説明

癌の治療並びに癌幹細胞の造影および検出のためのエーテルおよびアルキルリン脂質化合物

癌の治療並びにヒトの癌幹細胞の造影、モニタリング、および検出のためにエーテルおよびアルキルリン脂質エーテルアナログ化合物を利用する方法および組成物。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
幹細胞、それは、自己複製および組織特異的な細胞への分化を起こすための独特な能力を持つものであり、身体におけるすべての組織を生じさせる。多くの異なる細胞種に分化し得る胚性幹細胞と異なり、組織特異的幹細胞は、一つの組織特有の細胞を形成し得るのみである。近年の幹細胞分子生物学技術の進歩により、研究者は、悪性腫瘍が少数の癌特異的幹細胞の存在により形成され、そして維持され得るというコンセプトを調査することが可能になった。
【0002】
幹細胞は、それら自体を複製することができる。腫瘍幹細胞を含むすべての幹細胞のこの自己複製過程は、非常にしっかりと統制されていることが知られている。過去数年の多くの報告により、癌幹細胞の小集団が、いくつかの例を挙げると、グリオーマ、乳腺癌、すい臓癌、卵巣癌、肝細胞癌、およびメラノーマなどを含む多様な癌において見出されたということが確認されてきた。さらに、分化した癌細胞をうまく死滅できる最近の癌化学療法用の薬剤が、癌幹細胞の小集団に対して実際は効果がなく、このことは化学療法後、癌細胞の再生に寄与する要因でありうるということが、広く報告されてきた。これらの薬剤は、これらの普通に分化した癌細胞中の多種多様な既知の細胞シグナル伝達、増殖調節、および細胞死メカニズムを阻害することによって作用する。いくつかの研究により、癌幹細胞に対して化学療法薬剤の長期間の非有効性は、これらの細胞内への化学療法薬剤の浸透性が欠如していることによるかもしれないということが示唆されてきた。発展の初期だが、この仮説は、化学療法後の腫瘍細胞の再生を、少なくとも部分的に説明しているであろう。
【0003】
その性質のため、放射線は、癌幹細胞の殺傷においてより高い程度の効果を与えうる。いくらかの腫瘍は、体外照射で効果的に治療され得るが、多くの場合において、当該腫瘍は、その後再発する。癌幹細胞の化学療法抵抗性に加えて、現在、またグリオーマ幹細胞は、普通のグリオーマ細胞よりも30%高い放射線抵抗性を有することが知られている。この知見は、体外照射された放射線に基づいている。普通に分化した癌細胞を標的できる全身投与される放射線療法は、それらに付随する殺傷能力のため、化学療法を超えた顕著な利点を未だに有しており、腫瘍細胞周囲からの放射線は、「クロスファイアー」効果を介して単独の幹細胞を殺傷するための能力を持つ(当該「クロスファイアー」効果とは、放射性化合物が、それらが付着した癌細胞と、隣接している腫瘍細胞の両方を殺傷できる治療である)。
【0004】
さらに、全身投与される放射線療法は、断続性の外部放射線治療よりも、腫瘍細胞殺傷の点でより効果的であると思われる長期かつ連続的被爆を与える。仮に、全身投与された放射線療法薬剤が、実際に癌幹細胞を標的とし、そしてそれらの細胞膜を透過できれば、放射線療法薬剤は、癌幹細胞殺傷およびその最終的な再成長防止のより良い機会を有するであろうことは、さらにより確実であろう。
【0005】
従って、それら自体によって、または外部照射療法と組み合わせることにより、癌を治療できる放射線療法薬剤に対する必要性が存在している。さらに、インビボおよびインビトロ両方で、幹細胞を同定する新たな方法についての必要性も存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様において、本発明は、以下の式I:
【化1】

{式中、Xは、ヨウ素の同位体であり;nは、12〜30の整数であり;およびYは、N+3、HN+(R)2、N+2R、およびN+(R)3を含む群から選択され、ここで、Rは、アルキルまたはアリールアルキル置換基である}
または以下の式II:
【化2】

{式中、Xは、ヨウ素の同位体であり;nは、12〜30の整数であり;Yは、H、OH、COOH、COOR、およびORからなる群から選択され、およびZは、N+3、HN+(R)2、N+2R、およびN+(R)3を含む群から選択され、ここでRは、アルキルまたはアリールアルキル置換基である}
で表される放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物の治療有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む癌の治療方法であって、前記治療有効量の前記放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物は、前記癌幹細胞内に浸透するために十分であり、そして前記癌幹細胞の集団が減少する、前記方法に関する。
【0007】
前記癌幹細胞内に浸透するための十分な治療有効量は、好ましくは、0.21−21mg(7−700mCi相当、全質量用量範囲(total mass dose range))および0.03−0.21mg/kg(1−7mCi/kg相当、重量あたりの用量範囲(by weight dose range))である。
【0008】
ヒトの治療のため、好ましいヨウ素の同位体は、131Iであるが、123I、124Iおよび125Iを含む他の放射性同位体もまた使用され得る。
【0009】
本発明の一つの実施態様において、ヨウ素の非放射性(「コールド」)同位体(例えば、127I)で標識されたアルキルリン脂質化合物は、癌幹細胞の治療に利用され得る。
【0010】
もっとも好ましい実施態様において、放射能標識化合物は、131Iで放射能標識されたCLR1404(18−(p−ヨードフェニル)オクタデシル ホスホコリン)である。
【0011】
さらに、一より多くの放射性ヨウ素を有するエーテルおよびアルキルリン脂質化合物は、本発明の目的のために使用されてもよい。いくつかの代表的な構造は、以下の通りである:
【化3】

【0012】
垂直波線以降の分子部分は、フェニル環に一つのヨウ素が結合した分子についてと同様である。
【0013】
一つの実施態様において、癌は固形癌である。
一つの実施態様において、固形癌は、肺癌、乳癌、グリオーマ、扁平上皮癌、前立腺癌、メラノーマ、腎臓癌、大腸癌、卵巣癌、すい臓癌、サルコーマ、および胃癌からなる群から選択される。
【0014】
他の実施態様において、本発明は、本願において記載されるように、癌治療において使用するために処方された放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物を含む医薬品組成物であって、当該放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物が癌幹細胞を浸透する医薬品組成物を提供する。
【0015】
他の実施態様において、本発明は、以下の式I:
【化4】

{式中、Xは、ヨウ素の同位体であり;nは、12〜30の整数であり;およびYは、N+3、HN+(R)2、N+2RおよびN+(R)3を含む群から選択され、ここでRは、アルキルまたはアリールアルキル置換基である}
または以下の式II:
【化5】

{式中、Xは、ヨウ素の同位体であり;nは、12〜30の整数であり;Yは、H、OH、COOH、COOR、およびORからなる群から選択され、およびZは、N+3、HN+(R)2、N+2R、およびN+(R)3を含む群から選択され、ここでRは、アルキルまたはアリールアルキル置換基である}
で表される前記放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、インビボにおける癌幹細胞の集団の造影方法であって、前記放射能標識されたエーテルおよびアルキルリン脂質化合物が、前記癌幹細胞を浸透する、前記方法。
【0016】
ヒトにおいて造影するため、好ましいヨウ素の同位体は124Iであるが、他の放射性同位体、例えば123Iおよび131Iも使用することができる。
【0017】
一つの好ましい実施態様において、放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物は、124Iで標識されたCLR1404(18−(p−ヨードフェニル)オクタデシル ホスホコリン)である。
【0018】
本発明の他の実施態様において、PLE化合物の蛍光アナログは、本請求項における造影方法に用いられてもよい。例えば、本発明は、CLR1501化合物の使用を明確に意図しており、それは、以下の構造を有する:
【化6】

【0019】
本実施例は、出願中の特許出願番号第12/463,970号;第12/463,978号;第12/463,983号;第12/463,990号;および第12/463,998号において記載されたすべての蛍光PLEアナログを参照により明確に包含する。
【0020】
当該造影は、例えば、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)またはポジトロン放出断層撮影(PET)などの機能的造影モダリティ(Functional imaging modality)を、コンピュータ断層撮影(CT)および/または磁気共鳴画像(MRI)技術、およびそれらの組み合わせと組み合わせて用いるハイブリッドスキャンを介して行われうる。
【0021】
他の実施態様において、本発明は、式IまたはIIの放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質の効果的な量を、癌幹細胞を含むと疑われる細胞に投与することを含むエクスビボまたはインビトロで癌幹細胞を標識する方法を提供する。本発明の他の実施態様において、上記リン脂質化合物の蛍光アナログは、標識のために使用されてもよい。
【0022】
他の実施態様において、記載された化合物は、当該化合物を動物に投与しそしてその後どの器官またはどの組織についてどのような種類の幹細胞かを同定しおよび/または定量することにより、インビボにおいて癌幹細胞を同定するために使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
発明者らは、悪性腫瘍の造影、性質決定、および治療のための、腫瘍選択的な放射能標識されたエーテルおよびアルキルリン脂質化合物のいくつかの系列を開発してきた。今までのところは、リード化合物、CLR1404が、50超の固形異種移植片並びに自然発症のヒト腫瘍およびげっ歯類腫瘍モデルにおいて、著しい取り込みおよび延長された選択的保持特性を、示している。腫瘍造影のための現在の至適基準である、18F‐フルオロデオキシグルコース(18F−FDG)と異なり、CLR1404は、良性のまたは前癌性の病変中、あるいは炎症性病変中に局在しない。ホスホリパーゼDおよびそのアイソフォームを含むリン脂質の細胞シグナルおよび調節、並びに第10染色体から欠失されたホスファターゼ・テンシンホモログ(PTEN)およびホスファチジルイノシトールホスフェート(PIPn)経路は、多くの重要な発癌性経路の上流調節に直接的に関与することが知られている。本発明者らは、現在、本発明者らのPLEアナログの取り込みおよび保持は、上記の癌細胞経路の上流調節およびシグナルの少なくとも一部によるという強固な証拠を有する。「抗腫瘍アルキルリン脂質」分子クラスの他の非放射性メンバーは、AKT依存下流シグナリング;化学療法または照射のいずれかに応じて、悪性幹細胞生存促進について重要であると思われるまさにそのメカニズム、の阻害を通じて腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することを示されてきた。
【0024】
この発明は、エーテルおよびアルキルリン脂質化合物、特にCLR1404の独特の特徴、例えば、悪性細胞においてそれらの延長された選択的な保持、およびAKT依存生存メカニズムを阻害するためのそれらの能力が、癌幹細胞の治療および/または検出に使用され得ることの発見に関する。
【0025】
本発明の目的のため、用語「PLE化合物」および「PLEアナログ」は、相互転換可能でありそして本発明において記載されるエーテルおよびアルキルリン脂質化合物を指す。
【0026】
本発明の目的のため、用語「治療」は、疾患、障害、またはそのような用語が適用する状態、または一またはそれ以上のそのような疾患、障害、状態の症状の進行を、後進、軽減、阻害、または遅延することを指す。
【0027】
用語「癌幹細胞」は、腫瘍創始または腫瘍維持能力を有する細胞を指す。
【0028】
用語「治療有効量」は、癌幹細胞の数を減らすための化合物の十分な量を指す。しかしながら、本発明の化合物および組成物の毎日の全使用量は、確実な根拠のある医療的判断の範囲内で担当医師により決定されることが理解されるであろう。ある特定の患者のための特定の治療上の有効な用量レベルは、治療される特定の癌、癌のステージ、使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事;投与の時間、投与の経路、利用された特定の化合物の排出割合;治療の持続期間;使用される特定の化合物と組み合わせてまたは同時に使用される医薬品;および医療の分野において周知のような要素を含むさまざまな要因に依存するであろう。
【0029】
用語「結晶性形態」および本明細書中の関係する用語は、与えられた物質のさまざまな結晶性修飾、例えば非限定的に、多形、溶媒和化合物、水和物、共結晶、および他の分子複合体、並びに塩、塩の溶媒和化合物、塩の水和物、塩の他の分子複合体、およびそれらの多形を含む。
【0030】
本発明の化合物は、化合物のいくつかの重水素化バージョンを範囲に含む。
【0031】
本発明の当該化合物は、異なる異性体(例えば、エナンチオーマーおよびジアステレオーマー)およびエノール形態で存在してもよい。本発明は、純品形態と、混合物、例えばラセミ混合物形態の両方の形態の、すべてのそのような異性体を意図する。
【0032】
本発明の化合物は、当該化合物のホスホコリン部分の医薬として許容された塩を範囲に含む。本発明の化合物は、また、それ自体好ましくは分子内塩(双性イオン)である。
【0033】
用語「医薬として許容された塩」は、相対的に非毒性の酸で調製された活性化合物の塩を含むことを意味している。酸付加塩は、中性のそのような化合物を、適当な十分な量の所望する酸と、そのまま、または適当な不活性な溶媒のいずれかにおいて接触させることにより得ることができる。医薬として許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸水素、ヨウ化水素酸、または亜リン酸などの無機酸に由来する塩、並びに酢酸;プロピオン酸;イソ酪酸;マレイン酸;リンゴ酸;安息香酸;コハク酸;スベリン酸;フマル酸;マンデル酸;フタル酸;ベンゼンスルホン酸;トルエンスルホン酸、例えばp‐トルエンスルホン酸、m‐トルエンスルホン酸、およびo‐トルエンスルホン酸;クエン酸;メタンスルホン酸などの比較的無毒性の有機酸に由来する塩が含まれる。また、アルギン酸などのアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸(galactunoric acid)などのような有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge et al.J.Pharm.Sci.66:1−19(1977)を参照)。
【0034】
本明細書で使用されるように、「純品」、すなわち、実質的に他の多形が存在しない、塩または多形は、約10%未満の一またはそれ以上の他の多形、好ましくは約5%未満の一またはそれ以上の多形、より好ましくは3%未満の一またはそれ以上の多形、もっとも好ましくは、1%未満の一またはそれ以上の多形を含む。
【0035】
用語「多形」および「多形形態」並びに本明細書中の関係用語は、分子の結晶形態を指す。異なる多形は、異なる物性、例えば、融解温度、融解熱、溶解度、溶解速度および/または結晶格子中の分子の配列または構造の結果として生じる振動スペクトルを有する。多形により示される物性における相違は、貯蔵安定性、圧縮性および密度(処方および製剤製造に重要)、および溶解速度(生物学的利用能において重要な要素)のような製薬のパラメータに影響する。分子の多形は、当該技術分野において知られるように、多くの方法によって取得され得る。そのような方法は、融解再結晶、融解冷却、溶媒再結晶、脱溶媒和、急速蒸発、急冷、除冷、蒸気拡散、および昇華を含むが、これらに限定されるものではない。
【0036】
用語「アルキル」は、本明細書で使用される場合に、具体的に、約11までの炭素原子を、さらに具体的に、より低級アルキルとして、1〜8の炭素原子を、さらに具体的に、1〜6の炭素原子を有する一価の飽和脂肪族炭化水素基を指す。炭化水素鎖は、直鎖または分枝鎖のいずれでもよい。この用語は、たとえば、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、イソ‐ブチル、ターシャリーブチル、n‐ヘキシル、n‐オクチル、ターシャリーオクチルおよびそのような基により例示される。用語「低級アルキル」は、1〜6の炭素原子を有するアルキル基を指す。用語「アルキル」はまた、以下に定義されるように「シクロアルキル」を含む。
【0037】
用語「ヘテロアルキル」は、それ自体または他の用語との組み合わせにおいて、別段に記載しない限りは、所定の炭素原子の数、並びにO、N、SiおよびSからなる群から選択される1〜3のヘテロ原子(ここで当該窒素および硫黄原子が、場合により酸化されてもよいし、そして窒素へテロ原子が場合により4級化されてもよい)からなる安定した直鎖または分枝鎖、または、環状炭化水素ラジカル、またはそれらの組み合わせを意味する。当該へテロ原子(一または複数)O、NおよびSは、ヘテロアルキル基の任意の内側の位置に配置されてもよい。ヘテロ原子Siは、ヘテロアルキル基の任意の配置、例えば当該アルキル基が当該分子の残部に結合するところの位置、に配置されてもよい。例としては、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−CH=CH−O−CH3、−Si(CH33、−CH2−CH=N−OCH3、およびーCH=CH−N(CH3)−CH3が挙げられる。二つのヘテロ原子まで、例えば、−CH2−NH−OCH3および−CH2−O−Si(CH33のように、連続してもよい。「ヘテロアルキレン」および「ヘテロシクロアルキル」として以下により詳細に記載されたこれらのラジカルも、用語「ヘテロアルキル」に含まれる。
【0038】
「アリール」は、親の芳香環系の一の炭素原子から、一つの水素原子を除去することにより作られる一価の芳香族炭化水素基を指す。典型的なアリール基としては、これに限定されないが、アセアントレリン、アセナフチレン、アセフェナントレリン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as‐インダセン、s‐インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ‐2,4‐ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナンスレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピランセレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどに由来する基を含む。具体的に、アリール基は、6〜14の炭素原子を含む。
【0039】
用語「対象」は、本明細書において、動物、例えば、哺乳類、例えば非限定的に霊長目(例えば、ヒト、サル、類人猿)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含む。好ましい実施態様において、対象はヒトである。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「約(about)」または「約(approximately)」は、当業者によって決定される特定の値について許容できる誤差を意味し、そしてそれは、当該値がどのようにして測定されおよび決定されたかに部分的に依存する。ある実施態様において、用語「約(about)」または「約(approximately)」は、1、2、3または4標準偏差内を意味する。ある実施態様において、用語「約(about)」または「約(approximately)」は、任意の値または範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.05%内を意味する。
【0041】
従って、一つの態様において、本発明は、以下の式I:
【化7】

{式中、Xは、ヨウ素の同位体であり;nは、12〜30の整数であり;およびYは、N+3、HN+(R)2、N+2R、およびN+(R)3を含む群から選択され、ここでRは、アルキルまたはアリールアルキル置換基である}
または以下の式II:
【化8】

{式中、Xは、ヨウ素の同位体であり;nは、12〜30の整数であり;Yは、H、OH、COOH、COOR、およびORからなる群から選択され、およびZは、N+3、HN+(R)2、N+2R、およびN+(R)3を含む群から選択され、ここでRは、アルキルまたはアリールアルキル置換基である}
で表される放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物の治療有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む癌の治療方法であって、前記治療有効量の前記放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物は、前記癌幹細胞内に浸透すために十分であり、そして前記癌幹細胞の集団が減少する、前記方法に関する。
【0042】
前記癌幹細胞内に浸透するための十分な治療有効量は、好ましくは、0.21−21mg(7−700mCi相当、全質量用量範囲(total mass dose range))および0.03−0.21mg/kg(1−7mCi/kg相当、重量あたりの用量範囲(by Weight dose range))である。
【0043】
これらの量は、0.15mg/mLの全質量含量値(total mass dose value)の現在の医薬製品(CLR1401)および注射において5.0mCi/mLの活性濃度値を使用して計算された。
【0044】
一つの実施態様において、本発明は、癌治療において使用するために処方された本出願において記載されたような放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物を含む医薬品組成物を提供し、それにおいて、放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物は、癌幹細胞を浸透する。
【0045】
好ましい実施態様において、癌幹細胞の集団は、以下の癌:グリオーマ、肺癌、扁平上皮癌、腎臓癌、メラノーマ、大腸癌、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、すい臓癌の幹細胞を含む。
【0046】
ヒトの治療のため、好ましいヨウ素の同位体は、131Iであるが、123I、124Iおよび125Iを含む他の放射性同位体もまた使用され得る。一つの実施態様において、ヨウ素の非放射性(「コールド」)同位体(例えば、127I)で標識されたアルキルリン脂質化合物は、癌幹細胞の治療に利用され得る。
【0047】
もっとも好ましい実施態様において、放射能標識化合物は、131Iで標識されたCLR1404(18−(p−ヨードフェニル)オクタデシル ホスホコリン)である。
【0048】
さらに、一より多くの放射性ヨウ素を有するエーテルおよびアルキルリン脂質化合物は、本発明の目的で使用されてもよい。いくつかの典型的な構造は、以下の通りである:
【化9】

【0049】
垂直波線以降の分子部分は、フェニル環に一つのヨウ素が結合した分子についてと同様である。
【0050】
他の実施態様において、当該発明はまた組み合わせの治療であって、放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物を用いた癌幹細胞の減少は、他の治療と同時に、引き続いて、または先んじて行われる、治療に関する。
【0051】
好ましい実施態様において、他の治療は、放射線療法、化学療法、腫瘍摘出、切除療法、並びに凍結(クライオセラピー)、熱(サーマルセラピー)、無線周波、およびマイクロ波に基づく局所物理的治療から選択される。
【0052】
本発明のいくつかの実施態様において、請求項の方法は、癌幹細胞の放射線感受性を高める。これはすなわちPLE化合物は、本出願に記載されたように、直接取り込みを通じて、癌幹細胞に浸透することが可能であるためである。それゆえ、本発明は、放射線療法によって癌幹細胞にデリバリーされるすべての放射線用量を高めることを許容する。一つの実施態様において、本発明は、放射線療法によって癌幹細胞に伝えるすべての放射線用量を約30%程度高めることを許容する。
【0053】
他の実施態様において、請求項の方法は、なんらかの外部照射またはなんらかの他の癌療法を伴わないで癌幹細胞を殺傷(または癌幹細胞の集団を低減)することを許容するであろう。記載されたPLEアナログによる癌幹細胞の殺傷は、癌幹細胞内へのPLEアナログの直接取り込みによるものおよび/または隣接する癌細胞を殺傷することからの二次的な効果によるものであろう。
【0054】
他の実施態様において、本発明は、以下の式I:
【化10】

{式中、Xは、ヨウ素の同位体であり;nは、12〜30の整数であり;およびYは、N+3、HN+(R)2、N+2R、およびN+(R)3を含む群から選択され、ここでRは、アルキルまたはアリールアルキル置換基である}
または以下の式II:
【化11】

{式中、Xは、ヨウ素の同位体であり;nは、12〜30の整数であり;Yは、H、OH、COOH、COOR、およびORからなる群から選択され、およびZは、N+3、HN+(R)2、N+2R、およびN+(R)3を含む群から選択され、ここでRは、アルキルまたはアリールアルキル置換基である}
で表される前記放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、インビボにおける癌幹細胞の集団の造影方法であって、前記放射能標識されたエーテルおよびアルキルリン脂質化合物が、前記癌幹細胞を浸透する、前記方法。
【0055】
好ましい実施態様において、癌幹細胞の集団は、以下の癌:グリオーマ、肺癌、扁平上皮癌、腎臓癌、メラノーマ、大腸癌、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、およびすい臓癌の幹細胞を含む。
【0056】
ヒトの造影のため、好ましいヨウ素の同位体は、124Iであるが、123Iおよび131Iを含む他の放射性同位体も使用できる。
【0057】
もっとも好ましい実施態様において、放射能標識化合物は、124Iで標識されたCLR1404(18−(p−ヨードフェニル)オクタデシル ホスホコリン)である。
【0058】
上記のように、フェニル環に結合された一より多くのヨウ素原子を有するPLE化合物も造影方法で使用されうる。
【0059】
本発明の他の実施態様において、PLE化合物の蛍光アナログが、請求項の造影方法について使用されてもよい。例えば、本発明は、CLR1501化合物の使用を明確に意図しており、それは、以下の構造を有する:
【化12】

【0060】
本出願は、出願中の特許出願番号第12/463,970号;第12/463,978号;第12/463,983号;第12/463,990号;および第12/463,998号において記載されたすべての蛍光PLEアナログを具体的に援用する。
【0061】
当該造影は、例えば、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)またはポジトロン放出断層撮影(PET)などの機能的造影モダリティ(Functional imaging modality)を、コンピュータ断層撮影(CT)および/または磁気共鳴画像(MRI)技術、およびそれらの組み合わせと組み合わせて用いるハイブリッドスキャンを介して行われうる。
【0062】
他の実施態様において、本発明は、以下の式I:
【化13】

{式中、Xは、ヨウ素の同位体であり;nは、12〜30の整数であり;およびYは、N+3、HN+(R)2、N+2R、およびN+(R)3を含む群から選択され、ここでRは、アルキルまたはアリールアルキル置換基である}
または式II:
【化14】

{式中、Xは、ヨウ素の同位体であり;nは、12〜30の整数であり;Yは、H、OH、COOH、COOR、およびORからなる群から選択され、およびZは、N+3、HN+(R)2、N+2R、およびN+(R)3を含む群から選択され、ここでRは、アルキルまたはアリールアルキル置換基である}
で表される放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質の有効量を、癌幹細胞を含むと疑われる細胞に投与することを含む、エクスビボまたはインビトロで癌幹細胞を標識する方法であって、前記癌幹細胞は、前記放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物で標識される、前記方法に関する。
【0063】
上記のように、フェニル環に結合した一より多くのヨウ素原子を有するPLE化合物は、また当該標識方法において使用されてもよい。
【0064】
本発明の他の実施態様において、PLE化合物の上記の蛍光アナログは、標識方法において使用されてもよい。
【0065】
いくつかの実施態様において、この方法は、他の種類の細胞から癌幹細胞を検出および/または分離することを許容する。
【0066】
他の実施態様において、記載された化合物は、当該化合物を動物に投与し、そしてその後どの器官またはどの組織についてどのような種類の幹細胞かを同定しおよび/または定量することにより、インビボにおいて癌幹細胞を同定するために使用され得る。これらの方法は、疾患の診断および/または治療を容易にするか、または動物中での生理的プロセスの研究のために使用されてもよい。
【0067】
当該化合物は、注射、経口摂取、および局所投与を含む、任意の適当な方法を通じて投与されてもよい。
【0068】
当該記載された方法は、さらに非癌細胞から癌幹細胞を分離する工程を含んでもよい。
【0069】
さらに、これらの方法は、ヒトを含む動物において、幹細胞の成長に影響する治療に対する応答をモニターするために使用されてもよい。当該治療は、幹細胞の成長を低減しまたは幹細胞の成長を刺激するかのいずれでもよい。
【0070】
以下の理論実施例は、本発明のいくつかの態様を示す。当該例は、当該発明をいかようにも制限することを意図しない。
【実施例】
【0071】
実施例1
CLR1501が癌幹細胞に入るかを調査するためのインビトロにおけるCLR1501の試験
この実験の目的は、アルキルリン脂質化合物CLR1501(CLR1404の蛍光バージョン)が、培養中の癌幹細胞に入るかどうかを、共焦点顕微鏡を利用して、調査することである。CLR1501は、以下の構造を有する:
【化15】

【0072】
発明者らは、CLR1501が、通常の宿主組織細胞と比較してさまざまな腫瘍細胞によって優先的に取り込まれることを培養細胞研究において示してきた。当該薬剤は、最初は、細胞外膜に付着し、内部移行し、そしてその後、他の細胞小器官および膜に付着する。24時間後でさえ、当該薬剤は、核内に入らない。
【0073】
アルキルリン脂質化合物が、癌幹細胞を浸透できることを調査するために、CLR1501を利用した同様の実験が遂行されるであろう。脳腫瘍についての比較は、例えば、培養グリア細胞(正常脳神経細胞)、普通に分化したグリオーマ腫瘍細胞、および濃縮されたグリオーマ癌幹細胞(ヒトグリオーマから単離され、癌幹細胞メーカーを使用して分離され、そして培地中で成長させた)について、CLR1501取り込みの並行比較をすることからなるであろう。CLR1501の曝露に続き、それぞれの群からの細胞が、それらの培養された環境から取り出され、そしてZ‐スタック共焦点顕微鏡造影を経時的に受け、そして全取り込みおよび取り込み速度、並びに保持についての差異を同定するために、薬剤の取り込みが定量されるであろう。
【0074】
同様の実験が、放射能標識されたCLR1404を用いて、当該化合物に暴露された幹細胞のライセート中に保持される当該化合物の量を決定することにより行うことができる。
【0075】
実施例2
CLR1404が癌幹細胞に入るかを調査するためのインビボにおけるCLR1404の試験
この試験の目的は、124I‐CLR1404がインビボにおいて癌幹細胞に入るかどうかを、マイクロPET/CT/MRIスキャンを利用して調査することである。
【0076】
担癌マウスのマイクロPET/CTハイブリッドスキャンを利用することで、本発明者らは、免疫不全マウス中のヒト腫瘍の異種移植片を含む無傷のげっ歯類腫瘍モデル、並びに自然発生マウスおよびラット腫瘍モデルにおいて、三次元的に腫瘍の取り込みおよび保持を定量的にモニターできる。
【0077】
癌幹細胞内へのCLR1404の潜在的な取り込みを評価するために、例としてグリオーマを使用し、我々は、ヒトグリオーマ幹細胞由来の同所性脳腫瘍を有する麻酔下の動物のインビボマイクロPET/CTハイブリッドスキャンを遂行した。これらの細胞の単離法は、腫瘍幹細胞がマウス脳へと同所移植されるという点を除き実施例1に記載される単離法と同様であろう。比較は、また、非幹細胞由来の通常のグリオーマでも行った。0〜7日のいくつかの時点において、124I‐CLR1404を用いてインビボ造影の後に、腫瘍は、腫瘍と通常の脳の割合を比較しそしてまた腫瘍の由来を比較するために、エクスビボで切除しおよびスキャンし、そしてその後、腫瘍を単離しそして放射能活性についてカウントした。
【0078】
実施例3
CLR1404が癌幹細胞の数を減少するかを調査するためのインビボにおけるCLR1404の試験
この実験の目的は、125Iまたは131I‐CLR1404が癌幹細胞を殺傷できるかどうかを調査し、そして通常に分化したグリオーマ細胞の生存を比較することである。
実施例1および2の実験用に提案した同一のグリオーマモデルを使用してもよい。当該モデルは、125I‐CLR1404および131I‐CLR1404両方の治療上の効果を比較するのに望ましいであろう。従って、担脳癌マウスの群は、偽手術(n=3)、通常に分化したグリオーマ(n=3)、および幹細胞由来のグリオーマ(n=6)からなる。薬剤投与前にまず腫瘍を、高磁場MRI造影を用いて非侵襲的に確認する。動物は、T0で造影用(124I)および治療用(125Iまたは131I)の薬剤を与え、注射後4日までスキャンして、適当な腫瘍標的を調査する。予定した期間の後、動物を安楽死させ、腫瘍を切除し、細胞を消化し、そして適切な細胞培養条件にする。普通に分化したグリオーマ細胞の細胞並びにグリオーマ幹細胞由来の球状体の細胞増殖を定量し、そしてそれぞれの細胞集団においていずれかの同位体の異なる殺傷効果が存在するかを調査するために比較した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

{式中、Xは、ヨウ素の同位体であり;nは、12〜30の整数であり;およびYは、N+3、HN+(R)2、N+2R、およびN+(R)3を含む群から選択され、ここでRは、アルキルまたはアリールアルキル置換基である}
または式II:
【化2】

{式中、Xは、ヨウ素の同位体であり;nは、12〜30の整数であり;Yは、H、OH、COOH、COOR、およびORからなる群から選択され、およびZは、N+3、HN+(R)2、N+2R、およびN+(R)3を含む群から選択され、ここでRは、アルキルまたはアリールアルキル置換基である}
で表される放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物の治療有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、癌治療方法であって、前記治療有効量の前記放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物は、前記癌幹細胞内に浸透するために十分であり、そして前記癌幹細胞の集団が減少する、前記方法。
【請求項2】
前記癌幹細胞の集団が、以下の癌:グリオーマ、肺癌、扁平上皮癌、腎臓癌、メラノーマ、大腸癌、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、およびすい臓癌の幹細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヨウ素の同位体が、131Iである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物が、18‐(p‐ヨードフェニル)オクタデシル ホスホコリンであり、および前記Xが131Iである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記Xが、ヨウ素の2または3の同位体である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、さらに化学療法、放射線療法、腫瘍摘出、切除療法、および凍結(クライオ)、熱(サーマル)、無線周波、およびマイクロ波に基づく局所物理的治療からなる群から選択される他の癌治療法を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
式I:
【化3】

{式中、Xは、ヨウ素の同位体であり;nは、12〜30の整数であり;およびYは、N+3、HN+(R)2、N+2R、およびN+(R)3を含む群から選択され、それにおいてRは、アルキルまたはアリールアルキル置換基である}
または式II:
【化4】

{式中、Xは、ヨウ素の同位体であり;nは、12〜30の整数であり;Yは、H、OH、COOH、COOR、およびORからなる群から選択され、およびZは、N+3、HN+(R)2、N+2R、およびN+(R)3を含む群から選択され、ここでRは、アルキルまたはアリールアルキル置換基である}
で表される放射能標識されたアルキルリン脂質化合物、または当該放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物の蛍光アナログの有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、インビボにおける癌幹細胞の集団の造影方法であって、前記放射性のエーテルおよびアルキルリン脂質化合物または前記蛍光アナログが、前記癌幹細胞を浸透する、前記方法。
【請求項8】
前記造影が、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)またはポジトロン放出断層撮影(PET)と、コンピュータ断層撮影(CT)または磁気共鳴画像(MRI)技術とを利用するハイブリッドスキャンを介して遂行される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ヨウ素の同位体が、124Iである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物が、18‐(p‐ヨードフェニル)オクタデシル ホスホコリンであり、および前記Xが124Iである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記Xが、ヨウ素の2または3の同位体である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記蛍光アナログが、以下の構造:
【化5】

を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記癌幹細胞の集団が、以下の癌:グリオーマ、肺癌、扁平上皮癌、腎臓癌、メラノーマ、大腸癌、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、およびすい臓癌の幹細胞を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
式I:
【化6】

{式中、Xは、ヨウ素の同位体であり;nは、12〜30の整数であり;およびYは、N+3、HN+(R)2、N+2R、およびN+(R)3を含む群から選択され、ここでRは、アルキルまたはアリールアルキル置換基である}
または式II:
【化7】

{式中、Xは、ヨウ素の同位体であり;nは、12〜30の整数であり;Yは、H、OH、COOH、COOR、およびORからなる群から選択され、およびZは、N+3、HN+(R)2、N+2R、およびN+(R)3を含む群から選択され、ここでRは、アルキルまたはアリールアルキル置換基である}
で表される放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質、または、当該放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物の蛍光アナログの有効量を、癌幹細胞を含むと疑われる細胞に投与することを含むエクスビボまたはインビトロで癌幹細胞を標識する方法であって、前記癌幹細胞が、前記放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物または前記蛍光アナログで標識される、前記方法。
【請求項15】
前記ヨウ素の同位体が、124Iである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記放射能標識されたエーテルまたはアルキルリン脂質化合物が、18‐(p‐ヨードフェニル)オクタデシル ホスホコリンであり、および前記Xが124Iである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記Xが、ヨウ素の2または3の同位体である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記蛍光アナログが、以下の構造:
【化8】

を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記癌幹細胞が、以下の癌:グリオーマ、肺癌、扁平上皮癌、腎臓癌、メラノーマ、大腸癌、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、およびすい臓癌のうちの一または複数の幹細胞を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
さらに前記癌細胞と非癌細胞を区別する工程を含む、請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2012−530063(P2012−530063A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515178(P2012−515178)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/038294
【国際公開番号】WO2010/144788
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(506297728)セレクター,インコーポレイティド (7)
【Fターム(参考)】