説明

癌治療のための植物性薬品抽出物の組成物

【課題】癌治療のための植物性薬品抽出物の組成物の提供。
【解決手段】癌の予防および治療のための方法および組成物が、提供されている。治療有効量のGanoderma lucidumの抽出物、Saliva multiorrhizaの抽出物、およびScutellaria barbataの抽出物のうちの2つ以上、ならびに必要に応じて治療有効量のHippophae rhamnoidesの抽出物を含有する組成物が、提供されている。組み合わせ治療におけるこれらの化合物の使用の新規の相乗効果が、開示されている。治療有効量の少なくとも1つの化学療法因子をさらに含有する実施形態がまた、提供されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明者)
James DAO、Tom C.S.DAO、David D.TONG、Leslie WILSON、Mary Ann JORDAN、およびWilliam GERWICK。
【0002】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、米国仮出願第60/501,456号(2003年9月8日出願)の優先権の利益を主張し、この仮出願の全体の内容が、本明細書において参考として援用される。
【0003】
(発明の技術分野)
本発明は、概して、疾患状態を回復するための植物性薬品抽出物を使用する分野に関連する。より具体的には、本発明は、癌を含む疾患状態の予防および治療における使用のための植物性薬品抽出物の方法および組成物を提供する。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
いずれの個体も、癌を発生する危険性がある。癌の発生率は、生涯にわたって加齢と共に増加する(「生涯にわたる危険」)。例えば、米国において、男性は、生涯で2人に1人の癌を発生する危険性を有し、そして女性は、3人に1人の危険性を有する。他の危険因子は、遺伝、食事、および環境への露出(例えば、突然変異誘発性化学物質、放射線、形質転換ウイルスなどに対する)を含むと考えられる。世界保健機関によって、約1,000万件の新規の癌症例が、現在毎年世界中で発生していると推定されている。この数値は、2015年までに1,500万件に達し、これらの新規の症例の3分の2は発展途上国で発生すると予想されている(非特許文献1)。例えば、1年あたり世界中で約600,000件の新規の肺癌の症例が存在し、1年あたり乳癌の新規の症例は100万件に近付き、そして頭頸部癌(世界中で6番目に頻繁に発生している癌)に関しては、年間500,000件の新規の症例の発生率が、推定されている。合衆国国立癌研究所は、癌に対する総合的な年間経費は1,070億ドルかかると推定する。処置費は、約400億ドルを占めている。
【0005】
いくつかの化学療法因子(アルキル化因子、代謝拮抗物質アンタゴニスト、抗癌抗生物質、および植物由来抗癌因子が挙げられる)は、癌の処置に使用されている。「アルキル化因子」の例としては、ナイトロジェンマスタード、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、クロラムブチル、シクロホスファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、インプロスルファントシラート、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ミトブロニトール、メルファラン、ダカルバジン、ラニムスチン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、トリエチレンメラミン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ピポブロマン、エトグルシド、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、アンバムスチン、塩酸ジブロスピジウム、ホテムスチン、プレドニムスチン、プミテパ、リボムスチン(ribomustin)、テモゾロマイド、トレオスルファン、トロホスファミド(trophosphamide)、ジノスタチンスチマラマー、カルボコン、アドゼレシン、システムスチン(cystemustine)、およびビゼレシンが挙げられる。「代謝拮抗物質」の例としては、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシド、チオイノシン、メトトレキサート、エノシタビン、シタラビン、シタラビンオクフォスフェート(ocfosfate)、塩酸アンシタビン、5−FU薬物(例えば、フルオロウラシル、テガフル、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、ガロシタビン(gallocitabine)、エミッテフル(emmitefur))、アミノプテリン、ロイコボリンカルシウム、タブロイド、ブトシン(butocine)、ホリニン酸カルシウム、レボホリニン酸カルシウム、クラドリビン、エミテフル、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、ピリトレキシム、イドクスウリジン、ミトグアゾン、チアゾフリン、およびアンバムスチンなどが挙げられる。「抗癌抗生物質」の例としては、アクチノマイシン−D、アクチノマイシン−C、マイトマイシン−C、クロモマイシン−A3、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸ぺプロマイシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシン、ネオカルジノスタチン、ミトラマイシン、サルコマイシン、カルジノフィリン、ミトーテン、塩酸ゾルビシン、塩酸ミトキサントロン、および塩酸イダルビシンなどが挙げられる。「植物由来抗癌因子」の例としては、エトポシドリン酸、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、テニポシド、パクリタキセル、ドセタキセル、およびビノレルビンなどが挙げられる。
【0006】
新しい療法が開発され、そして腫瘍に対する効能に関して試験されているのに対して、多くの現在利用可能な癌処置は、比較的非効果的である。化学療法は、4%の処置された患者のみに永続的な応答をもたらし、そして実質的にさらなる3%のみの進行した癌を有する患者の寿命を延ばすと報告されている(非特許文献2)。多くの現在の抗癌薬物は、費用が極端に高く、そして大きな毒性を伴って存在する。後者に関して、そして薬物または使用される薬物の組み合わせに依存して、全身の化学療法は、1つ以上の毒性(血液学上の毒性、脈管の毒性、神経性の毒性、胃腸性の毒性、腎性の毒性、肺の毒性、耳科学上の毒性、および致死の毒性が挙げられる)をもたらし得る。例えば、タモキシフェンは、乳癌の再発を制限するために、25年間女性に使用されてきた。1992年に行われた試行は、タモキシフェンが、治療因子として有効であるだけでなく、癌予防(乳癌予防因子)に関しても非常に実質的な利点を有することを示した。しかし、この研究において、タモキシフェンの使用は、健康な女性には有害な効果;すなわち、子宮癌または肺血餅を発生する危険性の増加を有することが示された(非特許文献3)。
【0007】
植物は、癌を処置するための、新規の、天然由来因子の発見および開発のための価値ある供給源である。癌治療において現在使用されている薬物は、微小管短縮(脱重合)または微小管伸長(重合)を乱すように設計されていた(非特許文献4)。中心体(細胞の主要微小管形成中心(MTOC))は、いわゆる中心小体周辺物質(PCM)によって取り囲まれる2つの中心小体からなり、このPCMは、複合体の薄いフィラメントネットワークおよび2組の付属体からなる(非特許文献5)。中心体の主な機能は、微小管の核形成および双極紡錘体の形成である(非特許文献6)。中心体およびその結合微小管は、有糸分裂の間の事象を導き、そして動物細胞構造の組織化および間期の間の移動を制御する。悪性の腫瘍は、概して、正常な組織の中心体と比較して、中心体の大きさおよび数の増加によって、その不規則な分布、異常な構造、異常なタンパク質リン酸化によって、ならびに増加した微小管核形成能力によって特徴付けられた、異常な中心体プロフィールを表す(非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12、非特許文献13、非特許文献14)。これらの異常性の中で、中心体過剰増幅は、種々の腫瘍型においてより高頻度であることが見出されている(非特許文献10、非特許文献15、非特許文献11、非特許文献16)。
【0008】
癌治療に現在使用される種々の薬物(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、およびビノレルビン)は、微小管重合を乱すように設計されていた(概説に関して、非特許文献17を参照のこと)。これらは、チューブリンに結合する作用の共通の機構を共有し、微小管は、このチューブリンの分子からなる(非特許文献4、非特許文献18)。少なくとも6つの植物由来抗癌因子が、FDAの承認を受けている(例えば、タキソール、ビンブラスチン、ビンクリスチン、トポテカン、エトポシド、テニポシド)。他の因子は、臨床試行において評価されている(例えば、カンプトテシン、9AC、およびイリノテカン)。
【0009】
タキソール(元来太平洋イチイ(Taxus brevifolia)の樹皮から単離されたジテルペノイド)は、チューブリン集合体を安定的な凝集構造へと促進することによって作用する強力な抗有糸分裂因子である(非特許文献19、非特許文献20の概説を参照のこと)。タキソールは、抗癌化合物として多大な可能性を示してきた。実際に、それは現在、難治の卵巣癌の処置のために使用され、そして臨床試行が、乳癌、肺癌、頭部癌、および頸部癌の処置を奨励している(非特許文献21、非特許文献22、非特許文献23)。
【0010】
ビンカ(Vinca)アルカノイド(天然の生成物ビンクリスチンおよびビンブラスチンならびに半合成誘導体ビンデシンおよびビノレルビンが挙げられる)は、癌処置に広く使用されている抗有糸分裂治療薬である(非特許文献24)。第二世代のビンカアルカノイド(ビノレルビンおよびビンフルニン(vinflunine))は、ビンブラスチンとは違って、微小管力学に影響し、このビンブラスチンは、インビトロでの微小管短縮の速度および程度を強く抑制する、第一世代ビンカアルカノイドであり、他方で、ビノレルビンおよびビンフルニンは、微小管増殖事象の速度および程度を抑制する(非特許文献25)。
【0011】
喫煙者および元喫煙者の肺の前癌細胞の量を減少する能力に関して調査されている化学予防因子としては、ACAPHA(何世紀にもわたって中国において疾患予防のために使用されていた6つの植物性薬品の組み合わせ(Sophora tonkinensis、Polygonum bistorta、Prunella vulgaris、Sonchus brachyotus、Dictamnus dasycarpusおよびDioscorea bulbifera)が挙げられる。合衆国国立癌研究所の助成金の下、British Columbia Cancer Agency(Canada)が、ACAPHAのII相臨床試行を実行することに関して国際コンソーシアムを先導している。
【0012】
癌(20%の公知の型の癌(いくつかの乳癌および脳癌を含む))は、細胞のいくつかの重要なシグナル経路(例えば、増殖制御経路)に関係する。同じ経路はまた、自己免疫応答シグナル経路において重要な役割を果たし、それゆえこの経路のインヒビターは、免疫抑制および抗炎症治療薬としての潜在的な使用を有している。薬物化合物を特定の天然に存在するタンパク質と組み合わせることは、改善した薬剤(特に、免疫抑制治療薬、抗炎症治療薬および抗癌治療薬)を生成する代替的な方法として示されている(非特許文献26)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】World Health 1995年、48:22
【非特許文献2】Smithら、J.Natl.Cancer Inst.1993年、85:1460−1474
【非特許文献3】Science News、1998年、153:228
【非特許文献4】Compton,D.A.ら、Science 1999年、286:913−914
【非特許文献5】Paintrand,M.J Struct Biol 1992年、108:107−128
【非特許文献6】Tanaka,T.ら、Cancer Res 1999年、58(17):3974−85
【非特許文献7】Lingle,W.L.ら、Proc Natl Acad Sci USA、1998年、95(6):2950−5
【非特許文献8】Sato.N.ら、Clin Cancer Res 1999年、5(5):963−70
【非特許文献9】Pihan,G.A.ら、Cancer Res 1998年、58(17):3974−85
【非特許文献10】Carroll,P.E.ら、Oncogene 1999年、18(11):1935−44
【非特許文献11】Xu,X.ら、Mol Cell 1999年、3(3):389−95;
【非特許文献12】Brinkley,B.R.ら、Cell Motil Cytoskeleton 1998年、41(4):281−8;
【非特許文献13】Doxsey,S.Nat Genet 1998年、20(2):104−6
【非特許文献14】Kuo,K.K.ら、Hepatology 2000年、31(1):59−64
【非特許文献15】Hinchcliffe,E.H.ら、Science 1999年、283(5403):851−4
【非特許文献16】Weber,R.G.ら、Cytogenet Cell Genet 1998年、83:266−269
【非特許文献17】Jordan MAおよびWilson L.,Microtubules as a target for anticancer drugs.Nature Reviews Cancer 2004年、4:253−265
【非特許文献18】Wilson,L.ら、Cell Struct.& Function 1999年、24:329−335
【非特許文献19】Kingston,D.G.I.Trends Biotechnol.1994年、12,222;
【非特許文献20】Schiff,P.B.、Fant,J.、Horwitz,S.B.、Nature、1979年、277、665
【非特許文献21】Rowinsky,E.K.;Cazenave,L.A.;Donehower,R.C.J.Nat.Cancer Inst.1990年、82,1247
【非特許文献22】McGuire,W.P.;Rowinsky,E.K.;Rosenshein,N.B.;Grumbine,F.C.;Ettinger,D.S.;Armstrong,D.K.;Donehower,R.C.Ann.Int.Med.1989年、11、273;
【非特許文献23】Forastiere,A.A.,Semin.Oncol.1993年、補遺3.20,56
【非特許文献24】Hellman SおよびRosenberg SA(編)、Cancer:Principles and Practice of Oncology.De Vita VT,JB Lippincott,Philadelphia.、1993年、409〜417頁中の、Donehower RCおよびRowinsky EK,Anticancer drugs derived from plants
【非特許文献25】Ngan V.K.ら、Mol Pharmacol.、2001年、60(1):225−232
【非特許文献26】Briesewitz R,Ray GT,Wandless TJ,Crabtree GR.,Affinity modulation of small−molecule ligands by borrowing endogenous protein surfaces.Proc Natl Acad Sci U S A.1999年3月 2;96(5):1953−1958
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
腫瘍を予防し、そして腫瘍の増殖を阻害し、これらによってさらに一般に全身性化学療法に関連する毒性を回復するための、比較的に費用効果的なかつ効率的な方法に対する必要性が存在する。Gynostemma pentaphyllum抽出物、Camellia sinensis(緑茶)およびCrataegus pinnatifida(ホーリーンベリー)を含有する抗癌組成物ならびにこれらを製造する方法が、米国特許第5,910,308号および同第6,168,795号(DJang)の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
本発明は、植物性薬品抽出物を含む、新規の組成物、抽出物および化合物、ならびにこれらの製造および調製のための方法を提供する。疾患状態(癌を含む)の予防および治療におけるこのような化合物の使用もまた、この組成物の調製および処方のための方法ならびに本発明の組成物を使用する処置のための方法として提供される。
【0016】
上記組成物は、治療有効量のGanoderma lucidumの抽出物、Salvia miltiorrhizaの抽出物、およびScutellaria barbataの抽出物のうちの2つ以上、ならびに必要に応じて治療有効量のHippophae
rhamnoidesの抽出物を含有する。これらの個々の植物性薬品の健康に有益な効果に関する報告が存在するが、併用治療におけるこれらの使用の相乗効果は、本発明に開示されるように、新規なものである。いくつかの実施形態は、さらに、治療有効量の少なくとも1つの化学療法因子を含む。
【0017】
本発明は、癌処置における使用のための組成物ならびに疾患状態の予防および治療におけるこれらの調製、処方、および投与のための方法に関連する。
【0018】
本発明の組成物は、以下の1つ以上の特性を表すことによって、既存の癌細胞のさらなる増殖を阻害における使用のための細胞増殖抑制性の効果を示す、天然の化合物を含有する:(i)免疫系の増強(boosting)、(ii)細胞および組織に対する酸化性の損傷の減少、(iii)炎症の減少、(iv)細胞周期の特定の段階における細胞増殖の抑止、(v)抗酸化活性、ならびに(vi)発癌物質および突然変異原へのさらなる露出に対する抗突然変異誘発効果。
【0019】
本発明の組成物は、化学療法因子、放射線処置および手術と共に投与される細胞傷害性組成物において有用である天然の化合物を含有する。いくつかの実施形態において、被験体は、放射線処置、化学療法または手術の前に、本発明の組成物を投与される。他の実施形態において、この組成物は、他の抗癌治療と同時に投与される。これらの組成物は、既に述べられた特性の(i)免疫系の増強、(ii)細胞および組織に対する酸化性の損傷の減少、(iii)炎症の減少、(iv)細胞周期のある段階における細胞増殖の抑制、(v)抗酸化活性、ならびに(vi)発癌物質および突然変異原へのさらなる露出に対する抗突然変異誘発効果、に加えて、(a)化学療法との相乗作用(化学療法因子に対する感受性の増加)、(b)放射線治療および手術との相乗作用(放射線または手術により見逃された既存の癌細胞の増殖を阻害することによる効果の増加)のうちの1つ以上の特性を示す。抗突然変異誘発特性は(相乗作用による感受性の増加と共に)、処置に必要な化学療法因子のレベルを減少し、従って、患者に対する毒性の減少をもたらす。本発明の組成物は、化学療法因子(アルキル化因子、代謝拮抗物質アンタゴニスト、抗癌抗生物質、および植物由来抗癌因子が挙げられる)と共に有用である。
【0020】
「アルキル化因子」の例としては、ナイトロジェンマスタード、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、クロラムブチル、シクロホスファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、インプロスルファントシラート、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ミトブロニトール、メルファラン、ダカルバジン、ラニムスチン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、トリエチレンメラミン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ピポブロマン、エトグルシド、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、アンバムスチン、塩酸ジブロスピジウム、ホテムスチン、プレドニムスチン、プミテパ、リボムスチン、テモゾロマイド、トレオスルファン、トロホスファミド、ジノスタチンスチマラマー、カルボコン、アドゼレシン、システムスチン、およびビゼレシンが挙げられる。
【0021】
「代謝拮抗物質」の例としては、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシド、チオイノシン、メトトレキサート、エノシタビン、シタラビン、シタラビンオクフォスフェート、塩酸アンシタビン、5−FU薬物(例えば、フルオロウラシル、テガフル、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、ガロシタビン、エミッテフル)、アミノプテリン、ロイコボリンカルシウム、タブロイド、ブトシン、ホリニン酸カルシウム、レボホリニン酸カルシウム、クラドリビン、エミテフル、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、ピリトレキシム、イドクスウリジン、ミトグアゾン、チアゾフリン、およびアンバムスチンなどが挙げられる。
【0022】
「抗癌抗生物質」の例としては、アクチノマイシン−D、アクチノマイシン−C、マイトマイシン−C、クロモマイシン−A3、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸ぺプロマイシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシン、ネオカルジノスタチン、ミトラマイシン、サルコマイシン、カルジノフィリン、ミトーテン、塩酸ゾルビシン、塩酸ミトキサントロン、および塩酸イダルビシンなどが挙げられる。
【0023】
「植物由来抗癌因子」の例としては、エトポシドリン酸、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、テニポシド、パクリタキセル、ドセタキセル、およびビノレルビンなどが挙げられる。
【0024】
本発明の細胞傷害性組成物はまた、免疫療法因子(ピシバニール、クレスチン、シゾフィラン、レンチナン、ウベニメクス、インターフェロン、インターロイキン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン、リンホトキシン、BCGワクチン、Corynebacterium parvum、レバミソール、多糖類K、およびプロコダゾールが挙げられる)と共に使用され得る。
【0025】
本発明のいくつかの化合物は、個々に投与された場合、健康上の利益であることを示すことが公知であるが、本発明は、特定の組み合わせで投与された場合の組成物の特性を示す、天然の化合物の新規の組み合わせに関連する。概して、本発明の特定の組成物は、組み合わせで投与された場合のこの組成物の効能の相乗的増大を示す。
【0026】
本発明ならびに本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の発明の詳細な説明ならびに添付の図面および実施形態においてさらに明らかになる。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
抗癌治療の方法であって、該方法は:
癌を発生する危険性のある個体に、Ganoderma lucidumの抽出物、Salvia miltiorrhizaの抽出物、およびScutellaria barbataの抽出物のうちの2つ以上を含有する組成物を予防治療有効量投与する工程を包含し、ここで、各抽出物は、約10重量%〜約50重量%含有する、方法。
(項目2)
前記抽出物が、熱水抽出物である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記抽出物が、有機抽出物である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記抽出物が、酢酸エチル抽出物である、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記抽出物が、抗炎症、免疫増強、TNF−αを放出するためのリンパ球の誘発、および細胞増殖の促進からなる群より選択される少なくとも1つの特性を示す、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記抗炎症活性が、COX−1よりもCOX−2を選択的に阻害する、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記癌が、肺癌である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記癌が、子宮頸癌である、項目1に記載の方法。
(項目9)
さらに、Camellia sinensis(緑茶)の抽出物を含有する、項目1に記載の方法。
(項目10)
抗癌治療の方法であって、該方法は、癌の初期段階の個体に:
(a)Ganoderma lucidumの抽出物、Salvia miltiorrhizaの抽出物、およびScutellaria barbataの抽出物のうちの2つ以上を含有する治療有効量の組成物であって、ここで、各抽出物は、約10重量%〜約50重量%含有する、組成物;および
(b)治療有効量の少なくとも1つの化学療法因子
を投与する工程を包含する、方法。
(項目11)
前記抽出物が、熱水抽出物である、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記抽出物が、有機抽出物である、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記抽出物が、酢酸エチル抽出物である、項目10に記載の方法。
(項目14)
前記抽出物が、抗炎症、免疫増強、TNF−αを放出するためのリンパ球の誘発、および細胞増殖の促進からなる群より選択される少なくとも1種の特性を示す、項目10に記載の方法。
(項目15)
前記抗炎症活性が、COX−1よりもCOX−2を選択的に阻害する、項目14に記載の方法。
(項目16)
さらに前記個体に放射線治療、化学療法、手術、免疫療法、光ダイナミック療法、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上の治療有効量の抗癌処置を処置する工程を包含する、項目10に記載の方法。
(項目17)
前記癌が、肺癌、小細胞肺癌、および非小細胞肺癌からなる群より選択される、項目10に記載の方法。
(項目18)
前記癌が、子宮頸癌である、項目10に記載の方法。
(項目19)
前記癌が、前立腺癌である、項目10に記載の方法。
(項目20)
前記化学療法因子が、ゲムシタビンおよびメトトレキサートからなる群より選択される、項目10に記載の方法。
(項目21)
前記化学療法因子が、微小管重合を乱す、項目10に記載の方法。
(項目22)
前記化学療法因子が、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、およびビノレルビンからなる群より選択される、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記化学療法因子は、シクロホスファミド、4−ヒドロペルオキシシクロホスファミド、チオテパ、タキソール、ドキソルビシン、ダウノルビシンおよびネオカルジノスタチンからなる群より選択される、項目10に記載の方法。
(項目24)
さらに、Camellia sinensis(緑茶)の抽出物を含む、項目10に記載の方法。
(項目25)
抗癌治療の方法であって、該方法は、癌の初期段階の個体に:
(a)Ganoderma lucidumの抽出物、Salvia miltiorrhizaの抽出物、およびScutellaria barbataの抽出物のうちの2つ以上を含有する治療有効量の組成物であって、各抽出物は、該組成物の約10重量%〜約50重量%を含有する、組成物;
(b)治療有効量の少なくとも1つの化学療法因子;および
(c)治療有効量のHippophae rhamnoidesの抽出物
を投与する工程を包含する、方法。
(項目26)
前記抽出物が、熱水抽出物である、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記抽出物が、酢酸エチル抽出物である、項目25に記載の方法。
(項目28)
前記抽出物が、有機抽出物である、項目25に記載の方法。
(項目29)
前記抽出物が、抗炎症、免疫増強、TNF−αを放出するためのリンパ球の誘発、および細胞増殖の促進からなる群より選択される少なくとも1つの特性を示す、項目25に記載の方法。
(項目30)
前記抗炎症活性が、COX−1よりもCOX−2を選択的に阻害する、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記Hippophae rhamnoidesの抽出物が、熱水抽出物である、項目25に記載の方法。
(項目32)
さらに前記個体に放射線治療、化学療法、手術、免疫療法、光ダイナミック療法、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上の治療有効量の抗癌処置を処置する工程を包含する、項目25に記載の方法。
(項目33)
前記癌が、肺癌である、項目25に記載の方法。
(項目34)
前記癌が、子宮頸癌である、項目25に記載の方法。
(項目35)
前記癌が、前立腺癌である、項目25に記載の方法。
(項目36)
前記化学療法因子が、ゲムシタビンおよびメトトレキサートからなる群より選択される、項目25に記載の方法。
(項目37)
前記化学療法因子が、微小管重合を乱す、項目25に記載の方法。
(項目38)
前記化学療法因子が、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、およびビノレルビンからなる群より選択される、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記化学療法因子が、シクロホスファミド、4−ヒドロペルオキシシクロホスファミド、チオテパ、タキソール、ドキソルビシン、ダウノルビシンおよびネオカルジノスタインからなる群より選択される、項目25に記載の方法。
(項目40)
さらに、Camellia sinensis(緑茶)の抽出物を含む、項目25に記載の方法。
(項目41)
抗癌組成物であって、該組成物は、Ganoderma lucidumの抽出物、Salvia miltiorrhizaの抽出物、およびScutellaria barbataの抽出物のうちの2つ以上を含有し、各抽出物は、治療有効量を含有する、組成物。
(項目42)
前記抽出物が、抗炎症、免疫増強、TNF−αを放出するためのリンパ球の誘発、および細胞増殖の促進からなる群より選択される少なくとも1つの特性を示す、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記抗炎症活性が、COX−1よりもCOX−2を選択的に阻害する、項目42に記載の方法。
(項目44)
さらに、治療有効量の少なくとも1つの化学療法因子を含有する、項目41に記載の組成物。
(項目45)
さらに、治療有効量の少なくとも1つの化学療法因子および治療有効量のHippophae rhamnoidesの抽出物を含有する、項目41に記載の組成物。
(項目46)
前記化学療法因子が、微小管重合を乱す、項目41に記載の組成物。
(項目47)
前記化学療法因子が、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、およびビノレルビンからなる群より選択される、項目41に記載の組成物。
(項目48)
前記化学療法因子が、ゲムシタビンおよびメトトレキサートからなる群より選択される、項目41に記載の組成物。
(項目49)
前記化学療法因子が、シクロホスファミド、4−ヒドロペルオキシシクロホスファミド、チオテパ、タキソール、ドキソルビシン、ダウノルビシンおよびネオカルジノスタチンからなる群より選択される、項目41に記載の組成物。
(項目50)
各抽出物が、およそ等量で使用される、項目41に記載の組成物。
(項目51)
各抽出物が、熱水抽出物である、項目50に記載の組成物。
(項目52)
各抽出物が、有機抽出物である、項目50に記載の組成物。
(項目53)
各抽出物は、酢酸エチル抽出物である、項目52に記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1A】図1は、植物性薬品抽出物の抽出綱領を示す。
【図1B】図1は、植物性薬品抽出物の抽出綱領を示す。
【図1C】図1は、植物性薬品抽出物の抽出綱領を示す。
【図1D】図1は、植物性薬品抽出物の抽出綱領を示す。
【図1E】図1は、植物性薬品抽出物の抽出綱領を示す。
【図1F】図1は、植物性薬品抽出物の抽出綱領を示す。
【図1G】図1は、植物性薬品抽出物の抽出綱領を示す。
【図1H】図1は、植物性薬品抽出物の抽出綱領を示す。
【図2】図2は、Ganoderma lucidum(番号9)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14)ならびに化学療法治療薬を含有する組成物(AneustatTM)による細胞増殖の阻害についての組み合わせ指数(CI)値を示す。
【図3A】図3A〜3Cは、異なる植物性薬品(Ganoderma lucidum(番号9)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14))による細胞増殖の阻害についての効力の要旨を提供する。
【図3B】図3A〜3Cは、異なる植物性薬品(Ganoderma lucidum(番号9)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14))による細胞増殖の阻害についての効力の要旨を提供する。
【図3C】図3A〜3Cは、異なる植物性薬品(Ganoderma lucidum(番号9)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14))による細胞増殖の阻害についての効力の要旨を提供する。
【図4】図4は、個々の植物性薬品(Ganoderma lucidum(番号9)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14))ならびにこれらの組み合わせの、酢酸エチル抽出物(上のパネル)および塩化メチレン抽出物(下のパネル)によるCOX−2酵素活性の阻害についての組み合わせ指数(CI)値を示す。
【図5】図5は、個々の植物性薬品(Ganoderma lucidum(番号9)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14))ならびにこれらの組み合わせの、酢酸エチル抽出物によるCOX−1およびCOX−2の酵素活性の阻害についての組み合わせ指数(CI)値を示す。
【図6】図6は、個々の植物性薬品(Ganoderma lucidum(番号9)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14))ならびにこれらの組み合わせの、酢酸エチル抽出物(番号0401)による、COX−2の阻害をCOX−1の阻害で割った効力の割合を示す。
【図7】図7は、個々の植物性薬品(Ganoderma lucidum(番号9)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14))ならびにこれらの組み合わせの、酢酸エチル抽出物(番号0401)による、COX−2およびCOX−1の阻害についての効力を示す。
【図8】図8は、Ganoderma lucidum(番号8)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14)の、異なる濃度の抽出物で処理された単球(マクロファージ前駆体)、ならびにELIZA免疫学的検定法によって測定されたTNF−αの放出を示す。
【図9】図9は、Ganoderma lucidum(番号8)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14)によって誘発されたリンパ球の増殖を示す。
【図10】図10は、1つのプレートあたり20μgのGanoderma lucidum(番号8)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14)の抽出物に対して実行されたエイムス試験を示す。
【図11】図11は、SCIDマウスの体重に対するAneustatの効果を示す。
【図12】図12は、Aneustatで処置されたA549細胞株についての生存曲線を示す。
【図13】図13は、SCLC異種移植片の成長に対するAneustat処置の効果を示す。
【図14】図14は、SCLC異種移植片の組織変化に対するAneustat処置の効果を示す。
【図15】図15は、SCLC細胞増殖に対するAneustat処置の効果を示す。
【図16】図16は、インビボでのDU145前立腺癌細胞株異種移植片に対するAneustat処置の効果を示す。
【図17】図17は、NSCLC異種移植片の成長に対するAneustat処置の効果を示す。
【図18】図18は、AB117 NSCLC異種移植片の組織変化に対するAneustatおよびシスプラチン+ドセタキソール処置の効果を示す。
【図19】図19Aおよび19Bは、細胞周期にわたってNSCLC細胞の分布に対するAneustatおよびシスプラチン+ドセタキソール処置の効果を図示するヒストグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(発明の詳細な説明)
本発明は、個体の癌を予防しそして処置するための抗癌因子としての使用のための新規の方法および組成物を提供する。本発明は、植物性薬品抽出物に基づく組成物が、効果的に腫瘍の増殖を阻害し、そして個体に投与された場合、実質的に無毒であり得るという新規の発見に関連する。この組成物は、Ganoderma lucidum、Scutellaria barbata、Salvia miltiorrhiza、および必要に応じてHippophae rhamnoides(スナジグミ(sea buckthorn))の抽出物を含有する。
【0029】
1つの実施形態において、本方法は、治療有効量の組成物を、腫瘍を保有する個体(哺乳動物;そして好ましい実施形態においては、ヒト)に投与する工程を包含する。別の実施形態において、本方法は、腫瘍の発現を予防するために、予防有効量の組成物を個体に(例えば、腫瘍を発現する危険性の高い個体に;または寛解状態にあるが再発の危険性のある個体に)投与する工程を包含する。
【0030】
従って、本発明の主な目的は、腫瘍を保有する個体に投与する場合に腫瘍の増殖を阻害する特性を有する、治療有効量かつ無毒量の組成物を投与することによって、腫瘍を保有する個体を処置するための方法を提供することである。
【0031】
本発明の別の目的は、個体に投与する場合に腫瘍の増殖の発生を予防または阻害する特性を有する、予防有効量の組成物を投与することによって、腫瘍を発現する危険性のある個体における腫瘍の発現を予防するための方法を提供することである。
【0032】
本発明の別の目的は、腫瘍の増殖を阻害し、そして個体に投与する場合に実質的に無毒であるという両方の特性を有する、治療有効量の組成物を用いて、腫瘍を保有する個体、または腫瘍を発現する危険性のある個体を処置する方法を提供することである。「実質的に無毒」とは、組成物が、概して、全身性の化学療法に関連する毒性を欠くことを意味する;すなわち、検出可能な毒性((致死の感染をもたらし得る)血液学上の毒性、脈管の毒性、神経性の毒性、胃腸性の毒性、腎性の毒性、肺の毒性、耳科学上の毒性、および免疫抑制性の毒性が挙げられる)を欠くことである。
【0033】
本発明のさらなる目的は、腫瘍負荷の実質的な減少を有するが、なお再発の危険性のある個体を処置する方法を提供することであり、ここで、この方法は、腫瘍の増殖を阻害し、そして個体に投与された場合に実質的に無毒であるという両方の特性を有する、予防有効量の組成物を個体に投与する工程を包含する。
【0034】
(定義)
「腫瘍」とは、本明細書において、本明細書および特許請求の範囲の目的のために、管上皮細胞起源の固体非リンパ一次腫瘍(乳房、前立腺、結腸、肺、膵臓、肝臓、胃、膀胱、または生殖路(頚部、卵巣、子宮内膜など)、脳、および骨髄;黒色腫;またはリンパ腫において発生する腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない)を意味するように使用される。
【0035】
「腫瘍の増殖を阻害する」とは本明細書において、本明細書および特許請求の範囲の目的のために、腫瘍の増殖を遅らせること、腫瘍の増殖を止めること、腫瘍の減少または退行をもたらすこと、腫瘍の侵入を阻害すること、腫瘍細胞の死滅をもたらすこと、および転移の減少または退行をもたらすことのうちの1つ以上を意味するように使用される。
【0036】
「腫瘍の発現の予防」とは本明細書において、本明細書および特許請求の範囲の目的のために、腫瘍の増殖を阻害することを意味するように使用される;そしてより具体的には、腫瘍の塊の形成を予防する際に腫瘍細胞の死滅をもたらすことを意味する。
【0037】
用語「植物」とは本明細書において、種子、葉、茎、花、根、漿果、樹皮、または記載された目的のために有用である任意の他の植物の部分をいうように使用される。特定の使用のために、植物の地下の部分(例えば、根および根茎)が利用されることが好ましい。葉、茎、種子、花、漿果、樹皮、または他の植物の部分もまた、医学上の効果を有し、そして茶をおよび他の飲料、クリームを調製するために、そして食品調製物中に使用され得る。
【0038】
「相乗作用」は、組み合わせ指数(CI)によって測定され得る。組み合わせ指数の方法は、ChouおよびTalalayによって記載された(T.−C.ChouおよびD.C.Rideout(編)、Synergism and antagonism in chemotherapy.Academic Press、San Diego、Calif.(1991)中の、Chou,T.−C.The median−effect principle and the combination index for quantitation of synergism and antagonism、61−102頁;Chou,T.−C.,およびP.Talalay.Quantitative analysis of dose−effect relationships:the combined effects of multiple drugs on enzyme inhibitors.Adv.Enzyme Regul.22:27−55(1984))。0.90以下のCI値は、相乗作用があると考えられ、0.85の値は、中程度に相乗作用があり、そして0.70以下の値は、有意に相乗作用がある。0.90〜1.10のCI値は、ほぼ付加的と考えられ、そしてより高い値は、拮抗的である。
【0039】
(表1.CI値の関数としての相乗作用/拮抗作用)
【0040】
【表1】

相乗作用の決定は、生物学的変異性、投薬量、実験条件(温度、pH、酸素張力など)、処置スケジュールおよび組み合わせ比率によって影響され得ることが注意される。相乗作用は、組み合わせ指数(CI)値として測定され、ここで、0.7以下の値は、有意なレベルの相乗作用と考えられる。
【0041】
(植物性薬品)
(i)Ganoderma lucidum(霊芝):Ganoderma lucidumは、早くも西暦456〜536年にShen Nong Ben Cao Jing第1巻の中で報告されている、高齢者の記憶を増加させそして健忘症を予防する効果に関して賞賛された。経口的または局所的に投与されたGanoderma lucidumを使用したマウスに対する研究は、Ganoderma lucidumが、抗炎症活性を有することを示唆する(B.−K.Kim、& Y.S.Kim(編)、Recent Advances in Ganoderma lucidum research(3〜7頁).Seoul Korea:The Pharmaceutical Society of Korea中の、Stavinoha,W.、Satsangi,N.、& Weintraub,S.(1995).Study of the antiinflammatory efficacy of Ganoderma lucidum)。
【0042】
(1)癌を発現する高い危険性のある個体における癌の化学予防法(2)癌の転移または再発の予防におけるアジュバント使用(3)癌に関連する悪液質および疼痛の一時的緩和、ならびに(4)副作用を減少させるための化学療法と同時の補助的使用、に関するGanodermaの適用は、白血球の数を維持し、そして化学療法または放射線療法のより最適な投与を可能にし、またはこれらの適用が示唆されている(Chang,R(1994)Effective Dose of Ganoderma in Humans;Proceedings of Contributed Symposium 59A,B 5th International Mycological Congress,Vancouver:117−121頁)。ヒトへの投薬の研究は、伝統的でありそして経験的であるので、治療のためのGanodermaの適切な投薬範囲が、このデータおよび薬物速度論の原則を使用して計算された。この計算は、(1)健康維持のために1日あたり0.5〜1gのGanodermaの乾燥果実体用量(2)慢性の疲労、ストレス、自己免疫、または他の慢性の健康上の問題が存在する場合、1日あたり2〜5g(3)重度の病状に対して、1日あたり5〜10gを示唆した(Chang,R(1993)Limitations and Potential applications
of Ganoderma and related fungal polyglycans in clinical ontology;First International Conference on Mushroom Biology and
Mushroom products:96)。
【0043】
(ii)Scutellaria barbata(スカルキャップ(Skullcap)):Scutellaria barbata、肝腫瘍、肺腫瘍および直腸腫瘍に対する伝統的な漢方薬は、突然変異誘発、DNA結合ならびにアフラトキシンB1(AFB1)およびシトクロムP450結合アミノピリンN−デメチラーゼの代謝を阻害すると示されてきた(Wong B.Y.ら、Eur J Cancer Prev 1993年7月;2(4):351−6;Wong B.Y.ら、Mutat Res.1992年6月1日;279(3):209−16)。Scutellaria barbataはまた、インビトロでマクロファージ機能を増大し、そしてインビボでの腫瘍の増殖を阻害し得る(Wong B.Y.ら、Cancer Biother Radiopharm
1996年2月;11(1):51−6)。
【0044】
この植物性薬品は、ビタミンCおよびEならびにカルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛スクーテラリン(scutellarin)、揮発油、タンニン、および苦味成分を含有する。このスクーテラリンは、中枢神経系に作用する。スクーテラリン(Scutellaria barbata由来の活性成分)は、液体クロマトグラフィーによって精製されてきた(Wenzhu Zhang;Duolong Di;Bo Wen;Xia Liu;Shengxiang Jiang,Determination of Scutellarin in Scutellaria barbata Extract by Liquid Chromatography−Electrochemical Detection,Journal of Liquid Chromatography & Related Technologies 26(13):2133−2140(2003))。
【0045】
(iii)Salvia miltiorrhiza(タンジン(Dan Shen)):900種を超えるアキノタムラソウ属の種が存在し、そしてそれらの多くは、医療用の用途としての歴史を有する。タンジンは、血液循環を促進し、そして血液うっ血を除去するために、伝統的な漢方薬の中で使用される(Bensky D,Gamble A Chinese botanical Medicine Materia Medica 1987 Eastland Press:Seattle.384)。それは、血小板のスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の活性を増加し、それによって肺塞栓症に対しての防御および血小板凝集の阻害を提供する(Wang Xら、「Effect of danshen injection on pulmonary thromboembolism and platelet free radical levels in mice.」Zhongguo Zhong Yao Za Zhi 1996;21:558−60)。Salvia miltiorrhizaが、高コレステロール血症動物のコレステロールを減少し、内皮の損傷を減少し、そして脂質過酸化を阻害することが示されてきた。このLDLの酸化の阻害は、アテローム硬化症を減少し得る(Wu YJら、「Increase of vitamin E content in LDL and reduction of atherosclerosis in cholesterol−fed rabbits by a water−soluble antioxidant−rich fraction of Salvia
miltiorrhiza.」Arterioscler Thromb Vasc Biol 1998;18:481−6)。Salvia miltiorrhizaの成分は、Ca2+流動化の減少を介して大動脈ストリップ(aortic strip)のノルアドレナリン誘導収縮を阻害することが見出された。この血管拡張薬の活性は、高血圧症におけるSalvia miltiorrhizaの伝統的な使用を説明し得る(Nagai Mら、「Vasodilator effects of des(alpha−carboxy−3,4−dihydroxyphenethyl)lithospermic acid(8−epiblechnic acid),a derivative of lithospermic acids in salviae miltiorrhizae radix」Biol Pharm Bull 1996;19:228−32)。Salvia miltiorrhizaは、より長く持続する作用および心臓機能のより良い改善を伴って、ニトログリセリンよりも著しく優れた効果を有すると示されてきた(Bai YR,.Wang SZ.「Hemodynamic study on nitroglycerin compared with Salvia miltiorrhiza」Zhongguo Zhong Xi Yi Jie He Za Zhi 1994;14:24−5,4)。
【0046】
Salvia miltiorrhizaはまた、タンジン化合物の主な成分である。タンジン化合物は、末梢循環および一般的な健康の改善のための4つの重要な植物性薬品を含有する。Crataegus laevigataの作用は、中国の植物性薬品Salvia miltiorrhiza(タンジン)、インドの植物性薬品Coleus forskohliiおよびValeriana officinalisによって増大される。漢方薬は、女性の生理不順、腹部の疼痛、不眠症、じんま疹、肝炎および乳腺炎に対してSalvia miltiorrhizaを利用する。
【0047】
(iv)Hippophae rhamnoides(スナジグミ):スナジグミ種油は、多量の2つの重要な脂肪酸(リノール酸およびα−リノレン酸)を含有し、これらは、他のポリ不飽和脂肪酸(例えば、アラキドン酸およびエイコサペンタエン酸)の前駆体である。スナジグミ漿果の果肉/皮由来の油は、パルミトレイン酸およびオレイン酸が豊富である(Chenら、「Chemical composition and characteristics of seabuckthorn fruit and its oil.」Chem.Ind.Forest Prod.(Chinese)10(3),163−175)。血しょう脂質中のα−リノレン酸のレベルの増加は、AD症状に対する明白な改善効果を示した(Yangら、J Nutr Biochem.2000年6月1日;11(6):338−340)。α−リノレン酸のこれらの効果は、エイコサノイド組成物とエイコサノイド合成から独立した他の機構との両方の変化に起因し得る。(Kelley 1992,α−linolenic acid and immune response.Nutrition,8(3),215−2)。
【0048】
スナジグミ(Hippophae rhamnoides)の抗酸化特性および免疫調節特性は、モデル系としてリンパ球を使用して実証されてきた(Geethaら、J Ethnopharmacol 2002年3月;79(3):373−8)。Hippophae rhamnoides由来のヘキサン抽出物の抗潰瘍発生効果もまた、実証されてきた(Suleyman Hら、Phytother Res 2001年11月;15(7):625−7)。マウスにおける致死量の全身照射に対するHippophae rhamnoidesの植物性薬品調製物による放射線防護は、フリーラジカルの捕捉幹細胞増殖および免疫刺激特性の促進を示唆する(Goel HCら、Phytomedicine 2002年1月;9(1):15−25)。
【0049】
(v)Camellia sinensis(緑茶):Camellia sinensis植物からの乾燥葉が、3種類の茶:ウーロン茶、紅茶、および緑茶に加工される。緑茶抽出物は、主にフリーラジカルに対抗するために使用される、バイオフラボノイドが豊富な強力な抽出物である。それは、バイオフラボノイドの型である、多量のポリフェノールを有する。緑茶を作製する際に、この茶葉は、酵素ポリフェノールオキシダーゼを破壊する湿式加熱または乾式加熱によって安定化され、それによって、ポリフェノールの酸化を予防する。これらのポリフェノールは、緑茶中の主な生物活性成分である。好ましい実施形態において、緑茶は、龍井茶(Dragon Well teaまたはLung Ching tea)である。
【0050】
緑茶中のポリフェノールは、多重結合環様の構造を有する、カテキンである。ポリフェノールは、いくつかのフェノール基を有する、バイオフラボノイドの形態である。これらは、風味作用と生物作用との両方を制御する。カテキン(抗酸化特性(フリーラジカルを介した損傷から細胞を防御する)を有するポリフェノールの化学基)としては、エピガロカテキン−3ガレート(EGCG)、エピガロカテキン、およびエピカテキン−3−ガレートが挙げられる。最近、ECGCは、ウロキナーゼ(Jankunら、1997、Nature 387:561)、およびキノールオキシダーゼ(腫瘍細胞の増殖に重要であり得る酵素)のインヒビターであると示された。エピガロカテキン−3ガレート(EGCG)はまた、消化器感染および呼吸器感染に対して防御する。
【0051】
Ganoderma lucidum、Scutellaria barbata、Salvia miltiorrhiza、およびHippophae rhamnoides(スナジグミ)、およびCamellia sinensis(緑茶)は、健康促進および治療目的のために個々に使用されてきた。Ganoderma lucidum、Scutellaria barbata、およびSalvia miltiorrhizaおよび、必要に応じて、Hippophae rhamnoides(スナジグミ)およびCamellia sinensis(緑茶)の抽出物を含有する組成物に見出された、新規の腫瘍阻害、免疫増強、炎症の減少および抗酸化特性、ならびに本発明による方法において使用された2つ以上のこれらの抽出物の新規の組み合わせによって実証された相乗効果は、おそらく、この抽出物中に存在する1種以上のサポニン、フラボノイドおよびポリフェノールの組み合わせの結果である。
【0052】
(組成物)
組成物は、規定した特性の特定の活性に基づいて標準化され、この特性は、標準化IC50による組み合わせに基づいて非常に効果的な品質管理を可能にする。本出願の他の部分で考察されたように、特定の抽出手順は、さらに、この組成物の標準化を促進する。
【0053】
上記組成物は、便利な(例えば、経口)治療薬送達を可能にする、熱水および有機溶媒を用いて抽出される植物性薬品調製物を含有する。
【0054】
本発明の組成物は、効果的である任意の形態(乾燥粉末、粉末、エマルジョン、抽出物、および他の従来の組成物が挙げられるが、これらに限定されない)であり得る。この組成物の有効成分を抽出または濃縮するために、代表的に、植物部分は、適切な溶媒(例えば、水、アルコール、メタノール、または任意の他の溶媒、または混合溶媒)と接触される。溶媒の選択は、例えば、溶媒によって抽出または濃縮されるべき活性成分の特性に基づいて、日常的になされ得る。この組成物クレヌラタ(crenulata)の好ましい活性成分としては、サリドロシド(salidroside)、チロソール、β−シトステロール、没食子酸、ピロガロール、クレヌラチン(crenulatin)、ロジオニン(rhodionin)、および/またはロジオシン(rhodiosin)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの成分は、同じ工程で(例えば、アルコール溶媒を使用して)抽出され得るか、またはこれらは、各回植物由来の特定の標的成分を抽出することに特に効果的である溶媒を使用して、個々に抽出され得る。特定の実施形態において、抽出物は、選択された部分(好ましくは、根)を粉末に精粉する、プロセスによって実行され得る。この粉末は、上記組成物由来の活性因子を抽出するのに効果的な時間の間、所望の溶媒中に浸漬され得る。この溶液は、ろ過および濃縮され得、溶媒によって抽出された高濃度の成分を含有するペーストを生成し得る。いくつかの場合において、このペーストは、乾燥され、上記組成物クレヌラタの粉剤抽出物を生成し得る。この抽出物の活性成分の含有量は、HPLC、UV、および他の分光法方法を使用して測定され得る。
【0055】
本発明の組成物は、任意の有効な経路(例えば、経口経路、非経口(parenteral)経路、腸内経路、腹腔内経路、局所的(topical)経路、経皮的(例えば、任意の標準的なパッチを使用して)経路、眼経路、鼻経路、局所的(local)経路、非経口(non−oral)(例えば、エアゾール)経路、吸引経路、皮下経路、筋肉内経路、頬経路、舌下経路、直腸経路、膣経路、動脈内経路、およびクモ膜下腔経路などが挙げられる)によって任意の形態で投与され得る。それは、単独でか、または任意の活性成分もしくは不活性成分と組み合わせでか(医薬の形態が挙げられる)、または食品添加物もしくは飲料添加物として投与され得る。
【0056】
本発明の好ましい実施形態において、上記組成物は、任意の適切な形態で(例えば、植物全体、粉末化した植物物質または微粉化した植物物質、抽出物、丸剤、カプセル、顆粒剤、錠剤、または懸濁剤が挙げられる)経口的に投与される。
【0057】
上記組成物は、任意の薬学的に受容可能なキャリアと組み合わされ得る。成句「薬学的に受容可能なキャリア」によって、任意の薬学的キャリア(例えば、Remington’s Pharmaceutical Science、第18版、Mack Publishing company、1990に記載された標準的なキャリア)が意味される。適切なキャリアの例は、当該分野において周知であり、そして任意の標準的な薬学的キャリア(例えば、リン酸緩衝塩溶液、Polysorb 80を含有するリン酸緩衝生理食塩水、水、エマルジョン(例えば、水中油型エマルジョン)および種々の型の湿潤剤)が挙げられるが、これらに限定されない。他のキャリアとしてはまた、無菌溶液、錠剤、コーティングされた薬学的錠剤、およびカプセルが挙げられ得る。代表的には、このようなキャリアは、賦形剤(例えば、デンプン、乳、糖、特定の型の粘土、ゼラチン、ステアリン酸またはその塩、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、滑石、植物性脂肪または植物性油、ガム、グリコール)を含有する。このようなキャリアはまた、風味添加物および着色添加物または他の成分を含有し得る。このようなキャリアを含有する組成物は、周知の従来の方法によって処方される。概して、上記組成物と共に処方された賦形剤は、経口投与に関して適切であり、そしてそれとまたは他の活性成分と有害に反応しない。
【0058】
適切な薬学的に受容可能なキャリアとしては、水、塩溶液、アルコール、アラビアガム、植物性油、ベンジルアルコール、ゼラチン、炭水化物(例えば、ラクトース、アミロース、またはデンプン)、ステアリン酸マグネシウム、滑石、ケイ酸、粘稠性のパラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、ペンタエリトリトール脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロースなどが挙げられるが、これらに限定されない。他の添加物としては、例えば、抗酸化剤および保存剤、着色因子、風味因子および希釈因子、乳化因子および懸濁因子(例えば、アカシア、寒天)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ベントナイト、カルボマー、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、セルロース、コレステロール、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、オクトキシノール9、オレイルアルコール、ポビドン、モノステアリン酸プロピレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンエステル、ステアリルアルコール、トラガカント、キサンタンガム、およびこれらの誘導体、溶媒)ならびに種々雑多の成分(例えば、微晶性セルロース、クエン酸、デキストリン、デキストロース、液体グルコース、乳酸、ラクトース、塩化マグネシウム、メタリン酸カリウム、デンプンなど)が挙げられる。
【0059】
上記組成物はまた、他の活性成分(例えば、抗酸化剤、ビタミン(A、C、アスコルビン酸、B(例えば、B1、チアミン、B6、ピリドキシン、B複合体、ビオチン、コリン、ニコチン酸、パントテン酸、B12、シアノコバラミン、および/またはB2)、D、D2、D3、カルシフェノール、E(例えば、トコフェロール、リボフラビン)、K、K1、K2)と共に処方され得る。好ましい化合物としては、例えば、クレアチン一水和物、ピルビン酸、L−カルニチン、α−リポ酸、フィチンまたはフィチン酸、補酵素Q10、NADH、NAD、D−リボース、アミノ酸(例えば、L−グルタミン、リジン、クリシン);プレホルモン(例えば、4−アンドロステンジオン、5−アンドロステンジオン、4(または5−)アンドロステンジオール、19−ノル−4(または5−)−アンドロステンジオン、19−ノル−4(または5−)−アンドロステンジオール、β−エクジステロン、および5−メチル−7−メトキシイソフラボン)が挙げられる。好ましい活性成分としては、例えば、マツの花粉、fructus lycii、Hippophae rhamnoides、Ligusticum、ウコギ属、ゲンゲ属、マオウ属、ツルニンジン属、polygola tenuifolia野生型、ユリ属、ミクリ属、ニンジン、panax notogiseng、フクギ属、Guggle、ブドウ種子の抽出物または粉末、および/またはGinkgo Bilobaが挙げられる。
【0060】
本発明の組成物と共に処方され得る他の植物および植物性薬品は、種々の教科書および刊行物(例えば、ESAyensu、Medicinal Plants of West Africa、Reference Publications、Algonac、Mich.(1978);L.Boulos、Medicinal Plants of North Africa、Reference Publications Inc.、Algonac,Mich.(1983);およびN.C.Shah、Botanical Folk Medicines in Northern India、J.Ethnopharm、6:294−295(1982))中に記述されるものを含む。
【0061】
他の活性因子としては、例えば、抗酸化剤、抗発癌物質、抗炎症因子、ホルモンおよびホルモンアンタゴニスト、抗生物質(例えば、アモキシリン)および他の細菌因子、および他の医療的に有用な治療薬(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Company、1990中に同定されるもの)が挙げられる。本発明の好ましい組成物は、約1%〜100%、好ましくは約20〜70%の植物性薬品抽出物、および必要に応じて薬学的に受容可能な賦形剤を含有する。
【0062】
本発明は、例えば、抗酸化効果を提供するために、酸化に対して防御するために、抗癌効果を提供するために、DNA修復を促進するために、抗放射線効果を提供するために、放射線に対して防御するために、炎症を減少させるために上記組成物を投与する方法、ならびに本明細書において記述した他の状態および疾患に関連する。
【0063】
用語「投与する」によって、所望の目的を達成し得るような様式によって、組成物が宿主に送達されることが、意味される。記述したように、上記組成物は、効果的な経路(例えば、経口、局所的、直腸など)によって投与され得る。この組成物は、処置を必要とする任意の宿主(例えば、脊椎動物(例えば、哺乳動物(ヒト、男性ヒト、女性ヒト、霊長類)、ペット(例えば、ネコおよびイヌ)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、トリ、ニワトリなど)が挙げられる))へ投与され得る。
【0064】
有効量の組成物が、そのような宿主に投与される。有効量は、所望の効果(好ましくは、上述されたような利益的または治療的な効果)を達成するために有用な量である。このような量は、日常的に(例えば、効果を達成する際の有効な用量を決定するために、種々の量が細胞モデル、組織モデル、動物モデル(例えば、標準的な心理学的試験などによって実行されるような迷路試験、水泳試験、毒性試験、記憶試験におけるラットまたはマウス)に投与される投与量応答実験を実行することによって)決定され得る。量は、種々の因子(ウイルスが投与される環境(例えば、癌を有する患者、動物モデル、組織培養細胞など)、処置される細胞の部位、年齢、健康、性別、および処置される患者または動物の体重などが挙げられる)に基づいて、選択される。有用な量としては、レシピエントの必要性および調製の方法に依存して、組成物(例えば、植物性薬品粉末、植物性薬品抽出物ペーストまたは粉末、組成物の有効成分を含有するように調製された茶および飲料ならびに注射)の異なる形態の1回の投与あたり、10mg〜100g(好ましくは、例えば、100mg〜10g、250mg〜2.5g、1g、2g、3g、500mg〜1.25gなど)が挙げられる。
【0065】
(細胞増殖抑制組成物)
本発明の細胞増殖抑制組成物はまた、AneustatTMといわれる。
【0066】
本発明の組成物は、有効な量のGanoderma lucidum、Scutellaria barbata、Salvia miltiorrhiza、および必要に応じて、Hippophae rhamnoides(スナジグミ)の抽出物を含有し、以下の1つ以上の特性を表すことによって、既存の癌細胞のさらなる増殖をさらに阻害する使用のための細胞増殖抑制性の効果を示す:(i)免疫系の増強、(ii)細胞および組織に対する酸化性の損傷の減少、(iii)炎症の減少、(iv)細胞周期の特定の段階における細胞増殖の抑止、(v)抗酸化活性、ならびに(vi)発癌物質および突然変異原へのさらなる露出に対する抗突然変異誘発効果。
【0067】
本発明の1つの局面において、上記組成物は、Ganoderma lucidum、Scutellaria barbataおよびSalvia miltiorrhizaの等量の抽出物を含有する。組成物の投薬量は、当業者によって容易に決定され得、この投薬量は、本出願において記載される種々の特性を示すように示される有効な濃度の組成物に基づいている。異なる割合の個々の抽出物を含有する組成物が、同様に決定され得る。
【0068】
(細胞傷害性組成物)
本発明の細胞傷害性組成物はまた、AneutoxTMといわれる。
【0069】
本発明の組成物は、Ganoderma lucidum、Scutellaria barbata、Salvia miltiorrhiza、および必要に応じて、Hippophae rhamnoides(スナジグミ)の抽出物を含有し、これらの抽出物は、化学治療因子、放射線処置および手術と共に投与される細胞傷害性組成物において有用である。これらの組成物は、既に述べられた特性の(i)免疫系の増強、(ii)細胞および組織に対する酸化性の損傷の減少、(iii)炎症の減少、(iv)細胞周期の特定の段階における細胞増殖の抑止、(v)抗酸化活性、ならびに(vi)発癌物質および突然変異原へのさらなる露出に対する抗突然変異誘発効果、に加えて、(a)化学療法との相乗作用(化学療法因子に対する感受性の増加)、(b)放射線治療および手術との相乗作用(放射線または手術により見逃された既存の癌細胞の増殖を阻害することによる効果の増加)のうちの1つ以上の特性を示す。抗突然変異誘発特性は(相乗作用による感受性の増加と共に)、処置に必要な化学療法因子のレベルを減少し、それによって、患者に対する毒性の減少をもたらす。
【0070】
本発明の細胞傷害性組成物は、化学療法因子(アルキル化因子、代謝拮抗物質アンタゴニスト、抗癌抗生物質、および植物由来抗癌因子が挙げられる)と共に使用され得る。
【0071】
「アルキル化因子」の例としては、ナイトロジェンマスタード、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、クロラムブチル、シクロホスファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、インプロスルファントシラート、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ミトブロニトール、メルファラン、ダカルバジン、ラニムスチン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、トリエチレンメラミン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ピポブロマン、エトグルシド、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、アンバムスチン、塩酸ジブロスピジウム、ホテムスチン、プレドニムスチン、プミテパ、リボムスチン、テモゾロマイド、トレオスルファン、トロホスファミド、ジノスタチンスチマラマー、カルボコン、アドゼレシン、システムスチン、およびビゼレシンが挙げられる。
【0072】
「代謝拮抗物質」の例としては、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシド、チオイノシン、メトトレキサート、エノシタビン、シタラビン、シタラビンオクフォスフェート、塩酸アンシタビン、5−FU薬物(例えば、フルオロウラシル、テガフル、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、ガロシタビン、エミッテフル)、アミノプテリン、ロイコボリンカルシウム、タブロイド、ブトシン、ホリニン酸カルシウム、レボホリニン酸カルシウム、クラドリビン、エミテフル、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、ピリトレキシム、イドクスウリジン、ミトグアゾン、チアゾフリン、およびアンバムスチンなどが挙げられる。
【0073】
「抗癌抗生物質」の例としては、アクチノマイシン−D、アクチノマイシン−C、マイトマイシン−C、クロモマイシン−A3、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸ぺプロマイシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシン、ネオカルジノスタチン、ミトラマイシン、サルコマイシン、カルチノフィリン、ミトーテン、塩酸ゾルビシン、塩酸ミトキサントロン、および塩酸イダルビシンなどが挙げられる。
【0074】
「植物由来抗癌因子」の例としては、エトポシドリン酸、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、テニポシド、パクリタキセル、ドセタキセル、およびビノレルビンなどが挙げられる。
【0075】
本発明の細胞傷害性組成物はまた、免疫療法因子(ピシバニール、クレスチン、シゾフィラン、レンチナン、ウベニメクス、インターフェロン、インターロイキン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン、リンホトキシン、BCGワクチン、Corynebacterium parvum、レバミソール、多糖類K、およびプロコダゾールが挙げられる)と共に使用され得る。
【0076】
上記組成物は、Ganoderma lucidum、Scutellaria barbata、Salvia miltiorrhizaのうちの2種以上を含有する抽出物の組み合わせから選択される。これらの化合物の組み合わせは、癌細胞(子宮頸癌細胞および肺癌細胞が挙げられる)の増殖を相乗作用的に阻害することが示される。個々の植物性薬品の抽出物は、酸化を減少し、炎症を減少し、および免疫系を増強することもまた見い出される。
【0077】
本発明の1つの局面において、上記組成物は、Ganoderma lucidum、Scutellaria barbataおよびSalvia miltiorrhizaの等量の抽出物を含有する。この組成物の投与量は、当業者によって容易に決定され得、この投与量は、本出願において記載される種々の特性を示すように示される有効な濃度の組成物に基づいている。異なる割合の個々の抽出物を含有する組成物が、同様に決定され得る。例えば、組成物は、ある濃度にて、または抽出物の組み合わせの割合において細胞増殖抑制効果を示し得、そして他の濃度にて、または抽出物の組み合わせの他の割合において種々の程度の細胞傷害性効果を示し得る。
【0078】
1つの実施形態において、抗癌治療は、癌を発現する危険性のある個体に、予防有効量の本発明の組成物を投与する工程を包含する。予防有効量は、癌(新規の癌または再発)を発現する危険性のある個体に投与する場合、癌を阻害する効果を引き起こし得る量である。当業者に公知であるように、この投与量は、個体の年齢、大きさ、健康、および代謝ならびに関連する因子に依存して、個体と共に変動し得る。投与の経路は、組成物が安全にそして効果的に送達され得る任意の従来の経路であり得る。好ましい投与の経路は、経口経路である。この組成物は、錠剤/カプレット/カプセル形態において、または薬学的に受容可能なキャリア(例えば、液体、水、生理食塩水または他の生理溶液、またはゲル)中の形態において投与され得る。
【0079】
Ganoderma lucidum、Scutellaria barbata、Salvia miltiorrhizaのうちの2種以上を含有する抽出物の組み合わせは、癌細胞(子宮頸癌細胞および肺癌細胞を含む)の増殖を阻害し、酸化を減少し、炎症を減少し、および免疫系を増強する能力に関して選択される。さらに、他の抗癌化合物(化学療法因子)が、代表的な組成物に含有される。
【0080】
本発明の組成物および方法における使用のために適切な化学療法因子は、少なくとも一部が、細胞の構造および/またはその抗癌活性のための代謝に干渉することに依存して、任意の公知の薬学的に受容可能な因子であり得る。従来の化学療法因子の例としては、白金化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、およびこれらの類似体および誘導体);アルキル化因子(例えば、クロラムブシル、ナイトロジェンマスタード、ナイトロミン、シクロホスファミド、4−ヒドロペロキシシクロホスファミド;アルドホスファミドの2−ヘキセノピラノシド、メルファラン、BCNU、CCNU、メチル−CCNU、ウラシルマスタード、マンノムスチン、トリエチレンメラミン、クロロゾトシン、ACNU、GANU、MCNU、TA−77、ヘキサメチルメラニン、ジブロモマンニトール、ピポブロマン、エポキシプロピジン、エポキシピペラジン、エトグルシド、ピップスルファン(pippsulfan)、ジメチルミレラン(dimethylmilelane)、ブブルファン(bubulfan)、インプロクオン(inprocuon)、スレニモン(threnimone)、チオ−TEPAおよびアザ−TEPA);代謝拮抗物質(例えば、5−フルオロウラシル、葉酸、メトトレキサート(MTX)、6−メルカプトプリン、アミノプテリン、8−アザグアニン、アザチオプリン、ウラシル、シタラビン、アザセリン、テガフル、BHAC、SALVIA MILTIORRHIZA108、シトシンアラビノシド、シスプラカム(cispuracham)、ジアザマイシン、HCFU、5’DFUR、TK−177およびシクロチジン);抗生物質(例えば、ブレオマイシン、ダウノマイシン、シクロマイシン、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、カルチノフィリン、マクロシノマイシン(macrocinomycin)、ネオスラマイシン(neothramycin)、マクロモマイシン(macromomycin)、ノガロマイシン(nogaromycin)、クロモマイシン(cromomycin)、7−o−メチルノガロール(methylnogallol)−4’−エピアドリアマイシン、4−デメトキシダウノルビシン、ストレプトゾトシンDONおよびミトザントロン(mitozanthron));ビス−クロロエチル化因子(例えば、マホスファミド、ナイトロジェンマスタード、ノルナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル);ホルモン(例えば、エストロゲン);生体内還元性因子(例えば、マイトマイシンC)および他のもの(例えば、ミトキサントロン、プロカルバジン、アドリブラスチン(adriblastin)、エピルビシン、プレドニムスチン、イホスファミド);P−糖タンパク質インヒビター(例えば、サリブラスチン(thaliblastine))およびプロテインキナーゼインヒビター(例えば、プロテインキナーゼCインヒビター(イルモホシン))が挙げられるが、これらに限定されない。化学療法因子とは、特に、抗微小管因子またはチューブリン標的因子(ビンカアルカノイドが挙げられる);ビンカアルカノイド(例えば、エトポシド、ポドフィロトキシン、ビンクリスチンおよびビンブラスチン);タキサン(パクリタキセル、ドセタキセルおよび前駆体タキサン(10−デアセチルバッカチンIII)、ヒ素塩、コルヒチン、チオコルヒシン、コヒセイン(coichiceine)、コルヒサル(colchisal)および他のコルヒアム(colchium)塩;エピポドフィロトキシン(エトポシド)、シトカラシン(例えば、A〜E、H、J)、オカダ酸、カルバリルおよびその代謝産物(例えば、ナフトールまたはナフチル化合物(1−ナフトール、2−ナトソール、1−リン酸ナフチルが挙げられる))、マロネート、ノコダゾール(メチル−(5−[2−チエニル−カルボニル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)カルバメート酸)、クリプトフィシン(cryptophycin)(CP)およびその類似体(例えば、CP−52)、ワートマニン、12−0−テトラデカノイルホルボール(tetradecanoylphorbol)−13−アセテート(TPA)、14−3−3σおよびそのホモログ(例えば、rad24およびrad25)、ウスチロキシン(Ustiloxin)F、モノクロタリン(例えば、モノクロタリンピロール(MCTP))、エストラムスチンおよびアデノシンの阻害因子をいう。これらの化学治療因子は、単独でかまたは組み合わせのいずれかで使用され得る。好ましくは、1つの代謝拮抗物質および1つの抗微小管因子が組み合わされ、そしてより好ましくは、異なる腫瘍死滅機構を有するタキソール、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、ブレオマイシン、または5−フルオロウラシルが、組み合わされる。ヒ素化合物(コルヒチン(colchicin)、コルヒチン(colchicine)、コルヒセイン(colchiceine)、コルヒサル、コルヒアム塩、ビンブラスチン、パクリタキセル)および細胞骨格に干渉する関連化合物を含有する組み合わせが、最も好ましい。新規の化学治療因子および治療薬が同定され、そして当外分野に入手可能になるにつれて、これらは、本発明の実施に直接的に適用され得る。
【0081】
好ましい実施形態において、全ての天然の細胞傷害性組成物は、任意の2種以上のGanoderma lucidum、Scutellaria Barbata、およびSalvia miltiorrhizaに加えて、植物の成分(例えば、シクロホスファミド、4−ヒドロペロキシシクロホスファミド、チオテパ、タキソールおよび関連化合物、ドキソルビシン、ダウノルビシンおよびネオカルジノスタイン)を含有する。
【0082】
現在癌治療において使用され、そして微小管短縮(脱重合)または微小管伸長(重合)を乱すように設計される治療薬(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、およびビノレルビン)は、細胞傷害性組成物の好ましい成分である。これらの治療薬は、チューブリンに結合し、微小管は、このチューブリンの分子からなり、そして紡錘体の集合を阻害することによって有糸分裂中の細胞を抑止する(Compton,D.A.ら、(1999)Science 286:313−314)。
【0083】
細胞傷害性組成物を用いる抗癌治療のための本発明による方法は、治療有効量の上記組成物を投与する工程に加えて、さらに治療有効量の1種以上の標準的な抗癌処置(例えば、放射線療法、化学療法、手術、免疫療法、および光ダイナミック療法の1種以上)を処置する工程を包含する。この代替的な好ましい実施形態において、この方法は、治療有効量の上記組成物を投与する工程に加えて、治療有効量の1種以上の標準的な化学療法治療薬を投与する工程を包含する。治療有効量の1種以上の標準的な化学治療薬および治療有効量の細胞傷害性組成物の組み合わせは、腫瘍阻害における相乗効果(既存の腫瘍の退行を含む)をもたらし得る。
【0084】
(特性)
本発明の組成物のいくつかの明確な特性は、その組成物を癌治療において固有に適したものにする。
【0085】
抽出物の植物性薬品の供給源は、天然の化合物であり、個々の化合物/抽出物の使用の長い歴史を有し、実質的に無毒である。エイムス試験の結果によって明らかにされた抗突然変異誘発性の特性(相乗作用によって増加した感受性と共に)は、処置に必要な化学療法因子のレベルを減少し、従って、患者に対する毒性の減少をもたらす。
【0086】
上記組成物はまた、増大した細胞周期の能力を実証し、Aneustatの組成物を、有効性を増加させそして化学療法因子の投与量を減少されることによって、化学療法(Aneutox処方物中の)または放射線療法に対する強力なアジュバントにし得る。
【0087】
品質管理。IC50に基づく組成物は、規定した特性の特定の活性に基づいて標準化され得る。
【0088】
上記組成物はまた、便利な(経口)治療薬送達に適している。組成物は、熱水および有機溶媒(酢酸エチル(ethyla)エステル、エタノール)を用いて抽出された。
【0089】
総合的に、上記組成物は、Aneustat組成物中で、非常に弱い細胞傷害効果と共に、ほぼ細胞増殖抑制効果を示す。細胞傷害性組成物(Aneutox)は、必要に応じて、公知の化学療法因子を含有する。
【0090】
上記組成物は、抗酸化活性を実証し、この活性は、染色体/遺伝子に対する損傷を予防し、突然変異原の効果を減少し、化学療法因子の副作用を緩和し、そして細胞修復機構を増大する。
【0091】
上記組成物は、さらに免疫系増強活性を実証し、この活性は、(i)損傷した細胞または(ii)損傷した遺伝子を有する細胞の除去を促進する。その上、この組成物は、免疫状態を改善する一般的な利点を提供する(受動的免疫療法)。
【0092】
Aneustatで処置された細胞の組織変化は、死滅した癌細胞の最小限の保持を示し、これは、癌治療後の回復を増強する。
【0093】
上記組成物は、著しい抗炎症活性を示す。Aneustatは、Cox−2阻害を示す(むしろCOX−1よりも4.5倍を超えて上回って)。COX−2インヒビターが癌を処置するための手段であることが示唆されているように、この活性は、腫瘍の進行を遅らせる。
【0094】
Aneustatはまた、リンパ球を誘発し、腫瘍壊死因子−αを放出する。この腫瘍壊死因子−αは、癌治療において重大なアポトーシスを促進する重要な役割を果たすことで公知である。
【0095】
従って、このAneustat組成物は、癌の予防ならびに既存の癌細胞の増殖の阻害に有用である。上記Aneutox組成物は、化学療法因子との組み合わせにおいて使用され得る。これは、治療薬への耐性を減少し、ならびに化学療法、放射線、および手術へのアジュバントとして作用する。さらに、この組成物は、癌治療(化学療法、放射線療法および手術)と相乗作用的に作用し、従って、有効性を増大し、そして必要とされる投与量レベルを減少する。最終的に、この組成物の個々の成分の効果が相乗的に作用するので、この組成物は、独特でありそして効果的である。
【実施例】
【0096】
(実施例)
さらなる推敲なしに、当業者は、前述の説明を使用して、本発明をその完全な範囲まで利用し得ると考えられている。以下の実施例は、例証のみであって、たとえどのような方法であっても本開示の残りの部分を制限するものではない。
【0097】
抽出物の以下の組み合わせを、実施例の全体を通して使用した:Ganoderma lucidum、Scutellaria Barbata、そしてSalvia miltiorrhizaは、Aneustatの成分である。Aneutoxは、同じ濃度かまたは異なる濃度で、同じ成分を含有し、そしてさらに必要に応じて、化学療法因子を含有する。
【0098】
さらに、本発明の組成物は、必要に応じて、Panax Quinquefolium(西洋ニンジン(Western ginseng))、Camellia sinensis(緑茶)、およびHippophae rhamnoides(スナジグミ)を含有し得る。これらの組み合わせまたは個々の抽出物を用いて得られた結果を、多くの場合、ACAPHA(6つの植物性薬品(Sophora tonkinensis、Polygonum bistorta、Prunella vulgaris、Sonchus brachyotus、Dictamnus dasycarpusおよびDioscorea bulbiferaの組み合わせ))を用いて得られた結果と比較した。
【0099】
(実施例1:植物性薬品抽出物の調製のための方法)
本発明の組成物を、乾燥植物性薬品として投与し得る。植物性薬品調製物は、植物化学物質を含有し、その内のいくつかは、水溶培地中に可溶性であり、他の植物化学物質は比較的、有機(アルコール、脂質)培地の中でより可溶性である。異なる抽出方法を使用し、そして植物性薬品から有効成分を抽出する能力に関して試験した。抽出方法としては、熱水抽出、有機(脂質画分)抽出;有機(水性画分)抽出;およびエタノール抽出が挙げられる。
【0100】
生成物を、図1Aに示される一般的な抽出綱領による異なる溶媒を使用して植物性薬品から調製する。概して、この植物性薬品を、視覚的検査手段および他の検査手段によって均一の大きさおよび質に関してプレスクリーニングする。未処理の植物性薬品原料を、所望の溶媒を用いて抽出する。好ましくは、抽出プロセスを、各バッチについて2回実行する。液体抽出物を、乾燥状態まで蒸発させる。必要な場合、この溶媒を除去し、そしてこの乾燥抽出物を、最終生成物としてブレンドする。必要に応じて、このブレンドを、保存および送達のために封入し得る。
【0101】
図1B〜1Gに示された抽出スキームにおいて、植物性薬品または植物性薬品ブレンドを、30〜60分間の還流の下、溶媒(熱水、80%エタノール、または酢酸エチル)を用いて抽出し、ろ液を得るためにろ過によって分離し、そしてさらなる分析のために空気乾燥した。このろ液を、活性の決定の前に、組み合わせるか、希釈するかまたは濃縮した。熱水、80%エタノールおよびクロロホルム/メタノールを用いた抽出手順を、それぞれ、図1B、図1C、および図1Dに模式的に示す。熱水、80%エタノール、および熱水の後に80%エタノールを用いた植物性薬品ブレンドの抽出手順を、それぞれ、図1E、図1Fおよび図1Gに図示する。酢酸エチルを用いた植物性薬品ブレンドの抽出手順を、図1Hに図示する。
【0102】
(実施例2:肺癌細胞に対する抽出物の抗増殖効果)
組織培養中のA549ヒト肺癌細胞の癌細胞増殖の阻害のために必要とされる、Ganoderma lucidum、Scutellaria barbata、PqおよびSalvia miltiorrhizaの広い範囲の濃度(mg/ml単位)の個々の植物性薬品抽出物を、72時間の間、試験した。抽出物の存在下および非存在下における細胞数の増加を、スルホローダミンBアッセイによって測定した。細胞の増殖の阻害についてのIC50値を、Skehanら、“New Colorimetric Cytotoxicity Assay for Anticancer−drug Screening,”J.Natl.Cancer Inst.,82:1107−1112(1990)によって記載されるように、スルホローダミンBアッセイを用いて全細胞タンパク質の量を測定することによって得た。MCF−7細胞を、37℃、5%COで、17%ウシ胎仔血清、12μg/mL硫酸ゲンタマイシンおよび2mMグルタミンを含有するRPMI 1640培地中で増殖させた。コンフルーエントな細胞を、トリプシン処理し、40倍に希釈し、そして96−ウェルマイクロタイタープレートの中へ播種した。治療薬を伴わない増殖の24時間後、種々の濃度(ジメチルスルホキシドの最終濃度、0.1%)の治療薬を有する培地を異なるウェルに添加した。IC50値を、さらなる48時間後に、決定した。
【0103】
図2は、Ganoderma lucidum(番号9)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14)および化学療法治療薬を含有する組成物(AneustatTM)に対する細胞増殖の阻害についての組み合わせ指数(CI)値を示す。各成分を、それぞれのIC50値の濃度まで添加した。AneustatTMは、ゲムシタビン(GemzarTM)との非常に有意でかつ強い相乗作用、ならびにメトトレキサートとの有意な相乗作用を示した。カルボプラチン、エポチロンBおよびドセタキセル(Taxotere(登録商標))とのいくつかの拮抗作用に注目した。
【0104】
有機抽出物および水性抽出物を、効能に関して比較した。図3A〜図3Cは、それぞれ、複数回および異なる方法で抽出された場合の、異なる植物性薬品(Ganoderma
lucidum(番号9)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14))による細胞増殖の阻害についての効力のまとめを提供する。水、酢酸エチル(エステル)およびメタノールによる抽出物を、試験した。
【0105】
(実施例3:抽出物によるCox−2の阻害)
シクロオキシゲナーゼ(Cox)は、ヒトの体に天然に存在する酵素である。Cox−2は、疼痛を誘導するために必要な酵素である。非ステロイド抗炎症薬(NSAID)は、その鎮痛性活性および抗炎症活性に起因して、疼痛ならびに関節炎の徴候および症状を処置する際に広く使用される。一般のNSAIDは、シクロオキシゲナーゼ(COX)(プロスタグランジンG/Hシンターゼ(PGHS)としても公知である、アラキドン酸をプロスタノイドに変換する酵素)の活性を遮断することによって作用すると認められている。最近、2つの形態のCOX(構成的アイソフォーム(constitutive isoform)(COX−1)および誘導性アイソフォーム(inducible isoform)(COX−2))が、同定され、これらの発現は、炎症の部位においてアップレギュレートされている(Vane,J.R.;Mitchell,J.A.;Appleton,I.;Tomlinson,A.;Bishop−Bailey,D.;Croxtoll,J.;Willoughby,D.A.Proc.Natnl.Acad.Sci.USA,1994,91,2046)。COX−1は、生理的役割を果たし、そして胃腸および腎の防御を担っていると考えられている。他方で、COX−2は、病理上の役割を果たし、そして炎症状態において存在する優勢なアイソフォームであるように見える。このCox2酵素は、炎症に特異的であり、そしてCox2インヒビター(例えば、Celebrex(登録商標)、Vioxx(登録商標))は、最近FDAによって承認された。
【0106】
多くの証拠は、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)が、胃腸癌において重要であることを示唆する。膵臓癌のCOX−2 mRNAのレベルは、隣接する非腫瘍組織と比較して、60倍を超えて増加した(Tuckerら、Cancer Res.1999年3月1日;59(5):987−990.)。シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)を、頭および頸の扁平上皮癌(HNSCC)において過剰発現させたが、健康な被験体の正常な口腔粘膜においては検出不可能であった(Chanら、Cancer Res.1999年3月1日;59(5):991−994)。ここで、COX−2の構成的な発現は、悪性の上皮腫瘍の発現および進行において役割を果たすという証拠が増加している(Denkertら、Cancer Res.2001年1月1日;61(1):303−308.)。まとめると、これらの結果は、COX−2が、癌の予防または処置の標的であり得ることを示唆する。
【0107】
COX−2阻害活性のための抗炎症アッセイを、アラキドン酸をプロスタグランジン(PG)に転換する能力に基づき、プロスタグランジンエンドペルオキシドHシンターゼ−1アイソザイムおよびプロスタグランジンエンドペルオキシドHシンターゼ−2アイソザイム(PGHS−1、およびPGHS−2)を使用して、実行した。この実験において使用された陽性コントロールは、アスピリン、ナプロキセン、およびイブプロフェンである。
【0108】
個々の植物性薬品(Ganoderma lucidum(番号9)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14)ならびにこれらの組み合わせ)の塩化メチレン抽出物によるCOX−2酵素活性の阻害に関しての組み合わせ指数(CI)値を、測定した。50%の最大限の阻害(加熱不活性化によって測定された)まで酵素活性を阻害した抽出物の濃度の逆数(inverse)を、図4に示す。Ganoderma lucidum(番号9)およびSalvia miltiorrhiza(番号14)の組み合わせは、3つ全ての植物性薬品のAneustat組み合わせがそうであったように、最も高い相乗効果を示した。
【0109】
個々の植物性薬品(Ganoderma lucidum(番号9)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14)およびこれらの組み合わせ)の酢酸エチル抽出物によるCOX−2酵素活性の阻害に関しての組み合わせ指数(CI)値を、測定した。50%の最大限の阻害(加熱不活性化によって測定された)まで酵素活性を阻害した抽出物の濃度の逆数を、図5に示す。Ganoderma lucidum(番号9)およびScutellaria barbata(番号15)の組み合わせは、任意の有意な相乗効果を示した(CI〜0.6)。
【0110】
好ましいCOX−2インヒビターは、COX−1よりも大きなCOX−2の阻害を示し、このCOX−1は、胃腸および腎の防御を担う。個々の植物性薬品(Ganoderma lucidum(番号9)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14)およびこれらの組み合わせ)の酢酸エチル抽出物(番号0401)によるCOX−1の阻害に対するCOX−2の阻害の効力の割合を測定し、そして図6に示す。示したこれらの組み合わせを、COX−1またはCOX−2のいずれかの活性を阻害するために、これらのIC50の比率において、2つ以上の抽出物を混合することによって調製した。従って、異なる組み合わせの混合物を、COX−1およびCOX−2阻害のために使用した。Salvia miltiorrhiza(番号14)の抽出物が、最も選択的な単一の因子であって、そしてCOX−1よりも、COX−2への15倍の選択を示した。Ganoderma lucidum(番号9)およびSalvia miltiorrhiza(番号14)の抽出物の組み合わせは、図6に示されるように、COX−1よりもCOX−2を阻害することに関して19倍強力であった。
【0111】
図7は、個々の植物性薬品(Ganoderma lucidum(番号9)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14)およびこれらの組み合わせ)の酢酸エチル抽出物(番号0401)によるCOX−2およびCOX−1の阻害についての効力を示す。効力を、試験された各組成物のIC50の逆数として示す。阻害を、COX−1およびCOX−2 ELISAアッセイキット(Cayman Chemical Co.、Ann Arbor、MI)によって測定した。Salvia miltiorrhiza(番号14)単独またはGanoderma lucidum(番号9)との組み合わせ、またはGanoderma lucidum(番号9)およびScutellaria barbata(番号15)が、最も効力が強かったことを示した。
【0112】
(実施例4:抽出物の抗酸化活性)
Scutellaria barbataの漿果、Scutellaria barbataの葉、Pq、Ganoderma lucidum、Salvia miltiorrhizaおよびScutellaria barbataのうちの2種以上を含有する植物性薬品抽出物のブレンドを、抗酸化特性に関して試験する。ブレンドAは、6つ全ての成分を含有し、そしてブレンドB〜Gは、一度に1つの成分を、特異的に除いた。Scutellaria barbataの葉が、全体のブレンドのほぼ50%の抗酸化活性を担っていると見い出された。
【0113】
Ganoderma lucidum、Salvia miltiorrhizaおよびScutellaria barbataのうちの2種以上を含有する熱水抽出物のブレンドを、発現される抗酸化特性に関して試験する。比較の標準は、トロロクス(ビタミンEの水溶性類似体)であり、そして相対的抗酸化活性を、トロロクス等量(TE)と規定する。比較の標準は、ケルセチン(フラボノイド)であり、そして相対的抗酸化活性を、ケルセチン等量と規定する。スナジグミの葉が、測定の系の両方において、全体のブレンドのほぼ50%の抗酸化活性を担っていることが見い出された。
【0114】
(実施例5:抽出物のTNF−αアッセイ)
腫瘍負荷は、循環腫瘍壊死因子−α(TNF−α)(骨格筋のタンパク質分解を誘発し得るサイトカイン)の有意な増加をもたらす(Lloverら、Mol Cell Endocrinol.1998年7月25日;142(1−2):183−189)。TNF−αは、刺激を受けたリンパ球から放出された細胞傷害性サイトカインである。TNF−αは、異常な有糸分裂を受ける腫瘍細胞を標的にする。標的細胞に到達する際に、TNF−αは、レセプターに結合し、そしてこの細胞にアポトーシスを受けさせる。TNF−αは、多数のリンパ球(マクロファージ、好中球、活性化Tリンパ球および活性化Bリンパ球、ナチュナルキラー細胞などが挙げられる)から放出される。TNF−αはまた、免疫応答の主要な調節因子である。
【0115】
上記抽出物を、TNF−αを放出するマクロファージを刺激する能力に関して試験した。単球(マクロファージ前駆体)を、4時間、Ganoderma lucidum(番号8)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14)のうちの1種以上の異なる濃度の抽出物を用いて処理し、そしてTNF−αの放出を、ELISA免疫アッセイによって測定する。この結果を、図8に示す。Ganoderma lucidumが、TNF−α放出を誘発する最も強力な能力を示している。
【0116】
(実施例6:免疫系活性を増大する抽出物の能力)
リンパ球の増殖は、それが、病原体に遭遇しやすくなる免疫系の多数の細胞の有効性を表すように、免疫系の増大と関連している。Ganoderma lucidum(番号8)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14)の異なる濃度の抽出物を、免疫系の細胞の増殖を増大する能力に関して試験した。リンパ球の増殖を、リンパ球のDNAに取り込まれたトリチウム化したチミジンの量として測定し、そして図9に示す。
【0117】
(実施例7:抽出物の突然変異誘発能力の測定のためのエイムス試験)
エイムス試験の使用は、ほとんどの発癌物質が、動物細胞における腫瘍をもたらすことに加えて、突然変異原であるという仮定に基づく。この試験において使用された細菌は、Salmonella typhimuriumの株であり、この株は、hisオペロンに突然変異を備えており、その培養培地中の成分からアミノ酸ヒスチジン(His)を合成することを不可能にする。ヒスチジン栄養素要求株は、hisオペロンに突然変異を有し、これらは、ヒスチジンを添加されることなしの増殖することができない。His表現型を回復する復帰変異体は、ヒスチジンなしに最小限の培地プレートで増殖する。このことは、突然変異原としてhis変異体の復帰変異体に関する単純で、感受性の選択を提供する(Ames,B.,F.Lee,およびW.Durston.1973.An improved bacterial test system for the detection and classification of mutagens and carcinogens.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 70:782−786)。
【0118】
エイムス試験は、試験される組成物が、それら自体突然変異促進性であるか否か、従って潜在的に危険であるか否かを示す。この試験はまた、突然変異を予防することにより、上記抽出物が有益であるか否かも示し得る。多くの化合物が、突然変異原となるように肝臓で変更される。従って、この試験を、肝臓の酵素(NADPHおよびグルコース−6−リン酸によって活性化された肝臓の抽出物)の存在下および非存在下において実行した。2−アミノアントラセン(aminoantracene)を、陽性コントロールとして使用した。エイムス試験を、1つのプレートあたり20μgのGanoderma lucidum(番号8)、Scutellaria barbata(番号15)、およびSalvia miltiorrhiza(番号14)の抽出物に対して実行し、そして図10に示した。どの抽出物も、有意な突然変異誘発能力を示さなかった。
【0119】
(実施例8:AneustatTMの最大限の耐性投与量)
10×IC50で示されているAneustat(Ganoderma lucidum、Salvia miltiorrhiza、Scutellaria barbata)の溶液を、経口的にSCID/nodのマウスに投与した。抽出物の溶液(43.65mg/ml.)を、1日に一回、14日までの間、SCID/nodマウス(25g;n=5)に経口的に投与した(1ml/日/動物)。このマウスを、28日の期間を超えて、治療薬の投与後のストレスの徴候(体重の実質的な減少、下痢、重度のあえぎ、髪のかき乱しなどが挙げられる)に関してモニタリングした。2日目から14日目に、13%未満の体重の減少を観察し(図11)、そしてこの動物を健康であると考えた。期間の最後に、マウスをCO吸引で殺害した。齢を合わせたコントロールマウス(n=4)を、14日間、1ml/日の食塩水で処理した。このデータは、1日の43.65mg/ml/25gのマウスの抽出物の投与量は、有毒ではないことを示す。この投与量を、異種移植片モデル系の腫瘍の増殖に対する抽出物の効果についての予備研究において使用した。
【0120】
(実施例9:ヒト肺癌組織異種移植片/マウスモデルの確立)
肺癌治療の臨床前試験を、異種移植片モデルを使用して大規模に実行し、この異種移植片モデルにおいて、ヒト肺癌細胞株を、免疫不全マウスの皮下に注入した。しかし、癌細胞異種移植片は、インビボでの肺腫瘍の性質を正確には模倣し得ない。実際、癌細胞株異種移植片モデルは、抗癌因子の臨床上の効能を正確に予測するには乏しい記録を有する。新規の異種移植片モデルを、種々の前癌および癌ヒト組織(肺癌組織を含む)のために確立した。最も重要なことに、このモデルの異種移植片は、親組織の組織学的な特徴を保持する。選択された型の癌に関して、異種移植片は、患者において観察される癌と類似する様式で、治療に応答する。例えば、SCIDマウス中で増殖した前立腺癌組織は、定期的に診療所で見出されるように、アンドロゲン剥離治療に対して劇的な応答を示した。
【0121】
インビボでのAB79肺癌異種移植片の増殖の2ヵ月半後、2つの組織異種移植片の1つが、クルミのサイズに増殖した。腎臓部位に移植された腫瘍は、生き残り、そして連続継代の後であっても、元の組織変化および分化マーカープロフィールを保持した。肺癌組織は、SCIDマウス中で非常に急速な増殖率を有し、約5日間で2倍になる。細胞遺伝子分析は、いくつかの異常な染色体を示した。転移が存在するだけでなく、染色体部分の欠失および重複も存在する(注意:各染色体は、それ自身の表示色を有するので、染色体の長さに沿った1つを超える色は、転移を示す)。スペクトル核型(SKY)分析は、癌はかなり進行していたが、AB79肺癌異種移植片の組織が、少数の核型の変更のみを含んでいたことを示した。
【0122】
(実施例10:ヒト肺癌細胞株A549異種移植片を保有するマウスに対するAneustatの生存効果)
ヒトA549細胞を、コラーゲンゲル(10細胞/ゲル)と混合し、そして3匹のSCID/nodマウスの腎カプセルの下に移植した。インビボで2ヵ月後、A549細胞は、固形腫瘍を形成し、次いで、この腫瘍を採取し、そして複数の同一の断片へと解剖した。4つの腫瘍の断片(各断片は、約2.5mm)を、0日目に1匹のマウスに移植した。合計で、60の断片を、15匹のマウスに移植した。移植して25日後、平均腫瘍体積は、20.8mmであった。Aneustatを、21日間、6匹のマウスに経口的に投与した(14.4mg/動物/日)。齢を合わせたコントロールマウスを、同じ期間、生理食塩水で処置した。このマウスの生存結果を、12週間の期間を超えてモニタリングし、そして図12に示した。3週間のAneustatを用いた処置は、A549腫瘍保有マウスの生存に3ヶ月の期間を超える有意な増加を与えた。
【0123】
(実施例11:ヒト異種移植片、治療薬耐性異種移植片、小細胞肺癌(AB79)異種移植片の増殖に対するAneustatの効果)
治療薬耐性小細胞肺癌腫(SCLC)に対するAneustatの効能を、治療薬耐性SCLCを有する68歳の患者由来の異種移植片を使用して、試験した。80の腫瘍組織断片(2mm)を、0日目に24匹のマウスの腎カプセルの下にランダムに移植した。この処置の開始時点において(6日目)、平均腫瘍体積は、約5mmであって、コントロール群において21日目に600mmまで増加した。
【0124】
7日目に、移植片の平均体積が約5mmであったときに、Aneustat処置を開始した。各6匹のマウスの3つの群を、16日間、それぞれ、43.65mg/動物/日、14.4mg/動物/日および4.3mg/動物/日でそれぞれ処置し、その後、この移植片を採取し、腫瘍体積、組織変化、アポトーシス指数(Tunelアッセイ)および増殖指数(増殖マーカーKi67染色)に対する効果を決定した。TUNELアッセイは、定量蛍光アッセイ(quantitative fluorescence assay)を通して、アポトーシス誘発DNA切断を検出する。末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)は、切れ目の入った末端標識によって、3’ヒドロキシル末端における切断されている核DNAへの、ブロモーデオキシウリジン(BrdU)残基の取り込みを触媒する。TRITC接合抗BrdU抗体は、次いで、検出のためにこの3’ヒドロキシル末端を標識し得る。
【0125】
Aneustat処置は、統計学的に有意な様式(p<0.01)で、実質的に3つ全ての用量において(14.4mg/マウス/日の投与量において50%を超えるまで)、SCLC異種移植片の増殖を阻害した。この混合植物性薬品抽出物は、実質的に3つ全ての投与量において約50%まで肺癌組織の増殖を阻害した。コントロールと処置された動物との間の腫瘍の増殖の差は、統計学的に有意であった(p<0.01)。この阻害効果は、CDDP+VP16の標準的な化学療法養生法と比較可能であり、そしてこれを図13に示す。
【0126】
組織変化は、壊死のパターンの違いを示した。処置されなかった異種移植片の中で、壊死は、全ての小細胞の未分化癌において共通であるように、主に焦点および中心であり、そして急速な増殖によってもたらされた脈管遠位の壊死に反映する(図14a)。この壊死細胞を、主として腫瘍の中心部分に配置した(図14b)。Ki67免疫染色は、修復の徴候を伴わずに、壊死の領域に隣接する増殖において通常の増加を示した(図14c)。
【0127】
Aneustatを処置された異種移植片において、壊死が増加し、そしてそれは、主に焦点というよりもむしろコンフルーエントであった。壊死は、脈管の中心であって(図14d)、そして中心というよりはむしろ進行している腫瘍の縁に近位して存在した(図14e)。Ki67免疫染色は、「S」期の細胞の数の全体的な増加を示し、そしてこのことは、特に進行した先端において著しかった(図14f)。活性な増殖の領域における増加した血液の供給および血液によって送達された細胞傷害性は、これらの観察から推測され得る。S期の細胞の増加および増殖活性の増加は、Aneustat組成物の「防御的」効果を示し得る。Aneustatで処置された異種移植片の健康的な外観は(CDDP+VP16で処置された異種移植片の外観と比較して)、細胞増殖抑制性効果または組成物の減少した毒性を反映し得る。
【0128】
アポトーシスを、ApopTag(登録商標)Fluorescein In Situ Apoptosis Detection Kit(Chemicon)を使用して測定した。有意により多くの細胞が、Aneustatで処置された異種移植片において、アポトーシスの状態であった。癌が多くの場合、細胞のアポトーシスをする能力を中和することによって増殖するように、Aneustat処置によって誘導されたプログラム細胞死は、重要な特性である。
【0129】
抗Ki67抗体によって染色された移植片は、Aneustat処置後の、癌細胞の
Ki67染色における、わずかではあるが、統計学的に有意な増加を示した。Ki67は、S期に発見される細胞を標識し、このことは、S期の停止を示す(図15)。
【0130】
(実施例12:前立腺癌細胞株(DU145)に対する異種移植片の効能の研究)
他の癌型に対するAneustatの効能を決定し、そしてその性能を標準的な化学療法養成法と比較するために、前立腺細胞株(DU145)由来の腫瘍異種移植片を、2mmの断片に切断し、そしてSCOD/nodマウスに移植した。処置を、13日目に開始した(平均体積=15.6mm)。このマウスを、生理食塩水、3.3 IC50のAneustat、およびエストラムスチンナトリウムリン酸(EMCYT(登録商標))およびドセタキセル(E+D)を用いる処置のために3つの等量の群に分けた。図16に示されるように、Aneustatは、E+D養生法と比較して、有意な阻害効果を示した。
【0131】
(実施例13:非小細胞肺癌(NSCLC)株(AB117)異種移植片の増殖に対するAneustatの効果)
肺扁平上皮癌の特徴を示すAB117腫瘍を、後期の疾患を有する53歳の男性から得た。異種移植片を、生理食塩水(コントロール)、Aneustat、シスプラチン+ドセタキセルおよびシスプラチン+ビノレルビンを用いて処置した。Aneustatのみを、経口的に投与し、他の治療薬を、腹腔内に投与した。
【0132】
図17に示されるように、Aneustatは、インビボでのヒトNSCLCの組織の増殖に対して有意な阻害効果を有する。
【0133】
図18に示されるように、Aneustatで処置された腫瘍は、多形性の増加(18c)および多核細胞(18d)を示す。対照的に、コントロールの腫瘍は、より少ない壊死および多形性(18a)を示す。シスプラチン+ドセタキセルで処置された腫瘍(18b)は、稀な生存可能な細胞のみを示す。
【0134】
図19Aおよび図19Bの、蛍光細胞分析分離装置(FACS)によって作製されたヒストグラムにおいて、シスプラチン+ドセタキソールで処置された腫瘍は、循環細胞(cycling cell)のほぼ全ての減少を示す。G2/M期にいくつかの停止があったが、S+G2+M期全体の細胞では、6%のみであった。対照的に、Aneustatで処置された腫瘍は、約30〜50%の、S細胞、G2細胞およびM細胞の割合の増加を示した。この証拠は、Aneustatで処置された細胞が、より短いG1期を有するか、またはG0からG1への増大した移行が、細胞周期の増大を反映することを示唆する。この増大した周期は、Aneustatの組成物を化学療法(Aneutox処方物において)または放射線療法への強力なアジュバントにし得る。
【0135】
(実施例14:子宮頸癌細胞に対する抽出物の抗増殖効果)
組織培養において子宮頸癌細胞の増殖の阻害に必要とされる個々の植物性薬品抽出物の濃度を試験し、そしてACAPHAの濃度と比較する。有機(脂質)抽出物および水性(熱水)抽出物を、効能に関して比較する。Ganoderma lucidum、Scutellaria barbata、PqおよびSalvia miltiorrhizaは、ACAPHAよりも低い濃度で有効である。有機抽出物の脂質画分は、熱水抽出物よりも約10倍強力である。
【0136】
子宮頸癌細胞の増殖の50%の阻害に必要な個々の草本抽出物の脂質画分の濃度を試験し、そしてACAPHAおよび漢方薬の濃度と比較する。Salvia miltiorrhizaを、最も強力な抽出物の供給源と同定する。
【0137】
子宮頸癌細胞の増殖の50%の阻害に必要な草本抽出物の組み合わせの脂質画分の濃度(mg/ml)を決定する。植物性薬品抽出物の組み合わせは、最も強力な個々の植物性薬品抽出物(Salvia miltiorrhiza)よりも、2〜4倍強力である。植物性抽出物の組み合わせはまた、ACAPHAの最も有効な抽出物よりも、強力であることが見い出される。
【0138】
(実施例15:ヒト癌細胞の増殖の相乗的阻害)
Salvia miltiorrhiza(番号14)、Ganoderma lucidum(番号9)、およびScutellaria barbata(番号15)の抽出物は、ヒト癌細胞株の増殖を阻害することに関して有効であった(表2Aおよび表2B)が、Salvia miltiorrhiza(番号14)、Ganoderma lucidum(番号9)、およびScutellaria barbata(番号15)の個々の植物性薬品抽出物の組み合わせは、表3Aおよび表3Bに示されるように、肺癌(A549)、乳癌(MCF7)、前立腺癌(DU145)および結腸癌(DLD−1)由来のヒト癌細胞株の阻害における相乗的効果を示した。
【0139】
(表2A.異なる細胞株(mg/ml、標準偏差を伴う)に対する植物性薬品抽出物による細胞増殖の阻害のIC50
【0140】
【表2A】

(表2B.平均値の標準誤差を伴う、異なる細胞株に対する植物性薬品抽出物による細胞増殖の阻害のIC50
【0141】
【表2B】

(表3A.肺癌細胞、前立腺癌細胞および結腸癌細胞の増殖の相乗的阻害)
【0142】
【表3A】

(表3B.乳癌細胞および前立腺癌細胞の増殖の相乗的阻害)
【0143】
【表3B】

Salvia miltiorrhiza(番号14)、Ganoderma lucidum(番号9)、およびScutellaria barbata(番号15)の3つの植物性薬品の全ての組み合わせが、表4にまとめられたように、相乗的にヒト肺癌細胞、乳癌細胞、前立腺癌細胞および結腸癌細胞の増殖を阻害する。
【0144】
(表4.植物性薬品抽出物の組み合わせによる肺癌腫細胞、乳癌腫細胞、前立腺癌腫細胞および結腸癌腫細胞の増殖の相乗的阻害のまとめ)
【0145】
【表4】

本明細書中に引用される全ての刊行物および特許出願は、各個々の刊行物または特許出願が、具体的におよび個々に参考として援用されることが示されるように、本明細書中に参考として援用される。
【0146】
前述の発明を、理解の明瞭性の目的のために説明および実施例によってある程度方法で詳細に記述してきたが、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなしに特定の変更および改変が行われ得ることが、本発明の教示の観点から当業者に容易に理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図18】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−64021(P2013−64021A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−4459(P2013−4459)
【出願日】平成25年1月15日(2013.1.15)
【分割の表示】特願2006−525536(P2006−525536)の分割
【原出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(506078323)ジェニオウス バイオメド インターナショナル インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】