説明

癌および他の疾患を治療および管理するための免疫調節性化合物を用いた方法および組成物

【課題】 特定のタイプの癌、たとえば、原発性および転移性の癌ならびに従来の化学療法に不応性または耐性である癌を治療および予防する方法の提供。
【解決手段】 治療上または予防上有効な量の化合物3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンまたはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体を含む非ホジキンリンパ腫(NHL)の予防または治療のための医薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2002年5月17日出願の米国仮出願第60/380,842号および2002年11月6日出願の同第60/424,600号による利益を請求する。該仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0002】
1. 発明の分野
本発明は、免疫調節性化合物を単独でまたは他の治療剤と組み合わせて投与することにより、特定の癌および他の疾患(たとえば、限定されるものではないが、望ましくない血管新生に関連づけられるかまたはそれにより特性づけられる疾患)を治療、予防、および/または管理する方法に関する。とくに、本発明は、薬剤の特定の組合せまたは「カクテル」の使用およびこれらの特定の癌(たとえば、従来療法に不応性の癌)を治療するための放射線療法などの他の療法を包含する。本発明はまた、医薬組成物および投与レジメンに関する。
【背景技術】
【0003】
2. 発明の背景
2.1 癌および他の疾患の病理生物学
癌は、主として、所与の正常組織に由来する異常細胞の数の増加、隣接する組織へのこれらの異常細胞の侵入、または所属リンパ節および遠隔部位への悪性細胞のリンパ行性または血行性の拡延(転移)により特性づけられる。臨床データおよび分子生物学的研究によると、癌は、特定の条件下で新形成に発展しうるわずかな前新生物変化から開始される多段階過程であることが示唆される。新生物病変は、とくに、新生物細胞が宿主の免疫監視を回避する条件下で、クローン的に発生し、侵入、増殖、転移、および異質化の能力を発揮する可能性がある。Roitt, I., Brostoff, J and Kale, D., Immunology, 17.1-17.12 (3rd ed., Mosby, St. Louis, Mo., 1993)。
【0004】
医学文献に詳細に記載されている莫大な種類の癌が存在する。例としては、肺、結腸、直腸、前立腺、乳房、脳、および腸の癌が挙げられる。癌の発生率は、一般集団が老齢化するとともに、新しい癌が発生するとともに、および罹病集団(たとえば、AIDSに感染した人または過度に日光に暴露された人)が成長するとともに、上昇し続ける。したがって、癌患者を治療するために使用することのできる新しい方法および組成物に対するきわめて大きな需要が存在する。
【0005】
多くのタイプの癌は、新しい血管形成(血管新生として知られる過程)に関連づけられる。腫瘍により誘発される血管新生に関与する機序のいくつかは、解明されている。これらの機序のうちで最も直接的なのは、腫瘍細胞によって血管新生の特性を有するサイトカインが分泌されることである。これらのサイトカインの例としては、酸性および塩基性繊維芽細胞増殖因子(a,b-FGF)、アンギオゲニン、血管内皮増殖因子(VEGF)、およびTNF-αが挙げられる。このほか、腫瘍細胞は、プロテアーゼの産生およびいくつかのサイトカイン(たとえば、b-FGF)が貯蔵されている細胞外マトリックスの後続分解を介して、血管新生ペプチドを放出することができる。血管新生はまた、炎症細胞(とくに、マクロファージ)の動員および血管新生サイトカイン(たとえば、TNF-α、bFGF)のそれらからの後続放出を介して、間接的に誘発することもできる。
【0006】
さまざまな他の疾患および障害もまた、望ましくない血管新生に関連づけられるかまたはそれにより特性づけられる。たとえば、増強されたまたは無調節な血管新生が、いくつかの疾患および病的症状(たとえば、限定されるものではないが、眼血管新生疾患、脈絡膜血管新生疾患、網膜血管新生疾患、ルベオーシス(隅角部の血管新生)、ウイルス性疾患、遺伝病、炎症性疾患、アレルギー性疾患、および自己免疫性疾患)に関係しているとみなされてきた。そのような疾患および症状の例としては、糖尿病性網膜症;未熟児網膜症;角膜移植拒絶反応;血管新生緑内障;水晶体後繊維増殖症;および増殖性硝子体網膜症が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0007】
したがって、血管新生を抑制したりまたはTNF-αなどの特定のサイトカインの産生を阻止したりすることができる化合物は、種々の疾患および症状の治療および予防に役立つであろう。
【0008】
2.2 癌の治療方法
現用の癌療法は、患者の新生物細胞を根絶するために、手術、化学療法、ホルモン療法、および/または放射線治療を必要とする可能性がある(たとえば、Stockdale, 1998, Medicine, vol. 3, Rubenstein and Federman, eds., Chapter 12, Section IVを参照されたい)。最近では、癌療法はまた、生物学的療法または免疫療法を必要とする可能性もある。これらの手法はすべて、患者にとって顕著な欠点を伴う。たとえば、手術は、患者の健康によっては禁忌になることもあるし、または患者に受け入れがたいこともある。さらに、手術では、新生物組織を完全に除去しえない可能性もある。放射線療法は、新生物組織が正常組織よりも放射線に高い感受性を呈する場合にのみ有効であるにすぎない。放射線療法はまた、多くの場合、重篤な副作用を誘発する可能性もある。ホルモン療法は、単一の作用因子として施されることはめったにない。ホルモン療法は、有効でありうるが、多くの場合、他の治療により癌細胞の大部分を除去した後、癌の再発を予防または遅延すべく用いられる。生物学的療法および免疫療法は、数が限られており、しかも皮疹もしくは腫脹、インフルエンザ様症候(たとえば、発熱、悪寒、および倦怠感)、消化管異常、またはアレルギー反応のような副作用を生じる可能性もある。
【0009】
化学療法に関しては、癌の治療に利用可能なさまざまな化学療法剤が存在する。癌化学療法剤の大部分は、デオキシリボヌクレオチド三リン酸前駆体の生合成を阻害してDNA複製および付随する細胞分裂を妨害することにより直接的または間接的のいずれかでDNA合成を阻害することによって作用する。Gilman et al., Goodman and Gilman's: The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Ed. (McGraw Hill, New York)。
【0010】
さまざまな化学療法剤が利用可能であるにもかかわらず、化学療法は、多くの欠点を有する。Stockdale, Medicine, vol. 3, Rubenstein and Federman, eds., ch. 12, sect. 10, 1998。ほとんどすべての化学療法剤は有毒であり、化学療法は、重度の悪心、骨髄抑制、および免疫抑制を含めて、顕著でかつ多くの場合危険な副作用を引き起こす。さらに、化学療法剤の併用投与を行った場合でさえも、多くの腫瘍細胞は、化学療法剤に対して耐性であるかまたは耐性を獲得する。実際上、治療プロトコールに使用した特定の化学療法剤に対して耐性であるそれらの細胞は、他の薬剤に対しても、たとえそれらの作用剤が特定の治療に使用した薬剤の作用機序と異なる機序により作用するとしても、耐性であることが判明する場合が多い。この現象は、多面的薬剤耐性または多剤耐性と呼ばれる。薬剤耐性に起因して、多くの癌は、標準的な化学療法治療プロトコールに対して不応性であることが判明している。
【0011】
望ましくない血管新生に関連づけられるかまたはそれにより特性づけられる他の疾患または症状もまた、治療が困難である。しかしながら、プロタミン、ヘパリン、およびステロイドのようないくつかの化合物は、いくつかの特定の疾患の治療に有用であるとの提案がなされている。Taylor et al., Nature 297:307 (1982); Folkman et al., Science 221:719 (1983);ならびに米国特許第5,001,116号および同第4,994,443号。サリドマイドおよびその特定の誘導体もまた、そのような疾患および症状を治療すべく提案されている。D'Amatoに付与された米国特許第5,593,990号、同第5,629,327号、同第5,712,291号、同第6,071,948号、および同第6,114,355号。
【0012】
癌ならびに他の疾患および症状、とくに、手術、放射線療法、化学療法、およびホルモン療法のような標準的な治療に不応性である疾患を、従来療法に伴う毒性および/または副作用を軽減または回避しつつ、治療、予防、および管理する安全かつ有効な方法が、依然としてかなり必要とされている。
【0013】
2.3 IMiDTM
TNF-αの異常産生に関連づけられる疾患を治療すべく安全かつ効果的に使用することのできる化合物を提供する目的で、いくつかの研究が行われてきた。たとえば、Marriott, J.B., et al., Expert Opin. Biol. Ther. 1(4):1-8 (2001); G.W. Muller, et al., Journal of Medicinal Chemistry 39(17): 3238-3240 (1996);およびG.W. Muller, et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 8: 2669-2674 (1998)を参照されたい。いくつかの研究では、LPSにより刺激されたPBMCによるTNF-αの産生を強力に阻害する機能に関して選択された化合物群に焦点があてられてきた。L.G. Corral, et al., Ann. Rheum. Dis. 58:(Suppl I) 1107-1113 (1999)。IMiDTM(Celgene Corporation)または免疫調節性薬剤と呼ばれるこれらの化合物は、TNF-αの強力な阻害だけでなくLPSにより誘発される単球のIL1βおよびIL12産生の顕著な阻害をも示す。LPS誘導IL6もまた、免疫調節性化合物により阻害されるが、ただし、部分的な阻害である。これらの化合物は、LPS誘導IL10の強力な刺激剤である。同上。IMiDTMの特定例としては、米国特許第6,281,230号および同第6,316,471号(両方ともG.W. Mullerらに付与された)に記載されている置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)フタルイミドおよび置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,593,990号
【特許文献2】米国特許第5,629,327号
【特許文献3】米国特許第5,712,291号
【特許文献4】米国特許第6,071,948号
【特許文献5】米国特許第6,114,355号
【発明の概要】
【0015】
3. 発明の概要
本発明は、特定のタイプの癌、たとえば、原発性および転移性の癌ならびに従来の化学療法に不応性または耐性である癌を治療および予防する方法を包含する。この方法には、そのような治療または予防の必要な患者に治療上または予防上有効な量の免疫調節性化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、もしくはプロドラッグを投与することが含まれる。本発明はまた、特定の癌を管理する(たとえば、それらの再発を予防もしくは遅延したりまたは寛解期を延長したりする)方法を包含する。この方法には、そのような管理の必要な患者に予防上有効な量の本発明の免疫調節性化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、もしくはプロドラッグ投与することが含まれる。
【0016】
本発明の特定の方法では、癌を治療、予防、または管理すべく慣用される療法と併用して、免疫調節性化合物を投与する。そのような従来療法の例としては、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法、および免疫療法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本発明はまた、望ましくない血管新生に関連づけられるかまたはそれにより特性づけられる疾患および障害(癌以外)を治療、管理、または予防する方法を包含する。この方法には、そのような治療、管理、または予防の必要な患者に治療上または予防上有効な量の免疫調節性化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、もしくはプロドラッグを投与することが含まれる。
【0018】
他の本発明の方法では、望ましくない血管新生に関連づけられるかまたはそれにより特性づけられる疾患または障害を治療、予防、または管理すべく慣用される療法と併用して、免疫調節性化合物を投与する。そのような従来療法の例としては、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法、および免疫療法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
本発明は、免疫調節性化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、もしくはプロドラッグと、第2のすなわち追加の活性剤とを含む、医薬組成物、単回投与製剤、投与レジメン、およびキットを包含する。第2の活性剤としては、薬剤の特定の組合せまたは「カクテル」が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
4. 図の簡単な説明
【図1】in vitro試験において多発性骨髄腫(MM)細胞系の増殖を阻害する3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)およびサリドマイドの作用の比較を示す図である。細胞増殖の指標として、異なるMM細胞系(MM.1S、Hs Sultan、U266、およびRPMI-8226)による[3H]-チミジンの取込みを測定した。
【発明を実施するための形態】
【0021】
5. 発明の詳細な説明
本発明の第1の実施形態は、癌を治療、管理、または予防する方法を包含する。この方法には、そのような治療または予防の必要な患者に治療上または予防上有効な量の本発明の免疫調節性化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、もしくはプロドラッグを投与することが含まれる。
【0022】
この実施形態に包含される特定の方法では、癌を治療、管理、または予防する他の薬剤(「第2の活性剤」)または方法と併用して、免疫調節性化合物を投与する。第2の活性剤としては、小分子および大分子(たとえば、タンパク質および抗体)(それらの例を本明細書中に提示する)ならびに幹細胞が挙げられる。免疫調節性化合物の投与と併用することのできる方法または療法としては、手術、輸血、免疫療法、生物学的療法、放射線療法、および癌を治療、予防、または管理すべく現用されている他の非薬剤的療法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本発明の他の実施形態は、望ましくない血管新生により特性づけられる疾患および障害(癌以外)を治療、管理、または予防する方法を包含する。これらの方法には、治療上または予防上有効な量の免疫調節性化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、もしくはプロドラッグの投与が含まれる。
【0024】
望ましくない血管新生に関連づけられるかまたはそれにより特性づけられる疾患および障害の例としては、炎症性疾患、自己免疫性疾患、ウイルス性疾患、遺伝病、アレルギー性疾患、細菌性疾患、眼血管新生疾患、脈絡膜血管新生疾患、網膜血管新生疾患、およびルベオーシス(隅角部の血管新生)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
この実施形態に包含される特定の方法では、疾患または症状を治療、管理、または予防する第2の活性剤または方法と併用して、免疫調節性化合物を投与する。第2の活性剤としては、小分子および大分子(たとえば、タンパク質および抗体)(それらの例を本明細書中に提示する)ならびに幹細胞が挙げられる。免疫調節性化合物の投与と併用することのできる方法または療法としては、手術、輸血、免疫療法、生物学的療法、放射線療法、および望ましくない血管新生に関連づけられるかまたはそれにより特性づけられる疾患および症状を治療、予防、または管理すべく現用されている他の非薬剤的療法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本発明はまた、本明細書に開示されている方法で使用することのできる医薬組成物(たとえば、単回投与製剤(single unit dosage form))を包含する。特定の医薬組成物には、本発明の免疫調節性化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、もしくはプロドラッグと、第2の活性剤とが含まれる。
【0027】
5.1 免疫調節性化合物
本発明に使用される化合物には、ラセミ体であるか、ステレオマー的に富化されているか、またはステレオマー的に純粋である免疫調節性化合物、ならびにそれらの製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、およびプロドラッグが包含される。本発明に使用される好ましい化合物は、約1,000g/mol以下の分子量を有する小有機分子であり、タンパク質でもペプチドでもオリゴヌクレオチドでもオリゴ糖でも他の巨大分子でもない。
【0028】
本明細書中で使用する場合、とくに明示されていないかぎり、「免疫調節性化合物」および「IMiDTM」(Celgene Corporation)という用語には、TNF-α産生、LPSにより誘発される単球のIL1βおよびIL12産生を著しく阻害し、IL6産生を部分的に阻害する小有機分子が包含される。特定の免疫調節性化合物について、以下で論述する。
【0029】
TNF-αは、急性炎症時にマクロファージおよび単球により産生される炎症性サイトカインである。TNF-αは、細胞内の多岐にわたるシグナリング事象をつかさどる。TNF-αは、癌において病理学的役割を果たす可能性がある。理論により限定されるものではないが、本発明の免疫調節性化合物が示す生物学的作用の1つは、TNF-α合成の減少である。本発明の免疫調節性化合物は、TNF-α mRNAの分解を促進する。
【0030】
さらに、理論により限定されるものではないが、本発明に使用される免疫調節性化合物はまた、T細胞の強力な共刺激剤であって、細胞増殖を用量依存的に劇的に増大させる可能性もある。本発明の免疫調節性化合物はまた、CD4+ T細胞サブセットに対するよりもCD8+ T細胞サブセットに対するほうが大きい共刺激作用を有しうる。このほか、該化合物は、好ましくは、抗炎症性を有し、T細胞を効率的に共刺激する。
【0031】
本発明の免疫調節性化合物の特定例としては、置換スチレンのシアノおよびカルボキシ誘導体、たとえば、米国特許第5,929,117号に開示されている化合物;1-オキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-フルオロピペリジン-3イル)イソインドリン類および1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-フルオロピペリジン-3-イル)イソインドリン類、たとえば、米国特許第5,874,448号に記載されている化合物;米国特許第5,798,368号に記載されている四置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン類;1-オキソおよび1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン類(たとえば、サリドマイドやEM-12の4-メチル誘導体)、たとえば、限定されるものではないが、米国特許第5,635,517号に開示されている化合物;ならびに米国特許第5,698,579号および同第5,877,200号に開示されている非ポリペプチド環状アミド類;サリドマイドの類似体および誘導体(たとえば、サリドマイドの加水分解生成物、代謝物、誘導体、および前駆体)、たとえば、D'Amatoに付与された米国特許第5,593,990号、同第5,629,327号、および同第6,071,948号に記載されている化合物;アミノサリドマイド、およびアミノサリドマイドの類似体、加水分解生成物、代謝物、誘導体、および前駆体、ならびに置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)フタルイミド類および置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドール類、たとえば、米国特許第6,281,230号および同第6,316,471号に記載されている化合物;イソインドール-イミド化合物類、たとえば、2001年10月5日出願の米国特許出願第09/972,487号、2001年12月21日出願の米国特許出願第10/032,286号、および国際出願PCT/US01/50401号(国際公開WO 02/059106号)に記載されている化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書中で特定された各特許および特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする。本発明の免疫調節性化合物には、サリドマイドは包含されない。
【0032】
本発明の他の特定の免疫調節性化合物としては、米国特許第5,635,517号(参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載されているようにベンゾ環がアミノで置換された1-オキソ-および1,3ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、構造I:
【化1】

【0033】
〔式中、XおよびYのうちの一方はC=Oであり、XおよびYのうちの他方はC=OまたはCH2であり、そしてR2は水素または低級アルキルル(とくに、メチル)である〕
を有する。特定の免疫調節性化合物としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない:
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-アミノイソインドリン;
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-アミノイソインドリン;
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-6-アミノイソインドリン;
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-7-アミノイソインドリン;
1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-アミノイソインドリン;および
1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-アミノイソインドリン。
【0034】
本発明の他の特定の免疫調節性化合物は、置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)フタルイミド類および置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドール類に属し、たとえば、米国特許第6,281,230号;同第6,316,471号;同第6,335,349号;および同第6,476,052号、ならびに国際特許出願PCT/US97/13375号(国際公開WO 98/03502号)(いずれも、参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている化合物が挙げられる。この類を代表する化合物は、式:
【化2】


【0035】
〔式中、R1は、水素またはメチルである〕
で示される。別の実施形態では、本発明は、これらの化合物のエナンチオマー的に純粋な形態(たとえば、光学的に純粋な(R)または(S)エナンチオマー)の使用を包含する。
【0036】
本発明のさらに他の特定の免疫調節性化合物は、米国特許出願第10/032,286号および同第09/972,487号ならびに国際出願PCT/US01/50401号(国際公開WO 02/059106号)(いずれも、参照により本明細書に組み入れられるものとする)に開示されているイソインドール-イミド類に属する。代表的な化合物は、式II:
【化3】

【0037】
で示される化合物ならびにその製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、包接体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、および立体異性体の混合物である。上記式中、
XおよびYのうちの一方はC=Oであり、かつ他方はCH2またはC=Oであり;
R1は、H、(C1〜C8)アルキル、(C3〜C7)シクロアルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0〜C4)アルキル-(C1〜C6)ヘテロシクロアルキル、(C0〜C4)アルキル-(C2〜C5)ヘテロアリール、C(O)R3、C(S)R3、C(O)OR4、(C1〜C8)アルキル-N(R6)2、(C1〜C8)アルキル-OR5、(C1〜C8)アルキル-C(O)OR5、C(O)NHR3、C(S)NHR3、C(O)NR3R3'、C(S)NR3R3'、または(C1〜C8)アルキル-O(CO)R5であり;
R2は、H、F、ベンジル、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、または(C2〜C8)アルキニルであり;
R3およびR3'は、独立して、(C1〜C8)アルキル、(C3〜C7)シクロアルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0〜C4)アルキル-(C1〜C6)ヘテロシクロアルキル、(C0〜C4)アルキル-(C2〜C5)ヘテロアリール、(C0〜C8)アルキル-N(R6)2、(C1〜C8)アルキル-OR5、(C1〜C8)アルキル-C(O)OR5、(C1〜C8)アルキル-O(CO)R5、またはC(O)OR5であり;
R4は、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C4)アルキル-OR5、ベンジル、アリール、(C0〜C4)アルキル-(C1〜C6)ヘテロシクロアルキル、または(C0〜C4)アルキル-(C2〜C5)ヘテロアリールであり;
R5は、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、ベンジル、アリール、または(C2〜C5)ヘテロアリールであり;
R6は、それぞれ独立して、H、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C2〜C5)ヘテロアリール、もしくは(C0〜C8)アルキル-C(O)O-R5であるか、またはR6基は、連結してヘテロシクロアルキル基を形成し;
nは、0または1であり;そして
*は、キラル炭素中心を表す。
【0038】
式IIで示される特定の化合物では、nが0である場合、R1は、(C3〜C7)シクロアルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0〜C4)アルキル-(C1〜C6)ヘテロシクロアルキル、(C0〜C4)アルキル-(C2〜C5)ヘテロアリール、C(O)R3、C(O)OR4、(C1〜C8)アルキル-N(R6)2、(C1〜C8)アルキル-OR5、(C1〜C8)アルキル-C(O)OR5、C(S)NHR3、または(C1〜C8)アルキル-O(CO)R5であり;
R2は、Hまたは(C1〜C8)アルキルであり;そして
R3は、(C1〜C8)アルキル、(C3〜C7)シクロアルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0〜C4)アルキル-(C1〜C6)ヘテロシクロアルキル、(C0〜C4)アルキル-(C2〜C5)ヘテロアリール、(C5〜C8)アルキル-N(R6)2;(C0〜C8)アルキル-NH-C(O)O-R5;(C1〜C8)アルキル-OR5、(C1〜C8)アルキル-C(O)OR5、(C1〜C8)アルキル-O(CO)R5、またはC(O)OR5であり;そして他の変数は、同一の定義を有する。
【0039】
式IIで示される他の特定の化合物では、R2は、Hまたは(C1〜C4)アルキルである。
【0040】
式IIで示される他の特定の化合物では、R1は、(C1〜C8)アルキルまたはベンジルである。
【0041】
式IIで示される他の特定の化合物では、R1は、H、(C1〜C8)アルキル、ベンジル、CH2OCH3、CH2CH2OCH3、または
【化4】

【0042】
である。
【0043】
式IIで示される化合物の他の実施形態では、R1は、
【化5】

【0044】
〔式中、Qは、OまたはSであり、そしてR7は、それぞれ独立して、H、(C1〜C8)アルキル、ベンジル、CH2OCH3、またはCH2CH2OCH3である〕
である。
【0045】
式IIで示される他の特定の化合物では、R1は、C(O)R3である。
【0046】
式IIで示される他の特定の化合物では、R3は、(C0〜C4)アルキル-(C2〜C5)ヘテロアリール、(C1〜C8)アルキル、アリール、または(C0〜C4)アルキル-OR5である。
【0047】
式IIで示される他の特定の化合物では、ヘテロアリールは、ピリジル、フリル、またはチエニルである。
【0048】
式IIで示される他の特定の化合物では、R1は、C(O)OR4である。
【0049】
式IIで示される他の特定の化合物では、C(O)NHC(O)のHは、(C1〜C4)アルキル、アリール、またはベンジルと置き換えることができる。
【0050】
本発明のさらに他の特定の免疫調節性化合物は、米国特許出願第09/781,179号、国際公開WO 98/54170号、および米国特許第6,395,754号(いずれも、参照により本明細書に組み入れられるものとする)に開示されているイソインドール-イミド類に属する。代表的な化合物は、式III:
【化6】

【0051】
で示される化合物ならびにその製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、包接体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、および立体異性体の混合物である。上記式中、
XおよびYのうちの一方はC=Oであり、かつ他方はCH2またはC=Oであり;
Rは、HまたはCH2OCOR'であり;
(i) R1、R2、R3、もしくはR4は、それぞれ互いに独立して、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキル、もしくは1〜4個の炭素原子のアルコキシであるか、または(ii) R1、R2、R3、もしくはR4のうちの1つは、ニトロもしくは-NHR5であり、かつR1、R2、R3、もしくはR4の残りは、水素であり;
R5は、水素または1〜8個の炭素のアルキルであり;
R6は、水素、1〜8個の炭素原子のアルキル、ベンゾ、クロロ、またはフルオロであり;
R'は、R7-CHR10-N(R8R9)であり;
R7は、m-フェニレンまたはp-フェニレンまたは-(CnH2n)-(ここで、nは、0〜4の値を有する)であり;
R8およびR9は、それぞれ互いに独立して、水素もしくは1〜8個の炭素原子のアルキルであるか、またはR8およびR9は、一緒になって、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、もしくは-CH2CH2[X]X1CH2CH2-(ここで、[X]X1は、-O-、-S-、もしくは-NH-である)であり;
R10は、水素、8個までの炭素原子のアルキル、またはフェニルであり;そして
*は、キラル炭素中心を表す。
【0052】
本発明の最も好ましい免疫調節性化合物は、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンおよび3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンである。これらの化合物は、標準的な合成方法により得ることができる(たとえば、参照により本明細書に組み入れられるものとする米国特許第5,635,517号を参照されたい)。これらの化合物は、Celgene Corporation, Warren, NJから入手可能である。4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(ACTIMIDTM)は、以下の化学構造を有する:
【化7】

【0053】
化合物3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(REVIMIDTM)は、以下の化学構造を有する:
【化8】

【0054】
本発明の化合物は、市販品として購入することができるか、または本明細書に開示されている特許公報または特許公開公報に記載されている方法に従って調製することができる。さらに、光学的に純粋な化合物は、既知の分割剤またはキラルなカラムさらには他の標準的な合成有機化学技術を用いて、不斉合成または分割することができる。
【0055】
本明細書中で使用する場合、とくに明示されていないかぎり、「製薬上許容される塩」という用語には、該用語の対象となる化合物の無毒の酸付加塩および塩基付加塩が包含される。許容しうる無毒の酸付加塩には、当技術分野で公知の有機および無機の酸または塩基から誘導される酸付加塩が包含され、酸としては、たとえば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、ソルビン酸、アコニット酸、サリチル酸、フタル酸、エンボン酸(embolic acid)、エナント酸などが挙げられる。
【0056】
本質的に酸性である化合物は、種々の製薬上許容される塩基と塩を形成することができる。そのような酸性化合物の製薬上許容される塩基付加塩を調製するために使用できる塩基は、無毒の塩基付加塩、すなわち、薬理学的に許容されるカチオンを含有する塩、たとえば、限定されるものではないが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、とくに、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、またはカリウムの塩を形成する塩基である。好適な有機塩基としては、N,N-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(meglumaine)(N-メチルグルカミン)、リシン、およびプロカインが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
本明細書中で使用する場合、とくに明示されていないかぎり、「プロドラッグ」という用語は、化合物の誘導体のうち、生物学的条件下(in vitroまたはin vivo)で加水分解、酸化、またはそれ以外の反応を起こして該化合物を提供することのできる誘導体を意味する。プロドラッグの例としては、生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性ウレイド、および生加水分解性ホスフェート類似体のような生加水分解性部分を含む、本発明の免疫調節性化合物の誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。プロドラッグの他の例としては、-NO、-NO2、-ONO、または-ONO2部分を含む、本発明の免疫調節性化合物の誘導体が挙げられる。プロドラッグは、典型的には、1 Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 172-178, 949-982 (Manfred E.Wolff ed., 5th ed. 1995)およびDesign of Prodrugs (H. Bundgaard ed., Elselvier, New York 1985)に記載されているような周知の方法を用いて調製することができる。
【0058】
本明細書中で使用する場合、とくに明示されていないかぎり、「生加水分解性アミド」、「生加水分解性エステル」、「生加水分解性カルバメート」、「生加水分解性カーボネート」、「生加水分解性ウレイド」、「生加水分解性ホスフェート」という用語は、それぞれ、化合物のアミド、エステル、カルバメート、カーボネート、ウレイド、またはホスフェートを意味するが、ただし、1) 化合物の生物活性を妨害することなく、取込み、作用の持続、または作用の開始のような有利な特性をin vivoで化合物に付与することができるか;または2) 生物学的に不活性であるが、in vivoで生物学的に活性な化合物に変換されるかのいずれかである。生加水分解性エステルの例としては、低級アルキルエステル、低級アシルオキシアルキルエステル(たとえば、アセトキシルメチルエステル、アセトキシエチルエステル、アミノカルボニルオキシメチルエステル、ピバロイルオキシメチルエステル、およびピバロイルオキシエチルエステル)、ラクトニルエステル(たとえば、フタリジルエステルおよびチオフタリジルエステル)、低級アルコキシアシルオキシアルキルエステル(たとえば、メトキシカルボニルオキシメチルエステル、エトキシカルボニルオキシエチルエステル、およびイソプロポキシカルボニルオキシエチルエステル)、アルコキシアルキルエステル、コリンエステル、およびアシルアミノアルキルエステル(たとえば、アセトアミドメチルエステル)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。生加水分解性アミドの例としては、低級アルキルアミド、α-アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド、およびアルキルアミノアルキルカルボニルアミドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。生加水分解性カルバメートの例としては、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、ヘテロ環式およびヘテロ芳香族アミン、ならびにポリエーテルアミンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
本発明の種々の免疫調節性化合物は、1つ以上のキラル中心を含有し、エナンチオマーのラセミ混合物またはジアステレオマーの混合物として存在することができる。本発明は、そのような化合物のステレオマー的に純粋な形態の使用およびそれらの形態の混合物の使用を包含する。たとえば、等量または不等量の本発明の特定の免疫調節性化合物のエナンチオマーを含む混合物を、本発明の方法および組成物で使用することが可能である。これらの異性体は、キラルなカラムまたはキラルな分割剤のような標準的方法を用いて、不斉合成または分割することが可能である。たとえば、Jacques, J., et al., Enantiomers, Racemates and Resolutions (Wiley-Interscience, New York,1981); Wilen, S. H., et al., Tetrahedron 33:2725 (1977); Eliel, E. L., Stereochemistry of Carbon Compounds (McGraw-Hill, NY, 1962);およびWilen, S. H., Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268 (E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)を参照されたい。
【0060】
本明細書中で使用する場合、とくに明示されていないかぎり、「ステレオマー的に純粋な」という用語は、化合物の1種の立体異性体を含みかつその化合物の他の立体異性体を実質的に含まない組成物を意味する。たとえば、1つのキラル中心を有する化合物のステレオマー的に純粋な組成物は、化合物の反対のエナンチオマーを実質的に含まないであろう。2つのキラル中心を有する化合物のステレオマー的に純粋な組成物は、化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まないであろう。典型的なステレオマー的に純粋な化合物は、約80重量%超の化合物の1種の立体異性体と、約20重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含み、より好ましくは、約90重量%超の化合物の1種の立体異性体と、約10重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含み、さらにより好ましくは、約95重量%超の化合物の1種の立体異性体と、約5重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含み、最も好ましくは、約97重量%超の化合物の1種の立体異性体と、約3重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含む。本明細書中で使用する場合、とくに明示されていないかぎり、「ステレオマー的に富化された」という用語は、約60重量%超の化合物の1種の立体異性体、好ましくは約70重量%超、より好ましくは約80重量%超の化合物の1種の立体異性体を含む組成物を意味する。本明細書中で使用する場合、とくに明示されていないかぎり、「エナンチオマー的に純粋な」という用語は、1つのキラル中心を有する化合物のステレオマー的に純粋な組成物を意味する。同様に、「ステレオマー的に富化された」という用語は、1つのキラル中心を有する化合物のステレオマー的に富化された組成物を意味する。
【0061】
描かれた構造とその構造に与えられた名称との間に矛盾がある場合、描かれた構造をより重視すべきである点に留意されたい。このほか、構造または構造の一部分の立体化学が、たとえば、太線または破線で、明示されていない場合、その構造または構造の一部分には、そのすべての立体異性体が包含されると解釈するものとする。
【0062】
5.2 第2の活性剤
免疫調節性化合物は、本発明の方法および組成物において、他の薬理学的に活性な化合物(「第2の活性剤」)と組み合わせることができる。特定のタイプの癌ならびに望ましくない血管新生に関連づけられるかまたはそれにより特性づけられる特定の疾患および症状の治療において特定の組合せが相乗的に作用すると考えられる。免疫調節性化合物はまた、特定の第2の活性剤に関連づけられる有害作用を軽減するように作用することができ、いくつかの第2の活性剤は、免疫調節性化合物に関連づけられる有害作用を軽減するように使用することができる。
【0063】
本発明の方法および組成物において、免疫調節性化合物と一緒に、1種以上の第2の活性成分または作用剤を使用することができる。第2の活性剤は、大分子(たとえば、タンパク質)または小分子(たとえば、合成の無機分子、有機金属分子、もしくは有機分子)でありうる。
【0064】
大分子活性剤の例としては、造血増殖因子、サイトカイン、ならびにモノクロナール抗体およびポリクロナール抗体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。典型的な大分子活性剤は、天然または人造のタンパク質のような生体分子である。本発明にとくに有用であるタンパク質としては、造血前駆細胞および免疫賦活細胞(immunologically active poietic cell)の生存および/または増殖をin vitroまたはin vivoで刺激するタンパク質が挙げられる。他のものは、細胞において拘束赤血球プロジェニターの分裂および分化をin vitroまたはin vivoで刺激する。特定のタンパク質としては、インターロイキン、たとえば、IL-2(組換えIL-II(「rIL2」)およびカナリア痘IL-2を含む)、IL-10、IL-12、およびIL-18;インターフェロン、たとえば、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-n1、インターフェロンアルファ-n3、インターフェロンベータ-I a、およびインターフェロンガンマ-I b;GM-CFおよびGM-CSF;ならびにEPOが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
本発明の方法および組成物で使用することのできる特定のタンパク質としては、商品名Neupogen(登録商標)(Amgen, Thousand Oaks, CA)として米国で販売されているフィルグラスチム;商品名Leukine(登録商標)(Immunex, Seattle, WA)として米国で販売されているサルグラモスチム;および商品名Epogeng(登録商標)(Amgen, Thousand Oaks, CA)として米国で販売されている組換えEPOが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
GM-CSFの組換え形態および突然変異形態は、米国特許第5,391,485号;同第5,393,870号;および同第5,229,496号(それらはいずれも参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載されているように調製することができる。
【0067】
G-CSFの組換え形態および突然変異形態は、米国特許第4,810,643号;同第4,999,291号;同第5,528,823号;および同第5,580,755号(それらはいずれも参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載されているように調製することができる。
【0068】
本発明は、未変性、天然、および組換えのタンパク質の使用を包含する。本発明はさらに、ベースとなるタンパク質の薬理活性の少なくとも一部分をin vivoで呈する、天然のタンパク質の突然変異体および誘導体(たとえば、修飾された形態)を包含する。突然変異体の例としては、天然形態のタンパク質の対応する残基と異なる1つ以上のアミノ酸残基を有するタンパク質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このほかに、「突然変異体」という用語に包含されるのは、天然の形態で通常存在する炭水化物部分が欠如しているタンパク質(たとえば、非グリコシル化形態)である。誘導体の例としては、ペグ化誘導体および融合タンパク質、たとえば、対象のタンパク質またはタンパク質の活性部分にIgG1またはIgG3を融合することにより形成されるタンパク質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。たとえば、Penichet, M.L. and Morrison, S.L., J. Immunol. Methods 248:91-101 (2001)を参照されたい。
【0069】
本発明の化合物と併用することのできる抗体としては、モノクロナール抗体およびポリクロナール抗体が挙げられる。抗体の例としては、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、ベバシズマブ(AvastinTM)、ペルツズマブ(OmnitargTM)、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、エドレコロマブ(Panorex(登録商標))、およびG250が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物はまた、抗TNF-α抗体と組み合わせたりまたはそれと併用したりすることができる。
【0070】
大分子活性剤は、抗癌ワクチンの形態で投与することが可能である。たとえば、IL-2、G-CSF、およびGM-CSFのようなサイトカインを分泌するかまたはその分泌を引き起こすワクチンを、本発明の方法、医薬組成物、およびキットで使用することができる。たとえば、Emens, L.A.,et al., Curr. Opinion Mol. Ther. 3(1) :77-84 (2001)を参照されたい。
【0071】
本発明の一実施形態では、大分子活性剤は、免疫調節性化合物の投与に伴う有害作用を軽減、排除、または防止する。特定の免疫調節性化合物および治療対象の疾患または障害にもよるが、有害作用としては、眠気および傾眠、眩暈および起立性低血圧、好中球減少、好中球減少に起因する感染症、HIVウイルス量の増加、徐脈、スティーヴンス・ジョンソン症候群および中毒性表皮壊死症、ならびに発作(たとえば、大発作痙攣)を挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではない。特定の有害作用は、好中球減少である。
【0072】
免疫調節性化合物の投与に伴う有害作用を軽減するために、小分子である第2の活性剤を使用することもできる。しかしながら、いくつかの大分子のように、多くは、免疫調節性化合物と共に(たとえば、その前、その後、またはそれと同時に)投与したとき、相乗効果を提供することができると考えられる。小分子の第2の活性剤の例としては、抗癌剤、抗生物質、免疫抑制剤、およびステロイドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
抗癌剤の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ジメシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナールナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;セレコキシブ(COX-2阻害剤);クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;フォスキドン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシウレア;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモフォシン;イプロプラチン;イリノテカン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;ロイプロリドアセテート;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;マイトカルシン;マイトクロミン;マイトギリン;マイトマルシン;マイトマイシン;マイトスパー;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルフォスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;プロマイシン;塩酸プロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;タキソテール;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;および塩酸ゾルビシン。
【0074】
他の抗癌薬としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリックス;抗背方化形態形成タンパク質-1;抗アンドロゲン抗前立腺癌剤;抗エストロゲン剤;抗新生物剤;アンチセンスオリゴヌクレオチド;グリシン酸アフィディコリン;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシスレギュレーター;アプリン酸;ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン類;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;ベータ-アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カペシタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリックス;クロリン類(chlorlns);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シス-ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタアントラキノン類;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスファート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;ジヒドロタキソール, 9-;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルフォシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフール;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルビシン(fluorodaunorunicin);フォルフェニメックス;フォルメスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリックス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモフォシン;イロマスタット;イマチニブ(たとえば、Gleevec(登録商標))、イミキモド;免疫刺激ペプチド;インスリン様増殖因子-1レセプター阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール, 4-;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;三酢酸ラメラリン-N;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球アルファインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミゾール;リアロゾール;線状ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リッソクリナミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロキソリビン;ルルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;細胞溶解性ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテフォシン;ミリモスチム;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;ミトトキシン繊維芽細胞増殖因子-サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;Erbitux、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+ミオバクテリウム細胞壁sk;モピダモール;マスタード抗癌剤;ミカペルオキシドB;ミコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N-アセチルジナリン;N-置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素モジュレーター;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン;オブリマーセン(oblimersen)(Genasense(登録商標));O6-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカインインデューサー;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ポリ硫酸ペントサンナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルフォスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニルアセテート;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金-トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインA系免疫モジュレーター;プロテインキナーゼC阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤(微細藻類);プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン類;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルプロテイントランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras-GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;エチドロン酸レニウムRe186;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメックス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi1模擬体;セムスチン;老化由来阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナルトランスダクション阻害剤;シゾフィラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテート;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルフォシン酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;過活性血管作用性腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模擬体;チマルファシン;チモポエチンレセプターアゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン類;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来増殖阻害因子;ウロキナーゼレセプターアンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベラレソール;ベラミン;ベルジン類;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;およびジノスタチンスチマラマー。
【0075】
特定の第2の活性剤としては、オブリマーセン(oblimersen)(Genasense(登録商標))、レミケード、ドセタキセル、セレコキシブ、メルファラン、デキサメタゾン(Decadron(登録商標))、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、カルボプラチン、リポソーム化ダウノルビシン、シタラビン、ドキセタキソール(doxetaxol)、パシリタキセル、ビンブラスチン、IL-2、GM-CSF、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート(palmitronate)、ビアキシン、ブスルファン、プレドニゾン、ビスホスホネート、三酸化ヒ素、ビンクリスチン、ドキソルビシン(Doxil(登録商標))、パクリタキセル、ガンシクロビル、アドリアマイシン、リン酸エストラムスチンナトリウム(Emcyt(登録商標))、スリンダク、およびエトポシドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
5.3 治療および予防の方法
本発明の方法は、種々のタイプの癌ならびに望ましくない血管新生に関連づけられるかまたはそれにより特性づけられる疾患および障害を治療、予防、および/または管理する方法を包含する。本明細書中で使用する場合、別段の記載がないかぎり、「治療」という用語は、特定の疾患または障害の症候の発症後に本発明の化合物または他のさらなる活性剤を投与することを意味する。本明細書中で使用する場合、別段の記載がないかぎり、「予防」という用語は、とくに、癌ならびに望ましくない血管新生に関連づけられるかまたはそれにより特性づけられる他の疾患および障害を患う危険性のある患者に、症候の発症前に投与を行うことを意味する。「予防」という用語には、特定の疾患または障害の症候を抑制することが包含される。癌ならびに望ましくない血管新生に関連づけられるかまたはそれにより特性づけられる疾患および障害の病歴をもつ家族のいる患者は、予防レジメンを施すのに好ましい候補である。本明細書中で使用する場合、とくに明示されていないかぎり、「管理」という用語には、特定の疾患もしくは障害を患ったことのある患者における該疾患もしくは障害の再発を防止することおよび/または該疾患または障害を患ったことのある患者が寛解状態で生存し続ける期間を延長することが包含される。
【0077】
本明細書中で使用する場合、「癌」という用語には、充実性腫瘍および血液系腫瘍が包含されるが、これらに限定されるものではない。「癌」という用語は、皮膚組織、器官、血液、および脈管の疾患を意味し、たとえば、膀胱、骨または血液、脳、乳房、頸部、胸部、結腸、子宮内膜(endrometrium)、食道、眼、頭部、腎臓、肝臓、リンパ節、肺、口、首、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、胃、精巣、咽喉、および子宮の癌が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特定の癌としては、進行悪性腫瘍、アミロイドーシス、神経芽細胞腫、髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移(metastase)、多形膠芽腫、膠芽腫、脳幹神経膠腫、予後不良悪性脳腫瘍、悪性神経膠腫、再発性悪性神経膠腫(giolma)、未分化星状細胞腫、未分化乏突起膠腫、神経内分泌腫瘍、直腸腺癌、デュークスC&D結腸直腸癌、切除不能結腸直腸癌、転移性肝細胞癌、カポジ肉腫、核型(karotype)急性骨髄芽球性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大B細胞リンパ腫、低悪性度濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、悪性中皮腫、悪性胸水中皮腫症候群、腹膜癌、乳頭状漿液性癌、婦人科肉腫、軟部組織肉腫、強皮症(scelroderma)、皮膚血管炎、ランゲルハンス細胞組織球増殖症、平滑筋肉腫、進行性骨化性繊維形成異常症、ホルモン不応性前立腺癌、切除ハイリスク軟部組織肉腫、切除不能(unrescectable)肝細胞癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、くすぶり型骨髄腫、無痛無症候性骨髄腫、ファロピウス管癌、アンドロゲン非依存性前立腺癌、アンドロゲン依存性第IV期非転移性前立腺癌、ホルモン非感受性前立腺癌、化学療法非感受性前立腺癌、乳頭状甲状腺癌、濾胞状甲状腺癌、髄様甲状腺癌、および平滑筋腫が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特定の実施形態では、癌は、転移性である。他の実施形態では、癌は、化学療法または放射線に対して不応性または耐性であり;とくに、サリドマイドに対して不応性である。
【0078】
癌以外の疾患および症状について言及すべく本明細書中で使用する場合、「望ましくない血管新生に関連づけられるかまたはそれにより特性づけられる疾患または障害」、「望ましくない血管新生に関連づけられる疾患または障害」、および「望ましくない血管新生により特性づけられる疾患または障害」という用語は、望ましくない、不要な、または無制御な血管新生により惹起されるか、媒介されるか、またはそれらを伴う疾患、障害、および症状を意味し、たとえば、炎症性疾患、自己免疫性疾患、遺伝病、アレルギー性疾患、細菌性疾患、眼血管新生疾患、脈絡膜血管新生疾患、および網膜血管新生疾患が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
望ましくない血管新生に関連づけられるそのような疾患または障害の例としては、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障、水晶体後繊維増殖症、増殖性硝子体網膜症、トラコーマ、近視、視窩、流行性(epidemnic)角結膜炎、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、翼状片乾性角膜炎、シェーグレン症、酒さ性座瘡、フリクテン症(phylectenulosis)、梅毒、脂質変性、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純疱疹感染症、帯状疱疹感染症、原虫性感染症、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性、辺縁(mariginal)角質溶解、慢性関節リウマチ、全身性狼瘡、多発性動脈炎、外傷、ヴェーゲナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーヴンス・ジョンソン疾患、類天疱瘡(periphigoid)放射状角膜切開、鎌状赤血球貧血、類肉腫、弾性繊維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頸動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎、慢性硝子体炎、ライム病、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎、脈絡膜炎、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、シュタルガルト病、扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラズマ症、ルベオーシス、sarcodisis、硬化症、soriatis、乾癬、原発性硬化性胆管炎、直腸炎、原発性胆汁性srosis、特発性肺繊維症およびアルコール性肝炎が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
本発明の特定の実施形態では、望ましくない血管新生に関連づけられる疾患または障害には、鬱血性心不全、心筋症、肺水腫、エンドトキシン媒介性敗血症性ショック、急性ウイルス性心筋炎、心臓同種移植拒絶反応、心筋梗塞、HIV、肝炎、成人呼吸促迫症候群、骨吸収性疾患、慢性閉塞性肺疾患、慢性肺炎症性疾患、皮膚炎、嚢胞性繊維症、敗血症性ショック、敗血症、エンドトキシンショック、血行動態性ショック、敗血症症候群、虚血後再灌流障害、髄膜炎、乾癬、繊維性疾患、悪液質、移植拒絶反応、リウマチ様脊椎炎、骨粗鬆症、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、多発性硬化症、全身性紅斑性(erythrematosus)狼瘡、癩病における癩性結節性紅斑、放射線傷害、喘息、高酸素症肺胞損傷、マラリア、ミコバクテリア感染症、およびHIVに起因する日和見感染症は包含されない。
【0081】
本発明は、癌または望ましくない血管新生に関連づけられるかもしくはそれにより特性づけられる疾患もしくは障害の治療をこれまでに受けてきたが標準的療法に対して非応答性である患者およびこれまでに治療を受けていない患者を治療する方法を包含する。いくつかの疾患または障害は特定の年齢層でより多く見うけられるが、本発明は、患者の年齢に関係なく患者を治療する方法をも包含する。本発明は、問題となる疾患または症状を治療しようとして手術を受けた患者および受けていない患者を治療する方法をさらに包含する。癌ならびに望ましくない血管新生により特性づけられる疾患および障害を患う患者は、多種多様な臨床症状およびさまざまな臨床転帰を有するので、患者に施される治療は、各自の予後判定に依存して変化する可能性がある。熟練した臨床医であれば、過度の実験を行わなくとも、癌および他の疾患または障害を患う個々の患者を治療するために効果的に使用することのできる特定の二次的作用剤、手術のタイプ、および薬剤によらない標準的療法のタイプを、容易に決定することができるであろう。
【0082】
本発明に包含される方法は、癌または望ましくない血管新生により媒介される疾患もしくは障害を患っているかまたは患うおそれのある患者(たとえば、ヒト)に、1種以上の本発明の免疫調節性化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、もしくはプロドラッグを投与することを含む。
【0083】
本発明の一実施形態では、本発明の免疫調節性化合物は、約0.10〜約150mg/日の量で1日1回または複数回の投薬を行って経口投与することができる。特定の実施形態では、1日あたり約0.1〜約1mg、他の選択肢として1日おきに約0.1〜約5mgの量で4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(ActimidTM)を投与しうる。好ましい実施形態では、1日あたり約5〜25mg、他の選択肢として1日おきに約10〜約50mgの量で3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)を投与しうる。
【0084】
特定の実施形態では、1日あたり約1、2、または5mgの量で4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(ActimidTM)を再発多発性骨髄腫の患者に投与しうる。特定の実施形態では、最初に5mg/日の量で3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)を投与し、1週間ごとに用量を10、20、25、30、および50mg/日に増量することができる。特定の実施形態では、約30mg/日までの量でRevimidTMを充実性腫瘍の患者に投与することができる。特定の実施形態では、約40mg/日までの量でRevimidTMを神経膠腫の患者に投与することができる。
【0085】
5.3.1 第2の活性剤を用いる併用療法
本発明の特定の方法には、1種以上の第2の活性剤と併用して、および/または放射線療法、輸血、もしくは手術と併用して、本発明の免疫調節性化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、もしくはプロドラッグを投与することが含まれる。本発明の免疫調節性化合物の例は、本明細書に開示されている(たとえば、第5.1節を参照されたい)。第2の活性剤の例も、本明細書に開示される(たとえば、第5.2節を参照されたい)。
【0086】
患者への免疫調節性化合物および第2の活性剤の投与は、同一であるかまたは異なっている投与経路により同時にまたは逐次的に行うことができる。特定の活性剤で利用される特定の投与経路の適合性は、活性剤自体(たとえば、血流に入る前に分解を起こすことなく経口投与することができるか)および治療対象の疾患に依存するであろう。本発明の免疫調節性化合物の好ましい投与経路は、経口経路である。本発明の第2の活性剤または成分の好ましい投与経路は、当業者に公知である。たとえば、Physicians' Desk Reference, 1755-1760(56th ed., 2002)を参照されたい。
【0087】
本発明の一実施形態では、第2の活性剤は、約1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg、または約50〜約200mgの量で、静脈内または皮下に1日1回または2回投与される。第2の活性剤の特定の量は、使用される特定の作用剤と、治療または管理の対象となる疾患のタイプと、疾患の重症度および病期と、本発明の免疫調節性化合物および患者に併行して投与される任意の場合により存在していてもよい追加の活性剤の量とに依存するであろう。特定の実施形態では、第2の活性剤は、オブリマーセン(oblimersen)(Genasense(登録商標))、GM-CSF、G-CSF、EPO、タキソテール、イリノテカン、ダカルバジン、トランスレチノイン酸、トポテカン、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、COX-2阻害剤、IL2、IL8、IL18、IFN、Ara-C、ビノレルビン、またはそれらの組合せである。
【0088】
特定の実施形態では、GM-CSF、G-CSF、またはEPOは、4週間または6週間のサイクルで約5日間にわたり約1〜約750mg/m2/日の量で、好ましくは約25〜約500mg/m2/日の量で、より好ましくは約50〜約250mg/m2/日の量で、最も好ましくは約50〜約200mg/m2/日の量で皮下投与される。特定の実施形態では、GM-CSFは、約60〜約500mcg/m2の量で2時間かけて静脈内投与しうるかまたは約5〜約12mcg/m2/日の量で皮下投与しうる。特定の実施形態では、G-CSFは、最初に約1mcg/kg/日の量で皮下投与することが可能であり、全顆粒球数の上昇に応じて調整することができる。G-CSFの維持用量は、約300mcg(より小柄の患者のとき)または480mcgの量で皮下に投与しうる。特定の実施形態では、EPOは、10,000単位の量で毎週3回皮下投与しうる。
【0089】
他の実施形態では、約25mg/日の量のRevimidTMおよび約200〜1,000mg/m2/日の量のダカルバジンが、転移性悪性黒色腫の患者に投与される。特定の実施形態では、RevimidTMは、ダカルバジン、IL-2、またはIFNによる治療で疾患が進行した転移性悪性黒色腫を有する患者に約5〜約25mg/日の量で投与される。特定の実施形態では、RevimidTMは、デキサメタゾンと併用して、約15mg/日の量で1日2回または約30mg/日の量で1日4回、再発したまたは不応性の多発性骨髄腫を有する患者に投与される。
【0090】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、メルファランおよびデキサメタゾンと共にアミロイドーシスの患者に投与される。特定の実施形態では、本発明の免疫調節性化合物およびステロイドをアミロイドーシスの患者に投与することができる。
【0091】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、局所進行したまたは転移性の移行上皮性膀胱癌を有する患者にゲムシタビンおよびシスプラチナムと共に投与される。
【0092】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、次のような第2の活性成分と併用して投与される:再発したもしくは進行性の脳腫瘍または再発性神経芽細胞腫を有する小児患者に対してテモゾロマイド;再発したまたは進行性のCNS癌に対してセレコキシブ、エトポシド、およびシクロホスファミド;再発性もしくは進行性の髄膜腫、悪性髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、再発(relapased)脳腫瘍、または新たに診断された多形膠芽腫の患者に対してテモダール;再発性膠芽腫の患者に対してイリノテカン;脳幹神経膠腫の小児患者に対してカルボプラチン;進行性悪性神経膠腫の小児患者に対してプロカルバジン;予後不良悪性脳腫瘍、新たに診断されたかもしくは再発性の多形膠芽腫の患者に対してシクロホスファミド;高悪性度の再発性悪性神経膠腫に対してGliadel(登録商標);未分化星状細胞腫に対してテモゾロマイドおよびタモキシフェン;あるいは神経膠腫、膠芽腫、未分化星状細胞腫、または未分化乏突起膠腫に対してトポテカン。
【0093】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、メトトレキセートおよびシクロホスファミドと共に転移性乳癌の患者に投与される。
【0094】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、テモゾロマイドと共に神経内分泌腫瘍の患者に投与される。
【0095】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、ゲムシタビンと共に再発性転移性頭頸部癌の患者に投与される。 他の実施形態では、免疫調節性化合物は、ゲムシタビンと共に膵臓癌の患者に投与される。
【0096】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、Arisa(登録商標)、タキソール、および/またはタキソテールと併用して結腸癌の患者に投与される。
【0097】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、カペシタビンと共に、不応性結腸直腸癌の患者または結腸もしくは直腸の腺癌で第一選択の療法に失敗したかもしくは好結果が得られない患者に投与される。
【0098】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、フルオロウラシル、ロイコボリン、およびイリノテカンと併用して、デュークスC&D結腸直腸癌の患者にまたは転移性結腸直腸癌の治療をこれまでに受けた患者に投与される。
【0099】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、カペシタビン、キセローダ、および/またはCPT-11と併用して、不応性結腸直腸癌の患者に投与される。
【0100】
他の実施形態では、本発明の免疫調節性化合物は、カペシタビンおよびイリノテカンと共に、不応性結腸直腸癌の患者にまたは切除不能もしくは転移性の結腸直腸癌の患者に投与される。
【0101】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、単独でまたはインターフェロンアルファもしくはカペシタビンとの併用で、切除不能もしくは転移性の肝細胞癌の患者に投与されるか;あるいはシスプラチンおよびチオテパと共に原発性もしくは転移性の肝臓癌の患者に投与される。
【0102】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、ペグ化インターフェロンアルファと併用してカポジ肉腫の患者に投与される。
【0103】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、フルダラビン、カルボプラチン、および/またはトポテカンと併用して、不応性のまたは再発したまたはハイリスクの急性骨髄性白血病の患者に投与される。
【0104】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、リポソーム化ダウノルビシン、トポテカン、および/またはシタラビンと併用して、予後不良核型(unfavorable karotype)急性骨髄芽球性白血病の患者に投与される。
【0105】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、ゲムシタビンおよびイリノテカンと併用して非小細胞肺癌の患者に投与される。一実施形態では、免疫調節性化合物は、カルボプラチンおよびイリノテカンと併用して非小細胞肺癌の患者に投与される。一実施形態では、免疫調節性化合物は、ドキセタキソール(doxetaxol)と共に、これまでにcarbo/VP 16および放射線療法で治療された非小細胞肺癌の患者に投与される。
【0106】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、カルボプラチンおよび/またはタキソテールと併用して、またはカルボプラチン、パシリタキセル、および/もしくは胸部放射線療法と併用して、非小細胞肺癌の患者に投与される。特定の実施形態では、免疫調節性化合物は、タキソテールと併用して、第IIIB期または第IV期非小細胞肺癌の患者に投与される。
【0107】
他の実施形態では、本発明の免疫調節性化合物は、オブリマーセン(oblimersen)(Genasense(登録商標))と併用して小細胞肺癌の患者に投与される。
【0108】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、単独でまたはビンブラスチンもしくはフルダラビンのような第2の活性成分と併用して、種々のタイプのリンパ腫、たとえば、限定されるものではないが、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大B細胞リンパ腫、または再発したもしくは不応性の低悪性度濾胞性リンパ腫を有する患者に投与される。
【0109】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、タキソテール、IL-2、IFN、GM-CSF、および/またはダカルバジンと併用して、種々のタイプまたは病期の黒色腫の患者に投与される。
【0110】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、単独でまたはビノレルビンと併用して、悪性中皮腫または胸膜転移のある第IIIB期非小細胞肺癌または悪性胸水中皮腫症候群の患者に投与される。
【0111】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、デキサメタゾン、ゾレドロン酸、パルミトロネート(palmitronate)、GM-CSF、ビアキシン、ビンブラスチン、メルファラン、ブスルファン、シクロホスファミド、IFN、パルミドロネート、プレドニゾン、ビスホスホネート、セレコキシブ、三酸化ヒ素、PEG INTRON-A、ビンクリスチン、またはそれらの組合せと併用して、種々のタイプまたは病期の多発性骨髄腫の患者に投与される。
【0112】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、ドキソルビシン(Doxil(登録商標))、ビンクリスチン、および/またはデキサメタゾン(Decadron(登録商標))と併用して、再発したもしくは不応性の多発性骨髄腫の患者に投与される。
【0113】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、タキソール、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、シスプラチン、キセローダ、パクリタキセル、デキサメタゾン、またはそれらの組合せと併用して、腹膜癌、乳頭状漿液性癌、不応性卵巣癌、または再発性卵巣癌のような種々のタイプまたは病期の卵巣癌の患者に投与される。
【0114】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、キセローダ、5FU/LV、ゲムシタビン、イリノテカン+ゲムシタビン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾン、GM-CSF、セレコキシブ、タキソテール、ガンシクロビル、パクリタキセル、アドリアマイシン、ドセタキセル、エストラムスチン、Emcyt、またはそれらの組合せと併用して、種々のタイプまたは病期の前立腺癌の患者に投与される。
【0115】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、カペシタビン、IFN、タモキシフェン、IL-2、GM-CSF、Celebrex(登録商標)、またはそれらの組合せと併用して、種々のタイプまたは病期の腎細胞癌の患者に投与される。
【0116】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、IFN、COX-2阻害剤、たとえば、Celebrex(登録商標)および/またはスリンダクと併用して、種々のタイプまたは病期の婦人科系、子宮、または軟部組織肉腫の癌の患者に投与される。
【0117】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、セレブレックス、エトポシド、シクロホスファミド、ドセタキセル、カペシタビン(apecitabine)、IFN、タモキシフェン、IL-2、GM-CSF、またはそれらの組合せと併用して、種々のタイプまたは病期の充実性腫瘍の患者に投与される。
【0118】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、セレブレックス、エトポシド、シクロホスファミド、ドセタキセル、カペシタビン(apecitabine)、IFN、タモキシフェン、IL-2、GM-CSF、またはそれらの組合せと併用して、強皮症(scelroderma)または皮膚血管炎の患者に投与される。
【0119】
本発明はまた、患者に安全にかつ効果的に投与することのできる抗癌薬または抗癌剤の投与量を増加させる方法を包含する。この方法には、患者(たとえば、ヒト)に、本発明の免疫調節性化合物またはその製薬上許容される誘導体、塩、溶媒和物、包接体、水和物、またはプロドラッグを投与することが含まれる。この方法の恩恵に浴することのできる患者は、皮膚、皮下組織、リンパ節、脳、肺、肝臓、骨、腸、結腸、心臓、膵臓、副腎、腎臓、前立腺、乳房、結腸直腸の特定の癌、またはそれらの組合せを治療するための抗癌薬に伴う有害作用を受けるおそれのある患者である。本発明の免疫調節性化合物を投与することにより、それを用いなければ抗癌薬の量を制限しなければならないほどきわめて大きな有害作用が緩和または軽減される。
【0120】
一実施形態では、本発明の免疫調節性化合物は、患者への抗癌薬の投与に伴う有害作用が現れる前、その間、またはその後に、約0.1〜約150mg、好ましくは約1〜約50mg、より好ましくは約2〜約25mgの量で毎日経口投与することができる。特定の実施形態では、本発明の免疫調節性化合物は、ヘパリン、アスピリン、クマジン、またはG-CSFのような特定の作用剤と併用して、抗癌薬に伴う有害作用、たとえば、限定されるものではないが、好中球減少または血小板減少を回避すべく投与される。
【0121】
一実施形態では、本発明の免疫調節性化合物は、追加の活性成分、たとえば、限定されるものではないが、抗癌薬、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、抗生物質、およびステロイドと併用して、望ましくない血管新生に関連づけられるかまたはそれにより特性づけられる疾患および障害を患う患者に投与することができる。
【0122】
他の実施形態では、本発明は、癌を治療、予防、および/または管理する方法を包含する。この方法には、従来療法、たとえば、限定されるものではないが、癌を治療、予防、または管理すべく現用されている手術、免疫療法、生物学的療法、放射線療法、または他の非薬剤的療法と組み合わせて(たとえば、その前に、その間に、またはその後に)、本発明の免疫調節性化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、もしくはプロドラッグを投与することが含まれる。本発明の免疫調節性化合物と従来療法との併用により、特定の患者に予想外に有効であるユニークな処置レジメンを提供することが可能である。理論により限定されるものではないが、本発明の免疫調節性化合物は、従来療法と同時に投与した場合、相加的または相乗的効果を提供しうるものと考えられる。
【0123】
本明細書中の他の部分で論述されているように、本発明は、従来療法、たとえば、限定されるものではないが、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法、および免疫療法に伴う有害作用または望ましくない作用を軽減、処置、および/または予防する方法を包含する。従来療法に伴う有害作用が現れる前、その間、またはその後に、1種以上の本発明の免疫調節性化合物および他の活性成分を患者に投与することができる。
【0124】
一実施形態では、本発明の免疫調節性化合物は、約0.1〜約150mg、好ましくは約1〜約25mg、より好ましくは約2〜約10mgの量で、単独でまたは本明細書に開示されている第2の活性剤(たとえば、第5.2節を参照されたい)と併用して、従来療法を用いる前、その間、またはその後に毎日経口投与することができる。
【0125】
この方法の特定の実施形態では、これまでにcarbo/VP 16および放射線療法で治療された非小細胞肺癌の患者に本発明の免疫調節性化合物およびドキセタキソール(doxetaxol)が投与される。
【0126】
5.3. 移植療法との併用
本発明の化合物を用いれば、移植片対宿主疾患(GVHD)のリスクを減少させることができる。したがって、本発明には、癌を治療、予防、および/または管理する方法であって、移植療法と組み合わせて、本発明の免疫調節性化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、もしくはプロドラッグを投与することを含む上記方法が包含される。
【0127】
当業者が認識しているように、癌の治療は、疾患の病期および機序に基づいて行われることが多い。たとえば、癌の特定の病期に白血病への回避不能な転化が進行するにつれて、末梢血幹細胞、造血幹細胞調製物、または骨髄の移植が必要になる可能性がある。本発明の免疫調節性化合物と移植療法との併用により、ユニークかつ予想外な相乗作用が提供される。とくに、本発明の免疫調節性化合物は、癌患者において移植療法と同時に投与した場合、相加的または相乗的効果を提供しうる免疫調節活性を呈する。
【0128】
本発明の免疫調節性化合物を移植療法と併用することにより、移植の侵襲的手技に伴う合併症およびGVHDのリスクを軽減することができる。本発明には、癌を治療、予防、および/または管理する方法であって、臍帯血、胎盤血、末梢血幹細胞、造血幹細胞調製物、または骨髄を移植する前に、その間に、またはその後に、本発明の免疫調節性化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、もしくはプロドラッグを患者(たとえば、ヒト)に投与することを含む上記方法が包含される。本発明の方法で使用するのに好適な幹細胞の例は、R.Haririらにより2002年4月12日に出願された米国仮特許出願第60/372,348号に開示されている。その全内容が参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0129】
この方法の一実施形態では、本発明の免疫調節性化合物は、自己由来末梢血始原細胞を移植する前に、その間に、またはその後に、多発性骨髄腫の患者に投与される。
【0130】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、幹細胞移植の後に、多発性骨髄腫を再発している患者に投与される。
【0131】
他の実施形態では、自己由来幹細胞を移植した後に維持療法として免疫調節性化合物およびプレドニゾンが多発性骨髄腫の患者に投与される。
【0132】
他の実施形態では、移植後のリスクを低くするためにサルベージ療法として免疫調節性化合物およびデキサメタゾンが多発性骨髄腫の患者に投与される。
【0133】
他の実施形態では、自己由来骨髄を移植した後に維持療法として免疫調節性化合物およびデキサメタゾンが多発性骨髄腫の患者に投与される。
【0134】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、化学療法応答性多発性骨髄腫の患者に高用量のメルファランの投与および自己由来幹細胞の移植を行った後に投与される。
【0135】
他の実施形態では、自己由来CD34選択末梢幹細胞を移植した後に維持療法として免疫調節性化合物およびPEG INTRO-Aが多発性骨髄腫の患者に投与される。
【0136】
他の実施形態では、免疫調節性化合物は、抗血管新生を評価すべく移植後地固め化学療法と共に新たに診断された多発性骨髄腫の患者に投与される。
【0137】
他の実施形態では、高用量のメルファランによる治療および末梢血幹細胞の移植に続いてDCEPにより地固めを行った後に維持療法として免疫調節性化合物およびデキサメタゾンが65歳以上の多発性骨髄腫の患者に投与される。
【0138】
5.3.3 サイクル療法
特定の実施形態では、本発明の予防剤または治療剤は、患者に周期的に投与される。サイクル療法では、ある期間にわたり活性剤の投与を行った後で残りの期間にわたり投与を行い、この逐次的投与を繰り返す。サイクル療法を行うことにより、1つ以上の療法に対する耐性の発生を軽減したり、1つの療法の副作用を回避もしくは軽減したり、および/または治療の効力を向上させたりすることができる。
【0139】
したがって、本発明の特定の一実施形態では、本発明の免疫調節性化合物は、毎日1回または複数回の用量で4週間〜6週間のサイクルで約1週間または2週間の休止期間を設けて投与される。本発明によれば、投与サイクルの頻度、数、および長さをさらに増大させることが可能になる。したがって、本発明の他の特定の実施形態には、単独で投与したときの典型的なサイクル数よりも多くのサイクル数で本発明の免疫調節性化合物を投与することが含まれる。本発明のさらに他の特定の実施形態では、本発明の免疫調節性化合物は、第2の活性成分も投与されていない患者で典型的には用量制限毒性を惹起するおそれのあるより多くのサイクル数で投与される。
【0140】
一実施形態では、本発明の免疫調節性化合物は、約0.1〜約150mg/日の用量で3週間または4週間にわたり連続して毎日投与され、その後、1週間〜2週間の休止期間が設けられる。ActimidTMは、好ましくは、0.1〜5mg/日の初期用量で50mg/日の最大用量まで1〜10mg/日の段階的用量増加(毎週)を行って療法の許すかぎり長期間にわたり連続して毎日投与される。特定の実施形態では、RevimidTMは、約5、10、または25mg/日の量で、好ましくは約10mg/日の量で、3〜4週間にわたり投与され、その後、1週間または2週間の静止期間が設けられ、4週間または6週間のサイクルで行われる。
【0141】
本発明の一実施形態では、4〜6週間のサイクルで第2の活性成分の投与の30〜60分前に本発明の免疫調節性化合物の投与を行う形で、本発明の免疫調節性化合物および第2の活性成分が経口的に投与される。本発明の他の実施形態では、1サイクルごとに約90分間かけて本発明の免疫調節性化合物と第2の活性成分との組合せが静脈内注入により投与される。特定の実施形態では、1サイクルには、約10〜約25mg/日のRevimidTMおよび約50〜約200mg/m2/日の第2の活性成分を3〜4週間にわたり毎日投与した後で1週間または2週間の休止期間を設けることが含まれる。他の特定の実施形態では、各サイクルには、約5〜約10mg/日のActimidTMおよび約50〜約200mg/m2/日の第2の活性成分を3〜4週間にわたり投与した後で1週間または2週間の休止期間を設けることが含まれる。典型的には、併用治療を患者に施す期間内のサイクル数は、約1〜約24サイクル、より典型的には約2〜約16サイクル、さらに典型的には約4〜約3サイクルであろう。
【0142】
5.4 医薬組成物および製剤
医薬組成物は、個別の単回投与製剤の調製に使用することができる。本発明の医薬組成物および製剤には、本発明の免疫調節性化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、もしくはプロドラッグが含まれる。本発明の医薬組成物および製剤は、1種以上の賦形剤をさらに含むことができる。
【0143】
本発明の医薬組成物および製剤は、1つ以上の追加の活性成分を含むこともできる。したがって、本発明の医薬組成物および製剤には、本明細書に開示されている活性成分が含まれる(たとえば、免疫調節性化合物および第2の活性剤)。場合により存在していてもよい第2のすなわち追加の活性成分の例は、本明細書に開示されている(たとえば、第5.2節を参照されたい)。
【0144】
本発明の単回投与製剤は、経口投与、経粘膜投与(たとえば、経鼻投与、舌下投与、経膣投与、頬腔内投与、もしくは直腸内投与)、非経口投与(たとえば、皮下投与、静脈内投与、ボーラス注射、筋肉内投与、もしくは動脈内投与)、局所投与(たとえば、点眼剤もしくは他の眼科調剤)、経真皮もしくは経皮投与を患者に行うのに好適である。製剤の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:錠剤;キャプレット剤;カプセル剤、たとえば、軟質弾性ゼラチンカプセル剤;カシェ剤;トローチ剤;ロゼンジ剤;分散液剤;坐剤;散剤;エーロゾル剤(たとえば、経鼻スプレー剤または吸入器);ゲル剤;患者への経口投与または経粘膜投与に好適な液体製剤、たとえば、サスペンジョン剤(たとえば、水性もしくは非水性液状サスペンジョン剤、水中油型エマルジョン剤、または油中水型液状エマルジョン剤)、溶液剤、およびエリキシル剤;患者への非経口投与に好適な液体製剤;局所投与に好適な点眼剤または他の眼科調剤;および患者への非経口投与に好適な液体製剤を提供すべく再形成することのできる滅菌固体(たとえば、結晶性固体またはアモルファス固体)。
【0145】
本発明の製剤の組成、形状、およびタイプは、典型的には、その用途に依存して変化するであろう。たとえば、疾患の急性治療に使用される製剤には、同一疾患の慢性治療に使用される製剤よりも多量の1つ以上の活性成分が含まれうる。同様に、非経口製剤には、同一疾患の治療に用いられる経口製剤よりも少量の1つ以上の活性成分が含まれうる。本発明に包含される特定の製剤が互いに異なるこれらのおよび他の側面については、当業者に自明であろう。たとえば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing, Easton PA (1990)を参照されたい。
【0146】
典型的な医薬組成物および製剤には、1種以上の賦形剤が含まれる。好適な賦形剤については、製薬分野の当業者に公知であり、好適な賦形剤の例は、限定されるものではないが、本明細書中に挙げられている。特定の賦形剤が、医薬組成物または製剤に取り込むのに好適であるかは、当技術分野で周知のさまざまな因子(たとえば、限定されるものではないが、製剤を患者に投与する方法)に依存する。たとえば、錠剤のような経口製剤には、非経口製剤に使用するには適切でない賦形剤が含まれうる。特定の賦形剤の適合性は、製剤中の特定の活性成分にも依存しうる。たとえば、いくつかの活性成分の分解は、ラクトースのようないくつかの賦形剤によりまたは水に暴露したときに、加速される可能性がある。第一級または第二級アミンを含む活性成分は、加速分解をとくに受けやすい。したがって、本発明は、ラクトース、他のモノ-またはジ-サッカリドを、かりに存在したとしても、ほとんど含んでいない医薬組成物および製剤を包含する。本明細書中で使用する場合、「ラクトース非含有」という用語は、存在するラクトースの量が、かりに存在したとしても、活性成分の分解速度を実質的に増加させるには不十分であることを意味する。
【0147】
たとえば、当技術分野で周知であり米国薬局方(USP) 25-NF20 (2002)に列挙されている賦形剤を本発明のラクトース非含有組成物に組み込むことができる。一般的には、ラクトース非含有組成物には、活性成分、結合剤/充填剤、および滑沢剤が、製薬上適合しうるかつ製薬上許容される量で含まれる。好ましいラクトース非含有製剤には、活性成分、微結晶性セルロース、アルファ化デンプン、およびステアリン酸マグネシウムが含まれる。
【0148】
水はいくつかの化合物の分解を促進する可能性があるので、本発明はさらに、活性成分を含む無水の医薬組成物および製剤を包含する。たとえば、製剤の貯蔵寿命または経時安定性のような特性を調べるために、長期貯蔵をシミュレートする手段として、水(たとえば、5%)を添加することが、製薬技術分野で広く受け入れられている。たとえば、Jens T. Carstensen, Drug Stability: Principles & Practice, 2d. Ed., Marcel Dekker, NY, NY, 1995, pp. 379-80を参照されたい。事実上、水および熱は、いくつかの化合物の分解を加速する。したがって、製剤の製造時、取扱い時、包装時、貯蔵時、輸送時、および使用時には、一般に、湿気および/または湿度に遭遇することから、製剤に及ぼす水の影響は、非常に重要になる可能性がある。
【0149】
本発明の無水の医薬組成物および製剤は、無水または低湿分の成分および低湿分または低湿度の条件を用いて調製することができる。ラクトースおよび第一級または第二級アミンを有する少なくとも1つの活性成分を含んでなる医薬組成物および製剤は、製造時、包装時、および/または貯蔵時に湿分および/または湿度と実質的に接触することが予想されるのであれば、好ましくは無水である。
【0150】
無水の医薬組成物は、その無水状態が保持されるように調製しかつ貯蔵しなければならない。したがって、好ましくは、水への暴露を防止することが知られている材料を用いて無水の組成物を包装することにより、処方に合った好適なキットに組み込むことができるようにする。好適な包装の例としては、ハーメチックシールフォイル、プラスチック、単位用量容器(たとえば、バイアル)、ブリスターパック、およびストリップパックが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0151】
本発明はさらに、活性成分の分解する速度を減少させる1種以上の化合物を含んでなる医薬組成物および製剤を包含する。そのような化合物(本明細書中では「安定化剤」と記す)としては、抗酸化剤、たとえば、アスコルビン酸、pH緩衝剤、または塩緩衝剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0152】
賦形剤の量およびタイプと同じように、製剤中の活性成分の量および特定のタイプは、患者に投与する経路(ただし、これに限定されるものではない)のような因子に依存して変化する可能性がある。しかしながら、本発明の典型的な製剤には、本発明の免疫調節性化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、もしくはプロドラッグが、約0.10〜約150mgの量で含まれる。典型的な製剤には、本発明の免疫調節性化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、もしくはプロドラッグが、約0.1、1、2、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、25、50、100、150、または200mgの量で含まれる。特定の実施形態では、好ましい製剤には、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(ActimidTM)が、約1、2、5、10、25、または50mgの量で含まれる。特定の実施形態では、好ましい製剤には、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)が、約5、10、25、または50mgの量で含まれる。典型的な製剤には、第2の活性成分が、1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg、または約50〜約200mgの量で含まれる。もちろん、抗癌薬の特の定量は、使用される特定の作用剤と、治療または管理の対象となる癌のタイプと、本発明の免疫調節性化合物および患者に併行して投与される任意の場合により存在していてもよい追加の活性剤の量とに依存するであろう。
【0153】
5.4.1 経口製剤
経口投与に好適な本発明の医薬組成物は、個別の製剤として、たとえば、限定されるものではないが、錠剤(たとえば、咀嚼錠剤)、キャプレット剤、カプセル剤、および液剤(たとえば、香味シロップ剤)として、提示することができる。そのような製剤は、所定量の活性成分を含有しており、当業者に周知の製剤学的方法により調製可能である。概要については、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing, Easton PA (1990)を参照されたい。
【0154】
本発明の典型的な経口製剤は、従来の医薬配合方法に準拠して活性成分を少なくとも1種の賦形剤と均質混合状態に組み合わせることにより調製される。賦形剤は、投与に望まれる調製物の形態に応じて多種多様な形態をとることができる。たとえば、経口液剤またはエーロゾル製剤で使用するのに好適な賦形剤としては、水、グリコール類、油類、アルコール類、香味剤、保存剤、および着色剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。固形経口製剤(たとえば、散剤、錠剤、カプセル剤、およびキャプレット剤)で使用するのに好適な賦形剤の例としては、デンプン類、糖類、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、および崩壊剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0155】
投与が容易であることから、錠剤およびカプセル剤は、最も有利な経口単位製剤を代表するものであり、この場合には、固体賦形剤が利用される。所望であれば、標準的な水系方式または非水系方式により錠剤にコーティングを施すことができる。そのような製剤は、任意の製剤学的方法により調製することができる。一般的には、医薬組成物および製剤は、活性成分を、液体担体、微細分割固体担体、またはその両方と均一かつ十分に混合してから、必要ならば、生成物を所望の提供形態に造形することにより、調製される。
【0156】
たとえば、錠剤は、圧縮または成形により調製することができる。圧縮錠剤は、粉末または顆粒のような自由流動性形態の活性成分を、場合により賦形剤と混合してから、好適な機械で圧縮することにより、調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を好適な機械で成形することにより、作製することができる。
【0157】
本発明の経口製剤で使用することのできる賦形剤の例としては、結合剤、充填剤、崩壊剤、および滑沢剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。医薬組成物および製剤で使用するのに好適な結合剤としては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、または他のデンプン、ゼラチン、天然および合成のガム、たとえば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸化合物、トラガント末、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(たとえば、エチルセルロース、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(たとえば、No.2208、2906、2910)、微結晶性セルロース、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0158】
微結晶性セルロースの好適な形態としては、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103 AVICELRC-581、AVICEL-PH-105(FMC Corporation, American Viscose Division, Avicel Sales, Marcus Hook, PAから入手可能)として販売されている材料、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特定の結合剤は、AVICEL RC-581として販売されいる微結晶性セルロースとナトリウムカルボキシメチルセルロースとの混合物である。好適な無水または低湿分の賦形剤または添加剤としては、AVICEL-PH-103TMおよびStarch 1500 LMが挙げられる。
【0159】
本明細書中に開示されている医薬組成物および製剤で使用するのに好適な充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(たとえば、顆粒または粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート類、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の医薬組成物中の結合剤または充填剤は、典型的には、医薬組成物または製剤の約50〜約99重量パーセントの量で存在する。
【0160】
崩壊剤は、水性環境に暴露したときに崩壊する錠剤を提供すべく、本発明の組成物で使用される。崩壊剤の含有量が多すぎる錠剤は、貯蔵時に崩壊する可能性があり、一方、含有量が少なすぎる錠剤は、所望の速度でまたは所望の条件下で崩壊しない可能性がある。したがって、多すぎたり少なすぎたりして悪影響がでるほど活性成分の放出を改変することのにない十分量の崩壊剤を用いて、本発明の固形経口製剤を形成しなければならない。使用される崩壊剤の量は、製剤のタイプによって変化し、当業者であれば、容易に確定しうる。典型的な医薬組成物には、約0.5〜約15重量%の崩壊剤、好ましくは約1〜約5重量%の崩壊剤が含まれる。
【0161】
本発明の医薬組成物および製剤で使用することのできる崩壊剤としては、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、ナトリウムデンプングリコレート、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、他のデンプン類、アルファ化デンプン、他のデンプン類、粘土類、他のアルギン類、他のセルロース類、ガム類、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0162】
本発明の医薬組成物および製剤で使用することのできる滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽質鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール類、ステアリン酸、ナトリウムラウリルスルフェート、タルク、水素化植物油(たとえば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、エチルオレエート、エチルラウレート、寒天、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。追加の滑沢剤としては、たとえば、サイロイドシリカゲル(W.R. Grace Co. of Baltimore, MDにより製造されているAEROSIL200)、合成シリカの凝結エーロゾル(Degussa Co. of Plano, TXにより販売されている)、CAB-O-SIL(Cabot Co. of Boston, MAにより販売されいる高熱反応二酸化ケイ素生成物)、およびそれらの混合物が挙げられる。かりに使用するのであれば、滑沢剤は、典型的には、それが組み込まれる医薬組成物または製剤の約1重量パーセント未満の量で使用される。
【0163】
本発明の好ましい固形経口製剤には、本発明の免疫調節性化合物、無水ラクトース、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイド状無水シリカ、およびゼラチンが含まれる。
【0164】
5.4.2 遅延放出製剤
本発明の活性成分は、当業者に周知である制御放出手段または送達器具により投与することができる。例としては、米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;ならびに同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号、および同第5,733,566号(いずれも参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。そのような製剤を用いれば、たとえば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、ゲル、透析膜、浸透系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、マイクロスフェア、またはそれらの組合せを使用して、1つ以上の活性成分の徐放または制御放出を行うことにより、さまざまな割合で所望の放出プロファイルを得ることができる。本明細書に記載のものを含めて当業者に公知の好適な制御放出製剤は、本発明の活性成分と併用すべく容易に選択することができる。したがって、本発明は、経口投与に好適な単回投与製剤、たとえば、限定されるものではないが、制御放出に適した錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤、およびキャプレット剤を包含する。
【0165】
すべての制御放出医薬品は、それらの対応する非制御医薬品により達成されるよりもさらに薬物療法を改善するという共通の目標を有する。理想的には、内科的治療における最適にデザインされた制御放出製剤の使用は、最小限の薬剤物質を利用して最小限の時間で症状の治癒または抑制を行うことにより特性づけられる。制御放出製剤の利点としては、薬剤活性の長期持続、投与頻度の減少、および患者のコンプライアンス向上が挙げられる。このほか、制御放出製剤を用いれば、作用の開始時間または薬剤の血中レベルのような他の特性に影響を及ぼすことができるので、副作用(たとえば、有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
【0166】
ほとんどの制御放出製剤では、速やかに所望の治療効果を生じる量の薬剤(活性成分)を最初に放出させ、このレベルの治療効果または予防効果を長期間にわたり保持する他の量の薬剤を徐々にかつ連続的に放出させるように、デザインされる。この一定レベルの薬剤を生体内で保持するために、代謝されて生体から排泄される薬剤の量を補充する速度で薬剤を製剤から放出させなければならない。活性成分の制御放出は、種々の条件により、たとえば、限定されるものではないが、pH、温度、酵素、水、または他の生理学的条件もしくは化合物により刺激することができる。
【0167】
5.4.3 非経口製剤
非経口製剤は、患者に対して、種々の経路により、たとえば、限定されるものではないが、皮下、静脈内(ボーラス注射を含めて)、筋肉内、および動脈内に、投与することができる。典型的には、それらの投与によって汚染物に対する患者の自然防御が働くことがないように、非経口製剤は、好ましくは、無菌であるかまたは患者に投与する前に滅菌可能である。非経口製剤の例としては、そのまま注射できる状態にある溶液剤、注射に供すべく製薬上許容される媒体に溶解もしくは懸濁させることができる状態にある乾燥製剤、そのまま注射できる状態にあるサスペンジョン剤、およびエマルジョン剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0168】
本発明の非経口製剤を提供するために使用することのできる好適な媒体は、当業者に周知である。例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:注射用水USP;水性媒体、たとえば、限定されるものではないが、食塩注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび食塩注射液、ならびに乳酸加リンゲル注射液;水混和性媒体、たとえば、限定されるものではないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール;ならびに非水性媒体、たとえば、限定されるものではないが、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、エチルオレエート、イソプロピルミリステート、およびベンジルベンゾエート。
【0169】
本明細書中に開示されている1つ以上の活性成分の溶解性を増大させる化合物もまた、本発明の非経口製剤中に組み込むことができる。たとえば、シクロデキストリンおよびその誘導体を用いて、本発明の免疫調節性化合物およびその誘導体の溶解性を増大させることができる。たとえば、米国特許第5,134,127号(参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。
【0170】
5.4.4 局所製剤および経粘膜製剤
本発明の局所製剤および経粘膜製剤としては、スプレー剤、エーロゾル剤、溶液剤、エマルジョン剤、サスペンジョン剤、点眼剤もしくは他の眼科調剤、または当業者に既知の他の製剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。たとえば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th and 18theds., Mack Publishing, Easton PA (1980 & 1990);およびIntroduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 4th ed., Lea & Febiger, Philadelphia (1985)を参照されたい。口腔内の粘膜組織の治療に好適な製剤は、洗口剤または経口ゲルとして製剤化することができる。
【0171】
本発明に包含される局所製剤および経粘膜製剤を提供するために使用することのできる好適な賦形剤(たとえば、担体および希釈剤)および他の材料は、製薬分野の当業者に周知適切であり、所与の医薬組成物または製剤が適用される特定の組織に依存する。その事実をふまえて、典型的な賦形剤としては、無毒でかつ製薬上許容される溶液剤、エマルジョン剤、またはゲル剤を形成する水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、鉱油、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。保湿剤または湿潤剤もまた、所望であれば、医薬組成物および製剤に添加することができる。そのような追加の成分の例は、当技術分野で周知である。たとえば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th and 18th eds., Mack Publishing, Easton PA (1980 & 1990)を参照されたい。
【0172】
医薬組成物または製剤のpHを調整することにより、1つ以上の活性成分の送達を改善することも可能である。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、または張度を調整することにより、送達を改善することができる。ステアレートのような化合物を医薬組成物または製剤に添加して1つ以上の活性成分の親水性または親油性を改変することにより、送達を改善することもできる。これに関連して、ステアレートは、製剤用の脂質媒体として、乳化剤または界面活性剤として、および送達促進剤または浸透促進剤として、役立ちうる。活性成分のさまざまな塩、水和物、または溶媒和物を用いることにより、得られる組成物の特性をさらに調整することができる。
【0173】
5.4.5 キット
典型的には、本発明の活性成分は、好ましくは、患者に同時に投与されるず、または同一の投与経路により投与されない。したがって、本発明は、医師が使用したときに患者への適正量の活性成分の投与を単純化できるキットを包含する。
【0174】
本発明の典型的なキットは、本発明の免疫調節性化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、プロドラッグ、もしくは包接体の製剤を備える。本発明に包含されるキットは、オブリマーセン(oblimersen)(Genasense(登録商標))、メルファラン、G-CSF、GM-CSF、EPO、トポテカン、ダカルバジン、イリノテカン、タキソテール、IFN、COX-2阻害剤、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン、デキサメタゾン、IL2、IL8、IL18、Ara-C、ビノレルビン、イソトレチノイン、13 シスレチノイン酸、またはその薬理学的に活性な突然変異体もしくは誘導体、あるいはそれらの組合せのような追加の活性成分をさらに含むことができる。追加の活性成分の例としては、本明細書中に開示されている成分が挙げられるが、これらに限定されるものではない(たとえば、第5.2節を参照されたい)。
【0175】
本発明のキットは、活性成分を投与するために使用される器具をさらに備えることができる。そのような器具の例としては、シリンジ、ドリップバッグ、パッチ、および吸入器が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0176】
本発明のキットは、移植用の細胞または血液、および1つ以上の活性成分を投与するために使用することのできる製薬上許容される媒体をさらに備えることができる。たとえば、非経口投与に供すべく再構成しなければならない固体形態で活性成分が提供される場合、キットは、非経口投与に好適である微粒子非含有滅菌溶液を形成すべく活性成分を溶解させることのできる好適な媒体の入った密閉容器を備えることができる。製薬上許容される媒体の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:注射用水USP;水性媒体、たとえば、限定されるものではないが、食塩注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび食塩注射液、ならびに乳酸加リンゲル注射液;水混和性媒体、たとえば、限定されるものではないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール;ならびに非水性媒体、たとえば、限定されるものではないが、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、エチルオレエート、イソプロピルミリステート、およびベンジルベンゾエート。
【実施例】
【0177】
6. 実施例
以下の実施例により本発明の特定の実施形態について具体的に説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。
【0178】
6.1 サイトカイン産生のモジュレーション
ヒト被験者における本発明の免疫調節性化合物の臨床評価を裏づけるために、一連の非臨床薬理学的および毒性学的試験を行った。これらの試験は、別段の記載がないかぎり、国際的に公認された試験計画ガイドラインに従って、かつGood Laboratory Practice(GLP)の要求基準を満たすように行われた。
【0179】
4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(ActimidTM)、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、およびサリドマイド(RevimidTM)によるヒトPBMCおよびヒト全血のLPS刺激に続くTNF-α産生の阻害を、in vitroで調べた(Muller et al.,Bioorg. Med. Chem. Lett. 9:1625-1630,1999)))。PBMCおよびヒト全血のLPS刺激に続くTNF-αの産生を阻害する4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンのIC50は、それぞれ、約24nM(6.83ng/mL)および25nM(6.55ng/mL))であった。in vitro試験から、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの薬理活性プロファイルは、サリドマイドのときと類似しているが、少なくとも200倍強力であることが示唆される。また、in vitro試験から、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンが2.73〜27.3 ng/mL(0.01〜0.1μM)の濃度のときに、MM.ISおよびHs Sultan細胞の増殖の50%阻害が達成されることが実証された。
【0180】
PBMCおよびヒト全血のLPS刺激に続くTNF-αの産生を阻害する3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンのIC50は、それぞれ、約100nM(25.9ng/mL)および約480nM(103.6ng/mL)であった。これに対して、サリドマイドは、PBMCのLPS刺激に続くTNF-αの産生の阻害に関して約194μM(50.2μg/mL)のIC50を有していた。in vitro試験から、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの薬理活性プロファイルは、サリドマイドのときと類似しているが、50〜2000倍強力であることが示唆される。この化合物は、T細胞レセプター(TCR)活性化による一次誘導に続くT細胞の増殖の刺激に関して、サリドマイドよりも約50〜100倍強力であることが判明した。また、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、PBMC(IL-2)またはT細胞(IFN-γ)のTCR活性化に続くIL-2およびIFN-γの産生の増大に関して、サリドマイドよりも約50〜100倍強力である。このほか、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、PBMCによる炎症促進性サイトカインTNF-α、IL-1β、およびIL-6のLPS刺激産生の用量依存性阻害を呈し、一方、抗炎症性サイトカインIL-10の産生を増大させた。
【0181】
6.2 MM細胞増殖の阻害
MM細胞系の増殖に及ぼす3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)および比較用のサリドマイドの影響力をin vitro試験で調べた。さまざまなMM細胞系(MM.IS、Hs Sultan、U266、およびRPMI-8226)による[3H]-チミジン取込みを細胞増殖の指標として測定した。化合物の存在下で細胞を48時間インキュベートし;インキュベーション時間の最後の8時間で[3H]-チミジンを加えた。MM.1SおよびHs Sultan細胞への3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの添加により、それぞれ、0.4μmおよび1μmの濃度で細胞増殖の50%阻害を生じた。これに対して、100μmまでの濃度でサリドマイドを添加しても、MM.1SおよびHs Sultan細胞の細胞増殖は、それぞれ、15%および20%阻害されたにすぎなかった。これらのデータを図1にまとめる。
【0182】
6.3 毒性学的試験
心臓血管機能および呼吸機能に及ぼす3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)の影響を、麻酔されたイヌで調べる。2グループのビーグル犬(2/性別/グループ)を使用する。一方のグループには、媒体のみを3回投与し、他方のグループには、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを漸増量(2、10、および20mg/kg)で3回投与する。いずれの場合においても、少なくとも30分間の間隔をおいて頸静脈に注入することにより、所定用量の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンまたは媒体を逐次的に投与する。
【0183】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンにより引き起こされる心臓血管および呼吸の変化は、媒体対照グループと比較したとき、すべての用量で最小である。媒体グループと治療グループとの間で統計的有意差を生じるのは、低用量の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを投与した後で動脈血圧がすこし増加することだけである(94mmHgから101mmHgへ)。この影響は、約15分間持続し、高用量ではみられない。大腿血流、呼吸パラメーター、およびQtc間隔の偏差は、対照グループと治療グループの両方で共通しており、治療に関係するとは考えられない。
【0184】
6.4 患者におけるサイクル療法
特定の実施形態では、本発明の免疫調節性化合物は、周期的に癌患者に投与される。サイクル療法では、ある期間にわたり第1の作用剤の投与を行った後である期間にわたり休止期間を設け、この逐次的投与を繰り返す。サイクル療法を行うことにより、1つ以上の療法に対する耐性の発生を軽減したり、1つの療法の副作用を回避もしくは軽減したり、および/または治療の効力を向上させたりすることができる。
【0185】
特定の実施形態では、予防剤または治療剤は、約4〜6週間のサイクルで1日約1回または2回投与される。1サイクルは、3〜4週間にわたる治療剤または予防剤の投与ならびに少なくとも1週間または2週間の休止期間を含みうる。投与サイクル数は、約1〜約24サイクル、より典型的には約2〜約16サイクル、より典型的には約4〜約8サイクルである。
【0186】
たとえば、4週間のサイクルで、1日目、25mg/日の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの投与から開始する。22日目、化合物の投与を停止し、1週間の休止期間を設ける。29日目、25mg/日の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの投与を開始する。
【0187】
6.5 患者における臨床試験
6.5.1 再発多発性骨髄腫の治療
4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(ActimidTM)を再発/不応性多発性骨髄腫の患者に投与した。Good Clinical Practicesに準拠して試験を行った。患者は、少なくとも18歳であり、多発性骨髄腫(血清中および/または尿中にパラプロテインを有する)と診断され、そして少なくとも2サイクルの治療の後で治療に不応性であるとみなされたかまたは2サイクルの治療の後で再発した。
【0188】
Southwest Oncology Group(SWOG)の判定基準に従って進行性疾患を有する患者は、以前のレジメンで治療不応性であるとみなされる。寛解後の再発は、ベースラインレベルからのM成分の>25%増大;以前消失したMパラプロテインの再出現;またはX線写真で認識される溶解性骨病変のサイズおよび数の明瞭な増加として定義される。患者は、治療に対して耐性を有するのであれば、サリドマイド療法をすでに受けた可能性がある。0〜2のZubrodパフォーマンスステータスが、すべての患者に必要とされる。
【0189】
4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンを、1、2、5、または10mg/日の用量で4週間まで患者に投与し、各用量レベルで、3名の患者を最初に登録する。毎朝、ほぼ同一の時刻に投与を行い;すべての用量を絶食状態(投与前の少なくとも2時間および投与後の2時間は、摂食しない)で投与する。第1のコホートの患者が最低用量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンを摂取し、現用の用量における安全性および耐容性が確認された後でのみ次の高用量レベルに移行するように漸増させる方式で、所定用量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(1mg/日)を投与する。3名の患者のうちの1名が任意の用量レベルで用量制限毒性(DLT)を経験したとすれば、その時点で3名の追加の患者を登録する。3名の追加の患者のいずれもがDLTを経験しなかったならば、次の用量レベルに移行し;MTDが確定するかまたは最大一日用量(10mg/日)に達するまで、同じように段階的用量増加を継続する。しかしながら、登録された3名の追加の患者のうちの1名がDLTを経験したとすれば、MTDに達したことになる。登録された3名の追加の患者の2名以上がDLTを経験したとすれば、MTDを過えたと判断し、3名の追加の患者を前の用量レベルで登録してMTDを確認する。MTDが確定したら、その用量レベルで4名の追加の患者を登録し、合計10名の患者をMTDで治療する。
【0190】
薬物動態学的パラメーターを分析するための血液サンプリングを、以下のサンプリングスケジュールに従って1日目および28日目に行う:投与前、投与後0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、4、6、8、10、12、18、および24時間。4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンのレベルを調べるために、各週の来院時に、さらなる血液サンプルを捕集する。また、投与後、次の時間間隔で全尿採取も行い、尿をプールする:0〜4、4〜8、8〜12、および12〜24時間。安全性評価は、試験期間の特定の時間に、有害事象、生命徴候、ECG、臨床検査評価(血液化学、血液学、リンパ球表現型決定、および尿検査)、および理学的検査をモニターすることにより行う。
【0191】
4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンを多発性骨髄腫患者に単回および複数回投与して得られた暫定的な薬物動態学的分析の結果を、以下の表1および2に提示する。これらのデータは、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンがすべての用量レベルで再発多発性骨髄腫患者に着実に吸収されたことを示している。最大血漿中濃度は、1日目の投与後2.5時間と2.8時間の間および4週間目の投与後3時間と4時間の間のメジアンTmaxで生じた。すべての用量において、血漿中濃度は、Cmaxに達した後、単相的に減少した。排出期の開始は、それぞれ、1日目および4週目の投与後3時間と10時間の間で生じた。
【0192】
また、これらのデータから、4週間にわたる投与の後、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンが少し蓄積したことがわかった(CmaxおよびAUC(0-τ)の平均蓄積比は、それぞれ、約1.02〜1.52および約0.94〜1.62)。AUC(0-τ)およびCmaxの値は、用量の増大と共に用量にほぼ比例して増大した。5倍用量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンのとき、1日目および4週目のCmaxは、それぞれ、3.2倍および2.2倍に増加した。同様に、用量を5倍にしたとき、1日目および4週目のAUC(0-τ)は、それぞれ、3.6倍および2.3倍に増加した。
【表1】

【表2】

【0193】
6.5.2 再発多発性骨髄腫の治療
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)の2つの第1相臨床試験を行い、不応性または再発多発性骨髄腫の患者における最大耐用量(MTD)を確定した。また、これらの試験により、漸増用量の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを4週間まで経口投与したときの3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの安全性プロファイルの特性づけも行った。患者に対して5mg/日で3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン治療を開始し、続いて、段階的に10、25、および50mg/日に増量した。28日間にわたり割り当てられた用量で患者を登録し、疾患進行を呈することも用量制限毒性(DLT)を経験することもなかった患者については長期治療を施した。各来院時に、患者の有害事象を評価し、National Cancer Institute (NCI) Common Toxicity Criteriaに従って、これらの事象の重症度の等級づけを行った。DLT(非血液学的毒性等級が3以上または血液学的毒性等級が4である)を経験した場合、その患者の試験は中断した。
【0194】
この試験では、27名の患者を登録した。患者はすべて、再発多発性骨髄腫を有しており、18名(72%)は、サルベージ療法に不応性であった。これらの患者のうち、15名は、以前に自己由来幹細胞移植を受けており、16名の患者は、以前にサリドマイド治療を受けていた。以前のレジメンのメジアン数は、3(2〜6の範囲)であった。
【0195】
薬物動態学的パラメーターを分析するための血液サンプルおよび尿サンプルを1日目および28日目に採取した。血液サンプルは、以下のサンプリングスケジュールに従って採取した:投与前、投与後0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、4、6、8、10、12、18、および24時間。さらに、血液サンプルを、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン測定のために、各週の来院時に、採取した。また、投与後、次の時間間隔で全尿採取も行い、尿をプールした:0〜4、4〜8、8〜12、および12〜24時間。採取した血清および24時間尿のM-プロテイン定量(免疫電気泳動法)により処置に対する応答を評価し、スクリーニングで、ベースライン、2週間後、4週間後およびその後月1回、クレアチニンクリアランスおよび24時間タンパク質の計算を行った。もし患者のパラプロテイン血清濃度または24時間尿タンパク質排出が最良の応答基準に対して、次の低いレベルに下降したら、骨髄穿刺および/または組織生検も、3ヶ月目、6ヶ月目、12ヶ月目に行う。28日間の処置期間についての予備的な結果を下記にまとめる。
【0196】
これらの2つの試験に基づいて予備的薬物動態学的分析を行ったところ、多発性骨髄腫患者において、単回および複数回投与の後、(健常なボランティアでみられるのと同じように)用量に比例してAUCおよびCmaxの値が増大することが示唆された。さらに、同一用量の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの投与後、単回投与AUC(0-∞)が複数回投与AUCH0-τと同等であったことから、複数回投与による蓄積の証拠はなかった。健常ボランティア試験のときと同じように、二重ピークが観測された。多発性骨髄腫患者での暴露は、健常男性ボランティアと比較して、CmaxおよびAUCの値に基づいてわずかに高いようにみえた。一方、多発性骨髄腫患者でのクリアランスは、健常ボランティのときよりも少なかった。このことは、不十分な腎機能を有することと一致する(いずれも、年齢および疾患が原因である)。最後に、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの半減期は、患者中のほうが健常ボランティア中よりも短かった(平均8時間、17時間まで及ぶ)。
【0197】
この試験では、3名の患者の第1のコホートに対して、用量制限毒性(DLT)をまったく生じることなく5mg/日で28日間治療を行った。続いて、3名の患者の第2のコホートに対して、10mg/日で治療を開始した。第2の10mg/日の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンのコホートの患者は、治療によく耐えた。
【0198】
6.5.3 充実性腫瘍の治療
悪性黒色腫(13名)、膵臓癌(2名)、未知の原発性癌(1名)、腎癌(1名)、乳癌(1名)、およびNSCLC(2名)を含むさまざまなタイプの充実性腫瘍の患者において、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevimidTM)を用いた試験を行った。5mg/日の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを患者に7日間投与し、続いて、7日間ごと10mg/日、25mg/日、および50mg/日に増量し、合計4週間の治療を行った。臨床的恩恵にあずかった患者は、特定患者として治療を継続させた。
【0199】
最初に、20名の患者を試験に登録し、続いて、16名の追加の患者(副腎癌、NSCLC、悪性中皮腫、乳癌、悪性黒色腫(8名)(腎細胞癌(4名))を登録して高用量で試験するように変更した。16名の追加の患者に対して、毎週、25mg/日、50mg/日、75mg/日、100mg/日、125mg/日、および150mg/日の用量に増量して、6週間にわたり投与を行い、さらに治療を6週間継続させた。
【0200】
不応性充実性腫瘍および/またはリンパ腫の患者において3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの最大耐用量(MTD)を決定するために、さらにはこの患者集団において3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの薬物動態学的作用および副作用のプロファイルを特性づけるために、第1相試験に関する試験をデザインした。試験デザイン上、1つの用量レベルに少なくとも3名の患者を登録し、次の高用量レベルで患者を登録する前に28日間の治療を終了していなければならない。第1のコホートの患者に対して、5mg/日の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを投与することから開始した。毒性が現れないかぎり、10、20、25、および30mg/日に増量して患者に投与する。
【0201】
この試験では、MTDは、治療された6名の患者のうち2名未満が等級3以上の非血液学的毒性も等級4以上の血液学的毒性も経験しなかったときの最も高い用量レベルとして定義される。いずれの試験においても任意の所与の用量レベルで3名の患者のうちの1名が毒性を経験した場合、その特定の用量で3名の追加の患者で治療を行わなければならない。しかしながら、6名の患者のうちの2名がDLTを経験した場合、MTDを超えたと判断される。それ以上の段階的用量増加を行うことはぜず、前の用量レベルで追加の患者を登録するものとする。MTDに達するかまたは最大一日用量に達するまで、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの投与用量を段階的に増加させる。
【0202】
試験に登録された20名の患者よりなる初期グループでは、DLTは報告されなかった。もとの20名のトライアル患者のうちの13名に2名の非トライアル患者を加えて特定患者として150mg/日まで治療を継続させた。
【0203】
6.5.4 神経膠腫の治療
この試験は、再発性高悪性度神経膠腫の患者において毒性を調べるために行ったものである。最大耐用量(MTD)が確定するまで、漸増用量の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを患者に投与するように、試験をデザインする。3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの予備的毒性情報および薬物動態学的なデータを取得すること、さらには機能的神経画像処理試験および血清血管新生ペプチドのin vitroアッセイを用いてin vivo血管新生活性の代替エンドポイントに関する診査データを得ることも、この試験の目的である。
【0204】
第1のコホートに登録された患者に、4週間のサイクルにわたり2.5mg/m2/日を投与するする。4週間サイクル療法の各サイクルで、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを3週間にわたり1日1回投与し、続いて1週間の休止期間を設ける。治療サイクルを終了した患者は、2つの判定基準が満たされているのであれば、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの他のサイクルに付すことが可能である。第1に、患者は、安定した疾患を有するか、または部分寛解もしくは完全寛解を経験したか、または患者は、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン療法の恩恵(神経学的欠損のような腫瘍に関連づけられる症候の減少により実証されるような恩恵)を受けているものでなければならない。第2に、患者は、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンに関連する前のサイクルで生じた毒性から、42日目までにまたはそれよりも早い時期に、回復していなければならない。この回復は、等級<1の毒性レベルに戻ることにより実証される。前のサイクルでDLTを経験した患者に対しては、用量を変更しなければならない。DLTは、この試験薬物療法に関連すると考えられる等級>3の毒性の非血液学的事象または等級4の毒性の血液学的事象として定義される。第1のサイクルでDLTを経験し、療法に反応しない患者は、試験から除外する。
【0205】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの用量は、40mgの最大合計一日用量まで段階的に5、8、11、15、および20mg/m2/日に増量する。試験外判定基準(off-study criteria)のうちの1つが満たされるまで、4週間サイクルにわたり各用量レベルで3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロイソ-インドール2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを患者に継続して投与する。
【0206】
3名の患者を各コホートに登録する。少なくとも1名にDLTが現れた場合、3名の追加の患者をその特定用量レベルのコホートに加える。2名にDLTが現れた場合、各用量レベルで患者の1/3未満がDLTを経験する用量として定義されるMTDを超えたことになり、さらに4名の患者を前の用量で治療する。
【0207】
最初の4週間のサイクル時にDLTを経験した患者は、治療に反応する場合を除いて、試験から除外する。DLTを生じることなく最初の4週間のサイクルを終了したが、その後で等級3または4の血液学的および/または非血液学的毒性を経験した患者については、少なくとも一週間は治療を見合わせる。毒性が3週間以内に<等級2に戻った場合、毒性を引き起こした用量未満の2つの用量レベル(または患者が第1もしくは第2の用量レベルで治療されたのであれば、50%減少させた用量レベル)で患者を治療する。等級3もしくは4の毒性が<等級1にもどらない患者または減少した用量で他の等級3の毒性を有する患者は、試験から除外する。
【0208】
最初の用量の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを投与する前、ならびに投与の0.5、1、2、4、6、8、24、および48時間後に、薬物動態学的サンプリングを行う。また、7日目および21日目の投与前、ならびに21日目の投与後0.5、1、2、4、6、8、および24で、定常状態の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンレベルを評価するために、サンプリングを行う。
【0209】
6.5.5 転移性黒色腫の治療
転移性黒色腫の患者に対して、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(RevmidTM))を7日間にわたり5mg/日で投与することから開始した。次に、合計4週間の治療で、7日間ごとに用量を10mg/日、25mg/日、および50mg/日に増量した。このレジメンで治療された13名の黒色腫患者のうち5名は、最初の4週間の治療で疾患の安定化または部分寛解を示とた。腫瘍反応は、皮膚および皮下の病変(5名の患者)、リンパ節(2名の患者)、および肝臓(1名の患者)でみられた。反応の継続時間は、約6か月であった。この結果から、化合物は、外見上、有望な新しい抗癌剤であり、抗血管新生特性と免疫調節特性の両方を有することが示唆される。
【0210】
6.5.6 再発したまたは不応性の多発性骨髄腫の治療
少なくとも3つの以前のレジメンに失敗したかまたはパフォーマンスステータス不良、好中球減少、もしくは血小板減少を呈したかのいずれかである再発したおよび不応性のDune-Salmon第III期多発性骨髄腫の患者に対して、メルファラン(50mg、静脈内)、本発明の免疫調節性化合物(約1〜150mg、経口、毎日)、およびデキサメタゾン(40mg/日、経口、1〜4日目)を併用して4サイクルまで4〜6週間ごとに治療を施した。本発明の免疫調節性化合物を毎日およびデキサメタゾンを毎月投与することよりなる維持療法を、疾患進行の間、継続させた。メルファランおよびデキサメタゾンと組み合わせて本発明の免疫調節性化合物を用いた療法は、非常に活性が高く、一般的には、他の方法では予後不良である極度の前治療の施された多発性骨髄腫患者で許容されるものであった。
【0211】
以上に記載した本発明の実施形態は、単に例示することを意図ものにすぎず、当業者であれば、せいぜい通常の実験を行う程度で、特定の化合物、材料、および手順の多くの等価物を認識したり、確認したりすることができるであろう。そのような等価物はすべて、本発明の範囲内にあるとみなされ、添付の請求項に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療上または予防上有効な量の化合物3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンまたはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体を含む非ホジキンリンパ腫(NHL)の治療または予防のための医薬。
【請求項2】
化合物が3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンである、請求項1に記載の医薬。
【請求項3】
化合物が製薬上許容される塩である、請求項1に記載の医薬。
【請求項4】
化合物が製薬上許容される溶媒和物である、請求項1に記載の医薬。
【請求項5】
化合物が製薬上許容される立体異性体である、請求項1に記載の医薬。
【請求項6】
立体異性体がエナンチオマー的に純粋なR体である、請求項5に記載の医薬。
【請求項7】
立体異性体がエナンチオマー的に純粋なS体である、請求項5に記載の医薬。
【請求項8】
治療上または予防上有効な量の第2の活性剤であって、造血増殖因子、サイトカイン、抗癌剤およびプロテインキナーゼ阻害剤からなる群より選択される第2の活性剤をさらに組合せ医薬として含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項9】
放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法または免疫療法と組み合わせて投与される、請求項1〜のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項10】
化合物が経口投与される、請求項1〜のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項11】
化合物がカプセル剤または錠剤の形態である、請求項10に記載の医薬。
【請求項12】
化合物が1〜50mg/日の量で投与される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項13】
化合物が5〜25mg/日の量で投与される、請求項12に記載の医薬。
【請求項14】
化合物が周期的に投与される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項15】
1サイクルが4〜6週間を含む、請求項14に記載の医薬。
【請求項16】
1サイクルが21日間の化合物の投与と7日間の休止期間を含む、請求項14に記載の医薬。
【請求項17】
28日サイクルで、化合物が21日間にわたり1日当たり5〜25mgの量で投与され、7日間の休止期間が設けられる、請求項14に記載の医薬。

【図1】
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【公開番号】特開2013−49734(P2013−49734A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−273326(P2012−273326)
【出願日】平成24年12月14日(2012.12.14)
【分割の表示】特願2009−116363(P2009−116363)の分割
【原出願日】平成15年5月16日(2003.5.16)
【出願人】(500026935)セルジーン コーポレイション (41)
【Fターム(参考)】