説明

癌治療に関する方法および組成物

本発明は、病原性細胞、特に癌細胞への毒性物質の送達に関する。一部の態様において、毒性物質は、細胞に対して毒性があるヒトリボヌクレアーゼまたは類似物質である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年7月17日に出願され、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許仮出願第60/831,378号に対する優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、病原性細胞、特に癌細胞への毒性物質の送達に関する。一部の態様において、この毒性物質は、細胞に対し毒性であるヒトリボヌクレアーゼまたは類似物質である。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
用語「化学療法」は単純に、化学物質による疾患の治療を意味する。化学療法の父であるPaul Ehrlichは、完全な化学療法薬を、「マジックバレット」;そのような化合物は、宿主に害を及ぼすことなく、侵入する生物体または細胞を死滅するものとして想定した。癌細胞を死滅または阻害する化合物の同定、およびそのような化合物の意図された標的細胞への指向法の同定において、有意義な進歩があったが、当該技術分野は依然として、改善された抗癌化合物および抗癌療法を必要としている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、病原性細胞、特に癌細胞への毒性タンパク質または関連物質の送達に関する。一部の態様において、この毒性タンパク質は、標的細胞に対して毒性であるヒトリボヌクレアーゼ1または類似物質である。本発明の開発時に行われた実験により、ヒトリボヌクレアーゼの癌療法における用途、さらには研究適用および診断適用における用途が示された。
【0005】
従って一部の態様において、本発明は、細胞を死滅させかつRNAを分解するか、またはそうでなければ細胞毒性活性、細胞分裂停止活性もしくは細胞傷害活性を提供する際に使用するための、野生型リボヌクレアーゼ1(例えば、ヒトまたは他の起源に由来)組成物を提供する。本発明は、野生型リボヌクレアーゼ1に類似した特性を有する変種リボヌクレアーゼ1も提供する。本発明は、リボヌクレアーゼ1を、従来の療法と、任意に異なる(例えば、非天然のまたは変種)リボヌクレアーゼと組み合わせた療法とをさらに提供する。
【0006】
例えば一部の態様において、本発明は、野生型ヒトリボヌクレアーゼ1(ヒトRNase1)またはそれらの変種を含有する薬学的組成物を提供する。この組成物は、細胞を死滅させるか、またはそうでなければ標的細胞(例えば癌細胞)に影響を及ぼすように構成される。好ましい態様において、ヒトRNase1またはそれらの変種は、動物において腫瘍サイズを縮小する能力、RNAを分解する能力、RNaseが投与された動物の体重減少の欠落、タンパク質フォールディングの速度および精度、細胞毒性の最低免疫原性、ならびに疾患(例えば癌)の症状軽減の利点を含むが、これらに限定されない、野生型ヒトRNase1の1種または複数種の活性または特性を有する。ある態様において、本組成物は、非天然のヒトリボヌクレアーゼ1をさらに含有する(例えば、本発明のタンパク質と共投与される)。一部の態様において、非天然のヒトリボヌクレアーゼ1は、リボヌクレアーゼ阻害因子への結合を妨害する変種配列を有する。ある好ましい態様において、非天然のヒトリボヌクレアーゼ1は、天然のリボヌクレアーゼ1と比べ、L86E、N88R、G89D、R91D/R4C、L86E、N88R、G89D、R91D、V118C/L86E、N88C、R91D/R4C、L86E、N88C、R91D、V118C/R4C、N88C、V118C/K7A、L86E、N88C、R91D/K7A、L86E、N88R、G89D、R91D/R4C、K7A、L86E、N88C、R91D、V118CおよびR4C、K7A、L86E、N88R、G89D、R91D、V118C/G38R、R39D、L86E、N88R、G89D、R91DおよびR4C、G89R、S90R、V118Cを含むが、これらに限定されない変種配列を有する。
【0007】
一部の態様において、本組成物は、公知の治療的物質(例えば、化学療法薬または放射線療法を提供する装置)をさらに含む。一部の態様において、細胞は、癌細胞、癌幹細胞、炎症反応に関連した細胞、感染症(例えばウイルスによる)に関連した細胞、または自己免疫疾患に関連した細胞である。
【0008】
本発明は、野生型ヒトリボヌクレアーゼ1と同等または同様の活性を有する変種ヒトリボヌクレアーゼ1(変種ヒトRNase1)を含有する薬学的組成物をさらに提供する。RNase1は、細胞を死滅させるか、そうでなければ標的細胞(例えば癌細胞)に影響を及ぼすように構成される。
【0009】
本発明は同じく、細胞を、野生型または変種ヒトリボヌクレアーゼ(ヒトRNase1)に曝露する工程を含む、細胞を死滅させる方法、またはそうでなければ細胞毒性活性、細胞分裂停止活性もしくは細胞傷害活性を提供する方法も提供する。一部の態様において、細胞は、インビトロに存在する。別の態様において、細胞は、インビボに存在する。一部の態様において、細胞は、癌細胞、癌幹細胞、炎症反応に関連した細胞、または自己免疫疾患に関連した細胞である。一部の態様において、細胞は、癌を有することが疑われる対象に存在する。ある態様において、本方法は、細胞へ、公知の治療的物質(例えば化学療法薬または放射線)を提供する工程をさらに含む。
【0010】
本発明は追加的に、RNAを含有する試料を、野生型または変種ヒトリボヌクレアーゼ(ヒトRNase1)に曝露する工程を含む、RNAを分解する方法を提供する。一部の態様において、RNAはインビトロに存在する。別の態様において、RNAはインビボに存在する。ある態様において、RNAは、ウイルス起源である。別の態様において、ウイルスRNAは、感染していることが疑われる対象に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一部の態様におけるRNaseのインビボ活性を示す。
【図2】本発明の一部の態様におけるRNaseのインビボ活性を示す。
【図3】本発明の一部の態様におけるRNaseのインビボ活性を示す。
【図4】本発明の一部の態様におけるRNaseの酵素活性を示す。
【図5】本発明の一部の態様におけるRNaseの薬物動態を示す。
【図6】本発明の一部の態様におけるRNaseのインビボ活性を示す。
【図7】本発明の一部の態様におけるRNaseのインビボ活性を示す。
【図8】本発明の一部の態様における毒性試験データを示す。
【図9】本発明の一部の態様におけるRNaseのインビボ活性を示す。
【図10】本発明の一部の態様におけるRNaseのインビボ活性を示す。
【図11】本発明の一部の態様におけるRNaseのインビボ活性を示す。
【図12】本発明の一部の態様におけるRNaseのインビボ活性を示す。
【図13】本発明の一部の態様におけるRNaseのインビボ活性を示す。
【図14】本発明の一部の態様におけるRNaseのインビボ活性を示す。
【図15】ヒトリボヌクレアーゼにおけるアミノ酸残基、さらには低い関心部位(-)、中程度の関心部位(0)、または高い関心部位(+)として示された、その中に位置した修飾された部位または修飾のために標的化された部位(「関心部位」)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
本発明の理解を促進するために、多くの用語および語句を以下のように定義する。
【0013】
本明細書で使用する用語「ヒトリボヌクレアーゼ1の変種」は、少なくとも1個のアミノ酸が配列番号:1から変化しているが、依然野生型ヒトリボヌクレアーゼ1との相同性を維持しているヒトリボヌクレアーゼ1を意味する。
【0014】
本明細書で使用する用語「リボヌクレアーゼ1の活性を維持しているヒトリボヌクレアーゼ1の変種」は、リボヌクレアーゼ1に関連した酵素活性と同様の酵素活性を維持している(例えば維持された活性の少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも15%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、または少なくとも99%を有する)ヒトリボヌクレアーゼ1の変種を意味する。酵素活性を測定する試験は、本明細書に開示されており、当該技術分野において公知である。
【0015】
本明細書で使用する用語「RNA分解活性を維持しているヒトリボヌクレアーゼ1の変種」は、野生型ヒトリボヌクレアーゼ1のRNA分解活性の少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも15%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、または少なくとも99%を有する、ヒトリボヌクレアーゼ1(例えば、配列番号:1)の変種を意味する。アガロースまたはポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用する分解されたRNA試料の可視化および定量を含むが、これらに限定されない、任意の好適なアッセイを用いて、RNA分解活性を測定してもよい。一部の好ましい態様において、本変種は、野生型酵素と比べ、1個または限定された数のアミノ酸の置換(例えば、保存的または非保存的置換)、付加、または欠失(例えば切断)を有する。
【0016】
本明細書で使用する用語「実質的に同じ細胞死滅活性、細胞毒性活性、細胞分裂停止活性、または細胞傷害活性を有するヒトリボヌクレアーゼ1の変種」は、野生型ヒトリボヌクレアーゼ1の細胞死滅活性、細胞毒性活性、細胞分裂停止活性、または細胞傷害活性の少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、または少なくとも99%を有するヒトリボヌクレアーゼ1(例えば配列番号:1)の変種を意味する。例えば一部の態様において、活性は、癌細胞を死滅させるか、またはそうでなければ癌細胞に影響を及ぼす能力である。別の態様において、これは、動物における腫瘍サイズを縮小する能力である。さらに別の態様において、異常な細胞増殖を特徴とする疾患(例えば癌)の症状を軽減する能力である。活性は、市販の細胞生存度アッセイ、腫瘍サイズの測定、および市販の細胞増殖アッセイを含むが、これらに限定されない、任意の好適な方法を用いて、活性を測定してもよい。一部の好ましい態様において、本変種は、野生型酵素と比べ、1個または限定された数のアミノ酸の置換(例えば、保存的または非保存的置換)、付加、または欠失(例えば切断)を有する。
【0017】
本明細書で使用する用語「タンパク質フォールディング特性を維持しているヒトリボヌクレアーゼ1の変種」は、野生型ヒトリボヌクレアーゼ1と類似したタンパク質フォールディング特性を示すヒトリボヌクレアーゼ1(例えば配列番号:1)の変種を意味する。タンパク質フォールディング特性は、タンパク質フォールディングの速度および適切な構造のフォールディング(野生型リボヌクレアーゼ1の活性を実質的に維持するフォールディング)を含む。好ましい態様において、変種は、野生型タンパク質の速度の少なくとも5%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、または少なくとも99%またはそれよりも速くフォールディングする。タンパク質フォールディングに関するアッセイは、当該技術分野において周知であり、分光アッセイおよび酵素(例えばRNA分解)アッセイおよびHPLCを含むが、これらに限定されない。一部の好ましい態様において、本変種は、野生型酵素と比べ、1個または限定された数のアミノ酸の置換(例えば、保存的または非保存的置換)、付加、または欠失(例えば切断)を有する。
【0018】
本明細書で使用する用語「類似した免疫原性特性を有するヒトリボヌクレアーゼ1の変種」は、一部の態様において、野生型ヒトリボヌクレアーゼ1と実質的に同じかまたはより良い免疫原性特性を示すヒトリボヌクレアーゼ1(例えば配列番号:1)の変種を意味する。免疫原性特性は、動物における毒性および望ましくない免疫反応(例えば細胞毒性免疫反応)を含む。好ましい態様において、変種は、野生型ヒトリボヌクレアーゼ1の毒性または望ましくない免疫反応の100%未満、好ましくは90%未満、さらにより好ましくは80%未満、なおより好ましくは70%未満を示す。毒性または免疫原性のレベルは、毒性および免疫反応に関する市販のアッセイ(例えばサイトカインまたはT細胞反応の測定)を含むが、これらに限定されない、任意の好適な方法を用いて決定することができる。一部の好ましい態様において、変種は、野生型酵素と比べ、1個または限定された数のアミノ酸置換(例えば、保存的または非保存的置換)、付加、または欠失(例えば切断)を有する。
【0019】
本明細書で使用する用語「関心部位」は、リボヌクレアーゼに関して使用される場合、修飾されるかまたは修飾のために標的化される(例えばリボヌクレアーゼ変種を作出するための欠失、置換、または他の種類の変異)リボヌクレアーゼ(例えばヒトリボヌクレアーゼ)内の領域、小領域、および/またはアミノ酸残基を意味する。従って「関心部位」は、リボヌクレアーゼの修飾(例えばリボヌクレアーゼ変種を作出するための欠失、置換、または他の型の変異など)後、そのリボヌクレアーゼ内に維持されることが望ましい、本明細書に開示されたリボヌクレアーゼの特徴(例えば生物学的活性(例えばリボヌクレオチド分解活性(ribonucleolytic)、癌細胞死滅活性、オリゴマー形成能など))を基に、「高い関心部位」、「中程度の関心部位」または「低い関心部位」として特徴づけることができる。例えば関心対象であってよい位置は、図15に示している。リボヌクレアーゼ残基の修飾における関心のレベルは、下記の記号を用い示されている:低い関心部位(「-」)、中程度の関心部位(「0」)、および高い関心部位(「+」)。加えて、二次構造を注記する:ここで「a」または「a#」はαヘリックスであり、「b」または「b#」はβシートである。基質RNAへの結合が企図されたリボヌクレアーゼの位置も、表示する:「B1」および「B2」は基質(塩基)結合部位であり、「P1」は主要活性部位であり、ならびに「P2」および「P-1」は基質(リン酸)結合部位である。ジスルフィド結合に関与したシステイン残基は、「ジスルフィド(disulf)」で表示される。リボヌクレアーゼ阻害因子に関して同定されている接触点は、「RI」と表示される。アンギオゲニンに関して、推定受容体結合部位は、「Rec」と表示される。
【0020】
用語「異種核酸配列」または「異種遺伝子」は互換的に使用され、それに天然では連結されていないか、または天然では異なる位置で連結されている、核酸配列に連結されているヌクレオチド配列を意味する。異種DNAは、それが導入される細胞に対し内在性ではないが、これは別の細胞から得られる。必須ではないが、一般にこのような異種DNAは、それが発現される細胞により通常産生されないRNAおよびタンパク質をコードしている。異種DNAの例は、レポーター遺伝子、転写および翻訳調節配列、選択マーカータンパク質(例えば薬物耐性または治療的利益を付与するタンパク質)などを含む。
【0021】
本明細書で使用する用語「免疫グロブリン」または「抗体」は、特異的抗原に結合するタンパク質を意味する。免疫グロブリンは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、およびヒト化抗体、Fab断片、F(ab')2断片を含むが、これらに限定されるものではなく、下記のクラスの免疫グロブリンを含む:IgG、IgA、IgM、IgD、IgE、および分泌免疫グロブリン(sIg)。免疫グロブリンは一般に、2本の同じ重鎖および2本の軽鎖を含む。しかし用語「抗体」および「免疫グロブリン」は、1本鎖抗体および2本鎖抗体も包含している。
【0022】
本明細書で使用する用語「抗原結合タンパク質」は、特異的抗原に結合するタンパク質を意味する。「抗原結合タンパク質」は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、およびヒト化抗体;Fab断片、F(ab')2断片およびFab発現ライブラリーを含む免疫グロブリン;ならびに、1本鎖抗体を含むが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書で使用する用語「エピトープ」は、特定の免疫グロブリンとの接触をもたらす抗原の部分を意味する。
【0024】
タンパク質またはタンパク質断片が、宿主動物を免疫化するために使用される場合、このタンパク質の多くの領域が、このタンパク質の所定の領域または三次元構造に特異的に結合する抗体の産生を誘導することができ;これらの領域および構造は、「抗原決定基」と称される。抗原決定基は、抗体への結合に関して無傷の抗原(すなわち免疫反応を誘起するために使用される「免疫原」)と競合する。
【0025】
用語「特異的結合」または「特異的に結合する」は、抗体とタンパク質またはペプチドの相互作用に関して使用される場合、その相互作用が、タンパク質上の特定の構造(すなわち抗原決定基またはエピトープ)の存在に左右されること、換言すると、抗体が、通常のタンパク質よりも特異的タンパク質構造を認識しかつこれに結合することを意味する。例えば、抗体がエピトープ「A」に特異的である場合、標識された「A」およびその抗体を含有する反応において、エピトープAを含むタンパク質(または遊離の非標識のA)の存在は、抗体に結合する標識されたAの量を減少させる。
【0026】
本明細書で使用する用語「非特異的結合」および「バックグラウンド結合」は、抗体とタンパク質またはペプチドの相互作用に関して使用される場合、特定の構造の存在に左右されない相互作用を意味する(すなわち、抗体は、エピトープのような特定の構造より通常のタンパク質に結合する)。
【0027】
本明細書で使用する用語「対象」は、特定の治療のレシピエントである、ヒト、非ヒト霊長類、齧歯類などを含むが、これらに限定されない、任意の動物(例えば哺乳類)を意味する。典型的には、用語「対象」および「患者」は、本明細書においてヒト対象に関して互換的に使用される。
【0028】
本明細書で使用する用語「癌を有することが疑われる対象」は、癌の指標である1種または複数種の症状(例えば認知可能な瘤(lump)または塊(mass))を示す対象、または癌についてスクリーニングされる対象(例えば定期検診時に)を意味する。癌を有することが疑われる対象は、1種または複数種のリスク因子も有し得る。癌を有することが疑われる対象は一般に、癌について試験されていない。しかし「癌を有することが疑われる対象」は、予備的診断を受けているが(例えばCTスキャンが塊を示している)、その個人について確認試験(例えば生検および/または組織検査)は行われていないか、またはその個人の癌の病期は不明であるような個人を包含している。この用語はさらに、過去に癌であった対象(例えば寛解にある個人)を含む。「癌を有することが疑われる対象」は、時には癌と診断され、かつ時には癌ではないことが認められる。
【0029】
本明細書で使用する用語「癌であると診断された対象」は、試験され、かつ癌性細胞を有することが認められた対象を意味する。癌は、生検、x-線、血液検査および本発明の診断法を含むが、これらに限定されない、任意の好適な方法を用いて診断されてよい。「予備的診断」は、単に目視試験(例えばCTスキャンまたは瘤の存在)および抗原試験を基にした診断である。
【0030】
本明細書で使用する用語「癌のリスクのある対象」は、特定の癌を発症する1種または複数種のリスク因子を伴う対象を意味する。リスク因子は、性別、年齢、遺伝性素因、環境への曝露、および過去の癌の事象(incident)、予め存在する非癌疾患、および生活スタイルを含むが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書で使用する用語「非ヒト動物」は、脊椎動物、例えば齧歯類、非ヒト霊長類、ヒツジ、ウシ、反すう動物、ウサギ、ブタ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、トリなどを含むが、これらに限定されない、全ての非ヒト動物を意味する。
【0032】
本明細書で使用する用語「遺伝子導入システム」は、核酸配列を含有する組成物を、細胞または組織へ送達する任意の手段を意味する。例えば、遺伝子導入システムは、ベクター(例えばレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、および他の核酸ベースの送達システム)、裸の核酸の微量注入法、ポリマーベースの送達システム(例えばリポソームベースのシステムおよび金属粒子ベースのシステム)、遺伝子銃注入などを含むが、これらに限定されない。本明細書で使用する用語「ウイルス遺伝子導入システム」は、試料の所望の細胞または組織への送達を促進するために、ウイルスエレメント(例えば、無傷のウイルス、修飾されたウイルス、および核酸もしくはタンパク質のようなウイルス成分)を含む遺伝子導入システムを意味する。本明細書で使用する用語「アデノウイルス遺伝子導入システム」は、アデノウイルス科に属する無傷のまたは改変されたウイルスを含む、遺伝子導入システムを意味する。
【0033】
「アミノ酸配列」および「ポリペプチド」または「タンパク質」などの用語は、そのアミノ酸配列を、列記されたタンパク質分子に関連した完全な未変性のアミノ酸配列に限定する意味ではない。
【0034】
用語「試験化合物」および「候補化合物」は、疾患、疾病、病気、または体の機能障害(例えば癌)の治療または予防において使用するための候補である、任意の化学実体または生物学的実体、医用薬剤、薬物などを意味する。試験化合物は、公知のおよび可能性のある治療的化合物の両方を含む。試験化合物は、本発明のスクリーニング法を使用してスクリーニングすることにより、治療的であると決定することができる。
【0035】
本明細書で使用する用語「試料」は、その最も広範な意味で使用される。ひとつの意味において、これは、任意の供給源から得られた標本または培養物に加え、生物学的試料および環境学的試料を含むことを意味する。生物学的試料は、動物(ヒトを含む)から得ることができ、液体、固形物、組織、および気体を包含している。生物学的試料は、血液生成物、例えば血漿、血清などを含む。環境試料は、表面物質、土壌、水および産業の試料などの環境物質を含む。しかしこのような例は、本発明に利用可能な試料の種類を限定するものとして解釈されるものではない。
【0036】
用語「遺伝子」は、ポリペプチドまたは前駆体(例えば本発明のリボヌクレアーゼまたはリボヌクレアーゼ複合体)の生成に必要なコード配列を含む、核酸(例えばDNA)配列を意味する。ポリペプチドは、完全長コード配列により、または完全長もしくは断片の所望の活性もしくは機能特性(例えば酵素活性など)が維持されている限りはコード配列の任意の部分により、コードされ得る。この用語は同様に、構造遺伝子のコード領域、ならびにいずれの末端の約1kbの距離で5'および3'両末端のコード領域の隣に位置した含有配列(including sequence)も包含しており、その結果この遺伝子は、完全長mRNAの長さに相当している。コード領域の5'側に位置しかつmRNA上に存在する配列は、5'非翻訳配列と称される。コード領域の3'側または下流に位置しかつmRNA上に存在する配列は、3'非翻訳配列と称される。用語「遺伝子」は、遺伝子のcDNAとゲノム型の両方を包含している。遺伝子のゲノム型またはクローンは、「イントロン」または「介在領域」または「介在配列」と称される非コード配列により断続されたコード領域を含む。イントロンは、核RNA(hnRNA)へ転写される遺伝子のセグメントであり、イントロンは、エンハンサーのような調節エレメントを含んでよい。イントロンは、核または一次転写産物から除去または「スプライシングで切り出され」、従ってイントロンは、メッセンジャーRNA(mRNA)転写物中には存在しない。このmRNAは、新生ポリペプチドにおいてアミノ酸の配列または順番を特定するように、翻訳時に機能する。
【0037】
用語「野生型」は、天然の供給源から単離された場合に、その遺伝子または遺伝子産物の特徴を有する遺伝子または遺伝子産物を意味する。野生型遺伝子は、集団において最も高頻度に認められるものであり、その結果その遺伝子の「正常」または「野生」型が適宜デザインされる。野生型タンパク質は、合成的方法により生成されてよい。野生型タンパク質は、グリコシル化のような翻訳後修飾を含む型に加え、任意の予めプロセシングされた型を含むが、これらに限定されない。対照的に、用語「修飾された」、「変異体」、および「変種」は、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較した場合に、配列に修飾を示す遺伝子または遺伝子産物を意味する。天然の変異体は、単離することができ、これらは、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較した場合に、核酸またはポリペプチド配列が変化しているという事実により同定されることは注目される。これは、ヒト(または機械)の介在により配列に変化が作られる合成変異体と対照的である。
【0038】
本明細書で使用する用語「断片」は、未変性のタンパク質と比べアミノ末端および/またはカルボキシ末端に欠失を有するが、残存するアミノ酸配列は完全長cDNA配列から推定されるアミノ酸配列内の対応する位置と同じであるポリペプチドを意味する。断片は典型的には、少なくとも4個のアミノ酸長、好ましくは少なくとも20個のアミノ酸長、通常は少なくとも50個のアミノ酸長であるかまたはそれよりも長く、および本組成物の様々なリガンドおよび/または基質との分子間結合に必要なポリペプチド部分にまたがる。一部の態様において、断片は、未変性タンパク質の活性を有する。
【0039】
本明細書で使用する用語「精製された」または「精製する」は、試料からの不純物または夾雑物の除去を意味する。例えば抗体は、非免疫グロブリンタンパク質の除去により精製され、これらは、意図された標的分子に結合しない免疫グロブリンの除去によっても精製される。非免疫グロブリンタンパク質の除去および/または意図された標的分子に結合しない免疫グロブリンの除去は、試料中の標的反応性免疫グロブリンの割合の増加をもたらす。別の例において、組換えポリペプチドが宿主細胞内で発現され、これらのポリペプチドは、宿主細胞タンパク質の除去により精製され、これにより組換えポリペプチドの割合は、試料中で増大する。
【0040】
本明細書で使用する用語「発現ベクター」は、所望のコード配列と、特定の宿主生物において機能的に連結されたコード配列の発現に必要な適切な核酸配列とを含む組換えDNA分子を意味する。原核細胞内での発現に必要な核酸配列は通常、プロモーター、オペレーター(任意)、およびリボソーム結合部位を、しばしば他の配列を伴って含む。真核細胞は、プロモーター、エンハンサー、ならびに終結シグナルおよびポリアデニル化シグナルを利用することが公知である。
【0041】
本明細書で使用する用語「宿主細胞」は、インビトロまたはインビボのいずれかに位置する、任意の真核細胞または原核細胞(例えば大腸菌のような細菌細胞、酵母細胞、哺乳類細胞、鳥類細胞、両生類細胞、植物細胞、魚類細胞、および昆虫細胞)を意味する。例えば宿主細胞は、トランスジェニック動物内に位置してよい。
【0042】
発明の詳細な説明
一部の態様において、本発明は、疾患、特に癌およびウイルス感染症を治療または治癒するために使用されるヒトリボヌクレアーゼ(RNase1)タンパク質を提供する。本組成物は、診断適用(例えば薬物スクリーニングまたは癌の特徴決定に関連した)および研究適用における使用も認められる。RNase1は、単独の試薬として使用されるか、またはポリマー、デンドリマー、リポソーム、高分子系ナノ粒子、またはブロックコポリマーミセルなどの一般的もしくは特異的送達システムに組み込まれる。RNase1は、他の薬物および化合物と共投与されてもよい。様々なヒトRNaseが現在公知である(例えば、Zhangら, Nucleic Acids Research, 31:602 (2003);Zhangら, Nucleic Acids Research, 30: 1169 (2002)、これらは全体が参照により本明細書に組み入れられる)。
【0043】
先行する実験(Cancer Res., 64:4870 [2004]参照のこと)は、ヒトRNase1(ヒト膵臓RNase)の投与による腫瘍容積の減少を明らかにしてはいない。対照的に、本発明は、ヒトRNase1および同様の活性および特徴を有する変種は、動物における腫瘍容積の減少に有効であることを明らかにしている。
【0044】
一部の態様において、RNase1は、化学療法または放射線に対する耐性細胞を、標準レベルまたはより低いレベルの治療に対して感受性があるようにすることができ、その結果より低い投与量で有効であり、かつ副作用が軽減されることが企図される。加えてRNase1は、放射線療法または非限定的に抗体、小型分子、もしくは遺伝子治療を含むその他の介入と組み合わせて使用される場合、利益を提供することが企図される。
【0045】
一部の態様において、本発明の組成物および方法は、被験生物(例えば非限定的にヒトおよび脊椎動物を含む哺乳類対象)において、またはインビトロおよび/もしくはエクスビボの細胞、組織および臓器において、罹患した細胞、組織、臓器または病的状態および/または病態を治療するために使用される。これに関して、様々な疾患および病理は、本方法および組成物を使用する治療または予防の影響を受けやすい。これらの疾患および状態の非限定的例のリストは、乳癌、前立腺癌、リンパ腫、皮膚癌、膵臓癌、結腸癌、メラノーマ、悪性黒色腫、卵巣癌、脳腫瘍、原発性脳腫瘍、頭頸部癌、神経膠腫、膠芽細胞腫、肝癌、膀胱癌、非小細胞肺癌、頭部または頸部の癌腫、乳房癌腫、卵巣癌腫、肺癌腫、小細胞肺癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸部癌腫、精巣癌腫、膀胱癌腫, 膵臓癌腫、胃癌腫、結腸癌腫、前立腺癌腫、泌尿生殖器癌腫、甲状腺癌腫、食道癌腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、副腎癌腫、腎細胞癌腫、子宮内膜癌腫、副腎皮質癌腫、悪性膵インスリノーマ、悪性類癌腫、絨毛癌、菌状息肉症、悪性高カルシウム血症、子宮頸部過形成、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性顆粒球性白血病、ヘアリーセル白血病、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、軟組織肉腫、骨原性肉腫、原発性マクログロブリン血症、および網膜芽細胞腫など、T細胞およびB細胞媒介型自己免疫疾患;炎症疾患;感染症;過増殖性疾患;AIDS;変性状態、血管疾患などを含むが、これらに限定されない。一部の態様において、治療される癌細胞は転移性である。別の態様において、本発明のRNaseは、癌幹細胞を標的とする。
【0046】
一部の態様において、本発明は、野生型ヒトRNase1の使用を企図している。野生型ヒトRNase1は、異なる配列の核酸によりコードされ、さらにはグリコシル化され、脂質付加され、共有的および非共有的修飾を含む他の修飾を受けた野生型RNase1のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むが、これらに限定されない、全ての型の酵素を含む。
【0047】
本発明はさらに、野生型ヒトRNase1(例えば配列番号:1)の変種を企図している。置換、欠失、付加(例えば挿入)、修飾(例えばポリエチレングリコール(PEG)のような追加分子の付加)または翻訳後修飾(例えばグリコシル化)などにより、ポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列が改変された、修飾されたペプチドを作出することができる。一部の態様において、挿入は、大きいペプチドセグメント(例えば標的化タンパク質)の挿入である。挿入は、タンパク質へ、例えば認識配列のような追加の機能を組み込ませる(例えばCharacterization of an Adenovirus Vector Containing a Heterologous Peptide Epitope in the HI Loop of the Fiber Knob、J. Virology, 1998, 72, 1844)。加えて挿入は、タンパク質内のある種のアミノ酸を交換することができる。交換されるアミノ酸は、非構造領域またはループ領域を含む、アミノ酸挿入が配置され得る配列と同様の性質であるように選択されてよい(例えばTransplantation of a 17-amino acid a-helical DNA-binding domain into an antibody molecule confers sequence-dependent DNA recognition、PNAS, 1995, 92, 5214)。挿入は、末端の一方または第一の配列長へのいずれかに挿入されるリボヌクレアーゼタンパク質の別のコピーであってもよい。別の態様において、本発明の変種RNase1は、修飾されたアミノ酸を含む。特に好ましい態様において、これらの修飾は、修飾されたヒトRNase1の酵素活性または他の望ましい活性もしくは特性を著しく低下しない。換言すると、それが、機能的に規定された本発明の修飾されたRNase1または変種RNase1属の一員であるかどうかを決定するために、構築体「X」を評価することができる。
【0048】
好ましい変種は、野生型ヒトリボヌクレアーゼ1の活性を少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも15%、少なくとも30%、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも75%、なおより好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは少なくとも99%維持する。一部の態様において、この活性は、酵素(例えばRNAの分解)活性である。別の態様において、活性は、細胞(例えば癌細胞)の死滅である。別の態様において、好ましい変種は、野生型ヒトRNase1と類似の特性を有する。例えば、例として好ましい特性は、タンパク質フォールディングの速度および製造の容易さ、ならびに動物における低い免疫原性もしくは毒性、またはRNase1を投与された動物における体重減少の欠落を含むが、これらに限定されない。一部の態様において、これらの活性または特性のひとつは、あまり所望されないが、別のものは所望であり、その結果全体的に、その酵素は有用である(例えば増大した毒性はより大きい有効性と取り引きされるか、またはその逆が当てはまる)ことは注目される。
【0049】
好ましい態様において、RNase1または変種の発現(例えば組換え発現)は、50mg/Lよりも大きく、好ましくは75mg/Lよりも大きい。RNase1は、任意の好適な発現系で発現されてよい。細菌および真核生物の発現系は、組換えタンパク質の作出に利用可能である。好ましい態様において、タンパク質は、精製を補助し、動物試験、臨床試験、または治療薬製造販売のために大量のタンパク質を得るために、高レベルで発現される。一部の態様において、異種RNase1は、インビボで発現される(例えば、操作されたエクスビボ細胞の移植、遺伝子治療、トランスジェニック動物の作出などにより提供されるトランスフェクションされた核酸構築体を介して)。
【0050】
本発明の好ましいRNase1およびそれらの変種は、動物において腫瘍サイズを縮小する活性を示す。本発明は特定の機構に限定されない。実際に、この機構を理解することは、本発明の実践には不要である。それでもなお、非限定的に、タンパク質の電荷、細孔形成能、血管新生作用、適切な投薬の検討などを含む、いくつかの要因の1つまたは複数がRNase1酵素の活性に寄与していることが企図されている。
【0051】
さらに前述のように、ヒトRNase1の変種型は、本明細書でより詳細に説明するそれらのペプチド分子およびDNA分子と同等であることも企図される。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンとの、アスパラギン酸のグルタミン酸との、トレオニンのセリンとの個別の(isolated)交換、またはアミノ酸の構造的に関連のあるアミノ酸との同様の交換(すなわち保存的変異)は、得られる分子の生物活性に対して大きな作用を有さないことが企図される。従って本発明の一部の態様は、保存的交換を含む本明細書に開示されたヒトRNase1の変種を提供する。保存的交換は、アミノ酸側鎖において関連しているアミノ酸ファミリー内で行われるものである。遺伝的にコードされたアミノ酸は、4つのファミリーに分類することができる:(1)酸性(アスパラギン酸、グルタミン酸);(2)塩基性(リシン、アルギニン、ヒスチジン);(3)非極性(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン);および、(4)非電荷極性(グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン)。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは、時には芳香族アミノ酸としてまとめて分類される。同様の様式で、アミノ酸レパートリーを、(1)酸性(アスパラギン酸、グルタミン酸);(2)塩基性(リシン、アルギニン、ヒスチジン)、(3)脂肪族(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン)、セリンとトレオニンは任意に、脂肪族-ヒドロキシとして別にグループ化される;(4)芳香族(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン);(5)アミド型(アスパラギン、グルタミン);および、(6)含硫(システインおよびメチオニン)に群別することができる(例えば、Stryer編集, Biochemistry, 17-21頁, 第2版, WH Freeman and Co., 1981)。ペプチドのアミノ酸配列の変化が機能性ポリペプチドを生じるかどうかは、変種ペプチドの野生型タンパク質と同様の様式で機能する能力を評価することにより、容易に決定することができる。複数の交換を有するペプチドは、同じ様式で容易に試験することができる。
【0052】
比較的稀ではあるが、変種は、「非保存的」変化(例えばグリシンのトリプトファンとの交換)を含む。同様の小さい変動は、アミノ酸の欠失もしくは挿入、または両方も含む。どのアミノ酸残基が生物活性を損なうことなく置換、挿入または欠失され得るかの決定における指針は、コンピュータプログラムを用いて見出すことができる(FADE(Mitchellら, (2004). Molec. Simul. 30, 97-106);MAPS(Banら, Proceedings of the 8th Annual International Conference on Research in Computational Molecular Biology, 2004, 205-212)、SYBYL(Tripos, Inc, セントルイス, MO);および、PyMOL(sourceforgeのインターネットウェブサイト上で入手可能)を含むが、これらに限定されない)。
【0053】
RNase1の結晶構造は、例えば、Pousらの論文(Acta Crystallogr D Biol Crystallogr. 2001; 57, 498-505)、およびPousらの論文(J Mol Biol. 2000; 303, 49-60)に説明されており、変化の選択の基礎として役立つ。加えて結晶構造は、他のヒト膵臓リボヌクレアーゼについて入手可能であり、これは好酸球由来の神経毒(EDN, RNase2;Swaminathanら, Biochemistry, 2002, 41, 3341-3352;Mosimannら, J. Mol. Biol., 1996, 260, 540-552;Iyerら, J Mol Biol, 2005, 347, 637-655)、好酸球陽イオンタンパク質(ECP, RNase3;Mohanら, Biochemistry 2002; 41, 12100-12106;Boixら, Biochemistry, 1999, 38, 16794-16801;Mallorqui-Fernandezら, J. Mol. Biol, 2000, 300, 1297-1307)、RNase4(Terzyanら, 1999, 285, 205-214)、およびアンギオゲニン(RNase5;Leonidasら, J. Mol. Biol. 1999, 285, 1209-1233;Leonidasら, Protein Sci., 2001, 10, 1669-1676;Papageorgiouら, EMBO J., 1997, 16, 5162-5177;Shapiroら, J. Mol. Biol., 2000, 302, 497-519)を含む。
【0054】
追加のリボヌクレアーゼ遺伝子ファミリーのメンバーのアミノ酸配列が決定されており、これはRNase6(Rosenbergら, Nucleic Acids Research, 1996, 24, 3507-3513)、RNase7(Harderら, J. Biol. Chem., 2002, 277, 46779-46784)、およびRNase8(Zhangら, Nucleic Acids Research, 2002, 30, 1169-1175)を含む。
【0055】
以下により詳細に説明するような、変種のコンビナトリアルライブラリーを作出するための定向進化または他の技術のような方法により、変種を作出してもよい。さらに別の本発明の態様において、本発明のヌクレオチド配列は、非限定的に、遺伝子産物のクローニング、プロセシング、局在化、分泌、および/または発現を修飾する改変を含む、ヒトRNase1コード配列を改変するように操作することができる。例えば変異は、当該技術分野で周知の技術を用いて導入してもよい(例えば、新規制限部位を挿入するため、グリコシル化パターンを改変するため、またはコドン優先を改変するためなどの部位特異的変異誘発)。一部の態様において、変化は、その中で該遺伝子が発現される生物体へのコドン利用を最適化するために、本発明のポリペプチドをコードしている核酸配列内で行うことができる。
【0056】
置換、切断、キメラなどを含むがこれらに限定されない変種の例を、以下に示す。本発明は、これらの特定の変種に限定されない。活性部位および基質結合領域内の変種と活性部位から離れた変種の両方が、本発明の範囲内であることが企図される。変種は、例えば実験データ、コンピュータモデリングを基に、および他のリボヌクレアーゼとの比較による理論的デザインにより選択することができる。活性は、所望の特性を持つ変種を選択するアッセイを用いて試験することができる(例えば、Rainesら, J. Biol. Chem, 273, 34134 (1998);Fisherら, Biochemistry 37:12121 (1998);Guarら, J. Biol. Chem., 276:24978 (2001);Boschら, Biochemistry, 43:2167 (2004);Lin, J. Biol. Chem., 245:6726 (1970);Balら, Eur. J. Biochem., 245:465 (1997);Guarら, Mol. Cell Biochem., 275:95 (2005);Benitoら, Protein Eng., 15:887 (2002);Riboら, Biol. Chem. Hoppe-seyler, 375:357 (1994);DiGaetanoら, Biochem. J, 358:241 (2001);Trautweinら, FEBS Lett., 281:277 (1991);Curranら, Biochemistry 32:2307 (1993);Sorrentinoら, Biochemistry 42:10182 (2003)を参照されたい;これらは全体が参照により本明細書に組み入れられる)。
【0057】
変種の作出における修飾のためのアミノ酸位置の例を、図15に提示する。1つまたは複数の部位を、所望のように修飾することができる。ヒトリボヌクレアーゼのアミノ酸残基は、図5に提示する。本発明は、各アミノ酸の修飾の有用性の順位づけを提供する(((例えば所望の特性(例えば癌細胞死滅活性および/またはリボヌクレオ分解活性など)を含む)例えば機能的リボヌクレアーゼを生じるための)例えば修飾における関心により表される)。これらのアミノ酸は、以下のように図15において表示される:
・低い関心(-)、
・中程度の関心(0)、または
・高い関心(+)。
【0058】
1つまたは複数の修飾部位を使用してよいことは理解されるであろう。好ましくは、選択された部位は、高い関心部位である。しかし、1つまたは複数の中程度の関心部位または低い関心部位を、意図された適用に関して望ましくかつ適切に使用することができる。一部の態様では、ヒトRNaseは、メチオニン(例えば野生型ヒトRNaseの一部ではない)が、該タンパク質の第一のアミノ酸として組み込まれる(例えば該タンパク質を生成するために使用した方法(例えば組換えヒトリボヌクレアーゼ(例えば大腸菌における生成))により)ように作出される(例えばインビトロ、インビボ、またはエクスビボにおいて)ことは注目されるべきである。従って一部の態様において、図15に示すアミノ酸残基の番号付けは、数値1だけずれることがある(例えばメチオニンがこのタンパク質に組み込まれる場合、図15に示されたヒトRNaseのアミノ酸残基番号付けは、1だけずれる(すなわち、メチオニンが位置1に組み込まれたために、図15に示されたアミノ酸の番号付けは、1だけ小さく、例えば残基番号10は、メチオニンの位置1への組み込のために、実際には残基番号11である))。同様に、図15に示された位置は、他の関連するリボヌクレアーゼの対応する番号の位置に適用することもできる。
【0059】
一部の態様において、ヒトリボヌクレアーゼ(例えばhRNase1)における修飾(例えば欠失、変異など)に関して望ましい残基は、リボヌクレアーゼの三次構造および/または安定性の破壊を避けるように選択される。一部の態様において、これらの残基は、タンパク質の表面上にある(例えば残基は一般に、溶媒(例えば水または緩衝液)に露出している)。例えば一部の態様において、修飾される残基の種類は、結晶構造の秩序が乱れたようにみえるアミノ酸、リボヌクレアーゼ阻害因子タンパク質と接触する残基、および三次構造に関与しないアミノ酸(例えばαヘリックスおよびβシート)、構造(例えばαヘリックスおよびβシート)の間のループ領域のアミノ酸、さらにはタンパク質の末端(N-およびC-末端)に向いたアミノ酸を含むが、これらに限定されない。一部の態様において、追加のアミノ酸残基は、N-またはC-末端のいずれかに追加される(例えばRNase類似体を作出するためおよび/または水溶性ポリマーの複合体化のため)。
【0060】
本発明の開発時に実行された実験は、ヒトRNase1の複数の変種の形成を伴った。このような変種は、1本鎖および/または2本鎖RNAの結合部位として説明した残基の変化を含む。これらの変種の酵素活性を以下に提示する。各RNase1変種により示された酵素活性には幅があるにもかかわらず、これらは全て、非小細胞肺癌の異種移植片モデルにおいて活性があった。従って酵素活性に寄与する領域の外側での変化に加え、その領域内も変化されてよい。
【0061】
(表1)

【0062】
G38R/R39D/L86E/N88R/G89D/R91D RNase1およびL86E/N88R/G89D/R91D RNase1は、このモデルにおける腫瘍増殖阻害を示した。結果は、図1および表2に示す。
【0063】
(表2)(%TGI)

【0064】
R4C/G38R/R39D/L86E/N88R/G89D/R91D/V118C RNase1変種は、異種移植片モデルにおいて、腫瘍増殖に影響を及ぼした。結果は、図2および表3に示す。
【0065】
(表3)(%TGI)

【0066】
R4C/K7A/G38R/R39D/L86E/N88R/G89D/R91D/V118C RNase1変種は、野生型RNase1よりも有意に低い酵素活性を有するにもかかわらず、測定可能な腫瘍増殖阻害を示した。結果は、図3および表4に示す。
【0067】
(表4)(%TGI)

【0068】
従って本発明は、本発明の方法および組成物における使用を認めるリボヌクレアーゼの広範なアレイを提供する。実際前述の例は、タンパク質の所望の活性および特性と干渉することが予想される基質および活性部位の変種を提供する。しかし経験的データは、これらの変種は、野生型RNase1の望ましい活性および特性を実質的に維持していることを明らかにした。
【0069】
一部の態様において、RNase1またはそれらの変種は、相補性を用い、標的細胞へ送達される。例えば一部の態様において、RNase1の2種またはそれ以上の断片は、細胞へ個別に送達される。これらの断片は再会合し、機能的酵素を形成する。一部の態様において、2つのタンパク質断片が送達される。別の態様において、RNase1の断片をコードしている核酸を含むベクターが、細胞または生物体に個別に導入される。
【0070】
相補性による送達に好適な断片は、活性に関する断片のスクリーニング(例えば細胞培養アッセイ)で決定することができる。好ましい断片は、迅速に再会合し、機能的酵素を形成するものである。酵素活性は、本明細書に開示されたものを含むが、これらに限定されない、任意の好適な方法を用いて決定することができる。
【0071】
一部の態様において、本発明は、S-ペプチドおよびS-タンパク質を生成するために、RNaseの消化を利用する(例えば、Hamachiら, Bioorg Med Chem Lett 9, 1215-1218 (1999);GoldbergおよびBaldwin, Proc Natl Acad Sci, 96, 2019-2024 (1999);Asaiら, J Immun Meth, 299, 63-76 (2005);Backerら, J Cont Release, 89, 499-511 (2003);Backerら, Bioconj Chem, 15, 1021-1029 (2004)を参照のこと)。例えばスブチリシンによるウシRNaseAの消化は、Ala20とSer21の間の切断のために、2種の断片を主に生じる。短い断片(アミノ酸1-20)はS-ペプチドと称されるのに対し、長い断片(アミノ酸20-124)はS-タンパク質と称される。これらの2種の断片は、中性pHで密に結合し、時にはRNaseSまたはRNaseS'と称されることがある。RNaseSは、活性リボヌクレアーゼである。このS-ペプチド-S-タンパク質相互作用は、アフィニティ精製に加え、造影剤または薬物を標的化するための三次元ドッキングシステムにおいて使用される。従って一部の態様において、本発明は、ヒトリボヌクレアーゼのS-ペプチド-S-タンパク質を提供する。
【0072】
一部の態様では、本発明は、複数のヒトRNase(例えばhRNase1)を含む組成物を提供する。一部の態様において、複数のRNaseは、hRNaseのモノマー、ダイマー、トリマー、および/またはより高次の複合体(すなわちオリゴマー)を含む。
【0073】
併用療法
一部の好ましい態様において、本発明のRNase1またはRNase1変種は、他の医学的介入と、同時または逐次のいずれかで共投与される。例えば癌療法に関して、癌療法において日常的に使用される任意の腫瘍崩壊剤は、本発明の組成物および方法と共投与されてよい。例えば米国食品医薬品局(FDA)は、米国での使用に関して承認された腫瘍崩壊剤の処方を維持している。米国FDAの国際的対等機関は、同様の処方を支持している。表5は、米国で使用が承認された例示的抗新生物薬のリストを提供する。当業者は、米国で承認された全ての化学療法薬に求められる「製品ラベル」が、その例示的薬剤に関する承認された適応症、投薬情報、毒性データなどを記すことを理解するであろう。場合によっては、本発明の組成物との共投与は、そのような化合物の投与量を低下することを可能にし、これにより毒性が軽減されることが企図される。
【0074】
(表5)








【0075】
別の態様において、本発明のRNase1組成物は、細胞に対し毒性がある変種ヒトRNaseタンパク質(例えば、全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第11/105,041号を参照)と組み合わせて使用される。
【0076】
現在依然として発展している癌療法のアプローチは、悪性腫瘍を標的化する癌細胞特異的試薬の使用に関するが、本発明のタンパク質は、試薬を標的化することなく使用することができる。これらの毒性試薬は、毒性のペイロードを、細胞特異的送達ベクターに結合することにより作製することができる。過去数年間にわたり、細胞表面受容体の抗体、抗体断片、およびリガンドを含む多種多様な腫瘍特異性の標的化タンパク質が、開発されかつ臨床試験されている。これらの標的化分子は、患者へ特異的に送達するための小型分子薬物、酵素、放射性同位元素、タンパク質毒素、および他の毒素など、治療的毒素のいくつかのクラスと複合体化されている。これらの努力により癌治療に有意義に進出しているが、より効果的な毒素を開発すること、より強固かつ特異的送達システムを作出すること、ならびにヒトにおける有害な免疫反応を回避する治療用タンパク質およびタンパク質ベクターをデザインすることの前には、大きな課題がある。
【0077】
リボヌクレアーゼ(RNase)タンパク質は、腫瘍細胞について若干の選択性を有するので、これらはヒト治療薬として試験されており、ラナ・ピピエン(Rana pipiens)早期胚のRNaseについて、最も明確に明らかにされている。ラナ・ピピエンはヒョウガエル種であり、その胚性RNaseは、より高度に保存されたウシおよびヒトの膵臓リボヌクレアーゼにわずかに関連している。 哺乳類細胞において、RNaseAのような膵臓型リボヌクレアーゼは、RNAのリボヌクレオチドへの分解を触媒する分泌酵素であり、それらの活性は、偏在性細胞質ゾルタンパク質であるリボヌクレアーゼ阻害因子(RI)への結合により阻害される。本発明は特定の機構に限定されない。実際、この機構の理解は、本発明の実践には不要である。しかしながら、リボヌクレアーゼ阻害因子は、膵臓型RNaseに例外的に密に結合し、それらの活性を低下し、これによりそれらを正常細胞または癌細胞に対し無毒とすることが企図されている。RNase活性が阻害された場合、細胞RNAは損傷を受けず、その細胞は生存し続ける。正常細胞において、リボヌクレアーゼ活性は、厳密に制御されているが、リボヌクレアーゼ活性が制御されない場合、リボヌクレオ分解活性は、細胞RNAを破壊し、その細胞を死滅させる。リボヌクレアーゼのリボヌクレアーゼ阻害タンパク質への結合を減らすためには、2つの主要なアプローチが存在する。第一のアプローチは、ヒトに対し進化的に異なり、ヒトリボヌクレアーゼ阻害タンパク質により阻害されない、リボヌクレアーゼを選択することである。カエル(ラナ・ピピエン)リボヌクレアーゼは、ヒト細胞内に配置された場合、これはRIにより強力に阻害されず、かつそのRNase活性は、細胞RNAを破壊しかつ標的細胞を死滅させる。これは、ラナピピナーゼ(Ranpirnase)と称される、特異的ラナ・ピピエンRNaseによるアプローチである。ラナピピナーゼは、この医用薬剤の一般名であり、これは米国特許第5,559,212号に開示されかつ特許請求されており、これは登録商標名ONCONASEにより現在公知である。
【0078】
第二のアプローチは、哺乳類のリボヌクレアーゼを変異し、これらのヒトリボヌクレアーゼ阻害因子への結合を弱めることである。これらの変異された酵素は、RIへの結合の破壊により、癌細胞内で高レベルのリボヌクレオ分解活性を提供する。この無調節の活性は、特に癌細胞にとって致命的である。この変異アプローチは、哺乳類のタンパク質ウシRNaseAおよびヒトRNase1で明らかになっており、それらの開示の全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,389,537号および第6,280,991号に開示されている。驚くべきことに、本発明は、野生型ヒトリボヌクレアーゼ1および同等の変種は、癌細胞の死滅能を有することを明らかにしている。
【0079】
癌療法に関する理想的タンパク質候補は、非癌性細胞と比べ、腫瘍細胞に対しより毒性があり、特定の腫瘍を標的化することができる。この候補は、ほとんど副作用がなく、有害なヒト免疫反応を刺激しない。ヒトにおいて有害な免疫反応を誘起する治療用タンパク質は、問題となることが多く、時には受け入れ難いことがある。本発明の開発過程において実施された実験は、ヒトRNase1が、マウス異種移植片において著しい抗腫瘍活性を示すにもかかわらず、最小の毒性を示すことを明らかにした。従って一部の態様において、本発明は、癌細胞の死滅または毒性RNAの分解において使用するための、単独でのまたは他の治療的物質と組み合わせた、RNase1タンパク質を提供する。
【0080】
本発明のある好ましい態様を以下に示す。本発明はヒトRNase1タンパク質について説明しているが、本発明は、ヒト起源のRNase1の使用に限定されない。本発明は、任意の生物体および操作されたタンパク質由来のRNase1ホモログの使用を企図している。
【0081】
遺伝子治療
一部の態様において、RNase1またはそれらの変種は、RNaseをコードしている核酸として提供される。遺伝情報を保持している分子の細胞への導入は、非限定的に、裸のDNA構築体の有向の注入、該構築体が負荷された金粒子による衝撃、ならびに例えばリポソーム、バイオポリマーなどを使用する高分子媒介型遺伝子導入を含む、様々な方法のいずれかにより実現される。好ましい方法は、アデノウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルスおよびアデノ随伴ウイルスを含むが、これらに限定されないウイルス由来の遺伝子送達ビヒクルを使用する。アデノウイルス由来のベクターは、レトロウイルスと比べより高い有効性であるので、これはインビボにおいて核酸分子を宿主細胞へ導入するための好ましい遺伝子送達ビヒクルである。アデノウイルスベクターは、動物モデルにおける様々な固形腫瘍へおよび免疫欠損マウスにおけるヒト固形腫瘍異種移植片へ、非常に効率的なインビボ遺伝子導入を提供することが示されている。アデノウイルスベクターおよび遺伝子導入法の例は、PCT公報WO 00/12738およびWO 00/09675、ならびに米国特許第6,033,908号、第6,019,978号、第6,001,557号、第5,994,132号、第5,994,128号、第5,994,106号、第5,981,225号、第5,885,808号、第5,872,154号、第5,830,730号、および第5,824,544号に開示されており、これらの各々はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0082】
ベクターは、様々な様式で対象へ投与されてよい。例えば本発明の一部の態様において、ベクターは直接注入を用い、腫瘍へまたは腫瘍を伴う組織へ投与される。別の態様において、投与は、血液またはリンパ循環を介する(例えば、全体が参照により本明細書に組み入れられるPCT公報99/02685を参照)。アデノウイルスベクターの投与量レベルの例は、好ましくは潅流液に添加されたベクター粒子108〜1011個である。
【0083】
治療用抗体および細胞毒素の送達
抗体は、免疫系の白血球(Bリンパ球)により産生された糖タンパク質分子であり、それらの機能は、生物体に対し有害な物質を認識しかつ結合することである。一旦抗原が抗体によりマークされたならば、これは免疫系の他の成分により破壊される。典型的な生物体は、数百万種の異なる抗体を産生し、各々は外来抗原上の特異的エピトープ(または抗原決定基)に結合するようにデザインされている。抗体は天然には、特異性(多様な有害な分子を絶妙に識別する能力)および親和性(それらの標的上に密に固定する能力)を、抗体および補体媒介性細胞溶解および抗体依存性細胞媒介型細胞傷害(ADCC)などの免疫系のエフェクター機能を動員する能力と組み合わせている。抗体に関連している多くの新規の治療的アプローチは、疾患を治療または治癒するための天然の抗体機能の強化において成功している。
【0084】
あるいは抗体に結合された「毒性ペイロード」(放射性元素または毒素など)は、病的標的へ正確に送達することができる。下記表は、リンパ腫および白血病のための毒性ペイロードを保持する3種の抗体複合体を含む、一部の癌治療用抗体の機構を列記する(Drug Discovery Today, Vol. 8, No. 11 June 2003)。これらの複合体の中の2種ZEVALINおよびBEXXARは、放射性ヨウ素を毒素として保持し、第三のMylotargは、細菌発酵から単離される細胞毒性抗腫瘍性抗生物質カリケアマイシン(calicheaminin)を保持する。MYLOTARG抗体は、急性骨髄性白血病(AML)患者の80%よりも多くで認められる白血病性芽球の表面に発現されるCD33抗原へ特異的に結合する。この複合体内の抗体は、ヒト起源のそのアミノ酸配列の約98.3%を有する。
【0085】
(表6)


【0086】
これらの製品において使用される任意の標的化抗体または薬剤も、本発明の組成物および方法において使用されてよい。
【0087】
一般に、毒素を標的化する最も特異的な方法は、腫瘍細胞に特異的な表面抗原を認識するようにデザインされているモノクローナル抗体または抗体断片の使用である。正常な細胞は表面抗原を欠いているので、これらは、毒素複合体により標的化も死滅もされない。抗体全体は2つのドメインを有する:抗体にその親和性および結合特異性を与える可変ドメイン、ならびに宿主生物における免疫反応を刺激するために免疫系の他の部分と相互作用する定常ドメイン。可変ドメインは、抗体の標的に結合する相補性決定領域(CDR)と、CDRを抗体の残りの部分に係留しかつCDRの形状の維持を補助するフレームワーク領域とで構成される。各抗体の6種のCDRは、異なる抗体間で長さおよび配列が異なり、抗体のそれらの標的マーカーへの特異性(認識)および親和性(結合)に主に寄与する。
【0088】
抗体の機能は、それらの特徴的三次元構造に反映され、これは最終的にアミノ酸の一次配列と、それらのアミノ酸がどのように機能的三次元タンパク質鎖にフォールディングされるかとにより決定される。治療的モノクローナル抗体の開発工程は、抗癌性能に関する生化学的機能と細胞機能を同時に最適化し、かつ抗-抗体ヒト免疫反応を最小化するためにそのタンパク質を可能な限りヒト様に依然維持することである。
【0089】
モノクローナル抗体は、当初マウスにおいて作出されたが、それらがヒトでの治療的用途で使用される場合、これらは厄介な障害を示す。マウス抗体は、ヒト免疫系により異物と認識され、その結果これらはヒト抗-マウス抗体またはHAMA反応を誘発する。HAMA反応は、マウスモノクローナルの有効性を改変し、かつレシピエントにおいて重症の有害症状を引き起こし得る。さらにマウス抗体は単純に、悪性細胞を破壊するためのヒト免疫系の媒介において、ヒト抗体と同じように有効ではない。これらの理由のために、依然最適な生化学的、免疫学的、および治療的性能を維持しながら、できる限りヒト様であるモノクローナル抗体をデザインすることが望ましいことが多い。
【0090】
治療的抗体が、ヒト宿主において免疫反応を誘導するかどうかに影響を及ぼすいくつかの要因が存在する。これらは、ピノサイトーシス、受容体-媒介型エンドサイトーシス、またはファゴサイトーシスを介したAPC(抗原提示細胞)による取り込み効率を含む。取り込み効率は、次に投与経路、タンパク質の溶解度(または凝集)、その受容体結合特異性、ならびにそのタンパク質が主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスII分子、T細胞受容体(TCR)、およびB細胞受容体(BCR)により認識されるかどうかにより、影響を受ける。ヒト免疫反応を回避する最も直接的方法のひとつは、可能な限りヒト様である治療的タンパク質の配列および構造を作製することである。
【0091】
治療薬として単独で、または毒素の担体として使用されるかのいずれかの、ヒトのまたはヒト化された治療的モノクローナル抗体を作出する2つの主要なアプローチが上がっている。これらは、(1)マウスまたは他の非ヒト抗体を「ヒト化」し、それらがヒト免疫系と適合するようにすること、および(2)トランスジェニックマウス内で、または実験室における遺伝子操作法を用いることにより、完全なヒト抗体を作出することを含む。これらのプロセスは、いくつかのモノクローナル抗体のカテゴリーを生じた。これらは、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、およびヒト抗体を含む。以下にこれらを簡単に説明する。
【0092】
1.マウスおよびラット由来のマウスモノクローナル抗体:
1975年のKohlerとMilsteinの最初の技術は、ハイブリドーマ技法を用い、マウスモノクローナル抗体を提供した。これらは、治療的に使用されている。1986年に、臓器拒絶反応を避けるために免疫系が抑制された移植患者に関して、マウスモノクローナルの使用が最初に承認された。齧歯類の抗体は、強力なヒト抗-マウス抗体(HAMA)免疫反応を誘発する傾向があり、このことは同じ患者での反復適用に関するそれらの有用性を制限する。
【0093】
2.キメラ抗体:
これらは、機能的マウス抗体の可変領域全体がヒト定常領域に連結された変異された抗体である。これらの抗体は、補体を活性化しかつ免疫細胞を動員するような、定常領域(Fc領域)からのヒトエフェクター機能を有する。これらのキメラ抗体は、マウス定常領域により引き起こされる免疫原性(HAMA)も低下する。
【0094】
3.ヒト化された/CDR移入された/再構成された抗体:
これらの抗体は、マウス抗体可変領域由来の相補性決定領域のみが、ヒト可変領域由来のフレームワーク領域と組み合わせられるので、キメラ抗体よりもよりヒト様である。これらの抗体はキメラ抗体よりもよりヒト様であるので、これらは、反復(recurring)治療量でヒトへ投与される場合に、免疫原性がより低いようにデザインすることができると予想される。マウス抗体のヒト化を導くため、または配列のランダムシャッフリングとそれに続くスクリーニングのために、コンピュータモデリングソフトウェアを使用し、マウス抗体への結合親和性および特異性のほとんどまたは全てを保持するが、>90%ヒトである抗体をデザインすることが可能である。
【0095】
4.免疫ドナー由来のヒト抗体:
一部の抗体は、B細胞のエプスタイン・バー・ウイルス形質転換の使用、またはPCRクローニングおよびファージディスプレイによるかのいずれかで、免疫ヒトドナーからレスキューされる。定義により、これらの抗体は完全にヒト起源である。
【0096】
5.ファージライブラリー由来の完全ヒト抗体:
合成ヒト抗体V領域のランダム化された組み合わせを使用する合成ファージライブラリーが作製される。これらのライブラリーを標的抗原に対してパニングすることにより、これらのいわゆる「完全ヒト抗体」は、まさしくヒトであるが、おそらく天然の抗体よりもより多様であると推定される。
【0097】
6.トランスジェニックマウス由来の完全ヒト抗体:
機能的ヒト免疫グロブリン生殖細胞系列遺伝子配列を有するトランスジェニックマウスが作出される。これらのトランスジェニックマウスは、免疫化された場合に、ヒト様抗体を産生する。
【0098】
典型的には、方法4、5、および6により産生されたヒト抗体が最も望ましく、その理由は、これらがヒト患者における免疫反応を刺激するマウスまたは他の「外来」タンパク質配列を含まない出発抗体を産生することである。可変領域の三次元構造を改変することが多く、これにより抗体の結合および特異性が変化するヒトフレームワークへマウスCDR領域を置換するという課題は、このアプローチ(4、5、および6)により避けることもできる。このアプローチ(4、5、6)は、抗-CD3抗体をうまく作出する。マウス型(version)は、試験した全ての患者において単回投与後、中和抗体を誘起したが、ヒト化型は、反復注射後患者のわずか25%において免疫原性であった。
【0099】
ヒト免疫反応を避けるために一次配列において可能な限りヒト様のモノクローナル抗体の作出に加え、免疫原性が低くかつより治療的に有効な抗体を作出するいくつかのその他のアプローチが利用可能である。ひとつのアプローチは、ポリエチレングリコール(PEG)などの試薬により抗体表面を共有的に修飾し、その抗原性を抑制しかつその溶解度を向上することである。これらの生化学的修飾は、毒性の低下、生物学的利用能の増大、および有効性の改善などのいくつかの他の利益も有することができる。別のアプローチは、定常領域のようなマウス抗体の潜在的に抗原性の部分を除去した抗体断片を使用することである。このアプローチは典型的には、抗体定常領域内の調節成分が治療的有効性に必要でない場合にのみ働く。これらのアプローチはいずれも、完全に満足できることは証明されておらず、このことは前述の「理想的」抗体候補を作出するためにヒト化の努力を後押ししている。
【0100】
抗体送達ベクターに加え、ペプチド、ポリマー、デンドリマー、リポソーム、高分子ナノ粒子、およびブロックコポリマーミセルを含むいくつかのその他の特異的および非特異的ベクターを使用し、毒性分子を癌細胞へ送達することができる。例えば黄体ホルモン放出ホルモンに結合するペプチドは、小型分子毒素のカンプトテシンを、卵巣癌細胞へ標的化するために使用されている(Journal of Controlled Release, 2003, 91, 61-73)。
【0101】
RNase1のようなリボヌクレアーゼは、ヒト細胞において、特に癌細胞に対し、有効な毒素である。各々その全体が参照により本明細書に組み入れられる下記の参考文献は、標的化タンパク質(タンパク質および抗体を含む)へのリボヌクレアーゼの化学的複合体をいくつか説明している:Newtonら, (2001), Blood, 97(2): 528-35;Hurseyら, (2002) Leuk Lymphoma, 43(5): 953-9;Rybakら, (1991) Journal of Biological Chemistry 266(31): 21202-7;Newtonら, (1992) Journal of Biological Chemistry 267(27): 19572-8;JinnoおよびUeda, (1996) Cancer Chemother Pharmacol 38: 303-308;Yamamuraら, (2002) Eur J Surg 168: 49-54;Jinnoら, (1996) Life Sci 58: 1901-1908;Suzukiら, (1999) Nature Biotechnology 17(3): 265-70;Rybakら, (1992), Cell Biophys 21(1-3): 121-38;Jinnoら, (2002) Anticancer Res. 22: 4141-4146。
【0102】
ヒトリボヌクレアーゼ1に関してこれまで認められた最も低い副作用のために、リボヌクレアーゼそれ自身は、罹患細胞、例えば癌細胞への薬物の標的化に使用することができる。
【0103】
特に本発明の一部の態様は、先に広範に説明した配列を1つまたは複数含む組換え構築体を提供する。一部の本発明の態様において、これらの構築体は、そこにRNase1配列がフォワード方向またはリバース方向で挿入されたプラスミドまたはウイルスベクターなどのベクターを含む。さらに別の態様において、異種構造配列は、翻訳開始配列および終結配列を伴う好適な相で構築される。好ましい本発明の態様において、好適なDNA配列は、様々な手順のいずれかを用い、ベクターへ挿入される。一般にDNA配列は、当該技術分野において公知の手法により、好適な制限エンドヌクレアーゼ部位へ挿入される。
【0104】
多数の好適なベクターが、当業者に公知であり、かつ市販されている。このようなベクターは、以下のベクターを含むが、これらに限定されない:(1)細菌 − pQE70、pQE60、pQE-9(Qiagen)、pet22b、pet26b、pet30b(Novagen)、pBS、pD10、phagescript、psiX174、pbluescriptSK、pBSKS、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A(Stratagene);ptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5(Pharmacia)、および(2)真核生物 − pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、PXT1、pSG(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL(Pharmacia)。任意の他のプラスミドまたはベクターが、宿主内で複製可能でありかつ生存可能である限りは、それらを使用することができる。一部の好ましい本発明の態様において、哺乳類の発現ベクターは、複製起点、好適なプロモーターおよびエンハンサー、ならびに任意に必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライシングドナーおよびアクセプター部位、転写終結配列、ならびに5'フランキング非転写配列を含む。別の態様において、SV40スプライス由来のDNA配列およびポリアデニル化部位を使用し、必要な非転写遺伝子エレメントを提供してもよい。
【0105】
本発明のある態様において、発現ベクター内のDNA配列は、好適な発現制御配列(プロモーター)に機能的に連結され、mRNA合成を指示する。本発明において有用なプロモーターは、LTRまたはSV40プロモーター、大腸菌lacまたはtrp、λファージPLおよびPR、T3およびT7プロモーター、ならびにサイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ、およびマウスメタロチオネイン-Iプロモーター、ならびに原核細胞または真核細胞またはそれらのウイルスにおいて遺伝子発現を制御することが公知の他のプロモーターを含むが、これらに限定されない。他の本発明の態様において、組換え発現ベクターは、複製起点および宿主細胞の形質転換を可能にする選択マーカー(例えば真核細胞培養物のためのジヒドロ葉酸還元酵素もしくはネオマイシン耐性、または大腸菌におけるテトラサイクリン、カナマイシン、もしくはアンピシリン耐性)を含む。
【0106】
本発明の一部の態様において、本発明のポリペプチドをコードしているDNAの比較的高等な真核生物による転写は、ベクターへのエンハンサー配列の挿入により増強される。エンハンサーは、DNAのシス活性化エレメントであり、通常約10〜300bpであり、プロモーターにその転写を増強するように作用する。本発明において有用なエンハンサーは、bp 100〜270の複製起点の後期側のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーを含むが、これらに限定されない。
【0107】
別の態様において、発現ベクターは、翻訳開始および転写終結のためのリボソーム結合部位も含む。さらに別の本発明の態様において、ベクターは発現を増幅するのに好適な配列も含む。
【0108】
更なる態様において、本発明は、前述の構築体を含む宿主細胞を提供する。一部の本発明の態様において、宿主細胞は比較的高等の真核生物の細胞(例えば哺乳類または昆虫の細胞)である。別の本発明の態様において、宿主細胞は、比較的低級の真核生物の細胞(例えば酵母細胞)である。さらに別の本発明の態様において、宿主細胞は、原核生物の細胞(例えば細菌細胞)であることができる。宿主細胞の具体例は、大腸菌(Escherichia coli)、サルモネラ菌(Salmonella typhimurium)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ならびにシュードモナス(Pseudomonas)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、およびブドウ球菌(Staphylococcus)属の様々な種、さらにはサッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomycees cerivisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomycees pombe)、ショウジョウバエ(Drosophila)S2細胞、ヨトウガ(Spodoptera)Sf9細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、サル腎臓線維芽細胞のCOS-7細胞株(Gluzman, Cell 23:175 [1981])、C127、3T3、293、293T、HeLa、およびBHK細胞株を含むが、これらに限定されない。
【0109】
宿主細胞における構築体は、組換え配列によりコードされた遺伝子産物を作出するために、通常の方法で使用することができる。一部の態様において、この構築体の宿主細胞への導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介型トランスフェクション、形質転換、または電気穿孔法により実現することができる(例えば、Davisら, Basic Methods in Molecular Biology, [1986]を参照のこと)。あるいは本発明の一部の態様において、本発明のポリペプチドは、通常のペプチド合成装置による合成により作出することができる。
【0110】
タンパク質は、好適なプロモーターの制御下で、哺乳類細胞、酵母、細菌、または他の細胞内で発現することができる。本発明のDNA構築体由来のRNAを使用するそのようなタンパク質の作出のために、無細胞翻訳システムも使用することができる。原核細胞および真核細胞宿主で使用するための好適なクローニングベクターおよび発現ベクターは、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版, コールドスプリングハーバー, N.Y.,(1989)に説明されている。
【0111】
本発明の一部の態様において、好適な宿主株の形質転換および宿主株の好適な細胞密度への増殖の後、選択されたプロモーターは、好適な手段により誘導され(例えば温度シフトまたは化学的誘導)、細胞は、追加の期間培養される。本発明の別の態様において、細胞は典型的には、遠心分離により収集され、物理的または化学的手段により破壊され、得られた粗抽出物は更なる精製のために保持される。本発明のさらに別の態様において、タンパク質の発現に使用された微生物細胞は、凍結解凍サイクル、音波処理、機械的破壊、または細胞溶解剤の使用を含む任意の通常の手段により、破壊することができる。
【0112】
本発明のポリペプチドを、化学的に合成してもよい(Gutte, B.およびMerrifield, R.B. The synthesis of ribonuclease A. J. Biol. Chem. 1971, 2461, 1722-1741)。
【0113】
薬学的組成物
本発明はさらに、薬学的組成物(例えば前述の細胞死滅組成物を含む)を提供する。本発明の薬学的組成物は、局所的または全身的治療のいずれが望ましいかに応じて、ならびに治療される面積に応じて、多くの方法で投与されてよい。投与は、外用(眼科的送達ならびに膣および直腸への送達を含む粘膜への送達を含む)、経肺(例えばネブライザーによるものを含む、粉末またはエアロゾルの吸入または吹送;気管支内、鼻腔内、皮下、および経皮)、経口または非経口であってよい。非経口的投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内もしくは筋肉内への注射もしくは注入;または、頭蓋内、例えば髄腔内もしくは脳室内投与を含む。
【0114】
外用投与のための薬学的組成物および製剤は、経皮貼付剤、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、滴下剤、坐剤、スプレー剤、液剤および散剤を含んでよい。通常の薬学的担体、水溶液、粉末または油性基剤、増粘剤などが、必要であるかまたは望ましいことがある。
【0115】
経口投与のための組成物および製剤は、散剤または顆粒剤、水または非水性媒体中の懸濁剤または液剤、カプセル剤、サシェ剤または錠剤を含む。増粘剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤、または結合剤が望ましい場合もある。
【0116】
非経口、髄腔内、または脳室内投与のための組成物および製剤は、緩衝剤、希釈剤、ならびに非限定的に浸透増強剤、担体化合物、および他の薬学的に許容し得る担体もしくは賦形剤などの他の好適な添加剤も含み得る滅菌水溶液を含んでよい。
【0117】
本発明の薬学的組成物は、液剤、乳剤、およびリポソーム含有製剤を含むが、これらに限定されない。これらの組成物は、非限定的に、予め形成された液剤、自己乳化する固形物および自己乳化する半固形物を含む様々な成分から作製されてよい。
【0118】
本発明の薬学的製剤は、好都合に単位剤形で提示されるが、これらは製薬業界において周知の通常の技術に従い調製されてよい。このような技術は、有効成分を薬学的担体または賦形剤と会合させる工程を含む。一般にこれらの製剤は、有効成分を液体担体または微粉化された固形担体またはそれら両方と均一かつ緊密に会合させ、その後必要ならば製品に成形することにより調製される。
【0119】
本発明の組成物を、非限定的に、錠剤、カプセル剤、液体シロップ剤、軟ゲル剤、坐剤、および浣腸剤のような、多くの可能性のある剤形へ製剤化してもよい。本発明の組成物は、水性媒体、非水性媒体、または混合媒体中の懸濁剤として製剤化してもよい。水性懸濁剤はさらに、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランを含む、懸濁剤の粘度を増大する物質を含有してよい。懸濁剤は、安定剤も含んでよい。
【0120】
本発明のひとつの態様において、薬学的組成物を、泡剤として製剤化して使用してよい。薬学的泡剤は、非限定的に、エマルジョン、マイクロエマルジョン、クリーム、ゼリー、およびリポソームなどの製剤を含む。これらの製剤は、事実上基本的に類似しているが、最終製品の成分および稠度は一様ではない。
【0121】
好ましい投与法は、静脈内またはIP注射である。これは代替として、治療される腫瘍への注射を使用することが可能である。一部の態様では、追加の期間(例えば数日間から数ヶ月間まで)のアジュバント療法として、投与が継続される。
【0122】
本発明の組成物は、薬学的組成物において通常認められる他の補助成分を追加的に含有してもよい。従って例えばこの組成物は、追加的に、相溶性のある薬学的活性のある物質、例えば止痒薬、収斂剤、局所麻酔薬もしくは抗炎症薬などを含有してよいか、または本発明の組成物の様々な剤型を物理的に製剤化する際に有用な追加の物質、例えば色素、香味剤、保存剤、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤および安定剤などを含有してよい。しかしそのような物質が添加される場合、これらは、本発明の組成物の成分の生物学的活性と過度に干渉してはならない。これらの製剤は、滅菌することができ、所望の場合、製剤の薬学的活性物質と有害に相互作用しない助剤、例えば滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼす塩、緩衝剤、着色剤、香料および/または芳香物質などと混合することができる。
【0123】
投薬は、治療される病態の重症度および反応性に依存し、治療過程は数日間から数ヶ月間、または治癒が実現されるかもしくは病態の減少が達成されるまで継続される。最適投薬スケジュールは、患者の体内の薬物蓄積の測定から算出することができる。投与する医師は、適量、投薬法、および反復回数を容易に決定することができる。適量は、個々の薬学的組成物の相対的効能に応じて変動可能であり、かつインビトロおよびインビボ動物モデルで有効性が一般に認められるかまたは本明細書で説明する実施例を基にしたEC50を基に概算することができる。一般に用量は、0.01μg〜100g/kg体重、例えば0.1〜1000mg/kg体重、好ましくは0.1〜500mg/kg体重、さらにより好ましくは0.1〜200mg/kg体重で、1〜240分間の期間(例えば2〜60分間、好ましくは15〜45分間)である。用量は、所望の作用(例えば腫瘍サイズまたは癌細胞数の低下)を得るために、必要な限り頻繁に投与され、例えば1日1回以上から、1週または1ヶ月に1回以上までである。一部の態様において、本組成物は、毎週、0.1〜10mg(例えば1mg)の投与量を、5〜60分間(例えば30分間)かけて投与される。主治医は、体液または組織中の薬物の測定された滞留時間および濃度を基に、投薬の反復回数を容易に決定することができる。治療が成功した後、病態の再発を防ぐために、1日1回以上から20年毎に1回までの維持療法を対象が受けることが望ましい場合もある。一部の好ましい態様において、望ましい治療作用を実現するための用量は、1日、1週、または1ヶ月に1回、0.25〜1000mg/kgである。一部の好ましい態様において、望ましい治療作用を実現するための用量は、1日、1週、または1ヶ月に1回、50mcg/m2〜400mcg/m2である。同じく薬物は時には、薬物の量(重量)とは対照的に、一投薬当たりの活性単位で投与される。
【0124】
実施例
下記実施例は、本発明のある好ましい態様および局面を例示するものであり、本発明の範囲を限定するものとして構成されるものではない。
【0125】
実施例1
酵素活性アッセイ
野生型ヒトRNase1の酵素活性は、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を基にした蛍光アッセイを用い決定した。アッセイの基質5'FAM-ArUAA-3'TAMRA(IDT)は、切断されるまで蛍光を発しない。
【0126】
典型的アッセイにおいて、緩衝液(100mM NaCl, 100mM トリス, pH7.0, 100μg/mL BSAの160μL)を、96-ウェル非結合表面の黒色ポリスチレン製プレートのウェルに添加した。RNase(典型的には約2×10-10M溶液を10μL)も添加した。次に基質(5'FAM-ArUAA-3'TAMRAの1.33μモル溶液を30μL)を、各ウェルに添加し、試料を混合した。直ちにプレートを、蛍光プレートリーダーで読みとった。
【0127】
対照ウェルは、F0(酵素ナシ)およびFmax(典型的には200μLアッセイにつきRNaseA 0.1mg/mL溶液を10μL)を決定した。本実施例において、野生型ヒトRNase1は、kcat/KM=2.65×107M-1sec-1を有した。これらの結果を図4に示す。
【0128】
実施例2
BALB/cマウスにおける薬物動態決定
16匹のCD-1マウス(5週齢、Harlan)に、野生型ヒトRNase1を75mg/kg体重で注射した。血液を、以下の各時点で、3匹のマウスから採取した:0.5、1.0、1.5、2、4、6、8、24、36、48時間。これらの動物は、採血のために循環させ、採血時点の間は可能な限り時間を空けた。血液は、4℃で数時間凝固させ、微量遠心機において最高速度で10分間回転した。その後血清を収集し、-20℃で貯蔵した。
【0129】
各時点の血清試料をプールし、血清を希釈した(1:10,000)。先の実施例において説明した酵素活性アッセイを使用し、試料を分析した。各時点に関する直線の勾配をプロットし、図5に示している。
【0130】
実施例3
腫瘍増殖阻害のインビボ決定
非小細胞肺癌細胞株(A549)由来の細胞を、9個のT175フラスコ内でF12K培地および10%ウシ胎仔血清において、細胞が集密になるまで増殖した。4.5×106細胞(100μL中)を、4〜5週齢の雄ホモ接合型(nu/nu)ヌードマウス(Harlan, マジソン WI)の右後方側腹に注射した。腫瘍を、平均サイズ75mm3まで成長させ、その後治療を開始した。程よいサイズの腫瘍を有する各腫瘍型の動物を、治療群に分け、ひとつの動物のセットは、毎週ビヒクル(リン酸緩衝食塩水, PBS)で処置した。ビヒクルおよび被験物質は全て、腹腔内注射により投与した。各動物は、処置期間中週2回秤量した。腫瘍は、キャリパーを用い、毎週2回測定した。腫瘍容積(mm3)を、楕円球に関する式を用い、決定した。

【0131】
結果を、図6および表7に示した。野生型ヒトRNase1の有効性を、シスプラチンに対して示した。RNase1は、75mg/kg動物体重で週1回投与した(75mg/kg 1×wk)のに対し、シスプラチンは6mg/kgで週1回使用した。値nは、実験の特定の治療アームの動物数を表している。
【0132】
(表7)

【0133】
腫瘍増殖阻害率(%TGI)は、下記により算出した。

【0134】
実施例4
腫瘍増殖阻害のインビボ決定
本異種移植片モデルは、ヒト前立腺癌細胞株(DU145)を使用したこと以外は、先の実施例におけるように設定した。野生型ヒトRNase1の有効性は、ドセタキセルに対して示した。RNase1は、75mg/kg動物体重で週1回投与した(75mg/kg 1×wk)のに対し、ドセタキセルは8mg/kgで週1回使用した。値nは、実験の特定の治療アームの動物数を表している。結果を、図7および表8に示した。
【0135】
(表8)

【0136】
臨床化学および総血球数プラス血小板数
臨床化学および総血球数(CBC)プラス血小板数を、先の前立腺異種移植片モデルの最終治療後24時間に、マウスから採取した全血試料および血清試料について調べた。全ての試験において、野生型ヒトRNase1およびドセタキセルに関する結果は、ビヒクル処置した動物と有意差がないことを決定した(マン-ホイットニーU検定)。クレアチニンも試験し、差がないことがわかった。全ての処置群における肝臓酵素γグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)およびアラニンアミノ基転移酵素(ALT)のレベルは類似していた(GGTデータは示さず)。結果は図8に示している。値は、臨床化学(A., B.)、総血球数(C., D.)、および血小板数(F.)に関する前立腺(DU 145)異種移植片試験の様々な治療群について決定した。略号:TCO2、炭酸水素イオン(HCO3-)数;アニオンギャップ、[Na+K]-[Cl+HCO3];ALT、アラニンアミノ基転移酵素;WBC、白血球数;RBC、赤血球数;HGB、ヘモグロビン;RBC HGB, (CHCM×RBC×MCV)/1000);MCH、平均赤血球ヘモグロビン量;MCHC、平均赤血球ヘモグロビン濃度;RDW、赤血球容積分布幅;MPV、平均血小板容積;HCT、ヘマトクリット値;MCV、平均赤血球容積。
【0137】
実施例5
腫瘍増殖阻害のインビボ決定
本実施例の異種移植片モデルは、ヒト膵臓癌細胞株(BxPC-3)を使用したこと以外は、先の実施例におけるように設定した。野生型ヒトRNase1の有効性は、ゲムサイト(gemcite)に対して示した。RNase1は、15mg/kg動物体重で週5回投与した(15mg/kg qd×5)のに対し、ゲムサイトは60mg/kgで週2回使用した。値nは、実験の特定の治療アームの動物数を表している。結果を、図9および表9に示した。
【0138】
(表9)

【0139】
実施例6
腫瘍増殖阻害のインビボ決定
本実施例の異種移植片モデルは、ヒト非小細胞肺癌細胞株(A549)を使用したこと以外は、先の実施例におけるように設定した。野生型ヒトRNase1の有効性は、タルセバに対して示した。RNase1は、75mg/kg動物体重(75mg/kg 1×wk)または150mg/kg 1×wkで投与した。タルセバは、投与量50mg/kgを週2回経口投与した。値nは、実験の特定の治療アームの動物数を表している。結果を、図10および表10に示した。
【0140】
(表10)

【0141】
実施例7
腫瘍増殖阻害のインビボ決定
本実施例の異種移植片モデルは、ヒト膵臓癌細胞株(BxPC-3)を使用したこと以外は、先の実施例におけるように設定した。野生型ヒトRNase1の有効性を示した。RNase1は、3種の異なる投与量で投与した:(1)30mg/kg動物体重、週1回(30mg/kg 1×wk)、(2)75mg/kg 1×wk、または(3)150mg/kg 1×wk。値nは、実験の特定の治療アームの動物数を表している。結果を、図11および表11に示した。
【0142】
(表11)

【0143】
実施例8
腫瘍増殖阻害のインビボ決定
本実施例の異種移植片モデルは、ヒト前立腺癌細胞株(DU145)を使用したこと以外は、先の実施例におけるように設定した。野生型ヒトRNase1の有効性を示した。RNase1は、75mg/kg動物体重を週1回投与した(75mg/kg 1×wk)。値nは、実験の特定の治療アームの動物数を表している。結果を、図12および表12に示した。
【0144】
(表12)

【0145】
実施例9
腫瘍増殖阻害のインビボ決定
本実施例の異種移植片モデルは、先の実施例におけるように設定した。野生型ヒトRNase1の有効性を示した。RNase1は、3種の異なる投与量で投与した:(1)15mg/kg動物体重、週1回(15mg/kg 1×wk)、(2)75mg/kg 1×wk、または(3)300mg/kg 1×wk。値nは、実験の特定の治療アームの動物数を表している。結果を、図13および表13に示した。
【0146】
(表13)

【0147】
実施例10
腫瘍増殖阻害のインビボ決定
本実施例の異種移植片モデルは、ヒト乳癌細胞株(MDA-MB-231)および雌のマウスを使用したこと以外は、先の実施例におけるように設定した。野生型ヒトRNase1の有効性は、ドキソルビシンに対して示した。RNase1は、75mg/kg動物体重で週1回(75mg/kg 1×wk)投与したのに対し、ドキソルビシンは、3mg/kgを週1回投与した。値nは、実験の特定の治療アームの動物数を表している。結果を、図14および表14に示した。
【0148】
(表14)

【0149】
本明細書において言及された全ての刊行物および特許は、明確にその中に記されるように、参照により本明細書に組み入れられる。本発明の範囲および精神を逸脱しない、本発明の説明した方法およびシステムの様々な修飾および改変は、当業者には明らかであろう。本発明は特定の好ましい態様に関連して説明しているが、請求される本発明は、そのような特定の態様に過度に限定されないことは理解されるべきである。実際関連分野の業者に明らかである本発明を実行するために説明した様式の様々な修飾が、下記特許請求の範囲内であることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野生型ヒトリボヌクレアーゼ(ヒトRNase)を含有する、薬学的組成物。
【請求項2】
抗癌活性を有する変種ヒトリボヌクレアーゼを含有する、薬学的組成物。
【請求項3】
前記リボヌクレアーゼが、ヒトリボヌクレアーゼ1である、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
前記リボヌクレアーゼが、ヒトリボヌクレアーゼ2、3、4、5、6、7および8からなる群より選択される、請求項1または2記載の組成物。
【請求項5】
前記リボヌクレアーゼが、抗癌有効性に対して正に影響する変種配列を有する、請求項2記載の組成物。
【請求項6】
前記正の影響が、増強された薬物動態を含む、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記正の影響が、リボヌクレアーゼ阻害因子への結合の減少を含む、請求項5記載の組成物。
【請求項8】
前記正の影響が、拡大された基質特異性を含む、請求項5記載の組成物。
【請求項9】
前記リボヌクレアーゼが、野生型リボヌクレアーゼと比べ、少なくとも2つのアミノ酸位置に変種配列を有する、請求項2記載の組成物。
【請求項10】
公知の治療的物質をさらに含む、請求項1または2記載の組成物。
【請求項11】
前記公知の治療的物質が、化学療法薬を含む、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
前記公知の治療的物質が、放射線療法を提供する装置を含む、請求項10記載の組成物。
【請求項13】
細胞を、請求項1記載の組成物へ曝露する工程を含む、細胞を治療する方法。
【請求項14】
前記細胞が、インビトロに存在する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記細胞が、インビボに存在する、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記細胞が、癌細胞である、請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記細胞が、癌幹細胞である、請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記細胞が、癌を有することが疑われる対象に存在する、請求項13記載の方法。
【請求項19】
公知の治療的物質を該細胞に提供する工程をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項20】
前記治療的物質が、化学療法薬および放射線からなる群より選択される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
細胞が癌性腫瘍を有する対象内にあり、かつその腫瘍サイズが縮小される、請求項13記載の方法。
【請求項22】
細胞が癌性腫瘍を有する対象内にあり、かつその腫瘍増殖速度が阻害される、請求項13記載の方法。
【請求項23】
RNAを含有する試料を、請求項1記載の組成物へ曝露する工程を含む、RNAを分解する方法。
【請求項24】
前記RNAが、インビトロに存在する、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記RNAが、インビボに存在する、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記RNAが、ウイルス起源である、請求項23記載の方法。
【請求項27】
前記ウイルスRNAが、感染していることが疑われる対象に存在する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記リボヌクレアーゼが、多量体RNase融合物内に含まれる、請求項13または23記載の方法。
【請求項29】
前記融合物が、一緒にオリゴマー形成された2種またはそれよりも多いリボヌクレアーゼを含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記リボヌクレアーゼが、薬物に複合体化されている、請求項13または23記載の方法。
【請求項31】
対象の細胞内で異種野生型または変種ヒトリボヌクレアーゼ(ヒトRNase)を発現する工程を含む、対象を治療する方法。
【請求項32】
前記リボヌクレアーゼが、RNase断片の相補性により形成される、請求項1記載の組成物。
【請求項33】
前記リボヌクレアーゼが、RNase断片の相補性により形成される、請求項2記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図15−3】
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【図15−4】
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【図15−5】
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【図15−6】
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【図15−7】
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【図15−8】
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【公表番号】特表2009−543868(P2009−543868A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520793(P2009−520793)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/016141
【国際公開番号】WO2008/010991
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(506344848)クインテセンス バイオサイエンシーズ インコーポレーティッド (3)
【Fターム(参考)】