疾病の伝染を減少させる組成物及び方法
【解決手段】 抗菌組成物の予防的及び抗伝染的使用方法が記載されている。この方法は、哺乳類若しくはトリに、ショウガから得られる第一成分と、緑茶から得られる第二成分と、選択的にウコンから得られる第三成分と、許容可能な担体とを有する組成物の量を投与する工程を有するものである。前記組成物は、投与された場合、疾病の罹患率を減らすか、或いは、疾病の伝染を予防的に防ぐのに有効である。また、鼻腔用及び咽頭用スプレー組成物が本発明の方法における使用において開示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年2月6日付けで出願され、現在係属中の米国特許出願第10/359,889号の一部継続出願であり、同様に、2002年8月6日付けで出願された、米国を指定国に含み英語で公開された国際特許出願第US02/24794号の一部継続出願であり、同様に、2002年4月15日付けで出願された米国特許出願第10/122,991号(現在米国特許第6,596,313号)の一部継続出願であり、同様に、2001年8月6日付けで出願された米国特許出願第09/923,090号(現在米国特許第6,592,896号)の一部継続出願である。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野
本発明は、微生物に起因した疾病の罹患率を減少させるために、組成物を予防的に使用することに関連するものである。より具体的には、本発明は、微生物感染の1若しくはそれ以上の症状又は副作用を治療、低減、又は予防する方法、及び微生物感染の感染力若しくは伝染を低減させる方法に関するものである。
【0003】
関連技術の記載
ウイルス病原性とは、宿主においてウイルスが疾病を引き起こす方法である。前記ウイルス病原性とは、特定の器官における別々の細胞集団に対するウイルス性の障害機構が主となっており、特定宿主において疾病の兆候及び症状を引き起こすものである。
【0004】
感染を開始させるためにウイルスは、宿主細胞への侵入口を獲得しなければならない。侵入経路はウイルスに依存し、循環器系と同様、皮膚、眼、呼吸器、GI、及び泌尿生殖器路を含む。いくつかのウイルス、特に、インフルエンザ、パラインフルエンザ、ライノウィルス、コロナウイルス等の上部呼吸器路を感染させるウイルスは、それらの組織損傷を侵入口付近に局限化する。一旦、そのウイルス粒子が前記細胞に侵入すると、ウイルスコードされたタンパク質により、前記細胞は、ウイルスゲノムを複製し、ウイルス特異的タンパク質を生成する。これらのタンパク質が集合し、ウイルスゲノムと共に完全なウイルス粒子になり、放出される。エンベロープウイルスの場合、前記ウイルス粒子は、脂質膜を獲得し、ウイルス特異的糖タンパク質をこの脂質膜を通して挿入する。前記エンベロープウイルスファミリーは、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、オルトミクソウイルス、パラミクソウイルス、フラビウイルス、トガウイルス、コロナウイルスを含む。ライノウイルスは、ピコルナウイルスの一員であり、エンベロープされていないものである。
【0005】
ウイルスは、宿主細胞に侵入し感染を開始させるための様々なメカニズムを発達させてきた。前記細胞膜と融合するために、ウイルスは、膜融合活性を有する膜糖タンパク質を持つ。多くのエンベロープウイルスは、細胞がエンドソーム小胞体を形成する、細胞表面受容体への結合後の受容体型エンドサイトーシスを誘導する。一旦前記小胞体内部に入ると、前記ウイルス粒子は、その非コーティング過程を経る。このことでウイルスゲノムに最適なpHが維持されること及び前記ウイルスゲノムが細胞核から保護されることが保証される。
【0006】
インフルエンザウイルスは、オルトミクソウイルスファミリーのウイルスであり、それらは、8つのフラグメントを有するマイナス鎖RNAゲノムを含むエンベロープウイルスである。前記ウイルスRNAは、10個のウイルス特異的タンパク質をエンコードする。感染サイクルの開始には、その宿主細胞表面受容体へのウイルスエンベロープの結合が要求され、受容体型エンドサイトーシス、ウイルスとエンドソーム膜との融合が引き続く。その融合プロセスによれは、前記ウイルスゲノムの細胞原形質への放出、ウイルスゲノムのウイルス性転写及び複製が開始される核への移動が可能となる。インフルエンザ受容体結合及び膜融合の役割を果たすタンパク質は、ヘマグルチニンタンパク質(HA若しくはH抗体)である。最も多い菌株に関して、前記HAタンパク質は、前記ウイルス粒子表面の、最も多いアジュバントの糖タンパク質である。前記HAタンパク質は、中性抗体のターゲットである。インフルエンザウイルスの3つの典型例には、A、B、及びCがある。インフルエンザAは、最も頻繁に発生し、比較的有毒であり、流行病及び汎発流行病の大部分の原因である。インフルエンザAは、表面のHA抗原及びノイラミニダーゼ(N抗原)に基づきさらに分類され得、前記H及びN抗原は、主要な抗原性決定因子である。菌株はまた、第一の単離の地理的位置、シリアルナンバー、及び単離の年に基づき分類される。ノイラミニダーゼは、感染した宿主細胞からの新しいウイルス粒子放出を容易にする酵素である。第三のタンパク質は、Mタンパク質(マトリックスタンパク質)は、膜チャネルタンパク質であり、A株中のM2及びB株中のNBとして知られる。これら表面のウイルス膜糖タンパク質は、その免疫システムが応答するターゲットである。
【0007】
インフルエンザのウイルス粒子は、上部及び下部の呼吸器路中の表皮細胞に付着し、前記細胞に侵入し、それらのゲノムを放出し、ウイルスタンパク質と核酸とを再産生する、前記宿主細胞複製機構を支配する。成熟したウイルス粒子が前記宿主細胞の溶解により放出される。呼吸器上皮中の破目により、第二感染の罹患性の増加がもたらされる。インフルエンザは、第一に呼吸器の分泌物により伝染し、これらの分泌物は、咳及びくしゃみをすることにより分離される。インフルエンザはまた、そのウイルスに感染した手が鼻の管及び眼と直接的接触をした場合の直接的接触により分離される。インキュベーション期間は、1〜4日間であり、感染した人は、症状が現れる1日若しくは2日前に感染しており、疾病の発症後、5日間感染したままである。幼児及び免疫不全の人は、長期間ウイルスを排出する。
【0008】
インフルエンザは、複製中の主要な抗原の1つ若しくは両者に対する軽度の変更(すなわち、点変異)の傾向がある。これらの変更は、一部に、前記ウイルスの転写装置におけるプルーフリーディング及びエラー修正メカニズムの欠如が原因である。いわゆる抗原ドリフトは、前記ウイルスが一部のみの免疫を持つヒトを前記ウイルスへの前段階感染させることを可能にするため、季節上の流行病の原因となる。インフルエンザAは、特に抗原ドリフトの傾向にある。H及びN抗原における主要な変更で抗原性シフトがもたらされる。抗原性シフトで、新規のウイルスサブタイプがもたらされ、それは、主要な流行病及び汎発流行病を最少の個体群免疫が原因で引き起こし得る。
【0009】
インフルエンザは、急性呼吸器性感染の局限的流行病及び広域の汎発流行病を引き起こし得る深刻なヒトの病気として確立されている。毎年、前記インフルエンザウイルスは、20,000〜40,000人の死因となり、最高300,000までが米国で入院したケースがある。(Sandha and Mossad,Influenza in the Older Adult.Indications for the Use of Vaccine and Antiviral Therapy,Geriatrics 56:43−51,2001,Oxford et al,In:Antigenic Variation,Ed.Craig&Scherf,Academic Press,London pp.53−83,2003)。1918年の汎発流行病において、4000万人超が死亡したと広く考えられている。幼児及び比較的若い成人は、感染例が多いが、深刻な病気は、喘息、糖尿病、腎臓病、心臓病糖の慢性病を持つ初老の若しくは免疫不全の個人により一般的である。前記毎年の流行病は、11月〜3月に北半球で流行し、4月〜9月に南半球で流行する。
【0010】
鳥インフルエンザは、インフルエンザウイルスのA型株により引き起こされる。鳥インフルエンザは、世界中で発症している。感染した鳥は、穏かな病気から高度に接触感染性の致命傷病までの広範囲の症状を示す。高度接触感染性病は、特に有毒なインフルエンザウイルス株により引き起こされる。この株による感染症は、死にいたる、エネルギーの欠如、卵生産の減少、軟シェル卵、頭、まぶた等の膨潤化、鼻汁、咳、若しくは下痢等の深刻な症状の突発(WHO,2004)に関連する。現在、鳥に感染し得る15サブタイプが特定されているが、わずかH7、H5、H9のサブタイプのみが大発生に関係している。現在のアジアとブリティッシュコロンビアの大発生は、H5N1及びH7N3によって引き起こされている。上記で議論したように、インフルエンザウイルスは、これらのウイルスは、プルーフリーディング核酸複製のメカニズムを欠くため、公衆衛生上の関心事である。従って、インフルエンザウイルスは、特に転写の間、高変異率の傾向にある。さらに、インフルエンザウイルスは、異なる種の他のサブタイプからの遺伝子材を交換若しくは取り替え可能であり、従って、サブタイプが、ある種から他の無関係な種への、特異的ウイルスのクロス感染を通常妨げる種バリアをクロス可能にする。この種のバリアは、通常、鳥インフルエンザウイルス菌株がヒトに感染するのは妨ぐが、時として新しい菌株は、鳥及びヒトインフルエンザウイルス菌株の両者からの遺伝子材を有する。この遺伝子材の交換は、ヒトと家禽とブタとの間にごく近接さが存在する際に起こる。ブタは、ヒトと鳥菌株の両者の貯蔵体として働く。従って、ブタは、鳥菌株種同様にヒトに感染し得る新しい菌株の出現のための自然のインキュベータとして働くものである。
【0011】
インフルエンザの治療に米国で利用可能な抗ウイルス薬には、アマンタジン、リマタジン、ザナミビル(ザナミビル(リレンザ(登録商標))、オセルタミビル(タミフル(登録商標))の4つがある。アマンタジン及びリマタジンは、インフルエンザAに対してのみ有効である。アマンタジン、リマタジン、及びオセルタミビルは、予防処置として認証されている。予防処置は、インフルエンザ大発生の間に、ワクチン非接種の人のみに高リスクで指示される。抗ウイルス剤は、低耐性及び抵抗出現のために限定的使用用途を有する。現在、アマンタジンは、インフルエンザ感染症に対して使用される主要な抗ウイルス化合物であるが、その活性はインフルエンザAウイルスに限られている。ザナミビル及びオセルタミビル等の抗ノイラミニダーゼ阻害剤は、インフルエンザA及びB感染症の両者の治療用途で許可された新しいクラスの抗ウイルス剤である(Carr et al.,Influenza Virus Carrying Neuraminidase with Reduced Sensitivity to Oseltamiver Carboxylate has Altered Properties In Vitro and is Compromised for Infectivity and Replicative Ability In Vivo,Antiviral Res.54:79−88,2002)。従って、インフルエンザA及びBに対する新しく有効な抗ウイルス薬の開発は、臨床上非常に重要である(Bamford,Neuraminidase Inhibitors as Potential Anti−Influenza Drugs,J.of Enzyme Inhibition,Review 10:1−16,1995)。
【0012】
インフルエンザワクチンは一般に、インフルエンザシーズンの開始前に使用され、それらは、典型的には高リスクであると考えられる細胞集団のセグメントに投与される。ワクチンは、いくつかの形態があり、それらは、疾病の症状を予防する或いは少なくとも軽減させる。ワクチンは、広範囲に広がる流行病若しくは汎発流行病を最も引き起こす可能性の高い菌株に対する中和用抗体を作り出すために、ウイルスにさらされる前に投与される。しかしながら、ワクチンは、費用がかかり、前記ワクチンの保管がすぐに消費され得る。また、ワクチンは、原因となるそのウイルス構成物を含まないものである。換言すれば、ワクチン製品は、どの菌株が支配的菌株として出現するかを推定するかに依存する。従って、任意の投与年においても、前記種々のインフルエンザ菌株に対して限定的保護にしかならない。さらに、注入を通してワクチンを提供する典型的方法は多数の人には不快である。一方、予防治療は、感染症を予防する、或いは、前記ウイルスにさらされた後の疾病の重症度を軽減するために使用される。ザナミビル若しくはリレンザ(登録商標)(Glaxo Wellcome、第二世代抗ウイルス)と同様の、オセルタミビル(登録商標)は、成熟したウイルス粒子の放出をブロックし、従って近隣細胞の感染を予防するノイラミニダーゼ阻害剤である。ノイラミニダーゼ阻害剤は、インフルエンザ感染症の症状を軽減し、その疾病期間を短くする。予防処置は、有効であるために48時間の症状開始時間帯以内になされなければならず、耐性菌株出現のリスクが伴う。
【0013】
重症急性呼吸器症候群(SARS)は、21世紀における新しく主要な第一の感染症疾病である。第一の症例が2002年の11月に中国の広東で出現したが、2003年3月に新しい疾病として認識されたのみであった。前記疾病の広がりは、22ヶ国で報告されたように、国際的な飛行機旅行により促進された。しかしながら、現代のコミュニケーション技術及び世界的共同努力によって、前記疾病は、確認されているところでは4ヶ月以内に食い止められた。前記疾病は、高熱、頭痛、筋肉痛、空咳を含む症状を伴った高罹患率及び高死亡率をもたらした。前記死亡率は、60代以上のグループにおいて60%(Peiris JS et al.,2003)を超えた。SARSは、組織培養におけるウイルス増殖法及び電子顕微鏡研究に関する種々の実験技術を通して新しいウイルスによって引き起こされるものとして特定された。これは、その完全なゲノム配列が決定された数日後に、原因である新しいコロナウイルスであることが示され、確認された。従って、このタイプの感染症に対して使用する抗ウイルス薬の開発は、非常に重要である。
【0014】
病気を引き起こす他の微生物は、酵母菌、C.albicansを含む真菌感染症と同様に、連鎖球菌、ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、及びヘモフィルス等のグラム陽性及びグラム陰性バクテリアを含む。これらの微生物による活性な感染症は、第一には抗生物質で治療される一方、患者の中には抗生物質にうまく耐えられない人もいる。咽頭痛等のバクテリア若しくは真菌感染症の症状を軽減させる若しくは取り除く治療法と共に抗生物質治療法を増進させたいと望む人もいる。これらのバクテリア若しくは真菌生物の1つによる感染症の重症度を、暴露前、暴露期間中、又は暴露直後に予防治療により予防若しくは軽減させたいと思っている人もいる。
【0015】
近年では、研究的興味としては種々のハーブに焦点が置かれており、それらは、慢性疾病に対して顕著な防御を提供することが可能であり、抗微生物若しくは抗腫瘍活性を有する強力な抗酸化剤化合物を含む。フラボノイド等の抗酸化剤物質は、タンポポ、ショウガ、緑茶、ローズマリー等の種々のハーブで見出される。緑茶抽出物(GTE)がイディン・ダービー・イヌ腎臓細胞(MDCK)中のインフルエンザA及びBウイルスの成長を阻害することが最近報告されており、別の研究では、緑茶の構成物の1つの3−没食子酸エピガロカテキン(EGCG)が末梢血リンパ球におけるHIV−1(111B)及びBal HIV菌株の複製を阻害することが最近報告されている。これらの物質は、種々の疾病を治療する分野で有益であると証明されたが、抗酸化物質を使用した予防方法の構築においては何ら進展がない。
【0016】
従って、この分野において、微生物に起因した疾病の罹患率を減少させるための予防方法を提供する必要性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、本発明のいくつかの実施形態の目的は、微生物に起因する疾病の罹患率を減少させる方法を提供することである。
【0018】
第一の観点によると、本発明は、疾病の罹患率を減らす抗菌組成物の予防的使用方法に関する。前記方法は、疾病に暴露されている或いは暴露されるであろう哺乳類若しくはトリに、ショウガから得られる第一成分、緑茶から得られる第二成分、及び許容可能な担体を有するある量の抗菌組成物を投与する工程を含む。前記抗菌組成物の量は、投与される場合、前記疾病の罹患率を減少させるのに有効である。
【0019】
本発明の第二の観点によると、ショウガから得られる第一成分、緑茶から得られる第二成分、許容可能な担体を有する予防的抗菌組成物が開示されている。前記抗菌組成物は、微生物に起因した疾病に暴露されている、或いは暴露されるであろう哺乳類若しくはトリに、鼻腔用スプレー若しくは咽頭用スプレーとして投与されると、前記疾病の罹患率を減少させるのに有効である。
【0020】
本発明を特徴づけるこれらと他の種々の利点及び新規性の特徴は、本明細書に添付され、本明細書の一部となっている請求項において特に指摘されている。しかしながら、本発明、並びに、その利点及びその使用により得られる物をより良く理解されるために、付随の記述的事項に対して参照が用いられており、そこで本発明の好ましい実施形態が記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
第一の観点において、本発明は、組成物に関するものである。本発明の組成物は、ショウガ、緑茶、及びウコンから得られる成分を含む。
【0022】
本明細書において使用されるように、用語「香料」は、フルーツ及び植物性香料を含む。
【0023】
本明細書において使用されるように、「甘味料」の用語は、例えば、グルコース、スクロース、及びフルクトースを含む。糖はまた、高フルクトース・コーン・シロップ固体、転化糖、ソルビトールを含む糖アルコール、及びそれらの混合物を含む。人工甘味料もまた、前記用語「甘味料」の範囲に含まれる。
【0024】
本明細書で使用されるように、「許容可能な」の用語は、過度に悪い副作用(例えば、毒性、いらいら、アレルギー反応等)がなく、ヒト及び/若しくは動物に対しての使用に適した、妥当なリスク/利益比と同程度の構成物を意味するものである。
【0025】
さらに本明細書で使用されるように、「安全で有効な量」という用語は、本明細書において記載された方法で使用される際、妥当なリスク/利益比と同程度の、過度に悪い副作用(例えば、毒性、いらいら、アレルギー反応等)がなく望ましい治療上の応答をもたらすのに十分な構成物の量に言及したものである。
【0026】
本明細書において使用される「微生物を阻害する」という用語は、前記微生物の増殖を減少させる、若しくは、正常細胞に付着することを予防すること、及び/若しくは、治療中のヒト又は動物由来の感染粒子の一部若しくは全ての除去について言及する。微生物阻害を決定する適切な方法は、実施例において議論されている。
【0027】
本明細書において使用される「伝染」という用語は、1つの宿主から別の宿主への移ることに言及する。
【0028】
本発明において使用される全活性化合物は、入手可能であれば、他の源から得てもよい。従って、「〜から得られる」若しくは「〜から得てもよい」という語句は、ウコン、ショウガ、若しくは緑茶から得られる化合物又は組成物を含むように意図されたものであり、従って、他の源から得られる同一化合物及び/若しくは組成物と同様、同一化合物及び/若しくは組成物の合成形態を含む。
【0029】
第一の実施形態において、本発明の組成物は、ショウガから得られる第一成分、緑茶から得られる第二成分を、本明細書において記載される1若しくはそれ以上の有益な効果を提供する安全かつ有効な量で含む。
【0030】
本発明の組成物の第一成分は、ショウガ(学名Zingiber officinale、一般名ショウガ根(ginger root))から得られる。南アジアに自生のショウガは、1フィートまででほぼ1インチの幅の草のような葉をつける2〜4フィートの多年生植物である。食品雑貨店での呼び名のショウガ根は、実際、樹皮状の外皮カバーリングこすりとられた状態で、その植物の地下茎から成る。
【0031】
本発明で用いられる前記ショウガの活性化合物は、これに限定されないが、1,8−シネオール、ジヒドロジンジャージオン(10−dehydrogingerdione)、10−ジンゲロール、6−ジンジャージオン(6−gingerdione)、6−ジンゲロール、6−shogaol、8−β−17−エポキシ−λ−トランス−12−エン−15,16−ジオール(8−β−17−epoxy−λ−trans−12−ene−15,16−diol)、8−ジンゲロール、8−shogaol、9−オキソ−ネロリドール、アセトアルデヒド、酢酸、アラニン、α−リノレン酸、α−リノレン酸、α−フェランドレン、α−ピーネ、α−テルピネン、α−テルピネオール、α−ジンギベレン、ar−クルクメン、R、アスコルビン酸、N、β−ビサボロール、β−カロチン、β−エレメン、β−eudesmol、β−イオノン、β−ミルセン、β−フェランドレン、β−ピネン、β−セリネン、β−セスキフェランドレン、β−シトステロール、β−thujone、酢酸ボルニル、ホウ素、コーヒー酸、カルシウム、カンフェン、カンファ、カプリン酸、カプリル酸、カプサイシン、カリオフィレン、カビコール、クロロゲン酸、クロム、シトラール、シトロネラール、シトロネラール、コバルト、銅、クメン、クルクミン、シスチン、デルフィニジン、δ−カジネン、エレモール、酢酸エチル、エチル−ミリスチン酸塩、ファルネサール、ファルネセン、フェルラ酸、フルフラール、γ−アミノ酪酸、γ−テルピネン、ゲラニアール、ゲラニオール、ゲラニル−酢酸塩、gingerenone、グルタミン酸、グリシン、ヘキサヒドロクルクミン、ヒスチジン、isogingerenone−B、イソロイシン、ケンペロール、レシチン、リモネン、リノール酸、マグネシウム、マンガン、メチオニン、mufa、myrecene、ミリセチン、ミリスチン酸、ネラール、ネロール、ネロリドール、ナイアシン、ニッケル、オレイン酸、シュウ酸、p−クマル酸、p−シメン、p−ヒドロキシ−安息香酸、パルミチン酸、パントテン酸、パラドール、patchoulic alchol、フェニルアラニン、クエルセチン、リボフラビン、セレニウム、シキミ酸、テルピネン−4−オール、サイアミン、トリプトファン、バニリン酸、バニリン、亜鉛、及びジンゲロンを含む。また、2若しくはそれ以上のこれらの活性化合物の混合物が用いられている。
【0032】
ショウガから得られる本発明の組成物の第一成分が、ショウガ粉末抽出物、ショウガ流体抽出物等の抽出物、ショウガ根粉末を含むショウガ粉末、及び、ショウガの1若しくはそれ以上の化合物、ショウガ植物の一部又は全体、それらのチンキ、並びにそれらの混合物を含む多くの異なる形態で本発明中の組成物中に組み込まれる。好ましくは、本発明の組成物の第一成分は、ショウガ抽出物、及びショウガ根粉末から選択される。
【0033】
本発明の組成物は、1グラムあたり、好ましくは、約1mg〜約150mgのショウガ根粉末を含む。前記組成物は、最も好ましくは、1グラムにつき、約6mg〜約110mgのショウガ根粉末を含む。ベースラインとしてのこれらの範囲での使用、つまり、経口摂取製剤中のStryka Botanicsなどのショウガ根粉末と、例えば、ミシガン州のInc.of Kalamazoo製Kalsec(登録商標)等のショウガ抽出物K(Aquaresin(登録商標)Ginger)との使用である。
【0034】
種々の成分量が、前記成分の一形態の観点から、すなわち、ショウガ根粉末で本明細書において与えられている。その成分が別の形態で存在する場合、用いられる前記量は、本明細書において与えられている成分量と同量の1若しくはそれ以上の活性化合物を提供する量である。例えば、ショウガチンキが用いられる場合、前記用いられるチンキの量は、上記で特定されたショウガ根粉末の量と同量の1若しくはそれ以上の活性化合物を提供する量となる。これは、その成分の一特定形態に関して本明細書においてその量が与えられる全成分に適応される。
【0035】
本発明の組成物の第二成分が緑茶から得られる。緑茶から得られる第二成分は、抗酸化効果を有する。緑茶は、ツバキのカメリアシネンシスの乾燥葉及び葉の芽である。中国及び日本で主に生産される。乾燥茶葉がポリフェノール(約36%)で、もっぱらフラバノール(カテキンを含む)、フラボノイド、及びフラボンジオールとして知られる植物化学物質から主に構成される。前記葉はまた、カフェイン、テオブロミン、テオフィリンを含む植物アルカノイド(約4%)を含む。
【0036】
緑茶の薬理学的活性は、その活性化合物が主因である。本発明に有益な前記緑茶の活性化合物は、これに限定されないが、フラバノール、カテキン、フラバノイド、フラボンジオール、植物アルカノイド、カフェイン、テオブロミン、テオフィリン、フェノール酸、タンパク質、炭水化物、及びミネラルを含む。
【0037】
緑茶から得られる第二成分は、緑茶粉末、例えば、緑茶粉末抽出物、緑茶液体抽出物等の緑茶抽出物、及び緑茶の1若しくはそれ以上の活性化合物、緑茶植物の一部若しくは全体、緑茶葉、それらのチンキ、又はそれらの混合物の形態で前記組成物中に含まれてもよいものである。好ましくは、本発明の組成物の第二成分は、緑茶葉、緑茶粉末、及び緑茶抽出物から選択される。より好ましくは、本発明の組成物の第二成分は、緑茶抽出物である。
【0038】
本発明の組成物は、1グラムあたり、約1mg〜約20mgの緑茶抽出物を含む。最も好ましくは、前記組成物は1グラムにつき、約4mg〜約15mgの緑茶抽出物を含むものである。ベースラインとしてのこれらの範囲での使用、経口摂取製剤中における、例えば、Stryker Botanics等の緑茶の使用、スプレー製剤中における、中華人民共和国、長沙、Phytoway,Inc.製等の緑茶抽出物の使用である。
【0039】
ショウガ、緑茶、ウコンから得られる、本発明の組成物の成分は、それぞれウコンの地下茎、ショウガ根、及び緑茶葉から挽かれるウコン粉末、ショウガ粉末、及び緑茶粉末の形態で使用される。合成ルートが既知の、ショウガ、緑茶、若しくはウコンの特定の活性化合物については、前記活性化合物が合成される。その植物抽出物は、必要であれば、下記で記載されているように調製される。代わりに、ウコン粉末、ショウガ粉末、緑茶粉末、及び/若しくは、それらに含まれる1若しくはそれ以上の活性化合物は、ミシガン州のInc.of Kalamazoo製Kelsec(登録商標)等の商業源から購入されてもよい。
【0040】
本発明の組成物において使用される、例えば、ウコン抽出物、ショウガ抽出物、緑茶抽出物、及びセイヨウワサビ抽出物等の前記植物抽出物は、通常の抽出手順を使用して生成される。代わりに、前記抽出物を、ミシガン州、Inc.of Kalamazoo製the Kelsec(登録商標)等の商業元から購入してもよい。
【0041】
上記で述べた植物の任意の中からの、便利で投与可能な投与形態での薬理的、若しくは生物学的に活性な植物抽出物の調製方法は、当業者に既知である。
【0042】
本発明の組成物は、本発明の組成物が、この用途の実施例で実証される重要な抗菌特性を有しており、ウイルス感染症を治療するのに使用されるものである。本発明の組成物はまた、咽頭痛、うっ血、喉頭炎、粘膜炎、及び/若しくは粘膜の膜炎症を含む、1若しくはそれ以上のウイルス感染症の症状を、1若しくはそれ以上のこれらの症状又は慢性病に苦しむ患者に投与することにより治療する治療用組成物として使用される。
【0043】
本発明の組成物はまた、疾病の罹患率を減少させるために用いられる。本発明の組成物のこの用途において、本発明の組成物の安全で有効な量は、本発明の組成物が投与されていない、微生物起因の疾病にさらされている或いはさらされるであろう哺乳類、若しくはトリと比較して、微生物に起因する疾病にさらされている或いはさらされるであろう哺乳類、若しくはトリに対して、前記疾病の罹患率を減少させるために投与される。
【0044】
好ましくは、本発明の組成物は、これに限定されないが、カプセル、錠剤、菱形錠剤、トローチ、ハードキャンディー、粉末、スプレー、ゲル、エリキシル、シロップ、及び懸濁液又は溶液を含む任意の許容可能な投与形態で調製される。本発明の組成物はまた、本発明の組成物が栄養サプルメントである或いは更なる成分を含む栄養サプルメントの一部を形成する場合の栄養サプルメントの形態で投与される。
【0045】
本発明の組成物はまた、許容可能な担体と共に調製される。前記許容可能な担体は、これに限定されないが、(a)甘味料、より好ましくは、フルクトース、スクロース、糖、デキストロース、デンプン、ラクトース、マルトース、マルトデキストリン、コーンシロップ固体、はちみつ固体、Emdex(商標)、Mor−Rex(商標)、Royal−T(商標)、Di−Pac(商標)、Sugar−Tab(商標)、Sweet−Rex(商標)、及びNew−Tab(商標)を含む商業用タブレット栄養サプルメントを含む炭水化物、(b)マンニトール、ソルビトール、及びキシリトールを含む糖アルコール、(c)第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、及び他の錠剤型成分を含む、さまざまな比較的難溶の賦形剤を含むものである。
【0046】
本発明の菱形錠剤、錠剤、及びトローチ剤は、形、大きさ、及び製造テクニックの点で異なる。錠剤の場合、経口使用の目的で、前記許容可能な担体は、さらにラクトース及びトウモロコシデンプンを含む。例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び滑石を含む、潤滑剤がまた、前記錠剤に添加される。錠剤はまた、例えば、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、及びリン酸カルシウム等の賦形剤を含む。例えば、デンプン、アルギン酸、及び複雑なケイ酸塩等の崩壊剤がまた、用いられている。錠剤はまた、例えば、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、PEG−8000、及びアカシアガム等の結合剤を含む。
【0047】
経口使用目的の、菱形錠剤の場合、前記一般的許容可能な担体はさらに、PEG−8000等の結合剤を含む。菱形錠剤は、経口摂取された場合に適切な溶出速度を提供する、約0.1〜約15グラムの重さであることが好ましい。より好ましくは、菱形錠剤は、約1〜約6グラムの重さである。
【0048】
ドロップの生産は既知であり、任意の当業者には、本発明の組成物と共にドロップを容易に生産することができる。前記組成物は、密閉容器中で冷暗所に保管されることが好ましい。
【0049】
錠剤及びトローチ剤は、当業者に周知の手順を用いて、前記最適成分内の微小な変更を加えて製造可能である。そのような変更は、当業者の熟練工の範囲内のことである。
【0050】
代わりに、本発明の組成物は、徐放期間中に口部及び口咽頭の粘膜への前記組成物の繰り返し送達の目的で、水、若しくは他の液体等の溶媒若しくは分散剤を伴うシロップ、うがい薬、若しくはスプレー等の液体形態で、選択的に薬学的に許容可能な担体中で調製されるものである。好ましくは、その治療時間は、口及び喉の組織と前記組成物を延長接触可能にする約5〜60分であり、より好ましくは、約20〜30分である。代わりに、そのような製剤は、水若しくは他のマテリアルでの使用前希釈に適した濃縮形態であり得る。
【0051】
前記組成物はまた、例えば、ソフトキャンディー、ガムドロップ、液体入りキャンディー、チューイングガムベース等のチュアブル形態、若しくは、歯磨き粉及びうがい薬等のデンタルケア製品の形態で調製される。使用の際、前記チューイング可能な組成物は、好ましくは約5〜60分、より好ましくは約20〜30分の徐放期間中、口の中で保持されることが好ましい。デンタルケア製品が、そのような製品を使用する際の通常の方法で使用される。
【0052】
本発明の組成物は、希釈剤あり又はなしでカプセル形態で調製される。カプセルの場合、有益な希釈剤は、ラクトース及び乾燥トウモロコシデンプンを含むものである。懸濁液が用いられる際、乳化剤、及び/若しくは懸濁剤が前記懸濁液中で用いられる。
また、上述の、1若しくはそれ以上の前記菱形錠剤中の成分を含む固体組成物は、軟・硬ゼラチンカプセル中で用いられる。
【0053】
本発明の組成物はまた、鼻腔用エアロゾル、若しくは吸入剤組成物に調製される。そのような組成物が既知の技術を使用して調製されるものである。これらのタイプの製剤について、適切な担体は、以下の成分、つまり1若しくはそれ以上の保存料を有する生理食塩水、バイオアビアリティを増強する吸収プロモーター、フルオロカーボン、及び/若しくは従来の可溶化剤又は分散剤を含む。
【0054】
選択的に本発明の組成物に含まれる他の材料は、レスベラトロル(トリヒドロキシスチルベン)、イノシトール、他のβ−複合体ビタミン、及び更なる抗炎症剤を含む。また、甘味料、風味料、着色料、色素、保存料、乳化剤、懸濁剤、融解剤、賦形剤、粘滑剤、並びに、水、エタノール、プロピレン、グリコール、グリセリン等の溶媒又は希釈剤、及びそれらの種々の組み合わせが、本発明の組成物に含まれている。
【0055】
選択的実施形態において、本発明の組成物は、本明細書に記載されている1若しくはそれ以上の有益な効果を提供する安全且つ有効な量の、ウコンから得られる1若しくはそれ以上の成分を含む。ウコン(学名リンネ)若しくは、ヒンディーのHaldiが、インド料理に一般的な成分と同様、医薬品として非常に幅広く使用されている。ウコンの地下茎は、微粉末として医薬品及び食料品中に使用されている。
【0056】
ウコンの地下茎の黄色色素は、クルクミノイドとして知られた3つの化合物から成るものである。前記3つのクルクミノイドは、クルクミン(ジフェルロイルメタン)、デスメトキシクルクミン(ヒドロキシシンアンモイルフェルロイルメタン)、及びビス−デスメトキシクルクミン(ジヒドロキシジシンアンモイルメタン)である(Drug Analysis,Chromatography and Microscopy,p.169,Ann Arbor Science Inc.,1973を参照)。ウコン(学名リンネ)の精油は、主に以下の化合物:d−カンファー(約1%)、シクロ−イソプレンミルセン(約85%)、p−トリルメチルカルビノール(約5%)から成る(E.Gunther,The Essential Oil,pp.123−4,Van Nostrand Co.,1955)。
【0057】
ウコンから得られた本発明の組成物の成分は、好ましくは、クルクミン(ジフェルロイルメタン)、デスメトキシクルクミン(ヒドロキシシンアンモイルフェルロイルメタン)、及びビス−デスメトキシクルクミン(ジヒドロキシジシンアンモイルメタン)、これらクルクイノイドの2若しくはそれ以上の混合物を含む。
【0058】
ウコンからクルクミノイドを単離する方法が知られている(Janaki and Bose,An Improved Method for the Isolation of Curcumin From Turmeric,J.Indian Chem.Soc.44:985,1967を参照)。代わりに、本発明で使用するクルクミノイドは、合成的方法により調製され得る。
【0059】
ウコンから得られる前記成分は、種々の異なる形態の本発明の組成物に組み込まれ得るものである。それらの異なる形態は、好ましくは、ウコン粉末抽出物、ウコン液体抽出物等のウコンの抽出物、1若しくはそれ以上の前記クルクミノイド化合物、及びウコン粉末、ウコン植物の一部又は全体、それらのチンキ、及びそれらの混合物を含む。より好ましくは、ウコンから得られる前記選択性成分は、ウコン抽出物である。
【0060】
前記ウコンから得られる成分が使用される際、本発明の組成物は、1グラムにつき、約1mg〜約20mgのウコン粉末抽出物を含むことが好ましい。前記組成物は、1グラムにつき、約6mg〜約15mgのウコン粉末抽出物を含むことが最も好ましい。
これらの範囲は、例えば、Pharmline,Inc.製の、経口摂取製剤のTurmeric Extract 95%及び、ミシガン州、Inc.of Kalamazoo製the Kelsec(登録商標)等のスプレー製剤のウコン根抽出物(オレオレジンウコン)の使用に基づくものである。
【0061】
また、本発明の組成物は、本明細書に記載される1若しくはそれ以上の有益な効果を提供する安全且つ有効な量の、セイヨウワサビ根から得られる1若しくはそれ以上の成分を含む。
【0062】
セイヨウワサビ根から得られる前記選択性成分は、Cochlearia Armoracia(学名)からの抽出物を含む。セイヨウワサビは、マスタード中に見出されるものに類似した揮発性油を含む。これらは、胃中で分解される際アリルイソチオシアナトを生成する、グルコシノレート(からし油配糖体)、グルコナストルチイン、及び、シニグリンを含む。
【0063】
エタノール、プロピレングリコール、及びグリセリン、並びにそれらの種々の組み合わせは、本発明の組成物中に全体の重量の約10パーセントまで更なる活性成分として選択的に含まれる。最も好ましくは、全重量に対して最高約10パーセントのエタノールが、活性成分として加えられる。さらに一層好ましくは、2.5〜7パーセントエタノールが加えられる。
【0064】
本発明の組成物中で使用される前記選択的甘味料は、これに限定されないが、組成物の主成分と化学的に相互作用しないように十分に少ない量で担体に添加される、サッカリン、アスパルテーム、シクラメート、アセサルフェームK、ネオヘスペリジンジハイドロカルコン、他の超甘味料、及びそれらの混合物を含むものである。
【0065】
本発明の組成物に使用される前記選択的風味料は、これに限定されないが、ペパーミント、ペパーミント−メタノール、オイカリプトール、ヒメコウジ、カンゾウ、チョウジ、ニッケイ、スペアミント、チェリー、レモン、オレンジ、ライム、メタノール、及びそれらの種々の組み合わせを含む。
【0066】
好ましくは、ショウガ、緑茶、及び選択的にウコンに由来する上記記載の前記主成分は、組成物全体の約0.5〜約90重量%を占める。より好ましくは、前記主成分は、組成物全体の約10〜約70%重量を占める。最も好ましくは、前記主成分は、組成物の全体の約20〜約40重量%を占める。
【0067】
上記で議論したウコン、ショウガ、緑茶から得られる前記成分を含む前記組成物の非担体成分は、その目的での使用の組成物の効果に影響することなく、前記組成物中に使用された担体量に依存した本発明の組成物に比例して増加若しくは減少させることが可能である。
【0068】
伝染を減少させる若しくは防ぐことは、一患者(感染)から別の患者(非感染)に微生物の広がりを防ぐ若しくは減少させることに関連する。患者の中には、その感染症の保菌者であると考えられ人もいる。保菌者は、活発に微生物を撒くが急性感染症には苦しまない人々である。これらの保菌者は、前記微生物に永続的に(慢性的に)感染していると言われている。永続的感染の伝染病発症人に加え、他の感染した人々は、能動的に感染した人々であり、特に、慢性感染の初期若しくは後期段階の人々である。本発明の一観点は、微生物に感染した哺乳類若しくはトリに、他の哺乳類若しくはトリにその疾病が広がることを防ぐ、及び/若しくは、前記感染した哺乳類若しくはトリの疾病症状を減らすために本発明の組成物を投与することに関連するものである。
【0069】
予防治療は、すぐに微生物にさらされる若しくは微生物に最近さらされた患者に向けたものである。そのような予防治療は、単独で若しくは、ワクチン効果を増大するのに有効である。予防治療はまた、ワクチンがまだ利用可能ではない微生物に対して使用される。予防治療の場合、本発明の組成物が、微生物にさらされる若しくは最近さらされた患者に、前記患者中の微生物による能動感染率を減少させるために投与されるものである。
【0070】
別の観点において、本発明は、ショウガ及び緑茶から得られる成分を含む本発明の組成物をウイルスに感染した患者に投与することにより、ウイルス感染症の少なくとも1つの症状、若しくは悪い効果を減少させる、治療する、若しくは予防する方法に関連するものである。
【0071】
前記方法において、前記患者は、ヒト、インビトロ細胞システム、若しくは動物である。前記患者は、哺乳類であることが好ましく、ヒトがより好ましい。前記方法において、本発明の組成物の投与により阻害される前記ウイルスは、他のウイルス間で、ライノウィルス、インフルエンザウイル、ウェストナイルウイルス、単純ヘルペスウイルス、HIV−1、HIV−2、アデノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、風疹ウイルス、黄熱病ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む。好まれる実施形態において、前記組成物の投与により阻害される前記ウイルスは、少なくともヒトライノウイルス16、ヘルペスIウイルス(HSV−1)、インフルエンザA/モスクワ/10/99、鳥インフルエンザA(H5N1)、及びB/広東/120/00を含む。
【0072】
代わりに、前記患者は、一般商業用の家禽である七面鳥、ダック、ガチョウ、ニワトリ、比較的一般的ではないが、ダチョウを含むトリ種のメンバー、及び例えば、カナリア及びオウム等のハウスペットとして一般に飼われている他のトリ種であることもある。前記組成物は、直接組成物を前記トリの鼻管にスプレーすることにより投与される、或いは前記組成物は、前記トリが歩くところにミストを作り出すことにより投与される。従って、前記組成物は、殺ウイルス性若しくはウイルス抑止性で作用するように予防的に与えられる。代わりに、前記組成物は、前記ウイルスの伝染を減らすために使用されることもある。
【0073】
ウイルス感染に起因した前記症状は、本発明の方法により治療、軽減、若しくは、少なくとも部分的には予防され、1若しくはそれ以上の頭痛、関節痛、熱、咳、くしゃみ、筋肉痛、鼻水、口渇、目眩、及びウイルス感染症に関連した他の症状を含む。トリにおいては、これらの症状は、エネルギーの欠如、卵生産減少、軟殻卵、頭部、まぶた等の膨潤、鼻汁、咳、下痢を含む。
【0074】
前記方法において、本発明の組成物の投与により阻害される微生物は、連鎖球菌、ブドウ球菌等のグラム陽性菌、大腸菌、緑膿菌等のグラム陰性菌、ヒストプラスマ、及びブラストミセス等のヘモフィルス及び真菌、C.albicans及びCrytococcus等の酵母を含む。
【0075】
前記組成物の有効量は、治療中の患者、投与の特定モード、用いられる特定活性成分の活性、前記患者の年齢、体重、健康一般、性別、及び食事、投与時間、排出率、用いられる成分の特定の組み合わせ、前記組成物の主成分の全量、その疾病若しくは症状の重症度等の要因に依存して変わるものである。これらの要因を考慮することは、当業者の技術内のことである。
【0076】
前記組成物は、必要に応じて1日につき約1〜約15回、好ましくは、必要に応じて1日につき約2〜約12回、最も好ましくは、必要に応じて1日につき約6〜約10回投与される。本発明の組成物は、これに限定されないが、錠剤、カプセル、菱形錠剤、トローチ剤、硬キャンディー、粉末、口スプレー、鼻スプレー、ゲル、エリキシル、シロップ、チューイング可能な組成物、デンタルケア製品、懸濁液、溶液を含む上記記載の任意の許容可能な投与形態で投与される。
【0077】
組成物の投与量は、本発明の組成物の安全且つ有効な量を含むものである。治療上の各投与の有効量は、ショウガ及び緑茶から得られる、全体で約0.1グラム〜約1グラムの成分を含む。より好ましくは、治療上の各投与の有効量の組成物は、ショウガ及び緑茶から得られる、全体で約0.2グラム〜約0.5グラムの成分を含む。本発明の方法に従って投与される組成物の種々の成分量は、上記で与えられた本発明の組成物と同一である。
【0078】
前記組成物は、組成物の主成分が完全に溶解する前に、その口組織若しくはのどに接触することを可能にするために、少なくとも約5〜約60分口の中で保持されることが好ましい。前記組成物は、少なくとも約15〜約30分間、口の中で保持されることが好ましい。
【0079】
前記組成物がスプレーとして投与される際、前記スプレー組成物が前記活性成分を必要とされる部位に、例えば菱形錠剤若しくはカプセルより直接的に送達するので、各活性成分量が減らされる。
【0080】
以下の好ましい範囲は、本発明の方法に従ったスプレー製剤での投与に適した組成物を本発明に従って定義するものである。
【0081】
本発明の方法に従ってスプレーで投与される前記組成物は1グラムにつき、約1mg〜約10mgのaquaresin(登録商標)のショウガを含むことが好ましい。より好ましくは、前記組成物は、1グラムにつき、約3mg〜約7mgのaquaresin(登録商標)のショウガを含むものである。
【0082】
本発明の方法に従ってスプレーで投与される前記組成物は、1グラムにつき、約1mg〜約20mgの緑茶葉抽出物を含むことが好ましい。より好ましくは、前記組成物は、1グラムにつき、約4mg〜約15mgの緑茶葉抽出物を含む。
【0083】
本発明の方法に従ってスプレーで投与される選択的実施形態における組成物は、1グラムにつき、約1mg〜約12mgの可溶オレオレジンウコンを含むことが好ましい。最も好ましくは、前記組成物は、1グラムにつき、約4m〜約9mgの可溶オレオレジンウコンを含むものである。
【0084】
本発明は、いかなるようにも本発明を限定すると解釈されないように意図された、以下に与えられる実施例により、更に図示されるものである。本発明の範囲は、本明細書に添付された請求項により決定されるものである。
【実施例1】
【0085】
本発明の組成物
トローチ剤の形態で処方された本発明の組成物は、上述した手順を用いて調合した。本トローチ剤の成分は、以下に記載した。
【0086】
糖 1g
アカニレ樹皮 118mg
ターメリック抽出物(5%クルクミン) 18mg
ショウガ根 140mg
セイヨウワサビ根 70mg
緑茶葉抽出物 14mg
【実施例2】
【0087】
咽頭炎を患った7人の各患者は、トローチ剤が完全に溶解するまで約15〜30分間トローチ剤が彼または彼女の口に保持し、2時間毎に実施例1に従って処方された1つのトローチ剤を摂取した。患者は、1日に10個以上のトローチ剤を摂取しない。
【0088】
治療された患者は、2〜20個のトローチ剤を摂取した後に、彼らの咽頭炎の症状の完全に軽減したことを報告した。各トローチ剤が最高6時間の咽頭炎の軽減を提供することができることも判明した。
【実施例3】
【0089】
組成物の殺ウイルス活性のin vitroテスト
本実施例で使用された殺ウイルス活性のためのin vitroテスト手順は、標的ウイルスとしてヒトライノウイルス16(以後「HRV―16」)、及びHRV―16ウイルスのための宿主細胞としてJacobsらによって記載された(Characteristics of Human diploid MRC−5,Nature(London),227:168−170(1970))ヒト組織に関連したMRC―5細胞系を使用した。ウイルスとの前記テスト物質のインキュベーション後の残余ウイルス感染性は、顕鏡観察を介したウイルス複製によって誘導された細胞変性効果(CPE)を視覚的に記録することによって、ライノウイルス増殖に対するMRC―5細胞系において滴定された。より詳しくは、CPEは、MRC―5培養における肥大化/円形化細胞を観察することによって記録された。
【0090】
殺ウイルス活性を決定するために、実施例1の物質(以後「物質1))は、開始希釈1/20で、それから食塩水の階段希釈によって更に希釈して使用した。希釈された組成物は、設定された時間、HRV―16と共にインキュベートし、その反応は細胞感染培養液で中性のpHまで調整によって終了した。結果生じた溶液は、テストプレート全体を1/10の希釈でMRC−5細胞上で滴定し、前記細胞の感染を実行した。各プレートは、HRV−16感染MRC−5細胞のみを含むウイルスコントロール、及び非感染MRC−5細胞のみを含む細胞コントロールを有している。
【0091】
前記プレートはさらに感染後4日間インキュベートした。残余ウイルス感染性は、上述したアッセイを使用して測定した。表1〜4に示された結果より、前記プレート上のコントロール全ては、よく作用した。
【0092】
このアッセイより、物質1は、1/20希釈で、1分間のインキュベーション期間で1.50(―log10TCID50)のHRV―16ウイルス性ログ減少をもたらすことに効果的であると結論付けられた。物質1の1/40希釈もまた、1分間のインキュベーション期間で、1.00(―log10TCID50)のログ減少をもたらした。2分および5分のインキュベーション期間後、HRV―16力価の1/2ログ減少が達成された。従って、これらの結果より、物質1およびHRV―16間の1分間の接触時間が最も有効なウイルス力価減少をもたらすことを示す傾向が明らかになった。
【0093】
表1は、異なる希釈での物質1の、1つの最終時点でのMRC−5細胞に対する感染性ライノウイルス16の残余ウイルス力価及びログ減少を示したものである。
【0094】
【表1】
【0095】
表2〜4は、異なる希釈での物質1の、3つの異なる最終時点でのMRC−5細胞に対する感染性HRV−16の残余ウイルス力価に対する二回目試行の結果、及びログ減少を示したものである。
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
同様の殺ウイルステストを、宿主細胞としてベロ細胞を用いたHelaペス1ウイルス(HSV−1)、インフルエンザA/モスクワ/10/99、及び宿主細胞としてMDCKを用いたB/広東/120/00を含む他のウイルスを使用して、物質1に対して実行した。これらの殺ウイルステストの結果は、以下の表5〜13にまとめた。
【0100】
表5〜7は、異なる希釈での物質1の、3つの異なる最終時点でのベロ細胞に対する感染性HSV−1の残余ウイルス力価及びログ減少を示したものである。
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【0103】
【表7】
【0104】
表8〜10は、異なる希釈での物質1の、3つの異なる最終時点でのインフルエンザA/モスクワ/10/99の残余ウイルス力価及びログ減少を示したものである。
【0105】
【表8】
【0106】
【表9】
【0107】
【表10】
【0108】
表11〜13は、異なる希釈での物質1の、3つの異なる最終時点でのインフルエンザB/広東/120/00の残余ウイルス力価及びログ減少を示したものである。
【0109】
【表11】
【0110】
【表12】
【0111】
【表13】
【0112】
上述の結果より明らかなように、物質1は、インフルエンザウイルスおよびヒトライノウイルスを阻害するかまたは絶滅するために効果的である。結果として、物質1は、インフルエンザおよび風邪に効果的であろう。
【実施例4】
【0113】
前記組成物のウイルス抑止性活性のin vitroテスト
本実施例で使用される殺ウイルス活性のためのin vitroテストプロトコルは、標的ウイルスとしてヒトライノウイルス16(HRV―16)、及びはHRV−16ウイルスの宿主細胞としてConantらによって記載された(Basis for a Numbering system.I.Hela cells for Propagation and Serologic Procedure,J.Immunol.,100:107−113,1968)ヒト組織に関したライノウイルス感受性Hela細胞を使用した。
【0114】
物質1は、以下の希釈に従って感染用培養液に溶解した:1/20、1/40、1/80、1/160および1/320。これらの希釈は、37℃(5%CO2)で30分、MRC−5のプレート上でインキュベートした。インキュベーション期間後、前記プレートのウェルにおいてMRC−5で希釈された物質1は、2.30(―log10TCID50)の既知力価で、2.3HRV−16に暴露した。各プレートは、ウイルスコントロール(HRV−16ウイルスに感染しているが物質1はないHela細胞)、細胞コントロール(Hela細胞のみ)及び異なる希釈でのテスト化合物コントロール(テスト物質のみを有するHela細胞)を含む。前記プレート上の他のすべてのサンプルは、HRV−16および異なる希釈での物質1で感染されたHela細胞を含む。前記プレートはさらに、感染後4日間インキュベートした。
【0115】
ウイルスを含む物質1のインキュベーション後の残余ウイルス感染性は、以下の手順を用いた、ウイルスによって誘導された細胞変性効果(CPE)を測定することによって、ライノウイルス増殖をHela細胞において滴定した。
【0116】
物質1とのインキュベーション後の残存している生Hela細胞は、クリスタルバイオレット溶液で染色した。過剰なクリスタルバイオレットは洗浄よって除去し、前記クリスタルバイオレットで染色された細胞は、メタノールおよび酢酸の混合液を使用して可溶化した。次に、前記溶液の吸光度は、ELISAプレートリーダーにおいて540nmで測定した。ウイルス誘導性CPEのレベルは、前記吸光度に反比例した。
【0117】
前記クリスタルバイオレットアッセイから生じた結果は、方程式(y=mx+c)に適合することによって決定される物質1の毒性濃度および有効濃度を可能にし、ここにおいて、xは物質1の希釈に一致し、yは細胞に対する物質1の毒性のパーセンテージに一致する。この方程式から、TC50(物質1が細胞に対して50%の毒性を示す濃度)は、物質1の1/571希釈であった。
【0118】
この結果は、表14に示されたようなクリスタルバイオレットアッセイを使用して測定された、物質1の様々な希釈での細胞生存数のパーセンテージとよく相関した。
【0119】
【表14】
【0120】
同じ方程式(xが物質1の希釈に一致し、yがウイルス存在下で物質1のパーセント有効性に一致する)を用いて、EC50(ウイルス存在下において前記テスト物質が50%の有効性を示す濃度)は、物質1の1/91希釈であることが決定された。この結果は、
下記の表15に示すように前記クリスタルバイオレットアッセイを使用して測定された物質1の様々な希釈での生細胞のパーセンテージとよく相関する。
【0121】
【表15】
【0122】
表14および15において、%細胞生存率=(化合物のみ/細胞のみ)x100;および%生細胞=(細胞のみ−化合物+ウイルス)/(細胞のみ−ウイルスのみ)x100。
【0123】
「化合物のみ」とは、事前に決定された希釈でのHela細胞および物質1のみを含むウェルに対する測定結果を意味している。
【0124】
「細胞のみ」とは、感染してないHela細胞のみを含んでいるウェルに対する測定結果を意味している。
【0125】
「化合物+ウイルス」とは、事前に決定された希釈でのHRV―16ウイルスおよび物質1で感染させたHela細胞を含んでいるウェルに対する測定結果を意味している。
【0126】
「ウイルスのみ」とは、HRV―16のみで感染されたHela細胞を含んでいるウェルに対する測定結果を意味している。
【実施例5】
【0127】
本発明の抗菌性トローチ剤
抗菌性トローチ剤は、以下に説明する処方に従って調合した。
【0128】
1)デキストロース 865.0mg
2)アカニレ樹皮 150.0mg
3)ステアリン酸 75.0mg
4)ショウガ根 105.0mg(小児)或いは140.0mg(成人)
5)セイヨウワサビ 70.0mg
6)ハチミツ天然香味料 40.0mg
7)ターメリック抽出物(5%クルクミン) 15.0mg
8)緑茶葉抽出物 14.0mg
9)シリコンデオキシド 14.0mg
10)ステアリン酸マグネシウム 12.0mg
11)スクラロース/スプレンダ 4.0mg
錠剤質量:1364.0mg
注:本明細書で使用されたC&Pは、「カテコールおよびフェノール」という意味である。
【実施例6】
【0129】
本発明の抗菌性スプレー
抗菌性スプレーは、以下に説明された処方に従って調合した。
【0130】
(1)アカニレ樹皮 18.52mg
(2)オレオレジンターメリック、可溶性(〜8.5%クルクミン)8.82mg
(3)水溶性樹脂(登録商標)ショウガ 7.0mg
(4)セイヨウワサビ香味料WONF 0.62mg
(5)緑茶葉PE50%比色分析 14.0mg
(6)ハチミツ天然香味料 40.0mg
(7)エタノール(95%)@5% 68.2mg
(8)グリセリン 603.42mg
(9)蒸留水 603.42mg
総重量:1364.0mg
【実施例7】
【0131】
抗菌性トローチ剤のIn vitroテスト
実施例5の抗菌性トローチ剤は、A/ニューカレドニア/20/99(H1N1)、A/パナマ/2007/99(H3N2)及びB/広東/120/00株のインフルエンザウイルスでのMDCK細胞の感染に対する殺ウイルスおよびウイルス抑止活性をテストした。
【0132】
殺ウイルス活性を決定する際に、前記トローチ剤は、1/10、1/20、1/40、1/80、1/160、1/320および1/640の希釈でテストした。前記トローチ剤は、食塩等浸透液(Normasol)で希釈した。各希釈は、前記トローチ剤が各ウイルスと接触して1、2および5分後の終了点でテストした。その反応は、1.8mlの0%のFBS細胞培養液で終了させた。
【0133】
本実施例におけるログ減少は、−log10TCID50として報告し、Karber方程式を使用して算出された。
【0134】
【表16】
【0135】
【表17】
【0136】
【表18】
【0137】
【表19】
【0138】
【表20】
【0139】
【表21】
【0140】
【表22】
【0141】
【表23】
【0142】
【表24】
【0143】
ウイルス抑止アッセイにおいて、インフルエンザウイルスの既知力価を、ウイルスコントロールとして使用した;このコントロールは、前記テスト化合物QR−435と同じ手順に供した。全プレート上の前記インフルエンザ力価は、2.5(−log10TCID50)以上のウイルスコントロール力価と一致していた。
【実施例8】
【0144】
抗菌性スプレーのin vivoテスト
フェレットは、インフルエンザ感染の研究のための確立された動物モデルである(Boyd and Beeson,1975;Chen et al.,Induction and Relief of nasal Congestion in Ferrets Infected with Influenza,Int.J.Exp.Pathol.76:55−64,1995;Scheiblauer et al.,Pathogenicity of Influenza A/Seal/Mass/1/80 Virus Mutants for Mammalian Species,Arch.Virol.140:341−8,1995;Sweet and Smith,Pathogenicity of Influenza Virus,Microbiol. Rev.44:303−30,1980;Toms et al.,The relation of Pyrexia and Nasal Inflammatory Response to Virus Levels in Nasal Washings of Ferrets Infected with Influenza Viruses of differing Virulence,Br.J.Exp.Pathol.,58:444−58,1997;Webster et al.,Protection of Ferrets Against Influenza Challenge with a DNA Vaccine to haemagglutinin,Vaccine 12:1495−8,1994)。フェレットモデルはいぜん、インフルエンザワクチンの有効性を決定するために使用されていた(Fenton et al.,1981;Webster et al.,1994)。フェレット動物モデルを利用した感染研究は、ドナーからレシピエントへのインフルエンザの拡散を示しただけでなく、ウイルスの毒性に対する変異体の影響も示した(Herlocher et al.,Ferrets as a Transmission Model for Influenza:Sequence changes on the HA1 of type A(H3N2)Virus,J.of Infect.Diseases 184:542−46,2001;Herlocher et al.,Influenza virus carrying an R292K Mutation in the Neuraminidase Gene is not Transmitted in Ferrets,Antimicrobial Res.54:99−111,2002)。
【0145】
A/シドニー/5/97(H3N2)株のインフルエンザに感染させる5分前に、6匹の野生型フェレットの4群は、実験用組成物あるいはコントロール組成物の鼻腔内用量を投与された。ネガティブコントロール群は、リン酸緩衝液(PBS)プラセボを投与された。ポジティブコントロール群は、タミフル(商標)(リン酸オセルタミビル、ニュージャージー州、ナトリーのRoche Laboratoriesから入手可能)で処理した。1実験群は、実施例6の鼻内スプレーで処理し、他の群は、類似の鼻内スプレーであるが緑茶抽出物を含んでいないもので処理した。最初の試み後、フェレットは、1日2回彼らに割り当てられた組成物を投与された。
【0146】
PBS処理コントロール群のフェレットは、インフルエンザA型に感染したフェレットの典型的な全症状(体重減少、熱、炎症性細胞数の増加、及び感染後1日目でのウイルス脱粒)を示した。タミフル(商標)処理コントロール群のフェレットは、体重減少、ウイルス脱粒、炎症性細胞数上昇の減少、及び熱症は見られなかった。
【0147】
実施例6のテスト処方および緑茶抽出物を含まない類似の鼻内スプレーの両者は、炎症性細胞数における低レベルの中間減少を提供し、熱症の発展を妨げ、ウイルス抑制を意味するウイルス脱粒を遅らせた。実施例6に従った鼻内スプレーで処理したフェレットは、タミフル(商標)で処理したフェレットより活発だった。
【実施例9】
【0148】
鼻内スプレーQR−435の特性をテストした。QR−435の処方は、以下の通りである:
QR−435処方
オレオレジンターメリック 0.0308重量%
水溶性樹脂(登録商標)ショウガ 0.0326重量%
セイヨウワサビ油#58 0.00300重量%
緑茶PE030725 0.0220重量%
グリセリン 2.3368重量%
脱イオン水 97.5749重量%
この研究は、感染した動物を処理し、前記感染した動物と近接して生活している動物へのウイルス伝染を阻止するための前記スプレーによる鼻腔内適用の有効性、及び未感染動物への予防を探索するものである。
【0149】
表25に示すように、50匹のフェレット(白色種またはフィッチ(HighgateFarms(Lincolnshire,GB)から))は、約6〜8ヵ月齢で体重700〜1200gであり、電子標識の後、6つのグループに分けた。健康スコアは、0日目から6日目まで測定し、インフルエンザA/シドニー/5/97(H3N2)尿膜ストックを有する適当な動物は、鼻孔当たり0.25mlの鼻腔注射のために麻酔下に置いた。
【0150】
【表25】
【0151】
【表26】
【0152】
伝染研究
伝染研究の目的は、ドナーフェレットから同じ囲いの未感染レシピエントフェレットへのインフルエンザウイルスの伝染を前記テスト化合物が阻止するかどうかを決定することである。群当たり1匹のフェレットにウイルスを接種して、接種約5分後、残りの非接種動物は前記テスト化合物あるいはコントロール化合物を投与した。テスト化合物あるいはコントロールの容量は、鼻孔当たり0.14mlであり、投与時間当たり総量0.28mlである。接種された動物は24時間単離し、次に1日目に適当な群に再接種した。接種された動物は、前記テスト化合物あるいは適切なコントロールで1日2回処理した。残りのフェレットは、実験期間中を通じて何も処理しなかった。0日目から6日目において、全てのフェレットは、臨床兆候、体重減少及び熱を観察した。鼻腔内洗浄回収を6日目に行い、洗浄回収量を測定し、鼻洗浄液の量を研究室ノートに記載した。回収された鼻洗浄液のウイルス力価は、MDCK細胞を用いて決定した。
【0153】
表27〜31は、伝染実験の結果を示したものである。表27は、インフルエンザの鼻症状を示した動物のパーセンテージを示したものである。
【0154】
【表27】
【0155】
表28は、身体的活動の減少を示した動物のパーセンテージを示したものである。
【0156】
【表28】
【0157】
インフルエンザ疾患に対する様々な基準が考えられ、症状を示す動物のパーセンテージを決定するために使用されている。鼻症状が考慮された場合(表27)、4日目に、プラセボ群の100%(4/4)の動物はインフルエンザの症状を示した一方、タミフル(商標)処理群の動物の50%(4/8)のみが4日目に症状を示した。QR435処理群における動物は症状を示さなかった。しかしながら6日目までに、QR435処理群の動物の37.5%は鼻症状を示した。これらはインフルエンザ感染によって引き起こされたものなのか、鼻スプレーの刺激によって引き起こされたものなのかは不明であった。
【0158】
活動の減少などのインフルエンザの全身性症状を考慮した場合、4日目までにプラセボ群における全て(4/4)の動物は症状を示したが、活性処理群における感染後全日において1匹(12.5%)のみが病気の兆候を示した。
【0159】
表29は、研究室確認済みインフルエンザおよび処理群における抗体陽転を示したものである。各動物はインフルエンザ感染が血清学によって確認され得る感染後である24日目の試みの前に出血させた。抗体陽転は、A/シドニー/5/97(H3N2)に対する抗HAI抗体の4倍上昇として定義した。表29において、プラセボ処理群およびタミフル(商標)処理群の両者における100%の動物が抗体陽転された。しかしながら、テストされた57%(4/7)のそれら動物のみがQR435処理群において抗体陽転された。装置の損失のせいで、1つの血清サンプルはテストできなかった。
【0160】
【表29】
【0161】
表30は、感染後6日目における鼻粘膜からの平均ウイルス脱粒を示したものである。鼻洗浄は、感染後6日目に行い、前記サンプルはインフルエンザウイルスに対してMDCK細胞上に滴定した。表30は、2つの活性処理群間のウイルス脱粒した動物の数における実質的な違いを示している。タミフル(商標)処理群の全動物と比較して、QR435処理群における1匹の動物のみがウイルス脱粒した。予想外に、プラセボ群における1匹の動物(25%)のみがウイルス脱粒した。
【0162】
【表30】
【0163】
処理群での平均ウイルス脱粒を計算し、ANOVAによって違いを比較した。その結果は統計的に有意(p=0.02)であった。T−テストは、複合テストに対するBonferroni補正を用いて実行し、タミフル(商標)処理群は、プラセボ処理群(p=0.021)及びQR435処理群(p=0.04)の両者と比較してより有意に脱粒したことが判明した。
【0164】
表31は、処理群での平均最大健康スコアである。最大健康スコアの平均及び標準偏差は、上述の予防研究結果において記載したように計算した。その結果は有意(p=0.02)であった。個々の群は上述したように比較し、両処理群はプラセボ群と比較して有意に低い最大健康スコアであった(QR435 p=0.006およびタミフル(商標) p=0.003)。
【0165】
【表31】
【0166】
感染後の健康スコアの合計を有するAUC様測定は各動物に対して計算した;処理群の平均および標準偏差を計算し、ANVOAを比較した。
【0167】
表32は、結果及び処理群間の違いは非常に有意(p=0.002)であったことを示したものである。個々の群はt−テストおよび複合テストに対するBonferroni補正を用いて比較し、両処理群は、プラセボ群と比較して有意に低い総健康スコアを示した(QR435 p=0.06およびタミフル(商標) p=0.03)。
【0168】
【表32】
【0169】
感染後の平均最大体重変化は同様に測定し、ANOVAによって比較した。その結果は有意ではなかった(p=0.90)。両処理群は、プラセボ群と比較して有意に低い体重減少を示した(QR435 p=0.055およびタミフル(商標) p=0.019)。感染後の体重変化の合計を比較するAUC様測定も各動物に対して測定し、ANOVAによって比較した。処理群間の違いは有意ではなかった(p=0.64)。
【0170】
予防研究
予防研究の目的は、テスト化合物で処理された未感染レシピエントフェレットの治療が感染ドナーからのウイルス感染を阻止するかどうかを決定することであった。群当たり1匹のフェレットをウイルスで接種し、接種後約5分で、残りの非接種動物にテスト化合物あるいはコントロール化合物を投与した。接種された動物は、24時間単離し、1日目に適当な群に再接種した。接種された動物は、テスト化合物あるいは適切なコントロールで処理しなかった。残りのフェレットは、前記テスト化合物あるいは適切なコントロールで1日2回処理した。テスト化合物あるいはコントロールの容量は、鼻孔当たり0.14mlであり、投与期間当たり0.28mlであった。0日目から6日目で、全てのフェレットで臨床兆候、体重減少及び熱を観察した。鼻腔内洗浄回収を6日目に行い、洗浄回収の容量を測定し、鼻洗浄の重量は研究所ノートに記載した。回収した鼻洗浄液のウイルス力価はMDCK細胞を用いて決定した。24日目で出血をコントロールアッセイのために採取した。
【0171】
各ドナー動物の感染は成功した。本研究のパラメータのおかげで、各ドナー動物の感染が成功したかを決定することは重要で、各ドナー動物は感染の臨床兆候及び抗体陽転を示した。しかしながら、ウイルス脱粒は鼻洗浄液には検出されなかった。ウイルス脱粒はしばしば6日目(6日目は洗浄液が採取される日である)以前に停止してしまうため、ドナー動物においてウイルス脱粒は少し見られるあるいは全く見られなかった。
【0172】
表33〜38は、予防研究の結果を示したものである。表33は、インフルエンザの鼻症状を示した動物のパーセンテージを示したものである。表34は、テスト期間中に身体的活動の減少を示した動物のパーセンテージを示したものである。
【0173】
【表33】
【0174】
【表34】
【0175】
予防研究結果
予防研究において、75%のプラセボ群(3/4)は、5日目にインフルエンザ感染の鼻症状を示したが、25%のタミフル(商標)群は3日目で鼻症状を示し、25%のQR435群は5日目で鼻症状を示した。身体的な活動の減少が見られた動物のパーセンテージを考慮した場合、その結果は100%のプラセボ群が身体的な活動の減少を示し、タミフル(商標)あるいはQR435群が活動の減少のあらゆる兆候が見られなかったという点では非常に劇的であった。表35は、処理群での平均最大健康スコアを示したものである。各動物に対する前記最大健康スコアの平均及び標準偏差は、処理群毎に計算し、ANOVAによって比較した。その結果は有意であった(p=0.087)。
【0176】
【表35】
【0177】
感染後の健康スコアの合計を有するAUC様測定は、各動物に対して計算した;処理群の平均及び標準偏差を計算し、ANOVOAを比較した。表35は、その結果及び処理群間の違いが非常に有意である(p<0.0005)ことを示している。個々の群はt−テストおよび複合テストに対するBonferroni補正を用いて比較し、両処理群はプラセボ群と比較して非常に有意に低い総健康スコアを示した。
【0178】
【表36】
【0179】
各動物は、試み前及び感染後24日目に出血し、それによってインフルエンザ感染を血清学によって確認した。抗体陽転は、接種株に対するHAI抗体は4倍増加した。
【0180】
【表37】
【0181】
表38は、研究室確認済みインフルエンザおよび処理群の感染後6日目のウイルス脱粒のパーセンテージを示したものである。鼻洗浄は感染後6日目に行い、そのサンプルはインフルエンザウイルスに対してMDCK細胞上で滴定した。表38は、2つの活性処理群間のウイルス脱粒が見られる動物の数に実質的な違いが見られた、すなわちプラセボ処理群において75%、タミフル(商標)処理群において87.5%であったのと比較して、QR435処理群に対しては、ウイルス脱粒が見られる動物は見られなかった。
【0182】
【表38】
【0183】
処理群の平均ウイルス脱粒を計算し、その違いはANOVAを比較した。その結果は、統計学的に有意であった(p=0.001)。T−テストは複合テストに対するBonferroni補正を用いて実行し、QR435処理群は、プラセボ処理群(p=0.004)及びタミフル(商標)処理群(p=0.002)の両者と比較して有意に低いウイルス脱粒が見られた。
【0184】
各動物に対する最大体重変化の平均及び標準偏差は、処理群で計算し、ANOVAによって比較した。その結果は有意であった(p=0.018)。個々の群はt−テストおよび複合テストに対するBonferroni補正を用いて比較した。両処理群は、プラセボ処理群と比較して有意に少ない(あるいは非常に近接した)体重減少が見られた(QR435 p=0.055およびタミフル(商標)p=0.019)。
【0185】
感染後の体重変化の合計を有するAUC様測定を各動物に対して計算した;処理群平均及び標準偏差を計算し、ANOVAで比較した。処理群間の違いは有意ではなかった(p=0.461)。
【0186】
感染後の平均最大体重変化も同様に計算し、ANOVAで比較した。その結果は有意であった(p=0.018)。両処理群は、プラセボ群と比較して有意に低い体重減少が見られた(QR435 p=0.055およびタミフル(商標)p=0.019)。感染後の体重変化の合計を有するAUC様測定を各動物に対して計算し、ANOVAで比較した。処理群間の違いは有意ではなかった(p=0.461)。
【0187】
結論
タミフル(商標)(リン酸オセルタミビル、1日2回5mg/kgで投与)で処理したポジティブ処理群は、伝染及び予防研究の両者においてインフルエンザの症状から保護された。一方、ウイルス脱粒及びレシピエント動物の抗体陽転の両者で示されたように、これらの動物は感染していた。対照的に、テスト化合物QR435は、感染を阻止する点では100%有効であり、伝染を阻止する点では部分的に有効であった。従って、本化合物の重要な利益は、感染を阻止する、特に疾患の拡大が減少することを意味するウイルス粒子の脱粒を抑制するその能力である。
【実施例10】
【0188】
SARSウイルスに対する殺ウイルス活性及びウイルス抑止活性のin vitro比較
2つの組成物であるQR439およびQR439(a)は、SARSウイルスに対する殺ウイルス活性及びウイルス抑止活性に対してin vitroでテストした。QR439は以下のように処方した。
(1)水溶性樹脂(登録商標)ショウガ 0.6849重量%
(2)オレオレジンターメリック 0.6466重量%
(3)緑茶PE 0.4619重量%
(4)グリセリン 49.1039重量%
(5)脱イオン化水 49.1039重量%
QR439(a)は以下のように処方した。
(1)水溶性樹脂(登録商標)ショウガ 0.6840重量%
(2)オレオレジンターメリック 0.6466重量%
(3)緑茶PE 0.4619重量%
(4)セイヨウワサビ油 0.063192重量%
(5)グリセリン 49.0723重量%
(6)脱イオン化水 49.0723重量%
テストにおいて、ポジティブコントロール化合物は、殺ウイルスアッセイに対しては1% Triton−X100(人工唾液[0.1% NaHCO3、 18% KH2PO4、0.1% 胃粘素、pHは6.0〜6.5に調節した]において)、及びウイルス抑止アッセイに対しては1%のDMSO(PBS中)におけるリバビリンRibavirin(200μ/ml)であった。
【0189】
ネガティブコントロール化合物は、殺ウイルスアッセイにのみに対して人工唾液(0.1% NaHCO3、18% KH2PO4、0.1% 胃粘素、pHは6.0〜6.5に調節した)であった。Urbani(ウルバニ)SARSウイルスは、105TCID50/mlのストック力価で使用した。テスト化合物であるQR439およびQR439(a)は、Strets Normasol(Seton Prebbles Ltd)中で希釈し、殺ウイルスアッセイに対して以下の希釈を作成した:1/10、1/20、1/40、1/80、1/160、1/320および1/640。
【0190】
殺ウイルスアッセイ方法
残余のウイルス力価は、96ウェルプレートにおいてウイルス増殖に対してC1008(ベロ76のクローン)細胞上で滴定した。その結果はCPE(細胞変性効果)に対して解析し、そのウイルス力価はKarber法を用いて決定した。
【0191】
殺ウイルスアッセイを実行する場合、以下の工程を実行した。360μlのテスト化合物は40μlウイルスと混合した。その混合物を攪拌し、30秒、1、2、4あるいは8分間インキュベートした。その反応は、3.6mlの感染培養液(DMEM、2mMのL−グルタミン、HEPES、ペニシリン―ストレプトマイシン)を添加することによって特定の時間で終了させた。その終了は、ウイルスおよびテスト化合物の両者はこの工程で10倍に希釈されるため、感染培養液を添加することによる希釈効果によって引き起こされた。残留するウイルス感染性は、96ウェルプレートにおいて10倍希釈でC1008細胞上において滴定した。C1008細胞は、7〜10日間37℃でインキュベートした。その結果はCPEに対してスコアを付け、ウイルス力価を計算した。前記細胞は感染後3、4及び5日目でCPEを調べた。
【0192】
毒性アッセイ方法
C1008細胞における毒性アッセイは、全3種類の化合物に対して実行し、ウイルス抑止アッセイに使用するための希釈を決定した。200μlの各テスト化合物及びコントロール化合物を96ウェルプレートの第一のウェル(2つ組)に添加し、2倍希釈シリーズに従って前記プレートにおいて滴定した。前記プレートは5%CO2、35℃でインキュベートした。前記細胞は3日インキュベーション後CPEを観察した。
【0193】
ウイルス抑止アッセイ方法
ウイルス抑止アッセイで使用した希釈は以下の通りである:QR439およびQR439(a):1/200、1/300、1/400、1/500、1/600。感染培養液(DMEM、2mMのL―グルタミン、HEPES、ペニシリン―ストレプトマイシン)は各テスト化合物を希釈するために適宜使用した。100μlの各希釈テスト化合物、及びポジティブコントロールはC1008細胞(2つ組)のウェルに添加し、5%CO2、35℃で30分間インキュベートした。インキュベーション期間後、10μlのUrbani(ウルバニ)SARSウイルス(105TCID50/mlのストック力価)をテスト化合物及びポジティブコントロールの各ウェルに添加した。前記プレートは、細胞のCPEを観察する前に5%CO2、35℃で3〜5日間インキュベートした。前記細胞のOD(光学密度)を測定するクリスタルバイオレットアッセイを、CPEを記録した後、前記プレート上で行った。OD値は、前記テスト化合物のTC50およびEC50を決定するために使用した。
【0194】
結果
前記テスト化合物に対して行った毒性アッセイの結果は、以下に示した表39に示した。各未希釈化合物は、プレートの第一列のウェルに2つ組で添加し、2倍希釈シリーズで前記プレートにおいて希釈した。1/8〜1/16希釈の範囲内の濃度は、殺ウイルスアッセイにおけるプレートに添加されたテスト化合物の濃度と同じであった。これは、終了培養液が添加された場合、前記化合物が1/10に希釈されたためである。
【0195】
【表39】
【0196】
表39は、両テスト化合物は、1/8希釈(これは未希釈化合物に対する殺ウイルスアッセイにおいて使用された希釈と同じである)で前記細胞に対して毒性であることを示している。殺ウイルスアッセイ及びウイルス抑止圧政において、1/128以上の希釈は毒性を除外するために必要であった。
【0197】
CPE観察(表40)は、テストした3種類の化合物のいずれでもウイルス抑止活性が検出されなかったことを示している。
【0198】
【表40】
【0199】
テスト化合物QR439およびQR439(a)に対して行われた殺ウイルスアッセイの結果は、それぞれ表41および表42に示した。表は、未希釈ウイルスの1/10希釈と同じであるテスト化合物の1/10希釈後のウイルス力価の減少を示すものであった。
【0200】
【表41】
【0201】
【表42】
【0202】
この結果は、QR439に対しては、1/320(30秒)及び1/640(30秒、1分および4分)は除いて、全接触時点での1/40〜1/640希釈において殺ウイルス活性における有意の減少が見られることを示している。この結果は、QR439(a)に対しては、1/20(4および8分)は除いて、全接触時点での1/20〜1/60希釈において殺ウイルス活性における有意の減少が見られることを示している。
【実施例11】
【0203】
H3N2インフルエンザ感染に対する抗菌性鼻スプレーの有効性
40フェレットをインフルエンザA/シドニー/5/97[H3N2]で感染させ、上述の実施例9で使用されたQR435、及びコントロール化合物で4日間処理した。臨床兆候は体重、直腸温度、細胞数、及びウイルス脱粒と平行して測定した。ウイルス接種材料A/シドニー/5/97は伝染力が強く、インフルエンザA感染の異なる症状を示すプラセボ処理(PBS)フェレットで病気の兆候が観察された。ポジティブコントロール(タミフル(商標))は、体重減少の軽減、熱、及び臨床症状において有効であった。病気の軽減は、QR435投与群には見られなかった。
【0204】
テスト化合物は鼻スプレーに上述の実施例9に記載されたような処方と共に1.8%活性化合物になるように含有された。ポジティブコントロール物質はタミフル(商標)(リン酸オセルタミビル)であり、1日2回5mg/kgで投与した。リン酸緩衝液(鼻スプレーとして)もコントロールとして使用し、1日4回鼻腔内に投与した。
【0205】
試みを行ったウイルスはA/シドニー/5/97[H3N2]であり、これはレトロスクリーン(retroscreen)ウイルス貯蔵庫から得た。フェレットはインフルエンザの感染が成功し、PBS処理群(ネガティブコントロール)において関連する病気の典型的な兆候を示した。タミフル(商標)処理群(ポジティブコントロール)は、ウイルス脱粒、体重減少、及び疾患スコアにおいて統計学的に有意な(もしくはほぼ有意な)減少を示し、その病気の重症度における減少を示した。
【0206】
2種類のテスト化合物処理群(QR435を1日2回及びQR435を1日4回)のどちらも、処理目的である疾患の軽減は示さなかった。しかしながら、上述の実施例9に示したように、QR435は抗伝染性及び予防的使用に対して有効性が認められていた。
【実施例12】
【0207】
鼻腔用スプレーの刺激性特性を軽減し、以前示された抗伝染性特性を維持するために、セイヨウワサビ濃度を変更することの有効性をフェレットモデルでテストした。QR−435完全セイヨウワサビALS流涎症スプレー処方は以下の通りである。
QR−435処方
オレオレジンターメリック 0.0308重量%
水溶性樹脂(登録商標)ショウガ 0.0326重量%
セイヨウワサビ油#58 0.00300重量%
緑茶PE030725 0.0220重量%
グリセリン 2.3368重量%
脱イオン化水 97.5749重量%
50%のセイヨウワサビテスト処方では、前記セイヨウワサビ油は0.0015重量%まで減少し、グリセリン及び脱イオン化水は0.000075重量%まで増加した。同様に、25%のセイヨウワサビ研究において、前記セイヨウワサビ油は0.000075まで減少し、グリセリン及び脱イオン化水は重量で0.001125%まで増加した。
【0208】
表43は、様々なフェレット群の分布とその囲い処理手順を示したものである。各群は、運搬上の理由から厳密に2つの囲いに再分割した。各群は、4匹のレシピエント動物及び1匹のドナー動物から成る。
【0209】
【表43】
【0210】
前記動物は、動物同定および体温モニタリングのためにプログラム可能で注入可能なトランスポンダ(応答機)を用いて電気的に標識した。血液サンプルは表面静脈から採取し、末梢血液は心臓穿刺によって採取した。
【0211】
ドナーフェレットは以下のように鼻腔内感染させた。5つの群から1匹の動物を取り除き、動物を麻酔下に置き、0.5mlのウイルス(鼻孔当たり0.25ml)で感染させた。前記ドナー動物は、テスト物質で処理しなかった。レシピエントフェレットは、表43及び表44の研究スケジュールに概要した処理群アサインメントに従って処理した。鼻洗浄回収を行い、鼻洗浄回収の容量を測定、計量し、鼻洗浄回収の容量を決定した。
【0212】
HIアッセイを同一ウイルスに対するサンプルで行い、もしあるならば、感染後の抗体陽転の程度を決定するのと同様に、フェレットの血清反応陰性を決定した。健康スコア、体重及び体温を記録した。鼻洗浄サンプルの総細胞数は、鼻上皮から回収された炎症性細胞反応性を評価するために、トリパンブルーを用いて決定した。鼻洗浄からのウイルス脱粒はMDCK細胞を用いて実行した。
【0213】
【表44】
【0214】
表45は、インフルエンザウイルスへの曝露後のドナー動物の臨床兆候を示したものである。表から分かるように、各ドナー動物はインフルエンザでの感染に成功した。
【0215】
【表45】
【0216】
レシピエントフェレットにおける病気に関連するインフルエンザは、以下のパラメータを用いて決定した:体重減少、熱、ウイルス脱粒、抗体陽転、臨床鼻兆候及び活性兆候、鼻細胞数。コントロール群(PBS処理群1a及び1b)は、体重減少、熱、抗体陽転及びいくつかの病気の臨床兆候の存在(活性及び鼻兆候を含む)を含む、インフルエンザの典型的な兆候を示した。タミフル(商標)処理群は、明らかな臨床兆候を示さず、抗体陽転をなかったので、タミフル(商標)処理はインフルエンザを軽減するのに効果的であると確認された。群間で体重減少のパーセンテージを比較することによって、病気における違いが存在すると示された。体重減少は、次のトラフ(谷)を同定後、各フェレットのピーク体重を見出すことによって計算した。ピーク及びトラフ間の体重の違いは、0日目に計測された基準体重のパーセンテージとして計算した。前記群を処理による体重減少において比較した場合、いくつかの処理は病気の著しい軽減を示した。表46の結果は、PBS処理群は、他の全処理とは著しく異なっていたことを示している(PBS対100%セイヨウワサビ p=0.008;PBS対50%セイヨウワサビ p=0.022;PBS対25%セイヨウワサビ p=0.005;PBS対タミフル(商標) p=0.003)。
【0217】
従って、テスト化合物は、別のフェレットからの天然伝染経路を介したインフルエンザに感染した動物における体重減少を阻止するのに、ポジティブコントロール(タミフル(商標))として有効であった。
【0218】
【表46A】
【0219】
【表46B】
【0220】
事前の体温測定より体温が3SD(標準偏差)以上に上昇した個々のフェレットは、強い熱性疾患を示すと判断された。各群に対して、1日目の各群の平均体温からSDを計算した。0日目に麻酔を使用し、フェレット体温の可能な事後修飾を行ったおかげで、1日目の体温は、基準平均及びSDを算出するために使用するのにより適切であると判断した。表47は、事前の体温測定からの3SD上昇として定義された熱の要約である。
【0221】
【表47】
【0222】
【表48】
【0223】
事前の体温測定からの3SD上昇として定義された熱のX2解析を使用して、以下のことが決定された。
【0224】
PBS処理 対 50%セイヨウワサビ p=0.106(表49)
PBS 対 10%セイヨウワサビ p=0.106(表50)
PBS 対 タミフル(商標) p=0.106(表51)。
【0225】
表48は、事前の体温測定から2SD以上の明らかな体温上昇を示したフェレットの数をまとめたものであり、中程度の熱性疾患を示すと判断された。
【0226】
【表49】
【0227】
【表50】
【0228】
【表51】
【0229】
事前の体温測定からの2SD上昇として定義された熱のX2解析を使用して、以下のことが決定された。
【0230】
PBS処理 対 50%セイヨウワサビ p=0.012(表52)
PBS 対 10%セイヨウワサビ p=0.106(表53)
PBS 対 タミフル(商標) p=0.106(表54)。
【0231】
【表52】
【0232】
【表53】
【0233】
【表54】
【0234】
結論
全てのテスト化合物処理フェレットが抗体陽転した一方、100%および50%セイヨウワサビ成分を含むQR−435は、体重及び体温で測定されたように、有意にあるいはほぼ有意に全身性症状を軽減することが見出された。しかしながら、病気の他の臨床兆候は、あらゆる処理によって抑止されなかった。コントロール群は、インフルエンザの臨床兆候を示した。PBS処理群は、インフルエンザ感染の典型的な兆候:体重減少、熱、及び抗体陽転、更には病気の軽い臨床兆候、活性の減少および鼻兆候、を示した。タミフル(商標)処理群は、有意な体重減少がなく、軽い臨床兆候およびウイルス脱粒が見られ、熱の重症度が軽減し、抗体陽転が見られなかった。
【0235】
テスト処理群において、病気の重症度は、熱および体重減少で定義された。全ての処理用量は、PBS群と比較した場合、体重減少の重症度を著しく減少した。熱が体温の2SD上昇として定義された場合、50%セイヨウワサビ処理群は、熱の発生率において有意な減少を示した。100%セイヨウワサビ処理群も熱を抑止し、ほぼ有意として見出された。熱が体温の3SD上昇として定義された場合、100%および50%セイヨウワサビ処理群は、熱の発生率においてほぼ有意な減少を示したが、25%セイヨウワサビ処理では熱の抑止はなかった。従って、100%および50%セイヨウワサビ処理は、25%セイヨウワサビ処理よりかなり有意に全身性兆候を軽減することが明らかになった。これによって、熱および体重減少の両者を抑止するために50%以上のセイヨウワサビを必要とする、強い用量依存性が示唆された。50%あるいはそれ以上のセイヨウワサビでの処理は、ドナーからレシピエントへのウイルス伝染の力価を減少し、それによって疾患症状の重症度を軽減する可能性がある。50%あるいはそれ以上のセイヨウワサビでの処理は、治療用に作用することによって病気を抑止することも可能である。
【実施例13】
【0236】
トリ株でのヒト感染の最初に確認されたケースは、18人感染して結果6人死亡した1997年香港H5N1感染であった。より最近の発生は南アジアで生じ、結果として表55に示したように多数者が死亡した。
【0237】
【表55】
【0238】
この研究は、以下の表56〜57に示された処方の、トリ株インフルエンザウイルスA/ベトナム/1194/04(H5N1)に対する有効性を検討したものである。ネガティブコントロールは、DMEM−DMSO1%であり、ウイルス抑止アッセイにおけるポジティブコントロールは0.37μMのアマンタジンであった。殺ウイルスアッセイにおけるポジティブコントロールは1% Tween−20/20%ETOH/PBS(最終濃度)であった。さらに、細胞のみおよびウイルスのみのポジティブコントロールも使用した。この細胞のみのコントロールは、維持培養液のみで使用した。ウイルスのみのコントロールに対して、テスト手順は、テスト化合物の代わりに使用された細胞維持培養液を除いて同一であった。表56〜57は、テストした処方を示している。
【0239】
【表56】
【0240】
【表57】
【0241】
殺ウイルスアッセイのエンドポイントは、細胞変性効果(CPE)の視覚観察によって決定し、残余ウイルス力価はKaber法によって決定した。テスト化合物に暴露したウイルス力価の減少は、ウイルスのみのコントロールとの比較によって決定した。抗ウイルス活性は、1−log10 TCID50/ml(Oxford,J.S.,et al.,"Sodium deoxycholate exerts a direct destructive effect on HIV and Influenza viruses in−vitro and inhibits retrovirus−induced pathology in an animal model."Antiv.Chem.Chemother.,5(3):176−181(1994)を参照)の減少である。ウイルス抑止アッセイのエンドポイントも、視覚CPEスコアで決定した。抗ウイルス活性は、感染の有無によって示した。
【0242】
ウイルス抑止アッセイ
ウイルス抑止アッセイにおいて、両処方I〜IIは、1/10(101)1/100(102)および1/1000(103)に希釈した。加えて、未希釈処方I〜II(100)もテストした。ウイルス抑止アッセイにおいて、メイディン・ダービーイヌ腎臓細胞(MDCK)は、96ウェルプレート(100μl/ウェル)に播種し、5% CO2の37℃で2日間インキュベートした。2日後、前記細胞は100μl/ウェルPBSで2回洗浄し、100μl/ウェル感染培養液に暴露した。適切なウイルスストックの1/103希釈を前記細胞へ添加し、標準インキュベーター条件下(すなわち5% CO2の37℃)で1〜2時間接着させた。各テスト処方(希釈あるいは未希釈)は、50μl/ウェルで感染細胞へ添加した。そのプレートは、標準インキュベーター条件下で3日間インキュベートした。CPE観察及びクリスタルバイオレット染色によってそのアッセイのエンドポイントを決定した。加えて、赤血球凝集アッセイ(HAは、2倍希釈シリーズに従って行った。
【0243】
クリスタルバイオレット染色において、処方Iが未希釈及び1/101希釈で使用された場合、複数のウイルス抑止活性が観察された。有効的な濃度であるEC50は、1/101.88(すなわち1/101〜1/102の間の希釈)であると計算された。
【0244】
このアッセイにおいて、CPEは処方IIの全希釈に対する全てのテストウェルにおいて観察された。クリスタルバイオレット染色において、ウイルス抑止活性は処方IIでは観察されなかった。
【0245】
表58は、ウイルス抑止アッセイからのHAアッセイデータを示したものである。
【0246】
【表58】
【0247】
16〜32HAUの範囲のアマンタジンに対するHA力価は、A/ベトナム/1194/04株に対する活性はほとんど示さなかった。
【0248】
殺ウイルスアッセイ
殺ウイルスアッセイにおいて、両処方IおよびIIは、1/10および1/80に希釈した。殺ウイルスアッセイにおいて、メイディン・ダービーイヌ腎臓細胞(MDCK)は、96ウェルプレート(100μl/ウェル)に播種し、5% CO2の37℃で2日間インキュベートした。2日後、前記細胞は100μl/ウェルPBSで2回洗浄し、100μl/ウェル感染培養液に暴露した。適切なウイルスストック(40μl/ウェル)の1/1000希釈を各テスト化合物(360μl)へ添加し、30秒あるいは5分間室温でインキュベーションした。反応は感染培養液(3.6ml)の添加によって終了した。反応の終了は、1:10希釈によって生じた。終了混合物は2つ組(111μl)で96ウェルプレートの第一列目へ添加し、10倍希釈シリーズに従って前記プレート全体に滴定した。前記プレートは標準インキュベーター条件下で3日間インキュベートし、CPEを測定した。赤血球凝集アッセイ(HA)は2倍希釈シリーズに従って実行した。
【0249】
表59は、処方を用いた殺ウイルスアッセイからのHAデータを示したものである。
【0250】
【表59】
【0251】
このデータは、5分インキュベーション後の処方I、及び30秒インキュベーション後の1/10希釈のみが殺ウイルス活性を有することを示している。
表60は、処方IIを用いた殺ウイルスアッセイのHAデータを示している。
【0252】
【表60】
【0253】
表60は、処方IIは、検出可能な殺ウイルス活性を有しているが、処方Iに対する観察と比較した場合に定量的に減少していることを示したものである。両殺ウイルスアッセイに対するポジティブコントロールは、1% Tween−20/20% ETOH/PBSであった。ポジティブコントロールは、全てのプレートにおいて一貫して2HAU以下であり、A/ベトナム/1194/04株に対して優れた抗ウイルス活性を示すものである。
【0254】
結論
処方Iは、殺ウイルス活性においてテストされた場合、検出可能な抗ウイルス活性を有していた。その活性は、ウイルス増殖においておよそ10倍減少を示す中程度として分類された。しかしながら、QR処方とインキュベートした場合、いくつかの非特異的変化が細胞単層において観察されたので、抗細胞性効果対(vs)抗ウイルス効果の正確な寄与は定量化できなかった。QR混合物の異なる成分が異なる抗細胞性効果及び抗ウイルス効果を発揮することは可能である。
【0255】
殺ウイルス活性は処方IIで検出されたが、処方IIは処方Iに比べて低い有効性を示した。1つの可能な今後の研究は、完全な化合物の各成分の寄与を検討することであろう。
【0256】
NI(ノイラミニダーゼ阻害剤)遮断剤は、トリインフルエンザ株H5N1を阻害することが示されたが、アマンタジンは、トリH5N1株に対して比較的不活性であると示された。
【0257】
しかしながら、本発明の多数の特徴及び利点が前述の記載において説明されていたけれども、それらは実例を述べたのみであることが理解される。本発明の方法を実行する際に、及び上述の本発明の組成物に対して、本発明の要点と範囲から逸脱することなく変更が行われるであろう。上述の記載に含まれる全ての内容は、実例を述べるものとして解釈されるものであり、限定を意味するものではない。本発明の範囲は、本明細書に添付された請求項から決定されるものである。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年2月6日付けで出願され、現在係属中の米国特許出願第10/359,889号の一部継続出願であり、同様に、2002年8月6日付けで出願された、米国を指定国に含み英語で公開された国際特許出願第US02/24794号の一部継続出願であり、同様に、2002年4月15日付けで出願された米国特許出願第10/122,991号(現在米国特許第6,596,313号)の一部継続出願であり、同様に、2001年8月6日付けで出願された米国特許出願第09/923,090号(現在米国特許第6,592,896号)の一部継続出願である。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野
本発明は、微生物に起因した疾病の罹患率を減少させるために、組成物を予防的に使用することに関連するものである。より具体的には、本発明は、微生物感染の1若しくはそれ以上の症状又は副作用を治療、低減、又は予防する方法、及び微生物感染の感染力若しくは伝染を低減させる方法に関するものである。
【0003】
関連技術の記載
ウイルス病原性とは、宿主においてウイルスが疾病を引き起こす方法である。前記ウイルス病原性とは、特定の器官における別々の細胞集団に対するウイルス性の障害機構が主となっており、特定宿主において疾病の兆候及び症状を引き起こすものである。
【0004】
感染を開始させるためにウイルスは、宿主細胞への侵入口を獲得しなければならない。侵入経路はウイルスに依存し、循環器系と同様、皮膚、眼、呼吸器、GI、及び泌尿生殖器路を含む。いくつかのウイルス、特に、インフルエンザ、パラインフルエンザ、ライノウィルス、コロナウイルス等の上部呼吸器路を感染させるウイルスは、それらの組織損傷を侵入口付近に局限化する。一旦、そのウイルス粒子が前記細胞に侵入すると、ウイルスコードされたタンパク質により、前記細胞は、ウイルスゲノムを複製し、ウイルス特異的タンパク質を生成する。これらのタンパク質が集合し、ウイルスゲノムと共に完全なウイルス粒子になり、放出される。エンベロープウイルスの場合、前記ウイルス粒子は、脂質膜を獲得し、ウイルス特異的糖タンパク質をこの脂質膜を通して挿入する。前記エンベロープウイルスファミリーは、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、オルトミクソウイルス、パラミクソウイルス、フラビウイルス、トガウイルス、コロナウイルスを含む。ライノウイルスは、ピコルナウイルスの一員であり、エンベロープされていないものである。
【0005】
ウイルスは、宿主細胞に侵入し感染を開始させるための様々なメカニズムを発達させてきた。前記細胞膜と融合するために、ウイルスは、膜融合活性を有する膜糖タンパク質を持つ。多くのエンベロープウイルスは、細胞がエンドソーム小胞体を形成する、細胞表面受容体への結合後の受容体型エンドサイトーシスを誘導する。一旦前記小胞体内部に入ると、前記ウイルス粒子は、その非コーティング過程を経る。このことでウイルスゲノムに最適なpHが維持されること及び前記ウイルスゲノムが細胞核から保護されることが保証される。
【0006】
インフルエンザウイルスは、オルトミクソウイルスファミリーのウイルスであり、それらは、8つのフラグメントを有するマイナス鎖RNAゲノムを含むエンベロープウイルスである。前記ウイルスRNAは、10個のウイルス特異的タンパク質をエンコードする。感染サイクルの開始には、その宿主細胞表面受容体へのウイルスエンベロープの結合が要求され、受容体型エンドサイトーシス、ウイルスとエンドソーム膜との融合が引き続く。その融合プロセスによれは、前記ウイルスゲノムの細胞原形質への放出、ウイルスゲノムのウイルス性転写及び複製が開始される核への移動が可能となる。インフルエンザ受容体結合及び膜融合の役割を果たすタンパク質は、ヘマグルチニンタンパク質(HA若しくはH抗体)である。最も多い菌株に関して、前記HAタンパク質は、前記ウイルス粒子表面の、最も多いアジュバントの糖タンパク質である。前記HAタンパク質は、中性抗体のターゲットである。インフルエンザウイルスの3つの典型例には、A、B、及びCがある。インフルエンザAは、最も頻繁に発生し、比較的有毒であり、流行病及び汎発流行病の大部分の原因である。インフルエンザAは、表面のHA抗原及びノイラミニダーゼ(N抗原)に基づきさらに分類され得、前記H及びN抗原は、主要な抗原性決定因子である。菌株はまた、第一の単離の地理的位置、シリアルナンバー、及び単離の年に基づき分類される。ノイラミニダーゼは、感染した宿主細胞からの新しいウイルス粒子放出を容易にする酵素である。第三のタンパク質は、Mタンパク質(マトリックスタンパク質)は、膜チャネルタンパク質であり、A株中のM2及びB株中のNBとして知られる。これら表面のウイルス膜糖タンパク質は、その免疫システムが応答するターゲットである。
【0007】
インフルエンザのウイルス粒子は、上部及び下部の呼吸器路中の表皮細胞に付着し、前記細胞に侵入し、それらのゲノムを放出し、ウイルスタンパク質と核酸とを再産生する、前記宿主細胞複製機構を支配する。成熟したウイルス粒子が前記宿主細胞の溶解により放出される。呼吸器上皮中の破目により、第二感染の罹患性の増加がもたらされる。インフルエンザは、第一に呼吸器の分泌物により伝染し、これらの分泌物は、咳及びくしゃみをすることにより分離される。インフルエンザはまた、そのウイルスに感染した手が鼻の管及び眼と直接的接触をした場合の直接的接触により分離される。インキュベーション期間は、1〜4日間であり、感染した人は、症状が現れる1日若しくは2日前に感染しており、疾病の発症後、5日間感染したままである。幼児及び免疫不全の人は、長期間ウイルスを排出する。
【0008】
インフルエンザは、複製中の主要な抗原の1つ若しくは両者に対する軽度の変更(すなわち、点変異)の傾向がある。これらの変更は、一部に、前記ウイルスの転写装置におけるプルーフリーディング及びエラー修正メカニズムの欠如が原因である。いわゆる抗原ドリフトは、前記ウイルスが一部のみの免疫を持つヒトを前記ウイルスへの前段階感染させることを可能にするため、季節上の流行病の原因となる。インフルエンザAは、特に抗原ドリフトの傾向にある。H及びN抗原における主要な変更で抗原性シフトがもたらされる。抗原性シフトで、新規のウイルスサブタイプがもたらされ、それは、主要な流行病及び汎発流行病を最少の個体群免疫が原因で引き起こし得る。
【0009】
インフルエンザは、急性呼吸器性感染の局限的流行病及び広域の汎発流行病を引き起こし得る深刻なヒトの病気として確立されている。毎年、前記インフルエンザウイルスは、20,000〜40,000人の死因となり、最高300,000までが米国で入院したケースがある。(Sandha and Mossad,Influenza in the Older Adult.Indications for the Use of Vaccine and Antiviral Therapy,Geriatrics 56:43−51,2001,Oxford et al,In:Antigenic Variation,Ed.Craig&Scherf,Academic Press,London pp.53−83,2003)。1918年の汎発流行病において、4000万人超が死亡したと広く考えられている。幼児及び比較的若い成人は、感染例が多いが、深刻な病気は、喘息、糖尿病、腎臓病、心臓病糖の慢性病を持つ初老の若しくは免疫不全の個人により一般的である。前記毎年の流行病は、11月〜3月に北半球で流行し、4月〜9月に南半球で流行する。
【0010】
鳥インフルエンザは、インフルエンザウイルスのA型株により引き起こされる。鳥インフルエンザは、世界中で発症している。感染した鳥は、穏かな病気から高度に接触感染性の致命傷病までの広範囲の症状を示す。高度接触感染性病は、特に有毒なインフルエンザウイルス株により引き起こされる。この株による感染症は、死にいたる、エネルギーの欠如、卵生産の減少、軟シェル卵、頭、まぶた等の膨潤化、鼻汁、咳、若しくは下痢等の深刻な症状の突発(WHO,2004)に関連する。現在、鳥に感染し得る15サブタイプが特定されているが、わずかH7、H5、H9のサブタイプのみが大発生に関係している。現在のアジアとブリティッシュコロンビアの大発生は、H5N1及びH7N3によって引き起こされている。上記で議論したように、インフルエンザウイルスは、これらのウイルスは、プルーフリーディング核酸複製のメカニズムを欠くため、公衆衛生上の関心事である。従って、インフルエンザウイルスは、特に転写の間、高変異率の傾向にある。さらに、インフルエンザウイルスは、異なる種の他のサブタイプからの遺伝子材を交換若しくは取り替え可能であり、従って、サブタイプが、ある種から他の無関係な種への、特異的ウイルスのクロス感染を通常妨げる種バリアをクロス可能にする。この種のバリアは、通常、鳥インフルエンザウイルス菌株がヒトに感染するのは妨ぐが、時として新しい菌株は、鳥及びヒトインフルエンザウイルス菌株の両者からの遺伝子材を有する。この遺伝子材の交換は、ヒトと家禽とブタとの間にごく近接さが存在する際に起こる。ブタは、ヒトと鳥菌株の両者の貯蔵体として働く。従って、ブタは、鳥菌株種同様にヒトに感染し得る新しい菌株の出現のための自然のインキュベータとして働くものである。
【0011】
インフルエンザの治療に米国で利用可能な抗ウイルス薬には、アマンタジン、リマタジン、ザナミビル(ザナミビル(リレンザ(登録商標))、オセルタミビル(タミフル(登録商標))の4つがある。アマンタジン及びリマタジンは、インフルエンザAに対してのみ有効である。アマンタジン、リマタジン、及びオセルタミビルは、予防処置として認証されている。予防処置は、インフルエンザ大発生の間に、ワクチン非接種の人のみに高リスクで指示される。抗ウイルス剤は、低耐性及び抵抗出現のために限定的使用用途を有する。現在、アマンタジンは、インフルエンザ感染症に対して使用される主要な抗ウイルス化合物であるが、その活性はインフルエンザAウイルスに限られている。ザナミビル及びオセルタミビル等の抗ノイラミニダーゼ阻害剤は、インフルエンザA及びB感染症の両者の治療用途で許可された新しいクラスの抗ウイルス剤である(Carr et al.,Influenza Virus Carrying Neuraminidase with Reduced Sensitivity to Oseltamiver Carboxylate has Altered Properties In Vitro and is Compromised for Infectivity and Replicative Ability In Vivo,Antiviral Res.54:79−88,2002)。従って、インフルエンザA及びBに対する新しく有効な抗ウイルス薬の開発は、臨床上非常に重要である(Bamford,Neuraminidase Inhibitors as Potential Anti−Influenza Drugs,J.of Enzyme Inhibition,Review 10:1−16,1995)。
【0012】
インフルエンザワクチンは一般に、インフルエンザシーズンの開始前に使用され、それらは、典型的には高リスクであると考えられる細胞集団のセグメントに投与される。ワクチンは、いくつかの形態があり、それらは、疾病の症状を予防する或いは少なくとも軽減させる。ワクチンは、広範囲に広がる流行病若しくは汎発流行病を最も引き起こす可能性の高い菌株に対する中和用抗体を作り出すために、ウイルスにさらされる前に投与される。しかしながら、ワクチンは、費用がかかり、前記ワクチンの保管がすぐに消費され得る。また、ワクチンは、原因となるそのウイルス構成物を含まないものである。換言すれば、ワクチン製品は、どの菌株が支配的菌株として出現するかを推定するかに依存する。従って、任意の投与年においても、前記種々のインフルエンザ菌株に対して限定的保護にしかならない。さらに、注入を通してワクチンを提供する典型的方法は多数の人には不快である。一方、予防治療は、感染症を予防する、或いは、前記ウイルスにさらされた後の疾病の重症度を軽減するために使用される。ザナミビル若しくはリレンザ(登録商標)(Glaxo Wellcome、第二世代抗ウイルス)と同様の、オセルタミビル(登録商標)は、成熟したウイルス粒子の放出をブロックし、従って近隣細胞の感染を予防するノイラミニダーゼ阻害剤である。ノイラミニダーゼ阻害剤は、インフルエンザ感染症の症状を軽減し、その疾病期間を短くする。予防処置は、有効であるために48時間の症状開始時間帯以内になされなければならず、耐性菌株出現のリスクが伴う。
【0013】
重症急性呼吸器症候群(SARS)は、21世紀における新しく主要な第一の感染症疾病である。第一の症例が2002年の11月に中国の広東で出現したが、2003年3月に新しい疾病として認識されたのみであった。前記疾病の広がりは、22ヶ国で報告されたように、国際的な飛行機旅行により促進された。しかしながら、現代のコミュニケーション技術及び世界的共同努力によって、前記疾病は、確認されているところでは4ヶ月以内に食い止められた。前記疾病は、高熱、頭痛、筋肉痛、空咳を含む症状を伴った高罹患率及び高死亡率をもたらした。前記死亡率は、60代以上のグループにおいて60%(Peiris JS et al.,2003)を超えた。SARSは、組織培養におけるウイルス増殖法及び電子顕微鏡研究に関する種々の実験技術を通して新しいウイルスによって引き起こされるものとして特定された。これは、その完全なゲノム配列が決定された数日後に、原因である新しいコロナウイルスであることが示され、確認された。従って、このタイプの感染症に対して使用する抗ウイルス薬の開発は、非常に重要である。
【0014】
病気を引き起こす他の微生物は、酵母菌、C.albicansを含む真菌感染症と同様に、連鎖球菌、ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、及びヘモフィルス等のグラム陽性及びグラム陰性バクテリアを含む。これらの微生物による活性な感染症は、第一には抗生物質で治療される一方、患者の中には抗生物質にうまく耐えられない人もいる。咽頭痛等のバクテリア若しくは真菌感染症の症状を軽減させる若しくは取り除く治療法と共に抗生物質治療法を増進させたいと望む人もいる。これらのバクテリア若しくは真菌生物の1つによる感染症の重症度を、暴露前、暴露期間中、又は暴露直後に予防治療により予防若しくは軽減させたいと思っている人もいる。
【0015】
近年では、研究的興味としては種々のハーブに焦点が置かれており、それらは、慢性疾病に対して顕著な防御を提供することが可能であり、抗微生物若しくは抗腫瘍活性を有する強力な抗酸化剤化合物を含む。フラボノイド等の抗酸化剤物質は、タンポポ、ショウガ、緑茶、ローズマリー等の種々のハーブで見出される。緑茶抽出物(GTE)がイディン・ダービー・イヌ腎臓細胞(MDCK)中のインフルエンザA及びBウイルスの成長を阻害することが最近報告されており、別の研究では、緑茶の構成物の1つの3−没食子酸エピガロカテキン(EGCG)が末梢血リンパ球におけるHIV−1(111B)及びBal HIV菌株の複製を阻害することが最近報告されている。これらの物質は、種々の疾病を治療する分野で有益であると証明されたが、抗酸化物質を使用した予防方法の構築においては何ら進展がない。
【0016】
従って、この分野において、微生物に起因した疾病の罹患率を減少させるための予防方法を提供する必要性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、本発明のいくつかの実施形態の目的は、微生物に起因する疾病の罹患率を減少させる方法を提供することである。
【0018】
第一の観点によると、本発明は、疾病の罹患率を減らす抗菌組成物の予防的使用方法に関する。前記方法は、疾病に暴露されている或いは暴露されるであろう哺乳類若しくはトリに、ショウガから得られる第一成分、緑茶から得られる第二成分、及び許容可能な担体を有するある量の抗菌組成物を投与する工程を含む。前記抗菌組成物の量は、投与される場合、前記疾病の罹患率を減少させるのに有効である。
【0019】
本発明の第二の観点によると、ショウガから得られる第一成分、緑茶から得られる第二成分、許容可能な担体を有する予防的抗菌組成物が開示されている。前記抗菌組成物は、微生物に起因した疾病に暴露されている、或いは暴露されるであろう哺乳類若しくはトリに、鼻腔用スプレー若しくは咽頭用スプレーとして投与されると、前記疾病の罹患率を減少させるのに有効である。
【0020】
本発明を特徴づけるこれらと他の種々の利点及び新規性の特徴は、本明細書に添付され、本明細書の一部となっている請求項において特に指摘されている。しかしながら、本発明、並びに、その利点及びその使用により得られる物をより良く理解されるために、付随の記述的事項に対して参照が用いられており、そこで本発明の好ましい実施形態が記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
第一の観点において、本発明は、組成物に関するものである。本発明の組成物は、ショウガ、緑茶、及びウコンから得られる成分を含む。
【0022】
本明細書において使用されるように、用語「香料」は、フルーツ及び植物性香料を含む。
【0023】
本明細書において使用されるように、「甘味料」の用語は、例えば、グルコース、スクロース、及びフルクトースを含む。糖はまた、高フルクトース・コーン・シロップ固体、転化糖、ソルビトールを含む糖アルコール、及びそれらの混合物を含む。人工甘味料もまた、前記用語「甘味料」の範囲に含まれる。
【0024】
本明細書で使用されるように、「許容可能な」の用語は、過度に悪い副作用(例えば、毒性、いらいら、アレルギー反応等)がなく、ヒト及び/若しくは動物に対しての使用に適した、妥当なリスク/利益比と同程度の構成物を意味するものである。
【0025】
さらに本明細書で使用されるように、「安全で有効な量」という用語は、本明細書において記載された方法で使用される際、妥当なリスク/利益比と同程度の、過度に悪い副作用(例えば、毒性、いらいら、アレルギー反応等)がなく望ましい治療上の応答をもたらすのに十分な構成物の量に言及したものである。
【0026】
本明細書において使用される「微生物を阻害する」という用語は、前記微生物の増殖を減少させる、若しくは、正常細胞に付着することを予防すること、及び/若しくは、治療中のヒト又は動物由来の感染粒子の一部若しくは全ての除去について言及する。微生物阻害を決定する適切な方法は、実施例において議論されている。
【0027】
本明細書において使用される「伝染」という用語は、1つの宿主から別の宿主への移ることに言及する。
【0028】
本発明において使用される全活性化合物は、入手可能であれば、他の源から得てもよい。従って、「〜から得られる」若しくは「〜から得てもよい」という語句は、ウコン、ショウガ、若しくは緑茶から得られる化合物又は組成物を含むように意図されたものであり、従って、他の源から得られる同一化合物及び/若しくは組成物と同様、同一化合物及び/若しくは組成物の合成形態を含む。
【0029】
第一の実施形態において、本発明の組成物は、ショウガから得られる第一成分、緑茶から得られる第二成分を、本明細書において記載される1若しくはそれ以上の有益な効果を提供する安全かつ有効な量で含む。
【0030】
本発明の組成物の第一成分は、ショウガ(学名Zingiber officinale、一般名ショウガ根(ginger root))から得られる。南アジアに自生のショウガは、1フィートまででほぼ1インチの幅の草のような葉をつける2〜4フィートの多年生植物である。食品雑貨店での呼び名のショウガ根は、実際、樹皮状の外皮カバーリングこすりとられた状態で、その植物の地下茎から成る。
【0031】
本発明で用いられる前記ショウガの活性化合物は、これに限定されないが、1,8−シネオール、ジヒドロジンジャージオン(10−dehydrogingerdione)、10−ジンゲロール、6−ジンジャージオン(6−gingerdione)、6−ジンゲロール、6−shogaol、8−β−17−エポキシ−λ−トランス−12−エン−15,16−ジオール(8−β−17−epoxy−λ−trans−12−ene−15,16−diol)、8−ジンゲロール、8−shogaol、9−オキソ−ネロリドール、アセトアルデヒド、酢酸、アラニン、α−リノレン酸、α−リノレン酸、α−フェランドレン、α−ピーネ、α−テルピネン、α−テルピネオール、α−ジンギベレン、ar−クルクメン、R、アスコルビン酸、N、β−ビサボロール、β−カロチン、β−エレメン、β−eudesmol、β−イオノン、β−ミルセン、β−フェランドレン、β−ピネン、β−セリネン、β−セスキフェランドレン、β−シトステロール、β−thujone、酢酸ボルニル、ホウ素、コーヒー酸、カルシウム、カンフェン、カンファ、カプリン酸、カプリル酸、カプサイシン、カリオフィレン、カビコール、クロロゲン酸、クロム、シトラール、シトロネラール、シトロネラール、コバルト、銅、クメン、クルクミン、シスチン、デルフィニジン、δ−カジネン、エレモール、酢酸エチル、エチル−ミリスチン酸塩、ファルネサール、ファルネセン、フェルラ酸、フルフラール、γ−アミノ酪酸、γ−テルピネン、ゲラニアール、ゲラニオール、ゲラニル−酢酸塩、gingerenone、グルタミン酸、グリシン、ヘキサヒドロクルクミン、ヒスチジン、isogingerenone−B、イソロイシン、ケンペロール、レシチン、リモネン、リノール酸、マグネシウム、マンガン、メチオニン、mufa、myrecene、ミリセチン、ミリスチン酸、ネラール、ネロール、ネロリドール、ナイアシン、ニッケル、オレイン酸、シュウ酸、p−クマル酸、p−シメン、p−ヒドロキシ−安息香酸、パルミチン酸、パントテン酸、パラドール、patchoulic alchol、フェニルアラニン、クエルセチン、リボフラビン、セレニウム、シキミ酸、テルピネン−4−オール、サイアミン、トリプトファン、バニリン酸、バニリン、亜鉛、及びジンゲロンを含む。また、2若しくはそれ以上のこれらの活性化合物の混合物が用いられている。
【0032】
ショウガから得られる本発明の組成物の第一成分が、ショウガ粉末抽出物、ショウガ流体抽出物等の抽出物、ショウガ根粉末を含むショウガ粉末、及び、ショウガの1若しくはそれ以上の化合物、ショウガ植物の一部又は全体、それらのチンキ、並びにそれらの混合物を含む多くの異なる形態で本発明中の組成物中に組み込まれる。好ましくは、本発明の組成物の第一成分は、ショウガ抽出物、及びショウガ根粉末から選択される。
【0033】
本発明の組成物は、1グラムあたり、好ましくは、約1mg〜約150mgのショウガ根粉末を含む。前記組成物は、最も好ましくは、1グラムにつき、約6mg〜約110mgのショウガ根粉末を含む。ベースラインとしてのこれらの範囲での使用、つまり、経口摂取製剤中のStryka Botanicsなどのショウガ根粉末と、例えば、ミシガン州のInc.of Kalamazoo製Kalsec(登録商標)等のショウガ抽出物K(Aquaresin(登録商標)Ginger)との使用である。
【0034】
種々の成分量が、前記成分の一形態の観点から、すなわち、ショウガ根粉末で本明細書において与えられている。その成分が別の形態で存在する場合、用いられる前記量は、本明細書において与えられている成分量と同量の1若しくはそれ以上の活性化合物を提供する量である。例えば、ショウガチンキが用いられる場合、前記用いられるチンキの量は、上記で特定されたショウガ根粉末の量と同量の1若しくはそれ以上の活性化合物を提供する量となる。これは、その成分の一特定形態に関して本明細書においてその量が与えられる全成分に適応される。
【0035】
本発明の組成物の第二成分が緑茶から得られる。緑茶から得られる第二成分は、抗酸化効果を有する。緑茶は、ツバキのカメリアシネンシスの乾燥葉及び葉の芽である。中国及び日本で主に生産される。乾燥茶葉がポリフェノール(約36%)で、もっぱらフラバノール(カテキンを含む)、フラボノイド、及びフラボンジオールとして知られる植物化学物質から主に構成される。前記葉はまた、カフェイン、テオブロミン、テオフィリンを含む植物アルカノイド(約4%)を含む。
【0036】
緑茶の薬理学的活性は、その活性化合物が主因である。本発明に有益な前記緑茶の活性化合物は、これに限定されないが、フラバノール、カテキン、フラバノイド、フラボンジオール、植物アルカノイド、カフェイン、テオブロミン、テオフィリン、フェノール酸、タンパク質、炭水化物、及びミネラルを含む。
【0037】
緑茶から得られる第二成分は、緑茶粉末、例えば、緑茶粉末抽出物、緑茶液体抽出物等の緑茶抽出物、及び緑茶の1若しくはそれ以上の活性化合物、緑茶植物の一部若しくは全体、緑茶葉、それらのチンキ、又はそれらの混合物の形態で前記組成物中に含まれてもよいものである。好ましくは、本発明の組成物の第二成分は、緑茶葉、緑茶粉末、及び緑茶抽出物から選択される。より好ましくは、本発明の組成物の第二成分は、緑茶抽出物である。
【0038】
本発明の組成物は、1グラムあたり、約1mg〜約20mgの緑茶抽出物を含む。最も好ましくは、前記組成物は1グラムにつき、約4mg〜約15mgの緑茶抽出物を含むものである。ベースラインとしてのこれらの範囲での使用、経口摂取製剤中における、例えば、Stryker Botanics等の緑茶の使用、スプレー製剤中における、中華人民共和国、長沙、Phytoway,Inc.製等の緑茶抽出物の使用である。
【0039】
ショウガ、緑茶、ウコンから得られる、本発明の組成物の成分は、それぞれウコンの地下茎、ショウガ根、及び緑茶葉から挽かれるウコン粉末、ショウガ粉末、及び緑茶粉末の形態で使用される。合成ルートが既知の、ショウガ、緑茶、若しくはウコンの特定の活性化合物については、前記活性化合物が合成される。その植物抽出物は、必要であれば、下記で記載されているように調製される。代わりに、ウコン粉末、ショウガ粉末、緑茶粉末、及び/若しくは、それらに含まれる1若しくはそれ以上の活性化合物は、ミシガン州のInc.of Kalamazoo製Kelsec(登録商標)等の商業源から購入されてもよい。
【0040】
本発明の組成物において使用される、例えば、ウコン抽出物、ショウガ抽出物、緑茶抽出物、及びセイヨウワサビ抽出物等の前記植物抽出物は、通常の抽出手順を使用して生成される。代わりに、前記抽出物を、ミシガン州、Inc.of Kalamazoo製the Kelsec(登録商標)等の商業元から購入してもよい。
【0041】
上記で述べた植物の任意の中からの、便利で投与可能な投与形態での薬理的、若しくは生物学的に活性な植物抽出物の調製方法は、当業者に既知である。
【0042】
本発明の組成物は、本発明の組成物が、この用途の実施例で実証される重要な抗菌特性を有しており、ウイルス感染症を治療するのに使用されるものである。本発明の組成物はまた、咽頭痛、うっ血、喉頭炎、粘膜炎、及び/若しくは粘膜の膜炎症を含む、1若しくはそれ以上のウイルス感染症の症状を、1若しくはそれ以上のこれらの症状又は慢性病に苦しむ患者に投与することにより治療する治療用組成物として使用される。
【0043】
本発明の組成物はまた、疾病の罹患率を減少させるために用いられる。本発明の組成物のこの用途において、本発明の組成物の安全で有効な量は、本発明の組成物が投与されていない、微生物起因の疾病にさらされている或いはさらされるであろう哺乳類、若しくはトリと比較して、微生物に起因する疾病にさらされている或いはさらされるであろう哺乳類、若しくはトリに対して、前記疾病の罹患率を減少させるために投与される。
【0044】
好ましくは、本発明の組成物は、これに限定されないが、カプセル、錠剤、菱形錠剤、トローチ、ハードキャンディー、粉末、スプレー、ゲル、エリキシル、シロップ、及び懸濁液又は溶液を含む任意の許容可能な投与形態で調製される。本発明の組成物はまた、本発明の組成物が栄養サプルメントである或いは更なる成分を含む栄養サプルメントの一部を形成する場合の栄養サプルメントの形態で投与される。
【0045】
本発明の組成物はまた、許容可能な担体と共に調製される。前記許容可能な担体は、これに限定されないが、(a)甘味料、より好ましくは、フルクトース、スクロース、糖、デキストロース、デンプン、ラクトース、マルトース、マルトデキストリン、コーンシロップ固体、はちみつ固体、Emdex(商標)、Mor−Rex(商標)、Royal−T(商標)、Di−Pac(商標)、Sugar−Tab(商標)、Sweet−Rex(商標)、及びNew−Tab(商標)を含む商業用タブレット栄養サプルメントを含む炭水化物、(b)マンニトール、ソルビトール、及びキシリトールを含む糖アルコール、(c)第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、及び他の錠剤型成分を含む、さまざまな比較的難溶の賦形剤を含むものである。
【0046】
本発明の菱形錠剤、錠剤、及びトローチ剤は、形、大きさ、及び製造テクニックの点で異なる。錠剤の場合、経口使用の目的で、前記許容可能な担体は、さらにラクトース及びトウモロコシデンプンを含む。例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び滑石を含む、潤滑剤がまた、前記錠剤に添加される。錠剤はまた、例えば、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、及びリン酸カルシウム等の賦形剤を含む。例えば、デンプン、アルギン酸、及び複雑なケイ酸塩等の崩壊剤がまた、用いられている。錠剤はまた、例えば、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、PEG−8000、及びアカシアガム等の結合剤を含む。
【0047】
経口使用目的の、菱形錠剤の場合、前記一般的許容可能な担体はさらに、PEG−8000等の結合剤を含む。菱形錠剤は、経口摂取された場合に適切な溶出速度を提供する、約0.1〜約15グラムの重さであることが好ましい。より好ましくは、菱形錠剤は、約1〜約6グラムの重さである。
【0048】
ドロップの生産は既知であり、任意の当業者には、本発明の組成物と共にドロップを容易に生産することができる。前記組成物は、密閉容器中で冷暗所に保管されることが好ましい。
【0049】
錠剤及びトローチ剤は、当業者に周知の手順を用いて、前記最適成分内の微小な変更を加えて製造可能である。そのような変更は、当業者の熟練工の範囲内のことである。
【0050】
代わりに、本発明の組成物は、徐放期間中に口部及び口咽頭の粘膜への前記組成物の繰り返し送達の目的で、水、若しくは他の液体等の溶媒若しくは分散剤を伴うシロップ、うがい薬、若しくはスプレー等の液体形態で、選択的に薬学的に許容可能な担体中で調製されるものである。好ましくは、その治療時間は、口及び喉の組織と前記組成物を延長接触可能にする約5〜60分であり、より好ましくは、約20〜30分である。代わりに、そのような製剤は、水若しくは他のマテリアルでの使用前希釈に適した濃縮形態であり得る。
【0051】
前記組成物はまた、例えば、ソフトキャンディー、ガムドロップ、液体入りキャンディー、チューイングガムベース等のチュアブル形態、若しくは、歯磨き粉及びうがい薬等のデンタルケア製品の形態で調製される。使用の際、前記チューイング可能な組成物は、好ましくは約5〜60分、より好ましくは約20〜30分の徐放期間中、口の中で保持されることが好ましい。デンタルケア製品が、そのような製品を使用する際の通常の方法で使用される。
【0052】
本発明の組成物は、希釈剤あり又はなしでカプセル形態で調製される。カプセルの場合、有益な希釈剤は、ラクトース及び乾燥トウモロコシデンプンを含むものである。懸濁液が用いられる際、乳化剤、及び/若しくは懸濁剤が前記懸濁液中で用いられる。
また、上述の、1若しくはそれ以上の前記菱形錠剤中の成分を含む固体組成物は、軟・硬ゼラチンカプセル中で用いられる。
【0053】
本発明の組成物はまた、鼻腔用エアロゾル、若しくは吸入剤組成物に調製される。そのような組成物が既知の技術を使用して調製されるものである。これらのタイプの製剤について、適切な担体は、以下の成分、つまり1若しくはそれ以上の保存料を有する生理食塩水、バイオアビアリティを増強する吸収プロモーター、フルオロカーボン、及び/若しくは従来の可溶化剤又は分散剤を含む。
【0054】
選択的に本発明の組成物に含まれる他の材料は、レスベラトロル(トリヒドロキシスチルベン)、イノシトール、他のβ−複合体ビタミン、及び更なる抗炎症剤を含む。また、甘味料、風味料、着色料、色素、保存料、乳化剤、懸濁剤、融解剤、賦形剤、粘滑剤、並びに、水、エタノール、プロピレン、グリコール、グリセリン等の溶媒又は希釈剤、及びそれらの種々の組み合わせが、本発明の組成物に含まれている。
【0055】
選択的実施形態において、本発明の組成物は、本明細書に記載されている1若しくはそれ以上の有益な効果を提供する安全且つ有効な量の、ウコンから得られる1若しくはそれ以上の成分を含む。ウコン(学名リンネ)若しくは、ヒンディーのHaldiが、インド料理に一般的な成分と同様、医薬品として非常に幅広く使用されている。ウコンの地下茎は、微粉末として医薬品及び食料品中に使用されている。
【0056】
ウコンの地下茎の黄色色素は、クルクミノイドとして知られた3つの化合物から成るものである。前記3つのクルクミノイドは、クルクミン(ジフェルロイルメタン)、デスメトキシクルクミン(ヒドロキシシンアンモイルフェルロイルメタン)、及びビス−デスメトキシクルクミン(ジヒドロキシジシンアンモイルメタン)である(Drug Analysis,Chromatography and Microscopy,p.169,Ann Arbor Science Inc.,1973を参照)。ウコン(学名リンネ)の精油は、主に以下の化合物:d−カンファー(約1%)、シクロ−イソプレンミルセン(約85%)、p−トリルメチルカルビノール(約5%)から成る(E.Gunther,The Essential Oil,pp.123−4,Van Nostrand Co.,1955)。
【0057】
ウコンから得られた本発明の組成物の成分は、好ましくは、クルクミン(ジフェルロイルメタン)、デスメトキシクルクミン(ヒドロキシシンアンモイルフェルロイルメタン)、及びビス−デスメトキシクルクミン(ジヒドロキシジシンアンモイルメタン)、これらクルクイノイドの2若しくはそれ以上の混合物を含む。
【0058】
ウコンからクルクミノイドを単離する方法が知られている(Janaki and Bose,An Improved Method for the Isolation of Curcumin From Turmeric,J.Indian Chem.Soc.44:985,1967を参照)。代わりに、本発明で使用するクルクミノイドは、合成的方法により調製され得る。
【0059】
ウコンから得られる前記成分は、種々の異なる形態の本発明の組成物に組み込まれ得るものである。それらの異なる形態は、好ましくは、ウコン粉末抽出物、ウコン液体抽出物等のウコンの抽出物、1若しくはそれ以上の前記クルクミノイド化合物、及びウコン粉末、ウコン植物の一部又は全体、それらのチンキ、及びそれらの混合物を含む。より好ましくは、ウコンから得られる前記選択性成分は、ウコン抽出物である。
【0060】
前記ウコンから得られる成分が使用される際、本発明の組成物は、1グラムにつき、約1mg〜約20mgのウコン粉末抽出物を含むことが好ましい。前記組成物は、1グラムにつき、約6mg〜約15mgのウコン粉末抽出物を含むことが最も好ましい。
これらの範囲は、例えば、Pharmline,Inc.製の、経口摂取製剤のTurmeric Extract 95%及び、ミシガン州、Inc.of Kalamazoo製the Kelsec(登録商標)等のスプレー製剤のウコン根抽出物(オレオレジンウコン)の使用に基づくものである。
【0061】
また、本発明の組成物は、本明細書に記載される1若しくはそれ以上の有益な効果を提供する安全且つ有効な量の、セイヨウワサビ根から得られる1若しくはそれ以上の成分を含む。
【0062】
セイヨウワサビ根から得られる前記選択性成分は、Cochlearia Armoracia(学名)からの抽出物を含む。セイヨウワサビは、マスタード中に見出されるものに類似した揮発性油を含む。これらは、胃中で分解される際アリルイソチオシアナトを生成する、グルコシノレート(からし油配糖体)、グルコナストルチイン、及び、シニグリンを含む。
【0063】
エタノール、プロピレングリコール、及びグリセリン、並びにそれらの種々の組み合わせは、本発明の組成物中に全体の重量の約10パーセントまで更なる活性成分として選択的に含まれる。最も好ましくは、全重量に対して最高約10パーセントのエタノールが、活性成分として加えられる。さらに一層好ましくは、2.5〜7パーセントエタノールが加えられる。
【0064】
本発明の組成物中で使用される前記選択的甘味料は、これに限定されないが、組成物の主成分と化学的に相互作用しないように十分に少ない量で担体に添加される、サッカリン、アスパルテーム、シクラメート、アセサルフェームK、ネオヘスペリジンジハイドロカルコン、他の超甘味料、及びそれらの混合物を含むものである。
【0065】
本発明の組成物に使用される前記選択的風味料は、これに限定されないが、ペパーミント、ペパーミント−メタノール、オイカリプトール、ヒメコウジ、カンゾウ、チョウジ、ニッケイ、スペアミント、チェリー、レモン、オレンジ、ライム、メタノール、及びそれらの種々の組み合わせを含む。
【0066】
好ましくは、ショウガ、緑茶、及び選択的にウコンに由来する上記記載の前記主成分は、組成物全体の約0.5〜約90重量%を占める。より好ましくは、前記主成分は、組成物全体の約10〜約70%重量を占める。最も好ましくは、前記主成分は、組成物の全体の約20〜約40重量%を占める。
【0067】
上記で議論したウコン、ショウガ、緑茶から得られる前記成分を含む前記組成物の非担体成分は、その目的での使用の組成物の効果に影響することなく、前記組成物中に使用された担体量に依存した本発明の組成物に比例して増加若しくは減少させることが可能である。
【0068】
伝染を減少させる若しくは防ぐことは、一患者(感染)から別の患者(非感染)に微生物の広がりを防ぐ若しくは減少させることに関連する。患者の中には、その感染症の保菌者であると考えられ人もいる。保菌者は、活発に微生物を撒くが急性感染症には苦しまない人々である。これらの保菌者は、前記微生物に永続的に(慢性的に)感染していると言われている。永続的感染の伝染病発症人に加え、他の感染した人々は、能動的に感染した人々であり、特に、慢性感染の初期若しくは後期段階の人々である。本発明の一観点は、微生物に感染した哺乳類若しくはトリに、他の哺乳類若しくはトリにその疾病が広がることを防ぐ、及び/若しくは、前記感染した哺乳類若しくはトリの疾病症状を減らすために本発明の組成物を投与することに関連するものである。
【0069】
予防治療は、すぐに微生物にさらされる若しくは微生物に最近さらされた患者に向けたものである。そのような予防治療は、単独で若しくは、ワクチン効果を増大するのに有効である。予防治療はまた、ワクチンがまだ利用可能ではない微生物に対して使用される。予防治療の場合、本発明の組成物が、微生物にさらされる若しくは最近さらされた患者に、前記患者中の微生物による能動感染率を減少させるために投与されるものである。
【0070】
別の観点において、本発明は、ショウガ及び緑茶から得られる成分を含む本発明の組成物をウイルスに感染した患者に投与することにより、ウイルス感染症の少なくとも1つの症状、若しくは悪い効果を減少させる、治療する、若しくは予防する方法に関連するものである。
【0071】
前記方法において、前記患者は、ヒト、インビトロ細胞システム、若しくは動物である。前記患者は、哺乳類であることが好ましく、ヒトがより好ましい。前記方法において、本発明の組成物の投与により阻害される前記ウイルスは、他のウイルス間で、ライノウィルス、インフルエンザウイル、ウェストナイルウイルス、単純ヘルペスウイルス、HIV−1、HIV−2、アデノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、風疹ウイルス、黄熱病ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む。好まれる実施形態において、前記組成物の投与により阻害される前記ウイルスは、少なくともヒトライノウイルス16、ヘルペスIウイルス(HSV−1)、インフルエンザA/モスクワ/10/99、鳥インフルエンザA(H5N1)、及びB/広東/120/00を含む。
【0072】
代わりに、前記患者は、一般商業用の家禽である七面鳥、ダック、ガチョウ、ニワトリ、比較的一般的ではないが、ダチョウを含むトリ種のメンバー、及び例えば、カナリア及びオウム等のハウスペットとして一般に飼われている他のトリ種であることもある。前記組成物は、直接組成物を前記トリの鼻管にスプレーすることにより投与される、或いは前記組成物は、前記トリが歩くところにミストを作り出すことにより投与される。従って、前記組成物は、殺ウイルス性若しくはウイルス抑止性で作用するように予防的に与えられる。代わりに、前記組成物は、前記ウイルスの伝染を減らすために使用されることもある。
【0073】
ウイルス感染に起因した前記症状は、本発明の方法により治療、軽減、若しくは、少なくとも部分的には予防され、1若しくはそれ以上の頭痛、関節痛、熱、咳、くしゃみ、筋肉痛、鼻水、口渇、目眩、及びウイルス感染症に関連した他の症状を含む。トリにおいては、これらの症状は、エネルギーの欠如、卵生産減少、軟殻卵、頭部、まぶた等の膨潤、鼻汁、咳、下痢を含む。
【0074】
前記方法において、本発明の組成物の投与により阻害される微生物は、連鎖球菌、ブドウ球菌等のグラム陽性菌、大腸菌、緑膿菌等のグラム陰性菌、ヒストプラスマ、及びブラストミセス等のヘモフィルス及び真菌、C.albicans及びCrytococcus等の酵母を含む。
【0075】
前記組成物の有効量は、治療中の患者、投与の特定モード、用いられる特定活性成分の活性、前記患者の年齢、体重、健康一般、性別、及び食事、投与時間、排出率、用いられる成分の特定の組み合わせ、前記組成物の主成分の全量、その疾病若しくは症状の重症度等の要因に依存して変わるものである。これらの要因を考慮することは、当業者の技術内のことである。
【0076】
前記組成物は、必要に応じて1日につき約1〜約15回、好ましくは、必要に応じて1日につき約2〜約12回、最も好ましくは、必要に応じて1日につき約6〜約10回投与される。本発明の組成物は、これに限定されないが、錠剤、カプセル、菱形錠剤、トローチ剤、硬キャンディー、粉末、口スプレー、鼻スプレー、ゲル、エリキシル、シロップ、チューイング可能な組成物、デンタルケア製品、懸濁液、溶液を含む上記記載の任意の許容可能な投与形態で投与される。
【0077】
組成物の投与量は、本発明の組成物の安全且つ有効な量を含むものである。治療上の各投与の有効量は、ショウガ及び緑茶から得られる、全体で約0.1グラム〜約1グラムの成分を含む。より好ましくは、治療上の各投与の有効量の組成物は、ショウガ及び緑茶から得られる、全体で約0.2グラム〜約0.5グラムの成分を含む。本発明の方法に従って投与される組成物の種々の成分量は、上記で与えられた本発明の組成物と同一である。
【0078】
前記組成物は、組成物の主成分が完全に溶解する前に、その口組織若しくはのどに接触することを可能にするために、少なくとも約5〜約60分口の中で保持されることが好ましい。前記組成物は、少なくとも約15〜約30分間、口の中で保持されることが好ましい。
【0079】
前記組成物がスプレーとして投与される際、前記スプレー組成物が前記活性成分を必要とされる部位に、例えば菱形錠剤若しくはカプセルより直接的に送達するので、各活性成分量が減らされる。
【0080】
以下の好ましい範囲は、本発明の方法に従ったスプレー製剤での投与に適した組成物を本発明に従って定義するものである。
【0081】
本発明の方法に従ってスプレーで投与される前記組成物は1グラムにつき、約1mg〜約10mgのaquaresin(登録商標)のショウガを含むことが好ましい。より好ましくは、前記組成物は、1グラムにつき、約3mg〜約7mgのaquaresin(登録商標)のショウガを含むものである。
【0082】
本発明の方法に従ってスプレーで投与される前記組成物は、1グラムにつき、約1mg〜約20mgの緑茶葉抽出物を含むことが好ましい。より好ましくは、前記組成物は、1グラムにつき、約4mg〜約15mgの緑茶葉抽出物を含む。
【0083】
本発明の方法に従ってスプレーで投与される選択的実施形態における組成物は、1グラムにつき、約1mg〜約12mgの可溶オレオレジンウコンを含むことが好ましい。最も好ましくは、前記組成物は、1グラムにつき、約4m〜約9mgの可溶オレオレジンウコンを含むものである。
【0084】
本発明は、いかなるようにも本発明を限定すると解釈されないように意図された、以下に与えられる実施例により、更に図示されるものである。本発明の範囲は、本明細書に添付された請求項により決定されるものである。
【実施例1】
【0085】
本発明の組成物
トローチ剤の形態で処方された本発明の組成物は、上述した手順を用いて調合した。本トローチ剤の成分は、以下に記載した。
【0086】
糖 1g
アカニレ樹皮 118mg
ターメリック抽出物(5%クルクミン) 18mg
ショウガ根 140mg
セイヨウワサビ根 70mg
緑茶葉抽出物 14mg
【実施例2】
【0087】
咽頭炎を患った7人の各患者は、トローチ剤が完全に溶解するまで約15〜30分間トローチ剤が彼または彼女の口に保持し、2時間毎に実施例1に従って処方された1つのトローチ剤を摂取した。患者は、1日に10個以上のトローチ剤を摂取しない。
【0088】
治療された患者は、2〜20個のトローチ剤を摂取した後に、彼らの咽頭炎の症状の完全に軽減したことを報告した。各トローチ剤が最高6時間の咽頭炎の軽減を提供することができることも判明した。
【実施例3】
【0089】
組成物の殺ウイルス活性のin vitroテスト
本実施例で使用された殺ウイルス活性のためのin vitroテスト手順は、標的ウイルスとしてヒトライノウイルス16(以後「HRV―16」)、及びHRV―16ウイルスのための宿主細胞としてJacobsらによって記載された(Characteristics of Human diploid MRC−5,Nature(London),227:168−170(1970))ヒト組織に関連したMRC―5細胞系を使用した。ウイルスとの前記テスト物質のインキュベーション後の残余ウイルス感染性は、顕鏡観察を介したウイルス複製によって誘導された細胞変性効果(CPE)を視覚的に記録することによって、ライノウイルス増殖に対するMRC―5細胞系において滴定された。より詳しくは、CPEは、MRC―5培養における肥大化/円形化細胞を観察することによって記録された。
【0090】
殺ウイルス活性を決定するために、実施例1の物質(以後「物質1))は、開始希釈1/20で、それから食塩水の階段希釈によって更に希釈して使用した。希釈された組成物は、設定された時間、HRV―16と共にインキュベートし、その反応は細胞感染培養液で中性のpHまで調整によって終了した。結果生じた溶液は、テストプレート全体を1/10の希釈でMRC−5細胞上で滴定し、前記細胞の感染を実行した。各プレートは、HRV−16感染MRC−5細胞のみを含むウイルスコントロール、及び非感染MRC−5細胞のみを含む細胞コントロールを有している。
【0091】
前記プレートはさらに感染後4日間インキュベートした。残余ウイルス感染性は、上述したアッセイを使用して測定した。表1〜4に示された結果より、前記プレート上のコントロール全ては、よく作用した。
【0092】
このアッセイより、物質1は、1/20希釈で、1分間のインキュベーション期間で1.50(―log10TCID50)のHRV―16ウイルス性ログ減少をもたらすことに効果的であると結論付けられた。物質1の1/40希釈もまた、1分間のインキュベーション期間で、1.00(―log10TCID50)のログ減少をもたらした。2分および5分のインキュベーション期間後、HRV―16力価の1/2ログ減少が達成された。従って、これらの結果より、物質1およびHRV―16間の1分間の接触時間が最も有効なウイルス力価減少をもたらすことを示す傾向が明らかになった。
【0093】
表1は、異なる希釈での物質1の、1つの最終時点でのMRC−5細胞に対する感染性ライノウイルス16の残余ウイルス力価及びログ減少を示したものである。
【0094】
【表1】
【0095】
表2〜4は、異なる希釈での物質1の、3つの異なる最終時点でのMRC−5細胞に対する感染性HRV−16の残余ウイルス力価に対する二回目試行の結果、及びログ減少を示したものである。
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
同様の殺ウイルステストを、宿主細胞としてベロ細胞を用いたHelaペス1ウイルス(HSV−1)、インフルエンザA/モスクワ/10/99、及び宿主細胞としてMDCKを用いたB/広東/120/00を含む他のウイルスを使用して、物質1に対して実行した。これらの殺ウイルステストの結果は、以下の表5〜13にまとめた。
【0100】
表5〜7は、異なる希釈での物質1の、3つの異なる最終時点でのベロ細胞に対する感染性HSV−1の残余ウイルス力価及びログ減少を示したものである。
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【0103】
【表7】
【0104】
表8〜10は、異なる希釈での物質1の、3つの異なる最終時点でのインフルエンザA/モスクワ/10/99の残余ウイルス力価及びログ減少を示したものである。
【0105】
【表8】
【0106】
【表9】
【0107】
【表10】
【0108】
表11〜13は、異なる希釈での物質1の、3つの異なる最終時点でのインフルエンザB/広東/120/00の残余ウイルス力価及びログ減少を示したものである。
【0109】
【表11】
【0110】
【表12】
【0111】
【表13】
【0112】
上述の結果より明らかなように、物質1は、インフルエンザウイルスおよびヒトライノウイルスを阻害するかまたは絶滅するために効果的である。結果として、物質1は、インフルエンザおよび風邪に効果的であろう。
【実施例4】
【0113】
前記組成物のウイルス抑止性活性のin vitroテスト
本実施例で使用される殺ウイルス活性のためのin vitroテストプロトコルは、標的ウイルスとしてヒトライノウイルス16(HRV―16)、及びはHRV−16ウイルスの宿主細胞としてConantらによって記載された(Basis for a Numbering system.I.Hela cells for Propagation and Serologic Procedure,J.Immunol.,100:107−113,1968)ヒト組織に関したライノウイルス感受性Hela細胞を使用した。
【0114】
物質1は、以下の希釈に従って感染用培養液に溶解した:1/20、1/40、1/80、1/160および1/320。これらの希釈は、37℃(5%CO2)で30分、MRC−5のプレート上でインキュベートした。インキュベーション期間後、前記プレートのウェルにおいてMRC−5で希釈された物質1は、2.30(―log10TCID50)の既知力価で、2.3HRV−16に暴露した。各プレートは、ウイルスコントロール(HRV−16ウイルスに感染しているが物質1はないHela細胞)、細胞コントロール(Hela細胞のみ)及び異なる希釈でのテスト化合物コントロール(テスト物質のみを有するHela細胞)を含む。前記プレート上の他のすべてのサンプルは、HRV−16および異なる希釈での物質1で感染されたHela細胞を含む。前記プレートはさらに、感染後4日間インキュベートした。
【0115】
ウイルスを含む物質1のインキュベーション後の残余ウイルス感染性は、以下の手順を用いた、ウイルスによって誘導された細胞変性効果(CPE)を測定することによって、ライノウイルス増殖をHela細胞において滴定した。
【0116】
物質1とのインキュベーション後の残存している生Hela細胞は、クリスタルバイオレット溶液で染色した。過剰なクリスタルバイオレットは洗浄よって除去し、前記クリスタルバイオレットで染色された細胞は、メタノールおよび酢酸の混合液を使用して可溶化した。次に、前記溶液の吸光度は、ELISAプレートリーダーにおいて540nmで測定した。ウイルス誘導性CPEのレベルは、前記吸光度に反比例した。
【0117】
前記クリスタルバイオレットアッセイから生じた結果は、方程式(y=mx+c)に適合することによって決定される物質1の毒性濃度および有効濃度を可能にし、ここにおいて、xは物質1の希釈に一致し、yは細胞に対する物質1の毒性のパーセンテージに一致する。この方程式から、TC50(物質1が細胞に対して50%の毒性を示す濃度)は、物質1の1/571希釈であった。
【0118】
この結果は、表14に示されたようなクリスタルバイオレットアッセイを使用して測定された、物質1の様々な希釈での細胞生存数のパーセンテージとよく相関した。
【0119】
【表14】
【0120】
同じ方程式(xが物質1の希釈に一致し、yがウイルス存在下で物質1のパーセント有効性に一致する)を用いて、EC50(ウイルス存在下において前記テスト物質が50%の有効性を示す濃度)は、物質1の1/91希釈であることが決定された。この結果は、
下記の表15に示すように前記クリスタルバイオレットアッセイを使用して測定された物質1の様々な希釈での生細胞のパーセンテージとよく相関する。
【0121】
【表15】
【0122】
表14および15において、%細胞生存率=(化合物のみ/細胞のみ)x100;および%生細胞=(細胞のみ−化合物+ウイルス)/(細胞のみ−ウイルスのみ)x100。
【0123】
「化合物のみ」とは、事前に決定された希釈でのHela細胞および物質1のみを含むウェルに対する測定結果を意味している。
【0124】
「細胞のみ」とは、感染してないHela細胞のみを含んでいるウェルに対する測定結果を意味している。
【0125】
「化合物+ウイルス」とは、事前に決定された希釈でのHRV―16ウイルスおよび物質1で感染させたHela細胞を含んでいるウェルに対する測定結果を意味している。
【0126】
「ウイルスのみ」とは、HRV―16のみで感染されたHela細胞を含んでいるウェルに対する測定結果を意味している。
【実施例5】
【0127】
本発明の抗菌性トローチ剤
抗菌性トローチ剤は、以下に説明する処方に従って調合した。
【0128】
1)デキストロース 865.0mg
2)アカニレ樹皮 150.0mg
3)ステアリン酸 75.0mg
4)ショウガ根 105.0mg(小児)或いは140.0mg(成人)
5)セイヨウワサビ 70.0mg
6)ハチミツ天然香味料 40.0mg
7)ターメリック抽出物(5%クルクミン) 15.0mg
8)緑茶葉抽出物 14.0mg
9)シリコンデオキシド 14.0mg
10)ステアリン酸マグネシウム 12.0mg
11)スクラロース/スプレンダ 4.0mg
錠剤質量:1364.0mg
注:本明細書で使用されたC&Pは、「カテコールおよびフェノール」という意味である。
【実施例6】
【0129】
本発明の抗菌性スプレー
抗菌性スプレーは、以下に説明された処方に従って調合した。
【0130】
(1)アカニレ樹皮 18.52mg
(2)オレオレジンターメリック、可溶性(〜8.5%クルクミン)8.82mg
(3)水溶性樹脂(登録商標)ショウガ 7.0mg
(4)セイヨウワサビ香味料WONF 0.62mg
(5)緑茶葉PE50%比色分析 14.0mg
(6)ハチミツ天然香味料 40.0mg
(7)エタノール(95%)@5% 68.2mg
(8)グリセリン 603.42mg
(9)蒸留水 603.42mg
総重量:1364.0mg
【実施例7】
【0131】
抗菌性トローチ剤のIn vitroテスト
実施例5の抗菌性トローチ剤は、A/ニューカレドニア/20/99(H1N1)、A/パナマ/2007/99(H3N2)及びB/広東/120/00株のインフルエンザウイルスでのMDCK細胞の感染に対する殺ウイルスおよびウイルス抑止活性をテストした。
【0132】
殺ウイルス活性を決定する際に、前記トローチ剤は、1/10、1/20、1/40、1/80、1/160、1/320および1/640の希釈でテストした。前記トローチ剤は、食塩等浸透液(Normasol)で希釈した。各希釈は、前記トローチ剤が各ウイルスと接触して1、2および5分後の終了点でテストした。その反応は、1.8mlの0%のFBS細胞培養液で終了させた。
【0133】
本実施例におけるログ減少は、−log10TCID50として報告し、Karber方程式を使用して算出された。
【0134】
【表16】
【0135】
【表17】
【0136】
【表18】
【0137】
【表19】
【0138】
【表20】
【0139】
【表21】
【0140】
【表22】
【0141】
【表23】
【0142】
【表24】
【0143】
ウイルス抑止アッセイにおいて、インフルエンザウイルスの既知力価を、ウイルスコントロールとして使用した;このコントロールは、前記テスト化合物QR−435と同じ手順に供した。全プレート上の前記インフルエンザ力価は、2.5(−log10TCID50)以上のウイルスコントロール力価と一致していた。
【実施例8】
【0144】
抗菌性スプレーのin vivoテスト
フェレットは、インフルエンザ感染の研究のための確立された動物モデルである(Boyd and Beeson,1975;Chen et al.,Induction and Relief of nasal Congestion in Ferrets Infected with Influenza,Int.J.Exp.Pathol.76:55−64,1995;Scheiblauer et al.,Pathogenicity of Influenza A/Seal/Mass/1/80 Virus Mutants for Mammalian Species,Arch.Virol.140:341−8,1995;Sweet and Smith,Pathogenicity of Influenza Virus,Microbiol. Rev.44:303−30,1980;Toms et al.,The relation of Pyrexia and Nasal Inflammatory Response to Virus Levels in Nasal Washings of Ferrets Infected with Influenza Viruses of differing Virulence,Br.J.Exp.Pathol.,58:444−58,1997;Webster et al.,Protection of Ferrets Against Influenza Challenge with a DNA Vaccine to haemagglutinin,Vaccine 12:1495−8,1994)。フェレットモデルはいぜん、インフルエンザワクチンの有効性を決定するために使用されていた(Fenton et al.,1981;Webster et al.,1994)。フェレット動物モデルを利用した感染研究は、ドナーからレシピエントへのインフルエンザの拡散を示しただけでなく、ウイルスの毒性に対する変異体の影響も示した(Herlocher et al.,Ferrets as a Transmission Model for Influenza:Sequence changes on the HA1 of type A(H3N2)Virus,J.of Infect.Diseases 184:542−46,2001;Herlocher et al.,Influenza virus carrying an R292K Mutation in the Neuraminidase Gene is not Transmitted in Ferrets,Antimicrobial Res.54:99−111,2002)。
【0145】
A/シドニー/5/97(H3N2)株のインフルエンザに感染させる5分前に、6匹の野生型フェレットの4群は、実験用組成物あるいはコントロール組成物の鼻腔内用量を投与された。ネガティブコントロール群は、リン酸緩衝液(PBS)プラセボを投与された。ポジティブコントロール群は、タミフル(商標)(リン酸オセルタミビル、ニュージャージー州、ナトリーのRoche Laboratoriesから入手可能)で処理した。1実験群は、実施例6の鼻内スプレーで処理し、他の群は、類似の鼻内スプレーであるが緑茶抽出物を含んでいないもので処理した。最初の試み後、フェレットは、1日2回彼らに割り当てられた組成物を投与された。
【0146】
PBS処理コントロール群のフェレットは、インフルエンザA型に感染したフェレットの典型的な全症状(体重減少、熱、炎症性細胞数の増加、及び感染後1日目でのウイルス脱粒)を示した。タミフル(商標)処理コントロール群のフェレットは、体重減少、ウイルス脱粒、炎症性細胞数上昇の減少、及び熱症は見られなかった。
【0147】
実施例6のテスト処方および緑茶抽出物を含まない類似の鼻内スプレーの両者は、炎症性細胞数における低レベルの中間減少を提供し、熱症の発展を妨げ、ウイルス抑制を意味するウイルス脱粒を遅らせた。実施例6に従った鼻内スプレーで処理したフェレットは、タミフル(商標)で処理したフェレットより活発だった。
【実施例9】
【0148】
鼻内スプレーQR−435の特性をテストした。QR−435の処方は、以下の通りである:
QR−435処方
オレオレジンターメリック 0.0308重量%
水溶性樹脂(登録商標)ショウガ 0.0326重量%
セイヨウワサビ油#58 0.00300重量%
緑茶PE030725 0.0220重量%
グリセリン 2.3368重量%
脱イオン水 97.5749重量%
この研究は、感染した動物を処理し、前記感染した動物と近接して生活している動物へのウイルス伝染を阻止するための前記スプレーによる鼻腔内適用の有効性、及び未感染動物への予防を探索するものである。
【0149】
表25に示すように、50匹のフェレット(白色種またはフィッチ(HighgateFarms(Lincolnshire,GB)から))は、約6〜8ヵ月齢で体重700〜1200gであり、電子標識の後、6つのグループに分けた。健康スコアは、0日目から6日目まで測定し、インフルエンザA/シドニー/5/97(H3N2)尿膜ストックを有する適当な動物は、鼻孔当たり0.25mlの鼻腔注射のために麻酔下に置いた。
【0150】
【表25】
【0151】
【表26】
【0152】
伝染研究
伝染研究の目的は、ドナーフェレットから同じ囲いの未感染レシピエントフェレットへのインフルエンザウイルスの伝染を前記テスト化合物が阻止するかどうかを決定することである。群当たり1匹のフェレットにウイルスを接種して、接種約5分後、残りの非接種動物は前記テスト化合物あるいはコントロール化合物を投与した。テスト化合物あるいはコントロールの容量は、鼻孔当たり0.14mlであり、投与時間当たり総量0.28mlである。接種された動物は24時間単離し、次に1日目に適当な群に再接種した。接種された動物は、前記テスト化合物あるいは適切なコントロールで1日2回処理した。残りのフェレットは、実験期間中を通じて何も処理しなかった。0日目から6日目において、全てのフェレットは、臨床兆候、体重減少及び熱を観察した。鼻腔内洗浄回収を6日目に行い、洗浄回収量を測定し、鼻洗浄液の量を研究室ノートに記載した。回収された鼻洗浄液のウイルス力価は、MDCK細胞を用いて決定した。
【0153】
表27〜31は、伝染実験の結果を示したものである。表27は、インフルエンザの鼻症状を示した動物のパーセンテージを示したものである。
【0154】
【表27】
【0155】
表28は、身体的活動の減少を示した動物のパーセンテージを示したものである。
【0156】
【表28】
【0157】
インフルエンザ疾患に対する様々な基準が考えられ、症状を示す動物のパーセンテージを決定するために使用されている。鼻症状が考慮された場合(表27)、4日目に、プラセボ群の100%(4/4)の動物はインフルエンザの症状を示した一方、タミフル(商標)処理群の動物の50%(4/8)のみが4日目に症状を示した。QR435処理群における動物は症状を示さなかった。しかしながら6日目までに、QR435処理群の動物の37.5%は鼻症状を示した。これらはインフルエンザ感染によって引き起こされたものなのか、鼻スプレーの刺激によって引き起こされたものなのかは不明であった。
【0158】
活動の減少などのインフルエンザの全身性症状を考慮した場合、4日目までにプラセボ群における全て(4/4)の動物は症状を示したが、活性処理群における感染後全日において1匹(12.5%)のみが病気の兆候を示した。
【0159】
表29は、研究室確認済みインフルエンザおよび処理群における抗体陽転を示したものである。各動物はインフルエンザ感染が血清学によって確認され得る感染後である24日目の試みの前に出血させた。抗体陽転は、A/シドニー/5/97(H3N2)に対する抗HAI抗体の4倍上昇として定義した。表29において、プラセボ処理群およびタミフル(商標)処理群の両者における100%の動物が抗体陽転された。しかしながら、テストされた57%(4/7)のそれら動物のみがQR435処理群において抗体陽転された。装置の損失のせいで、1つの血清サンプルはテストできなかった。
【0160】
【表29】
【0161】
表30は、感染後6日目における鼻粘膜からの平均ウイルス脱粒を示したものである。鼻洗浄は、感染後6日目に行い、前記サンプルはインフルエンザウイルスに対してMDCK細胞上に滴定した。表30は、2つの活性処理群間のウイルス脱粒した動物の数における実質的な違いを示している。タミフル(商標)処理群の全動物と比較して、QR435処理群における1匹の動物のみがウイルス脱粒した。予想外に、プラセボ群における1匹の動物(25%)のみがウイルス脱粒した。
【0162】
【表30】
【0163】
処理群での平均ウイルス脱粒を計算し、ANOVAによって違いを比較した。その結果は統計的に有意(p=0.02)であった。T−テストは、複合テストに対するBonferroni補正を用いて実行し、タミフル(商標)処理群は、プラセボ処理群(p=0.021)及びQR435処理群(p=0.04)の両者と比較してより有意に脱粒したことが判明した。
【0164】
表31は、処理群での平均最大健康スコアである。最大健康スコアの平均及び標準偏差は、上述の予防研究結果において記載したように計算した。その結果は有意(p=0.02)であった。個々の群は上述したように比較し、両処理群はプラセボ群と比較して有意に低い最大健康スコアであった(QR435 p=0.006およびタミフル(商標) p=0.003)。
【0165】
【表31】
【0166】
感染後の健康スコアの合計を有するAUC様測定は各動物に対して計算した;処理群の平均および標準偏差を計算し、ANVOAを比較した。
【0167】
表32は、結果及び処理群間の違いは非常に有意(p=0.002)であったことを示したものである。個々の群はt−テストおよび複合テストに対するBonferroni補正を用いて比較し、両処理群は、プラセボ群と比較して有意に低い総健康スコアを示した(QR435 p=0.06およびタミフル(商標) p=0.03)。
【0168】
【表32】
【0169】
感染後の平均最大体重変化は同様に測定し、ANOVAによって比較した。その結果は有意ではなかった(p=0.90)。両処理群は、プラセボ群と比較して有意に低い体重減少を示した(QR435 p=0.055およびタミフル(商標) p=0.019)。感染後の体重変化の合計を比較するAUC様測定も各動物に対して測定し、ANOVAによって比較した。処理群間の違いは有意ではなかった(p=0.64)。
【0170】
予防研究
予防研究の目的は、テスト化合物で処理された未感染レシピエントフェレットの治療が感染ドナーからのウイルス感染を阻止するかどうかを決定することであった。群当たり1匹のフェレットをウイルスで接種し、接種後約5分で、残りの非接種動物にテスト化合物あるいはコントロール化合物を投与した。接種された動物は、24時間単離し、1日目に適当な群に再接種した。接種された動物は、テスト化合物あるいは適切なコントロールで処理しなかった。残りのフェレットは、前記テスト化合物あるいは適切なコントロールで1日2回処理した。テスト化合物あるいはコントロールの容量は、鼻孔当たり0.14mlであり、投与期間当たり0.28mlであった。0日目から6日目で、全てのフェレットで臨床兆候、体重減少及び熱を観察した。鼻腔内洗浄回収を6日目に行い、洗浄回収の容量を測定し、鼻洗浄の重量は研究所ノートに記載した。回収した鼻洗浄液のウイルス力価はMDCK細胞を用いて決定した。24日目で出血をコントロールアッセイのために採取した。
【0171】
各ドナー動物の感染は成功した。本研究のパラメータのおかげで、各ドナー動物の感染が成功したかを決定することは重要で、各ドナー動物は感染の臨床兆候及び抗体陽転を示した。しかしながら、ウイルス脱粒は鼻洗浄液には検出されなかった。ウイルス脱粒はしばしば6日目(6日目は洗浄液が採取される日である)以前に停止してしまうため、ドナー動物においてウイルス脱粒は少し見られるあるいは全く見られなかった。
【0172】
表33〜38は、予防研究の結果を示したものである。表33は、インフルエンザの鼻症状を示した動物のパーセンテージを示したものである。表34は、テスト期間中に身体的活動の減少を示した動物のパーセンテージを示したものである。
【0173】
【表33】
【0174】
【表34】
【0175】
予防研究結果
予防研究において、75%のプラセボ群(3/4)は、5日目にインフルエンザ感染の鼻症状を示したが、25%のタミフル(商標)群は3日目で鼻症状を示し、25%のQR435群は5日目で鼻症状を示した。身体的な活動の減少が見られた動物のパーセンテージを考慮した場合、その結果は100%のプラセボ群が身体的な活動の減少を示し、タミフル(商標)あるいはQR435群が活動の減少のあらゆる兆候が見られなかったという点では非常に劇的であった。表35は、処理群での平均最大健康スコアを示したものである。各動物に対する前記最大健康スコアの平均及び標準偏差は、処理群毎に計算し、ANOVAによって比較した。その結果は有意であった(p=0.087)。
【0176】
【表35】
【0177】
感染後の健康スコアの合計を有するAUC様測定は、各動物に対して計算した;処理群の平均及び標準偏差を計算し、ANOVOAを比較した。表35は、その結果及び処理群間の違いが非常に有意である(p<0.0005)ことを示している。個々の群はt−テストおよび複合テストに対するBonferroni補正を用いて比較し、両処理群はプラセボ群と比較して非常に有意に低い総健康スコアを示した。
【0178】
【表36】
【0179】
各動物は、試み前及び感染後24日目に出血し、それによってインフルエンザ感染を血清学によって確認した。抗体陽転は、接種株に対するHAI抗体は4倍増加した。
【0180】
【表37】
【0181】
表38は、研究室確認済みインフルエンザおよび処理群の感染後6日目のウイルス脱粒のパーセンテージを示したものである。鼻洗浄は感染後6日目に行い、そのサンプルはインフルエンザウイルスに対してMDCK細胞上で滴定した。表38は、2つの活性処理群間のウイルス脱粒が見られる動物の数に実質的な違いが見られた、すなわちプラセボ処理群において75%、タミフル(商標)処理群において87.5%であったのと比較して、QR435処理群に対しては、ウイルス脱粒が見られる動物は見られなかった。
【0182】
【表38】
【0183】
処理群の平均ウイルス脱粒を計算し、その違いはANOVAを比較した。その結果は、統計学的に有意であった(p=0.001)。T−テストは複合テストに対するBonferroni補正を用いて実行し、QR435処理群は、プラセボ処理群(p=0.004)及びタミフル(商標)処理群(p=0.002)の両者と比較して有意に低いウイルス脱粒が見られた。
【0184】
各動物に対する最大体重変化の平均及び標準偏差は、処理群で計算し、ANOVAによって比較した。その結果は有意であった(p=0.018)。個々の群はt−テストおよび複合テストに対するBonferroni補正を用いて比較した。両処理群は、プラセボ処理群と比較して有意に少ない(あるいは非常に近接した)体重減少が見られた(QR435 p=0.055およびタミフル(商標)p=0.019)。
【0185】
感染後の体重変化の合計を有するAUC様測定を各動物に対して計算した;処理群平均及び標準偏差を計算し、ANOVAで比較した。処理群間の違いは有意ではなかった(p=0.461)。
【0186】
感染後の平均最大体重変化も同様に計算し、ANOVAで比較した。その結果は有意であった(p=0.018)。両処理群は、プラセボ群と比較して有意に低い体重減少が見られた(QR435 p=0.055およびタミフル(商標)p=0.019)。感染後の体重変化の合計を有するAUC様測定を各動物に対して計算し、ANOVAで比較した。処理群間の違いは有意ではなかった(p=0.461)。
【0187】
結論
タミフル(商標)(リン酸オセルタミビル、1日2回5mg/kgで投与)で処理したポジティブ処理群は、伝染及び予防研究の両者においてインフルエンザの症状から保護された。一方、ウイルス脱粒及びレシピエント動物の抗体陽転の両者で示されたように、これらの動物は感染していた。対照的に、テスト化合物QR435は、感染を阻止する点では100%有効であり、伝染を阻止する点では部分的に有効であった。従って、本化合物の重要な利益は、感染を阻止する、特に疾患の拡大が減少することを意味するウイルス粒子の脱粒を抑制するその能力である。
【実施例10】
【0188】
SARSウイルスに対する殺ウイルス活性及びウイルス抑止活性のin vitro比較
2つの組成物であるQR439およびQR439(a)は、SARSウイルスに対する殺ウイルス活性及びウイルス抑止活性に対してin vitroでテストした。QR439は以下のように処方した。
(1)水溶性樹脂(登録商標)ショウガ 0.6849重量%
(2)オレオレジンターメリック 0.6466重量%
(3)緑茶PE 0.4619重量%
(4)グリセリン 49.1039重量%
(5)脱イオン化水 49.1039重量%
QR439(a)は以下のように処方した。
(1)水溶性樹脂(登録商標)ショウガ 0.6840重量%
(2)オレオレジンターメリック 0.6466重量%
(3)緑茶PE 0.4619重量%
(4)セイヨウワサビ油 0.063192重量%
(5)グリセリン 49.0723重量%
(6)脱イオン化水 49.0723重量%
テストにおいて、ポジティブコントロール化合物は、殺ウイルスアッセイに対しては1% Triton−X100(人工唾液[0.1% NaHCO3、 18% KH2PO4、0.1% 胃粘素、pHは6.0〜6.5に調節した]において)、及びウイルス抑止アッセイに対しては1%のDMSO(PBS中)におけるリバビリンRibavirin(200μ/ml)であった。
【0189】
ネガティブコントロール化合物は、殺ウイルスアッセイにのみに対して人工唾液(0.1% NaHCO3、18% KH2PO4、0.1% 胃粘素、pHは6.0〜6.5に調節した)であった。Urbani(ウルバニ)SARSウイルスは、105TCID50/mlのストック力価で使用した。テスト化合物であるQR439およびQR439(a)は、Strets Normasol(Seton Prebbles Ltd)中で希釈し、殺ウイルスアッセイに対して以下の希釈を作成した:1/10、1/20、1/40、1/80、1/160、1/320および1/640。
【0190】
殺ウイルスアッセイ方法
残余のウイルス力価は、96ウェルプレートにおいてウイルス増殖に対してC1008(ベロ76のクローン)細胞上で滴定した。その結果はCPE(細胞変性効果)に対して解析し、そのウイルス力価はKarber法を用いて決定した。
【0191】
殺ウイルスアッセイを実行する場合、以下の工程を実行した。360μlのテスト化合物は40μlウイルスと混合した。その混合物を攪拌し、30秒、1、2、4あるいは8分間インキュベートした。その反応は、3.6mlの感染培養液(DMEM、2mMのL−グルタミン、HEPES、ペニシリン―ストレプトマイシン)を添加することによって特定の時間で終了させた。その終了は、ウイルスおよびテスト化合物の両者はこの工程で10倍に希釈されるため、感染培養液を添加することによる希釈効果によって引き起こされた。残留するウイルス感染性は、96ウェルプレートにおいて10倍希釈でC1008細胞上において滴定した。C1008細胞は、7〜10日間37℃でインキュベートした。その結果はCPEに対してスコアを付け、ウイルス力価を計算した。前記細胞は感染後3、4及び5日目でCPEを調べた。
【0192】
毒性アッセイ方法
C1008細胞における毒性アッセイは、全3種類の化合物に対して実行し、ウイルス抑止アッセイに使用するための希釈を決定した。200μlの各テスト化合物及びコントロール化合物を96ウェルプレートの第一のウェル(2つ組)に添加し、2倍希釈シリーズに従って前記プレートにおいて滴定した。前記プレートは5%CO2、35℃でインキュベートした。前記細胞は3日インキュベーション後CPEを観察した。
【0193】
ウイルス抑止アッセイ方法
ウイルス抑止アッセイで使用した希釈は以下の通りである:QR439およびQR439(a):1/200、1/300、1/400、1/500、1/600。感染培養液(DMEM、2mMのL―グルタミン、HEPES、ペニシリン―ストレプトマイシン)は各テスト化合物を希釈するために適宜使用した。100μlの各希釈テスト化合物、及びポジティブコントロールはC1008細胞(2つ組)のウェルに添加し、5%CO2、35℃で30分間インキュベートした。インキュベーション期間後、10μlのUrbani(ウルバニ)SARSウイルス(105TCID50/mlのストック力価)をテスト化合物及びポジティブコントロールの各ウェルに添加した。前記プレートは、細胞のCPEを観察する前に5%CO2、35℃で3〜5日間インキュベートした。前記細胞のOD(光学密度)を測定するクリスタルバイオレットアッセイを、CPEを記録した後、前記プレート上で行った。OD値は、前記テスト化合物のTC50およびEC50を決定するために使用した。
【0194】
結果
前記テスト化合物に対して行った毒性アッセイの結果は、以下に示した表39に示した。各未希釈化合物は、プレートの第一列のウェルに2つ組で添加し、2倍希釈シリーズで前記プレートにおいて希釈した。1/8〜1/16希釈の範囲内の濃度は、殺ウイルスアッセイにおけるプレートに添加されたテスト化合物の濃度と同じであった。これは、終了培養液が添加された場合、前記化合物が1/10に希釈されたためである。
【0195】
【表39】
【0196】
表39は、両テスト化合物は、1/8希釈(これは未希釈化合物に対する殺ウイルスアッセイにおいて使用された希釈と同じである)で前記細胞に対して毒性であることを示している。殺ウイルスアッセイ及びウイルス抑止圧政において、1/128以上の希釈は毒性を除外するために必要であった。
【0197】
CPE観察(表40)は、テストした3種類の化合物のいずれでもウイルス抑止活性が検出されなかったことを示している。
【0198】
【表40】
【0199】
テスト化合物QR439およびQR439(a)に対して行われた殺ウイルスアッセイの結果は、それぞれ表41および表42に示した。表は、未希釈ウイルスの1/10希釈と同じであるテスト化合物の1/10希釈後のウイルス力価の減少を示すものであった。
【0200】
【表41】
【0201】
【表42】
【0202】
この結果は、QR439に対しては、1/320(30秒)及び1/640(30秒、1分および4分)は除いて、全接触時点での1/40〜1/640希釈において殺ウイルス活性における有意の減少が見られることを示している。この結果は、QR439(a)に対しては、1/20(4および8分)は除いて、全接触時点での1/20〜1/60希釈において殺ウイルス活性における有意の減少が見られることを示している。
【実施例11】
【0203】
H3N2インフルエンザ感染に対する抗菌性鼻スプレーの有効性
40フェレットをインフルエンザA/シドニー/5/97[H3N2]で感染させ、上述の実施例9で使用されたQR435、及びコントロール化合物で4日間処理した。臨床兆候は体重、直腸温度、細胞数、及びウイルス脱粒と平行して測定した。ウイルス接種材料A/シドニー/5/97は伝染力が強く、インフルエンザA感染の異なる症状を示すプラセボ処理(PBS)フェレットで病気の兆候が観察された。ポジティブコントロール(タミフル(商標))は、体重減少の軽減、熱、及び臨床症状において有効であった。病気の軽減は、QR435投与群には見られなかった。
【0204】
テスト化合物は鼻スプレーに上述の実施例9に記載されたような処方と共に1.8%活性化合物になるように含有された。ポジティブコントロール物質はタミフル(商標)(リン酸オセルタミビル)であり、1日2回5mg/kgで投与した。リン酸緩衝液(鼻スプレーとして)もコントロールとして使用し、1日4回鼻腔内に投与した。
【0205】
試みを行ったウイルスはA/シドニー/5/97[H3N2]であり、これはレトロスクリーン(retroscreen)ウイルス貯蔵庫から得た。フェレットはインフルエンザの感染が成功し、PBS処理群(ネガティブコントロール)において関連する病気の典型的な兆候を示した。タミフル(商標)処理群(ポジティブコントロール)は、ウイルス脱粒、体重減少、及び疾患スコアにおいて統計学的に有意な(もしくはほぼ有意な)減少を示し、その病気の重症度における減少を示した。
【0206】
2種類のテスト化合物処理群(QR435を1日2回及びQR435を1日4回)のどちらも、処理目的である疾患の軽減は示さなかった。しかしながら、上述の実施例9に示したように、QR435は抗伝染性及び予防的使用に対して有効性が認められていた。
【実施例12】
【0207】
鼻腔用スプレーの刺激性特性を軽減し、以前示された抗伝染性特性を維持するために、セイヨウワサビ濃度を変更することの有効性をフェレットモデルでテストした。QR−435完全セイヨウワサビALS流涎症スプレー処方は以下の通りである。
QR−435処方
オレオレジンターメリック 0.0308重量%
水溶性樹脂(登録商標)ショウガ 0.0326重量%
セイヨウワサビ油#58 0.00300重量%
緑茶PE030725 0.0220重量%
グリセリン 2.3368重量%
脱イオン化水 97.5749重量%
50%のセイヨウワサビテスト処方では、前記セイヨウワサビ油は0.0015重量%まで減少し、グリセリン及び脱イオン化水は0.000075重量%まで増加した。同様に、25%のセイヨウワサビ研究において、前記セイヨウワサビ油は0.000075まで減少し、グリセリン及び脱イオン化水は重量で0.001125%まで増加した。
【0208】
表43は、様々なフェレット群の分布とその囲い処理手順を示したものである。各群は、運搬上の理由から厳密に2つの囲いに再分割した。各群は、4匹のレシピエント動物及び1匹のドナー動物から成る。
【0209】
【表43】
【0210】
前記動物は、動物同定および体温モニタリングのためにプログラム可能で注入可能なトランスポンダ(応答機)を用いて電気的に標識した。血液サンプルは表面静脈から採取し、末梢血液は心臓穿刺によって採取した。
【0211】
ドナーフェレットは以下のように鼻腔内感染させた。5つの群から1匹の動物を取り除き、動物を麻酔下に置き、0.5mlのウイルス(鼻孔当たり0.25ml)で感染させた。前記ドナー動物は、テスト物質で処理しなかった。レシピエントフェレットは、表43及び表44の研究スケジュールに概要した処理群アサインメントに従って処理した。鼻洗浄回収を行い、鼻洗浄回収の容量を測定、計量し、鼻洗浄回収の容量を決定した。
【0212】
HIアッセイを同一ウイルスに対するサンプルで行い、もしあるならば、感染後の抗体陽転の程度を決定するのと同様に、フェレットの血清反応陰性を決定した。健康スコア、体重及び体温を記録した。鼻洗浄サンプルの総細胞数は、鼻上皮から回収された炎症性細胞反応性を評価するために、トリパンブルーを用いて決定した。鼻洗浄からのウイルス脱粒はMDCK細胞を用いて実行した。
【0213】
【表44】
【0214】
表45は、インフルエンザウイルスへの曝露後のドナー動物の臨床兆候を示したものである。表から分かるように、各ドナー動物はインフルエンザでの感染に成功した。
【0215】
【表45】
【0216】
レシピエントフェレットにおける病気に関連するインフルエンザは、以下のパラメータを用いて決定した:体重減少、熱、ウイルス脱粒、抗体陽転、臨床鼻兆候及び活性兆候、鼻細胞数。コントロール群(PBS処理群1a及び1b)は、体重減少、熱、抗体陽転及びいくつかの病気の臨床兆候の存在(活性及び鼻兆候を含む)を含む、インフルエンザの典型的な兆候を示した。タミフル(商標)処理群は、明らかな臨床兆候を示さず、抗体陽転をなかったので、タミフル(商標)処理はインフルエンザを軽減するのに効果的であると確認された。群間で体重減少のパーセンテージを比較することによって、病気における違いが存在すると示された。体重減少は、次のトラフ(谷)を同定後、各フェレットのピーク体重を見出すことによって計算した。ピーク及びトラフ間の体重の違いは、0日目に計測された基準体重のパーセンテージとして計算した。前記群を処理による体重減少において比較した場合、いくつかの処理は病気の著しい軽減を示した。表46の結果は、PBS処理群は、他の全処理とは著しく異なっていたことを示している(PBS対100%セイヨウワサビ p=0.008;PBS対50%セイヨウワサビ p=0.022;PBS対25%セイヨウワサビ p=0.005;PBS対タミフル(商標) p=0.003)。
【0217】
従って、テスト化合物は、別のフェレットからの天然伝染経路を介したインフルエンザに感染した動物における体重減少を阻止するのに、ポジティブコントロール(タミフル(商標))として有効であった。
【0218】
【表46A】
【0219】
【表46B】
【0220】
事前の体温測定より体温が3SD(標準偏差)以上に上昇した個々のフェレットは、強い熱性疾患を示すと判断された。各群に対して、1日目の各群の平均体温からSDを計算した。0日目に麻酔を使用し、フェレット体温の可能な事後修飾を行ったおかげで、1日目の体温は、基準平均及びSDを算出するために使用するのにより適切であると判断した。表47は、事前の体温測定からの3SD上昇として定義された熱の要約である。
【0221】
【表47】
【0222】
【表48】
【0223】
事前の体温測定からの3SD上昇として定義された熱のX2解析を使用して、以下のことが決定された。
【0224】
PBS処理 対 50%セイヨウワサビ p=0.106(表49)
PBS 対 10%セイヨウワサビ p=0.106(表50)
PBS 対 タミフル(商標) p=0.106(表51)。
【0225】
表48は、事前の体温測定から2SD以上の明らかな体温上昇を示したフェレットの数をまとめたものであり、中程度の熱性疾患を示すと判断された。
【0226】
【表49】
【0227】
【表50】
【0228】
【表51】
【0229】
事前の体温測定からの2SD上昇として定義された熱のX2解析を使用して、以下のことが決定された。
【0230】
PBS処理 対 50%セイヨウワサビ p=0.012(表52)
PBS 対 10%セイヨウワサビ p=0.106(表53)
PBS 対 タミフル(商標) p=0.106(表54)。
【0231】
【表52】
【0232】
【表53】
【0233】
【表54】
【0234】
結論
全てのテスト化合物処理フェレットが抗体陽転した一方、100%および50%セイヨウワサビ成分を含むQR−435は、体重及び体温で測定されたように、有意にあるいはほぼ有意に全身性症状を軽減することが見出された。しかしながら、病気の他の臨床兆候は、あらゆる処理によって抑止されなかった。コントロール群は、インフルエンザの臨床兆候を示した。PBS処理群は、インフルエンザ感染の典型的な兆候:体重減少、熱、及び抗体陽転、更には病気の軽い臨床兆候、活性の減少および鼻兆候、を示した。タミフル(商標)処理群は、有意な体重減少がなく、軽い臨床兆候およびウイルス脱粒が見られ、熱の重症度が軽減し、抗体陽転が見られなかった。
【0235】
テスト処理群において、病気の重症度は、熱および体重減少で定義された。全ての処理用量は、PBS群と比較した場合、体重減少の重症度を著しく減少した。熱が体温の2SD上昇として定義された場合、50%セイヨウワサビ処理群は、熱の発生率において有意な減少を示した。100%セイヨウワサビ処理群も熱を抑止し、ほぼ有意として見出された。熱が体温の3SD上昇として定義された場合、100%および50%セイヨウワサビ処理群は、熱の発生率においてほぼ有意な減少を示したが、25%セイヨウワサビ処理では熱の抑止はなかった。従って、100%および50%セイヨウワサビ処理は、25%セイヨウワサビ処理よりかなり有意に全身性兆候を軽減することが明らかになった。これによって、熱および体重減少の両者を抑止するために50%以上のセイヨウワサビを必要とする、強い用量依存性が示唆された。50%あるいはそれ以上のセイヨウワサビでの処理は、ドナーからレシピエントへのウイルス伝染の力価を減少し、それによって疾患症状の重症度を軽減する可能性がある。50%あるいはそれ以上のセイヨウワサビでの処理は、治療用に作用することによって病気を抑止することも可能である。
【実施例13】
【0236】
トリ株でのヒト感染の最初に確認されたケースは、18人感染して結果6人死亡した1997年香港H5N1感染であった。より最近の発生は南アジアで生じ、結果として表55に示したように多数者が死亡した。
【0237】
【表55】
【0238】
この研究は、以下の表56〜57に示された処方の、トリ株インフルエンザウイルスA/ベトナム/1194/04(H5N1)に対する有効性を検討したものである。ネガティブコントロールは、DMEM−DMSO1%であり、ウイルス抑止アッセイにおけるポジティブコントロールは0.37μMのアマンタジンであった。殺ウイルスアッセイにおけるポジティブコントロールは1% Tween−20/20%ETOH/PBS(最終濃度)であった。さらに、細胞のみおよびウイルスのみのポジティブコントロールも使用した。この細胞のみのコントロールは、維持培養液のみで使用した。ウイルスのみのコントロールに対して、テスト手順は、テスト化合物の代わりに使用された細胞維持培養液を除いて同一であった。表56〜57は、テストした処方を示している。
【0239】
【表56】
【0240】
【表57】
【0241】
殺ウイルスアッセイのエンドポイントは、細胞変性効果(CPE)の視覚観察によって決定し、残余ウイルス力価はKaber法によって決定した。テスト化合物に暴露したウイルス力価の減少は、ウイルスのみのコントロールとの比較によって決定した。抗ウイルス活性は、1−log10 TCID50/ml(Oxford,J.S.,et al.,"Sodium deoxycholate exerts a direct destructive effect on HIV and Influenza viruses in−vitro and inhibits retrovirus−induced pathology in an animal model."Antiv.Chem.Chemother.,5(3):176−181(1994)を参照)の減少である。ウイルス抑止アッセイのエンドポイントも、視覚CPEスコアで決定した。抗ウイルス活性は、感染の有無によって示した。
【0242】
ウイルス抑止アッセイ
ウイルス抑止アッセイにおいて、両処方I〜IIは、1/10(101)1/100(102)および1/1000(103)に希釈した。加えて、未希釈処方I〜II(100)もテストした。ウイルス抑止アッセイにおいて、メイディン・ダービーイヌ腎臓細胞(MDCK)は、96ウェルプレート(100μl/ウェル)に播種し、5% CO2の37℃で2日間インキュベートした。2日後、前記細胞は100μl/ウェルPBSで2回洗浄し、100μl/ウェル感染培養液に暴露した。適切なウイルスストックの1/103希釈を前記細胞へ添加し、標準インキュベーター条件下(すなわち5% CO2の37℃)で1〜2時間接着させた。各テスト処方(希釈あるいは未希釈)は、50μl/ウェルで感染細胞へ添加した。そのプレートは、標準インキュベーター条件下で3日間インキュベートした。CPE観察及びクリスタルバイオレット染色によってそのアッセイのエンドポイントを決定した。加えて、赤血球凝集アッセイ(HAは、2倍希釈シリーズに従って行った。
【0243】
クリスタルバイオレット染色において、処方Iが未希釈及び1/101希釈で使用された場合、複数のウイルス抑止活性が観察された。有効的な濃度であるEC50は、1/101.88(すなわち1/101〜1/102の間の希釈)であると計算された。
【0244】
このアッセイにおいて、CPEは処方IIの全希釈に対する全てのテストウェルにおいて観察された。クリスタルバイオレット染色において、ウイルス抑止活性は処方IIでは観察されなかった。
【0245】
表58は、ウイルス抑止アッセイからのHAアッセイデータを示したものである。
【0246】
【表58】
【0247】
16〜32HAUの範囲のアマンタジンに対するHA力価は、A/ベトナム/1194/04株に対する活性はほとんど示さなかった。
【0248】
殺ウイルスアッセイ
殺ウイルスアッセイにおいて、両処方IおよびIIは、1/10および1/80に希釈した。殺ウイルスアッセイにおいて、メイディン・ダービーイヌ腎臓細胞(MDCK)は、96ウェルプレート(100μl/ウェル)に播種し、5% CO2の37℃で2日間インキュベートした。2日後、前記細胞は100μl/ウェルPBSで2回洗浄し、100μl/ウェル感染培養液に暴露した。適切なウイルスストック(40μl/ウェル)の1/1000希釈を各テスト化合物(360μl)へ添加し、30秒あるいは5分間室温でインキュベーションした。反応は感染培養液(3.6ml)の添加によって終了した。反応の終了は、1:10希釈によって生じた。終了混合物は2つ組(111μl)で96ウェルプレートの第一列目へ添加し、10倍希釈シリーズに従って前記プレート全体に滴定した。前記プレートは標準インキュベーター条件下で3日間インキュベートし、CPEを測定した。赤血球凝集アッセイ(HA)は2倍希釈シリーズに従って実行した。
【0249】
表59は、処方を用いた殺ウイルスアッセイからのHAデータを示したものである。
【0250】
【表59】
【0251】
このデータは、5分インキュベーション後の処方I、及び30秒インキュベーション後の1/10希釈のみが殺ウイルス活性を有することを示している。
表60は、処方IIを用いた殺ウイルスアッセイのHAデータを示している。
【0252】
【表60】
【0253】
表60は、処方IIは、検出可能な殺ウイルス活性を有しているが、処方Iに対する観察と比較した場合に定量的に減少していることを示したものである。両殺ウイルスアッセイに対するポジティブコントロールは、1% Tween−20/20% ETOH/PBSであった。ポジティブコントロールは、全てのプレートにおいて一貫して2HAU以下であり、A/ベトナム/1194/04株に対して優れた抗ウイルス活性を示すものである。
【0254】
結論
処方Iは、殺ウイルス活性においてテストされた場合、検出可能な抗ウイルス活性を有していた。その活性は、ウイルス増殖においておよそ10倍減少を示す中程度として分類された。しかしながら、QR処方とインキュベートした場合、いくつかの非特異的変化が細胞単層において観察されたので、抗細胞性効果対(vs)抗ウイルス効果の正確な寄与は定量化できなかった。QR混合物の異なる成分が異なる抗細胞性効果及び抗ウイルス効果を発揮することは可能である。
【0255】
殺ウイルス活性は処方IIで検出されたが、処方IIは処方Iに比べて低い有効性を示した。1つの可能な今後の研究は、完全な化合物の各成分の寄与を検討することであろう。
【0256】
NI(ノイラミニダーゼ阻害剤)遮断剤は、トリインフルエンザ株H5N1を阻害することが示されたが、アマンタジンは、トリH5N1株に対して比較的不活性であると示された。
【0257】
しかしながら、本発明の多数の特徴及び利点が前述の記載において説明されていたけれども、それらは実例を述べたのみであることが理解される。本発明の方法を実行する際に、及び上述の本発明の組成物に対して、本発明の要点と範囲から逸脱することなく変更が行われるであろう。上述の記載に含まれる全ての内容は、実例を述べるものとして解釈されるものであり、限定を意味するものではない。本発明の範囲は、本明細書に添付された請求項から決定されるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物の伝染を減少させる方法であって、
微生物に起因する疾病にさらされているか、或いは微生物に起因した疾病に罹患した哺乳類若しくはトリに安全且つ有効量の組成物を投与する工程を有しており、前記組成物は、
ショウガから得られる第一成分と、
緑茶から得られる第二成分と、
許容可能な担体と
を有しており、
前記量は、投与された場合に、前記哺乳類若しくはトリに接触した別の哺乳類若しくはトリによって前記疾病にかかる発生率を減少させるのに有効な量である、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記疾病は、ウイルス、バクテリア、真菌、及び酵母から成る群から選択される微生物に起因するものである。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記微生物は、ヘルペスウイルス、HIVウイルス、AIDSウイルス、インフルエンザウイルス、H5N1インフルエンザウイルス、ライノウイルス、SARSウイルス、及び呼吸器合胞体ウイルスから成る群から選択されるウイルスである。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、錠剤、カプセル、ドロップ、トローチ剤、ハードキャンディー、チュアブル組成物、及びデンタルケア製品から成る群から選択される形態で投与されるものである。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、鼻腔用スプレー若しくは咽喉用スプレーとして投与されるものである。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記第一成分は、ショウガ粉末抽出物、ショウガ液体抽出物、ショウガ粉末、ショウガ植物全体の少なくとも一部、ショウガチンキ、ショウガ中に含まれる1若しくはそれ以上の化合物、及びそれらの混合物から成る群から選択されるものであり、
前記第二成分は、緑茶粉末、緑茶粉末抽出物、緑茶液体抽出物、緑茶の植物全体の少なくとも一部、緑茶のチンキ、緑茶中に含まれる1若しくはそれ以上の化合物、及びそれらの混合物から成る群から選択されるものである。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記第一成分はショウガ根粉末を有し、前記第二成分は緑茶抽出物を有するものである。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、1グラムあたり、約1mg〜約20mgの緑茶抽出物、及び約1mg〜約150mgのショウガ根粉末を有するものである。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、ウコンから得られる第三成分を更に有するものである。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、ウコンから得られる前記成分は、ウコン粉末抽出物、ウコン液体抽出物、ウコン抽出物、1若しくはそれ以上のクルクミノイド化合物、ウコンに含まれる1若しくはそれ以上の化合物、ウコン粉末、ウコン植物全体の少なくとも一部、ウコンチンキ、及びそれらの混合物から成る群から選択されるものである。
【請求項11】
請求項9記載の方法において、ウコンから得られる前記成分は、ウコン抽出物を有するものである。
【請求項12】
請求項9記載の方法において、前記組成物は、約1mg〜約20mgのウコン粉末抽出物を含むものである。
【請求項13】
請求項9記載の方法において、前記組成物は、セイヨウワサビ根から得られる第4成分を更に有するものである。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、エタノール、リスベラトロール、プロピレングリコール、及びグリセリンから選択される1若しくはそれ以上の成分を更に有するものである。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記組成物は、エタノールを有するものである。
【請求項16】
1若しくはそれ以上の疾病の重症度、前記疾病症状の重症度、前記疾病症状の発生率を軽減するための組成物の予防的使用方法であって、
前記疾病にさらされた、或いはさらされる哺乳類若しくはトリに、ある量の組成物を投与する工程を有しており、前記組成物は、
ショウガから得られる第一成分と、
緑茶から得られる第二成分と、
許容可能な担体と
を有しており、
前記量は、投与された場合に、1若しくはそれ以上の疾病の重症度、前記疾病症状の重症度、前記疾病症状の発生率を軽減するのに有効な量である、方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、前記疾病は、ウイルス、バクテリア、真菌、及び酵母から成る群から選択される微生物に起因するものである。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、前記ウイルスは、ヘルペスウイルス、HIVウイルス、AIDSウイルス、インフルエンザウイルス、H5N1インフルエンザウイルス、ライノウイルス、SARSウイルス、及び呼吸器合胞体ウイルスから成る群から選択されるものである。
【請求項19】
請求項16記載の方法において、前記組成物は、錠剤、カプセル、ドロップ、トローチ剤、ハードキャンディー、チュアブル組成物、及びデンタルケア製品から成る群から選択される形態で投与されるものである。
【請求項20】
請求項16記載の方法において、前記組成物は、鼻腔用スプレー、若しくは咽頭用スプレーとして投与されるものである。
【請求項21】
請求項16記載の方法において、前記第一成分は、ショウガ粉末抽出物、ショウガ液体抽出物、ショウガ粉末、ショウガ植物全体の少なくとも部分、ショウガチンキ、ショウガ中に含まれる1若しくはそれ以上の化合物、及びそれらの混合物から成る群から選択されるものであり、
前記第二成分は、緑茶粉末、緑茶粉末抽出物、緑茶液体抽出物、緑茶植物全体の少なくとも一部、緑茶チンキ、緑茶中に含まれる1若しくはそれ以上の化合物、及びそれらの混合物から成る群から選択されるものである。
【請求項22】
請求項16記載の方法において、前記第一成分はショウガ根粉末を有し、前記第二成分は緑茶抽出物を有するものである。
【請求項23】
請求項16記載の方法において、前記組成物は、1グラムあたり、約1mg〜約20mgの緑茶抽出物、及び約5mg〜約150mgのショウガ根粉末を含むものである。
【請求項24】
請求項16記載の方法において、前記組成物は、ウコンから得られる第三成分を更に有するものである。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、ウコンから得られる前記成分は、ウコン粉末抽出物、ウコン液体抽出物、ウコン抽出物、1若しくはそれ以上のクルクミノイド化合物、ウコン中に含まれる1若しくはそれ以上の他の化合物、ウコンチンキ、及びそれらの混合物から成る群から選択されるものである。
【請求項26】
請求項24記載の方法において、ウコンから得られる前記成分は、ウコン抽出物を有するものである。
【請求項27】
請求項24記載の方法において、前記組成物は、約1mg〜約20mgのウコン粉末抽出物を含むものである。
【請求項28】
請求項16記載の方法において、前記組成物は、セイヨウワサビ根から得られる第4成分を更に有するものである。
【請求項29】
請求項16記載の方法において、前記組成物は、エタノール、リスベラトロール、プロピレングリコール、及びグリセリンから選択される1若しくはそれ以上の成分を更に有するものである。
【請求項30】
請求項29記載の方法において、前記組成物は、エタノールを有するものである。
【請求項1】
微生物の伝染を減少させる方法であって、
微生物に起因する疾病にさらされているか、或いは微生物に起因した疾病に罹患した哺乳類若しくはトリに安全且つ有効量の組成物を投与する工程を有しており、前記組成物は、
ショウガから得られる第一成分と、
緑茶から得られる第二成分と、
許容可能な担体と
を有しており、
前記量は、投与された場合に、前記哺乳類若しくはトリに接触した別の哺乳類若しくはトリによって前記疾病にかかる発生率を減少させるのに有効な量である、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記疾病は、ウイルス、バクテリア、真菌、及び酵母から成る群から選択される微生物に起因するものである。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記微生物は、ヘルペスウイルス、HIVウイルス、AIDSウイルス、インフルエンザウイルス、H5N1インフルエンザウイルス、ライノウイルス、SARSウイルス、及び呼吸器合胞体ウイルスから成る群から選択されるウイルスである。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、錠剤、カプセル、ドロップ、トローチ剤、ハードキャンディー、チュアブル組成物、及びデンタルケア製品から成る群から選択される形態で投与されるものである。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、鼻腔用スプレー若しくは咽喉用スプレーとして投与されるものである。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記第一成分は、ショウガ粉末抽出物、ショウガ液体抽出物、ショウガ粉末、ショウガ植物全体の少なくとも一部、ショウガチンキ、ショウガ中に含まれる1若しくはそれ以上の化合物、及びそれらの混合物から成る群から選択されるものであり、
前記第二成分は、緑茶粉末、緑茶粉末抽出物、緑茶液体抽出物、緑茶の植物全体の少なくとも一部、緑茶のチンキ、緑茶中に含まれる1若しくはそれ以上の化合物、及びそれらの混合物から成る群から選択されるものである。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記第一成分はショウガ根粉末を有し、前記第二成分は緑茶抽出物を有するものである。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、1グラムあたり、約1mg〜約20mgの緑茶抽出物、及び約1mg〜約150mgのショウガ根粉末を有するものである。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、ウコンから得られる第三成分を更に有するものである。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、ウコンから得られる前記成分は、ウコン粉末抽出物、ウコン液体抽出物、ウコン抽出物、1若しくはそれ以上のクルクミノイド化合物、ウコンに含まれる1若しくはそれ以上の化合物、ウコン粉末、ウコン植物全体の少なくとも一部、ウコンチンキ、及びそれらの混合物から成る群から選択されるものである。
【請求項11】
請求項9記載の方法において、ウコンから得られる前記成分は、ウコン抽出物を有するものである。
【請求項12】
請求項9記載の方法において、前記組成物は、約1mg〜約20mgのウコン粉末抽出物を含むものである。
【請求項13】
請求項9記載の方法において、前記組成物は、セイヨウワサビ根から得られる第4成分を更に有するものである。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、エタノール、リスベラトロール、プロピレングリコール、及びグリセリンから選択される1若しくはそれ以上の成分を更に有するものである。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記組成物は、エタノールを有するものである。
【請求項16】
1若しくはそれ以上の疾病の重症度、前記疾病症状の重症度、前記疾病症状の発生率を軽減するための組成物の予防的使用方法であって、
前記疾病にさらされた、或いはさらされる哺乳類若しくはトリに、ある量の組成物を投与する工程を有しており、前記組成物は、
ショウガから得られる第一成分と、
緑茶から得られる第二成分と、
許容可能な担体と
を有しており、
前記量は、投与された場合に、1若しくはそれ以上の疾病の重症度、前記疾病症状の重症度、前記疾病症状の発生率を軽減するのに有効な量である、方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、前記疾病は、ウイルス、バクテリア、真菌、及び酵母から成る群から選択される微生物に起因するものである。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、前記ウイルスは、ヘルペスウイルス、HIVウイルス、AIDSウイルス、インフルエンザウイルス、H5N1インフルエンザウイルス、ライノウイルス、SARSウイルス、及び呼吸器合胞体ウイルスから成る群から選択されるものである。
【請求項19】
請求項16記載の方法において、前記組成物は、錠剤、カプセル、ドロップ、トローチ剤、ハードキャンディー、チュアブル組成物、及びデンタルケア製品から成る群から選択される形態で投与されるものである。
【請求項20】
請求項16記載の方法において、前記組成物は、鼻腔用スプレー、若しくは咽頭用スプレーとして投与されるものである。
【請求項21】
請求項16記載の方法において、前記第一成分は、ショウガ粉末抽出物、ショウガ液体抽出物、ショウガ粉末、ショウガ植物全体の少なくとも部分、ショウガチンキ、ショウガ中に含まれる1若しくはそれ以上の化合物、及びそれらの混合物から成る群から選択されるものであり、
前記第二成分は、緑茶粉末、緑茶粉末抽出物、緑茶液体抽出物、緑茶植物全体の少なくとも一部、緑茶チンキ、緑茶中に含まれる1若しくはそれ以上の化合物、及びそれらの混合物から成る群から選択されるものである。
【請求項22】
請求項16記載の方法において、前記第一成分はショウガ根粉末を有し、前記第二成分は緑茶抽出物を有するものである。
【請求項23】
請求項16記載の方法において、前記組成物は、1グラムあたり、約1mg〜約20mgの緑茶抽出物、及び約5mg〜約150mgのショウガ根粉末を含むものである。
【請求項24】
請求項16記載の方法において、前記組成物は、ウコンから得られる第三成分を更に有するものである。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、ウコンから得られる前記成分は、ウコン粉末抽出物、ウコン液体抽出物、ウコン抽出物、1若しくはそれ以上のクルクミノイド化合物、ウコン中に含まれる1若しくはそれ以上の他の化合物、ウコンチンキ、及びそれらの混合物から成る群から選択されるものである。
【請求項26】
請求項24記載の方法において、ウコンから得られる前記成分は、ウコン抽出物を有するものである。
【請求項27】
請求項24記載の方法において、前記組成物は、約1mg〜約20mgのウコン粉末抽出物を含むものである。
【請求項28】
請求項16記載の方法において、前記組成物は、セイヨウワサビ根から得られる第4成分を更に有するものである。
【請求項29】
請求項16記載の方法において、前記組成物は、エタノール、リスベラトロール、プロピレングリコール、及びグリセリンから選択される1若しくはそれ以上の成分を更に有するものである。
【請求項30】
請求項29記載の方法において、前記組成物は、エタノールを有するものである。
【公表番号】特表2008−523153(P2008−523153A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546852(P2007−546852)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/045218
【国際公開番号】WO2006/065889
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(503220565)ザ キグリー コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/045218
【国際公開番号】WO2006/065889
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(503220565)ザ キグリー コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】
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