説明

疼痛軽減のための組成物および方法

本発明は、ニューロン組織をグルタミン酸受容体アンタゴニストと接触させることにより、神経細胞上のグルタミン酸受容体への遊離グルタミン酸の結合を阻害するための組成物および方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
本発明は疼痛管理に関する。
【0002】
坐骨痛治療のための現行の黄金律(gold standard)とは、硬膜外腔における神経根の周囲から椎間板ヘルニア断片を外科的に除去することである。手術は有効であることが多いが、神経損傷および、腰部機能の力学的破損から力学的背痛につながるリスクを伴う。また、費用も高くつく。米国では毎年100,000例を越えるそのような手術が行われていると推定される。
【発明の開示】
【0003】
発明の概要
本発明は、腰椎椎間板ヘルニアに由来する坐骨痛が単なる神経圧迫以上のものに関係しているとの発見に基づいている。化学成分の一つである、変性軟骨から放出される遊離グルタミン酸は、腰部神経根障害および力学的腰痛の他の局面に関与していることが見いだされた。
【0004】
したがって、本発明は、後根神経節細胞または他の脊椎関連ニューロン組織もしくは細胞をイオンチャネル型グルタミン酸受容体アンタゴニストと接触させることにより、遊離グルタミン酸のグルタミン酸受容体への結合を阻害するための組成物および方法を提供する。例えば、イオンチャネル型グルタミン酸受容体アンタゴニストは、α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサロンプロピオネート(AMPA)受容体アンタゴニストまたはカイニン酸活性化(KA)受容体アンタゴニストなどの非-N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)型受容体アンタゴニストである。または、アンタゴニストは代謝調節型グルタミン酸受容体アンタゴニストである。様々な態様において、組成物はNMDA型受容体アンタゴニストを含まない。組成物はイオンチャネル型グルタミン酸受容体に比べて代謝調節型グルタミン酸受容体へのグルタミン酸結合を優先的に阻害する。または、組成物は代謝調節型グルタミン酸受容体に比べてイオンチャネル型グルタミン酸受容体へのグルタミン酸結合を優先的に阻害する。例えば、阻害剤はイオンチャネル型グルタミン酸受容体結合の低下レベルに比べて代謝調節型グルタミン酸受容体結合を、少なくとも10%、より好ましくは20%、50%、100%、および200%優先的に低下させる。もう一つの例において、阻害剤は代謝調節型グルタミン酸受容体結合の低下レベルに比べてイオンチャネル型グルタミン酸受容体結合を、少なくとも10%、より好ましくは20%、50%、100%、および200%優先的に低下させる。好ましくは、組成物は標的受容体サブタイプへの結合を優先的に阻害する。組成物は関節組織内または椎間板組織内への投与に、例えば注射に適している。
【0005】
組成物および方法は、背痛、関節痛、または坐骨痛を患っているか、またはこれらを発生するリスクが高い哺乳動物、例えばヒト被検者の疼痛を緩和するために用いる。ヒト被検者における疼痛の知覚は、公知の方法、例えば、視覚による類似疼痛尺度および/またはSF-36健康アンケートを用いて同定および評価する。疼痛指数の改善により、疼痛が緩和されたことが示される。例えば、疼痛は椎間板ヘルニアに関連する。椎間板ヘルニアは椎間板の外側の層(線維輪)の裂け目を通して押し出された神経核の変位断片である。椎間板にとってヘルニアになることは、典型的には変性の初期段階である。下肢に感じる疼痛は、坐骨神経痛または坐骨痛と呼ぶ。
【0006】
坐骨痛および非坐骨痛に対して、例えば後者の場合、椎間板環にあるグルタミン酸受容体と接触させることにより、疼痛軽減剤としてアンタゴニストを投与する。アンタゴニストは硬膜外腔に投与される。または、アンタゴニストは硬膜外腔ではなく脊髄液中に投与される。
【0007】
グルタミン酸受容体アンタゴニストは、グルタミン酸の細胞結合グルタミン酸受容体との結合を阻害する化合物である。例えば、グルタミン酸受容体は遊離グルタミン酸またはニューロン細胞の表面上の細胞グルタミン酸受容体(またはそのサブユニット)と相互作用し、かつ、例えばL-グルタミン酸の細胞結合受容体との結合を妨げることにより、本来のリガンドが細胞内の反応経路を刺激する能力を低下させる。
【0008】
アンタゴニストは有機ポリペプチドであり、例えば、グルタミン酸受容体またはそのサブユニットの分子または断片である。本明細書に記載の化合物は実質的に純粋である。実質的に純粋なポリペプチドとは、天然でそれに付随する成分(タンパク質および他の天然有機分子)から分離されたポリペプチドを意味する。ポリペプチドは、調製物中のタンパク質の少なくとも60重量%を構成する場合に、実質的に純粋である。好ましくは、調製物中のタンパク質は所望のペプチドの少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%である。実質的に純粋なポリペプチドは、例えば、天然供給源からの抽出;組換え核酸の発現;またはタンパク質の化学合成によって得られる。純度は当技術分野において公知のいくつかの適当な方法、例えば、カラムクロマトグラフィ、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析によって測定する。タンパク質は、その自然の状態で付随する混入物から分離した場合、天然で伴う成分を実質的に含まない。したがって、化学合成された、またはその本来の起源である細胞とは異なる細胞系で産生されたタンパク質は、その天然で伴う成分を実質的に含まない。
【0009】
ペプチドに加えて、本発明はグルタミン酸受容体アンタゴニストをコードする、核酸、例えばオリゴヌクレオチドを含む。核酸、例えばDNAまたはRNAは、実質的に純粋である。実質的に純粋なDNAとは、本発明のDNAが由来する生物の天然ゲノムにおいて、所望の遺伝子配列に隣接する遺伝子を含まないDNAを意味する。したがって、この用語は、例えば、ベクターに、自己複製プラスミドもしくはウイルスに、または、本来の部位ではない部位の原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれた組換えDNA;あるいは、他の配列とは独立した別の分子(例えば、PCRまたは制限エンドヌクレアーゼ消化により産生されたcDNAまたはゲノム断片もしくはcDNA断片)として存在する、組換えDNAを含む。
【0010】
ペプチドは合成的に、または組換えDNA技術により調製される。ペプチドという用語は、本明細書においてポリペプチドと交換可能に用いられ、隣接するアミノ酸のα-アミノ基およびα-カルボキシ基の間でペプチド結合により互いに連結された一連のアミノ酸を示す。任意に、一つまたは複数のペプチド結合が、ペプチダーゼによる切断感受性でない別の種類の共有結合(「ペプチド模倣体」)で置き換えられている。被検者への注射後のペプチドのタンパク分解が問題となる場合、特定の感受性ペプチド結合を切断不可能なペプチド模倣体で置き換えることにより、より安定で、したがって治療薬としてより有用なペプチド模倣体が得られる。そのような模倣体、およびそれらをペプチドに組み込む方法は、当技術分野において公知である。同様に、L-アミノ酸残基の置換は、ペプチドのタンパク分解に対する感受性を下げる標準的方法である。t-ブチロキシカルボニル、アセチル、テイル(theyl)、サクシニル、メトキシサクシニル、スベリル、アジピル、アゼライル、ダンシル、ベンジルオキシカルボニル、フルオレニルメトキシカルボニル、メトキシアゼライル、メトキシアジピル、メトキシスベリル、および2,4-ジニトロフェニルなどのアミノ末端遮断(blocking)基も同じく有用である。ポリペプチドまたはペプチドは、その中性(非荷電)型または塩型のいずれかであり、かつ、グリコシル化、側鎖酸化、もしくはリン酸化などの修飾を含まないか、または、これらの修飾がポリペプチドの免疫刺激活性を破壊しないとの条件でこれらの修飾を含む。
【0011】
誘導体ペプチドエピトープは、天然の受容体ペプチドのアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有する。そのような誘導体ペプチドは、アミノ酸の基準配列、例えば天然のグルタミン酸受容体ペプチドと比べて、少なくとも50%の同一性を有する。好ましくは、誘導体は天然タンパク質配列と90%、95%、98%、または99%同一である。誘導体は保存的アミノ酸置換を含む。保存的置換とは、アミノ酸残基を生物学的および/または化学的に類似した別の残基に置き換えること、例えば、疎水性残基を別の疎水性残基に、または極性残基を別の極性残基に置き換えることを意味する。置換には、Gly、Ala;Val、Ile、Leu;Asp、Glu;Asn、Gln;Ser、Thr;Lys、Arg;およびPhe、Tyrなどの組み合わせが含まれる。本明細書に記載のヌクレオチドおよびアミノ酸の比較は、Lasergeneソフトウェアパッケージ(DNASTAR, Inc., Madison, WI)を用いて行う。用いるMegAlignモジュールはClustal V法である(Higgins et al., 1989, CABIOS 5(2):151-153)。用いるパラメーターはギャップペナルティー10、ギャップ長ペナルティー10である。
【0012】
本発明は、坐骨痛治療のための標準的な方法を上回る顕著な利点を提供する。本明細書に記載の方法は、それ以上神経を損傷する可能性のない、有効で、侵襲性の低い治療法である。他の利点には、通常の治療的介入に比べて副作用が少ないことが挙げられる。例えば、グルタミン酸アンタゴニストの硬膜外沈着に関連する副作用は、硬膜外腔におけるグルタミン酸のアゴニスト効果のように、効果が局所にとどまるため、静脈内またはクモ膜下注入に比べてはるかに少ない。
【0013】
本方法は他の関節、例えば、膝関節などの連結関節(articulating joint)における軟骨の破壊に関連する疼痛にも適用可能である。例えば、グルタミン酸またはグルタミン酸受容体アンタゴニストを膝または肘などの連結関節に直接投与して、遊離グルタミン酸がニューロン上のグルタミン酸受容体に結合するのを阻害し、それにより、関節痛を患う、またはその発症リスクが高い個人の疼痛を軽減する。
【0014】
本発明の他の態様および特徴は、下記の説明および添付の特許請求の範囲から明らかになると思われる。
【0015】
詳細な説明
遊離グルタミン酸は、間葉由来の線維性結合組織である変性軟骨(硝子軟骨、線維軟骨、弾性軟骨などのいくつかの形態で存在する)から放出される。遊離グルタミン酸は神経伝達物質としてはたらく。グルタミン酸はニューロン表面のグルタミン酸受容体に結合し、疼痛の一因となる。グルタミン酸アンタゴニスト(硬膜外または脊髄に投与される)は、脊柱管内に脱出した腰椎椎間板物質によって引き起こされる坐骨痛および他の種類の背痛などの疼痛を軽減する。ヒトにおいて脱出した椎間板物質は、高い濃度の細胞外グルタミン酸を含む。
【0016】
本明細書に記載のデータは、グルタミン酸の硬膜外注入により、当技術分野において認められたヒト疼痛の動物(ラット)モデルにおいて局所的知覚過敏が生じることを示している。ラットモデルを用いて、硬膜外グルタミン酸による痛覚レベルの変化に関連するグルタミン酸受容体のサブタイプを決定する。次いで、グルタミン酸アンタゴニストを評価して、動物モデルにおける痛覚の徴候を効果的に軽減するものを同定する。グルタミン酸アンタゴニストの硬膜外注入および脊髄注入を実施し、坐骨痛または背痛のレベルを評価する。
【0017】
グルタミン酸受容体
グルタミン酸受容体を、標的ニューロンにおいて誘発された活性化経路の型に基づいてカテゴリーに分類する。イオンチャネル型受容体は受容体チャネルであり、他の特異的アゴニストのグルタミン酸が受容体タンパク質へ結合することにより受容体の孔形成サブユニットが開口される。イオンチャネル型受容体には、NMDA受容体、AMPA受容体、およびカイニン酸受容体が含まれる。代謝調節型受容体はGタンパク質に結合した受容体であり、グルタミン酸または特異的アゴニストの結合がGタンパク質を活性化し、いくつかは別の細胞内シグナル伝達(signalling)経路(InsP3/Ca2+反応またはcAMP)を誘発または調節する。
【0018】
イオンチャネル型受容体を、アゴニスト結合の特異性に基づいてさらに分類する。NMDA受容体はN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)によって特異的に活性化されるが、一方で非NMDA受容体はこの化合物によって活性化されない。非NMDA型の受容体にはAMPAおよびKA受容体が含まれる。AMPA受容体はα-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサロンプロピオネート(AMPA)によって特異的に活性化され、KA受容体はカイニン酸によって特異的に活性化される。
【0019】
受容体は、それぞれの型または受容体について様々なサブユニットを含む。例えば、AMPA受容体については、次の4つの受容体サブユニットがある:GluR-1〜GluR-4(GluR-A〜GluR-Dとも呼ばれる)。KA受容体については、次のサブユニットがある:GluR-5〜GluR-7、ならびにKA-1およびKA-2。NMDA受容体については、2つのサブユニットNR-1およびNR-2がある。
【0020】
代謝調節型グルタミン酸受容体(mGluR)について、いくつかの型の受容体が同定され、クローニングされている:mGluR1およびmGluR5はInsP3/Ca2+経路に正に結合し;mGluR2、mGluR4、mGluR6およびmGluR7はアデニル酸シクラーゼ(cAMP経路)および/またはVOCC活性に負に結合する(すなわち、阻害する)。グループIの代謝調節型グルタミン酸受容体は次のサブタイプを含む:mGlu1およびmGlu5。グループIIのものはmGlu2およびmGlu3を含み;グループIIIのものはmGlu4、mGlu5、mGlu7、およびmGlu8を含む。アンタゴニストはヘテロメリック(heteromeric)受容体複合体に、またはその一つもしくは複数のサブユニットもしくは断片に結合して、受容体が仲介するシグナル伝達を阻害し、それにより知覚される疼痛の軽減をもたらす。例えば、トランス-1,2,-ホモACPDは選択的mGluR2アンタゴニストである。
【0021】
後根神経節組織は、イオン型受容体の少なくとも三つの型のグルタミン酸受容体を高濃度で有している。グルタミン酸サブタイプアゴニスト(カイニン酸、α-アミノ-3-ヒドロキシ,5-メチル,4-イソキサゾールプロピオネート(AMPA)、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)、および代謝調節型受容体を注入して、グルタミン酸受容体の免疫組織化学により後角受容体発現の程度を測定することにより、またフォンフライ繊維行動試験を行うことにより、硬膜外腔における椎間板グルタミン酸の存在に関連する受容体活性のプロファイルを得ることができる。イオン型および代謝調節型両方の受容体のアンタゴニストが入手可能である(NMDA受容体:MK-801;AMPA受容体:NBQX;カイニン酸:LY382884およびACEA-1011;ならびに代謝調節型受容体(L(+)-2-アミノ,3-ホスホプロピオン酸(LAP-3)、および(S)4-カルボキシ,3-ヒドロキシフェニルグリシン(CHPG))。これらのアンタゴニストを硬膜外グルタミン酸と共に注入し、痛覚が受容体拮抗により可逆的であるかどうかを調べる。
【0022】
坐骨痛および腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアに由来する坐骨痛は、腰部脊椎管狭窄のような骨圧迫の状態で見られるものよりも、神経に対する腫瘤効果(mass effect)の程度が軽いと思われる場合でさえ、患者にとっては我慢できないことがある。腰椎椎間板手術を受けている覚醒患者において、根への圧迫は疼痛として知覚されない。神経への圧迫は、虚血ならびに、神経周膜および後根神経節の基底膜構造の破壊を起こすことがある。この基底膜の破壊により、通常はそこでは見られない小分子が神経細胞膜を通過できるようになる。
【0023】
椎間板および他の関節における軟骨破壊
椎間板軟骨および一般的軟骨は、一つの特定の観点において独特である。これは、細胞膜および細胞内代謝による制約を受けない大きな細胞外貯蔵器に炭水化物の基質およびタンパク質部分を含む、体内で唯一の組織である。この細胞外基質の分子構造は解明されている。健康な軟骨の親水性は、アグリカン、すなわち、大きなプロテオグリカン基質の一部であるリンクおよびコアタンパク質の存在に関係している。これらのタンパク質の配列決定試験により、アミノ酸鎖内の組成の30%〜50%がグルタミン酸およびアスパラギン酸であることが明らかにされている。グルタミン酸およびアスパラギン酸内で見いだされるカルボキシル部分が、これらのタンパク質の親水性を維持している。これらのタンパク質を酵素的に切断しうる多くのメタロプロテイナーゼ成分が硬膜外腔を構成しており、椎間板破壊はアグリカンの損失に強く相関している。
【0024】
椎間板物質におけるアミノ酸鎖内に高レベルのグルタミン酸が存在し、硬膜外腔におけるそれらの破壊に関わる酵素系が存在することを考慮して、試験を実施し、脱出した椎間板物質が、アグリカンの酵素的破壊に起因する遊離グルタミン酸の有意な供給源であるかどうかを判定した。多くの型のグルタミン酸受容体が、一次求心性ニューロンにおける感覚および疼痛伝達において役割を有することが明らかにされている。遊離グルタミン酸は、破壊軟骨のきわめて近くの後根神経節および他の脊椎領域にあるグルタミン酸受容体を活性化することによる、腰椎神経根障害に関与する「化学」刺激であることが判明した。
【0025】
酵素破壊されたグルタミン酸は、後根神経節への作用を介する坐骨痛プロセスの重要な構成要素である。力学的疼痛も、例えば、椎間板環または椎間関節突起において見いだされるグルタミン酸受容体を刺激することにより、椎間板グルタミン酸に関連している。
【0026】
ヒト椎間板組織における遊離グルタミン酸
遊離グルタミン酸がヒト外科的椎間板試料中に有意な濃度で存在するかどうかを判定するために、試験を実施した。これは二つの様式で行った。第一に、抗グルタミン酸抗体を用いて免疫蛍光染色を実施した。一次抗体および二次抗体を含む関心対象の領域が、同じ椎間板試料由来の一次抗体だけを含む切片に比べて強い免疫蛍光を示す場合、椎間板物質はグルタミン酸を含むと定義した。関心対象の領域は、10,000ピクセルよりも大きくかつ軟骨細胞を含まないとして定義された。この方法により、脱出した椎間板試料は椎間板基質において特異的グルタミン酸免疫染色を示したが、サブスタンスPに対する特異的免疫染色は見られなかった。
【0027】
第二に、ヒト椎間板試料に対して高速液体クロマトグラフィを行った。試料の湿重量に基づくと、遊離断片椎間板の平均グルタミン酸濃度は、脱出していない中心核物質では0.18mMおよび0.11mMであった。脱出した椎間板由来の遊離断片では、中心核調製物に比べて濃度は有意に高かった(P<0.001;スチューデントt検定による)。
【0028】
脳において持続性発作中にのみ同様の濃度の細胞外グルタミン酸が見られるため、これらの濃度は生物学的に重要である。細胞外間隙におけるグルタミン酸の基準濃度が通常はこれよりも高いか低いかを判定するため、および、DRCがグルタミン酸に対して透過性であるかどうかを判定するために、さらなる実験においては下記のラットモデルを用いた。麻酔した雄Sprague-Dawleyラットの下部胸郭領域にミニ浸透圧ポンプを、硬膜外腔の側溝にP10カテーテルチップを設置した。移植後、0.0003 mM、0.003 mM、0.03 mMおよび0.22mMの濃度の放射性標識したグルタミン酸を72時間注入した。ラットをペントバルビタールで安楽死させた後、4%グルタルアルデヒドで心臓灌流し、DRGをカテーテルチップのレベルで、ならびに1レベル上および下の両側で手術顕微鏡により採取した。0.3mM注入を受けた1匹のラットにおいて6カ所のDRGのオートラジオグラフィーを行った。
【0029】
結果より、後根神経節の有意な放射性標識は0.003mmol/Lという低い濃度で起こったため、基準の硬膜外濃度は脱出した椎間板物質で見られたグルタミン酸濃度よりもはるかに低いことが確認された。0.22mmol/Lよりも低濃度の注入では、有意な放射性標識は注入カテーテルチップと同側でのみ起こり、これはそのようなメカニズムが、例えば、臨床坐骨神経痛で見られるような局所的神経活性化につながることを示すものである。
【0030】
硬膜外グルタミン酸が知覚過敏または痛覚状態の原因であるかどうかを調べるために、さらなる実験を行った。ラット硬膜外グルタミン酸注入モデルを用いて、免疫組織化学試験および行動試験の両方により痛覚状態の行動発現を調べた。
【0031】
免疫組織化学試験では、ラットの下肢に波及する疼痛状態において、後角グルタミン酸受容体の発現が見られる。比較的高濃度(2mmol/L)のグルタミン酸を72時間(前述の実験と同じ注入期間)注入し、その後、受容体発現が増加したかどうかを調べるために、後根神経節入力が脊髄後角に入る脊髄レベルにおいて、両側の後角第I層〜第III層での受容体発現について、40×AMPA、NMDAおよびカイニン酸における濃度測定を行った。顕微鏡検査師には試料の性質について盲検とした。両側T検定を用いると、これらの実験は、生理食塩水注入対照群に比べて、AMPA、NMDAおよびカイニン酸受容体についての発現のアップレギュレーションを示した。両側t検定により対側受容体発現に対して同側受容体発現を比較すると、注入部位と同側の受容体発現のアップレギュレーションがカイニン酸(p<0.05)、AMPA(p<0.01)、およびNMDA(p<0.01)受容体について見られ、これは痛覚の指標となる。
【0032】
行動実験は、広範な濃度で完了している。ラットに2.0 mM、0.2 mM、0.02 mM、0.002 mMおよび0.0002mMの濃度のエプルジアール(epludial)グルタミン酸を72時間(3日間)注入する。フォンフライ繊維試験を、注入の24時間前と、グルタミン酸注入開始後24時間、72時間、および144時間の時点で左右の後足で実施した。実験者にはどの注入剤を用いたかについて盲検とした。対側と同側との差を、グルタミン酸注入の濃度および処置後の時間に関して分析した。この分析により、術後に有意な過敏性が見られ、第3日で最も顕著であったが、術後第1日でも低い濃度であるが有意であった。反応は0.02mMの濃度で最も有意であったが、0.002mMおよび0.2mMの濃度でも認められた。0.02mM/Lのグルタミン酸注入を受けたラットで、同側と対側の反応における有意差が術後のすべての日に見られたが、注入の72時間後の第3日に最も顕著であった(p<0.036;スチューデントt検定)。他のグルタミン酸濃度では、この統計学的解析法による有意差は小さかった。統計学的解析法両方で、痛覚効果が最大となるグルタミン酸が0.02mM/Lである用量反応曲線を示している。
【0033】
脱出した椎間板物質中に遊離グルタミン酸が存在し、このグルタミン酸はグルタミン酸受容体が存在する後根神経節または背中の他の近接領域でその効果により疼痛を増強するよう作用することがデータにより示されている。脱出した椎間板物質は、例えば、メタロプロテイナーゼの酵素作用の結果、遊離グルタミン酸の顕著かつ豊富な供給源となる。硬膜外グルタミン酸の供給源は、特に、グルタミン酸供給源に近接する同側上の後根神経節を有意に透過することができる。神経組織周囲の遊離グルタミン酸濃度の上昇により、神経の分布における過敏状態と一致して生理的および行動的変化が起こる。
【0034】
免疫組織化学および濃度測定試験
移植から72時間後にグルタミン酸を02 mM、0.02 mM、および0.002mMの濃度で注入して、行動試験で見られた濃度依存性に相関しうる、受容体発現における濃度関連の変化があるかどうかを判定するために、免疫組織化学および濃度測定試験を行う。濃度測定分析は、各濃度で片側につき合計25の観察に対して動物あたり5切片(n5)で盲検的に行う。次いで、受容体アゴニストAMPA、NMDA、およびカイニン酸の使用に注目して、行動試験を、当技術分野において公知の方法、例えば、Hu et al., 1998, Pain 77:15-23に記載の方法を用い、2.0mM〜0.002mMの範囲の注入濃度で実施する。いくつかの実験において、カテーテルチップのレベルで同側の神経孔にスペーサーを置くという、追加の条件も含める。
【0035】
注入72時間後の脊髄の組織切片を後角第I層〜III層でのグルタミン酸受容体発現について分析し、これらが実験的曝露について盲検的に行った顕微鏡検査師による行動データと十分に相関するかどうかを決定する。
【0036】
どのイオンチャネル型受容体アゴニストが局所同側性過敏状態の行動的または生理的徴候を発現するかに応じて、行動および免疫組織化学試験を、代謝調節型グルタミン酸アンタゴニスト(可能なものとして、NMDA拮抗についてはMK-801;AMPA拮抗についてはGYK152466、CNQXまたはNBQX;カイニン酸についてはACEA-1011、LY294486、またはLY382884;代謝調節型受容体拮抗についてはCHPGおよびMPEPが含まれる)を含む特異的グルタミン酸受容体アンタゴニストによるグルタミン酸注入を用いて繰り返す。実験は十分な受容体遮断を確実にするため、グルタミン酸濃度の4倍のアンタゴニスト濃度を用いる。フォンフライ試験に加えて、術前および注入から72時間後に迷路を通過する能力について動物を試験して、全身性の中枢神経系毒性の徴候があるかどうかを調べる。注入72時間後の受容体発現を評価するために、これらの動物の免疫組織化学分析を実施する。
【0037】
グルタミン酸アンタゴニスト処理に対するヒトの反応を評価するため、注射の24時間前と、アンタゴニストまたはプラシーボいずれかの注射後4時間、24時間および7日の時点で被検者を視覚による類似疼痛尺度およびSF-36健康アンケートにより試験する。注射はAP蛍光透視法で見られる椎弓根内の6時の位置での経椎間孔アプローチにより実施する。
【0038】
当技術分野において認められている疼痛の動物モデルを用いた特定の方法を、下記のとおりに実施する。
【0039】
硬膜外注入および椎間孔ステント設置のための硬膜外Alzetミニ浸透圧ポンプの移植
300グラムから500グラムの雌Sprague-Dawleyラットに、L5/S1レベルで、皮下に移植したAlzetミニ浸透圧ポンプによって0.002mM、0.02mM、0.2mM、または2mM濃度のグルタミン酸を硬膜外の一側に72時間注入する。この範囲は、脱出したヒトの椎間板物質の平均グルタミン酸濃度が0.18mMであり、硬膜外腔における基準グルタミン酸濃度がマイクロモル濃度よりも低いことから選択される。
【0040】
麻酔の誘導は4%ハロタンによって行い、維持は1.5%ハロタンによって行う。手術レベルが得られれば、動物を腹臥位に置き、背中を剃毛し、ベタジンで洗浄する。無菌法によって、メスとハサミを用いて皮膚から長さ2cmの正中線切開を行う。傍棘筋(paraspinous muscles)を局部的に引っ張り、T10において椎弓板の一側で小さく椎弓切除を行い、硬膜および神経根を曝露する。P50カテーテルをP10カテーテルの近位に融合させ、次いでAlzetミニ浸透圧ポンプに固定し、その側の硬膜外腔に設置する。4.0ナイロン縫合糸をカテーテル周囲に巻き付け、カテーテルが硬膜外腔から移動しないよう、傍棘筋に縫いつける。たるんだチューブはゆるく巻き、傍棘筋膜に縫合糸で固定する。ミニ浸透圧ポンプのために、ハサミを用いて椎弓切除の後ろの皮下に小さいポケットを作る。ポンプ自体を筋膜に対して適所に固定する。ポンプは無菌で、以下のうちいずれか(100μL)で充填されている:正常生理食塩水(対照);3つの異なる濃度(0.02 mM、0.20 mM、または2.00mM)のいずれかの、生理食塩水に溶解したグルタミン酸、3つの異なる濃度いずれかの、生理食塩水に溶解した(イオンチャネル型または代謝調節型のいずれかの)グルタミン酸のアンタゴニスト。一連の実験はグルタミン酸およびアンタゴニストを一緒に加え、生理食塩水に溶解して行う。注入化合物の流速は1μL/時間で72時間である。皮膚および皮下組織を3.0ナイロンで断続的に一層として閉鎖する。処置終了時にアチパメゾール(1mg/kg)をI.P.投与する。動物を暖かく維持して、完全に覚醒し歩行可能になるまで、神経外科手術室で継続的に観察する。次いで、動物を飼料と水が確保された中央研究施設に置き、ブプリノルフィン(0.03 mg/kg〜0.05mg/kg)をIM投与して切開部不快感の徴候があれば軽減する。麻痺の徴候または創傷部位を噛んだり引っ掻いたりするなどの他のストレスの徴候が見られたら、ラットをペントバルビタール注射(150mg/kg腹腔内注射)によりただちに屠殺する。術後72時間の時点の安楽死まで、行動試験を行う。
【0041】
ラット群にL5 DRGに隣接する椎間孔にステンレス製の棒を挿入する。この棒が後肢筋肉の足底表面を神経支配するニューロンを圧迫し、力学的痛覚過敏を試験するための更なる様式を提供する。
【0042】
フォンフライ繊維試験
行動試験-フォンフライ繊維力学的異痛アッセイ法-を、術前24時間と、術後24時間、72時間、および144時間の時点で行う。各足の足底表面の疼痛反応について試験する。フォンフライ繊維試験キットには、異なる幅のプラスティック製繊維が含まれ、それぞれ異なる量の力を伝える。合計10の繊維をこの実験で用いる。0.6グラムの力から始めて、1、1.4、2、4、6、8、10、15、および最終的に26グラムまで上げて、各足の反応を記録する。より低い力の印加における足を引っ込める動きを、フォンフライ繊維による突きに対する痛覚過敏反応と考える。
【0043】
プロトコルにおいて、実験者は足底表面を一つの繊維で1回にそれぞれ6秒間軽く叩く。最初に試験する繊維が0.6グラムの力を与えるものとなるよう、底が格子の高架式金属ケージにラットを入れる。反応が認められなければ、次の繊維(1.0グラムの力を与えるもの)を適用し、足を引っ込める反応が記録されるまで、力を順に上げて繰り返す。最初の反応が記録された後、実験者は力が順に小さくなる繊維で同じ足を試験して、試験手順を終える。これを反応が誘発されなくなるまで行う。最終結果が、引っ込め反応を引き出すのに必要とされる最少量の力である。
【0044】
左後足から始め、このプロトコルを右後足、左前足、および右前足で繰り返す。ここでも、力と足を引っ込める動きとの間の反比例が仮定される。注射するグルタミン酸の量を上げると、反応を生じるのに必要な力は低下すると仮定され、グルタミン酸量の増加により疼痛に対する感受性が上がることを示している。
【0045】
ポンプ挿入の24時間前の術前試験を対照測定として用いる。ラットの体重を基準値として記録し、実験者がいかなる劇的変化も検出できるようにする。ラットの体重が50グラムよりも低下したら、ラットは病気であると考え、そのデータは廃棄する。最初の秤量後、フォンフライ繊維アッセイを行う金属ケージにラットを入れる。通常は30分間このように、ケージに入れるのは、ラットを順応させるためである。見慣れない、新しいケージの環境に順応させないと、ラットはケージ内を歩き回り、正確なフォンフライ繊維結果を記録することが困難になる。
【0046】
脊髄および後根神経節の採取
動物をペントバルビタール150mg/kgで麻酔して安楽死させる。胸郭内で横隔膜上切開を行い、縦隔内に心臓を露出する。右心室に16ゲージ灌流針を突き刺し、クランプで固定して、緩衝化4%パラホルムアルデヒド溶液を灌流ポンプで少なくとも2分間、組織が十分に硬化するまで注入する。
【0047】
と畜体を腹臥位にして椎弓切除を拡大することにより、組織を採取する。カテーテルチップの位置を、脊髄および最も近い同側後根神経節に関して記録する。顕微鏡拡大下で、脊髄を周囲の神経根から切断し、一小片として取り出す。最も近位の領域は次の近位後根神経節のレベルで、遠位端は下の後根神経節のレベルである。脊髄の近位端にナイフで切れ目を入れ、方向同定のため左前角上に切り込みを作る。脳と同様、後根神経節を別に採取する。
【0048】
免疫組織化学および濃度測定
組織調製物の必要性に応じて、動物を二つの方法で屠殺する。即時固定を必要とする分析のためには、脊髄組織を組織固定液の心臓灌流により固定することになる。ペントバルビタール過量投与後の心臓灌流は、ヘパリン加生理食塩水200mlの左心室へのボーラス投与後、10%中性緩衝化ホルマリンまたは4%パラホルムアルデヒド溶液300mlの灌流からなる。脊髄組織をDNAおよびタンパク質分析のために採取する場合、深く麻酔したラットを断頭する以外は、同様の手順である。次いで、脊髄を液体窒素に短時間浸漬する。3分間解凍した後、脊髄を横切し、神経根および硬膜外脂肪ならびに静脈から分離する。組織を-70℃のメチルブタン浴に30秒間置き、パラフィルムおよびフォイルで包み、液体窒素中に保存する。
【0049】
グルタミン酸受容体アンタゴニスト化合物の治療的投与
本明細書に記載のグルタミン酸受容体アンタゴニスト化合物は、椎間板または関節組織の軟骨破壊に由来する遊離グルタミン酸が神経細胞上のグルタミン酸受容体に結合するのを阻害するために有用である。ペプチドをアンタゴニストとして用いる場合、薬学的に許容される担体中のペプチド溶液の形態で患者に投与する。そのような方法は当業者には公知である。ペプチドは1日に体重1kgあたりポリペプチド約1μmolから100μmolの静脈内用量で投与される。本発明の組成物は静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、腹腔内投与、または関節もしくは脱出椎間板周囲の領域への直接投与などの、非経口投与のために有用である。好ましくは、アンタゴニストは硬膜外投与、脊髄投与、または関節腔(例えば、膝関節腔または肘関節腔)に直接投与される。ペプチドの疼痛軽減用量は0.1 mgから100mgの範囲で、これを患者に1回投与してもよく、繰り返し投与してもよい。複数のペプチドを一緒に投与してもよい(同時または逐次)。
【0050】
ペプチドは、公知の方法を用いて組換えにより産生されるか、または合成的に作製される。ペプチド溶液を任意に凍結乾燥してもよく、または糖などの担体と共に顆粒化してもよい。組成物を注射により投与する場合、注射前に蒸留水またはその他の薬学的に許容される賦形剤に溶解する。
【0051】
ペプチドアンタゴニストをコードするDNAも、例えば、DNAをウイルスベクターに組み込むことにより、投与することができる。公知の方法を用いて、例えば、静脈内に、約106から1022コピーの核酸分子用量で核酸を投与する。
【0052】
好ましくは、アンタゴニストは比較的小さい有機化合物、例えば、±)-トランス-1-アミノ-1-カルボキシシクロペンタン-2-酢酸(トランス-1,2-ホモ-ACPD;M.W. 187.17)、高選択的mGluR2アンタゴニスト;L(+)-2-アミノ-3-ホスホノプロピオン酸(L-AP3;M.W. 169.07)、ホスホイノシチド結合性代謝調節型グルタミン酸反応の選択的アンタゴニスト;AMPA-KAアンタゴニストLY293558、第IIグループ代謝調節型グルタミン酸受容体選択的アゴニスト;またはYM872([2,3-ジオキソ-7-(lH-イミダゾール-1-イル)-6-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン-1-イル]酢酸1水和物、競合的AMPA受容体アンタゴニストである。用量の決定および賦形剤の選択は医学および薬学分野の当業者の能力範囲内である。
【0053】
疼痛軽減組成物は、好ましくは、一つのグルタミン酸受容体サブタイプに特異的な受容体アンタゴニストを含み、他のサブタイプに特異的な受容体アンタゴニストを含まない。または、本組成物は複数の異なるグルタミン酸受容体サブタイプに特異的なアンタゴニストの混合物を含む。
【0054】
他の態様は添付の特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟骨性組織のニューロン細胞をグルタミン酸受容体のアンタゴニストと接触させる段階を含む、哺乳動物における疼痛緩和法であって、ニューロン細胞上の受容体への遊離グルタミン酸の結合阻害が疼痛を緩和する方法。
【請求項2】
グルタミン酸受容体がイオンチャネル型グルタミン酸受容体である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
イオンチャネル型グルタミン酸受容体アンタゴニストが、非-N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)型受容体アンタゴニストである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
非-NMDA受容体アンタゴニストが、(S)-a-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサロンプロピオネート(AMPA)受容体アンタゴニストおよびカイニン酸活性化(KA)受容体アンタゴニストからなる群より選択される、請求項2記載の方法。
【請求項5】
アンタゴニストがNMDA受容体アンタゴニストである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
NMDA受容体アンタゴニストがMK-801である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
AMPA受容体アンタゴニストが、GYK152466、CNQX、およびNBQXからなる群より選択される、請求項4記載の方法。
【請求項8】
KA受容体アンタゴニストが、LY294486、LY382884およびACEA-1011からなる群より選択される、請求項4記載の方法。
【請求項9】
グルタミン酸受容体が代謝調節型グルタミン酸受容体である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
アンタゴニストが、L(+)-2-アミノ,3-ホスホノプロピオン酸(LAP-3)および(S)4-カルボキシ,3-ヒドロキシフェニルグリシン(CHPG)からなる群より選択される代謝調節型グルタミン酸受容体アンタゴニストである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
アンタゴニストが遊離グルタミン酸のmGlu2受容体への結合を優先的に阻害する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
疼痛が、背痛、関節痛、および坐骨痛からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項13】
ニューロン細胞が後根神経節細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
軟骨性組織が椎間板組織である、請求項1記載の方法。
【請求項15】
軟骨性組織が連結関節(articulating joint)組織である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
連結関節組織が膝関節組織である、請求項1記載の方法。
【請求項17】
連結関節組織が肘関節組織である、請求項1記載の方法。
【請求項18】
グルタミン酸アンタゴニストを硬膜外腔に直接投与する、請求項1記載の方法。
【請求項19】
グルタミン酸アンタゴニストを脊髄液中に投与する、請求項1記載の方法。
【請求項20】
グルタミン酸アンタゴニストを連結関節の関節腔に投与する、請求項1記載の方法。
【請求項21】
連結関節または椎間板腔への注射に適した形態のグルタミン酸受容体アンタゴニストを含む組成物。

【公表番号】特表2006−513998(P2006−513998A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548625(P2004−548625)
【出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2003/034836
【国際公開番号】WO2004/039247
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(505164210)ロード アイランド ホスピタル (1)
【Fターム(参考)】