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疎水性添加剤を含有するバリアでコーティングされたアスピリン及びHMG−CoA還元酵素阻害剤を含む複合製剤
説明

疎水性添加剤を含有するバリアでコーティングされたアスピリン及びHMG−CoA還元酵素阻害剤を含む複合製剤

本発明によれば、疎水性添加剤を含有するバリアでコーティングされたアスピリンと、HMG−CoA還元酵素阻害剤とを含む、心血関係疾患の予防または治療用の複合製剤が提供され、前記複合製剤はサリチル酸により引き起こされるHMG−CoAの安定性の低下を防ぐことによって改善された貯蔵安定性を有するので、高血圧及び高コレステロール血症の治療に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性添加剤を含有するバリアでコーティングされたアスピリン及びHMG−CoA還元酵素阻害剤を含む、心血管系疾患の予防または治療用の複合製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
高脂血症(hyperlipidemia)は、血漿中のコレステロール、トリグリセリドなどのような脂質の数値が異常に高い状態である。高脂血症、特に高コレステロール血症(hypercholesterolemia)は動脈血栓症を誘発し、血管内に脂質が厚く沈着する動脈硬化症(arteriosclerosis)を引き起こす。これは虚血性心疾患、狭心症及び心筋梗塞のような心血管系疾患の原因となるので、臨床的に重要である。動脈硬化症と密接に関連する高脂血症を治療することにより、動脈硬化症を予防することができる。
【0003】
HMG−CoA還元酵素阻害剤は、数十年間高脂血症の治療に使用されてきた。該化合物は人体内の総コレステロール及びLDLコレステロールを低下させ、一部の個体内のHDLコレステロールを上昇させることが知られてきた。これはコレステロール生合成における早期の律速段階であるHMG−CoAのメバロン酸塩への変換に関与するHMG−CoA還元酵素を阻害する。この過程は動脈硬化症を誘発するLDL受容体を増加させ、血液中のLDL濃度を低下させる(非特許文献1)。HMG−CoA還元酵素阻害剤の例としては、メバスタチン(特許文献1)、ロバスタチン(「メビノリン」とも呼ばれる;特許文献2)、プラバスタチン(特許文献3および4)、プラバスタチンラクトン(特許文献5)、ベロスタチン(「シンビノリン」とも呼ばれる;特許文献6および7)、シンバスタチン、リバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチンなどが挙げられる。
【0004】
動脈硬化症を引き起こすもう一つのメカニズムは血栓形成である。血栓は損傷した血管で血小板と凝固因子との相互作用によって形成されるが、これも動脈硬化を誘発する。アスピリンは、熱を下げる解熱剤として使用され、軽微な痛み及び苦痛をなくす鎮痛剤として使用され、動脈血栓症を予防する製剤として使用される。アスピリン(アセチルサリチル酸と知られている)は、シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase)を不可逆的にアセチル化させ、血小板により合成され血小板の凝集を促進するトロンボキサンA2(thromboxane A2)(TXA2)の生成を抑制する。これは血液内の血小板の凝集を遮断して血小板を減少させる。
【0005】
HMG−CoA還元酵素阻害剤とアスピリンとの併用は、それぞれの薬物の効果を同時に提供することによって多様な心血管系疾患の治療に有用であるだけでなく、薬の相乗効果を提供することによって心血管系疾患の効果的な治療に有用である。また、前記薬物の組み合わせを含む複合製剤は、前記薬物の個別投与よりもさらに容易に投与され得る。
【0006】
HMG−CoA還元酵素阻害剤は、低い生物学的利用能率を示し、胃腸管内で吸収されるので、胃腸管から迅速に放出されることに有利である。一方、アスピリンは、胃腸管から放出される場合、胃潰瘍や胃出血のような副作用を示すことがあり、HMG−CoA還元酵素阻害剤と胃腸管内で同時に放出される場合、HMG−CoA還元酵素阻害剤と否定的に相互作用しうる。したがって、アスピリンは胃ではなく、小腸内で放出されるようにすることが必要である。本発明者らは、アスピリン含有造粒物及びHMG−CoA還元酵素阻害剤含有造粒物を含む製剤に対して特許出願したことがある(特許文献8)。しかし、前記製剤において、アスピリンは保管中の加水分解によりサリチル酸に分解され、前記生成したサリチル酸は酸性条件下で不安定なHMG−CoA還元酵素阻害剤を分解しうる。
【0007】
本発明者らは、疎水性添加剤を含有するバリアでアスピリンをコーティングすることによって、サリチル酸により引き起こされるHMG−CoA還元酵素阻害剤の安定性の低下を防ぐことができることを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,983,140号
【特許文献2】米国特許第4,231,938号
【特許文献3】米国特許第4,346,227号
【特許文献4】米国特許第4,410,629号
【特許文献5】米国特許第4,448,979号
【特許文献6】米国特許第4,448,784号
【特許文献7】米国特許第4,450,171号
【特許文献8】韓国特許公開第2009−0030452号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Grundy S. M., N. Engl. J. Med., 319(1):24-32, 25-26, 31(1998)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、サリチル酸により引き起こされるHMG−CoA還元酵素の安定性の低下を防ぐことによって、貯蔵安定性に優れた、心血管系疾患の予防または治療用の複合製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一つの態様によれば、a)疎水性添加剤を含有するバリアでコーティングされたアスピリンと、b)HMG−CoA還元酵素阻害剤とを含む、心血管系疾患の予防または治療用の複合製剤が提供される。好ましくは、前記バリアはバリアの総重量を基準として3.8〜60重量%の疎水性添加剤を含有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の複合製剤は心血管系疾患の予防及び治療に優れた効果を奏するが、サリチル酸により引き起こされるHMG−CoA還元酵素阻害剤の安定性の低下を防ぐことによって、優れた貯蔵安定性を示すので、心血管系疾患の予防及び治療に有用である。
【0013】
本発明の前記及びその他の目的と特徴は、添付された図面とともに考慮すれば、下記説明によって明確になり、それぞれは次のようである:
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の複合製剤の加速条件下での4ヶ月後の安定性試験の結果であって、アトルバスタチンラクトン及びサリチル酸の含量を示すグラフである。
【図2】図2は、本発明の複合製剤の加速条件下での4ヶ月後の安定性試験の結果であって、ロスバスタチンラクトン及びサリチル酸の含量を示すグラフである。
【図3】図3は、疎水性添加剤の量による本発明の複合製剤の加速条件下での4ヶ月後の安定性試験の結果であって、アトルバスタチンラクトン及びサリチル酸の含量を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例2及び4のコーティングされたアスピリンペレット、「アスピリンプロテクト(登録商標)」及び「アストリックス(登録商標)」のpHによる1時間の溶出率を示すグラフである。
【図5】図5は、疎水性添加剤の量による本発明の複合製剤の1時間の溶出率の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、a)第1の薬理活性成分として、バリアの総重量を基準として約3.8〜60重量%の疎水性添加剤を含有するバリアでコーティングされたアスピリンと、(b)第2の薬理活性成分として、HMG−CoA還元酵素阻害剤とを含む心血管系疾患の予防または治療用の複合製剤を提供する。以下、本発明の複合製剤を構成する各成分の特性及び種類について説明する。
【0016】
(i)第1の薬理活性成分(アスピリン)
アスピリンは、血液中の血小板凝集を遮断することによって、動脈血栓症を予防及び治療するために、本発明で第1の薬理活性成分として使用される。アスピリンは製剤当たり10mg〜2gの量で、ペレットまたは造粒物の形態で使用されてもよい。
【0017】
(ii)疎水性添加剤(コーティング基剤)
疎水性添加剤は、本発明において、サリチル酸がHMG−CoA還元酵素阻害剤を含有する造粒層に移動することを遮断するために使用され、薬物をpHに依存して放出させる腸溶性コーティング基剤とはその用途が異なる。アスピリンは一般的なコーティング基剤でコーティングされる場合、水溶性かつ親水性であるアスピリン、またはアスピリン由来のサリチル酸がコーティング層に移動し、その結果、前記層を通過するようになる。しかし、前記コーティング層の疎水性添加剤が添加される場合は、前記薬物のコーティング層への移動を防ぐことができ、このため前記薬物がHMC−CoA還元酵素阻害剤に及ぼす否定的な影響を防ぐことができる。前記疎水性添加剤はpHとは関係ないコーティング基剤であり、徐放化や放出遅延のために使用されるものではない。
【0018】
疎水性添加剤の例としては、カルナバワックス、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン及びミツロウのようなワックス類と、エチルセルロース、アミノアルキルメタクリレート共重合体RS、エチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及び酢酸セルロースのような合成または半合成の疎水性重合体が挙げられる。
【0019】
前記疎水性添加剤を含むバリアは、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、アセチル化モノグリセリド、フタル酸ジエチル、セバシン酸及びジブチルのような可塑剤をさらに含むことができ、HPMC、HPC、及びポリビニルアルコールなどのような製薬業界で一般的に用いられるさらなるコーティング基剤を含むことができる。また、コーティング工程中のペレットの付着を防止するために、タルク、酸化チタンなどを使用しても良い。
【0020】
前記疎水性添加剤は、バリアの総量を基準として約3.8重量%以上の量で使用することができ、約60重量%を超えないことが好ましい。前記量がバリアの総量を基準として60重量%を超える場合、薬物の放出が極めて遅延する。
【0021】
(iii)第2の薬理活性成分(HMG−CoA還元酵素阻害剤)
HMG−CoA還元酵素阻害剤は、脂蛋白質または脂質の濃度を低下させ、高脂血症及び動脈硬化を予防または治療するために第2の薬理活性成分として使用される。HMG−CoA還元酵素阻害剤の例としては、メバスタチン、ロスバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、プラバスタチンラクトン、ピタバスタチン、ベルバスタチン、ベロスタチン、シンバスタチン、リバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、またはこれらの異性体、または塩及び組み合わせが挙げられる。
【0022】
前記HMG−CoA還元酵素阻害剤は、製剤当たり5mg〜80mgの量で、造粒物またはペレットの形で使用されてもよい。
【0023】
(iv)腸溶性コーティング基剤
本発明の複合製剤は、アスピリンのコアと疎水性バリアとの間に腸溶性コーティング層をさらに含むことができる。前記腸溶性コーティング基剤は、放出されたサリチル酸とHMG−CoA還元酵素阻害剤との相互作用を防止するために使用されるものではない。腸溶性コーティング基剤の効果は、本発明の実験によって立証されたように、放出されたサリチル酸の作用を抑制するのに十分ではない。前記腸溶性コーティング基剤を使用する主な目的は、アスピリンがpHの低い胃ではなく、pHの高い小腸、特に小腸の上部に放出されるようにするためである。腸溶性コーティング基剤の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、メタクリル酸共重合体、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。
【0024】
前記コーティング基剤は、コアの1重量を基準として0.1〜0.5の重量比で使用されうる。
【0025】
本発明の複合製剤は、HMG−CoA還元酵素阻害剤の安定性向上のための安定化剤をさらに含むことができ、安定化剤の例としては、トコフェロール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸及びエリソルビン酸のような抗酸化剤と、CaCO、MgCO、NaHCO、KHPOとKHPOのような無機物と、メグルミン(meglumine)、アルギニン、及びグリシンのような塩基性添加剤と、有機酸、例えば、クエン酸及びフマル酸、またはその塩などのようなその他の安定化剤とが挙げられる。
【0026】
本発明の複合製剤は、(1)疎水性添加剤を含有するバリアでコーティングされたアスピリン造粒物またはペレットを製造することと、(2)HMG−CoA還元酵素阻害剤造粒物またはペレットを製造することと、(3)段階(1)及び(2)で製造された、アスピリン造粒物またはペレット、及びHMG−CoA還元酵素阻害剤造粒物またはペレットをカプセルに充填するか、前記造粒物またはペレットを打錠することとを含む方法によって製造することができる。
【0027】
本発明の複合製剤の製造における各工程は、製薬業界でよく知られた通常の工程によって行うことができる。段階(1)で製造されたアスピリン造粒物あるいはペレットの平均粒径は、好ましくは1200μm以下、より好ましくは1000μm以下である。前記ペレットのサイズが1200μmより大きい場合、2つの薬理活性成分間の混合度が不良になり、錠剤形態の複合製剤の均一性に悪影響を及ぼしうる。
【0028】
また、本発明は、本発明の複合製剤を、それを必要とする哺乳動物に投与することを特徴とする、心血管系疾患を予防または治療する方法を提供する。
【0029】
本発明の複合製剤は、単回投与または分割投与でヒトを含む哺乳動物の場合、一日に約0.01〜100mg/体重(kg)、好ましくは0.2〜50mg/体重(kg)の体重範囲の有効量で活性成分として経口で投与することができる。前記活性成分の投与量は治療対象個体の状態、病気の類型及び重症度、投与速度、及び医師の見解のような多様な関連因子に照らして調節され得る。場合によって、前記投与量より少量が適切であることもある。有害な副作用を引き起こさない限り、前記投与量よりも多用量で使用され得、前記量は一日に分割投与として投与することができる。
【実施例】
【0030】
下記実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0031】
実施例1:アスピリンペレット及び造粒物の製造
<1−1>アスピリンペレットの製造
表1によって、アスピリン(Spectrum Chemical社製、米国)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC;信越化学社製、日本)、クエン酸及びタルク(日本タルク社製、日本)を水とエタノールとの混合液に溶解及び分散させ、アスピリンを含有するコ−ティング液を製造した。流動床式コーティング機(NQ−125、不二パウダル社製、日本)を使用し、微結晶球体ビーズ(microcrystalline spherical bead)(cellet;Pharmatrans SANAQ AG社製)を流動させながら、前記コーティング液を噴霧してアスピリンペレットを製造した。
【0032】
<1−2>アスピリン造粒物の製造
表1に従って、アスピリン、アビセル(FMC biopolymer社製、米国)、クエン酸及びマンニトールを混合し、水とエタノールに溶かしたヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を用いて混練した後、押出機(Extruder)(MG−55、ダルトン社製、日本)を用いて押出した。次いで、前記押出された生成物を球形整粒機(spheronizer)(Q−230T、ダルトン社製、日本)を用いて球形化した球形のアスピリン造粒物を得た。
【表1】

【0033】
実施例2〜7:疎水性添加剤を含有するバリアを用いたコーティング(1)
表2に従って、実施例1のアスピリンペレットまたは造粒物を多様な組み合わせの疎水性添加剤を含有するバリアでコーティングした。具体的には、HPMC、アセチル化モノグリセリド(myvacet(登録商標);Kerry bio−science社製、米国)、タルク、酸化チタン(TiO)及び疎水性添加剤(カルナバワックスまたはエチルセルロース(EC)(Colorcon社製)を水とエタノールとの混合液に溶解及び分散させてバリアコーティング液を製造した。次いで、流動床式コーティング機(NQ−125、不二パウダル社製、日本)を使用し、アスピリンペレットまたは造粒物を流動させながら、各コーティング液を噴射することによりバリアでコーティングされたアスピリンペレットを製造した。
【表2】

【0034】
比較例1〜3:通常のバリアや腸溶性コーティング
通常のバリアや腸溶性コーティングを有するペレットまたは造粒物を製造するために、実施例1のアスピリンペレットまたは造粒物を表3に示したコーティング液でコーティングした。具体的には、HPMCまたはHPMCP(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、信越化学社製、日本)、マイバセット(登録商標)(Myvacet(登録商標))、タルク及び酸化チタンを水とエタノールまたはアセトンとの混合液に溶解及び分散させてバリアコーティング液を製造した。次いで、流動床式コーティング機(NQ−125、不二パウダル社製、日本)を用いて実施例1のアスピリンペレットまたは造粒物を流動させながら、各コーティング液を噴霧することにより通常のバリアまたは腸溶性コーティングされたアスピリンペレットまたは造粒物を製造した。
【表3】

【0035】
実施例8及び比較例4:疎水性添加剤を含有するバリアを用いたコーティング(2)
実施例2〜7と同一の方法に従って、実施例<1−1>及び比較例3のペレットをそれぞれ表4に示した疎水性添加剤を含有するバリアでコーティングした。
【表4】

【0036】
実施例9:HMG−CoA還元酵素阻害剤造粒物の製造
HMG−CoA還元酵素阻害剤を含有する造粒物を製造した。
【0037】
<9−1>アトルバスタチン(atorvastatin)含有造粒物の製造
表5に従って、アトルバスタチンカルシウム(テバ社製、イスラエル)をアビセル(登録商標)、クロスカルメロースナトリウム(DMV international社製)、乳糖(DMV international社製)及び炭酸マグネシウムと混合し、HPC、及びポリソルベート80を水に溶かした結合溶液で混練した。前記結合された生成物を乾燥し、30メッシュふるいを通過してアトルバスタチン含有造粒物を製造した。
【0038】
<9−2>ロスバスタチン(rosuvastatin)含有造粒物の製造
アトルバスタチンカルシウムの代わりにロスバスタチンカルシウム(MSN社製、インド)を使用することを除いて、実施例<9−1>の過程を繰り返してロスバスタチン含有造粒物を製造した。
【表5】

【0039】
製剤例1〜8及び比較製剤例1〜4:アスピリン/HMG−CoA還元酵素阻害剤を含有する複合製剤の製造
前記実施例及び比較例を組み合わせて、下記表6に従ってアスピリン及びHMG−CoA還元酵素阻害剤を含有する複合製剤を製造した。具体的には、それぞれアスピリン100mgとHMG−CoA還元酵素阻害剤10mgに該当する造粒物(またはペレット)を#0号のカプセルに充填して複合製剤を得た。比較製剤例5及び6は、HMC−CoA還元酵素阻害剤のみを#0号のカプセルに充填して製造した製剤である。
【表6】

【0040】
実験例1:製剤の安定性試験
製剤例1〜8及び比較製剤例1〜7で製造した複合製剤をそれぞれHDPEボトル1gのシリカゲルと一緒に包装した後、加速条件(45℃、75%RH)下で保管して2ヶ月及び4ヶ月間、これらの安定性を試験した。アスピリンの場合、「アスピリン錠(aspirin tablet)」及び「アスピリン遅延放出カプセル(aspirin delayed-release capsule)」のためのUSP(United States Pharmacopeia)の説明書に従って放出されたサリチル酸の含量を測定した。アトルバスタチンの場合、代表的な加水分解物、すなわちアトルバスタチンラクトン及び合計関連化合物の含量を測定した。ロスバスタチンの場合、ロスバスタチンラクトン及び合計関連化合物の含量を測定した。その結果を表7及び8、並びに図1〜3に示している。図1及び2は、加速条件下での4ヶ月後の安定性を示すグラフであり、図3は、疎水性添加剤の量による加速条件下での4ヶ月後の安定性を示すグラフである。
【表7】


【表8】

【0041】
表7及び8に示したように、サリチル酸の含量が時間経過に従い増加することが確認され、バリア基剤の種類による増加率に顕著な差はなかった。しかし、サリチル酸の生成速度及びアトルバスタチンラクトンと合計関連化合物の発生は、バリアがない比較製剤例7で非常に高かった。したがって、安定性の改善のために前記2つの薬理活性成分を分離することが好ましいという結論が下された。
【0042】
一方、通常のコーティング基剤であるHPMCを用いた比較製剤例1及び2と、腸溶性コーティング基剤であるHPMCPを用いた比較製剤例3は、相対的に安定した様相を示したが、放出されたサリチル酸がHMG−CoA還元酵素阻害剤に及ぼす影響を完全に防ぐことはできなかった。すなわち、アスピリンから放出されたサリチル酸がアトルバスタチンの安定性を阻害し、アトルバスタチンの安定性がアトルバスタチンのみを用いた比較製剤例5に比べて良くなかった。特に、多量のアトルバスタチンラクトン及び合計関連化合物が生成することが分かった。
【0043】
また、疎水性バリアとしてECまたはカルナバワックスでコーティングされたアスピリンを含有する製剤例1〜7は、比較製剤例に比べて大きく改善された安定性を示した。これは、サリチル酸がHPMCまたはHPMCPのような通常のコーティング基剤は通過してHMG−CoA還元酵素阻害剤に影響を及ぼす反面、EC及びカルナバワックスのような疎水性添加物は通過することができず、アトルバスタチンの安定性に影響を与えないことを示す。前記現象は、他のHMG−CoA還元酵素阻害剤であるロスバスタチンでも類似した現象が観察された。
【0044】
したがって、アスピリン及びHMG−CoA還元酵素阻害剤を含有する複合製剤において、疎水性添加剤含有バリアでコーティングされたアスピリン造粒物を含む複合製剤が改善された貯蔵安定性を提供することができ、前記製剤は安定となり、かつ、優れた高血圧及び高コレステロール血症の治療剤として用いられる。
【0045】
実験例2:アスピリンの溶出試験
実施例2〜5及び比較例1及び4のアスピリンペレットをそれぞれアスピリン100mgに該当する量でカプセル(例えば、ゼラチンカプセル、Capsugel)に入れ、USP装置1(バスケット)による100rpmにより人工胃液(pH1.2)及び人工腸液(リン酸緩衝液、pH6.8)で溶出を試験した。分析は「アスピリン錠」及び「アスピリン遅延放出カプセル」のためのUSPの説明書に従って行った。また、腸溶性コーティングにより、pHに依存して放出されることが知られている「アスピリンプロテクト(Aspirin protect)(登録商標)(Bayer社製、ドイツ)」及び「アストリックス(Astrix)(登録商標)(保寧製薬社製、韓国)」のカプセルも同一の方法に従って溶出試験を実施した。その結果を表9及び10に示した。
【表9】


【表10】

【0046】
表9〜10の結果に基づいて図4を示した。図4に示したように、「アスピリンプロテクト(登録商標)」と「アストリックス(登録商標)」の溶出率は、pHによって著しく異なる一方、疎水性添加剤含有バリアでコーティングされたアスピリンを含有する本発明の複合製剤はpHによって溶出率に差を示さなかった。
【0047】
また、pH1.2で1時間後、実施例2〜5及び比較例4の溶出率は疎水性添加剤の量が増加するにつれて少しずつ減少し、その放出は特に疎水性添加剤の量が60%を超える場合、急激に減少した。
【0048】
以上、本発明を前記特定の実施態様に関して説明したが、同技術分野における熟練者は本発明を多様に変形及び変化させることができ、これも添付した特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に属するものと認識されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)疎水性添加剤を含有するバリアでコーティングされたアスピリンと、(b)HMG−CoA還元酵素阻害剤とを含む、心血管系疾患の予防または治療用の複合製剤。
【請求項2】
前記疎水性添加剤の量が、バリアの総重量を基準として3.8〜60重量%である、請求項1に記載の複合製剤。
【請求項3】
前記疎水性添加剤が、カルナバワックス、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン、ミツロウ、エチルセルロース、アミノアルキルメタクリレート共重合体RS、エチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の複合製剤。
【請求項4】
前記HMG−CoA還元酵素阻害剤が、メバスタチン、ロスバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、プラバスタチンラクトン、ピタバスタチン、ベルバスタチン、ベロスタチン、シンバスタチン、リバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、及びこれらの異性体、塩及び組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の複合製剤。
【請求項5】
前記HMG−CoA還元酵素阻害剤の量が、5〜80mgである、請求項1に記載の複合製剤。
【請求項6】
前記アスピリンの量が、10mg〜2gである、請求項1に記載の複合製剤。
【請求項7】
HMG−CoA還元酵素阻害剤の安定性改善のために、安定化剤をさらに含む、請求項1に記載の複合製剤。
【請求項8】
前記安定化剤が、抗酸化剤、無機物、塩基性添加剤、及び有機酸、及びその塩からなる群より選択される、請求項7に記載の複合製剤。
【請求項9】
前記抗酸化剤が、トコフェロール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸またはエリソルビン酸であり、前記無機物が、CaCO、MgCO、NaHCO、KHPOまたはKHPOであり、前記塩基性添加剤が、メグルミン、アルギニンまたはグリシンであり、前記有機酸が、クエン酸またはフマル酸である、請求項8に記載の複合製剤。
【請求項10】
アスピリン及びHMG−CoA還元酵素阻害剤の各々が、ペレットまたは造粒物に製剤化されている、請求項1に記載の複合製剤。
【請求項11】
前記アスピリン層とバリアとの間に腸溶性コーティング層をさらに含む、請求項1に記載の複合製剤。
【請求項12】
前記腸溶性コーティングが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、メタクリル酸共重合体、または酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項11に記載の複合製剤。
【請求項13】
前記腸溶性コーティングの重量比が、コア1重量を基準として0.1〜0.5である、請求項12に記載の複合製剤。
【請求項14】
心血管系疾患の予防剤または治療剤の製造のための請求項1に記載の複合製剤の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−518873(P2013−518873A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551908(P2012−551908)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【国際出願番号】PCT/KR2011/000541
【国際公開番号】WO2011/096665
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(510323554)ハンミ・サイエンス・カンパニー・リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】HANMI SCIENCE CO., LTD.
【Fターム(参考)】