説明

疼痛の予防及び/または治療剤

式(I)


[式中、Rは、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表し、
−X−Xは、CR=CR−CR=CR(式中、R、R、R及びRは、同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル等を表す)等を表し、
Yは−CHS−、−CHSO−、−CHSO−、−CHO−、−CH=CH−、−(CH−(式中、pは0〜2の整数を表す)、−SCH−、−SOCH−、−SOCH−または−OCH−を表し、
は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル等を表す]で表される三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する疼痛の予防及び/または治療剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する疼痛の予防及び/または治療剤に関する。
【背景技術】
疼痛は外来刺激や器質的疾患により惹起される。疼痛は身体の異常を知らせる警告信号として機能しているが、不快感、機能障害等をもたらすため、患者の生活の質(quality of life)を著しく低下させる。また、疼痛そのものが生体にとって多大な侵襲になり得る。疼痛の治療には、非ステロイド性抗炎症剤等の末梢性鎮痛薬、オピオイド等の中枢性鎮痛薬、循環改善薬、抗うつ薬や抗けいれん薬等を含む鎮痛補助薬、漢方薬等が用いられている。しかし、これらの薬剤においては、症状によっては十分な鎮痛作用が得られなかったり、副作用や耐性等の点で問題がある[ペイン・クリニック(Pain Clinic)、第16巻、809頁(1995年)]。
一方、本発明で使用される化合物と同一の構造を有する化合物群は、膀胱充満時に生ずる排尿間隔の延長作用を有し、神経因性膀胱及び不安定膀胱等をはじめとする種々の疾患または状態における頻尿、尿失禁、尿意切迫感及び残尿感等の治療または改善に有用であることが知られている(WO98/46587、WO97/14672)。また該化合物群を有効成分として含有する過活動膀胱治療剤(WO02/07810)、膀胱知覚過敏治療剤(WO02/07811)及び前立腺肥大症に伴う膀胱刺激症状治療剤(WO02/07812)が知られている。
【発明の開示】
本発明の目的は、三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する疼痛の予防及び/または治療剤を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(27)に関する。
(1)式(I)

{式中、Rは、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表し、
−X−Xは、CR=CR−CR=CR[式中、R、R、R及びRは、同一または異なって水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノを表す]、N(O)=CR−CR=CR(式中、R、R及びRはそれぞれ前記と同義であり、mは0または1を表す)、CR=CR−N(O)=CR(式中、R、R、R及びmはそれぞれ前記と同義である)、CR=CR−CR=N(O)(式中、R、R、R及びmはそれぞれ前記と同義である)、CR=CR−O(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)、CR=CR−S(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)、O−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)、S−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)またはO−CR=N(式中、Rは前記と同義である)を表し、
Yは−CHS−、−CHSO−、−CHSO−、−CHO−、−CH=CH−、−(CH−(式中、pは0〜2の整数を表す)、−SCH−、−SOCH−、−SOCH−または−OCH−を表し、
は水素原子、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、モノ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のアラルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す}で表される三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する疼痛の予防及び/または治療剤。
(2)式(Ia)

[式中、R及びX−X−Xはそれぞれ前記と同義であり、Yは−CHSO−、−SCH−、−SOCH−、−SOCH−または−OCH−を表し、
が−CHSO−、−SCH−、−SOCH−または−SOCH−であるときに、
2aは水素原子、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、モノ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のアラルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノ、置換もしくは非置換の脂環式複素環基または置換もしくは非置換の含窒素複素環基を表し、
が−OCH−であるときに、
2aは水素原子、アミノ、トリフルオロメチル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、モノ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のアラルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノ、置換もしくは非置換の脂環式複素環基、置換もしくは非置換の含窒素複素環基または式(II)

(式中、nは0または1であり、R及びRは、同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の環状アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表すか、R及びRが隣接する炭素原子と一緒になって環状アルキルを形成してもよく、Qはハロゲン、アミノ、ヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表す)を表す]で表される三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する疼痛の予防及び/または治療剤。
(3)Yが−CHSO−、−SCH−、−SOCH−または−SOCH−である前記(2)記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(4)Yが−OCH−である前記(2)記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(5)Rが水素原子、ハロゲンまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシである前記(2)〜(4)のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(6)Rが水素原子である前記(2)〜(4)のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(7)Yが−CHSO−、−SOCH−または−OCH−である前記(2)、(5)及び(6)のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(8)Yaが−CHSO−または−SOCH−である前記(2)、(5)及び(6)のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(9)Yが−CHSO−である前記(2)、(5)及び(6)のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(10)X−X−XがS−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である前記(2)〜(9)のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(11)X−X−XがCR=CR−CR=CR(式中、R、R、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である前記(2)〜(9)のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(12)R2aが式(II)

(式中、n、R、R及びQはそれぞれ前記と同義である)である前記(2)〜(11)のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(13)nが0である前記(12)記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(14)Rがメチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、Qがヒドロキシである前記(13)記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(15)Rが水素原子であり、Yが−CHSO−であり、X−X−XがS−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)であり、R2aが式(III)

である前記(2)記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(16)式(Ib)

[式中、R及びX−X−Xはそれぞれ前記と同義であり、Yは−CHO−、−CHS−、−CHSO−、−CH=CH−または−(CH−(式中、pは前記と同義である)を表し、R2bは式(III)

を表す]で表される三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する疼痛の予防及び/または治療剤。
(17)X−X−XがCR=CR−CR=CR(式中、R、R、R及びRはそれぞれ前記と同義である)またはCR=CR−CR=N(式中、R、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である前記(16)記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(18)X−X−XがCR=CR−O(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)またはCR=CR−S(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である前記(16)記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(19)X−X−XがO−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)またはS−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である前記(16)記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(20)Yが−CHO−である前記(16)〜(19)のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(21)Yが−(CH−(式中、pは前記と同義である)である前記(16)〜(19)のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(22)pが0である前記(21)記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(23)pが2である前記(21)記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(24)Yが−CH=CH−である前記(16)〜(19)のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(25)Yが−CHS−または−CHSO−である前記(16)〜(19)のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
(26)疼痛の予防及び/または治療剤の製造のための、前記(1)〜(25)のいずれかに記載の三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(27)前記(1)〜(25)のいずれかに記載の三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与する工程を含む、疼痛の予防及び/または治療方法。
以下、式(I)で表される化合物を、化合物(I)という。他の式番号で表される化合物についても同様である。
式(I)の各基の定義において、低級アルキルとしては、例えば直鎖または分岐している炭素数1〜8のアルキル、より具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、1,2,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、オクチル等が挙げられる。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
低級アルコキシ、モノ(低級アルキル)置換アミノ及びジ(低級アルキル)置換アミノにおける低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義である。
低級アルカノイルアミノにおける低級アルカノイルとしては、例えば炭素数1〜6のアルカノイル、より具体的にはホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル等が挙げられる。
低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分岐している炭素数2〜6のアルケニル、より具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、メタクリル、1−ブテニル、クロチル、ペンテニル、ヘキセニル等が挙げられる。
アリール及びアリールアミノのアリール部分としては、例えばフェニル、ナフチル等が挙げられ、ヘテロアリールとしては、例えばピリジル、フリル、チエニル、キノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、チアゾリル等が挙げられる。
アラルキルアミノのアラルキル部分としては、例えば炭素数7〜12のアラルキル、より具体的にはベンジル、フェネチル、ナフチルメチル等が挙げられる。
複素環基としては、例えば脂環式複素環基、含窒素複素環基等が挙げられる。脂環式複素環基としては、例えばテトラヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、クロマニル等が挙げられる。含窒素複素環基は、例えば1つまたは2つの窒素原子をその環内に含む複素環基であり、さらに酸素、硫黄等のヘテロ原子を含んでいてもよく、例えばピロリジニル、ピペコリニル、ピペラジニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、オキサゾリル等が挙げられる。
置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、モノ(置換低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換低級アルキル)置換アミノ、置換低級アルカノイルアミノ及び置換低級アルケニルにおける置換基としては、同一または異なって、置換数1〜置換可能な数の(好ましくは1〜6の、より好ましくは1〜4の)、例えばハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、環状アルキル、置換環状アルキル[該置換環状アルキルにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる]、アリール、置換アリール(該置換アリールにおける置換基は、後記の置換アリールにおける置換基と同義である)、アラルキル、置換アラルキル(該置換アラルキルにおける置換基は、後記の置換アラルキルにおける置換基と同義である)、低級アルコキシ、置換低級アルコキシ[該置換低級アルコキシにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる]等が挙げられる。また、上記の置換低級アルキルにおいては、該低級アルキルにおける同一炭素原子上に2つの置換基を有し、該2つの置換基が該炭素原子と一緒になって脂肪族環を形成していてもよい。なお置換低級アルキルが置換メチルまたは置換エチルである場合は、その置換基は、さらに同一または異なって、例えば置換数1〜3の、低級アルキルまたは置換低級アルキル[該置換低級アルキルにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる]であってもよい。
置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、モノ(置換低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換低級アルキル)置換アミノ、置換低級アルカノイルアミノ及び置換低級アルケニルにおける置換基の定義において、ハロゲンは前記と同義であり、低級アルキル、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ及び低級アルコキシにおける低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義であり、アリールは前記と同義である。環状アルキル及び脂肪族環の環状アルキル部分としては、例えば炭素数3〜8の環状アルキル、より具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。アラルキルとしては、例えば炭素数7〜12のアラルキル、より具体的にはベンジル、フェネチル、ナフチルメチル等が挙げられる。
置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アラルキルアミノ及び置換アリールアミノにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキル等が挙げられる。
置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アラルキルアミノ及び置換アリールアミノにおける置換基の定義において、ハロゲン及び低級アルキルはそれぞれ前記と同義である。
置換複素環基における置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル等が挙げられる。
置換複素環基における置換基の定義において、ハロゲン及び低級アルキルはそれぞれ前記と同義である。
式(Ia)及び式(Ib)の各基の定義において、低級アルキルとしては、例えば直鎖または分岐している炭素数1〜6のアルキル、より具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、1,2,2−トリメチルプロピル等が挙げられる。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
低級アルコキシ、モノ(低級アルキル)置換アミノ及びジ(低級アルキル)置換アミノにおける低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義である。
低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分岐している炭素数2〜6のアルケニル、より具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、メタクリル、1−ブテニル、クロチル、ペンテニル、ヘキセニル等が挙げられる。
アリール及びアリールアミノのアリール部分としては、例えばフェニル、ナフチル等が挙げられ、ヘテロアリールとしては、例えばピリジル、フリル、チエニル、キノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、チアゾリル等が挙げられる。
アラルキル及びアラルキルアミノのアラルキル部分としては、例えば炭素数7〜12のアラルキル、より具体的にはベンジル、フェネチル、ナフチルメチル等が挙げられる。
脂環式複素環基としては、例えばテトラヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、クロマニル等が挙げられる。含窒素複素環基は、例えば1つまたは2つの窒素原子をその環内に含む複素環基であり、さらに酸素、硫黄等のヘテロ原子を含んでいてもよく、且つその環内の窒素原子が隣接するカルボニル基と結合している複素環基を表し、より具体的にはピロリジニル、ピペコリニル、ピペラジニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、オキサゾリル等が挙げられる。
環状アルキルとしては、例えば炭素数3〜8の環状アルキル、より具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。
置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、モノ(置換低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換低級アルキル)置換アミノ、置換低級アルケニル及び置換環状アルキルにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる。また置換低級アルキルが、置換メチルまたは置換エチルである場合は、その置換基は、さらに同一または異なって、例えば置換数1〜3の、低級アルキル、置換低級アルキル[該置換低級アルキルにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる]、環状アルキル、置換環状アルキル[該置換環状アルキルにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる]、アリール、置換アリール[該置換アリールにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる]、アラルキル、置換アラルキル[該置換アラルキルにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる]、置換低級アルコキシ[該置換低級アルコキシにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる]等であってもよい。さらに置換メチルまたは置換エチルの、メチルまたはエチルにおける同一炭素原子上に2つの置換基を有し、該2つの置換基が該炭素原子と一緒になって脂肪族環を形成していてもよい。
置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、モノ(置換低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換低級アルキル)置換アミノ、置換低級アルケニル及び置換環状アルキルにおける置換基の定義において、ハロゲン、環状アルキル、アリール及びアラルキルはそれぞれ前記と同義であり、低級アルキル、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ及び低級アルコキシにおける低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義であり、脂肪族環の環状アルキル部分は前記環状アルキルと同義である。
置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アラルキル、置換アラルキルアミノ及び置換アリールアミノにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキル等が挙げられる。
置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アラルキル、置換アラルキルアミノ及び置換アリールアミノにおける置換基の定義において、ハロゲン及び低級アルキルはそれぞれ前記と同義である。
置換脂環式複素環基及び置換含窒素複素環基における置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル等が挙げられる。
置換脂環式複素環基及び置換含窒素複素環基における置換基の定義において、ハロゲン及び低級アルキルはそれぞれ前記と同義である。
化合物(I)、化合物(Ia)及び化合物(Ib)の薬理学的に許容される塩としては、薬理学的に許容される酸付加塩が挙げられ、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、グリオキシル酸塩、アスパラギン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
本発明で用いられる三環式化合物は、前記刊行物に開示された方法、またはそれらに準じて製造することができ、有機合成化学で常用される精製法、例えば中和、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離・精製することができる。
本発明で用いられる三環式化合物の塩を取得したいとき、当該三環式化合物が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、また、遊離塩基の形で得られる場合には、当該遊離塩基を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸を加え塩を形成させれば良い。
なお、本発明で用いられる三環式化合物の中には光学異性体が存在し得るものもあるが、全ての可能な立体異性体及びそれらの混合物も、本発明の疼痛の予防及び/または治療剤の有効成分として用いることができる。
また、本発明で用いられる三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩は、水、または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これら付加物も本発明の疼痛の予防及び/または治療剤の有効成分として用いることができる。
鎮痛作用の評価には、化学的または物理的な疼痛刺激を動物に与え、その疼痛刺激に対する反応の変化をとらえる方法が用いられる。疼痛の予防及び/または治療剤の鎮痛作用の評価法として最も多く使われている方法の一つがライジング抑制法である。これはマウスの腹腔内に刺激物質を注射して、そのあとに生じる、腹部を収縮させる、または、体をひねり後肢を進展させる特有の苦悶症状(writhing syndrome)に対する試験化合物の抑制効果をみる方法である[医薬品開発基礎講座、第5巻、第6号、283頁(1971年)]。一方、ホルマリンテストは炎症性疼痛モデルの一つで,ホルマリンを後肢に皮下投与することにより作製するものであり、二相性の疼痛行動を示す。この疼痛行動は,皮下投与した後肢をなめたり(licking)振り回したり(flinching)する行動である。第1相は局所神経への直接刺激による急性痛、第2相は第1相の刺激と炎症反応による持続的疼痛刺激により誘導される痛覚過敏と考えられている[ペイン・クリニック(Pain Clinic)、第15巻、498頁(1994年)]。この疼痛行動の抑制を観察することで、試験化合物による鎮痛作用が評価できる。
次に、化合物(I)の代表的化合物の薬理作用を試験例により説明する。試験例において試験化合物としては、(S)−(+)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミド
[(S)−(+)−3,3,3−trifluoro−2−hydroxy−2−methyl−N−(5,5,10−trioxo−4,10−dihydrothieno[3,2−c][1]benzothiepin−9−yl)propanamide]を用いた。以下、上記化合物を本明細書において、化合物1という。なお、化合物1は、WO98/46587記載の化合物(1−25)と同一化合物である。
試験例1:マウスのライジング抑制法による化合物1の鎮痛作用の評価
試験にはマウス(ddY系、雄性、体重19〜24g、日本SLC)を使用した。マウスを観察用プラスチックビーカー(サンプラスチック製、直径10.5cm×高さ14.5cm)内に入れ、0.7%酢酸−生理食塩水溶液を体重20gあたり0.2mL腹腔内に投与した。疼痛反応の指標として投与後10〜15分に発現するライジング回数を測定し、溶媒投与群と比較した。化合物1は、濃度が2.5mg/mLとなるように0.5w/v%メチルセルロース400cP(和光純薬工業)に懸濁し、酢酸投与の1時間前に経口投与した。また別途溶媒投与群を設け、各群マウス4匹を使用した。酢酸によるライジング回数は、溶媒投与群では15.75±1.25回であり、化合物1(25mg/kg)投与群では7.25±2.39回であった。化合物1投与群では、溶媒投与群と比較して有意な苦悶症状の抑制作用が認められた(図1)。縦軸は酢酸の腹腔内投与により発現したライジング回数を示し、値は平均値±標準誤差を意味する。なお、化合物1の5〜100mg/kg投与による検討結果から算出された、化合物1の経口投与での50%有効用量(ED50)は33.1mg/kgであった。
試験例2:ラットのホルマリンテストによる化合物1の鎮痛作用の評価
試験にはラット(SD系、雄性、体重290〜320g、セアック吉富)を使用した。ホルマリンによる疼痛行動の誘発は山本らの方法[ペイン・クリニック(Pain Clinic)、第15巻、498頁(1994年)]に準じて実施した。ラットをボールマンケージ(夏目製作所)に入れて保定し、10〜15分間馴化させた。その後、両側後肢をケージから出して運動を妨げない状態にし、30ゲージの眼内注射針(二プロ医工)を用いて左後足皮下に5%ホルマリン50μLを投与した。疼痛反応の指標として、ホルマリン投与側後肢を振る行動(flinching)の回数を測定した。ホルマリン投与後1〜6分までの5分間は、1〜2分、2〜3分、3〜4分、4〜5分、5〜6分のように1分毎に合計5分間測定した。ホルマリン投与後10〜60分は、10〜11分、11〜12分の1分間ずつの測定数の平均を10分の測定値とし、同様にして5分毎に、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分の測定値を算出し、11個の測定値の合計を算出した。測定前及び測定中に強いストレス症状が認められた場合、測定を中止した。化合物1は、濃度が0.3mg/mLとなるように0.5w/v%メチルセルロース400cP(和光純薬工業)に懸濁し、ホルマリン投与の30分前に経口投与した。また別途溶媒投与群を設け、各群ラット4匹を使用した。溶媒投与群及び化合物1投与群について、投与後1〜10分までを第1相、投与後10〜60分までを第2相として、それぞれの測定回数の合計を比較した。ホルマリン投与によるflinchingの回数は、溶媒投与群では第1相58.3±2.1回、第2相94.0±8.8回であり、化合物1(3mg/kg)投与群では第1相42.3±4.2回、第2相69.9±13.8回であった。第1相の反応では、溶媒投与群と比較して化合物1投与群で有意な疼痛行動の抑制作用が認められた(図2)。縦軸は第1相及び第2相におけるホルマリン投与側後肢を振る行動の回数[フリンチング(flinching)回数]を示し、値は平均値±標準誤差を意味する。
試験例3:マウスのホルマリンテストによる化合物1の鎮痛作用の評価
試験にはマウス(ICR系、雄性、体重25〜27g、日本クレア)を使用した。ホルマリンによる疼痛行動の誘発はMooreらの方法[ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(British Journal of Pharmacology)、第110巻、219頁(1993年)]に準じて実施した。マウスを観察用プラスチックビーカー(サンプラスチック)内に入れて馴化させた後に、30ゲージの眼内注射針(二プロ医工)を用いて、左後足皮下に5%ホルマリン10μLを投与した。疼痛反応の指標として、左後足を舐める行動(licking)を示した時間(秒)を測定した。第1相としてホルマリン投与後0分から5分、第2相としてホルマリン投与後15分から30分に示したlickingの合計時間をそれぞれ測定した。化合物1は、濃度が1.0mg/mLとなるように0.5w/v%メチルセルロース400cP(和光純薬工業)に懸濁し、ホルマリン投与の30分前に経口投与した。また別途溶媒投与群を設け、各群マウス10匹を使用した。ホルマリン投与によるlicking時間は、溶媒投与群では第1相85.0±10.3秒、第2相168.0±30.4秒であり、化合物1(10mg/kg)投与群では第1相39.5±5.3秒、第2相135.2±21.3秒であった。第1相の反応では、溶媒投与群と比較して化合物1投与群で有意な疼痛行動の抑制作用が認められた(図3)。縦軸は第1相及び第2相における左後足を舐める行動の時間[リッキング(licking)時間、単位:秒]を示し、値は平均値±標準誤差を意味する。
上記試験例1〜3において、化合物1は有意な鎮痛作用を示し、これらの結果から化合物(I)は疼痛の予防及び/または治療剤として有用であると考えられる。
本発明の化合物を含有する医薬製剤は、活性成分として該化合物を単独で、または任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
投与経路は、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、その投与経路としては経口または例えば経皮、静脈内等の非経口を挙げることができる。
投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、注射剤等がある。
経口投与に適当な、例えば錠剤等は、乳糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニット等の賦形剤、澱粉、アルギン酸ソーダ等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の可塑剤等を用いて製造できる。
また、注射剤は、例えば蒸留水、塩溶液、グルコース溶液または塩溶液とグルコース溶液の混合物からなる担体を用いて調製することができる。この際、常法に従い適当な助剤を用いて、溶液、懸濁液または分散液として調製される。
本発明の化合物の投与量及び投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質または重篤度等により異なるが、通常経口の場合、成人一人当り0.01mg〜1g、好ましくは0.05〜50mgを一日一回ないし数回投与する。静脈内投与等の非経口投与の場合、成人一人当り0.001〜100mg、好ましくは0.01〜10mgを一日一回ないし数回投与する。しかしながら、これら投与量及び投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
【図面の簡単な説明】
図1は、マウスの酢酸誘発疼痛行動に対する化合物1(25mg/kg、経口投与)の作用を示す図である。
*:P<0.05(溶媒投与群対比のStudent t−検定)
図2は、ラットのホルマリン誘発疼痛行動に対する化合物1(3mg/kg、経口投与)の作用を示す図である。
*:P<0.05(溶媒投与群対比のStudent t−検定)
図3は、マウスのホルマリン誘発疼痛行動に対する化合物1(10mg/kg、経口投与)の作用を示す図である。
*:P<0.05(溶媒投与群対比のStudent t−検定)
【発明を実施するための最良の形態】
実施例1:錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製した。
250gの化合物1、マンニトール1598.5g、でん粉グリコール酸ナトリウム100g、軽質無水ケイ酸10g、ステアリン酸マグネシウム40g及び黄色三二酸化鉄1.5gを常法により混合した。この混合物を用い、径8mmの杵を有する打錠機(菊水社製Purepress Correct−12型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分25mgを含有する)を得た。
処方 化合物1 25 mg
マンニトール 159.85mg
でん粉グリコール酸ナトリウム 10 mg
軽質無水ケイ酸 1 mg
ステアリン酸マグネシウム 4 mg
黄色三二酸化鉄 0.15mg
200 mg
実施例2:カプセル剤
常法により、次の組成からなるカプセル剤を調製した。
500gの化合物1、ラクトース300g、軽質無水ケイ酸100g及びラウリル硫酸ナトリウム100gを常法により混合した。この混合物をカプセル充填機(Zanasi社製、LZ−64型)により、ハードカプセル1号(1カプセルあたり100mg容量)に充填し、カプセル剤(1カプセルあたり活性成分50mgを含有する)を得た。
処方 化合物1 50 mg
ラクトース 30 mg
軽質無水ケイ酸 10 mg
ラウリル硫酸ナトリウム 10 mg
100 mg
実施例3:注射剤
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。
1gの化合物1及びD−マンニトール5gを注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸及び水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを6に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000mLとする。得られた混合液をガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物1 2 mg
D−マンニトール 10 mg
塩酸 適量
水酸化ナトリウム水溶液 適量
注射用蒸留水 適量
2.00mL
【産業上の利用可能性】
本発明により、三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する疼痛の予防及び/または治療剤が提供される。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

{式中、Rは、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表し、
−X−Xは、CR=CR−CR=CR[式中、R、R、R及びRは、同一または異なって水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノを表す]、N(O)=CR−CR=CR(式中、R、R及びRはそれぞれ前記と同義であり、mは0または1を表す)、CR=CR−N(O)=CR(式中、R、R、R及びmはそれぞれ前記と同義である)、CR=CR−CR=N(O)(式中、R、R、R及びmはそれぞれ前記と同義である)、CR=CR−O(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)、CR=CR−S(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)、O−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)、S−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)またはO−CR=N(式中、Rは前記と同義である)を表し、
Yは−CHS−、−CHSO−、−CHSO−、−CHO−、−CH=CH−、−(CH−(式中、pは0〜2の整数を表す)、−SCH−、−SOCH−、−SOCH−または−OCH−を表し、
は水素原子、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、モノ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のアラルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す}で表される三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項2】
式(Ia)

[式中、R及びX−X−Xはそれぞれ前記と同義であり、Yは−CHSO−、−SCH−、−SOCH−、−SOCH−または−OCH−を表し、
が−CHSO−、−SCH−、−SOCH−または−SOCH−であるときに、
2aは水素原子、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、モノ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のアラルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノ、置換もしくは非置換の脂環式複素環基または置換もしくは非置換の含窒素複素環基を表し、
が−OCH−であるときに、
2aは水素原子、アミノ、トリフルオロメチル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、モノ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のアラルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノ、置換もしくは非置換の脂環式複素環基、置換もしくは非置換の含窒素複素環基または式(II)

(式中、nは0または1であり、R及びRは、同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の環状アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表すか、R及びRが隣接する炭素原子と一緒になって環状アルキルを形成してもよく、Qはハロゲン、アミノ、ヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表す)を表す]で表される三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項3】
が−CHSO−、−SCH−、−SOCH−または−SOCH−である請求の範囲2記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項4】
が−OCH−である請求の範囲2記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項5】
が水素原子、ハロゲンまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシである請求の範囲2〜4のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項6】
が水素原子である請求の範囲2〜4のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項7】
が−CHSO−、−SOCH−または−OCH−である請求の範囲2、5及び6のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項8】
が−CHSO−または−SOCH−である請求の範囲2、5及び6のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項9】
が−CHSO−である請求項2、5及び6のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項10】
−X−XがS−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である請求項2〜9のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項11】
−X−XがCR=CR−CR=CR(式中、R、R、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である請求の範囲2〜9のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項12】
2aが式(II)

(式中、n、R、R及びQはそれぞれ前記と同義である)である請求の範囲2〜11のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項13】
nが0である請求の範囲12記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項14】
がメチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、Qがヒドロキシである請求の範囲13記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項15】
が水素原子であり、Yが−CHSO−であり、X−X−XがS−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)であり、R2aが式(III)

である請求の範囲2記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項16】
式(Ib)

[式中、R及びX−X−Xはそれぞれ前記と同義であり、Yは−CHO−、−CHS−、−CHSO−、−CH=CH−または−(CH−(式中、pは前記と同義である)を表し、R2bは式(III)

を表す]で表される三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項17】
−X−XがCR=CR−CR=CR(式中、R、R、R及びRはそれぞれ前記と同義である)またはCR=CR−CR=N(式中、R、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である請求の範囲16記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項18】
−X−XがCR=CR−O(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)まの範囲はCR=CR−S(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である請求の範囲16記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項19】
−X−XがO−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)またはS−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である請求の範囲16記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項20】
が−CHO−である請求の範囲16〜19のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項21】
が−(CH−(式中、pは前記と同義である)である請求の範囲16〜19のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項22】
pが0である請求の範囲21記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項23】
pが2である請求の範囲21記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項24】
が−CH=CH−である請求の範囲16〜19のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項25】
が−CHS−または−CHSO−である請求の範囲16〜19のいずれかに記載の疼痛の予防及び/または治療剤。
【請求項26】
疼痛の予防及び/または治療剤の製造のための、請求の範囲1〜25のいずれかに記載の三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項27】
請求の範囲1〜25のいずれかに記載の三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与する工程を含む、疼痛の予防及び/または治療方法。

【国際公開番号】WO2005/007154
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【発行日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511921(P2005−511921)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010523
【国際出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】