説明

癌の治療及び撮像用のCA−IX特異性放射性医薬品

CA−IXタンパク質を認識し、それに結合する化合物は、式I、II、III又はIVを有する。該化合物は、放射線撮像又は治療用途用の放射性元素を含んでもよい。したがって、式I、II、III又はIVの化合物のうちの1つ以上で、薬学的組成物を調製してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2008年12月5日出願の米国仮特許出願第61/120,226号及び2009年5月21日出願の第61/180,341号に対する優先権を主張し、これらは両方とも、いかなる意味においても参照により全体を本明細書に組み込むものとする。
【背景技術】
【0002】
本発明は、概して、放射性医薬品の分野に関し、トレーサ、撮像剤として核医学に、及び様々な疾患状態の治療のためにそれらを使用することに関する。腫瘍は、その悪性表現型を伴う独特のタンパク質を発現するか、又は正常な成分のタンパク質を正常な細胞より多数、過剰発現することがあることが知られている。腫瘍細胞の表面に独特のタンパク質が発現すると、腫瘍の表現型アイデンティティ及び生化学的組成及び活性を探索することによって疾患を診断し、特徴付ける機会が提供される。特定の癌細胞の表面タンパク質に選択的に結合する放射性分子は、非侵襲的状態で腫瘍を撮像し、治療するための魅力的な経路を提供する。特に、本発明の発明者らは、往々にして多くの癌細胞に過剰発現するCA−IXタンパク質に対する放射性標識付き配位子が、癌細胞を非侵襲的に撮像するため及び選択的に標的にするための魅力的な経路を提供することを発見した。
【0003】
炭酸脱水酵素(CA)は、水の存在下で二酸化炭素を重炭酸塩及び陽子に急速転化する触媒作用を有する酵素ファミリーである。したがって、炭酸脱水酵素は、血液及び組織内で酸塩基平衡(pH)を維持するのに重要な役割を果たし、組織から二酸化炭素を運び出すのにも役割を果たす。CAは亜鉛金属酵素であり、活性部位の亜鉛が3つのヒスチジン側鎖のイミダゾール残留物に配位結合されている。
【0004】
炭酸脱水酵素ファミリーには少なくとも16のイソ酵素がある。特異的イソ酵素は、細胞質ゾル内にて、膜に固定されて、ミトコンドリア内にて、又は細胞から分泌されて、見られる。十分に研究され、構造的に発現するイソ酵素、すなわち、炭酸脱水酵素II(CA−II)が、大部分の細胞タイプの細胞質ゾル内に見られ、細胞内pHの調整を担う主なイソ型である。
【0005】
CA−IXは、触媒領域が細胞外空間にある酵素の膜固定イソ型である。これは組織分布が限定され、主に胃腸管内に低レベルで見られる。CA−IXの発現はHIF−1αの制御下にあり、このイソ酵素は、in vitro及びin vivoの両方で低酸素に曝露した腫瘍細胞内に高度に発現する。頚部、卵巣、腎臓、食道、肺、胸部及び脳の癌腫内で、増加したCA−IXの発現が検出されている。CA−IXの活性の結果として細胞外pHが低下し、腫瘍化、染色体再配列、細胞外基質の分解、移動及び侵入、成長因子の誘導、タンパク質分解酵素の活性化、及び化学療法抵抗性につながる。したがって、CA−IXの細胞レベルと腫瘍進行には相関があり得る。CA−IXタンパク質に関する放射性医薬品は、このように癌の非侵襲的治療に新たな道を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
撮像又は治療の目的で、放射性医薬品で癌細胞を選択的に標的とすることは難問である。Ga−67、Tc−99m、In−111、I−123及びI−131を含め、様々な放射性核種が放射線撮像に有用であることが知られている。医療用撮像に好ましい放射性同位元素はTc−99mである。何故なら、これは、半減期が短く(6時間)、比較的低コストで容易に入手可能であり、140keVのガンマ光子を放出するからである。さらに、水と空気安定性Tc(I)複合体[99mTc(OH(CO)錯体のようなTc−99m錯体は、1気圧の一酸化炭素(CO)にて食塩水中で容易に調製することができる。したがって、99mTc又は186/188Re配位錯体に共有結合された特定の受容体ホーニング生物活性分子を含む二官能分子は、癌細胞の選択的な撮像及び標的設定に新規のシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、式Iの化合物を提供する。
【化1】

式中、Wは、結合、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、NHC(O)、−C(O)NH、−NH−C(O)−NH、又は−NH−C(S)−NH−であり、Vは、結合、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、−NH−C(O)−NH−又は−NH−C(S)−NH−であり、NRは、下式のいずれかのキレート基である。
【化2】

【化3】

式中、Rは、H、C−Cアルキル基、アンモニウムイオン又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属イオンであり、Rはアルキルであり、R及びRは、それぞれ独立に、水素、C−Cアルキル、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル又はカルボキシアルキルからなる群から選択され、mは0〜15の整数であり、nは0〜15の整数であるが、ただしW及びVは、両方ともNH−C(O)−NH−又は−NH−C(S)−NH−にはなり得ない。幾つかの実施形態では、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル又はtert−ブチルである。幾つかの実施形態では、Rはメチルである。幾つかの実施形態では、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル又はtert−ブチルである。幾つかの実施形態では、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル又はtert−ブチルである。幾つかの実施形態では、Rはそれぞれ独立に、H又はtert−ブチルである。幾つかの実施形態では、RはHである。幾つかの実施形態では、mは0又は1であり、nは0〜8の整数である。幾つかの実施形態では、Wは−NH−C(S)−NH−である。
【0008】
幾つかの実施形態では、NRは下式のいずれかのキレート基である。
【化4】

【0009】
幾つかの実施形態では、NRは下式のキレート基である。
【化5】

【0010】
幾つかの実施形態では、NRは下式のキレート基である。
【化6】

しかし、NRがビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル)二酢酸(上式)である場合、式Iは以下の化合物を含まない。すなわち、2,2’−(2,2’−(8−(3−(4−スルファモイルフェニル)チオウレイド)オクチルアザンジイル)−ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))二酢酸、2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルフェニルアザンジイル)−ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))二酢酸、又は2,2’−(2,2’−(5−(4−スルファモイルベンザミド)ペンチルアザンジイル)−ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))二酢酸を含まない。
【0011】
幾つかの実施形態では、NRは下式のキレート基である。
【化7】

【0012】
幾つかの実施形態では、式Iの化合物は以下の構造を有する。
【化8】

【0013】
別の態様では、式IIの化合物を提供する。
【化9】

式中、Lは、式Iの化合物で定義されたようなNRキレート基、又は下式の基であり、
【化10】

W及びXは独立に、O又はSであり、pは0〜5の整数であり、qは0〜8の整数であり、Rは、H、C−Cアルキル基、アンモニウムイオン又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属イオンであり、Rはアルキルである。幾つかの実施形態では、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル又はtert−ブチルである。幾つかの実施形態では、Rはメチルである。幾つかの実施形態では、Rは、それぞれ独立に、H又はtert−ブチルである。幾つかの実施形態では、RはHである。
【0014】
式IIの化合物の幾つかの実施形態では、Lは下式の基である。
【化11】

式中、ヨウ素はI−123又はI−133である。他の実施形態では、Lは下式の基である。
【化12】

幾つかのこのような実施形態では、ヨウ素はI−123又はI−133である。
【0015】
幾つかの実施形態では、NRは下式のキレート基である。
【化13】

【0016】
幾つかの実施形態では、NRは下式のキレート基である。
【化14】

【0017】
幾つかの実施形態では、NRは下式のキレート基である。
【化15】

【0018】
別の態様では、式IIIの化合物を提供する。
【化16】

式中、Jはアリールであり、ZはO又はSであり、Lは式IのそれによるNRキレート基又は下式のいずれかの基であり、
【化17】

dは0〜5の整数であり、eは0〜8の整数であり、Rは、H、C−Cアルキル基、アンモニウムイオン又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属イオンであり、Rはアルキルである。幾つかの実施形態では、Jはフェニル、ナフチル又はアントラセンである。幾つかの実施形態では、Jは一置換又は二置換フェニル基である。幾つかのこのような実施形態では、フェニルは、I、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、−CN、−NO、−OH、−SH、−SONH又はNRで一置換され、式中、R及びRは、独立に、H、(C−C)アルキル又はアリールである。他のこのような実施形態では、Jは二置換され、第1の置換基はI、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、−CN、−NO、−OH、−SH、−SONH又は−NRであり、式中、R及びRは独立に、H、(C−C)アルキル又はアリールであり、第2の置換基は、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、−OH、−SH又はハロゲンである。幾つかの実施形態では、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル又はtert−ブチルである。幾つかの実施形態では、Rはメチルである。幾つかの実施形態では、Rはそれぞれ独立に、H又はtert−ブチルである。幾つかの実施形態では、RはHである。
【0019】
式IIIの化合物の幾つかの実施形態では、Lは下式である。
【化18】

【0020】
幾つかの実施形態では、NRは下式のキレート基である。
【化19】

【0021】
幾つかの実施形態では、NRは下式のキレート基である。
【化20】

【0022】
幾つかの実施形態では、NRは下式のキレート基である。
【化21】

【0023】
幾つかの実施形態では、式IIIの化合物を含む錯体が提供され、LはNRキレート基であり、化合物は金属で錯化される。
【0024】
別の態様では、式IVの化合物を提供する。
【化22】

式中、NRは式Iのそれによるキレート基であり、YはO又はSであり、Aは、(C−C)アルキル、−(CH−(OCHCH−又は−(OCHCH(CH−であり、xは0〜3の整数であり、yは0〜3の整数であり、rは0〜5の整数であり、sは0〜10の整数であり、Rは、H、C−Cアルキル基、アンモニウムイオン又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属イオンであり、Rはアルキルである。幾つかの実施形態では、rは0、1又は2である。幾つかの実施形態では、sは0、5又は10である。幾つかの実施形態では、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル又はtert−ブチルである。幾つかの実施形態では、Rはメチルである。幾つかの実施形態では、Rはそれぞれ独立に、H又はtert−ブチルである。幾つかの実施形態では、RはHである。
【0025】
幾つかの実施形態では、NRは下式のキレート基である。
【化23】

【0026】
幾つかの実施形態では、NRは下式のキレート基である。
【化24】

【0027】
幾つかの実施形態では、NRは下式のキレート基である。
【化25】

【0028】
別の態様では、NRキレート基及び金属を含有する式I、II、III又はIVの化合物の錯体を提供する。幾つかの実施形態では、金属は、Re、Tc、Y、Lu、Ga又はInである。幾つかの実施形態では、金属は放射性核種である。幾つかの実施形態では、金属は、テクネチウム−99m又はレニウム−186m及び/又はレニウム−188mである。
【0029】
別の態様では、錯体は、式I、II、III又はIVの化合物を含み、化合物は、下式のNRキレート基、
【化26】

及びY、Ga、Lu及びInからなる群から選択される金属を含む。
【0030】
別の態様では、錯体は、金属及び式I、II、III又はIVの化合物を含み、化合物は、下式のNRキレート基を含む。
【化27】

【0031】
別の態様では、錯体は、金属及び式I、II、III又はIVの化合物を含み、化合物は、下式のNRキレート基を含む。
【化28】

【0032】
別の態様では、下式、
【化29】

【化30】

又は薬学的に許容可能な塩及びその溶媒和化合物である錯体が提供され、MはTc又はReである。
【0033】
別の態様では、式I、II、III、IVのいずれか1つの化合物、薬学的に許容可能な塩又はその溶媒和化合物、及び薬学的に許容可能な補形剤を含む薬学的処方物が提供され、化合物は放射性核種を含む。幾つかの実施形態では、放射性核種はヨウ素である。他の実施形態では、放射性核種は金属である。幾つかの実施形態では、金属はRe、Tc、Y、Lu、Ga又はInである。
【0034】
別の態様では、患者の部位を撮像する方法で、診断上有効な量の式I、II、III、IVのいずれか1つの化合物、薬学的に許容可能な塩又はその溶媒和化合物を患者に投与するステップと、患者の部位の像を入手するステップとを含む方法が提供され、化合物は放射性核種を含む。幾つかの実施形態では、放射性核種はヨウ素である。他の実施形態では、放射性核種は金属である。幾つかの実施形態では、金属はRe、Tc、Y、Lu、Ga又はInである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例8の化合物の99mTc類似体のHeLa異種移植マウスにおける生体組織内分布を%ID/g±(SEM)で表したグラフである。
【図2】実施例1、3、7及び8の99mTc類似体のHeLa異種移植マウスにおける生体組織内分布を比較し、%ID/g±(SEM)で表したグラフである。
【図3】HeLa異種移植マウスにおける実施例7の化合物の99mTc錯体の組織分布を%ID/g±(SEM)で表したグラフである。
【図4】HeLa異種移植マウスにおける実施例3の化合物の99mTc錯体の組織分布を%ID/g±(SEM)で表したグラフである。
【図5】HeLa、SKRC52及びSKRC59異種移植マウスにおける実施例1の化合物の99mTc類似体、及びHeLa異種移植マウスにおける実施例7及び10の化合物の組織分布を%ID/g±(SEM)で表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
放射性医薬品には2つのカテゴリがある。すなわち、(i)血流又は灌流によって厳密に測定され、糸球体濾過、食菌作用、肝細胞クリアランス及び骨吸収のような高容量の構造を標的とする生物学的分布があるもの、及び(ii)低容量の部位である特異的な酵素又は受容体の結合相互作用によって決定される分布があるものである。本発明の放射性医薬品は第2のカテゴリに属し、放射性核種の配位錯体を、特定のタンパク質又は関連する受容体に選択的な生物学的に活性の分子に結合させることによって合成される。
【0037】
様々な生物学的に活性の分子(BAM)を使用することができるが、cは、抗体又はタンパク質に対する利点を有する。例えば、小分子及び小さいペプチドの方が、拡散が向上し、血液クリアランスが速く、背景放射が少ない。これらの担体によって、スループットが大きい方法で類似体を容易に合成することができる。また、小さいペプチドを、安定性が向上し、標的酵素又は受容体に対する親和性が改善されたペプチド模倣体又は小分子類似体に容易に変換することができる。
【0038】
したがって一態様では、式I、II、III又はIVの化合物の合成を提供する。幾つかの実施形態では、化合物は、放射線撮像に化合物を使用するために活用できる放射性元素を含む。幾つかの実施形態では、放射性元素は、Re、Tc、In、Ga、Y、Lu又はIという不安定な同位元素のうちのの1つである。放射性化合物も、癌細胞の治療及び撮像に放射線医薬品として使用することができる。特に、頚部、脳、腎臓、卵巣、胸部、肺及び食道の癌腫を標的にするために化合物を使用することができる。
【化31】

【0039】
定義
便宜上、本明細書及び添付の特許請求の範囲内で使用する特定の用語をここに集めた。
【0040】
本明細書で使用する場合、「約」は当業者に理解され、それが使用する文脈に応じて多少変動する。それが使用されている文脈から当業者に明白でない用語の使用がある場合、「約」は特定の用語の±10%までを意味する。
【0041】
本明細書で例示的に記載される実施形態は、本明細書で個別に開示されていない任意の1つ又は複数の要素、1つ又は複数の制限がない状態で適切に実践することができる。したがって、例えば「含む」、「備える」、「含有する」などの用語は、広義に制限なしに読まれるものとする。また、本明細書で使用される用語及び表現は、制限するためではなく説明の意味で使用されており、そのような用語及び表現を使用する際には、図示及び記載された特徴又はその一部のいかなる均等物も排除するものではなく、特許請求の範囲にある技術の範囲内で様々な変化が可能であることを理解されたい。また、「基本的に、〜で構成される」という句は、特許請求の範囲にある技術の基本的及び新規の特徴に具体的に影響しない、個別に列挙された要素、及び追加の要素を含むものと理解されたい。「〜のみで構成される」という句は、指定されていないいかなる要素も除外する。
【0042】
要素を説明する文脈において(特に添付の特許請求の範囲の文脈において)「a」、「an」及び「the」という用語を使用し、同様のことに言及するのは、本明細書に別段の指定がない限り、又は文脈と明らかに矛盾していない限り、単数及び複数の両方を含むものと解釈すべきである。
【0043】
本明細書で使用する「親油基」及び「親油性部分」という用語は、極性又は水性環境に対して非極性又は非水性環境により大きい親和性を有する基、部分又は置換基を指す。例えばMerriam Websterのオンライン辞書は、「親油性」を「(脂肪としての)脂質に対して親和性を有する」と定義している。例示的な親油性部分は、脂肪族炭化水素基、例えばアルキル基、芳香族炭化水素基、及び長鎖アシル基を含み、これはすべて、成分炭素の数が増加するにつれて親油性が増大する。一般的に、特定の化合物に親油性部分を添加すると、標準的なオクタノール/水分配係数決定プロトコルにおいて、オクタノールに対する化合物の親和性が増大し、このプロトコルを使用して、化合物の相対的な疎水性(親油性)及び親水性を測定することができる。
【0044】
「ルイス塩基」及び「ルイス塩基の」という用語は、特定の反応状態で一対の電子を供与することができる化学的部分を指す。ルイス塩基を、ルイス塩基及び金属イオンのアイデンティティに応じて、特定の錯体内で1つの電子を供与するものと特徴付けることが可能なこともあるが、大部分の趣旨では、ルイス塩基を2つの電子の供与体と理解するのが最善である。ルイス塩基部分の例は、アルコール、チオール及びアミンのような無電荷化合物、及びアルコキシド、チオレート、カルボニオン、及び様々な他の有機陰イオンのような荷電部分を含む。特定の例では、ルイス塩基は酸化物(O)のような1つの原子で構成することができる。それほど一般的ではない特定の状況では、ルイス塩基又は配位子は正の荷電状態であってもよい。ルイス塩基は、金属イオンと配位結合されると、配位子と呼ばれることが多い。
【0045】
「配位子」という用語は、何らかの方法で別の種と相互作用する種を指す。一例では、配位子は、ルイス酸と配位結合を形成することができるルイス塩基とすることができる。他の例では、配位子は、金属イオンと配位結合を形成する種であり、往々にして有機体である。配位子は、配位結合して金属イオンになると、当業者に周知の様々な結合モードを有することができ、それは例えば末端(すなわち、1つの金属イオンに結合する)及び架橋(すなわち、ルイス塩基の1つの原子が複数の金属イオンと結合する)を含む。
【0046】
「キレート剤」という用語は、当該技術分野において理解されるように、金属イオンへの供与に使用可能な2つ以上の非共有電子対を有する分子を指し、往々にして有機分子であり、往々にしてルイス塩基である。金属イオンは通常、2つ以上の電子対によってキレート剤に配位結合する。「二座キレート剤」、「三座キレート剤」及び「四座キレート剤」という用語は、キレート剤によって配位結合した金属イオンに同時に供与するためにすぐ使用可能なそれぞれ2つ、3つ、及び4つの電子対を有するキレート剤を指す。通常、キレート剤の電子対は、1つの金属イオンとの配位結合を形成するが、特定の例では、キレート剤は、複数の金属イオンと配位結合を形成することができ、様々な結合モードが可能である。
【0047】
「配位結合」という用語は、複数の電子対がある1つの供与体が1つの金属イオンと配位結合する(「配位結合される」)相互作用である。
【0048】
「錯体」という用語は、それぞれが別々に存在することができる1つ又は複数の電子が少ない分子とともに、これも別々に存在することができる1つ又は複数の電子が多い、及び電子が少ない分子又は原子が結合することによって形成された化合物を指す。
【0049】
本明細書で使用する「治療的に有効な量」という句は、任意の治療に適用可能な妥当なベネフィット/リスクの比率で、動物の細胞の少なくとも部分集団に何らかの所望の治療効果を生じるために有効である、化合物、材料、又は化合物を含む組成物の量を意味する。
【0050】
本明細書で使用する「治療する」又は「治療」という用語は、診断、予防、治療及び治癒も含むものとする。この治療を受ける患者は、これを必要としている任意の動物であり、霊長類、特に人間、及びウマ、ウシ、ブタ及びヒツジのような他の哺乳動物、及び一般に家禽及び愛玩動物を含む。
【0051】
「薬学的に許容可能」という句は、本明細書では、健全な薬学的判断の範囲内で、妥当なベネフィット/リスクの比率に対応した過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題又は合併症がない状態で、人間及び動物の組織との接触状態で使用するのに適切な化合物、材料、組成物及び/又は剤形を指すために使用される。
【0052】
本明細書で使用する「薬学的に許容可能な担体」という句は、対象化合物を1つの器官又は体の一部から別の器官又は体の一部へと運ぶ又は輸送することに係わる液体又は固体充填剤、希釈剤、補形剤、又は溶媒封入材料のような薬学的に許容可能な材料、組成物又は賦形剤を意味する。各担体は、組成物の他の成分と適合性であり、患者にとって有害ではないという意味で、「許容可能」でなければならない。薬学的に許容可能な担体として働くことができる材料の幾つかの例は、(1)乳糖、ブドウ糖及び蔗糖のような糖類、(2)コーンスターチ及びジャガイモデンプンのようなデンプン、(3)カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースのようなセルロース及びその誘導体、(4)粉末状トラガカントゴム、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)滑石、(8)カカオ脂及び座剤ワックスのような補形剤、(9)落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ごま油、オリーブ油、トウモロコシ油及び大豆油のような油、(10)プロピレングリコールのようなグリコール、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールのようなポリオール、(12)オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルのようなエステル、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムのような緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)発熱性物質を含まない水、(17)等張食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝液、(21)ポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ無水物、及び(22)薬学的な処方に使用されるその他の無毒性で適合性の物質を含む。
【0053】
本明細書で使用する「非経口投与」及び「非経口投与した」という句は、経腸及び局所投与以外で通常は注射による投与モードを意味し、静脈内、筋内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、蜘蛛膜下、脊椎内及び胸骨内注射及び注入などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
本明細書で使用する「全身投与」、「全身投与する」、「末梢投与」及び「末梢投与する」という句は、患者の器官系に入り、したがって代謝及び他の同様のプロセスの支配下にあるように、中枢神経系への直接投与以外に、化合物、薬剤又は他の材料を投与することを意味し、例えば皮下投与である。
【0055】
「アミノ酸」という用語は、アミノ酸類似体及び誘導体など、アミノ官能基及び酸官能基の両方を含む天然であれ、合成であれ、すべての化合物を指す。
【0056】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素又は水素以外の任意の元素の原子を指す。例示的なヘテロ原子はホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄及びセレンを含む。
【0057】
通常、「置換」は、以下で定義されるように(例えばアルキル基)、自身に含有される水素原子への1つ又は複数の結合が非水素又は非炭素原子への結合に取って代わられるアルキル又はアルケニル基を指す。置換基は、炭素又は水素原子への1つ又は複数の結合が、ヘテロ原子への二重結合又は三重結合を含む1つ又は複数の結合によって取って代わられる基も含む。したがって、置換基は他に指定されていない限り、1つ又は複数の置換基で置換される。幾つかの実施形態では、置換基は1、2、3、4、5又は6個の置換基で置換される。置換基の例としては、ハロゲン(すなわち、F、Cl、Br及びI);水酸基;アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、及びヘテロシクリルアルコキシ基;カルボニル(オキソ);カルボキシル;エステル;ウレタン;オキシム;ヒドロキシルアミン;アルコキシアミン;アラルコキシアミン;チオール;硫化物;スルホキシド;スルホン;スルホニル;スルホンアミド;アミン;N酸化物;ヒドラジン;ヒドラジド;ヒドラゾン;アジド;アミド;尿素;アミジン;グアニジン;エナミン;イミド;イソシアネート;イソチオシアネート;シアネート;チオシアネート;イミン;ニトロ基;ニトリル(すなわち、CN)などが挙げられる。
【0058】
アルキル基は、1〜12個の炭素原子、代表的には1〜10個の炭素、幾つかの実施形態では1〜8個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する直鎖状及び分岐状のアルキル基を含む。直鎖状のアルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、及びn−オクチル基のような基が挙げられる。分岐状のアルキル基の例としては、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、イソペンチル、及び2,2−ジメチルプロピル基が挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は置換していても又は置換していなくてもよい。炭素の数が他で指定されていない限り、「低級アルキル」とは以上で定義した通りであるが、その主鎖構造に1〜約10個の炭素、或いは1〜約6個の炭素原子を有するアルキル基を指す。同様に、「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」は同様の鎖長を有する。
【0059】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、示された数の炭素原子を有するアルキル基を指し、アルキル基の水素原子のうちの1つ以上は−OH基と置換される。ヒドロキシアルキル基の例としては、−CHOH、−CHCHOH、−CHCHCHOH、−CHCHCHCHOH、−CHCHCHCHCHOH、−CHCHCHCHCHCHOH及びその分枝型が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
「アミノアルキル」という用語は、示された数の炭素原子を有するアルキル基を指し、アルキル基の水素原子のうちの1つ以上は−NR基と置換され、R及びRは、それぞれ独立に、水素、非置換(C−C)アルキル、非置換アリール、及び−ハロ、非置換アルコキシ、チオール及びCNから選択される1個〜3個の置換基で置換されたアリールを指す。R及びRが同じ窒素原子に結合した場合、これは、窒素原子と組み合わせて5−、6−又は7−員環を形成することができる。アミノアルキル基の非制限的な例としては、−CHNH、−CHCHNH、−CHCHCHNH、−CHCHCHCHNH、−CHCHCHCHCHNH、−CHCHCHCHCHCHNH及びその分枝型が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
「アルキルカルボニル」という用語は、C−Cアルキル基の1つ又は複数のメチレンがC(O)基と置換した−(C−C)アルキル−C(O)基を指す。代表的な例としては、アセチル、プロピオニル、及びCH(CHC(O)−基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
「環式アルキル」又は「シクロアルキル」という用語は、3〜14個の炭素原子があり、環ヘテロ原子がなく、縮合及び橋かけ環構造を含む1つの環又は複数の環を有する飽和状又は部分飽和状の非芳香族環式アルキル基を指す。シクロアルキル基は置換していても又は置換していなくてもよい。シクロアルキル又は環式アルキル基は、環に3〜14個の炭素原子、又は幾つかの実施形態では3〜12個、3〜10個、3〜8個、又は3〜4、5、6又は7個の炭素原子を有する1環、2環、又は3環アルキル基を含む。例示的な1環シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル基が挙げられるが、これらに限定されない。2環系及び3環系としては、これらに限定されないが、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、アダマンタイル、デカリニルなどの橋かけシクロアルキル基及び縮合環の両方が挙げられる。
【0063】
アルケニル基は、以上で定義したような直鎖状及び分岐状及びシクロアルキル基を含むが、2つの炭素原子間に少なくとも1つの二重結合が存在する。したがって、アルケニル基は、幾つかの実施形態では2〜約12個の炭素原子、他の実施形態では2〜10個の炭素原子、及び他の実施形態では2〜8個の炭素原子を有する。その例としては、ビニル、アリール、−CH=CH(CH)、−CH=C(CH、−C(CH)=CH、−C(CH)=CH(CH)、−C(CHCH)=CH、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、及びヘキサジエニルが挙げられるが、これらに限定されない。アルケニル基は置換していても又は置換していなくてもよい。代表的な置換アルケニル基としては、一置換又は複数回置換することができ、以上で列挙したような置換基で一置換、二置換又は三置換されるが、これらに限定されない。
【0064】
アルキニル基は、直鎖状及び分岐鎖状及び以上で定義したようなシクロアルキル基を含むが、ただし2つの炭素原子間に少なくとも1つの三重結合が存在する。(C−C)アルキニル基の例としては、アセチレン、プロピン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、2−ペンチン、1−ヘキシン、2−ヘキシン、3−ヘキシン、1−ヘプチン、2−ヘプチン、3−ヘプチン、1−オクチン、2−オクチン、3−オクチン及び4−オクチンが挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基は置換していなくてもよく、又は任意選択で以下で述べるような1つ又は複数の置換基で置換していてもよい。
【0065】
アリール基は、ヘテロ原子を含有しない環状芳香族炭化水素である。アリール基は1環、2環及び多環式環系を含む。したがってアリール基としては、フェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニレニル、インダセニル、フルオレニル、フェナントレニル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、クリセニル、ビフェニル、アントラセニル、インデニル、インダニル、ペンタレニル、及びナフチル基が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、アリール基は、基の環部分に6から14個の炭素、及び他の実施形態では6〜12個、さらには6〜10個の炭素原子を含有する。アリール基は置換及び非置換アリール基の両方を含む。置換アリール基は一置換又は複数回置換することができる。例えば、一置換アリール基としては、以上で列挙したような置換基で置換することができる2−、3−、4−、5−又は6−置換フェニル又はナフチル基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
アラルキル基は、アルキル基の水素又は炭素結合が以上で定義したようなアリール基との結合で置換される、以上で定義したようなアルキル基である。幾つかの実施形態では、アラルキル基は7〜20個の炭素原子、7〜14個の炭素原子又は7〜10個の炭素原子を含む。
【0067】
複素環基は、3個以上の環員を含有し、そのうち1個以上がN、O及びS(これに限定されない)のようなヘテロ原子である非芳香族環化合物を含むことを指す。幾つかの実施形態では、ヘテロシクリル基は3〜20個の環員を含み、他のこのような基は3〜6個、3〜10個、3〜12個、又は3〜15個の環員を有する。ヘテロシクリル基は、例えばイミダゾリル、イミダゾリニル及びイミダゾリジニル基のような不飽和、部分飽和、及び飽和環式構造を包含する。ヘテロシクリル基は置換していても又は置換していなくてもよい。ヘテロシクリル基としては、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソリル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアゾリニル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、オキサチアン、ジオキシル、ジチアニル、ピラニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジル、ジヒドロジチイニル、ジヒドロジチオニル、ホモピペラジニル、キヌクリジル、インドリル、インドリニル、イソインドリル、アザインドリル(ピロロピリジル)、インダゾリル、インドリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾジチイニル、ベンゾオキサチイニル、ベンゾチアジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ピラゾロピリジル、イミダゾピリジル(アザベンゾイミダゾリル)、トリアゾロピリジル、イソチアゾロピリジル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、キノリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、チアナフタレニル、ジヒドロベンゾチアジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロインドリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、テトラヒドロインドリル、テトラヒドロインダゾリル、テトラヒドロベンゾイミダゾリル、テトラヒドロベンゾトリアゾリル、テトラヒドロピロロピリジル、テトラヒドロピラゾロピリジル、テトラヒドロイミダゾピリジル、テトラヒドロトリアゾロピリジル、及びテトラヒドロキノリニル基が挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクリル基は置換していても又は置換していなくてもよい。代表的な置換ヘテロシクリル基としては、1置換又は複数回置換することができ、以上で列挙したような様々な置換基で2、3、4、5又は6置換される、又は置換されないピリジル又はモルホリニル基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
ヘテロアリール基は、5個以上の環員を含有し、そのうち1個以上が、これらに限定されないが、N、O、及びSのようなヘテロ原子である、芳香族環式化合物である。ヘテロアリール基は置換していても又は置換していなくてもよい。ヘテロアリール基としては、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、ベンゾフラニル、インドリル、アザインドリル(ピロロピリジル)、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、イミダゾピリジル(アザベンゾイミダゾリル)、ピラゾロピリジル、トリアゾロピリジル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イミダゾピリジル、イソチアゾロピリジル、チアナフタレニル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、キノキサリニル、及びキナゾリニル基のような基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
アルコキシ基は、水素原子との結合が以上で定義したような置換又は非置換アルキル基の炭素原子との結合に置き換えられた水酸基(−OH)である。直鎖状のアルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。分岐状のアルコキシ基の例としては、イソプロポキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、イソペントキシ、イソヘキソキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。シクロアルコキシ基の例としては、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルコキシ基は置換していても又は置換していなくてもよい。代表的な置換アルコキシ基は、以上に列挙したような置換基で1回又は複数回置換することができる。
【0070】
「ポリシクリル」又は「多環基」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通である2つ以上の環(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール及び/又はヘテロシクリル)を指し、例えば環は「縮合環」である。隣接していない原子を通して結合された環は「橋かけ」環と呼ばれる。多環の環はそれぞれ、上述したような置換基、例えばハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、水酸基、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又はヘテロ芳香族部分、−CF、−CNなどで置換することができる。
【0071】
「炭素環」という用語は、環の各原子が炭素である芳香族又は非芳香族環を指す。
【0072】
「ニトロ」という用語は−NOを指し、「ハロゲン」という用語は当技術分野で認識され、−F、−Cl、−Br又は−Iを指し、「スルフヒドリル」という用語は当技術分野で認識され、−SHを指し、「ヒドロキシ」という用語は−OHを意味し、「スルホニル」という用語は当技術分野で認識され、−SOを指す。「ハライド」は、ハロゲンの対応する陰イオンを示し、「擬ハライド」は、Cotton及びWilkinsonによる「Advanced Inorganic Chemistry」の560ページで記載された定義を有する。
【0073】
「アミン又はアミノ」という用語は、−NR基を指し、R及びRはそれぞれ独立に、水素、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキル基を指す。R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、これは、窒素原子と組み合わされて5−、6−又は7−員環を形成することができる。例えば、−NRは、1−ピロリジニル、ピリジニル又は4−モルホリニル環を含むものとする。
【0074】
「アミド」という用語は、当技術分野でアミノ置換カルボニルと認識され、一般式C(O)NR基によって表すことができる部分を含み、式中、R及びRは、以上で定義した通りである。幾つかの実施形態によれば、アミドは、不安定になり得るイミドを含まない。
【0075】
「カルボキシ」及び「カルボン酸塩」という用語は、以下のいずれかの一般式で表すことができるような部分を含む。
【化32】

式中、Eは結合であるか、又はO又はSを表し、R及びRf’は、個々にH、アルキル、アルケニル、アリール又は薬学的に許容可能な塩である。EがOでありRが以上で定義された通りである場合、この部分は本明細書ではカルボキシル基と呼び、特にRが水素である場合、式は「カルボン酸」を表す。一般的に、明示された酸素が硫黄と置換された場合、式は「チオカルボニル」基を表す。
【0076】
「アルコキシル」又は「アルコキシ」という用語は、以上で定義したように、自身に結合した酸素ラジカルを有するアルキル基を指す。代表的なアルコキシル基はメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシなどを含む。「エーテル」は酸素によって共有結合された2個の炭化水素である。「エーテル」は、複数のエーテル基又は結合を所与の基内で表すことができるポリエーテルも含む。「エーテル」は、環状エーテル及びクラウンエーテルも含み、エーテル結合は環式基内にある。
【0077】
「スルホン酸塩」という用語は、一般式−S(O)ORで表すことができる部分を指し、Rは、電子対、水素、アルキル、シクロアルキル又はアリールである。「硫酸塩」という用語は、一般式−OS(O)ORで表すことができる部分を含み、式中、Rは、以上で定義した通りである。「スルホンアミド」という用語は、一般式−N(R)S(O)ORf’で表すことができる部分を含み、式中、R及びRf’は、以上で定義した通りである。「スルファミド」という用語は、一般式−S(O)NRで表すことができる部分を指し、R及びRは、水素、(C−C)アルキル又はアリールである。「スルホニル」という用語は、一般式−S(O)で表すことができる部分を指し、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールのうちの1つである。
【0078】
各表現、例えばアルキル、m、nなどの定義は、任意の構造で2回以上出現した場合、同じ構造の他の場所におけるその定義とは無関係であるものとする。
【0079】
トリフリル、トシル、メシル、及びノナフリルという用語は、それぞれトリフルオロメタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、メタンスルホニル、及びノナフルオロブタンスルホニル基を指す。トリフレート、トシレート、メシレート、及びノナフレートという用語は当技術分野で認識され、それぞれトリフルオロメタンスルホネートエステル、p−トルエンスルホネートエステル、メタンスルホネートエステル、及びノナフルオロブタンスルホネートエステル官能基及び該基を含有する分子を指す。略語Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts及びMsは、それぞれメチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p−トルエンスルホニル及びメタンスルホニルを表す。当業者の有機化学者が使用する略語のさらに包括的なリストは、Journal of Organic Chemistryの各巻の第1号にあり、このリストは通常、Standard List of Abbreviationsと題した表で表される。
【0080】
組成物に含有される特定の化合物は、特定の幾何学的又は立体異性形態で存在することができる。また、化合物は光学活性でもよい。また、化合物は、シス及びトランス異性体、R−及びS−鏡像体、ジアステレオ異性体、(D)−異性体、(L)−異性体、そのラセミ混合物、及び他のその混合物も含むことができる。追加の非対称炭素原子がアリール基のような置換基内に存在することができる。例えば化合物の特定の鏡像体が望ましい場合、これは不斉合成によって、又はキラル助剤によって調製することができ、その結果のジアステレオ異性混合物が分離され、助剤基が分割されて純粋な所望の鏡像体を提供する。あるいは、分子がアミノのような塩基性官能基、又はカルボキシルのような酸性官能基を含有する場合、ジアステレオ異性塩が適切な光学活性酸又は塩基で形成され、その後に分別結晶化又は当技術分野で周知のクロマトグラフィ法によってこのように形成されたジアステレオ異性体が分割され、それに続いて純粋な鏡像体が回収される。
【0081】
本明細書で使用する「保護基」という句は、潜在的に反応性の官能基を望ましくない化学的変換から保護する一時的置換基を意味する。このような保護基の例としては、カルボキシル酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、及びそれぞれアルデヒド及びケトンのアセタール及びケタールが挙げられる。保護基の化学的性質の分野はレビューされている(T.W.Greene、P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley、ニューヨーク、1999)。
【0082】
他に別段の指定がない限り、「立体異性体」とは、化合物の1つの立体異性体で、その化合物に他の立体異性体が実質的にないことを意味する。したがって、立体異性体的に純粋で1つのキラル中心を有する化合物は、化合物の反対の鏡像体を実質的に含まない。立体異性体的に純粋で2つのキラル中心を有する化合物は、化合物の他のジアステレオ異性体を実質的に含まない。立体異性体的に純粋な典型的化合物は、化合物の約80重量%より多い1つの立体異性体、及び化合物の約20重量%未満の他の立体異性体を含み、例えば化合物の約90重量%より多い1つの立体異性体及び化合物の約10重量%未満の他の立体異性体、又は化合物の約95重量%より多い1つの立体異性体及び化合物の約5重量%未満の他の立体異性体、又は化合物の約97重量%より多い1つの立体異性体及び化合物の約3重量%未満の他の立体異性体を含む。
【0083】
図示の構造とその構造に与えられた名前との間に矛盾がある場合は、図示の構造が支配する。また、構造又は構造の一部の立体化学を、例えば太線又は点線で示していない場合、その構造又は構造の一部はその全立体異性体を包含するものと解釈されたい。
【0084】
キレート化合物及びその合成
一態様では、式Iの化合物、その薬学的に許容可能な塩及び溶媒和化合物を提供する。
【化33】

式Iの幾つかの実施形態によれば、Wは、結合、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、−NHC(O)、尿素(−NH−C(O)−NH−)又はチオ尿素(−NH−C(S)−NH−)であり、Vは、結合、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、尿素(−NH−C(O)−NH−)又はチオ尿素(−NH−C(S)−NH−)であり、mは0〜15の整数であり、nは0〜15の整数である。幾つかの実施形態では、W及びVは、両方とも尿素でもチオ尿素でもない。
【0085】
式IのNR基は、下式のキレート基のうちの1つであり、Rは、H、C−Cアルキル基、アンモニウムイオン又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属イオンであり、Rはアルキルである。
【化34】

幾つかの実施形態によると、Rはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル又はtert−ブチルである。他の実施形態では、Rはメチルである。幾つかの実施形態では、Rは、それぞれ独立にH又はtert−ブチルである。さらに他の実施形態では、RはHである。
【0086】
幾つかの実施形態によれば、式Iの化合物のNR基は、下式のいずれかである。
【化35】

NRがビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル)二酢酸である実施形態では、式Iの化合物は、2,2’−(2,2’−(8−(3−(4−スルファモイルフェニル)チオウレイド)オクチルアザンジイル)−ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))二酢酸、2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルフェニルアザンジイル)−ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))二酢酸、又は2,2’−(2,2’−(5−(4−スルファモイルベンザミド)ペンチルアザンジイル)−ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))二酢酸ではない。
【0087】
様々な実施形態によれば、化合物のNR基は、さらに金属とキレート化することができる。幾つかの実施形態では、金属は放射性核種である。例えば、金属は、テクネチウム−99m又はレニウム−186m/188mとすることができる。[NEt[MBr(CO)](MはTc又はReである)のような錯体を、アルコール溶媒中で式Iの化合物と反応させ、以下でさらに説明するように式I−Mのキレート化化合物を提供することができる。
【化36】

【0088】
式I−Mによる例示的化合物は、下式のいずれか1つを含むが、これらに限定されない。
【化37】

【化38】

ただし、式I−Mの錯体は下式のいずれでもない。
【化39】

【0089】
幾つかの実施形態では、このような化合物の薬学的に許容可能な塩、溶媒和化合物、立体異性体、互変異性体、及びプロドラッグも提供する。別の実施形態では、薬学的組成物は、式I−Mの化合物及び薬学的に許容可能な補形剤を含む。
【0090】
別の態様では、式IIの化合物、さらにその薬学的に許容可能な塩及び溶媒和化合物を提供する。
【化40】

【0091】
式IIでは、Lは、式Iについて上記で定義したようなNR、又は下式の基である。
【化41】

式中、ヨウ素は、カルボキサミド基のオルト、メタ又はパラ位置にあってよく、W及びXは独立に、酸素又は硫黄であり、Rは、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル基、アンモニウムイオン又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属イオンであり、Pは0〜5の整数であり、qは0〜8の整数である。幾つかの実施形態では、Rは、それぞれ独立に、H又はtert−ブチルである。さらに他の実施形態では、RはHである。幾つかの実施形態では、W及びXは両方とも酸素である。幾つかの実施形態では、Lが下式の基である場合、
【化42】

ヨウ素は、ヨウ素の放射性同位元素、例えばI−123又はI−131である。幾つかの実施形態では、Lは下式の基である。
【化43】

【0092】
Lが3−ヨードベンザミドである式IIの化合物の幾つかの実施形態によれば、ヨウ素は、I−123又はI−131のような放射性同位元素であり、癌を治療するための治療的調製に使用することができる。別の態様によれば、式IIの化合物の3−ヨードベンザミド類似体、及び癌を治療するための薬学的に許容可能な補形剤を含む薬学的組成物も提供される。
【0093】
様々な実施形態によれば、化合物をさらに金属とキレート化して、錯体を提供することができる。幾つかの実施形態では、金属は放射性核種である。例えば、金属は、テクネチウム−99m又はレニウム−186/188とすることができる。[NEt[MBr(CO)](MはTc又はReである)のような錯体を、アルコール溶媒中で式IIの化合物と反応させ、以下でさらに説明するように式II−Mのキレート化化合物を提供することができる。
【化44】

【0094】
式II及びII−Mの例示的化合物は、下式のいずれか1つを含むが、これらに限定されない。
【化45】

【0095】
幾つかの実施形態では、式II−Mの化合物の薬学的に許容可能な塩、溶媒和化合物、立体異性体、互変異性体及びプロドラッグを提供する。別の実施形態では、薬学的組成物は、式II−Mの化合物及び薬学的に許容可能な補形剤を含む。
【0096】
別の態様では、式IIIの化合物、その薬学的に許容可能な塩又は溶媒和化合物を提供する。
【化46】

【0097】
式IIIによれば、Rは以上で定義した通りであり、dは0〜5の整数であり、eは0〜8の整数であり、Jは任意選択で置換されたアリール基であり、Lは、式Iに関して以上で定義したようなNR基又は下式のいずれかの基である。
【化47】

【0098】
幾つかの実施形態によれば、Jは、フェニル、ナフチル又はアントラセンである。1つの実施形態では、Jは、一置換又は二置換されたフェニルである。例えば、フェニルは、I、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、−CN、−NO、−OH、−SH、−SONH又は−NRで置換されてもよく、R及びRは独立に、H、(C−C)アルキル又はアリールである。Jが二置換されている場合、追加の置換基、すなわち、R”は、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、−OH、−SH又はハロゲンである。さらに、追加の置換基は、第1の置換基に対してオルト、メタ又はパラとすることができる。また、置換基のうちの1つ以上は、1つ又は複数の他の基を追加することによって変更することができる。
【0099】
式IIIの化合物の例示的な例としては、下式が挙げられるが、これらに限定されない。
【化48】

【0100】
様々な実施形態によれば、式IIIの化合物をさらに金属とキレート化することができ、Lは、以上で定義したようなNRキレート基である。幾つかの実施形態では、金属は放射性核種である。例えば、金属は、テクネチウム−99m又はレニウム−186/188とすることができる。[NEt[MBr(CO)](MはTc又はReである)のような錯体を、アルコール溶媒中で式IIIの化合物と反応させ、以下でさらに説明するように式III−Mのキレート化化合物を提供することができる。
【化49】

【0101】
式III−Mの例示的キレート化化合物は下式を含むが、これらに限定されない。
【化50】

【化51】

【0102】
別の態様では、式IVの化合物を提供する。
【化52】

式中、NRは式Iの化合物に関して以上で定義した通りであり、YはO又はSであり、Aは、(C−C)アルキル、−(CH(OCHCH−又は−(OCHCH(CH−であり、x及びyは個別に0〜3の整数であり、rは0〜5の整数であり、sは0〜5の整数である。
【0103】
様々な実施形態によれば、化合物のNR基をさらに金属とキレート化することができる。幾つかの実施形態では、金属は放射性核種である。例えば、金属は、テクネチウム−99m又はレニウム−186m/188mとすることができる。[NEt[MBr(CO)](MはTc又はReである)のような錯体をアルコール溶媒中で式IVの化合物と反応させ、以下でさらに説明するように式IV−Mのキレート化化合物を提供することができる。
【化53】

【0104】
式IV−Mによる例示的化合物は下式を含むが、これらに限定されない。
【化54】

【化55】

【0105】
薬学的処方物
式I−M、II−M、III−M及びIV−Mの化合物は、放射線撮像剤として、及び急速に増殖する細胞を処置するための治療薬として使用するのに適切な1つ又は複数の放射性核種を含むことができる。したがって1つの実施形態では、式I−M、II−M、III−M又はIV−Mの化合物、その塩、溶媒和化合物、立体異性体、又は互変異性体、及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物を提供する。
【0106】
概略的に、式I−M、II−M、III−M又はIV−Mの化合物、又はその薬学的組成物は、経口的に、又は非経口的経路を介して、通常は注射によって投与することができる。非経口的経路は、静脈内、筋内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、蜘蛛膜下、脊椎内及び胸骨内注射及び注入を含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、化合物、又はその薬学的組成物が経口投与される。このような組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、半固体、粉末、溶液、懸濁液、エリキシル、エアロゾル、又は任意の他の適切な組成物の形態をとることができる。
【0107】
別の態様では、in vivo撮像に適切な薬学的組成物を提供する。このような適切な薬学的撮像組成物は、薬学的に許容可能な放射線医学賦形剤とともに、元素として放射性核種を、すなわち、放射性ヨウ素を、又は式I、II、III又はIVの化合物による放射性金属キレートを撮像に十分な量だけ有する撮像剤を含有する。放射線医学賦形剤は、ヒト血清アルブミンや、例えばトリス(ヒドロメチル)アミノメタン(及びその塩)、リン酸塩、クエン酸塩、重炭酸塩などの緩衝水溶液や、滅菌水や、生理食塩水や、塩化物及び/又は重炭酸塩、又はカルシウム、カリウム、ナトリウム及びマグネシウムのような正常な血漿陽イオンを含有する平衡イオン溶液のように、注入又は吸入に適切でなければならない。
【0108】
放射線医学賦形剤中の撮像剤の濃度は、満足できる撮像を提供するのに十分でなければならない。例えば、水溶液を使用する場合、線量は約1.0〜50ミリキュリーである。撮像剤は、約1時間〜3時間、患者の体内に留まるように投与しなければならないが、これより長い期間及び短い期間の両方が許容可能である。したがって、1〜10mLの水溶液を含有する都合の良いアンプルを調製することとしてもよい。
【0109】
撮像は通常の方法で、例えば適切な撮像を提供するのに十分な量の撮像組成物を注入し、次にガンマカメラのような適切な機械で走査することによって実行することができる。特定の実施形態では、患者内の部位を撮像する方法は、放射性核種で錯化した化合物を診断上有効な量、患者に投与するステップと、上記患者の部位を放射線に曝露するステップと、上記患者の上記部位の像を入手するステップとを含む。特定の実施形態では、撮像される部位は頭部又は胸郭である。
【0110】
このように概略的に述べた本発明は、本発明の例示として提供され、それを限定するものではない以下の実施例を参照することにより、さらに容易に理解される。
【実施例】
【0111】
基本的な合成方法
イミダゾール−2−カルボキサルデヒドのアルキル化の基本手順。DMF(1mL)中に溶解したイミダゾール−2−カルボキサルデヒドの溶液に、1モル当量の臭化アルキル、過度の炭酸カリウム及び触媒量のヨウ化カリウムを添加した。反応物を110℃で18時間加熱し、その後に乾燥状態まで蒸発させ、DCM中に5〜50%のメタノールという勾配法でBiotage SP4を使用して精製した。
【0112】
還元的アミノ化によって均質なキレーターを形成する基本手順。典型的な手順では、DCE(2mL)中に溶解した所望のアミンの溶液を、2.1当量のアルデヒドに添加した。反応物を50℃で1時間加熱し、その後にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(36mg、0.19mmol)を添加した。室温で12時間攪拌した後、溶液を乾燥状態まで蒸発させ、DCM中に5〜50%のメタノールという勾配法でBiotage SP4を使用して精製した。精製した化合物(24mg、0.034mmol)を、ピペリジン/DMF1:1(1mL)で室温にて2時間処理することによって保護解除し、その後に乾燥状態まで蒸発させた。残留物をDCMに溶解させ、水で抽出した。水層を過剰なDCMで逆抽出する。有機層を蒸発させ、オフホワイトの固体として所望の化合物を生成した。
【0113】
アミド結合でのベンゼンスルホンアミド類似体の基本的合成。DMF中のカルボン酸(1当量)の溶液にTEA(2当量)を添加し、その後に2−(1−H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸メタンアミニウム(HATU、1.4当量)及び適切に置換したスルホンアミド(1当量)を添加した。反応物を40℃で一晩攪拌した。濃縮した後、DCM中に5〜50%のメタノールという勾配法でBiotage SP4を使用して精製することにより、所望の遊離配位子を生成した。
【0114】
化合物を金属と錯化する基本手順。本明細書で例示するように、非放射性同位元素の入手可能性及び作業者の安全性を考慮し、前記金属にはレニウムを使用する。しかし、理解されるように、テクネチウム類似体を使用して同様の合成手順に従ってもよい。何故なら、テクネチウム及びレニウムはランタニド収縮により同様の反応化学現象を有し、同様のサイズだからである。したがって、Reを特に示すことができる場合、Tc錯体も同様に含むことが理解される。
【0115】
他に記載していない限り、Re(I)錯体の合成は、10mLのメタノール中で[NEt[ReBr(CO)](又は[99mTc(CO)(HO))を適切な配位子(10−6M〜10−4M)と1:1.2の割合で反応させることによって達成した。密封したバイアルを100℃で4時間加熱した。冷却した後、RP−HPLC(逆相HPLC)によって反応物の純度を分析し、溶離剤としてメタノールを使用し、シリカカラムを使用して生成物を精製した。HPLC精製後は「担体なし」生成物となり、その放射化学的純度(RCP)は、HPLCによって測定され、一貫して95%以上になることが示された。初期結果は、10−6Mという低い濃度の放射性標識付けを示したが、RCYは80%以下であった。RCYは放射化学的収率の略語である。75℃でRCYが95%超を達成するには、反応濃度を10−4Mまで増加させる必要があった。多くの場合、試験及び取り扱いの目的で非放射性類似体を調製するために、Re錯体として対応するTc錯体が調製され、試験される。
【0116】
例示的な式Iの化合物の合成
スキーム1は、4−アミノエチルベンゼンスルホンアミド類似体の基本的な合成経路を示す。4−アミノエチルベンゼンスルホンアミドを適切なアルデヒドと反応させ、その後に三座配位子を放射線核種と反応させることによって形成されたイミンを還元的にアミノ化すると、式Iに適合する化合物が得られた。
スキーム1
【化56】

【0117】
スキーム2は、チオ尿素ベンゼンスルホンアミド類似体の基本的な合成経路を示す。N,N−ビス(ピリジン−2−イルメチル)アルキル−1,6−ジアミンを4−イソチオシアネートベンゼンスルホンアミドと反応させ、その後に放射性核種と反応させると、対応するチオ尿素類似体が生成され、これも式Iに適合する。
スキーム2
【化57】

【0118】
実施例1.[Re(CO)][2−((ピリジン−2−イルメチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)酢酸]
【化58】

【0119】
A.tert−ブチル2−((ピリジン−2−イルメチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)アセテートとtert−ブチル2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)ジアセテートの合成
【化59】

DCE(50mL)中に4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホンアミド(1.60g、8.0mmol)、AcOH(0.30mL)及び2−ピリジンカルボキサルデヒド(0.76mL、8.0mmol)の溶液を窒素下で75℃で30分間加熱した。反応混合物を0℃まで冷却し、NaBH(OAc)(6.36g、30mmol)及び精製されていないtert−ブチルグリオキサレート(Z.Yao、J.Bhaumik、S.Dhanalekshmi、M.Ptaszek、P.A.Rodriguez、J.S.Lindsey、「Tetrahedron」、2007、63、10657〜10670)(2.08g)で順次処理した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、水で反応停止した。反応混合物をDCMで抽出した。有機層を減圧下で乾燥・濃縮した。残留物をシリカゲルでフラッシュクロマトグラフィによって精製し、tert−ブチル2−((ピリジン−2−イルメチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)アセテート(1.04g、32%)及びtert−ブチル2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)ジアセテート(0.624g、18%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CD3OD):tert−ブチル2−((ピリジン−2−イルメチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)アセテート: d 8.45 (d, J = 4.8 Hz, 0.42H), 8.40 (d, J = 4.8 Hz, 0.58H), 7.83 (t, J = 6.4 Hz, 0.42H), 7.77 (d, J = 8.4 Hz, 1.58H), 7.69 (t, J = 8.0 Hz, 0.58H), 7.56 (d, J = 7.6 Hz, 0.58H), 7.34-7.24 (m, 4H), 5.49 (s, 1H), 4.70 (s, 1H), 3.93 (s, 2H), 2.91 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 2.83 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 1.47 (s, 9H); ESMS m/z: 406 (M+H)+. 1H NMR (400 MHz, CD3Cl3):tert−ブチル2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)ジアセテート: d 7.83 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 3.45 (s, 4H), 2.97 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 2.87 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 1.49 (s, 18H); ESMS m/z: 429 (M+H)+.
【0120】
B.2−((ピリジン−2−イルメチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)酢酸の合成
【化60】

DCM(3.0mL)及びTFA(3.0mL)中にtert−ブチル2−((ピリジン−2−イルメチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)アセテート(150mg、0.37mmol)の溶液を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、2−((ピリジン−2−イルメチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)酢酸(129mg、100%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CD3OD) d 8.73 (d, J = 5.6 Hz, 0.46 H), 8.58 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 8.57 (t, J = 8.0 Hz, 0.46H), 8.16 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 8.01 (d, J = 8.4 Hz, 0.54 H), 7.96 (t, J = 6.8 Hz, 0.54H), 7.79 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.66 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.35 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 4.51 (s, 2H), 4.06 (s, 2H), 3.36 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 3.05 (t, J = 7.6 Hz, 2H); ESMS m/z: 355 (M+H)+.
【0121】
C.[Re(CO)][2−((ピリジン−2−イルメチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)酢酸]の合成。MeOH(6.0mL)中に2−((ピリジン−2−イルメチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)酢酸(61mg、0.173mmol)、[NEt[ReBr(CO)](192mg、0.25mmol)及びKCO(30mg)の溶液を、密封した圧力管内で100℃で5時間攪拌した。MeOH/HOでAmberchrom(商標)(CG−161)樹脂で溶出して反応混合物を精製し、白い固体として標題の化合物(18.9mg、18%)を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 8.77 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 8.17 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.74 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.58 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 7.29 (s, 2H), 4.92 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.77 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.10 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 3.74-3.68 (m, 1H), 3.64-3.58 (m, 1H), 3.53 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 3.14-3.08 (m, 2H); ESMS m/z: 620 (M+H)+.
【0122】
実施例2:[Re(CO)][2−(((1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)(4−スルファモイルフェネチル)−アミノ)酢酸]
【化61】

【0123】
A.tert−ブチル2−(((1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)アセテートの合成
【化62】

DCE(40mL)中に4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホンアミド(1.40g、7.0mmol)、AcOH(0.30mL)及び1−メチル−1H−イミダゾール−2−カルボキサルデヒド(0.77g、7.0mmol)の溶液を窒素下で80℃で30分間加熱した。反応混合物を0℃まで冷却し、NaBH(OAc)(4.45g、21mmol)及びtert−ブチルグリオキサレート(1.80g)で順次処理した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、水で反応停止した。次に反応混合物をDCMで抽出し、有機層を乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残留物を、シリカゲルでフラッシュクロマトグラフィによって精製し、tert−ブチル2−(((1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)アセテート(0.63g、22%)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 7.65 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 7.26 (s, 2 H), 7.21 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 6.99 (d, J = 0.8 Hz, 1 H), 6.73 (d, J = 0.8 Hz, 1 H), 3.76 (s, 2 H), 3.38 (s, 3 H), 3.28 (s, 2 H), 2.79 (t, J = 7.2 Hz, 2 H), 2.69 (t, J = 6.8 Hz, 2 H), 1.40 (s, 9 H); ESMS m/z: 409 (M+H)+.
【0124】
B.[Re(CO)][2−(((1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)(4−スルファモイルフェネチル)−アミノ)酢酸]の合成。DCM(3.0mL)及びTFA(3.0mL)中にtert−ブチル2−(((1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)アセテート(110mg、0.27mmol)の溶液を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、2−(((1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)酢酸を生成した。MeOH(6.0mL)中に2−(((1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)酢酸、[NEt[ReBr(CO)](270mg、0.35mmol)及びKCO(78mg)の溶液を圧力管にて90℃で4時間攪拌した。MeOH/HOでAmberchrom(商標)(CG−161)樹脂で溶出して反応混合物を精製し、白い固体として標題の化合物(105mg、63%)を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 7.79 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.57 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.36 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.25 (s, 2H), 7.15 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 4.76 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 4.58 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.03 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 3.67 (d, J = 16.8 Hz, 1 H), 3.65-3.49 (m, 2H), 3.17-3.09 (m, 2H); ESMS m/z: 623 (M+H)+.
【0125】
実施例3.[Re(CO)][2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))二酢酸]
【化63】

【0126】
A.tert−ブチル2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))ジアセテート
【化64】

DCE(20mL)中に4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホンアミド(110mg、0.55mmol)、AcOH(0.10mL)及びtert−ブチル2−(2−ホルミル−1H−イミダゾール−1−イル)アセテート(250mg、1.19mmol)の溶液を窒素下で80℃で30分間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、NaBH(OAc)(0.423g、2.0mmol)で処理した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、水で反応停止した。反応混合物をDCMで抽出した。有機層を減圧下で乾燥・濃縮した。残留物をシリカゲルでフラッシュクロマトグラフィによって精製し、tert−ブチル2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))ジアセテート(132mg、41%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CD3OD) d 7.75 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.18 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.07 (s, 2H), 6.93 (s, 2H), 4.58 (s, 4H), 3.68 (s, 4H), 2.84-2.74 (m, 4H), 1.44 (s, 18H); ESMS m/z: 589.4 (M+H)+.
【0127】
B.[Re(CO)][tert−ブチル2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))ジアセテート]
【化65】

MeOH(3.0mL)中にtert−ブチル2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))ジアセテート(65mg、0.11mmol)及び[NEt[ReBr(CO)](92.4mg、0.12mmol)の溶液を圧力管にて95℃で4時間攪拌した。MeOH/HOでAmberchrom(商標)(CG−161)樹脂で溶出して反応混合物を精製し、白い固体として標題の化合物(51mg、54%)を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 7.81 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.60 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.31 (s, 2H), 7.26 (d, J = 1.2 Hz, 2H), 7.12 (d, J = 1.2 Hz, 2H), 4.95 (s, 4H), 4.74 (d, J = 16.4 Hz, 2H), 4.62 (d, J = 16.4 Hz, 2H), 3.90-3.86 (m, 2H), 3.16-3.14 (m, 2H), 1.45 (s, 18H); ESMS m/z: 859.3 M+.
【0128】
C.[Re(CO)][2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))ジアセテート]。TFA(1.0mL)及びDCM(1.0mL)中に[Re(CO)][tert−ブチル2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)−ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))ジアセテート](20mg)の溶液を室温で4時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、標題の化合物(21.5mg)を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 7.81 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.60 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.30 (s, 2H), 7.23 (d, J = 1.2 Hz, 2H), 7.08 (d, J = 1.2 Hz, 2H), 4.91 (s, 4H), 4.72 (s, 4H), 3.89-3.85 (m, 2H), 3.18-3.14 (m, 2H); ESMS m/z: 747.2.
【0129】
実施例4:[Re(CO)][2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルベンジルアザンジイル)ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル)二酢酸)]
【化66】

【0130】
A.tert−ブチル2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルベンジルアザンジイル)ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))ジアセテートの合成
【化67】

DCE(20mL)中に4−(2−アミノメチル)ベンゼンスルホンアミド塩酸塩(223mg、1.0mmol)及びtert−ブチル2−(2−ホルミル−1H−イミダゾール−1−イル)アセテート(441mg、2.1mmol)の溶液を窒素下で75℃で30分間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、NaBH(OAc)(0.633g、3.0mmol)で処理した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、水で反応停止した。反応混合物を減圧下で濃縮した。DCM中に0〜10%のMeOHという勾配でbiotageによって残留物を精製し、黄色い油としてtert−ブチル2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルベンジルアザンジイル)ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))ジアセテート(569mg、99%)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3Cl3) d 7.83 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.41 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.97 (s, 2H), 6.82 (s, 2H), 4.66 (s, 2H), 4.43 (s, 2H), 3.83 (s, 1H), 3.73 (s, 1H), 3.61 (s, 2H), 3.48 (s, 4H), 1.39 (s, 18H); MS (ESI), 575.3 (M+H)+.
【0131】
B.[Re(CO)][2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルベンジルアザンジイル)ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))二酢酸]。MeOH(3.0mL)中にtert−ブチル2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルベンジルアザンジイル)ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))ジアセテート(40mg、0.070mmol)及び[NEt[ReBr(CO)](60mg、0.077mmol)の溶液を圧力管にて90℃で5時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を得た。TFA(3.0mL)及びDCM(3.0mL)中に以上の残留物を含む溶液を室温で3時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物にし、これをHPLCによって精製して、白い固体として標題の化合物(23mg、2ステップで45%)を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 7.93 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.86 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.47 (s, 2H), 7.14 (d, J = 1.2 Hz, 2H), 7.06 (d, J = 1.2 Hz, 2H), 4.92 (s, 2H), 4.79 (d, J = 16.0 Hz, 2H), 4.76 (s, 4H), 4.20 (d, J = 16.0 Hz, 2H); ESMS m/z: 733.1.
【0132】
実施例5.[Re(CO)][4−(2−(ビス(イソキノリン−1−イルメチル)アミノ)エチル)ベンゼンスルホンアミド]
【化68】

【0133】
A.4−(2−(ビス(イソキノリン−1−イルメチル)アミノ)エチル)ベンゼンスルホンアミド
【化69】

DCE(50mL)中に4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホンアミド(1.0g、5.0mmol)、AcOH(1.0mL)及びイソキノリン−1−カルバルデヒド(2.09g、13.3mmol)の溶液を窒素下で75℃で30分間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、NaBH(OAc)(3.165g、15mmol)で処理した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、水で反応停止した。反応混合物をDCMで抽出した。有機層を減圧下で乾燥・濃縮した。シリカゲルでフラッシュクロマトグラフィによって残留物を精製し、4−(2−(ビス(イソキノリン−1−イルメチル)アミノ)エチル)ベンゼンスルホンアミド(1.86g、77%)を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 8.24 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.96 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.91 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.72 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.65 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.55 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.50 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.30 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 7.29 (s, 2H), 4.01 (s, 4 H), 2.94 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.78 (t, J = 7.0 Hz, 2H); ESMS m/z: 483.3 (M+H)+.
【0134】
B.[Re(CO)][4−(2−(ビス(イソキノリン−1−イルメチル)アミノ)エチル)ベンゼンスルホンアミド]。MeOH(6.0mL)中に4−(2−(ビス(イソキノリン−1−イルメチル)アミノ)エチル)ベンゼンスルホンアミド(230mg、0.477mmol)及び[NEt[ReBr(CO)](367mg、0.477mmol)の溶液を圧力管にて100℃で3時間攪拌した。MeOH/HOでAmberchrom(商標)樹脂で溶出して反応混合物を精製し、黄色い固体として生成物(173mg、48%)を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 8.69 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.36 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 8.12 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.95 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.82 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.75 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.70 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.62 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.34 (s, 2H), 5.46 (d, J = 18.0 Hz, 2H), 5.25 (d, J = 18.0 Hz, 2H), 4.07-4.03 (m, 2H), 3.32-2.99 (m, 2H); ESMS m/z: 753.2 M+.
【0135】
実施例6.[Re(CO)][2−(2−(((カルボキシメチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)メチル)−1H−イミダゾール−1−イル)酢酸]
【化70】

【0136】
A.tert−ブチル2−(2−(((2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)メチル)−1H−イミダゾール−1−イル)アセテート
【化71】

DCE(20mL)中に4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホンアミド(0.70g、3.5mmol)、AcOH(0.20mL)及びtert−ブチル2−(2−ホルミル−1H−イミダゾール−1−イル)アセテート(0.735g、3.5mmol)の溶液を窒素下で80℃で30分間加熱した。反応混合物を0℃に冷却し、NaBH(OAc)(2.25g、10.5mmol)及びtert−ブチルグリオキシレート(1.80g)で順次処理した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、水で反応停止した。反応混合物をDCMで抽出し、有機層を減圧下で乾燥・濃縮した。残留物をシリカゲルでフラッシュクロマトグラフィによって精製し、tert−ブチル2−(((1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)アセテートを生じた(0.63g、35%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 7.67 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.25 (s, 2H), 7.23 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.04 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 6.76 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 4.82 (s, 2H), 3.74 (s, 2H), 3.24 (s, 2H), 2.69-2.66 (m, 4H), 1.41 (s, 9H), 1.40 (s, 9H); ESMS m/z: 509 (M+H)+.
【0137】
B.[Re(CO)][2−(2−(((カルボキシメチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)メチル)−1H−イミダゾール−1−イル)酢酸]。DCM(2.0mL)及びTFA(2.0mL)中にtert−ブチル2−(((1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)アセテート(40mg、0.079mmol)の溶液を室温で3時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、2−(2−(((カルボキシメチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)メチル)−1H−イミダゾール−1−イル)酢酸を生成した。MeOH(2.0mL)及びHO(2.0mL)中に2−(2−(((カルボキシメチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)メチル)−1H−イミダゾール−1−イル)酢酸及び[NEt[ReBr(CO)](70mg、0.09mmol)の溶液を2NのNaOHを使用してpH=9に調整した。混合物を圧力管内で95℃で一晩攪拌した。HPLCによって反応混合物を精製し、白い固体として生成物(20mg、38%)を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 7.76 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.57 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.36 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.26 (s, 2H), 7.16 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 5.05 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 4.98 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 4.73 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.43 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.00(d, J = 16.8 Hz, 1H), 3.60-3.51 (m, 3H), 3.10-3.05 (m, 2H); ESMS m/z: 667.2 (M+H)+.
【0138】
実施例7:[Re(CO)][2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)二酢酸]
【化72】

【0139】
DCM(2.0mL)及びTFA(2.0mL)中にtert−ブチル2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)ジアセテート(40mg、0.094mmol)の溶液を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)二酢酸を生成した。水(3.0mL)中に2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)二酢酸及びRe(CO)(HO)OTf(1.5mL、水中に0.10mmol/mL、0.15mmol)の溶液を2NのNaOHを使用してpH=9に調整した。混合物を室温で一晩攪拌した。HPLCによって反応混合物を精製し、白い固体として生成物(19.2mg、31%)を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 7.73 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.53 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.24 (s, 2H), 3.74 (d, J = 15.6 Hz, 2H), 3.47 (d, J = 15.6 Hz, 2H).
【0140】
実施例8.[Re(CO)][2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル−アセチルアザンジイル))二酢酸]
【化73】

【0141】
A.tert−ブチル2,2’−(2−ブロモアセチルアザンジイル)ジアセテートの合成
【化74】

DCM(100mL)中にtert−ブチル2,2’−アザンジイルジアセテート(3.00g、12.24mmol)及び2−臭化ブロモアセチル(1.39mL、3.23g、16.00mmol)の溶液に、室温でEtN(2.0mL)を添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物をDCM(300mL)で希釈し、水で洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を得て、これを酢酸エチル中の10%のヘキサンからEtOAc中の50%のヘキサンへBiotage SP4で溶出して精製し、tert−ブチル2,2’−(2−ブロモアセチルアザンジイル)ジアセテート(4.68g、100%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 4.09 (s, 2H), 4.07 (s, 2H), 3.86 (s, 2H), 1.49 (s, 9H), 1.46 (s, 9H); ESMS m/z: 388, 390 (M+Na)+.
【0142】
B.tert−ブチル2,2’−(2−(2−ホルミル−1H−イミダゾール−1−イル)アセチルアザンジイル)ジアセテートの合成
【化75】

tert−ブチル2,2’−(2−ブロモアセチルアザンジイル)ジアセテート(4.55g、12.43mmol)、1H−イミダゾール−2−カルバルデヒド(1.54g、16.0mmol)、DIPEA(5.0mL)及びヨウ化カリウム(0.64g、4.0mmol)の溶液を80℃で一晩攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた後、反応混合物をDCMで希釈し、水で洗浄して、乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を得て、これをDCMからDCM中の3%のMeOHへというBiotage SP4溶出を使用して精製し、tert−ブチル2,2’−(2−(2−ホルミル−1H−イミダゾール−1−イル)アセチルアザンジイル)ジアセテート(3.96g、84%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 9.76 (s, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.25 (s, 1H), 5.30 (s, 2H), 4.14 (s, 2H), 4.07 (s, 2H), 1.51 (s, 9H), 1.43 (s, 9H); ESMS m/z: 382 (M+H)+.
【0143】
C.tert−ブチル2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル−アセチルアザンジイル))ジアセテートの合成
【化76】

DCE(30mL)中に4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホンアミド(100mg、0.50mmol)、AcOH(0.10mL)及びtert−ブチル2,2’−(2−(2−ホルミル−1H−イミダゾール−1−イル)アセチルアザンジイル)ジアセテート(457mg、1.2mmol)の溶液を窒素下で75℃で30分間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、NaBH(OAc)(0.423g、2.0mmol)で処理した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、水で反応停止した。次に反応混合物をDCMで抽出し、有機層を減圧下で乾燥・濃縮させた。残留物をシリカゲルでBiotage SP4によって精製し、化合物(465mg、100%)を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 7.63 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.23-7.21 (m, 4H), 6.96(s, 2H), 6.79 (s, 2H), 5.00 (s, 4H), 4.30 (s, 4H), 3.95 (s, 4H), 3.59 (s, 4H), 2.70-2.66 (m, 2H), 2.59-2.55 (m, 2H), 1.42 (s, 18H), 1.33 (s, 18H); ESMS m/z: 466.4 (M/2+H)+.
【0144】
D.[Re(CO)][2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル−アセチルアザンジイル))二酢酸]。MeOH(3.0mL)中にtert−ブチル2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルフェネチルアザンジイル)ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル−アセチルアザンジイル))ジアセテート(32mg、0.34mmol)及び[NEt[ReBr(CO)](30mg、0.39mmol)の溶液を、密封した圧力管内で95℃で4時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、精製されていない生成物を得た。TFA(1.0mL)及びDCM(1.0mL)中に精製されていない生成物を含む溶液を室温で3時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を得て、これをHPLCによって精製して、白い固体(33mg、27%)として標題の化合物を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 7.79 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.58 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.29 (s, 2H), 7.13 (s, 2H), 7.06 (s, 2H), 5.06 (s, 4H), 4.65 (d, J = 16.4 Hz, 2H), 4.40 (d, J = 16.4 Hz, 2H), 4.29 (s, 4H), 4.05 (d, J = 5.6 Hz, 4H), 3.87-3.83 (m, 2H), 3.11-3.08 (m, 2H); ESMS m/z: 978 M+.
【0145】
実施例9:[Re(CO)][4−(3−(5−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)ペンチル)チオウレイド)ベンゼンスルホンアミド]
【化77】

【0146】
A.4−(3−(5−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)ペンチル)チオウレイド)ベンゼンスルホンアミド
【化78】

DCM(10mL)及びTFA(1.0mL)中にtert−ブチル5−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)カルバミン酸ペンチル(0.63g、1.64mmol)の溶液を室温で3時間攪拌した。終了後、溶媒を蒸発させ、反応混合物をDCMで希釈し、飽和炭酸カリウム水溶液で洗浄して、真空で濃縮し、N,N−ビス(ピリジン−2−イルメチル)ペンタン−1,5−ジアミンを生成した。アセトニトリル(10mL)及びDIPEA(0.40mL)中に以上の生成物、すなわち、N,N−ビス(ピリジン−2−イルメチル)ペンタン−1,5−ジアミン、4−イソチオシアネートベンゼンスルホンアミド(0.35g、1.64mmol)の溶液を50℃で窒素下で3時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、精製されていない生成物を生成し、これをDCM中の5%のMeOHを、その後にDCM中の15%のMeOHを使用してフラッシュクロマトグラフィの溶出によって精製し、白い固体として4−(3−(5−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)ペンチル)チオウレイド)ベンゼンスルホンアミド(0.145g、19%)を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 9.75 (s, 1H), 8.48 (d, 2H), 7.98 (s, 1H), 7.78-7.69 (m, 4H), 7.63 (d, 2H), 7.53 (d, 2H), 7.29-7.21 (m, 4H), 3.55 (s, 4H), 3.46-3.44 (m, 2H), 2.49-2.47 (m, 2H), 1.56-1.42 (m, 2H), 1.32-1.28 (m, 2H); ESMS m/z: 499.5 (M+H)+.
【0147】
B.[Re(CO)][4−(3−(5−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)ペンチル)チオウレイド)ベンゼンスルホンアミド]。MeOH(6.0mL)中に4−(3−(5−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)ペンチル)チオウレイド)ベンゼンスルホンアミド(30mg、0.060mmol)及び[NEt[ReBr(CO)](43mg、0.06mmol)の溶液を、密封した圧力管内で100℃で5時間攪拌した。反応混合物を、MeOH/HOでAmberchrom(商標)樹脂で溶出して精製し、白い固体として[Re(CO)][2−((ピリジン−2−イルメチル)(4−スルファモイルフェネチル)アミノ)酢酸](31mg、67%)を生成した。ESMS m/z: 769.2 (M+H)+.
【0148】
実施例10:[Re(CO)][2−((ピリジン−2−イルメチル)(8−(3−(4−スルファモイルフェニル)チオウレイド)オクチル)アミノ)酢酸)]
【化79】

【0149】
A.tert−ブチル2−((8−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)オクチル)(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)アセテート
【化80】

DCE(30mL)中にtert−ブチル8−カルバミン酸アミノオクチル(1.61g、6.588mmol)、2−ピリジンカルボキシサルデヒド(0.63mL、6.588mmol)及びAcOH(0.10mL)の溶液を窒素下で75℃で30分間加熱した。反応混合物を0℃まで冷却し、NaBH(OAc)(3.708g、17.5mmol)及びtert−ブチルグリオキサレート(1.53g)で順次処理した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、水で反応停止した。次に反応混合物をDCMで抽出し、有機層を減圧下で乾燥・濃縮した。残留物を、シリカゲルでフラッシュクロマトグラフィによって精製し、黄色い油としてtert−ブチル2−((8−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)オクチル)(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)アセテート(1.71g、58%)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3Cl3) d 8.52 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.65 (td, J = 7.8, 1.6 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 7.6, 1H), 7.18-7.12 (m, 1H), 4.50 (s, 1H), 3.90 (s, 2H), 3.28 (s, 2H), 3.07 (q, J = 6.3 Hz, 2H), 2.61 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.50-1.24 (m, 30H); ESMS m/z: 450.4 (M+H)+.
【0150】
B.2−((ピリジン−2−イルメチル)(8−(3−(4−スルファモイルフェニル)チオウレイド)オクチル)アミノ)酢酸。DCM(4mL)及びTFA(4.0mL)中にtert−ブチル2−((8−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)オクチル)(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)ジアセテート(0.449g、1.0mmol)の溶液を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発させて、2−((8−アミノオクチル)(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)酢酸を生成した。CHCN(40mL)及びDIPEA(3.0mL)中に以上の生成物2−((8−アミノオクチル)(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)酢酸、4−イソチオシアネートベンゼンスルホンアミド(0.278g、1.3mmol)の溶液を50℃で窒素下で48時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、精製されていない生成物を生成し、これをアセトニトリル/水でAmberchrom(商標)溶出によって精製し、無色の油として2−((ピリジン−2−イルメチル)(8−(3−(4−スルファモイルフェニル)チオウレイド)オクチル)アミノ)酢酸(0.500g)を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 9.84 (s, 1H), 8.65 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 8.11 (s, 1H), 7.94 (td, J = 7.6, 1.6 Hz, 1H), 7.70 (d, J = 8.8 Hz, 2 H), 7.63 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.57 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.50-7.47 (m, 1H), 7.26 (s, 2H), 4.53 (s, 2H), 4.14 (s, 2H), 3.44-3.40 (m, 2H), 3.14-3.08 (m, 2H), 1.64-1.24 (m, 1 H); ESMS m/z: 508.3 (M+H)+.
【0151】
C.[Re(CO)][2−((ピリジン−2−イルメチル)(8−(3−(4−スルファモイルフェニル)チオウレイド)オクチル)アミノ)酢酸]。MeOH(4.0mL)及び水(0.20mL)中に2−((ピリジン−2−イルメチル)(8−(3−(4−スルファモイルフェニル)チオウレイド)オクチル)アミノ)酢酸(60mg)及び[NEt[ReBr(CO)](77mg、0.10mmol)の溶液を圧力管にて90℃で一晩攪拌した。反応混合物をHPLCによって精製し、白い固体として標題の化合物(7.2mg)を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 9.76 (s, 1H), 8.74 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.13 (td, J = 7.6, 1.2 Hz, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.72-7.62 (m, 5H), 7.56 (t, J = 6.4 Hz, 1H), 7.25 (s, 2H), 4.74 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 4.52 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 3.80 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 3.54-3.40 (m, 4H), 3.38 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 1.76-1.31 (m, 12H); ESMS m/z: 778.1 (M+H)+.
【0152】
式IIの例示的化合物の合成
実施例11:[Re(CO)][(S)−6−(ビス((1−(カルボキシメチル)−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)アミノ)−2−(3−((S)−1−カルボキシ−4−オキソ−4−(4−スルファモイルフェネチルアミノ)ブチル)ウレイド)ヘキサン酸]
【化81】

【0153】
A.(9S,13S)−15−ベンジル 13,9−ジーtert−ブチル 3,11−ジオキソ−1−フェニル−2−オキサ−4,10,12−トリアザペンタデカン−9,13,15−トリカルボキシラートの合成
【化82】

−78℃に冷却したDCE(70mL)中にL−Glu(OBn)−OtBu塩酸塩(3.13mg、9.49mmol)及びトリホスゲン(923mg、3.13mmol)を含む溶液に、窒素下でトリエチルアミン(2.80mL)を添加した。−78℃で2時間攪拌した後、DCE(10mL)中にL−Lys(Z)−OtBu(3.88g、10.40mmol)及びTEA(1.5mL)を含む溶液を添加した。混合物を1時間で室温になるようにし、室温で一晩攪拌した。反応物を1NのHClで反応停止し、DCMで抽出した。有機層を減圧して乾燥・濃縮し、Biotage SP4を使用して残留物を精製し、(9S,13S)−15−ベンジル 13,9−ジーtert−ブチル 3,11−ジオキソ−1−フェニル−2−オキサ−4,10,12−トリアザペンタデカン−9,13,15−トリカルボン酸を無色油として生じた(4.71g、76%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 7.34-7.29 (m, 10H), 5.13-5.04 (m, 6H), 4.97 (brs, 1H), 4.38-4.28 (m, 2H), 3.18-3.14 (m, 2H), 2.50-2.35 (m, 2H), 2.19-2.10 (m, 1H), 1.94-1.85 (m, 1H), 1.79-1.72 (m, 1H), 1.58-1.33 (m, 21H).
【0154】
B.(S)−4−(3−((S)−6−アミノ−1−tert−ブトキシ−1−オキソヘキサン−2−イル)ウレイド)−5−tert−ブトキシ−5−オキソペンタン酸の合成
【化83】

空のバルーンの下でEtOH(70mL)中に(9S,13S)−15−ベンジル13,9−ジーtert−ブチル 3,11−ジオキソ−1−フェニル−2−オキサ−4,10,12−トリアザペンタデカン−9,13,15−トリカルボキシラート(4.30g、6.64mmol)、10%のPd/C(1.0g)及び蟻酸アンモニウム(4.0g)を含む懸濁液を、室温で一晩攪拌した。反応混合物をセライトのパッドで濾過し、EtOAcで洗浄した。溶媒を蒸発させて、(S)−4−(3−((S)−6−アミノ−1−tert−ブトキシ−1−オキソヘキサン−2−イル)ウレイド)−5−tert−ブトキシ−5−オキソペンタン酸(4.07g、70%)を生成し、これはこれ以上精製せずに使用した。ESMS m/z: 432.3 (M/2+H)+.
【0155】
C.(S)−4−(3−((S)−6−(ビス((1−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)アミノ)−1−tert−ブトキシ−1−オキソヘキサン−2−イル)ウレイド)−5−tert−ブトキシ−5−オキソペンタン酸の合成
【化84】

DCE(20mL)中に(S)−4−(3−((S)−6−アミノ−1−tert−ブトキシ−1−オキソヘキサン−2−イル)ウレイド)−5−tert−ブトキシ−5−オキソペンタン酸(432mg、純度70%、0.70mmol)、AcOH(0.10mL)及びtert−ブチル2−(2−ホルミル−1H−イミダゾール−1−イル)酢酸(470mg、2.0mmol)を含む溶液を、窒素下で75℃で30分間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、NaBH(OAc)(0.633g、3.0mmol)で処理した。室温で攪拌する状態で一晩、反応が進めるようにした。反応混合物を水で反応停止し、減圧して濃縮し、残留物を生じて、これをDCM中に5〜50%のMeOHの勾配で、Biotage SP4で精製して、(S)−4−(3−((S)−6−(ビス((1−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)アミノ)−1−tert−ブトキシ−1−オキソヘキサン−2−イル)ウレイド)−5−tert−ブトキシ−5−オキソペンタン酸(300mg、52%)を無色油として生じた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 6.99 (s, 2H), 6.84 (s, 2H), 4.57 (s, 4H), 4.29-4.19 (m, 2H), 3.66-3.56 (m, 4H), 2.98-2.90 (m, 2H), 2.49-2.37 (m, 4H), 1.95-1.41 (m, 42H); ESMS m/z: 410.8 (M/2+H)+.
【0156】
D.(S)−tert−ブチル6−(ビス((1−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)アミノ)−2−(3−((S)−1−tert−ブトキシ−1,5−ジオキソ−5−(4−スルファモイルフェネチルアミノ)ペンタン−2−イル)ウレイド)ヘキサノアートの合成
【化85】

DMF(5mL)中に(S)−4−(3−((S)−6−(ビス((1−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)アミノ)−1−tert−ブトキシ−1−オキソヘキサン−2−イル)ウレイド)−5−tert−ブトキシ−5−オキソペンタン酸(80mg、0.098mmol)、4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホンアミド(30mg、0.15mmol)、HATU(50mg、0.17mmol)、及びDIPEA(0.50mL)を含む溶液を40℃で一晩攪拌した。溶媒を減圧して蒸発させ、残留物を得て、これをDCM中に0〜20%のMeOHの勾配でBiotage SP4で精製し、(S)−tert−ブチル6−(ビス((1−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)アミノ)−2−(3−((S)−1−tert−ブトキシ−1,5−ジオキソ−5−(4−スルファモイルフェネチルアミノ)ペンタン−2−イル)ウレイド)ヘキサン酸(100mg、100%)を生じた。ESMS m/z: 501.9 (M/2+H)+.
【0157】
E.[Re(CO)][(S)−6−(ビス((1−(カルボキシメチル)−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)アミノ)−2−(3−((S)−1−カルボキシ−4−オキソ−4−(4−スルファモイルフェネチルアミノ)ブチル)ウレイド)ヘキサン酸]。MeOH(4.0mL)中に(S)−tert−ブチル6−(ビス((1−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)アミノ)−2−(3−((S)−1−tert−ブトキシ−1,5−ジオキソ−5−(4−スルファモイルフェネチルアミノ)ペンタン−2−イル)ウレイド)ヘキサノアート(60mg、0.060mmol)及び[NEt[ReBr(CO)](60mg、0.077mmol)の溶液を、密閉した圧力管内で80℃で一晩攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を得た。以上の単離された残留物の溶液をDCM(2.0mL)に溶解させ、TFA(2.0mL)を添加し、反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を得て、これをHPLCによって精製し、白い固体として標題の化合物(16mg、2ステップで25%)を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 7.94 (brs, 1H), 7.71 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.35 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.26 (s, 2H), 7.17 (s, 2H), 7.03 (s, 2H), 6.37-6.33 (m, 2H), 4.83 (s, 4H), 4.55 (d, J = 16.4 Hz, 2H), 4.39 (d, J = 16.4 Hz, 2H), 4.14-4.02 (m, 2H), 3.65-3.61 (m, 2H), 3.25-3.22 (m, 2H), 2.74 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.05-1.30 (m, 10H); ESMS m/z: 524.8 (M/2+H)+.
【0158】
実施例12:(S)−2−(3−((S)−1−カルボキシ−4−オキソ−4−(4−スルファモイルフェニルアミノ)ブチル)ウレイド)−6−(3−ヨードベンザミド)ヘキサン酸
【化86】

【0159】
A.2,5−ジオキソピロリジン−1−イル3−ヨードベンゾアート
【化87】

アセトニトリル(30mL)中に3−ヨード安息香酸(744mg、3.0mmol)、N,N’−炭酸ジスクシンイミジル(920mg、3.6mmol)及びピリジン(0.30mL)の溶液を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を得て、これをヘキサン中に10%〜100%のEtOAcでBiotage SP4溶出により精製し、白い固体として2,5−ジオキソピロリジン−1−イル3−ヨードベンゾアート(946mg、91%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 8.46 (s, 1H), 8.10 (d, J = 7.6, 1H), 8.00 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.26 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 2.91 (s, 4 H); ESMS m/z: 368 (M+Na)+.
【0160】
B.(S)−5−tert−ブトキシ−4−(3−((S)−1−tert−ブトキシ−6−(3−ヨードベンザミド)−1−オキソヘキサン−2−イル)ウレイド)−5−オキソペンタン酸
【化88】

DMF(5.0mL)中に(S)−4−(3−((S)−6−アミノ−1−tert−ブトキシ−1−オキソヘキサン−2−イル)ウレイド)−5−tert−ブトキシ−5−オキソペンタン酸(260mg、0.60mmol)、5−ジオキソピロリジン−1−イル−3−ヨードベンゾアート(276mg、0.80mmol)及びDIPEA(1.0mL)の溶液を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を得て、これをヘキサン中の10%〜100%のEtOAcでBiotage SP4溶出により精製し、無色の油として(S)−5−tert−ブトキシ−4−(3−((S)−1−tert−ブトキシ−6−(3−ヨードベンザミド)−1−オキソヘキサン−2−イル)ウレイド)−5−オキソペンタン酸(343mg、86%)を生成した。ESMS m/z: 332 (M+H)/2+.
【0161】
C.(S)−2−(3−((S)−1−カルボキシ−4−オキソ−4−(4−スルファモイルフェニルアミノ)ブチル)ウレイド)−6−(3−ヨードベンザミド)ヘキサン酸。DMF(5mL)中に(S)−5−tert−ブトキシ−4−(3−((S)−1−tert−ブトキシ−6−(3−ヨードベンザミド)−1−オキソヘキサン−2−イル)ウレイド)−5−オキソペンタン酸(98mg、0.148mmol)、スルファニルアミド(34.4mg、0.20mmol)、HATU(76mg、0.20mmol)及びDIPEA(0.50mL)の溶液を50℃で一晩攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を得、これをヘキサン中に10〜100%のEtOAcという勾配でBiotage SP4を使用して精製し、(S)−tert−ブチル2−(3−((S)−1−tert−ブトキシ−1,5−ジオキソ−5−(4−スルファモイルフェニルアミノ)ペンタン−2−イル)ウレイド)−6−(3−ヨードベンザミド)ヘキサノアートを生成した。以上で単離した材料の溶液をTFA(2.0mL)/DCM(2.0mL)の混合物に溶解し、室温で3時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を得て、これをHPLCによって精製し、白い固体として標題の化合物(20mg、2ステップで19%)を生成した。ESMS m/z: 704.2 (M+H)+.
【0162】
実施例13:(S)−2−(3−((S)−1−カルボキシ−4−オキソ−4−(4−スルファモイルフェネチルアミノ)ブチル)ウレイド)−6−(3−ヨードベンザミド)ヘキサン酸
【化89】

DMF(5mL)中に(S)−5−tert−ブトキシ−4−(3−((S)−1−tert−ブトキシ−6−(3−ヨードベンザミド)−1−オキソヘキサン−2−イル)ウレイド)−5−オキソペンタン酸(212mg、0.32mmol)、4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホンアミド(80mg、0.40mmol)、HATU(152mg、0.40mmol)及びDIPEA(0.50mL)の溶液を50℃で一晩攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を得て、これをヘキサン中に10〜100%のEtOAcの勾配でBiotage SP4を使用して精製し、(S)−tert−ブチル2−(3−((S)−1−tert−ブトキシ−1,5−ジオキソ−5−(4−スルファモイルフェニルアミノ)ペンタン−2−イル)ウレイド)−6−(3−ヨードベンザミド)ヘキサノアートを生成した。以上の生成物の溶液をTFA(2.0mL)/DCM(2.0mL)に溶解させ、室温で3時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を得て、これをAmberchrom(商標)によって精製し、白い固体として((S)−2−(3−((S)−1−カルボキシ−4−オキソ−4−(4−スルファモイルフェネチルアミノ)ブチル)ウレイド)−6−(3−ヨードベンザミド)ヘキサン酸(40mg、2ステップで17%)を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 8.54 (t, J = 5.4 Hz, 1H), 8.17 (s, 1H), 7.97 (t, J = 5.4 Hz, 1H), 7.86 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.83 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.37 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.28-7.23 (m, 3H), 6.32 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 4.07-3.99 (m, 2 H), 3.27-2.80 (m, 2H), 2.75 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.10-1.29 (m, 10H); ESMS m/z: 732.2 (M+H)+.
【0163】
例示的式IVの化合物の合成
実施例14:[Re(CO)][2−((6−オキソ−6−(4−スルファモイルフェニルアミノ)ヘキシル)(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)酢酸]
【化90】

【0164】
A.6−((2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)ヘキサン酸
【化91】

DCE(30mL)中に6−アミノヘキサン酸(1.97g、15mmol)及び2−ピリジンカルボキサルデヒド(1.61g、15mmol)の溶液を窒素下で75℃で30分間加熱した。反応混合物を0℃まで冷却し、NaBH(OAc)(7.95g、37.5mmol)及びtert−ブチルグリオキサレート(2.80g)で順次処理した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、水で反応停止した。反応混合物をDCMで抽出し、集めた有機層を減圧下で乾燥・濃縮した。残留物をシリカゲルでフラッシュクロマトグラフィによって精製し、黄色い油として6−((2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)ヘキサン酸(1.78g、35%)を生成した。1H NMR (400 MHz, CD3Cl3) d 8.57 (ddd, J = 4.8, 1.6, 0.8 Hz, 1H), 7.70 (td, J = 7.6, 1.6 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 7.6, 1H), 7.22-7.18 (m, 1H), 3.93 (s, 2H), 3.29 (s, 2H), 2.65 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.33 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.67-1.32 (m, 15H); ESMS m/z: 337.2 (M+H)+.
【0165】
B.tert−ブトキシ2−((6−オキソ−6−(4−スルファモイルフェニルアミノ)ヘキシル)(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)アセテート
【化92】

DMF(10mL)及びEtN(1.0mL)中に6−((2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)ヘキサン酸(0.6545g、1.95mmol)、スルファニルアミド(0.362g、2.10mmol)及びHATU(0.798g、2.10mmol)の溶液を40℃で一晩攪拌した。反応混合物をMeOH/DCMでシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィ溶出によって精製し、tert−ブチル2−((6−オキソ−6−(4−スルファモイルフェニルアミノ)ヘキシル)(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)アセテート(297mg、31%)を生成した。ESMS m/z: 491.3 (M+H)+.
【0166】
C.[Re(CO)][2−((6−オキソ−6−(4−スルファモイルフェニルアミノ)ヘキシル)(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)酢酸]。DCM(1.0mL)及びTFA(1.0mL)中にtert−ブチル2−((6−オキソ−6−(4−スルファモイルフェニルアミノ)ヘキシル)(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)アセテート(70mg、0.14mmol)の溶液を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、2−((6−オキソ−6−(4−スルファモイルフェニルアミノ)ヘキシル)(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)酢酸を生成した。MeOH(4.0mL)及び水(1.0mL)中に以上の単離した生成物、2−((6−オキソ−6−(4−スルファモイルフェニルアミノ)ヘキシル)(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)酢酸、[NEt[ReBr(CO)](108mg、0.14mmol)及び炭酸カリウム(30mg)の溶液を、密封した圧力管内で100℃で4時間攪拌した。反応混合物を、MeOH/HOでAmberchrom(商標)の溶出によって精製し、白い固体として標題の化合物(64mg、65%)を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 10.25 (s, 1H), 8.74 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.13 (td, J = 7.6, 1.2 Hz, 1H), 7.76-7.55 (m, 5H), 7.56 (t, J = 6.4 Hz, 1H), 7.23 (s, 2H), 4.74 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.53 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 3.82 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 3.54-3.40 (m, 2H), 3.38 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 2.38 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 1.76-1.31 (m, 6H); ESMS m/z: 705.3 (M+H)+.
【0167】
実施例15:レニウム(トリカルボニル)(11−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)−N−(4−スルファモイルフェネチル)ウンデカンアミド)
【化93】

【0168】
A.「基本的合成方法」のセクションで説明した手順で、以上で述べたように11−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)−N−(4−スルファモイルフェネチル)ウンデカンアミドを調製した(139mg、31%)。ESMS m/z: 568 (M+H)+.
【0169】
B.「レニウムを錯化する基本手順」のセクションで説明したような手順に従い、ステップAの化合物からレニウム(トリカルボニル)(11−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)−N−(4−スルファモイルフェネチル)ウンデカンアミド))を調製し、オフホワイトの固体として回収した(10mg、19%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 8.75 (d, 2H), 7.95 (m, 2H), 7.90 (t, H), 7.7 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.3 (m, 4H), 7.2 (m, 2H), 4.8 (m, 4H), 4.15 (d, 2H), 3.75 (m, 2H), 3.3 (m, 2H), 2.83 (m, 2H), 1.85 (m, 2H), 1.35 (m, 14H). ESMS m/z: 460 (M+H)+.
【0170】
実施例16:レニウム(トリカルボニル)(11−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)−N−(4−スルファモイルベンジル)ウンデカンアミド)
【化94】

【0171】
A.「基本的な合成方法」のセクションで上述した手順に従って、11−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)−N−(4−スルファモイルベンジル)ウンデカンアミドを調製した(100mg、23%)。ESMS m/z: 552 (M+H)+.
【0172】
B.「レニウムを錯化する基本手順」のセクションで上述したように、ステップAの化合物から、オフホワイトの固体としてレニウム(トリカルボニル)(11−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)−N−(4−スルファモイルベンジル)ウンデカンアミド))を調製した(22mg、36%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 8.82 (d, 2H), 8.45 (t, 1H), 8.0 (m, 2H), 7.8 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.40 (m, 4H), 7.30 (s, 2H), 4.90 (d, 4H), 4.30 (m, 2H), 3.70 (m, 2H), 1.80 (bs, 2H), 1.57 (m, 2H), 1.38 (m, 14H). ESMS m/z: 823 (M+H)+.
【0173】
実施例17:レニウム(トリカルボニル)(11−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)−N−(4−スルファモイルフェニル)ウンデカンアミド)
【化95】

【0174】
A.「基本的な合成方法」のセクションで上述したように、11−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)−N−(4−スルファモイルフェニル)ウンデカンアミドを調製した(41mg、15%)。ESMS m/z: 538 (M+H)+.
【0175】
B.「レニウムを錯化する基本手順」のセクションで上述したように、ステップAの化合物から、オフホワイトの固体としてレニウム(トリカルボニル)(11−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)−N−(4−スルファモイルフェニル)ウンデカンアミド)を調製した(15mg、33%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 10.25 (s, 1H), 8.83 (d, 2H), 8.00 (m, 2H), 7.80 (s, 4H), 7.55 (d, 2H), 7.40 (m, 2H), 7.20 (s, 2H), 4.90 (d, 4H), 4.30 (m, 2H), 3.60 (m, 2H), 2.30 (m, 2H), 1.80 (bs, 2H), 1.57 (m, 2H), 1.38 (m, 10H). ESMS m/z: 808 (M+H)+.
【0176】
実施例18:レニウム(トリカルボニル)(3−(2−(2−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)エトキシ)エトキシ)−N−(4−スルファモイルフェネチル)プロパンアミド)
【化96】

【0177】
A.「基本的な合成方法」のセクションで上述したように、3−(2−(2−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)エトキシ)エトキシ)−N−(4−スルファモイルフェネチル)プロパンアミドを調製し、所望の生成物(70mg、16%)を生成した。ESMS m/z: 542 (M+H)+.
【0178】
B.「レニウムを錯化する基本手順」で上述したように、ステップAの化合物から、オフホワイトの固体としてレニウム(トリカルボニル)(3−(2−(2−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)エトキシ)エトキシ)−N−(4−スルファモイルフェネチル)プロパンアミド)を調製した(36mg、44%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 8.75 (d, 2H), 7.95 (m, 3H), 7.7 (d, 4H), 7.55 (d, 2H), 7.30 (m, 6H), 4.90 (d, 4H), 4.30 (m, H), 3.80 (m, 2H), 3.55 (m, 4H) 3.40 (m, 2H), 3.30 (s, 2H), 3.17 (m, 2H), 2.72 (t, 2H), 2.25 (t, 2H). ESMS m/z: 812 (M+H)+.
【0179】
実施例19:レニウム(トリカルボニル)(3−(2−(2−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)エトキシ)エトキシ)−N−(4−スルファモイルベンジル)プロパンアミド)
【化97】

【0180】
A.「基本的な合成方法」のセクションで上述したように、3−(2−(2−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)エトキシ)エトキシ)−N−(4−スルファモイルベンジル)プロパンアミドを調製し、所望の生成物(126mg、43%)を生成した。ESMS m/z: 542 (M+H)+.
【0181】
B.「レニウムを錯化する基本手順」のセクションで上述したように、ステップAの化合物から、オフホワイトの固体としてレニウム(トリカルボニル)(3−(2−(2−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)エトキシ)エトキシ)−N−(4−スルファモイルベンジル)プロパンアミド)を調製した(31mg、41%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 8.60 (d, 2H), 8.55 (m, H), 7.75 (m, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.35 (d, 2H), 7.15 (m, 4H), 4.8 (d, 4H), 4.15 (d, 2H), 3.75 (m, 4H), 3.6 (m, 2H), 3.45 (m, 4H), 3.2 (m, H), 2.25 (t, 2H). ESMS m/z: 798 (M+H)+.
【0182】
実施例20:レニウム(トリカルボニル)(3−(2−(2−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)エトキシ)エトキシ)−N−(4−スルファモイルベンジル)プロパンアミド)
【化98】

【0183】
A.「基本的な合成方法」のセクションで上述したように、3−(2−(2−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)エトキシ)エトキシ)−N−(4−スルファモイルベンジル)プロパンアミドを調製し、所望の生成物(41mg、10%)を生成した。ESMS m/z: 512 (M+H)+.
【0184】
B.次に、「レニウムを錯化する基本手順」のセクションで上述したように、ステップAの化合物から、オフホワイトの固体としてレニウム(トリカルボニル)(3−(2−(2−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)エトキシ)エトキシ)−N−(4−スルファモイルベンジル)プロパンアミド)を調製した(24mg、52%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 8.80 (m, 2H), 7.95 (m, 2H), 7.60 (m, 4H), 7.4 (m, 4H), 4.95 (m, 4H), 3.95 (m, 4H), 3.65 (m, 4H), 2.65 (m, 4H). ESMS m/z: 798 (M+H)+.
【0185】
実施例21:レニウム(トリカルボニル)11−(ビス((1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)アミノ)−N−(4−スルファモイルフェニル)ウンデカンアミド
【化99】

【0186】
A.「基本的な合成方法」のセクションで上述したように、11−(ビス((1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)アミノ)−N−(4−スルファモイルフェニル)ウンデカンアミドを調製し、1を生成した(38mg、10%)。ESMS m/z: 544 (M+H)+.
【0187】
B.「レニウムを錯化する基本手順」のセクションで上述したように、ステップAの化合物から、オフホワイトの固体としてレニウム(トリカルボニル)11−(ビス((1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)アミノ)−N−(4−スルファモイルフェニル)ウンデカンアミドを調製した(18mg、36%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 10.30 (s, H), 7.30 (d, 2H), 7.05 (d, 2H), 6.43 (d, 2H), 5.65 (d, 2H), 4.65 (m, 2H), 3.60 (s, 6H), 2.30 (m, 2H), 1.85 (m, 2H), 1.35 (m, 14H). ESMS m/z: 817 (M+H)+.
【0188】
実施例21A:レニウム(トリカルボニル)11−(ビス((1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)アミノ)−N−(4−スルファモイルフェニル)オクタンアミドは、実施例22と同様の方法で調製することができる。
【化100】

【0189】
実施例22:レニウム(トリカルボニル)6−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)−N−(4−スルファモイルフェニル)ヘキサンアミド
【化101】

【0190】
A.「基本的な合成方法」のセクションで説明した手順と同様に、6−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)−N−(4−スルファモイルフェニル)ヘキサンアミドを調製した(162mg、22%)。ESMS m/z: 468 (M+H)+.
【0191】
B.以上のステップAの化合物から、「レニウムを錯化する基本手順」で説明したような手順に従って、オフホワイトの固体としてレニウム(トリカルボニル)6−(ビス(ピリジン−2−イルメチル)アミノ)−N−(4−スルファモイルフェニル)ヘキサンアミドを調製した(13mg、11%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 10.30 (s, H), 8.82 (d, 2H), 7.98 (t, 2H), 7.75 (m, 4H), 7.55 (d, 2H), 7.40 (m, 2H), 7.20 (d, 2H), 4.90 (m, 4H), 2.45 (m, 4H), 1.85 (m, 2H), 1.65 (m, 2H), 1.35 (m, 2H). ESMS m/z: 742 (M+H)+.
【0192】
エチレンジアミン四酢酸リンカを有するベンゼンスルホンアミド類似体
以下のスキーム3で示すプロトコルを使用して、例示的化合物を合成した。4,4’−(エタン−1,2−ジイル)ジモルホリノ−2,6−ジオンを当量の4−アミノベンゼンスルホンアミドと、その後に当量のN,N−ビス(ピリジン−2−イルメチル)アルキル−1,6,ジアミンと反応させて、標題の化合物を生成し、これをさらに、以上で検討した基本手順を使用して放射性核種配位結合した。
スキーム3
【化102】

【0193】
実施例23:A.DMF(3.0mL)中にEDTA二無水物(130mg、0.50mmol)及びスルファニルアミド(86mg、0.50mmol)の溶液を室温で4時間攪拌した。N,N−ビス(ピリジン−2−イルメチル)オクタン−1,8−ジアミン(162mg、0.50mmol)を反応混合物に添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、HPLCによって精製して、白い固体として所望の生成物(110mg、29%)を生成した。ESMS m/z: 378.2 (M/2+H)+.
【化103】

【0194】
B.MeOH(5.0mL)中にステップAからの上記の化合物(20mg、0.026mmol)、[NEt[ReBr(CO)](23mg、0.030mmol)及び炭酸カリウム(5mg)の溶液を圧力管に入れて100℃で一晩攪拌した。反応混合物を濃縮し、HPLCによって精製して、白い固体として所望の化合物(5.3mg)を生成した。ESMS m/z: 513.3 (M/2+H)+.
【化104】

【0195】
実施例24:実施例24と同様の方法によって、下式の化合物を調製する。
【化105】

【0196】
実施例25:上記合成方法を適切に変更することによって、レニウム(トリカルボニル)[4−[3−(2−{2−[2−(ビス−ピリジン−2−イルメチル−アミノ)−エトキシ]−エトキシ}−エチル)−チオウレイド]−ベンゼンスルホンアミド]を調製することができる。
【化106】

【0197】
炭酸脱水活性の選択的阻害
化合物を、炭酸脱水イソ酵素II及びIXをin vitroで阻害するその能力について試験した。精製したヒト酵素はR&D Systems(ミネソタ州ミネアポリス)から得た。CA−II及びCA−IXの阻害定数(K)を、Pocker及びStoneの方法で測定した[25]。様々な炭酸脱水イソ酵素で触媒下での4−ニトロフェニルアセテート加水分解の初速度を、分光光度計で400nmにて測定した。無水アセトニトリル中で基質の溶液(1×10−2〜1×10−6M)を調製した。実験条件(9mMのTris−HCl、81mMのNaCl、pH7.4、25℃)で加水分解によって形成された4−ニトロフェノラートについて、18,000M−1・cm−1のモル吸光係数を使用した。酵素濃度は、CA−IXは100nM、CA−IIは30nMであった。酵素を添加しない状態で測定した非酵素の加水分解速度を、得られた速度から引いた。阻害剤の原液は、10〜20%のDMSOを有する脱イオン水(酵素活性を阻害しない)で作成した[12]。阻害剤の希釈溶液を酵素溶液に添加し、10分間プレインキュベートして、基質を添加する前にE−I錯体が形成できるようにした。全分析試験に、正の対照としてアセタゾールアミドを含めた。
【0198】
【表1】

【0199】
比較例1の構造:
【化107】

【0200】
比較例2の構造:
【化108】

【0201】
比較用アセタゾラミドの構造:
【化109】

【0202】
ヒト異種移植片を有するマウスの生体組織内分布
発表されている方法[20]に従って、ヒトの腫瘍異種移植片モデルで放射性標識付きCA−IX阻害剤の摂取を実行した。特定の目的3に記載されたウェスタンブロット法及び細胞培養データに基づき、本発明の化合物がHeLa異種移植片、さらにSK−RC−52異種移植片のCA−IXを標的にする能力を調査することにした。簡単に述べると、HeLa、SK−RC−52及びSK−RC−59の細胞を供給業者のプロトコルに従って成長させた。接種する前に、細胞をトリプシン処理して、カウントし、1mg/mlのD−グルコース、36μg/mlのピルビン酸ナトリウム、50%のMatrigel(BD Biosciences、ニュージャージー州Franklin Lakes)を有する50%のPBSに懸濁させた。NCrnu/nuマウスに、0.5mlのAvertin(20mg/ml)(Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)の腹腔内注射で麻酔をかけ、次に後部側腹部に0.25mlの懸濁液体積中の2×10個の細胞を皮下接種した。腫瘍が100〜200mmのサイズに到達したら、腫瘍摂取の研究を実行した。尾静脈の大量瞬間投与を介して約2μCi/匹の放射性標識付きCA−IX阻害剤を一定量の0.1ml投与することによって、組織の分布を分析した。注射後1、4及び24時間に二酸化炭素で窒息させることにより、5匹の群を複数安楽死させた。10mg/kgの投与量でアセタゾラミドを同時注入することによって、CA−IXに固有の結合を測定した。組織(腫瘍、血液、心臓、肝臓、肺、脾臓、大腸及び小腸、胃、腎臓、骨格筋及び脳)を切開し、切除し、湿式計量し、プラスチックチューブへ移し、及び自動γカウンタ(LKB Model 1282、Wallac Oy、フィンランド)でカウントした。組織の時間・放射能レベルを、組織1グラム当たりのパーセント注入量(%ID/g)及び器官当たりのパーセント注入量(%DPO)として表す。
【0203】
例示的な99mTc類似体を、CA−IX発現SK−RC−52異種移植片又はHeLa細胞を有するNCrヌードマウスの尾静脈に注射した。マウス群(n=5)を注射後1及び4時間で犠牲にし、以下の組織を採取した。すなわち、血液、心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓、胃、大腸及び小腸(内容物有り)、精巣、骨格筋、骨、脳、脂肪及び腫瘍である。両方の時点で、追加のマウス群(n=5)に10mg/kgのアセタゾラミドを同時注射し、炭酸脱水酵素との結合を妨害した。図1及び図2は、様々な放射性医薬品化合物の組織分布を示す。
【0204】
HeLa異種移植片マウスにおける実施例8の化合物の99mTc類似体の組織分布データを生成し、%ID/g±(SEM)で表した。データを図1に示す。
【0205】
参照のために、図2では試験化合物は、HeLa異種移植片マウスにおける実施例1、3、7及び8の化合物の99mTc類似体である。
【0206】
HeLa異種移植片マウスにおける実施例7の化合物の99mTc類似体の組織分布データを生成した。データを図3に示す。
【0207】
HeLa異種移植片マウスにおける実施例3の化合物の99mTc類似体の組織分布データを生成し、%ID/g±(SEM)で表した。データを図4に示す。
【0208】
HeLa、SKRC52及びSKRC59異種移植片マウスにおける実施例1の化合物、及びHeLa異種移植片マウスにおける実施例7及び10の化合物の99mTc類似体の組織分布データを生成した。データを図5に示す。
【0209】
均等物
特定の実施形態を図示し、説明してきたが、添付の特許請求の範囲で定義されるようなより広義の態様における技術から逸脱することなく、当技術分野の通常の技術に従って、変更及び修正をできることを理解されたい。
【0210】
本開示は、本出願で述べた特定の実施形態によって制限されるものではない。当業者には明白なように、その精神及び範囲から逸脱することなく、多くの変更及び変形が可能である。本明細書で列挙されているものに加えて、開示の範囲内にある機能的に同等の方法及び組成物が、以上の説明から当業者には明白になる。このような修正及び変形は、特許請求の範囲に入るものとする。本開示は、特許請求の範囲、及びこのような請求項によって資格を与えられた均等物の全範囲によってのみ限定される。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物又は生物学的構造に限定されず、これが言うまでもなく変化できることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定するものではないことも理解されたい。
【0211】
また、マーカッシュグループに関して開示の特徴又は態様を述べる場合、その開示はマーカッシュグループの個々のメンバ又はメンバのサブグループに関しても述べられることが、当業者には認識される。
【0212】
当業者には理解されるように、いかなる意味でも、特に書面による説明の提供に関して、本明細書で開示された範囲はすべて、任意かつすべての可能な部分範囲及びその部分範囲の組合せも含む。列挙されたいかなる範囲も、同じ範囲を少なくとも均等の2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分割することを十分に説明し、それを可能にすると容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で検討した各範囲は、下位3分の1、中位3分の1及び上位3分の1などに容易に分割することができる。も当業者に理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」などの言語はすべて、列挙された数を含み、以上で検討したように後で部分範囲に分割することができる範囲を指す。最後に、当業者に理解されるように、ある範囲は個々の数をそれぞれ含み、範囲を示す最初と最後の数字を含む。
【0213】
本明細書で言及されたすべての出版物、特許出願、発行された特許、又は他の文書は、個々の各出版物、特許出願、発行された特許、又は他の文書が参照により全体が特に個別に組み込まれたかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれた文章に含まれる定義は、本開示の定義と矛盾する場合は除外される。
【0214】
他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和化合物。
【化1】

(式中、
Wは、結合、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、−NHC(O)、−C(O)NH、−NH−C(O)−NH−、又はNH−C(S)−NH−であり、
Vは、結合、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、−NH−C(O)−NH−、又は−NH−C(S)−NH−であり、
NRは、下式のいずれかのキレート基であり、
【化2】

【化3】

は、H、C−Cアルキル基、アンモニウムイオン又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属イオンであり、
及びRは、独立に、水素、アルキル、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル又はカルボキシアルキルであり、
は、アルキルであり、
mは、0〜15の整数であり、
nは、0〜15の整数であり、
ただし、W及びVが両方ともNH−C(O)−NH−又は−NH−C(S)−NH−になり得ず、前記化合物が、2,2’−(2,2’−(8−(3−(4−スルファモイルフェニル)チオウレイド)オクチルアザンジイル)−ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))二酢酸、2,2’−(2,2’−(4−スルファモイルフェニルアザンジイル)−ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))二酢酸、又は2,2’−(2,2’−(5−(4−スルファモイルベンザミド)ペンチルアザンジイル)−ビス(メチレン)ビス(1H−イミダゾール−2,1−ジイル))二酢酸ではない。)
【請求項2】
NRが、下式のいずれかのキレート基である、請求項1に記載の化合物。
【化4】

【請求項3】
が、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、又はtert−ブチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、それぞれ独立に、H又はtert−ブチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
mが0又は1であり、nが0〜8の整数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
下式の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
【化5】

【請求項7】
NRが下式である、請求項1に記載の化合物。
【化6】

【請求項8】
NRが下式である、請求項1に記載の化合物。
【化7】

【請求項9】
請求項1に記載の前記化合物並びにRe、Tc、Y、Lu、Ga及びInからなる群から選択される金属を含む錯体。
【請求項10】
前記金属が、放射性核種である、請求項9に記載の錯体。
【請求項11】
前記金属が、テクネチウム−99m、レニウム−186m、又はレニウム−188mである、請求項10に記載の錯体。
【請求項12】
NRが下式であり、
【化8】

前記金属が、Y、Ga、Lu及びInからなる群から選択される、
請求項9に記載の錯体。
【請求項13】
NRが下式である、請求項9に記載の錯体。
【化9】

【請求項14】
下式からなる群
【化10】

又はその薬学的に許容可能な塩及び溶媒和化合物から選択され、
Mが金属である、
請求項9に記載の錯体。
【請求項15】
Mが、テクネチウム−99m、レニウム−186m、又はレニウム−188mである、請求項14に記載の錯体。
【請求項16】
式IIの化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和化合物。
【化11】

(式中、
Lは下式のいずれかのNRキレート基、
【化12】

【化13】

又は下式の基であり、
【化14】

W及びXは、独立に、O又はSであり、
pは、0〜5の整数であり、
qは、0〜8の整数であり、
は、H、C−Cアルキル基、アンモニウムイオン又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属イオンであり、
及びRは、独立に、水素、アルキル、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル又はカルボキシアルキルであり、
は、アルキルである。)
【請求項17】
Lが、前記NRキレート基、及び金属である、請求項16の前記化合物を含む錯体。
【請求項18】
式IIIの化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和化合物。
【化15】

(式中、
Jは、アリールであり、
Zは、O又はSであり、
は、下式のいずれかのNRキレート基、
【化16】

【化17】

又は下式のいずれかの基であり、
【化18】

dは、0〜5の整数であり、
eは、0〜8の整数であり、
は、H、C−Cアルキル基、アンモニウムイオン又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属イオンであり、
及びRは、独立に、水素、アルキル、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル又はカルボキシアルキルであり、
はアルキルである。)
【請求項19】
Lが、前記NRキレート基、及び金属である、請求項18の前記化合物を含む錯体。
【請求項20】
式IVの化合物。
【化19】

(式中、
NRは、下式のいずれかのキレート基であり、
【化20】

【化21】

Yは、O又はSであり、
Aは、(C−C)アルキル、−(CH−(OCHCH−又は−(OCHCH(CH−であり、
xは、0〜3の整数であり、
yは、0〜3の整数であり、
rは、0〜5の整数であり、
sは、0〜10の整数であり、
は、H、C−Cアルキル基、アンモニウムイオン又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属イオンであり、
及びRは、独立に、水素、アルキル、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル又はカルボキシアルキルであり、
は、アルキルである。)
【請求項21】
rが、0、1又は2である、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
sが、0、5又は10である、請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
NRが下式である、請求項20に記載の化合物。
【化22】

【請求項24】
NRが下式である、請求項20に記載の化合物。
【化23】

【請求項25】
NRが下式である、請求項20に記載の化合物。
【化24】

【請求項26】
請求項20の前記化合物並びにRe、Tc、Y、Lu、Ga及びInからなる群から選択される金属を含む錯体。
【請求項27】
前記金属が放射性核種である、請求項26に記載の錯体。
【請求項28】
前記金属が、テクネチウム−99m、レニウム−186m、又はレニウム−188mである、請求項27に記載の錯体。
【請求項29】
NRが下式であり、
【化25】

前記金属が、Y、Ga、Lu又はInである、
請求項26に記載の錯体。
【請求項30】
NRが下式である、請求項26に記載の錯体。
【化26】

【請求項31】
NRが下式である、請求項26に記載の錯体。
【化27】

【請求項32】
が、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、又はtert−ブチルである、請求項20に記載の化合物。
【請求項33】
が、それぞれ独立に、H又はtert−ブチルである、請求項20に記載の化合物。
【請求項34】
請求項1、20、21、22のいずれか1つに記載の前記化合物、その薬学的に許容可能な塩又は溶媒和化合物、及び薬学的に許容可能な補形剤を含む薬学的処方物。
【請求項35】
患者内の部位を撮像する方法であって、
診断上有効な量の請求項1、20、21、22のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容可能な塩又は溶媒和化合物を患者に投与するステップと、
前記患者の前記部位の像を得るステップと
を含む方法。
【請求項36】
請求項9、17、19、26のいずれか1つに記載の前記錯体、その薬学的に許容可能な塩又は溶媒和化合物、及び薬学的に許容可能な補形剤を含む薬学的処方物。
【請求項37】
患者内の部位を撮像する方法であって、
診断上有効な量の請求項9、17、19、26のいずれか1つの錯体、その薬学的に許容可能な塩又は溶媒和化合物を患者に投与するステップと、
前記患者の前記部位の像を得るステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−511024(P2012−511024A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539757(P2011−539757)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/066842
【国際公開番号】WO2010/065906
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(507412863)モレキュラ インサイト ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】