説明

病気予測システム及び病気予測方法

【課題】気象条件に応じて病気が発生しやすいエリアの予測精度を高めることが可能な病気予測システム及び病気予測方法を提供すること。
【解決手段】病気予測システム1は、病気の発生予測の対象地域に分散して配置される複数の気象計測装置2と、病気予測装置4と、を含む。病気予測装置4は、複数の気象計測装置2の各々が計測した気象データを取得する気象データ取得部21と、気象データ取得部が取得した気象データを利用して、気象を予測する気象予測部22と、気象予測部22の予測結果を、気象条件と病気との対応情報と照合し、病気別に発生する危険度を予測して病気予測情報を生成する病気予測情報生成部23と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病気予測システム及び病気予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気象条件がトリガーとなって発生すると考えられる病気が知られている。片頭痛、乾燥肌、うつ病、リュウマチ、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞などの健康および精神的な病気の原因は様々な要因が重なり合って発生するものであり、それら病気の原因の一つとして気象条件が挙げられている。これらの病気がどのような気象条件の時に発生するかを正確に予想することは難しいと言われている。その難しい予報の1つとして、広島県医師会と日本気象協会が共同して、全国に先駆けて「心筋梗塞・脳卒中予報」を提供している。広島県の過去の救急搬送のデータから、一日の平均気温が6度未満になると、6度以上の時より心筋梗塞の患者の搬送患者が増えることがわかった。これに加え、平均気圧が、1013へクトパスカル未満だとより搬送患者が多くなった。また、気温、気圧に関わらず、寒冷前線が通過する時なども患者が多かった。こうした結果から、心筋梗塞では3段階で、県を北部、南部に2分して危険度を予報している。
【0003】
この他にも、気象情報に基づいて病気の発生を予想する手法として以下に示すようなものが提案されている。
【0004】
特許文献1では、「インターネットを介して気象情報をユーザーに提供する気象情報の提供方法であって、WWWサーバーもしくはクライアント端末は、ユーザー固有のソフトウェアプロセスを備え、上記ユーザー固有のソフトウェアプロセスは、ユーザーの要求に応じて、ユーザー属性に基づいて気象情報を収集・監視・加工しユーザーに提供することを特徴とする気象情報の提供方法」等が提案されている。特に、「0037」段落には、「また、気象は、いろいろな分野と密接にかかわっており、防災業務以外でも、さまざまな分野に、気象情報を積極的に活用していこう、という、動きが、民間気象会社を中心に出てきている。その1つが「医療と気象」であり、主に、民間気象会社の人間によるサービス提供が行われている。例えば、低気圧の接近してくる時には、腰痛などの疾病が発生しやすいことが知られている。また、2月から4月にかけ、気温が高く、風が強い日には、空気中の花粉量が増大し、花粉症の症状が悪化することが知られている。また、9月〜10月にかけ気温が急激に低くなる日には、喘息の発作が起きやすくなることが知られている。」と記載されている。
【0005】
特許文献2では、「健康管理委託会員と管理センターと医療機関の三者間において、公衆回線、専用回線、CATV回線などを利用して双方向映像・音声・データ通信機能を具備したコンピュータネットワークシステムを構築し、端末器を介して入力・送信される会員の日々の健康データをサービスセンターと医療機関の端末器に表示させて監視するとともに会員の個別データベースとして蓄積し、逐次健康・医療アドバイスを遂行するとともに、体の機能に影響を与える気象因子を説明変数、疾病発生を目的変数として数量化理論II類に基づく多変量解析を行って気象と疾病発生予測との相関関係を明らかにしたモデル判別式を作成し、気象変化の予想とともに疾病発生確立を予測して疾病発生の予防を図ることを特徴とする在宅健康管理システム」等が提案されている。特に、「0036」段落には、「管理センターCSには各種情報の入出力を行うとともに会員HMから送られてくる日々の健康データを監視する端末器、当該日々の健康データをデータベース化して蓄えるサーバー、日々の健康データとデータベース内データを比較して異常の有無を判断する演算処理装置、刻々と変化する気象データの精細情報を取得する端末器、取得した気象データを蓄える気象データベースサーバー、気象状況と健康データとの相関関係に基いて疾病の発生確率を予測し、データベース化した気象−疾病データベースなどが設置されている。」と記載されている。
【0006】
特許文献3では、「利用者個人についての医学気象予報情報を配信する医学気象予報配信システムであって、入力される気象情報及び入力される医学情報並びに前記利用者についての健康状態等の身体的特徴を示す個人データに基づいた、個人ごとの医学気象予報情報を配信することを特徴とする医学気象予報配信システム」等が提案されている。
【0007】
特許文献4では、「ネットワークを介して接続された移動端末と解析センターとを含み、前記移動端末を保持するユーザーの疾患の罹患可能性を判断する診断支援システムであって、前記移動端末は、前記ユーザーから採取した試料中に前記疾患の罹患を特徴的に示す特徴成分が存在するか否かを検出する検出部と、前記検出部による検出結果をユーザーの症状を示す症状データとして前記解析センターに送信する送信処理部と、を含み、前記解析センターは、前記症状データを、前記移動端末から前記症状データが送信されたときの前記移動端末の位置に対応付けて取得するデータ取得部と、前記症状データと前記疾患の罹患者に発生する特徴を示す参照パラメーターとに基づき、前記ユーザーが前記疾患に罹患している罹患可能性を計算する罹患可能性計算部と、複数の前記ユーザーの前記罹患可能性と対応する前記位置とに基づき、エリア毎に前記疾患の罹患者の存在状況を推定する推定処理部と、を含むことを特徴とする診断支援システム」等が提案されている。
【0008】
特許文献5では、「環境変化や流行病の傾向を表わす環境因子を取得する環境因子取得手段と、前記取得した環境因子又は該環境因子の組み合わせを基に所定の疾病の発生を予測する疾病予測手段と、予め前記疾病の発生するリスクを有する通知対象者の群を記憶しておき、前記発生が予測された疾病の情報を受けて、該疾病の発生するリスクに対応する群を検索する通知対象者管理手段と、前記検索された群に含まれる前記通知対象者に警告を通知する警告手段とを備えることを特徴とする疾病管理装置」等が提案されている。
【0009】
特許文献6では、「健康食品、機能性食品、機能性飲料、栄養補助食品、調味料、もしくはサプリメントなどの食品類あるいは薬剤を複数収容した収容手段と、前記収容手段のそれぞれの収容物を指示に基づいて出力する吐出部と、利用者の生体データ値を検出する生体センサーと、操作部あるいは外部から入力される利用者の行動に関するスケジュールデータを記憶するスケジュール記憶部と、前記生体センサーによって検出された前記生体データ値と、前記スケジュール記憶部に記憶された前記スケジュールデータとにより、前記収容物のそれぞれの中から適した配合を決定すると共に、前記吐出部を介して前記決定に応じた前記収容物を出力させる制御手段と、を備えたことを特徴とする配合出力装置」等が提案されている。
【0010】
特許文献7では、「将来の疾病症状を、過去の疾病症状時系列データと、過去の環境に関する時系列データと、将来の環境予測データとの関数とみなし、前記データが得られるごとに、前記関数に含まれる係数を推定し、疾病症状の予測式を算出し、最新の前記データを前記疾病症状の予測式に入力し、前記疾病症状の予測式の値により将来の疾病症状を予測し、症状に応じた対策情報を提供する、ことを特徴とする疾病対策支援方法」等が提案されている。
【0011】
特許文献8では、「ネギ栽培圃場ごとに計測された気温とネギ葉面の濡れとに基づき予測モデルを用いて、降水量と風速データを参考にネギに感染した日、およびその発病の急増日を予測する方法」等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−251484号公報
【特許文献2】特開2001−067403号公報
【特許文献3】特開2002−311158号公報
【特許文献4】再公表WO2004/098402号公報
【特許文献5】特開2008−165716号公報
【特許文献6】特開2008−237718号公報
【特許文献7】特開2005−063218号公報
【特許文献8】特開2008−125496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、県を2分した予報では、特に注意すべき時間帯、地域が、わかりづらいという問題がある。また、特許文献1乃至8の手法では、一般的な広域の気象情報を使用して病気の予測を行うため、病気が発生しやすいエリアや時間の予測精度が粗いという問題がある。
【0014】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、気象条件に応じて病気が発生しやすいエリアの予測精度を高めることが可能な病気予測システム及び病気予測方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することが可能である。
【0016】
[適用例1]
本適用例に係る病気予測システムは、病気の発生予測の対象地域に分散して配置される複数の気象計測装置と、前記複数の気象計測装置の各々が計測した気象データを利用して、病気の発生を予測する病気予測装置と、を含み、前記病気予測装置は、前記気象データを取得する気象データ取得部と、前記気象データ取得部が取得した気象データを利用して、気象を予測する気象予測部と、前記気象予測部の予測結果を、気象条件と病気との対応情報と照合し、病気別に発生する危険度を予測して病気予測情報を生成する病気予測情報生成部と、を含む。
【0017】
この病気予測システムによれば、病気の発生予測の対象地域に複数の気象計測装置を分散して配置し、各気象計測装置が計測する気象データを取得することで、広域的な気象情報と比較して、より狭いエリア毎の詳細な気象情報が得られる。そして、このエリア毎の詳細な気象情報を用いて気象に関係する病気の発生を予測するので、気象条件に応じて病気が発生しやすいエリアの予測精度を高めることができる。
【0018】
[適用例2]
上記適用例に係る病気予測システムにおいて、前記病気予測情報は、病気の種類毎に、病気が発生する危険度と病気が発生するエリアとの対応関係の情報を含むようにしてもよい。
【0019】
このようにすれば、病気別の危険度が高いエリアの情報を提供することができる。
【0020】
[適用例3]
上記適用例に係る病気予測システムにおいて、前記複数の気象計測装置の各々は、気圧センサーを備え、前記病気予測装置は、前記気象予測部が、前記気象データ取得部が取得した気象データに含まれる気圧データから得られる気圧変化の情報を利用して、気象を予測するようにしてもよい。
【0021】
[適用例4]
上記適用例に係る病気予測システムにおいて、前記病気予測装置は、前記気象予測部が、前記気圧変化の情報に基づいて所与の気象変動が発生するか否かを判定し、判定結果に基づいて気象を予測するようにしてもよい。
【0022】
このようにすれば、局地的な気象変動を考慮したより正確な気象予測を行うことができる。
【0023】
[適用例5]
上記適用例に係る病気予測システムにおいて、前記病気予測装置は、前記気象予測部が、前記気象データ取得部が取得した気象データに含まれる気圧データから得られる気圧傾度の変化の情報を利用して、気象を予測するようにしてもよい。
【0024】
気圧傾度は2点間の気圧差に相当し、気圧傾度と風向・風速の間には相関があるので、気圧傾度の変化の情報から概略的な風向・風速を知ることができる。また、気圧傾度の変化から、局地的な気象変動を引き起こす局地的な低気圧の移動速度や移動方向を推測することができる。従って、気圧変化の情報と合わせて気圧傾度の変化の情報を利用することで、気象予測の精度を高めることが期待できる。
【0025】
[適用例6]
上記適用例に係る病気予測システムにおいて、前記病気予測装置は、前記病気予測情報生成部が、ユーザー毎の特性を示すユーザー情報を利用して、ユーザー毎に前記病気予測情報を生成するようにしてもよい。
【0026】
このようにすれば、ユーザーの特性に応じてカスタマイズされた予測精度の高い病気予測情報を提供することができる。
【0027】
[適用例7]
上記適用例に係る病気予測システムにおいて、前記病気予測装置は、病気を発症する危険度が所定レベル以上のユーザーの情報端末に、注意を喚起する情報を送信するようにしてもよい。
【0028】
このようにすれば、発病する危険性の高いユーザーが行動を自粛する等して発病を未然に防ぐことが期待できる。
【0029】
[適用例8]
上記適用例に係る病気予測システムにおいて、前記病気予測装置は、ユーザー毎に、病気を発症する危険度に応じた時間間隔で、前記注意を喚起する情報を繰り返し送信するようにしてもよい。
【0030】
たとえば、病気を発症する危険度が高いユーザーほど短い時間間隔で注意を喚起する情報を繰り返し送信すれば、危険性を自覚させることができる。
【0031】
[適用例9]
本適用例に係る病気予測方法は、分散して配置される複数の気象計測装置の各々から気象データを取得する気象データ取得ステップと、前記気象データ取得ステップで取得した気象データを利用して、気象を予測する気象予測ステップと、前記気象予測ステップでの予測結果を、気象条件と病気との対応情報と照合し、病気別に発生する危険度を予測して病気予測情報を生成する病気予測情報生成ステップと、を含む。
【0032】
[適用例10]
上記適用例に係る病気予測システムにおいて、前記気象計測装置は、前記気圧センサーが、気圧に応じて共振周波数を変化させる感圧素子を有し、当該感圧素子の振動周波数に応じた気圧データを出力するようにしてもよい。
【0033】
一般に気象観測に用いられる気圧計の分解能はhPaオーダーであるのに対して、周波数変化型の気圧センサーは、感圧素子の振動周波数を高い周波数のクロック信号で計測することで比較的容易にPaオーダーの測定分解能を得ることができる。また、周波数変化型の気圧センサーは、気圧がゆっくり変化しているのか、あるいは急激に変化しているのか、気圧の変動量(気圧の変化具合)を高精度に検出することができる。そして、高分解能な周波数変化型の気圧センサーを用いることで短時間におけるわずかな気圧の変化を捉えて、局地的に発生して短時間に消滅する気象変動を予測するために有効な情報を提供することができる。この情報を解析することで、気象変動を精度よく予測することができる。
【0034】
[適用例11]
上記適用例に係る病気予測システムにおいて、前記気象計測装置は、前記感圧素子が、双音叉圧電振動子であるようにしてもよい。
【0035】
感圧素子として双音叉圧電振動子を用いることで、より高い分解能の気圧センサーを実現することができる。
【0036】
[適用例12]
本適用例に係るプログラムは、コンピューターを、分散して配置される複数の気象計測装置の各々から気象データを取得する気象データ取得部と、前記気象データ取得部が取得した気象データを利用して、気象を予測する気象予測部と、前記気象予測部の予測結果を、気象条件と病気との対応情報と照合し、病気別に発生する危険度を予測して病気予測情報を生成する病気予測情報生成部として機能させる。
【0037】
[適用例13]
本適用例に係る記録媒体は、上記適用例に係るプログラムを記録した、コンピューター読み取り可能な記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】分散配置された気象計測装置の一例を示す図。
【図2】本実施形態の病気予測システムの構成例を示す図。
【図3】気象計測装置の構成例を示す図。
【図4】病気予測装置の構成例を示す図。
【図5】気象条件・病気対応情報の一例を示す図。
【図6】病気予測装置の処理のフローチャートの一例を示す図。
【図7】病気予測情報の一例を示す図。
【図8】病気予測の画像の一例を示す図。
【図9】気圧センサーの構成例を示す図。
【図10】圧力センサー素子の断面の模式図。
【図11】圧力センサー素子の断面の模式図。
【図12】振動片およびダイヤフラムを模式的に示す下面図。
【図13】気象変動判定テーブルの一例を示す図。
【図14】第2実施形態における病気予測装置の処理のフローチャートの一例を示す図。
【図15】ユーザー情報の一例を示す図。
【図16】第3実施形態における病気予測装置の処理のフローチャートの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0040】
1.第1実施形態
1−1.病気予測システムの概要
本実施形態の病気予測システムは、病気の発生予測の対象地域に分散して配置された多数の気象計測装置がそれぞれ計測する気象データから気象状況の推移を時間的にもエリア的にも精度よく予測し、気象の予測結果から、気象条件と相関があると考えられる病気の各々の危険度をエリア毎に予測する。
【0041】
図1に示すように、本実施形態では、病気の発生予測の対象地域に、多数の気象計測装置2(白抜きの丸で表示)が碁盤目状に分散配置され、各気象計測装置2をノードとする観測メッシュが形成される。ただし、病気の発生予測の対象地域に複数の気象計測装置2が分散配置されていればよく、碁盤目状に配置されていなくてもよい。気象計測装置2は、例えば、ビルや家屋等の建物(不図示)などに配置される。
【0042】
本実施形態における観測メッシュでは、4つのノードによって1つの矩形状のエリアが形成されている。各エリアの1辺の長さ(ノード間の距離)は、気象計測装置2を分散配置する地域の気候やその他の状況を考慮して、十分な精度で気象の予測が可能な値(例えば、数百m〜数km程度)に設定される。この観測メッシュの1つのエリアは、アメダス(AMeDAS:「Automated Meteorological Data Acquisition System」)と呼ばれる地域気象観測システムにおける観測メッシュの1区画(約21km×21km)と比べて十分に小さいものとなっており、アメダス(AMeDAS)では観測できない局地的な気象変動を捉えることを可能とする。
【0043】
ノード間の距離は一定でなくてもよく、例えば、気象計測装置2は、携帯電話等の基地局、コンビニエンスストア、スマートグリッドの電気メーターなどに設置されていてもよい。なお、図1では、便宜上、区画の境界線を破線で表示しているが、実際にはこのような境界線を表示する必要はない。
【0044】
各気象計測装置2は、一定周期で各地点の気象を計測し、計測した気象データを不図示の病気予測装置に送信する。病気予測装置は、各気象計測装置2からの気象データを受信し、受信した気象データに基づいて気象状況の推移を予測し、気象の予測結果を、過去の統計データから抽出された気象条件と病気の発生との対応情報(気象条件・病気対応情報)と照合することで、エリア毎に病気別の危険度を精度よく予測する。病気予測装置は、気象計測装置2が分散配置された地域内又は当該地域外のいずれに設置されていてもよい。例えば、インターネット等の通信ネットワークに接続されたサーバーを病気予測装置としてもよい。
【0045】
1−2.病気予測システムの構成
[全体構成]
図2は、本実施形態の病気予測システムの構成例を示す図である。本実施形態の病気予測システムは、図2の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0046】
図2に示すように、本実施形態の病気予測システム1は、複数の気象計測装置2と、病気予測装置4を含む。
【0047】
各気象計測装置2は、各地点の気象をリアルタイムに計測し、計測した気象データを、通信ネットワーク3(インターネットやLAN等)を介して病気予測装置4(サーバー)に送信する。
【0048】
病気予測装置4は、通信ネットワーク3を介して、各気象計測装置2から気象データを受信し、気象条件を加味したエリア毎の病気別の危険度を予測する。このエリア毎の病気別の危険度の情報は、病気予測装置4の表示部にリアルタイムに表示され、あるいは、通信ネットワーク3を介して情報端末6に送られ、情報端末6の表示部にリアルタイムに表示される。
【0049】
[気象計測装置の構成]
図3は、図2の気象計測装置2の構成例を示す図である。図3に示すように、本実施形態では、各気象計測装置2は、気圧センサー10、温度センサー11、湿度センサー12を備える。ただし、気象計測装置2は、気圧センサー10、温度センサー11、湿度センサー12の一部を備えていなくてもよいし、逆に、他のセンサー(例えば、風速センサー等)を備えていてもよい。
【0050】
気象計測装置2は、例えば秒オーダーあるいは分オーダーの周期でリアルタイムに気象を計測し、気圧センサー10、温度センサー11、湿度センサー12により計測された気象データ(気圧データ、温度データ、湿度データ)は、送信部14により病気予測装置4に送信される。
【0051】
[病気予測装置の構成]
図4は、図2の病気予測装置4の構成例を示す図である。図4に示すように、本実施形態では、病気予測装置4は、処理部(CPU:Central Processing Unit)20、操作部30、通信部32、記憶部34、記録媒体36、表示部38を含んで構成されている。本実施形態の病気予測装置は、図4の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0052】
操作部30は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、操作部30の操作に応じた操作信号を処理部(CPU)20に出力する。
【0053】
表示部38は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される表示装置であり、処理部(CPU)20から入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。
【0054】
記憶部34は、処理部(CPU)20が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部34は、処理部(CPU)20の作業領域として用いられ、記録媒体36から読み出されたプログラムやデータ、通信部32を介して受信したデータや処理部(CPU)20が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶するためにも使用される。
【0055】
処理部(CPU)20は、記憶部34や記録媒体36に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理や制御処理を行う。例えば、処理部(CPU)20は、操作部30からの操作信号に応じた各種の処理、表示部38に各種の情報を表示させる処理、通信部32を介してデータを受け取って各種の計算処理を行う。また、処理部(CPU)20は、通信部32を介した各気象計測装置2や各情報端末6とのデータ通信を制御する処理等を行う。
【0056】
特に、本実施形態では、処理部(CPU)20は、気象データ取得部21、気象予測部22、病気予測情報生成部23、通信制御部24、表示制御部25を含む。ただし、本実施形態の処理部(CPU)20は、これらの一部の構成(要素)を省略したり、他の構成(要素)を追加した構成としてもよい。
【0057】
気象データ取得部21は、通信部32から送られてくる気象データ(複数の気象計測装置2が計測した気象データ)を、気象計測装置2の識別IDと対応づけて継続して取得する処理を行う。具体的には、気象データ取得部21は、各気象データを受け取り、受け取った各気象データを気象計測装置2毎に割り当てられた識別IDと対応づけて順番に記憶部34に保存する。
【0058】
気象予測部22は、気象データ取得部21が取得した気象データに基づいて、気象を予測する処理を行う。
【0059】
病気予測情報生成部23は、気象予測部22の予測結果を、気象条件と病気との対応情報(気象条件・病気対応情報)と照合し、病気別に発生する危険度を予測して病気予測情報(病気別の危険度の予測情報)を生成する処理を行う。
【0060】
通信制御部24は、通信部32を介する各気象計測装置2や各情報端末6とのデータ通信等を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、通信制御部24は、通信部32を介して、各気象計測装置2から気象データを受信し、病気予測情報を各情報端末6に送信する。
【0061】
表示制御部25は、表示部38への情報の表示を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、表示制御部25は、病気予測情報生成部が生成した病気予測情報を画像に変換して表示部38に表示する。表示部38に表示される画像は、ユーザーによる操作部30の操作に応じて選択される。
【0062】
記録媒体36は、コンピューター読み取り可能な記録媒体であり、特に本実施形態では、コンピューターを上記の各部として機能させるためのプログラムが記憶されている。そして、本実施形態の処理部(CPU)20は、記録媒体36に記憶されているプログラムを実行することで、気象データ取得部21、気象予測部22、病気予測情報生成部23、通信制御部24、表示制御部25として機能する。あるいは、通信部32等を介して有線又は無線の通信ネットワークに接続された他のサーバーから当該プログラムを受信し、受信したプログラムを記憶部34や記録媒体36に記憶して当該プログラムを実行するようにしてもよい。ただし、気象データ取得部21、気象予測部22、病気予測情報生成部23、通信制御部24、表示制御部25の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
【0063】
なお、記録媒体36は、例えば、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、メモリー(ROM、フラッシュメモリーなど)により実現することができる。
【0064】
本実施形態では、記憶部34あるいは記録媒体36には、特に、気象条件と病気の種類との対応関係を示す、気象条件・病気対応情報が記憶されている。
【0065】
図5は、気象条件・病気対応情報の一例を示す図である。図5に示すように、気象条件・病気対応情報300は、気象条件(310)及び病気の種類(320)の情報を含む。図5の例では、気象条件「A1」と病気「B1」、気象条件「A2」と病気「B2」、気象条件「A3」と病気「B3」がそれぞれ対応付けられている。例えば、気象条件「A1」が満たされると、病気「B1」の発生頻度が高くなることを意味する。
【0066】
この気象条件・病気対応情報300は、例えば、過去の発病データと発病時の気象データを統計的に分析して気象条件と病気との因果関係を抽出することにより作成される。過去の発病データとしては、病院に緊急搬送された患者の診察・治療・手術に関するデータ、入院患者や通院患者の診察や治療に関するデータ、患者から定期的に取得した生体データ、患者の体調に関するアンケートの回答等を利用することができる。過去の気象データは、アメダス(AMeDAS)等から得られた、発病時の広域気象情報から計算される発病場所の気象データであってもよいし、分散配置された気象計測装置2が計測した気象データを過去の気象データとして利用してもよい。
【0067】
なお、過去の発病データと発病時の気象データが新たに得られる毎に、気象条件・病気対応情報300は最新の情報に更新される。
【0068】
1−3.病気予測装置の処理
図6は、病気予測装置4の処理部(CPU)20の病気予測処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0069】
まず、処理部(CPU)20は、各気象計測装置2が計測した気象データを取得する(S10)。この気象データより、各気象計測装置2が設置された各地点の気圧、気温、湿度等の気象の情報が得られる。
【0070】
次に、処理部(CPU)20は、ステップS10で現在までに取得した気象データの時系列に基づく現在までの各地点の気象の推移から、観測メッシュの各エリアのT時間後(例えば、12時間後)までの気象の推移を予測する(S12)。
【0071】
次に、処理部(CPU)20は、観測メッシュのエリア毎に、ステップS12で得られた気象の推移の予測結果を気象条件・病気対応情報300と照合し、T1時間後,T2時間後,・・・(例えば、1時間後,2時間後,・・・)の病気別の危険度を判定する(S14)。
【0072】
次に、処理部(CPU)20は、ステップS14における観測メッシュのエリア毎の病気別の危険度の判定結果から、病気予測情報(予測時刻、病気の種類、危険度、エリアの対応情報)を作成する(S16)。
【0073】
そして、処理部(CPU)20は、病気予測処理を終了する(S18のY)まで、所定時間が経過する毎に(S20のY)、S10〜S16の処理を繰り返し行う。
【0074】
図7は、図6のステップS16で作成される病気予測情報の一例を示す図である。図7に示すように、病気予測情報400は、予測時刻(410)、病気の種類(420)、危険度(430)、エリア(440)の対応関係を示す情報である。
【0075】
予測時刻(410)は、現時刻を基準(0)とした時刻である。病気の種類(420)は、図5に示した気象条件・病気対応情報300の病気の種類(320)と対応している。危険度(430)は、各病気が発生する危険度を段階的(例えば、3段階)に数値で表したものであり、例えば、危険度0は「ほとんど危険なし」、危険度1は「危険」、危険度2は「非常に危険」を意味する。エリア(440)は、観測メッシュの各エリアを表す。
【0076】
図7の例の病気予測情報400は、現在からT1時間後、病気A1の危険度が0のエリアはX1,X6,・・・、病気A1の危険度が1のエリアはX2,X3,・・・、病気A1の危険度が2のエリアはX4,X5,・・・、病気A2の危険度が0のエリアはX1,X2,X3,X4,・・・、病気A2の危険度が1又は2のエリアは無いことを示している。
【0077】
また、図7の例の病気予測情報400は、現在からT2時間後、病気A1の危険度が0のエリアはX1,・・・、病気A1の危険度が1のエリアはX6,・・・、病気A1の危険度が2のエリアはX2,X3,X4,X5,・・・、病気A2の危険度が0のエリアはX1,X2,・・・、病気A2の危険度が1のエリアはX3,X4,・・・、病気A2の危険度が2のエリアは無いことを示している。
【0078】
この病気予測情報400は、病気予測装置4の表示部38に病気予測の画像として表示され、あるいは、情報端末6に送信されて情報端末6の表示部に病気予測の画像として表示される。ユーザーは、病気予測装置4の操作部30を操作し、あるいは、情報端末6の操作部を操作して予測時刻や病気の種類を選択すると、選択された予測時刻における選択された病気の危険度をエリア毎に示す病気予測の画像が表示されるようにしてもよい。
【0079】
図8(A)及び図8(B)は、病気予測の画像の一例を示す図である。図8(A)及び図8(B)において、格子点が観測メッシュの各ノード(気象観測装置2の設置地点)に対応し、4つの格子点を頂点とする矩形の各々が観測メッシュの各エリアに対応している。図8(A)は現在から1時間後の画像であり、図8(B)は現在から2時間後の画像である。図8(A)及び図8(B)において、白色のエリアは選択された病気(例えば、心筋梗塞)の危険度が0(「ほとんど危険なし」)のエリアであり、網掛け模様のエリアは選択された病気の危険度が1(「危険」)のエリアであり、黒色のエリアは選択された病気の危険度が2(「非常に危険」)のエリアである。この画像を見ることで、数時間後の観測メッシュの各エリアの病気別の危険度が容易にわかるので、各ユーザーは、発症しやすい病気に注意しながら行動することができる。
【0080】
以上に説明したように、第1実施形態の病気予測システムによれば、病気予測装置4は、分散配置された複数の気象計測装置2の各々が計測した気象データを用いて、観測メッシュのエリア毎の詳細な気象条件を解析して当該エリア毎の気象予測を行う。そして、病気予測装置4は、このエリア毎の気象予測をもとに病気別の発生の危険度を予測するので、病気別の発生しやすいエリアの予測精度を高めることができる。各ユーザーは、予測精度の高い病気予測の情報を得ることで、特に発病しやすいエリアにいるユーザーは、注意して行動するようになり、発病を未然に防ぐことが期待できる。
【0081】
2.第2実施形態
2−1.病気予測システムの概要
第1実施形態の病気予測システムでは、各地点における現在までの気象の推移から、観測メッシュの各エリアの数時間後の気象を予測しているが、例えば、にわか雨が降ると急に湿度が上昇し、気温が低下するので、それまでの気象の推移のみから予測した湿度や気温と実際の湿度や気温に差が生じる。そのため、にわか雨等の局地的な気象変動が発生すると、病気予測の精度が低下するおそれがある。そこで、第2実施形態の病気予測システムでは、各地点における現在までの気象の推移から観測メッシュの各エリアの数時間後の気象を予測するだけでなく、局地的な気象変動を精度よく予測し、気象変動も考慮した病気予測を行う。局地的な気象変動としては、例えば、にわか雨、雷雨、集中豪雨、竜巻、突風などが挙げられるが、これらの気象変動は上昇気流により発達する積雲や積乱雲が発達することで発生する場合が多い。従って、上昇気流に伴う局地的な気圧の変化を捉えることで気象変動を精度よく予測することが可能となる。
【0082】
2−2.病気予測システムの構成
第2実施形態の病気予測システムの全体構成は、第1実施形態(図2)と同様であるため、図示及び説明を省略する。
【0083】
[気象計測装置の構成]
気象計測装置2の構成は、第1実施形態(図3)と同様であるため、図示を省略するが、局地的な気圧の変化を捉えて気象変動の予測を可能とするためには、気象計測装置2は、ある程度高分解能の気圧センサー10を備える必要がある。このような気圧センサー10としては、圧力の変化を振動子の周波数の変化として捉える周波数変化型、圧力の変化を静電容量の変化として捉える静電容量型、圧力の変化をピエゾ抵抗の抵抗値の変化として捉えるピエゾ抵抗型などのセンサーを適用することができる。ただし、わずかな気圧の変化を捉えて気象変動の発生を早期に予測するためには、出来る限り高分解能な計測が可能な気圧センサーが望ましい。現在のところ、周波数変化型の気圧センサーは、静電容量型やピエゾ抵抗型の気圧センサーよりも高い分解能が得られており、周波数変化型の気圧センサーであれば1Pa以下の分解能も実現可能である。そのため、局地的な気象変動を早期に捉えるためには、周波数変化型の気圧センサー10を用いるのが有利である。
【0084】
図9は、周波数変化型の気圧センサー10の構成例を示す図である。図9に示すように、本実施形態の気圧センサー10は、圧力センサー素子100、発振回路110、カウンター120、TCXO(Temperature Compensated Crystal Oscillator)130、MPU(Micro Processing Unit)140、温度センサー150、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)160、通信インターフェース(I/F)170を含んで構成されている。ただし、本実施形態の気圧センサーは、図9の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0085】
圧力センサー素子100は、振動片の共振周波数の変化を利用する方式(振動方式)の感圧素子を有している。この感圧素子は、例えば、水晶、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等の圧電材料で形成された圧電振動子であり、例えば、音叉型振動子、双音叉型振動子、AT振動子(厚みすべり振動子)、SAW共振子などが適用される。
【0086】
特に、双音叉型圧電振動子は、AT振動子(厚みすべり振動子)などに比べて、伸長・圧縮応力に対する共振周波数の変化が極めて大きく共振周波数の可変幅が大きいので、感圧素子として双音叉型圧電振動子を用いることで、わずかな気圧差を検出可能な高い分解能の気圧センサーを実現することができる。そのため、本実施形態の気圧センサー10は、感圧素子として双音叉型圧電振動子を用いている。なお、圧電材料として、Q値が高くかつ温度安定性に優れた水晶を選択することで、優れた安定性と最高水準の分解能および精度を実現することができる。
【0087】
図10は、本実施形態の圧力センサー素子100の断面の模式図である。図11は、本実施形態の圧力センサー素子100の振動片220およびダイヤフラム210を模式的に示す下面図である。図11は、封止板としてのベース230を省略して描いてある。図10は、図11のA−A線の断面に対応する。
【0088】
圧力センサー素子100は、ダイヤフラム210と、振動片220と、封止板としてのベース230と、を含む。
【0089】
ダイヤフラム210は、圧力を受圧して撓む可撓部を有する平板状の部材である。ダイヤフラム210の外側の面が受圧面214となっており、受圧面214の裏面側に一対の突起212が形成されている。
【0090】
振動片220は、振動ビーム(梁)222及び振動ビーム222の両端に形成された一対の基部224を有する。振動ビーム222は、一対の基部224の間に両持ち梁状に形成される。一対の基部224は、ダイヤフラム210に形成された一対の突起212にそれぞれ固定される。振動ビーム222には図示しない電極が適宜設けられ、電極から駆動信号を供給することで振動ビーム222を一定の共振周波数で屈曲振動させることができる。振動片220は、圧電性を有する材料で形成される。振動片220の材質としては、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料が挙げられる。振動片220は、支持梁226によって枠部228に支持されている。
【0091】
ベース230は、ダイヤフラム210と接合されて、ダイヤフラム210との間にキャビティー232を形成する。キャビティー232を減圧空間とすることにより、振動片220のQ値を高める(CI値を小さくする)ことができる。
【0092】
このような構造の圧力センサー素子100において、ダイヤフラム210は、受圧面214に圧力を受けた場合に撓み、変形する。すると、振動片220の一対の基部224が、ダイヤフラム210の一対の突起212にそれぞれ固定されているため、ダイヤフラム210の変形に従って基部224間の間隔が変化する。すなわち、圧力センサー素子100に圧力が印加されたときに、振動ビーム222に引張または圧縮の応力を生じさせることができる。
【0093】
図12は、圧力センサー素子100の断面の模式図であり、ダイヤフラム210が圧力Pによって変形した状態を示している。図12は、圧力センサー素子100の外側から内側への力(圧力P)が作用することにより、ダイヤフラム210が素子の内側に向かって凸となる変形が生じた例である。この場合、一対の突起212の間の間隔は大きくなる。他方、図示しないが、圧力センサー素子100の内側から外側への力が作用する場合は、ダイヤフラム210が素子の外側に向かって凸となる変形が生じ、一対の突起212の間の間隔は小さくなる。従って、両端が一対の突起212にそれぞれ固定された振動片220の振動ビーム222に平行な方向に引張または圧縮の応力が生じる。すなわち、受圧面214に対して垂直方向に加わった圧力は、突起(支持部)212を介して、振動片220の振動ビーム222に対して平行な直線方向の応力に変換される。
【0094】
振動ビーム222の共振周波数は、以下のようにして解析することができる。図10及び図11に示すように、振動ビーム222の長さをl、幅をw、厚みをdとすると、振動ビーム222の長辺方向に外力Fが作用したときの運動方程式は、次式(1)によって近似される。
【0095】
【数1】

【0096】
式(1)において、Eは縦弾性定数(ヤング率)、ρは密度、Aは振動ビームの断面積(=w・d)、gは重力加速度、Fは外力、yは変位、xは振動ビームの任意の位置をそれぞれ表す。
【0097】
式(1)に一般解と境界条件を与えて解くことで、次のような、外力が無い場合の共振周波数の式(2)が得られる。
【0098】
【数2】

【0099】
断面2次モーメントI=dw/12、断面積A=dw、λI=4.73より、式(2)は次式(3)のように変形することができる。
【0100】
【数3】

【0101】
従って、外力F=0の時の共振周波数fは、ビームの幅wに比例し、長さlの2乗に反比例する。
【0102】
外力Fを2本の振動ビームに加えたときの共振周波数fも同様の手順で求めると、次式(4)が得られる。
【0103】
【数4】

【0104】
断面2次モーメントI=dw/12より式(4)は次式(5)のように変形することができる。
【0105】
【数5】

【0106】
式(5)において、Sは応力感度(=K・12/E・(l/w))、σは応力(=F/(2A))をそれぞれ表す。
【0107】
以上から、圧力センサー素子100に作用する力Fを圧縮方向のとき負、伸張方向のとき正としたとき、力Fが圧縮方向に加わると共振周波数fが減少し、力Fが伸縮方向に加わると共振周波数fが増加する。
【0108】
そして、次式(6)に示す多項式を用いて、圧力センサー素子100の圧力−周波数特性と温度−周波数特性に起因する直線性誤差を補正することで、高分解能かつ高精度の圧力値Pを得ることができる。
【0109】
【数6】

【0110】
式(6)において、fはセンサー規格化周波数であり、f=(f/fで表される。また、tは温度であり、α(t)、β(t)、γ(t)、δ(t)は、それぞれ次式(7)〜(10)で表される。
【0111】
【数7】

【0112】
【数8】

【0113】
【数9】

【0114】
【数10】

【0115】
式(7)〜(10)において、a〜pは補正係数である。
【0116】
すなわち、圧力センサー素子100の出力信号の周波数を計測することで、振動ビーム220の振動周波数(力Fが作用した時の共振周波数f)が得られ、あらかじめ測定された共振周波数fや補正係数a〜pを用いて、式(6)から圧力Pを計算することができる。
【0117】
図9に戻り、発振回路110は、圧力センサー素子100の振動ビーム222を共振周波数で発振させた発振信号を出力する。
【0118】
カウンター120は、発振回路110が出力する発振信号の所定周期を、基準クロック源であるTCXO130が出力する高精度のクロック信号でカウントするレシプロカルカウンターである。ただし、カウンター120を、所定のゲートタイムにおける圧力センサー素子100の発振信号のパルス数をカウントする直接計数方式の周波数カウンター(ダイレクトカウンター)として構成してもよい。
【0119】
MPU(Micro Processing Unit)140は、カウンター120のカウント値から圧力値Pを計算する処理を行う。具体的には、MPU140は、温度センサー150の検出値から温度tを計算し、EEPROM160にあらかじめ記憶されているa〜pの補正係数値を用いて、式(7)〜(10)よりα(t)、β(t)、γ(t)、δ(t)を計算する。さらに、MPU140は、カウンター120のカウント値とEEPROM160にあらかじめ記憶されている共振周波数fの値を用いて、式(6)より圧力値Pを計算する。そして、MPUが計算した圧力値Pは、通信インターフェース170を介して、気圧センサー10の外部に出力される。
【0120】
このような構成の周波数変化型の気圧センサー10によれば、圧力センサー素子100の振動周波数をカウンター120によりTCXO130が出力する高精度かつ高周波数(例えば数十MHz)のクロック信号でカウントするとともに、MPU140でデジタル演算処理により圧力値の計算及び直線性誤差の補正を行うので、Paオーダーの高い分解能かつ高精度の圧力値(気圧データ)を得ることができる。さらに、気圧センサー10は、カウント時間を考慮しても秒オーダーの周期で気圧データを更新することができるので、短時間におけるわずかな気圧の変化も捉えることができ、リアルタイムの気象計測に適している。
【0121】
なお、本実施形態では、基準クロック源としてTCXO130を用いているが、基準クロック源を、温度補償回路を有さない発振回路、例えば、ATカット水晶振動子を搭載した水晶発振回路で構成しても良い。この場合、温度補償回路を有さない分、気圧変動の検出精度は低下するが、基準クロック源を当該水晶発振回路とするか、或いはTCXO130とするかは、システムのコストや精度に応じて設計者が適宜選択すればよい。
【0122】
[病気予測装置の構成]
第2実施形態における病気予測装置4の構成は、第1実施形態(図4)と同様であるため、図示を省略する。ただし、処理部(CPU)20の気象予測部22の機能が第1実施形態と異なる。
【0123】
気象予測部22は、気象データ取得部21が取得した気象データに含まれる気圧データに基づいて、局地的な気象変動の発生の有無を予測し、気象変動の発生が予測される場合には、当該気象変動に伴う気象変化を加味して各地点の気象の推移を予測する処理を行う。
【0124】
本実施形態では、記憶部34に、気象条件に関する判定基準と判定される気象変動との対応関係を定義する気象変動判定テーブル(不図示)が記憶されており、気象予測部22は、気象データ取得部21が取得した気象データから得られる気象状況の変化を当該気象変動判定テーブルの各判定基準と照合し、各気象変動が発生するか否かを判定する。例えば、気象変動の前に生じる上昇気流に伴う局地的な低気圧の発生の有無を判定することで気象変動を予測することができるので、気象変動判定テーブルの各判定基準は少なくとも気圧に関する条件を含む。例えば、一定時間当たりの気圧の低下量が所定の閾値を超えたか否かを所定の気象変動(例えば集中豪雨)の判定基準としてもよい。また、判定基準に温度や湿度等に関する条件を含ませてもよい。例えば、一定時間当たりの気圧の低下量が所定の閾値を超えるとともに温度が所定の範囲にあるか否かを所定の気象変動(例えば雷雨)の判定基準としてもよい。図13は、気象変動判定テーブルの一例を示す図である。図13の例では、判定基準1が満たされるとにわか雨が降ると予測されることを示している。同様に、判定基準2,3,4、5がそれぞれ満たされると、それぞれ雷雨、集中豪雨、竜巻、突風の発生が予測されることを示している。
【0125】
また、気象予測部22は、気象データ取得部21が取得した気象データに含まれる気圧データに基づいて、2地点間毎(2つの気象計測装置2の間毎)の気圧傾度(=2地点間の気圧差/2地点間の距離)を計算し、気圧傾度の変化から上昇気流に伴う局地的な低気圧の移動速度や移動方向を計算し、気象変動が発生するエリアを予測する。なお、気圧傾度の計算対象となる地点は、任意の位置でよく、例えば、観測メッシュの各ノードの位置(気圧計測装置2の設置場所)でもよい。
【0126】
そして、気象予測部22は、現在までの各地点の気象の推移をベースに、局地的な気象変動の発生予測も考慮しながら、各地点の気象の推移を予測し、病気予測情報400を作成する。気象変動の発生による気温や湿度等の変化量は、過去の統計データに基づく数値計算を行うことで得ることができる。
【0127】
2−3.病気予測装置の処理
図14は、第2実施形態における、病気予測装置4の処理部(CPU)20の病気予測処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0128】
まず、処理部(CPU)20は、各気象計測装置2が計測した気象データを取得する(S100)。
【0129】
次に、処理部(CPU)20は、ステップS100で取得した気象データに含まれる気圧データから、2地点間毎の気圧傾度を計算する(S102)。
【0130】
次に、処理部(CPU)20は、現在までの各地点の気圧と気圧傾度の推移等から、局地的な気象変動を予測する(S104)。
【0131】
次に、処理部(CPU)20は、現在までの各地点の気象の推移とステップS104の気象変動の予測結果から、観測メッシュの各エリアのT時間後(例えば、12時間後)までの気象の推移を予測する(S106)。
【0132】
次に、処理部(CPU)20は、観測メッシュのエリア毎に、ステップS106で得られた気象の推移の予測結果を気象条件・病気対応情報300と照合し、T1時間後,T2時間後,・・・(例えば、1時間後,2時間後,・・・)の病気別の危険度を判定する(S108)。
【0133】
次に、処理部(CPU)20は、観測メッシュのエリア毎の病気別の危険度の判定結果から、病気予測情報(予測時刻、病気の種類、危険度、エリアの対応情報)を作成する(S110)。
【0134】
そして、処理部(CPU)20は、病気予測処理を終了する(S112のY)まで、所定時間が経過する毎に(S114のY)、S100〜S110の処理を繰り返し行う。
【0135】
以上に説明したように、第2実施形態の病気予測システムによれば、病気予測装置4は、分散配置された複数の気象計測装置2の各々が計測した気象データを取得して、観測メッシュのエリア毎の詳細な気圧変化の情報から、気圧の変化に起因して発生する局地的な気象変動の発生を予測する。そして、病気予測装置4は、気象変動の発生を考慮してエリア毎の気象予測を行い、病気別の発生の危険度を予測するので、病気別の発生しやすいエリアの予測精度をさらに高めることができる。
【0136】
3.第3実施形態
3−1.病気予測システムの概要
第1実施形態や第2実施形態の病気予測システムでは、病気別の一般的な危険度の予測情報を提供するものであるが、気象条件が同じでもユーザーの年齢や性別等によって病気別の危険度は異なると考えられる。また、ユーザーの体質や持病等によって、ユーザー毎に特に発症しやすい病気や発症しにくい病気が異なると考えられる。つまり、第1実施形態や第2実施形態の病気予測システムでは、ある病気の危険度が0(「ほとんど危険なし」)と予測された場合でも、ユーザーによっては実際には危険度が1又は2(「危険」又は「非常に危険」)であることが考えられる。そこで、第3実施形態の病気予測システムは、ユーザー毎にカスタマイズされた個別の病気予測情報を提供する。
【0137】
3−2.病気予測システムの構成
第3施形態の病気予測システムの全体構成は、第1実施形態(図2)と同様であるため、図示及び説明を省略する。同様に、第3施形態における気象計測装置2の構成は、第1実施形態(図2)と同様であるため、図示及び説明を省略する。
【0138】
[病気予測装置の構成]
第3施形態における病気予測装置4の構成は、第1実施形態(図4)と同様であるため、図示を省略する。ただし、記憶部34には、各ユーザーに対応付けて、個別の病気予測情報を作成するために必要なユーザーの特性が設定されたユーザー情報が記憶されている。
【0139】
図15は、ユーザー情報の一例を示す図である。図15に示すように、ユーザー情報500は、例えば、ユーザーID(510)、年齢(520)、性別(530)、体質(540)、持病(550)、病歴(560)等の情報を含む。
【0140】
第3実施形態における処理部(CPU)20の気象予測部22は、現在までの各地点の気象の推移とユーザー情報500に基づいて、各ユーザー用の病気予測情報400を作成する。具体的には、気象予測部22は、ユーザー毎に、ユーザー情報500に設定された情報を用いて、気象条件・病気対応情報300を修正して個別の気象条件・病気対応情報を作成し、現在までの各地点の気象の推移から予測される将来の気象条件を個別の気象条件・病気対応情報とそれぞれ照合することで、各ユーザー用の病気予測情報400を作成する。気象予測部22は、例えば、各ユーザーに対して、年齢(520)が高いほど各病気(420)に対する気象条件(410)を緩い方向(発病しやすい方向)に修正し、性別に応じて発病率が異なる病気(420)に対する気象条件(410)を性別(530)に応じて修正する。また、気象予測部22は、例えば、各ユーザーに対して、体質(540)に応じてかかりやすい病気(420)に対する気象条件(410)を緩い方向(発病しやすい方向)に修正する。さらに、気象予測部22は、例えば、各ユーザーに対して、持病(550)に設定されている現在かかっている病気(420)や病歴(560)に設定されている過去にかかった病気(420)に対する気象条件(410)を緩い方向(発病しやすい方向)に修正する。ただし、気象予測部22は、ユーザー毎に気象条件・病気対応情報400を修正する代わりに、例えば、現在までの各地点の気象の推移と気象条件・病気対応情報400に基づいて一般的な病気予測情報400を作成した後、ユーザー情報500を用いて、当該病気予測情報400を各ユーザー用に修正するようにしてもよい。
【0141】
3−3.病気予測装置の処理
図16は、第3実施形態における、病気予測装置4の処理部(CPU)20の病気予測処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0142】
まず、各ユーザーに対するユーザー情報500を用いて気象条件・病気対応情報400を修正し、ユーザー毎の気象条件・病気対応情報を作成する(S200)。なお、このステップS200の処理は、各ユーザーに対して一度行った後は、各ユーザーに対してユーザー情報500が更新された場合のみ行えばよい。
【0143】
次に、処理部(CPU)20は、各気象計測装置2が計測した気象データを取得する(S202)。
【0144】
次に、処理部(CPU)20は、現在までの各地点の気象の推移から、観測メッシュの各エリアのT時間後(例えば、12時間後)までの気象の推移を予測する(S204)。
【0145】
次に、処理部(CPU)20は、観測メッシュのエリア毎に、ステップS204で得られた気象の推移の予測結果を、ステップS200で作成した各ユーザーの気象条件・病気対応情報と照合し、ユーザー毎に、T1時間後,T2時間後,・・・(例えば、1時間後,2時間後,・・・)の病気別の危険度を判定する(S206)。
【0146】
次に、処理部(CPU)20は、ユーザー毎に、観測メッシュのエリア毎の病気別の危険度の判定結果から、病気予測情報(予測時刻、病気の種類、危険度、エリアの対応情報)を作成する(S208)。
【0147】
次に、処理部(CPU)20は、ステップS208で作成した各ユーザーの病気予測情報を、各ユーザーの情報端末6に送信する(S210)。各ユーザーの情報端末6は、病気予測情報を受信して表示し、各ユーザーは、この病気予測情報を確認することで、持病が発生する危険度や危険な時間帯を知ることができる。
【0148】
そして、処理部(CPU)20は、病気予測処理を終了する(S212のY)まで、所定時間が経過する毎に(S214のY)、S202〜S210の処理を繰り返し行う。
【0149】
以上に説明したように、第3実施形態の病気予測システムによれば、病気予測装置4が、ユーザー毎の気象条件・病気対応情報を作成し、分散配置された複数の気象計測装置2の各々が計測した気象データをもとに解析した気象条件をユーザー毎の気象条件・病気対応情報と照合し、ユーザー毎にカスタマイズされた病気予測情報を生成する。そして、各ユーザーは、個別にカスタマイズされた予測精度の高い病気予測の情報を得ることで、特に発病しやすいユーザーは、注意して行動するようになり、発病を未然に防ぐことが期待できる。
【0150】
なお、処理部(CPU)20は、ステップS210で作成したユーザー毎の病気予測情報から、発病する危険度が所定レベル以上(例えば、危険度が1以上)のユーザーの情報端末6に注意を喚起する情報を送信するようにしてもよい。さらに、処理部(CPU)20は、ユーザー毎に、発病する危険度に応じた時間間隔で、この注意を喚起する情報を繰り返し送信するようにしてもよい。例えば、危険度が高いユーザーほど、より短い時間間隔で注意を喚起する情報を送信するようにしてもよい。このようにすれば、発病する危険度の高いユーザーほど、注意を喚起する情報を頻繁に受け取るので、行動を自粛する等の対策をとることが期待できる。
【0151】
4.適用例
本実施形態の病気予測システムは、様々な用途に適用することができる。
【0152】
[適用例1]
病気予測装置4が生成する病気予測情報400を病院に設置された情報端末に送信し、病院の職員が発生率の高い病気の種類、時間、地域などを予測することで、緊急搬送されると予測される患者数に応じた医療体制をあらかじめ整えることができる。また、病気予測装置4が生成する病気予測情報400を休暇中の医師が携帯する情報端末6に送信し、当該医師が発生率の高い病気の種類、時間、地域などを予測することで、緊急呼び出しを受ける可能性が高いか否かをあらかじめ判断することができる。
【0153】
[適用例2]
病気予測装置4が生成する病気予測情報400を、遠隔介護システムのサーバーに送信し、当該サーバーが、発病する危険性の高い患者の情報端末に、所定時間毎に、注意喚起や対処方法を指示するメールを送信することで、各患者が発病する危険性を低下させることができる。さらに、当該サーバーは、患者の危険度が高いほどメールを送信する間隔を短くするようにしてもよい。このようにすれば、患者が警戒を怠らず、発病する危険性を低下させることが期待できる。同様に、病気予測装置4が生成する病気予測情報400を、一人暮らしの高齢者から離れた場所にいる家族の情報端末に送信し、当該家族は、当該高齢者が発病する危険性があると判断した場合、当該高齢者に連絡して注意喚起や対処方法を指示することができる。
【0154】
5.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0155】
[変形例1]
本実施形態において、観測メッシュの各エリアは矩形でなくてもよく、例えば、6つのノードによって1つの六角形状のエリアが形成されるように複数の気象計測装置2を分散配置してもよい。
【0156】
[変形例2]
本実施形態において、気象計測装置2の配置密度は一定でなくてもよく、配置密度を変えてもよい。例えば、地形や建物の配置などから、気象変動が発生し易い場所がわかっていれば、そのような場所では気象計測装置2の配置密度を高くし、逆に、気象変動が発生しにくい場所がわかっていれば、そのような場所では気象計測装置2の配置密度を低くするようにしてもよい。あるいは、気圧傾度の大きさに応じて気象計測装置2の配置密度を高くするようにしてもよい。
【0157】
気象変動が発生し易い場所ほどより観測メッシュを細かくすることで、予測精度を高めることができる。逆に、気象変動が発生しにくい場所は、観測メッシュを多少粗くすることで、必要十分な予測精度を確保しながらコストを削減することができる。
【0158】
[変形例3]
本実施形態において、気象計測装置2を3次元状に配置することで、3次元の観測メッシュを形成するようにしてもよい。例えば、ビルの屋上や側面、地上等に気象計測装置2を配置することで、3次元の領域に観測メッシュを形成することができる。このようにすれば、高さ方向の気象の変化の情報も得られるので、気象変動の予測精度を高めることができる。なお、10m高くなる毎に気圧が約1hPa低下するので、3次元の観測メッシュを形成する場合は、気象計測装置2の設置高度に応じて気圧や気圧傾度を補正計算することが望ましい。
【0159】
[変形例4]
気象計測装置2が計測した気象条件(気圧、気温、湿度、風向、風速など)が同じでも、雷雨等をもたらす積乱雲が発達するか否かは当該気象計測装置2の位置の地理(地形、建物や木の配置等)によって異なると考えられる。そこで、第2実施形態において、病気予測装置4の処理部(CPU)20(気象予測部22)は、各気象計測装置2が計測した気象データと、気象計測装置2が分散配置されている地域の地理情報とを用いて気象変動の予測を行うようにしてもよい。この地理情報は、例えば、病気予測装置4の記憶部34に記憶されていてもよいし、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバーに地理情報を記憶させておき、病気予測装置4が通信ネットワークを介して当該地理情報を取得するようにしてもよい。
【0160】
このように、気象状況に地理情報を加味して気象変動を予測することで、予測精度を高めることができる。
【0161】
[変形例5]
気象計測装置2が計測した気象条件(気圧、気温、湿度、風向、風速など)を、過去に気象変動が発生した際の気象条件の統計情報と照合することで、気象変動の予測精度を高めることができる。そこで、第2実施形態において、病気予測装置4の処理部(CPU)20(気象予測部22)は、各気象計測装置2が計測した気象データと、気象計測装置2が分散配置されている地域における過去に気象変動が発生した気象条件の統計情報とを用いて気象変動の予測を行うようにしてもよい。この統計情報は、例えば、病気予測装置4の記憶部34に記憶されていてもよいし、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバーに統計情報を記憶させておき、病気予測装置4が通信ネットワークを介して当該統計情報を取得するようにしてもよい。
【0162】
このように、気象状況に過去の統計情報を加味して気象変動を予測することで、予測精度を高めることができる。
【0163】
なお、病気予測装置4の処理部(CPU)20(気象予測部22)は、各気象計測装置2が計測した気象データとともに、地理情報と統計情報の両方を用いて気象変動の予測を行うことで、気象変動の予測精度をさらに高めることができる。
【0164】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0165】
1 病気予測システム、2 気象計測装置、3 通信ネットワーク、4 病気予測装置、6 情報端末、10 気圧センサー、11 温度センサー、12 湿度センサー、14 送信部、20 処理部(CPU)、21 気象データ取得部、22 気象予測部、23 病気予測情報生成部、24 通信制御部、25 表示制御部、30 操作部、32 通信部、34 記憶部、36 記録媒体、38 表示部、100 圧力センサー素子、110 発振回路、120 カウンター、130 TCXO、140 MPU、150 温度センサー、160 EEPROM、170 通信インターフェース(I/F)、210 ダイヤフラム、212 突起、214 受圧面、220 振動片、222 振動ビーム(梁)、224 基部、226 支持梁、228 枠部、230 ベース、232 キャビティー、300 気象条件・病気対応情報、400 病気予測情報、500 ユーザー情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
病気の発生予測の対象地域に分散して配置される複数の気象計測装置と、
前記複数の気象計測装置の各々が計測した気象データを利用して、病気の発生を予測する病気予測装置と、を含み、
前記病気予測装置は、
前記気象データを取得する気象データ取得部と、
前記気象データ取得部が取得した気象データを利用して、気象を予測する気象予測部と、
前記気象予測部の予測結果を、気象条件と病気との対応情報と照合し、病気別に発生する危険度を予測して病気予測情報を生成する病気予測情報生成部と、を含む、病気予測システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記病気予測情報は、
病気の種類毎に、病気が発生する危険度と病気が発生するエリアとの対応関係の情報を含む、病気予測システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記複数の気象計測装置の各々は、気圧センサーを備え、
前記病気予測装置は、
前記気象予測部が、
前記気象データ取得部が取得した気象データに含まれる気圧データから得られる気圧変化の情報を利用して、気象を予測する、病気予測システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記病気予測装置は、
前記気象予測部が、
前記気圧変化の情報を利用して所与の気象変動が発生するか否かを判定し、判定結果に基づいて気象を予測する、病気予測システム。
【請求項5】
請求項3又は4において、
前記病気予測装置は、
前記気象予測部が、
前記気象データ取得部が取得した気象データに含まれる気圧データから得られる気圧傾度の変化の情報を利用して、気象を予測する、病気予測システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記病気予測装置は、
前記病気予測情報生成部が、
ユーザー毎の特性を示すユーザー情報を利用して、ユーザー毎に前記病気予測情報を生成する、病気予測システム。
【請求項7】
請求項6において、
前記病気予測装置は、
病気を発症する危険度が所定レベル以上のユーザーの情報端末に、注意を喚起する情報を送信する、病気予測システム。
【請求項8】
請求項7において、
前記病気予測装置は、
ユーザー毎に、病気を発症する危険度に応じた時間間隔で、前記注意を喚起する情報を繰り返し送信する、病気予測システム。
【請求項9】
病気の発生予測の対象地域に分散して配置される複数の気象計測装置の各々から気象データを取得する気象データ取得ステップと、
前記気象データ取得ステップで取得した気象データを利用して、気象を予測する気象予測ステップと、
前記気象予測ステップでの予測結果を、気象条件と病気との対応情報と照合し、病気別に発生する危険度を予測して病気予測情報を生成する病気予測情報生成ステップと、を含む、病気予測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−92929(P2013−92929A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235065(P2011−235065)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】