説明

疎水性栄養素の安定なビーズ

【課題】安定化酸化防止剤および疎水性栄養素を含有する被膜を有する不活性中核を含む、疎水性栄養素の新規な安定なビーズの提供。
【解決手段】ルテイン、ルテインエステル、α−カロテン、β−カロテン、ゼアキサンチン、ゼアキサンチンエステル、アスタキサンチン、リコペン、およびそれらの混合物からなる疎水性栄養素成分を、大気から、特に、湿気および/または酸素から保護の為の、1以上の障壁被膜を有する安定なビーズ及び調製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性栄養素の新規なビーズおよびそれらの調製方法に関する。本発明は、特に、疎水性栄養素、原料または物質、特に、カロテノイド、トコフェロール、トコトリエノール、植物ステロールおよびスタノールならびにレシチンのような栄養素、セレクトω−3脂肪酸およびポリ−不飽和脂肪酸の新規で安定なビーズに関する。さらに、本発明は、ルテイン、ルテインエステル、ゼアキサンチン、ゼアキサンチンエステルの新規なビーズおよびそれらの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、栄養摂取を通じた健康の促進における栄養素および植物化学の役割は、癌の予防、ならびに、関節炎、冠状動脈性心臓病および骨粗鬆症等の他の多くの成人病に対する防止のような恩恵にまで広がっている。
【0003】
植物化学の栄養素の多くは、トコフェロール、トコトリエノール、カロテノイド、植物ステロールおよびスタノールならびにレシチン、セレクトω−3脂肪酸およびポリ不飽和脂肪酸のような疎水性の特性を有している。本発明の説明に関する一方、"疎水性栄養素"、"疎水性植物化合物"または"活性疎水性栄養素"の用語は、これら化合物単独でまたは他のそのような化合物との組み合わせについて説明するために、互換性があるように使用される。疎水性栄養素は、油性または脂肪性の溶媒またはキャリアに対して親和性を示す種類の物質である。疎水性物質は、ヘキサンのような炭化水素溶媒に対して高い溶解性を有し、低い水溶性を有する。
【0004】
トコフェロール、トコトリエノールおよびカロテノイドは、様々な変性疾患を予防する役割を果たすと言われる、自然に生じる疎水性微量養素である。植物ステロールまたはスタノールは、ナッツ類、植物油、種子、穀類および豆類の中で発見されたコレステロールと構造的に関わりのある、自然に生じる疎水性化合物である。レシチンは、中性脂肪油およびリン脂質(ホスファプチジルコリンまたはPCを含む)の複合疎水性混合物である。レシチンは、食品加工に広く用いられ、現在、細胞膜保全および体内の様々な生化学的および神経化学的過程に必要とされるコリン源としての役割が可能な栄養補助食品として用いられている。ポリ不飽和脂肪酸(例えば、リノレン酸、α−リノレン酸およびγ−リノレン酸)およびω−3脂肪酸(例えば、AA、DHAおよびEPA)は、数々の新陳代謝の過程および健康な体の機能の役割を果たす重要な栄養を有する。
【0005】
カロテノイドおよび他の疎水性栄養素は、様々な形態の癌、免疫障害、眼性障害、皮膚顕現、炎症およびカーディオ血管系疾患等の疾患の予防/治療のための栄養剤として有用である。これら疎水性栄養素は、通常、適切な輸送システムを通じて毎日投与する必要がある。一般に、ゼラチンビーズのような固体輸送形態と共に広く用いられる、乳剤および懸濁液または油性液剤のような様々な輸送システムが存在する。
【0006】
これら疎水性植物化合物および栄養素の多くは、安定で規格化された形態の栄養剤の処方に組み込まれることが求められる。これらは、通常、油状、ろう状または粘液状の形態で利用可能であるが、しばしば、乾燥輸送形態で存在する必要がある。前記乾燥輸送形態は、光、湿気もしくは酸素の影響による不安定化に対する適切な保護、または、多成分栄養サプリメントもしくは健康食品の他の反応性成分との接触からの適切な保護を有する、統一された量のこれら植物化合物を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
疎水性栄養素製品を処方するにおける問題
1. 乾燥輸送形態を開発するのにおける困難性
産業における栄養処方の多くは、錠剤、カプセルまたは乾燥混合物の形態である。そのようなサプリメントの処方者および製造メーカーにとって、これら製品の油状、ろう状または粘液状の性質が原因で、カロテノイド、トコフェロールおよびトコトリエノール等のビタミンE源、PC−豊富なレシチンの濃縮形態、植物ステロールおよび植物スタノール、PUFA豊富な様々な油ならびにω−3脂肪酸のような疎水性栄養素を単独または他の栄養素との組み合わせて、乾燥形態に組み込むことは重要な問題である。噴霧乾燥粉末、顆粒剤またはゼラチンビーズ等のいくつかの選択肢は、選ばれた製品でのみ機能し、打錠システム下で必ずしも十分に機能するわけではない。疎水性栄養素の使用における要求のいくつかを以下で説明する。
【0008】
a. カロテノイドは、室温で不安定な傾向にあり、光、熱、空気および酸性環境への露出により分解する傾向がある。それらの寿命は、天然のコフェロール、アスコルビン酸誘導体およびクエン酸塩等の他の安定な酸化防止剤の使用によって延ばす必要がある。
b. カロテノイド安定化のための他の選択肢は、天然に存在するか、または添加された酸化防止剤に加えて、油媒体の保護膜を提供するために、前記油媒体中のカロテノイドを輸送することによるものである。乾燥輸送形態は、安定化させることがさらに困難であると考えられる。
c. トコフェロールおよびトコトリエノールは、通常、植物油の存在下の油性媒体中で見られる。そのような油性製品は、それらを粉末、顆粒剤またはビーズに変換するための専門的な技術を用いずに、錠剤のような乾燥輸送形態において最小の用量の場合を除き、使用することは困難である。
d. 有効成分PCが豊富(20−95%)なレシチンは、直接圧縮または流動性粉末に適切でない、粘性ペーストまたはろう状塊となる傾向がある。
e. 植物ステロールおよび植物スタノールは、通常、脂質に基づくサプリメントを通じて補給される油性製品である。これらを流動性または直接圧縮乾燥輸送形態に組み込むことにより、栄養剤の処方者および製造メーカーにとっての選択肢がかなり増加する。
f. PUFAs、GLAおよびω−3脂肪酸は、それらの油性の性質が原因で、一般に、錠剤およびカプセルベースのサプリメントにおける使用は、控えめおよび稀である。従来の乾燥輸送変換技術は、流動性および直接圧縮ビーズのための良い解決手段を提供できない。
【0009】
2. 疎水性栄養素を安定化するにおける困難性
本来、カロテノイドは、室温で不安定である。それらの安定性は、光、熱、空気(酸素)および酸性環境の影響を受ける。天然のトコフェロール、アスコルビン酸誘導体およびクエン酸塩のような特定の安定化酸化防止剤の添加によって、それらの安定性を増加できることが知られている。
【0010】
カロテノイドおよび他の疎水性栄養素は、通常、油中の分散液として、または、錠剤を形成するもしくはカプセルを充填するための粉末剤、顆粒剤もしくはビーズとしてのいずれかの栄養サプリメント処方用成分として用いられる。油分散液の形態において、これら栄養素は、一般に、軟質ゼラチンカプセルに入れられる。また、カロテノイドのようなこれらのいくつかは、果汁および他の水性飲料に用いるための冷水分散粉末として製造されている。これらの3つの形態から、ビーズは、圧縮錠剤または硬質ゼラチンカプセル中へのさらなる処方に適切であるという利点を有している。
【0011】
現在、カロテノイドおよび他の疎水性栄養素のビーズは、通常、スクロース、および安定剤と共に、前記活性栄養素およびゼラチンの混合物を噴霧乾燥することによって製造されている。そのようなビーズにおいて、カロテノイド/脂質粒子は、前記噴霧乾燥工程の間に形成されるゼラチンおよびスクロースの結合剤内部で、光および酸素から保護される。前記結合剤中に、カロテノイド/類脂質粒子が埋め込まれている。前記噴霧乾燥生成物は、デンプンで覆うことによって粘着性の少ないものが作られる。
【0012】
前記ビーズの調製方法は、様々な文献で説明されている。脂溶性のビタミンの乾燥処方は開示されている。Hahnlein等(米国特許第6,531,157号)。デンプンに基づく乳剤は、また、不水溶性物質を同質組成物に組み込むためのメカニズムとして提案されている。Eskins等(米国特許第5,882,713号)。また、例えば、米国特許第3,998,753号、米国特許出願第2003/0064133号、米国特許第4,254,100号、米国特許第4,670,247号、米国特許第4,929,774号、米国特許第5811609号、米国特許第6,093,348号、米国特許第6,582,721号、米国特許第5,849,345号および米国特許第6,663,900号を参照できる。これらの方法にもかかわらず、疎水性物質を安定で使用可能な形態に処方するより良い方法に関する要望は依然としてある。前記公知の方法によって得られるビーズは、ビーズ形態自体において、および錠剤に処方されたときのいずれかにおいて、活性剤の安定性を保証しない。また、打錠またはカプセル充填に適切な球体の流動性ビーズ等の望ましい物理的特性を提供するビーズを作成する従来公知の方法は無い。さらに、従来公知の方法によって製造されたビーズは、錠剤を形成するための圧縮を行った場合、前記ビーズに含まれる活性な栄養素の溶出を防げない。
【0013】
これら方法のほとんどは、動物の骨および筋肉から単離したゼラチン、タンパク質を用いる。現在、ハーブベースの機能性食品における動物由来賦形剤の使用は、使用者の大部分にとって望ましくないと考えられている。ゼラチンに基づく処方の使用は、消化性が乏しいため、老人病の人々への使用には制限がある。時には、ラクトースが、その圧縮性を理由に、主なビーズ結合剤中の賦形剤として用いられるが、乳製品(動物)由来が多くに容認されないため、望ましくないと考えられる。
【0014】
現在、機能性食品産業は以下を必要としている。
a. 錠剤への処方に適切な、有効成分(カロテノイドおよび脂質)のビーズのような固体形態、
b. 錠剤への圧縮の際、有効成分が溶出しないビーズ、
c. 光、酸素または湿気から保護可能なビーズ、
d. 好ましくは動物由来の(乳製品を含む)賦形剤を有しないビーズ、
e. 一般的で単純な方法および設備を用いて簡便に製造可能なビーズ、
f. 魅力があり、一様に球体の外観を有するビーズ。
【0015】
従って、前記カロテノイド/脂質の油性性質および不安定性が原因で、疎水性栄養素、特に、ルテイン、リコペンおよびβ−カロテンのようなカロテノイドの経口の輸送システムの処方は、製薬産業および食品産業への挑戦を提示する。
【0016】
本来、カロテノイドおよび疎水性栄養素は、酸素および光の存在下で不安定である。従って、それらは、特定の安定化酸化防止剤を組み込むことによって安定化できる。さらに安定性を高めるために、前記活性栄養素(例えば、カロテノイドまたはトコフェロールもしくはトコトリエノールのような疎水性栄養素)は、酸素、光および湿気の有害な影響に対して保護を提供する高分子で被覆してもよい。
【0017】
例えば、前記有効成分を含まず、前記有効成分が被覆されている、糖球または小球体等のノンパレイユ種は、錠剤または硬質ゼラチンカプセルのような有効成分の経口投薬形態の調製に便利な形態である。前記ノンパレイユ種上に有効成分を被覆することによって製造されるビーズは、事実上均等な球体であり、約250ミクロンの小さなサイズでの使用が可能である。一般的に、前記有効成分は、充填されたビーズであり、概ね球体の形状を有し、さらに、高分子材料で均等に被覆され、薬物の苦味を除くまたはマスクする改良がなされる。
【0018】
流動化方法において、前記被膜媒体は、水性または有機性のいずれであってもよい。過去に、結晶質スクロースへの水性被膜方法を用いる、カロテノイドミクロカプセルの調製への流動層技術の適用を試みた。そのような方法は、高温(華氏180度)での使用において欠点を有し、カロテノイドのような熱に影響されやすい多くの製品に適していない。
【0019】
残念ながら、前述の利点にもかかわらず、この有機溶媒媒体を用いる方法は、疎水性栄養素の油状/ろう状性が原因で、カロテノイドのような疎水性栄養素のビーズ形成に直接適用できない。さらに、これら栄養素は、流動化にかけられると粘性塊を形成し、流動化に悪影響を与える。従って、従来、非水性被膜媒体を用いた流動層システムを使用する方法は、カロテノイドのような疎水性栄養素のビーズの調製に適切であると考えられておらず、用いられていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の概要
本発明は、疎水性栄養素および/または安定化酸化防止剤による不活性中核の被膜を含む。前記疎水性栄養素および/または安定化酸化防止剤は、有機溶媒媒体に供給され、流動化技術によって不活性中核に塗布される。生じるビーズは、製薬および食品産業において有用である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、有機溶媒媒体中の流動層技術を用いた、疎水性原料または栄養素、特に、カロテノイドによる不活性中核の被膜方法が可能となる。これは、極性溶媒で希釈されたとき、非極性溶媒中の疎水性栄養素溶液がコロイド懸濁液を形成することを、我々が見出したことにより可能となった。不活性中核を用いる流動層システムを使用した流動化を行うと、前記コロイド懸濁液は粘性塊を形成せず、前記流動化方法に悪影響を与えない。一方で、前記方法は、不活性中核が疎水性原料または栄養素により均等に被覆された、均等な球体ビーズ形態の形成をもたらした。
【0022】
すなわち、従来、疎水性栄養素のビーズの形成に適用できないとされていた、非水性溶媒を用いる前記流動化技術は、本発明に従って開発された方法により可能となった。本発明は、油性疎水性物質のビーズへの組み込みを可能にする新しい概念の開発をもたらした。
【0023】
球体不活性中核(ノンパレイユ種)および選択された安定化酸化防止剤の使用の組み合わせ、ならびに、さらなる保護を提供するための酸素および湿気障壁高分子を有する生じた組み合わせを被覆することの結果、均等に被覆された安定な構造の疎水性栄養素の流動性球体ビーズの形成が達成される。
【0024】
本発明によって達成された疎水性栄養素のビーズの安定性は、保護剤および被膜の適切な選択ならびに本発明で説明された方法の条件に依存する。密封型容器等のビーズの適切な包装の使用と、それにより前記ビーズの湿気または空気への暴露が減少またはほぼ除去される約10〜約30℃の商業的に許容できる保存温度とで、必要とされるかつICHガイドラインに従ってテストされるように、6ヶ月〜36ヶ月またはそれ以上の期間の活性の保存寿命および安定性が可能である。
【0025】
前記球体性のビーズは、錠剤圧縮の間に必要とされ、10kg/cm2の圧縮力を用いた錠剤圧縮を可能とする流動性の性質、優れた放出性、カロテノイドおよび脂質の部位特定的な制御放出の可能性、その結果として、高い生物学的利用等の数々の利点を有している。そのような技術を用いる主な利点は、ビーズ調製の間の高温(50℃以上)の使用を避け、従って、熱過敏な生体活性化合物の分解を防ぐことである。球体中核を用いる他の利点は、約250ミクロン〜約3.50mmの間の広範囲のビーズサイズである。前記ビーズサイズは、また、約250ミクロン〜約2.0mmであることが可能である。本発明の他の利点は、既存の流動層技術および設備を用いて実施可能なことである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
好ましい形態の詳細な説明
従って、本発明は、安定化酸化防止剤および疎水性栄養素またはそれらの混合物の被膜を有する不活性中核を含む、疎水性栄養素の新規な安定なビーズを提供する。
【0027】
本発明の新規なビーズは、中央の不活性中核上に一の疎水性栄養素またはそのような栄養素の混合物を被覆することによって、均一な、概ね球体のビーズが得られる。前記均一な、概ね球体の外観のビーズは、優れた流動性特性を提供する。この流動性特性は、製造および処方操作において非常に望ましい。前記新規なビーズは、使用に便利であり、より強い視覚的魅力を有する。本発明の新規なビーズは、また、前記酸化防止剤の使用、および、被膜としての高分子原料層の塗布によって相乗的に安定化することができる。前記高分子原料層は、光、湿気および/または空気の浸透を防ぐための障壁として前記ビーズ上に塗布し、好ましくはゼラチンを含まない。本発明のビーズは、錠剤またはツーピースカプセルにおける直接圧縮の原料成分としての使用によく適している。
【0028】
本発明のある形態において、前記不活性中核は、被膜に用いる疎水性栄養素またはカロテノイドと反応しない、いずれかの材料を含んでもよい。それは、糖、マンニトール、デンプン、サゴまたはミクロ結晶質セルロースのような炭水化物で作成されるノンパレイユ種から選択できる。より好ましくは、用いられる前記中核は、糖球、マンニトール球等のような種であってもよい。前記不活性中核は、概ね球状の形態であり、約200ミクロン〜約3mmの直径を有し、さらに安定なビーズが得られる。前記不活性中核は、また、約200ミクロン〜約1.5mmの直径を有してもよい。
【0029】
本発明のある形態は、被膜に疎水性栄養素を含む。前記疎水性栄養素は、ヘキサンのような油性もしくは脂肪性の溶媒もしくはキャリアに対して親和性を示すか、または、水よりも炭化水素に対して高い溶解性を有する種類の化合物が参照され、本発明で用いてもよい。前記ビーズは、約1重量%〜約50重量%の疎水性栄養素を含むことができる。
【0030】
本発明のある形態において、被膜に用いられる前記疎水性栄養素は、カロテノイド、トコフェロール、トコトリエノール、植物ステロールおよびスタノール、レシチン、セレクトω−3脂肪酸、ポリ−不飽和脂肪酸、またはそれらの混合物である。前記疎水性栄養素は、ルテイン、ルテインエステル、ゼアキサンチン、α−カロテン、β−カロテン、天然のルテインもしくはゼアキサンチンエステル、アスタキサンチンまたはリコペンのようなカロテノイドを含んでもよい。前記ビーズは、これら物質の混合物もさらに含むことができる。例えば、前記安定なビーズは、約90重量%〜約95重量%はトランス−ルテインエステル、0重量%〜約5重量%はシス−ルテインエステルおよび約3.5重量%〜約6重量%はゼアキサンチンエステルである、ルテインおよびゼアキサンチンの脂肪酸エステルを含有するキサントフィルエステルを含むことができる。前記ビーズは、また、少なくともその約90重量%がトランス−ルテインおよび/またはゼアキサンチンである、少なくとも約85重量%の総キサントフィルを含有するキサントフィル結晶を含むことができる。
【0031】
また、前記ビーズは、ビタミンA、ビタミンD、トコフェロールもしくはトコトリエノールの混合形態のビタミンE、ビタミンK、中鎖トリグリセリド等の疎水性栄養素またはそのような疎水性栄養素の混合物を含んでもよい。前記疎水性栄養素は、また、グリセリドおよびリン脂質(ホスファプチジルコリンを含む)の混合物等のレシチン;植物スタノールおよび/またはステロール;リノレン酸、α−リノレン酸およびγ−リノール酸のようなポリ不飽和脂肪酸;AA、DHAおよびEPAのようなω−3脂肪酸;α、β、χおよびγトコフェロール等のトコフェロール;α、β、χおよびγトコトリエノール等のトコトリエノール;大豆油、部分的または完全に水素化された大豆油、綿実油、ココナッツ油、パームナッツ油、トウモロコシ油、パーム油、ひまわり油、オリーブ油、ゴマ油、亜麻仁油、ヘイゼルナッツ油、胡桃油、紅花油、コーン油、ピーナッツ油、約30重量%〜約90重量%の不飽和長鎖脂肪酸含量である植物油等の植物油、またはこれら植物油のブレンドもしくはフラクションを含んでもよい。また、前記疎水性栄養素は、アボガド、洋梨、クロフサスグリ、ボリジ、キャスター、月見草、麦芽等の油等の利尿性および化粧品用途を有する疎水性物質でもよい。もちろん、前記疎水性栄養素は、前記原料成分の組み合わせを含んでもよい。例えば、様々な疎水性栄養素は、1以上の前記植物油を用いて希釈することができる。当業者は、潜在的疎水性物質のリストが網羅的ではなく、医療、栄養、製薬、もしくは他の健康または化粧品への利点を提供する、本発明において利用可能な他の多くの疎水性栄養素が存在することを理解するだろう。
【0032】
好ましい形態において、本発明の新規なビーズは、球、小球体等の形態であってよい。本発明のビーズの大きさは、約250ミクロン〜約3.5mm、より好ましくは約250ミクロン〜約2.0mmの間の範囲であってよい。球形の用語は、発明者等は前記ビーズの流動性特性を説明する意図であり、幾何学上の球体ビーズの意味を意図しているものではない。前記ビーズの概ね球形は、実質的に流動性形態を提供する。前記ビーズの流動性能は、安息角を測定することで決定できる。前記安息角は、特定の高さに位置する漏斗から前記ビーズを滴下させ、水平面上に円錐の山を形成させることによって決定できる。前記安息角は、水平面に対する前記ビーズ山の角度である。本発明のビーズは、好ましくは約20〜約30度の間、より好ましくは約22〜約27度、最も好ましくは約23〜約25度の間の安息角を有する。
【0033】
本発明の他の好ましい形態において、前記新規なビーズは、酸素障壁高分子のフィルム被膜を有してもよい。
【0034】
また、本発明の他の好ましい形態において、前記新規なビーズは、酸素障壁高分子の上に、湿気障壁高分子のフィルムによる他の被膜を有していてもよい。当業者は、これら性質の両方を提供するために、一つの被膜を用いてもよいことを認めるであろう。
【0035】
好ましい形態において、前記被膜はゼラチンを有しておらず、天然由来の原料のみを含む。そのような天然由来の原料は、植物から誘導または単離可能な成分を含んでもよい。
【0036】
疎水性栄養素結合剤に酸素に対する保護を付与するために、被膜に用いる前記高分子は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等またはそれらの混合物から選択してもよい。それらの量は、前記ビーズの重量の約1〜約40%の範囲であってよい。
【0037】
湿気侵入に対する障壁を提供するために用いることができる高分子は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリレート共重合体、ポリビニルアルコール等から選択できる。前記湿気障壁高分子が存在する場合は、前記ビーズの重量の約1〜約40%を占めることができる。また、前記ビーズは、約2重量%〜約20重量%の湿気障壁高分子を含んでもよい。単一の高分子被膜が、湿気障壁と酸素障壁との両方として機能して用いられてもよいことが理解されるであろう。もちろん、二つの異なる被膜を、酸素障壁および湿気障壁としてそれぞれ機能するように用いてもよい。
【0038】
前記疎水性栄養素は、また、安定化酸化防止剤と共に提供されてもよい。前記疎水性栄養素との混合物の形成に用いてもよい安定化酸化防止剤には、ビタミンEアセテート、天然のトコフェロール、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸、ローズマリー抽出物もしくはローズマリー油、クルクミノイド、緑茶抽出物、ショウガ抽出物、カーノシック酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン等、またはそれらの混合物を含む。それらが存在する場合の使用量は、用いられるカロテノイド、疎水性栄養素または脂質の約0.1重量%〜約20重量%の間を変動してもよい。前記ビーズにおける均一な分配を確実にするために、前記不活性中核の被膜を行う前に、前記疎水性栄養素を安定化酸化防止剤と混合してもよい。
【0039】
前記ビーズは、ソルビン酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、EDTA等またはそれらの混合物のような他の安定剤を含んでもよい。
【0040】
本発明の他の形態において、以下の工程を含む、上述で定義された疎水性栄養素の新規なビーズの調製方法を提供する。
(i) 非極性溶媒に疎水性栄養素を溶解させ、生じた溶液を極性溶媒で希釈することによって、所望の疎水性栄養素のコロイド懸濁液を形成する工程、
(ii) 生じたコロイド懸濁液を安定化酸化防止剤と混合する工程、
(iii) 生じたコロイド懸濁液を、大気温度〜45℃の範囲の温度、約0.5〜約3Kg/cm2の範囲の噴霧圧、約10g/時間〜約600g/時間の範囲の噴霧速度の下部噴霧メカニズムが備えられた流動層システムに存在する不活性中核に噴霧する工程、および
(iv) 生じたビーズを約0.8kg/cm2〜約1.2kg/cm2の噴霧圧で乾燥する工程。
【0041】
本発明のさらなる他の形態において、以下の工程を含む、ルテインまたは他のいずれかのカロテノイドのビーズの調製方法を提供する。
(i) 非極性溶媒に所望のカロテノイドを溶解させ、生じた溶液を極性溶媒で希釈することによって、カロテノイドのコロイド懸濁液を形成する工程、
(ii) 得られたコロイド懸濁液を安定化酸化防止剤と混合する工程、
(iii) 生じたコロイド懸濁液を、大気温度〜45℃の範囲の温度、約0.1kg/cm2〜約3Kg/cm2の範囲の噴霧圧、約10g/時間〜約600g/時間の範囲の噴霧速度の下部噴霧メカニズムが備えられた流動層システムに存在する不活性中核に噴霧する工程、および
(iv) 生じたビーズを約0.8kg/cm2〜約1.2kg/cm2の噴霧圧で乾燥する工程。
【0042】
この方法の様々なパラメーターが変更可能である。例えば、前記コロイド懸濁液は、約25℃〜約40℃、または、さらに大気温度〜約32℃の層温度で噴霧してもよい。さらに、噴霧工程の間の噴霧圧は、約0.5kg/cm2〜約3kg/cm2、または、さらに約1.0kg/cm2〜約2.5kg/cm2であってもよい。
【0043】
好ましい形態において、前記疎水性栄養素のコロイド懸濁液の調製に用いられる前記非極性溶媒は、塩化メチレン、クロロホルム、石油エーテル(低沸点)、石油エーテル(高沸点)またはそれらの混合物を含んでもよい。
【0044】
他の好ましい形態において、前記疎水性栄養素のコロイド懸濁液の調製に用いられる前記極性溶媒は、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノール、エタノール、アセトニトリルまたはそれらの混合物を含んでもよい。
【0045】
前記非極性溶媒および極性溶媒は、様々な比率で用いてもよい。例えば、前記非極性および極性溶媒は、塩化メチレンおよびイソプロピルアルコールの混合物を、約1:1〜約0.1:1の比で含んでもよい。前記非極性および極性溶媒は、また、塩化メチレンおよびイソプロピルアルコールの混合物を、約0.2:1〜約2:1の比で含んでもよい。
【0046】
前記疎水性栄養素は、極性溶媒と直接混合してもよい。カロテノイドおよび疎水性栄養素は、極性溶媒に完全に溶解しないことに注意されたい。これは、前記カロテノイドまたは疎水性栄養素の一部のみが懸濁液を形成できることを意味している。この懸濁液は、分散されないカロテノイドまたは疎水性栄養素の大きな粒子が存在するので均一でなくてもよい。この懸濁液は固体原料を除去するために濾過されてもよく、生じたコロイド懸濁液は前記流動化方法に用いることができる。
【0047】
そのような方法が、本発明の広い範囲内において可能であり予測されるが、前記方法は経済的および効率的ではない。カロテノイドが極性溶媒と直接混合される場合、前記カロテノイドの大部分が塊の多い、分散されない固体塊として残留するのに対して、一部はコロイド懸濁液を形成する。そのような混合物の濾過を行い、コロイド性の分散液部分のみを被膜に用いることができる。この手順に従うなら、適切な量のカロテノイドの投入が常に可能とはならず、経済的ではない。従って、最初に前記カロテノイドを非極性溶媒に溶解または分散させ、その後、極性溶媒の添加によってコロイド性の分散液を形成することが望ましい。
【0048】
用いられる前記安定化酸化防止剤には、ビタミンEアセテート、天然のトコフェロール、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸、ローズマリー抽出物もしくはローズマリー油、クルクミノイド、緑茶抽出物、ショウガ抽出物、カーノシック酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン等またはそれらの組み合わせを含んでもよい。前記安定化酸化防止剤が用いられる場合、使用量は、用いられるカロテノイド、疎水性栄養素または脂質の約0.1重量%〜約20重量%の間を変動してもよい。前記安定化酸化剤は、ソルビン酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、EDTA等またはそれらの混合物を含有する他の安定剤も含んでもよい。
【0049】
前記被膜の効率を高めるために、結合剤を前記安定化酸化防止剤と共に添加してもよい。使用する場合、用いられる前記結合剤には、アラビアゴム、トラガカントゴム、キサンタンゴム、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(5cps)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(15cps)、セルロースまたはそれらの混合物を含んでもよい。それらは、前記ビーズの重量の約0.1%〜約10%の範囲の量で用いてよい。前記懸濁液を前記流動層システムに噴霧する前に、前記結合剤を前記コロイド懸濁液と混合することは有利かもしれない。
【0050】
また、崩壊剤を前記結合剤と共に用いてもよい。そのような試薬が使用される場合は、それらは、デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、交差カルメロースナトリウムおよびデンプングリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate)またはそれらの混合物から選択されてもよい。それらは、前記ビーズの重量の約0.1%〜約5%の範囲の量で用いてよい。前記崩壊剤は、また、安定剤と組み合わせることができる。例えば、前記ビーズは、約0.1重量%〜約20重量%の範囲の安定剤および/または崩壊剤を含んでもよい。もちろん、前記ビーズは、安定剤、結合剤および崩壊剤を含んでもよい。
【0051】
本発明の他の好ましい形態において、前記新規なビーズは、酸素障壁高分子のフィルム層の被膜を備える。
【0052】
本発明のさらなる他の好ましい形態において、前記新規なビーズは、酸素障壁高分子のフィルムの被膜層の上に、湿気障壁高分子のフィルムからなる他の被膜を備える。
【0053】
本発明の詳細は、説明する目的のみのために以下に与えられる実施例において明らかにされ、従って、クレームで定義される本発明の範囲を制限すると解釈すべきではない。
【実施例1】
【0054】
マリーゴールド花の花弁からのルテインを含むビーズの調製
工程1 キサントフィル結晶の調製
キサントフィルエステル濃縮物の調製は、インド特許出願第622/Mas/2002号、米国特許第6,737,535号およびPCT/In02/00219で説明されており、その開示は参照によりここに組み込まれ、以下の通りに要約される。
【0055】
11.54%のキサントフィル含量(吸光光度法による)を含む、商業用等級マリーゴールドオレオレジン(57.98g)をカリウムイソプロピルアルコラート(15gの水酸化カリウムを175mlのイソプロパノールに溶解させることによって調製した)と混合した。ケン化混合物を加熱し、70℃で3時間保持した。ケン化段階の間、加水分解の程度をHPLCによって監視した。イソプロパノールを減圧下で蒸留し、得られた固体を室温で230mlの水で撹拌した。前記混合物を分液漏斗へ移し、等量の酢酸エチルで抽出した(3回)。酢酸エチル層を集め、過剰のアルカリ、石けん質の原料および他の水溶性不純物を除くために蒸留水で洗浄した。前記酢酸エチル層を減圧下で蒸留し、ケン化された粗抽出物(25.01g)を得た。
【0056】
この得られた粗抽出物(25.01g)を、100mlのヘキサン/アセトン混合物(80:20)中、室温で30分間撹拌し、続いて濾過を行うことによって精製した。得られたキサントフィル結晶の沈殿をメタノールで洗浄した。生じたオレンジ色の結晶を大気温度で72時間真空乾燥させた。
【0057】
前記キサントフィル結晶の収率は3.41%(1.98g)であった。キサントフィル含量は、86.23重量%(UV/Vis分光測光法によって決定)であった。HPLC分析によって決定したトランス−ルテイン、ゼアキサンチン、および他のカロテノイドの含量は、それぞれ91.43%、6.40%および2.17%であった。
【0058】
工程2 前記キサントフィル結晶のビーズへの変換
上述の工程1で説明した、前記キサントフィル結晶形態のカロテノイド(92g、86.23重量%のキサントフィル(78.84%のトランス−ルテイン)を含む)を、300gのイソプロピルアルコールおよび800gの塩化メチレンの混合物に懸濁させた。10gmのヒドロキシプロピルメチルセルロース(5cps)の200gのイソプロピルアルコールおよび100gの塩化メチレン溶液を、20gの天然のトコフェロール、40gのアスコルビン酸パルミテートおよび15gのデンプングリコール酸ナトリウムと共に、前記懸濁液に添加した。100メッシュフィルタを通して前記懸濁液の濾過を行った。
【0059】
糖からできている300gのノンパレイユ種を、下部噴霧器を有するユニグラット(Uni-Glatt)流動層処理装置へ充填し、35℃で30分間保温した。前記のように調製された前記カロテノイド懸濁液を、500g/時間の速度で前記ノンパレイユ種上に噴霧した。層温度を35℃、噴霧圧を1.2kg/cm2に保持した。470gのカロテノイドが充填された9.46%のトランス−ルテインを示すビーズを得た。
【0060】
32gのエチルセルロースおよび48gのヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む80gの高分子混合物を、500gの塩化メチレンおよび1000gのイソプロパノールを含む溶媒混合物に溶解した。8gのポリエチレングリコール600を可塑剤として添加した。この溶液で、ユニグラット流動層塗装機中で下部噴霧技術を用いて、400g/時間の噴霧速度で、カロテノイドが充填されたノンパレイユ種上に被覆を行った。1.2kg/cm2の噴霧速度を保持した。前記被覆の間、38℃の層温度を保持した。8.51%のトランス−ルテイン含量を示す、540gの酸素障壁で被覆されたビーズを得た。
【0061】
55gのポリビニルアルコールを300gの水に溶解し、6gのポリエチレングリコール400および2gの二酸化チタンと混合し、前記混合物を、下部噴霧メカニズムを用いて、ユニグラット流動層塗装機を使用して、酸素障壁で被覆されたノンパレイユ種に噴霧した。被覆の間、45℃の層温度および1.5kg/cm2の噴霧圧を保持し、150g/時間の噴霧速度を用いた。6.8%のトランス−ルテイン含量を示す、580gの湿気障壁で被覆されたカロテノイドビーズを得た。
【実施例2】
【0062】
マリーゴールド花の花弁からの油懸濁液中に遊離ルテインを含むビーズの調製
ルテマックス(登録商標)遊離ルテイン油懸濁液(マリーゴールド花の花弁から得た)(220gの紅花油中の110gの遊離ルテイン油懸濁液)を、150gのイソプロピルアルコールおよび800gのクロロホルムの混合物に懸濁させた。5gmのヒドロキシプロピルメチルセルロース(15cps)の200gのイソプロピルアルコールおよび100gの塩化メチレン溶液を、20gの天然のトコフェロール、40gのアスコルビン酸パルミテートおよび15gのデンプングリコール酸ナトリウムと共に、前記懸濁液に添加した。100メッシュフィルタを通して前記懸濁液の濾過
を行った。
【0063】
糖からできている250gのノンパレイユ種を、下部噴霧器を有するユニグラット流動層処理装置へ充填し、35℃で30分間保温した。上記で調製した前記カロテノイド懸濁液を、500g/時間の速度で前記ノンパレイユ種上に噴霧した。層温度を35℃、噴霧圧を1.2kg/cm2に保持した。510gのカロテノイドが充填された8.1%のトランス−ルテインを示すビーズを得た。
【0064】
10gのエチルセルロースおよび70gのヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む80gの高分子混合物を、500gの塩化メチレンおよび1000gのイソプロパノールを含む溶媒混合物に溶解し、8gのポリエチレングリコール600を可塑剤として添加した。この溶液で、ユニグラット流動層塗装機中で下部噴霧技術を用いて、400g/時間の噴霧速度でカロテノイドが充填されたノンパレイユ種上に被覆した。1.2kg/cm2の噴霧速度を保持した。前記被覆の間、38℃の層温度を保持した。7.2%のトランス−ルテイン含量を示す、580gの酸素障壁で被覆されたビーズを得た。
【0065】
60gのナトリウムカルボキシメチルセルロースを300gの水に溶解し、6gのポリエチレングリコール400および2gの二酸化チタンと混合し、前記混合物を、下部噴霧メカニズムを用いて、ユニグラット流動層塗装機を使用して、酸素障壁で被覆されたノンパレイユ種に噴霧した。被覆の間、45℃の層温度および1.5kg/cm2の噴霧圧を保持し、150g/時間の噴霧速度を用いた。6.5%のトランス−ルテイン含量を示す、610gの湿気障壁で被覆されたカロテノイドビーズを得た。
【実施例3】
【0066】
マリーゴールド花の花弁からのルテインを含むビーズの調製
ルテマックス(登録商標)遊離ルテイン油懸濁液(92g、78.84%のトランス−ルテインを含む)を、100gのイソプロピルアルコールおよび900gの塩化メチレンの混合物に懸濁させた。80gmのポリビニルピロリドンの400gのイソプロピルアルコールおよび100gの塩化メチレン溶液を、20gの天然のトコフェロール、40gのアスコルビン酸パルミテートおよび15gのデンプングリコール酸ナトリウムと共に、前記懸濁液に添加した。100メッシュフィルタを通して前記懸濁液の濾過を行った。
【0067】
糖からできている300gのノンパレイユ種を、下部噴霧器を有するユニグラット流動層処理装置へ充填し、35℃で30分間保温した。前記のように調製された前記カロテノイド懸濁液を、500g/時間の速度で前記ノンパレイユ種上に噴霧した。層温度を35℃、噴霧圧を1.2kg/cm2に保持した。550gのカロテノイドが充填された9%のトランス−ルテインを示すビーズを得た。
【0068】
32gのエチルセルロースおよび48gのヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む80gの高分子混合物を、500gの塩化メチレンおよび1000gのイソプロパノールを含む溶媒混合物に溶解した。8gのポリエチレングリコール600を可塑剤として添加した。この溶液で、ユニグラット流動層塗装機中で下部噴霧技術を用いて、400g/時間の噴霧速度でカロテノイドが充填されたノンパレイユ種上に被覆した。1.2kg/cm2の噴霧速度を保持した。前記被覆の間、38℃の層温度を保持した。7.9%のトランス−ルテイン含量を示す、600gの酸素障壁で被覆されたビーズを得た。
【0069】
60gのナトリウムカルボキシメチルセルロースを300gの水に溶解し、6gのポリエチレングリコール400および2gの二酸化チタンと混合し、前記混合物を、下部噴霧メカニズムを用いて、ユニグラット流動層塗装機を使用して、酸素障壁で被覆されたノンパレイユ種に噴霧した。被覆の間、45℃の層温度および1.5kg/cm2の噴霧圧を保持し、150g/時間の噴霧速度を用いた。6.6%のトランス−ルテイン含量を示す、650gの湿気障壁で被覆されたカロテノイドビーズを得た。
【実施例4】
【0070】
マリーゴールド花の花弁からの25%のトランス−ルテインを含むビーズの調製
マリーゴールド抽出物(382g、75%のトランス−ルテインを含む)を、1200gのイソプロピルアルコールおよび2800gの塩化メチレンの混合物に懸濁させた。90gmのヒドロキシプロピルメチルセルロース(5cps)の500gのイソプロピルアルコールおよび200gの塩化メチレン溶液を、60gの天然のトコフェロール、80gのアスコルビン酸パルミテートおよび15gの交差カルメロースと共に、前記懸濁液に添加した。100メッシュフィルタを通して前記懸濁液の濾過を行った。
【0071】
糖からできている300gのノンパレイユ種を、下部噴霧器を有するユニグラット流動層処理装置へ充填し、35℃で30分間保温した。前記のように調製された前記カロテノイド懸濁液を、500g/時間の速度で前記ノンパレイユ種上に噴霧した。層温度を35℃、噴霧圧を2kg/cm2に保持した。910gのカロテノイドが充填された29%のトランス−ルテインを示すビーズを得た。
【0072】
32gのエチルセルロースおよび48gのヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む75gの高分子混合物を、500gの塩化メチレンおよび1000gのイソプロパノールを含む溶媒混合物に溶解した。8gのポリエチレングリコール600を可塑剤として添加した。この溶液で、ユニグラット流動層塗装機中で下部噴霧技術を用いて、400g/時間の噴霧速度でカロテノイドが充填されたノンパレイユ種上に被覆した。2.2kg/cm2の噴霧速度を保持した。前記被覆の間、38℃の層温度を保持した。27.1%のトランス−ルテイン含量を示す、985gの酸素障壁で被覆されたビーズを得た。
【0073】
65gのポリビニルアルコールを300gの水に溶解し、6gのポリエチレングリコール400および2gの二酸化チタンと混合し、前記混合物を、下部噴霧メカニズムを用いて、ユニグラット流動層塗装機を使用して、酸素障壁で被覆されたノンパレイユ種に噴霧した。被覆の間、45℃の層温度を保持した。2.5kg/cm2の噴霧圧を保持し、150g/時間の噴霧速度を用いた。25.7%のトランス−ルテイン含量を示す、1040gの湿気障壁で被覆されたカロテノイドビーズを得た。
【実施例5】
【0074】
工程1 キサントフィルエステル濃縮物の調製
キサントフィルエステル濃縮物の調製は、インド特許出願第622/Mas/2002号、米国特許第6,737,535号およびPCT/In02/00219で説明されており、その開示は参照でここに組み込まれ、以下の通りにまとめられる。
【0075】
23.10%のキサントフィルエステル含量を有し、HPLCによるトランス−ルテイン、シス−ルテインおよびゼアキサンチンの割合がそれぞれ67.23、22.08および5.18である、定量されたマリーゴールドオレオレジンン(150.3g)を、三角フラスコ(1000ml)に移し、続いて750mlの2−プロパノンを添加した。これを、温度制御撹拌機を用いて15℃〜25℃で5−10時間撹拌した。2時間毎の間隔で試料を抜き出し、濾過を行い、乾燥沈殿材料のエステル含量およびトランス−:シス−比をHPLCで分析した。最後に、所望の程度の純度を達成した時、ブフナー漏斗を通して前記沈殿を含む溶液の濾過を行い、前記沈殿を真空乾燥機中、大気温度で乾燥させた。
【0076】
得られた濃縮物の収量は20.10g(13.37%)であり、474nmで測定した吸光光度法による分析は、59.26%のキサントフィルエステル含量を示した。このキサントフィルエステル濃縮物は、HPLCによる面積割合で、92.71のトランス−ルテイン、1.40のシス−ルテインおよび5.11のゼアキサンチンをそれぞれ含んでいた。目視試験において、この濃縮物は、黒褐色である出発原料と比較して、橙赤色の改良を示した。
【0077】
工程2
花の花弁からのキサントフィルエステルおよびトランス−ルテインエステルを含むビーズのマリーゴールド調製
キサントフィルエステル濃縮物(160g、59.26重量%のキサントフィルエステルを含む−加水分解により27.47%のトランス−ルテインを生じる)を、700gのイソプロピルアルコールおよび600gの塩化メチレンの混合物に懸濁させた。80gmのヒドロキシプロピルメチルセルロース(15cps)の400gのイソプロピルアルコールおよび100gの塩化メチレン溶液を、20gの天然のトコフェロール、40gのアスコルビン酸パルミテートおよび20gのデンプングリコール酸ナトリウムと共に、前記懸濁液に添加した。100メッシュフィルタを通して前記懸濁液の濾過を行った。
【0078】
糖からできている320gのノンパレイユ種を、下部噴霧器を有するユニグラット流動層処理装置へ充填し、35℃で30分間保温した。前記のように調製された前記カロテノイド懸濁液を、500g/時間の速度で前記ノンパレイユ種上に噴霧した。層温度を35℃、噴霧圧を1.2kg/cm2に保持した。600gのカロテノイドが充填された10.1%のトランス−ルテインを示すビーズを得た。
【0079】
10gのエチルセルロースおよび70gのヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む80gの高分子混合物を、500gの塩化メチレンおよび1000gのイソプロパノールを含む溶媒混合物に溶解した。8gのポリエチレングリコール600を可塑剤として添加した。この溶液で、ユニグラット流動層塗装機中で下部噴霧技術を用いて、400g/時間の噴霧速度でカロテノイドが充填されたノンパレイユ種上に被覆した。1.2kg/cm2の噴霧速度を保持した。前記被覆の間、38℃の層温度を保持した。8.67%のトランス−ルテイン含量を示す、680gの酸素障壁で被覆されたビーズを得た。
【0080】
150gのポリビニルアルコールを300gの水に溶解し、6gのポリエチレングリコール400および2gの二酸化チタンと混合し、前記混合物を、下部噴霧メカニズムを用いて、ユニグラット流動層塗装機を使用して、酸素障壁で被覆されたノンパレイユ種に噴霧した。被覆の間、45℃の層温度を保持した。1.5kg/cm2の噴霧圧を保持し、150g/時間の噴霧速度を用いた。6.0%のトランス−ルテイン含量を示す、810gの湿気障壁で被覆されたカロテノイドビーズを得た。
【実施例6】
【0081】
β−カロテンを含むビーズの調製
β−カロテン(パーム油中の20%の分散液)160gを、900gのイソプロピルアルコールおよび800gのクロロホルムの混合物に懸濁させた。80gmのポリビニルピロリドンの400gのイソプロピルアルコールおよび100gの塩化メチレン溶液を、20gの天然のトコフェロール、40gのアスコルビン酸パルミテートおよび12gのデンプンと共に、前記懸濁液に添加した。100メッシュフィルタを通して前記懸濁液の濾過を行った。
【0082】
糖からできている450gのノンパレイユ種を、下部噴霧器を有するユニグラット流動層処理装置へ充填し、35℃で30分間保温した。前記のように調製された前記カロテノイド懸濁液を、500g/時間の速度で前記ノンパレイユ種上に噴霧した。層温度を35℃、噴霧圧を1.2kg/cm2に保持した。650gのカロテノイドが充填されたビーズを得た。
【0083】
10gのエチルセルロースおよび70gのヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む74gの高分子混合物を、500gの塩化メチレンおよび1000gのイソプロパノールを含む溶媒混合物に溶解した。8gのポリエチレングリコール600を可塑剤として添加した。この溶液で、ユニグラット流動層塗装機中で下部噴霧技術を用いて、400g/時間の噴霧速度でカロテノイドが充填されたノンパレイユ種上に被覆した。1.2kg/cm2の噴霧速度を保持した。前記被覆の間、38℃の層温度を保持した。680gの酸素障壁で被覆されたビーズを得た。
【0084】
145gのナトリウムカルボキシメチルセルロースを300gの水に溶解し、6gのポリエチレングリコール400および2gの二酸化チタンと混合し、前記混合物を、下部噴霧メカニズムを用いて、ユニグラット流動層塗装機を使用して、酸素障壁で被覆されたノンパレイユ種に噴霧した。被覆の間、45℃の層温度を保持した。1.5kg/cm2の噴霧圧を保持し、150g/時間の噴霧速度を用いた。810gの湿気障壁で被覆されたカロテノイドビーズを得た。
【実施例7】
【0085】
レシチンを含むビーズの調製
レシチン(エピクロン(Epikuron)200:デグサ バイオアクティブス製、95%のホスファチジルコリンを含む)120gを、700gのエタノールおよび800gのクロロホルムの混合物に溶解させた。45gのヒドロキシプロピルメチルセルロースの400gのイソプロピルアルコールおよび100gの塩化メチレン溶液を、25gの架橋ポリビニルピロリドンと共に、前記懸濁液に添加した。100メッシュフィルタを通して前記懸濁液の濾過を行った。
【0086】
糖からできている500gのノンパレイユ種を、下部噴霧器を有するユニグラット流動層処理装置へ充填し、35℃で30分間保温した。前記のように調製された混合物懸濁液を、500g/時間の速度で前記ノンパレイユ種上に噴霧した。層温度を35℃に保持した。2.9kg/cm2の噴霧圧を保持した。680gのレシチンが充填されたビーズを得た。
【0087】
10gのエチルセルロースおよび70gのヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む60gの高分子混合物を、500gの塩化メチレンおよび1000gのイソプロパノールを含む溶媒混合物に溶解した。8gのポリエチレングリコール600を可塑剤として添加した。この溶液で、ユニグラット流動層塗装機中で下部噴霧技術を用いて、400g/時間の噴霧速度でカロテノイドが充填されたノンパレイユ種上に被覆した。3kg/cm2の噴霧速度を保持した。前記被覆の間、45℃の層温度を保持した。740gの酸素障壁で被覆されたビーズを得た。
【0088】
120gのナトリウムカルボキシメチルセルロースを300gの水に溶解し、6gのポリエチレングリコール400および2gの二酸化チタンと混合し、前記混合物を、下部噴霧メカニズムを用いて、ユニグラット流動層塗装機を使用して、酸素障壁で被覆されたノンパレイユ種に噴霧した。被覆の間、45℃の層温度を保持した。1.5kg/cm2の噴霧圧を保持し、150g/時間の噴霧速度を用いた。850gの湿気障壁で被覆されたレシチンビーズを得た。
【実施例8】
【0089】
植物油中の天然の混合トコフェロールを含むビーズの調製
ひまわり油中の天然のトコフェロール(トコブレンド L50)80gを、900gのイソプロピルアルコールおよび800gのクロロホルムの混合物に懸濁させた。80gのポリビニルピロリドンの400gのイソプロピルアルコールおよび100gの塩化メチレン溶液を、40gのアスコルビン酸パルミテートおよび12gのデンプンと共に、前記懸濁液に添加した。100メッシュフィルタを通して前記懸濁液の濾過を行った。
【0090】
糖からできている400gのノンパレイユ種を、下部噴霧器を有するユニグラット流動層処理装置へ充填し、35℃で30分間保温した。前記のように調製された前記カロテノイド懸濁液を、500g/時間の速度で前記ノンパレイユ種上に噴霧した。層温度を35℃、噴霧圧を1.2kg/cm2に保持した。580gの天然のトコフェロールが充填されたビーズを得た。
【0091】
10gのエチルセルロースおよび70gのヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む70gの高分子混合物を、500gの塩化メチレンおよび1000gのイソプロパノールを含む溶媒混合物に溶解した。8gのポリエチレングリコール600を可塑剤として添加した。この溶液で、ユニグラット流動層塗装機中で下部噴霧技術を用いて、400g/時間の噴霧速度でカロテノイドが充填されたノンパレイユ種上に被覆した。1.2kg/cm2の噴霧速度を保持した。前記被覆の間、38℃の層温度を保持した。650gの酸素障壁で被覆されたビーズを得た。
【0092】
130gのナトリウムカルボキシメチルセルロースを300gの水に溶解し、6gのポリエチレングリコール400および2gの二酸化チタンと混合し、前記混合物を、下部噴霧メカニズムを用いて、ユニグラット流動層塗装機を使用して、酸素障壁で被覆されたノンパレイユ種に噴霧した。被覆の間、45℃の層温度を保持した。1.5kg/cm2の噴霧圧を保持し、150g/時間の噴霧速度を用いた。650gの湿気障壁で被覆された混合トコフェロールビーズを得た。
【実施例9】
【0093】
大豆油を含むビーズの調製
大豆油120gを、400gのイソプロピルアルコールおよび800gのクロロホルムの混合物に懸濁させた。80gのポリビニルピロリドンの400gのイソプロピルアルコールおよび100gの塩化メチレン溶液を、12gのデンプンと共に、前記懸濁液に添加した。100メッシュフィルタを通して前記懸濁液の濾過を行った。
【0094】
糖からできている400gのノンパレイユ種を、下部噴霧器を有するユニグラット流動層処理装置へ充填し、35℃で30分間保温した。前記のように調製された前記カロテノイド懸濁液を、500g/時間の速度で前記ノンパレイユ種上に噴霧した。層温度を35℃に保持した。1.2kg/cm2の噴霧圧を保持した。590gの大豆油が充填されたビーズを得た。
【0095】
10gのエチルセルロースおよび70gのヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む70gの高分子混合物を、500gの塩化メチレンおよび1000gのイソプロパノールを含む溶媒混合物に溶解し、8gのポリエチレングリコール600を可塑剤として添加した。この溶液で、ユニグラット流動層塗装機中で下部噴霧技術を用いて、400g/時間の噴霧速度で油が充填されたノンパレイユ種上に被覆した。1.2kg/cm2の噴霧速度を保持した。前記被覆の間、38℃の層温度を保持した。650gの酸素障壁で被覆されたビーズを得た。
【0096】
130gのナトリウムカルボキシメチルセルロースを300gの水に溶解し、6gのポリエチレングリコール400および2gの二酸化チタンと混合し、前記混合物を、下部噴霧メカニズムを用いて、ユニグラット流動層塗装機を使用して、酸素障壁で被覆されたノンパレイユ種に噴霧した。被覆の間、45℃の層温度を保持した。1.5kg/cm2の噴霧圧を保持し、150g/時間の噴霧速度を用いた。770gの湿気障壁で被覆された大豆油ビーズを得た。
【0097】
ビーズの錠剤処方の調製および評価
32gの本発明のビーズ(実施例1〜4)を、40gのジ−リン酸カルシウム、20gのミクロ結晶質セルロース、2gのデンプングリコール酸ナトリウム、3gのヒドロキシプロピルセルロース、1gのエーロシルおよび1gのタルクと混合した。均一に混合した後、前記粉末混合物を、10kg/cm2の硬度を有する重量500mgの錠剤に圧縮した。
【0098】
【表1】

【0099】
前記ビーズの流動特性は、RemingtonのPharmaceutical Sciences,16th Ed.第1545頁に開示されている方法に従い、安息角を決定することによって評価した。本発明は、約22〜約27度の間の安息角を有するビーズを含んでもよい。約23〜約25度の間の安息角を有するビーズは、優れた流動特性を示す。従って、前記ビーズは、約23〜約25度の間の安息角を有するように形成してもよい。
【0100】
前記錠剤は、2分以下の分解時間(米国薬局法USP23第1790頁に記載の工程によって決定)および、1%以下の破砕性(USP23第1981頁に記載の工程によって決定)を示した。溶解率は、USP23第1791頁に記載の工程によって決定した。前記錠剤は70%以上の溶解率を示した。切込みを入れた錠剤を走査型電子顕微鏡で検査したところ、前記ビーズは球体であり、無傷であることが判明した。前記錠剤から回収されたビーズの断面を走査型電子顕微鏡で検査したところ、前記高分子被膜が、打錠の間、圧縮力に耐えることができ、無傷の状態であることが明らかになった。錠剤結合剤へのカロテノイドの溶出は見られなかった。
【0101】
安定性の調査
前記実施例1〜4のビーズ処方の40℃および相対湿度75%での加速安定性調査を行った。6ヶ月前後の間、前記ビーズのカロテノイド含量を分析した。調査の結果を以下の表2に示す。
【0102】
【表2】

【0103】
前記調査は、本発明によって調製されたビーズが、内部に含まれるカロテノイドの適切な安定性を提供することを結論付けている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定化酸化防止剤および疎水性栄養素を含む被膜と不活性球体中核とを含む疎水性栄養素のビーズ(beadlet)。
【請求項2】
前記疎水性栄養素が、ルテイン、ルテインエステル、α−カロテン、β−カロテン、ゼアキサンチン、ゼアキサンチンエステル、アスタキサンチン、リコペン、およびそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含む請求項1に記載のビーズ。
【請求項3】
前記疎水性栄養素が、90重量%〜95重量%がトランス−ルテインエステルであり、0重量%〜5重量%がシス−ルテインエステルであり、かつ、3.5重量%〜6重量%がゼアキサンチンエステルである、ルテインおよびゼアキサンチン脂肪酸エステルを含有するキサントフィルエステルを含む請求項1または2に記載のビーズ。
【請求項4】
前記疎水性栄養素が、少なくとも90重量%がトランス−ルテインおよび/またはゼアキサンチンである、少なくとも85重量%の総キサントフィルを含むキサントフィル結晶を含む請求項1または2に記載のビーズ。
【請求項5】
前記疎水性栄養素が、レシチン、混合トコフェロールもしくはトコトリエノール、植物スタノールまたは植物ステロールからなる群から選択される脂質を含む請求項1に記載のビーズ。
【請求項6】
前記ビーズが、1重量%〜50重量%の疎水性栄養素を含む請求項1〜5のいずれかに記載のビーズ。
【請求項7】
前記不活性球体中核が、前記疎水性栄養素と反応しない炭水化物を含み、前記炭水化物が、糖、マンニトール、デンプン、サゴおよびミクロ結晶質セルロースからなる群から選択される請求項1〜6のいずれかに記載のビーズ。
【請求項8】
前記ビーズが、250ミクロン〜3.5mmの間の直径を有する球形態である請求項1〜7のいずれかに記載のビーズ。
【請求項9】
前記ビーズが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される酸素障壁高分子を含む酸素障壁被膜を有する請求項1〜8のいずれかに記載のビーズ。
【請求項10】
前記酸素障壁被膜が、さらに、湿気障壁を含む請求項9に記載のビーズ。
【請求項11】
前記ビーズが、1重量%〜40重量%の酸素障壁被膜を含む請求項9または10に記載のビーズ。
【請求項12】
前記ビーズが、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリレート共重合体、ポリビニルアルコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される湿気障壁高分子を含む湿気障壁被膜を有する請求項9〜11のいずれかに記載のビーズ。
【請求項13】
前記ビーズが、1重量%〜40重量%の湿気障壁被膜を含む請求項12に記載のビーズ。
【請求項14】
前記疎水性栄養素が、被膜前に安定化酸化防止剤と混合され、前記安定化酸化防止剤が、ビタミンEアセテート、天然のトコフェロール、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸、ローズマリー抽出物、ローズマリー油、クルクミノイド、緑茶抽出物、ショウガ抽出物、カーノシック酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される酸化防止剤を含む請求項1〜13のいずれかに記載のビーズ。
【請求項15】
前記ビーズが、0.1重量%〜20重量%の安定化酸化防止剤を含む請求項1〜14のいずれかに記載のビーズ。
【請求項16】
前記被膜が、結合剤および/または崩壊剤を含む請求項1〜15のいずれかに記載のビーズ。
【請求項17】
前記ビーズが、0.1重量%〜5重量%の崩壊剤を含み、前記崩壊剤が、デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、交差カルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される原料を含む請求項1〜16のいずれかに記載のビーズ。
【請求項18】
前記疎水性栄養素が、植物油中に懸濁されており、前記植物油が、ひまわり油、紅花油、コーン油、大豆油、ピーナッツ油、一部または完全に水素化された大豆油、30重量%〜90重量%の不飽和長鎖脂肪酸含量を有する植物油およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項1〜17のいずれかに記載のビーズ。
【請求項19】
以下の工程を含む疎水性栄養素のビーズの調製方法。
(i) 非極性溶媒に疎水性栄養素を溶解させ、生じた溶液を極性溶媒で希釈することによって、前記疎水性栄養素のコロイド懸濁液を形成する工程、
(ii) 生じた前記コロイド懸濁液を、大気温度〜45℃の範囲の温度、0.1〜3Kg/cm2の範囲の噴霧圧、10g/時間〜600g/時間の範囲の噴霧速度の下部噴霧メカニズムが備えられた流動層システムに存在する不活性球体中核に噴霧する工程、および
(iii) 生じたビーズを、前記流動層システム中で0.8kg/cm2〜1.2kg/cm2の噴霧圧で乾燥する工程。
【請求項20】
前記疎水性栄養素が、カロテノイド、疎水性ビタミン、脂質およびそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記疎水性栄養素が、ルテイン、ゼアキサンチン、ルテインエステル、αカロテン、β−カロテン、ゼアキサンチンエステル、アスタキサンチン、リコペンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるカロテノイドを含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記疎水性栄養素が、ビタミンA、ビタミンD、トコフェロールまたはトコトリエノールとしてのビタミンE、ビタミンKおよびそれらの混合物からなる群から選択される疎水性ビタミンを含む請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記疎水性栄養素が、レシチン、混合トコフェロールまたはトコトリエノール、植物ステロール、植物スタノール、ω−3脂肪性酸、ポリ不飽和脂肪酸およびそれらの混合物からなる群から選択される疎水性栄養素を含む請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記ビーズが、1重量%〜50重量%の疎水性栄養素を含む請求項19〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記疎水性栄養素が、安定化酸化防止剤と混合される請求項19〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記安定化酸化防止剤が、ビタミンEアセテート、天然のトコフェロール、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸、ローズマリー抽出物、ローズマリー油、クルクミノイド、緑茶抽出物、ショウガ抽出物、カーノシック酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンおよびそれらの混合物からなる群から選択される物質を含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記不活性球体中核が、前記疎水性栄養素と反応しない炭水化物を含み、前記炭水化物が、糖、マンニトール、デンプン、サゴ、ミクロ結晶質セルロースおよびそれらの混合物からなる群から選択される請求項19〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記不活性球体中核が、200ミクロン〜3mmの直径を有する請求項19〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記非極性溶媒が、塩化メチレン、クロロホルム、石油エーテル(低沸点)、石油エーテル(高沸点)およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒を含み、前記極性溶媒が、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノール、エタノールおよびアセトニトリルならびにそれらの混合物からなる群から選択される溶媒を含む請求項19〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記非極性溶媒が、塩化メチレンを含み、前記極性溶媒が、イソプロピルアルコールを含み、前記イソプロピルアルコールに対する前記塩化メチレンの比が、1:1〜0.1:1の間である請求項19〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記イソプロピルアルコールに対する前記塩化メチレンの比が、0.2:1〜2:1の範囲である請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ビーズが、酸素障壁高分子を含む酸素障壁被膜を備え、前記酸素障壁高分子が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される高分子を含む請求項19〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記ビーズが、1重量%〜40重量%の酸素障壁被膜を含む請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ビーズが、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリレート共重合体、ポリビニルアルコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される湿気障壁高分子を含む湿気障壁被膜を備える請求項19〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記ビーズが、1重量%〜40重量%の湿気障壁被膜を含む請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記湿気障壁被膜が、酸素障壁としても作用する請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
前記ビーズが、250ミクロン〜3.5mmの直径を有する球形態である請求項19〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
安定剤および/または崩壊剤が、前記疎水性栄養素に添加される請求項19〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記ビーズが、安定剤を含み、前記安定剤が、ソルビン酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、EDTAおよびそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ビーズが崩壊剤を含み、前記崩壊剤が、デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、交差カルメロース、デンプングリコール酸ナトリウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含む請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記ビーズが、0.1重量%〜5重量%の崩壊剤を含む請求項38〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記ビーズが、0.1重量%〜20重量%の安定剤および/または崩壊剤を含む請求項38〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
結合剤が、前記コロイド懸濁液を前記流動層システムでの噴霧に用いる前に、前記コロイド懸濁液と混合され、前記結合剤が、アラビアゴム、トラガカントゴム、キサンタンゴム、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(5cps)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(15cps)およびそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含む請求項19〜42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記結合剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、前記ビーズが、0.1重量%〜10重量%の結合剤を含む請求項43に記載の方法。
【請求項45】
安定剤および/または崩壊剤が、前記結合剤と共に用いられる請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
前記コロイド懸濁液が、25℃〜40℃の範囲の層温度で噴霧される請求項19〜45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
前記噴霧工程の間の噴霧圧が、0.5kg/cm2〜3kg/cm2の範囲である請求項26に記載の方法。
【請求項48】
請求項1〜18のいずれかに記載のビーズであって、前記不活性球体中核が、球体な糖中核を含むビーズ。
【請求項49】
請求項1〜18および48のいずれかに記載のビーズであって、前記被膜が、前記不活性球体中核にコロイド懸濁液として下部噴霧流動層システムにより適用された被膜であるビーズ。
【請求項50】
請求項1〜18、48および49のいずれかに記載のビーズであって、前記被膜が、極性溶媒を添加した非極性溶媒中に分散された前記安定化酸化防止剤および前記疎水性栄養素の溶液から形成されるビーズ。
【請求項51】
請求項1〜18および48〜50のいずれかに記載のビーズであって、前記ビーズが、25〜50重量%の疎水性栄養素を含むビーズ。

【公開番号】特開2010−159276(P2010−159276A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47635(P2010−47635)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【分割の表示】特願2006−500384(P2006−500384)の分割
【原出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(505439794)オムニアクティブ ヘルス テクノロジーズ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】