説明

疎水性物質を吸着保持したナノサイズのタンパクミセル構造体の製造方法

【課題】疎水性の高い化合物を水中で均一に透明且つ安定に可溶化するタンパク質性構造体の製造方法を提供すること。
【解決手段】両親媒性を有するカゼイン類と疎水性物質を水又は水溶液中で共存させ、所望によりトランスグルタミナーゼを添加し、カゼインミセル内部の疎水性領域に疎水性物質を吸着保持した構造体を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カゼイン等ミセル形成能を有するタンパク質と疎水性物質を水中で共存させることにより形成する粒径がナノサイズのミセル構造体の製造方法、及び透明で安定に可溶化された疎水性物質の過飽和溶液の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
栄養、生理、薬理機能を持った化合物には、疎水性物質が多数存在する。そのような疎水性物質を食品や医薬品の成分として経口で摂取する際には、容易に摂取できる水溶液に可溶化されていることが望まれる。しかし、疎水性物質を水溶液にする場合、水に対する溶解度が低いという課題がある。疎水性物質の中には、水溶液の調製時に一旦溶解しても、その後、経時的に沈澱を生じ、疎水性物質含有水溶液としての保存安定性を保つことができず、品質低下の原因となっている。そのため、これらの疎水性物質の配合量が制限され、機能を満足に発揮できる製品を得ることが困難な場合がある。そこで、疎水性の高い化合物を水中に高濃度に且つ均一に可溶化するための技術の開発が望まれている。疎水性物質を高濃度で水溶液中に含有させるために、界面活性剤を用いた乳化技術、硬化剤を巧みに使用したマイクロカプセル技術などが開発されている。
【0003】
疎水性物質を含むマイクロカプセルの製造方法としては、例えばコンプレックスコアセルベーション法(特許文献1)が代表的であるが、疎水性物質を可溶化するための溶剤や食用に適さないアルデヒド等の硬化剤が用いられることが多い。そこで、蛋白質と多糖類からなるコンプレックスコアセルベーション法において、蛋白架橋酵素であるトランスグルタミナーゼを被膜硬化剤として用いることを特徴とする可食性のマイクロカプセルの製造方法(特許文献2)や、蛋白と塩類の組合せにより塩析法で壁膜を形成し、トランスグルタミナーゼで壁膜を硬化するマイクロカプセルの製造方法(特許文献3)等、食用に適さない硬化剤を用いずにマイクロカプセルを製造する方法が開示されている。しかしながら、これらの文献に開示されているマイクロカプセルの大きさは平均粒径は数10〜数100μmの大きさであり、後述の本発明の課題である「疎水性物質を過飽和濃度においても透明で安定に可溶化させる」ことはできない。
【0004】
ところでカゼインは乳タンパク質の主体をなすリンタンパク質であり、αs1-カゼイン、α s2-カゼイン、β-カゼイン、κ-カゼインと呼ばれる4種類のタンパク質成分からなる。これらのカゼイン成分は、それぞれ単独では特定の高次構造を持たないが、その両親媒性と高い界面活性から、水中でその濃度や環境に応じて分子集合体を形成することが知られている。最近の研究で、カゼイン分子が有する自己組織性とトランスグルタミナーゼによる架橋反応を組み合わせることで、カゼイン分子の集合体(カゼインミセル)を安定化できることが示されている(非特許文献1)が、この安定化カゼインミセル内に疎水性物質を吸着保持するという思想、疎水性物質を過飽和濃度で水に可溶化させるという思想は開示されていない。
【特許文献1】米国特許第2800457号明細書
【特許文献2】特開平5−292899号公報
【特許文献3】特開平9−248137号公報
【非特許文献1】J.E. O’Connell and C.G. de Kruif, Physicochem. Eng. Aspects, 216, 75-81(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、疎水性物質を過飽和濃度においても透明で安定に可溶化させる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は前項記載の目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、カゼイン等ミセル形成能を有するタンパク質と疎水性物質を水中又は水溶液中で共存させることにより、ミセル内部の疎水性領域に疎水性物質を吸着保持した粒径がナノサイズの構造体が得られること、カゼイン等ミセル形成能を有するタンパク質と疎水性物質を水中又は水溶液中に共存させた後、トランスグルタミナーゼのタンパク質分子内・分子間架橋形成能を利用して固定化することにより、より安定な、ミセル内部の疎水性領域に疎水性物質を吸着保持した構造体が得られること、および該構造体を水に溶解させると、該疎水性物質をその溶解度以上の濃度、すなわち過飽和濃度でも、透明で安定に可溶化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)ミセル形成能を有するタンパク質及び疎水性物質を水中又は水溶液中に共存させることによる、ミセル内部の疎水性領域に疎水性物質を吸着保持した構造体の製造方法。
(2)ミセル形成能を有するタンパク質及び疎水性物質を水中又は水溶液中に共存させた後、トランスグルタミナーゼを添加することによる、ミセル内部の疎水性領域に疎水性物質を吸着保持した構造体の製造方法。
(3)ミセル形成能を有するタンパク質がカゼインである(1)又は(2)記載の製造方法。
(4)疎水性物質を吸着保持した構造体の粒径分布が1μ未満である(1)乃至(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)(1)乃至(4)のいずれかに記載の製造方法で得られる疎水性物質を吸着保持した構造体を、該疎水性物質の濃度が該疎水性物質の過飽和濃度となるよう水又は水溶液に溶解させることを特徴とする透明な過飽和溶液の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、疎水性物質をカゼインミセル内部に吸着保持した粒径がナノサイズの構造体が得られ、疎水性物質をその溶解度以上の濃度、すなわち過飽和濃度においても、透明で安定に可溶化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に用いるミセル形成能を有するタンパク質はカゼイン等ミセル形成能を有するものであればよい。カゼインは、ミセル形成能があればいずれのカゼインを用いても良いが、好ましくはαs1-カゼイン、αs2-カゼイン、β-カゼインおよびκ-カゼインである。これらはそれぞれ単独で使用することができ、また2種以上を併用することもできる。
【0010】
本発明に用いられる疎水性物質は特に限定されるものではないが、例えば、疎水性の高いトリプトファン、チロシン、バリン、ロイシン、イソロイシンといったアミノ酸、食用色素、コーン油、大豆油、菜種油、落花生油、パーム油等の植物油、魚油、ラード、ヘッド等の動物油、レシチン、α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPAと略する)、ドコサヘキサエン酸(DHAと略する)といった脂肪酸等を挙げることができる。また、食用ワックス類を用いても何等差し支えない。これらはそれぞれ単独であるいは複数配合して用いられ、目的に応じ適宜選択することが出来る。これらの油脂に、フレーバー組成物、ビタミン等油溶性物質、調味料、香辛料、乳化剤等を含有させたり、あるいは着色剤を添加したりすることは何等差し支えない。要するに、これらを目的に応じて単独又は複数配合することができる。尚、ここで述べるフレーバー組成物とは例えば、ミートフレーバー、かつお節フレーバー等の畜肉魚介類に関連したものや、果実フレーバー、野菜フレーバー等が挙げられる。油溶性ビタミン類としては、ビタミンA、D、E、F、K等を挙げることができる。これらを、目的に応じて、単独叉は複数配合しても良い。
【0011】
本発明に用いられるトランスグルタミナーゼ(以下、TGと略記することがある)は、TG活性がある限りその起源を特に問わず、いずれの種類のTGを用いても良い。例えば、ストレプトベルチシリウム(Streptoverticillium)等に属する微生物由来のもの(特開平1−27471号公報参照)、モルモット等の哺乳動物由来のもの(特公平1−50382号公報参照)、水産動物由来のもの(関伸夫ら、Nippon Suisan Gakkaishi, 56(1), 125(1990)及び59(4), 711(1993)))、バイオテクノロジー技術を使用して遺伝子組換によって得られるもの(特開平1−300889号公報参照)等を用いることができる。しかし、その中でもカルシウム非依存性であり、かつ大量に取得できる微生物由来トランスグルタミナーゼを用いる方が好ましい。
【0012】
ミセル内部の疎水性領域に疎水性物質を吸着保持した構造体の製造方法は、例えば、α-カゼインやβ-カゼイン等のミセル形成能を有するタンパク質を単独にまたは複数溶解した濃度0.1〜10%の水溶液に疎水性アミノ酸等の疎水性物質を、水溶液の温度での溶解度から100℃での溶解度に相当する量を添加する。疎水性物質が溶解するまで加温するか、所望の温度で加温をやめ、溶解できない疎水性物質を遠心分離等で除去後、20〜80℃程度まで冷却し、疎水性物質を吸着保持した構造体の溶液を得る。この溶液は、疎水性物質の濃度が該疎水性物質の過飽和濃度であり、このようにして該疎水性物質の透明な過飽和溶液が得られる。この過飽和溶液を噴霧乾燥、凍結乾燥等により乾燥しても良いし、膜濾過、ゲル濾過等により濃縮、分画しても良い。
【0013】
さらに、TGを用いる場合は、先ず、上に説明したと同じく、α-カゼインやβ-カゼイン等のミセル形成能を有するタンパク質を単独にまたは複数溶解した濃度0.1〜10%の水溶液に疎水性アミノ酸等の疎水性物質を、水溶液の温度での溶解度から100℃での溶解度に相当する量を添加する。疎水性物質が溶解するまで加温するか、所望の温度で加温をやめ、溶解できない疎水性物質を遠心分離等で除去後、20〜80℃程度まで冷却する。次に、TGをタンパク質1gあたり0.001〜500単位(この単位については特開平1−27471号公報参照)、好ましくは0.1〜100単位添加する。これをTGによるタンパク質の分子内・分子間架橋反応が進行する時間、例えば20〜40℃で1分〜48時間、好ましくは5分〜24時間置き、疎水性物質を包摂したカゼイン類を構成成分して形成されたミセル構造体の溶液を得る。この溶液は、疎水性物質の濃度が該疎水性物質の過飽和濃度であり、このようにして該疎水性物質の透明な過飽和溶液が得られる。この過飽和溶液を噴霧乾燥、凍結乾燥等により乾燥しても良いし、膜濾過、ゲル濾過等により濃縮、分画しても良い。TGを用いることにより、ミセル構造体が安定化し、疎水性物質をより高濃度に溶解させることができる。
【0014】
以下に参考例及び実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
【参考例1】
【0015】
5mg/mlの各種カゼイン溶液(50mM Tris塩酸緩衝液、pH7.5)を調製し、トランスグルタミナーゼ(1単位/g)を0.5mg/ml添加し、37℃で24時間温置した。得られた反応溶液の光散乱(DLS)をSysmex社製「Zetasizer Nano」にて測定し、粒度分布を求めた。下記第1表に示すように、5mg/ml濃度においてTGを添加しないα-カゼイン、β-カゼイン及びκ-カゼインでは、それぞれ、29nm、32nmおよび55nmとなり、各種カゼインの混合物である「カゼイン」でも91nmを示し、ナノサイズのミセルが形成された。これらのTG処理によって、α-カゼインは26nm、β-カゼインでは26nm、κ-カゼインで49nm、そしてカゼインでは75nmとなり、未処理に比してコンパクトなナノサイズの構造体を形成した。
【0016】
【表1】

【実施例1】
【0017】
100mMリン酸緩衝液(pH6.2)にβ-カゼイン(シグマ社製)5mg/mlを溶解し、37℃にて平衡化後、8-Anilinonaphthalene-1-sulfonate(ANS)110μMを加えた。ANSは、タンパク質の疎水領域と相互作用すると蛍光強度が著しく高まる疎水性プローブである。これに参考例1のTGを0.5mg/mL (カゼイン1gに対し0.1単位)添加し、37℃で24 時間温置し、ANS包摂したミセル構造体を調製し、蛍光スペクトルの測定を行った(励起波長:350nm/測定波長:480nm)。同様の実験を100mMリン酸緩衝液(pH6.2)にβ-カゼイン(5mg/mL)を溶解し、37℃にて平衡化後、8-Anilinonaphthalene-1-sulfonate(ANS)110μMを加えたが、TG処理を行っていないサンプル(TG未処理カゼインミセル)についても同様の操作を行い、両者を比較した。図1に示したように、TG未処理カゼインミセル(図1ではβ−カゼインと表示)とTG処理カゼインミセル(図1ではナノカプセルと表示)では、ほぼ同一の蛍光スペクトルを与え、両者疎水的空間は大きな変化は見られず、TG処理を行っていないカゼインミセル構造体でも、TG処理を行ったカゼインミセル構造体でも、同様に疎水性物質ANSが吸着していると判断される。
両者にトリプシン(50μg/ml)を加え、ANS由来の蛍光強度変化を経時的に追跡したところ、図2に示したように、TG未処理カゼインミセルでは、疎水場の存在を示すANS由来の蛍光がほぼ消失するのに対して、TG架橋化処理ミセルは蛍光強度が50%以上保持された。また、TG処理を施したANS包摂β-カゼインミセルについて、Sysmex社製「Zetasizer Nano」でトリプシン処理前後の粒径測定を行った。トリプシン処理前の粒径は36nmで、ANS無添加のカゼインミセル(第1表、32nm)と同等であった。トリプシン処理後の粒径は28nmとなり、ナノサイズの構造体が維持され、疎水性化合物ANSがそのナノサイズ構造体に保持されていることが明らかとなった。すなわち、カゼインミセルをTG処理すると、その内部に疎水場を有する安定なカゼインミセル構造体が得られた。従って、TG処理ミセルは、TG処理によりトリプシン耐性を示すと共に、疎水性物質が内部疎水領域に保持することができていると判断された。
同様に、「カゼイン」(シグマ社製;αs1-カゼイン、α s2-カゼイン、β-カゼインおよびκ-カゼインの混合物)についても検討したところ、図3に示したように、いずれも、TG処理ミセルは、トリプシン処理してもANSを保持していることが確認された。
【実施例2】
【0018】
100mMリン酸緩衝液(pH6.2)にβ-カゼイン(シグマ社製)5mg/mlとトリプトファン(Trp)90mMを60℃にて溶解した。これを40℃にて平衡化後、参考例1のTGを0.5 mg/ml(カゼイン1gに対し0.1単位) 添加し、24 時間温置した。これを25℃にて平衡化すると、カゼインを共存させていない対照溶液では溶解度を超えたTrpが析出するのに比して、TG処理β-カゼインはTrpの析出は認められず、溶解度を超えたTrpはTG処理ミセル構造体の内部に取りこまれ、透明な溶液を与えた。次に、これら溶液を遠心分離し、析出しているTrpを完全に除去した後、α-キモトリプシン(50μg/mL)を加え、40℃にて24 時間温置し、得られる溶液中に含まれるTrpをHPLC(カラムInertsil ODS-3, GLScience; グラジエント:水/アセトニトリル=95/5→45/55 in 25min; 流速:0.5ml/min)により定量することで、包摂するTrp量を定量した。同様の実験をカゼイン非共存下ならびにTG 未処理サンプルについても行った。
図4より、本実験条件下におけるTrpの溶解度は70±3mM(control)と見積もられたのに対し、TG未処理カゼインミセル構造体(図4ではmicellと表示)では81±1mM、TG処理カゼインミセル構造体(図4ではcapsuleと表示)では89±7mM と、Trpの溶解度が大きく向上し、Trpの過飽和濃度においても透明な溶液が得られた。
【実施例3】
【0019】
実施例2と同様の操作で調製したTG未処理Trp包摂カゼインミセル構造体とTG処理Trp包摂カゼインミセル構造体各1mlを透析チューブに加え、これを100ml の100mM リン酸緩衝液(pH6.2)に対して透析操作を施した。外水相に漏出したTrpの濃度を吸光度変化により追跡した結果、Trpの外水相への漏出速度が一次速度過程に従うと仮定しフィッティングを行い、見かけの半減期を算出すると、カゼインミセルでは13.4 分、TG処理Trp包摂カゼインミセル構造体では21.4 分となった。即ち、TG処理によりカゼインミセルのTrpの保持力(=Trpに対する親和性)が増すことが判明した。
【実施例4】
【0020】
実施例1と同様の操作で調製したTG未処理ANS包摂カゼインミセル構造体とTG処理ANS包摂カゼインミセル構造体をAmersham Pharmacia Boitec社製AKTA prime、カラムSuperdex 200 (HiLoad)にて、ゲル濾過を行い、各画分のカゼイン濃度と蛍光強度を測定した。5mg/mlの構造体2mlより計約200Lの画分を分取した。
図5に示したように、TG処理ANS包摂カゼインミセル構造体の方が、見かけの分子量が大きく(ピークの画分は分子量約100万)、分布も狭いことより、TG処理により、より安定な構造体が形成していることが確認された。TG処理ANS包摂カゼインミセル構造体では、タンパク質と蛍光の検出が一致しており、かなり狭い範囲で溶出している。一方、TG未処理ANS包摂カゼインミセル構造体では、後半の比較的広い範囲にタンパク質が出てきており、蛍光強度も低くなっている。このことは、TG処理ANS包摂カゼインミセル構造体は大希釈条件下においても、疎水性の化合物を内包したまま保持できることを示しており、TG処理により、包摂コアがよりしっかり形成され、疎水性物質の溶解度が高まることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明によると、疎水性物質をカゼインミセル内部に吸着保持した粒径がナノサイズの構造体が得られ、疎水性物質をその溶解度以上の濃度、すなわち過飽和濃度においても、透明で安定に可溶化することができる。近年、特定保健用食品や栄養食品の機能発揮の主体となる機能成分としては、疎水性物質が多く存在するが、本発明によれば、そのような脂溶性や難溶性の成分を可溶化することができるので、本発明は飲料、食品分野において極めて有用である。更に、疎水性物質を輸液や濃厚流動食としたり、医薬品を液状で供給することも本発明によって可能となるので、本発明は医薬品分野においても極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ANSを包摂したカゼインミセル構造体の蛍光スペクトルを示す(実施例1)。
【図2】トリプシン処理によるANSを包摂したβ-カゼインミセル構造体の蛍光スペクトルの経時変化を示す(実施例1)。
【図3】トリプシン処理によるANSを包摂したカゼインミセル構造体の蛍光スペクトルの経時変化を示す(実施例1)。
【図4】トリプトファン包摂カゼインミセル構造体溶液のトリプトファン濃度を示す(実施例2)。
【図5】TG未処理ANS包摂カゼインミセル構造体とTG処理ANS包摂カゼインミセル構造体のゲル濾過画分のカゼイン濃度及び蛍光強度を示す(実施例4)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミセル形成能を有するタンパク質及び疎水性物質を水中又は水溶液中に共存させることを特徴とするミセル内部の疎水性領域に疎水性物質を吸着保持した構造体の製造方法。
【請求項2】
ミセル形成能を有するタンパク質及び疎水性物質を水中又は水溶液中に共存させた後、トランスグルタミナーゼを添加することを特徴とする請求項1記載のミセル内部の疎水性領域に疎水性物質を吸着保持した構造体の製造方法。
【請求項3】
ミセル形成能を有するタンパク質がカゼインであることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
疎水性物質を吸着保持した構造体の粒径分布が1μ未満であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方法で得られる疎水性物質を吸着保持した構造体を、該疎水性物質の濃度が該疎水性物質の過飽和濃度となるよう水又は水溶液に溶解させることを特徴とする透明な過飽和溶液の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−115751(P2006−115751A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306546(P2004−306546)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】