病名推定装置および病名推定プログラム
【課題】 受診患者の病名を精度よく推定することのできる病名推定装置および病名推定プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】 複数の患者の病歴に関する情報を記憶する病歴マスタ161と、受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき上記受診患者の病名を推定する第1の病名推定部110と、病歴マスタ161に記憶された情報の中から上記受診患者の家族の病名を取得する第1の家族病名取得部120と、第1の家族病名取得部120により取得された病名に基づき上記受診患者の病名を推定する第2の病名推定部130と、第1の病名推定部110により推定された病名と第2の病名推定部130により推定された病名とを併せて表示する病名表示部150とを備えた。
【解決手段】 複数の患者の病歴に関する情報を記憶する病歴マスタ161と、受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき上記受診患者の病名を推定する第1の病名推定部110と、病歴マスタ161に記憶された情報の中から上記受診患者の家族の病名を取得する第1の家族病名取得部120と、第1の家族病名取得部120により取得された病名に基づき上記受診患者の病名を推定する第2の病名推定部130と、第1の病名推定部110により推定された病名と第2の病名推定部130により推定された病名とを併せて表示する病名表示部150とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院などにおける電子カルテシステムに用いられる、受診患者の病名を推定する病名推定装置および病名推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や診療所などにおいて、コンピュータを利用した電子カルテシステムが広く用いられるようになり医療のレベルアップに寄与しつつある。しかし、この電子カルテシステムの基礎となる高精度の病名推定技術はまだ確立されてはおらず、多くの場合、主訴・症状、検体検査結果などの情報に基づいて医師が病名を推定している。
【0003】
この電子カルテシステムに、いわゆる知識ベースを応用した病名推定方法も提案されており、例えば、主訴・症状を元に推定病名と必要検査項目を登録し、医師が発行した検査オーダに基づく検体検査結果を元に推定病名を判断して登録し、主訴・症状からの推定病名と検体検査結果からの推定病名を突き合わせて、一致した病名を推定病名として表示する病名推定システムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−263568号公報(第2−3頁、図1、2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の病名推定システムは、主訴・症状および検体検査結果から病名を推定するものであり、受診患者によっては、主訴・症状および検体検査結果からだけでは病名を精度よく推定することができない場合がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、受診患者の病名を精度よく推定することのできる病名推定装置および病名推定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の病名推定装置は、
受診患者の病名を推定する病名推定装置において、
複数の患者の病歴に関する情報を記憶する病歴マスタと、
上記受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき該受診患者の病名を推定する第1の病名推定部と、
上記病歴マスタに記憶された情報の中から上記受診患者の家族の病名を取得する第1の家族病名取得部と、
上記第1の家族病名取得部により取得された病名に基づき上記受診患者の病名を推定する第2の病名推定部と、
上記第1の病名推定部により推定された病名と上記第2の病名推定部により推定された病名とを併せて表示する病名表示部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の病名推定装置によれば、受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき病名を推定(第1の病名推定部)するとともに、受診患者の家族の病名を取得(第1の家族病名取得部)し、取得した家族の病名に基づき受診患者の病名を推定(第2の病名推定部)するようにし、これら2つの病名推定部で推定された病名を併せて医師に表示するようにしたので、医師は受診患者の主訴・症状および検体検査情報のみではなく、受診患者の家族の病歴が加味され精度の高い診断を下すことができる。
【0008】
なお、本発明にいう「受診患者の家族」は血縁上の家族をいい、血縁関係の無い者、例えば配偶者や養子等はここでいう「家族」には含まれない。以下も同様である。
【0009】
ここで、上記受診患者から得られる問診情報に基づき該受診患者の家族の病名を取得する第2の家族病名取得部を備え、
上記第2の病名推定部は、上記第1の家族病名取得部により取得された病名と上記第2の家族病名取得部により取得された病名とに基づき上記受診患者の病名を推定するものであってもよい。
【0010】
本発明の病名推定装置を上記のように構成した場合は、さらに、受診患者から得られる問診情報に基づき家族の病名を取得しこの情報を加味した病名推定ができるので、さらに精度よく病名を推定することができる。
【0011】
また、上記第2の病名推定部は、
上記病歴マスタのうちの上記受診患者の家族の病歴に関する情報が更新されたことを受けて、該更新された情報に基づき該受診患者の病名の再推定を行うものであってもよい。
【0012】
本発明の病名推定装置を上記のように構成した場合は、受診患者の診断が確定し病歴マスタが更新された時点で、その更新された情報に基づき受診患者の家族の診断情報を見直すことが可能となるので、より精度の高い病名推定装置を得ることができる。
【0013】
また、上記課題を解決する本発明の病名推定プログラムは、
コンピュータを、
受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき該受診患者の病名を推定する第1の病名推定部と、
複数の患者の病歴に関する情報が記憶された病歴マスタの中から上記受診患者の家族の病名を取得する第1の家族病名取得部と、
上記第1の家族病名取得部により取得された病名に基づき上記受診患者の病名を推定する第2の病名推定部と、
上記第1の病名推定部により推定された病名と上記第2の病名推定部により推定された病名とを併せて表示する病名表示部とを備えた病名推定装置として動作させることを特徴とする。
【0014】
本発明の病名推定プログラムによれば、上記のように構成したことにより、受診患者の主訴・症状および検体検査情報のみではなく、受診患者の家族の病歴を加味して精度の高い診断を下すことができる病名推定装置をコンピュータ上に容易に形成することができる。
【0015】
ここで、上記受診患者から得られる問診情報に基づき該受診患者の家族の病名を取得する第2の家族病名取得部を備え、
上記第2の病名推定部は、上記第1の家族病名取得部により取得された病名と上記第2の家族病名取得部により取得された病名とに基づき上記受診患者の病名を推定するものであってもよい。
【0016】
本発明の病名推定プログラムを上記のように構成した場合は、上記の2つの病名推定部で推定された病名を併せて医師に表示するようにしたので、医師は受診患者の主訴・症状および検体検査情報のみではなく、受診患者の家族の病歴が加味された精度の高い診断を下すことのできる病名推定装置をコンピュータ上に容易に形成することができる。
【0017】
また、上記第2の病名推定部は、上記病歴マスタのうちの上記受診患者の家族の病歴に関する情報が更新されたことを受けて、該更新された情報に基づき該受診患者の病名の再推定を行うものであってもよい。
【0018】
本発明の病名推定プログラムを上記のように構成した場合は、受診患者の診断が確定し病歴マスタが更新された時点で、その更新された情報に基づき受診患者の家族の診断情報を見直すことが可能となるので、より精度の高い病名推定装置をコンピュータ上に容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の病名推定装置および病名推定プログラムによれば、家族の病歴に関する情報が加味されて病名の推定が行われるので、受診患者の病名を精度よく推定することのできる病名推定装置および病名推定プログラムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は、本発明の病名推定装置および病名推定プログラムの一実施形態を示す概略構成図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の病名推定装置100は、第1の病名推定部110、第1の家族病名取得部120、第2の病名推定部130、第2の家族病名取得部140、病名表示部150、および病歴マスタ161を含むデータベース160を備えている。
【0023】
第1の病名推定部110は、受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき受診患者の病名を推定するものである。
【0024】
第1の家族病名取得部120は、病歴マスタ161に記憶された情報の中から受診患者の家族の病名を取得するものである。
【0025】
第2の病名推定部130は、第1の家族病名取得部120により取得された病名に基づき受診患者の病名を推定するものである。
【0026】
病名表示部150は、第1の病名推定部110により推定された病名と第2の病名推定部130により推定された病名とを併せて表示するものである。
【0027】
第2の家族病名取得部140は、受診患者から得られる問診情報に基づき受診患者の家族の病名を取得するものであり、この第2の家族病名取得部140を備えた場合には、上記第2の病名推定部130は、第1の家族病名取得部120により取得された病名と第2の家族病名取得部140により取得された病名とに基づき受診患者の病名を推定するように構成されている。
【0028】
また、本実施形態では、第2の病名推定部130は、病歴マスタ161のうちの受診患者の家族の病歴に関する情報が更新されたことを受けて、更新された情報に基づき受診患者の病名の再推定を行うものとして構成されている。
【0029】
データベース160は、複数の患者の病歴に関する情報を記憶する病歴マスタ161と、受診患者の患者ID、氏名、性別、生年月日、住所などの患者情報を記憶する患者マスタ162と、受診患者とその家族との続柄などを記憶する家族情報マスタ163と、受診患者の家族の病歴を記憶する家族歴マスタ164とから構成されている。
【0030】
また、本実施形態の病名推定プログラム180は、図1に示すように、第1の病名推定部110、第1の家族病名取得部120、第2の病名推定部130、第2の家族病名取得部140、および病名表示部150を備えている。
【0031】
この病名推定プログラム180は、次に説明するコンピュータシステムの主記憶装置上に形成され、CPUにより実行される。
【0032】
次に、本実施形態の病名推定装置のハードウエアについて説明する。
【0033】
図2は、本実施形態の病名推定装置および病名推定プログラムが形成されるコンピュータシステムの概要図である。
【0034】
図2には、図1に示した病名推定装置100、および病歴マスタ161を含むデータベース160が構築されるサーバ80、およびネットワーク86を介してサーバ80に接続された複数の端末装置80_1,80_2,80_3が例示的に示されている。
【0035】
サーバ80および端末装置80_1,80_2,80_3を構成するコンピュータシステムには、一般にワークステーションと呼ばれる高速かつ大容量のコンピュータシステム、またはパーソナルコンピュータシステムなどが用いられる。
【0036】
サーバ80および各端末装置80_1,80_2,80_3は、CPU、主記憶装置、ハードディスク、通信用ボード等が内蔵された本体部80a,80b,80c,80d、本体部80a,80b,80c,80dからの指示により画面上に画像や文字列を表示する表示装置81a,81b,81c,81d、サーバ80および各端末装置80_1,80_2,80_3にオペレータからの指示を入力するためのキーボード82a,82b,82c,82d、および表示画面上の任意の位置を指定することにより、その指定された位置に表示されていたアイコン等に応じた指示を入力するマウス83a,83b,83c,83dを備えている。
【0037】
サーバ80、各端末装置80_1,80_2,80_3、およびネットワーク86は、全体として本実施形態の病名推定装置100(図1参照)を形成する。
【0038】
本体部80a,80b,80c,80dは、さらに、フレキシブルディスク(図示せず)、MO(光磁気ディスク)85が装填されるFD装填口84a,84b,84c,84d、MO装填口85a,85b,85c,85dを有しており、それらの内部には、それらの装填口から装填されたフレキシブルディスクやMOをドライブしてアクセスするフレキシブルディスクドライブユニット、MOドライブユニットが内蔵されている。
【0039】
次に、本実施形態の病名推定装置におけるデータベース160を構成する各マスタのファイル構造について説明する。
【0040】
図3は、本実施形態における病歴マスタのファイル構造を示す図である。
【0041】
図3に示すように、この病歴マスタ161には、患者ID161a、データ格納数161b、診断日(1)161c、病名CD(1)161d、診断日(2)161e、病名CD(2)161f、診断日(3)161g、病名CD(3)161h、診断日(4)161i、病名CD(4)161j、…などの項目が設けられており、この病院で診療を受け病名が診断された患者の病歴、すなわち診断の日付と病名CD(コード)が患者IDごとに記憶されている。例えば、第1のレコード161_1には、患者ID:“321879”(受診患者の父)の病歴、第2のレコード161_2には、患者ID:“258741”(受診患者の母)の病歴、第3のレコード161_3には、患者ID:“731586”(受診患者の母の父)の病歴が記憶されている。
【0042】
図4は、本実施形態における患者マスタのファイル構造を示す図である。
【0043】
図4に示すように、この患者マスタ162には、患者ID162a、カナ氏名162b、氏名162c、性別162d、生年月日162e、住所162f、保険情報162g、…などの項目が設けられており、この病院で診療を受けた患者に関する各種の情報が記憶されている。例えば、受診患者の患者ID:“123456”、カナ氏名:“ヤマダ ジロウ”、氏名:“山田 次郎”、…などが記憶されている。
【0044】
図5は、本実施形態における家族情報マスタのファイル構造を示す図である。
【0045】
図5に示すように、この家族情報マスタ163には、患者ID163a、データ格納数163b、続柄CD(1)163c、患者ID(1)163d、続柄CD(2)163e、患者ID(2)163f、続柄CD(3)163g、患者ID(3)163h、続柄CD(4)163i、患者ID(4)163j、…などの項目が設けられており、受診患者の家族の続柄CD及び患者IDなどが記憶されている。図5に示す家族情報マスタ163には、受診患者(患者ID:“123456”)の4人の家族情報が記憶されている。
【0046】
図6は、本実施形態における家族歴マスタのファイル構造を示す図である。
【0047】
図6に示すように、この家族歴マスタ164には、患者ID164a、続柄CD(1)164b、病名CD(1)164c、続柄CD(2)164d、病名CD(2)164e、続柄CD(3)164f、病名CD(3)164g、…などというように受診患者のID:“123456”と、その家族の病歴、例えば父−胃がん、母−糖尿病、母−痛風などコードで記憶されている。
【0048】
なお、本実施形態では、上記の4つの基本的なマスタのほかに、次のような補助的なマスタも用いられる。
【0049】
図7は、本実施形態における続柄マスタのファイル構造を示す図である。
【0050】
図7に示すように、この続柄マスタ171には、続柄CD(コード)171a、例えば“01”およびその続柄名171b:“父”が記憶されている。
【0051】
図8は、本実施形態における病名マスタのファイル構造を示す図である。
【0052】
図8に示すように、この病名マスタ172には、病名CD(コード)172a、例えば“605003”、その病名172b::“糖尿病”、及び遺伝性フラグ172c:“1”が記憶されている。
【0053】
ここで、遺伝性フラグ172cとしては、その病名が遺伝性を有するものである場合には“1”、遺伝性を有しないものである場合には“0”が記憶されるようになっている。遺伝性フラグ172cの機能については後述する。
【0054】
図9は、本実施形態における検査項目マスタのファイル構造を示す図である。
【0055】
図9に示すように、この検査項目マスタ173には、検査項目CD(コード)173a、検査項目名称173b、正常値下限173c、及び正常値上限173dが記憶されている。例えば、検査項目CD:“01001”、検査項目名称:“GOT”の正常値下限:“8”及び正常値上限:“38”とは、“GOT”の検査値が“8以上、38以下”の範囲内であればこの患者の“GOT”検査値は正常であるということを表している。
【0056】
図10は、本実施形態における推定病名マスタのファイル構造を示す図である。
【0057】
図10に示すように、この推定病名マスタ174には、検査項目CD(コード)174a、上限外推定病名174b、及び下限外推定病名174cの各項目が設けられており、上限外推定病名174bの下には、病名CD(1)174b_1、病名CD(2)174b_2、病名CD(3)174b_3、病名CD(4)174b_4、病名CD(5)174b_5、…が、また、下限外推定病名174cの下には、病名CD(1)174c_1、病名CD(2)174c_2、病名CD(3)174c_3、病名CD(4)174c_4、病名CD(5)174c_5、…が設けられている。
【0058】
ここで、第1のレコード174_1は、検査項目CD:“01001”の検査値が正常値上限(図9参照)を外れた時には、病名CDが“145983”、“236714”、または“569376”のいずれかである可能性が高く、検査項目CD:“01001”の検査値が正常値下限を外れた時には病名CD:“268902”である可能性が高いということを表している。
【0059】
図11は、本実施形態における主訴・症状別推定病名マスタのファイル構造を示す図である。
【0060】
図11に示すように、この主訴・症状別推定病名マスタ175には、患者の主訴・症状に関する基本的な情報であるキー情報175aと、そのキー情報から推定される推定病名コードを示す推定病名175bの2項目が設けられており、キー情報175aの下には、部位175a_1、箇所175a_2、いつから175a_3、痛み方175a_4、吐き気175a_5、発熱175a_6、黄疸175a_7の7項目、推定病名175bの下には、病名CD(1)175b_1、病名CD(2)175b_2、病名CD(3)175b_3、病名CD(4)175b_4、病名CD(5)175b_5の5項目が設けられている。この主訴・症状別推定病名マスタ175の詳細については、後述する。
【0061】
次に、本実施形態の病名推定装置100および病名推定プログラム180の動作について説明する。
【0062】
図12は、本実施形態の病名推定装置および病名推定プログラムの動作を示すフローチャートである。
【0063】
図12に示すように、この病名推定装置および病名推定プログラムは、患者別主訴・症状入力画面の表示およびデータ入力(S01)、患者別主訴・症状入力データの登録(S02)、家族情報入力画面の表示およびデータ入力(S03)、検体検査結果の取得(S04)、家族歴の取得・編集(S05)、病名の推定・表示処理(S06)、医師による診断情報入力(S07)、病名診断再計算処理(S08)の7段階の処理からなる。このうち、家族歴の取得・編集(S05)、病名の推定・表示処理(S06)の2段階の処理が本発明にいう第1の病名推定部110(図1参照)、第1の家族病名取得部120、第2の病名推定部130、第2の家族病名取得部140、および病名表示部150に相当する。
【0064】
図12に示すように、先ず、利用者による主訴・症状入力画面の表示およびデータ入力が行われる(ステップS01)。
【0065】
図13は、本実施形態における主訴・症状入力画面を示す図である。
【0066】
図13に示すように、この主訴・症状入力画面200には、患者ID入力域200a、部位入力域200b、箇所入力域200c、いつから入力域200d、痛み方入力域200e、吐き気入力域200f、発熱入力域200g、黄疸入力域200h、および次へボタン200i、登録ボタン200jが設けられている。
【0067】
通常、比較的に規模の大きい病院では、受診患者が初診である場合には、医師の診察に先立って予診が行われるようになっていることが多い。そのような場合には、受診患者が所定の問診票などに記入するか、あるいは看護師などが受診患者から聞き取ることにより問診情報が作成される。
【0068】
こうして作成された問診情報に基づき、利用者により、主訴・症状入力画面200の患者ID入力域200aに“123456”、というように受診患者の患者IDが入力されると、図4に示す患者マスタ162が参照され、患者マスタ162中に患者IDが“123456”であるレコードが存在する場合には、患者ID入力域200aに、“123456”に続けて図示のように患者情報が表示される。患者マスタ162中に患者ID“123456”のレコードが存在しない場合には、“123456”に続けて“山田 次郎 男 36歳 1967/10/01生…”などのように患者情報を入力することにより、これらの患者情報が新たなレコードとして患者マスタ162に追加される。
【0069】
次に、部位入力域200bに“8”(腹)、箇所入力域200cに“1”(中央)、いつから入力域200dに“4”(1W前)、痛み方入力域200eに“1”(チクチク)…というように主訴・症状データが入力される。
【0070】
利用者による主訴・症状データの入力終了後、登録ボタン200jが押下されるとそれまでに入力された主訴・症状データは、図14に示す主訴・症状データファイル210に登録される(図12:ステップS02)。
【0071】
図14は、本実施形態における主訴・症状データファイルの構造を示す図である。
【0072】
図14に示すように、この主訴・症状データファイル210には、患者ID210a、部位210b、箇所210c、いつから210d、痛み方210e、吐き気210f、発熱210g、黄疸210hの各項目が設けられており、それぞれ、主訴・症状入力画面200(図13参照)により入力された“123456”、“8”、“1”、“4”、“1”、“1”、“2”、“2”が記憶されている。
【0073】
図13に示した主訴・症状入力画面200において、次へボタン200iが押下されると、図15に示す、家族情報入力画面の表示およびデータ入力が行われる(図12:ステップS03)。
【0074】
図15は、本実施形態における家族情報入力画面を示す図である。
【0075】
図15に示すように、この家族情報入力画面220には、患者ID入力域220a、家族情報入力域220b、および登録ボタン220cが設けられている。
【0076】
家族情報入力域220bには、受診患者の家族の続柄入力域220b_1,220b_3,220b_5,220b_7,220b_9、および受診患者の家族の患者ID入力域220b_2,220b_4,220b_6,220b_8,220b_10が設けられている。
【0077】
前述の問診情報に基づき、利用者により、患者ID入力域220aへの受診患者のID情報が入力され、家族情報入力域220bへの受診患者の家族のID情報が入力される。ここで、例えば、続柄入力域220b_1に“01”と入力すると、図7に示した続柄マスタ171が参照され、その結果、続柄入力域220b_1の右側に、受診患者との続柄“父” が表示される。さらに、患者ID入力域220b_2に受診患者の“父”の患者ID“321879”を入力すると、図4に示した患者マスタ162が参照され、患者マスタ162の中に受診患者の“父”のレコードが登録されていた場合には、患者マスタ162から“父”の氏名“山田 一郎”が読み出されて、患者ID入力域220b_2の右側に表示される。
【0078】
こうして、家族情報入力画面220の各続柄入力域および患者ID入力域に受診患者の家族情報が入力された後、登録ボタン220cが押下されると、それまでに入力された受診患者の家族情報は、家族情報マスタ163(図5参照)に登録される。
【0079】
次に、受診患者の検体検査結果の取得が行われ、検体検査結果ファイル(図16参照)に記憶される(図12:ステップS04)。
【0080】
大病院の場合は診察効率を向上させるために、検体検査は、医師による診察の前に行われるのが一般的であるので、本実施形態では、検体検査結果の取得をこのタイミングで行うようにしてある。
【0081】
図16は、本実施形態における検体検査結果ファイルのファイル構造を示す図である。
【0082】
図16に示すように、この検体検査結果ファイル240には、患者ID240a、検査日240b、検査結果数240c、検査項目CD(1)240d、検査結果(1)240e、検査項目CD(2)240f、検査結果(2)240g、検査項目CD(3)240h、検査結果(3)240i、検査項目CD(4)240j、検査結果(4)240kなどの項目が設けられており、これらの各項目に、各検体検査による検査データが、例えば図示のように、“123456”、“2004/6/2”、“12”、“01001”、“21.5”、“01002”、“14.8”、“10501”、“86”、“21005”、“7.0”などと記憶されている。
【0083】
次に、家族歴の取得および編集が行われる(図12:ステップS05)。この家族歴の取得および編集は次に示す家族歴取得・編集サブルーチンにより実行される。
【0084】
図17は、本実施形態における家族歴取得・編集サブルーチンのフローチャートである。
【0085】
図17のフローチャートに示すように、先ず、受診患者の問診情報から家族歴1テーブルのデータの取得が行われる(ステップS051)。
【0086】
この家族歴1テーブルのデータの取得は、図18に示す問診(家族歴1)入力画面により行われる。
【0087】
図18は、本実施形態における問診(家族歴1)入力画面を示す図である。
【0088】
図18に示すように、この問診(家族歴1)入力画面230には、患者ID入力域230a、家族歴入力域230b、戻るボタン230c、および登録ボタン230dが設けられている。
【0089】
患者ID入力域230aには、家族情報入力画面220(図15参照)で入力された受診患者のID、氏名、性別、年齢、生年月日などの情報が表示される。
【0090】
家族歴入力域230bには、受診患者の家族の続柄入力域230b_1,230b_3,230b_5,230b_7,230b_9、およびその病名入力域230b_2,230b_4,230b_6,230b_8,230b_10が設けられている。
【0091】
図15を参照して説明した受診患者から取得した問診情報に基づき、受診患者の家族の病歴について一件ずつ続柄入力域および病名入力域に入力される。
【0092】
なお、例えば続柄入力域230b_1の右側に“父”などと表示されているのは、家族情報入力画面220(図15参照)におけると同様である。また、病名入力域230b_2に“101001”と入力されると、図8に示した病名マスタ172が参照され、“101001”に対応する病名“胃がん”が読み出され、病名入力域230b_2に右側に“胃がん”と表示される。
【0093】
こうして、各続柄入力域および病名入力域に受診患者の家族の病歴が入力された後、登録ボタン230dが押下されると、それまでに入力された受診患者の家族の病歴は、次に示す家族歴1テーブル(図19参照)に登録される。なお、家族の病歴を入力中に家族情報自体を入力し直す必要が生じた場合は、戻るボタン230cを押下することにより家族情報入力画面220(図15参照)に戻り、家族情報を再編集することができるようになっている。
【0094】
図19は、本実施形態における家族歴1テーブルを示す図である。
【0095】
図19に示すように、この家族歴1テーブル251には、データ数251a:“3”、続柄CD(1)251b:“01”(父)、病名CD(1)251c:“101001”(胃がん)、続柄CD(2)251d:“02”(母)、病名CD(2)251e:“605003”(糖尿病)、続柄CD(3)251f:“02”(母)、病名CD(3)252g:“785600”(痛風)が記憶されている。
【0096】
次に、家族歴マスタから家族歴2テーブルのデータの取得が行われる(図17:ステップS052)。
【0097】
図20は、本実施形態における家族歴2テーブルのデータ取得の手順を示すフローチャートである。
【0098】
このフローチャートはサブルーチン形式となっており、図に示した家族歴取得・編集サブルーチンのステップS051から制御が移され、終了後はステップS05にリターンするようになっている。
【0099】
このフローチャートで用いられる変数について説明する。
【0100】
変数Iは受診患者の家族情報数を表す変数であり、変数Kは家族の診断病名数を表す変数であり、変数JおよびLはワーク用のインデックスである。
【0101】
図20に示すように、先ず受診患者の患者IDをキーにして、家族情報マスタ163(図3参照)から受診患者のレコード163_1を読み込み(ステップS052_1)、このレコード163_1のデータ格納数163bに記憶された値“4”を変数Iにセットする(ステップS052_2)。
【0102】
次に、ステップS052_3において変数Iが0、すなわちデータ格納数が“0”であるか否かが判定され(ステップS052_3)、変数Iが0でない場合はステップS052_4に進むが、変数Iが0である場合はこのサブルーチンの処理を終了する。
【0103】
ステップS052_4では変数Jに1をセットした後、変数Jが変数Iを超えたか否かが判定される(ステップS052_4)。
【0104】
ステップS052_4における判定の結果、変数Jが変数Iを超えた場合はこのサブルーチンの処理を終了する。
【0105】
ステップS052_4における判定の結果、変数Jが変数Iを超えていない場合はステップS052_6に進み、家族情報マスタ163(図3参照)の受診患者のレコード163_1の患者ID(J)をキーとして病歴マスタ161(図3参照)の読み込みが行われ、次に、ステップS052_7において、病歴マスタ161に該当するレコードが有るか否かが判定される。
【0106】
ステップS052_7における判定の結果、該当するレコードが無い場合はステップS052_8に進み、変数Jをインクリメントした後、ステップS052_5に戻る。
【0107】
ステップS052_7における判定の結果、該当するレコードが有る場合はステップS052_9に進む。ここでは、変数Jは最初は1にセットされているので、受診患者のレコード163_1の患者ID(1):“321879”をキーとして、病歴マスタ161(図3参照)のレコード161_1が読み込まれ、受診患者の父の病歴、すなわち診断日(1):“2001/5/19”、病名CD(1):“101005”が取得される。なお、この“101005”は、病名マスタ172(図8参照)のレコード172−6に記憶されているように“噴門部胃がん”である。この例では、ステップS052_7における判定の結果は、該当するレコードが有る場合に相当するのでステップS052_9に進む。
【0108】
ステップS052_9では、変数Kに病歴マスタ161(図3参照)のレコード161_1のデータ格納数161bに記憶された値“1”をセットする。
【0109】
次に、ステップS052_10において、変数Lに1をセットした後、変数Lが変数Kを超えたか否かが判定される(ステップS052_11)。
【0110】
ステップS052_11における判定の結果、変数Lが変数Kを超えている場合はステップS052_8に進み、変数Jをカウントアップした後、ステップS052_5に戻る。
【0111】
ステップS052_11における判定の結果、変数Lが変数Kを超えていない場合はステップS052_12に進み、病歴マスタ161(図3参照)のレコード161_1の病名CD(1):“101005”と、家族情報マスタ163(図3参照)の受診患者のレコード163_1の続柄(I)を家族歴2テーブルへ格納する。
【0112】
次に、ステップS052_13において、変数Lをカウントアップした後、ステップS052_11に戻る。
【0113】
以上の処理が完了すると、受診患者の家族歴2テーブルのデータが形成され、次に示す家族歴2テーブルに格納される。
【0114】
図21は、本実施形態における家族歴2テーブルを示す図である。
【0115】
図21に示すように、この家族歴2テーブル252には、データ数252a、続柄CD(1)252b、病名CD(1)252c、続柄CD(2)252d、病名CD(2)252e、続柄CD(3)252f、病名CD(3)252g、続柄CD(4)252h、病名CD(4)252i…などの項目が設けられており、受診患者の家族歴2のデータ数として“2”、“父”の病名CD:“101005”(噴門部胃がん)、“母”の病名CD:“605003” (糖尿病1型)、および“兄”の病名CD:“489600” (高血圧)が記憶されている。
【0116】
次に、上記の家族歴1テーブル251と家族歴2テーブル252とから家族歴サマリデータの作成が行われる(図17:ステップS053)。
【0117】
本実施形態の病名推定装置では、家族歴サマリデータの作成に際して、家族歴2テーブルのデータと家族歴1テーブルのデータとを比較してこの後の処理で利用する家族歴サマリデータを作成するように構成されているが、同一の情報が存在する場合には、医師の診断に基づく家族歴2テーブルのデータの方を優先させて家族歴サマリデータを作成するように定めている。
【0118】
図22は、本実施形態における家族歴サマリデータの作成の際の判定ルールを示す図である。
【0119】
図22に示すように、この判定ルール260は、続柄と病名区分によって家族歴サマリデータに採用する家族歴データを、家族歴2テーブルのデータと家族歴1テーブルのデータのいずれにするかを定めている。
【0120】
なお、病名区分とは、本実施形態の病名推定装置における6桁の病名CDのうち先頭の3桁のコードをいい、例えば、病名CD:“101001”の病名区分と病名CD:“101005”の病名区分はともに“101”ということになる。
【0121】
図22に示すように、続柄が一致し、かつ病名区分が一致したケース1の場合には、家族歴2テーブルのデータを家族歴サマリデータとして採用することを定め、続柄が一致するが病名区分が一致しないケース2の場合には、家族歴1テーブルのデータおよび家族歴2テーブルのデータの双方を家族歴サマリデータとして採用することを定め、続柄が一致しないケース3の場合には、家族歴1テーブルのデータおよび家族歴2テーブルのデータの双方を家族歴サマリデータとして採用することを定めている。
【0122】
次に、上記の判定ルール260と、家族歴1テーブル251(図19参照)および家族歴2テーブル252(図21参照)を用いた家族歴サマリデータの作成例を次に示す。
【0123】
図23は、本実施形態における家族歴サマリデータ作成例(1)を示す図である。
【0124】
この家族歴サマリデータ作成例(1)では、家族歴2テーブルのデータのうち、続柄CD(1)252b:“01”(父)の病名CD(1)252c:“101005”の病名区分:“101”と、家族歴1テーブルのデータの病名CD(1)164b:“101001”の病名区分:“101”とが比較され、続柄CDも病名区分もともに一致しているので、図22に示す判定ルール260のケース1と判定され、家族歴2テーブルのデータの(父)の続柄CD(1)および病名CD(1):“噴門部胃がん”が家族歴サマリデータとして出力される。このデータ出力と同時に家族歴2テーブルから削除される。かつ、同じデータと見られる家族歴1テーブルのデータも削除される。削除後の各テーブルの状態は、図23の一点鎖線内に示した通りである。
【0125】
図24は、本実施形態における家族歴サマリデータ作成例(2)を示す図である。
【0126】
この家族歴サマリデータ作成例(2)では、家族歴2テーブルのデータの(母)の病名CD(2)252e:“605005”についても、上記作成例(1)と同様、家族歴1テーブルのデータの病名CD(2)164d:“605003”の病名区分:“605”および病名CD(3)164f:“785600”の病名区分:“785”とが比較され、家族歴1テーブルのデータの病名CD(2)は、続柄CDも病名区分もともに一致しているので、図22に示す判定ルール260のケース1と判定され、家族歴2テーブルのデータの(母)の続柄CD(2)および病名CD(2):“糖尿病1型”が家族歴サマリデータとして出力される。
【0127】
なお、家族歴1テーブルのデータの病名CD(3)については、続柄CDは一致しているものの病名区分は一致していないので、図22に示す判定ルール260のケース2と判定され、家族歴2テーブルのデータの(母)の続柄CD(3)および病名CD(3):“痛風”が家族歴サマリデータとして出力される。
【0128】
また、家族歴2テーブルのデータの(兄)の病名CD(3)252g:“489600”についても、上記と同様、家族歴1テーブルのデータの各病名CDと比較され、続柄CDが一致していないので、図22に示す判定ルール260のケース3と判定され、家族歴2テーブルのデータの(兄)の続柄CD(3)および病名CD(3)が家族歴サマリデータとして出力される。家族歴サマリデータとして出力されたこれらのデータは、データ出力と同時に家族歴2テーブルおよび家族歴1テーブルから削除される。削除後の各テーブルの状態は、図24の一点鎖線内に示した通りである。
【0129】
図25は、本実施形態における家族歴サマリデータを示す図である。
【0130】
図25には、図23,25を参照して説明した作成例による家族歴サマリデータ270、すなわち、“父”の病歴データ270a、“母”の病歴データ270b、“兄”の病歴データ270c、“母”の病歴データ270dが示されている。これらの各病歴データのうちの最初の3つのデータは医師の診断による情報であるので“情報区分”として“1”が付され、最後の4つ目のデータは問診による情報であるので“情報区分”として“2”が付される。
【0131】
なお、本実施形態の病名推定装置においては、家族歴1テーブルのデータおよび家族歴2テーブルのデータに基づき家族歴サマリデータを作成している例を示したが、本発明の病名推定装置は、必ずしも家族歴1テーブルのデータと家族歴2テーブルのデータの双方を用いる態様に限定されるものではなく、家族歴2テーブルのデータのみを用いてサマリデータを作成するようにしてもよい。
【0132】
家族歴サマリデータの作成(図17:ステップS053)が終了すると、図12に示すメインルーチンに戻り病名の推定・表示処理(図12:ステップS06)が行われる。
【0133】
図12に示すフローチャートのステップS06では、検体検査結果からの病名推定処理および主訴・症状からの病名推定処理が行われ、次に、検体検査結果から推定した病名と主訴・症状から推定した病名の突き合わせ処理が行われる。
【0134】
図26は、検体検査結果からの病名推定処理のフローチャートである。
【0135】
この処理では、検体検査結果ファイル240(図16参照)に記憶された4件の検体検査結果データを一件ずつ取り出し、検査項目マスタ173(図9参照)の正常値下限173cおよび正常値上限173dとの突き合わせを行い、正常値の範囲内であるか否かの判定を行う(ステップS061〜S062)。
【0136】
ステップS062における判定の結果、その検査結果データが正常値の範囲内にある場合はその検査項目については問題がないので、ステップS061に戻り、次の検査結果データの処理を続ける。
【0137】
検体検査結果ファイル240(図16参照)に示した例では、検査結果(1)〜(3)は、いずれも検査項目マスタ173(図9参照)に示した正常値下限以上、かつ正常値上限以下であり、正常値の範囲内に収まっているのでステップS062からステップS061に戻ることとなる。
【0138】
ステップS062における判定の結果、その検査結果データが正常値の範囲外にある場合にはステップS063に進み、その検査結果データが検査項目マスタ173(図9参照)の正常値上限173dを超えているか否かの判定が行われる。
【0139】
ステップS063における判定の結果、その検査結果データが検査項目マスタ173(図9参照)の正常値上限173dを超えている場合は、ステップS065に進み、推定病名マスタ174(図10参照)の上限外推定病名の病名コードを全て患者別検査別推定病名ファイル281(図27参照)へ出力した後、ステップS061に戻り、次の検査結果データの処理を続ける。
【0140】
検体検査結果ファイル240(図16参照)に示した例では、検査結果(4)(検査項目CD(4)240j:“21005”)は“7.0”を示しており、検査項目マスタ173(図9参照)に示した検査項目“21005”(HBA1c)の正常値上限“5.6”を超えているので、この場合はステップS065に進み、推定病名マスタ174(図10参照)のうちの検査項目“21005”(HBA1c)の上限外推定病名174bの病名CD“605003”が、患者別検査別推定病名ファイル281(図27参照)に出力される。
【0141】
ステップS063における判定の結果、その検査結果データが検査項目マスタ173(図9参照)の正常値上限173dを超えていない場合には、その検査結果データは検査項目マスタの正常値下限を超えていることを示しているので、推定病名マスタ174(図10参照)の下限外推定病名の病名コードを全て患者別検査別推定病名ファイル281に出力(ステップS064)した後、ステップS061に戻り、次の検査結果データの処理を続ける。
【0142】
図27は、本実施形態における患者別検査別推定病名ファイルを示す図である。
【0143】
図27に示すように、この患者別検査別推定病名ファイル281には、受診患者の患者ID281a:“123456”、および受診患者の検体検査結果から推定された病名CD(1)281b:“605003”(糖尿病)、病名CD(2)281c:“704360”(すい臓炎)が記憶されている。
【0144】
この推定病名“605003”(糖尿病)は、前述の通り、検体検査結果ファイル240(図16参照)に示した検査結果のうち、検査項目“21005”(HBA1c)が“7.0”で、検査項目マスタ173(図9参照)に示した検査項目“21005”(HBA1c)の正常値上限“5.6”を超えている。従って、この場合はステップS065に進み、推定病名マスタ174(図10参照)のうちの検査項目“21005”の上限外推定病名174bの病名CD“605003”(糖尿病)と推定される。
【0145】
なお、推定病名“704360”(すい臓炎)は、検体検査結果ファイル240(図16参照)には図示省略されている他の検査結果から推定された病名である。
【0146】
次に、主訴・症状からの病名推定処理について説明する。
【0147】
この処理では、医師の診察結果に基づき主訴・症状入力画面200(図13参照)で登録された主訴・症状データファイル210(図14参照)の主訴・症状データ210b〜210hをキーとして、主訴・症状別推定病名マスタ175(図11参照)を検索し、上記キーに合致する推定病名を取得し、それを患者別主訴別推定病名ファイルへ出力する。
【0148】
図28は、本実施形態における患者別主訴別推定病名ファイルの構造を示す図である。
【0149】
図28に示すように、この患者別主訴別推定病名ファイル282には、受診患者の患者ID282a:“123456”、および受診患者の主訴・症状から推定された病名CD(1)282b:“605003”(糖尿病)、病名CD(2)282c:“984650”(虫垂炎)が記憶されている。
【0150】
次に、上記の患者別検査別推定病名ファイル281(図27参照)と患者別主訴別推定病名ファイル282(図28参照)との突き合わせ処理が行われる。
【0151】
この突き合わせ処理では、患者別検査別推定病名ファイル281と患者別主訴別推定病名ファイル282の病名CDが一致した場合は、その病名CDを推定病名ファイル283に出力し、患者別検査別推定病名ファイル281に存在する病名CDが患者別主訴別推定病名ファイル282にない場合は、患者別検査別推定病名ファイル281の病名CDを推定病名ファイル283に出力し、患者別主訴別推定病名ファイル282に存在する病名CDが患者別検査別推定病名ファイル281にない場合は、患者別主訴別推定病名ファイル282の病名CDを推定病名ファイル283に出力する。
【0152】
図29は、本実施形態における推定病名ファイルの構造を示す図である。
【0153】
図29に示すように、この推定病名ファイル283には、受診患者の患者ID283a:“123456”と、患者別検査別推定病名ファイル281と患者別主訴別推定病名ファイル282の双方から出力された病名CD(1)283b:“605003”(糖尿病)および遺伝性フラグ(1)283c:“1”(該当)と、患者別検査別推定病名ファイル281から出力された病名CD(2)283d:“704360”(すい臓炎)および遺伝性フラグ(2)283e:“0”(非該当)と、患者別主訴別推定病名ファイル282から出力された病名CD(3)283f:“984560”(虫垂炎)および遺伝性フラグ(3)283g:“0”(非該当)とが記憶されている。
【0154】
次に、推定病名ファイル283(図29参照)と家族歴サマリデータ270(図25参照)に記憶された家族歴サマリデータとの突き合わせ処理が行われる。すなわち、推定病名ファイル283に記憶された3つの推定病名について、遺伝性フラグが“1”である推定病名をチェックする。
【0155】
図30は、推定病名ファイルと家族歴サマリデータの突き合わせ処理のフローチャートである。
【0156】
図30に示すように、先ず、推定病名ファイルから病名CDの読み込みが開始される(ステップS071)。このとき変数Iは“1”に初期化される。
【0157】
次に、遺伝性フラグ(I)が“1”であるか否かの判定が行われる(ステップS072)。
【0158】
ステップS072における判定の結果、遺伝性フラグ(I)が“1”である場合はステップS073に進み、遺伝性フラグ(I)が“1”でない場合はステップS076に進む。
【0159】
ステップS073では、推定病名ファイル283の病名CD(I)で家族歴サマリデータ270を検索し、ステップS074において、同じ病名区分の家族歴データが存在するか否かの判定が行われる。
【0160】
ステップS074における判定の結果、同じ病名区分の家族歴データが存在する場合はステップS075に進み、同じ病名区分の家族歴データが存在しない場合はステップS076に進む。
【0161】
ステップS075では、推定病名画面(図31参照)へ、推定病名ファイル283の病名CD(I)の推定病名と、同じ病名区分の家族歴データの続柄、罹患時の年齢、および情報区分(医師診断か問診かの別)などからなる編集情報を出力し、ステップS077へ進む。
【0162】
ステップS076では、推定病名画面(図31参照)へ、推定病名ファイル283の病名CD(I)の推定病名のみを出力し、ステップS077へ進む。
【0163】
ステップS077では、変数Iをインクリメントした後、ステップS078へ進み、病名CD(I)にデータがないか否かの判定が行われる。
【0164】
ステップS077における判定の結果、病名CD(I)にデータがある場合はステップS072に戻り次のデータの処理が続けられるが、病名CD(I)にデータがない場合はこのサブルーチンを終了する。
【0165】
この例では、推定病名ファイル283(図29参照)の病名CD(1)283b:“605003”の遺伝性フラグ(1)283cが“1”であるので、この受診患者“123456”の家族の中に遺伝性疾患である糖尿病の病歴を持つ人がいることがわかる。また、その人の受診患者との続柄は家族歴サマリデータ270(図25参照)の中の病名区分が“605”である病歴データ270bから続柄は“母”であること、また、その状態区分は“医師診断” であることがわかる。
【0166】
図31は、本実施形態における病名推定画面を示す図である。
【0167】
図31に示すように、この病名推定画面290には、患者ID表示域290a、推定病名表示欄290b、推定病名(家族歴考慮)表示欄290c、および診断入力ボタン290dが設けられており、推定病名表示欄290bには、“糖尿病”、“すい臓炎”、“虫垂炎” の3つの病名が、また、推定病名(家族歴考慮)表示欄290cには、“糖尿病・母(57歳時)糖尿病1型・医師診断”、“すい臓炎”、“虫垂炎”の3つの病名が表示されている。
【0168】
この病名推定画面290では、受診患者の家族に遺伝性疾患該当者がいる場合はその病名に“★”を付して表示されるようになっている。
【0169】
病名推定画面290への推定病名の表示が終了すると、次に、医師による診断情報入力(図12:ステップS07)が行われる。
【0170】
医師は、病名推定画面290の表示を見終わった後、診断入力ボタン290dを押下すると、次に示す診断情報入力画面が表示される。
【0171】
図32は、本実施形態における診断情報入力画面を示す図である。
【0172】
図32に示すように、この診断情報入力画面291には、患者ID表示域291a、今回の診断日入力域291b、今回の診断病名CD291c、過去の診断記録表示域291d、および登録ボタン291eが設けられている。
【0173】
医師は、これまでに得られた情報、すなわち病名推定画面290に表示された推定病名に関する情報を総合して診断を下し、診断日:“2004/6/30”および病名CD:“605007”(糖尿病1型)を診断日入力域291bおよび診断病名CD291cに入力する。
【0174】
入力終了後、登録ボタン291eが押下されると、この診断情報は、病歴マスタ161(図3参照)に登録される。
【0175】
医師による診断情報の登録が終了すると、次に、病名診断再計算処理(図12:ステップS07)が行われる。
【0176】
本実施形態の病名推定装置では、第2の病名推定部130(図1参照)は、病歴マスタ161(図3参照)のうちの受診患者の家族の病歴に関する情報が更新されたことを受けて、その更新された情報に基づき、過去にこの病院で診察を受けた患者の病名を再推定することができるように構成されている。
【0177】
すなわち、この病名診断再計算処理は、上記のように、診断情報入力画面291(図32参照)により受診患者“山田 次郎”に対して病名 “糖尿病1型”の診断が下されたことを受けて、この受診患者の兄の“山田 太郎”に対して“2004/5/24”に下された病名診断の再計算処理を可能とするものである。
【0178】
この病名診断再計算処理の対象としては、例えば病歴マスタ161(図3参照)のうちの診断日が、上記受診患者の診断日よりも3ヶ月以内である患者が自動的に抽出されるというようにするのがよい。
【0179】
図33は、本実施形態における病名診断再計算処理画面を示す図である。
【0180】
図33に示すように、この病名診断再計算処理画面292には、患者ID表示域292a、今回の診断日入力域292b、今回の診断病名CD292c、過去の診断日表示域292d、過去の診断病名CD292e、および登録ボタン292fが設けられている。また、この病名診断再計算処理画面292の下部にはコメント表示域293が表示されるようになっている。
【0181】
図34は、本実施形態における病名診断再計算処理のフローチャートである。
【0182】
図34に示すように、病歴マスタ161(図3参照)は監視プログラムにより絶えず更新が監視されており(ステップS081)、更新が行われるとステップS082に進み、更新された病名の遺伝性フラグが立っているか否かの判定が行われる。
【0183】
ステップS082における判定の結果、更新された病名の遺伝性フラグが立っていない場合にはステップS081に戻り、更新の監視が続けられる。
【0184】
ステップS082における判定の結果、更新された病名の遺伝性フラグが立っている場合にはステップS083に進み、更新された病歴マスタの患者IDが家族情報として登録されている家族情報マスタ163(図5参照)の検索が行われる。
【0185】
検索の結果、該当するレコードが存在するか否かの判定が行われる(ステップS084)。
【0186】
ステップS084における判定の結果、該当するレコードが存在しない場合はステップS081に戻り、更新の監視が続けられる。
【0187】
ステップS084における判定の結果、該当するレコードが存在する場合はステップS085に進み、患者情報マスタ163(図5参照)の主キーである患者ID163aをプログラム内の所定のテーブルに格納する。該当するレコードが複数存在する場合は複数回の処理が繰り返される。例えば、病名が追加された患者が親の場合には、その患者の子供でかつその病院に罹っている人数分のレコードが該当するはずである。また、祖父母の場合には、さらに該当する人数が増えることとなる。
【0188】
次に、取得した患者IDごとに病名診断の再処理が行われる(ステップS086)。この病名診断の再処理では、図12に示したフローチャートにおけるステップS02からステップS06までのステップが実行される。
【0189】
次に、再処理結果の通知が行われる(ステップS087)。
【0190】
次に、取得した患者IDについての再処理が全て終了したか否かの判定が行われる(ステップS088)。
【0191】
ステップS088における判定の結果、再処理が全て終了していない場合はステップS086に戻り再処理が繰り返される。
【0192】
ステップS088における判定の結果、再処理が全て終了している場合はこの処理を終了する。
【0193】
図33に示した例では、この患者“山田 太郎”の弟“山田 次郎”の“2004/6/30”の診断結果(図32参照)を受けて、この患者“山田 太郎”の病名診断再計算処理が行われた結果、コメント表示域293に図示のようなコメントが表示された状態が示されている。
【0194】
なお、病名診断再計算処理の結果、前回の処理結果と同一の結果が得られた場合は、必ずしも通知の必要はないが、医師への参考情報、すなわち今後気をつけるべき病気のウォーニング情報として有効な場合が多いので通知することが好ましい。
【0195】
この場合の通知のタイミングや通知方法については次のような案が考えられる。
【0196】
通知のタイミングとしては、例えば、リアルタイムすなわち再処理の結果が得られた時や、受診患者の電子カルテを開いた時などが考えられる。
【0197】
また、通知方法としては、例えば、担当医師に対するメールや、電子カルテへの表示などが考えられる。
【0198】
以上説明したように、病名診断の再計算処理の結果を医師に通知することにより、その医師の過去の診断の正当性を医師自身が検証ができ、また、今後の治療を行う際に気をつけなければならない疾患についての情報を医師が正確に把握することが可能となる。
【0199】
以下に本発明の各種態様を付記する。
【0200】
(付記1)
受診患者の病名を推定する病名推定装置において、
複数の患者の病歴に関する情報を記憶する病歴マスタと、
前記受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき該受診患者の病名を推定する第1の病名推定部と、
前記病歴マスタに記憶された情報の中から前記受診患者の家族の病名を取得する第1の家族病名取得部と、
前記第1の家族病名取得部により取得された病名に基づき前記受診患者の病名を推定する第2の病名推定部と、
前記第1の病名推定部により推定された病名と前記第2の病名推定部により推定された病名とを併せて表示する病名表示部とを備えたことを特徴とする病名推定装置。
【0201】
(付記2)
前記受診患者から得られる問診情報に基づき該受診患者の家族の病名を取得する第2の家族病名取得部を備え、
前記第2の病名推定部は、前記第1の家族病名取得部により取得された病名と前記第2の家族病名取得部により取得された病名とに基づき前記受診患者の病名を推定するものであることを特徴とする付記1記載の病名推定装置。
【0202】
(付記3)
前記第2の病名推定部は、前記病歴マスタのうちの前記受診患者の家族の病歴に関する情報が更新されたことを受けて、該更新された情報に基づき該受診患者の病名の再推定を行うものであることを特徴とする付記1または2記載の病名推定装置。
【0203】
(付記4)
コンピュータを、
受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき該受診患者の病名を推定する第1の病名推定部と、
複数の患者の病歴に関する情報が記憶された病歴マスタの中から前記受診患者の家族の病名を取得する第1の家族病名取得部と、
前記第1の家族病名取得部により取得された病名に基づき前記受診患者の病名を推定する第2の病名推定部と、
前記第1の病名推定部により推定された病名と前記第2の病名推定部により推定された病名とを併せて表示する病名表示部とを備えた病名推定装置として動作させることを特徴とする病名推定プログラム。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】本発明の病名推定装置および病名推定プログラムの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態の病名推定装置および病名推定プログラムが形成されるコンピュータシステムの概要図である。
【図3】本実施形態における病歴マスタのファイル構造を示す図である。
【図4】本実施形態における患者マスタのファイル構造を示す図である。
【図5】本実施形態における家族情報マスタのファイル構造を示す図である。
【図6】本実施形態における家族歴マスタのファイル構造を示す図である。
【図7】本実施形態における続柄マスタのファイル構造を示す図である。
【図8】本実施形態における病名マスタのファイル構造を示す図である。
【図9】本実施形態における検査項目マスタのファイル構造を示す図である。
【図10】本実施形態における推定病名マスタのファイル構造を示す図である。
【図11】本実施形態における主訴・症状別推定病名マスタのファイル構造を示す図である。
【図12】本実施形態の病名推定装置および病名推定プログラムの動作を示すフローチャートである。
【図13】本実施形態における主訴・症状入力画面を示す図である。
【図14】本実施形態における主訴・症状データファイルの構造を示す図である。
【図15】本実施形態における家族情報入力画面を示す図である。
【図16】本実施形態における検体検査結果ファイルのファイル構造を示す図である。
【図17】本実施形態における家族歴取得・編集サブルーチンのフローチャートである。
【図18】本実施形態における問診(家族歴1)入力画面を示す図である。
【図19】本実施形態における家族歴1テーブルを示す図である。
【図20】本実施形態における家族歴2テーブルのデータ取得の手順を示すフローチャートである。
【図21】本実施形態における家族歴2テーブルを示す図である。
【図22】本実施形態における家族歴サマリデータの作成の際の判定ルールを示す図である。
【図23】本実施形態における家族歴サマリデータ作成例(1)を示す図である。
【図24】本実施形態における家族歴サマリデータ作成例(2)を示す図である。
【図25】本実施形態における家族歴サマリデータを示す図である。
【図26】検体検査結果からの病名推定処理のフローチャートである。
【図27】本実施形態における患者別検査別推定病名ファイルを示す図である。
【図28】本実施形態における患者別主訴別推定病名ファイルの構造を示す図である。
【図29】本実施形態における推定病名ファイルの構造を示す図である。
【図30】推定病名ファイルと家族歴サマリデータの突き合わせ処理のフローチャートである。
【図31】本実施形態における病名推定画面を示す図である。
【図32】本実施形態における診断情報入力画面を示す図である。
【図33】本実施形態における病名診断再計算処理画面を示す図である。
【図34】本実施形態における病名診断再計算処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0205】
100 病名推定装置
110 第1の病名推定部
120 第1の家族病名取得部
130 第2の病名推定部
140 第2の家族病名取得部
150 病名表示部
160 データベース
161 病歴マスタ
162 患者マスタ
163 家族情報マスタ
164 家族歴マスタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院などにおける電子カルテシステムに用いられる、受診患者の病名を推定する病名推定装置および病名推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や診療所などにおいて、コンピュータを利用した電子カルテシステムが広く用いられるようになり医療のレベルアップに寄与しつつある。しかし、この電子カルテシステムの基礎となる高精度の病名推定技術はまだ確立されてはおらず、多くの場合、主訴・症状、検体検査結果などの情報に基づいて医師が病名を推定している。
【0003】
この電子カルテシステムに、いわゆる知識ベースを応用した病名推定方法も提案されており、例えば、主訴・症状を元に推定病名と必要検査項目を登録し、医師が発行した検査オーダに基づく検体検査結果を元に推定病名を判断して登録し、主訴・症状からの推定病名と検体検査結果からの推定病名を突き合わせて、一致した病名を推定病名として表示する病名推定システムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−263568号公報(第2−3頁、図1、2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の病名推定システムは、主訴・症状および検体検査結果から病名を推定するものであり、受診患者によっては、主訴・症状および検体検査結果からだけでは病名を精度よく推定することができない場合がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、受診患者の病名を精度よく推定することのできる病名推定装置および病名推定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の病名推定装置は、
受診患者の病名を推定する病名推定装置において、
複数の患者の病歴に関する情報を記憶する病歴マスタと、
上記受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき該受診患者の病名を推定する第1の病名推定部と、
上記病歴マスタに記憶された情報の中から上記受診患者の家族の病名を取得する第1の家族病名取得部と、
上記第1の家族病名取得部により取得された病名に基づき上記受診患者の病名を推定する第2の病名推定部と、
上記第1の病名推定部により推定された病名と上記第2の病名推定部により推定された病名とを併せて表示する病名表示部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の病名推定装置によれば、受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき病名を推定(第1の病名推定部)するとともに、受診患者の家族の病名を取得(第1の家族病名取得部)し、取得した家族の病名に基づき受診患者の病名を推定(第2の病名推定部)するようにし、これら2つの病名推定部で推定された病名を併せて医師に表示するようにしたので、医師は受診患者の主訴・症状および検体検査情報のみではなく、受診患者の家族の病歴が加味され精度の高い診断を下すことができる。
【0008】
なお、本発明にいう「受診患者の家族」は血縁上の家族をいい、血縁関係の無い者、例えば配偶者や養子等はここでいう「家族」には含まれない。以下も同様である。
【0009】
ここで、上記受診患者から得られる問診情報に基づき該受診患者の家族の病名を取得する第2の家族病名取得部を備え、
上記第2の病名推定部は、上記第1の家族病名取得部により取得された病名と上記第2の家族病名取得部により取得された病名とに基づき上記受診患者の病名を推定するものであってもよい。
【0010】
本発明の病名推定装置を上記のように構成した場合は、さらに、受診患者から得られる問診情報に基づき家族の病名を取得しこの情報を加味した病名推定ができるので、さらに精度よく病名を推定することができる。
【0011】
また、上記第2の病名推定部は、
上記病歴マスタのうちの上記受診患者の家族の病歴に関する情報が更新されたことを受けて、該更新された情報に基づき該受診患者の病名の再推定を行うものであってもよい。
【0012】
本発明の病名推定装置を上記のように構成した場合は、受診患者の診断が確定し病歴マスタが更新された時点で、その更新された情報に基づき受診患者の家族の診断情報を見直すことが可能となるので、より精度の高い病名推定装置を得ることができる。
【0013】
また、上記課題を解決する本発明の病名推定プログラムは、
コンピュータを、
受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき該受診患者の病名を推定する第1の病名推定部と、
複数の患者の病歴に関する情報が記憶された病歴マスタの中から上記受診患者の家族の病名を取得する第1の家族病名取得部と、
上記第1の家族病名取得部により取得された病名に基づき上記受診患者の病名を推定する第2の病名推定部と、
上記第1の病名推定部により推定された病名と上記第2の病名推定部により推定された病名とを併せて表示する病名表示部とを備えた病名推定装置として動作させることを特徴とする。
【0014】
本発明の病名推定プログラムによれば、上記のように構成したことにより、受診患者の主訴・症状および検体検査情報のみではなく、受診患者の家族の病歴を加味して精度の高い診断を下すことができる病名推定装置をコンピュータ上に容易に形成することができる。
【0015】
ここで、上記受診患者から得られる問診情報に基づき該受診患者の家族の病名を取得する第2の家族病名取得部を備え、
上記第2の病名推定部は、上記第1の家族病名取得部により取得された病名と上記第2の家族病名取得部により取得された病名とに基づき上記受診患者の病名を推定するものであってもよい。
【0016】
本発明の病名推定プログラムを上記のように構成した場合は、上記の2つの病名推定部で推定された病名を併せて医師に表示するようにしたので、医師は受診患者の主訴・症状および検体検査情報のみではなく、受診患者の家族の病歴が加味された精度の高い診断を下すことのできる病名推定装置をコンピュータ上に容易に形成することができる。
【0017】
また、上記第2の病名推定部は、上記病歴マスタのうちの上記受診患者の家族の病歴に関する情報が更新されたことを受けて、該更新された情報に基づき該受診患者の病名の再推定を行うものであってもよい。
【0018】
本発明の病名推定プログラムを上記のように構成した場合は、受診患者の診断が確定し病歴マスタが更新された時点で、その更新された情報に基づき受診患者の家族の診断情報を見直すことが可能となるので、より精度の高い病名推定装置をコンピュータ上に容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の病名推定装置および病名推定プログラムによれば、家族の病歴に関する情報が加味されて病名の推定が行われるので、受診患者の病名を精度よく推定することのできる病名推定装置および病名推定プログラムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は、本発明の病名推定装置および病名推定プログラムの一実施形態を示す概略構成図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の病名推定装置100は、第1の病名推定部110、第1の家族病名取得部120、第2の病名推定部130、第2の家族病名取得部140、病名表示部150、および病歴マスタ161を含むデータベース160を備えている。
【0023】
第1の病名推定部110は、受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき受診患者の病名を推定するものである。
【0024】
第1の家族病名取得部120は、病歴マスタ161に記憶された情報の中から受診患者の家族の病名を取得するものである。
【0025】
第2の病名推定部130は、第1の家族病名取得部120により取得された病名に基づき受診患者の病名を推定するものである。
【0026】
病名表示部150は、第1の病名推定部110により推定された病名と第2の病名推定部130により推定された病名とを併せて表示するものである。
【0027】
第2の家族病名取得部140は、受診患者から得られる問診情報に基づき受診患者の家族の病名を取得するものであり、この第2の家族病名取得部140を備えた場合には、上記第2の病名推定部130は、第1の家族病名取得部120により取得された病名と第2の家族病名取得部140により取得された病名とに基づき受診患者の病名を推定するように構成されている。
【0028】
また、本実施形態では、第2の病名推定部130は、病歴マスタ161のうちの受診患者の家族の病歴に関する情報が更新されたことを受けて、更新された情報に基づき受診患者の病名の再推定を行うものとして構成されている。
【0029】
データベース160は、複数の患者の病歴に関する情報を記憶する病歴マスタ161と、受診患者の患者ID、氏名、性別、生年月日、住所などの患者情報を記憶する患者マスタ162と、受診患者とその家族との続柄などを記憶する家族情報マスタ163と、受診患者の家族の病歴を記憶する家族歴マスタ164とから構成されている。
【0030】
また、本実施形態の病名推定プログラム180は、図1に示すように、第1の病名推定部110、第1の家族病名取得部120、第2の病名推定部130、第2の家族病名取得部140、および病名表示部150を備えている。
【0031】
この病名推定プログラム180は、次に説明するコンピュータシステムの主記憶装置上に形成され、CPUにより実行される。
【0032】
次に、本実施形態の病名推定装置のハードウエアについて説明する。
【0033】
図2は、本実施形態の病名推定装置および病名推定プログラムが形成されるコンピュータシステムの概要図である。
【0034】
図2には、図1に示した病名推定装置100、および病歴マスタ161を含むデータベース160が構築されるサーバ80、およびネットワーク86を介してサーバ80に接続された複数の端末装置80_1,80_2,80_3が例示的に示されている。
【0035】
サーバ80および端末装置80_1,80_2,80_3を構成するコンピュータシステムには、一般にワークステーションと呼ばれる高速かつ大容量のコンピュータシステム、またはパーソナルコンピュータシステムなどが用いられる。
【0036】
サーバ80および各端末装置80_1,80_2,80_3は、CPU、主記憶装置、ハードディスク、通信用ボード等が内蔵された本体部80a,80b,80c,80d、本体部80a,80b,80c,80dからの指示により画面上に画像や文字列を表示する表示装置81a,81b,81c,81d、サーバ80および各端末装置80_1,80_2,80_3にオペレータからの指示を入力するためのキーボード82a,82b,82c,82d、および表示画面上の任意の位置を指定することにより、その指定された位置に表示されていたアイコン等に応じた指示を入力するマウス83a,83b,83c,83dを備えている。
【0037】
サーバ80、各端末装置80_1,80_2,80_3、およびネットワーク86は、全体として本実施形態の病名推定装置100(図1参照)を形成する。
【0038】
本体部80a,80b,80c,80dは、さらに、フレキシブルディスク(図示せず)、MO(光磁気ディスク)85が装填されるFD装填口84a,84b,84c,84d、MO装填口85a,85b,85c,85dを有しており、それらの内部には、それらの装填口から装填されたフレキシブルディスクやMOをドライブしてアクセスするフレキシブルディスクドライブユニット、MOドライブユニットが内蔵されている。
【0039】
次に、本実施形態の病名推定装置におけるデータベース160を構成する各マスタのファイル構造について説明する。
【0040】
図3は、本実施形態における病歴マスタのファイル構造を示す図である。
【0041】
図3に示すように、この病歴マスタ161には、患者ID161a、データ格納数161b、診断日(1)161c、病名CD(1)161d、診断日(2)161e、病名CD(2)161f、診断日(3)161g、病名CD(3)161h、診断日(4)161i、病名CD(4)161j、…などの項目が設けられており、この病院で診療を受け病名が診断された患者の病歴、すなわち診断の日付と病名CD(コード)が患者IDごとに記憶されている。例えば、第1のレコード161_1には、患者ID:“321879”(受診患者の父)の病歴、第2のレコード161_2には、患者ID:“258741”(受診患者の母)の病歴、第3のレコード161_3には、患者ID:“731586”(受診患者の母の父)の病歴が記憶されている。
【0042】
図4は、本実施形態における患者マスタのファイル構造を示す図である。
【0043】
図4に示すように、この患者マスタ162には、患者ID162a、カナ氏名162b、氏名162c、性別162d、生年月日162e、住所162f、保険情報162g、…などの項目が設けられており、この病院で診療を受けた患者に関する各種の情報が記憶されている。例えば、受診患者の患者ID:“123456”、カナ氏名:“ヤマダ ジロウ”、氏名:“山田 次郎”、…などが記憶されている。
【0044】
図5は、本実施形態における家族情報マスタのファイル構造を示す図である。
【0045】
図5に示すように、この家族情報マスタ163には、患者ID163a、データ格納数163b、続柄CD(1)163c、患者ID(1)163d、続柄CD(2)163e、患者ID(2)163f、続柄CD(3)163g、患者ID(3)163h、続柄CD(4)163i、患者ID(4)163j、…などの項目が設けられており、受診患者の家族の続柄CD及び患者IDなどが記憶されている。図5に示す家族情報マスタ163には、受診患者(患者ID:“123456”)の4人の家族情報が記憶されている。
【0046】
図6は、本実施形態における家族歴マスタのファイル構造を示す図である。
【0047】
図6に示すように、この家族歴マスタ164には、患者ID164a、続柄CD(1)164b、病名CD(1)164c、続柄CD(2)164d、病名CD(2)164e、続柄CD(3)164f、病名CD(3)164g、…などというように受診患者のID:“123456”と、その家族の病歴、例えば父−胃がん、母−糖尿病、母−痛風などコードで記憶されている。
【0048】
なお、本実施形態では、上記の4つの基本的なマスタのほかに、次のような補助的なマスタも用いられる。
【0049】
図7は、本実施形態における続柄マスタのファイル構造を示す図である。
【0050】
図7に示すように、この続柄マスタ171には、続柄CD(コード)171a、例えば“01”およびその続柄名171b:“父”が記憶されている。
【0051】
図8は、本実施形態における病名マスタのファイル構造を示す図である。
【0052】
図8に示すように、この病名マスタ172には、病名CD(コード)172a、例えば“605003”、その病名172b::“糖尿病”、及び遺伝性フラグ172c:“1”が記憶されている。
【0053】
ここで、遺伝性フラグ172cとしては、その病名が遺伝性を有するものである場合には“1”、遺伝性を有しないものである場合には“0”が記憶されるようになっている。遺伝性フラグ172cの機能については後述する。
【0054】
図9は、本実施形態における検査項目マスタのファイル構造を示す図である。
【0055】
図9に示すように、この検査項目マスタ173には、検査項目CD(コード)173a、検査項目名称173b、正常値下限173c、及び正常値上限173dが記憶されている。例えば、検査項目CD:“01001”、検査項目名称:“GOT”の正常値下限:“8”及び正常値上限:“38”とは、“GOT”の検査値が“8以上、38以下”の範囲内であればこの患者の“GOT”検査値は正常であるということを表している。
【0056】
図10は、本実施形態における推定病名マスタのファイル構造を示す図である。
【0057】
図10に示すように、この推定病名マスタ174には、検査項目CD(コード)174a、上限外推定病名174b、及び下限外推定病名174cの各項目が設けられており、上限外推定病名174bの下には、病名CD(1)174b_1、病名CD(2)174b_2、病名CD(3)174b_3、病名CD(4)174b_4、病名CD(5)174b_5、…が、また、下限外推定病名174cの下には、病名CD(1)174c_1、病名CD(2)174c_2、病名CD(3)174c_3、病名CD(4)174c_4、病名CD(5)174c_5、…が設けられている。
【0058】
ここで、第1のレコード174_1は、検査項目CD:“01001”の検査値が正常値上限(図9参照)を外れた時には、病名CDが“145983”、“236714”、または“569376”のいずれかである可能性が高く、検査項目CD:“01001”の検査値が正常値下限を外れた時には病名CD:“268902”である可能性が高いということを表している。
【0059】
図11は、本実施形態における主訴・症状別推定病名マスタのファイル構造を示す図である。
【0060】
図11に示すように、この主訴・症状別推定病名マスタ175には、患者の主訴・症状に関する基本的な情報であるキー情報175aと、そのキー情報から推定される推定病名コードを示す推定病名175bの2項目が設けられており、キー情報175aの下には、部位175a_1、箇所175a_2、いつから175a_3、痛み方175a_4、吐き気175a_5、発熱175a_6、黄疸175a_7の7項目、推定病名175bの下には、病名CD(1)175b_1、病名CD(2)175b_2、病名CD(3)175b_3、病名CD(4)175b_4、病名CD(5)175b_5の5項目が設けられている。この主訴・症状別推定病名マスタ175の詳細については、後述する。
【0061】
次に、本実施形態の病名推定装置100および病名推定プログラム180の動作について説明する。
【0062】
図12は、本実施形態の病名推定装置および病名推定プログラムの動作を示すフローチャートである。
【0063】
図12に示すように、この病名推定装置および病名推定プログラムは、患者別主訴・症状入力画面の表示およびデータ入力(S01)、患者別主訴・症状入力データの登録(S02)、家族情報入力画面の表示およびデータ入力(S03)、検体検査結果の取得(S04)、家族歴の取得・編集(S05)、病名の推定・表示処理(S06)、医師による診断情報入力(S07)、病名診断再計算処理(S08)の7段階の処理からなる。このうち、家族歴の取得・編集(S05)、病名の推定・表示処理(S06)の2段階の処理が本発明にいう第1の病名推定部110(図1参照)、第1の家族病名取得部120、第2の病名推定部130、第2の家族病名取得部140、および病名表示部150に相当する。
【0064】
図12に示すように、先ず、利用者による主訴・症状入力画面の表示およびデータ入力が行われる(ステップS01)。
【0065】
図13は、本実施形態における主訴・症状入力画面を示す図である。
【0066】
図13に示すように、この主訴・症状入力画面200には、患者ID入力域200a、部位入力域200b、箇所入力域200c、いつから入力域200d、痛み方入力域200e、吐き気入力域200f、発熱入力域200g、黄疸入力域200h、および次へボタン200i、登録ボタン200jが設けられている。
【0067】
通常、比較的に規模の大きい病院では、受診患者が初診である場合には、医師の診察に先立って予診が行われるようになっていることが多い。そのような場合には、受診患者が所定の問診票などに記入するか、あるいは看護師などが受診患者から聞き取ることにより問診情報が作成される。
【0068】
こうして作成された問診情報に基づき、利用者により、主訴・症状入力画面200の患者ID入力域200aに“123456”、というように受診患者の患者IDが入力されると、図4に示す患者マスタ162が参照され、患者マスタ162中に患者IDが“123456”であるレコードが存在する場合には、患者ID入力域200aに、“123456”に続けて図示のように患者情報が表示される。患者マスタ162中に患者ID“123456”のレコードが存在しない場合には、“123456”に続けて“山田 次郎 男 36歳 1967/10/01生…”などのように患者情報を入力することにより、これらの患者情報が新たなレコードとして患者マスタ162に追加される。
【0069】
次に、部位入力域200bに“8”(腹)、箇所入力域200cに“1”(中央)、いつから入力域200dに“4”(1W前)、痛み方入力域200eに“1”(チクチク)…というように主訴・症状データが入力される。
【0070】
利用者による主訴・症状データの入力終了後、登録ボタン200jが押下されるとそれまでに入力された主訴・症状データは、図14に示す主訴・症状データファイル210に登録される(図12:ステップS02)。
【0071】
図14は、本実施形態における主訴・症状データファイルの構造を示す図である。
【0072】
図14に示すように、この主訴・症状データファイル210には、患者ID210a、部位210b、箇所210c、いつから210d、痛み方210e、吐き気210f、発熱210g、黄疸210hの各項目が設けられており、それぞれ、主訴・症状入力画面200(図13参照)により入力された“123456”、“8”、“1”、“4”、“1”、“1”、“2”、“2”が記憶されている。
【0073】
図13に示した主訴・症状入力画面200において、次へボタン200iが押下されると、図15に示す、家族情報入力画面の表示およびデータ入力が行われる(図12:ステップS03)。
【0074】
図15は、本実施形態における家族情報入力画面を示す図である。
【0075】
図15に示すように、この家族情報入力画面220には、患者ID入力域220a、家族情報入力域220b、および登録ボタン220cが設けられている。
【0076】
家族情報入力域220bには、受診患者の家族の続柄入力域220b_1,220b_3,220b_5,220b_7,220b_9、および受診患者の家族の患者ID入力域220b_2,220b_4,220b_6,220b_8,220b_10が設けられている。
【0077】
前述の問診情報に基づき、利用者により、患者ID入力域220aへの受診患者のID情報が入力され、家族情報入力域220bへの受診患者の家族のID情報が入力される。ここで、例えば、続柄入力域220b_1に“01”と入力すると、図7に示した続柄マスタ171が参照され、その結果、続柄入力域220b_1の右側に、受診患者との続柄“父” が表示される。さらに、患者ID入力域220b_2に受診患者の“父”の患者ID“321879”を入力すると、図4に示した患者マスタ162が参照され、患者マスタ162の中に受診患者の“父”のレコードが登録されていた場合には、患者マスタ162から“父”の氏名“山田 一郎”が読み出されて、患者ID入力域220b_2の右側に表示される。
【0078】
こうして、家族情報入力画面220の各続柄入力域および患者ID入力域に受診患者の家族情報が入力された後、登録ボタン220cが押下されると、それまでに入力された受診患者の家族情報は、家族情報マスタ163(図5参照)に登録される。
【0079】
次に、受診患者の検体検査結果の取得が行われ、検体検査結果ファイル(図16参照)に記憶される(図12:ステップS04)。
【0080】
大病院の場合は診察効率を向上させるために、検体検査は、医師による診察の前に行われるのが一般的であるので、本実施形態では、検体検査結果の取得をこのタイミングで行うようにしてある。
【0081】
図16は、本実施形態における検体検査結果ファイルのファイル構造を示す図である。
【0082】
図16に示すように、この検体検査結果ファイル240には、患者ID240a、検査日240b、検査結果数240c、検査項目CD(1)240d、検査結果(1)240e、検査項目CD(2)240f、検査結果(2)240g、検査項目CD(3)240h、検査結果(3)240i、検査項目CD(4)240j、検査結果(4)240kなどの項目が設けられており、これらの各項目に、各検体検査による検査データが、例えば図示のように、“123456”、“2004/6/2”、“12”、“01001”、“21.5”、“01002”、“14.8”、“10501”、“86”、“21005”、“7.0”などと記憶されている。
【0083】
次に、家族歴の取得および編集が行われる(図12:ステップS05)。この家族歴の取得および編集は次に示す家族歴取得・編集サブルーチンにより実行される。
【0084】
図17は、本実施形態における家族歴取得・編集サブルーチンのフローチャートである。
【0085】
図17のフローチャートに示すように、先ず、受診患者の問診情報から家族歴1テーブルのデータの取得が行われる(ステップS051)。
【0086】
この家族歴1テーブルのデータの取得は、図18に示す問診(家族歴1)入力画面により行われる。
【0087】
図18は、本実施形態における問診(家族歴1)入力画面を示す図である。
【0088】
図18に示すように、この問診(家族歴1)入力画面230には、患者ID入力域230a、家族歴入力域230b、戻るボタン230c、および登録ボタン230dが設けられている。
【0089】
患者ID入力域230aには、家族情報入力画面220(図15参照)で入力された受診患者のID、氏名、性別、年齢、生年月日などの情報が表示される。
【0090】
家族歴入力域230bには、受診患者の家族の続柄入力域230b_1,230b_3,230b_5,230b_7,230b_9、およびその病名入力域230b_2,230b_4,230b_6,230b_8,230b_10が設けられている。
【0091】
図15を参照して説明した受診患者から取得した問診情報に基づき、受診患者の家族の病歴について一件ずつ続柄入力域および病名入力域に入力される。
【0092】
なお、例えば続柄入力域230b_1の右側に“父”などと表示されているのは、家族情報入力画面220(図15参照)におけると同様である。また、病名入力域230b_2に“101001”と入力されると、図8に示した病名マスタ172が参照され、“101001”に対応する病名“胃がん”が読み出され、病名入力域230b_2に右側に“胃がん”と表示される。
【0093】
こうして、各続柄入力域および病名入力域に受診患者の家族の病歴が入力された後、登録ボタン230dが押下されると、それまでに入力された受診患者の家族の病歴は、次に示す家族歴1テーブル(図19参照)に登録される。なお、家族の病歴を入力中に家族情報自体を入力し直す必要が生じた場合は、戻るボタン230cを押下することにより家族情報入力画面220(図15参照)に戻り、家族情報を再編集することができるようになっている。
【0094】
図19は、本実施形態における家族歴1テーブルを示す図である。
【0095】
図19に示すように、この家族歴1テーブル251には、データ数251a:“3”、続柄CD(1)251b:“01”(父)、病名CD(1)251c:“101001”(胃がん)、続柄CD(2)251d:“02”(母)、病名CD(2)251e:“605003”(糖尿病)、続柄CD(3)251f:“02”(母)、病名CD(3)252g:“785600”(痛風)が記憶されている。
【0096】
次に、家族歴マスタから家族歴2テーブルのデータの取得が行われる(図17:ステップS052)。
【0097】
図20は、本実施形態における家族歴2テーブルのデータ取得の手順を示すフローチャートである。
【0098】
このフローチャートはサブルーチン形式となっており、図に示した家族歴取得・編集サブルーチンのステップS051から制御が移され、終了後はステップS05にリターンするようになっている。
【0099】
このフローチャートで用いられる変数について説明する。
【0100】
変数Iは受診患者の家族情報数を表す変数であり、変数Kは家族の診断病名数を表す変数であり、変数JおよびLはワーク用のインデックスである。
【0101】
図20に示すように、先ず受診患者の患者IDをキーにして、家族情報マスタ163(図3参照)から受診患者のレコード163_1を読み込み(ステップS052_1)、このレコード163_1のデータ格納数163bに記憶された値“4”を変数Iにセットする(ステップS052_2)。
【0102】
次に、ステップS052_3において変数Iが0、すなわちデータ格納数が“0”であるか否かが判定され(ステップS052_3)、変数Iが0でない場合はステップS052_4に進むが、変数Iが0である場合はこのサブルーチンの処理を終了する。
【0103】
ステップS052_4では変数Jに1をセットした後、変数Jが変数Iを超えたか否かが判定される(ステップS052_4)。
【0104】
ステップS052_4における判定の結果、変数Jが変数Iを超えた場合はこのサブルーチンの処理を終了する。
【0105】
ステップS052_4における判定の結果、変数Jが変数Iを超えていない場合はステップS052_6に進み、家族情報マスタ163(図3参照)の受診患者のレコード163_1の患者ID(J)をキーとして病歴マスタ161(図3参照)の読み込みが行われ、次に、ステップS052_7において、病歴マスタ161に該当するレコードが有るか否かが判定される。
【0106】
ステップS052_7における判定の結果、該当するレコードが無い場合はステップS052_8に進み、変数Jをインクリメントした後、ステップS052_5に戻る。
【0107】
ステップS052_7における判定の結果、該当するレコードが有る場合はステップS052_9に進む。ここでは、変数Jは最初は1にセットされているので、受診患者のレコード163_1の患者ID(1):“321879”をキーとして、病歴マスタ161(図3参照)のレコード161_1が読み込まれ、受診患者の父の病歴、すなわち診断日(1):“2001/5/19”、病名CD(1):“101005”が取得される。なお、この“101005”は、病名マスタ172(図8参照)のレコード172−6に記憶されているように“噴門部胃がん”である。この例では、ステップS052_7における判定の結果は、該当するレコードが有る場合に相当するのでステップS052_9に進む。
【0108】
ステップS052_9では、変数Kに病歴マスタ161(図3参照)のレコード161_1のデータ格納数161bに記憶された値“1”をセットする。
【0109】
次に、ステップS052_10において、変数Lに1をセットした後、変数Lが変数Kを超えたか否かが判定される(ステップS052_11)。
【0110】
ステップS052_11における判定の結果、変数Lが変数Kを超えている場合はステップS052_8に進み、変数Jをカウントアップした後、ステップS052_5に戻る。
【0111】
ステップS052_11における判定の結果、変数Lが変数Kを超えていない場合はステップS052_12に進み、病歴マスタ161(図3参照)のレコード161_1の病名CD(1):“101005”と、家族情報マスタ163(図3参照)の受診患者のレコード163_1の続柄(I)を家族歴2テーブルへ格納する。
【0112】
次に、ステップS052_13において、変数Lをカウントアップした後、ステップS052_11に戻る。
【0113】
以上の処理が完了すると、受診患者の家族歴2テーブルのデータが形成され、次に示す家族歴2テーブルに格納される。
【0114】
図21は、本実施形態における家族歴2テーブルを示す図である。
【0115】
図21に示すように、この家族歴2テーブル252には、データ数252a、続柄CD(1)252b、病名CD(1)252c、続柄CD(2)252d、病名CD(2)252e、続柄CD(3)252f、病名CD(3)252g、続柄CD(4)252h、病名CD(4)252i…などの項目が設けられており、受診患者の家族歴2のデータ数として“2”、“父”の病名CD:“101005”(噴門部胃がん)、“母”の病名CD:“605003” (糖尿病1型)、および“兄”の病名CD:“489600” (高血圧)が記憶されている。
【0116】
次に、上記の家族歴1テーブル251と家族歴2テーブル252とから家族歴サマリデータの作成が行われる(図17:ステップS053)。
【0117】
本実施形態の病名推定装置では、家族歴サマリデータの作成に際して、家族歴2テーブルのデータと家族歴1テーブルのデータとを比較してこの後の処理で利用する家族歴サマリデータを作成するように構成されているが、同一の情報が存在する場合には、医師の診断に基づく家族歴2テーブルのデータの方を優先させて家族歴サマリデータを作成するように定めている。
【0118】
図22は、本実施形態における家族歴サマリデータの作成の際の判定ルールを示す図である。
【0119】
図22に示すように、この判定ルール260は、続柄と病名区分によって家族歴サマリデータに採用する家族歴データを、家族歴2テーブルのデータと家族歴1テーブルのデータのいずれにするかを定めている。
【0120】
なお、病名区分とは、本実施形態の病名推定装置における6桁の病名CDのうち先頭の3桁のコードをいい、例えば、病名CD:“101001”の病名区分と病名CD:“101005”の病名区分はともに“101”ということになる。
【0121】
図22に示すように、続柄が一致し、かつ病名区分が一致したケース1の場合には、家族歴2テーブルのデータを家族歴サマリデータとして採用することを定め、続柄が一致するが病名区分が一致しないケース2の場合には、家族歴1テーブルのデータおよび家族歴2テーブルのデータの双方を家族歴サマリデータとして採用することを定め、続柄が一致しないケース3の場合には、家族歴1テーブルのデータおよび家族歴2テーブルのデータの双方を家族歴サマリデータとして採用することを定めている。
【0122】
次に、上記の判定ルール260と、家族歴1テーブル251(図19参照)および家族歴2テーブル252(図21参照)を用いた家族歴サマリデータの作成例を次に示す。
【0123】
図23は、本実施形態における家族歴サマリデータ作成例(1)を示す図である。
【0124】
この家族歴サマリデータ作成例(1)では、家族歴2テーブルのデータのうち、続柄CD(1)252b:“01”(父)の病名CD(1)252c:“101005”の病名区分:“101”と、家族歴1テーブルのデータの病名CD(1)164b:“101001”の病名区分:“101”とが比較され、続柄CDも病名区分もともに一致しているので、図22に示す判定ルール260のケース1と判定され、家族歴2テーブルのデータの(父)の続柄CD(1)および病名CD(1):“噴門部胃がん”が家族歴サマリデータとして出力される。このデータ出力と同時に家族歴2テーブルから削除される。かつ、同じデータと見られる家族歴1テーブルのデータも削除される。削除後の各テーブルの状態は、図23の一点鎖線内に示した通りである。
【0125】
図24は、本実施形態における家族歴サマリデータ作成例(2)を示す図である。
【0126】
この家族歴サマリデータ作成例(2)では、家族歴2テーブルのデータの(母)の病名CD(2)252e:“605005”についても、上記作成例(1)と同様、家族歴1テーブルのデータの病名CD(2)164d:“605003”の病名区分:“605”および病名CD(3)164f:“785600”の病名区分:“785”とが比較され、家族歴1テーブルのデータの病名CD(2)は、続柄CDも病名区分もともに一致しているので、図22に示す判定ルール260のケース1と判定され、家族歴2テーブルのデータの(母)の続柄CD(2)および病名CD(2):“糖尿病1型”が家族歴サマリデータとして出力される。
【0127】
なお、家族歴1テーブルのデータの病名CD(3)については、続柄CDは一致しているものの病名区分は一致していないので、図22に示す判定ルール260のケース2と判定され、家族歴2テーブルのデータの(母)の続柄CD(3)および病名CD(3):“痛風”が家族歴サマリデータとして出力される。
【0128】
また、家族歴2テーブルのデータの(兄)の病名CD(3)252g:“489600”についても、上記と同様、家族歴1テーブルのデータの各病名CDと比較され、続柄CDが一致していないので、図22に示す判定ルール260のケース3と判定され、家族歴2テーブルのデータの(兄)の続柄CD(3)および病名CD(3)が家族歴サマリデータとして出力される。家族歴サマリデータとして出力されたこれらのデータは、データ出力と同時に家族歴2テーブルおよび家族歴1テーブルから削除される。削除後の各テーブルの状態は、図24の一点鎖線内に示した通りである。
【0129】
図25は、本実施形態における家族歴サマリデータを示す図である。
【0130】
図25には、図23,25を参照して説明した作成例による家族歴サマリデータ270、すなわち、“父”の病歴データ270a、“母”の病歴データ270b、“兄”の病歴データ270c、“母”の病歴データ270dが示されている。これらの各病歴データのうちの最初の3つのデータは医師の診断による情報であるので“情報区分”として“1”が付され、最後の4つ目のデータは問診による情報であるので“情報区分”として“2”が付される。
【0131】
なお、本実施形態の病名推定装置においては、家族歴1テーブルのデータおよび家族歴2テーブルのデータに基づき家族歴サマリデータを作成している例を示したが、本発明の病名推定装置は、必ずしも家族歴1テーブルのデータと家族歴2テーブルのデータの双方を用いる態様に限定されるものではなく、家族歴2テーブルのデータのみを用いてサマリデータを作成するようにしてもよい。
【0132】
家族歴サマリデータの作成(図17:ステップS053)が終了すると、図12に示すメインルーチンに戻り病名の推定・表示処理(図12:ステップS06)が行われる。
【0133】
図12に示すフローチャートのステップS06では、検体検査結果からの病名推定処理および主訴・症状からの病名推定処理が行われ、次に、検体検査結果から推定した病名と主訴・症状から推定した病名の突き合わせ処理が行われる。
【0134】
図26は、検体検査結果からの病名推定処理のフローチャートである。
【0135】
この処理では、検体検査結果ファイル240(図16参照)に記憶された4件の検体検査結果データを一件ずつ取り出し、検査項目マスタ173(図9参照)の正常値下限173cおよび正常値上限173dとの突き合わせを行い、正常値の範囲内であるか否かの判定を行う(ステップS061〜S062)。
【0136】
ステップS062における判定の結果、その検査結果データが正常値の範囲内にある場合はその検査項目については問題がないので、ステップS061に戻り、次の検査結果データの処理を続ける。
【0137】
検体検査結果ファイル240(図16参照)に示した例では、検査結果(1)〜(3)は、いずれも検査項目マスタ173(図9参照)に示した正常値下限以上、かつ正常値上限以下であり、正常値の範囲内に収まっているのでステップS062からステップS061に戻ることとなる。
【0138】
ステップS062における判定の結果、その検査結果データが正常値の範囲外にある場合にはステップS063に進み、その検査結果データが検査項目マスタ173(図9参照)の正常値上限173dを超えているか否かの判定が行われる。
【0139】
ステップS063における判定の結果、その検査結果データが検査項目マスタ173(図9参照)の正常値上限173dを超えている場合は、ステップS065に進み、推定病名マスタ174(図10参照)の上限外推定病名の病名コードを全て患者別検査別推定病名ファイル281(図27参照)へ出力した後、ステップS061に戻り、次の検査結果データの処理を続ける。
【0140】
検体検査結果ファイル240(図16参照)に示した例では、検査結果(4)(検査項目CD(4)240j:“21005”)は“7.0”を示しており、検査項目マスタ173(図9参照)に示した検査項目“21005”(HBA1c)の正常値上限“5.6”を超えているので、この場合はステップS065に進み、推定病名マスタ174(図10参照)のうちの検査項目“21005”(HBA1c)の上限外推定病名174bの病名CD“605003”が、患者別検査別推定病名ファイル281(図27参照)に出力される。
【0141】
ステップS063における判定の結果、その検査結果データが検査項目マスタ173(図9参照)の正常値上限173dを超えていない場合には、その検査結果データは検査項目マスタの正常値下限を超えていることを示しているので、推定病名マスタ174(図10参照)の下限外推定病名の病名コードを全て患者別検査別推定病名ファイル281に出力(ステップS064)した後、ステップS061に戻り、次の検査結果データの処理を続ける。
【0142】
図27は、本実施形態における患者別検査別推定病名ファイルを示す図である。
【0143】
図27に示すように、この患者別検査別推定病名ファイル281には、受診患者の患者ID281a:“123456”、および受診患者の検体検査結果から推定された病名CD(1)281b:“605003”(糖尿病)、病名CD(2)281c:“704360”(すい臓炎)が記憶されている。
【0144】
この推定病名“605003”(糖尿病)は、前述の通り、検体検査結果ファイル240(図16参照)に示した検査結果のうち、検査項目“21005”(HBA1c)が“7.0”で、検査項目マスタ173(図9参照)に示した検査項目“21005”(HBA1c)の正常値上限“5.6”を超えている。従って、この場合はステップS065に進み、推定病名マスタ174(図10参照)のうちの検査項目“21005”の上限外推定病名174bの病名CD“605003”(糖尿病)と推定される。
【0145】
なお、推定病名“704360”(すい臓炎)は、検体検査結果ファイル240(図16参照)には図示省略されている他の検査結果から推定された病名である。
【0146】
次に、主訴・症状からの病名推定処理について説明する。
【0147】
この処理では、医師の診察結果に基づき主訴・症状入力画面200(図13参照)で登録された主訴・症状データファイル210(図14参照)の主訴・症状データ210b〜210hをキーとして、主訴・症状別推定病名マスタ175(図11参照)を検索し、上記キーに合致する推定病名を取得し、それを患者別主訴別推定病名ファイルへ出力する。
【0148】
図28は、本実施形態における患者別主訴別推定病名ファイルの構造を示す図である。
【0149】
図28に示すように、この患者別主訴別推定病名ファイル282には、受診患者の患者ID282a:“123456”、および受診患者の主訴・症状から推定された病名CD(1)282b:“605003”(糖尿病)、病名CD(2)282c:“984650”(虫垂炎)が記憶されている。
【0150】
次に、上記の患者別検査別推定病名ファイル281(図27参照)と患者別主訴別推定病名ファイル282(図28参照)との突き合わせ処理が行われる。
【0151】
この突き合わせ処理では、患者別検査別推定病名ファイル281と患者別主訴別推定病名ファイル282の病名CDが一致した場合は、その病名CDを推定病名ファイル283に出力し、患者別検査別推定病名ファイル281に存在する病名CDが患者別主訴別推定病名ファイル282にない場合は、患者別検査別推定病名ファイル281の病名CDを推定病名ファイル283に出力し、患者別主訴別推定病名ファイル282に存在する病名CDが患者別検査別推定病名ファイル281にない場合は、患者別主訴別推定病名ファイル282の病名CDを推定病名ファイル283に出力する。
【0152】
図29は、本実施形態における推定病名ファイルの構造を示す図である。
【0153】
図29に示すように、この推定病名ファイル283には、受診患者の患者ID283a:“123456”と、患者別検査別推定病名ファイル281と患者別主訴別推定病名ファイル282の双方から出力された病名CD(1)283b:“605003”(糖尿病)および遺伝性フラグ(1)283c:“1”(該当)と、患者別検査別推定病名ファイル281から出力された病名CD(2)283d:“704360”(すい臓炎)および遺伝性フラグ(2)283e:“0”(非該当)と、患者別主訴別推定病名ファイル282から出力された病名CD(3)283f:“984560”(虫垂炎)および遺伝性フラグ(3)283g:“0”(非該当)とが記憶されている。
【0154】
次に、推定病名ファイル283(図29参照)と家族歴サマリデータ270(図25参照)に記憶された家族歴サマリデータとの突き合わせ処理が行われる。すなわち、推定病名ファイル283に記憶された3つの推定病名について、遺伝性フラグが“1”である推定病名をチェックする。
【0155】
図30は、推定病名ファイルと家族歴サマリデータの突き合わせ処理のフローチャートである。
【0156】
図30に示すように、先ず、推定病名ファイルから病名CDの読み込みが開始される(ステップS071)。このとき変数Iは“1”に初期化される。
【0157】
次に、遺伝性フラグ(I)が“1”であるか否かの判定が行われる(ステップS072)。
【0158】
ステップS072における判定の結果、遺伝性フラグ(I)が“1”である場合はステップS073に進み、遺伝性フラグ(I)が“1”でない場合はステップS076に進む。
【0159】
ステップS073では、推定病名ファイル283の病名CD(I)で家族歴サマリデータ270を検索し、ステップS074において、同じ病名区分の家族歴データが存在するか否かの判定が行われる。
【0160】
ステップS074における判定の結果、同じ病名区分の家族歴データが存在する場合はステップS075に進み、同じ病名区分の家族歴データが存在しない場合はステップS076に進む。
【0161】
ステップS075では、推定病名画面(図31参照)へ、推定病名ファイル283の病名CD(I)の推定病名と、同じ病名区分の家族歴データの続柄、罹患時の年齢、および情報区分(医師診断か問診かの別)などからなる編集情報を出力し、ステップS077へ進む。
【0162】
ステップS076では、推定病名画面(図31参照)へ、推定病名ファイル283の病名CD(I)の推定病名のみを出力し、ステップS077へ進む。
【0163】
ステップS077では、変数Iをインクリメントした後、ステップS078へ進み、病名CD(I)にデータがないか否かの判定が行われる。
【0164】
ステップS077における判定の結果、病名CD(I)にデータがある場合はステップS072に戻り次のデータの処理が続けられるが、病名CD(I)にデータがない場合はこのサブルーチンを終了する。
【0165】
この例では、推定病名ファイル283(図29参照)の病名CD(1)283b:“605003”の遺伝性フラグ(1)283cが“1”であるので、この受診患者“123456”の家族の中に遺伝性疾患である糖尿病の病歴を持つ人がいることがわかる。また、その人の受診患者との続柄は家族歴サマリデータ270(図25参照)の中の病名区分が“605”である病歴データ270bから続柄は“母”であること、また、その状態区分は“医師診断” であることがわかる。
【0166】
図31は、本実施形態における病名推定画面を示す図である。
【0167】
図31に示すように、この病名推定画面290には、患者ID表示域290a、推定病名表示欄290b、推定病名(家族歴考慮)表示欄290c、および診断入力ボタン290dが設けられており、推定病名表示欄290bには、“糖尿病”、“すい臓炎”、“虫垂炎” の3つの病名が、また、推定病名(家族歴考慮)表示欄290cには、“糖尿病・母(57歳時)糖尿病1型・医師診断”、“すい臓炎”、“虫垂炎”の3つの病名が表示されている。
【0168】
この病名推定画面290では、受診患者の家族に遺伝性疾患該当者がいる場合はその病名に“★”を付して表示されるようになっている。
【0169】
病名推定画面290への推定病名の表示が終了すると、次に、医師による診断情報入力(図12:ステップS07)が行われる。
【0170】
医師は、病名推定画面290の表示を見終わった後、診断入力ボタン290dを押下すると、次に示す診断情報入力画面が表示される。
【0171】
図32は、本実施形態における診断情報入力画面を示す図である。
【0172】
図32に示すように、この診断情報入力画面291には、患者ID表示域291a、今回の診断日入力域291b、今回の診断病名CD291c、過去の診断記録表示域291d、および登録ボタン291eが設けられている。
【0173】
医師は、これまでに得られた情報、すなわち病名推定画面290に表示された推定病名に関する情報を総合して診断を下し、診断日:“2004/6/30”および病名CD:“605007”(糖尿病1型)を診断日入力域291bおよび診断病名CD291cに入力する。
【0174】
入力終了後、登録ボタン291eが押下されると、この診断情報は、病歴マスタ161(図3参照)に登録される。
【0175】
医師による診断情報の登録が終了すると、次に、病名診断再計算処理(図12:ステップS07)が行われる。
【0176】
本実施形態の病名推定装置では、第2の病名推定部130(図1参照)は、病歴マスタ161(図3参照)のうちの受診患者の家族の病歴に関する情報が更新されたことを受けて、その更新された情報に基づき、過去にこの病院で診察を受けた患者の病名を再推定することができるように構成されている。
【0177】
すなわち、この病名診断再計算処理は、上記のように、診断情報入力画面291(図32参照)により受診患者“山田 次郎”に対して病名 “糖尿病1型”の診断が下されたことを受けて、この受診患者の兄の“山田 太郎”に対して“2004/5/24”に下された病名診断の再計算処理を可能とするものである。
【0178】
この病名診断再計算処理の対象としては、例えば病歴マスタ161(図3参照)のうちの診断日が、上記受診患者の診断日よりも3ヶ月以内である患者が自動的に抽出されるというようにするのがよい。
【0179】
図33は、本実施形態における病名診断再計算処理画面を示す図である。
【0180】
図33に示すように、この病名診断再計算処理画面292には、患者ID表示域292a、今回の診断日入力域292b、今回の診断病名CD292c、過去の診断日表示域292d、過去の診断病名CD292e、および登録ボタン292fが設けられている。また、この病名診断再計算処理画面292の下部にはコメント表示域293が表示されるようになっている。
【0181】
図34は、本実施形態における病名診断再計算処理のフローチャートである。
【0182】
図34に示すように、病歴マスタ161(図3参照)は監視プログラムにより絶えず更新が監視されており(ステップS081)、更新が行われるとステップS082に進み、更新された病名の遺伝性フラグが立っているか否かの判定が行われる。
【0183】
ステップS082における判定の結果、更新された病名の遺伝性フラグが立っていない場合にはステップS081に戻り、更新の監視が続けられる。
【0184】
ステップS082における判定の結果、更新された病名の遺伝性フラグが立っている場合にはステップS083に進み、更新された病歴マスタの患者IDが家族情報として登録されている家族情報マスタ163(図5参照)の検索が行われる。
【0185】
検索の結果、該当するレコードが存在するか否かの判定が行われる(ステップS084)。
【0186】
ステップS084における判定の結果、該当するレコードが存在しない場合はステップS081に戻り、更新の監視が続けられる。
【0187】
ステップS084における判定の結果、該当するレコードが存在する場合はステップS085に進み、患者情報マスタ163(図5参照)の主キーである患者ID163aをプログラム内の所定のテーブルに格納する。該当するレコードが複数存在する場合は複数回の処理が繰り返される。例えば、病名が追加された患者が親の場合には、その患者の子供でかつその病院に罹っている人数分のレコードが該当するはずである。また、祖父母の場合には、さらに該当する人数が増えることとなる。
【0188】
次に、取得した患者IDごとに病名診断の再処理が行われる(ステップS086)。この病名診断の再処理では、図12に示したフローチャートにおけるステップS02からステップS06までのステップが実行される。
【0189】
次に、再処理結果の通知が行われる(ステップS087)。
【0190】
次に、取得した患者IDについての再処理が全て終了したか否かの判定が行われる(ステップS088)。
【0191】
ステップS088における判定の結果、再処理が全て終了していない場合はステップS086に戻り再処理が繰り返される。
【0192】
ステップS088における判定の結果、再処理が全て終了している場合はこの処理を終了する。
【0193】
図33に示した例では、この患者“山田 太郎”の弟“山田 次郎”の“2004/6/30”の診断結果(図32参照)を受けて、この患者“山田 太郎”の病名診断再計算処理が行われた結果、コメント表示域293に図示のようなコメントが表示された状態が示されている。
【0194】
なお、病名診断再計算処理の結果、前回の処理結果と同一の結果が得られた場合は、必ずしも通知の必要はないが、医師への参考情報、すなわち今後気をつけるべき病気のウォーニング情報として有効な場合が多いので通知することが好ましい。
【0195】
この場合の通知のタイミングや通知方法については次のような案が考えられる。
【0196】
通知のタイミングとしては、例えば、リアルタイムすなわち再処理の結果が得られた時や、受診患者の電子カルテを開いた時などが考えられる。
【0197】
また、通知方法としては、例えば、担当医師に対するメールや、電子カルテへの表示などが考えられる。
【0198】
以上説明したように、病名診断の再計算処理の結果を医師に通知することにより、その医師の過去の診断の正当性を医師自身が検証ができ、また、今後の治療を行う際に気をつけなければならない疾患についての情報を医師が正確に把握することが可能となる。
【0199】
以下に本発明の各種態様を付記する。
【0200】
(付記1)
受診患者の病名を推定する病名推定装置において、
複数の患者の病歴に関する情報を記憶する病歴マスタと、
前記受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき該受診患者の病名を推定する第1の病名推定部と、
前記病歴マスタに記憶された情報の中から前記受診患者の家族の病名を取得する第1の家族病名取得部と、
前記第1の家族病名取得部により取得された病名に基づき前記受診患者の病名を推定する第2の病名推定部と、
前記第1の病名推定部により推定された病名と前記第2の病名推定部により推定された病名とを併せて表示する病名表示部とを備えたことを特徴とする病名推定装置。
【0201】
(付記2)
前記受診患者から得られる問診情報に基づき該受診患者の家族の病名を取得する第2の家族病名取得部を備え、
前記第2の病名推定部は、前記第1の家族病名取得部により取得された病名と前記第2の家族病名取得部により取得された病名とに基づき前記受診患者の病名を推定するものであることを特徴とする付記1記載の病名推定装置。
【0202】
(付記3)
前記第2の病名推定部は、前記病歴マスタのうちの前記受診患者の家族の病歴に関する情報が更新されたことを受けて、該更新された情報に基づき該受診患者の病名の再推定を行うものであることを特徴とする付記1または2記載の病名推定装置。
【0203】
(付記4)
コンピュータを、
受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき該受診患者の病名を推定する第1の病名推定部と、
複数の患者の病歴に関する情報が記憶された病歴マスタの中から前記受診患者の家族の病名を取得する第1の家族病名取得部と、
前記第1の家族病名取得部により取得された病名に基づき前記受診患者の病名を推定する第2の病名推定部と、
前記第1の病名推定部により推定された病名と前記第2の病名推定部により推定された病名とを併せて表示する病名表示部とを備えた病名推定装置として動作させることを特徴とする病名推定プログラム。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】本発明の病名推定装置および病名推定プログラムの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態の病名推定装置および病名推定プログラムが形成されるコンピュータシステムの概要図である。
【図3】本実施形態における病歴マスタのファイル構造を示す図である。
【図4】本実施形態における患者マスタのファイル構造を示す図である。
【図5】本実施形態における家族情報マスタのファイル構造を示す図である。
【図6】本実施形態における家族歴マスタのファイル構造を示す図である。
【図7】本実施形態における続柄マスタのファイル構造を示す図である。
【図8】本実施形態における病名マスタのファイル構造を示す図である。
【図9】本実施形態における検査項目マスタのファイル構造を示す図である。
【図10】本実施形態における推定病名マスタのファイル構造を示す図である。
【図11】本実施形態における主訴・症状別推定病名マスタのファイル構造を示す図である。
【図12】本実施形態の病名推定装置および病名推定プログラムの動作を示すフローチャートである。
【図13】本実施形態における主訴・症状入力画面を示す図である。
【図14】本実施形態における主訴・症状データファイルの構造を示す図である。
【図15】本実施形態における家族情報入力画面を示す図である。
【図16】本実施形態における検体検査結果ファイルのファイル構造を示す図である。
【図17】本実施形態における家族歴取得・編集サブルーチンのフローチャートである。
【図18】本実施形態における問診(家族歴1)入力画面を示す図である。
【図19】本実施形態における家族歴1テーブルを示す図である。
【図20】本実施形態における家族歴2テーブルのデータ取得の手順を示すフローチャートである。
【図21】本実施形態における家族歴2テーブルを示す図である。
【図22】本実施形態における家族歴サマリデータの作成の際の判定ルールを示す図である。
【図23】本実施形態における家族歴サマリデータ作成例(1)を示す図である。
【図24】本実施形態における家族歴サマリデータ作成例(2)を示す図である。
【図25】本実施形態における家族歴サマリデータを示す図である。
【図26】検体検査結果からの病名推定処理のフローチャートである。
【図27】本実施形態における患者別検査別推定病名ファイルを示す図である。
【図28】本実施形態における患者別主訴別推定病名ファイルの構造を示す図である。
【図29】本実施形態における推定病名ファイルの構造を示す図である。
【図30】推定病名ファイルと家族歴サマリデータの突き合わせ処理のフローチャートである。
【図31】本実施形態における病名推定画面を示す図である。
【図32】本実施形態における診断情報入力画面を示す図である。
【図33】本実施形態における病名診断再計算処理画面を示す図である。
【図34】本実施形態における病名診断再計算処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0205】
100 病名推定装置
110 第1の病名推定部
120 第1の家族病名取得部
130 第2の病名推定部
140 第2の家族病名取得部
150 病名表示部
160 データベース
161 病歴マスタ
162 患者マスタ
163 家族情報マスタ
164 家族歴マスタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受診患者の病名を推定する病名推定装置において、
複数の患者の病歴に関する情報を記憶する病歴マスタと、
前記受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき該受診患者の病名を推定する第1の病名推定部と、
前記病歴マスタに記憶された情報の中から前記受診患者の家族の病名を取得する第1の家族病名取得部と、
前記第1の家族病名取得部により取得された病名に基づき前記受診患者の病名を推定する第2の病名推定部と、
前記第1の病名推定部により推定された病名と前記第2の病名推定部により推定された病名とを併せて表示する病名表示部とを備えたことを特徴とする病名推定装置。
【請求項2】
前記受診患者から得られる問診情報に基づき該受診患者の家族の病名を取得する第2の家族病名取得部を備え、
前記第2の病名推定部は、前記第1の家族病名取得部により取得された病名と前記第2の家族病名取得部により取得された病名とに基づき前記受診患者の病名を推定するものであることを特徴とする請求項1記載の病名推定装置。
【請求項3】
コンピュータを、
受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき該受診患者の病名を推定する第1の病名推定部と、
複数の患者の病歴に関する情報が記憶された病歴マスタの中から前記受診患者の家族の病名を取得する第1の家族病名取得部と、
前記第1の家族病名取得部により取得された病名に基づき前記受診患者の病名を推定する第2の病名推定部と、
前記第1の病名推定部により推定された病名と前記第2の病名推定部により推定された病名とを併せて表示する病名表示部とを備えた病名推定装置として動作させることを特徴とする病名推定プログラム。
【請求項1】
受診患者の病名を推定する病名推定装置において、
複数の患者の病歴に関する情報を記憶する病歴マスタと、
前記受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき該受診患者の病名を推定する第1の病名推定部と、
前記病歴マスタに記憶された情報の中から前記受診患者の家族の病名を取得する第1の家族病名取得部と、
前記第1の家族病名取得部により取得された病名に基づき前記受診患者の病名を推定する第2の病名推定部と、
前記第1の病名推定部により推定された病名と前記第2の病名推定部により推定された病名とを併せて表示する病名表示部とを備えたことを特徴とする病名推定装置。
【請求項2】
前記受診患者から得られる問診情報に基づき該受診患者の家族の病名を取得する第2の家族病名取得部を備え、
前記第2の病名推定部は、前記第1の家族病名取得部により取得された病名と前記第2の家族病名取得部により取得された病名とに基づき前記受診患者の病名を推定するものであることを特徴とする請求項1記載の病名推定装置。
【請求項3】
コンピュータを、
受診患者の主訴・症状および検体検査情報に基づき該受診患者の病名を推定する第1の病名推定部と、
複数の患者の病歴に関する情報が記憶された病歴マスタの中から前記受診患者の家族の病名を取得する第1の家族病名取得部と、
前記第1の家族病名取得部により取得された病名に基づき前記受診患者の病名を推定する第2の病名推定部と、
前記第1の病名推定部により推定された病名と前記第2の病名推定部により推定された病名とを併せて表示する病名表示部とを備えた病名推定装置として動作させることを特徴とする病名推定プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2006−59149(P2006−59149A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−240673(P2004−240673)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]