説明

癌の治療における葉酸代謝拮抗剤の併用

ある種の癌の治療に有用な組成物及び方法。前記方法は、葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤を受けている患者に、葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の効果を高めるか又は強めるのに十分な量で投与されるメトキシアミンを投与することを含む。一つには、本出願は、DNAの脱塩基傷害又はAP部位を標的とするある種の分子が、ある種の抗癌剤の化学療法効果を向上させるか、増大させるか又は高めるという認識に基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、研究、診断、及び治療の用途を含め種々の用途を有する化合物に関する。より詳細には、メトキシアミンと代謝拮抗物質系抗癌剤とを含有する組成物、及びこれらの組成物を投与することによってある種の癌を治療する方法が、本明細書において記載され、提供される。
(関連出願の相互参照)
【0002】
本出願は、Theuerらによって2006年12月29日付けで出願された「ANTIMETABOLITE AGENT COMBINATIONS IN THE TREATMENT OF CANCER」という名称の米国仮特許出願第60/877,836号、Theuerらによって2007年1月3日付けで出願された「ANTIMETABOLITE AGENT COMBINATIONS IN THE TREATMENT OF CANCER」という名称の米国仮特許出願第60/883,266号、及びTheuerらによって2007年1月8日付けで出願された「ANTIMETABOLITE AGENT COMBINATIONS IN THE TREATMENT OF CANCER」という名称の米国仮特許出願第60/883,959号に対する利益を請求する。これらの出願の全部が、法律で認められている範囲で、図面を含めその全体を参照することにより本明細書において援用される。
【背景技術】
【0003】
癌は、世界的な問題である。したがって、癌を治療するための新規な組成物及び方法を見出すことは、極めて重要である。癌の治療は、三つの一般的なカテゴリー:化学療法、放射線療法及び外科手術に分類される。多くの場合に、複数の療法が組み合わせられる。その理由は、複数の療法の組み合わせは、多くの場合に、単一の療法を利用する治療法と比べて癌を根絶する可能性を高めるからである。典型的には、大きな腫瘍塊の外科的切除が行われ、その後に化学療法及び/又は放射線療法が行われる。
【0004】
化学療法剤は、多数の方法で機能することができる。例えば、化学療法剤は、細胞周期の進行を妨害することによって又はDNA鎖の切断を生じさせることによって機能することができる。癌細胞が治療化合物によって引き起こされる細胞周期の妨害又は細胞損傷を克服することができない場合には、細胞は、多くの場合、アポトーシス機序によって死滅するであろう。癌の治療において単一の化学療法剤は、外科手術又は放射線を併用するかしないかに係らず、幾つかの利点を有する。一般に、癌細胞は、化学療法剤に対して耐性を発現する。このような耐性は、薬剤のさらに多い用量の必要及び/又は癌の新たな広がりを招く。化学療法剤は、患者に対して毒性を有し得る。従って、患者が受け入れることができる量には実用的上限がある。しかし、耐性を生じる経路を阻害するために第二の薬剤を開発することができるならば、癌細胞は、化学療法剤の効果を受け易くなり得る。
【0005】
癌の化学療法剤治療に対する耐性に打ち勝つための薬剤設計は、1)耐性を逆転させ且つ腫瘍に対する活性に関して化学療法剤の活性を単に高めるだけではない組み合わせを見出すという目的、及び2)第一の化学療法剤の毒性作用を高めない第二の薬剤を見出すという目的で取り組むべきである。これらの条件は、抗癌性を有することが知られている薬剤と、抗癌性を有し得るか、又は第一の薬剤を他の方法で増強し得る薬剤とについて多くの実証試験を必要とする。あいにく、このような取り組みは、これまでのところ、多数の抗癌剤の組み合わせについて大部分が不成功であることが判明している。
【0006】
従って、癌の治療のための化学療法に対して耐性を逆転させる療法が十分に存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書に記載され且つ特許請求された発明は、多数の属性及び実施形態、例えば、以下に限定されないが、この発明の概要に挙げられているか又は記載されているかあるいは参照されている属性及び実施形態を有する。本明細書に記載され且つ特許請求された発明は、この発明の概要において特定された特徴又は実施形態に限定されないし又はこれらによって限定されず、単に例示の目的のために挙げられるのであって、限定を目的とするものではない。
【0008】
本明細書に記載され且つ特許請求された発明のこれら及びその他の態様及び実施形態は、出願明細書及び特許請求の範囲から及びこれら全体を通じて明らかであり、その全部はその明細書の一部であるとみなされるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある種の癌の治療に有用な組成物及び方法が、本明細書に開示される。一つには、本出願は、DNAの脱塩基損傷又はAP(脱プリン/脱ピリミジン)部位を標的とするある種の分子が、代謝拮抗物質抗癌剤の効果を向上させるか、増強するか、又は高めるというこれまで知られていない認識に基づく。他の実施形態において、塩基除去経路の阻害剤、例えばメトキシアミンは、代謝拮抗物質抗癌剤と併用される。代謝拮抗物質抗癌剤は、通常の生化学反応に必要とされる物質(代謝産物)に類似した構造を有するが、細胞の正常な機能、例えば細胞分裂を妨害するのに十分に異なる構造を有する化学療法剤である。葉酸代謝拮抗剤は、好ましい種類の代謝拮抗剤である。葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤は、葉酸に類似した構造を有するが、葉酸の活性を妨害し且つ細胞の複製に必要な葉酸依存性機序を撹乱させるのに十分に異なる構造を有する化学療法剤である。これらの葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤としては、ペメトレキセド、カペシタビン、エダトレキサート、メトトレキサート、ロメトレキソール、ノラトレキセド、ラリトレキセド、PT523、及びトリメトレキサートが挙げられる。BER(塩基除去修復)阻害剤と組み合わせた葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の使用が、意図される。一つの態様において、本発明の方法は、i)癌と診断された被検者と、ii)葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤を含有する第一の製剤と、iii)メトキシアミンを含有する第二の製剤とを準備することと、前記第一の製剤を前記被検者に投与することと、前記第二の製剤を前記被検者に投与することとを含む方法であって、メトキシアミンが葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の効果を高めるか又は強めるのに十分な量で投与される。第二の製剤は、経口投与し得る。別の態様において、本発明の方法は、i)癌と診断された患者(この場合、前記の癌は、ペメトレキセド単独での治療に対して少なくとも部分的に耐性をもつものである)と、ii)ペメトレキセドを含有する第一の製剤と、iii)メトキシアミンを含有する第二の製剤とを準備することと、前記第一の製剤を前記患者に投与することと、前記第二の製剤を前記患者に投与することとを含む方法であって、メトキシアミンが前記ペメトレキセドの活性を高め且つ前記耐性を克服するのに十分な量で投与される。これらの方法において、メトキシアミン及び葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤は、製剤として投与し得る。また、メトキシアミン及び葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤は、任意の順序で連続的に投与し得る。また、メトキシアミンは、経口投与が可能であり、葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤は、経口又は静脈内投与し得る。また、前記メトキシアミンの量は、正常細胞の過度の感作を引き起こすことなく癌細胞を感作するのに十分な量であり得る。また、メトキシアミン及び前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤は、相乗効果を得るために投与し得る。また、葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤は、経口又は静脈内投与が可能であり、前記メトキシアミンは、前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の活性を高めるに十分な量で1日に2回以下経口投与し得る。また、患者は、葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤単独での治療に対して少なくとも部分的に耐性をもつ癌を有するとして選択することができ、メトキシアミンを含有する前記第二の製剤は、前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の活性を高め且つ前記耐性を克服するのに有効な量で投与される。また、前記メトキシアミンと前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の比は、1:5〜1:500の間、さらに好ましくは1:15〜1:40の間、よりさらに好ましくは約1:20〜1:30の間にあり得る。また、癌は、癌腫、黒色腫、肉腫、リンパ腫、白血病、星状細胞腫、神経膠腫、悪性黒色腫、慢性リンパ球性白血病、肺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膵癌、腎癌、子宮体癌、胃癌、肝臓癌、頭頸部癌、及び乳癌からなる群から選択し得る。好ましい実施形態において、葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤は、ペメトレキセドである。
【0010】
別の実施形態において、葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤を患者に投与することを含む、癌と診断された患者の癌を治療する方法において、メトキシアミンを前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の毒性を高めるのに十分な量で患者に投与することを含む改良された方法が開示される。また、ペメトレキセドを含有する投薬形態と相乗量のメトキシアミンを含有する投薬形態とを含有する抗癌製剤、及び開示された治療の方法に従ってこのような製剤を使用する方法が開示される。別の実施形態において、患者の癌を治療するための葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の使用において、メトキシアミンを、前記患者において前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の毒性を高めるのに十分な量で使用することを含む、メトキシアミンの改良された使用が開示される。
【0011】
一つの態様において、本発明は、AP部位を標的とするある種の分子、例えばメトキシアミンが、完全に経口的に生体利用可能であり且つ経口投与で1日に1回又は2回投与された場合に最小有効濃度を維持するという、これまでに知られていなかった認識に基づく。抗癌剤は、消化管からはほとんど十分に吸収されないことから、典型的には静脈内ボーラスとして投与される。静脈内投与は、不都合を有する。第一に、化学療法剤の静脈内注射は、診療所又は病院での治療を必要とする。第二に、静脈内治療は、典型的にはボーラスとして施され、これは極めて高い薬物曝露であるが、一時的な薬物曝露をもたらす。幾つかの抗癌剤は、反復経口投与により得ることができる持続的曝露の後に最も活性であり得る。これは、化学療法剤に対する耐性機序を阻害する薬剤に特に当てはまり、この場合に耐性経路の長期阻害は、所望の有益な効果に必要であり得る。長期薬物曝露は、持続静脈内投与を使用して達成し得る。しかし、持続注入としての抗癌剤の投与は、複雑な薬物注入装置及び静脈内カテーテル挿入を必要とする。経口投与は、持続静脈内注入の必要をなくし、患者に好まれる投与の経路である。しかし、本発明者らの知見によれば、化学療法に対する耐性を逆転させ且つ本明細書において提供されるようなほぼ完全な経口生体利用率を有するBERの阻害剤は、これまで開発されていない。
【0012】
ペメトレキセドは、5−FU及びその他の初期世代の代謝拮抗物質とは機序的に異なる方法で作用する複数標的葉酸代謝拮抗剤である。ペメトレキセドは、葉酸ポリグルタミン酸シンテターゼ(FPGS)によってより高度のポリグルタミン酸体に細胞内で代謝されるピロロピリミジン葉酸代謝拮抗剤類似物質であるという点で独特である。ペンタグルタミン酸体は、有力な細胞内種であり、またペメトレキセドポリグルタミン酸塩は、親モノグルタミン酸化合物よりも約60倍を超える効力がある、ペメトレキセドポリグルタミン酸塩はまた、長期細胞保持も示す。従って、ペメトレキセドの薬理効果は、静脈内ボーラス投与の後で何日間も持続する。
【0013】
ペメトレキセドは、チミジル酸シンターゼ(TS)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)及びグリシンアミド・リボヌクレオチド・ホルミルトランスフェラーゼ(GARFT)、チミジン及びプリンヌクレオチドのデノボ(de novo)生合成に関与する全ての葉酸依存性酵素を阻害する。対照的に、5−FU及びその他の早期世代の代謝拮抗物質は、主としてTSのみを阻害する。ペメトレキセドが細胞死を引きこす正確な機序は、未だ解明されていないが、単にTS阻害に関与するだけではない。従って、異種非選択性ヒト大腸癌細胞パネルにおいて、5FUに対する感受性について最もよい予測因子はTS活性であるが、多数の感受性決定因子、例えばFPGS活性及びTS酵素反応速度が、ペメトレキセドについて重要であった(van Triest B,Pinedo HM,van Hensbergen Y.Thymidylate synthase level as the main predictor parameter for sensitivity to 5−FU,but not for Folate−based Thymidylate Syntahase Inhibitors,in 13 Nonselected Colon Cell Lines.Clin.Cancer.Res.1999;5:643−54)。別の研究により、ペメトレキセドに対する胃腸細胞系の感受性は、TSの発現によって予測できないことが確認された(Kim JH,Lee KW,Jung Yら、Cytotoxic effects of pemetrexed in gastric cancer cells.Cancer.Sci.2005;96:365−71)。
【0014】
ペメトレキセドの独特な薬理活性は、5−FUに比べて、多数の癌細胞系に対する活性の生体外(in vitro)研究によって明らかにされている。一連の13種類の大腸癌細胞系において、例えば、ペメトレキセドは、5−FUよりも18〜627倍も効力があった(van Triestら、1999)。この独特な薬理及びペメトレキセドが完全には理解されていない多数の作用機序をもつと考えられるという事実は、特定の癌の治療のための他の特定の抗癌剤と組み合わせた場合に、ペメトレキセドがどのように有効であるかを知ることを困難にする。
【0015】
本発明の一つの態様は、メトキシアミンと葉酸代謝拮抗剤化合物の併用投与による癌の治療における予測されない向上についての発見である。従って、本明細書に記載の一つの実施形態は、i)癌と診断された患者と、ii)葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤を含有する第一の製剤と、iii)メトキシアミンを含有する第二の製剤とを準備することと、前記第一の製剤を患者に投与することと、前記第二の製剤を前記患者に投与することとを含む方法であって、メトキシアミンが葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の効果を高めるか又は強める(すなわち、活性を高める)のに十分な量で投与される方法に関する。任意の葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤が、ある実施形態前記方法において5−FUが具体的に除外されることを条件として、使用し得る。典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド、エダトレキサート、メトトレキサート、ロメトレキソール、ノラトレキセド、ラリトレキセド、PT523、トリメトレキサート、アミノプテリン、5,10−ジデアザテトラヒドロ葉酸(DDATHF)、ピリトレキシム、ラルチトレキセド、GW1843[(S)−2−[5−[(1,2−ジヒドロ−3−メチル−1−オキソベンゾ[f]キナゾリン−9−イル)メチル]アミノ−1−オキソ−2−イソインドリニル]−グルタル酸]、これらの製薬学的塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。さらに典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド、エダトレキサート、メトトレキサート、ロメトレキソール、ノラトレキセド、ラリトレキセド、PT523、トリメトレキサート、アミノプテリン、これらの製薬学的塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。最も典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド及びその製薬学的に許容し得る塩とすることができる。例えば、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩とすることができる。代表的な実施形態において、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩七水和物とすることができる。
【0016】
典型的であるが非限定的な実施形態において、葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤は、ペメトレキセドである。メトキシアミン及び葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤は、連続的に(任意の順序で)投与し得るし又は製剤として一緒に投与し得る。ペメトレキセドは、例えば、1日当たり200〜1,000mg/m2体表面積の用量で、又は1日当たり500〜600mg/m2体表面積の間の用量で、静脈内投与し得る。別の実施形態において、メトキシアミンと葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の比は、1:5〜1:500の間にあることができる。
【0017】
別の態様において、メトキシアミンは、正常な組織の過度の感作を引き起こすことなく癌を感作するのに十分な量で経口投与することができる。非限定的な好ましい実施形態において、メトキシアミンは、その他の抗癌剤が経口投与されるのに比べて著しく高められた生体利用率を有するように経口投与される。別の非限定的な好ましい実施形態において、メトキシアミンは、1日に1回又は1日に2回投与された場合に最小有効濃度を維持するように経口投与される。経口生体利用率を測定する一つの方法は、静脈内投与されたメトキシアミンの量と対照して達成される量を比較することにある。従って、本発明の別の態様において、メトキシアミンは、静脈内投与に比べて少なくとも50%、静脈内投与に比べて少なくとも60%、静脈内投与に比べて少なくとも70%、静脈内投与に比べて少なくとも75%、静脈内投与に比べて少なくとも80%、静脈内投与に比べて少なくとも85%、静脈内投与に比べて少なくとも90%、静脈内投与に比べて少なくとも95%の生体利用率、又は静脈内投与の生体利用率にほぼ相当する生体利用率を得るために経口投与される。メトキシアミンの静脈内投与に比べて経口投与によって達成される予測されない高度の生体利用率の他に、メトキシアミンの静脈内投与に比べてより望ましいpKプロファイルが得られることを認めることが重要である。本発明の別の態様において、経口投与されたメトキシアミンは、血漿中での4時間超の半減期により、1日に1回又は2回の投与の後に最小有効濃度を維持する。この利点は、メトキシアミンについて望ましい経口投与計画、例えば1日に1回又は2回の投与を可能にする。メトキシアミンの経口投与と組み合わせたペメトレキセドの静脈内投与は、好ましい非限定的な実施形態であるが、別の投与の経路が、抗癌剤のそれぞれについて意図される。
【0018】
本発明の別の態様において、1つの抗癌剤での治療に耐性をもつある種の癌を治療する方法が提供される。従って、また、
【0019】
i)癌と診断された患者(この場合、前記の癌は、ペメトレキセド単独での治療に対して耐性をもつものとすることができる)と、ii)葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤を含有する第一の製剤と、iii)メトキシアミンを含有する第二の製剤とを準備することと、
【0020】
第一の製剤を患者に投与することと、
【0021】
第二の製剤を患者に投与することとを含み、メトキシアミンが葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の効果を高めるか又は強める(すなわち、毒性を高める)のに十分な量で投与される方法も提供される。一つの実施形態において、葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤は、ペメトレキセドとすることができる。メトキシアミン及び葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤は、連続的に(任意の順序で)投与し得るし又は製剤として一緒に投与し得る。ペメトレキセドは、1日当たり200〜1,000mg/m2体表面積の間の用量で、又は1日当たり500〜600mg/m2体表面積の間の用量で静脈内投与し得る。ペメトレキセドとメトキシアミの比は、1:5〜1:500の間にあり得る。別の実施形態において、メトキシアミンの量は、正常な組織の過度の感作を引き起こすことなく癌を感作するのに十分な量で経口投与することができる。別の実施形態において、メトキシアミンの量は、正常な組織の過度の感作を引き起こすことなく癌を感作するのに十分な量で、1日に1回又は1日に2回経口投与することができる。メトキシアミンの経口投与は、意外にも好ましい投与の経路であるが、別の型の投与が可能である。
【0022】
別の実施形態は、第一の製剤及び第二の製剤を提供することによって癌を治療する方法であって、前記第一の製剤が葉酸代謝拮抗剤を含有し且つ第二の製剤が経口投与されるメトキシアミンを含有する方法に関する。葉酸代謝拮抗剤を含有する第一の製剤は、静脈内を含め慣用の投与の経路で投与し得る。非限定的な好ましい葉酸代謝拮抗剤は、ペメトレキセドである。従って、一つの実施形態において、葉酸代謝拮抗剤は、ペメトレキセドであり、且つメトキシアミンを含有する第二の製剤は、ペメトレキセド単独での治療に比べて相乗的に効果がある量で経口投与される。
【0023】
別の態様において、前記方法は、ペメトレキセド単独に対して耐性をもつ癌を治療するのに使用し得る。これらの実施形態によれば、ペメトレキセドは、葉酸代謝拮抗剤単独に対する耐性を逆転する(従って、相乗的である)量で投与される。従って、一つの実施形態において、メトキシアミンは、ペメトレキセドの毒性を高めるか又は強め且つペメトレキセドによる治療に対する癌の耐性を克服するのに有効な量で経口投与される。例えば、癌を治療するためのペメトレキセドの有効性は、治療サイクル中の耐性の発現に起因して低下し得る。メトキシアミンの投与は、メトキシアミン又はペメトレキセドを単独で用いる癌の治療に対する付加効果よりも大きい場合には、発現した耐性を回避することができる。
【0024】
また、以下の方法が提供される:すなわち、
【0025】
i)癌と診断された患者(この場合、癌は、癌腫、黒色腫、肉腫、リンパ腫、白血病、星状細胞腫、神経膠腫、悪性黒色腫、慢性リンパ球性白血病、肺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膵癌、腎癌、子宮体癌、胃癌、肝臓癌、頭頸部癌、及び乳癌からなる群から選択することができ、またこの場合、癌は、ペメトレキセドを単独で用いた治療に耐性をもつものとすることができる)と、ii)葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤を含有する第一の製剤と、iii)メトキシアミンを含有する第二の製剤とを準備することと、
【0026】
前記第一の製剤を前記患者に投与することと、
【0027】
前記第二の製剤を前記患者に投与することとを含み、メトキシアミンが葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の効果を高めるか又は強めるのに十分な量で投与することができる方法が提供される。メトキシアミン及び葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤は、連続的に投与し得るし又は製剤として一緒に投与し得る。例えば、メトキシアミンを最初に投与することができ、次いで葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤を最後に投与することができるし、あるいは葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤を最初に投与することができ、次いでメトキシアミンを最後に投与することができる。
【0028】
典型的な実施形態において、葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤は、ペメトレキセドとすることができる。ペメトレキセドは、1日当たり200〜1,000mg/m2体表面積の間の用量で、又は1日当たり500〜600mg/m2体表面積の用量で静脈内投与し得る。ペメトレキセドとメトキシアミンの比は、1:5〜1:500の間にあり得る。別の実施形態において、メトキシアミンの量は、正常な組織に対する過度の感作を引き起こすことなく癌細胞を抗癌剤による治療の影響を受け易くする(すなわち感作する)のに十分な量で経口投与することができる。別の実施形態において、メトキシアミンの量は、正常な組織の過度の感作を引き起こすことなく癌を感作するのに十分な量で1日に1回又は2回経口投与することができる。
【0029】
別の実施形態は、メトキシアミンと葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤とを含有する製剤であることができ、この場合にメトキシアミンは、葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の毒性を高めるのに十分な量で投与することができる。好ましくは、葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤は、ペメトレキセドである。
【0030】
別の実施形態において、メトキシアミンと葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の比は、上記の方法のいずれかにおいて1:5〜1:500の間にあることができる。
【0031】
別の実施形態において、第二の抗癌剤は、上記の方法のいずれかにおいてメトキシアミンと葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤とを用いた治療の前又は後に投与することができる。
【0032】
別の実施形態において、代謝拮抗物質抗癌剤を患者に投与することを含む、癌と診断された患者の癌を治療する方法であって、以下の改良、すなわちメトキシアミンを前記代謝拮抗物質抗癌剤の毒性を高めるのに十分な量で患者に投与するという改良を有する方法が記載される。代謝拮抗物質抗癌剤は、葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤であり得る。葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤は、ペメトレキセドであってよく、前記メトキシアミンと葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の比は、1:5〜1:500の間にあり得る。癌は、ペメトレキセドを単独で用いた治療に対して耐性をもつものであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A】アルカリ性コメットアッセイを使用するDNA鎖切断に対するペメトレキセド及びMXの効果を表す。
【図1B】中性コメットアッセイを使用するDNA鎖切断に対するペメトレキセド及びMXの効果を表す。
【図1C】アルカリ性コメットアッセイに供した細胞において、ペメトレキセド単独又はMX単独で処理した細胞と、ペメトレキセドとMXで処理した細胞との間のコメット尾部長の比較を表す。
【図1D】中性コメットアッセイに供した細胞において、ペメトレキセド単独又はMX単独で処理した細胞と、ペメトレキセドとMXで処理した細胞との間のコメット尾部長の比較を表す。
【図2】20mg/kg体重での静脈内及び経口投与によるMXの単回ボーラス投与後の種々の時間点で雄性Sprague−Dawleyラットから得た血漿中の平均MX濃度を表すグラフである。
【図3】20mg/kg体重での静脈内及び経口投与によるMXの単回ボーラス投与後の種々の時間点で雌性Sprague−Dawleyラットから得た血漿中の平均MX濃度を表すグラフである。
【図4A】ペメトレキセドとMXによる処理後24時間のH460細胞において検出されたAP部位の相対量を表すグラフである。
【図4B】24時間、48時間及び72時間でのH460細胞において検出されたAP部位の相対量を表すグラフである。
【図5A】規則正しいAP部位又はMX−AP部位を有するDNA基質の調製の概略図を表す。
【図5B】MX結合AP部位がAPエンドヌクレアーゼ(APE)による切断に対して抵抗性であることを表す。
【図6】DNA二本鎖切断及びアポトーシスに対するペメトレキセドとMXの併用の効果を表す。
【図7】H460細胞におけるBERタンパク質に対するペメトレキセドとMXの併用の効果を表す。
【図8】ヌードマウスにおいて増殖したNCI−H460腫瘍、A549腫瘍、HCT116腫瘍、及びMDA−MB−468腫瘍の体積中央値に対するペメトレキセド及びMXの効果を表す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明のある実施形態は、一般に、メトキシアミンと葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤とを含有する新規組成物、及びこれらの組成物を使用するある種の癌の治療に関する。
【0035】
特に明示しない限りは、以下の用語は、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合には以下の意味を有する。以下で又は本明細書のどこかで定義されていないこれらの用語は、その技術において認められている意味を有するものとする。
【0036】
「薬剤」及び「薬物」という用語は、明細書及び特許請求の範囲を目的として、治療特性を有すると思われる化合物、化合物の混合物、生体高分子、あるいは生物材料、例えば細菌、植物、真菌、又は動物(特に哺乳動物)細胞又は組織から調製される抽出物を意味するために本明細書において使用される。薬剤又は薬物は、精製されていてもよく、実質的に精製されていても、又は部分的に精製されていてもよい。
【0037】
「代謝拮抗物質」という用語は、明細書及び特許請求の範囲を目的として、標準的な生化学反応に必要とされる物質(代謝産物、例えばヌクレオシド)に類似した構造を有するが、細胞分裂を含め細胞の正常な機能を妨害するのに十分に異なる構造を有する化学療法剤を意味するために本明細書において使用される。
【0038】
「葉酸代謝拮抗剤」という用語は、明細書及び特許請求の範囲を目的として、葉酸に類似した構造を有するが、葉酸の活性を妨害し且つ細胞の複製に必要な葉酸依存性機序を混乱させるのに十分に異なる構造を有する化学療法剤を意味するために本明細書において使用される。本明細書で使用されるように、葉酸代謝拮抗剤は、代謝拮抗物質の一つの分類である。
【0039】
「抗新生物薬」という用語は、明細書及び特許請求の範囲を目的として、悪性になり得る新生物(腫瘍)の成熟及び増殖を、DNAを標的とすることによって抑制又は阻止することを目的とした化学療法剤を意味するために本明細書において使用される。
【0040】
「染色する」という用語は、明細書及び特許請求の範囲を目的として、1つの細胞又は複数の細胞の特定の要素及び/又は特徴をよりよく可視化するか、識別するか又は特定するために使用される当業者に知られている多数のプロセスを意味するために本明細書において使用される。
【0041】
「操作可能な組み合わせにおいて」、「操作可能な順序で」及び「操作可能に連結された」という用語は、明細書及び特許請求の範囲を目的として、所定の遺伝子の転写及び/又は所望のタンパク質分子の合成を指示することができる核酸分子を生成するような方法での核酸配列の連結を意味するために本明細書において使用される。この用語はまた、機能性タンパク質が生成するような方法でのアミノ酸配列の連結も指す。
【0042】
「抗原」という用語は、明細書及び特許請求の範囲を目的として、分子の一部に特異的な抗体と反応するタンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、脂質又はその他の物質を意味するために本明細書において使用される。
【0043】
「形態」という用語は、明細書及び特許請求の範囲を目的として、必要に応じて肉眼、光学顕微鏡、共焦点顕微鏡又は電子顕微鏡で見た場合の細胞又は生物の外観を意味するために本明細書において使用される。
【0044】
「被検者」、「個人」及び「患者」という用語は、明細書及び特許請求の範囲を目的として、細胞周期によって(影響される)決定される疾患(自然に生じるか又は誘発される)、例えば以下に限定されないが癌を有することができるヒト又はその他の動物、例えば家畜又は実験動物(例えば、モルモット又はマウス)を意味するために本明細書において使用される。
【0045】
「耐性を逆転させる」という用語は、第一の化学療法剤と組み合わせた第二の薬剤の使用が、第一の化学療法剤単独が未処理腫瘍の腫瘍体積に比べて腫瘍体積の統計学的に有意な減少を生じることができない状況での未処理腫瘍の腫瘍体積と比べた場合に、統計的有意性の水準(例えば、p<0.05)で腫瘍体積の有意な減少を生じることができることを意味する。これは、一般的に、未処理腫瘍が対数律動的に増殖しつつある時間で行われた腫瘍体積測定値に適用される。
【0046】
本明細書で使用される「高める」という用語は、抗癌剤単独又は増強剤単独から期待される有益な活性又は効果に比べて抗癌剤の有益な活性又は効果を高めるか又は強めることを意味する。
【0047】
本明細書で使用される「感作する」という用語は、抗癌剤又は放射線療法による関連した腫瘍性疾患のより効果的な治療を可能にする方法で、癌細胞又は腫瘍細胞を変化させることを意味する。幾つかの実施形態において、正常細胞は、正常細胞を化学療法又は放射線療法によって過度に損傷させる程度まで影響を受けない。
【0048】
本明細書で使用される「相乗効果」という用語は、2種類以上の抗癌剤又は化学療法剤の併用効果が、抗癌剤又は化学療法剤単独の個々の効果の合計よりも大きいものであり得ることを意味する。例えば、BER阻害剤、例えばメトキシアミンと、抗癌剤、例えばペメトレキセドとの併用効果は、メトキシアミン及びペメトレキセド単独の個々の効果の合計よりも大きいものであり得る。
【0049】
「治療有効量」という用語は、例えば、研究者、獣医、医師、又はその他の臨床医によって求められる組織、系、動物、又はヒトの所望の反応、例えば、生物学的又は医学的反応を誘発する主題化合物の量を意味する。
【0050】
「野生型」(wt)の細胞又は細胞系という用語は、明細書及び特許請求の範囲を目的として、検査されている生理学的プロセス又は形態学的特徴について細胞又は細胞系のその種類に標準的に関連する特徴を維持する細胞又は細胞系を意味するために本明細書で使用される。細胞又は細胞系が、それらが検査される前記プロセス又は特徴に認め得るほどに影響を及ぼさない限りは、検査されていない生理学的プロセス又は形態学的特徴について非野生型の特徴を有することが許容される。
【0051】
「製薬学的に許容し得る塩」という用語は、投与される生物に有意な刺激を生じない並びに化合物の生物学的活性及び特性を無効にしない化合物の塩を指す。幾つかの実施形態において、塩は、化合物の酸付加塩である。製薬学的塩は、化合物を、無機酸、例えばハロゲン化水素酸(例えば、塩酸又は臭化水素酸)、硫酸、硝酸、リン酸などと反応させることによって得ることができる。製薬学的塩は、化合物を、有機酸、例えば脂肪族又は芳香族カルボン酸又はスルホン酸、例えば酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸又はナフタレンスルホン酸と反応させることによっても得ることができる。製薬学的塩はまた、化合物を塩基と反応させて、塩、例えばアンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩又はカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩又はマグネシウム塩、有機塩基、例えばジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、C1−C7アルキルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミンの塩、及びアミノ酸、例えばアルギニン、リシンなどとの塩を形成することによっても得ることができる。
【0052】
DNAに対する損傷は、エラーを認識し、それを除去し、損傷したDNAを修正されたヌクレオチドで置換する酵素によって最小限に抑えられる。DNA損傷は、一本鎖切断が導入されるか、塩基が除去されて対になっていないその前のパートナーを残すか、塩基が共有結合的に修飾されるか、塩基がパートナー塩基と適切に対をなさない別の塩基に転換されるか、又は共有結合が向かい合った鎖の塩基同士の間に導入される場合に生じる。切除修復系は、誤対合した塩基又は損傷した塩基をDNA鎖から除去し、次いでそれを置換するために新たなDNAを合成する。塩基除去修復(BER)は、DNAの複製中に開始され、複製の完了の前に損傷した塩基/誤対合した塩基の修正を可能にする。
【0053】
塩基除去修復(BER)は、N−グリコシド(塩基−糖)結合を除去し、損傷した塩基を遊離し、脱塩基部位(例えば、脱プリン又は脱ピリミジン(AP)部位)を生成するDNAグリコシラーゼによって開始される。脱プリン又は脱ピリミジン(AP)部位は、DNA(デオキシリボ核酸)からプリン又はピリミジン残基をそれぞれ失うことに起因する。ウラシル残基は、シトシンの自然脱アミノ化から形成でき、修復されない場合にはC→T転写を招き得る。ヒポキサンチン、すなわちアデニンの脱アミノ化生成物を認識し、切除するグリコシラーゼも存在する。他のグリコシラーゼは、アルキル化された塩基(例えば、3−メチルアデニン、3−メチルグアニン、及び7−メチルグアニン)、開環プリン、酸化的損傷を受けた塩基、及び幾つかの生物においては、UV光二量体を除去する。ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)は、DNAグリコシラーゼの一例である。UDGのBERタンパク質量は、ペメトレキセドとMXの併用の治療によって影響を受ける(図7)。
【0054】
AP部位は、損傷したプリン又はピリミジン塩基の両側のリン酸ジエステル結合を切断する5’−3’エンドヌクレアーゼ(APエンドヌクレアーゼ(APE))によってさらに処理される。APエンドヌクレアーゼは、AP部位でリン酸ジエステル結合を切断することによって鎖の切断を誘導する。
【0055】
PARPは、BER中に誘導されるDNA鎖切断のプロセシングに役立つ。PARPは、単一のヌクレオチドBERが完了まで正常に進行する場合にBER中間体に弱く結合するDNAニック監視タンパク質である。対照的に、単一のヌクレオチドBERが切除工程の阻止によって行き詰まる場合には、PARPは、APエンドヌクレアーゼ(APE)、DNA pol β、及びFEN−1と共に、BER中間体に強く結合する。
【0056】
哺乳動物細胞において、5’−デオキシリボース糖リン酸エステルは、DNAポリメラーゼβ(pol β)の固有のAPリアーゼ(dRP)活性によって除去される。DNAポリメラーゼ酵素もまた、新たなヌクレオチドで間隙を満たす。
【0057】
最後に、DNAリガーゼが、新たな物質の3’末端を古い物質に共有結合的に結合する。このようにして、野生型配列が回復される。
【0058】
トポイソメラーゼI及びIIもまた、自然発生AP部位を認識し、安定な切断可能複合体を形成することから、DNA修復に関与する。トポイソメラーゼII阻害剤は、DNA切断及びその他の染色体異常、例えば姉妹染色分体交換を促進する。
【0059】
本明細書に記載の幾つかの実施形態は、
【0060】
i)癌と診断された患者と、ii)葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤を含有する第一の製剤と、iii)メトキシアミンを含有する第二の製剤とを準備することと、
【0061】
第一の製剤を患者に投与することと、第二の製剤を前記患者に投与することとを含み、メトキシアミンが、葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の効果を高めるか又は強めるのに十分な量で投与することができる方法を目的とするものであり得る。任意の葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤が、ある実施形態前記方法において5−FUが具体的に除外されることを条件として、使用し得る。
【0062】
典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド、カペシタビン、エダトレキサート、メトトレキサート、ロメトレキソール、ノラトレキセド、ラリトレキセド、PT523、トリメトレキサート、アミノプテリン、5,10−ジデアザテトラヒドロ葉酸(DDATHF)、ピリトレキシム、ラルチトレキセド、GW1843[(S)−2−[5−[(1,2−ジヒドロ−3−メチル−1−オキソベンゾ[f]キナゾリン−9−イル)メチル]アミノ−1−オキソ−2−イソインドリニル]−グルタル酸]、これらの製薬学的塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。さらに典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド、カペシタビン、エダトレキサート、メトトレキサート、ロメトレキソール、ノラトレキセド、ラリトレキセド、PT523、トリメトレキサート、アミノプテリン、これらの製薬学的塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。最も典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド及びその製薬学的に許容し得る塩とすることができる。例えば、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩とすることができる。代表的な実施形態において、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩七水和物とすることができる。
【0063】
ある種の実施形態において、本発明は、AP部位の形成を誘導する抗癌剤と、BER阻害剤との使用を意図する。
【0064】
典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド、カペシタビン、エダトレキサート、メトトレキサート、ロメトレキソール、ノラトレキセド、ラリトレキセド、PT523、トリメトレキサート、アミノプテリン、5,10−ジデアザテトラヒドロ葉酸(DDATHF)、ピリトレキシム、ラルチトレキセド、GW1843[(S)−2−[5−[(1,2−ジヒドロ−3−メチル−1−オキソベンゾ[f]キナゾリン−9−イル)メチル]アミノ−1−オキソ−2−イソインドリニル]−グルタル酸]、これらの製薬学的塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。さらに典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド、カペシタビン、エダトレキサート、メトトレキサート、ロメトレキソール、ノラトレキセド、ラリトレキセド、PT523、トリメトレキサート、アミノプテリン、これらの製薬学的塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。最も典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド及びその製薬学的に許容し得る塩とすることができる。例えば、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩とすることができる。代表的な実施形態において、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩七水和物とすることができる。
【0065】
典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン、エトポシド(VP−16、VP−16−123)、メソ−4,4’−(2,3−ブタンジイル)−ビス−(2,6−ピペラジンジオン)(ICRF−193、ビスジオキソピペラジン)、ドキソルビシン(DOX)、アムサクリン(4’,9−アクリジニルアミノメタンスルホン−m−アニシジド;mAMSA)、パゼリプチン、ナリジクス酸、オキソリン酸、ノボビオシン、クメルマイシンA1、フォストリエシン、テニポシド、ミトキサントロン、ダウノルビシン、N−[2−ジメチルアミノ)エチル]アクリジン−4−カルボキサミド(DACA)、メルバロン、キナクリン、エリプチシン類、エピポドフィロトキシン類、臭化エチジウム、エピルビシン、ピラルビシン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン;4’−リン酸−4’−ジメチルエピポドフィロトキシン2N−メチルグルカミン塩の2’’,3’’−ビスペンタフルオロフェノキシアセチル−4’,6’−エチリデン−β−Dグルコシド(F11782;フッ素化脂溶性エピポドフィロイド)、アドリアマイシン、アクチノマイシンD、アントラサイクリン(例えば、9−アミノアントラサイクリン)、ピラゾロアクリジン(PZA)、カンプトテシン、トポテカン、これらの製薬学的塩及び溶媒和物並びに任意の組み合わせからなる群から選択することができる。さらに典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン(MX)、N−エチルマレイミド、O6−ベンジルグアニン、これらの製薬学的に許容し得る塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。最も典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン(MX)又はその塩とすることができる。
【0066】
一つの実施形態において、BER阻害剤は、式Iの構造をもつ化合物、
【化1】

【0067】
(式中、Xは、O又はNHであり、
【0068】
Yは、O、S、又はNHであり、
【0069】
Zは、存在しないか、あるいはO、S、又はNHを表し、
【0070】
Rは、水素又は炭化水素部分を表す)、及び
【0071】
その製薬学的に許容し得る塩とすることができる。
【0072】
幾つかの実施形態において、BER阻害剤は、腫瘍性疾患を有する患者又は被検者を治療するのに使用できる。例えば、腫瘍性疾患は、癌腫、黒色腫、肉腫、リンパ腫、白血病、星状細胞腫、神経膠腫、悪性黒色腫、慢性リンパ球性白血病、肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膵癌、腎癌、子宮体癌、胃癌、肝臓癌、頭頸部癌からなる群から選択される癌とすることができる。
【0073】
幾つかの実施形態において、BER阻害剤は、抗癌剤を用いて治療中の腫瘍性疾患をもつ患者又は個人を治療するのに使用できる。
【0074】
典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン、エトポシド(VP−16、VP−16−123)、メソ−4,4’−(2,3−ブタンジイル)−ビス−(2,6−ピペラジンジオン)(ICRF−193、ビスジオキソピペラジン)、ドキソルビシン(DOX)、アムサクリン(4’,9−アクリジニルアミノメタンスルホン−m−アニシジド;mAMSA)、パゼリプチン、ナリジクス酸、オキソリン酸、ノボビオシン、クメルマイシンA1、フォストリエシン、テニポシド、ミトキサントロン、ダウノルビシン、N−[2−ジメチルアミノ)エチル]アクリジン−4−カルボキサミド(DACA)、メルバロン、キナクリン、エリプチシン類、エピポドフィロトキシン類、臭化エチジウム、エピルビシン、ピラルビシン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン;4’−リン酸−4’−ジメチルエピポドフィロトキシン2N−メチルグルカミン塩の2’’,3’’−ビスペンタフルオロフェノキシアセチル−4’,6’−エチリデン−β−Dグルコシド(F11782;フッ素化脂溶性エピポドフィロイド)、アドリアマイシン、アクチノマイシンD、アントラサイクリン(例えば、9−アミノアントラサイクリン)、ピラゾロアクリジン(PZA)、カンプトテシン、トポテカン、これらの製薬学的塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。さらに典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン(MX)、N−エチルマレイミド、O6−ベンジルグアニン、これらの製薬学的に許容し得る塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。最も典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン(MX)又はその塩とすることができる。
【0075】
典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド、カペシタビン、エダトレキサート、メトトレキサート、ロメトレキソール、ノラトレキセド、ラリトレキセド、PT523、トリメトレキサート、アミノプテリン、5,10−ジデアザテトラヒドロ葉酸(DDATHF)、ピリトレキシム、ラルチトレキセド、GW1843[(S)−2−[5−[(1,2−ジヒドロ−3−メチル−1−オキソベンゾ[f]キナゾリン−9−イル)メチル]アミノ−1−オキソ−2−イソインドリニル]−グルタル酸]、これらの製薬学的塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。さらに典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド、カペシタビン、エダトレキサート、メトトレキサート、ロメトレキソール、ノラトレキセド、ラリトレキセド、PT523、トリメトレキサート、アミノプテリン、これらの製薬学的及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。最も典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド及びその製薬学的に許容し得る塩とすることができる。例えば、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩とすることができる。代表的な実施形態において、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩七水和物とすることができる。
【0076】
幾つかの実施形態において、BER阻害剤と抗癌剤は、組み合わせて個人に投与することができる。例えば、BER阻害剤と抗癌剤は、一緒に、非経口製剤で個人に投与することができる。あるいは、BER阻害剤と抗癌剤は、一緒に、経口製剤、例えば固形製剤で個人に投与することができる。
【0077】
幾つかの実施形態において、BER阻害剤と抗癌剤は、個人に連続的に投与することができ、この場合に個人は、最初に抗癌剤を投与され、次いでBER阻害剤を投与される。例えば、個人は、抗癌剤を、非経口製剤、例えば静脈内製剤で又は経口製剤、例えば固形製剤で投与され、次いでBER阻害剤を、非経口製剤、例えば静脈内製剤で又は経口製剤、例えば固形製剤で投与されることができる。
【0078】
あるいは、幾つかの実施形態において、BER阻害剤と抗癌剤は、個人に連続的に投与することができ、この場合に個人は、最初にBER阻害剤を投与され、次いで抗癌剤を投与される。例えば、個人は、BER阻害剤を、非経口製剤、例えば静脈内製剤で又は経口製剤、例えば固形製剤で投与され、次いで抗癌剤を、非経口製剤、例えば静脈内製剤で又は経口製剤、例えば固形製剤で投与されることができる。
【0079】
幾つかの実施形態において、抗癌剤とBER阻害剤は、個々の薬剤の別個の抗癌効果よりも大きい抗癌効果を作り出すことができる。例えば、抗癌剤とBER阻害剤の併用抗癌効果は、抗癌剤とBER阻害剤を個々に使用した場合の付加抗癌効果よりも大きいものとすることができる。
【0080】
従って、BER阻害剤として有用な化合物、例えばメトキシアミン(MX)、N−エチルマレイミド、O6−ベンジルグアニン、及び式Iの構造をもつ化合物、
【化2】

【0081】
(式中、Xは、O又はNHであり、
【0082】
Yは、O、S、又はNHであり、
【0083】
Zは、存在しないか、あるいはO、S、又はNHを表し、
【0084】
Rは、水素又は炭化水素部分を表す)
【0085】
及びその製薬学的に許容し得る塩。
【化3】

【0086】
単一ヌクレオチドBERにおいて、脱塩基部位のデオキシリボースリン酸(dRP)は、DNA pol βのリアーゼ活性によって除去される。化合物、例えばメトキシアミンは、脱塩基部位のアルデヒドと反応して、それがdRPリアーゼ機序のβ脱離工程に反応しないようにし、このようにして単一ヌクレオチドBERを妨害する。
【0087】
幾つかの実施形態において、適切な化合物は、APエンドヌクレアーゼの基質が切断を受け易くなるのを防止する。抗癌剤は、AP部位に結合することによって及びリン酸ジエステル結合のAPE介在切断を防止することによって作用し得る。AP部位に結合し且つリン酸ジエステル結合のAPE介在切断を防止し得る他の化合物としては、O−ベンジルヒドロキシルアミン、アミノオキシ酢酸エチル、アミノオキシ酢酸、アミノオキシ酢酸エチル、H2N−OCHMeCO2H、カルボキシメトキシアミン、アミノオキシ酢酸、HN=C(NH2)SCH2CH2ONH2、H2N−O(CH23SC(NH2)=NH、MeOC(O)CH(NH2)CH2O−NH2、H2NOCH2CH(NH2)CO2H、カナリン、H2N−O(CH24O−NH2、O−(p−ニトロベンジル)ヒドロキシルアミン、2−アミノ−4−(アミノオキシメチル)チアゾール、4−(アミノオキシメチル)チアゾール、O,O’−(o−フェニレンジメチレン)ジヒドロキシルアミン、2,4−ジニトロフェノキシアミン、O,O’−(m−フェニレンジメチレン)ジヒドロキシルアミン、O,O’−(p−フェニレンジメチレン)ジヒドロキシルアミン、H2C=CHCH2O−NH2、H2N−O(CH24O−NH2、H3C(CH215O−NH2、2,2’−(1,2−エタンジイル)ビス(3−アミノオキシ)ブタン二酸ジメチルジエチルエステル、以下の構造式、
【化4】

のいずれかを有する化合物、
【0088】
及びこれらの化合物のいずれかの製薬学的に許容し得る塩が挙げられる。
【0089】
BER阻害剤として有用な化合物としては、PARP阻害剤、例えば4−アミノ−1,8−ナフタルイミド(ANI)、PD128763、3−AB、6−AN、及び8−ヒドロキシ−2−メチル−キナゾリン−4−[3H]オン(NU−1025)が挙げられる。
【0090】
BER阻害剤として有用な化合物としては、DNAポリメラーゼ阻害剤(例えば、DNAポリメラーゼβ、γ又はε)、例えばプルナシン、アフィジコリン、2’,3’−ジデオキシシチジン三リン酸(ddCTP)、2’,3’−ジデオキシチミジン三リン酸(ddTTP)、2’,3’−ジデオキシアデノシン三リン酸(ddATP)、2’,3’−ジデオキシグアノシン三リン酸(ddGTP)、1−β−D−アラビノフラノシルシトシン(Ara−C)、カフェイン、アラビノシチジン、及びブレオマイシンが挙げられる。
【0091】
BER阻害剤として有用な化合物としては、DNAリガーゼ阻害剤(例えば、DNAリガーゼI、II、又はIII)、例えばウルソル酸及びオレアノール酸、アレウリトール酸、プロトリケステリン酸、スウェルチフランケシド、フルボプルミエリン、ファガロニンクロリド、及びブレオマイシンが挙げられる。XRCClは、DNAリガーゼIIIのタンパク質パートナーであり、XRCClの阻害剤、例えば3−ABはまた、BER阻害剤として有用である。
【0092】
トポイソメラーゼII阻害剤は、DNA切断及びその他の染色体異常、例えば姉妹染色分体交換を誘導する。BER阻害剤として有用な化合物としてはまた、トポイソメラーゼII阻害剤、例えばエトポシド(VP−16、VP−16−123)、メソ−4,4’−(2,3−ブタンジイル)−ビス−(2,6−ピペラジンジオン)(ICRF−193、ビスジオキソピペラジン)、ドキソルビシン(DOX)、アムサクリン(4’,9−アクリジニルアミノメタンスルホン−m−アニシジド;mAMSA)、パゼリプチン、ナリジクス酸、オキソリン酸、ノボビオシン、クメルマイシンA1、フォストリエシン、テニポシド、ミトキサントロン、ダウノルビシン、N−[2−ジメチルアミノ)エチル]アクリジン−4−カルボキサミド(DACA)、メルバロン、キナクリン、エリプチシン類、エピポドフィロトキシン類、臭化エチジウム、エピルビシン、ピラルビシン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン;4’−リン酸リン酸−4’−ジメチルエピポドフィロトキシン2N−メチルグルカミン塩の2’’,3’’−ビスペンタフルオロフェノキシアセチル−4’,6’−エチリデン−β−Dグルコシド(Fl1782;フッ素化脂溶性エピドフィロイド)、アドリアマイシン、アクチノマイシンD、アントラサイクリン(例えば、9−アミノアントラサイクリン)、及びピラゾロアクリジン(PZA)が挙げられる。トポイソメラーゼI阻害剤、例えばカンプトテシン及びトポテカンもまた、BER阻害剤として使用できる。
【0093】
幾つかの実施形態において、その他の酵素阻害剤(当技術分野において公知であろうと又は以下で特定されていようと)、及びBER経路のその他の要素の阻害剤、例えばDNAアルキルトランスフェラーゼが、この実施形態の範囲及び精神から逸脱することなく組成物及び方法において使用し得る。
【0094】
ある実施形態において、本発明は、AP部位の形成を誘導する抗癌剤、例えばペメトレキセドと、BER阻害剤(トポイソメラーゼ阻害剤以外のもの)、例えばメトキシアミンとの使用を意図する。
【0095】
典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド、カペシタビン、エダトレキサート、メトトレキサート、ロメトレキソール、ノラトレキセド、ラリトレキセド、PT523、及びトリメトレキサートからなる群から選択することができる。さらに典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド及びその製薬学的に許容し得る塩とすることができる。例えば、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩とすることができる。代表的な実施形態において、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩七水和物とすることができる。
【0096】
幾つかの実施形態において、抗癌剤は、約25mg/m2〜約5,000mg/m2体表面積の用量で投与することができる。例えば、用量は、約25mg/m2〜約200mg/m2体表面積とすることができる。用量は、約150mg/m2〜約500mg/m2体表面積とすることができる。用量は、約400mg/m2〜約1000mg/m2体表面積とすることができる。用量は、約900mg/m2〜約5,000mg/m2体表面積とすることができる。用量は、約200mg/m2〜約1,000mg/m2体表面積とすることができる。又は用量は、約500mg/m2〜約600mg/m2体表面積とすることができる。葉酸代謝拮抗剤は、非限定的な好ましい種類の抗癌剤である。幾つかの実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド、カペシタビン、エダトレキサート、メトトレキサート、ロメトレキソール、ノラトレキセド、ラリトレキセド、PT523、及びトリメトレキサートからなる群から選択することができる。さらに好ましい実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド及びその製薬学的に許容し得る塩とすることができる。例えば、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩とすることができる。代表的な実施形態において、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩七水和物とすることができる。
【0097】
幾つかの実施形態において、BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:2〜約1:10000とすることができる。例えば、BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:2〜約1:100とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:50〜約1:500とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:450〜約1:10000とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:5〜約1:500とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:10〜約1:50とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:15〜約1:40とすることができる。又はBER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:20〜約1:30とすることができる。典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン(MX)、N−エチルマレイミド、O6−ベンジルグアニン、これらの製薬学的に許容し得る塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。さらに典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン(MX)とすることができる。
【0098】
幾つかの実施形態において、BER阻害剤は、抗癌剤の効果を高めるか又は強めるのに十分な量で投与される。
【0099】
典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド、カペシタビン、エダトレキサート、メトトレキサート、ロメトレキソール、ノラトレキセド、ラリトレキセド、PT523、トリメトレキサート、アミノプテリン、5,10−ジデアザテトラヒドロ葉酸(DDATHF)、ピリトレキシム、ラルチトレキセド、GW1843[(S)−2−[5−[(1,2−ジヒドロ−3−メチル−1−オキソベンゾ[f]キナゾリン−9−イル)メチル]アミノ−1−オキソ−2−イソインドリニル]−グルタル酸]、これらの製薬学的塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。さらに典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド、カペシタビン、エダトレキサート、メトトレキサート、ロメトレキソール、ノラトレキセド、ラリトレキセド、PT523、トリメトレキサート、アミノプテリン、これらの製薬学的塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。最も典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド及びその製薬学的に許容し得る塩とすることができる。例えば、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩とすることができる。代表的な実施形態において、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩七水和物とすることができる。
【0100】
典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン、エトポシド(VP−16、VP−16−123)、メソ−4,4’−(2,3−ブタンジイル)−ビス−(2,6−ピペラジンジオン)(ICRF−193、ビスジオキソピペラジン)、ドキソルビシン(DOX)、アムサクリン(4’,9−アクリジニルアミノメタンスルホン−m−アニシジド;mAMSA)、パゼリプチン、ナリジクス酸、オキソリン酸、ノボビオシン、クメルマイシンA1、フォストリエシン、テニポシド、ミトキサントロン、ダウノルビシン、N−[2−ジメチルアミノ)エチル]アクリジン−4−カルボキサミド(DACA)、メルバロン、キナクリン、エリプチシン類、エピポドフィロトキシン類、臭化エチジウム、エピルビシン、ピラルビシン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン;4’−リン酸−4’−ジメチルエピポドフィロトキシン2N−メチルグルカミン塩の2’’,3’’−ビスペンタフルオロフェノキシアセチル−4’,6’−エチリデン−β−Dグルコシド(F11782;フッ素化脂溶性エピポドフィロイド)、アドリアマイシン、アクチノマイシンD、アントラサイクリン(例えば、9−アミノアントラサイクリン)、ピラゾロアクリジン(PZA)、カンプトテシン、トポテカン、これらの製薬学的塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。さらに典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン(MX)、N−エチルマレイミド、O6−ベンジルグアニン、これらの製薬学的に許容し得る塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。最も典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン(MX)又はその塩とすることができる。例えば、BER阻害剤は、メトキシアミン塩酸塩(MX)とすることができる。
【0101】
幾つかの実施形態において、BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:2〜約1:10000とすることができる。例えば、BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:2〜約1:100とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:50〜約1:500とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:450〜約1:10000とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:5〜約1:500とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:10〜約1:50とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:15〜約1:40とすることができる。又はBER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:20〜約1:30とすることができる。典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン(MX)、N−エチルマレイミド、O6−ベンジルグアニン、これらの製薬学的に許容し得る塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。さらに典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン(MX)とすることができる。最も典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン(MX)であることができ且つ抗癌剤は、ペメトレキセドとすることができる。例えば、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩とすることができる。代表的な実施形態において、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩七水和物とすることができる。
【0102】
幾つかの実施形態は、癌を治療する方法であって、
【0103】
抗癌剤を含有する第一の製剤と、別々に投与することができるか又は併用製剤として投与することができるBER阻害剤を含有する第二の製剤とを準備することと、
【0104】
癌と診断された被検者を選択することと(この場合、前記の癌は、抗癌剤を単独で又は他の抗癌剤と組み合わせて用いた治療に耐性をもつものである)、
【0105】
前記第一の製剤及び前記第二の製剤を投与することとを含み、
【0106】
前記第一の製剤の量及び前記第二の製剤の量が、前記被検者に投与された場合に抗癌効果が第一の製剤単独の抗癌効果よりも大きいものとすることができる量とすることができる、癌を治療する方法を提供する。
【0107】
幾つかの実施形態において、第一の製剤は、ペメトレキセド、カペシタビン、エダトレキサート、メトトレキサート、ロメトレキソール、ノラトレキセド、ラリトレキセド、PT523、トリメトレキサート、アミノプテリン、これらの製薬学的に許容し得る塩及び任意の組み合わせからなる群から選択される抗癌剤を含有することができる。典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセドとすることができる。幾つかの実施形態において、第二の製剤は、メトキシアミン(MX)、N−エチルマレイミド、O6−ベンジルグアニン、これらの製薬学的に許容し得る塩及び任意の組み合わせからなる群から選択されるBER阻害剤を含有することができる。典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミンとすることができる。
【0108】
幾つかの実施形態において、抗癌剤は、約25mg/m2〜約5,000mg/m2体表面積の用量で投与することができる。例えば、用量は、約25mg/m2〜約200mg/m2体表面積とすることができる。用量は、約150mg/m2〜約500mg/m2体表面積とすることができる。用量は、約400mg/m2〜約1000mg/m2体表面積とすることができる。用量は、約900mg/m2〜約5,000mg/m2体表面積とすることができる。用量は、約200mg/m2〜約1,000mg/m2体表面積とすることができる。又は用量は、約500mg/m2〜約600mg/m2体表面積とすることができる。幾つかの実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド、カペシタビン、エダトレキサート、メトトレキサート、ロメトレキソール、ノラトレキセド、ラリトレキセド、PT523、及びトリメトレキサートからなる群から選択することができる。さらに好ましい実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド及びその製薬学的に許容し得る塩とすることができる。例えば、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩とすることができる。代表的な実施形態において、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩七水和物とすることができる。
【0109】
幾つかの実施形態において、BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:2〜約1:10000とすることができる。例えば、BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:2〜約1:100とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:50〜約1:500とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:450〜約1:10000とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:5〜約1:500とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:10〜約1:50とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:15〜約1:40とすることができる。又はBER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:20〜約1:30とすることができる。典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン(MX)、N−エチルマレイミド、O6−ベンジルグアニン、これらの製薬学的に許容し得る塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。さらに典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン(MX)とすることができる。
【0110】
幾つかの実施形態は、癌を治療する方法であって、
【0111】
抗癌剤を含有する第一の製剤と、別々に投与することができるか又は併用製剤として投与することができるBER阻害剤を含有する第二の製剤とを準備することと、
【0112】
癌と診断された被検者を選択することと、
【0113】
前記第一の製剤と前記第二の製剤とを投与することとを含み、
【0114】
前記第一の製剤の量及び前記第二の製剤の量が、前記被検者に投与された場合に、抗癌効果が抗癌剤を含有する第一の製剤とBER阻害剤を含有する第二の製剤との合計抗癌効果よりも大きくなり得る量とすることができる方法を提供する。
【0115】
幾つかの実施形態において、第一の製剤は、ペメトレキセド、カペシタビン、エダトレキサート、メトトレキサート、ロメトレキソール、ノラトレキセド、ラリトレキセド、PT523、トリメトレキサート、アミノプテリン、これらの製薬学的塩及び任意の組み合わせからなる群から選択される抗癌剤を含有することができる。典型的な実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセドとすることができる。幾つかの実施形態において、第二の製剤は、メトキシアミン(MX)、N−エチルマレイミド、O6−ベンジルグアニン、これらの製薬学的に許容し得る塩及び任意の組み合わせからなる群から選択されるBER阻害剤を含有することができる。典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミンとすることができる。
【0116】
幾つかの実施形態において、抗癌剤は、約25mg/m2〜約5,000mg/m2体表面積の用量で投与することができる。例えば、用量は、約25mg/m2〜約200mg/m2体表面積とすることができる。用量は、約150mg/m2〜約500mg/m2体表面積とすることができる。用量は、約400mg/m2〜約1000mg/m2体表面積とすることができる。用量は、約900mg/m2〜約5,000mg/m2体表面積とすることができる。用量は、約200mg/m2〜約1,000mg/m2体表面積とすることができる。又は用量は、約500mg/m2〜約600mg/m2体表面積とすることができる。幾つかの実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド、カペシタビン、エダトレキサート、メトトレキサート、ロメトレキソール、ノラトレキセド、ラリトレキセド、PT523、及びトリメトレキサートからなる群から選択することができる。さらに好ましい実施形態において、抗癌剤は、ペメトレキセド及びその製薬学的に許容し得る塩とすることができる。例えば、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩とすることができる。代表的な実施形態において、ペメトレキセドは、二ナトリウム塩七水和物とすることができる。
【0117】
幾つかの実施形態において、BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:2〜約1:10000とすることができる。例えば、BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:2〜約1:100とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:50〜約1:500とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:450〜約1:10000とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:5〜約1:500とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:10〜約1:50とすることができる。BER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:15〜約1:40とすることができる。又はBER阻害剤と抗癌剤の比は、約1:20〜約1:30とすることができる。典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン(MX)、N−エチルマレイミド、O6−ベンジルグアニン、これらの製薬学的に許容し得る塩及び任意の組み合わせからなる群から選択することができる。さらに典型的な実施形態において、BER阻害剤は、メトキシアミン(MX)とすることができる。
【0118】
この実施形態の別の態様は、ある種のBER阻害剤が、ある種の葉酸代謝拮抗剤との併用で相乗的に作用してある種の葉酸代謝拮抗剤に対する耐性を意外にも逆転させるという予想外の成果である。従って、非限定的な好ましい実施形態において、代謝拮抗物質抗癌剤は、葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤である。これらの葉酸代謝拮抗剤は、細胞の複製に不可欠な葉酸依存性代謝プロセスを混乱させる。葉酸代謝拮抗剤は、葉酸の代謝に関与する細胞プロセスを混乱させるように作用するという点で他の化学療法剤と異なる。これらとしては、葉酸依存性酵素、例えば以下に限定されないがチミジル酸シンターゼ(TS)の阻害が挙げられる。葉酸依存性プロセスの妨害は、不適切なDNAの複製及び急速に分裂する細胞、例えば癌細胞のアポトーシスを招く。一つの実施形態において、MXと代謝拮抗物質抗癌剤の比は、約1:5〜1:500の間にある。ある実施形態において、MXと代謝拮抗物質抗癌剤の比は、約1:10〜約1:100、約1:25〜約1:75、約1:15〜約1:40、又は約1:20〜約1:30の間にある。さらに、第二の抗癌剤は、MXと代謝拮抗物質抗癌剤との併用の前又は後に投与し得る。
[医薬組成物]
【0119】
本明細書において提供される組成物は、組成物を患者に投与することを可能にする任意の形態であり得ることが認められるであろう。例えば、組成物は、固体、液体又は気体(例えば、エアロゾル)の形態であり得る。その他の適した投与の経路としては、限定されることなく、経口、局所、非経口(例えば、舌下又は口腔)、舌下、直腸、膣内、及び鼻腔内が挙げられる。本明細書で使用される非経口という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内、空洞内、鞘内、道内(intrameatal)、尿道内注射又は輸液注入法を包含する。医薬組成物は、患者に対する投与の際にその中に含まれる有効成分を生体利用可能にさせるように製剤される。患者に投与される組成物は、1回又はそれ以上の投与単位の形をとり、この場合、例えば、錠剤は、単一の投与単位をとることができ、またエアロゾルの形態の1つ又はそれ以上の本発明の化合物の容器は、複数の投与単位を保持し得る。
【0120】
別の態様において、本開示は、生理学的に許容し得る界面活性剤、担体、希釈剤、賦形剤、平滑剤、懸濁剤、皮膜形成物質、及び被覆助剤、又はこれらの組み合わせ、及び本明細書に開示の化合物を含有する医薬組成物に関する。治療剤用途に許容し得る担体又は希釈剤は、製薬技術において周知であり、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1990)に記載されており、これはその全体を参照することによって本明細書において援用される。防腐剤、安定剤、色素、甘味料、芳香剤、着香剤などが、医薬組成物に提供される。例えば、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸及びp−ヒドロキシ安息香酸エステル類が、防腐剤として添加し得る。さらに、酸化防止剤及び懸濁剤を使用し得る。種々の実施形態において、アルコール類、エステル類、硫酸化脂肪族アルコールなどが、界面活性剤として使用し得る。スクロース、グルコース、ラクトース、デンプン、結晶化セルロース、マンニトール、軽無水ケイ酸塩、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどが、賦形剤として使用し得る。ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油などが、平滑剤として使用し得る。ヤシ油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、ダイズ油が、懸濁剤又は潤滑剤として使用し得る。炭水化物、例えばセルロース又は糖の誘導体としての酢酸フタル酸セルロース、又はポリビニルの誘導体としてのメチルアセテート−メタクリレートの共重合体が、懸濁剤として使用し得る。及び可塑剤、例えばフタル酸エステルなどが、懸濁剤として使用し得る。
【0121】
「医薬組成物」という用語は、本明細書に開示の化合物と、その他の化学成分、例えば希釈剤又は担体との混合物を指す。医薬組成物は、生物に対する化合物の投与を促進する。化合物の多数の投与方法、例えば、以下に限定されないが、経口、注射、エアロゾル、非経口、及び局所投与が、当技術分野において存在する。医薬組成物はまた、化合物を、無機又は有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などと反応させることによって得ることができる。
【0122】
「担体」という用語は、細胞又は組織中への化合物の取り込みを促進する化合物を定義する。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、生物の細胞又は組織中への多数の有機化合物の取り込みを促進することから、一般的に利用される担体である。
【0123】
「希釈剤」という用語は、興味のある化合物を溶解し、且つ、化合物の生物学的に活性な形を安定させる水に希釈された化合物を定義する。緩衝液に溶解された塩は、当技術分野において希釈剤として利用される。一つの常用される緩衝液は、ヒトの血の塩の状態を模擬することから、リン酸緩衝食塩水である。緩衝塩は、低濃度で溶液のpHを調整することができることから、緩衝希釈剤は、化合物の生物活性をまれにしか変性しない。
【0124】
「生理学的に許容し得る」という用語は、化合物の生物学的活性及び特性を抑制しない担体又は希釈剤を定義する。
【0125】
本明細書に記載の医薬組成物は、ヒト患者にそれ自体で投与することができるし、又は併用療法におけるように、他の有効成分、あるいは適切な担体又は賦形剤と混合されている医薬組成物で投与することができる。本出願の化合物の製剤化及び投与の方法は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」,Mack Publishing Co.,Easton,PA,18th edition,1990に見ることができる。
【0126】
適切な投与の経路としては、例えば、経口、直腸、経粘膜、局所、又は腸内投与、非経口送達、例えば筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、及び脊髄内、直接脳室内、腹腔内、鼻腔内、又は眼内注射を挙げ得る。化合物はまた、所定の速度で長時間及び/又は時限、パルス投与のための、持続又は制御放出製剤、例えばデポー注射、浸透圧ポンプ、丸剤、経皮(電気輸送を含む)パッチなどで投与することができる。
【0127】
本発明の医薬組成物は、それ自体公知の方法で、例えば、慣用の混合、溶解、造粒、糖衣錠調製、磨砕、乳化、カプセル化、封入又は錠剤化法で製造し得る。
【0128】
従って、本発明の使用のための医薬組成物は、活性化合物の製薬学的に使用できる製剤への加工を促進する賦形剤及び助剤を含有する1種以上の生理学的に許容し得る担体を使用する慣用の方法で製剤し得る。適切な製剤化は、選択された投与の経路に依存する。任意の周知の方法、担体、及び賦形剤が、適切であるとして使用することができ、当技術分野において、例えば上記のRemington’s Pharmaceutical Sciencesにおいて理解されるように使用し得る。
【0129】
注射剤は、溶液又は懸濁液、注射する前の液体中の溶液又は懸濁液に適した固体の形態として、あるいはエマルジョンとして慣用の形態で調製できる。適切な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、マンニトール、ラクトース、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、システイン塩酸塩などである。さらに、所望ならば、注射用医薬組成物は、少量の無毒性補助物質、例えば湿潤剤、pH緩衝剤などを含有し得る。生理学的相溶性緩衝液としては、以下に限定されないが、ハンクス液、リンゲル液、又は生理食塩緩衝液が挙げられる。所望ならば、吸収増強製剤(例えば、リポソーム)を使用してもよい。
【0130】
経粘膜投与については、浸透させるべき障壁に適した浸透剤を製剤に使用し得る。
【0131】
非経口投与、例えば、ボーラス注入法又は持続注入法による非経口投与用の医薬製剤としては、水溶性の形態の活性化合物の水溶液が挙げられる。また、活性化合物の懸濁液が、適切な油性注射懸濁液として調製し得る。適切な脂溶性の溶媒又はビヒクルとしては、脂肪油、例えばゴマ油、あるいはその他の有機油、例えばダイズ油、グレープフルーツ油又はアーモンド油、あるいは合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチル又はトリグリセリド、あるいはリポソームが挙げられる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を高める物質、例えばカルボキシメチルセルロース、ナトリウム、ソルビトール、又はデキストランを含有し得る。場合によっては、この懸濁液は、適切な安定剤を含有するか又は化合物の溶解性を高めて高濃度溶液の調製を可能にする薬剤も含有し得る。注射用の製剤は、単位剤形、例えば、添加された防腐剤を有するアンプル又は複数回用量容器で提供し得る。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルジョンのような形態をとることができ、また配合剤、例えば懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤を含有し得る。あるいは、有効成分は、使用前に安定なビヒクル、例えば滅菌した発熱物質を含有していない水を用いて構成するための粉末の形態であり得る。
【0132】
経口投与については、化合物は、活性化合物を、当技術分野で周知の製薬学的に許容し得る担体と組み合わせることによって容易に製剤することができる。このような担体は、本発明の化合物を、治療すべき患者による経口消化のために錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、懸濁液などとして製剤することを可能にする。経口用途の医薬製剤は、活性化合物を、固形賦形剤と組み合わせ、場合によっては得られた混合物を粉砕し、所望ならば、適切な助剤を加えた後に顆粒の混合物を加工して錠剤又は糖衣錠コアを得ることによって得ることができる。適切な賦形剤は、特に、充填剤、例えば糖類、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトール、セルロース調剤、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)である。所望ならば、崩壊剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、あるいはアルギン酸又はその塩、例えばアルギン酸ナトリウムを加えてもよい。糖衣錠コアは、適切なコーティングを有する。この目的のために、濃厚糖溶液を使用することができ、これは場合によりアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含有していてもよい。染料又は顔料を、活性化合物の投与量の種々の組み合わせを識別又は特徴付けるために錠剤又は糖衣錠コーティングに加えてもよい。この目的に、濃厚糖溶液を使用することができ、これは場合によりアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含有していてもよい。活性化合物の投与量の種々の組み合わせを識別又は特徴付けるために、染料又は顔料を、錠剤又は糖衣錠コーティングに加えてもよい。
【0133】
経口使用できる医薬製剤としては、ゼラチン製の押し込み式カプセル、並びにゼラチン及び可塑剤、例えばグリセロール又はソルビトール製の密封軟カプセルが挙げられる。押し込み式のカプセルは、有効成分を、充填剤、例えばラクトース、結合剤、例えばデンプン類、及び/又は潤滑剤、例えばタルク又はステアリン酸マグネシウム並びに場合により安定剤との混合物で含有することができる。軟カプセルにおいて、活性化合物は、適切な液体、例えば脂肪油、流動パラフィン、又は液状ポリエチレングリコールに溶解するか又は懸濁させてもよい。また、安定剤を加えてもよい。経口投与用の製剤は全て、このような投与に適した調剤であるべきである。
【0134】
口腔内投与については、組成物は、慣用の方法で製剤された錠剤又はトローチ剤の形態をとり得る。
【0135】
吸入法による投与については、本発明による使用のための化合物は、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又はその他の適切なガスを用いて、加圧パック又はネブライザーからエアロゾルスプレーの形態で都合よく送達される。加圧エアロゾルの場合には、投薬単位は、計量された量を送達するためにバルブを備えることによって決定し得る。例えば吸入器又は注入器で使用するためのゼラチン製であって、化合物と、適切な粉末状基剤、例えばラクトース又はデンプンとの粉末混合物を含有するカプセル及びカートリッジを製剤し得る。
【0136】
眼内、鼻腔内、及び耳介内送達を含む用途について製薬技術において周知の種々の医薬組成物が、さらに本明細書において開示される。これらの用途に適した浸透剤は、一般に当技術分野において知られている。眼内送達用の医薬組成物としては、水溶性の形態の活性化合物の水性眼科用溶液、例えば点眼剤、あるいはゲランゴム(Sheddenら、Clin.Ther.,23(3):440−50(2001))又はヒドロゲル(Mayerら、Ophthalmologica,210(2):101−3(1996))中の活性化合物の水性眼科用溶液、眼科用軟膏、眼科用懸濁液剤、例えば微粒子、液状担体媒体に懸濁される薬物含有ポリマー小粒子(Joshi,A,J.Ocul.Pharmacol,10(1):29−45(1994))、脂溶性製剤(Almら、Prog.Clin.Biol.Res.,312:447−58(1989))、及び微小球(Mordenti,Toxicol.Sci.,52(1):101−6(1999))、並びに眼用インサートが挙げられる。上述の参考文献の全部が、その全体を参照することによって本明細書において援用される。このような適切な医薬製剤は、ほとんどの場合、好ましくは、滅菌性、等張性であるべく製剤され、並びに安定性及び快適性のために緩衝される。鼻腔内送達用の医薬組成物としてはまた、多くの場合に正常な繊毛作用の維持を確保するために鼻汁を多くの点で刺激するために調製される液滴、及びスプレーを挙げ得る。Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1990)(これは、その全体を参照することによって本明細書において援用される)に開示されているように、当業者には周知であり、適切な製剤は、ほとんどの場合、好ましくは、等張性であり、pH5.5〜6.5を維持するために若干緩衝され、且つほとんどの場合、好ましくは、抗菌性防腐剤及び適切な薬物安定剤を含有する。耳介内送達用の医薬製剤としては、耳に局所使用の懸濁剤及び軟膏が挙げられる。このような耳用製剤に一般的な溶媒としては、グリセリン及び水が挙げられる。
【0137】
化合物はまた、例えば慣用の坐薬基剤、例えばカカオバター又はその他のグリセリドを含有する直腸用組成物、例えば坐薬又は停留浣腸に製剤し得る。
【0138】
前記の製剤の他に、化合物はまた、デポー製剤として製剤し得る。このような長期作用製剤は、体内移植(例えば、皮下又は筋肉内に)によって又は筋肉内注射によって投与し得る。従って、例えば、化合物は、適切な高分子又は疎水性材料(例えば、許容し得る油中のエマルジョンとして)又はイオン交換樹脂を用いて製剤し得るし、又は難溶性誘導体、例えば難溶性塩として製剤し得る。
【0139】
疎水性化合物については、適切な医薬担体は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機重合体、及び水性相を含有する共溶媒系であり得る。使用する一般的な共溶媒系は、VPD共溶媒系であり、これは、3%(w/v)ベンジルアルコール、8%(w/v)の非極性界面活性剤ポリソルベート80(商標)、及び65%(w/v)ポリエチレングリコール300の溶液であって無水エタノール中に最大容量まで調製された溶液である。当然、共溶媒系の割合は、その溶解性及び毒性特性を損なうことなく相当に変化させ得る。また、共溶媒成分の本性は、変化させ得る。例えば、その他の低毒性非極性界面活性剤が、ポリソルベート(POLISOLBATE)80(商標)の代わりに使用し得る。ポリエチレングリコールの分率は、変化させ得る。その他の生体適合性重合体は、ポリエチレングリコール、例えばポリビニルピロリドンを置換し得る。その他の糖類又は多糖類は、デキストロースに置換し得る。
【0140】
あるいは、疎水性医薬化合物のその他の送達系を使用し得る。リポソーム及びエマルジョンは、疎水性薬物用の送達用ビヒクル又は担体の周知例である。ある種の有機溶媒、例えばジメチルスルホキシドもまた、通常、より大きい毒性を犠牲にするが使用し得る。また、化合物は、徐放性系、例えば治療剤を含有する固形疎水性重合体の半透性マトリックスを使用して送達させ得る。種々の徐放性物質が確証されており、当業者には周知である。徐放性カプセルは、その化学的性質に応じて、化合物を数週間から最大100日にわたって放出する。治療剤の化学的性質及び生物学的安定性に応じて、追加のタンパク質安定化法を使用し得る。
【0141】
細胞内投与することを目的とする薬剤は、当業者に周知の方法を使用して投与し得る。例えば、このような薬剤は、リポソーム中に包接させ得る。リポソーム形成時に水溶液中に存在する全ての分子が、水性の内部に取り込まれる。リポソーム内容物は、両方共に外部微小環境から保護され、そしてリポソームが細胞膜と融合することから、細胞の細胞質中に効果的に送達される。リポソームは、組織特異抗体で被覆されていてもよい。リポソームは、所望の器官を標的として向けられ、所望の器官によって選択的に取り込まれるであろう。あるいは、小さな疎水性有機分子が、直接に細胞内に投与され得る。
【0142】
追加の治療薬又は診断薬が、医薬組成物中に配合し得る。代替的に又は追加的に、医薬組成物は、その他の治療薬又は診断薬を含有する組成物と併用し得る。
[投与の方法]
【0143】
化合物又は医薬組成物は、患者に適切な方法で投与し得る。投与の方法の非限定的な例としては、数ある中で、(a)経口経路による投与(この投与は、カプセル、錠剤、顆粒、スプレー、シロップ、又はその他のこのような形態での投与を包含する)、(b)非経口経路による投与、例えば直腸、膣内、尿道内、眼内、鼻腔内、耳介内投与(この投与は、水性懸濁液、油性製剤など又はドリップ、スプレー、坐薬、油薬、軟膏などとしての投与を包含する)、(c)皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮内、眼窩内、嚢内、脊髄内、胸骨内注射による投与、例えば薬物注入ポンプ送達、(d)局部投与、例えば腎臓領域又は心臓領域に直接に注射による投与、例えばデポー内部埋め込みによる投与、並びに(e)生体組織と接触させるために当業者によって適切であるとみなされるような局所投与が挙げられる。
【0144】
投与に適した医薬組成物としては、有効成分をその意図された目的を達成するのに有効な量で含有する組成物が挙げられる。投与量として必要な本明細書に開示の化合物の治療有効量は、投与の経路、動物の種類、例えば治療されているヒト、及び考慮中の特定の動物の身体的特性に依存するであろう。投与量は、所望の効果を得るために調整できるが、体重、食事、同時投薬などの因子及び当業者が認識するその他の因子に依存するであろう。さらに詳しくは、治療有効量とは、疾患の症状を抑えるか、軽減するか又は改善するか、あるいは治療される被検者の生存を延ばすのに有効な化合物の量を意味する。治療有効量の決定は、特に本明細書に提供される詳細な開示を考慮して、当業者の能力の範囲に十分に入る。
【0145】
当業者には容易に分かるように、投与するのに有用な生体内(in vivo)投与及び具体的な投与の様式は、年齢、体重及び治療される哺乳動物種、用いられる具体的な化合物、並びにこれらの化合物を用いる具体的な用途に依存して変化するであろう。所望の結果を得るのに必要な投薬レベルである有効投薬レベルの決定は、当業者によって日常的な薬理学的方法を使用して達成し得る。典型的には、製品のヒト臨床応用は、より少ない投薬レベルで開始され、投薬レベルは所望の効果が得られるまで増やされる。あるいは、許容し得る生体外試験を使用して、確立された薬理学的方法を使用する本方法によって特定される組成物の有用な用量及び投与の経路を確証することができる。
【0146】
非ヒト動物試験において、可能性のある製品の応用は、より多い投薬量で開始され、投薬量は所望の効果がもはや得られなくなるか又は副作用が消失するまで減らされる。投薬量は、所望の効果及び治療指標に応じて広い範囲に及び得る。典型的には、投薬量は、約10μg/kg〜100mg/kg体重、好ましくは約100μg/kg〜10mg/kg体重の間にあり得る。あるいは、投薬量は、当業者には理解されるように、患者の表面積に基づいて算出し得る。
【0147】
本発明の医薬組成物の的確な製剤、投与の経路及び投薬量は、個々の医師によって患者の状態を考慮して選択され得る。(例えば、Finglら、1975,in 「The Pharmacological Basis of Therapeutics」(これは、その全体を参照することにより本明細書において援用される)、特にCh.1,p.1参照)。典型的には、患者に投与される組成物の用量範囲は、約0.5〜1000mg/kg患者の体重であり得る。投薬は、患者に必要とされるように、1回であってもよく、あるいは、1日又はそれ以上の日数の間に連続して2回又はそれ以上であってもよい。化合物についてのヒト投薬量が少なくとも幾つかの条件について確証されている場合には、本発明は、同じ投薬量を使用するか、又は確証されたヒト投薬量の約0.1%〜500%、さらに好ましくは約25%〜250%の投薬量を使用する。ヒト投薬量が確証されていない場合には、新たに発見された医薬についての場合のように、適切なヒト投薬量は、ED50値又はID50値から推定することができるし、あるいは動物での毒性試験及び効果試験によって検定されるような、生体外又は生体内試験から誘導されたその他の適切な値から推定することができる。
【0148】
主治医は、毒性又は臓器機能不全によりどのように投与を終えるか、中断するか又は調節するか、またいつ投与を終えるか、中断するか又は調節するかを知っていることに留意するべきである。反対に、主治医は、臨床応答が十分でなかった場合(毒性を除外する)には、さらに高いレベルまで治療を調節することも知っている。興味のある疾患の管理において投与される用量の大きさは、治療される状態の重症度及び投与の経路と共に変化するであろう。治療される状態の重症度は、例えば、一部は、標準的な予後評価法によって評価し得る。さらに、投与及びおそらくは投与回数もまた、個々の患者の年齢、体重及び反応に従って変化するであろう。上記のプログラムに相当するプログラムが、動物薬において使用し得る。
【0149】
正確な投薬量は、薬物毎の基準に基づいて決定され、ほとんどの場合、投薬量に関する幾つかの総括をなすことができる。成人ヒト患者の1日投薬量計画は、例えばそれぞれの有効成分について1日当たり0.1mg/m2〜2000mg/m2体表面積、典型的には1日当たり1mg/m2〜500mg/m2体表面積、例えば1日当たり5mg/m2〜200mg/m2体表面積の経口投与量であり得る。他の実施形態においては、1日当たり0.01mg/m2〜100mg/m2体表面積、典型的には1日当たり0.1mg/m2〜60mg/m2体表面積、例えば1日当たり1mg/m2〜40mg/m2体表面積のそれぞれの有効成分の静脈内、皮下、筋肉内投与量を使用できる。製薬学的に許容し得る塩の投与の場合には、投薬量は、遊離塩基として計算し得る。幾つかの実施形態において、組成物は、1日当たり1〜4回投与される。あるいは、本発明の組成物は、持続静脈内注入によって、好ましくは1日当たり最大1000mg/m2体表面積までのそれぞれの有効成分の投与量で投与し得る。当業者によって理解されるように、ある状況においては、特に侵襲性の疾患又は感染症を効果的に且つ積極的に治療するために、本明細書に開示の化合物を、上述の好ましい投薬量範囲を超えるか又はさらにはるかに越える量で投与する必要があり得る。幾つかの実施形態において、化合物は、継続的な治療の期間、例えば1週間以上、あるいは数ヶ月間又は数年間投与し得る。
【0150】
投薬の量及び間隔は、調節作用を維持するのに十分であるか、又は最小有効濃度(MEC)である活性部分の血漿濃度を提供するために個々に調節し得る。MECは、それぞれの化合物について変化させ得るが、生体外データから判断できる。MECを得るのに必要な投薬量は、個々の特性及び投与の経路に依存するであろう。しかし、HPLCアッセイ又はバイオアッセイを使用して、血漿濃度を決定することができる。
【0151】
投薬間隔はまた、MEC値を使用して決定することができる。組成物は、その時の10〜90%、典型的には30〜90%、最も典型的には50〜90%のMECを超える血漿濃度を維持する投薬計画を使用して投与されるべきである。
【0152】
局所投与又は選択的吸収の場合には、薬物の有効局所濃度は、血漿濃度に関連し得ない。
【0153】
投与される組成物の量は、治療を受けている被検者、被検者の体重、苦痛の重症度、投与の方法及び処方医師の判断に依存し得る。
【0154】
本明細書に開示の化合物は、既知の方法を使用して効果及び毒性について評価することができる。例えば、特定の化合物の毒性、又はある種の化学部分を共有する化合物群の一部の毒性は、細胞系、例えば哺乳動物細胞系、好ましくはヒト細胞系に対する生体外毒性を調べることによって確証し得る。このような試験の結果は、多くの場合、動物、例えば哺乳動物、又はさらに具体的にはヒトでの毒性を予測する。あるいは、動物モデル、例えばマウス、ラット、ウサギ、又はサルでの特定の化合物の毒性は、既知の方法を使用して決定し得る。特定の化合物の効果は、幾つかの認められている方法、例えば生体外方法、動物モデル、又はヒト臨床試験を使用して確証し得る。認められている生体外モデルが、ほぼ全ての種類の病気、例えば以下に限定されないが、癌、心臓血管疾患、及び種々の免疫機能障害について存在する。同様に、許容し得る動物モデルが、このような病気を治療する化学薬品の効果を確証するために使用し得る。効果を調べるためにモデルを選択する場合には、当業者は、適切なモデル、用量、及び投与の経路、並びに投与計画を選択するために最新技術を手引きとし得る。もちろん、ヒト臨床試験も、ヒトでの化合物の効果を調べるのに使用できる。
【0155】
組成物は、所望ならば、有効成分を含有する1つ又はそれ以上の製剤を含有し得る包装又はディスペンサ装置で提供し得る。包装は、例えば、金属箔又はプラスチック箔、例えばブリスターパックからなる。包装又はディスペンサ装置は、投与についての説明書を伴い得る。包装又はディスペンサ装置はまた、医薬の製造、使用又は販売を規制する政府機関によって規定された形態の容器に関連した告知も伴うことができ、この告知は、ヒト又は動物投与用の薬物の形態について政府機関による承認を反映する。このような告知は、例えば、処方薬、又は承認を得た製品挿入物について米国食品医薬品局によって承認された表示であり得る。相溶性医薬担体中に製剤された本発明の化合物を含有する組成物は、調製され、適切な容器に収納され、指示された病気の治療のために表示され得る。
【0156】
明細書全体を通じて、具体的な化合物の列挙は、その化合物及びその任意の(その他の)製薬学的に許容し得る塩を包含することが理解されるべきである。
【0157】
BERの最初の工程において、一連のグリコシラーゼは、異常塩基、例えばN3mA及びN7mG(O’Connorら、「Isolation and structure of a cDNA expressing a mammalian 3−methyladenine−DNA glycosylase」EMBO J.9:3337−3342、1990;Samsonら、「Cloning and characterization of a 3−methyladenine DNA glycosylase cDNA from human cells whose GENE maps to chromosome 16」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:9127−9131,1991)、T:G誤対合(Neddermannら、「Functional expression of soluble human interleukin−11(IL−11)receptor alpha and stoichiometry of in vitro IL−11 receptor complexes with gp130」J.Biol.Chem.271:12767−12774,1996)、及び脱アミン塩基、例えばヒポキサンチン/酸化8−オキソ−7,8−ジヒドログアニン又はウラシル:A(Vollbergら、「Isolation and characterization of the human uracil DNA glycosulase gene」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:8693−8697,1989;Olsenら、「Molecular cloning of human uracil−DNA glycosylase,a highly conserved DNA repair enzyme」EMBO J.8:3121−3125、1989;Radicellaら、「Cloning and characterization of hOGG1,a human homolog of the OGG1 gene of Saccharomyces cerevisiae」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94.8010−8015,1997;Rosenquistら、「Cloning and characterization of a mammalian 8−oxoguanine DNA glycosylase」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:7429−7434,1997)を認識する。N−グリコシド結合の酵素加水分解又は自然加水分解及び異常塩基の放出の後に、AP(脱プリン/脱ピリミジン)エンドヌクレアーゼが、リン酸ジエステル主鎖5’をその損傷まで加水分解し、dRpase(DNAデオキシリボホスホジエステラーゼ及びその活性は、ポリメラーゼβに関連する)が残存dRpを切断し、1つのヌクレオチドのギャップを生成する。DNAポリメラーゼβがそのギャップを埋め、DNAリガーゼがその切れ目を封止する。この経路は、ショートパッチBERと呼ばれる。BERについて別の経路が、2〜13個のヌクレオチドのギャップを埋めるためにDNA合成に関与する。このロングパッチ修復は、増殖細胞核抗原(PCNA)及びPCNA依存性DNAポリメラーゼを必要とする(Wilson「Mammalian base excision repair and DNA polymerase beta」Mutation Res.407:203−215,1998)。
【0158】
ポリ−(ADP−リボース)−ポリメラーゼ(PARP)は、それ自体で又はXRCC1との相互作用でDNA鎖切断の切れ目センサーとして作用し、BERに関与する。PARPは、損傷したDNAを結合し、自己リボシル化をもたらす。修飾されたタンパク質は、次いで、他のタンパク質を放出し、アクセスさせ、DNA鎖切断修復する(Wilson「Mammalian base excision repair and DNA polymerase beta」Mutation Res.407:203−215,1998;Molineteら、「Over production of the poly(ADP−ribose)polymerase DNA−binding domain blocks alkylation−induced DNA repair synthesis in mammalian cells」EMBO J.12:2109−2117,1993;Caldecottら、「XRCCI polypeptide interacts with DNA polymerase β and possibly poly(ADP−ribose)polymerase,and DNA ligase III is a novel molecular ‘nick−sensor’ in vitro」Nucleic Acids Res.24:4387−4394,1996)。従って、PARPは、ショートパッチ修復及びロングパッチ修復の両方においてニック形成後のBERに関与する。それは、BERについて別の(ロングパッチ修復)経路において最も活性であると思われる。図6は、ペメトレキセドとMXとの併用が、切断されたPARPの形成を高めることを表す。DNA二本鎖切断及びアポトーシスの増強は、Bcl−2経路と無関係である。
【0159】
一般に、以下で使用する命名法並びに以下に記載の細胞培養、組織培養、腫瘍生物学、及び分子遺伝学における実験手法は、当技術分野において周知であり且つ通常用いられている。標準的な技法が、細胞培養法、実験計画及び化合物配合及び命名法に使用される。一般に、化学反応及び精製工程は、製造業者の仕様書に従って行われる。前記の技法及び方法は、一般に、当技術分野で慣用の方法及び本書全体を通じて提供される種々の一般文献に従って行われる(一般に、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2d ed.(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.、及びCurrent Protocols in Molecular Biology(1996)John Wiley and Sons,Inc.,N.Y.参照,これらは、参照することによって本明細書において援用される)。これらの文献に含まれる全ての情報は、参照することによって本明細書において援用される。
【0160】
ペメトレキセド(2−[4−[2−(4−アミノ−2−オキソ−3,5,7−トリアザビシクロ[4.3.0]ノナ−3,8,10−トリエン−9−イル)エチル]ベンゾイル]アミノペンタン二酸)(アリムタ(ALIMTA)(商標)、Eli Lilly & Co.)は、次の構造を有する代謝拮抗物質化学療法剤である。
【化5】

【0161】
ペメトレキセドは、細胞の複製に必要な葉酸依存性機序を混乱させることによってその作用を果たす葉酸代謝拮抗剤系抗悪性腫瘍薬である。ペメトレキセドは、チミジル酸シンターゼ(TS)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)及びグリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ(GARFT)、すなわちチミジン及びプリンヌクレオチドのデノボ生合成に関与する酵素を阻害する。ペメトレキセドは、非小細胞肺癌の治療のために食品医薬品局によって承認されており、また悪性胸膜中皮腫の治療のためにシスプラチン(白金系化学療法剤)との併用で承認されている。中皮腫の治療(シスプラチンと組み合わせて)又は非小細胞肺癌の治療について推奨される用量は、それぞれ21日サイクルの1日目に10分間にわたって静脈内注入として投与される1日当たり約500mg/m2体表面積である。メトキシアミンとの併用療法における使用については、ペメトレキセドの典型的な投薬量範囲は、一般に1日当たり200mg/m2〜1,000mg/m2体表面積、又は1日当たり500mg/m2〜600mg/m2体表面積であり、及びメトキシアミンの典型的な投薬量範囲は、1日当たり1〜200mg/m2体表面積、又は1日当たり6〜120mg/m2体表面積である。一つの実施形態において、ペメトレキセドは、上記の方法と同じ方法で投与される。しかし、静脈内注入は、15分、20分、30分、45分、60分又はそれよりも長い時間にわたって行ってもよく、また1週間、2週間、3週間、1ヶ月又はそれ以上長い時間であり得る所定のサイクルの1日目、さらに1日又はそれ以上の追加の日数で行ってもよい。
[実施例]
[材料及び方法]
【0162】
化学薬品及び試薬。メトキシアミン(MX)は、Sigma(ST.Louis、Mo.)から購入した。MXは、滅菌水(pH7.0)に溶解した。
【0163】
PARP切断検出のためのウェスタンブロッティング。細胞抽出物を、Bio−Radミニゲル装置中で、150Vで1時間、SDS−PAGE(12%ポリアクリルアミド)で分離した。タンパク質を、Bio−Rad mini Trans−Blot cellを100Vで1時間使用して、PVDV膜上に移した。ブロットされた膜を、15 TBS緩衝液中の5%ドライミルクを用いてブロックし、次いで抗PARP抗体C2−10(Trevigen、Gaithersburg、Md.)を用いて2時間プローブした。TBS−Tween20(0.05%)で5分間洗浄を3回行った後に、ブロットを二次抗体、抗−マウスHRP−抗IgGと共に1時間インキュベートした(Amersham Life Science、Arlington Height III)。抗体結合を、製造業者の仕様書に従ってECLで可視化した(Amersham Life Science,Arlington Heights,III)。
【0164】
ヌードマウスの腫瘍。腫瘍細胞(5×106個)を、6〜8週齢の雌性胸腺欠損HSDヌードマウスの脇腹に注入した。動物に、食塩水、ペメトレキセド単独(150mg/kg)、MX単独(4mg/kg)、又はペメトレキセドとMXの比が26.7:1.0のペメトレキセド(150mg/kg)とMX(4mg/kg)の組み合わせのいずれかの腹腔内注射を1日に5回受けさせた。腫瘍を、国立癌研究所(National Cancer Institute)の式:V=L(mm)×I2(mm)/2(式中、Lは、腫瘍の最大直径であり且つIは腫瘍の最小直径である)を使用してノギスで測定した。小塊の体積が約100〜150mm3に達した際に、腫瘍担持マウスを、対照群又は処理群(マウス6〜9匹/群)に無作為に割り当てた。
【実施例1】
【0165】
図8は、メトキシアミン(MX)+ペメトレキセドを受け入れた群全てが、ヒトNCI−H460 NSCLC細胞系モデル、A549 NSCLC細胞系モデル、HCT116大腸癌細胞系モデル及びMDA−MB−468乳癌細胞系モデルにおいて、ペメトレキセドのみを受け入れている群に比べてより大きい腫瘍増殖遅延を示したことを表す。MXは、ペメトレキセド化学療法の効果に対するNCI−H460 NSCLC細胞系及びHCT116大腸癌細胞系の耐性を逆転させた。
【実施例2】
【0166】
生じたAP部位の数に対するペメトレキセド単独と比べたペメトレキセド+メトキシアミン(MX)の効果を調べるために、アルデヒド反応性プローブ(ARP)試薬を使用して、ペメトレキセドによって形成され且つMXによってブロックされたAP部位を測定した。ARP及びMXは、AP部位と類似の反応性を有し、アルデヒド基、すなわちAP部位の開環体と特異的に反応する。アッセイは、Liuらの文献(Molecular Cancer Therapeutics 2:1061−1066,2003)に記載されており、本質的に中村ら(Cancer Res.58:222−225、1998)によって記載されているように行った。H460細胞を、ペメトレキセド(0、100、200又は400μm)で24時間処理した。次いで、DNA(15μg)を、細胞から抽出し、1mMのARPと共に37℃で10分間インキュベートした。DNAを沈降させ、エタノールで洗浄し、次いでTE緩衝液(10mMトリス−HCl、pH7.2、1mMのEDTA)に再懸濁し、100℃で5分間変性させた。次いで、DNAを、氷上で迅速に冷却し、等量の酢酸アンモニウム(2M)と混合した。次いで、真空フィルタ装置を使用して、一本鎖DNAを、ニトロセルロース膜上に固定した。この膜を、ストレプトアビジン共役セイヨウワサビペルオキシダーゼと共に室温で30分間インキュベートし、洗浄緩衝液(20mMトリス−HCl、1mMのEDTA、0.26MのNaCl、1%Tween−20)で洗浄した。ARP−AP部位を、ECL試薬(Amersham、Piscataway、NJ)を用いて可視化した。得られた結果を4Aに示す。ペメトレキセドは、100、200及び400μMの用量でAP部位の形成を誘導し、ペメトレキセドの用量に比例したAP部位誘導の度合いを示した(図4A)。MXに対するペメトレキセドの添加は、ペメトレキセド単独に比べて、検出できるAP部位の数を著しく減少させた。200μMのペメトレキセドと6mMのMXとの併用の効果を、24時間、48時間及び72時間で調べた。得られた結果を、図4Bに示す。時間と共に、ペメトレキセド単独及びペメトレキセドとMXの併用の両方について、検出できるAP部位の数が減少した。
【0167】
要約すると、ペメトレキセドはAP部位の形成を誘導し、これに対してペメトレキセドと100μMのMXの併用は、検出できるAP部位を対照のレベルまで減少させ(これは、AP部位の存在によるものではなく、MXによるAP部位の占有によるものである)、AP部位をARPに利用できなくする。AP部位の占有は、時間依存性であり、MXの持続濃度が最大効果に必要とされることを示す。
【実施例3】
【0168】
DNA鎖切断アッセイを行って、ペメトレキセド及びメトキシアミン(MX)のアポトーシス及びDNA鎖切断によって介在される腫瘍細胞死を高める能力を調べた。コメットアッセイは、Liuらの文献(上記参照)に記載されており、変性され、切断されたDNAフラグメントが電場の影響下で細胞から移動する能力に基づく。損傷を受けていないDNAは、よりゆっくり移動し、電流が印加されると核の境界内に留まる。DNA損傷は、細胞においてDNA「コメット」尾部の形状及び移動距離の評価に基づいて評価された(Helmaら、Mutat.Res.466:9−15、2000)。細胞を収集し、200μMのペメトレキセド、6mMのMX、又は200μMのペメトレキセド+6mMのMXに、それぞれ4時間曝露した後にPBSで洗浄した。H460細胞(1×105個/ml冷PBS)の懸濁液を、1%低ゲル化温度アガロースと、1:10(v/v)の比率で、42℃で混合し、75μlを直ちにCometSlide(Trevigen、Inc.,Gaithersburg,MD)上にピペットで取った。低ゲル化温度アガロースが硬化した際に、スライドを、あらかじめ冷却しておいた溶解緩衝液(10mMトリス−HCl、pH10.5〜11.5、2.5MのNaCl、100mMのEDTA、1%トリトンX−100を含有し、使用直前に加えられた)に4℃で1時間浸した。溶解後に、スライドを、蒸留水で洗浄し、電気泳動タンクに長手方向に配置し、アルカリ緩衝液(50mMのNaOH、pH12〜12.5、1mMのEDTA)に30分間浸した。次いで、スライドを、アルカリ溶液(pH>13、300mMのNaOH、1mMのEDTA)及び中性溶液(1XTBE)の両方において18V(0.6V/cm)、250mAで25分間電気泳動した。アルカリ性電気泳動は、AP部位及びその他のアルカリ不安定DNA付加物に起因する一本鎖DNA及び二本鎖DNAの両方の切断を検出し、これに対して中性電気泳動は、主として二本鎖DNAの切断を検出する。スライドを取り出し、中和緩衝液(0.5Mトリス−HCl、pH7.5)で10分間洗浄し、次いでPBSで洗浄し、次いで室温で一夜放置して風乾した。DNAを、銀染色キット(Trevigen)を使用して、製造業者の仕様書に従って染色した。コメットを、オリンパス製顕微鏡を使用して可視化した。画像を、デジタルカメラを使用して取り込み、NIH画像ソフトウェアを使用して解析した。
【0169】
コメット画像を、図1A(アルカリ性アッセイ)及び1B(中性アッセイ)に示す。ペメトレキセド及びMXで処理した後に、明確なコメットが観察され、尾部の長さは、MX単独で用いた場合よりも約4倍大きく、ペメトレキセド単独で用いた場合よりも約2倍大きかった(図1C〜図D)。
【0170】
異種移植片効果試験、AP部位アッセイ及びコメットアッセイから得られた結果は、MXがAP部位の構造モジュレーターとして作用し、化学療法に対する耐性を逆転させることによって代謝拮抗剤ペメトレキセドの治療効果を高め、それによって相乗効果を生じることを示す。
【実施例4】
【0171】
トポイソメラーゼII介在DNA切断に対するAP部位又はMX−AP部位の効果の分析。トポイソメラーゼII切断部位で1個のヌクレオシドをデオキシウリジンで置換し、次いでウラシル塩基をウラシル−DNAグリコシラーゼを用いて除去し、AP部位を生じさせ、これをさらにMXと共にインキュベートしてMX−AP部位を生成させることによって、位置特異的脱プリン部位を組み込んだ(図5A)。
【0172】
最初に、APEがトポII切断に位置特異的部位に配置された規則正しいAP部位とMX−AP部位の間の差動効果を有するか否かを調べた。結果は、APEがMX結合AP部位よりもむしろ規則正しいAP部位を切断できることを示す(図5B)、しかし、AP部位及びMX−AP部位の両方は、トポイソメラーゼIIにより切断され、MX−AP部位がトポイソメラーゼII介在DNA切断を促進できることを示す。
【実施例5】
【0173】
Sprague Dawleyラット(非GLP)に対する単回ボーラス投与によるMXの経口及び静脈内生体利用性試験。以下に記載の試験を行って、MXの単回ボーラス経口投与及び静脈内投与後の薬物動態パラメータの比較により安全な用量レベルでのメトキシアミン(MX)の生体利用率を評価した。
【0174】
[試験動物] 試験中、250〜350g、7〜10週齢の30匹の雄性Sprague Dawleyラット及び30匹の雌性Sprague Dawleyラットを使用した。
【0175】
[用量の調製及び濃度] 一つの用量溶液を、用量投与の当日に調製し、98%純度の試験物質について調整し、4.00mg/mL「活性」MXの濃度を得、816.77mgのMXを、200−mLのメスフラスコ中の5%デキストロースに溶解した。調製した溶液を、経口投与又はIV投与のために指定された2つのアンバーボトルに均等に分けた。アリコートを、調製時及び投与後に分析のために採取し、ドライアイス上に移し、−70℃以下で保存した。
【0176】
[用量の投与] 全ての動物を、用量投与の日に計量した。個々の動物投与量は、この体重に基づいた。5mL/kgの一定用量を使用した。IV用量を、尾部静脈に、26G×1”針に取り付けられた3mL注射器を使用して単回ボーラス注射によって投与した。IV用量を、約2mL/分の速度で投与した。経口用量を、3mL注射器に取り付けられた18G×2”給餌針を用いて単回ボーラスとして投与した。
【0177】
[血液試料の採取] 血液試料を、投与後5分、15分、30分、並びに1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間及び24時間に採取し、それぞれの動物について2つの時間点で採取した。血液試料を、先の時間点については頸静脈から採取し、後の時間点については犠牲時の腹部静脈から採取した。血液を、採取注射器から、抗凝固剤としてK3−EDTAを入れた2mL採血管に移し、反転させて混合した。腹部静脈の採血は、CO2安楽死後に直ちに行った。
【0178】
[血漿試料の調製及び保存条件] 採血管を、血漿調製のための遠心分離の前に濡れた氷の上に置いた。全血液試料を、3,000rpmで、4℃で10分間遠心分離した。血漿をピペットで管に取り、最初にドライアイス上に置き、その後に−70℃以下で保存した。
【0179】
[質量分析(MS)] 質量分析検出は、以下に挙げた仕様に従って、ポジティブターボスプレーを用いたエレクトロスプレーイオン化によって行った。
MS装置:Applied Biosystems 3000
HPLC装置:Agilent 1100 Series Binary Pump
自動サンプラ:LEAP Technologies CTC−PAL
エレクトロスプレーイオン化(ESI)条件:
温度: 500℃
ネブライザーガス: 窒素
CADガス: 窒素
DP: 40
カーテンガス(CUR): 10
衝突ガス: 6
イオンスプレー電圧(IS):5000
出口電位(EP) 10
NEB: 12
モニター
アナライト: 207.0/149.3及び207.0/178.4amu
IS(アセノクマロール):354.2/296.0及び354.1/163.1amu
HPLC条件(Agilent 1100について)
移動相A:0.1%ギ酸水溶液
移動相B:0.1%ギ酸アセトニトリル溶液
カラム:Thermo Aquasil C18、50×3mm
ガードカラム:Thermo Aquasil C18、10×4mm
流量:1.0mL/分
注入量:50μL
勾配:
時間(分) %B
0.0 0%
2.0 10%
2.2 90%
4.5 90%
4.6 0%
5.6 0%
【0180】
[LC−MS/MS分析用の血漿試料] 個々の血漿試料を周囲温度で解凍し、希釈が必要でない場合には分析用に250μLを試料採取した。試料を、IV投与した動物から5分〜1時間で採取するか、又は経口投与した動物から15〜8時間で採取した試料は、方法の直線範囲に収まるために5〜40倍希釈を必要とした(1〜1,000ng/mL)。希釈を必要とする試料については、適切な量を採取し、同じ抗凝結剤を含有するブランクのラット血漿と混合して、250μLの全体量を調製した。定量結果を、希釈因子を用いて補正した。血漿は、LC−MS/MS分析用に次の通りに調製した:
・血漿アリコートを、30秒間ボルテックスし、14,000rpmで10分間遠心分離して干渉粒子を沈降させた。
・100μLのアリコートを、上清から採取し、1.5mL微小遠心管に入れた。
・100μLの血漿アリコートに、310μLのH2O:ギ酸(2:1)、30μLのアセノクマロール(IS)H2O溶液(10μg/mL)及び100μLのジエチルアミノベンズアルデヒドの2:1H2O:ギ酸溶液(10mg/mL)を加え、十分に混合した。
・次いで、混合物を、水浴中で、80℃で2時間インキュベートした。インキュベート後に、上清をLC−MS/MS定量用のHPLCバイアルに移した。
【0181】
[メトキシアミン(MX)の薬物動態及び生体利用性分析]
[薬物動態分析] メトキシアミン(MX)薬物動態(PK)プロファイル及び経口生体利用率を、雄性及び雌性Sprague Dawleyラットで、20mg/kg体重のMXの静脈内投与及び経口投与による単回ボーラス投与後に調べた。それぞれの投与経路について30匹のラット(雄性15匹及び雌性15匹)を薬物動態分析で使用した。血漿試料を、MXの薬物動態の特性決定を目的として、投与前の名目試料採取時間で、すなわち用量投与後5分、15分、30分並びに1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間及び24時間で得た。正常な健康状態を維持するために、それぞれのラットは、所定の時間点で最大2回血液採取して血漿を生成した。代表的なMX濃度を、同じ性別及び投与経路の範囲内のそれぞれの時間点について3匹のラットから得た値を平均することによって得た。平均投与量について、平均実際試料採取時間は、同様に、同じ性別及び投与経路の範囲内のそれぞれの名目時間点について3匹のラットから得た。平均血漿MX濃度、平均投与量、及び平均実際試料採取時間を、それぞれの投与経路について薬物動態分析のために使用した。
【0182】
平均血漿MX濃度対平均試料時間の曲線を、それぞれの性別及び投与経路についてマイクロソフト・エクセル2000−SR1(商標)を使用して作成した(図2〜図3)。もしあるならば、定量限界(BQL)を下回る又は検出不可として記録された血漿MX濃度は、薬物動態モデルの目的については0.00ng/mLとみなした。
【0183】
薬物動態パラメータ分析を、WinNonlin 5.1(Pharsight Corporation,Mountain View,CA)によって非コンパートメントモデリングを使用して行った。薬物動態パラメータは、最大血漿濃度(Cmax)、最大血漿濃度の時間(Tmax)、排出半減期(t1/2)、時間0から最終測定可能血漿濃度までの血漿濃度対時間曲線下面積(AUClast)及び外挿された時間0から無限大までの血漿濃度対時間曲線下面積(AUC0-∞)を含んでいた。比較のために、AUC0-∞は、5mgの名目全MX投与量(AUC0-∞5)に標準化した。薬物動態パラメータは、前述のように略記した。
【0184】
[生体利用性分析] 絶対経口生体利用率を、経口対IVメトキシアミン(MX)AUC0-∞比(5mgのMXの全投与量に標準化された)により、マイクロソフト・エクセル2000−SR1(商標)を用いて、次式(MX=TRC102)を使用して調べた。
【数1】

MXの実際の投与量は、IV投与群の雄性ラット及び雌性ラットについてはそれぞれ20.1mg/kg、20.1mg/kgであり、経口投与群の雄性ラット及び雌性ラットについてはそれぞれ19.9mg/kg、20.0mg/kgであった。
【0185】
[薬物動態及び生体利用性] 20mg/kg体重のMXの静脈内投与及び経口投与による単回ボーラス投与後の雄性及び雌性Sprague Dawleyラットについてのメトキシアミン(MX)薬物動態パラメータを、表1に要約する。
【表1】

【0186】
雄性ラットについて、静脈内投与及び経口投与の両方について、試料採取時間24時間全体を通じて血漿中に定量可能なMX濃度が存在していた。雄性静脈内平均血漿MX濃度対平均時間曲線の目視検査は、投与後約2時間で完成した急速分布相を示唆する。静脈内経路Cmaxは、15,510ng/mLであり、ボーラス投与の完了時に直ちに生じた。全身MX曝露は、AUClast及びAUC0-∞によって示されるように、それぞれ12,518ng/mL*時間及び12,706ng/mL*時間であった。5mgの全名目投与量(AUC0-∞5)に調整された静脈内AUC0-∞は、11,284ng/mL*時間であった。
【0187】
経口投与経路での雄性ラットについて、MX吸収は、迅速であり、1.0時間のTmaxであった。2,205ng/mLのCmaxは、静脈内投与経路のCmaxよりもかなり小さかった。全身MX曝露は、経口AUClast及びAUC0-∞によって示されるように、それぞれ13,596ng/mL*時間及び13,811ng/mL*時間であった。5mgの名目全投与量(AUC0-∞5)に調整された経口AUC0-∞は、12,420ng/mL*時間であった。排出半減期(t1/2)は、短く、2つの投与経路の間で同様であった(IV:5.2時間、経口:4.2時間)。雄性Sprague Dawleyラットでの経口投与による算出された絶対生体利用率は、110%であった。
【0188】
雌性ラットについては、静脈内投与経路及び経口投与経路の両方について、試料採取時間24時間全体を通じて定量可能なMX血漿濃度が存在していた。雌性静脈内平均血漿MX濃度対平均時間曲線の目視検査は、雄性ラットのように投与後約2時間で完成していると思われる急速分布相を示唆する。静脈内経路Cmaxは、10,965ng/mLであり、ボーラス投与の完了時に直ちに生じた。全身MX曝露は、AUClast及びAUC0-∞によって示されるように、それぞれ12,971ng/mL*時間及び13,142ng/mL*時間であった。5mgの名目全投与量(AUC0-∞5)に調整された静脈内AUC0-∞は、13,892ng/mL*時間であった。
【0189】
経口投与経路での雌性ラットについて、MX吸収は迅速であり、0.5時間のTmaxであった。2959ng/mLのCmaxは、静脈内投与経路のCmaxよりもかなり小さかったが、経口投与での雄性ラットのCmaxと同様であった。全身MX曝露は、経口AUClast及びAUC0-∞によって示されるように、それぞれ11,643ng/mL*時間及び12,029ng/mL*時間であった。5mgの名目全投与量(AUC0-∞5)に調整された経口AUC0-∞は、13,047ng/mL*時間であった。排出半減期(t1/2)は迅速で、2つの投与経路の間で同様であり(IV:4.6時間、経口:5.7時間)、雄性ラットの排出半減期に匹敵した。雌性Sprague Dawleyラットで算出された絶対生体利用率は、94%であった。
【0190】
20mg/kg体重(BW)を静脈内投与又は経口投与の両方を受けたラットは、毒性の臨床症状を示さなかった。
【0191】
雄性Sprague Dawleyラット及び雌性Sprague Dawleyラットの両方において、単回ボーラス経口投与によって20mg/kgBWで投与されたMXは、迅速であり(Tmax0.5〜1.0時間)、ほぼ100%の全身絶対生体利用率で完全に吸収された。経口MXCmaxは、IVCmaxよりも著しく小さかったが、全身MX曝露は、AUClast及びAUC0-∞によって示されるように、2つの投与経路の間で同様であると思われる。また、血清濃度は、1日に1回又は2回の経口投与スケジュールの使用を可能にする時間点で経口後のヒト癌のマウスモデルでの活性に関連する標的Cmax(50ng/mL)を上回った。
【0192】
これらのデータは、メトキシアミンが完全に経口的に生体利用可能であり且つ1日に1回又は2回の投与で最小有効濃度の達成を可能にする4〜6時間の半減期を有することを示しているという点で重要である。これらの知見の両方は、予測されない。抗癌剤の大部分は、経口投与を可能にするのに十分な量で経口的に生体利用できない。その他の個々の抗癌剤を経口的に投与する試みが本明細書で達成されるよりもはるかに低い生体利用率もたらしていることは、注目されるべきである。例えば、ブレオマイシン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ラルチトレキセド(葉酸代謝拮抗剤)、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビンは、その全てが50%未満の生体利用率を有する(Chu E and DeVita VT. Physicians’Cancer Chemotherapy Drug manual 2002.Boston:Jones and Bartlett Publishers,2002参照)。第二に、実証された半減期は、血漿中に存在し得るアルデヒドと容易に反応する100ダルトン未満の分子量をもつ小分子について予測される半減期よりも長く、予測される血漿の半減期よりも長い半減期は、1日に1回又は2回の経口投与スケジュールで持続した薬物濃度(最小有効濃度を超える)を可能にする。完全な生体利用率及び4〜6時間の半減期は、癌患者に好都合であり得る1日に1回又は2回の経口投与スケジュールを使用する経口投与を可能にすることができる。
【0193】
上記の内容から、前記の方法、及び組成物における種々の変更が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行うことができることは、当業者には自明であろう。従って、本発明は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなくその他の特定の形態に具現し得る。従って、本実施形態及び実施例は、全ての点で例証するものであって、限定するものではないとみなされるべきであり、従って、特許請求の範囲の均等の意味及び範囲に入る全ての変化は、その中に包含されることが意図される。
【0194】
従って、このような用語及び表現の使用において示され且つ記載されている特徴又はその部分の均等物を除外する意図はないことが理解されるであろう。しかし、種々の変更が特許請求されるような発明の範囲内で可能であることが認められる。また、包括的な記載の範囲に入るより狭い種及び下位分類のそれぞれもまた本発明の一部を形成することが理解されるであろう。これは、削除された材料が本明細書に具体的に挙げられているか否かにかかわらず、その属概念から任意の主題を除く条件で又は消極的限定で、発明の一般的な記載を包含する。
【0195】
本明細書において参照されるか又は述べられた全ての特許、刊行物、科学論文、ウェブサイト並びにその他の文献及び資料は、発明が属する技術の当業者の技術の水準を示し、それぞれのこのような参照された文献及び資料は、それがその全体を個々に参照することによって又はその全体を本明細書に挙げることによって組み込まれているかのような程度まで参照することにより本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)癌と診断された被検者と、ii)葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤を含有する第一の製剤と、iii)メトキシアミンを含有する第二の製剤とを準備することと、
前記第一の製剤を前記被検者に投与することと、
前記第二の製剤を前記被検者に投与することと、
を含む方法であって、メトキシアミンが前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の効果を高めるか又は強めるのに十分な量で投与される方法。
【請求項2】
前記第二の製剤が経口投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
i)癌と診断された患者(この場合、前記の癌は、ペメトレキセド単独での治療に対して少なくとも部分的に耐性をもつものである)と、ii)ペメトレキセドを含有する第一の製剤と、iii)メトキシアミンを含有する第二の製剤とを準備することと、
前記第一の製剤を前記患者に投与することと、
前記第二の製剤を前記患者に投与することと、
を含む方法であって、メトキシアミンが前記ペメトレキセドの活性を高め且つ前記耐性を克服するのに十分な量で投与される方法。
【請求項4】
前記メトキシアミン及び前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤が、製剤として投与される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記メトキシアミン及び前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤が、任意の順序で連続的に投与される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記メトキシアミンが経口投与され、且つ前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤が、経口又は静脈内投与される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記メトキシアミンの量が、正常細胞の過度の感作を引き起こすことなく癌細胞を感作するのに十分な量である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記メトキシアミン及び前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤が、相乗効果を得るために投与される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤が経口又は静脈内投与され、且つ前記メトキシアミンが、前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の活性を高めるのに十分な量で、1日に2回以下投与される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記患者が、葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤単独での治療に対して少なくとも部分的に耐性をもつ癌を有するとして選択され、メトキシアミンを含有する前記第二の製剤が、前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の活性を高め且つ前記耐性を克服するのに有効な量で投与される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記メトキシアミンと前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の比が、1:5〜1:500の間にある、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記メトキシアミンと前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の比が、1:15〜1:40の間にある、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記メトキシアミンと前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の比が、約1:20〜1:30の間にある、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記癌が、癌腫、黒色腫、肉腫、リンパ腫、白血病、星状細胞腫、神経膠腫、悪性黒色腫、慢性リンパ球性白血病、肺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膵癌、腎癌、子宮体癌、胃癌、肝臓癌、頭頸部癌、及び乳癌からなる群から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤がペメトレキセドである、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤を患者に投与することを含む、癌と診断された患者の癌を治療する方法において、メトキシアミンを前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の毒性を高めるのに十分な量で患者に投与する改良。
【請求項17】
前記メトキシアミン及び前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤が、製剤として投与される、請求項16に記載の改良された方法。
【請求項18】
前記メトキシアミン及び前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤が、任意の順序で連続的に投与される、請求項16に記載の改良された方法。
【請求項19】
前記メトキシアミンが経口投与され、且つ前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤が、経口又は静脈内投与される、請求項16に記載の改良された方法。
【請求項20】
前記メトキシアミンの量が、正常細胞の過度の感作を引き起こすことなく癌細胞を感作するのに十分な量である、請求項16に記載の改良された方法。
【請求項21】
前記メトキシアミン及び前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤が、相乗効果を得るために投与される、請求項16に記載の改良された方法。
【請求項22】
前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤が経口又は静脈内投与され、且つ前記メトキシアミンが、前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の活性を高めるに十分な量で1日に1回又は2回経口投与される、請求項16に記載の改良された方法。
【請求項23】
前記患者が、葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤単独での治療に対して少なくとも部分的に耐性をもつ癌を有するとして選択され、及びメトキシアミンを含有する前記第二の製剤が、前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の活性を高め且つ前記耐性を克服するのに有効な量で投与される、請求項16に記載の改良された方法。
【請求項24】
前記メトキシアミンと前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の比が、1:5〜1:500の間にある、請求項23に記載の改良された方法。
【請求項25】
前記メトキシアミンと前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の比が、1:15〜1:40の間にある、請求項24に記載の改良された方法。
【請求項26】
前記メトキシアミンと前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の比が、約1:20〜1:30の間にある、請求項25に記載の改良された方法。
【請求項27】
前記癌が、癌腫、黒色腫、肉腫、リンパ腫、白血病、星状細胞腫、神経膠腫、悪性黒色腫、慢性リンパ球性白血病、肺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膵癌、腎癌、子宮体癌、胃癌、肝臓癌、頭頸部癌、及び乳癌からなる群から選択される、請求項16から26のいずれか一項に記載の改良された方法。
【請求項28】
前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤がペメトレキセドである、請求項16から27のいずれか一項に記載の改良された方法。
【請求項29】
ペメトレキセドを含有する投薬形態と相乗量のメトキシアミンを含有する投薬形態とを含有する抗癌製剤。
【請求項30】
前記製剤を請求項1から28のいずれか一項に記載の方法に従って投与することを含む、請求項29に記載の製剤の使用の方法。
【請求項31】
メトキシアミンの使用であって、患者の癌を治療するための葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の使用において、メトキシアミンを前記患者において前記葉酸代謝拮抗剤系抗癌剤の毒性を高めるのに十分な量で使用することを含む、メトキシアミンの使用。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【公表番号】特表2010−538967(P2010−538967A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544233(P2009−544233)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/088666
【国際公開番号】WO2008/083107
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(509181219)トラコン ファーマシューティカルズ,インク. (1)
【Fターム(参考)】