説明

癌患者に対する長期栄養供給

【課題】癌患者に対する長期経管栄養を供給するための方法及び組成物の提供。
【解決手段】カロリー含量ベースで少なくとも50%の乳清と、カロリー含量ベースで少なくとも0.5%のグルタミンと、カロリー含量ベースで少なくとも0.8%のロイシンとを含む、カロリー含量ベースで組成物の14から25%を供給するタンパク質源、カロリー含量ベースで組成物の20から55%を構成する炭水化物源、及びカロリー含量ベースで組成物の25から40%を構成する脂質源を含み、前記グルタミンが、カロリー含量ベースで組成物の0.5から10.0%を構成し、前記ロイシンが、カロリー含量ベースで組成物の0.8から5%である組成物。

【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
[0001]本出願は栄養に関する。より詳細には、本発明は臨床栄養に関する。
【0002】
[0002]さまざまな疾患、傷害及び合併症のため、患者は、食物を経口摂取すること、例えば食物を食べることにより必要な栄養を得ることができないことがある。したがって、経腸又は非経口のいずれかにより臨床栄養を供給することは公知となっている。そのような臨床栄養を供給するために、さまざまな異なる調合品が開発されてきた。
【0003】
[0003]典型的な経腸栄養製品を見ても、このような製品は、短期使用、典型的には10から24日間用に設計されている。この点で、経腸栄養製品は、急性の病状を有する患者に対してその入院期間中、必要な栄養をもたらす必須栄養成分を供給するのが普通である。こうした製品はそのような短期使用には適しているものの、これまでは必ずしも患者の長期栄養供給用に設計されてはいなかった。平均余命の長期化をもたらす医薬の進歩及び疾患治療法の改良に伴い、長期経腸栄養を供給するように設計された製品からは、多くの個体が利益を得ることができると考えられる。
【概要】
【0004】
[0004]本発明に従い、長期経管栄養を供給するための方法及び組成物が提供される。より具体的には、本発明に従い、癌患者に長期経管栄養を供給するための方法及び組成物が提供される。
【0005】
[0005]この目的のため、一実施形態では、癌患者に長期栄養を供給する方法は、カロリー含量ベースで少なくとも50%の乳清と、カロリー含量ベースで少なくとも0.5%のグルタミンと、カロリー含量ベースで少なくとも0.8%のロイシンとを含む、カロリー含量ベースで製品の14から25%を供給するタンパク質源、カロリー含量ベースで製品の20から55%を構成する炭水化物源、及びカロリー含量ベースで製品の25から40%を構成する脂質源を含む栄養製品を、癌患者に、少なくとも1日1回、長期に経管投与するステップを含む。
【0006】
[0006]一実施形態では、グルタミンは、カロリー含量ベースで製品の0.5から10.0%を構成する。グルタミン又はその一部は、製品の残りの成分とは別の容器中に包装できる。グルタミンは、アミノ酸として遊離していてもよく、又はジペプチドなどグルタミンに富む化合物として供給してもよい。グルタミンは、アラニルグルタミンを含んでよい。
【0007】
[0007]この方法に従い、タンパク質源は、完全な状態の、又は部分的に加水分解されているタンパク質であってよい。タンパク質源は、100%乳清タンパク質であってよい。
【0008】
[0008]脂質源は、カロリー含量ベースで製品の30から35%を供給できる。この製品のエネルギー密度は1.0から2.0kcalの間である。さらに、この製品は、繊維源を含むことができる。
【0009】
[0009]一実施形態では、カロリー含量ベースで製品の1.5から3.5%はロイシンにより供給される。
【0010】
[0010]この方法の一実施形態では、この製品は、米国RDA、フランスRDA及びドイツRDAから成る群から選択される少なくとも1つの政府規制を満たす十分なビタミン及びミネラルを含む。
【0011】
[0011]この方法の一実施形態に従い、正常な代謝状態が一旦回復されたら、患者は、第2の異なる経管栄養製品を摂取する。別の実施形態では、患者は、この第2の異なる経管製品を、癌が診断される前に摂取する。
【0012】
[0012]本発明の別の実施形態では、癌患者に長期経管栄養を供給する方法であって、カロリー含量ベースで少なくとも50%の乳清と、カロリー含量ベースで少なくとも0.5%のグルタミンと、カロリー含量ベースで少なくとも0.8%のロイシンとを含む、カロリー含量ベースで製品の14から25%を供給するタンパク質源、カロリー含量ベースで製品の20から55%を構成する炭水化物源、及びカロリー含量ベースで製品の25から40%を構成する脂質源を含む第1の組成物を、炎症期及び体重増加期中に、癌患者に経管投与するステップと、第1の組成物とは組成の異なる第2の長期栄養組成物を、代謝正常期中に、癌患者に経管投与するステップとを含む方法が提供される。
【0013】
[0013]この方法の一実施形態では、第2の長期経管栄養組成物は、製品100kcal当たり、タンパク質源、炭水化物源、脂質源、ナトリウムを100から200mg、カリウムを25から250mg、カルシウムを50mg超、リンを150mg未満、マグネシウムを少なくとも15mg、塩化物を少なくとも100mg、鉄を0.4から1.5mg、亜鉛を0.4から2.0mg、銅を0.08から0.4mg、フッ化物を0から0.15mg、クロムを2.0から10.0マイクログラム、モリブデンを2.0から14.0マイクログラム、セレンを3.0から9.0マイクログラム、マンガンを0.1から0.4mg、ヨウ素を7.0から15.0マイクログラム、ビタミンAを100から500IU、ビタミンDを0.5から2.5マイクログラム、ビタミンEを1.5から4.0mg、ビタミンKを4.0マイクログラム超、ビタミンCを4.0mg超、ビタミンB1を0.06mg超、ビタミンB2を0.07mg超、ビタミンB3を0.7から3.5mg、ビタミンB5を0.2から2.0mg、ビタミンB6を0.1から0.7mg、ビタミンB8を少なくとも1.0マイクログラム、ビタミンB9を少なくとも12.0マイクログラム、及びビタミンB12を0.1から1.0マイクログラム含む。
【0014】
[0014]この方法の一実施形態では、グルタミンは、カロリー含量ベースで製品の0.5から10.0%を構成する。グルタミン又はその一部は、製品の残りの成分とは別の容器中に包装できる。
【0015】
[0015]本発明のまたさらなる実施形態では、癌患者を治療する方法であって、カロリー含量ベースで少なくとも50%の乳清を含む、カロリー含量ベースで製品の14から25%を供給するタンパク質源、カロリー含量ベースで製品の20から55%を構成する炭水化物源、及びカロリー含量ベースで製品の25から40%を構成する脂質源を含む第1の栄養組成物を、少なくとも1日1回、長期に投与するステップと、化学療法及び放射線療法から成る群から選択される癌治療の前に、総カロリー摂取量の少なくとも0.5%のレベルのグルタミンを第1の栄養組成物と併用投与するステップとを含む方法が提供される。
【0016】
[0016]一実施形態では、この方法は、治療後の患者に、グルタミンを併用投与せずに第1の栄養組成物を投与するステップを含んでよい。
【0017】
[0017]さらにまた、本発明の一実施形態では、癌患者に長期栄養を経管供給するための組成物であって、カロリー含量ベースで少なくとも50%の乳清と、カロリー含量ベースで少なくとも0.5%のグルタミンと、カロリー含量ベースで少なくとも0.8%のロイシンとを含む、カロリー含量ベースで製品の14から25%を供給するタンパク質源、カロリー含量ベースで製品の20から55%を構成する炭水化物源、及びカロリー含量ベースで製品の25から40%を構成する脂質源を含む組成物が提供される。
【0018】
[0018]本発明の利点は、改良された経腸栄養製品を提供することである。
【0019】
[0019]本発明の別の利点は、経腸栄養を供給するための改良された方法を提供することである。
【0020】
[0020]さらに、本発明の利点は、癌患者に長期経管栄養を供給するための経腸栄養組成物を提供することである。
【0021】
[0021]さらに、本発明の利点は、癌患者に長期経管経腸栄養を供給する方法を提供することである。
【0022】
[0022]さらなる特徴及び利点は本明細書に記載してあり、以下の詳細な説明から自明であろう。
【詳細な説明】
【0023】
[0023]本発明は臨床栄養に関する。より具体的には、本発明は、患者に長期経管栄養を供給することに関する。本明細書で使用する場合、「長期」という用語は、1カ月(30日)を超えることを意味する。本明細書で使用する場合、「経管」という用語は、患者の消化管の一部内に入れられた栄養管、例えば、経鼻胃管又は胃瘻管を通して患者に製品を供給することを意味する。本出願人らは、「長期栄養を供給する方法(METHODS OF PROVIDING LONG−TERM NUTRITION)」と題した特許出願を本発明と共に出願しており、この開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
[0024]この長期経管栄養製品は、好ましくは癌患者用に設計される。本明細書で使用する場合、「癌患者」は、普通の食事を通して栄養を摂取できないか、又は栄養不良の患者、及び、活動性の癌に罹患している、すなわち代謝が正常でない患者を指す。活動性の癌は、頚部、頭部又は消化管の癌であることもあり、又は、以前に頭部、頚部又は消化管の癌に罹患して治療を受けたことがあり、それにより普通の食事をとることができなくなっている患者における癌の再発である場合もある。本明細書で使用する場合、「普通の食事」という用語は、少なくとも実質的に全ての栄養を、食事により、すなわち、栄養管又は非経口による栄養供給を一切用いず本人の口を使って摂取することを意味する。
【0025】
[0025]本発明は、癌に罹患している際、及び、特に、例えば化学療法又は放射線療法などの癌治療中に、長期にわたり、患者に部分的に利益をもたらすと考えられる栄養調合品を提供する。さらにこの調合品は、標準的な経腸栄養製品と比較して、炎症及び/又は異化亢進が生じている期間中にも利益をもたらす。本明細書で使用する場合、「標準的な経腸栄養製品」という用語は、長期使用向けとしては特に宣伝又は販売促進されていない製品を指す。そうしたさまざまな製品は、例えば、Nestle、Abbott、Novartis、Numico及びFreseniusから市販されている。したがって、こうした製品は、一部、タンパク質過多でありカロリー過多である。
【0026】
[0026]一部、この調合品は、好ましくはw3多価不飽和脂肪酸(EPA及びDHA)に富む。このような脂肪酸は、特に腫瘍のある患者に対し、良好な抗炎症性をもたらす。好ましくは、タンパク質源は、乳清に、具体的には、抗酸化性を有し、したがって抗炎症性であるシステインに富むタンパク質に、由来する。一部、抗酸化性は、前駆物質としてシステイン及びグルタミンを必要とするグルタチオン合成によりもたらされる。
【0027】
[0027]この調合品は、少なくとも時々は、グルタミンを加えて利用するように設計される。グルタミンは、この調合品の一部であってもよく、又は別個の成分として供給してもよい。この点において、グルタミンは、モジュールとして供給してよい。このモジュールは、粉末形態又は液体形態のグルタミンを含有できる。グルタミン及び他のモジュールに関しては、2002年10月7日出願の「NUTRITIONAL MODULES」と題した同時係属中の米国特許出願が参照され、同文献の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。例としては、グルタミンのモジュール30gを調合品1500mlと併用できる。
【0028】
[0028]本発明の方法の一実施形態に従い、添加するグルタミンは、化学療法又は放射線療法の治療のサイクルの開始前、例えば1週間前に患者に投与され、また、そのサイクルを通して、さらにその後の期間、例えば、治療停止後の2週間、投与される。グルタミンの投与期間中、グルタミンと一緒か、又はそれとは別かのいずれかで、この調合品も投与される。一実施形態では、粘膜炎などにより認められる急性炎症が一旦鎮静化したら、グルタミン投与を停止してよい。グルタミンのモジュール形態は、病院、又は、例えば在宅看護及び療養所など病院以外の環境のいずれかでの治療のサイクルにわたり、この調合品を補完するために便宜的に用いてよい。
【0029】
[0029]さらに、この調合品のエネルギー含量の0.8から5%を占めるような量でL−ロイシンをこの調合品に加える。L−ロイシンは、筋肉におけるタンパク質合成の強力な促進物質である。
【0030】
[0030]本発明の一実施形態に従い、治療が必要な腫瘍の診断の前に、患者が経腸栄養、具体的には長期経腸栄養を必要とする場合は、好ましくは、本明細書と共に出願されておりその開示内容が参照により本明細書に組み込まれる「維持のための長期経腸栄養(LONG−TERM ENTERAL NUTRITION − MAINTENANCE)」と題した米国特許出願に記載のような維持用調合品を利用する。同様に、一旦、癌が寛解状態にあり患者が正常な代謝状態を獲得していれば、この維持用調合品を用いた栄養供給を再開してよい。
【0031】
[0031]したがって、本発明は、一方は治療が必要な腫瘍のある癌患者向け、2番目は正常な代謝状態が一旦回復した場合の患者の維持用、という2つの別種の調合品を供給することを含む、癌患者用の長期経腸栄養を提供する。本明細書で使用する場合、「維持患者」は、普通の食事を通して栄養を摂取することはできないが代謝の正常な(すなわち、代謝障害を患っていない)65歳未満の成人患者を指す。明確性を期すために、本出願人らは、この出願は癌患者用の調合品を開示するものであるが、維持患者用の調合品が記載されている実施例3及び4並びに特定の請求項においては例外であることに触れておく。
【0032】
[0032]一実施形態では、本発明の調合品は、癌及びその治療の副作用を軽減するために使用できる。そのような副作用としては、化学療法及び放射線療法などの治療期間中に明らかになることのある、癌による悪液質及び粘膜炎が挙げられる。
【0033】
[0033]一実施形態では、この組成物は、以下の特徴を含む:製品の総エネルギーの14から25パーセントを供給するタンパク質源であり、好ましくは14から25パーセントは完全な状態の、又は部分的に加水分解されているタンパク質であってよく、その少なくとも50パーセントは乳清である。一実施形態では、タンパク質は100パーセント乳清であり、タンパク質源(添加されるアミノ酸を含む)は、製品の総エネルギーの15から30パーセント、好ましくは20から27%を供給する。好ましい一実施形態では、エネルギーの3から7パーセントはグルタミンにより供給され、エネルギーの1.5から3.5パーセントはロイシンにより供給される。100パーセント乳清タンパク質を供給することにより、容易に吸収される比較的高いシステイン含量がもたらされる。この含量をロイシンで補完することにより、この集団群におけるロイシンに対する必要性の高まりに対処できる。
【0034】
[0034]製品の総エネルギーの20から55パーセントを構成する炭水化物源を、好ましくは供給する。任意の炭水化物、又は炭水化物の混合物を使用できる。例としては、デンプン、マルトデキストリン、ショ糖、及びその混合物が挙げられる。一実施形態では、100パーセントマルトデキストリンを使用する。
【0035】
[0035]さらに、脂質源は、製品の総エネルギーの25から40パーセントを供給する。好ましくは、脂質源の1.0から7重量パーセントはエイコサペンタエン酸である。このような患者は、炎症を患い酸化ストレスが生じているので、EPAを供給することにより、適当なn6:n3比を実現できる。食物脂質の適当な任意の混合物が使用できる。このようなものとしては、飽和脂肪酸(SFA)、一価不飽和脂肪酸(MUFA)、多価不飽和脂肪酸(PUFA)及び中鎖トリグリセリド(MCT)が挙げられる。好ましくは、脂質源は、製品の総カロリー含量の30から35パーセントを供給する。好ましくは、この組成物のエネルギー密度は1.0から2.0kcal/mlであることに留意されたい。
【0036】
[0036]本発明は、長期使用向けに最適化及び/又は改良されている方法並びに製品を提供する。一実施形態では、こうした製品は、病院環境外で患者に供給される。例えば、この製品は、療養所、デイケア若しくはその他の外来患者用施設で、又は患者の家庭でも供給できる。好ましくは、この栄養製品はプラスチック袋入りである。そうしたさまざまな袋は公知であり、例えば、500ml、1000ml及び1500mlの袋が当技術分野で公知である。とはいえ、この栄養製品を入れるためには適当な任意の容器を使用できることに留意されたい。一実施形態では、この製品は1日当たり1500mlで必要な栄養を供給するように設計されるが、このレベルに変化を加えることが可能であることは当業者には理解されるであろう。
【0037】
[0037]好ましくは、この製品は、完全な栄養を患者に長期的に供給するための、必要な栄養成分を含む。この点において、この製品は、他の可能な成分の中でもとりわけ、タンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミン及びミネラルを含む。一実施形態では、この製品は、少なくとも特定の政府要件を、完全ではないにしても実質的に満たす。本明細書で使用する場合、「政府要件」は、以下の政府の任意の1つから発布される任意の勧告を意味する:米国(典型的には米国RDA)、ドイツ(典型的にはドイツRDA)、及びフランス(典型的にはフランスRDA)。一実施形態では、この栄養製品は、こうした政府要件の少なくとも1つを満たすか、又は上回る。
【0038】
[0038]限定ではなく例として、本発明の実施例をこれから記載する。
【0039】
[0039]実施例番号1及び2は、診断時から、腫瘍が寛解状態になる時点まで使用するように設計されている。
【0040】
【表1−1】


【表1−2】

【0041】
【表2−1】


【表2−2】

【0042】
[0040]下記の実施例番号3及び4は、腫瘍の診断前(必要に応じ)及び腫瘍が寛解した後に維持を行うために設計されている。
【0043】
【表3−1】


【表3−2】

【0044】
【表4−1】


【表4−2】

【0045】
[0041]限定ではなく例として、本発明の一実施形態では、実施例1及び2に記載の調合品の1つを、診断と正常な代謝状態の回復との間の期間に患者に投与する。この製品は、少なくとも1日1回投与する。必要に応じ、グルタミンは、別個のモジュールとして供給できる。必要に応じ、診断前に、患者は実施例3及び4に記載の維持用調合品を摂取できる。同様に、治療が終了して腫瘍が寛解状態になった後、患者は実施例3及び4に記載の維持用調合品を摂取する。
【0046】
[0042]この方法の別の実施形態では、癌の診断後、実施例1及び2の調合品の1つを1日当たり1500ml、患者に投与する。癌治療前の少なくとも1週間、グルタミン30gを含むグルタミンモジュールも、この調合品と共に患者に投与する。治療完了後の2週間、グルタミン補給は停止することになり、この調合品投与は必要に応じて継続される。
【0047】
[0043]本明細書に記載の現時点での好ましい実施形態に対する多様な変形及び改変が当業者には自明であろうということは理解されるべきである。そのような変形及び改変は、本発明の主題の精神及び範囲から逸脱することなく、また、その意図する利点を損なうことなく成され得る。したがって、そのような変形及び改変を、添付の特許請求の範囲により包含することを意図するものである。
【0048】
さらなる実施形態は以下のとおりである。
【0049】
1.癌患者に、少なくとも1日1回、長期に栄養製品を経管投与するステップを含む、癌患者に長期栄養を供給する方法であって、前記製品が、
カロリー含量ベースで少なくとも50%の乳清と、
カロリー含量ベースで少なくとも0.5%のグルタミンと、
カロリー含量ベースで少なくとも0.8%のロイシンと
を含む、カロリー含量ベースで前記製品の14から25%を供給するタンパク質源、
カロリー含量ベースで前記製品の20から55%を構成する炭水化物源、及び
カロリー含量ベースで前記製品の25から40%を構成する脂質源
を含む方法。
【0050】
2.グルタミンが、カロリー含量ベースで前記製品の0.5から10.0%を構成する、実施形態1に記載の方法。
【0051】
3.前記グルタミンの少なくとも一部が、前記製品の残りの成分とは別の容器中に包装されている、実施形態1に記載の方法。
【0052】
4.前記タンパク質源が、完全な状態の、又は部分的に加水分解されているタンパク質である、実施形態1に記載の方法。
【0053】
5.前記グルタミンがタンパク質に結合している、実施形態1に記載の方法。
【0054】
6.前記グルタミンがアミノ酸として遊離している、実施形態1に記載の方法。
【0055】
7.前記グルタミンがジペプチドである、実施形態1に記載の方法。
【0056】
8.前記タンパク質源が100%乳清タンパク質である、実施形態1に記載の方法。
【0057】
9.カロリー含量ベースで前記製品の3から7%がグルタミンにより供給される、実施形態1に記載の方法。
【0058】
10.カロリー含量ベースで前記製品の1.5から3.5%がロイシンにより供給される、実施形態1に記載の方法。
【0059】
11.前記脂質源が、カロリー含量ベースで前記製品の30から35%を供給する、実施形態1に記載の方法。
【0060】
12.前記製品のエネルギー密度が1.0から2.0kcalの間である、実施形態1に記載の方法。
【0061】
13.前記製品が繊維源を含む、実施形態1に記載の方法。
【0062】
14.前記患者が、正常な代謝状態が回復した後で第2の異なる経管栄養製品を摂取する、実施形態1に記載の方法。
【0063】
15.前記グルタミンがアラニルグルタミンを含む、実施形態1に記載の方法。
【0064】
16.癌患者に長期経管栄養を供給する方法であって、
カロリー含量ベースで少なくとも50%の乳清と、カロリー含量ベースで少なくとも0
.5%のグルタミンと、カロリー含量ベースで少なくとも0.8%のロイシンとを含む、
カロリー含量ベースで製品の14から25%を供給するタンパク質源、カロリー含量ベー
スで製品の20から55%を構成する炭水化物源、及びカロリー含量ベースで製品の25
から40%を構成する脂質源を含む第1の組成物を、治療が必要な腫瘍のある癌患者に経
管投与するステップと、
前記第1の組成物とは組成の異なる第2の長期栄養組成物を、正常な代謝状態が回復し
た後に、前記癌患者に経管投与するステップと
を含む方法。
【0065】
17.前記第2の長期栄養組成物が、製品100kcal当たり、
タンパク質源、
炭水化物源、
脂質源、
ナトリウムを100から200mg、
カリウムを25から250mg、
カルシウムを50mg超、
リンを150mg未満、
マグネシウムを少なくとも15mg、
塩化物を少なくとも100mg、
鉄を0.4から1.5mg、
亜鉛を0.4から2.0mg、
銅を0.08から0.4mg、
フッ化物を0から0.15mg、
クロムを2.0から10.0マイクログラム、
モリブデンを2.0から14.0マイクログラム、
セレンを3.0から9.0マイクログラム、
マンガンを0.1から0.4mg、
ヨウ素を7.0から15.0マイクログラム、
ビタミンAを100から500IU、
ビタミンDを0.5から2.5マイクログラム、
ビタミンEを1.5から4.0mg、
ビタミンKを4.0マイクログラム超、
ビタミンCを4.0mg超、
ビタミンB1を0.06mg超、
ビタミンB2を0.07mg超、
ビタミンB3を0.7から3.5mg、
ビタミンB5を0.2から2.0mg、
ビタミンB6を0.1から0.7mg、
ビタミンB8を少なくとも1.0マイクログラム、
ビタミンB9を少なくとも12.0マイクログラム、及び
ビタミンB12を0.1から1.0マイクログラム
含む、実施形態16に記載の方法。
【0066】
18.グルタミンが、カロリー含量ベースで前記製品の0.5から10.0%を構成する、実施形態16に記載の方法。
【0067】
19.グルタミンが、前記製品の残りの成分とは別の容器中に包装されている、実施形態16に記載の方法。
【0068】
20.前記タンパク質源が、完全な状態の、又は部分的に加水分解されているタンパク質である、実施形態16に記載の方法。
【0069】
21.前記タンパク質源が100%乳清タンパク質である、実施形態16に記載の方法。
【0070】
22.カロリー含量ベースで前記製品の3から7%がグルタミンにより供給される、実施形態16に記載の方法。
【0071】
23.カロリー含量ベースで前記製品の1.5から3.5%がロイシンにより供給される、実施形態16に記載の方法。
【0072】
24.前記製品のエネルギー密度が1.0から2.0kcalの間である、実施形態16に記載の方法。
【0073】
25.繊維源を含む、実施形態16に記載の方法。
【0074】
26.癌患者に長期栄養を経管供給する方法であって、
カロリー含量ベースで少なくとも50%の乳清を含む、カロリー含量ベースで製品の1
4から25%を供給するタンパク質源、カロリー含量ベースで製品の20から55%を構
成する炭水化物源、及びカロリー含量ベースで製品の25から40%を構成する脂質源を
含む栄養組成物を、長期の診断の際に少なくとも1日1回投与するステップと、
癌治療前の少なくとも1週間、グルタミンを前記栄養組成物と併用投与するステップと
を含む方法。
【0075】
27.前記グルタミンを別個のモジュールとして前記患者に投与するステップを含む、実施形態26に記載の方法。
【0076】
28.癌患者に長期栄養を経管供給するための組成物であって、
カロリー含量ベースで少なくとも50%の乳清と、
カロリー含量ベースで少なくとも0.5%のグルタミンと、
カロリー含量ベースで少なくとも0.8%のロイシンとを含む、カロリー含量ベースで
製品の14から25%を供給するタンパク質源、
カロリー含量ベースで製品の20から55%を構成する炭水化物源、及び
カロリー含量ベースで製品の25から40%を構成する脂質源
を含む組成物。
【0077】
29.グルタミンが、カロリー含量ベースで製品の0.5から10.0%を構成する、実施形態28に記載の組成物。
【0078】
30.グルタミンが、製品の残りの成分とは別の容器中に包装されている、実施形態28に記載の組成物。
【0079】
31.カロリー含量ベースで14から25%の前記タンパク質源が、完全な状態の、又は部分的に加水分解されているタンパク質である、実施形態28に記載の組成物。
【0080】
32.前記タンパク質源が100%乳清タンパク質である、実施形態28に記載の組成物。
【0081】
33.カロリー含量ベースで製品の3から7%がグルタミンにより供給される、実施形態28に記載の組成物。
【0082】
34.カロリー含量ベースで製品の1.5から3.5%がロイシンにより供給される、実施形態28に記載の組成物。
【0083】
35.前記脂質源が、カロリー含量ベースで製品の30から35%を供給する、実施形態28に記載の組成物。
【0084】
36.製品のエネルギー密度が1.0から2.0kcalの間である、実施形態28に記載の組成物。
【0085】
37.製品が繊維源を含む、実施形態28に記載の組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌患者に長期栄養を経管供給するための組成物であって、
カロリー含量ベースで少なくとも50%の乳清と、
カロリー含量ベースで少なくとも0.5%のグルタミンと、
カロリー含量ベースで少なくとも0.8%のロイシンとを含む、カロリー含量ベースで組成物の14から25%を供給するタンパク質源、
カロリー含量ベースで組成物の20から55%を構成する炭水化物源、及び
カロリー含量ベースで組成物の25から40%を構成する脂質源
を含み、
前記グルタミンが、カロリー含量ベースで組成物の0.5から10.0%を構成し、
前記ロイシンが、カロリー含量ベースで組成物の0.8から5%を構成し、
前記組成物が、第1の組成物として治療が必要な腫瘍のある癌患者に経管投与され、及び、前記第1の組成物とは組成の異なる第2の長期栄養組成物が、正常な代謝状態が回復した後に、前記癌患者に経管投与される、組成物。
【請求項2】
グルタミンが、組成物の残りの成分とは別の容器中に包装されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
カロリー含量ベースで14から25%の前記タンパク質源が、完全な状態の、又は部分的に加水分解されているタンパク質である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記タンパク質源が100%乳清タンパク質である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
カロリー含量ベースで組成物の3から7%がグルタミンにより供給される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
カロリー含量ベースで組成物の1.5から3.5%がロイシンにより供給される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記脂質源が、カロリー含量ベースで組成物の30から35%を供給する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
組成物のエネルギー密度が1.0から2.0kcalの間である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が繊維源を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、癌患者に、少なくとも1日1回、長期に経管投与される、請求項1〜9いずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記グルタミンがタンパク質に結合している、請求項1〜9いずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記グルタミンがアミノ酸として遊離している、請求項1〜9いずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記グルタミンがジペプチドである、請求項1〜9いずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記グルタミンがアラニルグルタミンを含む、請求項1〜9いずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記第2の長期栄養組成物が、組成物100kcal当たり、
タンパク質源、
炭水化物源、
脂質源、
ナトリウムを100から200mg、
カリウムを25から250mg、
カルシウムを50mg超、
リンを150mg未満、
マグネシウムを少なくとも15mg、
塩化物を少なくとも100mg、
鉄を0.4から1.5mg、
亜鉛を0.4から2.0mg、
銅を0.08から0.4mg、
フッ化物を0から0.15mg、
クロムを2.0から10.0マイクログラム、
モリブデンを2.0から14.0マイクログラム、
セレンを3.0から9.0マイクログラム、
マンガンを0.1から0.4mg、
ヨウ素を7.0から15.0マイクログラム、
ビタミンAを100から500IU、
ビタミンDを0.5から2.5マイクログラム、
ビタミンEを1.5から4.0mg、
ビタミンKを4.0マイクログラム超、
ビタミンCを4.0mg超、
ビタミンB1を0.06mg超、
ビタミンB2を0.07mg超、
ビタミンB3を0.7から3.5mg、
ビタミンB5を0.2から2.0mg、
ビタミンB6を0.1から0.7mg、
ビタミンB8を少なくとも1.0マイクログラム、
ビタミンB9を少なくとも12.0マイクログラム、及び
ビタミンB12を0.1から1.0マイクログラム
含む、請求項1〜9いずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記グルタミンが、別個のモジュールとして前記患者に投与される、請求項1〜9いずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
組成物の残りの成分が、癌の診断後、長期にわたり少なくとも1日1回投与され、及び、前記グルタミンが、癌治療前の少なくとも1週間、前記組成物の残りの成分と併用投与される請求項16に記載の組成物。

【公開番号】特開2013−100336(P2013−100336A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−12080(P2013−12080)
【出願日】平成25年1月25日(2013.1.25)
【分割の表示】特願2009−532802(P2009−532802)の分割
【原出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】