説明

病臥患者用自動排泄物処理装置

【課題】排泄物および排泄器官の後処理がさっぱりして、おむつが常に乾燥状態を維持するようにすることにより、使用者に快適さと安楽さを提供することのできる病臥患者用自動排泄物処理装置を提供すること。
【解決手段】股間に対応する部位に排泄物穴3を有するおむつ1を着用する患者の該おむつ1に対して装着され、前記排泄物穴3からの排泄物を受ける受け皿部11と前記受け皿部11内の排泄物を外部へ排出する排出口13とを備える本体10を有し、全体がU字形をなすように形成され、前記本体10の内部に向けて設置され、外部から供給される洗浄水を前記本体10の内部に撒水することにより、前記本体10の受け皿部11に溜まった排泄物を洗浄して前記排出口13から外部へ排出すると共に、患者の体外の排泄器官を洗浄するためのノズルと、前記本体10に設置され、前記本体10の受け皿部11内の排泄物を感知することにより前記ノズルから洗浄水を撒水するか否かを決定するための信号を生成して外部へ出力するためのセンサーとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足(股)間に着用されるおむつを通じて患者に設置され、排泄物を受けて処理するのに使用される病臥患者用自動排泄物処理装置に関し、詳しくは、排泄物および排泄器官の後処理がさっぱりして、おむつが常に乾燥な状態を維持するようにして使用者に快適さと安楽さを提供するようにした病臥患者用自動排泄物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に病臥生活中の高齢者や老人等の患者は、挙動が不便であるため横たわって排泄している。このため、療養看護者や看病人が必ず必要である。しかし、近年、股間に着用されるおむつを通じて患者の排泄物を処理することができるおむつカップを設置することにより、看護者や看病人がなくても排泄物を自動に処理できるようにしている。
【0003】
おむつを通じておむつカップへ排出される排泄物は、おむつカップとホースで連結される処理ユニットが吸入して処理する。処理ユニットは、おむつカップに洗浄水を供給して該洗浄水が洗い落とす排泄物を吸入処理する。排泄物はおむつカップに設置されるセンサーが感知する。処理ユニットはセンサーが排泄物を感知すれば、おむつカップに洗浄水を一定時間供給して排泄物を吸入処理する。
【0004】
このようにおむつカップを使用して患者の排泄物を自動処理する装置は特許文献1、特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2006−141590号公報
【特許文献2】特開2005−66011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、患者が尿を排泄した状態で横たわると尿がおむつカップ内のいずれかの一方に溜まるようになるが、既存のおむつカップに設けられたセンサーは、このように尿がおむつカップ内のいずれかの一方に溜まると尿を感知することができないという問題がある。
【0006】
また、おむつカップには洗浄水が排泄物を洗浄しても一部が残って臭気を誘発することにより使用者に不快感を与える問題がある。
【0007】
従って、本発明の課題は、排泄物および排泄器官の後処理がさっぱりして、おむつが常に乾燥状態を維持するようにすることにより、使用者に快適さと安楽さを提供することのできる病臥患者用自動排泄物処理装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0010】
(請求項1)
股間に対応する部位に排泄物穴を有するおむつを着用する患者の該おむつに対して装着され、前記排泄物穴からの排泄物を受ける受け皿部と前記受け皿部内の排泄物を外部へ排出する排出口とを備える本体を有し、全体がU字形をなすように形成された病臥患者用自動排泄物処理装置において、
前記本体の内部に向けて設置され、外部から供給される洗浄水を前記本体の内部に撒水することにより、前記本体の受け皿部に溜まった排泄物を洗浄して前記排出口から外部へ排出すると共に、患者の体外の排泄器官を洗浄するためのノズルと、
前記本体に設置され、前記本体の受け皿部内の排泄物を感知することにより前記ノズルから洗浄水を撒水するか否かを決定するための信号を生成して外部へ出力するためのセンサーとを備えることを特徴とする病臥患者用自動排泄物処理装置。
【0011】
(請求項2)
前記ノズルは、前記受け皿部内の前面中央およびその前面と隣接する底面にそれぞれ設置され、洗浄水を前記受け皿部内の底面に撒水するための排泄物洗浄ノズルを含むことを特徴とする請求項1記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【0012】
(請求項3)
前記受け皿部内の底面に設置される前記排泄物洗浄ノズルは、ノズル穴が前記受け皿部内の底面の幅に沿って多数個配列設置されていることを特徴とする請求項2記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【0013】
(請求項4)
前記排泄物洗浄ノズルは、前記センサーによる排泄物の感知によってなされる撒水とは別に、一定時間毎に前記受け皿部内の底面に微量の水を撒水することにより該受け皿部内の底面に水気が継続して残っているように撒水が制御されることを特徴とする請求項2又は3記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【0014】
(請求項5)
前記排泄物洗浄ノズルが撒水する水は、冷水であることを特徴とする請求項2、3又は4記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【0015】
(請求項6)
前記ノズルは、前記受け皿部の背面に該受け皿部内に向けて、患者の排泄器官の位置に沿って多数個配列設置され、排泄後の前記排泄器官を洗浄するための排泄器官洗浄ノズルを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【0016】
(請求項7)
前記排泄器官洗浄ノズルが撒水する水は、温水であることを特徴とする請求項6記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【0017】
(請求項8)
前記ノズルは、前記受け皿部の背面に設置され、前記受け皿部内の背面を洗浄するための壁面洗浄ノズルを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【0018】
(請求項9)
前記センサーは、前記受け皿部内の底面と左右の壁面の境界線に沿って、前記排出口から前方へ行くに従って左右に開くようにハの字状に設置された2本の金属棒状の電極を有し、該2本の電極の間で発生する抵抗値の変化を検出して前記受け皿部内の排尿を感知するためのショート感知センサーを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【0019】
(請求項10)
前記センサーは、前記本体の外側に設置され、前記受け皿部内の排便を感知するための赤外線感知センサーを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【0020】
(請求項11)
前記本体の底部の外面には、前記センサーが排泄物を感知することによって作動して、前記本体に超音波振動を加えるための超音波振動子を有する振動付与手段がさらに設置されることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【0021】
(請求項12)
前記本体の受け皿部内の前面には、該前面の長さに沿って多数個のノズル穴を配列して外部から供給される空気を、前記ノズルから洗浄水を撒水した後または定期的に、前記おむつへ供給するためのエアノズルがさらに設置されることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【0022】
(請求項13)
前記本体の受け皿部の内面には、排泄物との摩擦力を減らすための樹脂がコーティング処理されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置によれば、排泄物および排泄器官の後処理がさっぱりして、おむつが常に乾燥状態を維持するようにすることにより、使用者に快適さと安楽さを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
前記目的および長所、そして他の特徴は添付図面を参照した下記の説明から明白である。以下、本発明の好ましい実施形態を添付の図面を参照して詳しく説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置の使用状態を示した図、図2は、本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置をおむつを分離した状態で前から見て示した斜視図、図3は、本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置を後から見て示した斜視図、図4は、本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置を下から見て示した斜視図、図5は、本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置を示した側面図、図6は、本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置を上から見て示した分離斜視図、図7は、本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置を下から見て示した分離斜視図、図8は、図6で表示A部分のみを下から見て示した斜視図、図9は、本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置を示した断面図である。
【0026】
図面に示したように、本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置は、病臥生活中の患者(使用者)の股間に着用されるおむつ1を備えている。おむつ1は、使用者の股間に対応する部位に排泄物穴3が形成されており、該排泄物穴3を通じて使用者の排泄物を外に送り出すことができるようになっている。また、おむつ1の内側の股間に対応する部位には防水性を有する樹脂フィルムを付着して、尿がおむつ1へ染み込まずに排泄物穴3に抜け出るようにすることが好ましい。
【0027】
おむつ1の排泄物穴3から排出される排泄物は、樋状の受け皿部11を有する本体10によって処理される。本体10は、おむつ1の尻部側の外面に対応するように形成された受け皿部11と、該受け皿部11の後部から上方に立ち上がる立ち上がり部12とを有する形状に形成されている。この受け皿部11の底面は、排出口13に向けて次第に幅が狭く、且つ、深さが深くなるように形成されている。そして、この本体10は、受け皿部11がおむつ1の尻部側の外面に位置されると共に、立ち上がり部12がおむつ1の排泄物穴3を外側から覆うように位置されて、該おむつ1に対面して設置される。
【0028】
受け皿部11は、排泄物穴3から排出される排泄物を受けて本体10の後部に形成されている排出口13から外部へ排出し、第1および第2支持部材20、30の助けを受けておむつ1に安定的に固定される。図面符号15と16は、本体10の下側と後側を塞ぐための蓋をそれぞれ示したものである。
【0029】
なお、図3中の矢印で示したように、本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置において、「上」はa方向側、「下」はb方向側であり、「前」はc方向側、「後」はd方向側とする。
【0030】
第1支持部材20は、倒L字状の折曲部21を有しており、該折曲部21が本体10の後部に位置する立ち上がり部12から立設され、本体10の前方に向かって受け皿部11に上方から対面するように設けられている。また、第2支持部材30は、板形状を成して本体10の前部に設けられている。このように、本体10に第1および第2支持部材20、30がそれぞれ設置されることにより、図5に示されるように、全体形状が側面から見てU字形を成すため、本体10は使用者の股間に安定的に挿入され得る。本体10と第1および第2支持部材20、30は、その成形および設置の容易性のために、互いに脱着可能に設置されることが好ましい。
【0031】
第1および第2支持部材20、30は、おむつ1に嵌められて本体10をおむつ1に固定させることができる。また、これとは異なり、第1および第2支持部材20、30は、弾性バンドや面ファスナー、スナップ(snap)等を使用しておむつ1に設置され、本体10を固定させることができる。このように、おむつ1は、第1および第2支持部材20、30に脱着されるように固定されるため、その交換が容易である。
【0032】
このように、第1および第2支持部材20、30の支持を受けて、おむつ1を介して使用者の股間に安定的に着用される本体10は、前記のように受け皿部11がおむつ1の排泄物穴3から排出される排泄物を受けて排出口13から外部へ排出するが、排出口13から排出された排泄物は、よく知られているような処理ユニットUに吸入されることにより処理される。
【0033】
処理ユニットUは、本体10の後部に形成される排出口13とホースで連結され、受け皿部11に溜まった排泄物を吸入して処理する。排泄物は本体10に設置されるセンサー40によって感知され、処理ユニットUは該センサー40が排泄物を感知することにより生成する信号を受けて作動して、受け皿部11に溜まった排泄物を吸入処理する。
【0034】
センサー40は、排便を感知するためのセンサー41と排尿を感知するためのセンサー43とを有しており、これらによって排泄物を感知し、洗浄水を撒水するか否かを決定するための信号を生成して処理ユニットUへ出力する。排便を感知するセンサー41としては赤外線感知センサーが使用され、排尿を感知するセンサー43としてはショート感知センサーが好ましく使用される。
【0035】
赤外線感知センサー41は、本体10の下面側に設けられた蓋15によって保護されており、本体10における受け皿部11の外側の左右両側に設置され、赤外線を照射して受け皿部11内の排便を感知する。赤外線感知センサー41は、例えば赤外線発光部と受光部とにより、一定距離から戻る赤外線を感知して受け皿部11内の排泄物の有無を感知する。本体10は、例えばポリカーボネート樹脂のような樹脂材質で透明や半透明に製作されているので、このような赤外線感知センサー41の作動を妨害しない。また、本体10は、赤外線感知センサー41が設置される部位のみが、例えばポリカーボネート樹脂のような樹脂材質で透明や半透明に製作されているだけでも同様の効果が得られる。このような赤外線感知センサー41は受け皿部11の外側に設置されているため、排泄物が触れて汚されることもなく、排泄物を長期に亘って確実に感知することができる。
【0036】
ショート感知センサー43は、導電性を有する2本の金属棒状の電極43a、43bを、受け皿部11の底面に沿って設置した形態をなしており、電極43a、43bの間で発生する抵抗値の変化を検出して排尿の有無を感知する。受け皿部11に尿が入っていれば、電極43a、43bは尿で浸水され、該電極43a、43bの間の抵抗値が変化するため、ショート感知センサー43は排尿を感知することができる。
【0037】
このショート感知センサー43は、電極43a、43bを受け皿部11内の底面と左右の壁面の境界線に沿って、排出口13の近傍から前方に向かって延びており、幅の狭い排出口13側から幅の広い前方に行くに従って左右に開くようにハの字状に設置して排尿を効果的に感知できるようにしている。即ち、使用者が尿を排泄した状態で横たわっても、電極43a、43bは排出口13に近い側の間隔が狭いので、尿は、この排出口13に近くて間隔が狭い部分の電極43a、43bの両方を十分に浸水させることができる。このため、浸水された電極43a、43bの間では抵抗値の変化が生じて排尿を感知することができる。したがって、従来のように使用者が横たわった状態で排尿が感知できなくなるという問題を解決することができる。
【0038】
このように赤外線感知センサー41およびショート感知センサー43を含むセンサー40が排泄物を感知すると、本体10は受け皿部11内に洗浄水を撒水することにより、排泄物をきれいに洗浄する。洗浄水は、センサー40からの感知信号を受けて処理ユニットUが作動することにより該処理ユニットUから供給される。処理ユニットUは撒水された洗浄水と共に排泄物を吸入して処理する。
【0039】
本体10には、受け皿部11内の前面中央および受け皿部11内の前面と隣接する底面に排泄物洗浄ノズル51、53が設置されており、受け皿部11内の底面に洗浄水を撒水して排泄物をきれいに洗浄するようになっている。このとき、受け皿部11内の底面に設置される排泄物洗浄ノズル53は、そのノズル穴が受け皿部11内の底面の幅に沿って多数個配列設置されているので、排泄物を効果的に洗浄することができる。このように、排泄物洗浄ノズル53は、なるべく排泄物と近接するような位置に配列設置されることが、洗浄効率を高める上で好ましい。
【0040】
排泄物の洗浄水は冷水である。冷水とは何ら加温のための処理をしていない水である。したがって、温水のように湯気が立ち込めて臭気が放散することもない。
【0041】
排泄物洗浄ノズル51、53は、本体10の下から該排泄物洗浄ノズル51、53のそれぞれから引き出されるホースが蓋16を貫通して処理ユニットUに連結されることにより、該処理ユニットUから洗浄水の供給を受けて排泄物を洗浄する。このとき、本体10の底部の外面に設置されて蓋15によって保護されている振動付与手段60が作動することにより、排泄物の洗浄効果を大きく高めるようにしている。
【0042】
振動付与手段60は、前記センサー40からの感知信号を受けた処理ユニットUからの制御を受けて作動する。この振動付与手段60は超音波振動子を有しており、本体10を超音波振動させることによって排泄物の洗浄効果を大きく高め、洗浄残りをなくことができる。超音波振動子が超音波振動すれば、本体10が振動することにより、排泄物、特に排便は、受け皿部11の底面から分離され、細かく砕かれた状態になる。このため、排泄物は排出口13側に次第に流出する。また、この超音波振動により、洗浄水には推し量れない微細な気泡が発生するため、受け皿部11内の底面に残っている排泄物までも完全に分離し、受け皿部11内の底面に排便や排尿がこびりつくことを防止する。
【0043】
このように排泄物が受け皿部11の底面から分離され、細かく砕かれた状態になり、こびりつくことがなくなれば、洗浄水は排泄物を容易に掃き下すことができるため、振動付与手段60によって排泄物の洗浄効果が大きく高まるようになる。したがって、受け皿部11の底面には排泄物が残らないので、以後、臭気が発生することがなく、使用者は快適感と安楽感を有することができる。また、振動付与手段60によって、多量の洗浄水を撒水しなくても高い洗浄効果が得られるため、洗浄水の節約にもなる。
【0044】
また、受け皿部11の内面には、排泄物との摩擦力を減らすための樹脂がコーティング処理されて表面が滑らかに形成されていることにより、排泄物の洗浄効果をさらに高めている。このような排泄物との摩擦力を減らすための樹脂としては、テフロン樹脂を好ましく用いることができる。
【0045】
さらに、排泄物洗浄ノズル51、53からは、センサー40による排泄物の感知によってなされる撒水とは別に、一定時間毎に、例えば20〜30分間隔で、受け皿部11内の底面に微量の水(冷水)を撒水して該受け皿部11内の底面に水気が継続して残っているように制御することも好ましい。これにより、おむつ1の排泄物穴3から排出された排泄物の洗浄水による流出をさらに容易にし、排泄物がそのまま凝固することを防止することができ、排泄物の洗浄効果をさらに高めることができる。これは処理ユニットUの制御で行われる。
【0046】
さらに、本体10は、立ち上がり部12に壁面洗浄ノズル58が設置されており、本体10内に向けて洗浄水を撒水することにより該本体10の立ち上がり部12内面が洗浄可能とされている。壁面洗浄ノズル58は、蓋16を貫通して引き込まれる処理ユニットUからのホースに連結されることにより、処理ユニットUから洗浄水(冷水)の供給を受ける。壁面洗浄ノズル58は噴射形態の排泄物洗浄ノズル51、53とは異なり、洗浄水を本体10の立ち上がり部12内面に沿って受け皿部11に向けて自然な状態で流下させる形態をとっており、洗浄時に本体10の立ち上がり部12内面にまで飛び散って付着した排泄物をきれいに洗浄する。これは、排泄物洗浄ノズル51、53から洗浄水の撒水が行われた後に、処理ユニットUの制御で一定時間行われることが好ましい。
【0047】
一方、肛門や陰部のように使用者の体外の排泄器官の洗浄は排泄器官洗浄ノズル71、73が担当する。排泄器官の洗浄水は生温い温水である。したがって、撒水時に使用者に不快感を与えることはない。排泄器官洗浄ノズル71、73は、本体10の立ち上がり部12から本体10内に向けて排泄器官の位置に沿って多数個配列設置され、洗浄水を撒水することにより、排泄した後の排泄器官をきれいに洗浄する。即ち、排泄器官洗浄ノズル71、73は、使用者の肛門や陰部の位置に合うように本体10の立ち上がり部12に設置され、排泄した後の使用者の肛門や陰部をきれいに洗浄する。
【0048】
排泄器官洗浄ノズル71、73は、蓋16を貫通して引き込まれる処理ユニットUからのホースに連結されることにより、該処理ユニットUから温水の洗浄水の供給を受ける。このため処理ユニットUは洗浄水を加温するための手段を有している。排泄器官洗浄ノズル71、73は、排泄物洗浄ノズル51、53からの撒水と共に洗浄水を撒水して、または、排泄物洗浄ノズル51、53からの撒水によって排泄物を洗浄した後に洗浄水を撒水して、排泄器官を洗浄することができる。また、排泄器官洗浄ノズル71、73は、排泄物の種類に従って個別的に洗浄水を撒水して排泄器官を洗浄することができる。さらに、排泄器官洗浄ノズル71、73からの撒水と共に、あるいはその後に、前記した壁面洗浄ノズル58から洗浄水を供給することも好ましい。これら全てのことは処理ユニットUの制御で行われる。
【0049】
排泄器官に付着した洗浄水と、洗浄時におむつ1に付着した洗浄水は、エアノズル81によって乾燥される。エアノズル81は、受け皿部11内の前面側に沿って長く設置され、処理ユニットUから供給される暖かい空気をおむつ1に直接供給することにより、排泄器官に付着した洗浄水とおむつ1に付着した洗浄水を乾燥する。即ち、エアノズル81は多数個のノズル穴を受け皿部11内の前面に沿って配列形成して暖かい空気をおむつ1に均等に供給することにより、洗浄水を効果的に乾燥する。
【0050】
エアノズル81は、本体10の下から該エアノズル81の左右側にそれぞれ引き出されるホースが、蓋16を貫通して引き込まれる処理ユニットUからのホースに連結されることにより、該処理ユニットUから暖かい空気の供給を受けておむつ1に均等に供給する。このため、おむつ1は常に乾燥な状態が維持され、使用者は常に快適感と安楽さを有することができる。また、これは病臥生活中に発病し得る褥瘡(床ずれ)などの疾病が発生しないようにし、さらに、おむつ1の交換頻度を大きく減らすことができる。
【0051】
また、エアノズル81からの暖かい空気の供給は、排泄物洗浄ノズル51、53および排泄器官洗浄ノズル71、73から洗浄水が撒水された後の乾燥に要する一定時間だけ行うものに限らず、洗浄水の撒水の有無に関わらず、処理ユニットUの制御により、該処理ユニットUからの供給を受けて定期的におむつ1に供給することにより、おむつ1および本体10を着用し続けることによって内部に生ずる湿気(蒸れ)を乾燥し、使用者にさらなる快適感と安楽感を与えるようにすることも好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置の使用状態を示す図
【図2】本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置をおむつを分離した状態で前から見て示した斜視図
【図3】本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置を後から見て示した斜視図
【図4】本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置を下から見て示した斜視図
【図5】本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置を示した側面図
【図6】本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置を上から見て示した分離斜視図
【図7】本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置を下から見て示した分離斜視図
【図8】図6中の表示A部分を下から見て示した斜視図
【図9】本発明に係る病臥患者用自動排泄物処理装置を示した断面図
【符号の説明】
【0053】
1:おむつ
3:排泄物穴
10:本体
11:受け皿部
12:立ち上がり部
13:排出口
15:蓋
16:蓋
20:第1支持部材
21:折曲部
30:第2支持部材
40:センサー
41:赤外線感知センサー
43:ショットセンサー
43a、43b:電極
51、53:排泄物洗浄ノズル
58:壁面洗浄ノズル
60:振動付与手段
71、73:排泄器官洗浄ノズル
81:エアノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
股間に対応する部位に排泄物穴を有するおむつを着用する患者の該おむつに対して装着され、前記排泄物穴からの排泄物を受ける受け皿部と前記受け皿部内の排泄物を外部へ排出する排出口とを備える本体を有し、全体がU字形をなすように形成された病臥患者用自動排泄物処理装置において、
前記本体の内部に向けて設置され、外部から供給される洗浄水を前記本体の内部に撒水することにより、前記本体の受け皿部に溜まった排泄物を洗浄して前記排出口から外部へ排出すると共に、患者の体外の排泄器官を洗浄するためのノズルと、
前記本体に設置され、前記本体の受け皿部内の排泄物を感知することにより前記ノズルから洗浄水を撒水するか否かを決定するための信号を生成して外部へ出力するためのセンサーとを備えることを特徴とする病臥患者用自動排泄物処理装置。
【請求項2】
前記ノズルは、前記受け皿部内の前面中央およびその前面と隣接する底面にそれぞれ設置され、洗浄水を前記受け皿部内の底面に撒水するための排泄物洗浄ノズルを含むことを特徴とする請求項1記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【請求項3】
前記受け皿部内の底面に設置される前記排泄物洗浄ノズルは、ノズル穴が前記受け皿部内の底面の幅に沿って多数個配列設置されていることを特徴とする請求項2記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【請求項4】
前記排泄物洗浄ノズルは、前記センサーによる排泄物の感知によってなされる撒水とは別に、一定時間毎に前記受け皿部内の底面に微量の水を撒水することにより該受け皿部内の底面に水気が継続して残っているように撒水が制御されることを特徴とする請求項2又は3記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【請求項5】
前記排泄物洗浄ノズルが撒水する水は、冷水であることを特徴とする請求項2、3又は4記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【請求項6】
前記ノズルは、前記受け皿部の背面に該受け皿部内に向けて、患者の排泄器官の位置に沿って多数個配列設置され、排泄後の前記排泄器官を洗浄するための排泄器官洗浄ノズルを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【請求項7】
前記排泄器官洗浄ノズルが撒水する水は、温水であることを特徴とする請求項6記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【請求項8】
前記ノズルは、前記本体の背面に設置され、前記本体内の背面を洗浄するための壁面洗浄ノズルを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【請求項9】
前記センサーは、前記受け皿部内の底面と左右の壁面の境界線に沿って、前記排出口から前方へ行くに従って左右に開くようにハの字状に設置された2本の金属棒状の電極を有し、該2本の電極の間で発生する抵抗値の変化を検出して前記受け皿部内の排尿を感知するためのショート感知センサーを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【請求項10】
前記センサーは、前記本体の外側に設置され、前記受け皿部内の排便を感知するための赤外線感知センサーを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【請求項11】
前記本体の底部の外面には、前記センサーが排泄物を感知することによって作動して、前記本体に超音波振動を加えるための超音波振動子を有する振動付与手段がさらに設置されることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【請求項12】
前記本体の受け皿部内の前面には、該前面の長さに沿って多数個のノズル穴を配列して外部から供給される空気を、前記ノズルから洗浄水を撒水した後または定期的に、前記おむつへ供給するためのエアノズルがさらに設置されることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。
【請求項13】
前記本体の受け皿部の内面には、排泄物との摩擦力を減らすための樹脂がコーティング処理されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の病臥患者用自動排泄物処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−72374(P2009−72374A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244354(P2007−244354)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(507314888)
【氏名又は名称原語表記】LEE Jin Yong
【住所又は居所原語表記】Suite 301,ROSEHOUSE6CHA,180−10 Bongcheon11dong,Gwanakgu,Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】