説明

疲労蓄積予防組成物

【課題】運動機能の向上維持、筋肉量増加等のために有用な疲労蓄積予防組成物及びそれを含有する機能性飲食品を提供する。
【解決手段】豆乳にLeuconostoc属に属する乳酸菌を添加して発酵を行わせ、発酵物を採取することにより得られる。また、上記豆乳の乳酸菌発酵物を任意の飲食品に添加し、疲労蓄積予防活性を有する機能性飲食品として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆乳の乳酸菌発酵物由来の疲労蓄積予防組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
運動は、新陳代謝を促進するとともに心肺機能の向上など健康状態の維持には欠かせない。自発運動は、強制的ではなく自らの意思によって引き起こされる運動を意味する。
【0003】
生体が疲労状態にあると、自発運動量が減少する。その一方で、疲労回復がなされることで、自発運動量が上昇する。これらのことから、自発運動量は疲労の蓄積の指標として考えられている。
【0004】
疲労蓄積の予防は、日常の運動量が増加し、生体の運動機能の向上及び維持に寄与するため、優れた疲労蓄積予防組成物は、医薬品あるいは機能性飲食品として有用である。
【0005】
自発運動は、チオールプロテアーゼ及び/又はセリンプロテアーゼによりタンパク質を分解して得られるペプチドやアミノ酸によって促進されることが従来知られている。これらのペプチドやアミノ酸は、朝鮮人参、ローヤルゼリーやプロポリスプロテインなどの機能性飲食品と同様の疲労回復効果によって自発運動を促進することが知られている(例えば、特許文献1〜2参照)。しかし、前述の機能性飲食品は、高価であり日常の食生活での多用が困難であり、より安価に摂取することができる機能性飲食品が望まれている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−239579号公報
【特許文献2】国際公開第03/011056号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、新規な乳酸菌豆乳発酵物由来の疲労蓄積予防組成物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下に関する。
(1)豆乳の乳酸菌発酵物を有効成分とする、疲労蓄積予防組成物。
(2)乳酸菌が、Leuconostoc属に属する微生物である、上記(1)記載の疲労蓄積予防組成物。
(3)乳酸菌が、Leuconostoc pseudomesenteroides ATCC 12291株である、上記(1)記載の疲労蓄積予防組成物。
(4)豆乳に乳酸菌を添加して発酵を行わせた後、発酵物を採取することを特徴とする、上記(1)から(3)記載の疲労蓄積予防組成物の製造法。
(5)乳酸菌が、Leuconostoc属に属する微生物である、上記(4)記載の疲労蓄積予防組成物の製造法。
(6)乳酸菌が、Leuconostoc pseudomesenteroides ATCC 12291株である、上記(4)記載の疲労蓄積予防組成物の製造法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
1.疲労蓄積予防組成物とその製造法
本発明の疲労蓄積予防組成物は、豆乳の乳酸菌発酵物を有効成分とする。該発酵物は、豆乳に乳酸菌を添加して発酵を行わせた後、発酵物を採取することによって得られる。
【0010】
本発明でいう疲労蓄積予防活性とは、疲労の蓄積を予防し、自発運動量若しくは自発意欲を増加させる活性を意味する。本発明のように、豆乳の乳酸菌発酵物を有効成分とする疲労蓄積予防組成物を摂取することにより、疲労の蓄積が予防され、自発運動促進効果、疲労回復効果、ストレス予防効果、スタミナ持続効果等に寄与する。
【0011】
また、単に豆乳を含有させた食品に比べ、豆乳の乳酸菌発酵物の摂取により優れた疲労蓄積予防効果を発揮し、単なる豆乳由来のタンパク質やアミノ酸の摂取による効果ではなく、豆乳の乳酸菌発酵物の摂取により初めて効果が発揮される。
【0012】
本発明でいう豆乳とは、水に浸漬して膨潤させた大豆を摩砕した液体、又は該液体からおからを分離して得られる液体をいう。原料となる大豆の品種は特に限定されず、例えば「りゅうほう」「たちゆたか」等が使用できる。また、各種市販豆乳若しくは公知技術を用いて製造した豆乳も使用することも可能である。
【0013】
疲労蓄積予防活性を有する発酵物が得られる限り、本発明で使用する乳酸菌の種類は特に限定されない。例えば、Leuconostoc属に属する乳酸菌が使用できる。より具体的には、Leuconostoc mesenteroides、Leuconostoc paramesenteroides、Leuconostoc pseudomesenteroides、Leuconostoc citreum、Leuconostoc dextranicumなどが挙げられる。さらに具体的には、Leuconostoc pseudomesenteroides (ATCC12291)、Leuconostoc citreum (NRIC1579)、Leuconostoc paramesenteroides (NISL7218)が挙げられる。
【0014】
なお、上記菌種名に関し、「NRIC」とは東京農業大学応用生物科学部菌株保存室が保存する菌株を意味し、「NISL」とは、財団法人野田産業科学研究所が保存する菌株を意味する。「ATCC」は、米国VA20110−2209、マナサス、ユイバーシティブルーバード10801のATCCにあるアメリカンタイプカルチャーコレクション国際寄託当局を指す。
【0015】
豆乳に乳酸菌を添加して発酵を行わせる方法は特に限定されず、例えば、培養した乳酸菌の菌液を豆乳に添加した後、用いた乳酸菌に適した温度、時間等の条件、例えば、25〜35℃で4時間以上の発酵条件を適宜設定して発酵を行えばよい。乳酸菌が嫌気性菌の場合は嫌気条件にて発酵を行う。なお、発酵は、複数種の乳酸菌を使用した混合発酵又は連続発酵であってもよい。発酵性を向上させるために、必要な栄養源、例えば、シュークロース、マルトース、スタキオース又はラフィノースから選択される1種以上の糖類などを豆乳に添加してもよい。
【0016】
疲労蓄積予防活性を発揮する限り、上記で得られた発酵物をそのまま本発明の疲労蓄積予防組成物として使用してもよい。また、該発酵物を更に分画処理して、より強い疲労蓄積予防活性を有する画分を使用してもよい。分画は、例えば、溶媒抽出法、ゲル濾過カラム、限外濾過膜等を用いて行うことができる。
【0017】
本発明の疲労蓄積予防組成物は、医薬品、飲食品又は飲食品用素材として使用することができる。医薬品、飲食品又は飲食品用素材の種類、形態、及びその他の含有成分等には特に制約はなく、当業者に公知の任意の各種方法で容易に加工することができる。疲労蓄積予防組成物を使用する場合の有効成分の摂取量は、摂取者の年令、体重、適応症状などによって異なる。例えば、体重60kgの成人による経口摂取の場合、1日1回又は数回摂取し、その摂取量は1日当たり1回約100g〜200g、好ましくは1.6〜3.5g/kg体重程度とすればよい。この疲労蓄積予防組成物は、継続摂取用とすることにより極めて優れた効果を発揮する。
【0018】
2.本発明の疲労蓄積予防組成物
本発明の疲労蓄積予防組成物は、豆乳の乳酸菌発酵物を含有し、かつ、疲労蓄積予防活性を有する。
【0019】
疲労蓄積予防活性を有する限り、豆乳の乳酸菌発酵物をそのまま機能性飲食品として使用してもよいし、該発酵物を他の食品、例えば、肉製品、水産加工品、加工野菜、加工果実、惣菜類、大豆加工品、食用粉類、食用蛋白質、飲料、酒類、調味料、乳製品、菓子に添加して使用してもよい。飲食品としての形状は、特に限定されず、固形状、乳状、ペースト状、半固形状、液状とすればよい。
【0020】
必要により、例えば、以下に示す原材料、トマト、にんじん、タマネギ、にんにく、ゴマなどの野菜の加工処理物(ピューレ、ペースト、練状物、細断粒状物、磨砕物、粉末など);リンゴ、ユズ、オレンジ、モモ、イチゴ、パイナップル、ミカン、ブドウなどの果実、果汁の加工処理物(同上)などを適宜添加混和してもよい。
【0021】
本発明の機能性飲食品は、疲労蓄積予防活性を通じて自発運動量を増加させ、運動機能の向上維持、筋肉量の増加、心肺機能の向上、肥満予防、疲労回復効果、滋養強壮効果、痴呆予防効果等を発揮することが可能である。なお、本発明の疲労蓄積予防組成物は、ヒト用のみならずペットフードや家畜用飼料として使用することができる。
【0022】
以下により、豆乳の乳酸菌発酵物を調製し、その疲労蓄積予防活性を確認した。
【実施例1】
【0023】
〔回転ケージでの測定〕
豆乳の乳酸菌発酵物は、次のようにして作製した。豆腐用豆乳(紀文フードケミファ社製)を50%、20% Sucrose(121℃、15分滅菌済み)を50%含有する豆乳培地に、乳酸菌を10−10cfu/mlになるように接種し、30℃で24時間培養した。使用した乳酸菌は、Leuconostoc pseudomesenteroides ATCC 12291株である。
【0024】
5週齢のFischer344系雄性ラットを回転ケージ内で飼育した。試験開始から3週間を普通飼料としてMF飼料を自由摂取させ、24時間あたりのケージ回転数を記録した。その後、豆乳の乳酸菌発酵物を5%の割合で添加した豆乳の乳酸菌発酵物添加飼料(本発明)、又は豆乳(比較例)を5%の割合で添加した豆乳添加飼料を3週間にわたって自由摂取させて、同様にケージ回転数を記録した。その後、さらにMF飼料を3週間にわたって自由摂取させてケージ回転数を記録した。
【0025】
試験結果を図1に示す。普通飼料から豆乳の乳酸菌発酵物添加飼料(本発明)に変更することによって、有意に回転ケージの回転数が増加した。その後、普通飼料に再度戻すことによってケージの回転数は有意に減少をした。一方で、普通飼料から豆乳添加飼料(比較例)に変更しても回転ケージの回転数には変化が認められなかった。自発運動量は、図1に示すとおり、豆乳の乳酸菌発酵物添加飼料群(本発明)において、豆乳添加飼料群(比較例)に対して約50%の大幅な自発運動増加が見られ、疲労蓄積予防に豆乳の乳酸菌発酵物(本発明)が大きく寄与していることが示された。このことによって、豆乳の乳酸菌発酵物が、単なる豆乳由来のタンパク質やアミノ酸の摂取による効果ではなく、豆乳の乳酸菌発酵物の摂取により初めて効果が発揮されることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の疲労蓄積予防組成物は、医薬品、飲食品又は飲食品用素材として使用することができる。該疲労蓄積予防組成物は、任意の飲食品に添加して使用できるので、疲労蓄積予防を通じて、自発運動量促進効果、運動機能の向上維持効果、筋肉量の増加効果、心肺機能の向上、肥満予防効果、疲労回復効果、滋養強壮効果、痴呆予防効果を発揮する機能性食品を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】豆乳の乳酸菌発酵物又は豆乳を投与したラットの回転ケージの回転数を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
豆乳の乳酸菌発酵物を有効成分とする、疲労蓄積予防組成物。
【請求項2】
乳酸菌が、Leuconostoc属に属する微生物である、請求項1記載の疲労蓄積予防組成物。
【請求項3】
乳酸菌が、Leuconostoc pseudomesenteroides ATCC 12291株である、請求項1記載の疲労蓄積予防組成物。
【請求項4】
豆乳に乳酸菌を添加して発酵を行わせた後、発酵物を採取することを特徴とする、請求項1から3記載の疲労蓄積予防組成物の製造法。
【請求項5】
乳酸菌が、Leuconostoc属に属する微生物である、請求項4記載の疲労蓄積予防組成物の製造法。
【請求項6】
乳酸菌が、Leuconostoc pseudomesenteroides ATCC 12291株である、請求項4記載の疲労蓄積予防組成物の製造法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−179559(P2008−179559A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13905(P2007−13905)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000004477)キッコーマン株式会社 (212)
【Fターム(参考)】