病理組織試料用カセット
【課題】 本発明は標本作製作業で有機溶剤に病理組織試料用カセットが浸かっても、病理組織試料用カセット本体よりラベルが剥がれ落ちるのを効率よく阻止でき、安全で、医療事故を防止することができる病理組織試料用カセットを得るにある。
【解決手段】 底面に多数個の透孔が形成された浅皿状の病理組織試料用カセット本体と、この病理組織試料用カセット本体の外側壁に、該病理組織試料用カセット本体に収納される病理組織試料を特定するためのデータがプリントされたラベルを覆うように着脱可能な取付手段で取付ける透明材製のカバーとで病理組織試料用カセットを構成している。
【解決手段】 底面に多数個の透孔が形成された浅皿状の病理組織試料用カセット本体と、この病理組織試料用カセット本体の外側壁に、該病理組織試料用カセット本体に収納される病理組織試料を特定するためのデータがプリントされたラベルを覆うように着脱可能な取付手段で取付ける透明材製のカバーとで病理組織試料用カセットを構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は患者の人体から採取した病理組織試料を収納する病理組織試料用カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の病理組織試料用カセットは臨床医によって各患者から採取された病理組織試料を収納するとともに、各患者名またはその他のデータが記載されたラベルを貼って使用されている。
【0003】
このようにラベルが貼られた病理組織資料用カセットは、臨床医から病理検査側に移送され、病理医が病理診断するための標本作製作業を行なう場合、キシレンやアセトン等の有機溶剤に病理組織資料用カセットごと浸ける作業を行なうため、貼られたラベルが剥がれ落ちてしまうという事故が生じていた。
【特許文献1】特開2002−303568
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、標本作製作業で有機溶剤に病理組織試料用カセットが浸かっても、病理組織試料用カセット本体よりラベルが剥がれ落ちるのを効率よく阻止でき、安全で、医療事故を防止することができる病理組織試料用カセットを提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は底面に多数個の透孔が形成された浅皿状の病理組織試料用カセット本体と、この病理組織試料用カセット本体の外側壁に、該病理組織試料用カセット本体に収納される病理組織試料を特定するためのデータがプリントされたラベルを覆うように着脱可能な取付手段で取付ける透明材製のカバーとで病理組織試料用カセットを構成している。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0008】
(1)底面に多数個の透孔が形成された浅皿状の病理組織試料用カセット本体と、この病理組織試料用カセット本体の外側壁に、該病理組織試料用カセット本体に収納される病理組織試料を特定するためのデータがプリントされたラベルを覆うように着脱可能な取付手段で取付ける透明材製のカバーとで構成されているので、有機溶剤に浸けても、従来のように病理組織試料用カセット本体に接着剤でラベルを貼着しているものに比べ、病理組織試料用カセット本体より、ラベルがカバーによって脱落するのを確実に防止することができる。
したがって、標本作製作業中に病理組織試料用カセット本体からラベルが脱落する事故を確実に防止でき、医療事故を防止することができる。
【0009】
(2)前記(1)によって、ラベルを透明材製のカバーで覆うため、標本作製作業時に付着したパラフィンを除去する際に、ラベルを損傷させたりする不具合を確実に阻止することができる。
【0010】
(3)請求項2は前記(1)、(2)と同様な効果が得られるとともに、臨床医が採取した病理組織試料を収納する病理組織試料用カセット本体の梨子地部分に鉛筆でメモ書きすることができる。
よって、より間違いを効率よく防止することができる。
【0011】
(4)請求項3も前記(1)、(2)と同様な効果が得られるとともに、カバーを容易に病理組織試料用カセット本体に取付けることができる。
【0012】
(5)請求項4、6は前記(1)、(2)と同様な効果が得られるとともに、ラベルを病理組織試料用カセット本体の側壁に形成されたカバー係止溝内へ挿入することができ、ラベルの脱落事故を確実に防止することができる。
【0013】
(6)請求項5は前記(1)、(2) と同様な効果が得られるとともに、病理組織試料用カセット本体を、既存のものを用いることができ、容易に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に示す本発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明する。
【0015】
図1ないし図8に示す本発明を実施するための最良の第1の形態において、1は本発明の病理組織試料用カセットで、この病理組織試料用カセット1は有機溶剤に浸かるため、有機溶剤に強い材質を用いて長方形状の浅皿状に成型された病理組織試料用カセット本体2と、この病理組織試料用カセット本体2の側壁に収納される病理組織試料を特定するためのデータ3がプリントされたラベル4を覆うように着脱可能な取付手段5で取付けられる、有機溶剤に強いポリミトロアクリロやポリミトロエチレン等の透明材製のカバー6と、前記病理組織試料用カセット本体2の上部を覆う蓋7とで構成されている。
【0016】
前記病理組織試料用カセット本体2は前方の側面は傾斜面で、鉛筆でメモ書きできるように梨子地8に形成され、底面には多数個の透孔9が形成され、前方と後方の側面の上部位置には前記蓋7を着脱可能に取付ける蓋係合孔10、10、10が形成されている。
【0017】
前記取付手段5は前記カバー6の両端部寄りの背面に一体形成された一対の係合ピン11、11と、このカバー6の一対の係合ピン11、11と嵌合するように前記病理組織試料用カセット本体2の側壁に形成された一対の係合孔12、12とで構成されている。
【0018】
前記ラベル4は有機溶剤に強いインクを用いて、データ3がプリントされたものを使用するとともに、データ3は病理組織試料用カセット本体2に収納される病理組織試料の患者の属性、患者ID、患者カルテ番号等である。
【0019】
前記蓋7は有機溶剤に強いポリミトロアクリロやポリミトロエチレン等の合成樹脂材で、多数個の透孔13を有する蓋本体14と、この蓋本体14の前方と後方の底面に一体成型された、前記蓋係合孔10、10、10と着脱可能に係合する係合片15、15、15とで構成されている。
【0020】
上記構成の病理組織試料用カセット1は、臨床医が患者から採取した病理組織試料を病理組織試料用カセット本体2内へ収納し、前面の梨子地8部分に鉛筆でメモ書きする。
しかる後、メモ書きに沿ってラベル4にデータ3をプリントし、該ラベル4をカバー6で覆った状態で、カバー6の一対の係合ピン11、11を病理組織試料用カセット本体2の側壁の一対の係合孔12、12に押し込むことにより、一対の係合ピン11、11が一対の係合孔12、12に嵌合固定され、ラベル4はカバー6によって押し圧された状態で、病理組織試料用カセット本体2に固定状態で取付けられる。
なお、あらかじめデータがプリントされたラベル4をカバー6で病理組織試料用カセット本体2に取付けたものを用いて、患者から採取した病理組織試料を収納してもよい。
病理組織試料用カセット本体2内に病理組織試料が収納されると、病理組織試料用カセット本体2の開口部を蓋7で覆って、病理検査側へ移送され、標本作製作業が行なわれる。
[発明を実施するための異なる形態]
【0021】
次に、図9ないし図42に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0022】
図9ないし図13に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、病理組織試料用カセット本体2の前方の側壁にもラベル4を透明材製のカバー6を取付手段5で着脱可能に取付けられるようにした点で、このように構成した病理組織試料用カセット1Aにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、病理組織試料用カセット本体2の前壁あるいは側壁の両方、あるいはいずれか一方にラベル4をカバー6で取付けて使用することができる。
【0023】
図14ないし図17に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は複数個、本実施の形態では6個に仕切る仕切壁16を設けた病理組織試料用カセット本体2Aを用いるとともに、板状の一対の係合ピン11A、11Aと、この一対の係合ピン11A、11Aと係合する長孔状の一対の係合孔12A、12Aを用いた取付手段5Aを用いた点で、このような取付手段5Aを用いて構成した病理組織試料用カセット1Bにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、同じ患者の異なる部位の病理組織試料を収納することができる。
【0024】
図18ないし図21に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、病理組織試料用カセット本体2の側壁にラベル4とカバー6が入り込むカバー収納凹部17を形成するとともに、このカバー収納凹部17に押し込みによって嵌合状態で固定される寸法のカバー6Aを用いた取付手段5Bを用いた点で、このような取付手段5Bを用いて構成した病理組織試料用カセット1Cにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、ラベル4の脱落事故を確実に防止することができる。
【0025】
図22ないし図26に示す本発明を実施するための第5の形態において、前記本発明を実施するための第4の形態と主に異なる点は、カバー収納凹部17の両端部に係合孔18、18を形成するとともに、カバー6の両端部に前記係合孔18、18と係合する係合片19、19を形成した取付手段5Cを用いた点で、このような取付手段5Cを用いて構成した病理組織試料用カセット1Dにしても、前記本発明を実施するための第4の形態と同様な作用効果が得られるとともに、ラベル4の脱落をカバー6によって、確実に阻止することができる。
【0026】
図27ないし図30に示す本発明を実施するための第6の形態において、前記本発明を実施するための第5の形態と主に異なる点は、前方が開口するアリ溝状のカバー収納凹部20を病理組織試料用カセット本体2の側壁に形成するとともに、このカバー収納凹部20内にスライド移動で、ラベル4とカバー6を収納することができる取付手段5Dを用いた点で、このような取付手段5Dを用いて構成した病理組織試料用カセット1Eにしても、前記本発明を実施するための第5の形態と同様な作用効果が得られる。
【0027】
図31ないし図34に示す本発明を実施するための第7の形態において、前記本発明を実施するための第6の形態と主に異なる点は、病理組織試料用カセット本体2の一方の側壁の上下部にガイド溝21、21を形成するとともに、このガイド溝21、21と係合する係合片22、22をカバーの両側端部に一体成形した取付手段5Eを用いた点で、このような取付手段5Eを用いて構成した病理組織試料用カセット1Fにしても、前記本発明を実施するための第6の形態と同様な作用効果が得られる。
【0028】
図35ないし図38に示す本発明を実施するための第8の形態において、前記本発明を実施するための第7の形態と主に異なる点は、カバー6の両側端部に病理組織試料用カセット本体2の一方の側壁2aの上下線部と係合させることができる係合片23、23を形成した取付手段5Fを用いた点で、このような取付手段5Fを用いて構成した病理組織試料用カセット1Gにしても、前記本発明を実施するための第7の形態と同様な作用効果が得られるとともに、既存の病理組織試料用カセット本体をそのまま使用することができ、容易に製造することができる。
【0029】
図39ないし図42に示す本発明実施するための第9の形態において、前記本発明を実施するための第8の形態と主に異なる点は、カバー6の上側両端部に係合片24、24を形成した取付手段5Gを用いた点で、このような取付手段5Gを用いて構成した病理組織試料用カセット1Hにしても、前記本発明を実施するための第8の形態と同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は病理組織試料用カセットを製造する産業で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明を実施するための最良の第1の形態の分解斜視図。
【図2】本発明を実施するための最良の第1の形態の正面図。
【図3】本発明を実施するための最良の第1の形態の背面図。
【図4】本発明を実施するための最良の第1の形態の平面図。
【図5】本発明を実施するための最良の第1の形態の底面図。
【図6】本発明を実施するための最良の第1の形態の右側面図。
【図7】本発明を実施するための最良の第1の形態の左側面図。
【図8】図4の8−8線に沿う断面図。
【図9】本発明を実施するための第2の形態の分解斜視図。
【図10】本発明を実施するための第2の形態の斜視図。
【図11】図10の11−11線に沿う断面図。
【図12】図10の12−12線に沿う断面図。
【図13】本発明を実施するための第2の形態の底面図。
【図14】本発明を実施するための第3の形態の分解斜視図。
【図15】本発明を実施するための第3の形態の斜視図。
【図16】図15の16−16線に沿う断面図。
【図17】図15の17−17線に沿う断面図。
【図18】本発明を実施するための第4の形態の分解斜視図。
【図19】本発明を実施するための第4の形態の斜視図。
【図20】図19の20−20線に沿う断面図。
【図21】図19の21−21線に沿う断面図。
【図22】本発明を実施するための第5の形態の分解斜視図。
【図23】本発明を実施するための第5の形態の斜視図。
【図24】図23の24−24線に沿う断面図。
【図25】図23の25−25線に沿う断面図。
【図26】図23の26−26線に沿う断面図。
【図27】本発明を実施するための第6の形態の分解斜視図。
【図28】本発明を実施するための第6の形態の斜視図。
【図29】図28の29−29線に沿う断面図。
【図30】図28の30−30線に沿う断面図。
【図31】本発明を実施するための第7の形態の分解斜視図。
【図32】本発明を実施するための第7の形態の斜視図。
【図33】図32の33−33線に沿う断面図。
【図34】図32の34−34線に沿う断面図。
【図35】本発明を実施するための第8の形態の分解斜視図。
【図36】本発明を実施するための第8の形態の斜視図。
【図37】図36の37−37線に沿う断面図。
【図38】図36の38−38線に沿う断面図。
【図39】本発明を実施するための第9の形態の分解斜視図。
【図40】本発明を実施するための第9の形態の斜視図。
【図41】図40の41−41線に沿う断面図。
【図42】図40の42−42線に沿う断面図。
【符号の説明】
【0032】
1、
1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H:病理組織試料用カセット、
2、2A:病理組織試料用カセット本体、
3:データ、 4:ラベル、
5、5A、5B、5C、5D、5E、5F、5G:取付手段、
6、6A:カバー、 7:蓋、
8:梨子地、 9:透孔、
10:蓋係合孔、 11、11A:係合ピン、
12、12A:係合孔、 13:透孔、
14:蓋本体、 15:係合片、
16:仕切壁、 17:カバー収納凹部、
18:係合孔、 19:係合片、
20:カバー収納凹部、 21:ガイド溝、
22:係合片、 23:係合片、
24:係合片。
【技術分野】
【0001】
本発明は患者の人体から採取した病理組織試料を収納する病理組織試料用カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の病理組織試料用カセットは臨床医によって各患者から採取された病理組織試料を収納するとともに、各患者名またはその他のデータが記載されたラベルを貼って使用されている。
【0003】
このようにラベルが貼られた病理組織資料用カセットは、臨床医から病理検査側に移送され、病理医が病理診断するための標本作製作業を行なう場合、キシレンやアセトン等の有機溶剤に病理組織資料用カセットごと浸ける作業を行なうため、貼られたラベルが剥がれ落ちてしまうという事故が生じていた。
【特許文献1】特開2002−303568
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、標本作製作業で有機溶剤に病理組織試料用カセットが浸かっても、病理組織試料用カセット本体よりラベルが剥がれ落ちるのを効率よく阻止でき、安全で、医療事故を防止することができる病理組織試料用カセットを提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は底面に多数個の透孔が形成された浅皿状の病理組織試料用カセット本体と、この病理組織試料用カセット本体の外側壁に、該病理組織試料用カセット本体に収納される病理組織試料を特定するためのデータがプリントされたラベルを覆うように着脱可能な取付手段で取付ける透明材製のカバーとで病理組織試料用カセットを構成している。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0008】
(1)底面に多数個の透孔が形成された浅皿状の病理組織試料用カセット本体と、この病理組織試料用カセット本体の外側壁に、該病理組織試料用カセット本体に収納される病理組織試料を特定するためのデータがプリントされたラベルを覆うように着脱可能な取付手段で取付ける透明材製のカバーとで構成されているので、有機溶剤に浸けても、従来のように病理組織試料用カセット本体に接着剤でラベルを貼着しているものに比べ、病理組織試料用カセット本体より、ラベルがカバーによって脱落するのを確実に防止することができる。
したがって、標本作製作業中に病理組織試料用カセット本体からラベルが脱落する事故を確実に防止でき、医療事故を防止することができる。
【0009】
(2)前記(1)によって、ラベルを透明材製のカバーで覆うため、標本作製作業時に付着したパラフィンを除去する際に、ラベルを損傷させたりする不具合を確実に阻止することができる。
【0010】
(3)請求項2は前記(1)、(2)と同様な効果が得られるとともに、臨床医が採取した病理組織試料を収納する病理組織試料用カセット本体の梨子地部分に鉛筆でメモ書きすることができる。
よって、より間違いを効率よく防止することができる。
【0011】
(4)請求項3も前記(1)、(2)と同様な効果が得られるとともに、カバーを容易に病理組織試料用カセット本体に取付けることができる。
【0012】
(5)請求項4、6は前記(1)、(2)と同様な効果が得られるとともに、ラベルを病理組織試料用カセット本体の側壁に形成されたカバー係止溝内へ挿入することができ、ラベルの脱落事故を確実に防止することができる。
【0013】
(6)請求項5は前記(1)、(2) と同様な効果が得られるとともに、病理組織試料用カセット本体を、既存のものを用いることができ、容易に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に示す本発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明する。
【0015】
図1ないし図8に示す本発明を実施するための最良の第1の形態において、1は本発明の病理組織試料用カセットで、この病理組織試料用カセット1は有機溶剤に浸かるため、有機溶剤に強い材質を用いて長方形状の浅皿状に成型された病理組織試料用カセット本体2と、この病理組織試料用カセット本体2の側壁に収納される病理組織試料を特定するためのデータ3がプリントされたラベル4を覆うように着脱可能な取付手段5で取付けられる、有機溶剤に強いポリミトロアクリロやポリミトロエチレン等の透明材製のカバー6と、前記病理組織試料用カセット本体2の上部を覆う蓋7とで構成されている。
【0016】
前記病理組織試料用カセット本体2は前方の側面は傾斜面で、鉛筆でメモ書きできるように梨子地8に形成され、底面には多数個の透孔9が形成され、前方と後方の側面の上部位置には前記蓋7を着脱可能に取付ける蓋係合孔10、10、10が形成されている。
【0017】
前記取付手段5は前記カバー6の両端部寄りの背面に一体形成された一対の係合ピン11、11と、このカバー6の一対の係合ピン11、11と嵌合するように前記病理組織試料用カセット本体2の側壁に形成された一対の係合孔12、12とで構成されている。
【0018】
前記ラベル4は有機溶剤に強いインクを用いて、データ3がプリントされたものを使用するとともに、データ3は病理組織試料用カセット本体2に収納される病理組織試料の患者の属性、患者ID、患者カルテ番号等である。
【0019】
前記蓋7は有機溶剤に強いポリミトロアクリロやポリミトロエチレン等の合成樹脂材で、多数個の透孔13を有する蓋本体14と、この蓋本体14の前方と後方の底面に一体成型された、前記蓋係合孔10、10、10と着脱可能に係合する係合片15、15、15とで構成されている。
【0020】
上記構成の病理組織試料用カセット1は、臨床医が患者から採取した病理組織試料を病理組織試料用カセット本体2内へ収納し、前面の梨子地8部分に鉛筆でメモ書きする。
しかる後、メモ書きに沿ってラベル4にデータ3をプリントし、該ラベル4をカバー6で覆った状態で、カバー6の一対の係合ピン11、11を病理組織試料用カセット本体2の側壁の一対の係合孔12、12に押し込むことにより、一対の係合ピン11、11が一対の係合孔12、12に嵌合固定され、ラベル4はカバー6によって押し圧された状態で、病理組織試料用カセット本体2に固定状態で取付けられる。
なお、あらかじめデータがプリントされたラベル4をカバー6で病理組織試料用カセット本体2に取付けたものを用いて、患者から採取した病理組織試料を収納してもよい。
病理組織試料用カセット本体2内に病理組織試料が収納されると、病理組織試料用カセット本体2の開口部を蓋7で覆って、病理検査側へ移送され、標本作製作業が行なわれる。
[発明を実施するための異なる形態]
【0021】
次に、図9ないし図42に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0022】
図9ないし図13に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、病理組織試料用カセット本体2の前方の側壁にもラベル4を透明材製のカバー6を取付手段5で着脱可能に取付けられるようにした点で、このように構成した病理組織試料用カセット1Aにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、病理組織試料用カセット本体2の前壁あるいは側壁の両方、あるいはいずれか一方にラベル4をカバー6で取付けて使用することができる。
【0023】
図14ないし図17に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は複数個、本実施の形態では6個に仕切る仕切壁16を設けた病理組織試料用カセット本体2Aを用いるとともに、板状の一対の係合ピン11A、11Aと、この一対の係合ピン11A、11Aと係合する長孔状の一対の係合孔12A、12Aを用いた取付手段5Aを用いた点で、このような取付手段5Aを用いて構成した病理組織試料用カセット1Bにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、同じ患者の異なる部位の病理組織試料を収納することができる。
【0024】
図18ないし図21に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、病理組織試料用カセット本体2の側壁にラベル4とカバー6が入り込むカバー収納凹部17を形成するとともに、このカバー収納凹部17に押し込みによって嵌合状態で固定される寸法のカバー6Aを用いた取付手段5Bを用いた点で、このような取付手段5Bを用いて構成した病理組織試料用カセット1Cにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、ラベル4の脱落事故を確実に防止することができる。
【0025】
図22ないし図26に示す本発明を実施するための第5の形態において、前記本発明を実施するための第4の形態と主に異なる点は、カバー収納凹部17の両端部に係合孔18、18を形成するとともに、カバー6の両端部に前記係合孔18、18と係合する係合片19、19を形成した取付手段5Cを用いた点で、このような取付手段5Cを用いて構成した病理組織試料用カセット1Dにしても、前記本発明を実施するための第4の形態と同様な作用効果が得られるとともに、ラベル4の脱落をカバー6によって、確実に阻止することができる。
【0026】
図27ないし図30に示す本発明を実施するための第6の形態において、前記本発明を実施するための第5の形態と主に異なる点は、前方が開口するアリ溝状のカバー収納凹部20を病理組織試料用カセット本体2の側壁に形成するとともに、このカバー収納凹部20内にスライド移動で、ラベル4とカバー6を収納することができる取付手段5Dを用いた点で、このような取付手段5Dを用いて構成した病理組織試料用カセット1Eにしても、前記本発明を実施するための第5の形態と同様な作用効果が得られる。
【0027】
図31ないし図34に示す本発明を実施するための第7の形態において、前記本発明を実施するための第6の形態と主に異なる点は、病理組織試料用カセット本体2の一方の側壁の上下部にガイド溝21、21を形成するとともに、このガイド溝21、21と係合する係合片22、22をカバーの両側端部に一体成形した取付手段5Eを用いた点で、このような取付手段5Eを用いて構成した病理組織試料用カセット1Fにしても、前記本発明を実施するための第6の形態と同様な作用効果が得られる。
【0028】
図35ないし図38に示す本発明を実施するための第8の形態において、前記本発明を実施するための第7の形態と主に異なる点は、カバー6の両側端部に病理組織試料用カセット本体2の一方の側壁2aの上下線部と係合させることができる係合片23、23を形成した取付手段5Fを用いた点で、このような取付手段5Fを用いて構成した病理組織試料用カセット1Gにしても、前記本発明を実施するための第7の形態と同様な作用効果が得られるとともに、既存の病理組織試料用カセット本体をそのまま使用することができ、容易に製造することができる。
【0029】
図39ないし図42に示す本発明実施するための第9の形態において、前記本発明を実施するための第8の形態と主に異なる点は、カバー6の上側両端部に係合片24、24を形成した取付手段5Gを用いた点で、このような取付手段5Gを用いて構成した病理組織試料用カセット1Hにしても、前記本発明を実施するための第8の形態と同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は病理組織試料用カセットを製造する産業で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明を実施するための最良の第1の形態の分解斜視図。
【図2】本発明を実施するための最良の第1の形態の正面図。
【図3】本発明を実施するための最良の第1の形態の背面図。
【図4】本発明を実施するための最良の第1の形態の平面図。
【図5】本発明を実施するための最良の第1の形態の底面図。
【図6】本発明を実施するための最良の第1の形態の右側面図。
【図7】本発明を実施するための最良の第1の形態の左側面図。
【図8】図4の8−8線に沿う断面図。
【図9】本発明を実施するための第2の形態の分解斜視図。
【図10】本発明を実施するための第2の形態の斜視図。
【図11】図10の11−11線に沿う断面図。
【図12】図10の12−12線に沿う断面図。
【図13】本発明を実施するための第2の形態の底面図。
【図14】本発明を実施するための第3の形態の分解斜視図。
【図15】本発明を実施するための第3の形態の斜視図。
【図16】図15の16−16線に沿う断面図。
【図17】図15の17−17線に沿う断面図。
【図18】本発明を実施するための第4の形態の分解斜視図。
【図19】本発明を実施するための第4の形態の斜視図。
【図20】図19の20−20線に沿う断面図。
【図21】図19の21−21線に沿う断面図。
【図22】本発明を実施するための第5の形態の分解斜視図。
【図23】本発明を実施するための第5の形態の斜視図。
【図24】図23の24−24線に沿う断面図。
【図25】図23の25−25線に沿う断面図。
【図26】図23の26−26線に沿う断面図。
【図27】本発明を実施するための第6の形態の分解斜視図。
【図28】本発明を実施するための第6の形態の斜視図。
【図29】図28の29−29線に沿う断面図。
【図30】図28の30−30線に沿う断面図。
【図31】本発明を実施するための第7の形態の分解斜視図。
【図32】本発明を実施するための第7の形態の斜視図。
【図33】図32の33−33線に沿う断面図。
【図34】図32の34−34線に沿う断面図。
【図35】本発明を実施するための第8の形態の分解斜視図。
【図36】本発明を実施するための第8の形態の斜視図。
【図37】図36の37−37線に沿う断面図。
【図38】図36の38−38線に沿う断面図。
【図39】本発明を実施するための第9の形態の分解斜視図。
【図40】本発明を実施するための第9の形態の斜視図。
【図41】図40の41−41線に沿う断面図。
【図42】図40の42−42線に沿う断面図。
【符号の説明】
【0032】
1、
1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H:病理組織試料用カセット、
2、2A:病理組織試料用カセット本体、
3:データ、 4:ラベル、
5、5A、5B、5C、5D、5E、5F、5G:取付手段、
6、6A:カバー、 7:蓋、
8:梨子地、 9:透孔、
10:蓋係合孔、 11、11A:係合ピン、
12、12A:係合孔、 13:透孔、
14:蓋本体、 15:係合片、
16:仕切壁、 17:カバー収納凹部、
18:係合孔、 19:係合片、
20:カバー収納凹部、 21:ガイド溝、
22:係合片、 23:係合片、
24:係合片。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に多数個の透孔が形成された浅皿状の病理組織試料用カセット本体と、この病理組織試料用カセット本体の外側壁に、該病理組織試料用カセット本体に収納される病理組織試料を特定するためのデータがプリントされたラベルを覆うように着脱可能な取付手段で取付ける透明材製のカバーとからなることを特徴とする病理組織試料用カセット。
【請求項2】
病理組織試料用カセット本体の少なくとも一部の外側壁は鉛筆でメモ書きできる梨子地に形成されていることを特徴とする請求項1記載の病理組織試料用カセット。
【請求項3】
取付手段はカバーの両端部寄りの背面部位に形成された一対の係合ピンと、この一対の係合ピンと係合する病理組織試料用カセット本体の側面に形成された一対の係合孔とで構成されていることを特徴とする請求項1記載の病理組織試料用カセット。
【請求項4】
取付手段は病理組織試料用カセット本体の側壁に形成されたカバー係止溝と、このカバー係止溝と着脱可能に係止するカバーに形成された係止片とで構成されていることを特徴とする請求項1記載の病理組織試料用カセット。
【請求項5】
取付手段は病理組織試料用カセット本体の側壁の上縁と下縁とに係合するカバーの上部と下部に形成された係合片で構成されていることを特徴とする請求項1記載の病理組織試料用カセット。
【請求項6】
取付手段は病理組織試料用カセット本体の側壁に形成されたラベルおよびカバーが入り込むカバー収納凹部と、このカバー収納凹部に着脱可能に係止するようにカバーに形成された係止部とで構成されていることを特徴とする請求項1記載の病理組織試料用カセット。
【請求項1】
底面に多数個の透孔が形成された浅皿状の病理組織試料用カセット本体と、この病理組織試料用カセット本体の外側壁に、該病理組織試料用カセット本体に収納される病理組織試料を特定するためのデータがプリントされたラベルを覆うように着脱可能な取付手段で取付ける透明材製のカバーとからなることを特徴とする病理組織試料用カセット。
【請求項2】
病理組織試料用カセット本体の少なくとも一部の外側壁は鉛筆でメモ書きできる梨子地に形成されていることを特徴とする請求項1記載の病理組織試料用カセット。
【請求項3】
取付手段はカバーの両端部寄りの背面部位に形成された一対の係合ピンと、この一対の係合ピンと係合する病理組織試料用カセット本体の側面に形成された一対の係合孔とで構成されていることを特徴とする請求項1記載の病理組織試料用カセット。
【請求項4】
取付手段は病理組織試料用カセット本体の側壁に形成されたカバー係止溝と、このカバー係止溝と着脱可能に係止するカバーに形成された係止片とで構成されていることを特徴とする請求項1記載の病理組織試料用カセット。
【請求項5】
取付手段は病理組織試料用カセット本体の側壁の上縁と下縁とに係合するカバーの上部と下部に形成された係合片で構成されていることを特徴とする請求項1記載の病理組織試料用カセット。
【請求項6】
取付手段は病理組織試料用カセット本体の側壁に形成されたラベルおよびカバーが入り込むカバー収納凹部と、このカバー収納凹部に着脱可能に係止するようにカバーに形成された係止部とで構成されていることを特徴とする請求項1記載の病理組織試料用カセット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【公開番号】特開2010−127629(P2010−127629A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299293(P2008−299293)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(303001519)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(303001519)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]