d−PPは、0.5nm〜1,000nmが好ましく、5nm〜100nmがより好ましく、5nm〜50nmが非常に好ましい。前記平均一次粒径を測定する好適な方法は、例えば、電界放射モードの透過電子顕微鏡、又は高解像度走査電子顕微鏡である。
【0058】
疎水性シリカ粒子の平均二次構造粒径又は凝集体粒径d−Aggrは、等価水力直径として測定したとき、25nm〜5,000nmが好ましく、50nm〜800nmがより好ましく、75nm〜500nmが非常に好ましい。
【0059】
前記粒径を測定する好適な方法は、例えば、0.01重量%未満の濃度を測定するために後方散乱で実施される、及び/又は多重散乱に対する交差相関を用いて補正される、動的光散乱又は光子相関分光法である。
【0060】
本発明は、本発明の分散体を用いる、粒子安定化O/Wエマルション(ピッカリングエマルション)の調製を更に提供する。
この際、下記の方法により最良の結果が得られることを見出した。
【0061】
好ましくはpH9において低粘度である本発明の分散体は、例えば、プロトン酸である塩酸を添加することにより、好ましくはpH5未満に酸性化されることが好ましい。次いで、好ましくは乳化により、この時点では高粘度であるシリカ分散体に油相を混和させる。前記乳化は、例えば、溶解機、ロータステータシステム等の高速混合装置、ウルトラソニケータ、又は他の乳化機を用いて行うことが好ましい。必要に応じて、全ての量の油が混和した後に、水を更に計量供給してもよい。これは、剪断条件下で、又は単なる撹拌を用いて行うことができる。
【0062】
必要に応じて、先ず油相を投入し、次いで、好ましくは、例えば溶解機、ロータステータシステム等の高速混合装置を用いるか、又はウルトラソニケータ内で、撹拌しながら分散させることにより、本発明の分散体を混和させることも可能である。
【0063】
得られたエマルションに、必要に応じて、好ましくは、例えば高圧ホモジナイザ、又は連続流超音波セルで行われる操作等、エマルションの性質を改善するための更なる乳化操作を実施してもよい。
【0064】
必要に応じて、得られるエマルションのpHは、酸、例えば塩酸、又は塩基、例えばNaOH水溶液を添加することにより、所望のレベルに調整され得ることが好ましい。これは、好ましくは、例えば溶解機内で、単に撹拌しながら、又は剪断条件下で行うことができる。単に撹拌しながら混和させることが好ましい。
【0065】
必要に応じて、エマルションの粘度を上昇させるために、好ましくは電解質、例えばNaClを添加することにより、エマルションの水相のイオン強度を所望のイオン強度に調整してもよい。これは、好ましくは、例えば溶解機内で、単に撹拌しながら、又は剪断条件下で行うことができる。単に撹拌しながら混和させることが好ましい。
【0066】
粘度を上昇させるために、好ましくは1×10−4モル/L〜10モル/L、より好ましくは0.5×10−3モル/L〜5モル/L、より好ましくは1×10−3モル/L〜1モル/Lの電解質をエマルションに添加することが可能である。
【0067】
本発明は、更に、本発明の水分散体の使用に関し、好ましくは、例えば腐食制御のための、金属、例えば、鋼又は鉄等の鉱物基材等の表面のコーティングにおける使用に関する。
【0068】
本発明は、更に、本発明の水分散体の使用に関し、好ましくは、インク、塗料、合成樹脂、接着剤、及びシール剤、特に水ベースで製造されるものの調製における使用に関する。
【0069】
本発明は、特にレオロジーを調整及び制御するための、好ましくは、インク、塗料、合成樹脂、接着剤、及びシール剤の調製における本発明の水分散体の使用に関する。
【0070】
本発明は、特に、表面上で使用するために、例えば調製品の引っ掻き耐性及び流動性を改善する等、調製品の機械的性質を改善するための、好ましくは、インク、塗料、合成樹脂、接着剤、及びシール剤の調製における本発明の水分散体の使用に関する。
【0071】
本発明は、更に、本発明の分散体を含む表面コーティングを提供する。
【0072】
本発明は、印刷媒体のコーティング、特に非接触印刷過程において使用される紙のコーティングにおける本発明の水分散体の使用に関し、前記紙の例は、インクジェットプリンタ用紙、特に、高光沢紙である。
【0073】
上記式中の上記記号は全て、いずれの場合も互いに独立して、各々の定義を有する。全ての式において、ケイ素原子は四価である。
【0074】
本発明の目的のために、いずれの場合も特に指示しない限り、量及び百分率の数字は、全て重量により、百分率の数字は、全て総重量に基づき、温度は、全て20℃であり、圧力は、全て1.013バール(abs.)である。粘度は、全て25℃で測定される。
【0075】
本発明は、好ましくは、半導体分野における、表面の化学機械的平坦化における、本発明の水分散体の使用に関する。
【実施例】
【0076】
(実施例1)
BET比表面積が200m/gである親水性出発シリカをジメチルジクロロシランで処理することにより得られた、残留シラノール含量が50%であり、炭素含量が1.3%である、疎水性ヒュームドシリカ(ワッカー ケミーAG、ミュンヘンから商品名HDK(登録商標)H20として入手可能)300gを、5,000rpm〜8,000rpmの溶解機で、少しずつ分散させることにより、完全に脱イオン化されたDI水450gに混和させる。HPO水溶液を計量供給添加することにより、分散体のpHを2〜2.5に維持する。シリカを全て添加した後、8,000rpm、温度45℃〜50℃で30分間分散を続ける。次いで、得られる低粘度分散体を、ゆっくりと撹拌しながらDI水550gで希釈し、NaOH水溶液を用いてpHを9にする。可動性の高いシリカ分散体が得られ、その分析データを表1に要約する。
【0077】
(実施例2)
BET比表面積が300m/gである親水性出発シリカをジメチルジクロロシランで処理することにより得られた、残留シラノール含量が50%であり、炭素含量が1.9%である、疎水性ヒュームドシリカ(ワッカー ケミーAG、ミュンヘンから商品名HDK(登録商標)H30として入手可能)300gを、5,000rpm〜8,000rpmの溶解機で、少しずつ分散させることにより、完全に脱イオン化されたDI水450gに混和させる。HPO水溶液を計量供給添加することにより、分散体のpHを2〜2.5に維持する。シリカを全て添加した後、8,000rpm、温度45℃〜50℃で30分間分散を続ける。次いで、得られる低粘度分散体を、ゆっくりと撹拌しながらDI水550gで希釈し、NaOH水溶液を用いてpHを9にする。可動性の高いシリカ分散体が得られ、その分析データを表1に要約する。
【0078】
(実施例3)
欧州特許出願公開第1433749 A1号に従って、BET比表面積が200m/gである親水性出発シリカ(ワッカー ケミーAG、ミュンヘンから商品名HDK(登録商標)N20として入手可能)をジメチルジクロロシランと反応させることにより得られた、残留シラノール含量が72%であり、炭素含量が0.6%である、疎水性ヒュームドシリカ300gを、5,000rpm〜8,000rpmの溶解機で、少しずつ分散させることにより、完全に脱イオン化されたDI水450gに混和させる。HPO水溶液を計量供給添加することにより、分散体のpHを2〜2.5に維持する。シリカを全て添加した後、8,000rpm、温度45℃〜50℃で30分間分散を続ける。次いで、得られる低粘度分散体を、ゆっくりと撹拌しながらDI水550gで希釈し、NaOH水溶液を用いてpHを9にする。可動性の高いシリカ分散体が得られ、その分析データを表1に要約する。
【0079】
(実施例4)
BET比表面積が150m/gである親水性出発シリカをジメチルジクロロシランで処理することにより得られた、残留シラノール含量が50%であり、炭素含量が1.0%である、疎水性ヒュームドシリカ(ワッカー ケミーAG、ミュンヘンから商品名HDK(登録商標)H15として入手可能)750gを、5,000rpm〜8,000rpmの溶解機で、少しずつ分散させることにより、完全に脱イオン化されたDI水1,000gに混和させる。HPO水溶液を計量供給添加することにより、分散体のpHを2〜2.5に維持する。シリカを全て添加した後、8,000rpm、温度45℃〜50℃で30分間分散を続ける。次いで、得られる低粘度分散体を、ゆっくりと撹拌しながらDI水800gで希釈し、NaOH水溶液を用いてpHを9にする。可動性の高いシリカ分散体が得られ、その分析データを表1に要約する。
【0080】
(実施例5)
欧州特許出願公開第1433749 A1号に従って、BET比表面積が200m/gである親水性出発シリカ(ワッカー ケミーAG、ミュンヘンから商品名HDK(登録商標)N20として入手可能)をジメチルジクロロシランと反応させることにより得られた、残留シラノール含量が72%であり、炭素含量が0.6%である、疎水性ヒュームドシリカ750gを、5,000rpm〜8,000rpmの溶解機で、少しずつ分散させることにより、完全に脱イオン化されたDI水1,000gに混和させる。HPO水溶液を計量供給添加することにより、分散体のpHを2〜2.5に維持する。シリカを全て添加した後、8,000rpm、温度45℃〜50℃で30分間分散を続ける。次いで、得られる低粘度分散体を、ゆっくりと撹拌しながらDI水800gで希釈し、NaOH水溶液を用いてpHを9にする。可動性の高いシリカ分散体が得られ、その分析データを表1に要約する。
【0081】
(実施例6)
BET比表面積が200m/gである親水性出発シリカをジメチルジクロロシランで処理することにより得られた、残留シラノール含量が50%であり、炭素含量が1.3%である、疎水性ヒュームドシリカ(ワッカー ケミーAG、ミュンヘンから商品名HDK(登録商標)H20として入手可能)350gを、5,000rpm〜8,000rpmの溶解機で、少しずつ分散させることにより、完全に脱イオン化されたDI水1,000gに混和させる。HPO水溶液を計量供給添加することにより、分散体のpHを2〜2.5に維持する。シリカを全て添加した後、8,000rpm、温度45℃〜50℃で30分間分散を続ける。次いで、得られる低粘度分散体を、ゆっくりと撹拌しながらDI水800gで希釈し、NaOH水溶液を用いてpHを9にする。次いで、45℃で安定化させた低粘度分散体を、連続流超音波セル(Hielscher製、24kHz、400W)を通して、5mL/分〜10mL/分の流速で汲み上げた。可動性の高いシリカ分散体が得られ、その分析データを表1に要約する。
【0082】
(実施例7:比較例)
BET比表面積が200m/gである親水性出発シリカをジメチルジクロロシランで処理することにより得られた、残留シラノール含量が50%であり、炭素含量が1.3%である、疎水性ヒュームドシリカ(ワッカー ケミーAG、ミュンヘンから商品名HDK(登録商標)H20として入手可能)300gを、300rpm〜600rpmの溶解機で、少しずつ分散させることにより、完全に脱イオン化されたDI水1,000gに混和させる。NaOH水溶液を計量供給添加することにより、分散体のpHを9〜9.5に維持する。シリカを全て添加した後、6,000rpmで30分間分散を続け、懸濁液を20℃に冷却する。シリカ分散体が得られ、その分析データを表1に要約する。
【表1】

−分散体の固体含量は、以下の方法により測定した:磁製皿内で10gの水分散体を等量のエタノールと混合し、一定重量になるまで、N通気した150℃の乾燥オーブン内で蒸発させる。以下のように、乾燥残渣の質量mから固体含量が求められる:
固体含量(%)=m×100/10g
−分散体のゼータ電位は、以下の方法により測定した:分散体と同じpHを有するDI水を用いて、シリカ濃度が約1.5重量%になるように分散体を希釈する。Malvern Instruments製Zetasizer ZSを用いて、9.2〜2のpH範囲に亘ってゼータ電位を測定し、自動滴定装置を用いてpHを1ずつ調整する。
−分散体の粘度は、25℃及び剪断速度D=100s−1で、コーンプレートセンサシステム(測定間隔105μm)を備えるHaake製RS600レオメータを用いて測定した。
−焼結凝集体の平均粒径は、光子相関分光法を用いて以下の方法により測定した:分散体と同じpHを有するDI水を用いて、シリカ濃度が約0.3重量%になるように分散体を希釈する。Malvern Instruments製Zetasizer ZSを用いて、25℃で、後方散乱においてサンプルを測定する。凝集体の平均粒径は、z−平均(キュムラント平均)であり、シリカ凝集体の等価水力直径に一致する。500nm〜5,000nmにおける単峰性分布の相対強度Irelは、以下の式により求められる:Irel=I(500〜5,000)/I(0〜500)+I(500〜5,000)(式中、I(0〜500)及びI(500〜5,000)は、それぞれ0nm〜500nm及び500nm〜5,000nmにおける単峰性分布の絶対シグナル強度である)。PDIは、自己相関関数のキュムラント分析における第2のパルスの比を、キュムラント分析における平均減衰定数で除することにより求められる、多分散指数である。
−pHは、pH電極の組み合わせを用いて測定した。
【0083】
(実施例8:エマルションの調製)
固体含量が23重量%である、実施例1に記載のシリカ分散体54gを、500mLのステンレス鋼製ビーカーに入れる。塩酸を添加して、pHを約5に設定する。Ultraturraxを用いて10,000rpmで撹拌しながら、且つ水で冷却しながら、約15分間に亘って計量供給することにより、100mPasの粘度を有するポリジメチルシロキサン(ワッカー ケミーGmbH、ミュンヘン(ドイツ)から商品名「AK100」として入手可能)150gと、この時点で高粘度である懸濁液をゆっくりと混合する。この添加中、混合物の温度を60℃超に上昇させてはならない。この時点では高粘度である、得られた硬い塊を、同様に10,000rpmで、15分間に亘って、DI水108gとゆっくりと混合する。この添加中、混合物の温度を60℃超に上昇させてはならない。可動性の高い、白色のO/Wエマルションが得られ、その分析データを表2に要約する。
【表2】

−平均滴径d50は、セル測定を用いてSympatec Helos/BFによるフラウンフォーハーレーザー回折を用いて測定した。
−pHは、pH電極の組み合わせを用いて測定した。
−エマルションの粘度は、25℃及び剪断速度D=10s−1で、コーンプレートセンサシステム(測定間隔105μm)を備えるHaake製RS600レオメータを用いて測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性シリカを、pH0〜6で水相に分散し、更なる工程において、塩基を添加することにより、シリカ分散体のpHを7〜12に調整することを特徴とする、疎水性シリカの水分散体を調製する方法。
【請求項2】
分散が、30℃〜90℃の温度で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸性分散体中のシリカ濃度が、10重量%〜60重量%である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
酸性分散体を希釈した後、pHを7〜12のレベルに調整する請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
pH調整が、最低剪断力を用いて行われる請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
pHが7〜12であり、且つ多分散指数が0.5未満であることを特徴とする疎水性シリカの水分散体。
【請求項7】
粒径分布が2つ以下の分離された単峰性分布を有し、第1の単峰性分布の最大値が0nm〜500nmに存在し、且つ第2の単峰性分布の最大値が500nm〜5,000nmに存在する請求項6に記載の疎水性シリカの水分散体。
【請求項8】
請求項6若しくは7に記載の分散体、又は請求項1から5のいずれかに記載の方法で調製された分散体を用いることを特徴とする粒子安定化O/Wエマルション(ピッカリングエマルション)を調製する方法。
【請求項9】
請求項6若しくは7に記載の分散体、又は請求項1から5のいずれかに記載の方法で調製された分散体を用いることを特徴とする表面コーティングの引っ掻き耐性を改善する方法。
【請求項10】
請求項6若しくは7に記載の分散体、又は請求項1から5のいずれかに記載の方法で調製された分散体を用いることを特徴とする表面上で使用するための調製品の流動性を改善する方法。
【請求項11】
請求項6若しくは7に記載の分散体、又は請求項1から5のいずれかに記載の方法で調製された分散体を用いることを特徴とする印刷媒体を調製する方法。
【請求項12】
請求項6若しくは7に記載の分散体、又は請求項1から5のいずれかに記載の方法で調製された分散体を含むことを特徴とする表面コーティング。

【公表番号】特表2012−500766(P2012−500766A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523394(P2011−523394)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060497
【国際公開番号】WO2010/020582
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】