説明

疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液

【課題】コンタクトレンズ装用等による疲れ目又はかすみ目を改善するための疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液を提供する。
【解決手段】(A)セルロース系高分子化合物、ビニル系高分子化合物及びデキストランからなる群より選択される1種以上を含有する、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液に関する。さらに詳しくは、本発明は、コンタクトレンズに適用し、該レンズを装用することによって疲れ目及び/又はかすみ目を改善するためのコンタクトレンズ装着液に関する。本発明は、また、装着、点眼の両方に使用することのできる疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着点眼液に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活様式の変化に伴って目の疲れを訴える人が増加しており、その対応策として、例えば点眼薬や内服薬、温感や冷感を与える商品、目周辺のマッサージ機など、多岐にわたる商品が開発されている。
目の疲れを引き起こす原因として、読書、注視作業、観察作業などの目の酷使や精神的緊張によるものが挙げられるが、近年では、パーソナルコンピューターの普及に伴い急激に増加してきたVDT(Visual Display Terminal)作業による目の疲れが非常に多くなっている。目の疲れを訴える患者は、一般に、目の奥の痛み、眼のかすみ、目の乾き、肩こり、頭重などの症状も併発しており、目の疲れが甚だしい時には、悪心、吐気を伴う場合がある。これらの症状は毛様体筋が長時間の注視作業などにより過度の緊張状態に陥り、目の調節機能が低下することが要因となって起こると指摘されている。
【0003】
また、コンタクトレンズの装用は目の疲れを促進し、悪化させる場合が多く、コンタクトレンズ装用者の主な愁訴として、目の疲れは上位に挙げられている。この中でも、コンタクトレンズの装用中のVDT作業による目の疲れを訴えるものが特に多い。
【0004】
従来、目の疲れを改善するための点眼液には、一般点眼薬に配合可能な成分を中心として、メチル硫酸ネオスチグミンやビタミンB2、ビタミンB6、パンテノールをはじめとするビタミン類などが配合されている。さらに、タウリンおよびメントールを配合した眼精疲労改善用点眼液(特許文献1)、タウリン、メントール、メチル硫酸ネオスチグミン、ビタミンEアセテートからなる眼精疲労改善用点眼液(特許文献2)、カフェインを有効成分として配合した眼精疲労用点眼剤(特許文献3)などが開示されている。
しかし、前述のような成分は、成分の種類によってはコンタクトレンズに吸着したり、コンタクトレンズのサイズやベースカーブ等の規格や、形状に影響を及ぼす恐れがあり、コンタクトレンズ装用者にとっては必ずしも安全でないばかりか、疲れ目改善効果が十分でない、等の問題点があった。
【0005】
また、目のかすみに関しては、目の疲れに伴い発生し得る他、加齢、結膜炎、コンタクトレンズ装用、目やに等と関連して症状を訴える人が多い。このような訴えに対しては、従来、例えばブルーベリー等の食品の摂取や、外科的手術、点眼液などが用いられている。また、目のかすみを改善するための眼科用組成物としては、例えばプロアントシアニジンを含有するアイマスクや軟膏剤の使用(特許文献4)が知られている。
【0006】
しかし特に目のかすみを訴える患者がコンタクトレンズ装用者である場合、コンタクトレンズ装用中に点眼液や前述の軟膏剤等を使用すると、成分の種類によってはコンタクトレンズに吸着したり、コンタクトレンズの規格に影響を及ぼす恐れがあり、必ずしも安全でないばかりか、かすみ目改善効果が十分でない、等の問題点があった。
【0007】
一方、コンタクトレンズ装着液は、従来、起床時にコンタクトレンズを装着する際に、異物感を和らげ、コンタクトレンズを目に装着し易くする(目に着けやすくする)目的で用いられており、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用としての用途では使用されていなかった。
【0008】
【特許文献1】特開平9−40549
【特許文献2】特開平9−143064
【特許文献3】特開2000−247885
【特許文献4】特開2004−277350
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、コンタクトレンズ装用者が安全に使用でき、しかも優れた疲れ目改善効果及び/又はかすみ目改善効果を有する眼科用組成物を提供する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、コンタクトレンズ装用者が安全に使用でき、しかも優れた効果を有する疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用組成物を開発するために研究を重ねた結果、ある特定成分を含有する組成物を、コンタクトレンズ装着液の形態にすると、意外なことに疲れ目及び/又はかすみ目を効果的に改善することができる、という事を見出した。前述の通り、従来は、コンタクトレンズの装用は、通常、疲れ目及び/又はかすみ目を促進又は悪化させるとされており、そのためコンタクトレンズの装着によって疲れ目及び/又はかすみ目を改善することが可能である、という上記の知見は、全く予想外のことである。
具体的には、本発明者らは、(A)セルロース系高分子化合物、ビニル系高分子化合物及びデキストランからなる群より選択される1種以上を必須成分として含有するコンタクトレンズ装着液が、上記の課題を解決し、優れた疲れ目改善効果及び/又はかすみ目改善効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、下記に掲げる発明である。
(1)(A)セルロース系高分子化合物、ビニル系高分子化合物及びデキストランからなる群より選択される1種以上を含有する、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
(2)(A)成分を0.0001〜25(w/v)%の割合で含有する、(1)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
(3)さらに、(B)アミノ酸類を含有する、(1)又は(2)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
(4)(B)成分が、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アスパラギン酸、アミノエチルスルホン酸、イプシロンアミノカプロン酸、及びそれらの塩からなる群より選択される1種以上である、(3)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
(5)(B)成分を0.0001〜10(w/v)%の割合で含有する、(3)又は(4)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
(6)さらに、(C)テルペノイドを含有する、(1)乃至(5)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
(7)テルペノイドが、メントールである、(6)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
(8)(C)成分を0.0001〜0.1(w/v)%の割合で含有する、(6)又は(7)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
(9)さらに(D)成分として非イオン性界面活性剤を含有する、(1)〜(8)のいずれかに記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
(10)(D)成分が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体からなる群より選択される1種以上である、(9)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
(11)(D)成分が、ポリソルベート80である、(9)又は(10)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
(12)(D)成分を0.001〜5(w/v)%の割合で含有する、(9)〜(11)のいずれかに記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
(13)コンタクトレンズが、ソフトコンタクトレンズである、(1)〜(12)のいずれかに記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
(14)ソフトコンタクトレンズが、原則としてソフトコンタクトレンズ分類グループIVのソフトコンタクトレンズである、(13)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
(15)ソフトコンタクトレンズが、シリコーンハイドロゲル素材のソフトコンタクトレンズである、(13)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
(16)(A)セルロース系高分子化合物、ビニル系高分子化合物及びデキストランからなる群より選択される1種以上を含有する、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着点眼液。
(17)(A)成分を0.0001〜25(w/v)%の割合で含有する、(16)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着点眼液。
(18)さらに、(B)アミノ酸類を含有する、(16)又は(17)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着点眼液。
(19)(B)成分が、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アスパラギン酸、アミノエチルスルホン酸、イプシロンアミノカプロン酸、及びそれらの塩からなる群より選択される1種以上である、(18)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着点眼液。
(20)(B)成分を0.0001〜10(w/v)%の割合で含有する、(18)又は(19)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着点眼液。
(21)さらに、(C)テルペノイドを含有する、(16)乃至(20)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着点眼液。
(22)テルペノイドが、メントールである、(21)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着点眼液。
(23)(C)成分を0.0001〜0.1(w/v)%の割合で含有する、(21)又は(22)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着点眼液。
(24)さらに(D)成分として非イオン性界面活性剤を含有する、(16)〜(23)のいずれかに記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着点眼液。
(25)(D)成分が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体からなる群より選択される1種以上である、(24)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着点眼液。
(26)(D)成分が、ポリソルベート80である、(24)又は(25)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着点眼液。
(27)(D)成分を0.001〜5(w/v)%の割合で含有する、(24)〜(26)のいずれかに記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着点眼液。
(28)コンタクトレンズが、ソフトコンタクトレンズである、(16)〜(27)のいずれかに記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着点眼液。
(29)ソフトコンタクトレンズが、原則としてソフトコンタクトレンズ分類グループIVのソフトコンタクトレンズである、(28)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着点眼液。
(30)ソフトコンタクトレンズが、シリコーンハイドロゲル素材のソフトコンタクトレンズである、(28)に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着点眼液。
【発明の効果】
【0012】
本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液によれば、本品をコンタクトレンズに直接滴下し、該コンタクトレンズを装着する事により、疲れ目及び/又はかすみ目を効果的に低減/改善することができる。従って、本発明のコンタクトレンズ装着液によれば、コンタクトレンズと組み合わせて使用することで、コンタクトレンズの使用者のみならず、非使用者における疲れ目症状及び/又はかすみ目症状を治療することも可能である。なお、本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液は、場合によっては、装着点眼液として、コンタクトレンズの装着、コンタクトレンズ装用中の点眼の両方に使用することで、一層優れた疲れ目改善効果及び/又はかすみ目改善効果を発揮しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書中、「装着」と言う表記は、コンタクトレンズを「目に着ける」行為(操作)を表し、「装用」と言う表記は、コンタクトレンズが「角膜上にある」状態を表す。また「コンタクトレンズ装用者」とは、コンタクトレンズを日常的(daily)に、もしくは機会に応じて(occasionaly)使用する人を表す。
本明細書中、「%」と言う表記は、特記しない限りw/v%、即ち溶液100mLに溶けている各成分(溶質)の重量gを意味するものである。
【0014】
また、「コンタクトレンズ」という語句は、特記しない限り、ハード、酸素透過性ハード、ソフト等のあらゆるタイプのコンタクトレンズを包含する意味で用いる。
【0015】
また、本明細書において、「ソフトコンタクトレンズ分類」とは、平成11年3月31日付医薬審第645号厚生労働省(当時の厚生省)医薬安全局審査管理課長通知「ソフトコンタクトレンズ及びソフトコンタクトレンズ用消毒剤の製造(輸入)承認申請に際し添付すべき資料の取り扱い等について」において規定された「ソフトコンタクトレンズの分類方法について」に基づくSCLの分類であり、該分類においてグループIVに属するSCLは、含水率が50%以上であり、原材料ポリマーの構成モノマーのうち陰イオンを有するモノマーのモル%が1%以上であることを共通の性質として有する。尚、本分類はFDA(米国食品医薬品局)が行なっているソフトコンタクトレンズの分類方法に従っている。また、「原則として」とは、材質、機能等の点で、当業者が該分類に属するものと同等と理解しうるソフトコンタクトレンズを包含することを意味する。
【0016】
また、シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズとは、シリコーンを含有する素材(例えばシリコーンとアクリレートの重合体であるTRIS又はTRIS誘導体等)に親水性モノマー(例えばヒドロキエシエチルメタクリレート、ジメチルアクリルアミド等)を共重合させた素材を用いたコンタクトレンズであり、USAN(United State Adopted Name)に基づく素材の名称としては、例えばLotrafilconA、LotrafilconB、BalafilconA、GalyfilconA、SenofilconAなどが挙げられる。
【0017】
本発明における疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液は、(A)セルロース系高分子化合物、ビニル系高分子化合物及びデキストランからなる群より選択される1種以上を含有することで、疲れ目及び/又はかすみ目を改善する。これら(A)成分の、疲れ目改善効果及び/又はかすみ目改善効果については知られていない。
【0018】
本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液は、セルロース系高分子化合物、ビニル系高分子化合物及びデキストランからなる群より選択される1種以上(以下、単に(A)成分と表記することもある)を含有する。
セルロース系高分子化合物としては、セルロースのヒドロキシル基を他の官能基で置き換えることで得られるセルロース系高分子化合物であって、水性組成物に粘性を付与することができ、コンタクトレンズに対して適用可能な化合物を用いることができる。セルロースのヒドロキシル基を置換する官能基としてはメトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシメトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、カルボキシメトキシ基、カルボキシエトキシ基等がある。セルロース系高分子化合物を例示すると、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロースまたはこれらの塩などを挙げることができる。ここで、塩としては薬理学的に許容される塩が好ましく、中でもアルカリ金属塩がさらに好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩などが特に好ましい。本発明に用いるセルロース系高分子化合物は、置換基の置換度や分子量に制限はないが、例えば、重量平均分子量0.5万〜100万、好ましくは1万〜50万、さらに好ましくは1万〜10万程度のものを使用することができる。また、これらのセルロース系高分子化合物は、市販のものを用いることができ、これらの化合物の1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、本発明の効果をより一層高める観点から、好ましくは、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上である。より好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、特に好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースである。
【0019】
本発明における疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液中のセルロース系高分子化合物の含有量は、化合物の種類や分子量によっても異なるので限定されるものではないが、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液の総量に対し、これらの化合物が総量で、通常0.0001〜25%、好ましくは0.001〜10%、より好ましくは0.001〜7%、更に好ましくは0.005〜5%、特に好ましくは0.01〜2%、更に特に好ましくは0.2〜2%である。
【0020】
ビニル系高分子化合物としては、水性組成物に粘性を付与することができコンタクトレンズに対して適用可能な化合物を用いることができる。ビニル系高分子化合物を例示すると、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)などのビニルアルコール系高分子、、ポリビニルピロリドンなどのビニルピロリドン系高分子、カルボキシビニルポリマー等を挙げることができる。本発明に用いるビニル系高分子化合物は、その分子量に制限はないが、例えば重量平均分子量0.5万〜100万、好ましくは1万〜50万、さらに好ましくは1万〜40万程度のものを使用することができる。また、これらのビニル系高分子化合物は、市販のものを用いることができ、これらの化合物の1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、本発明の効果をより一層高める観点から、好ましくはポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK90、ポリビニルアルコール(部分ケン化物)、カルボキシビニルポリマーであり、より好ましくは、ポリビニルアルコール(部分ケン化物)、カルボキシビニルポリマーであり、特に好ましくはポリビニルアルコール(部分ケン化物)である。
【0021】
本発明における疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液中のビニル系高分子化合物の含有量は、化合物の種類や分子量によっても異なるので限定されるものではないが、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液の総量に対し、これらの化合物が総量で、通常0.001〜25%、好ましくは0.001〜10%、より好ましくは0.005〜5%、更に好ましくは0.01〜5%、特に好ましくは0.1〜3%である。
【0022】
デキストランはショ糖を原料としてある種の乳酸菌が生産する多糖を部分的に加水分解して得られる水溶性高分子化合物である。デキストランは重量平均分子量0.5万〜100万、好ましくは1万〜50万、さらに好ましくは1万〜10万程度のものを使用することができる。また、これらのデキストランは、市販のものを用いることができ、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、本発明の効果をより一層高める観点から、好ましくはデキストラン、デキストラン70、デキストラン40、特に好ましくは、デキストラン70である。
【0023】
本発明における疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液中のデキストランの含有量は、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液の総量に対し、これらが総量で通常0.001〜25%、好ましくは0.001〜10%、より好ましくは0.01〜10%、更に好ましくは0.01〜5%、特に好ましくは0.01〜1%、更に特に好ましくは0.01〜0.1%である。
【0024】
本発明における(A)成分は、1種または2種以上を組み合わせて使用することもできる。本発明の効果をより一層高める観点から、好ましい(A)成分としてはセルロース系高分子化合物であり、中でも特にヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
本発明における疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液中の(A)成分の含有量は、該コンタクトレンズ装着液の総量に対し、これらが総量で通常0.0001〜25%、好ましくは0.001〜10%、より好ましくは0.005〜10%、さらに好ましくは0.01〜7%、特に好ましくは0.01〜5%である。
【0025】
本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液は、必要に応じてアミノ酸類(以下、単に(B)成分と表記することもある)をさらに含有することができる。
本発明に用いるアミノ酸類とは、アミノ酸又はその塩、及びアミノ酸類似体を包含し、分子内にアミノ基とカルボキシル基又はスルホン基を有する化合物又はその誘導体を意味する。具体的にはアミノ酸又はその塩、ムコ多糖又はその誘導体又はそれらの塩が例示される。
【0026】
例えば、アミノ酸類のうち、アミノ酸またはその塩としては、グリシン、アラニン、アミノ酪酸、アミノ吉草酸、アミノカプロン酸等のモノアミノモノカルボン酸;アスパラギン酸、グルタミン酸等のモノアミノジカルボン酸又はそれらの塩;アルギニン、リジン等のジアミノモノカルボン酸又はそれらの塩;アミノエチルスルホン酸(タウリン)などの誘導体又はそれらの塩等である。また、アミノ酸類のうち、ムコ多糖またはその誘導体またはそれらの塩としては、例えば酸性ムコ多糖として、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などの誘導体又はそれらの塩等である。具体例として、グリシン、アラニン、γ―アミノ酪酸、γ―アミノ吉草酸、イプシロンアミノカプロン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸又はそれらの塩等が挙げられる。アミノ酸の塩又はムコ多糖の塩は、医薬上、薬理学的に又は生理学的に許容される塩を含む。そのような塩としては、有機酸との塩[例えば、モノカルボン酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩など)、多価カルボン酸塩(フマル酸塩、マレイン酸塩など)、オキシカルボン酸塩(乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩など)、有機スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩など)など]、無機酸との塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩など)、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリンなどの有機アミンとの塩など)、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウムなど)、アルミニウムなどの金属との塩など]などが例示でき、化合物によって適宜選択される。例えば、モノアミノジカルボン酸の場合は、無機塩基との塩が好ましく、特にアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が好ましい。
【0027】
好ましいアミノ酸類は、グリシン、アラニン、γ―アミノ酪酸、γ―アミノ吉草酸、イプシロンアミノカプロン酸、アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カルシウム、L−アスパラギン酸マグネシウム・カリウム(等量混合物)、グルタミン酸、塩酸グルタミン酸、グルタミン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等である。より好ましくは、イプシロンアミノカプロン酸、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、L−アスパラギン酸マグネシウム・カリウム(等量混合物)、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウムである。なお、本発明のアミノ酸類は、D体、L体、DL体のいずれでもよい。また、本発明のアミノ酸類は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
本発明における疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液中のアミノ酸類の含有量は、化合物の種類や分子量によっても異なるので限定されるものではないが、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液の総量に対し、これらの化合物の総量で、通常0.0001〜10%、好ましくは0.001〜10%、より好ましくは0.005〜8%、さらに好ましくは0.02〜5重量%、特に好ましくは0.05〜2%、更に特に好ましくは0.2〜2%である。
【0029】
本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液は、必要に応じてさらにテルペノイド(以下、単に(C)成分と表記することもある)を含有することができる。
本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液に用いられるテルペノイドとしては、メントール(l-メントール、dl-メントールなど)、メントン、カンフル(d-カンフル、dl-カンフルなど)、ボルネオール(d-ボルネオール、dl-ボルネオールなど)、ゲラニオール、シネオール、シトラール、リナロール、アネトール、リモネン、オイゲノール等が挙げられる。これらはd体、l体またはdl体のいずれでもよいが、本発明の効果をより一層高める観点から、l-メントール、d−カンフル、dl−カンフル、d−ボルネオール、dl−ボルネオール、ゲラニオールを用いることが好ましい。中でもl−メントール、d−カンフル、dl−カンフル、ゲラニオールが好ましく、さらに好ましくはl−メントールである。また、前記テルペノイドは、精油に含有した状態で使用することもでき、好ましい精油は、ハッカ油、ペパーミント油、ユーカリ油、ベルガモット油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ローズ油等である。これらのテルペノイドは、1種または2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0030】
本発明における疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液中のテルペノイドの含有量は、本発明の効果をより一層高める観点から、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液の総量に対し、これらが総量で通常0.0001〜0.1%であることが好ましい。より好ましくは0.0001〜0.07%であり、さらに好ましくは0.0005〜0.05%であり、特に好ましくは0.0005〜0.02%であり、さらに特に好ましくは0.002〜0.01%である。
尚、(C)成分としてテルペノイドを含む精油を使用する場合は、当該精油の配合割合は、配合される精油中のテルペノイド含有量が上記割合を満たすように設定される。
【0031】
本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液は、必要に応じて適当な非イオン性界面活性剤(以下、単に(D)成分と表記することもある)を含有することができる。
本発明に用いる非イオン性界面活性剤としては、通常当業者がコンタクトレンズ用眼科組成物に利用しうるものを用いることができ、例えばポロクサマー407 、ポロクサマー235 、ポロクサマー188 などのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(以下、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体とも言う。);ポロキサミンなどのエチレンジアミンのPOE-POPブロックコポリマー付加物;モノラウリル酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20) ,モノオレイン酸POE(20)ソルビタン (ポリソルベート80) ,POEソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60),POEソルビタントリステアレート(ポリソルベート65) などのPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POE硬化ヒマシ油5 ,POE硬化ヒマシ油10 ,POE硬化ヒマシ油20 ,POE硬化ヒマシ油40 ,POE硬化ヒマシ油50、POE硬化ヒマシ油60 ,POE硬化ヒマシ油100などのPOE硬化ヒマシ油類;POE(9) ラウリルエーテルなどのPOEアルキルエーテル類;POE(20)POP(4) セチルエーテルなどのPOE・POPアルキルエーテル類;POE(10)ノニルフェニルエーテルなどのPOEアルキルフェニルエーテル類などが挙げられる。なお、POEはポリオキシエチレンを示し、POPはポリオキシプロピレンを示し、括弧内の数字は付加モル数を示す。
なかでも好ましくは、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、POEソルビタン脂肪酸エステル類又はPOE硬化ヒマシ油類であり、中でも特に好ましくは、ポロクサマー407、ポリソルベート80、POE硬化ヒマシ油60である。
【0032】
本発明における疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液中の非イオン性界面活性剤の含有量は、界面活性剤の種類などによって異なるので一概に規定できないが、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液の総量に対し、これらが総量で、通常0.001〜5%、好ましくは0.001〜1.5%、より好ましくは0.001〜1%、さらに好ましくは0.005〜0.5%、特に好ましくは0.05〜0.3%である。
【0033】
本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液には、必要に応じて適当な緩衝剤を配合することが好ましい。本発明に用いる緩衝剤としては、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、HEPES緩衝剤、MOPS緩衝剤などが挙げられる。より具体的には、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、ホウ砂、メタホウ酸カリウム、リン酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、炭酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、HEPES、MOPSなどの化合物、これらの水和物、これらの群から選ばれる2種以上の化合物の組み合わせ等が挙げられる。
【0034】
好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤及びクエン酸緩衝剤である。特に好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤またはリン酸緩衝剤である。特に好ましい緩衝剤は、より具体的には、ホウ酸緩衝剤としてはホウ酸、ホウ酸アルカリ金属塩,ホウ酸アルカリ土類金属塩などのホウ酸塩、ホウ酸とホウ酸塩との組み合わせが挙げられ、特にホウ酸、ホウ砂が好ましく、リン酸緩衝剤としては、リン酸、リン酸アルカリ金属塩,リン酸アルカリ土類金属塩などのリン酸塩、それらの水和物、リン酸とリン酸塩との組み合わせが挙げられ、特にリン酸水素ナトリウム、リン酸ニ水素ナトリウム、それらの水和物が好ましい。
【0035】
本発明における疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液中の緩衝剤の含有量は、緩衝剤の種類などによって異なるので一概に規定できないが、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液の総量に対し、これらが総量で、通常0.001〜5%、好ましくは0.001〜3%、より好ましくは0.005〜2%、さらに好ましくは0.005〜1.5%である。
【0036】
本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液には、必要に応じて適当な無機塩類を配合することが好ましい。無機塩類としては、塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムが挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明における疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液中の無機塩類の含有量は、無機塩類の種類などによって異なるので一概に規定できないが、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液の総量に対し、これらが総量で、通常0.001〜5%、好ましくは0.01〜1.5%、より好ましくは0.1〜0.7%で用いられる。
【0037】
本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液には、必要に応じて適当なエチレンジアミン酢酸誘導体またはその塩を配合することが好ましい。かかるエチレンジアミン酢酸誘導体またはその塩としては、例えば、エデト酸(エチレンジアミン四酢酸,EDTA)、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)またはそれらの塩などが例示できる。エチレンジアミン酢酸誘導体の塩は、薬理学的に又は生理学的に許容される塩を含み、例えばアルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)との塩、アルカリ土類金属(カルシウムなど)との塩などが挙げられる。なかでも好ましくは、エチレンジアミン四酢酸またはその塩であり、例えばエチレンジアミン四酢酸カルシウムニナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物(以下、エデト酸ナトリウムともいう。)であり、特に好ましくはエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物である。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いる事ができる。
【0038】
本発明における疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液中のエチレンジアミン酢酸誘導体またはその塩の含有量は分子量や種類などによって異なるので一概に規定できないが、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液の総量に対し、これらが総量で、好ましくは0.0001〜1%、より好ましくは0.0005〜0.5%、さらに好ましくは0.001〜0.3%、特に好ましくは0.001〜0.05%である。
【0039】
また、さらに本発明の効果を発揮するために、エチレンジアミン酢酸誘導体またはその塩、非イオン性界面活性剤、無機塩類、緩衝剤を組み合わせて配合することがより好ましい。
本発明における疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液中のエチレンジアミン酢酸誘導体またはその塩、非イオン性界面活性剤、無機塩類、緩衝剤の含有量は、該コンタクトレンズ装着液の総量に対し、これらが総量で、0.01〜5%が好ましく、特に好ましくは0.05〜3%である。
【0040】
本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液は、コンタクトレンズのなかでも特に、ソフトコンタクトレンズ用に用いるのが好適である。ソフトコンタクトレンズは、面積が大きい為、角膜の表面をより広く覆っていることから、本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液の効果をより有効に発揮する事ができる。中でも、ソフトコンタクトレンズ分類グループIVのソフトコンタクトレンズや、シリコーンハイドロゲル素材のソフトコンタクトレンズにおいて、より顕著な効果を発揮するため、これらのコンタクトレンズ用としてより好適に用いる事ができる。
【0041】
また、本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液には、発明の効果を損なわない範囲でその用途や形態に応じて、常法に従い、様々な成分や添加物を適宜選択し、一種またはそれ以上を含有させてもよい。それらの成分または添加物として、例えば、半固形剤や液剤などの調製に一般的に使用される担体(水、水性溶媒、水性または油性基剤など)、糖類、糖アルコール類、界面活性剤、防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤、pH調整剤、等張化剤、安定剤などの各種添加剤を挙げることができる。
【0042】
以下に本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液に使用される代表的な成分を例示するが、これらに限定されない。
糖類:例えば、グルコース、シクロデキストリンなど。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなど。
界面活性剤:例えば、上記した非イオン性界面活性剤以外にも、アルキルジアミノエチルグリシンなどのグリシン型両性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩(具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどの陽イオン界面活性剤など。)など。
【0043】
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、ポリヘキサメチレンビグアニド又はその塩酸塩など)、塩化ポリドロニウム、グローキル(ローディア社製 商品名)など。
【0044】
pH調整剤:例えば、塩酸、ホウ酸、イプシロン−アミノカプロン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ砂、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなど。
等張化剤:例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコールなど。
【0045】
安定剤:ジブチルヒドロキシトルエン、トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウムなど。
【0046】
尚、本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液は、眼科組成物に通常用いられる充血除去成分、眼筋調節薬成分、抗炎症薬成分または収斂薬成分、抗ヒスタミン薬成分、ビタミン類などの一部は、可能な限り含まない事が望ましい。これらの成分は、コンタクトレンズ装着液として用いた場合、配合濃度や処方によっては、コンタクトレンズに吸着したり、コンタクトレンズのサイズやベースカーブ等の規格や形状を変化させたり、コンタクトレンズを着色させる等の問題点があり得る。またその結果、本発明の効果を十分に発揮できない可能性がある。そのような成分としては、以下に挙げる成分が例示できる。
【0047】
充血除去成分:例えば、α−アドレナリン作動薬、具体的にはエピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリン、酒石酸水素エピネフリン、硝酸ナファゾリンなど。
眼筋調節薬成分:例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはメチル硫酸ネオスチグミン、トロピカミド、ヘレニエン硫酸アトロピンなど。
【0048】
抗炎症薬成分または収斂薬成分:例えば、インドメタシン、硝酸銀、プラノプロフェン、グリチルリチン酸二カリウム、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリンなど。
抗ヒスタミン薬成分:例えば、塩酸ジフェンヒドラミンなど。
【0049】
ビタミン類:例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウムなど。
【0050】
本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液は、所望の効果を得るために適切な粘度に初期設定して設定粘度を長期的に安定に保持することができる。該コンタクトレンズ装着液の粘度を設定する場合において、20℃における粘度が1.1mPa・s以上に保持して設計することが好ましく、通常1.1〜300mPa・s、好ましくは、1.3〜100mPa・s、特に好ましくは1.5〜80mPa・sに設計することができる。
【0051】
粘度の測定は、円すい一平板形回転粘度計を用いる方法(第十四改正日本薬局法に記載の、一般試験法、45.粘度測定法、第2法回転粘度計法、「(3)円すい−平板形回転粘度計」の項に記載の方法)に従い、具体的には、市販の円すい−平板形回転粘度計と適宜選択されたロータとを用いて測定することができる。例えば、市販のE型粘度計[トキメック(TOKIMED)製、東機産業(日本)から販売]と適宜選択されたローターを用い、披検試料測定毎にJIS Z8809により規定されている石油系の炭化水素油(ニュートン流体)を校正用標準液として調整することにより、20℃における粘度を測定することができる。具体的には、特開2006-348055に記載の粘度測定方法に従う(測定条件については後述)。
【0052】
本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液は、必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧に調整して用いる。浸透圧は、生理食塩液に対する浸透圧比として、通常、0.3〜4.1、好ましくは0.4〜4.1、好ましくは0.3〜2.1、特に好ましくは0.5〜1.4である。浸透圧比の測定方法は、第15改正日本薬局方 一般試験法 浸透圧測定法を参考にする。
【0053】
本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液は、必要に応じて、生体に適用可能な範囲内のpHに調整して用いる。pHは、通常、pH4.0〜9.0、好ましくは5.0〜8.5、特に好ましくは5.5〜8.5である。pHの調整は、前記緩衝剤、pH調整剤などを用いて行うことができる。
【0054】
本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液は、公知の方法により製造でき、必要により、ろ過滅菌処理工程や、容器への充填工程等を加えることができる。
【0055】
本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液の使用方法としては、コンタクトレンズ装着時(装着する直前)に、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液を直接コンタクトレンズに滴下し、コンタクトレンズの両面もしくは片面を適量(例えば、好適には1回1〜3滴)で濡らしたのち、該コンタクトレンズを装着して使用する方法などが挙げられる。
【0056】
さらに、前述のような使用方法によりコンタクトレンズを装着した後、該疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液を適量(例えば、好適には1回1〜3滴)点眼して使用すると、より顕著に発明の効果を発揮する事ができる。なお、このように、コンタクトレンズ装着液としての機能と、コンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼液としての機能の両方を同時に併せ持つ眼科用組成物を、本明細書において「コンタクトレンズ装着点眼液」と記載する事もある。即ち本発明は、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着点眼液を包含する。また、当該コンタクトレンズ装着点眼液において、使用する成分の種類や濃度(配合割合)、適用できるコンタクトレンズの種類等については、前記疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液と同様である。
【0057】
本発明は、また、以下の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズの調製方法をも包含する。即ち、本発明の疲れ目改善用コンタクトレンズ装着液を、直接コンタクトレンズに滴下し、コンタクトレンズの両面もしくは片面を適量(例えば、好適には1回1〜2滴)で濡らす事により、疲れ目の改善及び/又はかすみ目の改善に優れた効果を示す疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズを調製する。該コンタクトレンズを通常の方法で装着或いは装用する事により、疲れ目及び/又はかすみ目を改善する事ができる。なお、該コンタクトレンズを目に装着した後、本発明の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液を点眼する事により、該疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズの効果が一層高められる。
【実施例】
【0058】
以下に、実施例及び比較例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
尚、各実施例及び比較例の粘度は、E型粘度計の1種であるTVE−20L形粘度計コーンプレートタイプ(トキメック(TOKIMEC)製、東機産業(日本))を用い、適当な測定条件下、特開2006-348055に記載の粘度測定方法に従って行うことができる。好ましい測定条件は以下の通りである。
使用ローター:標準ローター(1°34′、R=2.4Dm)
回転数 :100rpm (尚、粘度により回転数の許容範囲が異なる為、各処方に応じて測定可能な回転数のうち、最も高い回転数で測定する。)
試料量 :1ml
測定温度 :20℃
時間 :3分後の粘度を測定値とする。
また、実施例中では、本発明の「疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液」を、単に「コンタクトレンズ装着液」と略称する。
【0059】
実験例1 疲れ目改善効果の評価試験1
表1に示す組成のコンタクトレンズ装着液(実施例1、2-1、2-2、比較例1)を用いて、疲れ目改善効果を評価した。

【表1】

【0060】
具体的には、コンタクトレンズを週5日以上装用しており、疲れ目を感じ易い5名の被験者が、コンタクトレンズを装用した状態でVDT作業(パソコン画面を見ながらの文字入力作業)を1時間実施することにより、目に負荷をかけた。
次いで、コンタクトレンズを装用した状態でフリッカー値(投与前フリッカー値)を測定した。
次いで、一旦両眼のコンタクトレンズを外し、実施例1のコンタクトレンズ装着液を直接コンタクトレンズの凹面(内側、角膜と接触する面)に片方のレンズにつき1滴ずつ滴下し、再びコンタクトレンズを両眼に装着し、再度、フリッカー値(投与後フリッカー値)を測定した。
次に十分な時間を置き、実施例1と同様の手順で実施例2-1、2-2及び比較例1についても投与後フリッカー値を測定した。
なお、被験者が装用しているコンタクトレンズは、(1)ボシュロム社製 ソフトコンタクトレンズ分類グループI、(2)ジョンソン&ジョンソン社製 ソフトコンタクトレンズ分類グループIV、(3)チバビジョン社製 素材:LotrafilconA(シリコーンハイドロゲル素材) ソフトコンタクトレンズ分類グループIであった。
【0061】
なお、フリッカー値とは、点滅光の点滅周波数を次第に高くしていった際に、肉眼により点滅を識別できなくなる臨界周波数のことである。フリッカー値を指標として、目の疲れや、知覚機能の低下について測定する事が可能である。即ちフリッカー値の改善は、目の疲れ(特に知覚機能の低下を伴う肉体的・精神的疲労から生じる目の疲れ)や、眼精疲労の改善の指標となる。
本試験おいて、フリッカー値は、下記の装置及び条件で測定した。
装置名:労研デジタルフリッカー値測定器 RDF-1(柴田科学株式会社 製)
照度 :測定者の見易い照度に設定
距離 :測定者の見易い位置(「K」の文字が最も明確に見える位置)に設定
SCANつまみ(下降させる初期フリッカー周波数) :60Hz
MANU-AUTO :AUTOに設定
測定されたフリッカー値より、下記の数1の式により疲れ目改善率(フリッカー値の改善率)を求めた。
【数1】

【0062】
被験者5名の結果の平均を図1に示す。この結果、5名の被験者の平均値において、実施例1、2-1、2-2の処方ではフリッカー値改善率の向上が見られた。中でも(2)ジョンソン&ジョンソン社製 ソフトコンタクトレンズ分類グループIV、(3)チバビジョン社製 素材:LotrafilconA(シリコーンハイドロゲル素材)のコンタクトレンズ使用者において、特にフリッカー値改善率の向上が顕著であった。これに対し、比較例1の処方の場合、フリッカー値改善率は1%未満であった。尚、当業界においては、フリッカー値の改善率として約3%を基準とし、効果(明確な変化)の有無が判定される事が一般的であると考えられる。以上の結果から、本発明のコンタクトレンズ装着液は、疲れ目改善効果(特に全身性の疲労から生じる目の疲れ)や、眼精疲労改善効果に優れており、疲れ目改善用コンタクトレンズ装着液として有用性が高いことが確認された。
【0063】
実験例2 疲れ目改善効果の評価試験2
表1に示す実施例2-1の組成のコンタクトレンズ装着液の疲れ目改善効果を、以下の方法で評価した。
具体的には、コンタクトレンズを週5日以上装用しており、疲れ目を感じ易い4名の被験者に対して、コンタクトレンズを8時間以上終日装用させ、その後コンタクトレンズを装用した状態のフリッカー値(投与前フリッカー値)を測定した。尚、被験者の使用しているコンタクトレンズは、(1)ボシュロム社製 ソフトコンタクトレンズ分類グループI、(2)ジョンソン&ジョンソン社製 ソフトコンタクトレンズ分類グループIV、(3)チバビジョン社製 素材:LotrafilconA(シリコーンハイドロゲル素材) ソフトコンタクトレンズ分類グループIであった。次いで、実施例2-1のコンタクトレンズ装着液を用い、コンタクトレンズを装用した上から両眼に1滴ずつ点眼して、再度、フリッカー値(投与後フリッカー値)を測定した(試験1)。さらに試験1の30分後に、再度実施例2-1のコンタクトレンズ装着液を両眼に1滴ずつ点眼し、フリッカー値(投与後フリッカー値)を測定した(試験2)。
【0064】
次に十分な時間を置き、前述と同様の手順で試験前フリッカー値を測定した後、一旦両眼のコンタクトレンズを外し、実施例2-1のコンタクトレンズ装着液を直接コンタクトレンズの凹面(内側、角膜と接触する面)に片方のレンズにつき1滴ずつ滴下し、再びコンタクトレンズを両眼に装着し、再度、フリッカー値(投与後フリッカー値)を測定した(試験3)。さらに試験3の30分後に、実施例2-1のコンタクトレンズ装着液を両眼に1滴ずつ点眼し、フリッカー値(投与後フリッカー値)を測定した(試験4)。
なお、測定機器及び測定条件は、実験例1と同様とした。
測定されたフリッカー値より、前述の数1の式によりフリッカー値改善率を求めた。
【0065】
被験者4名の結果の平均を図2に示す。この結果、4名の被験者の全てにおいて、試験3及び試験4では、投与前と比較してフリッカー値改善率の顕著な増大が見られた。特に試験4では、試験3と比較してもはるかに優れたフリッカー値改善率が得られていることから、実施例2-1を用いてコンタクトレンズを装着した後、さらに実施例2-1を点眼する事により、より一層高い効果が奏される事が明らかになった。尚、中でも(2)ジョンソン&ジョンソン社製 ソフトコンタクトレンズ分類グループIV、(3)チバビジョン社製 素材:LotrafilconA(シリコーンハイドロゲル素材)のコンタクトレンズ使用者において、特にフリッカー値改善率の増大が顕著であった。
これに対し、試験1及び試験2においては、フリッカー値改善率は投与前と比較して殆ど増大していなかった。以上の結果から、本発明のコンタクトレンズ装着液は、同じ処方を点眼液としてのみで使用した場合と比較し、疲れ目改善効果、眼精疲労改善効果、或いは肉体的・精神的疲労の改善効果に顕著に優れており、疲れ目改善用コンタクトレンズ装着液として有用性が高いことが確認された。
【0066】
実験例3 かすみ目改善効果の評価試験
表2に示す組成のコンタクトレンズ装着液のかすみ目改善効果を、以下の方法で評価した。
【表2】

具体的には、コンタクトレンズを週5日以上装用しており、かすみ目を感じ易い4名の被験者に対して、コンタクトレンズを装用した状態でVDT作業(パソコン画面を見ながらの文字入力作業)を1時間実施して、被験者の目に負荷をかけた状態でのかすみ目度を測定した(投与前かすみ目度)。
次いで、一旦両眼のコンタクトレンズを外し、実施例1のコンタクトレンズ装着液を直接コンタクトレンズの凹面(内側、角膜と接触する面)に片方のレンズにつき1滴ずつ滴下し、再びコンタクトレンズを両眼に装着し、かすみ目度(投与後かすみ目度)を測定した。さらにその30分後に、再度実施例1の装着液を両眼に1滴ずつ点眼した後にかすみ目度(投与後かすみ目度)を測定した。
【0067】
尚、被験者の使用しているコンタクトレンズは、(1)ボシュロム社製 ソフトコンタクトレンズ分類グループI、(2)ジョンソン&ジョンソン社製 ソフトコンタクトレンズ分類グループIV、(3)チバビジョン社製 素材:LotrafilconA(シリコーンハイドロゲル素材)ソフトコンタクトレンズ分類グループIであった。
【0068】
尚、かすみ目度は、以下の手順で測定した。視力検査器(CV-500:(株)トーメー製 5m用)において、被験者がコンタクトレンズを装用した状態での通常の矯正視力(VDT作業前)を挟んで、一段階高い視力から三段階低い視力までの指標{ランドルト環(3列、5段、計15個)及び平仮名(2列、5段、計10個)}計25個について、左右片目ずつ5メートルの距離から順番に観察した{例えば、通常の矯正視力が1.0の被験者の場合、視力検査器の1.2、1.0、0.9、0.8、0.7の段に描かれた5列、計25個の指標(ランドルト環及び平仮名)について、観察した}。25個の指標について、各々輪郭を認識できた場合には判定○、認識できなかった場合には判定×とし、判定○の総数をその被験者の「かすみ目度」として採用した。その後、下記の数2の式によりかすみ目改善度を求めた。
【数2】

【0069】
被験者4名の結果の平均を表3に示す。
【表3】

実施例1及び実施例2−1では、かすみ目改善度の顕著な増大が見られた。またいずれの実施例においても、装着のみを行った後よりも、装着後にさらに点眼を行った後の方がかすみ目改善度が優れていた。この結果は、実施例1もしくは2−1の組成物を用いてコンタクトレンズを装着した後、同一処方の組成物を点眼液として使用することによって、より一層高いかすみ目改善効果が奏される事を示している。尚、中でも(2)ジョンソン&ジョンソン社製 ソフトコンタクトレンズ分類グループIV、(3)チバビジョン社製 素材:LotrafilconA(シリコーンハイドロゲル素材)のコンタクトレンズ使用者において、かすみ目改善度の増大が顕著であった。
これに対し、比較例1の処方では、装着後、装着+点眼後のいずれの場合にも、かすみ目改善度の増大は殆ど認められなかった。以上の結果から、本発明のコンタクトレンズ装着液は、かすみ目に対して顕著な改善効果を有することが明らかである。また、この試験により、本発明のコンタクトレンズ装着液は、かすみ目改善用コンタクトレンズ装着液として有用性が高いことが確認された。またさらに、この試験により、本発明のコンタクトレンズ装着液は、視力増強効果、ピント調節能改善効果にも顕著に優れている事が判明した。
【0070】
実験例4 疲れ目改善又はかすみ目改善に関する実効感(自覚症状の変化)の評価
表4に示す組成のコンタクトレンズ装着液の実効感についてそれぞれ4名の被験者により評価した。
【表4】

【0071】
具体的には、コンタクトレンズを週5日以上装用している4名の被験者に対し、実施例2-2及び比較例1のコンタクトレンズ装着液を用いてコンタクトレンズを装着させ、使用前と比較した場合の疲れ目改善又はかすみ目改善の実効感について評価を行った。
疲れ目に対する実効感の評価項目については、(1)頭がしゃきっとした、(2)眼の疲れがとれた、(3)体がかるくなった、という3つの項目について、表5の基準に従い7段階評価(−3〜+3)を行い、その総得点を疲れ目改善指数として算出した。また、かすみ目に対する実効感の評価項目については、(1)眼が潤った、(2)視界がすっきりした、(3)全体的に明るく見える、という3つの項目について、同じく7段階評価を行い、その総得点をかすみ目改善指数として算出した。さらに4名の疲れ目改善指数の和、又はかすみ目改善指数の和をそれぞれ算出した。
【表5】

【0072】
結果を図3及び図4に示す。図3の結果より、実施例2-2と比較例1の試験液とを比較した場合、実施例2-2の方がはるかに優れた疲れ目改善指数を示し、図4の結果より、実施例2-2と比較例1の試験液とを比較した場合、実施例2-2の方がはるかに優れたかすみ目改善指数を示すことが確認された。
また、実施例2-1及び実施例2-3についても、同様に比較例1の試験液との比較を実施したところ、実施例2-2と同様に比較例1と比較してはるかに優れた疲れ目改善指数及びかすみ目改善指数を示すことが確認された。
この結果から、本発明のコンタクトレンズ装着液による疲れ目改善効果及びかすみ目改善効果が、実効感の上でも確認された。
【0073】
実施例3−46
表6〜表13に記載の処方で、本発明のコンタクトレンズ装着液(実施例3−46)を調製した。なお、表6〜表13中、各配合成分の単位はg/100mLである。これらの実施例はいずれも、実験例1〜4の試験において、上記実施例1、実施例2-1、実施例2-2、実施例2-3と同様の発明の効果を示した。
【0074】
【表6】

【0075】
【表7】

【0076】
【表8】

【0077】
【表9】

【0078】
【表10】

【0079】
【表11】

【0080】
【表12】

【0081】
【表13】

【0082】
処方例1−20
表14〜表17に記載の処方で、コンタクトレンズ用装着点眼液(処方例1−20)を調製した。なお、表14〜表17中、各配合成分の単位はg/100mLである。
【表14】

1)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 商品名:65SH-4000 信越化学工業株式会社
2)商品名: CF−V 住友精化株式会社
3)商品名: AGガムM 第一工業製薬株式会社
4)商品名: SM8000 信越化学工業株式会社
【0083】
【表15】

【0084】
【表16】

1)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 商品名:65SH-4000 信越化学工業株式会社
2)商品名: CF−V 住友精化株式会社
3)商品名: AGガムM 第一工業製薬株式会社
4)商品名: SM8000 信越化学工業株式会社
【0085】
【表17】

【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】実験例1に記載のフリッカー値改善率(平均値)を示す図である。
【図2】実験例2に記載のフリッカー値改善率(平均値)を示す図である。
【図3】実験例4に記載の疲れ目改善指数(合計)を示す図である。
【図4】実験例4に記載のかすみ目改善指数(合計)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)セルロース系高分子化合物、ビニル系高分子化合物及びデキストランからなる群より選択される1種以上を含有する、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
【請求項2】
(A)成分を0.0001〜25(w/v)%の割合で含有する、請求項1に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
【請求項3】
さらに、(B)アミノ酸類を含有する、請求項1又は2に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
【請求項4】
(B)成分が、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アスパラギン酸、アミノエチルスルホン酸、イプシロンアミノカプロン酸、及びそれらの塩からなる群より選択される1種以上である、請求項3に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
【請求項5】
(B)成分を0.0001〜10(w/v)%の割合で含有する、請求項3又は4に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。
【請求項6】
さらに、(C)テルペノイドを含有する、請求項1乃至5に記載の疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用コンタクトレンズ装着液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−96790(P2009−96790A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21029(P2008−21029)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】