癌の処置において使用するための多キナーゼインヒビター

本発明は、特定の癌を処置するための化合物、薬学的組成物および方法を提供する。このような組成物は、一般に、R〜Rが本明細書中で定義されるとおりである式(I):


の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはエステル;および薬学的に受容可能なキャリアを含有し得る。いくつかの局面において、本発明は、SrcTK/MEKに関連する癌の処置を必要とする被験体において、SrcTK/MEKに関連する癌を処置する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮出願番号61/029,196(2008年2月15日出願);米国仮出願番号60/951,906(2007年7月25日出願);および米国仮出願番号60/951,901(2007年7月25年出願)に対する優先権を主張する。これらの出願の各々の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の背景)
F152(LL−Z1640−2)(ゼラレノン様マクロライド)は、最初、振盪フラスコ醗酵から単離され、その粗製抽出物は、睫毛のある原生動物であるTetrahymena pyriformisを阻害した(非特許文献1を参照のこと)。
【0003】
【化1】

この天然産物を使用した初期の生物学的研究は、特に増加した活性を何も得なかったが、さらなる誘導体の調製および/またはそれらの生物学的活性のさらなる調査の可能性は、企図された。例えば、F152およびその特定の異性体は、リン酸化酵素であるMap/Erkキナーゼ(MEK)を阻害し、特定のMEKに関連する癌および新脈管の形成により特徴付けられる他の疾患の処置のために有用であり得る(例えば、GB 323 845を参照のこと)。F152の誘導体はまた、チロシンキナーゼインヒビター(これらは例えば、癌および炎症性疾患の処置のために有用である)としての活性を有することが示された(例えば、EP 606 044;WO 00/38674;JP 8−40893;WO 96/13259;5,728,726;5,674,892;5,795,910を参照のこと)。しかし、しばしば、F152およびその誘導体は、天然産物に対する醗酵技術および修飾により得られ、従って、調製および生物学的活性の評価が可能な誘導体の数および種類が限られている。さらに、F152およびその特定の誘導体は、インビトロでの強力な活性が実証されているが、これらの化合物は、生物学的に不安定であり得(例えば、マウスおよびヒトの血漿中でエノン異性化を受ける)、従って、ヒトまたは他の動物の処置のための治療剤としてのこれらの化合物の開発を制限している。
【0004】
最近、F152アナログが、NF−κB活性化およびMEK1のインヒビターであることが示された(例えば、米国出願番号10/507,067および特許文献1を参照のこと)。これらの化合物はまた、AP−1活性化およびいくつかのプロテインキナーゼ(例えば、MEKK、PDGFr、VEGFr)を阻害すると報告された。これらの作用の機構に基づいて、これらの化合物が、種々の炎症誘発性サイトカインおよび/または免疫性サイトカイン(例えば、TNFα、IL−1、IL−6、IL−8、IL−2など)の産生を阻害し、そしてまた、NF−κB経路の調節下での種々の炎症誘発性分子の産生(例えば、COX−2、ICAM−1ならびにMMP−1およびMMP−3などから産生されるプロスタグランジン)を阻害することが示唆された。また、これらの化合物が、MEK1の阻害によって、AP−1経路の調節下で細胞増殖を阻害する能力を有することが報告された。さらに、これらの化合物が、おそらくVEGFrキナーゼに対する阻害活性およびPDGFrキナーゼに対する弱い阻害活性に基づいて、新脈管形成を阻害する能力を有することが報告された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0224936号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】McGahrenら.J.Org.Chem.1978,43,2339
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、少なくとも部分的に、式(I)または式(II)の化合物が独特の多キナーゼ阻害プロフィールを有し、これらの化合物の独特の多キナーゼ阻害プロフィールに基づいて選択された特定の癌に対して有用であり得るという発見に基づく。一般に、化学療法薬物は、しばしば特異性を欠き、そしてその薬物に関連する望まれない副作用を有する。従って、本発明の目的は、標的化された癌治療のための癌特異的薬剤、ならびに化学療法に頻繁に関連する有害な副作用を回避し得る癌を処置および/または予防する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、いくつかの局面において、本発明は、SrcTK/MEKに関連する癌の処置を必要とする被験体において、SrcTK/MEKに関連する癌を処置する方法を提供する。この方法は一般に、この被験体に、SrcTK/MEKインヒビターをSrcTK/MEKに関連する癌を処置するための有効量で含有する組成物を投与する工程を包含する。いくつかの局面において、本発明はまた、SrcTK/MEKに関連する癌の処置のための医薬の製造における、SrcTK/MEKインヒビターの使用に関する。
【0009】
いくつかの実施形態において、SrcTK/MEKインヒビターは、約0.1μMの濃度で、Srcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも1つのメンバーの活性を少なくとも約75%阻害する。Srcチロシンキナーゼファミリーのメンバーは、Srcファミリーの任意のメンバー(cSrc、Fyn、Lyn、Lck、Yes、Fgr、HckおよびBlkが挙げられる)であり得る。いくつかの実施形態において、SrcTK/MEKインヒビターは、約0.1μMの濃度で、Srcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも5つのメンバーの活性を少なくとも約50%阻害する。いくつかの実施形態において、SrcTK/MEKインヒビターは、約0.1μMの濃度で、MEK1の活性を少なくとも約50%阻害する。
【0010】
いくつかの実施形態において、SrcTK/MEKインヒビターは、式(I):
【0011】
【化2】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはエステルであり、式(I)において:
はHであり、
は、Hおよびトリフルオロメチルカルボニルからなる群より選択される部分であるか;またはRおよびRは、コア構造と一緒になって、式(a):
【0012】
【化3】

のヘテロシクリルジイル部分を形成し;
は、−ORおよび−NRからなる群より選択される部分であり;
は、イミダゾリルで必要に応じて置換されたC1〜4アルキル基であり;
は、C1〜4アルキル基およびC1〜4アルコキシ基からなる群より選択される部分であり、ここでRは、0、1個もしくは2個の基で置換されており、これらの基は各々独立して、−OCH、−C(O)OH、−C(O)NR’R”、−NH(C1〜3アルキル)、nが2〜4である−NH(CHCHO)CH、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、ピペリジニル、N−メチルピペリジニル、N−モルホリニル、イミダゾリル、ピロリジニル、−OPOおよびヒドロキシルからなる群より選択され;この−NH(C1〜3アルキル)基は、0、1個もしくは2個のヒドロキシル部分で置換されており、そしてR’およびR”は各々独立して、−Hまたは−CHから選択され;そして
はHであるか、またはRおよびRは、これらが結合している窒素と一緒になって、式(b)および式(c):
【0013】
【化4】

からなる群より選択されるヘテロシクリル部分を形成する。
【0014】
いくつかの実施形態において、SrcTK/MEKに関連する癌は、慢性骨髄性白血病または結腸直腸癌である。いくつかの実施形態において、SrcTK/MEKインヒビターはまた、Bcr−Ablの活性を阻害し、そしてSrcTK/MEKに関連する癌は、白血病である。いくつかの実施形態において、SrcTK/MEKインヒビターはまた、TrkBの活性を阻害する。いくつかの実施形態において、SrcTK/MEKインヒビターはまた、約0.1μMの濃度で、TrkBの活性を、少なくとも本明細書中にさらに記載される程度まで(例えば、少なくとも約75%)阻害する。
【0015】
いくつかの局面において、本発明は、TrkB/MEKに関連する癌の処置を必要とする被験体において、TrkB/MEKに関連する癌を処置する方法に関する。これらの方法は一般に、この被験体に、TrkB/MEKインヒビターをTrkB/MEKに関連する癌を処置するための有効量で含有する組成物を投与する工程を包含する。いくつかの局面において、本発明はまた、TrkB/MEKに関連する癌を処置するための医薬の製造における、TrkB/MEKインヒビターの使用に関する。
【0016】
いくつかの実施形態において、TrkB/MEKインヒビターは、約0.1μMの濃度で、TrkBの活性を少なくとも約75%阻害する。いくつかの実施形態において、TrkB/MEKインヒビターは、約0.1μMの濃度で、MEK1の活性を少なくとも約50%阻害する。
【0017】
いくつかの実施形態において、TrkB/MEKインヒビターは、式(I):
【0018】
【化5】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはエステルであり、式(I)において:
はHであり、
は、Hおよびトリフルオロメチルカルボニルからなる群より選択される部分であるか;またはRおよびRは、コア構造と一緒になって、式(a):
【0019】
【化6】

のヘテロシクリルジイル部分を形成し;
は、−ORおよび−NRからなる群より選択される部分であり;
は、イミダゾリルで必要に応じて置換されたC1〜4アルキル基であり;
は、C1〜4アルキル基およびC1〜4アルコキシ基からなる群より選択される部分であり、ここでRは、0、1個もしくは2個の基で置換されており、これらの基は各々独立して、−OCH、−C(O)OH、−C(O)NR’R”、−NH(C1〜3アルキル)、nが2〜4である−NH(CHCHO)CH、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、ピペリジニル、N−メチルピペリジニル、N−モルホリニル、イミダゾリル、ピロリジニル、−OPOおよびヒドロキシルからなる群より選択され;この−NH(C1〜3アルキル)基は、0、1個もしくは2個のヒドロキシル部分で置換されており、そしてR’およびR”は各々独立して、−Hまたは−CHから選択され;そして
はHであるか、またはRおよびRは、これらが結合している窒素と一緒になって、式(b)および式(c):
【0020】
【化7】

からなる群より選択されるヘテロシクリル部分を形成する。
【0021】
1つの実施形態において、化合物(I)は、式(II):
【0022】
【化8】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはエステルであり、式(II)において、
は−NHRであり、そしてRは、0、1個または2個のヒドロキシル基で置換されたC〜Cアルキルである。
【0023】
本明細書における、式(I)または式(II)の化合物(あるいはこれらを含有する組成物)に対する言及は、これらの化合物の薬学的に受容可能な塩およびエステル(あるいはこれらを含有する組成物)を包含する。
【0024】
いくつかの実施形態において、TrkB/MEKに関連する癌は、膵臓癌、神経癌、神経膠腫、神経芽細胞腫または網膜芽細胞腫である。いくつかの実施形態において、TrkB/MEKインヒビターはまた、Srcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも1つのメンバーの活性を阻害する。いくつかの実施形態において、TrkB/MEKインヒビターはまた、約0.1μMの濃度で、Srcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも1つのメンバーの活性を、少なくとも本明細書中にさらに記載される程度まで(例えば、少なくとも約75%)阻害する。
【0025】
いくつかの局面において、本発明は、慢性骨髄性白血病、膵臓癌、神経癌、神経膠腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、卵巣癌、甲状腺癌、結腸直腸癌および黒色腫からなる群より選択される少なくとも1つの癌の処置を必要とする被験体において、その癌を処置する方法を提供する。これらの方法は一般に、この被験体に、式(I)もしくは式(II)の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩またはエステルを、その癌を処置するために有効な量で含有する組成物を投与する工程を包含する。式(I)または式(II)の化合物は、本明細書中に記載されるような式(I)または式(II)の化合物のうちの任意のものであり得る。
【0026】
いくつかの局面において、本発明はまた、慢性骨髄性白血病、膵臓癌、神経癌、神経膠腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、卵巣癌、甲状腺癌、結腸直腸癌または黒色腫の処置のための医薬の製造における、式(I)または式(II)の化合物の使用に関する。いくつかの局面において、本発明は、転移プロセスの阻害を必要とする被験体における、転移プロセスの阻害の方法を提供する。これらの方法は一般に、この被験体に、式(I)もしくは式(II)の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩またはエステルを、その転移プロセスを阻害するための有効量で含有する組成物を投与する工程を包含する。式(I)または式(II)の化合物は、本明細書中に記載されるような式(I)または式(II)の化合物のうちの任意のものであり得る。
【0027】
他の局面において、本発明は、B−RAF変異を有する癌の処置を必要とする被験体において、B−RAF変異を有する癌を処置する方法を提供する。これらの方法は一般に、この被験体に、少なくとも1つの式(I)もしくは式(II)の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩またはエステルを、B−RAF変異を有する癌を処置するための有効量で含有する組成物を投与する工程を包含する。式(I)または式(II)の化合物は、本明細書中に記載されるような式(I)または式(II)の化合物のうちの任意のものであり得る。いくつかの実施形態において、B−RAF変異を有する癌は、B−RAF V600E変異を有する癌である。いくつかの実施形態において、B−RAF変異を有する癌は、卵巣癌、甲状腺癌、結腸直腸癌または黒色腫である。
【0028】
他の局面において、本発明は、FLT3変異を有する癌の処置を必要とする被験体において、FLT3変異を有する癌を処置する方法を提供する。例えば、この方法は、式(I)もしくは式(II)の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩またはエステル(あるいはこれらを含有する組成物)を、この被験体に、FLT3変異を有する癌を処置するための有効量で投与する工程を包含し得る。この方法の特定の実施形態において、FLT3変異を有する癌は、残基D835の変異および/または残基I836の変異(例えば、D835Y変異)を有する。いくつかの実施形態において、FLT3変異を有する癌は、急性骨髄性白血病(AML)である。
【0029】
他の局面において、本発明は、中枢神経系腫瘍の処置を必要とする被験体において、中枢神経系腫瘍を処置する方法を提供する。これらの方法は一般に、この被験体に、式(I)もしくは式(II)の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩またはエステルを、この腫瘍を処置するための有効量で含有する組成物を、式(I)または式(II)の化合物の少なくとも20%が血液脳関門を通過するように投与する工程を包含する。式(I)または式(II)の化合物は、本明細書中に記載されるような式(I)または式(II)の化合物のうちの任意のものであり得る。いくつかの実施形態において、脳中の式(I)または式(II)の化合物の量対血漿中の式(I)または式(II)の化合物の量の比に基づいて、式(I)または式(II)の化合物のうちの少なくとも約65%が、血液脳関門を通過する。いくつかの実施形態において、中枢神経系腫瘍は、脳腫瘍、神経膠腫または神経芽細胞腫である。
【0030】
いくつかの実施形態において、式(I)における
【0031】
【化9】

は、二重結合を表す。いくつかの実施形態において、
【0032】
【化10】

は、三重結合を表す。いくつかの実施形態において、Rは−NRであり、RはHであり、そしてRは非置換C1〜4アルキルである。いくつかの実施形態において、RはHであり、そしてRはメチルまたはエチルである。例えば、式(I)の化合物としては、以下の化合物:
【0033】
【化11】

ならびにその薬学的に受容可能な塩およびエステルが挙げられる。
【0034】
いくつかの実施形態において、本発明の方法のうちの任意のものは、本明細書中に記載される組成物の静脈内投与を包含する。いくつかの実施形態において、本発明の方法のうちの任意のものは、体重1kgあたり約0.10mg〜約25mgの、本明細書中に記載される組成物の投薬量の投与を包含する。
【0035】
いくつかの局面において、本発明は、以下の化合物:
【0036】
【化12】

【0037】
【化13】

【0038】
【化14】

【0039】
【化15】

ならびにその薬学的に受容可能な塩およびエステルに関する。
【0040】
式(II)の化合物に関して、いくつかの実施形態において、Rは、非置換C1〜3アルキルアミノである。いくつかの実施形態において、Rは、メチルアミノおよびエチルアミノからなる群より選択される基である。いくつかの実施形態において、Rは、2−ヒドロキシエチルアミノおよび2,3−ジヒドロキシプロピルアミノからなる群より選択される基である。例えば、式(II)の化合物としては、以下の化合物:
【0041】
【化16】

ならびにその薬学的に受容可能な塩およびエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
いくつかの実施形態において、本発明の方法のうちの任意のものは、第二の化学療法薬物の投与を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、RAS−MAPKシグナル伝達経路の概略図を示す。
【図2A】図2Aは、生化学的MEK1アッセイおよび細胞ベースのMEK1アッセイにおける例示的な式(I)または式(II)の化合物の結果を記載する。
【図2B】図2Bは、例示的な化合物のキナーゼ阻害の結果を記載する。
【図3】図3は、種々の癌細胞株での細胞増殖阻害アッセイにおける例示的な式(I)または式(II)の化合物の結果を記載する。
【図4】図4は、Colo−205ヒト結腸癌異種移植片での例示的な式(I)または式(II)の化合物のインビボ抗腫瘍活性からの結果を示すグラフを含む。
【図5】図5は、BxPC−3ヒト膵臓癌異種移植片での例示的な式(I)または式(II)の化合物のインビボ抗腫瘍活性からの結果を示すグラフを含む。
【図6】図6は、LOXヒト黒色腫異種移植片での例示的な式(I)または式(II)の化合物のインビボ抗腫瘍活性からの結果を示すグラフを含む。
【図7】図7は、B細胞に駆動される血液学的な悪性癌細胞(B−cell driven hematological malignant cancer cell)の増殖に対する化合物の効果を記載する。
【図8】図8は、PANC−1膵臓癌細胞におけるCPT−11(SN−38)の抗癌活性に対する化合物の効果を記載する。
【図9】図9は、化合物の血液脳関門(BBB)実験を記載する。
【図10】図10は、MV−4−11 AML細胞におけるFlt−3受容体のリン酸化に対する化合物の効果を記載する。
【図11】図11は、化合物によるMV−4−11細胞の増殖の阻害を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(本発明の詳細な説明)
WO05/023792およびWO03/076424に考察されているように、F152の特定のアナログは、MEK1に対して阻害活性を有し、増大した安定性を示し、そしてNF−κB活性化、AP−1活性化およびプロテインキナーゼ(例えば、MEKK、MEK1、PDGFr、VEGFr)の強力なインヒビターであることが報告されている。本発明は、特定のF152マクロライドアナログもまた独特の多キナーゼ阻害プロフィールを有するという発見に、少なくとも部分的に基づく。すなわち、式(I)または式(II)の化合物は、本明細書においてさらに詳細に考察されるように、複数の特定のキナーゼのインヒビターとして有効である。特定の多キナーゼインヒビター(multikinases)は、以前に癌に対して有効であることが示されている。最近、例えば、メシル酸イマチニブ(STI571、GLEEVEC)(Bcr−Ablキナーゼのインヒビター)が、慢性骨髄性白血病の処置に好結果であることが発見された。この成功は、メシル酸イマチニブの多キナーゼ活性に、少なくとも部分的に因る。従って、いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、これらの独特の多キナーゼ阻害プロフィールを有する化合物(例えば、式(I)または式(II)のF152マクロライドアナログ)が、選択的MEK1インヒビターよりも広い治療スペクトルを有することが考えられる。例えば、この独特の多キナーゼ阻害プロフィールを有する化合物が、特定の癌の処置および/または予防に使用され得ることが考えられる。
【0045】
(定義)
特許請求の範囲の内容をより明確かつ簡明に記載するために、以下の定義は、本明細書で使用される特定の用語の意味について、手引きを提供するように意図される。
【0046】
本明細書で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、他のことが言明されない限りは、「少なくとも1つ(at least one)」および「1つ以上(one or more)」を含むことが留意されるべきである。従って、例えば、「薬理学的に受容可能なキャリア」に対する言及は、2つ以上のキャリアの混合物および単一のキャリアなどを含む。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「SrcTK/MEKインヒビター」とは、MEK1とSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも1つのメンバーとの両方を阻害する単一の化合物をいう。Srcチロシンキナーゼファミリーの例示的なメンバーとしては、cSrc、Fyn、Lyn、Lck、Yes、Fgr、HckおよびBlkが挙げられる。いくつかの実施形態において、用語「SrcTK/MEKインヒビター」とは、MEK1とSrcチロシンキナーゼファミリーの1〜5つのメンバー(例えば、Srcチロシンキナーゼファミリーの1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのメンバー)との両方を阻害する単一の化合物をいう。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「TrkB/MEKインヒビター」は、MEK1およびTrkBの両方を阻害する単一の化合物をいう。
【0049】
本明細書で使用される場合、特定のプロテインキナーゼは、特定の名称(例えば、Src、TrkBおよび本明細書で具体的に言及された他のキナーゼ)によって呼ばれるが、これらは、当該分野で公知の多くの同義語を有し得る。例えば、Srcプロテインキナーゼは、ASV、c−Src、p60−Src、pp60c−src、プロトオンコジーンチロシンプロテインキナーゼSrc、SRC1、AW259666、ニューロンのプロトオンコジーンチロシンプロテインキナーゼ、fc54g04、wu:fc54g0および/またはSDRとも呼ばれ得る。加えて、TrkBは、BDNF/NT−3増殖因子受容体前駆体、GP145−TrkB、神経栄養性チロシンキナーゼ受容体2型、Trk−B、TrkBチロシンキナーゼ、AI848316、C030027L06Rik、GP145−TrkB/GP95−TrkBおよび/またはTkrbとも呼ばれ得る。Yesは、c−Yes、HsT441、p61−Yes、プロトオンコジーンチロシンプロテインキナーゼYes、Yes、AI323763、p61−Yes、チロシンプロテインキナーゼYes、MGC94936および/またはp60c−yesとも呼ばれ得る。Lckはまた、LSK、リンパ球細胞特異的プロテインチロシンキナーゼ、p56−LCK、プロトオンコジーンチロシンプロテインキナーゼLCK、T細胞特異的プロテインチロシンキナーゼ、Hck−3および/またはLsk−tとも呼ばれ得る。Fynは、MGC45350、p59−Fyn、プロトオンコジーンSyn、プロトオンコジーンチロシンプロテインキナーゼFyn、SLK、SYN、AI448320、AW552119、MGC115870、MGC132140、MGC52878、Srcキナーゼp59、c−fynおよび/またはzgc:86720とも呼ばれ得る。Lynは、FLJ26625、JTK8、チロシンプロテインキナーゼLyn、AA407514、Hck−2、Lynceinおよび/またはTBC1ドメインファミリーメンバー1とも呼ばれ得る。例えば、検索可能なタンパク質データベースを使用して、名称が、本明細書で引用されるプロテインキナーゼについての同義語であるか否かを調べるのは、当業者の能力の範囲内である。
【0050】
本明細書で使用される場合、特定のプロテインキナーゼは、天然に存在するキナーゼ(例えば、Src、TrkBおよび本明細書で具体的に言及された他のキナーゼ)だけではなく、改変されたキナーゼも含む。従って、いくつかの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、天然に存在する対応物と少なくとも90%の配列同一性を共有するキナーゼを阻害する。他の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、天然に存在する対応物と少なくとも95%の配列同一性を共有するキナーゼを阻害する。なお他の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、天然に存在する対応物と少なくとも97%の配列同一性を共有するキナーゼを阻害する。さらに他の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、天然に存在する対応物と少なくとも99%の配列同一性を共有するキナーゼを阻害する。天然に存在する対応物と配列同一性を共有するキナーゼは、天然に存在しても合成であってもよい。用語「配列同一性」とは、一般的に、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列が、比較の特定の領域にわたり1残基ずつの基準で同一である程度をいう。用語「配列同一性のパーセンテージ」は、上記の比較の領域にわたって、最適に整列された2つの配列を比較し、両方の配列に同一の核酸塩基(核酸の場合、例えば、A、T、C、G、UまたはI)が存在する位置の数を決定して、一致した位置の数を得、一致した位置の数を比較の領域内の位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ(window size))で割り、その結果に100をかけて配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。いくつかの実施形態において、ウインドウサイズは、少なくとも20個のヌクレオチド位置(例えば、少なくとも25〜50ヌクレオチド)である。他の実施形態において、ウインドウサイズは、50ヌクレオチドよりも大きい。いくつかの実施形態において、ウインドウサイズは、天然に存在するプロテインキナーゼ全体である。他の実施形態において、ウインドウサイズは、天然に存在するプロテインキナーゼ上のATP結合部位に少なくとも対応する配列である。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「SrcTK/MEKに関連する癌」とは、MEK1およびSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも1つのメンバーの活性または機能に関連するか、または別様にそれらの活性または機能によって影響される癌をいう。一局面において、SrcTK/MEKに関連する癌において、MEK1の活性または機能が上昇され、そしてSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも1つのメンバーの活性または機能が上昇される。例示的なSrcTK/MEKに関連する癌は、本明細書においてより詳細に考察され、そして慢性骨髄性白血病(CML)および結腸直腸癌を含み得る。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「TrkB/MEKに関連する癌」とは、MEK1およびTrkBの活性または機能に関連するか、または別様にそれらの活性または機能によって影響される癌をいう。一局面において、TrkB/MEKに関連する癌において、MEK1の活性または機能が上昇され、そしてTrkBの活性または機能が上昇される。例示的なTrkB/MEKに関連する癌はまた、本明細書においてより詳細に考察され、そして膵臓癌、神経癌、神経膠腫、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫を含み得る。
【0053】
いくつかの実施形態において、1つ以上のプロテインキナーゼの「活性または機能に関連するか、または別様に活性または機能によって影響される」癌は、プロテインキナーゼ活性の調節不全(disregulation)に起因し得る癌である。他の実施形態において、1つ以上のプロテインキナーゼの「活性または機能に関連するか、または別様に活性または機能によって影響される」癌は、プロテインキナーゼ経路における上流または下流の事象の調節不全に起因し得る癌である。他の実施形態において、1つ以上のプロテインキナーゼの「活性または機能に関連するか、または別様に活性または機能によって影響される」癌は、プロテインキナーゼ活性を調節する遺伝子の突然変異に起因し得る癌である。いくつかの実施形態において、1つ以上のプロテインキナーゼの「活性または機能に関連するか、または別様に活性または機能によって影響される」癌は、1つ以上のシグナル分子の増大した活性化または構成的な活性化に起因し得る癌である。いくつかの実施形態において、1つ以上のプロテインキナーゼの「活性または機能に関連するか、または別様に活性または機能によって影響される」癌は、タンパク質をリン酸化するプロテインキナーゼの増大した活性または構成的な活性化に起因し得る癌である。なお他の実施形態において、1つ以上のプロテインキナーゼの「活性または機能に関連するか、または別様に活性または機能によって影響される」癌は、キナーゼ活性が増大されるような、酵素の結合部位へのアデノシン三リン酸(ATP)の結合の変更に起因し得る癌である。いくつかの実施形態において、1つ以上のプロテインキナーゼの「活性または機能に関連するか、または別様に活性または機能によって影響される」癌は、プロテインキナーゼへのリガンド結合および/またはプロテインキナーゼの二量体化に起因し得る癌である。
【0054】
「SrcTK/MEKに関連する」、「TrkB/MEKに関連する」、「B−RAF突然変異と関連する」および/または「FLT3突然変異と関連する」と指定される癌は、本明細書に詳細に記載されるように、特定のプロテインキナーゼまたは特異的なタンパク質の突然変異との明らかな関連性のために選択されている癌である。一度、癌(例えば、膵臓癌)が、(例えば、文献においてか、または実験を通じて)MEK1、Src、TrkBまたは本明細書に記載の他のキナーゼのいずれかあるいはタンパク質の突然変異と関連すると決定されると、当業者は、特定の癌の処置が、本発明の癌(例えば、TrkB/MEKに関連する癌)の処置を示すことを理解する。
【0055】
式(I)または式(II)の化合物は、本明細書に記載の多くのプロテインキナーゼを阻害する。本明細書で使用される場合、用語「阻害する」とは、プロテインキナーゼと関連して使用される場合、プロテインキナーゼの活性を少なくとも部分的に低減する式(I)または式(II)の化合物の能力をいう。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、プロテインキナーゼのインヒビターが、特定のキナーゼの結合ポケットに関してATPと直接競合し得るか、そうでなければ、結合ポケットがもはやATPに対して利用可能ではないようにキナーゼと相互作用し得るかのいずれかであることが考えられる。化合物がプロテインキナーゼを阻害する量は、当該分野で公知の多くのアッセイによって確かめられる。例えば、化合物は、許容可能な緩衝液(例えば、MOPS、EDTA、Brij−35、グリセロール、NaCl、BSA、HEPES、Triton X−100またはTRIS)中に希釈され得、特定量の[γ−33P−ATP]および基質ペプチドの存在下でプロテインキナーゼに曝露され得る。インキュベーションおよびクエンチ(quenching)の後、アリコートを採取して、取り込まれた33Pの量を決定する。例えば、電離放射線を、シンチレーションカウンターを使用して測定し、キナーゼ活性と関連する基質に取り込まれたγ−33Pの量を決定する。この値は、適切なコントロール(例えば、インヒビターが存在しない同様な処理)と比較される。キナーゼ活性を阻害する化合物の能力は、任意の適切な方法によって評価または測定され得ることが認識される。例えば、ホスホ−ペプチド基質またはホスホ−タンパク質基質に結合する抗体は、キナーゼ活性を示す、このようなリン酸化産物を検出するために使用され得る。基質への抗体の結合は、任意の適切な方法(例えば、標識化二次抗体)によって検出され得る。いくつかの実施形態において、受容体チロシンキナーゼサブユニットのリン酸基転移を阻害するか、または受容体チロシンキナーゼの自己リン酸化を阻害する化合物の能力が評価または測定され得る。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMのインヒビターの濃度で、特定のプロテインキナーゼの活性の少なくとも約30%を阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMのインヒビターの濃度で、特定のプロテインキナーゼの活性の少なくとも約45%を阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMのインヒビターの濃度で、特定のプロテインキナーゼの活性の少なくとも約50%を阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMのインヒビターの濃度で、特定のプロテインキナーゼの活性の少なくとも約55%を阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMのインヒビターの濃度で、特定のプロテインキナーゼの活性の少なくとも約40%を阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMのインヒビターの濃度で、特定のプロテインキナーゼの活性の少なくとも約50%を阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMのインヒビターの濃度で、特定のプロテインキナーゼの活性の少なくとも約75%、80%、85%または90%を阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMのインヒビターの濃度で、特定のプロテインキナーゼの活性の約95%を阻害する。いくつかの実施形態において、阻害の量を決定するアッセイは、ATPの存在下で実行される。いくつかの実施形態において、阻害の量を決定するアッセイは、10μM ATPの存在下で実行される。いくつかの実施形態において、阻害の量を決定するアッセイは、[γ−33P−ATP]の存在下で実行される。いくつかの実施形態において、阻害の量を決定するアッセイは、約500cpm/pmolの比活性を得る量の[γ−33P−ATP]の存在下で実行される。いくつかの実施形態において、阻害の量を決定するアッセイは、[γ−33P−ATP]の痕跡量の存在下で実行される。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「転移プロセスの阻害」とは、単一の腫瘍の増殖だけでなく、原発部位から離れた器官への腫瘍の拡散もまた阻害する式(I)または式(II)の化合物の能力をいう。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、転移が、癌の処置の失敗の共通原因であると考えられる。一実施形態において、転移プロセスの阻害は、腫瘍細胞が、その隣接する細胞から分離する能力を阻害することを含む。一実施形態において、転移プロセスの阻害は、細胞外マトリクスを通過する腫瘍細胞の能力を阻害することを含む。一実施形態において、転移プロセスの阻害は、マトリクスを分解する酵素を分泌する腫瘍細胞の能力を阻害することを含む。一実施形態において、転移プロセスの阻害は、血管の内皮の内張りを通過する腫瘍細胞の能力を阻害することを含む。一実施形態において、転移プロセスの阻害は、リンパ系を通過する腫瘍細胞の能力を阻害することを含む。一実施形態において、転移プロセスの阻害は、循環系内で生存する腫瘍細胞の能力を阻害することを含む。一実施形態において、転移プロセスの阻害は、器官の周囲の組織へ血管外遊出する腫瘍細胞の能力を阻害することを含む。転移プロセスに言及して使用される場合、用語「阻害」とは、被験体内での転移プロセスの完全な停止または被験体内での転移プロセスの遅延をいい得ることが理解される。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、転移プロセスを阻害する式(I)または式(II)の化合物の能力が、Srcチロシンキナーゼを阻害する化合物の能力に少なくとも部分的に起因することが考えられる。
【0057】
「処置」または「処置する」とは、本明細書中で使用される場合、治療剤(例えば、本発明の特定の多キナーゼインヒビター)の、患者、または患者から単離された組織もしくは細胞株への適用または投与として定義される。患者は一般に、疾患または障害、疾患または障害の症状、あるいは疾患または障害に対する素因を有する。処置の目的は一般に、このような疾患、障害、症状または素因を、治癒する(cure)か、治癒する(heal)か、軽減する(alleviate)か、軽減する(relieve)か、治療する(remedy)か、回復させる(ameliorate)か、または改善する(improve)ことである。「処置される」とは、本明細書中で使用される場合、疾患または障害が、治癒される(cure)か、治癒される(heal)か、軽減される(alleviate)か、軽減される(relieve)か、治療される(remedy)か、回復される(ameliorate)か、または改善される(improve)ことをいう。例えば、本発明の処置の方法は、特定の癌または特定のクラスの癌(例えば、SrcTK/MEKに関連する癌)の進行が遅延または停止されるような、本明細書中に記載されるようなインヒビターの投与を提供する。本発明の処置の方法は、特定の癌が治癒されるような、インヒビターの投与をさらに包含する。
【0058】
用語「有効用量」または「有効投薬量」とは、所望の効果を達成するために有効な量として定義される。用語「所望の効果」とは、一般に、式(I)もしくは式(II)の化合物または組成物が被験体に投与される場合に、当業者により予期される任意の結果をいう。いくつかの実施形態において、所望の効果とは、疾患または障害の完全な寛解である。他の実施形態において、所望の効果とは、疾患または障害の部分的な処置である。なお他の実施形態において、所望の効果とは、疾患または障害の症状の、完全または部分的な処置である。例えば、いくつかの実施形態において、所望の効果とは、固形腫瘍の収縮である。別の例示的な実施形態において、所望の効果とは、固形腫瘍の排除である。用語「治療有効用量」とは、疾患およびその疾患にすでに罹患している被験体における合併症を治癒するか、または少なくとも部分的に停止させるために充分な量として定義される。
【0059】
用語「被験体」とは、本明細書中で使用される場合、哺乳動物(ヒト、霊長類、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ラット、マウスあるいは他のウシ種、ヒツジ種、ウマ種、イヌ種、ネコ種、齧歯類種またはマウス種が挙げられるが、これらに限定されない)などの動物をいう。いくつかの実施形態において、被験体はヒトである。
【0060】
多数の値および範囲が、本発明の種々の実施形態に関連して記載される(例えば、組成物中に存在する式(I)または式(II)の化合物の量)。列挙される値および範囲の間に入るすべての値および範囲は、他のことが明白に記載されない限り、本発明により包含されることが意図されると理解されるべきである。用語「約」は、パラメータ、範囲および量に関連して本明細書中で使用される場合、そのパラメータまたは量が、記載されるパラメータまたは量の±1%以内であることを意味する。
【0061】
用語「安定な」とは、本明細書中で使用される場合、一般に、製造を可能にするために充分な安定性を有し、そして検出されるために充分な時間にわたってその化合物の一体性を維持する、化合物をいう。いくつかの実施形態において、式(I)または式(II)の安定な化合物とは、本明細書中に詳述される目的のために有用であるために充分な時間にわたってその一体性を維持する化合物である。例えば、プロドラッグは、身体内で最終的に代謝される場合でさえも、「安定」であるとみなされ得る。
【0062】
本明細書中で使用される場合、「アルキル」基は、1個以上の炭素原子を有する飽和炭化水素を包含し、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなど)、環状アルキル基(または「シクロアルキル」基もしくは「脂環式」基もしくは「炭素環式」基)(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど)、分枝鎖アルキル基(イソプロピル、tert−ブチル、sec−ブチル、イソブチルなど)、およびアルキル置換アルキル基(例えば、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基)を包含する。特定の実施形態において、直鎖アルキル基または分枝鎖アルキル基は、その骨格に8個以下の炭素原子を有し得る(例えば、直鎖についてはC〜C、または分枝鎖についてはC〜C)。特定の実施形態において、直鎖アルキル基または分枝鎖アルキル基は、その骨格に6個以下の炭素原子を有し得る(直鎖についてはC〜Cまたは分枝鎖についてはC〜C)。なお他の実施形態において、アルキル基は、約1個〜約4個の炭素を含む。他の実施形態において、アルキル基は、約1個〜約3個の炭素を含む。なお他の実施形態において、アルキル基は、約1個または約2個の炭素を含む。用語「低級アルキル」とは、鎖中に1個〜6個の炭素を含むアルキル基、および環構造中に3個〜6個の炭素を有するシクロアルキル基をいう。「C〜Cアルキル」においてのような用語「C〜C」とは、1個〜6個の炭素原子を含むアルキル基を意味する。用語「アルケニル」および「アルキニル」とは、アルキルと類似であるが、それぞれ少なくとも1つの二重炭素−炭素結合または三重炭素−炭素結合を含む、不飽和脂肪族基をいう。
【0063】
用語「アルコキシ」とは、本明細書中で使用される場合、酸素原子が付着したアルキル基を意味する。いくつかの実施形態において、アルコキシ基は、1個〜約8個の炭素原子を有する基を含む。他の実施形態において、アルコキシ基は、1個〜約6個の炭素原子を有する基を含む。なお他の実施形態において、アルコキシ基は、約4個より少ない炭素原子を有する基を含む。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、およびペントキシ基が挙げられるが、これらに限定されない。アルコキシ基は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。
【0064】
用語「複素環式基」は、環内の炭素原子のうちの1つ以上が炭素以外の元素(例えば、窒素、硫黄、または酸素)である、炭素環式基に類似の閉じた環構造を含む。複素環式基は、飽和であっても不飽和であっても良い。さらに、複素環式基(例えば、ピロリル、ピリジル、イソキノリル、キノリル、プリニル、およびフリル)は、芳香族の性質を有し得、この場合、これらは、「ヘテロアリール」基または「ヘテロ芳香族」基と称され得る。例示的な複素環式基としては、イミダゾリル、例えば
【0065】
【化17】

【0066】
【化18】

が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
用語「アミン」または「アミノ」とは、本明細書中で使用される場合、非置換であるかまたは置換された、式−NRの部分をいい、この式において、RおよびRは各々独立して、水素、アルキル、アリール、またはヘテロシクリルであるか、あるいはRおよびRは、これらが結合する窒素原子と一緒になって、環内に3個〜8個の原子を有する環式部分を形成する。従って、他のことが記載されない限り、用語アミノは、環状アミノ部分(例えば、ピペリジニル基またはピロリジニル基)を包含する。
【0068】
包括的に考慮して、例えば、「アリールアルキル」基とは、アリール基で置換されたアルキル基(例えば、フェニルメチル(すなわち、ベンジル))である。「アルキルアリール」部分とは、アルキル基で置換されたアリール基(例えば、p−メチルフェニル(すなわち、p−トリル))である。従って、用語イミダゾリル−アルキルとは、イミダゾリル部分で置換されたアルキル基をいう。
【0069】
特定される場合、式(I)または式(II)の化合物の化学部分(上で議論された基を含む)は、「置換または非置換」であり得る。いくつかの実施形態において、用語「置換(された)」とは、その部分が、その部分上に配置された、水素以外の置換基を有し(すなわち、ほとんどの場合において、水素と置き換わる)、この分子がその意図された機能を実施することを可能にすることを意味する。「置換」または「〜で置換された」は、このような置換が置換される原子および置換基の許容される原子価に従うこと、ならびにその置換が安定な化合物(例えば、転位、環化、脱離などによる転換を自発的には受けない)を生じることという暗黙の条件を包含することが理解される。本明細書中で使用される場合、用語「置換(された)」とは、有機化合物の全ての許容可能な置換基を包含することを意味する。広い局面において、許容可能な置換基としては、有機化合物の脂環式置換基および環式置換基、分枝置換基および非分枝置換基、炭素環式置換基および複素環式置換基、芳香族置換基および非芳香族置換基が挙げられる。式(I)または式(II)の化合物は、本明細書中に記載されるような1つ以上の置換基を有し得る。
【0070】
本明細書中の説明および図において使用される場合、任意の二重/三重結合は、第三の破線と一緒になった2つの実線により表され、そして2つの炭素原子間の、二重結合または三重結合のいずれでもあり得る共有結合をいう。例えば、構造:
【0071】
【化19】

は、ブテンまたはブチンのいずれかを表し得る。
【0072】
化合物の化学名(例えば、「アルキルアリール」、「アリールオキシ」など)が本明細書中で使用される場合、これらの化学名は、その化学構造のコアに対する特定の接続能力を有すると理解される。最も右に列挙される部分(例えば、「アルキルアリール」におけるアリール)は、そのコアに直接接続される部分である。すなわち、例えば、構造V−CHCHCHにおいて、可変物「V」がアルキルアリールである場合、この構造は、アルキル−アリール−CHCHCHであると理解される。
【0073】
本明細書中で使用される場合、用語「化合物」は、分子(この分子はさらに、原子からなる)から構成される物質を意味することが理解される。化合物は、任意の天然物質または非天然物質(例えば、ペプチドまたはポリペプチド配列、有機物または無機物の分子または組成物、核酸分子、炭水化物、脂質あるいはこれらの組み合わせ)であり得る。化合物とは一般に、固相、液相または気相のいずれであれ、そして粗製混合物であれ精製および単離されたものであれ、化学実体をいう。化合物とは、化学化合物自体、ならびに適用可能である場合、化合物の非晶質形態および結晶性形態(多型形態を含む)であって、混合物の形態または単離形態;その化合物の遊離酸形態および遊離塩基形態;その化合物の異性体(幾何異性体、光学異性体、および互変異性体を含む)であって、これらの光学異性体は、エナンチオマーおよびジアステレオマー、キラル異性体および非キラル異性体を含み、これらの光学異性体は、単離された光学異性体または光学異性体の混合物(ラセミ混合物および非ラセミ混合物を含む)を含む;これらの幾何異性体は、トランソイド(transoid)形態およびシソイド(cisoid)形態を含み、ここで異性体は、単離形態であっても1つ以上の他の異性体との混合物であってもよい;その化合物の同位体(ジュウテリウム含有化合物およびトリチウム含有化合物が挙げられ、放射線同位体(治療的に有効な放射線同位体および診断的に有効な放射線同位体が挙げられる)を含む化合物を含む);その化合物の多量体形態(二量体、三量体などの形態が挙げられる);その化合物の塩(酸付加塩および塩基付加塩(有機対イオンおよび無機対イオンを含み、双性イオン形態を含む)が挙げられ、化合物が2つ以上の対イオンと会合する場合、これらの2つの対イオンは、同じであっても異なっていてもよい);ならびにその化合物の溶媒和物(半溶媒和物、一溶媒和物、二溶媒和物などが挙げられ、有機溶媒和物および無機溶媒和物を含み、この無機溶媒和物としては、水和物が挙げられ、化合物が2つ以上の溶媒分子と会合する場合、これらの2つ以上の溶媒分子は、同じであっても異なっていてもよい)を包含する。
【0074】
いくつかの実施形態において、用語「化合物」とは、明白には、低分子をいう。本明細書中で使用される場合、用語「低分子」とは、本明細書中で使用される場合、それ自体が遺伝子転写または遺伝子翻訳の産物(例えば、タンパク質、RNA、またはDNA)ではなく、そして好ましくは、低い分子量を有する化合物(例えば、約2,000ダルトン(Da)未満の分子量を有する有機分子)をいう。いくつかの実施形態において、低分子は、約1,500Da未満の分子量を有する。他の実施形態において、低分子は、約1,000Da未満の分子量を有する。なお他の実施形態において、低分子は、約750Da未満の分子量を有する。なお他の実施形態において、低分子は、約500Da未満の分子量を有する。
【0075】
語句「薬学的に受容可能なプロドラッグ」とは、本明細書中で使用される場合、通常、かなり低下した薬理活性を有し、インビボでの除去を受けてその親分子を薬理学的に活性な種として生じるさらなる部分を含む、化合物の誘導体をいう。プロドラッグの一例は、エステルであり、これは、インビボで切断されて目的の化合物を生じる。種々の化合物のプロドラッグ、および親化合物を誘導体化してプロドラッグを生じる方法は、公知であり、そして本発明に適合され得る。
【0076】
本明細書中で使用される場合、用語「エステル」とは、式R’−COORを有する基をいい、この式において、R’またはRのうちの一方は、例えば、アルキル基、ハロアルキル基または芳香族基であり、そしてR’またはRのうちの他方は、活性部分である。「薬学的に受容可能なエステル」とは、プロドラッグとして働くエステル(例えば、インビボでコア構造からの少なくとも部分的な除去(例えば、加水分解または他の切断による)に供されるエステル)をいう。
【0077】
用語「保護基」とは、本明細書中で使用される場合(例えば、式(I)または式(II)の化合物の合成に関して)、特定の官能基部分(例えば、O、S、またはN)が一時的にブロックされ、その結果、反応型官能性化合物における別の反応性部位で選択的に行われ得るものをいう。好ましい実施形態において、保護基は、良好な収率で選択的に反応して、計画された反応のために適切な、保護された基質を与える。この保護基は、容易に利用可能な、好ましくは他の官能基を攻撃しない非毒性の試薬により、良好な収率で選択的に除去されなければならない。保護基は、容易に分離可能な(より好ましくは、新たな立体中心を生成させない)誘導体を形成する。保護基は、さらなる反応部位を回避するために、最小のさらなる官能基を有する。
【0078】
用語「アミン」または「アミノ」とは、本明細書中で使用される場合、非置換であるかまたは置換された式−NRの部分をいい、この式において、RおよびRは各々独立して、例えば、水素、アルキル、アリール、またはヘテロシクリルであるか、あるいはRおよびRは、これらが結合する窒素原子と一緒になって、環中に3個〜8個の原子を有する環状部分を形成する。
【0079】
(式(I)および式(II)の化合物)
本発明は、式(I):
【0080】
【化20】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはエステルを包含し、式(I)において:
はHであり、
は、Hおよびトリフルオロメチルカルボニルからなる群より選択される部分であるか;またはRおよびRは、コア構造と一緒になって、式(a):
【0081】
【化21】

のヘテロシクリルジイル部分を形成し;
は、−ORおよび−NRからなる群より選択される部分であり;
は、イミダゾリルで必要に応じて置換されたC1〜4アルキル基であり;
は、C1〜4アルキル基およびC1〜4アルコキシ基からなる群より選択される部分であり、ここでRは、0、1個もしくは2個の基で置換されており、これらの基は各々独立して、−OCH、−C(O)OH、−C(O)NR’R”、−NH(C1〜3アルキル)、nが2〜4である−NH(CHCHO)CH、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、ピペリジニル、N−メチルピペリジニル、N−モルホリニル、イミダゾリル、ピロリジニル、−OPOおよびヒドロキシルからなる群より選択され;この−NH(C1〜3アルキル)基は、0、1個もしくは2個のヒドロキシル部分で置換されており、そしてR’およびR”は各々独立して、−Hまたは−CHから選択され;そして
はHであるか、またはRおよびRは、これらが結合している窒素と一緒になって、式(b)および式(c):
【0082】
【化22】

からなる群より選択されるヘテロシクリル部分を形成する。
【0083】
いくつかの実施形態において、
【0084】
【化23】

は、二重結合を表す。いくつかの実施形態において、
【0085】
【化24】

は、三重結合を表す。いくつかの実施形態において、RはHである。いくつかの実施形態において、Rは−NRであり、ここでRは非置換C1〜4アルキルである。いくつかの実施形態において、Rはメチルである。いくつかの実施形態において、Rはエチルである。いくつかの実施形態において、Rは−NRであり、ここでRbは、1個または2個の−OH基で置換されたC1〜4アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは2−ヒドロキシエチルである。いくつかの実施形態において、Rは2,3−ジヒドロキシプロピルである。いくつかの実施形態において、Rは−ORであり、ここでRは、イミダゾリル基で置換されたC2〜3アルキルである。
【0086】
例示的なイミダゾリル基としては、
【0087】
【化25】

が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
いくつかの実施形態において、このイミダゾリル基は、
【0089】
【化26】

である。
【0090】
例示的なモルホリニル基としては、
【0091】
【化27】

が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
いくつかの実施形態において、このモルホリニル基は、
【0093】
【化28】

である。
【0094】
例示的なピペリジニル基としては、
【0095】
【化29】

が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
いくつかの実施形態において、このピペリジニル基は、
【0097】
【化30】

である。
【0098】
例示的なN−メチルピペリジニル基としては、
【0099】
【化31】

が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
いくつかの実施形態において、このN−メチルピペリジニル基は、
【0101】
【化32】

である。
【0102】
例示的なピロリジニル基としては、
【0103】
【化33】

が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
いくつかの実施形態において、このピロリジニル基は、
【0105】
【化34】

である。
【0106】
例示的なピペラジニル基としては、
【0107】
【化35】

が挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
いくつかの実施形態において、このピペラジニル基は、
【0109】
【化36】

である。
【0110】
例示的なN−メチルピペラジニル基としては、
【0111】
【化37】

が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
いくつかの実施形態において、このN−メチルピペラジニル基は、
【0113】
【化38】

である。
【0114】
他の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、本明細書中以下に列挙される化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩またはエステルを包含する:
【0115】
【化39】

【0116】
【化40】

【0117】
【化41】

【0118】
【化42】

いくつかの実施形態において、この化合物は:
【0119】
【化43】

ならびにその薬学的に受容可能な塩またはエステルからなる群より選択される少なくとも1つの化合物である。
【0120】
少なくとも1つの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、化合物029でも、化合物069でも、化合物091でも、化合物106でもない。少なくとも1つの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、米国特許出願公開第2004/0224936号に列挙される特定の化合物ではない。
【0121】
いくつかの局面において、本発明は、式(I)の新規化合物に関する。本明細書中に記載される全ての式(I)の新規化合物は、本発明に化合物として包含される。いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書中以下に列挙される化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩またはエステルのうちの1つ以上に関する:
【0122】
【化44】

【0123】
【化45】

【0124】
【化46】

【0125】
【化47】

いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(II):
【0126】
【化48】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはエステルを包含し、式(II)において、
は−NHRであり、そしてRは、0、1個または2個のヒドロキシル基で置換されたC〜Cアルキルである。
【0127】
いくつかの実施形態において、Rは、非置換C1〜3アルキル−アミノである。いくつかの実施形態において、Rはメチルアミノである。他の実施形態において、Rはエチルアミノである。いくつかの実施形態において、Rは、1つのヒドロキシル部分で置換されたC1〜3アルキル−アミノである。いくつかの実施形態において、Rは、2つのヒドロキシル部分で置換されたC1〜3アルキル−アミノである。これらのヒドロキシル部分は、C1〜3アルキル鎖中の任意の炭素原子上にあり得る。さらに、1つより多くのヒドロキシル部分が、C1〜3アルキル鎖の1つの炭素上にあり得る。いくつかの実施形態において、アルキル鎖の2位の炭素上のヒドロキシル部分が存在する。いくつかの実施形態において、Rは、ヒドロキシエチルアミノ(例えば、2−ヒドロキシエチルアミノ)である。他の実施形態において、Rは、ジヒドロキシプロピルアミノ(例えば、2,3−ジヒドロキシプロピルアミノ)である。いくつかの実施形態において、C1〜3アルキルは、非環式C1〜3アルキル鎖である。
【0128】
いくつかの実施形態において、この化合物は:
【0129】
【化49】

ならびにその薬学的に受容可能な塩またはエステルからなる群より選択される少なくとも1つの化合物である。
【0130】
少なくとも1つの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、化合物029でも、化合物069でも、化合物091でも、化合物106でもない。少なくとも1つの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、米国特許出願公開第2004/0224936号に列挙される特定の化合物ではない。
【0131】
いくつかの局面において、本発明は、式(I)の新規化合物に関する。本明細書中に記載される全ての式(I)の新規化合物は、本発明に化合物として包含される。いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書中以下に列挙される化合物、およびその薬学的に受容可能な塩またはエステルプロドラッグのうちの1つ以上に関する:
【0132】
【化50】

少なくとも1つの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、化合物029でも、化合物091でも、化合物106でもない。少なくとも1つの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、米国特許出願公開第2004/0224936号に列挙される特定の化合物ではない。
【0133】
式(I)または式(II)の化合物は、1つ以上の不斉中心を含み得、従って、種々の異性体形態(例えば、立体異性体および/またはジアステレオマー)として存在し得る。従って、式(I)または式(II)の化合物および薬学的組成物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマーまたは幾何異性体の形態であり得るか、あるいは立体異性体の混合物の形態であり得る。特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、エナンチオマー的に純粋な化合物である。特定の他の実施形態において、立体異性体またはジアステレオマーの混合物が提供される。
【0134】
式(I)または式(II)の化合物はまた、他のことが示されない限り、Z異性体またはE異性体のいずれかで存在し得る1つ以上の二重結合を有し得る。本発明は、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体としての化合物、および代替的に、種々の異性体の混合物としての化合物(例えば、立体異性体のラセミ混合物)をさらに包含する。
【0135】
式(I)または式(II)の化合物は、式(I)または式(II)の化合物の結晶形態(例えば、多型)、溶媒和物または水和物のうちの1つまたは組み合わせとしてさらに存在し得る。種々の結晶形態は、再結晶のための様々な溶媒または様々な溶媒の混合物を使用して、異なる温度で結晶化を行うことによってか、あるいは様々な冷却の様式(結晶化中の非常に速い冷却から非常に遅い冷却までの範囲にわたる)を使用することによって、同定および/または調製され得る。異なる結晶形態はまた、その化合物を加熱または融解し、続いて次第にかまたは急激に冷却することにより得られ得る。多型の存在は、固体プローブNMR分光法、IR分光法、示差走査熱量測定、粉末X線回折図および/または他の技術によって、決定され得る。
【0136】
(合成方法)
本発明を実施するために有用な化合物を調製するための指針は、例えば、WO 05/023792の第32頁〜第38頁、およびWO 03/076424の第28頁〜第36頁、ならびにこれらに提供される実施例に見出され得る。これらの出願の内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。これらの参考文献は、本明細書中に含まれる情報、およびマクロライド化学に関する知識のさらなる実体と組み合わせられて、当業者に、式(I)または式(II)の化合物の合成のために有用な合成戦略、保護基、ならびに他の物質および方法に関する指針を提供する。例えば、上記参考文献は、本明細書中に記載される化合物または関連する中間体に類似の化合物を調製することに関する背景情報、ならびにこのような化合物の調合、使用、および投与に関する情報を提供する。
【0137】
種々の例示的な化合物およびその中間体に関する特定の指針および実施例がまた、本明細書中に提供される。従って、式(I)または式(II)の化合物およびそれらの調製は、本明細書中の実施例によりさらに理解され得る。これらの実施例は、これらの化合物が調製または使用されるプロセスのうちのいくつかを説明する。しかし、これらの実施例は、本発明を限定しないことが理解される。本発明のバリエーション(現在既知のものまたはさらに開発されるもの)は、本明細書中に記載され、そして特許請求されるような本発明の範囲内に入るとみなされる。
【0138】
本発明によれば、任意の利用可能な技術が、本発明の化合物またはそれらを含む組成物を作製または調製するために使用され得る。例えば、以下に詳細に議論される方法のような種々の固相合成方法が、使用され得る。代替的に、またはさらに、本発明の化合物は、当該分野において公知である種々のコンビナトリアル技術、平行合成および/または固相合成方法のうちの任意のものを使用して、調製され得る。
【0139】
式(I)または式(II)の化合物を合成する際に有用な出発物質および試薬は、市販の供給源から市販されているか、または当業者に公知である方法により調製され得るかのいずれかである。出発物質、中間体、および式(I)または式(II)の化合物は、従来の技術(濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどが挙げられる)を使用して、単離および精製され得る。これらは、従来の方法(物理定数およびスペクトルデータが挙げられる)を使用して特徴付けられ得る。
【0140】
式(I)または式(II)の化合物の例示的な合成は、実施例に提供されている。本明細書中に記載されるような方法は、本明細書中に開示されるような化合物の各々、およびそれらの等価物に適用され得ることが理解される。さらに、試薬および出発物質は、当業者に周知である。上記参考文献に記載されるスキームは、特定の例示的な化合物を図示するが、代替の出発物質の使用は、式(I)または式(II)の他のアナログを与えることが理解される。
【0141】
具体的に記載されない限り、反応混合物を、室温以下まで冷却し、次いで必要であれば、水または塩化アンモニウムの飽和水溶液のいずれかでクエンチした。所望の生成物を、水と適切な水不混和性溶媒(例えば、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジエチルエーテル)との間での分配により抽出した。所望の生成物を含有する抽出物を、水、次いでブラインの飽和溶液で適切に洗浄した。生成物を含有する抽出物が残留オキシダントを含有すると考えられる場合、上記洗浄手順の前に、この抽出物を飽和水性重炭酸ナトリウム溶液中の亜硫酸ナトリウムの10%溶液で洗浄した。生成物を含有する抽出物が残留する酸を含有すると考えられる場合、上記洗浄プロセスの前に、この抽出物を飽和水性重炭酸ナトリウムで洗浄した(所望の生成物自体が酸性の特徴を有する場合以外)。生成物を含有する抽出物が残留する塩基を含有すると考えられる場合、上記洗浄プロセスの前に、この抽出物を10%水性クエン酸溶液で洗浄した(所望の生成物自体が塩基性の特徴を有する場合以外)。洗浄後の所望の生成物を含有する抽出物を、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで濾過した。次いで、粗製生成物を、減圧下、適切な温度(一般に、45℃未満)でのロータリーエバポレーションにより除去することによって、単離した。
【0142】
トリフェニルホスフィンオキシドがその反応の主要な副生成物であった場合、この反応混合物を、大容量の充分に攪拌したヘキサンに直接添加した。得られたトリフェニルホスフィンオキシドの沈殿物を濾過により除去し、そしてその濾液を通常の様式で処理した。
【0143】
具体的に記載されない限り、クロマトグラフィーでの精製を使用した。クロマトグラフィーでの精製とは、単一溶媒または混合溶媒を溶出液として使用する、シリカでのフラッシュカラムクロマトグラフィーをいう。適切に精製された、所望の生成物を含有する溶出物を合わせ、そして減圧下、適切な温度(一般に、45℃未満)で、一定の質量になるまで濃縮した。固体である場合、最終生成物をそれらの固体形態で生物学的試験に供した。凍結乾燥が所望または必要とされる場合、最終化合物を一般に、50%水性アセトニトリルまたは他の適切な溶媒もしくは溶媒混合物に溶解し、濾過し、そしてバイアルに移し、次いで高真空下で凍結乾燥させ、その後、生物学的試験に供した。
【0144】
(薬学的組成物)
本発明の別の局面において、本明細書中に記載される化合物(またはその薬学的に受容可能な塩もしくはエステル)のうちのいずれか1つを含有し、そして薬学的に受容可能なキャリアを必要に応じて含有する、薬学的組成物が提供される。特定の実施形態において、これらの組成物はさらに、1種以上のさらなる治療剤を必要に応じて含有する。あるいは、本発明の化合物は、1種以上の他の治療剤の投与と組み合わせて、必要のある患者に投与され得る。例えば、本発明の化合物と一緒に投与するかまたは薬学的組成物に含有するためのさらなる治療剤は、本明細書中でより詳細に議論されるような癌の処置のために認可された抗癌剤であり得るか、または癌の処置のために最終的に認可を得る、食品医薬品局において認可手続き中の多数の薬剤のうちの任意のものであり得る。本発明の化合物のうちの特定のものは、処置のための遊離形態で存在し得るか、または適切である場合、その薬学的に受容可能な塩もしくはエステルとして存在し得ることもまた、理解される。
【0145】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な塩」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などなしでヒトおよび下等動物の組織との接触において使用するために適切であり、そして合理的な利益/危険比にふさわしい塩をいう。アミン、カルボン酸、および他の型の化合物の薬学的に受容可能な塩は、当該分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences,66:1−19(1977)(本明細書中に参考として援用される)において、薬学的に受容可能な塩を詳細に記載する。これらの塩は、式(I)または式(II)の化合物の最終的な単離および精製中にインサイチュで調製され得るか、あるいは遊離塩基または遊離酸の官能基を以下に一般的に記載されるような適切な試薬と反応させることにより、別個に調製され得る。例えば、遊離塩基の官能基は、適切な酸と反応させられ得る。さらに、式(I)または式(II)の化合物が酸性部分を有する場合、その適切な薬学的に受容可能な塩としては、金属塩(例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩);およびアルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩))が挙げられ得る。薬学的に受容可能な非毒性の酸付加塩の例は、アミノ基の、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸)または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸)と形成されるか、あるいは当該分野において使用される他の方法(例えば、イオン交換)を使用することにより形成される塩である。他の薬学的に受容可能な塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。さらなる薬学的に受容可能な塩としては、適切である場合、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオンおよびアリールスルホン酸イオンなどの対イオンを使用して形成される、非毒性のアンモニウム陽イオン、第四級アンモニウム陽イオン、およびアミン陽イオンが挙げられる。
【0146】
さらに、本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能なエステル」とは、インビボで加水分解するエステルをいい、そしてヒトの身体内で容易に分解して親化合物またはそのエステルを残すエステルが挙げられる。適切なエステル基としては、例えば、各アルキル部分またはアルケニル部分が6個以下の炭素原子を有する、薬学的に受容可能な脂肪族カルボン酸(特に、アルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸およびアルカン二酸)から誘導されるエステル基が挙げられる。特定のエステルの例としては、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステルおよびエチルコハク酸エステルが挙げられる。
【0147】
上に記載されたように、式(I)または式(II)の化合物を含有する薬学的組成物は、薬学的に受容可能なキャリアをさらに含有し得、この薬学的に受容可能なキャリアとしては、本明細書中で使用される場合、所望の特定の投薬形態に適切であるような、任意の全ての溶媒、希釈剤または他の液体ビヒクル、分散助剤もしくは懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、濃厚剤もしくは乳化剤、防腐剤、固体結合剤、滑沢剤などが挙げられ得る。Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)は、薬学的組成物を処方する際に使用される種々のキャリア、およびこれらの調製のための公知の技術を開示する。いずれかの従来のキャリア媒体が式(I)または式(II)の化合物と非適合性である(例えば、何らかの望ましくない生物学的影響を生じることによるか、またはその薬学的組成物の他のいずれかの成分と有害な様式で他に相互作用することによる)場合を除き、その使用は、本発明の範囲内であるとみなされる。薬学的に受容可能なキャリアとして働き得る物質のいくつかの例としては、糖(例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース);デンプン(例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン);セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース);粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;滑石;賦形剤(例えば、ココアバターおよび坐剤蝋);油(例えば、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油;オリーブ油;トウモロコシ油およびダイズ油;グリコール(例えば、プロピレングリコール);エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル);寒天;緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);アルギン酸;発熱性物質を含まない水;等張生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、ならびに他の非毒性の適合性滑沢剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム)が挙げられるが、これらに限定されず、そして着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、矯味矯臭剤および芳香剤、防腐剤および酸化防止剤もまた、処方者の判断に従って、組成物中に存在し得る。
【0148】
式(I)または式(II)の化合物を含有する組成物は、任意の所望の濃度を有するように処方され得る。いくつかの実施形態において、この組成物は、少なくとも治療有効量を含むように処方される。いくつかの実施形態において、この組成物は、1つ以上の望まれない副作用を引き起こさない量を含むように処方される。特定の実施形態において、組成物は、化合物が約1mg/mL〜約20mg/mL;約1mg/mL〜約15mg/mL;約1mg/mL〜約10mg/mL;約2mg/mL〜約9mg/mL;約3mg/mL〜約8mg/mL;約4mg/mL〜約7mg/mL;約4mg/mL〜約6mg/mLの濃度で存在するように処方される。特定の実施形態において、組成物は、化合物が約5mg/mLの濃度で存在するように処方される。
【0149】
(処置の方法)
上記で考察されるように、式(I)または式(II)の化合物は、独特のキナーゼ阻害プロフィールを示す。いくつかの実施形態において、この独特のキナーゼ阻害プロフィールに少なくとも部分的に基づいて、式(I)または式(II)の化合物は、本明細書においてさらに詳細に考察されるように、種々の癌を処置および/または予防するのに有用である。例示的な癌としては、固形腫瘍、白血病、リンパ腫、および多発性骨髄腫のような骨髄腫、神経癌(例えば、神経膠腫、神経芽細胞腫または網膜芽細胞腫)、白血病(例えば、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病および/または急性リンパ芽球性白血病(ALL))、黒色腫、膵臓癌、結腸直腸癌、甲状腺癌および/または乳癌が挙げられる。従って、いくつかの局面において、本発明は、被験体において癌を処置および/または予防する方法に関する。例えば、いくつかの実施形態において、本発明は、被験体においてSrcTK/MEKに関連する癌を処置する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、被験体においてTrkB/MEKに関連する癌に関連する癌を処置する方法に関する。
【0150】
本発明の方法は、概して、癌を処置するように、有効量の、選択された多キナーゼインヒビターを含む組成物を被験体に投与する工程を包含する。上記の選択された多キナーゼインヒビターは、それが、癌を標的化するか、または別様に癌と関連する独特の多キナーゼ阻害プロフィールを有するように、選択される。例えば、いくつかの実施形態において、SrcTK/MEKに関連する癌を処置するための方法は、SrcTK/MEKインヒビターあるいは別の式(I)または式(II)の化合物を、処置を必要とする被験体に投与する工程を包含する。他の実施形態において、TrkB/MEKに関連する癌を処置するための方法は、TrkB/MEKインヒビターあるいは別の式(I)または式(II)の化合物を、処置を必要とする被験体に投与する工程を包含する。
【0151】
式(I)または式(II)の化合物は、独特な多キナーゼ阻害プロフィールを有する。例えば、いくつかの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、Srcチロシンキナーゼファミリー、MEK1、MEKK1、TrkB、BCR−ABL、FLT−3およびKDRキナーゼを含む多くのプロテインキナーゼに対する阻害活性を有する。このような化合物としては、例えば、化合物106および091が挙げられ、それらの合成および特定の生物学的特性は、本明細書の実施例および図において特徴付けられる。この独特のキナーゼ阻害プロフィールは、式(I)または式(II)の化合物が、選択的MEK1インヒビターよりも広い治療スペクトルを有し得ることを示唆する。
【0152】
いくつかの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物としては、MEK1のインヒビター;Srcファミリーのメンバーのインヒビター(例えば、Src、Lyn、Fyn、Lck、Yes);MEKK1阻害を介するNF−κB経路のインヒビター;TrkBのインヒビター;Bcr−Ablのインヒビター;FLT−3のインヒビター;および/またはKDRのインヒビターとしての活性を示すものが挙げられる。
【0153】
いくつかの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物としては、MEK1のインヒビターとしての活性を示すものが挙げられる。従って、いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でMEK1の活性を少なくとも約50%阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でMEK1の活性を少なくとも約51%阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でMEK1の活性を少なくとも約52%阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でMEK1の活性を少なくとも約53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%またはさらには60%阻害する。さらなる実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でMEK1の活性を少なくとも約85%阻害する。なおさらなる実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でMEK1の活性を少なくとも約86%阻害する。他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でMEK1の活性を少なくとも約87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%またはさらには95%阻害する。
【0154】
いくつかの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、MEK1を阻害する。例えば、いくつかの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、10μM未満のIC50値を示す。特定の他の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、7.5μM未満のIC50値を示す。特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、5μM未満のIC50値を示す。特定の他の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、2.5μM未満、1μM未満、0.75μM未満、0.5μM未満、0.25μM未満、0.1μM未満、75nM未満または50nM未満ののIC50値を示す。列挙された値の間の全ての範囲および値が、本発明によって包含されることが意図されている。
【0155】
RAS−MAPKシグナル伝達経路は、広範な範囲のヒト腫瘍に由来する細胞の増殖および生存を調節することにおけるその中心的な役割に基づいて、抗癌療法のための重要な経路としてもみなされている(図1)。MEK1は、RASタンパク質およびRAFタンパク質の下流であり、RASタンパク質およびRAFタンパク質は、癌においてしばしば突然変異され、異常に活性である。したがって、B−RAF突然変異に基づく上昇したMEKシグナル伝達を有する腫瘍は、本発明の組成物および方法を使用するための魅力的な標的である。
【0156】
Ras/Raf/MEK/ERKシグナル変換経路が、多様な型の細胞において細胞の増殖を調節すると考えられている。この経路における突然変異は、しばしば形質転換した細胞株において観察され、頻繁にヒトの癌と関連している。Daviesら(Nature 417, 949−954, 2002)は、例えば、悪性黒色腫の67%で、そして結腸直腸癌の12%でB−RAF(Rafのアイソフォーム)の体細胞ミスセンス突然変異を同定した。全ての突然変異は、V600E(V599E)のような単一の置換でキナーゼドメイン内にあり、これは、これらの突然変異のうちの90%を占める。突然変異したB−RAFタンパク質は、MEKの構成的活性を導く上昇したキナーゼ活性を有し、それは、その後、ERKのリン酸化を引き起こし、下流の経路を活性化する。黒色腫を含むB−RAF変異を有する癌が、MEKインヒビターのための魅力的な治療上の標的であると考えられている。黒色腫および結腸直腸癌におけるB−RAF突然変異の頻度、ならびに進行した病期のこれらの疾患に対する有効な療法の相対的な欠如は、B−RAF活性の阻害が、これらの癌の型における重要かつ新規なストラテジであり得ることを示唆する。さらに、特定の実施形態において、B−RAF突然変異は、「患者濃縮ストラテジ(patient enrichment strategies)」(すなわち、本発明の組成物および方法から利益を受ける、B−RAF突然変異を保持する患者を標的化するための)分子マーカーとして使用され得る。
【0157】
式(I)または式(II)の化合物が、B−RAF変異を有する癌の細胞増殖の強力なインヒビターであり、したがって、選択的にB−RAF変異を有する癌を標的化し得ることが、本発明者らによって発見された。本明細書で使用される場合、用語「B−RAF変異を有する癌」とは、B−RAFの特定の点突然変異と関連する癌をいう。従って、いくつかの実施形態において、本発明は、B−RAF変異を有する癌を処置するための組成物および方法を提供する。式(I)または式(II)の化合物としては、B−RAF変異を有する癌に対して抗増殖活性を示し;インビトロで維持された安定な細胞株に対して、もしくは、科学的に許容可能なモデルを使用する動物研究において抗増殖効果を示し;および/または好ましい治療上のプロフィール(例えば、安全性、効能および安定性)を示す化合物が挙げられる。
【0158】
特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、上昇したMEKシグナル伝達を有する腫瘍(B−RAF突然変異を有するものが挙げられるが、これらに限定されない)を処置および/または予防するのに有用である。多くのタンパク質が、上昇したMEKシグナル伝達のための標的として注目を受けてきた(以下の表1(Nature Reviews Cancer:4:937−947,2004の表1から改変)を参照のこと)。これらのタンパク質における突然変異は、MEK−ERK経路の活性化をもたらし得る。特に、卵巣癌、甲状腺癌、結腸直腸癌および黒色腫は、高頻度のB−RAF突然変異を示す。
【0159】
【表1】

従って、特定の実施形態において、本発明の方法は、上昇したMEKシグナル伝達を有する腫瘍(B−RAF突然変異を有するものが挙げられるが、これらに限定されない)を処置および/または予防するための方法を含む。特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、黒色腫、結腸直腸癌、卵巣癌および/または甲状腺癌を処置および/または予防するのに有用である。従って、特定の実施形態において、本発明の方法は、B−RAF変異を有する癌を処置および/または予防するための方法を含む。特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、B−RAF突然変異(例えば、V600E突然変異)を保持する癌を処置および/または予防するのに有用である。特定の実施形態において、本発明の方法は、V600E突然変異を保持するB−RAF変異を有する癌を処置および/または予防するための方法を含む。
【0160】
いくつかの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物としては、Srcチロシンキナーゼファミリーの多くのメンバーのインヒビターとしての活性を示すものが挙げられる。従って、いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも5つのメンバーの活性を少なくとも約40%阻害する。他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも5つのメンバーの活性を少なくとも約45%阻害する。なお他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも5つのメンバーの活性を少なくとも約46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%またはさらには55%阻害する。なお他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも5つのメンバーの活性を少なくとも約85%阻害する。他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも5つのメンバーの活性を少なくとも約90%阻害する。なお他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも5つのメンバーの活性を少なくとも約91%、92%、93%、94%またはさらには95%阻害する。Srcチロシンキナーゼファミリーの例示的なメンバーとしては、cSrc、Fyn、Lyn、LckおよびYesが挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも4つのメンバーの活性を少なくとも約40%阻害する。他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも4つのメンバーの活性を少なくとも約45%阻害する。なお他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも4つのメンバーの活性を少なくとも約46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%またはさらには55%阻害する。なお他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも4つのメンバーの活性を少なくとも約90%阻害する。なお他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも4つのメンバーの活性を少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%またはさらには97%阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビター(例えば、SrcTK/MEKインヒビター)によって阻害されるSrcチロシンキナーゼファミリーの4つのメンバーは、cSrc、Fyn、LynおよびLckである。
【0162】
いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも3つのメンバーの活性を少なくとも約55%阻害する。他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも3つのメンバーの活性を少なくとも約60%阻害する。なお他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも3つのメンバーの活性を少なくとも約61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%またはさらには69%阻害する。なお他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも3つのメンバーの活性を少なくとも約93%阻害する。なお他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも3つのメンバーの活性を少なくとも約94%、95%、96%、97%またはさらには98%阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビター(例えば、SrcTK/MEKインヒビター)によって阻害されるSrcチロシンキナーゼファミリーの3つのメンバーは、cSrc、Fyn、LynおよびLckから選択される。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の化合物および/またはインヒビターによって阻害されるSrcチロシンキナーゼファミリーの3つのメンバーは、Fyn、LynおよびLckである。例えば、他の実施形態において、本発明のインヒビターによって阻害されるSrcチロシンキナーゼファミリーの3つのメンバーは、cSrc、FynおよびLckである。
【0163】
いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも2つのメンバーの活性を少なくとも約65%阻害する。他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも2つのメンバーの活性を少なくとも約70%阻害する。なお他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも2つのメンバーの活性を少なくとも約71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%またはさらには79%阻害する。なお他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも2つのメンバーの活性を少なくとも約95%阻害する。なお他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも2つのメンバーの活性を少なくとも約96%、97%、98%またはさらには99%阻害する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物および/またはインヒビター(例えば、SrcTK/MEKインヒビター)によって阻害されるSrcチロシンキナーゼファミリーの2つのメンバーは、FynおよびLckである。
【0164】
いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも1つのメンバーの活性を少なくとも約70%阻害する。他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも1つのメンバーの活性を少なくとも約75%阻害する。なお他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも1つのメンバーの活性を少なくとも約76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%またはさらには85%阻害する。なお他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも1つのメンバーの活性を少なくとも約97%阻害する。なお他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でSrcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも1つのメンバーの活性を少なくとも約98%、99%またはさらには100%阻害する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物および/またはインヒビター(例えば、SrcTK/MEKインヒビター)によって阻害されるSrcチロシンキナーゼファミリーの1つのメンバーは、FynおよびLckから選択される。
【0165】
当業者は、上記に示されるSrcチロシンキナーゼのプロフィールのいずれかまたは全てが、単一の化合物に関して正確であり得ることを理解する。すなわち、本発明の単一のインヒビターは、約0.1μMの濃度で、Srcチロシンキナーゼファミリーの5つのメンバーを少なくとも約45%阻害し得、Srcチロシンキナーゼファミリーの4つのメンバーを少なくとも約50%阻害し得、Srcチロシンキナーゼファミリーの3つのメンバーを少なくとも約60%阻害し得、Srcチロシンキナーゼファミリーの2つのメンバーを少なくとも約70%阻害し得、そしてSrcチロシンキナーゼファミリーの1つのメンバーを少なくとも約75%阻害し得る。上記のシナリオにおいて、少なくとも75%阻害されるSrcチロシンキナーゼファミリーの1つのメンバーはまた、少なくとも45%阻害される5つのメンバーのうちの1つであり得ることも理解される。したがって、例示的な場合において、式(I)または式(II)の化合物は、約0.1μMの濃度で以下のプロフィールを有し得る:cSrcの50%阻害、Fynの31%阻害、Lynの42%阻害、Lckの73%阻害およびYesの56%阻害。
【0166】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、Srcチロシンキナーゼファミリーのメンバーが、転移プロセスの阻害においても有用であり得ることも考えられる。例えば、Srcは、細胞の運動性および侵襲を介する転移の確立と関連している。従って、いくつかの実施形態において、本発明の方法は、被験体における転移プロセスの阻害のための方法を含む。
【0167】
最近、Lyn(Srcチロシンキナーゼファミリーのメンバー)が、メシル酸イマチニブ耐性の機構において重要な役割を果たすことも示された。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、Srcチロシンキナーゼファミリーの特定のメンバーが、慢性骨髄性白血病および/または結腸直腸癌と関連するとも考えられている。従って、いくつかの実施形態において、本発明は、慢性骨髄性白血病および/または結腸直腸癌を処置するための方法に関する。さらに、Srcチロシンキナーゼファミリーの特定のメンバーは、例えば、慢性骨髄性白血病において、メシル酸イマチニブ耐性と関連している。従って、本発明は、イマチニブならびにその薬学的に受容可能な塩およびエステル(例えば、メシル酸イマチニブ)に耐性である癌を処置するための方法に関する。いくつかの実施形態において、本発明は、メシル酸イマチニブ耐性の慢性骨髄性白血病に関する。
【0168】
本明細書で使用される場合、用語「耐性」とは、被験体が、時間をわたって治療剤に対して応答性がより低くなる場合をいう。従って、いくつかの実施形態において、治療剤に対する耐性とは、薬剤の投与がないことと比較して、薬剤に対する被験体の完全な非応答性(例えば、腫瘍の増殖の速度が阻害されない)をいう。いくつかの実施形態において、治療剤に対する耐性とは、薬剤の投与がないことと比較して、薬剤に対する被験体の部分的な非応答性(例えば、腫瘍の増殖の速度が非常に低い程度までしか阻害されない)をいう。治療剤に対して耐性であることの質は、大きく変動するものであり、種々の条件下において、種々の腫瘍が、所定の治療剤に対して種々のレベルの「耐性」を示す。他の実施形態において、治療剤に対する耐性とは、薬剤の以前の投与と比較して、薬剤に対する被験体の完全な非応答性または部分的な非応答性をいう。なお他の実施形態において、治療剤に対する耐性とは、薬剤を投与されており、そして追加の療法を望む被験体に適用される。
【0169】
いくつかの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物とは、TrkBのインヒビターとしての活性を示すものが挙げられる。従って、いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でTrkBの活性を少なくとも約65%阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でTrkBの活性を少なくとも約70%阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でTrkBの活性を少なくとも約75%阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でTrkBの活性を少なくとも約76%、78%、80%、82%、84%、86%またはさらには88%阻害する。さらなる実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でTrkBの活性を少なくとも約85%阻害する。なおさらなる実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でTrkBの活性を少なくとも約90%阻害する。他の実施形態において、本発明の化合物またはインヒビターは、約1.0μMの濃度でTrkBの活性を少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%またはさらには98%阻害する。
【0170】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、TrkB(神経由来増殖因子(nerve derived growth factor)(NDGF)受容体)が、神経膠腫、網膜芽細胞腫および神経芽細胞腫のような神経癌の増殖および生存において重要な役割を果たし得ると考えられている。さらに、TrkBの活性が、膵臓癌と関連し得るとも考えられている。例えば、TrkBを介するシグナル変換は、膵臓癌を有する患者において重篤な疼痛を引き起こし得る。従って、いくつかの実施形態において、本発明の方法は、神経膠腫、網膜芽細胞腫および神経芽細胞腫を処置および/または予防するための方法を含む。他の実施形態において、本発明の方法は、膵臓癌を処置および/または予防するための方法を含む。
【0171】
特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物あるいはその活性な代謝産物は、血液脳関門(BBB)を通る高い通過を示す。BBBを横切る量に関して使用される場合、用語「式(I)または式(II)の化合物」は、その活性な代謝産物を含むことが意図される。従って、いくつかの実施形態において、本発明の方法としては、処置を必要とする被験体において中枢神経系腫瘍を処置するための方法が挙げられる。一般的に、この方法は、適切な動物において実証されるように、式(I)または式(II)の化合物の少なくとも一部が血液脳関門を通過するように、本明細書に記載の組成物(式(I)または式(II)の化合物を含む)の投与を含む。いくつかの実施形態において、適切な動物において実証されるように、脳中の式(I)または式(II)の化合物の量対血漿中の式(I)または式(II)の化合物の量の比に基づいて、式(I)または式(II)の化合物の少なくとも約20%が血液脳関門を通過する。いくつかの実施形態において、適切な動物において実証されるように、脳中の上記化合物の量対血漿中の式(I)または式(II)の化合物の量の比に基づいて、式(I)または式(II)の化合物の少なくとも約40%が血液脳関門を通過する。他の実施形態において、適切な動物において実証されるように、式(I)または式(II)の化合物の少なくとも約50%が血液脳関門を通過する。なお他の実施形態において、適切な動物において実証されるように、式(I)または式(II)の化合物の少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはさらには100%が血液脳関門を通過する。したがって、式(I)または式(II)の化合物が被験体(例えば、ヒト)の血液脳関門を通過するか否かは、適切な動物(例えば、マウスのような齧歯類)において決定され得る。上記のパーセンテージが、脳対血漿における所定の期間にわたる濃度−時間曲線の下の面積(AUC0−t)に基づいて算出されることに留意すべきである。従って、パーセンテージは、濃度の比を表す。すなわち、化合物についての(AUC0−24h)が脳において20ng/mLであり、血漿において80ng/mLである場合、血液脳関門を通過する化合物のパーセンテージは、20%である((20ng/mL+80ng/mL)の総濃度で割った脳中の20ng/ml)。いくつかの実施形態において、このパーセンテージは、t=0(投薬の時間)から最終の定量化可能な濃度の点までの期間にわたる濃度−時間曲線の下の面積(すなわち、(AUC0−last))に基づいて算出される。例示的な中枢神経系腫瘍としては、脳腫瘍、神経膠腫および神経芽細胞腫が挙げられる。
【0172】
いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、Bcr−Ablおよび/またはFLT−3を阻害する。Bcr−AblおよびFLT−3は、白血病処置のための公知の標的である。従って、特定の実施形態において、本発明の方法としては、白血病を処置および/または予防するための方法が挙げられる。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でBcr−Ablの活性を少なくとも約40%阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でBcr−Ablの活性を少なくとも約45%阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でBcr−Ablの活性を少なくとも約46%、47%、48%、49%、50%、52%またはさらには54%阻害する。さらなる実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でBcr−Ablの活性を少なくとも約75%阻害する。なおさらなる実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でBcr−Ablの活性を少なくとも約80%阻害する。他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でBcr−Ablの活性を少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、88%またはさらには90%阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でFLT−3の活性を少なくとも約45%阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でFLT−3の活性を少なくとも約50%阻害する。いくつかの実施形態において、本発明のインヒビターは、約0.1μMの濃度でFLT−3の活性を少なくとも約52%、54%、56%、58%、60%、65%またはさらには70%阻害する。さらなる実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でFLT−3の活性を少なくとも約85%阻害する。なおさらなる実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でFLT−3の活性を少なくとも約90%阻害する。他の実施形態において、本発明のインヒビターは、約1.0μMの濃度でFLT−3の活性を少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%またはさらには96%阻害する。
【0173】
式(I)または式(II)の化合物および組成物は、被験体においてFLT3変異を有する癌を処置するのに有用である。本明細書で使用される場合、FLT3変異を有する癌は、FLT3における活性化突然変異(これは、コードされたタンパク質のキナーゼ機能を活性化する)と関連する癌である。
【0174】
FMS−様チロシンキナーゼ3遺伝子(FLT3またはFLT−3)は、受容体チロシンキナーゼのIII型血小板由来増殖因子ファミリーのメンバーをコードする。FLT3は、多くの血液学的な悪性疾患において発現され、そのシグナル伝達カスケードは、複数の腫瘍形成経路に関係している。例えば、FLT3突然変異は、STAT5経路および/またはRas/MAPK経路の活性化をもたらし得る(Parcellsら、Stem Cells,24(5);1174−1184(2006))。
【0175】
FLT3の活性化突然変異は、白血病患者において報告されている。例えば、成人の細胞遺伝学に正常な急性骨髄性白血病(CN−AML)に関連するFLT3突然変異の2つの最も頻発する型は、以下:(1)膜近傍ドメイン内の遺伝子内縦列重複(internal tandem duplication)(ITD)(CN−AML患者のおよそ30%に存在する);および(2)第二のチロシンキナーゼドメイン(TKD)内の突然変異(CN−AML患者のおよそ7%に存在する)である。一般的なTKD突然変異は、TKDの活性化ループ(A−ループ)内のアミノ酸残基D835および/またはI836に影響を及ぼすヌクレオチド置換、欠失または挿入を含む。D835Y置換は、報告されたTKD突然変異のおよそ50%を構成する。Y842C、K663QおよびV592A突然変異もまた観察されている。これらのITDまたはTKD突然変異を有するFLT3タンパク質は、リガンド非依存的なFLT3二量体化および自己リン酸化を介する構成的な活性化を示す(Whitmanら、Blood、111(3):1552−1559(2008);Parcellsら、Stem Cells、24(5);1174−1184(2006)もまた参照のこと)。FLT3の活性化突然変異は、劣った予後に関連している(Stone、Blood、104I:915−916(2004))。
【0176】
いくつかの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、FLT3変異を有する癌の細胞増殖を阻害し得る。特定の実施形態において、これらの化合物は、FLT3変異を有する癌に対する抗増殖活性;インビトロまたは動物モデルで維持された安定な細胞株(例えば、FLT3の活性化突然変異を含む)に対する抗増殖効果;および/または好ましい治療上のプロフィール(例えば、安全性、効能および安定性)を示し得る。
【0177】
従って、本発明は、処置を必要とする被験体においてFLT3変異を有する癌を処置する方法を提供し、この方法は、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または組成物をこの被験体に投与する工程を包含する。この方法の特定の実施形態において、式(I)もしくは式(II)の化合物またはそれを含む組成物は、FLT3突然変異を保持する癌を処置するために使用される。この方法の特定の実施形態において、FLT3変異を有する癌は、膜近傍ドメイン内に遺伝子内縦列重複(ITD)を保持する。この方法の特定の実施形態において、FLT3変異を有する癌は、第二のチロシンキナーゼドメイン(例えば、活性化ループ)内に突然変異を保持する。この方法の特定の実施形態において、FLT3変異を有する癌は、残基D835の突然変異および/または残基I836の突然変異(例えば、D835Y突然変異)を保持する。この方法の特定の実施形態において、FLT3変異を有する癌は、Y842C、K663QまたはV592A突然変異を保持する。さらに、特定の実施形態において、FLT3突然変異は、処置のための患者を特定するために、「患者濃縮ストラテジ」のための分子マーカーとして使用され得る。
【0178】
上記のように、FLT3の活性化突然変異は、白血病患者において報告されており、本発明は、被験体において白血病を処置する方法を提供し、この方法は、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または組成物をこの被験体に投与する工程を包含する。この方法の一実施形態において、上記の白血病は急性骨髄性白血病(AML)である。
【0179】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、式(I)または式(II)の化合物の独特の多キナーゼ阻害プロフィールが、このような化合物が、血液学的な悪性疾患および固形腫瘍を標的化するのに有用であり得ることを示すと考えられている(例えば、Warmuth,Mら、Ann Hematol.78(2):49−64(1999)およびHarder,KWら、Immunity.15(4):603−15(2001)を参照のこと)。特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、おそらくMEKK1(アポトーシスに対する化学療法抵抗性をもたらす、NF−κB活性化のための上流の分子)の阻害による、B細胞非ホジキンリンパ腫におけるアポトーシスの証拠を有する抗癌活性を示す。従って、特定の実施形態において、本発明の方法としては、多発性骨髄腫およびB細胞リンパ腫のような血液学的な悪性癌細胞の増殖を処置および/または予防するための方法が挙げられる。
【0180】
なお他の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、腫瘍細胞株の増殖をインビトロで阻害する。例えば、いくつかの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、10μM未満のIC50値を示す。特定の他の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、7.5μM未満のIC50値を示す。特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、5μM未満のIC50値を示す。特定の他の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、2.5μM未満、1μM未満、0.75μM未満、0.5μM未満、0.25μM未満、0.1μM未満、75nM未満または50nM未満のIC50値を示す。列挙された値の間の全ての範囲および値は、本発明によって包含されることが意図される。
【0181】
いくつかの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、インビボにおいて腫瘍の後退を引き起こす。特定の例示的な実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、適切なマウス腫瘍異種移植モデルにおいてインビボで腫瘍の後退を引き起こす。本明細書の実施例に実証されるように、特定の式(I)または式(II)の化合物は、i.v.投薬によって複数の異種移植片において強力なインビボ効能を有する。特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、適切な癌細胞異種移植モデルにおいて化合物の投与の開始における腫瘍のサイズの70%未満までサイズの低減を引き起こす。特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、適切な癌細胞異種移植モデルにおいて化合物の投与の開始における腫瘍のサイズの65%未満までサイズの低減を引き起こす。特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、適切な癌細胞異種移植モデルにおいて化合物の投与の開始における腫瘍のサイズの60%未満、55%未満または50%未満までサイズの低減を引き起こす。列挙された値の間の全ての値および範囲は、本発明によって包含されることが意図される。
【0182】
特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、インビボにおいて腫瘍の増殖の阻害を引き起こす。例えば、いくつかの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、適切な癌細胞異種移植モデルにおいて腫瘍の増殖の有意な阻害を引き起こす。特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、適切な癌細胞異種移植モデルにおいて、コントロール動物の腫瘍の増殖と比較して50%超、処置された動物において腫瘍の増殖の阻害を引き起こす(すなわち、「処置された」腫瘍のサイズは、「コントロール」の腫瘍のサイズの50%未満;または、50%未満のT/C値)。特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、70%未満のT/C値を有する。特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、65%未満、60%未満または55%未満のT/C値を有する。列挙された値の間の全ての値および範囲が、本発明によって包含されることが意図される。
【0183】
F152(天然産物)を含む例示的な化合物を、MDA−MB−435および他の癌細胞株において、それらの増殖阻害活性について試験した。いくつかの化合物は、顕著な癌細胞増殖阻害活性(例えば、nM IC50値で)を有することを示した。種々の関連するアッセイにおける生物学的な特徴付けに基づいて(実施例および図面を参照のこと)、特定の式(I)または式(II)の化合物が、特にB−RAF変異を有する細胞に対する強力な細胞増殖阻害を示し;MEK1、MEKK1、Srcキナーゼファミリーチロシンキナーゼ、TrkB、FLT−3およびBcr−Ablを含む多キナーゼ阻害プロフィールを持ち;有意な体重の喪失を伴わずに「主要な腫瘍型」を含む複数の腫瘍異種移植片において強力なインビボ抗腫瘍活性を有し;被験体においてQ4Dおよび/またはQ7D iv 投薬での計画上の(projecting)効能を有し;併用療法で当該分野において公知の特定のMEK1インヒビターよりも良好な効能の徴候を有し;血液脳関門を通過し得(このことは、これらの化合物を脳腫瘍を処置/予防するのに潜在的に有用にする);特異的な癌のための可能性のあるバイオマーカーに基づく標的化療法に潜在的に有用であることが考えられる。
【0184】
いくつかの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、癌関連キナーゼ(Srcファミリー(Src、Lyn、Fyn、Lck、Yes)、MEKK1阻害を介するNF−kB経路、TrkB、Bcr−Abl、FLT−3およびKDRを含む)ならびにB−RAF変異を有する癌細胞に対して非常に有効である天然産物ベースの多キナーゼインヒビターである。この独特なプロフィールは、式(I)または式(II)の化合物に診療所において競合的な利点(例えば、分裂していない細胞に対する低レベルの細胞毒性、したがって、潜在的に良好な治療マージン(therapeutic margin))を提供し得る。
【0185】
特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、抗癌剤との併用療法において相乗作用を示す。特定の例示的な実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、SN−38(CPT−11の活性な代謝産物)との併用療法において相乗作用を示す。いくつかの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、別の抗癌剤(例えば、SN−38(CPT−11の活性な代謝産物)−例えば、実施例9を参照のこと)と組み合わせて使用する場合に、腫瘍細胞の殺傷により有効である。
【0186】
特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、NF−κBに対する阻害活性を示す。そういうものとして、これらは、NF−κB活性に関連する癌を処置および/または予防するのに有用である。特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、多発性骨髄腫および/またはB細胞リンパ腫のような血液学的な悪性疾患を処置および/または予防するのに有用である。いくつかの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、NF−κB活性化を介して従来の化学療法において耐性を示す癌患者に有益である。
【0187】
本発明にしたがって、本発明の化合物は、例えば、MEK1阻害活性、プロテインキナーゼ阻害活性、NF−κB活性化阻害活性および癌細胞増殖阻害活性を有する化合物を特定するために、当該分野で公知の利用可能なアッセイのいずれかにおいてアッセイされ得る。例えば、このアッセイは、細胞性様式もしくは非細胞性様式、インビボ様式もしくはインビトロ様式、高スループット様式もしくは低スループット様式などであり得る。
【0188】
(投薬量および投与方法)
化合物および組成物は、本発明の方法によれば、癌の処置のために有効な任意の量および任意の投与経路を使用して、投与され得ることが理解される。従って、表現「有効量」とは、本明細書中で使用される場合、腫瘍細胞の増殖を阻害するために充分な薬物の量をいうか、または癌の影響を低下させるために充分な量をいう。必要とされる正確な量は、被験体ごとに、その被験体の種、年齢および一般的状態、疾患の重篤度、特定の抗癌剤、その投与様式などに依存して、変動する。式(I)または式(II)の化合物は、好ましくは、投与を容易にするため、および投薬量を均一にするために、投薬単位形態で処方される。表現「投薬単位形態」とは、本明細書中で使用される場合、処置されるべき患者のために適切な、治療剤の物理的に不連続な単位をいう。しかし、式(I)または式(II)の化合物および組成物の毎日の使用量は、担当する医師によって、妥当な医学的判断の範囲内で決定されることが理解される。任意の特定の患者または生物に対する特定の治療有効用量レベルは、種々の要因に依存する。これらの要因としては、処置される障害およびその障害の重篤度;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の化合物;患者の年齢、体重、一般的健康状態、性別および食事;使用される特定の化合物の投与の時間、投与経路および排出速度;処置の期間;使用される特定の化合物と組み合わせてかまたは同時に使用される薬物;ならびに医学分野において周知である類似の要因が挙げられる(例えば、GoodmanおよびGilman’s,「The Pharmacological Basis of Therapeutics」第10版,A.Gilman,J.HardmanおよびL.Limbird編,McGraw−Hill Press,155−173,2001を参照のこと。これは、その全体が本明細書中に参考として援用される)。
【0189】
特定の実施形態において、化合物または組成物は、全身投与される。本明細書中で使用される場合、「全身投与」とは、式(I)または式(II)の化合物が全身で利用可能にされ得る任意の手段をいう。例えば、全身投与は、腸内(例えば、経口および直腸)ならびに非経口の投与方法を包含する。特定の実施形態において、全身投与は、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、冠状脈内投与、動脈内投与(例えば、頚動脈内へ)、皮内投与、皮下投与、経皮送達、気管内投与、皮下投与、関節内投与、心室内投与、吸入(例えば、エアロゾル)、大脳内、鼻腔、臍、経口、眼内、肺投与、カテーテルの進入、組織への坐剤によるかもしくは直接注射、または全身吸収される局所投与もしくは粘膜投与を包含する。粘膜投与としては、呼吸組織への投与(例えば、吸入、点鼻薬、点眼薬などによる);肛門または膣の投与経路(例えば、坐剤による)などが挙げられる。特定の例示的な実施形態において、式(I)または式(II)の組成物は、静脈内投与される。
【0190】
本発明の化合物は、従来の非毒性の薬学的に受容可能なキャリアおよびアジュバントを含む投薬形態、処方物、または例えば、適切な送達デバイスもしくは移植物中で、この組成物の有効性が最適化されるように、全身投与され得ることが理解される。例えば、本発明の化合物は、適切な賦形剤と一緒に、薬学的組成物に処方され得、この賦形剤は、この組成物を被験体に投与すると、その活性物質を制御された様式で全身に放出する。あるいは、またはさらに、化合物の投薬形態設計は、投与の際の化合物の有効性を増加させるように最適化され得る。上記戦略(すなわち、投薬形態設計および薬物投入の速度制御)は、単独でかまたは組み合わせて使用される場合に、化合物の有効性の有意な増加を生じ得、そして本発明の一部とみなされる。
【0191】
さらに、適切な薬学的に受容可能なキャリアとの所望の投薬量での処方後に、本発明の薬学的組成物は、ヒトおよび他の動物に、経口的にか、直腸にか、非経口的にか、槽内にか、膣内にか、腹腔内にか、局所的に(例えば、散剤、軟膏剤、クリームまたはドロップによって)か、頬に、経口または経鼻スプレーとしてなどで投与され得る。特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、1日あたり被験体の体重1kgあたり約0.001mg〜約50mg、約0.01mg〜約25mg、または約0.1mg/kg〜約10mgの投薬レベルで1日に1回以上、所望の治療効果を得るために、投与され得る。0.001mg/kgより少ない投薬量、または50mg/kgより多い投薬量(例えば、50mg/kg〜100mg/kg)が、被験体に投与され得ることもまた理解される。特定の実施形態において、化合物は、経口投与または非経口投与される。特定の実施形態において、投与は、断続的な投薬により、1週間あたり1回〜3回行われる。
【0192】
特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、1週間あたり1回以上、約1mg/m〜500mg/m;例えば、約5mg/m〜400mg/m;1週間あたり1回以上、約10mg/m〜250mg/mの投薬レベルで、所望の治療効果を得るために、投与され得る。列挙される範囲の間に入る特定の範囲および値もまた、本発明により企図される。
【0193】
特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、1週間あたり1回〜3回、静脈内投与され得る。特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、1週間あたり1回、静脈内投与され得る。特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、1週間あたり2回、静脈内投与され得る。
【0194】
式(I)または式(II)の化合物の投与は、特定の期間にわたって連続であり得るか、断続的であり得るか、またはボーラスであり得る。例えば、1つの実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、静脈内での使用のために処方され、そして患者にゆっくりとした注射として(例えば、約30分間〜約3時間にわたって)投与され得る。別の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、静脈内での使用のために処方され、そしてボーラス注射(IV(静脈内)プッシュともまた称される)として患者に投与され得る。なお別の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物は、静脈内での使用のために処方され、そして時間(等しくても等しくなくてもよい)により分離された任意の回数の不連続な注射として、患者に投与され得る。
【0195】
経口投与のための液体投薬形態としては、薬学的に受容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップおよびエリキシルが挙げられるが、これらに限定されない。活性化合物に加えて、液体投薬形態は、当該分野において通常使用されている不活性希釈剤(例えば、水または他の溶媒)、可溶化剤および乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物)を含有し得る。不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、アジュバント(例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、矯味矯臭剤、ならびに芳香剤)を含有し得る。
【0196】
注射可能な調製物(例えば、滅菌注射可能な水性または油性の懸濁物)は、公知の技術に従って、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、処方され得る。滅菌注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌注射可能な溶液、懸濁物またはエマルジョン(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液など)であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒のうちでもとりわけ、水、リンガー液(U.S.P.)および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として従来使用されている。この目的で、任意のブランドの不揮発性油(合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドが挙げられる)が使用され得る。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン酸)が、注射可能物の調製において使用される。
【0197】
注射可能な処方物は、例えば、細菌保持フィルタを通しての濾過によってか、または滅菌固体組成物の形態の滅菌剤(この滅菌剤は、使用前に、滅菌水もしくは他の滅菌注射可能媒体に溶解もしくは分散され得る)を組み込むことにより、滅菌され得る。
【0198】
薬物の効果を延長する目的で、皮下注射または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅くすることが、しばしば望ましい。このことは、液体懸濁物、または水溶性が乏しい結晶性もしくは非晶質の材料の使用により、達成され得る。従って、薬物の吸収の速度は、その溶解速度に依存し、この溶解速度は次に、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与された薬物形態の遅延された吸収は、その薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁させることにより達成され得る。注射可能な蓄積形態は、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド−ポリグリコリド)中の薬物の微小封入材料を形成することにより、作製される。薬物対ポリマーの比および使用される特定のポリマーの性質に依存して、薬物放出の速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)が挙げられる。蓄積注射可能な処方物はまた、薬物を、身体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョンに捕捉することにより調製される。
【0199】
直腸投与または膣投与のための組成物は、好ましくは、坐剤であり、坐剤は、本発明の化合物を、周囲温度では固体であるが体温では液体であり、従って直腸または膣の腔内で融解して活性化合物を放出する、適切な非刺激性賦形剤またはキャリア(例えば、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤蝋)と混合することにより調製され得る。
【0200】
経口投与のための固体投薬形態としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が挙げられる。このような固体投薬形態において、活性化合物は、少なくとも1種の不活性な薬学的に受容可能な賦形剤またはキャリア(例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム)、ならびに/あるいはa)充填剤または増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸)、b)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシア)、c)湿潤剤(humectant)(例えば、グリセロール)、d)崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、および炭酸ナトリウム)、e)溶液保持剤(例えば、パラフィン)、f)吸収促進剤(例えば、第四級アンモニウム化合物)、g)湿潤剤(wetting agent)(例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール)、h)吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイトクレー)、ならびにi)滑沢剤(例えば、滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、ならびにこれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、その投薬形態はまた、緩衝剤を含有し得る。
【0201】
類似の型の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟ゼラチンカプセルおよび硬ゼラチンカプセルにおける充填剤として使用され得る。錠剤、糖衣錠(dragee)、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体投薬形態は、コーティングおよびシェル(例えば、腸溶コーティングおよび製薬処方分野において周知である他のコーティング)を用いて調製され得る。これらは必要に応じて、不透明化剤を含有し得、そしてまた、活性成分を単独でかまたは優先的に、腸管の特定の部分において、必要に応じて遅延様式で放出する組成物であり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質および蝋が挙げられる。類似の型の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟ゼラチンカプセルおよび硬ゼラチンカプセルにおける充填剤として使用され得る。
【0202】
活性化合物はまた、上記のような1種以上の賦形剤を用いた、微小カプセル化形態であり得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体投薬形態は、コーティングおよびシェル(例えば、腸溶コーティング、放出制御コーティングおよび製薬処方分野において周知である他のコーティング)を用いて調製され得る。このような固体投薬形態において、活性化合物は、少なくとも1種の不活性希釈剤(例えば、スクロース、ラクトースおよびデンプン)と混合され得る。このような投薬形態はまた、通常の実施においてと同様に、不活性希釈剤以外のさらなる物質(例えば、打錠滑沢剤および他の打錠助剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロース))を含有し得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、これらの投薬形態はまた、緩衝剤を含有し得る。これらは必要に応じて、不透明化剤を含有し得、そしてまた、活性成分を単独でかまたは優先的に、腸管の特定の部分において、必要に応じて遅延様式で放出する組成物であり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質および蝋が挙げられる。
【0203】
本発明は、本発明の化合物の薬学的に受容可能な局所処方物を包含する。用語「薬学的に受容可能な局所処方物」とは、本明細書中で使用される場合、上皮への処方物の適用による、式(I)または式(II)の化合物の皮内投与のために薬学的に受容可能な、任意の処方物を意味する。本発明の特定の実施形態において、局所処方物は、キャリア系を含む。薬学的に有効なキャリアとしては、溶媒(例えば、アルコール、ポリアルコール、水)、クリーム、ローション、軟膏剤、油、硬膏、リポソーム、粉末、エマルジョン、マイクロエマルジョン、および緩衝溶液(例えば、低張生理食塩水または緩衝化生理食塩水)、あるいは当該分野において公知である、局所投与する製薬のための他の任意のキャリアが挙げられるが、これらに限定されない。当該分野において公知であるキャリアのより完全な列挙は、当該分野において標準的である参考教科書(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,1980および第17版,1985,両方、Mack Publishing Company,Easton,Pa.により出版されており、これらの開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される)により提供される。特定の他の実施形態において、本発明の局所処方物は、賦形剤を含有し得る。当該分野において公知である任意の薬学的に受容可能な賦形剤が、本発明の薬学的に受容可能な局所処方物を調製するために使用され得る。本発明の局所処方物に含有され得る賦形剤の例としては、防腐剤、酸化防止剤、保湿剤、軟化剤、緩衝剤、可溶化剤、他の浸透剤、皮膚保護剤、界面活性剤、およびプロペラント、ならびに/または本発明の化合物と組み合わせて使用されるさらなる治療剤が挙げられるが、これらに限定されない。適切な防腐剤としては、アルコール、第四級アミン、有機酸、パラベン、およびフェノールが挙げられるが、これらに限定されない。適切な酸化防止剤としては、アスコルビン酸およびそのエステル、重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、トコフェロール、およびキレート剤(EDTAなど)およびクエン酸が挙げられるが、これらに限定されない。適切な保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、尿素、およびプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。本発明と供に使用するために適切な緩衝剤としては、クエン酸緩衝剤、塩酸緩衝剤、および乳酸緩衝剤が挙げられるが、これらに限定されない。適切な可溶化剤としては、第四級塩化アンモニウム、シクロデキストリン、安息香酸ベンジル、レシチン、およびポリソルベートが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の局所処方物において使用され得る適切な皮膚保護剤としては、ビタミンE油、アラントイン(allatoin)、ジメチコン、グリセリン、ワセリン、および酸化亜鉛が挙げられるが、これらに限定されない。
【0204】
特定の実施形態において、本発明の薬学的に受容可能な局所処方物は、少なくとも式(I)または式(II)の化合物、および浸透増強剤を含有する。局所処方物の選択は、数個の要因(処置されるべき状態、本発明の化合物および存在する他の賦形剤の生理化学的特徴、これらの処方物中での安定性、利用可能な製造設備、ならびに費用の制限が挙げられる)に依存する。本明細書中で使用される場合、用語「浸透増強剤」とは、薬理学的に活性な化合物を、角質層を通して上皮または真皮内へと、好ましくは全身吸収がほとんどまたは全くなしで輸送し得る薬剤を意味する。広範な種々の化合物が、それらが皮膚を通しての薬物の進入の速度を増強する効果について評価されている。例えば、Percutaneous Penetration Enhancers,Maibach H.I.およびSmith H.E.(編),CRC Press,Inc.,Boca Raton,Fla.(1995)(これは、種々の皮膚浸透増強剤の使用および試験を与える)、ならびにBuyuktimkinら,Chemical Means of Transdermal Drug Permeation Enhancement in Transdermal and Topical Drug Delivery Systems,Gosh T.K.,Pfister W.R.,Yum S.I.(編),Interpharm Press Inc.,Buffalo Grove,Ill.(1997)を参照のこと。特定の例示的な実施形態において、本発明と供に使用するための浸透剤としては、トリグリセリド(例えば、ダイズ油)、アロエ組成物(例えば、アロエベラゲル)、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、オクチルフェニルポリエチレングリコール、オレイン酸、ポリエチレングリコール400、プロピレングリコール、N−デシルメチルスルホキシド、脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、モノオレイン酸グリセロール、およびモノステアリン酸プロピレングリコール)ならびにN−メチルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0205】
特定の実施形態において、これらの組成物は、軟膏剤、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、散剤、液剤、スプレー、吸入剤またはパッチの形態であり得る。特定の例示的な実施形態において、本発明による組成物の処方は、クリームであり、このクリームはさらに、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸(例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、パルミトオレイン酸、セチルアルコール、オレイルアルコールであり、ステアリン酸が特に好ましい)を含有し得る。本発明のクリームはまた、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシ−40−ステアレート)を含有し得る。特定の実施形態において、活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に受容可能なキャリア、および必要とされ得る場合、任意の必要とされる防腐剤または緩衝剤と混合される。眼用処方物、点鼻剤、および点眼剤もまた、本発明の範囲内であることが企図される。さらに、本発明は、経皮パッチの使用を企図し、これらの経皮パッチは、身体への化合物の制御された送達を提供するというさらなる利点を有する。このような投薬形態は、化合物を適切な媒体中に溶解または分散されることにより作製される。上で議論されたように、浸透増強剤もまた、皮膚を通しての化合物の流れを増加させるために使用され得る。この速度は、速度制御膜を提供すること、またはポリマーマトリックスもしくはゲル中に化合物を分散させることにより、制御され得る。
【0206】
特定の例示的な実施形態において、本発明の薬学的に受容可能な局所処方物は、処置されるべき皮膚の領域に隣接して適用されるパッチに含まれる。本明細書中で使用される場合、「パッチ」は、少なくとも局所処方物および被覆層を備え、その結果、このパッチは、皮膚の領域を覆って配置され得る。当該分野において公知である任意のパッチが、本発明の組成物および方法と一緒に使用され得る。
【0207】
特定の例示的な実施形態において、本発明の化合物は、ステントのコーティングとして使用され得る。式(I)または式(II)の化合物をこの能力で使用するための指針は、例えば、WO 05/023792に見出され得る。
【0208】
(同時投与)
式(I)または式(II)の化合物および薬学的組成物は、併用療法において調合および使用され得ることもまた理解される。すなわち、これらの化合物および薬学的組成物は、1つ以上の他の所望の治療または医療手順と同時にか、その前にか、またはその後に調合または投与され得る。併用計画において使用するための治療(治療剤または手順)の特定の組み合わせは、所望の治療剤および/または手順の適合性、達成されるべき所望の治療効果を考慮する。使用される治療は、同じ障害に対する所望の効果を達成し得る(例えば、本発明の化合物が別の抗癌剤と同時に投与され得る)か、またはこれらが異なる効果(例えば、いずれかの有害な作用の制御)を達成し得ることもまた、理解される。
【0209】
例えば、本発明の式(I)または式(II)の化合物と組み合わせて使用され得る他の治療または抗癌剤としては、外科手術、放射線治療(ほんの数個の例として名称を挙げると、γ−放射線、中性子線放射線治療、電子線放射線治療、プロトン治療、近接照射療法、および全身放射性同位体)、内分泌治療、生物的反応修飾物質(数個の名称を挙げると、インターフェロン、インターロイキン、および腫瘍壊死因子(TNF))、高熱療法および寒冷療法、任意の有害な作用を減衰するための薬剤(例えば、制吐作用)、ならびに他の認可された化学療法薬物(アルキル化薬物(メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イホスファミド)、代謝拮抗物質(メトトレキサート)、プリンアンタゴニストおよびピリミジンアンタゴニスト(6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、シタラビン、ゲムシタビン)、紡錘体阻害剤(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン)、ニトロソ尿素(カルムスチン、ロムスチン)、無機イオン(シスプラチン、カルボプラチン)、酵素(アスパラギナーゼ)、ならびにホルモン(タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド、およびメゲストロール)が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。式(I)もしくは式(II)の化合物または組成物と組み合わせて使用され得る他の抗癌剤としては、治療抗体または抗体フラグメント(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、および/または単鎖の抗体または抗体フラグメント)(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、dAb)など(例えば、トラスツズマブ、ベバシツマブ(Bevacizumab)、セツキシマブ(Cetuximab)、リツキシマブ)が挙げられる。更新された癌治療のより包括的な議論については、The Merck Manual,第17版、1999を参照のこと。その全内容は、本明細書中に参考として援用される。National Cancer Institute(CNI)のウェブサイト(www.nci.nih.gov)、および食品医薬品局(FDA)の、FDAにより認可された腫瘍学薬物の列挙についてのウェブサイト(www.fda.gov/cder/cancer/druglistframe−付録Aを参照のこと)もまた参照のこと。
【0210】
特定の実施形態において、式(I)または式(II)の化合物を含有する薬学的組成物は、1種以上のさらなる治療活性成分(例えば、化学療法成分および/または待機的成分)をさらに含有する。本発明の目的で、用語「待機的」とは、疾患の症状および/または治療計画の副作用の軽減に焦点を当てるが、治癒的ではない処置をいう。例えば、待機的処置は、痛みを和らげる治療、制吐性投薬法および抗疾病薬物を包含する。さらに、化学療法、放射線治療および外科手術は全て、待機的に使用され得る(すなわち、治癒の目的には使用されずに症状を軽減するため。例えば、腫瘍を収縮させるため、ならびに圧力、出血、疼痛および癌の他の症状を軽減するため)。
【0211】
(処置キット)
いくつかの局面において、本発明は、本発明による方法を実施するためのキットを提供する。一般に、薬学的パックまたはキットは、1つ以上の式(I)または式(II)の薬学的組成物の成分を含む。例えば、このキットは、式(I)もしくは式(II)の化合物または組成物で(完全にかまたは部分的に)満たされた1つ以上の容器を含み得る。このようなキットは、例えば、例えば、固体経口形態(例えば、錠剤またはカプセル剤)の送達のために適している。いくつかの実施形態において、このキットは、複数の単位投薬量を含み、そしてまた、これらの意図される使用の順序に関する投薬量を記載したカードを備え得る。所望であれば、その投薬量が投与され得る処置計画中の日にちを指定する記憶補助物(例えば、数字、文字、または他の印の形態、あるいはカレンダー挿入物を伴う)が提供され得る。あるいは、プラシーボ投薬量、またはカルシウム食餌栄養補助剤(薬学的組成物の投薬量と類似の形態または異なる形態のいずれか)が含まれて、投薬量が毎日摂取されるキットを提供し得る。いくつかの実施形態において、このキットは、このキットの他の成分の使用についての指示書または説明書を含む。いくつかの実施形態において、このキットは、式(I)または式(II)の化合物を含有する組成物、および第二の治療剤を含み、これらの2つの薬剤の同時投与に関する指示書を伴う。必要に応じて、このような容器には、薬学的製品の製造、使用または販売を規制する政府の機関により処方された形態の警告が付随し得、この警告は、ヒトへの投与に関する製造、使用または販売の、その機関による認可を反映する。
【0212】
(等価物)
当業者は、本明細書中に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または慣用的な実験のみを使用して確認し得る。このような等価物は、添付の特許請求の範囲により包含されることが意図される。
【0213】
(参考による援用)
本願全体にわたって引用される全ての参考文献、特許、および特許出願の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【実施例】
【0214】
本発明の化合物およびそれらの調製は、これらの化合物が調製または使用されるプロセスのうちのいくつかを説明する実施例により、さらに理解され得る。しかし、これらの実施例は、本発明を限定しないことが理解される。本発明のバリエーション(現在既知のものまたはさらに開発されるもの)は、本明細書中に記載され、そして特許請求されるような本発明の範囲内に入るとみなされる。
【0215】
本明細書中に列挙されるスキームは、本発明の化合物が合成され得るいくつかの方法のほんの例示であり、そしてこれらのスキームに対する種々の改変がなされ得ることが理解されるべきである。
【0216】
(実施例1:化合物の合成)
(一般的な反応手順)
具体的に記載されない限り、反応混合物を、磁気駆動式攪拌棒を使用して攪拌した。不活性雰囲気は、一般に、乾燥アルゴンまたは乾燥窒素のいずれかをいう。反応を、その反応混合物の適切なサンプルの、薄層クロマトグラフィー、プロトン核磁気共鳴(NMR)または高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)のいずれかにより監視した。
【0217】
共通の略語は、以下を含む:m−CPBA:メタ−クロロ過安息香酸;DDQ:2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン;DEAD:アゾジカルボン酸ジエチル;DIBAL−H:水素化ジイソブチルアルミニウム;DMAP:N,N−ジメチルアミノピリジン;DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;HMPA:ヘキサメチルホスホロアミド;LDA:リチウムジイソプロピルアミド;LiHMDS:リチウムビス(トリメチルシリル)アミド;PCC:クロロクロム酸ピリジニウム;TBAF:テトラブチルアンモニウムフルオリド;THF:テトラヒドロフラン;CHClまたはDCM:ジクロロメタン;MPM:パラ−メトキシベンジル;Boc:tert−ブチルオキシカルバメート;TfOH:トリフルオロメタンスルホン酸;Tf2O:トリフルオロメタンスルホン酸無水物;TFA:トリフルオロ酢酸;およびTFAA:酢酸無水物。
【0218】
(共通の出発物質の合成)
(化合物003)
【0219】
【化51】

トリヒドロキシ安息香酸(120g)の350mLのアセトン中の溶液に、500mLのTFA(トリフルオロ酢酸)を攪拌しながら40℃で添加した。40℃で1時間後、300mLのTFAA(トリフルオロ酢酸無水物)を添加した。この混合物を3日間加熱した。この混合物を建物用の減圧装置下50℃蒸留して、溶媒を除去した。次いで、その粗製生成物を4LのCHClで希釈し、水、飽和NaHCOで洗浄し、乾燥し、そして濃縮して、85gの半純粋固体001を得た。この固体をEtOH(1g/2mL)中で結晶化させて、20gの純粋な結晶を得た。次いで、その母液をCHCl〜5% MeOH/CHClでシリカゲルにより精製して、55gのさらなる生成物001を得た。
【0220】
【化52】

001(50g,238mmol)の156mLのピリジン中の溶液に、TfO(100mL,595mmol,2.5当量)を0℃で3時間で添加した。次いで、これを室温まで温め、そして2時間攪拌した。この反応混合物を水で希釈した。この混合物を濾過し、そしてフィルタ上の固体を水で洗浄し、減圧下で乾燥させて、100gの固体002を得た。
【0221】
【化53】

ジトリフレート002(45.35g)、BocNH(17.22g)、Pd(dba)(4.38g)およびPt−Bu(4.38g)を150mLのトルエン中で混合した。トリエチルアミン(26.92mL)をこの混合物に添加し、そしてこの反応物を不活性雰囲気下80℃で4時間加熱した。この粗製反応混合物を冷却し、そしてセライトのパッドで濾過した。その濾液を濃縮し、そしてHex/EtOAc(9:1,4:1)でシリカゲルで精製して、28.3gの所望の生成物である化合物003を得た。
【0222】
(共通の中間体の合成)
中間体009および010を、スキーム1に図示されるように合成した。
【0223】
【化54】

(化合物004)
DMPU(42ml)中の化合物003(18.6g,42.1mmol)を0℃まで冷却した。リチウムヘキサメチルジシリルアミドのTHF(1.0M,47ml,47mmol)中の溶液を、5℃未満の内部温度を維持しながらシリンジポンプを使用してゆっくりと添加した。得られた暗赤褐色溶液を0℃でさらに1時間20分攪拌した。TBSO−エチルヨージド(16.0g,55.9mmol)をカニューレを介して10分間かけて添加し、この間、3℃未満の内部温度を維持した。この反応混合物を0℃でさらに10分間攪拌し、引き続いて、室温で一晩攪拌した。この反応を飽和重炭酸ナトリウム(30ml)でクエンチし、そしてその溶媒を減圧下で除去した。その残渣を、5% EtOAc/ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、18.5g(74%)の純粋な、所望の生成物である化合物004を得た。H−NMR(400MHz,C6D6)δ:7.20(d,J=2.0Hz,1H),3.59(t,J=5.2Hz,2H),3.41(d,J=5.2Hz,2H),1.29(s,9H),1.18(s,6H),0.82(s,9H),−0.07(s,6H);MS m/e:(M+23)=622。
【0224】
(化合物006)
005(13.0g,33.4mmol)および004(18.6g,31.0mmol)に、N−メチルピロリジノン(30mL)、ジシクロヘキシルメチルアミン(8ml,37.4mmol)およびPd(DBA)(8.51g,9.29mmol)を添加した。この混合物を100℃で2.5時間加熱し、次いで、110℃で10時間加熱した。次いで、その溶媒を減圧下で加熱しながら除去した。その残渣を、EtOAc/ヘキサンの10%〜17%の勾配溶媒で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、24.7g(90%)の化合物006を得た。H−NMR(400MHz,C6D6)δ:8.10(d,J=16.0Hz,1H),7.45(d,J=2.0Hz,1H),7.30(d,J=8.8Hz,2H),7.05(d,J=2.0Hz,1H),6.92(d,J=8.8Hz,2H),6.57−6.49(m,1H),5.62−5.48(m,2H),4.6(d,1H),4.48(m,1H),4.38−4.32(m,1H),4.22(d,1H),4.17−4.13(m,1H),3.68(m,2H),3.58(m,2H),3.49−3.45(m,1H),3.34(s,3H),2.85−2.77(m,1H),2.73−2.67(m,1H),2.63−2.56(m,1H),1.44(s,3H),1.37(s,9H),1.24(s,6H),1.20(s,3H),1.13(d,J=6.0Hz,3H),1.03(d,J=6.8Hz,3H),0.88(s,9H),−0.02(s,6H);MS m/e:(M+23)=862。
【0225】
(化合物007)
THF(1.48L)中の006(12.0g,14.3mmol)に、トルエン中のカリウムヘキサメチルジシリルアミド(0.5M,30mL,6.0mmol)を、ゆっくりと室温で、シリンジポンプを介して壁に沿わせて1.5時間にわたって添加した。この反応を水性塩化アンモニウム溶液(800ml)でクエンチした。層を分離し、そしてその水層を、MTBEで3回(3×400mL)および酢酸エチルで3回(3×400mL)、逆抽出した。合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮した。その残渣を、5%、次いで10%のEtOAc/ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、5.99g(54%)の化合物007および2.32g(19%)の回収された出発物質006を得た。007のH−NMR(400MHz,C6D6)δ:7.29(d,J=2.4Hz,1H),7.19(d,J=15.6Hz,1H),7.14(d,J=2.4Hz,1H),6.93(d,J=8.4Hz,1H),6.78(d,J=8.4Hz,1H),5.93−5.86(m,1H),5.67(dd,J=8.8および9.2Hz,1H),5.46(dd,J=10.4および8.8Hz,1H),5.22(dd,J=9.6および10.4Hz,1H),4.88−4.82(m,1H),4.42−4.36(m,1H),4.25−4.19(m,2H),3.80−3.76(m,1H),3.72−3.60(m,4H),3.29(s,3H),3.11−3.02(m,1H),2.83−2.74(m,1H),2.64−2.57(m,1H),1.42(s,3H),1.35(s,9H),1.23(s,3H),1.04(d,J=6.4Hz,3H),0.90(s,9H),0.77(d,J=7.2Hz,3H),0.01(s,6H);MS m/e:(M+23)=804。
【0226】
(化合物008)
0℃(氷/水浴)に冷却したTHF中の007(5.94g,7.60mmol)に、DBU(4.9mL,33mmol)、次いでメトキシメチルクロリド(2.3mL,30.3mmol)を、少しずつ壁に沿わせて添加した。3時間攪拌した後に、この反応混合物を、水性塩化アンモニウム溶液、水およびブラインで3回洗浄した。その水層を3回、MTBEで逆抽出した。合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮して、6.27g(99%)の白色の泡状粗製生成物を得、これはきれいであったので、次の脱シリル反応に直接使用した。少量の粗製生成物を分取TLC(30% EtOAc/ヘキサンで溶出する)により精製して、所望の生成物である008を確認した。H−NMR(400MHz,C6D6)δ:7.32(d,J=8.8Hz,1H),7.16(br s,Hz,1H),7.06(s,1H),7.86(d,J=8.4Hz,2H),6.82(d,J=18.0Hz,1H),6.49−6.41(m,1H),5.52−5.46(m,2H),5.33(dd,J=10.4および10Hz,1H),4.98(dd,J=8.8および8.8Hz,1H),4.82(s,2H),4.74(d,J=10.8Hz,1H),4.58(d,J=11.2Hz,1H),4.37(dd,J=6.4および6.4Hz,1H),4.17(dd,J=9.6および7.2Hz,1H),3.75−3.63(m,4H),3.26(s,3H),3.23−3.16(m,1H),3.09(s,3H),2.67−2.59(m,2H),1.35(s,9H),1.30(d,J=6.8Hz,3H),1.27(s,3H),1.11(s,3H),0.95(d,J=6.4Hz,3H),0.90(s,9H),0.01(s,3H),0.00(s,3H);MS m/e:(M+23)=848。
【0227】
(化合物009)
化合物008(6.27g)を1Lの丸底フラスコ中でTHF(230ml)に溶解し、そして0℃まで冷却した。これに、緩衝化TBAF(THF中1.0M TBAFおよび0.5Mイミダゾール/HCl,15.2ml)を、シリンジポンプを介して26分間かけて添加した。添加の完了後、この混合物を室温で12時間攪拌した。この反応混合物を飽和水性重炭酸塩溶液、水およびブラインで順番に洗浄した。水相をMTBEで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そしてクロマトグラフィーにより精製して、5.08g(94%)の009を無色油状物として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.34−6.85(m,6H),6.78(d,J=16.0Hz,1H),6.43(m,1H),5.52−5.46(m,2H),5.33(dd,J=10.4,および10.0Hz,1H),4.96(t,J=10.0Hz,1H),4.75(s,2H),5.25(d,J=11.2Hz,1H),4.57(d,J=11.2Hz,1H),4.37(dd,J=6.4,および6.4Hz,1H),4.20−4.15(m,1H),3.56−3.40(m,4H),3.25(s,3H),3.22−3.16(m,1H),3.07(s,3H),2.66−2.50(m,2H),1.30(d,J=7.2Hz,3H),1.29(s,9H),1.27(s,3H),1.11(s,3H),0.94(d,J=6.8Hz,3H);MS,m/e(m+23)=734。113mg(2%)の副生成物である化合物023もまた単離し、化合物024を合成するために使用した。
【0228】
(化合物010)
丸底フラスコに、009(500mg,0.702mmol)および塩化メチレン(14.0mL)を添加し、そしてこの混合物を0℃まで冷却した。トリエチルアミン(0.29mL,2.10mmol)を添加し、次いでメタンスルホニルクロリド(0.082mL,1.00mmol)をゆっくりと添加した。2時間後、TLCおよびMSによる確認は、この反応が完了したことを示し、きれいな所望の生成物が観察された。この反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ、そしてDCMで3回抽出した。その抽出物を合わせ、そして硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、次いでトルエンと共沸した。無色の油状粗製生成物である010は合理的にきれいであったので、一般に直接、次の工程反応において精製せずに求核試薬に供した。収量555mg(100%)。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.38−6.90(m,6H),6.83(d,J=16.4Hz,1H),6.53(m,1H),5.57−5.50(m,2H),5.38(dd,J=10.0,および10.4Hz,1H),5.00(t,J=8.8Hz,1H),4.88(AB,2H),4.78(d,J=11.2Hz,1H),4.61(d,J=11.2Hz,1H),4.42(dd,J=6.8,および6.4Hz,1H),4.24−4.20(m,1H),4.02(t,J=5.6Hz,2H),3.51(t,J=5.6Hz,2H),3.30(s,3H),3.25−3.21(m,1H),3.12(s,3H),2.70−2.53(m,2H),2.20(s,3H),1.38−1.33(重なったsおよびd,12H),1.33(s,3H),1.16(s,3H),0.98(d,J=6.8Hz,3H);MS,m/e(M+23=812)。
【0229】
(選択された化合物の合成)
(化合物011)
【0230】
【化55】

上記のように調製した010(554mg,0.702mmol)に、DMF(5.44mL)およびイミダゾールナトリウム誘導体(1.26g,14.0mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩攪拌した。TLCによる確認は、この反応が完了したことを示した。その溶媒を減圧下で除去し、そしてその残渣をジクロロメタン(DCM)と水性重炭酸塩との間で分配した。この混合物をDCM(3×100ml)で抽出し、そして合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮した。その残渣を、10%〜50%の勾配のEtOAc/ヘキサンおよびMeOH/DCMの0〜7%の勾配で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、531mg(100%)の011を白色泡状物として得た。
【0231】
次いで、化合物011を、化合物012を得るためのDDQでの処理、Dess−Martin酸化、ならびにTFA/水およびTfOH/水での処理に順番に供して(以下の化合物091の合成と類似)、アナログ013を白色粉末として得た。収量:41mg(55%)。H NMR(400MHz,10% CDOD/CDCl)δ:1.07(d,3H,J=8Hz),1.29(d,3H,J=8Hz),1.97(m,1H),2.06(m,1H),3.42(m,3H,J=4Hz),3.85(br s,2H),3.93(m,1H),4.05(t,2H,8Hz),4.39(d,1H J=3Hz),4.78(m,1H,J=3Hz),5.82(m,1H,3Hz),5.89(d,1H,J=3Hz),5.92(d,1H,J=3Hz),6.02(dd,1H,J=12Hz),6.13(d,1H,J=12Hz),6.73(d,1H,J=16Hz),6.88(d,1H,J=16Hz),7.38(s,1H)。MS m/e:(m+1)456(5%),(m+23)478(100%)。
【0232】
(化合物014)
【0233】
【化56】

化合物014を、化合物010化合物から、N−メチルピペリジンをナトリウムイミダゾールの代わりに使用したことを除いて、013の合成と同じ手順に従って合成した。収量18mg(30%)。H NMR(400MHz,CDOD)δ:1.15(d,2H,J=6Hz),1.36(d,2H,J=6Hz),1.45(t,2H,J=6Hz),1.97(s,1H),2.08(m,1H),2.70(t,2H,J=6Hz),2.79(s,3H)3.30(m,2H),3.48(m,2H),4.05(m,1H),4.48(d,1H,J=4Hz),5.95(m,2H),6.12(dd,2H,J=8Hz),6.32(d,1H,J=8Hz),6.88(d,1H,J=16Hz)。MS m/e:(m+1)488(100%)。
【0234】
(化合物015)
【0235】
【化57】

化合物015を、化合物010から、モルホリンをナトリウムイミダゾールの代わりに使用したことを除いて、013化合物の合成と同じ手順に従って合成した。その収量は、白色粉末であり、80mg(76%)であった。H NMR(400MHz,C6D6)δ:0.78(d,3H,J=8Hz),0.93(t,3H,J=8Hz),1.00(d,3H,J=8Hz),1.94(m,6H),2.13(m,2H),2.61(q,2H,J=4Hz),3.46(t,4H,J=4Hz),3.94(m,1H),4.30(d,1H,J=3Hz),4.66(m,2H),5.41(t,1H,J=8Hz),5.55(d,1H,J=12Hz),5.97(m,1H),6.02(d,1H,J=4Hz),6.22(d,1H,J=3Hz),6.94(d,1H,J=16Hz)。MS m/e:(m+1)475(100%),(m+23)497(9%)。
【0236】
(化合物016)
【0237】
【化58】

化合物016を、化合物010から、ピロリジンをナトリウムイミダゾールの代わりに使用したことを除いて、013化合物の合成と同じ手順に従って合成した。収量14.6mg(47%)。H NMR(400MHz,CDOD)δ:1.14(d,3H,J=3Hz),1.27(s,2H),1.34(d,3H,J=3Hz),1.85,(m,4H,J=3Hz),2.08(m,2H),2.72(m,4H),2.79(t,2H,J=8Hz),3.31(t,2H,J=8Hz),3.46(m,1H),4.04(m,1H),4.48(d,1H,3Hz),5.95(m,1H) 5.97(d,1H,J=4Hz),6.09(d,1H,J=12Hz),6.14(d,1H,J=4Hz),6.30(d,1H,J=12Hz),6.87(d,1H,J=16Hz)。MS m/e:(m+1)459(100)。
【0238】
(化合物018および019)
【0239】
【化59】

化合物017を、化合物010から、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタンアミンをナトリウムイミダゾールの代わりに使用したことを除いて、013化合物の合成と同じ手順に従って調製した。017をDDQ、PCCおよびTFAでの処理に順番に供して、化合物018を得た。収量32mg。MS m/e:(m+1)579。
【0240】
次いで、化合物018を、化合物013の合成と同じ様式でTfOHで処理して、化合物019(9.2mg,23%)を得た。H−NMR(400MHz,CDOD)δ:1.16(d,3H,J=6.73Hz),1.36(d,3H,J=6Hz),2.09(m,2H),2.65(s,1H),3.07(m,1H),3.23(m,2H),3.30(m,2H),3.40(m,4H),3.54(m,1H),3.9(m,2H),4.04(m,2H),4.48(d,1H,J=2.4Hz),5.58(m,1H),6.06(d,1H,J=2.4Hz),6.12(m,2H),6.19(d,1H,J=2.4Hz),6.32(d,2H,J=11.5Hz),6.9(d,1H,J=16Hz)。MS,m/e:(m+23)479(100%)。
【0241】
(化合物022)
【0242】
【化60】

化合物020を、化合物010から、2−TBSO−エタンアミンを2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタンアミンの代わりに使用したことを除いて、017の合成と同じ手順に従って調製した。次いで、化合物020をBocO、DDQおよびPCCでの処理に順番に供して021を得、これをTFAおよびTfOHで順番に、019の合成についての手順と同じ様式で処理した。逆相HPLCでの精製後、化合物022(5.2mg)がTFA塩形態で得られた。H−NMR(400MHz,CDOD)δ:1.18(d,3H,J=6.75Hz),1.41(d,3H,J=6.15Hz),2.1(m,2H),2.65(s,1H),3.15(t,2H,J=5.25Hz),3.22(t,2H,J=6.75Hz),3.50(m,2H),3.56(m,2H),3.63(m,2H),3.77(m,2H),3.91(s,1H),4.02(m,1H),4.49(t,1H,J=2.4Hz),4.93(m,1H),6.01(m,1H),6.13(m,2H),6.23(s,1H),6.32(d,1H,J=11.5Hz),6.92(d,1H,J=15.85Hz)。MS,m/e(m+1)445(100)。
【0243】
(化合物024)
【0244】
【化61】

化合物023(113mg)を、009の合成中に副生成物として得た。次いで、化合物023を化合物013の合成と同じプロセスに供して、アナログ化合物024を得た。収量16.8mg(3工程で30%)。H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.18(d,J=2.4Hz,1H),7.05(d,J=2.4Hz,1H),6.96(d,J=15.2Hz,1H),6.34(d,J=11.2Hz,1H),6.17(d,J=10.4Hz,1H),6.10(m,1H),5.05−4.94(m,1H),4.50−4.46(m,3H),4.10−4.05(m,3H),3.56−3.49(m,1H),2.16−2.10(m,1H),1.40(d,J=6.4Hz,3H),1.17(d,J=6.4Hz,3H);MS,m/e(M+23)=454,(M−1)=430。
【0245】
(化合物025)
【0246】
【化62】

化合物010(220mg,0.28mmol)に、メタノール中のアンモニア溶液(2M,100ml)および濃アンモニア水溶液(22ml)を添加した。この混合物を室温で一晩攪拌した。この反応混合物を飽和重炭酸塩溶液(500ml)に注ぎ、そしてDCMで4回、および酢酸エチルで1回抽出した。合わせた抽出物を濃縮し、そしてその残渣をクロマトグラフィーにより精製して、100mgの尿素化合物(60%)を得た。
【0247】
次いで、この尿素化合物を、PCC酸化をDess−Martin酸化の代わりに適用して、化合物013の合成においてと同様のプロセスに供した。化合物025を91%の収率(49mg)で得た。H−NMR(400MHz,CDOD)δ:1.14(d,3H,J=8Hz),1.38(d,3H,J=6Hz),2.07(m,2H),2.17(m,2H),2.82(s,2H),3.18(s,1H),3.60(m,1H),4.02(m,2H),4.07(m,2H),4.52(m,2H),4.95(m,1H),5.33(s,1H),6.12(m,2H),6.25(d,1H,J=12Hz),6.89(s,1H),6.93(d,1H,J=3Hz),7.25(d,1H,J=3Hz)。MS,m/e(m+23)453(100%)。
【0248】
(化合物029)
【0249】
【化63】

化合物029を008から合成した。化合物008を、DDQでの処理、Dess−Martin酸化に順番に供して、027を得た。013の合成と同様に、027を次いでTFA/水およびTfOH/水で処理して、アナログ029を白色粉末として得た。収量:40.1mg(45%)。H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.16(d,3H,J=8Hz),1.20(d,1H,J=4Hz),1.12(s,1H),1.25(t,8H,J=8Hz),1.39(d,3H,J=8Hz),2.04(s,8H),3.31(t,2H,J=4Hz),3.54(m,1H),3.82(t,2H,4Hz),3.91(m,1H),4.04(m,1H),4.48(s,1H),4.86(m,1H),5.30(s,1H),5.94(m,1H),6.03(d,1H,J=4Hz),6.09(d,1H,J=4Hz),6.16(q,2H,J=8Hz),6.83(d,1H,J=16Hz)。MS m/e:(m+23)428(100%)。
【0250】
(化合物034)
【0251】
【化64】

化合物009(310.0mg,0.0004355mol)、酸化銀(I)(202mg,0.000871mol)、およびヨウ化メチル(542.2μl,0.008710mol)を無水アセトニトリル(1.581mL,0.03027mol)中で混合し、そしてこの混合物を密封管中5分間の間隔でマイクロ波により加熱した。TLC(5% MeOH/DCM)により示されるように、反応が完了した。この反応混合物をセライト545で濾過し、そしてその残渣をクロマトグラフィー(0〜5%アセトン/DCMを使用する12gのRedi−Sep pack Si−Gelカラム)により精製した。不完全な分離を生じ、2mm Prep Plate X2での、5%アセトン/DCMを用いての再度の精製が必要であった。このプロセスを繰り返して、副生成物の全てを所望の生成物から除去した。EtOAc/ヘキサン共溶媒は、全ての不純物を所望の生成物である030から除去するのに役に立った。収量:160mg(51%)。次いで、013の合成と同じ手順に従って、化合物034を得た。収量:25mg(47%)。H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.17(d,3H,J=8Hz),1.26(t,1H,J=8Hz),1.40(d,3H,J=8Hz),2.05(s,1H),2.14(m,2H),2.62(d,1H,J=3Hz)3.31(t,2H,J=3Hz),3.38(s,3H),3.58(t,3H,J=4Hz),3.86(d,1H,J=4Hz),4.01(s,1H),4.12(q,1H,J=4Hz),4.49(m,1H),4.53(br s,1H),4.88(m,1H),5.94(m,1H),6.03(d,1H,J=4Hz),6.09(d,1H,J=4Hz),6.17(m,2H),6.84(d,1H,J=16Hz)。MS m/e:(m+1)420(30%),(m+23)442(100%)。
【0252】
(化合物041)
【0253】
【化65】

009(26.9mg,0.0378mmol)およびトリフェニルホスフィン(16.8mg,0.0642mmol)をトルエン(0.40mL,3.78mmol)に溶解した。ヨウ化メチル(3.06μl,0.049mmol)およびアゾジカルボン酸ジエチル(6.54μl,0.0416mmol)を一度に同時に添加した。反応混合物を1.5時間攪拌し、そしてTLCにより15分間隔で監視した。この反応物を一晩攪拌した。TLC(50% EtOAc/ヘキサン)は、翌朝、生成物対出発物質の1:1の混合物(これを、MSにより確認した)を示した。さらなるトリフェニルホスフィン(16.8mg,0.0642mmol)、続いてヨウ化メチル(3.06μl,0.0491mmol)およびアゾジカルボン酸ジエチル(6.54μl,0.0416mmol)を同時に添加した。この反応を10分間隔で監視し、そして依然として、かなりの量の出発物質を示した。さらなるトリフェニルホスフィン(16.8mg,0.0642mmol)、続いてヨウ化メチル(3.06μl,0.0491mmol)およびアゾジカルボン酸ジエチル(6.54μl,0.0416mmol)を同時に添加した。この反応を10分間隔でTLCにより監視し、そして完了したことを示した。水での後処理を実施し、そしてMTBEで抽出した。この有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮した。その残渣を4gのRedi−sepカラムに充填し、そして10%エタノール/ヘキサンで溶出した。化合物035を透明油状物として単離し、TLC、MSおよびNMRにより確認した。収量:31mg(100%)。
【0254】
アミノ−ポリエーテルフラグメントを035に添加して、化合物013の合成において使用した手順と同じ手順を使用して、化合物036を生成した。この生成物の構造を、NMR、MS、およびTLCにより確認した。収量:150.2mg(61%)。
【0255】
オーブンで乾燥させた丸底フラスコに、036(174.5mg,0.0002036mol)を添加し、続いてテトラヒドロフラン(1.651mL,20.36mmol)およびジ−tert−ブチルジカーボネート(222.2mg,1.018mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(4.97mg,0.0407mmol)を、窒素雰囲気下で添加した。この反応物を1時間攪拌し、そしてTLCおよびMSにより完了したことを決定した。この反応混合物を水で希釈し、そしてMTBEで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮した。残渣である化合物037を、0〜5%のMeOH/DCMで溶出するred−sepカラムで精製した。収量:162.3mg(83%)。
【0256】
化合物013の合成において使用した手順と同じ手順を、最終ポリエーテル生成物041を得る目的で、化合物037を用いて実施した。収量:43.2mg(80%)。H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.15(d,3H,J=7Hz),1.37(d,3H,J=7Hz),2.05(s,1H),2.07(m,2H),3.05(t,2H,J=3Hz),3.08(t,2H,J=3Hz),3.36(s,3H),3.38(m,2H),3.54(m,2H),3.64(m,8H),3.69(m,2H),4.03(s,1H),4.18(q,1H,J=7.1Hz),4.47(d,1H,J=3Hz),4.84(m,1H),5.40(s,1H),5.99(m,1H),6.00(d,1H,J=3Hz),6.12(m,4H),6.79(d,1H,J=16Hz)。MS m/e:(m+1)551(100%),(m+23)573(10%)。
【0257】
(化合物042)
【0258】
【化66】

250mlの丸底フラスコに、ジクロロメタン(4ml)およびジクロロメタン中塩化オキサリル溶液(2.0M,2.1ml)を添加した。この溶液を−78℃まで冷却し、そしてDMSOを添加した。5分間攪拌した後に、ジクロロメタン中の009(0.05M,55ml,2.75mmol)を添加した。さらに30分間攪拌した後に、トリエチルアミン(2.3ml)を添加し、そしてこの反応混合物を0℃まで45分間かけて温めた。この混合物を飽和水性重炭酸ナトリウム溶液に注いだ。層を分離し、そしてその水層をジクロロメタンを使用して3回逆抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮した。
【0259】
上記粗製アルデヒド生成物(1.95g)を、t−ブチルアルコール(52ml)と、200mlの丸底フラスコ中で混合した。これに、2−メチル−2−ブテンをシリンジおよび針を介して添加し、亜塩素酸ナトリウム(2.5g)、リン酸水素カリウム(1.8g)および水(25ml)を添加した。この反応混合物を室温で1時間攪拌した。水性チオ硫酸ナトリウム溶液(150ml)および酢酸エチル(150ml)を添加し、そしてこの混合物を1時間攪拌した。層を分離し、そしてその水層を0℃まで冷却し、1N HClを使用して約3のpHまで酸性化し、そして酢酸エチルを使用して3回逆抽出した。合わせた有機抽出物を蒸留水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮して、1.8g(2工程で90%)を得た。4つのアナログを、042から、上のスキームに示されるように合成した。
【0260】
(化合物045)
【0261】
【化67】

化合物042(316mg)、ジメチルアンモニウム−OOBt塩(370mg)、HBTU(672mg)、トリエチルアミン(0.43ml)およびジクロロメタン(3ml)を10mlの丸底フラスコに添加し、そしてこの混合物を室温で一晩攪拌した。この反応混合物を飽和水性重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ、そしてジクロロメタンを使用して3回抽出した。合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そしてBiotageクロマトグラフィーにより精製して、320mg(98%)の043を得た。次いで、化合物043を化合物013の合成と同じ手順に供して、化合物045を得た。H−NMR(400MHz,CDOD)δ:6.88(d,J=15.2Hz,1H),6.32(d,J=11.6Hz,1H),6.19(d,J=2.4Hz,1H),6.12(dd,J=11.6および10.0Hz,1H),6.02−5.95(m,1H),5.96(d,J=2.4Hz,1H),4.48(d,J=2.0Hz,1H),4.06−4.03(m,1H),3.99(s,2H),3.50−3.43(m,1H),3.07(s,3H),2.97(s,3H),2.16−2.02(m,2H),1.36(d,J=6.4Hz,3H),1.15(d,J=7.2Hz,3H);MS m/e:(M+23)=469。
【0262】
(化合物046)
【0263】
【化68】

化合物046の合成は、メチルアンモニウム−OOBt塩をジメチルアンモニウム−OOBtの代わりに使用したことを除いて、045の合成と同じであった。MS m/e:(M23)=455。
【0264】
(化合物047)
【0265】
【化69】

化合物047の合成は、アンモニウム−OOBt塩をジメチルアンモニウム−OOBtの代わりに使用し、そしてピリジニウムクロロクロメート(PCC)をDess−Martin試薬の代わりに使用したことを除いて、045の合成と同じであった。H−NMR(400MHz,CDOD)δ:6.89(d,J=15.2Hz,1H),6.31(d,J=11.2Hz,1H),6.16(d,J=2.4Hz,1H),6.12(dd,J=11.2および9.6Hz,1H),6.02−5.94(m,1H),5.92(d,J=2.4Hz,1H),4.48(d,J=2.0Hz,1H),4.06−4.03(m,1H),3.77(s,2H),3.50−3.43(m,1H),2.16−2.02(m,2H),1.35(d,J=6.0Hz,3H),1.15(d,J=7.2Hz,3H);MS m/e:(M+23)=441。
【0266】
(化合物048)
【0267】
【化70】

化合物042を化合物013の合成についてと同じ手順に供して、8.5mg(58%)の化合物048を得た。H−NMR(400MHz,CDOD)δ:1.16(d,3H,J=6.75Hz),1.36(d,3H,J=5.86Hz),2.0(s,2H),2.10(m,2H),3.3(m,1H),3.47(m,1H),3.64(s,1H),3.87(s,2H),4.05(m,1H),4.09(d,1H,J=7Hz),4.12(m,1H),4.48(d,1H,J=2.40Hz),5.91(d,1H,J=2.40Hz),5.97(m,1H),6.10(m,1H),6.12(m,1H),6.16(d,1H,J=3Hz),6.32(d,1H,J=12Hz),6.89(d,1H,J=15.5Hz)。MS m/e:(m−1)418(100%)。
【0268】
(化合物054)
【0269】
【化71】

化合物009(200mg,0.00028mol)を塩化メチレン(1.44mL,0.0225mol)に溶解した。ジアリルジイソプロピルホスホロアミダイト(172mg,0.000702mol)、およびトリフルオロ酢酸ピリジニウム(136mg,0.000702mol)を添加した。この反応混合物を20℃〜25℃で攪拌した。この反応物を約0℃〜5℃まで冷却し、そして水中30%のH(3:7,H:水,0.14mL)を添加した。15分後、TLC(MTBE)は、中間体の消失を示した。この反応物に水(1.98mL,0.1101mol)を添加し、そしてその生成物をMTBEで3回抽出した。その有機相を乾燥させ、次いでロータリーエバポレーターで濃縮して、粗製無色フィルムにした。生成物である化合物049を、0〜10%アセトン/DCMで溶出する4gのredi−sepカラムで精製した。収量:242mg(99%)。049のDDQ脱保護は、化合物013の合成においてと同じであり、201mg(97%)の化合物050を得た。
【0270】
丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、テトラヒドロフラン(4mL)に溶解した化合物050(100.5mg,0.134mmol)を添加し、続いてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(31mg,0.027mmol)、生理食塩水、フェニル−(99.0μL,0.000802mol)およびトリフェニルホスフィン(42mg,0.00016mol)を添加した。この混合物を60分間攪拌し、そしてTLC(1:1 Maigic)がこの反応が完了したことを示すまで、この反応を15分間隔で監視した。溶媒を減圧下で除去した。その残渣を2:3:1溶媒系に溶解し、そして1インチ直径のカラム中のDEAE樹脂に装填した。この樹脂を2:3:1溶媒系でフラッシュして、全ての触媒および非極性物質を除去した。その濾液が透明になった後に、0.04Mの酢酸アンモニウムを使用してこの樹脂の洗浄を続け、生成物である化合物051を溶出した。酢酸アンモニウムの濃度を0.1Mまで上昇させて、残りの生成物を樹脂から除去した。生成物を含む画分を収集し、そして濃縮して残渣にした。このフラスコを高真空下に置き、そして40℃まで加熱して、全ての酢酸アンモニウムの残留物を除去した。収量:94.3mg(100%)。
【0271】
化合物054の合成についての手順の残りは、054についての後処理および精製が化合物051について上に示されるようなDEAE樹脂を用いて達成されたことを除いて、アナログ化合物013と類似であった。H−NMR、31P−NMR、およびMSにより構造を確認した。生成物054は、遊離形態で得られた。収量7.0mg(30%);H−NMR(400MHz,CDOD)δ:1.15(d,3H,J=6.75Hz),1.36(d,3H,J=5.9Hz),2.10(m,2H),3.3(m,2H),3.45(m,1H),4.01(q,2H,J=6Hz),4.06(m,2H),4.48(d,1H,J=3Hz),5.93(d,1H,J=3Hz),5.98(m,1H),),6.12(m,1H),6.18(d,1H,J=3Hz),6.32(s,1H,J=12Hz),6.87(s,1H,J=16Hz)。31P NMR(400MHz,CDOD)δ:2.60(s,1P)。MS m/e:(m−1)484。
【0272】
(化合物065)
【0273】
【化72】

化合物055を、上に示される化合物006の合成と類似の様式で合成した。055(5.3g,7.95mmol)および2,6−ルチジン(2.3ml,19.87mmol)の溶液に、TBSOTf(2.19ml,9.54mmol)を室温で滴下した。この反応混合物を水性重炭酸ナトリウムでクエンチし、そしてその水性物質を酢酸エチルで抽出した。その有機物質を合わせ、そしてNaSOで乾燥させた。乾燥させた溶液を濾過し、そして減圧中で濃縮した。ヘキサン中5%〜10%の酢酸エチルで溶出するSiOでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによるこの残渣の精製により、5.26gの所望の生成物である化合物056を得た。
【0274】
メタノール(100ml)中の056(5.26g,6.73mmol)に、をKCO(1.86g)室温で添加した。この反応混合物を2時間攪拌し、そして減圧中で濃縮した。ヘキサン中10%の酢酸エチルで溶出するSiOでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによるこの残渣の精製により、2.48gの所望の生成物057を得た。
【0275】
塩化メチレン(20ml)中の057(2.48g,3.56mmol)およびピリジン(0.86ml)に、TfO(0.72ml)を0℃で滴下した。この反応混合物を室温まで温め、そして2時間攪拌した。この反応を水性NaHCOでクエンチした。その水層を酢酸エチルで抽出し、そしてMgSOで乾燥させた。乾燥させた溶液を濾過し、そして減圧中で濃縮した。ヘキサン中5%〜10%の酢酸エチルで溶出するSiOでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによるこの残渣の精製により、2.77gの所望の生成物058を得た。
【0276】
【化73】

化合物058(1.74g,2.1mmol)、化合物059(0.62g)および(rac)−BINAP(196.1mg)を100mlの丸底反応フラスコ中に量り取り、トルエンとの共沸により乾燥させた。Pd(OAc)(47.1mg)およびCsCO(821.1mg)をドライボックス中でこの反応フラスコ中に量り取った。このフラスコをドライボックスから取り出し、そして脱気トルエン(20ml)を添加した。この反応混合物を80℃で15時間加熱し、そして減圧中で濃縮した。ヘキサン中5%〜10%の酢酸エチルで溶出するSiOでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによるこの残渣の精製により、1.64gの所望の生成物060を得た。
【0277】
イミダゾールHCl(659.0mg)をTBAF(THF中1.0Mの,12.6ml)に溶解することにより、緩衝化TBAFを調製した。060(1.67g)の緩衝化TBAF中の溶液を60℃まで加熱し、そして60時間攪拌した。この反応を水性NHClによりクエンチした。この水性物質をエーテルで抽出した。その有機物質を合わせ、そしてNaSOで乾燥させた。乾燥させた溶液を濾過し、そして減圧中で濃縮した。ヘキサン中10%〜30%の酢酸エチルで溶出するSiOでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによるこの残渣の精製により、0.80gの所望の生成物061を得た。
【0278】
t−BuOK(1.31ml,THF中1.0M)のTHF(9ml)中の溶液に、THF(3ml)中の化合物061(710mg,0.87mmol)をゆっくりと0℃で添加し、次いで2mlのTHFですすいだ。出発物質の添加が完了した後に、THF(2ml)中のTBSCl(138.7mg)を0℃で添加した。この反応を20分でクエンチし、そしてその水性物質をAcOEtで抽出した。その有機物質を合わせ、そしてNaSOで乾燥させた。乾燥させた溶液を濾過し、そして減圧中で濃縮した。ヘキサン中10%の酢酸エチルで溶出するSiOでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによるこの残渣の精製により、401.3mgの所望の生成物である化合物062を得た。
【0279】
塩化メチレンおよび水(10ml,4:1混合物)中の062(401.3mg,0.46mmol)に、DDQ(128.0mg)を添加し、そして室温で2時間攪拌した。この反応を水性NaSOおよびNaHCOでクエンチした。その水性物質をAcOEtで抽出した。その有機物質を合わせ、そしてNaSOで乾燥させた。乾燥させた溶液を濾過し、そして減圧中で濃縮した。ヘキサン中10%の酢酸エチルで溶出するSiOでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによるこの残渣の精製により、335.4mgの所望の生成物063を得た。
【0280】
塩化メチレン(8ml)中の063(335.4mg,0.45mmol)およびピリジン(54.4μl)に、Dess−Martinペルヨージナン(259.2mg)を室温で添加した。この反応混合物を1時間攪拌し、そして水性NaHCOでクエンチした。その水性物質をAcOEtで抽出した。その有機物質を合わせ、そしてNaSOで乾燥させた。乾燥させた溶液を濾過し、そして減圧中で濃縮した。ヘキサン中10%の酢酸エチルで溶出するSiOでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによるこの残渣の精製により、232.5mgの所望の生成物064を得た。
【0281】
トルエン/水(1ml/0.035ml)中の064(47.1mg,0.063mmol)に、CFSOH(16.8μl)を0℃で添加した。この反応混合物を1.5時間攪拌し、そして室温まで温めた。さらなるTfOH(16.8μl)を添加し、そしてこの反応を5分で飽和水性NaHCOでクエンチした。この水性物質をAcOEtで抽出した。その有機物質を合わせ、そしてNaSOで乾燥させた。乾燥させた溶液を濾過し、そして減圧中で濃縮した。塩化メチレン中10%のメタノールで溶出するSiOでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによるこの残渣の精製により、7.4mgの所望の生成物065を得た。HNMR(CDOD):6.92,(d,J=15.6Hz,1H),6.36,(s,1H),6.35(s,1H),6.34(d,J=11.6Hz,1H),6.32(d,J=15.2Hz),6.13(dd,J=11.6,10.0Hz,1H),6.04−5.96(m,1H),4.96−4.86(m,1H),4.48(d,J=2.0Hz,1H).4.08−4.02(m,1H),3.95−3.87(m,2H),3.86−3.79(m,1H),3.64−3.53(m,2H),3.52−3.43(m,1H),2.18−2.02(m,2H),1.38(d,J=6.4Hz,3H),1.16(d,J=7.2Hz.3H)。
【0282】
(化合物069)
【0283】
【化74】

丸底フラスコに、057(2.331g,0.003345mol)、トリフェニルホスフィン(1.14g,0.00435mol)およびテトラヒドロフラン(13.6mL,0.167mol)を添加した。この混合物を窒素雰囲気下で0℃まで冷却した。イミダゾールエタノールフラグメント(0.450g,0.00401mol)を添加し、続いてアゾジカルボン酸ジエチル(0.685mL,0.00435mol)を添加した。この反応物を、攪拌しながら室温までゆっくりと温めた。TLC試験は、いくらかの未反応出発物質と一緒に、意図される生成物スポットを明らかにした。この反応物を0℃まで冷却し、そしてさらに0.2当量のアミン、トリフェニルホスフィン、およびDEADを添加した。氷浴を取り除き、そして反応物を室温まで温めた。30分後、TLCは、この反応が完了し、そして全ての出発物質が消費されたことを示した。全ての溶媒を高真空下で除去した。その残渣をMTBEに溶解し、この混合物を氷浴中で冷却し、そしていくらかのリン酸トリフェニルを濾別した。その残渣を40gのカラムで、0−5%MeOH/DCMを使用して精製した。化合物066を含む生成物画分を合わせ、そして濃縮して残渣にした。収量:3.65g(100%)。
【0284】
TBS保護基をイミダゾール塩酸塩で緩衝化したTBAFを用いて除去し、化合物067全ての収量は約2.0g(90%)であった。
【0285】
化合物068を、化合物007の合成において使用された手順と同じ手順を使用して、067から生成した。全てのバッチを合わせて、総収量は467mg(50%)であった。
【0286】
中間体化合物068をDDQで脱保護し、次いでDess−Martin試薬で酸化し、そしてTfOHで脱保護して、生成物である化合物069(100mg)を得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ1.19(d,J=7.2Hz,3H),1.43(d,J=6.0Hz,3H),2.10−2.25(m,2H),3.58−3.65(m,1H),4.00−4.03(m,1H),4.22(t,J=5.2Hz,2H),4.34(t,J=5.2Hz,2H),4.50(d,J=2.4,1H),4.88−4.95(m,1H),5.96−6.03(m,1H),6.14(dd,J=9.6,11.2Hz,1H),6.22(d,J=11.6,1H),6.33(d,J=2.4Hz,1H),6.37(d,J=2.8Hz),6.86(d,J=15.6Hz,1H),7.03(s,1H),7.08(s,1H),12.17(s,1H)。
【0287】
(化合物076)
【0288】
【化75】

上記のように合成した化合物058(459.7mg,0.55mmol)、化合物070(104.6mg)および(rac)−BINAP(51.8mg)を、25mlの丸底反応フラスコ中に量り取り、そしてトルエンとの共沸により乾燥させた。Pd(OAc)(12.4mg)およびCsCO(216.8mg)を、ドライボックス中でこの反応フラスコに量り取った。このフラスコをドライボックスから取り出し、そして脱気トルエン(3ml)を添加した。この反応混合物を80℃で60時間加熱し、そして減圧中で濃縮した。ヘキサン中5%〜10%の酢酸エチルで溶出するSiOでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによるこの残渣の精製により、247.5mgの所望の生成物である化合物071を得た。
【0289】
イミダゾールHCl(108.3mg)をTBAF(THF中1.0M,2.1ml)に溶解することにより、緩衝化TBAFを調製した。071(247.5mg,0.3mmol)の緩衝化TBAF中の溶液を60℃まで加熱し、そして36時間攪拌した。この反応を水性NHClによりクエンチした。その水性物質をエーテルで抽出した。その有機物を合わせ、そしてNaSOで乾燥させた。乾燥させた溶液を濾過し、そして減圧中で濃縮した。ヘキサン中10%〜20%の酢酸エチルで溶出するSiOでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによるこの残渣の精製により、116.6mgの所望の生成物である化合物072を得た。
【0290】
t−BuOK(0.24ml,THF中1.0M)のTHF(2ml)中の溶液に、THF(1ml)中の072(116.6mg,0.16mmol)をゆっくりと0℃で添加し、そして2mlのTHFですすいだ。出発物質の添加が完了した後に、THF(2ml)中のTBSCl(25.6mg)を0℃で添加した。この反応を20分でクエンチし、そしてその水性物質をAcOEtで抽出した。その有機物質を合わせ、そしてNaSOで乾燥させた。乾燥させた溶液を濾過し、そして減圧中で濃縮した。ヘキサン中30%の酢酸エチルで展開するpTLCによるこの残渣の精製により、40.0mgの所望の生成物である化合物073を得た。
【0291】
【化76】

塩化メチレンおよび水(2ml,4:1混合物)中の化合物073(40.0mg,0.051mmol)に、DDQ(14.2mg)を添加し、そして室温で一晩攪拌した。この反応を水性NaSOおよびNaHCOでクエンチした。この水性物質をAcOEtで抽出した。その有機物質を合わせ、そしてNaSOで乾燥させた。乾燥させた溶液を濾過し、そして減圧中で濃縮した。ヘキサン中20%の酢酸エチルで展開するpTLCによるこの残渣の精製により、25.0mgの所望の生成物である化合物074を得た。
【0292】
塩化メチレン(2ml)中の化合物074(25.0mg,0.038mmol)およびピリジン(6.1μl)に、Dess−Martinペルヨージナン(31.0mg)を室温で添加した。この反応混合物を5時間攪拌し、そして水性NaHCOでクエンチした。この水性物質をAcOEtで抽出した。その有機物質を合わせ、そしてNaSOで乾燥させた。乾燥させた溶液を濾過し、そして減圧中で濃縮した。ヘキサン中30%の酢酸エチルで展開するpTLCによるこの残渣の精製により、24.0mgの所望の生成物である化合物075を得た。
【0293】
トルエン/水(1ml/0.035ml)中の化合物075(24.0mg,0.037mmol)に、CFSOH(19.4μl)を0℃で添加した。この反応混合物を10分間攪拌し、そして室温まで温めた。この反応を1時間で、飽和水性NaHCOでクエンチした。その水性物質をAcOEtで抽出した。その有機物質を合わせ、そしてNaSOで乾燥させた。乾燥させた溶液を濾過し、そして減圧中で濃縮した。塩化メチレン中10%のメタノールで溶出するpTLCによるこの残渣の精製により、2.4mgの所望の生成物である化合物076を得た。HNMR(CDCl):6.86(d,J=15.2Hz,1H),6.29(d,J=2.8Hz,1H),6.26−6.12(m,3H),5.99−5.90(m,1H),4.94−4.84(m,1H),4.56−4.46(m,2H),4.06−3.98(m,1H),3.84(d,J=5.6Hz,1H),3.65−3.54(m,1H),2.50−2.42(m,2H),2.24−2.08(m,2H),1.42(d,J=6.0Hz,3H),1.26(t,J=7.2Hz,1H),1.18(d,J=6.8Hz,3H),0.82−0.76(m,2H),0.56−0.51(m,2H)。
【0294】
(化合物081)
【0295】
【化77】

DEADを、化合物077a、PhPおよび2−TMS−エタノールのトルエン中の溶液に0℃で添加した。この混合物を室温で1時間攪拌し、その後、これを水性NaHCOでクエンチした。その有機相を乾燥させ(NaSO)、濃縮し、そしてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、077bを得た。
【0296】
MOM−Cl(2.8mL,37mmol)を、077b(2.1g,7.4mmol)およびDBU(7.1mL,48mmol)の、10mLのCHCl中の溶液に0℃で添加した。この混合物を室温で15分間攪拌し、その後、その有機相をNaHCOで洗浄し、濃縮し、そしてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物078(1.8g,5.5mmol)をシリカゲルプラグから74%の収率で得た。
【0297】
ヘキサン中2.5Mのn−BuLiを、THF中のジイソプロピルアミンの攪拌溶液に−5℃で滴下により導入した。この溶液を0℃で30分間攪拌し、その後、これを−78℃まで冷却した。THF中の化合物078を、冷LDAに、その内部温度が−78℃未満に維持されるようにゆっくりと添加した。この混合物を−78℃で45分間攪拌し、次いで、THF中の(PhSe)を、その内部温度が−60℃未満に維持されるようにゆっくりと添加した。この反応混合物を40分間攪拌し、その後、これを水性NHClで−78℃でクエンチした。EtOAcを、この反応混合物に室温で添加した。分離後、その有機層を乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。トルエン中5%のEtOAcを使用して、079をシリカゲルカラムから溶出させた。
【0298】
【化78】

2.5NのNaOHをEtOH中の079に添加した。この混合物を12時間還流し、その後、これを酸性化し、そしてEtOAcで抽出した。有機相を乾燥させ(NaSO)、そして濃縮して、固体080を得た。DEADを、080、PhPおよび2−TMS−エタノールのトルエン中の溶液に0℃で添加した。この混合物を室温で1時間攪拌し、その後、これを水性NaHCOでクエンチした。その有機相を乾燥させ(NaSO)、濃縮し、そしてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物081を得た。
【0299】
(化合物087)
【0300】
【化79】

THF中のLiHMDSを、化合物081および082の、10:1 THF−HMPA中の冷(−78℃)溶液に滴下により導入した。この添加中、その内部温度を−70℃未満に維持した。この混合物を−78℃で約30分間攪拌し、その後、これを水性NHClでクエンチし、そしてEtOAcで希釈した。有機相を乾燥させ(NaSO)、濃縮し、そしてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、083(1.9g,1.6mmol)を82%の収率で得た。
【0301】
m−CPBA(1.0g,4.2mmol)を、CHCl中の083の冷(0℃)溶液に3回に分けて添加した。この混合物を0℃で1時間攪拌し、その後、EtNを添加した。この反応混合物を室温で1時間攪拌した後に、これを水性Naでクエンチし、そして水性NaHCOで希釈した。その有機相を乾燥させ(NaSO)、濃縮し、そしてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物084を得た。
【0302】
0.33モル当量のイミダゾール・HClで緩衝化したTBAFの溶液中に、THF中の084の溶液を導入した。この混合物を50℃で12時間攪拌し、その後、これをEtOで希釈し、そして水性NHClで洗浄した。有機相を乾燥させ(NaSO)、そして濃縮して粗製085を得、これをCHClに溶解し、そして2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨージドおよびn−BuNの、CHCl中の還流混合物に滴下した。この混合物を2時間還流し、その後、これをEtOで希釈し、そして0.05N HCl、HOおよびNaHCOで洗浄した。有機相を乾燥させ(NaSO)、濃縮し、そしてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物086を得た。
【0303】
THF中のTBAF(7.0mL,7.0mmol)を、7mLのTHF中の086の溶液(0.87g,1.3mmol)に導入した。この混合物を室温で4時間攪拌し、その後、これをEtOで希釈し、そしてブラインで洗浄した。有機相を乾燥させ(NaSO)、濃縮し、そしてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物087(0.43g,0.78mmol)を3工程で58%の収率で得た。
【0304】
(化合物091)
【0305】
【化80】

TfO(0.42ML,2.5mmol)を、087(0.95g,1.7mmol)およびEtN(0.58ML,4.2mmol)の、20MLのCHCl中の溶液に、0℃で添加した。この混合物を10分間攪拌し、その後、水性NaHCOを添加した。その水層をCHClで2回抽出した。その有機相を濃縮し、そしてシリカゲルのショートプラグに通した(20% EtOAc/Hex)。
【0306】
このように得られたトリフレートを、Pd(OAc)(19mg,0.08mmol)、BINAP(64mg,0.10mmol)およびCsCO(0.66g,2.0mmol)に、ドライボックス中で添加した。ベンゾフェノンイミン(0.32ML,1.9mmol)および30mLのトルエンを窒素下で添加し、その後、この混合物を90℃で14時間加熱した。次いで、この混合物をEtOAcおよびブラインで希釈した。その有機層を乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。
【0307】
得られた粗製物質を8mLのMeOHおよび5mLのTHFに溶解し、その後、NaOAc(0.56g,6.8mmol)およびNHOH・HCl(0.24g,3.4mmol)を室温で添加した。50分後、EtOAcおよびブラインを添加した。その有機層を乾燥させ(NaSO)、濃縮し、そしてシリカゲル(30 EtOAc/Hex)で精製して、結晶性化合物088(0.88g,1.6mmol)を生成した。
【0308】
LiHMDS(THF中1N,8.0mmol)を、16mLのTHF中の088(0.88g,1.6mmol)の溶液に、−55℃〜−50℃でゆっくりと添加した。この混合物を−45℃で5分間攪拌し、その後、BOCO(0.38mL,1.8mmol)を添加した。この混合物を−40℃で30分間攪拌した後に、MeI(0.60mL,9.6mmol)を添加した。10分後、この混合物を2時間かけて室温まで温めた。この混合物を−35℃まで再度冷却し、そして72mLの1N NaOHおよび48mLのEtOHを添加した。これを45℃で12時間加熱した後に、この混合物を100mLの水および150mLのCHClで希釈した。その水層を50mLのCHClで2回抽出した。その有機層を濃縮し、そしてシリカゲルクロマトグラフィー(30% EtOAc/Hex)により精製して、無色ゲル089(0.58g,1.0mmol)を得た。
【0309】
化合物089(0.40g,0.71mmol)、PCC(0.46g,2.1mmol)、4Aモレキュラーシーブ(0.50g)、およびセライト(0.50g)の、8MLのCHCl中の懸濁物を室温で2.5時間攪拌し、その後、EtN(0.29ML,2.1mmol)を添加した。5分後、30mLのEtOを添加し、そしてこの混合物を濾過した。この濾液を濃縮し、そしてショートシリカゲルプラグに通して(75% EtOAc/Hex)、無色の結晶性090(0.35g,0.63mmol)を得た。
【0310】
TFA(5%水,6ML)を、化合物090(0.35g,0.63mmol)のCHCl中の溶液に、−35℃でゆっくりと添加した。この混合物を−20℃で1時間攪拌し、その後、飽和水性NaHCO(PH約8)およびCHClを添加した。その水層をCHClで2回抽出した。その有機層を乾燥させ(NaSO)、濃縮し、そしてシリカゲルクロマトグラフィー(75% EtOAc/Hex)により精製して、化合物091(124mg,0.33mmol)を全8工程で25%の収率で得た。NMR:H−NMRδ(ベンゼン−d)0.80(d,J=6.8Hz,3H,C4−CH),1.02(d,J=6.0Hz,3H,C3−CH),2.07(d,J=5.1Hz,3H,NCH),2.11(m,2H,10−CH),2.26(d,J=11.3Hz,1H,C9−OH),3.06(m,1H,NH),3.44(m,1H,4−CH),3.82(d,J=5.1Hz,1H,C8−OH),3.89(ddt,J1=11.3Hz,J2=2.8Hz,J3=7.0Hz,1H,9−CH),4.22(dd,J1=2.6Hz,J2=5.1Hz,1H,8−CH),4.67(dq,J1=6.0Hz,J2=10.4Hz,1H,3−CH),5.40(dd,J1=9.6Hz,J2=11.3Hz,1H,5−CH),5.48(d,J=11.3Hz,1H,6−CH),5.85(d,J=2.3Hz,1H,芳香族CH),6.00(dt,J1=15.2Hz,J2=7.5Hz,1H,11−CH),6.13(d,J=2.3Hz,1H,芳香族CH),6.98(d,J=15.4Hz,1H,12−CH),13.03(s,1H,フェノール)。MS:398(MNa,100%)。
【0311】
(化合物092)
【0312】
【化81】

化合物091(16mg)のCHCN中の溶液に、DMAP(20mg)を添加した。次いで、この溶液を60℃で3時間攪拌し、次いで室温で12時間攪拌した。この粗製混合物をシリカゲルで精製し、そして所望の生成物092(13mg)を60% EtOAc/ヘキサンで溶出した。HNMR(ベンゼン−d):6.79(2H,dd,J=16.0Hz,J=5.95Hz);6.09(1H,d,J=2.3Hz);5.92(1H,dd,J=16.0Hz,J=1.4Hz);5.82(1H,m);5.81(1H,d,J=2.3Hz);4.98(1H,m);4.42(1H,m);3.97(1H,m);3.80(1H,d,J=5.7Hz);3.04(1H,m);2.37(2H,m);2.04(3H,d,J=5.7Hz);2.04(1H,m);1.67(1H,m);0.86(3H,d,J=7.1Hz);0.56(3H,d,J=7.1Hz)。2つのエノンオレフィンの水素のカップリング定数は、091における11Hzから092においては16Hzに変化したことに留意のこと。
【0313】
(化合物106)
【0314】
【化82】

093(165.9g,265mmol)の、2.65Lのヘキサン中の溶液に、キノリン(2.65mL)およびLindlar触媒(28.2g,13.3mmol,0.05当量)を添加した。この混合物を減圧下で繰り返し脱気し、そして窒素(3x)および水素(3x)を再度充填した。水素化装置の水素の取り込みを0.114molに設定し、そしてこの反応をMS/H NMRにより監視した。この反応を一晩進行させた後に、その懸濁物を濾過し、そして触媒および水素を再充填した。3日後、この反応物をセライトで濾過した。その濾液を濃縮し、そしてシリカゲルで精製して、104gの094を油状物として得た。
【0315】
094(67.4g,107mmol)の溶液に、MPMCl(21.9mL,161mmol,1.5当量)およびTHF中NaHMDSの1M溶液(140mL,140mmol,1.3当量)を、シリンジポンプでゆっくりと2時間かけて0℃で添加した。この混合物を0℃で1.5時間攪拌した後に、これを飽和NHClで0℃でクエンチし、そして室温まで温めた。この混合物をEtOAcで3回抽出し、そしてその抽出物を水およびブラインで洗浄し、次いで乾燥させ、そして濃縮した。この粗製生成物をシリカゲルで精製して、095を定量的に得た。
【0316】
095(119.6g,160mmol)を、メタノール中10%のNaOH(3.2L,v/v)と3.5mLの水との混合物に溶解した。この反応物を45℃で48時間加熱した。冷却後、これを9LのCHClで希釈し、水で2回、飽和NHClで1回、およびブラインで1回洗浄し、次いで乾燥させ、そして濃縮した。この粗製生成物を10%〜25%〜35%のEtOAc/ヘキサンでシリカゲルで精製して、096(78g,収率96%)を得た。
【0317】
【化83】

(COCl)(25mL,295mmol,2当量)のCHCl(870mL)中の溶液に、DMSO(41.85mL,590mmol,4当量)を−78℃でゆっくりと添加した。−78℃で30分間攪拌した後に、096(75g,147.4mmol)のCHCl(160mL)中の溶液を45分間かけて添加した。この混合物を−78℃で45分間攪拌した後に、EtN(82.2mL,590mmol,4当量)を同じ温度で添加した。この反応物をさらに30分間攪拌した後に、これを1.5時間かけて0℃まで温めた。この反応を750mLの飽和NHClでクエンチし、そしてEtOAcで3回抽出した。この抽出物を乾燥させ、そして濃縮した。この粗製生成物をEtOAc/ヘキサンの1:1溶液2.5Lで再度懸濁させ、水で3回、そしてブラインで1回洗浄し、次いで乾燥させ、そして濃縮した。粗製生成物097を次の工程で直接使用した。
【0318】
PhPCHBr(115.8mL,324.3mmol,2.2当量)の、THF(870mL)とDMSO(433.6mL)との混合物中の懸濁物に、n−BuLi(1.6Mの溶液184.3mL,294.8mmol,2当量)を0℃で添加した。1時間攪拌した後に、097の溶液(175mLのTHF中74.7g,147.4mmol)を0℃で添加した。30分後、これを室温まで温めた。2時間後、これを1.1Lの飽和NHClでクエンチし、そしてEtOAcで3回抽出した。この抽出物を水およびブラインで洗浄し次いで乾燥させ、そして濃縮した。この粗製生成物を5%〜10%のEtOAc/ヘキサンでシリカゲルで精製して、66.5gの098を油状物として得た(収率89%)。
【0319】
098(2.5g,4.95mmol)およびトリフレート003(2.7g,6.4mmol,1.3当量)の混合物に、Pd(dba)(1.36g,1.48mmol,0.3当量)をドライボックス中で添加した。この混合物をドライボックスから取り出した後に、これを8.3mLのジオキサン中に懸濁させ、そしてN−メチルN−ジシクロヘキサンアミン(2.1mL,9.9mmol,2当量)を添加した。この反応物を激しく攪拌しながら、100℃で12時間加熱した。冷却後、6gのセライトを添加し、そしてEtOAcで希釈した。この混合物をセライトプラグで濾過し、そしてEtOAcですすいだ。その濾液を濃縮した。この粗製生成物を10%〜20%のEtOAc/ヘキサンでシリカゲルで精製して、3gの純粋な099(収率76%)を得た。
【0320】
【化84】

099(46.3g,58.16mmol)のDMPU(291mL)中の溶液に、LiHMDS(THF中1M溶液116mL,116.3mmol,2当量)を0℃で添加した。この混合物を同じ温度で40分間攪拌した後に、EtI(27.9mL,349mmol,6当量)を添加した。5分後、この混合物を室温まで温めた。この混合物を3時間攪拌した後に、これを1Lの飽和NHClで0℃でクエンチした。この混合物をMTBE/ヘキサン(1:1)で抽出した。この抽出物をブラインで洗浄し、次いで乾燥させ、そして濃縮した。この粗製生成物を15%〜20%のEtOAc/ヘキサンでシリカゲルで精製して、40gの所望の生成物100(収率84%)を得た。
【0321】
100(48g,58.2mmol)の、230mL中の溶液に、TBAFの溶液(407mLの1M溶液,407mmol,7当量)およびイミダゾール・HCl(21.3g,203.9mmol,3.5当量)を添加した。この反応物を60℃で72時間加熱した。この混合物を室温まで冷却した後に、これを飽和NHClでクエンチし、そしてエーテルで3回抽出した。その有機層を水およびブラインで洗浄し、次いで乾燥させ、そして濃縮した。この粗製生成物を20%〜30%のEtOAc/ヘキサンでシリカゲルで精製して、31.4g(収率76%)の101を得た。
【0322】
101(20.3g,28.6g)の、3LのTHF中の溶液に、0.5MのKHMDS溶液(60mL,30mmol,1.05当量)を、シリンジポンプにより120分間かけてゆっくりと添加した。この混合物を5分間攪拌した後に、これを1.5Lの飽和NHClでクエンチした。この混合物をエーテルで3回抽出した。この抽出物をブラインで洗浄し次いで乾燥させ、そして濃縮した。この粗製生成物を10%〜20%〜50%のEtOAc/ヘキサンでシリカゲルで精製して、14.2gの102(収率76%)を得た。
【0323】
【化85】

102(19g,29.15mmol)のDMF(194mL)中の溶液に、イミダゾール(4g,58.3mmol,2当量)およびTBSCl(5.27g,35mmol,1.2当量)を添加した。この混合物を一晩攪拌した後に、これをNaHCOの飽和水溶液および水でクエンチした。この混合物をEtOAcで抽出した。その有機層を水およびブラインで洗浄し次いで乾燥させ、そして濃縮した。この粗製生成物をシリカゲルカラムで精製して、22g(収率99%)の103を得た。
【0324】
103(22g,28.7mmol)の、CHCl(230mL)とHO(57.4mL)との混合物中の溶液に、DDQ(9.78g,43mmol,1.5当量)を0℃で添加した。この混合物を2時間攪拌した後に、これを水性飽和NaHCOと10%水性Naとの1Lの1:1混合物でクエンチした。この混合物を3回、それぞれエーテルで抽出した。この抽出物をブラインで洗浄し、次いで乾燥させ、そして濃縮した。この粗製生成物をシリカゲルで精製して、18.1gの104を得た。
【0325】
104(18g,27.9mmol)の279mLのCHCl中の溶液に、乾燥させた4Åモレキュラーシーブ(18g)およびPCC(18g)を添加した。この混合物を90分間攪拌した後に、これをEtN(19.45mL)でクエンチした。この反応混合物をセライトのプラグで濾過し、そしてこのプラグをヘキサン中75%のEtOAc(900mL)ですすいだ。その濾液を濃縮した。この粗製生成物を、シリカゲルカラムで10%〜15%〜20%のEtOAc/ヘキサンを用いて精製して、14.6g(81%)の105を得た。
【0326】
2Lのフラスコ中で、105(8.5g,13.2mmol)をCHCl(82.5mL)に溶解し、そしてこの混合物を0℃まで冷却した。5% HO/TFA(4.1/78.1mL)の溶液をゆっくりと(約30分間)添加し、そしてこの混合物を0℃で14.5時間攪拌した。この反応をTLCにより監視した。この反応混合物をCHClで0℃で希釈した。次いで、この反応を水中NaHCOの溶液(TFAと比較して約1.2当量)でクエンチした。この反応物を室温まで冷却し、そしてCHClで3回抽出し、NaSOで乾燥させた。次いで、この溶液を濾過し、そして濃縮した。Si−Gelでの、50%〜60%〜75%のEtOAc/ヘキサンでのクロマトグラフィーにより、106を得た。4.8g,収率93%。NMR:H−NMRδ(ベンゼン−d)0.65(t,J=7.2Hz,3H,NCHCH),0.81(d,J=7.0Hz,3H,C4−CH),1.03(d,J=6.0Hz,3H,C3−CH),2.12(m,2H,10−CH),2.35(d,J=10.9Hz,1H,C9−OH),2.52(dt,J1=5.3Hz,J2=7.2Hz,2H,NCHCH),3.22(t,J=5.1Hz,1H,NH),3.44(m,1H,4−CH),3.89(m,2H,9−CHおよびC8−OH),4.24(dd,J1=2.4Hz,J2=4.8Hz,1H,8−CH),4.67(dq,J1=6.0Hz,J2=10.4Hz,1H,3−CH),5.40(dd,J1=9.7Hz,J2=11.4Hz,1H,5−CH),5.49(d,J=11.5Hz,1H,6−CH),5.84(d,J=2.3Hz,1H,芳香族CH),6.01(m,1H,11−CH),6.17(d,J=2.5Hz,1H,芳香族CH),6.97(d,J=15.2Hz,1H,12−CH),13.05(s,1H,フェノール)。
【0327】
(化合物114)
【0328】
【化86】

003(2.914g,6.60mmol)の1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(20.0mL,0.166mol)中の溶液に、0℃〜−5℃でリチウムヘキサメチルジシラジド(8.0mL,THF中1.0M)を添加した。この反応混合物を30分間攪拌および冷却した後に、この溶液に3−ヨード−1−プロペン(0.74mL,7.9mmol)を添加した。得られた溶液を室温まで温め、そして4時間攪拌した。この反応混合物をエーテルで希釈し、10.0mlの1.0N HClを添加し、エーテルで抽出した。合わせたエーテル溶液を飽和重炭酸塩(30mL)、およびブライン(20mL)で洗浄し、そしてMgSOで乾燥させた。10,15%のEtOAc/ヘキサンでのクロマトグラフィーによる精製により、化合物107(2.4g,75%)を白色固体として得た。
【0329】
化合物107のt−BuOH:THF:水(100.0mL,t−BuOH:THF:水=10:3:1)中の溶液に、室温でN−メチルモルホリンN−オキシド(0.79g,6.7mmol)および四酸化オスミウム(1.70g,0.167mmol)を添加した。この反応混合物を室温で2時間攪拌した後、反応はゆっくりと進行した。この反応混合物にさらなる四酸化オスミウム(4.71g,0.463mmol)を添加した。この反応混合物を室温で一晩攪拌した。この反応混合物をEtOAc(250mL)で希釈し、そしてチオ硫酸ナトリウム(10%,150mL)を添加した。この反応混合物を、水性物質をEtOAc(2x250ml)で抽出し、乾燥させ、そして濃縮した。溶媒のエバポレーションにより化合物108(1.8g,70%)を得た。
【0330】
108のアセトン(20mL)中の溶液に、2,2−ジメトキシプロパン(2.0mL,0.016mol)およびPTS(110mg)を添加した。この反応混合物を室温で30分間攪拌した。次いで、この反応混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、5% NaOH(40mL)で洗浄した。この水性物質をEtOAc(3x50mL)で抽出した。合わせた有機溶媒を濃縮した。クロマトグラフィーでの精製(20%〜30% EtOAc/ヘキサン)により化合物109(1.63g,84%)を油状物として得た。
【0331】
【化87】

10mlのフラスコに、化合物005(0.9624g,0.002464mol)および109(1.45g,0.00261mol)を添加し、この混合物を高真空下で乾燥させた。この混合物に、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(0.677g,0.000739mol)、およびN−メチルピロリジノン(2.50mL,0.0259mol)およびN−シクロヘキシル−N−メチル−シクロヘキサンアミン(1.06mL,0.00493mol)を添加した。この反応混合物を80℃で一晩攪拌した。この反応物を室温まで冷却し、そしてTBMEで希釈した。この有機溶液を1N HCl、ブラインで洗浄し、そして減圧下で濃縮した。クロマトグラフィーでの精製(20% EtOAc/ヘキサン)により化合物110(1.73g,88%)を得た。
【0332】
50mLの丸底フラスコ中の、1.0Mカリウムtert−ブトキシド(3.2mL,3.2mmol)のTHF(10.0mL)中の溶液に、0℃で化合物110(1.72g,2.16mmol)のTHF(5.0mL)中の溶液をシリンジポンプを介して添加した。化合物110の添加後、この反応混合物を10分間攪拌し、そしてTHF(5.0mL)中のtert−ブチルジメチルシリルクロリド(490mg,0.0032mol)で0℃でクエンチした。この反応混合物を水で希釈し、そしてEtOAcで抽出した。クロマトグラフィーでの精製(20% EtOAc/ヘキサン)により化合物111(0.64g,35%)を得た。
【0333】
111(0.65g,0.00076mol)のDCM(8.0mL)の溶液に、0℃で水(2.0mL)および2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノヒドロキノン(0.245g,0.00106mol)を添加した。この反応混合物を室温で3時間攪拌した。TLC(30% EtOAc/ヘキサン)を確認した後に、この反応を飽和重炭酸塩中のチオ硫酸ナトリウムでクエンチした。この反応混合物をTBMEで抽出し、乾燥させ、そして濃縮した。クロマトグラフィーでの精製(20%〜40% EtOAc/ヘキサン)により化合物112(0.557g,100%)を得た。
【0334】
【化88】

化合物112(111.2mg,0.0001519mol)のDCM(1.0mL)中の溶液に、ピリジン(18μl,0.00023mol)およびDess−Martinペルヨージナン(0.077g,0.00018mol)を0℃で添加した。この反応混合物を0℃で30分間攪拌した。依然として、いくらかの出発物質がTLCにより検出された。次いで、この反応混合物を室温まで温め、そして30分間攪拌した。次いで、この反応混合物を30% EtOAc/ヘキサンで希釈し、得られた溶液をシリコンプラグで濾過し、そして30% EtOAc/ヘキサンで洗浄した。クロマトグラフィーでの精製(30% EtOAc/ヘキサン)により化合物113(103.8mg,94%)を得た。
【0335】
113(101.5mg,0.0001390mol)のDCM(1.0mL)の溶液に、水(20マイクロリットル)およびトリフルオロメタンスルホン酸(61.5μl,0.000695mol)を0℃で添加した。この反応混合物を0℃で20分間攪拌し、そして室温まで温め、そしてさらに30分間攪拌した。この反応混合物を飽和重炭酸ナトリウムでクエンチし、そしてDCMで抽出した。クロマトグラフィーでの精製(5%MeOH/DCM)により化合物114(42.0mg,69.4%)を得た。HNMR(CDOD):6.86(d,J=15.6Hz,1H),6.30(d,J=11.6Hz,1H),6.10−6.18(m,2H),5.93−6.00(m,2H),4.47(d,J=2.0Hz 1H),4.04(t,J=2.8Hz,1H),3.78(m,1H),3.55(m,2H),3.43(m,1H),3.30(m,3H),3.08(m,1H),2.08(m,2H),1.35(d,J=5.6Hz,3H),1.14(d,J=7.2Hz,3H)。質量457.95(実測値)。
【0336】
(化合物122)
【0337】
【化89】

トリエチルシラン(510μl,0.0032mol)およびトリフルオロ酢酸(75μl,0.97mmol)を003(176mg,0.399mmol)のDCM(3.0mL)中の溶液に0℃で添加した。この反応混合物を0℃で1時間攪拌し、TLC(30% EtOAc/Hex)の確認後、依然として、多くの出発物質が残っていた。この反応混合物を室温まで温め、そして周囲温度で一晩攪拌した。TLCの確認により、さほど進行していなかった。この反応混合物にさらなるTFA(1.0mL)を0℃で添加した。この反応混合物を室温で30分間攪拌した。TLCによれば、出発物質が存在しなかった。この反応混合物を飽和重炭酸塩に注ぎ、EtOAc(3x20mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、そして濾過した。この混合物を濃縮し、そして分取TLC(30%EtOAc/ヘキサン)での精製により化合物115(0.107g,79%)を得た。
【0338】
トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.57g,0.0027mol)を、N−tert−ブトキシカルボニルピペラジン−1−カルボキシレート(448.1mg,0.002101mol)、化合物115(348.0mg,0.001020mol)、および酢酸(1300μl,0.023mol)の、THF(10.0mL)中の溶液に室温で添加した。この反応混合物を室温で5時間攪拌した。次いで、この反応混合物を、水での後処理なしで濃縮した。分取TLC(35% EtOAc/ヘキサン)を使用しての精製により化合物116(0.4164g,76%)を得た。
【0339】
ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.0251g,0.000115mol)を、化合物116(31.0mg,0.0000576mol)のDCM(1.0mL)中の溶液に添加した。この反応混合物に、4−ジメチルアミノピリジン(0.00703g,0.0000576mol)およびトリエチルアミン(8.02μl,0.0000576mol)を添加した。次いで、この反応混合物を周囲温度で一晩攪拌した。分取TLC(30% EtOAc/ヘキサン)での精製により化合物117(16.4mg,45%)を得た。
【0340】
【化90】

化合物117(0.3916g,0.0006132mol)および005(0.2422g,0.0006202mol)を反応フラスコ中で合わせ、そして高真空下で乾燥させた。トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(0.17g,0.00019mol)を、ドライボックス中で上記混合物に添加した。N−メチルピロリジノン(2.0mL,0.021mol)およびシクロヘキサンアミン、N−シクロヘキシル−N−メチル−(268μl,0.00125mol)をこの反応フラスコに添加した。この反応混合物を油浴中80℃で20時間攪拌した。この混合物をMTBEで希釈し、そして1.0M塩酸で洗浄した。この水性物質をMTBEで抽出し、そして濃縮した。クロマトグラフィーでの精製(20−40%EtOAc/ヘキサン)により化合物118(0.373g,69%)を得た。
【0341】
THF(7.2mL)中の化合物118(0.37g,0.00042mol)を、カリウムtert−ブトキシドのテトラヒドロフラン中の溶液(0.716mL,1.00M)に、テトラヒドロフラン(7.20mL,0.0888mol)中0℃で5分間かけて添加した。この反応混合物を10分間攪拌した後、出発物質は観察されなかった(TLC,30% EtOAc/ヘキサン)。この反応をTHF(1.0mL)中tert−ブチルジメチルシリルクロリド(0.108g,0.000716mol)で0℃でクエンチし、そして10分間攪拌した。クロマトグラフィーでの精製(20%EtOAc/ヘキサン)により化合物119(0.182g,46%)を得た。
【0342】
水(2.0mL)およびジクロロジシアノキノン(57.3mg,0.000252mol)を、化合物119(181.6mg,0.0001942mol)のDCM(8.0mL)中の溶液に0℃で添加した。次いで、この反応混合物を周囲温度まで温め、そして3時間攪拌した。出発物質が検出されなくなった後(TLC,30%EtOAc/ヘキサン)、この反応を1:1の10%チオ硫酸ナトリウム/飽和重炭酸塩でクエンチした。この水性物質をTBMEで抽出した。クロマトグラフィーでの精製(20%〜40% EtOAc/ヘキサン)により化合物120(0.1461g,92%)を得た。
【0343】
【化91】

化合物120(146.1mg,0.179mmol)のDCM(1.0mL)の溶液に、ピリジンおよびDess−Martinペルヨージナン(0.099g,0.23mmol)を0℃で添加した。この反応混合物を0℃で30分間攪拌し、依然として、いくらかの出発物質がTLCにより検出された。次いで、この反応混合物を室温まで温め、そして全ての出発物質が消費されるまで、周囲温度で攪拌した。次いで、この反応混合物を30% EtOAc/ヘキサンで希釈し、得られた溶液をシリコンプラグで濾過し、そして30% EtOAc/ヘキサンで洗浄した。クロマトグラフィーでの精製(30% EtOAc/ヘキサン)により化合物121(107.4mg,74%)を得た。
【0344】
化合物121(107.4mg,0.0001321mol)の塩化メチレン(1.50mL,0.0234mol)中の溶液に、水(22.4μl,0.00124mol)およびトリフルオロメタンスルホン酸(55.0μl,0.000622mol)を0℃で添加した。この反応混合物を0℃で90分間攪拌した。依然として、いくらかの出発物質が消費されなかった(TLC,10%NHOH/EtOH)。この反応混合物を室温でさらに30分間攪拌し、そして20mlのTBMEで希釈した。この反応混合物に飽和重炭酸ナトリウムを添加し、EtOAc(3x20mL)で抽出し、この水性物質をさらにEtOAc(3x20mL)で抽出した。合わせた有機溶媒を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濾過した。その粗製物質を分取TLCに装填し、そして10% NHOH/EtOHで溶出した(Rf 0.1)。所望のバンドを収集し、そして10% NHOH/EtOHですすいで、化合物122(46.8mg,77%)を得た。HNMR(CDOD):6.85(d,J=15.2Hz,1H),6.29(d,J=12.0Hz,1H),6.08−6.11(m,2H),5.91−5.98(m,2H),4.47(d,J=2.4Hz,1H),4.04(m,1H),3.46(m,1H),3.02(d,J=12.0Hz,2H),2.97(d,J=6.4Hz,2H),2.56(m,2H),2.09(m,2H),1.71(m,4H),1.34(d,J=6.0Hz,3H),1.22,(m,2H),1,14(d,J=6.8Hz,3H)。
【0345】
(化合物127)
【0346】
【化92】

酢酸/水(4.0mL,酢酸:水=4:1)の溶液を、0℃で化合物123(化合物064と同じ様式で調製した)(195.2mg,0.0002617mol)に添加した。この反応混合物を0℃で30分間維持し、次いで周囲温度まで温めた。周囲温度で一晩攪拌した後に、この反応混合物を重炭酸ナトリウムで希釈し、そしてEtOAcで抽出した。分取TLC(75% EtOAc/ヘキサン)により化合物124(0.1686g,91%)を得た。
【0347】
化合物124(168.6mg,0.0002388mol)の、トルエン(3.0mL,0.028mol)およびDCM(1.0mL)中の溶液に、四酢酸鉛(0.127g,0.000287mol)を添加した。この反応混合物を周囲温度で20分〜30分間攪拌し、そしてセライトで濾過した。このセライトをDCMで洗浄した。分取TLC(50% EtOAc/ヘキサン)により、化合物125(106.1mg,66%)を得た。
【0348】
化合物125(106.0mg,0.0001573mol)の、テトラヒドロフラン(0.50mL,0.0062mol)、tert−ブチルアルコール(1.50mL,0.0157mol)、2−メチルブタ−2−エン(0.50mL,0.0047mol)中の溶液に、亜塩素酸ナトリウム(88.9mg,0.000786mol)および一塩基性リン酸カリウム(100mg,0.0007mol)の、0.6mlの水中の溶液を周囲温度で添加した。この反応混合物を周囲温度で2時間攪拌し、そして濃縮した。その残渣を水で希釈し、希HClでpH2まで酸性化した。この水性物質をEtOAcで抽出した。分取TLCにより化合物126(66.1mg,61%)を得た。
【0349】
化合物126(32.5mg,0.0471mmol)の、塩化メチレン(1.0mL,0.016mol)および水(1.7μl,0.094mmol)中の溶液に、0℃でトリフルオロメタンスルホン酸(17μl,0.00019mol)を添加した。この反応混合物を0℃で60分間攪拌し、そして周囲温度で60分間攪拌した。この反応混合物を飽和重炭酸ナトリウムでクエンチした。その水相をDCM(2×20mLl)で抽出した。所望の生成物は、このDCM溶液のTLCに現われなかった。次いで、この水相をpH3まで酸性化し、そしてEtOAc(3×10mL)で抽出した。分取TLCにより、化合物127(10.2mg,50%)を得た。
【0350】
(化合物137)
【0351】
【化93】

化合物098(1.0g,1.98mmol)のMeOH/CHCl(5ml/5ml)中の溶液に、−78℃でOを吹き込んだ。7分後、Nを10分間吹き込み、そしてピペットで2回MeSを添加した。この反応混合物を室温まで温め、そして溶媒をエバポレーションにより除去した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物128(735mg,73%)を得た。
【0352】
10mlのCHCl中CBr(969mg,2.90mmol)およびPPh(15.2g 5.80mmol)を含む反応フラスコに、化合物128(734mg,1.45mmol)およびEt3N(202μl,1.45mmol)の、5mlのCHCl中の溶液を0℃で添加した。氷浴を取り除き、そしてこの反応混合物を室温で1時間攪拌した。ヘキサンでの滴定後、シリカゲルクロマトグラフィーによる精製により化合物129(557g,58%)を得た。
【0353】
化合物129(557mg,0.84mmol)のTHF(5ml)中の溶液に、−78℃でn−BuLi(840μl,ヘキサン中2.5M)を添加した。1時間後、この反応を飽和水性NHClでクエンチした。この水層をMTBEで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物130(360mg,85%)を得た。
【0354】
【化94】

化合物130(358mg,0.71mmol)のTHF(5ml)中の溶液に、室温でTBAF(1.1ml,THF中1.0M)を添加した。この反応混合物を50℃で4時間加熱した。次いで、この混合物をMTBEで希釈し、水およびブラインで洗浄した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物131(277mg,100%)を得た。
【0355】
化合物131(263.8mg,0.678mmol)および化合物132(637.4mg,1.356mmol)の、ベンゼン(1.8ml)およびEtNH(1.2ml)中の溶液に、室温でPd(PPh(39.2mg,0.034mmol)およびCuI(12.9mg,0.068mmol)を添加した。この反応混合物を5時間攪拌した。次いで、この混合物をMTBEで希釈し、飽和NHCl、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物133(251.5mg,52%)を得た。
【0356】
【化95】

t−BuOK(565μl,THF中1.0M)のTHF(13.0ml)中の溶液に、0℃で化合物133(200.0mg,0.28mmol)のTHF(8.0ml)中の溶液を0.1ml/分の速度で添加した。1時間後、TBSCl(169mg,0.56mmol)を添加した。5分後、この反応混合物を飽和NaHCOでクエンチし、水で希釈し、そしてMTBEで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物134(175.4mg,82%)を得た。
【0357】
化合物134(200.0mg,0.28mmol)のDCM(4.0ml)および水(1.0ml)中の溶液に、室温でDDQ(96.2mg,0.42mmol)を添加した。2時間後、この反応を飽和NaHCO水溶液中10%のNaでクエンチし、そしてMTBEで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物135(133.1mg,74%)を得た。
【0358】
化合物135(133.0mg,0.207mmol)のDCM(3.0ml)中の溶液に、室温でピリジン(42.0μl,0.518mmol)およびDess−Martin試薬(175.0mg,0.414mmol)を添加した。1時間後、この反応を飽和NaHCO水溶液中10%のNaでクエンチし、そしてDCMで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物136(114.8mg,86%)を得た。
【0359】
化合物136(113.0mg,0.176mmol)のDCM(2.0ml)中の溶液に、0℃で水(19.0μl,1.056mmol)およびTfOH(46.0μl,0.528mmol)を添加した。この反応物を室温まで温めた。30分後、この反応を飽和NaHCOでクエンチし、そしてDCMで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物137(46.4mg,68%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ1.20(d,J=6.8Hz,3H),1.25(t,J=6.8,3H),1.38(d,J=6.0,3H),2.47−2.48(m,2H),2.85(d,J=11.2Hz),3.70−3.21(m,2H),3.41−3.45(m,1H),3.95(d,J=5.2,1H),4.00−4.40(m,1H),4.27−4.33(m,1H),4.54−4.56(m,1H),4.93−5.00(m,1H),6.04(d,J=2.4,1H),6.23−6.32(m,3H),12.10(s,1H)。
【0360】
(化合物144)
【0361】
【化96】

化合物130(475mg,0.944mmol)および化合物138(558mg,1.227mmol)の、ベンゼン(2.2ml)およびEtNH(1.5ml)中の溶液に、室温でPd(PPh(55mg,0.0472mmol)およびCuI(18mg,0.0944mmol)を添加した。この反応混合物を3時間攪拌した。次いで、この反応混合物をMTBEで希釈し、飽和NHCl、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物139(485mg,56%)を得た。
【0362】
化合物139(485mg,0.60mmol)のTHF(5.0ml)中の溶液に、緩衝化TBAF(3.6ml,0.5N,イミダゾール/HClで緩衝)を室温で添加した。この反応混合物を50℃で60時間加熱した。次いで、この反応混合物をMTBEで希釈し、そして水およびブラインで洗浄した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物140(280.8mg,67%)を得た。
【0363】
t−BuOK(720μl,THF中1.0M)のTHF(13.5ml)中の溶液に、0℃で化合物140(250mg,0.36mmol)のTHF(13.5ml)中の溶液を添加した。2時間後、TBSCl(217mg,1.44mmol)を添加した。5分後、この反応混合物を飽和NaHCOでクエンチし、水で希釈し、そしてMTBEで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物141(155mg,52%)を得た。
【0364】
【化97】

化合物141(153mg,0.204mmol)の、DCM(4.0ml)および水(1.0ml)中の溶液に、室温でDDQ(69.5mg,0.306mmol)を添加した。2.5時間後、この反応を飽和NaHCOでクエンチし、そしてMTBEで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物142(124.0mg,96%)を得た。
【0365】
化合物142(124.0mg,0.197mmol)のDCM(5.0ml)中の溶液に、室温でピリジン(40.0μl,0.492mmol)およびDess−Martin試薬(167.0mg,0.394mmol)を添加した。1時間後、この反応を飽和NaHCO水溶液中10%のNaでクエンチし、そしてDCMで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物143(122.8mg,99%)を得た。
【0366】
化合物143(54.5mg,0.087mmol)のDCM(2.0ml)中の溶液に、0℃で水(9.4μl,0.522mmol)およびTfOH(23.0μl,0.261mmol)を添加した。この反応物を室温まで温めた。30分後、これを飽和NaHCOでクエンチし、そしてDCMで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物144(30.0mg,92%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ1.20(d,J=6.8Hz,3H),1.38(d,J=6.0Hz,3H),2.47−2.48(m,2H),2.85(d,J=5.2Hz,3H),3.40−3.50(m,1H),3.94(d,J=5.2),4.12−4.19(m,1H),4.28−4.33(m,1H),4.54−4.56(m,1H),4.93−5.00(m,1H),6.05(d,J=2.4Hz,1H),6.30(s,1H),6.33(m,2H),12.11(s,1H)。
【0367】
(化合物155)
【0368】
【化98】

005(2.46g,4.87mmol)のMeOH(40ml)中の溶液に、0℃でp−トルエンスルホン酸(1.02g,5.36mmol)を添加した。この反応物を室温まで温め、そして18時間攪拌した。次いで、この反応混合物を飽和NaHCOでクエンチし、そしてMTBEで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物145(1.42g,64%)を得た。
【0369】
化合物145(1.53g,4.37mmol)のDCM中の溶液に、0℃でEtN(1.83ml,13.11mmol)およびTBSOTf(2.10ml,9.18mmol)を添加した。この反応物を室温まで温め、そして35分間攪拌した。次いで、この反応混合物を飽和NaHCOでクエンチし、そしてDCMで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物146(1.18g,41%)を得た。
【0370】
化合物146(1.09g,1.88mmol)のDCM(10.0ml)中の溶液に、室温でピリジン(303μl,3.76mmol)およびDess−Martin試薬(1.20g,2.82mmol)を添加した。5時間後、この反応を飽和NaHCO水溶液中10%のNaでクエンチし、そしてMTBEで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物147を粗製生成物として得た。
【0371】
【化99】

化合物147のMeOH(15.0ml)中の溶液に、0℃でNaBH(142mg,3.76mmol)を添加した。10分後、この反応を飽和NHClでクエンチし、そしてMTBEで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物148(714mg,1006−216Bから66%)を得た。
【0372】
化合物148(710mg,1.23mmol)のTHF(10ml)中の溶液に、室温でTBAF(3.7ml,THF中1.0M)を添加した。この反応混合物を50℃で17時間加熱した。次いで、この反応混合物をMTBEで希釈し、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物149(419mg,97%)を得た。
【0373】
化合物149(400mg,1.14mmol)のアセトン(10ml)中の溶液に、室温で2,2−ジメトキシプロパン(419μl,3.42mmol)およびPTSA(100mg)を添加した。20分後、これをMTBEで希釈し、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物150(450mg,95%)を得た。
【0374】
【化100】

化合物150(384mg,0.98mmol)および化合物138(582mg,1.27mmol)の、NMP(2.0ml)中の溶液に、室温でPd(DBA)(90.0mg,0.098mmol)およびCyNMe(272μl,1.27mmol)を添加した。この反応混合物を80℃で24時間加熱した。次いで、この反応混合物をMTBEで希釈し、セライトで濾過し、1.0N水性HClおよびブラインで洗浄した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物151(441.3mg,65%)を得た。
【0375】
t−BuOK(884μl,THF中1.0M)のTHF(15.0ml)中の溶液に、0℃で化合物151(410mg,0.59mmol)のTHF(5.0ml)中の溶液を添加した。30分後、TBSCl(178mg,1.18mmol)を添加した。10分後、この反応混合物を飽和NaHCOでクエンチし、水で希釈し、そしてEtOAcで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物152(170.1mg,34%)を得た。
【0376】
化合物152(170mg,0.226mmol)の、DCM(4.0ml)および水(1.0ml)中の溶液に、室温でDDQ(77.0mg,0.339mmol)を添加した。2.5時間後、この反応を飽和NaHCO中10%のNaでクエンチし、そしてMTBEで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物153(122.6mg,86%)を得た。
【0377】
【化101】

化合物153(61.0mg,0.097mmol)のDCM(2.5ml)の溶液に、室温で、ピリジン(19.6μl,0.243mmol)およびDess−Martin試薬(82.0mg,0.194mmol)を添加した。1時間後、この反応を飽和NaHCO水溶液中10%のNaでクエンチし、そしてMTBEで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物154(46.1mg,76%)を得た。
【0378】
化合物154(41.8mg,0.066mmol)のDCM(2.0ml)中の溶液に、0℃で水(7.1μl,0.396mmol)およびTfOH(17.6μl,0.198mmol)を添加した。この反応物を室温まで温めた。30分後、これを飽和NaHCOでクエンチし、そしてDCMで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、化合物155(11.1mg,45%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ0.64(d,J=6.80,3H),0.93(d,J=6.0,3H),2.06(d,J=3.6Hz,3H),2.37−2.44(m,1H),2.54−2.64(m,1H),2.79(br,1H),3.05−3.22(m,2H),3.81−3.91(m,1H),4.18−4.33(m,1H),4.60−4.71(m,1H),5.33(t,J=11.6Hz,1H),5.86(d,J=2.8Hz,1H),5.91−6.03(m,1H),6.04(d,J=11.6Hz,1H),6.11(d,J=2.0Hz,1H),7.00(d,J=15.6Hz,1H),12.86(s,1H)。
【0379】
(化合物156)
【0380】
【化102】

化合物106(1wt)をTFA(3容量,15当量)に溶解し、そして室温で攪拌した。この反応の進行をTLCにより監視した。48時間の攪拌後、この反応混合物をDCM(20容量)で希釈し、飽和水性NaHCO、およびブラインで洗浄した。その有機層を濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、156を白色固体として得た(収率48.3%)(以下のNMRデータ)。化合物106もまた回収した(回収率9.1%)。HNMR(C):δ=6.83(d,1H),6.12(s,1H),5.81(dt,1H),5.70(s,1H),5.55(d,1H),5.40(dd,1H),5.12(s,1H),4.61(m,1H),4.19(s,1H),3.86(d,1H),3.26(q,1H),3.15(br s,1H),2.48(q,2H),2.30−2.35(m,1H),2.12(q,1H),0.99(d,3H),0.75(d,3H),0.60(t,3H),−2.00(s,1H)。
【0381】
(化合物157)
【0382】
【化103】

化合物106を1,4−ジオキサン(11容量)に溶解し、そしてBuP(1.2当量)をN雰囲気下でゆっくりと添加した。この反応混合物を室温で攪拌し、そしてこの反応の進行をTLCおよびHPLCにより追跡した。室温で23時間攪拌した後に、この反応混合物をTBME(100容量)で希釈し、水(2×10容量)およびブライン(10容量)で洗浄した。その水層をTBME(50容量)で逆抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、そして濃縮した。その残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、157を白色固体(58.5%)として得た。MS(ES+):M+Na=412.1,M+H=390.1;MS(ES−):M−H=388.0;HNMR(C):δ=6.78−6.84(m,2H),6.13(d,1H),5.95(d,1H),5.86(m,1H),5.83(d,1H),4.97−5.02(m,1H),4.47(br s,1H),4.02(br s,1H),3.93(br s,1H),3.26(t,1H),2.64(br s,1H),2.52(m,2H),2.39−2.43(m,1H),2.04−2.11(m,1H),1.68(m,1H),0.88(d,3H),0.64(t,3H),0.58(d,3H),−2.38(s,1H)。
【0383】
(化合物158)
【0384】
【化104】

出発物質(159)(100.0mg,0.13mmol)を1.0mlのメタノールに0℃で溶解した。p−トルエンスルホン酸(49.4mg,0.28mmol)を添加した。この反応混合物を0℃で25分間攪拌し、次いで室温で一晩攪拌した。これを飽和水性重炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、そして酢酸エチルで抽出した。シリカゲルカラムでの精製後、160を84%の収率で得た。キラルな出発物質(159)は、094(106の調製を参照のこと)のラセミ混合物の分離、および103を得るための工程を実施することにより得られ得る。
【0385】
【化105】

094の(7位における)2つの立体異性体を、溶出液としてヘキサン/酢酸エチルの12:1混合物を使用するシリカゲルでのクロマトグラフィーにより分離した。この立体化学の同定を、NMR分光法により行った。極性が低い方の異性体は、7位において「R」立体化学を有し、一方で極性が高い方の異性体は、「S」立体化学を有することがわかった。「R」異性体である094−(7R)を使用して、094から103を生成するために使用した合成経路(参照として実施例化合物106を参照のこと)と同じ合成経路を用いて、159を生成した。
【0386】
【化106】

化合物160(46.0mg,0.063mmol)を、2.0mlのジクロロメタンに0℃で溶解した。ピリジン(51.0μl,0.63mmol)およびホスゲン(167.0μl,0.32mmol)をそれぞれ添加した。この反応混合物を0℃で15分間攪拌し、これを飽和重炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、そしてメチルt−ブチルエーテルで抽出した。シリカゲル分取プレートでの精製後、161を定量的収率で得た。
【0387】
【化107】

化合物161(47.4mg,0.063mmol)を、2.0mlのジクロロメタンと0.5mlの水との混合物に溶解した。2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(31.5mg,0.14mmol)を添加した。室温で2時間攪拌した後に、この反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液中10%のチオ硫酸ナトリウムでクエンチし、そしてメチルt−ブチルエーテルで抽出した。シリカゲル分取プレートでの精製後、162を69%の収率で得た。
【0388】
【化108】

化合物162(27.6mg,0.044mmol)をジクロロメタンに溶解した。ピリジン(8.9μl,0.11mmol)およびDess−Martin試薬(37.0mg,0.088mmol)をそれぞれ添加した。この反応混合物を室温で1.5時間攪拌した。これを飽和重炭酸ナトリウム水溶液中10%のチオ硫酸ナトリウムでクエンチし、そしてメチルt−ブチルエーテルで抽出した。シリカゲルカラムでの精製後、163を100%の収率で得た。
【0389】
【化109】

化合物163(27.7mg,0.044mmol)を1.0mlのジクロロメタンに溶解した。トリフルオロメタンスルホン酸(11.6μl,0.13mmol)および水(4.8μl,0.26mmol)を0℃で添加した。室温で1時間攪拌した後に、この反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、そしてジクロロメタンで抽出した。シリカゲルカラムでの精製後、158を89%の収率で得た。H NMR(CDCl)δ12.10(s,1H),7.08(dd,J=15.2,2.4Hz,1H),6.11(m,2H),6.03(dd,J=13.2,2.4Hz,2H),5.53(m,1H),5.14(d,J=8.4Hz,1H),5.04(m,1H),4.94(m,1H),4.11(s,1H),3.92(m,1H),3.19(dd,J=21.6,7.2Hz,2H),2.86(m,1H),2.75(m,1H),1.45(d,J=6.0Hz,3H),1.26(t,J=7.2,3H),1.14(d,J=6.8Hz,3H)。
【0390】
(実施例2−12 生物学的なアッセイ)
30個の式(I)または式(II)の化合物のセットを無作為に選択し、各々の化合物を、MDA−MB−435およびHT−29癌細胞株においてその増殖阻害活性について試験した。いくつかの化合物は、顕著な癌細胞増殖阻害活性(例えば、nM IC50値)を有することが見出された。2つの化合物(本明細書において化合物091および106と呼ぶ)をさらなる研究のために選択し、このクラスの化合物(すなわち、F152アナログ)の生物学的な特性をさらに評価し、そして特徴付けた。生物学的なアッセイ(例えば、細胞ベースのアッセイ)に関して、示された結果が、1つより多いセットのデータの例示であり得ることが理解されるべきである。特定の場合(例えば、特定のインビトロアッセイ)において、平均および標準偏差は、得られたデータの典型を示す。他の場合(例えば、特定のインビボアッセイ)において、単一の代表的なデータセットを、いくつかの実質的に類似するデータセット(例えば、種々の投薬量を使用する同様なアッセイから選ばれたデータセットなど)から選択する。代表的なデータセットは、しばしば、ヒト投薬量のための臨床研究で使用されるアッセイ条件に最も類似するアッセイ条件に基づいて選択される。当業者は、異なるアッセイ条件(例えば、異なる投薬量または投薬スケジュール)が異なる結果を与え得ることを理解する。
【0391】
(実施例2)
式(I)または式(II)の化合物(例えば、化合物029、091、106および114)がMEK1インヒビターであるか否かを調べるために、生物学的なMEK1アッセイを実行した。化合物の生化学的なMEK1阻害を、ELISAアッセイを使用して評価した。全てのアッセイを、96ウェル様式で実行した。ERK2(MEK1の基質タンパク質)で被覆したプレートを、生化学的なMEK1アッセイのために使用した。40μLの最終容量中、MEK1(25ng)を、試験化合物の存在下または非存在下で、50mmol/L HEPES、20mmol/L MgCl、4mmol/L MnCl、および0.5mmol/L NaVOとともにインキュベートした。反応を、1μmol/L ATPの添加によって開始した。30℃での40分間のインキュベーションの後、反応混合物を捨て、次に、プレートを、0.05% Tween20/PBSで4回洗浄した。各ウェルを、100μLの1:4000希釈したホスホ−ERK1/2モノクローナル抗体(Cell Signaling、MA)で1.5時間、室温でインキュベートした。その後、抗体を捨て、プレートを、0.05% Tween20/PBSで6回洗浄した。最後に、100μLの1:2000希釈したHRP結合体化抗マウスIgG抗体(Cell Signaling、MA)を添加した。90分間のインキュベーションの後、この抗体を捨て、プレートを、0.05% Tween20/PBSで8回洗浄した。その後、リン酸化ERK2を、ペルオキシダーゼ反応によって視覚化し、450nmで読み取った。図2Aは、MEK1アッセイからの結果を示す表である。
【0392】
これらの実験は、化合物091および106が、低nM活性を有する強力なMEK1インヒビターであることを確証する(図2Aを参照のこと)。化合物091は、低濃度のATPでより強力なMEK1阻害活性を示し、MEK1への結合の様式がATP競合的であることを示唆した。
【0393】
(実施例3)
インビトロで種々の癌関連キナーゼに対する特異性を調べるために、研究を実行した。化合物091および106を、以下の95種の癌関連キナーゼを含むパネルに対して、0.1μMおよび1μMの濃度で試験した:Abl(h)、Abl(T315I)(h)、ALK(h)、AMPK(r)、Arg(m)、Aurora−A(h)、Axl(h)、Blk(m)、Bmx(h)、BTK(h)、CaMKII(r)、CaMKIV(h)、CDK1/サイクリンB(h)、CDK2/サイクリンA(h)、CDK2/サイクリンE(h)、CDK3/サイクリンE(h)、CDK5/p35(h)、CDK6/サイクリンD3(h)、CDK7/サイクリンH/MAT1(h)、CHK1(h)、CHK2(h)、CK1δ(h)、CK2(h)、c−RAF(h)、CSK(h)、cSRC(h)、EGFR(h)、EphB2(h)、EphB4(h)、Fes(h)、FGFR3(h)、Flt3(h)、Fms(h)、Fyn(h)、GSK3α(h)、GSK3β(h)、IGF−1R(h)、IKKα(h)、IKKβ(h)、IR(h)、JNK1α1(h)、JNK2α2(h)、JNK3(h)、Lck(h)、Lyn(h)、MAPK1(h)、MAPK2(h)、MAPKAP−K2(h)、MEK1(h)、Met(h)、MKK4(m)、MKK6(h)、MKK7β(h)、MSK1(h)、MST2(h)、NEK2(h)、p70S6K(h)、PAK2(h)、PAR−1Bα(h)、PDGFRα(h)、PDGFRβ(h)、PDK1(h)、PKA(h)、PKBα(h)、PKBβ(h)、PKBγ(h)、PKCα(h)、PKCβII(h)、PKCγ(h)、PKCδ(h)、PKCaε(h)、PKCη(h)、PKCι(h)、PKCμ(h)、PKCθ(h)、PKCζ(h)、PKD2(h)、PRAK(h)、PRK2(h)、ROCK−II(r)、ROCK−II(h)、Ros(h)、Rsk1(h)、Rsk2(h)、Rsk3(h)、SAPK2a(h)、SAPK2b(h)、SAPK3(h)、SAPK4(h)、SGK(h)、Syk(h)、Tie2(h)、TrkB(h)、Yes(h)およびZAP−70(h)(図2B)。
【0394】
25μLの最終的な反応容量において、各ヒト酵素を、適切な緩衝液とともにインキュベートした。反応を、[γ33P−ATP]を含むMgATPの添加によって開始した。室温での40分間のインキュベーションの後、反応を、5μLのリン酸溶液の添加によって停止させた。全てのアッセイを、10μMのATP濃度で実行した。
【0395】
10μLの反応物を、P30フィルターマット上にスポットし、リン酸溶液で5分間、3回洗浄した。その後、基質ペプチドに転移した33Pを、シンチレーション計数によって決定した。結果を、コントロール培養物(incubation)における結果のパーセンテージとして表現した。(1)0.1μM濃度の化合物で50%を超えて阻害されたキナーゼ、および(2)0.1μMと1μMとの間で阻害の濃度−応答を有するキナーゼを、これらの化合物の標的キナーゼとみなした。
【0396】
強力なMEK1阻害に加えて、上記の化合物はまた、0.1μM濃度で、Srcチロシンキナーゼファミリーのメンバー(Lyn、Fyn、Lck、Yes、c−Src)、FLT−3およびTrkBキナーゼの活性を阻害した。さらに、これらの化合物が多数のセリン/トレオニンキナーゼを阻害しないことによって示されるように、これらがチロシンキナーゼに非常に選択的であるようである。
【0397】
さらに、これらの化合物の阻害活性を、最大限度の範囲(full range)の濃度を使用して、これらのキナーゼのうちの6つに対して確認した。3つの細胞質Srcファミリーキナーゼ(c−Src、FynおよびLyn)を研究した。本発明者らはまた、細胞質Ablキナーゼおよび2つの受容体チロシンキナーゼ(Flt3およびTrkB)を研究した。標準的な10μMのATP濃度を、全ての反応に使用した。全ての実験を、二連の測定をともなって実行した。図2Bに見られるように、6つのキナーゼは、化合物091について214nM未満のIC50を示した。TrkBおよびSrcファミリーのメンバーは、化合物091の阻害に対して最も感受性の高い酵素であった。
【0398】
(実施例4)
例示的な化合物のインビトロ抗癌活性。化合物091および106を、固形癌細胞株において広範に試験した(化合物091について18細胞株、そして化合物106について20細胞株に関して図3に示される)。全ての細胞株を96ウェルプレートに導入し、96時間、0.3〜10000nMの化合物091または化合物106のいずれかの非存在下または連続的な存在下で増殖させた。細胞増殖を、CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega)またはメチレンブルーアッセイを使用して評価した。IC50値を、処理されていない細胞集団と比較して細胞増殖を50%阻害する基質の濃度として決定した。
【0399】
B−RAF V600E突然変異を保持する細胞株は、図3に示されるように、低nMまたはμM以下(sub−μM)の濃度範囲で化合物091および106に対して非常に感受性であった。
【0400】
(実施例5)
Colo205ヒト結腸癌異種移植片におけるインビボ抗腫瘍活性(図4)。ヒトColo205 BRAF変異を有する結腸癌異種移植片において、化合物091および106の抗癌活性を調べるために、研究を実行した。これらの化合物を、雌性無胸腺マウスにおいて、皮下移植したColo205ヒト結腸癌異種移植片に対して評価した。
【0401】
B−RAF(V600E)突然変異を有するヒト結腸癌細胞株であるColo205を、雌性ヌードマウスに皮下移植した。この実験は、処置の初日に群あたり6匹のマウスから構成された。上記化合物を、ラウンド(round)間に2日間の休憩期間を含む、5回の毎日の注射(q1d×5)の週ごとのラウンド2つにわたり静脈内投与した。化合物091を、体重10gあたり0.1mLのビヒクル容量で投与した。
【0402】
マウスの全身の健康を毎日モニタリングした。腫瘍の寸法および体重を、処置の初日に開始して1週間に2回記録した。式(l×w)/2(ここで、lおよびwとは、各測定で収集されたより大きな寸法およびより小さな寸法をいう)を使用して、腫瘍の重量を算出した。平均腫瘍容量が、140mmに達したとき、ビヒクル(cremophor:エタノール:5%グルコース;1:1:8)または試験化合物(30mg/kg)をマウスに投与した(6匹/群)。
【0403】
図4から見出され得るように、化合物091は、COLO205 BRAF変異を有する結腸癌異種移植片においておよそ70%の腫瘍の後退を引き起こした。異なる投薬スケジュールを使用する類似の研究において、化合物106は、COLO205 BRAF変異を有する結腸癌異種移植片において、処置の初日から70%の腫瘍の後退を引き起こした。
【0404】
(実施例6)
BxPC−3ヒト膵臓癌異種移植片におけるインビボ抗腫瘍活性(図5)。ヒトBxPC−3膵臓癌異種移植片において化合物091の抗癌活性を調べるために、研究を実行した。この化合物を、雌性無胸腺マウスにおいて、皮下移植したBxPC−3ヒト膵臓癌異種移植片に対して評価した。
【0405】
ヒト膵臓癌細胞株であるBxPC−3−T1(B−RAF遺伝子およびRas遺伝子に突然変異はない)を、雌性ヌードマウスに皮下移植した。この実験は、処置の初日に群あたり8匹のマウスから構成された。上記化合物を、ラウンド間に2日間の休憩期間を含む、5回の毎日の注射(q1d×5)の週ごとのラウンド2つにわたり静脈内投与した。この化合物を、体重10gあたり0.1mLのビヒクル容量で投与した。
【0406】
マウスの全身の健康を毎日モニタリングした。腫瘍の寸法および体重を、処置の初日に開始して1週間に2回記録した。式(l×w)/2(ここで、lおよびwとは、各測定で収集されたより大きな寸法およびより小さな寸法をいう)を使用して、腫瘍の重量を算出した。平均腫瘍容量が130mmに達したとき、ビヒクル(cremophor:エタノール:5%グルコース;1:1:8)または試験化合物(15、30mg/kg)をマウスに投与した(8匹/群)。
【0407】
図5に見られ得るように、30mg/kgの化合物091は、50%の腫瘍の後退を引き起こした。
【0408】
(実施例7)
LOXヒト黒色腫異種移植片におけるインビボ抗腫瘍活性(図6)。ヒトLOX BRAF変異を有する黒色腫異種移植片において、化合物091および106の抗癌活性を調べるために、研究を実行した。これらの化合物を、雌性無胸腺マウスにおいて、皮下移植したLOXヒト黒色腫異種移植片に対して評価した。
【0409】
ヒト黒色腫細胞株である、B−RAF(V600E)突然変異を有するLOXを、雌性ヌードマウスに皮下移植した。この実験は、処置の初日に群あたり8匹のマウスから構成された。化合物を、ラウンド間に2日間の休憩期間を含む、5回の毎日の注射(q1d×5)の週ごとのラウンド2つにわたり独立して静脈内投与した。化合物を、体重10gあたり0.1mLのビヒクル容量で投与した。
【0410】
マウスの全身の健康を毎日モニタリングした。腫瘍の寸法および体重を、処置の初日に開始して1週間に2回記録した。式(l×w)/2(ここで、lおよびwとは、各測定で収集されたより大きな寸法およびより小さな寸法をいう)を使用して、腫瘍の重量を算出した。平均腫瘍容量が、128mmに達したとき、ビヒクル(cremophor:エタノール:5%グルコース;1:1:8)または試験化合物のうちの1つ(10、20、30または40mg/kg)をマウスに投与した(8匹/群)。
【0411】
図6に見られ得るように、10mg/kgの化合物091は、最初の3週間で、100%の腫瘍の後退を引き起こした。化合物091はまた、全てのマウスにおいて20、30、40mg/kgの用量で100%の腫瘍の後退を引き起こした。091を与えたマウスは、研究の終わりに腫瘍を有さなかった。さらに、3つの投薬量(10、20および40mg/kg/用量)での化合物106の投与は、統計的に有意な抗癌活性を引き起こした。研究の終わりに、10mg/kgの106によって、8匹のマウスのうち5匹が腫瘍を有さず、20mg/kgまたは40mg/kgは共に、8匹のマウスのうち8匹が腫瘍を有さなかった。
【0412】
(実施例8)
B細胞に駆動される血液学的な悪性癌細胞の増殖/非ホジキンリンパ腫の阻害(図7)。インビトロでヒトの血液学的な癌の細胞株のパネルにおいて、化合物091および106の抗癌活性を調べるために、研究を実行した。化合物091および106の抗増殖効果を、血液学的な悪性疾患のいくつかの異なる癌の型を代表する7つのヒト癌細胞株において評価した。培養したヒト癌細胞を96ウェルプレートに置き、0.3〜1000nMの試験化合物の非存在下または連続的な存在下で96時間増殖させた。細胞増殖を、MTTアッセイを使用して評価した。IC50値を、処理されていない細胞集団と比較して細胞増殖を50%阻害する物質の濃度として決定した。
【0413】
図7に示されるように、B細胞非ホジキンリンパ腫に由来する2つの細胞株は、化合物091に対して感受性であり、白血病に由来する細胞株または非ホジキンリンパ腫のようなB細胞は、化合物106に対して感受性であった。
【0414】
(実施例9)
PANC−1膵臓癌細胞におけるCPT−11(SN−38)の抗癌活性の増強(図8)。SN−38(CPT−11の活性な代謝産物)は、化学療法抵抗性をもたらす、NF−κB活性を増大させることが周知である。SN−38と組み合わせた化合物091または106が、MEKK1阻害に起因して化学療法の抗癌活性を増強するか否かを決定するために、PANC−1ヒト膵臓癌細胞を調べた。
【0415】
別個の実験において、1μMの化合物091単独または化合物106単独が、PANC−1癌細胞増殖に影響を及ぼさないことが留意される(データは示していない)。SN−38の抗増殖効果を、化合物091または106と組み合わせてPANC−1膵臓癌細胞において評価した。培養したヒト癌細胞を96ウェルプレートに置き、1μMの試験化合物を含むかまたは含まずに0.03〜1000nM SN−38の非存在下または連続的な存在下で96時間、増殖させた。細胞増殖を、CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を使用して評価した。IC50値を、処理されていない細胞集団と比較して細胞増殖を50%阻害する物質の濃度として決定した。
【0416】
SN−38単独による細胞増殖阻害についてのIC50値は、82.5nMだった。1μMの化合物091および化合物106の両方は、組み合わせの設定においてSN−38の細胞毒性を増強した(例えば、16.2nMのIC50値を有した)。化合物091および106の両方は、2つの独立した実験において、この細胞株におけるCPT−11(SN−38)の抗癌活性を増強する。これらの結果は、化合物091および106が、化学療法に誘導されたNF−κB活性化をブロックし、化学的感受性の増強をもたらすことを示唆するが、これらの実験は、依然進行中である。化合物091および106は、組み合わせの設定において抗癌活性を増強し得る。
【0417】
(実施例10)
化合物091は血液脳関門(BBB)を通過する(図9)。3.170の脳/血漿AUC0−t比によって測定されるように、脳組織への化合物091の浸透は、顕著に高かった。これらのデータは、化合物091が、本明細書に示されるキナーゼの組み合わせの阻害(例えば、MEKおよびTrkBおよび/または他のキナーゼの阻害)を介して、神経膠腫を含むCNS腫瘍を処置するのに有用であり得ることを示唆する。
【0418】
(実施例11)
Flt−3受容体チロシンキナーゼ(FLT3)のリン酸化の阻害(図10)。インビトロでFLT3変異を有する(AML)細胞株において、Flt−3受容体のリン酸化を阻害する化合物106の能力を調べるために研究を実行した。Flt−3の活性化突然変異を保持するMV−4−11ヒト急性骨髄性白血病(AML)細胞(カタログ# CRL−9591、ATCC、Rockville、MD)を、25mmフラスコにプレートし、1日インキュベートした。その後、0.1nmol/L〜300nmol/Lの濃度での化合物106(または培養培地)を各フラスコに加え、24時間培養した。コントロールのデッシュは、培養した培地のみを受容した。細胞溶解物を、氷冷溶解緩衝液を使用して調製した。
【0419】
ホスホ−Flt−3タンパク質を検出するために、MV−4−11細胞溶解物のタンパク質を、還元条件下でSDS−PAGEに供し、ホスホ−Flt−3抗体(カタログ# 3464、Cell Signaling Technology、Danvers、MA)に対する抗体で免疫ブロットした。ウェスタンブロットを、二次IRDye抗体(LI−COR,Inc.、Lincoln、NE)でプローブした。ブロットしたタンパク質を、Odyssey赤外イメージングシステム(LI−COR,Inc.、Lincoln、NE)を使用して視覚化した。抗アクチン抗体(カタログ# sc−8432、Santa Cruz Biotechnologies、Inc.、Santa Cruz、CA)を、ローディングコントロールとして使用した。
【0420】
MV−4−11細胞は、化合物106の非存在下で、Flt−3受容体の構成的なリン酸化を示した。ホスホ−Flt−3のタンパク質レベルは、濃度依存的な様式で、MV−4−11細胞株において化合物106によって減少した。10nmol/Lの化合物106は、Flt−3受容体の構成的なリン酸化を完全に阻害し、化合物106が、細胞全体においてFlt−3受容体チロシンキナーゼの強力なインヒビターであることを示した。
【0421】
(実施例12)
インビトロでのFLT3変異を有する細胞株の細胞増殖の阻害(図11)。インビトロでFLT−3変異を有する(AML)細胞株における化合物106の抗癌活性を調べるために、研究を実行した。化合物106の抗増殖効果を、MV−4−11 AML細胞を使用する細胞増殖アッセイにおいて決定した。
【0422】
Flt−3の活性化突然変異を保持するMV−4−11ヒト急性骨髄性白血病(AML)細胞を96ウェルプレートにプレートし、0.03〜1,000nmol/Lの化合物106の非存在下または連続的な存在下で96時間増殖させた。細胞増殖を、CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega、Madison、WI)を使用して評価した。発光を、EnVision 2102 Multilabel Counter(Perkin−Elmer/Wallac、Waltham、MA)で読み取った。ソフトウェアGraphpad Prism(ver.4、San Diego、CA)を、IC50値の決定のために使用した。未処理のコントロールについての生の(raw)値は、4ウェルからの平均を表す。
【0423】
Flt−3受容体チロシンキナーゼの活性化突然変異を保持するMV−4−11細胞は、低−nmol/L濃度範囲の化合物106に対して感受性であった。化合物106は、インビトロにおいて、低−nmol/L範囲のIC50値でFLT−3変異を有するヒト癌細胞に対する抗増殖活性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SrcTK/MEKに関連する癌の処置を必要とする被験体において、SrcTK/MEKに関連する癌を処置する方法であって、該方法は、該被験体に、SrcTK/MEKに関連する癌を処置するための有効量のSrcTK/MEKインヒビターを含有する組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項2】
前記SrcTK/MEKインヒビターが、約0.1μMの濃度で、Srcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも1つのメンバーの活性を少なくとも約75%阻害する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記SrcTK/MEKインヒビターが、約0.1μMの濃度で、Srcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも5つのメンバーの活性を少なくとも約50%阻害する、請求項1〜2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記Srcチロシンキナーゼファミリーの前記メンバーが、cSrc、Fyn、Lyn、LckおよびYesを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記SrcTK/MEKインヒビターが、約0.1μMの濃度で、MEK1の活性を少なくとも約50%阻害する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記SrcTK/MEKインヒビターが式(I):
【化110】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはエステルであり、式(I)において:
はHであり、
は、Hおよびトリフルオロメチルカルボニルからなる群より選択される部分であるか;またはRおよびRは、コア構造と一緒になって、式(a):
【化111】

のヘテロシクリルジイル部分を形成し;
は、−ORおよび−NRからなる群より選択される部分であり;
は、イミダゾリルで必要に応じて置換されたC1〜4アルキル基であり;
は、C1〜4アルキル基およびC1〜4アルコキシ基からなる群より選択される部分であり、ここでRは、0、1個もしくは2個の基で置換されており、該基は各々独立して、−OCH、−C(O)OH、−C(O)NR’R”、−NH(C1〜3アルキル)、nが2〜4である−NH(CHCHO)CH、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、ピペリジニル、N−メチルピペリジニル、N−モルホリニル、イミダゾリル、ピロリジニル、−OPOおよびヒドロキシルからなる群より選択され;該−NH(C1〜3アルキル)基は、0、1個もしくは2個のヒドロキシル部分で置換されており、そしてR’およびR”は各々独立して、−Hまたは−CHから選択され;そして
はHであるか、またはRおよびRは、これらが結合している窒素と一緒になって、式(b)および式(c):
【化112】

からなる群より選択されるヘテロシクリル部分を形成する;
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記SrcTK/MEKに関連する癌が、慢性骨髄性白血病および結腸直腸癌からなる群より選択される癌である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記癌がメシル酸イマチニブに耐性である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記SrcTK/MEKインヒビターがまた、Bcl−Ablの活性を阻害し、そして前記SrcTK/MEKに関連する癌が白血病である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記SrcTK/MEKインヒビターがまた、TrkBの活性を阻害する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
TrkB/MEKに関連する癌の処置を必要とする被験体において、TrkB/MEKに関連する癌を処置する方法であって、該方法は、該被験体に、TrkB/MEKに関連する癌を処置するための有効量のTrkB/MEKインヒビターを含有する組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項12】
前記TrkB/MEKインヒビターが、約0.1μMの濃度で、TrkBの活性を少なくとも約75%阻害する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記TrkB/MEKインヒビターが、約0.1μMの濃度で、MEK1の活性を少なくとも約55%阻害する、請求項11〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記TrkB/MEKインヒビターが、式(I):
【化113】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはエステルであり、式(I)において:
はHであり、
は、Hおよびトリフルオロメチルカルボニルからなる群より選択される部分であるか;またはRおよびRは、コア構造と一緒になって、式(a):
【化114】

のヘテロシクリルジイル部分を形成し;
は、−ORおよび−NRからなる群より選択される部分であり;
は、イミダゾリルで必要に応じて置換されたC1〜4アルキル基であり;
は、C1〜4アルキル基およびC1〜4アルコキシ基からなる群より選択される部分であり、ここでRは、0、1個もしくは2個の基で置換されており、該基は各々独立して、−OCH、−C(O)OH、−C(O)NR’R”、−NH(C1〜3アルキル)、nが2〜4である−NH(CHCHO)CH、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、ピペリジニル、N−メチルピペリジニル、N−モルホリニル、イミダゾリル、ピロリジニル、−OPOおよびヒドロキシルからなる群より選択され;該−NH(C1〜3アルキル)基は、0、1個もしくは2個のヒドロキシル部分で置換されており、そしてR’およびR”は各々独立して、−Hまたは−CHから選択され;そして
はHであるか、またはRおよびRは、これらが結合している窒素と一緒になって、式(b)および式(c):
【化115】

からなる群より選択されるヘテロシクリル部分を形成する;
請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記TrkB/MEKに関連する癌が、膵臓癌、神経癌、神経膠腫、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫からなる群より選択される癌である、請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記TrkB/MEKインヒビターがまた、Srcチロシンキナーゼファミリーの少なくとも1つのメンバーの活性を阻害する、請求項10〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
転移プロセスの阻害を必要とする被験体において、転移プロセスを阻害する方法であって、該方法は、該被験体に、該転移プロセスを阻害するための有効量の式(I):
【化116】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはエステルを含有する組成物を投与する工程を包含し、式(I)において:
はHであり、
は、Hおよびトリフルオロメチルカルボニルからなる群より選択される部分であるか;またはRおよびRは、コア構造と一緒になって、式(a):
【化117】

のヘテロシクリルジイル部分を形成し;
は、−ORおよび−NRからなる群より選択される部分であり;
は、イミダゾリルで必要に応じて置換されたC1〜4アルキル基であり;
は、C1〜4アルキル基およびC1〜4アルコキシ基からなる群より選択される部分であり、ここでRは、0、1個もしくは2個の基で置換されており、該基は各々独立して、−OCH、−C(O)OH、−C(O)NR’R”、−NH(C1〜3アルキル)、nが2〜4である−NH(CHCHO)CH、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、ピペリジニル、N−メチルピペリジニル、N−モルホリニル、イミダゾリル、ピロリジニル、−OPOおよびヒドロキシルからなる群より選択され;該−NH(C1〜3アルキル)基は、0、1個もしくは2個のヒドロキシル部分で置換されており、そしてR’およびR”は各々独立して、−Hまたは−CHから選択され;そして
はHであるか、またはRおよびRは、これらが結合している窒素と一緒になって、式(b)および式(c):
【化118】

からなる群より選択されるヘテロシクリル部分を形成する、
方法。
【請求項18】
B−RAF変異を有する癌の処置を必要とする被験体において、B−RAF変異を有する癌を処置する方法であって、該方法は、該被験体に、該B−RAF変異を有する癌を処置するための有効量の、少なくとも1つの式(I):
【化119】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはエステルを含有する組成物を投与する工程を包含し、式(I)において:
はHであり、
は、Hおよびトリフルオロメチルカルボニルからなる群より選択される部分であるか;またはRおよびRは、コア構造と一緒になって、式(a):
【化120】

のヘテロシクリルジイル部分を形成し;
は、−ORおよび−NRからなる群より選択される部分であり;
は、イミダゾリルで必要に応じて置換されたC1〜4アルキル基であり;
は、C1〜4アルキル基およびC1〜4アルコキシ基からなる群より選択される部分であり、ここでRは、0、1個もしくは2個の基で置換されており、該基は各々独立して、−OCH、−C(O)OH、−C(O)NR’R”、−NH(C1〜3アルキル)、nが2〜4である−NH(CHCHO)CH、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、ピペリジニル、N−メチルピペリジニル、N−モルホリニル、イミダゾリル、ピロリジニル、−OPOおよびヒドロキシルからなる群より選択され;該−NH(C1〜3アルキル)基は、0、1個もしくは2個のヒドロキシル部分で置換されており、そしてR’およびR”は各々独立して、−Hまたは−CHから選択され;そして
はHであるか、またはRおよびRは、これらが結合している窒素と一緒になって、式(b)および式(c):
【化121】

からなる群より選択されるヘテロシクリル部分を形成する、
方法。
【請求項19】
前記B−RAF変異を有する癌が、B−RAF V600E変異を有する癌である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記B−RAF変異を有する癌が、卵巣癌、甲状腺癌、結腸直腸癌および黒色腫からなる群より選択される癌である、請求項18〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
FLT3変異を有する癌の処置を必要とする被験体において、FLT3変異を有する癌を処置する方法であって、該方法は、該被験体に、該FLT3変異を有する癌を処置するための有効量の、少なくとも1つの式(I):
【化122】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはエステルを含有する組成物を投与する工程を包含し、式(I)において:
はHであり、
は、Hおよびトリフルオロメチルカルボニルからなる群より選択される部分であるか;またはRおよびRは、コア構造と一緒になって、式(a):
【化123】

のヘテロシクリルジイル部分を形成し;
は、−ORおよび−NRからなる群より選択される部分であり;
は、イミダゾリルで必要に応じて置換されたC1〜4アルキル基であり;
は、C1〜4アルキル基およびC1〜4アルコキシ基からなる群より選択される部分であり、ここでRは、0、1個もしくは2個の基で置換されており、該基は各々独立して、−OCH、−C(O)OH、−C(O)NR’R”、−NH(C1〜3アルキル)、nが2〜4である−NH(CHCHO)CH、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、ピペリジニル、N−メチルピペリジニル、N−モルホリニル、イミダゾリル、ピロリジニル、−OPOおよびヒドロキシルからなる群より選択され;該−NH(C1〜3アルキル)基は、0、1個もしくは2個のヒドロキシル部分で置換されており、そしてR’およびR”は各々独立して、−Hまたは−CHから選択され;そして
はHであるか、またはRおよびRは、これらが結合している窒素と一緒になって、式(b)および式(c):
【化124】

からなる群より選択されるヘテロシクリル部分を形成する、
方法。
【請求項22】
前記FLT3変異を有する癌が、FLT3 D835Y、FLT3 Y842C、FLT3 K663QまたはFLT3 V592A変異を有する癌である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記FLT3変異を有する癌が白血病である、請求項21〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
中枢神経系腫瘍の処置を必要とする被験体において、中枢神経系腫瘍を処置する方法であって、該方法は、該被験体に、該腫瘍を処置するための有効量の、式(I):
【化125】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはエステルを含有する組成物を投与する工程を包含し、式(I)において:
はHであり、
は、Hおよびトリフルオロメチルカルボニルからなる群より選択される部分であるか;またはRおよびRは、コア構造と一緒になって、式(a):
【化126】

のヘテロシクリルジイル部分を形成し;
は、−ORおよび−NRからなる群より選択される部分であり;
は、イミダゾリルで必要に応じて置換されたC1〜4アルキル基であり;
は、C1〜4アルキル基およびC1〜4アルコキシ基からなる群より選択される部分であり、ここでRは、0、1個もしくは2個の基で置換されており、該基は各々独立して、−OCH、−C(O)OH、−C(O)NR’R”、−NH(C1〜3アルキル)、nが2〜4である−NH(CHCHO)CH、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、ピペリジニル、N−メチルピペリジニル、N−モルホリニル、イミダゾリル、ピロリジニル、−OPOおよびヒドロキシルからなる群より選択され;該−NH(C1〜3アルキル)基は、0、1個もしくは2個のヒドロキシル部分で置換されており、そしてR’およびR”は各々独立して、−Hまたは−CHから選択され;そして
はHであるか、またはRおよびRは、これらが結合している窒素と一緒になって、式(b)および式(c):
【化127】

からなる群より選択されるヘテロシクリル部分を形成し、
該式(I)の化合物は血液脳関門を通過し得る、
方法。
【請求項25】
動物の脳内の式(I)の化合物の量対血漿中の式(I)の化合物の量の比に基づいて、該式(I)の化合物の少なくとも約20%が前記血液脳関門を通過する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
動物の脳内の式(I)の化合物の量対血漿中の式(I)の化合物の量の比に基づいて、該式(I)の化合物の少なくとも約50%が血液脳関門を通過する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記中枢神経系腫瘍が、脳腫瘍、神経膠腫および神経芽細胞腫からなる群より選択される腫瘍である、請求項24〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
慢性骨髄性白血病、膵臓癌、神経癌、神経膠腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、卵巣癌、甲状腺癌、結腸直腸癌および黒色腫からなる群より選択される少なくとも1つの癌の処置を必要とする被験体において、該癌を処置する方法であって、該方法は、該被験体に、該癌を処置するための有効量の、式(I):
【化128】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはエステルを含有する組成物を投与する工程を包含し、式(I)において:
はHであり、
は、Hおよびトリフルオロメチルカルボニルからなる群より選択される部分であるか;またはRおよびRは、コア構造と一緒になって、式(a):
【化129】

のヘテロシクリルジイル部分を形成し;
は、−ORおよび−NRからなる群より選択される部分であり;
は、イミダゾリルで必要に応じて置換されたC1〜4アルキル基であり;
は、C1〜4アルキル基およびC1〜4アルコキシ基からなる群より選択される部分であり、ここでRは、0、1個もしくは2個の基で置換されており、該基は各々独立して、−OCH、−C(O)OH、−C(O)NR’R”、−NH(C1〜3アルキル)、nが2〜4である−NH(CHCHO)CH、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、ピペリジニル、N−メチルピペリジニル、N−モルホリニル、イミダゾリル、ピロリジニル、−OPOおよびヒドロキシルからなる群より選択され;該−NH(C1〜3アルキル)基は、0、1個もしくは2個のヒドロキシル部分で置換されており、そしてR’およびR”は各々独立して、−Hまたは−CHから選択され;そして
はHであるか、またはRおよびRは、これらが結合している窒素と一緒になって、式(b)および式(c):
【化130】

からなる群より選択されるヘテロシクリル部分を形成する、
方法。
【請求項29】
【化131】

が二重結合を表す、請求項6〜10または14〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
が−NRであり、ここでRがHであり、そしてRが非置換C1〜4アルキルである、請求項6〜10または14〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
がHであり、そしてRがメチルまたはエチルである、請求項6〜10または14〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記化合物が:
【化132】

、ならびにその薬学的に受容可能な塩およびエステルからなる群より選択される少なくとも1つの化合物である、請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記式(I)の化合物が、式(II):
【化133】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはエステルであり、式(II)において、
は−NHRであり、そしてRは、0、1個または2個のヒドロキシル基で置換されたC〜Cアルキルである、
請求項6〜10または14〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
が非置換C1〜3アルキルアミノである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
が、メチルアミノおよびエチルアミノからなる群より選択される基である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
が、2−ヒドロキシエチルアミノおよび2,3−ジヒドロキシプロピルアミノからなる群より選択される基である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記化合物が:
【化134】

、ならびにその薬学的に受容可能な塩およびエステルからなる群より選択される少なくとも1つの化合物である、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記方法が、第二の化学療法薬物を投与する工程をさらに包含する、請求項1〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記式(I)の化合物を含有する組成物が静脈内投与される、請求項1〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記式(I)の化合物を含有する組成物が、体重1kgあたり約0.10mg〜約25mgの投薬量で投与される、請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
以下に列挙される化合物:
【化135】

【化136】

【化137】

【化138】

、ならびにその薬学的に受容可能な塩およびエステルから選択される、化合物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−534682(P2010−534682A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518424(P2010−518424)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/071256
【国際公開番号】WO2009/015368
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】