説明

病的な眼の新脈管形成を処置するための糖質コルチコイド処方物

【課題】糖質コルチコイド単独の処方物もしくは酢酸アネコルタブと組合わせた糖質コルチコイド処方物を提供すること。
【解決手段】糖質コルチコイド単独の処方物もしくは酢酸アネコルタブと組合わせた糖質コルチコイド処方物は、病的な眼の新脈管形成および関連する水腫を予防および処置するために有用である。病的な眼の新脈管形成およびあらゆる関連する水腫のための効果的な薬理学的治療は、患者への実質的な効力を提供し、それにより、侵襲性手術手順も損傷を与えるレーザー手順も回避する。病的な眼の新脈管形成および水腫の効果的な処置は、患者の生活の質および社会における生産性を改善する。また、失明に対する援助および健康管理の提供に関連する社会的経費は、劇的に減少され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病的な眼の新脈管形成の予防および処置に関する。特に、本発明は、眼の新脈管形成を処置するための糖質コルチコイド単独の特定の処方物および酢酸アネコルタブ(anecortave)と組合わせた特定の糖質コルチコイド処方物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
新しい血管の形成(新脈管形成もしくは新生血管形成)を阻害することが公知である多くの薬剤が存在する。例えば、ヘパリンもしくは特定のヘパリンフラグメントの存在下で新脈管形成を阻害するように機能するステロイドが、非特許文献1において開示されている。その著者らは、このようなステロイドを、「新脈管形成抑制(angiostatic)」ステロイドと呼んでいる。コルチソルおよびコルテキソロンのジヒドロ代謝産物およびテトラヒドロ代謝産物は、新脈管形成抑制的であることが見出されているこのクラスのステロイドに含まれる。上記ステロイドが新脈管形成を阻害する機序についての仮説を試験することに関する追跡研究において、ヘパリン/新脈管形成抑制ステロイド組成物は、足場依存性内皮が結合される基底膜骨格の分解を引き起こし、毛細管の退縮をもたらすことが示された;非特許文献2を参照のこと。
【0003】
新脈管形成の阻害において有用なテトラヒドロステロイドの一群は、特許文献1(Aristoffら)において開示されている。これらの化合物は、頭部外傷、脊髄外傷、敗血症性ショックもしくは外傷性ショック、脳卒中、および出血性ショックの処置における使用について開示されている。さらに、この特許は、胚移植ならびに癌、関節炎、およびアテローム性動脈硬化症の処置におけるこれらの化合物の有用性を議論している。Aristoffらにおいて開示されるステロイドのうちのいくつかは、温血動物において新脈管形成を阻害するためにヘパリンもしくはヘパリンフラグメントと組合わせて、特許文献2において開示されている。
【0004】
ヒドロコルチゾンの組成物である「テトラヒドロコルチソル−S」およびU−72,745Gは、各々、βシクロデキストリンと組合わせて、角膜の新生血管形成を阻害することが示されている:非特許文献3。上記ステロイドは、単独で新生血管形成をいくらか減少するが、新生血管形成の後退をもたらすことにおいては単独で効果的ではない。
【0005】
テトラヒドロコルチソル(THF)は、非特許文献4において、新脈管形成抑制ステロイドとして開示されており、新脈管形成抑制ステロイドが、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、および水晶体後線維増殖症を含む異常な新生血管形成により支配される疾患のための潜在的な用途を有し得ることが示唆されている。
【0006】
糖質コルチコイドは、眼の後ろ側の特定の障害を処置するために医学界により使用されている(詳細には:Kenalog(トリアムシノロンアセトニド)、Celestone Soluspan(ベタメタゾンリン酸ナトリウム)、Depo−Medrol(酢酸メチルプレドニゾロン)、Decadron(デキサメタゾンリン酸ナトリウム)、Decadron L.A.(酢酸デキサメタゾン)、およびAristocort(二酢酸トリアムシノロン))。これらの製品は、一般的に、炎症性障害の処置のために眼周囲への注射を介して投与される。効能がありかつ安全な治療の欠如により、例えば、網膜水腫および加齢性黄斑変性(AMD)の処置のために糖質コルチコイドを使用することは、ますます関心が寄せられている。Bausch&LombおよびControl Delivery Systemsは、黄斑水腫の処置のために硝子体内移植片を介して送達されるフルオシノロンアセトニド(fluocinolone acetonide)を評価している。Oculex Pharmaceuticalsは、持続性黄斑水腫のためにデキサメタゾン移植片を研究している。さらに、眼科医は、困難な嚢胞性糖尿病性黄斑水腫の処置および滲出性AMDのために、Kenalogの硝子体内注射を用いて実験している。
【0007】
糖質コルチコイドは、多くの眼の状態の処置において非常に効果的であるが、入手可能な上記製品に関連する重要な副作用が存在する。副作用としては、以下が挙げられる:眼内炎(endopthalmitis)、白内障、および上昇した眼内圧(IOP)。いくつかの副作用には、糖質コルチコイド自体に起因するものもあるが、処方物中の賦形剤がもたらし得るかもしくは処方物中の賦形剤により悪化され得るものもある。
【特許文献1】米国特許第4,975,537号明細書
【特許文献2】米国特許第4,771,042号明細書
【非特許文献1】Crumら、「A New Class of Steroids Inhibits Angiogenesis in the Presence of Heparin or a Heparin Fragment」、Science、Vol.230:1375−1378、1985年、12月20日
【非特許文献2】Ingberら、「A Possible Mechanism for Inhibition of Angiogenesis by Angiostatic Steroids:Induction of Capillary Basement Membrane Dissolution」、Endocrinology、Vol.119:1768−1775、1986
【非特許文献3】Liら、「Angiostatic Steroids Potentiated by Sulphated Cyclodextrin Inhibit Corneal Neovascularization」、Investigative Ophthalmology and Visual Science、Vol.32(11):2898−2905、1991年10月
【非特許文献4】Folkmanら、「Angiostatic Steroids」、Ann.Surg.、Vol.206(3)、1987
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
病的な眼の新生血管形成の処置において効果的であり、一方で有害な反応を引き起こさないかもしくは軽減している糖質コルチコイド処方物が必要とされている。本発明の処方物は、その必要性を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば以下の手段を提供する。
(項目1)
病的な眼の新脈管形成およびあらゆる関連する水腫を処置するための方法であって、この方法は、有効量の糖質コルチコイドを含有する組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目2)
項目1に記載の方法であって、上記組成物が、有効量の酢酸アネコルタブをさらに含有する、方法。
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、糖質コルチコイド単独の特定の処方物もしくは酢酸アネコルタブと組合わせた糖質コルチコイドの特定の処方物を用いた、病的な眼の新脈管形成を含む眼の疾患および障害の予防および処置に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(発明の詳細な説明)
後区の新生血管形成(NV)は、先進国における後天性失明の2つの最も一般的な原因(滲出性の加齢性黄斑変性(AMD)および増殖性糖尿病性網膜症(PDR))をもたらす、視力を脅かす病状である。現在、滲出性AMDの間に生じる後区のNVのための唯一の承認された処置は、Visudyne(登録商標)を用いたレーザー光凝固術もしくは光ダイナミック療法である;両方の治療は、罹患した脈管構造の閉塞を含み、この閉塞は、網膜に対する局所的レーザー誘発性損傷をもたらす。PDRを有する患者のために、硝子体切除および網膜前膜の除去による手術的な介入は、現在利用可能な唯一の選択肢である。いくつかの異なる化合物が、臨床的に評価されており、これらの化合物としては、例えば、AMDのために、酢酸アネコルタブ(Alcon Reseach、Ltd)、EYE 001(Eyetech)、およびrhuFabV2(Genentech)が挙げられ、滲出性AMDおよび/もしくは糖尿病性網膜症のために、LY333531(Lilly)およびフルオシノロン(Bausch&Lomb)が挙げられるが、後区のNVに対する使用について、完全に薬理学的な処置は承認されていない。
【0012】
後区のNVを含む病的な眼の新脈管形成は、異常な新しい毛細管の形成に対する開始刺激から進行する事象のカスケードとして生じる。滲出性AMDとPDRとの両方における刺激原因は、未だ公知ではないが、種々の脈管形成誘発性増殖因子(proangiogenic growth factor)の合成が、共通の刺激であるようである。血管内皮増殖因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGFもしくはFGF−2)、インスリン様成長因子1(IGF−1)などのような、可溶性増殖因子が、病的な眼の新脈管形成を有する患者から取り出された組織および流体において見出されている。上記脈管形成カスケードの開始に続いて、毛細管基底膜および細胞外マトリックスは分解され、そして毛細管内皮細胞の増殖および移動が生じる。内皮新芽は、吻合して管を形成し、その後に開存性の管腔が形成される。新しい毛細管は、一般的に、未熟なバリア機能に起因する上昇した血管透過性もしくは漏出性(leakiness)を有し、これは、組織の水腫を引き起こし得る。成熟した毛細管への分化は、連続した基底膜、ならびに他の内皮細胞と周皮細胞との間の正常な内皮連結の存在により示される;しかし、この分化プロセスは、病的な状態の間にしばしば損なわれる。
【0013】
病的な眼の新脈管形成およびあらゆる関連する水腫のための効果的な薬理学的治療は、患者への実質的な効力を提供し、それにより、侵襲性手術手順も損傷を与えるレーザー手順も回避する。病的な眼の新脈管形成および水腫の効果的な処置は、患者の生活の質および社会における生産性を改善する。また、失明に対する援助および健康管理の提供に関連する社会的経費は、劇的に減少され得る。
【0014】
本発明の方法に従って、薬学的に受容可能なキャリアにおいて糖質コルチコイド単独もしくは酢酸アネコルタブと組合わせた糖質コルチコイドを含有する局所投与のための組成物が、それを必要としている哺乳動物に投与される。この組成物は、所望される特定の投与経路のために当該分野において公知の方法に従って、処方される。
【0015】
本発明において用いられ得る糖質コルチコイドは、全ての薬学的に受容可能な化合物を含む。好ましい糖質コルチコイドとしては、デキサメタゾン、フルオロメタロン、メドリゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、プレドニゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、リメキソロン、および薬学的に受容可能なそれらの塩が挙げられる。糖質コルチコイドのさらなる例としては、プレドニカルベート、デフラザコート、ハロメタゾン、チキソコルトール、プレドニリデン(21−ジエチルアミノアセテート)、プレドニバル、パラメタゾン、メチルプレドニゾロン、メプレドニゾン、マジプレドン、イソフルプレドン、酢酸ハロプレドン、ハルシノニド、フォルモコルタール、フルランドレノリド、フルプレドニゾロン、酢酸フルプレドニジン、酢酸フルペロロン、フルオコルトロン、フルオコルチンブチル、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、フルニソリド、フルメタゾン、フルドロコルチゾン、フルクロリニド、エノキソロン、ジフルプレドネート、ジフルコルトロン、二酢酸ジフロラゾン、デソキシメタゾン、デソニド、デシノロン、コルチバゾール、コルチコステロン、コルチゾン、クロプレドノール、クロコルトロン、クロベタゾン、クロベタゾール、クロロプレドニゾン、カフェストール、ブデソニド、ベクロメタゾン、アムシノニド、アロプレグナンアセトニド、アルクロメタゾン、21−アセトキシプレグネノロン、トラロニド、酢酸ジフロラゾン、デアシルコルチバゾール、RU−26988、ブデソニド、およびデアシルコルチバゾールオキセタノンが挙げられる。上に引用される糖質コルチコイドの全ては、公知の化合物である。この化合物についてのさらなる情報は、例えば、The Merck Index、Eleventh Edition(1989)、およびそこに引用される刊行物において見出され得、その内容の全体が、参考として本明細書中で、これにより援用される。
【0016】
病的な眼の新脈管形成を処置するための好ましいステロイドは、市販される製品の多くよりも、弱い効力を有する。例えば、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リメキソロン、フルオロメタゾン、および酢酸フルオロメタゾンは、このような筋書において有用であるが、白内障および/もしくは上昇したIOPの発生数を減少する。
【0017】
上記の改善された処方物は、硝子体内注射、後強膜近傍(posterior juxtascleral)注射、もしくは結膜下注射により、ならびに以下にさらに記載されるような移植されるデバイスを介して、送達され得る。引用される全ての特許は、本明細書中で参考として援用される。
【0018】
特に好ましい移植されるデバイスとしては、以下が挙げられる:酢酸エチレンビニルを用いて作製される移植片のような非侵食性非分解性の移植片、ならびにポリ無水物もしくはポリラクチドを用いて作製された移植片のような侵食性もしくは生物分解性の移植片の両方を含む、種々の固体および半固体の薬物送達移植片。薬物送達移植片(特に、眼の薬物送達移植片)は、一般的に、少なくとも一種のポリマー成分により特徴付けられる。多くの場合、薬物送達移植片は、一種より多くのポリマー成分を含有する。
【0019】
例えば、米国特許第5,773,019号は、眼に薬物を送達するための移植可能な徐放出デバイスを開示し、この移植可能なデバイスは、有効量の低溶解度薬物を含有する内部コアを有し、この内部コアは、その低溶解度薬物に対して透過性である非生物侵食性ポリマーコーティング層により覆われる。
【0020】
米国特許第5,378,457号は、内部コアもしくはレザバを有する徐放性薬物送達デバイスを開示し、このデバイスは、薬物、その薬物の通過に対して本質的に不透過性である第一のコーティング層、およびその薬物に対して透過性である第二のコーティーング層を備える。第一のコーティング層は、内部コアの少なくとも一部分を覆うが、内部コアの少なくとも小部分は、第一のコーティング層によりコーティングされない。第二のコーティング層は、第一のコーティング層と内部コアのコーティングされていない部分とを、本質的に完全に覆う。
【0021】
米国特許第4,853,224号は、生物分解性の眼の移植片を開示し、この移植片は、眼の前眼房および/もしくは後眼房への移植のためのマイクロカプセル化された薬物を含む。ポリマー封入剤もしくは脂質封入剤が、このカプセルの主な成分である。
【0022】
米国特許第5,164,188号は、眼の脈絡膜上における生物分解性移植片の使用を開示している。この移植片は、一般的に、封入されている。このカプセルは、ほとんどの部分について、ポリマー封入剤である。「オキシセル、ゼラチン、シリコーンなどのような」、移動することなく脈絡膜上の所与の領域に位置し得る物質もまた、使用され得る。
【0023】
米国特許第6,120,789号は、数ある使用のうち、動物における固体マトリックスのインサイチュ形成のための非ポリマー組成物の使用、ならびに医療デバイスとしてもしくは生物学的に活性な薬剤のための徐放性送達系としてのこの組成物の使用を開示している。この組成物は、生物分解性の非ポリマー物質および薬学的に受容可能な有機溶媒から構成される。この非ポリマー組成物は、生物分解性および/もしくは生物侵食性であり、そして、水性流体もしくは体液において実質的に不溶性である。上記有機溶媒は、この非ポリマー物質を可溶性にし、そして混和性から分散性にわたる範囲の水もしくは他の水性媒体において、溶解性を有する。動物において移植部位に配置される場合、上記非ポリマー組成物は、最終的に、固体構造物に変形する。結果として生じた移植片は、薬学的に
有効な活性薬剤をその動物に送達するためのシステムを提供する。‘789特許に従うと、適切な有機溶媒は、生体適合性で薬学的に受容可能な有機溶媒であり、そして少なくとも部分的には、上記非ポリマー物質を溶解する。この有機溶媒は、混和性から分散性にわたる範囲の水において溶解性を有する。この溶媒は、インサイチュの上記組成物から血清、リンパ、脳脊髄液(CSF)、唾液などのような移植部位の水性組織流体へ拡散可能、分散可能、もしくは浸出可能である。‘789特許に従うと、この溶媒は、好ましくは、約9〜13(cal/cm3)1/2のHildebrand(HLB)溶解度比を有し、そしてその溶媒の極性の程度が、水中で少なくとも約5%の溶解度を提供するために効果的であることが好ましい。
【0024】
侵食性もしくは生物分解性の移植片におけるポリマー成分は、眼の組織を通って輸送されて、そして排出されるために、浸出されるかもしくは分解されなければならない。約4000以下の低分子量分子は、生物分解もしくは浸出の必要性なしに、眼の組織を通って輸送され、そして排出され得る。
【0025】
本発明の処方物を送達するために使用され得る別の移植可能なデバイスは、米国特許第5,869,079号に記載される生物分解性移植片である。
【0026】
本発明の処方物の後強膜近傍送達のために、好ましいデバイスが、共有に係る米国特許第6,413,245 B1号に開示されている(カニューレ)。送達のための他の好ましいデバイスが、共有に係る他の特許および特許出願において開示されている:米国特許第6,416,777 B1号および同第6,413,540 B1号(強膜の外表面上の移植のためのデバイス)。
【0027】
本発明の目的を果たす例示の糖質コルチコイド処方物は、特に、以下の実施例1〜7において示される。上記懸濁剤は、既に記載されたように送達され得る。本発明の処方物は、チロキサポール(tyloxapol)以外の他の非イオン性表面活性剤(例えば、Tweenとしても公知のポリソルベート、プルロニック(pluronic)およびSpan)を含み得る。イオン性界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムもしくは陰イオン性胆汁酸塩)もまた、使用され得る。両性界面活性剤(例えば、レシチン(lecithin)および水素添加レシチン)が使用され得る。そのpHは、5.0から8.4までに変化し得るが、好ましくは、約6.8〜7.8である。他の適切な緩衝剤系(例えば、クエン酸塩もしくはホウ酸塩)が、本処方物において用いられ得る。異なる浸透圧調整剤(例えば、塩化カリウム、塩化カルシウム、グリセリン、デキストロース、もしくはマンニトール)もまた、使用され得る。
【実施例】
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
【表3】

【0031】
【表4】

本発明はまた、新脈管形成抑制剤である酢酸アネコルタブと組合わせた糖質コルチコイドの使用を企図する。本明細書中で使用される場合、酢酸アネコルタブとは、4,9(11)−プレグナジエン−17α,12−ジオール−3,20ジオン−21−アセテートおよびその対応するアルコール(4,9(11)−プレグナジエン−17α,12−ジオール−3,20−ジオン)をいう。現在、酢酸アネコルタブは、AMDに対して二次的な中心窩下脈絡膜新血管形成を罹患している人におけるその使用のために臨床試験がなされている。糖質コルチコイド単独もしくは酢酸アネコルタブと組合わせた糖質コルチコイドは、病的な眼の新脈管形成(特に、滲出性AMDおよび/もしくはPDR、ならびにいずれかの状態と関連する網膜下水腫もしくは網膜水腫)を罹患している人を処置するために有用である。滲出性AMDおよびPDRに関連する新生血管形成の阻害において有効であることに加えて、酢酸アネコルタブは、糖質コルチコイドの使用に関連するあらゆるIOP上昇の調節において有用である。
【0032】
上に記載された組合わせの処方物の例を以下に示す:
【0033】
【表5】

【0034】
【表6】

(a)他の適切なポリマーとしては、製品に粘性を付与し、かつ懸濁物を安定化するための、HPMC、HEC、CMCナトリウムのようなセルロース性ポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリルアミド、および他の水混和性/溶解性ポリマーが挙げられる。
【0035】
(b)イオン性薬剤と非イオン性薬剤の両方が、上記製品単独か組合わせた製品かのいずれかの容量オスモル濃度を調整するために使用される。
【0036】
(c)使用され得る他の界面活性剤は、非イオン性(チロキサポール、Tween、Span)、陰イオン性(レシチン、水素添加レシチン)、もしくは陰イオン性(ラウリル硫酸ナトリウム、胆汁酸塩)である。
【0037】
【表7】

(実施例8)
記載された糖質コルチコイドにより誘発された高い眼圧を有する患者(η=15)を、1%酢酸アネコルタブ点眼剤により、一日三回、12週間まで、局所的に処置した。患者は、それらの糖質コルチコイド投薬を受け続けた。酢酸アネコルタブ処置後、IOPは有意に減少した(29mm Hgから約19〜22mm Hgへ)。図1を参照のこと。
【0038】
本発明に従って投与された組成物は、薬学的有効量の糖質コルチコイド単独もしくは酢酸アネコルタブと組合わせた糖質コルチコイドを含有する。本明細書中で使用される場合、酢酸アネコルタブとは、4,9(11)−プレグナジエン−17α,21−ジオール−3,20ジオン−21−アセテートおよびその対応するアルコール4,9(11)−プレグナジエン−17α,21−ジオール−3,20ジオンをいう。本明細書中で使用される場合、「薬学的有効量」は、病的な眼の新脈管形成およびあらゆる関連する水腫を減少もしくは予防するために十分である量である。
【0039】
本発明の好ましい組成物は、病的な眼の新脈管形成および/もしくはあらゆる関連する水腫を罹患しているヒト患者への投与のために意図される。病的な眼の新脈管形成およびあらゆる関連する水腫により含まれる疾患もしくは障害の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:加齢性黄斑変性、糖尿病性網膜症、慢性緑内障、網膜剥離、鎌状赤血球網膜症、ルペオーシス虹彩炎、ブドウ膜炎、新生物、フックス虹彩異色性毛様体炎、血管新生緑内障、角膜新脈管形成、硝子体切除および水晶体切除から生じる新脈管形成、網膜虚血、脈絡膜血管不全、脈絡膜血栓症、頚動脈虚血、網膜動脈閉塞/網膜静脈閉塞(例えば、網膜中心動脈閉塞および側枝網膜静脈閉塞)、挫傷性の眼の損傷、ならびに未熟児網膜症。
【0040】
本発明は、特定の好ましい実施形態についての参照により記載された;しかし、本発明は、その特殊な特徴からも本質的な特徴からも逸脱することなく、他の具体的な形態もしくはその改変形において実施され得ることを、理解するべきである。それゆえ、上に記載される実施形態は、全ての点において例示的であってかつ限定的ではないと考えられ、本発明の範囲は、上述の説明によるのではなく、添付の特許請求の範囲により示される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】記載なし
【図2】記載なし
【図3】記載なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
病的な眼の新脈管形成およびあらゆる関連する水腫を処置するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−56041(P2007−56041A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326249(P2006−326249)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【分割の表示】特願2006−503391(P2006−503391)の分割
【原出願日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願人】(399054697)アルコン,インコーポレイテッド (102)
【Fターム(参考)】