説明

癌性疾患修飾抗体

本発明は、新規なスクリーニング実例を用いる癌性疾患修飾抗体を産生する方法に関する。この方法は、終点として癌細胞の細胞傷害性を使用して抗-癌抗体を分離することによって、治療的及び診断的目的のための抗-癌抗体の産生を可能にする。該抗体は癌の段階分け及び診断の目的で使用され、一次腫瘍及び腫瘍転移を治療するために使用され得る。該抗-癌抗体は、毒素、酵素、放射活性化合物、及び造血細胞に複合化され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、癌性疾患修飾抗体(CDMAB)の単離及び産性、並びに場合により1以上の化学療法剤と組み合わせた、治療及び診断プロセスにおけるCDMABの使用に関する。本発明は、本発明のCDMABを利用する結合アッセイに更に関する。
【背景技術】
【0002】
共同研究同意の陳述
本明細書に記載のクレームによって定義される本発明は、アリウス研究株式会社と武田薬品株式会社との間の共同研究合意(「合意」)についての関係者によって、合意の範囲内で着手された活動の結果としてなされた。合意は、本発明日前に効力があった。
【0003】
発明の背景
癌療法としてのモノクローナル抗体:癌を示す各個体は、独特であり、人の個性として、他の癌と異なった癌を有する。このことにもかかわらず、現在の治療は、同一の方法で同一の段階にある同一種の癌を有するすべての患者を治療する。これらの患者の少なくとも30パーセントは、第一選択治療に失敗し、それによって、治療の更なる段階、並びに治療上の失敗、転移及び究極的には死の高い可能性を招く。治療への優れたアプローチは、特定の個体のための治療法のオーダーメイドであろう。それ自体をオーダーメイドに導く唯一の現在の治療法は、外科手術である。化学療法及び放射線治療は、患者に合せることができず、外科手術自体はほとんど場合、治療となるには不充分である。
【0004】
モノクローナル抗体の出現に伴い、各抗体が単一エピトープに関し得るので、カスタマイズされた治療のための方法を開発する可能性はより現実的になる。更に、特定の個体の腫瘍を独自に定義するエピトープの配列に関する抗体の組合せをつくる可能性がある。
【0005】
癌性細胞と正常細胞との顕著な差は、癌性細胞が、形質転換された細胞に特異的である抗原を含むことであると理解しているので、モノクローナル抗体が、これらの癌性抗原に特異的に結合することによって形質転換された細胞を特異的に標的するように設計され得、従って、癌細胞を除去するためにモノクローナル抗体が「マジックブレット」として役立つことができるという信念を生み出す、ことを科学界は長く維持してきた。しかしながら、単一モノクローナル抗体は癌のすべての場合に役立ち得ず、モノクローナル抗体が1つの分野として、標的癌療法として配置され得る、ことが現在では広く理解されている。本発明に開示されている技術に従って単離されたモノクローナル抗体は、患者に有益である方法において、例えば腫瘍負荷を減少させることによって、癌性疾患プロセスを改変することが分かっており、そして、癌性疾患修飾抗体(CDMAB)又は「抗癌」抗体として本明細書で様々に言及される。
【0006】
現時点では、癌患者は、通常、治療のいくつかの選択肢を有する。癌療法への組織化された方法は、世界的な生存率及び疾病率において改善を生み出している。しかしながら、特定の個体について、これらの改善された統計は、その個体の状況における改善と必ずしも相関していない。
【0007】
従って、同一の集団における他の患者には無関係に実務者に各腫瘍を治療させることができる方法論が提案された場合には、このことは、目的に合った治療の独特な方法を1個人に適合させるだろう。かかる治療計画は、理想的には、治療率を上げ、より優れた結果を生み出し、それによって長い間の要求を満足させるだろう。
【0008】
歴史的に、ポリクローナル抗体の使用は、ヒト癌の治療において限定された成功をもって使用されてきた。リンパ腫及び白血病はヒト血漿で治療されてきたが、長期の回復又は応答はほとんどなかった。更に、再現性が欠如し、化学療法と比べて更なる利益はなかった。乳癌、黒色腫及び腎細胞癌のような固形癌も、ヒト血液、チンパンジー血清、ヒト血漿及びウマ血清で治療されてきたが、これに相当する結果は、予測不可能な効果の低い結果であった。
【0009】
固形癌のためのモノクローナル抗体の多くの臨床試験がある。1980年代では、特定の抗原に対する抗体を用いて又は組織選択性に基く少なくとも47患者からの1つの応答者のみを得たヒト乳癌用の少なくとも4臨床試験が存在した。1998年まで、シスプラチンと組み合わせてヒト化抗-Her2/neu抗体(ハーセプチン(登録商標))を用いる成功的な臨床試験は存在しなかった。この試験において、37患者は、その約4分の1が部分的応答を有し、更に4分の1がより少ない又は安定な疾患進行を有した、応答について評価された。応答者の内で進行の平均期間は8.4ケ月であり、5.3ケ月の平均応答期間であった。
【0010】
ハープセチン(登録商標)は、タキソール(登録商標)と組み合わせて第一選択治療での使用のために1998年に承認された。臨床試験結果は、タキソール(登録商標)のみを与えた群(3.0ケ月)と比べて、抗体療法に加えてタキソール(登録商標)を与えた群(6.9ケ月)では、疾患進行に対する平均期間の増加を示した。平均生存のわずかな増加も見られた;ハープセチン(登録商標)及びタキソール(登録商標)治療群、対、タキソール(登録商標)治療単独群について、22ケ月対18ケ月。加えて、タキソール(登録商標)単独と比べた抗体及びタキソール(登録商標)の組合せ群において、完全応答者の数(8対2パーセント)及び部分的応答者の数(34対15パーセント)が増加した。しかしながら、ハープセチン(登録商標)及びタキソール(登録商標)での治療は、タキソール(登録商標)治療単独と比べて、高い心臓毒性をもたらした(それぞれ、13対1パーセント)。また、ハープセチン(登録商標)治療は、ヒト表皮成長因子受容体2(Her2/neu)、すなわち、現在、公知の機能又は生物学的に需要なリガンドを有さない受容体、を過剰に発現する患者、すなわち転移性乳癌を有する約25パーセントの患者、に対してのみ効果的であった(免疫組織学化学的(IHC)分析を通して決定される)。そのため、乳癌患者には大きな未だ対処されていない必要性が依然として存在する。ハープセチン(登録商標)治療から利益を受け得る人でさえも、化学療法を依然として必要とし、その結果、少なくともある程度、この種の治療の副作用を依然として対処しなければならないだろう。
【0011】
結腸直腸癌を試験する臨床試験は、糖タンパク質及び糖脂質の標的に対する抗体を含む。腺癌に対する特異性を有する17-IAのような抗体は、部分的応答を有するたった1患者を含む、60患者超において第2相臨床試験を受けた。他の試験では、17-IAの使用は、追加のシクロホスファミドを用いるプロトコールにおいて52患者の内たった1つの完全な応答、及び2つの比較的小さな応答を生み出した。従来、17-IAの第III相臨床試験は、ステージIIIの直腸結腸癌のアジュバント治療として改善された効率を立証しなかった。画像化のために最初に承認されたヒト化ネズミモノクローナル抗体の使用もまた、腫瘍退縮をもたらさなかった。
【0012】
近年になってやっと、モノクローナル抗体を使用する、結腸直腸癌の臨床試験からの陽性の結果がある。2004年、エルビタックス(登録商標)は、イリノテカン-型化学療法に難治性であるEGFR-発現転移性結腸直腸癌を有する患者の第二選択治療のために承認された。2つのアーム第II相臨床試験及び単一アーム試験からの結果は、イリノテカンと組み合わせたエルビタックス(登録商標)が、それぞれ4.1及び6.5ケ月の疾患進行までの平均時間で、それぞれ23及び15パーセントの応答率を有した、ことを示した。2つのアーム第II相臨床試験及び別の単一アーム試験からの結果は、エルビタックス(登録商標)単独による治療が、それぞれ1.5及び4.2ケ月の疾患進行までの平均時間で、それぞれ11及び9パーセントの応答率をもたらした、ことを示した。
【0013】
結果的に、スイス及び米国では、イリノテカンと組み合わせたエルビタックス治療、及び米国では、エルビタックス単独による治療は、第一選択治療のイリノテカン治療に失敗した結腸直腸癌患者の第二選択治療として承認された。従って、ハープセチン(登録商標)のように、スイスでの治療は、モノクローナル抗体及び化学療法の組合せとして承認されているにすぎない。加えて、スイス及び米国での治療は、第二選択療法として患者のために承認されているにすぎない。また、2004年、アバスタチン(登録商標)は、転移性結腸直腸癌の第一選択療法として静脈内5-フルオロウラシル-型化学療法と組み合わせての使用が承認された。第III相臨床試験結果は、5-フルオロウラシル単独で治療された患者に比べて、アバスタチン(登録商標)及び5-フルオロウラシルで治療された患者の平均的生存が伸びたことを証明した(それぞれ、20ケ月対16ケ月)。しかし、この場合も同様に、ハープセチン(登録商標)及びエルビタックス(登録商標)のように、治療は、モノクローナル抗体及び化学療法の組合せとして承認されたにすぎない。
【0014】
肺、脳、卵巣、膵臓、前立腺、及び胃癌については成績不良であり続けた。非-小細胞肺癌についての最も有望な近年の結果は、治療が、化学療法剤タキソテレ(登録商標)と組み合わせて細胞殺傷薬ドキソルビシンに複合化されたモノクローナル抗体を含む第II相臨床試験から得られた。タキソテレ(登録商標)は、肺癌の第二選択療法のためのFDAが承認した唯一の化学療法である。初期のデータは、タキソテレ(登録商標)単独と比べて改良された全体的な生存を示した。試験のために集められた62患者の内、3分の2はタキソテレ(登録商標)との組み合わせでSGN-15を受け、一方、残りの3分の1はタキソテレ(登録商標)単独を受けた。タキソテレ(登録商標)との組み合わせでSGN-15を受けた患者のために、平均の全体的な生存は、タキソテレ(登録商標)単独を受けた患者についての5.9ケ月と比べて7.3ケ月であった。1年及び18ケ月での全体的な生存は、SNG-15及びタキソテレ(登録商標)を受けた患者について、それぞれ、29及び18パーセントであり、タキソテレ(登録商標)単独を受けた患者について、それぞれ、24及び8パーセントであった。更なる臨床試験が計画されている。
【0015】
前臨床的には、黒色腫に対するモノクローナル抗体の使用において限定された成功があった。これらの抗体の極少数は臨床試験に到達しているが、今日まで第III相臨床試験での好ましい結果を承認又は証明している抗体はない。
【0016】
疾患を治療するための新規医薬の発見は、疾患の原因であり得る30,000の公知の遺伝子産物の内の関連する標的の同定の欠如によって邪魔されている。癌の研究において、潜在的な薬物標的は、通常、腫瘍細胞中でそれらが過剰発現するという事実に因ってのみ選択される。このようにして同定された標的は、次いで、多数の化合物との相互作用について選別される。潜在的な抗体療法の場合には、これらの候補化合物は、通常、Kohler及びMilsteinによって提案された基本的な原則に従うモノクローナル抗体産生の典型的方法から得られる(1975, Nature, 256, 495-497, Kohler and Milstein)。脾臓細胞は、抗原で免疫されたマウスから回収され(例えば、全細胞、細胞フラクション、精製された抗原)、不死化ハイブリドーマパートナーと融合される。得られたハイブリドーマは、標的に最も強く結合する抗体の分泌のために選別され、そして選択される。ハープセチン(登録商標)及びリタキシマブを含む癌細胞に対する多くの治療的及び診断的抗体は、これらの方法を用いて産生され、そしてそれらの親和性に基づいて選択されている。この方法の欠点は2倍である。第一に、治療的又は診断的な抗体結合のための好適な標的の選択は、組織特異的癌化プロセスの周辺の知識、及びこれらの標的がそれによって同定される過剰発現による選択のような得られた単純化された方法、の不足によって限定されている。第二に、最も大きな親和性を有する受容体に結合する薬物分子が、通常、シグナルを開始又は阻害する最も高い可能性を有するという推測は、必ずしも当てはまらない。
【0017】
乳癌及び結腸直腸癌の治療に伴う進歩にもかかわらず、効率的な抗体療法の同定及び開発は、単一薬又は同時療法のいずれかとして、すべての種類の癌に十分ではなかった。
【0018】
先行特許:
米国特許第5,750,102号明細書は、患者の腫瘍が患者由来の細胞又は組織からクローン化され得るMHC遺伝子でトランスフェクトされる、プロセスを開示している。これらのトランスフェクトされた細胞は、次いで、患者をワクチン化するために使用される。
【0019】
米国特許第4,861,581号明細書は、哺乳動物の新生物及び正常細胞の外部成分にではなく、内部細胞成分に特異的であるモノクローナル抗体を取得し、新生物細胞を殺傷する療法を受けている哺乳動物の組織で抗体を標識し、及び新生物細胞を退縮する内部細胞成分への標識された抗体の結合を測定することによって治療法の効率を決定するステップ、を含む方法を開示する。ヒト細胞内抗原に関する抗体を調製するときに、悪性細胞がかかる抗原の従来の起源を示すことを特許権者は認識している。
【0020】
米国特許第5,171,665号明細書は、新規抗体及びその産生のための方法を提供する。具体的には、特許は、ヒト腫瘍、例えば、直腸結腸及び肺のヒト腫瘍、に関連したタンパク質抗原に強力に結合し、同時により低度で正常細胞に結合する性質を有するモノクローナル抗体の形成を教示する。
【0021】
米国特許第5,484,596号明細書は、ヒト癌患者から腫瘍組織を外科的に取り除き、腫瘍細胞を得るために腫瘍組織を処理し、生細胞であるが、非-発癌性のある腫瘍細胞を照射し、及び一次腫瘍の再発を阻害することができる患者用ワクチンを調製するためにこれらの細胞を使用し、同時に転移を阻害すること、を含む癌療法の方法を提供する。該特許は、腫瘍細胞の表面抗原と反応性のあるモノクローナル抗体の開発を教示する。第4欄第45行、以下参照に記載されているように、特許権者は、ヒト腫瘍形成において活性な特定の免疫療法を発現するモノクローナル抗体の開発において自発性腫瘍細胞を利用する。
【0022】
米国特許第5,693,763号明細書は、ヒト癌を特徴付ける糖タンパク質抗原を教示しており、起源の上皮組織に依拠しない。
【0023】
米国特許第5,783,186号明細書は、Her2発現細胞においてアポトーシスを誘導する抗-Her2抗体、該抗体を産生するハイブリドーマ細胞株、該抗体を利用する癌の治療方法、及び該抗体を含む医薬組成物に関する。
【0024】
米国特許第5,849,876号明細書は、腫瘍及び非-腫瘍組織源から精製されたムチン抗原に対するモノクローナル抗体の産生のための新規なハイブリドーマ細胞株を記載する。
【0025】
米国特許第5,869,268号明細書は、所望の抗原に特異的な抗体を産生するヒトリンパ球、モノクローナル抗体を産生するための方法、及び該方法によって産生されるモノクローナル抗体に関する。該特許は、特に、癌の診断及び治療のために有用な抗-HDヒトモノクローナル抗体の産生に関する。
【0026】
米国特許第5,869,045号明細書は、ヒト癌細胞と反応する、抗体、抗体フラグメント、抗体複合体及び単一-鎖抗毒素に関する。ヒト癌の表面上に存在する細胞膜抗原と反応性であり、更に、該抗体が癌細胞内で吸収し次いで結合する点で、これらの抗体の機能が2倍であるメカニズムは、該抗体を、抗体-薬物及び抗体-毒素複合体を形成させるために特に有用にする。その非修飾形態において、抗体はまた、特定の濃度において細胞傷害性を明らかにする。
【0027】
米国特許第5,780,033号明細書は、腫瘍治療及び予防のための自己抗体の使用を開示する。しかし、この抗体は、加齢の哺乳動物由来の抗核自己抗体である。この場合において、自己抗体は、免疫系において見出された自然抗体の1種であると言われる。自己抗体は「加齢哺乳動物」由来であるので、自己抗体が実際に治療されるべき患者から得られる必要性はない。加えて、該特許は、加齢哺乳動物由来の自然及びモノクローナル抗核自己抗体、及びモノクローナル抗核自己抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を開示している。
【発明の概要】
【0028】
発明の概要
本願は、癌疾患修飾モノクローナル抗体をコードするハイブリドーマ細胞株を単離するための、米国特許第6,180,357号明細書に教示された患者特異的な抗癌抗体を産生するための方法論を利用する。これらの抗体は、1つの腫瘍に特異的に作製され、そのため、癌療法のカスタマイズを可能にすることができる。本願の記載の範囲内で、細胞殺傷性(細胞傷害性)又は細胞増殖阻害性(細胞増殖抑制性)のいずれかを有する抗-癌抗体は、以下、細胞傷害性と言う。これらの抗体は、癌の段階区分及び診断の目的で使用され、腫瘍転移を治療するために使用され得る。これらの抗体は、予防的治療によって癌の抑制ためにも使用され得る。典型的な薬物発見の実例に従って作製された抗体とは異なり、このような方法で作製された抗体は、悪性組織の増殖及び/又は生存に不可欠であると以前は分かっていなかった分子及び経路を標的することがある。更に、これらの抗体の結合親和性は、より強い親和性相互作用を受けにくいかもしれない細胞傷害性事象の開始のための要件に適している。また、標準的な化学療法的様式、例えば放射性核種を、本願のCDMABと複合化し、それによって該化学療法の使用に焦点を当てることは、本発明の範囲内にある。CDMABは、毒素、細胞傷害性部分、酵素、例えばビオチン複合化酵素、サイトカイン、インターフェロン、標的又はレポーター部分又は血液原性細胞に複合化され、それによって抗体複合体を形成することができる。
【0029】
個人に合わせた抗-癌治療の予想は、患者が管理される方法において変化をもたらすだろう。可能性のある臨床的シナリオは、腫瘍試料が発表の際に得られ、そして積み上げられることである。この試料から、腫瘍は、予め存在する癌性疾患修飾抗体のパネルから分類され得る。患者は、慣習的に段階区分されるが、入手できる抗体は患者を更に段階区分する点で使用され得る。患者は、現存する抗体で直ちに治療され、そして、腫瘍に特異的な抗体のパネルは、本明細書に概略した方法を用いるか、又は本明細書に開示されたスクリーニング方法と組み合わせてファージディスプレイライブラリの使用のいずれかによって産生され得る。他の腫瘍が治療されるエピトープと同一のエピトープのいくつかを有すルことができる可能性があるので、作製されたすべての抗体は、抗-癌抗体のライブラリに加えられるだろう。この方法に従って産生された抗体は、これらの抗体に結合する癌を有するかなり多数の患者における癌性疾患を治療するために有用であり得る。
【0030】
抗-癌抗体に加えて、患者は、治療の多数-モデルレジメの一部として、現在推奨されている治療法を受けることを選択できる。本方法論によって単離された抗体が、非-癌性細胞に対して比較的に非-毒性であるという事実は、単独又は従来の治療法と組み合わせて使用される高用量の抗体の組合せを可能にする。高い治療的指数は、治療耐性細胞の発現の可能性を減少させる短期間での再-治療をも可能にするだろう。
【0031】
患者が治療又は転移進行の最初のコースに難治性である場合には、腫瘍に特異的な抗体を作製する方法が再治療のために繰り返され得る。更に、抗-癌抗体が患者から得られた赤血球に複合化され、転移の治療のために再注入され得る。転移性癌のための効果的な治療法はほとんどなく、転移は通常、死を招く不幸な結果の前兆となる。しかしながら、転移性癌は、通常、よく視覚化され、赤血球による抗-癌抗体の送達は、腫瘍部位に該抗体を濃縮する効果を有し得る。転移前ですら、ほとんどの癌細胞は、その生存のために宿主の血液供給に依拠し、そして赤血球に複合化された抗-癌抗体は、インサイチュの腫瘍に対しても効果的である。あるいは、該抗体は、他の血液原性細胞、例えばリンパ球、マクロファージ、単球、ナチュラルキラー細胞等に複合化され得る。
【0032】
抗体には5つのクラスがあり、各々は、その重鎖によって付与される機能と関連する。一般的に、ネイキド抗体による癌細胞致死は、抗体依存的細胞傷害性又は補体依存的細胞傷害性のいずれかによって仲介される。例えば、ネズミIgM及びIgG2a抗体は、補体系のC-1成分との結合によってヒト補体を活性化することができ、それによって腫瘍溶解を導く補体活性化の典型的な経路を活性化する。ヒト抗体について、最も効果的な補体活性化抗体は、一般的に、IgM及びIgG1である。IgG2a及びIgG3アイソタイプのネズミ抗体は、単球、マクロファージ、顆粒球及びあるリンパ球による細胞致死を招くFc受容体を有する細胞傷害性細胞を補強する点で効果的である。IgG1及びIgG3アイソタイプのヒト抗体は、ADCCを仲介する。
【0033】
抗体仲介癌殺傷の別の可能性のあるメカニズムは、細胞膜及びその関連した糖タンパク質又は糖脂質における様々な化学結合の加水分解を触媒するために機能する抗体、いわゆる触媒抗体、の利用によるものでもよい。
【0034】
抗体-仲介癌細胞殺傷の3つの更なるメカニズムがある。第1は、身体に、癌細胞に存在する仮想的抗原に対する免疫応答を産生するようにさせるワクチンとしての抗体の利用である。第2は、成長受容体を標的し及び抗体の機能を干渉し、又はその機能が効率的に失われるようにその受容体をダウンレギュレートする、抗体の利用である。第3は、TRAIL R1もしくはTRAIL R2のような死受容体又はアルファVベータ3等のようなインテグリン分子のライゲーションのような直接的細胞死を導くことがある、細胞表面部分の直接的ライゲーションに対するこのような抗体の効果である。
【0035】
癌薬の臨床的有用性は、患者に許容される危険プロファイルの下での該薬物の利益に基づく。癌療法では、生存は、一般的に利益の次に最も追求されてきたが、伸びた寿命に加えて多数の他のよく理解されている利益がある。治療が生存に逆に影響を与えないこれらの他の利益は、症状の苦痛緩和、逆事象に対する保護、行く行くは再発又は疾患のない生存への延長、及び行く行くは進行への延長を含む。これらの基準は、一般的に受け入れられ、米国の食品医薬品局(FDA)のような規制機関は、これらの利益を生じる薬物を承認している(Hirschfeld他, Critical Reviews in Oncology/Hematolgy 42: 137-143 200)。これらの基準に加えて、これらの種類の利益を予測することができる他の評価項目があることは十分に認識される。一つには、米国のFDAによって認可された加速された承認プロセスは、患者利益を予測することができるだろう代用評価項目があることを認知している。2003年末の時点において、このプロセス下で16種の医薬が承認され、これらの内で4種が完全承認に進んだ、すなわち追加の試験が、代用評価項目によって予測される直接的な患者の利益を証明した。固形腫瘍における薬物効果を決定するための1つの重要な評価項目は、治療に対する応答を測定することによる腫瘍負荷の評価である(Therasse他, Journal of the National Cancer Institute 92(3): 205-216, 2000)。かかる評価のための臨床的基準(RECIST基準)は、癌の国際的な専門家集団である、固形癌ワーキング・グループにおける応答評価基準によって普及されてきた。好適な対照群と比べてRECIST基準に従った客観的応答によって示される、腫瘍負荷に対する証明された効果を有する薬物は、究極的には、直接的な患者利益を生み出す傾向にある。前臨床状況では、腫瘍負荷は、一般的に、評価及び立証がより簡単である。前臨床試験が臨床的状況に解釈され得るという理由で、前臨床モデルでの延長された生存を生み出す薬物は、最も大きな予測された臨床的有用性を有する。臨床的治療に対する陽性応答を生み出すアナログ、すなわち前臨床状況における腫瘍負荷を減少させる薬物は、疾患に対する重要かつ直接的な影響を有することもある。生存の延長は癌薬物治療からの臨床的成果後に最も追求されるものであるが、臨床的有用性を有する他の利益が存在し、そして、疾患の進行の遅延、延長した生存又はそれらの両方に関連するかもしれない腫瘍負荷減少が、直接的な利益を導き及び臨床的影響をも有し得ることは明らかである(Eckhardt他, Developmental Therapeutics: Successes and Failures of Clinical Trial Designs of Targeted Compounds; ASCO Educational Book, 第39版 Annual Meeting, 2003, 第209-219頁)。
【0036】
本発明は、細胞傷害性アッセイ及びヒト癌の動物モデルでのその効果によって同定されたAR59A367.7の開発及び使用を記載する。本発明は、標的分子上に存在するエピトープ又はエピトープ(複数)に特異的に結合し、そして、またネイキド抗体として正常細胞に対してではなく悪性腫瘍細胞に対してインビトロでの細胞傷害性を有し、ネイキド抗体として腫瘍成長の阻害を直接的に仲介する、試薬を記載する。更なる進歩は、腫瘍成長阻害を達成するための同系の抗原マーカーを発現する腫瘍を標的することのような抗-癌抗体の使用、及び癌治療の他の陽性の評価項目に関する。
【0037】
総じて、本発明は、投与すると、哺乳動物において抗原を発現する癌の腫瘍負荷を減少させることができる、治療剤の標的としてのAR59A637.7抗原の使用を教示する。本発明はまた、哺乳動物において抗原を発現する癌の腫瘍負荷を減少させるためにその抗原を標的とするための、CDMAB(AR59A367.7)及びその誘導体、及びその抗原結合フラグメント、及びその細胞傷害性誘導リガンドの使用を教示する。更に、本発明はまた、AR59A367.7抗原を発現する腫瘍を担持する哺乳動物の診断、治療予測及び予後のために有用であり得る癌性細胞中の該抗原を検出する使用を教示する。
【0038】
従って、ハイブリドーマ細胞株、及びハイブリドーマ細胞株をコードする、対応する単離されたモノクローナル抗体及びその抗原結合フラグメントを単離するために、特定の個体又は1以上の特定の癌細胞株から得られる癌性細胞に対する癌性疾患修飾抗体(CDMAB)、ここで、CDMABは、癌細胞に関して細胞傷害性であり、同時に非-癌細胞に対して比較的非毒性である、を産生するための方法を利用するのが、本発明の目的である。
【0039】
癌性疾患修飾抗体、リガンド及びその抗原結合フラグメントを教示することが本発明の更なる目的である。
【0040】
抗体の細胞傷害性が抗体依存的細胞傷害性によって仲介される、癌性疾患修飾抗体を産生することが、本発明の更なる目的である。
【0041】
抗体の細胞傷害性が補体依存的細胞傷害性によって仲介される、癌性疾患修飾抗体を産生することが、本発明のさらに更なる目的である。
【0042】
抗体の細胞傷害性が細胞性化学結合の加水分解を触媒するその能力の1機能である、癌性疾患修飾抗体を産生することが、本発明のなお更なる目的である。
【0043】
本発明のなお更なる目的は、癌の、診断、予後及びモニタリングのための結合アッセイにおいて有用である癌性疾患修飾抗体を産生することである。
【0044】
本発明の他の目的及び利点は、実例及び例、本発明のある実施態様の方法によって記載される以下の説明から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、細胞傷害性の割合と、細胞株MDA-MB-231、OVCAR-3、SW1116、Lovo及びCCD-27skに対するハイブリドーマ上清の結合レベルとを比較する。
【図2】図2は、癌及び正常細胞株へのAR59A367.7の結合を示す。データは、アイソタイプ対照を超える倍率増加として平均蛍光強度を表すために集めた。
【図3】図3は、AR59A367.7の代表的なFACSヒストグラム、及び数種類の癌及び非-癌細胞株に対する抗-EGFR抗体を含む。
【図4】図4は、予防的BxPC-3膵臓癌モデルにおける腫瘍成長に対するAR59A367.7の効果を証明する。縦の破線は、抗体が投与された期間を示す。データ点は平均±SEMを示す。
【図5】図5は、予防的BxPC-3膵臓癌モデルにおける体重に対するAR59A367.7の効果を証明する。データ点は平均±SEMを示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
発明の詳細な説明
一般的に、以下の用語又は語句は、概要、説明、実施例及びクレームで使用される場合に、所定の定義を有する。
【0047】
用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、具体的には例えば(アゴニスト、アンタゴニスト及び中和抗体、脱-免疫されたネズミ、キメラ、又はヒト化抗体(複数)を含む)単一のモノクローナル抗体、多エピトープ特異性を有する抗体組成物、単一-鎖抗体、免疫複合体及び抗体フラグメントを包含する(以下、参照)。
【0048】
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に同種の抗体の集団から得られた抗体、すなわち、該集団を含む個々の抗体は、少量で存在することがある可能性のある自然突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、単一抗原部位に対して高度に特異的である。更に、異なった決定因子(エピトープ)に対する異なった抗体を含むポリクローナル抗体調製物と比べて、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定因子に対する。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが他の抗体によって汚染されることなく合成され得る点で、有利である。修飾語の「モノクローナル」は、実質的に同質の抗体集団から得られた抗体の性質を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするとは解釈されない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler他, Nature, 256: 495 (1975) によって最初に記載されたハイブリドーマ法(ネズミ又はヒト)によって作製されても、あるいは組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号明細書参照)によって作製されてもよい。「モノクローナル抗体」は、例えば、Clackson他, Nature, 352: 624-628 (1991)、及びMarks他, J. Mol. Biol, 222: 581-597 (1991) によって記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリから単離されてもよい。
【0049】
「抗体フラグメント」は、好ましくは抗原結合又はその可変領域を含む無傷の抗体の一部分を含む。抗体フラグメントの例は、完全長抗体未満、すなわちFab、Fab'、F(ab')2及びFvフラグメント;ダイアボディー;線状抗体;単一-鎖抗体分子;単一-鎖抗体、単一ドメイン抗体分子、融合タンパク質、組換えタンパク質及び抗体フラグメント(複数)から形成された多重特異的抗体、を含む。
【0050】
「無傷」の抗体は、抗原-結合可変領域、並びに軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメイン、CH1、CH2及びCH3を含むものである。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸変形体でよい。好ましくは、無傷の抗体は、1以上のエフェクター機能を有する。
【0051】
その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列によって、無傷の抗体は、異なった「クラス」に帰属され得る。無傷の抗体の5つの主なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらの数種類は、更に「サブクラス」(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びIgA2に更に分けられる。抗体の異なったクラスに相当する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なったクラスのサブユニット構造及び3次元構造はよく知られている。
【0052】
抗体「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に帰因するその生物学的活性を言う。抗体のエフェクター機能の例は、C1q結合:補体依存的細胞傷害性;Fc受容体結合:抗体依存性細胞仲介性細胞傷害性(ADCC);食作用;細胞表面受容体のダウンレギュレーション(例えば、B細胞受容体:BCR)等を含む。
【0053】
「抗体依存性細胞仲介性細胞傷害性」及び「ADCC」は、Fc受容体(FcR)(例えば、Natural Killer (NK) 細胞、好中球及びマクロファージ)を発現する非特異的細胞傷害性細胞が標的細胞上に結合された抗体を認識し、次いで該標的細胞の溶解を引き起こす、細胞仲介反応を言う。ADCC、NK細胞を仲介するための一次細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcR発現は、Ravetch及びKinet, Annu. Rev. Immunol 9: 457-92 (1991) の第4頁第3表に纏められている。対象の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号明細書又は同第5,821,337号明細書に記載されているようなインビトロでのADCCアッセイが行われ得る。かかるアッセイのための有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞を含む。あるいは又は追加的に、対象の分子のADCC活性は、インビボ、例えばClynes他, PNAS(USA) 95: 652-656 (1998) に開示された動物モデルにおいて評価され得る。
【0054】
「エフェクター細胞」は、1以上のFcRを発現し、エフェクター機能を果たす白血球である。好ましくは、該細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を果たす。ADCCを仲介するヒト白血球の例は、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単核、細胞傷害性T細胞及び好中球を含む;PBMC及びNK細胞が好ましい。該エフェクター細胞は、その天然源、例えば本明細書に記載の血液又はPBMCから単離され得る。
【0055】
用語「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載するために使用される。好ましいFcRは、天然配列ヒトFcRである。更に、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合し、そしてアレル変異体及びこれらの受容体の代替的にスプライスされた形態を含む、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含む、ものである。FcγRII受容体は、その細胞ドメインにおいて主に異なる類似のアミノ酸配列を有する、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)を含む。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞ドメイン中に免疫受容体チロシン型モチーフ(ITAM)を含む。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞ドメイン中に、免疫受容体チロシン型阻害モチーフ(ITAM)を含む(M. in Dagron, Annu. Rev. Immunol. 15: 203-234 (1997) 参照)。FcRは、Ravetch及びKinet, Annu. Rev. Immunol 9: 457-92 (1991); Capel等, Immunomethods 4: 25-34 (1994); 並びにde Haas他, J. Lab. Clin. Med. 126: 330-41 (1995) を参照されたい。将来同定されるものを含む他のFcRは、本明細書に記載の用語「FcR」によって包含される。該用語は、胎児への母親IgGの移動の原因となる、新生児受容体、すなわちFcRnも含む(Guyer他, J. Immunol. 117: 587 (1976) 及びKim他, Eur. J. Immunol. 24: 2429 (1994))。
【0056】
「補体依存的細胞傷害性」又は「CDC」は、補体の存在下で標的を溶解する分子の能力を言う。補体活性化経路は、補体系(C1q)の第1成分の、同系抗原と複合化された分子(例えば、抗体)への結合によって開始される。補体活性化を評価するために、CDCアッセイ、例えばGazzano-Santoro他, J. Immunol. Methods 202: 163 (1996) に記載されたものを行ってもよい。
【0057】
用語「可変」は、可変ドメインのある部分は抗体間の配列において大きく異なり、そしてその特定の抗原のためのそれぞれの特定の抗体の結合性及び特異性において使用される、事実を言う。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメインに渡って等しく分布されない。それは、軽鎖及び重鎖可変ドメインの両方における超可変領域と呼ばれる3つの断片に濃縮されている。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変領域は、各々、ループ結合を形成する3つの超可変領域によって結合されたβ-シート構造を主に採用し、そして場合によっては該β-シート構造の一部を形成する、4つのFRを含む。各鎖中の超可変領域は、FRによって互いに近接して及び他の鎖由来の超可変領域と共に維持され、抗体の抗原-結合部位の形成をもたらす(Kabat他, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991) 参照)。定常領域は、抗原に対する抗体の結合に直接的に関連しないが、抗体依存的細胞傷害性(ADCC)における抗体の関与のような様々なエフェクター機能を示す。
【0058】
本明細書で使用される用語「超可変領域」は、抗原-結合の原因となっている抗体のアミノ酸残基を言う。超可変領域は、一般的に、「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメイン中の残基24-34 (L1)、50-56 (L2)及び89-97 (L3)、及び重鎖可変ドメイン中の残基31-35 (H1)、50-65 (H2)及び95-102 (H3);Kabat他, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)) 及び/又は「超可変ループ」からのアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメイン中の残基2632 (L1)、50-52 (L2)及び91-96 (L3)、及び重鎖可変ドメイン中の残基26-32 (H1)、53-55 (H2)及び96-101 (H3);Chothia及びLesk J. Mol. Biol. 196: 901-917 (1987))を含む。「フレームワーク領域」又は「FR」は、本明細書で定義された超可変領域以外の可変ドメイン残基である。抗体のパパイン消化は、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原-結合フラグメントを生じ、各々は、単一の抗原-結合部位及び残りの「Fc」フラグメントを有し、その名称は容易に結晶化する能力を反映している。ペプシン処理は、2つの抗原-結合を有し、依然として架橋抗原であり得るF(ab')2フラグメントを生じる。
【0059】
「Fv」は、完全な抗原-認識及び抗原-結合部位を含む最小抗体フラグメントである。この領域は、固く非-共有結合での、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとのダイマーからなる。それは、各可変ドメインの3つの超可変領域がVH-VLダイマーの表面上の抗原-結合部位を特徴付けるために相互作用するというこの構造にある。共同して、3つの超可変領域は、抗体に対する抗原-結合特異性を与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つの超可変領域のみを含むFvの半分)さえも、全体的な結合部位よりも低い親和性であるが、抗原を認識し及び抗原と結合する能力を有する。Fabフラグメントも、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1定常ドメイン(CH I)を含む。Fab'フラグメントは、抗体のヒンジ領域からの1以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端における数個の残基の付加によって、Fabフラグメントとは異なる。Fab'-SHは、本明細書では、定常ドメインのシステイン残基(複数)が少なくとも1つの遊離のチオール基を有するFab'の消化である。F(ab')2抗体フラグメントは、元々は、F(ab')2フラグメント間でヒンジシステインを有するFab'フラグメントの対として作られた。抗体フラグメントの他の化学結合も知られている。
【0060】
任意の脊椎動物種からの抗体の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(K)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に異なる種類の内の1つに帰属され得る。
【0061】
「単一-鎖Fv」又は「scFv」抗体フラグメントは、単一のポリペプチド鎖に存在する、抗体のVH及びVLドメインを含む。好ましくは、Fvポリペプチドは、scFvに抗原結合のための所望の構造を形成させるVHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーを更に含む。scFvの総説に関しては、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, 第113巻, Rosenburg and Moore著, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994) 参照。
【0062】
用語「ダイアボディー」は、2つの抗原-結合部位を有する小さな抗体フラグメントであって、同一のポリペプチド鎖(VH-VL)中の可変軽鎖ドメイン(VL)に結合された可変重鎖ドメイン(VH)を含む該フラグメントを言う。同一鎖上の2つのドメイン間でペアリングを可能にするには短いリンカーを用いることによって、ドメインは、他の鎖の相補的ドメインと強制的にペアをつくり、2つの抗原-結合部位をつくる。ダイアボディーは、例えば欧州特許第EP 404,097号明細書; WO 93/11161; 及びHollinger他, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993) により詳細に記載されている。
【0063】
「単離された」抗体は、その天然環境の成分から同定及び分離され、及び/又は回復されたものである。その天然環境の汚染成分は、抗体の診断的又は治療的使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質を含むことがある。単離された抗体は、該抗体の天然環境の少なくとも1つの成分は存在しないので、組換え細胞内でインサイチュで該抗体を含む。しかし、通常、単離された抗体は少なくとも1つの精製ステップによって調製されるだろう。
【0064】
対象の抗原に「結合する」抗体は、抗体が、抗原を発現する細胞を標的することにおいて治療剤又は診断剤として有用であるような十分な親和性を有する抗原と結合することができる抗体である。該抗体が抗原部分と結合するものである場合に、それは、通常、好ましくは、他の受容体とは反対の抗原部分と結合するだろう、そして、非-特異的Fc定常のような付随的な結合、又は他の抗原に共通する転写後修飾への結合を含まず、他のタンパク質とほとんど交差反応しないものでよい。対象の抗原に結合する抗体の検出のための方法は、当該分野でよく知られており、FACS、細胞ELISA及びウェスタンブロットのようなアッセイを含み、これらに限定されない。
【0065】
本明細書で用いる表現「細胞」、「細胞株」及び「細胞培養」は、交換的に使用され、すべてのかかる意味は子孫を含む。すべての子孫は、故意又は不注意の変異に因ってDNA含量が正確に同一ではないことがあることも理解されたい。最初に形質転換された細胞中で選別された同一の機能又は生物学的活性を有する変異子孫も含まれる。明確な意味が意図される文脈から明らかであろう。
【0066】
「治療又は治療すること」は、治療的な処置及び予防的又は抑制的手段の両方を言う。その目的は、標的された病状又は疾患を予防し又は衰えさせる(減少させる)ことである。治療の必要のある者は、疾患を既に有する者、及び疾患を有する傾向にある者又は疾患が予防されるべき者である。従って、本明細書で治療されるべき哺乳動物は、疾患を有すると診断されているかもしれないし、又は疾患にかかりやすい又は疾患の影響を受けやすいかもしれない。
【0067】
用語「癌」及び「癌性」は、非制御された細胞増殖又は死によって典型的に特徴付けられる哺乳動物の生理学的症状を言うか又は説明する。癌の例は、悪性腫瘍、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫及び白血病又はリンパ系悪性腫瘍を含むが、これらに限定されない。このような癌のより具体的な例は、扁平上皮細胞癌 (例えば、上皮扁平上皮細胞癌)、小細胞肺癌、非-小細胞肺癌、肺の腺癌及び肺の扁平上皮癌を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌を含む胃癌又は胃がん、膵臓癌、グリア芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌又は腎癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、及び頭頸部癌を含む。
【0068】
「化学療法剤」は、癌の治療において有用な化学的化合物である。化学療法剤の例は、アルキル化剤、例えばチオテパ及びシクロホスファミド(サイトキサン(商標));アルキルスルホネート、例えばブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパおよびウレドーパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロールメラミンを含むエチルエニミン及びメチルアメラミン;ナイトロジェン・マスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマウスタード;ニトロソウレア、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えばアクラシノマイシン、アクチノマイシン、アスラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カラビシン、カルノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、マイコフェノール酸、ノガカマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、プロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;抗-代謝物質、例えばメトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトトレキサート;プリンアナログ、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシタビン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジン、5-FU;アンドロゲン、例えばカルステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗-副腎剤、例えばアミノグルテチミド、マイトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えばフロリン酸;アセグラクトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォミチン;エリプチニウムアセテート;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;マイトグアゾン;マイトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2',2"-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;マイトブロニトール;マイトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えばパクリタキセル(タキソール(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ.)及びドセタキセル(タキソテラ(登録商標)、Aventis, Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロラムブシル;ゲンシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ、例えばシスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;マイトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイル酸;エスペラマイシン;カペシタビン;及び上記の任意の薬学的に許容される塩、酸又は誘導体を含む。この定義には、腫瘍に対してホルモン作用を制御又は阻害するように働く抗-ホルモン剤、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン及びトレミフェン(ファレストン)を含む抗-エストロゲン剤;及び抗-アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリン;及び上記の任意の薬学的に許容される塩、酸又は誘導体も含まれる。
【0069】
治療目的のための「哺乳動物」は、ヒト、マウス、SCIDもしくはヌードマウス又はマウス種族、家畜(domestic animals)及び家畜(farm animals)、及び動物園動物、娯楽動物、あるいはペット動物を含む哺乳動物として分類される任意の動物、例えばヒツジ、イヌ、ウマ、ネコ、ウシ等を言う。本明細書では、好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0070】
「オリゴヌクレオチド」は、公知の方法(例えば、1988年5月4日に公開されたEP 266,032に記載されたような固相法を用いる、あるいは、Froehler他, Nucl. Acids Res., 14: 5399-5407, 1986によって記載されたデオキシヌクレオシドH-ホスホネート中間体を経る、ホスホトリエステル、ホスファイト、又はホスホラミデート化学)によって化学的に合成される、短鎖、単一-又は二重鎖のポリデオキシヌクレオチドである。それらは、次いで、ポリアクリルアミドゲル上で精製される。
【0071】
本発明に従って、非-ヒト(例えば、ネズミ)免疫グロブリンの「ヒト化」及び/又は「キメラ」形態は、元の抗体と比べて、ヒト抗-マウス抗体(HAMA)、ヒト抗-キメラ抗体(HACA)又はヒト抗-ヒト抗体(HAHA)応答の減少をもたらす、特定のキメラ免疫グロブリン、その免疫グロブリン鎖又はフラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab'、F(ab')2、又は抗体の他の抗原-結合サブシーケンス)を含み、そして所望の効果を再現し、同時に前記の非-ヒト免疫グロブリンに匹敵する結合特性を維持するために必要である、前記の非-ヒト免疫グロブリンから得られる不可欠な部分(例えば、CDR(複数)、抗原結合領域(複数)、可変ドメイン(複数)等)を含む、抗体を言う。たいていは、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であって、そこでは、レシピエント抗体の相補性決定領域(CDR)由来の残基は、所望の特異性、親和性及び能力を有する、マウス、ラット又はウサギのような非-ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基によって置換される。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非-ヒトFR残基によって置換される。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体においても、移入されたCDR又はFR配列においても見出されない残基を含んでもよい。これらの修飾は、抗体の能力を更に洗練し及び最適化するためになされる。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つの及び典型的には2つの可変ドメインのすべてを実質的に含むことになる。そこでは、CDR領域のすべて又は実質的にすべては、非-ヒト免疫グロブリンのCDR領域に該当し、FR残基のすべて又は実質的にすべては、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFR残基である。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも1部、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも1部を含むだろう。
【0072】
「脱-免疫」抗体は、所与の種に対して、非-免疫原性であるか又はほとんど免疫原性でない、免疫グロブリンである。脱-免疫は、抗体への構造的変化によって達成され得る。当業者に公知の任意の脱-免疫法が採用され得る。例えば2000年6月15日に公開されたWO 00/34317には、脱-免疫抗体の1つの好適な技術が記載されている。
【0073】
「アポトーシス」を誘導する抗体は、任意の手段によってプログラムされた細胞死を誘導する抗体であり、アネキシンVの結合、カスパーゼ活性、DNAの断片化、細胞収縮、小胞体の膨張、細胞断片化、及び/又は膜小胞の形成(アポトーシス細胞と呼ばれる)によって説明されるがこれらに限定されない。
【0074】
本明細書で用いる「抗体誘導細胞傷害性」は、効果が結合の程度に必ずしも関連しない受入番号101207-02としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生されたハイブリドーマ上清又は抗体から得られた細胞傷害性効果を意味するものと理解される。
【0075】
本明細書において、ハイブリドーマ細胞株、及びそこから産生される単離されたモノクローナル抗体は、代わりに、国内表示AR59A367.7又は寄託表示IDAC 010207-02によって言及される。
【0076】
本明細書で使用される「抗体-リガンド」は、標的抗原の少なくとも1つのエピトープの結合特異性を示す部分を含み、そして、無傷の抗体分子、抗体フラグメント及び少なくとも抗原-結合領域又はその部分(すなわち、抗体分子の可変部分)を有する任意の分子、例えばFv分子、Fab分子、Fab'分子、F(ab')2分子、二重特異性抗体、融合タンパク質、あるいはIDAC 010207-02(IDAC 010207-02-02抗原)として指定されたハイブリドーマ細胞株によって産生された単離モノクローナル抗体によって結合された抗原の少なくとも1つのエピトープを特異的に認識及びそれに結合する任意の遺伝子工学によって作製された分子でよい。
【0077】
本明細書で使用される「癌疾患修飾抗体」(CDMAB)は、患者に有益である方法、例えば、腫瘍を担持する個体の腫瘍負荷又は延長された生存を減少させることによる、で癌性疾患プロセスを修飾するモノクローナル抗体、及びその抗体-リガンドを言う。
【0078】
本明細書で使用される「抗原-結合領域」は、標的抗原を認識する分子の1部分を意味する。
【0079】
本明細書で使用される「競争的阻害」は、IDAC 010207-02(IDAC 010207-02抗体)として指定されたハイブリドーマ細胞株によって産生されたモノクローナル抗体が、慣用的な相反抗体競合アッセイを用いて方向付けられる決定部位を認識し及びこれに結合することができることを意味する(Belanger L., Sylvestre C.及びDufour D. (1973), Enzyme linked immunoassay for alpha fetoprotein by competitive and sandwich procedures. Clinica Chimica Acta 48, 15)。
【0080】
本明細書で用いる「標的抗原」は、IDAC 010207-02抗原又はその部分である。
【0081】
本明細書で用いる「免疫複合体」は、任意の分子又はCDMAB、例えば、細胞毒、放射活性剤、サイトカイン、インターフェロン、標的又はレポーター部分、酵素、毒素、抗-腫瘍剤もしくは治療剤に化学的又は生物学的に結合された抗体、を意味する。抗体又はCDMABは、その標的に結合することができる限り、分子の任意の位置で、細胞毒、放射活性剤、サイトカイン、インターフェロン、標的又はレポーター部分、酵素、毒素、抗-腫瘍剤もしくは治療剤に結合されてもよい。免疫複合体の例は、抗体毒素化学複合体、及び抗体-毒素融合タンパク質を含む。
【0082】
本明細書で使用される「融合タンパク質」は、抗原結合領域が生物学的に活性な分子、例えば毒素、酵素又はタンパク質薬剤、に結合されている、任意のキメラタンパク質を意味する。
【0083】
本明細書に記載された発明をより十分に理解できるようにするために、以下の記載を述べる。
【0084】
本発明は、IDAC 010207-02抗原を特異的に認識し及びそれに結合する、CDMAB(すなわち、IDAC 010207-02 CDMAB)を提供する。
【0085】
受入番号010207-02としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生された単離モノクローナル抗体のCDMABは、それが、ハイブリドーマIDAC 010207-02によって産生された単離モノクローナル抗体の、標的抗原への免疫特異的結合を競走的に阻害する抗原-結合領域を有する限り、いずれの形態でもよい。従って、IDAC 010207-02抗体と同一の結合特異性を有する任意の組換えタンパク質(例えば、抗体が、リンホカイン又は腫瘍阻害成長因子のような第二タンパク質と混合されている、融合タンパク質)は、本発明の範囲内に入る。
【0086】
本発明の1つの実施態様では、CDMABは、IDAC 010207-02抗体である。
【0087】
他の実施態様では、CDMABは、Fv分子(例えば、単一鎖Fv分子)でよい抗原結合フラグメント、Fab分子、Fab'分子、F(ab')2分子、融合タンパク質、二重特異的抗体、異種抗体又はIDAC 010207-02抗体の抗原-結合部位を有する任意の組換え分子でよい。本発明のCDMABは、IDAC 010207-02モノクローナル抗体が指向するエピトープに関する。
【0088】
本発明のCDMABは、誘導化分子を製造するように、例えば分子内のアミノ酸修飾によって修飾されることがある。化学修飾も可能である。
【0089】
誘導化分子は、ポリペプチドの機能的特性を保持するだろう、すなわち、かかる置換を有する分子は、IDAC 010207-02抗原へのポリペプチド又はその部分の結合を依然として可能にするだろう。
【0090】
これらのアミノ酸置換は、「保存的」として当該分野で知られているアミノ酸置換を含むが、これに必ずしも限られない。
【0091】
例えば、「保存的アミノ酸置換」と称されるあるアミノ酸置換が、タンパク質の構造又は機能のいずれかを変更することなく、該タンパク質において頻繁に行われることは、タンパク質化学の充分に確立された原則である。
【0092】
かかる変化は、イソロイシン(I)、バリン(V)及びロイシン(L)と、任意の他のこれらの疎水性アミノ酸との置換;アスパラギン酸(D)とグルタミン酸(E)との置換、及びその逆;グルタミン(Q)とアスパラギン(N)との置換、及びその逆;並びに、セリン(S)とスレオニン(T)との置換、及びその逆を含む。他の置換は、特定のアミノ酸の環境及びタンパク質の3次元構造におけるその役割に依拠して、保存的であるとも考えられる。例えば、グリシン(G)及びアラニン(A)は、アラニン及びバリン(V)と同様に、頻繁に交換され得る。メチオニン(M)は、比較的に疎水性であり、ロイシン及びイソロイシンと、時にはバリンと、頻繁に交換され得る。リジン(K)及びアルギニン(R)は、アミノ酸残基の重要な特徴がその変化であり、そしてこれら2つのアミノ酸残基のpKの差が重要でない、位置で頻繁に交換可能である。更に他の変化も、特定の環境において「保存的」であると考慮され得る。
【実施例】
【0093】
実施例1 ハイブリドーマ産生−ハイブリドーマ細胞株AR59A367.7
ブタペスト条約に従ってカナダ国際寄託機関(カナダ保険省微生物局、1015アーリントン通り、ウィニペグ、マニトバ、カナダ、R3E 3R2)に、受入番号010207-02で、2007年2月1日に、ハイブリドーマ細胞株AR59A367.7を寄託した。37 CFR 1.808に従って、寄託者は、寄託された材料の公共性への、利用可能性に対して課されたすべての限定が、特許の登録の際に決定的に除かれるだろう、ことを保証する。受託者が実行可能な試料を配布できない場合に、寄託がそれによって代わる。
【0094】
抗-癌抗体AR59A367.7を産生するハイブリドーマを製造するために、ヒト肝臓腫瘍組織への凍結ヒト結腸転移(Genomics Collaborative, Cambridge, MA)の単一細胞懸濁液をPBSで調製した。IMMUNEASY(登録商標)(Qiagen, Venlo, Netherlands)アジュバントを緩やかに攪拌しながら使用のために調製した。50マイクロリットルの抗原-アジュバント中の200万個細胞を皮下的に注射することによって、5〜7週齢のBALB/cマウスを免疫した。最初の免疫から2及び5週間後に、免疫されたマウスを腹腔内で追加免疫するために、最近調製された抗原-アジュバントを50マイクロリットル中の200万個の細胞と共に使用した。最終免疫の後に3日間、融合のために脾臓を使用した。単離された脾臓細胞をNSO-1骨髄腫パートナーと融合することによってハイブリドーマを調製した。融合物由来の上清をハイブリドーマのサブクローンから試験した。
【0095】
ハイブリドーマによって分泌された抗体がIgGアイソタイプか又はIgMアイソタイプであるかを決定するために、ELISAアッセイを採用した。コーティングバッファー(0.1 M 炭酸/重炭酸バッファー、pH 9.2〜9.6)中の2.4マイクログラム/mLの濃度のヤギ抗-マウスIgG + IgM(H+L)の100マイクロリットル/ウェルは、ELISAプレートに4℃で終夜加えた。プレートを洗浄バッファー(PBS + 0.05パーセントのツィーン)で3回洗浄した。100マイクロリットル/ウェルのブロッキングバッファー(5パーセントのミルク洗浄バッファー)は、室温で1時間、プレートに加え、次いで洗浄バッファーで3回洗浄した。100マイクロリットル/ウェルのハイブリドーマ上清を加え、プレートを室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、ヤギ抗-マウスIgG又はIgM西洋ワサビペルオキシダーゼ(5パーセントミルクを含むPBSで希釈)複合体の1/100,000希釈を100マイクロリットル/ウェルで加えた。プレートを室温で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄バッファーで3回洗浄した。100マイクロリットル/ウェルのTMB溶液を室温で1〜3分間インキュベートした。50マイクロリットル/ウェルの2M H2SO4を加えることによって呈色反応を停止し、パーキンエルマーHTS7000プレートリーダーで450 nmでプレートを読んだ。図1に示したように、AR59A367.7ハイブリドーマは、IgGアイソタイプの抗体を主に分泌した。
【0096】
ハイブリドーマ細胞によって分泌される抗体のサブクラスを決定するために、マウスモノクローナル抗体アイソトープキット(HyCult Biotechnology, Frontstraat, オランダ)を用いて、アイソタイピング実験を行った。500マイクロリットルのバッファー溶液をラット抗-マウスサブス特異的抗体を含む試験ストリップに加えた。500マイクロリットルのハイブリドーマ上清を試験管に加え、緩やかに攪拌することによって沈殿させた。獲得してマウス免疫グロブリンを、コロイド粒子に結合される第二ラットモノクローナル抗体によって直接的に検出した。これらの2つのタンパク質の組み合わせは、アイソタイプを分析するために使用される視覚信号をつくる。抗-癌抗体AR59A367.7は、IgG2b、カッパアイソトープについてのものである。
【0097】
2ラウンドの限界希釈の後、細胞ELISAアッセイにおいて標的細胞に結合された抗体に関して、ハイブリドーマ上清を試験した。1つのヒト乳癌細胞株、2つのヒト結腸癌細胞株及び1つのヒト非-癌皮膚細胞株:MDA-MB-231、SW1116、A549、Lovo及びCCD-27skをそれぞれ試験した。すべての細胞株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC, Manassas, VA)から入手した。プレートに蒔かれた細胞を使用前に固定した。プレートをMgCl2及びCaCl2を含むPBSで3倍に室温で洗浄した。100マイクロリットルのPBSで希釈された2パーセントパラホルムアルデヒドを、室温で10分間、各ウェルに加え、次いで廃棄した。プレートを再度、MgCl2及びCaCl2を含むPBSにて室温で3回洗浄した。ブロッキングは、室温で1時間、100マイクロリットル/ウェルの5パーセントミルクの洗浄バッファー(PBS + 0.05パーセントのツィーン)で行った。プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、ハイブリドーマ上清を室温で1時間、75マイクロリットル/ウェルで加えた。プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、そして、100マイクロリットル/ウェルの、西洋ワサビペルオキシダーゼ(5パーセントのミルクを含むPBSで希釈)に複合化されたヤギ抗-マウスIgG又はIgM抗体の1/25,000希釈を加えた。室温での1時間のインキュベーションの後に、プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、100マイクロリットル/ウェルのTMS基質を室温で1〜3分間インキュベートした。反応は、50マイクロリットル/ウェルの2M H2SO4で終了させ、パーキンエルマーHTS7000プレートリーダーで450 nmにてプレートを読んだ。図1に表形式にした結果は、試験された細胞株に結合することが従来明らかでなかった社内のIgGアイソタイプ対照と比較して、バックグラウンドを超える倍数として表示した。ハイブリドーマAR59A367.7由来の抗体は、Lovo結腸癌及びCCD-27sk非-癌皮膚細胞株への検出可能な結合を示した。
【0098】
抗体結合のための試験に関連して、ハイブリドーマ上清の細胞傷害性効果(抗体誘導された細胞傷害性)を細胞株:MDA-MB-231、OVCAR-3(ヒト卵巣癌細胞株;ATCC,Manassas,VA)、SW1116、Lovo及びCCD-27skで試験した。カルセインAMは、モレキュラープローブ(Eugene, OR)から入手し、アッセイは以下に概略されるように行った。所定の好適な濃度でのアッセイの前に細胞を蒔いた。2日後に、ハイブリドーマ・マイクロタイター・プレート由来の75マイクロリットルの上清を細胞プレートに移し、5パーセントCO2インキュベーターで5日間インキュベートした。陽性対照としてのウェルを空になるまで吸引し、そして、培養培地に溶解された100マイクロリットルのナトリウムアジド (NaN3, 0.1パーセント, Sigma, Oakville, ON) 又はシクロヘキシミド (CHX, 0.5マイクロモーラー, Sigma, Oakville, ON) を加えた。処理の5日後、プレートをひっくり返し、吸い取り乾燥することによって空にした。MgCl2及びCaCl2を含む室温DPBS(ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水)を、複数チャンネル小型容器から各ウェルに分配し、3回吸引し、ひっくり返し次いで吸引乾燥して空にした。MgCl2及びCaCl2を含むDPBSに希釈した50マイクロリットルの蛍光カルセイン色素を各ウェルに添加し、5パーセントCO2インキュベーターで30分間、37℃でインキュベートした。プレートをパーキンエルマーHTS7000蛍光プレートリーダーで読み、データをマイクロソフトエクセルで分析した。結果を図1に表の形式で示す。AR59A367.7ハイブリドーマ由来の上清は、SW1116細胞において12パーセントの特異的な細胞傷害性を示した。これは、SW1116用の陽性対照のC225について得られた細胞傷害性の60パーセントであった。非癌皮膚細胞CCD-27skに対する細胞傷害性は観察されなかった。公知の非特異的細胞傷害性物質であるシクロヘキシミド及びNaN3は、一般的に予想どおりの細胞傷害性を与えた。抗-EGFR抗体c225はSW1116に対して予想どおりの傷害性を与えた。
【0099】
図1からの結果は、様々な細胞株に対するAR59A367.7の細胞傷害性効果が結合レベルと関連しないことを証明した。これらの条件下ではSW1116細胞株に対して検出できる結合は存在しなかったが、検出できる細胞傷害性レベルが存在した。AR59A367.7は、例えそれがLovo結腸癌及びCCD-27sk非癌皮膚細胞株に結合したとしても、それらに細胞傷害性を与えなかった。従って、該抗体は、機能的な特異性を示し、それは必ずしも結合程度とは関連しなかった。
【0100】
実施例2 インビトロ結合
AR59A367.7モノクローナル抗体は、CL-1000フラスコ(BD Biosciences, Oakville, ON)中でハイブリドーマを培養し、2回/週に回収及び再播種することによって製造した。次に、プロテインGセファロース4ファストフロー(Amersham Biosciences, Bair d'Urfe, QC)を用いる標準抗体精製手段を行った。脱-免疫化、ヒト化、キメラ又はネズミであるモノクローナル抗体を利用するのは本発明の範囲内である。
【0101】
乳癌(MDA-MB-231)、結腸癌(Lovo、DLD-1、SW620及びSW1116)、前立腺癌(PC-3)、膵臓癌(AsPC-1、BxPC-3)、肺癌(549)及び卵巣癌(OVCAR-3)、並びに皮膚(CCD-27sk)及び肺(Hs888.Lu)由来の非-癌細胞株へのAR59A367.7の結合は、フローサイトメトリ(FACS)で評価した。すべての細胞株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC, Manassas, VA)から入手した。
【0102】
細胞は、細胞単層膜をDPBS(Ca++及びMg++を含まない)で先ず洗浄することによってFACS用に調製した。次いで、細胞解離バッファー(Invitrogen, Burlington, ON)は、37℃の細胞培養プレートから細胞を取り除くために使用した。遠心及び回収の後に、細胞をMgCl2、CaCl2及び2パーセントのウシ胎児血清を含むDPBSに4℃で再懸濁し(染色媒体)、カウントし、好適な細胞濃度に等分し、回転させて、細胞をペレットにし、そして試験抗体(AR59A367.7)又は対照抗体(アイソトープ対照、抗-EGFR)の存在下で、4℃で染色媒体に再懸濁した。アイソトープ対照及び試験抗体は、20マイクログラム/mLで評価し、一方、抗-EGFRは、30分間氷上で5マイクログラム/mLで評価した。Alexa Fluor 546-複合化第二抗体の添加前に、細胞は染色媒体で一度洗浄した。次いで、染色媒体中のAlexa Fluor 546-複合化抗体を4℃で30分間加えた。次いで、細胞を最終時のために洗浄し、固定媒体(1.5パーセントパラホルムアルデヒドを含む染色媒体)に再懸濁した。細胞のフローサイトメトリ収集は、FACSarray(商標)System Software(BD Biosciences, Oakville, ON)を用いて、試料をFACSarray上に移動させることによって評価した。細胞の前方散乱光(FSC)及び側方散乱光(SSC)は、FSC及びSSC検出器上の電圧及び振幅ゲインを調整することによって設定した。蛍光(Alexa-546)チャンネルの検出器は、細胞が約1〜5単位の平均蛍光強度を有する均一なピークを有するように、非染色細胞を移動させることによって調整した。各試料について、約10,000ゲート事象(染色された固定細胞)は、分析のために取得され、その結果は図2に示される。
【0103】
図2は、平均蛍光強度倍率がアイソタイプを超えて増加することを示している。AR59A367.7抗体の代表的なヒストグラムは、図3に従った。AR59A367.7は、非-癌皮膚細胞株CCD-27skを除いて試験した細胞株への結合を証明した。結腸DLD-1(6.3倍)、Lovo(5.9倍)、SW620(8.1倍)及びSW1116(4.7倍)の癌細胞株;膵臓AsPC-1(2.4倍)及びBxPC-3(2.6倍)の癌細胞株;乳房MDA-MB-231(2.1倍)の癌細胞株;肺A549(2.8倍)の癌細胞株;前立腺PC-3(3.6倍)の癌細胞株及び卵巣OVACAR-3(6.4倍)の癌細胞株、並びに非-癌肺Hs888.Lu(2.9倍)細胞株に対する結合が存在した。これらのデータは、AR59A367.7が、抗原発現レベルを変化させながら、数種類の異なった細胞株に結合したことを証明する。
【0104】
実施例3 BxPC-3細胞を用いるインビトロ腫瘍実験
実施例1は、AR59A367.7が、ヒト癌細胞株に対して抗-癌特性を有した、ことを証明した。図4及び5に関連して、8〜10週齢雌性SCIDマウスに、首筋に皮下的に注射された100マイクロリットルPBS溶液中の500万のヒト膵臓細胞(BxPC-3)を移植した。5匹ずつの2治療群にマウスを無作為に分けた。移植の翌日、20 mg/kgのAR59A367.7試験抗体又はバッファー対照を、2.7 mM KCl、1 mM KH2PO4、137 mM NaCl及び20 mM Na2HPO4を含む希釈剤でのストック濃縮液からの希釈の後、300マイクロリットルの体積で各集団に腹腔内に投与した。次いで、抗体及び対照試料は、同一形式で、試験期間中、1週間に1回投与した。だいたい7日ごとに腫瘍成長をキャリパーで測定した。抗体の8回投薬後に試験を完了した。試験期間中、週に1回、動物の体重を記録した。試験の最後に意、CCACガイドラインに従って、すべての動物を安楽死させた。
【0105】
AR59A367.7は、ヒト膵臓癌のインビボ予防モデルでのBxPC-3における腫瘍成長を減少させた。ARIUS抗体AR59A367.7を用いる治療は、抗体の最終投与の6日後である56日目に測定されたバッファー-治療対照群に比べて、55.2パーセント(p=0.0290、t-試験)、BxPC-3腫瘍の成長を減少させた(図4)。対照及び抗体-処置群のマウスはすべて、この時点でなお生存していた。試験は、抗体の最終投与の13日後である63日目まで継続した。対照群の1匹のマウス及び抗体-処置群の2匹のマウスは、腫瘍損傷のために55日目と63日目との間で試験からはずした;これは、試験の終点の1つである。しかし、63日目に、AR59A367.7は、59.4%のBxPC-3腫瘍成長阻害を依然として示した(p=0.1663、t-試験)。
【0106】
試験を通じて、細胞傷害性の臨床的兆候はなかった。1週間ごとに測定された体重は、成長がうまくいっていること及び失敗の代わりになるものであった。試験期間に渡ってすべての群において平均体重が増加した(図5)。6日目及び56日目の間の平均体重増加は、対照群で2.0g(10.1パーセント)であり、AR59A367.7処置-群で2.0g(10.2パーセント)であった。処置期間の最後には群間で平均体重の有意差はなかった。
【0107】
纏めると、AR59A367.7は、よく寛容され、このヒト膵臓異種移植モデルにおける腫瘍負荷を有意に減少させた。
【0108】
実施例4 競争的結合剤の単離
抗体を考慮すると、各々の当業者は、同一のエピトープを認識する抗体である、競争的に阻害するCDMAB、例えば、競争する抗体を作製することができる(Belanger L.他, Clinica ChimicaActa 48: 15-18 (1973))。1つの方法は、抗体によって認識される抗原を発現する免疫源で免疫することを伴う。試料は、組織、単離されたタンパク質(複数)又は細胞株(複数)を含んでもよいが、これらに限定されない。得られたハイブリドーマは、試験抗体の結合を阻害する抗体を同定するものである、競争アッセイ、例えばELISA、FACS又はウェスタンブロット、を用いて選別され得る。別の方法は、ファージディスプレイ抗体ライブラリ及び前記抗原の少なくとも1つのエピトープを認識する抗体のパニング法を利用することができた(Rubinstein JL他. Anal Biochem 314: 294-300 (2003))。いずれの場合にも、抗体は、その標的抗原の少なくとも1つのエピトープへの元の標識抗体の結合を置き換えるその能力に基づいて選択される。従って、かかる抗体は、元の抗体として抗原の少なくとも1つのエピトープを認識する特徴を有するだろう。
【0109】
実施例5 AR59A367.7モノクローナル抗体の可変領域のクローニング
AR59A367.7ハイブリドーマ細胞株によって産生されたものクローナル抗体の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)由来の可変領域の配列が決定され得る。免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖をコードするRNAは、グアニジンイソチオシアン酸による細胞溶解に関連する標準的方法を用いて、対象のハイブリドーマから抽出され得る(Chirgwin他. Biochem. 18: 5294-5299 (1979))。mRNAは、当該分野で公知のPCR法によってVH及びVL遺伝子の後の単離のためのcDNAを調製するために使用され得る(Sambrook他著, Molecular Cloning, Chapter 14, Cold Spring Harbor laboratories Press, N. Y. (1989))。重鎖及び軽鎖のN-末端アミノ酸配列は、各々、自動エドマンシークエンス法によって決定され得る。CDRの更なるストレッチ及び隣接するFRは、VH及びVLフラグメントのアミノ酸シークエンスによっても決定され得る。次いで、合成プライマーは、AR59A367.7モノクローナル抗体由来のVH及びVL遺伝子の単離のために設計され、そして、単離された遺伝子は、シークエンスのための好適なベクターにライゲートされ得る。二量体型及びヒト化IgGを作製するために、可変軽ドメイン及び可変重ドメインは、発現用の好適なベクターにサブクローン化され得る。
【0110】
(i) モノクローナル抗体
モノクローナ抗体をコードするDNA(実施例1に概略した)は、慣用的な手段を用いて(例えば、モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いて)、容易に単離され、配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい起源として役立つ。一旦単離されると、DNAは、発現ベクターに導入され、これは、次いで、E.コリ細胞、サルOCS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は他には免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞のような宿主に形質移入されて、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体の合成を得ることができる。DNAは、例えば、相同なネズミ配列の代わりに、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのためのコーディング配列を置き換えることによって修飾されてもよい。キメラ又はハイブリッド抗体も、架橋剤を含む方法を含む合成タンパク質化学において公知の方法を用いて、インビトロで調製され得る。例えば、抗毒素は、ジスルフィド交換反応を用いて、又はチオエーテル結合を形成することによって構築され得る。この目的のための好適な試薬の例は、イミノチオエート及びメチル−4-メルカプトブチルイミデートを含む。
【0111】
(ii) ヒト化抗体
ヒト化抗体は、非-ヒト起源からそこに導入された1以上のアミノ酸残基を有する。これらの非-ヒトアミノ酸残基は、典型的には「インポート」可変ドメインから得られる「インポート」残基を通常言う。ヒト化は、齧歯動物のCDR又はCDR配列をヒト化抗体の対応する配列と置き換えることによって、Winter及び協力者の方法によって行われる(Jones他, Nature 321: 522-525 (1986); Riechmann他, Nature 332: 323-327 (1988); Verhoeyen他, Science 239: 1534-1536 (1988); Clark, Immunol. Today 21: 397-402 (2000) 参照)。
【0112】
ヒト化抗体は、親の及びヒト化配列の3次元モデルを用いて、親配列及び様々な概念上のヒト化産物の分析方法によって調製され得る。3次元免疫グロブリンモデルは、一般的に入手可能であり、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の3次元立体構造を明らかにし及び表示することができるコンピュータプログラムは入手できる。これらの表示の検討は、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能な役割の分析、すなわち、候補免疫グロブリンの抗原への結合能力に影響を与える残基の分析、を可能にする。このようにして、所望の抗体の特徴、例えば標的抗原(複数)に対する増加した親和性が達成されるように、FR残基は、コンセンサス配列及びインポート配列から選択され、組み合わされる。一般的に、CDR残基は、抗原結合に影響を与えることに直接的及びほとんど実質的に関連する。
【0113】
(iii) 抗体フラグメント
抗体フラグメントの製造のための様々な技術が開発されている。これらのフラグメントは、組換え宿主細胞によって製造され得る(Hudson, Curr. Opin. Immunol. 11: 548-557 (1999); Little他, Immunol. Today 21: 364-370 (2000) 参照)。例えば、Fab'-SHフラグメントは、E.コリから直接的に回収され、化学的に結合されてF(ab')2フラグメントを形成し得る(Carter他, Biotechnology 10: 163-167 (1992))。別の実施態様では、F(ab')2は、ロイシンジッパーGCN4を用いて形成されて、F(ab')2分子の会合を促進する。別の方法によれば、Fv、Fab又はF(ab')2フラグメントは、組換え宿主細胞培養物から直接的に単離され得る。
【0114】
実施例6 本発明の抗体を含む組成物
本発明の抗体は、癌を予防/治療するための組成物として使用され得る。本発明の抗体を含む癌を予防/治療するための組成物は、低-毒性であり、液状調製物の形態であるように又は好適な調製物の医薬組成物として、ヒト又は哺乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヤギ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル等)に、経口的又は非経口的(例えば、静脈内、腹腔内、皮下的など)に投与され得る。本発明の抗体は、それ自体投与され、又は好適な組成物として投与され得る。投与に使用される組成物は、本発明の抗体もしくはその塩、希釈剤又は賦形剤と共に薬理学的に許容される担体を含んでもよい。かかる組成物は、経口又は非経口投与のための好適な医薬調製物の形態で提供される。
【0115】
非経口投与用の組成物の例は、注射可能な調製物、座薬等である。注射可能な調製物は、静脈、皮下、皮内及び筋肉内注射、点滴、間接内注射等のような投薬剤形を含んでよい。これらの注射可能調製物は、公知の方法によって調製され得る。例えば、注射可能な調製物は、本発明の抗体又はその塩を注射のために従来使用されている殺菌した水性媒体又は油性媒体中で溶解、懸濁又は乳化することによって調製され得る。注射用の水溶媒体として、例えば、生理食塩水、グルコース及び他の補助剤等を含む等張液があり、これらは、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、HCO-50(水素化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50モル)生成物)等のような好適な溶解剤と組み合わせて使用され得る。油性媒体として、例えば、ゴマ油、大豆油等が採用され、これらは、ベンジル安息香酸エステル、ベンジルアルコール等のような溶解剤と組み合わせて使用され得る。このようにして調製された注射剤は、好適なアンプルに通常充填される。直腸投与のために使用される座薬は、本発明の抗体又はその塩を座薬用の慣用的基剤と混合することによって調製され得る。経口投与用の組成物は、固体又液状の調製物、具体的には、錠剤(糖衣錠及びフィルム-コート錠剤を含む)、ピル剤、顆粒剤、粉剤、カプセル剤(軟カプセルを含む)。シロップ剤、乳化剤、懸濁剤など、を含む。かかる組成物は、公知の方法によって製造され、医薬調製物の分野で慣用的に使用されているビヒクル、希釈剤又は賦形剤を含んでもよい。錠剤用のビヒクル又は賦形剤の例は、ラクトース、デンプン、スクロース、ステアリン酸マグネシウム等である。
【0116】
有利なことに、上記の経口又は非経口的使用のための組成物は、活性成分の用量に適合するように単位投薬量を有する医薬調製物に調製される。かかる単位投薬調製物は、例えば、錠剤、ピル剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、座薬等を含む。含有される前記化合物の量は、一般的に、5〜500 mg/投薬剤形であり;上記の抗体は、特に注射剤の形態で約5〜約100 mg、他の形態については10〜250 mg含まれることが好ましい。
【0117】
本発明の抗体を含む上記の予防/治療剤又は調整剤の用量は、投与される対象、標的疾患、症状、投与経路等によって変動し得る。例えば、成人の例えば乳癌を治療/予防する目的のために使用される場合には、本発明の抗体を、約0.01〜約20 mg/kg体重、好ましくは約0.1〜約10 mg/kg体重、及びより好ましくは約0.1〜約5 mg/kg体重の用量で静脈内に、約1〜5回/日、好ましくは約1〜3回/日、投与することが有利である。他の非経口的及び経口的投与では、薬剤は、上記の用量に対応する用量で投与され得る。症状が特に重度の場合には、用量は症状に従って増やすことができる。
【0118】
本発明の抗体は、そのままで又は好適な組成物の形態で投与され得る。投与のために使用される組成物は、前記の抗体もしくはその塩、希釈剤又は賦形剤と共に、薬理学的に許容される担体を含んでもよい。かかる組成物は、経口的投与又は非経口的投与(例えば、血管内注射、皮下注射等)に好適な医薬調製物の形態で提供される。上記の各組成物は、他の活性成分を更に含んでもよい。更に、本発明の抗体は、他の薬剤、例えばアルキル化剤(例えば、シクロホスホラミド、イホスファミド等)、代謝アンタゴニスト(例えば、メトトレキサート、5-フルオロウラシル等)、抗-腫瘍抗体(例えば、マイトマイシン、アドリアマイシン等)、植物-由来の抗-腫瘍剤(例えば、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール等)、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、イリノテカン等を組み合わせて使用され得る。本発明の抗体及び上記の薬剤は、患者に同時に又は時差的に投与されてもよい。
【0119】
証拠の優越は、AR59A637.7が癌細胞株上に存在するエピトープのライゲーションによって抗-癌効果を仲介すること示している。更に、FACS、細胞ELISA又はIHCに限定されないがこれらによって例証される技術を利用することによって、AR59A637.7抗体が、それに特異的に結合するエピトープを発現する細胞の検出に使用され得る、ことを示すことができた。
【0120】
本明細書に記載のすべての特許及び刊行物は、発明が求める当業者のレベルの指標である。すべての特許及び刊行物は、各々の刊行物が参考として援用されることが明確かつ個々に示されている場合に、同程度に参考として本明細書に援用される。
【0121】
本発明のある形態が例証されるが、それが、本明細書に開示及び示された部分の特定の形態又は配置に限定されるべきではない、ことを理解されたい。様々な変更が本発明の範囲から逸脱することなくなされ、発明が明細書に示され及び記載されたことに限定されると考えるべきではないことは、当業者には明らかであろう。
【0122】
当業者は、本発明が目的を実行し、上記の目的及び利点、並びにそれに固有の目的及び利点を獲得するためにうまく適合される、ことを容易に理解するだろう。本明細書に記載の、任意のオリゴヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、生物学的に関連する化合物、方法、手段及び技術は、目下のところ、好ましい実施態様の代表例であり、具体的を意図したものであり、範囲を限定するものではない。本発明の趣旨内に包含され及び添付のクレームの範囲によって定義されるそこでの変更及び他の使用は、当業者に起こり得るだろう。本発明は、特定の好ましい実施態様と関連して記載してきたが、クレームされた本発明はこのような特定の実施態様に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際に、当業者に明らかである本発明を実行するための記載された形式の様々な変更は、以下のクレームの範囲内であることが意図される。
【表1】

【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
受託番号010207-02としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生された、単離モノクローナル抗体。
【請求項2】
受託番号010207-02としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生された、単離モノクローナル抗体のヒト化抗体、又は該ヒト化抗体から産生された抗原結合フラグメント。
【請求項3】
受託番号010207-02としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生された、単離モノクローナル抗体のキメラ抗体、又は該キメラ抗体から産生された抗原結合フラグメント。
【請求項4】
受託番号010207-02としてIDACに寄託された、単離ハイブリドーマ細胞株。
【請求項5】
ヒト腫瘍から選択される組織試料中の癌性細胞の抗体誘導細胞傷害性を開始する方法であって、以下:
該ヒト腫瘍由来の組織試料を提供し;
受託番号010207-02としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生された単離モノクローナル抗体、受託番号010207-02としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生された単離モノクローナル抗体のヒト化抗体、受託番号010207-02としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生された単離モノクローナル抗体のキメラ抗体、又はそのCDMABを提供し、ここで、該CDMABは、その標的抗原に対する該単離モノクローナル抗体の結合を競争的に阻害する能力によって特徴付けられる;及び
該単離モノクローナル抗体、該ヒト化抗体、該キメラ抗体又はCDMABを、該組織試料と接触させること;
を含み、
ここで、該単離モノクローナル抗体、該ヒト化抗体、該キメラ抗体又はCDMABの、該組織試料との結合は、細胞傷害性を誘導する、前記方法。
【請求項6】
請求項1記載の単離モノクローナル抗体のCDMAB。
【請求項7】
請求項2記載のヒト化抗体のCDMAB。
【請求項8】
請求項3記載のキメラ抗体のCDMAB。
【請求項9】
細胞毒性部分、酵素、放射活性化合物及び造血性細胞からなる群より選ばれるメンバーと複合化された、請求項1〜3及び6〜8のいずれか1項記載の単離抗体又はそのCDMAB。
【請求項10】
哺乳動物における抗体誘導細胞傷害性を受けやすいヒト腫瘍の治療方法であって、
該ヒト腫瘍は、受託番号010207-02としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生された単離モノクローナル抗体又はそのCDMABに特異的に結合する抗原の少なくとも1つのエピトープを発現し、ここで、該CDMABは、その標的抗原に対する該単離モノクローナル抗体の結合を競争的に阻害する能力によって特徴付けられ、
該哺乳動物の腫瘍負荷の減少をもたらすような有効量で、該モノクローナル抗体又はそのCDMABを該哺乳動物に投与することを含む、前記方法。
【請求項11】
前記単離モノクローナル抗体が、細胞傷害性部分に複合化される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記細胞傷害性部分が放射活性同位体である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記単離モノクローナル抗体又はそのCDMABが補体を活性化する、請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記単離モノクローナル抗体又はそのCDMABが、抗体依存的細胞傷害性を仲介する、請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記単離モノクローナル抗体が、ヒト化されている、請求項10記載の方法。
【請求項16】
前記単離モノクローナル抗体が、キメラである、請求項10記載の方法。
【請求項17】
受託番号010207-02としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生された単離モノクローナル抗体と同一のエピトープ又はエピトープ(複数)に特異的に結合することができるモノクローナル抗体。
【請求項18】
哺乳動物におけるヒト腫瘍の治療方法であって、
該ヒト腫瘍は、受託番号010207-02としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生された単離モノクローナル抗体又はそのCDMABに特異的に結合する抗原の少なくとも1つのエピトープを発現し、ここで、該CDMABは、その標的抗原に対する該単離モノクローナル抗体の結合を競争的に阻害する能力によって特徴付けられ、
該哺乳動物の腫瘍負荷の減少をもたらすような有効量で、該単離モノクローナル抗体又はそのCDMABを該哺乳動物に投与することを含む、前記方法。
【請求項19】
前記単離モノクローナル抗体が、細胞傷害性部分に複合化される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記細胞傷害性部分が放射活性同位体である、請求項19記載に方法。
【請求項21】
前記単離モノクローナル抗体又はそのCDMABが補体を活性化する、請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記単離モノクローナル抗体又はそのCDMABが、抗体依存的細胞傷害性を仲介する、請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記単離モノクローナル抗体が、ヒト化されている、請求項18記載の方法。
【請求項24】
前記単離モノクローナル抗体が、キメラである、請求項18記載の方法。
【請求項25】
哺乳動物におけるヒト腫瘍の治療方法であって、
該ヒト腫瘍は、受託番号010207-02としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生された単離モノクローナル抗体又はCDMABに特異的に結合する抗原の少なくとも1つのエピトープを発現し、ここで、該CDMABは、その標的抗原に対する該単離モノクローナル抗体の結合を競争的に阻害する能力によって特徴付けられ、
該哺乳動物の腫瘍負荷の減少をもたらすような有効量で、少なくとも1つの化学療法剤と共に該モノクローナル抗体又はそのCDMABを該哺乳動物に投与することを含む、前記方法。
【請求項26】
前記単離モノクローナル抗体が、細胞傷害性部分に複合化される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記細胞傷害性部分が放射活性同位体である、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記単離モノクローナル抗体又はそのCDMABが補体を活性化する、請求項25記載の方法。
【請求項29】
前記単離モノクローナル抗体又はそのCDMABが、抗体依存的細胞傷害性を仲介する、請求項25記載の方法。
【請求項30】
前記単離モノクローナル抗体が、ヒト化されている、請求項25記載の方法。
【請求項31】
前記単離モノクローナル抗体が、キメラである、請求項25記載の方法。
【請求項32】
IDAC受託番号010207-02を有するハイブリドーマ細胞株AR59A367.7によって産生された単離モノクローナル抗体、受託番号010207-02としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生された単離モノクローナル抗体のヒト化抗体、又は受託番号010207-02としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生された単離モノクローナル抗体のキメラ抗体によって特異的に結合されている、ヒト腫瘍から選択された組織試料における癌性細胞の存在を決定するための結合アッセイであって、以下:
該ヒト腫瘍由来の組織試料を提供し;
該単離モノクローナル抗体、該ヒト化抗体、該キメラ抗体、又はIDAC受託番号010207-02を有するハイブリドーマ細胞株AR59A367.7によって産生された単離モノクローナル抗体によって認識されたエピトープと同一のエピトープ又はエピトープ(複数)を認識するそのCDMAB、の少なくとも1つを提供し;
該提供された抗体又はそのCDMABの少なくとも1つを、該組織試料と接触させ;及び
該提供された抗体又はそのCDMABの少なくとも1つの、該組織試料との結合を決定すること;
を含み、
それによって、該組織試料中の癌性細胞の存在が示される、前記方法。
【請求項33】
ヒト腫瘍負荷の減少のためのモノクローナル抗体の使用であって、
該ヒト腫瘍が、受託番号010207-02としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生された単離モノクローナル抗体又はそのCDMABに特異的に結合する抗原の少なくとも1つのエピトープを発現し、ここで、該CDMABは、その標的抗原に対する該単離モノクローナル抗体の結合を競争的に阻害する能力によって特徴付けられ、
該哺乳動物の腫瘍負荷の減少をもたらすような有効量で、該モノクローナル抗体又はそのCDMABを該哺乳動物に投与することを含む、前記使用。
【請求項34】
前記単離モノクローナル抗体が、細胞傷害性部分に複合化される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記細胞傷害性部分が放射活性同位体である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記単離モノクローナル抗体又はそのCDMABが補体を活性化する、請求項33記載の方法。
【請求項37】
前記単離モノクローナル抗体又はそのCDMABが、抗体依存的細胞傷害性を仲介する、請求項33記載の方法。
【請求項38】
前記単離モノクローナル抗体が、ヒト化されている、請求項33記載の方法。
【請求項39】
前記単離モノクローナル抗体が、キメラ変形体である、請求項33記載の方法。
【請求項40】
ヒト腫瘍負荷の減少のためのモノクローナル抗体の使用であって、
該ヒト腫瘍が、受託番号010207-02としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生された単離モノクローナル抗体又はそのCDMABに特異的に結合する抗原の少なくとも1つのエピトープを発現し、ここで、該CDMABは、その標的抗原に対する該単離モノクローナル抗体の結合を競争的に阻害する能力によって特徴付けられ、
該哺乳動物の腫瘍負荷の減少をもたらすような有効量で、少なくとも1つの化学療法剤と共に、該モノクローナル抗体又はそのCDMABを該哺乳動物に投与することを含む、前記使用。
【請求項41】
前記単離モノクローナル抗体が、細胞傷害性部分に複合化される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記細胞傷害性部分が放射活性同位体である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記単離モノクローナル抗体又はそのCDMABが補体を活性化する、請求項40記載の方法。
【請求項44】
前記単離モノクローナル抗体又はそのCDMABが、抗体依存的細胞傷害性を仲介する、請求項40記載の方法。
【請求項45】
前記単離モノクローナル抗体が、ヒト化されている、請求項40記載の方法。
【請求項46】
前記単離モノクローナル抗体が、キメラである、請求項40記載の方法。
【請求項47】
請求項1〜3、6〜8及び17のいずれか1項記載の抗体又はCDMAB;
該抗体又はその抗原結合フラグメントと、細胞傷害性部分、酵素、放射活性化合物及び血液原性細胞からなる群より選ばれるメンバーとの複合体;並びに、
薬学的に許容される担体の必要量
を組み合わせて含む、ヒト癌性腫瘍を治療するために効果的な組成物であって、該ヒト癌性腫瘍を治療するために効果的である、前記組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−526108(P2010−526108A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506781(P2010−506781)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/CA2008/000842
【国際公開番号】WO2008/134876
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】