説明

疎水性砂、その製造方法及び使用

本発明の主題は、疎水性砂の製造方法、疎水性砂自体及びその使用である。砂粒径2000μm未満の粒子径の各砂は、本発明によるシラン化剤−エマルションで撥水性に仕上げられる。このために、内部表面積m2あたり0.19・10-2〜5・10-2gのシラン化剤が本発明により使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
世界は荒廃及び水不足にますます見舞われている。しかし、まさに農業及び園芸の適用においては、それぞれの植物の成長に十分な量の水が必要とされる。したがって、農業又は園芸上の利用地には十分な量の水を供給することが欠くことができない。従来利用されていない大地の開墾のためにも十分な量の水が必要とされる。
【0002】
水路、灌水設備、人工散水機又は類似手段を用いて、予定される位置に水を輸送し、まくことができる。但し、経済上十分な植物成長を達成するために、この灌水された土壌は所定の水量を可能な限り長い時間蓄えなくてはならない。
【0003】
水留保能力を改善するための一手段は、水の浸透が妨げられるように土壌自体を変更することである。DE 4325692に記載のように、このためには、撥水特性を有する人工土壌構造が作成されることができる。言及した出願の欠点は、ここで使用されるシリコーン変性された砂が酸性及びアルカリ性媒体中で十分な貯蔵安定性を有さず、その一方で、このフッ素化された物質で処理した砂はこのようなフッ素化化合物の生分解性が不足しているために環境上懸念がないわけではないことである。
【0004】
WO 0232213、US 6060557及びEP 1591476には、農業のために土壌に水留保層を備えるための有機ポリマー(特に架橋したアクリラート)の使用が記載されている。但し、このような層の砂マトリックスへの化学的結合が欠失し、並びに、有機ポリマー(B. Ranby, Journal of Analytical and Applied Pyrolysis 1989, 15, 237-247.)のUV安定性が不足しているために、一般的に、この処理の持続性は疑わしい。
【0005】
JP 2000-023559には、アルキド樹脂又はシリコーンで処理した砂の製造及び使用が記載されている。多数の有機反応樹脂及び架橋剤、並びにSi含有出発材料が必要とされることが欠点である。加えて、有機樹脂で接着した砂土壌中で植物はもはや根をはることができず、したがって、植物成長が制限されている。ここに記載の砂は相応して「non−grass」土壌と呼ばれる。
【0006】
WO 9841408には、蜜ろう含有剤で変性された砂の製造及び使用が記載されている。このように得られた材料の欠点は、蜜ろうにより引き起こされ、そして、モデリング目的には適するものの農業適用にはじゃまな接着性にある。
【0007】
無論、土壌粒子を撥水性(以下、疎水性とも呼ぶ)に仕上げる手段も利用される。
【0008】
JP 07-048559には、シラン化した無機材料の製造が記載される。この欠点は、この記載の材料の製造に有機溶媒中のクロロシランの使用が必要であることである。
【0009】
JP 07-194286には、シラン化合物で処理された砂材料の製造及び使用が記載されている。この得られた砂は、雑草の成長の防止のために使用されることができる。この刊行物では、この処理された砂の作用が、この処理された砂がもはや水を蓄えることができず、これによって飛行種子が根付くことが妨げられることに基づくことを前提としている。記載の材料の欠点は、植物の成長が妨げられ、そして、有用植物の成長により好ましい条件が達成されないことにある。加えて、試験により必要な計量供給量が算出されなくてはならず、かつ、処理すべき砂の特性に基づいて定めることができない。
【0010】
したがって、本発明の課題は、少量のシラン化剤の使用下で、容易に製造することができる、撥水性砂を提供することである。この課題は、独立請求項により解決され、以下詳細に説明される。
【0011】
意外なことに、水性Si含有化合物の少量の使用でもって砂を撥水性に仕上げることができ、その際、この必要量はこの砂粒子の平均粒径に依存することが見出された。
【0012】
この砂粒子は、本発明により、適した疎水化剤で撥水性にされる。本発明による疎水化剤は、Si含有化合物、例えばシラン、シロキサン及び/又はシリコーンである。これらは以下シラン化剤と呼ばれる。このシラン化剤の水性エマルション又は水溶液は以下シラン化剤−エマルションと呼ばれる。
【0013】
つまり、本発明の主題は、次の工程:
(a)砂を調製する工程、
(b)砂平均粒径>2000μmを有する粗含分を除去する工程、及び、引き続き、
(c)工程(b)により得られた砂のかさ密度、砂粒子の平均粒径及び内部表面積を測定する工程、及び、引き続き、
(d)工程(c)により得られた砂をシラン化剤−エマルションと一緒に混合装置中で、
0.19・10-2〜5.0・10-2(gシラン化剤)/(m2内部表面積)の量で、
回転数500rpm〜4000rpmで、
1〜10分間の間混合する工程、及び、引き続き、
(e)0.5〜2時間の間30〜90℃の温度で乾燥する工程
を含む疎水性砂の製造方法である。
【0014】
砂としては全ての種類の砂、例えば珪砂、川砂若しくは海砂、飛砂(Flugsand)、又は岩粉が考慮されることができる。適した砂は、150μm〜2000μm、好ましくは200μm〜2000μm、特に好ましくは300μm〜1800μmの粒サイズを有することができる。
【0015】
請求された方法によれば、これに応じて、シラン化剤が砂の撥水性仕上げのために使用される。このようなシラン化剤は、一般構造I
【化1】

[式中、R1はC1〜C18であり、基R2は同じか又は異なり、かつ、R2は水素原子又は1〜6個の炭素原子、好ましくは1又は2個の炭素原子を有するアルキル基である]
のアルキル置換されたシランを有することができる。
【0016】
好ましい例は、基:

を有するものである。
【0017】
このようなシラン化剤は、さらに、理想化した一般構造II
【化2】

[式中、基R1及びR3は相互に独立してC1〜C18−アルキルであり、これは1又は複数のヘテロ原子、例えばN、O、F、Cl、P又はSを含むことができ、基R2は同じか又は異なり、かつR2は水素原子又は1〜6個の炭素原子、好ましくは1又は2個の炭素原子を有するアルキル基であり、かつ、n+mはオリゴマー化度を2〜50、好ましくは2〜30を有するものとして決定する]のオリゴマー状シロキサン又はシランオリゴマーを有することができる。この場合に、好ましくは、平均オリゴマー化度2〜50、好ましくは2〜30を有するオリゴマー混合物であり、その際、この平均モル質量は好ましくは300〜10000g/Molである。この一般式IIのシランオリゴマーは、この場合、線状、環状及び/又は分枝状単位として存在できる。
【0018】
シランオリゴマーの好ましい例は、基:

を有するものである。
【0019】
最後に、このようなシラン化剤は、理想化された一般式III
【化3】

[式中、基R4は同じか又は異なり、かつ、水素原子又は1〜6個の炭素原子、好ましくは1又は2個の炭素原子を有するアルキル基であり、かつ、oは5〜5000、好ましくは20〜1000を有するものとして重合度を記載する]のポリマー状シリコーンを有することもできる。好ましい例は、基R4=H−、CH3−、C25−を有するものである。
【0020】
このシラン化剤は本発明により水性エマルションとして又は水溶液として使用される。
【0021】
本発明により使用されるシラン化剤−エマルションは、シラン化剤含有量0.5〜99.9w%、好ましくは1〜99w%、特に好ましくは2.5〜99w%、特にとりわけ好ましくは5〜80w%を有する。w%の単位は、この処方物の全質量に対する。
【0022】
本発明によるシラン化剤−エマルションが水性エマルションとして付加的に少なくとも1の乳化剤を含むことが好ましくあることができ、これは好ましくはC8〜C18−アルキルを有するアルキルスルフェート、C8〜C18−アルキルを疎水性基中有に有し、かつ、1〜40個のエチレンオキシド(EO)−又はプロピレンオキシド(PO)−単位を有するアルキル−及びアルカリールエーテルスルフェート、C8〜C18−アルキルを有するアルキルスルホナート、C8〜C18−アルキルを有するアルカリールスルホナートであり、及び、スルホンコハク酸と炭素原子5〜15個を有する一価アルコール又はアルキルフェノールとの半エステル、次のもののアルカリ−及びアンモニウム塩;8〜20個の炭素原子をアルキル−、アリール−、アルカリール−又はアラルキル基中に有するカルボン酸、有機基中に8〜20個の炭素原子を有するアルキル−及びアルカリールホスフェート、アルキル−又はアルカリール基中に8〜20個の炭素原子を有し、かつ1〜40個のEO単位を有するアルキルエーテル−又はアルカリールエーテルホスフェート、8〜40個のEO単位を有し、かつ、アルキル−又はアリール基中にC8〜C20−炭素原子を有するアルキルポリグリコールエーテル及びアルカリールポリグリコールエーテル、8〜40個のEO−又はPO−単位を有するエチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)−ブロックコポリマー、C8〜C22−アルキル基を有するアルキルアミンとエチレンオキシド又はプロピレンオキシドの付加生成物、線状又は分枝鎖状の飽和又は不飽和C8〜C24−アルキル基を有し、かつ1〜10個のヘキソース−又はペントース単位を有するオリゴグリコシド基を有するアルキルポリグリコシド、ケイ素官能性界面活性剤、又はこれらの乳化剤の混合物の系列から選択されている。
【0023】
乳化剤含有量はこのような本発明により使用される組成物中で好ましくは、エマルションの全質量に対して0.01〜5質量%である。
【0024】
さらに、本発明により使用されるシラン化剤−エマルションは少なくとも1の加水分解−又は縮合触媒であって次の系列からのもの:錯体化合物、例えばハロゲン化物、酸化物、水酸化物、イミド、アルコラート、アミド、チオラート、カルボキシラート及び/又はこれら置換基の組み合わせであって元素の周期表(PSE)第3及び第4主族の並びにPSEの副族II、III、IV、V、VI、VII及びVIIIa、VIIIb及びVIIIcの元素のもの、特にチタナート又はジルコナート、例えば、テトラ−n−ブチルオルトチタナート又はテトラ−n−プロピルオルトジルコナートを含む。さらに、酸化物、水酸化物、ヒドロゲンホスフェート、ヒドロゲンスルフェート、スルフィド、ヒドロゲンスルフィド、カーボナート又はヒドロゲンカーボナートであってPSEの第1及び第2主族のもの及び/又はアルコラート、好ましくはナトリウムメタノラート又はナトリウムエタノラート及び/又はアミノアルコール、好ましくは2−アミノエタノール又は2−(N,N−ジメチル)アミノエタノールが使用されることができる。
【0025】
最後にカルボン酸、例えばギ酸、酢酸又はプロピオン酸並びに鉱酸、例えば塩酸又はリン酸が使用されることができる。
【0026】
さらに、本発明により使用されるシラン化剤−エマルションは好ましくはさらに、無機酸又は有機酸、緩衝物質、殺菌剤、殺細菌剤、殺藻剤、殺微生物剤、匂い物質、腐食防止剤、保存剤、レオロジー助剤から選択された通常の助剤を含むことができる。
【0027】
本発明により使用されるシラン化剤−エマルションは好ましくはその使用前に更に水で希釈されることができる。この場合に、原則的には全ての種類の水、例えば脱イオン水、飲料水、廃水又は海水が適する。本発明により使用可能な希釈は、1部のシラン化剤−エマルション及び0〜99部の水、好ましくは1部のシラン化剤−エマルション及び0.1〜49部の水、特にとりわけ好ましくは1部のシラン化剤−エマルション及び1〜9部の水を含む。
【0028】
本発明の方法の工程(b)においては、砂平均粒径>2000μmを有する粗含分を取り除くため、処理すべき砂はまず篩分される。
【0029】
この砂の粒サイズは、砂の風簸(Windsichten)、分級、篩分又はこれら方法の組み合わせにより区別されることができる。
【0030】
引き続き工程(c)において当業者に知られている方式でこの砂粒子のかさ密度及び平均粒径が測定される。本発明の方法においてはシラン化剤−エマルションが0.19・10-2〜5.0・10-2(gシラン化剤)/(m2内部表面積)の量で使用される。
【0031】
「内部表面積」との概念には、この箇所及び以下においては、この砂の使用体積と砂粒子の平均体積からの商を、0.74及びこの砂粒子の平均表面積で乗したものが理解される。砂粒子の平均体積及び平均表面積は同様に当業者に知られている方式で、近似的に球状の砂粒子を想定して決定される。これによって、この内部表面積は、この砂の砂平均粒径及びかさ密度から、及び、個々の砂粒子の体積及び表面積を介して算出されることができる。
【0032】
本発明の方法の工程(d)においては、工程(c)により得られた砂をシラン化剤−エマルションと、0.19・10-2〜5.0・10-2(gシラン化剤)/(m2内部表面積)の量で500pm〜4000rpmの回転数で1〜10分間の期間の間に混合される。
【0033】
本発明の方法において好ましくは0.5・10-2〜3.5・10-2、特に好ましくは1.0・10-2〜3.0・10-2(gシラン化剤)/(m2内部表面積)が使用されることができる。
【0034】
この処理すべき砂は工程(d)において回転数500rpm〜4000rpmでシラン化剤−エマルションと適した混合装置中で混合される。これは、この回転数で1〜10分間の期間の間に混合される。
【0035】
混合装置として、内部混合機、例えばLoedige混合機、コーンミキサー、撹拌槽、ニーダー、ミキサー(単に例示を挙げたに過ぎない)が使用されることができる。適した混合装置は好ましくは、この混合過程の間に砂粒子がより小さい粒子に破砕しないようなものである。好ましくは、砂及びシラン化剤−エマルションから構成される組成物へのエネルギー導入が化学的変換も、物理的変換も砂粒子の体積中に引き起こさない混合装置を選択すべきである。
【0036】
さらに、回転数を1〜10分の期間t1後に1.5〜4倍だけ高め、そして、このようにして達成された回転数を0.5〜120分の期間t2の間維持することが好ましいことができる。
【0037】
このようなやり方は、本発明により使用されるシラン化剤−エマルションが、砂と又は砂粒子の表面と完全に反応し、これによって、この砂の疎水性の持続性が高められるという利点を有する。
【0038】
工程(d)により得られた砂は、引き続き、本発明の方法の工程(e)において、0.5〜2hの間温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃で乾燥される。この場合に、この熱供給は、炉、熱ランプによって又は太陽光照射によっても実現されることができる。
【0039】
特に、太陽光照射による乾燥のための手段は、特に砂漠の領域において、エネルギー節約に関する実質的な適用において大きな利点を提供する。
好ましくは工程(d)により得られた砂は、工程(a)〜(d)により処理された砂粒子の可能な限り多くの量を同じ時間でこの太陽光照射に供するために、広域表面で分散されることができる。
この選択肢によって、本発明による方法は特に経済的であり、この両方の選択肢を一緒に考慮すると最も経済的に実施可能である。
【0040】
請求される方法の利点は、砂粒子とシラン化剤との、知られている必要な計量供給量での緊密な混合にある。この本発明の方法により、この砂が最大限の撥水作用を最小限に使用すべき量のシラン化剤で得ることが確実にされる。
【0041】
したがって、本発明の主題は、同様に、本発明の方法により得られる疎水性砂である。
【0042】
同様に、本発明の主題は、水の浸透が減少しているか又は起こらない疎水性砂である。
【0043】
最後に、本発明の主題は、土壌構造における、並びに、景観造形の際の、園芸における、土壌層のエロージョン保護における、土壌水の蒸発防止手段としての、有用−及び/又は観賞用植物の灌水のための水の浸透に対する防止層としての、農業における、本発明による疎水性砂の使用でもある。
【0044】
本発明の使用に関する利点は、本発明により処理され、かつ乾燥された疎水性砂が、このために予定される表面の全てにまかれ、かつ容易に同程度に分散されることである。まず、処理すべき表面の1又は複数の層を撤去し、次いで撥水性砂をまくことも、可能であり、かつ多くの場合には有用であり得る。最後に、このまかれる、処理された砂を1又は複数の土壌層で再度覆うことも好ましくできる。このようにして、好ましくは、風又は水によるこの処理された砂のエロージョンを回避することができる。
【0045】
以下に、本発明は実施例に基づき詳説される。
【0046】
実施例1:
珪砂H 32(CAS:14808−60−7、平均粒サイズ:0.32mm、DIN EN 1097−3に応じたかさ密度:1.515g/cm3)をLoedige混合機中で、エトキシ置換したプロピルシロキサン(平均モル質量500〜900g/mol、シロキサン含分約50%、以下Eと呼ぶ)の希釈した水性エマルションで処理した。
このために珪砂2.5kgをLoedige混合機中に装入した。
この水性エマルションEを1部のE:9部の水の比で希釈し、その際、シラン化剤−エマルションが得られた。6.6mlのこの希釈したエマルションを、引き続きピペットで滴加した。10分間1575rpmで混合し、次に5分間2800rpmで混合した。このようにして処理された珪砂を引き続き2時間80℃で乾燥させた。引き続き以下に記載の水沈下試験を実施した。
【0047】
実施例2:
実施例1と同様にしたが、シラン化剤−エマルションを、Eをより高い濃度(1部のE:4部の水)で使用することにより得た。この疎水化の作用を、以下に記載のように、水沈下試験により検証した。
【0048】
比較例:
微細砂(ドバイからの砂漠の砂、平均粒サイズ:100μm、かさ密度:1.541g/cm3)を、Loedige混合機中でEで処理した。
このために1.5kgの微細砂をLoedige混合機中に装入し、3.82gのシラン化剤−エマルション(1部のEを9部の水で希釈して得たもの)を添加した。
10分間1575rpmで混合した。このようにして処理した微細砂を引き続き2時間80℃で乾燥させた。
この疎水化の作用を、以下に記載のように、水沈下試験により検証した。このように処理した砂はこの文脈においては疎水性でない。
【0049】
実施例3:
比較例と同様に実施したが、本発明により200gの微細砂を2.11gのシラン化剤−エマルション(1部のEを9部の水で希釈したEから得たもの)で処理し、引き続き、水沈下試験を実施した。
【0050】
実施例4:
比較例と同様に実施したが、本発明により1000gの粗性砂(ドバイからの砂漠の砂、平均粒サイズ:500μm、かさ密度:1.64g/cm3)を2.48gのシラン化剤−エマルション(1部のEを9部の水で希釈したEから得たもの)で処理し、引き続き、水沈下試験を実施した。
【0051】
水沈下試験
砂をアルミニウムカップ中に約1cmの高さで充填し、手でかるく固めて押し、このようにして、砂は水平に伸びる表面を有する。次に、この表面上の2箇所で蒸留水の水滴2つを5mmの液滴直径でもってピペットを用いてまく。この水滴は少なくとも液滴直径の間隔を有する。この試験配置を周囲条件(20℃、1013hPa)下で開放系で放置し、この液滴を数時間の期間にわたり観察した。両方の液滴がそれぞれこの砂中に完全に沈下するまでに経過する期間を測定した。この期間からは算術的平均値が形成され、これは以下滞留時間と呼ばれる。
【0052】
以下第1表はこの結果の概要を示す。
【表1】

【0053】
第1表及び実施例1、2、3及び4からの結果は、各粒径の砂は本発明によるシラン化剤−エマルションで撥水性に仕上げられることができるという結論が導かれる。このためには、本発明により0.19・10-2〜3.0・10-2gのシラン化剤が内部表面積1m2あたり使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程:
(a)砂を調製する工程、
(b)砂平均粒径>2000μmを有する粗含分を除去する工程、及び、引き続き、
(c)工程(b)により得られた砂のかさ密度、砂粒子の平均粒径及び内部表面積を測定する工程、及び、引き続き、
(d)工程(c)により得られた砂をシラン化剤−エマルションと一緒に混合装置中で、
0.19・10-2〜5.0・10-2(gシラン化剤)/(m2内部表面積)の量で、
回転数500rpm〜4000rpmで、
1〜10分間の間混合する工程、及び、引き続き、
(e)0.5〜2時間の間30〜90℃の温度で乾燥する工程
を含む疎水性砂の製造方法。
【請求項2】
工程(a)において砂が、珪砂、川砂、海砂、飛砂、岩粉又はこれらの砂からの混合物から選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程(b)の後工程(c)の前に、砂の粒サイズが150μm〜2000μmにもたらされることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
粒サイズが砂の風簸、分級、篩分、又はこれらの方法の組み合わせにより区別されることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
工程(d)においてシラン化剤−エマルション中のシラン化剤として、構造Iのシランの水性エマルション、構造IIのシロキサンの水性エマルション、構造IIIのシリコーンの水性エマルション、又はこれらのエマルションの混合物が使用されることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
砂が、Loedige混合機から選択された混合装置中で、シラン化剤−エマルションと混合されることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
工程(d)においてまず1〜t1の時間の間に回転数D1で、引き続きt2の時間の間に回転数D2で混合し、その際、
1<t1<10分、及び
0.5<t2<120分、及び
500rpm≦D1<D2≦4000rpm
であることを特徴とする請求項5又は6記載の方法。
【請求項8】
工程(a)において、熱供給源として太陽光を利用することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
工程(e)において、工程(d)により得られた砂を広域表面に分散させることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載の方法により得られた疎水性砂。
【請求項11】
水沈下試験に供される水滴が水平な砂表面で少なくとも3分間の滞留時間を有することを特徴とする疎水性砂。
【請求項12】
土壌構造における、景観造形の際の、園芸における、土壌層のエロージョン保護における、土壌水の蒸発防止手段としての、有用−及び/又は観賞用植物の灌水のための水の浸透に対する防止層としての、農業における、請求項1から11のいずれか1項に記載の疎水性砂の使用。

【公表番号】特表2012−527870(P2012−527870A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512284(P2012−512284)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055624
【国際公開番号】WO2010/136286
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】