説明

癌を処置するための化学療法剤の連続投与

本発明は、癌を含む過剰増殖性障害の処置のための、細胞傷害性薬剤、続いてIGF1Rアンタゴニスト(例えば、抗体)の連続投与に関する。本発明はまた、被験体におけるインスリン様成長因子I受容体の上昇した発現もしくは活性、またはIGF−1の上昇した発現、またはIGF−IIの上昇した発現によって媒介される過剰増殖性障害(例えば、癌)を処置または予防するための方法であって、先に治療上有効な量の細胞傷害性抗癌化学療法剤(例えば、イリノテカンまたはシクロホスファミド)を被験体に投与する工程、次いで治療上有効な量のIGF1Rインヒビター(例えば、抗IGF1R抗体)を該被験体に投与する工程を含む、方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年5月5日に出願された米国仮特許出願61/050,405号の利益を主張し、この米国仮特許出願は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して、細胞傷害性薬剤の後にIGF1Rインヒビターを投与することによって、過剰増殖性障害を処置または予防するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ソマトメジンとしても公知のインスリン様成長因子には、インスリン様成長因子−I(IGF−I)およびインスリン様成長因子−II(IGF−II)が含まれる(非特許文献1、および非特許文献2)。これらの成長因子は、インスリン様成長因子受容体−1(IGF1R)という名前の共通の受容体に結合することによって、腫瘍細胞(非特許文献3)を含む種々の細胞型に分裂誘発活性を及ぼす(非特許文献4)。IGFおよびIGF1Rの相互作用は、前記受容体のチロシン残基における自己リン酸化を引き起こすことによって、前記受容体を活性化する(非特許文献5)。いったん活性化されると、IGF1Rは細胞内の標的を順々にリン酸化して、細胞シグナル伝達経路を活性化する。この受容体活性化は、腫瘍細胞の増殖および生存の刺激に重要である。したがって、IGF1R活性の阻害は、ヒト癌および他の増殖性疾患の増殖を処置または予防するために有効な方法である。
【0004】
IGF1Rインヒビターおよび細胞傷害性薬剤の併用投与は、いずれか単独の投与と比較して、優れた臨床結果をもたらすことが観察されている。しかしながら、臨床転帰(outomes)をさらに向上させる併用レジメンの修正を開発することが重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Klapperら、(1983)Endocrinol.112:2215
【非特許文献2】Rinderknechtら、(1978)Febs.Lett.89:283
【非特許文献3】Macaulay,(1992)Br.J.Cancer 65:311
【非特許文献4】Sepp−Lorenzino,(1998)Breast Cancer Research and Treatment 47:235
【非特許文献5】Butlerら、(1998)Comparative Biochemistry and Physiology 121:19
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、例えば、向上した効果をもたらすIGF1Rインヒビターおよび細胞傷害性薬剤の併用の処置レジメンを修正する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被験体におけるインスリン様成長因子I受容体の上昇した発現もしくは活性、またはIGF−1の上昇した発現、またはIGF−IIの上昇した発現によって媒介される過剰増殖性障害(例えば、癌)を処置または予防するための方法であって、先に治療上有効な量の細胞傷害性抗癌化学療法剤(例えば、イリノテカンまたはシクロホスファミド)を被験体に投与する工程、次いで治療上有効な量のIGF1Rインヒビター(例えば、抗IGF1R抗体)を該被験体に投与する工程を含む、方法を提供する。例えば、本発明は、被験体(例えば、ヒトなどの哺乳類被験体物)においてインスリン様成長因子I受容体の上昇した発現もしくは活性、またはIGF−1の上昇した発現、またはIGF−IIの上昇した発現によって媒介される過剰増殖性障害(例えば、骨肉腫、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、任意の小児癌、腎臓癌、白血病、腎移行上皮癌、膀胱癌、ウィルムス癌、卵巣癌、膵臓癌、良性前立腺過形成、乳癌、前立腺癌、骨癌、肺癌、胃癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、滑膜肉腫、転移性カルチノイドを伴う下痢、血管作動性腸管ペプチド分泌性腫瘍、乾癬、血管の平滑筋再狭窄および不適切な微小血管増殖、頭頸部癌、扁平上皮癌腫、多発性骨髄腫、孤立性形質細胞腫、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、生殖細胞腫瘍、肝芽腫、肝細胞癌腫、黒色腫、腎臓のラブドイド腫瘍、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、血液系悪性腫瘍、慢性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄単球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、慢性骨髄芽球性白血病、ホジキン(Hodgekin’s)病、非ホジキン(non−Hodgekin’s)リンパ腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、有毛細胞白血病、肥満細胞性白血病、肥満細胞新生物、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、菌状息肉腫、シーリー(seary)症候群、皮膚T細胞リンパ腫、慢性骨髄増殖性障害、中枢(cental)神経系腫瘍、脳の癌、膠芽細胞腫(例えば、多形性膠芽腫)、非膠芽細胞腫脳癌、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、未分化神経外胚葉性腫瘍、髄芽腫、星状細胞腫、未分化星状細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫および脈絡叢乳頭腫、骨髄増殖性障害、真性赤血球増加症、血小板血症、特発性骨髄線維症(myelfibrosis)、軟部組織肉腫、甲状腺癌、子宮内膜癌、カルチノイド癌、生殖細胞腫瘍、肝臓癌)を処置または予防するための方法であって、先に治療上有効な量のシクロホスファミドまたはイリノテカンを被験体に投与する工程、次いで治療上有効な量のIGF1Rインヒビターを該被験体に投与する工程を含む、方法を提供する。本発明の一実施形態において、IGF1Rインヒビターは、単離した抗体(例えば薬学的に許容される担体を備えた医薬組成物中の、例えばモノクローナル抗体)またはその抗原結合フラグメント(例えば、モノクローナル抗体、標識抗体、二価抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、組換え抗体、抗イディオタイプ抗体、ヒト化抗体もしくは二重特異性抗体、ラクダ化単一ドメイン抗体、ダイアボディ、scfv、scfv二量体、dsfv、(dsfv)2、dsFv−dsfv’、二重特異性dsダイアボディ、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、もしくはドメイン抗体)、または薬学的に許容される担体をさらに含むその医薬組成物であって、(a)15H12/19D12軽鎖C、15H12/19D12軽鎖D、15H12/19D12軽鎖E、もしくは15H12/19D12軽鎖Fの可変領域のCDR−L1、CDR−L2、およびCDR−L3;または(b)15H12/19D12重鎖Aもしくは15H12/19D12重鎖bの可変領域のCDR−H1、CDR−H2、およびCDR−H3;または両方を含み、例えば、ここにおいて、CDR−L1は、アミノ酸配列:Arg Ala Ser Gln Ser Ile Gly Ser Ser Leu His(配列番号1)を含み;CDR−L2は、アミノ酸配列:Tyr Ala Ser Gln Ser Leu Ser(配列番号2)を含み;CDR−L3は、アミノ酸配列:His Gln Ser Ser Arg Leu Pro His Thr(配列番号3)を含み;CDR−H1は、アミノ酸配列:Ser Phe Ala Met His(配列番号4)もしくはGly Phe Thr Phe Ser Ser Phe Ala Met His(配列番号5)を含み;CDR−H2は、アミノ酸配列:Val Ile Asp Thr Arg Gly Ala Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val Lys Gly(配列番号6)を含み;かつCDR−H3は、アミノ酸配列:Leu Gly Asn Phe Tyr Tyr Gly Met Asp Val(配列番号7)を含み;例えば、ここにおいて、抗体もしくはフラグメントは、配列番号9、11、13、もしくは15のアミノ酸20−128を含む軽鎖可変領域、および配列番号17もしくは19のアミノ酸20−137を含む重鎖可変領域を含む;からなる群から選択される1つまたは複数のメンバーを含む。本発明の一実施形態において、抗体またはフラグメントは、薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物中にある。本発明の一実施形態において、抗体またはフラグメントは、κ軽鎖、γ1重鎖、γ2重鎖、γ3重鎖、またはγ4重鎖などの定常領域に連結されている。本発明の一実施形態において、被験体に、さらなる化学療法剤(例えば、抗癌化学療法剤)または抗癌治療手段(例えば、抗癌放射線療法もしくは外科的腫瘍摘出術)を施す。本発明の一実施形態において、さらなる化学療法剤は、エベロリムス、トラベクテジン、アブラキサン、TLK 286、AV−299、DN−101、パゾパニブ、GSK690693、RTA 744、ON 0910.Na、AZD 6244(ARRY−142886)、AMN−107、TKI−258、GSK461364、AZD 1152、エンザスタウリン、バンデタニブ、ARQ−197、MK−0457、MLN8054、PHA−739358、R−763、AT−9263、FLT−3インヒビター、VEGFRインヒビター、EGFR TKインヒビター、オーロラキナーゼインヒビター、PIK−1モジュレータ−、Bcl−2インヒビター、HDACインヒビター、c−METインヒビター、PARPインヒビター、Cdkインヒビター、EGFR TKインヒビター、IGFR−TKインヒビター、抗HGF抗体、PI3キナーゼインヒビター、AKTインヒビター、JAK/STATインヒビター、チェックポイント−1または2インヒビター、接着斑キナーゼインヒビター、Mapキナーゼキナーゼ(mek)インヒビター、VEGFトラップ抗体、ペメトレキセド、エルロチニブ、ダサタニブ、ニロチニブ、デカタニブ、パニツムマブ、アムルビシン、オレゴボマブ、Lep−etu、ノラトレキセド、azd2171、バタブリン、オファツムマブ、ザノリムマブ、エドテカリン、テトランドリン、ルビテカン、テスミリフェン、オブリメルセン、チシリムマブ、イピリムマブ、ゴシポール、Bio 111、131−I−TM−601、ALT−110、BIO 140、CC 8490、シレンギチド、ギマテカン、IL13−PE38QQR、INO 1001、IPdR、KRX−0402、ルカントン、LY 317615、ノイラジアブ、ビテスパン(vitespan)、Rta 744、Sdx 102、タランパネル、アトラセンタン、Xr 311、ロミデプシン、ADS−100380、スニチニブ、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、
【0008】
【化1】

、ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、リポソーマルドキソルビシン、5’−デオキシ−5−フルオロウリジン、ビンクリスチン、テモゾロミド、ZK−304709、セリシクリブ;PD0325901、AZD−6244、カペシタビン、L−グルタミン酸、N−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]二ナトリウム塩七水和物、カンプトテシン、PEG標識イリノテカン、タモキシフェン、クエン酸トレミフェン、アナストラゾール(anastrazole)、エキセメスタン、レトロゾール、DES(ジエチルスチルベストロール)、エストラジオール、エストロゲン、結合型エストロゲン、ベバシズマブ、IMC−1C11、CHIR−258、
【0009】
【化2】

、3−[5−(メチルスルホニルピペラジンメチル)−インドリル]−キノロン、バタラニブ、AG−013736、AVE−0005、[D−Ser(Bu t)6,Azgly 10]の酢酸塩(ピロ−Glu−His−Trp−Ser−Tyr−D−Ser(Bu t)−Leu−Arg−Pro−Azgly−NHアセタート[C59841814・(C(式中、x=1〜2.4)])、酢酸ゴセレリン、酢酸ロイプロリド、パモ酸トリプトレリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ラロキシフェン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、酢酸メゲストロール、CP−724714;TAK−165、HKI−272、エルロチニブ、ラパタニブ(lapatanib)、カネルチニブ、ABX−EGF抗体、エルビタックス、EKB−569、PKI−166、GW−572016、ロナファーニブ、
【0010】
【化3】

【0011】
【化4】

、BMS−214662、ティピファーニブ;アミホスチン、NVP−LAQ824、スベロイルアナリドヒドロキサム酸(suberoyl analide hydroxamic acid)、バルプロ酸、トリコスタチンA、FK−228、SU11248、ソラフェニブ、KRN951、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナグレリド、L−アスパラギナーゼ、バチルスカルメット−ゲラン(BCG)ワクチン、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、エピルビシン、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、フルタミド、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトーテン、ミトキサントロン、ニルタミド、オクトレオチド、オキサリプラチン、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トレチノイン、ビンデシン、13−シス−レチノイン酸、フェニルアラニンマスタード、ウラシルマスタード、エストラムスチン、アルトレタミン、フロクスウリジン、5−デオオキシウリジン(5−deooxyuridine)、シトシンアラビノシド、6−メルカプトプリン(6−mecaptopurine)、デオキシコフォルマイシン、カルシトリオール、バルルビシン、ミトラマイシン、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、ラゾキシン、マリマスタット、COL−3、ネオバスタット、BMS−275291、スクアラミン、エンドスタチン、SU5416、SU6668、EMD121974、インターロイキン−12、IM862、アンギオスタチン、ビタキシン、ドロロキシフェン、イドキシフェン、スピロノラクトン、フィナステリド、シミチジン(cimitidine)、トラスツズマブ、デニロイキンジフチトクス、ゲフィチニブ、ボルテジミブ(bortezimib)、パクリタキセル、クレモフォール非含有パクリタキセル、ドセタキセル、エピチロンB(epithilone B)、BMS−247550、BMS−310705、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、ピペンドキシフェン、ERA−923、アルゾキシフェン、フルベストラント、アコルビフェン、ラソフォキシフェン、イドキシフェン、TSE−424、HMR−3339、ZK186619、トポテカン、PTK787/ZK 222584、VX−745、PD 184352、ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、テムシロリムス、AP−23573、RAD001、ABT−578、BC−210、LY294002、LY292223、LY292696、LY293684、LY293646、ウォルトマンニン、ZM336372、L−779,450、PEG−フィルグラスチム、ダルベポエチン、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、ゾレンドロネート、プレドニゾン、セツキシマブ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒストレリン、ペグ化インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2a、ペグ化インターフェロンα−2b、インターフェロンα−2b、アザシチジン、PEG−L−アスパラギナーゼ、レナリドマイド、ゲムツズマブ、ヒドロコルチゾン、インターロイキン−11、デクスラゾキサン、アレムツズマブ、オールトランスレチノイン酸、ケトコナゾール、インターロイキン−2、メゲストロール、免疫グロブリン、ナイトロジェンマスタード、メチルプレドニゾロン、イブリツモマブチウキセタン(ibritgumomab tiuxetan)、アンドロゲン、デシタビン、ヘキサメチルメラミン、ベキサロテン、トシツモマブ、三酸化ヒ素、コルチゾン、エジドロネート(editronate)、ミトーテン、シクロスポリン、リポソーマルダウノルビシン、Edwina−アスパラギナーゼ、ストロンチウム89、カソピタント、ネツピタント、NK−1受容体アンタゴニスト、パロノセトロン、アプレピタント、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、メトクロプラミド、ロラゼパム、アルプラゾラム、ハロペリドール、ドロペリドール、ドロナビノール、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プロクロルペラジン、グラニセトロン、オンダンセトロン、ドラセトロン、トロピセトロン、ペグフィルグラスチム、エリスロポエチン、エポエチンα、およびダルベポエチンαからなる群から選択される1つまたは複数のメンバーである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、結腸直腸HT29モデルの順序付けの調査デザインである。Ir=イリノテカン;抗IGF1R=LCF/HCA抗体。
【図2】図2は、結腸直腸HT29モデルの順序付けの調査結果である(0.1mgの抗IGF1R)。矢印で示した日(8、12、および15日目)にイリノテカンを投与した。矢印で示した日(イリノテカンと同時に8、12、もしくは15日目;またはいずれか単独もしくはイリノテカンの後に18、22、および26日目)に抗IGF1Rを投与した。Ir=イリノテカン;抗IGF1R=LCF/HCA抗体。パーセンテージは、コントロール(IgG1+ビヒクル、黒のひし形)と比較した腫瘍増殖阻害のパーセンテージを示す。
【図3】図3は、結腸直腸HT29モデルの順序付けの調査結果である(0.5mgの抗IGF1R)。矢印で示した日(8、12、および15日目)にイリノテカンを投与した。矢印で示した日(イリノテカンと同時に8、12、もしくは15日目;またはいずれか単独もしくはイリノテカンの後に18、22、および26日目)に抗IGF1Rを投与した。Ir=イリノテカン;抗IGF1R=LCF/HCA抗体。パーセンテージは、コントロール(IgG1+ビヒクル、黒のひし形)と比較した腫瘍増殖阻害のパーセンテージを示す。
【図4】図4は、結腸直腸HT29モデルの順序付けの調査結果である。比較を容易にするための、図2および図3に示したデータを1つのプロットへと結合する。Ir=イリノテカン;抗IGF1R=LCF/HCA抗体。パーセンテージは、コントロール(IgG1+ビヒクル、黒のひし形)と比較した腫瘍増殖阻害のパーセンテージを示す。
【図5】図5は、骨肉腫SJSA−1モデルの順序付けの調査デザインである。CX=シクロホスファミド;Ab.=LCF/HCA抗IGF1R抗体。
【図6】図6は、骨肉腫SJSA−1モデルの順序付けの調査結果である。
【図7】図7は、骨肉腫SJSA−1モデルの順序付けの調査結果、調査最終のときの腫瘍容積および増殖阻害である。
【図8】図8は、骨肉腫SJSA−1モデルの順序付けの調査結果、追跡調査である。38日後の処置中止後の追跡した腫瘍容積。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は、一部には、先に細胞傷害性薬剤(例えば、イリノテカンまたはシクロホスファミド)、次いでIGF1Rインヒビターを投与することによって、IGF1Rの上昇した発現もしくは活性、ならびに/またはIGF−Iおよび/もしくはIGF−IIの過剰発現によって媒介される病状を処置または予防するための方法を提供する。そのような化学療法剤のそのような連続投与が、非連続投与(例えば、同時投与)のものよりずっと優れた効果を有することを証明した。本発明の一実施形態において、連続投与には、IGF1Rインヒビターの投与前に、例えばIGF1Rインヒビターの投与より1または2または3または4または5または6または7日前に、細胞傷害性薬剤を投与する工程が含まれる。例えば、本発明は、細胞傷害性薬剤、次いでIGF1Rインヒビターというそれぞれの併用処置を1つの処置サイクルとして見なす連続的な処置サイクルレジメンの一部として、被験体に細胞傷害性薬剤、次いでIGF1Rインヒビター、次いで細胞傷害性薬剤、次いでIGF1Rインヒビターなど(例えば、細胞傷害性薬剤、次いでIGF1Rインヒビターの1、2、3もしくは4、またはそれを超えるサイクル)を投与する実施形態を含む。
【0014】
本発明はまた、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6または7)の細胞傷害性薬剤の処置の後に、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6または7)のIGF1Rインヒビターの処置を患者に施す実施形態を含む。本発明のそのような実施形態において、細胞傷害性薬剤を用いた1つまたは複数の処置の各エピソード、その後に続くIGF1Rインヒビターを用いた1つまたは複数の処置の各エピソードは1つの処置サイクルと考えられる。本発明はまた、これらの処置サイクルのいくつか(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)を含む方法を包含する。
【0015】
「過剰増殖性疾患」とは、細胞の異常な増殖によって特徴づけられる障害であり、一般的に、例えばすべての臓器系の良性および悪性の腫瘍(例えば、結腸直腸癌または骨肉腫)を含む。「腫瘍」とは、新生物であり、固形および非固形の腫瘍(血液系悪性腫瘍など)の両方を含む。
【0016】
細胞傷害性薬剤
本発明は、抗癌細胞傷害性化学療法剤(例えば、イリノテカンまたはシクロホスファミド)、次いでIGF1Rインヒビターを投与することによって、過剰増殖性障害を処置または予防するための方法を提供する。
【0017】
本発明の実施形態において、抗癌細胞傷害性化学療法剤とは、細胞に対して傷害性のある薬剤であり、特に、正常に分裂している、および/または癌性ではない細胞と比較して、癌細胞または過剰増殖状態にある細胞に対してより細胞傷害性のある薬剤である。例えば、そのような薬剤は、アポトーシスを引き起こすもの、核酸(例えば、DNA)合成を阻害するもの、微小管重合を安定化するもの、トポイソメラーゼ(例えば、トポイソメラーゼI)を阻害するもの、微小管集合を妨害するもの、シグナル伝達を妨害するもの、新脈管形成を阻害するもの、ならびに/または、特に過剰増殖性および/もしくは癌性の細胞の細胞分裂を阻害するものを含む。
【0018】
本発明の一実施形態において、イリノテカンは、以下の構造式:
【0019】
【化5】

によって特徴づけられる。前記用語には、例えばその塩、例えばその一塩酸塩、三水和物などが含まれる。また前記用語には、ペグ化イリノテカン(PEG−イリノテカン)、例えばNKTR−102も含まれる。
【0020】
本発明の一実施形態において、シクロホスファミドは、以下の構造式:
【0021】
【化6】

によって特徴づけられる。シクロホスファミドは、シトキサン(Cytoxan)として、またはネオサール(Neosar)として市販されている。シクロホスファミドという用語には、その水和物(例えば、一水和物)が含まれる。
抗体およびその抗原結合フラグメント
本発明の一実施形態において、イリノテカンまたはシクロホスファミドの投与後に、例えば以下に示すような、軽鎖CDRまたは重鎖CDRまたは両方を含む、例えばIGF1Rに特異的に結合する抗IGF1R抗体またはその抗原結合フラグメントを被験体に投与する。
【0022】
【数1】

例えば、3つすべての軽鎖免疫グロブリンCDR;および/または
【0023】
【数2】

例えば、3つすべての重鎖免疫グロブリンCDR。
【0024】
本発明の一実施形態において、抗体には、以下の軽鎖および重鎖免疫グロブリン鎖(例えば、その成熟フラグメント)またはその抗原結合フラグメントまたはそのCDR、例えばKabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版、Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991);ならびに/またはChothiaおよびLesk,J.MoI.Biol.196:901−917(1987)によって定義されるCDRの任意の組み合わせが含まれる。本発明の一実施形態において、抗IGF1R抗体またはその抗原結合フラグメントは、本明細書において示される(しかし、同一でない抗体またはフラグメントである)もののいずれかと同じIGF1Rエピトープに結合するか、または本明細書において示される(しかし、同一でない抗体またはフラグメントである)もののいずれかとIGF1Rエピトープへの結合を競合する。シグナル配列には破線で下線を引き、そしてCDR配列には実線で下線を引く。本発明の一実施形態において、成熟可変領域フラグメントは、シグナル配列を欠いている。
【0025】
【化7】

【0026】
【化8】

【0027】
【化9】

【0028】
【化10】

【0029】
【化11】

米国特許第7,217,796号を参照されたい。前記特許における任意の抗IGF1Rまたはその抗原結合フラグメントを本発明の方法で使用することができる。
【0030】
本発明の一実施形態において、抗IGF1R抗体軽鎖および/または重鎖は、
(i)CMVプロモーター−15H12/19D12 HCA(γ4)−寄託名:「15H12/19D12 HCA(γ4)」;ATCC受託番号:PTA−5214;
(ii)CMVプロモーター−15H12/19D12 HCB γ4)−寄託名:「15H12/19D12 HCB(γ4)」;ATCC受託番号:PTA−5215;
(iii)CMVプロモーター−15H12/19D12 HCA(γ1)−寄託名:「15H12/19D12 HCA(γ1)」;ATCC受託番号:PTA−5216;
(iv)CMVプロモーター−15H12/19D12 LCC(κ)−寄託名:「15H12/19D12 LCC(κ)」;ATCC受託番号:PTA−5217;
(v)CMVプロモーター−15H12/19D12 LCD(κ)−寄託名:「15H12/19D12 LCD(κ)」;ATCC受託番号:PTA−5218;
(vi)CMVプロモーター−15H12119D12 LCE(κ)−寄託名:「15H12/19D12 LCE(κ)」;ATCC受託番号:PTA−5219;および
(vii)CMVプロモーター−15H12119D12 LCF(κ)−寄託名:「15H12/19D12 LCF(κ)」;ATCC受託番号:PTA−5220
からなる群から選択される任意のプラスミドによってコードされる。
【0031】
上記で特定されるプラスミドは、ブダペスト条約の下で、2003年5月21日にアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)に寄託された;10801 ブールバード大学;Manassas,Va.20110 2209。公に寄託された前記プラスミドの入手可能性に対するすべての規制は、米国特許第7,217,796号の付与の際に、本出願人によって取消不能で排除されている。
【0032】
本発明の一実施形態において、抗体は、LCC/HCA(すなわち、軽鎖Cと重鎖Aを含む)、LCD/HCB(すなわち、軽鎖Dと重鎖Bを含む)、またはLCF/HCA(すなわち、軽鎖Fと重鎖Aを含む)である。
【0033】
本発明の一実施形態において、抗IGF1R抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、成熟重鎖免疫グロブリン可変領域:
【0034】
【化12】

;またはそれ由来の1つまたは複数のCDR(例えば、3)を含む。
【0035】
本発明の一実施形態において、抗IGF1R抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、成熟軽鎖免疫グロブリン可変領域:
【0036】
【化13】

;またはそれ由来の1つまたは複数のCDR(例えば、3)を含む。
【0037】
本発明は、抗IGF1R抗体およびその抗原結合フラグメントを用いるための方法を含む。したがって、本発明は、モノクローナル抗体、ラクダ化単一ドメイン抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、組換え抗体、抗イディオタイプ抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、ダイアボディ、一本鎖抗体、ジスルフィドFv(dsfv)、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、およびドメイン抗体(それらの意味は当該技術分野で周知である)を用いるための方法を含む。したがって、「抗体」という用語および同様の用語は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)(それらの意味は当該技術分野で周知である)を網羅するが、それに制限されない。(「親抗体」の)抗体の「抗原結合フラグメント」という用語および同様の用語は、典型的には、親抗体の結合特異性の少なくとも一部を保持する、親抗体の抗原結合または可変領域(例えば、1つまたは複数のCDR)の少なくとも一部を含む、抗体のフラグメントまたは誘導体を包含する。抗体抗原結合フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFvフラグメント;ダイアボディ;一本鎖抗体分子、例えばsc−Fv;ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体(それらの意味は当該技術分野で周知である)が含まれるが、それらに制限されない。本発明の一実施形態において、結合フラグメントまたは誘導体は、その活性をモル基準で表した場合、そのIGF1R結合活性の少なくとも10%を保持する。本発明の一実施形態において、結合フラグメントまたは誘導体は、親抗体としてのIGF1R結合親和性に対して少なくとも20%、50%、70%、80%、90%、95%もしくは100%、またはそれを超えて保持する。抗原結合フラグメントは、実質的にはその生物活性を変えない保存的アミノ酸置換(抗体の「保存的バリアント」と称される)を含み得ることも意図される。
【0038】
本発明の一実施形態において、「Fab」は、1本の重鎖の可変領域と第一定常領域にジスルフィド結合によって結合した1本の軽鎖(可変および定常領域の両方)を含むフラグメントを指す。Fabフラグメントは、例えば、IgG抗体のパパイン消化によって生成され得る。
【0039】
本発明の一実施形態において、「Fab」は、ヒンジ領域の一部を含むFabフラグメントを指す。
【0040】
本発明の一実施形態において、「F(ab)」はFab’の二量体を指し、F(ab)フラグメントは、IgGの酵素的切断、例えばペプシンによって生成され得る。
【0041】
本発明の一実施形態において、「Fc」領域は、抗体のC1およびC2ドメインを含む2本の重鎖フラグメントを含む。前記2本の重鎖フラグメントは、2以上のジスルフィド結合およびC3ドメインの疎水性相互作用によって結びついている。
【0042】
本発明の一実施形態において、「ナノボディ」とは重鎖抗体のVHHドメインである。そのような重鎖抗体は、1つの可変ドメイン(VHH)と2つの定常ドメイン(CH2およびCH3)を含む。
【0043】
本発明の一実施形態において、「ジスルフィド安定化Fvフラグメント」または「dsFv」は、ジスルフィド架橋によって連結された可変重鎖(V)および可変軽鎖(V)を有する分子を含む。
【0044】
本発明の一実施形態において、「Fv領域」は、重鎖および軽鎖の両方に由来する可変領域を含むが、定常領域を欠いている。
【0045】
本発明の一実施形態において、「一本鎖Fv」抗体または「scFv」抗体という用語は、抗体のVドメインおよびVドメインを含む抗体フラグメントを含み、これらのドメインは1本のポリペプチド鎖に存在する。通常、ポリペプチドは、VおよびVドメインの間に、V鎖およびV鎖が対をなし、そして結合部位(例えば、5〜12残基長)を形成するのを可能にするポリペプチドリンカーをさらに含む。scFvの概説については、Pluckthun(1994)THE PHARMACOLOGY OF MONOCLONAL ANTIBODIES,vol.113,RosenburgおよびMoore編、Springer−Verlag,New York,pp.269−315を参照されたい。また、国際特許出願公開WO 88/01649、ならびに米国特許第4,946,778号および第5,260,203号も参照されたい。
【0046】
本発明の一実施形態において、「ドメイン抗体」は、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域のみを含有する免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む。ある場合には、2以上のV領域がペプチドリンカーと共有結合し、二価ドメイン抗体を作り出す。二価ドメイン抗体の2つのV領域は、同一または異なる抗原を標的にし得る。
【0047】
本発明の一実施形態において、「二価」抗体または「二重特異性」抗体は、2つの抗原結合部位を含む。ある場合には、前記2つの結合部位は同じ抗原特異性を有する。しかしながら、二価抗体は二重特異的であり得る。例えば、本発明は、scfv二量体およびdsfv二量体を含むものであって、そのscfvおよびdsfv部分のそれぞれは、共通または異なる抗原結合特異性を有し得る。
【0048】
本発明の一実施形態において、(dsfv)は、2つのV部分がペプチドリンカーによって連結し、かつジスルフィド架橋によって2つのV部分に結合している、3つのペプチド鎖を含む。
【0049】
本発明の一実施形態において、「二重特異性dsダイアボディ」は、VHおよびVLの間のジスルフィド架橋によって、VL−VH部分(ペプチドリンカーによってもつながっている)に連結したVH−VL(またペプチドリンカーによってつながっている)を含む。
【0050】
本発明の一実施形態において、「二重特異性dsfv−dsfv’」は、また、3つのペプチド鎖を含み:VH−VH部分は当該2つの重鎖がペプチドリンカー(例えば、長くて柔軟性のあるリンカー)によって連結したものであって、かつVLおよびVL部分にそれぞれジスルフィド架橋によって結合しており、ジスルフィドによって対になった重鎖および軽鎖のそれぞれは、異なる抗原特異性を有する。
【0051】
本発明の一実施形態において、「scfv二量体」(二価のダイアボディ)は、V−V部分を含み、該重鎖および軽鎖がペプチドリンカーによって結合し、もう一方のそのような部分と二量体を形成し、それによって、一方の鎖の複数のVがもう一方の鎖の複数のVと協調して、2つの同一結合部位を形成する。
【0052】
本発明の一実施形態において、「二重特異性ダイアボディ」は、VL−VH(ペプチドリンカーによって連結している)と会合したVH−VL部分(ペプチドリンカーによって連結している)を含むものであって、VHとVLは協調し、VHとVLは協調し、それぞれの協調したセットは多様な抗原特異性を有する。
【0053】
本発明の一実施形態において、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同質な抗体の集団から得られた抗体を含むものであって、すなわち、前記集団を含む個々の抗体は、少量存在し得る自然に生じる可能性のある変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、1つの抗原エピトープに対して向けられた非常に特異的なものである。対照的に、従来の(ポリクローナル)抗体調製物は、典型的に、異なる複数のエピトープに対して向けられた(または、特異的な)多数の抗体を含む。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同質な抗体の集団から得られる抗体の特性を示すものであって、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、組み換え技術で、もしくはKohlerら、(1975)Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製することができ、または組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)によって作製することができる。「モノクローナル抗体」は、また、例えば、Clacksonら、(1991)Nature 352:624−628、およびMarksら、(1991)J.MoI.Biol.222:581−597に記載されている技術を用いたファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731も参照されたい。
【0054】
本発明の一実施形態において、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)は、それらが所望の生物活性を示す限りは、特定の種に由来するか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における相当する配列と同一または相同である重鎖および/または軽鎖の一部を含み、一方で、前記単数または複数の鎖の残りは、別の種に由来するか、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、ならびにそのような抗体のフラグメントにおける相当する配列と同一または相同である(米国特許第4,816,567号、およびMorrisonら、(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855)。例えば、結果的に生じるキメラ抗体が、親マウス抗体よりも、ヒト被験体において有害な免疫応答を引き起こす可能性が低くなるように、可変ドメインはマウスなどの実験動物由来の抗体(「親抗体」)から得られ、定常ドメイン配列はヒト抗体から得られる。
【0055】
本発明の一実施形態において、本発明の組換え抗体またはその抗原結合フラグメントは、組み換え技術によって産生された抗体であって、例えば、生物内に導入されたポリヌクレオチド(例えば、細菌細胞(例えば、大腸菌)または哺乳類細胞(例えば、CHO細胞)内に形質転換された、抗体またはフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含有するプラスミド)から発現させた後に、該生物から抗体またはフラグメントを単離する。
【0056】
本発明は、例えば、本明細書に示された1つまたは複数(例えば、3)の抗IGF1R CDRを含む、ラクダ化単一ドメイン抗体も包含する。例えば、Muyldermansら、(2001)Trends Biochem.Sci.26:230;Reichmannら、(1999)J.Immunol.Methods 231:25;WO 94/04678;WO 94/25591;米国特許第6,005,079号を参照されたい。それらは、参照によりその全体が本明細書によって組み込まれているものとする。ラクダ科(ラクダ、ヒトコブラクダ、およびラマ)は、軽鎖を欠いており、したがって、「重鎖」IgGまたはHCAb(重鎖抗体の代わりに)と呼ばれるIgG抗体を含む。HCAbは、典型的に、それらが重鎖可変ドメインのみからなるために、約95kDaの分子量を有する。HCAbは軽鎖を欠いているが、それらは真正の抗原結合レパートリーを有する(Hamers−Castermanら、Nature(1993)363:446−448;Nguyenら、Adv.Immunol.(2001)79:261−296;Nguyenら、Immunogenetics.(2002)54:39−47)。一実施形態において、本発明は、単一ドメイン抗体が形成されるような改変を有する、2つのVドメインを含む単一ドメイン抗体を提供する。
【0057】
本発明の一実施形態において、「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントを包含するものであって、そのフラグメントは、同一ポリペプチド鎖の中に、軽鎖可変ドメイン(V)に接続した重鎖可変ドメイン(V)を含む(V−VまたはV−V)。同一鎖上の2つのドメイン間で対合させるには短すぎるリンカーを用いることによって、ドメインは別の鎖の相補的ドメインとの対合を強いられ、2つの抗原結合部位を作り出す。ダイアボディは、例えば、EP 404,097;WO 93/11161;およびHolligerら、(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448にさらに十分に記載されている。操作された抗体バリアントの概説については、一般的に、HolligerおよびHudson(2005)Nat.Biotechnol.23:1126−1136を参照されたい。
【0058】
本発明の一実施形態において、「ヒト化抗体」という用語は、ヒトおよび非ヒト(例えば、ネズミまたはラット)抗体の両方に由来する配列を含有する抗体の形態を含む。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含むものであって、非ヒト免疫グロブリンのものに相当する超可変ループのすべてまたは実質的にすべて、かつフレームワーク(FR)領域のすべてまたは実質的にすべては、ヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、場合によっては、ヒト免疫グロブリン定量領域(Fc)の少なくとも一部を含んでもよい。
【0059】
例えば、本発明は、例えば同一のCDRがもともとは非ヒト種抗体から単離され、かつヒト抗体フレームワーク内に組み込まれた、15H12/19D12のCDRを含んだ任意のヒト化抗体を含む。
【0060】
本発明の抗体はまた、変化したエフェクター機能を提供するために、改変した(または遮断した)Fc領域を有する抗体も含む。例えば、米国特許第5,624,821号;WO2003/086310;WO2005/120571;WO2006/0057702を参照されたい。そのような改変は、診断および治療における有益な効果の可能性を有して、免疫システムの種々の反応を増強または抑制するために使用され得る。Fc領域の変更には、アミノ酸変化(置換、欠失、および挿入)、糖化または脱糖化、および多重Fc付加が包含される。Fcの変化により、治療抗体における抗体の半減期を変えることもでき、投薬頻度の低下を可能にし、それにより利便性を増大させ、かつ物質の使用を減少させることを可能にする。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731の734−35を参照されたい。
【0061】
本発明の抗IGF1R抗体およびその抗原結合フラグメントは、本発明の一実施形態において、化学物質の部分に結合している。化学物質の部分は、とりわけ、ポリマー、放射性核種、または細胞傷害性因子であってよい。本発明の一実施形態において、化学物質の部分は、それを投与される被験体の体内において、抗体またはフラグメントの半減期を増大させるポリマーである。ポリマーには、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、2kDa、5kDa、10kDa、12kDa、20kDa、30kDa、または40kDaの分子量を有するPEG)、デキストラン、およびモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)が含まれるが、それに制限されない。Leeら、(1999)(Bioconj.Chem.10:973−981)は、PEG結合一本鎖抗体を開示している。Wenら、(2001)(Bioconj.Chem.12:545−553)は、抗体を、放射性金属キレート剤(ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA))に結合させたPEGと結合させることを開示している。
【0062】
本発明の抗体および抗原結合フラグメントは、本発明の一実施形態において、99mTc、99Tc、90Y、111In、32P、14C、125I、H、131I、123I、11C、15O、13N、18F、35S、51Cr、57To、226Ra、60Co、59Fe、57Se、152Eu、67CU、217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pd、234Th、40K、157Gd、55Mn、52Tr、および56Fe等の標識と結合している。
【0063】
本発明の抗体および抗原結合フラグメントはまた、希土類元素キレート等の蛍光団、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、イソチオシアネート、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒド(o−phthaladehyde)、フルオレスカミン、152Eu、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェリン、ルミナール標識、イソルミナール標識、芳香族アクリジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジニウム(acridimium)塩標識、シュウ酸エステル標識、エクオリン標識、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、ビオチン、アビジン、ホースラディッシュペルオキシダーゼ等のペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ(例えば、子牛、エビ、または細菌性)、スピンラベル、ならびに安定フリーラジカルを含む蛍光標識または化学発光標識と結合していてもよい。
【0064】
本発明の抗体および抗原結合フラグメントは、ジフテリア毒素、Pseudomonas aeruginosa外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α−サルシン、Aleurites fordiiタンパク質および化合物(例えば、脂肪酸)、ジアンチンタンパク質、Phytoiacca americanaタンパク質PAPI、PAPII、およびPAP−S、momordica charantiaインヒビター、クルシン、クロチン、saponaria officinalisインヒビター、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、ならびにエノマイシン等の細胞傷害性因子に結合していてもよい。
【0065】
本発明の抗体および抗原結合フラグメントを種々の部分に結合させるための当該技術分野において既知の任意の方法を利用してよく、Hunterら、(1962)Nature 144:945;Davidら、(1974)Biochemistry 13:1014;Painら、(1981)J.Immunol.Meth.40:219;およびNygren,J.,(1982)Histochem.and Cytochem.30:407によって記載されている方法を含んでいてよい。抗体を結合させるための方法は、従来行われており、当該技術分野においてきわめて周知である。
【0066】
さらなる化学療法剤
本発明は、イリノテカンまたはシクロホスファミド、次いでIGF1Rアンタゴニストを投与することによる、過剰増殖性障害を処置するための方法を含む。このレジメンに加えて、例えば、細胞傷害性薬剤および/またはIGF1Rアンタゴニストの投与に伴い、患者にさらなる化学療法剤を投与してもよい。本発明の一実施形態において、さらなる化学療法剤は抗癌剤である。本発明の一実施形態において、さらなる化学療法剤は、エベロリムス、トラベクテジン、アブラキサン、TLK 286、AV−299、DN−101、パゾパニブ、GSK690693、RTA 744、ON 0910.Na、AZD 6244(ARRY−142886)、AMN−107、TKI−258、GSK461364、AZD 1152、エンザスタウリン、バンデタニブ、ARQ−197、MK−0457、MLN8054、PHA−739358、R−763、AT−9263、FLT−3インヒビター、VEGFRインヒビター、EGFR TKインヒビター、オーロラキナーゼインヒビター、PIK−1モジュレータ−、Bcl−2インヒビター、HDACインヒビター、c−METインヒビター、PARPインヒビター、Cdkインヒビター、EGFR TKインヒビター、IGFR−TKインヒビター、抗HGF抗体、PI3キナーゼインヒビター、AKTインヒビター、JAK/STATインヒビター、チェックポイント−1または2インヒビター、接着斑キナーゼインヒビター、Mapキナーゼキナーゼ(mek)インヒビター、VEGFトラップ抗体、ペメトレキセド、エルロチニブ、ダサタニブ、ニロチニブ、デカタニブ、パニツムマブ、アムルビシン、オレゴボマブ、Lep−etu、ノラトレキセド、azd2171、バタブリン、オファツムマブ、ザノリムマブ、エドテカリン、テトランドリン、ルビテカン、テスミリフェン、オブリメルセン、チシリムマブ、イピリムマブ、ゴシポール、Bio 111、131−I−TM−601、ALT−110、BIO 140、CC 8490、シレンギチド、ギマテカン、IL13−PE38QQR、INO 1001、IPdR、KRX−0402、ルカントン、LY 317615、ノイラジアブ、ビテスパン、Rta 744、Sdx 102、タランパネル、アトラセンタン、Xr 311、ロミデプシン、ADS−100380、
【0067】
【化14】

【0068】
【化15】

、ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、リポソーマルドキソルビシン、5’−デオキシ−5−フルオロウリジン、ビンクリスチン、テモゾロミド(場合によっては、イリノテカンをさらに含み;例えば、多形性膠芽腫を処置するための方法において、例えば抗体もしくはフラグメント、テモゾロミド、および放射線療法を投与する工程;または、抗体もしくはフラグメント、テモゾロミド、およびイリノテカンを投与する工程を含む)、ZK−304709、セリシクリブ;PD0325901、AZD−6244、カペシタビン、L−グルタミン酸、N−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]二ナトリウム塩七水和物、カンプトテシン、タモキシフェン、クエン酸トレミフェン、アナストラゾール、エキセメスタン、レトロゾール、DES(ジエチルスチルベストロール)、エストラジオール、エストロゲン、結合型エストロゲン、ベバシズマブ、IMC−1C11、CHIR−258、
【0069】
【化16】

、3−[5−(メチルスルホニルピペラジンメチル)−インドリル]−キノロン、バタラニブ、AG−013736、AVE−0005、[D−Ser(Bu t)6,Azgly 10]の酢酸塩(ピロ−Glu−His−Trp−Ser−Tyr−D−Ser(Bu t)−Leu−Arg−Pro−Azgly−NHアセタート[C59841814・(C(式中、x=1〜2.4)])、酢酸ゴセレリン、酢酸ロイプロリド、パモ酸トリプトレリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ラロキシフェン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、酢酸メゲストロール、CP−724714;TAK−165、HKI−272、エルロチニブ、ラパタニブ、カネルチニブ、ABX−EGF抗体、エルビタックス、EKB−569、PKI−166、GW−572016、ロナファーニブ、
【0070】
【化17】

、BMS−214662、ティピファーニブ;アミホスチン、NVP−LAQ824、スベロイルアナリドヒドロキサム酸、バルプロ酸、トリコスタチンA、FK−228、SU11248、ソラフェニブ、KRN951、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナグレリド、L−アスパラギナーゼ、バチルスカルメット−ゲラン(BCG)ワクチン、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、エピルビシン、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、フルタミド、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトーテン、ミトキサントロン、ニルタミド、オクトレオチド、オキサリプラチン、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トレチノイン、ビンデシン、13−シス−レチノイン酸、フェニルアラニンマスタード、ウラシルマスタード、エストラムスチン、アルトレタミン、フロクスウリジン、5−デオオキシウリジン、シトシンアラビノシド、6−メルカプトプリン、デオキシコフォルマイシン、カルシトリオール、バルルビシン、ミトラマイシン、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、ラゾキシン、マリマスタット、COL−3(メタスタット)、ネオバスタット、
【0071】
【化18】

、スクアラミン、エンドスタチン、SU5416(セマキシニブ)、SU6668([(Z)−3−[2,4−ジメチル−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−3−イリデンメチル)−1H−ピロール−3−イル]−プロピオン酸)、EMD121974、インターロイキン−12、IM862、アンギオスタチン、ビタキシン、ドロロキシフェン、イドキシフェン、スピロノラクトン、フィナステリド、シミチジン、トラスツズマブ、デニロイキンジフチトクス、ゲフィチニブ、ボルテジミブ、パクリタキセル、クレモフォール非含有パクリタキセル、ドセタキセル、エピチロンB、BMS−247550(イクサベピロン)、
【0072】
【化19】

、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、ピペンドキシフェン、ERA−923(2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−メチル−1−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル]−1H−インドール−5−オール塩酸塩)、アルゾキシフェン、フルベストラント、アコルビフェン、ラソフォキシフェン、イドキシフェン、TSE−424(酢酸バゼドキシフェン)、HMR−3339(4−クロロ−11b−[4−(2−[ジエチルアミノ]エトキシ)フェニル]−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3, 17b−ジオール)、ZK186619、トポテカン、PTK787/ZK 222584、
【0073】
【化20】

、PD184352、ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、テムシロリムス、AP−23573、RAD001、ABT−578、BC−210、LY294002、LY292223、LY292696、LY293684、LY293646、ウォルトマンニン、ZM336372、L−779,450、フィルグラスチム、PEG−フィルグラスチム、ダルベポエチン、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、ゾレンドロネート、プレドニゾン、セツキシマブ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒストレリン、ペグ化インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2a、ペグ化インターフェロンα−2b、インターフェロンα−2b、アザシチジン、PEG−L−アスパラギナーゼ、レナリドマイド、ゲムツズマブ、ヒドロコルチゾン、インターロイキン−11、デクスラゾキサン、アレムツズマブ、オールトランスレチノイン酸、ケトコナゾール、インターロイキン−2、メゲストロール、免疫グロブリン、ナイトロジェンマスタード、メチルプレドニゾロン、イブリツモマブチウキセタン、アンドロゲン、デシタビン、ヘキサメチルメラミン、ベキサロテン、トシツモマブ、三酸化ヒ素、コルチゾン、エジドロネート、ミトーテン、シクロスポリン、リポソーマルダウノルビシン、Edwina−アスパラギナーゼ、およびストロンチウム89からなる群から選択される1つまたは複数のメンバーである。
【0074】
本発明の一実施形態において、さらなる化学療法剤は、例えば卵巣癌を処置するための方法における使用のための、エトポシドを含む経口投与可能な製剤(例えば、クエン酸、グリセリン、精製水、およびポリエチレングリコール400からなるビヒクル中に50mgのエトポシドを含む、液体入りの軟ゼラチンカプセルであって、該軟ゼラチンカプセルには、以下の染料システム:酸化鉄(赤)および二酸化チタンとともに、ゼラチン、グリセリン、ソルビトール、精製水、ならびにパラベン(エチルおよびプロピル)が含まれる)である。
【0075】
ある実施形態において、さらなる化学療法剤は、PD−1インヒビター、chk1インヒビター、rasインヒビター(例えば、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター)、PTENインヒビター、ホルモン受容体アンタゴニスト(例えば、エストロゲン受容体αもしくはβ、またはプロゲステロン受容体)、転写因子インヒビター、ペルツズマブ、アルトレタミン、ニトロソウレア(例えば、セムスチン、エチルニトロソウレア(ENU)、またはストレプトゾトシン)、またはFOLFIRIレジメン(例えば結腸直腸癌を処置するための方法における、フォリン酸、フルオロウラシル(5−FU)、およびイリノテカン;例えば、フォリン酸(400mg/m[または2×250mg/m]の120分間にわたる静脈内投与)と同時にイリノテカン(180mg/mの90分間にわたる静脈内投与)、続いてフルオロウラシル(400〜500mg/mの静脈内ボーラス投与)、次いでフルオロウラシル(2400〜3000mg/mの46時間にわたる静脈内注入)である。
【0076】
ある実施形態において、さらなる化学療法剤は、
【0077】
【化21】

【0078】
【化22】

【0079】
【化23】

【0080】
【化24】

【0081】
【化25】

【0082】
【化26】

【0083】
【化27】

【0084】
【化28】

【0085】
【化29】

【0086】
【化30】

【0087】
【化31】

【0088】
【化32】

【0089】
【化33】

【0090】
【化34】

【0091】
【化35】

【0092】
【化36】

【0093】
【化37】

【0094】
【化38】

【0095】
【化39】

【0096】
【化40】

【0097】
【化41】

【0098】
【化42】

【0099】
【化43】

【0100】
【化44】

【0101】
【化45】

【0102】
【化46】

【0103】
【化47】

【0104】
【化48】

【0105】
【化49】

からなる群から選択される1つまたは複数の化合物である。
【0106】
ある実施形態において、さらなる化学療法剤は、
【0107】
【化50−1】

である。
【0108】
ある実施形態において、さらなる化学療法剤は、重鎖免疫グロブリン配列:
【0109】
【化50−2】

;および/もしくは軽鎖免疫グロブリン配列:
【0110】
【化50−3】

を含むか、または上記の軽鎖および/もしくは重鎖CDRを含む任意の抗体または抗原結合フラグメントと組み合わせた、IGF1Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0111】
ある実施形態において、さらなる化学療法剤は、
【0112】
【化51】

【0113】
【化52】

【0114】
【化53】

【0115】
【化54】

【0116】
【化55】

【0117】
【化56】

【0118】
【化57】

【0119】
【化58】

【0120】
【化59】

【0121】
【化60】

【0122】
【化61】

【0123】
【化62】

【0124】
【化63】

【0125】
【化64】

からなる群から選択されるERKインヒビターである。
【0126】
ある実施形態において、さらなる化学療法剤は、同種異系の抗癌ワクチン、自己抗癌ワクチン(例えば、結腸直腸癌細胞ワクチン、または多形性膠芽腫に対する自己神経膠腫ライセート由来の樹状細胞ワクチン、またはサイトメガロウイルス(CMV)pp65−リソソーム関連膜タンパク質(LAMP)mRNAを負荷した樹状細胞ワクチン、または、自己樹状細胞(DC)を、サルグラモスチム(GM−CSF)およびインターロイキン−4(IL−4)にさらした自己PBMCから調製し、サイトカインカクテルを用いて成熟させ、かつ神経膠腫関連抗原(GAA)合成ペプチドでパルスする抗悪性神経膠腫自己樹状細胞ワクチン、または、自己樹状細胞を、サルグラモスチム(GM−CSF)およびインターロイキン−4にさらした自己PBMCから調製し、かつ自己腫瘍ライセートでパルスする抗悪性神経膠腫自己樹状細胞ワクチン、または膠芽細胞腫の腫瘍ライセートでパルスした樹状細胞自己ワクチン、または脳および中枢神経系腫瘍の処置のための放射線照射自己腫瘍細胞およびサルグラモスチム(GM−CSF))、例えば、CCL21遺伝子を含有するアデノウイルスベクターを用いて生体外で形質導入した樹状細胞(DC)を有する樹状細胞ワクチン、抗イディオタイプ抗癌ワクチン、またはベクター系の抗癌ワクチンである。
【0127】
本発明の範囲にはまた、本明細書において示されたレジメンと関連して、ある処置に伴う吐き気の症状を緩和するために、被験体に1つまたは複数の制吐薬を投与する方法も含まれる。本発明の一実施形態において、そのような制吐薬には、カソピタント(GlaxoSmithKline)、ネツピタント(MGI−Helsinn)および他のNK−1受容体アンタゴニスト、パロノセトロン(MGI PharmaによってAloxiとして販売されている)、アプレピタント(Merck and Co.;Rahway,NJによってEmendとして販売されている)、ジフェンヒドラミン(Pfizer;New York,NYによってBenadryl(登録商標)として販売されている)、ヒドロキシジン(Pfizer;New York,NYによってAtarax(登録商標)として販売されている)、メトクロプラミド(AH Robins Co.;Richmond,VAによってReglan(登録商標)として販売されている)、ロラゼパム(Wyeth;Madison,NJによってAtivan(登録商標)として販売されている)、アルプラゾラム(Pfizer;New York,NYによってXanax(登録商標)として販売されている)、ハロペリドール(Ortho−McNeil;Raritan,NJによってHaldol(登録商標)として販売されている)、ドロペリドール(Inapsine(登録商標))、ドロナビノール(Solvay Pharmaceuticals,Inc.;Marietta,GAによってMarinol(登録商標)として販売されている)、デキサメタゾン(Merck and Co.;Rahway,NJによってDecadron(登録商標)として販売されている)、メチルプレドニゾロン(Pfizer;New York,NYによってMedrol(登録商標)として販売されている)、プロクロルペラジン(Glaxosmithkline;Research Triangle Park,NCによってCompazine(登録商標)として販売されている)、グラニセトロン(Hoffmann−La Roche Inc.;Nutley,NJによってKytril(登録商標)として販売されている)、オンダンセトロン(Glaxosmithkline;Research Triangle Park,NCによってZofran(登録商標)として販売されている)、ドラセトロン(Sanofi−Aventis;New York,NYによってAnzemet(登録商標)として販売されている)、トロピセトロン(Novartis;East Hanover,NJによってNavoban(登録商標)として販売されている)が含まれるが、それに制限されない。
【0128】
癌処置の他の副作用には、赤血球および白血球の欠乏症が含まれる。したがって、本発明には、本明細書において示されたレジメンと関連して、そのような欠乏症を処置または予防する薬剤、例えばペグフィルグラスチム、エリスロポエチン、エポエチンα、またはダルベポエチンαなどを被験体に投与する方法が含まれる。
【0129】
治療方法、投与量、および投与
本発明の方法には、治療上有効な投与量のイリノテカンまたはシクロホスファミド、次いで本発明のIGF1R抗体またはその抗原結合フラグメントの投与が含まれる。本発明の一実施形態において、イリノテカンまたはシクロホスファミドの投与および投与量は、可能であれば、認可された薬剤の製品情報シート、医師用卓上参考書2003(医師用卓上参考書、第57版);Medical Economics Company;ISBN:1563634457;第57版(2002年11月)に記載されたスケジュール、ならびに当該技術分野において周知の治療プロトコールに従って行われる。
【0130】
結腸直腸癌という用語には、結腸および/または直腸のすべての癌が含まれる。例えば、前記用語には、結腸の腺癌(例えば、粘液(膠様)腺癌または印環腺癌)が含まれる。前記用語によって含まれる他のタイプの結腸直腸癌には、以下の種々の結腸癌:神経内分泌癌、リンパ腫、黒色腫、扁平上皮癌、肉腫、およびカルチノイドが含まれる。
【0131】
結腸直腸癌という用語にはまた、例えば修正デューク病期分類システムまたはTNMシステム(腫瘍、結節、転移)の下での、結腸直腸癌のすべてのステージも含まれる。これらのシステムに関連したステージは、当該技術分野における通常の技術の実施者によって周知である。
【0132】
本発明の一実施形態において、結腸直腸癌に罹患しやすい被験体には、結腸直腸癌を処置または予防するために、イリノテカンまたはシクロホスファミドを用いた処置の後に、本発明のIGF1R抗体またはその抗原結合フラグメントが該被験体に投与される。例えば、本発明の一実施形態において、患者は、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)、遺伝性非ポリポーシス性結腸癌(HNPCC)(すなわち、リンチI症候群またはリンチII症候群)、慢性潰瘍性大腸炎(UC)もしくはクローン病などの炎症性腸疾患、他の家族性癌症候群(例えば、ポイツ・ジェガース症候群(Peutz−Jegher Syndromem)および家族性若年性ポリポーシス)、または腺腫性ポリープ(例えば、無茎性(広い基部をもち、茎のない扁平な);管状(ポリープの外表面から下方に伸びる管状腺からなる);絨毛性(腸粘膜の表面から外側に伸びる指状の上皮突起からなる);有茎性(狭い基部と長い茎によって結合した))に罹患している。本発明の別の実施形態において、被験体はそのような素因のいずれにも苦しんでいない。
【0133】
HNPCCは、本発明の一実施形態において、MLH1、MSH2、PMS1、PMS2、およびMSH6などの1つまたは複数の遺伝子によって媒介され、結腸直腸癌などのいくつかの癌のリスクの増大によって特徴づけられる。HNPCCは、常染色体優性形質として受け継がれ、リンチI症候群およびリンチII症候群を含む。本発明の一実施形態において、リンチI症候群は、右側優位の結腸直腸癌および主に早期発症型の近位結腸癌に対する家族性素因によって特徴づけられる。本発明の一実施形態において、リンチII症候群は、結腸癌に対する素因に加えて、他の原発性癌に対する家族性素因によって特徴づけられる。
【0134】
本発明の一実施形態において、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)は、多数のポリープが主に大腸の上皮に生じる遺伝性疾患である。一般的に、これらのポリープは良性で始まるが、処置されない場合には、結腸癌への悪性転換が起こる。
【0135】
本発明の一実施形態において、炎症性腸疾患は、腸に炎症(例えば、発赤および腫脹)を引き起こす障害の群の名称である。典型的には、潰瘍性大腸炎およびクローン病は炎症性腸疾患に分類される。潰瘍性大腸炎は、結腸における特有の潰瘍または皮膚潰瘍を含む大腸炎の形態である。本発明の一実施形態において、クローン病は腸の慢性炎症性疾患である。それは、主に小腸および大腸の潰瘍(内膜における裂溝)を引き起こすが、口腔から肛門までのいかなる場所での消化系にも影響を及ぼし得る。クローン病は、肉芽腫性腸炎もしくは大腸炎、限局性腸炎、回腸炎、または終末回腸炎とも呼ばれる。
【0136】
本発明の一実施形態において、ポイツ・ジェガース(PJ)症候群は、胃腸ポリープおよび皮膚上のシミを生じる遺伝性状態である。ポイツ・ジェガースの原因は、第19染色体上の遺伝子、LKB1またはSTK11における遺伝性の変異である。その変異が、良性および癌性の腫瘍に対する素因をもたらすと思われる。
【0137】
本発明の一実施形態において、家族性若年性ポリポーシス(FJP)は、胃腸(GI)管の多数の若年性ポリープによって特徴づけられる常染色体優性状態である。結腸のみ、上部GI管、または上部および下部GI管の両方の関与がある親族関係が記載されている。FJPは過誤腫ポリポーシス症候群である。PJSにおけるポリープは真正の過誤腫であるが、一部は腺腫様の変化を受ける可能性があり、これらの家系員は胃腸悪性腫瘍の危険性が高い。PJS遺伝子は、比較ゲノムハイブリダイゼーションおよび連鎖によって第19p染色体にマッピングされ、セリン・スレオニンキナーゼ遺伝子LKB1において生殖細胞系変異が同定された。
【0138】
本発明の一実施形態において、結腸および直腸の腺腫性ポリープ(腺腫)は、結腸直腸癌の前駆病変であり得る良性(非癌性)の増殖である。一般的に、直径1センチメートルより大きなポリープは、より高い癌の危険性と関連している。ポリープが取り除かれない場合には、それらは典型的には成長し続け、癌性になる可能性がある。
【0139】
骨肉腫という用語には、すべてのタイプの骨肉腫、例えば、高悪性度の髄内骨肉腫、低悪性度の髄内骨肉腫、傍骨性骨肉腫、骨膜性骨肉腫、高悪性度の表在性骨肉腫、パジェット病を悪化させる骨肉腫、放射線照射骨に生じる骨肉腫、および顎の骨肉腫が含まれる。
【0140】
骨肉腫という用語にはまた、例えばステージ1A、ステージ1B、ステージ2A、ステージ2B、およびステージ3を含む、前記疾患のすべてのステージも含まれる。
【0141】
本発明は、治療上有効な量のイリノテカンまたはシクロホスファミドの投与の後に、治療上有効な量または投与量の抗IGF1Rまたはその抗原結合フラグメントを投与する工程を含む、過剰増殖性障害を処置または予防するための方法を含む。「治療上有効な量」または「治療上有効な投与量」という用語は、いかなる程度であれ、障害の予防、障害の進行の減速または停止を含む、障害(例えば、腫瘍の増殖および/または転移)の兆し、症候、および/または臨床的兆候の任意の測定可能な緩和を含む、管理者(研究者、医師、または獣医など)によって求められている、組織、システム、患者、被験体、または宿主の生物学的または医学的な応答を導き出す、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントまたは他の治療薬またはその組み合わせ、またはその組成物(例えば、本発明に従った方法において投与されるものとして)の量または投与量を意味する。本発明の一実施形態において、本発明のレジメンの所定の成分(例えば、イリノテカン、シクロホスファミド、IGF1Rインヒビター)の治療上有効な投与量は、そのような成分が単独で与えられる場合に典型的に投与されるよりも低用量であってよい(例えば、1、5、10、または15%未満)。
【0142】
本発明の一実施形態において、イリノテカンは、治療上有効な投与量の約125mg/mで、例えば静脈内に、例えば90分間にわたって投与される。本発明の一実施形態において、イリノテカンは、上記で論じられているような治療レジメンにおいて、1日目、8日目、15日目、および22日目に投与され、続いて約2週間の休止がある。本発明の一実施形態において、イリノテカンは、約350mg/mの投与量で、例えば静脈内に、例えば90分間にわたって投与される。本発明の一実施形態において、イリノテカンは、3週間ごとに約1回投与される。
【0143】
本発明の一実施形態において、シクロホスファミドは、治療上有効な投与量の約40〜50mg/kgで、例えば静脈内に(例えば、注射または注入)、筋肉内に、腹腔内に、または胸膜内に、例えば2〜5日間の期間にわたる分割投与で投与される。別の静脈内レジメンには、例えば7〜10日ごとに10〜15mg/kg、または週に2回の3〜5mg/kgの投与が含まれる。本発明の一実施形態において、シクロホスファミドは、初回および維持投薬量の両方に対して、1日あたり1〜5mg/kgの用量範囲で投与される。
【0144】
抗IGF1R抗体およびその抗原結合フラグメントおよびその組成物は、本発明の一実施形態において、治療上有効な投与量で投与される。例えば、本発明の一実施形態において、本発明の任意の抗IGF1R抗体またはその抗原結合フラグメントの「治療上有効な投与量」とは、およそ1週間に1回〜およそ6週間ごとに1回(例えば、およそ1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、4週間ごとに1回、5週間ごとに1回、または6週間ごとに1回)、体重1kgあたり約0.3〜20mgの間(例えば、約0.3mg/kg体重、約0.6mg/kg体重、約0.9mg/kg体重、約1mg/kg体重、約2mg/kg体重、約3mg/kg体重、約4mg/kg体重、約5mg/kg体重、約6mg/kg体重、約7mg/kg体重、約8mg/kg体重、約9mg/kg体重、約10mg/kg体重、約11mg/kg体重、約12mg/kg体重、約13mg/kg体重、約14mg/kg体重、約15mg/kg体重、約16mg/kg体重、約17mg/kg体重、約18mg/kg体重、約19mg/kg体重、約20mg/kg体重)である。
【0145】
投薬レジメンは、最適な所望の反応(例えば、治療反応)を提供するために、調整されてもよい。例えば、単回投与で投与されてもよく、または時間をかけて数回の分割用量で投与されてもよく、または緊急な事情もしくは特定の環境もしくは治療状況の要件によって示されたとおりに投与量を比例的に減少もしくは増加させてもよい。例えば、投与量は、当該技術分野における通常の技術の実施者(例えば、医師または獣医)によって、患者の年齢、体重、身長、既往歴、現在の処方、ならびに交差反応、アレルギー、感度、および有害な副作用の可能性に従って、決定または調整されてもよい。例えば、医師または獣医は、所望の治療効果を達成するために必要とされるよりも少ない量で、本発明の抗体または抗原結合フラグメントまたはその組成物の用量を開始し、そして所望の効果が達成されるまで徐々に投与量を増加させることができる。本発明の抗体または組み合わせの所定の用量または処置レジメンの有効性は、例えば、被験体において処置されている腫瘍が縮小または増殖を停止するかどうかを判定することによって決定することができる。腫瘍のサイズおよび進行は、例えば、X線、核磁気共鳴画像法(MRI)によって、または外科的手段で視覚的に容易に判定することができる。一般的に、腫瘍のサイズおよび増殖は、チミジンPETスキャン(例えば、Wellsら、Clin.Oncol.8:7−14(1996)を参照)の使用によって測定することができる。通常、チミジンPETスキャンには、[2−11C]−チミジンなどの放射性トレーサーの注射、続いて患者の身体のPETスキャンが含まれる(Vander Borghtら、Gastroenterology 101:794−799,1991;Vander Borghtら、J.Radiat.Appl.Instrum.Part A,42:103−104(1991))。他の使用できるトレーサーには、[18F]−FDG(18−フルオロデオキシグルコース)、[124I]IUdR(5−[124I]ヨード−2’−デオキシウリジン)、[76Br]BrdUrd(ブロモデオキシウリジン)、[18F]FLT(3’−デオキシ−3’フルオロチミジン)、または[11C]FMAU(2’−フルオロ−5−メチル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル)が含まれる。
【0146】
例えば、結腸直腸癌または結腸癌の進行は、医師によって、種々の方法によりモニターすることができ、そしてそれに応じて投与レジメンを変更することができる。結腸直腸癌または結腸癌をモニターするための方法には、CTスキャン、MRIスキャン、胸部X線、PETスキャン、便潜血検査(FOBT)、軟性直腸S状結腸鏡検査、全結腸鏡検査、およびバリウム注腸が含まれる。
【0147】
例えば、骨肉腫の進行は、医師によって、例えば患部のX線、患部のCT(コンピューター断層撮影)またはMRI(核磁気共鳴画像法)スキャン、血液分析(例えば、LDH(乳酸脱水素酵素)またはALP(アルカリホスファターゼ)量を測定する−高量のLDHまたはALPは、骨活性および骨肉腫と関連している)、癌が肺に広がっているかどうかを調べるための胸部のCTまたはMRIスキャン、直視下生検(診断のための外科手術の際に)、患部骨の針生検、ならびに癌が他の骨に広がっているかどうかを調べるための骨のスキャン(例えば、トレーサーとしてテクネチウム−99またはタリウム−201を用いて)を含む方法によりモニターすることができる。
【0148】
「被験体」または「患者」という用語には、ヒトを含む任意の哺乳動物(例えば、霊長類、イヌ、ウマ、ラット、マウス、ネコ、ウサギ)が含まれる。本発明の一実施形態において、「被験体」または「患者」とは、成人(例えば、18歳以上)もしくはヒトの子ども(例えば、18歳未満、例えば1歳未満、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10歳);または女性もしくは男性である。例えば、処置の方法との関連において、被験体または患者は、本明細書において示されている処置を必要としている過剰増殖性障害を有するヒトなどの哺乳動物である。
【0149】
医薬組成物
イリノテカンまたはシクロホスファミド、および本発明の抗IGF1R抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物であって、そのいずれかが薬学的に許容される担体と組み合わされている組成物を投与することによる過剰増殖性障害を処置または予防するための方法も、本発明の範囲内である(例えば、1つの組成物の状態または別々にキットの状態で)。医薬組成物は、薬学の分野において周知の任意の方法によって調製することができる(例えば、Gilmanら、(編)(1990),The Pharmacological Bases of Therapeutics,第8版、Pergamon Press;A. Gennaro(編)、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版、(1990),Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania.;Avisら、(編)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications Dekker,New York;Liebermanら、(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets Dekker,New York;およびLiebermanら、(編)(1990),Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems Dekker,New Yorkを参照されたい)。
【0150】
本発明の一実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、約5.5〜約6.0(例えば、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0)のpHにおいて、2.30mg/mlの酢酸ナトリウム(例えば、三水和物 USP);0.18mg/mlの氷酢酸(例えば、USP/Ph.Eur);70.0mg/mlのスクロース(例えば、エクストラピュア NF,Ph.Eur,BP);20.0mg/mlの抗IGF1R抗体またはその抗原結合フラグメント、および水、例えば滅菌水(例えば、注射用 USP/Ph.Eur)を含む医薬組成物の一部として被験体に投与される。その凍結乾燥粉末(これも本発明の一部である)が調製される場合には、使用のための組成物を再構成するために水を添加する(例えば、国際出願公開番号WO2006/138315を参照されたい)。
【0151】
場合によってはさらなる化学療法剤を伴う、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントを含有する医薬組成物は、従来の薬学的に許容される賦形剤および添加剤、ならびに従来技術を用いて調製することができる。そのような薬学的に許容される賦形剤および添加剤には、毒性のない相溶性充填剤、結合剤、崩壊剤、緩衝剤、防腐剤、酸化防止剤、滑沢剤、香味料、増粘剤、着色料、乳化剤などが含まれる。非経口(例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、局所、腹腔内、吸引、頭蓋内)および非経口でない(例えば、経口、経皮的、鼻腔内、眼球内、舌下、直腸、および局所)を含むすべての投与経路が意図されるが、それに制限されない。
【0152】
注射剤は、液体の溶液または懸濁液、注射前に液体での溶液もしくは懸濁液に適した固体形態、または乳濁液のいずれかのような、従来の形態に調製することができる。注射剤、溶液、および乳濁液は、1つまたは複数の賦形剤を包含してもよい。賦形剤には、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、またはエタノールが含まれる。さらに、所望の場合には、投与される医薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解促進剤、または、例えば酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、またはシクロデキストリンなどの他のそのような薬剤などの少量の毒性のない補助物質も含んでよい。
【0153】
本発明の一実施形態において、非経口調製物に用いられる薬学的に許容される担体には、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張剤、緩衝剤、酸化防止剤、局所麻酔薬、懸濁化剤および分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤もしくはキレート剤、または他の薬学的に許容される物質が含まれる。
【0154】
水性ビヒクルの例には、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロースまたは乳酸加リンゲル注射液が含まれる。非経口の非水性ビヒクルには、植物由来の固定油、綿実油、コーン油、ゴマ油、またはピーナッツ油が含まれる。フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルまたはプロピルp−ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムを含む、静菌性または静真菌性の濃縮物の状態の抗菌剤を、複数回投与用容器にパッケージされた非経口調製物に添加してもよい。等張剤には、塩化ナトリウムまたはデキストロースが含まれる。緩衝剤には、リン酸塩またはクエン酸塩が含まれる。酸化防止剤には、硫酸水素ナトリウムが含まれる。局所麻酔薬には、塩酸プロカインが含まれる。懸濁化剤および分散剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム(sodium carboxymethylcelluose)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはポリビニルピロリドンが含まれる。乳化剤には、ポリソルベート80(TWEEN−80)が含まれる。金属イオンに対する金属イオン封鎖剤またはキレート剤には、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)またはEGTA(エチレングリコール四酢酸)が含まれる。薬学的担体には、水混和性ビヒクルのためのエチルアルコール、ポリエチレングリコール、もしくはプロピレングリコール;またはpH調整のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、もしくは乳酸も含まれてよい。
【0155】
本発明の一実施形態において、非経口投与のための調製物には、いつでも注射できる状態にある滅菌溶液;皮下注射用錠剤を含む、使用の直前に溶媒といつでも混合できる凍結乾燥粉末などの滅菌乾燥可溶性生成物;いつでも注射できる状態にある滅菌懸濁液;使用の直前にビヒクルといつでも混合できる滅菌乾燥不溶性生成物;および滅菌乳濁液が含まれてもよい。溶液は、水性または非水性のどちらであってもよい。
【0156】
注射により所望の薬理効果を生み出す有効量を提供するように、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントの濃度を調整することができる。本明細書において論じられているように、正確な用量は、当該技術分野において既知であるように、患者または動物の年齢、体重、および状態にある程度依存する。
【0157】
本発明の一実施形態において、単位用量の非経口調製物は、アンプル、バイアル、または針付きのシリンジの中にパッケージされている。非経口投与のためのすべての調製物は、当該技術分野において既知であり、かつ実践されているように、無菌でなければならない。
【0158】
本発明の一実施形態において、滅菌凍結乾燥粉末は、抗体またはその抗原結合フラグメントまたはその医薬組成物を適切な溶媒に溶解することによって調製される。該溶媒は、安定性を向上させる賦形剤、または粉末もしくは粉末から調製された再構成溶液の他の薬理学的成分を含んでいてよい。使用できる賦形剤には、デキストロース、ソルビトール(sorbital)、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース、または他の適切な薬剤が含まれてよいが、それに制限されない。溶媒は、クエン酸塩、リン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウムなどの緩衝剤、または当業者に既知の他のそのような緩衝剤も、一実施形態において、およそ中性のpHで含んでいてもよい。当業者に既知の標準的条件の下での、その後の溶液の滅菌濾過、続く凍結乾燥により、所望の製剤が提供される。一実施形態において、結果として生じる溶液は、凍結乾燥用のバイアル内に分注される。各バイアルは、抗IGF1R抗体またはその抗原結合フラグメントまたはその組成物の単回投与量または複数回投与量を含有することができる。用量または用量セットに必要とされる量を超えた少量(例えば、約10%)でのバイアルの過剰充填は、正確なサンプルの抜き出しおよび正確な投薬を容易にするために許容される。凍結乾燥粉末は、約4℃〜室温などの適切な条件下で保存することができる。
【0159】
注射用の水を用いた凍結乾燥粉末の再構成により、非経口投与における使用のための製剤が提供される。本発明の一実施形態において、再構成のために、凍結乾燥粉末を滅菌水または他の適切な液体担体に添加する。正確な量は、与えられる選択された治療に依存する。そのような量は、経験的に決定することができる。
【0160】
一定量の投与量を維持するような徐放または持続放出のシステムの移植も、本明細書において意図される。簡潔には、活性剤を、体液に不溶性である外側のポリマー膜、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、およびプロピレンとの塩化ビニル共重合体、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコール共重合体、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、またはエチレン/ビニルオキシエタノール共重合体に囲まれた内側の固体マトリックス(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化または可塑化していないポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネート共重合体、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲルなどの親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、ならびに部分的に加水分解された架橋ポリ酢酸ビニル)内に分散させる。化合物は、放出速度を制御した方法で、外側のポリマー膜を通して拡散する。そのような非経口組成物中に含有される活性化合物のパーセンテージは、抗体または抗原結合フラグメントの活性および被験体のニーズと同様に、その固有の性質に大きく依存する。
【0161】
本明細書において示されている薬剤を、単層小胞(ULV)および多層小胞(MLV)リポソーム、ならびにDepoFoam(商標)粒子などのリポソーム製剤を含む、持続放出の製剤内に調剤することができる(Kimら、Biochim.Biophys.Acta(1983)728(3):339−348;Kim,Methods Neurosci.(1994)21:118−131;Kimら、Anesthesiology(1996)85(2):331−338;Katreら、J.Pharm.Sci.(1998)87(11):1341−1346)。DepoFoamシステムの特徴は、DepoFoam粒子それぞれの内部で、脂質膜の連続的な非同心性ネットワークによって結合された不連続の内部水性チャンバーが、脂質に対するより高い水量比、およびMLVと比較してより大きな粒径を与えることである。
【0162】
本発明の一実施形態において、イリノテカンは水溶液の状態であって、例えば溶液の各ミリリットルは、約20mgのイリノテカン塩酸塩(三水和物塩に基づいて)、約45mgのソルビトールNF粉末、および約0.9mgの乳酸、USPを含み;溶液のpHは、水酸化ナトリウムまたは塩酸を用いて約3.5(3.0〜3.8の範囲)に調整されている。本発明の一実施形態において、イリノテカン水溶液は、投与のために調製される場合、例えば静脈内注入の前に、5%デキストロース注射液、USP(D5W)、または0.9%塩化ナトリウム注射液、USPで希釈される。
【0163】
本発明の一実施形態において、注射用のシクロホスファミドは、シクロホスファミド一水和物である。例えば、本発明の一実施形態において、注射用(例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、または胸膜内)または注入用のシクロホスファミドは、0.9%滅菌塩化ナトリウム溶液を添加することによって乾燥粉末の形態から再構成することができる。
【0164】
本発明の一実施形態において、経口投与用(例えば、錠剤)のシクロホスファミドは、無水シクロホスファミドであって、例えばシクロホスファミド錠剤は、不活性成分:アカシア、FD&CブルーNo.1、D&CイエローNo.10、アルミニウムレーキ、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ステアリン酸、およびタルクを含む。
【実施例】
【0165】
以下の情報は、本発明をより明瞭に記載するために提供するものであって、本発明を制限すると解釈されるべきではない。以下に記載されるありとあらゆる組成物および方法は、本発明の範囲内にある。
【0166】
実施例1:異種移植マウスにおけるヒト結腸直腸癌の処置のためのイリノテカン、次いで抗IGF1R抗体の連続投与
この実施例は、3用量のイリノテカン(2×/wk)の後の抗IGF1R抗体(LCF/HCA)(3用量、2×/wk)の投与が、イリノテカン単独よりもより良好な効力を示した(0.1mgおよび0.5mgの抗IGF1Rの投与量に対して、それぞれp=0.08および0.02)ことを実証している。3用量のイリノテカン(2×/wk)の後の抗IGF1R抗体(3用量、2×/wk)の投与は、先の2つの薬剤の同時の共投与(同じ総投与量)よりも良好であった(0.1および0.5mgの抗IGF1R併用群の両方に対して、p=0.07)。
【0167】
通常のマトリゲル(BD Biosciences;San Jose,CA)と1:1の混合状態にある500万個のWiDr結腸癌細胞を、150匹のヌードマウスの右側腹部の皮下に接種した。10日間で腫瘍が約95mmに達した時点で、100匹のマウスをそれぞれ10匹のマウスの10群に選別した。それらが群分けされた当日に投薬を開始した。腫瘍サイズと体重を週に2回測定した。
【0168】
これらの実験に対し、抗IGF1R抗体(LCF/HCA(γ1、κ))ストック(34.06mg/ml)を使用し、5mM NaAc、pH5.5に希釈した。イリノテカン/Camptosar(Pharmacia;New York,NYからの臨床グレード)を、100mpkイリノテカン溶液に対する10mg/mlのために、5mlの生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)で希釈した。
【0169】
通常のマトリゲル(BD Biosciences;San Jose,CA)と1:1の混合状態にある400万個のHT29結腸細胞を、100匹のヌードマウスの右側腹部の皮下に接種した。7日間で腫瘍が約100mmに達した時点で、64匹のマウスをそれぞれ8匹のマウスの8群に選別した。それらが群分けされた翌日に投薬を開始した。腫瘍サイズと体重を週に2回測定した。
【0170】
この実験のデザインは、図1に示したようなものであった。図2〜4は、イリノテカンで処置されたHT29結腸癌細胞を有するマウスについて経時的に分析された群における腫瘍サイズを示している。図2は、イリノテカン(100mpk(mg/kg体重))の後に、抗IGF1R(0.1mg)で処置した群(白い三角)において、最も低レベルの腫瘍増殖が生じたことを示している。この群は、77%の腫瘍増殖阻害を示した。それとは対照的に、イリノテカンと抗IGF1R抗体の同時投与は、39%のみの腫瘍増殖阻害を示した(白丸)。
【0171】
同様に、図3におけるデータも同様の結果を示している。イリノテカン(100mpk(mg/kg体重))の後に、抗IGF1R(0.5mg)で処置した群において、最も低レベルの腫瘍増殖が生じた(白丸)。この群は、80%の腫瘍増殖阻害を示した。それとは対照的に、イリノテカンと抗IGF1R抗体の同時投与は、61%のみの腫瘍増殖阻害を示した(白い三角)。
【0172】
実施例2:異種移植マウスにおけるヒト骨肉腫の処置のためのシクロホスファミド、次いで抗IGF1R抗体の連続投与
この実施例は、シクロホスファミドと抗IGF1R抗体との併用が、いずれか一つの薬剤単独よりも腫瘍増殖を阻害するのにより有効であったことを実証している。逆に、まずシクロホスファミド、次いで2日後に抗IGF1Rを投与することは、まず抗IGF1R、次いで2日後にシクロホスファミドを投与するよりも、腫瘍増殖阻害により有効であった。
【0173】
通常のマトリゲル(BD Biosciences;San Jose,CA)と1:1に混合した400万個のSJSA−1骨肉腫細胞を、142匹のヌードマウスの右側腹部の皮下に接種した。22日間で腫瘍が約250mmに達した時点で、90匹のマウスをそれぞれ10匹のマウスの9群に選別した。群分けの日に投薬を開始した。腫瘍サイズと体重を週に2回測定した。
【0174】
抗IGF1R抗体(LCF/HCA(γ1、κ))ストック(15mg/ml)を使用し、20mM NaAc、2.3%スクロース、pH5.5に希釈した。
【0175】
この実験のデザインは、図5に示したようなものであった。図6〜8は、経時的に分析された群における腫瘍容積を示している。図6は、シクロホスファミド、次いで抗IGF1R抗体の投与(白い三角)が、最大レベルの腫瘍増殖阻害をもたらし;抗体、次いでシクロホスファミドの投与(白い四角)、または両方の薬剤の同時投与(白い三角)よりも大きな阻害レベルをもたらしたことを実証している。図6における結果の棒グラフ表示を図7に示す。追跡調査を行い、処置の中止に続く腫瘍増殖を38日後に追跡した。モニターされた群において、中止後に腫瘍容積は増大した(図8)。
【0176】
本発明は、本明細書において記載された特定の実施形態によって範囲を制限されるべきでない。実際に、本発明の範囲は、本明細書において具体的に示された実施形態および本明細書において具体的に示されていない他の実施形態を包含するものであって、本明細書において具体的に示された実施形態は必ずしも包括的であることを意図していない。本明細書において示されているものに加えて本発明の種々の修正は、前述の記載から当業者に明白になるであろう。そのような修正は、本特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0177】
特許、特許出願、出版物、製品記述、およびプロトコールが本出願を通して引用されており、その開示内容は、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれているものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体におけるインスリン様成長因子I受容体の上昇した発現もしくは活性、またはIGF−1の上昇した発現、またはIGF−IIの上昇した発現によって媒介される過剰増殖性障害を処置または予防するための方法であって、先に治療上有効な量の細胞傷害性抗癌化学療法剤を該被験体に投与する工程、次いで治療上有効な量のIGF1Rインヒビターを該被験体に投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
被験体におけるインスリン様成長因子I受容体の上昇した発現もしくは活性、またはIGF−1の上昇した発現、またはIGF−IIの上昇した発現によって媒介される過剰増殖性障害を処置または予防するための方法であって、先に治療上有効な量のシクロホスファミドまたはイリノテカンを該被験体に投与する工程、次いで治療上有効な量のIGF1Rインヒビターを該被験体に投与する工程を含む、方法。
【請求項3】
前記IGF1Rインヒビターが、:
(a)15H12/19D12軽鎖C、15H12/19D12軽鎖D、15H12/19D12軽鎖E、もしくは15H12/19D12軽鎖Fの可変領域のCDR−L1、CDR−L2、およびCDR−L3;または
(b)15H12/19D12重鎖Aもしくは15H12/19D12重鎖bの可変領域のCDR−H1、CDR−H2、およびCDR−H3;または両方
からなる群から選択される1つまたは複数のメンバーを含む単離した抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
CDR−L1がアミノ酸配列:
Arg Ala Ser Gln Ser Ile Gly Ser Ser Leu His(配列番号1)を含み;
CDR−L2がアミノ酸配列:
Tyr Ala Ser Gln Ser Leu Ser(配列番号2)を含み;
CDR−L3がアミノ酸配列:
His Gln Ser Ser Arg Leu Pro His Thr(配列番号3)を含み;
CDR−H1がアミノ酸配列:
Ser Phe Ala Met His(配列番号4)もしくはGly Phe Thr Phe Ser Ser Phe Ala Met His(配列番号5)を含み;
CDR−H2がアミノ酸配列:
Val Ile Asp Thr Arg Gly Ala Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val Lys Gly(配列番号6)を含み;かつ/または、
CDR−H3がアミノ酸配列:
Leu Gly Asn Phe Tyr Tyr Gly Met Asp Val(配列番号7)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記抗体またはフラグメントが薬学的に許容される担体を含む医薬組成物中にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記抗体またはフラグメントが、配列番号9、11、13、または15のアミノ酸20−128を含む軽鎖可変領域、および配列番号17または19のアミノ酸20−137を含む重鎖可変領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体または抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体である抗体である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記モノクローナル抗体が薬学的に許容される担体を含む医薬組成物中にある、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記抗体またはフラグメントが抗体であって、かつ該抗体が標識抗体、二価抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、組換え抗体、抗イディオタイプ抗体、ヒト化抗体、または二重特異性抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記抗体またはフラグメントがフラグメントであって、かつ該フラグメントがラクダ化単一ドメイン抗体、ダイアボディ、scfv、scfv二量体、dsfv、(dsfv)2、dsFv−dsfv’、二重特異性dsダイアボディ、ナノボディ、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、またはドメイン抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記抗体またはフラグメントが定常領域に連結されている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記定常領域がκ軽鎖、γ1重鎖、γ2重鎖、γ3重鎖、またはγ4重鎖である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記被験体にさらなる化学療法剤または抗癌治療手段を施す、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記抗癌治療手段が抗癌放射線療法または外科的腫瘍摘出術である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記さらなる化学療法剤が抗癌化学療法剤である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
先に治療上有効な量のイリノテカンを前記被験体に投与する工程、次いで治療上有効な量のIGF1Rインヒビターを該被験体に投与する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
先に治療上有効な量のシクロホスファミドを前記被験体に投与する工程、次いで治療上有効な量のIGF1Rインヒビターを該被験体に投与する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記被験体がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
被験体に追加の化学療法剤をさらに投与する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記障害が結腸直腸癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記障害が骨肉腫である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記障害が、
骨肉腫、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、任意の小児癌、腎臓癌、白血病、腎移行上皮癌、膀胱癌、ウィルムス癌、卵巣癌、膵臓癌、良性前立腺過形成、乳癌、前立腺癌、骨癌、肺癌、胃癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、滑膜肉腫、転移性カルチノイドを伴う下痢、血管作動性腸管ペプチド分泌性腫瘍、乾癬、血管の平滑筋再狭窄および不適切な微小血管増殖、頭頸部癌、扁平上皮癌腫、多発性骨髄腫、孤立性形質細胞腫、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、生殖細胞腫瘍、肝芽腫、肝細胞癌腫、黒色腫、腎臓のラブドイド腫瘍、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、血液系悪性腫瘍、慢性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄単球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、慢性骨髄芽球性白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、有毛細胞白血病、肥満細胞性白血病、肥満細胞新生物、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、菌状息肉腫、シーリー症候群、皮膚T細胞リンパ腫、慢性骨髄増殖性障害、中枢神経系腫瘍、脳の癌、膠芽細胞腫、非膠芽細胞腫脳癌、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、未分化神経外胚葉性腫瘍、髄芽腫、星状細胞腫、未分化星状細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫および脈絡叢乳頭腫、骨髄増殖性障害、真性赤血球増加症、血小板血症、特発性骨髄線維症、軟部組織肉腫、甲状腺癌、子宮内膜癌、カルチノイド癌、生殖細胞腫瘍、肝臓癌からなる群から選択されるメンバーである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記さらなる化学療法剤が、
エベロリムス、トラベクテジン、アブラキサン、TLK 286、AV−299、DN−101、パゾパニブ、GSK690693、RTA 744、ON 0910.Na、AZD 6244(ARRY−142886)、AMN−107、TKI−258、GSK461364、AZD 1152、エンザスタウリン、バンデタニブ、ARQ−197、MK−0457、MLN8054、PHA−739358、R−763、AT−9263、FLT−3インヒビター、VEGFRインヒビター、EGFR TKインヒビター、オーロラキナーゼインヒビター、PIK−1モジュレータ−、Bcl−2インヒビター、HDACインヒビター、c−METインヒビター、PARPインヒビター、Cdkインヒビター、EGFR TKインヒビター、IGFR−TKインヒビター、抗HGF抗体、PI3キナーゼインヒビター、AKTインヒビター、JAK/STATインヒビター、チェックポイント−1または2インヒビター、接着斑キナーゼインヒビター、Mapキナーゼキナーゼ(mek)インヒビター、VEGFトラップ抗体、ペメトレキセド、エルロチニブ、ダサタニブ、ニロチニブ、デカタニブ、パニツムマブ、アムルビシン、オレゴボマブ、Lep−etu、ノラトレキセド、azd2171、バタブリン、オファツムマブ、ザノリムマブ、エドテカリン、テトランドリン、ルビテカン、テスミリフェン、オブリメルセン、チシリムマブ、イピリムマブ、ゴシポール、Bio 111、131−I−TM−601、ALT−110、BIO 140、CC 8490、シレンギチド、ギマテカン、IL13−PE38QQR、INO 1001、IPdR、KRX−0402、ルカントン、LY 317615、ノイラジアブ、ビテスパン、Rta 744、Sdx 102、タランパネル、アトラセンタン、Xr 311、ロミデプシン、ADS−100380、スニチニブ、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、
【化65】

【化66】

、ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、リポソーマルドキソルビシン、5’−デオキシ−5−フルオロウリジン、ビンクリスチン、テモゾロミド、ZK−304709、セリシクリブ;PD0325901、AZD−6244、カペシタビン、L−グルタミン酸、N−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]二ナトリウム塩七水和物、カンプトテシン、PEG標識イリノテカン、タモキシフェン、クエン酸トレミフェン、アナストラゾール、エキセメスタン、レトロゾール、DES(ジエチルスチルベストロール)、エストラジオール、エストロゲン、結合型エストロゲン、ベバシズマブ、IMC−1C11、CHIR−258、
【化67】

、3−[5−(メチルスルホニルピペラジンメチル)−インドリル]−キノロン、バタラニブ、AG−013736、AVE−0005、[D−Ser(Bu t)6,Azgly 10]の酢酸塩(ピロ−Glu−His−Trp−Ser−Tyr−D−Ser(Bu t)−Leu−Arg−Pro−Azgly−NHアセタート[C59841814・(C(式中、x=1〜2.4)])、酢酸ゴセレリン、酢酸ロイプロリド、パモ酸トリプトレリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ラロキシフェン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、酢酸メゲストロール、CP−724714;TAK−165、HKI−272、エルロチニブ、ラパタニブ、カネルチニブ、ABX−EGF抗体、エルビタックス、EKB−569、PKI−166、GW−572016、ロナファーニブ、
【化68】

、BMS−214662、ティピファーニブ;アミホスチン、NVP−LAQ824、スベロイルアナリドヒドロキサム酸、バルプロ酸、トリコスタチンA、FK−228、SU11248、ソラフェニブ、KRN951、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナグレリド、L−アスパラギナーゼ、バチルスカルメット−ゲラン(BCG)ワクチン、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、エピルビシン、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、フルタミド、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトーテン、ミトキサントロン、ニルタミド、オクトレオチド、オキサリプラチン、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トレチノイン、ビンデシン、13−シス−レチノイン酸、フェニルアラニンマスタード、ウラシルマスタード、エストラムスチン、アルトレタミン、フロクスウリジン、5−デオオキシウリジン、シトシンアラビノシド、6−メルカプトプリン、デオキシコフォルマイシン、カルシトリオール、バルルビシン、ミトラマイシン、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、ラゾキシン、マリマスタット、COL−3、ネオバスタット、BMS−275291、スクアラミン、エンドスタチン、SU5416、SU6668、EMD121974、インターロイキン−12、IM862、アンギオスタチン、ビタキシン、ドロロキシフェン、イドキシフェン、スピロノラクトン、フィナステリド、シミチジン、トラスツズマブ、デニロイキンジフチトクス、ゲフィチニブ、ボルテジミブ、パクリタキセル、クレモフォール非含有パクリタキセル、ドセタキセル、エピチロンB、BMS−247550、BMS−310705、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、ピペンドキシフェン、ERA−923、アルゾキシフェン、フルベストラント、アコルビフェン、ラソフォキシフェン、イドキシフェン、TSE−424、HMR−3339、ZK186619、トポテカン、PTK787/ZK 222584、VX−745、PD 184352、ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、テムシロリムス、AP−23573、RAD001、ABT−578、BC−210、LY294002、LY292223、LY292696、LY293684、LY293646、ウォルトマンニン、ZM336372、L−779,450、PEG−フィルグラスチム、ダルベポエチン、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、ゾレンドロネート、プレドニゾン、セツキシマブ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒストレリン、ペグ化インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2a、ペグ化インターフェロンα−2b、インターフェロンα−2b、アザシチジン、PEG−L−アスパラギナーゼ、レナリドマイド、ゲムツズマブ、ヒドロコルチゾン、インターロイキン−11、デクスラゾキサン、アレムツズマブ、オールトランスレチノイン酸、ケトコナゾール、インターロイキン−2、メゲストロール、免疫グロブリン、ナイトロジェンマスタード、メチルプレドニゾロン、イブリツモマブチウキセタン、アンドロゲン、デシタビン、ヘキサメチルメラミン、ベキサロテン、トシツモマブ、三酸化ヒ素、コルチゾン、エジドロネート、ミトーテン、シクロスポリン、リポソーマルダウノルビシン、Edwina−アスパラギナーゼ、ストロンチウム89、カソピタント、ネツピタント、NK−1受容体アンタゴニスト、パロノセトロン、アプレピタント、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、メトクロプラミド、ロラゼパム、アルプラゾラム、ハロペリドール、ドロペリドール、ドロナビノール、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プロクロルペラジン、グラニセトロン、オンダンセトロン、ドラセトロン、トロピセトロン、ペグフィルグラスチム、エリスロポエチン、エポエチンα、およびダルベポエチンαからなる群から選択される1つまたは複数のメンバーである、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−519868(P2011−519868A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507707(P2011−507707)
【出願日】平成21年5月4日(2009.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/042657
【国際公開番号】WO2009/137378
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】