説明

癌患者においてヘプシジンを減少させるための抗IL−6抗体の使用

悪性腫瘍又はリンパ球増殖性障害を持つ患者の血清へプシジンを、IL−6中和抗体を投与することにより減少させる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願特許番号第61/240,363号(2009年9月8日出願)に対する優先権を請求する。
【0002】
本発明は、ヘモグロビン濃度が減少しかつヘプシジン濃度が上昇した癌患者を、抗IL−6抗体を用いて処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
IL−6には少なくとも2つの主要な生体機能が存在する:C反応性タンパク質(CRP)などの急性期タンパク質を媒介し、並びに分化及び活性化因子として作用する。急性期タンパク質は免疫応答を制御し、炎症を媒介し、組織修復で役割を果たすことが既知である。分化及び活性化因子として、IL−6は、B細胞の分化及び抗体分泌を誘導し、T細胞の細胞障害性T細胞への分化を誘導し、細胞のシグナル伝達因子を活性化させ、IL−3と協働して造血を促進する。IL−6は多くの決定的な生体機能及び身体プロセスに顕著に関与する。結果的に、抗体を用いて生体内でIL−6の生物活性を操作することにより、骨代謝、悪性形質転換、並びに免疫及び炎症応答を含む、生理学的なプロセスを亢進、抑制、又は阻止することができる(Adebanjo,O.ら、J.Cell Biology 142:1347〜1356(1998))。
【0004】
CNTO328は、炎症性サイトカインであるIL−6に高親和性結合し、このサイトカインを中和することのできる、キメラ型モノクローナル抗体である(米国特許第7291721号)。IL−6は、鉄ホメオスタシスの重要な制御因子であるヘプシジンの肝臓での産生の強力な誘導因子であり、腸細胞及びマクロファージからの鉄輸送を阻害することにより貧血症を引き起こす。ヘプシジンは、「慢性疾患による貧血」の発症における重要な因子である。CNTO328処置は、IL−6産生の脱制御により引き起こされる障害であるキャッスルマン病において、Hb値の顕著な上昇を生じることがこれまでに示されている。貧血症は、一般的な癌又は固有の癌において、ヘプシジン濃度の上昇により少なくとも部分的に媒介される場合もある。貧血症と、腎細胞癌並びに例えばキャッスルマン病患者との間の関係性に起因し、貧血症を有しているこれらの患者が、ヘプシジン濃度の上昇に際し、IL−6中和抗体での処置に応答すること及び応答しないことを理解するのは重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ヘプシジン濃度の上昇した患者において、IL−6中和抗体を用いてヘプシジン濃度を減少させ、かつ患者のヘモグロビン濃度を上昇させることにより、慢性疾患による貧血症を処置する方法に関し、ここでこの疾患は癌及びキャッスルマン病からなる群から選択される。特定の実施形態では、IL−6と抗体とのKDが10(-9)M未満であることから判定されるように、IL−6中和抗体はIL−6に対して高い親和性を持つ。特定の実施形態では、IL−6中和抗体は、マウス抗体CLB8由来の結合領域を持ち、かつ配列番号1及び2のアミノ酸配列を持つ抗体である。
【0006】
更に本発明は、患者の血清中のヘモグロビン濃度が正常範囲を下回り、かつヘプシジン濃度が検出可能である、疾患関連性の貧血症を罹患している患者の、処置方法に関し、ここで疾患は癌又はキャッスルマン病から選択され、処置はIL−6中和抗体の投与を含む。したがって、疾患関連性の貧血症を罹患している患者におけるヘプシジンの測定、及びIL−6中和抗体の投与を用いることで、患者のヘモグロビン状態を改善することができる。ここで、上記ヘモグロビン状態は、ヘプシジン濃度の上昇に起因し、エリスロポエチン受容体刺激剤による治療に非応答性のものである。
【0007】
【表1】

【発明を実施するための形態】
【0008】
略語
CD=キャッスルマン病;ESA=赤血球新生刺激剤;HCV=抗体重鎖可変領域;LCV=抗体軽鎖可変領域;MCD=多中心性キャッスルマン病;Mab−モノクローナル抗体
【0009】
定義
本明細書で使用されるとき、「抗体」は、抗体全体、及びその任意の抗原結合断片又は短鎖を含む。したがって、抗体は、本発明の抗体の中に組み込むことのできる、少なくとも1つの重鎖若しくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)若しくはそのリガンド結合部、重鎖若しくは軽鎖可変領域、重鎖若しくは軽鎖定常領域、フレームワーク(FR)領域若しくはその任意の部分、又は結合タンパク質の少なくとも一部分などが挙げられるが、これらに限定されない免疫グロブリン分子の少なくとも一部分を含む、任意のタンパク質又はペプチド含有分子を含む。更に、用語「抗体」には、抗体模倣薬が挙げられる、抗体、その消化断片、特定部分及び変異体を包含することを意図し、あるいは単鎖抗体及びその断片が挙げられる、抗体の構造及び/若しくは機能を模倣する抗体の部分若しくはその特定断片若しくは一部を含む。機能的断片は、予め選択された標的に対する抗原結合断片を含む。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例は、(i)Fab断片、VL、VH、CL及びCH、ドメインからなる一価断片;(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域にてジスルフィド架橋により結合された2つのFab断片を含む二価断片;(iii)VH及びCH、ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単腕(single arm)のVL及びVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片(Wardら(1989)Nature 341:544〜546);並びに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)を含む。更に、Fv断片の2つのドメイン、VL及びVHは別個の遺伝子によりコードされているが、これらのドメインは組み換え方法を使用して合成リンカーにより連結することができ、合成リンカーは、VL及びVH領域を対にして、一価分子を形成する単一タンパク質鎖(単鎖Fv(scFv)として既知、例えば、Birdら(1988)Science 242:423〜426、及びHustonら(1988)Proc.Natl.Acad Sci.USA 85:5879〜5883を参照のこと)として作製することを可能にする。そのような単鎖抗体も、抗体の「抗原結合部分」という用語に包含されることを意図する。これらの抗体断片は、当業者に既知の従来の技術を使用して得られ、これらの断片はインタクト抗体と同一の方法で、有用性に関してスクリーニングされる。逆に、scFvコンストラクトのライブラリを使用して抗原結合能力に関してスクリーニングした後、従来の技術を使用して、ヒト生殖系列遺伝子配列をコードする他のDNAhとスプライスしてもよい。そのようなライブラリの1つの例は、「HuCAL:ヒトコンビナトリアル抗体ライブラリ」(Knappik,A.ら、J Mol Biol(2000)296(1):57〜86)である。
【0010】
交差反応性。
用語「エピトープ」は、抗体に対する特異的結合が可能なタンパク質の決定基を意味する。エピトープは通常、アミノ酸又は糖側鎖などの化学的に活性な分子表面基で構成されており、通常、特定の3次元構造特性並びに特定の電荷特性を有する。構造的エピトープと非構造的エピトープは、変性溶媒の存在下では後者ではなく前者に対する結合が損なわれるという点で区別される。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「へプシジン」は、オンラインで利用可能なGenBankデータベースに見出すことができる、受入番号NP066998(タンパク質)、AAH20612(タンパク質)、AAG23966(cDNA)及びP81172(へプシジン前駆体)などが挙げられるがこれらに限定されない、任意の哺乳類へプシジン又はプロへプシジン(LEAP(肝臓発現抗菌ペプチド)とも呼ばれる)ポリペプチドを意味する。具体的には、へプシジンは生理活性のある血清形態、特にへプシジン−25(配列番号3)を意味する。
【0012】
「ヒト化」(再構築又はCDR移植とも称される)には、異種源(通常、げっ歯類)由来のモノクローナル抗体(mAb)の免疫原性を低減させ、親和性又はエフェクター機能(ADCC、補体活性化、C1q結合)を向上させる確立された技術を含む。改変mAbは、ファージディスプレイを行ったランダム配列を用い分子生物学的な技術により生成することができ、又はデノボ合成することができる。例えば、非ヒト種由来のCDR領域を組み込んだヒト化抗体を構築するために、デザインには、CDRの残基内の保存的アミノ酸置換、及び非ヒトmAb由来の残基のヒトフレームワーク領域内への逆置換(逆突然変異)などのバリエーションを含み得る。位置は、配列比較方法、コンセンサス配列分析、又は可変領域の3D構造の構造的分析により識別又は同定することができる。選択された候補の免疫グロブリン配列について、可能性の高い3次元立体構造を図示及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示を調べることにより、候補の免疫グロブリン配列の機能における残基の役割として可能性の高いものの分析、すなわち候補の免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基の分析が可能となる。この方法で又は単純な配列アラインメントアルゴリズム(例えば、Clustal W)により、FR(フレームワーク)残基を、公にアクセス可能なVBASE又はKabatのようなデータベース内に見出される既知の抗体配列から選択することができ、また標的抗原(1つ以上)に対する親和性などの所望の抗体特性が達成されるようコンセンサス配列が最適化される。抗体構造に関する既知のパラメータのデータセットが増加するにつれて、これらの技術が洗練及び精密化される。ヒト化の他の手法は、ヒトmAbに見出される最も通常の残基によってげっ歯類配列の表面残基のみを修飾することであり、「表面再構成(resurfacing)」又は「表面被覆(veneering)」と称されている。現在、多数のヒト及び非ヒトIg配列の両方が既知であり、自由に入手することができ、例えば、LeFrancらにより開発され、IMGTの名称で見出されるデータベース及びツール;U.S.National Center for Biologics(NCBI)により管理されるウェブサイトが当業者により使用され、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.Health(1983)も目下非常に拡張され、オンラインで入手可能である。これらはそれぞれ参照により全体が本明細書に組み込まれる。本発明の抗体のヒト化又は設計は、既知の任意の方法、又はヒト免疫グロブリン配列情報を用いて開発された方法により行うことができる。そのような方法は、例えばWinterの米国特許第6982361号、及びBowdishらの国際公開第03/025019号に教示され、それらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
本明細書で使用されるとき、KDは、解離定数、詳細には既定の抗原についての抗体の解離定数KDを意味し、特異的標的に対する抗体の親和性の尺度である。高親和性抗体は、既定の抗原について、10-8M以下、より好ましくは10-9M以下、更に好ましくは10-10M以下のKDを持つ。KDの逆数は、会合定数であるKAである。本明細書で使用されるとき、用語「Kdis」又は「K2」又は「Kd」は、特定の抗体−抗原相互作用の解離速度を意味するよう意図されている。「KD」は、会合速度(k1)又は「オン速度(kon)」に対する、「オフ速度(koff)」とも呼ばれる解離速度(k2)の比である。よってKDはk2/k1又はkoff/konに等しく、モル濃度(M)で表される。ここで、KDが小さくなるほど、結合は強くなる。よって、KDが10-6M(又は1マイクロM)とは、10-9M(又は1nM)に比べて弱い結合を表す。
【0014】
本明細書で使用されるとき、用語「抗体」、「モノクローナル抗体」又は「抗体組成物」は、単一の分子組成を有する抗体分子調製物を意味する。モノクローナル抗体組成物は、特定エピトープに対する単一の結合特異性及び親和性を示す。この用語はまた、「組み換え抗体」及び「組み換えモノクローナル抗体」も含み、(a)動物、又は抗体分泌動物細胞と融合パートナーとの融合により調製されたハイブリドーマから単離された抗体、(b)抗体を発現するよう形質転換された宿主細胞、例えばトランスフェクトーマから単離された抗体、(c)組み換えの、ヒト又は他の種のコンビナトリアル抗体ライブラリから単離された抗体、並びに(d)免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライスすることを含む任意の他の手段により調製、発現、作製又は単離された抗体、などの全ての抗体は、組み換え手段により調製、発現、作製又は単離される。本明細書で使用されるとき、「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を持つ他の抗体を実質的に不含である抗体を指すことが意図される。
【0015】
概論
主に肝細胞により発現されるポリペプチドであるヒトへプシジンは、腸の鉄吸収、マクロファージによる鉄の再利用、及びタンパク質フェロポーチンを介する、肝臓の貯蔵鉄からの鉄の動員を負に制御する、重要な鉄制御タンパク質であると考えられている。一度分泌されると、へプシジンはフェロポーチンに結合し、フェロポーチンのインターナリゼーション及び分解を誘導する。それゆえ、へプシジンの過剰産生をもたらす因子が、貧血症及び/又は慢性疾患による貧血症の病態生理において主に機能している。低酸素及び血清鉄状態に加え、IL−6はヘプシジン刺激因子である。
【0016】
貧血症は多様な悪性腫瘍と関係がある。癌に関連する貧血症は、例えば腸粘膜の脱落箇所の増大及び鉄吸収不良、内出血、並びに正常な組織分布の増加及び腫瘍組織の鉄利用の増加などに起因する損失などの、いくつかの病因を有する場合がある。体の鉄貯蔵が適切である場合、ESAを外因的に投与し、造血細胞の赤血球新生を刺激することで、赤血球の形成を増加させ、貧血症を矯正することができる。しかしながら、鉄の取り込み及び貯蔵鉄からの鉄の動員を制限する、へプシジン濃度が上昇しても、ESAが有効ではなく、口腔の鉄吸収が乏しい場合もある。
【0017】
IL6濃度の上昇に関連する癌の様々な形態及びステージとしては、進行性の乳癌、胆管細胞癌、口腔の扁平上皮細胞癌、進行した胃腸癌、緩徐進行性の非Hodgkin型リンパ腫患者、Hodgkin病、びまん性大細胞型リンパ腫、小細胞肺癌、肺癌における広範な疾患、中皮腫、転移性黒色腫、多発性骨髄腫(MM)、卵巣癌、特に体重の減少した膵臓癌患者、進行した前立腺癌、ホルモン抵抗性で転移が重度な前立腺癌、特に生存時間が短く悪性嚢胞である腎細胞癌が挙げられる(Trikha,et al.Clin.Cancer Res.,October 15,2003;9(13):4653〜4665を参照されたい)。これらの患者に関連する貧血症は、IL6駆動によりへプシジン濃度が上昇した結果である場合がある。
【0018】
IL6の役割とMM貧血症における血清へプシジンとの関係は、IL6中和抗体の能力と、IL6R中和抗体がヘプシジン誘導を阻害する能力を、試験管内でHep3B細胞を患者由来の血清により評価することで研究された(Dharmaら、2008 Clin Cancer Res 14(1):3262〜3267)。6〜10個のサンプルで、組み合わせた抗体はへプシジン誘導を抑制した。この実験の他の測定では、MM患者の尿中のへプシジンは正常対照と比較して3倍以上であったことと、腎不全ではない患者では診断時に尿中のへプシジンとヘモグロビンとが逆相関していたことが確認された。
【0019】
キャッスルマン病(CD)は、巨大リンパ節過形成を特徴とする、珍しい、非定型的なリンパ球増殖性障害であり、並びに熱、疲労、拒食症、貧血症及び消耗などの全身症状を伴い、具体的には患者が疾患による血清細胞の変異又は混合型変異を有する、血管胞状リンパ節過形成症である(Nishimotoら、2005 Blood 106(8):2627〜2632)。また、肝脾腫大、リンパ節拡大及び肝機能(低アルブミン血症及び低コレステロール血症など)に関連する様々な異常もまた一般的である。
【0020】
多中心形態のCDは、リンパ腫(リンパ節の癌)と類似の病徴を示す。多中心性CD患者では、それぞれが可変性の応答速度を有する、ステロイド、併用化学療法及び免疫調節薬などを含む、処置選択肢が制限される。胚中心B細胞によるIL−6産生の調節不全は、CD患者の臨床症状及び生化学的な異常と関連付けられてきた。CD患者はHIV陽性である場合もある。また、ウイルスによるIL−6類似体の過剰産生がCDの発病において示唆されてきた。CD患者を管理するための効果的な処置は未だに医学的に必要とされている。
【0021】
効果的な処置が、特に、病徴に関与する根本的な機序及び体機能の悪化を標的とすることにより、疾病及び/又は貧血症などの後遺症の発症を制御する、望ましくない他の副作用は伴わない(糖質コルチコイドの使用による副作用など)処置が未だ必要とされている。
【0022】
貯蔵鉄又は身体の総鉄状態、及び炎症は、へプシジン制御の上流経路を表す。それゆえ、血清トランスフェリン受容体、トランスフェリン飽和度及びCRPは、鉄の動員及び赤血球新生活性に関連する間接的なマーカーである。この場合、トランスフェリン受容体及びトランスフェリン飽和状態は、ヘム合成用の鉄の利用能に関し、血清CRP濃度は、炎症又は悪性増殖プロセスに応答するIL−6産生、したがってヘプシジン産生にほとんど直接的に関する。これらの因子間の相互関係は、貧血症の発生する及び病因の傾向を明示することができるが、任意の所定の疾患での、特にへプシジン除去が効果的であり得る腎疾患での正確な関係性はこれまでに実証されていない。上述のように、腎細胞癌はIL6濃度の上昇に関連する癌である。
【0023】
キャッスルマン病患者についての先行結果は、抗IL−6抗体であるBE−8(Beckら、New Eng J Med 330(9):602〜605,1994)若しくはCNTO328(vanRheeら、及びExample 1)、又はIL6受容体に対する中和抗体であるMRA、旧称rhPM−1(Satoら、Cancer Res.1993;53:851〜856;Nishimotoら、Blood 95:56〜61,2000;Nishimotoら、Blood,October 15,2005;106(8):2627〜2632)のいずれかを用いて、IL6受容体に対するIL−6の結合を阻害すると、それと同時にヘモグロビンの増加が生じることを示している。また、先行結果は、CNTO328が腎細胞癌患者においてヘモグロビンを増加させることを示した(Schipperusら、J Clin Oncol 27,2009(suppl;abstr e20648))。更なる情報では、骨髄抑制又は肝不全若しくは腎不全を示す者は除いた、固形腫瘍又は悪性リンパ腫を持つ11人の新規に診断された患者のへプシジン濃度は平均して46.1ng/mLであった一方、正常者では1.4ng/mLであり、IL−6が非常に増加しかつHbがわずかに抑制されたことが示された(IL−6及びへプシジンによるHbの弱い負の相互作用)(Takahashiら、J Clin Oncol 27,2009(suppl;abstr e20655))。
【0024】
近年、へプシジンについてのイムノアッセイ(Ganzら、Blood,November 15,2008;112(10):4292〜4297)並びにラジオイムノアッセイ(British Journal of Haematology,146,317〜325)が検証され、利用可能になった。
【0025】
出願者らは、IL6活性を中和することのできるCNTO328などの剤による処置が、へプシジン濃度の減少に効果的であるのか、並びにしたがって、正常な濃度よりも高いヘプチジン濃度を示す癌患者(CD及び腎細胞癌患者など)の貧血症を緩和するのか否かについての疑問に取り組んだ。本発明者らは、RCC患者の基底へプシジン濃度を測定し、次いでへプシジン濃度をCNTO328処置の8日後にHb濃度の変化と共に再度測定した。CNTO328の投与は、処置患者の92%で血清へプシジンを顕著に減少させかつHbを増加させた。
【0026】
抗IL−6抗体
本発明の好ましい抗体としては、抗IL−6マウスCLB−8、キメラ型抗IL−6 CLB−8、又は実質的に同一の結合特性を有する抗体、並びにこれらのフラグメント及び領域による、生体内でのヒトIL−6への結合を、競合的に阻害する、キメラ型、ヒト化及び/又はCDRグラフト抗体が挙げられる。加えて、抗体は、IL6に結合した場合にIL6によるIL6受容体複合体の活性化を予防し得る。IL6受容体は80kDの結合サブユニットであるIL6Rαと、シグナル伝達サブユニットであるgp130から構成される。IL6は、IL6Rαサブユニットに結合し、IL6Rαとgp130の結合を開始させることで、高親和性の受容体をもたらし、シグナル伝達が例えばSTAT3のリン酸化反応を誘導する。また、IL6Rαは可溶形態で存在する。IL6は可溶性IL6R(sIL6R)と結合することができ、複合体は細胞にgp130を発現させるよう作用することができる。
【0027】
本発明の好ましい抗体は、CLB−8及びcCLB−8により認識されるエピトープに結合する抗体であり、この抗体には次の文献に記載されるような部位Iエピトープが包含される(Brackenhoffら、J.Immunol.(1990)145:561〜568)。モノクローナル抗体の特異性及び親和性を拮抗阻害により測定するのに好ましい方法は、本出願に参照により組み込まれる次の文献に見出すことができる(Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1988)。本発明の抗体は、CNTO328又はその親分子、CLB−8モノクローナル抗体が結合する、ヒトIL−6タンパク質、サブユニット、断片、部分又はこれらの任意の組み合わせに特異的な、少なくとも1つの特異的エピトープに結合する。エピトープは、CLB−8抗体が結合する少なくとも1つの抗体結合領域を含むことができ、好ましくはエピトープは、配列番号4により表されるようなIL−6分子のカルボキシル末端にごく近接させてアミノ酸Gln29−Leu34から構成される。Kalai,Mら、(Eur.J.Biochem.249,690〜700(1997))は、CLB IL−6/8とも呼ばれるCNTO328の親抗体が、IL−6がIL−6R(gp80)に結合するのに決定的なアミノ酸残基を認識したことを示した。また、これらの研究は、そのエピトープが、IL−6分子のABループ及びDヘリックス領域の両方の末端を覆うことを示している。
【0028】
抗ヒトIL−6抗体は、更にIL−6と少なくとも10-9Mの、好ましくは少なくとも10-10Mの親和性(KD)で結合し、生体内で、IL−6タンパク質の少なくとも1つの活性を、IL6受容体の活性化を阻害して、STAT3のリン酸化反応を阻害するなどして実質的に中和することができる。好ましい実施形態では、抗体はIL−6に少なくとも5×10-11Mの、好ましくは1×10-11の親和性(KD)で結合し、ヒトIL−6を中和する。
【0029】
血清因子の変化を評価する方法
ヒトへプシジンは、84個のアミノ酸からなるプレプロペプチドとしてコードされ、24個のアミノ酸からなる典型的なN末端(小胞体標的シグナル配列)と、コンセンサスなフューリン開裂部位を有する35個のアミノ酸からなるプロ領域と、そのすぐ後に25個のアミノ酸からなるC末端(生理活性鉄制御ホルモンであるヒトへプシジン−25(配列番号3))とを含有する。続いて、この生理活性ペプチドの新しいN末端を開裂させると、切頭形態のヒトへプシジン、例えば生体内でも見られるヒトへプシジン−20(すなわち、配列番号3のアミノ酸6〜25)及びヒトへプシジン−22(配列番号3のアミノ酸4〜25)が得られる。しかしながら、へプシジン−25のN末端は、フェロポーチン受容体と結合することが示されてきた。
【0030】
検出抗体、例えばEIAにより結合されるエピトープに応じて議論をなすことができる。このアッセイでは、不活性なヘプシジンと、Fpnを活性化することのできる活性な、生理学的に関連のある形態のヒトへプシジンとは差別化されなかった(例えば、Kemna,E.H.ら、Haematologica,93(l):90〜7(2008)を参照されたい)。LC/MS(液体クロマトグラフィー/マススペクトロスコピー)によりへプシジン−25を解析することで、様々な形態のへプシジンが分離される(例えば、Gutierrez,J.A.ら、BioTechniques,38:S13〜S17(2005),Murphyら、Blood,110:1048〜54(2007)及びKemna,E.H.ら、Clin.Chem.53:620〜8(2007)を参照されたい)。現在では抗へプシジン−25の特異的な抗体が報告されている(米国特許第20090136495号)。
【0031】
へプシジンは同位体希釈マイクロHPLCのタンデムMS(MS/MS)法を用いて定量することもでき、この方法では、nmol/L未満の濃度で存在するへプシジン−25の定量が可能である(Roche Diagnostics)。
【0032】
現在ではヒトへプシジンに対する市販の免疫測定法を利用することができる。特に有用な測定法は、Intrinsic Lifesciences(San Diego,CA)により提案されたELISAである(Ganzら、Blood,November 15,2008;112(10):4292〜4297)。
【0033】
CRP濃度及びその他の標準的な臨床パラメータ、例えばアルブミン、トランスフェリン、トランスフェリン飽和度、ホモシステイン、血清アミロイドA(SAA)、セルロプラスミン(coeruloplasmin)、IL−6関連タンパク質(sIL−6Rなど)、白血病抑制因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、毛様体神経栄養因子(CNTF)など:あるいは急性期タンパク質、例えばIL1α/β、TNFα、α1−抗キモトリプシン、α1−マクログロブリン、インスリン、及び補体成分C3など、並びにその他の炎症性タンパク質、例えば線維芽細胞増殖因子β(FGFβ)、トランスホーミング増殖因子β(TGFβ)、及びサイトカイン又はインターフェロンが、当該技術分野において既知の標準的な技法により測定される。
【0034】
抗IL−6抗体による処置法
IL−6に対してモノクローナル抗体を用いる臨床試験が、形質細胞性白血病(Klein,Bら、1991 Blood 78(5):1198〜1204)、多発性骨髄腫、キャッスルマン病(Beckら、New Eng J Med 330(9):602〜605,1994;)、関節リウマチ、腎癌、及びAIDS関連リンパ腫が挙げられる様々な疾患で実施されてきた(初期の試験のレビューについては、Trikhaら、2003 Clin.Cancer Res.9(13):4653〜4665を参照されたい)。
【0035】
CNTO328は、多発性骨髄腫(van Zaanenら、1996 J.Clin.Investig.,98:1441〜1448;van Zaanenら、1998 Br.J.Haematol 102:783〜790)及びキャッスルマン病(Van Rheeら、2008 Nov 2008;Blood 112:1008)の処置に関して報告されてきた。CNTO328は、IL6が増加することが既知であるか、あるいは疾患及び関連する病徴の発病に働く、本明細書に記載されているか又は当該技術分野において既知である、貧血症、悪液質、拒食症、鉄代謝障害、骨吸収、熱、発汗及び浮腫が挙げられるがこれらに限定されない様々な悪性腫瘍及びリンパ球増殖性障害の処置に使用することができる。
【0036】
CNTO 328並びに/又は配列番号1及び2から構成されるIL6中和抗体は、静脈内注射により、又は皮下注射により、又は適切な処方及び濃度を用いて任意の経路により投与することができ、このような投与により、安全で効果的な投与を患者に施し、かつ適切な血清濃度、組織濃度又は外の身体構成要素濃度及び安全な処置を達成することができる。有効性は、本明細書に教示され、かつ当該技術分野において既知であるような、IL−6中和抗体を受容した患者の細胞、組織又は器官の体積、機能又は活性の変化を示す、例えば腫瘍体積の減少、ヘモグロビン濃度の上昇、マーカー(しばしば生体マーカーと呼ばれる)の血清濃度の減少などといった、様々な基準によりモニターすることができる。本発明に有用な血清マーカーの例としては、ヘモグロビン、へプシジン、IL6、CRP、トランスフェリン、フェリチン、可溶性トランスフェリン受容体、トランスフェリン飽和度状態、総鉄結合能、ホモシステイン、及びα1−マイクログロブリンが挙げられる。
【0037】
各投与時の、投与されるCNTO328投与量は、典型的には0.1〜50mg/Kg、より典型的には1〜20mg/Kgの範囲であり、ここで適切な範囲は3〜13mg/Kgの範囲である。投与は、持続的投与、1日毎に複数回投与、1週毎に1回投与、又は月ベースの投与であってよい。
【0038】
更に、CNTO328又は関連する抗IL−6抗体、断片、又は変異体による患者の処置には、患者の利益のために適切であると見なされる、任意の好適でかつ有効な量の組成物又は製薬組成物の前に、同時に、続いて、あるいは交互の過程で、1つ以上の追加の剤を投与することを含んでよい。例えば、悪性又はリンパ増殖症候群の処置は、プレドニゾン又はデキサメタゾンなどの糖質コルチコイド剤による処置を伴ってもよい。現在既知である、又は開発中であるか、又はIL6に関連する疾患の処置に適切であると認識される他の剤の例は、剤を必要としている患者のへプシジン濃度を減少させるために、CNTO328との併用が有用である可能性があるものとして挙げられる。
【実施例】
【0039】
実施例1:キャッスルマン病での単独剤としてのCNTO 328
CNTO 328を、CD患者を含む、血液の悪性腫瘍を持つ患者に、非盲検で、ランダム化せずに、フェーズ1試験に見られる濃度で使用した。試験の目的は、CD患者に静脈内(IV)注射する場合の、CNTO 328投与の複数回投与レジメンの安全性、薬物動態、薬力、免疫応答、及び臨床効果を評価することであった。各コホートに含まれるCD患者を以下に示す:
【0040】
【表2】

【0041】
簡潔さのために、結果は3群(6mg/kg(3週毎に3mg/kg、2週毎に3mg/kgの患者1人を含む)、9mg/kg及び12mg/kg)で示す。
【0042】
重要な組み入れ基準:
キャッスルマン病患者は18歳以上であるべきであり、治験責任医師の判断により外科的切除するのに向かない局在性の疾患であるか、あるいは多中心性疾患であるかのいずれかである。患者は、治験責任医師が処置を必要していると判断した、活性な症候性疾患を持つ患者であるべきである。患者は、輸血に依存しない絶対好中球数≧1.0×109/L、血小板数≧75×109/Lにより、並びに肝転移の有無又は骨への転移について患者を計測した肝機能試験により証明されたものとして、適切な骨髄、肝臓、及び腎及び腎機能を持つ患者でなくてはならなかった。ヘモグロビンは≧8.0g/dL(5.0mmol/L;80g/L)であり;コホート7については輸血に依存しなくともヘモグロビン≧7.5g/dL(4.7mmol/L;75g/L)であった。
【0043】
「臨床的に有効な応答(Clinical Benefit Responses)」(CBR)とは、以下の6つの測定のうちの少なくとも1つで改善を示し、残りの測定についても少なくとも安定しているものとして定義される:
1.輸血せずとも、ヘモグロビン(Hb)が基底値と比較して2g/dL増加しているか、
2.疲労が1 CTC等級低下しているか、
3.摂食障害が1 CTC等級低下しているか、
4.熱/夜間発汗:基底値と比較して少なくとも2℃低下しているか、又は37℃に戻っているか、
5.体重が5%以上増加しているか、あるいは
6.最も大きいリンパ節の大きさが二次元的に25%減少しているか。
【0044】
独立した放射線医学のレビューに基づき、腫瘍応答を測定する。腫瘍応答は、以下のように定義される、改変したCheson基準(1999)に基づく:
【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
結果
「臨床的に有効な応答」の全体的な結果を以下に示す(表5)。
【0048】
【表5】

【0049】
試験結果の要約
腫瘍応答頻度(CR+PR)を、独立した放射線医学のレビューにより確認した。最も高濃度の(12mg/kg)投与濃度では、評価可能な患者11人のうち8人(73%)を、57〜337日の範囲の最も反応性のある開始時点で処置した。患者は臨床的に有効な応答を高頻度で示した(患者23人中18人、78%)。12mg/kgの群では、100%のCBR奏効率が達成された。
【0050】
大多数(患者23人中19人)で1g/dLによりヘモグロビンの改善が見られた。中央値は最大で2.1g/dL増加した(0.2〜7.2g/dL)。C反応性タンパク質(CRP)の完全な抑制であるIL−6活性のサロゲートが、ポスト基底値が得られた患者の78%で示された。試験集団に見られる基底CRP濃度が顕著に上昇したという観点から、特に注目すべきものであった(中央値23.4mg/L[範囲1〜260mg/L])。
【0051】
CNTO 328は、本試験において長期に渡る曝露後でさえも、望ましい安定したプロファイルを生じた。このCD患者群において、IL−6に関する代替マーカーであるCRPが完全に抑制されたことと、かつヘプシジン産生を刺激するIL6を示す証拠データに基づき、39%の患者では2g/dL、大多数(83%)の患者では1g/dLのヘモグロビン状態改善が記録されたことは、へプシジンの減少に関係付けられ得る。
【0052】
実施例2:腎細胞癌でのCNTO 328処置はヘプシジン濃度を減少させる
CNTO328で処置した38 RCC患者の後ろ向き試験を実施して、処置がヘプシジンの減少と関連付けられるのか否かを評価した。
【0053】
患者及び方法:フェーズ1/2試験で、2つの6mg/kgのCNTO328処置コホート(2週毎又は3週毎にIV)から選択された、RCC患者の血清Hb、IL−6及びCRP(IL−6活性の代替)濃度を予め試験した。遊離及び合計IL−6は、正確な測定を妨害するアッセイ性能を持つ剤の干渉により、測定することができなかった。血清へプシジン濃度はヘプシジンC−ELISAを用いて後ろ向きに測定した。Hb、へプシジン及びCRP濃度の基底値からの変化を複数時点で計算した。Hb応答間の関連性(≧1g/dLの最大Hb増加として定義される)並びにヘプシジン及びCRP濃度の変化を個人相関係数(r)により評価した。
【0054】
結果:38人のRCC患者の中央値基底Hb値は13.2g/dL(10.1〜17.1)であった。これは中程度の貧血を意味する。全ての患者が試験を通して標準的な腎機能を有していた。基底状態で輸血があったため、2人の患者を解析から除外した。試験した患者の中で、スクリーニング又は処置時にESA又は輸血を受けたものはいない。CNTO328で処置することで、試験の開始から8日目で38人の患者の内35人(92%)で、試験中にHbが増加した。うち25人(66%)については、1g/dL(中央値2.0;範囲1.0〜3.5)の最大のHb増加が達成された。
【0055】
Hb応答は腫瘍応答に起因せず、投与スケジュール(2週毎対3週毎)と無関係であり、及び基底Hb値が<12g/dLであった患者7人の内6人(86%)で見られた。予想されたとおり、8日目にヘプシジンの顕著な減少が記録された(減少中央値61.1%、範囲−90%〜−53.9%)。Hb応答と8日目のへプシジン変化率には中程度の相関が見出されたが(r=−0.56、n=19)、基底へプシジンとHb応答には相関は見出されなかった(r=0.056、n=21)。基底値からの血清CRP濃度抑制が持続したことは、全ての患者において明白であり、Hb応答は、8日目のCRPの完全な変化と中程度に相関し(r=−0.41、n=24)、基底CRP濃度はそれよりも劣る程度に相関する(r=0.31、n=25)。最大Hb濃度(中央値14.9g/dL、範囲11.1〜17.7)は、任意の患者の正常な上限を超えるものではなく、かつ血栓塞栓イベントは観察されなかった。
【0056】
結論:CNTO328は、中程度に貧血なRCC集団においてHbの正常化と関係があり、推測するにこの関係性はIL−6遮断を介するへプシジンの減少に起因する。したがって、ESAの非存在下でのCNTO328処置は、貧血症を持つ腎細胞癌患者で貧血症を管理するための、例えば輸血などのその他の補助的なケア方法に代わるものを提供し得る。Hb応答は、本試験においてへプシジン及びCRP濃度の減少と相関した。
【0057】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
悪性腫瘍又はリンパ球増殖性障害において、IL6産生と関係する臨床的な異常に1つ以上罹患している患者の血清へプシジン濃度を減少させる方法であって、配列番号1及び2を含む高親和性のIL6中和抗体を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記臨床的な異常が、ヘモグロビンの減少、熱又は夜間発汗、摂食障害、体重減少、及びリンパ節拡大からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記臨床的な異常が、正常なヘモグロビン濃度よりもヘモグロビン濃度が低い異常である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗体による処置前のヘモグロビン濃度が、12g/dL未満である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記患者のへプシジン濃度が10〜90%減少する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記抗体の投与後8日以内に、前記へプシジン濃度が10〜90%減少する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体がCNTO 328である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記IL6に関係する疾病が、腎細胞癌、キャッスルマン病、多発性骨髄腫、及び進行した前立腺癌からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記抗体がIL6生理活性を中和する能力が、CRPの基底血清濃度の抑制により示される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記IL−6抗体が、配列番号1又は2を含む重鎖又は軽鎖可変領域を1つ含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記IL−6抗体が、少なくとも10−10Mの親和性(Kd)でIL−6と結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記IL−6抗体が、少なくとも10〜11Mの親和性(Kd)でIL−6と結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記IL−6抗体が、少なくとも10〜12Mの親和性(Kd)でIL−6と結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記モノクローナル抗体が、ヒトIL6と結合するにあたり配列番号1及び2を含む前記抗体と競合する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記モノクローナル抗体が、静脈内投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記モノクローナル抗体が、体重1kg当たり3mg〜12.0mgの量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記モノクローナル抗体が、前記抗体を1時間注入することで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記モノクローナル抗体が、前記抗体を2時間注入することで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記患者が、多中心性キャッスルマン病を示すヒト患者である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
副腎皮質ホルモンを、IL−6アンタゴニストと組み合わせて投与することを含む、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2013−503919(P2013−503919A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528849(P2012−528849)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/047943
【国際公開番号】WO2011/031657
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(509087759)ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド (77)
【Fターム(参考)】