説明

疎水性粒子を含む除毛組成物、その調製方法及び使用方法

連続水相中の疎水性粒子のエマルションである除毛組成物であって、水相は少なくとも1種の除毛剤を含み、疎水性粒子はビニルポリマー誘導体及び多糖を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除毛組成物、その調製及びヒトの皮膚からの毛の除去におけるその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
余分な体毛を除去するための組成物が知られており、そのタイプは様々である。あるタイプの組成物では、ほぼ溶融状態で皮膚に塗布するに先立って、組成物を最初に加熱する必要がある。次に、この組成物を固化させてから、不要な毛と共に皮膚から除去する。これは、毛が皮膚から引き抜かれることから、当該分野において脱毛として知られている。
【0003】
別のタイプの組成物はクリームの形態をしており、室温で皮膚に塗布することが可能である。このクリームは、毛のケラチンを分解する物質を含む。従来法では、組成物を不要な毛が存在している皮膚に塗布し、次に既定の時間に亘って放置することによって毛に含まれるケラチンを分解させる。次に、組成物を分解された毛と一緒に、通常は用具(スポンジ、拭き取り布、ヘラ等)を使用して皮膚から除去する。このような組成物は、当該分野において除毛組成物として知られる。
【0004】
除毛組成物を過剰に長い時間に亘って皮膚と接触させたままにすると、組成物が一部の使用者の皮膚に炎症を引き起こす危険性がある。組成物を塗布する時間が短すぎるとケラチンの分解が不十分となり、不要な毛の一部しか除去できない。本明細書においては、毛の十分な分解を達成するために組成物を毛が生えた皮膚と接触させたままにしなくてはならない時間を、分解時間(degradation time)と称する。典型的な分解時間は、3〜15分の範囲である。
【0005】
当該分野においては、分解時間中、除毛組成物が皮膚のその他の領域に流れたり落下することなく余分な毛を除去したい望ましい皮膚領域に留まるようにと、組成物を十分な粘性にする傾向があった。これに並行して、組成物を皮膚からすすぎ落としやすくし、分解時間が過ぎたら、組成物と分解された毛とを皮膚から簡単にすすぎ落とせるようにする傾向もあった。例えば、欧州特許第0855900号(EP0855900)明細書を参照のこと。
【0006】
国際公開第99/02125号(WO99/02125)パンフレットは、水中油型エマルションの形態の除毛組成物を開示している。好ましい除毛化合物が、チオグリコール酸カリウムとして挙げられている。pH調節剤が存在しており、好ましいpH調節剤は石灰(水酸化カルシウム)である。
【発明の概要】
【0007】
従来技術の除毛組成物の問題点は、そのすすぎ落としの容易さにある。使用者は一般に、組成物をバスルームのバスタブ、洗面台、シャワーのそばで又は入浴、シャワー中にさえ塗布し、その組成物を除去するまで数分待たなくてはいけないが、うっかり組成物をすすぎ落としてしまう又は部分的にすすぎ落としてしまうことにつながりかねないその他の作業を同時に行なうことができない。組成物がすすぎ落とされてしまうと、皮膚上に毛が部分的に残ってしまう可能性がある。このため、例えば、従来技術の組成物では、使用者は、組成物を脚に塗布した後の分解時間中に上半身を洗浄したり、洗髪したり、腋毛を剃ることができない。これは余分な毛を除去したい時の入浴に必要な総時間が著しく長くなることにつながる場合がある。
【0008】
たとえ短時間すすがれたり、水に浸かったりしても、毛の分解が起こるに十分な時間に亘って皮膚上に留まる除毛組成物を提供することによってこれらの問題を緩和可能であることがここで判明した。
【0009】
従って、本発明の第1の態様により、連続水相中の疎水性粒子のエマルションである除毛組成物が提供され、この水相は少なくとも1種の除毛剤を含み、疎水性粒子はビニルポリマー誘導体及び多糖を含む。
【0010】
驚くべきことに、ビニルポリマー誘導体が多糖と共に組成物中に存在することで、たとえすすぎ水の流れに曝されたとしても、組成物の皮膚への付着性が著しく改善される。
【0011】
第2の態様において、本発明は、ヒトの皮膚から毛を除去するための方法を提供し、本方法は、
(i)本発明の第1の態様による組成物を、余分な毛が存在する皮膚に塗布する工程と、
(ii)この組成物を既定の時間に亘って皮膚と接触させたままにする工程と、
(iii)組成物及び分解された毛を皮膚から除去する工程とを含む。
【0012】
好ましくは、除去用具を使用して組成物及び分解された毛を除去する。
【0013】
本発明の更なる態様は、除毛組成物を調製するための方法及び、誤って組成物をすすぎ落としてしまう危険性のある濡れる環境(バスルーム等)において毛のケラチンを分解するためのその使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1及び2の結果を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
変性PVPを疎水性物質で変性して油相可溶性にすることが特に好ましい。ポリビニルポリマー誘導体を、PVP/ヘキサデカンコポリマー、PVP/エイコセン(eicosene)コポリマー及びトリコンタニル(tricontanyl)PVPから選択することが特に好ましい。
【0016】
本発明の組成物は、典型的には、0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜3.5質量%のPVP誘導体を含む。しかしながら、PVP誘導体が1.5〜2.5質量%の範囲にあることが特に好ましく、例えば2.0質量%である。
【0017】
ポリビニルポリマー誘導体は、典型的には、以下の式A:
【化1】

を有する。
【0018】
特に好ましいヘキサデセンコポリマーは、好ましくは分子量約4000〜13000、例えば5000〜11000質量単位を有するVP/ヘキサデセンコポリマーである。特に好ましい分子量は、6500〜8500の範囲にあり、例えば約7300である。このようなコポリマーには、溶融及びブレンディングによる、ヘキサデセンの本発明の疎水性粒子への取り込みが容易であるという利点がある。本発明の組成物における使用が好適なVPヘキサデセンは、構造(C2241NO)xのポリマーである。
【0019】
多糖がでんぷんである及び/又はゼラチン化されていることが特に好ましい。
【0020】
多糖は、典型的には、組成物の0.1〜4.0質量%の範囲の量で存在する。好ましくは、多糖は、3.0質量%以下の量で存在し、更に好ましくは2.0質量%未満である。特に好ましい範囲は、組成物の0.1〜0.75質量%である。
【0021】
本発明の特に好ましい実施形態において、多糖はゼラチン化される。多糖は、組成物への取り込みに先立ってゼラチン化される。ゼラチン化された多糖によって、目に見えてより粘性の、滑らかで均質なペーストが得られる。
【0022】
多糖がでんぷんであることが特に好ましい。でんぷんは、トウモロコシでんぷん、ジャガイモでんぷん、タピオカでんぷん、小麦でんぷん又は米でんぷんであってもよい。
【0023】
多糖がゼラチン化されたでんぷん、例えばゼラチン化されたトウモロコシでんぷん(Zea Mays Starch)であることが特に好ましい。
【0024】
本発明の特に好ましい実施形態により、連続水相中の疎水性粒子のエマルションである除毛組成物が提供され、この水相は少なくとも1種の除毛剤を含み、疎水性粒子はでんぷん(ゼラチン化されたでんぷん等)及びPVP/ヘキサデカンコポリマー、PVP/エイコセンコポリマー及びトリコンタニルPVPを含む。でんぷん及びPVP/ヘキサデカンコポリマー、PVP/エイコセンコポリマー及びトリコンタニルPVPは、実質的に、前述した通りである。
【0025】
除毛剤は、ケラチンを分解可能な物質である。この除毛剤は、本発明において、1種以上の除毛剤の混合物を含んでいてもよい。好ましい除毛剤はスルフヒドリル化合物であり、−S−H基を有する化合物を意味する。好適なスルフヒドリル除毛剤には、以下に限定するものではないが、チオグリコール酸、システイン、ホモシステイン、グルタチオン、チオグリセロール、チオりんご酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオジグリコール、2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール、チオキサンテン、チオサリチル酸、チオ乳酸、チオプロピオン酸、チオジグリコール酸、N−アセチル−L−システイン、リポ酸及び、化粧品として(cosmetically−acceptable)及び/又は薬学的に許容可能な上記の化合物のいずれかの塩から成る群が含まれる。
【0026】
好ましいスルフヒドリル化合物には、チオグリコール酸、システイン、グルタチオン、N−アセチル−L−システイン、リポ酸、チオサリチル酸、チオ乳酸及びこれらの化粧品として及び/又は薬学的に許容可能な塩が含まれる。より好ましいスルフヒドリル化合物には、チオグリコール酸、システイン、グルタチオン、N−アセチル−L−システイン及びこれらの化粧品として及び/又は薬学的に許容可能な塩が含まれる。最も好ましいスルフヒドリル化合物はチオグリコール酸及びその化粧品として及び/又は薬学的に許容可能な塩である。本明細書において、スルフヒドリル化合物の「化粧品として及び/又は薬学的に許容可能な塩(cosmetically and/or pharmaceutically acceptable salts)」には、以下に限定されるものではないが、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩、ルビジウム塩、カリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩)、非毒性の重金属塩(例えば、アルミニウム塩、亜鉛塩)、ホウ素塩、ケイ素塩、アンモニウム塩、トリアルキルアンモニウム塩(例えば、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム)及びテトラアルキルアンモニウム塩が含まれる。
【0027】
スルフヒドリル化合物の好ましい、化粧品として及び/又は薬学的に許容可能な塩には、ナトリウム塩、カリウム塩及びカルシウム塩が含まれる。スルフヒドリル化合物の最も好ましい塩は、カリウム塩及びカルシウム塩である。
【0028】
好適には、組成物は、1〜8質量%、好ましくは2〜6質量%の除毛剤を含み、ここで除毛剤はその酸形態として表される。例えば、組成物がグリコール酸カリウムをpH12.3で含むことが好ましく、これはチオグリコール酸カリウムとしてではなく、当量のチオグリコール酸として表したものである。
【0029】
任意で、組成物は、ケラチン分解反応を促進する促進剤を含む。好適な促進剤には、尿素、チオ尿素、ジメチルイソソルビド、エトキシジグリコール及びメチルプロピルジオールが含まれる。好ましくは、促進剤は、尿素又はメチルプロピルジオールである。本発明の組成物は、好ましくは、5〜15質量%、より好ましくは7〜10質量%の促進剤を含む。
【0030】
組成物が、除毛剤の活性化を補助するためにpH調節剤を含むことが、特にこの除毛剤がスルフヒドリル化合物である場合に特に好ましい。好ましくは、pH調節剤の量及びタイプを選択することによって、組成物のpHを5より高く、好ましくは7より高く、より好ましくは8〜13、最も好ましくは10〜12.9、特には12〜12.7の値に維持する。例えば、pHを約12.1〜12.7にすることによって、使用者が望むように、除毛を約5分以内に、過度の炎症を生じさせることなく行なうことが可能である。pHがこれより高いと、使用者よっては炎症の問題が起きる可能性がある。
【0031】
pH調節剤は、存在する場合、好ましくは、(疎水性粒子間の)連続水相中にある。pH調節剤の例には、アルギニン(特に、L−アルギニン)、シリケート(例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、水酸化カルシウム及びポリエチレンイミンが含まれる。pH調節剤の混合物を使用してもよい。pH調節剤が、組成物の2〜4質量%の量で水酸化カルシウムも含むことが特に好ましい。pH調節剤を組成物の水相に溶解させてもよく、或いはpH調節剤が組成物全体に分散させた固形粒子として存在してもよい。
【0032】
本発明の組成物は、25℃で液体である水性連続相中のエマルション(水中油型エマルション)として分散された疎水性粒子を含む。水性とは、連続相が、連続相の全質量に対して少なくとも50質量%、好ましくは70質量%以上の水を含むことを意味する。全体としての組成物における水の量は、典型的には、組成物の40〜95質量%となる。
【0033】
本発明の組成物の疎水性粒子は、水に不溶性(不溶性とは、25℃で水への溶解性が0.1質量%以下であることを意味する)である無極性油状又はワックス状材料を含んでいてもよいが、脂肪アルコールを含まなければならない。好ましくは、脂肪材料のアルキル/アルケニル鎖が完全に飽和されている。好適な脂肪アルコールは、8〜22、より好ましくは16〜22個の炭素原子を含む。脂肪アルコールの混合物を使用してもよい。好ましい脂肪アルコールには、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びこれらの混合物が含まれる。
【0034】
好適には、本発明の組成物における脂肪アルコールの量は、組成物の3質量%以上、好ましくは5質量%以上、最も好ましくは7質量%以上である。好適には、本発明の組成物は、20質量%未満、好ましくは15質量%未満、より好ましくは11質量%未満の脂肪アルコールを含む。
【0035】
好適なワックスには、蜜蝋、カルナウバ蝋、ベイスベリー(baysberry)、キャンデリラ蝋(candelilla)、モンタン蝋、オゾケライト、セレシン蝋、硬化ヒマシ油(キャスターワックス)、合成ワックス(例えば、フィッシャートロプシュワックス)、微結晶性ワックス及びこれらの混合物が含まれる。ワックス、例えばC18〜C36の脂肪酸のトリグリセリド又はグリコールジエステルもまた、油相用のゲル化剤として好適である。
【0036】
粒子(particle)とは細かく分割されたものを意味し、固形粒子、液体粒子及び可塑性又はワックス状粒子が含まれる。好ましくは、粒子は、25℃以下の温度で固形である。好ましくは、組成物の調製を円滑に行なうために、粒子は80℃以上の温度で液体である。疎水性粒子は、好適には、レーザー光散乱法(Malvern MastersizerTM等の装置を使用)による測定で、0.1〜50μm、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは1〜10μmの平均直径D4,3を有する。
【0037】
好ましくは、本発明の組成物は、連続水相における疎水性粒子の乳化を促進し且つ疎水性粒子の合体に対してエマルションを安定化させるために乳化剤を含む。一般に、乳化剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性イオン性界面活性剤である。好ましくは、乳化剤は、非イオン性界面活性剤である。好適な非イオン性界面活性剤には、ポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールのアルキルエーテルが含まれ、混合エーテル及びこれらの混合物が含まれる。乳化剤は、好適には、組成物の2〜10質量%、最も好ましくは3〜8質量%の量で存在する。
【0038】
本発明の組成物は、疎水性粒子及び水性連続液相に加えて、除毛用製剤に慣用的に存在するその他の原料、例えば香料、油、顔料(例えば、二酸化チタン)及び増粘剤(例えば、粘土)も含んでいてよい。
【0039】
増粘用の好適な粘土は、スメクタイト、カオリン、イライト、緑泥石、アタパルジャイト及び混合層粘土の地質学的分類に属する有機物親和性及び層状粘土鉱物を含んでいてもよい。これらの分類に属する具体的な粘土の典型例は、(1)スメクタイト、例えばモンモリロナイト、ベントナイト、葉蝋石、ヘクトライト(hectorite)、サポナイト、ソーコナイト(sauconite)、ノントロナイト、タルク、バイデル石、(2)イライト、例えばブラバイサイト(bravaisite)、白雲母、ソーダ雲母、金雲母、(3)緑泥石、例えばコレンサイト(corrensite)、苦土緑泥石、ドンバサイト(donbassite)、須藤石、(4)アタパルジャイト、例えば海泡石、パリゴルスキー石(polygorskyte)である。
【0040】
層状粘土鉱物は、天然又は合成のいずれであってもよい。本発明での使用に好ましい粘土鉱物は、天然又は合成のスメクタイト及びアタパルジャイト(特にヘクトライト、モンモリロナイト及びベントナイト)であり、この中ではヘクトライトが特に好ましい。上記の粘土の多くは市販されており、市販のヘクトライトの典型例は、Laponite(Laporte Industries Ltd.,イギリス)、Veegum Pro及びVeegum F(R.T.Vanderbilt、米国)、Barasym、Macaloid及びPropaloid(Baroid Division、National Lead Company、米国)である。粘土を増粘に使用する場合、好ましくは組成物の0.1〜10質量%、より好ましくは0.1〜1質量%の量である。
【0041】
粘土、好ましくはケイ酸マグネシウムナトリウムリチウムを含めることが特に有利であるが、これはケイ酸マグネシウムナトリウムリチウムを含めることによって、リチウム、ナトリウム及びマグネシウムイオンが緩衝系に提供され、また除毛の効率が向上するからである。粘土が合成のヘクトライト粘土、例えばlaponiteTMであるならば、特に好ましい。
【0042】
使用し得るその他の任意の水溶性増粘剤には、CarbomerTM(アクリル酸ポリマー、好ましくは架橋したもの)、アクリルポリマーエマルション(例えば、アクリレート/ステアレス−20メタクリレート(methracylate)コポリマー)、セルロース系の増粘剤又は天然の増粘剤、例えばアラビアゴム、アルギネート、カラギーナン、イナゴマメガム、キサンタンガム及びポリビニルアルコールが含まれる。増粘剤の混合物を使用してもよい。
【0043】
本発明の第1の態様による組成物を調製するための好ましい方法は、以下の:
(1)多糖(トウモロコシでんぷん等)を冷水に混合し、次に75℃にまで加熱し、得られた予備混合物を約1時間に亘って放置することによって多糖をゼラチン化する工程と、
(2)別の槽において、セテアリルアルコール、セテアレス20、PPG−15ステアリルエーテル、鉱油及び変性PVPポリマーを加熱することによって、油相である溶融物を生成する工程と、
(3)この油相を続いてゼラチン化された多糖(ゼラチン化されたでんぷん)で乳化し及び40℃にまで冷却する工程と、
(4)チオグリコレート予備混合物を含む残りの原料を、(3)で得られた混合物と合わせることによって除毛クリームを生成する工程
とを含む。
【0044】
本発明の特に好ましい実施形態において、多糖(でんぷん等)は、組成物のその他の成分との混合に先立ってゼラチン化される。
【0045】
多糖(でんぷん)が既に予備ゼラチン化されているならば(例えば、予備ゼラチン化グレード)、この多糖をその他の原料と共に最後に添加することも考えられる。
【0046】
除毛剤及び任意の促進剤は、好ましくは、除毛剤の劣化(実質的な高温で生じ得る)を防止するため、エマルションを冷却し終わるまで添加されない。その後、任意の原料を添加してもよいが、どの粘土も高温での添加が好ましい。
【0047】
本発明の更なる態様により、ヒトの皮膚から毛を除去するための方法が提供され、本方法は、(i)本発明の第1の態様による組成物を、余分な毛が存在する皮膚に塗布する工程と、(ii)この組成物を既定の時間に亘って皮膚と接触させたままにする工程と、(iii)この組成物及び分解された毛を除去用具を使用して除去する工程と、(iv)好ましくは皮膚を洗浄する工程とを含む。
【0048】
本発明のこの第2の態様に関して、組成物を皮膚に塗布用具を使用して塗布するのが好ましく、組成物が使用者の手と接触しないという利点が得られる。加えて、組成物及び分解された毛は、好ましくは、除去用具を使用して皮膚から除去される。
【0049】
本発明により、毛のケラチンを分解するための本発明による組成物の使用が更に提供される。
【0050】
本明細書を通して、特に指定しない限り、原料の質量による百分率は、全組成物の質量を基準としたものである。以下の実施例により、本発明を説明する。
【実施例】
【0051】
【表1】

【0052】
表1で挙げた組成物は、セテアリルアルコール、セテアレス20、ppg−15ステアリルエーテル、パラフィンワックス及びVPヘキサデセンコポリマー、PVP/エイコセンコポリマー又はトリコンタニルPVPから生成された溶融物を70℃で乳化させることによって調製された。
【0053】
次に、この溶融物をゼラチン化されたでんぷん(実施例1、3、4)と混合した。この混合物を続いて、除毛剤の添加に先立って40℃にまで冷却した。その他の原料を、70℃から40℃にまで冷却している間にブレンドした。
【0054】
実施例1(ゼラチン化でんぷんあり)及び実施例2(ゼラチン化でんぷんなし)の組成を有する除毛クリームの耐水性を、インビトロで以下のようにして試験した。
【0055】
(1)実施例1及び2で製造した組成物を、金属のテンプレートを使用して乾燥したバスルーム用タイルに塗布した。このテンプレート(6cmx12cm)では、クリームを厚さ1mmに塗ることができる。
(2)テンプレートを置いたまま、クリームの表面を滑らかにして、傷がないようにする。
(3)シャワーヘッドをクリームを塗布した部位の10cm上方に配置する。40℃の174〜190mL/秒で流れる水をクリームにかける。1分間隔で、残ったクリームの割合を評価する。
【0056】
結果は図1から見て取れる。
【0057】
得られた組成物は、従来技術の除毛組成物よりも改善された耐すすぎ落とし性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続水相中の疎水性粒子のエマルションである除毛組成物であって、
前記水相が少なくとも1種の除毛剤を含み、前記疎水性粒子がビニルポリマー誘導体及び多糖を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
変性PVPを疎水性物質で変性して油相可溶性にする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリビニルポリマー誘導体が、PVP/ヘキサデカンコポリマー、PVP/エイコセンコポリマー及びトリコンタニルPVPから選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記PVP誘導体を0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜3.5質量%含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記PVP誘導体が、1.5〜2.5質量%の範囲の量で存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記多糖がでんぷんである及び/又はゼラチン化される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記多糖が、前記組成物の0.1〜4.0質量%の範囲の量で存在する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記多糖が、3.0質量%以下、好ましくは2.0質量%未満の量で存在する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記多糖がゼラチン化される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記多糖がでんぷんである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記でんぷんが、トウモロコシでんぷん、ジャガイモでんぷん、タピオカでんぷん、小麦でんぷん又は米でんぷんから選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ヒトの皮膚から毛を除去する方法であって、
(i)請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物を、余分な毛が存在する皮膚に塗布する工程と、
(ii)前記組成物を既定の時間に亘って皮膚と接触させたままにする工程と、
(iii)前記組成物及び分解された毛を皮膚から除去する工程
とを含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−509929(P2011−509929A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541836(P2010−541836)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【国際出願番号】PCT/GB2008/004288
【国際公開番号】WO2009/090362
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(509134020)レキット アンド コールマン (オーヴァーシーズ) リミテッド (14)
【Fターム(参考)】