癌処置に対する被検者の感受性を評価するためのP2X7経路の使用
本発明は、抗癌処置に対する対象の感受性を評価するため、癌を処置するために有用である化合物をスクリーニングするため、及び対象における転移再発の可能性を決定するための方法に関する。前記方法は、被験者における非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路が処置に耐性を示す知見に基づいている。本発明は、さらに、癌を処置するため及び癌処置に対する対象の感受性を回復するための方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、遺伝学、免疫学、及び医薬の分野に関する。本発明者らは、特に、癌の処置に対する対象の感受性を予測又は評価するために使用される経路の同定を開示する。この経路は、また、治療的に活性な薬物のスクリーニングのために、及び感受性を回復させるために使用することができる。
【0002】
発明の背景
癌は、細胞分裂の制御が失われた場合に生じ、DNA修復経路の障害、癌遺伝子への正常遺伝子の形質転換、又は腫瘍抑制遺伝子の機能障害に起因する。
【0003】
外科手術と共に、化学療法及び放射線療法を、多くの型の癌を処置するために使用する。多種多様の化学療法薬剤(種々の機構で関与する)が開発されており、癌患者の生存は、多くの型の癌について大幅に改善されてきた。しかし、癌処置において、同じ組織像を有する個々の対象が、所与の薬剤又は所与の治療プロトコールに同様の反応を示さないという最も重要な問題の1つが残る。
【0004】
最近まで、癌疾患における免疫系の役割は、その腫瘍促進性局面について考えられただけであった。しかし、放射線療法及び一部の化学療法薬剤も特定の免疫応答を誘導し、免疫原性の癌細胞死又は免疫賦活性の副作用を招きうる(Koebel et al., 2007; Zitvogel et al., 2008)。免疫応答に対する抗癌治療の影響は、異なる機構を含みうる:(i)免疫抑制細胞、例えば調節性T細胞(Treg)(例、シクロホスファミド)又は骨髄系抑制細胞(例、ゲムシタビン、ATRA)などの除去、(ii)免疫エフェクターの活性化(例、メシル酸イマチニブ、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤)、及び(iii)免疫原性癌細胞死の誘導(例、アントラサイクリン、オキサリプラチン、及びX線)。
【0005】
処置が免疫原性癌細胞死を誘導する薬剤を含む場合、効率的な応答は、死にかけている癌細胞から抗原を提示し、腫瘍特異的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)をプライムする樹状細胞(DC)の能力に依存する。CTL応答を高めるために、DCは、ストレスを受けた又は死にかけている細胞から抗原を取り込み、成熟段階において抗原プロセシングの能力を獲得し、特定CTLの分化/活性化を刺激する共刺激シグナル及びサイトカインに関連してMHC分子に結合した抗原ペプチドを提示しなければならない(Figdor et al., 2004; Steinman et al., 2007)。樹状細胞による処理された腫瘍細胞の食作用は、腫瘍細胞表面へのカルレチクリンのアポトーシス前転位により促進される(Obeid et al., 2007)。腫瘍抗原特異的なT細胞免疫の活性化は、死にかけている腫瘍細胞による高移動度群ボックス1アラーミンタンパク質(HMGB1)の分泌及び樹状細胞により発現されるToll様受容体4(TLR4)上でのこのタンパク質の作用を含む(Apetoh et al., 2007)。これらの観察に基づき、異常なTLR4タンパク質の発現又は活性が、以前に、抗癌処置に対する耐性を示していると記載された(WO 08/009693)。
【0006】
アントラサイクリン、オキサリプラチン、及びX線は、抗癌処置の大半の基礎となるため、これらの処置に対する低下した応答の予測は、患者管理のために必須である。さらに、抗癌処置の大半が重度の副作用を起こすだけでなく、一般的に、患者を身体的に消耗させ、しばしば、高コストとなることを考えると、適切な化学療法及び/又は放射線療法プロトコールの選択が極めて重要である。結果的に、特定の処置の実際の開始前に処置に対する患者の応答を予測するための方法が強く求められている。この予測に基づいて、治療プロトコールを次にこの患者のために適応することができる。
【0007】
発明の概要
驚くべきことに、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路が、抗癌処置に対する対象の応答ひいてはそのような処置に対する前記対象の感受性に関与することが本発明者らにより、見いだされてきた。
【0008】
したがって、第1の局面において、本発明は、癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する対象の感受性を評価するインビトロでの方法に関し、前記方法は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的経路は前記処置に対する耐性を示す。
【0009】
第2の局面において、本発明は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する感受性を増加又は回復するために有用である化合物をスクリーニングするためのインビトロでの方法に関し、前記方法は、前記対象において死にかけている腫瘍細胞の存在における樹状細胞によるIL−1β分泌を誘導又は増加する試験化合物の能力を決定することを含む。
【0010】
さらなる局面において、本発明は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において癌を処置するために有用である化合物をスクリーニングするためのインビトロでの方法に関し、前記方法は、前記対象において死にかけている腫瘍細胞の存在における樹状細胞によるIL−1β分泌を誘導又は増加する試験化合物の能力を決定することを含む。
【0011】
別の局面において、本発明は、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する感受性を増加又は回復するために有用である化合物をスクリーニングするための方法に関し、前記方法は、(i)非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有し、腫瘍を接種した非ヒトトランスジェニック動物に対して癌の化学療法又は放射線療法の処置と組み合わせて試験化合物を投与すること、及び(ii)前記処置に対する前記動物の感受性を評価することを含む。
【0012】
別の局面において、本発明は、対象において癌再発の可能性を決定するためのインビトロでの方法に関し、前記方法は、前記対象においてP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的経路は、癌再発の可能性の増加を示す。好ましくは、癌再発は転移再発である。あるいは、癌再発は原発腫瘍の再発である。好ましくは、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、前記経路に関与する遺伝子の機能喪失突然変異の検出により評価され、前記突然変異の存在は非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す。特に、突然変異は、rs28360457、rs1653624、rs3751143、rs2230911、及びrs501192からなる群より選択されるSNPであり、好ましくSNP rs3751143である。
【0013】
別の局面において、本発明は、それを必要とする対象のために適した化学療法又は放射線療法の処置を選択するためのインビトロでの方法に関し、前記方法は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的経路は、免疫原性腫瘍細胞死を誘導する抗癌処置についての禁忌と考えられている。
【0014】
さらなる局面において、本発明は、化学療法薬剤及びP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物を含む医薬的組成物に関する。
【0015】
別の局面において、本発明は、化学療法薬剤及びP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物を、癌の処置における同時、別々、又は連続使用のための組み合わせ調製物として含む産物に関する。
【0016】
別の局面において、本発明は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において、化学療法薬剤又は放射線療法の処置と組み合わせた癌の処置における使用のためのP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物に関する。
【0017】
別の局面において、本発明は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において、癌を処置するための医薬の製造のためのP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物の使用に関する。
【0018】
本発明は、また、癌を患い、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象における化学療法又は放射線療法の処置の効力を増加させるための方法に関し、前記方法は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる治療的有効量の化合物と組み合わせて化学療法又は放射線療法の処置を施すことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1a】死にかけている腫瘍細胞によるATP放出は、細胞死の免疫原性を指示する。図1a:化学療法への腫瘍細胞の暴露後の細胞外空間におけるATPの蓄積。EG7を、オキサリプラチンを用いて処理し、上清中へのATP放出をモニターした。図1b:アンチマイシンA及びデオキシグルコースを使用したオキサリプラチン処理時での細胞内ATPの減少及び細胞内プールのATPの枯渇。EG7をオキサリプラチンを用いて24時間にわたり処理し、続いてアンチマイシンA及びデオキシグルコース(A/D)を用いて20分間処理した。3つの内の1つの代表的な実験でのデータ(3通りでの平均±SEM)を示す。図1c:ATPが枯渇した死にかけている腫瘍細胞でのOVA特異的免疫応答誘発の不全。生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞をC57Bl/6マウスの足蹠中に注射した。5日後、膝窩リンパ節細胞を回収し、IFNγ分泌の定量化前に72時間にわたりOVAホロタンパク質を用いて再刺激した。ATP枯渇又は非枯渇EG7を用いて免疫化されたマウスの間でのIFNγ分泌のレベルを、3つの独立した実験において比較した。図1d:酸化ATP(oxiATP)を用いたプリン受容体の阻害によって、オキサリプラチン処理されたEG7細胞によるT細胞のプライミングが無効になる。オキサリプラチン処理されたEG7細胞を、oxiATPと混合し又は混合せず、C57Bl/6マウスの足蹠中に注射し、OVA特異的免疫応答をcの通りに検討し、oxiATPの存在又は非存在においてTLR3/9リガンド(ポリI:C+CpG(C/P))と共に注射されたOVAタンパク質を用いて達成されたものと比較した。図1e:死にかけている腫瘍細胞に対する免疫応答を媒介するためのDC上でのP2X7発現の要件。WT又はP2X7−/−マウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にP2X7−/−レシピエントの足蹠中に注射した。5日後、局所免疫応答を(a)の通りに測定した。実験は3〜4匹マウス/群を含み、3回繰り返し、同様の結果を得た(*p<0.05)。図1f:ATP枯渇の前又は後でのオキサリプラチン処理されたEG7の表現型。オキサリプラチンを用いて20時間にわたり処理され、洗浄され、アンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間インキュベートされ(図1bを参照のこと)、ヨウ化プロピジウム及びアネキシンV−FITCを用いて染色されたEG7腫瘍細胞でのフローサイトメトリー分析。
【図1b】死にかけている腫瘍細胞によるATP放出は、細胞死の免疫原性を指示する。図1a:化学療法への腫瘍細胞の暴露後の細胞外空間におけるATPの蓄積。EG7を、オキサリプラチンを用いて処理し、上清中へのATP放出をモニターした。図1b:アンチマイシンA及びデオキシグルコースを使用したオキサリプラチン処理時での細胞内ATPの減少及び細胞内プールのATPの枯渇。EG7をオキサリプラチンを用いて24時間にわたり処理し、続いてアンチマイシンA及びデオキシグルコース(A/D)を用いて20分間処理した。3つの内の1つの代表的な実験でのデータ(3通りでの平均±SEM)を示す。図1c:ATPが枯渇した死にかけている腫瘍細胞でのOVA特異的免疫応答誘発の不全。生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞をC57Bl/6マウスの足蹠中に注射した。5日後、膝窩リンパ節細胞を回収し、IFNγ分泌の定量化前に72時間にわたりOVAホロタンパク質を用いて再刺激した。ATP枯渇又は非枯渇EG7を用いて免疫化されたマウスの間でのIFNγ分泌のレベルを、3つの独立した実験において比較した。図1d:酸化ATP(oxiATP)を用いたプリン受容体の阻害によって、オキサリプラチン処理されたEG7細胞によるT細胞のプライミングが無効になる。オキサリプラチン処理されたEG7細胞を、oxiATPと混合し又は混合せず、C57Bl/6マウスの足蹠中に注射し、OVA特異的免疫応答をcの通りに検討し、oxiATPの存在又は非存在においてTLR3/9リガンド(ポリI:C+CpG(C/P))と共に注射されたOVAタンパク質を用いて達成されたものと比較した。図1e:死にかけている腫瘍細胞に対する免疫応答を媒介するためのDC上でのP2X7発現の要件。WT又はP2X7−/−マウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にP2X7−/−レシピエントの足蹠中に注射した。5日後、局所免疫応答を(a)の通りに測定した。実験は3〜4匹マウス/群を含み、3回繰り返し、同様の結果を得た(*p<0.05)。図1f:ATP枯渇の前又は後でのオキサリプラチン処理されたEG7の表現型。オキサリプラチンを用いて20時間にわたり処理され、洗浄され、アンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間インキュベートされ(図1bを参照のこと)、ヨウ化プロピジウム及びアネキシンV−FITCを用いて染色されたEG7腫瘍細胞でのフローサイトメトリー分析。
【図1c】死にかけている腫瘍細胞によるATP放出は、細胞死の免疫原性を指示する。図1a:化学療法への腫瘍細胞の暴露後の細胞外空間におけるATPの蓄積。EG7を、オキサリプラチンを用いて処理し、上清中へのATP放出をモニターした。図1b:アンチマイシンA及びデオキシグルコースを使用したオキサリプラチン処理時での細胞内ATPの減少及び細胞内プールのATPの枯渇。EG7を、オキサリプラチンを用いて24時間にわたり処理し、続いてアンチマイシンA及びデオキシグルコース(A/D)を用いて20分間処理した。3つの内の1つの代表的な実験でのデータ(3通りでの平均±SEM)を示す。図1c:ATPが枯渇した死にかけている腫瘍細胞でのOVA特異的免疫応答誘発の不全。生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞をC57Bl/6マウスの足蹠中に注射した。5日後、膝窩リンパ節細胞を回収し、IFNγ分泌の定量化前に72時間にわたりOVAホロタンパク質を用いて再刺激した。ATP枯渇又は非枯渇EG7を用いて免疫化されたマウスの間でのIFNγ分泌のレベルを、3つの独立した実験において比較した。図1d:酸化ATP(oxiATP)を用いたプリン受容体の阻害によって、オキサリプラチン処理されたEG7細胞によるT細胞のプライミングが無効になる。オキサリプラチン処理されたEG7細胞を、oxiATPと混合し又は混合せず、C57Bl/6マウスの足蹠中に注射し、OVA特異的免疫応答をcの通りに検討し、oxiATPの存在又は非存在においてTLR3/9リガンド(ポリI:C+CpG(C/P))と共に注射されたOVAタンパク質を用いて達成されたものと比較した。図1e:死にかけている腫瘍細胞に対する免疫応答を媒介するためのDC上でのP2X7発現の要件。WT又はP2X7−/−マウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にP2X7−/−レシピエントの足蹠中に注射した。5日後、局所免疫応答を(a)の通りに測定した。実験は3〜4匹マウス/群を含み、3回繰り返し、同様の結果を得た(*p<0.05)。図1f:ATP枯渇の前又は後でのオキサリプラチン処理されたEG7の表現型。オキサリプラチンを用いて20時間にわたり処理され、洗浄され、アンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間インキュベートされ(図1bを参照のこと)、ヨウ化プロピジウム及びアネキシンV−FITCを用いて染色されたEG7腫瘍細胞でのフローサイトメトリー分析。
【図1d】死にかけている腫瘍細胞によるATP放出は、細胞死の免疫原性を指示する。図1a:化学療法への腫瘍細胞の暴露後の細胞外空間におけるATPの蓄積。EG7を、オキサリプラチンを用いて処理し、上清中へのATP放出をモニターした。図1b:アンチマイシンA及びデオキシグルコースを使用したオキサリプラチン処理時での細胞内ATPの減少及び細胞内プールのATPの枯渇。EG7を、オキサリプラチンを用いて24時間にわたり処理し、続いてアンチマイシンA及びデオキシグルコース(A/D)を用いて20分間処理した。3つの内の1つの代表的な実験でのデータ(3通りでの平均±SEM)を示す。図1c:ATPが枯渇した死にかけている腫瘍細胞でのOVA特異的免疫応答誘発の不全。生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞をC57Bl/6マウスの足蹠中に注射した。5日後、膝窩リンパ節細胞を回収し、IFNγ分泌の定量化前に72時間にわたりOVAホロタンパク質を用いて再刺激した。ATP枯渇又は非枯渇EG7を用いて免疫化されたマウスの間でのIFNγ分泌のレベルを、3つの独立した実験において比較した。図1d:酸化ATP(oxiATP)を用いたプリン受容体の阻害によって、オキサリプラチン処理されたEG7細胞によるT細胞のプライミングが無効になる。オキサリプラチン処理されたEG7細胞を、oxiATPと混合し又は混合せず、C57Bl/6マウスの足蹠中に注射し、OVA特異的免疫応答をcの通りに検討し、oxiATPの存在又は非存在においてTLR3/9リガンド(ポリI:C+CpG(C/P))と共に注射されたOVAタンパク質を用いて達成されたものと比較した。図1e:死にかけている腫瘍細胞に対する免疫応答を媒介するためのDC上でのP2X7発現の要件。WT又はP2X7−/−マウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にP2X7−/−レシピエントの足蹠中に注射した。5日後、局所免疫応答を(a)の通りに測定した。実験は3〜4匹マウス/群を含み、3回繰り返し、同様の結果を得た(*p<0.05)。図1f:ATP枯渇の前又は後でのオキサリプラチン処理されたEG7の表現型。オキサリプラチンを用いて20時間にわたり処理され、洗浄され、アンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間インキュベートされ(図1bを参照のこと)、ヨウ化プロピジウム及びアネキシンV−FITCを用いて染色されたEG7腫瘍細胞でのフローサイトメトリー分析。
【図1e】死にかけている腫瘍細胞によるATP放出は、細胞死の免疫原性を指示する。図1a:化学療法への腫瘍細胞の暴露後の細胞外空間におけるATPの蓄積。EG7を、オキサリプラチンを用いて処理し、上清中へのATP放出をモニターした。図1b:アンチマイシンA及びデオキシグルコースを使用したオキサリプラチン処理時での細胞内ATPの減少及び細胞内プールのATPの枯渇。EG7を、オキサリプラチンを用いて24時間にわたり処理し、続いてアンチマイシンA及びデオキシグルコース(A/D)を用いて20分間処理した。3つの内の1つの代表的な実験でのデータ(3通りでの平均±SEM)を示す。図1c:ATPが枯渇した死にかけている腫瘍細胞でのOVA特異的免疫応答誘発の不全。生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞をC57Bl/6マウスの足蹠中に注射した。5日後、膝窩リンパ節細胞を回収し、IFNγ分泌の定量化前に72時間にわたりOVAホロタンパク質を用いて再刺激した。ATP枯渇又は非枯渇EG7を用いて免疫化されたマウスの間でのIFNγ分泌のレベルを、3つの独立した実験において比較した。図1d:酸化ATP(oxiATP)を用いたプリン受容体の阻害によって、オキサリプラチン処理されたEG7細胞によるT細胞のプライミングが無効になる。オキサリプラチン処理されたEG7細胞を、oxiATPと混合し又は混合せず、C57Bl/6マウスの足蹠中に注射し、OVA特異的免疫応答をcの通りに検討し、oxiATPの存在又は非存在においてTLR3/9リガンド(ポリI:C+CpG(C/P))と共に注射されたOVAタンパク質を用いて達成されたものと比較した。図1e:死にかけている腫瘍細胞に対する免疫応答を媒介するためのDC上でのP2X7発現の要件。WT又はP2X7−/−マウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にP2X7−/−レシピエントの足蹠中に注射した。5日後、局所免疫応答を(a)の通りに測定した。実験は3〜4匹マウス/群を含み、3回繰り返し、同様の結果を得た(*p<0.05)。図1f:ATP枯渇の前又は後でのオキサリプラチン処理されたEG7の表現型。オキサリプラチンを用いて20時間にわたり処理され、洗浄され、アンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間インキュベートされ(図1bを参照のこと)、ヨウ化プロピジウム及びアネキシンV−FITCを用いて染色されたEG7腫瘍細胞でのフローサイトメトリー分析。
【図2】ATP枯渇の前又は後でのオキサリプラチン処理されたEG7の表現型。オキサリプラチンを用いて20時間にわたり処理され、洗浄され、アンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間インキュベートされ(図1bを参照のこと)、ヨウ化プロピジウム及びアネキシンV−FITCを用いて染色されたEG7腫瘍細胞でのフローサイトメトリー分析。
【図3a】死にかけているCT26細胞による抗癌ワクチン接種の限定因子としてのATP放出の同定。図3a〜b:図1a及びbと同じであるが、しかし、ドキソルビシンに暴露されたマウス結腸癌CT26を使用。3つ内の1つの代表的な実験でのデータを示す。図3c−d:ATPの枯渇(c)又はプリン受容体の遮断(d)によって、死にかけている腫瘍細胞を用いたワクチン接種の効力が防止される。マウスをPBS又は死にかけているCT26腫瘍細胞を用いて免疫化した。死にかけているCT26を最初にドキソルビシンを用いて24時間にわたり処理し、次にアンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間にわたりインキュベートした。細胞をA/D暴露後及び皮下接種前に洗浄した(c)。あるいは、死にかけているCT26を単独で又はoxiATPと一緒に接種した(d)。7日後、マウス(合計3つの異なる実験において15匹/群)を、生きた同系腫瘍細胞を用いて接種し、腫瘍成長をモニターした(*p<0.05)。
【図3b】死にかけているCT26細胞による抗癌ワクチン接種の限定因子としてのATP放出の同定。図3a〜b:図1a及びbと同じであるが、しかし、ドキソルビシンに暴露されたマウス結腸癌CT26を使用。3つ内の1つの代表的な実験でのデータを示す。図3c−d:ATPの枯渇(c)又はプリン受容体の遮断(d)によって、死にかけている腫瘍細胞を用いたワクチン接種の効力が防止される。マウスをPBS又は死にかけているCT26腫瘍細胞を用いて免疫化した。死にかけているCT26を最初にドキソルビシンを用いて24時間にわたり処理し、次にアンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間にわたりインキュベートした。細胞をA/D暴露後及び皮下接種前に洗浄した(c)。あるいは、死にかけているCT26を単独で又はoxiATPと一緒に接種した(d)。7日後、マウス(合計3つの異なる実験において15匹/群)を、生きた同系腫瘍細胞を用いて接種し、腫瘍成長をモニターした(*p<0.05)。
【図3c】死にかけているCT26細胞による抗癌ワクチン接種の限定因子としてのATP放出の同定。図3a〜b:図1a及びbと同じであるが、しかし、ドキソルビシンに暴露されたマウス結腸癌CT26を使用。3つ内の1つの代表的な実験でのデータを示す。図3c−d:ATPの枯渇(c)又はプリン受容体の遮断(d)によって、死にかけている腫瘍細胞を用いたワクチン接種の効力が防止される。マウスをPBS又は死にかけているCT26腫瘍細胞を用いて免疫化した。死にかけているCT26を最初にドキソルビシンを用いて24時間にわたり処理し、次にアンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間にわたりインキュベートした。細胞をA/D暴露後及び皮下接種前に洗浄した(c)。あるいは、死にかけているCT26を単独で又はoxiATPと一緒に接種した(d)。7日後、マウス(合計3つの異なる実験において15匹/群)を、生きた同系腫瘍細胞を用いて接種し、腫瘍成長をモニターした(*p<0.05)。
【図3d】死にかけているCT26細胞による抗癌ワクチン接種の限定因子としてのATP放出の同定。図3a〜b:図1a及びbと同じであるが、しかし、ドキソルビシンに暴露されたマウス結腸癌CT26を使用。3つ内の1つの代表的な実験でのデータを示す。図3c−d:ATPの枯渇(c)又はプリン受容体の遮断(d)によって、死にかけている腫瘍細胞を用いたワクチン接種の効力が防止される。マウスをPBS又は死にかけているCT26腫瘍細胞を用いて免疫化した。死にかけているCT26を最初にドキソルビシンを用いて24時間にわたり処理し、次にアンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間にわたりインキュベートした。細胞をA/D暴露後及び皮下接種前に洗浄した(c)。あるいは、死にかけているCT26を単独で又はoxiATPと一緒に接種した(d)。7日後、マウス(合計3つの異なる実験において15匹/群)を、生きた同系腫瘍細胞を用いて接種し、腫瘍成長をモニターした(*p<0.05)。
【図4】プリンP2X7受容体は、細胞死の免疫原性のために必須である。死にかけている腫瘍細胞でのP2X7−/−マウスにおけるOVA特異的免疫応答誘発の不全。生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞をC57Bl/6マウス(WT又はP2X7−/−)の足蹠中に注射した。5日後、膝窩リンパ節細胞を回収し、IFNγ分泌の定量化前に72時間にわたりOVAホロタンパク質を用いて再刺激した。抗原提示のポジティブコントロールとして、マウスに、1mgのOVAタンパク質+10μgのCpG 28及び5μgのポリI:C(C/P)(アジュバントとして)を用いて注射した。
【図5a】死にかけている腫瘍細胞によるIFNγ産生のためのT細胞のクロス−プライミングに対するNalp3インフラマソーム依存的IL−1β産生の本質的寄与。図5a〜b:骨髄由来DCにおける活性カスパーゼ1の免疫蛍光染色。DC(WT又はP2X7−/−、NALP3−/−、もしくはAsc−/−マウス由来)を、オキサリプラチン又は生きたEG7腫瘍細胞もしくは酸化ATPの存在又は非存在においてオキサリプラチン処理されたEG7腫瘍細胞に暴露させ、抗CD11c、抗カスパーゼ1 p20又はアイソタイプコントロール抗体(示さず)及びDAPI(a、b)を用いて標識し、培養中で24時間にわたり放置した(c)。ポジティブコントロールは、LPS(50ng/ml)に16時間にわたり、次にATP(2mM)に20分間にわたり暴露されたDCとした。代表的な顕微鏡写真又はヒストグラムを(a)に示す。活性カスパーゼ1を含むDCの定量化を(b)に示す。
【図5b】死にかけている腫瘍細胞によるIFNγ産生のためのT細胞のクロス−プライミングに対するNalp3インフラマソーム依存的IL−1β産生の本質的寄与。図5a〜b:骨髄由来DCにおける活性カスパーゼ1の免疫蛍光染色。DC(WT又はP2X7−/−、NALP3−/−、もしくはAsc−/−マウス由来)を、オキサリプラチン又は生きたEG7腫瘍細胞もしくは酸化ATPの存在又は非存在においてオキサリプラチン処理されたEG7腫瘍細胞に暴露させ、抗CD11c、抗カスパーゼ1 p20又はアイソタイプコントロール抗体(示さず)及びDAPI(a、b)を用いて標識し、培養中で24時間にわたり放置した(c)。ポジティブコントロールは、LPS(50ng/ml)に16時間にわたり、次にATP(2mM)に20分間にわたり暴露されたDCとした。代表的な顕微鏡写真又はヒストグラムを(a)に示す。活性カスパーゼ1を含むDCの定量化を(b)に示す。
【図5c】死にかけている腫瘍細胞を認識するDCによるIL−1β分泌は、NALP3インフラマソームに依存的である。IL−1βレベルを、市販のELISAにより、DCの上清中で測定した(n.d.:決定せず)。実験を3回実施し、同様の結果を得た。代表的な顕微鏡写真又はヒストグラムを示す。平均±SEMを3連ウェルについて示す。
【図5d】死にかけている腫瘍細胞でのNALP3−/−、Casp1−/−、及びIL−1R1−/−マウスにおけるOVA特異的免疫応答誘発の不全。生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞をC57Bl/6マウス(WT、NALP3−/−、Casp1−/−、又はIL−1R1−/−)の足蹠中に注射した。5日後、膝窩リンパ節細胞を回収し、IFNγ分泌の定量化前に72時間にわたりOVAホロタンパク質を用いて再刺激した。抗原提示のポジティブコントロールとして、マウスに、1mgのOVAタンパク質+C/Pアジュバントを用いて注射した。
【図5e】H−2b+マウスにおける死にかけているH−2d+TS/AによるCD8−T細胞のクロス−プライミング。X線処理された乳癌細胞TS/Aを、WT又はCasp1−/−遺伝子型を持つC57BL/6マウス(n=3匹マウス/群)において注射した。流入領域リンパ節細胞を5日目に回収し、SIINFEKLペプチド又はOVAホロタンパク質を用いて72時間にわたりエクスビボで再刺激し、IFNγ分泌をELISAにより上清で測定した(*p<0.05)。
【図6】死にかけている腫瘍細胞に応答したDCの成熟は、カスパーゼ1に非依存的である。1:1の比率でオキサリプラチン処置された腫瘍細胞を用いて24時間にわたり負荷されたBM−DC(WT又はcasp−1もしくはNalp3欠損宿主由来)の細胞蛍光測定分析。表現型の特徴付けは、3色染色(抗CD11c、I−Ab、及びCD80又はCD86又はCD40 mAb)により達成した。縦列は、CD11c+集団中でのI−Ab+、CD80+、CD86+、又はCD40+細胞のパーセンテージを表す。これらの実験を2回実施し、同様の結果を得た(*p<0.05)。
【図7】死にかけている腫瘍細胞を認識するDCによるIL−12p40分泌は、NALP3インフラマソームに非依存的である。IL−12p40レベルを、市販のELISAにより、図5cに記載するものと同じDCの上清で測定した(n.d.:決定せず)。実験を3回実施し、同様の結果を得た。代表的な顕微鏡写真又はヒストグラムを示す。平均±SEMを3連ウェルについて示す。
【図8】DCによる腫瘍細胞関連抗原の抗原プロセシングは、Casp−1非依存的である。WT、Casp−1、及びNalp3欠損マウス由来のBM−DCを、オキサリプラチン処理されたEG7細胞を用いて(1:1の比率で)インキュベートし、B3Zハイブリドーマに(1:2 DC/T細胞比率で)暴露させた。コントロールは生きたEG7細胞及びSIINFEKLペプチドとした。IL−2レベルを、市販のELISAを用いて、48時間目に測定した。実験を2回実施し、同程度の結果を得た。グラフは3連での平均±SEMを描写する(*p<0.05)。
【図9】DCは、オキサリプラチン処理された腫瘍細胞の免疫原性を媒介するためにNALP3及びCasp1を発現しなければならない。WT、Nalp3−/−、又はCasp1−/−マウスからのDCを最初に抗原(CpG ODN(10μg/ml)及びポリI:C(5μg/ml)(C/P)の混合物(アジュバントとして)を併せた組換えOVAタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にWTレシピエントの足蹠中に注射した。5日後、局所免疫応答を、図5dに記載する通りに、インビトロで再刺激されたリンパ節T細胞からのIFNγ分泌として測定した。
【図10a】死にかけている腫瘍細胞を用いてインビボでプライムされたT細胞による異なるサイトカインの産生に対するカスパーゼ1ノックアウトの効果。WT又はcasp1−/−マウスにおいて、オキサリプラチン処理されたEG7細胞を用いて足蹠中に注射し、5日後に、流入領域リンパ節細胞を、OVAタンパク質を用いて再刺激し、IFNγ、IL−4、IL−10、IL−13、及びIL−17のインビトロ産生(48時間後)を評価した。IL−4、IL−17が全ての場合において検出不可能であり(示さず)、IL−10及びIL−13が、全ての示した遺伝子バックグラウンドで同様のレベルで産生された。このように、カスパーゼ1の非存在によって、IFNγ(IL−10又はIL−13ではない)の産生が選択的に損なわれる。2つの内の1つの代表的な実験(3連での平均±SEM)を示す(*p<0.05)。
【図10b】死にかけている腫瘍細胞を用いてインビボでプライムされたT細胞による異なるサイトカインの産生に対するカスパーゼ1ノックアウトの効果。WT又はcasp1−/−マウスにおいて、オキサリプラチン処理されたEG7細胞を用いて足蹠中に注射し、5日後に、流入領域リンパ節細胞を、OVAタンパク質を用いて再刺激し、IFNγ、IL−4、IL−10、IL−13、及びIL−17のインビトロ産生(48時間後)を評価した。IL−4、IL−17が全ての場合において検出不可能であり(示さず)、IL−10及びIL−13が、全ての示した遺伝子バックグラウンドで同様のレベルで産生された。このように、カスパーゼ1の非存在によって、IFNγ(IL−10又はIL−13ではない)の産生が選択的に損なわれる。2つの内の1つの代表的な実験(3連での平均±SEM)を示す(*p<0.05)。
【図11a】死にかけている細胞を用いて負荷されたDCにより提示される細胞関連抗原に対するT細胞のクロス−プライミングは、CASP−1に依存する。図11a:Kb又はEG7の膜貫通ドメインに融合されたOVAをコードするcDNAを用いてトランスフェクトされたマウス胎仔繊維芽細胞(MEF)を、WT又はCasp1−/−マウスの足蹠中への注射前に、オキサリプラチン(5μg/ml、24時間)を用いて処理した。膝窩リンパ節細胞を5日後に得て、MEF、EL4ライセート、又はオボアルブミンを用いて再刺激した。IFNγレベルを48時間目にELISAによりモニターした。図11b:死にかけているMEFは、インビトロでDCによるIL−1β産生を誘導することができる。図5cと同様の方法。図11c:オキサリプラチンを用いて処理されたOVA負荷マクロファージはcasp1−/−依存的T細胞応答を誘導する。腹腔マクロファージを、OVAタンパク質を用いて負荷し、オキサリプラチンを用いて18時間かけて殺し、WTとCasp1−/−マウス中に接種した。免疫応答を次に、IFNγを産生する流入領域リンパ節細胞の能力を評価することにより測定した。a及びcについて、5匹マウス/群を使用した。3連での平均±SEMを示す3つの内の1つの代表的な実験を表す(*p<0.05)。
【図11b】死にかけている細胞を用いて負荷されたDCにより提示される細胞関連抗原に対するT細胞のクロス−プライミングは、CASP−1に依存する。図11a:Kb又はEG7の膜貫通ドメインに融合されたOVAをコードするcDNAを用いてトランスフェクトされたマウス胎仔繊維芽細胞(MEF)を、WT又はCasp1−/−マウスの足蹠中への注射前に、オキサリプラチン(5μg/ml、24時間)を用いて処理した。膝窩リンパ節細胞を5日後に得て、MEF、EL4ライセート、又はオボアルブミンを用いて再刺激した。IFNγレベルを48時間目にELISAによりモニターした。図11b:死にかけているMEFは、インビトロでDCによるIL−1β産生を誘導することができる。図5cと同様の方法。図11c:オキサリプラチンを用いて処理されたOVA負荷マクロファージはcasp1−/−依存的T細胞応答を誘導する。腹腔マクロファージを、OVAタンパク質を用いて負荷し、オキサリプラチンを用いて18時間かけて殺し、WTとCasp1−/−マウス中に接種した。免疫応答を次に、IFNγを産生する流入領域リンパ節細胞の能力を評価することにより測定した。a及びcについて、5匹マウス/群を使用した。3連での平均±SEMを示す3つの内の1つの代表的な実験を表す(*p<0.05)。
【図11c】死にかけている細胞を用いて負荷されたDCにより提示される細胞関連抗原に対するT細胞のクロス−プライミングは、CASP−1に依存する。図11a:Kb又はEG7の膜貫通ドメインに融合されたOVAをコードするcDNAを用いてトランスフェクトされたマウス胎仔繊維芽細胞(MEF)を、WT又はCasp1−/−マウスの足蹠中への注射前に、オキサリプラチン(5μg/ml、24時間)を用いて処理した。膝窩リンパ節細胞を5日後に得て、MEF、EL4ライセート、又はオボアルブミンを用いて再刺激した。IFNγレベルを48時間目にELISAによりモニターした。図11b:死にかけているMEFは、インビトロでDCによるIL−1β産生を誘導することができる。図5cと同様の方法。図11c:オキサリプラチンを用いて処理されたOVA負荷マクロファージはcasp1−/−依存的T細胞応答を誘導する。腹腔マクロファージを、OVAタンパク質を用いて負荷し、オキサリプラチンを用いて18時間かけて殺し、WTとCasp1−/−マウス中に接種した。免疫応答を次に、IFNγを産生する流入領域リンパ節細胞の能力を評価することにより測定した。a及びcについて、5匹マウス/群を使用した。3連での平均±SEMを示す3つの内の1つの代表的な実験を表す(*p<0.05)。
【図12】死にかけている腫瘍細胞中に含まれる天然腫瘍抗原に対するT細胞応答は、カスパーゼ1に依存する。図5dと同じ設定であるが、しかし、オキサリプラチンを用いて処理されたB16F10メラノーマ細胞を使用し、WT又はCasp−1欠損マウスを免疫した。5〜7日後、マウス(n=5匹マウス/群)を屠殺し、gp100由来ペプチド(QVPRNQDWL)を用いたインビトロでの再刺激及びIFNγ産生の評価のために膝窩リンパ節を回収した(*p<0.05)。
【図13】死にかけている腫瘍細胞の保護的な抗腫瘍効果は、P2X7/NALP3/Casp1軸に決定的に依存する。ミトキサントロン(MTX)を用いてインビトロで処理されたMCA205細胞を、C57BL/6マウス(n=5/群)の示した遺伝子バックグラウンドにおいて皮下接種した。7〜10日後、マウスを、生きたMCA205細胞を用いて再曝露した。無腫瘍マウスのパーセンテージを、3つの独立した実験からプールする(*p<0.05)。
【図14】細胞死の免疫原性は、活性IL−1βを必要とする。マウスを、PBS又はドキソルビシンもしくは凍結融解及びLPSを用いて処理された死にかけているCT26腫瘍細胞を用いて免疫した。死にかけているCT26を、WTマウスの側腹部中にIL−1Ra(100μg)と一緒に同時接種した。5日後、マウス(n=5匹マウス/群)を屠殺し、CT26又はMCA205腫瘍ライセートを用いたインビトロでの再刺激及びIFNγ産生の評価のために膝窩リンパ節を回収した(*p<0.05)。
【図15a】インビトロ及びインビボでの死にかけている腫瘍細胞によるIL−1β依存的CTLプライミング。図15a:MyD88が、宿主のレベルで要求される(しかし、APCのレベルではない)。WTマウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にWT又はMyD88−/−レシピエントの足蹠中に注射した(n=6匹マウス/群)。5日後、局所免疫応答を図2d、eの通りに測定した。3つの内の1つの典型的な実験での結果を示す。図15b:インビトロでのCasp−1及びIL−1β依存的OT−Iプライミング。IFNγ産生CD8+ OT−1細胞の分化を、天然OVA特異的TCRトランスジェニックOT−1リンパ球を、インビトロで2日間にわたりオキサリプラチン処理されたEG7を用いて負荷された同系BM−DC(WT又はCasp1−/−マウス由来)とインキュベートすることにより誘導した。IL−1βの抗体媒介性中和によって、2日間の同時培養物の上清中でのELISAにより測定されたIFNγのレベルが顕著に低下した(アイソタイプコントロール抗体ではそうならなかった)。死にかけている腫瘍細胞を用いて負荷し、OT1とインキュベートされたCasp1−/− DCの同時培養物へのrIL−1β(100ng/ml)又はIL−12(10ng/ml)の外因性の添加は、T細胞プライミングを回復させた。挿入図は、TLRアゴニストの存在におけるOVAホロタンパク質を用いたプライミングが、Casp−1に非依存的であることを示す。図15c:インビトロでのTリンパ球に対するIL−1βの特異的かつ直接的な極性化効果。天然WTマウスに由来する精製CD3+CD8+T細胞を、抗CD3及び抗CD28 mAbを用いて5日間にわたり、示したサイトカイン(IL−12p70については10ng/ml、IL−1β、IL−6、及びTNFαについては100ng/ml)の存在において刺激し、IFNγ産生を図3bの通りに測定した。図15d:オキサリプラチン処理されたEG7により誘発された適応性T細胞免疫応答が、IL−1Rアンタゴニストにより抑止された。図5aと同じ設定であるが、しかし、ワクチンにIL−1Rアンタゴニスト(IL−1Ra)を加えた。図15e:組換えIL−1β又はIL−12(しかしIL−6ではない)の外因性の供給は、P2X7/NALP3/Casp−1経路が欠損したマウスにおいてT細胞プライミングを回復させた。図2dと同じ設定であるが、しかし、rIL−1β(250ng/足蹠)、rIL−12(50ng/足蹠)、又はrIL−6(250ng/足蹠)を、死にかけている腫瘍細胞と同時注射した。インビトロ実験(a、b)を2回行い、1つの代表的な実験を示す。3連のウェルでの平均±SEMを示す。各実験群は、2つの独立した実験において4〜8匹のマウスとした(*p<0.05)。
【図15b】インビトロ及びインビボでの死にかけている腫瘍細胞によるIL−1β依存的CTLプライミング。図15a:MyD88が、宿主のレベルで要求される(しかし、APCのレベルではない)。WTマウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にWT又はMyD88−/−レシピエントの足蹠中に注射した(n=6匹マウス/群)。5日後、局所免疫応答を図2d、eの通りに測定した。3つの内の1つの典型的な実験での結果を示す。図15b:インビトロでのCasp−1及びIL−1β依存的OT−Iプライミング。IFNγ産生CD8+ OT−1細胞の分化を、天然OVA特異的TCRトランスジェニックOT−1リンパ球を、インビトロで2日間にわたりオキサリプラチン処理されたEG7を用いて負荷された同系BM−DC(WT又はCasp1−/−マウス由来)とインキュベートすることにより誘導した。IL−1βの抗体媒介性中和によって、2日間の同時培養物の上清中でのELISAにより測定されたIFNγのレベルが顕著に低下した(アイソタイプコントロール抗体ではそうならなかった)。死にかけている腫瘍細胞を用いて負荷し、OT1とインキュベートされたCasp1−/− DCの同時培養物へのrIL−1β(100ng/ml)又はIL−12(10ng/ml)の外因性の添加は、T細胞プライミングを回復させた。挿入図は、TLRアゴニストの存在におけるOVAホロタンパク質を用いたプライミングが、Casp−1に非依存的であることを示す。図15c:インビトロでのTリンパ球に対するIL−1βの特異的かつ直接的な極性化効果。天然WTマウスに由来する精製CD3+CD8+T細胞を、抗CD3及び抗CD28 mAbを用いて5日間にわたり、示したサイトカイン(IL−12p70については10ng/ml、IL−1β、IL−6、及びTNFαについては100ng/ml)の存在において刺激し、IFNγ産生を図3bの通りに測定した。図15d:オキサリプラチン処理されたEG7により誘発された適応性T細胞免疫応答が、IL−1Rアンタゴニストにより抑止された。図5aと同じ設定であるが、しかし、ワクチンにIL−1Rアンタゴニスト(IL−1Ra)を加えた。図15e:組換えIL−1β又はIL−12(しかしIL−6ではない)の外因性の供給は、P2X7/NALP3/Casp−1経路が欠損したマウスにおいてT細胞プライミングを回復させた。図2dと同じ設定であるが、しかし、rIL−1β(250ng/足蹠)、rIL−12(50ng/足蹠)、又はrIL−6(250ng/足蹠)を、死にかけている腫瘍細胞と同時注射した。インビトロ実験(a、b)を2回行い、1つの代表的な実験を示す。3連のウェルでの平均±SEMを示す。各実験群は、2つの独立した実験において4〜8匹のマウスとした(*p<0.05)。
【図15c】インビトロ及びインビボでの死にかけている腫瘍細胞によるIL−1β依存的CTLプライミング。図15a:MyD88が、宿主のレベルで要求される(しかし、APCのレベルではない)。WTマウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを伴うOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にWT又はMyD88−/−レシピエントの足蹠中に注射した(n=6匹マウス/群)。5日後、局所免疫応答を図2d、eの通りに測定した。3つの内の1つの典型的な実験での結果を示す。図15b:インビトロでのCasp−1及びIL−1β依存的OT−Iプライミング。IFNγ産生CD8+ OT−1細胞の分化を、天然OVA特異的TCRトランスジェニックOT−1リンパ球を、インビトロで2日間にわたりオキサリプラチン処理されたEG7を用いて負荷された同系BM−DC(WT又はCasp1−/−マウス由来)とインキュベートすることにより誘導した。IL−1βの抗体媒介性中和によって、2日間の同時培養物の上清中でのELISAにより測定されたIFNγのレベルが顕著に低下した(アイソタイプコントロール抗体ではそうならなかった)。死にかけている腫瘍細胞を用いて負荷し、OT1とインキュベートされたCasp1−/− DCの同時培養物へのrIL−1β(100ng/ml)又はIL−12(10ng/ml)の外因性の添加は、T細胞プライミングを回復させた。挿入図は、TLRアゴニストの存在におけるOVAホロタンパク質を用いたプライミングが、Casp−1に非依存的であることを示す。図15c:インビトロでのTリンパ球に対するIL−1βの特異的かつ直接的な極性化効果。天然WTマウスに由来する精製CD3+CD8+T細胞を、抗CD3及び抗CD28 mAbを用いて5日間にわたり、示したサイトカイン(IL−12p70については10ng/ml、IL−1β、IL−6、及びTNFαについては100ng/ml)の存在において刺激し、IFNγ産生を図3bの通りに測定した。図15d:オキサリプラチン処理されたEG7により誘発された適応性T細胞免疫応答が、IL−1Rアンタゴニストにより抑止された。図5aと同じ設定であるが、しかし、ワクチンにIL−1Rアンタゴニスト(IL−1Ra)を加えた。図15e:組換えIL−1β又はIL−12(しかしIL−6ではない)の外因性の供給は、P2X7/NALP3/Casp−1経路が欠損したマウスにおいてT細胞プライミングを回復させた。図2dと同じ設定であるが、しかし、rIL−1β(250ng/足蹠)、rIL−12(50ng/足蹠)、又はrIL−6(250ng/足蹠)を、死にかけている腫瘍細胞と同時注射した。インビトロ実験(a、b)を2回行い、1つの代表的な実験を示す。3連のウェルでの平均±SEMを示す。各実験群は、2つの独立した実験において4〜8匹のマウスとした(*p<0.05)。
【図15d】インビトロ及びインビボでの死にかけている腫瘍細胞によるIL−1β依存的CTLプライミング。図15a:MyD88が、宿主のレベルで要求される(しかし、APCのレベルではない)。WTマウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にWT又はMyD88−/−レシピエントの足蹠中に注射した(n=6匹マウス/群)。5日後、局所免疫応答を図2d、eの通りに測定した。3つの内の1つの典型的な実験での結果を示す。図15b:インビトロでのCasp−1及びIL−1β依存的OT−Iプライミング。IFNγ産生CD8+ OT−1細胞の分化を、天然OVA特異的TCRトランスジェニックOT−1リンパ球を、インビトロで2日間にわたりオキサリプラチン処理されたEG7を用いて負荷された同系BM−DC(WT又はCasp1−/−マウス由来)とインキュベートすることにより誘導した。IL−1βの抗体媒介性中和によって、2日間の同時培養物の上清中でのELISAにより測定されたIFNγのレベルが顕著に低下した(アイソタイプコントロール抗体ではそうならなかった)。死にかけている腫瘍細胞を用いて負荷し、OT1とインキュベートされたCasp1−/− DCの同時培養物へのrIL−1β(100ng/ml)又はIL−12(10ng/ml)の外因性の添加は、T細胞プライミングを回復させた。挿入図は、TLRアゴニストの存在におけるOVAホロタンパク質を用いたプライミングが、Casp−1に非依存的であることを示す。図15c:インビトロでのTリンパ球に対するIL−1βの特異的かつ直接的な極性化効果。天然WTマウスに由来する精製CD3+CD8+T細胞を、抗CD3及び抗CD28 mAbを用いて5日間にわたり、示したサイトカイン(IL−12p70については10ng/ml、IL−1β、IL−6、及びTNFαについては100ng/ml)の存在において刺激し、IFNγ産生を図3bの通りに測定した。図15d:オキサリプラチン処理されたEG7により誘発された適応性T細胞免疫応答が、IL−1Rアンタゴニストにより抑止された。図5aと同じ設定であるが、しかし、ワクチンにIL−1Rアンタゴニスト(IL−1Ra)を加えた。図15e:組換えIL−1β又はIL−12(しかしIL−6ではない)の外因性の供給は、P2X7/NALP3/Casp−1経路が欠損したマウスにおいてT細胞プライミングを回復させた。図2dと同じ設定であるが、しかし、rIL−1β(250ng/足蹠)、rIL−12(50ng/足蹠)、又はrIL−6(250ng/足蹠)を、死にかけている腫瘍細胞と同時注射した。インビトロ実験(a、b)を2回行い、1つの代表的な実験を示す。3連のウェルでの平均±SEMを示す。各実験群は、2つの独立した実験において4〜8匹のマウスとした(*p<0.05)。
【図15e】インビトロ及びインビボでの死にかけている腫瘍細胞によるIL−1β依存的CTLプライミング。図15a:MyD88が、宿主のレベルで要求される(しかし、APCのレベルではない)。WTマウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にWT又はMyD88−/−レシピエントの足蹠中に注射した(n=6匹マウス/群)。5日後、局所免疫応答を図2d、eの通りに測定した。3つの内の1つの典型的な実験での結果を示す。図15b:インビトロでのCasp−1及びIL−1β依存的OT−Iプライミング。IFNγ産生CD8+ OT−1細胞の分化を、天然OVA特異的TCRトランスジェニックOT−1リンパ球を、インビトロで2日間にわたりオキサリプラチン処理されたEG7を用いて負荷された同系BM−DC(WT又はCasp1−/−マウス由来)とインキュベートすることにより誘導した。IL−1βの抗体媒介性中和によって、2日間の同時培養物の上清中でのELISAにより測定されたIFNγのレベルが顕著に低下した(アイソタイプコントロール抗体ではそうならなかった)。死にかけている腫瘍細胞を用いて負荷し、OT1とインキュベートされたCasp1−/− DCの同時培養物へのrIL−1β(100ng/ml)又はIL−12(10ng/ml)の外因性の添加は、T細胞プライミングを回復させた。挿入図は、TLRアゴニストの存在におけるOVAホロタンパク質を用いたプライミングが、Casp−1に非依存的であることを示す。図15c.インビトロでのTリンパ球に対するIL−1βの特異的かつ直接的な極性化効果。天然WTマウスに由来する精製CD3+CD8+T細胞を、抗CD3及び抗CD28 mAbを用いて5日間にわたり、示したサイトカイン(IL−12p70については10ng/ml、IL−1β、IL−6、及びTNFαについては100ng/ml)の存在において刺激し、IFNγ産生を図3bの通りに測定した。図15d:オキサリプラチン処理されたEG7により誘発された適応性T細胞免疫応答が、IL−1Rアンタゴニストにより抑止された。図5aと同じ設定であるが、しかし、ワクチンにIL−1Rアンタゴニスト(IL−1Ra)を加えた。図15e:組換えIL−1β又はIL−12(しかしIL−6ではない)の外因性の供給は、P2X7/NALP3/Casp−1経路が欠損したマウスにおいてT細胞プライミングを回復させた。図2dと同じ設定であるが、しかし、rIL−1β(250ng/足蹠)、rIL−12(50ng/足蹠)、又はrIL−6(250ng/足蹠)を、死にかけている腫瘍細胞と同時注射した。インビトロ実験(a、b)を2回行い、1つの代表的な実験を示す。3連のウェルでの平均±SEMを示す。各実験群は、2つの独立した実験において4〜8匹のマウスとした(*p<0.05)。
【図16a】IL−1Rアンタゴニストは、CD8+T細胞によるIFNγ産生を刺激する死にかけている腫瘍細胞の能力を抑止する。IL−1Rアゴニストの存在又は非存在においてオキサリプラチン処理された腫瘍細胞を使用したインビボでのプライミングから5日後の、インビトロでのPMA−イオノマイシンを用いた再刺激に続く、IFNγを産生するCD3+CD8−T細胞のフローサイトメトリー分析。図16a:IFNγを産生するCD8+T細胞の代表的なドットプロット。図16b:IFNγを産生するCD8+T細胞の定量化(*p<0.05)。
【図16b】IL−1Rアンタゴニストは、CD8+T細胞によるIFNγ産生を刺激する死にかけている腫瘍細胞の能力を抑止する。IL−1Rアゴニストの存在又は非存在においてオキサリプラチン処理された腫瘍細胞を使用したインビボでのプライミングから5日後の、インビトロでのPMA−イオノマイシンを用いた再刺激に続く、IFNγを産生するCD3+CD8−T細胞のフローサイトメトリー分析。図16a:IFNγを産生するCD8+T細胞の代表的なドットプロット。図16b:IFNγを産生するCD8+T細胞の定量化(*p<0.05)。
【図17a】オキサリプラチンの抗癌活性は、P2X7及びNALP3インフラマソームに依存する。図17a、b、c:樹立された腫瘍に対するオキサリプラチンの治療効力は、P2X7/NALP3/casp−1軸上の免疫系の完全性に依存する。EL4胸腺腫を、示した遺伝子型(a〜c)を持つ又は抗CD8抗体を用いて注射された(a)同系マウスにおいて樹立した。腫瘍が70−90mm2のサイズに達した場合、マウスを未処置で放置又はオキサリプラチンを用いて処置した。各処置群が5〜6匹のマウスを含み(X±SEM)、各実験が3回繰り返され、同様の結果を得た(*p<0.05)。d:カスパーゼ1が、オキサリプラチン化学療法により促進される免疫応答のために要求される。大腿部に樹立されたEG7腫瘍を、オキサリプラチンの1回の全身注射により処置した。鼠径リンパ節細胞を5日後に回収し、神経節細胞をインビトロで再刺激した。IFNγ分泌をELISAにより評価した。結果(3連での平均±SEM、n=3)は、3つの内の1つの典型的な実験を代表する(*P<0.01)。図17d:樹立された結腸癌に対するアントラサイクリンの効力は、IL−1βに依存的である。WTマウスにおいて10日間にわたり樹立されたCT26腫瘍を、ドキソルビシンの1回の局所注射を用いて、中和抗IL−1βAbの非存在又は存在において処置した(n=10/群、*p<0.05)。図17e:P2X7中の単一ヌクレオチド多型(SNP)(rs3751143)は、乳癌患者における従来の抗癌治療の長期効力に影響を及ぼす。正常(Glu496Glu)又は機能喪失(Glu496Ala)P2X7対立遺伝子を持つ患者の2群における転移までの時間の比較カプラン・マイヤー推定値。転移進行までの時間を、アントラサイクリンを用いたアジュバント化学療法を受けた非転移性乳癌を有する225人の女性において分析した。
【図17b】オキサリプラチンの抗癌活性は、P2X7及びNALP3インフラマソームに依存する。図17a、b、c:樹立された腫瘍に対するオキサリプラチンの治療効力は、P2X7/NALP3/casp−1軸上の免疫系の完全性に依存する。EL4胸腺腫を、示した遺伝子型(a〜c)を持つ又は抗CD8抗体を用いて注射された(a)同系マウスにおいて樹立した。腫瘍が70−90mm2のサイズに達した場合、マウスを未処置で放置又はオキサリプラチンを用いて処置した。各処置群が5〜6匹のマウスを含み(X±SEM)、各実験が3回繰り返され、同様の結果を得た(*p<0.05)。d:カスパーゼ1が、オキサリプラチン化学療法により促進される免疫応答のために要求される。大腿部に樹立されたEG7腫瘍を、オキサリプラチンの1回の全身注射により処置した。鼠径リンパ節細胞を5日後に回収し、神経節細胞をインビトロで再刺激した。IFNγ分泌をELISAにより評価した。結果(3連での平均±SEM、n=3)は、3つの内の1つの典型的な実験を代表する(*P<0.01)。図17d:樹立された結腸癌に対するアントラサイクリンの効力は、IL−1βに依存的である。WTマウスにおいて10日間にわたり樹立されたCT26腫瘍を、ドキソルビシンの1回の局所注射を用いて、中和抗IL−1βAbの非存在又は存在において処置した(n=10/群、*p<0.05)。図17e:P2X7中の単一ヌクレオチド多型(SNP)(rs3751143)は、乳癌患者における従来の抗癌治療の長期効力に影響を及ぼす。正常(Glu496Glu)又は機能喪失(Glu496Ala)P2X7対立遺伝子を持つ患者の2群における転移までの時間の比較カプラン・マイヤー推定値。転移進行までの時間を、アントラサイクリンを用いたアジュバント化学療法を受けた非転移性乳癌を有する225人の女性において分析した。
【図17c】オキサリプラチンの抗癌活性は、P2X7及びNALP3インフラマソームに依存する。図17a、b、c:樹立された腫瘍に対するオキサリプラチンの治療効力は、P2X7/NALP3/casp−1軸上の免疫系の完全性に依存する。EL4胸腺腫を、示した遺伝子型(a〜c)を持つ又は抗CD8抗体を用いて注射された(a)同系マウスにおいて樹立した。腫瘍が70−90mm2のサイズに達した場合、マウスを未処置で放置又はオキサリプラチンを用いて処置した。各処置群が5〜6匹のマウスを含み(X±SEM)、各実験が3回繰り返され、同様の結果を得た(*p<0.05)。d:カスパーゼ1が、オキサリプラチン化学療法により促進される免疫応答のために要求される。大腿部に樹立されたEG7腫瘍を、オキサリプラチンの1回の全身注射により処置した。鼠径リンパ節細胞を5日後に回収し、神経節細胞をインビトロで再刺激した。IFNγ分泌をELISAにより評価した。結果(3連での平均±SEM、n=3)は、3つの内の1つの典型的な実験を代表する(*P<0.01)。図17d:樹立された結腸癌に対するアントラサイクリンの効力は、IL−1βに依存的である。WTマウスにおいて10日間にわたり樹立されたCT26腫瘍を、ドキソルビシンの1回の局所注射を用いて、中和抗IL−1βAbの非存在又は存在において処置した(n=10/群、*p<0.05)。図17e:P2X7中の単一ヌクレオチド多型(SNP)(rs3751143)は、乳癌患者における従来の抗癌治療の長期効力に影響を及ぼす。正常(Glu496Glu)又は機能喪失(Glu496Ala)P2X7対立遺伝子を持つ患者の2群における転移までの時間の比較カプラン・マイヤー推定値。転移進行までの時間を、アントラサイクリンを用いたアジュバント化学療法を受けた非転移性乳癌を有する225人の女性において分析した。
【図17d】オキサリプラチンの抗癌活性は、P2X7及びNALP3インフラマソームに依存する。図17a、b、c:樹立された腫瘍に対するオキサリプラチンの治療効力は、P2X7/NALP3/casp−1軸上の免疫系の完全性に依存する。EL4胸腺腫を、示した遺伝子型(a〜c)を持つ又は抗CD8抗体を用いて注射された(a)同系マウスにおいて樹立した。腫瘍が70−90mm2のサイズに達した場合、マウスを未処置で放置又はオキサリプラチンを用いて処置した。各処置群が5〜6匹のマウスを含み(X±SEM)、各実験が3回繰り返され、同様の結果を得た(*p<0.05)。d:カスパーゼ1が、オキサリプラチン化学療法により促進される免疫応答のために要求される。大腿部に樹立されたEG7腫瘍を、オキサリプラチンの1回の全身注射により処置した。鼠径リンパ節細胞を5日後に回収し、神経節細胞をインビトロで再刺激した。IFNγ分泌をELISAにより評価した。結果(3連での平均±SEM、n=3)は、3つの内の1つの典型的な実験を代表する(*P<0.01)。図17d:樹立された結腸癌に対するアントラサイクリンの効力は、IL−1βに依存的である。WTマウスにおいて10日間にわたり樹立されたCT26腫瘍を、ドキソルビシンの1回の局所注射を用いて、中和抗IL−1βAbの非存在又は存在において処置した(n=10/群、*p<0.05)。図17e:P2X7中の単一ヌクレオチド多型(SNP)(rs3751143)は、乳癌患者における従来の抗癌治療の長期効力に影響を及ぼす。正常(Glu496Glu)又は機能喪失(Glu496Ala)P2X7対立遺伝子を持つ患者の2群における転移までの時間の比較カプラン・マイヤー推定値。転移進行までの時間を、アントラサイクリンを用いたアジュバント化学療法を受けた非転移性乳癌を有する225人の女性において分析した。
【図17e】オキサリプラチンの抗癌活性は、P2X7及びNALP3インフラマソームに依存する。図17a、b、c:樹立された腫瘍に対するオキサリプラチンの治療効力は、P2X7/NALP3/casp−1軸上の免疫系の完全性に依存する。EL4胸腺腫を、示した遺伝子型(a〜c)を持つ又は抗CD8抗体を用いて注射された(a)同系マウスにおいて樹立した。腫瘍が70−90mm2のサイズに達した場合、マウスを未処置で放置又はオキサリプラチンを用いて処置した。各処置群が5〜6匹のマウスを含み(X±SEM)、各実験が3回繰り返され、同様の結果を得た(*p<0.05)。d:カスパーゼ1が、オキサリプラチン化学療法により促進される免疫応答のために要求される。大腿部に樹立されたEG7腫瘍を、オキサリプラチンの1回の全身注射により処置した。鼠径リンパ節細胞を5日後に回収し、神経節細胞をインビトロで再刺激した。IFNγ分泌をELISAにより評価した。結果(3連での平均±SEM、n=3)は、3つの内の1つの典型的な実験を代表する(*P<0.01)。図17d:樹立された結腸癌に対するアントラサイクリンの効力は、IL−1βに依存的である。WTマウスにおいて10日間にわたり樹立されたCT26腫瘍を、ドキソルビシンの1回の局所注射を用いて、中和抗IL−1βAbの非存在又は存在において処置した(n=10/群、*p<0.05)。図17e:P2X7中の単一ヌクレオチド多型(SNP)(rs3751143)は、乳癌患者における従来の抗癌治療の長期効力に影響を及ぼす。正常(Glu496Glu)又は機能喪失(Glu496Ala)P2X7対立遺伝子を持つ患者の2群における転移までの時間の比較カプラン・マイヤー推定値。転移進行までの時間を、アントラサイクリンを用いたアジュバント化学療法を受けた非転移性乳癌を有する225人の女性において分析した。
【図18A】P2X7中の単一ヌクレオチド多型(SNP)(rs3751143)は、乳癌患者(n=47)でのネオアジュバント設定における従来の抗癌治療の効力に影響を与える。図18A)ケースコントロール試験に登録された患者の数及びパーセンテージを、主要評価項目(病理学的な完全寛解)及びP2X7−rs3751143 SNPの遺伝子型に基づく分割表に表示する。図18B)病理学的な完全寛解の割合を、野生型群と突然変異群の患者において比較した。フィッシャー直接確率検定を使用し、主要評価項目とP2X7−rs3751143 SNPの間での関連性をテストした。
【図18B】P2X7中の単一ヌクレオチド多型(SNP)(rs3751143)は、乳癌患者(n=47)でのネオアジュバント設定における従来の抗癌治療の効力に影響を与える。図18A)ケースコントロール試験に登録された患者の数及びパーセンテージを、主要評価項目(病理学的な完全寛解)及びP2X7−rs3751143 SNPの遺伝子型に基づく分割表に表示する。図18B)病理学的な完全寛解の割合を、野生型群と突然変異群の患者において比較した。フィッシャー直接確率検定を使用し、主要評価項目とP2X7−rs3751143 SNPの間での関連性をテストした。
【0020】
発明の詳細な説明
例えば、アントラサイクリン、オキサリプラチン、又はX線により誘発される免疫原性細胞死は、細胞膜上でのカルレチクリンのアポトーシス前暴露(DCによる死にかけている細胞の取り込みを促進する)及びDC上に存在するTLR4に作用するHMGB1のアポトーシス後放出(抗原のプロセシングを刺激する)により特徴付けられる。しかし、生きた腫瘍細胞への組換えカルレチクリン又はHMGB1の添加は、DCによるそれらの抗原の提示を誘発するために十分ではなく、追加シグナルが死にかけている細胞とDCの間で交換されなければならないことを意味する。
【0021】
本発明は、P2X7誘発性NALP3インフラマソームが死にかけている腫瘍細胞に対する免疫応答を制御するとの観察に基づく。実際に、死にかけている腫瘍細胞はATPを放出し、それは次にDCからのP2X7プリン受容体に作用し、NALP3カスパーゼ1活性化複合体を引き起こし、インターロイキン1β(IL−1β)の分泌を可能にする。
【0022】
IL−1受容体1の非存在において又はIL−1受容体アンタゴニストの存在において、死にかけている腫瘍細胞は、癌特異的なインターフェロンγ産生CTLをプライミングしない。本発明者らは、このように、IFNγ産生に向けたCTL極性化の重要な要因としてNALP3インフラマソーム依存的IL−1β産生を特定している。今までに、IL−1β/IL−1βRシステムの過剰活性化(Krelin et al., 2007)を含む慢性炎症が、腫瘍を促進する条件として考えられており、腫瘍の防止又は治療のためのIL−1β阻害を支持して議論されている(Hagemann et al., 2007; Greten et al., 2004; Naugler et al., 2007; Balkwill et al., 2005)。
【0023】
本発明者らは、本明細書において、また、免疫正常宿主において成功した抗癌化学療法が、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において樹立された腫瘍に対して非効果的であることが判明したことを実証する。本発明者らは、機能的なP2X7/NALP3/Casp−1/IL−1β軸の非存在によってIFNγ産生を阻止すること、及び、死にかけている腫瘍細胞によるCTL刺激が、外因性IL−1βが与えられない場合、そのような対象において失敗することを観察した。
【0024】
さらに、本明細書に記載する臨床試験において、本発明者のデータによって、免疫原性腫瘍細胞死を誘導する化学療法後、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する癌患者の無転移生存率が、正常経路を有する患者でのそれより短いことが明らかになる。また、本発明者らは、また、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する癌患者が、病理学的な完全寛解を有するより低い確率を有することを示す。
【0025】
定義
「癌」という用語は、本明細書で使用される通り、癌を起こす細胞に典型的な特徴(例えば無制御な増殖、不死、転移能、急速な成長及び増殖速度、ならびに特定の特徴的な形態学的特性など)を保持する細胞の存在を示す。この用語は、悪性腫瘍の任意の型(原発性又は転移性)を指す。典型的な癌は、X線、アントラサイクリン、シスプラチン、及び/又はオキサリプラチン感受性の癌、例えば乳房、胃、肉腫、卵巣、子宮粘膜、膀胱、子宮頸部、直腸、結腸、肺、ORL癌、小児腫瘍(神経芽細胞腫、多形性膠芽腫)、リンパ腫、白血病、ミエローマ、セミノーマ、ホジキン及び悪性血液病などである。
【0026】
「癌再発」という用語は、本明細書で使用される通り、改善の期間、特に寛解期間後での癌の徴候及び症状の戻りを指す。「癌再発」という用語は、転移性再発又は同じ部位での原発性腫瘍からの腫瘍発生を指しうる。「癌再発」の代わりに、「転移又は疾患と関連する死」という用語も本願を通して使用してもよい。
【0027】
「転移性再発」という用語は、本明細書で使用される通り、最初は以前の治療に応答したが、しかし、治療的応答が維持されなかった患者における原発性腫瘍から他の1つ又は複数の部位への癌性細胞の伝播を指す。転移性再発は寛解期間後に出現する。
【0028】
本明細書で使用する「処置」、「処理する」、又は「処理している」という用語は、患者の健康状態を改善することが意図された任意の行為、例えば疾患の治療、防止、予防、及び遅延などを指す。特定の実施態様において、そのような用語は、疾患又は疾患と関連する症状の改善又は根絶を指す。他の実施態様において、この用語は、疾患を有する対象に対する1つ又は複数の治療用薬剤の投与に起因する疾患の広まり又は悪化を最小限にすることを指す。この用語は、疾患の任意の段階での処置を指す。特に、それは、アジュバント治療(外科手術後の化学療法又は放射線療法)又はネオアジュバント治療(外科手術前の化学療法又は放射線療法)でありうる。
【0029】
特に、「癌を処置するために」又は「癌を処置する」という用語は、患者において腫瘍の成長、腫瘍転移、又は他の癌を起こす細胞もしくは新生物細胞の進行を逆転する、軽減する、阻害する、又は部分的にもしくは完全に防止することを意味する。
【0030】
本明細書で使用する「化学療法の処置」又は「化学療法」という用語は、化学的又は生化学的物質を使用した、特に1つ又はいくつかの抗新生物薬剤を使用した癌の治療的処置を指す。好ましくは、化学療法は免疫原性腫瘍細胞死を促進する。「抗新生物薬剤」及び「化学療法薬剤」という用語は互換的に使用され、癌の処置において使用される化合物又は薬物を指す。好ましくは、化学療法は、アントラサイクリン、例えばアクラルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アムルビシン、ピラルビシン、バルルビシン、ゾルビシン、カルミノマイシン、及びデトルビシン(Detorubicin)など;白金ベースの化学療法薬物、例えばカルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、四硝酸トリプラチン、及びサトラプラチンなど;アントラセンジオン、例えばミトキサントロン及びピクサントロンなど;ストレプトマイセス属の種から単離された抗腫瘍薬剤、例えばアクチノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン及びプリカマイシン、ならびにその誘導体などからなる群より選択される少なくとも1つの抗新生物薬剤の使用を含む。より好ましくは、化学療法は、アントラサイクリン、オキサリプラチン、及びシスプラチンからなる群より選択される。
【0031】
「放射線療法の処置」又は「放射線療法」という用語は、複数の型の放射線治療(内部及び外部放射線治療を含む)、放射免疫療法、及び種々の型の放射線(X線、ガンマ線、アルファ粒子、ベータ粒子、光子、電子、中性子、ラジオアイソトープ、及び電離放射線の他の形態を含む)の使用を指し、当技術分野において一般的に使用される用語である。好ましくは、放射線療法は、X線又はガンマ線の使用を含む。
【0032】
化学療法及び放射線療法は、単独で又は組み合わせで使用することができる。
【0033】
「免疫原性細胞死を誘導する抗癌処置」という用語は、任意のアジュバントの非存在において、アポトーシス形態の細胞死の様相を誘導し、免疫応答を誘発する際に非常に効果的である化学療法又は放射線療法の処置を指す。免疫原性細胞死を誘導する抗癌処置は、限定はされないが、アントラサイクリン、オキサリプラチン、シスプラチン、及びX線でありうる。
【0034】
「処置に対する感受性」という用語は、処置に対する対象の応答レベル(限定はされないが、治療用化合物を代謝する能力を含む)、プロドラッグを活性薬物に変換する能力、個体における薬物の薬物動態(吸収、分布、除去)及び薬力学(受容体に関連する)を指す。
【0035】
「処置に対する耐性」という用語は、対象が処置に応答しない先天性又は後天性の状態を指す。耐性が後天的に得られる場合、対象は、最初は処置に応答するが、しかし、癌は、最初の処置が完了する6ヶ月以内に再発する。
【0036】
本明細書で使用する「対象」という用語は、好ましくは、癌を処置するための処置を必要とするヒト(成人、小児、出生前段階を含む)を指す。しかし、「対象」という用語は、また、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物(例えばイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジなど)及び、とりわけ、処置を必要とする非ヒト霊長類を指しうる。
【0037】
本明細書で使用する「P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路」という用語は、P2X7受容体(UniGene Hs.507102)、NALP3タンパク質(UniGene Hs.159483)、アダプタータンパク質ASC(UniGene Hs.499094)、カスパーゼ1(UniGene Hs.2490)、及びIL−1β(UniGene Hs.126256)を含む代謝軸を指す。
【0038】
P2X7受容体は、細胞外アデノシン5’−三リン酸(ATP)の結合に応答して開く陽イオン透過性リガンド開閉イオンチャネルのファミリーである。それらは、プリン受容体として公知である受容体のより大きなファミリーに属する。
【0039】
NALP3インフラマソームは、カスパーゼ1の活性化に関与する多タンパク質複合体であり、サイトカインIL−1β及びIL−18のプロセシング及び分泌に導く。NALP3インフラマソームは、細胞質タンパク質のNLRファミリーに属するNALP3タンパク質、カスパーゼ1、及びNALPタンパク質をカスパーゼ1に連結するアダプタータンパク質ASCで構成される。
【0040】
本明細書で使用する経路の「機能的状態」という用語は、経路の機能を満たす能力又は不能を指す。P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、この経路に含まれる全てのタンパク質(即ち、P2X7、NALP3、ASC、カスパーゼ1、及びIL−1β)の発現及び活性に依存する。P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路は、対象の樹状細胞がIL−1βを分泌しない又は標準的レベルと比較して低い分泌量である場合、非機能的である。
【0041】
経路の構成成分の「機能喪失」という用語は、本明細書で使用される通り、この構成成分の活性の低下又は活性がないことを指す。
【0042】
タンパク質の「機能分析」という用語は、本明細書で使用される通り、その活性を評価することによるタンパク質の機能の分析を指す。
【0043】
本明細書で使用する「突然変異」という用語は、遺伝子座中のコード及び/又は非コード領域における点突然変異、欠失、再配列、及び/又は挿入を、単独で又は種々の組み合わせで包含する。欠失は、遺伝子座のコード又は非コード部分において1、2、又はそれ以上の残基の任意の領域(例えば2つの残基から遺伝子又は遺伝子座全体までなど)を包含しうる。典型的な欠失は、より小さな領域(例えば約50未満の連続塩基対のドメイン(イントロン)又は反復配列又はフラグメントなど)に影響を与えるが、より大きな欠失も生じうる。挿入は、遺伝子座のコード又は非コード部分における1つ又はいくつかの残基の付加を包含しうる。挿入は、典型的には、遺伝子座における1〜50の間の塩基対の付加を含みうる。再配列は、配列の逆位を含む。突然変異は、終止コドンの作製、フレームシフト突然変異、アミノ酸置換、特定のRNAスプライシング又はプロセシング、産物不安定性、切断ポリペプチド産生などをもたらしうる。突然変異は、変化した機能、安定性、標的化、又は構造を有するポリペプチドの産生をもたらしうる。それは、また、タンパク質発現における低下又は、代わりに、前記産生における増加を起こしうる。
【0044】
「機能喪失突然変異」という用語は、突然変異遺伝子によりコードされるタンパク質の活性に影響を与える突然変異を指す。タンパク質は、低活性又は完全に不活性でありうる。
【0045】
「P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失」という用語は、上で定義するP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路に含まれるタンパク質をコードする遺伝子が機能喪失突然変異を保有すること、あるいは経路のタンパク質が低活性又は完全に不活性であること、あるいは経路のタンパク質が低発現である又は発現されないことを意味する。この機能喪失は、IL−1βを分泌する樹状細胞の能力低下又は不能力をもたらす。
【0046】
「SNP」という用語は、「単一ヌクレオチド多型」を意味する。SNPは、多型(例、Arg307Gln)のために改変されるアミノ酸残基の位置により又はNCBI SNPデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP)の参照SNP番号(例、rs28360457)により参照することができる。
【0047】
「治療的有効量」とは、研究者、獣医、医師、又は他の臨床医が対象とする組織、系、動物、又はヒトの生物学的又は医学的な応答を誘発するのに十分である、対象に投与される量を意図する。
【0048】
「標準レベル」又は「標準値」という用語は、本明細書で使用される通り、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する個体の集合から又はこれらの個体により提供される細胞から得られるレベル又は値を指す。
【0049】
効率的な抗癌応答は、死にかけている癌細胞からの抗原を提示し、腫瘍特異的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)をプライムする樹状細胞の能力に依存する。実験セクションに記載される通り、本発明者らは、NALP3インフラマソーム依存的IL−1β産生が、IFNγ産生に向かうCTL極性化、ひいては効果的な抗癌応答の重要な要素であることを実証している。
【0050】
第1の局面において、本発明は、癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する対象の感受性を評価するインビトロでの方法を提供し、前記方法は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路は、前記処置に対する耐性を示す。場合により、化学療法又は放射線療法の処置は、アジュバント又はネオアジュバント治療でありうる。
【0051】
第1の実施態様において、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、前記経路に関与する遺伝子における機能喪失突然変異の検出により評価され、前記突然変異の存在は非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す。この突然変異は、P2X7、NALP3、ASC、カスパーゼ1、又はIL−1βをコードする遺伝子において、又は発現調節エレメント(例えばプロモーターなど)において含まれうる。
【0052】
機能喪失突然変異は、当業者により公知の任意の手段により、例えば、P2X7、NALP3、ASC、カスパーゼ1、又はIL−1β遺伝子の全部又は部分を配列決定することにより、これらの遺伝子の全部又は部分の選択的ハイブリダイゼーション及び/又は増幅あるいは制限消化を使用して検出することができる。より好ましくは、遺伝子の特異的増幅を、突然変異の同定段階前に行う。配列決定は、特定のドメインで、典型的には、有害な突然変異を保有することが公知である又は疑われるドメインで実施してもよい。
【0053】
機能喪失突然変異は、また、例えば、RNA突然変異配列又は異常なRNAスプライシングもしくはプロセシングもしくは発現レベルを検出することにより、RNAレベルで検出することができる。これは、当技術分野において公知の種々の技術(制限消化、目的のRNAの全部又は部分の配列決定、前記RNAの全部又は部分の選択的ハイブリダイゼーション又は選択的増幅を含む)により行ってもよい。
【0054】
好ましくは、検出される機能喪失突然変異は、P2X7、NALP3、ASC、カスパーゼ1、又はIL−1βをコードする遺伝子において、又はこれらの遺伝子の発現調節エレメントにおいて含まれる単一ヌクレオチド多型(SNP)である。
【0055】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、P2X7をコードする遺伝子において機能喪失SNPを検出することにより評価されうる。好ましくは、SNPは、Arg307Gln(rs28360457;配列番号2)、Ileu568Asn(rs1653624;配列番号3)、Glu496Ala(rs3751143;配列番号1)、及びThr357Ser(rs2230911;配列番号4)からなる群より選択される。より好ましくは、SNPはGlu496Ala(rs3751143)である。
【0056】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、また、カスパーゼ1をコードする遺伝子において機能喪失SNPを検出することにより評価されうる。好ましくは、SNPはrs501192(配列番号5)である。
【0057】
増幅は、当技術分野において公知の種々の技術、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、及び制限断片長多型(RFLP)などに従って実施されうる。好ましくは、対立遺伝子特異的PCR又はPCR−SSCPが使用される。これらの増幅反応を実施するための適したプライマーは、データベース(例えばGenbankなど)において見出される配列情報に基づき、当業者により簡単に設計される。
【0058】
制限消化、配列決定反応、選択的ハイブリダイゼーション、及び選択的増幅は、周知のプロトコール、例えばSambrook et al.(Sambrook et al.Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2000)及びAusubel et al.(In Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY, 1998)に記載されるものなどに従って行ってもよい。
【0059】
別の実施態様において、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、前記経路に含まれるタンパク質の突然変異ポリペプチド配列又は損なわれた発現の検出により評価され、突然変異配列又は発現は非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す。P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路に関与するタンパク質は、P2X7、NALP3、ASC、カスパーゼ1、及びIL−1βからなる群より選択されうる。
【0060】
突然変異ポリペプチド配列は、当技術分野において公知の種々の技術、例えば、ポリペプチド配列決定及び/又は特定リガンド(例えば抗体など)への結合などにより検出することができる。
【0061】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路に関与するタンパク質の損なわれた発現は、また、当技術分野において公知の種々の技術、例えば、ウエスタンプロット、ELISA、ラジオイムノアッセイ、又は免疫酵素アッセイなどにより検出することができる。タンパク質の発現は、また、ノーザンブロット又は定量的RT−PCR、あるいは当技術分野において公知の任意の他の方法を使用することによりその特定RNA発現を検出することにより評価することができる。
【0062】
他の適した方法を使用し、突然変異ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列を検出する又はタンパク質発現又はRNAを定量化してもよい。それらは、限定なく、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)、対立遺伝子特異的増幅、サザンブロット、一本鎖立体構造解析、PFGE、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、ゲル移動、クランプ変性ゲル電気泳動、ヘテロデュプレックス分析、RNアーゼ保護、及び化学ミスマッチ切断を含む。
【0063】
別の実施態様において、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、化学療法又は放射線療法の処置前後で対象の血液サンプル中でのIL−1βレベルを比較することにより評価され、前記処置後での前記レベルの有意な増加は、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す。好ましくは、処置は、アントラサイクリン、オキサリプラチン、シスプラチン、及びX線からなる群より選択される。
【0064】
本明細書で使用する「有意な増加」という用語は、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において同じ条件において得られたものと統計的に同程度である増加を指す。
【0065】
対象に施される処置は、死にかけている腫瘍細胞を生成し、それらは、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において、樹状細胞によるIL−1β分泌の増加、ひいては血液中のIL−1βレベルの増加を誘導する。対象が機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有さない場合、IL−1β血液レベルにおける増加は観察されない、又はそのレベルがより低い。IL−1βは、当業者により公知の任意の方法、例えばELISAアッセイを使用して測定してもよい。
【0066】
好ましい実施態様において、IL−1βレベルを、対象の血清サンプル中で、化学療法又は放射線療法の処置の前ならびに24及び/又は72時間後に測定する。
【0067】
結果的に、この方法を用いて、抗癌処置に対する対象の感受性を、この対象の血液サンプル中のIL−1β濃度を測定するだけで、最初の投与後に評価してもよい。
【0068】
さらなる実施態様において、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、死にかけている腫瘍細胞の存在においてIL−1βを分泌する対象の樹状細胞(DC)の能力を測定することにより評価され、それにおいて標準レベルと比較して低下した能力は、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する。
【0069】
この分泌能力は、例えば、以下の工程を含む方法を用いて評価してもよい:(i)対象のサンプルからDCを得ること、(ii)前記細胞を、抗新生物薬剤を用いて処理された腫瘍細胞と同時培養すること、(iii)細胞培養上清中のIL−1βを評価すること(それにおいて標準レベルと比較したIL−1βの減少レベルは、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する)。
【0070】
標準レベルは、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象からの樹状細胞を同じプロトコールに供することにより得られる。
【0071】
ネガティブコントロールとして、DCを、単独又は生きている腫瘍細胞とインキュベートしてもよい。
【0072】
好ましくは、自己DCは、対象の血液サンプルから得られる。最初に、CD14+単球を、抗CD14抗体を使用した陽性細胞選別又はプラスチックディッシュ上での付着工程後、あるいは当技術分野において公知の任意の他の方法により末梢血単核細胞(PBMC)から回収する。次に、CD14+単球を、樹状細胞分化を刺激する化合物(例えばGM−CSF及びIFNα2bなど)を用いて4日間インキュベートする。
【0073】
この方法において使用される腫瘍細胞は、抗新生物薬剤に感受性でなければならず、当業者により簡単に選ばれうる。例えば、オキサリプラチンを用いて処理されたHCT116細胞(結腸癌)を使用してもよい。これらの細胞を、任意の洗液工程なしにDC培養に加える。
【0074】
好ましくは、抗新生物薬剤は、アントラサイクリン、オキサリプラチン、シスプラチン、及びX線からなる群より選択される。
【0075】
この方法の実施態様の例を、実験セクションに提示する。
【0076】
別の実施態様において、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、HMGB1及びATPの存在においてIL−1βを分泌する対象の樹状細胞(DC)の能力を測定することにより評価され、それにおいて標準レベルと比較して低下した能力は、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する。
【0077】
本明細書で使用する「HMGB1」という用語は、抗新生物薬剤(例えばドキソルビシン又はオキサリプラチンなど)を用いて処理された死にかけている腫瘍細胞により放出されたTLR4アゴニストである高移動度群ボックス1タンパク質を指す(Apetoh et al., 2007)。
【0078】
この方法は、以下の工程を含む:(i)対象のサンプルからDCを得ること、(ii)前記細胞をHMGB1及びATPと培養すること、(iii)細胞培養上清中のIL−1βを評価すること(それにおいて標準レベルと比較したIL−1βの減少レベルは、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する)。
【0079】
標準レベルは、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象からの樹状細胞を同じプロトコールに供することにより得られる。
【0080】
ネガティブコントロールとして、DCを、HMGB1もATPも添加せずインキュベートしてもよい。
【0081】
好ましくは、自己DCは、上に記載する通りに、PBMC由来単球から得られる。
【0082】
さらなる実施態様において、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、リポポリサッカリド及びATPの存在においてIL−1βを分泌する対象の単球の能力を測定することにより評価され、それにおいて標準レベルと比較して低下した能力は、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する。
【0083】
この能力は、例えば、以下の工程を含む方法を用いて評価してもよい:(i)対象のサンプルからCD14+単球を得ること、(ii)前記細胞をリポポリサッカリド及びATPと培養すること、(iii)細胞培養上清中のIL−1βを評価すること(それにおいて標準レベルと比較したIL−1βの減少レベルは、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する)。
【0084】
好ましくは、自己CD14+単球は、上に記載する通りに、被験者の末梢血単核細胞から回収される。
【0085】
標準レベルは、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象からの単球を同じプロトコールに供することにより得られる。
【0086】
ネガティブコントロールとして、単球を、LPSもATPも添加せずインキュベートしてもよい。
【0087】
IL−1βを、細胞培養上清中で、当技術分野において公知の任意の方法により、好ましくはELISAアッセイを使用して評価してもよい。IL−1βを、また、下で記載する通り、前駆体又は成熟形態のIL−1β及び/又はカスパーゼ1を認識する特異的抗体を使用したウエスタンブロット解析を用いて評価してもよい。
【0088】
さらなる実施態様において、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、前記経路の構成成分の機能分析により評価され、前記経路の少なくとも1つの構成成分の機能喪失は、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す。
【0089】
P2X7、NALP3、ASC、カスパーゼ1、及び/又はIL−1βの活性を評価し、これらのタンパク質の1つに影響を与える任意の機能喪失を検出する。P2X7、NALP3、ASC、カスパーゼ1、又はIL−1βの活性は、当業者により公知の任意の方法により評価されうる。
【0090】
好ましくは、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、P2X7受容体の機能分析により評価される。例として、P2X7受容体の機能分析は、Sluyter et al.(Sluyter et al., 2004)により記載される通り、赤血球においてATP誘導性86Rb+流出を測定することにより行われうる。このP2X7受容体の分析は、対象の血液サンプルで実施されうる。得られた値を、コントロール対象(即ち、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する)を用いて得られた値と比較する。損なわれたATP誘導性86Rb+流出は、対象が非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有し、ひいては抗癌処置に対する感受性が低下したことを示すことを意味する。さらなる例として、P2X7受容体の機能分析は、Jursik et al.(Jursik et al., 2007)の論文において記載される通りに、Ca2+、Ba2+、又はエチジウムの取り込み又は流入について単球、リンパ球、又はマクロファージをテストすることにより行われうる。
【0091】
IL−1β及びカスパーゼ1の活性は、それらの成熟プロセスを研究することにより評価されうる。
【0092】
IL−1βが、生物学的に不活性な前駆体(即ち、プロIL−1β)として産生され、それは、カスパーゼ1(IL−1β変換酵素(ICE)とも呼ばれる)により行われるタンパク質分解的プロセシングにより活性形態(即ち、IL−1β p17)に変換される。
【0093】
カスパーゼ1はプロ酵素(45kDa)として合成され、それはタンパク質分解的切断を受け、成熟産物(即ち、p20及びp10サブユニット)を生産し、それはヘテロ二量体化し、活性プロテアーゼを形成する。
【0094】
前駆体及び成熟形態のカスパーゼ1及びIL−1βは、ATPとLPSを用いて刺激されたPBMC由来単球又は死にかけている腫瘍細胞(例、オキサリプラチンとインキュベートされ、DCを用いたインキュベーション前に洗浄されていないHCT116細胞)とインキュベートされたDC(上に記載する通りに、PBMC由来単球から生成した)又はHMGB1及びATPとインキュベートされたDCの上清及びライセート中でこれらのタンパク質を認識する特異的抗体を使用したウエスタンブロットにより検出されうる。
【0095】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路が機能的である場合、カスパーゼ1 p20は細胞ライセート中で検出され、IL−1β p17は細胞培養上清中で検出される。
【0096】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路が機能的ではない場合、IL−1β p17は細胞培養上清中で検出されない。これは、カスパーゼ1及び/又はIL−1β前駆体発現の非存在又はこれらの前駆体の異常成熟を誘導する突然変異に起因しうる。
【0097】
インフラマソーム活性化に続いて産生されるIL−1βの特異性は、カスパーゼ1のアンタゴニストを伴う又は伴わない上に記載する実験(例えば高濃度のKCl(例、130mM)又はz−VAD−fmkなど)を実行することによりアッセイされうる。カスパーゼ1アンタゴニストの存在において、刺激された単球又はDCによるIL−1β産生は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路が機能的である場合でも無効になる。
【0098】
第2の局面において、本発明は、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する感受性を増加又は回復させるために有用である化合物をスクリーニングするためのインビトロでの方法を提供し、前記方法は、前記対象において死にかけている腫瘍細胞の存在における樹状細胞によるIL−1β分泌を誘導又は増加させる試験化合物の能力を決定することを含む。
【0099】
本発明は、さらに、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において癌を処置するために有用である化合物をスクリーニングするためのインビトロでの方法を提供し、前記方法は、前記対象において死にかけている腫瘍細胞の存在における樹状細胞によるIL−1β分泌を誘導又は増加させる試験化合物の能力を決定することを含む。
【0100】
死にかけている腫瘍細胞の存在における樹状細胞によるIL−1β分泌を誘導又は増加させることができる化合物によって、腫瘍特異的細胞傷害性Tリンパ球のプライミングを回復又は増加させることができる。この化合物をこのように使用し、対象における抗癌処置に対する感受性を増加又は回復させ、ひいては前記対象において癌を処置しうる。好ましくは、抗癌処置は、アントラサイクリン、オキサリプラチン、シスプラチン、及びX線からなる群より選択される。
【0101】
実施態様において、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象においてIL−1β産生を誘導又は増加させる試験化合物の能力を、対象のサンプルからDCを得て、前記細胞を、試験化合物の存在において死にかけている腫瘍細胞と接触させ、細胞培養上清中に分泌されたIL−1βの量を測定することにより評価され、それにおいて標準レベルと比較したIL−1βの低下量は、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する。
【0102】
標準レベルのIL−1β分泌は、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象のDCを、試験化合物の存在において、死にかけている腫瘍細胞と接触させ、細胞培養上清中に分泌されたIL−1βの量を測定することにより得られる。
【0103】
ネガティブコントロールとして、前記DCを、試験化合物の非存在において、死にかけている腫瘍細胞と接触させることを使用してもよい。
【0104】
上に記載する通りに、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路は、前記経路の異なる構成成分の機能喪失に起因しうる。このように、非機能的経路を有する異なる対象から提供されるDCは、機能喪失の障害を示す経路の構成成分に従い、試験化合物に対して異なる応答を示しうる。結果的に、このスクリーニング方法において使用される樹状細胞は、好ましくは、処置される対象から提供される。
【0105】
本発明は、さらに、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する感受性を増加又は回復するために有用である化合物をスクリーニングするための方法を提供し、前記方法は、(i)非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有し、腫瘍を用いて接種された非ヒトトランスジェニック動物に癌の化学療法又は放射線療法の処置との組み合わせで、試験化合物を投与すること、及び(ii)前記処置に対する前記動物の感受性を評価することを含む。
【0106】
好ましくは、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する非ヒトトランスジェニック動物は、Casp1−/−、Asc−/−、NALP3−/−、IL−1β−/−、又はP2X7−/−遺伝子型を示すBALB/c及びC57BL/6マウスからなる群より選択される。例として、C57BL/6Casp1−/−、Asc−/−、NALP3−/−、P2X7−/−マウスが、それぞれLi et al., 1995;Srinivasula et al., 2002;Kanneganti et al., 2006;Solle et al., 2001に記載された。
【0107】
非ヒトトランスジェニック動物に腫瘍を接種するために使用される腫瘍細胞は、好ましくは、CT26結腸癌細胞、EL4胸腺腫細胞、EG7細胞、MCA205繊維肉腫細胞、B16F10メラノーマ細胞、及びTS/A乳腺腺癌細胞からなる群より選択される。
【0108】
施された処置に対する非ヒトトランスジェニック動物の感受性は、当技術分野において公知の任意の方法(例えば動物の腫瘍サイズの経過観察又は無転移生存率など)により評価してもよい。
【0109】
実験セクションに提示された本発明者らのデータは、再発、特に転移再発の確率が、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において増加することを実証する。
【0110】
本発明は、このように、対象における再発の可能性を決定するためのインビトロでの方法を提供し、前記方法は、前記対象においてP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的経路は再発の可能性の増加を示す。好ましくは、癌再発は転移再発である。あるいは、癌再発は原発性腫瘍の再発である。好ましくは、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、前記経路に関与する遺伝子における機能喪失突然変異の検出により評価され、前記突然変異の存在は非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す。特に、突然変異は、rs28360457、rs1653624、rs3751143、rs2230911、及びrs501192からなる群より選択されるSNPであって、好ましくはSNPは、rs3751143である。
【0111】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、上に記載する通りに、任意の方法により評価されうる。
【0112】
さらなる局面において、本発明は、それを必要とする対象のために適した化学療法又は放射線療法の処置を選択するためのインビトロでの方法を提供し、前記方法は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的経路は免疫原性腫瘍細胞死を誘導する抗癌処置について禁忌と考えられる。
【0113】
「禁忌」という用語は、本明細書で使用される通り、治療的処置の副作用と前記処置に対する患者の応答の間での不均衡を指す。この場合において、処置は、有益な効果よりも多くの有害な効果を誘導する。
【0114】
対象が機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する場合、被験者は、免疫原性腫瘍細胞死を誘導する抗癌処置(例えばアントラサイクリン、オキサリプラチン、シスプラチン、又はX線など)に対して感受性でありうる。
【0115】
反対に、対象が非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する場合、免疫原性腫瘍細胞死を誘導する抗癌処置では治療効果が低下するであろう。
【0116】
結果的に、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することによって、施術者が、免疫原性腫瘍細胞死を誘導する抗癌処置が対象を処置するために適しているか否か、又は他の処置が考慮されなければならないか否かを決定する;あるいは、施術者が、何が適切な処置であるかを決めることを可能にする情報を提供することが可能になる。
【0117】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、上に記載する通りに、任意の方法により評価されうる。
【0118】
本発明は、また、化学療法薬剤及び非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物を含む医薬的組成物に関する。
【0119】
特定の実施態様において、化学療法薬剤は、アントラサイクリン、オキサリプラチン、及びシスプラチンからなる群より選択される。
【0120】
非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物は、本発明のスクリーニング方法によりスクリーニングされうる。
【0121】
実施態様において、この化合物は、IL−1β;IL−12;ナチュラルキラー細胞及びナチュラルキラーT細胞アクチベーター、例えばCD1dアゴニスト、IL−15、IL−2、又はIFNαなど;P2X7受容体アクチベーター、例えばカテリシジン由来ペプチドLL37、ポリミキシンB、STAT3阻害剤、抗CTLA4抗体、抗PD−1抗体、TGFb阻害ペプチド、IL−10阻害ペプチド、抗IL−10モノクローナル抗体、抗IL−13モノクローナル抗体、抗PDL−1モノクローナル抗体、及びIL−33などからなる群より選択される。抗体は中和又は遮断しうる。分子は、好ましくは、それらの活性形態(例えばIL−1βについてはIL−1β p17及びIL−12についてはIL−12 p70など)で提供される。
【0122】
好ましい実施態様において、化合物は組換えIL−1βである。
【0123】
化学療法薬剤及び非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物を含む医薬的化合物を、当業者により公知の標準的な薬務(例、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed.), ed. A. R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, 2000及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J. C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New Yorkを参照のこと)に従い製剤化する。
【0124】
可能な医薬的組成物は、経口、直腸、局所(経皮、口腔、及び舌下を含む)、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、及び皮内を含む)、又は腫瘍内(例、超音波誘導腫瘍内注射)投与のために適したものを含む。腫瘍内投与は、限局性の非転移性腫瘍に検討されている。これらの製剤のために、従来の賦形剤を、当業者により周知の技術に従って使用することができる。
【0125】
非経口投与のための組成物は、一般的に、生理学的に適合する無菌溶液、あるいは、場合により使用直前に固形又は凍結乾燥形態から調製することができる懸濁剤である。アジュバント(例えば局所麻酔剤、保存剤、及び緩衝剤など)は溶剤に溶解することができ、界面活性剤又は湿潤剤は組成物中に添加し、活性成分の均一な分布を促進することができる。
【0126】
経口投与のために、組成物を、従来の経口投与形態、例えば錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、及び液体調製物(例えばシロップ、エリキシル、及び濃縮滴剤など)などに製剤化することができる。非毒性固形担体又は希釈剤を使用してもよく、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、ショ糖、マグネシウム、炭酸塩などを含む。圧縮錠剤のために、結合剤(粉末物質に粘着性を与える薬剤である)も必要である。例えば、デンプン、ゼラチン、糖(例えばラクトース又はデキストロースなど)、及び天然又は合成ゴムを結合剤として使用することができる。崩壊剤も、錠剤の分解を促進するために錠剤中に必要である。崩壊剤は、デンプン、粘土、セルロース、アルギン、ゴム、及び架橋ポリマーを含む。さらに、潤滑剤及び滑剤も錠剤中に含め、製造プロセスにおける表面への錠剤材料の付着を防止し、製造の間での粉末材料の流動特性を改善する。コロイド状二酸化ケイ素が滑剤として最も一般的に使用される。化合物、例えばタルク又はステアリン酸などが潤滑剤として最も一般的に使用される。
【0127】
経皮投与のために、組成物を、軟膏、クリーム、又はゲル形態に製剤化することができ、適切な浸透剤又は界面活性剤を使用し、浸透を促進することができうる(例えばジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、及びジメチルホルムアミドなど)。
【0128】
経粘膜投与のために、鼻内スプレー、直腸又は膣坐剤を使用することができる。活性化合物を、当技術分野において公知の方法により、公知の坐剤基剤のいずれかに加えることができる。そのような基剤の例は、ココアバター、ポリエチレングリコール(カーボワックス)、ポリエチレンソルビタンモノステアレート、及び、これらと、融点又は溶解速度を改変する他の適合性する材料との混合物を含む。
【0129】
好ましい実施態様において、本発明の医薬的組成物は非経口又は経口投与に適する。
【0130】
本発明の医薬的組成物を、投与後実質的に直ぐに又は投与後の任意の所定の時間もしくは期間に活性薬物を放出するように製剤化してもよい。
【0131】
本発明の医薬的組成物は、1つ又は複数の化学療法薬剤及び、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる1つ又は複数の化合物を、医薬的に許容可能な賦形剤及び/又は担体と併せて含むことができる。これらの賦形剤及び/又は担体は、上に記載する通りに、投与形態に従って選ばれる。
【0132】
本発明は、また、化学療法薬剤及び非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物を、癌の処置における、特に非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象における同時、別々、又は連続使用のための組み合わせ調製物として含む産物に関する。
【0133】
化学療法薬剤及び非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物の量を、当業者により周知である標準的手順により決定しなければならない。患者の生理学的データ(例、年齢、サイズ、及び体重)及び投与経路を考慮に入れて、適切な投与量を決定しなければならない。
【0134】
好ましい実施態様において、医薬的組成物は、治療的有効量の化学療法薬剤及び非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる治療的有効量の化合物を含む。
【0135】
治療的有効量を決定するための適した手段及び測定は、当業者に利用可能である。
【0136】
本発明は、さらに、特に非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において、化学療法薬剤又は放射線療法の処置と組み合わせた癌の処置における使用のための非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物を提供する。
【0137】
この化合物を、上に記載する通りに、本発明のスクリーニング方法に従ってスクリーニングしてもよい。
【0138】
特定の実施態様において、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物は、IL−1β;IL−12;ナチュラルキラー細胞及びナチュラルキラーT細胞アクチベーター、例えばCD1dアゴニスト、IL−15、IL−2、又はIFNαなど;P2X7受容体アクチベーター、例えばカテリシジン由来ペプチドLL37、ポリミキシンB、STAT3阻害剤、抗CTLA4抗体、抗PD−1抗体、TGFb阻害ペプチド、IL−10阻害ペプチド、抗IL−10モノクローナル抗体、抗IL−13モノクローナル抗体、抗PDL−1モノクローナル抗体、及びIL−33などからなる群より選択される。抗体は中和又は遮断しうる。分子は、好ましくは、それらの活性形態(例えばIL−1βについてはIL−1β p17及びIL−12についてはIL−12 p70など)で提供される。
【0139】
好ましい実施態様において、この化合物は組換えIL−1βである。
【0140】
別の局面において、本発明は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において癌を処置するための医薬の製造のための、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物に関する。この化合物は、上に記載する通りに、本発明の方法によりスクリーニングされうる。
【0141】
特定の実施態様において、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物は、IL−1β;IL−12;ナチュラルキラー細胞及びナチュラルキラーT細胞アクチベーター、例えばCD1dアゴニスト、IL−15、IL−2、又はIFNαなど;P2X7受容体アクチベーター、例えばカテリシジン由来ペプチドLL37、ポリミキシンB、STAT3阻害剤、抗CTLA4抗体、抗PD−1抗体、TGFb阻害ペプチド、IL−10阻害ペプチド、抗IL−10モノクローナル抗体、抗IL−13モノクローナル抗体、抗PDL−1モノクローナル抗体、及びIL−33などからなる群より選択される。抗体は中和又は遮断しうる。分子は、好ましくは、それらの活性形態(例えばIL−1βについてはIL−1β p17及びIL−12についてはIL−12 p70など)で提供される。
【0142】
好ましい実施態様において、この化合物は組換えIL−1βである。
【0143】
本発明は、また、癌を患い、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において化学療法又は放射線療法の処置の効力を増加させるための方法に関し、前記方法は、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる治療的有効量の化合物との組み合わせで化学療法又は放射線療法の処置を施すことを含む。
【0144】
非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物、及び化学療法又は放射線療法の処置を同時に、別々に、又は連続的に施してもよい。
【0145】
特定の実施態様において、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物は、IL−1β;IL−12;ナチュラルキラー細胞及びナチュラルキラーT細胞アクチベーター、例えばCD1dアゴニスト、IL−15、IL−2、又はIFNαなど;P2X7受容体アクチベーター、例えばカテリシジン由来ペプチドLL37、ポリミキシンB、STAT3阻害剤、抗CTLA4抗体、抗PD−1抗体、TGFb阻害ペプチド、IL−10阻害ペプチド、抗IL−10モノクローナル抗体、抗IL−13モノクローナル抗体、抗PDL−1モノクローナル抗体、及びIL−33などからなる群より選択される。抗体は中和又は遮断しうる。分子は、好ましくは、それらの活性形態(例えばIL−1βについてはIL−1β p17及びIL−12についてはIL−12 p70など)で提供される。
【0146】
好ましくは、この化合物は組換えIL−1βである。
【0147】
好ましい実施態様において、前記方法は、アントラサイクリン、オキサリプラチン、シスプラチン、及びX線からなる群より選択される抗癌処置を、組換えIL−1βとの組み合わせで施すことを含む。
【0148】
本発明は、さらに、癌を患い、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象を処置するための方法を提供し、前記方法は、化学療法又は放射線療法の処置を、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物との組み合わせで施すことを含む。
【0149】
化合物及び抗癌処置、化学療法又は放射線療法は、同時に、別々に、又は連続的に施されうる。好ましくは、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物は、化学療法又は放射線療法の処置と同じ日に、そしてこの処置後の数日間(例、約2、3、4日、又は1週間)施される。このプロトコールは、処置の各サイクルで繰り返される。
【0150】
特定の実施態様において、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物は、IL−1β;IL−12;ナチュラルキラー細胞及びナチュラルキラーT細胞アクチベーター、例えばCD1dアゴニスト、IL−15、IL−2、又はIFNαなど;P2X7受容体アクチベーター、例えばカテリシジン由来ペプチドLL37、ポリミキシンB、STAT3阻害剤、抗CTLA4抗体、抗PD−1抗体、TGFb阻害ペプチド、IL−10阻害ペプチド、抗IL−10モノクローナル抗体、抗IL−13モノクローナル抗体、抗PDL−1モノクローナル抗体、及びIL−33などからなる群より選択される。抗体は中和又は遮断しうる。分子は、好ましくは、それらの活性形態(例えばIL−1βについてはIL−1β p17及びIL−12についてはIL−12 p70など)で提供される。好ましくは、この化合物は組換えIL−1βである。
【0151】
好ましい実施態様において、方法は、アントラサイクリン、オキサリプラチン、シスプラチン、及びX線からなる群より選択される抗癌処置を、組換えIL−1βとの組み合わせで施すことを含む。
【0152】
以下の実施例は、例示の目的のために与えられ、限定のためではない。
【0153】
実施例
材料及び方法
マウス系統
BALB/c(H−2d)、C57BL/6(H−2b)、nu/nu、及びRag2−/−C57BL/6マウスをCentre d'elevage Janvier(Le Genest St Isle, France)から及びCharles River Laboratories(L'Arbresle, France)から、ならびにTaconic(Denmark)から得た。
【0154】
C57BL/6 Ifnγr1−/−、Casp1−/−、Asc−/−、NALP3−/−、P2X7−/−、及びIL−12Rβ2−/−マウスは、Huang et al, 1993;Li et al., 1995;Srinivasula et al., 2002;Kanneganti et al., 2006;Solle et al., 2001;及びWu et al., 2000にそれぞれ記載された。マウスを無菌条件において飼育した。6〜20週齢の動物を使用した。全ての動物を、FELASAガイドライン及びAnimal Experimental Ethics Committee Guidelines(Val de Marne, France)に従って維持した。
【0155】
試薬及び材料
細胞死を、ドキソルビシン、ミトキサントロン(Sigma Aldrich, St Quentin Fallavier, France)、又はオキサリプラチン(Sanofi-Aventis, France)のいずれかを用いて誘導した。オボアルブミンタンパク質をCalbiochem(Darmstadt, Germany)から、イオノマイシン、ホルボール12ミリステート13アセテート(PMA)、アンチマイシンA、2−デオキシグルコース、ATP、及び酸化ATP(OxiATP)をSigma Aldrichから購入した。組換えヒトHMGB1、マウスIL−1β、IL−6、IL−12及びTNFα、ならびに抗IL−1β中和抗体をR&D Systems(Lille, France)から得た。一部の実験において、HMGB1活性を、Huan Yang(Lexington, MA)(Huston et al., 2008)により提供された抗HMGB1抗体を用いて中和した。IL−1Ra、Kineret Anakinra(Amgen)が、厚意で、CNRS(Orleans, France)により及びCochin University Hospital(Paris, France)(Fleischmann et al., 2004)により提供された。モノクローナル蛍光色素結合抗マウスCD3、CD4、CD8、IFNγ、CD11c、I−Ab、CD40、CD80、CD86、コントロールアイソタイプ抗体、Cytofix/Cytoperm、ブレフェルジンA、及びQuantikine ELISAキット(IFNγ、IL−12p40、及びIL−10用)をBD Pharmingen(Le Pont de Claix, France)から購入した。IL−1β ELISAキットをClinisciences(Montrouge, France)から購入した。IL−17及びIL−4 ELISAキットをOzyme(Paris, France)から購入した。IL−13 ELISAキットをPeprotech(Neuilly sur-Seine, France)から購入した。免疫蛍光顕微鏡検査法用のウサギ抗カスパーゼ1 p20ポリクローナル抗体をSanta Cruz Biotechnology(Santa Cruz, USA)から得た。マウス抗CD11c Alexa Fluor 488をBiolegend(San Diego, USA)から購入した。SIINFEKL及びgp100(KVPRNQDWL)ペプチドをEurogentec(Seraing, Belgium)から得た。CpG ODN 28が、厚意で、Pitie Salpetriere University Hospital(Paris, France)(Carpentier et al., 2006)により提供された。ポリI:CをAmersham(Buckinghamshire, UK)から購入した。LPSをInvivogen(San Diego, CA)から得た。CD8+T細胞の枯渇のために、C57BL/6マウスを、0.3mg/マウスの精製IgGラット抗マウス抗CD8mAb(2.43ハイブリドーマから調製)を含む0.2mlのPBSを用いて腹腔内(i.p.)注射した。CD4+細胞の枯渇は、GK1.5ハイブリドーマから調製されたラット抗マウス抗CD4 mAb(0.2mg/マウス)を用いてマウスに腹腔内注射することにより達成した。NK細胞活性を除去するために、BALB/cマウスを、化学療法の開始から−3日後、0日後、及び3日後にWakoから購入した30μlの抗アシアロGM1抗体(Neuss, Germany;抗体力価1:1000)を用いて腹腔内注射した。
【0156】
腫瘍細胞株及び移植可能な腫瘍
CT26結腸癌細胞(BALB/cから)、EL4胸腺腫細胞(C57BL/6から)、EG7細胞(OVAトランスフェクトEL4細胞)、MCA205繊維肉腫細胞(C57BL/6から)、B16F10メラノーマ細胞(C57BL/6から)、TS/A乳腺腺癌細胞(BALB/cから)、及びTS/A−OVA細胞(OVAトランスフェクトTS/A細胞)を、10%FCS、ペニシリン、ストレプトマイシン、1mMピルビン酸、及び10mMHepesを添加したエンドトキシンフリーRPMI 1640培地中で、37℃で5%CO2下で培養した。マウス胎仔繊維芽細胞(MEF)及びOVAトランスフェクトMEFを、10%FCS、ペニシリン、ストレプトマイシン、1mMピルビン酸、及び10mMHepesを添加したエンドトキシンフリーDMEM培地中で培養した。B3ZクローンがKarttunen et al., 1992に記載された。
【0157】
骨髄由来DC及びT細胞ハイブリドーマアッセイ
骨髄由来樹状細胞(DC)を、ペニシリン(100U/ml Gibco)、ストレプトマイシン(100μg/ml Gibco)、L−グルタミン(Gibco)、2−メルカプトエタノール(50μM、Sigma)、10%の熱不活化され、ろ過されたエンドトキシンフリーFCS(Gibco)、及び30%のJ558上清が添加されたIscoves培地(Sigma Aldrich)中で、以前に記載された通りに(Lutz et al., 1999)増殖させた。DCを10〜12日目に使用した。この時、培養物内でのDCの割合は80%を上回った(CD11c及びMHCクラスII抗原の同時免疫蛍光検出により決定)。SIINFEKL特異的な、H−2Kb拘束性ハイブリドーマB3Z(2.104個細胞/ウェル、200μl培養培地を含む)を、生きた又はオキサリプラチン処置されたEG7細胞(オキサリプラチン処置から24時間後に使用した。1×104個細胞/ウェル)とWT又は機能喪失DC(1.104個細胞/ウェル)(Apetoh et al., 2007)の存在において培養した。上清を48時間後に回収し、IL−2分泌をELISAにより評価した。ポジティブコントロールとして、SIINFEKLペプチド(2μg/ml)を使用した。
【0158】
プライミングアッセイ
1.106個のCT26、EG7、又はB16F10細胞を、未処理のままで放置、又はドキソルビシン(20μM)もしくはオキサリプラチン(5μg/ml)を用いて24時間にわたり処理した。細胞を、次に、同系マウスの足蹠中に注射した。一部の実験において、20もしくは100μgのIL−1Ra(Anakinra)又は250ngの組換えマウスIL−1β(又は250ngのIL−6もしくは50ngのIL−12)を、死にかけている腫瘍細胞と共にマウスの足蹠に注射した。代わりに、DCを、EG7細胞と2時間にわたり同時培養し、その後磁気ビーズに結合された抗CD11c mAb(Miltenyi Biotec, Paris, France)を用いたCD11c+細胞の精製及び足蹠中へのこれらの精製DCの注射を行った。5日後に、膝窩リンパ節からの神経節細胞を回収し、96Uウェルプレート中に播種し(3.105個細胞/ウェル)、1mg/ml OVAタンパク質を用いて再刺激した。MCA205又はCT26細胞を用いた再刺激を、42℃で5分間の加温により殺された3×104個の腫瘍細胞を使用して実施し、その後液体窒素中での1サイクルの凍結/解凍を行った。B16F10について、再刺激を、以前に記載された通りに(Overwijk et al., 1998)、gp100ペプチドを使用して達成した。T細胞予備刺激のポジティブコントロールとして、マウスを、OVAタンパク質(1mg)(又はB16F10についてはgp100)及びCpG(10μg)とポリI:C(5μg)の会合を用いて注射した。CT26予備刺激実験のために、細胞ライセートとLPS(250ng)をポジティブコントロールとして使用した。上清を72時間後に回収し、IFNγ分泌をELISAにより評価した。代わりに、細胞を、PMA(10ng/ml)及びイオノマイシン(1μg/ml)を用いて1時間にわたり刺激し、ブレフェルジンA(10μg/ml、37℃で6時間にわたる)(Apetoh et al., 2007)の添加後、CD3、CD4、又はCD8に特異的なAbを用いた表面染色、固定、及び透過処理(Cytofix/cytopermキット)を行い、次にIFNγに特異的な抗体を用いて標識した。免疫蛍光を、LSRIIフローサイトメーター(BD Biosciences)でFACSDivaソフトウェアを用いて分析した。
【0159】
クロス−プライミングアッセイのために、3.105個のX線照射(10Gy)されたTS/A OVA細胞を、C57BL/6マウスの足蹠中に注射した。5日後に、膝窩リンパ節からの神経節細胞を回収し、96Uウェルプレート中に播種し(3.105個細胞/ウェル)、1mg/mlのOVAタンパク質又は2μg/mlのSIINFEKLペプチドを用いて再刺激した。上清を72時間後に回収し、IFNγ分泌をELISAにより評価した。マクロファージを用いた予備刺激アッセイのために、Casp1−/−マウスからの5×106個の腹腔マクロファージを未処理又はオキサリプラチン(5μg/ml)を用いて24時間にわたり処理した。細胞を次にマウスの足蹠中に注射した。5日後に、膝窩リンパ節からの神経節細胞を回収し、96Uウェルプレート中に播種し(3.105個細胞/ウェル)、1mg/mlのOVAタンパク質を用いて再刺激した。上清を72時間後に回収し、IFNγ分泌をELISAにより評価した。
【0160】
ATPアッセイ
1×105個のEG7又はCT26細胞をオキサリプラチン(5μg/ml)又はドキソルビシン(20μM)を用いてそれぞれ処理し、細胞内及び細胞外ATPを0、4、8、12、16、20、及び24時間目に測定した。簡単に述べると、上清を回収し、細胞外ATPを、ルシフェリンベースのENLITEN ATP Assay(Promega, Madison, USA)を使用して評価した。100μlのルシフェリン−ルシフェラーゼ溶液を上清に加え、発光を記録した。ルシフェリン−ルシフェラーゼ溶液の添加によって、ほぼ瞬間的に蛍光の放出が起こった。発光を、製造者の標準サンプルを使用することにより較正した。細胞内ATPを、市販のATP Assayキット(Calbiochem, Darmstadt, Germany)を使用して測定した。細胞を、1%トリクロロ酢酸を含む溶解溶液を用いて1分間にわたり処理した。ルシフェリン−ルシフェラーゼ溶液を次に加え、ATPを測定した。ATP枯渇のために、細胞を最初にオキサリプラチン又はドキソルビシンのいずれかを用いて24時間にわたり処理し、次にアンチマイシンA(2μg/ml)及び2−デオキシグルコース(30mM)を用いて20分間にわたりインキュベートし、ATPを、続いて、以前に記載された通りに(Holmsen et al., 1974)測定した。プレートをFluostarルミノメーター(BMG Labtech)で計測した。
【0161】
マウスにおいて樹立された腫瘍の化学療法及び放射線療法
野生型又は機能喪失C57BL/6マウスを、106個のEL4細胞を用いて右側腹部中に皮下注射した。代わりに、野生型BALB/cマウスを、5.105個のCT26細胞を用いて右側腹部中に注射した。マウスを、次に、各々4〜6匹のマウスの処置群に無作為に割り当てた。腫瘍表面を、キャリパーを使用してモニターした。腫瘍サイズがEL4について70〜90mm2(注射から9〜12日後)又はCT26について60〜80mm2(注射から8〜10日後)に達した際、マウスに化学療法を行った(Apetoh et al., 2007)。EL4腫瘍を持つマウスを、オキサリプラチン(5mg/kg i.p)を用いて注射し、CT26腫瘍を持つマウスを、ドキソルビシン(50μl、4mM i.t)を用いて注射した。一部の実験において、CT26腫瘍を持つマウスに、IL−1Ra(McIntyre et al., 1991)(100μg)、抗IL−1抗体(100μg)、又はハムスター血清(コントロールとして)の2回の注射(化学療法の処置の開始後0日目及び2日目)を行った。
【0162】
インビボでの予備刺激アッセイ
WT又はCasp1−/−マウスにおいて、106個のEG7細胞を用いて脚の大腿部に注射した。腫瘍サイズが70〜90mm2に達した際、マウスを、オキサリプラチン(5mg/kg体重i.p)を用いて処置した。5日後、鼠径リンパ節からの神経節細胞を回収し、1mg/mlのOVAタンパク質を用いて再刺激した。上清を72時間後に回収し、IFNγ分泌をELISAにより評価した。
【0163】
抗癌ワクチン接種
抗癌ワクチン接種を、以前に記載された設定を使用して評価した(Casares et al., 2005; Obeid et al., 2007)。CT26細胞を、PBS又は20μMドキソルビシンのいずれかを用いて、MCA205を、PBS又は1μMミトキサントロンのいずれかを用いて24時間にわたり培養した。全てのこれらの処理は、〜50%のアネキシンV+DAPI+細胞をもたらした(24時間目にFACS分析により評価)。注意深い洗浄後、細胞を無菌PBS中に再懸濁させた。CT26細胞を、アンチマイシンA及びデオキシグルコース(それぞれ2μg/ml及び30mM)の存在又は非存在において20分間にわたり、あるいはOxi−ATP(100mM)の存在又は非存在においてインキュベートした。3回の洗浄後、3×106個の死にかけているCT26細胞(又は3×105個のMCA205細胞)を、マウスの左側腹部中に皮下注射した。一部の実験において、100μgのIL−1Ra(Anakinra)を死にかけている細胞と共に注射した。7日後、マウスを、右の側腹部中に、5×105個の生きたCT26細胞(又は、代わりに、3.104個の生きたMCA205細胞)を用いて再曝露した。次に腫瘍成長を週1回モニターした。
【0164】
免疫蛍光
EG7細胞をPBS又はオキサリプラチンを用いて24時間にわたり培養し、次に、PBS、OxiATP(Lowe et al., 1982; Murgia et al., 1993)(100mM)、又はアンチマイシンA及びデオキシグルコース(それぞれ2μg/ml及び30mM、20分間)のいずれかを用いて処理した。腫瘍細胞を次に注意深く洗浄し、野生型又は機能喪失マウスから得られたBMDCを用いて24時間にわたり同時培養した。同時培養上清をELISAアッセイのために保持し、一方、DCを回収し、洗浄し、ポリリジンスライド上に30分間にわたり播種した。DCを次に固定し、BD Cytofix/cytoperm(Beckton Dickinson)を用いて、製造者の指示に従い透過処理した。細胞を、次に、免疫蛍光顕微鏡検査法のために、ウサギポリクローナルカスパーゼ1p20抗体(Santa Cruz Biotechnology, Inc, Santa Cruz, USA)、CD11c Alexa Fluor 488(Biolegend, San Diego, USA)、及びDAPIを用いて染色した。
【0165】
OT−1細胞のインビトロでの刺激
CD8+T細胞を、OT−1脾臓から、CD8+T Cell Isolation Kit(Miltenyi Biotec, Paris, France)を用いて精製した。これらの応答細胞(2×104個)を、生きている又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞(1×104個)を用いて負荷したWT又はCasp1欠損マウスからの骨髄由来DC(1×104個)と、コントロール又は抗IL−1β抗体(10μg/ml)の存在において、丸底96ウェルプレート中で同時培養した。代わりに、OT−1細胞及びBM−DCを、OVAタンパク質単独と又はCpG(10μg/ml)及びポリI:C(5μg/ml)とインキュベートした。上清を48時間後に回収し、IFNγについてELISAにより分析した。
【0166】
CD8+T細胞のインビトロでの刺激
二重陽性CD3+及びCD8+細胞を、マウス脾臓から、MoFloサイトフルオロメーター(Dako Colorado Inc)で細胞選別により単離し、これらの細胞を、種々の量のサイトカインを添加し、抗CD3ε mAb(1μg/ml)及び抗CD28 mAb(0.5μg/ml)を用いて事前にコーティングされた平底96ウェル培養プレート中でインキュベートした。上清を48時間後に回収し、IFNγについてELISAにより分析した。
【0167】
実験データの統計分析
実験データの分析のために、必要に応じて連続データの比較をマンホイットニーU検定により、カテゴリーデータの比較を、カイ二乗又はフィッシャー直接確率検定より達成した。ログランク検定を、カプラン・マイヤー生存曲線の分析のために使用した。統計的計算を、JMP 5.1ソフトウェア(SAS Institute, Cary, NC)を用いて実施した。全てのp値が両側であった。p値<0.05が、全ての実験について統計的に有意であると考えられた。
【0168】
臨床試験計画
本発明者らは、Institut Gustave Roussy及びCentre Rene Huguenin(France)から得られたデータを使用して患者データベースを遡及的に構築した。全ての患者が、試験における登録のための書面のインフォームドコンセントを提供し、同意が、地元の治験審査委員会「CCPPRB du Val de Marne」から得られた。適格患者は、組織学的に確認された腋窩リンパ節陽性の散発性乳癌を有した。患者が選択され、一次外科手術により処置された(外科手術手順及び地元のガイドラインに従った+/−放線治療)。全ての患者が、外科手術後にアジュバントアントラサイクリンベースの化学療法を受けた(FECプロトコール)。アジュバント設定におけるタキサンの性能は、除外基準ではなかった。診断時に転移の証拠を示す患者又は原発性腫瘍の不完全な外科切除を有する患者を試験から除外した。アジュバント内分泌療法が、ホルモン受容体陽性腫瘍を有する全ての患者に推奨された。診断時の年齢、病理学的な腫瘍サイズ、リンパ節の関与、腫瘍の悪性度、ホルモン受容体、内分泌処置、事象の発生、及び経過観察を、医学的ファイルから抽出し、データベースに記録した(下の表1)。試験の主要評価項目は、無転移生存(診断から転移の発生までの時間と定義される)であった。転移事象が依然としてなかった患者についてのデータを、10年目(フランスの推奨事項に従った最後の診察日)で打ち切った。なぜなら、10年後での真性再発が異例であったからである(Brewster et al., 2008)。患者データベースの生成及びゲノムDNAサンプルの回収後、遺伝子型決定及び統計分析を盲検様式で実施した。合計230人の患者が、参加基準を満たした。それらの内の5人をリンパ節転移陰性疾患のために除外した。カイ二乗検定を使用し、2つの遺伝子型群に対して臨床特徴の分布を比較した。生存率を、カプラン・マイヤー法を使用して推定した。単変量非階層化Coxモデルを次に使用した。単変量非階層化Cox分析によりフィルターされた有意なデータを使用し、多変量Coxモデルを生成した。全ての分析を、SASソフトウェア、バージョン8.2(SAS Institute Inc., Cary, NC)を使用して行った。
【0169】
【表1】
【0170】
また、本発明者らは、Institut Gustave Roussy(France)から得られたデータを使用して第2の患者データベースを遡及的に構築した。全ての患者が、ケースコントロール試験における登録のための書面のインフォームドコンセントを提供した。適格患者は、組織学的に確認された腋窩リンパ節陽性の散発性乳癌を有した。全ての患者が、外科手術(ネオアジュバント設定におけるFECプロトコール)前にアントラサイクリンベースの化学療法を受けた。この試験では、年齢、腫瘍の悪性度、及びホルモン受容体について一致させた。試験の主要評価項目は、病理学的な完全寛解(即ち、もはや腫瘍細胞なく、完全な回復)であった。患者データベースの生成及びゲノムDNAサンプルの回収後、遺伝子型決定及び統計分析を盲検様式で実施した。合計47人の患者が、参加基準を満たした。フィッシャー直接確率検定を使用し、2つの遺伝子型群に対して臨床特徴の分布を比較した。全ての分析を、SASソフトウェア、バージョン8.2(SAS Institute Inc., Cary, NC)を使用して行った。
【0171】
P2X7単一ヌクレオチド多型(SNP)の遺伝子型決定
DNAを、対象からの冷凍血液の白血球から単離した。PCRプライマー(Applied Biosystems)を使用し、P2X7 Glu496Ala SNP(rs3751143)を含むフラグメントを増幅した。PCR増幅後、遺伝子型を、2つの蛍光プローブ(FAM及びVIC)からのシグナルを比較し、各データポイントについて−log(FAM/VIC)比を計算することにより各対象に割り当てた。
【0172】
結果
本発明者らは、オキサリプラチンが、複数の細胞株(EL4胸腺腫及びEG7細胞(オボアルブミン(OVA)トランスフェクトEL4細胞である)を含む)からATPの放出を誘導することを観察した(図1a)。デオキシグルコースとアンチマイシンAを用いた短時間の処理によるATPの枯渇(図1b)、壊死を誘導しなかった処置(図2)によって、オキサリプラチン処理されたEG7細胞の免疫原性が無効になった。足蹠中への注射後、ATPを含む(ATPは枯渇していない)、オキサリプラチン処理されたEG7細胞が、膝窩リンパ節からのT細胞を予備刺激し、OVAを用いた再刺激に応答してIFNγを分泌した(図1c)。ATP(「oxiATP」)の2’,3’−ジアルデヒド誘導体を用いたプリン受容体の遮断によって、オキサリプラチン処理されたEG7細胞によるT細胞予備刺激が無効になり、しかし、OVAタンパク質とアジュバントにより引き起こされたT細胞予備刺激に影響を与えなかった(図1d)。同様の結果がCT26結腸癌細胞について得られ、それらはドキソルビシンに応答してATPを放出し、ATPが枯渇した場合又はプリン受容体が遮断された場合、抗癌ワクチンとして作用するそれらの潜在力を喪失した(図3)。オキサリプラチン処理されたEG7細胞は、それらがプリン受容体P2X7(ATPに対して最も高い親和性を有する)を欠くマウス中に接種された場合、IFNγ産生のためにT細胞を予備刺激しなかった(図4)。WTマウスからの(P2X7−/−からではない)骨髄由来DC(BM−DC)は、それらが死にかけているEG7細胞を用いて事前にインキュベートされ、次にP2X7−/−マウス中に接種された場合に、IFNγ産生のためにT細胞を予備刺激し(図1e)、それが、死にかけている腫瘍細胞からのATPを感知するDC(他の細胞型とは対照的に)上のP2X7であることを示す。
【0173】
P2X7受容体を介して、ATPは、カスパーゼ1のNALP3依存的なタンパク質分解活性化を誘導することができる。死にかけているEG7細胞とインキュベートされた単離WT BM−DC(P2X7−/−、Asc−/−、又はNALP3−/−DCではない)は、カスパーゼ1を活性化した(図5a、b)。DC内でのカスパーゼ1活性化は、IL−1βの分泌をもたらしたが(図5c)、IL−18は分泌されなかった(依然として検出不可能であった)。死にかけている腫瘍細胞を用いて刺激されたDCによるIL−12 p40サブユニットの分泌及びMHCクラスII抗原、CD40、CD80、又はCD86の表面発現は、P2X7、Nalp3、又はAscに非依存的であり(図6、7)、インフラマソームの活性化の障害は、DCに対する特異的な(広範囲ではなく)効果を有することを示す。したがって、死にかけているEG7細胞を用いて負荷されたNALP3−/−又はCasp1−/−DCは、WT DCと同じくらい効果的にOVA由来SIINFEKLペプチドをT細胞ハイブリドーマ細胞に提示した(図8)。WT DCとは対照的に、死にかけている腫瘍細胞を用いてパルスされたNALP3−/−又はCasp1−/−DCは、インビボでのIFNγ産生のためにT細胞を予備刺激できなかった(図9)。同系の死にかけている腫瘍細胞によるIFNγ産生のためのT細胞予備刺激は、NALP3−/−、Casp1−/−、又はIL−1R1−/−マウスにおいて抑制された(しかし、IL−12Rβ2−/−及びIL−18R−/−マウスにおいては正常であった)(図5d)。機能的P2X7/NALP3/Casp−1/IL−1R1軸の非存在によって、T細胞予備刺激はそれ自体無効にならなかったが、しかし、むしろ、異なるサイトカインパターンに向かった逸脱を起こし、今までに抗原特異的T細胞が正常にIL−13及びIL−10を産生したが(図10)、IFNγは産生しなかった(図5d)。
【0174】
同種(MHC不適合)系におけるMHCクラスI拘束性CD8+T細胞の交差予備刺激もカスパーゼ1に依存した。死にかけているOVA発現乳癌細胞(TS/A、H−2d)は、Casp1−/−マウスに注射された場合、OVA由来のH−2b拘束性SIINFEKLエピトープに特異的なCTLを予備刺激できなかった(図5e)。同様に、細胞関連OVA(Kbタンパク質の膜貫通ドメインに融合)を発現する死にかけているマウス胎仔繊維芽細胞(MEF)は、WTに注射された場合、IFNγ産生のためにT細胞を予備刺激したが、Casp1−/−マウスではしなかった(図11a、b)。Casp−1欠損によって、また、オキサリプラチン処理されたOVA負荷腹腔マクロファージ(図11c)及びオキサリプラチン処理されたB16F10メラノーマ細胞(図12)によるT細胞予備刺激が損なわれた。ミトキサントロン処理されたMCA205繊維肉腫細胞は、免疫応答を誘発し、それはWTマウスにおいて生きた腫瘍細胞の成長を防止したが、しかし、P2X7−/−、NALP3−/−、又はCasp1−/−マウスにおいてはしなかった(図13)。死にかけているCT26細胞は、自己CT26ライセートに応答したIFNγ産生のためにT細胞を予備刺激した(しかし、異なる腫瘍からのコントロールライセートではしなかった)。この腫瘍特異的な応答は、組換えIL−1受容体アンタゴニスト(IL−1Ra)の注射により無効になった(図14)。これらの結果によって、NALP3インフラマソーム依存的なIL1β産生が、IFNγ産生へのCTL極性化/予備刺激の重要な要素として特定される。
【0175】
WT DCは、T細胞においてIL−1R媒介シグナルを伝達するために不可欠であるアダプター分子MyD88を欠損した宿主においてT細胞を活性化できず(図15a)、IL−1βシグナル伝達が宿主細胞にとって重要であることを示す(OVA提示DCのレベルだけではなく)。T細胞予備刺激に対するIL−1βの寄与を直接的に評価するために、本発明者らはインビトロでのアッセイを実施し、それにおいてWT又はCasp1−/− BM−DCを、死にかけている腫瘍細胞を用いてパルスし、次にIL−1Ra又はIL−1β中和抗体の存在において天然T細胞と同時培養し、その後分泌されたIFNγの検出を行った。Casp1−/−マウスからのH−2b発現DCを、死にかけているEG7細胞を用いてパルスした場合、それらは、H−2bクラスI分子により提示されるOVA由来SIINFEKLペプチドを認識するトランスジェニックTCRを発現するOT−1マウスからの天然T細胞を予備刺激できなかった(図15b)。同様の条件において、WT DCはOVA特異的OT−1細胞を刺激し、IFNγを産生する(IL−1β特異的抗体を系に加えない場合)。外因性IL−1β又はrIL−12は、インビトロでCasp1−/− DCの予備刺激能力を回復した(図15b)。注目すべきは、WT及びCasp1−/− DCは、同様の効力でOT−1活性化を促進した(それらが、死にかけているOVA発現細胞の代わりに、可溶性OVAタンパク質とアジュバントを用いてパルスされた場合)(挿入図、図15b)。CD8+T細胞に対するIL−1βの直接効果を実証するために、本発明者らは、IL−1βの非存在又は存在において、CD3+とCD28を架橋することにより、CD3+CD8+脾臓T細胞を準最適に刺激した。天然CTLはIFNγを産生できなかった(IL−1β(又はポジティブコントロールとしてのIL−12、しかしネガティブコントロールとしてのTNFα又はIL−6ではない)を加えなかった場合)。
【0176】
オキサリプラチン処理されたEG7細胞は、インビボでT細胞を予備刺激できなかった(それらを足蹠中にIL−Raと同時注射した場合)。これらの条件において、流入領域リンパ節からのT細胞は、OVAを用いた再刺激後に、インビトロでIFNγを分泌できなかった(図15d)。より具体的には、CD3+CD8+Tリンパ球は、細胞質IFNγについて陽性染色されなかった(図16)。反対に、組換えIL−1βタンパク質(又はIL−12、しかしIL−6ではない)とオキサリプラチン処理されたEG7細胞との局所注射は、NALP3−/−又はCasp1−/−マウスにおける欠損したT細胞予備刺激を回復させた(図15e)。このように、IL−1βは、癌細胞死のNALP3依存的な免疫原性を決定するサイトカインである。
【0177】
オキサリプラチンは、免疫正常WTマウスにおけるEL4腫瘍成長を制御する際に効果的である。オキサリプラチンは、T及びB細胞欠損rag−2-/-マウス、T細胞欠損nu/nuマウス、CD8+T細胞が枯渇しているマウス(図17a)、及びIfnγR1-/-マウスにおいて樹立された腫瘍に対する治療効力を喪失していたが、しかし、WT及びIL−12Rβ2-/-マウスにおいては依然として効果的であった(図17b)。同様に、P2X7-/-、NALP3−/−、又はCasp1−/−マウスに移植されたEL4腫瘍は、WTコントロールにおいて成長している腫瘍ほどオキサリプラチンに効果的に応答しなかった(図17c)。IL−1Ra又は抗IL−1βは、また、インビボでのオキサリプラチンに対するEL4腫瘍の応答(示さず)及びアントラサイクリンに対するCT26腫瘍の応答を鈍くした(図17d)。全てのこれらのモデルにおいて、ならびに、アントラサイクリンを用いて処置された非転移性乳癌患者において、TLR4の欠損又は機能喪失対立遺伝子によって化学療法の効力が損なわれることから、免疫系が化学療法の応答に寄与していることが裏付けられる。本発明者らは、従って、P2X7に影響を与える機能喪失対立遺伝子(Glu496Ala)(ATPについてのその親和性ひいてはATP誘導性IL−1β放出を低下させる)が、アントラサイクリン処置された乳癌患者において治療の失敗を加速させうるか否かを追求した(上の表1)。P2X7機能喪失対立遺伝子は、診断後10年以内に転移再発の確率を増大させ(Glu496Ala対立遺伝子を保有する患者の52%対正常対立遺伝子を有する患者の36%;カイ2乗分析によるp=0.02)、無転移生存に対する有意にネガティブな予後影響を示し(ログランク検定;p=0.02)、ハザード比は1.6であった(95%信頼区間1.1−2.4;単変量Cox比例ハザード分析においてp=0.02)(図17e)。第2の試験において、本発明者らは、外科手術(ネオアジュバント治療)前にアントラサイクリンベースの化学療法を有する乳癌患者の集団において、病理学的な完全寛解の割合が、P2X7機能喪失対立遺伝子を提示しない集団では、P2X7機能喪失対立遺伝子を有する集団よりも高いことを観察した(Glu496Ala対立遺伝子を保有する患者の23%対正常対立遺伝子を有する患者の56%;カイ2乗分析によるp=0.05)(図18A及びB)。したがって、P2X7機能喪失対立遺伝子は、病理学的な完全寛解に対して有意なネガティブな予後影響を有する。これらの結果は、P2X7/インフラマソーム経路が臨床的関連性を示すことを裏付ける。
【0178】
本結果によって、癌細胞死が免疫原性であるために要求される新たなシグナル、即ち、ATPの放出が特定される。細胞外ATPは、重度の組織損傷(心筋梗塞と肝毒性損傷を含む)において強力な炎症性効果を媒介することが以前に示されている。本データは以下のシナリオに適合する:ATPがDC上のP2X7受容体を活性化し、それによりNALP3/ASC/Casp−1インフラマソームの連続凝集、カスパーゼ1のタンパク質分解的な成熟/活性化、及びIL−1βの成熟/分泌が刺激される。IL−1βが、次に、IFNγを産生する腫瘍抗原特異的CD8+Tリンパ球の予備刺激に関与する。この線形カスケードにおける個々の段階のいずれかを実行できなければ、死にかけている腫瘍細胞に対する免疫応答が損なわれ、ひいては抗癌化学療法の治療効力が低下しうる。
【0179】
抗癌処置に対する対象の感受性を、死にかけている腫瘍細胞の存在におけるその樹状細胞のIL−1β分泌能力を測定することにより評価するためのプロトコールの例
MD−DCを得て、濃度2.106/mlで、6ウェルプレートで、GM−CSF(800IU/ml)及びIFNアルファ(1000IU/ml)と一緒にAIMV培地中で2日間にわたり培養した。HCT116細胞を、オキサリプラチン(10μg/ml)を用いて16時間にわたり処理した。死にかけているHCT116を次に回収し、MDDCと比率1:1で、96ウェルプレート中で20時間にわたり同時培養した。ポジティブコントロールとして、DCを、LPS(5ng/ml)と20時間にわたり、及びATP(2mM)と最後に15分間インキュベートした。ネガティブコントロールとして、DCを、単独で、又は生きた腫瘍細胞とインキュベートした。20時間後、上清を回収し、IL−1βを、異なる条件においてELISAアッセイを使用して評価した。
【0180】
【表2】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、遺伝学、免疫学、及び医薬の分野に関する。本発明者らは、特に、癌の処置に対する対象の感受性を予測又は評価するために使用される経路の同定を開示する。この経路は、また、治療的に活性な薬物のスクリーニングのために、及び感受性を回復させるために使用することができる。
【0002】
発明の背景
癌は、細胞分裂の制御が失われた場合に生じ、DNA修復経路の障害、癌遺伝子への正常遺伝子の形質転換、又は腫瘍抑制遺伝子の機能障害に起因する。
【0003】
外科手術と共に、化学療法及び放射線療法を、多くの型の癌を処置するために使用する。多種多様の化学療法薬剤(種々の機構で関与する)が開発されており、癌患者の生存は、多くの型の癌について大幅に改善されてきた。しかし、癌処置において、同じ組織像を有する個々の対象が、所与の薬剤又は所与の治療プロトコールに同様の反応を示さないという最も重要な問題の1つが残る。
【0004】
最近まで、癌疾患における免疫系の役割は、その腫瘍促進性局面について考えられただけであった。しかし、放射線療法及び一部の化学療法薬剤も特定の免疫応答を誘導し、免疫原性の癌細胞死又は免疫賦活性の副作用を招きうる(Koebel et al., 2007; Zitvogel et al., 2008)。免疫応答に対する抗癌治療の影響は、異なる機構を含みうる:(i)免疫抑制細胞、例えば調節性T細胞(Treg)(例、シクロホスファミド)又は骨髄系抑制細胞(例、ゲムシタビン、ATRA)などの除去、(ii)免疫エフェクターの活性化(例、メシル酸イマチニブ、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤)、及び(iii)免疫原性癌細胞死の誘導(例、アントラサイクリン、オキサリプラチン、及びX線)。
【0005】
処置が免疫原性癌細胞死を誘導する薬剤を含む場合、効率的な応答は、死にかけている癌細胞から抗原を提示し、腫瘍特異的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)をプライムする樹状細胞(DC)の能力に依存する。CTL応答を高めるために、DCは、ストレスを受けた又は死にかけている細胞から抗原を取り込み、成熟段階において抗原プロセシングの能力を獲得し、特定CTLの分化/活性化を刺激する共刺激シグナル及びサイトカインに関連してMHC分子に結合した抗原ペプチドを提示しなければならない(Figdor et al., 2004; Steinman et al., 2007)。樹状細胞による処理された腫瘍細胞の食作用は、腫瘍細胞表面へのカルレチクリンのアポトーシス前転位により促進される(Obeid et al., 2007)。腫瘍抗原特異的なT細胞免疫の活性化は、死にかけている腫瘍細胞による高移動度群ボックス1アラーミンタンパク質(HMGB1)の分泌及び樹状細胞により発現されるToll様受容体4(TLR4)上でのこのタンパク質の作用を含む(Apetoh et al., 2007)。これらの観察に基づき、異常なTLR4タンパク質の発現又は活性が、以前に、抗癌処置に対する耐性を示していると記載された(WO 08/009693)。
【0006】
アントラサイクリン、オキサリプラチン、及びX線は、抗癌処置の大半の基礎となるため、これらの処置に対する低下した応答の予測は、患者管理のために必須である。さらに、抗癌処置の大半が重度の副作用を起こすだけでなく、一般的に、患者を身体的に消耗させ、しばしば、高コストとなることを考えると、適切な化学療法及び/又は放射線療法プロトコールの選択が極めて重要である。結果的に、特定の処置の実際の開始前に処置に対する患者の応答を予測するための方法が強く求められている。この予測に基づいて、治療プロトコールを次にこの患者のために適応することができる。
【0007】
発明の概要
驚くべきことに、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路が、抗癌処置に対する対象の応答ひいてはそのような処置に対する前記対象の感受性に関与することが本発明者らにより、見いだされてきた。
【0008】
したがって、第1の局面において、本発明は、癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する対象の感受性を評価するインビトロでの方法に関し、前記方法は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的経路は前記処置に対する耐性を示す。
【0009】
第2の局面において、本発明は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する感受性を増加又は回復するために有用である化合物をスクリーニングするためのインビトロでの方法に関し、前記方法は、前記対象において死にかけている腫瘍細胞の存在における樹状細胞によるIL−1β分泌を誘導又は増加する試験化合物の能力を決定することを含む。
【0010】
さらなる局面において、本発明は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において癌を処置するために有用である化合物をスクリーニングするためのインビトロでの方法に関し、前記方法は、前記対象において死にかけている腫瘍細胞の存在における樹状細胞によるIL−1β分泌を誘導又は増加する試験化合物の能力を決定することを含む。
【0011】
別の局面において、本発明は、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する感受性を増加又は回復するために有用である化合物をスクリーニングするための方法に関し、前記方法は、(i)非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有し、腫瘍を接種した非ヒトトランスジェニック動物に対して癌の化学療法又は放射線療法の処置と組み合わせて試験化合物を投与すること、及び(ii)前記処置に対する前記動物の感受性を評価することを含む。
【0012】
別の局面において、本発明は、対象において癌再発の可能性を決定するためのインビトロでの方法に関し、前記方法は、前記対象においてP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的経路は、癌再発の可能性の増加を示す。好ましくは、癌再発は転移再発である。あるいは、癌再発は原発腫瘍の再発である。好ましくは、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、前記経路に関与する遺伝子の機能喪失突然変異の検出により評価され、前記突然変異の存在は非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す。特に、突然変異は、rs28360457、rs1653624、rs3751143、rs2230911、及びrs501192からなる群より選択されるSNPであり、好ましくSNP rs3751143である。
【0013】
別の局面において、本発明は、それを必要とする対象のために適した化学療法又は放射線療法の処置を選択するためのインビトロでの方法に関し、前記方法は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的経路は、免疫原性腫瘍細胞死を誘導する抗癌処置についての禁忌と考えられている。
【0014】
さらなる局面において、本発明は、化学療法薬剤及びP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物を含む医薬的組成物に関する。
【0015】
別の局面において、本発明は、化学療法薬剤及びP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物を、癌の処置における同時、別々、又は連続使用のための組み合わせ調製物として含む産物に関する。
【0016】
別の局面において、本発明は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において、化学療法薬剤又は放射線療法の処置と組み合わせた癌の処置における使用のためのP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物に関する。
【0017】
別の局面において、本発明は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において、癌を処置するための医薬の製造のためのP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物の使用に関する。
【0018】
本発明は、また、癌を患い、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象における化学療法又は放射線療法の処置の効力を増加させるための方法に関し、前記方法は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる治療的有効量の化合物と組み合わせて化学療法又は放射線療法の処置を施すことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1a】死にかけている腫瘍細胞によるATP放出は、細胞死の免疫原性を指示する。図1a:化学療法への腫瘍細胞の暴露後の細胞外空間におけるATPの蓄積。EG7を、オキサリプラチンを用いて処理し、上清中へのATP放出をモニターした。図1b:アンチマイシンA及びデオキシグルコースを使用したオキサリプラチン処理時での細胞内ATPの減少及び細胞内プールのATPの枯渇。EG7をオキサリプラチンを用いて24時間にわたり処理し、続いてアンチマイシンA及びデオキシグルコース(A/D)を用いて20分間処理した。3つの内の1つの代表的な実験でのデータ(3通りでの平均±SEM)を示す。図1c:ATPが枯渇した死にかけている腫瘍細胞でのOVA特異的免疫応答誘発の不全。生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞をC57Bl/6マウスの足蹠中に注射した。5日後、膝窩リンパ節細胞を回収し、IFNγ分泌の定量化前に72時間にわたりOVAホロタンパク質を用いて再刺激した。ATP枯渇又は非枯渇EG7を用いて免疫化されたマウスの間でのIFNγ分泌のレベルを、3つの独立した実験において比較した。図1d:酸化ATP(oxiATP)を用いたプリン受容体の阻害によって、オキサリプラチン処理されたEG7細胞によるT細胞のプライミングが無効になる。オキサリプラチン処理されたEG7細胞を、oxiATPと混合し又は混合せず、C57Bl/6マウスの足蹠中に注射し、OVA特異的免疫応答をcの通りに検討し、oxiATPの存在又は非存在においてTLR3/9リガンド(ポリI:C+CpG(C/P))と共に注射されたOVAタンパク質を用いて達成されたものと比較した。図1e:死にかけている腫瘍細胞に対する免疫応答を媒介するためのDC上でのP2X7発現の要件。WT又はP2X7−/−マウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にP2X7−/−レシピエントの足蹠中に注射した。5日後、局所免疫応答を(a)の通りに測定した。実験は3〜4匹マウス/群を含み、3回繰り返し、同様の結果を得た(*p<0.05)。図1f:ATP枯渇の前又は後でのオキサリプラチン処理されたEG7の表現型。オキサリプラチンを用いて20時間にわたり処理され、洗浄され、アンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間インキュベートされ(図1bを参照のこと)、ヨウ化プロピジウム及びアネキシンV−FITCを用いて染色されたEG7腫瘍細胞でのフローサイトメトリー分析。
【図1b】死にかけている腫瘍細胞によるATP放出は、細胞死の免疫原性を指示する。図1a:化学療法への腫瘍細胞の暴露後の細胞外空間におけるATPの蓄積。EG7を、オキサリプラチンを用いて処理し、上清中へのATP放出をモニターした。図1b:アンチマイシンA及びデオキシグルコースを使用したオキサリプラチン処理時での細胞内ATPの減少及び細胞内プールのATPの枯渇。EG7をオキサリプラチンを用いて24時間にわたり処理し、続いてアンチマイシンA及びデオキシグルコース(A/D)を用いて20分間処理した。3つの内の1つの代表的な実験でのデータ(3通りでの平均±SEM)を示す。図1c:ATPが枯渇した死にかけている腫瘍細胞でのOVA特異的免疫応答誘発の不全。生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞をC57Bl/6マウスの足蹠中に注射した。5日後、膝窩リンパ節細胞を回収し、IFNγ分泌の定量化前に72時間にわたりOVAホロタンパク質を用いて再刺激した。ATP枯渇又は非枯渇EG7を用いて免疫化されたマウスの間でのIFNγ分泌のレベルを、3つの独立した実験において比較した。図1d:酸化ATP(oxiATP)を用いたプリン受容体の阻害によって、オキサリプラチン処理されたEG7細胞によるT細胞のプライミングが無効になる。オキサリプラチン処理されたEG7細胞を、oxiATPと混合し又は混合せず、C57Bl/6マウスの足蹠中に注射し、OVA特異的免疫応答をcの通りに検討し、oxiATPの存在又は非存在においてTLR3/9リガンド(ポリI:C+CpG(C/P))と共に注射されたOVAタンパク質を用いて達成されたものと比較した。図1e:死にかけている腫瘍細胞に対する免疫応答を媒介するためのDC上でのP2X7発現の要件。WT又はP2X7−/−マウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にP2X7−/−レシピエントの足蹠中に注射した。5日後、局所免疫応答を(a)の通りに測定した。実験は3〜4匹マウス/群を含み、3回繰り返し、同様の結果を得た(*p<0.05)。図1f:ATP枯渇の前又は後でのオキサリプラチン処理されたEG7の表現型。オキサリプラチンを用いて20時間にわたり処理され、洗浄され、アンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間インキュベートされ(図1bを参照のこと)、ヨウ化プロピジウム及びアネキシンV−FITCを用いて染色されたEG7腫瘍細胞でのフローサイトメトリー分析。
【図1c】死にかけている腫瘍細胞によるATP放出は、細胞死の免疫原性を指示する。図1a:化学療法への腫瘍細胞の暴露後の細胞外空間におけるATPの蓄積。EG7を、オキサリプラチンを用いて処理し、上清中へのATP放出をモニターした。図1b:アンチマイシンA及びデオキシグルコースを使用したオキサリプラチン処理時での細胞内ATPの減少及び細胞内プールのATPの枯渇。EG7を、オキサリプラチンを用いて24時間にわたり処理し、続いてアンチマイシンA及びデオキシグルコース(A/D)を用いて20分間処理した。3つの内の1つの代表的な実験でのデータ(3通りでの平均±SEM)を示す。図1c:ATPが枯渇した死にかけている腫瘍細胞でのOVA特異的免疫応答誘発の不全。生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞をC57Bl/6マウスの足蹠中に注射した。5日後、膝窩リンパ節細胞を回収し、IFNγ分泌の定量化前に72時間にわたりOVAホロタンパク質を用いて再刺激した。ATP枯渇又は非枯渇EG7を用いて免疫化されたマウスの間でのIFNγ分泌のレベルを、3つの独立した実験において比較した。図1d:酸化ATP(oxiATP)を用いたプリン受容体の阻害によって、オキサリプラチン処理されたEG7細胞によるT細胞のプライミングが無効になる。オキサリプラチン処理されたEG7細胞を、oxiATPと混合し又は混合せず、C57Bl/6マウスの足蹠中に注射し、OVA特異的免疫応答をcの通りに検討し、oxiATPの存在又は非存在においてTLR3/9リガンド(ポリI:C+CpG(C/P))と共に注射されたOVAタンパク質を用いて達成されたものと比較した。図1e:死にかけている腫瘍細胞に対する免疫応答を媒介するためのDC上でのP2X7発現の要件。WT又はP2X7−/−マウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にP2X7−/−レシピエントの足蹠中に注射した。5日後、局所免疫応答を(a)の通りに測定した。実験は3〜4匹マウス/群を含み、3回繰り返し、同様の結果を得た(*p<0.05)。図1f:ATP枯渇の前又は後でのオキサリプラチン処理されたEG7の表現型。オキサリプラチンを用いて20時間にわたり処理され、洗浄され、アンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間インキュベートされ(図1bを参照のこと)、ヨウ化プロピジウム及びアネキシンV−FITCを用いて染色されたEG7腫瘍細胞でのフローサイトメトリー分析。
【図1d】死にかけている腫瘍細胞によるATP放出は、細胞死の免疫原性を指示する。図1a:化学療法への腫瘍細胞の暴露後の細胞外空間におけるATPの蓄積。EG7を、オキサリプラチンを用いて処理し、上清中へのATP放出をモニターした。図1b:アンチマイシンA及びデオキシグルコースを使用したオキサリプラチン処理時での細胞内ATPの減少及び細胞内プールのATPの枯渇。EG7を、オキサリプラチンを用いて24時間にわたり処理し、続いてアンチマイシンA及びデオキシグルコース(A/D)を用いて20分間処理した。3つの内の1つの代表的な実験でのデータ(3通りでの平均±SEM)を示す。図1c:ATPが枯渇した死にかけている腫瘍細胞でのOVA特異的免疫応答誘発の不全。生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞をC57Bl/6マウスの足蹠中に注射した。5日後、膝窩リンパ節細胞を回収し、IFNγ分泌の定量化前に72時間にわたりOVAホロタンパク質を用いて再刺激した。ATP枯渇又は非枯渇EG7を用いて免疫化されたマウスの間でのIFNγ分泌のレベルを、3つの独立した実験において比較した。図1d:酸化ATP(oxiATP)を用いたプリン受容体の阻害によって、オキサリプラチン処理されたEG7細胞によるT細胞のプライミングが無効になる。オキサリプラチン処理されたEG7細胞を、oxiATPと混合し又は混合せず、C57Bl/6マウスの足蹠中に注射し、OVA特異的免疫応答をcの通りに検討し、oxiATPの存在又は非存在においてTLR3/9リガンド(ポリI:C+CpG(C/P))と共に注射されたOVAタンパク質を用いて達成されたものと比較した。図1e:死にかけている腫瘍細胞に対する免疫応答を媒介するためのDC上でのP2X7発現の要件。WT又はP2X7−/−マウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にP2X7−/−レシピエントの足蹠中に注射した。5日後、局所免疫応答を(a)の通りに測定した。実験は3〜4匹マウス/群を含み、3回繰り返し、同様の結果を得た(*p<0.05)。図1f:ATP枯渇の前又は後でのオキサリプラチン処理されたEG7の表現型。オキサリプラチンを用いて20時間にわたり処理され、洗浄され、アンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間インキュベートされ(図1bを参照のこと)、ヨウ化プロピジウム及びアネキシンV−FITCを用いて染色されたEG7腫瘍細胞でのフローサイトメトリー分析。
【図1e】死にかけている腫瘍細胞によるATP放出は、細胞死の免疫原性を指示する。図1a:化学療法への腫瘍細胞の暴露後の細胞外空間におけるATPの蓄積。EG7を、オキサリプラチンを用いて処理し、上清中へのATP放出をモニターした。図1b:アンチマイシンA及びデオキシグルコースを使用したオキサリプラチン処理時での細胞内ATPの減少及び細胞内プールのATPの枯渇。EG7を、オキサリプラチンを用いて24時間にわたり処理し、続いてアンチマイシンA及びデオキシグルコース(A/D)を用いて20分間処理した。3つの内の1つの代表的な実験でのデータ(3通りでの平均±SEM)を示す。図1c:ATPが枯渇した死にかけている腫瘍細胞でのOVA特異的免疫応答誘発の不全。生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞をC57Bl/6マウスの足蹠中に注射した。5日後、膝窩リンパ節細胞を回収し、IFNγ分泌の定量化前に72時間にわたりOVAホロタンパク質を用いて再刺激した。ATP枯渇又は非枯渇EG7を用いて免疫化されたマウスの間でのIFNγ分泌のレベルを、3つの独立した実験において比較した。図1d:酸化ATP(oxiATP)を用いたプリン受容体の阻害によって、オキサリプラチン処理されたEG7細胞によるT細胞のプライミングが無効になる。オキサリプラチン処理されたEG7細胞を、oxiATPと混合し又は混合せず、C57Bl/6マウスの足蹠中に注射し、OVA特異的免疫応答をcの通りに検討し、oxiATPの存在又は非存在においてTLR3/9リガンド(ポリI:C+CpG(C/P))と共に注射されたOVAタンパク質を用いて達成されたものと比較した。図1e:死にかけている腫瘍細胞に対する免疫応答を媒介するためのDC上でのP2X7発現の要件。WT又はP2X7−/−マウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にP2X7−/−レシピエントの足蹠中に注射した。5日後、局所免疫応答を(a)の通りに測定した。実験は3〜4匹マウス/群を含み、3回繰り返し、同様の結果を得た(*p<0.05)。図1f:ATP枯渇の前又は後でのオキサリプラチン処理されたEG7の表現型。オキサリプラチンを用いて20時間にわたり処理され、洗浄され、アンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間インキュベートされ(図1bを参照のこと)、ヨウ化プロピジウム及びアネキシンV−FITCを用いて染色されたEG7腫瘍細胞でのフローサイトメトリー分析。
【図2】ATP枯渇の前又は後でのオキサリプラチン処理されたEG7の表現型。オキサリプラチンを用いて20時間にわたり処理され、洗浄され、アンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間インキュベートされ(図1bを参照のこと)、ヨウ化プロピジウム及びアネキシンV−FITCを用いて染色されたEG7腫瘍細胞でのフローサイトメトリー分析。
【図3a】死にかけているCT26細胞による抗癌ワクチン接種の限定因子としてのATP放出の同定。図3a〜b:図1a及びbと同じであるが、しかし、ドキソルビシンに暴露されたマウス結腸癌CT26を使用。3つ内の1つの代表的な実験でのデータを示す。図3c−d:ATPの枯渇(c)又はプリン受容体の遮断(d)によって、死にかけている腫瘍細胞を用いたワクチン接種の効力が防止される。マウスをPBS又は死にかけているCT26腫瘍細胞を用いて免疫化した。死にかけているCT26を最初にドキソルビシンを用いて24時間にわたり処理し、次にアンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間にわたりインキュベートした。細胞をA/D暴露後及び皮下接種前に洗浄した(c)。あるいは、死にかけているCT26を単独で又はoxiATPと一緒に接種した(d)。7日後、マウス(合計3つの異なる実験において15匹/群)を、生きた同系腫瘍細胞を用いて接種し、腫瘍成長をモニターした(*p<0.05)。
【図3b】死にかけているCT26細胞による抗癌ワクチン接種の限定因子としてのATP放出の同定。図3a〜b:図1a及びbと同じであるが、しかし、ドキソルビシンに暴露されたマウス結腸癌CT26を使用。3つ内の1つの代表的な実験でのデータを示す。図3c−d:ATPの枯渇(c)又はプリン受容体の遮断(d)によって、死にかけている腫瘍細胞を用いたワクチン接種の効力が防止される。マウスをPBS又は死にかけているCT26腫瘍細胞を用いて免疫化した。死にかけているCT26を最初にドキソルビシンを用いて24時間にわたり処理し、次にアンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間にわたりインキュベートした。細胞をA/D暴露後及び皮下接種前に洗浄した(c)。あるいは、死にかけているCT26を単独で又はoxiATPと一緒に接種した(d)。7日後、マウス(合計3つの異なる実験において15匹/群)を、生きた同系腫瘍細胞を用いて接種し、腫瘍成長をモニターした(*p<0.05)。
【図3c】死にかけているCT26細胞による抗癌ワクチン接種の限定因子としてのATP放出の同定。図3a〜b:図1a及びbと同じであるが、しかし、ドキソルビシンに暴露されたマウス結腸癌CT26を使用。3つ内の1つの代表的な実験でのデータを示す。図3c−d:ATPの枯渇(c)又はプリン受容体の遮断(d)によって、死にかけている腫瘍細胞を用いたワクチン接種の効力が防止される。マウスをPBS又は死にかけているCT26腫瘍細胞を用いて免疫化した。死にかけているCT26を最初にドキソルビシンを用いて24時間にわたり処理し、次にアンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間にわたりインキュベートした。細胞をA/D暴露後及び皮下接種前に洗浄した(c)。あるいは、死にかけているCT26を単独で又はoxiATPと一緒に接種した(d)。7日後、マウス(合計3つの異なる実験において15匹/群)を、生きた同系腫瘍細胞を用いて接種し、腫瘍成長をモニターした(*p<0.05)。
【図3d】死にかけているCT26細胞による抗癌ワクチン接種の限定因子としてのATP放出の同定。図3a〜b:図1a及びbと同じであるが、しかし、ドキソルビシンに暴露されたマウス結腸癌CT26を使用。3つ内の1つの代表的な実験でのデータを示す。図3c−d:ATPの枯渇(c)又はプリン受容体の遮断(d)によって、死にかけている腫瘍細胞を用いたワクチン接種の効力が防止される。マウスをPBS又は死にかけているCT26腫瘍細胞を用いて免疫化した。死にかけているCT26を最初にドキソルビシンを用いて24時間にわたり処理し、次にアンチマイシンA/デオキシグルコース(A/D)を用いて20分間にわたりインキュベートした。細胞をA/D暴露後及び皮下接種前に洗浄した(c)。あるいは、死にかけているCT26を単独で又はoxiATPと一緒に接種した(d)。7日後、マウス(合計3つの異なる実験において15匹/群)を、生きた同系腫瘍細胞を用いて接種し、腫瘍成長をモニターした(*p<0.05)。
【図4】プリンP2X7受容体は、細胞死の免疫原性のために必須である。死にかけている腫瘍細胞でのP2X7−/−マウスにおけるOVA特異的免疫応答誘発の不全。生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞をC57Bl/6マウス(WT又はP2X7−/−)の足蹠中に注射した。5日後、膝窩リンパ節細胞を回収し、IFNγ分泌の定量化前に72時間にわたりOVAホロタンパク質を用いて再刺激した。抗原提示のポジティブコントロールとして、マウスに、1mgのOVAタンパク質+10μgのCpG 28及び5μgのポリI:C(C/P)(アジュバントとして)を用いて注射した。
【図5a】死にかけている腫瘍細胞によるIFNγ産生のためのT細胞のクロス−プライミングに対するNalp3インフラマソーム依存的IL−1β産生の本質的寄与。図5a〜b:骨髄由来DCにおける活性カスパーゼ1の免疫蛍光染色。DC(WT又はP2X7−/−、NALP3−/−、もしくはAsc−/−マウス由来)を、オキサリプラチン又は生きたEG7腫瘍細胞もしくは酸化ATPの存在又は非存在においてオキサリプラチン処理されたEG7腫瘍細胞に暴露させ、抗CD11c、抗カスパーゼ1 p20又はアイソタイプコントロール抗体(示さず)及びDAPI(a、b)を用いて標識し、培養中で24時間にわたり放置した(c)。ポジティブコントロールは、LPS(50ng/ml)に16時間にわたり、次にATP(2mM)に20分間にわたり暴露されたDCとした。代表的な顕微鏡写真又はヒストグラムを(a)に示す。活性カスパーゼ1を含むDCの定量化を(b)に示す。
【図5b】死にかけている腫瘍細胞によるIFNγ産生のためのT細胞のクロス−プライミングに対するNalp3インフラマソーム依存的IL−1β産生の本質的寄与。図5a〜b:骨髄由来DCにおける活性カスパーゼ1の免疫蛍光染色。DC(WT又はP2X7−/−、NALP3−/−、もしくはAsc−/−マウス由来)を、オキサリプラチン又は生きたEG7腫瘍細胞もしくは酸化ATPの存在又は非存在においてオキサリプラチン処理されたEG7腫瘍細胞に暴露させ、抗CD11c、抗カスパーゼ1 p20又はアイソタイプコントロール抗体(示さず)及びDAPI(a、b)を用いて標識し、培養中で24時間にわたり放置した(c)。ポジティブコントロールは、LPS(50ng/ml)に16時間にわたり、次にATP(2mM)に20分間にわたり暴露されたDCとした。代表的な顕微鏡写真又はヒストグラムを(a)に示す。活性カスパーゼ1を含むDCの定量化を(b)に示す。
【図5c】死にかけている腫瘍細胞を認識するDCによるIL−1β分泌は、NALP3インフラマソームに依存的である。IL−1βレベルを、市販のELISAにより、DCの上清中で測定した(n.d.:決定せず)。実験を3回実施し、同様の結果を得た。代表的な顕微鏡写真又はヒストグラムを示す。平均±SEMを3連ウェルについて示す。
【図5d】死にかけている腫瘍細胞でのNALP3−/−、Casp1−/−、及びIL−1R1−/−マウスにおけるOVA特異的免疫応答誘発の不全。生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞をC57Bl/6マウス(WT、NALP3−/−、Casp1−/−、又はIL−1R1−/−)の足蹠中に注射した。5日後、膝窩リンパ節細胞を回収し、IFNγ分泌の定量化前に72時間にわたりOVAホロタンパク質を用いて再刺激した。抗原提示のポジティブコントロールとして、マウスに、1mgのOVAタンパク質+C/Pアジュバントを用いて注射した。
【図5e】H−2b+マウスにおける死にかけているH−2d+TS/AによるCD8−T細胞のクロス−プライミング。X線処理された乳癌細胞TS/Aを、WT又はCasp1−/−遺伝子型を持つC57BL/6マウス(n=3匹マウス/群)において注射した。流入領域リンパ節細胞を5日目に回収し、SIINFEKLペプチド又はOVAホロタンパク質を用いて72時間にわたりエクスビボで再刺激し、IFNγ分泌をELISAにより上清で測定した(*p<0.05)。
【図6】死にかけている腫瘍細胞に応答したDCの成熟は、カスパーゼ1に非依存的である。1:1の比率でオキサリプラチン処置された腫瘍細胞を用いて24時間にわたり負荷されたBM−DC(WT又はcasp−1もしくはNalp3欠損宿主由来)の細胞蛍光測定分析。表現型の特徴付けは、3色染色(抗CD11c、I−Ab、及びCD80又はCD86又はCD40 mAb)により達成した。縦列は、CD11c+集団中でのI−Ab+、CD80+、CD86+、又はCD40+細胞のパーセンテージを表す。これらの実験を2回実施し、同様の結果を得た(*p<0.05)。
【図7】死にかけている腫瘍細胞を認識するDCによるIL−12p40分泌は、NALP3インフラマソームに非依存的である。IL−12p40レベルを、市販のELISAにより、図5cに記載するものと同じDCの上清で測定した(n.d.:決定せず)。実験を3回実施し、同様の結果を得た。代表的な顕微鏡写真又はヒストグラムを示す。平均±SEMを3連ウェルについて示す。
【図8】DCによる腫瘍細胞関連抗原の抗原プロセシングは、Casp−1非依存的である。WT、Casp−1、及びNalp3欠損マウス由来のBM−DCを、オキサリプラチン処理されたEG7細胞を用いて(1:1の比率で)インキュベートし、B3Zハイブリドーマに(1:2 DC/T細胞比率で)暴露させた。コントロールは生きたEG7細胞及びSIINFEKLペプチドとした。IL−2レベルを、市販のELISAを用いて、48時間目に測定した。実験を2回実施し、同程度の結果を得た。グラフは3連での平均±SEMを描写する(*p<0.05)。
【図9】DCは、オキサリプラチン処理された腫瘍細胞の免疫原性を媒介するためにNALP3及びCasp1を発現しなければならない。WT、Nalp3−/−、又はCasp1−/−マウスからのDCを最初に抗原(CpG ODN(10μg/ml)及びポリI:C(5μg/ml)(C/P)の混合物(アジュバントとして)を併せた組換えOVAタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にWTレシピエントの足蹠中に注射した。5日後、局所免疫応答を、図5dに記載する通りに、インビトロで再刺激されたリンパ節T細胞からのIFNγ分泌として測定した。
【図10a】死にかけている腫瘍細胞を用いてインビボでプライムされたT細胞による異なるサイトカインの産生に対するカスパーゼ1ノックアウトの効果。WT又はcasp1−/−マウスにおいて、オキサリプラチン処理されたEG7細胞を用いて足蹠中に注射し、5日後に、流入領域リンパ節細胞を、OVAタンパク質を用いて再刺激し、IFNγ、IL−4、IL−10、IL−13、及びIL−17のインビトロ産生(48時間後)を評価した。IL−4、IL−17が全ての場合において検出不可能であり(示さず)、IL−10及びIL−13が、全ての示した遺伝子バックグラウンドで同様のレベルで産生された。このように、カスパーゼ1の非存在によって、IFNγ(IL−10又はIL−13ではない)の産生が選択的に損なわれる。2つの内の1つの代表的な実験(3連での平均±SEM)を示す(*p<0.05)。
【図10b】死にかけている腫瘍細胞を用いてインビボでプライムされたT細胞による異なるサイトカインの産生に対するカスパーゼ1ノックアウトの効果。WT又はcasp1−/−マウスにおいて、オキサリプラチン処理されたEG7細胞を用いて足蹠中に注射し、5日後に、流入領域リンパ節細胞を、OVAタンパク質を用いて再刺激し、IFNγ、IL−4、IL−10、IL−13、及びIL−17のインビトロ産生(48時間後)を評価した。IL−4、IL−17が全ての場合において検出不可能であり(示さず)、IL−10及びIL−13が、全ての示した遺伝子バックグラウンドで同様のレベルで産生された。このように、カスパーゼ1の非存在によって、IFNγ(IL−10又はIL−13ではない)の産生が選択的に損なわれる。2つの内の1つの代表的な実験(3連での平均±SEM)を示す(*p<0.05)。
【図11a】死にかけている細胞を用いて負荷されたDCにより提示される細胞関連抗原に対するT細胞のクロス−プライミングは、CASP−1に依存する。図11a:Kb又はEG7の膜貫通ドメインに融合されたOVAをコードするcDNAを用いてトランスフェクトされたマウス胎仔繊維芽細胞(MEF)を、WT又はCasp1−/−マウスの足蹠中への注射前に、オキサリプラチン(5μg/ml、24時間)を用いて処理した。膝窩リンパ節細胞を5日後に得て、MEF、EL4ライセート、又はオボアルブミンを用いて再刺激した。IFNγレベルを48時間目にELISAによりモニターした。図11b:死にかけているMEFは、インビトロでDCによるIL−1β産生を誘導することができる。図5cと同様の方法。図11c:オキサリプラチンを用いて処理されたOVA負荷マクロファージはcasp1−/−依存的T細胞応答を誘導する。腹腔マクロファージを、OVAタンパク質を用いて負荷し、オキサリプラチンを用いて18時間かけて殺し、WTとCasp1−/−マウス中に接種した。免疫応答を次に、IFNγを産生する流入領域リンパ節細胞の能力を評価することにより測定した。a及びcについて、5匹マウス/群を使用した。3連での平均±SEMを示す3つの内の1つの代表的な実験を表す(*p<0.05)。
【図11b】死にかけている細胞を用いて負荷されたDCにより提示される細胞関連抗原に対するT細胞のクロス−プライミングは、CASP−1に依存する。図11a:Kb又はEG7の膜貫通ドメインに融合されたOVAをコードするcDNAを用いてトランスフェクトされたマウス胎仔繊維芽細胞(MEF)を、WT又はCasp1−/−マウスの足蹠中への注射前に、オキサリプラチン(5μg/ml、24時間)を用いて処理した。膝窩リンパ節細胞を5日後に得て、MEF、EL4ライセート、又はオボアルブミンを用いて再刺激した。IFNγレベルを48時間目にELISAによりモニターした。図11b:死にかけているMEFは、インビトロでDCによるIL−1β産生を誘導することができる。図5cと同様の方法。図11c:オキサリプラチンを用いて処理されたOVA負荷マクロファージはcasp1−/−依存的T細胞応答を誘導する。腹腔マクロファージを、OVAタンパク質を用いて負荷し、オキサリプラチンを用いて18時間かけて殺し、WTとCasp1−/−マウス中に接種した。免疫応答を次に、IFNγを産生する流入領域リンパ節細胞の能力を評価することにより測定した。a及びcについて、5匹マウス/群を使用した。3連での平均±SEMを示す3つの内の1つの代表的な実験を表す(*p<0.05)。
【図11c】死にかけている細胞を用いて負荷されたDCにより提示される細胞関連抗原に対するT細胞のクロス−プライミングは、CASP−1に依存する。図11a:Kb又はEG7の膜貫通ドメインに融合されたOVAをコードするcDNAを用いてトランスフェクトされたマウス胎仔繊維芽細胞(MEF)を、WT又はCasp1−/−マウスの足蹠中への注射前に、オキサリプラチン(5μg/ml、24時間)を用いて処理した。膝窩リンパ節細胞を5日後に得て、MEF、EL4ライセート、又はオボアルブミンを用いて再刺激した。IFNγレベルを48時間目にELISAによりモニターした。図11b:死にかけているMEFは、インビトロでDCによるIL−1β産生を誘導することができる。図5cと同様の方法。図11c:オキサリプラチンを用いて処理されたOVA負荷マクロファージはcasp1−/−依存的T細胞応答を誘導する。腹腔マクロファージを、OVAタンパク質を用いて負荷し、オキサリプラチンを用いて18時間かけて殺し、WTとCasp1−/−マウス中に接種した。免疫応答を次に、IFNγを産生する流入領域リンパ節細胞の能力を評価することにより測定した。a及びcについて、5匹マウス/群を使用した。3連での平均±SEMを示す3つの内の1つの代表的な実験を表す(*p<0.05)。
【図12】死にかけている腫瘍細胞中に含まれる天然腫瘍抗原に対するT細胞応答は、カスパーゼ1に依存する。図5dと同じ設定であるが、しかし、オキサリプラチンを用いて処理されたB16F10メラノーマ細胞を使用し、WT又はCasp−1欠損マウスを免疫した。5〜7日後、マウス(n=5匹マウス/群)を屠殺し、gp100由来ペプチド(QVPRNQDWL)を用いたインビトロでの再刺激及びIFNγ産生の評価のために膝窩リンパ節を回収した(*p<0.05)。
【図13】死にかけている腫瘍細胞の保護的な抗腫瘍効果は、P2X7/NALP3/Casp1軸に決定的に依存する。ミトキサントロン(MTX)を用いてインビトロで処理されたMCA205細胞を、C57BL/6マウス(n=5/群)の示した遺伝子バックグラウンドにおいて皮下接種した。7〜10日後、マウスを、生きたMCA205細胞を用いて再曝露した。無腫瘍マウスのパーセンテージを、3つの独立した実験からプールする(*p<0.05)。
【図14】細胞死の免疫原性は、活性IL−1βを必要とする。マウスを、PBS又はドキソルビシンもしくは凍結融解及びLPSを用いて処理された死にかけているCT26腫瘍細胞を用いて免疫した。死にかけているCT26を、WTマウスの側腹部中にIL−1Ra(100μg)と一緒に同時接種した。5日後、マウス(n=5匹マウス/群)を屠殺し、CT26又はMCA205腫瘍ライセートを用いたインビトロでの再刺激及びIFNγ産生の評価のために膝窩リンパ節を回収した(*p<0.05)。
【図15a】インビトロ及びインビボでの死にかけている腫瘍細胞によるIL−1β依存的CTLプライミング。図15a:MyD88が、宿主のレベルで要求される(しかし、APCのレベルではない)。WTマウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にWT又はMyD88−/−レシピエントの足蹠中に注射した(n=6匹マウス/群)。5日後、局所免疫応答を図2d、eの通りに測定した。3つの内の1つの典型的な実験での結果を示す。図15b:インビトロでのCasp−1及びIL−1β依存的OT−Iプライミング。IFNγ産生CD8+ OT−1細胞の分化を、天然OVA特異的TCRトランスジェニックOT−1リンパ球を、インビトロで2日間にわたりオキサリプラチン処理されたEG7を用いて負荷された同系BM−DC(WT又はCasp1−/−マウス由来)とインキュベートすることにより誘導した。IL−1βの抗体媒介性中和によって、2日間の同時培養物の上清中でのELISAにより測定されたIFNγのレベルが顕著に低下した(アイソタイプコントロール抗体ではそうならなかった)。死にかけている腫瘍細胞を用いて負荷し、OT1とインキュベートされたCasp1−/− DCの同時培養物へのrIL−1β(100ng/ml)又はIL−12(10ng/ml)の外因性の添加は、T細胞プライミングを回復させた。挿入図は、TLRアゴニストの存在におけるOVAホロタンパク質を用いたプライミングが、Casp−1に非依存的であることを示す。図15c:インビトロでのTリンパ球に対するIL−1βの特異的かつ直接的な極性化効果。天然WTマウスに由来する精製CD3+CD8+T細胞を、抗CD3及び抗CD28 mAbを用いて5日間にわたり、示したサイトカイン(IL−12p70については10ng/ml、IL−1β、IL−6、及びTNFαについては100ng/ml)の存在において刺激し、IFNγ産生を図3bの通りに測定した。図15d:オキサリプラチン処理されたEG7により誘発された適応性T細胞免疫応答が、IL−1Rアンタゴニストにより抑止された。図5aと同じ設定であるが、しかし、ワクチンにIL−1Rアンタゴニスト(IL−1Ra)を加えた。図15e:組換えIL−1β又はIL−12(しかしIL−6ではない)の外因性の供給は、P2X7/NALP3/Casp−1経路が欠損したマウスにおいてT細胞プライミングを回復させた。図2dと同じ設定であるが、しかし、rIL−1β(250ng/足蹠)、rIL−12(50ng/足蹠)、又はrIL−6(250ng/足蹠)を、死にかけている腫瘍細胞と同時注射した。インビトロ実験(a、b)を2回行い、1つの代表的な実験を示す。3連のウェルでの平均±SEMを示す。各実験群は、2つの独立した実験において4〜8匹のマウスとした(*p<0.05)。
【図15b】インビトロ及びインビボでの死にかけている腫瘍細胞によるIL−1β依存的CTLプライミング。図15a:MyD88が、宿主のレベルで要求される(しかし、APCのレベルではない)。WTマウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にWT又はMyD88−/−レシピエントの足蹠中に注射した(n=6匹マウス/群)。5日後、局所免疫応答を図2d、eの通りに測定した。3つの内の1つの典型的な実験での結果を示す。図15b:インビトロでのCasp−1及びIL−1β依存的OT−Iプライミング。IFNγ産生CD8+ OT−1細胞の分化を、天然OVA特異的TCRトランスジェニックOT−1リンパ球を、インビトロで2日間にわたりオキサリプラチン処理されたEG7を用いて負荷された同系BM−DC(WT又はCasp1−/−マウス由来)とインキュベートすることにより誘導した。IL−1βの抗体媒介性中和によって、2日間の同時培養物の上清中でのELISAにより測定されたIFNγのレベルが顕著に低下した(アイソタイプコントロール抗体ではそうならなかった)。死にかけている腫瘍細胞を用いて負荷し、OT1とインキュベートされたCasp1−/− DCの同時培養物へのrIL−1β(100ng/ml)又はIL−12(10ng/ml)の外因性の添加は、T細胞プライミングを回復させた。挿入図は、TLRアゴニストの存在におけるOVAホロタンパク質を用いたプライミングが、Casp−1に非依存的であることを示す。図15c:インビトロでのTリンパ球に対するIL−1βの特異的かつ直接的な極性化効果。天然WTマウスに由来する精製CD3+CD8+T細胞を、抗CD3及び抗CD28 mAbを用いて5日間にわたり、示したサイトカイン(IL−12p70については10ng/ml、IL−1β、IL−6、及びTNFαについては100ng/ml)の存在において刺激し、IFNγ産生を図3bの通りに測定した。図15d:オキサリプラチン処理されたEG7により誘発された適応性T細胞免疫応答が、IL−1Rアンタゴニストにより抑止された。図5aと同じ設定であるが、しかし、ワクチンにIL−1Rアンタゴニスト(IL−1Ra)を加えた。図15e:組換えIL−1β又はIL−12(しかしIL−6ではない)の外因性の供給は、P2X7/NALP3/Casp−1経路が欠損したマウスにおいてT細胞プライミングを回復させた。図2dと同じ設定であるが、しかし、rIL−1β(250ng/足蹠)、rIL−12(50ng/足蹠)、又はrIL−6(250ng/足蹠)を、死にかけている腫瘍細胞と同時注射した。インビトロ実験(a、b)を2回行い、1つの代表的な実験を示す。3連のウェルでの平均±SEMを示す。各実験群は、2つの独立した実験において4〜8匹のマウスとした(*p<0.05)。
【図15c】インビトロ及びインビボでの死にかけている腫瘍細胞によるIL−1β依存的CTLプライミング。図15a:MyD88が、宿主のレベルで要求される(しかし、APCのレベルではない)。WTマウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを伴うOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にWT又はMyD88−/−レシピエントの足蹠中に注射した(n=6匹マウス/群)。5日後、局所免疫応答を図2d、eの通りに測定した。3つの内の1つの典型的な実験での結果を示す。図15b:インビトロでのCasp−1及びIL−1β依存的OT−Iプライミング。IFNγ産生CD8+ OT−1細胞の分化を、天然OVA特異的TCRトランスジェニックOT−1リンパ球を、インビトロで2日間にわたりオキサリプラチン処理されたEG7を用いて負荷された同系BM−DC(WT又はCasp1−/−マウス由来)とインキュベートすることにより誘導した。IL−1βの抗体媒介性中和によって、2日間の同時培養物の上清中でのELISAにより測定されたIFNγのレベルが顕著に低下した(アイソタイプコントロール抗体ではそうならなかった)。死にかけている腫瘍細胞を用いて負荷し、OT1とインキュベートされたCasp1−/− DCの同時培養物へのrIL−1β(100ng/ml)又はIL−12(10ng/ml)の外因性の添加は、T細胞プライミングを回復させた。挿入図は、TLRアゴニストの存在におけるOVAホロタンパク質を用いたプライミングが、Casp−1に非依存的であることを示す。図15c:インビトロでのTリンパ球に対するIL−1βの特異的かつ直接的な極性化効果。天然WTマウスに由来する精製CD3+CD8+T細胞を、抗CD3及び抗CD28 mAbを用いて5日間にわたり、示したサイトカイン(IL−12p70については10ng/ml、IL−1β、IL−6、及びTNFαについては100ng/ml)の存在において刺激し、IFNγ産生を図3bの通りに測定した。図15d:オキサリプラチン処理されたEG7により誘発された適応性T細胞免疫応答が、IL−1Rアンタゴニストにより抑止された。図5aと同じ設定であるが、しかし、ワクチンにIL−1Rアンタゴニスト(IL−1Ra)を加えた。図15e:組換えIL−1β又はIL−12(しかしIL−6ではない)の外因性の供給は、P2X7/NALP3/Casp−1経路が欠損したマウスにおいてT細胞プライミングを回復させた。図2dと同じ設定であるが、しかし、rIL−1β(250ng/足蹠)、rIL−12(50ng/足蹠)、又はrIL−6(250ng/足蹠)を、死にかけている腫瘍細胞と同時注射した。インビトロ実験(a、b)を2回行い、1つの代表的な実験を示す。3連のウェルでの平均±SEMを示す。各実験群は、2つの独立した実験において4〜8匹のマウスとした(*p<0.05)。
【図15d】インビトロ及びインビボでの死にかけている腫瘍細胞によるIL−1β依存的CTLプライミング。図15a:MyD88が、宿主のレベルで要求される(しかし、APCのレベルではない)。WTマウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にWT又はMyD88−/−レシピエントの足蹠中に注射した(n=6匹マウス/群)。5日後、局所免疫応答を図2d、eの通りに測定した。3つの内の1つの典型的な実験での結果を示す。図15b:インビトロでのCasp−1及びIL−1β依存的OT−Iプライミング。IFNγ産生CD8+ OT−1細胞の分化を、天然OVA特異的TCRトランスジェニックOT−1リンパ球を、インビトロで2日間にわたりオキサリプラチン処理されたEG7を用いて負荷された同系BM−DC(WT又はCasp1−/−マウス由来)とインキュベートすることにより誘導した。IL−1βの抗体媒介性中和によって、2日間の同時培養物の上清中でのELISAにより測定されたIFNγのレベルが顕著に低下した(アイソタイプコントロール抗体ではそうならなかった)。死にかけている腫瘍細胞を用いて負荷し、OT1とインキュベートされたCasp1−/− DCの同時培養物へのrIL−1β(100ng/ml)又はIL−12(10ng/ml)の外因性の添加は、T細胞プライミングを回復させた。挿入図は、TLRアゴニストの存在におけるOVAホロタンパク質を用いたプライミングが、Casp−1に非依存的であることを示す。図15c:インビトロでのTリンパ球に対するIL−1βの特異的かつ直接的な極性化効果。天然WTマウスに由来する精製CD3+CD8+T細胞を、抗CD3及び抗CD28 mAbを用いて5日間にわたり、示したサイトカイン(IL−12p70については10ng/ml、IL−1β、IL−6、及びTNFαについては100ng/ml)の存在において刺激し、IFNγ産生を図3bの通りに測定した。図15d:オキサリプラチン処理されたEG7により誘発された適応性T細胞免疫応答が、IL−1Rアンタゴニストにより抑止された。図5aと同じ設定であるが、しかし、ワクチンにIL−1Rアンタゴニスト(IL−1Ra)を加えた。図15e:組換えIL−1β又はIL−12(しかしIL−6ではない)の外因性の供給は、P2X7/NALP3/Casp−1経路が欠損したマウスにおいてT細胞プライミングを回復させた。図2dと同じ設定であるが、しかし、rIL−1β(250ng/足蹠)、rIL−12(50ng/足蹠)、又はrIL−6(250ng/足蹠)を、死にかけている腫瘍細胞と同時注射した。インビトロ実験(a、b)を2回行い、1つの代表的な実験を示す。3連のウェルでの平均±SEMを示す。各実験群は、2つの独立した実験において4〜8匹のマウスとした(*p<0.05)。
【図15e】インビトロ及びインビボでの死にかけている腫瘍細胞によるIL−1β依存的CTLプライミング。図15a:MyD88が、宿主のレベルで要求される(しかし、APCのレベルではない)。WTマウスからのDCを最初に抗原(C/Pアジュバントを併せたOVAホロタンパク質、生きた又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞)を用いて負荷し、次にWT又はMyD88−/−レシピエントの足蹠中に注射した(n=6匹マウス/群)。5日後、局所免疫応答を図2d、eの通りに測定した。3つの内の1つの典型的な実験での結果を示す。図15b:インビトロでのCasp−1及びIL−1β依存的OT−Iプライミング。IFNγ産生CD8+ OT−1細胞の分化を、天然OVA特異的TCRトランスジェニックOT−1リンパ球を、インビトロで2日間にわたりオキサリプラチン処理されたEG7を用いて負荷された同系BM−DC(WT又はCasp1−/−マウス由来)とインキュベートすることにより誘導した。IL−1βの抗体媒介性中和によって、2日間の同時培養物の上清中でのELISAにより測定されたIFNγのレベルが顕著に低下した(アイソタイプコントロール抗体ではそうならなかった)。死にかけている腫瘍細胞を用いて負荷し、OT1とインキュベートされたCasp1−/− DCの同時培養物へのrIL−1β(100ng/ml)又はIL−12(10ng/ml)の外因性の添加は、T細胞プライミングを回復させた。挿入図は、TLRアゴニストの存在におけるOVAホロタンパク質を用いたプライミングが、Casp−1に非依存的であることを示す。図15c.インビトロでのTリンパ球に対するIL−1βの特異的かつ直接的な極性化効果。天然WTマウスに由来する精製CD3+CD8+T細胞を、抗CD3及び抗CD28 mAbを用いて5日間にわたり、示したサイトカイン(IL−12p70については10ng/ml、IL−1β、IL−6、及びTNFαについては100ng/ml)の存在において刺激し、IFNγ産生を図3bの通りに測定した。図15d:オキサリプラチン処理されたEG7により誘発された適応性T細胞免疫応答が、IL−1Rアンタゴニストにより抑止された。図5aと同じ設定であるが、しかし、ワクチンにIL−1Rアンタゴニスト(IL−1Ra)を加えた。図15e:組換えIL−1β又はIL−12(しかしIL−6ではない)の外因性の供給は、P2X7/NALP3/Casp−1経路が欠損したマウスにおいてT細胞プライミングを回復させた。図2dと同じ設定であるが、しかし、rIL−1β(250ng/足蹠)、rIL−12(50ng/足蹠)、又はrIL−6(250ng/足蹠)を、死にかけている腫瘍細胞と同時注射した。インビトロ実験(a、b)を2回行い、1つの代表的な実験を示す。3連のウェルでの平均±SEMを示す。各実験群は、2つの独立した実験において4〜8匹のマウスとした(*p<0.05)。
【図16a】IL−1Rアンタゴニストは、CD8+T細胞によるIFNγ産生を刺激する死にかけている腫瘍細胞の能力を抑止する。IL−1Rアゴニストの存在又は非存在においてオキサリプラチン処理された腫瘍細胞を使用したインビボでのプライミングから5日後の、インビトロでのPMA−イオノマイシンを用いた再刺激に続く、IFNγを産生するCD3+CD8−T細胞のフローサイトメトリー分析。図16a:IFNγを産生するCD8+T細胞の代表的なドットプロット。図16b:IFNγを産生するCD8+T細胞の定量化(*p<0.05)。
【図16b】IL−1Rアンタゴニストは、CD8+T細胞によるIFNγ産生を刺激する死にかけている腫瘍細胞の能力を抑止する。IL−1Rアゴニストの存在又は非存在においてオキサリプラチン処理された腫瘍細胞を使用したインビボでのプライミングから5日後の、インビトロでのPMA−イオノマイシンを用いた再刺激に続く、IFNγを産生するCD3+CD8−T細胞のフローサイトメトリー分析。図16a:IFNγを産生するCD8+T細胞の代表的なドットプロット。図16b:IFNγを産生するCD8+T細胞の定量化(*p<0.05)。
【図17a】オキサリプラチンの抗癌活性は、P2X7及びNALP3インフラマソームに依存する。図17a、b、c:樹立された腫瘍に対するオキサリプラチンの治療効力は、P2X7/NALP3/casp−1軸上の免疫系の完全性に依存する。EL4胸腺腫を、示した遺伝子型(a〜c)を持つ又は抗CD8抗体を用いて注射された(a)同系マウスにおいて樹立した。腫瘍が70−90mm2のサイズに達した場合、マウスを未処置で放置又はオキサリプラチンを用いて処置した。各処置群が5〜6匹のマウスを含み(X±SEM)、各実験が3回繰り返され、同様の結果を得た(*p<0.05)。d:カスパーゼ1が、オキサリプラチン化学療法により促進される免疫応答のために要求される。大腿部に樹立されたEG7腫瘍を、オキサリプラチンの1回の全身注射により処置した。鼠径リンパ節細胞を5日後に回収し、神経節細胞をインビトロで再刺激した。IFNγ分泌をELISAにより評価した。結果(3連での平均±SEM、n=3)は、3つの内の1つの典型的な実験を代表する(*P<0.01)。図17d:樹立された結腸癌に対するアントラサイクリンの効力は、IL−1βに依存的である。WTマウスにおいて10日間にわたり樹立されたCT26腫瘍を、ドキソルビシンの1回の局所注射を用いて、中和抗IL−1βAbの非存在又は存在において処置した(n=10/群、*p<0.05)。図17e:P2X7中の単一ヌクレオチド多型(SNP)(rs3751143)は、乳癌患者における従来の抗癌治療の長期効力に影響を及ぼす。正常(Glu496Glu)又は機能喪失(Glu496Ala)P2X7対立遺伝子を持つ患者の2群における転移までの時間の比較カプラン・マイヤー推定値。転移進行までの時間を、アントラサイクリンを用いたアジュバント化学療法を受けた非転移性乳癌を有する225人の女性において分析した。
【図17b】オキサリプラチンの抗癌活性は、P2X7及びNALP3インフラマソームに依存する。図17a、b、c:樹立された腫瘍に対するオキサリプラチンの治療効力は、P2X7/NALP3/casp−1軸上の免疫系の完全性に依存する。EL4胸腺腫を、示した遺伝子型(a〜c)を持つ又は抗CD8抗体を用いて注射された(a)同系マウスにおいて樹立した。腫瘍が70−90mm2のサイズに達した場合、マウスを未処置で放置又はオキサリプラチンを用いて処置した。各処置群が5〜6匹のマウスを含み(X±SEM)、各実験が3回繰り返され、同様の結果を得た(*p<0.05)。d:カスパーゼ1が、オキサリプラチン化学療法により促進される免疫応答のために要求される。大腿部に樹立されたEG7腫瘍を、オキサリプラチンの1回の全身注射により処置した。鼠径リンパ節細胞を5日後に回収し、神経節細胞をインビトロで再刺激した。IFNγ分泌をELISAにより評価した。結果(3連での平均±SEM、n=3)は、3つの内の1つの典型的な実験を代表する(*P<0.01)。図17d:樹立された結腸癌に対するアントラサイクリンの効力は、IL−1βに依存的である。WTマウスにおいて10日間にわたり樹立されたCT26腫瘍を、ドキソルビシンの1回の局所注射を用いて、中和抗IL−1βAbの非存在又は存在において処置した(n=10/群、*p<0.05)。図17e:P2X7中の単一ヌクレオチド多型(SNP)(rs3751143)は、乳癌患者における従来の抗癌治療の長期効力に影響を及ぼす。正常(Glu496Glu)又は機能喪失(Glu496Ala)P2X7対立遺伝子を持つ患者の2群における転移までの時間の比較カプラン・マイヤー推定値。転移進行までの時間を、アントラサイクリンを用いたアジュバント化学療法を受けた非転移性乳癌を有する225人の女性において分析した。
【図17c】オキサリプラチンの抗癌活性は、P2X7及びNALP3インフラマソームに依存する。図17a、b、c:樹立された腫瘍に対するオキサリプラチンの治療効力は、P2X7/NALP3/casp−1軸上の免疫系の完全性に依存する。EL4胸腺腫を、示した遺伝子型(a〜c)を持つ又は抗CD8抗体を用いて注射された(a)同系マウスにおいて樹立した。腫瘍が70−90mm2のサイズに達した場合、マウスを未処置で放置又はオキサリプラチンを用いて処置した。各処置群が5〜6匹のマウスを含み(X±SEM)、各実験が3回繰り返され、同様の結果を得た(*p<0.05)。d:カスパーゼ1が、オキサリプラチン化学療法により促進される免疫応答のために要求される。大腿部に樹立されたEG7腫瘍を、オキサリプラチンの1回の全身注射により処置した。鼠径リンパ節細胞を5日後に回収し、神経節細胞をインビトロで再刺激した。IFNγ分泌をELISAにより評価した。結果(3連での平均±SEM、n=3)は、3つの内の1つの典型的な実験を代表する(*P<0.01)。図17d:樹立された結腸癌に対するアントラサイクリンの効力は、IL−1βに依存的である。WTマウスにおいて10日間にわたり樹立されたCT26腫瘍を、ドキソルビシンの1回の局所注射を用いて、中和抗IL−1βAbの非存在又は存在において処置した(n=10/群、*p<0.05)。図17e:P2X7中の単一ヌクレオチド多型(SNP)(rs3751143)は、乳癌患者における従来の抗癌治療の長期効力に影響を及ぼす。正常(Glu496Glu)又は機能喪失(Glu496Ala)P2X7対立遺伝子を持つ患者の2群における転移までの時間の比較カプラン・マイヤー推定値。転移進行までの時間を、アントラサイクリンを用いたアジュバント化学療法を受けた非転移性乳癌を有する225人の女性において分析した。
【図17d】オキサリプラチンの抗癌活性は、P2X7及びNALP3インフラマソームに依存する。図17a、b、c:樹立された腫瘍に対するオキサリプラチンの治療効力は、P2X7/NALP3/casp−1軸上の免疫系の完全性に依存する。EL4胸腺腫を、示した遺伝子型(a〜c)を持つ又は抗CD8抗体を用いて注射された(a)同系マウスにおいて樹立した。腫瘍が70−90mm2のサイズに達した場合、マウスを未処置で放置又はオキサリプラチンを用いて処置した。各処置群が5〜6匹のマウスを含み(X±SEM)、各実験が3回繰り返され、同様の結果を得た(*p<0.05)。d:カスパーゼ1が、オキサリプラチン化学療法により促進される免疫応答のために要求される。大腿部に樹立されたEG7腫瘍を、オキサリプラチンの1回の全身注射により処置した。鼠径リンパ節細胞を5日後に回収し、神経節細胞をインビトロで再刺激した。IFNγ分泌をELISAにより評価した。結果(3連での平均±SEM、n=3)は、3つの内の1つの典型的な実験を代表する(*P<0.01)。図17d:樹立された結腸癌に対するアントラサイクリンの効力は、IL−1βに依存的である。WTマウスにおいて10日間にわたり樹立されたCT26腫瘍を、ドキソルビシンの1回の局所注射を用いて、中和抗IL−1βAbの非存在又は存在において処置した(n=10/群、*p<0.05)。図17e:P2X7中の単一ヌクレオチド多型(SNP)(rs3751143)は、乳癌患者における従来の抗癌治療の長期効力に影響を及ぼす。正常(Glu496Glu)又は機能喪失(Glu496Ala)P2X7対立遺伝子を持つ患者の2群における転移までの時間の比較カプラン・マイヤー推定値。転移進行までの時間を、アントラサイクリンを用いたアジュバント化学療法を受けた非転移性乳癌を有する225人の女性において分析した。
【図17e】オキサリプラチンの抗癌活性は、P2X7及びNALP3インフラマソームに依存する。図17a、b、c:樹立された腫瘍に対するオキサリプラチンの治療効力は、P2X7/NALP3/casp−1軸上の免疫系の完全性に依存する。EL4胸腺腫を、示した遺伝子型(a〜c)を持つ又は抗CD8抗体を用いて注射された(a)同系マウスにおいて樹立した。腫瘍が70−90mm2のサイズに達した場合、マウスを未処置で放置又はオキサリプラチンを用いて処置した。各処置群が5〜6匹のマウスを含み(X±SEM)、各実験が3回繰り返され、同様の結果を得た(*p<0.05)。d:カスパーゼ1が、オキサリプラチン化学療法により促進される免疫応答のために要求される。大腿部に樹立されたEG7腫瘍を、オキサリプラチンの1回の全身注射により処置した。鼠径リンパ節細胞を5日後に回収し、神経節細胞をインビトロで再刺激した。IFNγ分泌をELISAにより評価した。結果(3連での平均±SEM、n=3)は、3つの内の1つの典型的な実験を代表する(*P<0.01)。図17d:樹立された結腸癌に対するアントラサイクリンの効力は、IL−1βに依存的である。WTマウスにおいて10日間にわたり樹立されたCT26腫瘍を、ドキソルビシンの1回の局所注射を用いて、中和抗IL−1βAbの非存在又は存在において処置した(n=10/群、*p<0.05)。図17e:P2X7中の単一ヌクレオチド多型(SNP)(rs3751143)は、乳癌患者における従来の抗癌治療の長期効力に影響を及ぼす。正常(Glu496Glu)又は機能喪失(Glu496Ala)P2X7対立遺伝子を持つ患者の2群における転移までの時間の比較カプラン・マイヤー推定値。転移進行までの時間を、アントラサイクリンを用いたアジュバント化学療法を受けた非転移性乳癌を有する225人の女性において分析した。
【図18A】P2X7中の単一ヌクレオチド多型(SNP)(rs3751143)は、乳癌患者(n=47)でのネオアジュバント設定における従来の抗癌治療の効力に影響を与える。図18A)ケースコントロール試験に登録された患者の数及びパーセンテージを、主要評価項目(病理学的な完全寛解)及びP2X7−rs3751143 SNPの遺伝子型に基づく分割表に表示する。図18B)病理学的な完全寛解の割合を、野生型群と突然変異群の患者において比較した。フィッシャー直接確率検定を使用し、主要評価項目とP2X7−rs3751143 SNPの間での関連性をテストした。
【図18B】P2X7中の単一ヌクレオチド多型(SNP)(rs3751143)は、乳癌患者(n=47)でのネオアジュバント設定における従来の抗癌治療の効力に影響を与える。図18A)ケースコントロール試験に登録された患者の数及びパーセンテージを、主要評価項目(病理学的な完全寛解)及びP2X7−rs3751143 SNPの遺伝子型に基づく分割表に表示する。図18B)病理学的な完全寛解の割合を、野生型群と突然変異群の患者において比較した。フィッシャー直接確率検定を使用し、主要評価項目とP2X7−rs3751143 SNPの間での関連性をテストした。
【0020】
発明の詳細な説明
例えば、アントラサイクリン、オキサリプラチン、又はX線により誘発される免疫原性細胞死は、細胞膜上でのカルレチクリンのアポトーシス前暴露(DCによる死にかけている細胞の取り込みを促進する)及びDC上に存在するTLR4に作用するHMGB1のアポトーシス後放出(抗原のプロセシングを刺激する)により特徴付けられる。しかし、生きた腫瘍細胞への組換えカルレチクリン又はHMGB1の添加は、DCによるそれらの抗原の提示を誘発するために十分ではなく、追加シグナルが死にかけている細胞とDCの間で交換されなければならないことを意味する。
【0021】
本発明は、P2X7誘発性NALP3インフラマソームが死にかけている腫瘍細胞に対する免疫応答を制御するとの観察に基づく。実際に、死にかけている腫瘍細胞はATPを放出し、それは次にDCからのP2X7プリン受容体に作用し、NALP3カスパーゼ1活性化複合体を引き起こし、インターロイキン1β(IL−1β)の分泌を可能にする。
【0022】
IL−1受容体1の非存在において又はIL−1受容体アンタゴニストの存在において、死にかけている腫瘍細胞は、癌特異的なインターフェロンγ産生CTLをプライミングしない。本発明者らは、このように、IFNγ産生に向けたCTL極性化の重要な要因としてNALP3インフラマソーム依存的IL−1β産生を特定している。今までに、IL−1β/IL−1βRシステムの過剰活性化(Krelin et al., 2007)を含む慢性炎症が、腫瘍を促進する条件として考えられており、腫瘍の防止又は治療のためのIL−1β阻害を支持して議論されている(Hagemann et al., 2007; Greten et al., 2004; Naugler et al., 2007; Balkwill et al., 2005)。
【0023】
本発明者らは、本明細書において、また、免疫正常宿主において成功した抗癌化学療法が、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において樹立された腫瘍に対して非効果的であることが判明したことを実証する。本発明者らは、機能的なP2X7/NALP3/Casp−1/IL−1β軸の非存在によってIFNγ産生を阻止すること、及び、死にかけている腫瘍細胞によるCTL刺激が、外因性IL−1βが与えられない場合、そのような対象において失敗することを観察した。
【0024】
さらに、本明細書に記載する臨床試験において、本発明者のデータによって、免疫原性腫瘍細胞死を誘導する化学療法後、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する癌患者の無転移生存率が、正常経路を有する患者でのそれより短いことが明らかになる。また、本発明者らは、また、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する癌患者が、病理学的な完全寛解を有するより低い確率を有することを示す。
【0025】
定義
「癌」という用語は、本明細書で使用される通り、癌を起こす細胞に典型的な特徴(例えば無制御な増殖、不死、転移能、急速な成長及び増殖速度、ならびに特定の特徴的な形態学的特性など)を保持する細胞の存在を示す。この用語は、悪性腫瘍の任意の型(原発性又は転移性)を指す。典型的な癌は、X線、アントラサイクリン、シスプラチン、及び/又はオキサリプラチン感受性の癌、例えば乳房、胃、肉腫、卵巣、子宮粘膜、膀胱、子宮頸部、直腸、結腸、肺、ORL癌、小児腫瘍(神経芽細胞腫、多形性膠芽腫)、リンパ腫、白血病、ミエローマ、セミノーマ、ホジキン及び悪性血液病などである。
【0026】
「癌再発」という用語は、本明細書で使用される通り、改善の期間、特に寛解期間後での癌の徴候及び症状の戻りを指す。「癌再発」という用語は、転移性再発又は同じ部位での原発性腫瘍からの腫瘍発生を指しうる。「癌再発」の代わりに、「転移又は疾患と関連する死」という用語も本願を通して使用してもよい。
【0027】
「転移性再発」という用語は、本明細書で使用される通り、最初は以前の治療に応答したが、しかし、治療的応答が維持されなかった患者における原発性腫瘍から他の1つ又は複数の部位への癌性細胞の伝播を指す。転移性再発は寛解期間後に出現する。
【0028】
本明細書で使用する「処置」、「処理する」、又は「処理している」という用語は、患者の健康状態を改善することが意図された任意の行為、例えば疾患の治療、防止、予防、及び遅延などを指す。特定の実施態様において、そのような用語は、疾患又は疾患と関連する症状の改善又は根絶を指す。他の実施態様において、この用語は、疾患を有する対象に対する1つ又は複数の治療用薬剤の投与に起因する疾患の広まり又は悪化を最小限にすることを指す。この用語は、疾患の任意の段階での処置を指す。特に、それは、アジュバント治療(外科手術後の化学療法又は放射線療法)又はネオアジュバント治療(外科手術前の化学療法又は放射線療法)でありうる。
【0029】
特に、「癌を処置するために」又は「癌を処置する」という用語は、患者において腫瘍の成長、腫瘍転移、又は他の癌を起こす細胞もしくは新生物細胞の進行を逆転する、軽減する、阻害する、又は部分的にもしくは完全に防止することを意味する。
【0030】
本明細書で使用する「化学療法の処置」又は「化学療法」という用語は、化学的又は生化学的物質を使用した、特に1つ又はいくつかの抗新生物薬剤を使用した癌の治療的処置を指す。好ましくは、化学療法は免疫原性腫瘍細胞死を促進する。「抗新生物薬剤」及び「化学療法薬剤」という用語は互換的に使用され、癌の処置において使用される化合物又は薬物を指す。好ましくは、化学療法は、アントラサイクリン、例えばアクラルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アムルビシン、ピラルビシン、バルルビシン、ゾルビシン、カルミノマイシン、及びデトルビシン(Detorubicin)など;白金ベースの化学療法薬物、例えばカルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、四硝酸トリプラチン、及びサトラプラチンなど;アントラセンジオン、例えばミトキサントロン及びピクサントロンなど;ストレプトマイセス属の種から単離された抗腫瘍薬剤、例えばアクチノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン及びプリカマイシン、ならびにその誘導体などからなる群より選択される少なくとも1つの抗新生物薬剤の使用を含む。より好ましくは、化学療法は、アントラサイクリン、オキサリプラチン、及びシスプラチンからなる群より選択される。
【0031】
「放射線療法の処置」又は「放射線療法」という用語は、複数の型の放射線治療(内部及び外部放射線治療を含む)、放射免疫療法、及び種々の型の放射線(X線、ガンマ線、アルファ粒子、ベータ粒子、光子、電子、中性子、ラジオアイソトープ、及び電離放射線の他の形態を含む)の使用を指し、当技術分野において一般的に使用される用語である。好ましくは、放射線療法は、X線又はガンマ線の使用を含む。
【0032】
化学療法及び放射線療法は、単独で又は組み合わせで使用することができる。
【0033】
「免疫原性細胞死を誘導する抗癌処置」という用語は、任意のアジュバントの非存在において、アポトーシス形態の細胞死の様相を誘導し、免疫応答を誘発する際に非常に効果的である化学療法又は放射線療法の処置を指す。免疫原性細胞死を誘導する抗癌処置は、限定はされないが、アントラサイクリン、オキサリプラチン、シスプラチン、及びX線でありうる。
【0034】
「処置に対する感受性」という用語は、処置に対する対象の応答レベル(限定はされないが、治療用化合物を代謝する能力を含む)、プロドラッグを活性薬物に変換する能力、個体における薬物の薬物動態(吸収、分布、除去)及び薬力学(受容体に関連する)を指す。
【0035】
「処置に対する耐性」という用語は、対象が処置に応答しない先天性又は後天性の状態を指す。耐性が後天的に得られる場合、対象は、最初は処置に応答するが、しかし、癌は、最初の処置が完了する6ヶ月以内に再発する。
【0036】
本明細書で使用する「対象」という用語は、好ましくは、癌を処置するための処置を必要とするヒト(成人、小児、出生前段階を含む)を指す。しかし、「対象」という用語は、また、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物(例えばイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジなど)及び、とりわけ、処置を必要とする非ヒト霊長類を指しうる。
【0037】
本明細書で使用する「P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路」という用語は、P2X7受容体(UniGene Hs.507102)、NALP3タンパク質(UniGene Hs.159483)、アダプタータンパク質ASC(UniGene Hs.499094)、カスパーゼ1(UniGene Hs.2490)、及びIL−1β(UniGene Hs.126256)を含む代謝軸を指す。
【0038】
P2X7受容体は、細胞外アデノシン5’−三リン酸(ATP)の結合に応答して開く陽イオン透過性リガンド開閉イオンチャネルのファミリーである。それらは、プリン受容体として公知である受容体のより大きなファミリーに属する。
【0039】
NALP3インフラマソームは、カスパーゼ1の活性化に関与する多タンパク質複合体であり、サイトカインIL−1β及びIL−18のプロセシング及び分泌に導く。NALP3インフラマソームは、細胞質タンパク質のNLRファミリーに属するNALP3タンパク質、カスパーゼ1、及びNALPタンパク質をカスパーゼ1に連結するアダプタータンパク質ASCで構成される。
【0040】
本明細書で使用する経路の「機能的状態」という用語は、経路の機能を満たす能力又は不能を指す。P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、この経路に含まれる全てのタンパク質(即ち、P2X7、NALP3、ASC、カスパーゼ1、及びIL−1β)の発現及び活性に依存する。P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路は、対象の樹状細胞がIL−1βを分泌しない又は標準的レベルと比較して低い分泌量である場合、非機能的である。
【0041】
経路の構成成分の「機能喪失」という用語は、本明細書で使用される通り、この構成成分の活性の低下又は活性がないことを指す。
【0042】
タンパク質の「機能分析」という用語は、本明細書で使用される通り、その活性を評価することによるタンパク質の機能の分析を指す。
【0043】
本明細書で使用する「突然変異」という用語は、遺伝子座中のコード及び/又は非コード領域における点突然変異、欠失、再配列、及び/又は挿入を、単独で又は種々の組み合わせで包含する。欠失は、遺伝子座のコード又は非コード部分において1、2、又はそれ以上の残基の任意の領域(例えば2つの残基から遺伝子又は遺伝子座全体までなど)を包含しうる。典型的な欠失は、より小さな領域(例えば約50未満の連続塩基対のドメイン(イントロン)又は反復配列又はフラグメントなど)に影響を与えるが、より大きな欠失も生じうる。挿入は、遺伝子座のコード又は非コード部分における1つ又はいくつかの残基の付加を包含しうる。挿入は、典型的には、遺伝子座における1〜50の間の塩基対の付加を含みうる。再配列は、配列の逆位を含む。突然変異は、終止コドンの作製、フレームシフト突然変異、アミノ酸置換、特定のRNAスプライシング又はプロセシング、産物不安定性、切断ポリペプチド産生などをもたらしうる。突然変異は、変化した機能、安定性、標的化、又は構造を有するポリペプチドの産生をもたらしうる。それは、また、タンパク質発現における低下又は、代わりに、前記産生における増加を起こしうる。
【0044】
「機能喪失突然変異」という用語は、突然変異遺伝子によりコードされるタンパク質の活性に影響を与える突然変異を指す。タンパク質は、低活性又は完全に不活性でありうる。
【0045】
「P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失」という用語は、上で定義するP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路に含まれるタンパク質をコードする遺伝子が機能喪失突然変異を保有すること、あるいは経路のタンパク質が低活性又は完全に不活性であること、あるいは経路のタンパク質が低発現である又は発現されないことを意味する。この機能喪失は、IL−1βを分泌する樹状細胞の能力低下又は不能力をもたらす。
【0046】
「SNP」という用語は、「単一ヌクレオチド多型」を意味する。SNPは、多型(例、Arg307Gln)のために改変されるアミノ酸残基の位置により又はNCBI SNPデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP)の参照SNP番号(例、rs28360457)により参照することができる。
【0047】
「治療的有効量」とは、研究者、獣医、医師、又は他の臨床医が対象とする組織、系、動物、又はヒトの生物学的又は医学的な応答を誘発するのに十分である、対象に投与される量を意図する。
【0048】
「標準レベル」又は「標準値」という用語は、本明細書で使用される通り、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する個体の集合から又はこれらの個体により提供される細胞から得られるレベル又は値を指す。
【0049】
効率的な抗癌応答は、死にかけている癌細胞からの抗原を提示し、腫瘍特異的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)をプライムする樹状細胞の能力に依存する。実験セクションに記載される通り、本発明者らは、NALP3インフラマソーム依存的IL−1β産生が、IFNγ産生に向かうCTL極性化、ひいては効果的な抗癌応答の重要な要素であることを実証している。
【0050】
第1の局面において、本発明は、癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する対象の感受性を評価するインビトロでの方法を提供し、前記方法は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路は、前記処置に対する耐性を示す。場合により、化学療法又は放射線療法の処置は、アジュバント又はネオアジュバント治療でありうる。
【0051】
第1の実施態様において、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、前記経路に関与する遺伝子における機能喪失突然変異の検出により評価され、前記突然変異の存在は非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す。この突然変異は、P2X7、NALP3、ASC、カスパーゼ1、又はIL−1βをコードする遺伝子において、又は発現調節エレメント(例えばプロモーターなど)において含まれうる。
【0052】
機能喪失突然変異は、当業者により公知の任意の手段により、例えば、P2X7、NALP3、ASC、カスパーゼ1、又はIL−1β遺伝子の全部又は部分を配列決定することにより、これらの遺伝子の全部又は部分の選択的ハイブリダイゼーション及び/又は増幅あるいは制限消化を使用して検出することができる。より好ましくは、遺伝子の特異的増幅を、突然変異の同定段階前に行う。配列決定は、特定のドメインで、典型的には、有害な突然変異を保有することが公知である又は疑われるドメインで実施してもよい。
【0053】
機能喪失突然変異は、また、例えば、RNA突然変異配列又は異常なRNAスプライシングもしくはプロセシングもしくは発現レベルを検出することにより、RNAレベルで検出することができる。これは、当技術分野において公知の種々の技術(制限消化、目的のRNAの全部又は部分の配列決定、前記RNAの全部又は部分の選択的ハイブリダイゼーション又は選択的増幅を含む)により行ってもよい。
【0054】
好ましくは、検出される機能喪失突然変異は、P2X7、NALP3、ASC、カスパーゼ1、又はIL−1βをコードする遺伝子において、又はこれらの遺伝子の発現調節エレメントにおいて含まれる単一ヌクレオチド多型(SNP)である。
【0055】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、P2X7をコードする遺伝子において機能喪失SNPを検出することにより評価されうる。好ましくは、SNPは、Arg307Gln(rs28360457;配列番号2)、Ileu568Asn(rs1653624;配列番号3)、Glu496Ala(rs3751143;配列番号1)、及びThr357Ser(rs2230911;配列番号4)からなる群より選択される。より好ましくは、SNPはGlu496Ala(rs3751143)である。
【0056】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、また、カスパーゼ1をコードする遺伝子において機能喪失SNPを検出することにより評価されうる。好ましくは、SNPはrs501192(配列番号5)である。
【0057】
増幅は、当技術分野において公知の種々の技術、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、及び制限断片長多型(RFLP)などに従って実施されうる。好ましくは、対立遺伝子特異的PCR又はPCR−SSCPが使用される。これらの増幅反応を実施するための適したプライマーは、データベース(例えばGenbankなど)において見出される配列情報に基づき、当業者により簡単に設計される。
【0058】
制限消化、配列決定反応、選択的ハイブリダイゼーション、及び選択的増幅は、周知のプロトコール、例えばSambrook et al.(Sambrook et al.Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2000)及びAusubel et al.(In Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY, 1998)に記載されるものなどに従って行ってもよい。
【0059】
別の実施態様において、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、前記経路に含まれるタンパク質の突然変異ポリペプチド配列又は損なわれた発現の検出により評価され、突然変異配列又は発現は非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す。P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路に関与するタンパク質は、P2X7、NALP3、ASC、カスパーゼ1、及びIL−1βからなる群より選択されうる。
【0060】
突然変異ポリペプチド配列は、当技術分野において公知の種々の技術、例えば、ポリペプチド配列決定及び/又は特定リガンド(例えば抗体など)への結合などにより検出することができる。
【0061】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路に関与するタンパク質の損なわれた発現は、また、当技術分野において公知の種々の技術、例えば、ウエスタンプロット、ELISA、ラジオイムノアッセイ、又は免疫酵素アッセイなどにより検出することができる。タンパク質の発現は、また、ノーザンブロット又は定量的RT−PCR、あるいは当技術分野において公知の任意の他の方法を使用することによりその特定RNA発現を検出することにより評価することができる。
【0062】
他の適した方法を使用し、突然変異ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列を検出する又はタンパク質発現又はRNAを定量化してもよい。それらは、限定なく、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)、対立遺伝子特異的増幅、サザンブロット、一本鎖立体構造解析、PFGE、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、ゲル移動、クランプ変性ゲル電気泳動、ヘテロデュプレックス分析、RNアーゼ保護、及び化学ミスマッチ切断を含む。
【0063】
別の実施態様において、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、化学療法又は放射線療法の処置前後で対象の血液サンプル中でのIL−1βレベルを比較することにより評価され、前記処置後での前記レベルの有意な増加は、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す。好ましくは、処置は、アントラサイクリン、オキサリプラチン、シスプラチン、及びX線からなる群より選択される。
【0064】
本明細書で使用する「有意な増加」という用語は、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において同じ条件において得られたものと統計的に同程度である増加を指す。
【0065】
対象に施される処置は、死にかけている腫瘍細胞を生成し、それらは、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において、樹状細胞によるIL−1β分泌の増加、ひいては血液中のIL−1βレベルの増加を誘導する。対象が機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有さない場合、IL−1β血液レベルにおける増加は観察されない、又はそのレベルがより低い。IL−1βは、当業者により公知の任意の方法、例えばELISAアッセイを使用して測定してもよい。
【0066】
好ましい実施態様において、IL−1βレベルを、対象の血清サンプル中で、化学療法又は放射線療法の処置の前ならびに24及び/又は72時間後に測定する。
【0067】
結果的に、この方法を用いて、抗癌処置に対する対象の感受性を、この対象の血液サンプル中のIL−1β濃度を測定するだけで、最初の投与後に評価してもよい。
【0068】
さらなる実施態様において、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、死にかけている腫瘍細胞の存在においてIL−1βを分泌する対象の樹状細胞(DC)の能力を測定することにより評価され、それにおいて標準レベルと比較して低下した能力は、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する。
【0069】
この分泌能力は、例えば、以下の工程を含む方法を用いて評価してもよい:(i)対象のサンプルからDCを得ること、(ii)前記細胞を、抗新生物薬剤を用いて処理された腫瘍細胞と同時培養すること、(iii)細胞培養上清中のIL−1βを評価すること(それにおいて標準レベルと比較したIL−1βの減少レベルは、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する)。
【0070】
標準レベルは、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象からの樹状細胞を同じプロトコールに供することにより得られる。
【0071】
ネガティブコントロールとして、DCを、単独又は生きている腫瘍細胞とインキュベートしてもよい。
【0072】
好ましくは、自己DCは、対象の血液サンプルから得られる。最初に、CD14+単球を、抗CD14抗体を使用した陽性細胞選別又はプラスチックディッシュ上での付着工程後、あるいは当技術分野において公知の任意の他の方法により末梢血単核細胞(PBMC)から回収する。次に、CD14+単球を、樹状細胞分化を刺激する化合物(例えばGM−CSF及びIFNα2bなど)を用いて4日間インキュベートする。
【0073】
この方法において使用される腫瘍細胞は、抗新生物薬剤に感受性でなければならず、当業者により簡単に選ばれうる。例えば、オキサリプラチンを用いて処理されたHCT116細胞(結腸癌)を使用してもよい。これらの細胞を、任意の洗液工程なしにDC培養に加える。
【0074】
好ましくは、抗新生物薬剤は、アントラサイクリン、オキサリプラチン、シスプラチン、及びX線からなる群より選択される。
【0075】
この方法の実施態様の例を、実験セクションに提示する。
【0076】
別の実施態様において、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、HMGB1及びATPの存在においてIL−1βを分泌する対象の樹状細胞(DC)の能力を測定することにより評価され、それにおいて標準レベルと比較して低下した能力は、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する。
【0077】
本明細書で使用する「HMGB1」という用語は、抗新生物薬剤(例えばドキソルビシン又はオキサリプラチンなど)を用いて処理された死にかけている腫瘍細胞により放出されたTLR4アゴニストである高移動度群ボックス1タンパク質を指す(Apetoh et al., 2007)。
【0078】
この方法は、以下の工程を含む:(i)対象のサンプルからDCを得ること、(ii)前記細胞をHMGB1及びATPと培養すること、(iii)細胞培養上清中のIL−1βを評価すること(それにおいて標準レベルと比較したIL−1βの減少レベルは、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する)。
【0079】
標準レベルは、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象からの樹状細胞を同じプロトコールに供することにより得られる。
【0080】
ネガティブコントロールとして、DCを、HMGB1もATPも添加せずインキュベートしてもよい。
【0081】
好ましくは、自己DCは、上に記載する通りに、PBMC由来単球から得られる。
【0082】
さらなる実施態様において、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、リポポリサッカリド及びATPの存在においてIL−1βを分泌する対象の単球の能力を測定することにより評価され、それにおいて標準レベルと比較して低下した能力は、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する。
【0083】
この能力は、例えば、以下の工程を含む方法を用いて評価してもよい:(i)対象のサンプルからCD14+単球を得ること、(ii)前記細胞をリポポリサッカリド及びATPと培養すること、(iii)細胞培養上清中のIL−1βを評価すること(それにおいて標準レベルと比較したIL−1βの減少レベルは、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する)。
【0084】
好ましくは、自己CD14+単球は、上に記載する通りに、被験者の末梢血単核細胞から回収される。
【0085】
標準レベルは、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象からの単球を同じプロトコールに供することにより得られる。
【0086】
ネガティブコントロールとして、単球を、LPSもATPも添加せずインキュベートしてもよい。
【0087】
IL−1βを、細胞培養上清中で、当技術分野において公知の任意の方法により、好ましくはELISAアッセイを使用して評価してもよい。IL−1βを、また、下で記載する通り、前駆体又は成熟形態のIL−1β及び/又はカスパーゼ1を認識する特異的抗体を使用したウエスタンブロット解析を用いて評価してもよい。
【0088】
さらなる実施態様において、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、前記経路の構成成分の機能分析により評価され、前記経路の少なくとも1つの構成成分の機能喪失は、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す。
【0089】
P2X7、NALP3、ASC、カスパーゼ1、及び/又はIL−1βの活性を評価し、これらのタンパク質の1つに影響を与える任意の機能喪失を検出する。P2X7、NALP3、ASC、カスパーゼ1、又はIL−1βの活性は、当業者により公知の任意の方法により評価されうる。
【0090】
好ましくは、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、P2X7受容体の機能分析により評価される。例として、P2X7受容体の機能分析は、Sluyter et al.(Sluyter et al., 2004)により記載される通り、赤血球においてATP誘導性86Rb+流出を測定することにより行われうる。このP2X7受容体の分析は、対象の血液サンプルで実施されうる。得られた値を、コントロール対象(即ち、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する)を用いて得られた値と比較する。損なわれたATP誘導性86Rb+流出は、対象が非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有し、ひいては抗癌処置に対する感受性が低下したことを示すことを意味する。さらなる例として、P2X7受容体の機能分析は、Jursik et al.(Jursik et al., 2007)の論文において記載される通りに、Ca2+、Ba2+、又はエチジウムの取り込み又は流入について単球、リンパ球、又はマクロファージをテストすることにより行われうる。
【0091】
IL−1β及びカスパーゼ1の活性は、それらの成熟プロセスを研究することにより評価されうる。
【0092】
IL−1βが、生物学的に不活性な前駆体(即ち、プロIL−1β)として産生され、それは、カスパーゼ1(IL−1β変換酵素(ICE)とも呼ばれる)により行われるタンパク質分解的プロセシングにより活性形態(即ち、IL−1β p17)に変換される。
【0093】
カスパーゼ1はプロ酵素(45kDa)として合成され、それはタンパク質分解的切断を受け、成熟産物(即ち、p20及びp10サブユニット)を生産し、それはヘテロ二量体化し、活性プロテアーゼを形成する。
【0094】
前駆体及び成熟形態のカスパーゼ1及びIL−1βは、ATPとLPSを用いて刺激されたPBMC由来単球又は死にかけている腫瘍細胞(例、オキサリプラチンとインキュベートされ、DCを用いたインキュベーション前に洗浄されていないHCT116細胞)とインキュベートされたDC(上に記載する通りに、PBMC由来単球から生成した)又はHMGB1及びATPとインキュベートされたDCの上清及びライセート中でこれらのタンパク質を認識する特異的抗体を使用したウエスタンブロットにより検出されうる。
【0095】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路が機能的である場合、カスパーゼ1 p20は細胞ライセート中で検出され、IL−1β p17は細胞培養上清中で検出される。
【0096】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路が機能的ではない場合、IL−1β p17は細胞培養上清中で検出されない。これは、カスパーゼ1及び/又はIL−1β前駆体発現の非存在又はこれらの前駆体の異常成熟を誘導する突然変異に起因しうる。
【0097】
インフラマソーム活性化に続いて産生されるIL−1βの特異性は、カスパーゼ1のアンタゴニストを伴う又は伴わない上に記載する実験(例えば高濃度のKCl(例、130mM)又はz−VAD−fmkなど)を実行することによりアッセイされうる。カスパーゼ1アンタゴニストの存在において、刺激された単球又はDCによるIL−1β産生は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路が機能的である場合でも無効になる。
【0098】
第2の局面において、本発明は、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する感受性を増加又は回復させるために有用である化合物をスクリーニングするためのインビトロでの方法を提供し、前記方法は、前記対象において死にかけている腫瘍細胞の存在における樹状細胞によるIL−1β分泌を誘導又は増加させる試験化合物の能力を決定することを含む。
【0099】
本発明は、さらに、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において癌を処置するために有用である化合物をスクリーニングするためのインビトロでの方法を提供し、前記方法は、前記対象において死にかけている腫瘍細胞の存在における樹状細胞によるIL−1β分泌を誘導又は増加させる試験化合物の能力を決定することを含む。
【0100】
死にかけている腫瘍細胞の存在における樹状細胞によるIL−1β分泌を誘導又は増加させることができる化合物によって、腫瘍特異的細胞傷害性Tリンパ球のプライミングを回復又は増加させることができる。この化合物をこのように使用し、対象における抗癌処置に対する感受性を増加又は回復させ、ひいては前記対象において癌を処置しうる。好ましくは、抗癌処置は、アントラサイクリン、オキサリプラチン、シスプラチン、及びX線からなる群より選択される。
【0101】
実施態様において、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象においてIL−1β産生を誘導又は増加させる試験化合物の能力を、対象のサンプルからDCを得て、前記細胞を、試験化合物の存在において死にかけている腫瘍細胞と接触させ、細胞培養上清中に分泌されたIL−1βの量を測定することにより評価され、それにおいて標準レベルと比較したIL−1βの低下量は、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する。
【0102】
標準レベルのIL−1β分泌は、機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象のDCを、試験化合物の存在において、死にかけている腫瘍細胞と接触させ、細胞培養上清中に分泌されたIL−1βの量を測定することにより得られる。
【0103】
ネガティブコントロールとして、前記DCを、試験化合物の非存在において、死にかけている腫瘍細胞と接触させることを使用してもよい。
【0104】
上に記載する通りに、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路は、前記経路の異なる構成成分の機能喪失に起因しうる。このように、非機能的経路を有する異なる対象から提供されるDCは、機能喪失の障害を示す経路の構成成分に従い、試験化合物に対して異なる応答を示しうる。結果的に、このスクリーニング方法において使用される樹状細胞は、好ましくは、処置される対象から提供される。
【0105】
本発明は、さらに、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する感受性を増加又は回復するために有用である化合物をスクリーニングするための方法を提供し、前記方法は、(i)非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有し、腫瘍を用いて接種された非ヒトトランスジェニック動物に癌の化学療法又は放射線療法の処置との組み合わせで、試験化合物を投与すること、及び(ii)前記処置に対する前記動物の感受性を評価することを含む。
【0106】
好ましくは、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する非ヒトトランスジェニック動物は、Casp1−/−、Asc−/−、NALP3−/−、IL−1β−/−、又はP2X7−/−遺伝子型を示すBALB/c及びC57BL/6マウスからなる群より選択される。例として、C57BL/6Casp1−/−、Asc−/−、NALP3−/−、P2X7−/−マウスが、それぞれLi et al., 1995;Srinivasula et al., 2002;Kanneganti et al., 2006;Solle et al., 2001に記載された。
【0107】
非ヒトトランスジェニック動物に腫瘍を接種するために使用される腫瘍細胞は、好ましくは、CT26結腸癌細胞、EL4胸腺腫細胞、EG7細胞、MCA205繊維肉腫細胞、B16F10メラノーマ細胞、及びTS/A乳腺腺癌細胞からなる群より選択される。
【0108】
施された処置に対する非ヒトトランスジェニック動物の感受性は、当技術分野において公知の任意の方法(例えば動物の腫瘍サイズの経過観察又は無転移生存率など)により評価してもよい。
【0109】
実験セクションに提示された本発明者らのデータは、再発、特に転移再発の確率が、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において増加することを実証する。
【0110】
本発明は、このように、対象における再発の可能性を決定するためのインビトロでの方法を提供し、前記方法は、前記対象においてP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的経路は再発の可能性の増加を示す。好ましくは、癌再発は転移再発である。あるいは、癌再発は原発性腫瘍の再発である。好ましくは、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、前記経路に関与する遺伝子における機能喪失突然変異の検出により評価され、前記突然変異の存在は非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す。特に、突然変異は、rs28360457、rs1653624、rs3751143、rs2230911、及びrs501192からなる群より選択されるSNPであって、好ましくはSNPは、rs3751143である。
【0111】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、上に記載する通りに、任意の方法により評価されうる。
【0112】
さらなる局面において、本発明は、それを必要とする対象のために適した化学療法又は放射線療法の処置を選択するためのインビトロでの方法を提供し、前記方法は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的経路は免疫原性腫瘍細胞死を誘導する抗癌処置について禁忌と考えられる。
【0113】
「禁忌」という用語は、本明細書で使用される通り、治療的処置の副作用と前記処置に対する患者の応答の間での不均衡を指す。この場合において、処置は、有益な効果よりも多くの有害な効果を誘導する。
【0114】
対象が機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する場合、被験者は、免疫原性腫瘍細胞死を誘導する抗癌処置(例えばアントラサイクリン、オキサリプラチン、シスプラチン、又はX線など)に対して感受性でありうる。
【0115】
反対に、対象が非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する場合、免疫原性腫瘍細胞死を誘導する抗癌処置では治療効果が低下するであろう。
【0116】
結果的に、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することによって、施術者が、免疫原性腫瘍細胞死を誘導する抗癌処置が対象を処置するために適しているか否か、又は他の処置が考慮されなければならないか否かを決定する;あるいは、施術者が、何が適切な処置であるかを決めることを可能にする情報を提供することが可能になる。
【0117】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態は、上に記載する通りに、任意の方法により評価されうる。
【0118】
本発明は、また、化学療法薬剤及び非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物を含む医薬的組成物に関する。
【0119】
特定の実施態様において、化学療法薬剤は、アントラサイクリン、オキサリプラチン、及びシスプラチンからなる群より選択される。
【0120】
非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物は、本発明のスクリーニング方法によりスクリーニングされうる。
【0121】
実施態様において、この化合物は、IL−1β;IL−12;ナチュラルキラー細胞及びナチュラルキラーT細胞アクチベーター、例えばCD1dアゴニスト、IL−15、IL−2、又はIFNαなど;P2X7受容体アクチベーター、例えばカテリシジン由来ペプチドLL37、ポリミキシンB、STAT3阻害剤、抗CTLA4抗体、抗PD−1抗体、TGFb阻害ペプチド、IL−10阻害ペプチド、抗IL−10モノクローナル抗体、抗IL−13モノクローナル抗体、抗PDL−1モノクローナル抗体、及びIL−33などからなる群より選択される。抗体は中和又は遮断しうる。分子は、好ましくは、それらの活性形態(例えばIL−1βについてはIL−1β p17及びIL−12についてはIL−12 p70など)で提供される。
【0122】
好ましい実施態様において、化合物は組換えIL−1βである。
【0123】
化学療法薬剤及び非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物を含む医薬的化合物を、当業者により公知の標準的な薬務(例、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed.), ed. A. R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, 2000及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J. C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New Yorkを参照のこと)に従い製剤化する。
【0124】
可能な医薬的組成物は、経口、直腸、局所(経皮、口腔、及び舌下を含む)、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、及び皮内を含む)、又は腫瘍内(例、超音波誘導腫瘍内注射)投与のために適したものを含む。腫瘍内投与は、限局性の非転移性腫瘍に検討されている。これらの製剤のために、従来の賦形剤を、当業者により周知の技術に従って使用することができる。
【0125】
非経口投与のための組成物は、一般的に、生理学的に適合する無菌溶液、あるいは、場合により使用直前に固形又は凍結乾燥形態から調製することができる懸濁剤である。アジュバント(例えば局所麻酔剤、保存剤、及び緩衝剤など)は溶剤に溶解することができ、界面活性剤又は湿潤剤は組成物中に添加し、活性成分の均一な分布を促進することができる。
【0126】
経口投与のために、組成物を、従来の経口投与形態、例えば錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、及び液体調製物(例えばシロップ、エリキシル、及び濃縮滴剤など)などに製剤化することができる。非毒性固形担体又は希釈剤を使用してもよく、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、ショ糖、マグネシウム、炭酸塩などを含む。圧縮錠剤のために、結合剤(粉末物質に粘着性を与える薬剤である)も必要である。例えば、デンプン、ゼラチン、糖(例えばラクトース又はデキストロースなど)、及び天然又は合成ゴムを結合剤として使用することができる。崩壊剤も、錠剤の分解を促進するために錠剤中に必要である。崩壊剤は、デンプン、粘土、セルロース、アルギン、ゴム、及び架橋ポリマーを含む。さらに、潤滑剤及び滑剤も錠剤中に含め、製造プロセスにおける表面への錠剤材料の付着を防止し、製造の間での粉末材料の流動特性を改善する。コロイド状二酸化ケイ素が滑剤として最も一般的に使用される。化合物、例えばタルク又はステアリン酸などが潤滑剤として最も一般的に使用される。
【0127】
経皮投与のために、組成物を、軟膏、クリーム、又はゲル形態に製剤化することができ、適切な浸透剤又は界面活性剤を使用し、浸透を促進することができうる(例えばジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、及びジメチルホルムアミドなど)。
【0128】
経粘膜投与のために、鼻内スプレー、直腸又は膣坐剤を使用することができる。活性化合物を、当技術分野において公知の方法により、公知の坐剤基剤のいずれかに加えることができる。そのような基剤の例は、ココアバター、ポリエチレングリコール(カーボワックス)、ポリエチレンソルビタンモノステアレート、及び、これらと、融点又は溶解速度を改変する他の適合性する材料との混合物を含む。
【0129】
好ましい実施態様において、本発明の医薬的組成物は非経口又は経口投与に適する。
【0130】
本発明の医薬的組成物を、投与後実質的に直ぐに又は投与後の任意の所定の時間もしくは期間に活性薬物を放出するように製剤化してもよい。
【0131】
本発明の医薬的組成物は、1つ又は複数の化学療法薬剤及び、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる1つ又は複数の化合物を、医薬的に許容可能な賦形剤及び/又は担体と併せて含むことができる。これらの賦形剤及び/又は担体は、上に記載する通りに、投与形態に従って選ばれる。
【0132】
本発明は、また、化学療法薬剤及び非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物を、癌の処置における、特に非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象における同時、別々、又は連続使用のための組み合わせ調製物として含む産物に関する。
【0133】
化学療法薬剤及び非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物の量を、当業者により周知である標準的手順により決定しなければならない。患者の生理学的データ(例、年齢、サイズ、及び体重)及び投与経路を考慮に入れて、適切な投与量を決定しなければならない。
【0134】
好ましい実施態様において、医薬的組成物は、治療的有効量の化学療法薬剤及び非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる治療的有効量の化合物を含む。
【0135】
治療的有効量を決定するための適した手段及び測定は、当業者に利用可能である。
【0136】
本発明は、さらに、特に非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において、化学療法薬剤又は放射線療法の処置と組み合わせた癌の処置における使用のための非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物を提供する。
【0137】
この化合物を、上に記載する通りに、本発明のスクリーニング方法に従ってスクリーニングしてもよい。
【0138】
特定の実施態様において、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物は、IL−1β;IL−12;ナチュラルキラー細胞及びナチュラルキラーT細胞アクチベーター、例えばCD1dアゴニスト、IL−15、IL−2、又はIFNαなど;P2X7受容体アクチベーター、例えばカテリシジン由来ペプチドLL37、ポリミキシンB、STAT3阻害剤、抗CTLA4抗体、抗PD−1抗体、TGFb阻害ペプチド、IL−10阻害ペプチド、抗IL−10モノクローナル抗体、抗IL−13モノクローナル抗体、抗PDL−1モノクローナル抗体、及びIL−33などからなる群より選択される。抗体は中和又は遮断しうる。分子は、好ましくは、それらの活性形態(例えばIL−1βについてはIL−1β p17及びIL−12についてはIL−12 p70など)で提供される。
【0139】
好ましい実施態様において、この化合物は組換えIL−1βである。
【0140】
別の局面において、本発明は、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において癌を処置するための医薬の製造のための、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物に関する。この化合物は、上に記載する通りに、本発明の方法によりスクリーニングされうる。
【0141】
特定の実施態様において、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物は、IL−1β;IL−12;ナチュラルキラー細胞及びナチュラルキラーT細胞アクチベーター、例えばCD1dアゴニスト、IL−15、IL−2、又はIFNαなど;P2X7受容体アクチベーター、例えばカテリシジン由来ペプチドLL37、ポリミキシンB、STAT3阻害剤、抗CTLA4抗体、抗PD−1抗体、TGFb阻害ペプチド、IL−10阻害ペプチド、抗IL−10モノクローナル抗体、抗IL−13モノクローナル抗体、抗PDL−1モノクローナル抗体、及びIL−33などからなる群より選択される。抗体は中和又は遮断しうる。分子は、好ましくは、それらの活性形態(例えばIL−1βについてはIL−1β p17及びIL−12についてはIL−12 p70など)で提供される。
【0142】
好ましい実施態様において、この化合物は組換えIL−1βである。
【0143】
本発明は、また、癌を患い、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において化学療法又は放射線療法の処置の効力を増加させるための方法に関し、前記方法は、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる治療的有効量の化合物との組み合わせで化学療法又は放射線療法の処置を施すことを含む。
【0144】
非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物、及び化学療法又は放射線療法の処置を同時に、別々に、又は連続的に施してもよい。
【0145】
特定の実施態様において、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物は、IL−1β;IL−12;ナチュラルキラー細胞及びナチュラルキラーT細胞アクチベーター、例えばCD1dアゴニスト、IL−15、IL−2、又はIFNαなど;P2X7受容体アクチベーター、例えばカテリシジン由来ペプチドLL37、ポリミキシンB、STAT3阻害剤、抗CTLA4抗体、抗PD−1抗体、TGFb阻害ペプチド、IL−10阻害ペプチド、抗IL−10モノクローナル抗体、抗IL−13モノクローナル抗体、抗PDL−1モノクローナル抗体、及びIL−33などからなる群より選択される。抗体は中和又は遮断しうる。分子は、好ましくは、それらの活性形態(例えばIL−1βについてはIL−1β p17及びIL−12についてはIL−12 p70など)で提供される。
【0146】
好ましくは、この化合物は組換えIL−1βである。
【0147】
好ましい実施態様において、前記方法は、アントラサイクリン、オキサリプラチン、シスプラチン、及びX線からなる群より選択される抗癌処置を、組換えIL−1βとの組み合わせで施すことを含む。
【0148】
本発明は、さらに、癌を患い、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象を処置するための方法を提供し、前記方法は、化学療法又は放射線療法の処置を、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物との組み合わせで施すことを含む。
【0149】
化合物及び抗癌処置、化学療法又は放射線療法は、同時に、別々に、又は連続的に施されうる。好ましくは、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物は、化学療法又は放射線療法の処置と同じ日に、そしてこの処置後の数日間(例、約2、3、4日、又は1週間)施される。このプロトコールは、処置の各サイクルで繰り返される。
【0150】
特定の実施態様において、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を補うことができる化合物は、IL−1β;IL−12;ナチュラルキラー細胞及びナチュラルキラーT細胞アクチベーター、例えばCD1dアゴニスト、IL−15、IL−2、又はIFNαなど;P2X7受容体アクチベーター、例えばカテリシジン由来ペプチドLL37、ポリミキシンB、STAT3阻害剤、抗CTLA4抗体、抗PD−1抗体、TGFb阻害ペプチド、IL−10阻害ペプチド、抗IL−10モノクローナル抗体、抗IL−13モノクローナル抗体、抗PDL−1モノクローナル抗体、及びIL−33などからなる群より選択される。抗体は中和又は遮断しうる。分子は、好ましくは、それらの活性形態(例えばIL−1βについてはIL−1β p17及びIL−12についてはIL−12 p70など)で提供される。好ましくは、この化合物は組換えIL−1βである。
【0151】
好ましい実施態様において、方法は、アントラサイクリン、オキサリプラチン、シスプラチン、及びX線からなる群より選択される抗癌処置を、組換えIL−1βとの組み合わせで施すことを含む。
【0152】
以下の実施例は、例示の目的のために与えられ、限定のためではない。
【0153】
実施例
材料及び方法
マウス系統
BALB/c(H−2d)、C57BL/6(H−2b)、nu/nu、及びRag2−/−C57BL/6マウスをCentre d'elevage Janvier(Le Genest St Isle, France)から及びCharles River Laboratories(L'Arbresle, France)から、ならびにTaconic(Denmark)から得た。
【0154】
C57BL/6 Ifnγr1−/−、Casp1−/−、Asc−/−、NALP3−/−、P2X7−/−、及びIL−12Rβ2−/−マウスは、Huang et al, 1993;Li et al., 1995;Srinivasula et al., 2002;Kanneganti et al., 2006;Solle et al., 2001;及びWu et al., 2000にそれぞれ記載された。マウスを無菌条件において飼育した。6〜20週齢の動物を使用した。全ての動物を、FELASAガイドライン及びAnimal Experimental Ethics Committee Guidelines(Val de Marne, France)に従って維持した。
【0155】
試薬及び材料
細胞死を、ドキソルビシン、ミトキサントロン(Sigma Aldrich, St Quentin Fallavier, France)、又はオキサリプラチン(Sanofi-Aventis, France)のいずれかを用いて誘導した。オボアルブミンタンパク質をCalbiochem(Darmstadt, Germany)から、イオノマイシン、ホルボール12ミリステート13アセテート(PMA)、アンチマイシンA、2−デオキシグルコース、ATP、及び酸化ATP(OxiATP)をSigma Aldrichから購入した。組換えヒトHMGB1、マウスIL−1β、IL−6、IL−12及びTNFα、ならびに抗IL−1β中和抗体をR&D Systems(Lille, France)から得た。一部の実験において、HMGB1活性を、Huan Yang(Lexington, MA)(Huston et al., 2008)により提供された抗HMGB1抗体を用いて中和した。IL−1Ra、Kineret Anakinra(Amgen)が、厚意で、CNRS(Orleans, France)により及びCochin University Hospital(Paris, France)(Fleischmann et al., 2004)により提供された。モノクローナル蛍光色素結合抗マウスCD3、CD4、CD8、IFNγ、CD11c、I−Ab、CD40、CD80、CD86、コントロールアイソタイプ抗体、Cytofix/Cytoperm、ブレフェルジンA、及びQuantikine ELISAキット(IFNγ、IL−12p40、及びIL−10用)をBD Pharmingen(Le Pont de Claix, France)から購入した。IL−1β ELISAキットをClinisciences(Montrouge, France)から購入した。IL−17及びIL−4 ELISAキットをOzyme(Paris, France)から購入した。IL−13 ELISAキットをPeprotech(Neuilly sur-Seine, France)から購入した。免疫蛍光顕微鏡検査法用のウサギ抗カスパーゼ1 p20ポリクローナル抗体をSanta Cruz Biotechnology(Santa Cruz, USA)から得た。マウス抗CD11c Alexa Fluor 488をBiolegend(San Diego, USA)から購入した。SIINFEKL及びgp100(KVPRNQDWL)ペプチドをEurogentec(Seraing, Belgium)から得た。CpG ODN 28が、厚意で、Pitie Salpetriere University Hospital(Paris, France)(Carpentier et al., 2006)により提供された。ポリI:CをAmersham(Buckinghamshire, UK)から購入した。LPSをInvivogen(San Diego, CA)から得た。CD8+T細胞の枯渇のために、C57BL/6マウスを、0.3mg/マウスの精製IgGラット抗マウス抗CD8mAb(2.43ハイブリドーマから調製)を含む0.2mlのPBSを用いて腹腔内(i.p.)注射した。CD4+細胞の枯渇は、GK1.5ハイブリドーマから調製されたラット抗マウス抗CD4 mAb(0.2mg/マウス)を用いてマウスに腹腔内注射することにより達成した。NK細胞活性を除去するために、BALB/cマウスを、化学療法の開始から−3日後、0日後、及び3日後にWakoから購入した30μlの抗アシアロGM1抗体(Neuss, Germany;抗体力価1:1000)を用いて腹腔内注射した。
【0156】
腫瘍細胞株及び移植可能な腫瘍
CT26結腸癌細胞(BALB/cから)、EL4胸腺腫細胞(C57BL/6から)、EG7細胞(OVAトランスフェクトEL4細胞)、MCA205繊維肉腫細胞(C57BL/6から)、B16F10メラノーマ細胞(C57BL/6から)、TS/A乳腺腺癌細胞(BALB/cから)、及びTS/A−OVA細胞(OVAトランスフェクトTS/A細胞)を、10%FCS、ペニシリン、ストレプトマイシン、1mMピルビン酸、及び10mMHepesを添加したエンドトキシンフリーRPMI 1640培地中で、37℃で5%CO2下で培養した。マウス胎仔繊維芽細胞(MEF)及びOVAトランスフェクトMEFを、10%FCS、ペニシリン、ストレプトマイシン、1mMピルビン酸、及び10mMHepesを添加したエンドトキシンフリーDMEM培地中で培養した。B3ZクローンがKarttunen et al., 1992に記載された。
【0157】
骨髄由来DC及びT細胞ハイブリドーマアッセイ
骨髄由来樹状細胞(DC)を、ペニシリン(100U/ml Gibco)、ストレプトマイシン(100μg/ml Gibco)、L−グルタミン(Gibco)、2−メルカプトエタノール(50μM、Sigma)、10%の熱不活化され、ろ過されたエンドトキシンフリーFCS(Gibco)、及び30%のJ558上清が添加されたIscoves培地(Sigma Aldrich)中で、以前に記載された通りに(Lutz et al., 1999)増殖させた。DCを10〜12日目に使用した。この時、培養物内でのDCの割合は80%を上回った(CD11c及びMHCクラスII抗原の同時免疫蛍光検出により決定)。SIINFEKL特異的な、H−2Kb拘束性ハイブリドーマB3Z(2.104個細胞/ウェル、200μl培養培地を含む)を、生きた又はオキサリプラチン処置されたEG7細胞(オキサリプラチン処置から24時間後に使用した。1×104個細胞/ウェル)とWT又は機能喪失DC(1.104個細胞/ウェル)(Apetoh et al., 2007)の存在において培養した。上清を48時間後に回収し、IL−2分泌をELISAにより評価した。ポジティブコントロールとして、SIINFEKLペプチド(2μg/ml)を使用した。
【0158】
プライミングアッセイ
1.106個のCT26、EG7、又はB16F10細胞を、未処理のままで放置、又はドキソルビシン(20μM)もしくはオキサリプラチン(5μg/ml)を用いて24時間にわたり処理した。細胞を、次に、同系マウスの足蹠中に注射した。一部の実験において、20もしくは100μgのIL−1Ra(Anakinra)又は250ngの組換えマウスIL−1β(又は250ngのIL−6もしくは50ngのIL−12)を、死にかけている腫瘍細胞と共にマウスの足蹠に注射した。代わりに、DCを、EG7細胞と2時間にわたり同時培養し、その後磁気ビーズに結合された抗CD11c mAb(Miltenyi Biotec, Paris, France)を用いたCD11c+細胞の精製及び足蹠中へのこれらの精製DCの注射を行った。5日後に、膝窩リンパ節からの神経節細胞を回収し、96Uウェルプレート中に播種し(3.105個細胞/ウェル)、1mg/ml OVAタンパク質を用いて再刺激した。MCA205又はCT26細胞を用いた再刺激を、42℃で5分間の加温により殺された3×104個の腫瘍細胞を使用して実施し、その後液体窒素中での1サイクルの凍結/解凍を行った。B16F10について、再刺激を、以前に記載された通りに(Overwijk et al., 1998)、gp100ペプチドを使用して達成した。T細胞予備刺激のポジティブコントロールとして、マウスを、OVAタンパク質(1mg)(又はB16F10についてはgp100)及びCpG(10μg)とポリI:C(5μg)の会合を用いて注射した。CT26予備刺激実験のために、細胞ライセートとLPS(250ng)をポジティブコントロールとして使用した。上清を72時間後に回収し、IFNγ分泌をELISAにより評価した。代わりに、細胞を、PMA(10ng/ml)及びイオノマイシン(1μg/ml)を用いて1時間にわたり刺激し、ブレフェルジンA(10μg/ml、37℃で6時間にわたる)(Apetoh et al., 2007)の添加後、CD3、CD4、又はCD8に特異的なAbを用いた表面染色、固定、及び透過処理(Cytofix/cytopermキット)を行い、次にIFNγに特異的な抗体を用いて標識した。免疫蛍光を、LSRIIフローサイトメーター(BD Biosciences)でFACSDivaソフトウェアを用いて分析した。
【0159】
クロス−プライミングアッセイのために、3.105個のX線照射(10Gy)されたTS/A OVA細胞を、C57BL/6マウスの足蹠中に注射した。5日後に、膝窩リンパ節からの神経節細胞を回収し、96Uウェルプレート中に播種し(3.105個細胞/ウェル)、1mg/mlのOVAタンパク質又は2μg/mlのSIINFEKLペプチドを用いて再刺激した。上清を72時間後に回収し、IFNγ分泌をELISAにより評価した。マクロファージを用いた予備刺激アッセイのために、Casp1−/−マウスからの5×106個の腹腔マクロファージを未処理又はオキサリプラチン(5μg/ml)を用いて24時間にわたり処理した。細胞を次にマウスの足蹠中に注射した。5日後に、膝窩リンパ節からの神経節細胞を回収し、96Uウェルプレート中に播種し(3.105個細胞/ウェル)、1mg/mlのOVAタンパク質を用いて再刺激した。上清を72時間後に回収し、IFNγ分泌をELISAにより評価した。
【0160】
ATPアッセイ
1×105個のEG7又はCT26細胞をオキサリプラチン(5μg/ml)又はドキソルビシン(20μM)を用いてそれぞれ処理し、細胞内及び細胞外ATPを0、4、8、12、16、20、及び24時間目に測定した。簡単に述べると、上清を回収し、細胞外ATPを、ルシフェリンベースのENLITEN ATP Assay(Promega, Madison, USA)を使用して評価した。100μlのルシフェリン−ルシフェラーゼ溶液を上清に加え、発光を記録した。ルシフェリン−ルシフェラーゼ溶液の添加によって、ほぼ瞬間的に蛍光の放出が起こった。発光を、製造者の標準サンプルを使用することにより較正した。細胞内ATPを、市販のATP Assayキット(Calbiochem, Darmstadt, Germany)を使用して測定した。細胞を、1%トリクロロ酢酸を含む溶解溶液を用いて1分間にわたり処理した。ルシフェリン−ルシフェラーゼ溶液を次に加え、ATPを測定した。ATP枯渇のために、細胞を最初にオキサリプラチン又はドキソルビシンのいずれかを用いて24時間にわたり処理し、次にアンチマイシンA(2μg/ml)及び2−デオキシグルコース(30mM)を用いて20分間にわたりインキュベートし、ATPを、続いて、以前に記載された通りに(Holmsen et al., 1974)測定した。プレートをFluostarルミノメーター(BMG Labtech)で計測した。
【0161】
マウスにおいて樹立された腫瘍の化学療法及び放射線療法
野生型又は機能喪失C57BL/6マウスを、106個のEL4細胞を用いて右側腹部中に皮下注射した。代わりに、野生型BALB/cマウスを、5.105個のCT26細胞を用いて右側腹部中に注射した。マウスを、次に、各々4〜6匹のマウスの処置群に無作為に割り当てた。腫瘍表面を、キャリパーを使用してモニターした。腫瘍サイズがEL4について70〜90mm2(注射から9〜12日後)又はCT26について60〜80mm2(注射から8〜10日後)に達した際、マウスに化学療法を行った(Apetoh et al., 2007)。EL4腫瘍を持つマウスを、オキサリプラチン(5mg/kg i.p)を用いて注射し、CT26腫瘍を持つマウスを、ドキソルビシン(50μl、4mM i.t)を用いて注射した。一部の実験において、CT26腫瘍を持つマウスに、IL−1Ra(McIntyre et al., 1991)(100μg)、抗IL−1抗体(100μg)、又はハムスター血清(コントロールとして)の2回の注射(化学療法の処置の開始後0日目及び2日目)を行った。
【0162】
インビボでの予備刺激アッセイ
WT又はCasp1−/−マウスにおいて、106個のEG7細胞を用いて脚の大腿部に注射した。腫瘍サイズが70〜90mm2に達した際、マウスを、オキサリプラチン(5mg/kg体重i.p)を用いて処置した。5日後、鼠径リンパ節からの神経節細胞を回収し、1mg/mlのOVAタンパク質を用いて再刺激した。上清を72時間後に回収し、IFNγ分泌をELISAにより評価した。
【0163】
抗癌ワクチン接種
抗癌ワクチン接種を、以前に記載された設定を使用して評価した(Casares et al., 2005; Obeid et al., 2007)。CT26細胞を、PBS又は20μMドキソルビシンのいずれかを用いて、MCA205を、PBS又は1μMミトキサントロンのいずれかを用いて24時間にわたり培養した。全てのこれらの処理は、〜50%のアネキシンV+DAPI+細胞をもたらした(24時間目にFACS分析により評価)。注意深い洗浄後、細胞を無菌PBS中に再懸濁させた。CT26細胞を、アンチマイシンA及びデオキシグルコース(それぞれ2μg/ml及び30mM)の存在又は非存在において20分間にわたり、あるいはOxi−ATP(100mM)の存在又は非存在においてインキュベートした。3回の洗浄後、3×106個の死にかけているCT26細胞(又は3×105個のMCA205細胞)を、マウスの左側腹部中に皮下注射した。一部の実験において、100μgのIL−1Ra(Anakinra)を死にかけている細胞と共に注射した。7日後、マウスを、右の側腹部中に、5×105個の生きたCT26細胞(又は、代わりに、3.104個の生きたMCA205細胞)を用いて再曝露した。次に腫瘍成長を週1回モニターした。
【0164】
免疫蛍光
EG7細胞をPBS又はオキサリプラチンを用いて24時間にわたり培養し、次に、PBS、OxiATP(Lowe et al., 1982; Murgia et al., 1993)(100mM)、又はアンチマイシンA及びデオキシグルコース(それぞれ2μg/ml及び30mM、20分間)のいずれかを用いて処理した。腫瘍細胞を次に注意深く洗浄し、野生型又は機能喪失マウスから得られたBMDCを用いて24時間にわたり同時培養した。同時培養上清をELISAアッセイのために保持し、一方、DCを回収し、洗浄し、ポリリジンスライド上に30分間にわたり播種した。DCを次に固定し、BD Cytofix/cytoperm(Beckton Dickinson)を用いて、製造者の指示に従い透過処理した。細胞を、次に、免疫蛍光顕微鏡検査法のために、ウサギポリクローナルカスパーゼ1p20抗体(Santa Cruz Biotechnology, Inc, Santa Cruz, USA)、CD11c Alexa Fluor 488(Biolegend, San Diego, USA)、及びDAPIを用いて染色した。
【0165】
OT−1細胞のインビトロでの刺激
CD8+T細胞を、OT−1脾臓から、CD8+T Cell Isolation Kit(Miltenyi Biotec, Paris, France)を用いて精製した。これらの応答細胞(2×104個)を、生きている又はオキサリプラチン処理されたEG7細胞(1×104個)を用いて負荷したWT又はCasp1欠損マウスからの骨髄由来DC(1×104個)と、コントロール又は抗IL−1β抗体(10μg/ml)の存在において、丸底96ウェルプレート中で同時培養した。代わりに、OT−1細胞及びBM−DCを、OVAタンパク質単独と又はCpG(10μg/ml)及びポリI:C(5μg/ml)とインキュベートした。上清を48時間後に回収し、IFNγについてELISAにより分析した。
【0166】
CD8+T細胞のインビトロでの刺激
二重陽性CD3+及びCD8+細胞を、マウス脾臓から、MoFloサイトフルオロメーター(Dako Colorado Inc)で細胞選別により単離し、これらの細胞を、種々の量のサイトカインを添加し、抗CD3ε mAb(1μg/ml)及び抗CD28 mAb(0.5μg/ml)を用いて事前にコーティングされた平底96ウェル培養プレート中でインキュベートした。上清を48時間後に回収し、IFNγについてELISAにより分析した。
【0167】
実験データの統計分析
実験データの分析のために、必要に応じて連続データの比較をマンホイットニーU検定により、カテゴリーデータの比較を、カイ二乗又はフィッシャー直接確率検定より達成した。ログランク検定を、カプラン・マイヤー生存曲線の分析のために使用した。統計的計算を、JMP 5.1ソフトウェア(SAS Institute, Cary, NC)を用いて実施した。全てのp値が両側であった。p値<0.05が、全ての実験について統計的に有意であると考えられた。
【0168】
臨床試験計画
本発明者らは、Institut Gustave Roussy及びCentre Rene Huguenin(France)から得られたデータを使用して患者データベースを遡及的に構築した。全ての患者が、試験における登録のための書面のインフォームドコンセントを提供し、同意が、地元の治験審査委員会「CCPPRB du Val de Marne」から得られた。適格患者は、組織学的に確認された腋窩リンパ節陽性の散発性乳癌を有した。患者が選択され、一次外科手術により処置された(外科手術手順及び地元のガイドラインに従った+/−放線治療)。全ての患者が、外科手術後にアジュバントアントラサイクリンベースの化学療法を受けた(FECプロトコール)。アジュバント設定におけるタキサンの性能は、除外基準ではなかった。診断時に転移の証拠を示す患者又は原発性腫瘍の不完全な外科切除を有する患者を試験から除外した。アジュバント内分泌療法が、ホルモン受容体陽性腫瘍を有する全ての患者に推奨された。診断時の年齢、病理学的な腫瘍サイズ、リンパ節の関与、腫瘍の悪性度、ホルモン受容体、内分泌処置、事象の発生、及び経過観察を、医学的ファイルから抽出し、データベースに記録した(下の表1)。試験の主要評価項目は、無転移生存(診断から転移の発生までの時間と定義される)であった。転移事象が依然としてなかった患者についてのデータを、10年目(フランスの推奨事項に従った最後の診察日)で打ち切った。なぜなら、10年後での真性再発が異例であったからである(Brewster et al., 2008)。患者データベースの生成及びゲノムDNAサンプルの回収後、遺伝子型決定及び統計分析を盲検様式で実施した。合計230人の患者が、参加基準を満たした。それらの内の5人をリンパ節転移陰性疾患のために除外した。カイ二乗検定を使用し、2つの遺伝子型群に対して臨床特徴の分布を比較した。生存率を、カプラン・マイヤー法を使用して推定した。単変量非階層化Coxモデルを次に使用した。単変量非階層化Cox分析によりフィルターされた有意なデータを使用し、多変量Coxモデルを生成した。全ての分析を、SASソフトウェア、バージョン8.2(SAS Institute Inc., Cary, NC)を使用して行った。
【0169】
【表1】
【0170】
また、本発明者らは、Institut Gustave Roussy(France)から得られたデータを使用して第2の患者データベースを遡及的に構築した。全ての患者が、ケースコントロール試験における登録のための書面のインフォームドコンセントを提供した。適格患者は、組織学的に確認された腋窩リンパ節陽性の散発性乳癌を有した。全ての患者が、外科手術(ネオアジュバント設定におけるFECプロトコール)前にアントラサイクリンベースの化学療法を受けた。この試験では、年齢、腫瘍の悪性度、及びホルモン受容体について一致させた。試験の主要評価項目は、病理学的な完全寛解(即ち、もはや腫瘍細胞なく、完全な回復)であった。患者データベースの生成及びゲノムDNAサンプルの回収後、遺伝子型決定及び統計分析を盲検様式で実施した。合計47人の患者が、参加基準を満たした。フィッシャー直接確率検定を使用し、2つの遺伝子型群に対して臨床特徴の分布を比較した。全ての分析を、SASソフトウェア、バージョン8.2(SAS Institute Inc., Cary, NC)を使用して行った。
【0171】
P2X7単一ヌクレオチド多型(SNP)の遺伝子型決定
DNAを、対象からの冷凍血液の白血球から単離した。PCRプライマー(Applied Biosystems)を使用し、P2X7 Glu496Ala SNP(rs3751143)を含むフラグメントを増幅した。PCR増幅後、遺伝子型を、2つの蛍光プローブ(FAM及びVIC)からのシグナルを比較し、各データポイントについて−log(FAM/VIC)比を計算することにより各対象に割り当てた。
【0172】
結果
本発明者らは、オキサリプラチンが、複数の細胞株(EL4胸腺腫及びEG7細胞(オボアルブミン(OVA)トランスフェクトEL4細胞である)を含む)からATPの放出を誘導することを観察した(図1a)。デオキシグルコースとアンチマイシンAを用いた短時間の処理によるATPの枯渇(図1b)、壊死を誘導しなかった処置(図2)によって、オキサリプラチン処理されたEG7細胞の免疫原性が無効になった。足蹠中への注射後、ATPを含む(ATPは枯渇していない)、オキサリプラチン処理されたEG7細胞が、膝窩リンパ節からのT細胞を予備刺激し、OVAを用いた再刺激に応答してIFNγを分泌した(図1c)。ATP(「oxiATP」)の2’,3’−ジアルデヒド誘導体を用いたプリン受容体の遮断によって、オキサリプラチン処理されたEG7細胞によるT細胞予備刺激が無効になり、しかし、OVAタンパク質とアジュバントにより引き起こされたT細胞予備刺激に影響を与えなかった(図1d)。同様の結果がCT26結腸癌細胞について得られ、それらはドキソルビシンに応答してATPを放出し、ATPが枯渇した場合又はプリン受容体が遮断された場合、抗癌ワクチンとして作用するそれらの潜在力を喪失した(図3)。オキサリプラチン処理されたEG7細胞は、それらがプリン受容体P2X7(ATPに対して最も高い親和性を有する)を欠くマウス中に接種された場合、IFNγ産生のためにT細胞を予備刺激しなかった(図4)。WTマウスからの(P2X7−/−からではない)骨髄由来DC(BM−DC)は、それらが死にかけているEG7細胞を用いて事前にインキュベートされ、次にP2X7−/−マウス中に接種された場合に、IFNγ産生のためにT細胞を予備刺激し(図1e)、それが、死にかけている腫瘍細胞からのATPを感知するDC(他の細胞型とは対照的に)上のP2X7であることを示す。
【0173】
P2X7受容体を介して、ATPは、カスパーゼ1のNALP3依存的なタンパク質分解活性化を誘導することができる。死にかけているEG7細胞とインキュベートされた単離WT BM−DC(P2X7−/−、Asc−/−、又はNALP3−/−DCではない)は、カスパーゼ1を活性化した(図5a、b)。DC内でのカスパーゼ1活性化は、IL−1βの分泌をもたらしたが(図5c)、IL−18は分泌されなかった(依然として検出不可能であった)。死にかけている腫瘍細胞を用いて刺激されたDCによるIL−12 p40サブユニットの分泌及びMHCクラスII抗原、CD40、CD80、又はCD86の表面発現は、P2X7、Nalp3、又はAscに非依存的であり(図6、7)、インフラマソームの活性化の障害は、DCに対する特異的な(広範囲ではなく)効果を有することを示す。したがって、死にかけているEG7細胞を用いて負荷されたNALP3−/−又はCasp1−/−DCは、WT DCと同じくらい効果的にOVA由来SIINFEKLペプチドをT細胞ハイブリドーマ細胞に提示した(図8)。WT DCとは対照的に、死にかけている腫瘍細胞を用いてパルスされたNALP3−/−又はCasp1−/−DCは、インビボでのIFNγ産生のためにT細胞を予備刺激できなかった(図9)。同系の死にかけている腫瘍細胞によるIFNγ産生のためのT細胞予備刺激は、NALP3−/−、Casp1−/−、又はIL−1R1−/−マウスにおいて抑制された(しかし、IL−12Rβ2−/−及びIL−18R−/−マウスにおいては正常であった)(図5d)。機能的P2X7/NALP3/Casp−1/IL−1R1軸の非存在によって、T細胞予備刺激はそれ自体無効にならなかったが、しかし、むしろ、異なるサイトカインパターンに向かった逸脱を起こし、今までに抗原特異的T細胞が正常にIL−13及びIL−10を産生したが(図10)、IFNγは産生しなかった(図5d)。
【0174】
同種(MHC不適合)系におけるMHCクラスI拘束性CD8+T細胞の交差予備刺激もカスパーゼ1に依存した。死にかけているOVA発現乳癌細胞(TS/A、H−2d)は、Casp1−/−マウスに注射された場合、OVA由来のH−2b拘束性SIINFEKLエピトープに特異的なCTLを予備刺激できなかった(図5e)。同様に、細胞関連OVA(Kbタンパク質の膜貫通ドメインに融合)を発現する死にかけているマウス胎仔繊維芽細胞(MEF)は、WTに注射された場合、IFNγ産生のためにT細胞を予備刺激したが、Casp1−/−マウスではしなかった(図11a、b)。Casp−1欠損によって、また、オキサリプラチン処理されたOVA負荷腹腔マクロファージ(図11c)及びオキサリプラチン処理されたB16F10メラノーマ細胞(図12)によるT細胞予備刺激が損なわれた。ミトキサントロン処理されたMCA205繊維肉腫細胞は、免疫応答を誘発し、それはWTマウスにおいて生きた腫瘍細胞の成長を防止したが、しかし、P2X7−/−、NALP3−/−、又はCasp1−/−マウスにおいてはしなかった(図13)。死にかけているCT26細胞は、自己CT26ライセートに応答したIFNγ産生のためにT細胞を予備刺激した(しかし、異なる腫瘍からのコントロールライセートではしなかった)。この腫瘍特異的な応答は、組換えIL−1受容体アンタゴニスト(IL−1Ra)の注射により無効になった(図14)。これらの結果によって、NALP3インフラマソーム依存的なIL1β産生が、IFNγ産生へのCTL極性化/予備刺激の重要な要素として特定される。
【0175】
WT DCは、T細胞においてIL−1R媒介シグナルを伝達するために不可欠であるアダプター分子MyD88を欠損した宿主においてT細胞を活性化できず(図15a)、IL−1βシグナル伝達が宿主細胞にとって重要であることを示す(OVA提示DCのレベルだけではなく)。T細胞予備刺激に対するIL−1βの寄与を直接的に評価するために、本発明者らはインビトロでのアッセイを実施し、それにおいてWT又はCasp1−/− BM−DCを、死にかけている腫瘍細胞を用いてパルスし、次にIL−1Ra又はIL−1β中和抗体の存在において天然T細胞と同時培養し、その後分泌されたIFNγの検出を行った。Casp1−/−マウスからのH−2b発現DCを、死にかけているEG7細胞を用いてパルスした場合、それらは、H−2bクラスI分子により提示されるOVA由来SIINFEKLペプチドを認識するトランスジェニックTCRを発現するOT−1マウスからの天然T細胞を予備刺激できなかった(図15b)。同様の条件において、WT DCはOVA特異的OT−1細胞を刺激し、IFNγを産生する(IL−1β特異的抗体を系に加えない場合)。外因性IL−1β又はrIL−12は、インビトロでCasp1−/− DCの予備刺激能力を回復した(図15b)。注目すべきは、WT及びCasp1−/− DCは、同様の効力でOT−1活性化を促進した(それらが、死にかけているOVA発現細胞の代わりに、可溶性OVAタンパク質とアジュバントを用いてパルスされた場合)(挿入図、図15b)。CD8+T細胞に対するIL−1βの直接効果を実証するために、本発明者らは、IL−1βの非存在又は存在において、CD3+とCD28を架橋することにより、CD3+CD8+脾臓T細胞を準最適に刺激した。天然CTLはIFNγを産生できなかった(IL−1β(又はポジティブコントロールとしてのIL−12、しかしネガティブコントロールとしてのTNFα又はIL−6ではない)を加えなかった場合)。
【0176】
オキサリプラチン処理されたEG7細胞は、インビボでT細胞を予備刺激できなかった(それらを足蹠中にIL−Raと同時注射した場合)。これらの条件において、流入領域リンパ節からのT細胞は、OVAを用いた再刺激後に、インビトロでIFNγを分泌できなかった(図15d)。より具体的には、CD3+CD8+Tリンパ球は、細胞質IFNγについて陽性染色されなかった(図16)。反対に、組換えIL−1βタンパク質(又はIL−12、しかしIL−6ではない)とオキサリプラチン処理されたEG7細胞との局所注射は、NALP3−/−又はCasp1−/−マウスにおける欠損したT細胞予備刺激を回復させた(図15e)。このように、IL−1βは、癌細胞死のNALP3依存的な免疫原性を決定するサイトカインである。
【0177】
オキサリプラチンは、免疫正常WTマウスにおけるEL4腫瘍成長を制御する際に効果的である。オキサリプラチンは、T及びB細胞欠損rag−2-/-マウス、T細胞欠損nu/nuマウス、CD8+T細胞が枯渇しているマウス(図17a)、及びIfnγR1-/-マウスにおいて樹立された腫瘍に対する治療効力を喪失していたが、しかし、WT及びIL−12Rβ2-/-マウスにおいては依然として効果的であった(図17b)。同様に、P2X7-/-、NALP3−/−、又はCasp1−/−マウスに移植されたEL4腫瘍は、WTコントロールにおいて成長している腫瘍ほどオキサリプラチンに効果的に応答しなかった(図17c)。IL−1Ra又は抗IL−1βは、また、インビボでのオキサリプラチンに対するEL4腫瘍の応答(示さず)及びアントラサイクリンに対するCT26腫瘍の応答を鈍くした(図17d)。全てのこれらのモデルにおいて、ならびに、アントラサイクリンを用いて処置された非転移性乳癌患者において、TLR4の欠損又は機能喪失対立遺伝子によって化学療法の効力が損なわれることから、免疫系が化学療法の応答に寄与していることが裏付けられる。本発明者らは、従って、P2X7に影響を与える機能喪失対立遺伝子(Glu496Ala)(ATPについてのその親和性ひいてはATP誘導性IL−1β放出を低下させる)が、アントラサイクリン処置された乳癌患者において治療の失敗を加速させうるか否かを追求した(上の表1)。P2X7機能喪失対立遺伝子は、診断後10年以内に転移再発の確率を増大させ(Glu496Ala対立遺伝子を保有する患者の52%対正常対立遺伝子を有する患者の36%;カイ2乗分析によるp=0.02)、無転移生存に対する有意にネガティブな予後影響を示し(ログランク検定;p=0.02)、ハザード比は1.6であった(95%信頼区間1.1−2.4;単変量Cox比例ハザード分析においてp=0.02)(図17e)。第2の試験において、本発明者らは、外科手術(ネオアジュバント治療)前にアントラサイクリンベースの化学療法を有する乳癌患者の集団において、病理学的な完全寛解の割合が、P2X7機能喪失対立遺伝子を提示しない集団では、P2X7機能喪失対立遺伝子を有する集団よりも高いことを観察した(Glu496Ala対立遺伝子を保有する患者の23%対正常対立遺伝子を有する患者の56%;カイ2乗分析によるp=0.05)(図18A及びB)。したがって、P2X7機能喪失対立遺伝子は、病理学的な完全寛解に対して有意なネガティブな予後影響を有する。これらの結果は、P2X7/インフラマソーム経路が臨床的関連性を示すことを裏付ける。
【0178】
本結果によって、癌細胞死が免疫原性であるために要求される新たなシグナル、即ち、ATPの放出が特定される。細胞外ATPは、重度の組織損傷(心筋梗塞と肝毒性損傷を含む)において強力な炎症性効果を媒介することが以前に示されている。本データは以下のシナリオに適合する:ATPがDC上のP2X7受容体を活性化し、それによりNALP3/ASC/Casp−1インフラマソームの連続凝集、カスパーゼ1のタンパク質分解的な成熟/活性化、及びIL−1βの成熟/分泌が刺激される。IL−1βが、次に、IFNγを産生する腫瘍抗原特異的CD8+Tリンパ球の予備刺激に関与する。この線形カスケードにおける個々の段階のいずれかを実行できなければ、死にかけている腫瘍細胞に対する免疫応答が損なわれ、ひいては抗癌化学療法の治療効力が低下しうる。
【0179】
抗癌処置に対する対象の感受性を、死にかけている腫瘍細胞の存在におけるその樹状細胞のIL−1β分泌能力を測定することにより評価するためのプロトコールの例
MD−DCを得て、濃度2.106/mlで、6ウェルプレートで、GM−CSF(800IU/ml)及びIFNアルファ(1000IU/ml)と一緒にAIMV培地中で2日間にわたり培養した。HCT116細胞を、オキサリプラチン(10μg/ml)を用いて16時間にわたり処理した。死にかけているHCT116を次に回収し、MDDCと比率1:1で、96ウェルプレート中で20時間にわたり同時培養した。ポジティブコントロールとして、DCを、LPS(5ng/ml)と20時間にわたり、及びATP(2mM)と最後に15分間インキュベートした。ネガティブコントロールとして、DCを、単独で、又は生きた腫瘍細胞とインキュベートした。20時間後、上清を回収し、IL−1βを、異なる条件においてELISAアッセイを使用して評価した。
【0180】
【表2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する対象の感受性を評価するインビトロでの方法であって、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的経路が前記処置に対する耐性を示す方法。
【請求項2】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、前記経路に関与する遺伝子における機能喪失突然変異の検出により評価され、前記突然変異の存在が非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す、請求項1記載の方法。
【請求項3】
突然変異が、rs28360457、rs1653624、rs3751143、rs2230911、及びrs501192からなる群より選択されるSNPである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
SNPがrs3751143である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、前記経路に関与するタンパク質の突然変異ポリペプチド配列又は損なわれた発現の検出により評価され、突然変異配列又は発現が非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す、請求項1記載の方法。
【請求項6】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、化学療法又は放射線療法の処置前後で対象の血液サンプル中でのIL−1βレベルを比較することにより評価され、前記処置後での前記レベルの有意な増加が機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す、請求項1記載の方法。
【請求項7】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、死にかけている腫瘍細胞の存在においてIL−1βを分泌する対象の樹状細胞の能力を測定することにより評価され、標準レベルと比較して低下した能力が、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、HMGB1及びATPの存在においてIL−1βを分泌する対象の樹状細胞の能力を測定することにより評価され、標準レベルと比較して低下した能力が、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、リポポリサッカリド及びATPの存在においてIL−1βを分泌する対象の単球の能力を測定することにより評価され、標準レベルと比較して低下した能力が、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、前記経路の構成成分の機能分析により評価され、前記経路の少なくとも1つの構成成分の機能喪失が、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す、請求項1記載の方法。
【請求項11】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、P2X7受容体の機能分析により評価される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、IL−1βの機能分析により評価される、請求項10記載の方法。
【請求項13】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、カスパーゼ1の機能分析により評価される、請求項10記載の方法。
【請求項14】
癌の化学療法の処置が、アントラサイクリン、オキサリプラチン、及びシスプラチンからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項15】
放射線療法の処置がX線又はガンマ線である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
癌が、乳房、結腸、卵巣、胃、肉腫、子宮粘膜、膀胱、子宮頸部、前立腺、直腸、肺、ORL癌、小児腫瘍(神経芽細胞腫、多形性膠芽腫)、リンパ腫、白血病、ミエローマ、セミノーマ、ホジキン及び悪性血液病からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項17】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する感受性を増加又は回復するために有用である化合物をスクリーニングするためのインビトロでの方法であって、前記対象において死にかけている腫瘍細胞の存在における樹状細胞によるIL−1β分泌を誘導又は増加する試験化合物の能力を決定することを含む方法。
【請求項18】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において癌を処置するために有用である化合物をスクリーニングするためのインビトロでの方法であって、前記対象において死にかけている腫瘍細胞の存在における樹状細胞によるIL−1β分泌を誘導又は増加する試験化合物の能力を決定することを含む方法。
【請求項19】
非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する感受性を増加又は回復するために有用である化合物をスクリーニングするための方法であって、(i)癌の化学療法又は放射線療法の処置との組み合わせで、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有し、腫瘍を用いて接種された非ヒトトランスジェニック動物に試験化合物を投与すること、及び(ii)前記処置に対する前記動物の感受性を評価することを含む方法。
【請求項20】
対象における癌再発の可能性を決定するためのインビトロでの方法であって、前記対象においてP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的経路が再発の可能性の増加を示す方法。
【請求項21】
癌再発が転移再発である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、前記経路に関与する遺伝子における機能喪失突然変異の検出により評価され、前記突然変異の存在が非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す、請求項20又は21記載の方法。
【請求項23】
突然変異が、rs28360457、rs1653624、rs3751143、rs2230911、及びrs501192からなる群より選択されるSNPであり、好ましくは、SNP rs3751143である、請求項20〜22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
それを必要とする対象のために適した化学療法又は放射線療法の処置を選択するためのインビトロでの方法であって、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的経路が、免疫原性腫瘍細胞死を誘導する抗癌処置についての禁忌と考えられている方法。
【請求項25】
化学療法薬剤及びP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物を含む医薬的組成物。
【請求項26】
化学療法薬剤が、アントラサイクリン、オキサリプラチン、及びシスプラチンからなる群より選択される、請求項25記載の医薬的組成物。
【請求項27】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物が、IL−1β;IL−12;ナチュラルキラー細胞及びナチュラルキラーT細胞アクチベーター、例えばCD1dアゴニスト、IL−15、IL−2、又はIFNαなど;P2X7受容体アクチベーター、例えばカテリシジン由来ペプチドLL37、ポリミキシンB、STAT3阻害剤、抗CTLA4抗体、抗PD−1抗体、TGFb阻害ペプチド、IL−10阻害ペプチド、抗IL−10モノクローナル抗体、抗IL−13モノクローナル抗体、抗PDL−1モノクローナル抗体、及びIL−33などからなる群より選択される、請求項25記載の医薬的組成物。
【請求項28】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物が、組換えIL−1βである、請求項27記載の医薬的組成物。
【請求項29】
化学療法薬剤及びP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物を、癌の処置における同時、別々、又は連続使用のための組み合わせ調製物として含む産物。
【請求項30】
化学療法薬剤が、アントラサイクリン、オキサリプラチン、及びシスプラチンからなる群より選択される、請求項29記載の産物。
【請求項31】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物が、IL−1β;IL−12;ナチュラルキラー細胞及びナチュラルキラーT細胞アクチベーター、例えばCD1dアゴニスト、IL−15、IL−2、又はIFNαなど;P2X7受容体アクチベーター、例えばカテリシジン由来ペプチドLL37、ポリミキシンB、STAT3阻害剤、抗CTLA4抗体、抗PD−1抗体、TGFb阻害ペプチド、IL−10阻害ペプチド、抗IL−10モノクローナル抗体、抗IL−13モノクローナル抗体、抗PDL−1モノクローナル抗体、及びIL−33などからなる群より選択される、請求項29記載の産物。
【請求項32】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物が、組換えIL−1βである、請求項31記載の産物。
【請求項33】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象における、化学療法薬剤又は放射線療法の処置と組み合わせた癌の処置における使用のためのP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物。
【請求項34】
化合物が、IL−1β;IL−12;ナチュラルキラー細胞及びナチュラルキラーT細胞アクチベーター、例えばCD1dアゴニスト、IL−15、IL−2、又はIFNαなど;P2X7受容体アクチベーター、例えばカテリシジン由来ペプチドLL37、ポリミキシンB、STAT3阻害剤、抗CTLA4抗体、抗PD−1抗体、TGFb阻害ペプチド、IL−10阻害ペプチド、抗IL−13モノクローナル抗体、及びIL−33などからなる群より選択される、請求項33記載の化合物。
【請求項35】
化合物が組換えIL−1βである、請求項34記載の化合物。
【請求項36】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において癌を処置するための医薬の製造のためのP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物の使用。
【請求項37】
癌を患い、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において化学療法又は放射線療法の処置の効力を増加させるための方法であって、治療的有効量の請求項30記載の化合物と組み合わせて化学療法又は放射線療法の処置を施すことを含む方法。
【請求項38】
癌を患い、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象を処置するための方法であって、請求項30記載の化合物と組み合わせて化学療法又は放射線療法の処置を施すことを含む方法。
【請求項39】
アントラサイクリン、オキサリプラチン、シスプラチン、及びX線からなる群より選択される処置を、組換えIL−1βとの組み合わせで施すことを含む、請求項38記載の方法。
【請求項1】
癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する対象の感受性を評価するインビトロでの方法であって、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的経路が前記処置に対する耐性を示す方法。
【請求項2】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、前記経路に関与する遺伝子における機能喪失突然変異の検出により評価され、前記突然変異の存在が非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す、請求項1記載の方法。
【請求項3】
突然変異が、rs28360457、rs1653624、rs3751143、rs2230911、及びrs501192からなる群より選択されるSNPである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
SNPがrs3751143である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、前記経路に関与するタンパク質の突然変異ポリペプチド配列又は損なわれた発現の検出により評価され、突然変異配列又は発現が非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す、請求項1記載の方法。
【請求項6】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、化学療法又は放射線療法の処置前後で対象の血液サンプル中でのIL−1βレベルを比較することにより評価され、前記処置後での前記レベルの有意な増加が機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す、請求項1記載の方法。
【請求項7】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、死にかけている腫瘍細胞の存在においてIL−1βを分泌する対象の樹状細胞の能力を測定することにより評価され、標準レベルと比較して低下した能力が、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、HMGB1及びATPの存在においてIL−1βを分泌する対象の樹状細胞の能力を測定することにより評価され、標準レベルと比較して低下した能力が、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、リポポリサッカリド及びATPの存在においてIL−1βを分泌する対象の単球の能力を測定することにより評価され、標準レベルと比較して低下した能力が、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路と相関する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、前記経路の構成成分の機能分析により評価され、前記経路の少なくとも1つの構成成分の機能喪失が、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す、請求項1記載の方法。
【請求項11】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、P2X7受容体の機能分析により評価される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、IL−1βの機能分析により評価される、請求項10記載の方法。
【請求項13】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、カスパーゼ1の機能分析により評価される、請求項10記載の方法。
【請求項14】
癌の化学療法の処置が、アントラサイクリン、オキサリプラチン、及びシスプラチンからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項15】
放射線療法の処置がX線又はガンマ線である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
癌が、乳房、結腸、卵巣、胃、肉腫、子宮粘膜、膀胱、子宮頸部、前立腺、直腸、肺、ORL癌、小児腫瘍(神経芽細胞腫、多形性膠芽腫)、リンパ腫、白血病、ミエローマ、セミノーマ、ホジキン及び悪性血液病からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項17】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する感受性を増加又は回復するために有用である化合物をスクリーニングするためのインビトロでの方法であって、前記対象において死にかけている腫瘍細胞の存在における樹状細胞によるIL−1β分泌を誘導又は増加する試験化合物の能力を決定することを含む方法。
【請求項18】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において癌を処置するために有用である化合物をスクリーニングするためのインビトロでの方法であって、前記対象において死にかけている腫瘍細胞の存在における樹状細胞によるIL−1β分泌を誘導又は増加する試験化合物の能力を決定することを含む方法。
【請求項19】
非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において癌の化学療法又は放射線療法の処置に対する感受性を増加又は回復するために有用である化合物をスクリーニングするための方法であって、(i)癌の化学療法又は放射線療法の処置との組み合わせで、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有し、腫瘍を用いて接種された非ヒトトランスジェニック動物に試験化合物を投与すること、及び(ii)前記処置に対する前記動物の感受性を評価することを含む方法。
【請求項20】
対象における癌再発の可能性を決定するためのインビトロでの方法であって、前記対象においてP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的経路が再発の可能性の増加を示す方法。
【請求項21】
癌再発が転移再発である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態が、前記経路に関与する遺伝子における機能喪失突然変異の検出により評価され、前記突然変異の存在が非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を示す、請求項20又は21記載の方法。
【請求項23】
突然変異が、rs28360457、rs1653624、rs3751143、rs2230911、及びrs501192からなる群より選択されるSNPであり、好ましくは、SNP rs3751143である、請求項20〜22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
それを必要とする対象のために適した化学療法又は放射線療法の処置を選択するためのインビトロでの方法であって、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路の機能的状態を決定することを含み、非機能的経路が、免疫原性腫瘍細胞死を誘導する抗癌処置についての禁忌と考えられている方法。
【請求項25】
化学療法薬剤及びP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物を含む医薬的組成物。
【請求項26】
化学療法薬剤が、アントラサイクリン、オキサリプラチン、及びシスプラチンからなる群より選択される、請求項25記載の医薬的組成物。
【請求項27】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物が、IL−1β;IL−12;ナチュラルキラー細胞及びナチュラルキラーT細胞アクチベーター、例えばCD1dアゴニスト、IL−15、IL−2、又はIFNαなど;P2X7受容体アクチベーター、例えばカテリシジン由来ペプチドLL37、ポリミキシンB、STAT3阻害剤、抗CTLA4抗体、抗PD−1抗体、TGFb阻害ペプチド、IL−10阻害ペプチド、抗IL−10モノクローナル抗体、抗IL−13モノクローナル抗体、抗PDL−1モノクローナル抗体、及びIL−33などからなる群より選択される、請求項25記載の医薬的組成物。
【請求項28】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物が、組換えIL−1βである、請求項27記載の医薬的組成物。
【請求項29】
化学療法薬剤及びP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物を、癌の処置における同時、別々、又は連続使用のための組み合わせ調製物として含む産物。
【請求項30】
化学療法薬剤が、アントラサイクリン、オキサリプラチン、及びシスプラチンからなる群より選択される、請求項29記載の産物。
【請求項31】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物が、IL−1β;IL−12;ナチュラルキラー細胞及びナチュラルキラーT細胞アクチベーター、例えばCD1dアゴニスト、IL−15、IL−2、又はIFNαなど;P2X7受容体アクチベーター、例えばカテリシジン由来ペプチドLL37、ポリミキシンB、STAT3阻害剤、抗CTLA4抗体、抗PD−1抗体、TGFb阻害ペプチド、IL−10阻害ペプチド、抗IL−10モノクローナル抗体、抗IL−13モノクローナル抗体、抗PDL−1モノクローナル抗体、及びIL−33などからなる群より選択される、請求項29記載の産物。
【請求項32】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物が、組換えIL−1βである、請求項31記載の産物。
【請求項33】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象における、化学療法薬剤又は放射線療法の処置と組み合わせた癌の処置における使用のためのP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物。
【請求項34】
化合物が、IL−1β;IL−12;ナチュラルキラー細胞及びナチュラルキラーT細胞アクチベーター、例えばCD1dアゴニスト、IL−15、IL−2、又はIFNαなど;P2X7受容体アクチベーター、例えばカテリシジン由来ペプチドLL37、ポリミキシンB、STAT3阻害剤、抗CTLA4抗体、抗PD−1抗体、TGFb阻害ペプチド、IL−10阻害ペプチド、抗IL−13モノクローナル抗体、及びIL−33などからなる群より選択される、請求項33記載の化合物。
【請求項35】
化合物が組換えIL−1βである、請求項34記載の化合物。
【請求項36】
P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象において癌を処置するための医薬の製造のためのP2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を補うことができる化合物の使用。
【請求項37】
癌を患い、非機能的P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路を有する対象において化学療法又は放射線療法の処置の効力を増加させるための方法であって、治療的有効量の請求項30記載の化合物と組み合わせて化学療法又は放射線療法の処置を施すことを含む方法。
【請求項38】
癌を患い、P2X7誘発性NALP3インフラマソーム経路における機能喪失を有する対象を処置するための方法であって、請求項30記載の化合物と組み合わせて化学療法又は放射線療法の処置を施すことを含む方法。
【請求項39】
アントラサイクリン、オキサリプラチン、シスプラチン、及びX線からなる群より選択される処置を、組換えIL−1βとの組み合わせで施すことを含む、請求項38記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図15d】
【図15e】
【図16a】
【図16b】
【図17a】
【図17b】
【図17c】
【図17d】
【図17e】
【図18A】
【図18B】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図15d】
【図15e】
【図16a】
【図16b】
【図17a】
【図17b】
【図17c】
【図17d】
【図17e】
【図18A】
【図18B】
【公表番号】特表2012−509685(P2012−509685A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537991(P2011−537991)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065986
【国際公開番号】WO2010/060990
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(599029545)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT GUSTAVE ROUSSY
【出願人】(591100596)アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル (59)
【出願人】(506333358)ユニヴェルシテ・パリ・シュド・オーンズ (7)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS SUD XI
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065986
【国際公開番号】WO2010/060990
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(599029545)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT GUSTAVE ROUSSY
【出願人】(591100596)アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル (59)
【出願人】(506333358)ユニヴェルシテ・パリ・シュド・オーンズ (7)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS SUD XI
【Fターム(参考)】
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