説明

病院情報解析システム

【課題】簡単なマークシートを用いて病院情報の解析が容易にできる病院情報解析システムを提供する。
【解決手段】画像サイズが所定のサイズか否かを判断し(S121)、所定のサイズであれば(S121でYES)、境界を検出する(S122)。領域を計測し(S123)、位置決めマークが4個以上存在するか否かを判断する(S124)。位置決めマークが4個以上存在すれば(S124でYES)、バーコードを認識する(S125)。バーコードが認識できれば(S126でYES)、マークシートを特定できるため、マーク位置小領域を計測し(S127)、マークの有無を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は病院情報解析システムに関し、特に、データ処理の容易な病院情報解析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来病院の業務においては基本的に紙媒体に記入された文書が利用されている。ペーパレスの運用がなされている病院も存在するが、同意書や、患者、医師のサインが必要な書類は紙媒体の情報として扱う必要がある。ある程度電子化が進んだ病院においては、これら紙媒体の情報はスキャナで取り込む形で後に参照できるようにしている場合が多い。この場合、スキャナで取り込まれた情報をオーダリング情報等と結びつけることで、ある紙媒体の情報がどのような目的で、誰の情報であるのかを管理していた。このような紙媒体の情報の管理には一般にマークシートが用いられる。
【0003】
このような、マークシートを用いた場合の従来のシステムが、たとえば、特開2006-155077号公報(特許文献1)に開示されている。
【0004】
特許文献1においては、マークシートに2次元コードを付記し、この2次元コードには、シート上におけるマーク欄の位置情報と、それぞれのマーク欄に割り当てている項目情報とを含ませて、マークシート解読装置に、マークシート種類に応じた位置情報、これに応じた特定情報を予め登録することなく、マークシートを読み取るだけで、これらの情報の解読が可能なシステムを開示している。
【特許文献1】特開2006-155077号公報(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今の病院業務は上記のように行なわれていた。しかしながら、上記のような状態では、当然情報の中身そのものまでデータ化することは不可能であった。その結果、データ化したい情報については、システム上に実装した上で、パソコンやPDA(Personal Data Assistant)等を用いた端末による入力を行っている。これらのことから、どのような簡易な情報を入力する場合でもデータ化したい場合はパソコンのような端末を用いる必要があることは、今までに紙上のチェックシート等を用いていたことを考えると多大な手間であり、病院情報システムに対する不満に繋がっているのが現状である。
【0006】
一方、データをマークシートに記載し、それを読取ってデータ入力する方法も上記のように、従来から提案されているが、簡便なシステムとする場合には、マークシートに、シート上におけるマーク欄の位置情報と、それぞれのマーク欄に割り当てている項目情報とを含ませた2次元コード等を付記する必要があり、マークシートが複雑になるという問題があった。
【0007】
この発明は上記のような問題に鑑みてなされたもので、簡単なマークシートを用いて病院情報の解析が容易にできる、病院情報解析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る、病院情報解析システムは、マークシートを読取って、マークされた情報を解析する。病院情報解析システムは、マークシートを読取る読取り装置と、読取り装置で読取ったマークシートからマークされた病院情報を解析する解析手段とを含む。マークシートは、所定の位置決めマークと、マークシートを特定するマークシート特定情報とを有する。解析手段は、読取り手段で読取ったマークシートから位置決めマークおよびマークシート特定情報を検出する検出手段と、検出手段の検出したマークシート特定情報に基づいてマークシートを特定するマークシート特定手段と、検出手段の検出した位置決めマークとマークシート特定手段が特定したマークシートを特定する情報とから、マークシートにマークされた病院情報を検出する病院情報検出手段とを含む。
【0009】
マークシートから位置決めマークおよびマークシート特定情報を検出し、検出した特定情報と位置決めマークとから、マークシート上のマークされた病院情報を検出するため、簡単なマークシートを用いて病院情報の検出が容易にできる。
【0010】
好ましくは、病院情報検出手段は、マークシートのマーク位置近傍における画像濃度の分散を考慮してマークの有無を判断するマーク判断手段を含む。
【0011】
さらに好ましくは、マークシート特定情報は、バーコードである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施の形態に係る病院情報が記録されたマークシートを読取って、マークされた情報を解析する病院情報解析システムの要部を示すブロック図である。
【0013】
図1を参照して、病院情報解析システムは、病院情報が記録されたマークシート20を読取るスキャナ(読取り装置)11と、スキャナに接続された病院情報解析装置12とを含む。病院情報解析装置12は基本的にコンピュータであって、CPU(Central Processing Unit)13と、CPU13によって制御される、ディスプレイのような表示部15と、ハードディスクのような記憶部16と、ネットワーク等を介して通信するための通信部17と、スキャナ11等とのインターフェイスとなるインターフェイス部14とを含む。
【0014】
記憶部16は、後に説明するように、マークシート20の特定情報と、レイアウトに関する情報を予め保持している。
【0015】
図2は、病院情報が記録されたマークシート20を示す図である。図2を参照して、マークシート20は、マークシート20の内容を特定するバーコード21と、マークシート20のアクセスアドレスが記録された2次元バーコード22と、マークシート20の4隅の4箇所に設けられた位置決めマーク23a〜23dと、マークシート20の左側に設けられた文字印刷エリア25と、文字印刷エリア25の右側に設けられたマーク領域26とを含む。
【0016】
バーコード21はマークシート特定情報であり、このバーコード21によってマークシート20がどのような内容に関するものであるのかが分かる。すなわち、バーコードは、マークシートが、問診表なのか、指示簿(医師から各コメディカルスタッフへの指示書)なのか、処方箋(ドクターから薬剤師への指示)なのか、検査指示(ドクターから検査部、放射線部等へ)なのか、看護実施指示なのか(点滴、投薬、検診など)等を示す。メディカルスタッフは法律上、「医療行為は医師の指示のもと実施する」ことになっているため、すべての業務依頼は指示があることによってなされ、それらは票簿、帳票として残される。
【0017】
位置決めマーク23a〜23dは、マークシート20の上下左右の位置を決定する。したがって、この位置が分かれば、それらに対する相対位置を検出することによって、文字印刷エリア25やマーク領域26を検出できる。
【0018】
なお、2次元バーコード22は、病院情報解析装置がウエブサーバ(Web Server)の場合の、サーバへのアクセス先として、URL(Uniform Resource Locator)やメールアドレスを記載している。
【0019】
次に、病院情報解析装置10の動作について説明する。図3は病院情報解析装置10のCPU13が行なう動作を示すフローチャートである。図3を参照して、CPU13は、まず、スキャナ11からマークシート20を読取る(S11)。読取った情報は図示のないRAMに格納され、表示部15に表示される。読取った情報の解析をし(S12)、その結果をハードディスク16に記録する(S13)。なお、これは、図示のないプリンタ等に印刷してもよい。
【0020】
図5は図3のS12で示した解析処理の詳細を示すフローチャートである。図5を参照して、解析処理においては、まず、画像サイズが所定のサイズか否かを判断する(S121)。この所定のサイズとは、後に説明する、画像の短辺の画素数が一定の画素数(ここでは、たとえば、100画素)を下まわる程度のサイズをいう。
【0021】
所定のサイズであれば(S121でYES)、境界を検出する(S122)。
【0022】
ここで、境界の検出処理は画像の輝度が急峻に変化する部分を境界と識別する処理である。一般的なエッジ検出アルゴリズムには、Sobel法、Laplacian法、Canny法が存在する。これらのうちいずれを用いてもよいが、Canny法が好ましい。これは、Canny法は、エッジ強調画像の稜線をエッジとして出力するもので、ノイズをエッジと誤検知しにくい方法だからである。なお、この方法では、エッジが1画素の幅となるため、領域の輪郭追跡をする前に、領域の拡大処理を行っている。
【0023】
領域を計測し(S123)、位置決めマーク23a〜23dが4以上存在するか否かを判断する(S124)。位置決めマーク23a〜23dが4個以上存在すれば(S124でYES)、バーコード21を認識する(S125)。バーコード21が認識できれば(S126でYES)、マークシート20を特定できるため、図4に示すデータに基づいてマーク位置小領域を計測する(S127)。このマーク位置小領域は1個のマークを記入する領域であり、それが、位置決めマーク23a〜23dとどのような位置関係にあるのかを示す情報は図4に示すようにハードディスク16に格納されている。このように、マークシート用紙のレイアウトに関する情報を事前に持っているため、読取った画像で
位置決めマーク23a〜23dの位置がわかればシート内部の位置を計算することができる。以上のように、CPU13は、解析手段、検出手段、マークシート特定手段、病院情報検出手段、および、マーク判断手段として作動する。
【0024】
この方法を図6に示す。位置決めマーク23a〜23dの位置から、マークシート20の4隅の位置を特定し、左隅にある位置決めマーク23aを基準として、横方向(X方向)の距離X1と縦方向(Y方向)の距離Y1とを求め、これに対するマークの位置X2,Y2を求める。X2/X1、および、Y2/Y1からマークの位置を特定できる。そして、マーク位置を含む小領域における統計量を計算する。すなわち、その領域が実際にマークされていれば図7に示すように小領域内部に明るい画素と暗い画素が存在することになり、分散を計算すれば大きな値となる。一方、マークされていない領域では分散が小さな値となる。計算された分散をある閾値で判定することでマークのあるなしを判断できる。
【0025】
S124で位置決めマーク23a〜23dが4個未満しか検出できなかったり、S126でバーコードの認識ができなかったときは、画像を縮小して(S128)S121に戻る。ここで、画像を縮小するのは、上記のアルゴリズムを用いてエッジ検出を行っても4隅の位置あわせ用のマークの認識がうまくいかないことがあるためで、その場合でも画像を縮小すると比較的うまく検出できるので縮小している。ただし、S121に戻っても、画像の短辺の画素数が100画素を下まわる程度になると、後の処理における誤差が大きくなるためそれ以上小さくはせず、認識を中止する。
【0026】
なお、小領域は、マーク位置の大きさの1.5倍の大きさを取出し、取出した領域を相互に重ならせて9分割して、それぞれの領域の分散を求め、その最大値をその小領域の分散としている。マークがなければ分散値は小さくなり、マークされていれば分散値は大な値となるためマークの有無を判別できる。
【0027】
また、バーコードの認識は、バーコードは縦方向に見た場合と横方向に見た場合で画像の性質が異なるため。それを用いて判断する。
【0028】
なお、スキャナで撮った画像のように高精細の画像であれば、上記したエッジ検出を用いてマークを検出することができる。
【0029】
一方、上記した分散を用いれば、携帯電話のカメラのような画素数の小さな画像でも、画像中のマーク位置の領域を検出可能になる。
【0030】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。上記実施の形態においては、病院情報解析装置を、病院内の情報の解析に用いた場合について説明した。この実施の形態においては、医療分野に比べて書類の電子化が進んでいない福祉分野における利用について説明する。たとえば、介護保険制度において、事務上の記録は紙の書類で残すことが原則となっている。最近、業務の一部が電子化されるようになったが、紙の記録を書いた後、別途、コンピュータに入力するという作業の二重化がおこり、更に業務が増大している。紙に記録されたものをスキャナで読み取りそのまま内容を項目別にコンピュータに自動入力できれば効率的であるが、この実施の形態はまさにそれを可能にする。
【0031】
ケアマネージャが作成したケアプランに基づいたモニタリング項目や業務報告は、利用者によってサービス項目、広告項目が異なるので利用者へのサービス内容にあわせた報告書を、マークリーダシート方式で印刷出力し、ヘルパーが業務を終了した時点で報告書を作成(該当箇所の塗りつぶし)をおこない、その報告書の写真を携帯電話などのカメラなどで撮り、そのまま事務所に写真つきメールとして送信すれば、報告作業量だけでなく時間的にも効率的である。
【0032】
図8はこの実施の形態における全体構成を示す模式図である。図8を参照して、この場合の情報解析システムは、ケアプランに関連する所定の項目が記載された、先の実施の形態におけるのと同様のマークシート31を撮影するカメラ機能を有するカメラ付き携帯電話のような通信装置32と、先の実施の形態における病院情報解析装置12と同様の機能を有するケアセンタサーバ34とを含み、通信装置32とケアセンタサーバ34とは、インターネットのようなネットワーク33で相互に通信可能である。
【0033】
この実施の形態においては、通信装置32はカメラで撮影したマークシート31の写真(画像)をメールに添付してケアセンタサーバ34に送信する。ケアセンタサーバ34は、病院情報解析装置と同様の処理を行って、マークシート31の画像をスキャナ11から読取った情報と同様にRAMに格納してマークされた位置等を検出する。
【0034】
その後、マークシート31の内容を図示のないプリンタやディスプレイに出力する。このようにすれば、ケアプランの利用者に関わる事業者、他のサービスプロバイダー、ケアギバーでその内容を共用することができる。
【0035】
なお、上記実施の形態においては、ネットワークを介して通信装置からマークシートの画像を解析装置に送信する場合を、ケアプランを例にあげて説明したが、これに限らず、遠隔地で、病院情報に関するマークシート20をカメラ機能を有する通信装置で読取って、病院情報解析装置に送信してもよい。
【0036】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の一実施の形態に係る病院情報解析システムを示すブロック図である。
【図2】マークシートを示す図である。
【図3】病院情報解析システムのCPUが行なう動作を示すフローチャートである。
【図4】ハードディスクに格納された情報を示す図である。
【図5】病院情報解析システムのCPUが行なう動作を示すフローチャートである。
【図6】主題部の抽出方法を説明する図である。
【図7】マーク小領域を検出する方法を示す図である。
【図8】この発明の他の実施の形態を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
10 病院情報解析システム、11 スキャナ、12 病院情報解析装置、13 CPU、14 インターフェイス部、15 表示部、16 記憶部、17 通信部、20 マークシート、21 バーコード、22 2次元バーコード、23 位置決めマーク、25 文字印刷エリア、26 マーク領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
病院情報が記録されたマークシートを読取って、マークされた情報を解析する病院情報解析システムであって、
前記病院情報が記録されたマークシートを読取る読取り装置と、
前記読取り装置で読取ったマークシートからマークされた情報を解析する解析手段とを含み、
前記マークシートは、所定の位置決めマークと、マークシートを特定するマークシート特定情報とを有し、
前記解析手段は、
前記読取り手段で読取ったマークシートから前記位置決めマークおよびマークシート特定情報を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出したマークシート特定情報に基づいて前記マークシートを特定するマークシート特定手段と、
前記検出手段の検出した前記位置決めマークと前記マークシート特定手段が特定した前記マークシートを特定する情報とから、マークシートにマークされた病院情報を検出する病院情報検出手段とを含む、病院情報解析システム。
【請求項2】
前記病院情報検出手段は、前記マークシートのマーク位置近傍における画像濃度の分散を考慮してマークの有無を判断するマーク判断手段を含む、請求項1に記載の病院情報解析システム。
【請求項3】
前記マークシート特定情報は、バーコードである請求項1または2に記載の病院情報解析システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−26598(P2010−26598A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184089(P2008−184089)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(508214411)
【出願人】(503190523)
【出願人】(503190512)
【Fターム(参考)】