説明

疑似層状珪酸塩から分散容易なレオロジーグレード生成物を製造する方法、該製造法で得られる生成物および該生成物の使用法

本発明は、微小繊維束からなる疑似層状珪酸塩からのレオロジー生成物の製造法を提供する。本発明の製造法は、以下の工程:海泡石鉱物、アタパルガイト鉱物およびこれらの組合せから選ばれる疑似層状珪酸塩鉱物(その疑似層状珪酸塩濃度少なくとも50%、含水率40%以下)を、粒度1mm以下に粉砕し;該粉砕疑似層状珪酸塩鉱物を、分散剤の少なくとも1種からなる分散成分の水溶液と混合して、水35〜85%および疑似層状珪酸塩鉱物の重量に対し0.1〜7%の分散剤からなる第1混合物を得;次いで該第1混合物を疑似層状珪酸塩の微小繊維束が分散するまで強く混合して、分散剤および水と共に均質に混合した分散液中にレオロジー生成物を得る工程から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レオロジー添加剤、沈殿防止剤および増粘剤の分野、特に海泡石−パリゴルスカイト(palygorskite)群からの特定クレーをベースとするレオロジー添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特定クレー、すなわち、モンモリロナイトやヘクトライト(hectorite)などの層状フイロ珪酸塩に属するクレー、および海泡石やアタパルガイト(attapulgite)などの疑似層状(pseudolaminar)の珪酸塩に属するクレーは共に、比較的少量で加えたときに、種々の液体系のレオロジー挙動または流れ特性を調節しうるそれらの能力に基づき、レオロジー添加剤として用いられている。すなわち、これらのクレーは、液体系の粘度を増加する増粘剤として、液体系の懸濁状態の粒子の沈殿を防止する沈殿防止剤として、およびたとえば疑似塑性(剪断速度による粘度減少)あるいはチキソトロピー(一定剪断速度での剪断時間による粘度増加)などの特別なレオロジー挙動を付与する添加剤として使用されている。
【0003】
これらクレーのレオロジー添加剤として作用する能力は、それら粒子のコロイドの大きさ、該クレーが加えられる系の液体成分において粒子が形成しうる形状および構造から由来する。そこで、モンモリロナイトやヘクトライトなどのフイロ珪酸塩の粒子は、構造内の同形代入(isomorph substitutions)によって生じる、薄層面に残留陰電荷を持つ層状形状を有する。この陰電荷は、静電力によって保持され、かつ他のカチオンと交換できるカチオンの吸着によって補償され、そのため他のカチオンは交換カチオンとして知られている。
【0004】
これらフイロ珪酸塩の層状粒子は、薄層または層間空間と外部面との空間を占める交換カチオンが積重なった状態になっている。これら層状粒子の積重ねによって形成されるクレーの粒子を水に分散させると、水は交換カチオンに応じて多少とも、層間空間に浸透して、層状粒子の自然分離をもたらしうる。
【0005】
カチオンがNaであれば、水は自然に薄層間に浸透し、次いでモンモリロナイト粒子の自然な膨潤および最小限の機械式撹拌による該クレーの水中での容易な分散をもたらしうる。いったんクレーが分散してその個々の粒子となれば、これらの粒子は液体内に、トランプ札で作った家に似た構造を形成することができ、該構造は陰荷電薄層と陽荷電縁の両面間にひきつける力のある静電力によって安定化される。
【0006】
一方、交換カチオンがCa2+であれば、このカチオンの陽電荷はその密度が大きければ大きい程、モンモリロナイトの薄層がより強固に結合するのを保持せしめ、そして、モンモリロナイト粒子の水中での自然分離は起こらない。そこで、ナトリウムモンモリロナイトの場合に起こるような個々の層状粒子に代えて、カルシウムモンモリロナイトの場合では、可変数の層状粒子によって接合した層状粒子の積重ねが、Ca2+カチオンによって共に結合する。
【0007】
このことは、液体内に“トランプ札で作った家”構造を形成するために関係しうる個々の粒子の数が、カルシウムモンモリロナイトの場合には、同重量のクレーに対してナトリウムモンモリロナイトまたはベントナイトを用いる場合より実質的に少なく、このため、レオロジー添加剤としての有効性が実質的に減少することを意味する。その理由で、ナトリウムモンモリロナイトは一般にレオロジー添加剤として用いられ、あるいはカルシウムモンモリロナイトの場合、そのレオロジー特性の改善を目的として、カルシウムカチオンとナトリウムカチオンの事前の交換が行なわれる。
【0008】
さらにクレーは普通、異物として他の鉱物、たとえば長石、石英、炭酸塩(方解石やドロマイトなど)等を混在していると思われる。これらの鉱物異物は、場合によっては実質的な割合を包含しうるが、クレーのコロイド特性を有せず、かつレオロジー添加剤としてのクレーの挙動を希釈する。また、これら他の鉱物は普通、別の望ましくない特性、たとえばクレーに比しはるかに大きな粒度と、クレーをたとえばペイントなどのレオロジー添加剤として用いる多くの適用に際し望ましくない大きな硬度を有する。そのため、クレーは普通、これらの鉱物不純物の除去を目的として精製プロセスに付されるが、またこのことは、言及した問題の回避によって、クレーの効果を希釈するこれらの成分の除去に基づき、レオロジー添加剤としての特性も改善する。
【0009】
別種のクレーで特にレオロジー添加剤として普通に用いられているのは、海泡石およびアタパルガイトである。これら2つのクレーは、粒子の形状が、1〜2μmの平均長さを持つ微小繊維の形態において、層状ではなく、それよりも針状であることを特徴とする疑似層珪酸塩の群に属し、かかる粒子形状は海泡石の場合たとえば Vallecad-Vic'alvaro鉱床(スペイン、マドリード)で、アタパルガイトの場合たとえば米国で見られる。
【0010】
またこれらの粒子も、その構造内に多少の同形代入を有するが、それはモンモリロナイトの場合よりはるかに少なく、このため、表面電荷は小さく、かつカチオン交換能力も、モンモリロナイトの特有値100meq/100gと比較して、10〜20meq/100gとはるかに低い。従って、海泡石やアタパルガイトは、モンモリロナイトのように水中で自然膨潤しない。その理由で、海泡石およびアタパルガイトの針状粒子は自然に、微小繊維状粒子の大きな凝集塊あるいは束を形成すると思われるが、機械エネルギーを加え、高剪断応力を用いて、かかる束をうまく個々の粒子に解凝集することにより、分散プロセスに付す必要がある。
【0011】
クレーを分散し、鉱物異物から精製するのに、分散剤の使用が記載されている。たとえば国際特許出願WO02/00350に、アタパルガイトのレオロジー生成物を得るため、TSPPなどの分散剤を用いて、アタパルガイトや他のクレーの粒子を分散できることが記載されている。それにも拘らず、同国際特許出願WO02/00350には、これらの分散剤がアタパルガイト以外のクレーの粒子を分散するという事実があるにしても、これら他のクレーの中で、言及されているモンモリロナイト、スメクタイト(smectite)および海泡石は、アタパルガイトと同じようなレオロジー特性を有せず、従って、それらはアタパルガイトの場合に得られる生成物の有効性に否定的であることが示されている。
【0012】
それで、国際特許出願WO02/00350に、アタパルガイトを選択的に分散し、かつ非クレー異物のみならず、これまで記載の方法に従い分散剤を用いて加工処理しても、レオロジー添加剤として有効でない、アタパルガイト以外のクレー、たとえば海泡石も分離できるようにするため、分散剤として分子量4000〜5000のポリアクリル酸塩を用いる精製法が記載されている。特許出願EP−A−170.299にも同様に、固形分濃度5〜25%の海泡石水中懸濁液を調製し、次いで遠心分離あるいは沈殿法で鉱物異物の海泡石を除去することにより、該鉱物異物を精製するため、分散剤の使用が記載されている。この場合、後ほど濾過または固/液分離の段階の前に、凝集剤を加える必要がある。
【0013】
特許出願EP−A−0170299に、湿気超微粉砕化のプロセスに基づき、海泡石のレオロジーグレード生成物を得る方法が記載され、該方法は、たとえばハイドロサイクロンを用いて粉砕と仕分けを湿気状態で実施し、サイズ10μm以下の海泡石粒子の入手を可能ならしめる。この湿気粉砕プロセスは、レオロジー添加剤としての有効性に必須な“アスペクト比”、換言すれば、長さ/直径比に影響を及ぼすことなく、束の解凝集および遊離針状粒子の入手を可能ならしめる。粒度による仕分け並びに未解凝集束の分離の段階も、他の鉱物、たとえば方解石、ドロマイト、石英、長石等からの異物の除去を可能ならしめる。
【0014】
このプロセスは非常に高価であり、何故なら、パルプ状態で得られる高粘度のため、ハイドロサイクロンでの仕分けを可能ならしめるには、低固形分濃度(10%以下)の懸濁液を用いる作業を要するからである。また該プロセスはエネルギーに関しても非常に高価であり、何故なら、湿気粉砕段階は低固形分濃度のパルプを用いて実施され、次いで希釈した懸濁液から超微粉砕クレーを分離するために、固/液分離を行なわなければならないからである。
【0015】
これは、クレーパルプの低濾過性のために困難を高め、プレスフィルターを用いる非常に長い濾過サイクルに導く。55%までの非常に高い残留水分量の濾過ケークが得られ、これは乾燥に高エネルギー費を必要とする。要するに、特許出願EP−A−170299に記載のプロセスは、費用が非常に高いものである。
【0016】
クレー懸濁液の粘度を下げ、かつ高い固形分濃度でのハイドロサイクロンによる仕分けの実施を可能ならしめる分散剤を用いて、該クレー懸濁液の濃度を上げることはできるが、ハイドロサイクロンでの仕分けを実施できるためには、パルプの最大濃度に限界がある。また、濾過や乾燥に関する後者の問題がなお残り、かつ懸濁液の濾過やクレーの分離ができるためには、凝集剤の使用が必要である。クレーパルプの粘度を下げ、かつ他の鉱物異物の除去によりクレーの精製を可能ならしめるための分散剤の使用、また微細で制御した粒度の生成物の入手を目的とするクレーの凝集塊粒子の除去も、既に記載され、知られているのが現状である。
【0017】
たとえば、特許US−A−3399068およびUS−A−3596760に、異物アタパルガイトの精製にはTSPPやNaOHなどの分散剤使用の記載があり、特許出願EP−A−170299には、海泡石の精製用としてヘキサメタリン酸ナトリウムやTSPPなどの分散剤の使用が記載されている。また国際特許出願WO02/00350に、アタパルガイトを分散し、次いで他のクレーや異物鉱物の除去によるアタパルガイトの精製のため、分子量4000〜5000のポリアクリル酸ナトリウム使用の記載がある。
【発明の開示】
【0018】
本発明の目的は、分散剤を使用する方法によって、海泡石、アタパルガイトおよびこれらの組合せから選ばれる疑似層状珪酸塩のレオロジーグレード生成物を得ることであり、該方法は、これらクレーの現行湿気超微粉砕法に比しはるかに簡単でかつ費用が安く、またこの種の生成物を用いるほとんどの工業用途において同等もしくは良好な、レオロジー添加剤としての有効性を持つ生成物の入手を可能ならしめる。
【0019】
この目的を達成するため、本発明は分散剤を利用するが、それは疑似層状珪酸塩のクレーを精製するためではなく、その代わりに、海泡石および/またはアタパルガイトのレオロジーグレード生成物を得るのにパルプまたはペースト形状の該珪酸塩と強く混合するためで、特許出願EP−A−170299に記載の如く低固形分濃度で湿気超微粉砕プロセスの使用を要せず、従って、プロセスの簡素化およびプロセス費用でのかなり縮小を包含する。さらに本発明方法は、高イオン力媒体において、レオロジー添加剤(増粘剤または沈殿防止剤)としての有効性に匹敵もしくはそれ以上の生成物の入手を可能ならしめる。
【0020】
本発明方法は、以下の段階から成る。すなわち、第1段階において、海泡石および/またはアタパルガイトの群からのクレー(海泡石および/またはアタパルガイト含有率が少なくとも50%)を、通常の粉砕方法で粉砕して、粒度1mm以下、好ましくは150μm以下にする。
次にクレーを強力ミキサー中、1種または数種の分散剤からなる分散成分と共に水と混合する。
【0021】
混合物の含水率は、クレー重量の35〜85%、好ましくは45〜80%に変化させることができる。分散剤として高分子電解質または荷電ポリマーが使用でき、これらはクレーの表面に吸着して、クレー粒子同士の静電反発をもたらす。これら分散剤の具体例としては、ポリリン酸およびその塩、たとえばヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム;低分子量の、好ましくは分子量6000以下、より好ましくは2000〜5000のポリアクリル酸ナトリウム;ホスホン酸およびホスフイン酸誘導体、たとえばジホスホン酸およびその塩;およびホスホン酸の塩も挙げられる。ホスホン酸の誘導体は、加水分解に対し無機ポリリン酸塩より安定であるという利点を有する。
【0022】
また分散剤として塩基、たとえば水酸化ナトリウム、アンモニウムおよびカリウム、炭酸ナトリウム等も使用でき、これらはpHを9以上に上げ、クレー表面上のOH基の吸着やクレー表面に存在するシラノール基のイオン化をおよび粒子同士の静電反発をももたらす。
分散剤からなる分散成分の添加割合は、クレー重量の0.1〜7%、好ましくは0.3〜6%に変化させることができる。数種の分散剤を用いるとき、それらのトータル割合も上記範囲内にある。
【0023】
本発明の有利な実施態様において、疑似層状珪酸塩鉱物、分散剤および水を含有するペーストのpHを9以上に上げることができる塩基(たとえば水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムおよび/または水酸化カリウム)に相当する第1分散剤と、上述のような無機高分子電解質の少なくとも1種に相当する第2分散剤を合してなる分散成分が使用され、これらを水および少なくとも1種の疑似層状珪酸塩と共に混合する。
【0024】
クレーは分散成分/水の水溶液に分散させるのが好ましいが、クレーと水をいっしょに混合し、次いで分散成分を加えるか、あるいはクレーと分散成分を混合し、次いで水を加えることもできる。クレー、水および分散成分の混合は、得られるクレー/水混合物の均質化を可能ならしめる混合システム(強力ミキサーまたはターボミキサーが特に有効である)、たとえばダブルシグマミキサーまたは Lo"digeタイプのプラウ型ローターミキサーを用いて行なう。これらの条件下、分散成分および粒子と粒子の摩擦によって生じる内部剪断応力は、疑似層状珪酸塩の個々の粒子の強い解凝集をもたらし、これはレオロジー特性を持つ生成物を得るのに重要である。
【0025】
その後、水、疑似層状珪酸塩および分散成分の混合物を、疑似層状珪酸塩と水の濃度に応じて処理することができる。疑似層状珪酸塩の濃度が15〜35%および水の濃度が85〜65%で、分散成分の濃度が珪酸塩重量の0.1〜7%のとき、得られる混合物は、珪酸塩と分散成分の含有率に応じて、粘度が変動しうる液体(流体)パルプの外観を有し、該液体パルプは安定で、沈降しない。
【0026】
この液体パルプは、各種用途におけるレオロジー添加剤の最終生成物としてそのまま使用することができ、何故なら、電荷または溶質塩を持つ液体系にこのパルプを加えると、疑似層状珪酸塩パルプは、液体系の粘度上昇を引き起こし、かつ液体系に疑似塑性および/またはチキソトロープのレオロジー挙動を付与し、その安定性および各種成分の均質性を改善するからである。パルプ形状において、この生成物は特に、充填モルタル、湿気噴射コンクリート、注入モルタルまたはスイミングプール用ガナイトなどの建造配合物に直接添加するレオロジー添加剤として十分に作用する。この生成物はパルプ形状で、コンシステンシーの急速な増加をもたらし、チキソトロープ特性を付与し、噴射コンクリートの場合の跳ね上りを縮小し、ハガレを防止し、仕上を改善し、しみ出しを回避し、ポンプ汲み出し性等を改善する。
【0027】
疑似層状珪酸塩の濃度が65〜35%および水の濃度が35〜65%で、分散成分が珪酸塩重量の0.1〜7%であるとき、ペースト外観の非液体混合物が得られる。疑似層状珪酸塩ペーストを乾燥して、普通は20%以下で通常12%以下の含水率とし、これを用途により要求される最終サイズに粉砕する。
【0028】
疑似層状珪酸塩ペースト、水および分散成分の乾燥プロセスは、産業においてたとえば流動床乾燥装置を用いる通常の方法により行なうことができる。次の粉砕は、鉱物用の通常の粉砕装置により、好ましくはハンマーまたはスパイクを用いる衝撃微粉砕機を使用して行なう。その後、所望の粒度を得るため、粒度測定仕分けを実施する。
【0029】
乾燥と粉砕を連続して実施する代わりに、“フラッシュ−ドライヤー”装置、たとえばMicron Hosokawa 製のミクロンフラッシュドライヤー(Micron Flash Dryer)を用いてそれを同時に行なうのが好ましく、乾燥、粉砕および最終生成物の仕分けを1回の操作で実施することができる。
最終生成物は、250μm以下、一般に44μm以下の乾燥粒度測定値(dry granulometry)を有するのが好ましい。この乾燥粒度測定値はかなり大きいが(thick)、レオロジー生成物をいったん水に分散すれば、最終粒度測定値はかなり小さくなり、これらの条件下で、80%以上の粒子は習慣的に44μm以下のサイズを有し、75%以上の粒子が5μm以下のサイズを有する。
【0030】
大きな乾燥粒度測定値を有することは有利であり、何故なら、粉末形状の生成物の見掛密度を上げ、このため、生成物の輸送費が安くなるからである。さらに、嵩高い乾燥生成物は、取扱い中に周囲に生じるダストが少なく、これも有利である。
出発物質として珪酸塩ペースト、水および分散成分を用いるこの方法に従って得られる生成物、および特にレオロジーグレード海泡石は、低剪断応力で水中に容易に分散し、かつ電解質の無い水において比較的低粘度の分散液を生成し、しかし、それにも拘らず、電解質が存在すると、換言すれば、イオン力が増加すると、その粘度は容易に回復する。
【0031】
これらの条件下、媒体に存在するカチオンは、分散成分の影響に基づき、陰荷電クレー粒子間のブリッジ(bridges)として作用し、液体媒体におけるクレー粒子の構造物の形成を可能にし、そして粘度が増加する。この作用は、疑似層状珪酸塩、および特にレオロジー海泡石の粒子によって吸着されうる他の電荷および顔料の存在下でも起こり、これも、他の電荷およびレオロジー疑似層状珪酸塩の粒子による、媒体中構造物形成の回復が可能になる。
【0032】
本発明方法によって得られる、疑似層状珪酸塩、および特に海泡石の生成物は一般に、特許出願EP−A−170299に記載の方法が簡単で安価であるという事実に拘らず、該方法によって得られるものより有効であり、何故なら、低濃度パルプを用いる湿気超微粉砕プロセスを必要としないのに対し、上記EP出願の方法がその後に、パルプの固形分濃度を3%から45%に上げるためにプレスフィルターによる固/液分離の段階、次いで含水率を55%から<10%に下げるための乾燥段階を要するからである。
【0033】
本明細書記載の本発明方法において、固/液分離を行なう必要がなく最終生成物として使用されるパルプが得られるか、あるいは典型的含水率45%のペーストが得られるかのいずれかであるが、ペーストはこれを直接乾燥することにより、高価な固/液分離段階の必要を除き、水消費を徹底して縮小し、かつ蒸発させる必要のある水分量の削減によるエネルギー費を縮小することができる。
【0034】
本発明方法は簡単であるにも拘らず、この方法で得られる生成物は、高イオン力媒体または荷電媒体におけるレオロジー添加剤としての特性が、特許出願EP−A−170299の記載に従って得られるものに比し同等もしくはより良好であり、また低剪断装置の使用で良好に分散する。
本発明方法に従って得られる疑似層状珪酸塩、および特に海泡石の、レオロジー添加剤として使用したときの高効率は、驚くべきかつ予想外である。
【0035】
そこで、分散成分の使用が、海泡石粒子の分散や海泡石をベースとするレオロジー生成物の入手を可能ならしめないという事実に関する最新技術の教えに拘らず、分散剤を用いる本発明方法に海泡石を付すと、最新技術(特許出願EP−A−170299)に記載の他のプロセスに従って得られる生成物よりいっそう有効なレオロジー生成物が得られうることがわかった。
このことは、アタパルガイトの場合も真実である。
【0036】
本プロセスにおいて、強力混合のシステムを用いて含水率35〜85%、好ましくは45〜80%の水中混合物を得るための基本段階は、疑似層状珪酸塩に特に0.1〜7%、好ましくは0.3〜0.6%の分散成分の少なくとも1種を加えこれらを混合することである。これらの条件下、化学分散成分と粒子間の摩擦で生じる内部剪断応力との組合せは、素粒子のアスペクト比または長さ/直径比に影響を及ぼさずに、疑似層状珪酸塩の個々の粒子の解凝集に導く。この作用は、pHを9以上に上昇し、かつ海泡石の表面にあるシラノール基をイオン化する塩基として、高分子電解質または荷電ポリマータイプのいずれかの分散剤の使用によって達成される。
【0037】
分散成分と、35〜85%、好ましくは45〜80%の高いクレー濃度を持つペーストの混合中に得られる内部剪断応力との組合せは、特許出願EP−A−170299に記載の、高剪断装置を用いるが低クレー濃度のパルプを用いて得られるものより、はるかに有効な解凝集をもたらす。その理由で、本発明方法に従って得られる生成物は、荷電媒体中または電解質存在下のレオロジー添加剤として、特許出願EP−A−170299に記載の生成物よりはるかに有効である。
【0038】
この大きな有効性は、分散成分/強力混合の組合せによって得られるが、特許出願EP−A−170299に海泡石を精製する分散剤(該EP出願のプロセスII)と、60〜30%の高海泡石濃度での強力混合(該EP出願のプロセスIII)の別々の使用が記載されているが、分散剤と強力混合の合併使用の記載がなく、何故なら、これら2つの別々の段階の結果を改善することが期待されていなかったからであるという事実によって示されるように、予想外のことである。
【0039】
本発明方法に従って得られる生成物は、液体系(但し、分散液に電荷または溶質塩が存在している)のレオロジー挙動を改変するため、種々用途のレオロジー添加剤として使用することができる。これら用途の具体例は、動物飼料用、特にブタの液体食料の沈殿防止剤として、懸濁状態の肥料の沈殿防止剤として、建造物、モルタル、アスファルト組成物等のレオロジー添加剤としての使用である。
【0040】
本願添付の図面は不可欠な部分として、レオロジー添加剤を有さない対照サンプル、特許出願EP−A−170299の実施例1に従って製造したレオロジーグレード海泡石を有するサンプルおよび本発明方法に従って製造したレオロジー海泡石を加えたサンプルに相当する各種飼料サンプルの流動度インデックス(fluidity index)の比較を示す図を包含する。
【実施例】
【0041】
実施例1
海泡石純度85%および含水率30%の海泡石鉱物を粉砕して、150μm以下が95%および44μm以下が30%の粒度とする。次いでこの粉砕海泡石64.2重量部を、予め0.63重量部の50%NaOH溶液を加えた水35.7重量部と混合する。
形成するペーストをLodige型ターボミキサーにて6分間混合する。混合段階中、分散剤と粒子間の摩擦に基づく内部剪断応力との合併効果によって、下記表1で明らかなようにサイズの有意な減少が起こる。
【0042】
表1:分散剤との混練前後の海泡石の粒度測定
【表1】

【0043】
形成したペーストは、海泡石濃度45%を有し、これをフラッシュドライヤーに送り、ここで乾燥し、粉砕し、湿気時の44μm以下が95%および5μm以下が85%の粒度測定値を持つ生成物が得られるまで仕分けする。
得られる最終生成物は、2700rpmの攪拌機にて10分間攪拌すると、NaCl飽和水に6%濃度で分散し、次いでブルックフィールド粘度を5rpmで測定する。
【0044】
表2:実施例1で得た生成物の特性
【表2】

【0045】
電解質を持つ水中で得られる粘度が44600cPであり、これは、特許出願EP−A−170299に記載のプロセスを用いて海泡石を加工処理したときに得ることができると云われている10000cP〜34000cPの粘度に比しはるかに高いことを観測することは重要である。
この高いレオロジー添加剤としての有効性が得られること、しかも、他の鉱物による汚染(異物混入)を除去するため、特許出願EP−A−170299に記載のプロセスで行っていたような精製プロセスを実施する必要がないことを心に留めるべきである。
【0046】
実施例2
実施例1の記載に似たプロセスを実施するが、最後の乾燥、粉砕および仕分け段階において、異なるサイズの最終粒子を得るため、ソーターの速度を種々調整する。
下記表3に、最終粒子の特性とNaCl飽和水中で得られる粘度を示す。
表3から明らかなように、各種粒度測定値の生成物を得ることができるが、それらは全て、高イオン力を持つ媒体中で良好な挙動を示す。
【0047】
表3:実施例2で得た生成物の特性
【表3】

【0048】
実施例3
海泡石純度85%および含水率26%の海泡石鉱物を粉砕して、150μm以下が95%および44μm以下が30%の粒度とする。次いでこの粉砕した海泡石65.6重量部を、予め0.80重量部の50%NaOH溶液を加えた水33.6重量部と混合する。形成したペーストをLodige型ターボミキサーにて6分間混合する。形成したペーストは、海泡石濃度45%を有し、これをフラッシュドライヤーに送り、ここで乾燥し、制御方式で解凝集し、乾燥時の75μm以下が99%および44μm以下が80%の粒度測定値を持つ生成物が得られるまで仕分けする。この生成物1の特性を下記表4に示す。
【0049】
生成物2に対し記載のプロセスを繰返すが、このときのNaOH溶液をターボミキサーの混合物に予め加えない。得られる生成物2の特性を表4に示す。
表4から明らかなように、NaCl飽和水溶液中で達成できる最終濃度は、分散剤を用いて得られる生成物1の場合が、分散剤を用いずに同じ方法で加工処理した生成物2の場合に比しかなり高いことが認められる。
【0050】
表4:実施例3で得た生成物の特性(攪拌速度10000rpm、10分)
【表4】

【0051】
なお、NaCl飽和水中での分散を低剪断条件下で行なえば、生成物1と2の差はより一層明らかである。下記表5に、異なる時間と攪拌速度を用いた、NaCl飽和水中の生成物1と2の粘度を示す。分散剤を用いて得られる生成物1は生成物2に比し、短かい時間および/または低攪拌速度の条件下で、かなり高粘度の入手を可能にすることが認められる。低剪断条件下の生成物1の場合に得られる高粘度は、この生成物1が分散剤なしの生成物2に比しはるかに良好な分散することを示す。
【0052】
表5:異なる攪拌条件下の、実施例3で得た生成物のNaCl飽和水中6%分散液の粘度
【表5】

【0053】
実施例4
海泡石純度85%および含水率32%の海泡石鉱物を粉砕して、150μm以下が95%および44μm以下が30%の粒度とする。
次いでこの粉砕した海泡石65.6重量部を、予め0.80重量部の50%NaOH溶液を加えた水33.6重量部と混合する。
【0054】
形成したペーストをLodige型ターボミキサーにて6分間混合する。形成したペーストは、海泡石濃度45%を有し、これをフラッシュドライヤーに送り、ここで乾燥し、制御方式で解凝集し、乾燥時の粒度測定値が約850〜75μm(850μm以下が99%および75μm以下が20%)の生成物が得られるまで仕分けする(但し、いったん水に分散したときの湿気粒度測定値としては、44μm以下が84.8%および5μm以下が78%である)。
【0055】
表6:実施例4で得た生成物の特性
【表6】

【0056】
この生成物はいったん水に分散せしめ、ブタの液体飼料として用いられる、トウモロコシ、大麦および大豆の飼料の沈殿防止剤として使用する。この飼料の大きな(thick)粒度のために、かなり沈降の傾向にある。これを防止するため、乾燥飼料重量の1%の海泡石生成物を加える。
【0057】
実施例3のプロセスで得た生成物を、特許出願EP−A−170299に記載のプロセスに従って得た生成物(“海泡石製品1”として公知)と比較する。沈降を評価するため、水中の分散状態の飼料を製造し、これを予め定格した(rated)250mL試験管(T)に注ぐことによって測定する、いわゆる“流動度インデックス”(FI)を算定する。いっぱいの試験管を計量する(T)。これを5分間沈降状態にし、離液容量または上層液として残る遊離水の容量(Vs)を測定し、次いで水平に対し45°の角度に傾け、飼料を1.5分間排出状態にし、計量する(T)。“流動度インデックス”(FI)は、下式で算定する:
【数1】

【0058】
“流動度インデックス”は、該飼料の水中分散の安定性の尺度であって、FIが高ければ高い程安定性は良好である。図1は、添加剤のない対照において、特許出願EP−A−170299の実施例1に記載の分散剤を用いないプロセスに従って得た生成物“海泡石製品1”を用いる飼料の種々乾燥物のFIを示す。実施例4の記載に準じ得た生成物は、低乾燥飼料材料の場合にはるかに良好な安定性が得られるのを可能ならしめることを確認することができる。
【0059】
実施例5
海泡石純度85%および含水率30%の海泡石鉱物を粉砕して、150μm以下が95%および44μm以下が30%の粒度とする。次いでこの粉砕した海泡石64.2重量部を、予め0.27重量部のNaOH50%溶液を加えた水35.7重量部と混合する。形成したペーストを、Lodige型ターボミキサーにて6分間混合する。形成したペーストは、海泡石濃度45%を有し、これをフラッシュドライヤーに送り、ここで乾燥し、粉砕し、次いで乾燥時の44μm以下が93%の粒度測定値を持ち、かついったん水に分散すれば44μm以下が98%および5μm以下が86%の湿気粒度測定値を持つ生成物が得られるまで仕分けする。
【0060】
得られる最終生成物を、NaCl飽和水に6%濃度で分散する。得られる生成物の特性を下記表7に示す。
表7:実施例5で得た生成物の特性
【表7】

【0061】
本例で得た生成物は、保水剤として用いるセルロース誘導体(Tylose 60001)の部分代用品であるグルーモルタルのレオロジー添加剤として使用した。グルーモルタルで得られる特性を、下記表8に示す。
【0062】
表8:得たグルーモルタルの組成と特性
【表8】

【0063】
海泡石生成物とセルロース誘導体の併用は、同価値のコンシステンシーと抵抗性が得られるのを可能ならしめ、新品時のモルタルの作業性とその密着性が改善されることが確認できる。また、セルロース誘導体の海泡石生成物による部分代用は、保水系の費用をかなりに下げることができる。
【0064】
実施例6
実施例5で得た海泡石生成物は、アニオン性アスファルトエマルジョンにおいて、エマルジョンの安定性改善およびその費用縮小を目的として、用いるエマルジェント(emulgent)の部分代用にも使用した。
使用配合物およびその特性を下記表9に示す。
【0065】
表9:得たアニオン性アスファルトエマルジョンの組成と特性
【表9】

【0066】
表9から確認できるように、エマルジェントの海泡石生成物による部分代用は、エマルジョンの粘度増加を可能ならしめ、これは良好な安定性をもたらし、同時に、エマルジェント系の費用も縮小する。また良好な水抵抗性も見られ、かつ再乳化が減少する。
【0067】
実施例7
アタパルガイト純度75%および含水率22%のアタパルガイト鉱物を粉砕して、44ミクロン以下が47%および150ミクロン以下が89%の粒度とする。次いでこの粉砕したアタパルガイト53.1重量部を、予め0.63重量部の50%NaOH溶液を加えた水46.9重量部と混合する。形成したペーストを、Lodige型ターボミキサーにて6分間混合する。形成したペーストは、アタパルガイト濃度45%を有し、これをフラッシュドライヤーに送り、ここで乾燥し、粉砕し、次いで乾燥時の44ミクロン以下が33%の粒度測定値を持ち、かついったん水に分散すれば、44ミクロン以下が95%および5ミクロン以下が88%の湿気粒度測定値を持つ生成物が得られるまで仕分けする。
【0068】
得られる最終生成物を、NaCl飽和水に6%濃度で分散する。得られる生成物の特性を下記表10に示す。
表10:実施例7で得た生成物の特性
【表10】

【0069】
実施例8
アタパルガイト純度75%および含水率22%のアタパルガイト鉱物を粉砕して、44ミクロン以下が47%および150ミクロン以下が89%の粒度とする。
次にこの粉砕したアタパルガイト53.1重量部を、予め0.45重量部のピロリン酸四ナトリウム(TSPP)を加えた水46.9重量部と混合する。形成したペーストを、Lodige型ターボミキサーにて6分間混合する。
【0070】
形成したペーストは、アタパルガイト濃度45%を有し、これをフラッシュドライヤーに送り、ここで乾燥し、粉砕し、次いで乾燥時の44ミクロン以下が30%の粒度測定値を持ち、かついったん水に分散すれば、44ミクロン以下が95%および5ミクロン以下が90%の湿気粒度測定値を持つ生成物が得られるまで仕分けする。
得られる最終生成物を、NaCl飽和水に6%濃度で分散する。
得られる生成物の特性を下記表11に示す。
【0071】
表11:実施例8で得た生成物の特性
【表11】

【0072】
実施例9
海泡石純度85%および含水率33%の海泡石鉱物を粉砕して、150ミクロン以下が95%および44ミクロン以下が30%の粒度とする。
次にこの粉砕した海泡石52.5重量部を、予め0.52部のピロリン酸四ナトリウム(TSPP)および0.7部の50%NaOH溶液を加えた水47.4重量部と混合する。得られる組成物は、海泡石濃度35%を有し、これをLodige型ターボミキサーにて30分間混合する。このようにして得られるパルプは5rpmのブルックフィールド粘度が6720cPおよびpH11.7を有し、これは流動性で扱いやすく、そして沈降あるいは水放出のいずれも呈しない。
【0073】
海泡石濃度35%を持つこのパルプ17部を、最終の海泡石濃度を6%とする、83部のNaCl飽和溶液と混合する。得られる粘度は47800cPで、これにより、本例で得られる海泡石パルプは、高イオン力系に加えると、増粘能力を有することが認められる。
本例で得た海泡石濃度35%のパルプは、20%過剰の水を加えた、標準化モルタルにおけるコンシステンシー回復のためのレオロジー添加剤として使用し、標準化モルタル、過剰水使用のモルタル、および過剰水使用および実施例9の生成物0.6%添加のモルタルのコンシステンシーの測定は、振動テーブルを使用して行った。
【0074】
表12:得たモルタルの特性と組成
【表12】

実施例9パルプの添加は、10.5リットル(L)/モルタルmの用量割合の使用で、標準化モルタルのコンシステンシーの回復を可能ならしめ、このことは、コンシステンシー回復に対し高度の効率を示す。20%の過剰水を混入したにも拘らず、モルタルは滲出しなかった。
【0075】
実施例10
海泡石純度85%および含水率30%の海泡石鉱物を粉砕して、150ミクロン以下が95%および44ミクロン以下が30%の粒度とする。
次にこの粉砕した海泡石35.8重量部を、予め0.5部のDequest 2016(Degussaより供給)および0.65部の50%NaOH溶液を加えた水64.1重量部と混合する。得られる混合物は、海泡石濃度25%を有し、Lodige型ターボミキサーにて30分間混合する。最終パルプの5rpmのブルックフィールド粘度は2750cPで、pHは12.33である。パルプは流動性で、いずれの沈降も呈しない。本例で得たパルプは、10%過剰水を加えた、標準化モルタルにおけるコンシステンシー回復のためのレオロジー添加剤として使用した。
【0076】
下記表13は、振動テーブルを用いて測定した、標準化モルタル、過剰水使用のモルタル、および過剰水使用および実施例10パルプ0.3%添加のモルタルのコンシステンシーを示す。
表13:得たモルタルの特性と組成
【表13】

【0077】
実施例10パルプの添加は、6.4リットル/モルタルmの用量割合の使用で、10%過剰水があるとき、標準化モルタルのコンシステンシーの回復を可能ならしめ、このことは、コンシステンシー回復に対し高度の効率を示す。過剰水を混入したにも拘らず、モルタルは滲出しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】対照、従来品(“海泡石製品1”)および本発明品(実施例4海泡石)をそれぞれ用いた飼料の、流動度インデックス(FI)と乾燥物%の関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小繊維束からなる疑似層状珪酸塩の鉱物の少なくとも1種が湿気粉砕している疑似層状珪酸塩のレオロジー生成物を製造する方法であって、その手順は、
海泡石鉱物、アタパルガイト鉱物およびこれらの組合せから選ばれる疑似層状珪酸塩鉱物(その疑似層状珪酸塩含有率が少なくとも50%、および含水率が40%以下である)を、粒度が1mm以下になるまで粉砕して、粉砕疑似層状珪酸塩鉱物を得ることからなる第1段階;
該粉砕疑似層状珪酸塩鉱物を、分散剤の少なくとも1種からなる分散成分の水溶液と、最終の含水率が35〜85%および分散成分の含有率が疑似層状珪酸塩鉱物の重量の0.1〜7%となるように混合して、疑似層状珪酸塩鉱物、分散剤成分および水からなる第1混合物を得ることからなる第2段階;
第2段階で得られる第1混合物を疑似層状珪酸塩の微小繊維束が解凝集されるまで強く混合して、分散剤および水と共に均質に混合した、疑似層状珪酸塩鉱物に対し0.1〜7重量%の分散成分、総重量に対し15〜65重量%のレオロジー生成物および水からなる分散液中にレオロジー生成物を得ることからなる第3段階
から成ることを特徴とするレオロジー生成物の製造法。
【請求項2】
第2段階において、粉砕疑似層状珪酸塩鉱物を分散成分の溶液と、最終の含水率が35〜65%および分散成分の含有率が疑似層状珪酸塩鉱物の重量の0.1〜7%となるように混合して、疑似層状珪酸塩鉱物に対し0.1〜7重量%の分散成分、総重量に対し35〜65重量%のレオロジー生成物および水からなるペースト形状の第1混合物を得;および
第3段階で得たペーストを乾燥して乾燥物質を得、該乾燥物質を粉砕し、次いで該粉砕乾燥物質を仕分けて、含水率20%以下およびいったん水に分散すれば250μm以下の湿気粒度測定値を有する疑似層状珪酸塩レオロジー生成物を得ることからなる第4段階を包含する請求項1に記載の製造法。
【請求項3】
分散成分を疑似層状珪酸塩鉱物の重量の0.3〜2%の割合で加える請求項1または2に記載の製造法。
【請求項4】
疑似層状珪酸塩と水を、最終含水率が疑似層状珪酸塩の重量の45〜55%になるまで混合する請求項1に記載の製造法。
【請求項5】
第2段階において、粉砕疑似層状珪酸塩鉱物を分散成分の溶液と、最終含水率が65〜85%および分散成分の含有率が疑似層状珪酸塩鉱物の重量の0.1〜7%となるように混合して、疑似層状珪酸塩鉱物に対し0.1〜7重量%の分散成分、総重量に対し15〜35重量%のレオロジー生成物および水からなるパルプ形状の第1混合物を得る請求項1に記載の製造法。
【請求項6】
分散成分を疑似層状珪酸塩の重量の1〜6%の割合で加える請求項5に記載の製造法。
【請求項7】
疑似層状珪酸塩と水を、最終含水率が疑似層状珪酸塩鉱物の重量の70〜80%になるまで混合する請求項5または6に記載の製造法。
【請求項8】
第3段階において、ペーストを少なくとも5分間混合する請求項1乃至7のいずれか1に記載の製造法。
【請求項9】
分散成分が無機高分子電解質の少なくとも1種である請求項1乃至8のいずれか1に記載の製造法。
【請求項10】
無機高分子電解質が、ポリリン酸、ポリリン酸のアルカリ塩、ホスホン酸とホスフィン酸の混合物および誘導体、ホスホン酸とホスフィン酸から誘導される塩およびこれらの混合物からなる群から選ばれる請求項9に記載の製造法。
【請求項11】
無機高分子電解質が、ヘキサメタリン酸、トリポリリン酸、ピロリン酸、ポリ珪酸およびこれらの酸の塩、1−ヒドロキシエチル−1,1−ジホスホン酸およびその塩、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸およびその塩、ヘキサメチレンジアミン四メチレンホスホン酸およびその塩、ジエチレントリアミン五メチレンホスホン酸およびその塩、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる請求項9または10に記載の製造法。
【請求項12】
分散成分が、分子量6000以下の荷電ポリマーである請求項1乃至8のいずれか1に記載の製造法。
【請求項13】
分散成分が、分子量2000〜5000の荷電ポリマーである請求項12に記載の製造法。
【請求項14】
分散成分が、ポリアクリル酸ナトリウムから選ばれる荷電ポリマーである請求項12または13に記載の製造法。
【請求項15】
使用する分散成分が、疑似層状珪酸塩鉱物、分散成分および水からなるペーストのpHを9以上に上昇しうる塩基の少なくとも1種である請求項1乃至8のいずれか1に記載の製造法。
【請求項16】
使用する分散成分が、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムおよび水酸化カリウムからなる群から選ばれる塩基の少なくとも1種である請求項1または15に記載の製造法。
【請求項17】
分散成分が、第3段階で得た分散液のpHを9以上に上昇しうる塩基から選ばれる第1分散剤と、無機高分子電解質から選ばれる第2分散剤からなる請求項1乃至14のいずれか1に記載の製造法。
【請求項18】
第3段階で強力ミキサーまたはターボミキサーを用いて、分散成分および水と共に均質に混合した分散液中にレオロジー生成物を得る請求項1乃至8のいずれか1に記載の製造法。
【請求項19】
第3段階の混合時間が5〜30分である請求項1乃至8のいずれか1に記載の製造法。
【請求項20】
第4段階をフラッシュ乾燥装置の使用で実施する請求項2乃至4のいずれか1に記載の製造法。
【請求項21】
第4段階の乾燥、粉砕および仕分けを、フラッシュ乾燥装置の使用で一段で行なう請求項2乃至4および20のいずれか1に記載の製造法。
【請求項22】
乾燥装置がミクロンフラッシュドライヤーである請求項20または21に記載の製造法。
【請求項23】
請求項1乃至22のいずれか1に記載の製造法に従って得られる疑似層状珪酸塩のレオロジーグレード生成物であって、
低剪断条件下で水に容易に分散でき、かつ高イオン力系または荷電系において高粘度を付与し;NaCl飽和水中6%濃度で分散したときの5rpmにおけるブルックフィールド粘度がレオロジー海泡石の場合で30000cp以上およびレオロジーアタパルガイトの場合で15000cp以上であることを特徴とする疑似層状珪酸塩のレオロジーグレード生成物。
【請求項24】
請求項1乃至22のいずれか1に記載の製造法に従って得られる疑似層状珪酸塩のレオロジーグレード生成物を使用する方法であって、
該レオロジー生成物を荷電系、電解質を持つ系およびこれらの組合せから選ばれる系に加えて、無機結合剤の少なくとも1種を有する建造配合物における懸濁状態のコンシステンシー、レオロジーおよびメインテナンスから選ばれる特性の少なくとも1つをコントロールすることを特徴とするレオロジー生成物の使用法。
【請求項25】
無機結合剤が、セメント、プラスター、モルタルおよびこれらの組合せから選ばれる請求項24に記載の使用法。
【請求項26】
請求項1乃至22のいずれか1に記載の製造法に従って得られる疑似層状珪酸塩のレオロジー生成物を使用する方法であって、
該レオロジー生成物を荷電系、電解質を持つ系およびこれらの組合せから選ばれる系に加えて、懸濁液の飼料配合物における懸濁状態のコンシステンシー、レオロジーおよびメインテナンスから選ばれる特性の少なくとも1つをコントロールすることを特徴とするレオロジー生成物の使用法。
【請求項27】
請求項1乃至22のいずれか1に記載の製造法に従って得られる疑似層状珪酸塩のレオロジー生成物を使用する方法であって、
該レオロジー生成物を荷電系、電解質を持つ系およびこれらの組合せから選ばれる系に加えて、肥料懸濁液における懸濁状態のコンシステンシー、レオロジーおよびメインテナンスから選ばれる特性の少なくとも1つをコントロールすることを特徴とするレオロジー生成物の使用法。
【請求項28】
請求項1乃至22のいずれか1に記載の製造法に従って得られる疑似層状珪酸塩のレオロジー生成物を使用する方法であって、
該レオロジー生成物を荷電系、電解質を持つ系およびこれらの組合せから選ばれる系に加えて、アスファルトエマルジョンにおける乳濁状態のコンシステンシー、レオロジーおよびメインテナンスから選ばれる特性の少なくとも1つをコントロールすることを特徴とするレオロジー生成物の使用法。
【請求項29】
レオロジー生成物がレオロジー海泡石である請求項24乃至28のいずれか1に記載の使用法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−517750(P2007−517750A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541961(P2006−541961)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【国際出願番号】PCT/ES2004/000490
【国際公開番号】WO2005/054131
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506129359)トルサ・ソシエダッド・アノニマ (2)
【氏名又は名称原語表記】TOLSA, S.A.
【Fターム(参考)】