説明

痙縮を治療するための化合物及び方法

化学式(I)を含む化合物をそのような治療が必要な患者に投与することにより痙縮を治療する方法を開示する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年9月16日に提出された米国仮出願第61/243,063号及び2009年9月28日に提出された米国仮出願第61/246,284号の利益を主張し、その全体の開示が本明細書にその特定の参照により組み込まれる。
【0002】
本明細書に開示されるのは、以下の式I:
【化1】

(式中、Xは、CHまたはCH−CHであり、
AはアリールまたはN、S、及びOからなる群より選択される0、1、2、または3つの原子を有するヘテロアリールであり、
ここで、Aは、0〜8つの炭素原子、0〜3つの酸素原子、0〜3つのハロゲン原子、0〜2つの窒素原子、0〜2つの硫黄原子、及び0〜24つの水素原子をそれぞれ含む0、1、2、または3つの置換基を有する)
の化合物をそのような治療が必要な患者に投与することにより痙縮を治療する方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
痙縮
痙縮は、通常硬直またはこわばった筋肉となる筋収縮によって主に特徴付けられる状態である。他に、共通の症状として、悪化した深部腱反射(膝反射または他の反射など)と、過緊張性(増大した筋緊張)と、特に筋肉に触れる、または動かした際のクローヌス(一連の急速な筋収縮)と、筋痙縮と、シザリング(ハサミの先端を閉じたように脚を交差させる)と、筋緊張により肩、腕、手首、または手指を異常な角度でまたは伸ばした位置に保つことと、を含む。
【0004】
痙縮の度合は、穏やかな筋硬直から重篤で制御できない筋痙縮まで変化する。痙縮は極度の苦痛を与え得り、影響する筋肉に依存し、結果として、ぎくしゃくした歩調、こわばったまたは変形した姿勢、及び肢運動の範囲の短縮を生み得る。それは、2つの痙性筋が動き(拘縮)を支持するのに反し、永続的な筋短縮及び関節に係わる問題を引き起こすことがある。それは、永続的な特徴であり、疲労、熱、または感染症のような種々の要因により、引き起こされ得る。
【0005】
痙縮は、脊髄損傷、酸素、打撃、頭部外傷による脳の損傷、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)、フェニルケトン尿症、副腎白質ジストロフィーのような代謝疾患、脳性麻痺、スティッフマン症候群、及び多発性硬化症(MS)に伴って生じ得る。MSでは、大抵身体の筋肉対に影響し得るが、しばしば脚に影響が出る。多発性硬化症では、通常、痙縮は、筋肉または感覚情報をそこから後ろへ集めるものを制御する神経(ニューロン)の損傷により生じる。脊髄により引き起こされる再帰性攣縮は、脳に抑制されず、通常、筋緊張の増大に因る。原因となる病変は、通常、末梢運動性(遠心性)神経および感覚性(求心性)神経に接続される小脳、または白質神経路にある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】痙縮を有するラットにおいて腹腔内100mg/kgの化合物AがEMGを阻害することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の化合物
本発明の方法は、患者に式I:
【化2】

(式中、Xは、CHまたはCH−CHであり、
AはアリールまたはN、S、及びOからなる群より選択される0、1、2、または3つの原子を有するヘテロアリールであり、
ここで、Aは、0〜8つの炭素原子、0〜3つの酸素原子、0〜3つのハロゲン原子、0〜2つの窒素原子、0〜2つの硫黄原子、及び0〜24つの水素原子をそれぞれ含む0、1、2、または3つの置換基を有する)
の化合物を投与することを含む。
【0008】
本発明で使用する「アリール」は、フェニル、ナフチル、ビフェニルのような、少なくとも1つの芳香環を含む環または環構造を意味する。各環は置換でも非置換であってもよい。
【0009】
本発明で使用する「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環において、1、2、または3つの原子がN、S、またはOである芳香環または芳香環構造を意味する。例えば、これは、少なくとも1つの窒素、酸素、または硫黄原子が環内にある単環アリール環及び少なくとも1つの窒素、酸素、または硫黄原子が少なくとも1つの環内にある二環芳香環構造を意味する。ヘテロアリールの例としては、ピリジニル、フリル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、キノリニル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリルなどを含む。各環は置換であっても非置換であってもよい。
【0010】
置換基は同じであっても異なってもよい。置換基の例としては、本明細書に定義される制約を有するが、それに限定されず、以下、
炭素原子及び水素原子のみを含む部分を意味し、限定はしないが、
a.二重または三重結合を有さないヒドロカルビルを意味し、限定はしないが、
i)例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどの直鎖アルキル、
ii)例えば、iso−プロピル、t−ブチル、及び他の分岐ブチル異性体、分岐ペンチル異性体など分岐アルキル、
iii)例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど任意に、別のシクロアルキルまたはフェニル置換基にシクロアルキルに縮合され得るシクロアルキル、
iv)直鎖、分岐、及び/またはシクロアルキルの組み合わせ、
を含むアルキル、
b.アルケニル(例えば、1つまたは複数の二重結合を有し、直鎖、分岐、またはシクロアルケニルを含むヒドロカルビル)、
c.アルキニル(例えば、1つまたは複数の三重結合を有し、直鎖または分岐(アルキニル)を含むヒドロカルビル)、
d.アルキル、アルケニル、及び/またはアルキニルの組み合わせ、
を含むヒドロカルビル、
−CH−CN、−(CH−CN、及び−(CH−CNなどのようなアルキル−CN、
ヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルなどのような、ヒドロキシアルキル、すなわちアルキル−OH、
−O−アルキル及びアルキル−O−アルキルなどを含むエーテル置換基、
−COOHのようなヒドロキシアルキルエーテル、
−S−アルキル及びアルキル−S−アルキルなどを含むチオアルキル及びチオエーテル置換基
−NH、−NH−アルキル、−N−アルキルアルキル(すなわちアルキル及びアルキルは同じまたは異なり、両者がNに結合、アルキル−NH2、アルキル−NH−アルキル、及びアルキル−N−アルキルアルキルなどを含むアミン置換基、
アルキル−アミンを意味し、アミノメチル(−CH−アミン)及びアミノエチルなどのようなアミノアルキル、
−CO−アルキル及び−CO−フェニルなどを含むエステル置換基、
アルデヒド、アシル(すなわち
【化3】

)のようなケトンなどを含み、特にアセチル、プロピオニル、ベンゾイル置換基を意図する、他のカルボニル置換基、
フェニル及び置換フェニル(フェニル及び置換フェニルはそれ自身、任意に別のフェニルまたはシクロアルキル置換基と縮合し得る)、
−CF3、−CHCFなどのようなフッ化炭素及び過フッ化炭素、
−CN、及び
−F、−Cl、−Br、または−I
を含む。
【0011】
前述の置換基の組み合わせをまた考えることができ、定義される制約に従う。
【0012】
置換基は、室温、通常気圧下で少なくとも12時間ボトルに貯蔵しても十分に安定、または本明細書に記載の用途に有用なように十分に安定でなければならない。
【0013】
置換基が塩である場合、カルボン酸またはアミンの例では、前述の塩の対イオン、すなわち共有結合で分子の残りに結合していないイオンは、置換基の重原子の数のために数に含まれない。従って、例えば、塩−CONaは、3つの重原子を含む安定な置換基であり、すなわちナトリウムは数に含まれない。別の例では、塩−NH(Me)Cl3つの重原子を含む安定な置換基であり、すなわち塩素は数に含まれない。
【0014】
一実施形態では、Aは、ピリジニルであり、以下に示すような構造の化合物が意図されることを意味する。それらの構造では、R1、R2、及びR3は、本明細書に定義されるような置換基である。
【化4】

【0015】
別の実施形態では、Aはチエニルであり、以下に示すような構造の化合物が意図されることを意味する。それらの構造では、R1及びR2は、本明細書に定義されるような置換基である。
【化5】

【0016】
別の実施形態では、Aはフリルであり、以下に示すような構造の化合物が意図されることを意味する。それらの構造では、R1、R2及びR3は、本明細書に定義されるような置換基である。
【化6】

【0017】
一実施形態において、各置換基は、独立して、1〜8つの炭素原子を有するアルキルである。
【0018】
一実施形態において、Aは非置換またはイソプロピル置換基を有する。
【0019】
一実施形態において、Aの各置換基は−F、−Cl、−CHまたは−CFである。
【0020】
別の実施形態において、Aは0、1、2、または3つの置換基を有する、ピリジン、チエニル、フリル、ピロリル、ピロリジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリミジニル、キノリニル、またはピラジニルである。
【0021】
特に断りのない限り、化合物という場合は、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、別の固体形態、及び示される構造または化学名の化学成分の非共有結合複合体を含む。
【0022】
薬学的に許容される塩は、動物またはヒトへの投与に適した親化合物の任意の塩である。薬学的に許容される塩はまた、酸、別の塩、または酸または塩に変換されるプロドラッグの投与の結果として、生体内で形成され得る任意の塩である。塩は、1つまたは複数の対応する対イオンに関連する共役酸または塩基のような化合物の1または複数のイオン形態を含む。塩は一つまたは複数の脱プロトン化酸性基(例えばカルボン酸)は、1つまたは複数のプロトン化塩基性基(例えばアミン)、またはその両方(例えば、両性イオン)から形成し得るまたはそれらを組み込み得る。
【0023】
酸性官能基の薬学的に許容される塩は、有機塩基または無機塩基に由来し得る。塩は一価または多価イオンを含み得る。特に興味深いのは、無機イオン、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムである。有機塩は、アミン、特に、モノ、ジ及びトリアルキルアミンまたはエタノールアミンのようなアンモニウム塩で作られ得る。塩はまた、カフェイン、トロメタミン及び類似の分子で形成され得る。塩酸またはいくつかの他の薬学的に許容される酸は、アミンまたはピリジン環のような塩基性基を含む化合物と塩を形成し得る。
【0024】
互変異性体は互いに急速平衡にある異性体である。それらはしばしば、必ずしもそうではないが、プロトン、水素原子、または水素化物イオンの転移を含む。たとえば、本明細書の構造体は、限定されるわけではないが、以下に示す互変異性体の形態を含むことが意図される。
【化7】

【0025】
立体化学が明示的に示されている場合を除き、構造は、すべての可能な立体異性体、純粋または任意の可能な混合物を含む。
【0026】
別の固体形態は、本明細書に記載されている手順の実践から得られ得るものとは異なる固体形態である。例えば、別の固体形態は、多形体、並びに非晶質固体形態及びガラスなどさまざまな種類であり得る。
【0027】
非共有結合複合体は、化合物及び化合物と付加的な化学種の間で共有結合相互作用を含まない1つまたは複数の付加的な化学種の間に形成し得る複合体である。それらは、化合物と付加的な化学種の間に特定の比率を持つかもしれないし、持たないかもしれない。例としては、溶媒和物、水和物、電荷移動錯体などが含まれ得る。
【0028】
本発明の化合物を製造する方法は、例えば、米国特許出願公開第2009/0036436号明細書に記載され、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
本発明の方法において有用な組成物は、さらに付形剤を含み得る。そのような賦形剤は、担体または希釈剤であり得る。それは通常、活性化合物と混合され、または活性化合物を希釈または囲むことが可能とされる。希釈した場合、担体は、固体、半固体、または活性化合物に付形剤または賦形剤として作用する液体物質であり得る。製剤はまた、湿潤剤、乳化剤、保存剤、甘味剤、及び/または香料を含み得る。
【0030】
本発明の化合物の実施例は以下の
【化8】





を含む。
【0031】
治療の方法
本明細書に記載される化合物は、痙縮の患者の治療に使用され得る。
【0032】
本明細書で使用される「治療」とは、医学的に対処することを意味する。それは、例えば、痙縮の発症を防ぐため、その重症度を軽減するため、またはその再発を防ぐために本発明の化合物を投与することを含む。
【0033】
本発明の化合物は、薬学的に有効な量で投与され得る。そのような量は、通常、所望の治療効果を達成するために必要な最小用量である。痙縮の治療において、その量は回数及び/または症状の重症度を許容レベルに軽減するために必要な概算であるだろう。成人での薬学的有効量は、1〜25mg/日、25〜50mg/日、50〜75mg/日、75〜100mg/日、100〜150mg/日、150〜200mg/日、200〜250mg/日、250〜300mg/日、300〜350mg/日、350〜400mg/日、400〜450mg/日、450〜500mg/日、500〜550mg/日、550〜600mg/日、600〜650mg/日、650〜700mg/日、700〜750mg/日、750〜800mg/日、800〜850mg/日、850〜900mg/日、900〜950mg/日、950〜1,000mg/日を含む一般的に1〜1,000mg/日の範囲であるだろう。高用量(1,000〜3,000mg/日)もまた効果があり得る。任意の場合に投与される化合物の実際の量は痙縮の重症度、患者の年齢及び体重、患者の一般的な健康状態、並びに投与経路のような関連する状況を考慮に入れ、医師によって決定されるであろう。一実施形態において、本発明の化合物は、薬学的に効果があるが、鎮静作用が生じない用量で投与される。
【0034】
用量の有効性を評価する手段の一つは、筋肉の緊張を評価することである。痙縮では、筋肉、特に屈筋に受動的伸展に極度に抵抗を生じる、つまり緊張がより高い伸張反射の正常な動作の中断がある。その結果、運動制御が著しく損なわれ、筋肉の凝りや緊張は、歩行、移動、および発声を妨げ得る。従って、緊張(外部源から伸展の抵抗の度合)の評価は、患者が有する痙縮の程度と介入の有効性を評価することができる点で、重要な手段である。
【0035】
痙縮における緊張の最も広く受け入れられている臨床検査の一つは、アシュワーススケールとアシュワーススケール変法である。臨床医は関節の辺りで患者の肢を動かし、臨床医が感じる抵抗がどの程度であるかに対応する各肢の等級を割り当る。アシュワーススケールを以下の表1に示す。
表1−アシュワーススケール
等級 詳細
1 筋緊張の増大はない
2 一部を屈曲または伸展で動かした際にわずかな緊張の増大
3 一部のみは容易に屈曲するがより明確な緊張の増大
4 筋緊張の大幅な増大
5 受動的な動きが困難である(影響する部分が屈曲または伸展の際に硬直する)
【0036】
用量の有効性を評価する他の手段は、振り子試験、筋電位描画法(歩行の研究に用いる動的な多点筋電位描画法のような)またはホフマン反射の研究(深部腱反射の測定)によるような電気生理学的研究、バーセルインデックスにより与えられるもののような機能的評価、機能的自立度評価表、及びFugl−Meyer感覚運動障害評価(Fugl−Meyerスケール)を含み、それら機能評価は前述の方法よりも精度が低くなり得る。
【0037】
一実施形態において、本発明の化合物は、鎮静作用を生じない用量で投与される。痙縮に対する現在の治療法は、一般的に他の望ましくない多くの副作用に加え、鎮静作用を引き起こす。ベンゾジアゼピン(例えば、ジアゼパム及びクロナゼパム)は身体的に常習性の薬物であり、眠気や筋力低下を引き起こすことがある。バクロフェンは、筋力低下、眠気、倦怠感及び吐き気を引き起こすことがあり、アルコールや他の薬剤と危険な相互作用をすることがあり、突然中断した場合には発作と幻覚を引き起こすことがある。ダントロレンナトリウムは、眠気、めまい、脱力感、倦怠感、下痢及び皮膚過敏症を引き起こすことがあり、患者の一部では、肝臓が損傷する。チザニジンは、眠気、時折低血圧、口渇、めまい及び幻覚を引き起こすことがあり、患者の一部では、肝臓が損傷する。対照的に、本発明の一実施形態において、本発明の化合物は、薬学的に有効であるにもかかわらず、鎮静作用を引き起こさない用量で投与される。
【0038】
患者は、錠剤、液体、カプセル及び粉末などのような任意の許容可能な形態で経口的に本発明の化合物を与えられ得る。患者が吐き気を呈している場合は特に、他のルートが、望ましいまたは必要な場合がある。そのような他のルートとしては、例えば、経皮、腹腔内、非経口、皮下、鼻腔内、髄腔内、筋肉内、静脈内及び直腸内の送達様式がある。
【0039】
実施例
本発明者らは、以下に示す化合物A
【化9】

を用いて、本発明の化合物の抗痙縮効果を証明した。本発明者らは、化合物Aが脊髄の一過性虚血に関連する痙縮を阻害することを示している。虚血性発症は、GABA作動性介在の損失を引き起こし、引き続き、脊髄運動ニューロン興奮性の増加を引き起こす。1569〜83(2006年9月)Neuroscience、1:141、(3)。100mg/kgの化合物Aを用いたラットの治療は、足首の屈曲間の筋肉抵抗を減少させ、またEMG活動において対応する変化を引き起こす。これらのデータは、化合物Aと式Iの他の化合物と他の化合物が痙縮の治療に有用であることを証明する。それは、脳性麻痺、脊髄損傷、脳卒中、及び多発性硬化症に関連する痙縮を含み得る。
【0040】
物質と方法
設計と実験群
虚血後、発現した対麻痺を持つ動物が選択され、3〜12ヶ月間、飼育された。痙縮の存在を確認するには、次のテストが以下のように7〜14日間隔で行われた。1)腓腹筋筋から報告された緊張性EMG活動(すなわち、EMG活動における刺激に依存しない変化)、2)腓腹筋から報告されるコンピュータ制御された足首屈曲及び同時に起こるEMG間の末梢筋の抵抗測定(すなわち、EMG活動の刺激依存性の変化)、及び3)運動誘発電位の報告。
【0041】
末梢筋抵抗の測定
末梢筋の抵抗を、前述のシステム(O.Kakinohana、Neuroscience 1:141(3)(2006))を用いて測定した。簡単に言えば、動物をプラスチック製保定器内に置き、コンピュータ制御のステッピングモータにより駆動する金属板にテープで1つの後足を取り付けた。金属板は、デジタル力変換器に装備される。足首の屈曲抵抗を、モータ駆動の足首の屈曲の間に測定し、直接コンピュータにデータを収集した。
【0042】
足首の屈曲時の筋電位描画法(EMG)の記録
EMGを記録するために、2つの銀針(22G)の電極(記録電極間の距離は1cm)を腓腹筋に経皮的に置いた。電極をプリアンプ(HS4光ファイバBIOAMP HEADSTAGE、WPI)に接続し、DB4光ファイバ増幅器(WPI)を用いて増幅した。動物は、その後10分間順応させ、足首の屈曲前後、及び屈曲中のEMG応答を記録した。記録された信号はInstrunet Model 100 Network A/Dによりデジタル化され、Instrunet Model 200 PCIコントローラ(Omega、米国)により得られ、分析のためにPCに保存された。
【0043】
痙縮を有するラットにおいて腹腔内100mg/kgの化合物AがEMGを阻害することを示す図1にこの研究の結果が表される。動物をゼロ時点で試験し、その後100mg/kgを腹腔内に注入し、EMG、筋電図、PMR−末梢筋の抵抗により評価した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
痙縮を治療するための方法であって、以下の構造:
【化1】

(式中、Xは、CHまたはCH−CHであり、
AはアリールまたはN、S、及びOからなる群より選択される0、1、2、または3つの原子を有するヘテロアリールであり、
ここで、Aは、0〜8つの炭素原子、0〜3つの酸素原子、0〜3つのハロゲン原子、0〜2つの窒素原子、0〜2つの硫黄原子、及び0〜24つの水素原子をそれぞれ含む0、1、2、または3つの置換基を有する)
を有する化合物をそのような治療を必要とする患者に投与するステップを含む方法。
【請求項2】
Aが、ピリニジル、チエニル、フリル、キノリニル、メチルフェニル、及びビフェニルからなる群より選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Aが非置換である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記痙縮が脊髄損傷、脳卒中、頭部外傷、筋萎縮性側索硬化症、フェニルケトン尿症、副腎白質ジストロフィー、脳性麻痺、スティッフマン症候群、または多発性硬化症(MS)に関連する請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記痙縮が硬直を伴う請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物が、
【化2】



からなる群より選択される請求項1に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−505246(P2013−505246A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529873(P2012−529873)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/048923
【国際公開番号】WO2011/034912
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(390040637)アラーガン インコーポレイテッド (117)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】