説明

癌などの疾患を処置するためのチアゾール誘導体

式IaおよびIbで表され、式中R、R1’、R、R、R、RおよびRは請求項1に示す意味を有する化合物は、キナーゼ阻害剤であり、とりわけ腫瘍を処置するために用いることができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、有用な特性を有する新規な化合物、特に医薬の製造のために用いることができるものを見出す目的を有していた。
【背景技術】
【0002】
細胞の調節を達成せしめる主要な機構の1つは、膜を横断する細胞外シグナルの伝達により、次いで細胞内の生化学的経路を変調させることによってである。タンパク質リン酸化は、細胞内シグナルが分子から分子へと伝播し、最終的には細胞の応答をもたらす1つの経過を示す。これらのシグナル伝達カスケードは、多くのプロテインキナーゼならびにホスファターゼの存在から明らかなように、高度に調節され、しばしば重複する。
【0003】
タンパク質のリン酸化は、主にセリン、トレオニンまたはチロシン残基で生じ、それゆえプロテインキナーゼは、リン酸化部位のそれらの特異性により、つまりセリン/トレオニンキナーゼおよびチロシンキナーゼに分類された。リン酸化は細胞内においてかなり広範なプロセスであるため、および細胞表現型がこれらの経路の活性によって大いに影響されるため、多くの疾患状態および/または疾患がキナーゼカスケードの分子成分における異常な活性化または機能的突然変異のいずれかに起因するものと、現在考えられている。したがって、それらの活性を変調させることができるこれらのタンパク質および化合物の特徴づけに対し、並々ならぬ関心が向けられている(総括のために:Weinstein-Oppenheimer et al. Pharma. &. Therap., 2000, 88, 229-279を参照)。
【0004】
本発明は、プロテインキナーゼ、特にチロシンキナーゼおよび/またはセリン/トレオニンキナーゼによるシグナル伝達の阻害、調節(regulation)および/または変調(modulation)が役割を果たす化合物および化合物の使用、さらにこれらの化合物を含む医薬組成物、ならびにキナーゼによって誘発された疾患の処置のための当該化合物の使用に関する。
【0005】
特に、本発明は、キナーゼ、特に、ARK5としてもまた知られるプロテインキナーゼNUAK1、MAPK(MAP2K1、MAP4K2、MAP3K11)、MARK3、Rhoキナーゼ2としてもまた知られるROCK2、CHK1としてもまた知られるCHEK1、CDK2、PKN2、VEGFRとしてもまた知られるKDR、HIPK1およびAURORAによるシグナル伝達の阻害、調節および/または変調が役割を果たす化合物および化合物の使用に関する。
【0006】
MAPxKy(マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ
この遺伝子によってコード化されたタンパク質は、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼとして機能する二重特異性プロテインキナーゼファミリーのメンバーである。MAPキナーゼは細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)としてもまた記載され、様々な生化学的シグナルのための統合点として機能する。MAP2K1は、シグナルカスケードにおいて他のMAPキナーゼの前面に配置され、多くの細胞外および細胞内シグナルの機能としてその酵素活性を刺激する。MAPキナーゼシグナル伝達経路の必須の成分として、MAP2K1は、多くの細胞プロセス、例えば増殖、分化、転写調節および細胞発生に関与する。
【0007】
同様の考察が、他のMAPKに適用される。
化合物RO−4927350、チアゾール誘導体は、K. Kolinsky et al.によってMAPKシグナル伝達カスケードの特異的な阻害のためのMEK阻害剤としてCancer Res. 2009; 69: 1924 ff.に記載されており、ここで、当該化合物は、in vivoで抗腫瘍活性を有する。
T. Kato et al.は、Neoplasia 2001; 3 (1): 4-9において、肝細胞の発癌の処置のための潜在的な標的としてMARK3(MARKL1に相同)を記載している。
【0008】
CHEK1
研究により、CHEK1阻害がDNA損傷剤の細胞毒性を増大させ(Xiao Z, Chen Z, Gunasekera AH, et al. Chk1 mediates S and G2 arrests through Cdc25A degradation in response to DNA-damaging agents, J. Biol. Chem. 2003; 278: 21767 - 73;
Xiao D, Herman-Antosiewicz A, Antosiewicz J, et al. Diallyl trisulfide-induced G(2)-M phase cell cycle arrest in human prostate cancer cells is caused by reactive oxygen species-dependent destruction and hyperphosphorylation of Cdc 25 C, Oncogene 2005; 24: 6256 - 68;
【0009】
Zhao B, Bower MJ, McDevitt PJ, et al. Structural basis for Chk1 inhibition by UCN-01, J. Biol. Chem. 2002; 277: 46609 - 15;
Maude SL, Enders GH. Cdk inhibition in human cells compromises chk1 function and activates a DNA damage response. Cancer Res. 2005; 65: 780 - 6.)、そして
CHEK1の発現が、DNA損傷の毒性を回避するための細胞の防御機構の一部であることが確認される。
【0010】
ROCK2
ROCK2は、RhoGTPと関連して活性化されるセリン/トレオニンキナーゼであり、その結果、複数の基質のリン酸化がもたらされ、最終的に線維状アクチンの安定化およびミオシンATPアーゼの活性の増大がもたらされる。これは次に、収縮性のアクチン−ミオシン単位(応力線維)およびインテグリン含有接着点の生成を引き起こす。アクチン−ミオシン収縮性の変調によって、ROCK2は、細胞形態、細胞可動性および細胞付着の調節に対して顕著な影響を有する。C. Chak-Lui Wong et al.は、Hepatology 2009; 49 (5): 1583 - 94において、Rhoキナーゼ1および2(ROCK1およびROCK2)の阻害を癌疾患の処置のために利用することができることを記載している。したがって、ROCK2は、肝細胞の癌腫の成長において重要な役割を果たす。
【0011】
X.Q. Wang et al.は、Radiation Res. 2007; 168 (6): 706 - 15において、癌の処置のための潜在的な標的としてチェックポイントキナーゼCHK1を記載している。
【0012】
NUAK1
Nuak1遺伝子は、「NUAKファミリーSNF1様キナーゼ1」をコード化する。NUAK1は、USPX9およびユビキチンCと相互作用する。
腫瘍細胞の成長または栄養因子としてのNUAK1(ARK5)の役割は、A. Suzuki et al.によってJ. Biol. Chem. 2003; 278 (1): 48 - 53に、およびOncogene 2003; 22: 6177 - 82に記載されている。
NUAK1(ARK5)の阻害は、このように癌に対抗するための潜在的な可能性を表す。
【0013】
CDK2
CDK2の非活性化によって、タンパク質RB1のリン酸化が防止される。それゆえ細胞は、細胞周期のG1期から離れることができず、結果として全ての細胞分裂の停止がもたらされる。
J.K.Buolamwiniは、Current Pharmaceutical Design 2009; 6, (4): 379 - 92において、癌に対抗するにあたってのCDK(サイクリン依存性キナーゼ)阻害剤の治療潜在性を記載している。
A. Schmidt et al.は、EMBO J. 2007; 26: 1624 - 36において、腫瘍疾患の処置のための潜在的な標的としてのPRK2/PKN2を記載している。
【0014】
N. Ferraraは、Endocrine Rev. 2004; 25 (4): 581 - 611において、癌に対抗するためのVEGF阻害剤の使用を記載している。
VEGFおよびKDRは、脈管形成または血管新生として知られる、血管内皮細胞の増殖において、ならびに血管の形成および発芽において必須の役割を果たす、リガンド−受容体対を表す。
【0015】
血管新生は、血管内皮増殖因子(VEGF)の並外れた活性を特徴とする。VEGFは、実際にはリガンドのファミリーからなる(KlagsburnおよびD'Amore, Cytokine & Growth Factor Rev. 1996; 7: 259 - 70,)。VEGFは、高親和性膜貫通チロシンキナーゼ受容体KDRおよび、Flt−1または血管内皮細胞増殖因子受容体1(VEGFR−1)として知られる、関連するfmsチロシンキナーゼ−1に結合する。細胞培養および遺伝子ノックアウト実験によって、各々の受容体が血管新生の異なる局面に寄与することが示される。KDRはVEGFの分裂促進的機能を媒介し、一方Flt−1は、分裂促進的でない機能、例えば細胞付着と関連するものを変調させると見られる。KDRの阻害によって、このように分裂促進的なVEGF活性のレベルが変調する。実際、腫瘍成長が、VEGF受容体アンタゴニストの血管新生抑制作用によって影響されることが示された(Kim et al., Nature 1993; 362: 841 - 4)。
【0016】
VEGFRに対する3種のPTK(タンパク質チロシンキナーゼ)受容体が同定された:VEGFR−1(Flt−1);VEGRF−2(Flk−1またはKDR)およびVEGFR−3(Flt−4)。
VEGFR(血管内皮増殖因子受容体2−KDR)の阻害が腫瘍療法のために重要であるという事実は、VEGFRをもまた阻害する、導入された医薬スニチニブ、ソラフェニブおよびバタラニブによって示された。
【0017】
HIPK1
HIPK1、すなわち乳癌細胞中に増大した濃度で存在する核プロテインキナーゼは、p53を含む様々な転写因子をリン酸化する役割を果たす。
HIPK1が、p53および/またはMdm2機能を調節することにより癌および腫瘍形成において役割を果たすと推測することができる。
Y. Aikawa et al.は、EMBO J. 2006; 25: 3955 - 65において、ホメオドメインと相互作用するプロテインキナーゼHIPK1、HIPK2およびHIPK3を、腫瘍疾患の処置のための潜在的な標的として記載している。
R. Copeland et alは、FASEB J. 2008; 22: 1050 ff.において、HIPK1を癌疾患の処置のための標的として記載している。
【0018】
HIPK2(ホメオドメインと相互作用するプロテインキナーゼ)
子宮頸癌におけるHIPK2の顕著に増大した発現は、疾患の進行と相関すると見られる(Eva Krieghoff-Henningjavascript:popRef('a1') & Thomas G Hofmann Future Oncology 2008; 4 (6): 751 - 54)。
【0019】
オーロラキナーゼ阻害剤の腫瘍の処置における役割は、多くの著者によって記載されている:
D.S. Boss et al., The Oncologist 2009; 14: 780 - 93;
S. Lapenna et al., Nature Rev. Drug Discov. 2009; 8: 547 - 66;
L. Garuti et al., Cur. Med. Chem. 2009; 16, 1949 - 63;
J. R. Pollard et al., J. Med. Chem. 2009; 52 (9): 2629 - 51;
C.H.A. Cheung et al., Expert Opin. Investig. Drugs 2009; 18 (4): 379 - 98.
【0020】
したがって、本発明は、式Iで表される化合物の、プロテインキナーゼ、特にARK5としてもまた知られるプロテインキナーゼNUAK1、MAPK(MAP2K1、MAP4K2、MAP3K11)、MARK3、Rhoキナーゼ2とまた知られるROCK2、CHK1としてもまた知られるCHEK1、CDK2、PKN2、VEGFRとしてもまた知られるKDR、HIPK1およびAURORAの活性の阻害が有利である、疾患または症状の処置のための使用に関する。
【0021】
それゆえチロシンキナーゼおよび/またはセリン/トレオニンキナーゼ、特に上述のプロテインキナーゼによるシグナル伝達を特異的に阻害、調節、かつ/または変調させる小化合物の合成が、所望され、本発明の目的である。
本発明の化合物およびその塩が、極めて有用な薬理学的特性を有し、同時に良好に耐容されることが見出された。
【0022】
本発明は特に、プロテインキナーゼによりシグナル伝達を阻害し、調節し、かつ/または変調させる式Iで表される化合物、これらの化合物を含む組成物、ならびに哺乳動物におけるキナーゼによって誘発される疾患および愁訴、例えば血管形成、癌、腫瘍形成、成長および伝播、動脈硬化症、眼疾患、例えば年齢的に誘発された黄斑変性症、脈絡膜血管新生および糖尿病性網膜症、炎症性疾患、関節炎、血栓症、線維症、糸球体腎炎、神経変性、乾癬、再狭窄、創傷治癒、移植片拒絶、代謝疾患および免疫系の疾患、ならびに自己免疫疾患、肝硬変、糖尿病および血管の疾患、また不安定性および透過性などの処置のためのその使用方法に関する。
【0023】
固形腫瘍、特に急激に成長する腫瘍を、キナーゼ阻害剤で処置することができる。これらの固形腫瘍は、単球性白血病、脳、泌尿生殖器、リンパ系、胃、喉頭ならびに肺腺癌および小細胞肺癌を含む肺癌腫を含む。
【0024】
式IaおよびIbで表される化合物を、さらに特定の既存の癌化学療法における付加効果および相乗効果を提供するために用いることができ、かつ/または特定の既存の癌化学療法および放射線療法の有効性を回復するために用いることができる。
【0025】
本発明の化合物が異種移植腫瘍モデルにおいてin vivoで抗増殖作用を有することを示すことができる。本発明の化合物を、過剰増殖疾患を有する患者に投与して、例えば腫瘍成長を抑制し、リンパ増殖性疾患と関連する炎症を低減し、組織修復による移植片拒絶または神経障害を抑制するなどする。本化合物は、予防目的または治療目的に適している。
【0026】
本明細書中で用いられる「処置」の用語を用いて、疾患の防止および先在する状態の処置の両方を指す。増殖の防止を、顕性疾患発症前における本発明の化合物の投与により達成し、例えば腫瘍の成長を防止し、転移成長を防止し、心臓血管手術と関連する再狭窄を軽減するなどする。あるいはまた、当該化合物を、患者の臨床的症状を安定化するかまたは改善することによる、進行中の疾患の処置のために用いる。
【0027】
宿主または患者は、任意の哺乳類種、例えば霊長類種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含むげっ歯動物;ウサギ;ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどに属することができる。動物モデルは、実験的調査のために興味深く、ヒト疾患の処置のためのモデルを提供する。
【0028】
本発明の化合物での処置に対する特定の細胞の感受性を、in vitro試験によって決定することができる。典型的には、細胞の培養物を、本発明の化合物と、様々な濃度で、活性剤が細胞死を誘発するかまたは遊走を抑制することを可能にするのに十分な期間、通常は約1時間〜1週間にわたり混ぜ合わせる。in vitro試験を、生検試料からの培養細胞を用いて行うことができる。処置後に残留する生細胞を、次に計数する。
【0029】
用量は、用いる特定の化合物、特定の疾患、患者の状態などに依存して変化する。治療的用量は、典型的には、標的組織中の所望されない細胞集団を顕著に減少させ、同時に患者の生存能を維持するのに十分である。処置を、一般的に顕著な減少、例えば細胞負担の少なくとも約50%の減少が生じるまで継続し、本質的にもはや所望されない細胞が身体において検出されないまで継続してもよい。
【0030】
シグナル伝達経路の同定のために、および様々なシグナル伝達経路間の相互作用の検出のために、様々な科学者は、好適なモデルまたはモデル系、例えば細胞培養モデル(例えばKhwaja et al., EMBO J. 1997; 16: 2783 - 93)および遺伝子導入動物のモデル(例えばWhite et al., Oncogene 2001; 20: 7064 - 72)を開発した。シグナル伝達カスケードにおける特定のステージの決定のために、相互作用する化合物を利用して、シグナルを変調させることができる(例えばStephens et al., Biochemical J. 2000; 351: 95 - 105)。本発明の化合物をまた、動物および/もしくは細胞培養モデルにおける、または本願において述べる臨床的疾患におけるキナーゼ依存性シグナル伝達経路を試験するための試薬として用いることができる。
【0031】
キナーゼ活性の測定は、当業者に周知の手法である。基質、例えばヒストン(例えばAlessi et al., FEBS Lett. 1996; 399 (3): 333 - 8)または塩基性ミエリンタンパク質を用いるキナーゼ活性の決定のための包括的な試験システムは、文献(例えばCampos-Gonzalez, R.およびGlenney, Jr., J.R. J. Biol. Chem. 1992; 267: 14535)に記載されている。
【0032】
キナーゼ阻害剤の同定のために、様々なアッセイシステムが利用可能である。シンチレーション近接アッセイ(Sorg et al., J. Biomol. Screen. 2002; 7: 11 - 19)およびフラッシュプレートアッセイにおいて、基質としてのタンパク質またはペプチドのγATPでの放射性リン酸化を、測定する。阻害化合物の存在下で、低下した放射性シグナルが検知可能であるか、または完全に検出可能ではない。さらに、均一時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(HTR−FRET)および蛍光偏光(FP)技術が、アッセイ方法として好適である(Sills et al., J. Biomol. Screen. 2002; 7 (3): 191 - 214)。
【0033】
他の非放射性ELISAアッセイ法は、特定のホスホ抗体(phospho-antibody)(ホスホ−AB)を用いる。ホスホ−ABは、リン酸化された基質のみを結合する。この結合を、第2のペルオキシダーゼ接合抗ヒツジ抗体を用いて、化学発光によって検出することができる(Ross et al. Biochem. J. 2002, 366: 977 - 981)。
【0034】
細胞増殖および細胞死(アポトーシス)の調節解除と関連する多くの疾患がある。関連する状態は、以下のものを含むが、それらには限定されない。本発明の化合物は、平滑筋細胞および/または炎症性細胞の血管の内膜層中への増殖および/または遊走があり、例えば新生内膜の閉塞性病変の場合において当該血管を通っての制限された血流がもたらされる様々な状態の処置に適している。関連する閉塞性移植血管疾患は、アテローム性動脈硬化症、移植後の冠血管疾患、静脈移植狭窄、吻合部周囲(peri-anastomatic)補綴再狭窄、血管形成術後の再狭窄またはステント留置などを含む。
【0035】
従来技術
他の複素環式化合物が、癌に対抗するためのオーロラキナーゼ阻害剤として様々な著者により記載されている:
L. Garuti et al., Curr. Med. Chem. 2009 ; 16 : 1949 - 63;
J. R. Pollard et al., J. Med. Chem. 2009; 52 (9): 2629 - 51;
C.H.A. Cheung et al., Expert Opin. Investig. Drugs 2009; 18 (4): 379 - 98.
J.K.Buolamwiniは、Current Pharmaceutical Design 2009; 6, (4): 379 - 92は、CDK阻害剤としての他の複素環式化合物、とりわけジアミノチアゾール誘導体を記載している。
【0036】
チアゾロピラゾールは、WO 2005/095420において医薬として記載されている。
ピロロ[2,1−b]チアゾールの合成は、A.V. TverkhlebovによってHeterocycles 2007; 71: 761 - 98に記載されている。
L. Grehnは、Chemica Scripta 1978; 13: 78 - 95において、ピロロチアゾールの製造方法を記載している。
S. Athmani et al.は、J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1992; 973 - 77において、ピロロ[2,3−d]チアゾールの合成を記載している。
【0037】
ピロロ[3,2−d]チアゾールの他の合成は、A. Shafiee et al.によってJ. Heterocyclic Chem. 1979; 16: 1563 - 66に記載されている。
他の複素環式化合物は、染料としてM.L.DekhtyarによってDyes and Pigments 2007; 74: 744 - 48に記載されている。
他のピロロチアゾールは、ケラチン染料処方物においてWO 2005/077324に開示されている。
【発明の概要】
【0038】
本発明は、式IaおよびIb
【化1】

式中、
は、H、(CHArまたは(CHHetを示し、
1’は、HまたはAを示し、
は、H、A、Hal、(CHHet、(CHHet、−C≡C−Ar、(CHAr、NHCONHAr、COA、COOH、COOA、COHet、COAr、CONH、CONHA、CONA、SONH、SONHA、S(O)A、NHCOA、SONHA、SONA、SONHHet、SONHArまたは
【化2】

を示し、
【0039】
は、NHCOOA’またはNHを示し、
は、(CHAr、SiAまたは(CHHetを示し、
は、H、Halまたは(CHHetを示し、
は、H、−C≡C−RまたはHalを示し、
は、H、A、ArまたはHetを示し、
【0040】
Arは、非置換であるか、またはHal、A、OH、OA、CN、NO、SOA、COOH、COOA、NH、NHA、NA、NHCHAr、CHO、COA、CHO、CONH、CONHA、CONA、Het、SONH、SONHA、S(O)Aおよび/もしくはNHCOAによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
【0041】
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるかまたはHal、A、NH、NHA、NA、COOH、COOA、CONH、CONHA、CONA、CONHAr、CONHHet、S(O)Aおよび/もしくはNHCHArによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族複素環を示し、
【0042】
Arは、非置換であるか、またはHal、A、OHおよび/もしくはOAによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
Arは、NHCONHHetによって単置換されているフェニルを示し、
【0043】
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはHal、A、COOA、NH、NHRおよび/もしくは(CHHetによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族、不飽和または飽和複素環を示し、
【0044】
は、H、A、ArまたはHetを示し、
、R10は、各々、互いに独立してHまたはHalを示し、
11は、HまたはA’を示し、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはA、COOAおよび/もしくはNHによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族複素環を示し、
【0045】
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはNHによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族複素環を示し、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはHal、A、Ar、NH、NHCHArおよび/もしくは=Oによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族、不飽和または飽和複素環を示し、
【0046】
Aは、1〜10個のC原子を有し、ここで1〜7個のH原子がFによって置き換えられていてもよく、かつ/またはここで、1つもしくは2つの隣接していないCHおよび/もしくはCH基が、O、NH、NA’、S、SO、SOによって、および/もしくはCH=CH基によって置き換えられていてもよい、非分枝状または分枝状アルキルを示し、
あるいは
3〜7個のC原子を有する環状アルキルを示し、
【0047】
A’は、1〜4個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1または2を示し、
nは、0、1、2、3または4を示す、
で表される化合物、ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物に関する。
【0048】
式Ibで表される化合物は、式Iaで表される化合物の製造における合成前駆体であり、式Iaで表される化合物と同様に強力なキナーゼ阻害剤である。
【0049】
式IaおよびIbで表される化合物はまた、これらの化合物、さらに薬学的に使用可能な誘導体の水和物および溶媒和物を意味するものと解釈される。
【0050】
本発明はまた、これらの化合物の光学的に活性な形態(立体異性体)、鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマーならびに水和物および溶媒和物に関する。化合物の溶媒和物の用語は、それらの相互の引力のために生成する、不活性溶媒分子の化合物上へのアダクションを意味するものと解釈される。溶媒和物は、例えば一水和物もしくは二水和物またはアルコキシドである。
【0051】
薬学的に使用可能な誘導体は、例えば、本発明の化合物の塩、およびまたいわゆるプロドラッグ化合物を意味するものと解釈される。
プロドラッグ誘導体は、例えばアルキル基もしくはアシル基、糖またはオリゴペプチドにより修飾され、生物体中で迅速に切断されて本発明の有効な化合物を形成する、式IaおよびIbで表される化合物を意味するものと解釈される。
これらはまた、例えばInt. J. Pharm. 1995; 115: 61 - 67に記載されているように、本発明の化合物の生分解性ポリマー誘導体を含む。
【0052】
「有効量」の表現は、組織、系、動物またはヒトにおいて、例えば研究者または医師によって求められているかまたは所望されている生物学的または薬学的応答を生じる、医薬の、または薬学的に活性な成分の量を示す。
さらに、「治療的に有効な量」の表現は、この量を施与されていない対応する対象と比較して、以下の結果:
疾患、症候群、状態、愁訴、障害もしくは副作用の改善された処置、治癒、防止もしくは解消、またはまた疾患、愁訴もしくは障害の進行の低減
を有する量を示す。
用語「治療的に有効な量」はまた、正常な生理学的機能を増大させるのに有効である量を包含する。
【0053】
本発明はまた、式IaおよびIbで表される化合物の混合物、例えば2種のジアステレオマーの、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比率での混合物の使用に関する。
これらは、特に好ましくは、立体異性体化合物の混合物である。
【0054】
本発明は、式IaおよびIbで表される化合物ならびにそれらの塩、ならびに式IaおよびIbで表される化合物ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体の製造方法であって、
a)式Ia’
【化3】

式中、
は、ArまたはHetを示し、
は、Hal以外の請求項1に示される意味を有し、
は、tert−ブチルオキシカルボニルを示し、
またArおよびHetは、請求項1に示される意味を有する、
で表される化合物の製造のために、
【0055】
式IIc
【化4】

式中、
は、Hal以外は請求項1に示される意味を有し、
は、tert−ブチルオキシカルボニルを示す、
で表される化合物を、
式IIIc
−CH=CH−CHBr IIIc
式中、Rは、ArまたはHetを示し、
およびArおよびHetは、請求項1に示される意味を有する、
で表される化合物と反応させ、
tert−ブチルオキシカルボニル基を、その後、または同時に切断する、
あるいは
【0056】
b)式Ib’
【化5】

式中、
は、NH−COO−tert−ブチルを示し、
は、Hまたは(CHHetを示し、
は、−C≡C−Rを示し、
および
n、RおよびHetは、請求項1に示される意味を有する、
で表される化合物の製造のために、
【0057】
式IId
【化6】

式中、
は、tert−ブチルオキシカルボニルを示し、
は、Hまたは(CHHetを示し、
およびHetは、請求項1に示される意味を有する、
で表される化合物を、
式IIId
H−C≡C−R IIId
式中、Rは、請求項1に示される意味を有する、
で表される化合物と反応させる、
あるいは
【0058】
c)式Ib’’
【化7】

式中、
は、NH−COO−tert−ブチルを示し、
は、Clを示し、
は、−C≡C−Rを示し、
および
は、請求項1に示される意味を有する、
で表される化合物の製造のために、
【0059】
式Ib’’
【化8】

式中、
は、NH−COO−tert−ブチルを示し、
は、Hを示し、
は、−C≡C−Rを示し、
および
は、請求項1に示される意味を有する、
で表される化合物を、
N−クロロスクシンイミドと反応させる、
あるいは
【0060】
d)式Ib’
【化9】

式中、
は、NH−COO−tert−ブチルを示し、
は、(CHHetを示し、
は、−C≡C−Rを示し、
また
n、RおよびHetは、請求項1に示される意味を有する、
で表される化合物の製造のために、
【0061】
式Ib’’
【化10】

式中、
は、NH−COO−tert−ブチルを示し、
は、Clを示し、
は、−C≡C−Rを示し、
また
は、請求項1に示される意味を有する、
で表される化合物を、
式IVa
L−(CH
式中、Rは、Hetを示し、
nおよびHetは、請求項1に示される意味を有し、
およびLは、ボロン酸またはボロン酸エステルラジカルを示す、
で表される化合物と反応させ、
その後、または同時に、Boc基を切断する、
あるいは
【0062】
e)式Ia’’
【化11】

式中、
は、ArまたはHetを示し、
は、H、Cl、(CHHetを示し、
は、Hを示し、
およびAr、HetおよびHetは、請求項1に示される意味を有する、
で表される化合物の製造のために、
【0063】
式Ib’
【化12】

式中、
は、NH−COO−tert−ブチルを示し、
は、H、Cl、(CHHetを示し、
は、−C≡C−Rを示し、
は、ArまたはHetを示し、
およびn、Ar、Het、HetおよびRは、請求項1に示される意味を有する、
で表される化合物を、
塩基の存在下で加熱する、
あるいは
【0064】
f)式Ia’’
【化13】

式中、
は、ArまたはHetを示し、
は、Hetを示し、
は、Hを示す、
で表される化合物の製造のために、
【0065】
式Ia’’
【化14】

式中、
は、ArまたはHetを示し、
は、Halを示し、
は、Hを示し、
ArおよびHetは、請求項1に示される意味を有する、
で表される化合物を、
式Va
Het−H Va
式中、Hetは、請求項1に示される意味を有する、
で表される化合物と反応させる、
かつ/あるいは
式IaまたはIbで表される塩基または酸を、その塩の1種に変換する
ことを特徴とする、前記方法に関する。
【0066】
本明細書中において、ラジカルR、R1’、R、R、R、RおよびRは、他に明確に示さない限り、式IaおよびIbについて示す意味を有する。
1回よりも多く出現するすべてのラジカルに関し、それらの意味は、互いに独立している。
【0067】
Aは、アルキルを示し、非分枝状(直鎖状)または分枝状であり、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有する。Aは、好ましくは、メチル、さらにエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、さらに好ましくは、例えばトリフルオロメチルを示す。
【0068】
Aは、極めて特に好ましくは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを示す。
【0069】
Aはまた、1〜7個のH原子は、OH、F、Clおよび/またはBrによって置き換えられていてもよい、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示す。
Aはさらに、例えば、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−メトキシエチルまたは3−メトキシプロピルを示す。
環状アルキル(シクロアルキル)は、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを示す。
【0070】
A’はアルキルを示し、これは、非分枝状(直線状)または分枝状であり、1、2、3、4、5または6個のC原子を有する。A’は、好ましくはメチル、さらにエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、さらに好ましくは例えばトリフルオロメチルを示す。
【0071】
A’は、極めて特に好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはトリフルオロメチルを示す。
【0072】
は、好ましくは4−フルオロフェニル、ベンジル、3−アミノフェニル、3−(ベンジルアミノ)フェニルまたは2−アミノピリジン−4−イルを示す。
1’は、好ましくはHを示す。
は、好ましくはH、Hal、Hetまたは−C≡C−Arを示す。
は、好ましくはNHCOOA’またはNHを示す。
は、好ましくはHを示す。
【0073】
は、好ましくはH、4−フルオロフェニルエチニル、3−フェニルプロパ−1−イニル、トリエチルシラニルエチニル、3−アミノフェニルエチニル、3−ベンジルアミノフェニルエチニル、2−ベンジルアミノピリジン−4−イルエチニル、ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルエチニル、Hal、3−モルホリン−4−イルプロパ−1−イニル、3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)プロパ−1−イニルまたは3−ヒドロキシフェニルエチニルを示す。
は、好ましくはHを示す。
【0074】
Arは、例えば、フェニル、o−、m−またはp−トリル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−ニトロフェニル、o−、m−またはp−アミノフェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−アセトアミドフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−(N−エチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホンアミド)フェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホニル)フェニル、o−、m−またはp−シアノフェニル、o−、m−またはp−カルボキシフェニル、o−、m−またはp−メトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−アミノスルホニルフェニル、o−、m−またはp−(ベンジルアミノ)フェニル、
【0075】
さらに好ましくは、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジブロモフェニル、2,4−もしくは2,5−ジニトロフェニル、2,5−もしくは3,4−ジメトキシフェニル、3−ニトロ−4−クロロフェニル、3−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−3−クロロ、2−アミノ−4−クロロ、2−アミノ−5−クロロ−もしくは2−アミノ−6−クロロフェニル、2−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノ−もしくは3−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノフェニル、2,3−ジアミノフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル、p−ヨードフェニル、3,6−ジクロロ−4−アミノフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニル、3−フルオロ−4−メトキシフェニル、3−アミノ−6−メチルフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニルまたは2,5−ジメチル−4−クロロフェニルを示す。
【0076】
Arは、特に好ましくは、非置換であるか、またはHal、A、OH、OA、CN、NO、SOA、COOH、COOA、NH、NHA、NA、NHCHAr、CHO、COA、CHO、CONH、CONHA、CONA、SONH、SONHAおよび/もしくはNHCOAによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示す。
Arは、極めて特に好ましくは、非置換であるか、またはHal、A、OH、OA、NH、NHA、NAおよび/もしくはNHCHArによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示す。
Arは、好ましくはフェニルを示す。
【0077】
さらなる置換とは無関係に、Hetは、例えば、2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニル、
【0078】
さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または−5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、4−または5−イソインドリル、インダゾリル、1−、2−、4−または5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾオキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンズイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、5−または6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、ピロロピリジニル、プリニル、さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−、−5−イルまたは2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イルまたはジベンゾフラニルを示す。
【0079】
Hetは、特に好ましくはフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリルまたはインダゾリルを示し、その各々は、非置換であるかまたはNHおよび/もしくはNHCHArによって単置換もしくは二置換されている。
【0080】
さらなる置換とは無関係に、Hetは、例えば、2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニル、
【0081】
さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または−5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、4−または5−イソインドリル、インダゾリル、1−、2−、4−または5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾオキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンズイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、5−または6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、ピロロピリジニル、プリニル、さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−、−5−イルまたは2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イルまたはジベンゾフラニルを示す。
【0082】
複素環式ラジカルはまた、部分的に、または完全に水素化されていてもよい。
したがって、さらなる置換とは無関係に、Hetは、また、例えば、2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または−5−フリル、テトラヒドロ−2−または−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−または−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、1−,2−または3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−または−4−イミダゾリル,2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−または−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−または−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−ピリジル、1−、2−、3−または4−ピペリジニル、2−、3−または4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−または−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−または−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−または−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−または−5−ピリミジニル、1−、2−または3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−イソキノリル、2−、3−、5−、6−、7−または8−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、
【0083】
さらに好ましくは2,3−メチレンジオキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−エチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、3,4−(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−もしくは−6−イル、2,3−(2−オキソメチレンジオキシ)フェニルまたは同様に3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−もしくは−7−イル、さらに好ましくは2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロ−2−オキソフラニル、3,4−ジヒドロ−2−オキソ−1H−キナゾリニル、2,3−ジヒドロベンゾオキサゾリル、2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾオキサゾリル、2,3−ジヒドロベンズイミダゾリル、1,3−ジヒドロインドール、2−オキソ−1,3−ジヒドロインドールまたは2−オキソ−2,3−ジヒドロベンズイミダゾリルを示すことができる。
【0084】
Hetは、特に好ましくはピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリル、チオフェニル、フラニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリジニルまたはピリミジニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはNHおよび/もしくはCHHetによって単置換もしくは二置換されている。
【0085】
さらなる置換とは無関係に、Hetは、例えば、2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニル、
【0086】
さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または−5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、4−または5−イソインドリル、インダゾリル、1−、2−、4−または5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾオキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンズイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、5−または6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、ピロロピリジニル、プリニル、さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−または−5−イル、2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イルまたはジベンゾフラニルを示す。
【0087】
Hetは、特に好ましくはフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリルまたはインダゾリルを示し、その各々は、非置換であるかまたはAおよび/もしくはNHによって単置換もしくは二置換されている。
【0088】
さらなる置換とは無関係に、Hetは、例えば、2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニル、
【0089】
さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または−5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、4−または5−イソインドリル、インダゾリル、1−、2−、4−または5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾオキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンズイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、5−または6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、ピロロピリジニル、プリニル、さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−または−5−イル、2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イルまたはジベンゾフラニルを示す。
【0090】
Hetは、特に好ましくはフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリルまたはインダゾリルを示し、その各々は、非置換であるかまたはAおよび/もしくはNHによって単置換もしくは二置換されている。
【0091】
さらなる置換とは無関係に、Hetは、例えば、2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニル、
【0092】
さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または−5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、4−または5−イソインドリル、インダゾリル、1−、2−、4−または5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾオキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンズイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、5−または6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、ピロロピリジニル、プリニル、さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−、−5−イルまたは2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イルまたはジベンゾフラニルを示す。
【0093】
複素環式ラジカルはまた、部分的に、または完全に水素化されていてもよい。
したがって、さらなる置換とは無関係に、Hetはまた、例えば、2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または−5−フリル、テトラヒドロ−2−または−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−または−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、1−,2−または3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−または−4−イミダゾリル,2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−または−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−または−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−ピリジル、1−、2−、3−または4−ピペリジニル、2−、3−または4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−または−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−または−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−または−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−または−5−ピリミジニル、1−、2−または3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−イソキノリル、2−、3−、5−、6−、7−または8−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、
【0094】
さらに好ましくは2,3−メチレンジオキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−エチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、3,4−(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−もしくは6−イル、2,3−(2−オキソメチレンジオキシ)フェニルまたは同様に3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−もしくは−7−イル、さらに好ましくは2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロ−2−オキソフラニル、3,4−ジヒドロ−2−オキソ−1H−キナゾリニル、2,3−ジヒドロベンゾオキサゾリル、2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾオキサゾリル、2,3−ジヒドロベンズイミダゾリル、1,3−ジヒドロインドール、2−オキソ−1,3−ジヒドロインドールまたは2−オキソ−2,3−ジヒドロベンズイミダゾリルを示すことができる。
【0095】
Hetは、特に好ましくはピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロイソインドリル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリルまたはインダゾリルを示し、その各々は、非置換であるかまたはNH、NHCHArおよび/もしくは=Oによって単置換もしくは二置換されている。
【0096】
Halは、好ましくはF、ClまたはBr、ならびにI、特に好ましくはFまたはClを示し;mは、好ましくは1または2を示し;nは、好ましくは0、1、2または3を示す。
【0097】
本発明にわたって、1回よりも多く出現するすべてのラジカルは、同一であっても異なっていてもよく、即ち互いに独立している。
式IaおよびIbで表される化合物は、1つまたは2つ以上のキラル中心を有していてもよく、したがって種々の立体異性体形態で存在し得る。式IaおよびIbは、すべてのこれらの形態を包含する。
【0098】
したがって、本発明は特に、少なくとも1つの前述のラジカルが前に示される好ましい意味の1つを有する、式IaおよびIbで表される化合物に関する。化合物のいくつかの好ましい群を、以下の従属式Iaa〜Iajによって表すことができ、これは式IaおよびIbに適合し、ここで、より詳細に表示しないラジカルは、式IaおよびIbに対して示される意味を有するが、ここで、
【0099】
Iaaにおいて、Arは、非置換であるか、またはHal、OH、OA、NH、NHA、NAおよび/もしくはNHCHArによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し;
【0100】
Iabにおいて、Hetは、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリルまたはインダゾリルを示し、その各々は、非置換であるかまたはNHおよび/もしくはNHCHArによって単置換もしくは二置換されており;
【0101】
Iacにおいて、Arは、フェニルを示し;
Iadにおいて、Hetは、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリル、チオフェニル、フラニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリジニルまたはピリミジニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはNHおよび/もしくはCHHetによって単置換もしくは二置換されており;
【0102】
Iaeにおいて、Hetは、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリルまたはインダゾリルを示し、その各々は、非置換であるかまたはAおよび/もしくはNHによって単置換もしくは二置換されており;
【0103】
Iafにおいて、Hetは、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリルまたはインダゾリルを示し、その各々は、非置換であるかまたはAおよび/もしくはNHによって単置換もしくは二置換されており;
【0104】
Iagにおいて、Hetは、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロイソインドリル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリルまたはインダゾリルを示し、その各々は、非置換であるかまたはNH、NHCHArおよび/もしくは=Oによって単置換もしくは二置換されており;
【0105】
Iahにおいて、Rは、H、(CHArまたは(CHHetを示し、
1’は、Hを示し、
は、H、Hal、(CHHet、(CHHetまたは−C≡C−Arを示し、
は、NHCOOA’またはNHを示し、
は、(CHAr、SiAまたは(CHHetを示し、
は、Hまたは(CHHetを示し、
は、H、−C≡C−RまたはHalを示し、
は、Hを示し、
【0106】
Arは、非置換であるか、またはHal、A、OH、OA、CN、NO、SOA、COOH、COOA、NH、NHA、NA、NHCHAr、CHO、COA、CHO、CONH、CONHA、CONA、SONH、SONHAおよび/もしくはNHCOAによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
【0107】
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるかまたはHal、A、NHおよび/もしくはNHCHArによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族複素環を示し、
Arは、非置換であるかまたはHal、A、OHおよび/もしくはOAによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
【0108】
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるかまたはHal、A、NHおよび/もしくはCHHetによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族、不飽和または飽和複素環を示し、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるかまたはAおよび/もしくはNHによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族複素環を示し、
【0109】
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるかまたはNHによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族複素環を示し、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるかまたはHal、A、NH、NHCHArおよび/もしくは=Oによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族、不飽和または飽和複素環を示し、
【0110】
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、
ここで1〜7個のH原子は、OH、F、Clおよび/またはBrによって置き換えられていてもよく、
A’は、1〜4個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
nは、0、1、2、3または4を示す;
ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物である。
【0111】
式IaおよびIbで表される化合物およびまたこれらの製造のための出発物質は、さらに、文献(例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie[有機化学の方法]、Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的学術書)に記載されているような自体公知の方法により、正確には公知でありそして前述の反応に適する周知の反応条件下で、製造される。また、ここで、本明細書では詳細には述べない、自体公知の変法を用いることができる。
【0112】
式Ia’で表される化合物を好ましくは、式IIcで表される化合物を式IIIcで表される化合物と反応させることにより得ることができる。
式IIcおよびIIIcで表される出発化合物は、一般的に知られている。しかし、それらが新規である場合には、それらを、自体公知の方法によって製造することができる。
当該反応を、アミノパラデーション(amino-palladation)反応について当業者に知られている条件の下で行う(例1)。多様な触媒を用いることができる。
【0113】
用いる条件に依存して、反応時間は数分〜14日であり、反応温度は約−30℃〜140℃、通常は30℃〜120℃、特に約60℃〜約90℃である。
【0114】
好適な不活性溶媒は、例えば炭化水素類、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素類、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム);ケトン類、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF);ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸類、例えばギ酸もしくは酢酸;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル類、例えば酢酸エチル、または前述の溶媒の混合物である。
特に好ましいのはDMFである。
【0115】
式Ib’で表される化合物を、好ましくは式IIdで表される化合物を式IIIdで表される化合物と反応させることにより得ることができる。
式IIdおよびIIIdで表される出発化合物は、一般的に知られている。しかし、それらが新規である場合には、それらを、自体公知の方法によって製造することができる。
当該反応を、ソノガシラ反応として当業者に知られている条件の下で行う(例2)。多様な触媒を用いることができる。
【0116】
用いる条件に依存して、反応時間は数分〜14日であり、反応温度は約−30℃〜140℃、通常は10℃〜100℃、特に約20℃〜約80℃である。
【0117】
好適な不活性溶媒は、例えば炭化水素類、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素類、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム);ケトン類、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF);ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸類、例えばギ酸もしくは酢酸;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル類、例えば酢酸エチル、または前述の溶媒の混合物である。
特に好ましいのはテトラヒドロフランである。
【0118】
式Ib’’で表され、式中Rが塩素を示す化合物を、好ましくは式Ib’’で表され、式中RがHを示す化合物をN−クロロスクシンイミドと反応させることにより得ることができる(例3)。
当該反応を、好ましくはTHF中で−78℃で、n−ヘキサン中のBuLiの先の添加の後に行う。
【0119】
式Ib’で表され、式中RがHetを示す化合物を、好ましくは式Ib’’で表され、式中Rが塩素を示す化合物を式IVaで表される化合物と反応させることにより得ることができる(例4)。
当該反応を、スズキ反応として当業者に知られている条件の下で行う。
【0120】
式IVaで表される化合物において、Lは好ましくは、
【化15】

を示す。
当該反応を、スズキカップリングの標準的な条件の下で行う。
用いる条件に依存して、反応時間は数分〜14日であり、反応温度は約−30℃〜140℃、通常は0℃〜100℃、特に約60℃〜約90℃である。
【0121】
好適な不活性溶媒は、例えば炭化水素類、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素類、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム);ケトン類、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF);ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸類、例えばギ酸もしくは酢酸;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル類、例えば酢酸エチル、または前述の溶媒の混合物である。
特に好ましいのはエタノール、トルエン、ジメトキシエタンおよび/または水である。
【0122】
式Ia’’で表される化合物をまた、好ましくは式Ib’’で表される化合物を塩基の存在下で加熱することにより得ることができる(例5)。好適な塩基は、好ましくはカリウムtert−ブトキシドである。
用いる条件に依存して、反応時間は数分〜14日であり、反応温度は約−30℃〜140℃、通常は30℃〜120℃、特に約80℃〜約110℃である。
【0123】
好適な不活性溶媒は、例えば炭化水素類、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素類、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム);ケトン類、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF);ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸類、例えばギ酸もしくは酢酸;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル類、例えば酢酸エチル、または前述の溶媒の混合物である。
特に好ましいのはNMP(N−メチルピロリドン)である。
【0124】
さらに、式Ib’’で表される化合物を、式Ib’’で表され、式中RはHal、例えば塩素を示す化合物を式Vaで表される化合物と反応させることにより得ることができる(例6)。
【0125】
用いる条件に依存して、反応時間は数分〜14日であり、反応温度は約0℃〜140℃、通常は30℃〜140℃、特に約80℃〜約130℃である。
当該反応を、溶媒を用いて、または溶媒を用いずに行う。
【0126】
プロセスステップe)と同様にして、本発明の式Ia’’
【化16】

式中、
は、ArまたはHetを示し、
は、Hを示し、
およびR、Ar、Hetは、請求項1に示される意味を有する、
で表される化合物を、
【0127】
式Ib’
【化17】

式中、
は、NH−COO−tert−ブチルを示し、
は、−C≡C−Rを示し、
は、ArまたはHetを示し、
およびAr、Het、RおよびRは、請求項1に示される意味を有する、
で表される化合物を塩基の存在下で加熱することにより得る(例5)。
【0128】
さらに、遊離のアミノ基を、慣用の方式で、酸塩化物もしくは無水物を用いてアシル化するか、あるいは非置換であるかもしくは置換されたハロゲン化アルキルを有利には不活性溶媒、例えばジクロロメタンもしくはTHF中で、および/または塩基、例えばトリエチルアミンもしくはピリジンの存在下で−60〜+30℃の温度で用いてアルキル化することができる。
【0129】
さらに、式IaおよびIbで表される化合物を、それらの官能的な誘導体からそれらを、加溶媒分解、特に加水分解によって、または水素化分解によって遊離させることにより得ることができる。
【0130】
加溶媒分解または水素化分解のための好ましい出発物質は、対応する保護されたアミノおよび/またはヒドロキシル基を1つまたは2つ以上の遊離のアミノおよび/またはヒドロキシル基の代わりに含むもの、好ましくはアミノ保護基をN原子に結合したH原子の代わりに担持するもの、例えば式IaおよびIbに適合するが、NHR’基(ここでR’はアミノ保護基、例えばBOCまたはCBZである)をNH基の代わりに含むものである。
【0131】
さらには、ヒドロキシル基のH原子の代わりにヒドロキシル保護基を担持する出発物質、例えば式IaおよびIbに適合するが、R’’O−フェニル基(式中R’’はヒドロキシル保護基である)をヒドロキシフェニル基の代わりに含むものが好ましい。
【0132】
また、複数の−同一であるかまたは異なる−保護されたアミノおよび/またはヒドロキシル基が、出発物質の分子中に存在することが可能である。存在する保護基が互いに異なる場合には、それらを、多くの場合において選択的に切断することができる。
【0133】
用語「アミノ保護基」は一般的用語において知られており、アミノ基を化学反応に対して保護する(遮断する)のに適しているが、所望の化学反応が分子中の他の場所で行われた後に除去するのが容易である基に関する。そのような基の典型的なものは、特に非置換であるかまたは置換されたアシル、アリール、アラルコキシメチルまたはアラルキル基である。アミノ保護基が所望の反応(または一連の反応)の後に除去されるので、それらのタイプおよび大きさは、さらには重大ではない;しかし、好ましいのは、1〜20個、特に1〜8個の炭素原子を有するものである。
【0134】
用語「アシル基」は、本プロセスと関連して最も広い意味において理解されるべきである。それは、脂肪族、芳香脂肪族(araliphatic)、芳香族または複素環式カルボン酸またはスルホン酸、および特にアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニルおよび特にアラルコキシカルボニル基から誘導されるアシル基を含む。そのようなアシル基の例は、アルカノイル、例えばアセチル、プロピオニルおよびブチリル;アラルカノイル、例えばフェニルアセチル;アロイル、例えばベンゾイルおよびトリル;アリールオキシアルカノイル、例えばPOA;アルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、BOCおよび2−ヨードエトキシカルボニル;アラルコキシカルボニル、例えばCBZ(「カルボベンゾオキシ」)、4−メトキシベンジルオキシカルボニルおよびFMOC;ならびにアリールスルホニル、例えばMtr、PbfおよびPmcである。好ましいアミノ保護基は、BOCおよびMtr、さらにCBZ、Fmoc、ベンジルおよびアセチルである。
【0135】
用語「ヒドロキシル保護基」は、同様に一般的用語において知られており、ヒドロキシル基を化学反応に対して保護するのに適しているが、所望の化学反応が分子中の他の個所で行われた後に除去するのが容易である基に関する。そのような基の典型的なものは、上述の非置換であるかまたは置換されたアリール、アラルキルまたはアシル基、さらにまたアルキル基である。ヒドロキシル保護基の性質および大きさはは、それらが所望の化学反応または一連の反応の後に再び除去されるので、重大ではない;好ましいのは、1〜20個、特に1〜10個の炭素原子を有する基である。ヒドロキシル保護基の例は、とりわけtert−ブトキシカルボニル、ベンジル、p−ニトロベンゾイル、p−トルエンスルホニル、tert−ブチルおよびアセチルであり、ここでベンジルおよびtert−ブチルが特に好ましい。アスパラギン酸およびグルタミン酸中のCOOH基は、好ましくはそれらのtert−ブチルエステル(例えばAsp(OBut))の形態で保護される。
【0136】
式IaおよびIbで表される化合物を、−用いる保護基に依存して−例えば強酸を用いて、有利にはTFAまたは過塩素酸を用いて、ならびに他の強無機酸、例えば塩酸または硫酸、強有機カルボン酸、例えばトリクロロ酢酸、またはスルホン酸、例えばベンゼンもしくはp−トルエンスルホン酸を用いて、それらの官能性誘導体から遊離させる。追加の不活性溶媒を存在させることができるが、常に必要というわけではない。
【0137】
好適な不活性溶媒は、好ましくは有機溶媒、例えばカルボン酸、例えば酢酸、エーテル、例えばテトラヒドロフランまたはジオキサン、アミド、例えばDMF、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、さらにまたアルコール類、例えばメタノール、エタノールまたはイソプロパノール、および水である。上述の溶媒の混合物は、更に好適である。TFAを、好ましくはさらなる溶媒を加えずに過剰で用い、過塩素酸を、好ましくは酢酸および70%過塩素酸の比率9:1での混合物の形態で用いる。切断のための反応温度は、有利には約0〜約50℃、好ましくは15〜30℃(室温)である。
【0138】
BOC、OBut、Pbf、PmcおよびMtr基を、例えば、好ましくは、ジクロロメタン中のTFAを用いて、またはジオキサン中の約3〜5N HClを用いて、15〜30℃で切断することができ、FMOC基を、ジメチルアミン、ジエチルアミンまたはピペリジンをDMFに溶解した約5〜50%の溶液を用いて、15〜30℃で切断することができる。
【0139】
水素化分解的に除去可能な保護基(例えばCBZまたはベンジル)を、例えば、触媒(有利には担体、例えば炭素上の例えば貴金属触媒、例えばパラジウム)の存在下での水素での処理によって切断することができる。ここでの好適な溶媒は、上で示されるもの、特に例えばアルコール類、例えばメタノールもしくはエタノール、またはアミド類、例えばDMFである。水素化分解を、一般的には約0〜100℃の温度および約1〜200barの圧力で、好ましくは20〜30℃および1〜10barで行う。CBZ基の水素化分解は、例えばメタノール中の5〜10%のPd/C上で、またはメタノール/DMF中のPd/C上でギ酸アンモニウム(水素の代わりに)を用いて、20〜30℃で良好に成功する。
【0140】
薬学的塩および他の形態
本発明の前述の化合物を、それらの最終的な非塩形態で用いることができる。一方、本発明はまた、これらの化合物を、当該分野において知られている手順によって、種々の有機および無機酸類および塩基類から誘導し得るそれらの薬学的に許容し得る塩の形態で用いることを包含する。式IaおよびIbで表される化合物の薬学的に許容し得る塩の形態は、大部分、慣用的な方法によって製造される。式IaおよびIbで表される化合物がカルボキシル基を含む場合には、この好適な塩の1種を、当該化合物を好適な塩基と反応させて対応する塩基付加塩を得ることによって生成することができる。このような塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含むアルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化バリウムおよび水酸化カルシウム;アルカリ金属アルコキシド類、例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;ならびに種々の有機塩基、例えばピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンである。
【0141】
式IaおよびIbで表される化合物のアルミニウム塩が、同様に包含される。式IaおよびIbで表される数種の化合物の場合において、これらの化合物を、薬学的に許容し得る有機および無機酸類、例えばハロゲン化水素、例えば塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素、他の鉱酸およびそれらの対応する塩、例えば硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩など、ならびにアルキルおよびモノアリールスルホン酸塩類、例えばエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩、ならびに他の有機酸およびそれらの対応する塩、例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などで処理することによって、酸付加塩を生成することができる。
【0142】
したがって、式IaおよびIbで表される化合物の薬学的に許容し得る酸付加塩は、以下のものを含む:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩(arginate)、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクタル酸塩(ムチン酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩、しかしこれは、限定を表すものではない。
【0143】
さらに、本発明の化合物の塩基性塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛塩を含むが、これは、限定を表すことを意図しない。前述の塩の中で、好ましいのは、アンモニウム;アルカリ金属塩、ナトリウムおよびカリウム、ならびにアルカリ土類金属塩、カルシウムおよびマグネシウムである。
【0144】
薬学的に許容し得る有機無毒性塩基から誘導される当該化合物の塩は、第一、第二および第三アミン類、また天然に存在する置換アミン類を含む置換アミン類、環状アミン類、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リドカイン、リシン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)の塩を含むが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0145】
塩基性窒素含有基を含む本発明の化合物を、剤、例えば(C〜C)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチル;ジ(C〜C)アルキル硫酸塩、例えば硫酸ジメチル、ジエチルおよびジアミル;(C10〜C18)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;ならびにアリール(C〜C)アルキルハロゲン化物、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチルを用いて四級化することができる。本発明の水溶性および油溶性の化合物を共に、このような塩を用いて製造することができる。
【0146】
好ましい上述の薬学的塩は、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバリン酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩およびトロメタミンを含むが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0147】
特に好ましいのは、塩酸塩、二塩酸塩、臭化水素酸塩、マレイン酸塩、メシラート、リン酸塩、硫酸塩およびコハク酸塩である。
【0148】
式IaおよびIbで表される塩基性化合物の酸付加塩を、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させ、慣用的な方法で塩の生成を生じることによって製造する。塩形態を塩基と接触させ、慣用の方法で遊離塩基を単離することによって、遊離塩基を再生することができる。遊離塩基形態は、ある観点において、いくつかの物理的特性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のためには、塩は、他の点ではそれぞれの遊離塩基形態に相当する。
【0149】
上述のとおり、式IaおよびIbで表される化合物の薬学的に許容し得る塩基付加塩は、金属またはアミン類、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミン類を用いて生成する。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミン類は、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0150】
本発明の酸性化合物の塩基付加塩を、遊離酸形態を十分な量の所望の塩基と接触させ、慣用的な方法で塩の生成を生じることによって製造する。塩形態を酸と接触させ、慣用的な方法で遊離酸を単離することによって、遊離酸を再生することができる。遊離酸形態は、ある観点において、いくつかの物理的特性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のためには、塩は、他の点ではそれぞれの遊離酸形態に相当する。
【0151】
本発明の化合物が、このタイプの薬学的に許容し得る塩を生成することができる1つよりも多い基を含む場合には、本発明はまた、多重塩(multiple salt)を包含する。典型的な多重塩形態には、例えば、重酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、ジメグルミン、二リン酸塩、二ナトリウムおよび三塩酸塩が含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0152】
上述に関し、本文脈における表現「薬学的に許容し得る塩」は、式IaおよびIbで表される化合物をその塩の1種の形態で含む活性成分を意味するものと解釈されることが明らかであり、特に、この塩形態が、活性成分に対して、前に用いられていた活性成分の遊離形態または活性成分のすべての他の塩形態と比較して改善された薬物動態学的特性を付与する場合には、このように解釈されることが明らかである。活性成分の薬学的に許容し得る塩形態はまた、活性成分に前には有していなかった所望の薬物動態学的特性を初めて付与することができ、さらに、活性成分の薬力学に対して身体における治療的有効性に関する正の影響を有することができる。
【0153】
本発明はさらに、式IaおよびIbで表される少なくとも1種の化合物および/または、それらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物、および任意に賦形剤および/または補助剤を含む医薬に関する。
【0154】
医薬処方物を、投与単位あたり所定量の活性成分を含む投与単位の形態で、投与することができる。このような単位は、処置される状態、投与の方法、ならびに患者の年齢、体重および状態に依存して、例えば0.5mg〜1g、好ましくは1mg〜700mg、特に好ましくは5mg〜100mgの本発明の化合物を含んでもよく、または医薬処方物を、投与単位あたり所定量の活性成分を含む投薬単位の形態で投与してもよい。好ましい投与単位処方物は、前に示されるように、毎日の用量もしくは部分的用量を含むもの、または活性成分のこの対応する部分である。さらに、このタイプの医薬処方物を、薬学分野において一般的に知られている方法を用いて製造することができる。
【0155】
医薬処方物を、すべての所望の好適な方法による、例えば経口(口腔内もしくは舌下を含む)、直腸内、鼻腔内、局所的(口腔内、舌下もしくは経皮的を含む)、膣内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内を含む)方法による投与のために適合させることができる。このような処方物を、薬学分野において知られているすべての方法を用いて、例えば活性成分を賦形剤(1種もしくは2種以上)または補助剤(1種もしくは2種以上)と混ぜ合わせることによって製造することができる。
【0156】
経口投与のために適合された医薬処方物を、別個の単位、例えばカプセルもしくは錠剤;散剤もしくは顆粒;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;食用発泡体もしくは発泡体食品;または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンとして投与することができる。
【0157】
したがって、例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与の場合において、活性成分要素を、経口的な、無毒性の、かつ薬学的に許容し得る不活性賦形剤、例えばエタノール、グリセロール、水などと混ぜ合わせることができる。散剤を、化合物を好適な微細な大きさに粉砕し、これを同様にして粉砕した薬学的賦形剤、例えば食用炭水化物、例えばデンプンまたはマンニトールと混合することによって製造する。風味剤、保存剤、分散剤および色素が、同時に存在してもよい。
【0158】
カプセルを、上記のように散剤混合物を製造し、成形したゼラチン殻をそれで充填することによって製造する。流動促進剤および潤滑剤、例えば固体形態での高度に分散性のケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはポリエチレングリコールを、充填操作の前に散剤混合物に添加することができる。崩壊剤または可溶化剤、例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムを、同様に加えて、カプセルを服用した後の医薬の有効性を改善することができる。
【0159】
さらに、所望により、または所要に応じて、好適な結合剤、潤滑剤および崩壊剤ならびに染料を、同様に混合物中に包含させることができる。好適な結合剤は、デンプン、ゼラチン、天然糖類、例えばグルコースまたはベータ−ラクトース、トウモロコシから製造された甘味剤、天然および合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ろうなどを含む。これらの投与形態において用いられる潤滑剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含む。崩壊剤は、限定されずに、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどを含む。錠剤を、例えば散剤混合物を製造し、混合物を顆粒化または乾燥圧縮し、潤滑剤および崩壊剤を添加し、混合物全体を圧縮して錠剤を得ることによって処方する。
【0160】
散剤混合物を、好適な方法で粉砕した化合物を上記のように希釈剤または塩基と、および任意に結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン、溶解遅延剤、例えばパラフィン、吸収促進剤、例えば第四級塩および/または吸収剤、例えばベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムと混合することによって製造する。散剤混合物を、それを結合剤、例えばシロップ、デンプンペースト、アラビアゴム粘液またはセルロースの溶液またはポリマー材料で湿潤させ、それをふるいを通して押圧することによって顆粒化することができる。顆粒化の代替として、散剤混合物を、打錠機に通し、不均一な形状の塊を得、それを崩壊させて、顆粒を形成することができる。
【0161】
顆粒を、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を添加することによって潤滑化して、錠剤流延型への粘着を防止することができる。次に、潤滑化した混合物を圧縮して、錠剤を得る。本発明の化合物をまた、自由流動の不活性賦形剤と混ぜ合わせ、次に直接圧縮して、顆粒化または乾燥圧縮工程を行わずに錠剤を得ることができる。セラック密封層、糖またはポリマー材料の層およびろうの光沢層からなる透明な、または不透明な保護層が、存在してもよい。色素を、これらのコーティングに加えて、異なる投与単位間を区別することができるようにすることができる。
【0162】
経口液体、例えば溶液、シロップおよびエリキシル剤を、投与単位の形態で製造し、したがって所定量が予め特定された量の化合物を含むようにすることができる。シロップを、化合物を水性溶液に好適な風味剤と共に溶解することによって製造することができ、一方エリキシル剤を、無毒性アルコール性ビヒクルを用いて製造する。懸濁液を、化合物を無毒性ビヒクル中に分散させることによって処方することができる。可溶化剤および乳化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール類およびポリオキシエチレンソルビトールエーテル類、保存剤、風味添加剤、例えばペパーミント油もしくは天然甘味剤もしくはサッカリン、または他の人工甘味料などを、同様に添加することができる。
【0163】
経口投与用の投与単位処方物を、所望により、マイクロカプセル中にカプセル封入することができる。処方物をまた、放出が延長されるかまたは遅延されるように、例えば粒子状材料をポリマー、ろうなどの中にコーティングするかまたは包埋することによって製造することができる。
【0164】
式IaおよびIbで表される化合物ならびにそれらの塩をまた、リポソーム送達系、例えば小さな単層小胞(small unilamellar vesicles)、大きな単層小胞(large unilamellar vesicles)、および多層小胞(multilamellar vesicles)の形態で投与することができる。リポソームを、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン類から生成することができる。
【0165】
式IaおよびIbで表される化合物ならびにそれらの塩をまた、化合物分子が結合した個別の担体としてモノクローナル抗体を用いて送達することができる。当該化合物をまた、標的化された医薬担体としての可溶性ポリマーに結合させることができる。このようなポリマーは、パルミトイルラジカルにより置換されたポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパラタミドフェノール(polyhydroxyethylaspartamidophenol)またはポリエチレンオキシドポリリジンを包含することができる。当該化合物をさらに、医薬の制御された放出を達成するのに適する生分解性ポリマーの群、例えばポリ乳酸、ポリ−エプシロン−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、ポリジヒドロキシピラン類、ポリシアノアクリレート類、およびヒドロゲルの架橋ブロックコポリマーまたは両親媒性のブロックコポリマーに結合することができる。
【0166】
経皮的投与用に適合された医薬処方物を、レシピエントの表皮との長期間の、密接な接触のための独立した硬膏剤として投与することができる。したがって、例えば、活性成分を、Pharmaceutical Res. 1986; 3 (6): 318 ff.に一般的に記載されているように、イオン泳動により硬膏剤から送達することができる。
局所投与用に適合された医薬化合物を、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、散剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾールまたは油として処方することができる。
【0167】
目または他の外部組織、例えば口および皮膚の処置のために、処方物を、好ましくは、局所用軟膏またはクリームとして適用する。軟膏を施与するための処方物の場合において、活性成分を、パラフィン系または水混和性クリームベースのいずれかと共に用いることができる。あるいはまた、活性成分を処方して、水中油型クリームベースまたは油中水型ベースを有するクリームを得ることができる。
【0168】
目への局所的適用のために適合された医薬処方物には、点眼剤が含まれ、ここで活性成分を、好適な担体、特に水性溶媒中に溶解するかまたは懸濁させる。
口における局所的適用のために適合された医薬処方物は、薬用キャンディー、トローチおよび洗口剤を包含する。
直腸内投与のために適合された医薬処方物を、坐剤または浣腸剤の形態で投与することができる。
【0169】
担体物質が固体であって鼻腔内投与のために適合された医薬処方物は、例えば20〜500ミクロンの範囲内の粒子の大きさを有する粗い粉末を含み、これを、嗅ぎタバコを服用する方法で、即ち鼻に近接して保持した散剤を含む容器からの鼻の経路を介しての迅速な吸入によって投与する。担体物質としての液体を有する鼻腔内スプレーまたは点鼻剤としての投与に適する処方物は、水または油に溶解した活性成分溶液を包含する。
【0170】
吸入による投与のために適合された医薬処方物は、微細な粒子状ダストまたはミストを包含し、これは、エアゾール、噴霧器または吸入器を有する種々のタイプの加圧ディスペンサーによって発生し得る。
膣内投与のために適合された医薬処方物を、膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体またはスプレー処方物として投与することができる。
【0171】
非経口投与のために適合された医薬処方物は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および溶質を含む水性および非水性の無菌注射溶液であって、それによって処方物が処置されるべきレシピエントの血液と等張になるもの;ならびに水性の、および非水性の無菌懸濁液であって、懸濁媒体および増粘剤を含むことができるもの、を含む。処方物を、単一用量または複数用量の容器、例えば密封したアンプルおよびバイアルにおいて投与してもよく、使用の直前に無菌の担体液体、例えば注射用水を添加することしか必要としないようにフリーズドライした(freeze-dried)(凍結乾燥(lyophilised))状態で貯蔵してもよい。レシピに従って製造される注射溶液および懸濁液を、無菌の散剤、顆粒および錠剤から製造することができる。
【0172】
上記で特定的に述べた構成成分に加えて、処方物はまた、処方物の特定のタイプに関して当該分野において普通である他の剤を含むことができることは、言うまでもない;したがって、例えば、経口投与に適する処方物は、風味剤を含んでいてもよい。
【0173】
式IaまたはIbで表される化合物の治療的に有効な量は、例えば、動物の年齢および体重、処置が必要である正確な状態およびその重篤度、処方物の性質および投与の方法を含む多くの要因に依存し、最終的には、処置する医師または獣医師によって決定される。しかし、腫瘍性成長、例えば結腸癌または乳癌の処置のための本発明の化合物の有効な量は、一般的に、1日あたり0.1〜100mg/レシピエント(哺乳動物)の体重1kgの範囲内、特に典型的には1日あたり1〜10mg/体重1kgの範囲内である。したがって、体重が70kgである成体の哺乳動物についての1日あたりの実際の量は、通常は70〜700mgであり、ここで、この量を、1日あたり単一の用量として、またはより通常は1日あたり一連の部分用量(例えば2回分、3回分、4回分、5回分もしくは6回分)で投与し、したがって合計の1日用量が同一であるようにすることができる。塩もしくは溶媒和物の、またはこの生理学的な機能的誘導体の有効量を、本発明の化合物自体の有効量の比として決定することができる。同様の用量が、前述の他の状態の処置に適すると、推測することができる。
【0174】
本発明はさらに、式IaもしくはIbで表される少なくとも1種の化合物ならびに/または、それらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物、および少なくとも1種の他の医薬活性成分を含む医薬に関する。
【0175】
本発明はまた、
(a)式IaもしくはIbで表される化合物ならびに/または、それらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物の有効量、
ならびに
(b)さらなる医薬活性成分の有効量
の個別のパックからなる、セット(キット)に関する。
【0176】
当該セットは、好適な容器、例えば箱、個別のビン、袋またはアンプルを含む。このセットは、例えば、個別のアンプルを含むことができ、各々は、溶解したかまたは凍結乾燥された形態での、式IaもしくはIbで表される化合物ならびに/または、それらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体(すべての比率でのそれらの混合物を含む)の有効量、ならびに、さらなる医薬活性成分の有効量を含む。
【0177】
使用
本化合物は、チロシンキナーゼ誘発疾患の処置における哺乳動物のための、特にヒトのための医薬活性成分として好適である。これらの疾患は、腫瘍細胞の増殖、固形腫瘍の成長を促進する病理学的血管新生(または血管新生)、眼性血管新生(糖尿病性網膜症、年齢的に誘発された黄斑変性など)および炎症(乾癬、関節リウマチなど)を含む。
【0178】
本発明は、式IaおよびIbで表される化合物ならびに/またはそれらの生理学的に許容し得る塩の、癌の処置または防止のための医薬の製造のための使用を包含する。処置されるに好ましい癌は、脳の癌腫、尿生殖路の癌腫、リンパ系の癌腫、胃癌、喉頭癌および肺癌の群から発生する。癌の好ましい形態のさらなる群は、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫および乳癌である。
【0179】
同様に包含されるのは、本発明の請求項1に記載の化合物および/またはそれらの生理学的に許容し得る塩の、血管新生が関係する疾患の処置または防止のための医薬の製造のための使用である。
血管新生が関係するそのような疾患は、眼疾患、例えば網膜血管化、糖尿病性網膜症、年齢的に誘発された黄斑変性などである。
【0180】
式IaおよびIbで表される化合物ならびに/またはそれらの生理学的に許容し得る塩および溶媒和物の、炎症性疾患の処置または防止のための医薬の製造のための使用はまた、本発明の範囲内にある。そのような炎症性疾患の例は、関節リウマチ、乾癬、接触性皮膚炎、遅延型過敏反応などを含む。
【0181】
同様に包含されるのは、式IaおよびIbで表される化合物ならびに/またはそれらの生理学的に許容し得る塩の、哺乳動物におけるチロシンキナーゼ誘発疾患またはチロシンキナーゼ誘発状態の処置または防止のための医薬の製造のための使用であり、ここでこの方法に、本発明の治療的に有効な量の化合物を、そのような処置を必要とする疾患を有する哺乳動物に投与する。治療的量は、特定の疾患に従って変化し、当業者は過度の努力なしに決定することができる。
【0182】
本発明はまた、式IaおよびIbで表される化合物ならびに/またはそれらの生理学的に許容し得る塩および溶媒和物の、網膜血管化の処置または防止のための医薬の製造のための使用を包含する。
【0183】
眼疾患、例えば糖尿病性網膜症および年齢的に誘発された黄斑変性の処置または防止のための方法は、同様に本発明の一部である。炎症性疾患、例えば関節リウマチ、乾癬、接触性皮膚炎および遅延型過敏反応の処置または防止、ならびに骨肉腫、骨関節炎およびくる病の群からの骨病理学の処置または防止のための使用は、同様に本発明の範囲内にある。
【0184】
表現「チロシンキナーゼ誘発疾患または状態」は、1種または2種以上のチロシンキナーゼの活性に依存する病理学的状態を指す。チロシンキナーゼは、増殖、付着および遊走および分化を含む様々な細胞活動のシグナル伝達経路に直接、または間接的に関与する。チロシンキナーゼ活性と関連する疾患は、腫瘍細胞の増殖、固形腫瘍の成長を促進する病理学的血管新生、眼性血管新生(糖尿病性網膜症、年齢的に誘発された黄斑変性など)および炎症(乾癬、関節リウマチなど)を含む。
【0185】
式IaおよびIbで表される化合物を、癌、特には急速に成長する腫瘍の処置のために、患者に投与することができる。
したがって本発明は、式IaおよびIbで表される化合物、ならびに、それらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物の、キナーゼシグナル伝達の阻害、調節および/または変調が役割を果たす疾患の処置のための医薬の製造のための使用に関する。
【0186】
好ましいのは、式Iで表される化合物、ならびに、それらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物の、
チロシンキナーゼの阻害によって影響される疾患の、請求項1に記載の化合物による処置のための医薬の製造のための使用である。
特に好ましいのは、疾患が固形腫瘍である疾患の処置のための使用である。
【0187】
固形腫瘍は、好ましくは肺、扁平上皮、膀胱、胃、腎臓の、頭頸部、食道、子宮頚部、甲状腺、腸、肝臓、脳、前立腺、尿生殖路、リンパ系、胃および/または喉頭の腫瘍の群から選択される。
【0188】
固形腫瘍は、さらに好ましくは肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫、結腸癌および乳癌の群から選択される。
【0189】
好ましいのは、さらに、血液および免疫系の腫瘍の処置のための、好ましくは急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病の群から選択された腫瘍の処置のための使用である。
【0190】
式IaおよびIbで表される開示した化合物を、抗癌剤を含む他の既知の治療薬と組み合わせて投与することができる。本明細書中で用いる用語「抗癌剤」は、癌を処置する目的のために癌を有する患者に投与されるあらゆる剤に関する。
【0191】
本明細書中で定義した抗癌処置を、単独の療法として適用してもよいか、または本発明の化合物に加えて、慣用の手術または放射線療法または化学療法を含んでいてもよい。このような化学療法は、以下のカテゴリーの抗腫瘍剤の1種または2種以上を含んでもよい:
【0192】
(i)医学的腫瘍学において使用される抗増殖/抗悪性腫瘍薬/DNA損傷剤およびその組み合わせ、例えばアルキル化剤(例えばシス−プラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファンおよびニトロソ尿素);代謝拮抗薬(例えば葉酸代謝拮抗薬、例えばフルオロピリミジン、例えば5−フルオロウラシルおよびテガフール、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素およびゲムシタビン);抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン、例えばアドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシンおよびミトラマイシン);抗有糸分裂剤(例えばビンカアルカロイド、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビン、ならびにタキソイド、例えばタキソールおよびタキソテール);トポイソメラーゼ阻害剤(例えばエピポドフィロトキシン、例えばエトポシドおよびテニポシド、アムサクリン、トポテカン、イリノテカンおよびカンプトテシン)ならびに細胞分化剤(例えばオールトランスレチノイン酸、13−シス−レチノイン酸およびフェンレチニド);
【0193】
(ii)細胞分裂阻害剤、例えば抗エストロゲン剤(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン(droloxifene)およびヨードキシフェン(iodoxyfene))、エストロゲン受容体下方制御剤(downregulators)(例えばフルベストラント)、抗アンドロゲン薬(例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミドおよび酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えばゴセレリン、リュープロレリンおよびブセレリン)、プロゲステロン(例えば酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害薬(例えばアナストロゾール、レトロゾール、ボラゾール(vorazole)およびエキセメスタン)ならびに5α−還元酵素の阻害剤、例えばフィナステリド;
【0194】
(iii)癌細胞浸潤を阻害する剤(例えばメタロプロテイナーゼ阻害剤、例えばマリマスタットおよびウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体機能の阻害剤);
【0195】
(iv)成長因子機能の阻害剤、例えばそのような阻害剤は、成長因子抗体、成長因子受容体抗体(例えば抗erbb2抗体トラスツズマブ[Herceptin(登録商標)]ならびに抗erbb1抗体セツキシマブ[C225])、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤ならびにセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、例えば上皮成長因子ファミリーの阻害剤(例えばEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、例えば−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ、AZD−1839)、−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI−774)および6−アクリルアミド−−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI 1033))、例えば血小板由来成長因子ファミリーの阻害剤、ならびに例えば肝細胞成長因子ファミリーの阻害剤を含む、
【0196】
(v)抗血管新生薬、例えば血管内皮成長因子の効果を阻害するもの(例えば抗血管内皮細胞成長因子抗体ベバシズマブ[Avastin(登録商標)]、化合物、例えば公表された国際特許出願WO 97/22596、WO 97/30035、WO 97/32856およびWO 98/13354に開示されているもの)ならびに他の機構によって作用する化合物(例えばリノミド(linomide)、インテグリンαvβ3機能の阻害剤およびアンジオスタチン);
【0197】
(vi)血管損傷剤、例えばコンブレタスタチンA4ならびに国際特許出願WO 99/02166、WO 00/40529、WO 00/41669、WO 01/92224、WO 02/04434およびWO 02/08213に開示されている化合物;
(vii)アンチセンス療法、例えば上に列挙した標的を対象とするもの、例えばISIS 2503、抗Rasアンチセンス;
【0198】
(viii)例えば異常な遺伝子の置換のためのアプローチ、例えば異常なp53または異常なBRCA1もしくはBRCA2、GDEPT(遺伝子指向性酵素プロドラッグ療法)アプローチ、例えばシトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌性ニトロ還元酵素を使用するもの、および化学療法または放射線療法に対する患者耐性を増大させるためのアプローチ、例えば多剤耐性遺伝子療法を含む、遺伝子療法アプローチ;ならびに
【0199】
(ix)例えば患者腫瘍細胞の免疫原性を増大させるためのex-vivoおよびin-vivoアプローチ、例えばサイトカイン、例えばインターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子での形質移入、T細胞アネルギーを低下させるためのアプローチ、形質移入した免疫細胞、例えばサイトカインで形質移入した樹状細胞を用いたアプローチ、サイトカインで形質移入した腫瘍細胞系を用いたアプローチ、および抗イディオタイプ抗体を用いたアプローチを含む、免疫療法アプローチ。
【0200】
以下の表1からの医薬を、好ましく、しかし排他的にではなく、式Iで表される化合物と組み合わせる。
【0201】
【表1】

【0202】
【表2】

【0203】
【表3】

【0204】
【表4】

【0205】
【表5】

【0206】
この種の併用処置を、処置の個々の成分の同時の、連続的な、または個別の分配で達成することができる。この種の組み合わせ物は、本発明の化合物を用いる。
【0207】
アッセイ
例中に記載した式IaおよびIbで表される化合物を、以下に記載したアッセイによって試験し、キナーゼ阻害活性を有することが見出された。他のアッセイは文献から知られており、当業者によって容易に行うことができる(例えば、Dhanabal et al. Cancer Res.1999; 59: 189 - 97;Xin et al. J. Biol. Chem.1999 ; 274: 9116 - 21;Sheu et al. Anticancer Res.1998 ; 18: 4435 - 41;Ausprunk et al. Dev. Biol.1974; 38: 237 - 48;Gimbrone et al. J. Natl. Cancer Inst. 1974; 52: 413 - 27;Nicosia et al. In Vitro 1982; 18: 538 - 49を参照)。
【0208】
フィルター結合アッセイ
物質を、以下の条件に従って試験する:
すべての用いる装置、溶媒、緩衝液および酵素は、商業的に入手できる。
すべてのキナーゼアッセイを、Thermo-FisherからのMultidrop 384を用いて、室温で、25.5μlの合計アッセイ体積で行う。酵素および基質を緩衝液中に含む酵素混合物15μlを、0.5μlの試験物質、DMSO対照または空の容器のいずれかを含む試験バッチに加える。試験物質を、酵素および基質の存在下で5分間プレインキュベートし、その後、反応を10μlのATP(5、20または50mMのキナーゼ依存性の濃度)の添加によって開始する。当該反応を、5μlのオルトリン酸(50mM)の添加によって終了する。試験容器を、次にP81 Unifilterプレート上に「Packard Harvester」によって移送し、空気中で乾燥する。乾燥したUnifilterプレートを、MicroScint Oの添加の後に密封し、放射能を、Packard Topcount NXTで決定する。
【0209】
NUAK1阻害のアッセイ
NUAK1(50mMのトリス、pH7.5、0.1mMのEGTA、0.1%のβ−メルカプトエタノール、1mg/mlのBSAで希釈した5〜20mU)を、基質としてのALNRTSSDSALHRRRに対して試験する。25.5μlの最終体積は、50mMのトリス、pH7.5、0.1mMのEGTA、0.3mMのALNRTSSDSALHRRR、10mMの酢酸マグネシウムおよび0.02mMの[33P−γ−ATP](50〜1000cpm/pmole)を含み、室温で30分間インキュベートする。試験を、5μlの0.5M(3%)のオルトリン酸溶液の添加によって終了し、次にP81 Unifilterプレート上に移送し、50mMのオルトリン酸緩衝液で洗浄する。
【0210】
Metキナーゼ活性の測定
製造者のデータ(Met、活性、アップステート(upstate)、カタログNo. 14-526)に従って、Metキナーゼを、昆虫細胞(Sf21; S.frugiperda)におけるタンパク質産生の目的のために発現させ、その後バキュロウィルス発現ベクター中で「N末端6Hisタグ化」組換えヒトタンパク質としてアフィニティークロマトグラフィー精製する。
【0211】
キナーゼ活性を、様々な利用可能な測定システムを用いて測定することができる。シンチレーション近接法(Sorg et al., J. of Biomolecular Screening, 2002, 7, 11-19)、フラシュプレート法またはフィルター結合試験において、基質としてのタンパク質またはペプチドの放射性のリン酸化を、放射活性的に標識したATP(32P−ATP、33P−ATP)を用いて測定する。阻害化合物が存在する場合において、低減された放射活性シグナルを検出することができるか、または全く検出することができない。さらに、均一な時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(HTR−FRET)および蛍光偏光(FP)技術を、アッセイ方法として用いることができる(Sills et al., J. Biomol. Screen. 2002; 7 (3): 191 - 214)。
【0212】
他の非放射活性ELISAアッセイ方法は、特定のホスホ抗体(ホスホAB)を用いる。ホスホ抗体は、リン酸化された基質に結合するのみである。この結合を、第2のペルオキシダーゼ結合抗体を用いて、化学発光によって検出することができる(Ross et al. Biochem. J. 2002, 366: 977 - 981)。
【0213】
フラッシュプレート法(Metキナーゼ)
用いる試験プレートは、Perkin Elmerからの96ウェルFlashplate(登録商標)マイクロタイタープレート(Cat. No. SMP200)である。以下に記載するキナーゼ反応の構成成分を、アッセイプレート中にピペッティングする。Metキナーゼおよび基質ポリAla−Glu−Lys−Tyr(pAGLT、6:2:5:1)を、室温で3時間、放射活性的に標識した33P−ATPと共に、100μlの全体積で試験物質の存在下および不存在でインキュベートする。反応を、150μlの60mMのEDTA溶液を用いて終了する。室温でさらに30分間インキュベートした後、上清を吸引により濾別し、ウェルを3回、各々の回において200μlの0.9%NaCl溶液で洗浄する。結合した放射能の測定を、シンチレーション測定機器(Topcount NXT, Perkin-Elmer)によって行う。
【0214】
用いる完全値(full value)は、阻害剤なしのキナーゼ反応である。これは、ほぼ6000〜9000cpmの範囲内でなければならない。用いる薬理学的ゼロ値は、0.1mMの最終濃度におけるスタウロスポリンである。阻害値(IC50)を、RS1_MTSプログラムを用いて決定する。
【0215】
ウェルあたりのキナーゼ反応条件:
アッセイ緩衝液30μl
10%のDMSOを用いてアッセイ緩衝液中で試験する物質10μl
ATP(最終濃度1μM冷、0.35μCiの33P−ATP)10μl
アッセイ緩衝液中のMetキナーゼ/基質混合物50μl;
(10ngの酵素/ウェル、50ngのpAGLT/ウェル)
【0216】
用いる溶液:
− アッセイ緩衝液:
50mMのHEPES
3mMの塩化マグネシウム
3μMのオルトバナジウム酸ナトリウム
3mMの塩化マンガン(II)
1mMのジチオスレイトール(DTT)
pH=7.5(水酸化ナトリウムを用いて設定する)
【0217】
− 停止溶液:
60mMのTitriplex III(EDTA)
33P−ATP:Perkin-Elmer;
− Metキナーゼ:Upstate、Cat. No. 14-526、ストック1μg/10μl;比活性954U/mg;
− ポリ−Ala−Glu−Lys−Tyr、6:2:5:1:Sigma、Cat. No. P1152
【0218】
in-vivo試験
実験手順:メスBalb/Cマウス(ブリーダー:Charles River Wiga)は、到着時には5週齢であった。それらを、本発明者らの飼育条件に7日間順応させた。その後各々のマウスに、、100μlのPBS中の400万個のTPR−Met/NIH3T3細胞(Ca++およびMg++を有しない)を骨盤の領域に皮下注射した。5日後に動物を、各々の群の9匹のマウスが110μlの平均腫瘍体積を有するように(範囲:55〜165)、3つの群に無作為化した。100μlのビヒクル(0.25%のメチルセルロース/100mMの緩衝酢酸溶液、pH5.5)を対照群に毎日投与し、ビヒクル(体積は同様に100μl/動物であった)に溶解した200mg/kgの「A56」または「A91」を処置群に毎日投与し、それぞれの場合において胃管によるものとした。9日後、対照は、1530μlの平均体積を有しており、実験を終了した。
【0219】
腫瘍体積の測定:長さ(L)および幅(B)を、Vernierキャリパーを用いて測定し、腫瘍体積を、式L×B×B/2から計算した。
飼育条件:ケージあたり4匹または5匹の動物、商業的なマウス食餌(Sniff)で飼育する。
【0220】
HPLCに基づく分析方法のための条件:
ESI−MS:Agilent 1200 Binary Pump
溶媒A:水/0.05%のギ酸
溶媒B:ACN/0.04%のギ酸
最小圧力限界(bar):0.0;最大圧力限界(bar):200.0;試行後の時間(分):0.00;
勾配プログラム:時間流量組成
0.00(分)2.40(ml/分)A=96.0%、B=4.0%勾配〜
2.80(分)2.40(ml/分)A=0.0%、B=100.0%
3.30(分)2.40(ml/分)A=0.0%、B=100.0%勾配〜
3.40(分)2.40(ml/分)A=96.0%、B=4.0%
【0221】
カラム:Chromolith Performance Speed ROD RP18e/50-4.6nm
オートサンプラー:Agilent 1200 ALS G1329A
ポンプ:Agilent 1200 BinPump G1312A、脱気装置:Agilent 1200 G1379B
検出器:Agilent 1200 VWL G1314B
MS:Agilent 6110 Quadrupole LC/MS
ESIインターフェースG1946-60450、正のイオン化(または以下に示す負のイオン化)、注入体積:10μl
【0222】
ESI−HRMS:Agilent 1100 Binary Pump
溶媒A:水/0.1%のFAc
溶媒B:ACN/0.1%のFAc
最小圧力限界(bar):0.0;最大圧力限界(bar):400.0;試行後の時間(分):0.00;
勾配プログラム:時間流量組成
0.00(分)0.50(ml/分)A=98.0%、B=2.0%
5.00(分)0.50(ml/分)A=2.0%、B=98.0%
8.00(分)0.50(ml/分)A=2.0%、B=98.0%
8.10(分)0.50(ml/分)A=98.0%、B=2.0%
13.00(分)0.50(ml/分)A=98.0%、B=2.0%
【0223】
カラム:135 - Purospher Star RP-18e (3μm), 55-2, Art. 1.50241, No. 242994
オートサンプラー:Agilent 1100 AL G1329A
ポンプ:Agilent 1100 BinPump G1312A
カラムオーブン:Agilent 1100 Column Oven G1316A
検出:Agilent 1100 DAD G1315B
MS:Thermo LTQ XL Orbitrap
ESIインターフェース
正のイオン化
注入体積:5〜20ul
【0224】
APCI−MS:
溶媒A:水+0.1%のHCOOH
溶媒B:アセトニトリル+0.1%のHCOOH
溶媒C:C
溶媒D:D
最小圧力(bar):0
最大圧力(bar):300
遅延体積(ml):0.00
平衡時間(min):0.00
勾配曲線:直線状
【0225】
【表6】

【0226】
カラム:Purosphere RP-18, 55-2, Art. 1.50241.0001、バッチ:641047
ポンプ:Finnigan Spectra P4000システム
検出:Finnigan UV6000LP
MS:Finnigan LCQ Deca
APCIインターフェース、正のイオン化
注入体積:10μl
【0227】

Agilent
カラム:Chromolite Performance RP18-e 50-4.6mm
A:0.05%のギ酸を含むアセトニトリル
B:0.05%のギ酸を含むH
流量:2.4ml/分
【0228】
【表7】

【0229】
§
Agilent
カラム:
XBridge C8(50×4.6mm、3.5μ)、+veモード
方法:
A:HO中の0.1%のTFA
B:アセトニトリル中の0.1%のTFA
流量:2.0ml/分
【0230】
【表8】

【0231】
本明細書中、すべての温度を℃で示す。以下の例において、「慣用の精製操作」は、以下のことを意味する:必要に応じて水を加え、pHを、必要に応じて最終生産物の構成に依存して2〜10の値に調整し、混合物を酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させ、残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィーによって、および/または結晶化によって精製する。シリカゲル上のRf値;溶離剤:酢酸エチル/メタノール 9:1;
【0232】
質量分析法(MS):EI(電子衝撃イオン化)M
FAB(高速原子衝撃)(M+H)
ESI(エレクトロスプレーイオン化)(M+H)
APCI−MS(大気圧化学的イオン化−質量分析法)(M+H)
融点m.p. ℃において。
【0233】
例1
6−ベンジル−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール(「A7」)の製造
【化18】

1.1 N−(1,3−チアゾール−4−イル)カルバミン酸tert−ブチル(「1」)
【化19】

5.80ml(41.84mmol)のトリエチルアミンおよびその後、氷浴で冷却しながら9.10ml(42.19mmol)のジフェニルアジドホスフェートを、4.85g(37.55mmol)の4−チアゾールカルボン酸を180mlのtert−ブタノールに溶解した溶液中に、窒素下で導入し、反応混合物を、還流下で16時間加熱する。溶媒を真空で除去し、残留物をジクロロメタン中に吸収させ、水および飽和NaCl溶液で2回洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で蒸発させ、残留物をシリカゲル(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル 1/1)上のクロマトグラフィーによって精製し、7.07g(35.30mmol、94%)のN−(1,3−チアゾール−4−イル)カルバミン酸tert−ブチルをベージュ色結晶として得る;ESI−MS:m/e:201([M+H])。
【0234】
1.2 N−(5−ヨード−1,3−チアゾール−4−イル)カルバミン酸tert−ブチル(「2」)
【化20】

1033mg(4.59mmol)のN−ヨードスクシンイミドを、800mg(3.99mmol)のN−(1,3−チアゾール−4−イル)カルバミン酸tert−ブチルを40mlのジクロロエタンに溶解した溶液中に導入し、反応混合物を還流下で2時間加熱する。冷却後、混合物を水および飽和チオ硫酸ナトリウム溶液で2回洗浄する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空において蒸発させ、残留物を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル8/2〜1/1)によって精製し、1.19g(3.43mmol、85%)のN−(5−ヨード−1,3−チアゾール−4−イル)カルバミン酸tert−ブチルを白色結晶で、ジエチルエーテルからの結晶化後に得る;ESI−MS:m/e:327([M+H])。
【0235】
1.3 652mg(2.00mmol)のN−(5−ヨード−1,3−チアゾール−4−イル)カルバミン酸tert−ブチルおよび2.6g(8.00mmol)の炭酸セシウムを10mlの乾燥DMFに、乾燥したSchlenkフラスコ中で窒素の下で溶解し、622mg(3.00mmol)の臭化シンナミルを加える。室温での2時間の撹拌および、薄層クロマトグラフィーによる陽性反応モニタリングの後に、22mg(0.10mmol)のPd(OAc)および52mg(0.20mmol)のPPhを導入し、反応混合物を100℃で19時間撹拌する。次に飽和NaCl溶液を反応混合物に加え、それを次に酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、約3倍量のSiOと共に真空で蒸発させ、100℃および約10mbarで5時間加熱する。基質/シリカゲル混合物を、その後シリカゲルカラム上のクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル 1/1)で直接精製し、214mg(0.99mmol、49%)の6−ベンジル−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾールを黄色残留物として得る;
【0236】
m.p. 133〜135;
APCI−MS:R:3.90分;m/e(%):215(100、[M+H]);
【化21】

【0237】
例2
N−{5−[2−(4−フルオロフェニル)エチニル]−1,3−チアゾール−4−イル}カルバミン酸tert−ブチル(「A15」)の製造
【化22】

2.93g(9mmol)の炭酸セシウムを、排気したSchlenkフラスコ中で温度の下で乾燥し、50mlの乾燥テトラヒドロフラン、978mg(3.00mmol)のN−(5−ヨード−1,3−チアゾール−4−イル)カルバミン酸tert−ブチル、396mg(3.30mmol)の1−エチニル−4−フルオロベンゼン、122mg(0.15mmol)のPd(dppf)Cl・CHClおよび57mg(0.30mmol)のCuIを、その後窒素の下で加える。反応混合物を50℃で6時間加熱し、その後冷却し、Celiteを通して濾過し、溶媒を真空で除去する。残留物を酢酸エチルで吸収させ、飽和NaCl溶液で洗浄する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空において蒸発させ、残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル 1/1)により精製し、820mg(2.57mmol、85%)のN−{5−[2−(4−フルオロフェニル)エチニル]−1,3−チアゾール−4−イル}カルバミン酸tert−ブチルを黄色固体としてジエチルエーテルから得る;
m.p. 139〜144;
【0238】
【化23】

【0239】
例3
N−{2−クロロ−5−[2−(4−フルオロフェニル)エチニル]−1,3−チアゾール−4−イル}カルバミン酸tert−ブチル(「A29a」)の製造
【化24】

2.63g(8.26mmol)のN−{5−[2−(4−フルオロフェニル)エチニル]−1,3−チアゾール−4−イル}カルバミン酸tert−ブチルを、100mlの乾燥THFに、乾燥したSchlenkフラスコ中で窒素の下で溶解し、−78℃に冷却する。そしてN−BuLiをn−ヘキサンに溶解した15%溶液11mlをゆっくり滴加し、混合物を−78℃で20分間撹拌する。1mlの乾燥THFに溶解した1120mg(8.38mmol)のN−クロロスクシンイミドをその後滴加し、混合物を−78℃で15分間撹拌し、次に10mlのn−ブタノールを用いて反応停止し、RTに加温する。溶媒を真空で除去し、残留物を、シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル 99/1)により直接精製し、2.3g(6.51mmol、78%)のN−{2−クロロ−5−[2−(4−フルオロフェニル)エチニル]−1,3−チアゾール−4−イル}カルバミン酸tert−ブチルをベージュ色固体としてPEから得る;ESI−MS:m/e:353([M+H])。
【0240】
例4
N−[2−(2−アミノピリミジン−5−イル)−5−[2−(4−フルオロフェニル)エチニル]−1,3−チアゾール−4−イル]カルバミン酸tert−ブチル(「A29」)の製造
【化25】

705mg(2.00mmol)のN−{2−クロロ−5−[2−(4−フルオロフェニル)エチニル]−1,3−チアゾール−4−イル}カルバミン酸tert−ブチルを、4mlのDMF、2mlの水および8mlのDME、これと共に663mg(3.00mmol)の2−アミノピリミジン−5−ボロン酸ピナコリルの混合物に溶解し、829mg(6.00mmol)の炭酸カリウムおよび81mg(0.10mmol)のPd(dppf)Cl・CHClを導入する。アルゴンを、その後反応混合物に10分間通じ、容器を密閉し、85℃で44時間加熱する。冷却後、反応混合物を飽和NaCl溶液で2回抽出し、水相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で蒸発させ、残留物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル 1/2;1%のトリエチルアミン)により精製し、205mg(0.49mmol、25%)のN−[2−(2−アミノピリミジン−5−イル)−5−[2−(4−フルオロフェニル)エチニル]−1,3−チアゾール−4−イル]カルバミン酸tert−ブチルを黄色固体として得る;m.p.201〜203;
【0241】
【化26】

【0242】
例5
5−(4−フルオロフェニル)−4H−ピロロ[2,3−d]−1,3−チアゾール(「A1」)の製造
【化27】

238mg(0.75mmol)のN−{5−[2−(4−フルオロフェニル)エチニル]−1,3−チアゾール−4−イル}カルバミン酸tert−ブチルを、マイクロ波容器中で4.5mlのNMPに溶解し、143mg(1.27mmol)のKOBuを加える。反応容器を窒素の下で密閉し、90℃で20分間マイクロ波中で加熱し、その間窒素流で冷却する。混合物を50mlのジエチルエーテルで希釈し、50mlの飽和NaCl溶液で洗浄する。水相を、再びジエチルエーテルで抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で蒸発させ、残留物をシリカゲル(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル 1/1)上のクロマトグラフィーにより精製し、109mg(0.49mmol、66%)の5−(4−フルオロフェニル)−4H−ピロロ[2,3−d]−1,3−チアゾールを白色結晶として得る;m.p.244〜245;
【0243】
【化28】

【0244】
例6
5−(4−フルオロフェニル)−2−モルホリン−4−イル−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール(「A12」)の製造
【化29】

126mg(0.50mmol)の2−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾールを、マイクロ波容器中で2mlのモルホリンに懸濁させ、130℃で2時間照射し、その後シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル 1/1)により直接精製し、139mg(0.45mmol、91%)の5−(4−フルオロフェニル)−2−モルホリン−4−イル−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾールをベージュ色結晶として得る;m.p.240〜248;
【0245】
【化30】

【0246】
以下の化合物を、上記の例と同様にして得る。
【表9】

【0247】
【表10】

【0248】
【表11】

【0249】
【表12】

【0250】
【表13】

【0251】
【表14】

【0252】
【表15】

【0253】
【表16】

【0254】
【表17】

【0255】
【表18】

【0256】
【表19】

【0257】
【表20】

【0258】
【表21】

【0259】
【表22】

【0260】
【表23】

【0261】
【表24】

【0262】
【表25】

【0263】
6−ベンジル−2−ピリジン−3−イル−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール(「A51」)
【化31】

6−ベンジル−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール(「A52」)
【化32】

5−(6−ベンジル−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イルアミン(「A53」)
【化33】

6−プロパ−2−イニル−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール(「A54」)
【化34】

【0264】
3−(6−ベンジル−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール−2−イル)ピリジン−2−イルアミン(「A55」)、
6−ベンジル−2−(1H−ピラゾール−4−イル)−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール(「A56」)、
6−ベンジル−2−(5−ブロモピリジン−3−イル)−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール(「A57」)、
6−ベンジル−2−ピリミジン−5−イル−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール(「A58」)、
モルホリン−4−イル−[3−(4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール−6−イルメチル)−1H−インドール−5−イル]メタノン(「A59」)、
【0265】
N−(2−メトキシエチル)−3−(4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール−6−イルメチル)−1H−インドール−5−カルボキサミド(「A60」)、
N−(4−フルオロベンジル)−3−(4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール−6−イルメチル)−1H−インドール−5−カルボキサミド(「A61」)、
N−(2−アミノエチル)−2−[4−(4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール−6−イルメチル)−1,2,3−トリアゾール−1−イル]アセトアミド(「A62」)、
1−ピペラジン−1−イル−2−[4−(4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール−6−イルメチル)−1,2,3−トリアゾール−1−イル]エタノン(「A63」)、
N−(ピペリジン−4−イル)−2−[4−(4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール−6−イルメチル)−1,2,3−トリアゾール−1−イル]アセトアミド(「A64」)、
【0266】
6−(1−ピリジン−3−イルメチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イルメチル)4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール(「A65」)、
【化35】

6−(1−ピリジン−4−イルメチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イルメチル)4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール(「A66」)
【化36】

【0267】
6−ベンジル−2−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル)−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール(「A67」)、
6−ベンジル−2−(5−(1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル)−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール(「A68」)、
6−ベンジル−2−(5−(4−フルオロフェニル)ピリジン−3−イル)−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール(「A69」)、
6−(5−メタンスルホニルチオフェン−2イルメチル)−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール(「A70」)、
【0268】
6−[1−(2−モルホリン−4−イルエチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イルメチル)4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール(「A71」)
【化37】

6−ベンジル−2−{5−[1−((E)−3−フェニルアリル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリジン−3−イル}−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール(「A72」)
【化38】

【0269】
受容体結合試験の結果
本明細書中に示す化合物を、1μMの濃度で102種のキナーゼに対して試験した。比較によって示すように、式Iaで表される化合物およびまた式Ibで表される化合物の両方を、高度の潜在性および選択性と関連させ、それらを標的とした腫瘍療法において用いるのに好適にする。
【0270】
示される%値は、キナーゼをフィルター結合アッセイにおいて記載した条件下で物質で処理した場合に残留する残留キナーゼ活性の基準である。測定精度の限界内で、約50の%値が、1μMのIC50に相当すると推測することができる。M.W. Karaman et al.は、Nature Biotechnology 2008;26(1):127 - 32中で、キナーゼ阻害剤選択性の定量的分析を記載している。
【0271】
本発明の数種の化合物を、約50%またはそれ以上の程度に物質を阻害するキナーゼと共に、以下の例によって示す:
・6−ベンジル−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール(「A7」)
オーロラA(33%);Rock II(36%);CDK2(41%);CK2(53%);NUAK1(27%);
【0272】
・3−(4−アミノチアゾール−5−イルエチニル)フェノール(「A27」)
Nek2A(59%);NUAK1(49%);
・{5−[3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)プロパ−1−イニル]チアゾール−4−イル}カルバミン酸tert−ブチル(「A26」)
CDK2(28%);NUAK1(24%);
・[5−(3−モルホリン−4−イルプロパ−1−イニル)−2−ピリジン−4−イルチアゾール−4イル]カルバミン酸tert−ブチル(「A25」)
HIPK1(48%);
【0273】
・5−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルエチニル)チアゾール−4−イルアミン(「A22」)
オーロラA(39%);HIPK1(36%);MARK2(31%);MKK1(43%);PDK1(53%);GSK3b(9%);CHK1(40%);CDK2(52%);PRK2(38%);MAPK8(34%);MARK3(15%);HIPK2(44%);PAK4(34%);VEGFR(11%);GCK(31%);NUAK1(16%);MLK3(23%)。
【0274】
キナーゼ阻害剤が考慮した活性測定濃度範囲において正常に挙動することがさらに推測される場合には、1の傾きを有する回帰線を、考慮したこの範囲について推測することができる。それゆえ、化合物について以下に示されるIC50値を、極めて多数のキナーゼについて得ることができる。
【0275】
IC50:10nM〜1μM=A;1μM〜10μM=B;10μM〜100μM=C
ここでのNAは、化合物が1μMの試験濃度でキナーゼに対して阻害効果を全く奏していない(活性なし)ことを意味する。
%阻害データから誘導されたIC50値を有する表から、本明細書中に提示した化合物が柔軟なキナーゼ阻害の極めて高い評価基準を提供することが明らかである。
【0276】
【表26】

【0277】
【表27】

【0278】
【表28】

【0279】
【表29】

【0280】
以下の例は、医薬に関する:
例A:注射バイアル
100gの式Iで表される活性成分および5gのリン酸水素二ナトリウムを3lの2回蒸留水に溶解した溶液を、2N塩酸を用いてpH6.5に調整し、滅菌濾過し、注射バイアル中に移し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々の注射バイアルは、5mgの活性成分を含む。
【0281】
例B:座剤
20gの式Iで表される活性成分の100gの大豆レシチンおよび1400gのココアバターとの混合物を、溶融し、型中に注入し、放冷する。各々の座剤は、20mgの活性成分を含む。
【0282】
例C:溶液
1gの式Iで表される活性成分、9.38gのNaHPO・2HO、28.48gのNaHPO・12HOおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムから、940mlの2回蒸留水中に溶液を製造する。pHを6.8に調整し、溶液を1lにし、放射線により滅菌する。この溶液を、点眼剤の形態で用いることができる。
【0283】
例D:軟膏
500mgの式Iで表される活性成分を、99.5gのワセリンと、無菌条件下で混合する。
【0284】
例E:錠剤
1kgの式Iで表される活性成分、4kgのラクトース、1.2kgのジャガイモデンプン、0.2kgのタルクおよび0.1kgのステアリン酸マグネシウムの混合物を、慣用の方法で圧縮して、錠剤を得、各々の錠剤が10mgの活性成分を含むようにする。
【0285】
例F:糖衣錠
例Eと同様にして、錠剤を圧縮し、次に、慣用の方法で、スクロース、ジャガイモデンプン、タルク、トラガカントおよび染料の被膜で被覆する。
【0286】
例G:カプセル
2kgの式Iで表される活性成分を、硬質ゼラチンカプセル中に、慣用の方法で導入して、各々のカプセルが20mgの活性成分を含むようにする。
【0287】
例H:アンプル
1kgの式Iで表される活性成分を60lの2回蒸留水に溶解した溶液を、滅菌濾過し、アンプル中に移送し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々のアンプルは、10mgの活性成分を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IaまたはIb
【化1】

式中、
は、H、(CHArまたは(CHHetを示し、
1’は、HまたはAを示し、
は、H、A、Hal、(CHHet、(CHHet、−C≡C−Ar、(CHAr、NHCONHAr、COA、COOH、COOA、COHet、COAr、CONH、CONHA、CONA、SONH、SONHA、S(O)A、NHCOA、SONHA、SONA、SONHHet、SONHArまたは
【化2】

を示し、
は、NHCOOA’またはNHを示し、
は、(CHAr、SiAまたは(CHHetを示し、
は、H、Halまたは(CHHetを示し、
は、H、−C≡C−RまたはHalを示し、
は、H、A、ArまたはHetを示し、
Arは、非置換であるか、またはHal、A、OH、OA、CN、NO、SOA、COOH、COOA、NH、NHA、NA、NHCHAr、CHO、COA、CHO、CONH、CONHA、CONA、Het、SONH、SONHA、S(O)Aおよび/もしくはNHCOAによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるかまたはHal、A、NH、NHA、NA、COOH、COOA、CONH、CONHA、CONA、CONHAr、CONHHet、S(O)Aおよび/もしくはNHCHArによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族複素環を示し、
Arは、非置換であるか、またはHal、A、OHおよび/もしくはOAによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
Arは、NHCONHHetによって単置換されているフェニルを示し、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはHal、A、COOA、NH、NHRおよび/もしくは(CHHetによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族、不飽和または飽和複素環を示し、
は、H、A、ArまたはHetを示し、
、R10は、各々、互いに独立してHまたはHalを示し、
11は、HまたはA’を示し、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはA、COOAおよび/もしくはNHによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族複素環を示し、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはNHによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族複素環を示し、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはHal、A、Ar、NH、NHCHArおよび/もしくは=Oによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族、不飽和または飽和複素環を示し、
Aは、1〜10個のC原子を有し、1〜7個のH原子がFによって置き換えられていてもよく、かつ/または、1つもしくは2つの隣接していないCHおよび/もしくはCH基が、O、NH、NA’、S、SO、SOによって、および/もしくはCH=CH基によって置き換えられていてもよい、非分枝状または分枝状アルキルを示し、
あるいは
3〜7個のC原子を有する環状アルキルを示し、
A’は、1〜4個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1または2を示し、
nは、0、1、2、3または4を示す、
で表される化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項2】
が、H、(CHArまたは(CHHetを示し、
1’が、Hを示し、
が、H、Hal、(CHHet、(CHHetまたは−C≡C−Arを示し、
が、NHCOOA’またはNHを示し、
が、(CHAr、SiAまたは(CHHetを示し、
が、Hまたは(CHHetを示し、
が、H、−C≡C−RまたはHalを示し、
が、Hを示し、
Arが、非置換であるか、またはHal、A、OH、OA、CN、NO、SOA、COOH、COOA、NH、NHA、NA、NHCHAr、CHO、COA、CHO、CONH、CONHA、CONA、SONH、SONHAおよび/もしくはNHCOAによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
Hetが、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるかまたはHal、A、NHおよび/もしくはNHCHArによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族複素環を示し、
Arが、非置換であるかまたはHal、A、OHおよび/もしくはOAによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
Hetが、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるかまたはHal、A、NHおよび/もしくはCHHetによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族、不飽和または飽和複素環を示し、
Hetが、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるかまたはAおよび/もしくはNHによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族複素環を示し、
Hetが、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるかまたはNHによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族複素環を示し、
Hetが、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるかまたはHal、A、NH、NHCHArおよび/もしくは=Oによって単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式または二環式の芳香族、不飽和または飽和複素環を示し、
Aが、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子が、OH、F、Clおよび/またはBrによって置き換えられていてもよく、
A’が、1〜4個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、
Halが、F、Cl、BrまたはIを示し、
nが、0、1、2、3または4を示す、
請求項1に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項3】
Arが、非置換であるか、またはHal、OH、OA、NH、NHA、NAおよび/もしくはNHCHArによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示す、
請求項1または2に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項4】
Hetが、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリルまたはインダゾリルを示し、その各々が、非置換であるかまたはNHおよび/もしくはNHCHArによって単置換もしくは二置換されている、
請求項1、2または3に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項5】
Arが、フェニルを示す、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項6】
Hetが、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリル、チオフェニル、フラニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリジニルまたはピリミジニルを示し、その各々が、非置換であるかまたはNHおよび/もしくはCHHetによって単置換もしくは二置換されている、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項7】
Hetが、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリルまたはインダゾリルを示し、その各々が、非置換であるかまたはAおよび/もしくはNHによって単置換もしくは二置換されている、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項8】
Hetが、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリルまたはインダゾリルを示し、その各々が、非置換であるかまたはAおよび/もしくはNHによって単置換もしくは二置換されている、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項9】
Hetが、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロイソインドリル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリルまたはインダゾリルを示し、その各々が、非置換であるかまたはNH、NHCHArおよび/もしくは=Oによって単置換もしくは二置換されている、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項10】
以下の群
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

から選択される、請求項1に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の式IaまたはIbで表される化合物あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体の製造方法であって、
a)式Ia’
【化3】

式中、
は、ArまたはHetを示し、
は、Hal以外の請求項1に示した意味を有し、
は、tert−ブチルオキシカルボニルを示し、
ならびにArおよびHetは、請求項1に示す意味を有する、
で表される化合物の製造のために、
式IIc
【化4】

式中、
は、Hal以外の請求項1に示す意味を有し、
は、tert−ブチルオキシカルボニルを示す、
で表される化合物を、
式IIIc
−CH=CH−CHBr IIIc
式中、Rは、ArまたはHetを示し、
ならびにArおよびHetは、請求項1に示す意味を有する、
で表される化合物と反応させ、
その後、または同時に、tert−ブチルオキシカルボニル基を切断する、
あるいは
b)式Ib’
【化5】

式中、
は、NH−COO−tert−ブチルを示し、
は、Hまたは(CHHetを示し、
は、−C≡C−Rを示し、
ならびに
n、RおよびHetは、請求項1に示す意味を有する、
で表される化合物の製造のために、
式IId
【化6】

式中、
は、tert−ブチルオキシカルボニルを示し、
は、Hまたは(CHHetを示し、
ならびにnおよびHetは、請求項1に示す意味を有する、
で表される化合物を、
式IIId
H−C≡C−R IIId
式中、Rは、請求項1に示す意味を有する、
で表される化合物と反応させる、
あるいは
c)式Ib’’
【化7】

式中、
は、NH−COO−tert−ブチルを示し、
は、Clを示し、
は、−C≡C−Rを示し、
また
は、請求項1に示す意味を有する、
で表される化合物の製造のために、
式Ib’’
【化8】

式中、
は、NH−COO−tert−ブチルを示し、
は、Hを示し、
は、−C≡C−Rを示し、
また
は、請求項1に示す意味を有する、
で表される化合物を、
N−クロロスクシンイミドと反応させる、
あるいは
d)式Ib’
【化9】

式中、
は、NH−COO−tert−ブチルを示し、
は、(CHHetを示し、
は、−C≡C−Rを示し、
ならびに
n、RおよびHetは、請求項1に示す意味を有する、
で表される化合物の製造のために、
式Ib’’
【化10】

式中、
は、NH−COO−tert−ブチルを示し、
は、Clを示し、
は、−C≡C−Rを示し、
ならびに
は、請求項1に示す意味を有する、
で表される化合物を、
式IVa
L−(CH
式中、Rは、Hetを示し、
nおよびHetは、請求項1に示す意味を有し、
ならびにLは、ボロン酸またはボロン酸エステルラジカルを示す、
で表される化合物と反応させ、
その後、または同時に、Boc基を切断する、
あるいは
e)式Ia’’
【化11】

式中、
は、ArまたはHetを示し、
は、H、Cl、(CHHetを示し、
は、Hを示し、
ならびにn、Ar、HetおよびHetは、請求項1に示す意味を有する、
で表される化合物の製造のために、
式Ib’
【化12】

式中、
は、NH−COO−tert−ブチルを示し、
は、H、Cl、(CHHetを示し、
は、−C≡C−Rを示し、
は、ArまたはHetを示し、
ならびにAr、Het、HetおよびRは、請求項1に示す意味を有する、
で表される化合物を、
塩基の存在下で加熱する、
あるいは
f)式Ia’’
【化13】

式中、
は、ArまたはHetを示し、
は、Hetを示し、
は、Hを示す、
で表される化合物の製造のために、
式Ia’’
【化14】

式中、
は、ArまたはHetを示し、
は、Halを示し、
は、Hを示し、
ArおよびHetは、請求項1に示す意味を有する、
で表される化合物を、
式Va
Het−H Va
式中、Hetは、請求項1に示す意味を有する、
で表される化合物と反応させる、
かつ/あるいは
式IaまたはIbで表される塩基または酸を、その塩の1種に変換する
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の式IaまたはIbで表される少なくとも1種の化合物および/またはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物、ならびに、任意に賦形剤および/または補助剤を含む、医薬。
【請求項13】
腫瘍、癌、腫瘍形成、成長および伝播、動脈硬化症、眼疾患、例えば年齢誘発性黄斑変性症、脈絡膜血管新生および糖尿病性網膜症など、炎症性疾患、関節炎、血栓症、線維症、糸球体腎炎、神経変性、乾癬、再狭窄、創傷治癒、移植片拒絶、代謝疾患および免疫系の疾患、自己免疫疾患、肝硬変、糖尿病および血管の疾患の処置のための医薬を製造するための使用のための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。

【公表番号】特表2013−513627(P2013−513627A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543493(P2012−543493)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006822
【国際公開番号】WO2011/072779
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】