症例データ管理プログラム、その記録媒体、症例データ管理装置、症例データ管理システム
【課題】問い合わせを効率良く処理する技術を提供することを目的とする。
【解決手段】被験者に関する症例データが、所定の基準を満たすか否かを検査する症例データ検査部3、前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成部4、前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付部5、前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成部7、としてコンピュータを機能させる症例データ管理プログラムを提供する。
【解決手段】被験者に関する症例データが、所定の基準を満たすか否かを検査する症例データ検査部3、前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成部4、前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付部5、前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成部7、としてコンピュータを機能させる症例データ管理プログラムを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、症例データを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製薬会社が新薬を開発した場合、新薬は動物に投与されて薬効が検証され、さらに人に新薬を投与して薬効を検証する臨床試験、いわゆる治験が実施される。製薬会社は、この治験の結果を厚生労働省に提出して承認審査に合格することで新薬を一般に販売することが可能となる。治験では、まず、製薬会社から医療機関に治験依頼がなされる。医療機関の治験担当医師は、被験者に新薬を投与する前後に亘って、問診により被験者の健康状態を観察し、又、被験者から血液及び尿などの検体を採取する。検査機関は、採取された検体の検査を行い、検査結果を医療機関に報告する。製薬会社、医療機関及び検査会社の間では、治験に関して様々な症例データがやりとりされ、症例データは症例報告書(CRF:Case Report Form)に記録される。最近では、症例報告書を電子化して管理する、例えば特許文献1などに開示されるようなシステムが注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-220599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1などに開示されるシステムでは、入力漏れ、入力された症例データの桁数及び適正範囲などの検査が行われる。検査において問題が発見された場合には、システムは問い合わせを発行し、システムのユーザ、例えば治験担当医師がその問い合わせに回答する。症例報告書は、被験者毎及び治験毎などにそれぞれ作成され、多数の項目について症例データが入力される書式となっている。また、治験に伴う問診回数及び検体の検査回数などが多くなると、それに伴って症例データの数もさらに多くなり、結果として問い合わせの発行数も多くなる。このように多量に発行される問い合わせに対してユーザが回答するには、多大の労力を有し、回答が完了するまでの期間も長期化してしまう。
【0005】
そこで、問い合わせを効率良く処理する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、以下の手段としてコンピュータを機能させる症例データ管理プログラムを提供する。
・被験者に関する症例データが、所定の基準を満たすか否かを検査する検査手段。
・前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成手段。
・前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付手段。
・前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成手段。
【発明の効果】
【0007】
以上の手段により、問い合わせを効率良く処理する技術を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る症例データ管理システムに係るネットワーク構成図の一例。
【図2】項目と自動問い合わせとの関係を示す説明図。
【図3】症例データの受け付けから自動問い合わせに対する回答の作成までの流れを示すフローチャートの一例。
【図4】複数の項目に対して複数の問い合わせがある場合の例を示す説明図(1)。
【図5】複数の項目に対して複数の問い合わせがある場合の例を示す説明図(2)。
【図6】複数の項目に対して複数の問い合わせがある場合の例を示す説明図(3)。
【図7】再度のロジカルチェックが行われない場合において、症例データの受け付けから問い合わせに対する回答の作成までの流れを示すフローチャートの一例。
【図8】手動問い合わせを含む問い合わせにおいて、症例データの受け付けから問い合わせに対する回答の作成までの流れを示すフローチャートの一例。
【図9】症例データ管理装置及び医療機関端末のハードウェア構成を示すブロック図の一例。
【図10】実施例にかかる症例データ管理装置の機能構成を示すブロック図の一例。
【図11】症例データ記憶部に記憶される症例データの一例。
【図12】項目定義テーブルの一例。
【図13】問い合わせ/回答記憶部に記憶された問い合わせの一例。
【図14】問い合わせ検索画面の一例。
【図15】問い合わせ回答画面の一例。
【図16】問い合わせ回答画面に入力された回答の一例。
【図17】回答が格納された問い合わせ/回答記憶部の一例。
【図18】回答定型文記憶部の一例。
【図19】自動問い合わせ“QRY−0002”に対する回答が格納された問い合わせ/回答記憶部の一例。
【図20】本実施例にかかる症例データ管理装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図21】他の症例データ管理システムに係るネットワーク構成図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態例>
(1)本実施形態の周辺構成
新薬の治験は、製薬会社、医療機関及び検査会社間の連携により行われる。製薬会社において新薬が開発されると、薬事法に基づいて治験実施計画書が作成され、新薬の治験が医療機関に依頼される。治験を依頼された医療機関では、選任された治験担当医師が、治験実施計画書に沿って、被験者に対して問診を行い、また血液及び尿などの検体の採取を行うなどして治験を実施する。被験者から採取された検体は検査機関で検査され、検査結果は医療機関に報告される。
【0010】
図1は、本実施形態に係る症例データ管理システムに係るネットワーク構成図の一例である。図1の症例データ管理システム1000は、症例データ管理装置100と、医療機関に備えられた医療機関端末200(200a、200b、200c・・・)と、を含む。症例データ管理装置100と医療機関端末200とは、ネットワーク50を介して接続されている。その他、製薬会社及び検査会社にもそれぞれ製薬会社端末及び検査会社端末が備えられており、ネットワーク50を介して症例データ管理装置100にアクセス可能となっていても良い。
【0011】
治験担当医師は、医療機関に備えられた医療機関端末200から、問診結果及び検査結果などの症例データを入力して症例報告書(CRF:Case Report Form)を作成する。症例データ管理装置100は、入力された症例データを記憶し、また後述のロジカルチェックを行うなどして症例データを管理する。
【0012】
症例報告書には複数の項目が設けられており、項目毎に症例データが入力される。ここで、項目とは、入力される症例データを分類した細目であり、例えば、被験者番号など被験者を識別するための項目、又、被験者の身長、体重、血圧など被験者の状態を特定するための項目などがある。また、症例データとは、各項目に入力される各種データの総称を言うものとする。
【0013】
症例データ管理装置100は、症例報告書の項目毎に、症例データが所定の基準を満たしているか否かを検査する、いわゆるロジカルチェックを行う。所定の基準としては、例えば、症例データの入力抜けが無いか、データ種類、桁数、許容範囲及び症例データ間の整合性を満たしているかなどの基準が挙げられる。症例データ管理装置100は、このロジカルチェックにおいて症例データが所定の基準を満たしていないと判断すると、問い合わせを発行する。問い合わせとは、症例データが所定の基準を満たしていないことを指摘する警告である。症例データ管理装置100が例えば医療機関の医療機関端末200に問い合わせを送信すると、医療機関の治験担当医師が問い合わせに対して回答を行う。
【0014】
(2)本実施形態の概要
本実施形態例において、症例データ管理装置100は複数の問い合わせを発行しており、複数の問い合わせのうち一の問い合わせに対する回答を受け付けているとする。このとき、症例データ管理装置100は、一の問い合わせに対する回答によって、別の問い合わせが生じることとなった理由が解消する場合には、別の問い合わせに対する回答を、一の問い合わせに対する回答に基づいて作成する。なお、以下では、問い合わせが生じることとなった理由を、単に問い合わせの理由というものとする。
【0015】
より詳細には、症例データ管理装置100は、一の問い合わせに対する回答を受け付けると、再度、症例データのロジカルチェックを行う。この再度のロジカルチェックの結果、症例データに対する別の問い合わせの理由が解消している場合には、症例データ管理装置100は、別の問い合わせに対する回答を、一の問い合わせに対する回答に基づいて作成する。
【0016】
(2−1)問い合わせ及びクローズについて
問い合わせには、自動問い合わせ及び手動問い合わせが含まれる。自動問い合わせは、症例データ管理装置100によるロジカルチェックの結果、症例データが所定の基準を満たしていない場合に、症例データ管理装置100により作成され発行される。一方、手動問い合わせは、症例データ管理装置100及び医療機関端末200などのユーザにより作成され、症例データ管理装置100に登録され発行される。
【0017】
以下において、単に問い合わせと言う場合は、自動問い合わせ及び手動問い合わせ含む総称を意味するものとする。また、問い合わせが自動であるか手動であるかを特に区別する場合には、自動又は手動の別を明記する。
【0018】
また、問い合わせをクローズするとは、問い合わせを終了することであり、例えば問い合わせが、ユーザに提示される後述の問い合わせ一覧から引き出され、また、消去されて、問い合わせへの回答が不要になることなどを意味する。
【0019】
ここで、症例データ管理装置100は、例えば治験担当医師から医療機関端末200を介して、一の問い合わせに対して回答を受け付けると、当該一の問い合わせをクローズする。また、症例データ管理装置100は、一の問い合わせに対する回答に基づいて再度のロジカルチェックを行い、その結果、別の問い合わせの理由が解消する場合には、別の問い合わせに対する回答を作成し、別の問い合わせを自動クローズする。
【0020】
このように、以下では、ユーザから回答を受け付けた一の問い合わせを終了する場合は、単にクローズと言う。一方、一の問い合わせに対する回答に基づいた再度のロジカルチェックにおいて、所定の条件を満たした別の問い合わせを終了する場合は、自動クローズと言うものとする。
【0021】
なお、本実施形態例では、自動問い合わせの終了に対してはクローズ又は自動クローズを設定し、手動問い合わせの終了に対してはクローズのみを設定し自動クローズを設定しない。よって、本実施形態例の手動問い合わせは、再度のロジカルチェックにおいてその問い合わせの理由が解消する場合でも、自動クローズされない。
【0022】
(2−2)基本の処理
以下に、本実施形態例の概要を説明する基本の処理について図2、図3を用いて説明する。
【0023】
図2は、項目と自動問い合わせとの関係を示す説明図である。図3は、症例データの受け付けから自動問い合わせに対する回答の作成までの流れを示すフローチャートの一例である。
【0024】
ここでは、簡単のため、単一の項目に対して複数の自動問い合わせがある場合の例を挙げている。図2に示すように、症例データ管理装置100は、項目Aの症例データについて、3つの自動問い合わせ(A1)〜(A3)を発行している。つまり、自動問い合わせ(A1)〜(A3)の項目は、全て共通の項目Aである。
【0025】
図2、図3を用いて、症例データの受け付けから自動問い合わせに対する回答までの流れを説明する。
【0026】
ステップS1、S2:医療機関端末200は、例えば治験担当医師から症例データを受け付け(S1)、症例データ管理装置100に送信する(S2)。
【0027】
ステップS3、S4:症例データ管理装置100は、医療機関端末200から症例データを受け付けると(S3)、後述の症例データ記憶部8に格納する(S4)。
【0028】
ステップS5:次に、症例データ管理装置100は、症例データ記憶部8に格納された症例データについて、症例報告書の項目毎に、症例データが所定の基準を満たしているか否かを検査するロジカルチェックを行う。
【0029】
ステップS6:症例データ管理装置100は、ステップS5でのロジカルチェックの結果に基づいて、図2に示すように、項目Aについて3つの自動問い合わせ(A1)〜(A3)を発行している。
【0030】
例えば、項目Aは身長であり、項目Aに対する所定の基準として、データ種類が“数値”であるとの第1の基準、最大の桁数が“3桁”であるとの第2の基準、許容範囲値が“0〜200cm”であるとの第3の基準があるとする。ここで、項目Aに実際に入力された症例データが、記号と数値とが混在した“#210”であるとする。よって、症例データ管理装置100は、項目Aの症例データが第1の基準を満たさないとして自動問い合わせ(A1)を、第2の基準を満たさないとして自動問い合わせ(A2)を、第3の基準を満たさないとして自動問い合わせ(A3)をそれぞれ発行する。
【0031】
ステップS7:医療機関端末200は、項目Aについての3つの自動問い合わせ(A1)〜(A3)を受信する。また、医療機関端末200は、例えばディスプレイに3つの自動問い合わせ(A1)〜(A3)を問い合わせ一覧として表示する。
【0032】
ステップS8:次に、医療機関端末200は、治験担当医師から自動問い合わせ(A1)〜(A3)に対する回答を受け付ける。
【0033】
ここで、1つの問い合わせごとに回答が可能となっており、治験担当医師は、まず、3つの自動問い合わせ(A1)〜(A3)の中から最初に回答する問い合わせを選択することとなる。図2及び図3では、治験担当医師は自動問い合わせ(A1)を選択して回答している。
【0034】
医療機関端末200は、自動問い合わせ(A1)に対する回答として、例えば項目Aの症例データの修正を受け付ける。ここで、医療機関端末200は、自動問い合わせ(A1)に対する回答として、項目Aの症例データを、“#210”から“210”に修正するとの回答を付けたとする。
【0035】
ステップS9:症例データ管理装置100は、自動問い合わせ(A1)に対する回答を受信し、回答に含まれる修正に応じて、症例データ記憶部8が記憶している症例データを修正する。
【0036】
ステップS10:症例データ管理装置100は、自動問い合わせ(A1)については、回答を受信したため、クローズする。なお、症例データ管理装置100は、自動問い合わせ(A1)については回答を受信したため、修正後の症例データが自動問い合わせ(A1)における第1の基準を満たすか否かに関係なく、自動問い合わせ(A1)をクローズする。
【0037】
ステップS11:次に、症例データ管理装置100は、修正後の症例データに基づいて、再度のロジカルチェックを行う。このとき、症例データ管理装置100は、図2に示すように、自動問い合わせ(A1)〜(A3)間に共通の項目Aについてのみ再度のロジカルチェックを行う。
【0038】
ステップS12:修正後の症例データは“210”は、データ種類が“数値”であるとの第1の基準及び最大の桁数が“3桁”であるとの第2の基準は満たしている。しかし、修正後の症例データは“210”は、許容範囲値が“0〜200cm”であるとの第3の基準は満たしていない。よって、症例データ管理装置100は、自動問い合わせ(A2)の理由は解消し、自動問い合わせ(A3)の理由は解消していないと判断する。
【0039】
ステップS13:症例データ管理装置100は、理由が解消した自動問い合わせ(A2)について、自動問い合わせ(A1)に基づいて回答を作成する。自動問い合わせ(A2)の回答は、例えば次のような回答となる。
【0040】
自動問い合わせA2に対する回答例:『問い合わせ(A1)に対する回答において、項目Aの症例データが“#210”から“210”に修正された結果、問い合わせ(A2)の理由が解消したため、問い合わせ(A2)を自動クローズします。』
ステップS14、S15:症例データ管理装置100は、理由が解消した自動問い合わせ(A2)を自動クローズし(S14)、理由が解消していない自動問い合わせ(A3)はそのまま維持する(S15)。
【0041】
このような症例データ管理装置100は、一の問い合わせに対する回答によって、別の問い合わせの理由が解消する場合には、別の問い合わせに対する回答を作成する。よって、ユーザが別の問い合わせの回答を作成する手間を省く。そのため、問い合わせに対する回答の作成に関して効率化及び短時間化を図ることができる。
【0042】
また、症例データ管理装置100は、一の問い合わせに対する回答によって、別の問い合わせの理由が解消する場合には、別の問い合わせが自動問い合わせであるため、上記ステップS14に示すように別の自動問い合わせを自動クローズする。ここで、自動問い合わせが自動クローズされてしまい、自動問い合わせに対する回答が作成されない場合には、その自動問い合わせがなぜ自動クローズされたのかを追跡調査するのが困難である。しかし、本実施形態の症例データ管理装置100は、別の問い合わせが自動クローズされてしまう場合であっても、上記ステップS13に示すように、別の問い合わせに対する回答を作成して保持する。よって、症例データ管理装置100及びそれを含むシステムの管理者及び治験責任者などによる、問い合わせの追跡調査、あるいは、外部の例えば厚生労働省からの監査人による、問い合わせの追跡調査が容易になる。
【0043】
なお、ステップS10において、自動問い合わせ(A1)については再度のロジカルチェックを行う前にクローズしている。しかし、再度のロジカルチェックにおいて、修正後の症例データが再び第1の基準を満たさないと判断した場合には、症例データ管理装置100は再び自動問い合わせ(A1)を発行することとなる。
【0044】
(2−3)再度のロジカルチェックが行われる範囲
次に、再度のロジカルチェックが行われる範囲について、さらに説明する。再度のロジカルチェックが行われる範囲は、回答がなされた問い合わせに関連する項目に対してである。より詳細には、回答がなされた項目に対して再度のロジカルチェックが行われる。例えば上記図2の例の場合には、症例データ管理装置100は、項目Aについてのみ再度のロジカルチェックを行う。その結果、症例データ管理装置100は、再度のロジカルチェックを行った範囲内において、症例データが別の問い合わせにおける所定の基準を満たしていると判断すると、別の問い合わせに対する回答を、一の問い合わせに対する回答に基づいて作成する。
【0045】
上記(2−1)の基本の処理では、単一の項目Aに対して複数の問い合わせがある場合の例を説明している。以下では、再度のロジカルチェックが行われる範囲をさらに説明するために、複数の項目に対して複数の問い合わせがある場合を例に挙げる。
【0046】
図4〜図6は、複数の項目に対して複数の問い合わせがある場合の例を示す説明図である。
【0047】
図4〜図6では、症例データ管理装置100は、項目Aの症例データについて、3つの自動問い合わせ(A1)〜(A3)を発行しており、項目Bの症例データについて、2つの自動問い合わせ(B1)〜(B2)を発行している。また、症例データ管理装置100は、項目A・項目Bの症例データについて、1つの自動問い合わせ(AB1)を発行している。ここで、項目A・項目Bとは、項目A及び項目B間の大小関係、項目A及び項目Bの関係式など、項目Aと項目Bとの間の関係性を定義する基準である。よって、項目A・項目Bに対する問い合わせとは、項目Aの症例データと項目Bの症例データとの関係性についての問い合わせである。
【0048】
ここで、図4に示すように、症例データ管理装置100が、自動問い合わせ(A1)に対して、項目Aの症例データについて修正を伴う回答を受け付けたとする。この場合、症例データ管理装置100は、修正された項目Aと、その項目Aを含む項目A・項目Bと、について、再度のロジカルチェックを行う。
【0049】
また、図5に示すように、症例データ管理装置100が、自動問い合わせ(B1)に対して、項目Bの症例データについて修正を伴う回答を受け付けたとする。この場合、症例データ管理装置100は、修正された項目Bと、その項目Bを含む項目A・項目Bと、について、再度のロジカルチェックを行う。
【0050】
さらに、図6に示すように、症例データ管理装置100が、自動問い合わせ(AB1)に対して、項目Aの症例データ及び項目Bの症例データの両方について修正を伴う回答を受け付けたとする。この場合、症例データ管理装置100は、項目Aと、項目Bと、項目A・項目Bと、について、再度のロジカルチェックを行う。なお、例えば、自動問い合わせ(AB1)に対して、項目Aの症例データのみについて修正を伴う回答が行われた場合は、症例データ管理装置100は、項目Aと、項目A・項目Bと、について、再度のロジカルチェックを行う。
【0051】
上記図4〜図6に示すように、再度のロジカルチェックが行われる範囲は、回答がなされた問い合わせに関連する項目に対して行われる。よって、症例データ管理装置100は、回答がなされた項目と関連のない項目に対しては、再度のロジカルチェックを行わないため、ロジカルチェックの処理効率を高めることができる。
【0052】
なお、症例データ管理装置100は、問い合わせに対する回答に症例データの修正等が含まれない場合には、再度のロジカルチェックを行わない。これについて前述の図2及び図7を用いて次に説明する。
【0053】
図7は、再度のロジカルチェックが行われない場合において、症例データの受け付けから問い合わせに対する回答の作成までの流れを示すフローチャートの一例である。
【0054】
ステップS21〜S27:前述の図3のステップS1〜S7と同様であり、図2に示すように項目Aについて3つの自動問い合わせ(A1)〜(A3)が発行されている。医療機関端末200は、例えばディスプレイに3つの自動問い合わせ(A1)〜(A3)を問い合わせ一覧として表示する。
【0055】
ステップS28:医療機関端末200は、治験担当医師から自動問い合わせ(A1)に対する回答を受け付ける。このとき、項目Aの症例データについて修正等が無かったとする。
【0056】
ステップS29:症例データ管理装置100は、自動問い合わせ(A1)に対する回答を受信するものの、回答に症例データの修正が含まれないため、症例データ記憶部8に対して症例データの修正は行わない。
【0057】
ステップS30:症例データ管理装置100は、自動問い合わせ(A1)をクローズする。ここで、ステップS28において、症例データの修正等が無いため、症例データ管理装置100は再度のロジカルチェックは行わない。よって、自動問い合わせ(A2)及び自動問い合わせ(A3)はそのまま維持される。
【0058】
再度のロジカルチェックが行われないのは、症例データの修正等が無いため、再度のロジカルチェックの結果と最初のロジカルチェックの結果とに差が無いため、ロジカルチェックを再度行う意味が無いためである。
【0059】
(2−4)手動問い合わせに対する回答について
ここで、症例データ管理装置100は、一の問い合わせに対する回答に基づいて再度のロジカルチェックを行い、その結果、別の自動問い合わせの理由が解消する場合には、別の自動問い合わせに対する回答を作成し、別の自動問い合わせを自動クローズする。しかし、本実施形態例の症例データ管理装置100は、別の問い合わせが手動問い合わせである場合には、その手動問い合わせに対する回答を作成せず、また自動クローズも行わない。これについて前述の図2及び図8を用いて次に説明する。
【0060】
図8は、手動問い合わせを含む問い合わせにおいて、症例データの受け付けから問い合わせに対する回答の作成までの流れを示すフローチャートの一例である。
【0061】
ステップS41〜S47:前述の図3のステップS1〜S7と同様であり、項目Aについて3つの問い合わせが発行されている。3つの問い合わせはそれぞれ、自動問い合わせ(A1)、自動問い合わせ(A2)及び手動問い合わせ(A3)である。医療機関端末200は、例えばディスプレイにこれら3つの問い合わせを含む問い合わせ一覧を表示する。
【0062】
ステップS48:医療機関端末200は、治験担当医師から自動問い合わせ(A1)に対する回答を受け付ける。
【0063】
ステップS49、S50:症例データ管理装置100は、自動問い合わせ(A1)に対して、症例データの修正を含む回答を受信し(S49)、自動問い合わせ(A1)をクローズする(S50)。このとき、症例データ管理装置100は、回答に含まれる修正に応じて、症例データ記憶部8が記憶している症例データを修正する。
【0064】
ステップS51:次に、症例データ管理装置100は、修正後の症例データに基づいて、再度のロジカルチェックを行う。
【0065】
ステップS52〜S54:症例データ管理装置100は、再度のロジカルチェックの結果、自動問い合わせ(A2)の理由が解消したと判断すると(S52)、自動問い合わせ(A2)の回答を、自動問い合わせ(A1)の回答に基づいて作成する(S53)。さらに、症例データ管理装置100は、理由が解消した自動問い合わせ(A2)を自動クローズする(S54)。
【0066】
ここで、症例データ管理装置100は、ユーザが作成した手動問い合わせ(A3)については、例え再度のロジカルチェックで所定の基準を満たす結果となっていても、回答を作成せず、また自動クローズも行わない。
【0067】
ステップS55:次に、症例データ管理装置100は、治験担当医師から手動問い合わせ(A3)に対する回答として、症例データの修正を含む回答を受け付ける。
【0068】
ステップS56〜S58:症例データ管理装置100は、手動問い合わせ(A3)に対する回答を受信し(S56)、手動問い合わせ(A3)をクローズする(S57)。このとき、症例データ管理装置100は、回答に含まれる修正に応じて、症例データ記憶部8が記憶している症例データを修正し、再度のロジカルチェックを行う(S58)。その後、症例データ管理装置100は、再度のロジカルチェックの結果に基づいて新たな問い合わせの有無を決定する。
【0069】
以上の通り、本実施形態例の症例データ管理装置100は、自動問い合わせに対しては自動クローズを設定しているが、自動問い合わせを自動クローズする前に、自動問い合わせに対する回答を作成する。そのため、本実施形態例の症例データ管理装置100を用いれば、特に、自動問い合わせがその理由の解消により自動クローズされてしまう場合でも、自動問い合わせの追跡性が向上する。
【0070】
<実施例>
以下に具体的実施例について説明する。
【0071】
(1)ネットワーク構成
前述の図1に示すように、本実施例に係る症例データ管理システム1000は、症例データ管理装置100と、医療機関に備えられた医療機関端末200(200a、200b、200c・・・)と、を含む。症例データ管理装置100と医療機関端末200とは、ネットワーク50を介して接続されている。このような症例データ管理システム1000としては、例えばEDC(Electronic Data Capture)システムなどが挙げられる。
【0072】
(2)ハードウェア構成
図9は、症例データ管理装置及び医療機関端末のハードウェア構成を示すブロック図の一例である。
【0073】
(2−1)症例データ管理装置
症例データ管理装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、入出力機器I/F(InterFace)105及び通信I/F110を有している。これらは、バス111を介して互いに接続されている。
【0074】
入出力機器I/F105は、ディスプレイ106、マウス107、キーボード108及びプリンタ109などの入出力機器と接続されており、例えばCPU101からの指示に応じて入出力機器を制御する。
【0075】
ROM102は、症例データ管理装置100が行う後述の各種制御に関わる各種制御プログラムを記憶している。各種プログラムには、例えば後述の症例データ管理プログラムが含まれる。
【0076】
HDD104は、症例報告書など症例データに関連する各種データを記憶する。
【0077】
RAM103は、ROM102内の各種制御プログラム及びHDD104内の情報を一時的に記憶する。また、RAM103は、各種制御プログラムの実行に応じて各種フラグなどの情報を一時的に記憶する。
【0078】
CPU101は、ROM102に記憶された各種制御プログラムをRAM103に展開し、各種制御を行う。具体的には、CPU101は、症例データ管理プログラムを実行し、例えば、ロジカルチェックの実行、問い合わせの発行、回答に基づいた症例データの修正、問い合わせに対する回答の作成、問い合わせのクローズ/自動クローズなどを行う。
【0079】
通信I/F111は、CPU101の制御に基づいて、例えば医療機関端末200との間でコマンド又はデータの送受信などの通信を行う。
【0080】
(2−2)医療機関端末
医療機関端末200のハードウェア構成は、症例データ管理装置100と同様である。例えば、医療機関端末200は、CPU201、ROM202、RAM203、HDD204、入出力機器I/F205及び通信I/F210を有している。これらは、バス211を介して互いに接続されている。
【0081】
ROM202は、医療機関端末200が行う後述の各種制御に関わる各種制御プログラムを記憶している。
【0082】
入出力機器I/F205は、ディスプレイ206、マウス207、キーボード208及びプリンタ209などの入出力機器と接続されており、例えばCPU201からの指示に応じて入出力機器を制御する。また、治験担当医師は、マウス207及びキーボード208などを操作することにより、症例データ及び問い合わせに対する回答などの入力を行う。
【0083】
HDD204は、症例データに関連する各種データを記憶する。
【0084】
RAM203は、ROM202内の各種制御プログラム及びHDD204内の情報を一時的に記憶する。また、RAM203は、各種制御プログラムの実行に応じて各種フラグなどの情報を一時的に記憶する。
【0085】
CPU201は、ROM202に記憶された各種制御プログラムをRAM203に展開し、各種制御を行う。具体的には、CPU201は、各種制御プログラムを実行し、例えば、症例データ管理装置100から自動問い合わせ及び手動問い合わせを受信し、問い合わせ一覧をディスプレイ106に表示し、また、問い合わせ一覧をプリンタ209に出力する。
【0086】
通信I/F111は、CPU201の制御に基づいて、例えば症例データ管理装置100との間でコマンド又はデータの送受信などの通信を行う。
【0087】
(3)機能構成
次に症例データ管理装置100及び医療機関端末200の機能構成について説明する。
【0088】
まず症例データ管理装置100の機能構成について説明する。
【0089】
(3−1)症例データ管理装置
図10は、実施例にかかる症例データ管理装置の機能構成を示すブロック図の一例である。
【0090】
症例データ管理装置100の各機能部による処理は、CPU101、ROM102、RAM103、HDD104,入出力機器I/F105及び通信I/F110等が相互に連携することにより実行される。また、ROM102に記憶された症例データ管理プログラムを症例データ管理装置において実行することによって、以下の処理が実行される。
【0091】
症例データ管理装置100の機能部には、例えば、送受信部1、入出力受付部2、症例データ検査部3、問い合わせ作成部4、回答受付部5、修正処理部6、回答作成部7、症例データ記憶部8、項目定義テーブル9、問い合わせ/回答記憶部10及び回答定型文記憶部11などが含まれる。
【0092】
(3−1−1)送受信部
症例データ管理装置100の送受信部1は、医療機関端末200との間で、症例データ、問い合わせ、問い合わせに対する回答及び各種コマンド等を送受信する。
【0093】
(3−1−2)入出力受付部
医療機関端末200は、症例データなどを治験担当医師から受け付ける。入出力受付部2は、医療機関端末200から症例データを受け付け、症例データ記憶部8に格納する。
【0094】
また、入出力受付部2は、問い合わせ作成部4が作成した自動問い合わせ及びユーザが作成した手動問い合わせを問い合わせ/回答記憶部10から読み出し、送受信部1を介して医療機関端末200に送信する。
【0095】
(3−1−3)症例データ記憶部
症例データ記憶部8は、症例報告書の各項目に入力される症例データを記憶する。
【0096】
図11は、症例データ記憶部に記憶される症例データの一例である。症例データ記憶部8では、例えば症例データを大きく分類するカテゴリごとに、細目である項目が設けられている。症例データ記憶部8は、この各項目に対して症例データを記憶している。カテゴリとしては、例えば、治験の被験者に関する被験者情報、治験機関情報、治験内容、治験で使用される薬剤、治験担当医師の問診結果及び検査結果に関する情報である問診・検査、検査機関情報などが挙げられる。
【0097】
また、被験者情報の項目としては、例えば、被験者を識別するための被験者ID、被験者ごと及び治験ごとに付された症例番号、疾患の内容、被験者の生年月日、年齢、性別、身長、体重などが挙げられる。
【0098】
治験機関情報の項目としては、例えば、治験実施機関名及び治験担当医師名などが挙げられる。
【0099】
治験内容の項目としては、例えば、治験方法、治験開始日などが挙げられる。
【0100】
薬剤の項目としては、例えば、使用薬剤名、薬剤投与日及び服薬状況などが挙げられる。
【0101】
治験担当医師の問診・検査の項目としては、例えば、被験者の来院日である問診日(visit)、問診結果、検査機関への検査依頼日、検体の採取日、検査内容及び検査結果などが挙げられる。さらに、問診結果の項目は、問診結果を詳細に記載可能なように、例えば、収縮期血圧及び拡張期血圧などの項目に細分化されている。また、検査結果の項目もまた、検査結果を詳細に記載可能なように、赤血球数及び白血球数などの項目に細分化されている。
【0102】
検査機関情報の項目としては、例えば、検査実施機関名及び検査実施日などが挙げられる。
【0103】
図11の例では、症例データ記憶部8は、被験者IDが“h−0001”の被験者について例えば次の情報を記憶している。治験開始日が“2009.11.10”であり、問診日が“2009.11.15”であり、収縮期血圧が“100”mmHgであり、拡張期血圧が“100”mmHgである。また、症例データ記憶部8は、被験者IDが“h−0002”の被験者について例えば次の情報を記憶している。治験開始日が“2009.12.10”であり、問診日が“2009.12.20”であり、収縮期血圧が“150”mmHgであり、拡張期血圧が“85”mmHgであり、赤血球数が“500万個”/mm3であり、白血球数が“2000”個/mm3である。
【0104】
(3−1−4)項目定義テーブル
症例データ記憶部8の各項目については、項目にどのような症例データが入力されるべきか、項目が入力必須項目か否かなど、属性が定義されている。項目定義テーブル9は、この項目の属性の定義を記憶する。
【0105】
図12は項目定義テーブルの一例である。図12の項目定義テーブル9では、各項目ごとに、例えばデータ種類、桁数、許容範囲値及び項目間の関係などが定義されている。データ種類は、英数字、テキスト、日付、数値など、項目に入力可能な値の種類を意味する。桁数は、入力可能な最大桁数を意味する。許容範囲値は、その項目の症例データが正常な場合にとり得る正常範囲値を意味する。項目間の関係とは、複数の項目どうしの大小関係、複数の項目どうしが満たすべき数式などを意味する。
【0106】
その他、項目に定義される属性としては、入力必須項目かあるいは入力任意項目かなどの設定、小数点以下の必須桁数などが挙げられる。
【0107】
図12の項目定義テーブル9では、例えば、収縮期血圧の属性としては、データ種類が“数値”であり、最大の桁数が“3桁”であり、許容範囲値が“110〜180”mmHgであり、項目間の関係が“収縮期血圧>拡張期血圧”と定義されている。ここで、一の項目に定義されたデータ種類、桁数、許容範囲値及び項目間の関係などのそれぞれの属性が、項目の属性を定義するそれぞれの基準となる。つまり、収縮期血圧の属性の場合、データ種類が“数値”であることが第1の基準であり、最大の桁数が“3桁”であることが第2の基準であり、許容範囲値が“110〜180”mmHgであることが第3の基準であり、項目間の関係が“収縮期血圧>拡張期血圧”であることが第4の基準となる。
【0108】
また、拡張期血圧の属性としては、データ種類が“数値”であり、最大の桁数が“3桁”であり、許容範囲値が“50〜100”mmHgあり、項目間の関係が“収縮期血圧>拡張期血圧”と定義されている。その他、例えば、身長の属性としては、データ種類が“数値”であり、最大の桁数が“3桁”であり、許容範囲値が“0〜200”cmと定義されている。
【0109】
(3−1−5)症例データ検査部
症例データ検査部3は、症例データ記憶部8の各項目の症例データについて、症例データが項目定義テーブル9で定義された基準を満たしているか否かを検査する。例えば、症例データ検査部3は、症例データ記憶部8からある項目の症例データを読み出し、項目定義テーブル9から当該項目の属性を定義する基準を読み出し、症例データと属性とを比較して検査する。この検査はロジカルチェックと言われる。ロジカルチェックのタイミングは特に限定されないが、例えば、ロジカルチェックは、入出力受付部2が症例データを受け付け、当該症例データが症例データ記憶部8に格納される度に行われる。
【0110】
次に、症例データ検査部3によるロジカルチェックの一例を説明する。例えば症例データ検査部3は、症例データ記憶部8から、被験者IDが“h−0001”の被験者について、項目が収縮期血圧の症例データとして“100”mmHgを読み出し、項目が拡張期血圧の症例データとして“100”mmHgを読み出したとする。また、症例データ検査部3は、項目定義テーブル9から収縮期血圧の属性として、前述の第1〜第4の基準を読み出す。なお、第1の基準はデータ種類が“数値”であるとの基準であり、第2の基準は最大の桁数が“3桁”であるとの基準であり、第3の基準は許容範囲値が“110〜180”mmHgであるとの基準であり、第4の基準は項目間の関係が“収縮期血圧>拡張期血圧”であるとの基準である。
【0111】
さらに、症例データ検査部3は、収縮期血圧“100”mmHg及び拡張期血圧“100”mmHgと、第1の基準〜第4の基準とを照らし合わせて、症例データが基準を満たすか否かを検査する。その結果、症例データ検査部3は、収縮期血圧“100”mmHgと拡張期血圧“100”mmHgとが、収縮期血圧>拡張期血圧”の関係に無いとの第1のロジカルチェック結果を得る。さらに、症例データ検査部3は、収縮期血圧“100”mmHgが、許容範囲値“110〜180”mmHgの範囲内に無いとの第2のロジカルチェック結果を得る。
【0112】
症例データ検査部3は、前述のように、ある項目の症例データがその項目に定義された属性を満たさないとのロジカルチェック結果を得た場合は、そのロジカルチェック結果及び関連する情報を問い合わせ作成部4に出力する。関連する情報とは、例えば、ロジカルチェックの対象となったロジカルチェック項目及び症例データが基準を満たさなかったエラー属性などが挙げられる。例えば、症例データ検査部3は、前述の第1のロジカルチェック結果とともに、ロジカルチェック項目である“収縮期血圧”及び“拡張期血圧”と、エラー属性である“項目間の関係”と、を問い合わせ作成部4に出力する。また、例えば、症例データ検査部3は、前述の第2のロジカルチェック結果とともに、ロジカルチェック項目である“収縮期血圧”と、エラー属性である“許容範囲値”と、を問い合わせ作成部4に出力する。
【0113】
さらに、症例データ検査部3は後述の修正処理部6からの指示に基づいて再度のロジカルチェックを行う。後述の修正処理部6は、症例データ記憶部8において症例データを修正すると、症例データ検査部3に再度のロジカルチェックを指示する。症例データ検査部3は、この再度のロジカルチェックの指示に応じて、修正後の症例データに基づいてロジカルチェックを行う。症例データ検査部3は、再度のロジカルチェック結果を問い合わせ作成部4及び/又は回答作成部7に出力する。再度のロジカルチェックの説明については、修正処理部6及び回答作成部7の説明とともに行う。
【0114】
(3−1−6)問い合わせ作成部、問い合わせ/回答記憶部
問い合わせ作成部4は、症例データ記憶部8の症例データが項目属性テーブルで定義された属性を満たさない旨を症例データ検査部3から受信すると、自動問い合わせを作成する。また、問い合わせ作成部4は、症例データ管理装置100及び医療機関端末200などのユーザから手動問い合わせを受け付けるか、あるいは、手動問い合わせ作成の指示に基づいて手動問い合わせを作成する。問い合わせ作成部4は、自動問い合わせ及び手動問い合わせを問い合わせ/回答記憶部10に格納する。
【0115】
図13は問い合わせ/回答記憶部に記憶された問い合わせの一例である。問い合わせID“QRY−0001”及び問い合わせID“QRY−0002”の自動問い合わせについて次に説明する。なお、以下では、簡単のため、問い合わせID“QRY−0001”の自動問い合わせとの記載は、自動問い合わせ“QRY−0001”と記載する。
【0116】
まず、問い合わせ作成部4は、前述の被験者ID“h−0001”の収縮期血圧について、症例データ検査部3からロジカルチェック結果及び関連する情報を受信する。例えば、問い合わせ作成部4は、収縮期血圧“100”mmHgと拡張期血圧“100”mmHgとが、収縮期血圧>拡張期血圧”の関係に無いとの第1のロジカルチェック結果を受信する。このとき、問い合わせ作成部4は、第1のロジカルチェック結果とともに、ロジカルチェック項目である“収縮期血圧”及び“拡張期血圧”と、エラー属性である“項目間の関係”と、を症例データ検査部3から受信する。さらに、問い合わせ作成部4は、収縮期血圧“100”mmHgが、許容範囲値“110〜180”mmHgの範囲内に無いとの第2のロジカルチェック結果を受信する。このとき、問い合わせ作成部4は、第2のロジカルチェック結果とともに、ロジカルチェック項目である“収縮期血圧”と、エラー属性である“許容範囲値”と、を症例データ検査部3から受信する。
【0117】
次に、問い合わせ作成部4は、症例データ検査部3からのロジカルチェック結果及び関連する情報に基づいて問い合わせを作成する。例えば、問い合わせ作成部4は、第1のロジカルチェック結果に応じて、自動問い合わせ“QRY−0001”を作成し、問い合わせ/回答記憶部10に格納する。問い合わせ内容は次の通りである。
【0118】
自動問い合わせ“QRY−0001”の問い合わせ内容:『収縮期血圧と拡張期血圧とが同じになっています。再確認お願いします。』
また、問い合わせ作成部4は、症例データ検査部3から受信したロジカルチェック項目に基づいて、自動問い合わせ“QRY−0001”の問い合わせ項目として、収縮期血圧“100”mmHgと拡張期血圧“100”mmHgとを問い合わせ/回答記憶部10に格納する。さらに、問い合わせ作成部4は、自動問い合わせ“QRY−0001”のエラー属性として、“項目間の関係”を問い合わせ/回答記憶部10に格納する。また、問い合わせ作成部4は、問い合わせを作成すると、問い合わせの状態として例えば“発行”を問い合わせ/回答記憶部10に格納する。
【0119】
ここで、問い合わせ作成部4が作成した問い合わせは、ユーザが手動で作成した手動問い合わせではなく、自動問い合わせである。よって、問い合わせ作成部4は、問い合わせ種別として“自動”を問い合わせ/回答記憶部10に格納する。その他、問い合わせ作成部4は、問い合わせに関連する種々の情報を症例データ検査部3から受信し、図13に示すように問い合わせ/回答記憶部10に格納する。
【0120】
同様に、問い合わせ作成部4は、第2のロジカルチェック結果及び関連する情報に応じて、自動問い合わせ“QRY−0002”を作成し、問い合わせ/回答記憶部10に格納する。また、問い合わせ作成部4は、自動問い合わせ“QRY−0002”の問い合わせ項目として収縮期血圧“100”mmHgを、エラー属性として“許容範囲値”を、問い合わせの状態として“発行”を、問い合わせ種別として“自動”などを問い合わせ/回答記憶部10に格納する。なお、問い合わせ内容は次の通りである。
【0121】
自動問い合わせ“QRY−0002”の問い合わせ内容:『範囲エラー』
次に、手動問い合わせ“QRY−0004”について次に説明する。自動問い合わせ“QRY−0001”及び自動問い合わせ“QRY−0002”は自動問い合わせである。しかし、問い合わせは、症例データ管理装置100及び医療機関端末200などのユーザにより作成される手動問い合わせであっても良い。例えば、まず、問い合わせ作成部4は、症例データ管理装置100及び医療機関端末200などのユーザから、送受信部1を介して手動問い合わせ作成の指示を受け付ける。問い合わせ作成部4は、指示内容に基づいて手動問い合わせを作成して問い合わせ/回答記憶部10に格納する。このとき、問い合わせ/回答記憶部10には、問い合わせID“QRY−0004”の問い合わせ種別として“手動”が格納される。なお、問い合わせ作成部4は、ユーザからの指示に基づいて手動問い合わせを作成するのではなく、手動問い合わせをユーザから受け付け、問い合わせ/回答記憶部10に格納しても良い。
【0122】
また、問い合わせ作成部4は、例えば医療機関端末200から問い合わせへのアクセスを受け付けると、後述の問い合わせ検索画面及び問い合わせ回答画面の作成に必要なデータを問い合わせ/回答記憶部10から読み出し、医療機関端末200に送信する。
【0123】
図14は問い合わせ検索画面の一例であり、図15は問い合わせ回答画面の一例である。医療機関端末200は、治験担当医師から問い合わせ検索画面を表示するための、例えば、問い合わせ検索画面コマンドを受け付けると、症例データ管理装置100に送信する。症例データ管理装置100の入出力受付部2は、問い合わせ検索画面コマンドに基づいて、問い合わせ/回答記憶部10から問い合わせに関連するデータを読み出し、医療機関端末200に送信する。医療機関端末200は、問い合わせに関連するデータに基づいて、図14に示す問い合わせ検索画面を作成し、医療機関端末のディスプレイ206に表示する。問い合わせ検索画面には、その上段に、被験者番号、症例番号、治験実施機関名、問い合わせ種別及び問い合わせIDなどの入力欄20と、検索を実行するための検索ボタン21が設けられている。治験担当医師が入力欄20に値を入力して検索ボタン21を押すと、図14に示すように、所望の問い合わせに関連する問い合わせ一覧22が問い合わせ検索画面の後段に表示される。
【0124】
次に、治験担当医師が問い合わせ一覧22の中から所望の問い合わせを、選択ボタン23を用いて選択すると、医療機関端末200は選択コマンドを症例データ管理装置100に送信する。症例データ管理装置100の入出力受付部2は、選択コマンドに基づいて、問い合わせ/回答記憶部10からデータを読み出し、医療機関端末200に送信する。医療機関端末200は、問い合わせ作成部4からのデータに基づいて、図15に示す問い合わせ回答画面を作成し、医療機関端末のディスプレイ206に表示する。
【0125】
図15の問い合わせ回答画面の上段には問い合わせ詳細欄24が設けられ、選択された問い合わせに関する詳細データが示される。詳細データとしては、例えば、問い合わせID、問い合わせ種別、問い合わせ内容、発行者、発行日時、被験者番号、症例番号、問診日及びCRFなどが挙げられる。また、図15の問い合わせ回答画面の下段には、回答欄25が設けられている。回答欄25には、治験担当医師などが回答を入力するための回答入力欄26及び問い合わせ項目一覧27などが設けられている。問い合わせ項目一覧27には、問い合わせ項目の修正前の値が表示されるとともに、修正の有無をチェックする修正チェック欄、データの測定がされたか否かをチェックする欠側チェック欄、修正後の値及び修正理由を入力する入力欄が設けられている。
【0126】
なお、図15には、自動問い合わせ“QRY−0001”に基づいた問い合わせ回答画面が表示されている。ここで、図13の問い合わせ/回答記憶部10を参照すると、問い合わせID“QRY−0001”の問い合わせ項目は、収縮期血圧“100”mmHg及び拡張期血圧“100”mmHgである。よって、図15の問い合わせ回答画面では、問い合わせ項目として“収縮期血圧”及び“拡張期血圧”が表示され、それぞれ修正前の値として“100”mmHgが表示されている。
【0127】
(3−1−7)回答受付部
医療機関端末200は、前述の図15に示す問い合わせ回答画面を介して、例えば治験担当医師から問い合わせに対する回答を受け付ける。回答受付部5は、送受信部1を介して医療機関端末200から回答を受け付ける。回答受付部5は、問い合わせ/回答記憶部10に問い合わせに対する回答を格納し、当該問い合わせをクローズするとともに、症例データの修正等がある場合は修正処理部6に症例データの修正を依頼する。
【0128】
回答受付部5の処理について図16、図17を用いて以下に説明する。図16は問い合わせ回答画面に入力された回答の一例であり、図17は回答が格納された問い合わせ/回答記憶部の一例である。
【0129】
医療機関端末200のディスプレイ206には、自動問い合わせ“QRY−0001”について、図15に示す問い合わせ回答画面が表示されているものとする。ここで、医療機関端末200のユーザである治験担当医師は、図16に示すように、回答入力欄26に“収縮期血圧を修正。”と入力している。さらに、治験担当医師は、問い合わせ項目一覧27において、修正チェック欄をチェックし、修正後の収縮期血圧の値として“150”mmHgを入力し、修正理由として“入力ミス”を入力している。また、治験担当医師は、回答の入力が終了すると、回答ボタン28を押して回答を確定し、症例データ管理装置100に送信する。回答受付部5は、治験担当医師のこれらの入力を、自動問い合わせ“QRY−0001”に対する回答として受け付け、問い合わせ/回答記憶部10に回答を格納する。図17に示すように、問い合わせ/回答記憶部10には、自動問い合わせ“QRY−0001”について、回答入力の欄に“収縮期血圧を修正。”が格納され、また、修正項目(1)の欄に“収縮期血圧”が“150”mmHgが格納されている。問い合わせ/回答記憶部10には、その他、修正者及び修正を承認した修正承認者などを特定するための情報などが格納されていても良い。
【0130】
なお、問い合わせ/回答記憶部10には、修正前の収縮期血圧が、問い合わせ項目の欄に格納されている。よって、修正前の値は問い合わせ項目の欄に記憶され、修正後の値は修正項目の欄に記憶されるため、修正履歴を残すことができる。
【0131】
また、回答受付部5は、回答を受け付けたため、自動問い合わせ“QRY−0001”をクローズし、図17に示すように問い合わせ/回答記憶部10において問い合わせの状態を“発行”から“クローズ”に変更する。
【0132】
さらに、回答受付部5は、受け付けた回答によって症例データの修正が行われた場合には、修正処理部6に症例データ記憶部8の症例データの修正指示を行う。例えば、回答受付部5が図16に示す回答を受け付けているとする。この場合、回答受付部5は、問い合わせ項目一覧27において、収縮期血圧の修正チェック欄がチェックされ、修正後の値が入力されていることに基づいて、修正処理部6に修正を指示する。例えば、回答受付部5は、『被験者番号“h−0001”及び問診日“2009.11.15”の“収縮期血圧”を“150”mmHgに修正。』との修正指示を行う。
【0133】
なお、同一被験者でも問診が複数回に亘る場合には、問診日ごとに症例データを区別する必要があるため、修正指示には問診日が含まれ得る。その他、例えば症例番号など、症例データ記憶部8においてどの症例データが修正されたのかを特定するための、あらゆるデータが修正指示に含まれ得る。
【0134】
(3−1−8)修正処理部
(i)修正
修正処理部6は、回答受付部5からの修正指示に基づいて、症例データ記憶部8の症例データを修正する。図16の回答に基づいた上述の修正指示の場合、修正処理部6は、図11の症例データ記憶部8において、被験者番号“h−0001”及び問診日“2009.11.15”の“収縮期血圧”を“100”mmHgから“150”mmHgに修正する。
【0135】
(ii)再度のロジカルチェック及びそれに伴う処理
次に、修正処理部6は、症例データの修正を行うと、症例データ検査部3に修正後の症例データに対して再度のロジカルチェックを指示する。再度のロジカルチェックの指示は、例えば回答受付部5からの修正指示に基づいて作成され、修正を伴う回答がなされた問い合わせにおける、被験者番号、問診日及び修正がされた項目などが含まれる。前述の修正指示の場合、修正処理部6は、被験者番号“h−0001”、問診日“2009.11.15”及び“収縮期血圧”における修正後の症例データに対して、再度のロジカルチェックを行うように症例データ検査部3に指示する。
【0136】
この場合、まず、症例データ検査部3は、被験者番号“h−0001”、問診日“2009.11.15”及び“収縮期血圧”について、修正後の症例データである“150”mmHgを図11の症例データ記憶部8から読み出す。症例データ検査部3は、この“150”mmHgについて、項目定義テーブル9を参照して再度のロジカルチェックを行う。ここで、修正後の収縮期血圧の症例データ“150”mmHgは、データ種類が“数値”であり、桁数が“3桁”であり、許容範囲値“110〜180”mmHgの範囲内にある。また、図11の症例データ記憶部8を参照すると、被験者番号“h−0001”及び問診日“2009.11.15”の拡張期血圧の症例データは“100”mmHgである。よって、収縮期血圧“150”mmHg>拡張期血圧“100”mmHgの関係も満たしている。
【0137】
次に、症例データ検査部3は、修正を伴う回答がなされた一の問い合わせと関連する、別の問い合わせがあるか否かを判断する。例えば、症例データ検査部3は、一の問い合わせと、被験者番号及び問診日が同じであり、さらに問い合わせ項目の少なくとも一部が一致する、別の問い合わせがあるか否かを判断する。また、症例データ検査部3は、別の問い合わせが存在する場合には、未だクローズ又は自動クローズされていないかを判断し、さらに、自動問い合わせかどうかを判断する。未だクローズ又は自動クローズされていない別の問い合わせが自動問い合わせである場合は、症例データ検査部3は、その別の問い合わせについて、再度のロジカルチェックにより問い合わせの理由が解消したか否かを判断する。
【0138】
例えば、回答受付部5が自動問い合わせ“QRY−0001”対して修正を伴う回答を受け付けた後には、問い合わせ/回答記憶部10の各症例データは図17に示される状態となっている。自動問い合わせ“QRY−0001”と自動問い合わせ“QRY−0002”とは、被験者番号“h−0001”及び問診日“2009.11.15”が一致している。また、自動問い合わせ“QRY−0001”の問い合わせ項目は“収縮期血圧”及び“拡張期血圧”であり、自動問い合わせ“QRY−0002”の問い合わせ項目は“収縮期血圧”であり、“収縮期血圧”において一致している。よって、自動問い合わせ“QRY−0001”に関連する別の問い合わせとして、自動問い合わせ“QRY−0002”が存在している。さらに、自動問い合わせ“QRY−0002”は、問い合わせ状態が“発行”でありクローズ又は自動クローズされておらず、また、問い合わせ種別は“自動”である。なお、自動問い合わせ“QRY−0001”については、医療機関端末200から回答を受け付けたため、問い合わせ状態は“クローズ”となっている。よって、症例データ検査部3は、自動問い合わせ“QRY−0001”に対する回答後の再度のロジカルチェックによって、自動問い合わせ“QRY−0002”について問い合わせの理由が解消したか否かを判断する。
【0139】
ここで、自動問い合わせ“QRY−0002”は、エラー属性が“許容範囲値”であり、その問い合わせ内容は、収縮期血圧“100”mmHgが許容範囲値“110〜180”mmHgの範囲内に無いとの“範囲エラー”である。しかし、修正後の収縮期血圧“150”mmHgは、許容範囲値“110〜180”mmHgの範囲内にある。症例データ検査部3は、これらの結果に基づいて、自動問い合わせ“QRY−0002”の理由が、自動問い合わせ“QRY−0001”に対する回答によって解消したと判断する。この判断結果に基づいて、症例データ検査部3は、自動問い合わせ“QRY−0001”に対する回答に基づいて、自動問い合わせ“QRY−0002に対する回答を作成するように指示する回答作成指示を回答作成部7に出力する。
【0140】
なお、症例データ検査部3は、再度のロジカルチェックにおいて、定義された属性を満たさないとの新たな結果を得た場合は、問い合わせ作成部4に新たな問い合わせの作成を指示する。
【0141】
(3−1−9)回答作成部、回答定型文記憶部
一の問い合わせに対する回答に基づいて別の問い合わせの理由が解消した場合、回答作成部7は、一の問い合わせに対する回答に基づいて別の問い合わせの回答を作成する回答作成指示を、症例データ検査部3から受信する。回答作成部7は、前記回答作成指示に基づいて回答定型文記憶部11から適切な回答定型文を読み出し、回答定型文と、一の問い合わせに対する回答と、に基づいて、別の問い合わせに対する回答を作成する。
【0142】
図18は回答定型文記憶部の一例である。回答定型文記憶部11は、回答定型文IDごとに回答定型文を記憶している。回答定型文ID“K0001”の回答定型文の場合、回答定型文の中に入力欄が設けられており、回答に応じた変数が入力される。入力欄としては、例えばID番号、項目、修正理由、修正前値及び修正後値などが入力される欄が挙げられる。
【0143】
例えば、回答作成部7は次のように回答を作成する。ここで、回答作成指示は、自動問い合わせ“QRY−0001”に対する回答に基づいて、自動問い合わせ“QRY−0002に対する回答を作成するとの指示である。回答作成部7は、問い合わせ/回答記憶部10を参照し、回答の作成に必要なデータを取得する。例えば、回答作成部7は、自動問い合わせ“QRY−0001”について、修正項目である“収縮期血圧”、修正前の値である“100”mmHg、修正後の値である“150”mmHg、修正理由である“入力ミス”などを取得する。
【0144】
次に、回答作成部7は、回答定型文記憶部11から適切な回答定型文を選択する。例えば、回答作成部7は、回答の作成のために取得した前記データに基づいて、症例データが修正されていると判断すると、例えば修正をキーワードとする、回答定型文ID“K0001”の回答定型文を選択する。なお、回答定型文記憶部11は、問い合わせ回答画面の修正チェック欄のチェックと、回答定型文ID“K0001”と、を対応付けて記憶しても良い。これにより、図15及び図16の問い合わせ回答画面において修正チェック欄がチェックされていることに基づいて、回答作成部7は回答定型文ID“K0001”を選択可能である。
【0145】
回答作成部7は、選択した回答定型文と、取得した前記データに基づいて、自動問い合わせ“QRY−0002”に対する回答を作成する。回答定型文ID“K0001”の回答定型文の場合は、回答作成部7は、取得した前記データを各入力欄に入力することで次のような回答を作成する。
『問い合わせID“QRY−0001”において、“収縮期血圧”が“入力ミス”により“100”から“150”に修正された結果、当該問い合わせ(問い合わせID“QRY−0002”)の条件を満たすため自動クローズします。』
上記の回答には、“QRY−0001”など、その回答がどの問い合わせに対する回答に基づいて作成されたかが明示されているため、追跡性が高い監査証跡を得ることができる。また、上記の回答には、修正前及び修正後の症例データ及び修正理由などが含まれるため、症例データがどのように修正された結果、問い合わせの理由が解消したか、また、修正が必要となった理由などを即座に知ることができる。その他、回答には症例データの修正者及び修正の承認者などを特定する情報が含まれていても良い。
【0146】
回答作成部7は、自動問い合わせ“QRY−0002”に対する回答を問い合わせ/回答記憶部10に格納するとともに、自動問い合わせ“QRY−0002”を自動クローズする。図19は、自動問い合わせ“QRY−0002”に対する回答が格納された問い合わせ/回答記憶部の一例である。自動問い合わせ“QRY−0002”の回答入力欄には、上記回答が格納されており、問い合わせ状態として“自動クローズ”が格納されている。
【0147】
上記では、回答作成部7は、症例データ検査部3から通知された問い合わせIDに基づいて、問い合わせ/回答記憶部10を参照して回答を作成する。しかし、回答作成部7は、回答を作成するために必要な全てのデータを症例データ検査部3から受信して、これらのデータに基づいて回答を作成するようにしても良い。例えば、回答作成部7は、自動問い合わせ“QRY−0001”に対する回答に基づいて、自動問い合わせ“QRY−0002に対する回答を作成するとの指示を症例データ検査部3から受信する。さらに、回答作成部7は、自動問い合わせ“QRY−0001”について、修正項目である“収縮期血圧”、修正前の値である“100”mmHg、修正後の値である“150”mmHg、修正理由である“入力ミス”などのデータを症例データ検査部3から受信する。これらのデータに基づいて、回答作成部7は上記の回答を作成する。
【0148】
(3−2)医療機関端末
次に医療機関端末200の機能構成について簡単に説明する。医療機関端末200の各機能部による処理は、CPU201及びROM202などが連携することにより実行される。医療機関端末200の機能部としては、例えば、入力受付部(図示せず)及び画面作成部(図示せず)などが挙げられる。入力受付部は、医療機関端末200に備えられたキーボード208及びマウス207などの入出力機器を介して、例えば治験担当医師から問診結果及び検査結果などの症例データの入力を受け付ける。また、画面作成部は、前述の図14〜図16に示す問い合わせに関する画面などを作成し、ディスプレイ206に表示する。
【0149】
(4)処理の流れ
以下に、本実施例にかかる症例データ管理装置が実行する処理の流れを説明する。
【0150】
図20は、本実施例にかかる症例データ管理装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0151】
ステップS61:回答受付部5が医療機関端末200から一の問い合わせに対する回答を受け付けると、以下の処理が実行される。
【0152】
ステップS62:回答受付部5は、受け付けた回答によって症例データの修正が行われたか否かを判断する。修正が行われた場合はステップS63に進み、修正が行われなかった場合は処理を終了する。よって、修正が行われなかった場合は再度のロジカルチェックを行われない。
【0153】
ステップS63:回答受付部5は、症例データの修正が行われた場合には、修正処理部6に症例データ記憶部8の症例データの修正指示を行う。修正処理部6は、症例データの修正を行うと、症例データ検査部3に修正後の症例データに対して再度のロジカルチェックを指示する。症例データ検査部3は、修正後の症例データについて、項目定義テーブル9を参照して再度のロジカルチェックを行う。
【0154】
ステップS64:次に、症例データ検査部3は、修正を伴う回答がなされた一の問い合わせと関連する、別の問い合わせが存在するか否かを判断する。別の問い合わせが存在する場合はステップS65に進み、別の問い合わせが存在しない場合は処理を終了する。
【0155】
ステップS65:症例データ検査部3は、別の問い合わせのうち、未だクローズ又は自動クローズされていない問い合わせが、自動問い合わせかどうかを判断する。自動問い合わせである場合はステップS66に進み、手動問い合わせである場合はステップS64に戻る。よって、手動問い合わせの場合は、回答の作成及び問い合わせの自動クローズは行われない。
【0156】
ステップS66:症例データ検査部3は、別の自動問い合わせについて、再度のロジカルチェックにより問い合わせの理由が解消したか否かを判断する。問い合わせの理由が解消している場合はステップS67に進み、解消していない場合はステップS69に進む。
【0157】
ステップS67:別の自動問い合わせについての理由が解消したため、症例データ検査部3は、回答作成指示を回答作成部7に指示する。回答作成部7は、回答作成指示に基づいて別の自動問い合わせの回答を作成する。
【0158】
ステップS68:回答作成部7は、別の自動問い合わせの回答を作成すると、別の自動問い合わせを自動クローズする。別の問い合わせがさらに存在するか否かを判断するため、ステップS64に戻る。
【0159】
ステップS69:問い合わせ/回答記憶部10は、別の自動問い合わせについて理由が解消していない場合は、その別の自動問い合わせをそのまま維持する。
【0160】
また、前述の方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明の範囲に含まれる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)、MO(Magneto Optical disk)、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM(DVD−Random Access Memory)、BD(Blue-ray Disc)、USBメモリ、半導体メモリなどを挙げることができる。前記コンピュータプログラムは、前記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【0161】
<その他の実施形態例>
(a)変形例1
上記実施形態例及び実施例の場合、ユーザによって回答がされた一の問い合わせは自動問い合わせであるが、手動問い合わせであっても良い。
【0162】
つまり、上記実施形態例及び実施例では、症例データ管理装置100は、ユーザによる一の自動問い合わせに対する回答によって、別の自動問い合わせの理由が解消する場合には、別の自動問い合わせに対する回答を一の自動問い合わせに対する回答に基づいて作成する。その後、症例データ管理装置100は、別の自動問い合わせを自動クローズする。例えば、図3のステップS12〜14において、症例データ管理装置100は、自動問い合わせ(A2)の理由が解消した場合には(S12)、自動問い合わせ(A2)に対する回答を作成し(S13)、自動問い合わせ(A2)を自動クローズする。
【0163】
しかし、前記一の問い合わせは手動問い合わせであっても良い。例えば、症例データ管理装置100は、一の手動問い合わせに対する回答によって、別の自動問い合わせの理由が解消する場合には、別の自動問い合わせに対する回答を一の手動問い合わせの回答に基づいて作成する。
【0164】
また、上記実施形態例及び実施例の場合、症例データ管理装置100が回答を作成する問い合わせは自動問い合わせであるが、手動問い合わせであっても良い。例えば、症例データ管理装置100は、一の自動問い合わせに対する回答によって、別の手動問い合わせの理由が解消する場合には、別の手動問い合わせに対する回答を一の自動問い合わせに対する回答に基づいて作成する。
【0165】
また、上記実施形態例及び実施例では、自動問い合わせに対して自動クローズが設定されているが、手動問い合わせに対して自動クローズを設定しても良い。例えば、症例データ管理装置100は、一の自動問い合わせに対する回答によって、別の手動問い合わせの理由が解消する場合には、別の手動問い合わせに対する回答を作成し、別の手動問い合わせを自動クローズする。
【0166】
また、上記実施形態例及び実施例では、症例データ管理装置100は、理由が解消した別の自動問い合わせを自動クローズするが、必ずしも自動クローズする必要は無く、そのまま問い合わせを維持しても良い。例えば、症例データ管理装置100は、一の問い合わせに対する回答によって、別の自動問い合わせの理由が解消する場合には、別の自動問い合わせの回答を作成し、別の自動問い合わせをそのまま維持する。
【0167】
上記の本変形例をまとめると次の通りである。
【0168】
・ユーザによって回答がされた一の問い合わせは自動問い合わせ又は手動問い合わせのいずれでも良い。
【0169】
・症例データ管理装置100が回答を作成する問い合わせは、自動問い合わせ又は手動問い合わせのいずれでも良い。
【0170】
・ユーザによる回答によって、自動問い合わせ又は手動問い合わせの理由が解消する場合、その自動問い合わせ又は手動問い合わせは自動クローズされるか、そのまま維持される。
【0171】
これらの条件に基づけば、まず、症例データ管理装置100は、ユーザによる一の自動問い合わせ又は一の手動問い合わせに対する回答を受け付ける。次に、症例データ管理装置100は、その回答によって、別の自動問い合わせ又は別の手動問い合わせの理由が解消するか否かを判断する。問い合わせの理由が解消する場合には、症例データ管理装置100は、別の自動問い合わせ又は別の手動問い合わせに対する回答を、一の自動問い合わせ又は一の手動問い合わせに対する回答に基づいて作成する。その後、症例データ管理装置100は、別の自動問い合わせ又は手動問い合わせを自動クローズするか、あるいは、そのまま維持する。
【0172】
(b)変形例2
上記実施形態例及び実施例では、別の問い合わせの理由が解消する場合とは、一の問い合わせに対する回答において症例データの修正があり、その修正に起因して問い合わせの理由がなくなる場合である。その他、別の問い合わせの理由が解消する場合とは、例えば、一の問い合わせに対する回答によって入力すべき項目欄の間違いが判明し、別の問い合わせそのものがなくなる場合などが挙げられる。
【0173】
例えば、一の問い合わせ及び別の問い合わせがともに項目Aについての問い合わせであるとする。ここで、本来は項目Bに入力すべきところを項目Aに入力してしまったことが、一の問い合わせの回答によって判明した場合などが本変形例に該当する場合である。
【0174】
例えば、回答受付部5は、別途の問い合わせ回答画面(図示せず)において、一の問い合わせの回答として、入力すべき項目欄の変更、変更後の項目欄の症例データ及び変更前の項目欄の症例データの削除などを受け付ける。このとき、一の問い合わせの回答によって、症例データの入力箇所が項目Aから項目Bに変更された場合、項目Aに関連する別の問い合わせの理由が解消する。
【0175】
具体例を以下に説明する。ある被験者ID及びある問診日について、収縮期血圧の症例データとして“5000”mmHgが入力されていたとする。なお、拡張期血圧は“100”mmHgであるものとする。症例データ検査部3は、図12の項目定義テーブル9を参照し、収縮期血圧“5000”mmHgについてロジカルチェックを行う。ここで、収縮期血圧“5000”mmHgは、データ種類が“数値”であるとの第1の基準は満たしている。しかし、収縮期血圧“5000”は、最大の桁数が“3桁”であるとの第2の基準、許容範囲値が“110〜180”mmHgであるとの第3の基準、項目間の関係が“収縮期血圧>拡張期血圧”であるとの第4の基準を満たしていない。よって、問い合わせ作成部4は、第2の基準、第3の基準及び第4の基準を満たしていないとして、それぞれ自動問い合わせ(第2の基準)、自動問い合わせ(第3の基準)、自動問い合わせ(第4の基準)を作成する。
【0176】
次に、回答受付部5が、自動問い合わせ(第2の基準)に対する回答として、変更後の項目欄として“白血球数”、変更後の症例データとして“5000”、削除する項目欄として“収縮期血圧”を受け付ける。修正処理部6は、前記回答に基づいて症例データの修正を行う。また、症例データ検査部3は、自動問い合わせ(第2の基準)に対する回答に基づいて再度のロジカルチェックを行う。ここで、“収縮期血圧”の症例データが削除されているため、“収縮期血圧”に関連する自動問い合わせ(第3の基準)及び自動問い合わせ(第4の基準)の理由は解消する。結局、自動問い合わせ(第2の基準)に対する回答に基づいて、自動問い合わせ(第3の基準)及び自動問い合わせ(第4の基準)の理由が解消する。症例データ検査部3は、これらの情報に基づいて回答作成部7に自動問い合わせ(第3の基準)及び自動問い合わせ(第4の基準)の回答の作成を指示する。
【0177】
次に、回答作成部7は、項目欄が変更されていると判断すると、例えば“項目欄の間違い”をキーワードとする、回答定型文ID“K0002”の回答定型文を回答定型文記憶部11から選択する。そして、この回答定型文に基づいて、自動問い合わせ(第3の基準)及び自動問い合わせ(第4の基準)の回答を作成する。
【0178】
(c)変形例3
上記実施形態例及び実施例では、症例データ管理システム1000には、症例データ管理装置100及び医療機関端末200のみが含まれる例を説明した。しかし、症例データ管理システム1000には、その他、検査機関端末300及び製薬会社端末400が含まれていても良い。
【0179】
図21は、他の症例データ管理システムに係るネットワーク構成図の一例である。図21の症例データ管理システム1000は、症例データ管理装置100と、医療機関に備えられた医療機関端末200と、検査機関に備えられた検査機関端末300と、製薬会社に備えられた製薬会社端末400と、を含む。症例データ管理装置100と、医療機関端末200、検査機関端末300及び製薬会社端末400とは、それぞれネットワーク50、51、52を介して接続されている。症例データ管理装置100へのアクセスが許可された端末及びユーザは、各端末を介して症例データ管理装置100が管理する症例データへのアクセスが可能である。例えば、製薬会社の担当者は、症例報告書の内容を、製薬会社に備えられた製薬会社端末400から参照可能である。
【0180】
このような症例データ管理システム1000においては、症例データ管理装置100から発行された自動問い合わせ及び手動問い合わせに対して、医療機関端末200、検査機関端末300又は製薬会社端末から、回答を入力可能である。よって、症例データ管理装置100は、一の問い合わせに対する回答がいずれの端末200、200、400から入力されても、上記実施形態例及び実施例と同様に、別の問い合わせの回答を作成可能である。
【0181】
(d)変形例4
上記実施形態例及び実施例では、新薬に対する治験を例に挙げているが、本発明はこれに限定されない。例えば、食品、化粧品及び後発医薬などの治験、医療機器の効用及び効果を確かめるための治験などを含むあらゆる試験に本発明を適用可能である。
【0182】
以上の実施形態例、実施例及びその他の実施形態例に関し、更に以下の付記を開示する。
【0183】
<付記>
(付記1)
被験者に関する症例データが、所定の基準を満たすか否かを検査する検査手段、
前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成手段、
前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付手段、
前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成手段、
としてコンピュータを機能させる症例データ管理プログラム。
【0184】
症例データは、被験者を識別するための被験者番号、被験者の身長、体重、血圧、血液検査の結果などの各種データを含む。症例データに関する所定の基準として、第1の基準及び第2の基準が設けられているとする。また、症例データが第1の基準を満たさないとして第1の問い合わせが作成され、さらに、症例データが第2の基準を満たさないとして第2の問い合わせが作成されているとする。ここで、第1の問い合わせに対して回答を受け付け、この回答によって第2の問い合わせに関して症例データが第2の基準を満たすようになった場合、回答作成手段は、第2の問い合わせに対する回答を、第1の問い合わせに対する回答に基づいて作成する。
【0185】
このような症例データ管理プログラムは、ユーザの第2の問い合わせに対する回答を作成する手間を省くため、問い合わせに対する回答の作成に関して効率化及び短時間化を図ることができる。また、例え、第1の問い合わせに対する回答によって、第2の問い合わせの理由が解消し、第2の問い合わせが自動クローズしてしまう場合でも、第2の問い合わせに対する回答を作成して保持することができる。よって、問い合わせに関して、症例データ管理プログラムを利用する装置及びシステムの管理者及び治験責任者などによる追跡調査、あるいは、外部の例えば厚生労働省からの監査人による追跡調査が容易になる。
【0186】
なお、第2の問い合わせの理由が解消する場合とは、例えば、第1の問い合わせに対する回答によって症例データの修正があり、その修正により症例データが第2の基準を満たすようになり、第2の問い合わせの理由が無くなる場合が挙げられる。その他、第2の問い合わせの理由が解消する場合とは、例えば、第1の問い合わせに対する回答によって入力すべき項目欄の間違いが判明し、第2の問い合わせそのものがなくなる場合などが挙げられる。
【0187】
(付記2)
前記症例データは、複数の項目についてのデータの集合であり、
前記第1の問い合わせに関連する項目と、前記第2の問い合わせに関連する項目と、は少なくとも1の項目が一致し、
前記所定の基準は、前記一致する項目に関連する第1の基準及び第2の基準を含み、
前記問い合わせ作成手段は、前記一致する項目についての症例データが、前記第1の基準を満たさない場合に前記第1の問い合わせを作成し、前記一致する項目についての症例データが、前記第2の基準を満たさない場合に前記第2の問い合わせを作成する、付記1に記載の症例データ管理プログラム。
【0188】
項目とは、症例データを分類するカテゴリであり、例えば、被験者番号など被験者を識別するための項目、又、被験者の身長、体重、血圧など被験者の状態を特定するための項目などがある。
【0189】
ここで、例えば、症例データの項目として収縮期血圧があるとする。また、収縮期血圧に対する第1の基準が、収縮期血圧が110〜180mmHgの範囲内であることであり、収縮期血圧に対する第2の基準が、収縮期血圧の入力値が最大3桁であることとする。例えば、症例データ記憶手段に記憶された収縮期血圧が3000mmHgである場合、問い合わせ作成手段は、収縮期血圧が110〜180mmHgの範囲内に無いとの第1の問い合わせを生成する。さらに、問い合わせ作成手段は、収縮期血圧の入力データが3桁ではないとの第2の問い合わせを生成する。次に、回答受付手段が、第1の問い合わせに対して、収縮期血圧を150mmHgに修正する回答を受け付けたとする。これにより、収縮期血圧は、入力データが最大3桁であるとの第2の基準を満たすようになり第2の問い合わせの理由が解消する。よって、回答作成手段は、第1の問い合わせの回答に基づいて第2の問い合わせの回答を作成する。第2の問い合わせの回答として、例えば、収縮期血圧が150mmHgに修正されたことにより第2の問い合わせの理由が解消したとの回答が作成される。
【0190】
上記の例は、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせの項目が収縮期血圧で一致している場合の例である。他の例としては、例えば、第1の問い合わせが収縮期血圧に関する問い合わせであり、第2の問い合わせが収縮期血圧と拡張期血圧との関係に関する問い合わせなど、問い合わせどうしの項目が一部において一致する場合も挙げられる。例えば、第1の基準が、収縮期血圧が110〜180mmHgの範囲内であることであり、第2の基準が、収縮期血圧が拡張期血圧よりも高いことであるとする。また、症例データ記憶手段に記憶された収縮期血圧が100mmHgであり、拡張期血圧が100mmHgであるとする。このとき、問い合わせ作成手段は、収縮期血圧が110〜180mmHgの範囲内に無いとの第1の問い合わせと、収縮期血圧が拡張期血圧よりも高くないとの第2の問い合わせを生成する。次に、回答受付手段が、第1の問い合わせに対して、収縮期血圧を150mmHgに修正する回答を受け付けたとする。これにより、収縮期血圧が拡張期血圧よりも高くなっての第2の基準を満たすようになり第2の問い合わせの理由が解消する。よって、回答作成手段は、第1の問い合わせの回答に基づいて、例えば、収縮期血圧が150mmHgに修正されたことにより第2の問い合わせの理由が解消したとの回答を作成する。
【0191】
(付記3)
前記回答作成手段は、前記第2の問い合わせに対する回答に、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて作成されたことを示す情報を含める、付記1又は2に記載の症例データ管理プログラム。
【0192】
第2の問い合わせに対する回答が第1の問い合わせに対する回答に基づいて作成されたことを示す情報としては、例えば第1の問い合わせを識別するための問い合わせ番号などが挙げられる。これにより、症例データ管理プログラムを利用する装置及びシステムの管理者、治験責任者及び監査人などは、第2の問い合わせの回答が、どの問い合わせによる回答によって作成されたのかを即座に知ることができ、追跡性が高い監査証跡を得ることができる。
【0193】
(付記4)
前記回答受付手段は、前記第1の問い合わせに対する回答として、前記症例データの修正を受け付け、
前記回答作成手段は、前記修正がされる前の症例データと、前記修正がされた後の症例データと、を含めて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する、付記1〜3のいずれかに記載の症例データ管理プログラム。
【0194】
第2の問い合わせに対する回答に、修正前及び修正後の症例データが含まれることで、症例データがどのように修正された結果、第2の問い合わせの理由が解消したかを即座に知ることができ、追跡性が向上した監査証跡を得ることができる。
【0195】
(付記5)
前記回答受付手段は、前記第1の問い合わせに対する回答として、前記症例データの修正理由をさらに受け付け、
前記回答作成手段は、前記修正理由をさらに含めて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する、付記4に記載の症例データ管理プログラム。
【0196】
修正理由としては、例えば入力ミス及び測定ミスなどが挙げられる。第2の問い合わせに対する回答に修正理由が含まれることで、症例データの修正理由について追跡性が向上する。
【0197】
(付記6)
前記回答受付手段が、前記第1の問い合わせに対する回答として、入力されるべき項目の間違いとの回答を受け付けた場合、
前記回答作成手段は、前記第2の問い合わせに対する回答として、前記第2の問い合わせが、前記入力すべき項目の間違いにより作成されたとの回答を作成する、付記1〜5のいずれかに記載の症例データ管理プログラム。
【0198】
第1の問い合わせに対する回答としては、症例データの修正以外に、入力すべき項目欄の間違いであったとの回答などが挙げられる。つまり、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせが項目Aについての問い合わせであり、本来は項目Bに入力すべきところを項目Aに入力してしまったことが、第1の問い合わせの回答によって判明した場合などである。このとき、第1の問い合わせの回答によって、症例データの入力箇所が項目Aから項目Bに変更された場合、項目Aに関連する第2の問い合わせの理由が解消する。
【0199】
(付記7)
前記回答作成手段は、前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第2の問い合わせを自動クローズする、付記1〜6のいずれかに記載の症例データ管理プログラム。
【0200】
問い合わせを自動クローズするとは問い合わせを終了することであり、例えば、当該問い合わせが、ユーザに提示される問い合わせ一覧から引き出され、また、消去されることなどを意味する。
【0201】
回答作成手段は、第2の問い合わせの理由が解消する場合にはその問い合わせを自動クローズする。よって、ユーザは、理由が解消した問い合わせを参照して回答する必要が無くなるため、問い合わせに対する回答の作成に関して効率化及び短時間化を図ることができる。
【0202】
また、例え、第2の問い合わせが自動クローズされる場合でも、回答作成手段により第2の問い合わせに対する回答が作成されるため、問い合わせに対する追跡調査を容易に行うことができる。
【0203】
(付記8)
被験者に関する症例データを記憶する症例データ記憶手段、
前記症例データが、許容範囲を定義する所定の基準を満たすか否かを検査する検査手段、
前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成手段、
前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付手段、
前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成手段、
としてコンピュータを機能させる症例データ管理プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0204】
(付記9)
被験者に関する症例データを記憶する症例データ記憶手段と、
前記症例データが、許容範囲を定義する所定の基準を満たすか否かを検査する検査手段と、
前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成手段と、
前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付手段と、
前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成手段と、
を含む症例データ管理装置。
【0205】
(付記10)
ユーザ端末と接続された症例データ管理システムにおいて、
前記ユーザ端末から入力された被験者に関する症例データを記憶する症例データ記憶手段と、
前記症例データが、許容範囲を定義する所定の基準を満たすか否かを検査する検査手段と、
前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成手段と、
前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付手段と、
前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成手段と、
を含む症例データ管理システム。
【符号の説明】
【0206】
1:送受信部
2:入出力受付部
3:症例データ検査部
4:問い合わせ作成部
5:回答受付部
6:修正処理部
7:回答作成部
8:症例データ記憶部
9:項目定義テーブル
10:問い合わせ/回答記憶部
11:回答定型文記憶部
20:入力欄
21:検索ボタン
22:問い合わせ一覧
23:選択ボタン
24:詳細欄
25:回答欄
26:回答入力欄
27:問い合わせ項目一覧
28:回答ボタン
50、51、52:ネットワーク
100:症例データ管理装置
200:医療機関端末
300:検査機関端末
400:製薬会社端末
1000:症例データ管理システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、症例データを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製薬会社が新薬を開発した場合、新薬は動物に投与されて薬効が検証され、さらに人に新薬を投与して薬効を検証する臨床試験、いわゆる治験が実施される。製薬会社は、この治験の結果を厚生労働省に提出して承認審査に合格することで新薬を一般に販売することが可能となる。治験では、まず、製薬会社から医療機関に治験依頼がなされる。医療機関の治験担当医師は、被験者に新薬を投与する前後に亘って、問診により被験者の健康状態を観察し、又、被験者から血液及び尿などの検体を採取する。検査機関は、採取された検体の検査を行い、検査結果を医療機関に報告する。製薬会社、医療機関及び検査会社の間では、治験に関して様々な症例データがやりとりされ、症例データは症例報告書(CRF:Case Report Form)に記録される。最近では、症例報告書を電子化して管理する、例えば特許文献1などに開示されるようなシステムが注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-220599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1などに開示されるシステムでは、入力漏れ、入力された症例データの桁数及び適正範囲などの検査が行われる。検査において問題が発見された場合には、システムは問い合わせを発行し、システムのユーザ、例えば治験担当医師がその問い合わせに回答する。症例報告書は、被験者毎及び治験毎などにそれぞれ作成され、多数の項目について症例データが入力される書式となっている。また、治験に伴う問診回数及び検体の検査回数などが多くなると、それに伴って症例データの数もさらに多くなり、結果として問い合わせの発行数も多くなる。このように多量に発行される問い合わせに対してユーザが回答するには、多大の労力を有し、回答が完了するまでの期間も長期化してしまう。
【0005】
そこで、問い合わせを効率良く処理する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、以下の手段としてコンピュータを機能させる症例データ管理プログラムを提供する。
・被験者に関する症例データが、所定の基準を満たすか否かを検査する検査手段。
・前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成手段。
・前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付手段。
・前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成手段。
【発明の効果】
【0007】
以上の手段により、問い合わせを効率良く処理する技術を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る症例データ管理システムに係るネットワーク構成図の一例。
【図2】項目と自動問い合わせとの関係を示す説明図。
【図3】症例データの受け付けから自動問い合わせに対する回答の作成までの流れを示すフローチャートの一例。
【図4】複数の項目に対して複数の問い合わせがある場合の例を示す説明図(1)。
【図5】複数の項目に対して複数の問い合わせがある場合の例を示す説明図(2)。
【図6】複数の項目に対して複数の問い合わせがある場合の例を示す説明図(3)。
【図7】再度のロジカルチェックが行われない場合において、症例データの受け付けから問い合わせに対する回答の作成までの流れを示すフローチャートの一例。
【図8】手動問い合わせを含む問い合わせにおいて、症例データの受け付けから問い合わせに対する回答の作成までの流れを示すフローチャートの一例。
【図9】症例データ管理装置及び医療機関端末のハードウェア構成を示すブロック図の一例。
【図10】実施例にかかる症例データ管理装置の機能構成を示すブロック図の一例。
【図11】症例データ記憶部に記憶される症例データの一例。
【図12】項目定義テーブルの一例。
【図13】問い合わせ/回答記憶部に記憶された問い合わせの一例。
【図14】問い合わせ検索画面の一例。
【図15】問い合わせ回答画面の一例。
【図16】問い合わせ回答画面に入力された回答の一例。
【図17】回答が格納された問い合わせ/回答記憶部の一例。
【図18】回答定型文記憶部の一例。
【図19】自動問い合わせ“QRY−0002”に対する回答が格納された問い合わせ/回答記憶部の一例。
【図20】本実施例にかかる症例データ管理装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図21】他の症例データ管理システムに係るネットワーク構成図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態例>
(1)本実施形態の周辺構成
新薬の治験は、製薬会社、医療機関及び検査会社間の連携により行われる。製薬会社において新薬が開発されると、薬事法に基づいて治験実施計画書が作成され、新薬の治験が医療機関に依頼される。治験を依頼された医療機関では、選任された治験担当医師が、治験実施計画書に沿って、被験者に対して問診を行い、また血液及び尿などの検体の採取を行うなどして治験を実施する。被験者から採取された検体は検査機関で検査され、検査結果は医療機関に報告される。
【0010】
図1は、本実施形態に係る症例データ管理システムに係るネットワーク構成図の一例である。図1の症例データ管理システム1000は、症例データ管理装置100と、医療機関に備えられた医療機関端末200(200a、200b、200c・・・)と、を含む。症例データ管理装置100と医療機関端末200とは、ネットワーク50を介して接続されている。その他、製薬会社及び検査会社にもそれぞれ製薬会社端末及び検査会社端末が備えられており、ネットワーク50を介して症例データ管理装置100にアクセス可能となっていても良い。
【0011】
治験担当医師は、医療機関に備えられた医療機関端末200から、問診結果及び検査結果などの症例データを入力して症例報告書(CRF:Case Report Form)を作成する。症例データ管理装置100は、入力された症例データを記憶し、また後述のロジカルチェックを行うなどして症例データを管理する。
【0012】
症例報告書には複数の項目が設けられており、項目毎に症例データが入力される。ここで、項目とは、入力される症例データを分類した細目であり、例えば、被験者番号など被験者を識別するための項目、又、被験者の身長、体重、血圧など被験者の状態を特定するための項目などがある。また、症例データとは、各項目に入力される各種データの総称を言うものとする。
【0013】
症例データ管理装置100は、症例報告書の項目毎に、症例データが所定の基準を満たしているか否かを検査する、いわゆるロジカルチェックを行う。所定の基準としては、例えば、症例データの入力抜けが無いか、データ種類、桁数、許容範囲及び症例データ間の整合性を満たしているかなどの基準が挙げられる。症例データ管理装置100は、このロジカルチェックにおいて症例データが所定の基準を満たしていないと判断すると、問い合わせを発行する。問い合わせとは、症例データが所定の基準を満たしていないことを指摘する警告である。症例データ管理装置100が例えば医療機関の医療機関端末200に問い合わせを送信すると、医療機関の治験担当医師が問い合わせに対して回答を行う。
【0014】
(2)本実施形態の概要
本実施形態例において、症例データ管理装置100は複数の問い合わせを発行しており、複数の問い合わせのうち一の問い合わせに対する回答を受け付けているとする。このとき、症例データ管理装置100は、一の問い合わせに対する回答によって、別の問い合わせが生じることとなった理由が解消する場合には、別の問い合わせに対する回答を、一の問い合わせに対する回答に基づいて作成する。なお、以下では、問い合わせが生じることとなった理由を、単に問い合わせの理由というものとする。
【0015】
より詳細には、症例データ管理装置100は、一の問い合わせに対する回答を受け付けると、再度、症例データのロジカルチェックを行う。この再度のロジカルチェックの結果、症例データに対する別の問い合わせの理由が解消している場合には、症例データ管理装置100は、別の問い合わせに対する回答を、一の問い合わせに対する回答に基づいて作成する。
【0016】
(2−1)問い合わせ及びクローズについて
問い合わせには、自動問い合わせ及び手動問い合わせが含まれる。自動問い合わせは、症例データ管理装置100によるロジカルチェックの結果、症例データが所定の基準を満たしていない場合に、症例データ管理装置100により作成され発行される。一方、手動問い合わせは、症例データ管理装置100及び医療機関端末200などのユーザにより作成され、症例データ管理装置100に登録され発行される。
【0017】
以下において、単に問い合わせと言う場合は、自動問い合わせ及び手動問い合わせ含む総称を意味するものとする。また、問い合わせが自動であるか手動であるかを特に区別する場合には、自動又は手動の別を明記する。
【0018】
また、問い合わせをクローズするとは、問い合わせを終了することであり、例えば問い合わせが、ユーザに提示される後述の問い合わせ一覧から引き出され、また、消去されて、問い合わせへの回答が不要になることなどを意味する。
【0019】
ここで、症例データ管理装置100は、例えば治験担当医師から医療機関端末200を介して、一の問い合わせに対して回答を受け付けると、当該一の問い合わせをクローズする。また、症例データ管理装置100は、一の問い合わせに対する回答に基づいて再度のロジカルチェックを行い、その結果、別の問い合わせの理由が解消する場合には、別の問い合わせに対する回答を作成し、別の問い合わせを自動クローズする。
【0020】
このように、以下では、ユーザから回答を受け付けた一の問い合わせを終了する場合は、単にクローズと言う。一方、一の問い合わせに対する回答に基づいた再度のロジカルチェックにおいて、所定の条件を満たした別の問い合わせを終了する場合は、自動クローズと言うものとする。
【0021】
なお、本実施形態例では、自動問い合わせの終了に対してはクローズ又は自動クローズを設定し、手動問い合わせの終了に対してはクローズのみを設定し自動クローズを設定しない。よって、本実施形態例の手動問い合わせは、再度のロジカルチェックにおいてその問い合わせの理由が解消する場合でも、自動クローズされない。
【0022】
(2−2)基本の処理
以下に、本実施形態例の概要を説明する基本の処理について図2、図3を用いて説明する。
【0023】
図2は、項目と自動問い合わせとの関係を示す説明図である。図3は、症例データの受け付けから自動問い合わせに対する回答の作成までの流れを示すフローチャートの一例である。
【0024】
ここでは、簡単のため、単一の項目に対して複数の自動問い合わせがある場合の例を挙げている。図2に示すように、症例データ管理装置100は、項目Aの症例データについて、3つの自動問い合わせ(A1)〜(A3)を発行している。つまり、自動問い合わせ(A1)〜(A3)の項目は、全て共通の項目Aである。
【0025】
図2、図3を用いて、症例データの受け付けから自動問い合わせに対する回答までの流れを説明する。
【0026】
ステップS1、S2:医療機関端末200は、例えば治験担当医師から症例データを受け付け(S1)、症例データ管理装置100に送信する(S2)。
【0027】
ステップS3、S4:症例データ管理装置100は、医療機関端末200から症例データを受け付けると(S3)、後述の症例データ記憶部8に格納する(S4)。
【0028】
ステップS5:次に、症例データ管理装置100は、症例データ記憶部8に格納された症例データについて、症例報告書の項目毎に、症例データが所定の基準を満たしているか否かを検査するロジカルチェックを行う。
【0029】
ステップS6:症例データ管理装置100は、ステップS5でのロジカルチェックの結果に基づいて、図2に示すように、項目Aについて3つの自動問い合わせ(A1)〜(A3)を発行している。
【0030】
例えば、項目Aは身長であり、項目Aに対する所定の基準として、データ種類が“数値”であるとの第1の基準、最大の桁数が“3桁”であるとの第2の基準、許容範囲値が“0〜200cm”であるとの第3の基準があるとする。ここで、項目Aに実際に入力された症例データが、記号と数値とが混在した“#210”であるとする。よって、症例データ管理装置100は、項目Aの症例データが第1の基準を満たさないとして自動問い合わせ(A1)を、第2の基準を満たさないとして自動問い合わせ(A2)を、第3の基準を満たさないとして自動問い合わせ(A3)をそれぞれ発行する。
【0031】
ステップS7:医療機関端末200は、項目Aについての3つの自動問い合わせ(A1)〜(A3)を受信する。また、医療機関端末200は、例えばディスプレイに3つの自動問い合わせ(A1)〜(A3)を問い合わせ一覧として表示する。
【0032】
ステップS8:次に、医療機関端末200は、治験担当医師から自動問い合わせ(A1)〜(A3)に対する回答を受け付ける。
【0033】
ここで、1つの問い合わせごとに回答が可能となっており、治験担当医師は、まず、3つの自動問い合わせ(A1)〜(A3)の中から最初に回答する問い合わせを選択することとなる。図2及び図3では、治験担当医師は自動問い合わせ(A1)を選択して回答している。
【0034】
医療機関端末200は、自動問い合わせ(A1)に対する回答として、例えば項目Aの症例データの修正を受け付ける。ここで、医療機関端末200は、自動問い合わせ(A1)に対する回答として、項目Aの症例データを、“#210”から“210”に修正するとの回答を付けたとする。
【0035】
ステップS9:症例データ管理装置100は、自動問い合わせ(A1)に対する回答を受信し、回答に含まれる修正に応じて、症例データ記憶部8が記憶している症例データを修正する。
【0036】
ステップS10:症例データ管理装置100は、自動問い合わせ(A1)については、回答を受信したため、クローズする。なお、症例データ管理装置100は、自動問い合わせ(A1)については回答を受信したため、修正後の症例データが自動問い合わせ(A1)における第1の基準を満たすか否かに関係なく、自動問い合わせ(A1)をクローズする。
【0037】
ステップS11:次に、症例データ管理装置100は、修正後の症例データに基づいて、再度のロジカルチェックを行う。このとき、症例データ管理装置100は、図2に示すように、自動問い合わせ(A1)〜(A3)間に共通の項目Aについてのみ再度のロジカルチェックを行う。
【0038】
ステップS12:修正後の症例データは“210”は、データ種類が“数値”であるとの第1の基準及び最大の桁数が“3桁”であるとの第2の基準は満たしている。しかし、修正後の症例データは“210”は、許容範囲値が“0〜200cm”であるとの第3の基準は満たしていない。よって、症例データ管理装置100は、自動問い合わせ(A2)の理由は解消し、自動問い合わせ(A3)の理由は解消していないと判断する。
【0039】
ステップS13:症例データ管理装置100は、理由が解消した自動問い合わせ(A2)について、自動問い合わせ(A1)に基づいて回答を作成する。自動問い合わせ(A2)の回答は、例えば次のような回答となる。
【0040】
自動問い合わせA2に対する回答例:『問い合わせ(A1)に対する回答において、項目Aの症例データが“#210”から“210”に修正された結果、問い合わせ(A2)の理由が解消したため、問い合わせ(A2)を自動クローズします。』
ステップS14、S15:症例データ管理装置100は、理由が解消した自動問い合わせ(A2)を自動クローズし(S14)、理由が解消していない自動問い合わせ(A3)はそのまま維持する(S15)。
【0041】
このような症例データ管理装置100は、一の問い合わせに対する回答によって、別の問い合わせの理由が解消する場合には、別の問い合わせに対する回答を作成する。よって、ユーザが別の問い合わせの回答を作成する手間を省く。そのため、問い合わせに対する回答の作成に関して効率化及び短時間化を図ることができる。
【0042】
また、症例データ管理装置100は、一の問い合わせに対する回答によって、別の問い合わせの理由が解消する場合には、別の問い合わせが自動問い合わせであるため、上記ステップS14に示すように別の自動問い合わせを自動クローズする。ここで、自動問い合わせが自動クローズされてしまい、自動問い合わせに対する回答が作成されない場合には、その自動問い合わせがなぜ自動クローズされたのかを追跡調査するのが困難である。しかし、本実施形態の症例データ管理装置100は、別の問い合わせが自動クローズされてしまう場合であっても、上記ステップS13に示すように、別の問い合わせに対する回答を作成して保持する。よって、症例データ管理装置100及びそれを含むシステムの管理者及び治験責任者などによる、問い合わせの追跡調査、あるいは、外部の例えば厚生労働省からの監査人による、問い合わせの追跡調査が容易になる。
【0043】
なお、ステップS10において、自動問い合わせ(A1)については再度のロジカルチェックを行う前にクローズしている。しかし、再度のロジカルチェックにおいて、修正後の症例データが再び第1の基準を満たさないと判断した場合には、症例データ管理装置100は再び自動問い合わせ(A1)を発行することとなる。
【0044】
(2−3)再度のロジカルチェックが行われる範囲
次に、再度のロジカルチェックが行われる範囲について、さらに説明する。再度のロジカルチェックが行われる範囲は、回答がなされた問い合わせに関連する項目に対してである。より詳細には、回答がなされた項目に対して再度のロジカルチェックが行われる。例えば上記図2の例の場合には、症例データ管理装置100は、項目Aについてのみ再度のロジカルチェックを行う。その結果、症例データ管理装置100は、再度のロジカルチェックを行った範囲内において、症例データが別の問い合わせにおける所定の基準を満たしていると判断すると、別の問い合わせに対する回答を、一の問い合わせに対する回答に基づいて作成する。
【0045】
上記(2−1)の基本の処理では、単一の項目Aに対して複数の問い合わせがある場合の例を説明している。以下では、再度のロジカルチェックが行われる範囲をさらに説明するために、複数の項目に対して複数の問い合わせがある場合を例に挙げる。
【0046】
図4〜図6は、複数の項目に対して複数の問い合わせがある場合の例を示す説明図である。
【0047】
図4〜図6では、症例データ管理装置100は、項目Aの症例データについて、3つの自動問い合わせ(A1)〜(A3)を発行しており、項目Bの症例データについて、2つの自動問い合わせ(B1)〜(B2)を発行している。また、症例データ管理装置100は、項目A・項目Bの症例データについて、1つの自動問い合わせ(AB1)を発行している。ここで、項目A・項目Bとは、項目A及び項目B間の大小関係、項目A及び項目Bの関係式など、項目Aと項目Bとの間の関係性を定義する基準である。よって、項目A・項目Bに対する問い合わせとは、項目Aの症例データと項目Bの症例データとの関係性についての問い合わせである。
【0048】
ここで、図4に示すように、症例データ管理装置100が、自動問い合わせ(A1)に対して、項目Aの症例データについて修正を伴う回答を受け付けたとする。この場合、症例データ管理装置100は、修正された項目Aと、その項目Aを含む項目A・項目Bと、について、再度のロジカルチェックを行う。
【0049】
また、図5に示すように、症例データ管理装置100が、自動問い合わせ(B1)に対して、項目Bの症例データについて修正を伴う回答を受け付けたとする。この場合、症例データ管理装置100は、修正された項目Bと、その項目Bを含む項目A・項目Bと、について、再度のロジカルチェックを行う。
【0050】
さらに、図6に示すように、症例データ管理装置100が、自動問い合わせ(AB1)に対して、項目Aの症例データ及び項目Bの症例データの両方について修正を伴う回答を受け付けたとする。この場合、症例データ管理装置100は、項目Aと、項目Bと、項目A・項目Bと、について、再度のロジカルチェックを行う。なお、例えば、自動問い合わせ(AB1)に対して、項目Aの症例データのみについて修正を伴う回答が行われた場合は、症例データ管理装置100は、項目Aと、項目A・項目Bと、について、再度のロジカルチェックを行う。
【0051】
上記図4〜図6に示すように、再度のロジカルチェックが行われる範囲は、回答がなされた問い合わせに関連する項目に対して行われる。よって、症例データ管理装置100は、回答がなされた項目と関連のない項目に対しては、再度のロジカルチェックを行わないため、ロジカルチェックの処理効率を高めることができる。
【0052】
なお、症例データ管理装置100は、問い合わせに対する回答に症例データの修正等が含まれない場合には、再度のロジカルチェックを行わない。これについて前述の図2及び図7を用いて次に説明する。
【0053】
図7は、再度のロジカルチェックが行われない場合において、症例データの受け付けから問い合わせに対する回答の作成までの流れを示すフローチャートの一例である。
【0054】
ステップS21〜S27:前述の図3のステップS1〜S7と同様であり、図2に示すように項目Aについて3つの自動問い合わせ(A1)〜(A3)が発行されている。医療機関端末200は、例えばディスプレイに3つの自動問い合わせ(A1)〜(A3)を問い合わせ一覧として表示する。
【0055】
ステップS28:医療機関端末200は、治験担当医師から自動問い合わせ(A1)に対する回答を受け付ける。このとき、項目Aの症例データについて修正等が無かったとする。
【0056】
ステップS29:症例データ管理装置100は、自動問い合わせ(A1)に対する回答を受信するものの、回答に症例データの修正が含まれないため、症例データ記憶部8に対して症例データの修正は行わない。
【0057】
ステップS30:症例データ管理装置100は、自動問い合わせ(A1)をクローズする。ここで、ステップS28において、症例データの修正等が無いため、症例データ管理装置100は再度のロジカルチェックは行わない。よって、自動問い合わせ(A2)及び自動問い合わせ(A3)はそのまま維持される。
【0058】
再度のロジカルチェックが行われないのは、症例データの修正等が無いため、再度のロジカルチェックの結果と最初のロジカルチェックの結果とに差が無いため、ロジカルチェックを再度行う意味が無いためである。
【0059】
(2−4)手動問い合わせに対する回答について
ここで、症例データ管理装置100は、一の問い合わせに対する回答に基づいて再度のロジカルチェックを行い、その結果、別の自動問い合わせの理由が解消する場合には、別の自動問い合わせに対する回答を作成し、別の自動問い合わせを自動クローズする。しかし、本実施形態例の症例データ管理装置100は、別の問い合わせが手動問い合わせである場合には、その手動問い合わせに対する回答を作成せず、また自動クローズも行わない。これについて前述の図2及び図8を用いて次に説明する。
【0060】
図8は、手動問い合わせを含む問い合わせにおいて、症例データの受け付けから問い合わせに対する回答の作成までの流れを示すフローチャートの一例である。
【0061】
ステップS41〜S47:前述の図3のステップS1〜S7と同様であり、項目Aについて3つの問い合わせが発行されている。3つの問い合わせはそれぞれ、自動問い合わせ(A1)、自動問い合わせ(A2)及び手動問い合わせ(A3)である。医療機関端末200は、例えばディスプレイにこれら3つの問い合わせを含む問い合わせ一覧を表示する。
【0062】
ステップS48:医療機関端末200は、治験担当医師から自動問い合わせ(A1)に対する回答を受け付ける。
【0063】
ステップS49、S50:症例データ管理装置100は、自動問い合わせ(A1)に対して、症例データの修正を含む回答を受信し(S49)、自動問い合わせ(A1)をクローズする(S50)。このとき、症例データ管理装置100は、回答に含まれる修正に応じて、症例データ記憶部8が記憶している症例データを修正する。
【0064】
ステップS51:次に、症例データ管理装置100は、修正後の症例データに基づいて、再度のロジカルチェックを行う。
【0065】
ステップS52〜S54:症例データ管理装置100は、再度のロジカルチェックの結果、自動問い合わせ(A2)の理由が解消したと判断すると(S52)、自動問い合わせ(A2)の回答を、自動問い合わせ(A1)の回答に基づいて作成する(S53)。さらに、症例データ管理装置100は、理由が解消した自動問い合わせ(A2)を自動クローズする(S54)。
【0066】
ここで、症例データ管理装置100は、ユーザが作成した手動問い合わせ(A3)については、例え再度のロジカルチェックで所定の基準を満たす結果となっていても、回答を作成せず、また自動クローズも行わない。
【0067】
ステップS55:次に、症例データ管理装置100は、治験担当医師から手動問い合わせ(A3)に対する回答として、症例データの修正を含む回答を受け付ける。
【0068】
ステップS56〜S58:症例データ管理装置100は、手動問い合わせ(A3)に対する回答を受信し(S56)、手動問い合わせ(A3)をクローズする(S57)。このとき、症例データ管理装置100は、回答に含まれる修正に応じて、症例データ記憶部8が記憶している症例データを修正し、再度のロジカルチェックを行う(S58)。その後、症例データ管理装置100は、再度のロジカルチェックの結果に基づいて新たな問い合わせの有無を決定する。
【0069】
以上の通り、本実施形態例の症例データ管理装置100は、自動問い合わせに対しては自動クローズを設定しているが、自動問い合わせを自動クローズする前に、自動問い合わせに対する回答を作成する。そのため、本実施形態例の症例データ管理装置100を用いれば、特に、自動問い合わせがその理由の解消により自動クローズされてしまう場合でも、自動問い合わせの追跡性が向上する。
【0070】
<実施例>
以下に具体的実施例について説明する。
【0071】
(1)ネットワーク構成
前述の図1に示すように、本実施例に係る症例データ管理システム1000は、症例データ管理装置100と、医療機関に備えられた医療機関端末200(200a、200b、200c・・・)と、を含む。症例データ管理装置100と医療機関端末200とは、ネットワーク50を介して接続されている。このような症例データ管理システム1000としては、例えばEDC(Electronic Data Capture)システムなどが挙げられる。
【0072】
(2)ハードウェア構成
図9は、症例データ管理装置及び医療機関端末のハードウェア構成を示すブロック図の一例である。
【0073】
(2−1)症例データ管理装置
症例データ管理装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、入出力機器I/F(InterFace)105及び通信I/F110を有している。これらは、バス111を介して互いに接続されている。
【0074】
入出力機器I/F105は、ディスプレイ106、マウス107、キーボード108及びプリンタ109などの入出力機器と接続されており、例えばCPU101からの指示に応じて入出力機器を制御する。
【0075】
ROM102は、症例データ管理装置100が行う後述の各種制御に関わる各種制御プログラムを記憶している。各種プログラムには、例えば後述の症例データ管理プログラムが含まれる。
【0076】
HDD104は、症例報告書など症例データに関連する各種データを記憶する。
【0077】
RAM103は、ROM102内の各種制御プログラム及びHDD104内の情報を一時的に記憶する。また、RAM103は、各種制御プログラムの実行に応じて各種フラグなどの情報を一時的に記憶する。
【0078】
CPU101は、ROM102に記憶された各種制御プログラムをRAM103に展開し、各種制御を行う。具体的には、CPU101は、症例データ管理プログラムを実行し、例えば、ロジカルチェックの実行、問い合わせの発行、回答に基づいた症例データの修正、問い合わせに対する回答の作成、問い合わせのクローズ/自動クローズなどを行う。
【0079】
通信I/F111は、CPU101の制御に基づいて、例えば医療機関端末200との間でコマンド又はデータの送受信などの通信を行う。
【0080】
(2−2)医療機関端末
医療機関端末200のハードウェア構成は、症例データ管理装置100と同様である。例えば、医療機関端末200は、CPU201、ROM202、RAM203、HDD204、入出力機器I/F205及び通信I/F210を有している。これらは、バス211を介して互いに接続されている。
【0081】
ROM202は、医療機関端末200が行う後述の各種制御に関わる各種制御プログラムを記憶している。
【0082】
入出力機器I/F205は、ディスプレイ206、マウス207、キーボード208及びプリンタ209などの入出力機器と接続されており、例えばCPU201からの指示に応じて入出力機器を制御する。また、治験担当医師は、マウス207及びキーボード208などを操作することにより、症例データ及び問い合わせに対する回答などの入力を行う。
【0083】
HDD204は、症例データに関連する各種データを記憶する。
【0084】
RAM203は、ROM202内の各種制御プログラム及びHDD204内の情報を一時的に記憶する。また、RAM203は、各種制御プログラムの実行に応じて各種フラグなどの情報を一時的に記憶する。
【0085】
CPU201は、ROM202に記憶された各種制御プログラムをRAM203に展開し、各種制御を行う。具体的には、CPU201は、各種制御プログラムを実行し、例えば、症例データ管理装置100から自動問い合わせ及び手動問い合わせを受信し、問い合わせ一覧をディスプレイ106に表示し、また、問い合わせ一覧をプリンタ209に出力する。
【0086】
通信I/F111は、CPU201の制御に基づいて、例えば症例データ管理装置100との間でコマンド又はデータの送受信などの通信を行う。
【0087】
(3)機能構成
次に症例データ管理装置100及び医療機関端末200の機能構成について説明する。
【0088】
まず症例データ管理装置100の機能構成について説明する。
【0089】
(3−1)症例データ管理装置
図10は、実施例にかかる症例データ管理装置の機能構成を示すブロック図の一例である。
【0090】
症例データ管理装置100の各機能部による処理は、CPU101、ROM102、RAM103、HDD104,入出力機器I/F105及び通信I/F110等が相互に連携することにより実行される。また、ROM102に記憶された症例データ管理プログラムを症例データ管理装置において実行することによって、以下の処理が実行される。
【0091】
症例データ管理装置100の機能部には、例えば、送受信部1、入出力受付部2、症例データ検査部3、問い合わせ作成部4、回答受付部5、修正処理部6、回答作成部7、症例データ記憶部8、項目定義テーブル9、問い合わせ/回答記憶部10及び回答定型文記憶部11などが含まれる。
【0092】
(3−1−1)送受信部
症例データ管理装置100の送受信部1は、医療機関端末200との間で、症例データ、問い合わせ、問い合わせに対する回答及び各種コマンド等を送受信する。
【0093】
(3−1−2)入出力受付部
医療機関端末200は、症例データなどを治験担当医師から受け付ける。入出力受付部2は、医療機関端末200から症例データを受け付け、症例データ記憶部8に格納する。
【0094】
また、入出力受付部2は、問い合わせ作成部4が作成した自動問い合わせ及びユーザが作成した手動問い合わせを問い合わせ/回答記憶部10から読み出し、送受信部1を介して医療機関端末200に送信する。
【0095】
(3−1−3)症例データ記憶部
症例データ記憶部8は、症例報告書の各項目に入力される症例データを記憶する。
【0096】
図11は、症例データ記憶部に記憶される症例データの一例である。症例データ記憶部8では、例えば症例データを大きく分類するカテゴリごとに、細目である項目が設けられている。症例データ記憶部8は、この各項目に対して症例データを記憶している。カテゴリとしては、例えば、治験の被験者に関する被験者情報、治験機関情報、治験内容、治験で使用される薬剤、治験担当医師の問診結果及び検査結果に関する情報である問診・検査、検査機関情報などが挙げられる。
【0097】
また、被験者情報の項目としては、例えば、被験者を識別するための被験者ID、被験者ごと及び治験ごとに付された症例番号、疾患の内容、被験者の生年月日、年齢、性別、身長、体重などが挙げられる。
【0098】
治験機関情報の項目としては、例えば、治験実施機関名及び治験担当医師名などが挙げられる。
【0099】
治験内容の項目としては、例えば、治験方法、治験開始日などが挙げられる。
【0100】
薬剤の項目としては、例えば、使用薬剤名、薬剤投与日及び服薬状況などが挙げられる。
【0101】
治験担当医師の問診・検査の項目としては、例えば、被験者の来院日である問診日(visit)、問診結果、検査機関への検査依頼日、検体の採取日、検査内容及び検査結果などが挙げられる。さらに、問診結果の項目は、問診結果を詳細に記載可能なように、例えば、収縮期血圧及び拡張期血圧などの項目に細分化されている。また、検査結果の項目もまた、検査結果を詳細に記載可能なように、赤血球数及び白血球数などの項目に細分化されている。
【0102】
検査機関情報の項目としては、例えば、検査実施機関名及び検査実施日などが挙げられる。
【0103】
図11の例では、症例データ記憶部8は、被験者IDが“h−0001”の被験者について例えば次の情報を記憶している。治験開始日が“2009.11.10”であり、問診日が“2009.11.15”であり、収縮期血圧が“100”mmHgであり、拡張期血圧が“100”mmHgである。また、症例データ記憶部8は、被験者IDが“h−0002”の被験者について例えば次の情報を記憶している。治験開始日が“2009.12.10”であり、問診日が“2009.12.20”であり、収縮期血圧が“150”mmHgであり、拡張期血圧が“85”mmHgであり、赤血球数が“500万個”/mm3であり、白血球数が“2000”個/mm3である。
【0104】
(3−1−4)項目定義テーブル
症例データ記憶部8の各項目については、項目にどのような症例データが入力されるべきか、項目が入力必須項目か否かなど、属性が定義されている。項目定義テーブル9は、この項目の属性の定義を記憶する。
【0105】
図12は項目定義テーブルの一例である。図12の項目定義テーブル9では、各項目ごとに、例えばデータ種類、桁数、許容範囲値及び項目間の関係などが定義されている。データ種類は、英数字、テキスト、日付、数値など、項目に入力可能な値の種類を意味する。桁数は、入力可能な最大桁数を意味する。許容範囲値は、その項目の症例データが正常な場合にとり得る正常範囲値を意味する。項目間の関係とは、複数の項目どうしの大小関係、複数の項目どうしが満たすべき数式などを意味する。
【0106】
その他、項目に定義される属性としては、入力必須項目かあるいは入力任意項目かなどの設定、小数点以下の必須桁数などが挙げられる。
【0107】
図12の項目定義テーブル9では、例えば、収縮期血圧の属性としては、データ種類が“数値”であり、最大の桁数が“3桁”であり、許容範囲値が“110〜180”mmHgであり、項目間の関係が“収縮期血圧>拡張期血圧”と定義されている。ここで、一の項目に定義されたデータ種類、桁数、許容範囲値及び項目間の関係などのそれぞれの属性が、項目の属性を定義するそれぞれの基準となる。つまり、収縮期血圧の属性の場合、データ種類が“数値”であることが第1の基準であり、最大の桁数が“3桁”であることが第2の基準であり、許容範囲値が“110〜180”mmHgであることが第3の基準であり、項目間の関係が“収縮期血圧>拡張期血圧”であることが第4の基準となる。
【0108】
また、拡張期血圧の属性としては、データ種類が“数値”であり、最大の桁数が“3桁”であり、許容範囲値が“50〜100”mmHgあり、項目間の関係が“収縮期血圧>拡張期血圧”と定義されている。その他、例えば、身長の属性としては、データ種類が“数値”であり、最大の桁数が“3桁”であり、許容範囲値が“0〜200”cmと定義されている。
【0109】
(3−1−5)症例データ検査部
症例データ検査部3は、症例データ記憶部8の各項目の症例データについて、症例データが項目定義テーブル9で定義された基準を満たしているか否かを検査する。例えば、症例データ検査部3は、症例データ記憶部8からある項目の症例データを読み出し、項目定義テーブル9から当該項目の属性を定義する基準を読み出し、症例データと属性とを比較して検査する。この検査はロジカルチェックと言われる。ロジカルチェックのタイミングは特に限定されないが、例えば、ロジカルチェックは、入出力受付部2が症例データを受け付け、当該症例データが症例データ記憶部8に格納される度に行われる。
【0110】
次に、症例データ検査部3によるロジカルチェックの一例を説明する。例えば症例データ検査部3は、症例データ記憶部8から、被験者IDが“h−0001”の被験者について、項目が収縮期血圧の症例データとして“100”mmHgを読み出し、項目が拡張期血圧の症例データとして“100”mmHgを読み出したとする。また、症例データ検査部3は、項目定義テーブル9から収縮期血圧の属性として、前述の第1〜第4の基準を読み出す。なお、第1の基準はデータ種類が“数値”であるとの基準であり、第2の基準は最大の桁数が“3桁”であるとの基準であり、第3の基準は許容範囲値が“110〜180”mmHgであるとの基準であり、第4の基準は項目間の関係が“収縮期血圧>拡張期血圧”であるとの基準である。
【0111】
さらに、症例データ検査部3は、収縮期血圧“100”mmHg及び拡張期血圧“100”mmHgと、第1の基準〜第4の基準とを照らし合わせて、症例データが基準を満たすか否かを検査する。その結果、症例データ検査部3は、収縮期血圧“100”mmHgと拡張期血圧“100”mmHgとが、収縮期血圧>拡張期血圧”の関係に無いとの第1のロジカルチェック結果を得る。さらに、症例データ検査部3は、収縮期血圧“100”mmHgが、許容範囲値“110〜180”mmHgの範囲内に無いとの第2のロジカルチェック結果を得る。
【0112】
症例データ検査部3は、前述のように、ある項目の症例データがその項目に定義された属性を満たさないとのロジカルチェック結果を得た場合は、そのロジカルチェック結果及び関連する情報を問い合わせ作成部4に出力する。関連する情報とは、例えば、ロジカルチェックの対象となったロジカルチェック項目及び症例データが基準を満たさなかったエラー属性などが挙げられる。例えば、症例データ検査部3は、前述の第1のロジカルチェック結果とともに、ロジカルチェック項目である“収縮期血圧”及び“拡張期血圧”と、エラー属性である“項目間の関係”と、を問い合わせ作成部4に出力する。また、例えば、症例データ検査部3は、前述の第2のロジカルチェック結果とともに、ロジカルチェック項目である“収縮期血圧”と、エラー属性である“許容範囲値”と、を問い合わせ作成部4に出力する。
【0113】
さらに、症例データ検査部3は後述の修正処理部6からの指示に基づいて再度のロジカルチェックを行う。後述の修正処理部6は、症例データ記憶部8において症例データを修正すると、症例データ検査部3に再度のロジカルチェックを指示する。症例データ検査部3は、この再度のロジカルチェックの指示に応じて、修正後の症例データに基づいてロジカルチェックを行う。症例データ検査部3は、再度のロジカルチェック結果を問い合わせ作成部4及び/又は回答作成部7に出力する。再度のロジカルチェックの説明については、修正処理部6及び回答作成部7の説明とともに行う。
【0114】
(3−1−6)問い合わせ作成部、問い合わせ/回答記憶部
問い合わせ作成部4は、症例データ記憶部8の症例データが項目属性テーブルで定義された属性を満たさない旨を症例データ検査部3から受信すると、自動問い合わせを作成する。また、問い合わせ作成部4は、症例データ管理装置100及び医療機関端末200などのユーザから手動問い合わせを受け付けるか、あるいは、手動問い合わせ作成の指示に基づいて手動問い合わせを作成する。問い合わせ作成部4は、自動問い合わせ及び手動問い合わせを問い合わせ/回答記憶部10に格納する。
【0115】
図13は問い合わせ/回答記憶部に記憶された問い合わせの一例である。問い合わせID“QRY−0001”及び問い合わせID“QRY−0002”の自動問い合わせについて次に説明する。なお、以下では、簡単のため、問い合わせID“QRY−0001”の自動問い合わせとの記載は、自動問い合わせ“QRY−0001”と記載する。
【0116】
まず、問い合わせ作成部4は、前述の被験者ID“h−0001”の収縮期血圧について、症例データ検査部3からロジカルチェック結果及び関連する情報を受信する。例えば、問い合わせ作成部4は、収縮期血圧“100”mmHgと拡張期血圧“100”mmHgとが、収縮期血圧>拡張期血圧”の関係に無いとの第1のロジカルチェック結果を受信する。このとき、問い合わせ作成部4は、第1のロジカルチェック結果とともに、ロジカルチェック項目である“収縮期血圧”及び“拡張期血圧”と、エラー属性である“項目間の関係”と、を症例データ検査部3から受信する。さらに、問い合わせ作成部4は、収縮期血圧“100”mmHgが、許容範囲値“110〜180”mmHgの範囲内に無いとの第2のロジカルチェック結果を受信する。このとき、問い合わせ作成部4は、第2のロジカルチェック結果とともに、ロジカルチェック項目である“収縮期血圧”と、エラー属性である“許容範囲値”と、を症例データ検査部3から受信する。
【0117】
次に、問い合わせ作成部4は、症例データ検査部3からのロジカルチェック結果及び関連する情報に基づいて問い合わせを作成する。例えば、問い合わせ作成部4は、第1のロジカルチェック結果に応じて、自動問い合わせ“QRY−0001”を作成し、問い合わせ/回答記憶部10に格納する。問い合わせ内容は次の通りである。
【0118】
自動問い合わせ“QRY−0001”の問い合わせ内容:『収縮期血圧と拡張期血圧とが同じになっています。再確認お願いします。』
また、問い合わせ作成部4は、症例データ検査部3から受信したロジカルチェック項目に基づいて、自動問い合わせ“QRY−0001”の問い合わせ項目として、収縮期血圧“100”mmHgと拡張期血圧“100”mmHgとを問い合わせ/回答記憶部10に格納する。さらに、問い合わせ作成部4は、自動問い合わせ“QRY−0001”のエラー属性として、“項目間の関係”を問い合わせ/回答記憶部10に格納する。また、問い合わせ作成部4は、問い合わせを作成すると、問い合わせの状態として例えば“発行”を問い合わせ/回答記憶部10に格納する。
【0119】
ここで、問い合わせ作成部4が作成した問い合わせは、ユーザが手動で作成した手動問い合わせではなく、自動問い合わせである。よって、問い合わせ作成部4は、問い合わせ種別として“自動”を問い合わせ/回答記憶部10に格納する。その他、問い合わせ作成部4は、問い合わせに関連する種々の情報を症例データ検査部3から受信し、図13に示すように問い合わせ/回答記憶部10に格納する。
【0120】
同様に、問い合わせ作成部4は、第2のロジカルチェック結果及び関連する情報に応じて、自動問い合わせ“QRY−0002”を作成し、問い合わせ/回答記憶部10に格納する。また、問い合わせ作成部4は、自動問い合わせ“QRY−0002”の問い合わせ項目として収縮期血圧“100”mmHgを、エラー属性として“許容範囲値”を、問い合わせの状態として“発行”を、問い合わせ種別として“自動”などを問い合わせ/回答記憶部10に格納する。なお、問い合わせ内容は次の通りである。
【0121】
自動問い合わせ“QRY−0002”の問い合わせ内容:『範囲エラー』
次に、手動問い合わせ“QRY−0004”について次に説明する。自動問い合わせ“QRY−0001”及び自動問い合わせ“QRY−0002”は自動問い合わせである。しかし、問い合わせは、症例データ管理装置100及び医療機関端末200などのユーザにより作成される手動問い合わせであっても良い。例えば、まず、問い合わせ作成部4は、症例データ管理装置100及び医療機関端末200などのユーザから、送受信部1を介して手動問い合わせ作成の指示を受け付ける。問い合わせ作成部4は、指示内容に基づいて手動問い合わせを作成して問い合わせ/回答記憶部10に格納する。このとき、問い合わせ/回答記憶部10には、問い合わせID“QRY−0004”の問い合わせ種別として“手動”が格納される。なお、問い合わせ作成部4は、ユーザからの指示に基づいて手動問い合わせを作成するのではなく、手動問い合わせをユーザから受け付け、問い合わせ/回答記憶部10に格納しても良い。
【0122】
また、問い合わせ作成部4は、例えば医療機関端末200から問い合わせへのアクセスを受け付けると、後述の問い合わせ検索画面及び問い合わせ回答画面の作成に必要なデータを問い合わせ/回答記憶部10から読み出し、医療機関端末200に送信する。
【0123】
図14は問い合わせ検索画面の一例であり、図15は問い合わせ回答画面の一例である。医療機関端末200は、治験担当医師から問い合わせ検索画面を表示するための、例えば、問い合わせ検索画面コマンドを受け付けると、症例データ管理装置100に送信する。症例データ管理装置100の入出力受付部2は、問い合わせ検索画面コマンドに基づいて、問い合わせ/回答記憶部10から問い合わせに関連するデータを読み出し、医療機関端末200に送信する。医療機関端末200は、問い合わせに関連するデータに基づいて、図14に示す問い合わせ検索画面を作成し、医療機関端末のディスプレイ206に表示する。問い合わせ検索画面には、その上段に、被験者番号、症例番号、治験実施機関名、問い合わせ種別及び問い合わせIDなどの入力欄20と、検索を実行するための検索ボタン21が設けられている。治験担当医師が入力欄20に値を入力して検索ボタン21を押すと、図14に示すように、所望の問い合わせに関連する問い合わせ一覧22が問い合わせ検索画面の後段に表示される。
【0124】
次に、治験担当医師が問い合わせ一覧22の中から所望の問い合わせを、選択ボタン23を用いて選択すると、医療機関端末200は選択コマンドを症例データ管理装置100に送信する。症例データ管理装置100の入出力受付部2は、選択コマンドに基づいて、問い合わせ/回答記憶部10からデータを読み出し、医療機関端末200に送信する。医療機関端末200は、問い合わせ作成部4からのデータに基づいて、図15に示す問い合わせ回答画面を作成し、医療機関端末のディスプレイ206に表示する。
【0125】
図15の問い合わせ回答画面の上段には問い合わせ詳細欄24が設けられ、選択された問い合わせに関する詳細データが示される。詳細データとしては、例えば、問い合わせID、問い合わせ種別、問い合わせ内容、発行者、発行日時、被験者番号、症例番号、問診日及びCRFなどが挙げられる。また、図15の問い合わせ回答画面の下段には、回答欄25が設けられている。回答欄25には、治験担当医師などが回答を入力するための回答入力欄26及び問い合わせ項目一覧27などが設けられている。問い合わせ項目一覧27には、問い合わせ項目の修正前の値が表示されるとともに、修正の有無をチェックする修正チェック欄、データの測定がされたか否かをチェックする欠側チェック欄、修正後の値及び修正理由を入力する入力欄が設けられている。
【0126】
なお、図15には、自動問い合わせ“QRY−0001”に基づいた問い合わせ回答画面が表示されている。ここで、図13の問い合わせ/回答記憶部10を参照すると、問い合わせID“QRY−0001”の問い合わせ項目は、収縮期血圧“100”mmHg及び拡張期血圧“100”mmHgである。よって、図15の問い合わせ回答画面では、問い合わせ項目として“収縮期血圧”及び“拡張期血圧”が表示され、それぞれ修正前の値として“100”mmHgが表示されている。
【0127】
(3−1−7)回答受付部
医療機関端末200は、前述の図15に示す問い合わせ回答画面を介して、例えば治験担当医師から問い合わせに対する回答を受け付ける。回答受付部5は、送受信部1を介して医療機関端末200から回答を受け付ける。回答受付部5は、問い合わせ/回答記憶部10に問い合わせに対する回答を格納し、当該問い合わせをクローズするとともに、症例データの修正等がある場合は修正処理部6に症例データの修正を依頼する。
【0128】
回答受付部5の処理について図16、図17を用いて以下に説明する。図16は問い合わせ回答画面に入力された回答の一例であり、図17は回答が格納された問い合わせ/回答記憶部の一例である。
【0129】
医療機関端末200のディスプレイ206には、自動問い合わせ“QRY−0001”について、図15に示す問い合わせ回答画面が表示されているものとする。ここで、医療機関端末200のユーザである治験担当医師は、図16に示すように、回答入力欄26に“収縮期血圧を修正。”と入力している。さらに、治験担当医師は、問い合わせ項目一覧27において、修正チェック欄をチェックし、修正後の収縮期血圧の値として“150”mmHgを入力し、修正理由として“入力ミス”を入力している。また、治験担当医師は、回答の入力が終了すると、回答ボタン28を押して回答を確定し、症例データ管理装置100に送信する。回答受付部5は、治験担当医師のこれらの入力を、自動問い合わせ“QRY−0001”に対する回答として受け付け、問い合わせ/回答記憶部10に回答を格納する。図17に示すように、問い合わせ/回答記憶部10には、自動問い合わせ“QRY−0001”について、回答入力の欄に“収縮期血圧を修正。”が格納され、また、修正項目(1)の欄に“収縮期血圧”が“150”mmHgが格納されている。問い合わせ/回答記憶部10には、その他、修正者及び修正を承認した修正承認者などを特定するための情報などが格納されていても良い。
【0130】
なお、問い合わせ/回答記憶部10には、修正前の収縮期血圧が、問い合わせ項目の欄に格納されている。よって、修正前の値は問い合わせ項目の欄に記憶され、修正後の値は修正項目の欄に記憶されるため、修正履歴を残すことができる。
【0131】
また、回答受付部5は、回答を受け付けたため、自動問い合わせ“QRY−0001”をクローズし、図17に示すように問い合わせ/回答記憶部10において問い合わせの状態を“発行”から“クローズ”に変更する。
【0132】
さらに、回答受付部5は、受け付けた回答によって症例データの修正が行われた場合には、修正処理部6に症例データ記憶部8の症例データの修正指示を行う。例えば、回答受付部5が図16に示す回答を受け付けているとする。この場合、回答受付部5は、問い合わせ項目一覧27において、収縮期血圧の修正チェック欄がチェックされ、修正後の値が入力されていることに基づいて、修正処理部6に修正を指示する。例えば、回答受付部5は、『被験者番号“h−0001”及び問診日“2009.11.15”の“収縮期血圧”を“150”mmHgに修正。』との修正指示を行う。
【0133】
なお、同一被験者でも問診が複数回に亘る場合には、問診日ごとに症例データを区別する必要があるため、修正指示には問診日が含まれ得る。その他、例えば症例番号など、症例データ記憶部8においてどの症例データが修正されたのかを特定するための、あらゆるデータが修正指示に含まれ得る。
【0134】
(3−1−8)修正処理部
(i)修正
修正処理部6は、回答受付部5からの修正指示に基づいて、症例データ記憶部8の症例データを修正する。図16の回答に基づいた上述の修正指示の場合、修正処理部6は、図11の症例データ記憶部8において、被験者番号“h−0001”及び問診日“2009.11.15”の“収縮期血圧”を“100”mmHgから“150”mmHgに修正する。
【0135】
(ii)再度のロジカルチェック及びそれに伴う処理
次に、修正処理部6は、症例データの修正を行うと、症例データ検査部3に修正後の症例データに対して再度のロジカルチェックを指示する。再度のロジカルチェックの指示は、例えば回答受付部5からの修正指示に基づいて作成され、修正を伴う回答がなされた問い合わせにおける、被験者番号、問診日及び修正がされた項目などが含まれる。前述の修正指示の場合、修正処理部6は、被験者番号“h−0001”、問診日“2009.11.15”及び“収縮期血圧”における修正後の症例データに対して、再度のロジカルチェックを行うように症例データ検査部3に指示する。
【0136】
この場合、まず、症例データ検査部3は、被験者番号“h−0001”、問診日“2009.11.15”及び“収縮期血圧”について、修正後の症例データである“150”mmHgを図11の症例データ記憶部8から読み出す。症例データ検査部3は、この“150”mmHgについて、項目定義テーブル9を参照して再度のロジカルチェックを行う。ここで、修正後の収縮期血圧の症例データ“150”mmHgは、データ種類が“数値”であり、桁数が“3桁”であり、許容範囲値“110〜180”mmHgの範囲内にある。また、図11の症例データ記憶部8を参照すると、被験者番号“h−0001”及び問診日“2009.11.15”の拡張期血圧の症例データは“100”mmHgである。よって、収縮期血圧“150”mmHg>拡張期血圧“100”mmHgの関係も満たしている。
【0137】
次に、症例データ検査部3は、修正を伴う回答がなされた一の問い合わせと関連する、別の問い合わせがあるか否かを判断する。例えば、症例データ検査部3は、一の問い合わせと、被験者番号及び問診日が同じであり、さらに問い合わせ項目の少なくとも一部が一致する、別の問い合わせがあるか否かを判断する。また、症例データ検査部3は、別の問い合わせが存在する場合には、未だクローズ又は自動クローズされていないかを判断し、さらに、自動問い合わせかどうかを判断する。未だクローズ又は自動クローズされていない別の問い合わせが自動問い合わせである場合は、症例データ検査部3は、その別の問い合わせについて、再度のロジカルチェックにより問い合わせの理由が解消したか否かを判断する。
【0138】
例えば、回答受付部5が自動問い合わせ“QRY−0001”対して修正を伴う回答を受け付けた後には、問い合わせ/回答記憶部10の各症例データは図17に示される状態となっている。自動問い合わせ“QRY−0001”と自動問い合わせ“QRY−0002”とは、被験者番号“h−0001”及び問診日“2009.11.15”が一致している。また、自動問い合わせ“QRY−0001”の問い合わせ項目は“収縮期血圧”及び“拡張期血圧”であり、自動問い合わせ“QRY−0002”の問い合わせ項目は“収縮期血圧”であり、“収縮期血圧”において一致している。よって、自動問い合わせ“QRY−0001”に関連する別の問い合わせとして、自動問い合わせ“QRY−0002”が存在している。さらに、自動問い合わせ“QRY−0002”は、問い合わせ状態が“発行”でありクローズ又は自動クローズされておらず、また、問い合わせ種別は“自動”である。なお、自動問い合わせ“QRY−0001”については、医療機関端末200から回答を受け付けたため、問い合わせ状態は“クローズ”となっている。よって、症例データ検査部3は、自動問い合わせ“QRY−0001”に対する回答後の再度のロジカルチェックによって、自動問い合わせ“QRY−0002”について問い合わせの理由が解消したか否かを判断する。
【0139】
ここで、自動問い合わせ“QRY−0002”は、エラー属性が“許容範囲値”であり、その問い合わせ内容は、収縮期血圧“100”mmHgが許容範囲値“110〜180”mmHgの範囲内に無いとの“範囲エラー”である。しかし、修正後の収縮期血圧“150”mmHgは、許容範囲値“110〜180”mmHgの範囲内にある。症例データ検査部3は、これらの結果に基づいて、自動問い合わせ“QRY−0002”の理由が、自動問い合わせ“QRY−0001”に対する回答によって解消したと判断する。この判断結果に基づいて、症例データ検査部3は、自動問い合わせ“QRY−0001”に対する回答に基づいて、自動問い合わせ“QRY−0002に対する回答を作成するように指示する回答作成指示を回答作成部7に出力する。
【0140】
なお、症例データ検査部3は、再度のロジカルチェックにおいて、定義された属性を満たさないとの新たな結果を得た場合は、問い合わせ作成部4に新たな問い合わせの作成を指示する。
【0141】
(3−1−9)回答作成部、回答定型文記憶部
一の問い合わせに対する回答に基づいて別の問い合わせの理由が解消した場合、回答作成部7は、一の問い合わせに対する回答に基づいて別の問い合わせの回答を作成する回答作成指示を、症例データ検査部3から受信する。回答作成部7は、前記回答作成指示に基づいて回答定型文記憶部11から適切な回答定型文を読み出し、回答定型文と、一の問い合わせに対する回答と、に基づいて、別の問い合わせに対する回答を作成する。
【0142】
図18は回答定型文記憶部の一例である。回答定型文記憶部11は、回答定型文IDごとに回答定型文を記憶している。回答定型文ID“K0001”の回答定型文の場合、回答定型文の中に入力欄が設けられており、回答に応じた変数が入力される。入力欄としては、例えばID番号、項目、修正理由、修正前値及び修正後値などが入力される欄が挙げられる。
【0143】
例えば、回答作成部7は次のように回答を作成する。ここで、回答作成指示は、自動問い合わせ“QRY−0001”に対する回答に基づいて、自動問い合わせ“QRY−0002に対する回答を作成するとの指示である。回答作成部7は、問い合わせ/回答記憶部10を参照し、回答の作成に必要なデータを取得する。例えば、回答作成部7は、自動問い合わせ“QRY−0001”について、修正項目である“収縮期血圧”、修正前の値である“100”mmHg、修正後の値である“150”mmHg、修正理由である“入力ミス”などを取得する。
【0144】
次に、回答作成部7は、回答定型文記憶部11から適切な回答定型文を選択する。例えば、回答作成部7は、回答の作成のために取得した前記データに基づいて、症例データが修正されていると判断すると、例えば修正をキーワードとする、回答定型文ID“K0001”の回答定型文を選択する。なお、回答定型文記憶部11は、問い合わせ回答画面の修正チェック欄のチェックと、回答定型文ID“K0001”と、を対応付けて記憶しても良い。これにより、図15及び図16の問い合わせ回答画面において修正チェック欄がチェックされていることに基づいて、回答作成部7は回答定型文ID“K0001”を選択可能である。
【0145】
回答作成部7は、選択した回答定型文と、取得した前記データに基づいて、自動問い合わせ“QRY−0002”に対する回答を作成する。回答定型文ID“K0001”の回答定型文の場合は、回答作成部7は、取得した前記データを各入力欄に入力することで次のような回答を作成する。
『問い合わせID“QRY−0001”において、“収縮期血圧”が“入力ミス”により“100”から“150”に修正された結果、当該問い合わせ(問い合わせID“QRY−0002”)の条件を満たすため自動クローズします。』
上記の回答には、“QRY−0001”など、その回答がどの問い合わせに対する回答に基づいて作成されたかが明示されているため、追跡性が高い監査証跡を得ることができる。また、上記の回答には、修正前及び修正後の症例データ及び修正理由などが含まれるため、症例データがどのように修正された結果、問い合わせの理由が解消したか、また、修正が必要となった理由などを即座に知ることができる。その他、回答には症例データの修正者及び修正の承認者などを特定する情報が含まれていても良い。
【0146】
回答作成部7は、自動問い合わせ“QRY−0002”に対する回答を問い合わせ/回答記憶部10に格納するとともに、自動問い合わせ“QRY−0002”を自動クローズする。図19は、自動問い合わせ“QRY−0002”に対する回答が格納された問い合わせ/回答記憶部の一例である。自動問い合わせ“QRY−0002”の回答入力欄には、上記回答が格納されており、問い合わせ状態として“自動クローズ”が格納されている。
【0147】
上記では、回答作成部7は、症例データ検査部3から通知された問い合わせIDに基づいて、問い合わせ/回答記憶部10を参照して回答を作成する。しかし、回答作成部7は、回答を作成するために必要な全てのデータを症例データ検査部3から受信して、これらのデータに基づいて回答を作成するようにしても良い。例えば、回答作成部7は、自動問い合わせ“QRY−0001”に対する回答に基づいて、自動問い合わせ“QRY−0002に対する回答を作成するとの指示を症例データ検査部3から受信する。さらに、回答作成部7は、自動問い合わせ“QRY−0001”について、修正項目である“収縮期血圧”、修正前の値である“100”mmHg、修正後の値である“150”mmHg、修正理由である“入力ミス”などのデータを症例データ検査部3から受信する。これらのデータに基づいて、回答作成部7は上記の回答を作成する。
【0148】
(3−2)医療機関端末
次に医療機関端末200の機能構成について簡単に説明する。医療機関端末200の各機能部による処理は、CPU201及びROM202などが連携することにより実行される。医療機関端末200の機能部としては、例えば、入力受付部(図示せず)及び画面作成部(図示せず)などが挙げられる。入力受付部は、医療機関端末200に備えられたキーボード208及びマウス207などの入出力機器を介して、例えば治験担当医師から問診結果及び検査結果などの症例データの入力を受け付ける。また、画面作成部は、前述の図14〜図16に示す問い合わせに関する画面などを作成し、ディスプレイ206に表示する。
【0149】
(4)処理の流れ
以下に、本実施例にかかる症例データ管理装置が実行する処理の流れを説明する。
【0150】
図20は、本実施例にかかる症例データ管理装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0151】
ステップS61:回答受付部5が医療機関端末200から一の問い合わせに対する回答を受け付けると、以下の処理が実行される。
【0152】
ステップS62:回答受付部5は、受け付けた回答によって症例データの修正が行われたか否かを判断する。修正が行われた場合はステップS63に進み、修正が行われなかった場合は処理を終了する。よって、修正が行われなかった場合は再度のロジカルチェックを行われない。
【0153】
ステップS63:回答受付部5は、症例データの修正が行われた場合には、修正処理部6に症例データ記憶部8の症例データの修正指示を行う。修正処理部6は、症例データの修正を行うと、症例データ検査部3に修正後の症例データに対して再度のロジカルチェックを指示する。症例データ検査部3は、修正後の症例データについて、項目定義テーブル9を参照して再度のロジカルチェックを行う。
【0154】
ステップS64:次に、症例データ検査部3は、修正を伴う回答がなされた一の問い合わせと関連する、別の問い合わせが存在するか否かを判断する。別の問い合わせが存在する場合はステップS65に進み、別の問い合わせが存在しない場合は処理を終了する。
【0155】
ステップS65:症例データ検査部3は、別の問い合わせのうち、未だクローズ又は自動クローズされていない問い合わせが、自動問い合わせかどうかを判断する。自動問い合わせである場合はステップS66に進み、手動問い合わせである場合はステップS64に戻る。よって、手動問い合わせの場合は、回答の作成及び問い合わせの自動クローズは行われない。
【0156】
ステップS66:症例データ検査部3は、別の自動問い合わせについて、再度のロジカルチェックにより問い合わせの理由が解消したか否かを判断する。問い合わせの理由が解消している場合はステップS67に進み、解消していない場合はステップS69に進む。
【0157】
ステップS67:別の自動問い合わせについての理由が解消したため、症例データ検査部3は、回答作成指示を回答作成部7に指示する。回答作成部7は、回答作成指示に基づいて別の自動問い合わせの回答を作成する。
【0158】
ステップS68:回答作成部7は、別の自動問い合わせの回答を作成すると、別の自動問い合わせを自動クローズする。別の問い合わせがさらに存在するか否かを判断するため、ステップS64に戻る。
【0159】
ステップS69:問い合わせ/回答記憶部10は、別の自動問い合わせについて理由が解消していない場合は、その別の自動問い合わせをそのまま維持する。
【0160】
また、前述の方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明の範囲に含まれる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)、MO(Magneto Optical disk)、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM(DVD−Random Access Memory)、BD(Blue-ray Disc)、USBメモリ、半導体メモリなどを挙げることができる。前記コンピュータプログラムは、前記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【0161】
<その他の実施形態例>
(a)変形例1
上記実施形態例及び実施例の場合、ユーザによって回答がされた一の問い合わせは自動問い合わせであるが、手動問い合わせであっても良い。
【0162】
つまり、上記実施形態例及び実施例では、症例データ管理装置100は、ユーザによる一の自動問い合わせに対する回答によって、別の自動問い合わせの理由が解消する場合には、別の自動問い合わせに対する回答を一の自動問い合わせに対する回答に基づいて作成する。その後、症例データ管理装置100は、別の自動問い合わせを自動クローズする。例えば、図3のステップS12〜14において、症例データ管理装置100は、自動問い合わせ(A2)の理由が解消した場合には(S12)、自動問い合わせ(A2)に対する回答を作成し(S13)、自動問い合わせ(A2)を自動クローズする。
【0163】
しかし、前記一の問い合わせは手動問い合わせであっても良い。例えば、症例データ管理装置100は、一の手動問い合わせに対する回答によって、別の自動問い合わせの理由が解消する場合には、別の自動問い合わせに対する回答を一の手動問い合わせの回答に基づいて作成する。
【0164】
また、上記実施形態例及び実施例の場合、症例データ管理装置100が回答を作成する問い合わせは自動問い合わせであるが、手動問い合わせであっても良い。例えば、症例データ管理装置100は、一の自動問い合わせに対する回答によって、別の手動問い合わせの理由が解消する場合には、別の手動問い合わせに対する回答を一の自動問い合わせに対する回答に基づいて作成する。
【0165】
また、上記実施形態例及び実施例では、自動問い合わせに対して自動クローズが設定されているが、手動問い合わせに対して自動クローズを設定しても良い。例えば、症例データ管理装置100は、一の自動問い合わせに対する回答によって、別の手動問い合わせの理由が解消する場合には、別の手動問い合わせに対する回答を作成し、別の手動問い合わせを自動クローズする。
【0166】
また、上記実施形態例及び実施例では、症例データ管理装置100は、理由が解消した別の自動問い合わせを自動クローズするが、必ずしも自動クローズする必要は無く、そのまま問い合わせを維持しても良い。例えば、症例データ管理装置100は、一の問い合わせに対する回答によって、別の自動問い合わせの理由が解消する場合には、別の自動問い合わせの回答を作成し、別の自動問い合わせをそのまま維持する。
【0167】
上記の本変形例をまとめると次の通りである。
【0168】
・ユーザによって回答がされた一の問い合わせは自動問い合わせ又は手動問い合わせのいずれでも良い。
【0169】
・症例データ管理装置100が回答を作成する問い合わせは、自動問い合わせ又は手動問い合わせのいずれでも良い。
【0170】
・ユーザによる回答によって、自動問い合わせ又は手動問い合わせの理由が解消する場合、その自動問い合わせ又は手動問い合わせは自動クローズされるか、そのまま維持される。
【0171】
これらの条件に基づけば、まず、症例データ管理装置100は、ユーザによる一の自動問い合わせ又は一の手動問い合わせに対する回答を受け付ける。次に、症例データ管理装置100は、その回答によって、別の自動問い合わせ又は別の手動問い合わせの理由が解消するか否かを判断する。問い合わせの理由が解消する場合には、症例データ管理装置100は、別の自動問い合わせ又は別の手動問い合わせに対する回答を、一の自動問い合わせ又は一の手動問い合わせに対する回答に基づいて作成する。その後、症例データ管理装置100は、別の自動問い合わせ又は手動問い合わせを自動クローズするか、あるいは、そのまま維持する。
【0172】
(b)変形例2
上記実施形態例及び実施例では、別の問い合わせの理由が解消する場合とは、一の問い合わせに対する回答において症例データの修正があり、その修正に起因して問い合わせの理由がなくなる場合である。その他、別の問い合わせの理由が解消する場合とは、例えば、一の問い合わせに対する回答によって入力すべき項目欄の間違いが判明し、別の問い合わせそのものがなくなる場合などが挙げられる。
【0173】
例えば、一の問い合わせ及び別の問い合わせがともに項目Aについての問い合わせであるとする。ここで、本来は項目Bに入力すべきところを項目Aに入力してしまったことが、一の問い合わせの回答によって判明した場合などが本変形例に該当する場合である。
【0174】
例えば、回答受付部5は、別途の問い合わせ回答画面(図示せず)において、一の問い合わせの回答として、入力すべき項目欄の変更、変更後の項目欄の症例データ及び変更前の項目欄の症例データの削除などを受け付ける。このとき、一の問い合わせの回答によって、症例データの入力箇所が項目Aから項目Bに変更された場合、項目Aに関連する別の問い合わせの理由が解消する。
【0175】
具体例を以下に説明する。ある被験者ID及びある問診日について、収縮期血圧の症例データとして“5000”mmHgが入力されていたとする。なお、拡張期血圧は“100”mmHgであるものとする。症例データ検査部3は、図12の項目定義テーブル9を参照し、収縮期血圧“5000”mmHgについてロジカルチェックを行う。ここで、収縮期血圧“5000”mmHgは、データ種類が“数値”であるとの第1の基準は満たしている。しかし、収縮期血圧“5000”は、最大の桁数が“3桁”であるとの第2の基準、許容範囲値が“110〜180”mmHgであるとの第3の基準、項目間の関係が“収縮期血圧>拡張期血圧”であるとの第4の基準を満たしていない。よって、問い合わせ作成部4は、第2の基準、第3の基準及び第4の基準を満たしていないとして、それぞれ自動問い合わせ(第2の基準)、自動問い合わせ(第3の基準)、自動問い合わせ(第4の基準)を作成する。
【0176】
次に、回答受付部5が、自動問い合わせ(第2の基準)に対する回答として、変更後の項目欄として“白血球数”、変更後の症例データとして“5000”、削除する項目欄として“収縮期血圧”を受け付ける。修正処理部6は、前記回答に基づいて症例データの修正を行う。また、症例データ検査部3は、自動問い合わせ(第2の基準)に対する回答に基づいて再度のロジカルチェックを行う。ここで、“収縮期血圧”の症例データが削除されているため、“収縮期血圧”に関連する自動問い合わせ(第3の基準)及び自動問い合わせ(第4の基準)の理由は解消する。結局、自動問い合わせ(第2の基準)に対する回答に基づいて、自動問い合わせ(第3の基準)及び自動問い合わせ(第4の基準)の理由が解消する。症例データ検査部3は、これらの情報に基づいて回答作成部7に自動問い合わせ(第3の基準)及び自動問い合わせ(第4の基準)の回答の作成を指示する。
【0177】
次に、回答作成部7は、項目欄が変更されていると判断すると、例えば“項目欄の間違い”をキーワードとする、回答定型文ID“K0002”の回答定型文を回答定型文記憶部11から選択する。そして、この回答定型文に基づいて、自動問い合わせ(第3の基準)及び自動問い合わせ(第4の基準)の回答を作成する。
【0178】
(c)変形例3
上記実施形態例及び実施例では、症例データ管理システム1000には、症例データ管理装置100及び医療機関端末200のみが含まれる例を説明した。しかし、症例データ管理システム1000には、その他、検査機関端末300及び製薬会社端末400が含まれていても良い。
【0179】
図21は、他の症例データ管理システムに係るネットワーク構成図の一例である。図21の症例データ管理システム1000は、症例データ管理装置100と、医療機関に備えられた医療機関端末200と、検査機関に備えられた検査機関端末300と、製薬会社に備えられた製薬会社端末400と、を含む。症例データ管理装置100と、医療機関端末200、検査機関端末300及び製薬会社端末400とは、それぞれネットワーク50、51、52を介して接続されている。症例データ管理装置100へのアクセスが許可された端末及びユーザは、各端末を介して症例データ管理装置100が管理する症例データへのアクセスが可能である。例えば、製薬会社の担当者は、症例報告書の内容を、製薬会社に備えられた製薬会社端末400から参照可能である。
【0180】
このような症例データ管理システム1000においては、症例データ管理装置100から発行された自動問い合わせ及び手動問い合わせに対して、医療機関端末200、検査機関端末300又は製薬会社端末から、回答を入力可能である。よって、症例データ管理装置100は、一の問い合わせに対する回答がいずれの端末200、200、400から入力されても、上記実施形態例及び実施例と同様に、別の問い合わせの回答を作成可能である。
【0181】
(d)変形例4
上記実施形態例及び実施例では、新薬に対する治験を例に挙げているが、本発明はこれに限定されない。例えば、食品、化粧品及び後発医薬などの治験、医療機器の効用及び効果を確かめるための治験などを含むあらゆる試験に本発明を適用可能である。
【0182】
以上の実施形態例、実施例及びその他の実施形態例に関し、更に以下の付記を開示する。
【0183】
<付記>
(付記1)
被験者に関する症例データが、所定の基準を満たすか否かを検査する検査手段、
前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成手段、
前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付手段、
前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成手段、
としてコンピュータを機能させる症例データ管理プログラム。
【0184】
症例データは、被験者を識別するための被験者番号、被験者の身長、体重、血圧、血液検査の結果などの各種データを含む。症例データに関する所定の基準として、第1の基準及び第2の基準が設けられているとする。また、症例データが第1の基準を満たさないとして第1の問い合わせが作成され、さらに、症例データが第2の基準を満たさないとして第2の問い合わせが作成されているとする。ここで、第1の問い合わせに対して回答を受け付け、この回答によって第2の問い合わせに関して症例データが第2の基準を満たすようになった場合、回答作成手段は、第2の問い合わせに対する回答を、第1の問い合わせに対する回答に基づいて作成する。
【0185】
このような症例データ管理プログラムは、ユーザの第2の問い合わせに対する回答を作成する手間を省くため、問い合わせに対する回答の作成に関して効率化及び短時間化を図ることができる。また、例え、第1の問い合わせに対する回答によって、第2の問い合わせの理由が解消し、第2の問い合わせが自動クローズしてしまう場合でも、第2の問い合わせに対する回答を作成して保持することができる。よって、問い合わせに関して、症例データ管理プログラムを利用する装置及びシステムの管理者及び治験責任者などによる追跡調査、あるいは、外部の例えば厚生労働省からの監査人による追跡調査が容易になる。
【0186】
なお、第2の問い合わせの理由が解消する場合とは、例えば、第1の問い合わせに対する回答によって症例データの修正があり、その修正により症例データが第2の基準を満たすようになり、第2の問い合わせの理由が無くなる場合が挙げられる。その他、第2の問い合わせの理由が解消する場合とは、例えば、第1の問い合わせに対する回答によって入力すべき項目欄の間違いが判明し、第2の問い合わせそのものがなくなる場合などが挙げられる。
【0187】
(付記2)
前記症例データは、複数の項目についてのデータの集合であり、
前記第1の問い合わせに関連する項目と、前記第2の問い合わせに関連する項目と、は少なくとも1の項目が一致し、
前記所定の基準は、前記一致する項目に関連する第1の基準及び第2の基準を含み、
前記問い合わせ作成手段は、前記一致する項目についての症例データが、前記第1の基準を満たさない場合に前記第1の問い合わせを作成し、前記一致する項目についての症例データが、前記第2の基準を満たさない場合に前記第2の問い合わせを作成する、付記1に記載の症例データ管理プログラム。
【0188】
項目とは、症例データを分類するカテゴリであり、例えば、被験者番号など被験者を識別するための項目、又、被験者の身長、体重、血圧など被験者の状態を特定するための項目などがある。
【0189】
ここで、例えば、症例データの項目として収縮期血圧があるとする。また、収縮期血圧に対する第1の基準が、収縮期血圧が110〜180mmHgの範囲内であることであり、収縮期血圧に対する第2の基準が、収縮期血圧の入力値が最大3桁であることとする。例えば、症例データ記憶手段に記憶された収縮期血圧が3000mmHgである場合、問い合わせ作成手段は、収縮期血圧が110〜180mmHgの範囲内に無いとの第1の問い合わせを生成する。さらに、問い合わせ作成手段は、収縮期血圧の入力データが3桁ではないとの第2の問い合わせを生成する。次に、回答受付手段が、第1の問い合わせに対して、収縮期血圧を150mmHgに修正する回答を受け付けたとする。これにより、収縮期血圧は、入力データが最大3桁であるとの第2の基準を満たすようになり第2の問い合わせの理由が解消する。よって、回答作成手段は、第1の問い合わせの回答に基づいて第2の問い合わせの回答を作成する。第2の問い合わせの回答として、例えば、収縮期血圧が150mmHgに修正されたことにより第2の問い合わせの理由が解消したとの回答が作成される。
【0190】
上記の例は、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせの項目が収縮期血圧で一致している場合の例である。他の例としては、例えば、第1の問い合わせが収縮期血圧に関する問い合わせであり、第2の問い合わせが収縮期血圧と拡張期血圧との関係に関する問い合わせなど、問い合わせどうしの項目が一部において一致する場合も挙げられる。例えば、第1の基準が、収縮期血圧が110〜180mmHgの範囲内であることであり、第2の基準が、収縮期血圧が拡張期血圧よりも高いことであるとする。また、症例データ記憶手段に記憶された収縮期血圧が100mmHgであり、拡張期血圧が100mmHgであるとする。このとき、問い合わせ作成手段は、収縮期血圧が110〜180mmHgの範囲内に無いとの第1の問い合わせと、収縮期血圧が拡張期血圧よりも高くないとの第2の問い合わせを生成する。次に、回答受付手段が、第1の問い合わせに対して、収縮期血圧を150mmHgに修正する回答を受け付けたとする。これにより、収縮期血圧が拡張期血圧よりも高くなっての第2の基準を満たすようになり第2の問い合わせの理由が解消する。よって、回答作成手段は、第1の問い合わせの回答に基づいて、例えば、収縮期血圧が150mmHgに修正されたことにより第2の問い合わせの理由が解消したとの回答を作成する。
【0191】
(付記3)
前記回答作成手段は、前記第2の問い合わせに対する回答に、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて作成されたことを示す情報を含める、付記1又は2に記載の症例データ管理プログラム。
【0192】
第2の問い合わせに対する回答が第1の問い合わせに対する回答に基づいて作成されたことを示す情報としては、例えば第1の問い合わせを識別するための問い合わせ番号などが挙げられる。これにより、症例データ管理プログラムを利用する装置及びシステムの管理者、治験責任者及び監査人などは、第2の問い合わせの回答が、どの問い合わせによる回答によって作成されたのかを即座に知ることができ、追跡性が高い監査証跡を得ることができる。
【0193】
(付記4)
前記回答受付手段は、前記第1の問い合わせに対する回答として、前記症例データの修正を受け付け、
前記回答作成手段は、前記修正がされる前の症例データと、前記修正がされた後の症例データと、を含めて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する、付記1〜3のいずれかに記載の症例データ管理プログラム。
【0194】
第2の問い合わせに対する回答に、修正前及び修正後の症例データが含まれることで、症例データがどのように修正された結果、第2の問い合わせの理由が解消したかを即座に知ることができ、追跡性が向上した監査証跡を得ることができる。
【0195】
(付記5)
前記回答受付手段は、前記第1の問い合わせに対する回答として、前記症例データの修正理由をさらに受け付け、
前記回答作成手段は、前記修正理由をさらに含めて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する、付記4に記載の症例データ管理プログラム。
【0196】
修正理由としては、例えば入力ミス及び測定ミスなどが挙げられる。第2の問い合わせに対する回答に修正理由が含まれることで、症例データの修正理由について追跡性が向上する。
【0197】
(付記6)
前記回答受付手段が、前記第1の問い合わせに対する回答として、入力されるべき項目の間違いとの回答を受け付けた場合、
前記回答作成手段は、前記第2の問い合わせに対する回答として、前記第2の問い合わせが、前記入力すべき項目の間違いにより作成されたとの回答を作成する、付記1〜5のいずれかに記載の症例データ管理プログラム。
【0198】
第1の問い合わせに対する回答としては、症例データの修正以外に、入力すべき項目欄の間違いであったとの回答などが挙げられる。つまり、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせが項目Aについての問い合わせであり、本来は項目Bに入力すべきところを項目Aに入力してしまったことが、第1の問い合わせの回答によって判明した場合などである。このとき、第1の問い合わせの回答によって、症例データの入力箇所が項目Aから項目Bに変更された場合、項目Aに関連する第2の問い合わせの理由が解消する。
【0199】
(付記7)
前記回答作成手段は、前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第2の問い合わせを自動クローズする、付記1〜6のいずれかに記載の症例データ管理プログラム。
【0200】
問い合わせを自動クローズするとは問い合わせを終了することであり、例えば、当該問い合わせが、ユーザに提示される問い合わせ一覧から引き出され、また、消去されることなどを意味する。
【0201】
回答作成手段は、第2の問い合わせの理由が解消する場合にはその問い合わせを自動クローズする。よって、ユーザは、理由が解消した問い合わせを参照して回答する必要が無くなるため、問い合わせに対する回答の作成に関して効率化及び短時間化を図ることができる。
【0202】
また、例え、第2の問い合わせが自動クローズされる場合でも、回答作成手段により第2の問い合わせに対する回答が作成されるため、問い合わせに対する追跡調査を容易に行うことができる。
【0203】
(付記8)
被験者に関する症例データを記憶する症例データ記憶手段、
前記症例データが、許容範囲を定義する所定の基準を満たすか否かを検査する検査手段、
前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成手段、
前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付手段、
前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成手段、
としてコンピュータを機能させる症例データ管理プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0204】
(付記9)
被験者に関する症例データを記憶する症例データ記憶手段と、
前記症例データが、許容範囲を定義する所定の基準を満たすか否かを検査する検査手段と、
前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成手段と、
前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付手段と、
前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成手段と、
を含む症例データ管理装置。
【0205】
(付記10)
ユーザ端末と接続された症例データ管理システムにおいて、
前記ユーザ端末から入力された被験者に関する症例データを記憶する症例データ記憶手段と、
前記症例データが、許容範囲を定義する所定の基準を満たすか否かを検査する検査手段と、
前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成手段と、
前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付手段と、
前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成手段と、
を含む症例データ管理システム。
【符号の説明】
【0206】
1:送受信部
2:入出力受付部
3:症例データ検査部
4:問い合わせ作成部
5:回答受付部
6:修正処理部
7:回答作成部
8:症例データ記憶部
9:項目定義テーブル
10:問い合わせ/回答記憶部
11:回答定型文記憶部
20:入力欄
21:検索ボタン
22:問い合わせ一覧
23:選択ボタン
24:詳細欄
25:回答欄
26:回答入力欄
27:問い合わせ項目一覧
28:回答ボタン
50、51、52:ネットワーク
100:症例データ管理装置
200:医療機関端末
300:検査機関端末
400:製薬会社端末
1000:症例データ管理システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者に関する症例データが、所定の基準を満たすか否かを検査する検査手段、
前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成手段、
前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付手段、
前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成手段、
としてコンピュータを機能させる症例データ管理プログラム。
【請求項2】
前記症例データは、複数の項目についてのデータの集合であり、
前記第1の問い合わせに関連する項目と、前記第2の問い合わせに関連する項目と、は少なくとも1の項目が一致し、
前記所定の基準は、前記一致する項目に関連する第1の基準及び第2の基準を含み、
前記問い合わせ作成手段は、前記一致する項目についての症例データが、前記第1の基準を満たさない場合に前記第1の問い合わせを作成し、前記一致する項目についての症例データが、前記第2の基準を満たさない場合に前記第2の問い合わせを作成する、請求項1に記載の症例データ管理プログラム。
【請求項3】
前記回答作成手段は、前記第2の問い合わせに対する回答に、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて作成されたことを示す情報を含める、請求項1又は2に記載の症例データ管理プログラム。
【請求項4】
前記回答受付手段は、前記第1の問い合わせに対する回答として、前記症例データの修正を受け付け、
前記回答作成手段は、前記修正がされる前の症例データと、前記修正がされた後の症例データと、を含めて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する、請求項1〜3のいずれかに記載の症例データ管理プログラム。
【請求項5】
前記回答作成手段は、前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第2の問い合わせを自動クローズする、請求項1〜4のいずれかに記載の症例データ管理プログラム。
【請求項6】
被験者に関する症例データを記憶する症例データ記憶手段と、
前記症例データが、許容範囲を定義する所定の基準を満たすか否かを検査する検査手段と、
前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成手段と、
前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付手段と、
前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成手段と、
を含む症例データ管理装置。
【請求項7】
ユーザ端末と接続された症例データ管理システムにおいて、
前記ユーザ端末から入力された被験者に関する症例データを記憶する症例データ記憶手段と、
前記症例データが、許容範囲を定義する所定の基準を満たすか否かを検査する検査手段と、
前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成手段と、
前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付手段と、
前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成手段と、
を含む症例データ管理システム。
【請求項8】
症例データ管理装置により記憶媒体に格納される回答情報の製造方法であって、
前記ユーザ端末から入力された被験者に関して複数のデータ項目を有する症例データを、前記症例データのデータ項目の許容範囲を定義する一又は複数の基準と照合する、第1の照合を実行し、
前記第1の照合の結果、前記症例データが前記基準を満たすか否かを判定し、
前記照合に用いた基準のうち前記症例データのデータ項目が満たさない基準において照合されるデータ項目について、当該基準ごとに問い合わせを作成し、
前記問い合わせに対する回答を受け付け、
前記受け付けた回答に関係する前記症例データを、前記一又は複数の基準と照合する、第2の照合を実行し、
前記第2の照合の結果、前記症例データのデータ項目が満たす基準であって、前記第1の照合において前記症例データのデータ項目が満たさないと判定された基準について前記作成された問い合わせに対する回答示す回答情報を、前記受け付けた回答に基づいて作成する、
前記回答情報の製造方法。
【請求項1】
被験者に関する症例データが、所定の基準を満たすか否かを検査する検査手段、
前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成手段、
前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付手段、
前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成手段、
としてコンピュータを機能させる症例データ管理プログラム。
【請求項2】
前記症例データは、複数の項目についてのデータの集合であり、
前記第1の問い合わせに関連する項目と、前記第2の問い合わせに関連する項目と、は少なくとも1の項目が一致し、
前記所定の基準は、前記一致する項目に関連する第1の基準及び第2の基準を含み、
前記問い合わせ作成手段は、前記一致する項目についての症例データが、前記第1の基準を満たさない場合に前記第1の問い合わせを作成し、前記一致する項目についての症例データが、前記第2の基準を満たさない場合に前記第2の問い合わせを作成する、請求項1に記載の症例データ管理プログラム。
【請求項3】
前記回答作成手段は、前記第2の問い合わせに対する回答に、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて作成されたことを示す情報を含める、請求項1又は2に記載の症例データ管理プログラム。
【請求項4】
前記回答受付手段は、前記第1の問い合わせに対する回答として、前記症例データの修正を受け付け、
前記回答作成手段は、前記修正がされる前の症例データと、前記修正がされた後の症例データと、を含めて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する、請求項1〜3のいずれかに記載の症例データ管理プログラム。
【請求項5】
前記回答作成手段は、前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第2の問い合わせを自動クローズする、請求項1〜4のいずれかに記載の症例データ管理プログラム。
【請求項6】
被験者に関する症例データを記憶する症例データ記憶手段と、
前記症例データが、許容範囲を定義する所定の基準を満たすか否かを検査する検査手段と、
前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成手段と、
前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付手段と、
前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成手段と、
を含む症例データ管理装置。
【請求項7】
ユーザ端末と接続された症例データ管理システムにおいて、
前記ユーザ端末から入力された被験者に関する症例データを記憶する症例データ記憶手段と、
前記症例データが、許容範囲を定義する所定の基準を満たすか否かを検査する検査手段と、
前記症例データが前記所定の基準を満たさない場合、第1の問い合わせ及び第2の問い合わせを含む問い合わせを作成する問い合わせ作成手段と、
前記問い合わせに対する回答を受け付ける回答受付手段と、
前記第1の問い合わせに対する回答によって、前記第2の問い合わせの理由が解消する場合、前記第1の問い合わせに対する回答に基づいて、前記第2の問い合わせに対する回答を作成する回答作成手段と、
を含む症例データ管理システム。
【請求項8】
症例データ管理装置により記憶媒体に格納される回答情報の製造方法であって、
前記ユーザ端末から入力された被験者に関して複数のデータ項目を有する症例データを、前記症例データのデータ項目の許容範囲を定義する一又は複数の基準と照合する、第1の照合を実行し、
前記第1の照合の結果、前記症例データが前記基準を満たすか否かを判定し、
前記照合に用いた基準のうち前記症例データのデータ項目が満たさない基準において照合されるデータ項目について、当該基準ごとに問い合わせを作成し、
前記問い合わせに対する回答を受け付け、
前記受け付けた回答に関係する前記症例データを、前記一又は複数の基準と照合する、第2の照合を実行し、
前記第2の照合の結果、前記症例データのデータ項目が満たす基準であって、前記第1の照合において前記症例データのデータ項目が満たさないと判定された基準について前記作成された問い合わせに対する回答示す回答情報を、前記受け付けた回答に基づいて作成する、
前記回答情報の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【図21】
【公開番号】特開2011−186978(P2011−186978A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54070(P2010−54070)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
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