説明

疎水性農薬活性化合物を含有する農薬液剤

【課題】水希釈状態が安定である液状農薬製剤を提供すること。
【解決手段】疎水性農薬活性化合物 0.5〜30重量%、ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン ブロックコポリマー等からなる群より選ばれるノニオン性界面活性剤 1〜20重量%、アニオン性界面活性剤 0〜10重量%、γ−ブチロラクトン 6〜60重量%、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン 20〜75重量%から実質的になることを特徴とする農薬液剤;及び該農薬液剤が10〜10000倍量の水で希釈されてなる水希釈液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性農薬活性化合物を含有する農薬液剤に関する。
【背景技術】
【0002】
疎水性農薬活性化合物を含有する液状農薬製剤の代表的な例として、乳剤及びフロアブル剤が挙げられる。乳剤及びフロアブル剤を散布する際には、大量の水で希釈して水希釈液として使用する。該水希釈液中において疎水性農薬活性化合物は微小な油滴又は固体粒子が界面活性剤の作用により水中に分散しているが、この状態は熱力学的には不安定な状態であるので、時間の経過により疎水性農薬活性化合物を含有する油滴が分離したり、疎水性農薬活性化合物が固体の場合は固体粒子が析出沈降してしまう場合がある。
特許文献1には、疎水性農薬活性化合物であるキザロホップ−p−エチル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ソルベッソ200及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを含有する液状農薬製剤が記載されているが、該液状農薬製剤の水希釈状態は必ずしも安定ではない。
【0003】
【特許文献1】特開2003−128501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者はそのような状況の中、疎水性農薬活性化合物を含有する液状農薬製剤において、水希釈状態が安定である液状農薬製剤を得るべく検討を行った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その結果、下記に示す本発明に至った。
[発明1]
疎水性農薬活性化合物 0.5〜30重量%、
下記の群(A)より選ばれるノニオン性界面活性剤 1〜20重量%、
アニオン性界面活性剤 0〜10重量%、
γ−ブチロラクトン 6〜60重量%、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン 20〜75重量%
から、実質的になることを特徴とする農薬液剤。
群(A):
ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン ブロックコポリマー、
ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン アルキル エーテル、
ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン アルキルフェノール
ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン ポリスチリルフェニル エーテル、
ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン ヒマシ油。
[発明2]
ノニオン性界面活性剤がポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン ブロックコポリマーであることを特徴とする発明1記載の農薬液剤。
[発明3]
アニオン性界面活性剤の量が1〜10重量%の範囲であることを特徴とする発明1又は2記載の農薬液剤。
[発明4]
アニオン性界面活性剤がアルキルベンゼンスルホン酸塩であることを特徴とする発明3記載の農薬液剤。
[発明5]
発明1〜4いずれか記載の農薬液剤が10〜10000倍量の水で希釈されてなる水希釈液。
【発明の効果】
【0006】
本発明の農薬液剤(以下、本農薬液剤と記す。)は、水希釈状態が安定である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において、疎水性農薬活性化合物とは、水に対して非溶解性又は難溶解性の農薬活性化合物であって、通常は25℃の水を用いた場合の水溶解度が0.5g/L以下、好ましくは0.1g/L以下の農薬活性化合物を意味し、25℃で固体又は液体のいずれの形態を有していてもよい。
農薬活性化合物としては、除草活性化合物、殺菌活性化合物、殺虫(殺ダニ)活性化合物、植物成長制御化合物を挙げることができ、例えば次に示す化合物を具体的に挙げることができる。
【0008】
除草活性化合物としては、
ジカルボキシイミド系除草活性化合物:フルミクロラックペンチル〔除草化合物1〕、フルミオキサジン〔除草化合物2〕、シニドンエチル〔除草化合物3〕等;
ピリダジノン系除草活性化合物:フルフェンピルエチル〔除草化合物4〕、ブロムピラゾン〔除草化合物5〕等;
ウラシル系除草活性化合物:ブタフェナシル〔除草化合物6〕、ブロマシル〔除草化合物7〕、フルプロパシル〔除草化合物8〕、ベンゾフェンジゾン〔除草化合物9〕等;
トリアゾロン系除草活性化合物:カルフェントラゾンエチル〔除草化合物10〕、スルフェントラゾン〔除草化合物11〕等;
ジフェニルエーテル系除草活性化合物:ラクトフェン〔除草化合物12〕、ビフェノックス〔除草化合物13〕、クロルニトロフェノン〔除草化合物14〕、クロメトキシニル〔除草化合物15〕等;
スルホニルウレア系除草活性化合物:スルホスルフロン〔除草化合物16〕、イマゾスルフロン〔除草化合物17〕、ニコスルフロン〔除草化合物18〕、プリミスルフロンメチル〔除草化合物19〕、リムスルフロン〔除草化合物20〕、ハロスルフロンメチル〔除草化合物21〕、プロスルフロン〔除草化合物22〕、サイフェンスルフロンメチル〔除草化合物23〕等;
フェノキシプロピオン酸系除草活性化合物:クロアジホップ〔除草化合物24〕、ジクロホップ〔除草化合物25〕、フルアジホップ〔除草化合物26〕等;
トリアゾロピリミジン系除草活性化合物:ジクロスラム〔除草化合物27〕、クロランスラム〔除草化合物28〕、フルメトスラム〔除草化合物29〕、ペノクスラム〔除草化合物30〕、ピロクスラム〔除草化合物31〕、メトスラム〔除草化合物32〕等;
アニリド系除草活性化合物:ピコリナフェン〔除草化合物33〕、フルフェナセット〔除草化合物34〕、メフェナセット〔除草化合物35〕等;
トリアジン系除草活性化合物:アトラジン〔除草化合物36〕、メトリブジン〔除草化合物37〕等;
ウレア系除草活性化合物:フルオメツロン〔除草化合物38〕、イソプロチュロン〔除草化合物39〕、ダイムロン〔除草化合物40〕等;
イミダゾリン系除草活性化合物:イマザピル〔除草化合物41〕、イマザキン〔除草化合物42〕、イマゼタピル〔除草化合物43〕等;
クロルアセトアミド系除草活性化合物:プレチラクロール〔除草化合物44〕、ブタクロール〔除草化合物45〕等;
チオールカーバメート系除草活性化合物:ベンチオカーブ〔除草化合物46〕、エスプロカルブ〔除草化合物47〕、モリネート〔除草化合物48〕等;
アミド系除草活性化合物:ブロモブチド〔除草化合物49〕、プロパニル〔除草化合物50〕、
カフェンストロール〔除草化合物51〕等;
ベンゾイルピラゾール系除草活性化合物:ピラゾキシフェン〔除草化合物52〕、ベンゾフェナップ〔除草化合物53〕等;
メチル={2−クロロ−4−フルオロ−5−[5,6,7,8−テトラヒドロ−3−オキソ−1H,3H−[1,3,4]チアジアゾロ[3,4−a]ピリダジン−1−イリデンアミノ]フェニルチオ}アセテート〔除草化合物54〕、
N−ベンジル−2−(α,α,α,4−テトラフルオロ−m−トリルオキシ)ブチルアミド〔除草化合物55〕、
2−(2,4−ジクロロ−5−プロプ−2−イニルオキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3(2H)−オン〔除草化合物56〕。
【0009】
殺菌活性化合物としては、
アゾール系殺菌活性化合物:プロピコナゾール〔殺菌化合物1〕、トリアジメノール〔殺菌化合物2〕、プロクロラズ〔殺菌化合物3〕、ペンコナゾール〔殺菌化合物4〕、テブコナゾール〔殺菌化合物5〕、フルシラゾール〔殺菌化合物6〕、ジニコナゾール〔殺菌化合物7〕、ブロムコナゾール〔殺菌化合物8〕、エポキシコナゾール〔殺菌化合物9〕、ジフェノコナゾール〔殺菌化合物10〕、シプロコナゾール〔殺菌化合物11〕、メトコナゾール〔殺菌化合物12〕、トリフルミゾール〔殺菌化合物13〕、テトラコナゾール〔殺菌化合物14〕、マイクロブタニル〔殺菌化合物15〕、フェンブコナゾール〔殺菌化合物16〕、ヘキサコナゾール〔殺菌化合物17〕、フルキンコナゾール〔殺菌化合物18〕、トリティコナゾール〔殺菌化合物19〕、ビテルタノール〔殺菌化合物20〕、イマザリル〔殺菌化合物21〕、フルトリアホール〔殺菌化合物22〕等;
モルフォリン系殺菌活性化合物:フェンプロピモルフ〔殺菌化合物23〕、トリデモルフ〔殺菌化合物24〕、フェンプロピモルフ〔殺菌化合物25〕、ジメトモルフ〔殺菌化合物26〕等;
ベンズイミダゾール系殺菌活性化合物:カルベンダジム〔殺菌化合物27〕、ベノミル〔殺菌化合物28〕、チアベンダゾール〔殺菌化合物29〕、チオファネートメチル〔殺菌化合物30〕等;
ストロビルリン系殺菌活性化合物:アゾキシストロビン〔殺菌化合物31〕、トリフロキシストロビン〔殺菌化合物32〕、ピコキシストロビン〔殺菌化合物33〕、ピラクロストロビン〔殺菌化合物34〕、ジモキシストロビン〔殺菌化合物35〕、フルオキサストロビン〔殺菌化合物36〕、メトミノストロビン〔殺菌化合物37〕、オリサストロビン〔殺菌化合物38〕等;
ジカルボキシイミド系殺菌活性化合物:プロシミドン〔殺菌化合物39〕、イプロジオン〔殺菌化合物40〕、ビンクロゾリン〔殺菌化合物41〕等;
カルボキシアミド系殺菌活性化合物:フラメトピル〔殺菌化合物42〕、メプロニル〔殺菌化合物43〕、フルトラニル〔殺菌化合物44〕、トリフルザミド〔殺菌化合物45〕;
アニリノピリミジン系殺菌活性化合物:シプロジニル〔殺菌化合物46〕、ピリメタニル〔殺菌化合物47〕、メパニピリム〔殺菌化合物48〕等;
フェニルピロール系殺菌活性化合物:フェンピクロニル〔殺菌化合物49〕、フルジオキソニル〔殺菌化合物50〕等;
カーバメート系殺菌活性化合物:イプロバリカルブ〔殺菌化合物51〕、ベンチアバリカルブ〔殺菌化合物52〕、ジエトフェンカルブ〔殺菌化合物53〕等;
ピリジン系殺菌活性化合物:ボスカリド〔殺菌化合物54〕、フルアジナム〔殺菌化合物55〕等;
(Z)−2’−メチルアセトフェノン=4,6−ジメチルピリミジン−2−イルヒドラゾン、1−(メトキシカルボニル)−2−(1−メチルエチル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン〔殺菌化合物56〕、
1−〔(エチルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン〔殺菌化合物57〕、
1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン〔殺菌化合物58〕、
5−メチル−1,2,4−トリアゾロ−[3,4−b][1,3]ベンゾチアゾール〔殺菌化合物59〕、
1,2,5,6−テトラヒドロピロロ[3,2,1−ij]キノリン−4−オン、3−アリロキシ−1,2−ベンゾチアゾール=1,1−ジオキシド〔殺菌化合物60〕。
【0010】
殺虫(殺ダニ)活性化合物としては、
有機リン系殺虫活性化合物:フェニトロチオン〔殺虫化合物1〕、ダイアジノン〔殺虫化合物2〕、クロルピリホス〔殺虫化合物3〕等;
カーバメート系殺虫活性化合物:ベンフラカルブ〔殺虫化合物4〕、プロポキスル〔殺虫化合物5〕、カルボスルファン〔殺虫化合物6〕、カルバリル〔殺虫化合物7〕、アルジカルブ〔殺虫化合物8〕、フェノチオカルブ〔殺虫化合物9〕等;
ピレスロイド系殺虫活性化合物:エトフェンプロックス〔殺虫化合物10〕、フェンバレレート〔殺虫化合物11〕、エスフェンバレレート〔殺虫化合物12〕、フェンプロパトリン〔殺虫化合物13〕、シペルメトリン〔殺虫化合物14〕、ペルメトリン〔殺虫化合物15〕、シハロトリン〔殺虫化合物16〕、デルタメトリン〔殺虫化合物17〕、シクロプロトリン〔殺虫化合物18〕、フルバリネート〔殺虫化合物19〕、ビフェンスリン〔殺虫化合物20〕、ハルフェンプロックス〔殺虫化合物21〕、トラロメトリン〔殺虫化合物22〕、シラフルオフェン〔殺虫化合物23〕、d−フェノトリン〔殺虫化合物24〕、シフェノトリン〔殺虫化合物25〕、d−レスメトリン〔殺虫化合物26〕、アクリナスリン〔殺虫化合物27〕、シフルトリン〔殺虫化合物28〕、テフルトリン〔殺虫化合物29〕、トランスフルスリン〔殺虫化合物30〕、テトラメトリン〔殺虫化合物31〕、アレトリン〔殺虫化合物32〕、プラレトリン〔殺虫化合物33〕、エンペントリン〔殺虫化合物34〕、イミプロスリン〔殺虫化合物35〕、d−フラメトリン〔殺虫化合物36〕等;
ネオニコチノイド系殺虫活性化合物:クロチアニジン〔殺虫化合物37〕、イミダクロプリド〔殺虫化合物38〕、チアメトキサム〔殺虫化合物39〕、チアクロプリド〔殺虫化合物40〕等;
ベンゾイルフェニルウレア系殺虫活性化合物:クロルフルアズロン〔殺虫化合物41〕、テフルベンズロン〔殺虫化合物42〕、フルフェノクスロン〔殺虫化合物43〕、ビストリフルロン〔殺虫化合物44〕、ブプロフェジン〔殺虫化合物45〕、トリフルムロン〔殺虫化合物46〕等;
ピラゾール系殺虫活性化合物:アセトプロール〔殺虫化合物47〕、エチプロール〔殺虫化合物48〕、フィプロニル〔殺虫化合物49〕、ピラクロフォス〔殺虫化合物50〕等;
ジュベニルホルモン系殺虫活性化合物:ピリプロキシフェン〔殺虫化合物51〕、フェノキシカルブ〔殺虫化合物52〕等;
(RS)−5−ターシャリーブチル−2−[2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−4−イル]フェネトール〔殺虫化合物53〕、
2,6−ジクロロ−4−(3,3−ジクロロアリロキシ)フェニル=3−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジルオキシ]プロピル=エーテル〔殺虫化合物54〕。
【0011】
植物成長制御化合物としては、
アゾール系植物成長制御化合物:ウニコナゾールP〔植物成長制御化合物1〕、パクロブトラゾール〔植物成長制御化合物2〕等;
(RS)−4’−クロロ−2’−(α−ヒドロキシベンジル)イソニコチンアニリド〔植物成長制御化合物3〕。
上記の農薬活性化合物は、The Pesticide Manual第13版(1987年 The British Crop Protection Council発行)等の公知の文献に記載された化合物である。
【0012】
本農薬液剤に含有される疎水性農薬活性化合物は1種類には限られないが、本農薬液剤において、疎水性農薬活性化合物の総量は0.5〜30重量%、好ましくは0.5〜25重量%の範囲である。
本農薬液剤は、芳香族炭化水素溶媒に対して難溶解性(具体的には、25℃のキシレンに対する溶解度が10g/L以下)の固体の疎水性農薬活性化合物の場合であっても、実用的な濃度の液状農薬製剤を調製することができる。
【0013】
本発明において、群(A)より選ばれるノニオン性界面活性剤(以下、本ノニオン性界面活性剤と記す。)は、1種又は複数種の組合せであってもよく、本農薬液剤において、本ノニオン性界面活性剤の総量は1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、更に好ましくは1〜12重量%の範囲である。
本ノニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン構造に由来する(CH2CH2O)p部分構造と、ポリオキシプロピレン構造に由来する(CH(CH3)CH2O)q部分構造とにおいて、p:q=1:0.5〜2.0の範囲であることが好ましい。
また、本発明において、本ノニオン性界面活性剤がポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン ブロックコポリマーであることが好ましい。
【0014】
ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン ブロックコポリマーとしては、Teric PE 64(Huntsman製)等の市販の界面活性剤が使用できる。
ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン アルキル エーテルとしては、Antarox BO/327(いずれもローディア日華製)等の市販の界面活性剤が使用できる。
【0015】
本発明において、アニオン性界面活性剤は例えば下記の群(B)より選ばれるアニオン性界面活性剤であり、1種又は複数種の組合せであってもよく、本農薬液剤において、本ノニオン性界面活性剤の総量は0〜10重量%、好ましくは0〜8重量%、更に好ましくは1〜7重量%の範囲である。
群(B)
ドデシルベンゼンスルホン酸塩等のアルキルアリールスルホン酸塩、
ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸等のポリオキシエチレン(ポリ)アリールアリールエーテル硫酸エステル、
ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸等のポリオキシエチレン(ポリ)アリールアリールエーテルリン酸エステル、
ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル、
ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル。
(一般にスルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩において、ナトリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。)
【0016】
本農薬乳剤に含有されるγ−ブチロラクトンの量は6〜60重量%、好ましくは15〜60重量%重量%の範囲である。
【0017】
本農薬液剤に含有される1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの量は20〜75重量%、好ましくは25〜50重量%の範囲である。
本発明において、γ−ブチロラクトン及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンは市販のものを使用することができる。
本農薬液剤においては、γ−ブチロラクトンと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとの重量比は、好ましくは10:90〜50:50の範囲である。また、疎水性農薬活性化合物1重量部に対して、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンは通常1.5重量部以上である。
【0018】
疎水性農薬活性化合物 0.5〜30重量%、
ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン ブロックコポリマー 1〜20重量%、
アニオン性界面活性剤 0〜10重量%、
γ−ブチロラクトン 6〜60重量%、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン 20〜75重量%から、実質的になることを特徴とする農薬液剤。
疎水性農薬活性化合物 0.5〜30重量%、
ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン ブロックコポリマー 1〜20重量%、
アニオン性界面活性剤 0〜10重量%、
γ−ブチロラクトン 6〜60重量%、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン 20〜75重量%から実質的になり、
γ−ブチロラクトンと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとの重量比が10:90〜50:50の範囲であり、該疎水性農薬活性化合物1重量部に対して、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが1.5重量部以上であることを特徴とする農薬液剤。
疎水性農薬活性化合物 0.5〜25重量%、
群(A)より選ばれるノニオン性界面活性剤 1〜15重量%、
アニオン性界面活性剤 0〜8重量%、
γ−ブチロラクトン 15〜60重量%、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン 25〜50重量%から、実質的になることを特徴とする農薬液剤。
疎水性農薬活性化合物 0.5〜25重量%、
ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン ブロックコポリマー 1〜15重量%、
アニオン性界面活性剤 0〜8重量%、
γ−ブチロラクトン 15〜60重量%、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン 25〜50重量%から、実質的になることを特徴とする農薬液剤。
【0019】
本農薬液剤は、必要により酸化防止剤、着色剤、香料、効力増強剤、薬害軽減剤等の製剤用助剤を含有していてもよい。
酸化防止剤としては、例えば3−/2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、ブチレイティドヒドロキシトルエン等が挙げられ、着色剤としては、例えばローダミンB、黄色4号、青色1号、赤色2号等が挙げられる。
本農薬液剤において、製剤用助剤の総量は0〜5重量%の範囲である。
【0020】
本農薬液剤は、例えばγ−ブチロラクトン及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの混合溶剤に、必要に応じて加熱(80℃以下)条件下、疎水性農薬活性化合物、本ノニオン性界面活性剤、必要によりアニオン性界面活性剤及び製剤用助剤を加え、均一になるまで攪拌し、必要に応じて濾過することにより、製造することができる。
本農薬液剤は、実質的に1つの連続相からなる均一な液体である。
【0021】
本農薬液剤は水で希釈して使用する。本農薬液剤に対して、通常10〜10000倍、好ましくは20〜5000倍の量の水に希釈することができる。その際に使用する水は、一般に硬水(カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオン含量が大きい水。水中のカルシウムイオンとマグネシウムイオンとの合計量を相当する炭酸塩のppmで硬度として表示する。)でも軟水(カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオン含量が少ない水。)でもよく、また必要により、展着剤、無機塩等の補助剤が添加された水でもよい。
本農薬液剤を10〜10000倍量の水で希釈して得られる水希釈液(以下、本水希釈液と記す。)においては、本ノニオン性界面活性剤により疎水性農薬活性化合物が水に可溶化されているか、あるいは、疎水性農薬活性化合物を含有する液滴の粒子径が充分に小さく、通常の農薬乳剤の水希釈液とはその外観が大きく異なる。即ち、着色成分を含まない本水希釈液は透明〜淡い青みのかかった透明の外観を有している。
例えば、本農薬液剤を100倍量の水で希釈した直後に波長550nmの光の透過光より求められる吸光度は通常0.001〜1の範囲であり、通常の農薬乳剤の同倍率の水希釈液の同吸光度が2より大であることからも区別できる。当該吸光度の分析は紫外可視分光光度計(例えば、島津製作所製UV-2500PC型等)を使用することができる。
【実施例】
【0022】
以下、実施例、試験例等を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0023】
実施例1
20℃で、殺菌化合物58(有効成分換算で5.00g)、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(4.00g、Huntsman製)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー(4.50g、Stepan製)及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(35.0g)を100ml容のメスフラスコに測りとり、γ−ブチロラクトンにて全体を100mlにし、均一な溶液になるまで攪拌し、本農薬液剤(以下、本発明液剤1と記す。)を得た。
【0024】
実施例2
20℃で、殺虫化合物37(有効成分換算で5.00g)、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(3.00g、Huntsman製)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー(3.00g、Stepan製)及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(35.0g)を100ml容のメスフラスコに測りとり、γ−ブチロラクトンにて全体を100mlにし、均一な溶液になるまで攪拌し、本農薬液剤(以下、本発明液剤2と記す。)を得た。
【0025】
実施例3
20℃で、殺虫化合物37(有効成分換算で5.00g)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー(3.00g、Stepan製)及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(45.0g)を100ml容のメスフラスコに測りとり、γ−ブチロラクトンにて全体を100mlにし、均一な溶液になるまで攪拌し、本農薬液剤(以下、本発明液剤3と記す。)を得た。
【0026】
実施例4
20℃で、殺虫化合物37(有効成分換算で5.00g)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー(3.00g、Stepan製)及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(55.0g)を100ml容のメスフラスコに測りとり、γ−ブチロラクトンにて全体を100mlにし、均一な溶液になるまで攪拌し、本農薬液剤(以下、本発明液剤4と記す。)を得た。
【0027】
実施例5
20℃で、殺虫化合物37(有効成分換算で5.00g)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー(3.00g、Stepan製)及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(65.0g)を100ml容のメスフラスコに測りとり、γ−ブチロラクトンにて全体を100mlにし、均一な溶液になるまで攪拌し、本農薬液剤(以下、本発明液剤5と記す。)を得た。
【0028】
実施例6
20℃で、殺虫化合物37(有効成分換算で5.00g)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー(3.00g、Stepan製)及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(75.0g)を100ml容のメスフラスコに測りとり、γ−ブチロラクトンにて全体を100mlにし、均一な溶液になるまで攪拌し、本農薬液剤(以下、本発明液剤6と記す。)を得た。
【0029】
試験例1
100ml容栓付きメスシリンダー内に、CIPAC標準水D(342ppm)99mlを入れ、30℃の恒温水槽でしばらく保温した。次いで、本発明液剤1〜6の夫々1mlを該メスシリンダーに加え、2秒に1回の割合で10回転倒させた後、再び30℃の恒温水槽で30分間保温した。その後、夫々のメスシリンダー内の希釈液の状態を観察したところ、いずれも安定な状態を保っており、外観は透明であった。
【0030】
実施例7
20℃で、除草化合物2(有効成分換算で5.00g)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー(15.00g、Stepan製)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(67.0g)及びγ−ブチロラクトン(15.0g)を測りとり、均一な溶液になるまで攪拌し、本農薬液剤(以下、本発明液剤7と記す。)を得た。
【0031】
比較例1
20℃で、除草化合物2(有効成分換算で3.00g)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(15.00g、ローディア日華製)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(67.0g)及びγ−ブチロラクトン(15.0g)を測りとり、均一な溶液になるまで攪拌し、比較液剤(以下、比較液剤1と記す。)を得た。
【0032】
試験例2
100ml容栓付きメスシリンダー内に、CIPAC標準水D(342ppm)99mlを入れ、30℃の恒温水槽でしばらく保温した。次いで、本発明乳剤7及び比較液剤1の夫々1mlを該メスシリンダーに加え、2秒に1回の割合で10回転倒させた後、再び30℃の恒温水槽で2時間保温した。その後、メスシリンダー内の希釈液の状態を観察したところ、本発明液剤7は安定な状態を保っており、外観は淡い青みのかかった透明であった。一方、比較液剤1はメスシリンダー底部に多量の結晶析出が観察された。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本農薬液剤は、水希釈状態が非常に安定であり、農薬活性化合物を含有する製剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性農薬活性化合物 0.5〜30重量%、
下記の群(A)より選ばれるノニオン性界面活性剤 1〜20重量%、
アニオン性界面活性剤 0〜10重量%、
γ−ブチロラクトン 6〜60重量%、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン 20〜75重量%
から、実質的になることを特徴とする農薬液剤。
群(A):
ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン ブロックコポリマー、
ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン アルキル エーテル、
ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン アルキルフェノール
ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン ポリスチリルフェニル エーテル、
ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン ヒマシ油。
【請求項2】
ノニオン性界面活性剤がポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン ブロックコポリマーであることを特徴とする請求項1記載の農薬液剤。
【請求項3】
アニオン性界面活性剤の量が1〜10重量%の範囲であることを特徴とする請求項1又は2記載の農薬液剤。
【請求項4】
アニオン性界面活性剤がアルキルベンゼンスルホン酸塩であることを特徴とする請求項3記載の農薬液剤。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の農薬液剤が10〜10000倍量の水で希釈されてなる水希釈液。

【公開番号】特開2008−184458(P2008−184458A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21176(P2007−21176)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】