説明

癌及び神経変性疾患の治療又は予防方法



癌及びアルツハイマー病などの神経変性疾患に対するさらなる治療薬の必要性が存在する。本発明は、有効量のスルホンアミド系化合物を、被験体に投与することを含む癌及び神経変性疾患の治療、又は予防方法に関する。有効量の式(I)(X、R、R、添字m、添字n、及び添字vは、本明細書に定義されている通りである)の化合物を、神経変性疾患を有する被験体に投与することを含む神経変性疾患の治療、又は予防方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願との相互参照)
本願は、2008年12月22日に出願された、米国仮特許出願第61/139,751号に対する優先権を主張し、この仮特許出願の全内容は参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、有効量のスルホンアミド系化合物を被験体に投与することを含む癌及び神経変性疾患の治療又は予防方法に関する。
【背景技術】
【0003】
アルツハイマー病(AD)は、痴呆の最も一般的な形である。アルツハイマー病は、記憶力及び全般的認知機能の進行的な低下によって臨床的に特徴付けられ、患者の皮質及び連合脳領域への細胞外タンパク質性プラークの堆積によって病理学的に特徴付けられる神経変性障害である。これらのプラークは、主として、β−アミロイドペプチドの原線維凝集体(Aβ)を含む。Aβは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)から形成される。APPは、様々なタンパク質分解処理事象を生じる、その3つの主たるイソ型(APP695、APP751及びAPP770)が公知である遍在性の膜貫通(1型)糖タンパク質である(非特許文献1)。
【0004】
APPからのAβの生成は、β−セクレターゼ酵素及びγ−セクレターゼ酵素を必要とする個別の細胞内タンパク質分解事象を介して起こる。β−セクレターゼは、最初に、細胞外ドメイン内のAPPを切断して、可溶性APP−β及びβ−CTF(C末端断片)を生成し、次いでそれをγ−セクレターゼによってさらに処理して、Aβ及びγ−CTFを放出する。γ−セクレターゼがβ−CTFを切断すると仮定して、細胞ベースのアッセイ及びインビトロアッセイにおいてγ−セクレターゼ活性を監視するのにβ−CTFが広く使用されてきた。γ−セクレターゼによるAPPの切断サイトは、膜貫通ドメイン内に位置するものと思われ、γ−セクレターゼ媒介タンパク質分解のサイトのばらつきは、異種のC末端を含む異なる鎖長のAβ、例えば、Aβ(1−38、「Aβ38」、Aβ(1−40、「Aβ40」)及びAβ(1−42、「Aβ42」)をもたらす。細胞外培地への分泌後、最初に可溶性のAβは凝集体を形成し、究極的には、不溶性堆積物、及びADの病理学的特徴である高密度の神経炎性プラークをもたらす。Aβ42は、Aβ40より凝集しやすく、アミロイドプラークの主たる構成要素である(非特許文献2;非特許文献3)。
【0005】
或いは、APPをα−セクレターゼ及びγ−セクレターゼによって順次切断して、可溶性APP−α、P3及びγ−CTFを生成することができる。α−セクレターゼ切断は、Aβペプチドの形成を防止する。
【0006】
プラーク形成プロセスへの様々な介入が、ADに対する治療として提案されてきた(例えば、非特許文献4参照)。提案された1つの当該治療方法は、例えば、β−セクレターゼ又はγ−セクレターゼの阻害によってAβの生成を阻止するか、又は弱める方法である。提案された他の治療方法は、Aβの凝集を阻止する化合物を投与すること、又はAβに選択的に結合する抗体を投与することを含む。α−セクレターゼの活性化は、α−セクレターゼ切断の増強がAβ生成の低減に寄与するという点で、AD治療薬の開発のための興味深い方法である。
【0007】
γ−セクレターゼは、プレセニリン(PS)、ニカストリン(NCT)、PEN−2及びAPH−1の少なくとも4つのタンパク質で構成された高分子アスパルチルプロテアーゼである(非特許文献5)。最近、CD147及びTMP21は、γ−セクレターゼ複合体と結合されることが判明した(非特許文献6;非特許文献7)。これらの公知の構成要素の中で、PSは、γ−セクレターゼの活性サイトを含むと考えられる(非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10)。γ−セクレターゼ基質認識のプロセス及びその触媒機構を理解するために多大な努力がなされてきた。PS依存性プロテアーゼは、TMタンパク質細胞外ドメインが300のアミノ酸より小さいのであれば、その一次配列にかかわらず、任意の1回膜貫通(TM)型タンパク質を処理することができる。さらに、細胞外ドメインの大きさは、基質切断の効率性を決定付けるものと思われる(非特許文献11)。
【0008】
2つのプロテアーゼ(β−セクレターゼ又はα−セクレターゼと、それに続くγ−セクレターゼ)によるAPPの順次切断は、制限的膜内切断(RIP)として公知の、最近確定されたシグナル伝達パラダイムに類似する(非特許文献12)。RIPは、一般に、第2の膜貫通切断を第1の切断に依存させるそのシグナル伝達カスケードを開始する2つのタンパク質分解ステップを必要とする。実際、I型膜貫通タンパク質であるノッチは、RIPを使用し、γ−セクレターゼ切断のための基質である。(γ−セクレターゼ依存性である)ノッチの活性化は、癌の発生に関わりがあることが示された。そのように、γ−セクレターゼ活性の阻害は、ADの治療への関わりを有し得るばかりでなく、γ−セクレターゼが役割を果たすあらゆる疾患の治療にも有益であり得る。
【0009】
癌は、また、極めて多くの人に影響を及ぼす。ノッチシグナル伝達経路は、癌の生態に関わりがあると現在考えられている。ノッチシグナル伝達経路は、細胞間コミュニケーションを必要とし、異常なノッチシグナル伝達が癌細胞に観察された。当該異常なノッチシグナル伝達は、腫瘍形成に関連付けられてきた。γ−セクレターゼ阻害薬は、ノッチ分子の活性ドメインの生成を防止し、それによって、ノッチシグナル伝達を抑制することが判明した。
【0010】
当該技術分野では、癌及びアルツハイマー病などの神経変性疾患に対するさらなる治療薬の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Selkoe、1998年、Trends Cell Biol. 8巻:447〜453頁
【非特許文献2】Jarrettら、1993年、Biochemistry 32巻:4693〜4697頁
【非特許文献3】Kuoら、1996年、J. Biol. Chem. 271巻:4077〜4081頁
【非特許文献4】Hardy and Selkoe、2002年、Science 297巻:353〜356頁
【非特許文献5】De Strooper、2003年、Neuron 38巻:9〜12頁
【非特許文献6】Chenら、2006年、Nature 440巻:1208〜1212頁
【非特許文献7】Zhouら、2005年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、102巻:7499〜7504頁
【非特許文献8】Eslerら、2000年、Nat. Cell. Biol.、2巻428頁:434頁
【非特許文献9】Liら、2000年、Nature 405巻:689〜694頁
【非特許文献10】Wolfeら、1999年、Nature 398巻:513〜517頁
【非特許文献11】Struhl and Adachi、2000年、Mol. Cell 6巻:625〜636頁
【非特許文献12】Brownら、2000年、Cell 100巻:391〜398頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態において、本発明は、癌を治療又は予防するための方法であって、有効量の以下の式Iの化合物、又はその薬学的に受容可能な塩を被験体に投与することを含む方法に関する。
【0013】
【化1】

[式中、
Xは、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、
【0014】
【化2】

であり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、NH、O又はCHであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−、−(C〜Cアルケニレン)−、−(NH−(C〜Cアルキレン))−又は−(O−(C〜Cアルキレン))−であり;
mは、3であり;
nは、1であり;
pは、1から5の整数であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、癌を治療又は予防するための方法であって、有効量の以下の式IIの化合物、又はその薬学的に受容可能な塩を被験体に投与することを含む方法に関する。
【0016】
【化3】

[式中、
Xは、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、
【0017】
【化4】

であり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、H、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
は、NH、O又はCHであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−又は−(C〜Cアルケニレン)−であり;
mは、3であり;
nは、1であり;
pは、5であり;
tは、4であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【0018】
一実施形態において、本発明は、神経変性疾患を治療又は予防するための方法であって、有効量の以下の式Iの化合物、又はその薬学的に受容可能な塩を被験体に投与することを含む方法に関する。
【0019】
【化5】

[式中、
Xは、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、
【0020】
【化6】

であり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、NH、O又はCHであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−、−(C〜Cアルケニレン)−、−(NH−(C〜Cアルキレン))−又は−(O−(C〜Cアルキレン))−であり;
mは、3であり;
nは、1であり;
pは、1から5の整数であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【0021】
別の実施形態において、本発明は、神経変性疾患を治療又は予防するための方法であって、有効量の以下の式IIの化合物、又はその薬学的に受容可能な塩を被験体に投与することを含む方法に関する。
【0022】
【化7】

[式中、
Xは、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、
【0023】
【化8】

であり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、H、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
は、NH、O又はCHであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−又は−(C〜Cアルケニレン)−であり;
mは、3であり;
nは、1であり;
pは、5であり;
tは、4であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【発明を実施するための形態】
【0024】
I.定義
スルホンアミド系化合物に関連して以下の定義を使用する。
【0025】
他に指定する場合を除いて、本明細書に使用されている「C−Cアルキル」という用語は、炭化水素の水素原子の1つが一重結合に置き換えられた1から6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝状非環式炭化水素を指す。代表的な直鎖C−Cアルキルとしては、−メチル、−エチル、−n−プロピル、−n−ブチル、−n−ペンチル及びn−ヘプチルが挙げられる。代表的な分枝状C−Cアルキルとしては、−イソプロピル、−sec−ブチル、−イソブチル、−tert−ブチル、−イソペンチル、−ネオペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル及び1,2−ジメチルプロピルが挙げられる。
【0026】
他に指定する場合を除いて、本明細書に使用されている「C〜Cハロアルキル」という用語は、−C〜Cアルキルの水素原子の1つ又は複数が−F、−Cl、−Br又は−Iで置き換えられた、以上に定義されているC〜Cアルキルを指す。C〜Cハロアルキルの代表的な例としては、−CCl、−CF、−CI、−CBr、−CHCl、−CHF、−CHI、−CHBr、−CHCl、−CHBr、−CHF、−CHI、−CHCHBr、−CHCHI、−CHCHF、−CHCHCl、−CHCHCHBr、−CHCH(Br)CH、−CHCHCHCl、−CHCHCHF、−CHCHCHI、−CHCHCHCHBr、−CHCHCHCHCl、−CHCH(Cl)CHCH、−CHCHCHCHF、−CH(F)CHCHCH、−CHCHCHCHI、−CHCHCHCHCHBr、−CHCHCHCHCHCl、−CHCHCHCHCHF、−CHCHCHCHCHI、−CHCHCHCHCHCHBr、−CHCHCHCHCHCHCl、−CHCHCHCHCHCHF、−CHCHCHCHCHCHI、及び−CHCHCH(I)CHCHCHが挙げられるが、それらに限定されない。
【0027】
他に指定する場合を除いて、本明細書に使用されている「C〜Cアルコキシ」という用語は、C〜Cアルキルが以上に定義されている通りである−O−(C〜Cアルキル)を指す。C〜Cアルコキシの代表的な例としては、−OCH、−OCHCH、−OCHCHCH、−OCH(CH)CH、−OCHCHCHCH、−OCHCH(CH)CH、−OCH(CH)CHCH、−OC(CH、−OCHCHCHCHCH、−OCHCH(CH)CHCH、−OCHCHCHCHCHCH、及び−OCHCHCH(CH)CHCHが挙げられるが、それらに限定されない。
【0028】
「C〜Cアルキレン」という用語は、C〜Cアルキルの末端−CH基の水素原子が結合で置き換えられたC〜Cアルキルを指す。C〜Cアルキレンの代表的な例としては、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CHCHCHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CH(CH)CHCH−、−CHCHCHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−、−CHCHCHCHCHCH−、及び−CHCHCH(CH)CHCH−が挙げられるが、それらに限定されない。
【0029】
「C〜Cアルキレン」という用語は、1つ又は複数の炭素−炭素二重結合を有することを除いて、以上に定義されているC〜Cアルキレンを指す。C〜Cアルキレンの代表的な例としては、−HC=CH−、−HC=CH−CH−、−HC=CH−CH−CH−、−CH−HC=CH−CH−、−HC=CH−CH−CH−CH−、−CH−CH−HC=CH−CH−、−HC=CH−CH−CH−CH−CH−、及び−CH−HC=CH−CH−CH−CH−が挙げられるが、それらに限定されない。
【0030】
他に指定する場合を除いて、本明細書に使用されている「ハロ」という用語は、―F、−Cl、−Br又は−Iを指す。
【0031】
他に指定する場合を除いて、本明細書に使用されている「被験体」という用語は、哺乳類、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、又はサル、チンパンジー若しくはヒヒなどのヒト以外の霊長類である。一実施形態において、被験体は、ヒトである。
【0032】
他に指定する場合を除いて、本明細書に使用されている「薬学的に受容可能な塩」という用語は、スルホンアミド系化合物上のアミノ基などの塩基性基の塩である。塩基性基の例示的な塩としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩及びパモ酸塩(即ち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))が挙げられるが、それらに限定されない。
【0033】
スルホンアミド系化合物に関連して使用される場合の「有効量」は、癌又は神経変性疾患を治療又は予防するのに有効な量である。
【0034】
別の抗癌薬に関連して使用される場合の「有効量」は、単独で、又はスルホンアミド系化合物と組み合わせて癌を治療又は予防するのに有効な量である。別の抗神経変性疾患薬に関連して使用される場合の「有効量」は、単独で、又はスルホンアミド系化合物と組み合わせて神経変性疾患を治療又は予防するのに有効な量である。「と組み合わせて」は、同一の組成物内での投与、及び個別の組成物を介する投与を含む。後者の場合は、スルホンアミド系化合物がその予防若しくは治療効果を発揮する場合、又はその逆の場合に一定時間を通じて神経変性疾患を治療又は予防するのに他の抗神経変性疾患薬が有効であり、スルホンアミド系化合物がその予防若しくは治療効果を発揮する場合、又はその逆の場合に一定時間を通じて癌を治療又は予防するのに他の抗癌薬が有効である。
【0035】
「その対応する反対の異性体が実質的にない」という語句は、約10モル%を超えない、別の実施形態では約5モル%を超えない、別の実施形態では約2モル%を超えない、別の実施形態では約1モル%を超えない、別の実施形態では約0.5モル%を超えない、且つ別の実施形態では約0.1モル%を超えないその対応する反対の異性体を有することを指す。
【0036】
本明細書に使用されているように、「アミロイド前駆体タンパク質」(「APP」)という用語は、組織に発現され、ニューロンのシナプスに集中する必須の膜タンパク質を指す。本明細書に使用されているように、APPという用語は、野生型及び合成のAPPのあらゆるイソ型及び形を包含することを意図する。例示的なAPPイソ型としては、APPの695アミノ酸スプライスバリアントであるAPP695(配列番号1)(GenBank受入番号Y00264及びKangら、1987年、Nature 325巻:733〜736頁参照)、APPの751アミノ酸スプライスバリアントであるAPP751(配列番号2)(Ponteら、1988年、Nature 331巻:525〜527頁参照)、及びAPPの770アミノ酸スプライスバリアントであるAPP770(配列番号3)(Kitaguchiら、1988年、Nature 331巻:530〜532頁参照)が挙げられるが、それらに限定されない。APPの他のイソ型としては、APP714、L−APP752、L−APP733、L−APP696、L−APP677、APP563及びAPP365が挙げられる。本明細書におけるAPPという用語の使用は、家族性AD及び他のアミロイド症状態に見いだされる変異を含むあらゆるイソ型を含むことを意図する。例えば、これらの変異としては、スウェーデン二重変異(Lys670Asn、Met671 Leu);ロンドン変異(Val717Ile);インディアナ変異(Val717Leu);Val717Phe、Val717Gly、Ala713Thr及びAla713Valを含む天然変異;オーストリア変異(Thr714Ile);イラン変異(Thr714Ala);フレンチ変異(Val715Met);ドイツ変異(Val715Ala);フロリダ変異(Ile716Val);オーストラリア変異(Leu723Pro);フランドル変異(Ala692Gly);オランダ変異(Glu693Gln);北極変異(Glu693Gly);イタリアン変異(Glu693Lys);アイオワ変異(Asp694Asn);及びアミロイド症−オランダ型変異(Glu693Gln)が挙げられるが、それらに限定されない。(本明細書におけるすべての番号付けは、APP770形に対するものである)。本明細書におけるAPPという用語の使用は、上記イソ型に対する1つ又は複数の付加、削除、挿入又は置換を含むタンパク質、並びにヒト及び他の種からのAPPタンパク質をさらに含む。具体的なイソ型が指定される場合を除いて、本明細書に使用される場合のAPPは、全般的に、変異を有する、又は有さない、任意の種からのAPPのあらゆるイソ型を指す。
【0037】
本明細書に使用されているように、「アミロイド−ベータ(「Aβ」)」という用語は、APPのタンパク質分解切断に由来するペプチドを指す。β−セクレターゼによるAβの切断は、本明細書では「β−CTF」及び「可溶性β−APP」と称する、二つのAPP断片を生成する。β−CTFは、β−CTFのN末端がAβのN末端を画定する約100アミノ酸の断片である。天然β−CTF配列、即ちAPP695のβ−CTFの例は、配列番号5に示される。配列番号5に示されるAPPのβ−CTF部分の誘導体は、当該技術分野で周知である(例えば、Lichtenthalerら、1997年、Biochemistry 36巻:15396〜15403頁;及びSelkoe、1999年、Nature 399巻:A23〜A31頁参照)。当該誘導体は、自らβ−CTFドメインを提供することができるか、又はさらなる誘導体を生成するための出発点として役立つことができる。配列番号5の天然誘導体の例は、配列番号12〜17に示される。続くβ−CTFのγ−セクレターゼ切断は、AβのC末端を生成する。β−CTF断片のγ−セクレターゼ切断は、単一ペプチド結合でなく、アミノ酸の短い範囲にわたって生じるため、Aβは、サイズが例えば39から43ペプチドの範囲である。しかし、長さが40及び42アミノ酸のAβペプチド(それぞれ「Aβ40」及び「Aβ42」)が主流である。
【0038】
本明細書に使用されているように、「γ−セクレターゼ」という用語は、γ−セクレターゼ切断サイトを有するタンパク質、例えばAPPのγ−セクレターゼサイトで切断する能力を有する酵素を指す。本明細書に使用されているように、γ−セクレターゼは、これらがγ−セクレターゼ切断サイトを保持する分子又は基質の切断を触媒する機能的能力を維持するのであれば、γ−セクレターゼのすべての組換え形、変異及び他のバリアントを含む。
【0039】
本明細書に使用されているように、数とともに使用される場合の「約」又は「およそ」という用語は、記載される数字の1、5又は10%以内の任意の数字を指す。
【0040】
本明細書に使用されているように、「高齢者」という用語は、65歳以上のヒトを指す。
【0041】
本明細書に使用されているように、「成人」という用語は、18歳以上のヒトを指す。
【0042】
本明細書に使用されているように、「児童」という用語は、1から18歳までのヒトを指す。
【0043】
本明細書に使用されているように、「幼児」という用語は、1から3歳までのヒトを指す。
【0044】
本明細書に使用されているように、「乳児」という用語は、新生児から1歳までのヒトを指す。
【0045】
本明細書に使用されているように、「未熟児」という用語は、37週間未満の在胎齢で生まれた乳児を指す。
【0046】
濃度、量、百分率及び他の数値は、本明細書では範囲形式で示され得る。当該範囲形式は、単に便利及び簡潔さのために使用されており、範囲の限界として明示的に列挙された数値ばかりでなく、各数値及び小範囲が明示的に列挙されているかのようにその範囲内に包含されるすべての個々の数値又は小範囲をも含むものと柔軟に解釈されることを理解すべきである。
【0047】
II.式I及びIIのスルホンアミド系化合物
本発明によれば、上記式I又はIIの化合物(「スルホンアミド系化合物」)又は該化合物の薬学的に受容可能な塩は、癌又は神経変性疾患を治療又は予防するのに有用である。
【0048】
一実施形態において、スルホンアミド系化合物は、以下の式Iの化合物、又はそれらの薬学的に受容可能な塩である。
【0049】
【化9】

[式中、
X、R、R、R、Z、Z、m、n、p、q及びvは、式Iの化合物及びそれらの薬学的に受容可能な塩について上記に定義されている通りである]。
【0050】
上記式Iは、相対的な立体化学を示し、以下の式I’及びI”の異性体、並びに式I’及びI”の異性体のラセミ混合物を含む異性体の混合物を含む。
【0051】
【化10】

式I”は、式I”のR、R、X、m、n及びvが式I’のR、R、X、m、n及びvと同じであり、式I”のR、R及びXが、存在すれば、式I’のR、R及びXと同じ位置にあるときの式I’の対応する反対の異性体である。式I’は、式I’のR、R、X、m、n及びvが式I”のR、R、X、m、n及びvと同じであり、式I’のR、R及びXが、存在すれば、式I”のR、R及びXと同じ位置にあるときの式I”の対応する反対の異性体である。
【0052】
いくつかの実施形態において、式I’の化合物は、式I”のその対応する反対の異性体が実質的にない。他の実施形態において、式I”の化合物は、式I’のその対応する反対の異性体が実質的にない。
【0053】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、Xがハロである化合物である。他の実施形態において、式Iの化合物は、Xがクロロである化合物である。他の実施形態において、式Iの化合物は、vが1である化合物である。他の実施形態において、vは1であり、Xは、チオフェノ基の5位にある。他の実施形態において、vは1であり、Xは、ハロであり、Xは、チオフェノ基の5位にある。他の実施形態において、vは1であり、Xは、クロロであり、Xは、チオフェノ基の5位にある。
【0054】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、ZがNHである化合物である。いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、Zが、存在すれば、−CH−、−CH−CH−、−HC=CH−又は−OCH−CH−である化合物である。他の実施形態において、式Iの化合物は、Zがトランス−HC=CH−である化合物である。さらに他の実施形態において、式Iの化合物は、Zがシス−HC=CH−である化合物である。いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、qが1である化合物である。いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、qが0である化合物である。いくつかの実施形態において、ZはNHであり、qは1であり、Zは、−CH−、−CH−CH−、−HC=CH−又は−OCH−CH−である。
【0055】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、各Rが水素である化合物である。いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、pが1であり、Rがフェニル基の4位にある化合物である。他の実施形態において、式Iの化合物は、R及びRの少なくとも一方がハロ又はC〜Cハロアルキルである化合物である。一部の実施形態において、Rは、ハロ又はC〜Cハロアルキルである。いくつかの実施形態において、C〜Cハロアルキルは、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル又はトリヨードメチルなどのトリハロメチルである。いくつかの実施形態において、ハロは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。いくつかの実施形態において、式Iaの化合物は、Rが水素であり、pが1であり、Rがフェニル基の4位にある化合物である。いくつかの実施形態において、R及びRは、C〜Cハロアルキルであり、pは、1であり、Rは、フェニル基の4位にある。いくつかの実施形態において、各Rは、水素であり、pは、1又は2であり、各Rは、ハロ又はC〜Cハロアルキルである。
【0056】
他の実施形態において、式Iの化合物は、以下の式Iaを有する。
【0057】
【化11】

[式中、
Xは、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、NH、O又はCHであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−、−(C〜Cアルケニレン)−又は−(O−(C〜Cアルキレン))−であり;
mは、3であり;
pは、1から5の整数であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【0058】
上記式Iaは、相対的な立体化学を示し、以下の式Ia’及びIa”の異性体、並びに式Ia’及びIa”の異性体のラセミ混合物を含む異性体の混合物を含む。
【0059】
【化12】

【0060】
【化13】

式Ia”は、式Ia”のR、R、X、Z、Z、q、m、p及びvが式Ia’のR、R、X、Z、Z、q、m、p及びvと同じであり、式Ia”のR、R及びXが、存在すれば、式Ia’のR、R及びXと同じ位置にあるときの式Ia’の対応する反対の異性体である。式Ia’は、式Ia’のR、R、X、Z、Z、q、m、p及びvが式Ia”のR、R、X、Z、Z、q、m、p及びvと同じであり、式Ia’のR、R及びXが、存在すれば、式Ia”のR、R及びXと同じ位置にあるときの式Ia”の対応する反対の異性体である。
【0061】
いくつかの実施形態において、式Ia’の化合物は、式Ia”のその対応する反対の異性体が実質的にない。他の実施形態において、式Ia”の化合物は、式Ia’のその対応する反対の異性体が実質的にない。
【0062】
いくつかの実施形態において、式Iaの化合物は、Xがハロである化合物である。他の実施形態において、式Iaの化合物は、Xがクロロである化合物である。他の実施形態において、式Iaの化合物は、vが1である化合物である。他の実施形態において、vは1であり、Xは、チオフェノ基の5位にある。他の実施形態において、vは1であり、Xは、ハロであり、Xは、チオフェノ基の5位にある。他の実施形態において、vは1であり、Xは、クロロであり、Xは、チオフェノ基の5位にある。
【0063】
いくつかの実施形態において、式Iaの化合物は、ZがNHである化合物である。いくつかの実施形態において、式Iaの化合物は、Zが、存在すれば、−CH−、−CH−CH−、−HC=CH−又は−OCH−CH−である化合物である。他の実施形態において、式Iaの化合物は、Zがトランス−HC=CH−である化合物である。さらに他の実施形態において、式Iaの化合物は、Zがシス−HC=CH−である化合物である。いくつかの実施形態において、式Iaの化合物は、qが1である化合物である。いくつかの実施形態において、式Iaの化合物は、qが0である化合物である。いくつかの実施形態において、式Iaの化合物は、ZがNHであり、Zが−CH−、−CH−CH−、−HC=CH−又は−OCH−CH−である化合物である。
【0064】
いくつかの実施形態において、式Iaの化合物は、各Rが水素である化合物である。いくつかの実施形態において、式Iaの化合物は、pが1であり、Rがフェニル基の4位にある化合物である。他の実施形態において、式Iaの化合物は、R及びRの少なくとも一方がハロ又はC〜Cハロアルキルである化合物である。一部の実施形態において、Rは、ハロ又はC〜Cハロアルキルである。いくつかの実施形態において、C〜Cハロアルキルは、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル又はトリヨードメチルなどのトリハロメチルである。いくつかの実施形態において、ハロは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。いくつかの実施形態において、式Iaの化合物は、各Rが水素であり、pが1であり、Rがフェニル基の4位にある化合物である。いくつかの実施形態において、R及びRは、C〜Cハロアルキルであり、pは、1であり、Rは、フェニル基の4位にある。いくつかの実施形態において、各Rは、水素であり、pは、1又は2であり、各Rは、ハロ又はC〜Cハロアルキルである。
【0065】
他の実施形態において、式Iaの化合物は、以下の式Iaaを有する。
【0066】
【化14】

[式中、
Xは、ハロであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−、−(C〜Cアルケニレン)−又は−(O−(C〜Cアルキレン))−であり;
mは、3であり;
pは、1から5の整数であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【0067】
上記式Iaaは、相対的な立体化学を示し、以下の式Iaa’及びIaa”の異性体、並びに式Iaa’及びIaa”の異性体のラセミ混合物を含む異性体の混合物を含む。
【0068】
【化15】

式Iaa”は、式Iaa”のR、R、X、Z、q、m、p及びvが式Iaa’のR、R、X、Z、q、m、p及びvと同じであり、式Iaa”のR、R及びXが、存在すれば、式Iaa’のR、R及びXと同じ位置にあるときの式Iaa’の対応する反対の異性体である。式Iaa’は、式Iaa’のR、R、X、Z、q、m、p及びvが式Iaa”のR、R、X、Z、q、m、p及びvと同じであり、式Iaa’のR、R及びXが、存在すれば、式Iaa”のR、R及びXと同じ位置にあるときの式Iaa”の対応する反対の異性体である。
【0069】
いくつかの実施形態において、式Iaa’の化合物は、式Iaa”のその対応する反対の異性体が実質的にない。他の実施形態において、式Iaa”の化合物は、式Iaa’のその対応する反対の異性体が実質的にない。
【0070】
いくつかの実施形態において、式Iaaの化合物は、Xがクロロである化合物である。他の実施形態において、式Iaaの化合物は、vが1である化合物である。他の実施形態において、vは1であり、Xは、チオフェノ基の5位にある。他の実施形態において、式Iaaの化合物は、vが1であり、Xがクロロであり、Xがチオフェン基の5位にある化合物である。
【0071】
いくつかの実施形態において、式Iaaの化合物は、Rがハロ又は(トリハロ)メチルである化合物である。他の実施形態において、式Iaaの化合物は、Rがフルオロ又は(トリフルオロ)メチルである化合物である。他の実施形態において、式Iaaの化合物は、vが1であり、Xがクロロであり、Xがチオフェノ基の5位にあり、Rがフルオロ又は(トリフルオロ)メチルである化合物である。
【0072】
いくつかの実施形態において、式Iaaの化合物は、Zが、存在すれば、−CH−、−CH−CH−、−HC=CH−又は−OCH−CH−である化合物である。他の実施形態において、式Iaaの化合物は、Zがトランス−HC=CH−である化合物である。さらに他の実施形態において、式Iaaの化合物は、Zがシス−HC=CH−である化合物である。いくつかの実施形態において、式Iaaの化合物は、qが1である化合物である。いくつかの実施形態において、式Iaaの化合物は、qが0である化合物である。いくつかの実施形態において、式Iaaの化合物は、qが1であり、Zが−CH−、−CH−CH−、−HC=CH−又は−OCH−CH−である化合物である。
【0073】
いくつかの実施形態において、式Iaaの化合物は、各Rが水素である化合物である。いくつかの実施形態において、式Iaaの化合物は、pが1であり、Rがフェニル基の4位にある化合物である。他の実施形態において、式Iaaの化合物は、R及びRの少なくとも一方がC〜Cハロアルキルである化合物である。一部の実施形態において、RはC〜Cハロアルキルである。いくつかの実施形態において、C〜Cハロアルキルは、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル又はトリヨードメチルなどのトリハロメチルである。いくつかの実施形態において、式Iaaの化合物は、各Rが水素であり、pが1であり、Rがフェニル基の4位にある化合物である。いくつかの実施形態において、R及びRは各々、C〜Cハロアルキルであり、pは、1であり、Rは、フェニル基の4位にある。いくつかの実施形態において、各Rは、水素であり、pは、1又は2であり、各Rは、ハロ又はC〜Cハロアルキルである。
【0074】
いくつかの実施形態において、式Iaaの化合物は、構造:
【0075】
【化16】

又はその薬学的に受容可能な塩を有する。
【0076】
他の実施形態において、式Iaaの化合物は、以下に記載の式Iaaaを有する。いくつかの実施形態において、式Iaaaの化合物は、qが0又は1である化合物である。いくつかの実施形態において、式Iaaaの化合物は、Zが、存在すれば、CH、CHCH、O−CHCH又はHC=CHである化合物である。いくつかの実施形態において、式Iaaaの化合物は、Arが4−フルオロフェニル、4−ブロモフェニル、4−クロロフェニル、4−ヨードフェニル、4−メチルフェニル又は4−(トリフルオロメチル)フェニルである化合物である。他の実施形態において、式Iaaaの化合物は、qが1であり、ZがCH、CHCH、O−CHCH又はHC=CHであり、Arが4−フルオロフェニル、4−ブロモフェニル、4−クロロフェニル、4−ヨードフェニル、4−メチルフェニル又は4−(トリフルオロメチル)フェニルである化合物である。
【0077】
式Iaaaの化合物の実例は、以下の表1に記載される。
【0078】
【表1−1】

【0079】
【表1−2】

【0080】
【表1−3】

【0081】
【表1−4】

【0082】
【表1−5】

【0083】
【表1−6】

式Iaaa’及びIaaa”の構造を以下に示す。
【0084】
【化17】

【0085】
【化18】

式Iaaa”は、式Iaaa”のAr、X、Z及びqが式Iaaa’のAr、X、Z及びqと同じであるときの式Iaaa’の対応する反対の異性体である。式Iaaa’は、式Iaaa’のAr、X、Z及びqが式Iaaa”のAr、X、Z及びqと同じであるときの式Iaaa”の対応する反対の異性体である。
【0086】
一実施形態において、化合物31〜36、67〜72、103〜108又は139〜144のZはシスである。別の実施形態において、化合物31〜36、67〜72、103〜108又は139〜144のZはトランスである。
【0087】
別の実施形態において、スルホンアミド系化合物は、以下の式IIの化合物、又はそれらの薬学的に受容可能な塩である。
【0088】
【化19】

[式中、
X、R、R、R、R、Z、Z、m、n、p、t、q及びvは、式IIの化合物及び薬学的に受容可能な塩について以上に定義されている通りである]。
【0089】
上記式IIは、相対的な立体化学を示し、以下の式II’及びII”の異性体、並びに式II’及びII”の異性体のラセミ混合物を含む異性体の混合物を含む。
【0090】
【化20】

式II”は、式II”のR、R、X、m、n及びvが式II’のR、R、X、m、n及びvと同じであり、式II”のR、R及びXが、存在すれば、式I’のR、R及びXと同じ位置にあるときの式II’の対応する反対の異性体である。式II’は、式II’のR、R、X、m、n及びvが式II”のR、R、X、m、n及びvと同じであり、式II’のR、R及びXが、存在すれば、式II”のR、R及びXと同じ位置にあるときの式II”の対応する反対の異性体である。
【0091】
いくつかの実施形態において、式II’の化合物は、式II”のその対応する反対の異性体が実質的にない。他の実施形態において、式II”の化合物は、式II’のその対応する反対の異性体が実質的にない。
【0092】
いくつかの実施形態において、式IIの化合物は、Xがハロである化合物である。他の実施形態において、式IIの化合物は、Xがクロロである化合物である。他の実施形態において、式IIの化合物は、vが1である化合物である。他の実施形態において、vは1であり、Xは、チオフェノ基の5位にある。他の実施形態において、vは1であり、Xは、ハロであり、Xは、チオフェノ基の5位にある。他の実施形態において、vは1であり、Xは、クロロであり、Xは、チオフェノ基の5位にある。
【0093】
いくつかの実施形態において、式IIの化合物は、ZがNHである化合物である。いくつかの実施形態において、式IIの化合物は、Zが、存在すれば、−CH−CH−又は−HC=CH−である化合物である。他の実施形態において、式IIの化合物は、Zがトランス−HC=CH−である化合物である。さらに他の実施形態において、式IIの化合物は、Zがシス−HC=CH−である化合物である。いくつかの実施形態において、式IIの化合物は、qが1である化合物である。いくつかの実施形態において、式IIの化合物は、qが0である化合物である。いくつかの実施形態において、ZはNHであり、qは1であり、Zは、−CH−CH−、−HC=CH−又は−OCH−CH−である。
【0094】
いくつかの実施形態において、式IIの化合物は、各Rが水素である化合物である。他の実施形態において、式IIの化合物は、R及びRの少なくとも一方がC〜Cハロアルキルである化合物である。いくつかの実施形態において、C〜Cハロアルキルは、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル又はトリヨードメチルなどのトリハロメチルである。
【0095】
他の実施形態において、式IIの化合物は、Rが水素又はメチルである化合物である。他の実施形態において、式IIの化合物は、Rがメチルである化合物である。他の実施形態において、式IIの化合物は、各Rが水素であり、Rが水素又はメチルである化合物である。他の実施形態において、式IIの化合物は、R及びRがC〜Cハロアルキルであり、Rが水素又はメチルである化合物である。
【0096】
他の実施形態において、式IIの化合物は、以下の式IIaを有する。
【0097】
【化21】

[式中、
Xは、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、H、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
は、NH、O又はCHであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−又は−(C〜Cアルケニレン)−であり;
mは、3であり;
pは、5であり;
tは、4であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【0098】
上記式IIaは、相対的な立体化学を示し、以下の式IIa’及びIIa”の異性体、並びに式IIa’及びIIa”の異性体のラセミ混合物を含む異性体の混合物を含む。
【0099】
【化22】

式IIa”は、式IIa”のR、R、R、X、Z、Z、q、m、p、t及びvが式IIa’のR、R、R、X、Z、Z、q、m、p、t及びvと同じであり、式IIa”のR、R及びXが、存在すれば、式IIa’のR、R及びXと同じ位置にあるときの式IIa’の対応する反対の異性体である。式IIa’は、式IIa’のR、R、R、X、Z、Z、q、m、p、t及びvが式IIa”のR、R、R、X、Z、Z、q、m、p、t及びvと同じであり、式IIa’のR、R及びXが、存在すれば、式IIa”のR、R及びXと同じ位置にあるときの式IIa”の対応する反対の異性体である。
【0100】
いくつかの実施形態において、式IIa’の化合物は、式IIa”のその対応する反対の異性体が実質的にない。他の実施形態において、式IIa”の化合物は、式IIa’のその対応する反対の異性体が実質的にない。
【0101】
いくつかの実施形態において、式IIaの化合物は、Xがハロである化合物である。他の実施形態において、式IIaの化合物は、Xがクロロである化合物である。他の実施形態において、式IIaの化合物は、vが1である化合物である。他の実施形態において、vは1であり、Xは、チオフェノ基の5位にある。他の実施形態において、vは1であり、Xは、ハロであり、Xは、チオフェノ基の5位にある。他の実施形態において、vは1であり、Xは、クロロであり、Xは、チオフェノ基の5位にある。
【0102】
いくつかの実施形態において、式IIaの化合物は、ZがNHである化合物である。いくつかの実施形態において、式IIaの化合物は、Zが、存在すれば、−CH−CH−又は−HC=CH−である化合物である。他の実施形態において、式IIaの化合物は、Zがトランス−HC=CH−である化合物である。さらに他の実施形態において、式IIaの化合物は、Zがシス−HC=CH−である化合物である。いくつかの実施形態において、式IIaの化合物は、qが1である化合物である。いくつかの実施形態において、式IIaの化合物は、qが0である化合物である。いくつかの実施形態において、ZはNHであり、qは1であり、Zは、−CH−CH−、−HC=CH−又は−OCH−CH−である。
【0103】
いくつかの実施形態において、式IIaの化合物は、各Rが水素である化合物である。他の実施形態において、式IIaの化合物は、R及びRの少なくとも一方がC〜Cハロアルキルである化合物である。一部の実施形態において、RはC〜Cハロアルキルである。いくつかの実施形態において、C〜Cハロアルキルは、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル又はトリヨードメチルなどのトリハロメチルである。
【0104】
他の実施形態において、式IIaの化合物は、Rが水素又はメチルである化合物である。他の実施形態において、式IIaの化合物は、Rがメチルである化合物である。他の実施形態において、式IIの化合物は、各Rが水素であり、Rが水素又はメチルである化合物である。他の実施形態において、式IIの化合物は、R及びRがC〜Cハロアルキルであり、Rが水素又はメチルである化合物である。
【0105】
他の実施形態において、式IIaの化合物は、以下の式IIaaを有する。
【0106】
【化23】

[式中、
Xは、ハロであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−又は−(C〜Cアルケニレン)であり;
は、H、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
mは、3であり;
pは、5であり;
tは、4であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【0107】
上記式IIaaは、相対的な立体化学を示し、以下の式IIaa’及びIIaa”の異性体、並びに式IIaa’及びIIaa”の異性体のラセミ混合物を含む異性体の混合物を含む。
【0108】
【化24】

式IIaa”は、式IIaa”のR、R、R、X、Z、q、m、p、t及びvが式IIaa’のR、R、R、X、Z、q、m、p、t及びvと同じであり、式IIaa”のR、R及びXが、存在すれば、式IIaa’のR、R及びXと同じ位置にあるときの式IIaa’の対応する反対の異性体である。式IIaa’は、式IIaa’のR、R、R、X、Z、q、m、p、t及びvが式IIaa”のR、R、R、X、Z、q、m、p、t及びvと同じであり、式IIaa’のR、R及びXが、存在すれば、式IIaa”のR、R及びXと同じ位置にあるときの式Iaa”の対応する反対の異性体である。
【0109】
いくつかの実施形態において、式IIaa’の化合物は、式IIaa”のその対応する反対の異性体が実質的にない。他の実施形態において、式IIaa”の化合物は、式IIaa’のその対応する反対の異性体が実質的にない。
【0110】
いくつかの実施形態において、式IIaaの化合物は、Xがクロロである化合物である。他の実施形態において、式IIaaの化合物は、vが1である化合物である。他の実施形態において、vは1であり、Xは、チオフェノ基の5位にある。他の実施形態において、vは1であり、Xは、クロロであり、Xはチオフェノ基の5位にある化合物である。
【0111】
いくつかの実施形態において、式IIaaの化合物は、Zが、存在すれば、−CH−、−CH−CH−又は−HC=CH−である化合物である。他の実施形態において、式IIaaの化合物は、Zがトランス−HC=CH−である化合物である。さらに他の実施形態において、式IIaaの化合物は、Zがシス−HC=CH−である化合物である。いくつかの実施形態において、式IIaaの化合物は、qが1である化合物である。いくつかの実施形態において、式IIaaの化合物は、qが0である化合物である。いくつかの実施形態において、ZはNHであり、qは1であり、Zは−CH−、−CH−CH−、−HC=CH−又は−OCH−CH−である化合物である。
【0112】
いくつかの実施形態において、式IIaaの化合物は、各Rが水素である化合物である。他の実施形態において、式IIaaの化合物は、R及びRの少なくとも一方がハロ又はC〜Cハロアルキルである化合物である。一部の実施形態において、Rは、ハロ又はC〜Cハロアルキルである。いくつかの実施形態において、C〜Cハロアルキルは、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル又はトリヨードメチルなどのトリハロメチルである。いくつかの実施形態において、ハロは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0113】
他の実施形態において、式IIaaの化合物は、Rが水素又はメチルである化合物である。他の実施形態において、式IIaaの化合物は、Rがメチルである化合物である。他の実施形態において、式IIの化合物は、各Rが水素であり、Rが水素又はメチルである化合物である。他の実施形態において、式IIの化合物は、R及びRがC〜Cハロアルキルであり、Rが水素又はメチルである化合物である。
【0114】
いくつかの実施形態において、式IIaaの化合物は、構造:
【0115】
【化25】

又はその薬学的に受容可能な塩を有する。
【0116】
他の実施形態において、式IIaaの化合物は、以下に記載の式IIaaaを有する。いくつかの実施形態において、式IIaaaの化合物は、qが0又は1である化合物である。いくつかの実施形態において、式IIaaaの化合物は、ZがCHである化合物である。いくつかの実施形態において、式IIaaaの化合物は、RがH又はCHである化合物である。いくつかの実施形態において、式IIaaaの化合物は、R3a、R3b及びR3cが、独立して、H、フルオロ、CH又はCFである化合物である。いくつかの実施形態において、式IIaaaの化合物は、qが1であり、ZがCHであり、RがH又はCHであり、R3a、R3b及びR3cが、独立して、H、フルオロ、CH又はCFである化合物である。
【0117】
式IIaaaの化合物の実例を以下の表2に記載する。
【0118】
【表2−1】

【0119】
【表2−2】

【0120】
【表2−3】

【0121】
【表2−4】

式IIaaa’及びIIaaa”の構造を以下に示す。
【0122】
【化26】

式IIaaa”は、式IIaaa”のX、R、Z、q、R3a、R3b及びR3cが式IIaaa’のX、R、Z、q、R3a、R3b及びR3cと同じであるときの式IIaaa’の対応する反対の異性体である。式IIaaa’は、式IIaaa’のX、R、Z、q、R3a、R3b及びR3cが式IIaaa”のX、R、Z、q、R3a、R3b及びR3cと同じであるときの式IIaaa”の対応する反対の異性体である。
【0123】
III.スルホンアミド系化合物を製造するための方法
式Iのスルホンアミド系化合物及び薬学的に受容可能な塩を調製するのに有用な方法を以下の実施例に記載し、以下のスキーム1に概括する。
【0124】
【化27】

[式中、
、R、X、m、n及びvは、式Iの化合物又は薬学的に受容可能な塩について以上に定義されている通りである]。
【0125】
式IIのスルホンアミド系化合物及び薬学的に受容可能な塩を調製するのに有用な方法を以下のスキーム2に概括する。
【0126】
【化28】

以下のスキーム3a〜bは、スキーム1又は2による所定の化合物の調製のための出発材料として、適切に置換された1,2−ビス(ブロモメチル)ベンゼンが利用できない式I又はIIの特定の化合物を合成するための方法を示す。例えば、スキーム3aは、合成、及びベンゾビシクロ[4.2.1]ノナンコアへのNO基の付加である。
【0127】
【化29】

スキーム3bは、ニトロベンゾビシクロ[4.2.1]ノナンからの式I又はIIの化合物の調製を例示する。スキーム3bにおけるRは、それぞれ式I及びIIについての定義において以上に定義されているR又はRであり得る。
【0128】
【化30】

キラル高速液体クロマトグラフィー、選択的結晶化、及びキラル分割剤又はキラル助剤との反応を含む当業者に公知の方法を使用して、スルホンアミド系化合物を、それがその対応する反対の異性体を実質的に含まないように得るか、単離するか、又は精製することができる。
【0129】
IV.スルホンアミド系化合物を用いた状態の治療又は予防
本発明によれば、スルホンアミド系化合物は、癌又は神経変性疾患を治療又は予防するのに有用である。
【0130】
A.癌の治療又は予防
スルホンアミド系化合物は、癌の治療又は予防に有用である。したがって、本発明は、癌を治療又は予防するための方法であって、有効量のスルホンアミド系化合物を被験体に投与することを含む方法を提供する。一実施形態において、被験体は、癌の治療又は予防を必要とする。一実施形態において、該方法は、有効量の別の抗癌薬を投与することをさらに含む。本明細書に開示されているスルホンアミド系化合物が治療又は予防するのに有用である癌の例としては、以下の表27に開示される癌及びそれらの転移が挙げられるが、それらに限定されない。
【0131】
【表27−1】

【0132】
【表27−2】

一実施形態において、癌は、肺癌、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚癌、脳癌、中枢神経系の癌、卵巣癌、子宮癌、胃癌、膵臓癌、食道癌、腎臓癌、肝臓癌又は頭頸部癌である。別の実施形態において、癌は転移性癌である。
【0133】
さらに別の実施形態において、癌は、脳癌又は黒色腫である。一実施形態において、脳癌は、転移性脳癌又は膠腫である。一実施形態において、膠腫は、毛様細胞性星状細胞腫、星状細胞腫、未分化星状細胞腫又は多形膠芽細胞腫である。一実施形態において、癌は、BRCA−1若しくはBRCA−2欠損などの相同組換え欠損であるか、又はファンコニファミリーの1つ又は複数のタンパク質の欠損である。一実施形態において、その欠損は、遺伝子変異よって引き起こされる。別の実施形態において、その欠損に起因する表現型は、BRCA−1又はBRCA−2タンパク質の異常に低い発現によって引き起こされる。別の実施形態において、その欠損に起因する表現型は、ファンコニファミリーの1つ又は複数のタンパク質の異常に低い発現によって引き起こされる。
【0134】
別の実施形態において、癌は、急性白血病、急性リンパ球性白血病、骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病及び赤血球白血球性白血病などの急性骨髄球性白血病などの(ただし、それらに限定されない)白血病;慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ球性白血病、毛様細胞性白血病などの(ただし、それらに限定されない)慢性白血病;一次性赤血球増加症;ホジキン病、非ホジキン病などの(ただし、それらに限定されない)リンパ腫;くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞性白血病、単性形質細胞腫及び髄外形質細胞腫などの(ただし、それらに限定されない)多発性骨髄腫;ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;意義不明の単クローン性γグロブリン血症;良性単クローン性γグロブリン血症;H鎖病:形質細胞様樹状細胞癌、NK芽細胞性リンパ腫(皮膚NK/T細胞リンパ腫及び無顆粒(CD4+/CD56+)皮膚腫瘍としても公知である)を含む樹状細胞癌;好塩基球性白血病;骨肉腫(bone sarcoma)、骨肉腫(osteosarcoma)、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫、骨の線維肉腫、脊索腫、骨膜肉腫、軟組織肉腫、管肉腫(血管肉腫)、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、神経鞘腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫などの骨及び結合組織の肉腫;膠腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、上衣腫、希突起神経膠腫、非膠腫瘍、聴神経腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、松果体細胞腫、松果体芽腫、原発性脳リンパ腫などの(ただし、それらに限定されない)脳腫瘍;導管性癌、腺癌、小葉(小細胞)癌、管内癌、延髄性乳癌、粘液性乳癌、管状乳癌、乳頭状乳癌、ページェット病及び炎症性乳癌を含むが、それらに限定されない乳癌;褐色細胞腫及び副腎皮質癌などの(ただし、それらに限定されない)副腎癌;乳頭状又は濾胞状甲状腺癌、延髄性甲状腺癌及び未分化甲状腺癌などの(ただし、それらに限定されない)甲状腺癌;インスリノーマ、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、ソマトスタチン分泌性腫瘍及びカルチノイド又は島細胞腫瘍などの(ただし、それらに限定されない)膵臓癌;クッシング病、プロラクチン分泌性腫瘍、巨端症及び尿崩症などの(ただし、それらに限定されない)下垂体癌;光彩黒色腫、脈絡黒色腫及び毛様体黒色腫などの眼黒色腫並びに網膜芽腫などの(ただし、それらに限定されない)眼癌;扁平上皮細胞癌、腺癌及び黒色腫などの膣癌;扁平上皮細胞癌、黒色腫、腺癌、基底細胞癌、肉腫及びページェット病などの外陰部癌;扁平上皮細胞癌及び腺癌などの(ただし、それらに限定されない)子宮頸癌;子宮体癌及び子宮肉腫などの(ただし、それらに限定されない)子宮癌;卵巣上皮癌、境界域腫瘍、胚細胞腫瘍及び間質性腫瘍などの(ただし、それらに限定されない)卵巣癌;扁平上皮癌、腺癌、腺様嚢胞癌、粘膜表皮癌、腺扁平上皮癌、肉腫、黒色腫、形質細胞腫、いぼ状癌及び燕麦細胞(小細胞)癌などの(ただし、それらに限定されない)食道癌;腺癌、肉芽腫性(ポリープ状)、潰瘍性、表層進展性、拡散進展性、悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫及び癌肉腫などの(ただし、それらに限定されない)胃癌;結腸癌;直腸癌;肝細胞癌及び肝芽腫などの(ただし、それらに限定されない)肝臓癌;腺癌などの胆嚢癌;乳頭状、結節状及び拡散性などの(ただし、それらに限定されない)胆管癌;非小細胞肺癌、扁平上皮細胞癌(類表皮癌)、腺癌、大細胞癌及び小細胞肺癌などの肺癌;胚腫瘍、精上皮腫、未分化、古典的(典型的)、精細胞、非精上皮腫、胎生期癌、奇形腫、絨毛癌(卵黄嚢腫瘍)などの(ただし、それらに限定されない)睾丸癌、前立腺上皮内腫瘍、腺癌、平滑筋肉腫及び横紋筋肉腫などの(ただし、それらに限定されない)前立腺癌;陰茎癌;扁平上皮細胞癌などの(ただし、それらに限定されない)口腔癌;鼻腔癌(basal cancer);腺癌、粘膜表皮癌及び腺様嚢胞癌などの(ただし、それらに限定されない)唾液腺癌;扁平上皮細胞癌及びいぼ状癌などの(ただし、それらに限定されない)咽頭癌;基底細胞癌、扁平上皮細胞癌及び黒色腫、表層進展性黒色腫、結節状黒色腫、悪性黒子黒色腫、末端性黒子性黒色腫などの(ただし、それらに限定されない)皮膚癌;腎細胞癌、腺癌、副腎腫、線維肉腫、移行上皮癌(腎盤及び/又は子宮)などの(ただし、それらに限定されない)腎臓癌;ウィルムス腫瘍;移行上皮癌、扁平上皮細胞癌、腺癌、癌肉腫などの(ただし、それらに限定されない)膀胱癌である。加えて、癌は、粘液肉腫、骨原性肉腫、内皮肉腫、リンパ管内皮肉腫、中皮腫、滑膜腫、血管芽腫、上皮癌、嚢胞腺癌、気管支原性癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌及び乳頭状腺癌(当該障害の概要については、Fishmanら、1985年、Medicine、第2版、J.B. Lippincott Co.、Philadelphiaおよび、Murphyら、1997年、Informed Decisions:The Complete Book of Cancer Diagnosis、Treatment, and Recovery、Viking Penguin、Penguin Books U.S.A., Inc.、アメリカ合衆国参照)。
【0135】
本実施形態の具体的な形において、癌は、白血病、小細胞肺癌、卵巣癌、乳癌又は脳癌を含むが、それらに限定されない、γ−セクレターゼによるノッチの切断に関連する癌である。
【0136】
さらに別の実施形態において、治療を必要とする被験体は、癌の治療を既に受けたことがあるか、又は現在受けている。治療は、化学治療、放射線治療、外科手術、又は癌ワクチンの投与などの免疫治療を含むが、それらに限定されない。
【0137】
スルホンアミド系化合物は、ウイルスによって引き起こされる癌の治療又は予防にも有用である。当該ウイルスは、子宮頸癌をもたらし得るヒトパピローマウィルス(例えば、Hernandez− Avilaら、Archives of Medical Research(1997年)28巻:265〜271頁参照);リンパ腫をもたらし得るエピスタイン・バーウイルス(EBV)(例えば、Herrmannら、J. Pathol.(2003年)199(2)巻:140〜5頁参照);肝臓癌をもたらし得るB型又はC型肝炎ウイルス(例えば、El−Serag、J. Clin. Gastroenterol.(2002年)35巻(第5増刊2号):S72〜8頁参照);T細胞白血病をもたらし得るヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)−I(例えば、Mortreuxら、Leukemia(2003年)17(1)巻:26〜38頁参照);カポジ肉腫をもたらし得るヒトヘルペスウイルス−8感染(例えば、Kadowら、Curr. Opin. Investig. Drugs(2002年)3(11)巻:1574〜9頁参照);及び免疫不全の結果として癌をもたらし得るヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染(例えば、Dal Masoら、Lancet Oncol(2003年)4(2)巻:110〜9頁参照)が挙げられる。これらの参考文献の各々は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0138】
スルホンアミド系化合物は、癌の予防、又は表27に記載されている癌を含むが、それらに限定されない癌の進行の防止にも有用である。当該予防的用途は、過形成、異形成、又は最も具体的には形成異常などの非腫瘍性細胞成長が生じたものを含む。過形成、異形成又は形成異常として特徴付けられる異常細胞成長の存在の代替として、又はそれに加えて、被験体からの細胞サンプルによってインビボで提示又はインビトロで提示される形質転換表現型又は悪性形質の1つ又は複数の特徴は、スルホンアミド系化合物の予防又は治療投与が望ましいことを示し得る。形質転換表現型の当該特徴としては、形態変化、基層接着の緩み、接触阻害の低下、定着依存性の低下、プロテアーゼ放出、糖輸送の増大、血清需要の減少、胎児性抗原の発現、250000ダルトンの細胞表面タンパク質の消失等が挙げられる。特定の実施形態において、白斑症、上皮の良性過形成若しくは形成異常病変、又はブラウン病、インサイツ癌腫は、本発明の方法により治療可能又は予防可能である。
【0139】
別の実施形態において、線維嚢胞病(嚢胞性過形成、乳房異形成症、具体的には腺腫症(良性上皮過形成))は、本発明の方法により治療可能又は予防可能である。
【0140】
他の実施形態において、以下の悪性腫瘍の素因の1種又は複数種を有する被験体を有効量のスルホンアミド系化合物の投与によって治療することができる。悪性腫瘍に関連する染色体転位(例えば、慢性骨髄性白血病に対するフィラデルフィア染色体;濾胞性リンパ腫に対するt(14;18));家族性ポリポーシス又はガードナー症候群;良性単クローン性γグロブリン血症;メンデル(遺伝子)遺伝パターンを示す癌又は前癌状態(例えば、結腸の家族性ポリポーシス、ガードナー症候群、遺伝的外骨腫症、多内分泌腺腫症(polyendocrine. adenomatosis)、アミロイド生成及び褐色細胞腫を伴う髄様甲状腺癌、ポイツ・イェガース症候群、フォンレックリングハウゼンの神経線維腫症、網膜芽細胞腫、頸動脈体腫瘍、皮膚黒色癌、眼内黒色癌、色素性乾皮症、毛細管拡張性運動失調、チェディアック・東症候群、白化症、ファンコニ再生不良性貧血、及びブルーム症候群)の疾患を有する人と一親等;発癌物質への曝露(例えば、喫煙、受動喫煙の曝露、及び特定の化学物質の吸入、又はそれらとの接触)。
【0141】
一態様において、癌を治療又は予防するための本発明の方法は、別の抗癌薬の投与をさらに含むことができる。
【0142】
一実施形態において、本発明は、癌を治療又は予防するための方法であって、有効量のスルホンアミド系化合物及び別の抗癌薬を、それを必要とする被験体に投与することを含む方法を提供する。スルホンアミド系化合物及び別の抗癌薬を同時に投与することができる。この実施形態において、スルホンアミド系化合物及び別の抗癌薬を同一の組成物内で投与することができ、又は同一の、若しくは異なる投与経路を介して異なる組成物から投与することができる。別の実施形態において、他の抗癌薬がその予防若しくは治療効果を発揮する時間を通じてスルホンアミド系化合物が投与されるか、又はスルホンアミド系化合物がその予防若しくは治療効果を発揮する時間を通じて他の抗癌薬が投与される。
【0143】
別の実施形態において、スルホンアミド系化合物又は他の抗癌薬は、通常、当該薬剤が癌の治療のための単独治療として使用されるときに使用される投与量で投与される。
【0144】
一実施形態において、スルホンアミド系化合物又は他の抗癌薬は、通常、当該薬剤が癌の治療のための単独治療として使用されるときに使用される投与量より少ない投与量で投与される。
【0145】
別の実施形態において、スルホンアミド系化合物及び他の抗癌薬は、相乗的に作用し、通常、当該薬剤が癌の治療のための単独治療として使用されるときに使用される投与量より少ない投与量で投与される。投与されるスルホンアミド系化合物又は他の抗癌薬の投与量、並びに投与スケジュールは、治療されている癌、被験体の全般的健康状態及び投与する医師の裁量を含むが、それらに限定されない様々なパラメータに左右され得る。スルホンアミド系化合物を他の抗癌薬の投与の前(例えば、5分前、15分前、30分前、45分前、1時間前、2時間前、4時間前、6時間前、12時間前、24時間前、48時間前、72時間前、96時間前、1週間前、2週間前、3週間前、4週間前、5週間前、6週間前、8週間前若しくは12週間前)に、又は他の抗癌薬の投与と同時に、又は他の抗癌薬の投与の後(例えば、5分後、15分後、30分後、45分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、8週間後若しくは12週間後)に、それを必要とする被験体に投与することができる。様々な実施形態において、スルホンアミド系化合物と他の抗癌薬は、1分差、10分差、30分差、1時間未満の時間差、1時間差、1時間から2時間差、2時間から3時間差、3時間から4時間差、4時間から5時間差、5時間から6時間差、6時間から7時間差、7時間から8時間差、8時間から9時間差、9時間から10時間差、10時間から11時間差、11時間から12時間差、24時間を超えない時間差、又は48時間を超えない時間差で投与される。一実施形態において、スルホンアミド系化合物と他の抗癌薬は、3時間以内に投与される。別の実施形態において、スルホンアミド系化合物と他の抗癌薬は、1分から24時間差で投与される。
【0146】
一実施形態において、有効量のスルホンアミド系化合物及び有効量の他の抗癌薬は、同一の組成物に存在する。一実施形態において、この組成物は経口投与に有用であり、別の実施形態において、この組成物は静脈内投与に有用である。
【0147】
一実施形態において、該組成物は、全体として癌を治療又は予防するのに有効な量のスルホンアミド系化合物及び他の抗癌薬を含む。
【0148】
別の実施形態において、該組成物は、有効量のテモゾロミド、プロカルバジン、ダカルバジン、インターロイキン−2、イリノテカン又はドキソルビシン、生理学的に許容し得る担体、希釈剤、賦形剤又は媒体、及び有効量のスルホンアミド系化合物を含む。
【0149】
一実施形態において、スルホンアミド系化合物及び他の抗癌薬の量は、組成物の重量に対して合わせた組合せ化学治療薬少なくとも約0.01重量%である。経口投与を意図するときは、この量は、組成物の約0.1重量%から約80重量%までの範囲で異なり得る。いくつかの経口組成物は、組成物の重量に対して合計量で約4重量%から約50重量%のスルホンアミド系化合物及び他の抗癌薬を含むことができる。本発明の他の組成物は、非経口投与単位が組成物の約0.01重量%から約2重量%を含むように調製される。
【0150】
スルホンアミド系化合物及び他の抗癌薬を投与することによって治療又は予防することができる癌としては、以上の表27に記載されている癌のリストが挙げられるが、それらに限定されない。
【0151】
一実施形態において、癌は脳癌である。特定の実施形態において、脳癌は、毛様細胞性星状細胞腫、星状細胞腫、未分化星状細胞腫、多形膠芽細胞腫又は転移性脳腫瘍である。
【0152】
一実施形態において、癌は黒色腫である。特定の実施形態において、黒色腫は転移性黒色腫である。
【0153】
スルホンアミド系化合物及び他の抗癌薬は、相加的又は相乗的に作用することができる。スルホンアミド系化合物及び他の抗癌薬の相乗的組合せは、これらの薬剤の一方若しくは双方のより少ない投与量の使用、及び/又は癌の被験体へのより低頻度の薬剤の投与を可能にし得る。スルホンアミド系化合物及び他の抗癌薬の一方若しくは双方のより少ない投与量を利用することができ、且つ/又は該薬剤をより低頻度で投与できることで、癌の治療における薬剤の効力を低下させることなく、被験体に対する薬剤の投与に伴う毒性を軽減することが可能である。加えて、相乗効果は、癌の治療におけるこれらの薬剤の効力の向上、及び/又はいずれかの薬剤の単独の使用に伴う有害な、若しくは望ましくない副作用の軽減をもたらし得る。
【0154】
一実施形態において、有効量のスルホンアミド系化合物及び有効量の別の抗癌薬の投与は、他の抗癌薬に対する癌の抵抗を阻害する。一実施形態において、癌は腫瘍である。
【0155】
本発明の方法及び組成物に有用である好適な他の抗癌薬としては、テモゾロミド、トポイソメラーゼI阻害薬、プロカルバジン、デカルバジン、ゲムシタビン、カペシタビン、メトトレキセート、タキソール、タキソテレ、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシ尿素、シタラビン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソ尿素、シスプラチン、カルボプラチン、ミトマイシン、デカルバジン、プロカルビン、エトポシド、テニポシド、カンパテシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、L−アスパラギナーゼ、ドキソルビシン、エピルビシン、5−フルオロウラシル、ドセタキセル及びパクリタキセルなどのタキサン、ロイコボリン、レバミソール、イリノテカン、エストラムスチン、エトポシド、ナイトロジェンマスタード、BCNU、カルムスチン及びロムスチンなどのニトロソ尿素、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビンなどのビンカアルカロイド、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンなどのプラチナ錯体、メシル酸イマチニブ、ヘキサメチルメラミン、トポテカン、チロシンキナーゼ阻害薬、トリホスチンハービマイシンA、ゲニステイン、エルブスタチン及びラベンダスチンAが挙げられるが、それらに限定されない。
【0156】
一実施形態において、他の抗癌薬は、表28に列挙される薬物であるが、それに限定されない。
【0157】
【表28−1】

【0158】
【表28−2】

【0159】
【表28−3】

【0160】
【表28−4】

本発明の組成物及び方法に有用である他の更なる抗癌薬としては、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ジメシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチメル;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフムゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;デカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンホスフェートナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモホシン;インターロイキン−2(組換えインターロイキン−2又はrIL2を含む)、インターフェロンα−2α;インターフェロンα−2β;インターフェロンα−nl;インターフェロンα−n3;インターフェロンβ−Iα;インターフェロンγ−Iβ;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;水酸化メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;ミトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシー;プロメスタン;ポリフィメルナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;プロマイシン;塩酸プロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルホセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフル;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビンピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;及び塩酸ゾルビシンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0161】
本発明の方法及び組成物に有用であるさらなる抗癌薬としては、20−エピ−1,25ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドクス;アミホスチン;アミノレブリニン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管形成阻害薬;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス;抗背方化形態形成タンパク質−1;抗アンドロゲン前立腺癌薬;抗エストロゲン;抗ネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシネート;アポプトーシス遺伝子モジュレータ;アポプトーシス調節剤;アプリン酸;アラ−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アシュラクリン;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;βラクタム誘導体;β−アレチン;βクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害薬;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスパーム;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリポクスIL−2;カルボキサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN700;軟骨誘導阻害薬;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害薬(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロールン;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シス−ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クランベシジン816;クリスナトール;クリプトプリシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスフェート;細胞溶解因子;シトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムミンB;デスロレリン;デキサメタソン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニーB;ジドクス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アシチジン;ジヒドロタキソール;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフル;エピルビシン;エピリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エクセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン;ホルフェニメクス;ホルメスタン;ホストレシン;ホテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゲラチナーゼ阻害薬;ゲムシタビン;グルタチオン阻害薬;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモド;免疫刺激ペプチド;インスリン様成長因子−1受容体阻害薬;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール,4−;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;三酢酸ラメラリン−N;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチン;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミソール;リアロゾール;線形ポリアミド類似体;親油性二糖ペプチド;親油性プラチナ錯体;リソクリナミド7;ロバプラチン;ロムブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ルルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶解性ペプチド;マイタンシン;マノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害薬;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害薬;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害薬;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;不適正二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;ミトマイシン類似体;ミトナフィド;ミトトキシン線維芽成長因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルガモスチム;モノクロナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+ミオバクテリア細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害薬;多発性腫瘍サプレッサー1系治療薬;マスタード抗癌薬;ミカペロキシドB;ミコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N−アセチルジナリン;N置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチプ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;酸化窒素モジュレータ;窒素酸化物抗酸化剤;ニトルリン;06−ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン阻害薬;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミー;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリスルフェートナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニルアセテート;ホスファターゼ阻害薬;ピシバニル;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノゲン活性化体阻害薬;プラチナ錯体;複数のプラチナ錯体;プラチナ−トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポリフィロマイシン;プレドニソン;プロピルビス−アクリドン;プロスタグラジンJ2;プロテアソーム阻害薬;タンパク質A系免疫モジュレータ;タンパク質キナーゼC阻害薬;複数のタンパク質キナーゼC阻害薬、ミクロアルガール;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害薬;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害薬;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン結合体;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬;ras阻害薬;ras−GAP阻害薬;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチンアミド;ログレチミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメクス;ルビギノンB1;ラボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチン;Sdi1擬態;セムスチン;セネセン誘導阻害薬1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害薬;シグナル伝達モジュレータ;単一鎖抗原結合タンパク質;シゾフィラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテート;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホシン酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンギスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害薬;幹細胞分裂阻害薬;スチピアミド;ストロメリシン阻害薬;スルフィノシン;超活性血管作動性腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフル;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害薬;テモポルフム;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロムボポイエチン;トロンボポイエチン擬態;チマルファシン;チモポイエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;錫エチルエチオプルプリルト;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;トチポテント幹細胞因子;翻訳阻害薬;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害薬;チルホスチン;UBC阻害薬;ウベニメクス;尿生殖洞誘導成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクター系、赤血球遺伝子治療薬;ベラレソール;verアミン;ベルジン;ベルテポルフム;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;及びジノスタチンスチマラマーが挙げられるが、それらに限定されない。
【0162】
別の実施形態において、他の抗癌薬はインターフェロン−αである。別の実施形態において、他の抗癌薬はインターロイキン−2である。一実施形態において、他の抗癌薬は、アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素、スルホン酸アルキル、トリアゼン又はプラチナ含有剤である。一実施形態において、他の抗癌薬はトリアゼンアルキル化剤である。一実施形態において、他の抗癌薬は、O−6−ベンジルグアニンである。別の実施形態において、他の抗癌薬は、O−6−ベンジルグアニン及びテモゾロミドである。別の実施形態において、他の抗癌薬は、O−6−ベンジルグアニン及びプロカルバジンである。さらに別の実施形態において、他の抗癌薬は、O−6−ベンジルグアニン及びデカルバジンである。
【0163】
外科手術、放射線治療、又は癌ワクチンなどの免疫治療を含むが、それらに限定されない1つ又は複数の追加的な抗癌治療を既に受けたことがあるか、又は現在受けている被験体にスルホンアミド系化合物を投与することができる。
【0164】
一実施形態において、本発明は、癌を治療又は予防するための方法であって、癌を治療又は予防するための有効量のスルホンアミド系化合物、及び外科手術、放射線治療、又は癌ワクチンなどの免疫治療を含むが、それらに限定されない別の抗癌治療を、それを必要とする被験体に投与することを含む方法を提供する。
【0165】
一実施形態において、他の抗癌治療は放射線治療である。別の実施形態において、他の抗癌治療は外科手術である。さらに別の実施形態において、他の抗癌治療は免疫治療である。
【0166】
特定の実施形態において、癌を治療又は予防するための本発明の方法は、有効量のスルホンアミド系化合物及び放射線治療を投与することを含む。放射線治療を、スルホンアミド系化合物と同時に、その前に、又はその後に投与することができ、一実施形態では、スルホンアミド系化合物の投与の少なくとも1時間、5時間、12時間、1日、1週間、1ヶ月前又は後に投与することができ、別の実施形態では(例えば3ヶ月までの)数ヵ月前又は後に投与することができる。他の抗癌治療が放射線治療である場合には、治療すべき癌の種類に応じて任意の放射線治療プロトコルを投与することができる。例えば、限定することなく、X線放射線を投与することができる。具体的には、深在性腫瘍に対しては高エネルギーメガ電圧(例えば、1MeVエネルギーを超える放射線)を投与することができ、皮膚癌に対しては電子ビーム及び正中電圧X線放射線を投与することができる。ラジウム、コバルト及び他の元素の放射性同位体などのガンマ線を放射する放射線同位体を投与することもできる。
【0167】
また、本発明は、化学治療又は放射線治療が、治療されている被験体にマイナスの副作用をもたらす場合に、化学治療又は放射線治療の代用としてスルホンアミド系化合物を投与することを含む癌の治療方法を提供する。治療されている被験体を、外科手術、放射線治療又は免疫治療などの別の抗癌治療で場合によって治療することができる。
【0168】
例えば、白血病及びリンパ腫を含むが、それらに限定されない特定の癌の治療のためにスルホンアミド系化合物をインビトロ又は生体外投与することも可能であり、当該治療は、自己由来幹細胞移植を含む。これは、被験体の自己由来造血幹細胞を採取し、それらからすべての癌細胞を除去し、次いで被験体の残存骨髄細胞集団をスルホンアミド系化合物及び/又は放射線の投与により根絶させ、得られた幹細胞を被験体に再度注入するプロセスを含み得る。続いて、支持的なケアを提供しながら、骨髄機能を取り戻し、被験体を回復させることができる。
【0169】
B.神経変性疾患の治療又は予防
本発明は、神経変性疾患を治療又は予防するための方法であって、有効量のスルホンアミド系化合物を、被験体に投与することを含む方法を提供する。一実施形態において、被験体は、神経変性疾患の治療又は予防を必要とする。神経変性疾患の例としては、アレキサンダー病、アルパーズ病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(「ALS」)、血管拡張性失調症、バッテン病(シュピールマイアー−フォークト−シェーグレン−バッテン病としても公知である)、牛海綿状脳症、カナバン病、コケイン症候群、皮質基底変性症、クロイツフェルト−ヤコブ病、ハンチントン病、HIV関連痴呆、ケネディ病、クラッベ病、レヴィ小体型認知症、マシャド−ジョセフ病(脊髄小脳失調症3型)、多発性硬化症(「MS」)、多系統萎縮症、ナルコレプシー、神経ボレリア症、パーキンソン病、ペリツェウス−メルツバッハー病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性核上麻痺、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血続発性亜急性連合性脊髄変性症、脊髄小脳性運動失調、脊髄性筋萎縮症、スティール−リチャードソン−オルゼウスキー病及び脊髄ろうが挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態において、神経変性疾患はアルツハイマー病である。神経変性疾患の他の例としては、肥満性レヴィ小体病、多系統変性症(シャイ−ドレーガー症候群)、筋萎縮性側索硬化症、退行性運動失調、皮質基底変性症、グアムのALS−パーキンソン痴呆症候群、亜急性硬化性全脳炎、ハンチントン病、シヌクレイン病、原発性進行性失語症、線条体黒質変性症、マシャド−ジョセフ病/脊髄小脳性運動失調3型及びオリーブ橋小脳変性症を含む運動神経疾患、ギル−ド−ラ−ツレット病、延髄及び擬延髄麻痺、脊髄及び脊髄延髄筋肉麻痺(ケネディ病)、原発性側索硬化症、家族性痙性対麻痺、ヴェルドニッヒ−ホフマン病、クーゲルベルク−ヴェランデル病、テイ−サックス病、サンドホフ病、家族性痙攣疾患、ヴォヒファルト−クーゲルベルグ−ヴェランデル病、痙性対麻痺、進行性多病巣性白質脳症、プリオン病(クロイツフェルト−ヤコブ病、ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー病、クル及び致命的家族性不眠症を含む)、年齢関連痴呆及び記憶力低下を伴う他の状態、例えば、血管性痴呆、肥満性白質疾患(ビンスヴァンガー病)、内分泌若しくは代謝由来の痴呆、頭部外傷及び肥満性脳傷害の痴呆、ボクサー痴呆及び前頭葉痴呆、塞栓性閉塞及び血栓性閉塞並びにあらゆる種類の頭蓋内出血(硬膜外、硬膜下、クモ膜下及び脳内を含むが、それらに限定されない)を含む脳虚血又は梗塞、並びに頭蓋内及び椎骨内病変(挫傷、貫通、剪断、圧迫及び裂傷を含むが、それらに限定されない)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0170】
一態様において、神経変性疾患を治療又は予防するための本発明の方法は、別の抗神経変性疾患薬の投与をさらに含むことができる。
【0171】
一実施形態において、本発明は、神経変性疾患を治療又は予防するための方法であって、有効量のスルホンアミド系化合物及び別の抗神経変性疾患薬を、神経変性疾患の治療又は予防を必要とする被験体に投与することを含む方法を提供する。スルホンアミド系化合物及び別の抗神経変性疾患を個別に投与することができる。スルホンアミド系化合物及び別の抗神経変性疾患薬を同時に投与することもできる。この実施形態において、スルホンアミド系化合物及び別の抗神経変性疾患薬を同一の組成物内で投与することができ、又は同一の、若しくは異なる投与経路を介して異なる組成物から投与することができる。別の実施形態において、他の抗神経変性疾患薬がその予防若しくは治療効果を発揮する時間を通じてスルホンアミド系化合物が投与されるか、又はスルホンアミド系化合物がその予防若しくは治療効果を発揮する時間を通じて他の抗神経変性疾患薬が投与される。
【0172】
別の実施形態において、スルホンアミド系化合物又は他の抗神経変性疾患薬は、通常、当該薬剤が神経変性疾患の治療のための単独治療として使用されるときに使用される投与量で投与される。
【0173】
一実施形態において、スルホンアミド系化合物又は他の抗神経変性疾患薬は、通常、当該薬剤が神経変性疾患の治療のための単独治療として使用されるときに使用される投与量より少ない投与量で投与される。
【0174】
別の実施形態において、スルホンアミド系化合物及び他の抗神経変性疾患薬は、相乗的に作用し、通常、当該薬剤が神経変性疾患の治療のための単独治療として使用されるときに使用される投与量より少ない投与量で投与される。投与されるスルホンアミド系化合物又は他の抗神経変性疾患薬の投与量、並びに投与スケジュールは、治療されている神経変性疾患、被験体の全般的健康状態及び投与する医師の裁量を含むが、それらに限定されない様々なパラメータに左右され得る。スルホンアミド系化合物を他の抗神経変性疾患薬の投与の前(例えば、5分前、15分前、30分前、45分前、1時間前、2時間前、4時間前、6時間前、12時間前、24時間前、48時間前、72時間前、96時間前、1週間前、2週間前、3週間前、4週間前、5週間前、6週間前、8週間前若しくは12週間前)に、又は他の抗神経変性疾患薬の投与と同時に、又は他の抗神経変性疾患薬の投与の後(例えば、5分後、15分後、30分後、45分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、8週間後若しくは12週間後)に、神経変性疾患の治療又は予防を必要とする被験体に投与することができる。様々な実施形態において、スルホンアミド系化合物と他の抗神経変性疾患薬は、1分差、10分差、30分差、1時間未満の時間差、1時間差、1時間から2時間差、2時間から3時間差、3時間から4時間差、4時間から5時間差、5時間から6時間差、6時間から7時間差、7時間から8時間差、8時間から9時間差、9時間から10時間差、10時間から11時間差、11時間から12時間差、24時間を超えない時間差、又は48時間を超えない時間差で投与される。一実施形態において、スルホンアミド系化合物と他の抗神経変性疾患薬は、3時間以内に投与される。別の実施形態において、スルホンアミド系化合物と他の抗神経変性疾患薬は、1分から24時間差で投与される。
【0175】
一実施形態において、有効量のスルホンアミド系化合物及び有効量の他の抗神経変性疾患薬は、同一の組成物に存在する。一実施形態において、この組成物は経口投与に有用である。別の実施形態において、この組成物は静脈内投与に有用である。
【0176】
一実施形態において、該組成物は、全体として神経変性疾患を治療又は予防するのに有効な量のスルホンアミド系化合物及び他の抗神経変性疾患薬を含む。
【0177】
スルホンアミド系化合物及び他の抗神経変性疾患薬は、相加的又は相乗的に作用することができる。スルホンアミド系化合物及び他の抗神経変性疾患薬の相乗的組合せは、これらの薬剤の一方若しくは双方のより少ない投与量の使用、及び/又は神経変性疾患の被験体へのより低頻度の薬剤の投与を可能にし得る。スルホンアミド系化合物及び他の抗神経変性疾患薬の一方若しくは双方のより少ない投与量を利用することができ、且つ/又は該薬剤をより低頻度で投与できることで、神経変性疾患の治療における薬剤の効力を低下させることなく、被験体に対する薬剤の投与に伴う毒性を軽減することが可能である。加えて、相乗効果は、神経変性疾患の治療におけるこれらの薬剤の効力の向上、及び/又はいずれかの薬剤の単独の使用に伴う有害な、若しくは望ましくない副作用の軽減をもたらし得る。
【0178】
一実施形態において、有効量のスルホンアミド系化合物及び有効量の別の抗神経変性疾患薬の投与は、他の抗神経変性疾患薬に対する神経変性疾患の抵抗を阻害する。
【0179】
本発明の方法及び組成物に有用で適した他の抗神経変性疾患薬としては、コリンステラーゼ阻害薬(例えば、タクリン、塩酸ドネペジル、リバスチグミン若しくはガランタミン)又は部分グルタメートアンタゴニスト(例えばメマンチン)などの抗アルツハイマー病薬;レボドパ、カルビドパ、トルカポン、ブロモクリプチン、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロール、セレギリン又はアマンタジンなどの抗パーキンソン病薬;リルゾールなどの抗ALS薬;及びインターフェロンベータ−1a、インターフェロンベータ−1b、酢酸グラチラメル、ミトキサントロン又はナタリズマブなどの抗MS薬が挙げられるが、それらに限定されない。
【0180】
C.組合せ治療
γ−セクレターゼ活性に関連する疾患の治療若しくは予防、又はγ−セクレターゼ活性に関連する疾患の予防のための、スルホンアミド系化合物を含む組合せ製品に使用できる追加的な薬剤としては、小分子、合成薬、ペプチド(環状ペプチドを含む)、ポリペプチド、タンパク質、核酸(例えば、アンチセンスヌクレオチド配列、三重螺旋、RNAi、及び生物活性タンパク質、ポリペプチド若しくはペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むが、それらに限定されないDNA及びRNAヌクレオチド)、抗体、合成若しくは天然無機分子、擬態薬、及び合成若しくは天然有機分子が挙げられるが、それらに限定されない。当該薬剤の具体例としては、免疫調節薬(例えばインターフェロン)、抗炎症薬(例えば、アデノコルチコイド、コルチコステロイド(例えば、ベクロメタソン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカソン、トリアムシノロン、メチルプレドニソロン、プレドニソロン、プレドニソン、ヒドロコルチソン)、グルココルチコイド、ステロイド及び非ステロイド性抗炎症薬(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク及びCOX−2阻害薬)、鎮痛薬、ロイコトレインアンタゴニスト(例えば、モンテルカスト、メチルキサンチン、ザフィルルカスト及びジレウトン)、β2−アゴニスト(例えば、アルブテロール、ビテロール、フェノテロール、イソエタリエ、メタプロテレノール、ピルブテロール、サルブタモル、テルブタリンホルモテロール、サルメテロール及びサルブタモルテルブタリン)、抗コリン作動薬(例えば、臭化イプラトロピウム及び臭化オキシトロピウム)、スルファサラジン、ペニシラミン、ダプソン、抗ヒスタミン、抗マラリア薬(例えばヒドロキシクロロキン)、抗ウイルス薬(例えば、ヌクレオシド類似体(例えば、ジドブジン、アシクロビル、ガングシクロビル、ビダラビン、イドクスウリジン、トリフルリジン及びリバビリン)、ホスカルネト、アマンタジン、リマンタジン、サキナビル、インジナビル、リトナビル及びAZT)並びに抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧アクチノマイシン)、ブレオマイシン、エリトマイシン、ペニシリン、ミトラマイシン及びアントラマイシン(AMC))が挙げられるが、それらに限定されない。
【0181】
γ−セクレターゼ活性に関連する疾患の治療又は予防に有用であることが公知である治療薬、又は使用されたことがある治療薬、使用されることになる治療薬若しくは現在使用されている治療薬を、本明細書に記載の本発明によるスルホンアミド系化合物と併用することができる。
【0182】
V.治療又は予防投与及び本発明の組成物
それらの活性により、スルホンアミド系化合物は、有利には、獣医薬及びヒトの医薬に有用である。以上に記載されているように、スルホンアミド系化合物は、癌又は神経変性疾患の治療又は予防を必要とする被験体を含む被験体における癌又は神経変性疾患を治療又は予防するのに有用である。理論に束縛されることなく、スルホンアミド系化合物は、γ−セクレターゼを阻害することによってそれらの治療又は予防効果を発揮すると考えられる。
【0183】
神経変性疾患の治療又は予防を必要とする被験体を含む被験体における癌又は神経変性疾患を治療又は予防するのに有効である量でスルホンアミド系化合物を投与することができる。
【0184】
被験体に投与するときは、スルホンアミド系化合物を、薬学的に受容可能な担体、希釈剤、賦形剤又は媒体を含む組成物の化合物として投与することができる。スルホンアミド系化合物を含む本発明の組成物を経口投与することができる。スルホンアミド系化合物を任意の他の便利な経路、例えば、注入又はボーラス注射、上皮又は皮膚粘膜内層(例えば、口腔、直腸又は腸粘膜)を介する吸収によって投与することもでき、別の生物活性薬とともに投与することができる。投与は、全身的又は局所的であり得る。様々な送達系、例えば、リポソーム、微小粒子、マイクロカプセル及びカプセルによる封入が公知である。
【0185】
投与方法としては、皮内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、静脈内投与、皮下投与、鼻内投与、硬膜外投与、経口投与、舌下投与、脳内投与、膣内投与、経皮投与、直腸投与、吸入による投与、又は特に耳、鼻、眼若しくは皮膚に対する局所投与が挙げられるが、それらに限定されない。場合によっては、投与は、血流へのスルホンアミド系化合物の放出をもたらすことになる。
【0186】
一実施形態において、スルホンアミド系化合物は、経口投与される。他の実施形態において、スルホンアミド系化合物を局所投与することが望ましい場合がある。これを、例えば、限定することなく、外科手術中の局部注入、例えば手術後の創傷被覆材と併用される局部的施用によって、注射によって、カテーテルを用いて、坐薬若しくは浣腸を用いて、又はインプラントを用いて達成することができ、前記インプラントは、シラスチック膜などの膜又は繊維を含む多孔質、非多孔質又はゼラチン質の材料で構成されている。
【0187】
一部の実施形態において、心室内、髄腔内及び硬膜外注射並びに浣腸を含む任意の好適な経路によってスルホンアミド系化合物を中枢神経系又は胃腸管に導入することが望ましい場合がある。心室内注射を、例えば、オマヤレザバーなどのレザバーに取り付けられた心室内カテーテルによって促進することができる。
【0188】
噴霧器の吸入器の使用及びエアロゾル化剤との配合によって、又はフルオロカーボンオール、合成肺界面活性剤による潅漑を介して、肺投与を使用することもできる。一部の実施形態において、スルホンアミド系化合物を、トリグリセリドなどの伝統的な結合剤及び賦形剤とともに坐薬として配合することができる。
【0189】
別の実施形態において、スルホンアミド系化合物をベシクル、特にリポソームにて送達することができる(Langer,Science 249巻:1527〜1533頁(1990年)及びLiposomes in Therapy of Infectious Disease and Cancer 317〜327頁及び353〜365頁(1989年)参照)。
【0190】
さらに別の実施形態において、スルホンアミド系化合物を制御放出系又は持続放出系にて送達することができる(例えば、Goodson, Medical Applications of Controlled Release、前出、2巻、115〜138頁(1984年)参照)。Langer, Science 249巻:1527〜1533頁(1990年)による概要に記載されている他の制御又は持続放出系を使用することができる。一実施形態において、ポンプを使用することができる(Langer, Science 249巻:1527〜1533頁(1990年);Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14巻:201頁(1987年);Buchwaldら、Surgery 88巻:507頁(1980年);及びSaudekら、N. Engl. J Med. 321巻:574頁(1989年)参照)。別の実施形態において、ポリマー材料を使用することができる(Medical Applications of Controlled Release(Langer and Wise編、1974年);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance(Smolen and Ball編、1984年);Ranger and Peppas、J. Macromol. Sd. Rev. Macromol. Chem. 2巻:61頁(1983年);Levyら、Science 228巻:190頁(1935年);Duringら、Ann. Neural. 25巻:351頁(1989年);及びHowardら、J. Neurosurg. 71巻:105頁(1989年)参照)。
【0191】
さらに他の実施形態において、制御又は持続放出系をスルホンアミド系化合物の目標、例えば、脊柱、脳、皮膚、肺又は胃腸管の近傍に配置することで、必要な投与量を全身投与量の端数にとどめることができる。
【0192】
本発明の組成物は、被験体への適正な投与に応じた形を提供するように、好適な量の薬学的に受容可能な賦形剤を場合により含むことができる。
【0193】
当該医薬賦形剤は、水、並びに石油、動物、植物又は合成起源の油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油及びゴマ油等を含む油などの液体であり得る。医薬賦形剤は、生理食塩水、アラビアゴム、ゼラチン、デンプン糊、タルク、ケラチン、コロイドシリカ及び尿素等であり得る。加えて、助剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤及び着色剤を使用することができる。一実施形態において、薬学的に受容可能な賦形剤は、被験体に投与される場合に無菌である。水は、スルホンアミド系化合物が静脈内投与される場合に有用な賦形剤である。生理食塩水並びにデキストロース及びグリセロール水溶液を、特に注射液のための液体賦形剤として使用することもできる。好適な医薬賦形剤は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、トウモロコシ、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水及びエタノール等をも含む。本発明の組成物は、望まれる場合は、少量の湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤を含むこともできる。
【0194】
本発明の組成物は、溶液剤、懸濁液剤、乳剤、錠剤、丸剤、ペレット剤、カプセル剤、液体含有カプセル剤、粉剤、持続放出製剤、坐薬、乳剤、エアロゾル剤、スプレー剤、懸濁液剤の形、又は使用に好適な任意の他の形をとることができる。一実施形態において、該組成物は、カプセル剤の形である(例えば、米国特許第5,698,155号明細書参照)。好適な医薬賦形剤の他の例は、参照として本明細書に組み込まれているRemington’s Pharmaceutical Sciences 1447〜1676頁(Alfonso R. Gennaro編、第19版、1995年に記載されている。
【0195】
一実施形態において、スルホンアミド系化合物は、慣例の手順に従って、人間への経口投与に適応する組成物として配合される。経口送達のための組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、水性若しくは油性懸濁液剤、顆粒剤、粉剤、乳剤、カプセル剤、シロップ剤又はエリキシル剤の形であり得る。経口投与される組成物は、医薬として美味な製剤を提供するために、1つ又は複数の薬剤、例えば、フルクトース、アスパルテーム又はサッカリンなどの甘味料;ペパーミント、ウィンターグリーンの油又はチェリーなどの香料;着色剤;及び防腐剤を含むことができる。さらに、錠剤又は丸剤の形の場合には、組成物にコーティングして、崩壊及び胃腸管への吸収を遅延させることによって、長時間にわたって持続作用を確保することができる。スルホンアミド系化合物を誘導する浸透圧的活性体を囲む選択的透過膜も、経口投与される組成物に好適である。これらの後者の構造において、カプセルを囲む環境からの流体は、開口を通じて膨張して薬剤又は薬剤組成物に代わる誘導化合物によって吸収される。これらの送達構造は、即時放出製剤のスパイクドプロファイルと異なり、実質的に0のオーダの送達プロファイルを提供することができる。モノステアリン酸グリセロール又はステアリン酸グリセロールなどの時間遅延材料も有用であり得る。経口組成物は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース及び炭酸マグネシウムなどの標準的な賦形剤を含むことができる。一実施形態において、賦形剤は、医薬グレードである。
【0196】
別の実施形態において、スルホンアミド系化合物を静脈内投与のために配合することができる。典型的には、静脈内投与のための組成物は、無菌等張性水性緩衝剤を含む。必要であれば、該組成物は、可溶化剤を含むこともできる。静脈内投与のための組成物は、注射のサイトにおける痛みを軽減するためにリグノカインなどの局部麻酔剤を場合により含むことができる。
【0197】
一般に、それらの成分は、個別に供給されるか、又は例えば活性薬の量を示すアンプル又はサシェなどの密閉容器内の凍結乾燥粉末又は無水濃縮物として、単位剤形中で混ぜ合わされる。スルホンアミド系化合物を注入によって投与する場合には、それらを、例えば、無菌の医薬グレードの水又は生理食塩水を含む注入ボトルを用いて分配することができる。スルホンアミド系化合物を注射によって投与する場合には、無菌の注射用水又は生理食塩水のアンプルを、成分を投与前に混合できるように提供することができる。
【0198】
スルホンアミド系化合物を制御放出若しくは持続放出手段、又は当業者に周知である送達デバイスによって投与することができる。例としては、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第3,845,770号明細書;同第3,916,899号明細書;同第3,536,809号明細書;同第3,598,123号明細書;同第4,008,719号明細書;同第5,674,533号明細書;同第5,059,595号明細書;同第5,591,767号明細書;同第5,120,548号明細書;同第5,073,543号明細書;同第5,639,476号明細書;同第5,354,556号明細書;及び同第5,733,556号明細書に記載されているものが挙げられるが、それらに限定されない。好適な剤形は、例えば、異なる割合で所望の放出プロファイルを提供するためのヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透圧系、多層コーティング、微小粒子、リポソーム、微小粒子、又はそれらの組合せを使用して、1つ又は複数の活性成分の制御又は持続放出を提供するのに有用であり得る。本明細書に記載されているものを含む当業者に公知の好適な制御又は持続放出製剤を、本発明の活性成分とともに使用するために容易に選択することができる。したがって、本発明は、制御又は持続放出に適応する錠剤、カプセル剤、ゲルカップ剤及びカプレット剤などの(ただし、それらに限定されない)経口投与に好適な単一単位剤形を提供する。
【0199】
一実施形態において、制御又は持続放出組成物は、一定の時間にわたって神経変性疾患を治療又は予防する最小限の量のスルホンアミド系化合物を含む。制御又は持続放出組成物の長所としては、薬物の活性の拡大、投与頻度の低減及び被験体のコンプライアンスの向上が挙げられる。加えて、制御又は持続放出組成物は、作用の発生時間、又はスルホンアミド系化合物の血中濃度などの他の特性に有利に影響することができるため、有害な副作用の発生を抑えることができる。制御又は持続放出組成物は、所望の治療又は予防効果を即座にもたらす量のスルホンアミド系化合物を最初に放出し、このレベルの治療又は予防効果を長時間にわたって維持する他の量のスルホンアミド系化合物を徐々に、且つ継続的に放出することができる。体内に一定量のスルホンアミド系化合物を維持するために、代謝され、体内から排泄されるスルホンアミド系化合物の量に代わる量でスルホンアミド系化合物を剤形から放出させることができる。
【0200】
pHの変化、温度の変化、酵素の濃度若しくは利用能、水の濃度若しくは利用能、又は他の生理的条件若しくは化合物を含むが、それらに限定されない様々な条件によって、活性成分の制御又は持続放出を刺激することができる。神経変性疾患の治療又は予防に有効であるスルホンアミド系化合物の量を標準的な臨床技術によって決定することができる。加えて、インビトロ又はインビボアッセイを場合により使用して、最適な投与量範囲の特定に役立てることができる。使用すべき正確な投与量は、投与経路及び治療される状態の重大さにも左右され、例えば、公表された臨床試験に鑑みて、実務者の判断及び各被験体の状況に応じて決定され得る。しかし、好適な有効投与量は、約4時間毎に約10マイクログラムから約5グラムの範囲であるが、それらは、典型的には4時間毎に約500mg以下である。一実施形態において、有効投与量は、4時間毎に約0.01mg、0.5mg、約1mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1g、約1.2g、約1.4g、約1.6g、約1.8g、約2.0g、約2.2g、約2.4g、約2.6g、約2.8g、約3.0g、約3.2g、約3.4g、約3.6g、約3.8g、約4.0g、約4.2g、約4.4g、約4.6g、約4.8g及び約5.0gである。約2時間毎、約6時間毎、約8時間毎、約12時間毎、約24時間毎、約36時間毎、約48時間毎、約72時間毎、約1週間毎、約2週間毎、約3週間毎、約1ヶ月毎及び約2ヶ月毎を含むが、それらに限定されない様々な時間にわたって等しい投与量を投与することができる。本明細書に記載の有効な投与量は、全投与量を指す。即ち、1つを超えるスルホンアミド系化合物が投与される場合は、有効投与量は、全投与量に対応する。
【0201】
組成物をそれぞれ従来の混合方法、造粒方法又はコーティング方法により製造することができ、本発明の組成物は、一実施形態において約0.1から約99重量又は容量%、別の実施形態において約1から約70重量又は容量%のスルホンアミド系化合物を含むことができる。
【0202】
スルホンアミド系化合物を利用する投与方式を、被験体のタイプ、種、年齢、体重、性別及び医学的状態;治療すべき状態の重度;投与経路;被験体の腎又は肝機能;並びに使用されるスルホンアミド系化合物に従って選択することができる。スルホンアミド系化合物を単一日用量で投与することができ、又は全日用量を毎日2回、3回若しくは4回の分割投与量で投与することができる。また、スルホンアミド系化合物を、好適な鼻内媒体の局所的使用を介して鼻内の形で、又は当業者に周知の経皮貼付剤の形を使用する経皮経路を介して投与することができる。経皮送達系の形で投与するために、投与は、投与方式全体を通じて断続的でなく連続的であり得る。他の例示的な局所製剤としては、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、エアロゾル剤、スプレー剤及びゲル剤が挙げられ、スルホンアミド系化合物の濃度は、w/w又はw/vで約0.1%から約15%の範囲である。スルホンアミド系化合物をヒトに使用する前に、所望の治療又は予防活性についてインビトロ又はインビボでアッセイすることができる。動物モデル系を使用して、安全性及び効力を実証することができる。
【0203】
一部の実施形態において、スルホンアミド系化合物又はその医薬組成物は、約0ヶ月から約6ヶ月、約6から約12ヶ月、約6から約18ヶ月、約18から約36ヶ月、約1から約5歳、約5から約10歳、約10から約15歳、約15から約20歳、約20から約25歳、約25から約30歳、約30から約35歳、約35から約40歳、約40から約45歳、約45から約50歳、約50から約55歳、約55から約60歳、約60から約65歳、約65から約70歳、約70から約75歳、約75から約80歳、約80から約85歳、約85から約90歳、約90から約95歳、又は約95から約100歳の範囲の年齢を有するヒトに投与される。
【0204】
いくつかの実施形態において、スルホンアミド系化合物又はその医薬組成物は、乳児に投与される。他の実施形態において、スルホンアミド系化合物又はその医薬組成物は、幼児に投与される。他の実施形態において、スルホンアミド系化合物又はその医薬組成物は、児童に投与される。他の実施形態において、スルホンアミド系化合物又はその医薬組成物は、成人に投与される。さらに他の実施形態において、スルホンアミド系化合物又はその医薬組成物は、高齢者に投与される。
【0205】
一部の実施形態において、スルホンアミド系化合物又はその医薬組成物は、免疫無防備状態若しくは免疫抑制状態の被験体、又は免疫無防備状態若しくは免疫抑制状態になるリスクのある被験体に投与される。一部の実施形態において、スルホンアミド系化合物又はその医薬組成物は、免疫抑制治療を受けている被験体、又は当該治療から回復している被験体に投与される。
【0206】
いくつかの実施形態において、スルホンアミド系化合物又はその医薬組成物は、従来の抗γ−セクレターゼ治療に対して有害な反応を生じやすい患者に投与される。いくつかの実施形態において、γ−セクレターゼ阻害薬又はその医薬組成物は、γ−セクレターゼ阻害薬以外の抗γ−セクレターゼ治療に対して不応性であることが証明されているが、もうこれらの治療を受けていない患者に投与される。これらの患者の中には、不応性患者、及び若すぎて従来の治療に対応しない患者が存在する。
【0207】
いくつかの実施形態において、スルホンアミド系化合物又はその医薬組成物が投与される被験体は、スルホンアミド系化合物又はその医薬組成物の投与の前に治療を受けていない。
【0208】
VI.スルホンアミド系化合物を含むキット
本発明は、スルホンアミド系化合物の被験体への投与を簡素化することができるキットを提供する。
【0209】
本発明の典型的なキットは、スルホンアミド系化合物の単位剤形を含む。一実施形態において、単位剤形は、有効量のスルホンアミド系化合物及び薬学的に受容可能な担体、希釈剤、賦形剤又は媒体を含む、無菌であり得る容器である。キットは、神経変性疾患を治療又は予防するためのスルホンアミド系化合物の使用法を説明するラベル又は印刷された説明書をさらに含むことができる。キットは、また、別の予防又は治療薬の単位剤形、例えば、有効量の他の予防又は治療薬を含む容器をさらに含むことができる。一実施形態において、キットは、有効量のスルホンアミド系化合物及び有効量の別の予防又は治療薬を含む容器を含む。他の予防又は治療薬の例としては、以上に列挙したものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0210】
本発明は、以下の実施例を参照することによってさらに明確になる。
【実施例】
【0211】
(実施例1)
エンド−5−クロロ−チオフェン−2−スルホン酸(トリシクロ[8.2.1.0]トリデカ−3(8),4,6−トリエン−13−イル)−アミドの合成
工程A:11−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−6,9−メタノベンゾシクロオクテンの合成
【0212】
【化31】

エチルジイソプロピルアミン(10.3g、13.9mL、79.8mmol)及びアセトニトリル(75mL)中1−ピロリジノ−1−シクロペンテン(5.2g、5.5mL、37.8mmol)の溶液を、激しく撹拌したアセトニトリル(75mL)中α,α’−ジブロモ−ο−キシレン(10.0g、38.0mmol)に連続的に添加し、得られた混合物を窒素下で18時間にわたって加熱して還流させた。水(75mL)を添加し、混合物をさらに1時間加熱した。次いで、該溶液を冷却し、10%の塩酸(38mL)を添加した。揮発物の大半を真空中で除去し、得られた残渣をエーテル(4×100mL)で抽出した。合わせたエーテル抽出物をブラインで連続的に洗浄し、(NaSOで)乾燥させ、濾過し、濃縮した。濃縮物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(「FCC」)を使用して精製して11−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−6,9−メタノベンゾシクロオクテン(5.1g、72%)を得た。
【0213】
工程B:トリシクロ[8.2.1.0]トリデカ−3(8),4,6−トリエン−13−オンオキシムの合成
【0214】
【化32】

11−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−6,9−メタノベンゾシクロオクテン(2.3g、12.4mmol)をEtOH(16.5mL)及びHO(8.3mL)に懸濁させ、撹拌した。塩酸ヒドロキシルアミン(2.6g、37.1mmol)を該懸濁液に添加して、11−オキソ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−6,9−メタノベンゾシクロオクテンを溶解させた。次いで、得られた溶液に酢酸ナトリウム三水和物(4.6g、33.8mmol)を添加した。数分後、濃厚な白色沈殿が形成した。得られた混合物を、透明溶液が得られるまで加熱還流し、次いで室温まで冷却させた。生成物のトリシクロ[8.2.1.0]トリデカ3(8),4,6−トリエン−13−オンオキシムが溶液から結晶化し、結晶を濾過によって回収した。次いで、結晶を水で洗浄し、乾燥させて、トリシクロ[8.2.1.0]トリデカ−3(8),4,6−トリエン−13−オンオキシム(2.4g(99%))を純粋の白色結晶固体として得た。
【0215】
工程C:エンド−トリシクロ[8.2.1.0]トリデカ−3(8),4,6−トリエン−13−イルアミンの合成
【0216】
【化33】

トリシクロ[8.2.1.0]トリデカ−3(8),4,6−トリエン−13−オンオキシム(250mg、1.2mmol)を酢酸(2mL)に溶解させた。PtO(15mg)を該溶液に添加し、得られた混合物を18時間にわたって水素化した。混合物をCelite(登録商標)で濾過し、酢酸で洗浄し、濾液を濃縮してエンド−トリシクロ[8.2.1.0]トリデカ−3(8),4,6−トリエン−13−イルアミンを白色固体として得て、それをさらに精製することなく工程Dに使用した。
【0217】
工程D:エンド−5−クロロ−チオフェン−2−スルホン酸(トリシクロ[8.2.1.0]トリデカ−3(8),4,6−トリエン−13−イル)−アミドの合成
【0218】
【化34】

工程Dによるエンド−トリシクロ[8.2.1.0]トリデカ−3(8),4,6−トリエン−13−イルアミンをCHCl(7mL)に溶解させ、エチルジイソプロピルアミン(384.4mg、2.9mmol、0.5mL)及び塩化2−チオフェンスルホニル(270mg、1.5mmol)で処理した。得られた混合物を16時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。濃縮物を、FCCを使用して精製してエンド−5−クロロ−チオフェン−2−スルホン酸(トリシクロ[8.2.1.0]トリデカ−3(8),4,6−トリエン−13−イル)−アミド(107.7mg、エンドトリシクロ[8.2.1.0]トリデカ−3(8),4,6−トリエン−13−イルアミンから26%)を得た。
【0219】
(実施例2)
γ−セクレターゼ活性のインビトロでの阻害
理論に束縛されることなく、Aβ40を生成するものを含めてγ−セクレターゼ活性を阻害することは、神経変性疾患、特にアルツハイマー病の治療又は予防に望ましい。
【0220】
上記スルホンアミド系化合物のいくつかは、Aβ40を生成するγ−セクレターゼ活性のインビトロでの阻害を示す。Aβ40の生成の阻害についてのIC50値を測定した。これらの試験の結果を以下の表3に要約する。
【0221】
使用したアッセイプロトコルは、参照により本明細書に組み込まれているLiら、2000年、Proc.Nat’l Acad. Sci. USA 97巻:6183〜643頁に記載されているものの修正版であった。手短に述べると、組換えペプチド基質を試験化合物の存在又は不在下でγ−セクレターゼ(40μg/ml)とともにインキュベートした。反応混合物は、0.25%のCHAPSO、0.1μg/μlのBSA、プロテアーゼ阻害薬、50mMのPIPES(pH7.0)、5mMのMgCl、5mMのCaCl及び150mMのKClを含んでいた。反応物を37℃で2.5時間インキュベートし、RIPA緩衝剤(150mMのNaCl、1.0%のNP−40、0.5%のデオキシコール酸ナトリウム、0.1%のSDS、50mMのTris HCl、pH8.0)を添加することによって停止させた。Liら、2000年、Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 97巻:6183〜643頁;Laiら、2003年、J. Biol. Chem.278巻:22475〜22481頁;及びYinら、2007年、J. Biol. Chem. 282巻:23639〜23644頁に既に記載されている電気化学ルミネセンス(ECL)技術を使用して、様々な抗体の組合せにより生成物を検出した。合成ペプチド又は組換え標準を使用して生成物の量を測定した。
【0222】
【表3−1】

【0223】
【表3−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌を治療又は予防するための方法であって、癌の治療又は予防を必要とする被験体に有効量の式Iの化合物、又はその薬学的に受容可能な塩を投与することを含む方法
【化35】

[式中、
Xは、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、
【化36】

であり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、NH、O又はCHであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−、−(C〜Cアルケニレン)−又は−(O−(C〜Cアルキレン))−であり;
mは、3であり;
nは、1であり;
pは、1から5の整数であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【請求項2】
式Iの化合物が以下の式Iaを有する、請求項1に記載の方法
【化37】

[式中、
Xは、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、NH、O又はCHであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−、−(C〜Cアルケニレン)−又は−(O−(C〜Cアルキレン))−であり;
mは、3であり;
pは、1から5の整数であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【請求項3】
式Iaの化合物が以下の式Iaaを有する、請求項2に記載の方法
【化38】

[式中、
Xは、ハロであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−、−(C〜Cアルケニレン)−又は−(O−(C〜Cアルキレン))−であり;
mは、3であり;
pは、1から5の整数であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【請求項4】
各RがHである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
qが0である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
vが1であり、Xがチオフェノ基の5位にある、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
pが1であり、Rがフェニル基の4位にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
式Iaaの化合物が、構造:
【化39】

【化40】

、又はその薬学的に受容可能な塩を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
式Iaaの化合物が、構造:
【化41】

【化42】

、又はその薬学的に受容可能な塩を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
癌を治療又は予防するための方法であって、癌の治療又は予防を必要とする被験体に有効量の式IIの化合物、又はその薬学的に受容可能な塩を投与することを含む方法
【化43】

[式中、
Xは、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、
【化44】

であり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、H、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
は、NH、O又はCHであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−又は−(C〜Cアルケニレン)−であり;
mは、3であり;
nは、1であり;
pは、5であり;
tは、4であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【請求項11】
式IIの化合物が以下の式IIaを有する、請求項10に記載の方法
【化45】

[式中、
Xは、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、H、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
は、NH、O又はCHであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−又は−(C〜Cアルケニレン)−であり;
mは、3であり;
pは、5であり;
tは、4であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【請求項12】
式IIaの化合物が以下の式IIaaを有する、請求項11に記載の方法
【化46】

[式中、
Xは、ハロであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−又は−(C〜Cアルケニレン)であり;
は、H、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
mは、3であり;
pは、5であり;
tは、4であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【請求項13】
各RがHである、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
がH又はメチルである、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
がメチルである、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
qが0である、請求項10から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
vが1であり、Xがチオフェノ基の5位にある請求項10から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
式IIaaの化合物が、構造:
【化47】

、又はその薬学的に受容可能な塩を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
式IIaaの化合物が、構造:
【化48】

、又はその薬学的に受容可能な塩を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
神経変性疾患を治療又は予防するための方法であって、神経変性疾患の治療又は予防を必要とする被験体に有効量の式Iの化合物、又はその薬学的に受容可能な塩を投与することを含む方法。
【化49】

[式中、
Xは、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、
【化50】

であり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、NH、O又はCHであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−、−(C〜Cアルケニレン)−又は−(O−(C〜Cアルキレン))−であり;
mは、3であり;
nは、1であり;
pは、1から5の整数であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【請求項21】
式Iの化合物が以下の式Iaを有する、請求項20に記載の方法
【化51】

[式中、
Xは、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、NH、O又はCHであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−、−(C〜Cアルケニレン)−又は−(O−(C〜Cアルキレン))−であり;
mは、3であり;
pは、1から5の整数であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【請求項22】
式Iaの化合物が以下の式Iaaを有する、請求項21に記載の方法
【化52】

[式中、
Xは、ハロであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−、−(C〜Cアルケニレン)−又は−(O−(C〜Cアルキレン))−であり;
mは、3であり;
pは、1から5の整数であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【請求項23】
各RがHである、請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
qが0である、請求項20から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
vが1であり、Xがチオフェノ基の5位にある、請求項20から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
pが1であり、Rがフェニル基の4位にある、請求項20から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
式Iaaの化合物が、構造:
【化53】

【化54】

、又はその薬学的に受容可能な塩を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
式Iaaの化合物が、構造:
【化55】

【化56】

、又はその薬学的に受容可能な塩を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記神経変性疾患がアルツハイマー病、パーキンソン病、ALS又はMSである、請求項20から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記神経変性疾患がアルツハイマー病である、請求項20から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
神経変性疾患を治療又は予防するための方法であって、神経変性疾患の治療又は予防を必要とする被験体に有効量の式IIの化合物、又はその薬学的に受容可能な塩を投与することを含む方法
【化57】

[式中、
Xは、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、
【化58】

であり;
は、H、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
は、NH、O又はCHであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−又は−(C〜Cアルケニレン)−であり;
mは、3であり;
nは、1であり;
pは、5であり;
tは、4であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【請求項32】
式IIの化合物が以下の式IIaを有する、請求項31に記載の方法
【化59】

[式中、
Xは、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ又はシアノであり;
は、H、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
は、NH、O又はCHであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−又は−(C〜Cアルケニレン)−であり;
mは、3であり;
pは、5であり;
tは、4であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【請求項33】
式IIaの化合物が以下の式IIaaを有する、請求項32に記載の方法
【化60】

[式中、
Xは、ハロであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C〜Cアルキル又はC〜Cハロアルキルであり;
は、−(C〜Cアルキレン)−又は−(C〜Cアルケニレン)であり;
mは、3であり;
pは、5であり;
tは、4であり;
qは、0又は1であり;
vは、1から3の整数である]。
【請求項34】
各RがHである、請求項31から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
がH又はメチルである、請求項31から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
がメチルである、請求項31から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
qが0である、請求項31から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
vが1であり、Xがチオフェノ基の5位にある請求項31から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
式IIaaの化合物が、構造:
【化61】

、又はその薬学的に受容可能な塩を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
式IIaaの化合物が、構造:
【化62】

、又はその薬学的に受容可能な塩を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記神経変性疾患がアルツハイマー病、パーキンソン病、ALS又はMSである、請求項31から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記神経変性疾患がアルツハイマー病である、請求項31から41のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2012−513468(P2012−513468A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543609(P2011−543609)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/068937
【国際公開番号】WO2010/075255
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(399026731)スローン − ケタリング・インスティテュート・フォー・キャンサー・リサーチ (15)
【Fターム(参考)】