説明

病態起因物質の生体への接触防止用製剤

アレルゲングループ、または病原体等の病態起因物質が生体へ付着する際に機能するそれら病態起因物質と生体との間の分子間相互認識をペクチン類や核酸類を用いて阻害する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、主として日常生活上の外因性攪乱因子に対する生体暴露の低減と軽症化、感染性病原体に対する防御と病態の進行防止に関する。特に、主として第三物質による外来物対生体細胞間の結合機会を減少させ、外来性病態起因物質の生体表面への接触の防止を基本技術とする。具体的に本発明は、喘息;鼻炎;痰麻疹;食物、花粉アレルギー;またはアトピー性皮膚炎等のようなアレルギー反応の着火物質であるアレルゲン、あるいは各種ウイルスや細菌類など病原微生物による生体側受容体の認識を阻害し、それらの生体への接触と侵入を防止もしくは低減させること、および粘膜炎症性疾患の治療製剤に関する。
【背景技術】
外来性病態起因物質による生体機能の障害には、アレルギー反応や感染症による炎症等が挙げられる。これらアレルギー反応や炎症は、単に短期間の症状に留まらず中長期にわたって歓迎されざる生体反応を誘発することがある。特に、上記症状が長期に至る場合には、病態起因物質の消失にも係らず炎症反応が収束に至らず遷延し日常生活にも支障をきたす場合が多い。
ことにスギ花粉症やインフルエンザのように季節的、爆発的な流行を示す病態においては、罹患、発症を避けるため外出を控えたり、生体を覆ったりして病態起因物質または病原体の接触を低減する必要もあった。しかしながら、肉眼視できない上記病態起因物質が、無意識のうちに生体表面に接触したり生体内へ侵入することは不可避であることから、感染弱者やアレルギー素因者の生活は軽んぜられない制約を受けている。
従来、このような病態起因物質に対しては、マスクやうがいによる予防、様々な対症療法や抗生物質、抗ウイルス薬、ワクチン等による炎症反応の改善によって対処してきた。
例えば、スギ花粉症対処法としては、抗ヒスタミン剤、ステロイド、ワクチンによる脱感作による対処が一般的であった。しかし、これらの対処法においては、卓効が得られにくいうえに、看過できない重篤な副作用を伴うものもあった。そこで、近時、副作用が少なくアレルギー反応抑制効果が得られうる物質として、自然界物質が脚光を浴びている。
具体的には、アレルギー反応に関しては、果樹研究所によりリンゴペクチンを用いたアレルギー予防効果についてヒト介入研究が行われている。その結果、リンゴペクチン摂取により摂取開始前と比較して、摂取後の血液中のヒスタミン濃度が24%低下したことが報告されている。
同様に、アレルギー疾患への対策として、ペクチンの投与によるサイトカイン放出抑制効果が開示されている(例えば、特許文献1:特開2001−233777号公報参照)。特許文献1に記載されたアレルギー反応抑制効果は、ペクチンの投与によるモノサイト/マクロファージの反応性の低下を作用点とするものである。即ち、上記特許文献1のペクチン投与は、モノサイト/マクロファージによるIL−5(インターロイキン−5)産生抑制、IL−4(インターロイキン−4)産生抑制、及びIFN−ガンマ産生増強に作用するものである。
また、ペクチンは溶液中の物質の安定した分散分布や湿潤を達成する目的でも用いられ、各種ドリンク製品や製剤に安定剤として添加される(例えば、特許文献2:特開2001−64895号公報参照)。特許文献2には、ペクチンの点眼剤への添加による製剤の効果持続への作用が述べられているが、これも湿潤分布により局所における製剤の滞留を延長するものである。
また、インフルエンザ等感染症に対しては、ワクチンによる予防、アマンタジンなどに代表される薬物療法、うがいやマスクの着用によるウイルスとの接触回避などが行われている。インフルエンザ治療薬としては、ノイラミニダーゼ阻害剤が開示されている(例えば、特許文献3:特表2000−505088号公報参照)。特許文献3の製剤は、ウイルス表面に存在するシアル酸切断機能を分担する酵素を阻害してウイルス粒子の生体細胞表面からの放出を防止するものである。
また、シアリルラクトース含有高分子がH1型ウイルスHAに強い阻害活性を示し、またシアル酸単糖をC−あるいはS−グリコシドとして結合した高分子がH3型ウイルスHAに対して強い阻害活性を持つことが報告されている。更には、低分子シアル酸誘導体であって、2種類の膜タンパク質(シアリダーゼ及びヘマグルチニン)に対して阻害作用を発揮する化合物を有効成分とする医薬も開示されている(例えば、特許文献4:特開2001−131074号公報参照)。
−解決課題−
しかしながら、上記従来の方法においては、以下の問題があった。
即ち、従来のペクチンによるアレルギー反応の改善は、ペクチンの定期的な摂取により初めて対症的効果を発揮するものに過ぎず、作用機序もアレルゲン刺激に対する細胞生理学的な応答の低減を介するものであり、即時型アレルギー反応の発現を抑制できるものではない。
また、ワクチン接種による予防方法では、ワクチン接種から抗体が形成されるまでにある程度の時間を必要とする。また、目的の病態起因物質によっては、複数回に分けてワクチンを接種しなければならない。そのため、ワクチンの効果が発現する前にアレルギー反応やインフルエンザの炎症が発症してしまう場合があっり、ワクチン接種の無効例もみられる。
また、上記各薬剤の投与による病態への対処の効果は限定的なものであり、完全に炎症等が収束するまでには相当時間を要するものが大半であった。
このような問題点に鑑みれば、上記アレルゲンやウイルスなど病態起因物質に対する防御法としては、上記病態起因物質の体内への侵入を完全に阻止するか、あるいは、上記病態起因物質が体内に侵入する時点で病理活性を失活してしまうことが望ましい。
そこで、本発明者らは、アレルゲングループ、もしくはウイルス等病原体に対し、これら病態起因物質と生体との間に新たな分子間相互作用を構築することに着眼し、病態起因物質と生体との接触を防止もしくは低減することを課題とした。
【発明の開示】
本発明者らは、スギ花粉アレルゲンであるCry j1、Cry j2等のアレルゲングループ、またはインフルエンザ等病原体等の病態起因物質の物理的性質、立体構造、生理化学機能に着眼して、それらと生体との接触を防止することを画策した。
例えば、細胞表面にある多糖類は、生体の外界への接点として機能し、細胞表面上糖タンパクの糖鎖成分として連結される。これら細胞に連結された糖タンパクにおいては、ムチン等にあるムコ多糖類やウロン酸類が構成成分となっている。ここで、細胞表面に連結された多糖類と自由分布するウロン酸含有多糖類やムコ多糖類には構造的な相似が保存されている。即ち、巨大分子であるウロン酸含有多糖類、ムコ多糖類、ムチンを含む糖タンパクに物性類似領域が存在することを利用すれば、病態起因物質と生体間に自由分布するウロン酸含有多糖類やムコ多糖類さらには、ムチン等、糖タンパクを介在させて病態起因物資と生体を隔絶することが可能となりうる。特に巨大分子であるこれら多糖類や糖タンパク間の一部領域の充分な近接は他の大部分領域による病態起因物質の包囲にも至ることが予想される。
病態起因物質のうちインフルエンザウイルスは、宿主(赤血球)細胞上のシアリルオリゴ糖と相互作用を有する2種類の表層スパイクタンパク質、ヘマグルチニンとノイラミニターゼ(シアリダーゼ)を持つ膜エンベロープを構成する。このうちヘマグルチニンは、シアル酸、ガラクトース及びN−アセチルグルコサミンを含む宿主細胞構造に付着することが知られている。本発明では、このような酵素対基質の結合様式に着目して、糖類及びタンパク質分解酵素に対する基質とその類縁分子の特異的または非特異的競合結合関係を利用し、インフルエンザウイルス等の病原体と生体との接触を阻害することとした。
また、一般に各種アレルゲンやウイルス等の病態起因物質の多くは、その表面において正に荷電しており、負に荷電した細胞表面に付着しやすい性質を有している。本発明は、このような病態起因物質の物理的性質にも着目し、負に荷電した物質を用いて上記病態起因物質を誘引するとともに、該病態起因物質の表面を取り囲むことによって、病態起因物質の細胞への付着を阻害しようとするものである。
以上の事柄をもとに、本発明においては、上記病態起因物質の生体表面への接触を防止する物性を呈する物質を設計構築し、上記病態起因物質による発症の防止、または病態の軽症化を実現する。
次に、核酸をエンベロープが覆う構造を有するウイルス粒子や正荷電を帯びた各種アレルゲンには、多彩な立体構造を呈し、かつ負の荷電を帯びた多糖類の一部領域が近接分布しやすいはずである。更に、負荷電した核酸やアミノ酸分子群も微少空間において正荷電したアレルゲンやウイルス粒子と引き付け合う性質を呈する。加えれば、種々の分子複合体同士が連結凝集しにくい条件、即ち、分散活性を有する物質をも含有することが好ましい。
また、本発明には、内因性因子の治療製剤として、ウロン酸含有多糖類または核酸類を含有する粘膜炎症性疾患の治療製剤が含まれる。
−発明の効果−
本発明によれば、様々な外来性病態起因物質の生体もしくは細胞表面への接触を防止することができる。それによって、上記病態起因物質によるアレルギー疾患や感染症の病態発現を防止し、また症状を改善することができる。例えば、ペクチン類を含有する接触防止用製剤では、花粉症の起因アレルゲンである酵素に対してペクチン類が基質として機能して、花粉が生体へ接触するのを防止する。また、核酸類を含有する接触防止用製剤では、強大な負電荷を有する核酸分子が正電荷を有する花粉やウイルス等の表面を取り囲むことにより、生体への接触を防止している。
また、第30の発明では、内因性の様々な炎症関連成分を立体構造中に取り込んだり粘膜や炎症細胞からマスクして、粘膜周辺における炎症を消去もしくは軽快に導く作用を発揮する。
【図面の簡単な説明】
図1は、スギ花粉抽出抗原の濃度とヒスタミン遊離率との関係を示すグラフである。
図2は、ヒスタミン遊離率の抑制効果に対するペクチンとDNAの相乗関係を示すグラフである。
図3は、本発明の点眼製剤の使用試験結果を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〈実施形態1〉
本実施形態に係る病態起因物質の生体への接触防止製剤は、ペクチンを含有するか、またはウロン酸含有多糖類であるペクチン類縁ウロン酸含有多糖類と、ウロン酸含有多糖類の派生物質であるペクチン派生物質との少なくとも何れか1を含有する。
上記ペクチンは、植物細胞壁を構成する多糖類の1つであり、ガラクツロン酸が結合したポリガラクツロナンを大量に含み、加えてラムノースとガラクツロン酸が交互に結合したラムノガラクツロナンを少量、主鎖として含み、このラムノガラクツロナンのラムノース残基に側鎖としてアラビノース、キシロース、フコース、ラムノース及びガラクトースの単独あるいは複数が櫛状に結合した物質である。
また、上記ペクチン類縁ウロン酸含有多糖類には、海藻類に多く含まれるアルギン酸や、動物界では皮膚や軟骨や臓器などに豊富に含まれるデルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、コンドロイチン、ヒアルロン酸、ヘパリンなどが挙げられる。それぞれのウロン酸含有多糖類では、ペクチンはガラクツロン酸を、アルギン酸はマンヌロン酸とグルロン酸を、ヒアルロン酸はグルクロン酸を、デルマタン硫酸はイズロン酸を、コンドロイチン硫酸はグルクロン酸を、ヘパリンはグルクロン酸とイズロン酸をそれぞれ主な構成ウロン酸として持っている。
また、上記ペクチン派生物質は、ペクチンに加熱、加圧又は酸化等を施し、あるいはペクチンに化学修飾を施し、ペクチンの物性を改善したものをいう。
上記ペクチンは、例えばりんごなどの果実中には乾燥重量の約10%弱含まれるのに対し、アルギン酸はコンブをはじめとする褐藻類に乾燥重量の約20%含まれている。上記ペクチン類縁ウロン酸含有糖類であるヒアルロン酸はへその緒やニワトリのトサカなどに、デルマタン硫酸は皮膚、腱、内臓などに、コンドロイチン硫酸はサメなどの軟骨(乾燥重量の20〜40%)、皮膚などに、ヘパリンは臓器などにそれぞれ含まれる。また、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、イズロン酸、グルロン酸などのウロン酸は、グルコース、ガラクトース、マンノース、イドース、グロースなどの単糖の化学構造の一部分(6位のアルコール基)が酸化されてカルボン酸基を持った構造をしている。
ウロン酸含有多糖類の一類縁であるムコ多糖類は、ヘテロ多糖類の中で、動物の結合組織や体液中に存在し、アミノ酸を含んでいる。ムコ多糖類は生体内ではタンパク質と結合しており、二糖の繰り返し構造からなるムコ多糖とタンパク質との複合体はプロテオグリカンと呼ばれている。このプロテオグリカンの1つにムチンがある。ムチンは、生体内では気管、胃腸などの消化管、生殖線など内腔を覆う粘液の主要な糖タンパクである。また、ムチンは、オクラ、モロヘイヤ、ツルムラサキ、アシタバ、さといも、なめこ等植物内にも多量に含まれている。
本発明において、上記病態起因物質は、スギ花粉等を含むアレルゲンや、インフルエンザウイルス等を含む病原微生物を含む。
スギ花粉の主要アレルゲンは、花粉受精時に機能する糖類分解酵素である。この糖類分解酵素は、分子量が約45000ダルトン、等電点が8.9〜9.2であるCry j1と、分子量が約37000ダルトン、等電点が9.5以上であるCry j2の2つとされている。従って、多くのスギ花粉症患者の血清は、Cry j1及びCry j2をアレルゲンとして認識する。
本実施形態に係る接触防止製剤に含有されるペクチンは、花粉受精時に機能するペクテートリアーゼである上記Cry j1、ポリメチルガラクツロナーゼである上記Cry j2により消化分解される酵素基質であって水溶性多糖体である。更に、Cry j1、Cry j2はその他の植物の有する糖類分解酵素と相同性の高い分子でもある。従って、上記ペクチン及びペクチン類縁ウロン酸含有多糖類またはペクチン派生物質は、花粉表面のCry j1またはCry j2との間で酵素対基質反応を生じる。更に、上記ペクチン等の基質は巨大分子であるので、いくら酵素消化されても次々に新たな基質構造を提示する。
普遍的に、糖類またはタンパク分解酵素は、複数の基質に対してこれらの相似した立体構造を認識して、グロコシド結合またはアミノ酸結合を分断することによって機能を発揮する。従って、上記ペクチン類はCry j1、Cry j2のみならず近縁の花粉由来の糖類分解酵素にも認識される性質を示す。
アレルゲンは、抗体に認識されて初めてアレルギー反応を引き起こす。このことから、何らかの第三分子がアレルゲンの立体構造を修飾して、抗体分子によるアレルゲン本体への結合が阻害された場合には、アレルギー反応は誘発されない。上記本実施形態に係る接触防止用製剤に含まれる上記ペクチン類は、花粉と花粉症患者の免疫グロブリンEとの間に介在して両者の結合を阻害することにより、アレルギー反応の勃発を妨ぐことができる。かくの如く、ペクチンまたその類縁物質を花粉と生体細胞との間に介在させることは花粉アレルギー反応の防止に有効である。
一方、代表的な病原微生物であるインフルエンザウイルス表面には、2種のスパイクタンパク質が存在する。このうち、ヘマグルチニンはウイルスが宿主細胞膜上のガングリオシドやシアル酸含有糖タンパク質受容体へ結合するうえで必須のタンパク質であり、ノイラミニダーゼ(シアリダーゼ)は細胞膜上の受容体からシアル酸を切断する機能を有する。
即ち、インフルエンザはその生体細胞への取り掛かりであるヘマグルチニンとノイラミニダーゼが糖タンパクのシアル残基を認識することにより感染性を発揮する。加えて、ヘマグルチニンの開裂には、宿主側のプロテアーゼである凝固因子ファクター10、及びバクテリアのプロテアーゼが決定的な役割を果たす。
更に、ここで機能するファクター10は、ウロン酸類であるヘパリンによって活性阻害を受ける。これらのことより、ペクチンによる繰り返しガラクツロン酸配列、ヘパリンによるグルクロン酸とイズロン酸の繰り返し配列は、ウイルスと生体細胞との間に介在して両者の結合を阻害する。
かくの如く、ペクチンや、ヘパリンなどウロン酸類は、病態起因物質の生体への取り掛かり阻害によって歓迎せざる生体反応を防止するために有用である。
本発明の接触防止用製剤においては、本発明の効果を妨げない範囲で既述の必須成分の他に外用製剤の調製に通常使用するすべての緩衝剤、溶解補助剤、等張化剤、安定化剤、粘稠剤、キレート剤、pH調整剤、清涼化剤、抗菌薬、抗炎症剤等の各種の添加剤及びその他の薬効成分などを通常使用量において配合することができる。
より具体的には、緩衝剤としては、例えばホウ酸又はその塩(ホウ砂等)、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム等)、リン酸又はその塩(リン酸−水素ナトリウム等)、酒石酸又はその塩(酒石酸ナトリウム等)、グルコン酸又はその塩(グルコン酸ナトリウム等)、酢酸又はその塩(酢酸ナトリウム等)、各種アミノ酸等又はそれらの組み合わせなどが挙げられる。
溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
等張化剤としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、プロピレングリコール等が挙げられる。
安定化剤としては、例えばエデト酸ナトリウム、シクロデキストリン、亜硫酸塩、クエン酸又はその塩等が挙げられる。
粘稠剤としては、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、コンドロイチン硫酸 ナトリウム等が挙げられる。
キレート剤としては、例えばエデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば塩酸、クエン酸又はその塩、ホウ酸又その塩、リン酸又はその塩、酢酸又はその塩、酒石酸又はその塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
清涼化剤としては、例えばメントール、ボルネオール、カンフル、ゲラニオール、リモネン、オイゲノール、ハッカ油、ユーカリ油等が挙げられる。
薬効成分としては、例えばステロイド剤、充血除去剤(塩酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸フェニレフリン等)、消炎・収斂剤(メチル硫酸ネオスチグミン、イプシロン−アミノカプロン酸、アラントイン、塩化ベルベリン、硫酸亜鉛、塩化リゾチーム等)、抗ヒスタミン剤(塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸イソチペンジル、マレイン酸クロルフェニラミン等)、ビタミン類[ビタミンA及びそのエステル(例えば酢酸エステル、パルミチン酸エステル)、活性型ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE及びそのエステル(例えば酢酸エステル)等]、アミノ酸類(L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム等)、サルファ剤、殺菌剤(イオウ、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール等)、局所麻酔剤(リドカイン、塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、塩酸ジブカイン等)、等を適宜配合することができる。
本発明の外用組成物のpHは、生物学的に許容される範囲であれば特に制限はなく、通常pH4〜10の範囲であり、好ましくは5〜8.5である。本発明の外用組成物の投与量は、生物学的に許容される範囲であれば特に制限はないが、例えば点眼剤、点鼻剤、スプレーとして用いる場合、1回量50−200μLを1日4〜6回投与することが好ましい。
また、本実施形態の接触防止用製剤において、上記ペクチン類主要成分に加えて、植物由来成分を添加することも可能である。ペクチン類自体の由来も各種植物に求められ、植物成分の加水分解など処理過程の様々な段階における分離産物がペクチン類を有効成分とし、他の植物由来成分を含有する製剤となる。
一般に、植物由来成分は、水溶性、非水溶性繊維質、タンパク質、脂質、糖分に分別され、植物繊維、アルカロイド、サポニン、タンニン、カテキン、アポニシン類、苦味質、粘液質、配糖体、フラボノイド、ビタミン、有機酸、ミネラル、等に分類される。
これら植物由来成分の機能としては、アロマティック作用、天然の殺菌作用、糖質界面活性、抗炎症作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用、タンパク糖化反応阻害作用など多岐に渡る。そのため、従来より植物由来成分の利用は、医薬品、化粧品、食品など広範な分野に拡がる。
従って、本実施形態において、ペクチン、ペクチン類縁ウロン酸含有多糖類またはペクチン派生物質とともに前述の様々な植物成分を有効成分とする製剤は、上記ペクチン類とともに複合機能を発揮して、アレルギー反応等を含む歓迎されざる生体反応を防止するために有用である。また、植物成分のみでなく、本請求項の製剤においても電解質、各種薬用成分、を含む通常の製剤添加剤をも組み合わせることも可能である。
上記植物由来成分は、各種植物のなかでも、特にスギ種植物を起源として求められる。樹木構成のうち、若葉、枝、根、幹、苗、カルスなどの部分からなるスギ成分の破砕、加水分解など処理過程の様々な段階における分離産物がペクチン類を含む有効成分を含有する製剤となる。特にカルス、成長点、幼木、等の柔軟かつ活発な機能を呈するものが出発素材として好ましい。
ここで、各種スギ由来成分とペクチン、ペクチン類縁ウロン酸含有多糖類またはペクチン派生物質との配合比は任意に設定可能である。更には、スギ成分を処理仕分けする課程において、ペクチン類含有分画として取り出した成分を使用してもよい。また、本実施形態の製剤においても、必須成分の他に外用製剤の調製に通常使用する各種成分を加えることが好ましい。
本実施形態に係る上記接触防止用製剤は、その他の糖類、高分子化合物または非イオン性界面活性剤のうち、少なくとも何れか1を含有していてもよい。
上記接触防止用製剤において、溶媒中にペクチン、ペクチン類縁ウロン酸含有多糖類またはこれらの派生物質を展開する際、病態起因物質等と周辺環境により、これら物質が偏在して上記製剤の浸透力、乳化力、洗浄力、精練力が不十分な場合がある。このような場合には、非イオン性界面活性剤や高分子化合物の添加が効果的である。
高分子化合物としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、シクロデキストリン等が挙げられ、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステル等が挙げられ、より具体的には、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等がある。
これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。また、CaやMgによる水不溶化を防止するためにはキレート剤が、油脂成分の分解にはリパーゼ等が効果的である。
更には、水溶液への展開性を高めるトレハロースなどその他の糖類の共存によって、ペクチン類の間に拡がりやすい分子構造を構成するときには、安全にペクチン類の分散性を向上させることができる。これにより、上記接触防止用製剤溶媒中のペクチンまたはペクチン類縁ウロン酸含有多糖類またはこれらの派生物質の接触防止効果を高めることができる。
上記高分子化合物や非イオン性界面活性剤を添加することにより、上記製剤の浸透力、乳化力、洗浄力、精練力も十分に向上する。これにより、上記接触防止用製剤の適用方法や剤形の自由度も高まる。
本実施形態に係る上記各接触防止用製剤は、生体周辺への設置されることにより、生体への病態起因物質の接触を効果的に防止することができる。
ここで、上記接触防止用製剤の生体周辺への配置には、上記接触防止用製剤の生体表面への投与も含まれる。
具体的に上記生体周辺への設置としては、上記接触防止用製剤をマスク、、ゴーグル、帽子、衣服、空気調和機などのフィルター、テープ、等の何れかの装着手段に適当な方法で固定し、装着するのが有用である。また、生体表面へ投与する場合は、アレルゲンや病原体が接着しやすい体表面局所周辺に上記製剤を分布させることが効果的である。即ち、湿潤して、衣服に覆われず、生体表面にIgE抗体や糖鎖が現れる粘膜や皮膚に対して、上記接触防止用製剤を直接投与する方法が効果的である。そのため、適用される剤形としては、点眼製剤、点鼻製剤、点耳製剤、吸入製剤、うがい製剤、スプレー製剤、塗布剤、貼付剤、洗浄製剤、注腸製剤等の外用製剤が好適である。
〈実施形態2〉
本実施形態に係る病態起因物質の生体への接触防止用製剤は、核酸と核酸の派生物質とのうち少なくとも何れか1を含有する。この核酸の派生物質は、DNAまたはRNAなどを分解処理したもの、あるいは化学修飾を施して核酸の物性を改善したものをいう。
本実施形態において、上記核酸類は負に荷電した巨大分子である。上記核酸類の中でDNAは安定した構造体であるのに対し、RNAは短期的な機能を担う脆弱な構造体である。これらは糖類やタンパク質と複合体を形成して生理機能を発揮することが知られており、更に、酵素によって寸断されたり、あるいは合成されてより大きな配列ともなる。また、核酸の組み込まれた細菌や細胞を増殖することにより、所望の塩基配列を有する核酸を大量に生産することができる。
一般に、各種アレルゲン、各種ウイルスといった正に荷電した病態起因物質は、負に荷電した細胞表面に接触しやすい性質を有する。一方、核酸類はリポゾームなど正に荷電した分子と誘引し合う特性を示す。これは、核酸類においては生物学的分子の五炭糖あたり少なくとも1つの負の荷電を持つことに起因するもので、DNA及びRNAはヌクレオチドあたり1つの負の荷電を含む。即ち、通常の小分子と異なり、核酸は巨大分子全体が強大な負の荷電を帯びている。
従って、上記核酸類は、正荷電したアレルゲンや病原微生物などの病態起因物質と強力に引き付け合って、病態起因物質の表面に付着する。これにより、上記病態起因物質は電荷を失い、負に荷電した細胞表面に接着する能力を低下させるのみならず、生体表面にある特異的レセプターとの接点を失う。また、核酸が巨大な分子であることは、病態起因物質表面を覆い尽くす点で、他の小分子に比べて圧倒的に有利な物性である。
従って、本実施形態に係る核酸や核酸の派生物質を含有する製剤は、病態起因物質が生体表面に到達する手前でその結合能力を妨げる機能を発揮する。
具体的には、核酸類は、糖類と複合体を形成する水溶性のヘテロ多糖体であり、ヌクレオチド単位がホスホジエステル結合で長く連結した鎖状の巨大高分子化合物である。一方、糖類分解酵素の1つであるCry j1及びCry j2は、大部分のスギ花粉症におけるアレルゲンとしても公知である。アレルゲンは抗体に認識されて初めてアレルギー反応を引き起こすことから、ヘテロ多糖類である核酸類またこの派生物質がアレルゲンに結合することにより、IgE抗体がアレルゲン本体を認識できないときにはアレルギー反応は誘発されない。
従って、本実施形態の接触防止用製剤の核酸類が、スギ花粉と花粉症患者の免疫グロブリンEとの間に介在して両者の結合を阻害することにより、アレルギー反応の開始を妨げる。よって、核酸もしくは核酸の派生物質を生体表面の適切な領域に分布させるときには、表面が正荷電した花粉など各種アレルゲンと引き付け合うことによって、負荷電した生体表面を病態起因物質から隔絶することが可能となり、病態発症の防止、低減のための有効な手段となる。ことに、アレルゲンに対する親和性の高い構造を呈する核酸類の複合体を形成して生体粘膜上に投与させたり、上記核酸類を口、眼、鼻といった開口部を覆うマスクやゴーグルといったウェアラブル手段に適用することにより接触防止効果を高めることができる。
本実施形態において、上記接触防止用製剤は、各種電解質と併用されることにより上記機能を効果的に発揮することができる。これは、電解質のカオトロピック効果により、核酸類と正に荷電した病態起因物質の析出集積を促進することができるためである。
また、界面活性剤による疎水性分子のミセル形成も核酸類と病態起因物質との親和のために効果的である。
更には、DNAが伸展しづらい一方で安定な分子であるのに対し、RNAは所々で分断されて異物に対して様々な配置関係をとりうるので、これらの分子特性を応用した核酸製剤とすることで異物を取り囲む機能を強化することができる。
また、スクリーニングによって、病態起因物質に親和性の高い核酸配列を選択設計すれば、より良好な成績が期待される。また、必要に応じて上記核酸類成分の他に、通常、外用製剤の調製に通常使用される各種薬剤成分を加えることも可能である。
上記接触防止用製剤において、溶媒中に核酸または核酸の派生物質を展開する際、病態起因物質等と周辺環境により、これら物質が偏在して上記製剤の浸透力、乳化力、洗浄力、精練力が不十分な場合がある。このような場合には、その他の糖類、非イオン性界面活性剤や高分子化合物のうち、少なくとも何れか1の添加が効果的である。
高分子化合物としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、シクロデキストリン等が挙げられ、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステル等が挙げられ、より具体的には、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等がある。
これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。また、CaやMgによる水不溶化を防止するためにはキレート剤が、油脂成分の分解にはリパーゼ等が効果的である。
更には、水溶液への展開性を高めるトレハロースなどその他の糖類の共存によって、核酸類の間に拡がりやすい分子構造を構成するときには、安全に核酸類の分散性を向上させることができる。
これにより、上記接触防止用製剤溶媒中の核酸類の接触防止効果を高めることができる。
上記糖類や高分子化合物や非イオン性界面活性剤を添加することにより、上記製剤の浸透力、乳化力、洗浄力、精練力も十分に向上する。これにより、上記接触防止用製剤の適用方法や剤形の自由度も高まる。
本実施形態に係る上記各接触防止用製剤は、生体周辺への設置にされることにより、生体への病態起因物質の接触を効果的に防止することができる。
ここで、上記接触防止用製剤の生体周辺への配置には、上記接触防止用製剤の生体表面への投与も含まれる。
具体的に上記生体周辺への設置としては、上記接触防止用製剤をマスク、ゴーグル、帽子、衣服、空気調和機などのフィルター、テープ、等の何れかの装着手段に適当な方法で固定し、装着するのが有用である。
また、生体表面へ投与する場合は、アレルゲンや病原体が接着しやすい体表面局所周辺に上記製剤を分布させることが効果的である。即ち、湿潤して、衣服に覆われず、生体表面にIgE抗体が現れる粘膜や皮膚に対して、上記接触防止用製剤を直接投与する方法が効果的である。そのため、適用される剤形としては、点眼製剤、点鼻製剤、点耳製剤、吸入製剤、うがい製剤、スプレー製剤、塗布剤、貼付剤、洗浄製剤、注腸製剤等の外用製剤が好適である。
〈実施形態3〉
本実施形態に係る病態起因物質の生体への接触防止用製剤は、ペクチンを含有するか、またはウロン酸含有多糖類であるペクチン類縁ウロン酸含有多糖類およびウロン酸含有多糖類の派生物質であるペクチン派生物質のうち少なくとも1を含有し、核酸および核酸の派生物質のうち少なくとも1を含有する。
本実施形態に係るペクチン、ペクチン類縁ウロン酸含有多糖類またはペクチン派生物質と、核酸または核酸の派生物質とは、いずれも負の荷電を有する天然由来の水溶性高分子である。例えば、上記多糖類や核酸類は、それぞれフェノールとクロロフォルムによる抽出やエタノールと酢酸による沈殿の操作処理を経ても分離されがたい共通性を有する。それと同時に、ペクチン類及び核酸類は、それぞれ分子構成元素や三次元形態には、明らかな相違を呈する構造体である。
ここで、ペクチン等はエステル化末端と酸化末端とを有して疎水性と親水性の両性質を保有するのに対し、核酸は親水性の分子である。従って、上記核酸類は、カオトロピック効果によって相手方物質に析出集積し、通常の糖類やタンパク質とは取捨分別される性質を示す。
ペクチン類は主鎖としてのラムノガラクツロナンのラムノース残基に側鎖としてアラビノース、キシロース、フコース、ラムノース及びガラクトースの単独あるいは複数が櫛状に結合した物質である。即ち、構造上の特性に基づく水和時の疎水性水和によって水分子が集団としてペクチン類に取り込まれる結果、自由空間における核酸濃度が高められると同時に、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などの正荷電イオンがウロン酸末端に引き付けられる。
従って、カオトロピック効果が強化されて花粉表面の核酸類への誘引結合分布が促進される。更に、この事象は花粉表面における脂質構造からCry j1とCry j2を際立たせるポジティブフィードバック効果をもたらすことによって、ペクチン等ウロン酸含有多糖類によるアレルゲンの取り囲みを一層強化することになる。
ここで、ウロン酸の代表的なものには、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、イズロン酸、グルロン酸などがあり、それぞれグルコース、ガラクトース、マンノース、イドース、グロースなどの単糖の化学構造の一部分(6位のアルコール基)が酸化されてカルボン酸基を持った構造をとる。ウロン酸含有多糖類としては、野菜や果実に豊富に含まれるペクチンの他、海藻類に多く含まれるアルギン酸、動物界では皮膚や軟骨や臓器などに豊富に含まれるデルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、コンドロイチン、ヒアルロン酸、ヘパリンなどが知られ、組織の保護、保湿性、柔軟性の確保の役割を担いう。また、これらウロン酸含有多糖類は、構造的な類似性から共通の酵素によって認識される互換性を有する。更に、これらのウロン酸含有多糖類は日常的に摂取される食品でもあり、人体機能に悪影響を及ぼすことはない。一方、核酸類もすべての生物に設計図として組み込まれたものであり、外用や服用として生体に適用することに危険はない。
反応空間において生体表面と外来性病態起因物質が存在するとき、病態起因物質は生体表面上の受容分子に接触結合して病原刺激を発生する。ここで、上記ウロン酸類、または核酸類の一方が単独で反応空間に介在する場合、それらはアレルゲン等の病態起因物質を包囲して生体側受容分子からマスクするために接触反応を減弱防止することができる。しかしながら、受容分子周辺の修飾因子や病態起因物質表面の非均一性のもとでは、上記ウロン酸含有多糖類または核酸類をもってしても一部の病態起因物質の生体表面への接触は避けがたい。
ここで、反応空間においてウロン酸含有多糖類と核酸類の両者が併存する場合には、ひとつには、核酸類が正荷電を有する第3物質を捕捉しやすい特性を発揮して、病態起因物質周辺の夾雑物をも捕捉する機能を発揮する。これにより、夾雑物によるマスクが除去された病態起因物質は、より明確にウロン酸含有多糖類により認識包囲されることになる。従って、反応空間内のほとんどの病態起因物質が生体表面受容体から遮断されて、以後の接触反応を完全に阻止することができる。この逆に疎水性夾雑物などは、ウロン酸含有多糖類により認識されやすい。
ウイルス類など病原体に対しても、同様の機序によりエンベロープとスパイクタンパクは強固に被覆されることになる。即ち、ウイルス表面にある生体細胞への取り掛かり分子は、生体への接触を果たせない環境に置かれる。更に加えれば、生体表面に存在し立体構造や荷電特性の異なる分子群に相対するとき、1つのヌクレオチドあたり1つの負の荷電を持った核酸と、多糖配列の中で規則的あるいはランダムにエステルまたは酸化末端を呈するペクチン類は、等電点の高い分子群のなかから特性の異なる群を選択するために優れた機能を発揮する。
これらを考慮すると、ペクチン、ペクチン類縁ウロン酸含有多糖類またはペクチン派生物質と、核酸または核酸の派生物質とを主要な機能成分として共存させることは、ウロン酸含有多糖類への親和性かもしくは核酸への親和性に基づいて分子選択を実行したり病態起因物質の生体への接触を防止するうえで生物学的に優秀かつ実用的な製剤を構成することになる。
また、上記接触防止用製剤は、アトピー性皮膚炎を含む炎症性皮膚疾患に対しても有効である。アトピー性皮膚炎を含む炎症性皮膚疾患においては、炎症性細胞から様々なサイトカインが放出され、これらが皮膚表層細胞等を刺激するか、もしくは傷害する。このため、再び炎症性細胞が遊走して痒みなどの症状と炎症の増悪を加速させる悪循環が作動することが病態形成の要因となっている。
ここで、本実施形態係るペクチンまたはペクチン類縁ウロン酸含有多糖類と核酸類とを含有する製剤を炎症局所に塗布、スプレーなどで投与すると、上記ペクチン類及び核酸類が皮膚表面に放出分布する炎症性分泌物を吸着被覆したり、外界から皮膚炎症部位に接触してくる各種刺激物質を被覆して皮膚表面を防御する作用を発揮する。
ことに一端アトピー症状を発症した炎症細胞では、細胞膜のバリア機能が不十分である。そこで本実施形態に係る接触防止製剤により、細胞外から炎症成分を吸着することで細胞膜ひいては細胞機能の安定化がもたらされる。また、核酸類は核内へ伝達されるシグナル分子に一般的親和性があることも悪循環防止に有用である。
ペクチン類と核酸類を共存させる特長は、両者相互による水和とイオン強度の増強によるカオトロピック効果から炎症性分泌物や外来性刺激物質を捕捉する機能を相乗することによる。生体における使用感においてもウロン酸類のみではべたつき感がでたり、核酸のみでは効果の減退が明らかであるので両者を共存させる意義は大きい。
本実施形態に係るペクチン、ペクチン類縁ウロン酸含有多糖類またはこれらの派生物質と核酸または核酸の派生物質との含有する接触防止用製剤は、外用製剤による生体周辺への設置による方法で顕著な効果を発揮する。
ここで、上記接触防止用製剤の生体周辺への設置には、該接触防止用製剤の生体表面への投与をも含む。具体的には、ペクチンまたはペクチン類縁ウロン酸含有多糖類またはこれらの派生物質を含有し、且つ、核酸または核酸の派生物質を含有する上記接触防止用製剤は、点眼製剤、点鼻製剤、点耳製剤、吸入製剤、うがい製剤、スプレー製剤、塗布剤、貼付剤、洗浄製剤、注腸製剤の何れかの外用製剤として使用される。また、上記接触防止用製剤はマスク、ゴーグル、帽子、衣服、空気調和機などのフィルター、テープの何れかのウェアラブル用具へも適用が可能であり、それぞれ病態の発現防止に有効である。
更には、上記ペクチン類及び核酸類の両者ともを構成成分とする各種外用製剤は、独自の結合親和性に加えて相互にとっての親和性を浮かび上がらせる機能をも発揮する。例えば、核酸または核酸派生物質が病態起因物質の表面に存在する多彩な夾雑物を吸着除外する作用を発揮するがために、ウロン酸含有多糖類が容易にアレルゲンや他の病原体由来酵素タンパクを認識できる空間環境が整備される。
一方、ウロン酸含有多糖類が各種発癌物質などの表面に存在する多彩な夾雑物を吸着除外する作用を発揮するがために、容易に核酸または核酸派生物質によって上記発癌物質などの病態起因物質を認識することになる。即ち、ペクチンと核酸の混在は様々な病態起因物質の判別を改善して、病態発現を回避する製剤を構成するために有用である。
本実施形態に係る接触防止用製剤において、溶媒中にペクチン、ペクチン類縁ウロン酸含有多糖類またはこれらの派生物質と、核酸または核酸の派生物質とを展開する際、病態起因物質等と周辺環境により、これら物質が偏在して上記製剤の浸透力、乳化力、洗浄力、精練力が不十分な場合がある。このような場合には、その他の糖類、非イオン性界面活性剤や高分子化合物のうち、少なくとも何れか一の添加が効果的である。
高分子化合物としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、シクロデキストリン等が挙げられ、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステル等が挙げられ、より具体的には、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等がある。
これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。また、CaやMgによる水不溶化を防止するためにはキレート剤が、油脂成分の分解にはリパーゼ等が効果的である。
更に、水溶液への展開性を高めるトレハロースなどのその他の糖類の共存によって、上記ペクチン類または核酸類の間に拡がりやすい分子構造を構成するときには、安全にペクチン類及び核酸類の分散性を向上させることができる。これにより、上記接触防止用製剤溶媒中の上記ペクチン類及び核酸類またはこれらの派生物質の接触防止効果を高めることができる。
上記高分子化合物や非イオン性界面活性剤を添加することにより、上記製剤の浸透力、乳化力、洗浄力、精練力も十分に向上する。これにより、上記接触防止用製剤の適用方法や剤形の自由度も高まる。
〈実施形態4〉
本実施形態に係る病態起因物質の生体への接触防止用製剤は、上記各実施形態に係る接触防止製剤に抗ヒスタミン剤等の抗アレルギー薬を含有してなる。
本実施形態の接触防止用製剤は、上記各実施形態に係る接触防止用製剤の病態起因物質の生体表面への接触防止機能を補完し、アレルギー症状の発症を防止し、またはアレルギー症状を軽減するものである。上記抗ヒスタミン剤等の抗アレルギー薬は、従来、使用されてきた治療薬を使用することができる。
接触防止用製剤を使用する時点において、生体が既に大量の病態起因物質に暴露された状態である場合がある。また、使用された接触防止用製剤が適用局所より消退しつつある段階で、新たな病態起因物質が到来した場合も考えられる。これらの場合において、上記各実施形態に係る接触防止用製剤では、病態起因物質の捕捉が不十分となるおそれがあった。
そのような場合、本実施形態に係る接触防止用製剤によれば、添加されている抗アレルギー薬は、捕捉しきれなかった病態起因物質によるアレルギー症状の発症を抑制し、あるいは軽減することができる。従って、上記抗アレルギー薬等の成分は、病態の発現を抑制する上記接触防止用製剤の病態発症抑制機能を補完する機能を発揮する。更に、生体表面に浮腫や浸出液が出現し、上記接触防止用製剤の展開を妨げるおそれがある場合には、浮腫等を除去する薬効成分を含有することも可能である。
このように、様々な細胞反応に作用点を有する各種薬効成分を配合することは、上記接触防止用製剤の病態起因物質の生体への接触防止機能と相反するものではなく、これらの機能を補う点で重要な製剤構成手段となる。
本実施形態に係る接触防止用製剤は、点眼用、点鼻用、点耳用、吸入用、うがい用、スプレー用、注腸用、入浴用の外用製剤に適用され、点眼、点鼻、点耳、吸入、スプレー塗布、うがい、入浴、注腸による病態起因物質の生体への接触防止法において、抗ヒスタミン剤等の抗アレルギー薬がアレルギー症状の発症を防止し、または軽減することができる。
−実施例−
以下、本発明の実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって何ら限定されるものではない。
〈実施例1〉ペクチン、核酸による花粉囲い込みの検定(花粉の連銭形成の確認)
本発明に係る接触防止用製剤を構成するペクチン、及び核酸による花粉への作用を検定するため、以下の実験を行った。以下の実験において、花粉の連銭形成とは、複数の花粉粒子が線状に連なった状態を意味し、花粉の凝集とは、複数の花粉粒子がバルクを形成した状態を意味する。どちらも媒質により花粉粒子が捕捉されて、自由運動が抑制された状態を意味し、その程度が大きいほど花粉の囲い込みの能力が大きいことを示す。
日本産スギ花粉をそれぞれ蒸留水、ペクチン(和光純薬;#168−00555)含有水溶液、グリセリン含有水溶液、ペクチン及びグリセリン含有水溶液、DNA(大和化成;DN−JA0904,DK−JB0218)、RNA(Sigma;R6625)、アミノ酸各々とグリセリン含有水溶液に投入して、室温下にて10分間のインキュベーションを加え、花粉展開液を作成した。
この花粉展開液をそれぞれスライドガラス上に滴下放置して、乾燥したのち、ルテニウムレッド及びゲンチアナバイオレット・アルコール溶液を用いて染色し、鏡検にて花粉の連銭形成を検定した。
ペクチン非存在下、あるいは0.03%未満の低濃度ペクチン存在下では、スギ花粉の連銭捕捉は認められなかった。ペクチンの濃度を0.03〜3.0%程度に上げると花粉の連銭形成が促進された。
また、核酸類であるDNA及びRNAの花粉取り囲みに及ぼす効果を検証したところ、DNA、RNAとも、0.5%以上の濃度では、単独で花粉を部分的に凝集させる作用を示した。
更に、ペクチンのみでは満足な花粉取り囲みが得られなかった上記0.03%未満の低濃度ペクチン水溶液に、DNAまたRNAを適宜添加することにより連銭形成が認められ、ペクチンによる花粉取り囲みを著明に促進することができた。更には、0.2%ペクチン含有水溶液に0.1〜0.3%程度の低濃度のDNA添加によって、強力な花粉の凝集がみられた。
その他、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、トレハロース、クラスターデキストリンはペクチンの作用を補強した。また、シュガーエステル、ポリグリエステルは凝集または連銭した花粉を分散させる効果を発揮した。各種アミノ酸類は花粉を破裂させやすい性質を有したが、グルタミン酸、アスパラギン酸などはペクチンによる花粉取り囲み作用を補強した。更に、ホウ酸は花粉の凝集は促進したが、花粉の破裂をももたらす作用を示した。
〈実施例2〉各種ペクチン類、ウロン酸含有物質、ムコ多糖類による花粉取り囲み作用の比較検討
本発明に係るペクチン類、ウロン酸含有物質、ムコ多糖類による花粉取り囲み作用の比較検討するため、以下の12種類の試料について上記実施例1と同様の試験を行った。12種類の試料は以下の通りである。
Genu社;YM115−H,LM101−AS,Type DF,SLENDID type100,SLENDID type200,LM104AS−FS,LM−5CS,USP−H,USP−L,LH−105AS,AS Confectionary,YM150−LJ
これら12種類の試料において、おおよそ、すべてのペクチン質に花粉取り囲み能力があったが、カラギナン(K−100J)には軽度の作用しかみられなかった。これらのペクチン類におけるエステル化度は15から74%まで幅広く分布した。本試験からは、花粉取り囲み能力はペクチン類に普遍的な性質であり、類縁ウロン酸含有物質のなかではペクチン類に比較特異的であることが示唆された。
ここで、各種天然植物抽出物の作用について、様々な植物からの抽出物を得て単独及び純ペクチンとの相互作用を検討した。葛、メカブ、アロエエキス、オクラ、もずくにて、単独あるいはペクチンとの併用で部分的な花粉凝集がみられた。しかしながら、いずれも植物抽出物を含有しない純ペクチンが示す花粉による連銭形成に匹敵する連銭形成作用は発揮しなかった。
一方、電解質、抗ヒスタミン剤、殺菌消毒剤、その他の製剤及び市販混合剤とペクチンによる花粉取り囲み相互作用を検討したとき、人工涙液、鼻スプレー、うがい薬、等の仕様による各種成分入り製剤及びこれらの混合物中を含む様々な薬液中でペクチンの花粉取り囲み機能は干渉されず充分に発揮された。
〈実施例3〉花粉アレルギー症保有者白血球と花粉によるin vitroでのクラスター形成に及ぼすペクチン及び核酸の作用の検討
本発明に係るペクチン及び核酸の花粉アレルギー症保有者白血球と花粉に及ぼす作用を検討するため、以下の実験を行った。
花粉アレルギー症保有者の血液から分離した白血球を、スギ花粉を固定したスライドグラス上にてインキュベートした。純水に分散した花粉には多くの白血球の集積と顆粒放出がみられたのに対し、0.3%ペクチン水溶液中に分散後固定したスギ花粉には白血球は全く集積する傾向がみられなかった。
これらから、ペクチンが花粉アレルギー保有者の白血球の花粉への結合を防止する結果、白血球からの顆粒放出や多種類の白血球の集積を阻害することが示された。このin vitro実験結果は、生体反応場においては、好塩基球を含む白血球による花粉認識阻害を作用点としてペクチンがスギ花粉によるアレルギー反応の勃発を防止することを示している。
一方、0.5%DNA溶液(大和化成)においても花粉への白血球集積を部分的に抑制する傾向がみられた。もっとも著明であったのは、0.5%ペクチンと0.5%DNAを含有する溶液中であり、花粉の表面全体を帯状にDNAとペクチンが取り囲み、白血球は全く花粉に到達できない状態となった。通常の小分子と異なり、核酸は1つのヌクレオチドが1つの負の荷電を帯びることから、巨大分子全体が大量の負の荷電を帯びている。従って、核酸類は正荷電した花粉全体をペクチンとともに帯状に覆い尽くして、アレルゲンが負に荷電した白血球表面に接着することを妨げる機能を発揮したと判定される。
〈実施例4〉花粉アレルギー症保有者血液中の好塩基球からのヒスタミン放出に及ぼすペクチン、核酸の作用の検討
本発明のペクチン及び核酸が、花粉アレルギー症保有者血液中の好塩基球からのヒスタミン放出に及ぼす作用を検討するため以下の実験を行った。
花粉アレルギー症の血液を採取して、細胞表面マーカーにより認識された好塩基球をマグネット法にて分離し、マイクロプレート上に固定した花粉抽出成分に対して好塩基球を暴露して、放出されるヒスタミンを抗ヒスタミン抗体を用いた発色反応を介して吸光度法にて定量計測した(シオノギ;HRT)。
緩衝液のみを用いた対照試料と、緩衝液中にペクチン含有させた試料、核酸を含有させた試料を調製し、アレルゲンの増加に対するヒスタミン遊離率を比較検討した。本実験ではアレルゲンとしてスギ花粉抽出抗原を使用した。
図1は、スギ花粉抽出抗原(アレルゲン)の濃度とヒスタミン遊離率との関係を示すグラフである。グラフ中の白丸は、0.03%ペクチン含有試料中における結果を示し、黒丸は、緩衝溶液のみを用いた対照試料中における結果を示している。
図1に示すように、ペクチン含有試料中では、スギ花粉抽出抗原による即時刺激時の好塩基球からのヒスタミン遊離を幅広く抑制した。濃度0.03%のペクチン溶液では中等度の濃度のスギ花粉抗原に対する好塩基球からのヒスタミン遊離を効果的に抑制していることがわかる。
同様に、0.1〜0.3%程度のより高濃度ペクチン含有試料について実験したところ、高濃度スギ花粉によるヒスタミン遊離をも抑制できることが判明した。また、DNA、またはRNAのいずれも、同様の実験により花粉アレルゲン刺激時の花粉アレルギー保有者からの好塩基球によるヒスタミン遊離を抑制できることが判明した。
図2は、ヒスタミン遊離率の抑制効果に対するペクチンとDNAの相乗関係を示すグラフである。図2に示すように、0.03%ペクチン含有試料のみでは満足なヒスタミン遊離防止能が得られない。しかし、濃度0.3%となるようDNAを添加することにより、有為なヒスタミン遊離抑制効果が得られた。
また、DNAに代えてRNAの添加においても、花粉抽出物によるヒスタミン遊離を有意に抑制することができた。
〈実施例5〉インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ酵素活性に及ぼすペクチン類と核酸類の作用
本発明のペクチン類及び核酸類がインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ酵素活性に及ぼす作用を検討するため以下の実験を行った。
A型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ活性を、合成発色基質との酵素反応(ニチレイ;ジーンスタットフルーキット)により解析した。この酵素反応は、ノイラミニダーゼによるアセチルノイラミン酸の切断能に基づき、試液の青色発色が濃いほど酵素活性が高いことを示す。
A型インフルエンザ感染者の咽頭より採取したウイルス検体を対照試料と、ペクチン類の向酵素活性作用の評価用試料に二分した。反応溶液中に蒸留水30μlを加えた対照試料では、試液の滴下によって鮮やかな青色発色を呈した。一方、ノイラミニダーゼ活性の陽性検体に0.05%ペクチン(Genu社;USD−H)を含有させた評価用資料では、同容量反応溶液中において全く呈色を認めず陰性となった。
即ち、本実験において、0.05%という低濃度であってもペクチン類は、ノイラミニダーゼ基質に対するインフルエンザのノイラミニダーゼ酵素活性を失活させたことがわかる。このことから、ペクチン類はインフルエンザウイルスの増殖回転において感染細胞からのウイルス粒子の放出阻止作用を発揮することが示された。
また、20unit/mlのヘパリン含有の評価用資料についても同様の実験を行った。その結果、ヘパリン含有の評価用資料では、青色発色の呈色が薄くなった。
また、0.5%DNA含有の評価用試料では、ノイラミニダーゼ酵素活性は対照試料よりも増強されることがわかった。
以上より、ペクチンやヘパリンのウロン酸含有多糖類はインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ酵素活性を減弱化するのに対し、核酸は反応環境下においてノイラミニダーゼによるペクチンやヘパリンといったウロン酸含有基質類の識別を促進する作用を有することが示された。従って、核酸を関与させるときには、ノイラミニダーゼによるペクチン類認識能が向上することがわかる。
<実施例6>花粉症保有者における点眼と点鼻製剤の使用試験
本発明に係る接触防止用製剤を点眼製剤と点鼻製剤に適用し、被験者による使用試験を行った。本実施例に係る点眼製剤及び点鼻製剤は、以下に示す含有量でペクチン(Genu社;type DFなど)及びDNA(大和化成)を含有する。
ペクチン及びDNAの含有量は、ペクチン0.03〜1.0%、DNA0.05〜1.0%、0.5%ペクチン+0.5%DNA、0.8%ペクチン+0.2%DNA、0.2%ペクチン+0.8%DNAとした。
花粉アレルギー保有者を被験者とし、アレルギー反応発症時に各点眼製剤を投与したときの痒みの改善度合いとその持続時間及び使用感(違和感の程度)を調べた。得られた結果を以下の評価基準に従ってって評価した。
痒みの改善度合いの評価基準
AAA:痒みが非常に軽減された AA:痒みが軽減された A:痒みがやや軽減された BB:痒みが変わらない B:痒みがひどくなった
痒み改善の持続の度合いの評価基準
AAA:180分以上持続した AA:120分以上持続した A:60分以上持続した BB:30分以上60分未満の持続 B:30分未満の持続
使用感(違和感の程度)の評価基準
AAA:全く違和感がない AA:ほとんど違和感がない A:どちらともいえない BB:違和感が感じられた B:違和感が強く感じられた
外出時の症状改善度の評価基準
AAA:痒みが非常に軽減された AA:痒みが軽減された A:痒みがやや軽減された BB:痒みが変わらない B:痒みがひどくなった
就寝時の使用による効果、翌朝起床時の症状改善度
AAA:痒みが非常に軽減された AA:痒みが軽減された A:痒みがやや軽減された BB:痒みが変わらない B:痒みがひどくなった
就寝時の使用による効果、翌朝起床時の鼻づまり改善度
AAA:鼻づまりが非常に軽減された AA:鼻づまりが軽減された A:鼻づまりがやや軽減された BB:鼻づまりが変わらない B:鼻づまりがひどくなった
この結果、ペクチンは0.03%から1%において、DNAは0.05から1%において、それぞれ単独の使用で痒みと鼻づまりに代表される花粉症症状改善効果が認められた。
図3に、0.5%ペクチン、05%DNA0.5%ペクチン+0.5%DNA、0.8%ペクチン+0.2%DNA、0.2%ペクチン+0.8%DNAをそれぞれ含有する点眼製剤の使用試験結果を示す。
図3に示すように、ペクチン及びDNAの両者とも明らかな症状改善効果を発揮した。更に、ペクチンとDNAの混合使用においては、さらに低濃度にても花粉症改善効果が認められた。ただし、ペクチン0.5%以上の濃度の点眼では、べたつき感がみられた。一方、DNA単独では症状改善効果がやや不十分であった。
〈実施例7〉市販点眼製剤、点鼻製剤との作用比較
従来、花粉症対症用の市販点眼製剤及び点鼻製剤と、本発明に係る製剤との間で花粉症症状発現に対する作用を比較した。
上記市販点鼻製剤は、血管収縮剤、抗ヒスタミン剤、殺菌剤、香料等を含有する。
この市販点鼻製剤の使用では、鼻づまりに対して速効が得られたが、鼻腔内の灼熱感、乾燥感、痛みも感じられた。また、使用後一時間程度の短時間で症状が再燃した。
更に、市販点鼻製剤では、就寝前使用した場合、起床時において鼻腔の不快感、鼻づまりが認められ、夜間に鼻づまり等のため覚醒することもあった。
また、市販点眼製剤の場合は、鼻づまりには効果がなく、一時的に眼の掻痒感を軽減できたが外出時の新たな花粉抗原への暴露により容易に症状が再燃した。
これに対して、本発明に係る製剤を含有する点眼製剤及び点鼻製剤は、いずれの配合においても点眼、点鼻時の刺激症状はなく、効果発現までに10〜15分間の間隔があった。本発明に係る製剤を有する点眼製剤及び点鼻製剤の効果持続は3時間以上であり、1日4から5回の使用で、痒みや鼻づまり、鼻水のアレルギー症状を除去することができた。
更に、本発明に係る製剤を有する点眼製剤及び点鼻製剤を就寝時に使用した場合、快眠と翌朝起床時の鼻づまりや痒みからの解放をもたらした。なかでもDNAとペクチンの両者を含有する製剤は、鼻づまりや痒み症状の軽減度と翌朝の快適度が高かった。
ペクチンの単体使用では、比較的早期に水分を周辺から吸収することによると思われる乾燥感が感じられ、DNAの単独使用では、症状防止効果の維持が不完全になりやすい傾向があった。ペクチン含有製剤ととDNA含有製剤を5〜15分間隔で交互に使用した場合、日中の外出時の眼の掻痒感や鼻づまりなどの花粉症症状ははぼ完全に防止された。ペクチンとDNAの混合製剤を使用した場合、室内においては日中数回の使用で症状発現が防止され、外出時には2、3回の追加使用で充分であった。
なお、上記実施例の点眼製剤や点鼻製剤に、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルリチン、ピリドキシン、塩酸ナファゾリン、塩化ベンザルコニウムを適宜添加することにより、症状軽減効果が補強された。
〈実施例8〉病態起因物質捕捉用マスク及びマスク用スプレー
本発明の接触防止用製剤をマスクに適用して、病態起因物質捕捉効果を検証した。
0.5%ペクチン及び0.5%DNAを含有する水溶液を作成した。この水溶液に1〜3枚程度の綿ガーゼを浸し、これを更に数枚の乾燥した綿ガーゼの間に挟み込み、市販のマスクに装着して病態起因物質捕捉用マスクとした。
また、0.5%ペクチン及び0.5%DNAを含有する水溶液をスプレー容器に収納し、マスク用スプレーとした。このマスク用スプレーから市販用マスクに上記溶液を適量噴霧して病態起因物質捕捉用マスクとした。
これら両マスクを被験者に着用させて、花粉の飛散量が多い野外へ外出させアレルギー症状の発症程度を観察した。その結果、いずれのマスクを着用した場合であっても、鼻腔及び口腔にはアレルギー症状は全く認められなかった。
本実施例の結果より、ペクチン及びDNAを含有する製剤は、病態起因物質を有効に捕捉するフィルターに適用できることが示された。従って、本製剤を適用したフィルターを室内外の送換気、または排気系に使用することにより、室内への病態起因物質の侵入や拡散を防止し、また、室内の病態起因物質の除去にも効果を奏するものと考えられる。
〈実施例9〉病態起因物質捕捉洗浄用うがい製剤
本発明に係る接触防止用製剤をうがい製剤に適用し、口腔及び咽頭の洗浄効果について検証した。
0.05%ペクチン及び0.05%DNAを含有する水溶液を作成し、うがい製剤とした。被験者にこの水溶液で口腔から咽頭にかけてうがいによる洗浄を行ったところ、使用後に違和感は現れず、良好な洗浄処置が実行できた。また、上記水溶液を通常使用濃度のポピドンヨード等消毒剤やアズレン水溶液と混合した場合にも違和感は生じなかった。
〈実施例10〉抗アレルギー剤と病態起因物質の接触防止用製剤との複合剤にみられた相乗効果
本発明の接触防止用製剤と他の抗アレルギー剤との相乗効果について検証した。
0.5%ペクチン及び0.5%DNAを含有する水溶液に、抗アレルギー剤としてクロモグリク酸ナトリウム(1.0%)を添加し、点眼剤を作成した。これを花粉アレルギーが発症した被験者に点眼したところ、速やかに症状改善効果が現れ、使用感においても問題はなかった。クロモグリク酸単独使用時に比較して、本実施例に係る点眼薬は症状の改善度合いと効果の持続時間の両者において明らかに優れた効果が観察された。
〈実施例11〉ステロイド剤と病態起因物質の接触防止用製剤との複合剤にみられた相乗効果
本発明の接触防止用製剤とステロイド剤との相乗効果について検証した。
0.5%ペクチン及び0.5%DNAを含有する水溶液に、ステロイド剤としてリン酸ベタメタゾン(0.005%)を添加し、点眼剤を作成した。これを花粉アレルギーが発症した被験者に点眼したところ、速やかに症状改善効果が現れ、快適な使用感を発揮した。リン酸ベタメタゾン単独使用時に比較して、本実施例に係る点眼薬は症状の改善度合いと効果の持続時間の両者において明らかに優れた効果が観察された。
〈実施例12〉吸入液としての使用
本発明に接触防止用製剤を吸入液として使用の効果を検証した。
0.05%ペクチン及び0.05%DNAを含有する水溶液を作成し、超音波ネブライザーにより咽頭から気管支にかけて吸入による病態起因物質捕捉と洗浄処置の模擬的使用を行った。使用後に違和感は現れず良好な吸入処置が実行できた。気管支拡張剤や去痰剤の水溶液と混和した場合にも使用違和感は生じなかった。よって、実際に病態起因物質が気管支腔内存在する場合にも喀痰とし外部へ排出できることが示唆された。
〈実施例13〉アトピー性を含む炎症性皮膚疾患治療製剤
本発明の接触防止用製剤の炎症性皮膚疾患治療製剤としての効果を検証した。
慢性のアトピー皮膚炎を発症している被験者の左肘内側の炎症性湿疹部位に0.2%ペクチン、0.8%DNA−ナトリウム塩、及び0.8%ペクチン、0.2%DNA−ナトリウム塩を滴下投与した。投与前の皮膚の痛痒さは2−3時間後には全く消失した。翌日以降も効果は継続した。外見上の皮膚湿疹は正常部位と区別できない状態に改善した。
〈実施形態5〉
本実施形態に係る製剤は、内分泌撹乱物質などの内因性因子の治療剤としたものであり、具体的に、ウロン酸含有多糖類および核酸類の少なくとも何れか1つを含有する皮膚または粘膜の炎症性疾患の治療製剤である。つまり、この治療製剤は、ウロン酸含有多糖類を含有するか、または核酸類を含有するか、またはウロン酸含有多糖類および核酸類の双方を含有している。
ウロン酸含有多糖類なかでも側鎖を有する構造はその立体構造中に異分子を囲い込むことが可能である。実際、ヨーグルトやジャムなどの溶液中不溶性成分の均一な分布には、この特性が関与すると考えられる。
また、核酸類は荷電による引きつけ以外にその二重螺旋構造の間隙に小分子をも吸収する。
一方、粘膜の炎症は、内因性のヒスタミンやロイトリエンなどケミカルメディエーターの放出や、IL−3,IL−5,IL−6,IL−10,IL−13,TNF−αを含むサイトカインの産生亢進など炎症サイクルが多大な影響を及ぼすのみならず、未知の中分子または大分子が機能すると考えられる。
これらの炎症関連物質が何であれ、ウロン酸含有多糖類または核酸類を含有する製剤には、様々な炎症関連成分を立体構造中に取り込んだり粘膜や炎症細胞からマスクして、粘膜周辺における炎症を消去もしくは軽快に導く作用を発揮する。
製剤中の機能性成分の含量は、ウロン酸含有多糖類のひとつである、ペクチンの場合、製剤中の濃度は0.03%〜3%、最も望ましくは、0.1%〜1%が有効であり、核酸類のひとつであるDNAの場合、0.03%〜3%、最も望ましくは、0.05%〜1%が適切である。
特に、ウロン酸含有多糖類または核酸類を含有する結膜炎の治療製剤の場合、病因はどうあれ、急性もしくは慢性の眼球結膜充血や浮腫などの炎症症状とこれに引き続く細胞増殖にはさまざまなケミカルメディエーターやサイトカインおよび未知の中分子または高分子が機能すると考えられる。
従来の抗炎症小分子製剤の点眼治療は、生体側の炎症機転に作用するものであり、充血や浮腫さらには細胞増殖を完全に抑止することが困難であるのみでなく大容量の投与は細胞機能障害を起こす。
これに比して、ウロン酸含有多糖類または核酸類を含有する製剤の点眼は、炎症関連物質が何であれ、従来の点眼製剤とはまったく異なる機序で炎症関連成分を立体構造中に取り込んだり、粘膜や炎症細胞からマスクして、結膜周辺における炎症を消去もしくは軽快に導く。
さらに、本製剤は側鎖をもったエステル構造により水溶性のみならず脂溶性の炎症関連成分をも捕捉できることから従来製剤とは異なる作用を発揮する。使用感と効能からみて、製剤中の機能成分の含量は、ウロン酸含有多糖類のひとつである、ペクチンの場合、製剤中の濃度は0.03%〜3%、最も望ましくは、0.1%〜1%が有効であり、核酸類のひとつであるDNAの場合、0.03%〜3%、最も望ましくは、0.05%〜1%が適切である。
また、本製剤は、発ガン物質、内分泌撹乱物質など各種毒物から生体を防御するために、フィルターやマスク等のように生体に着用する製品に適用してもよい。
つまり、エチジウムブロマイド、ダイオキシン、PCB、アスベスト(耐火材料)、ベンゼン(ガソリンに含まれる)、トルエン、シクロヘキサン、塩ビモノマー(塩ビの原料)、たばこ、ベンツピレン(排ガス)、アフラトキシン(ピーナツなどのカビ毒)、タール、ニトロソアミン、ホルムアルデヒド(新築の家でシックハウスの原因ともされている)、ディーゼル排ガスなどの有毒発がん物質、ダイオキシン類、トリブチルスズ、4−オクチルフェノール、ノニルフェノール、フタル酸ジ−n−ブチル、オクタクロロスチレン、ベンゾフェノン、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル)に4物質(フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、トリフェニルスズ)に代表される内分泌撹乱物質は、職場や日常の生活空間に溢れているにもかかわらず、ヒトは上記物質を認知できず結果として無意識に暴露されている。
本製剤のウロン酸含有多糖類なかでもイオン性およびエステル型側鎖を有する構造はその立体構造中に各種の発ガン物質、内分泌撹乱物質を囲い込むことが可能と考えられる。
また、核酸類はその二重螺旋構造の間隙に発ガン物質、内分泌撹乱物質を吸収したり、強イオン性分子を結合することができる。よって、これら両者により構成される製剤は生体を有毒物質から防御するために有用である。
【実施例1】
両側白内障手術後3ヶ月後の、違和感をともなう両眼充血を認める結膜炎の67歳女性患者において、ペクチン0.5%、DNA0.5%を含有する点眼製剤を使用した。1日3回の点眼で充血と違和感をは改善し、翌日からは、両眼とも充血は完全に消失した。3週間後に点眼を中止したところ、3日目には再び両眼とも再充血したため、ふたたび点眼を開始して症状の消失をもたらした。以上より、本製剤は明らかに粘膜炎症の病態に著効することが示された。
【実施例2】
ペクチン(USPL 1%)水溶液に不織布を含浸し乾燥後、直径8cmのフィルターを切り抜いた。蒸留水処理の不織布を対照としてこのフィルターに濃度100ppmのトルエン、また100ppmのシクロヘキサンを15L/minの流量で負荷したところ、対向側において計測されたトルエンとシクロヘキサンの濃度はそれぞれ50および80ppmに低下した。対照ではトルエンとシクロヘキサンの濃度に低下はみられなかった。
一方、ペクチン(USPL 0.5%)とDNA−Na(0.5%)の含む溶液に含浸した不織布においては、対向側におけるトルエンとシクロヘキサンの濃度はそれぞれ40および50ppmに低下した。
以上より、これらの物質でフィルターを構成したときには空中に気化分布する毒物を有効に捕捉することが確認された。
したがって、本特許の製剤により通常の人体の換気量において充分にガス化毒物を吸着できることが明らかである。
【産業上の利用の可能性】
以上のように、本発明に係る製剤および接触防止方法は、主として外因性攪乱因子に対する生体暴露の低減と軽症化、感染性病原体に対する防御と病態の進行防止に有効であり、特に、花粉アレルギーに対する防御と病態の進行防止に適している。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
病態起因物質の生体への接触防止用製剤であって、ウロン酸含有多糖類およびウロン酸含有多糖類の派生物質の少なくとも何れか1を含有する接触防止用製剤。
【請求項2】
アレルゲンの生体への接触防止用製剤であって、ウロン酸含有多糖類およびウロン酸含有多糖類の派生物質の少なくとも何れか1を含有する接触防止用製剤。
【請求項3】
アレルゲンの生体への接触防止用製剤であって、ウロン酸含有多糖類およびウロン酸含有多糖類の派生物質の少なくとも何れか1に加えて、植物由来成分を含有する接触防止用製剤。
【請求項4】
病原微生物の生体への接触防止用製剤であって、ウロン酸含有多糖類およびウロン酸含有多糖類の派生物質の少なくとも何れか1を含有する接触防止用製剤。
【請求項5】
病態起因物質の生体への接触防止用製剤であって、核酸および核酸の派生物質の少なくとも何れか1を含有する接触防止用製剤。
【請求項6】
アレルゲンの生体への接触防止用製剤であって、核酸および核酸の派生物質の少なくとも何れか1を含有する接触防止用製剤。
【請求項7】
病原微生物の生体への接触防止用製剤であって、核酸および核酸の派生物質の少なくとも何れか1を含有する接触防止用製剤。
【請求項8】
病態起因物質の生体への接触防止用製剤であって、ウロン酸含有多糖類およびウロン酸含有多糖類の派生物質の少なくとも何れか1を含有し、核酸および核酸の派生物質の少なくとも何れか1を含有する接触防止用製剤。
【請求項9】
アレルゲンの生体への接触防止用製剤であって、ウロン酸含有多糖類およびウロン酸含有多糖類の派生物質の少なくとも何れか1を含有し、核酸および核酸の派生物質の少なくとも何れか1を含有する接触防止用製剤。
【請求項10】
請求項2、3、6および9の何れか1項において、上記アレルゲンが花粉アレルゲンである接触防止用製剤。
【請求項11】
請求項1乃至9の何れか1項において、さらに、その他の糖類、高分子化合物及び非イオン性界面活性剤の少なくとも何れか1を含有する接触防止用製剤。
【請求項12】
請求項1乃至9の何れか1項の接触防止用製剤を含有する外用製剤。
【請求項13】
病態起因物質の生体への接触防止方法であって、ウロン酸含有多糖類またはウロン酸含有多糖類の派生物質を含有する製剤の生体周辺への設置による接触防止方法。
【請求項14】
アレルゲンの生体への接触防止方法であって、ウロン酸含有多糖類またはウロン酸含有多糖類の派生物質を含有する製剤の生体周辺への設置による接触防止方法。
【請求項15】
アレルゲンの生体への接触防止方法であって、ウロン酸含有多糖類またはウロン酸含有多糖類の派生物質を含有する外用製剤による接触防止方法。
【請求項16】
アレルゲンの生体への接触防止方法であって、ウロン酸含有多糖類またはウロン酸含有多糖類の派生物質に加えて、その他の植物由来成分を含有する製剤の生体周辺への設置による接触防止方法。
【請求項17】
病原微生物の生体への接触防止方法であって、ウロン酸含有多糖類またはウロン酸含有多糖類の派生物質を含有する製剤の生体周辺への設置による接触防止方法。
【請求項18】
病態起因物質の生体への接触防止方法であって、ウロン酸含有多糖類またはウロン酸含有多糖類の派生物質に加えて、その他の糖類、高分子化合物及び非イオン性界面活性剤の少なくとも何れか1を含有する製剤の生体周辺への設置による接触防止方法。
【請求項19】
病態起因物質の生体への接触防止方法であって、核酸または核酸の派生物質を含有する製剤の生体周辺への設置による接触防止方法。
【請求項20】
病態起因物質の生体への接触防止方法であって、核酸または核酸の派生物質を含有する製剤の外用薬による接触防止方法。
【請求項21】
アレルゲンの生体への接触防止方法であって、核酸または核酸の派生物質を含有する製剤の生体周辺への設置による接触防止方法。
【請求項22】
病原微生物の生体への接触防止方法であって、核酸または核酸の派生物質を含有する製剤の生体周辺への設置による接触防止方法。
【請求項23】
アレルゲンの生体への接触防止方法であって、核酸または核酸の派生物質を含有する外用製剤による接触防止方法。
【請求項24】
病態起因物質の生体への接触防止方法であって、ウロン酸含有多糖類またはウロン酸含有多糖類の派生物質と、核酸または核酸の派生物質とを含有する外用製剤による接触防止方法。
【請求項25】
病態起因物質の生体への接触防止方法であって、ウロン酸含有多糖類またはウロン酸含有多糖類の派生物質と、核酸または核酸の派生物質とを含有する製剤の生体周辺への設置による接触防止方法。
【請求項26】
アレルゲンの生体への接触防止方法であって、ウロン酸含有多糖類またはウロン酸含有多糖類の派生物質と、核酸または核酸の派生物質とを含有する製剤の生体周辺への設置による接触防止方法。
【請求項27】
アレルゲンの生体への接触防止方法であって、ウロン酸含有多糖類またはウロン酸含有多糖類の派生物質と、核酸または核酸の派生物質とを含有する外用製剤による接触防止方法。
【請求項28】
請求項14、15、16、21、23、26および27の何れか1項において、上記アレルゲンが花粉アレルゲンである接触防止方法。
【請求項29】
請求項12乃至27の何れか1項において、
上記製剤は、さらに、その他の糖類、高分子化合物及び非イオン性界面活性剤の少なくとも何れか1を含有している接触防止方法。
【請求項30】
ウロン酸含有多糖類および核酸類の少なくとも何れか1つを含有する皮膚または粘膜の炎症性疾患の治療製剤。

【国際公開番号】WO2004/100966
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【発行日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506285(P2005−506285)
【国際出願番号】PCT/JP2004/006992
【国際出願日】平成16年5月17日(2004.5.17)
【出願人】(504432437)BBKバイオ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】