説明

疼痛の治療用としてのP2X3受容体アンタゴニスト

本発明は疼痛、特にP2X3受容体サブユニットモジュレーターを使用して治療することが可能な末梢性疼痛、炎症性疼痛又は組織損傷性疼痛に関連する疾病状態の治療に重要な役割を果たす新規P2X3受容体アンタゴニストに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にP2X受容体のモジュレーター、例えばアンタゴニストとして作用する化合物、その組成物及び治療薬としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンは細胞外プリン受容体を介して作用し、種々の生理的及び病理的役割を果たすと考えられている(Burnstock(1993)Drug Dev.Res.28:195−206参照)。プリン受容体(P2)は代謝型ヌクレオチド受容体と細胞外ヌクレオチドのイオンチャネル型受容体に大別されている。代謝型ヌクレオチド受容体(通称P2Y又はP2Y(n)と呼ばれ、ここで「n」はサブタイプを示す下付き文字の整数である)は異なる基本的膜貫通シグナル伝達手段に基づくという意味でイオンチャネル型受容体(通称P2X又はP2X)と相違し、P2Y受容体はG蛋白質共役系を介して作用するが、P2X受容体はリガンド依存性イオンチャネルである。
【0003】
少なくとも7種類のP2X受容体とこれらをコードするcDNA配列が今日までに同定されている。P2X cDNAはラット輸精管の平滑筋からクローニングされ(Valera et al.(1994)Nature 371:516−519)、P2X cDNAはPC12細胞からクローニングされた(Brake et al.(1994)Nature 371:519−523)。P2X及びP2Xとのその配列類似性により、他の5種類のP2X受容体がcDNAライブラリーで確認されており、即ちP2X(Lewis et al.(1995)Nature 377:432−435,Chen et al.(1995)Nature 377:428−431)、P2X(Buell et al.(1996)EMBO J.15:55−62,Seguela et al.(1996)J.Neurosci.16:448−455,Bo et al.(1995)FEBS Lett.375:129−133,Soto et al.(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:3684−3688,Wang et al.(1996)Biochem.Biophys.Res.Commun.220:196−202)、P2X(Collo et al.(1996)J.Neurosci.16:2495−2507,Garcia−Guzman et al.(1996)FEBS Lett.388:123−127)、P2X(Collo et al.(1996),前出,Soto et al.(1996)Biochem.Biophys.Res.Commun.223:456−460)、P2X(Surprenant et al.(1996)Science 272:735−738)が確認されている。ラットP2X受容体のアミノ酸配列の比較については、Buell et al.(1996)Eur.J.Neurosci.8:2221−2228参照。
【0004】
プリン受容体、特にP2X受容体はホモマルチマーカチオン透過性イオンチャネルとして機能し、場合によっては2種類の異なるP2X受容体サブタイプから構成されるヘテロマーチャネルとして機能することが知られている(Lewis et al.,Nature 377:432−435(1995);Le et al.,J.Neurosci.18:7152−7159(1998);Torres et al.,Mol.Pharmacol.54:989−993(1998))。P2XサブユニットとP2Xサブユニットは単独で発現されるときには機能的チャネルを形成し、同時に発現されるときにも天然感覚チャネルに認められる電流に類似する性質をもつ機能的ヘテロマルチマーチャネルを形成することができる。P2XとP2Xの少なくとも1対のP2X受容体サブタイプはラット下神経節ニューロンでヘテロマーチャネルとして機能し、顕著な薬理学的及び電気生理学的性質を示す(Lewis et al.,前出(1995))。
【0005】
天然P2X受容体はATPにより活性化されると、急速活性化非選択的カチオンチャネルを形成することが知られている。P2X受容体により形成されるチャネルは一般にCa2+透過率(P(Ca)/P(Na))が高い。個々の受容体について説明すると、P2Xプリン受容体は小カチオンに選択的に透過性のリガンド依存性カチオンチャネルである。P2X受容体の公知リガンドとしては、天然ヌクレオチド(例えばATP、UTP、UDP)と合成ヌクレオチド(2−メチルチオATP)が挙げられる。ATPは細胞内エネルギー供与体としてのその機能に加え、現在では中枢及び末梢神経系の両者で重要なニューロトランスミッター又はコトランスミッターとして認められている(Ralevic,V.,et al.,Pharmacol.Rev.,50:413−492(1998))。ATPは刺激を受けると、神経繊維を含む種々の細胞型から放出され、プリン受容体(P2受容体)を含む特定の膜受容体の活性化により多くの組織に種々の作用を生じる(Burnstock,G.,Pharmacol.Rev.,24:509−581(1972);Burnstock,G.,Cell Membrane Receptor for Drugs and Hormones:A Multidisciplinary Approach,edited by R.W.Straub and L.Bolid.New York:Raven,1978,p.107−118参照)。P2Xプリン受容体に関しては、ATPはP2Xホモマー受容体とP2X/P2Xヘテロマー受容体を活性化することができ、脊髄後角と感覚神経節からの一次求心性神経で興奮性ニューロトランスミッターとして機能することがデータから示唆されている。インビトロでは、所定の感覚ニューロンで認められる性質をもつATP依存性電流を発生するためにP2X受容体サブユニットとP2X受容体サブユニットの同時発現が必要である。Lewis,et al.(1995)Nature 377:432−435参照。
【0006】
ATPに加え、程度は劣るがアデノシンも感覚神経終末を刺激することができ、その結果、強い疼痛と感覚神経放電の顕著な増加を生じる。入手可能なデータによると、損傷細胞から放出されたATPは感覚神経の侵害受容神経終末で発現されるP2Xホモマー受容体又はP2X/P2Xヘテロマー受容体を活性化することにより疼痛を誘発することができる。これはヒト水疱モデルで皮膚内投与したATPによる疼痛誘発の報告;歯髄の侵害受容ニューロンにおけるP2X含有受容体の同定;及びP2Xアンタゴニストが動物モデルで鎮痛作用があるという報告に一致する。今日までの処、研究データによると、脊髄の後根神経節神経終末と脳のニューロンでP2Xプリン受容体がATPにより活性化される結果として疼痛感覚を生じるメカニズムは侵害受容シグナル伝達に関与する主要なニューロトランスミッターであるグルタミン酸の放出の刺激に起因すると思われる。
【0007】
最近では、P2X受容体遺伝子破壊の結果として有害な化学的刺激に対する感受性が低下し、疼痛が軽減することも立証されている。体外から投与したATP及びP2X含有受容体アゴニストの侵害受容作用も実験動物で立証されている。Bland−Ward et al.,Dr.J.Pharmacol.122:366−371(1997);Hamilton et al.,Br.J.Phamacol.126:326−332(1999)参照。齧歯類でP2受容体アゴニストを髄腔内(i.t.)投与すると、急性及び持続性有害刺激に対する感受性を増加できたことから明らかなように、P2X活性化と脊髄P2X含有受容体の刺激の末梢侵害受容作用も侵害受容の一因である。Driessen et al.,Brain Res.666:182−188(1994);Tsuda et al.,Br.J.Pharmacol.127:449−4S6(1999);Tsuda et al.,Br.J.Pharmacol.128:1497−1504(1999)参照。最近ではP2受容体による異所性ニューロン興奮性の選択的な増加が損傷感覚求心性神経に局在することも慢性絞扼性神経損傷後のラットで報告されている。Chen et al.,NeuroReport 10:2779−2782(1999)参照。疼痛伝達におけるこの役割は、ラットP2X受容体発現が疼痛伝達に関与する感覚神経節のニューロンのサブセットで主に認められるという知見と一致する。Chen et al.,Nature 377:428−430(1995);Vulchanova et al.,Neuropharmacol.36:1229−1242(1997)参照。US20080004442、US200700409609、WO2007041087、WO2006119504、WO200112627、WO2007001973及びWO2007010553も参照。
【0008】
以上をまとめると、感覚神経におけるP2X含有受容体(P2X及び/又はP2X2/3)の機能的及び免疫組織化学的局在から、これらのP2X受容体はATPの侵害受容作用の媒介に主要な役割を果たすと考えられる。従って、P2X受容体の活性化を阻止又は阻害する化合物は疼痛刺激を阻止する働きがある。更に、P2X受容体及び/又はP2X/P2Xヘテロマーチャネルを通常活性化する化合物(例えばATP)に対する受容体アンタゴニストは疼痛伝達を有効に阻止することができる。実際に、P2X受容体(例えばP2X受容体)のモジュレーターは鎮痛薬として利用することができる。
【0009】
更に、P2X受容体の活性化を阻止又は阻害する化合物は泌尿生殖器、胃腸及び呼吸器疾患、病態及び障害を治療する働きもあり、あるいは、P2X受容体及び/又はP2X/P2Xヘテロマーチャネルを通常活性化する化合物(例えばATP)に対する受容体アンタゴニストは泌尿生殖器、胃腸及び呼吸器疾患、病態及び障害の治療に有用である。
【0010】
Burnstock(1999)J.Anatomy 194:335−342;及びFerguson et al.(1997)J.Physiol.505:503−511は齧歯類及びヒト膀胱尿路上皮の求心性神経でP2X受容体サブユニットが確認されたと開示している。ATPは膨張の結果として膀胱又は他の中空臓器の上皮/内皮細胞から放出されるらしいというデータがある。こうして放出されたATPは上皮基底層部分(例えば尿路上皮基底固有層)に位置する感覚ニューロンに情報を伝達する役割を果たすらしい(Namasibayam,et al.(1999)BJU Intl.84:854−860)。P2X受容体は感覚ニューロン、交感神経ニューロン、副交感神経ニューロン、腸間膜ニューロン及び中枢ニューロンを含む多数のニューロンで研究されている(Zhong,et al.(1998)Br.J.Pharmacol.125:771−781)。これらの研究によると、プリン受容体は膀胱からの求心性神経伝達に役割を果たし、P2X受容体のモジュレーターは膀胱障害及び他の泌尿生殖器疾患又は病態の治療に潜在的に有用である。
【0011】
P2X受容体はヒト結腸で発現されることが示されており、正常結腸よりも炎症結腸のほうが高レベルで発現される(Y.Yiangou et al,Neurokastroenterol Mot(2001)13:365−69)。P2X受容体は腸内の膨張又は腔内圧の検出と反射収縮の開始にも関与すると考えられており(X.Bian et al.J.Physiol(2003)551.1:309−22)、これを大腸炎に結び付けている(G.Wynn et al.,Am J.Physiol Gastrointest Liver Physiol(2004)287:G647−57)。
【0012】
P2X受容体は肺神経上皮小体(NEB)でも発現されることが示されており、この受容体は肺における疼痛伝達に関係があるとみなされている(Inge Brouns et al.,Am J.Respir Cell Mol Biol(2000)23:52061)。更に、P2X受容体とP2X受容体は肺NEBにおけるpO検出に関係があるとされている(W.Rong et al.,J Neurosci(2003)23(36):11315−21)。
【0013】
しかし、P2受容体アゴニストは酵素分解し易いため、入手可能なプリン受容体リガンドを利用して哺乳動物生理における個々のP2受容体サブタイプの役割を評価することは困難であった。また、個々のP2X受容体の役割の研究は受容体サブタイプに特異的なアゴニスト及びアンタゴニストの欠如により阻まれている。
【0014】
従って、P2X受容体(例えばP2X)を制御できるならば疼痛の治療を必要とする患者で疼痛を最小限にできるので、先端技術はこのような受容体を調節又は制御することが可能な方法及び/又は化合物を検討している。更に、研究と治療の双方の目的で、各P2X受容体サブタイプの特異的アゴニスト及びアンタゴニスト、特にインビボで有効な物質と、プリン受容体に特異的なアゴニスト及びアンタゴニスト化合物の同定方法が当分野で必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許出願公開第20080004442号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第200700409609号明細書
【特許文献3】国際公開第2007041087号
【特許文献4】国際公開第2006119504号
【特許文献5】国際公開第200112627号
【特許文献6】国際公開第2007001973号
【特許文献7】国際公開第2007010553号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Burnstock(1993)Drug Dev.Res.28:195−206
【非特許文献2】Valera et al.(1994)Nature 371:516−519
【非特許文献3】Brake et al.(1994)Nature 371:519−523
【非特許文献4】Lewis et al.(1995)Nature 377:432−435
【非特許文献5】Chen et al.(1995)Nature 377:428−431
【非特許文献6】Buell et al.(1996)EMBO J.15:55−62
【非特許文献7】Seguela et al.(1996)J.Neurosci.16:448−455
【非特許文献8】Bo et al.(1995)FEBS Lett.375:129−133
【非特許文献9】Soto et al.(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:3684−3688
【非特許文献10】Wang et al.(1996)Biochem.Biophys.Res.Commun.220:196−202)
【非特許文献11】Collo et al.(1996)J.Neurosci.16:2495−2507
【非特許文献12】Garcia−Guzman et al.(1996)FEBS Lett.388:123−127
【非特許文献13】Soto et al.(1996)Biochem.Biophys.Res.Commun.223:456−460
【非特許文献14】Surprenant et al.(1996)Science 272:735−738
【非特許文献15】Buell et al.(1996)Eur.J.Neurosci.8:2221−2228
【非特許文献16】Lewis et al.,Nature 377:432−435(1995)
【非特許文献17】Le et al.,J.Neurosci.18:7152−7159(1998)
【非特許文献18】Torres et al.,Mol.Pharmacol.54:989−993(1998)
【非特許文献19】Ralevic,V.,et al.,Pharmacol.Rev.,50:413−492(1998)
【非特許文献20】Burnstock,G.,Pharmacol.Rev.,24:509−581(1972)
【非特許文献21】Burnstock,G.,Cell Membrane Receptor for Drugs and Hormones:A Multidisciplinary Approach,edited by R.W.Straub and L.Bolid.New York:Raven,1978,p.107−118
【非特許文献22】Bland−Ward et al.,Dr.J.Pharmacol.122:366−371(1997)
【非特許文献23】Hamilton et al.,Br.J.Phamacol.126:326−332(1999)
【非特許文献24】Driessen et al.,Brain Res.666:182−188(1994)
【非特許文献25】Tsuda et al.,Br.J.Pharmacol.127:449−4S6(1999)
【非特許文献26】Tsuda et al.,Br.J.Pharmacol.128:1497−1504(1999)
【非特許文献27】Chen et al.,NeuroReport 10:2779−2782(1999)
【非特許文献28】Chen et al.,Nature 377:428−430(1995)
【非特許文献29】Vulchanova et al.,Neuropharmacol.36:1229−1242(1997)
【非特許文献30】Burnstock(1999)J.Anatomy 194:335−342
【非特許文献31】Ferguson et al.(1997)J.Physiol.505:503−511
【非特許文献32】Namasibayam,et al.(1999)BJU Intl.84:854−860
【非特許文献33】Zhong,et al.(1998)Br.J.Pharmacol.125:771−781
【非特許文献34】Y.Yiangou et al,Neurokastroenterol Mot(2001)13:365−69
【非特許文献35】X.Bian et al.J.Physiol(2003)551.1:309−22
【非特許文献36】G.Wynn et al.,Am J.Physiol Gastrointest Liver Physiol(2004)287:G647−57
【非特許文献37】Inge Brouns et al.,Am J.Respir Cell Mol Biol(2000)23:52061
【非特許文献38】W.Rong et al.,J Neurosci(2003)23(36):11315−21
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は疼痛、特にP2X受容体サブユニットモジュレーターを使用して治療することが可能な末梢性疼痛、炎症性疼痛又は組織損傷性疼痛に関連する疾病状態の治療に重要な役割を果たす新規P2X受容体アンタゴニストを提供することにより上記問題のいくつかを解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は構造式I:
【0019】
【化1】

[式中、
X及びYは独立してN又はCRを表し;
Aは(CHオキサゾリル、(CHイソオキサゾリル、(CHジヒドロイソオキサゾリル及び(CHオキサジアゾリルから構成される群から選択される5員ヘテロシクリルを表し;
はH、C1−6アルキル、ハロゲン、(CHCF、C3−10シクロアルキル、CN、(CHOR、(CH5−10ヘテロシクリル、(CH6−10アリール又はC1−6アルコキシを表し;前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びアリールは場合によりC1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、(CHCF又はCNの1〜3個の基で置換されており;
はH、C1−6アルキルを表し;
はCRを表し;
あるいはRとRはそれらが結合している窒素と一緒になり、場合により1〜3個のR基で置換されたC5−10ヘテロシクリルを形成してもよく;
及びRは独立してH、(CHOR、CHF、(CH5−10ヘテロシクリル、(CH6−10アリール、C3−10シクロアルキル、C1−6アルコキシ又はC1−6アルキルを表し;前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びアリールは場合により1〜3個のR基で置換されており;
及びRは独立して水素、C1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、(CHCF、C3−6シクロアルキル、(CH5−10ヘテロシクリル又は(CH6−10アリールを表し、前記ヘテロシクリル及びアリールは場合によりC1−6アルキル、C5−10ヘテロシクリル、ハロゲン、(CHOR、−C(ROR、−C(O)R、(CHCF又はCNの1〜3個の基で置換されており;
あるいはRとRは環上の炭素原子と一緒になって4〜6員スピロ環を形成してもよく;
はC1−6アルキル、ハロゲン、−OR、ヒドロキシル、(CHCF、−O−、C3−6シクロアルキル、C5−10ヘテロシクリル又はC6−10アリールを表し、前記ヘテロシクリル及びアリールは場合によりC1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、(CHCF又はCNの1〜3個の基で置換されており;
nは0〜4を表す]
の新規P2X型受容体アンタゴニスト又はその医薬的に許容可能な塩と個々のエナンチオマー及びジアステレオマーに関する。
【0020】
本発明は本明細書に開示する化合物を使用するための組成物と方法にも関する。本発明のこれら及び他の態様は本明細書の開示に照らして当業者に容易に想到されよう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は疼痛及び疼痛に関連する疾病の治療に有用な構造式Iの新規P2X型受容体アンタゴニストに関する。
【0022】
本発明の1態様は、XとYが同時にNにならず、他の全変項が上記の通りであるときに実現される。
【0023】
本発明の別の態様は、XとYが同時にCHであり、他の全変項が上記の通りであるときに実現される。
【0024】
本発明の別の態様は、XがNであり、YがCHであり、他の全変項が上記の通りであるときに実現される。
【0025】
本発明の別の態様は、Aがイソオキサゾリルであり、他の全変項が上記の通りであるときに実現される。
【0026】
本発明の別の態様は、Aがジヒドロイソオキサゾリルであり、他の全変項が上記の通りであるときに実現される。
【0027】
本発明の別の態様は、Aがオキサゾリルであり、他の全変項が上記の通りであるときに実現される。
【0028】
本発明の別の態様は、Aがオキサジアゾリルであり、他の全変項が上記の通りであるときに実現される。
【0029】
本発明の別の態様は、Aが窒素原子を介してフェニル環と結合しており、他の全変項が上記の通りであるときに実現される。
【0030】
本発明の別の態様は、Aが炭素原子を介してフェニル環と結合しており、他の全変項が上記の通りであるときに実現される。
【0031】
本発明の別の態様は、Rが水素であり、RにおけるRとRが同時にC1−6アルキルであり、他の全変項が上記の通りであるときに実現される。
【0032】
本発明の別の態様は、Rが水素であり、RにおけるRとRの一方がC1−6アルキルであり、他方がC5−10ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルが場合により1〜3個のR基で置換されており、他の全変項が上記の通りであるときに実現される。
【0033】
本発明の更に別の態様は、R及び/又はRが環の炭素原子上の置換基であるときに実現される。本発明の1サブ態様はRとRの一方が水素であり、他方が場合により1〜3個のR基で置換されたC5−10ヘテロシクリルであるときに実現される。
【0034】
本発明の更に別の態様はRとRの一方が環の窒素原子上の置換基であり、他の全変項が上記の通りであるときに実現される。
【0035】
本発明の別の態様は、式II:
【0036】
【化2】

(式中、X、A、R、R、R及びRは上記の通りである)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩と個々のエナンチオマー及びジアステレオマーで実現される。式IIの1サブ態様はAがイソオキサゾリルであるときに実現される。式IIの別のサブ態様はAがジヒドロイソオキサゾリルであるときに実現される。式IIの別のサブ態様はAがオキサゾリルであるときに実現される。式IIの別のサブ態様はAがオキサジアゾリルであるときに実現される。式IIの別のサブ態様はXが窒素であるときに実現される。式IIの更に別のサブ態様はXがCHであるときに実現される。
【0037】
式IIの化合物の更に別の態様はAがイソオキサゾリルであり、RとRの一方が水素であり、他方か場合により1〜3個のR基で置換されたC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、Xが窒素であり、RがCHRであり、RとRの一方がC1−6アルキルであり、他方がC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、前記アリール及びヘテロシクリルが場合により1〜3個のR基で置換されているときに実現される。本発明の1サブ態様はR、R、R及びRにおける前記アリール及びヘテロシクリルがフェニル、ナフチル、フラニル、ピペロニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、キノリル、イソキノリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル及びチアゾリルから構成される群から選択され、好ましくはフェニル又はピリジルであるときに実現される。
【0038】
式IIの化合物の更に別のサブ態様は、Aがイソオキサゾリルであり、RとRがそれらと結合している環上の炭素原子と一緒になって4〜6員スピロ環を形成するときに実現される。
【0039】
式IIの化合物の別の態様はAがジヒドロイソオキサゾリルであり、RとRの一方が水素であり、他方が場合により1〜3個のR基で置換されたC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、Xが窒素であり、RがCHRであり、RとRの一方がC1−6アルキルであり、他方がC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、前記アリール及びヘテロシクリルが場合により1〜3個のR基で置換されているときに実現される。本発明の1サブ態様は、R、R、R及びRにおける前記アリール及びヘテロシクリルがフェニル、ナフチル、フラニル、ピペロニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、キノリル、イソキノリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル及びチアゾリルから構成される群から選択され、好ましくはフェニル又はピリジルであるときに実現される。
【0040】
式IIの化合物の更に別のサブ態様は、Aがジヒドロイソオキサゾリルであり、RとRがそれらと結合している環上の炭素原子と一緒になって4〜6員スピロ環を形成するときに実現される。
【0041】
式IIの化合物の別の態様はAがオキサゾリルであり、RとRの一方が水素であり、他方が場合により1〜3個のR基で置換されたC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、Xが窒素であり、RがCHRであり、RとRの一方がC1−6アルキルであり、他方がC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、前記アリール及びヘテロシクリルが場合により1〜3個のR基で置換されているときに実現される。本発明の1サブ態様はR、R、R及びRにおける前記アリール及びヘテロシクリルがフェニル、ナフチル、フラニル、ピペロニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、キノリル、イソキノリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル及びチアゾリルから構成される群から選択され、好ましくはフェニル又はピリジルであるときに実現される。
【0042】
式IIの化合物の更に別のサブ態様は、Aがジヒドロイソオキサゾリルであり、RとRがそれらと結合している環上の炭素原子と一緒になって4〜6員スピロ環を形成するときに実現される。
【0043】
式IIの化合物の更に別の態様は、Aがイソオキサゾリルであり、RとRの一方が水素であり、他方が場合により1〜3個のR基で置換されたC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、XがCHであり、RがCHRであり、RとRの一方がC1−6アルキルであり、他方がC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、前記アリール及びヘテロシクリルが場合により1〜3個のR基で置換されているときに実現される。本発明の1サブ態様は、R、R、R及びRにおける前記アリール及びヘテロシクリルがフェニル、ナフチル、フラニル、ピペロニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、キノリル、イソキノリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル及びチアゾリルから構成される群から選択され、好ましくはフェニル又はピリジルであるときに実現される。
【0044】
式IIの化合物の別の態様はAがジヒドロイソオキサゾリルであり、RとRの一方が水素であり、他方が場合により1〜3個のR基で置換されたC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、XがCHであり、RがCHRであり、RとRの一方がC1−6アルキルであり、他方がC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、前記アリール及びヘテロシクリルが場合により1〜3個のR基で置換されているときに実現される。本発明の1サブ態様は、R、R、R及びRにおける前記アリール及びヘテロシクリルがフェニル、ナフチル、フラニル、ピペロニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、キノリル、イソキノリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル及びチアゾリルから構成される群から選択され、好ましくはフェニル又はピリジルであるときに実現される。
【0045】
式IIの化合物の別の態様はAがオキサゾリルであり、RとRの一方が水素であり、他方が場合により1〜3個のR基で置換されたC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、XがCHであり、RがCHRであり、RとRの一方がC1−6アルキルであり、他方がC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、前記アリール及びヘテロシクリルが場合により1〜3個のR基で置換されているときに実現される。本発明の1サブ態様は、R、R、R及びRにおける前記アリール及びヘテロシクリルがフェニル、ナフチル、フラニル、ピペロニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、キノリル、イソキノリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル及びチアゾリルから構成される群から選択され、好ましくはフェニル又はピリジルであるときに実現される。
【0046】
式IIの化合物の別の態様はAが
【0047】
【化3】

(式中、R及びRは上記の通りである)から構成される群から選択されるときに実現される。本発明の1サブ態様はAが
【0048】
【化4】

好ましくは
【0049】
【化5】

であるときに実現される。
【0050】
本発明の化合物の例は下表1:
【0051】
【表1】





























の化合物又はその医薬的に許容可能な塩と個々のエナンチオマー及びジアステレオマーである。
【0052】
これらの化合物の例は、
N−[(1R)−1−(5−フルオロ−1−オキシドピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミド;
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−N−{(1R)−1−[1−オキシド−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エチル}−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イルjベンズアミド;
4’−メチル−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)−N−[(1R)−1−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)エチル]ビフェニル−3−カルボキサミド;
N−[(1R)−1−(3,5−ジフルオロピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)ベンズアミド;
2’−フルオロ−4’−メチル−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−N−[(1R)−1−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)エチル]ビフェニル−3−カルボキサミド;
N−[(3,5−ジフルオロピリジン−2−イル)メチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミド;
3−(5−クロロピリジン−2−イル)−N−[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミド;
N−[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−ヒドロキシ−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−5−(5−メチルピリジン−2−イル)ベンズアミド;
N−[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミド;
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−N−{(1R)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エチル}ベンズアミド;
N−[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5R)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミド;
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5R)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−N−{(1R)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エチル}ベンズアミド;
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(1,3−オキサゾール−2−イル)−N−{(1R)−1−[1−オキシド−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エチル}ベンズアミド;
N−[(1R)−1−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(1,3−オキサゾール−2−イル)ベンズアミド;
又はその医薬的に許容可能な塩と個々のエナンチオマー及びジアステレオマーである。
【0053】
任意変項(例えばアリール、複素環、R,R等)が任意成分中に2回以上出現する場合には、出現毎のその定義は各々独立している。また、置換基又は変項の組み合わせはこのような組み合わせにより安定な化合物が得られる場合のみに許容可能である。
【0054】
が−O−であり、炭素と結合しているときには、カルボニル基と言い、窒素原子(例えばピリジル基上の窒素原子)又は硫黄原子と結合しているときには、夫々N−オキシド基及びスルホキシド基と言う。
【0055】
本明細書で使用する「アルキル」とは例えばアルコキシ、アルカノイル、アルケニル及びアルキニル等の「アル」で始まる基を包含し、直鎖でも分岐鎖でもその組合せでもよい炭素鎖を意味する。アルキル基の例としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル及びヘプチルが挙げられる。「アルケニル」とは少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む炭素原子数2〜10の直鎖、分岐鎖又は環状炭化水素基を意味する。好ましいアルケニル基としてはエテニル、プロペニル、ブテニル及びシクロヘキセニルが挙げられる。好ましくは、アルケニルはC−Cアルケニルである。好ましいアルキニルはC−Cアルキニルである。
【0056】
「アルケニル」、「アルキニル」及び他の同様の用語は少なくとも1個の不飽和C−C結合を含む炭素鎖を包含する。
【0057】
本明細書で使用する「フルオロアルキル」とは少なくとも1個のフッ素置換基を含む本明細書に記載するアルキル置換基を意味する。
【0058】
「シクロアルキル」なる用語は指定炭素原子数の1個の環を含む飽和炭化水素を意味する。シクロアルキルの例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられる。
【0059】
「C1−6」なる用語は炭素原子数6、5、4、3、2又は1のアルキルを包含する。
【0060】
本明細書で単独又は組合せて使用する「アルコキシ」なる用語はオキシ結合原子と結合したアルキル基を包含する。「アルコキシ」なる用語はアルキルエーテル基も包含し、ここで「アルキル」なる用語は上記に定義した通りであり、「エーテル」とは酸素原子を介して結合した2個のアルキル基を意味する。適切なアルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、メトキシメタン(別称「ジメチルエーテル」)及びメトキシエタン(別称「エチルメチルエーテル」)が挙げられる。
【0061】
本明細書で使用する「アリール」とは、各環が7員までであり、少なくとも1個の環が芳香環である任意の安定な単環式又は二環式炭素環を意味する。このようなアリール基の例としてはフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル又はビフェニルが挙げられる。
【0062】
本明細書で使用する複素環、ヘテロシクリル又は複素環式なる用語は飽和又は不飽和であり、炭素原子とN、O及びSから構成される群から選択される1〜4個のヘテロ原子から構成される安定な5〜7員単環式又は安定な8〜11員二環式複素環を意味し、上記に定義した複素環のいずれかがベンゼン環と縮合した任意二環基を含む。安定な構造が形成される限り、複素環は任意ヘテロ原子又は炭素原子で結合することができる。複素環又は複素環式なる用語はヘテロアリール部分を包含する。このような複素環式基の例としては限定されないが、アゼピニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、1,3−ジオキソラニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニル及びチエニルが挙げられる。このような複素環式基の例の1態様としては限定されないが、アゼピニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、2−ピリジノニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニル、チエニル及びトリアゾリルが挙げられる。
【0063】
所定態様において、複素環式基はヘテロアリール基である。本明細書で使用する「ヘテロアリール」なる用語は5〜14個、好ましくは5、6、9又は10個の環原子をもち、環配列中に6、10又は14個のπ電子を共有しており、炭素原子に加え、N、O及びSから構成される群から選択される1〜約3個のヘテロ原子をもつ基を意味する。ヘテロアリール基としては限定されないが、チエニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル及びイソオキサゾリルが挙げられる。
【0064】
所定の他の態様において、複素環式基はアリール又はヘテロアリール基と縮合している。このような縮合複素環の例としては限定されないが、テトラヒドロキノリニルとジヒドロベンゾフラニルが挙げられる。
【0065】
本明細書で使用する「ヘテロアリール」なる用語は特に指定しない限り、芳香環を含む安定な5〜7員単環又は安定な9〜10員縮合二環式複素環系を意味し、いずれの環も飽和(例えばピペリジニル)でも部分飽和でも不飽和(例えばピリジニル)でもよく、炭素原子と、N、O及びSから構成される群から選択される1〜4個のヘテロ原子から構成され、窒素及び硫黄ヘテロ原子は場合により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は場合により四級化されていてもよく、上記に定義した複素環のいずれかがベンゼン環と縮合した任意二環基を含む。安定な構造が形成される限り、複素環は任意ヘテロ原子又は炭素原子で結合することができる。このようなヘテロアリール基の例としては限定されないが、ベンゾイミダゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾチアゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、カルボリン、シンノリン、フラン、フラザン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリジン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、キナゾリン、キノリン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアジン、トリアゾール及びそのN−オキシドが挙げられる。
【0066】
ヘテロシクロアルキルの例としては、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリニル、ピロリジン−2−オン、ピペリジン−2−オン及びチオモルホリニルが挙げられる。
【0067】
「ヘテロ原子」なる用語は独立して選択されるO、S又はNを意味する。
【0068】
置換されている部分とは、1個以上の水素が独立して別の化学置換基で置換された部分である。非限定的な例として、置換フェニルとしては、2−フルオロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3−クロロ−4−フルオロ−フェニル、2,4−フルオロ−3−プロピルフェニルが挙げられる。別の非限定的例として、置換n−オクチルとしては、2,4−ジメチル−5−エチルオクチルと3−シクロペンチルオクチルが挙げられる。酸素で置換され、カルボニル(−CO−)を形成するメチレン(−CH−)もこの定義に含まれる。
【0069】
本明細書で使用する場合、特に指定しない限り、ある部分(例えばシクロアルキル、ヒドロカルビル、アリール、アルキル、ヘテロアリール、複素環式、尿素等)が「場合により置換されている」と言うときには、その基が場合により1〜4個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1又は2個の水素以外の置換基をもつことを意味する。適切な置換基としては限定されないが、ハロ、ヒドロキシ、オキソ(例えばオキソで置換された環状−CH−は−C(O)−である)、ニトロ、ハロヒドロカルビル、ヒドロカルビル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アミノアルキル、アシル、カルボキシ、ヒドロキシアルキル、アルカンスルホニル、アレンスルホニル、アルカンスルホンアミド、アレンスルホンアミド、アラルキルスルホンアミド、アルキルカルボニル、アシルオキシ、シアノ及びウレイド基が挙げられる。(特に指定しない限り)それ自体が更に置換されていない好ましい置換基を以下に挙げる:
(a)ハロ、シアノ、オキソ、カルボキシ、ホルミル、ニトロ、アミノ、アミジノ、グアニジノ、及び
(b)C−Cアルキルもしくはアルケニルもしくはアリールアルキルイミノ、カルバモイル、アジド、カルボキサミド、メルカプト、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、C−Cアルキル、SOCF、CF、SOMe、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C−Cアシル、C−Cアシルアミノ、C−Cアルキルチオ、アリールアルキルチオ、アリールチオ、C−Cアルキルスルフィニル、アリールアルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、アリールアルキルスルホニル、アリールスルホニル、C−C N−アルキルカルバモイル、C−C15 N,N−ジアルキルカルバモイル、C−Cシクロアルキル、アロイル、アリールオキシ、アリールアルキルエーテル、アリール、シクロアルキルもしくは複素環もしくは別のアリール環に縮合したアリール、C−C複素環、又はシクロアルキル、ヘテロシクリルもしくはアリールに縮合もしくはスピロ縮合したこれらの環のいずれかであり、各々場合により更に上記(a)の1個以上の部分で置換されたもの。
【0070】
「ハロゲン」とはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
【0071】
「哺乳動物」なる用語はヒトと動物(例えばイヌ、ネコ、ウマ、ブタ及びウシ)を包含する。
【0072】
上記又は下記に引用する全特許、特許出願及び刊行物はその開示内容全体を本明細書に援用し、技術の現状を表すものとみなす。
【0073】
本明細書と添付の特許請求の範囲で使用する単数形の不定冠詞と定冠詞はそうでないことが内容から明白である場合を除き、複数の記載を包含する。従って、例えば「プライマー」と言う場合には、2個以上のこのようなプライマーを包含し、「アミノ酸」と言う場合には、2個以上のこのようなアミノ酸を包含し、他の用語についても同様である。
【0074】
「有効量」又は「治療有効量」なる用語はP2X受容体複合体の作用を阻害又は増強するために十分なP2X受容体複合体モジュレーターの濃度を意味する。
【0075】
「疼痛」とは特殊神経終末の刺激に起因する多少なりとも局在化した不快感、苦痛感又は苦悶感を意味する。疼痛には多くの種類があり、限定されないが、電撃痛、幻肢痛、乱切痛、急性疼痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛、複合性局所疼痛、神経痛、神経障害、組織傷害性疼痛等が挙げられる(Dorland’s Illustrated Medical Dictionary,28th Edition,W.B.Saunders Company,Philadelphia,Pa.)。疼痛治療の目的は治療対象が知覚する疼痛の程度又は重篤度を軽減することである。
【0076】
疾病状態「を治療する」又は「の治療」とは、1)疾病状態の予防、即ち疾病状態になる危険又は素因があるが、まだ疾病状態の症状を発生又は提示していない対象に疾病の臨床症状が生じないようにすること;2)疾病状態の抑制、即ち疾病状態又はその臨床症状の発生を阻止すること;あるいは3)疾病状態の緩和、即ち疾病状態又はその臨床症状の一時的又は永久的好転を包含する。
【0077】
本明細書に記載する化合物は1個以上の二重結合を含み、従ってシス/トランス異性体及び他の配座異性体となる場合がある。特に指定しない限り、本発明はこのような可能な全異性体とこのような異性体の混合物を包含する。
【0078】
本発明の化合物は1個以上の不斉中心を含み、従ってラセミ化合物、ラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在する場合がある。
【0079】
当然のことながら、本明細書で構造式Iの化合物と言う場合には医薬的に許容可能な塩も含み、更に遊離化合物の前駆体として使用する場合又は他の合成操作で使用する場合には医薬的に許容できない塩も含むものとする。
【0080】
本発明の化合物は医薬的に許容可能な塩として投与することができる。「医薬的に許容可能な塩」なる用語は医薬的に許容可能な非毒性塩基又は酸から製造される塩を意味する。本発明の化合物が酸性である場合には、無機塩基と有機塩基を含む医薬的に許容可能な非毒性塩基からその対応する塩を好適に製造することができる。このような無機塩基から誘導される塩としてはアルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(二価及び一価)、三価鉄、二価鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(三価及び二価)、カリウム、ナトリウム、亜鉛等の塩が挙げられる。医薬的に許容可能な非毒性有機塩基から誘導される塩としては第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、環状アミン及び置換アミン(例えば天然及び合成置換アミン)の塩が挙げられる。塩を形成することが可能な他の医薬的に許容可能な非毒性有機塩基としては、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン及びトロメタミン等のイオン交換樹脂が挙げられる。
【0081】
本発明の化合物が塩基性である場合には、無機酸と有機酸を含む医薬的に許容可能な非毒性酸からその対応する塩を好適に製造することができる。このような酸としては例えば酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、琥珀酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
【0082】
本発明の医薬組成物は活性成分としての本発明の化合物(又はその医薬的に許容可能な塩)と、医薬的に許容可能なキャリヤーと、場合により1種以上の他の治療剤又はアジュバントを含有する。このような他の治療剤としては、例えばi)オピエートアゴニスト又はアンタゴニスト、ii)カルシウムチャネルアンタゴニスト、iii)5HT受容体アゴニスト又はアンタゴニスト、iv)ナトリウムチャネルアンタゴニスト、v)NMDA受容体アゴニスト又はアンタゴニスト、vi)COX−2選択的阻害剤、vii)NK1アンタゴニスト、viii)非ステロイド性抗炎症薬(「NSAID」)、ix)選択的セロトニン再取込み阻害剤(「SSRI」)及び/又は選択的セロトニン・ノルエピネフリン再取込み阻害剤(「SSNRI」)、x)三環系抗鬱薬、xi)ノルエピネフリンモジュレーター、xii)リチウム、xiii)バルプロ酸塩、xiv)ニューロンチン(ガバペンチン)、xv)プレガバリン、並びにxvi)ナトリウムチャネル遮断薬が挙げられる。本発明の組成物としては経口、直腸、局所及び非経口(皮下、筋肉内及び静脈内を含む)投与に適した組成物が挙げられるが、任意所定症例に最適な経路は特定宿主と、活性成分を投与する病態の種類及び重篤度によって異なる。医薬組成物は単位用量形態で好適に提供することができ、製薬分野で周知の方法のいずれかにより製造することができる。
【0083】
本発明の化合物及び組成物は慢性、内臓、炎症性及び神経因性疼痛症候群の治療に有用である。これらは外傷性神経損傷、神経圧迫又は絞扼、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、小径線維神経障害及び糖尿病性神経障害に起因する疼痛の治療に有用である。本発明の化合物及び組成物は慢性腰痛、幻肢痛、慢性骨盤痛、神経腫痛、複合性局所疼痛症候群、慢性関節痛及び関連神経痛、並びに癌、化学療法、HIV及びHIV治療により誘発される神経障害に伴う疼痛の治療にも有用である。本発明の化合物は局部麻酔薬として利用することもできる。本発明の化合物は過敏性腸症候群及び関連障害とクローン病の治療に有用である。
【0084】
本発明の化合物は癲癇と部分性及び全身性強直発作の治療に臨床利用される。本発明の化合物は脳卒中又は神経外傷に起因する虚血状態下における神経保護と、多発性硬化症の治療にも有用である。本発明の化合物は頻脈性不整脈の治療に有用である。更に、本発明の化合物は神経精神障害の治療にも有用であり、このような障害としては、気分障害(例えば鬱病乃至より特定的には鬱病性障害(例えば単発性又は再発性大鬱病性障害及び気分変調性障害)、又は双極性障害(例えばI型双極性障害、II型双極性障害及び気分循環性障害));不安障害(例えば広場恐怖症を伴うか又は伴わないパニック障害、パニック障害歴を伴わない広場恐怖症、特定恐怖症(例えば特定動物恐怖症、対人恐怖症)、強迫性障害、ストレス障害(外傷後ストレス障害及び急性ストレス障害を含む)、及び全般性不安障害)が挙げられる。従って、本発明の別の側面は疼痛及び疼痛に関連する他の疾病の治療用医薬の製造における式Iの化合物の使用である。
【0085】
ヒト等の霊長類に加え、他の各種哺乳動物も本発明の方法により治療することができる。例えば、限定されないが、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、又は他のウシ種、ヒツジ種、ウマ種、イヌ種、ネコ種、齧歯類(例えばマウス)種等の哺乳動物を治療することができる。他方、本方法は鳥類(例えばニワトリ)等の他の種で実施することもできる。
【0086】
当然のことながら、鬱病又は不安症の治療には、ノルエピネフリン再取込み阻害剤、選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、可逆的モノアミンオキシダーゼ阻害剤(RIMA)、セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害剤(SNRI)、α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、非定型抗鬱剤、ベンゾジアゼピン、5−HT1Aアゴニスト又はアンタゴニスト、特に5−HT1A部分アゴニスト、ニューロキニン1受容体アンタゴニスト、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、及びその医薬的に許容可能な塩等の他の抗鬱剤又は抗不安剤と本発明の化合物を併用することができる。
【0087】
更に、当然のことながら、上記病態及び障害を予防するためと、カルシウムチャネル活動に関連する他の病態及び障害を予防するために本発明の化合物を予防有効用量レベルで投与することができる。
【0088】
本発明の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液剤又は懸濁液剤を局所用途に利用することができる。本発明の目的ではマウスウォッシュやうがい薬も局所用途の範囲に含まれる。
【0089】
炎症性及び神経因性疼痛の疼痛の治療には約0.01mg/kg〜約140mg/kg体重/日又は患者一人1日当たり約0.5mg〜約7gの用量レベルが有用である。例えば、炎症性疼痛は化合物約0.01mg〜75mg/kg体重/日又は患者一人1日当たり約0.5mg〜約3.5gを投与することにより有効に治療することができる。神経因性疼痛は化合物約0.01mg〜125mg/kg体重/日又は患者一人1日当たり約0.5mg〜約5.5gを投与することにより有効に治療することができる。
【0090】
単一用量形態を製造するためにキャリヤー材料と配合することができる活性成分の量は治療する宿主と特定投与方式により異なる。例えば、ヒト経口投与用製剤には活性剤約0.5mg〜約5gを組成物全体の約5〜約95%の範囲の好適量のキャリヤー材料と好適に配合することができる。単位用量形態は一般に活性成分約1mg〜約1000mg、典型的には25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg又は1000mgを含有する。
【0091】
しかし、当然のことながら、任意特定患者の特定用量レベルは種々の因子により異なる。このような患者関連因子としては、患者の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食生活が挙げられる。他の因子としては、投与時間、投与経路、排泄速度、薬剤併用及び治療する特定疾患の重篤度が挙げられる。
【0092】
実際には、本発明の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を活性成分として慣用医薬配合技術により医薬キャリヤーと混和することができる。キャリヤーは例えば経口又は非経口(静脈内を含む)の投与に所望される製剤形態に応じて多様な形態をとることができる。従って、本発明の医薬組成物は規定量の活性成分を各々含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤等の経口投与に適した不連続単位の形態とすることができる。更に、本発明の組成物は散剤、顆粒剤、溶液剤、水性液体懸濁液剤、非水性液剤、水中油エマルション又は油中水液エマルションの形態でもよい。上記一般剤形に加え、本発明の化合物又はその医薬的に許容可能な塩は制御放出手段及び/又は送達装置により投与することもできる。本発明の組成物は製薬法のいずれかにより製造することができる。一般に、このような方法は1種以上の必要成分を構成するキャリヤーと活性成分を配合する段階を含む。一般に、組成物は活性成分を液体キャリヤー又は微粉状固体キャリヤー又はその両者と均一混和することにより製造される。その後、製剤を所望形態に好適に成形することができる。
【0093】
従って、本発明の医薬組成物は医薬的に許容可能なキャリヤーと、化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含有することができる。本発明の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を1種以上の治療活性化合物と共に医薬組成物に加えてもよい。
【0094】
使用する医薬キャリヤーは例えば固体、液体又は気体とすることができる。固体キャリヤーの例としては乳糖、白土、蔗糖、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアガム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸が挙げられる。液体キャリヤーの例としては糖蜜、落花生油、オリーブ油及び水が挙げられる。気体キャリヤーの例としては二酸化炭素と窒素が挙げられる。上述したように、経口剤形用組成物を製造するには、通常の医薬媒体のいずれかを使用することができる。例えば、懸濁液剤、エリキシル剤及び溶液剤等の経口液体製剤の場合には、水、グリコール、油類、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤等を使用することができ、散剤、カプセル剤及び錠剤等の経口固体製剤の場合には、澱粉、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等のキャリヤーを添加することができる。投与し易いという理由から錠剤とカプセル剤が固体医薬キャリヤーを利用する最も有利な経口投与単位形態である。必要に応じて、標準水性又は非水性技術により錠剤にコーティングしてもよい。上記一般剤形に加え、制御放出手段及び/又は送達装置を使用して本発明の化合物及び組成物を投与することもできる。
【0095】
経口剤形用組成物を製造するには、任意の適切な医薬媒体を使用することができる。例えば、水、グリコール、油類、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤等を使用して懸濁液剤、エリキシル剤及び溶液剤等の経口液体製剤を形成することができ、澱粉、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤等のキャリヤーを使用して散剤、カプセル剤及び錠剤等の経口固体製剤を形成することができる。投与し易いという理由から錠剤とカプセル剤が固体医薬キャリヤーを利用する有利な経口投与単位である。場合により、標準水性又は非水性技術により錠剤にコーティングしてもよい。
【0096】
本発明の組成物を含有する錠剤は場合により1種以上の補助成分又はアジュバントを加えて圧縮又は成形により製造することができる。圧縮錠剤は散剤や顆粒剤等の自由流動形態の活性成分を場合により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤又は分散剤と混合し、適切な機械で圧縮することにより製造することができる。成形錠剤は不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することにより製造することができる。各錠剤は活性成分約0.1mg〜約500mgを配合すると有利であり、各カシェ剤又はカプセル剤は活性成分約0.1mg〜約500mgを配合すると有利である。従って、錠剤、カシェ剤又はカプセル剤1錠に活性成分0.1mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgを配合すると好適であり、錠剤、カシェ剤又はカプセル剤1錠又は2錠を1日1回、2回、又は3回投与する。
【0097】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は活性化合物の水溶液又は水性懸濁液として製造することができる。例えば、ヒドロキシプロピルセルロース等の適切な界面活性剤を加えることができる。グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びその油中混合物中で分散液を製造することもできる。更に、微生物の有害な増殖を防ぐために防腐剤を加えることができる。
【0098】
注射用に適した本発明の医薬組成物としては滅菌水溶液又は分散液が挙げられる。更に、組成物はこのような滅菌注射溶液又は分散液の即席調製用滅菌粉末の形態でもよい。いずれの場合も、最終注射剤形態は無菌でなければならず、注射針を通過し易いように有効に流動性でなければならない。医薬組成物は製造及び保存条件下で安定でなければならないので、細菌や真菌等の微生物の汚染作用から保護する必要がある。キャリヤーは例えば、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、植物油及び適切なその混合物を含む溶媒又は分散媒とすることができる。
【0099】
本発明の医薬組成物は例えばエアゾール、クリーム、軟膏、ローション及び散布剤等の局所用に適した形態とすることができる。更に、組成物は経皮装置で使用するのに適した形態とすることができる。これらの製剤は本発明の代表的化合物又はその医薬的に許容可能な塩を使用して慣用加工法により製造することができる。1例として、クリーム又は軟膏は親水性材料と水を化合物約5重量%〜約10重量%と混合して所望コンシステンシーをもつクリーム又は軟膏とすることにより製造される。
【0100】
本発明の医薬組成物はキャリヤーを固体とする直腸投与に適した形態とすることができ、例えば混合物は単位用量座剤を形成する。適切なキャリヤーとしてはカカオバターや当分野で一般に使用されている他の材料が挙げられる。座剤は先ず組成物を軟化又は溶融キャリヤーと混合した後に型で冷却成形することにより好適に形成することができる。
【0101】
上記キャリヤー成分に加え、上記医薬製剤に必要に応じて希釈剤、緩衝剤、香味剤、結合剤、界面活性剤、増粘剤、滑沢剤及び防腐剤(酸化防止剤を含む)等の1種以上の他のキャリヤー成分を添加してもよい。更に、製剤を所期レシピエントの血液と等張にするために他のアジュバントを加えてもよい。本発明の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含有する組成物は粉末又は濃縮液形態で製造することもできる。
【0102】
更に、上述したように、本発明の化合物は1種以上の治療活性化合物と併用することができる。特に、本発明の化合物は、i)オピエートアゴニスト又はアンタゴニスト、ii)他のカルシウムチャネルアンタゴニスト、iii)5HT受容体アゴニスト又はアンタゴニスト(5−HT1Aアゴニスト又はアンタゴニスト、及び5−HT1A部分アゴニストを含む)、iv)ナトリウムチャネルアンタゴニスト、v)N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アゴニスト又はアンタゴニスト、vi)COX−2選択的阻害剤、vii)ニューロキニン1受容体(NK1)アンタゴニスト、viii)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、ix)選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)及び/又は選択的セロトニン・ノルエピネフリン再取込み阻害剤(SSNRI)、x)三環系抗鬱薬、xi)ノルエピネフリンモジュレーター、xii)リチウム、xiii)バルプロ酸塩、xiv)ノルエピネフリン再取込み阻害剤、xv)モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、xvi)可逆的モノアミンオキシダーゼ阻害剤(RIMA)、xvii)α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、xviii)非定型抗鬱剤、xix)ベンゾジアゼピン、xx)コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、xxi)ニューロンチン(ガバペンチン)、並びにxii)プレガバリンと有利に併用することができる。
【0103】
本明細書で使用する略語は以下の意味である(下記以外の略語は特に指定しない限り、それらが通常使用されている通りの意味である):Ac(アセチル),Bn(ベンジル),Boc(第3級ブトキシカルボニル),Bop試薬(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート,CAMP(環状アデノシン−3’,5’−一リン酸),DAST(三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄),DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン),DIBAL(水素化ジイソブチルアルミニウム),DIEA(シイソプロピルエチルアミン),DMAP(4−(ジメチルアミノ)ピリジン),DMF(N,N−ジメチルホルムアミド),DPPF(1,1’−ビスジフェニルホスフィノフェロセン),EDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩),EtN(トリエチルアミン),GST(グルタチオントランスフェラーゼ),HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール),LAH(水素化アルミニウムリチウム),Ms(メタンスルホニル;メシル;乃至SOMe),MsO(メタンスルホナート乃至メシラート),MCPBA(メタクロロ過安息香酸),NaHMDS(ヘキサメチルジシラザンナトリウム),NBS(N−ブロモスクシンイミド),NCS(N−クロロスクシンイミド),NSAID(非ステロイド性抗炎症薬),PDE(ホスホジエステラーゼ),Ph(フェニル),r.t.乃至RT(室温),Rac(ラセミ),SAM(アミノスルホニル;スルホンアミド乃至SONH),SPA(シンチレーション近接アッセイ),Th(2−又は3−チエニル),TFA(トリフルオロ酢酸),THF(テトラヒドロフラン),Thi(チオフェンジイル),TLC(薄層クロマトグラフィー),TMEDA(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン),TMSI(トリメチルシリルヨージド),Tr乃至トリチル(N−トリフェニルメチル),C(アリル),Me(メチル),Et(エチル),n−Pr(ノルマルプロピル),i−Pr(イソプロピル),n−Bu(ノルマルブチル),i−ブチル(イソブチル),s−Bu(第2級ブチル),t−Bu(第3級ブチル),c−Pr(シクロプロピル),c−Bu(シクロブチル),c−Pen(シクロペンチル),c−Hex(シクロヘキシル)。
【0104】
本発明の化合物は実施例に記載する手順に従って製造することができる。以下の実施例は更に本発明の範囲についても記載するが、これを限定するものではない。
【0105】
特に指定しない限り、実験手順は以下の条件下で実施した。室温乃至周囲温度、即ち18〜25℃の範囲の温度で全操作を実施した。試薬又は中間体が空気及び水分に感受性の場合には、不活性ガス保護を使用した。60℃までの浴温度で減圧下(600〜4000パスカル:4.5〜30mmHg)にロータリーエバポレーターを使用して溶媒の蒸発を実施した。薄層クロマトグラフィー(TLC)又は高圧液体クロマトグラフィー−質量分析法(HPLC−MS)により反応経過を追跡し、単なる例証として反応時間を示す。TLC、質量分析法、核磁気共鳴(NMR)スペクトロメトリー又は微量分析データの技術のうちの少なくとも1種により全最終生成物の構造と純度を確認した。収率を記載する場合には例証に過ぎない。NMRデータを記載する場合には、主要診断プロトンのデルタ(δ)値として示し、指定溶媒を使用して300MHz、400MHz又は500MHzで測定し、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対する100万分率(ppm)で表す。シグナル形状に使用する慣用略語は、s.一重線;d.二重線;t.三重線;m.多重線;br.広幅等である。更に、「Ar」は芳香族シグナルを意味する。化学記号はその通常通りの意味であり、以下の略語を使用する:v(容量)、w(重量)、b.p.(沸点)、m.p.(融点)、L(リットル)、ml(ミリリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eq(当量)。
【0106】
化合物の合成手順として本明細書に記載する手順は保護基操作段階と、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー(TLC)、ラジアルクロマトグラフィー及び高圧クロマトグラフィー(HPLC)等の精製段階を1段階以上含むことができる。生成物はプロトン及び炭素−13核磁気共鳴法(H及び13C NMR)、赤外及び紫外分光法(IR及びUV)、X線結晶構造解析、元素分析並びにHPLC−質量分析法(HPLC−MS)等の化学分野で周知の各種技術を使用して特性決定することができる。保護基操作方法、精製方法、構造同定方法及び定量方法は化学合成分野の当業者に周知である。
【0107】
適切な溶媒は反応成分の1種又は全部を少なくとも部分的に溶解し、反応成分又は生成物と有害な相互作用を生じない溶媒である。適切な溶媒は芳香族炭化水素(例えばトルエン、キシレン)、ハロゲン化溶媒(例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン)、エーテル(例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジグリム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール)、ニトリル(例えばアセトニトリル、プロピオニトリル)、ケトン(例えば2−ブタノン、ジエチルケトン、tert−ブチルメチルケトン)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及び水である。2種以上の溶媒の混合物を使用することもできる。適切な塩基は一般にアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物(例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム及び水酸化カルシウム);アルカリ金属水素化物及びアルカリ土類金属水素化物(例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム及び水素化カルシウム);アルカリ金属アミド(例えばリチウムアミド、ナトリウムアミド及びカリウムアミド);アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩(例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素セシウム);アルカリ金属アルコキシド及びアルカリ土類金属アルコキシド(例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド及びマグネシウムエトキシド);アルカリ金属アルキル(例えばメチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム)、アルキルマグネシウムハロゲン化物、有機塩基(例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、コリジン、ルチジン及び4−ジメチルアミノピリジン);並びに二環式アミン(例えばDBU及びDABCO)である。
【0108】
当然のことながら、本発明に記載する所望化合物が得られるように、必要に応じて当業者に利用可能な標準官能基変換技術を使用して下記実施例に記載する化合物中に存在する官能基を更に操作することができる。
【0109】
同様に当然のことながら、単一エナンチオマーもしくはジアステレオマーとして、又は2個以上のエナンチオマーもしくはジアステレオマーを任意比率で含む混合物として製造することができる本発明の化合物は1個以上の立体中心を含む。
【0110】
当業者に自明の他の変形又は変更も本発明の範囲と教示に含まれる。本発明は下記特許請求の範囲の記載以外には限定されない。
【0111】
本発明の化合物の数種類の製造方法を下記スキーム及び実施例に例証する。出発材料は当分野で公知の手順又は本明細書に例証する手順に従って製造される。
【0112】
本発明の化合物は容易に入手可能な出発材料、試薬及び慣用合成手順を使用し、下記スキーム及び特定実施例又はその変法に従って容易に製造することができる。これらの反応では、詳細には記載しないが、当業者にそれ自体公知の変形を利用することも可能である。本発明で請求する化合物の一般製造手順は当業者が以下のスキームを参照して容易に理解認識することができる。
【0113】
反応スキーム
最終化合物の製造は下記一般ストラテジーにより進めることができる。以下の実施例は1つのストラテジーによる典型例であるが、当業者は他のストラテジーも利用できる。
【0114】
【化6】

【0115】
イソオキサゾールはスキーム1に従って製造することができる。臭化物1を酸化してアルデヒド2とし、遷移金属触媒作用下に各種アリールボロン酸とカップリングすると、ビアリール3が得られる。ヒドロキシルアミンと縮合すると、オキシム4が得られる。塩素化後に各種アルキンで直接環化すると、イソオキサゾール5が得られる。標準条件下に最終脱保護及びアミドカップリングすると、生成物6が得られる。
【0116】
【化7】

【0117】
あるいは、最終段階としてイソオキサゾールを製造できるように合成段階を並べ換え、スキーム2に示すようにイソオキサゾールを製造することもできる。
【0118】
【化8】

【0119】
イソオキサゾリンはスキーム3に従って製造することができる。オキシム4の塩素化後に各種アルケンで直接環化すると、イソオキサゾリン8が得られる。標準条件下に最終脱保護及びアミドカップリングすると、生成物9が得られる。
【0120】
【化9】

【0121】
あるいは、最終段階としてイソオキサゾリンを製造できるように合成段階を並べ換え、スキーム4に示すようにイソオキサゾリンを製造することもできる。
【0122】
【化10】

【0123】
更に別の変形では、最終段階としてビアリールコアを構築できるように合成段階を並べ換え、スキーム5に示すようにイソオキサゾリンを製造することもできる。
【0124】
【化11】

【0125】
スキーム6
18型のアミン中間体はスキーム6に示すように数種の中間体の1つから製造することができる。この方法はジアステレオ選択的エルマンスルフィンイミン付加化学反応を利用して1対のジアステレオマースルフィンアミドを生成する。シリカクロマトグラフィーによりジアステレオマーを分離後、HCl脱保護すると、18が得られる。基質に応じてR又はSエルマン試薬を利用し、図例の好ましい立体配置をもつ所期αメチルアミノ化合物が得られるようにする。
【0126】
【化12】

【0127】
場合により、例えば置換基の操作により最終生成物を更に改変してもよい。これらの操作としては限定されないが、当業者に一般に公知の還元、酸化、アルキル化、アシル化及び加水分解反応が挙げられる。更に、場合により、反応を助長するため、又は望ましくない反応生成物を避けるために上記反応スキームの実施順序を変更してもよい。
【0128】
中間体及び実施例
以下、本発明を更によく理解できるように実施例を記載する。これらの実施例は例証に過ぎず、本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【0129】
中間体1
【0130】
【化13】

【0131】
(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エタンアミン
ステップA:5−フルオロピリジン−2−カルボン酸エチル
エチルアルコール溶液(400mL)を脱気してParrスチールボンベに入れ、酢酸ナトリウム(43.3g,528mmol)と、2−ブロモ−5−フルオロピリジン(20g,114mmol)と、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(2.27g,4.09mmol)と、酢酸パラジウム(204mg,0.91mmol)を加えた。容器を窒素下におき、Parr栓で密閉した。雰囲気を一酸化炭素ガスで置換し、圧力を300psiに調整した。混合物を90℃まで加熱した。3時間後に圧力は100psi未満まで低下した。容器を周囲温度まで冷却し、反応混合物を一酸化炭素で300psiまで再加圧した。容器を90℃まで更に4時間加熱した。容器を周囲温度まで冷却し、残りの一酸化炭素を排出した。混合物を半量まで濃縮した。酢酸エチル(500mL)と水(300mL)を加えた。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(2×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%ヘキサン→70%ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(16g)を得た。MS 170.0(M+1)。
【0132】
ステップB:5−フルオロピリジン−2−カルボアルデヒド
5−フルオロピリジン−2−カルボン酸エチル(25g,148mmol)の−78℃のテトラヒドロフラン(250mL)溶液に水素化ジイソブチルアルミニウム(1.0Mヘキサン溶液;296mL,296mmol)を滴下した。1時間後に反応混合物をエチルアルコール(10mL)でクエンチした。飽和酒石酸カリウムナトリウム4水和物水溶液(1.3L)を加え、水層を酢酸エチル(2×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。混合溶液(1.4L)を濃縮せずに次段階に供した。MS 125.9(M+1)。
【0133】
ステップC:N−[(1E)−(5−フルオロピリジン−2−イル)メチレン]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
5−フルオロピリジン−2−カルボアルデヒド(18.49g,148mmol)を酢酸エチル(850mL)とTHF(250mL)とヘキサン(300mL)に溶解した溶液に(R)−(+)−2−メチル−2−プロパンスルフィンアミド(19.71g,163mmol)と無水硫酸銅(II)(59.0g,370mmol)を加えた。混合物を周囲温度で撹拌した。18時間後に混合物をセライトで濾過した。濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄し、濾液を濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%ジクロロメタン→98%ジクロロメタン/メタノール)により精製し、標記化合物(33.7g)を得た。
【0134】
ステップD:N−[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
N−[(1E)−(5−フルオロピリジン−2−イル)メチレン]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(52.12g,228mmol)の−78℃のジクロロメタン(1000mL)溶液に臭化メチルマグネシウム(3.0M THF溶液;198mL,594mmol)を加えた。混合物を周囲温度まで昇温した。30分後に混合物を−78℃まで冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)でクエンチした。混合物を周囲温度まで昇温した。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%酢酸エチル)により精製し、標記化合物(34.3g)を得た。MS 245(M+1)。
【0135】
ステップE:(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エタンアミン
N−[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(34.3g,140mmol)の0℃のメチルアルコール(700mL)溶液に塩化水素(4.0Mジオキサン溶液;105mL,421mmol)を加えた。30分後に混合物を濃縮乾凅した。エチルアルコール(15mL)とエーテル(40mL)を使用して残渣を再結晶させた。白色固体を濾過し、減圧乾燥し、標記化合物の塩酸塩(25.6g)を得た。MS 141.1(M+1)。
【0136】
中間体2
【0137】
【化14】

【0138】
(1R)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エタンアミン
ステップA:2−メチル−N−{(1E)−[6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]メチレン)−2−プロパンスルフィンアミド
6−(トリフルオロメチル)ニコチンアルデヒド(45.0g,257mmol)のジクロロエタン(640mL)溶液に(S)−(−)−2−メチル−2−プロパンスルフィンアミド(34.3g,283mmol)と無水硫酸銅(II)(82g,514mmol)を加えた。混合物を50℃で撹拌した。48時間後に混合物は周囲温度まで低下した。反応混合物をセライトで濾過した。濾過ケーキをジクロロメタンで洗浄し、濾液を濃縮し、標記化合物(76.8g)を得た。MS 223.1(M−tert−ブチル+1)。
【0139】
ステップB:2−メチル−N−{(1R)−1−[6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]エチル}−2−プロパンスルフィンアミド
2−メチル−N−{(1E)−[6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]メチレン}−2−プロパンスルフィンアミド(76.8g,276mmol)の−45℃のジクロロメタン(920mL)溶液に臭化メチルマグネシウム(3.0M THF溶液;184mL,552mmol)を加えた。混合物を−45℃で4時間撹拌した。反応混合物を−20℃まで昇温した。−20℃で更に臭化メチルマグネシウム(3.0M THF溶液;276mL,828mmol)を加えた。反応混合物を0℃まで昇温し、飽和塩化アンモニウム水溶液(300mL)でクエンチした。混合物を周囲温度まで昇温した。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。エチルアルコール(500mL)を使用して濃縮液を再結晶させた。次に白色固体を濾過し、減圧乾燥した(41.6g)。MS 295.0(M+1)。
【0140】
ステップC:(1R)−1−[6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]エタンアミン
2−メチル−N−{(1R)−1−[6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]エチル}−2−プロパンスルフィンアミド(41.6g,141mmol)の0℃のメチルアルコール(470mL)溶液に塩化水素(4.0Mジオキサン溶液;106mL,424mmol)を加えた。30分後に混合物を濃縮乾凅した。エチルアルコール(15mL)とエーテル(40mL)を使用して残渣を再結晶させた。白色固体を濾過し、減圧乾燥し、標記化合物の塩酸塩(26.3g)を得た。MS 191.2(M+1)。H NMR(500MHz,CDOD):δ8.83(d,J=2.2Hz,1H);8.17(d,J=8.2Hz,1H);7.93(d,J=8.2Hz,1H);4.69(q,J=6.9Hz,1H);1.70(d,J=6.9Hz,3H)。
【0141】
中間体3
【0142】
【化15】

【0143】
(1S)−1−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)エタンアミン
ステップA:[(1S)−2−アミノ−1−メチル−2−チオキソエチル]カルバミン酸ベンジル
[(1S)−2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル]カルバメート(15.0g,67.5mmol)のジクロロメタン(337mL)溶液に2,4−ビス−(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジホスフェタン2,4−ジスルフィド(15.01g,37.1mmol)を加え、混合物を55℃まで加熱した。1.5時間後に反応混合物を周囲温度まで冷却し、濃縮した。ジクロロメタンから再結晶させ、標記化合物(13.4g)を得た。MS 239.1(M+1)。
【0144】
ステップB:[(1S)−1−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)エチル]カルバミン酸ベンジル
[(1S)−2−アミノ−1−メチル−2−チオキソエチル]カルバミン酸ベンジル(13.4g,56.2mmol)のエタノール(1.125L)溶液にギ酸ヒドラジド(20.26g,337mmol)と塩化水銀(II)(19.85g,73.1mmol)を加えた。1時間後に反応混合物を濾過し、濃縮した。飽和炭酸ナトリウム水溶液と酢酸エチルを加えた。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(2×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。得られた残渣のエタノール(1.125L)溶液を80℃まで加熱した。16時間後に反応混合物を濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%ジクロロメタン→90%ジクロロメタン/メタノール+1%水酸化アンモニウム)により精製し、標記化合物(8.7g)を得た。MS 247.1(M+1)。
【0145】
ステップC:(1S)−1−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)エタンアミン
[(1S)−1−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)エチル]カルバミン酸ベンジル(8.6g,34.9mmol)のエタノール(140mL)溶液に4M塩酸1,4−ジオキサン溶液(43.7mL,175mmol)と10%炭素担持パラジウム(1.858g,1.746mmol)を加え、混合物を水素下に47psiまで加圧した。4時間後に反応混合物を減圧し、濾過した。濃縮し、標記化合物を塩酸塩(6.6g)として得た。MS 113.0(M+1)。H NMR(500MHz,CDOD):δ8.82(s,1H);4.67(q,J=6.9Hz,1H);1.70(dd,J=6.9,1.0Hz,3H)。
【0146】
中間体4
【0147】
【化16】

【0148】
(1R)−1−(5−フルオロ−1−オキシドピリジン−2−イル)エタンアミン
ステップA:[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]カルバミン酸tert−ブチル
(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エタンアミンのトルエンスルホン酸塩(7.5g,24.0mmol)の0℃のジクロロメタン(96mL)溶液にトリエチルアミン(7.03mL,50.0mmol)と二炭酸ジ−tert−ブチル(6.13mL,26.4mmol)を加えた。混合物を周囲温度まで昇温した。16時間後に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(2×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過した。濃縮し、標記化合物(7.72g)を得た。MS 241.1(M+1)。
【0149】
ステップB:[(1R)−1−(5−フルオロ−1−オキシドピリジン−2−イル)エチル]カルバミン酸tert−ブチル
[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]カルバミン酸tert−ブチル(5.77g,24.0mmol)のジクロロメタン(96mL)溶液に3−クロロ過安息香酸(6.51g,26.4mmol)を加えた。4.5時間後に過剰の3−クロロ過安息香酸(0.59g,2.6mmol)を加えた。72時間後に飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を加えた。1時間後に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(2×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%ジクロロメタン→90%ジクロロメタン/メタノール+1%水酸化アンモニウム)により精製し、標記化合物(5.45g)を得た。MS 257.1(M+1)。
【0150】
ステップC:(1R)−1−(5−フルオロ−1−オキシドピリジン−2−イル)エタンアミン
[(1R)−1−(5−フルオロ−1−オキシドピリジン−2−イル)エチル]カルバミン酸tert−ブチル(1.47g,5.74mmol)のジクロロメタン(28.7mL)溶液に4M塩酸1,4−ジオキサン溶液(43.0mL,172mmol)を加えた。2時間後に濃縮し、標記化合物を塩酸塩(1.396g)として得た。MS 157.1(M+1)。H NMR(500MHz,CDOD):δ8.55(dd,J=4.3,2.4Hz,1H);7.70(dd,J=9.0,6.7Hz,1H);7.52(ddd,J=9.1,7.1,2.4Hz,1H);4.80(q,J=7.0Hz,1H);1.74(d,J=7.0Hz,3H)。
【0151】
中間体5
【0152】
【化17】

【0153】
(1R)−1−[1−オキシド−6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]エタンアミン
ステップA:{(1R)−1−[6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]エチル}カルバミン酸tert−ブチル
(1R)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エタンアミン塩酸塩(0.554g,0.21mmol)のジクロロメタン(7.0mL)溶液に二炭酸ジ−tert−ブチル(0.506g,2.32mmol)とトリエチルアミン(0.969mL,6.95mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で4時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮し、標記化合物を得、ステップBで直接使用した(0.626g)。
【0154】
ステップB:{(1R)−1−[1−オキシド−6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]エチル}カルバミン酸tert−ブチル
{(1R)−1−[6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]エチル}カルバミン酸tert−ブチル(0.626g,2.157mmol)のクロロホルム(10.0mL)溶液に2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(24mg,0.108mmol)と3−クロロ過安息香酸(0.665g,2.70mmol)を加えた。反応混合物を50℃で48時間撹拌した。反応混合物を周囲温度まで冷却した。飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(75%ヘキサン/酢酸エチル→100%酢酸エチル)により精製し、標記化合物(140mg)を得た。MS 307.0(M+1)。
【0155】
ステップC:(1R)−1−[1−オキシド−6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]エタンアミン塩酸塩
{(1R)−1−[1−オキシド−6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]エチル}カルバミン酸tert−ブチル(140mg,0.457mmol)のジオキサン(2mL)溶液に塩化水素(4.0Mジオキサン溶液;0.343mL,1.371mmol)を加えた。反応混合物を4時間撹拌した。反応混合物を濃縮乾凅し、標記化合物の塩酸塩(118mg)を得た。MS 207.1(M+1)。
【0156】
中間体6
【0157】
【化18】

【0158】
(1R)−1−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)エタンアミン
ステップA:[(1R)−1−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)エチル]カルバミン酸tert−ブチル
N−(tert−ブトキシカルボニル)−D−アラニン(20g,106mmol)とアセトアミドオキシム(17.3g,234mmol)を1,4−ジオキサン120mLとN,N−ジメチルホルムアミド30mLに溶解した溶液にEDC(44.8g,234mmol)を加えた。混合物を60℃に4時間、100℃に16時間加熱した。周囲温度まで冷却後、酢酸エチル300mLを反応混合物に加えた。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム(2×)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカカラムで0→10%メタノール/ジクロロメタン勾配により精製し、純粋な[(1R)−1−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)エチル]カルバミン酸tert−ブチル(6.0g)を得た。MS 172.1((M−t−ブチル+H)+1)。
【0159】
ステップB:(1R)−1−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)エタンアミン
[(1R)−1−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)エチル]カルバミン酸tert−ブチル(6.0g,26.4mmol)のジオキサン(40mL)溶液に4N塩酸ジオキサン(30mL)溶液を加えた。反応混合物を20℃で16時間撹拌した。溶液を濃縮し、減圧乾燥し、(1R)−1−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)エタンアミンの塩酸塩(5.1g)を得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ4.90−4.83(m,1H);2.41(s,3H);1.72(d,J=7.0Hz,3H)。MS 128.2(M+1)。
【0160】
中間体7及び中間体8
【0161】
【化19】

【0162】
3−ブロモ−5−[(5R)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]安息香酸tert−ブチル及び3−ブロモ−5−[(5R)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]安息香酸tert−ブチル
ステップA:3−ブロモ−5−(メトキシカルボニル)安息香酸
5−ブロモイソフタル酸ジメチル(6.2g,22.7mmol)をメタノール(10mL)とテトラヒドロフラン(10mL)に溶解した溶液にNaOH(1.0M水溶液;20.4mL,20.4mmol)を滴下した。反応混合物を周囲温度で撹拌した。18時間後に混合物を濃縮した。酢酸エチルを加え、混合物を水(2×)で抽出した。水層を合わせ、HCl(6.0M水溶液)を使用してpH=3に調整した。この混合物を酢酸エチル(2×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した(4.9g)。
【0163】
ステップB:5−ブロモイソフタル酸tert−ブチルメチル
3−ブロモ−5−(メトキシカルボニル)安息香酸(4.9g,18.9mmol)の0℃のテトラヒドロフラン(100mL)溶液にN,N−ジメチルピリジン−4−アミン(2.89g,23.6mmol)を加えた後に二炭酸ジ−tert−ブチル(6.23g,1.51mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液を加えた。混合物を周囲温度まで昇温した。72時間後に混合物を濃縮した。酢酸エチルを加え、混合物をHCl水溶液(0.1N)で洗浄し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%ヘキサン→80%ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(3.63g)を得た。
【0164】
ステップC:3−ブロモ−5−(ヒドロキシメチル)安息香酸tert−ブチル
5−ブロモイソフタル酸tert−ブチルメチル(3.63g,11.5mmol)の0℃のテトラヒドロフラン(90mL)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(1.53g,40.3mmol)を少量ずつ加えた。混合物を0℃で撹拌した。30分後にメタノール(4.2mL,92.0mmol)を加え、混合物を40℃まで加熱した。6時間後に混合物を周囲温度まで冷却し、混合物をメタノールでクエンチし、濃縮した。酢酸エチルを加え、混合物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%ヘキサン→50%ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(2.7g)を得た。
【0165】
ステップD:3−ブロモ−5−ホルミル安息香酸tert−ブチル
臭化カリウム(249.3g,2.095mol)と2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(3.27g,20.93mmol)を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(960mL)と水(240mL)に懸濁した懸濁液に3−ブロモ−5−(ヒドロキシメチル)安息香酸tert−ブチル(119.7g,417mmol)と、ジクロロメタン(1200mL)を加えた。混合物を<5℃まで冷却し、反応が完了するまで次亜塩素酸ナトリウム(850mL,12.53mol)を4回に分けて滴下した。チオ硫酸ナトリウム5水和物(72g)の水(250mL)溶液を加え、反応混合物を周囲温度まで昇温した。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(2×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した(119.0g)。
【0166】
ステップE:3−ブロモ−5−[(E)−(ヒドロキシイミノ)メチル]安息香酸tert−ブチル
3−ブロモ−5−ホルミル安息香酸tert−ブチル(119g,417mmol)のジオキサン(2.4L)溶液に塩酸ヒドロキシルアミン(44.0g,633mmol)とピリジン(103mL,1.27mol)を加えた。反応混合物を68℃まで加熱した。16時間後に混合物を濃縮した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した(125.0g)。MS 243(M−tert−ブチル)。
【0167】
ステップF:3−ブロモ−5−[(5R)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]安息香酸tert−ブチル及び3−ブロモ−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル安息香酸tert−ブチル
3−ブロモ−5−[(E)−(ヒドロキシイミノ)メチル]安息香酸tert−ブチル(125g,416mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(1680mL)とジクロロメタン(500mL)に溶解した溶液にN−クロロスクシンイミド(61.2g,458mmol)を加えた。反応混合物を50℃まで加熱した。1時間後に反応混合物を周囲温度まで冷却し、2−ビニルピリジン(90mL,833mmol)を加えた。トリエチルアミン(350mL,2.51mol)を30分間かけてゆっくりと加えた。混合物を周囲温度で撹拌した。30分後に水を加え、混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせて水(2×)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(90%ヘプタン/酢酸エチル→70%ヘプタン/酢酸エチル)により精製し、2種類のジアステレオマーの混合物123.8gを得た。2種類のジアステレオマーを超臨界流体クロマトグラフィー(ChiralPak AD,2cm×25cm,80%二酸化炭素+20%メタノール,70mL/min)により分離し、3−ブロモ−5−[(5R)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]安息香酸tert−ブチルと3−ブロモ−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]安息香酸tert−ブチルを得た。
【0168】
中間体9
【0169】
【化20】

【0170】
3−ブロモ−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)安息香酸tert−ブチル
ステップA:3−ブロモ−5−ホルミル安息香酸tert−ブチル
3−ブロモ−5−(ヒドロキシメチル)安息香酸tert−ブチル(0.8g,2.79mmol)の0℃のジクロロメタン(14mL)溶液にデス・マーチン試薬(1.54g,3.62mmol)を加えた。混合物を周囲温度まで昇温した。1時間後に飽和NaHCOと飽和NaSOを加え、混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%ヘキサン→80%ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(440mg)を得た。
【0171】
ステップB:3−ブロモ−5−[(E)ヒドロキシイミノ)メチル]安息香酸tert−ブチル
3−ブロモ−5−ホルミル安息香酸tert−ブチル(440mg,1.54mmol)のジオキサン(7mL)溶液に塩酸ヒドロキシルアミン(107mg,1.54mmol)とピリジン(0.13mL,1.54mol)を加えた。反応混合物を周囲温度で撹拌した。72時間後に、更に塩酸ヒドロキシルアミン(29mg,0.29mmol)とピリジン(25μL,0.31mol)を加えた。混合物を周囲温度で撹拌した。3時間後に混合物を濃縮した。飽和NaHCO水溶液を加え、混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した(470mg)。MS 243(M−tert−ブチル)。
【0172】
ステップC:3−ブロモ−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)安息香酸tert−ブチル
3−ブロモ−5−[(E)−(ヒドロキシイミノ)メチル]安息香酸tert−ブチル(5.26g,17.5mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(80mL)溶液にN−クロロスクシンイミド(2.57g,19.3mmol)を加えた。反応混合物を50℃まで加熱した。1時間後に反応混合物を周囲温度まで冷却し、メチレンシクロブタン(6.49mL,70.1mmol)を加えた。トリエチルアミン(12.2mL,88.0mol)を加えた。混合物を周囲温度で撹拌した。10分後に飽和NaHCO水溶液を加え、混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせて水(2×)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%ヘキサン→90%ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(2.86g)を得た。MS 366(M)。
【0173】
(実施例1)
【0174】
【化21】

【0175】
N−[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミド
ステップ1:3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]安息香酸tert−ブチル
3−ブロモ−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]安息香酸tert−ブチル(19.95g,49.5mmol)とビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(0.76g,1.48mmol)のジオキサン(247mL)溶液に5−メチル−2−ピリジル亜鉛ブロミド(0.5M THF溶液;198mL,99mmol)を加えた。反応混合物を75℃まで加熱した。1時間後に反応混合物を周囲温度まで冷却した。エチレンジアミン四酢酸三カリウム塩水溶液(0.4M,200mL)とジクロロメタン(200mL)を加えた。混合物を15分間撹拌し、有機溶媒を蒸発させた。混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%酢酸エチル→98%酢酸エチル/メタノール)により精製し、標記化合物(18.6g)を得た。MS 416.1(M+1)。
【0176】
ステップB:3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]安息香酸
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]安息香酸tert−ブチル(18.6g,44.8mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液に塩化水素(4.0Mジオキサン溶液;56.0mL,224mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で撹拌した。18時間後に混合物を濃縮した。ジクロロメタンを加え、懸濁液を濾過した。固体ケーキをジクロロメタンで洗浄し、減圧乾燥し、標記化合物の塩酸塩(19.8g)を得た。MS 359.8(M+1)。
【0177】
ステップC:N−[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミド
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]安息香酸(11.7g,27.1mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(150mL)溶液に(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エタンアミン塩酸塩(7.5g,35.2mmol)と、EDC(7.78g,40.6mmol)と、HOAT(1.84g,13.5mmol)と、トリエチルアミン(26.4mL,189mmol)を加えた。反応混合物を50℃まで加熱した。2時間後に混合物を周囲温度まで冷却し、水を加えた。混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせて水(3×)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%ジクロロメタン→40%ジクロロメタン/アセトン)により精製し、標記化合物(10.67g)を得た。HRMS 482.1999(M+1)。H NMR(400MHz,CDCl):δ8.57(ddd,J=4.8,1.8,1.0Hz,1H);8.49(d,J=2.1Hz,1H);8.45−8.39(m,3H);8.16(t,J=1.6Hz,1H);7.71−7.66(m,2H);7.59−7.52(m,3H);7.37(td,J=8.3,2.8Hz,1H);7.30(dd,J=8.6,4.4Hz,1H);7.21(ddd,J=7.6,4.9,1.2Hz,1H);5.87(dd,J=10.7,7.1Hz,1H);5.41−5.31(m,1H);3.92−3.78(m,2H);2.36(s,3H);1.55(d,J=6.8Hz,3H)。
【0178】
(実施例1A)
【0179】
【化22】

【0180】
N−[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5R)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミド
ステップA:3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5R)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]安息香酸
本化合物はN−[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミド(実施例1,ステップA及びB)を製造するために使用した手順と同一手順を使用して製造した。
【0181】
ステップB:N−[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5R)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミド
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5R)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]安息香酸トリフルオロ酢酸塩(1.14g,1.94mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)溶液に(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エタンアミン塩酸塩(0.62g,2.91mmol)と、EDC(0.74g,3.88mmol)と、HOAT(0.26g,1.94mmol)と、トリエチルアミン(1.89mL,13.6mmol)を加えた。反応混合物を40℃まで加熱した。1.5時間後に更に(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エタンアミン塩酸塩(0.29g,1.36mmol)と、EDC(0.37g,1.94mmol)と、HOAT(0.13g,0.97mmol)と、トリエチルアミン(0.54mL,3.88mmol)を加えた。2時間後に混合物を周囲温度まで冷却し、水を加えた。混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせて水(3×)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%ジクロロメタン→95%ジクロロメタン/メタノール)により精製し、標記化合物(820mg)を得た。標記化合物をジクロロメタンに溶解し、HCl(2.0Mエーテル溶液)を加えた。混合物を濃縮し、標記化合物の塩酸塩を得た。HRMS 482.2014(M+1)。H NMR(400MHz,CDOD):δ8.82(d,J=5.8Hz,1H);8.75(s,1H);8.68−8.49(m,6H);8.42(d,J=8.4Hz,1H);8.19(d,J=8.1Hz,1H);8.07−8.00(m,2H);7.92(dd,J=8.9,4.6Hz,1H);6.28(dd,J=11.6,6.8Hz,1H);5.36(q,J=7.1Hz,1H);4.30(dd,J=17.4,11.7Hz,1H);3.98(dd,J=17.4,6.8Hz,1H);2.61(s,3H);1.70(d,J=7.1Hz,3H)。
【0182】
(実施例2)
【0183】
【化23】

【0184】
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−N−{(1R)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エチル}ベンズアミド
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]安息香酸(2.9g,5.57mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(28mL)溶液に(1R)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エタンアミン塩酸塩(1.52g,6.69mmol)と、EDC(1.60g,8.36mmol)と、HOAT(190mg,1.39mmol)と、トリエチルアミン(3.1mL,22.3mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で撹拌した。2時間後に混合物を50℃まで加熱した。1時間後に混合物を周囲温度まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。酢酸エチル(200mL)を加え、混合物を70℃まで加熱した。溶液を冷却し、冷蔵庫に入れ、生成物を析出させた。析出した固形分を濾過し、冷酢酸エチルで洗浄し、減圧乾燥し、標記化合物(2.17g)を得た。HRMS 532.1972(M+1)。H NMR(500MHz,CDCl)δ8.80(s,1H),8.61−8.60(d,J=4.9Hz,1H),8.51(s,1H),8.45−8.44(m,2H),8.15(t,J=1.5Hz,1H),7.91−7.89(m,1H),7.74−7.71(dd,J=7.8,6.1Hz,2H),7.68−7.67(d,J=8.1Hz,1H),7.62−7.60(m,1H),7.57−7.55(d,J=7.8Hz,1H),7.25−7.23(m,1H),6.69−6.67(d,J=6.8Hz,1H),5.93−5.89(dd,J=9.9,7.9Hz,1H),5.44−5.38(m,1H),3.94−3.86(m,2H),2.4(s,3H),1.70−1.68(d,J=7.1Hz,3H)。
【0185】
(実施例2A)
【0186】
【化24】

【0187】
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5R)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−N−{(1R)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エチル}ベンズアミド
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5R)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]安息香酸トリフルオロ酢酸塩(1.14g,1.94mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)溶液に(1R)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エタンアミン塩酸塩(0.77g,2.91mmol)と、EDC(0.74g,3.88mmol)と、HOAT(0.26g,1.94mmol)と、トリエチルアミン(1.62mL,11.6mmol)を加えた。反応混合物を40℃で撹拌した。3.5時間後に混合物を周囲温度まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。酢酸エチル(50mL)を加え、懸濁液を濾過した。固形分を減圧乾燥し、標記化合物350mgを得た。濾液を濃縮し、逆相HPLC(C−18,95%水/アセトニトリル→40%水/アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸)により精製し、更に標記化合物200mg(合計550mg)を得た。HRMS 532.1970(M+1)。H NMR(400MHz,CDCl):δ8.76(s,1H);8.55(d,J=4.8Hz,1H);8.45(s,1H);8.38(s,2H);8.08(s,1H);7.86(d,J=8.2Hz,1H);7.73−7.59(m,3H);7.53(dd,J=18.7,7.9Hz,2H);7.23−7.18(m,1H);6.85(d,J=7.0Hz,1H);5.86(dd,J=10.5,7.3Hz,1H);5.42−5.32(m,1H);3.88−3.74(m,2H);2.35(s,3H);1.65(d,J=7.1Hz,3H)。
【0188】
(実施例3)
【0189】
【化25】

【0190】
3−(5−メチル−2−ピリジニル)−N−{(1R)−1−[1−オキシド−6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]エチル}−5−[(5S)−5−(2−ピリジニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]ベンズアミド
ステップA:3−(5−メチル−2−ピリジニル)−N−{(1R)−1−[1−オキシド−6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]エチル}−5−[(5S)−5−(2−ピリジニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]ベンズアミド
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]安息香酸(25mg,0.053mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(0.5mL)溶液に(1R)−1−[1−オキシド−6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]エタンアミン塩酸塩(16mg,0.066mmol)と、EDC(18mg,0.092mmol)と、HOAT(2mg,0.016mmol)と、トリエチルアミン(30μL,0.21mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で18時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。逆相HPLC(C−18,95%水/アセトニトリル→5%水/アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸)により精製し、標記化合物のトリフルオロ酢酸塩(26.4mg)を得た。HRMS 548.1915(M+1)。H NMR(500MHz,DMSO):δ9.21(d,J=7.3Hz,1H);8.64−8.59(m,2H);8.58(s,1H);8.55(s,1H);8.53−8.50(m,1H);8.26(s,1H);8.07(d,J=8.1Hz,1H);7.94(d,J=8.4Hz,1H);7.89(td,J=7.7,1.8Hz,1H);7.81(dd,J=8.1,2.1Hz,1H);7.56(t,J=9.1Hz,2H);7.41(ddd,J=7.6,4.8,1.2Hz,1H);5.90(dd,J=11.1,7.2Hz,1H);5.22(p,J=7.1Hz,1H);4.01(dd,J=17.0,11.1Hz,1H);3.89(dd,J=17.1,7.2Hz,1H);2.38(s,3H);1.56(d,J=7.1Hz,3H)。
【0191】
(実施例4)
【0192】
【化26】

【0193】
2’−フルオロ−4’−メチル−5−[(5S)−5−(2−ピリジニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]−N−[(1S)−1−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)エチル]−3−ビフェニルカルボキサミド
2’−フルオロ−4’−メチル−5−[(5S)−5−(2−ピリジニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]−3−ビフェニルカルボン酸(125mg,0.227mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)溶液に(1S)−1−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)エタンアミン塩酸塩(52mg,0.283mmol)と、EDC(65mg,0.340mmol)と、HOAT(9mg,0.068mmol)と、トリエチルアミン(95μL,0.680mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で18時間撹拌した。水を加えた。逆相HPLC(C−18,95%水/アセトニトリル→5%水/アセトニトリル+0.05%水酸化アンモニウム)により精製し、濃縮し、遊離塩基を得た。濃縮液をジクロロメタンに溶解し、塩化水素ガスをバブリングした。濃縮し、標記化合物を塩酸塩(94.0mg)として得た。HRMS 471.1977(M+1)。H NMR(500MHz,CDOD):δ8.94(s,1H);8.78(d,J=5.6Hz,1H);8.53(t,J=7.7Hz,1H);8.25(t,J=1.7Hz,1H);8.16(t,J=1.6Hz,1H);8.11−8.07(m,2H);7.94(t,J=6.6Hz,1H);7.46(t,J=7.9Hz,1H);7.15−7.07(m,2H);6.18(dd,J=11.4,6.6Hz,1H);5.50−5.45(m,1H);4.21(dd,J=17.3,11.5Hz,1H);3.86(dd,J=20.8,7.9Hz,1H);2.41(s,3H);1.74(d,J=7.1Hz,3H)。
【0194】
(実施例5)
【0195】
【化27】

【0196】
N−[(1R)−1−(3,5−ジフルオロ−2−ピリジニル)エチル]−3−(5−メチル−2−ピリジニル)−5−[(5S)−5−(2−ピリジニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]安息香酸(100mg,0.211mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)溶液に(1R)−1−(3,5−ジフルオロ−2−ピリジニル)エタンアミン塩酸塩(51mg,0.264mmol)と、EDC(71mg,0.370mmol)と、HOAT(9mg,0.063mmol)と、トリエチルアミン(147μL,1.06mmol)を加えた。)反応混合物を周囲温度で18時間撹拌した。水を加えた。逆相HPLC(C−18,95%水/アセトニトリル→5%水/アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸)により精製し、トリフルオロ酢酸塩を得た。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。濃縮液をメタノールに溶解し、塩化水素ガスをバブリングした。濃縮し、標記化合物の塩酸塩(61.1mg)を得た。HRMS 486.1728(M+1)。H NMR(500MHz,CDOD):δ8.85(d,J=5.9Hz,1H);8.78(s,1H);8.69−8.62(m,1H);8.58(d,J=8.4Hz,1H);8.54−8.50(m,3H);8.39(d,J=8.4Hz,1H);8.34(d,J=2.4Hz,1H);8.21(d,J=8.6Hz,1H);8.08−8.03(m,1H);7.63(ddd,J=9.8,8.5,2.4Hz,1H);6.34−6.28(m,1H);4.81(s,2H);4.31(dd,J−17.9,11.8Hz,1H);4.00−3.93(m,1H);2.64(s,3H)。
【0197】
(実施例6)
【0198】
【化28】

【0199】
3−(5−クロロ−2−ピリジニル)−N−[(1R)−1−(5−フルオロ−2−ピリジニル)エチル]−5−[(5S)−5−(2−ピリジニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]ベンズアミド
ステップA:3−ブロモ−5−[(5S)−5−(2−ピリジニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]安息香酸
3−ブロモ−5−[(5S)−5−(2−ピリジニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]安息香酸tert−ブチル(0.530g,1.31mmol)のジオキサン(6.5mL)溶液に塩化水素(4Mジオキサン溶液,1.3mL,5.26mmol)を加えた。反応混合物を50℃で2時間撹拌した。濃塩酸(12.1N)2滴を加えた。反応混合物を50℃で2日間撹拌した。混合物を濃縮乾凅し、標記化合物の塩酸塩を得、ステップBで直接使用した(0.476g)。MS 346.9(M+1)。
【0200】
ステップB:3−ブロモ−N−[(1R)−1−(5−フルオロ−2−ピリジニル)エチル]−5−[(5S)−5−(2−ピリジニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]ベンズアミド
3−ブロモ−5−[(5S)−5−(2−ピリジニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]安息香酸塩酸塩(0.476g,1.24mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(6mL)溶液に(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エタンアミン塩酸塩(0.330g,1.55mmol)と、EDC(416mg,2.17mmol)と、HOAT(0.051g,0.372mmol)と、トリエチルアミン(0.865mL,6.20mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で18時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(50%ヘキサン/酢酸エチル→0%ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(547mg)を得た。MS 468.9(M+1)。
【0201】
ステップC:N−[(1R)−1−(5−フルオロ−2−ピリジニル)エチル]−3−[(5S)−5−(2−ピリジニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンズアミド
3−ブロモ−N−[(1R)−1−(5−フルオロ−2−ピリジニル)エチル]−5−[(5S)−5−(2−ピリジニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]ベンズアミド(0.547g,1.17mmol)のジオキサン(5.8mL)溶液にビス(ピナコラト)ジボロン(0.444g,1.75mmol)と、酢酸カリウム(0.229g,2.33mmol)と、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.095g,0.117mmol)を加えた。反応混合物を50℃で2日間撹拌した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、混合物をセライトで濾過した。濾液を濃縮した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%ジクロロメタン→100%酢酸エチル)により精製し、標記化合物(0.547g)を得た。MS 517.1(M+1)。
【0202】
ステップD:3−(5−クロロ−2−ピリジニル)−N−[(1R)−1−(5−フルオロ−2−ピリジニル)エチル]−5−[(5S)−5−(2−ピリジニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]ベンズアミド
N−[(1R)−1−(5−フルオロ−2−ピリジニル)エチル]−3−[(5S)−5−(2−ピリジニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンズアミド(0.150g,0.290mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(2.2mL)と水(0.73mL)に溶解した溶液に2−ブロモ−5−クロロピリジン(70mg,0.363mmol)と、酢酸パラジウム(3.3mg,0.015mmol)と、3,3’,3”−ホスフィニジントリス(ベンゼンスルホン酸)三ナトリウム塩(17mg,0.029mmol)と、ジイソプロピルアミン(104μL,0.73mmol)を加えた。反応混合物を80℃まで加熱した。30分後に混合物を周囲温度まで冷却し、固形分を濾別した。逆相HPLC(C−18,95%水/アセトニトリル→5%水/アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸)により精製し、標記化合物のトリフルオロ酢酸塩を得た。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。濃縮液をメタノールに溶解し、塩化水素ガスをバブリングした。濃縮し、標記化合物の塩酸塩(60.3mg)を得た。HRMS 502.1434(M+1)。H NMR(500MHz,CDOD):δ8.93(t,J=2.4Hz,1H);8.86(d,J=5.9Hz,1H);8.80(d,J=2.0Hz,1H);8.73−8.67(m,2H);8.60(s,1H);8.49−8.42(m,2H);8.26−8.18(m,4H);8.09(t,J=6.8Hz,1H);6.31(dd,J=11.6,6.5Hz,1H);5.44(q,J=7.1Hz,1H);4.32(dd,J=17.3,11.6Hz,1H);4.00(dd,J=17.4,6.7Hz,1H);1.80(d,J=7.2Hz,3H)。
【0203】
(実施例7)
【0204】
【化29】

【0205】
N−[(1R)−1−(5−フルオロ−2−ピリジニル)エチル]−3−[5−ヒドロキシ−5−(2−ピリジニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]−5−(5−メチル−2−ピリジニル)ベンズアミド
ステップA:3−(5−メチル−2−ピリジニル)−5−ビニル安息香酸メチル
3−ブロモ−5−(5−メチルピリジン−2−イル)安息香酸メチル(2.0g,6.53mmol)のエタノール(13mL)溶液にビニルトリフルオロ硼酸カリウム(1.31g,9.80mmol)と、トリエチルアミン(1.37mL,9.80mmol)と、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.267g,0.327mmol)を加えた。反応混合物を撹拌し、140℃のマイクロ波を10分間照射した。反応混合物を周囲温度まで冷却した。水を加え、エタノールを濃縮した。混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%ヘキサン→50%ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(1.51g)を得た。MS 254.1(M+1)。
【0206】
ステップB:3−(5−メチル−2−ピリジニル)−5−ビニル安息香酸
3−(5−メチル−2−ピリジニル)−5−ビニル安息香酸メチル(1.51g,5.97mmol)のメタノール(20mL)溶液に水酸化ナトリウム(1N,17.9mL,17.9mmol)を加えた。反応混合物を50℃で18時間撹拌した。混合物を周囲温度まで冷却し、塩化水素(6N,2.98mL,17.9,mmol)を加えた。混合物を30分間撹拌し、濃縮乾凅し、標記化合物の三ナトリウム塩化物付加物(2.5g)を得た。MS 240.1(M+1)。
【0207】
ステップC:N−[(1R)−1−(5−フルオロ−2−ピリジニル)エチル]−3−(5−メチル−2−ピリジニル)−5−ビニルベンズアミド
3−(5−メチル−2−ピリジニル)−5−ビニル安息香酸の三ナトリウム塩化物付加物(2.5g,6.0mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)溶液に(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エタンアミン塩酸塩(1.60g,7.5mmol)と、EDC(2.02g,10.5mmol)と、HOAT(0.25g,1.8mmol)と、トリエチルアミン(3.36mL,24mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で18時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%ヘキサン→100%酢酸エチル)により精製し、標記化合物(1.14g)を得た。MS 362.1(M+1)。
【0208】
ステップD:N−[(1R)−1−(5−フルオロ−2−ピリジニル)エチル]−3−ホルミル−5−(5−メチル−2−ピリジニル)ベンズアミド
N−[(1R)−1−(5−フルオロ−2−ピリジニル)エチル]−3−(5−メチル−2−ピリジニル)−5−ビニルベンズアミド(1.14g,3.15mmol)をテトラヒドロフラン(11mL)と水(11mL)に溶解した溶液に過ヨウ素酸ナトリウム(2.0g,9.45mmol)と四酸化オスミウム(2.5% tert−ブタノール溶液,2.0mL,0.157mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で18時間撹拌した。飽和亜硫酸ナトリウム水溶液と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮し、標記化合物(1.1g)を得た。MS 364.1(M+1)。
【0209】
ステップE:N−[(1R)−1−(5−フルオロ−2−ピリジニル)エチル]−3−[(E)−(ヒドロキシイミノ)メチル]−5−(5−メチル−2−ピリジニル]ベンズアミド
N−[(1R)−1−(5−フルオロ−2−ピリジニル)エチル]−3−ホルミル−5−(5−メチル−2−ピリジニル)ベンズアミド(1.10g,3.01mmol)のジオキサン(15mL)溶液にヒドロキシルアミン塩酸塩(0.314g,4.52mmol)とピリジン(0.73mL,9.04mmol)を加えた。反応混合物を70℃で18時間撹拌した。混合物を周囲温度まで冷却した。飽和塩化アンモニウム水溶液と水を加えた。混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(95%ジクロロメタン/メタノール→85%ジクロロメタン/メタノール)により精製し、標記化合物(0.91g)を得た。MS 379.1(M+1)。
【0210】
ステップF:3−({[(1R)−1−(5−フルオロ−2−ピリジニル)エチル]アミノ}カルボニル)−N−ヒドロキシ−5−(5−メチル−2−ピリジニル)ベンゼンカルボキシイミドイルクロリド
N−[(1R)−1−(5−フルオロ−2−ピリジニル)エチル]−3−[(E)−(ヒドロキシイミノ)メチル]−5−(5−メチル−2−ピリジニル)ベンズアミド(0.703g,1.86mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1.9mL)溶液にN−クロロスクシンイミド(0.260g,1.95mmol)を加えた。反応混合物を50℃で1時間撹拌した。1時間かけて温度を70℃まで上げた。混合物を周囲温度まで冷却した。水を加えた。混合物をジエチルエーテル(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせて水洗し(3×)、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮し、標記化合物(0.795g)を得た。MS 413.0(M+1)。
【0211】
ステップG:N−[(1R)−1−(5−フルオロ−2−ピリジニル)エチル]−3−[5−ヒドロキシ−5−(2−ピリジニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]−5−(5−メチル−2−ピリジニル)ベンズアミド
1−(2−ピリジニル)エタノン(1.04mL,9.26mmol)の−20℃のテトラヒドロフラン(15mL)溶液にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mヘキサン溶液,9.26mL,9.26mmol)を滴下した。反応混合物を−20℃で30分間撹拌した。反応混合物を−78℃まで冷却した。反応混合物(1回当たり1当量,〜5mL)を3−({[(1R)−1−(5−フルオロ−2−ピリジニル)エチル]アミノ}カルボニル)−N−ヒドロキシ−5−(5−メチル−2−ピリジニル)ベンゼンカルボキシイミドイルクロリド(0.765g,1.85mmol)の−78℃のテトラヒドロフラン(4mL)に順次加えた。5当量(〜25mL)の添加後、反応混合物を0℃まで昇温した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%ジクロロメタン→90%ジクロロメタン/メタノール、次いで50%ヘキサン/酢酸エチル→95%酢酸エチル/メタノール)により2回精製し、標記化合物(0.221g)を得た。HRMS 498.1956(M+1)。H NMR(500MHz,CDCl):δ8.59(d,J=4.9Hz,1H);8.52(s,1H);8.49(t,J=1.6Hz,1H);8.46−8.42(m,2H);8.18(s,1H);7.83(tdd,J=7.7,3.6,1.6Hz,1H);7.73(dd,J=8.2,2.3Hz,1H);7.71−7.67(m,1H);7.63(dd,J=7.9,4.9Hz,1H);7.60(d,J=8.2Hz,1H);7.43−7.33(m,3H);5.44−5.36(m,1H);3.92(dd,J=17.7,4.8Hz,1H);3.77(dd,J=17.7,2.7Hz,1H);2.39(s,3H);1.72(s,1H);1.60(d,J=6.8Hz,3H)。
【0212】
(実施例8)
【0213】
【化30】

【0214】
N−[(1R)−1−(5−フルオロ−1−オキシドピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミド
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]安息香酸(50.0mg,0.12mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)溶液に(1R)−1−(5−フルオロ−1−オキシドピリジン−2−イル)エタンアミン塩酸塩(33.4mg,0.17mmol)と、EDC(33.3mg,0.17mmol)と、HOAT(7.9mg,0.06mmol)と、トリエチルアミン(0.11mL,0.81mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で1.5時間撹拌した。反応混合物を50℃まで加熱した。20分後に混合物を周囲温度まで冷却し、反応混合物中の固形分を濾別した。逆相クロマトグラフィー(C−18,95%水/アセトニトリル→65%水/アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸)により精製し、標記化合物(46mg)を得た。HRMS 498.1954(M+1)。H NMR(400MHz,CDCl):δ8.56(d,J=4.8Hz,1H);8.48(s,1H);8.46−8.35(m,3H);8.15−8.08(m,2H);7.73−7.65(m,2H);7.54(t,J=8.9Hz,2H);7.34(t,J=7.8Hz,1H);7.20(dd,J=7.7,4.8Hz,1H);7.06(ddd,J=8.8,6.6,2.4Hz,1H);5.86(dd,J=10.9,6.9Hz,1H);5.58−5.48(m,1H);3.92−3.74(m,2H);2.35(s,3H);1.70(d,J=7.0Hz,3H)。
【0215】
(実施例9)
【0216】
【化31】

【0217】
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(1,3−オキサゾール−2−イル)−N−{(1R)−1−[1−オキシド−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エチル}ベンズアミド
ステップA:3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(1,3−オキサゾール−2−イル)安息香酸メチル
3−ブロモ−5−(5−メチルピリジン−2−イル)安息香酸メチル(1.0g,3.27mmol)の1,4−ジオキサン(20mL)溶液を脱気し、フッ化セシウム(1.49g,9.80mmol)と、2−(トリブチルスタニル)−1,3−オキサゾール(2.34g,6.53mmol)と、ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウム(83mg,0.163mmol)を加えた。混合物を窒素下に90℃まで16時間加熱後、反応混合物を20℃まで冷却した。酢酸エチル(200mL)と飽和炭酸水素ナトリウム溶液(200mL)を加えた。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(2×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(100%ジクロロメタン→95%ジクロロメタン/メタノール)に通し、標記化合物(1g)を得た。MS 295.1(M+1)。
【0218】
ステップB:3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(1,3−オキサゾール−2−イル)安息香酸
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(1,3−オキサゾール−2−イル)安息香酸メチル(0.96g,3.26mmol)の20℃のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に0.5N水酸化ナトリウム溶液20mLを加えた。20℃で16時間後に反応混合物を4N HClジオキサン(5mL)溶液でクエンチした。標記化合物が塩酸塩として析出した。濾過後、エチルエーテル100mLで2回洗浄し、減圧乾燥し、標記化合物を純塩酸塩(1.2g)として得た。MS 281.0(M+1)。
【0219】
ステップC:3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(1,3−オキサゾール−2−イル)−N−{(1R)−1−[1−オキシド−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エチル}ベンズアミド
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(1,3−オキサゾール−2−イル)安息香酸の塩酸塩(30mg,0.0850mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)溶液に(1R)−1−[1−オキシド−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エタンアミン塩酸塩(31mg,0.128mmol)と、EDC(33mg,0.170mmol)と、HOBT(26mg,0.170mmol)と、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(40μL,0.227mmol)を加えた。反応混合物を20℃で16時間撹拌した。混合物を逆相HPLCにより精製し、標記化合物のTFA塩(40mg)を得た。HRMS 469.1482(M+1)。H NMR(499MHz,DMSO):δ9.28(d,J=7.3Hz,1H);8.84(t,J=1.6Hz,1H);8.66(t,J=1.7Hz,1H);8.59(d,J=9.1Hz,2H);8.52(t,J=1.6Hz,1H);8.33(s,1H);8.06(d,J=8.1Hz,1H);7.95(d,J=8.4Hz,1H);7.80(dd,J=8.1,2.2Hz,1H);7.57(d,J=8.4Hz,1H);7.48(s,1H);5.27−5.20(m,1H);2.38(s,3H);1.57(d,J=7.1Hz,3H)。
【0220】
(実施例10)
【0221】
【化32】

【0222】
N−[(1R)−1−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(1,3−オキサゾール−2−イル)ベンズアミド
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(1,3−オキサゾール−2−イル)安息香酸の塩酸塩(103mg,0.292mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(4mL)溶液に(1R)−1−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)エタンアミン塩酸塩(72mg,0.437mmol)と、EDC(168mg,0.875mmol)と、HOBT(134mg,0.875mmol)と、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(204μL,1.17mmol)を加えた。反応混合物を20℃で16時間撹拌した。混合物を逆相HPLCにより精製し、標記化合物の塩酸塩(125mg)を得た。HRMS 390.1560(M+1)。H NMR(500MHz,CDOD):δ8.82−8.78(m,2H);8.74(t,J=1.7Hz,1H);8.61(d,J=8.2Hz,1H);8.52(s,1H);8.42(d,J=8.3Hz,1H);8.13(d,J=0.9Hz,1H);7.43(d,J=0.8Hz,1H);5.50(q,J=7.2Hz,1H);2.65(s,3H);2.39−2.35(m,3H);1.75(d,J=7.2Hz,3H)。
【0223】
(実施例11)
【0224】
【化33】

【0225】
4’−メチル−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)−N−[(1S)−1−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)エチル]ビフェニル−3−カルボキサミド
ステップA:4’−メチル−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)ビフェニル−3−カルボン酸tert−ブチル
3−ブロモ−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)安息香酸tert−ブチル(1.36g,3.71mmol)をTHF(8mL)と水(8mL)に溶解した溶液に(4−メチルフェニル)ボロン酸(1.01g,7.43mmol)と、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(82mg,0.11mmol)と、炭酸セシウム(3.63g,11.1mmol)を加えた。混合物をマイクロ波反応器で120℃まで10分間加熱した。混合物を周囲温度まで冷却し、飽和NaHCO水溶液を加え、混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせて水(2×)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%ヘキサン→85%ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(1.26g)を得た。MS 378.3(M+1)。
【0226】
ステップB:4’−メチル−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)ビフェニル−3−カルボン酸
4’−メチル−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)ビフェニル−3−カルボン酸tert−ブチル(1.26g,3.34mmol)のジクロロメタン(12mL)溶液に塩化水素(4.0Mジオキサン溶液;4.17mL,16.7mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で撹拌した。18時間後に混合物を濃縮した。ジクロロメタンを加え、懸濁液を濾過した。固体ケーキをジクロロメタンで洗浄し、減圧乾燥し、標記化合物(1.0g)を得た。MS 322.2(M+1)。
【0227】
ステップC:4’−メチル−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)−N−[(1S)−1−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)エチル]ビフェニル−3−カルボキサミド
4’−メチル−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)ビフェニル−3−カルボン酸(0.15g,0.47mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)溶液に(1S)−1−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)エタンアミン塩酸塩(0.12g,0.65mmol)と、EDC(0.13g,0.70mmol)と、HOAT(0.06g,0.47mmol)と、トリエチルアミン(0.39mL,2.80mmol)を加えた。反応混合物を50℃まで加熱した。1時間後に混合物を周囲温度まで冷却した。飽和NaHCO水溶液を加え、混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせて水(3×)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%ジクロロメタン→90%ジクロロメタン/メタノール)により精製し、標記化合物(188mg)を得た。標記化合物をジクロロメタンに溶解し、HCl(2.0Mエーテル溶液)を加えた。混合物を濃縮し、標記化合物の塩酸塩を得た。HRMS 416.2083(M+1)。H NMR(400MHz,CDOD):δ9.35(s,1H);8.16(t,J=1.7Hz,1H);8.11(t,J=1.6Hz,1H);8.03(t,J=1.7Hz,1H);7.56(d,J=7.9Hz,2H);7.26(d,J=7.8Hz,2H);5.54−5.44(m,1H);3.69−3.45(m,2H);2.52−2.42(m,2H);2.35(s,3H);2.30−2.22(m,2H);1.77(d,J=7.1Hz,2H)。
【0228】
(実施例12)
【0229】
【化34】

【0230】
N−[(1R)−1−(3,5−ジフルオロピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)ベンズアミド
ステップA:3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)安息香酸tert−ブチル
3−ブロモ−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)安息香酸tert−ブチル(1.42g,3.88mmol)とビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(59.0mg,0.12mmol)のジオキサン(20mL)溶液に5−メチル−2−ピリジル亜鉛ブロミド(0.5M THF溶液;15.5mL,7.75mmol)を加えた。反応混合物を70℃まで加熱した。1時間後に反応混合物を周囲温度まで冷却し、溶媒を蒸発させた。飽和酒石酸カリウムナトリウム水溶液を加え、混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(100%ヘキサン→75%ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(1.42g)を得た。MS 379.2(M+1)。
【0231】
ステップB:3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)安息香酸
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)安息香酸tert−ブチル(1.27g,3.36mmol)のジクロロメタン(8mL)溶液に塩化水素(4.0Mジオキサン溶液;5.05mL,20.1mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で撹拌した。18時間後に混合物を濃縮した。ジクロロメタンを加え、懸濁液を濾過した。固体ケーキをジクロロメタンで洗浄し、減圧乾燥し、標記化合物(1.09g)を得た。MS 323.2(M+1)。
【0232】
ステップC:N−[(1R)−1−(3,5−ジフルオロピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)ベンズアミド
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)安息香酸(0.20g,0.56mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2.5mL)溶液に(1R)−1−(3,5−ジフルオロピリジン−2−イル)エタンアミン塩酸塩(0.13g,0.67mmol)と、EDC(0.16g,0.70mmol)と、HOAT(0.5M DMF溶液;0.56mL,0.28mmol)と、ジイソプロピルエチルアミン(0.09mL,0.56mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で撹拌し、固形分を濾別した。逆相HPLC(C−18,95%水/アセトニトリル→5%水/アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸)により精製した。精製画分を合わせ、飽和NaHCO水溶液を加え、混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。有機抽出層を合わせて水(3×)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮し、標記化合物(150mg)を得た。HRMS 463.1948(M+1)。H NMR(400MHz,CDCl):δ8.51(s,1H);8.44(t,J=1.7Hz,1H);8.38(t,J=1.6Hz,1H);8.29(d,J=2.4Hz,1H);8.14(t,J=1.6Hz,1H);7.71(d,J=8.1Hz,1H);7.63(d,J=7.6Hz,1H);7.58(dd,J=8.1,2.2Hz,1H);7.24−7.16(m,1H);5.71−5.61(m,1H);3.51(s,2H);2.62−2.50(m,2H);2.37(s,3H);2.26−2.18(m,2H);1.90−1.79(m,1H);1.68−161(m,1H);1.54(d,J=6.7Hz,3H)。
【0233】
アッセイ
インビボラット内臓痛モデル
実験開始時の体重150〜180g(実験当たりの最大較差=40g)の雄性Sprague−Dawleyラット。実験の少なくとも5日前に動物を実験室に送り、実験室条件に馴化させる。木材を敷いたマクロロンケージ(41×25×14cm又は44×28×19cm)にラットを4、5又は6匹ずつ収容し、試験時まで(又は他の指定通りに)飼料と水を自由に摂取させる。21±3℃に制御した周囲温度と40〜70%に維持した相対湿度で飼育箱を7.00から19.00まで人工照明下に維持する(12時間)。全臨床徴候と死亡率に関する情報を試験資料と共に保存する。
【0234】
一晩絶食後、雄性Sprague−Dawleyラットに弱い麻酔(イソフルラン)をかけ、長さ5cmのカニューレを使用して1%酢酸(1.5ml)を結腸に注入する。75分間の回復時間後、ラットに再び弱い麻酔(イソフルラン)をかけ、カテーテルに固着した長さ1.5cmのラテックスバルーンを肛門から下行結腸と直腸に挿入する。直後に麻酔を中止する。15分後に試験物質を経口投与する。投与から60分後にバルーンに水1.2mlを充填し、腹部収縮回数を10分間計数する。
【0235】
1群当たりラット10匹を試験する。試験はブラインドで実施する。試験物質を3種類の用量で評価し、ビヒクル群と比較する。O/CO(20%/80%)混合物に暴露した後にCOに暴露することにより実験終了時にラットを安楽死させる。マン・ホイットニーのU検定を使用して処置群をビヒクル対照と比較することによりデータを分析する。
【0236】
インビボL5脊髄神経結紮モデル
a.手術及び術後ケア
脊髄神経結紮(SNL)法では、イソフルラン(1〜5%;吸入)を使用して雄性Sprague Dawleyラット(100〜200g;Harlan)に麻酔する。無菌法を使用し、ほぼ脊髄神経L3からS2までを背側正中切開する。鋭的切離と鈍的切離を併用し、L6/S1後部椎間関節突起を露出させる。L6横突起を露出させて除去し、L4及びL5脊髄神経を椎間孔から出ている部分から末端側に露出させる。次に、L5神経を6−0シルク縫合糸できつく結紮する。筋肉を4−0吸収性縫合糸で閉じ、皮膚を創傷用クリップで閉じる。術後モニターを実施し、動物が受ける疼痛量をできるだけ少なくする。床敷を敷いた飼育箱に動物を2匹ずつ収容し、Laboratory Animal Resourceスタッフが術後3日間毎日(2回)モニターした後、予想される苦痛の徴候を調査者が毎日モニターする。
【0237】
b.行動試験
手術の前に、一連の較正済みvon Freyフィラメント(0.25〜15g)を左後足に押し当て、ディクソン「アップダウン」法(Chaplan et al.,J Neurosci Meth 53:55,1994)を使用して引っ込め閾値中央値を求めることにより手術前の機械的後足引っ込め閾値についてラットを試験する。ラットを個別のプラスチックチャンバーに入れ、高所に置いたメッシュ状亜鉛めっき鋼プラットフォームに載せて60分間馴化させる。手術前の機械的後足引っ込め閾値を測定し、閾値<15gのラットを試験から除外する。手術前の引っ込め閾値の測定後、ラットに上記SNL法を実施する。外科処置後28〜35日の間に、上記方法を使用してラットの手術後閾値を試験し、後足引っ込め閾値<4.0gを示す動物をアロディニア(即ち機械的痛覚過敏)とみなす。試験化合物を投与することによりSNL誘発性機械的痛覚過敏に及ぼす試験化合物の効果を調べ、ビヒクル対照群と陽性対照としてプレガバリン(20mg/kg,経口)を投与した群と比較する。式:
【0238】
【数1】

を使用して機械的痛覚過敏の回復率%を求めることによりSNLモデルにおける効力を評価する。
【0239】
試験の終わりに、COを使用して全ラットを安楽死させ、薬剤暴露の生体試料分析用に血漿及び脳組織を採取する。
【0240】
インビボ完全フロイントアジュバント(CFA)モデル
雄性Sprague Dawleyラット(300〜400g;Charles River)の左後足底面にCFA(200ul,0.5mg/ml)を皮内注射した後、ケージに戻し、柔らかい床敷上で飼育する。CFA注射から72時間後に、ラットをタオルでくるみ、後足(左又は右)を変形Randall−Sellito足挟み装置(Stoelting,Wood Dale,IL)に挿入することによりCFA後機械的後足引っ込め閾値についてラットを試験する。レバーに装着したプラスチック棒を後足の甲に当て、ラットが声を上げるか又はその後足を棒から引っ込めるまで力を強めながら後足に力を加える。この時点でラットの後足引っ込め閾値を記録する。各後足に2回ずつ機械刺激を加え、左右後足のCFA後機械的後足引っ込め閾値の平均値を求める。CFA後引っ込め閾値の測定後、ラットに試験化合物、ビヒクル又は陽性対照としてナプロキセン(30mg/kg,経口)を投与し、炎症を起こした(CFA)後足の引っ込め閾値に及ぼす化合物の効果を調べる。式:
【0241】
【数2】

を使用して機械的痛覚過敏の回復率%を求めることによりCFAモデルにおける効力を評価する。
【0242】
試験の終わりに、COを使用して全ラットを安楽死させ、薬剤暴露の生体試料分析用に血漿及び脳組織を採取する。
【0243】
健常ラットにおける膀胱内圧測定
調温調光室(12時間明暗サイクル)に体重250〜350gの雌性Sprague−Dawleyラットを入れ、飼料と水を自由に摂取させた。動物にウレタン(1.0g/kg,腹腔内)で麻酔した。必要に応じてウレタンを補充投与した。下腹部正中切開して膀胱を露出させ、膀胱内圧を記録するために膀胱ドームにポリエチレンカテーテル(PE−50)を挿入し、0.05ml/minの速度で生理食塩水を膀胱内輸液した。圧力トランスデューサーを使用して膀胱内圧を測定し、多重チャネルデータ獲得システム(Power lab,AD Instruments,Biopac systems,Colorado Springs,CO)を使用してサンプリングレート10Hzでシグナルを記録した。食塩水の膀胱内輸液による安定な排尿間隔と排尿圧を確認後、薬剤を静脈内投与した(0.25ml/kg)。Chartプログラム(v5.5.4,AD Instruments)を使用して投与前(基線)と投与後5〜30分間の排尿から排尿間隔(機能的膀胱容量)と排尿圧(最大膀胱内圧)を求め、基線に対する比を計算した。
【0244】
酢酸誘発性反射亢進ラットモデルにおける膀胱内圧測定
調温調光室(12時間明暗サイクル)に体重250〜350gの雌性Sprague−Dawleyラットを入れ、飼料と水を自由に摂取させた。動物にウレタン(1.0g/kg,腹腔内)で麻酔した。必要に応じてウレタンを補充投与した。下腹部正中切開して膀胱を露出させ、膀胱内圧を記録するために膀胱ドームにポリエチレンカテーテル(PE−50)を挿入し、0.05ml/minの速度で膀胱内輸液した。圧力トランスデューサーを使用して膀胱内圧を測定し、多重チャネルデータ獲得システム(Power lab,AD Instruments,Biopac systems,Colorado Springs,CO)を使用してサンプリングレート10Hzでシグナルを記録した。食塩水の膀胱内輸液による安定な排尿間隔と排尿圧を確認後、0.25%酢酸−食塩水溶液を同一輸液速度で輸液した。30〜60分後に、輸液ポンプを使用して10μl/minの速度で薬剤を静脈内輸液した。Chartプログラム(v5.5.4,AD Instruments)を使用して投与前(基線)と薬剤輸液開始後30〜45分間の排尿から排尿間隔(機能的膀胱容量)と排尿圧(最大膀胱内圧)を求め、基線に対する比を計算した。
【0245】
ヒトP2X及びP2X2/3安定細胞株の作製−ヒトP2X受容体cDNA(アクセション番号NM_002559)を5’XhoI−3’HindIIIフラグメントとして発現ベクターpcDNA5/FRT(Invitrogen)にサブクローニングした。P2X受容体cDNA(アクセション番号NM_174873)を5’EcoRI−3’NotIフラグメントとして発現ベクターpIRESneo2(BD Biosciences Clontech)にサブクローニングした。製造業者の指示に従い、Lipofectamine 2000(Invitrogen)を使用してヒトP2X発現構築物をFlp−in−293細胞(Invitrogen)にトランスフェクトした。ハイグロマイシン150μg/mlを使用してアカゲザルP2Xのflp組換えに陽性の細胞を選択した。上記のようにLipofectamine 2000を使用して安定なヒトP2X細胞株にヒトP2X発現構築物を同時トランスフェクトし、ハイグロマイシン100mg/mlと1mg/mlのG418を使用して同時トランスフェクトした細胞を選択した。10%FBS、ハイグロマイシン100μg/ml、及びペニシリン100単位/ml及びストレプトマイシン100μg/mlを添加したDMEMで安定なP2X細胞株を増殖させ、37℃、湿度95%に維持した。500μg/mlのG418を添加した以外は上記のように安定なP2X2/3細胞株を増殖させた。
【0246】
アンタゴニスト親和性を評価するための細胞内カルシウム測定−蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR;Molecular Devices)を使用し、カルシウムキレート色素Fluo−4(Molecular Probes)を使用して細胞内カルシウム濃度をモニターした。蛍光をモニターするために使用した励起波長と発光波長は夫々488nm及び530nmであった。アッセイ開始の約20時間前にヒトP2X又はヒトP2X2/3を発現する細胞を20,000個/ウェル(20μl/ウェル)の密度で384ウェル黒色プレートに撒いた。アッセイ当日にローディングバッファー(ハンクス平衡塩溶液,2.5mM CaCl,20mM HEPES,0.1%BSA,2.5mMプロベネシド,TR−40,Fluo−4、及びNaClの代わりに138mM NMDG)20μlを加え、暗所で室温にて60分間細胞に色素負荷させる。アゴニスト添加の10分前にアンタゴニスト10μlを加え、室温でインキュベートした。この間に3秒間隔、次いで10秒間隔で蛍光データを採取する。アゴニストとしてα,β−meATPを6倍濃度で加える([α,β−meATP]final=EC50)。アゴニスト添加後、5秒間隔で蛍光を測定し、基線蛍光に比較したピーク相対蛍光単位(RFU)の増加に基づいて分析した。ピーク蛍光を使用し、下式:
阻害率%=100*(1−((RFU(drug)−RFU(control))/(RFU(DMSO only)−RFU(control))))
により各アンタゴニスト濃度における阻害効果を求めた。
【0247】
インビトロ電気生理学的アッセイ−ヒトP2X受容体を発現する細胞をアッセイの20〜32時間前に65〜85%コンフルエントまで増殖させた。細胞をトリプシンで解離させ、遠心し、細胞1×10個/mlの細胞密度で浴溶液に再懸濁し、PatchXpressにロードした。浴溶液は150mM NaCl,4mM KCl,2mM CaCl,1.2mM MgCl,10mM HEPES及び11.1mMグルコース,pH7.2とした。細胞内液は140mM アスパラギン酸K,20mM NaCl,5mM HEPES,10mM EGTA,pH7.2、又は30mM CsCl,5mM HEPES,10mM EGTA,120mM CsF,5mM NaF,2mM MgCl2,pH=7.3にCsOHを添加した。アゴニストストック溶液をHOで調製し、使用前に浴溶液で希釈した。全アンタゴニストはDMSOで10mMストック溶液として調製し、使用前に浴溶液で希釈した。全実験は全細胞パッチクランプ構成下の細胞で室温にて実施した。PatchXpress機器では個別細胞16個までを同時にパッチチクランプすることができる。CTP(100μM;2秒間)後にCTP不在下で2分間アンタゴニストインキュベーションを繰返すことにより基線応答を設定した。アンタゴニストプレインキュベーション後に100μM CTPとアンタゴニストを同時投与し、アンタゴニストの阻害効果を調べた。次に一連の濃度のアンタゴニストを使用して同一細胞でこれらの段階を繰返した。最大5種類の濃度のアンタゴニストを個別細胞で試験した。アンタゴニストインキュベーション前の最後の2回のアゴニスト添加からのピーク電流振幅の平均を対照P2X電流振幅(IP2X3−(control))とした。アンタゴニストの存在下のピークP2X電流振幅(IP2X3−(drug))を使用し、下式:
P2Xの阻害率%=100*(IP2X3−(control)−IP2X3−(drug))/IP2X3−(control)
に従って各アンタゴニスト濃度における阻害効果を計算した。
【0248】
少なくとも2個の独立した細胞で各濃度のアンタゴニストを試験した。ヒルの式を各濃度の平均阻害率%データにフィットさせることにより、P2X電流を50%阻害するために必要な薬剤の濃度(IC50)を求めた:
対照の%=100・(1+([薬剤]/IC50−1
【0249】
P2X2/3のインビトロ電気生理学的アッセイ−1)アゴニストとして30μM α,β−meATPを使用し;2)2秒間アゴニスト添加後に電流振幅を測定するようにプロトコルを変更した以外は上記のようにP2X2/3をアッセイした。本明細書に記載するアッセイを使用した処、本発明の化合物はP2X受容体に対して活性であることが判明した。式Iの化合物はP2X受容体に対するIC50活性が100μM以下である。式Iの化合物の多くはIC50が200nM未満である。
【0250】
例えば、下記化合物は「アンタゴニスト親和性を評価するための細胞内カルシウム測定」でIC50が200nM以下である。
【0251】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

[式中、
X及びYは独立してN又はCRを表し;
Aは(CHオキサゾリル、(CHイソオキサゾリル、(CHジヒドロイソオキサゾリル及び(CHオキサジアゾリルから構成される群から選択される5員ヘテロシクリルを表し;
はH、C1−6アルキル、ハロゲン、(CHCF、C3−10シクロアルキル、CN、(CHOR、(CH5−10ヘテロシクリル、(CH6−10アリール又はC1−6アルコキシを表し;前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びアリールは場合によりC1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、(CHCF又はCNの1〜3個の基で置換されており;
はH、C1−6アルキルを表し;
はCRを表し;
あるいはRとRはそれらが結合している窒素と一緒になり、場合により1〜3個のR基で置換されたC5−10ヘテロシクリルを形成してもよく;
及びRは独立してH、(CHOR、CHF、(CH5−10ヘテロシクリル、(CH6−10アリール、C3−10シクロアルキル、C1−6アルコキシ又はC1−6アルキルを表し;前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びアリールは場合により1〜3個のR基で置換されており;
及びRは独立して水素、C1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、(CHCF、C3−6シクロアルキル、(CH5−10ヘテロシクリル又は(CH6−10アリールを表し、前記ヘテロシクリル及びアリールは場合によりC1−6アルキル、C5−10ヘテロシクリル、ハロゲン、(CHOR、−C(ROR、−C(O)R、(CHCF又はCNの1〜3個の基で置換されており;
あるいはRとRは環上の炭素原子と一緒になって4〜6員スピロ環を形成してもよく;
はC1−6アルキル、ハロゲン、−OR、ヒドロキシル、(CHCF、−O−、C3−6シクロアルキル、C5−10ヘテロシクリル又はC6−10アリールを表し、前記ヘテロシクリル及びアリールは場合によりC1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、(CHCF又はCNの1〜3個の基で置換されており;
nは0〜4を表す]
の化合物又はその医薬的に許容可能な塩と個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項2】
XがNであり、YがCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aがイソオキサゾリル、ジヒドロイソオキサゾリル又はオキサゾリルである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Aがイソオキサゾリルである請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Aがジヒドロイソオキサゾリルである請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
Aがオキサゾリルである請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
におけるRが水素であり、RとRが同時にC1−6アルキルであるか、あるいはRとRの一方がC1−6アルキルであり、他方がC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、前記アリール及びヘテロシクリルが場合により1〜3個のR基で置換されている請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
とRの一方が水素であり、他方が場合により1〜3個のR基で置換されたC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルである請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
式II:
【化2】

(式中、Aはイソオキサゾリル、ジヒドロイソオキサゾリル又はオキサゾリルである)により表される請求項1に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩と個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項10】
Aがイソオキサゾリルであり、RとRの一方が水素であり、他方か場合により1〜3個のR基で置換されたC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、Xが窒素であり、RがCHRであり、RとRの一方がC1−6アルキルであり、他方がC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、前記アリール及びヘテロシクリルが場合により1〜3個のR基で置換されている請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Aがジヒドロイソオキサゾリルであり、RとRの一方が水素であり、他方が場合により1〜3個のR基で置換されたC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、Xが窒素であり、RがCHRであり、RとRの一方がC1−6アルキルであり、他方がC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、前記アリール及びヘテロシクリルが場合により1〜3個のR基で置換されている請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
Aがオキサゾリルであり、RとRの一方が水素であり、他方が場合により1〜3個のR基で置換されたC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、Xが窒素であり、RがCHRであり、RとRの一方がC1−6アルキルであり、他方がC6−10アリール又はC5−10ヘテロシクリルであり、前記アリール及びヘテロシクリルが場合により1〜3個のR基で置換されている請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
Aが
【化3】

から構成される群から選択される請求項10、11又は12に記載の化合物。
【請求項14】
Aが
【化4】

である請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
表1:
【表1】





























の化合物。
【請求項16】
N−[(1R)−1−(5−フルオロ−1−オキシドピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミド;
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−N−{(1R)−1−[1−オキシド−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エチル}−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミド;
4’−メチル−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)−N−[(1R)−1−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)エチル]ビフェニル−3−カルボキサミド;
N−[(1R)−1−(3,5−ジフルオロピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−
6−エン−7−イル)ベンズアミド;
2’−フルオロ−4’−メチル−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−N−[(1R)−1−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)エチル]ビフェニル−3−カルボキサミド;
N−[(3,5−ジフルオロピリジン−2−イル)メチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミド;
3−(5−クロロピリジン−2−イル)−N−[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミド;
N−[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−ヒドロキシ−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−5−(5−メチルピリジン−2−イル)ベンズアミド;
N−[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミド;
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−N−{(1R)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エチル}ベンズアミド;
N−[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5R)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミド;
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5R)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−N−{(1R)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エチル}ベンズアミド;
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(1,3−オキサゾール−2−イル)−N−{(1R)−1−[1−オキシド−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エチル}ベンズアミド;
N−[(1R)−1−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(1,3−オキサゾール−2−イル)ベンズアミドである請求項15に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩と個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項17】
N−[(1R)−1−(3,5−ジフルオロピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクト−6−エン−7−イル)ベンズアミドである請求項16に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩と個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項18】
3−(5−クロロピリジン−2−イル)−N−[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミドである請求項16に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩と個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項19】
N−[(1R)−1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンズアミドである請求項16に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩と個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項20】
3−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−[(5S)−5−ピリジン−2−イル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−N−{(1R)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]エチル}ベンズアミドである請求項16に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩と個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項21】
不活性キャリヤーと、有効量の請求項1に記載の化合物を含有する医薬組成物。
【請求項22】
処置を必要とする哺乳動物患者における慢性もしくは急性疼痛の治療もしくは予防方法、癲癇の治療もしくは抑制方法、又は睡眠品質の向上方法であって、治療有効量の請求項1に記載の式Iの化合物又はその医薬的に許容可能な塩を前記患者に投与する段階を含む前記方法。
【請求項23】
オピエートアゴニスト又はアンタゴニスト、カルシウムチャネルアンタゴニスト、5HT、5−HT1A完全又は部分受容体アゴニスト又はアンタゴニスト、ナトリウムチャネルアンタゴニスト、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アゴニスト又はアンタゴニスト、COX−2選択的阻害剤、ニューロキニン1受容体(NK1)アンタゴニスト、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)及び/又は選択的セロトニン・ノルエピネフリン再取込み阻害剤(SSNRI)、三環系抗鬱薬、ノルエピネフリンモジュレーター、リチウム、バルプロ酸塩、ノルエピネフリン再取込み阻害剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、可逆的モノアミンオキシダーゼ阻害剤(RIMA)、α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、非定型抗鬱剤、ベンゾジアゼピン、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、ニューロンチン(ガバペンチン)並びにプレガバリンから構成される群から選択される1種以上の治療活性化合物を更に含有する請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2011−502149(P2011−502149A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532049(P2010−532049)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/012271
【国際公開番号】WO2009/058299
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】