説明

病歴診断システムおよび方法

【課題】
患者の関連病歴データを収集、格納、処理、および分析するためのインテリジェント・システムを提供する。
【解決手段】
1つの実施例では、患者個人の病歴および患者家族の病歴を含む患者の病歴が本システムにおいてアクセスされる。本システムは、既知の病歴に対する兆候、診断、処方箋、および医療問題を比較するために、医師および他の医療従事者によって照会される。更に、本システムは、家族メンバの病歴を照会し、遺伝的または先天的関係を有する関連の健康状態の正確且つ慎重な評価を提供する。更なる実施例は、本システムを利用して患者個人または患者家族の病歴に基づいた警告を発する。これらの警告は、患者および医療従事者が潜在的な健康状態を認識し、高度の医療評価を得るのを助成するために患者の現在の医療問題とは別に或いはそれに関連して発生される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には医療診断および治療に関連して行なわれる情報処理に関する。詳しくいえば、本発明は、患者個人および家族病歴を使って病状の診断および治療を支援するための技法に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的な医療診断環境における医療データおよび医療記録の使用に関連して多くの課題が生じている。先ず、多くの患者が自分の個人的医療データから疎外されていると感じている。たとえ患者が自分の健康管理従事者にそれ以前よりも関連の深い健康情報を提供しても、多くの場合、医師はこのデータを選り分ける方法を持たず、どのデータが最も関連のあるものであるかを判断することができない。次に、医療活動の変化は、その結果として、患者の病歴をよく知らない健康管理従事者を生じさせている。患者が、何年もの期間にわたってその患者を熟知していた「かかりつけ医」/総合診療医から離れて、個々の健康状態を扱う更に専門的な健康管理従事者に移る傾向が増している。患者が専門医から別の専門医に移るとき、その患者に関連した背景医療データは失われたり、無視されたりし易い。
【0003】
医療データの使用および可用性の着実な増加にもかかわらず、多くの場合、専門医は、患者の関連病歴の局面をすべて処理するためのその患者に関する時間および背景情報を持っていない。患者の家族病歴は、予測可能な医療上の問題点または面倒な事態を生じる遺伝性および遺伝子的な疾病素因の認識のためには特に価値がある。更に、ほとんどの医師が治療に先立って関連の個人的な病歴を患者に尋ねても、多くの患者は病歴の空白期間を有したり、重要な細部を忘れたりしていることがある。治療は益々複雑になっているので、すべての関連する個人および家族の医療記録に対する良好なアクセスの需要は増加するばかりであろう。
【0004】
現在、医療上の問題が生じたとき、特に、関連の患者の情報をすべて引き出すことが不完全なデータを生じるとき、インテリジェント診断方法を使うに容易な方法は存在しない。従って、医師は、標準的な診断プロトコルを使っても、すべての潜在的な問題に対して注意を喚起されないことがある。診断の決定を下すとき、高いコストと情報不足に関連したリスクとによって、患者に関連する病歴データがより良い方法で処理される必要があるということは明らかである。
【0005】
医療記録のアクセス容易性および用途を向上させる1つの技法は、バー・コードまたはスマート・カード技術を有する電子クレジット・カード型カードを通してアクセスし得る記録のようなポータブル電子医療記録の使用である。これらのポータブル・カードは、いつでも患者の病歴への信頼性のあるアクセスを患者に提供する。しかし、ポータブル・スマート・カードの場合、データが失われるたり盗まれたりする機会が存在する。技術によっては、プライバシ上の懸念が存在し得るし、或いは、すべての関連医療データの包括的な見解を提供するポータブル・データ記録の作成を法律が抑止することもある。ソフトウェアによっては、ポータブル記録は一貫性に欠け、実施のための費用効果がよくないこともある。患者は、自分の医療情報を携帯するのを忘れること、或いは携帯する意思のないことがある。
【0006】
他の適用可能な技術は、患者の医療データの収集、整理統合、および維持管理を運用しようとする製品を含む。例えば、多くの電子医療記録システムは、関連の医療データを捕捉し、多数のロケーションおよび医師によってアクセスされ得る。このデータが捕捉されるとき、そのデータを使用するだけでなく、そのようなデータに気の利いた分析法を適用する診断メカニズムが存在しない。更に、既存の技術は、医師が、背景データを迅速に且つ広範に精査したり、関連の病状に対する診断情報を入手したり、或いは患者の関連する病歴に基づいて使用可能な且つ具体的な提言を抽出したりするに十分な根拠を与えるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、患者の病歴及び患者に関連する家族病歴を取り出し、患者の病状に関連する健康管理上の提案および行動を提示する「診断インテリジェンス・システム」を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のインテリジェンス・システムは、各健康管理従事者における病歴の自己申告を必要とせずに、インターフェース・セットを使用して、関連の背景病歴データを記憶し、照会し、および抽出するために使用される。これは、そのデータがバックグラウンド・プロセスにおいて処理されるし、患者および医師の診察室から離れたところで処理されるので、患者のプライバシを侵すことなく行われる。
【0009】
本発明の別の実施態様は、患者の現在または潜在的な医療上の懸念の診断する場合に使用するために、患者の直系および傍系家族の健康情報(例えば、両親、おば、おじ、兄弟姉妹、子供、従兄弟、および祖父母のような生物学上の親族から得られた病歴データ)へのアクセスを診断インテリジェンス・システムに与える。家族の健康情報もインテリジェンス・システムのレベルで記憶され、患者の家族が自身の医療上の懸念および治療に遭遇したときに経時的に更新され得る。この家族の健康情報は必要に応じて照会され、患者の現在の症状、診断、および治療に比較され得る。インテリジェンス・システムにおけるそのような病歴の用途は、HIPPAのような様々な州および連邦プライバシ条例を遵守するように設計され得る。更に本明細書に記載されているように、インテリジェンス・システム内の他の家族からの病歴情報を活用することは、家族の健康情報のアクセスおよび使用のために適切なシステム・インフラストラクチャ、システム・セットアップ、システム分析、およびシステム更新を提供することを含む。
【0010】
従って、本発明の診断インテリジェンス・システムは、プライバシまたはポータビリティの問題を回避すると共に、患者の関連の病歴および患者の家族病歴をすべてにアクセスするための1つの場所を提供する。そのシステムは、すべての入力を個別にまたは一緒にして処理し、診断およびアクションの処理コースを示唆し、前の治療歴のパターンを識別し、遺伝的な病状または根本的な原因について医師に警告し得る。従って、患者を診る医師は、患者の背景に関する多くの状況を与えられ、結局、それは良好な診断、並びに治療のコストおよびリスクの削減に通じ得る。
【0011】
例えば、健康管理従事者がシステムを照会するとき、インテリジェンス・システムは、患者を知的に診断する方法をそれの利用可能な情報に基づいて決定する。これは、患者の病歴および家族病歴を掘り起こすアルゴリズムおよびヒューリスティックス(heuristic)の使用を通して行われる。しかる後、診断インテリジェンス・システムは、推奨される治療および標準的な診断プロトコルに基づいていずれの潜在的懸念にもフラグを付する。更なる実施例は、医師との対話が特定の状態および結果を掘り下げ、インテリジェンス・システムに格納された病歴データを追加の医療データを用いて更新することを可能にする。
【0012】
本発明の更なる実施態様は、患者が健康であるか或いは現在症状を表わしていないときでも、家族病歴データを利用して先取り的な医療上の警告を発する。診断インテリジェンス・システムは、人生の出来事、家族の成長パターン、または特定の病状(無関係な病状でも)の兆候に基づいて警告を発し得る。患者個人病歴および患者家族病歴に注目することは、患者の全面的なリスク要因と、患者が直面し得る将来の病状とを含めた考察を可能にする。家族病歴を照会し、それをまとめるために本発明の診断インテリジェンス・システムを使用することにより、本システムは、権限のない医師が他の人の医療データを扱うことによって生じるプライバシ問題を回避し得る。更に、この診断インテリジェンス・システムは、先取り的な治療および健康維持活動を示唆および監視するために、警告と予測される病状との連携を使用し得る。
【0013】
本明細書に開示された1つの特定の実施例では、患者の病状に関する評価および治療を支援するために診断インテリジェンス・システムにおいて病歴を分析する方法が提供される。この方法は、診断インテリジェンス・システムを用いて、患者に関する個人的医療情報、即ち患者の病歴および家族病歴を含む医療情報、をアクセスすることを含む。この家族病歴は、患者の既知の直系家族および傍系家族の個人的病歴から直接蓄積された情報を含む。その分析は、家族病歴から検索された医療情報を含む、患者の医療状態に関する関連背景情報を検索および選別するために診断インテリジェンス・システムを用いて医療情報を照会することを含む。この関連背景情報は、患者問診に関連して健康管理従事者に提供される。
【0014】
患者の病状の観察および評価は、健康管理提供者によって診断インテリジェンス・システムに提供される。診断インテリジェンス・システムは、関連の背景情報と観察および評価とを比較して提言を作成したり、追跡アクションを要求したり、或いは、診断された病状を確認し得る。患者問診に基づいた診断、検査、および治療のための情報もインテリジェンス・システムに記録される。更なる実施例では、患者の医療データおよび/または記録が、医師による患者問診の結果に従って更新される。更に本明細書に開示されるように、関連の医療データは様々なフォーマットで存在し得るし、様々な場所から検索され得る。更に、医療従事者は、一般的な総合医療機関、専門医療機関、病院医療システム、または他の施設および医療機関であってもよい。
【0015】
更なる実施例では、診断の評価が、診断インテリジェンス・システムを使用して、患者の病状の潜在的な根本原因に関して行なわれる。これに続いて、その潜在的な根本原因に関する情報が、患者問診に関連して医療従事者に提供され得る。従って、診断インテリジェンス・システムは、受診前、受診後、および受診中の典型的な患者治療の診療過程おける多くの時点で使用され得るし、そのインテリジェンス・システムを使用して関連情報および知的照会によって医療従事者および患者の両方を支援し得る。
【0016】
本発明の更なる特定の実施例は、患者の健康状態に関する健康管理警告を患者に対して発する方法を提供する。これは、患者に関連する個人および家族病歴のような医療情報をアクセスすることを含む。その医療情報は、診断インテリジェンス・システムを使って潜在的健康状態に関する関連の背景情報を検索し、その潜在的な健康状態に対するリスク要因を見積もるために照会される。
【0017】
十分なレベルのリスク要因の決定に応答して、潜在的な健康状態に関する健康管理警告が患者に与えられ得る。患者の医療情報、並びに、健康管理の警告および潜在的な健康状態に関する背景情報が、以後の往診におけるような評価のために健康管理従事者に提供され得る。潜在的な健康状態を評価するために1つまたは複数の検査、治療、または患者問診を勧める提言が医療サービス従事者に与えられ得る。
【0018】
或る実施例では、医療従事者による健康管理の問診に応答して、健康管理警告が患者に与えられる。別の実施例では、健康管理警告が、先取り的におよび医療従事者との任意の健康管理の問診に先立って与えられる。
【0019】
本発明の別の特定の実施例は、プロセッサ、メモリ・ユニット、データ記憶装置、および命令を含む診断インテリジェント・コンピューティング・システムを提供する。なお、命令は、後述するように患者の病状の評価および治療に関連して病歴を分析するためにコンピューティング・システム内で実行される。別の特定の実施例は、同様の診断インテリジェント・コンピューティング・システムに、患者への関連の健康管理警告を生成および発生するためのそのコンピューティング・システムにおいて実行される命令を提供する。本発明の他の特定の実施例は、インテリジェント診断コンピューティング・システムを操作するためのコンピュータ・プログラムを提供する。そのコンピュータ・プログラムは、後述のような種々の技法を具現化するためのコンピュータ可読プログラム・コードを組み込まれたコンピュータ可読記憶媒体に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一般的な医療診断の作業過程を示す概略図である。
【図2】本発明の実施例に従って患者診断インテリジェンス・システムに照会を行うことを含む医療診断の作業過程を示す概略図である。
【図3】本発明の実施例に従って患者診断インテリジェンス・システムから医療警告を行うことを含む医療診断の作業過程の概略図である。
【図4】本発明の実施例に従って患者診断インテリジェンス・システムおよび利害関係者の間の対話を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の1つの実施態様は、人の病歴および健康管理従事者がすべての関連の患者病歴情報を数秒でアクセスすることを可能にするインテリジェント・インターフェースを、それらの病歴および健康管理従事者の間に設けることを含む。ほとんどの医療環境では、医師は患者個人および/または家族病歴に対して即時アクセスを行っていない。これは、患者に対する最善の先取り的な医療評価および/または解決策を提示するという医師の能力を低下させる。下記の実施例は、この医療データへのアクセスによってインテリジェント診断システムを維持および照会する能力を与え、最も関連するデータを検索し、選別し、分析し、および生成するためにコンピュータ・システムを活用する。従って、このインテリジェント診断システムの使用は、様々な治療および診断環境において患者の病歴情報を使用し且つ病歴データを医療過程においてもっと使用可能にする高度な方法を促進する。
【0022】
図1は、一般的な医療診断および治療の過程100の概略図を示す。図示のように、ステップ102では、人が病状を体感する。人は治療を模索し、多くの場合、ステップ104におけるように一般開業医または他の総合医療従事者へ行くであろう。その人は、医院に到着すると、ステップ106におけるように、その人の過去の治療、処置に関する情報を、その人の直系家族および傍系家族に関するあらゆる既知の医療状態と共に提供することを要請する多くのその医院の医療用紙を与えられるであろう。この情報が医療従事者に提供された後、ステップ108におけるように、医師または他の医療従事者はその人の病状を診察し、患者に診断を下すであろう。医師は、一般に、その人の記入済みの病歴および家族病歴のコピーを与えられるであろうが、この背景情報が診断または治療の過程で何らかの効果があるかどうかを考慮することは医師の裁量次第である。更に、医師は、その病歴情報を分析するに十分な量の時間がないことがあり、或いは、多くの場合、患者によってその用紙上に示された情報が不完全または不正確であることもある。
【0023】
この作業過程とは対照的に、本発明は、患者からの病歴情報を直接に収集および処理する患者診断インテリジェンス・システムを提供する。この情報は、その診断インテリジェンス・システム内に格納されたデータから来たもの、または他の健康管理サービスもしくは電子医療記録保管庫のような種々の外部ソースから来たものでもよい。更に、患者の家族病歴情報は、同様のロケーションに格納された情報から、診断インテリジェンス・システムの内部から、或いは外部ソースからまとめられ得る。
【0024】
図2は、本発明の実施例に従って患者診断インテリジェンス・システムの使用によって導かれた医療診断および治療作業の過程200の概略図を示す。図示のように、病状を体感するステップ202、治療のための医院に行くステップ204、および医師から所見を得るステップ210を含む幾つかのステップは一般的な初診時のステップと同じである。しかし、それらの介在ステップは、患者個人病歴および家族病歴へのアクセスを行う診断インテリジェンス・システムとの対話を行う。
【0025】
図示のように、患者は、ステップ206におけるように医療機関のスタッフによって有効化される識別情報を提供する。例えば、患者の身元を確認して診断インテリジェンス・システムへのアクセスを得るために、保険カード、ID等のような患者に固有の情報が医療従事者に提供される。一旦識別情報が有効になると、患者診断インテリジェンス・システム220はその患者に関連する病歴情報を得るために照会される。これは、ステップ222におけるように患者の情報および個人病歴を照会することおよび/またはステップ224におけるように患者の家族病歴を照会することを含み得る。そのタイプの照会は、一般的病状または特殊な病状を調べる(例えば、心臓疾患が健康管理従事者を訪れる主要な理由であるとき、患者および患者家族の心臓血管の健康に関する以前の状態および治療のような病歴のタイプに特定の焦点を合わせることを可能にする)ことを含み得る。
【0026】
しかる後、その照会された情報は医療機関に提供され、ステップ208におけるように精査のために医師に転送される。従って、この情報は、患者から書面により自己申告された情報または看護師もしくは医師の問診に依存するのではなく、まとめられ、潜在的には医師が患者の診察を行う前に分析され得る。ステップ210におけるように医師が患者を診察するとき、医師は、診察結果を許容し得ない場合、効果的である或いは効果的でない薬物療法または治療のタイプ、悪影響(アレルギのような)が或る提示された治療に起因し得るかどうか等を判断するとき、この情報を要素とし得る。医師の分析は、ステップ212におけるように、診断インテリジェンス・システムから検索された一般的な情報または特殊な情報と患者の状態またはシステムを相互参照および比較することも含み得る。医師は、システムによって提示される医療上の解決策を考察及び使用し得る。例えば、患者または患者の直系家族におけるパターンは、トレンドまたは再発性疾患を表わすことがある。
【0027】
或る実施例では、インテリジェント・インターフェース・コンポーネント(独立型またはウェブベースのグラフィカル・ユーザ・インターフェースのような)は、健康管理従事者が患者診断インテリジェンス・システムと効果的にインターフェースすることを可能にするために提供される。このインテリジェント・インターフェースは、種々のタイプの医療専門家または患者によって活用され得るそのユーザのための精巧な環境を含む。例えば、そのインターフェースは、特殊なデータまたは病状のドリルダウン(drill-down)が身体構造上のサブシステム(再び、心臓血管系の例を考察する場合)によって、年齢幅、日付幅、家族メンバの性、またはこれらのカテゴリのデータの概要を制限することを可能にし得る。
【0028】
インテリジェント・インターフェースの別の実施例は、患者が自分の背景病歴を読み且つ確認することおよび特殊な診断または治療について更に学習することを可能にするインターフェースをその患者が直接アクセスし得るようにする。従って、患者は、非医療専門家により表示のためにフォーマットされた自分の病歴および病状に関する個人的な、しかし実践的な見解を提供され得る。
【0029】
次の非限定的な例は、本発明の患者診断インテリジェンス・システムに対するそのような医師または患者のインターフェースが与えられる方法の例として提供される。更に、次の例は、使用可能な情報が診断インテリジェンス・システム内でアクセスおよび更新され得る方法を示す。
【0030】
例1:医師が医師のインターフェースを使用して診断インテリジェンス・システムをアクセスし、患者Aに関する関連の背景医療情報を見つける。医師は、その医師の現在の診察に基づいて患者Aのために準備されたその医師の最新の診断を入力する。システムは、診断が患者にとって再発現象であるかどうかを表わす情報を戻す。それは、その診断に関する前回の治療計画および現在推奨される治療計画を提供する。医師が1つの推奨される治療計画を入力する場合、それが良好な治療方法であるかどうかを、システムは助言し得る。この治療計画が患者の健康にとって不利であるということを患者のプロフィールまたは病歴における項目が示唆する場合、診断インテリジェンス・システムは代替案を提示し得る。
【0031】
例2:患者は、自分の病歴を評価したり、他の家族、医師、および他の関係者に対する個人的病歴のアクセスを容認したりできるのみならず、その患者は、個人的利益のためにインターフェースを使用すること、および健康なライフスタイルを維持するために一定の間隔でインターフェースをアクセスすることができる。例えば、最近、患者が、自分の病歴に関する知識に基づいて疑わしいと思える治療計画を提示した医師を訪れた場合、患者は、システムにログインし、診断結果を表示またはそれを入力し、病状に関する情報および適切な治療計画を再検討し得る。患者が自分の推奨された治療計画を知らない場合、その患者は、自分の病歴に基づいて効果的なシステム・バリデーションのためにその治療計画を入力し得る。
【0032】
例3:医師が患者の治療計画(薬物治療を含む)を入力すると、直ちにシステムは患者の薬剤師に処方箋要求を自動的に送る。これは、患者のための処方箋待ち時間を最小にする/解消するであろう。更に、薬剤師のコンピュータ・システム内に保存された情報はインテリジェント診断システムに取り込まれ、統合され得る。従って、アレルギ反応、過去の薬物治療、および他の懸案事項のような情報に関する十分な見解が医師および薬剤師の間で共有され得る。
【0033】
例4:患者は最近の症状に注目する。患者はインテリジェント診断システムにログインし、自分の症状を入力する。システムは生じ得る病状を詳述し、推奨される専門医を提示し得る。患者が医師を持たない場合、システムは、他の登録ユーザによって好意的に評価された最も近くの医師をリストするか、或いは保険の保証内容または他の考察事項に基づいて医師の情報を選別し得る。
【0034】
当業者には明らかであろうが、患者および医療従事者に診断インテリジェンス・システムへのアクセスまたはインターフェースを提供するために、多数の技法および技術が利用され得る。以下は、例示の患者および医師のインターフェースを介したアクセスに関する検討である。
【0035】
診断インテリジェンス・システムをアクセスする医師の観点からすれば、各医師は、システムへのアクセスを得るために口座を開くまたは登録するであろう。或る実施例では、各医師は、ネットワークを介してシステムをアクセスするために登録するであろう。医師にシステムへのアクセスを提供する前に、その医師の履歴/資格/身分証明書が確認され得る。一旦登録を承認されると、システムへのその医師のアクセスが許可されるであろう。
【0036】
現行法によっては、医師の病院は、医療記録をオンラインで転送するように診断インテリジェンス・システムと関連して作動するであろう。医療記録および他の機密健康情報のアクセスおよび転送は、HIPPA並びに他の適用可能な医療標準およびプライバシ保護法に従って行われ得る。一旦事業計画が実施されると、医師は、登録指示、完成したアップロードの時系列等を含むオンライン健康管理ネットワークを患者に知らせる通信を患者に送出し得る。患者は、登録時またはそのシステムへの最初のアクセス時に、システム内の医療記録のアクセス、使用、および格納に関する設定を選択または同意し得る。
【0037】
或る実施例では、医師がネットワークを介して診断インテリジェンス・システムにログインし、それをアクセスし得る。その医師はログインしたら、患者の名前および社会保障番号または他の適切な識別子の使用を通して適切な患者を識別し得る。医師がそのサービスを通して医療記録へのアクセスすることを患者が選んだ場合、その医師は、システムの様々なインターフェース・スクリーンへの進出および患者の適切な医療記録へのアクセスを可能にされるであろう。
【0038】
一旦医療記録が診断インテリジェンス・システムにアップロードされるか或いは診断インテリジェンス・システムに供給されると、医師/患者のどちらかがログインして医療記録を取得し、確認することも可能である。例えば、医師が新たな患者を得る場合、その患者は、書面によるその医療機関へのアクセスまたは家庭におけるログインを与えて、アクセスに関する承認済みのユーザとしてその医療機関を加えることができる。更に、別の実施例は、患者がその患者と医師との間またはその患者に関連した他の承認済みユーザとの間のコミュニケーションを可能にする、診断インテリジェンス・システム内のインテリジェント・インターフェースをイネーブルし得る。
【0039】
他の実施例は、診断インテリジェンス・システム内の医師相互間のコミュニケーションを可能にし得る。例えば、医師が或る医療ファイル項目に関する質問を有する場合、その医師は、その患者の他の医師へのインターフェース内にメッセージを供給することを、それら医師の両方が診断インテリジェンス・システムに登録され且つその患者に関係している限り、可能にする。或いは、医師は、それぞれのユーザのためのプラットフォーム上に処方箋を掲載し得る。登録された薬剤師は、システムに接続して処方箋を取り寄せることができ、或いは、一旦医師がシステムに薬剤処方箋要求を掲載すると、その薬剤処方箋要求は登録された薬剤師に伝達され得る。その薬剤師は、患者の新しい処方箋に関連したその患者の病歴における他の情報を見ることも可能である。
【0040】
患者の観点から、診断インテリジェンス・システムに対するインターフェースは、患者の健康管理サービスと直接対話するための多くのユニークな機能を提供し得る。医師にとって必要な登録と同様に、患者は、ネットワーク・インターフェイスを介したアクセスを得るために事前登録することが要求されることがある。この登録の際、患者は、自分の情報が、他の家族関連の問題を診断するために使用されてもよいかどうか、および、他の家族メンバ、医師、または関連の機関が健康管理記録にアクセスすることを可能にしてもよいかどうかを表明し得る。一旦登録されると、それらの人々は、自分の医療記録のすべてを、および/または、インターフェース上に構成されたそのユーザに関連した他の機能を見ることができるであろう。医療記録は、記録をアップロードした医師、医療システム、または他の適切なカテゴリによって分類され得る。
【0041】
本明細書に記述されたように、本発明の更なる実施態様は、患者の健康を維持するために先取り的な提案を許容する警告をイネーブルするための機能を含む。図3は、本発明の実施例に従って、患者診断インテリジェンス・システム320から生じる警告の使用によって開始された医療診断および治療の作業過程300の概略図を示す。図3に関する以下の説明は、警告が患者に送られて活用され得るという例を示す。
【0042】
図示のように、ステップ302において、患者は、自分が医院を訪れる必要があるという警告を通知される。このタイプの警告は、健康管理従事者を訪れる直接的な理由(例えば、「掛かり付け医に往って心臓病の検査を受けて下さい」)を提供し得る。或いは、その警告は、定期的にスケジュールされた医療検査、患者の年齢、カレンダ日、または他の適切なきっかけに相当し得る。次に、ステップ304におけるように、患者は、警告に基づいて医院を訪れるか或いは連絡をとる。それとは別に、警告のタイミングは、別の健康問題に対処するための患者の訪問または受診のような医院への患者の接触を通して開始され得る。
【0043】
警告の内容は、診断インテリジェンス・システム320によって決定される。図3に示されるように、診断インテリジェンス・システム320は、関連の警告を発するための2つの照会、即ち、患者の情報および個人病歴の照会(ステップ322)並びに患者の家族病歴の照会(ステップ324)を結合する。診断インテリジェンス・システムは、適切なデータをシステムに構成し得るものとして確認および/またはリリースするための適切なロジックを含むであろう。
【0044】
これらの照会は種々の方法で実施され得る。例えば、一旦予備的な患者データが入力されると、診断情報システムは、所与の患者およびその患者に関連したすべての直系家族に関連した外部データ・ソースを識別し得る。一旦診断情報システムが外部データ・ソースをすべて識別すると、それは、患者および患者の家族に関連したすべての情報の照会を始めるためのロジックを使用する。そのロジックは、それぞれの情報を受け取った後、セルフ・チェックを行い、その時点で診断情報システムに収納されてない情報ギャップをすべて保存/更新する。診断情報システムが更新されるとき、それは、関連する分類項目をサーチし且つ最新の入力に関連したすべての出力を提供する分類ロジックを通過する。診断情報システムが任意の所定のソースから最新版を受け取るとき、それは、その時点で患者のために診断情報システムにリンクされた関連の電子医療ソースにそれらの最新版をリアル・タイムで供給し得る。
【0045】
一旦照会が完了すると、インテリジェンス・システム320は、得られた情報を処理して種々の基準で警告326を生じる。例えば、適切な基準は、家族病歴における進展傾向(50歳以上の家族メンバがそれぞれ糖尿病に罹ったことをシステムが認識し、50歳の誕生日に糖尿病に関する健康診断を受けるように患者を奨励するというような)に基づき得る。
【0046】
作業過程の残りは前述のプロセスに類似している。図示のように、ステップ306において、医院が患者の身分証明書の正当性を認めであろう。ステップ308におけるように、患者情報が医師に移送され、ステップ310におけるように、医師が患者を診察するであろう。警告における情報および診断インテリジェンス・システムからの検索可能な他の情報に基づいて、ステップ312におけるように、医師は、検索された情報を用いて患者の状態およびシステムを相互参照し得る。更に、医師は、ステップ312におけるように、根本的原因および病歴傾向に関するインテリジェンス・システムの診断評価によって推奨されるような医療上の解決策を提示し得る。
【0047】
図4は、本発明の実施例に従って、本発明の患者診断インテリジェンス・システムおよび関係者の間における対話400の要約を示す。図示のように、患者の病歴情報402が患者診断インテリジェンス・システム404に供給されるし、そのシステム404から検索され得る。この患者病歴情報は、関係者によって提供された情報に基づいて絶えず更新され得る。従って、患者に関する関連病歴は、患者の病歴および病状に関するより完全な全体像を形成するように時間とともに更新され得る。更に、患者または医療従事者が患者および患者の家族病歴の理解においてギャップを有するとき、患者診断インテリジェンス・システム404は欠落した情報も含むように患者によって更新され得る。
【0048】
前述のように、患者診断インテリジェンス・システムは、種々のデータ・ソースから収集された現在の患者の病歴を取り出す。そのシステム内の情報へのアクセスは、社会保障番号、生年月日、アドレス、目の色等のようなユニークな視点に基づいた確認基準を通して得られる。システムは、患者家族(両親、兄弟姉妹等)に関して保存されているその患者に関する同様の情報も収集する。従って、家族の医療データが利用可能である場合、システムは患者を一組の家族関係と関連付ける。結局、前述の医療作業過程と一致して、診断インテリジェンス・システム404は現在の健康上の問題を調べ、家族病歴、現在の薬物治療、および他の情報を含む訪問の潜在的な理由に関して入力を分析し、病歴に基づいて心配すべき問題点をブロック406、408、410のような健康管理従事者に警告し得る。
【0049】
図示のように、患者診断インテリジェンス・システムは、かかりつけ医または総合診療医のような医師406、専門医408、並びに病院および施設ベースの管理環境410を含む多数の健康管理従事者によってアクセスされ得る。これらの健康管理従事者の各々は、関連データを検索し且つ患者診断インテリジェンス・システム内に維持された記録を更新するために、前述のインターフェースを使用して患者診断インテリジェンス・システムとインターフェースし得る。医師406、専門医408、および病院410の医療施設および業務における情報システムは、現在の患者治療記録を備えた診断インテリジェンス・システムを検索し、更新し得る。健康管理従事者は患者にサービスを提供し続け、患者情報は共有され、診断システムに格納される。しかる後、この情報は患者の病歴にまとめられ、医療記録の患者プライバシを直接侵害することなくその後のケアにおいて使用される。
【0050】
上述したように、本発明の患者診断インテリジェンス・システムは、患者および患者の家族に関する電子医療記録を維持する他のシステムともインターフェースし得る。或る種の医療問題および/または警告に基づいて、そのタイプおよびロケーションの対話が生じ得る。診断インテリジェンス・システムは、照会された関連のデータベースからそれぞれの情報を引き出し、その検索されたデータを有効化するために信頼度を提示し得る。
【0051】
分類の例として、患者が心臓疾患を有するものと仮定する。システムは、様々な異なる場所にある患者個人病歴または家族病歴から心血管または心臓関連の情報のような関連のカテゴリに関連するすべての入手可能なデータを照会する。更に、一旦医師/健康管理従事者/病院システムによる登録が完了すると、適格な電子医療記録および情報システムに対するアクセスが許容され、診断インテリジェンス・システムとの双方向通信を始めるであろう。
【0052】
診断インテリジェンス・システムは、或る個人に対する情報ギャップをアップロードして埋めるか或いはそれぞれの医療ソース(第三者の医療ソフトウェア・システム等のような)に医療情報をリリースするために、外部の記録ソースと同期され得る。診断インテリジェンス・システムは、外部ソースの事前構成されたポインタを捜し、従って、患者の医療ファイルと同期することによって適切な医療ファイルを見つけてアクセスし得る。これは、その分野で知られている様々な既知の医療記録同期技術および標準の任意のものを介しても行なわれ得る。従って、異種の電子記録ソースに格納された情報が、診断インテリジェンス・システムの使用を通して時間と共に更新され得る。
【0053】
診断インテリジェンス・システムのインフラストラクチャは、クラウド・コンピューティング、ポータル、クライアント・サーバ・システム、或いは本発明を促進するに適する任意の他の手段の使用を含み得る(しかし、それらに限定されない)。例えば、クラウド・コンピューティング手法は、インターネットを介してアーキテクチャを拡大する能力を提供し、患者および/または患者家族病歴を活用するために1つまたは複数のクラウドを含み得る。そのようなデータを捕捉して診断するためにクラウドを利用し得るいくつかの手法が存在する。例えば、或るクラウドは、すべての病歴(患者および家族)を捕捉するように形成され得るが、別のクラウドは分析および診断機能のために形成され得る。クラウド結合して生じた、またはクラウドから直接供給されて生じたこれらの2つのクラウドは、その結果としてそのような病歴データの分析機能を生じさせる。別の例として、或るクラウドはそのクラウドの基礎としてすべての病歴データを捕捉するように形成される。しかる後、診断プラットフォームの機能がクラウドの一番上に形成され得る。
【0054】
更に、前述のように、診断インテリジェンス・システムは、インターネットを介したシステム・アーキテクチャ、セキュリティ・パスワードのようなマルチレベル・セキュリティ対策、割当て可能な一意的IDの使用を包含する。そしてセキュリティ問題を伴うデータ・マスキング技法は、プライバシおよびHIPPA順守に対処するために利用され得る。更に、診断インテリジェンス・システムを使用する必要条件は、患者がシステムの使用または或るデータのアクセスを始める前に、その患者によって署名されなければならない最初の患者同意書用紙を含み得る。その許可用紙は、適用可能な州の規定要件に基づいて切り刻み可能であり且つ限定され得るが、患者がシステムの使用を同意/拒否することを可能にする。
【0055】
或る実施例では、診断インテリジェンス・システム内のすべての共用情報が、強力なパスワード、キー、およびセキュリティ問題を利用する暗号化されたネットワークを介して伝送される。その暗号化された手段はもう1つの層のセキュリティを保証し、実効ある実施義務管理を規定する。病歴監査ログは所与の患者に関するすべてのシステム活動(アクセスされた日付、時間等)を文書化するために実行され得る。捕捉された情報は従属せず、誰がその情報をアクセスしたか、およびいつそのデータがシステムによって得られたかということに無関係であり、限定されない。例えば、HIPPAは、6年間以内のシステム活動履歴を必要とするが、システムは、如何なる適用可能な規定の変更によってもこの情報を格納するように適応し得る。更に、システムは、どの情報(もし、存在すれば)が電子的にアクセスされ、日付および時間を考慮して特定のパーティに配布されたかということを、所与の患者が容易に要求することを可能にし得る。
【0056】
医療従事者が資格証明書および身分証明書を提示することを保証するために、有効性管理も含まれ得る。HIPPAのような法的な規定は、データを使用し且つ保護する方法に関して所定の義務を課するので、ユーザは、オン・ラインおよび/またはハード・コピーの認定書によって関連の健康管理従事者に対して承認を与えることまたは取消すことができるであろう。患者の認証がないと、健康管理従事者は、診断インテリジェンス・システムから患者の個人病歴をアクセスすることができないであろう。例えば、患者は、専門医Aによって処置される病状Aのために病院へ行く。一旦専門医Aがシステムにおける患者の病歴へのアクセスを許可されると、他の専門家/医療従事者は、たとえ自分たちが自分たちの他の患者のためにそのシステムを慣例的に使用し得ても、この病状に関連する患者の情報をアクセスすることができないであろう。許可が所定の時間後に(監督機関によって命じられるように)失効する場合、診断システムは、失効の前の設定可能な量の時間内に各ユーザに通知(電子メールのような)を送り得る。ユーザはシステムをアクセスし、診断インテリジェンス・システムの継続的な使用を可能にする追加の許可を完了するであろう。
【0057】
本発明の一実施例では、ウェブ・ポータルが多数のソースからの情報を示すために或る構造化された態様で提供されるが、多数のアプリケーションおよびデータベースに関するアクセス制御および手続きも可能にする。ウェブ・ポータルは、クラウド・コンピューティングためのセキュリティ対策を含み得る。各患者は、設定時にウェブ・ポータルを使用するために個別の一意的IDおよびパスワードを受け取る。開始レベルのセキュリティを完了した後、患者は、ウェブ・ポータルへのアクセスを受ける。患者は、そのポータル内に自分のプロフィールを完成する。このプロフィールでは、患者は、個人情報、医師/専門医、または任意の他の健康管理従事者を有効化することを求められる。更に、患者は、カテゴリ毎に編成された自分の病歴を有効化し、および/または入力する。更に、患者は、ユーザの好みを選択し、家族病歴データに関する許可も選択し得る。
【0058】
更なる実施例では、これらの許可は、正しい識別子がシステムに入力されることを患者が保証するように、他の家族メンバに対する一意的な識別子にマップし得るその家族メンバの一意的な識別子の受領を求めるであろう。究極的には社会保障番号のような単純な識別子は再利用され得るので、グローバル一意識別子に対しては据え置きとなるであろう。一旦情報が患者によって有効化されて受け付けられると、患者の家族メンバに関係する情報はその患者にとって恒久的に透明である。患者は、プロフィールをリンクするために家族の要求を受け取ること、受け付けること/拒否することができる。更に、患者は、個人の健康情報を家族メンバと共用する期間、アクセスを行う家族メンバ、或いは家族メンバによるアクセスが可能なアクセスのレベルまたは情報のタイプも選択し得る。すべてのユーザに対するプライバシを保証するために、データ・マスキング技術が利用される。
【0059】
システム分析の観点から、診断インテリジェンス・システムは、それのアーキテクチャ・モードに関係なく、継続的に自身を監視し、更新する。それは、各既知の家族メンバに対して医療の更新が生じるので、警告および/または変更を監視する。システムは、家族メンバにリンクされた患者に関連するすべての家族メンバとそれらの更新を同期する。システムの更新/監視は、下記のような個人/家族の警告および変更、個人/家族病歴データ、および個人/家族の健康に関する来るべき予定された約束事項を含むが、それに限定されない。更に、予測される重大性(個人および家族病歴に基づいた各事象の加重予測)に基づいてシステムが発生した警告が存在し得る。例えば、事象の番号、その事象がいつおよび何歳で生じたか、並びに家族病歴の結果は、どの識別子が加重予測に含まれ得るかということを説明する。警告は、拡大家族における誰からそのデータを取り出すのかを表わさない。利用可能な家族病歴の分析により駆動されるシステムによって、診断パス/オプションの優先順位リストが生成される。
【0060】
前述したように、システム更新に関して、次のようなシナリオは、情報が診断インテリジェンス・システムにおいて更新され得る代表例である。医師が患者を診察する。医師は、患者の診察に基づいて予備的診断書を作成する。医師は、すべての患者家族病歴が事前に与えられているシステムにそのデータを入力する。システムは、そのデータに関して分析を行ない、関連の診断/選択肢を提供する。医師は、すべてのリンクされた家族病歴プロフィールと同期した個々の病歴に関する病歴記録を選択および/または更新する。システムは入力を受け取り、その入力を処理し、新しい情報を分析し続ける。本発明は、ユーザ入力に基づいてユーザ間の関係をリンクする機能を有する。その機能は、任意の所与の病状に対する警告を優先順位付けするために必要である。従って、この例から明らかなように、関連の医療情報は、個人およびその人の家族の両方に関して得られ、伝播され得る。
【0061】
当業者には明らかなように、本発明は、システム、方法、またはコンピュータ・プログラムとして具体化され得る。従って、本発明は、全体的にハードウェアの実施例、全体的にソフトウェア(ファームウェア、駐在のソフトウェア、マイクロコード等を含む)の実施例、または、本明細書では一般的に「回路」、「モジュール」、もしくは「システム」と呼ばれ得るソフトウェア態様およびハードウェア態様を結合した実施例の形態を取り得る。更に、本発明は、コンピュータ可読プログラム・コードを組み込んだ1つまたは複数のコンピュータ可読媒体に組み込まれたコンピュータ・プログラムの形態を取り得る。
【0062】
1つまたは複数のコンピュータ可読媒体の任意の結合体が利用され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子的、磁気的、光学的、電磁気的、赤外線、もしくは半導体システム、装置、またはデバイス、或いは上記の媒体の任意の適切な組み合わせであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体の更に特定的な例(例示的なリスト)は、下記のもの、即ち、1つまたは複数のワイヤを有する電気的接続体、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリー(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、光ファイバ、ポータブル・コンパクト・ディスク読取り専用メモリ(CD−ROM)、光学的記憶装置、磁気記憶装置、または上記の記憶媒体の任意の適切な組み合わせであってもよい。本明細書に関して、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置もしくはデバイスによる使用、またはそれらのシステムに関連して使用するためのプログラムを格納することができる任意の実体的な媒体であってもよい。
【0063】
コンピュータ可読信号媒体は、例えば、搬送波のベースバンドで或いはそれの一部として組み込まれたコンピュータ可読プログラム・コードを備えた伝播データ信号を含み得る。そのような伝播信号は、電磁気的、光学的、またはそれの任意の適切な組み合わせを含むがそれに限定されない様々な形態のうちのいずれをも取り得る。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、またはデバイスによる或いはそれと関連して使用するためのプログラムを伝送、伝播、または搬送し得る、任意のコンピュータ可読媒体であってもよい。
【0064】
コンピュータ可読媒体上に組み込まれるプログラム・コードは、無線、有線、光ファイバ・ケーブル、RF等またはこれらの任意の組み合わせを含むがそれに限定されない任意の適切な媒体を使って伝送され得る。本発明の実施態様に関するオペレーションを実行するためのコンピュータ・プログラム・コードは、Java、Smalltalk、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、或いは、「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続きプログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれてもよい。プログラム・コードは、ユーザのコンピュータにおいて全体的に、ユーザのコンピュータにおいて部分的に実行し得るし、スタンド・アロンのパッケージ・ソフトとして、ユーザのコンピュータにおいて部分的に且つ遠隔のコンピュータにおいて部分的にまたは遠隔のコンピュータもしくはサーバにおいて全体的に実行し得る。後者のシナリオでは、遠隔のコンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続され得るし、その接続は、(例えばインターネット・サービス・プロバイダを利用するインターネットを介して)外部コンピュータに対して行われ得る。
【0065】
本発明の実施態様は、本発明の実施例に従って、方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラムのフローチャートおよび/またはブロック図を参照して上述された。フローチャートおよび/またはブロック図の各ブロック、およびフローチャートおよび/またはブロック図のブロックの組み合わせがコンピュータ・プログラム命令によって実施され得るということは明らかであろう。これらのコンピュータ・プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサによって実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図において指定された機能/行為を具現化するための手段を形成するようにマシンを製造するために、汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータ、または他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供され得る。
【0066】
これらのコンピュータ・プログラム命令はコンピュータ可読媒体に格納され、そのコンピュータ可読媒体に格納された命令がフローチャートおよび/またはブロック図のブロックにおいて指定された機能/行為を具現化する命令を含む製造物を生産するように特定の態様で機能するよう、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスに指示し得る。
【0067】
コンピュータ・プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置において実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックにおいて指定された機能/行為を具現化するためのプロセスを提供するようにコンピュータ実施のプロセスを生じさせるよう、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイス上で一連のオペレーション・ステップを遂行させるために、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイス上にロードされ得る。
【0068】
図面におけるフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施例に従ってシステム、方法およびコンピュータ・プログラムの可能な実施態様のアーキテクチャ、機能、およびオペレーションを示す。この点では、フローチャートまたはブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメント、またはコードの部分を表わし、そのコードの部分は、指定された論理的機能を具現化するための1つまたは複数の実行可能な命令を含む。或る代替の実施態様では、そのブロックに記載された機能は図に記載された順序から離れて生じ得るということに留意されたい。例えば、連続して示された2つのブロックがほぼ同時に実行されてもよく、関連の機能によっては逆の順序で実行されてもよい。ブロック図および/またはフローチャートチャートの各ブロック、並びにブロック図および/またはフローチャートのブロックの組み合わせが、指定された機能または行為を遂行する特殊目的ハードウェア・ベースのシステムによって、または特殊目的のハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせによって具現化され得るということにも留意されたい。
【0069】
ある程度の特殊性を持った本発明の様々な代表的な実施例を説明したが、明細書および「特許請求の範囲」に示された本発明の主旨または技術的範囲から逸脱することなく、当業者が、開示された実施例に対する多くの代替または変更を施すことを可能にするであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療診断インテリジェンス・システムであって、
複数の患者に関する医療データを維持するための情報記憶装置と、
少なくとも1つのプロセッサと、
患者の病歴を分析して医療診断の提示を援助するために少なくとも1つのプロセッサによる操作可能な命令を有する少なくとも1つのメモリと、
を含み、前記命令は、
前記患者の個人病歴と、前記患者の1人以上の生物学的親類の個人病歴からまとめられた家族病歴とを含む前記患者に関連した医療情報を前記診断インテリジェンス・システムを用いてアクセスするステップと、
前記患者の病状に関する関連の背景情報を検索するために前記診断インテリジェンス・システムを用いて前記医療情報を照会するステップと、
健康管理従事者による患者問診に関連して前記関連の背景情報を前記健康管理従事者に提供するステップと、
前記診断インテリジェンス・システムを使って、前記診断インテリジェンス・システムにより前記診断インテリジェンス・システムに提供された前記患者の病状の観察および評価と前記関連の背景情報とを比較するステップと、
前記患者および前記診断インテリジェンス・システムの一方または両方に提言を発生するステップと、
前記健康管理従事者との患者問診から生じた診断、検査、および治療の1つまたは複数に関する医療データを前記診断インテリジェンス・システムに記録するステップと、
を遂行するために実行される、医療診断インテリジェンス・システム。
【請求項2】
前記患者に関する1人以上の生物学的親類の個人病歴は、一意的識別子の使用を通して前記診断インテリジェンス・システム内で前記患者にリンクされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記命令は、更に、前記健康管理従事者との患者問診に応答して、前記診断インテリジェンス・システムを使って前記患者の医療情報を更新するために実行される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記患者に関連した医療情報をアクセスする操作は、電子的医療記録データの用途を前記診断インテリジェンス・システムに組み込むために実行される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記患者に関連した医療情報は前記診断インテリジェンス・システムのデータ記憶装置に格納される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記命令は、更に、前記診断インテリジェンス・システムを用いて前記患者の病状の潜在的な根本原因に関する診断評価を行い、前記患者問診に関連して前記潜在的な根本原因に関する情報を前記健康管理従事者に提供するために実行される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記健康管理従事者は、1つまたは複数の総合医療機関、専門医療機関、および病院の医療システムのうちの1つまたは複数である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
医療診断インテリジェンス・システムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
患者の潜在的な健康状態に関連した先取り的な健康管理警告を前記患者に提供するために前記少なくとも1つのプロセッサにより操作可能な命令を有する少なくとも1つのメモリと、
を含み、前記命令は、
前記患者の個人病歴と、前記患者の1人以上の生物学的親類の個人病歴からまとめられた家族病歴とを含む前記患者に関連した医療情報を、前記診断インテリジェンス・システムを用いてアクセスするステップと、
潜在的な健康状態に関する関連の背景情報を検索するために前記診断インテリジェンス・システムを使って前記医療情報を照会するステップと、
前記診断インテリジェンス・システムを使って前記潜在的な健康状態に関する危険要因を評価するステップと、
十分なレベルの危険要因を決定したことに応答して前記潜在的な健康状態に関する健康管理警告を前記患者に提供するステップと、
前記患者の医療情報並びに前記健康管理警告および前記潜在的な健康状態に関連した背景情報を、評価のために健康管理従事者に提供するステップと、
前記潜在的な健康状態を評価するために1つまたは複数の検査、治療、および前記患者との問診を行うという提言を前記健康管理従事者に発生するステップと、
を遂行するために実行される、医療診断インテリジェンス・システム。
【請求項9】
前記健康管理警告を前記患者に提供する前記ステップは、前記健康管理従事者との健康管理問診に応答して生じる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記健康管理警告を前記患者に提供するステップは、先取り的におよび前記健康管理従事者との健康管理問診の前に生じる、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載のシステムとしてコンピュータを機能させる、プログラム。
【請求項12】
請求項1ないし10のいずれかに記載のすべてのステップをコンピュータに実行させることができる、プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−253533(P2011−253533A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113776(P2011−113776)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】