説明

癌を治療するための化合物および組成物

本発明は癌の治療および予防のための化合物および組成物に関する。本発明は活性酸素分子種の濃度を疾患細胞と正常細胞との間で選択的に調節することにより治療できるすべての疾患も対象とする。前記の組成物の調製および投与の方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は2009年9月2日出願の米国仮特許出願No. 61/275,754号表題「COMPOUNDS AND COMPOSITIONS FOR TREATING CANCER(癌を治療するための化合物および組成物)」に対する優先権を主張し、その仮特許出願は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は癌の治療および予防のための化合物および組成物に関する。本発明は異常細胞と正常細胞の間で活性酸素分子種濃度を選択的に調節することにより治療が可能なすべての疾患も対象とする。前記の組成物の調製および投与の方法も開示する。
【背景技術】
【0003】
本発明は癌の治療および予防のため、または癌の強度を下げるか、もしくは期間を短縮するための化合物および組成物に関する。本発明は異常細胞と正常細胞の間で活性酸素分子種濃度を選択的に調節することにより治療が可能なすべての疾患も対象とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すべての好気性細胞は通常、何らかの活性酸素分子種(ROS)に曝露するが、ROS濃度が上昇すると酸化ストレス(OS)が生じ、酸素および酸素由来のオキシダントが発生し、細胞傷害の発生率が上昇する。細胞は内因性と外因性両方のROS発生源に曝露する。高濃度のROSはDNA、タンパク質、脂質、その他のマクロ分子を通じた生理機能障害を引き起こし、それが癌、神経変性疾患、心血管系疾患、高齢化など、ヒトにおける特定の病態を引き起こす可能性がある。さらに、ROSはアポトーシスの媒介においても重要である。
【0005】
正常細胞ではなく癌細胞においてのみ選択的にROS濃度を上昇させることは、癌治療のための安全かつ効果的な方法である可能性がある。
【0006】
ROS濃度を下降させることにより、神経変性疾患および炎症の治療、および神経変性疾患、慢性炎症性疾患、炎症性腸疾患、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、内毒素性ショック、骨粗鬆症、アルツハイマー病、うっ血性心不全、皮膚病を含む幅広い範囲の疾患の治療が可能になる。
【0007】
癌細胞中のROS濃度を上昇させ、正常細胞中のROS濃度を下げるか、または維持することができる組成物の必要性が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
癌の治療および予防に有用な化合物および組成物を提供する。本発明は以下の式IAの組成物またはその塩、誘導体、もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、もしくは薬学的に許容される誘導体である。ここで、
【化1】

環Aは次から成る群から選択される。一以上の単環式アリール、一以上のヘテロアリール、3〜7員の飽和または部分的に不飽和の環状炭素、8〜10員の二環式の飽和、部分的に不飽和またはアリール環、窒素、酸素またはイオウから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜6員の単環式ヘテロアリール、窒素、酸素またはイオウから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含む4〜7員の飽和または部分的に不飽和の複素環、窒素、酸素またはイオウから独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を含む7〜10員の二環式の飽和または部分的に不飽和の複素環、または窒素、酸素またはイオウから独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を含む8〜10員の二環式ヘテロアリール環。

各R1、R2、およびR3は次から成る群から独立して選択される。水素、ハロゲン、重水素、CF3、CN、 OR、SR、NRR、NRCOR、NRCONRR、NRCO2R、COR、CO2R、NOR、NO2、CONRR、OC(O)NRR、SO2R、SO2NRR、NRSO2R、NRSO2NRR、C(O)C(O)R、またはC(O)CH2C(O)R、アルキル、アリール、ヘテロアリールおよびモルホリノ。
ここで、R1とR2またはR2とR3のいずれかを随意に選び、それらを合わせ、窒素、酸素、イオウから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を含む4〜8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の環を形成する。
および、zは0、1または2である。

各Rは水素または随意に置換されたC1からC4の脂肪族鎖である。ここで、
またはその代わりに、同じ窒素原子に結合した2個のR鎖を窒素原子と共に随意に選び、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1〜2個の追加のヘテロ原子を含む3〜7員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の環を形成する。
Bは以下から選択される:
【化2】

ここで
R4、R5、R6およびR7は、置換もしくは非置換のC1からC12のアルキル、置換もしくは非置換のC1からC12のアルケニル、または置換もしくは非置換のC1からC12のアルキニルから独立して選択される。
XはO、Sであり、および
CはN、OまたはSから独立して選択される一以上のヘテロ原子を含む飽和もしくは不飽和のヘテロアリールまたは飽和 もしくは不飽和のC1からC7の複素環である。
またはCは縮合環である。および
ここで、任意の一以上のHが、随意に重水素で置換される。
本発明の化合物は出発物質としてピペルロングミンを使い生成してもよく、しかもピペルロングミンと比較して多数の優位性を提供する。実験的研究を実施中に、ピペルロングミンリン酸緩衝生理食塩水または水で1:10に希釈したところ、DMSO中で0.25 mg/mlを超える量のピペルロングミンが沈殿することが判明した。また、ピペルロングミンは0.1 mg/mLで水に対する可溶性を示した。本発明の化合物は、25mg/mL以上の濃度で水に対して高度の可溶性を示し、薬学上の調製および投薬を容易にする。多くの化学療法剤が、癌細胞と正常細胞の両方で一時的にROS濃度を上昇させる。対照的に、本発明の化合物は、治療濃度域が広く、正常細胞でROSを上昇させず、DNA損傷を引き起こさない。エトポシド、5-フルオロウラシル、シスプラチンおよびタキソールなどの現在の標準化学療法剤と比較し、対照に対するパーセント値で表す癌細胞(黒色腫、卵巣癌、腎癌、神経膠芽腫、薬剤耐性非小細胞肺癌の株化細胞)の正味の増殖に対する有効性において、本薬は同等である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は膵細胞に対する化合物の有効性を示す。
【図2】図2は本発明の化合物の存在下での正常乳房上皮の生存率を示す。
【図3】図3はEJ膀胱癌細胞に対する化合物の有効性を示す。
【図4】図4は膵臓癌に対する化合物の有効性を示す。
【図5】図5は膀胱腫瘍異種移植片を有するマウスに対するSP2007およびSP83の有効性を示す。
【図6】図6は癌の種々の顕著な特徴を標的とする癌治療法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
「約」または「およそ」という用語は当業者により決定される特定の値に関して許容される誤差範囲内であることを意味し、その範囲は値の測定または決定方法すなわち測定方式の限界に部分的に依存する。例えば、「約」は当業者の間での慣行に従い、1以上の標準偏差内であることを意味する場合がある。それとは別に、製剤に関する「約」は、最高10%、好ましくは最高5%までの範囲を示す場合がある。
【0011】
「アルキル」、「アルケニル」、「アルコキシ」、「アルキレン」、「アルケニレン」、「アルケニル」、「アルキル(アリレン)」、「アルキニル」および「アリール(アルキレン)」は、それぞれ直線状および分枝状のアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキレン、アルケニレン、アルキル(アリレン)およびアリール(アルキレン)基を含み、それらに限定されない。
【0012】
「薬学的に許容される」という語句は、生理学的に許容でき、かつ、哺乳類に投与したときに、胃の不調、めまい、および同類の症状など、アレルギー性または同様の有害反応を典型的には示さない化合物または組成物を意味する。
【0013】
「有効な量の化合物」は、病態、障害または疾患を治療または予防するために哺乳類に投与したときに、前記の治療または予防の効果を上げるために十分な量の化合物またはその一種類以上の塩(溶媒和化合物、活性代謝物、プロドラッグ、またはそのラセミ化合物もしくは鏡像異性体(その塩にキラル中心があると仮定して)を含む)を意味する。「有効な量」は活性成分、治療の対象である病態、障害または疾患並びにその重症度、および治療の対象である哺乳類の年齢、体重、健康状態、応答性に依存して変動する。本発明の一実施形態によれば、化合物の治療上有効な量は、前述の障害のいずれかを治療するために有効な量である。化合物またはその一種類以上の塩は、第二の薬物(悪性腫瘍などの前述の障害のいずれかを治療するための化学療法剤または補助化学療法剤など)で補強してもよい。
【0014】
「有効な量の薬学的製剤」は、例えば望ましい投薬間隔中に治療効果を示すなど、ある期間にわたり投薬を受ける患者において疾患を治療または予防するために有効であると記述される量の薬学的製剤である。一般に、有効な量の薬学的製剤は、望ましい期間で望ましい疾患を治療または予防するための量の化合物または一種類以上のその塩を含む。
【0015】
本明細書で用いる「治療する」という用語は以下の一以上を含む。
(a) 障害を抑止すること、その発症(すなわち疾患の臨床的顕在化に先立つ期間)を遅延させること、および(または)その進行もしくは悪化の危険性を低下させること。
(b) 哺乳類における例えば癌を含む障害の一以上の症状を軽減するか、または緩和すること。または
(c) 任意の刺激(例えば圧力、組織傷害または低温)に反応するものを含め、それらに限定せず、哺乳類により経験される障害の顕在化の強度および(または)持続期間を軽減するか、または緩和すること。
【0016】
「治療する」という用語は、疾患(例えば病気)、疾患の症状、または疾患につながる素因を予防的に予防すること、治療すること、治癒すること、緩和すること、軽減すること、改変すること、改善すること、寛解すること、好転させること、または影響を与えることも含む。
【0017】
本明細書で用いる「徐放」という用語は、活性成分を長時間にわたり放出させ、その結果、同じ活性成分の「即効型」製剤と比較し、ピーク血漿中濃度が低下し、Tmaxが延長されることを意味する。
【0018】
「バイオアベイラビリティ」という用語は、活性成分(化合物またはその一種類以上の塩)または活性鎖が製剤から吸収され、全身で利用可能になる速度および程度を意味する。
【0019】
「多形」という用語は物質の結晶学的に異なる形を意味する。
【0020】
本明細書で用いる「水和物」という用語は以下を含み、それらに限定されない。(i) 分子形態で結合された水を含む物質、および (ii) 一以上の結晶水を含む結晶性物質または自由水を含む結晶性物質。
【0021】
本明細書で用いる「溶媒和化合物」という用語は、溶媒の分子またはイオンと化合物またはその一種類以上の塩の分子またはイオンとの分子性またはイオン性の錯体を含み、それらに限定されない。
【0022】
「補助化学療法剤」という用語は、化学療法剤の副作用を治療し、緩和し、軽減し、または寛解させる薬剤を含む。そのような薬剤には、血液細胞の増殖および成熟を変えるものが含まれる。補助化学療法剤の例としては、フィルグラスチムおよびエリスロポエチンが含まれ、それらに限定されない。
【0023】
「塩」という用語は複合塩、錯体、並びに活性代謝物、およびそのプロドラッグ、ラセミ化合物、鏡像異性体、並びに水和物を含む。
【0024】
「化学療法剤」という用語は、悪性腫瘍およびその転移を治療し、予防し、治癒し、治し、緩和し、軽減し、改変し、改善し、寛解させ、好転させ、または影響を与える薬剤を含む。そのような薬剤(「抗癌剤」とも呼ばれる)の例としては、プレドニゾン、フルオロウラシル(例えば5-フルオロウラシル(5-FU))、アナストロゾール、ビカルタミド、カルボプラチン、シスプラチン、クロラムブシル、ドセタキセル、ドキソルビシン、フルタミド、インターフェロンアルファ、レトロゾール、リュープロリド、メゲストロール、マイトマイシン、パクリタキセル、プリカマイシン(ミトラシンTM)、タモキシフェン、チオテパ、トポテカン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、および前記薬剤のいずれかを任意に組み合わせたものを含み、それらに限定されない。
【0025】
「水素」または「H」という用語は重水素を含め、任意の形態の水素を含む。
【0026】
化合物
本発明は癌を治療し、予防する化合物および組成物を提供する。本発明の化合物は以下の式を持つ化合物を含む。
I:
【化3】

または、その薬学的に許容される塩または薬学的に許容される誘導体を含む。ここで:
環Aは一以上の単環式アリール、一以上のヘテロアリール、3〜7員の飽和または部分的に不飽和の環状炭素、8〜10員の二環式の飽和、部分的に不飽和またはアリール環、窒素、酸素またはイオウから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜6員の単環式ヘテロアリール、窒素、酸素またはイオウから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含む4〜7員の飽和または部分的に不飽和の複素環、窒素、酸素またはイオウから独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を含む7〜10員の二環式の飽和または部分的に不飽和の複素環、または窒素、酸素またはイオウから独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を含む8〜10員の二環式ヘテロアリール環である。
【0027】
各R1、R2、およびR3は水素、ハロゲン、重水素、CF3、CN、 OR、SR、NRR、NRCOR、NRCONRR、NRCO2R、COR、CO2R、NOR、NO2、CONRR、OC(O)NRR、SO2R、SO2NRR、NRSO2R、NRSO2NRR、C(O)C(O)RまたはC(O)CH2C(O)Rで構成される基、アルキル、アリール、ヘテロアリールおよびモルホリノから独立して選択される。
【0028】
ここで、R1とR2またはR2とR3のいずれかを随意に選び、それらを合わせ、窒素、酸素、イオウから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を含む4〜8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の環を形成する。
【0029】
およびzが0、1または2である。
【0030】
各Rは水素または随意に置換されたC1からC4の脂肪族鎖(すなわちアルキル、アルケニルまたはアルキニル)である。ここで:
またはその代わりに、同じ窒素原子に結合した2個のR鎖を窒素原子と共に随意に選び、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1〜2個の追加のヘテロ原子を含む3〜7員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の環を形成する。
Bは以下から選択される:
【化4】

ここで
R4、R5、R6およびR7は、置換もしくは非置換のC1からC12のアルキル、置換もしくは非置換のC1からC12のアルケニル、または置換もしくは非置換のC1からC12のアルキニルから独立して選択される。
【0031】
XはO、Sであり、および

CはN、OまたはSから独立して選択される一以上のヘテロ原子を含む飽和もしくは不飽和のヘテロアリールまたは飽和 もしくは不飽和のC1からC7の複素環である。
またはCは縮合環である。および
ここで、任意の一以上のHが、随意に重水素で置換される。
【0032】
別の実施形態では、本発明の化合物は上記式Iの化合物であって、ただし、環Aは以下から選択される。
【化5】

ここで、この環は前述のように定義されたR1、R2およびR3を含む。
ここでYはN、OまたはSである。および
Cは以下から選択される。
【化6】

ここで環は随意に一以上のR10およびR11(R10およびR11は置換もしくは非置換のC1からC12のアルキル、置換もしくは非置換のC1からC12のアルケニル、または置換もしくは非置換のC1からC12のアルキニルから独立して選択される)、エーテル、チオエーテル、アリールで置換される。

nは1、2または3である。
X1はOまたはSである。
【0033】
好ましい実施形態では、式Iの化合物は以下の化合物により代表される。
【化7】

【0034】
一実施形態では、本発明の化合物がタンパク質と反応し、癌細胞ではROSを増加させ、正常細胞では増加させない。一実施形態では、本発明の化合物がホスホル-JNK濃度を上昇させる。一実施形態では、本発明の化合物がp53活性を上昇させる。一実施形態では、本発明の化合物がp21活性を上昇させる。一実施形態では、本発明の化合物が生存促進性の遺伝子活性を低下させる。一実施形態では、本発明の化合物が癌の株化細胞でアポトーシスを誘導する。
【0035】
別の実施形態で、本発明の一以上の化合物が癌を治療するために使われる。別の実施形態は、本発明の化合物を投与することによりアポトーシスを増加させる方法を含む。別の実施形態は、本発明の一以上の化合物を投与することによりp53の活性を上昇させる方法を含む。別の実施形態は、本発明の一以上の化合物を投与することによりp21の活性を上昇させる方法を含む。別の実施形態は、本発明の一以上の化合物を投与することにより癌細胞中で優先的にDNA損傷を誘導する方法を含む。別の実施形態は、本発明の一以上の化合物を投与することにより、正常細胞中でDNA損傷を抑制する方法である。
【0036】
別の実施形態で、本発明は正常細胞の生存に関連するタンパク質の発現を改善する方法を提供する。別の実施形態で、本発明は癌細胞を殺しつつ正常細胞は救う方法を提供する。
【0037】
別の実施形態で、本発明は約100mg/kgから約3000mg/kgまでの用量で本発明の化合物を投与する方法を提供する。別の実施形態で、本発明は約2.5 mg/kgから約10mg/kgまでの用量で本発明の化合物を投与する方法を提供する。いくつかの実施形態では、治療上有効な量は50 mg/kg未満であり、例えば45 mg/kg未満、40 mg/kg未満、35 mg/kg未満、30 mg/kg未満、25 mg/kg未満、20 mg/kg未満、または15 mg/kg未満である。いくつかの実施形態では、治療上有効な量は10 mg/kg未満であり、例えば9 mg/kg未満、8 mg/kg未満、7 mg/kg未満、6 mg/kg未満、5 mg/kg未満、4 mg/kg未満、3 mg/kg未満、または2 mg/kg未満である。いくつかの実施形態では、治療上有効な量は1.5 mg/kg未満であり、例えば1.4 mg/kg未満、1.3 mg/kg未満、1.2 mg/kg未満、1.1 mg/kg未満、1 mg/kg未満、0.9 mg/kg未満、0.8 mg/kg未満、0.7 mg/kg未満、0.6 mg/kg未満、0.5 mg/kg未満、0.4 mg/kg未満、0.3 mg/kg未満、0.2mg/kg未満、または0.1 mg/kg未満である。
【0038】
別の実施形態で、本発明は細胞の増殖を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態で、細胞の増殖を阻害する方法は、その細胞の増殖を阻害するために、本発明の化合物を含む有効な量の組成物と細胞を接触させることを含む。いくつかの実施形態で、その方法はさらに、本発明の化合物および化学療法剤と細胞を接触させることを含む。別の局面で、本発明は一個の細胞または細胞群においてアポトーシスを増加させる方法を提供する。いくつかの実施形態で、一個の細胞または細胞群においてアポトーシスを増加させる方法は、その細胞または細胞群においてアポトーシスを増加させるために、本発明の化合物を含む有効な量の組成物とその細胞または細胞群を接触させることを含む。いくつかの実施形態で、細胞群中でアポトーシス細胞の数は2倍以上増加する。いくつかの実施形態で、細胞群中でアポトーシス細胞の数は5倍以上増加する。いくつかの実施形態で、細胞群中でアポトーシス細胞の数は10倍以上増加する。いくつかの実施形態で、この方法はさらに、本発明の化合物および化学療法剤と細胞を接触させることを含む。
【0039】
別の実施形態で、本発明の一以上の化合物は、一以上の化学療法剤と共に投与される。別の実施形態で、本発明の一以上の化合物は、一以上の化学療法剤よりも前に投与される。別の実施形態で、本発明の一以上の化合物は、一以上の化学療法剤よりも後に投与される。
【0040】
化学療法剤は癌を治療する目的で患者に投与される薬剤を含み、それに限定されない。化学療法剤は抗増殖性化合物、抗悪性腫瘍性化合物、抗癌剤の効果増強剤および放射性化学療法剤を含み、それらに限定されない。当業者は多様な化学療法剤に精通しているか、または癌を治療するために医療で使われる当業者の間で周知の薬剤を見つけることができる。
【0041】
化学療法剤は以下の化合物のサブクラスを含み、それらに限定されない:以下のような抗悪性腫瘍性薬剤:アシビシン、アクラルビシン、塩酸アコダゾール、アクロニン、アドゼレシン、アドリアマイシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン、酢酸アメタントロン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼテパ、アゾトマイシン、バチマスタット、ベンゾデパ、ビカルタミド、塩酸ビサントレン、ビスナフィドジメシラート、ビゼレシン、硫酸ブレオマイシン、ブレキナールナトリウム、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カンプトセシン、カラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルムスチン、塩酸カルビシン、カルゼレシン、セデフィンゴール、クロランブシル、シロレマイシン、シスプラチン、クラドリビン、メシル酸クリスナトール、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、DACA(N-[2-(ジメチル-アミノ)エチル]アクリジン-4-カルボキサミド)、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、ダウノマイシン、デシタビン、デキソルマプラチン、デザグアニン、メシル酸デザグアニン、ジアジコン、ドセタキセル、ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシン、ドロロキシフェン、クエン酸ドロロキシフェン、プロピオン酸ドロスタノロン、デュアゾマイシン、エダトレキサート、塩酸エフロルニチン、エリプチシン、エルサミトルシン、エンロプラチン、エンプロメート、エピプロピジン、塩酸エピルビシン、エルブロゾール、塩酸エソルビシン、エストラムスチン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エタニダゾール、エチオダイズド油I 131、エトポシド、リン酸エトポシド、エトプリン、塩酸ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フロキシウリジン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、5-FdUMP、フルロシタビン、ホスキドン、ホスホトリエシンナトリウム、ゲムシタビン、塩酸ゲムシタビン、金Au 198、ヒドロキシ尿素、塩酸イダルビシン、イホスファミド、イルモホシン、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-nl、インターフェロンアルファ-n3、インターフェロンベータ-Ia、インターフェロンガンマ-Ib、イプロプラチン、塩酸イリノテカン、酢酸ランレオチド、レトロゾール、酢酸ロイプロイド、塩酸リアロゾール、ロメトレキソールナトリウム、ロムスチン、塩酸ロソキサントロン、マソプロコール、メイタンシン、塩酸メクロレタミン、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキセート、メトトレキセートナトリウム、メトプリン、メツレデパ、ミチンドミド、ミトカルシン、ミトクロミン、マイトジリン、ミトマルシン、マイトマイシン、ミトスパー、ミトタン、塩酸ミトキサントロン、ミコフェノール酸、ノコダゾール、ノガラマイシン、オルマプラチン、オキシスラン、パクリタキセル、ペグアスパルガーゼ、ペリオマイシン、ペンタムスチン、硫酸ペプロマイシン、ペルホスファミド、ピポブロマン、ピポスルファン、塩酸ピロキサントロン、プリカマイシン、プロメスタン、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、塩酸プロカルバジン、ピューロマイシン、塩酸ピューロマイシン、ピラゾフリン、リボプリン、ログレチミド、サフィンゴール、塩酸サフィンゴール、セムスチン、シムトラゼン、スパルフォセートナトリウム、スパルソマイシン、塩酸スピロゲルマニウム、スピロムスチン、スピロプラチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、塩化ストロンチウムSr 89、スロフェヌル、タリソマイシン、タキサン、タキソイド、テコガランナトリウム、テガフール、塩酸テロキサントロン、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン、テストラクトン、チアミプリン、チオグアニン、チオテパ、チミタック、チアゾフリン、チラパザミン、トムデックス、TOP53、塩酸トポテカン、クエン酸トレミフェン、酢酸トレストロン、リン酸トリシリビン、トリメトレキサート、グルクロン酸トリメトレキサート、トリプトレリン、塩酸ツブロゾール、ウラシル・マスタード、ウレデパ、バプレオチド、ベルテポルフィン、ビンブラスチン、硫酸ビンブラスチン、ビンクリスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、硫酸ビネジピン、硫酸ビングリシネート、硫酸ビンレウロシン、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビンロシジン、硫酸ビンゾリジン、ボロゾール、ゼニプラチン、ジノスタチン、塩酸ゾルビシン、2-クロロデオキシアデノシン、2'デオキシホルマイシン、9-アミノカンプトセシン、ラルチトレキセド、N-プロパルギル-5,8-ジデアザ葉酸、2-クロロ-2'-アラビノ-フルオロ-2'-デオキシアデノシン、2-クロロ-2'-デオキシアデノシン、アニソマイシン、トリコスタチンA、hPRL-G129R、CEP-751、リノミド、イセチオン酸ピリトレキシム、シトグルシド、塩酸タムスロシン、ペントモン。抗増殖性化合物は以下を含み、それらに限定されない。20-pi-1,25ジヒドロキシビタミンD3、5-エチニルウラシル、アビラテロン、アクラルビシン、アシルフルベン、アデシペノール、アドゼレシン、アルデスロイキン、ALL-TKアンタゴニスト、アルトレタミン、アンバムスチン、アミドックス、アミフォスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンドログラホリド、血管形成阻害剤、アンタゴニストD、アンタゴニストG、アンタレリックス、抗背方化形態形成タンパク質-1、抗アンドロゲン、前立腺癌、抗エストロゲン、アンチネオプラストン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、グリシン酸アフィディコリン、アポトーシス遺伝子調節因子、アポトーシス調節因子、アプリン酸、ara-CDP-DL-PTBA、アルギニンデアミナーゼ、アスラクリン、アタメスタン、アトリムスチン、アキシナスタチン1、アキシナスタチン2、アキシナスタチン3、アザセトロン、アザトキシン、アザチロシン、バッカチンIII誘導体、バラノール、バチマスタット、BCR/ABLアンタゴニスト、ベンゾクロリンス、ベンゾイルスタウロスポリン、ベータラクタム誘導体、ベータ-アレチン、ベタクラマイシンB、ベツリン酸、bFGF阻害剤、ビカルタミド、ビサントレン、ビサジリジニルスペルミン、ビスナフィド、ビストラテンA、ビゼレシン、ブレフレート、ブロピリミン、ブドチタン、ブチオニンスルフォキシミン、カルシポトリオール、カルフォスチンC、カンプトセシン誘導体(例えば10-ヒドロキシ-カンプトセシン)、カナリア痘IL-2、カペシタビン、カルボキサミド-アミノ-トリアゾール、カルボキシアミドトリアゾール、CaRest M3、CARN 700、軟骨由来阻害剤、カルゼレシン、カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS)、カスタノスペルミン、セクロピンB、セトロレリクス、クロリンス、クロロキノキサリンスルホンアミド、シカプロスト、シス-ポルフィリン、クラドリビン、クロミフェン類似体、クロトリマゾール、コリスマイシンA、コリスマイシンB、コンブレタスタチンA4、コンブレタスタチン類似体、コナゲニン、クラムベシジン816、クリスナトール、クリプトフィシン8、クリプトフィシンA誘導体、キュラシンA、シクロペンタントラキノン、シクロプラタム、シペマイシン、シタラビンオクフォスファート、細胞溶解因子、サイトスタチン、ダクリキシマブ、デシタビン、デヒドロダイデムニンB、デスロレリン、デキシフホスファミド、デクスラゾキサン、デクスベラパミル、ジアジクオン、ジデムニンB、ジドックス、ジエチルノルスペルミン、ジヒドロ-5-アザシチジン、ジヒドロタキソール、ジオキサマイシン、ジフェニルスピロムスチン、ディスコデルモライド、ドコサノール、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドロロキシフェン、ドロナビノール、デュオカルマイシンSA、エブセレン、エコムスチン、エデルホシン、エドレコロマブ、エフロルニチン、エレメン、エミテフール、エピルビシン、エポシロン、エピシロン、エプリステリド、エストラムスチン類似体、エストロゲンアゴニスト、エストロゲンアンタゴニスト、エタニダゾール、エトポシド、エトポシド4'-リン酸(エトポホス)、エキセメスタン、ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチム、フィナステリド、フラボピリドール、フレゼラスチン、フルアステロン、フルダラビン、塩酸フルオロダウノルビシン、ホルフェニメクス、ホルメスタン、ホストリエシン、フォテムスチン、ガドリニウムテキサフィリン、硝酸ガリウム、ガロシタビン、ガニレリクス、ゼラチナーゼ阻害剤、ゲムシタビン、グルタチオン阻害剤、ヘプスルファム、ヘレグリン、ヘキサメチレンビサセタミド、ヒペリシン、イバンドロン酸、イダルビシン、イドキシフェン、イドラマントン、イルモホシン、イロマスタット、イミダゾアクリドン、イミキモド、免疫賦活性ペプチド、インスリン様成長因子-1受容体阻害剤、インターフェロンアゴニスト、インターフェロン、インターロイキン、イオベングアン、ヨードドキソルビシン、イポメアノール、イリノテカン、イロプラクト、イルソグラジン、イソベンガゾール、イソホモハリコンドリンB、イタセトロン、ジャスプラキノリド、カハラリドF、ラメラリン-Nトリアセテート、ランレオチド、レイナマイシン、レノグラスチム、硫酸レンチナン、レプトールスタチン、レトロゾール、白血病抑制因子、白血球アルファインターフェロン、ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン、リュープロレリン、レバミゾール、リアロゾール、直鎖ポリアミン類似体、脂溶性二糖ペプチド、脂溶性白金化合物、リソクリンアミド7、ロバプラチン、ロンブリシン、ロメトレキソール、ロニダミン、ロソキサントロン、ロバスタチン、ロキソリビン、ルルトテカン、ルテチウムテキサフィリン、リソフィリン、溶解ペプチド、メイタンシン、マンノスタチンA、マリマスタット、マソプロコール、マスピン、マトリリシン阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、メノガリル、メルバロン、メテレリン、メチオニナーゼ、メトクロプラミド、MIF阻害剤、イフェプリストン、ミルテホシン、ミリモスチム、ミスマッチ二本鎖RNA、ミトラシン、ミトグアゾン、ミトラクトール、マイトマイシン類似体、ミトナフィド、ミトトキシン線維芽細胞成長因子-サポリン、ミトキサントロン、モファロテン、モルグラモスチム、モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、モノホスホリル脂質A+ミオバクテリウム細胞壁sk、モピダモール、多剤耐性遺伝子阻害剤、多発性腫瘍抑制因子1ベースの治療薬、マスタード抗癌剤、マイカペルオキシドB、マイコバクテリウム細胞壁抽出物、ミリアポロン、N-アセチルジナリン、N-置換ベンズアミド、ナファレリン、ナグレスチップ、ナロキソン+ペンタゾシン、ナパビン、ナフテルピン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ネモルビシン、ネリドロン酸、中性エンドペプチダーゼ、ニルタミド、ニサマイシン、一酸化窒素調節物質、ニトロキシド抗酸化剤、ニトルリン、06-ベンジルグアニン、オクトレオチド、オキセノン、オリゴヌクレオチド、オナプリストン、オンダンセトロン、オラシン、経口サイトカイン誘導物質、オルマプラチン、オサテロン、オキサリプラチン、オキザウノマイシン、パクリタキセル類似体、パクリタキセル誘導体、パラウアミン、パルミトイルリゾキシン、パミドロン酸、パナキシトリオール、パノミフェン、パラバクチン、パゼリプチン、ペガスパルガーゼ、ペルデシン、ペントサンポリサルフェートナトリウム、ペントスタチン、ペントロゾール、ペルフルブロン、ペルホスファミド、ペリリルアルコール、フェナジノマイシン、フェニル酢酸、ホスファターゼ阻害剤、ピシバニール、塩酸ピロカルピン、ピラルビシン、ピリトレキシム、プラセチンA、プラセチンB、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤、白金錯体、白金化合物、白金-トリアミン錯体、ポドフィロトキシン、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プロピルビス-アクリドン、プロスタグランジンJ2、プロテアソーム阻害剤、タンパク質Aベースの免疫調節因子、タンパク質キナーゼC阻害剤、タンパク質キナーゼC阻害剤 (微細藻類)、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤、プリ
ンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤、プルプリン、ピラゾロアクリジン、ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート、rafアンタゴニスト、ラルチトレキセド、ラモセトロン、rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、ras阻害剤、ras-GAP阻害剤、脱メチル化レテリプチン、エチドロン酸レニウムRe 186、リゾキシン、リボザイム、RIIレチナミド、ログレチミド、ロヒツキン、ロムルチド、ロキニメクス、ルビギノンB1、ルボキシル、サフィンゴール、サイントピン、SarCNU、サルコフィトールA、サルグラモスチム、Sdi 1模倣物、セムスチン、老化由来阻害剤1、センスオリゴヌクレオチド、シグナル伝達阻害剤、シグナル伝達調節因子、一本鎖抗原結合タンパク質、シゾフィラン、ソブゾキサン、ボロカプタートナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、ソルベロール、ソマトメジン結合タンパク質、ソネルミン、スパルホス酸、スピカマイシンD、スピロムスチン、スプレノペンチン、スポンジスタチン1、スクアラミン、幹細胞阻害剤、幹細胞分裂阻害剤、スチピアミド、ストロメライシン阻害剤、スルフィノシン、超活性血管作用性腸管ペプチドアンタゴニスト、スラディスタ、スラミン、スワインソニン、合成グリコサミノグリカン、タリムスチン、タモキシフェンメチオダイド、タウロムスチン、タザロテン、テコガランナトリウム、テガフール、テルラピリリウム、テロメラーゼ阻害剤、テモポルフィン、テモゾロマイド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、テトラゾミン、サリブラスチン、サリドマイド、チオコラリン、トロンボポエチン、トロンボポエチン模倣物、サイマルファシン、サイモポエチン受容体アゴニスト、チモトリナン、甲状腺刺激ホルモン、スズエチルエチオプルプリン、チラパザミン、チタノセンジクロリド、トポテカン、トプセンチン、トレミフェン、全能性幹細胞因子、翻訳阻害剤、トレチノイン、トリアセチルウリジン、トリシリビン、トリメトレキサート、トリプトレリン、トロピセトロン、ツロステリド、チロシンキナーゼ阻害剤、チルホスチン、UBC阻害剤、ウベニメクス、尿生殖洞由来増殖阻害因子、ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト、バプレオチド、バリオリンB、ベクター系、赤血球遺伝子治療薬、ベラレソール、ベラミン、ベルディンス、ベルテポルフィン、ビノレルビン、ビンキサルチン、バイタクシン、ボロゾール、ザノテロン、ゼニプラチン、ジラスコルブ、ジノスタチンスチマラマー。抗癌剤の効果増強剤は以下を含み、それらに限定されない。三環系抗うつ薬(例えばイミプラミン、デシプラミン、アミトリプチリン、クロミプラミン、トリミプラミン、ドキセピン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、アモキサピン、マプロチリン)、非三環系抗うつ薬(例えばセルトラリン、トラゾドン、シタロプラム)、Ca2+アンタゴニスト(例えばベラパミル、ニフェジピン、ニトレンジピン、カロベリン)、カルモジュリン阻害剤(例えばプレニラミン、トリフルオロペラジン、クロミプラミン)、アムホテリシンB、トリパラノール類似体(例えばタモキシフェン)、抗不整脈薬(例えばキニジン)、降圧薬(例えばレセルピン)、チオール枯渇薬(例えばブチオニンおよびスルホキシイミン)、およびクレマホルEなどの多剤耐性低減剤。本発明の化合物は、顆粒球コロニー刺激因子などのサイトカインと共に投与することもできる。
【0042】
放射性化学療法剤は以下を含み、それらに限定されない。フィブリノゲンI 125、フルデオキシグルコースF 18、フルオロドーパF 18、インスリンI 125、インスリンI 131、イオベングアンI 123、イオジパミドナトリウムI 131、ヨードアンチピリンI 131、ヨードコレステロールI 131、ヨードヒップラートナトリウムI 123、ヨードヒップラートナトリウムI 125、ヨードヒップラートナトリウムI 131、ヨードピラセットI 125、ヨードピラセットI 131、塩酸イオフェタミンI 123、イオメチンI 125、イオメチンI 131、イオタラム酸ナトリウムI 125、イオタラム酸ナトリウムI 131、イオチロシンI 131、リオチロニンI 125、リオチロニンI 131、酢酸メリソプロルHg 197、酢酸メリソプロルHg 203、メリソプロルHG 197、セレノメチオニンSe 75、テクネチウムTc 99m三硫化アンチモンコロイド、テクネチウムTc 99mビシセート、テクネチウムTc 99mジソフェニン、テクネチウムTc 99mエチドロネート、テクネチウムTc 99mエキサメタジム、テクネチウムTc 99mフリホスミン、テクネチウムTc 99mグルセプテート、テクネチウムTc 99mリドフェニン、テクネチウムTc 99mメブロフェニン、テクネチウムTc 99mメドロネート、テクネチウムTc 99mメドロネート2ナトリウム、テクネチウムTc 99mメルチアチド、テクネチウムTc 99mオキシドロネート、テクネチウムTc 99mペンテタート、テクネチウムTc 99mペンテタートカルシウム3ナトリウム、テクネチウムTc 99mセスタミビ、テクネチウムTc 99mシボロキシム、テクネチウムTc 99mサクシマー、テクネチウムTc 99mイオウコロイド、テクネチウムTc 99mテボロキシム、テクネチウムTc 99mテトロホスミン、テクネチウムTc 99mチアチド、チロキシンI 125、チロキシンI 131、トルポビドンI 131、トリオレインI 125、トリオレインI 131 。
【0043】
本発明の化合物は、広範囲な癌の治療および(または)予防に効果がある。そのような癌として、肺癌、膀胱癌、黒色腫、膀胱癌腫、膵臓癌、乳癌を含み、それらに限定されない。
【0044】
一局面では、本発明は癌の治療の方法を提供する。本明細書で用いる「癌」という用語は、身体の器官および器官系の正常な機能を妨げる制御されない細胞増殖を指す。最初の位置および根源である重要器官から移動する癌は、影響を受けた器官の機能の衰退を通じ、最終的に患者の死を引き起こす。癌腫は上皮細胞から生じる悪性腫瘍であり、腺癌および扁平上皮癌を含む。肉腫は結合組織および支持組織の癌であり、骨肉腫、軟骨肉腫および胃腸間質性腫瘍を含む。白血病などの造血系の癌は、患者の正常造血コンパートメントとの競合に勝つことができ、その結果、患者は造血不全(貧血、血小板減少症および好中球減少症)を発症し、最終的に死亡する。当業者は癌を肉腫、腺腫または造血系の癌に分類することができる。本明細書で用いる癌は、以下の種類の癌を含む。乳癌、胆管癌、膀胱癌、神経膠芽細胞腫および髄芽細胞腫を含む脳腫瘍、子宮頸癌、絨毛癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃癌、急性リンパ性および骨髄性白血病を含む血液性新生物、T細胞急性リンパ芽球性白血病/リンパ腫、有毛細胞性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、AIDS関連白血病および成人T細胞白血病/リンパ腫、ボーエン病およびページェット病を含む上皮内新生物、肝臓癌、肺 癌、ホジキン病およびリンパ球性リンパ腫を含むリンパ腫、神経芽細胞腫、扁平上皮細胞癌を含む口腔癌、上皮細胞、間質細胞、生殖細胞および間葉系細胞から 生じるものを含む卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、直腸癌、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫および骨肉腫を含む肉腫、黒色腫、カポ ジ肉腫、基底細胞癌および扁平上皮細胞癌を含む皮膚癌、セミノーマ、非セミノーマ(テラトーマ、絨毛癌)、間質腫瘍および生殖細胞腫瘍などの胚性腫瘍を含む精巣癌、甲状腺腺腫および髄様癌を含む甲状腺癌、腺癌およびウィルムス腫瘍を含む腎臓癌。他の癌は当業者に公知である。
【0045】
本化合物はカルボン酸および(または)それらの塩の形態をとることがある。前記の塩は有機および無機塩を含み、それらに限定されず、例えばナトリウム、カリウムまたはリチウムなどのアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウムまたはバリウムなどのアルカリ土類金属塩、リジンまたはアルギニンなどの塩基性アミノ酸、およびジメチルアミンまたはピリジンなどの有機アミンがある。好ましくは、塩は酒石酸であり、塩酸塩になる。塩は一ナトリウム塩と二ナトリウム塩のように、一価または多価の塩である場合がある。塩はエタノール溶媒和化合物のように、溶媒和化合物の場合もある。
【0046】
本明細書に記載する化合物は、本明細書に記載される方法により、容易に合成的に調製できる。例えば、化合物は実施例1の方法で調整してもよい。他の調整方法は当業者に公知であり、例えば以下の文献中に見つかる。Synthesis of diverse analogues of Oenostacin and their antibacterial activities (Vandana, Bioorganic & Medicinal Chemistry 15 (2007) 518?525)、A Simple Regioselective Demethylation of p-Aryl Methyl Ethers Using Aluminum Chloride-Dichloromethane System (Negi, Synthetic Communications, 35: 15?21, 2005)、Antiplatelet Activities of Newly Synthesized Derivatives of Piperlongumine (Park, Phytother. Res. 22, 1195?1199 (2008))、On the structure of Pipertine and a synthesis of dihydropiplartine (Joshi, Tetrahedron Letters No.20, pp. 2395-2420, 1968)、Synthesis and Molecular Structure of Piplartine (Boll, Tetrahedron Letters No.40, pp. 171-175, 1984)、Isolation, Synthesis and Evolutionary Ecology of Piper Amides: June 2004 (Dyer)、Inter- and Intraspecific Compararisons of Antiherbivore Defenses in Three Species of Rainforest Understory Shrubs (Fincher, J Chem Ecol (2008) 34: 558-557)。これらの参考文献およびこれらの方法の内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
本化合物の塩は当業者の間で公知の方法により調製してもよい。例えば、ナトリウム塩は化合物をエタノールに溶解し、水酸化ナトリウム水溶液を加えることにより調製してもよい。塩酸塩および酒石酸塩は実施例1および2に記載する方法で調整される。
【0048】
図Iに化合物およびその酒石酸塩の調整方法を示す。
【化8】

【0049】
別の実施形態は、本発明の化合物の調整方法である。さらに別の実施形態では、本発明の代表的な化合物の調製が、図IIにより示される。
【化9】

【0050】
作用機序
特定の理論に拘束されることなく、本発明の化合物は酸化ストレスを低下させ、それにより正常細胞中のDNAに対する傷害を削減しつつ、癌細胞中のROSレベルを上昇させることにより、治療効果を上げる。活性酸素分子種(ROS)への曝露の結果として現れる効果は、しばしば細胞分化の変化であり、長期間後に最終的に起きるアポトーシスである。ストレスのない状態で、GSTP1は JNK-c-JUN 複合体を隔離することにより、JNKのリン酸化を阻害する。ストレス要因はGSTP1のオリゴマー化を引き起こし、その結果、JNK-c-JUN複合体が解離する。その後、JNKのリン酸化が可能になり、下流のキナーゼと転写制御因子を活性化する。
【0051】
活性酸素分子種(ROS)は、例えばEJ膀胱癌細胞や乳癌細胞で増加することが示されており、GSTJIを除去すると、ROSの増加を阻止することが示されている。SP2007は癌細胞中でROSを増加させ、アポトーシスを起こすことが示されている。本発明の他の化合物は、in vivoで膵臓癌細胞、乳房上皮細胞およびEJ膀胱癌細胞に対して有効であることが示されている。
【0052】
さらに、本発明の化合物は、可溶性が高いという点で、従来のPiper longum由来の親分子よりも優れている。例えば、水に溶解する量が、Piper longum由来の親分子では0.1 mg/mLであるのに対し、本発明の化合物では、それよりもはるかに多い。例えば、本発明の化合物1の酒石酸塩は、水に100mg/mL溶解する。
【0053】
投薬形態
投薬組成物は錠剤もしくはカプセルなどの固形物または散剤もしくは小袋包装などの粒状物のいずれかの形態を取る場合がある。固形投薬形態は固形形態の化合物を固形形態の活性薬剤と混合することにより調製してもよい。別法として、凍結乾燥、結晶化および固形分散などの当業者に公知の方法により、化合物と活性薬剤の溶液から固形物を得てもよい。
【0054】
本発明の投薬組成物で用いる化合物の量は、特定の化合物の目的を達成するために有効な量である。ただし、組成物が投薬単位形態で用いられるとき、投薬単位形態が複数の化合物組成物を含む場合、または分割された薬学的、生物学的、治療的、または化学的に有効な量を含む場合があるため、量はその量よりも少なくなる可能性がある。従って、有効な合計量は、合計で有効な量の活性薬剤を含む累積単位の形で投薬することができる。
【0055】
用いる化合物の合計量は当業者に公知の方法により決定できる。
【0056】
本明細書で開示する化合物は、特に経口、鼻腔内、舌下、十二指腸内、皮下、口腔内、腸内、経直腸、経膣、経粘膜、経肺、経皮、皮内、非経口、静脈内、くも膜下腔内、筋肉内、眼球内の投与、および血液脳関門を横断する投与に特に適した、当業者に公知の任意の投薬形態を取る場合がある。化合物は注射用に調製される場合があり、静脈もしくは動脈への輸液または腹膜、膀胱、もしくは腫瘍への直接の注射により投与する。クリーム、軟膏、ゼリー、ローションまたは経皮吸収パッチなどの外用薬の調製も投薬形態として考えられる。
【0057】
投薬単位形態は、賦形剤、希釈液、崩壊剤、潤滑剤、可塑剤、着色剤、風味剤、矯味剤、糖類、甘味剤、塩類のいずれか、またはそれらの組み合わせ、および水、1,2-プロパンジオール、エタノール、オリーブ油、もしくはそれらを任意に組み合わせたものなどを含み、それらに限定されない投与媒体を含むことができる。
【0058】
本発明の化合物および組成物は、生物学的または化学的に活性のある薬剤を、鶏などの鳥類、齧歯類、牛、豚、犬、猫、霊長類、ならびに特にヒトなどの哺乳類、および昆虫を含み、それらに限定されない任意の動物に投与するために有用である。
【0059】
本発明の化合物は、動物およびヒトに、直接または普通に用いられる媒体と共に投与することができる。投薬形態は特に限定されず、錠剤、カプセル、顆粒、粒剤および粉剤などの経口薬、または注射および坐薬などの非経口薬を含め、使用時に必要に応じて適切に選択する。
【0060】
経口薬はデンプン、乳糖、ショ糖、マンイトール、カロボキシメチルセルロース、コーンスターチ、または無機塩類を使い、普通の方法で調整される。
【0061】
このタイプの薬剤では、前記の媒体に加え、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、潤滑剤、流動性促進剤、風味、着色剤、香料および類似物を使用できる。これらの物質の例を以下に挙げるが、これらに限定されない。
結合剤:デンプン、デキストリン、アカシア粉末、ゼラチン、ヒドロキシプロピルデンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、およびマクロゴール。
崩壊剤:デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、および低置換度ヒドロキシプロピルセルロース。
界面活性剤:ラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、およびポリソルベート80。
潤滑剤:滑石、ワックス、硬化植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、およびポリエチレングリコール。
流動性促進剤:軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、およびケイ酸マグネシウム。
【0062】
本発明の化合物は、懸濁液、乳濁液、シロップまたはエリキシル剤の形態で投与することもできる。これらの薬剤の形態は、風味、香料、着色剤を含んでもよい。
【0063】
非経口薬は普通の方法で調整でき、注射用蒸留水、生理食塩水、グルコース水溶液、注射用植物油、ごま油、落花生油、大豆油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールなどの希釈剤を使用してもよい。必要であれば、殺菌剤、保存剤、および安定剤を加えてもよい。非経口薬はバイアルまたは類似の容器に充填し、凍結した後、通常の凍結乾燥技法により、水分を除去することができる。液剤は投与直前に凍結乾燥した薬剤から再調製できる。さらに、等張液、安定剤、保存剤、防腐剤、鎮静剤、および類似物を加えてもよい。
【0064】
化合物を含む組成物は癌の治療において有用である。
【0065】
好ましい実施形態の説明
以下の実施例は本発明の例証であり、これらに限定するものではない。特に他に指定しない限り、すべての部分を重量で表す。
【0066】
実施例1
化合物の製法
1a. 化合物1およびその酒石酸塩の製法
図Iに化合物1およびその酒石酸塩の製法を示す。
【化10】

【0067】
BPS-02083-01の製法
無水DCMに溶解して攪拌したピペルロングミン(5.60 g、17.6 mmol)に、28 oCでAlCl3(23.3 g、174 mmol)を加えた。AlCl3は溶液中で完全には溶解できず、28 oCで15分間攪拌する間に、赤い懸濁液が黄色の懸濁液になった。飽和NaHCO3を加え、混合液をジクロロメタンで抽出した(150 mL*2)。有機層を合わせ、鹹水で洗浄し(50 mL*3)、無水Na2SO4を加えて乾燥させ、減圧濃縮し、ジクロロメタン/石油エーテル(v/v=2:3)で洗浄し、黄色の固形物としてBPS-02083-01(3.5 g、11.6 mmol、66%)を得た。MS (ESI/FT-MS):304 [M+H]+、予測値304。
【0068】
化合物Iの製法
中間体BPS-02083-01(1.94 g、6.4 mmol)、2-モルホリノエタノール(1.0 g、7.7 mmol)およびPPh3(2.52 g、9.6 mmol)を無水ジクロロメタン(80 mL)に溶解し、攪拌した後、N2雰囲気中、0oCで、DEAD(1.67 g、9.6 mmol)のジクロロメタン(20 mL)溶液をゆっくり加えた。混合液をゆっくり室温まで温め、一晩、攪拌した。減圧下で溶媒を除去し、シリカゲル上でクロマトグラフィーにかけて精製し(石油エーテルエチル酢酸=1:1から2:1)、薄い黄色のオイルとしてBPS-02083-00(1.4 g、3.37 mmol、53%)を得た。MS (ESI/FT-MS):417 [M+H]+、予測値417。
【0069】
化合物1のL-酒石酸塩
BPS-02083-00[化合物1](4.16 g、10.0 mmol)のジクロロメタン(25 mL)溶液に、L-酒石酸(1.50 g、10.0 mmol)のジクロロメタンメタノール(10 mL)を加えた。減圧下で溶媒を除去し、無色の固形物としてBPS-02083-00のL-酒石酸塩(5.66 g、10.0 mmol、100%)を得た。MS (ESI/FT-MS):417 [M+H]+、予測値は遊離塩基と同じ417。
【0070】
実施例2
化合物Iの塩酸塩を得るために試みた製法
化合物I(濃厚な油)(HPLCで約97%)の遊離塩基5グラム。BPS-02083-00(100mg)をエーテル(2.0 mL)に溶解し、-10oCまで冷却した。エーテルに溶解したHCl(飽和)を加え、10分間攪拌した。溶媒を除去し(<25 oC)、無色の固形物を得た(BPS-02083-00-HCl)。スペクトルから、これはBPS-02083-00の塩酸塩ではないことが示された。その構造はBである(二重結合にHClが追加された状態)。
【化11】

【0071】
実施例3
本発明の代表的化合物の製法
中間体は実施例Iに従い調製した。副生成物を形成するためにBoc基を切断する手順は以下の通りである。BPS-02085(約35 mg)のメタノール(5.0 mL)溶液にHCl(g) を加え、室温(20o C)で15分間、反応させた。減圧下で溶媒を除去し、残渣をTLCで精製し(DCM:MA:NH3H2O=70:4:1)、副生成物を得た(1NMRおよびLCMSで確認)。実施例3で説明されているBoc基の切断により調製してもよい化合物の実施例を以下に示すが、これらに限定されない。
【化12】

【0072】
実施例4
代表的化合物の報告
【表1】

【0073】
実施例5
生存促進性の遺伝子発現抑制に対する化合物の有効性
追加の研究により、本発明の化合物が、繊維芽細胞および角膜実質細胞などの正常な細胞には影響を与えず、EJ細胞およびHCT116細胞などの腫瘍細胞を殺すことにより、大きな治療範囲を持つことが実証されるであろう。研究により、正常細胞中のDNAが本発明の化合物による影響を受けず、正常細胞中のROSは増加しないことも実証されるであろう。
【0074】
図1-4に、膵臓癌細胞、乳房上皮癌細胞、EJ膀胱癌細胞に対する本化合物のin vivoでの有効性を示す。
【0075】
実施例6

膀胱腫瘍異種移植片移植マウスに対するSP2007およびSP83の抗腫瘍効果
膀胱腫瘍異種移植片移植マウスにおけるSP2007およびSP83の抗腫瘍効果に関する試験を実施した
【0076】
約0.02 Kgのヌード/ヌードマウス4個体を一晩絶食させ、250 mg/kg体重のアベルチン(2,2,2-トリブロモエタノール)の腹腔内注射により麻酔をかけた。各投与群のヌード/ヌードマウス4個体の各々の両側腹部に、合計2 x 106個のEJ細胞(日本の細胞バンクから入手)を皮下移植した。随時、マウスに餌と水を与えた。腫瘍体積が直径約2〜5 mmまで増加したときに、対照溶媒、SP2007またはSP83を(合計2 mg/kg)腹腔内に24時間ごとに25日間投与した。DMSOを投与した対照の腫瘍マウスと比較し、SP2007およびSP83を投与した腫瘍マウスで、抗腫瘍効果が観察された。結果を図5に示す。
【0077】
ある程度の特殊性のある例を挙げて本発明を説明したが、理解すべき点として、開示した内容はあくまでも実例であり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、部分の構成および配置の詳細に多数の変更を加えてもよい。当業者は上記の詳細な説明を踏まえ、本発明の多数の変形を発想するものと思われる。そのような明らかな変形はすべて、添付する請求項の完全に意図された範囲に含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】米国特許公開公報US2008/0227829号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化13】

またはその薬学的に許容される塩、もしくは薬学的に許容される誘導体である。ここで、

環Aは次から成る群から選択される。一以上の単環式アリール、一以上のヘテロアリール、3〜7員の飽和または部分的に不飽和の環状炭素、8〜10員の二環式の飽和、部分的に不飽和またはアリール環、窒素、酸素またはイオウから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜6員の単環式ヘテロアリール、窒素、酸素またはイオウから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含む4〜7員の飽和または部分的に不飽和の複素環、窒素、酸素またはイオウから独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を含む7〜10員の二環式の飽和または部分的に不飽和の複素環、または窒素、酸素またはイオウから独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を含む8〜10員の二環式ヘテロアリール環。

各R1、R2、およびR3は次から成る群から独立して選択される。水素、ハロゲン、重水素、CF3、CN、 OR、SR、NRR、NRCOR、NRCONRR、NRCO2R、COR、CO2R、NOR、NO2、CONRR、OC(O)NRR、SO2R、SO2NRR、NRSO2R、NRSO2NRR、C(O)C(O)R、またはC(O)CH2C(O)R、アルキル、アリール、ヘテロアリールおよびモルホリノ。
ここで、R1とR2またはR2とR3のいずれかを随意に選び、それらを合わせ、窒素、酸素、イオウから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を含む4〜8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の環を形成する。


各Rは水素または随意に置換されたC1からC4の脂肪族鎖(すなわちアルキル、アルケニル、またはアルキニル)である。ここで:
またはその代わりに、同じ窒素原子に結合した2個のR鎖を窒素原子と共に随意に選び、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1〜2個の追加のヘテロ原子を含む3〜7員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の環を形成する。
Bは以下から選択される:
【化14】

ここで
R4、R5、R6およびR7は、置換もしくは非置換のC1からC12のアルキル、置換もしくは非置換のC1からC12のアルケニル、または置換もしくは非置換のC1からC12のアルキニルから独立して選択される。

XはO、Sであり、および

CはN、OまたはSから独立して選択される一以上のヘテロ原子を含む飽和もしくは不飽和のヘテロアリールまたは飽和 もしくは不飽和のC1からC7の複素環である。
またはCは縮合環である。および
ここで、任意の一以上のHが、随意に重水素で置換される。
【請求項2】
請求項1の化合物。ここで、
環Aは以下から選択される。
【化15】

YはN、OまたはSである。および

Cは以下から選択される。
【化16】

ここでCの環は随意に一以上のR10およびR11(R10およびR11は置換もしくは非置換のC1からC12のアルキル、置換もしくは非置換のC1からC12のアルケニル、または置換もしくは非置換のC1からC12のアルキニルから独立して選択される)、エーテル、チオエーテル、アリールで置換される。

nは1、2または3である。
X1はOまたはSである。
【請求項3】
化合物またはその薬学的に許容される塩または薬学的に許容される誘導体であって、化合物は以下から選択される。
【化17】

【請求項4】
請求項1の一以上の化合物を含む薬学的組成物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体。
【請求項5】
請求項4の薬学的組成物であって、さらに一以上の化学療法剤を含む。
【請求項6】
請求項1の化合物の治療上有効な量の化合物またはその塩または類似体を含む薬学的組成物、および薬学的組成物の調製および(または)投与に関する指示で構成されるキット。
【請求項7】
請求項6のキットであって、さらに一以上の化学療法剤を含む。
【請求項8】
患者の癌を治療するための方法であって、その方法は以下を含む。前記の治療を必要とする患者に、治療上有効な量の請求項1の化合物を投与するか、またはその塩もしくは類似体を、それを必要とする個人に投与すること。
【請求項9】
請求項8の方法であって、治療が癌のさらなる増殖を阻害する。
【請求項10】
請求項8から10のいずれかの方法であって、癌が細胞腫、肉腫、黒色腫、膵臓癌、乳癌または膀胱癌である。
【請求項11】
請求項8から10のいずれかの方法であって、有効な量が式Iの化合物の約2.5mg/kgから約100mg/kgである。
【請求項12】
細胞増殖を阻害する方法であって、その方法は以下を含む。細胞の増殖を阻害するために、細胞を請求項1の化合物を含む組成物の有効な量と接触させる。
【請求項13】
一細胞または細胞群のアポトーシスを増加させる方法であって、その方法は以下を含む。その細胞または細胞群においてアポトーシスを増加させるために、その細胞または細胞群を請求項1の化合物を含む組成物の有効な量と接触させる。
【請求項14】
一細胞または細胞群におけるp53の活性を上昇させるための方法であって、その方法は以下を含む。その細胞または細胞群におけるp53の活性を上昇させるために、その細胞または細胞群を請求項1の化合物を含む組成物の有効な量と接触させる。
【請求項15】
請求項1の化合物であって、その塩は酒石酸塩または塩酸塩から選択される。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−503888(P2013−503888A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528029(P2012−528029)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/047615
【国際公開番号】WO2011/028860
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(512054584)カンシーラ セラピューティクス インコーポレテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Canthera Therapeutics Inc.
【住所又は居所原語表記】c/o Carl M Berke,Partners Innovation Fund,101 Huntington Ave−4th floor,Boston MA 02199 USA
【出願人】(512117948)マサチューセッツ ジェネラル ホスピタル コーポレーション (1)
【氏名又は名称原語表記】Massachusetts General Hospital Corporation
【住所又は居所原語表記】55 Fruit Street, Boston, MA 02199, United States of America
【Fターム(参考)】