説明

疎水性会合する水溶性ナノコンポジット(建築化学適用のためのレオロジー改質剤として)

シリカ、疎水性改質したモノマー及び親水性モノマーを含む疎水性会合するナノコンポジット。前記シリカ成分は、無定形二酸化ケイ素(SiO2)のコロイド分散性水溶液、疎水性に改質したモノマー0.1〜10質量%及び親水性モノマー10質量%〜99.9質量%を含む。ナノコンポジットの製造は、水相中のゲル重合としてラジカル重合により行われる。このナノコンポジットは、水性建築材料系において保水剤及びレオロジー改質剤として顕著に改善した作用を示し、かつ、現在使用される製品に対して改善した特性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、ナノコンポジット、ナノコンポジットの製造方法及び水性建築材料系のためのナノコンポジットの使用に関する。
【0002】
発明の背景
ナノコンポジットは十分に知られており、かつ、その特異的なモノマー組成に基づいて様々な適用領域において使用される。
【0003】
建築化学の領域では、ナノコンポジットはしばしば保水剤(Fluid−Loss−Additiveとも呼ばれる)としても使用される。この関連における特殊な使用領域の1つは、地下の石油及び天然ガスの鉱床の開発を含めたボーリング孔のセメント化である。
【0004】
流動性でない建築材料系において、水和作用及び加工性のために必要とされる水の不所望な蒸発、又は基底中への流出を遅延もしくは防止するために、様々に、多糖類の水溶性非イオン性誘導体、特にセルロース誘導体及びデンプン誘導体が、レオロジー改質剤及び保水剤として使用される。プラスター、接着モルタル、充填材及び目地材において、しかしまた、トンネル建設用のグナイトにおいて並びに水中コンクリートにおいて、そのような添加剤により保水性が制御される。それによって、この種の混和剤は、コンシステンシー(可塑性)、平滑性、凝離性、接着性、付着性(基底への及び加工用具への)、安定度(Standfestigkeit)及び滑り抵抗性並びに付着引張強度及び圧縮強度もしくは収縮に決定的な影響も与える。
【0005】
US6187887 B並びにUS2004/024154には、良好な水保持特性を有するスルホ基含有高分子量ポリマーが記載される。このポリマーは、この高分子電解質がアニオン性の総荷電を有する点で共通する。
【0006】
しかしまた、タイル接着剤及びプラスターにおける添加剤の重要な特性は、高められた塩濃度の存在下での増粘性である。
【0007】
US2004/024154に記載の添加剤が、高められた塩濃度の存在下で比較的安定である一方で、US6187887Bに記載のポリマーは、そのような条件下で増粘性の急激な減少を示す。
【0008】
高性能タイル接着剤の場合では、例えば、低温(約5℃)でも、敷設されたタイルの早い歩行可能性(約5時間)を保証するために、特に短い硬化時間を調節することが求められる。このことは、促進剤として作用する塩、例えばギ酸カルシウムの極端に高い供給量によって達成される。そのように高い塩負荷(重要なのは、特に二価カチオンである)が使用される場合においては、US2004/024154に記載のポリマーも、その効果の大部分を失う。
【0009】
その点では、そのような高性能タイル接着剤を、水溶性の、非イオン性の多糖類誘導体、特にセルロースエーテルを保水剤として用いて調製する、一定の必要性が存在する。これは、しかしながら、ユーザーにとって相当数の欠点があることを意味するが、その原因は、セルロースエーテルが低い熱凝集点を有するからであり、それによって最終的に、30℃より高い温度で保水力が劇的により弱まる。加えてセルロースエーテルは、特に高い供給量において高い接着性となる傾向にあり、この高い接着性は再度他の配合成分の添加によって弱められなければならず、このことは更なる欠点を伴う。
【0010】
前記したアニオン性ポリマーの他に、カチオン性コポリマー、例えばDE102006050761 A1;DE102007012786 A1も、増粘化又は水保持の目的で使用されることができる。
【0011】
従って、本発明は、先行技術の前述の欠点、例えば、タイル滑りを示さないで、例えば、タイル接着剤でのタイル裏側の湿潤、接着性及び建築材料混合物の加工性、並びに、タイル接着剤モルタルの空気孔安定性を改善する、水性建築材料系のための保水剤及びレオロジー改質剤として、疎水性会合する水溶性ナノコンポジットを提供するという課題を基礎とする。
【0012】
前記課題は、不飽和シランと反応した、構造単位(a)のシリカ少なくとも1、構造単位(b)として、疎水性に改質したモノマー少なくとも1、構造単位(c)として、親水性モノマー少なくとも1、及び、構造単位(d)として、少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有する架橋性モノマー、からなるナノコンポジットの提供により解決された。
【0013】
意外なことに、前記ナノコンポジットが保水剤として顕著に改善した作用を示し、この場合に、改善された特性を現在使用される製品に対して示すことが判明した。このことは特に、タイルモルタルとタイル裏側との改善された湿潤、壁からのタイルの減少した滑り挙動、タイルモルタルの最適化した接着性及び空気孔安定性の点で、混和時間が短縮するのと同時に示される。
【0014】
発明の更なる詳細な説明
モノマー(a)のシリカ成分に関して、本発明の範囲内では、このシリカ成分が無定形二酸化ケイ素(SiO2)のコロイド分散性水溶液に、好ましくはナノシリカに由来する場合に、好ましいことが示された。不飽和シランとの後続の反応のためにいわゆるナノシリカ及びミクロシリカが特に適することが示された。ナノシリカとは、二酸化ケイ素のみを含む、コロイド状水溶液である。二酸化ケイ素の平均粒径は5〜500nmの範囲を変動し、その際15〜100nm、特に30〜70nmの範囲が好ましい。マイクロシリカは、0.5〜約100μmのサイズを有する粒子からなる。これには例えば熱分解ケイ酸、沈殿ケイ酸、炉ダスト(Ofenstaeube)及びフライアッシュが含まれる。
【0015】
前述のシリカを用いてモノマー(a)へと反応させたシラン化合物は、本発明によればエチレン性不飽和アルコキシシランであることが望ましい。この炭素原子の数はこのアルコキシシランでは5〜15個であることが望ましい。3−メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルジアルコキシアルキルシラン、メタクリルオキシメチルトリアルコキシシラン、(メタクリルオキシメチル)ジアルコキシアルキルシラン、ビニルジアルコキシアルキルシラン又はビニルトリアルコキシシランの系列の化合物が特に適していることが示された。最初は二重結合を有しないが、適したエチレン性不飽和化合物との反応によって二重結合を有するシランへと変換されるシランも適している。ここでは例えばアミノプロピルトリメトキシシランと無水マレイン酸との反応生成物が考慮される。この場合に、段階的に進行させること、即ち、まずシリカを前記アミノシランと反応させ、次いで次工程においてこれに無水マレイン酸を反応させ、最後にこの二重結合に重合させることもできる。
【0016】
構造単位(b)として適した疎水性に改質したモノマーは特に一般式H2C=C(R1)−COO−(−CH2−CH(R2)−O−)q−R3又はH2C=C(R1)−O−(−CH2−CH(R2)−O−)q−R3[式中qは10〜150、好ましくは12〜100、特に好ましくは15〜80、特にとりわけ好ましくは20〜30、とりわけ25の数である、R1=H、メチルである]の代表物を含む。基R2は、相互に独立してH、メチル又はエチル、好ましくはH又はメチルであり、但し、基R2の少なくとも50mol%がHである。好ましくは、基R2の少なくとも75%がH、特に好ましくは基R2の少なくとも90mol%がH、特にとりわけ好ましくはR2はHのみを意味する。基R3は、少なくとも6個の炭素原子、特に6〜40個の炭素原子、好ましくは8〜30個の炭素原子を有する脂肪族及び/又は芳香族の、直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素基である。例はn−アルキル基、例えばn−オクチル基、n−デシル基又はn−ドデシル基、フェニル基並びに特に置換したフェニル基を含む。フェニル基への置換基は、アルキル基、例えばC1〜C6−アルキル基であってよく、好ましくはスチリル基である。特に好ましくはトリスチリルフェニル基である。前述の疎水性会合するモノマーは当業者に原則的に知られている。
【0017】
ナノコンポジットに対する疎水性会合するモノマー(b)の割合は本発明のナノコンポジットのそのつどの使用目的に適合され、かつ、一般に、ナノコンポジット中の全てのモノマーの全量に対して0.1〜20質量%である。好ましくはこの割合は0.5〜20質量%である。
【0018】
モノマー(a)及び(b)に加えてさらに、本発明のナノコンポジットは、モノエチレン性不飽和の親水性モノマーの群からの少なくとも1のモノマー(c)を含む。勿論、モノマー(a)、(b)及び(c)の任意の混合物、特に複数の様々な親水性モノマー(c)の任意の混合物が含まれていることもできる。
【0019】
ナノコンポジットは水溶性の、好ましくは疎水性会合するナノコンポジットを含む。
【0020】
本発明の好ましい一実施態様において、疎水性会合する水溶性ナノコンポジットは、モノエチレン性不飽和の、疎水性に改質したモノマー(b)を好ましくは0.1〜10質量%の量で、並びに、モノエチレン性不飽和の、親水性モノマー(c)を好ましくは10質量%〜99.9質量%の量で含む。
【0021】
親水性モノマー(c)はエチレン性基の他に、1又は複数の親水基を含む。この基はその親水性に基づいて本発明のナノコンポジットに十分な水溶性を付与する。親水基とは特に、O原子及び/又はN原子を含む官能基である。これは更にヘテロ原子、特にS原子及び/又はP原子を含んでよい。この親水性モノマー(c)は任意の比で水と混合可能であり、しかし必須ではない。通常は室温での水中溶解性は少なくとも100g/l、好ましくは少なくとも200g/l、特に好ましくは少なくとも500g/lであることが望ましい。
【0022】
適した官能基の例は、カルボニル基>C=O、エーテル基−O−、特にポリエチレンオキシド基−(CH2−CH2−O)n−(式中nは好ましくは1〜200の数)、ヒドロキシ基−OH、エステル基−C(O)O−、一級、二級又は三級アミノ基、アンモニウム基、アミド基−C(O)−NH−、カルボキサミド基−C(O)−NH2、又は酸性基、例えばカルボキシル基−COOH、スルホン酸基−SO3H、ホスホン酸基−PO32又はリン酸基−OP(OH)3を含む。
【0023】
好ましい官能基の例はヒドロキシル基−OH、カルボキシル基−COOH、スルホン酸基−SO3H、カルボキサミド基−C(O)−NH2、アミド基−C(O)−NH並びにポリエチレンオキシド基−(CH2−CH2−O−)n−H(式中nは好ましくは1〜200の数である)を含む。
【0024】
この官能基はエチレン性基に直接的に結合していてよく、又は、1又は複数の官能性の親水基が1又は複数の連結する炭化水素基を介してこのエチレン性基に結合していてよい。
【0025】
親水性モノマー(c)とは好ましくは一般式H2C=C(R4)R5(式中R4はH又はメチル、R5は親水基又は1又は複数の親水基を含む基)のモノマーである。
【0026】
特に好ましくは任意の比で水と混合可能であるモノマー(c)である。本発明の実施には、しかし、疎水性会合する本発明のナノコンポジットが、前述の水溶性を有すれば十分である。基R5は、定義された水溶性が達成されるような量でヘテロ原子を含む基である。
【0027】
構造単位(c1)の例は、ヒドロキシ基及び/又はエーテル基を有するモノマー、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、アリルアルコール、ヒドロキシビニルエチルエーテル、ヒドロキシビニルプロピルエーテル、ヒドロキシビニルブチルエーテル又は式H2C=C(R1)−COO−(−CH2−CH(R6)−O−)b−R7又はH2C=C(R1)−O−(−CH2−CH(R6)−O−)b−R7の化合物(式中、R1は上で定義したとおりであり、bは2〜200、好ましくは2〜100の数である)である。基R6は、相互に独立してH、メチル又はエチル、好ましくはH又はメチルであり、但し、基R6の少なくとも50mol%がHである。好ましくは基R6の少なくとも75mol%がHであり、特に好ましくは少なくとも90mol%がHであり、特にとりわけ好ましくはHのみである。基R7はH、メチル又はエチル、好ましくはH又はメチルである。この個々のアルキレンオキシド単位はランダムに又はブロックで配置されていてよい。ブロックコポリマーでは、このブロック間の移行が急激でも緩やかであってもよい。
【0028】
更に中性モノマー(c2)の代表物として、アクリルアミド及びメタクリルアミド、並びにその誘導体、例えばN−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチル(メタ)アクリルアミド並びにN−メチロールアクリルアミド、N−ビニル誘導体、例えばN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン又はN−ビニルカプロラクタム並びにビニルエステル、例えばビニルホルミアート又はビニルアセタートを挙げることができる。重合後にN−ビニル誘導体はビニルアミン単位へと、ビニルエステルはビニルアルコール単位へと加水分解されてよい。
【0029】
適したアニオン性モノマー(c3)の例は、COOH基を有するモノマー、例えばアクリル酸又はメタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸又はフマル酸、スルホン酸基を有するモノマー、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドブタンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸又は2−アクリルアミド−2,4,4−トリメチルペンタンスルホン酸又はホスホン酸基を有するモノマー、例えばビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、N−(メタ)アクリルアミドアルキルホスホン酸又は(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸を含む。
【0030】
本発明の好ましい一実施態様において、本発明のナノコンポジットは少なくとも1の酸性基を有するアニオン性モノマー(c3)を含む。ここで好ましくはこのモノマーは、群−COOH、−SO3H又は−PO32から選択した少なくとも1つの基を有するモノマー、特に好ましくは−COOH基及び/又は−SO3Hを有するモノマーである。
【0031】
適した親水性モノマー(c4)は、アンモニウム基を有するモノマー、特にN−(ω−アミノアルキル)(メタ)アクリルアミド又はω−アミノアルキル(メタ)アクリルエステルである。
【0032】
特に変形(c4)は、一般式H2C=C(R4)−CO−NR10−R8−NR93+-及び/又はH2C=C(R7)−COO−R8−NR93+-(式中、R4は上述の意味合いを有し、即ち、H又はメチルであり、R8は好ましくは鎖状C1〜C4アルキル基であり、R10はH又はC1〜C4アルキル基、好ましくはH又はメチルである)の化合物であってよい。基R8は、相互に独立してC1〜C4アルキル、好ましくはメチル又は一般式−R11−SO3H(式中R11は好ましくは鎖状C1〜C4アルキレン基又はフェニル基である)の基であり、但し、通常多くとも1の置換基R5はスルホン酸基を有する置換基である。特に好ましくは3つの置換基R9はメチル基であり、即ち、このモノマーは基−N(CH33+を有する。X-は上記式において一価アニオン、例えばCl-である。適したモノマー(c4)の例は、3−トリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミド又は2−トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリラートの塩、例えばこの相応する塩化物、例えば3−トリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミド塩化物(DIMAPAQUAT)及び2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリラート塩化物(MADAMEQUAT)を含む。
【0033】
上述の親水性モノマーは無論、示された酸又は塩基の形においてのみでなく、相応する塩の形でも使用できる。
【0034】
好ましくは、少なくとも1のモノマー(c)とは、(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸又は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、特に好ましくはアクリル酸の群から選択したモノマーである。
【0035】
本発明のナノコンポジット中のモノマー(c)の量は、ナノコンポジット中の全モノマーの全量に対して25〜99.9質量%、好ましくは25〜99.5質量%である。この正確な量は、疎水性会合するナノコンポジットの種類及び所望の使用目的に適合される。
【0036】
本発明のナノコンポジットは、少なくとも2個、好ましくは2個のエチレン性不飽和基を提供するモノマー(d)も含むことができる。それによって、前記モノマーが、ナノコンポジットの予定される適用において不所望な不利な作用を有しない限り、所定の架橋が達成されることができる。しかし、高すぎる架橋度は必ず回避しなければならない;特にナノコンポジットの要求される水溶性は損なわれてはならない。この種のモノマー(d)の例は、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート又はオリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、メチレンビス(アクリルアミド)、トリアリルアミン又はトリアリルアミンメタアンモニウムクロリド、ペンタエリトリトールトリアリルエーテルを含む。
【0037】
架橋性に作用するモノマー(d)は少量でだけ使用される。通常、このモノマー(d)の量は、全ての使用されるモノマーの量に対して1質量%を超えない。好ましくは、多くとも0.5質量%、特に好ましくは多くとも0.1質量%が使用されることが望ましい。特にとりわけ好ましくは、モノマー(d)は全く使用されない。
【0038】
本発明の更なる好ましい一実施態様において、本発明のナノコンポジットは、水硬性結合剤系を含む水性建築材料系のための添加剤として使用されることができる。この種の水硬性結合剤系の例はセメント、石灰、石膏又は硬石膏を含む。
【0039】
この種の建築材料系の例は、非流動性建築材料系、例えばタイル接着剤、プラスター又は目地材、並びに、流動性建築材料系、例えばセルフレベリング床充填材、グラウトモルタル及び修復モルタル、流動性フローリング材(Fliessestriche)、流動性コンクリート、自己充填性コンクリート、水中コンクリート又は水中モルタルを含む。
【0040】
本発明のナノコンポジットの好ましい使用量は、使用手法に依存して、建築材料系の乾燥質量に対して0.001〜5質量%である。
【0041】
本発明のナノコンポジットは、非イオン性多糖誘導体、例えばメチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)並びにウェランガム又はジユータンガムと組み合わせても使用できる。
【0042】
乾燥モルタル適用(例えばタイル接着剤、グラウトモルタル(Vergussmoertel)、プラスター、石膏プラスター、流動性フローリング材)のために、本発明による、好ましくは疎水性会合するナノコンポジットが粉末形で使用される。この場合に、この粒子のサイズ分布を粉砕パラメーターの適合によって、この平均粒径が100μm未満であり、かつ200μmより大きい粒径を有する粒子の割合が2質量%未満であるように選択することが推奨される。好ましくは、その平均粒径が60μm未満であり、120μmより大きい粒径を有する粒子の割合が2質量%未満である粉末である。特に好ましくは、その平均粒径が50μm未満であり、100μmより大きい粒径を有する粒子の割合が2質量%未満である粉末である。
【0043】
コンクリート中では本発明のナノコンポジットは好ましくは水溶液の形で使用される。この溶液の製造には、特に、平均粒径300μm〜800μmを有する本発明のナノコンポジットの粗大顆粒が適し、その際、100μm未満の粒径を有する粒子の割合は2質量%未満である。同様のことは、本発明のナノコンポジットが他のコンクリート混和剤又はコンクリート混和剤からの配合物中で溶解される場合に当てはまる(例えば流動剤中)。
【0044】
水硬性結合剤を含有する水性建築材料系のための添加剤としてちょうど挙げた使用については、次に記載の、疎水性会合するナノコンポジット(A1)が好ましく使用されることができる。
【0045】
相応して、好ましい一実施態様においては、本発明は、好ましい、疎水性会合するナノコンポジット(A1)に関する。この好ましいナノコンポジット(A1)は、特に、非流動性建築材料系、例えばタイル接着剤、プラスター又は目地材のための添加剤として適する。
【0046】
本発明の好ましい一実施態様において、本発明のナノコンポジットは、少なくとも4つの異なる親水性モノマー(c)、好ましくは少なくとも
・式H2C=C(R1)−COO−(−CH2CH(R6)−O−)b−R7)の中性の親水性モノマー(c1)、
・(c1)とは異なる中性の親水性モノマー(c2)、好ましくは中性モノマー、例えばアクリルアミド又はメタクリルアミド、並びにその誘導体、並びに、N−ビニル誘導体、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド又はN−ビニルカプロラクタムを含む、
・カルボキシル基−COOH、スルホン酸基−SO3H又はホスホン酸基−PO32の群から選択される少なくとも1の酸性基を含むアニオン性モノマー(c3)、及び
・一般式H2C=C(R4)−CO−NR10−R8−NR93+-のアンモニウム基少なくとも1を含むカチオン性モノマー(c4)、
を含むナノコンポジット(A1)により表され、
その際、ナノコンポジット中の全モノマーの量に関して、モノマー(b)の量は0.1〜10質量%であり、全モノマー(c)は合計70〜99.5質量%である。
【0047】
疎水性会合するナノコンポジット(A1)では、モノマー(a)が0.1〜12質量%、好ましくは0.4〜5質量%の量で使用される。好ましくは、ナノコンポジット(A1)は、モノマー(a)、(b)、(c)及び(d)だけを、特に好ましくはモノマー(a)、(b)及び(c)だけを含有する。
【0048】
モノマー(b)の好ましい一実施態様において、ナノコンポジット(A1)では、一般式H2C=C(R1)−COO−(−CH2−CH(R2)−O−)q−R3及び/又はH2C=C(R1)−O−(−CH2−CH(R2)−O−)q−R3のモノマーが使用される。この基及び指数の意味合い並びに好ましい範囲は既に説明してある。この種の混合物では、前述の特殊モノマーの割合は通常は、全モノマー(b)の量に対して少なくとも25質量%、好ましくは40〜90質量%、例えば40〜60質量%である。
【0049】
ナノコンポジット(A1)はモノマー(c)として、式H2C=(R1)−COO−(−CH2−CH(R6)−O−)b−R7)の少なくとも1の中性モノマー(c1)、中性モノマー(c2)並びに少なくとも1のアニオン性モノマー(c3)及び/又は少なくとも1のカチオン性モノマー(c4)、好ましくは少なくとも1の中性モノマー(c2)並びに少なくとも1のカチオン性モノマー(c4)を含む。
【0050】
適したモノマー(c1)、(c2)、(c3)及び(c4)の例は既に挙げてある。
【0051】
ナノコンポジット(A1)中の中性モノマー(c1)とは、ヒドロキシ基及び/又はエーテル基を有するモノマー、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、アリルアルコール、ヒドロキシビニルエチルエーテル、ヒドロキシビニルプロピルエーテル、ヒドロキシビニルブチルエーテル又は式H2C=C(R1)−COO−(−CH2−CH(R6)−O−)b−R7又はH2C=C(R1)−O−(−CH2−CH(R6)−O−)b−R7(式中、R1は上記で定義した通りであり、bは2〜200、好ましくは2〜100の数である)の化合物である。基R6は、相互に独立してH、メチル又はエチル、好ましくはH又はメチルであり、但し、少なくとも50mol%の基R6がHである。好ましくは少なくとも75mol%、特に好ましくは少なくとも90mol%の基R6がH、特にとりわけ好ましくはHのみである。基R7はH、メチル又はエチル、好ましくはH又はメチルである。個々のアルキレンオキシド単位はランダムに又はブロックで配置されていることができる。ブロックコポリマーでは、ブロック間の移行が急激でも緩やかであってもよい。
【0052】
本発明の好ましい一実施態様において、本発明のナノコンポジットは、ナノコンポジット(A1)中の(c1)とは異なる中性のモノマー(c2)がアクリルアミド又はメタクリルアミド、並びにその誘導体、例えばN−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド並びにN−ビニル誘導体、例えばN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン又はN−ビニルカプロラクタムを含む。ナノコンポジット(A1)で好ましいモノマー(c2)はアクリルアミド、メタクリルアミド及びN−ビニルピロリドンである。
【0053】
ナノコンポジット(A1)中のアニオン性モノマー(c3)は、酸基を有するモノマー、好ましくはカルボキシル基−COOH、スルホン酸基−SO3H又はホスホン酸基−PO32の群の少なくとも1の基を有するモノマーである。
【0054】
アニオン性モノマー(c3)は、好ましくはスルホン酸基−SO3Hを有するモノマーである。好ましいモノマーの例はビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2−アクリルアミドブタンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチル−ブタンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2,4,4−トリメチルペンタンスルホン酸を含み、好ましくは2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0055】
ナノコンポジット(A1)中のカチオン性モノマー(c4)は、好ましくは式H2C=C(R4)−CO−NR10−R8−NR93+-及び/又はH2C=C(R7)−COO−R8−NR93+-(式中、基及びそのつどの好ましい範囲又は種類はそれぞれ上で定義してある)の上記モノマーである。特に好ましくは3−トリメチルアンモニウム−プロピルアクリルアミドクロリド(DIMAPAQUAT)である。
【0056】
ナノコンポジット(A1)では、アニオン性モノマー(C3)及びカチオン性モノマー(c4)の量が通常は、全モノマーの合計に対して25〜80質量%、好ましくは40〜75質量%、特に好ましくは45〜70質量%であり、中性モノマー(c2)の量が15〜60質量%、好ましくは20〜50質量%であり、中性モノマー(c1)の量が1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%であり、但し、モノマー(c1)及び(c2)及び(c3)及び(c4)の合計が70〜99.9質量%である。モノマー(a)及び(b)は言及した量で使用される。
【0057】
本発明の好ましい一実施態様においては、本発明のナノコンポジットは、3−トリメチル−アンモニウム−プロピル(メタ)アクリルアミド及び2−トリメチルアンモニウム−エチル(メタ)アクリラートの塩を有するカチオン性モノマーを含む。
【0058】
好ましいナノコンポジット(A1)は、アニオン性モノマー(c3)又はカチオン性モノマー(c4)を既に言及した量で含む。(c3)及び(c4)からの混合物が使用される場合には、質量比(c3):(c4)は自由に選択できる。
【0059】
本発明の更なる好ましい一実施態様において、本発明のナノコンポジットは更になおアンモニウム基を有するカチオン性モノマー(c4)少なくとも1を含む。
【0060】
好ましい一実施態様において、このナノコンポジットは、次の群:
・(c1)とは異なる、中性の親水性モノマー(c2)、及び
・カルボキシル基−COOH、スルホン酸基−SO3H又はホスホン酸基−PO32の群から選択される少なくとも1の酸性基を含むアニオン性モノマー(c3)
から選択される少なくとも2つの異なる親水性モノマー(c)を有するナノコンポジット(A2)を含み、
その際、ナノコンポジット中の全モノマー量に対して、モノマー(b)の量は0.1〜10質量%であり、全モノマー(c)は合計で70〜99.9質量%である。
【0061】
水硬性結合剤を含有する水性建築材料系のための添加剤としてちょうど挙げた好ましい使用については、さらに好ましくは以下記載の、疎水性会合するナノコンポジット(A2)が使用される。
【0062】
相応して、第3の好ましい一実施態様において、本発明は、好ましい、疎水性会合するナノコンポジット(A2)に関する。この好ましいナノコンポジット(A2)は、特に流動性建築材料系のための、特にコンクリート、流動性フローリング材、セルフレベリング充填材及びグラウトモルタルのための添加剤として適する。
【0063】
疎水性会合するナノコンポジット(A2)は、モノマーを0.1〜12質量%、好ましくは0.4〜5質量%の量で含む。好ましくはナノコンポジット(A2)はモノマー(a)、(b)、(c)及び(d)だけを、特に好ましくはモノマー(a)、(b)及び(c)だけを含む。
【0064】
モノマー(b)の好ましい一実施態様において、ナノコンポジット(A2)はしかし、モノマー(b)を他の疎水性会合するモノマー、好ましくは一般式H2C=C(R1)−COO−(−CH2−CH(R2)−O−)q−R3及び/又はH2C=C(R1)−O−(−CH2−CH(R2)−O−)q−R3のモノマーと混合して含むこともできる。基及び指数の意味合い並びに好ましい範囲は既に冒頭部で説明してある。この種の混合物では、モノマーの割合は通常は、全モノマー(b)の量に対して少なくとも25質量%、好ましくは40〜90質量%、例えば40〜60質量%である。好ましいモノマー(b)は既に上で言及している。
【0065】
ナノコンポジット(A2)はモノマー(c)として少なくとも1の中性モノマー(c2)並びに少なくとも1のアニオン性モノマー(c3)を含む。適したモノマー(c2)及び(c3)の例は既に言及してある。
【0066】
中性モノマー(c2)は、アクリルアミド又はメタクリルアミド、並びにその誘導体、例えばN−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、並びにN−ビニル誘導体、例えばN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン又はN−ビニルカプロラクタムである。ナノコンポジット(A2)で好ましいモノマー(c2)はアクリルアミド、メタクリルアミド及びN−ビニルピロリドンである。
【0067】
アニオン性モノマー(c3)は、酸基を有するモノマー、好ましくはカルボキシル基−COOH、スルホン酸基−SO3H又はホスホン酸基−PO32から選択された少なくとも1の基を有するモノマーである。
【0068】
好ましくはナノコンポジット(A2)では、モノマー(c3)はスルホン酸基−SO3Hを有するモノマーである。好ましいモノマーの例はビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2−アクリルアミドブタンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチル−ブタンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2,4,4−トリメチルペンタンスルホン酸を含み、好ましくは2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0069】
好ましいナノコンポジット(A2)では、アニオン性モノマー(c3)の量は通常は、全モノマーの合計に対して25〜94.9質量%、好ましくは50〜90質量%、特に好ましくは60〜90質量%であり、中性モノマー(c2)は5〜50質量%、好ましくは5〜30質量%であり、但し、モノマー(c2)及び(c3)の合計は一緒になって70〜99.9質量%である。モノマー(c)は冒頭部で言及した量で使用される。
【0070】
最後に、本発明は、水相中のラジカル重合による、逆エマルション中のラジカル重合による、又は、逆懸濁液中のラジカル重合による、ナノコンポジットの製造方法を包含する。
【0071】
本発明のナノコンポジットは、知られている方法に応じて、モノマー(a)、(b)、(c)又は付加的に(d)のラジカル重合によって、例えば塊状重合、溶液重合、ゲル重合、エマルション重合又は懸濁重合によって、好ましくは水相中で製造されることができる。
【0072】
本発明の好ましい一実施態様において、ナノコンポジットの製造方法は水相中のゲル重合としてラジカル重合により行われる。
【0073】
更なる好ましい一実施態様において、この製造は、全ての使用されるモノマーが十分な水溶性を示すことを前提として、ゲル重合を用いて水相中で実施される。ゲル重合にはまず、モノマー、開始剤及び他の助剤からの混合物を水又は水性溶媒混合物を用いて準備する。適した水性溶媒混合物は水並びに水と混合可能な有機溶媒を含み、その際水の割合は通常は少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも80質量%、特に好ましくは少なくとも90質量%である。有機溶媒としてここで特に、水と混合可能なアルコール、例えばメタノール、エタノール又はプロパノールを挙げることができる。酸性モノマーは重合前には全部又は一部が中和されていることができる。好ましくは4〜約9のpH値である。全成分の濃度は、溶媒を除いて、通常25〜60質量%、好ましくは30〜50質量%である。
【0074】
この混合物を引き続き光化学的に又は熱的に、好ましくは−5℃〜50℃で重合させる。熱により重合させる場合には、既に比較的低温で開始する重合開始剤、例えばレドックス開始剤を好ましくは使用する。熱重合は、既に室温で又は好ましくは50℃を超えない温度への混合物の加熱により行われることができる。光化学重合は通常は−5℃〜10℃の温度で実施される。特に好ましくは、混合物に熱重合のための開始剤も光化学重合のための開始剤を添加することにより、光化学重合及び熱重合は相互に組み合わされることができる。重合はここでまず、低温、好ましくは−5℃〜10℃で光化学的に開始させられる。自由になる反応熱によって、この混合物が加熱され、これによって更に熱重合が開始する。この組み合わせを用いて、99%超の変換率が達成される。
【0075】
ゲル重合は普通は撹拌なしで行われる。ゲル重合は、層厚2〜20cmを有する、適した容器中で混合物を照射及び/又は加熱することで、バッチ式に行われることができる。重合によって固形ゲルが発生する。重合は連続的にも行うことができる。このために、重合すべき混合物の受入のための輸送ベルトを提供する重合装置を用いる。輸送ベルトは、加熱又はUV線での照射のためのユニットを備えている。従って、この混合物をベルト末端に適した機器を用いて注ぎ、この輸送の過程においてベルト方向でこの混合物を重合させ、そして、このベルトのもう一方の末端で固形ゲルを取り出すことができる。
【0076】
ゲルを重合後に破砕し、乾燥させる。この乾燥を、好ましくは100℃を下回る温度で行うことが望ましい。くっつき合うことを回避するために、この工程のために適した剥離剤を用いることができる。粉末として疎水性会合するナノコンポジットが得られる。
【0077】
ゲル重合の実施についての更なる詳細は例えばDE102004032304 A1、段落[0037]〜[0041]に開示されている。
【0078】
本発明のナノコンポジットは好ましくは数平均分子量Mn50000〜20000000g/molを有する。
【0079】
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明する。
【0080】
疎水性会合するナノコンポジットの製造
実施例1(B1)
アクリルアミド(24.9質量%)、アニオン性モノマーアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸Na塩(68質量%)、ポリエチレングリコール(3000)−ビニルオキシブチルエーテル(5質量%)及び疎水性会合するモノマー(b)(2質量%)から構成されるタイプ(A1)の疎水性会合するナノコンポジット
Levasil(R) 300/30 %(H.C. Starck社のシリカゾル)1g、蒸留H2O10g及びメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン0.3g(0.1質量%、0.1mol%)(Degussa AG社のDynasylan MEMO)を一晩室温で撹拌した。引き続き、相次いで、撹拌機及び温度計を備えた2リットルの三口フラスコ中で以下の成分を相互に混合した:
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸Na塩527.70g(58質量%水溶液;48.1mol%)、
シリコーン消泡剤1.6g、
ペンタナトリウムジエチレントリアミンペンタアセタート(錯形成剤)2.4g、
アクリルアミド175.0g(50質量%水溶液;51.4mol%)、
モノマー(b)11.70g(60質量%水溶液;0.2mol%)、
ポリエチレングリコール(3000)−ビニルオキシブチルエーテル29.20g(VOB、60質量%水溶液;0.2mol%)。
【0081】
分子量調節剤としてギ酸3.2g(10質量%水溶液)を添加した。この溶液を、20%の水酸化ナトリウム溶液によりpH=7に調節し、窒素による10分の洗浄によって不活性化し、かつ約5℃に冷却した。この溶液をプラスチック容器中に詰め替え、引き続き相次いで2,2′−アゾ−ビス−(2−アミジノプロパン)−ジヒドロクロリド1%溶液250ppm、tert−ブチルヒドロペルオキシド0.1%溶液20ppm及び亜硫酸水素塩1%溶液30ppmを添加した。重合をUV光照射(2つのPhilips管;Cleo Performance 40W)によって開始した。2時間後、硬質のゲルをプラスチック容器から取り出し、かつハサミにより約5cm×5cm×5cmの大きさのゲル立方体に切断した。このゲル立方体を慣例のミートチョッパーによって粉砕する前に、それらに慣用の剥離剤Sitren 595(Goldschmidt社)を塗布した。剥離剤は、水で1:20に希釈したポリジメチルシロキサンエマルジョンである。得られたゲル顆粒を乾燥格子に均等に配分し、かつ空気循環式乾燥棚内で約90〜120℃で真空中で恒量になるまで乾燥した。
【0082】
実施例2:(B2)
アクリルアミド(24.6質量%)、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸Na塩(68質量%)、ポリエチレングリコール(3000)−ビニルオキシブチルエーテル(5質量%)及び疎水性会合するモノマー(b)(2質量%)から構成されるタイプ(A1)の疎水性会合するナノコンポジット
実施例1に示したように以下の成分を用いて実験を実施した:
Levasil(R) 300/30 %(H.C. Starck社のシリカゾル)4g、蒸留H2O10g及びメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン1.4g(0.4質量%、0.2mol%)(Degussa AG社のDynasylan MEMO)を一晩室温で撹拌した。引き続き、相次いで、撹拌機及び温度計を備えた2リットルの三口フラスコ中で以下の成分を相互に混合した:
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸Na塩527.70g(58質量%水溶液;48.3mol%)、
シリコーン消泡剤1.6g、
ペンタナトリウムジエチレントリアミンペンタアセタート(錯形成剤)2.4g、
アクリルアミド172.80g(50質量%水溶液;51.0mol%)、
モノマー(b)11.70g(60質量%水溶液;0.2mol%)、
ポリエチレングリコール(3000)−ビニルオキシブチルエーテル29.20g(60質量%水溶液;0.2mol%)。
【0083】
実施例3:(B3)
アクリルアミド(29.9質量%)、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸Na塩(40質量%)、N−ビニルピロリドン(28質量%)及び疎水性会合するモノマー(b)(2質量%)から構成されるタイプ(A1)の疎水性会合するナノコンポジット
実施例1に示したように以下の成分を用いて実験を実施したが、分子量調節剤を使用しなかった:
Levasil(R) 300/30 %(H.C. Starck社のシリカゾル)1g、蒸留H2O10g及びメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン0.3g(0.1質量%、0.1mol%)(Degussa AG社のDynasylan MEMO)を一晩室温で撹拌した。引き続き、相次いで、撹拌機及び温度計を備えた2リットルの三口フラスコ中で以下の成分を相互に混合した:
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸Na塩278.50g(58質量%水溶液;22.2mol%)、
シリコーン消泡剤1.6g、
ペンタナトリウムジエチレントリアミンペンタアセタート(錯形成剤)2.4g、
アクリルアミド188.60g(50質量%水溶液;48.4mol%)、
モノマー(b)10.50g(60質量%水溶液;0.1mol%)、
N−ビニルピロリドン89.0g(29.2mol%)。
【0084】
実施例4:(B4)
アクリルアミド(29.6質量%)、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸Na塩(40質量%)、N−ビニルピロリドン(28質量%)及び疎水性会合するモノマー(b)(2質量%)から構成されるタイプ(A1)の疎水性会合するナノコンポジット
実施例3に示したように以下の成分を用いて実験を実施した:
Levasil(R) 300/30 %(H.C. Starck社のシリカゾル)4g、蒸留H2O10g及びメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン1.4g(0.4質量%、0.2mol%)(Degussa AG社のDynasylan MEMO)を一晩室温で撹拌した。引き続き、相次いで、撹拌機及び温度計を備えた2リットルの三口フラスコ中で以下の成分を相互に混合した:
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸Na塩278.50g(58質量%水溶液;22.3mol%)、
シリコーン消泡剤1.6g、
ペンタナトリウムジエチレントリアミンペンタアセタート(錯形成剤)2.4g、
アクリルアミド188.60g(50質量%水溶液;48.1mol%)、
モノマー(b)10.50g(60質量%水溶液;0.1mol%)、
N−ビニルピロリドン89.0g(29.3mol%)。
【0085】
実施例5:(B5)
アクリルアミド(32.6質量%)、ポリエチレングリコール−(3000)−ビニルオキシブチルエーテル(5質量%)、カチオン性モノマー3−(アクリルアミノ−)プロピル−トリメチルアンモニウムクロリド(57質量%)、アクリル酸(2質量%)及び疎水性会合するモノマー(b)(3質量%)から構成されるタイプ(A1)の疎水性会合するナノコンポジット
実施例1に示したように以下の成分を用いて実験を実施したが、分子量調節剤としてギ酸0.6g(10質量%水溶液)を使用した:
Levasil(R) 300/30 %(H.C. Starck社のシリカゾル)4g、蒸留H2O10g及びメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン1.4g(0.4質量%、0.2mol%)(Degussa AG社のDynasylan MEMO)を一晩室温で撹拌した。引き続き、相次いで、撹拌機及び温度計を備えた2リットルの三口フラスコ中で以下の成分を相互に混合した:
蒸留水170g、
シリコーン消泡剤1.6g、
ペンタナトリウムジエチレントリアミンペンタアセタート(錯形成剤)2.4g、
アクリル酸(99.5%;3.6mol%)5.6g、
3−(アクリルアミノ−)プロピル−トリメチルアンモニウムクロリド266.0g(60質量%水溶液;35.8mol%)、
アクリルアミド183.0g(50質量%水溶液;59.9mol%)、
モノマー(b)14.0g(60質量%水溶液;0.2mol%)、
ポリエチレングリコール−(3000)−ビニルオキシブチルエーテル23.40g(VOB、60質量%水溶液;0.2mol%)。
【0086】
実施例6:(B6)
アクリルアミド(27.9質量%)、N−ビニルピロリドン(28質量%)、3−(アクリルアミノ−)プロピル−トリメチルアンモニウムクロリド(40質量%)、アクリル酸(2質量%)及び疎水性会合するモノマー(b)(2質量%)から構成されるタイプ(A1)の疎水性会合するナノコンポジット
実施例1に示したように以下の成分を用いて実験を実施したが、分子量調節剤としてギ酸0.6g(10質量%水溶液)を使用した:
Levasil(R) 300/30 %(H.C. Starck社のシリカゾル)1g、蒸留H2O10g及びメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン0.3g(0.1質量%、0.1mol%)(Degussa AG社のDynasylan MEMO)を一晩室温で撹拌した。引き続き、相次いで、撹拌機及び温度計を備えた2リットルの三口フラスコ中で以下の成分を相互に混合した:
蒸留水170g、
シリコーン消泡剤1.6g、
ペンタナトリウムジエチレントリアミンペンタアセタート(錯形成剤)2.4g、
アクリル酸(99.5%;3.2mol%)6.1g、
3−(アクリルアミノ−)プロピル−トリメチルアンモニウムクロリド202.60g(60質量%水溶液;22.2mol%)、
アクリルアミド175.30g(50質量%水溶液;45.2mol%)、
モノマー(b)10.20g(60質量%水溶液;0.1mol%)、
N−ビニルピロリドン86.0g(28質量%;29.2mol%)。
【0087】
実施例7:(B7)
ジメチルアクリルアミド(19.2質量%)、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸Na塩(79.9質量%)及び疎水性会合するモノマー(b)(0.8質量%)から構成されるタイプ(A2)の疎水性会合するナノコンポジット
実施例1に示したように以下の成分を用いて実験を実施したが、分子量調節剤としてギ酸4g(10質量%水溶液)を使用した:
Levasil(R) 300/30 %(H.C. Starck社のシリカゾル)1g、蒸留H2O10g及びメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン0.3g(0.1質量%、0.1mol%)(Degussa AG社のDynasylan MEMO)を一晩室温で撹拌した。引き続き、相次いで、撹拌機及び温度計を備えた2リットルの三口フラスコ中で以下の成分を相互に混合した:
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸Na塩612.70g(58質量%水溶液;66.5mol%)、
シリコーン消泡剤1.6g、
ジメチルアクリルアミド67.22g(33.4mol%)、
モノマー(b)4.60g(60質量%水溶液;0.1mol%)。
【0088】
実施例8:(B8)
ジメチルアクリルアミド(19.2質量%)、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸Na塩(79.6質量%)及び疎水性会合するモノマー(b)(0.8質量%)から構成されるタイプ(A2)の疎水性会合するナノコンポジット
実施例1に示したように以下の成分を用いて実験を実施したが、分子量調節剤としてギ酸6g(10質量%水溶液)を使用した:
Levasil(R) 300/30 %(H.C. Starck社のシリカゾル)4g、蒸留H2O10g及びメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン1.4g(0.4質量%、0.3mol%)(Degussa AG社のDynasylan MEMO)を一晩室温で撹拌した。引き続き、相次いで、撹拌機及び温度計を備えた2リットルの三口フラスコ中で以下の成分を相互に混合した:
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸Na塩610.61g(58質量%水溶液;66.2mol%)、
シリコーン消泡剤1.6g、
ジメチルアクリルアミド67.21g(33.4mol%)、
モノマー(b)4.60g(60質量%水溶液;0.1mol%)。
【0089】
比較例1:(V1)
本発明のモノマー(a)なしのアクリルアミド及び3−(アクリルアミノ−)プロピル−トリメチルアンモニウムクロリドを有する疎水性会合するコポリマー
実施例1に示したように以下の成分を用いて実験を実施した:
蒸留水170g、
シリコーン消泡剤1.6g、
ペンタナトリウムジエチレントリアミンペンタアセタート(錯形成剤)2.4g、
アクリル酸(99.5%;2.9mol%)5.4g、
3−(アクリルアミノ−)プロピル−トリメチルアンモニウムクロリド148g(60質量%水溶液;18.3mol%)、
アクリルアミド259.7g(50質量%水溶液;78.6mol%)、
ポリエチレングリコール−(3000)−ビニルオキシブチルエーテル20.0g(VOB、60質量%水溶液;0.2mol%)、
モノマー(b)8.0g(60質量%水溶液;0.1mol%)。
【0090】
比較例2:(V2)
本発明のモノマー(a)なしのアクリルアミド及びアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸Na塩を有する疎水性会合するコポリマー
実施例1に示したように以下の成分を用いて実験を実施した:
蒸留水170g、
シリコーン消泡剤1.6g、
ペンタナトリウムジエチレントリアミンペンタアセタート(錯形成剤)2.4g、
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸Na塩528g(58質量%水溶液;48.1mol%)、
アクリルアミド175g(50質量%水溶液;51.5mol%)、
ポリエチレングリコール(3000)−ビニルオキシブチルエーテル29.2g(VOB、60質量%水溶液;0.2mol%)、
モノマー(b)11.9g(60質量%水溶液、0.2mol%)。
【0091】
比較例3:(V3)
撹拌機及び温度計を備えた2リットルの三口フラスコ中で以下の成分を相互に混合した:
シリコーン消泡剤1.6g、
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸Na塩578.00g(58質量%水溶液;62.2mol%)、
アクリルアミド104.80g(50質量%水溶液;36.4mol%)、
ポリエチレングリコール(1100)−ビニルオキシブチルエーテル43.50g(VOB、60質量%水溶液;1.4mol%)。
【0092】
分子量調節剤としてギ酸300ppm(10質量%水溶液)を添加した。この溶液を、20%の水酸化ナトリウム溶液によりpH=7に調節した。窒素による洗浄(10分)によって不活性化し、かつ約5℃に冷却した。この溶液をプラスチック容器中に詰め替え、引き続き相次いで2,2′−アゾ−ビス−(2−アミジノプロパン)−ジヒドロクロリド1%溶液150ppm、tert−ブチルヒドロペルオキシド0.1%溶液6ppm、Rongalit1%溶液6ppm及びFeSO4*7H2O 1%溶液3ppmを添加した。この後処理を上記したように行った。
【0093】
適用技術試験
タイル接着モルタルにおける試験:
タイプ(A1)のナノコンポジットの特性をタイル接着モルタルの試験混合物中で試験した。この試験混合物の組成はDE102006050761 A1、第11頁、第1表に示されている。これは、そのつど0.5質量%の試験すべき疎水性会合するナノコンポジットを固形の形で混入してある、使用準備が整って配合された乾燥混合物である。この乾燥混合物に引き続き所定の水量を添加し、適した混合装置(G3混合機を有する穿孔機)を用いて強力に撹拌した。必要な混合時間を測定した。このタイル接着剤はまず5分間熟成させた。
【0094】
撹拌したタイル接着モルタルを用いて以下の試験を実施した:
スランプ
スランプの測定をDIN 18555、第2部に応じて実施し、成熟時間直後に並びに場合によってより後の時間点で行った。
保水性
保水性を、撹拌15分後にDIN18555,第7部に従って算出した。
湿潤性
タイル接着剤配合物をEN 1323に従ってコンクリートプレートに塗布し、10分間後にタイル(5cm×5cm)を敷設した。その後このタイルに30秒間2kgの重さを負荷した。さらに60分間後、タイルを取り出し、かつ、いくらのパーセント割合でタイル裏面が依然としてタイルモルタルに付着していたかを算出した。
滑り性
滑り性を、撹拌3分間後にDIN EN1308に従って算出した。滑りの道程をmmで記載する。
接着性
試験混合物の接着性又は易移動性の測定を、資格を有する当業者により行った。
空気孔安定性
空気孔安定性の測定を資格を有する当業者によって視覚により行った。
【0095】
そのつど用いられるナノコンポジット及び得られる結果は第2表にまとめられている。
【0096】
自己充填性コンクリート中の試験
タイプ(A2)のナノコンポジットの特性を自己充填性コンクリートの試験混合物中で試験した。この試験混合物の組成はDE102006050761 A1、第23頁、第11表に示されている。
【0097】
モルタル混合物の製造:
自己充填性コンクリートを実験室中で50リットルの強制混合機を用いて混合した。この混合機の作用度は45%であった。この混合過程ではまず骨材及び微粉状物質を10秒間混合機中で均質化し、引き続き混練水、流動剤及びナノコンポジット(水溶液又は粉末として)を添加した。この混合時間は4分間であった。引き続き、新規コンクリート試験(スランプフロー(Setzfliessmass))を実施し、評価した。コンシステンシー経過を120分間にわたり観察した。
【0098】
スランプフローの測定
流動性の測定には、いわゆるエイブラムスコーンスランプ漏斗(上側内径100mm、下側内径200mm、高さ300mm)を使用した(スランプフロー=2つの相互に垂直に立つ軸にわたり測定かつ算出したコンクリートケークの直径(cm))。スランプフローの測定を混合物毎に4回実施し、即ち、混合終了後時間点t=0、30、60及び90分に実施し、その際、この混合物をそのつどのフロー測定前にコンクリート混合機を用いて60秒間再度十分混合した。
【0099】
ブリーディング及び沈殿を当業者が視覚により評価した。この値を撹拌直後に1回、そして20分間後に1回算出した。
【0100】
そのつど用いられるナノコンポジット及び得られる結果は第1表及び第2表にまとめられている。
【0101】
ナノコンポジット(A1、B1−B6;第1表)は、保水剤として改善した作用及びこの場合に改善した特性を現在使用される製品(V1及びV2)に対して示す。さらに、とりわけ、タイルモルタルでのタイル裏側の湿潤性、壁からのタイルの滑り性、タイルモルタルの接着性、空気孔安定性及び試験混合物の易移動性は、同時に少ない混和時間で改善された。
【0102】
ナノコンポジット(A2、B7−B8、第2表)は、自己充填性コンクリートにおいてレオロジー改質剤として改善した作用を示し、かつ、コンクリートの沈殿及びブリーディングを回避する。
【0103】
【表1】

第1表:実施例及び比較例の結果
【0104】
【表2】

第2表:実施例及び比較例の結果

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)不飽和シランと反応させた、構造単位(a)のシリカ少なくとも1つ、
(b)構造単位(b)の疎水性に改質したモノマー少なくとも1つ、
(c)構造単位(c)の親水性モノマー少なくとも1つ
からなるナノコンポジット。
【請求項2】
シリカ成分(a)が、無定形二酸化ケイ素(SiO2)のコロイド分散性水溶液に、好ましくはナノシリカに由来することを特徴とする請求項1記載のナノコンポジット。
【請求項3】
疎水性会合する水溶性ナノコンポジットであることを特徴とする請求項1又は2記載のナノコンポジット。
【請求項4】
(a)モノエチレン性不飽和の、疎水性に改質したモノマー(b)0.1〜10質量%、並びに
(b)モノエチレン性不飽和の、親水性モノマー(c)10質量%〜99.9質量%
を含む請求項3記載のナノコンポジット。
【請求項5】
構造単位(b)が、以下の一般式(II)又は(III)
【化1】

[式中、
q:10〜150、好ましくは12〜100、特に好ましくは15〜80、特にとりわけ好ましくは20〜30、特に25の数を表す、
1:H、メチル、
2:相互に独立して、H、メチル又はエチル、好ましくはH又はメチルを表し、但し、少なくとも50mol%の基R2がHであり、少なくとも75mol%の基R2がHであり、少なくとも90mol%、特にとりわけ好ましくはHのみである、
3:少なくとも6個、特に6〜40個、好ましくは8〜30個の炭素原子を有する脂肪族及び/又は芳香族の、直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素基を表す]
により表されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のナノコンポジット。
【請求項6】
少なくとも1のモノマー(c)が、少なくとも1の酸性基を有するモノマーであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のナノコンポジット。
【請求項7】
酸性基が、−COOH、−SO3H及び−PO32の群の1つから少なくとも選択されていることを特徴とする請求項6記載のナノコンポジット。
【請求項8】
次の群:
・式
【化2】

の中性の親水性モノマー(c1)、
・(c1)とは異なる、中性の親水性モノマー(c2)、好ましくは中性モノマー、例えばアクリルアミド又はメタクリルアミド、並びにその誘導体、並びにN−ビニル誘導体、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド又はN−ビニルカプロラクタムを含む、
・カルボキシル基−COOH、スルホン酸基−SO3H又はホスホン酸基−PO32の群から選択される少なくとも1の酸性基を有するアニオン性モノマー(c3)、及び
・一般式
【化3】

の、少なくとも1のアンモニウム基を有するカチオン性モノマー(c4)
から選択される、少なくとも4の異なる親水性モノマー(c)を有するナノコンポジット(A1)により表され、
その際、ナノコンポジット中の全モノマーの量に対して、モノマー(b)の量は0.1〜10質量%であり、全モノマー(c)は合計で70〜99.5質量%である
請求項1から7のいずれか1項記載のナノコンポジット。
【請求項9】
中性モノマー(c2)が、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド又はN−ビニル−2−ピロリドンの群から選択されたモノマーを含み、かつ、モノマー(c3)が、(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドブタンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸又は2−アクリルアミド−2,4,4−トリメチル−ペンタンスルホン酸又はビニルホスホン酸の群から選択された少なくとも1のモノマーを含むことを特徴とする請求項8記載のナノコンポジット。
【請求項10】
カチオン性モノマー(c4)が、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミド及び2−トリメチルアンモニウム−エチル(メタ)アクリラートの塩を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載のナノコンポジット。
【請求項11】
次の群:
・(c1)とは異なる、中性の親水性モノマー(c2)、及び
・カルボキシル基−COOH、スルホン酸基−SO3H又はホスホン酸基−PO32の群から選択される少なくとも1の酸性基を有するアニオン性モノマー(c3)
から選択される少なくとも2の異なる親水性モノマー(c)を有するナノコンポジット(A2)により表され、
その際、ナノコンポジット中の全モノマーの量に対して、モノマー(b)の量は0.1〜10質量%であり、全モノマー(c)は合計で70〜99.9質量%である
請求項1から10のいずれか1項記載のナノコンポジット。
【請求項12】
成分a)をモノマーb)及びc)及び任意にd)と、水相中でラジカル重合、逆エマルション中でラジカル重合、又は逆懸濁液中でラジカル重合することによる請求項1から11のいずれか1項記載のナノコンポジットの製造方法。
【請求項13】
ラジカル重合をゲル重合として水相中で行うことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
水硬性結合剤系、特にセメント、石灰、石膏又は硬石膏を含有する水性建築材料系のための混和剤としての、請求項11から13までのいずれか1項記載のナノコンポジットの使用。
【請求項15】
建築材料系が、乾燥モルタル組成物、特にタイル接着剤又は石膏プラスターであることを特徴とする請求項14記載の使用。

【公表番号】特表2013−510199(P2013−510199A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537347(P2012−537347)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066370
【国際公開番号】WO2011/054730
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】