説明

癌の治療および診断の標的遺伝子としてのSYNGR4

本発明は、肺癌の発癌においてSYNGR4遺伝子が果たす役割に関し、SYNGR4遺伝子の1つまたは複数に対する二本鎖分子、またはそのような二本鎖分子および抗体を含む組成物、ベクター、もしくは細胞を投与することによって肺癌を治療または予防するための方法を特徴とする。本発明はまた、SYNGR4の中より選択される1つまたは複数の過剰発現遺伝子を用いて、肺癌を診断するため、または肺癌、特にNSCLCもしくはSCLCを有する患者の予後を評価/判定するための方法を特徴とする。その目的のために、SYNGR4は肺癌に対する新規の血清学的バイオマーカーとして役立ち得る。また、肺癌における1つまたは複数のSYNGR4の過剰発現に対する化合物の効果を指標として用いる、肺癌を治療および予防するための化合物を同定する方法も開示する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺癌を診断するための方法であって、
(a)(i)SYNGR4のmRNAの検出、
(ii)SYNGR4タンパク質の検出、
(iii)SYNGR4タンパク質の生物活性の検出
からなる群より選択される方法のいずれか1つにより、対象由来の生物試料中の該遺伝子の発現レベルを測定する段階;および
(b)該遺伝子の正常対照レベルと比較した、段階(a)で測定した発現レベルの上昇を、肺癌の存在と関連付ける段階
を含む、方法。
【請求項2】
段階(a)で測定した発現レベルが正常対照レベルよりも少なくとも10%高い、請求項1記載の方法。
【請求項3】
段階(a)で測定した発現レベルが、SYNGR4タンパク質に対する抗体の結合を検出することによって測定される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記対象由来の生物試料が生検材料、痰、血液、胸水、または尿を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
肺癌を有する患者の予後を評価または判定する方法であって、
(a)患者由来の生物試料中の遺伝子の発現レベルを検出する段階;
(b)検出された発現レベルを対照レベルと比較する段階;および
(c)(b)の比較に基づいて該患者の予後を判定する段階
を含み、該遺伝子がSYNGR4である、方法。
【請求項6】
前記対照レベルが予後良好な対照レベルであり、該対照レベルと比較した発現レベルの上昇が予後不良と判定される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記上昇が前記対照レベルよりも少なくとも10%高い、請求項5記載の方法。
【請求項8】
(a)SYNGR4のmRNAの検出;
(b)SYNGR4タンパク質の検出;および
(c)SYNGR4タンパク質の生物活性の検出
からなる群より選択されるいずれか1つの方法によって前記発現レベルを測定する、請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記患者由来の生物試料が生検材料、痰もしくは血液、胸水、または尿を含む、請求項5記載の方法。
【請求項10】
肺癌を診断するため、または肺癌患者の予後を評価もしくは判定するためのキットであって、
(a)遺伝子のmRNAを検出するための試薬;
(b)該遺伝子によってコードされるタンパク質を検出するための試薬;および
(c)該タンパク質の生物活性を検出するための試薬
からなる群より選択される試薬を含み、該遺伝子がSYNGR4である、キット。
【請求項11】
前記試薬が前記遺伝子の遺伝子転写産物に対するプローブである、請求項10記載のキット。
【請求項12】
前記試薬が前記遺伝子によってコードされる前記タンパク質に対する抗体である、請求項10記載のキット。
【請求項13】
細胞に導入されるとSYNGR4のインビボ発現および細胞増殖を阻害する、単離された二本鎖分子であって、センス鎖およびそれに相補的なアンチセンス鎖を含み、該鎖が互いにハイブリダイズして該二本鎖分子を形成する、二本鎖分子。
【請求項14】
前記センス鎖が、SEQ ID NO:11、12、19、および20からなる群より選択される標的配列に相当する配列を含む、請求項13記載の二本鎖分子。
【請求項15】
前記センス鎖が前記標的配列においてアンチセンス鎖とハイブリダイズし、19〜25ヌクレオチド対の長さを有する前記二本鎖分子を形成する、請求項14記載の二本鎖分子
【請求項16】
介在一本鎖によって連結されたセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方を含む単一ポリヌクレオチドからなる、請求項13記載の二本鎖分子。
【請求項17】
一般式
5’−[A]−[B]−[A’]−3’
を有し、[A]はSEQ ID NO:11、12、19、および20からなる群より選択される標的配列に相当する配列を含むセンス鎖であり、[B]は3〜23ヌクレオチドからなる介在一本鎖であり、かつ[A’]は[A]に相補的な配列を含むアンチセンス鎖である、請求項16記載の二本鎖分子。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれか一項記載の二本鎖分子をコードするベクター。
【請求項19】
センス鎖核酸およびアンチセンス鎖核酸を含むポリヌクレオチドの組み合わせのそれぞれを含むベクターであって、該センス鎖核酸がSEQ ID NO:11、12、19、または20のヌクレオチド配列を含み、該アンチセンス鎖核酸が該センス鎖に相補的な配列からなり、該センス鎖および該アンチセンス鎖の転写産物が互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成し、かつ該ベクターが、SYNGR4遺伝子を発現している細胞に導入されると、該遺伝子の発現を阻害する、ベクター。
【請求項20】
SYNGR4遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子を発現する癌を治療する方法であって、少なくとも1つの請求項13記載の単離された二本鎖分子、または請求項18もしくは19記載のベクターを投与する段階を含む、方法。
【請求項21】
治療される癌が肺癌である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
SYNGR4遺伝子を発現する癌を治療するための組成物であって、少なくとも1つの請求項13記載の単離された二本鎖分子、または請求項18もしくは19記載のベクターを含む、組成物。
【請求項23】
治療される癌が肺癌である、請求項22記載の組成物。
【請求項24】
肺癌を治療もしくは予防するため、または肺癌細胞増殖を阻害するための候補化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)試験化合物を、SYNGR4のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと接触させる段階;
(b)該ポリペプチドと該試験化合物との間の結合活性を検出する段階;および
(c)該ポリペプチドに結合する化合物を選択する段階
を含む、方法。
【請求項25】
肺癌を治療もしくは予防するため、または肺癌細胞増殖を阻害するための候補化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)試験化合物を、SYNGR4のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと接触させる段階;
(b)段階(a)のポリペプチドの生物活性を検出する段階;および
(c)試験化合物の非存在下で検出された、SYNGR4の該ポリヌクレオチドによってコードされる該ポリペプチドの生物活性と比較して、該ポリペプチドの生物活性を抑制する試験化合物を選択する段階
を含む、方法。
【請求項26】
前記生物活性が、細胞増殖および細胞浸潤の促進からなる群より選択される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
肺癌を治療もしくは予防するため、または肺癌細胞増殖を阻害するための候補化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)候補化合物を、SYNGR4を発現している細胞と接触させる段階;および
(b)試験化合物の非存在下で検出された発現レベルと比較して、SYNGR4の発現レベルを低下させる候補化合物を選択する段階
を含む、方法。
【請求項28】
肺癌を治療もしくは予防するため、または肺癌細胞増殖を阻害するための候補化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)候補化合物を、SYNGR4の転写調節領域と該転写調節領域の制御下で発現するレポーター遺伝子とを含むベクターが導入された細胞と接触させる段階;
(b)該レポーター遺伝子の発現または活性を測定する段階;ならびに
(c)対照と比較して、該レポーター遺伝子の発現または活性レベルを低下させる候補化合物を選択する段階
を含む、方法。
【請求項29】
薬学的有効量の抗SYNGR4抗体またはその断片を含む、肺癌を治療または予防するための組成物。
【請求項30】
対象において肺癌を治療または予防するための方法であって、抗SYNGR4抗体またはその断片を該対象に投与する段階を含む、方法。
【請求項31】
SYNGR4ポリペプチドとGRB2ポリペプチドとの間の結合を阻害するため、または癌を治療もしくは予防するための候補化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)試験化合物の存在下で、SYNGR4ポリペプチドまたはその機能的同等物をGRB2ポリペプチドまたはその機能的同等物と接触させる段階;
(b)該ポリペプチド間の結合を検出する段階;
(c)段階(b)で検出された結合レベルを、該試験化合物の非存在下で検出された結合レベルと比較する段階;および
(d)段階(c)で、試験化合物の非存在下で検出された結合レベルと比較して、結合レベルを低下させるまたは阻害する試験化合物を選択する段階
を含む、方法。
【請求項32】
SYNGR4の機能的同等物がチロシン−46を含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
SYNGR4のリン酸化を阻害するため、または癌を治療もしくは予防するための候補化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)SYNGR4ポリペプチドまたはその機能的同等物を、該ポリペプチドのリン酸化を可能にする条件下で試験化合物と接触させる段階;
(b)(a)に記載のポリペプチドのチロシン−46残基におけるリン酸化レベルを検出する段階;
(c)該ポリペプチド中のチロシン−46残基のリン酸化レベルを、該化合物の非存在下で検出されたタンパク質中のチロシン−46残基のリン酸化レベルと比較する段階;および
(d)該ポリペプチドのチロシン−46残基のリン酸化レベルを低下させた化合物を候補化合物として選択する段階
を含む、方法。
【請求項34】
下流エフェクターのリン酸化に関するSYNGR4の活性を阻害するため、または癌を治療もしくは予防するための候補化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)ポリヌクレオチドGRB2およびPAK1によってコードされるポリヌクレオチドの存在下において、試験化合物を、SYNGR4のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと、PAK1、c−Raf、MEK1、MEK1/2、およびERK1/2からなる群より選択されるSYNGR4の下流エフェクターのうち少なくとも1つのリン酸化のための条件下で接触させる段階;
(b)SYNGR4の該下流エフェクターのリン酸化レベルを検出する段階;ならびに
(c)該試験化合物の非存在下で検出されたSYNGR4の該下流エフェクターのリン酸化レベルと比較して、SYNGR4の該下流エフェクターのリン酸化レベルを抑制する試験化合物を選択する段階
を含む、方法。
【請求項35】
検出されるSYNGR4の該下流エフェクターのリン酸化レベルが、それぞれPAK1のThr423、c−RafのSer338、MEK1のSer 298、MEK1/2のSer217/221、およびERK1/2のThr202/204のリン酸化レベルである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
癌が肺癌である、請求項31〜35のいずれか一項記載の方法。

【図1D】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−501161(P2012−501161A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509326(P2011−509326)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【国際出願番号】PCT/JP2009/004059
【国際公開番号】WO2010/023866
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(502240113)オンコセラピー・サイエンス株式会社 (142)
【Fターム(参考)】