説明

疎水性ポリウレタンフォーム及びその製造方法

【課題】疎水性に優れるポリウレタンフォーム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ポリオール(ポリエーテルポリオール等)、ポリイソシアネート(トリレンジイソシアネート等)、発泡剤(水)、整泡剤、触媒、及び、下記一般式(1)で表されるアルコキシシランを用いて、イソシアネートインデックスを100〜120として形成された、連続気泡を有するの疎水性ポリウレタンフォームである。
−Si−(OR4−n (1)
(式中、Rは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数4〜30の炭化水素基であり、Rは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数1〜30の炭化水素基であり、nは、1、2又は3である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性に優れるポリウレタンフォーム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、疎水性のポリウレタンフォームは、自動車、住宅、建築、土木等の分野で、止水性シーリング材として広く用いられている。
ポリオールと、ポリイソシアネートとを、発泡剤、触媒等の存在下で反応させて得られた軟質ポリウレタンフォームは、一般に、吸水性を有することが知られており、疎水性(撥水性)を付与するために、分子内にケイ素原子を有するイソシアネート化合物を用いる方法(特許文献1参照)、含フッ素系撥水剤(イソシアネート基と反応する反応性基及び含フッ素基を有する重合体)を、軟質ポリウレタンフォームに含浸させた後、熱圧縮する方法(特許文献2参照)、ポリエーテルポリオール、特定の重量平均分子量を有するポリスチレンオリゴマー、及び、特定の平均HLB及び重量平均分子量を有する共重合体であって、スチレンと、アルキル(メタ)アクリレート、アルコキシポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種のビニル単量体との共重合体、から構成されるポリオール組成物と、ポリイソシアネートとを用いる方法(特許文献3参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−115020号公報
【特許文献2】特開平10−176074号公報
【特許文献3】特開平8−311277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜3に開示されたポリウレタンフォームは、一定の疎水性を有するものの、未だ十分ではなかった。
本発明は、疎水性を有し、広い物性範囲で、硬さ、弾性及び圧縮残留歪のバランスに優れた疎水性ポリウレタンフォーム及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下に示される。
1.ポリオール(以下、「ポリオール(A)」ともいう。)、ポリイソシアネート(以下、「ポリイソシアネート(B)」ともいう。)、発泡剤(以下、「発泡剤(C)」ともいう。)、整泡剤(以下、「整泡剤(D)」ともいう。)、触媒(以下、「触媒(E)」ともいう。)、及び、下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン(以下、「アルコキシシラン(F)」ともいう。)を用いて、イソシアネートインデックスを100〜120として形成され、且つ、連続気泡を有することを特徴とする疎水性ポリウレタンフォーム。
−Si−(OR4−n (1)
(式中、Rは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数4〜30の炭化水素基であり、Rは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数1〜30の炭化水素基であり、nは、1、2又は3である。)
2.上記ポリオール(A)が、ポリエーテルポリオールである上記1に記載の疎水性ポリウレタンフォーム。
3.上記1に記載の疎水性ポリウレタンフォームの製造方法であって、
イソシアネートインデックスを100〜120として、ポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)とを、発泡剤(C)、整泡剤(D)、触媒(E)、及び、下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン(F)の存在下に反応させる反応工程を備えることを特徴とする疎水性ポリウレタンフォームの製造方法。
−Si−(OR4−n (1)
(式中、Rは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数4〜30の炭化水素基であり、Rは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数1〜30の炭化水素基であり、nは、1、2又は3である。)
【発明の効果】
【0006】
本発明のポリウレタンフォームは、特定の構造を有するアルコキシシラン(F)を用いて得られたものであり、疎水性を有し、広い物性範囲で、硬さ、弾性及び圧縮残留歪のバランスに優れる。
また、本発明の疎水性ポリウレタンフォームの製造方法によれば、反応工程において、上記アルコキシシラン(F)におけるSi−(OR)が、空気中の水分等により、シラノール基(−Si−OH)に変性し、その後、このシラノール基が、ポリイソシアネート(B)と反応していると考えられる。即ち、本発明のポリウレタンフォームを構成するポリウレタンは、実質的に、シラノール基(−Si−OH)を有さず、上記アルコキシシラン(F)に由来する、R−Siによる優れた疎水性が発揮されるものと考えられる。従って、上記効果を有するポリウレタンフォームを、効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳しく説明する。
本明細書において、「(共)重合」とは、単独重合及び共重合を意味する。また、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
【0008】
本発明は、イソシアネートインデックスを100〜120として、ポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)とを、発泡剤(C)、整泡剤(D)、触媒(E)、及び、下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン(F)の存在下に反応させる反応工程を備える製造方法により得られた、連続気泡構造を有するポリウレタンフォームである。
−Si−(OR4−n (1)
(式中、Rは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数4〜30の炭化水素基であり、Rは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数1〜30の炭化水素基であり、nは、1、2又は3である。)
【0009】
本発明の疎水性ポリウレタンフォームの形成に用いられる原料について、説明する。
【0010】
上記ポリオール(A)は、ヒドロキシル基を2つ以上有する化合物であれば、特に限定されず、従来、公知のポリウレタンフォームの形成に用いられるポリオールを用いることができる。
【0011】
上記ポリオール(A)としては、(a1)多価アルコール、(a2)多価フェノール、(a3)ヒドロキシル基を2個以上有するアルカノールアミン、(a4)ヒマシ油等の天然油脂系ポリオール、(a5)ポリエーテルポリオール、(a6)ポリエーテルエステルポリオール、(a7)ポリエステルポリオール、(a8)ポリジエンポリオール、(a9)アクリルポリオール、(a10)シリコーンポリオール、(a11)上記(a1)〜(a10)から選ばれた少なくとも1種の化合物(原料ポリオール)の存在下、ビニル系単量体を重合させて得られたポリマーポリオール等が挙げられる。
【0012】
多価アルコール(a1)としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−及び1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール等の脂肪族ジオールや、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のシクロアルキレングリコール等の脂環式ジオール等の、炭素数2〜20の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール等のアルカントリオール等の脂肪族トリオール等の、炭素数3〜20の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等のアルカンポリオール等の脂肪族ポリオール等の、炭素数5〜20の4〜8価又はそれ以上の多価アルコール等が挙げられる。
【0013】
多価フェノール(a2)としては、ピロガロール、ハイドロキノン等の単環多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールスルホン等のビスフェノール類;フェノール及びホルムアルデヒドの縮合物(ノボラック)等が挙げられる。
【0014】
ヒドロキシル基を2個以上有するアルカノールアミン(a3)としては、ジエタノールアミン、エタノールイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノール−2−ヒドロキシブチルアミン、イソプロパノール−2−ヒドロキシブチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0015】
ポリエーテルポリオール(a5)としては、上記多価アルコール(a1)、上記多価フェノール(a2)、及び、上記アルカノールアミン(a3)を含むアミン化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、2,3−若しくは1,4−ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加(ブロック及び/又はランダム付加)して得られた化合物等を用いることができる。
上記アミン化合物は、上記アルカノールアミン(a3)以外のアミン化合物を含んでもよく、その例としては、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等の、炭素数2〜20のモノアルカノールアミン、n−ブチルアミン、オクチルアミン等の、炭素数1〜20のモノアミン化合物、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の、炭素数2〜6のジアミン化合物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の、炭素数4〜20のポリアルキレンポリアミン等の脂肪族アミン化合物;アニリン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリン、ジフェニルエーテルジアミン等の、炭素数6〜20の芳香族アミン化合物;イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン等の、炭素数4〜20の脂環式アミン化合物;ピペラジン、アミノエチルピペラジン等の、炭素数4〜20の複素環式アミン化合物等が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオール(a5)としては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールに、プロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシドを付加させて得られた化合物が好ましい。
【0016】
ポリエーテルエステルポリオール(a6)としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンのプロピレンオキシド付加物等のポリアルキレンポリオールに、無水コハク酸、無水アジピン酸、無水フタル酸等のポリカルボン酸無水物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテル基を有する化合物とを反応させて得られた化合物等が挙げられる。
【0017】
ポリエステルポリオール(a7)としては、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等が挙げられる。
縮合系ポリエステルポリオールは、通常、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のポリオールと反応させて得られたものであり、例えば、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレン−ブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチル−ヘキサメチレンアジペートジオール、ポリ3−メチルペンタンアジペートジオール、ポリエチレンテレフタレートジオール、ポリブチレンテレフタレートジオール、ポリヘキサメチレンテレフタレートジオール、ポリネオペンチルテレフタレートジオール、ポリエチレン−ブチレンテレフタレートジオール、ポリネオペンチル−ヘキサメチレンテレフタレートジオール、ポリ3−メチルペンタンテレフタレートジオール、ポリエチレンイソフタレートジオール、ポリブチレンイソフタレートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチルイソフタレートジオール、ポリエチレン−ブチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチル−ヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリ3−メチルペンタンイソフタレートジオール等が挙げられる。
【0018】
ポリマーポリオール(a11)としては、上記のポリエーテルポリオール(a5)、ポリエステルポリオール(a7)等の原料ポリオールの存在下、重合開始剤を用いて、ビニル系単量体を重合させて得られた化合物(グラフト重合体)を用いることができる。この反応において、連鎖移動剤を用いることもできる。
ビニル系単量体としては、芳香族ビニル化合物、不飽和ニトリル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物等を用いることができる。このビニル系単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。これらのうち、スチレンが好ましい。
不飽和ニトリル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、他のビニル系化合物としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和酸;(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド化合物;ジアミノエチルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート等のアミノ基含有不飽和化合物;塩化ビニリデン、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレート等のハロゲン含有ビニル化合物;ジビニルベンゼン、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能ビニル化合物等が挙げられる。
上記ビニル系単量体としては、芳香族ビニル化合物及び不飽和ニトリル化合物を含むことが好ましく、芳香族ビニル化合物単独か、あるいは、芳香族ビニル化合物及び不飽和ニトリル化合物の組合せであることが特に好ましい。
【0020】
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物;ジベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過コハク酸等の有機過酸化物;過硫酸塩、過ホウ酸塩等の無機過酸化物等が挙げられる。
連鎖移動剤としては、ドデカンチオール、エタンチオール、オクタンチオール、トルエンチオール等のメルカプタン化合物;四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
【0021】
上記ポリマーポリオール(a11)の製造に用いられる原料ポリオール及びビニル系単量体の使用比率は、以下の通りである。即ち、原料ポリオールを100質量部とした場合、ビニル系単量体は、好ましくは5〜60質量部である。
【0022】
上記ポリオール(A)の数平均分子量は、疎水性に優れたポリウレタンフォームが効率よく得られ、また、シーリング材として用いる場合に優れたシール性が得られることから、好ましくは500〜10,000、より好ましくは700〜8,000、更に好ましくは2,000〜5,000である。この数平均分子量が小さすぎると、得られるポリウレタンフォームの硬度が高くなり、クッション性が低下する場合があり、一方、この数平均分子量が大きすぎると、圧縮残留歪が悪化する場合がある。
また、上記ポリオール(A)の水酸基価(ポリオール1グラム中のヒドロキシル基の数に相当する水酸化カリウムのミリグラム数)の平均値は、疎水性に優れたポリウレタンフォームが効率よく得られ、また、シーリング材として用いる場合に優れたシール性が得られることから、好ましくは25〜250mgKOH/g、より好ましくは30〜230mgKOH/g、更に好ましくは35〜100mgKOH/gである。この平均水酸基価が小さすぎると、得られるポリウレタンフォームの圧縮残留歪が悪化する場合があり、一方、この平均水酸基価が大きすぎると、硬度が高くなり、クッション性が低下する場合がある。
【0023】
本発明の疎水性ポリウレタンフォームの製造に用いるポリオール(A)は、1種単独であってよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。本発明において、好ましいポリオール(A)は、ポリエーテルポリオール(a5)である。
尚、上記ポリオール(A)が、ポリエーテルポリオール(a5)と、他のポリオールとからなる場合、ポリエーテルポリオール(a5)の含有割合は、ポリオール(A)を100質量%とした場合に、好ましくは1〜99質量%、より好ましくは5〜70質量%、更に好ましくは10〜50質量%である。
【0024】
上記ポリイソシアネート(B)は、イソシアネート基を2つ以上有する化合物であれば、特に限定されず、従来、公知のポリウレタンフォームの形成に用いられるポリイソシアネートを用いることができる。
【0025】
上記ポリイソシアネート(B)としては、芳香族系、脂肪族系、脂環族系の各種イソシアネート化合物、更には、これらのイソシアネート化合物の変性物を用いることができる。
【0026】
芳香族イソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、p−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等が挙げられる。
脂肪族イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リシンジイソシアネート(LDI)、リシントリイソシアネート(LTI)等が挙げられる。
脂環族イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、水添化XDI(HXDI)、水添化MDI(H12MDI)等が挙げられる。
また、変性イソシアネートとしては、上記イソシアネート化合物のウレタン変性体、2量体、3量体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビューレット変性体、ウレア変性体、イソシアヌレート変性体、オキサゾリドン変性体、イソシアネート基末端プレポリマー等が挙げられる。
【0027】
本発明の疎水性ポリウレタンフォームの製造に用いるポリイソシアネート(B)は、1種単独であってよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。本発明において、好ましいポリイソシアネート(B)は、トリレンジイソシアネートである。
【0028】
本発明の疎水性ポリウレタンフォームの製造に用いるポリイソシアネート(B)の使用量は、本発明の疎水性ポリウレタンフォームの用途、所望の物性等により、適宜、選択される。本発明においては、所定の範囲のイソシアネートインデックスに基づいて、ポリイソシアネート(B)の使用量が選択される。本発明に係るイソシアネートインデックスは、100〜120であり、好ましくは103〜115、更に好ましくは105〜112である。このイソシアネートインデックスが上記範囲にあると、疎水性、硬さ、弾性及び圧縮残留歪を広い範囲に制御可能なポリウレタンフォームとすることができる。
尚、イソシアネートインデックスとは、ポリイソシアネート(B)が反応するヒドロキシル基と化学量論的に当量反応する場合に100となるように計算される、ポリオール(活性水素化合物)/イソシアネートの質量比率を表す指数であり、下記式にて表される。
イソシアネートインデックス={(実際のイソシアネート量)/(化学量論的に計算されたイソシアネート量)}×100
【0029】
上記イソシアネートインデックスが100を超えるということは、イソシアネート基の量がヒドロキシル基の量より過剰であることを意味する。そして、このイソシアネートインデックスが100未満の場合には、ポリオール(A)に対するポリイソシアネート(B)の反応が不足するので、発泡体が軟らかくなる傾向がある。一方、イソシアネートインデックスが120を超えて大きすぎる場合には、発泡体が硬くなる傾向がある。
【0030】
上記発泡剤(C)としては、上記ポリイソシアネート(B)と反応して発泡剤としての炭酸ガスを発生する水;ポリウレタン生成時の反応熱で気化することにより発泡剤として機能する、シクロペンタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等の炭化水素;塩化メチレン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ノナフルオロブチルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテル、ペンタフルオロエチルメチルエーテル、ヘプタフルオロイソプロピルメチルエーテル等のハロゲン系化合物;液化した二酸化炭素を高圧下で原料に混入させ発泡時に気化することにより発泡剤として機能する液化二酸化炭素等が挙げられる。これらのうち、水が好ましく、例えば、イオン交換水、水道水、蒸留水等を用いることができる。
【0031】
上記発泡剤(C)が水である場合、その使用量は、上記ポリオール(A)を100質量部とした場合に、好ましくは1〜5質量部、より好ましくは2〜4.5質量部、更に好ましくは2.5〜4質量部である。水の使用量が上記範囲にあると、疎水性に優れたポリウレタンフォームが効率よく得られ、また、シーリング材として用いる場合に優れたシール性を得ることができる。
【0032】
上記整泡剤(D)としては、従来、公知のシリコーン系整泡剤及びフッ素系整泡剤を用いることができる。これらのうち、整泡性の観点から、シリコーン系整泡剤が好ましい。
【0033】
上記シリコーン系整泡剤は、好ましくは、ポリシロキサン鎖及びポリオキシアルキレン鎖を有する化合物である。この化合物において、ポリシロキサン鎖及びポリオキシアルキレン鎖は、ブロック型構造を有していてもよいし、主鎖のポリシロキサン鎖にポリオキシアルキレン鎖がグラフトしたグラフト型構造を有していてもよい。また、これらが混在した構造を有していてもよい。
上記ポリシロキサン鎖は、側鎖に有機基を有するオルガノポリシロキサン鎖を意味し、その例としては、ジメチルシロキサン鎖等が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン鎖としては、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖等の単一のオキシアルキレン基から構成されるもの、又は、オキシエチレンオキシプロピレンブロック鎖、オキシエチレンオキシプロピレンランダム鎖等の複数種のオキシアルキレン基から構成されるものとすることができ、これらの組み合わせにより構成されていてもよい。
【0034】
本発明の疎水性ポリウレタンフォームの製造に用いる整泡剤(D)は、1種単独であってよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0035】
上記整泡剤(D)の使用量は、上記ポリオール(A)を100質量部とした場合に、好ましくは0.1〜3質量部、より好ましくは0.5〜2質量部である。この整泡剤の使用量が上記範囲にあると、疎水性に優れたポリウレタンフォームが効率よく得られ、また、シーリング材として用いる場合に優れたシール性を得ることができる。
【0036】
上記触媒(E)は、特に限定されず、従来、公知のポリウレタンフォームの形成に用いられる化合物を用いることができ、例えば、アミン(以下、「アミン触媒」という。)や、有機錫化合物、有機ビスマス化合物、有機鉛化合物、有機亜鉛化合物等から選ばれた少なくとも1種以上の有機金属化合物(以下、「金属触媒」という。)を用いることができる。
【0037】
上記アミン触媒としては、モノアミン化合物、ジアミン化合物、トリアミン化合物、ポリアミン化合物、環状アミン化合物、アルコールアミン化合物、エーテルアミン化合物や、これらの化合物における構造の一部がポリイソシアネート(B)と反応するように、ヒドロキシル化又はアミノ化されてなる反応型アミン触媒等が挙げられる。これらのうち、ジアミン化合物、及び、反応型アミン触媒が好ましい。
【0038】
上記アミン触媒の具体例は、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N",N"−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N",N"−ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジンや、ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノブタノール、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルアミン、N,N−ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアミン、N,N−ジメチル−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アミン、N,N−ジメチル−(4−ヒドロキシブチル)アミン、N,N−ジメチル−(3−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)アミン、N,N−ジメチル−(3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)アミン、N,N−ジメチル−(2−ヒドロキシブチル)アミン、N,N−ジメチル−(1−ヒドロキシメチルプロピル)アミン等のアルコールアミン化合物;N,N−ジポリオキシエチレンステアリルアミン、N,N−ジポリオキシエチレン牛脂アルキルアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス−(3−ジメチル)−アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン化合物;1−メチルピペラジン、1−エチルピペラジン、1−プロピルピペラジン、1−イソプロピルピペラジン、1−ブチルピペラジン、1−(1−メチルプロピル)ピペラジン、1−(2−メチルプロピル)ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノ)−エチルピペラジン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)−モルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、3−(ジメチルアミノ)プロピルイミダゾール、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン、N−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、N−(3−ヒドロキシプロピル)−モルホリン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−モルホリン、N−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−モルホリン、N−(4−ヒドロキシブチル)−モルホリン、N−(3−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)−モルホリン、N−(3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−モルホリン、N−(2−ヒドロキシブチル)−モルホリン、N−(1−ヒドロキシメチルプロピル)−モルホリン等の環状アミン化合物等である。
【0039】
本発明の疎水性ポリウレタンフォームの製造に用いるアミン触媒は、1種単独であってよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0040】
本発明の疎水性ポリウレタンフォームの製造にアミン触媒を用いる場合、その使用量は、上記ポリオール(A)を100質量部とした場合に、好ましくは0.01〜2.0質量部、より好ましくは0.03〜1.5質量部、更に好ましくは0.1〜1.0質量部である。このアミン触媒の含有量が上記範囲にあると、疎水性に優れたポリウレタンフォームを効率よく得ることができる。
【0041】
上記のように、本発明に係る触媒(E)としては、金属触媒を用いることができる。この金属触媒のうち、有機錫化合物としては、オクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫メルカプチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫メルカプチド、ジオクチル錫チオカルボキシレート等が挙げられる。
有機ビスマス化合物としては、酢酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス、ジブチルビスマスジアセテート、ジブチルビスマスジラウレート、ジオクチルビスマスジラウレート等が挙げられる。
有機鉛化合物としては、酢酸鉛、オクテン酸鉛、ナフテン酸鉛、ジブチル鉛ジアセテート、ジブチル鉛ジラウレート、ジオクチル鉛ジラウレート等が挙げられる。
有機亜鉛化合物としては、ナフテン酸亜鉛、デカン酸亜鉛、4−シクロヘキシル酪酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、イソ酪酸亜鉛、安息香酸亜鉛、p−トルエンスルホン酸亜鉛、亜鉛(II)ビス−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート等が挙げられる。
【0042】
上記金属触媒としては、有機錫化合物が好ましい。
【0043】
本発明の疎水性ポリウレタンフォームの製造に金属触媒を用いる場合、その使用量は、上記ポリオール(A)を100質量部とした場合に、好ましくは0.01〜1.0質量部、より好ましくは0.05〜0.8質量部、更に好ましくは0.1〜0.5質量部である。この金属触媒の含有量が上記範囲にあると、疎水性に優れたポリウレタンフォームを効率よく得ることができる。
【0044】
尚、本発明の疎水性ポリウレタンフォームの製造に用いる触媒(E)としては、アミン触媒及び金属触媒を組み合わせて用いてもよい。この場合、金属触媒の使用量は、上記アミン触媒を100質量部とした場合に、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは0.5〜80質量部、更に好ましくは1〜80質量部である。
【0045】
次に、アルコキシシラン(F)について、説明する。このアルコキシシラン(F)は、下記一般式(1)で表される化合物である。
−Si−(OR4−n (1)
(式中、Rは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数4〜30の炭化水素基であり、Rは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数1〜30の炭化水素基であり、nは、1、2又は3である。)
【0046】
上記一般式(1)において、Rは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数4〜30の炭化水素基である。この炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでもよい。好ましい炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であり、その炭素原子数は、好ましくは4〜30、より好ましくは6〜18である。
また、上記一般式(1)において、Rは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数1〜30の炭化水素基である。この炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでもよい。好ましい炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であり、その炭素原子数は、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2である。
更に、上記一般式(1)において、nは1、2又は3であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0047】
本発明の疎水性ポリウレタンフォームの製造に用いるアルコキシシラン(F)は、1種単独であってよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0048】
上記アルコキシシラン(F)の使用量は、上記ポリオール(A)を100質量部とした場合に、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部である。このアルコキシシラン(F)の使用量が上記範囲にあると、疎水性に優れたポリウレタンフォームを効率よく得ることができる。尚、上記アルコキシシラン(F)の使用量が少なすぎると、疎水性が十分でない場合がある。
上記アルコキシシラン(F)の種類及び/又は使用量を変化させることにより、疎水性の程度を変化させることができる。
【0049】
本発明の疎水性ポリウレタンフォームの製造に際して、必要に応じて、鎖延長剤、破泡剤、消泡剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、充填剤、難燃剤、抗菌剤、安定剤、着色剤、疎水性付与剤等の添加剤を用いてもよい。
【0050】
本発明の疎水性ポリウレタンフォームは、上記のように、ポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)、発泡剤(C)、整泡剤(D)、触媒(E)及びアルコキシシラン(F)を、反応工程に供して得られたものである。
【0051】
上記反応工程は、イソシアネートインデックスを100〜120として、ポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)を、発泡剤(C)、整泡剤(D)、触媒(E)及びアルコキシシラン(F)の存在下に反応させる工程である。
上記反応工程における具体的な操作の一例は、次の通りである。
初めに、ポリオール(A)、発泡剤(C)、整泡剤(D)、触媒(E)、及び、必要により、添加剤について、所定量を混合した後、発泡機等を使用して、この混合物と、ポリイソシアネート(B)とを混合する。次いで、得られた混合液(発泡原液)を、密閉型もしくは開放型のモールド(金属製又は樹脂製)に注入し、ウレタン化反応に供して、硬化したのを確認し、脱型して、連続気泡構造を有し、軟質のポリウレタンフォームを得る。
【0052】
上記反応工程における反応機構に関して、発明者は、以下のように推定している。即ち、発泡反応の後期に、泡化反応によりヘルスバブルという形で生成した炭酸ガスがフォーム外部に放出され、連続気泡構造が形成された後、空気がフォーム内部に流入する。空気には微量の水分が含まれているので、アルコキシシラン(F)と水とが反応すると、シラノール基が生成する。発泡反応の際の内部温度は、通常、120℃〜180℃と高い温度であり、触媒(E)の存在下にあることから、シラノール基が生成しやすい環境下にあるものと思われる。そして、生成したシラノール基は、ポリイソシアネート(B)と反応するものと考えられる。従って、得られたポリウレタンフォームにおいて、原料として用いたアルコキシシラン(F)が、そのセル壁及びセル骨格に取り込まれているものと考えられる。
【0053】
本発明においては、必要に応じて、上記反応工程の後、ポリウレタンフォームを乾燥する乾燥工程、厚さを調節する圧縮工程等を備えることができる。
【0054】
本発明の疎水性ポリウレタンフォームにおいて、製造原料として用いたアルコキシシラン(F)は、上記のように、ポリウレタンのセル壁及びセル骨格を形成しているものと考えられるので、本発明の疎水性ポリウレタンフォームにおいては、ほとんど残存していない。
【0055】
本発明の疎水性ポリウレタンフォームの物性は、以下の通りである。
セル数(JIS K6400−1に準拠)は、好ましくは20〜100個/25mm、より好ましくは30〜80個/25mmである。
密度(JIS K7222に準拠)は、好ましくは15〜100kg/m、より好ましくは20〜80kg/mである。
硬さ(50%CLD硬さ)は、好ましくは1〜20kPa、より好ましくは3〜15kPaである。
引張強度(JIS K6400−5に準拠)は、好ましくは10〜500kPa、より好ましくは50〜300kPaである。
引張伸び(JIS K6400−5に準拠)は、好ましくは10〜500%、より好ましくは50〜300%である。
圧縮残留歪(JIS K6400−4に準拠)は、好ましくは0〜20%、より好ましくは0〜15%である。
【0056】
本発明の疎水性ポリウレタンフォームが、上記物性を備える場合、自動車、住宅、建築、土木等の分野で、シーリング材、防音材等として好適である。特に、50%CLD硬さが上記範囲であると、止水性に優れ、柔軟性を有するシーリング材とすることができる。
【0057】
本発明の疎水性ポリウレタンフォームの製造方法においては、原料成分及びその使用量を適切に選択することにより、広い物性範囲で、硬さ、弾性及び圧縮残留歪のバランスに優れた疎水性ポリウレタンフォームを製造することができる。
【実施例】
【0058】
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。尚、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
【0059】
1.原料成分
下記の実施例及び比較例において用いる材料を示す。
1−1.ポリオール(A)
三洋化成工業社製ポリエーテルポリオール「GP−3050F」(商品名)を用いた。官能基数は3、水酸基価は56mgKOH/g、数平均分子量は3,000である。
【0060】
1−2.ポリイソシアネート(B)
日本ポリウレタン社製トリレンジイソシアネート「コロネートT−80」(商品名)を用いた。
1−3.発泡剤(C)
水を用いた。
1−4.整泡剤(D)
エボニック社製シリコーン整泡剤「BF2370」(商品名)を用いた。
【0061】
1−5.触媒(E)
(1)アミン系触媒(E1)
エアープロダクツ・ジャパン社製トリエチレンジアミン「DABCO 33LV」(商品名)を用いた。
(2)金属触媒(E2)
城北化学工業社製オクチル酸錫「MRH−110」(商品名)を用いた。
【0062】
1−6.アルコキシシラン(F)
(1)アルコキシシラン(F1)
信越化学工業社製デシルトリメトキシシラン「KBM3103」(商品名)を用いた。
(2)アルコキシシラン(F2)
東レ・ダウコーニング社製n−ヘキシルトリメトキシシラン「Z6582」(商品名)を用いた。
(3)アルコキシシラン(F3)
東レ・ダウコーニング社製n−オクチルトリエトキシシラン「Z6341」(商品名)を用いた。
(4)アルコキシシラン(F4)
信越化学工業社製ジフェニルジエトキシシラン「KBE202」(商品名)を用いた。
【0063】
2.疎水性ポリウレタンフォームの製造及び評価
実施例1〜5及び比較例1〜3
ポリイソシアネート以外の原料を、表1に示す割合で混合した後、ポリイソシアネートを配合して更に混合した。次いで、得られた混合物を、容器(内寸:300mm×300mm×300mm)に投入して、23℃で発泡及び硬化させた。その後、得られたポリウレタンフォームを、70℃で1時間静置し、連続気泡を有する疎水性ポリウレタンフォームを得た。
表1に記載のイソシアネートインデックスは、アルコキシシランに由来するシラノール基を考慮しないで算出した値である。
【0064】
得られた疎水性ポリウレタンフォームについて、下記項目について評価した。その結果を表1に併記した。
【0065】
(1)密度
JIS K7222に準じて測定した。
(2)50%CLD硬さ
得られた疎水性ポリウレタンフォームを切削加工して、大きさが100mm×100mm×10mmである板状試験片を作製した後、厚さを10mmから5mmまで圧縮し、このときの全圧縮硬さ(CLD硬さ)を、JIS K6400−2に準じて測定した。
(3)引張強度及び伸び
JIS K6400−5に準じて測定した。
(4)圧縮残留歪
JIS K6400−4に準じて測定した。
(5)アセトン抽出
得られた疎水性ポリウレタンフォームを切削加工して、大きさが50mm×50mm×50mmである試験片を作製し、アセトンを用いて、70℃でソックスレー抽出を8時間行い、ポリウレタンフォームの質量に対する抽出物の質量を算出した。
(6)接触角
協和界面科学社製接触角計「CA−D」(型式名)を用いて、水に対する接触角を測定した。
【0066】
【表1】

【0067】
比較例1は、本発明に係る成分(F)を用いずにポリウレタンフォームを製造した例であり、疎水性が十分ではなかった。比較例2及び3は、イソシアネートインデックスを本発明の範囲外とした例であり、比較例1よりも低い接触角が得られた。
一方、実施例1〜5は、接触角を120度以上と高いことから、比較例1〜3よりも優れた疎水性(撥水性)を有することが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の疎水性ポリウレタンフォームは、自動車、住宅、建築、土木等の分野で、止水性シーリング材、止水性防音材等として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤、触媒、及び、下記一般式(1)で表されるアルコキシシランを用いて、イソシアネートインデックスを100〜120として形成され、且つ、連続気泡を有することを特徴とする疎水性ポリウレタンフォーム。
−Si−(OR4−n (1)
(式中、Rは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数4〜30の炭化水素基であり、Rは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数1〜30の炭化水素基であり、nは、1、2又は3である。)
【請求項2】
上記ポリオールが、ポリエーテルポリオールである請求項1に記載の疎水性ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
請求項1に記載の疎水性ポリウレタンフォームの製造方法であって、
イソシアネートインデックスを100〜120として、ポリオールと、ポリイソシアネートとを、発泡剤、整泡剤、触媒、及び、下記一般式(1)で表されるアルコキシシランの存在下に反応させる反応工程を備えることを特徴とする疎水性ポリウレタンフォームの製造方法。
−Si−(OR4−n (1)
(式中、Rは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数4〜30の炭化水素基であり、Rは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数1〜30の炭化水素基であり、nは、1、2又は3である。)

【公開番号】特開2012−52002(P2012−52002A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194844(P2010−194844)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】