説明

痒みを寛解するための方法

【課題】本発明の目的は、痒みを寛解するための方法を提供することである。
【解決手段】本発明は、皮膚、粘膜、または全身の疾患により引き起こされる痒みを予防、処置、または寛解するための方法を提供する。本方法は、フェニル酪酸または短鎖脂肪酸誘導体および薬学的に許容されるその担体、塩、または溶媒から本質的になる薬学的組成物の有効量を、痒みを有する対象に投与する段階または痒みのある患部に局所塗布する段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、痒みを寛解するための方法に関し、特に、局所的なまたは全身の疾病または疾患に関連する痒みを予防、処置、または寛解するために、フェニル酪酸または単鎖脂肪酸誘導体を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公知のように、痒みと呼ばれる皮膚感覚は、皮膚の、不快なむずがゆい感覚を特徴とし、これは引っ掻き行動を誘発する。引っ掻き行動は、これに苦しむ対象の皮膚がヒリヒリしたり赤く腫れるほど重篤なことがある。また、痒みは、広範な物理的、化学的、および/または生物学的な刺激に対する不均一な応答も特徴とするが、これは、薬物、虫刺され、および環境的アレルゲンに対するアレルギー反応、または、甲状腺中毒症、真性糖尿病、尿毒症、鉄欠乏性貧血、寄生虫症妄想、真性一時性赤血球増加症、胆汁うっ滞、およびホジキン病などの全身疾患などの特定の皮膚科学的状態に関連する内因性または外因性の性質に依る可能性がある。痒みは、通常は皮膚で生じるが、粘膜などの非皮膚領域でも生じうる。したがって、痒みの原因は、多因子性であるか、または、単一の基礎疾患による可能性がある。痒みの病態生理には、中枢神経系と末梢神経系、および多重サイトカイン放出、ならびに分子媒介物質が関わっている。
【0003】
痒みの起点が皮膚内である場合、真皮表皮接合部における感覚神経終末が刺激されている。痒みの感覚は、痛覚や触覚を伝達する線維とは異なる、専用の無随C線維に沿って伝達される。ヒリヒリした皮膚は、脊髄内の局所神経を刺激することによって痒みの感覚を伝達すると考えられる。ここから、外側脊髄視床路を通して刺激は視床へと進み、その後、大脳皮質表面に達し、ここで、痒みの感覚を引き起こす(非特許文献1)。ガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)、ヒスタミン、サブスタンスP、および腫瘍壊死因子α(TNF-α)は、痒みの認知において重要な役割を有すると考えられている(非特許文献2)。さらに、そう痒が検出された中枢神経機構に関して、オピオイドペプチドおよびμ受容体が胆汁うっ滞の痒みの誘発に関与しており、これは、静脈内のナロキソンに応答する(非特許文献3)。一方、セロトニン再取り込み阻害剤は、胆汁うっ滞により誘導された全身的な痒みを改善することができ、このことは、セロトニン作動性経路もまたそう痒の認知に重要であることを示唆するものである(非特許文献4)。
【0004】
一方、痒みを起こす(pruritoceptive)起点の部位において活性化マクロファージ、肥満細胞、またはT細胞から放出されたヒスタミン、タキキニン、セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT))、インターフェロン(IFN)-γ、インターロイキン2(IL-2)、およびIL-4を含む、局所放出された物質が関与しており、そう痒感覚、引っ掻き行動、隆起、皮疹、じんましん、および/または落屑(scaling)の症状および兆候を引き起こす(非特許文献5;非特許文献6)。皮膚科学的疾患または全身的疾病により誘発された痒みに苦しむ対象は、非常に広範囲にわたって患部を過度に引っ掻くことによって痒みを悪化させる可能性があるので、過度な引っ掻き行動が、刺激、炎症、創傷形成および、おそらく感染につながりうる。痒みの末梢機構に関して、患部皮膚または粘膜での痒みの兆候および症状の発生における多重サイトカイン放出および分子媒介物質の役割が定義されている。ヒスタミン誘導型の痒みは、H1受容体を必要とする(非特許文献7)。サブスタンスP、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、および血管作用性小腸ペプチドなどの神経ペプチドを含むタキキニンは、痒みの感覚が始まる無随侵害受容器ニューロンの皮膚自由神経終末において見出されている。皮内5-HTは、5-HT2および5-HT3受容体に作用することによって、そう痒および引っ掻き行動を誘発しうる(非特許文献8)。これらの所見は、痒みを処置するための5-HT2または5-HT3受容体アンタゴニストの使用をもたらした(非特許文献9)。皮下投与された場合、アトピーの患者および正常対象の両方において、IL-2は高度に局在化したそう痒を引き起こす(非特許文献10)。シクロスポリンAなどの免疫抑制剤によるIL-2生合成の阻害は、アトピー性皮膚炎の痒みを軽減する(非特許文献11)。
【0005】
痒みの抑制には抗ヒスタミン剤が広く用いられているが、抑制が、どの程度まで、皮膚における局所的ヒスタミン拮抗作用ではなく中枢神経の鎮静の副作用の結果であるのかは不明である(非特許文献12)。現在の抗ヒスタミン剤による処置、5-HT受容体アンタゴニスト、および/または免疫抑制剤を使用したとしても痒みが持続することが多くの患者において報告されているが、これは、慢性的な痒みに対してはそのほとんどが無効であり、副作用を伴う短期間の軽減しか提供できないからである。痒みは、一部の患者にとっては相当に消耗性でありうる。したがって、様々な原因に起因する痒みを予防、処置、または軽減するための新規のおよび改善された方法および組成物の開発が引き続き必要とされている。
【0006】
短鎖脂肪酸であるフェニルブチレートは、アンモニア過剰血症を治療するための、尿素回路疾患を有する先天異常に対する稀用薬としてFDAに認可されている(非特許文献13)。人体において、フェニルブチレートは代謝され、β酸化を経てフェニルアセテートとなる。続いてフェニルアセテートはグルタミンと接合し、フェニルアセチルグルタミンを形成するが、これは不要な窒素排出物の媒体としてはたらく。近年、フェニルブチレートは、脱アセチル化を阻害し、ヒストンおよび非ヒストンタンパク質におけるアセチル化を増大し、クロマチン構造を再構築し、かつ多重転写因子の作用を改変する能力を有することも見出されており、これによって、多くの遺伝子が同時かつ後生的に修飾され、したがって疾患が制御される(非特許文献14)。前臨床研究および臨床研究において、フェニルブチレートの遺伝子修飾効果は、多くの血液腫瘍および充実性腫瘍、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、β地中海貧血、X連鎖副腎白質ジストロトフィ、脊髄筋萎縮、および神経変性疾患などの遺伝性遺伝疾患、加齢、ならびに、自己免疫疾患などの炎症性疾患における治療的可能性を示した(非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18)。さらに、フェニルブチレートはまた、正常な細胞を酸化的ストレス損傷から保護するためおよび神経毒性を妨げるための化学的シャペロンとしてもはたらく可能性がある(非特許文献19)。
【0007】
【非特許文献1】Weldon D. Allergy Asthma Proc 28: 153-62, 2007
【非特許文献2】Sun YG, et al. Nature 448:700-703, 2007
【非特許文献3】Jones EA, et al. JAMA 268:3359-62, 1992
【非特許文献4】Mayo MJ, et al. Hepatology 45:666-74, 2007
【非特許文献5】Greaves MW, et al. Lancet 348:938-40, 1996
【非特許文献6】Inagaki N, et al. Eur J Pharmacol 546:189-96, 2006
【非特許文献7】Davies MG, et al. Br J Clin Pharmacol 9:461-65, 1980
【非特許文献8】Nojima H, et al. J Pharmacol Exp Ther 306:245-52, 2003
【非特許文献9】Schworer H, et al. Lancet 341:1277, 1993
【非特許文献10】Wahlgren CF, et al. Arch Dermatol Res 287:572-80, 1995
【非特許文献11】Wahlgren CF, et al. Acta Derm Venereol(Stockh)70:323-29, 1990
【非特許文献12】Krause L, et al. BMJ 287:1199-200, 1983
【非特許文献13】Brusilow SW, et al. N Engl J Med 310: 1630-4, 1984
【非特許文献14】Marks PA, et al. J Natl Cancer Inst 92: 1210-6, 2000
【非特許文献15】Kemp S, et al. Nat Med 4: 1261-8, 1998
【非特許文献16】Borovecki F, et al. Proc Natl Acad Sci USA 102: 11023-8, 2005
【非特許文献17】Kang HL, et al. Proc Natl Acad Sci USA 99: 838-43, 2002
【非特許文献18】Blanchard F, et al. Drug Discov Today 10: 197-204, 2005
【非特許文献19】Yam GH, et al. Invest Ophthalmol Vis Sci 48:1683-90, 2007
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、痒みを寛解するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、皮膚、粘膜、または全身の疾患および疾病に関連する痒みを予防、処置、または寛解するための薬学的組成物および方法を提供する。本方法は、フェニル酪酸または短鎖脂肪酸誘導体および薬学的に許容されるその担体、塩、または溶媒を含む有効量の薬学的組成物を、痒みを有する対象に投与する段階または痒みのある患部に局所塗布する段階を含む。
【0010】
本発明は、皮膚、粘膜、または全身の疾患および疾病に関連する痒みを予防、処置、または寛解するための薬学的組成物および方法をさらに提供する。本方法は、フェニル酪酸または他の鎮痒薬と組み合わせた炭素長2〜6個の短鎖脂肪酸誘導体および薬学的に許容されるその担体、塩、または溶媒を含む有効量の薬学的組成物を、痒みを有する対象に投与する段階または痒みのある患部に局所塗布する段階を含む。
【0011】
添付の図面を参照する以下の態様において、詳細な説明を行う。
【0012】
具体的には、本発明は以下を提供する。
【0013】
本発明(1)は、皮膚、粘膜、または全身の疾病または疾患に関連する痒みを予防、処置、または寛解するための薬学的組成物であって、有効量のフェニル酪酸誘導体および、薬学的に許容されるその担体、塩、または溶媒を含む、薬学的組成物である。
本発明(2)は、疾病または疾患が、アレルギー性皮膚病、痒み性の(pruritic)皮膚病、血管性皮膚病、皮脂腺疾患、自己免疫疾患、リウマチ関節炎、全身性エリテマトーデス、全身性進行性硬化症、シェーグレン症候群、皮膚筋炎、混合結合組織病、丘疹鱗屑皮膚病、細菌性皮膚病、ウイルス性皮膚病、ミコール皮膚感染症(mycolic skin infections)、肉芽腫皮膚病、寄生虫性皮膚病(parasitic skin dermatoses)、剥脱性皮膚炎、水疱性皮膚病、色素性皮膚病、光過敏性皮膚病、膠原病により引き起こされる皮膚病、内部疾病による皮膚病、乾皮症、じんましん、アトピー性皮膚炎、湿疹、脈管炎、ビダール苔癬、乾癬、疥癬、コロモジラミ寄生症およびケジラミ寄生症、多発性硬化症、甲状腺中毒症、糖尿病、腎不全、尿毒症、鉄欠乏性貧血、胆汁うっ滞、寄生虫症妄想、真性一次性赤血球増加症、創傷、日焼け、口唇ヘルペス、座瘡、虫刺され、放射線療法または化学療法に誘導された皮膚炎または粘膜炎、新生物随伴症候群、悪性疾患、原発皮膚癌、ならびに転移性皮膚癌からなる群より選択される、本発明(1)の薬学的組成物である。
本発明(3)は、フェニル酪酸誘導体が、フェニル酪酸、フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、フェニルブチレート、フェニルプロピオネート、フェニルアセテート、フェニルアセチルグルタミン、フェノキシ酪酸、フェノキシプロピオン酸、フェノキシ酢酸、フェノキシブチレート、フェノキシプロピオネート、フェノキシアセテート、ブロモフェニル酪酸、ブロモフェニルプロピオン酸、ブロモフェニル酢酸、ブロモフェニルブチレート、ブロモフェニルプロピオネート、ブロモフェニルアセテート、クロロフェニル酪酸、クロロフェニルプロピオン酸、クロロフェニル酢酸、クロロフェニルブチレート、クロロフェニルプロピオネート、クロロフェニルアセテート、フルオロフェニル酪酸、フルオロフェニルプロピオン酸、フルオロフェニル酢酸、フルオロフェニルブチレート、フルオロフェニルプロピオネート、フルオロフェニルアセテート、ヨードフェニル酪酸、ヨードフェニルプロピオン酸、ヨードフェニル酢酸、ヨードフェニルブチレート、ヨードフェニルプロピオネート、ヨードフェニルアセテート、ヒドロキシフェニル酪酸、ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ヒドロキシフェニル酢酸、ヒドロキシフェニルブチレート、ヒドロキシフェニルプロピオネート、ヒドロキシフェニルアセテート、メチルフェニル酪酸、メチルフェニルプロピオン酸、メチルフェニル酢酸、メチルフェニルブチレート、メチルフェニルプロピオネート、メチルフェニルアセテート、エチルフェニル酪酸、エチルフェニルプロピオン酸、エチルフェニル酢酸、エチルフェニルブチレート、エチルフェニルプロピオネート、エチルフェニルアセテート、ナフチル酪酸、ナフチルプロピオン酸、ナフチル酢酸、ナフチルブチレート、ナフチルプロピオネート、ナフチルアセテート、およびトリブチリンからなる群より選択される、本発明(1)の薬学的組成物である。
本発明(4)は、フェニル酪酸誘導体が、製剤の約0.00001重量%〜約100.00重量%の量で存在する、本発明(1)の薬学的組成物である。
本発明(5)は、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、およびペースト、軟膏、皮膚軟化剤、リポソーム、ナノスフェア、皮膚用強壮剤(skin tonic)、口内洗浄剤、口腔濯ぎ剤(oral rinse)、シャンプー、ムース、噴霧剤、湿布、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤、溶剤、懸濁剤、パッチ、または閉塞皮膚改良剤(occlusive skin conditioning agent)へと形成される、本発明(1)の薬学的組成物である。
本発明(6)は、浸透促進剤、または、製剤pHを約3.0〜13.0の範囲で提供するためのpH調整剤をさらに含む、本発明(1)の薬学的組成物である。
本発明(7)は、抗ヒスタミン剤、抗コリン作用薬、非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド、抗酸化剤、ビタミン、ロイコトリエン調節剤、インターロイキンアンタゴニスト、肥満細胞阻害剤、抗IgE抗体、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)受容体アンタゴニスト、抗生物質、カルシニューリン阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ガストリン放出ペプチド受容体アンタゴニスト、ガバペンチン、ナロキソン、またはそれらの組み合わせを含む第二の物質と組み合わせて投与される、本発明(1)の薬学的組成物である。
本発明(8)は、薬学的組成物および第二の物質が、同時または連続的に、全身的または局所的に投与される、本発明(7)の薬学的組成物である。
本発明(9)は、皮膚、粘膜、または全身の疾病または疾患に関連する痒みを予防、処置、または寛解するための薬学的組成物であって、炭素長2〜6個の短鎖脂肪酸誘導体の有効量および、薬学的に許容されるその担体、塩、または溶媒を含む、薬学的組成物である。
本発明(10)は、疾病または疾患が、アレルギー性皮膚病、痒み性の皮膚病、血管性皮膚病、皮脂腺疾患、自己免疫疾患、リウマチ関節炎、全身性エリテマトーデス、全身性進行性硬化症、シェーグレン症候群、皮膚筋炎、混合結合組織病、丘疹鱗屑皮膚病、細菌性皮膚病、ウイルス性皮膚病、ミコール皮膚感染症、肉芽腫皮膚病、寄生虫性皮膚病、剥脱性皮膚炎、水疱性皮膚病、色素性皮膚病、光過敏性皮膚病、膠原病により引き起こされる皮膚病、内部疾病による皮膚病、乾皮症、じんましん、アトピー性皮膚炎、湿疹、脈管炎、ビダール苔癬、乾癬、疥癬、コロモジラミ寄生症およびケジラミ寄生症、多発性硬化症、甲状腺中毒症、糖尿病、腎不全、尿毒症、鉄欠乏性貧血、胆汁うっ滞、寄生虫症妄想、真性一次性赤血球増加症、創傷、日焼け、口唇ヘルペス、座瘡、虫刺され、放射線療法または化学療法に誘導された皮膚炎または粘膜炎、新生物随伴症候群、悪性疾患、原発皮膚癌、ならびに転移性皮膚癌からなる群より選択される、本発明(9)の薬学的組成物である。
本発明(11)は、短鎖脂肪酸誘導体が、酪酸、ブチレート、2,2 ジメチル酪酸、α-メチルヒドロ桂皮酸、3,5 ジメトキシ-4-ヒドロ桂皮酸、桂皮酸、ブチリルヒドロキサメート、プロピオネート、ブロモプロピオネート、E-3-3 ピリジル-2-プロペン酸、レブリン酸、Kemp三酸塩基、イソバレレート、バレレート、ブトリミド(butrymide)、イソブチルアミド、バルプロ酸、およびバルプロエートからなる群より選択される、本発明(9)の薬学的組成物である。
本発明(12)は、短鎖脂肪酸誘導体が、製剤の約0.00001重量%〜約100.00重量%の量で存在する、本発明(9)の薬学的組成物である。
本発明(13)は、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、およびペースト、軟膏、皮膚軟化剤、リポソーム、ナノスフェア、皮膚用強壮剤、口内洗浄剤、口腔濯ぎ剤、シャンプー、ムース、噴霧剤、湿布、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤、溶剤、懸濁剤、パッチ、閉塞皮膚改良剤、または、微細針を備えたパッチ型投与器具へと形成される、本発明(9)の薬学的組成物である。
本発明(14)は、浸透促進剤、または、製剤pHを約3.0〜13.0の範囲で提供するためのpH調整剤をさらに含む、本発明(9)の薬学的組成物である。
本発明(15)は、抗ヒスタミン剤、抗コリン作用薬、非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド、抗酸化剤、ビタミン、ロイコトリエン調節剤、インターロイキンアンタゴニスト、肥満細胞阻害剤、抗IgE抗体、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)受容体アンタゴニスト、抗生物質、カルシニューリン阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ガストリン放出ペプチド受容体アンタゴニスト、ガバペンチン、ナロキソン、またはそれらの組み合わせを含む第二の物質と組み合わせて投与される、本発明(9)の薬学的組成物である。
本発明(16)は、薬学的組成物および第二の物質が、同時または連続的に、全身的または局所的に投与される、本発明(15)の薬学的組成物である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、痒みを寛解するための方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下の記載は、本発明の実施において意図される最良の形態である。本記載は、本発明の一般原理を説明する目的で提供されるものであり、限定の意味で理解されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して最適に決定されている。
【0016】
本発明は概して、以下を含むがこれらに限定されない、様々な疾病または疾患に起因するあらゆる種類の痒みを予防、処置、または寛解するための、フェニル酪酸または短鎖脂肪酸およびその薬学的に許容される誘導体の使用を意図する:アレルギー性皮膚病、痒み性の(pruritic)皮膚病、血管性皮膚病、皮脂腺疾患、自己免疫疾患、リウマチ関節炎、全身性エリテマトーデス、全身性進行性硬化症、シェーグレン症候群、皮膚筋炎、混合結合組織病、丘疹鱗屑皮膚病、細菌性皮膚病、ウイルス性皮膚病、ミコール皮膚感染症(mycolic skin infections)、肉芽腫皮膚病、寄生虫性皮膚病(parasitic skin dermatoses)、剥脱性皮膚炎、水疱性皮膚病、色素性皮膚病、光過敏性皮膚病、膠原病により引き起こされる皮膚病、内部疾患による皮膚病、乾皮症、じんましん、アトピー性皮膚炎、湿疹、脈管炎、ビダール苔癬、乾癬、疥癬、コロモジラミ寄生症およびケジラミ寄生症、多発性硬化症、甲状腺中毒症、糖尿病、腎不全、尿毒症、鉄欠乏性貧血、寄生虫症妄想、真性一次性赤血球増加症、胆汁うっ滞、創傷、日焼け、口唇ヘルペス、座瘡、虫刺され、放射線療法または化学療法に誘導された皮膚病または粘膜炎、新生物随伴症候群、悪性疾患、一次皮膚癌、ならびに転移性皮膚癌。
【0017】
本発明において、フェニル酪酸誘導体の化合物には以下が含まれるがこれらに限定されない:フェニル酪酸、フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、フェニルブチレート、フェニルプロピオネート、フェニルアセテート、フェニルアセチルグルタミン、フェノキシ酪酸、フェノキシプロピオン酸、フェノキシ酢酸、フェノキシブチレート、フェノキシプロピオネート、フェノキシアセテート、ブロモフェニル酪酸、ブロモフェニルプロピオン酸、ブロモフェニル酢酸、ブロモフェニルブチレート、ブロモフェニルプロピオネート、ブロモフェニルアセテート、クロロフェニル酪酸、クロロフェニルプロピオン酸、クロロフェニル酢酸、クロロフェニルブチレート、クロロフェニルプロピオネート、クロロフェニルアセテート、フルオロフェニル酪酸、フルオロフェニルプロピオン酸、フルオロフェニル酢酸、フルオロフェニルブチレート、フルオロフェニルプロピオネート、フルオロフェニルアセテート、ヨードフェニル酪酸、ヨードフェニルプロピオン酸、ヨードフェニル酢酸、ヨードフェニルブチレート、ヨードフェニルプロピオネート、ヨードフェニルアセテート、ヒドロキシフェニル酪酸、ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ヒドロキシフェニル酢酸、ヒドロキシフェニルブチレート、ヒドロキシフェニルプロピオネート、ヒドロキシフェニルアセテート、メチルフェニル酪酸、メチルフェニルプロピオン酸、メチルフェニル酢酸、メチルフェニルブチレート、メチルフェニルプロピオネート、メチルフェニルアセテート、エチルフェニル酪酸、エチルフェニルプロピオン酸、エチルフェニル酢酸、エチルフェニルブチレート、エチルフェニルプロピオネート、エチルフェニルアセテート、ナフチル酪酸、ナフチルプロピオン酸、ナフチル酢酸、ナフチルブチレート、ナフチルプロピオネート、ナフチルアセテート、およびトリブチリン。同様に、その他の炭素長2〜6個の短鎖脂肪酸は以下を含むがこれらに限定されない:酪酸、ブチレート、2,2 ジメチル酪酸、α-メチルヒドロ桂皮酸、3,5 ジメトキシ-4-ヒドロ桂皮酸、桂皮酸、ブチリルヒドロキサメート、プロピオネート、ブロモプロピオネート、E-3-3 ピリジル-2-プロペン酸、レブリン酸、Kemp三酸塩基、イソバレレート、バレレート、ブトリミド、イソブチルアミド、バルプロ酸、およびバルプロエート。
【0018】
フェニル酪酸または短鎖脂肪酸誘導体と組み合わせるための第二の化合物には以下が含まれるが、これらに限定されない:抗ヒスタミン剤、抗コリン作用薬、非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド、抗酸化剤、ビタミン、ロイコトリエン調節剤、インターロイキンアンタゴニスト、肥満細胞阻害剤、抗IgE抗体、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)受容体アンタゴニスト、抗生物質、カルシニューリン阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ガストリン放出ペプチド受容体アンタゴニスト、ガバペンチン、およびナロキソン。
【0019】
本発明の組成物は、薬学的組成物として製剤化することが可能である。そのような組成物は、望ましいならば従来の薬学的に許容される非毒性の担体、アジュバント、及び媒体を含有する投与量単位製剤として、経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、直腸内で、膣内で、皮内で、経皮的に、または局所的に、投与されうる。局所投与は、経皮パッチ又はイオン導入装置のような経皮投与の使用も含みうる。本明細書において用いられる非経口という用語には、皮下、静脈内、筋肉内、もしくは胸骨内の注射、または注入の技術が含まれる。薬物の製剤化は、例えばHoover, John E., Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Penn.(1975)およびLiberman, H. A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y.(1980)において考察されている。
【0020】
ある態様において、皮膚の痒みを処置するための調製物は、一般に、皮膚の扱いやすさを増大させるための条件を提供することを計画している。上述のように、クリーム剤、軟膏、ゲル剤、噴霧剤、ローション剤、皮膚用強壮剤(skin tonic)、シャンプー、またはムースを含む、スキンケア組成物に関する製剤のカテゴリが認識されている。皮膚用噴霧剤は一般に、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニルなどのエアロゾル化コポリマーからなり、セットローションとしても機能しうる。皮膚用ゲル調製物は、組成の面では噴霧剤と同様であるが、ゲル状かつアルコール非含有の形状であり、皮膚をコーティングすることができる。皮膚用ムースは、エアロゾル化された缶から、圧力下で放出される泡である。本発明による局所的スキンケア組成物中のフェニル酪酸誘導体または短鎖脂肪酸活性成分は、好ましくは、組成物の全重量に対して0.00001〜100.00重量%の濃度で、または1〜1000 mgの用量で存在する。本発明による痒みを処置するためのスキンケア組成物は、当技術分野で公知の種類のスキンケア組成物における使用に適した追加成分を適切に含む、上述された疎水性もしくは親水性のクリーム剤、軟膏、ゲル剤、皮膚軟化剤、噴霧剤、ローション剤、皮膚用強壮剤、シャンプー、またはムースとして製剤化されうり、そのようなさらなる成分には、ワセリン、ロウ、ラノリン、シリコン、リポソーム、植物油、鉱油、可塑剤、芳香剤、保存剤、浸透促進剤、pH調整剤、または、局所皮膚組成物のためのその他適切な成分が含まれうる。そのような成分は、皮膚に潤いを与え、活性化合物を安定化させ、薬物-皮膚接触および局所濃度を増大させ、薬物の遅延放出を制御し、かつ/または、皮膚破壊の減少、皮膚萎縮、線維化、および感染の予防、ならびに皮膚創傷治癒の促進を支援することができる。
【0021】
本発明はまた、本明細書に記載の皮膚の痒みを処置するための方法も提供するが、本方法は、少なくとも1つのフェニル酪酸誘導体またはその短鎖脂肪酸、ならびに、抗ヒスタミン剤、抗コリン作用薬、非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド、抗酸化剤、ビタミン、ロイコトリエン調節剤、インターロイキンアンタゴニスト、肥満細胞阻害剤、抗IgE抗体、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、5-ヒドロキシトリプタミン受容体アンタゴニスト、抗生物質、カルシニューリン阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ガバペンチン、およびナロキソンを含む少なくとも1つまたは複数のその他の物質を提供する組成物を含み、ここで、活性成分は、全身的または局所的な、同時の、別々の、または連続した使用のために、遊離型で、または、薬学的に許容される塩および任意で少なくとも1つの薬学的に許容される担体の形状で存在する。
【0022】
また、本発明の主題によって使用されるべき成分に関する適切な塩は、無機カチオンを有する塩、例えば、アルカリ金属塩、特にナトリウム塩、カリウム塩、またはアンモニウム塩、特にマグネシウム塩またはカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、および、二価または四価のカチオンを有する塩、例えば亜鉛塩、アルミニウム塩、またはジルコニウム塩でもよい。ジシクロヘキシルアミン塩などの有機基部を有する塩、メチル-D-グルカミン、および、アルギニン、リジン、ヒスチジン、グルタミン等のアミノ酸を有する塩もまた意図される。同様に、塩基性の窒素含有基を、以下のような物質により4級化することもできる:塩化、臭化およびヨウ化メチル、塩化、臭化およびヨウ化エチル、塩化、臭化およびヨウ化プロピル、ならびに塩化、臭化およびヨウ化ブチルなどのハロゲン化低級アルキル;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチルおよび硫酸ジアミルのような硫酸ジアルキル;塩化、臭化およびヨウ化デシル、塩化、臭化およびヨウ化ラウリル、塩化、臭化およびヨウ化ミリスチル、ならびに塩化、臭化およびヨウ化ステアリルなどの長鎖ハロゲン化物;臭化ベンジルおよび臭化フェネチルなどのハロゲン化アラルキルなど。塩形成物質、例えば、メチルアミン、エチルアミン、またはトリエチルアミンなどの低分子量アルキルアミンを用いることもできる。それにより、一般には水または油に可溶性または分散性の生成物が得られる。
【0023】
一回投与剤形を生じるために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、対象および特定の投与様式に応じて変動しうる。必要な投与量は、使用される化合物、対象の種、対象の大きさ、および痒みを引き起こす関連疾患状態の重篤度を含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知のいくつかの要素によって変動しうる。化合物は、単用量で、24時間の期間を通して複数用量で、または連続注入により、投与することができる。連続注入により投与される場合、化合物は、これらに限定されないが、静脈内重力滴下、静脈内注入ポンプ、移植可能な注入ポンプ、または任意の局所経路等の、当技術分野で公知の方法により供給できる。処置の長さは、例えば、局所的または全身的な痒みを引き起こす皮膚、粘膜、または全身の疾病または疾患の持続期間および重篤度等の多くの要素によって変動しうる。単独のまたは他の本発明の物質と組み合わせた、フェニル酪酸誘導体または短鎖脂肪酸誘導体による対象の処置は、痒みが消えるまで継続させることができ、または、対象の一生の間処置を続けることができる。
【実施例】
【0024】
実施例1:種々の局所組成物-油性軟膏、クリームおよびゲル
A. フェニルブチレートの油性軟膏の調製
65 gの白色ペトロラタム(Riedel-de Haen)、15 gのセチルアルコール(Riedel-de Haen)、260 gの軟質パラフィン(Merck)、155 gの液体パラフィン(Merck)、および5 gの4-フェニルブチレート(Merck)をビーカー内で混合し、70℃に加熱してペーストを形成した。ペーストを400rpmで1時間攪拌し、その後室温で冷却した。
【0025】
B. フェニルブチレートのクリームの調製
成分I:70 gのTefose 63(登録商標)、20 gのSuperpolystate(登録商標)、10 gのCoster 5000(登録商標)、15 gのMyriyol 318(登録商標)、15 gのCoster 5088(登録商標)、および15 gのGMS SE(登録商標)(全て地元の供給業者から市販されている)をビーカー内で混合して、70℃で加熱した。
【0026】
成分II:5.739 gの4-フェニル酪酸ナトリウム(Triple Crown America, Inc.)、0.125 gのメチルパラベン(Merck)、0.075 gのプロピルパラベン(Merck)、および149.061 gの脱イオン水をビーカー内で混合して、70℃で加熱した。
【0027】
成分IIを、成分Iにゆっくりと添加し、続いて400rpmで5分間攪拌して混合液を形成した。2%のStabileze QM(登録商標)(98 gの脱イオン水に2 gのStabileze QM(登録商標)を溶解させて加熱し、70℃で攪拌してペーストを形成し、その後室温で冷却することにより調製された)を混合液に添加して、5分間攪拌した。0.85%リン酸(Merck)を用いて、混合液のpHを5.34に調整し、600rpmで20分間攪拌した。混合液を室温で冷却した。
【0028】
C. フェニルブチレートのゲルの調整
成分I:10 gのStabileze QM(登録商標)および232.035 gの脱イオン水をビーカー内で混合して、70℃で加熱した。
【0029】
成分II:5.739 gの4-フェニル酪酸ナトリウム(Triple Crown America, Inc.)、0.125 gのメチルパラベン(Merck)、0.075 gのプロピルパラベン(Merck)、232.035 gの脱イオン水、および20 gの10% NaOHをビーカー内で混合して、70℃で加熱した。
【0030】
成分IIを、成分Iにゆっくりと添加し、続いて400rpmで20分間攪拌して混合液を形成した。混合液を室温で冷却した。
【0031】
D. フェニルブチレートのリポソーム製剤の調製
本リポソーム製剤において、卵ホスファチジルコリン(EPC)およびコレステロールを、一次脂質構成要素として、等モル濃度または異なるモル濃度で使用した。4-フェニルブチレートと共に配置される種々のリポソームを、脂質:フェニルブチレート比を変化させることにより得た。薄層フィルム水和によりリポソームを調製し、膜押出により大きさを揃えた後、物理的に評価した。
【0032】
実施例2:痒みを処置するための、異なる疾患の患部皮膚に対する局所的フェニル酪酸
2.5%フェニル酪酸ゲルを、1週間の間、1日あたり6回、患部皮膚に塗布した。各群は、毎日のそう痒日記を完結させた患者4人からなった。ここで、彼らは、選択を導くための顔の表情に固定された点を用いた視覚アナログ尺度(visual analog scale;VAS)を用いて、その痒みの重篤度を、0(痒みなし)〜10(想像しうる最悪の痒み)の連続スケールで等級付けした(Mayo MJ, et al. Hepatology 45:666-74, 2007)。
【0033】
図1を参照すると、2.5%フェニル酪酸ゲルは、そう痒感覚を2〜10分以内で迅速に緩和し、放射線誘導皮膚病、日焼け、手術創治癒、乾癬、またはアトピー性皮膚炎の患者それぞれにおいて、1〜2日間で、平均VASを7.25、7、6.75、8、および7.75から2、1、1.5、2.5、および2.25へと改善させた。紅斑、じんましん、膨張、および落屑の痒み関連症状もまた、同時に沈静化される。
【0034】
実施例3:4-フェニル酪酸ナトリウムによる多重そう痒関連分子媒介物質の抑制
多くのアレルギー性および炎症性の皮膚疾患において、そう痒は最も重大な問題である。皮膚の障壁(角質層)は、皮膚表面に提示されたアレルゲンに対する免疫応答の性質を決定するための主要な要素である。
【0035】
皮膚障壁機能の異常は、感染物質、化学物質、またはタンパク質抗原に対するTh1、Th2、Th3応答をもたらし得、これは皮膚病変においていくつかのサイトカインおよび分子媒介物質を誘導して痒みの症状および兆候を引き起こす。続いて、アレルゲンの刺激の種類に応じて、サイトカインプロフィールが生じる。ヘルパーT細胞活性化の別々のサブセットを、これらを生じるサイトカインによって同定した。活性化Th1細胞は、IFN-γおよびIL-2を生じる。Th1細胞は、遅延型過敏反応を調節する。Th1応答は、サイトカインのIL-12スーパーファミリーの局所放出によって促進される。これらの応答は、IL-15およびIL-18産生によって更に増強される。活性化されたTh2細胞は、IL-4およびIL-10を産生する。Th2細胞はアレルギー性応答および抗体の応答を媒介する。Th2応答は、相乗効果でIL-4、IL-33、およびIL-18の局所産生に有利である。IL-3、GM-CSF(CSF2)、およびTNF-α等の一部のサイトカインは、Th1およびTh2サブセットの両方によって産生される。一方、IL-6は、外傷、特にやけど、または炎症をもたらすその他の組織の傷害に対する免疫応答を刺激するための、活性化T細胞によって分泌される前炎症性サイトカインである。Th3細胞は免疫応答の負の調節に関連する。
【0036】
フェニルブチレートが、多重そう痒関連サイトカイン、分子媒介物質、またはマーカーを一度に抑制できるかどうかを立証するために、一連の遺伝子発現プロファイルを、リアルタイムPCR(RT2 Profiler(商標)PCR Array Human Th1-Th2-Th3: APHS-034, SuperArray Bioscience Corporation)を用いることによって分析した。
【0037】
漸増濃度の4-フェニルブチレート、イオノマイシン、および/または13-酢酸12-ミリスチン酸ホルボール(PMA)の存在下、37℃で24〜72時間、Jurkat T細胞を処置した。48時間で4-フェニルブチレート1 mM、ならびに、24時間インキュベーションしたイオノマイシン1μMおよびPMA 10 ng/mlの用量では、フローサイトメトリーによって、対照細胞と処置細胞の間で細胞増殖、細胞毒性、およびアポトーシスには有意な違いが見出されなかった。しかし、イオノマイシン(1μM)およびPMA(10ng/ml)による刺激から48時間後、T細胞の増殖および生存因子(インターロイキン)の誘導によって、T細胞は完全に循環(cycle)しており、細胞周期のS期、G2期、およびM期を通じて発達していた。一方、フェニルブチレート(1mM)による24時間の前処置により、細胞が細胞周期のS期に入ることがほぼ完全に阻止された。
【0038】
24時間の4フェニル酪酸ナトリウム(1 mM)の前インキュベーションを行いまたは行わずに、Jurkat T細胞を、イオノマイシン(1μM)およびPMA(10 ng/ml)で6時間刺激しまたは刺激せず、RNAを抽出し、その後、遺伝子の表(図2)に示すTh1-Th2-Th3応答に関連する遺伝子84個の発現をプロファイリングするためにRT-PCRを行った。
【0039】
図2A〜2Dおよび表1を参照すると、フェニルブチレートは、PMA/イオノマイシン誘導Jurkat T細胞活性化において、Th1サイトカインおよび関連遺伝子(CCR5、CSF2、IFN-γ、IL12B、IL12RB2、IL18、IL18R1、IL2、IL2RA、IRF1、STAT4、TLR4、TLR6)、Th2サイトカインおよび関連遺伝子(CCL11、CCL7、CCR2、CCR4、IL13、IL13RA1、IL1R1、IL1R2、IL4R、IL9、IRF4、MAF)、T細胞活性化マーカー(BCL3、CD69、IL6、IL6R、JAK2、LAT、TNFRSF9)、T-ヘルパー1型免疫応答(IL12B、IL18、IRF4、SFTPD、TLR4、TLR6)、T-ヘルパー2型免疫応答(IL18、IL4R、IRF4)、ならびに、抗菌性体液応答(CCL7、CCR2、IL12B、IL13、SFTPD)の誘導を、完全に抑制するか有意に減少させる。一方、フェニルブチレートは、サイトカインの負の調節に関与する、Th3応答としてのサイトカインシグナル伝達の抑制因子であるSOCS1の発現を、よりアップレギュレートする。
【0040】
IL-1およびIL-6は前炎症性サイトカインである。T細胞受容体に結合する抗原は、IL-2の分泌、およびIL-2受容体の発現を刺激する。次に、IL-2/IL-2R相互作用は、抗原に選択された細胞毒性T細胞の増殖、分化、および生存を刺激する。IL-4は、活性化されたB細胞およびT細胞の増殖、ならびにCD4+T細胞のTh2細胞への分化を刺激し、かつB細胞のIgEへのクラススイッチを誘導する。IL-9は、リンパ腫細胞および肥満細胞系列に対する多くの機能を誘発し、ぜんそくにおける役割を有すると考えられている。IL-12は、抗原刺激に応答するT細胞刺激因子として知られており、T細胞の増殖および機能を刺激することができる。多くの細胞型、特にTh2細胞によって分泌されるIL-13は、アレルギー性の炎症の重要な媒介物質である。IL-18は、IL-12と共に、リポ多糖などの微生物産物への感染後に細胞性免疫を誘発するようはたらく。総合すると、IL-1、IL-2、IL-4、IL-6、IL-9、IL-12、IL-13、およびIL-18の複雑かつ相互関係のあるシグナル伝達ネットワーク経路の阻害に対する、ならびにSOCS1(サイトカインシグナル伝達の抑制因子)のアップレギュレートに対するフェニルブチレートの効果は、一部のアレルギー性および炎症性の皮膚関連の痒みにおいてフェニルブチレートが痒みを寛解する能力を有するという、本発明における新規知見と相互に関係している。
【0041】
(表1)対照と比較して少なくとも2倍異なるT細胞刺激による誘導およびフェニルブチレートの抑制効果


【0042】
多重サイトカイン発現の誘導は、主にNFκB、NF-AT、およびAP-1を含む転写因子の協調的活性化により左右される(Sancho R, et al. J Immunol 172:2341-51, 2004; Li-Weber M, et al. Eur J Immunol 34:1111-18, 2004)。サイトカインの誘導は主に転写レベルで調節されるので、Jurkat T細胞におけるクロマチン免疫沈降(ChIP)分析を実施し、NFκB、NF-AT、およびAP-1とIL-2プロモーターとの結合を判定した。24時間の4-フェニル酪酸ナトリウム(1 mM)の前インキュベーションを行いまたは行わず、Jurkat T細胞を、イオノマイシン(1μM)およびPMA(10 ng/ml)で6時間刺激しまたは刺激せず、その後、抗NFκB、抗NF-AT、抗AP-1、抗Sp1、または抗アセチルH3抗体(Santa Cruz)を用いて、タンパク質とDNAとの間のホルムアルデヒド架橋、ならびにChIPを行った。ヒトIL-2プロモーターを増幅するためにPCRプライマーを設計した:
F 5'-GAGTTACTTTTGTATCCCCACCCCC(IL-2プロモーター内の-317位〜-292位)、
R 5'-CCTGTACATTGTGGCAGGAGTTGAGG(+33位〜58位)。
PCR増幅では、以下の3段階プロトコールを用いた:変性温度90℃(30秒)、プライマーアニーリング温度59℃(45秒)、および酵素反応温度72℃(30秒)を35サイクル。図3を参照すると、フェニルブチレートは、アセチルH3状態を改変することによってクロマチン構造に影響を与え、かつNFκB、NF-AT、およびAP-1とIL-2プロモーターとのDNA結合を減少させるが、これによって、T細胞活性化の際のフェニルブチレートのサイトカイン発現抑制が、転写因子とプロモーターとの結合を減少させることによって媒介されうることを示唆するものである。
【0043】
実施例を用いて、好ましい態様について本発明を説明してきたが、本発明が、開示された態様に限定されないことを理解すべきである。逆に、(当業者には明らかと思われる)様々な改変および類似の組み合わせを包含することが意図される。したがって、添付の特許請求の範囲の限界には、そのような改変および類似の組み合わせの全てが含まれるよう、最大限の解釈が許容されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明は、添付の図面を参照して本明細書の詳細な説明および実施例を読むことにより、さらにより理解されるであろう。
【図1】放射線皮膚炎、日焼け、手術創治癒、乾癬、およびアトピー性皮膚炎により引き起こされる皮膚疾患関連の痒みを迅速に緩和する、局所的な2.5%フェニル酪酸ゲルを示す。
【図2A】PMAおよびイオノマイシンにより刺激された活性化T細胞における多重サイトカイン発現の誘導を同時に抑制するフェニルブチレートを示す、ヒトTh1-Th2-Th3遺伝子発現プロファイリングである。Jurkat T細胞を、フェニルブチレート(1 mM)で24時間、前インキュベーションした。リアルタイムPCRを用いて、フェニルブチレート処置による、ヘルパーT細胞に関連する一連の遺伝子の発現を分析した。アレイは、Th1、Th2、およびTh3細胞を代表するサイトカイン遺伝子、サイトカインの発現を調節する転写因子および他のCD4+Tリンパ球のマーカーをコードする遺伝子、Th1およびTh2型の免疫応答における免疫細胞活性化に関連する遺伝子、ならびに抗菌性体液応答に関連する遺伝子を含む。結果は、誘導比(fold induction)(観察された実験的相対単位/刺激および処置無しでの基底対照相対単位)として表した、3回の試験の平均値±SEである。
【図2B】PMAおよびイオノマイシンにより刺激された活性化T細胞における多重サイトカイン発現の誘導を同時に抑制するフェニルブチレートを示す、ヒトTh1-Th2-Th3遺伝子発現プロファイリングである。Jurkat T細胞を、イオノマイシン(1μM)およびPMA(10 ng/ml)で6時間刺激した。リアルタイムPCRを用いて、T細胞刺激による、ヘルパーT細胞に関連する一連の遺伝子の発現を分析した。アレイは、Th1、Th2、およびTh3細胞を代表するサイトカイン遺伝子、サイトカインの発現を調節する転写因子および他のCD4+Tリンパ球のマーカーをコードする遺伝子、Th1およびTh2型の免疫応答における免疫細胞活性化に関連する遺伝子、ならびに抗菌性体液応答に関連する遺伝子を含む。結果は、誘導比(観察された実験的相対単位/刺激および処置無しでの基底対照相対単位)として表した、3回の試験の平均値±SEである。
【図2C】PMAおよびイオノマイシンにより刺激された活性化T細胞における多重サイトカイン発現の誘導を同時に抑制するフェニルブチレートを示す、ヒトTh1-Th2-Th3遺伝子発現プロファイリングである。Jurkat T細胞を、フェニルブチレート(1 mM)で24時間、前インキュベーションし、その後、イオノマイシン(1μM)およびPMA(10 ng/ml)で6時間刺激した。リアルタイムPCRを用いて、T細胞刺激およびフェニルブチレート処置による、ヘルパーT細胞に関連する一連の遺伝子の発現を分析した。アレイは、Th1、Th2、およびTh3細胞を代表するサイトカイン遺伝子、サイトカインの発現を調節する転写因子および他のCD4+Tリンパ球のマーカーをコードする遺伝子、Th1およびTh2型の免疫応答における免疫細胞活性化に関連する遺伝子、ならびに抗菌性体液応答に関連する遺伝子を含む。結果は、誘導比(観察された実験的相対単位/刺激および処置無しでの基底対照相対単位)として表した、3回の試験の平均値±SEである。
【図2D】様々なヒトTh1-Th2-Th3遺伝子を開示する。
【図3】クロマチン構造を再構築するヒストンの状態に対するおよび遺伝子発現を調節する転写因子の結合に対するフェニルブチレートの調節効果を示す、クロマチン免疫沈降(ChIP)分析である。この結果、イオノマイシンおよびPMAにより刺激された活性化Jurkat T細胞における、ヒストンの改変においてだけでなく、NF-κB、NFAT、およびAP-1の転写因子とIL-2プロモーターとの結合の低減においても、4-フェニル酪酸ナトリウムが有効であったことが示されている。Sp1はIL-2プロモーターに結合しないので、抗Sp1抗体は、負の対照として使用された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚、粘膜、または全身の疾病または疾患に関連する痒みを予防、処置、または寛解するための薬学的組成物であって、有効量のフェニル酪酸誘導体および、薬学的に許容されるその担体、塩、または溶媒を含む、薬学的組成物。
【請求項2】
疾病または疾患が、アレルギー性皮膚病、痒み性の(pruritic)皮膚病、血管性皮膚病、皮脂腺疾患、自己免疫疾患、リウマチ関節炎、全身性エリテマトーデス、全身性進行性硬化症、シェーグレン症候群、皮膚筋炎、混合結合組織病、丘疹鱗屑皮膚病、細菌性皮膚病、ウイルス性皮膚病、ミコール皮膚感染症(mycolic skin infections)、肉芽腫皮膚病、寄生虫性皮膚病(parasitic skin dermatoses)、剥脱性皮膚炎、水疱性皮膚病、色素性皮膚病、光過敏性皮膚病、膠原病により引き起こされる皮膚病、内部疾病による皮膚病、乾皮症、じんましん、アトピー性皮膚炎、湿疹、脈管炎、ビダール苔癬、乾癬、疥癬、コロモジラミ寄生症およびケジラミ寄生症、多発性硬化症、甲状腺中毒症、糖尿病、腎不全、尿毒症、鉄欠乏性貧血、胆汁うっ滞、寄生虫症妄想、真性一次性赤血球増加症、創傷、日焼け、口唇ヘルペス、座瘡、虫刺され、放射線療法または化学療法に誘導された皮膚炎または粘膜炎、新生物随伴症候群、悪性疾患、原発皮膚癌、ならびに転移性皮膚癌からなる群より選択される、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項3】
フェニル酪酸誘導体が、フェニル酪酸、フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、フェニルブチレート、フェニルプロピオネート、フェニルアセテート、フェニルアセチルグルタミン、フェノキシ酪酸、フェノキシプロピオン酸、フェノキシ酢酸、フェノキシブチレート、フェノキシプロピオネート、フェノキシアセテート、ブロモフェニル酪酸、ブロモフェニルプロピオン酸、ブロモフェニル酢酸、ブロモフェニルブチレート、ブロモフェニルプロピオネート、ブロモフェニルアセテート、クロロフェニル酪酸、クロロフェニルプロピオン酸、クロロフェニル酢酸、クロロフェニルブチレート、クロロフェニルプロピオネート、クロロフェニルアセテート、フルオロフェニル酪酸、フルオロフェニルプロピオン酸、フルオロフェニル酢酸、フルオロフェニルブチレート、フルオロフェニルプロピオネート、フルオロフェニルアセテート、ヨードフェニル酪酸、ヨードフェニルプロピオン酸、ヨードフェニル酢酸、ヨードフェニルブチレート、ヨードフェニルプロピオネート、ヨードフェニルアセテート、ヒドロキシフェニル酪酸、ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ヒドロキシフェニル酢酸、ヒドロキシフェニルブチレート、ヒドロキシフェニルプロピオネート、ヒドロキシフェニルアセテート、メチルフェニル酪酸、メチルフェニルプロピオン酸、メチルフェニル酢酸、メチルフェニルブチレート、メチルフェニルプロピオネート、メチルフェニルアセテート、エチルフェニル酪酸、エチルフェニルプロピオン酸、エチルフェニル酢酸、エチルフェニルブチレート、エチルフェニルプロピオネート、エチルフェニルアセテート、ナフチル酪酸、ナフチルプロピオン酸、ナフチル酢酸、ナフチルブチレート、ナフチルプロピオネート、ナフチルアセテート、およびトリブチリンからなる群より選択される、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項4】
フェニル酪酸誘導体が、製剤の約0.00001重量%〜約100.00重量%の量で存在する、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項5】
クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、およびペースト、軟膏、皮膚軟化剤、リポソーム、ナノスフェア、皮膚用強壮剤(skin tonic)、口内洗浄剤、口腔濯ぎ剤(oral rinse)、シャンプー、ムース、噴霧剤、湿布、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤、溶剤、懸濁剤、パッチ、または閉塞皮膚改良剤(occlusive skin conditioning agent)へと形成される、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項6】
浸透促進剤、または、製剤pHを約3.0〜13.0の範囲で提供するためのpH調整剤をさらに含む、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項7】
抗ヒスタミン剤、抗コリン作用薬、非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド、抗酸化剤、ビタミン、ロイコトリエン調節剤、インターロイキンアンタゴニスト、肥満細胞阻害剤、抗IgE抗体、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)受容体アンタゴニスト、抗生物質、カルシニューリン阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ガストリン放出ペプチド受容体アンタゴニスト、ガバペンチン、ナロキソン、またはそれらの組み合わせを含む第二の物質と組み合わせて投与される、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項8】
薬学的組成物および第二の物質が、同時または連続的に、全身的または局所的に投与される、請求項7記載の薬学的組成物。
【請求項9】
皮膚、粘膜、または全身の疾病または疾患に関連する痒みを予防、処置、または寛解するための薬学的組成物であって、炭素長2〜6個の短鎖脂肪酸誘導体の有効量および、薬学的に許容されるその担体、塩、または溶媒を含む、薬学的組成物。
【請求項10】
疾病または疾患が、アレルギー性皮膚病、痒み性の皮膚病、血管性皮膚病、皮脂腺疾患、自己免疫疾患、リウマチ関節炎、全身性エリテマトーデス、全身性進行性硬化症、シェーグレン症候群、皮膚筋炎、混合結合組織病、丘疹鱗屑皮膚病、細菌性皮膚病、ウイルス性皮膚病、ミコール皮膚感染症、肉芽腫皮膚病、寄生虫性皮膚病、剥脱性皮膚炎、水疱性皮膚病、色素性皮膚病、光過敏性皮膚病、膠原病により引き起こされる皮膚病、内部疾病による皮膚病、乾皮症、じんましん、アトピー性皮膚炎、湿疹、脈管炎、ビダール苔癬、乾癬、疥癬、コロモジラミ寄生症およびケジラミ寄生症、多発性硬化症、甲状腺中毒症、糖尿病、腎不全、尿毒症、鉄欠乏性貧血、胆汁うっ滞、寄生虫症妄想、真性一次性赤血球増加症、創傷、日焼け、口唇ヘルペス、座瘡、虫刺され、放射線療法または化学療法に誘導された皮膚炎または粘膜炎、新生物随伴症候群、悪性疾患、原発皮膚癌、ならびに転移性皮膚癌からなる群より選択される、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項11】
短鎖脂肪酸誘導体が、酪酸、ブチレート、2,2 ジメチル酪酸、α-メチルヒドロ桂皮酸、3,5 ジメトキシ-4-ヒドロ桂皮酸、桂皮酸、ブチリルヒドロキサメート、プロピオネート、ブロモプロピオネート、E-3-3 ピリジル-2-プロペン酸、レブリン酸、Kemp三酸塩基、イソバレレート、バレレート、ブトリミド(butrymide)、イソブチルアミド、バルプロ酸、およびバルプロエートからなる群より選択される、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項12】
短鎖脂肪酸誘導体が、製剤の約0.00001重量%〜約100.00重量%の量で存在する、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項13】
クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、およびペースト、軟膏、皮膚軟化剤、リポソーム、ナノスフェア、皮膚用強壮剤、口内洗浄剤、口腔濯ぎ剤、シャンプー、ムース、噴霧剤、湿布、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤、溶剤、懸濁剤、パッチ、閉塞皮膚改良剤、または、微細針を備えたパッチ型投与器具へと形成される、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項14】
浸透促進剤、または、製剤pHを約3.0〜13.0の範囲で提供するためのpH調整剤をさらに含む、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項15】
抗ヒスタミン剤、抗コリン作用薬、非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド、抗酸化剤、ビタミン、ロイコトリエン調節剤、インターロイキンアンタゴニスト、肥満細胞阻害剤、抗IgE抗体、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)受容体アンタゴニスト、抗生物質、カルシニューリン阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ガストリン放出ペプチド受容体アンタゴニスト、ガバペンチン、ナロキソン、またはそれらの組み合わせを含む第二の物質と組み合わせて投与される、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項16】
薬学的組成物および第二の物質が、同時または連続的に、全身的または局所的に投与される、請求項15記載の薬学的組成物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−51777(P2009−51777A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−220630(P2007−220630)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(507289106)英屬開曼群島商安盛開發藥物股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】