説明

疼痛、片頭痛および尿失禁の治療における4−フェニル−置換テトラヒドロイソキノリンの使用

慢性および神経障害性疼痛の治療、片頭痛の痛みの治療および予防、ならびに膜圧性、切迫性および混合性尿失禁の治療のための、アリール−およびヘテロアリール置換のテトラヒドロイソキノリンである式(IA〜IF)の化合物の使用方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の疾患の治療方法に関する。特に、本発明は、化合物が新規な4−フェニル置換テトラヒドロイソキノリン誘導体である治療方法に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、式(IA〜IF)の化合物
【化1】

(式中:
*で表示した炭素原子は、RまたはS立体配置であり;
1は、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、これらの各々は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択され;
2は、H、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C4−C7シクロアルキルアルキルまたはC1−C6ハロアルキルであり;
3は、H、ハロゲン、−OR11、−S(O)R12、−S(O)nNR1112、−CN、−C(O)R12、−C(O)NR1112、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C4−C7シクロアルキルアルキル、−O(フェニル)または−O(ベンジル)であり、ここで、−O(フェニル)および−O(ベンジル)の各々は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択され、またはここで、R3が、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキル基である場合には、該基は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択され;
【0003】
ただし、式IAの化合物に関して、R3は、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルで
あり、これらの各々は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択され;
ただし、式IBの化合物に関して、R3は、−O(フェニル)、−O(ベンジル)、−OC(O)R13または−S(O)n12であり、−O(フェニル)および−O(ベンジル)であり、これらの各々は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択され;
4は、H、ハロゲン、−OR11、−S(O)n12、−S(O)NR1112、−CN、−C(O)R12、−C(O)NR1112、−NR1112、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C4−C7シクロアルキルアルキル、−O(フェニル)または−O(ベンジル)であり、ここで、−O(フェニル)および−O(ベンジル)の各々は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択され、そしてここで、R4が、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキル基である場合には、該基は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択され;
ただし、式ICの化合物に関して、R4は、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、これらの各々は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択され、またはR5およびR6もしくはR6およびR7は、−O−C(R122−O−であってよく;ただし、式IDの化合物に関して、R4は、−O(フェニル)、−O(ベンジル)、−OC(O)R13、−NR1112または−S(O)n12であり、−O(フェニル)および−O(ベンジル)の各々は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択され;
【0004】
式IA、IB、IC、ID、IEおよびIFの各々の化合物におけるR5、R6およびR7は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、−OR11、−S(O)n12、−CN、−C(O)R12、−NR1112、−C(O)NR1112、−NR11C(O)R12、−NR11C(O)212、−NR11C(O)NR1213、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、ここで、R5、R6およびR7の各々が、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキル基である場合には、該基は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択され、またはR5およびR6もしくはR6およびR7は、−O−C(R122−O−であってよく;
ただし、式IEの化合物に関して、R5またはR7の少なくとも一方は、フルオロ、クロロまたはメチルであるものとし;
または式IEの化合物においてR7およびR6は、それぞれ独立して、−O−C(R122−O−であるが、R2がフルオロ、クロロまたはメチルである場合に限られ;
または式IEの化合物においてR7およびR6は、独立して、−O−C(R122−O−であってもよいが、R7がフルオロ、クロロまたはメチルである場合に限られ;
【0005】
8は、H、ハロゲンまたはOR11であり、ただし、式IFの化合物に関して、R8はハ
ロゲンであるものとし;
9およびR10は、それぞれ独立して、H、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル
、C1−C4アルコキシアルキル、C3−C6シクロアルキル、C4−C7シクロアルキルアルキル、−C(O)R13、フェニルまたはベンジルであり、ここで、フェニルまたはベンジルは1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択され;
またはR9およびR10は、それらが結合している窒素と一緒になって、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、モルホリンもしくはチオモルホリンを形成し;
11は、H、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシアルキル、C3−C6シクロアルキル、C4−C7シクロアルキルアルキル、−C(O)R13、フェニルまたはベンジルであり、ここで、R11がC1−C4アルキル、フェニルまたはベンジル基である場合には、該基は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択され;
【0006】
12は、H、アミノ、C1−C4アルキル、(C1−C4アルキル)アミノ、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシアルキル、C3−C6シクロアルキル、C4−C7シクロアルキルアルキル、フェニルまたはベンジルであり、ここで、フェニルまたはベンジルは、ハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルおよびC1−C6アルコキシから独立して選択される1〜3個の置換基で場合により置換されており;
またはR11およびR12は、それらが結合している窒素と一緒になって、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、モルホリンもしくはチオモルホリンを形成し;
ただし、R9およびR10またはR9およびR10の一方だけが、それらが結合している窒素と一緒になって、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、モルホリンもしくはチオモルホリンを形成するものとし;
13は、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはフェニルであり;
nは、0、1または2であり、そして;
アリールは、ハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルおよびC1−C4アルコキシの1〜3個で場合により置換されたフェニルである)、
またはその酸化物、その製薬上許容される塩、その溶媒和物、もしくはそのプロドラッグに関するものである。
【0007】
上記で用いたように、また本発明の説明全体を通して、下記の用語は、別に指示しない限り、下記の意味を有するものと理解すべきである。
【0008】
「アルキル」という用語は、鎖中に約1〜約6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状であってよい脂肪族炭化水素基を意味する。分枝状は、1個またはそれ以上の低級アルキル基、例えばメチル、エチルまたはプロピルが線状アルキル鎖に結合していることを意味する。典型的なアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよび3−ペンチルを包含する。
【0009】
「アルケニル」という用語は、炭素−炭素二重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味し、そして該基は鎖中に約2〜約6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状であってよい。好ましいアルケニル基は、鎖中に2〜約4個の炭素原子を有する。分枝鎖状は、1個またはそれ以上の低級アルキル基、例えばメチル、エチルまたはプロピルが線状アルケニル鎖に結合していることを意味する。典型的なアルケニル基は、エテニル、プロペニル、n−ブテニルおよびi−ブテニルを包含する。
【0010】
「アルキニル」という用語は、炭素−炭素三重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味し、そして該基は各鎖中に約2〜約6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状であってよい。好ましいアルキニル基は、鎖中に2〜約4個の炭素原子を有する。分枝状は、1個またはそれ以上の低級アルキル基、例えばメチル、エチルまたはプロピルが線状アルキニル鎖に結合していることを意味する。典型的なアルキニル基は、エチニル、プロピニル、n−ブチニル、2−ブチニル、3−メチルブチニルおよびn−ペンチニルを包含する。
【0011】
「アリール」という用語は、6〜約14個の炭素原子、好ましくは6〜約10個の炭素原子を有する芳香族の単環式または多環式の環系を意味する。代表的なアリール基は、フェニルおよびナフチルを包含する。
【0012】
「ヘテロアリール」という用語は、約5〜約14個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を有する芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、ここで、該環系中の原子の1個またはそれ以上は炭素以外の原子、例えば窒素、酸素または硫黄原子である。好ましいヘテロアリールは、約5〜6個の環原子を含む。ヘテロアリールの前の接頭辞であるアザ、オキサまたはチアは、それぞれ少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄が環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、場合により相当するN−オキシドに酸化されている。代表的なヘテロアリールは、ピラジニル;フラニル;チエニル;ピリジル;ピリミジニル;イソオキサゾリル;イソチアゾリル;オキサゾリル;チアゾリル;ピラゾリル;フラザニル;ピロリル;ピラゾリル;トリアゾリル;1,2,4−チアジアゾリル;ピラジニル;ピリダジニル;キノキサリニル;フタラジニル;1(2H)−フタラジノニル;イミダゾ[1,2−a]ピリジン;イミダゾ[2,1−b]チアゾリル;ベンゾフラザニル;インドリル;アザインドリル;ベンズイミダゾリル;ベンゾチエニル;キノリニル;イミダゾリル;チエノピリジル;キナゾリニル;チエノピリミジル;ピロロピリジル;イミダゾピリジル;イソキノリニル;ベンゾアザインドリル;アザベンズイミダゾリル;1,2,4−トリアジリル;ベンゾチアゾリルなどを包含する。
【0013】
「アルコキシ」という用語は、アルキル−O−基を意味し、ここで、該アルキル基は本明細書に記載したとおりである。典型的なアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシおよびヘプトキシを包含する。
【0014】
「本発明の化合物」という用語および同等の表現は、上記の一般式(IA〜IF)の化合物を包含することを意味し、この表現は、文脈が許す場合には、プロドラッグ、製薬上許容される塩および溶媒和物、例えば水和物を包含する。同様に、中間体に関する言及は、それら自体が特許請求されていようとなかろうと、文脈が許す場合には、それらの塩および溶媒和物を包含することを意味する。明確にするために、文脈が許す場合の特定の事例は、時々本文中で示されるが、これらの事例は純粋に説明的なものであり、そして文脈が許す場合の他の事例を除外することを意図するものではない。
【0015】
「シクロアルキル」という用語は、約3〜約7個の炭素原子、好ましくは約5〜約7個の炭素原子を有する非芳香族の単環式または多環式の環系を意味する。典型的な単環式シクロアルキルは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどを包含する。
【0016】
「シクロアルキルアルキル」という用語は、シクロアルキル−アルキル−基を意味し,ここで、該シクロアルキルおよびアルキルは本明細書で定義したとおりである。典型的なシクロアルキルアルキル基は、シクロプロピルメチルおよびシクロペンチルメチルを包含する。
【0017】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0018】
「ハロアルキル」という用語は、少なくとも1個のハロゲン原子で置換された直鎖状または分枝鎖状両方のアルキルを意味し、ここで、該アルキル基は本明細書で定義したとおりである。
【0019】
「ハロアルコキシ」という用語は、1個またはそれ以上のハロゲンで置換されたC1−C4アルコキシ基を意味し、ここで、該アルコキシは本明細書で定義したとおりである。
【0020】
原子の「置換された」または「置換」という用語は、指定した原子上の1個またはそれ以上の水素が、指示した基から選択したもので置き換えられていることを意味し、ただし、指定した原子の標準的原子価を超えないものとする。「非置換の」原子は、それらの原子価により決定される水素原子の全てを有する。置換基がケト(すなわち、=O)である場合には、原子上の2個の水素が置き換えられている。置換基および/または変数の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物を生じる場合にだけ許容される;「安定な化合物」または「安定な構造」とは、反応混合物から有用な純度まで単離すること、および効果的な治療剤に製剤化することを乗り切るのに十分強固であることを意味する。
【0021】
「製薬上許容される塩」という用語は、本発明の化合物の比較的に無毒性の無機および有機の酸付加塩ならびに塩基付加塩を意味する。これらの塩は、化合物の最終的な単離および精製中にその場で製造することができる。特に、酸付加塩は、精製した化合物をその遊離塩基形態で好適な有機または無機酸と個別に反応させ、こうして形成された塩を単離することにより製造することができる。典型的な酸付加塩は、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、バレリアン酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート、メシレート、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、スルファミン酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、プロプロネート、メチレン−ビス−b−ヒドロキシナフトエ酸塩、ゲンチジン酸塩、イセチオン酸塩、ジ−p−トルオイル酒石酸塩、メタン−スルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩およびキナ酸ラウリル硫酸塩などを包含する。(例えば、S. M. Berge, ら, “Pharmaceutical Salts,” J. Parm. Sci., 66: p.1-19 (1977) および Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1985, p.1418 参照、これらは参照により本明細書に組み入れられる。)塩基付加塩は、同様に、精製した化合物をその酸形態で好適な有機または無機塩基と個別に反応させ、こうして形成された塩を単離することにより製造することができる。塩基付加塩は、製薬上許容される金属およびアミン塩を包含する。好適な金属塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、マグネシウムおよびアルミニウム塩を包含する。ナトリウムおよびカリウム塩が好ましい。好適な無機塩基付加塩は、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛を包含する金属塩基から製造される。好適なアミン塩基付加塩は、安定な塩を形成するのに十分な塩基度を有するアミンから製造され、そして該アミンは、好ましくは、それらの低い毒性および医学的用途への許容性の理由から薬化学においてしばしば用いられるアミン、例えばアンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、ジベンジルアミン、エフェナミン、デヒドロアビエチルアミン、N−エチルピペリジン、ベンジルアミン、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、塩基性アミノ酸、例えばリジンおよびアルギニン、ならびにジシクロヘキシルアミンなどを包含する。
【0022】
「製薬上許容されるプロドラッグ」という用語は、本明細書で用いられるように、正しい医学的判断の範囲内で過度の毒性、刺激、アレルギー反応などなしに、ヒトおよび下等動物の組織と接触する使用に適し、合理的なリスク対効果比とつりあい、かつそれらの意図する用途に有効である、本発明により有用な化合物のプロドラッグ、ならびに可能ならば本発明の化合物の両性イオン形態を意味する。「プロドラッグ」という用語は、例えば血中での加水分解により、インビボで急速に変換されて上記式の親化合物を生じる化合物を意味する。インビボで代謝的開裂により急速に変換されうる官能基は、本発明の化合物のカルボキシル基と反応性である基の一クラスを形成する。それらは、アルカノイル(例えばアセチル、プロピオニル、ブチリルなど)、非置換のおよび置換されたアロイル(例えばベンゾイルおよび置換されたベンゾイル)、アルコキシカルボニル(例えばエトキシカルボニル)、トリアルキルシリル(例えばトリメチル−およびトリエチルシリル)、ジカルボン酸で形成されるモノエステル(例えばサクシニル)などのような基を含むが、これらに限定されるものではない。本発明により有用な化合物の代謝的に開裂可能な基がインビボで容易に開裂されるため、このような基を有する化合物はプロドラッグとして作用する。代謝的に開裂可能な基を有する化合物は、代謝的に開裂可能な基の存在によって親化合物に与えられた増強された溶解性および/または吸収速度の結果として、それらが改善されたバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)生体利用率を示すことができるという利点を有する。プロドラッグについての詳細な議論は、次のもの:Design of Prodrugs, H. Bundgaard. ed., Elsebier 1985; Methods in Enzymology, K. Widder et al, Ed., Academic Press, 421, p.309-396, 1985; A Textbook of Drug Design and Development, Krogsgaard-Larsen and H. Bundgaard. ed., Chapter 5; “Design and Applications of Prodrugs” p.113-191, 1991; Advanced Drug Delivery Reviews, H. Bundgard, 8, p.1-38, 1992; Journal of Pharmaceutical Sciences, 77, p.285, 1988; Chem. Pharm. Bull., N. Nakeya et al, 32, p.692, 1984; Pro-drugs as Novel Delivery Systems, T. Higuchi and V. Stella, Vol.14 of the A.C.S. Symposium Series および Bioreversible Carriers in Drug Design, Edward B. Roche, ed., American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987 で提供されている。これらは参照により本明細書に組み入れられる。プロドラッグの例は、本発明の化合物におけるアルコールおよびアミン官能基のアセテート、ホルメートおよびベンゾエート誘導体を含むが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本発明の一つに実施形態は、
*で表示した炭素原子がRまたはS立体配置である式IA〜IFの化合物である。
【0024】
本発明の別の実施形態は、
1が、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、これらの各々が、その置換基の各々は存在する場合においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択される1〜3個の置換基で場合により置換されている、式IA、IB、IC、ID、IEおよびIFの化合物である。
【0025】
本発明の別の実施形態は、
2が、H、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C4−C7シクロアルキルアルキルまたはC1−C6ハロアルキルである、式IA、IB、IC、ID、IEおよびIFの化合物である。
【0026】
本発明の別の実施形態は、
3が、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、これらの各々が1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択される、式IAの化合物である。
【0027】
本発明の別の実施形態は、
3が、−O(フェニル)、−O(ベンジル)、−OC(O)R13または−S(O)n12であり、−O(フェニル)および−O(ベンジル)の各々が1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択される、式IBの化合物である。
【0028】
本発明の別の実施形態は、
3が、H、ハロゲン、−OR11、−S(O)n12、−S(O)NR1112、−CN、−C(O)R12、−C(O)NR1112、−O(フェニル)、−O(ベンジル)、−OC(O)R13または−S(O)n12、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルおよびC4−C7シクロアルキルアルキルであり、ここで、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルおよびC4−C7シクロアルキルアルキルの各々が1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択され、そしてここで、R3が−O(フェニル)または−O(ベンジル)基である場合には、該基が1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択される、式IC、ID、IEおよびIFの化合物である。
【0029】
本発明の別の実施形態は、
4が、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、これらの各々が1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択される、式ICの化合物である。
【0030】
本発明の別の実施形態は、
4が、−O(フェニル)、−O(ベンジル)、−OC(O)R13、−NR1112または−S(O)n12であり、該−O(フェニル)または−O(ベンジル)が1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択される、式IDの化合物である。
【0031】
本発明の別の実施形態は、
4が、H、ハロゲン、−OR11、−S(O)n12、−S(O)NR1112、−CN、−O(フェニル)、−O(ベンジル)、−OC(O)R13、−C(O)R12、−C(O)NR1112、−NR1112、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルおよびC4−C7シクロアルキルアルキル基であり、ここで、R4が、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキル基である場合には、該基が1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択され
、そしてここで、R4が−O(フェニル)または−O(ベンジル)基である場合には、該基が1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択される、式IA、IB、IEおよびIFの化合物である。
【0032】
本発明の別の実施形態は、
5、R6およびR7が、それぞれ独立して、H、ハロゲン、−OR11、−S(O)n12、−CN、−C(O)R12、−NR1112、−C(O)NR1112、−NR11C(O)R12、−NR11C(O)n12、−NR11C(O)NR1213、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、ここで、R5、R6およびR7の各々が、独立して、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキル基である場合には、該基が1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択される、またはR5およびR6もしくはR6およびR7が、−O−C(R122−O−であってよい、式IA、IB、IC、IDおよびIFの化合物である。
【0033】
本発明の別の実施形態は、
5が、フルオロ、クロロまたはメチルである場合には;R7およびR6が、それぞれ独立して、H、ハロゲン、−OR11、−S(O)n12、−CN、−C(O)R12、−NR1112、−C(O)NR1112、−NR11C(O)R12、−NR11C(O)212、−NR11C(O)NR1213、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、ここで、R7およびR6の各々が、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキル基である場合には、該基が1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択され、ただし、R7がフルオロ、クロロまたはメチルではないものとする、式IEの化合物である。
【0034】
本発明の別の実施形態は、
7が、フルオロ、クロロまたはメチルである場合には、R5およびR6が一緒になって、−O−C(R122−O−であってもよい、式IEの化合物である。
【0035】
本発明の別の実施形態は、
5が、フルオロ、クロロまたはメチルである場合には、R7およびR6が一緒になって、−O−C(R122−O−であってもよい、式IEの化合物である。
【0036】
本発明の別の実施形態は、
8が、H、ハロゲンまたはOR11である式IA〜IEの化合物である。
【0037】
本発明の別の実施形態は、
8がハロゲンである式IFの化合物である。
【0038】
本発明の別の実施形態は、
9およびR10が、それぞれ独立して、H、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシアルキル、C3−C6シクロアルキル、C4−C7シクロアルキルアルキル、−C(O)R13、フェニルまたはベンジルであり、ここで、該フェニルまたはベンジルが1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合
においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択され;または
9およびR10が、それらが結合している窒素と一緒になって、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、モルホリンもしくはチオモルホリン環を形成する、式IA〜Fの化合物である。
【0039】
本発明の別の実施形態は、
11が、H、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシアルキル、C3−C6シクロアルキル、C4−C7シクロアルキルアルキル、−C(O)R13、フェニルまたはベンジルであり、ここで、該フェニルまたはベンジルが1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択される、式IA〜Fの化合物である。
【0040】
本発明の別の実施形態は、
12が、H、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシアルキル、C3−C6シクロアルキル、C4−C7シクロアルキルアルキル、フェニルまたはベンジルであり、ここで、該フェニルまたはベンジルが1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルおよびC1−C6アルコキシから独立して選択され;または
11およびR12が、それらが結合している窒素と一緒になって、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、モルホリンもしくはチオモルホリンを形成する、式IA〜Fの化合物である。
【0041】
本発明の別の実施形態は、
13が、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはフェニルであり、そしてnが0、1または2である、式IA〜Fの化合物である。
【0042】
本発明のさらに他の実施形態は、
1がC1−C3アルキルであり;
2がH、C1−C4アルキルまたはC1−C6ハロアルキルである、式IA〜IFの化合物である。
【0043】
本発明の他の実施形態は、
3が、C1−C4アルキル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、これらの基の各々が1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択される、式IA、IC、ID、IEおよびIFの化合物である。
【0044】
本発明の他の実施形態は、
3が、−O(フェニル)または−O(ベンジル)であって1〜3個の置換基で場合により置換されており、そしてその置換基の各々は存在する場合においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択される、式IBの化合物である。
【0045】
本発明の他の実施形態は、
3が、−O(フェニル)または−O(ベンジル)であって1〜3個の置換基で場合により置換されており、そしてその置換基の各々は存在する場合においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択
される、式IC、ID、IEおよびIFの化合物である。
【0046】
本発明の他の実施形態は、
3がHである、式IC〜IFの化合物である。
【0047】
本発明の他の実施形態は、
4が、C1−C4アルキル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、これらの基の各々が1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択される、式IA、IB、IC、IEおよびIFの化合物である。
【0048】
本発明の好ましい実施形態は、
4がHである、式IA、IB、IEおよびIFの化合物である。
【0049】
本発明の他の実施形態は、
4が、−NR1112、−O(フェニル)または−O(ベンジル)であり、これらのアリール基の各々が1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択される、式IA、IB、IEおよびIFの化合物である。
【0050】
本発明の他の実施形態は、
3およびR4が両方ともハロゲンである、式IEおよびIFの化合物である。
【0051】
本発明の他の実施形態は、
5、R6およびR7がそれぞれH、ハロゲン、−OR11、−NR1112、C1−C6アルキルまたは1〜3個の置換基で場合により置換されたC1−C6アルキルであって、その置換基の各々は存在する場合においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択される、式IA、IB、IC、IDおよびIFの化合物である。
【0052】
本発明の他の実施形態は、
5がフルオロ、クロロまたはメチルであり;
6またはR7の一つがHであり;そしてHではないR6またはR7の他方がハロゲン、−OR11、−NR1112、C1−C6アルキルまたは1〜3個の置換基で場合により置換されているC1−C6アルキルであって、各々が、その置換基の各々は存在する場合においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択される、式IA、IB、IC、ID、IEおよびIFの化合物である。
【0053】
本発明のさらに他の実施形態は、
8がHまたはハロゲンである、式IA、IB、IC、IDおよびIEの化合物である。
【0054】
本発明の他の実施形態は、
8がハロゲンである、式IFの化合物である。
【0055】
本発明の他の実施形態は、
1がC1−C3アルキルであり;
2がHまたはC1−C3アルキルであり;
3がH、C1−C4アルキル、−O(フェニル)もしくは場合により置換された−O(フェニル)であるか、またはハロゲンであり;
4がH、C1−C4アルキル、−O(フェニル)もしくは場合により置換された−O(フェニル)であるか、またはハロゲンであり;
5がF、ClもしくはMeであるか、または−OR11であり、ここで、R11がC1−C3アルキルであり;
6がHであるか、またはCl、F、C1−C3アルキル、ハロ置換のC1−C3アルキルもしくは−OR11であり、
11がC1−C3アルキルまたは−NR1112であり;
7がHであるか、またはCl、F、C1−C3アルキルもしくは−OR11であり、ここで、R11がC1−C3アルキルである化合物である。
【0056】
本発明のさらに他の実施形態は、
3がCH3であり;
2がHまたはCH3であり;
3がH、CH3または−O(フェニル)もしくは−O−CH2−(フェニル)であり、該−O(フェニル)もしくは−O−CH2−(フェニル)の各々が1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択され;
4がH、F、CH3、CH2CH3、CH2CH2CH3、CH2CH(CH3)CH3、−O(フェニル)または−O−CH2−(フェニル)であり、該−O(フェニル)または−O−CH2−(フェニル)の各々が1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基の各々は存在する場合においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択され;
5がH、CH3、OCH3、FまたはClであり;
6がH、CH3、−OCH3、F、ClまたはCF3であり;
7がH、F、Cl、CH3またはOCH3であり;そして
8がハロゲンである化合物である。
【0057】
具体的な化合物は、下記のものである:
2,7−ジメチル−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(4−メトキシ)フェニル−2,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2,7−ジメチル−4−(4−フルオロ)フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2,7−ジメチル−4−(3−フルオロ)フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3,4−ジフルオロ)フェニル−2,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2,7−ジメチル−4−(4−フルオロ−3−メチル)フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3−クロロ−4−フルオロ)フェニル−2,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3−クロロ)フェニル−2,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2,7−ジメチル−4−(4−メチル)フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2,7−ジメチル−4−(3−フルオロ−4−メチル)フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(4−クロロ)フェニル−2,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(4−クロロ−3−フルオロ)フェニル−2,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3,4−ジクロロ)フェニル−2,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
7−エチル−2−メチル−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
【0058】
4−(3,4−ジフルオロ)フェニル−7−エチル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
7−フルオロ−4−(4−メトキシ)フェニル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
7−フルオロ−4−(3−フルオロ−4−メトキシ)フェニル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
7−フルオロ−4−(3−フルオロ−4−メチル)フェニル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
7−フルオロ−4−(4−クロロ−3−フルオロ)フェニル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3,4−ジフルオロ)フェニル−7−フルオロ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3−クロロ)フェニル−7−フルオロ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
7−シアノ−2−メチル−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2−メチル−4−フェニル−7−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−フェニル−1,2,7−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(4−クロロ)フェニル−1,2−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3,4−ジフルオロ)フェニル−1,2−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−フェニル−2,7,8−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
【0059】
2,7−ジメチル−8−フルオロ−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2,8−ジメチル−7−フルオロ−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2,7−ジメチル−8−メトキシ−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2,7−ジメチル−8−ヒドロキシ−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2−メチル−4−フェニル−7−トリフルオロメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3,4−ジフルオロ)フェニル−7−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(4−フルオロ−3−メチル)フェニル−7−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3−フルオロ−4−メチル)フェニル−7−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
7−メトキシ−4−(3−メチル)フェニル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2−メチル−7−フェノキシ−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
7−(4−メトキシ)フェノキシ−2−メチル−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
7−ベンジルオキシ−2−メチル−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
7−ヒドロキシ−2−メチル−4−(3−メチル)フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
【0060】
4−(3−フルオロ−4−メチル)フェニル−7−ヒドロキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(4−フルオロ−3−メチル)フェニル−7−ヒドロキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3,4−ジフルオロ)フェニル−7−ヒドロキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3−シアノ)フェニル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2,8−ジメチル−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2,8−ジメチル−4−(4−フルオロ)フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3,4−ジフルオロ)フェニル−2,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3,5−ジフルオロ)フェニル−2,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2,8−ジメチル−4−(3−フルオロ)フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2,8−ジメチル−4−(4−フルオロ−3−メチル)フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3−クロロ−4−フルオロ)フェニル−2,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3,4−ジクロロ)フェニル−2,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3−クロロ)フェニル−2,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(4−クロロ)フェニル−2,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
【0061】
4−(4−クロロ−3−フルオロ)フェニル−2,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2,8−ジメチル−4−(4−メトキシ)フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(4−シアノ)フェニル−2,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2,8−ジメチル−4−(4−トリフルオロメチル)フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2,8−ジメチル−4−(4−メチル)フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイ
ソキノリン;
2−メチル−8−(N−メチルアミノ)メチル−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
8−(ヒドロキシ)メチル−2−メチル−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2−メチル−4−フェニル−8−スルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2−メチル−8−(N−メチル)スルホンアミド−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
8−メトキシ−2−メチル−4−(4−メチル)フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3,5−ジフルオロ)フェニル−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3−クロロ)フェニル−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3,4−ジクロロ)フェニル−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
【0062】
4−(4−クロロ−3−フルオロ)フェニル−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3−クロロ−4−フルオロ)フェニル−8−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3,5−ジフルオロ)フェニル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3−クロロ−5−フルオロ)フェニル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3,5−ジフルオロ)フェニル−2,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3−クロロ−5−フルオロ)フェニル−2,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
2−メチル−4−(3,4,5−トリフルオロ)フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3−フルオロ)フェニル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3−フルオロ−4−メチル)フェニル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(4−フルオロ−3−メチル)フェニル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3,4−ジフルオロ)フェニル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3−クロロ)フェニル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(4−クロロ−3−フルオロ)フェニル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
【0063】
4−(3−クロロ−4−フルオロ)フェニル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(3−シアノ)フェニル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
4−(4−アセトアニリド)フェニル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ
イソキノリン;
4−(4−クロロ)フェニル−4−フルオロ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
(3,5−ジフルオロ)−4−フェニル−1,2,7−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
(8−フルオロ−2−メチル−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−7−イソキノリニル)−N−メチルメタンアミン;
(2−メチル−4−フェニル−7−イソキノリニル)−N−メチルメタンアミン;
N−メチル−(2−メチル−4−フェニル−7−イソキノリニル)−N−メチルメタンアミン;
8−ヒドロキシ−2−メチル−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−7−イソキノリンカルボニトリル;
2−メチル−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−7−イソキノリニル)メタノール;および
2−エチル−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
またはその酸化物、その製薬上許容される塩、その溶媒和物、もしくはそのプロドラッグ。
【0064】
「治療有効量」という用語は、対象者が治療される特定の症状を改善、軽減、抑制または予防するのに有効である化合物の全ての量を意味する。このような量は、決定および把握のために本明細書で提供した記載があれば十分に当業者の範囲内にある多数の要因により一般的に変化する。これらは次の要因:特定の対象者、ならびにその年齢、体重、身長、全身的な身体状態および病歴、用いられる特定の化合物、ならびに該化合物が製剤化される担体およびそのために選択した投与経路;ならびに治療される症状の性質および重症度を包含するが、これらに限定されるものではない。治療有効量は最適または最適以下の用量を包含し、そして当業者に公知の種々の方法により、例えば、特定の作用物質の種々の量を特定の症状に罹った動物に投与し、次いで該動物が受ける相対的治療効果を決定することにより決定することができる。これらの量は、一般的に、治療される対象者の体重1kg当たり約0.001mg〜約1000mg/kg、より典型的には約0.1〜約200mg/kgの範囲にある。これらの量は、治療を監督する当業者に受け入れられる任意の投薬計画により投与することができる。より詳細な用量は、特定の障害の治療に関して以下に記載され、これらは本発明の対象である。
【0065】
「製薬上許容される担体」は、治療用化合物をヒトに投与するために当技術分野で一般的に受け入れられる媒体である。このような担体は、決定および把握のために十分に当業者の範囲内にある多数の要因により一般的に製剤化される。これらは次の要因:製剤化される活性物質の種類および性質;該物質含有組成物を投与しようとする対象者;該組成物の意図する投与経路;ならびに標的とする治療適応症を包含するが、これらに限定されるものではない。製薬上許容される担体は、水性および非水性液体媒体の両者、ならびに種々の固体および半固体の投薬形態を包含する。このような担体は、活性物質に加えて、多数の異なる成分および添加物を含むことができ、このような追加の成分は当業者に周知の種々の理由で、例えば活性物質の安定化のために製剤中に含まれる。適切な製薬上許容される担体の詳細、およびそれらの選択に関与する要因は、容易に入手できる情報源、例えば Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1985 に見出され、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0066】
本発明の化合物は、例えば、水性デキストロースおよび食塩溶液のような種々の水性媒体で非経口投与される;グリコール溶液も有用な担体である。非経口投与のための溶液は、活性成分の水溶性塩、適切な安定剤、および必要に応じて緩衝物質を含むことが好ましい。抗酸化剤、例えば重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸は、単独でまたは組み合わせて、好適な安定剤である。クエン酸およびその塩、ならびにEDTAも用いられる。加えて、非経口溶液は、保存剤、例えば塩化ベンザルコニウム、メチル−またはプロピルパラベンおよびクロロブタノールを含むことができる。
【0067】
別法として、化合物は、固体の投薬形態、例えばカプセル、錠剤および粉末として;または液体の投薬形態で、例えばエリキシル、シロップおよび/または懸濁液として経口投与される。ゼラチンカプセルは、活性成分および好適な担体、例えば乳糖、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはセルロース誘導体(これらに限定されるものではない)を含めるために用いることができる。同様の希釈剤は、圧縮錠剤を製造するために用いることができる。錠剤およびカプセルの両者は、ある期間にわたって薬剤の連続的放出を提供するために、持続放出性製品として製造することができる。圧縮錠剤は、何らかの不快な味を隠蔽するために糖衣もしくはフィルムコートされていてもよく、または活性成分を大気から保護するため、もしくは錠剤を胃腸管中で選択的に崩壊させるために用いることができる。
【0068】
本発明の化合物は、同様の障害の治療に利用できる他の化合物と比較して特に有益な治療指数を提供する。理論によって限定されることを意図しないが、これは、少なくとも部分的には、ノルエピネフリン輸送タンパク質(NET)に対して他の神経伝達物質トランスポーターよりも選択的であるという化合物の能力によると信じられる。結合親和性は、当業者に周知の多数の手段により示される。
【0069】
簡単に述べると、例えば、輸送タンパク質を発現する細胞、例えばHEK293細胞などの細胞からのタンパク質含有抽出物を、放射性標識した該タンパク質のリガンドと共にインキュベートする。タンパク質への放射性リガンドの結合は、他のタンパク質リガンド、例えば本発明の化合物の存在下に可逆的である;この可逆性は、以下に記載するように、化合物のタンパク質結合親和性(Ki)を測定する手段を提供する。ある化合物のKi値がより高いことは、該化合物が、より低いKi値を有する化合物に対するよりも小さいタンパク質結合親和性を有することを示す;逆に、より低いKi値はより大きい結合親和性を示す。
【0070】
従って、化合物がより選択的であるタンパク質のKi値がより低いこと、および化合物があまり選択的でないタンパク質のKi値がより高いことは、タンパク質に対する化合物の選択性の相違を示す。このように、タンパク質Aに対する化合物のKi値とタンパク質Bに対するものとの比率が高いほど、前者よりも後者に対して該化合物の選択性は大きい(その化合物に対して前者はより高いKiを有し、後者はより低いKiを有する)。本明細書で提供した化合物は、ノルエピネフリン輸送タンパク質に対するそれらの選択性のために、NETへの結合に対するそれらのKiと、他の輸送タンパク質、例えばドーパミントランスポーター(DAT)およびセロトニントランスポーター(SERT)への結合に対するそれらのKiとの比率によって示されるように、治療での使用の間に副作用がより少ない。一般的に、本発明の化合物は約≧2:1のDAT/NETのKi比を有する;同様に本化合物は一般的に約≧5:1のSERT/NET比を有する。
【0071】
さらに、NEおよびDAトランスポーターにおける化合物の活性に関するインビボ評価は、例えば、テトラベナジン(TBZ)の沈静効果を妨げるそれらの能力の測定による(例えば、G. Stille, Arzn. Forsch. 1964, 14, 534-537 参照;その内容は参照により本明細書に組み入れられる)。無作為化してコード化した試験化合物の用量をマウスに投与し、そのとき同様にテトラベナジンの用量を投与する。次いで、テトラベナジン誘発性の探索行動喪失および眼瞼下垂の拮抗作用について、薬剤投与後に特定の時間間隔で動物を評価する。探索行動は、例えば、動物を円の中心に置き、次いで該動物が円周を横切るのに要する時間量を評価することによって評価される − 一般的に、動物がこの横断を行うのに要する時間が長いほど、その探索行動の喪失は大きい。さらに、その眼瞼が少なくとも50%閉じているならば、動物は眼瞼下垂を有すると考えられる。対照(ビヒクル処理)マウスの95%超過は、探索行動喪失および眼瞼下垂を示すと期待される;次いで、化合物関連活性を、テトラベナジン惹起用量に反応できないマウスのパーセンテージとして計算する。治療上より有効な化合物は、探索行動喪失および眼瞼下垂の減少がより良好であると期待される。
【0072】
従って、本明細書で提供した医薬組成物は、種々の神経および精神障害に罹患する対象者に本明細書で提供した医薬組成物の用量を投与することにより、該対象者の治療において有用である。該障害は、慢性および神経障害性疼痛、片頭痛の治療および予防、ならびに切迫性、膜圧性および混合性尿失禁を包含するが、これらに限定されるものではない。本明細書で提供した化合物は、少なくとも部分的には、一定の神経化学物質に対する輸送タンパク質と、他の神経化学物質のための輸送タンパク質よりも大きい親和力で選択的に結合するそれらの能力のために、これらおよび他の障害の治療において特に有用である。
【0073】
本発明の化合物は、国際出願WO 01/32624に記載された方法を、合成有機化学の技術分野で公知の方法、または当業者により受け入れられるようなその変法と共に用いて製造することができる。
【0074】
NE、DAおよび5HTトランスポーターにおける種々の化合物の相対的親和性を評価するために、HEK293E細胞株を成長させて、これら三つのヒトトランスポーターの各々を発現させることができる。各トランスポーターの完全コード領域を含むcDNAを、ヒト脳ライブラリーからPCRにより増幅することができる。pCRIIベクターに含まれたcDNAを配列決定して、それらの素性を確認し、次いでEpstein Barrウイルスに基づく発現プラスミド中にサブクローン化することができる(E. Shen, GM Cooke, RA Horlick, Gene 156:235-239, 1995)。ヒトトランスポーターの一つを含むこのプラスミドをHEK293E細胞中にトランスフェクトすることができる。成功したトランスフェクションは、トリチウム化したNE、DAまたは5HTの取り込みを抑制する既知の再取り込み遮断剤の能力により確認することができる。
【0075】
結合のために、細胞をホモジナイズし、遠心分離し、次いでインキュベーション用緩衝液(50mM Tris、120mM NaCl、5mM KCl、pH7.4)中に再懸濁させることができる。次いで適切な放射性リガンドを加えることができる。NET結合のために、[3H]Nisoxetin(86.0 Ci/mmol、NEN/DuPont)を約5nMの最終濃度まで加えることができる。DAT結合のために、15nMの[3H]WIN 35,428(84.5 Ci/mmol)を加えた。5HTT結合のために、1nMの[3H]Citolapram(85.0 Ci/mmol)を加えた。次いで興味のある化合物の種々の濃度(10−5ないしIOA−11M)を加えて放射性リガンドを置換することができる。インキュベーションを96ウェルプレートにおいて室温で1時間行うことができる。インキュベーションに続いて、プレートをハーベスター上に置き、(50mM tris、0.9%NaCl、pH7.4)で素早く4回洗浄することができ、そこでは、結合した放射性標識を含む細胞膜をWhatman GF/Bフィルター上に捕捉することができる。シンチレーションカクテルをフィルターに加えることができ、次いでこれをPackard TopCountで計数した。興味のある化合物の結合親和性を、GraphPad Prism 2.01ソフトウェアを用いて非線形曲線回帰により決定することができる。非特異的結合は、10ミリモルのマジンドールでの置換により決定することができる。
【0076】
NEおよびDAトランスポーターにおける化合物のインビボ活性を評価するために、テトラベナジン(TBZ)の鎮静効果を妨げるそれらの能力を測定することができる(G. S
tille, Arzn. Forsch. 14:534-537, 1964)。試験時の体重が18〜25gmの雄CFIマウス(Charles River Breeding Laboratories)を、入念に調節した環境条件(22.2+1.1C;50%平均湿度;12時間の照明サイクル/24時間)において少なくとも6日間飼育することができる。マウスを試験の前に一夜(16〜22時間)絶食させることができる。マウスを透明なポリカーボネート製の「靴」箱(17cm×28.5cm×12cm)に入れることができる。
【0077】
試験化合物の無作為化してコード化した用量を経口投与することができる。時間を記録する30分前に、テトラベナジンの45mg/kgの用量を腹腔内投与することができる。全ての化合物を0.1ml/10gm体重の体積で投与することができる。テトラベナジン誘発性の探索行動喪失および眼瞼下垂の拮抗作用について、薬剤投与後に特定の時間間隔で動物を評価することができる。指定した時間間隔で、探索行動および眼瞼下垂の徴候について動物を調べる。探索行動は、動物を5インチの円の中心に置くことにより評価することができる。動物が移動して円周を横切るのに15秒の余裕を認めることができる。これはテトラベナジンの拮抗作用と考えることができ、0の得点を与えることができる。円から立ち去らないことは探索行動喪失とみなすることができ、4の得点を与えることができる。動物がその眼瞼を少なくとも50%閉じたならば、眼瞼下垂と考えることができ、完全に閉じたならば、4の得点を与えることができる;閉じないときは、0の得点を与えることができる。対照(ビヒクル処理)マウスの95%超過は、探索行動喪失および眼瞼下垂を示すと期待することができる。薬剤活性は、テトラベナジン惹起用量に反応できないマウスのパーセンテージとして計算することができる。
【0078】
有効用量中央値(ED50)および95%信頼限界30は、トンプソン(1947)、ならびにリッチフィールドおよびウィルコクソン(1949)の方法により数値で決定することができる。
【0079】
種々の形態の慢性的なつらい疼痛は、WHOによれば、適切にケアされない結果として世界中で苦しんでいる400万人の癌患者を含めて、かなりの数の人々に発症する。多数の他の症状、例えば筋骨格系および脊椎系疼痛、神経系疼痛、頭痛または脈管系疼痛がある。神経系損傷または組織損傷が固定すると生じる慢性疼痛症状である神経障害性疼痛は、異常感覚体験(アロディニア、痛覚過敏)、ならびに中枢および末梢神経系における異常な疼痛プロセシングを特徴とする;神経障害性疼痛の治療は困難である。疼痛を伴なう糖尿病性神経障害は、ヒトにおける糖尿病の最も頻発する合併症の一つであり、ヘルペス後神経痛は帯状ヘルペス後の患者の10〜30%に発現し、幻想肢痛および断端痛は切断の一般的な後遺症である。慢性疼痛は、外傷、エントラップメント神経障害(例えば、手根管症候群)、エイズに関連する多発性硬化症もしくは多発性神経障害、アルコール中毒、甲状腺機能低下症または抗癌剤化学療法によっても引き起こされることがある。
【0080】
従来の疼痛治療は次の二つのカテゴリー:1)軽度の疼痛の治療に用いられる非ステロイド系抗炎症性薬剤(NSAIDs)、しかしその治療的使用はGIへの有害作用により限定される;および2)中程度ないし重症疼痛の治療に用いられるモルフィンおよび関連するオピオイド、しかしその治療的使用は、呼吸抑制、耐性および乱用の可能性を包含する望ましくない副作用により限定される。しかしながら、従来の鎮痛剤は、オピエートであろうとNSAIDsであろうと、慢性疼痛症候群の管理において限られた治療的価値を有する。これは、これらの症状を管理するために補助鎮痛剤の使用に導いた。例えば、三環系抗うつ剤は、現在のところ、疼痛を伴なう糖尿病性神経障害の治療に用いられる第一選択薬である。しかしながら、全ての患者に十分有効な薬剤は殆どなく、また望ましくない副作用がよく見られる。
【0081】
慢性疼痛または神経障害性疼痛の治療に用いるために、式IA〜IFの化合物は、慢性疼痛または神経障害性疼痛の症状を軽減するのに十分な量で経口または非経口投与することができる。使用すべき式Iの化合物の実際の量は、慢性または神経障害性疼痛の状態の重症度および性質、治療される動物、ならびに求められる緩和のレベルにより変動するだろう。ヒトにおいて、必要に応じて投与される約2〜約50ミリグラムの経口用量は、適切な薬量を示す。約1〜約25ミリグラムの筋肉内投与は、経口投与について明記したのと匹敵する投与量を提供する。
【0082】
本明細書で用いられるように、「慢性疼痛」という用語は、灼熱痛、神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害、術後または外傷性神経障害、ヘルペス後神経痛、末梢神経障害、エントラップメント神経障害、幻想肢痛および断端痛、アルコール乱用に起因する神経障害、HIV感染、多発性硬化症、甲状腺機能低下症、腰の疼痛、癌の疼痛ならびに抗癌剤化学療法に由来する疼痛から選択される疼痛を意味する。
【0083】
「慢性疼痛緩和量」という用語は、必要とする動物における慢性疼痛を緩和または軽減できる式IA〜IFの化合物の量を表す。
【0084】
片頭痛の痛みは、頭蓋脈管の過剰拡張に関連し、そして片頭痛のための公知の治療は、血管収縮特性を有する化合物、例えばエルゴタミンの投与を包含する。しかしながら、エルゴタミンは身体全体の血管を収縮させ、そして望ましくなく潜在的に危険な副作用を有する非特異的血管収縮剤である。片頭痛は、通常は制吐剤と組み合わせて鎮痛剤を投与することによっても治療できるが、このような治療は価値が限られている。
【0085】
このように、確立した頭痛の予防または軽減の何れにも使用できる片頭痛を治療するための安全かつ有効な薬剤が必要であり、そして選択的血管収縮活性を有する化合物はこの役割を果たすであろう。
【0086】
さらに、薬剤が普通は患者によって投与される片頭痛のような状況では、薬剤を経口摂取できることが極めて望ましい。従って、薬剤は、症状の速やかな緩和が発現しうるように良好なバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)を有し、かつ胃腸管から効果的に吸収されるべきである。薬剤はまた、経口経路で投与したときに安全であるべきである(すなわち、毒性効果がない)。
【0087】
片頭痛の痛みは血管起原であり、総頚動脈床の枝の過剰拡張により生じると一般的に信じられている(J.W. Lance, Mechanisms and Management of Migraine, Butterworths, p
113-152 (1973))。片頭痛の痛みの管理におけるノルエピネフリン再取り込みの役割は、J.R. Couch, ら, Amitriptyline in the prophylaxis of migraine, Neurology 1976:26:121-127 および S. Diamond, ら, Chronic tension headache treated with amitriptyline: a double blind study, Headache 1971; 11:110-116 で論じられている。
【0088】
偏頭痛の治療のためにヒト(約70kgの体重)への経口投与について提案される本発明の化合物の用量は、1回分当たり0.1mg〜100mg、例えば0.5mg〜50mg、好ましくは2mg〜40mgの活性成分であり、これは1日当たり4回まで、より普通には1日当たり1〜2回投与できるだろう。患者の年齢および体重、ならびに治療すべき症状の重症度に応じて、投与量に日常的な変化を加える必要がありうることが分かるだろう。別に指示しない限り、投与量は、遊離塩基としての化合物(I)の重量について言及されると理解すべきである。
【0089】
もう一つの態様によれば、本発明は、式(I)の化合物またはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することによる、頭蓋脈管の拡張に起因する疼痛、例えば片頭痛または群発頭痛を患っているかまたは罹患しやすいヒト対象者を治療する方法を提供する。この治療方法は、好ましくは本発明の化合物の経口投与を含む。
【0090】
尿失禁は、排尿の不随意な失敗と一般的に定義され、そして小児、女性、高齢者および神経系疾患の患者を包含する四つの群で最も多く見られる。排尿筋不安定は、痙攣性膀胱収縮または少容量により誘発される膀胱収縮を特徴とし、そして尿失禁および頻尿をしばしば伴う。間質性膀胱炎は、その病理学の構成要素として排尿筋不安定をも包含する特発性骨盤痛症候群である。
【0091】
夜尿は、年齢5歳以後の睡眠中の不随意排尿に分類され、そして原発性または二次性形態の何れかで存在することがある。原発性夜尿の診断は、患者が睡眠中の排尿の随意制御を発現したことがない場合に行われる。二次性夜尿の診断は、患者に睡眠中の排尿制御の過渡期があった場合に行われる。夜尿は年齢4歳で全小児の30%、6歳で10%、10歳で3%および18歳で1%に生じる。二次性夜尿は、小児遺尿症例の約20〜25%を占める。若干の遺尿小児は昼間性遺尿をも有するが、遺尿小児の80%超過はもっぱら夜尿だけを有する。
【0092】
女性における尿失禁の優勢型は、膜圧性および切迫性尿失禁である。膜圧性尿失禁は、腹圧の上昇中、例えば肉体的運動および咳をする間に生じる、無傷の尿道からの排尿の不随意な失敗である。これは、尿道が、膀胱内圧の上昇を代償するための排出抵抗に対して十分大きな圧力を発生できないことを意味する。この排尿失敗は、放尿の必要があるという前駆感覚を伴わず、そして膀胱の充満とは関係がない。切迫性尿失禁は、膀胱内圧の上昇による無傷の尿道からの排尿の不随意な失敗である。膜圧性尿失禁とは対照的に、切迫性尿失禁は、尿道により生成された過剰な排出抵抗圧を上回る一時的な膀胱収縮(排尿筋不安定)により引き起こされ、そして緊迫した放尿の感覚を伴う。
【0093】
膜圧性尿失禁は若年女性における尿失禁の最も普通の形態である。二つの縦断的研究において、純粋な膜圧性尿失禁は年齢17〜75+の女性の15〜22%に発生することが見出された。膜圧性尿失禁の最高発生率(25〜30%)は、年齢25〜40歳で、または出産適齢期中に発生する。最初の出産の後に、全体的発生率および重症膜圧性尿失禁の発生率は倍増する。しかしながら、未経産女性の35〜50%もまた、時々膜圧性尿失禁を経験する。年齢17〜24歳の未経産看護学生の研究において、毎日の膜圧性尿失禁は該女性の17%で報告された。切迫性尿失禁は、年齢17〜75+の女性の約10%に発生し、そして年齢と共に次第に増加する。膜圧性および切迫性尿失禁に加えて、年齢17〜75+の女性の7〜14%は膜圧性および切迫性尿失禁の両者の特徴を有する。この「混合型尿失禁」の発生率は出産適齢期中に倍増し、そして年齢17〜75+の13〜28%の範囲に及ぶ。
【0094】
高齢者に見られる尿失禁の型は、切迫性尿失禁(排尿筋不安定)、膜圧性尿失禁、混合型尿失禁(切迫性および膜圧性尿失禁)および完全尿失禁を包含する。切迫性尿失禁は、高齢の男性および女性における尿失禁の最も普通の形態であり、そして膀胱の異常な神経筋反応により引き起こされる。発生率が切迫性尿失禁に続くのは、それぞれ混合型、膜圧性、溢流性および完全尿失禁である。膜圧性尿失禁は高齢の男性では比較的稀であるが、女性ではよく見られる。膜圧性尿失禁は骨盤の手術、膀胱および尿道の方向の解剖学的変化、骨盤の筋肉の緊張力の低下、エストロゲン分泌停止後の尿道の劣化、ならびにタイル尿道の神経筋反応の特発性低下により引き起こされる。溢流性尿失禁は、尿道抵抗を上回る無反射性膀胱の過剰充満および膨張による。完全尿失禁は、認知症および括約筋または神経の損傷に関連する。
【0095】
上記の尿失禁の型に加えて、切迫性尿失禁はまた、神経学的障害、例えば多発性硬化症、アルツハイマー病およびパーキンソン病に関連する。神経学的障害により引き起こされるこの切迫性尿失禁は、膀胱の活動亢進に起因する。多発性硬化症患者における尿失禁の発生率は、60〜90%であると見積もられている。尿失禁はパーキンソン病患者の初期神経学的症状の一つであり、そして抗パーキンソン病剤での治療によってしばしば悪化する。
【0096】
間質性膀胱炎は、膀胱充満による排尿の頻度、切迫性、恥骨上部圧および痛みの増加を特徴とする症候群である。この症候群は感染または細胞学的損傷には関連しない。この障害が発症する平均年齢は40〜50歳である。生活の質は末期腎疾患のそれよりも悪化すると考えられる。間質性膀胱炎に関するNIH報告書によれば、この障害の診断症例はアメリカで20,000〜90,000件あり、そして未診断症例に関する上方境界は、診断症例の範囲よりも4〜5倍大きい。この障害は、アメリカ間質性膀胱炎協会(American Interstitial Cystitis Association)の設立により、泌尿器科団体における意識が高まってきている。
【0097】
尿失禁に対する治療は特定の型により変化する。例えば、治療しないと、夜尿の自然治癒率は毎年約15%である。非薬物療法、例えば動機付けカウンセリング、膀胱訓練および遺尿警戒の成功率は25〜70%の範囲に及ぶ。三環系抗うつ剤は夜尿の治療に対して最も有効な薬剤であるとされている。イミプラミンは最も広く用いられる薬剤である;しかしながら、他の三環系化合物、例えばノルトリプチリン、アミトリプチリンおよびデシプラミンも有効である。遺尿はイミプラミンによる治療後の患者の50%を超えて治癒することができ、そして別の15〜20%で改善を見ることができる。この療法の成功した反応は、通常は治療の最初の週に、しばしば最初の投与後に見られる。最良の結果は、時々夜に失禁する正常サイズの膀胱を有する小児で見られる。最悪の結果は、小さい膀胱を有する小児および年長青年で見られる。しかしながら、この療法は毒性の危険性を有する。一般的に三環系抗うつ剤、特にイミプラミンは、これらの化合物が特に毒性を有し、そして低投与量で潜在的に致死的なので、年齢5歳未満の小児における使用が認可されていない。他の薬物療法は、無抑制排尿筋収縮を減少させる抗痙攣剤であるオキシブチニン、および抗利尿剤であるデスモプレッシンの使用を包含する。
【0098】
尿失禁女性に対する主な治療形態は、膀胱の再懸垂および/または尿道の強化を試みる種々の外科的処置;骨盤床の訓練;および薬物療法を包含する。イミプラミンは、膜圧性尿失禁を有する女性に失禁を回復させる単独療法として有効である。切迫性尿失禁におけるイミプラミンの効力は、臨床的研究によって変わってきており、そして抗コリン剤および抗痙攣剤との併用療法として用いる場合よりも大きいと思われる。
【0099】
尿失禁を効果的に治療するために必要とされる化合物の量は、採用される化合物、およびモノアミン再取り込み抑制を行うためのその相対的効力に依存するだろう。このような用量は、インビトロおよび任意のインビボ試験、例えば上述した試験に基づいて一般的に推定することができる。例えば、成人患者に対して、本発明の化合物は、1日当たり20〜200ミリグラムの量で投与する場合に有効であると期待されるだろう。しかしながら、実際に投与される化合物の量は、治療すべき特別の症状、投与すべき化合物の選択および投与経路の選択を含めて、該当する状況の全てを考慮して、医師によって決定されるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性もしくは神経障害性疼痛の治療用、片頭痛の治療もしくは予防用、または切迫性、膜圧性もしくは混合性尿失禁の治療用の医薬を製造するための、下記の構造を有する式IA〜IF:
【化1】

の化合物、またはその酸化物、その製薬上許容される塩、その溶媒和物、もしくはそのプロドラッグの使用。
上記式中:
*で表示した炭素原子は、RまたはS立体配置であり;
1は、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、これらの各々は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基は各々においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択され;
2は、H、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C4−C7シクロアルキルアルキルまたはC1−C6ハロアルキルであり;
3は、H、ハロゲン、−OR11、−S(O)R12、−S(O)nNR1112、−CN、−C(O)R12、−C(O)NR1112、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C4−C7シクロアルキルアルキル、−O(フェニル)または−O(ベンジル)であり、ここで、−O(フェニル)および−O(ベンジル)の各々は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基は各々においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択され、またはここで、R3が、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキル基である場合には、該基は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基は各々においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択され;
ただし、式IAの化合物に関して、R3は、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、これらの各々は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基は各々においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択され;
ただし、式IBの化合物に関して、R3は、−O(フェニル)、−O(ベンジル)、−OC(O)R13または−S(O)n12であり、−O(フェニル)および−O(ベンジル)の各々は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基は各々においてハ
ロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択され;
4は、H、ハロゲン、−OR11、−S(O)n12、−S(O)NR1112、−CN、−C(O)R12、−C(O)NR1112、−NR1112、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C4−C7シクロアルキルアルキル、−O(フェニル)または−O(ベンジル)であり、ここで、−O(フェニル)および−O(ベンジル)の各々は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基は各々においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択され、そしてここで、R4が、C1−C4アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキル基である場合には、該基は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基は各々においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択され;
ただし、式ICの化合物に関して、R4は、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、これらの各々は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基は各々においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択され、またはR5およびR6もしくはR6およびR7は、−O−C(R122−O−であってよく;ただし、式IDの化合物に関して、R4は、−O(フェニル)、−O(ベンジル)、−OC(O)R13、−NR1112または−S(O)n12であり、−O(フェニル)および−O(ベンジル)の各々は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基は各々においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択され;
式IA、IB、IC、ID、IEおよびIFの各々の化合物におけるR5、R6およびR7は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、−OR11、−S(O)n12、−CN、−C(O)R12、−NR1112、−C(O)NR1112、−NR11C(O)R12、−NR11C(O)212、−NR11C(O)NR1213、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、ここで、R5、R6およびR7の各々が、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキル基である場合には、該基は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基は各々においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択されるものであるか、またはR5およびR6もしくはR6およびR7は、−O−C(R122−O−であってよく;
または式IEの化合物においてR7およびR6は、それぞれ独立して、−O−C(R122−O−であるが、R2がフルオロ、クロロまたはメチルである場合に限られ;
または式IEの化合物においてR7およびR6もまた独立して、−O−C(R122−O−であることができるか、R7がフルオロ、クロロまたはメチルである場合に限られ;
8は、H、ハロゲンまたはOR11であり、ただし、式IFの化合物に関して、R8はハロゲンであるものとし;
9およびR10は、それぞれ独立して、H、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシアルキル、C3−C6シクロアルキル、C4−C7シクロアルキルアルキル、−C(O)R13、フェニルまたはベンジルであり、ここで、フェニルまたはベンジルは1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基は各々においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択され;
またはR9およびR10は、それらが結合している窒素と一緒になって、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、モルホリンもしくはチオモルホリンを形成し;
11は、H、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシアルキル
、C3−C6シクロアルキル、C4−C7シクロアルキルアルキル、−C(O)R13、フェニルまたはベンジルであり、ここで、R11が、C1−C4アルキル、フェニルまたはベンジル基である場合には、該基は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基は各々においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択され;
12は、H、アミノ、C1−C4アルキル、(C1−C4アルキル)アミノ、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシアルキル、C3−C6シクロアルキル、C4−C7シクロアルキルアルキル、フェニルまたはベンジルであり、ここで、フェニルまたはベンジルは、ハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルおよびC1−C6アルコキシから独立して選択される1〜3個の置換基で場合により置換されており;
またはR11およびR12は、それらが結合している窒素と一緒になって、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、モルホリンもしくはチオモルホリンを形成し;
ただし、R9およびR10またはR9およびR10の一つだけが、それらが結合している窒素と一緒になって、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、モルホリンもしくはチオモルホリンを形成し;
13は、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはフェニルであり;
nは、0、1または2であり、そして;
アリールは、ハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルおよびC1−C4アルコキシの1〜3個で場合により置換されたフェニルである。
【請求項2】
1がC1−C3アルキルである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
2がH、C1−C4アルキルまたはC1−C6ハロアルキルである、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
3がHであり、またはR3がC1−C4アルキル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、これらの各々は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基は各々においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択され、またはR3が−O(フェニル)または−O(ベンジル)であって1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基は各々においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
4がHであり、またはR4が−NR1112であり、またはR4がC1−C4アルキル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、これらの各々が場合により置換されており、またはR4が−O(フェニル)または−O(ベンジル)であり、これらの各々は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基は各々においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
3およびR4がそれぞれHであり、またはR3およびR4がそれぞれハロゲンである、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
3およびR4の一つがHであり、そして他方がCH3である、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
5、R6およびR7がそれぞれH、ハロゲン、−OR11、−NR1112、C1−C6アルキルまたは置換されたC1−C6アルキルである、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
8がハロゲンである、請求項1に記載の使用。
【請求項10】
1がC1−C3アルキルであり;
2がH、C1−C4アルキルまたはC1−C6ハロアルキルであり;
3がC1−C4アルキル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、これらの各々が場合により置換されており、またはR3が−O(フェニル)または−O(ベンジル)であり、これらの各々が場合により置換されており、またはR3がHであり;R4がH、C1−C4アルキル、C3−C6シクロアルキルまたはC4−C7シクロアルキルアルキルであり、これらの各々は1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基は各々においてC1−C3アルキル、ハロゲン、アリール、−CN、−OR9および−NR910から独立して選択され、またはR4が−NR1112、−O(フェニル)または−O(ベンジル)であり、ここで、該−O(フェニル)または−O(ベンジル)が1〜3個の置換基で場合により置換されており、その置換基は各々においてハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキルまたはC1−C4アルコキシから独立して選択され;
またはR3およびR4がそれぞれハロゲンであり;
5、R6およびR7がそれぞれH、ハロゲン、−OR11、−NR1112、場合により置換されたC1−C6アルキルであり、またはR5およびR7の一つがCl、FまたはMeであり、そしてR5およびR7の他方ならびにR6がH、ハロゲン、−OR11、−NR1112、C1−C6アルキルまたは置換されたC1−C6アルキルである、請求項1に記載の使用。

【公表番号】特表2006−509782(P2006−509782A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556621(P2004−556621)
【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005339
【国際公開番号】WO2004/050628
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】